(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】高出力インダクタ用の小型軽量の電磁シールド
(51)【国際特許分類】
H05B 6/14 20060101AFI20231114BHJP
H01F 27/36 20060101ALI20231114BHJP
H05B 6/36 20060101ALI20231114BHJP
F27D 11/06 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H05B6/14
H01F27/36 151
H05B6/36
F27D11/06 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524798
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 FR2021051871
(87)【国際公開番号】W WO2022084641
(87)【国際公開日】2022-04-28
(32)【優先日】2020-10-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522120004
【氏名又は名称】オラノ・リサイクレイジ
(71)【出願人】
【識別番号】502124444
【氏名又は名称】コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エティエンヌ・ルセ
(72)【発明者】
【氏名】ジル・キダー
(72)【発明者】
【氏名】パトリス・ブラン
【テーマコード(参考)】
3K059
4K063
5E058
【Fターム(参考)】
3K059AA08
3K059AB09
3K059AB13
3K059AB15
3K059AB28
3K059AD01
3K059CD47
3K059CD48
3K059CD77
4K063AA04
4K063AA12
4K063BA13
4K063CA04
4K063CA05
4K063FA34
4K063FA42
4K063FA46
4K063FA48
5E058CC13
(57)【要約】
インダクタの電磁シールドは、垂直なコラム(13)から構成される主磁場集中シールド(12)を備え、コラムは、非磁性間隙(15)によって分離された強磁性ブロック(14)から構成され、非磁性間隙(15)は、熱損失をしっかりと低減するための磁気抵抗の増加に寄与する。主シールドは、主シールドから漏れた残留磁界を閉じ込める外側の導電性ケーシング(1)を追加される。シールドは小型であり、使用される強磁性体の質量は少なめであり、主シールドの自律冷却は不要であり、ケーシングと主シールドとの間の電磁結合が、機器の電気的特性に対する影響を軽減し、または解消さえする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁誘導によって加熱される負荷の前に配置された、少なくとも1回の導電性の巻きから構成されるインダクタであって、電流が、巻きの長さの方向に流れる、インダクタと、
前記インダクタ(3)の前に配置された磁場コンセントレータ(12)を備える電磁シールドであって、前記インダクタが、前記磁場コンセントレータ(12)と前記負荷との間に配置されており、前記コンセントレータが、強磁性コラム(13)を備える、電磁シールドとを含み、
前記強磁性コラム(13)の延長の主方向が、前記インダクタ(3)によって前記磁場コンセントレータ(12)側に伝搬される磁場ラインの主成分の方向と一致し、
前記コラムが、電気的絶縁媒体によって互いに分離されており、それぞれが、前記インダクタの巻きの長さの一部を取り囲む、シールドされた電磁インダクタであって、
前記コラム(13)が、前記延長の方向に互いに続く強磁性素子(14)から構成され、前記延長の方向において前記強磁性素子に対して透磁率がより低くより短い電気的絶縁性間隙(15)によって分離されていることと、
前記電磁シールドが、導電性ケーシング(1)をさらに備え、前記ケーシングと前記インダクタとの間に前記磁場コンセントレータが配置されていることとを特徴とする、シールドされた電磁インダクタ。
【請求項2】
前記強磁性素子(14)が、フェライト製であることを特徴とする、請求項1に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項3】
前記インダクタが、前記負荷のまわりおよび軸(X)のまわりの回転形状を有し、前記コラム(13)の前記延長の方向が、前記軸の方向と一致し、前記導電性ケーシング(1)が、前記磁場コンセントレータ(12)を囲む、前記軸のまわりの回転形状を有する部分を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項4】
前記間隙(15)が、前記シールドの全体の磁気抵抗を20~80倍に増加させるように寸法設定されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項5】
前記インダクタ(3)が、1回巻きインダクタであり、前記巻きが、電気的に並列のストランド(6)から構成されることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項6】
前記ストランドが、交互に下降および上昇し、2つの環に区分される、前記軸の方向に傾斜した部分(7、8)から構成され、同軸のプライ(9、10)が、前記軸に沿って同一の高さに延在し、前記プライのうちの第1のプライが、すべての前記上昇部分を含み、前記プライのうちの第2のプライが、すべての前記下降部分を含むことを特徴とする、請求項3または5に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項7】
前記強磁性素子(14)が、それぞれ前記インダクタ(3)の前記ストランド(6)のうち1つだけの前に延在し、または、前記巻きが前記同軸のプライにおける前記部分から構成される場合には、前記プライのうち半径方向で最も外側のプライの下降部分もしくは上昇部分のうち1つだけの前に延在することを特徴とする、請求項5または6に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項8】
前記インダクタ(3)が、内部の流体循環によって冷却されることを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項9】
前記強磁性素子(14)が、支持体連結部(17、20、21、22)によって前記インダクタに装着されることを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項10】
前記支持体連結部が、前記強磁性素子(14)と前記インダクタ(3)との間で全体的に熱伝導性かつ電気的絶縁性であり、前記強磁性素子には、特定の冷却液回路がないことを特徴とする、請求項8または9に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項11】
前記支持体連結部が、それぞれ適応部品(17)を備え、前記適応部品(17)の第1の側面(18)が、前記インダクタと同一の曲率を有し、連結層(20)を介して前記インダクタに接続され、前記第1の側面の反対側の第2の側面(19)には、少なくとも1つの強磁性素子(14)が設置され、前記第2の側面(19)が、前記少なくとも1つの強磁性素子と同一の曲率を有することを特徴とする、請求項10に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項12】
前記設置された強磁性素子が、第2の連結層(21)を介して前記適応部品に連結されることを特徴とする、請求項11に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項13】
前記支持体連結部が、前記強磁性素子(14)を前記適応部品(17)に取り付けるためのねじ(22)を備えることを特徴とする、請求項11または12に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項14】
前記支持体が、前記延長の方向において前記強磁性素子(14)よりも短く、前記強磁性素子(14)の前記延長の方向における末端縁には、前記支持体がないことを特徴とする、請求項10から13のいずれか一項に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項15】
前記強磁性素子(14)が、平坦な四角形のブロックまたはタイルであり、前記四角形の少なくともいくつかの角において面取りされているかまたはフィレット(16)を与えられている、ことを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項16】
前記磁場コンセントレータ(12)が、前記導電性ケーシング(1)から電気絶縁物の層(24)を介して分離されていることを特徴とする、請求項1から15のいずれか一項に記載のシールドされた電磁インダクタ。
【請求項17】
核廃棄物をガラス化するための加熱炉における、請求項1から16のいずれか一項に記載のシールドされた電磁インダクタの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、より一般的な用途を除外することなく、場合により高いイオン化放射を伴う環境において、高い誘導周波数において大きな無効電力で動作可能なシールドされた電磁インダクタに関する。本発明のインダクタには、特に外形寸法、質量および負荷の電気的パラメータの保護に関して、改善された電磁シールドが備わっている。本発明のインダクタは、固体負荷を有する融解炉において使用され得る。
【背景技術】
【0002】
誘導システムにおける磁場の管理は、いくつかの特許および科学的出版物の主題とされてきた。マイクロエレクトロニクスの構成要素から数メートルの長さの工業窯炉まで、広範な規模の用途が存在する。磁場の発生源のまわりをシールドデバイスによって閉じ込めることは、システムの電気工学的性能の改善、またはシステムとその外部環境との間の電磁放射に対する耐性をもたらすのに有益であり得る。後者の事例では、シールドすると、電磁妨害と、望ましくない起電力または加熱、電気アーク、電磁干渉や電気装置の間の電磁両立性の問題、ならびに生体に対する障害のリスクなどの電磁妨害の結果とを避けるための助けになる。通常のパッシブな電磁気シールドは、金属ケーシングまたは強磁性体(磁場を誘引して振り向けることができる材料)と称される高透磁率材料で作製された均一な磁場コンセントレータから成る。
【0003】
金属ケーシングが使用されるのは、主に電磁放射が低電力かつ高周波のときである。この解決策は電子機器にうまく適合する。高振幅磁場を生成するインダクタを含むデバイスについては、この解決策は、インダクタとケーシングとの間の相互インダクタンスが過大になり、インダクタの効率低下を防ぐために、およびケーシングを過熱しないように、または新規の冷却デバイスの追加を不要にするために、これら2つの要素の間にいくらかの距離を保つことが必要になる。そこで、金属ケーシングを用いるシールドの外形寸法は、集積化の制約と両立困難であることが判明し得る。
【0004】
磁場コンセントレータは、金属ケーシングにとって周波数が低すぎる(貫入深さが大きすぎる)磁場の漏れを制限するため、または電気部品の効率を改善するために使用される。数十キロヘルツまで動作する用途(たとえば送電網の変圧器、金属製錬用の工業窯炉)については、圧延鉄鋼と電気絶縁物との積層板から成るコンセントレータが伝統的に使用されている。高周波の用途については、固体の強磁性部が使用される。この場合、設計において様々な難事に遭遇する。まず第1に、通常の磁場コンセントレータにおける熱損失は、主に想定される分野(100kHzを超える約300kHz、1Mバールを超える約12Mバール)などの高い周波数および大きい無効電力で使用すると非常に大きくなる。これらの熱損失は、酸化鉄または他の金属粉を成型して圧縮することによって得られたソフトフェライトなどの通常の強磁性体の部分がセンチメートルの寸法に達すると生じやすい磁気共鳴現象によって増大する可能性がある。100kHzを超える周波数範囲に適合されたフェライト(たとえばZnおよびMn、NiまたはMgに基づくもの)は、硬度が高く脆弱であるため、機械加工に対してさらに弱い材料である。したがって、大きいかまたは複雑な幾何学的機器にこれらの材料を組み込むのは特に困難である。したがって、ソフトフェライトは、主に汎用の様式において、ケーブルまたは電子回路の小型変圧器およびインダクタにおける電磁干渉の吸収器として使用され、誘導加熱システムではあまり使用されない。
【0005】
他に想定され得る強磁性体には、結合フェライトと称される複合材料があり、鉄の粉末粒の間の有機電気的絶縁性結合剤(たとえばPTFE)を含む。誘導加熱のためにそのような材料を使用する価値は、十分立証されている。そのような材料には、機械加工するのが容易であるという大きな利点がある。
【0006】
しかしながら、結合フェライトはソフトフェライトよりも熱損失が大きく、しかも、含有している絶縁体が有機絶縁体であるので、強いイオン化放射に適合性がない。
【0007】
最後に、特にここで想定される用途では、磁場コンセントレータによる磁場の適切な閉じ込めは、とりわけ、実施される量または専用の冷却液回路によって冷却する必要性のために、かなり過大な質量および外形寸法を意味する。他方では、通常の磁場コンセントレータが備わっているインダクタは、各々が、加熱される負荷のまわりを回っていく直列の数回の巻きから成るコイルで構築される。高出力(>1Mバール無効電力)および高周波(>100kHz)の用途については、直列巻きによって電圧が過大になるので、並列ストランドの数個のインダクタから構成され得る1回巻き(1回の巻きを有するコイル)を使用する必要がある。並列接続には、電流が周囲領域またはストランドに優先的に分布して、インダクタを不均一に加熱し、放射される磁場および負荷における誘導も、より不均一になるという問題がある。並列ストランドのインダクタの近くに磁場コンセントレータが設置されると、これらの不均一性が強められてしまう。このため、磁場コンセントレータは、主に、直列巻きを有するインダクタに適合される。
【0008】
考慮に入れるべき最終的な難事は、金属ケーシングなどの磁場コンセントレータをインダクタの近くに設置すると、電源に対する負荷の電気的パラメータが変化するので、発電機または導電体をかなり改造しないと、既存の機器にシールドを一体化するのが不可能になることである。
【0009】
米国特許第5197081(A)号には、ともすれば外側へ大きく曲がって外部ケーシングに達し、そこで誘導電流および熱損失を発現させる磁場ラインを逸らすための電磁シールドを有する誘導炉が説明されている。このシールドは、絶縁層と交互する強磁性層から構成される積層された構造を有するループから成り、これらの層のすべてがそれ自体においてループしており、強磁性層が磁場ラインを逸らし、絶縁層がシールドにおける過熱を防止する。磁場が外部ケーシングに達することなく、したがって外部ケーシングはシールドに寄与しないので、強磁性シールドを冷却する必要はない。しかしながら、積層構造は高出力および高周波数には適しない。
【0010】
米国特許第5588019(A)号は、インダクタコイルが(半径方向外側の面において)鉄の粉末と結合ポリマーとの複合材料で作製されたDC磁場コンセントレータによって完全に覆われている誘導炉を説明している。これらの材料を利用すると高出力レベルにおいて過大な損失の原因となるので、本発明では評価されない。このシールドのために冷却が用意されているが、本発明では、冷却は可能な限り回避される。非常に風通しのよい組立構造以外に外部ケーシングはない。
【0011】
特開平8-155591には、フェライトで作製されて加熱炉の角方向においてセクタに分割され得るシールドが備わっている誘導炉が説明されており、すなわち、互いに分離されたコラムから構成されるシールドが加熱炉の円周部を取り囲み、この機構はシールドに誘導電流が生じるのを防止する。そのような連続的なコラムデバイスは、最大の磁場を捕捉するように意図されているが、電磁流量が過大になってシールドにおける熱損失も過大になるので、特にここで想定された用途に対して本質的に不適合である。この文献でも、加熱炉および磁場コンセントレータのまわりは連続的な外部ケーシングではなく、簡単な組立構造または付着シューである。この文献によって解決される主要な技術的課題は、るつぼとして働く長いコンジットが磁場ラインを加熱箇所から逸らすことのないように、磁場コンセントレータの端が置かれる平坦な円形の底部導電性プレートおよび頂部導電性プレートによって軸方向の磁場を阻止することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許第5197081号明細書
【特許文献2】米国特許第5588019号明細書
【特許文献3】特開平8-155591号公報
【特許文献4】国際公開第2007/031564号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、デバイスを用いて、高周波数において動作する高出力インダクタによって生成され得る磁場の閉じ込めを提供することであり、このデバイスは、
- たとえば300kHzといった100kHz~1MHzの範囲内にあり得る周波数における数10分の1ミリテスラから数ミリテスラであり得る誘導性磁場に対する高レベルの閉じ込めを提供し、
- 追加の冷却回路なしで温度が制御され、
- 小型で質量が制限され、
- シールドなしの構成に対する電気的パラメータの変化を制限し、そのため、このシールドは、電源をほとんどまたは全く改造することなく既存の炉設備に組み込まれ得、
- 通常の工業用手段を使用して製造され得、
- インダクタの特に縦方向において、負荷ボリュームにおける優れた誘導均一性を維持し、
- 放射能の強い環境において、集中的な工業的用途に対してほとんどまたは全く手入れなしで数年の寿命を有する
ものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明が対象とする特定の用途は、核廃棄物をガラス化するためのコールドクルーシブルの誘導加熱である。
【0015】
一般形態において、本発明は、シールドされた電磁インダクタであって、電磁誘導によって加熱される負荷の前に配置された、少なくとも1回の導電性の巻きから構成されるインダクタであって、電流が、巻きの長さの方向に流れる、インダクタと、インダクタの前に配設された磁場コンセントレータを備える電磁シールドであって、インダクタが、前記コンセントレータと負荷との間に配置されており、前記コンセントレータが、強磁性コラムを備え、強磁性コラムの延長の主方向が、インダクタによってコンセントレータに面する側から伝搬される磁場ラインの主成分の方向と一致し、各コラムが、電気的絶縁媒体によって互いに分離されており、それぞれが、インダクタの巻きの長さの一部を取り囲む、電磁シールドとを備える、シールドされた電磁インダクタにおいて、コラムが、コラムの前記延長の方向に互いに続く強磁性素子から構成され、前記延長の方向において強磁性素子に対して透磁率がより低くより短い電気的絶縁性間隙によって分離されていることと、電磁シールドが、導電性ケーシングをさらに備え、ケーシングとインダクタとの間に磁場コンセントレータが配置されていることとを特徴とする、シールドされた電磁インダクタに関する。
【0016】
これらの間隙は、電気的絶縁材料または空気空間のいずれかから成り得る。
【0017】
「強磁性」という用語は、相対透磁率が1よりも高い、磁場を誘引する材料の特性を対象として含むことが明確にされる。
【0018】
磁場コンセントレータが磁場ラインに対して平行なセクタに分割されるいくつかの既知の設計に対して、本発明の設計も、磁場ラインに対して垂直なセクタに分割され、2つの主要な効果を伴う。第1の効果は、磁場コンセントレータが磁場ラインと一致して連続的である通常の設計に対して、コラムによって捕捉される電磁流量がより小さく、そのため、コンセントレータにおける熱損失が大幅に低減されるので、冷却が必ずしも必要とされなくなるか、または追加の流体循環デバイスなしで完成され得ることであり、これは以下で論じる。第2の効果は、既存の機器にシールドを追加するとき、導電性外部ケーシングに対する残留誘導結合が、電源から見た機器の電気的パラメータを乱すシールドの影響を弱めるやり方で増大され、したがって、機器のどこか他の箇所に大幅な改造を施すことなくシールドが追加され得ることである。
【0019】
強磁性素子は、有利には、重合体の結合剤または他の複合材料なしのソフトフェライトである。しかしながら、困難であると考えられていた、MnおよびZnに基づくものなどの高出力等級に適する固体のブロック形またはタイル形のフェライト素子の機械加工は、水ジェット切断によって優れた条件下で実現可能である。
【0020】
シールドは、インダクタの反対側の強磁性コラムの前に配設された導電性ケーシングを備える。そこで、磁場コンセントレータコラムによってもたらされる主シールドが電磁シールドによって強化され、このことが、主要な強磁性シールドから漏れた残留磁場を阻止して、機器の電気的パラメータに対するシールドの全体的な影響を無効化するのに寄与する。ケーシングの厚さは、磁場の特性的な貫入深さよりもはるかに大きいので、ケーシングを通過し得る磁場は完全に無視できる。残留磁場が小さいのでケーシングにおける誘導電流はわずかであり、また、主要なシールドの内部および外部における熱損失が、間隙でセクタに分割された構造によって低減されるので、ケーシングは、強磁性コラムの近くに、電気的に接触しないように配置され得る。デバイスの外形寸法は、冷却の必要性なく短縮され、しかも過熱のリスクが解消される。
【0021】
組み合わせたシールドの2つの構成要素の負荷インダクタンスおよび負荷抵抗に対する反対の効果により、これらの構成要素は、電源から見た機器の抵抗およびインダクタンスのパラメータの値の、たとえばシールドがない状態における前記パラメータのそれぞれの値との差が±10%未満になるように、有利にかつ容易に設計され得る。
【0022】
本発明の特に想定される実施形態または用途では、インダクタは、負荷のまわりおよび軸(一般に垂直である)のまわりの回転形状を有し、そのため、コラムの延長の方向が、軸の方向と一致し、導電性シュラウドが、磁場コンセントレータを囲む部分を備える。加熱炉の他の構成が可能であり、そのうち1つが本明細書に関して概説される。
【0023】
有利には、間隙の厚さは、シールドの全体の磁気抵抗を間隙なしの構成に対して20~80倍にして、セクタへの垂直分割の効果を最大限に活用するように調節される。そのように改善するための間隙の理想的な厚さは、コラムおよび強磁性ブロックの断面に依拠する。
【0024】
少なくとも高出力かつ高周波数の範囲については、インダクタは、一般に、電気的に並列接続されたストランドから構成される1回巻きインダクタになるはずである。
【0025】
この場合、好ましい機構では、ストランドは、交互に下降および上昇し、2つの環に区分される、垂直方向に傾斜した部分から構成され、同軸のプライが、軸に沿って同一の高さに延在し、プライのうちの第1のプライが、すべての上昇部分を含み、プライのうちの第2のプライが、すべての下降部分を含み、インダクタのそのような構造によって、ストランド間の電流強度差と、特にインダクタの上端および下端の高さにおける誘導の不規則性とである、縁効果が軽減される。フェライト損失および電気的パラメータの変化に対するより有利な構成は、単一の広い間隙ではなくコラムに沿って配置されたいくつかの間隙を有するものである。そのような1回巻きインダクタに対して、特に、以下で詳述される、ブロックがインダクタに接続されている構造において、隣接したストランド間の電気伝導のリスクを制限するために、強磁性ブロックが、それぞれインダクタストランドのうち1つだけ(または巻きが前記同軸のプライの前記部分から構成される場合には、プライの半径方向で最も外側の下降部分もしくは上昇部分のうち1つだけ)の前に延在する機構を適用することは有利であり得る。
【0026】
以下の特性のうち少なくともいくつかがあれば、寸法の精度が良く、しかも動作の品質が優れた加熱炉を簡単に製造することができる注目すべき構造が出現する。
- フェライト(強磁性素子)は、インダクタの機械的支持および可能な冷却源からの利益を得るために、インダクタに対して機械的に連結される。そこで、支持体は有利には熱伝導性である。フェライトはインダクタの冷却から利益を得るので、フェライトの冷却機は、より容易に不要になり得る。
- フェライトは、接着剤またはねじ、クリップもしくは同種のものなどの取付けデバイスによって所定位置に保持される。
- フェライト表面上の熱伝導性の結合剤の層が冷却源に接触することが推奨される。
- フェライトにおけるジュール損を大幅に低減して、フェライトによる短絡のリスクを回避するために、フェライトと、フェライト上の他の導電性部品、とりわけインダクタなどの大起電力を受ける部品との間に、電気的絶縁材料の中間層を設けることが強く推奨される(ただし、すべての事例において必須であるわけではない)。ねじまたは他の取付けシステムなど、冷却過程に寄与しないがフェライト上に止まってフェライトを保持する要素は、好ましくは全体が電気的絶縁材料で作製される。
- いくつかのエポキシ系接着剤なら上記のポイントの両方を同時に満たし得、イオン化放射による劣化もわずかである。
- 適切な熱伝導が望まれる場合には、フェライトとインダクタとの間に金属などの熱伝導度が大きい材料のいわゆる適応部品を挿入することができる。しかしながら、適応部品には、たとえば強磁性素子が平坦であってインダクタが回転成形されているといった、両者の形状が異なる場合にも、インダクタに対する強磁性素子の接続を容易にするという別の機能がある。適応部品は、インダクタと同一の曲率を有する第1の側面と、少なくとも1つの強磁性素子と同一の曲率を有し、前記強磁性素子が設置される、第1の側面の反対側の第2の側面とを有し得る。
- 適応部品は、はんだ(金属支持体がある場合)もしくは前述のエポキシ系接着剤などの熱伝導性の結合剤、またはねじ、ボルト、植込みボルト、クリップもしくは同種のものなどの他の取付け方法によって、インダクタに固定され得る。
【0027】
有利な構造の特徴は、支持体が、コラムの延長の方向において強磁性素子よりも短く、強磁性素子の延長の方向における末端縁には、支持体がないことである。このことは、電磁エネルギーの損失を回避するために支持体が導電性適応部品を含む場合にも特に当てはまる。
【0028】
スパイク効果による電磁エネルギー損失をさらに回避するために、強磁性素子の角が鋭くなるのは避けるべきである。素子が平坦な四角形のブロックまたはタイルの形態である通常の事例では、四角形の少なくともいくつかの角において面取りするのが有利であり得る。
【0029】
本発明の有利な一態様には、導電性ケーシングを磁場コンセントレータのすぐ近くに置くものがある。しかしながら、この距離を非常に短くするなら、導電性ケーシングと磁場コンセントレータとの間に電気絶縁物の層があると有利であろう。
【0030】
本発明の重要な利点は、インダクタよりも軽い電磁シールドを想定することができるほどの電磁シールドの効率および軽さである。
【0031】
本発明の別の態様は、このシールドされた電磁インダクタを、特に(排他的ではなく)核廃棄物をガラス化するための加熱炉において使用するように想定されたものである。
【0032】
次に、様々な態様、特性および利点を把握するために、本発明の、純粋に例示的な特定の実施形態が、以下の図によって詳細に提示される。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】シールドされたインダクタ素子の全体図である。
【
図2】強磁性磁場コンセントレータの第1の実施形態の図である。
【
図9】シールドを伴うインダクタの部分的垂直断面図である。
【
図10】シールドされたインダクタの別の可能な実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、外側から見た、シールドされたインダクタを示す。このインダクタの全体的な形状は、縦軸Xに対して回転対称な円筒状であり、この実施形態では、上に開いており、電磁シールドのために使用される導電性金属の外部ケーシング1によって囲まれている。外部ケーシング1は、ほぼ連続した周囲壁を備えるが、ここから入口接続および出口接続2が出現し、これを通してインダクタ3に電力および冷却液が供給される。インダクタを外部からさらに絶縁するために、外部ケーシング1には下部壁および上部壁が追加されてよい。外部ケーシング1は、金属、銅またはアルミニウム合金で作製され得る。インダクタ3は、次に論じられる、以下の
図2~
図5においてより明白である。インダクタ3は、たとえば加熱される負荷を囲む複雑な形状の1回巻きによって形成され、負荷は、いわゆるコールドクルーシブルでよいるつぼに含有され得る。本発明の想定された用途である核廃棄物のガラス化のために使用するコールドクルーシブルは内部の液体循環によって冷却され、接触している負荷の表面凝固を生成して、コールドクルーシブルの腐食を防ぐことができる。入口接続および出口接続2は、互いに近い2つのコレクタ4および5に通じ、これらは細長い導電性ブレードであってインダクタ3の終端である。導電性の巻きは導電性ストランド6から構成され、ストランド6は、すべてがコレクタ4および5に接続されており、したがって電気的に並列接続されており、加熱炉のまわりの1回巻きを作製する。それぞれのストランド6はジグザグであって、基本的に、いわゆる上昇部分7と、いわゆる下降部分8とから構成され、これらは反対の垂直方向の傾斜を有し、交互にいる。すべての上昇部分7および下降部分8が、インダクタ3の最低レベルから最高レベルまで延在する。したがって、上昇部分7と下降部分8とは、分離した同軸の円筒状のプライで延在するので、互いに触れることなく交差し、内側のプライ9が(慣例的に)上昇部分7であり、外側のプライ10が(慣例的に)下降部分8である。実際、ストランド6は、半径方向を向いた短い接続部11をさらに備え、これが、それぞれの上昇部分または下降部分を、ストランド6の隣接した部分に接続する。この機構は、文献WO2007/031564A1から既知であり、ここでは、高さにおける誘導の不均一性と、特に、エッジ効果と称される、インダクタ3の上縁部および下縁部における電流集中とを軽減するので、好ましい。最後に、コレクタ4および5ならびにストランド6は、WO2007/031564A1で説明されたものと同様に中空であって、中を冷却液が流れる。
【0035】
加熱炉は、磁場コンセントレータ12である主電磁シールドを備え、これは、全体的に環形状であって、半径方向内側のインダクタ3と半径方向外側の外部ケーシング1との間に延在する。主電磁シールドは、加熱炉の周囲のセクタを取り囲む(軸Xの方向に立てられた)垂直なコラム13から構成され、コラム13は、強磁性素子から形成され、互いに分離されており、強磁性素子は、ここでは平行六面体のフェライトブロック14(
図2~
図5の14a、14b、14cまたは14d)、または四角形の平坦なタイルであって、電気的絶縁性かつ非磁性の間隙15を間に挟んで分離されて垂直方向に重ね合わされている。間隙15は、コラム13の連続性を維持する物理的間隙でよく、または、ブロック14が互いに無関係に支持される場合には可能になる空いた空間でもよい。磁場コンセントレータ12の機能は、磁場ラインをインダクタ3の外へ導いて、縮小された周辺の内部に磁場を集中させ、加熱される負荷に誘導される電流を維持または増加させて、加熱炉の熱効率を維持または向上させる一方で、外への磁場漏れの阻止を完成する周辺のケーシング1との誘導結合を部分的に制限することである。磁場コンセントレータ12は、ケーシング1とともに、この機器の全体的な電磁シールドを形成する。強磁性ブロック14は、高さが数センチメートルまで、角度の広がりが数度(好ましくは15°未満)であり得、間隙15の高さは数10分の1ミリメートル~数ミリメートルであり得る。強磁性ブロック14の半径方向の広がりは、インダクタ3による、以下で指示されるやり方でのそれらの冷却を促進するために制限され、強磁性ブロック14には特に関連付けられた冷却液回路はない。強磁性ブロック14の角度方向の広がりも、磁気共鳴を制限するために制限される。加えて、それぞれの強磁性ブロック14は、インダクタ3が交差するジグザグの部分から構成される状況で、磁場コンセントレータ12において隣接したストランド6との間の電気伝導のリスクを制限するために、単一のストランド6の前に延在することが推奨され、この原理は、それぞれの強磁性ブロック14を、隣接する外部のプライ10の単一の部分(ここでは下降部分8と称される)の前に延在させることによって適用される。
【0036】
そこで、磁束のチャネリングおよび磁気共鳴効果を最適化するためにコラム13の断面および数は変化され得、また、強磁性ブロック14の終端は、組立ての所望の容易さおよびフェライト質量の最適化に依拠して種々のやり方で調節され得ることを考慮に入れて、いくつかの代替実施形態が想定され得る。
図2では、各強磁性ブロック14aは、平行六面体または長方形のタイルのように成形されており、ストランド6のように傾斜されることによって、折れ線の不規則な側端面を有するコラム13aをもたらし、
図3では、各強磁性ブロック14bは、引き続き長方形のタイルであるが、側面は垂直であって、各強磁性ブロック14aの場合よりも角度の広がりが小さく、垂直方向の広がりが大きくなっており、そこで、コラム13bの各々が、強磁性ブロック14bのいくつかの並置されたスタックから構成され、これらのコラム13bの上縁部は階段状になっている。
図4の機構は、長方形のタイルが台形のタイルで置換され、そのため、各磁気ブロック14cは、側面が垂直かつ規則的であるコラム13cをもたらすという点を除けば
図2の機構に類似である。最後に、
図5の機構は、これも長方形のタイルが台形のタイルによって置換され、台形のタイルは、上縁部および下縁部がストランド6と同様に傾斜され、コラム13dの終端の側面に対して直角に、コラム13dに対する直線的な縁部をもたらすという点を除けば
図3の機構に類似である。これらの機構の各々において、強磁性ブロック14の鋭い角は、高度な磁場の集中および局所的な損失をもたらすスパイク効果が生じやすいので、面取りすることまたは側面の間で巻くことによって弱められ得ることが想定されてよい。
図6には可能な実施形態の1つが表されており、面取りが16として示されている。
【0037】
強磁性ブロックがインダクタによって支持されることが想定されている。インダクタストランド6と強磁性ブロック14とが相補的に成形された表面を有し、接着剤によって、または他の方法で直接結合され得るなら、場合により直接支持されてよい。しかしながら、これは、フェライトを複雑な形状に成形することまたは簡単で規則的な回転形状の通常のインダクタを他のもので交換することの困難さのために、深刻な問題を引き起こす可能性がある。直接支持することが除外される場合には、ストランド6が、
図7にプレートの形で簡潔に表された支持体17(以前の図には表されていない)によって強磁性ブロック14を支持することになり、支持体17は、
図8によれば、ストランド6と強磁性ブロック14との間の形状適応部品であって、不規則に成形された断面を有することになり、内側面18はストランド6のものに類似の曲率を有し、外側面19は、強磁性ブロック14が平坦なタイルであるなら平坦にされ、または、より一般的には、強磁性ブロック14のものと同一の曲率を有する。そのような機構により、ストランド6および強磁性ブロック14が支持体17に押し付けられ得、したがって全体の結合が容易になる。
図7は、支持体17の垂直方向の広がりが、有利には強磁性ブロック14のもの未満であることを示しており、そのため、支持体17の上端および下端において強磁性ブロック14が支持体17から突出し、間隙15の位置およびコラムの終端において支持体に対する磁場の結合が回避される。したがって、支持体17は、有利には、強磁性ブロック14の対応する隣接縁部のように上縁部および下縁部が傾斜している。
【0038】
支持体17、ならびにストランド6によって強磁性ブロック14を支持するための組立体の他の構成要素は、ストランド6の中を循環する冷却液によって強磁性ブロック14の冷却を促進し、しかも、起電力を受けるストランド6または他の導電性要素を流れる電流による強磁性ブロック14における付加的なジュール損を回避するために、好ましくは、ストランド6と強磁性ブロック14との間に、電気的絶縁ではなく熱伝導を可能にするように設計されている。
図9に表された図式的デバイスは、支持体17の内側面18と、ストランド6、エポキシ系接着剤21または別の熱的かつ機械的な結合剤との間に、はんだ20または別の熱的かつ機械的な結合剤をさらに含み得、したがって、好ましくは、支持体17の外側面19と強磁性ブロック14との間の電気的絶縁性の結合剤と、強磁性ブロック14の外面を圧迫し、強磁性ブロック14の側面に沿って延在して、インダクタ12側で支持体17のボス23aまたは支持体17の背後に配置されたナット23bに固定されたねじ22とをさらに含み得る。それによって、強磁性ブロック14が所定位置に保持され得、垂直位置における保持は、主に連結層21の付着力によって保証される。代わりに、ねじ22が、この機能を保証するために強磁性ブロック14を貫通してもよい。所定位置に保持するためのこれらの機能を実行するための他のタイプの支持体も考えられるであろう。代わりに、このデバイスは、強磁性ブロック14をこのデバイスに設置することを可能にする、したがって、ねじ22のうち少なくともいくつかを置換するか、または連結層21の接着性なしで済ます、下または横の縁部が備わっている、表されていない支持体を含むことができる。しかしながら、
図9のデバイスには、支持体17および強磁性ブロック14に面する領域を縮小し、また、金属の支持体17をより容易に構築し、したがって、容易に置かれた接続層21による強磁性ブロック14との電気接触を回避するという利点がある。
【0039】
図9は、磁場コンセントレータ12と外部ケーシング1との間が近ければ、2つのシールド構成要素の間の電気的絶縁が維持される限り、強磁性ブロック14に磁場を十分にチャネリングすることによって、そのような近接近が可能になり得るので、ここに層状の電気的絶縁材料34が挿入され得、デバイスの外形寸法を縮小するのに有利であることをさらに示すものである。
【0040】
本発明は、特に非円筒状のインダクタを用いる他のやり方で実施され得る。
図10に表されるそのような代替形態では、以前のインダクタを置換した平坦なインダクタ25が、コールドクルーシブルであり得る円筒状のるつぼ27の中に以前のように設置された加熱される負荷26の下に配置されている。インダクタ25のストランド28は、互いに平行であり得、または以前に想定された実施形態のように設置され得、面上のプライを発展させる。磁場コンセントレータ29は、ストランド28の全体的な方向に対して垂直な、以前のように強磁性ブロック31で構成されたコラム30で作製されており、コラム30の各々が、それに面する、ストランド28のうちの1つに関連付けられ得、間隙32によって分離されている。したがって、磁場コンセントレータ29の構造の原理は、そのようなインダクタに対して自由自在に適用可能である。外部ケーシング33は、インダクタ25および磁場コンセントレータ29の下に延在し、好ましくはデバイスの全周およびるつぼ27の上に延在する。表されている磁場ラインは、ケーシング33の内部に密封され続けるかまたはフェライトコラム30を通って導かれるものである。
【0041】
本発明には、
- 磁場の閉じ込めが改善され、質量は同じであっても、磁場ラインの配向において連続した、間隙15も外部ケーシングもない配列の強磁性コラムを有する機構に対して、シールドの外部の磁場振幅が1/40以下に低下する、
- もっぱら強磁性体から構成される、外側への磁場漏れの減衰が同等のシールドに対して、シールド全体の質量が1/4以下に軽減される、
- 特別な冷却機はなく金属ケーシングのみを有し、半径方向の外形寸法はシールドに対して1/2である、
- インダクタ電源から見た電気的パラメータの変化は、シールドなしの構成に対して±10%未満である、
- シールドが備わっているインダクタの個々のストランドを流れる電流の不均衡は約±20%であり、これに対して、ノンインターレースの並列ストランドを有する1回巻き機構については約±97%である、
といった、いくつかの利益がある。
【0042】
このことが最後の各図において説明される。
図11は、電源からインダクタ(たとえば、3000Vおよび300kHzで動作する300kWの有効電力用の、織り込まれた14本の並列ストランド6および上記で説明されたような相対透磁率が4000のフェライト機構から構成される、直径0.8mで高さ0.6mのインダクタ)を見たときの、デバイスの抵抗およびインダクタンスの電気的パラメータに対する本発明の妥当性のある実施形態の効果を、横座標においてミリメートルで表現された間隙15の厚さである強磁性ブロック14の間の分離の高さを基に、シールドなしの同一の実施形態に関して有効なパラメータからの開差率で示すものである。本発明を適用するための機器の電気的パラメータを維持する基準に基づく、関心のある値の範囲は約1mm~4mmであり、この間で、抵抗Rは最大で±8%変化し、インダクタンスLは最大で+2%から-4%まで変化する。この結果は、間隙15の同一の厚さパラメータを基に、フェライト組立体における熱損失の経過をワットで指示する
図12から推論され得るものと比較することができる。これらの損失は、間隙15が導入されると直ちに低下し、間隙15を厚くすればするほど損失が低下するが、損失低下に対する厚さを増やす効果は、厚さが増すにつれて減少していく。この実施形態では、1mmの厚さについては約40%の損失低減が、4mmの厚さについては約70%の損失低減が既に実現されている。上記に明示された値の範囲は、この第2の基準に基づいて、満足すべきであると考えられ得る。間隙15の存在によって制御されかつ調節される物理的現象は、ここでは垂直なフェライトコラム13の磁気抵抗すなわち磁束を捕捉するための能力における変化である。コラムにおける磁気抵抗の増加の近似は、deltaR=1/μ*e/S*nEspとして絶対値(国際システムの単位)で表現され得、この式で、deltaRは磁気抵抗の増加であり、μは間隙15の透磁率であり、eは磁場ラインの方向における間隙15の寸法であり、Sはコラム13における磁場ラインの断面積であり、nEspはコラム13に沿った間隙15の数である。シールドの全体的な磁気抵抗も、磁気回路において磁気抵抗を計算する通常の法則に従って定式化された、磁場ラインが通るそれぞれの構成要素の単位磁気抵抗を含む表現を使用して概算され得る。
【符号の説明】
【0043】
1 外部ケーシング
2 入口接続および出口接続
3 インダクタ
4 コレクタ
5 コレクタ
6 導電性ストランド
7 上昇部分
8 下降部分
9 内側のプライ
10 外側のプライ
11 接続部
12 磁場コンセントレータ
13 コラム
13a コラム
13b コラム
13c コラム
13d コラム
14 強磁性ブロック
14a 強磁性ブロック
14b 強磁性ブロック
14c 強磁性ブロック
14d 強磁性ブロック
15 間隙
16 面取り
17 支持体
18 内側面
19 外側面
20 はんだ
21 エポキシ系接着剤
22 ねじ
23a ボス
23b ナット
25 インダクタ
26 負荷
27 るつぼ
28 ストランド
29 磁場コンセントレータ
30 コラム
31 強磁性ブロック
32 間隙
33 外部ケーシング
34 電気的絶縁材
【国際調査報告】