(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】免疫抑制剤の曲線下面積を評価する方法ならびに関連する方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20231114BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20231114BHJP
A61K 38/13 20060101ALI20231114BHJP
A61K 31/436 20060101ALI20231114BHJP
A61P 37/06 20060101ALI20231114BHJP
G16C 20/30 20190101ALI20231114BHJP
G01N 33/15 20060101ALI20231114BHJP
G16C 20/70 20190101ALI20231114BHJP
C07H 15/04 20060101ALN20231114BHJP
C07D 498/18 20060101ALN20231114BHJP
【FI】
G01N33/50 Z
A61K31/706
A61K38/13
A61K31/436
A61P37/06
G16C20/30
G01N33/15 Z
G16C20/70
C07H15/04 B
C07D498/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524872
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2021079615
(87)【国際公開番号】W WO2022090194
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591100596
【氏名又は名称】アンスティチュ ナショナル ドゥ ラ サンテ エ ドゥ ラ ルシェルシュ メディカル
(71)【出願人】
【識別番号】506336795
【氏名又は名称】ユニベルシテ ドゥ リモージュ
(71)【出願人】
【識別番号】514284051
【氏名又は名称】サントル・オスピタリエ・レジオナル・ユニヴェルシテール・ドゥ・リモージュ
【氏名又は名称原語表記】CENTRE HOSPITALIER REGIONAL UNIVERSITAIRE DE LIMOGES
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】弁理士法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ヴォイヤール,ジャン-バティスト
(72)【発明者】
【氏名】マルケ,ピエール
【テーマコード(参考)】
2G045
4C057
4C072
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
2G045AA25
2G045CA25
2G045CA26
2G045DA80
2G045FB06
4C057BB02
4C057DD02
4C057JJ03
4C072AA03
4C072BB03
4C072CC01
4C072CC12
4C072DD07
4C072EE09
4C072FF15
4C072GG07
4C072HH01
4C072UU01
4C084AA02
4C084DA11
4C084NA20
4C084ZB08
4C086AA01
4C086AA02
4C086CB22
4C086EA04
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA20
4C086ZB08
(57)【要約】
免疫抑制剤の曲線下面積(AUC)は、対象の臓器中の免疫抑制剤への全体的暴露を追跡するための最良の暴露マーカである。しかし、AUCの測定は、投与間隔中に複数の血液サンプルを必要とし、それが費用を要し、臨床的に非実用的になり得るため、日常ケアにおいては容易ではない。本発明は、人工知能技術を使用して、いくつかの予測子の値に基づいてAUC値を予測することを提案する。このような方法は驚くほど正確な結果を導く。特に、この方法は、二つのサンプルだけで満足な結果を得ることを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬物の投与を含む処置によって対象を治療するとき、免疫抑制剤の用量の投与後の特定のタイミングにおける対象の血液又は血漿中の免疫抑制剤の濃度-時間曲線下面積の値を評価するための、コンピュータ実装される方法であって、
―処置に関するパラメータを含むパラメータを提供するステップ、及び
―提供されたパラメータに対し、人工知能技術によって得られる予測関数を適用して、特定のタイミングにおける免疫抑制剤の濃度-時間曲線下面積の値を得るステップ
を含む方法。
【請求項2】
人工知能技術がニューラルネットワークの使用を含まない、請求項1記載の評価方法。
【請求項3】
人工知能技術が、勾配ブースティング技術、好ましくは極端勾配ブースティング技術の使用を含む、請求項1又は2記載の評価方法。
【請求項4】
処置に関するパラメータが、薬物の投与後の異なるタイミングにおける免疫抑制剤のいくつかの濃度値を含み、濃度値の数が好ましくは2に等しい、請求項1~3のいずれか1項記載の評価方法。
【請求項5】
処置に関するパラメータが、薬物の投与後の第一の所与のタイミングと第二の所与のタイミングとのいくつかの対の場合に第一の所与のタイミング及び第二の所与のタイミングにおける免疫抑制剤の濃度の差の値を含む、請求項1~4のいずれか1項記載の評価方法。
【請求項6】
提供されるパラメータがさらに、対象に関する少なくとも一つのパラメータ、特に対象の年齢を含む、請求項1~5のいずれか1項記載の評価方法。
【請求項7】
処置に関するパラメータが投与量を含む、請求項1~6のいずれか1項記載の評価方法。
【請求項8】
処置が対象への臓器の移植を含み、処置に関するパラメータが、免疫抑制剤の濃度-時間曲線下面積の評価のリクエストと移植との間の遅れを含む、請求項1~7のいずれか1項記載の評価方法。
【請求項9】
提供されるパラメータが、処置に関するパラメータからなる、請求項1記載の評価方法。
【請求項10】
免疫抑制剤がカルシニューリン阻害剤、特にタクロリムス又はシクロスポリンである、請求項1~9のいずれか1項記載の評価方法。
【請求項11】
免疫抑制剤がイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤である、請求項1~9のいずれか1項記載の評価方法。
【請求項12】
免疫抑制剤がmTOR阻害剤、特にシロリムス又はエベロリムスである、請求項1~9のいずれか1項記載の評価方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項記載の評価方法のステップを患者、特に臨床試験に組み入れられた患者に対して実施することにより、前記患者をモニタリングして、治療、特に臨床試験に付される治療の治療効能の定量的測度を提供する方法。
【請求項14】
データ処理ユニットにロード可能であり、データ処理ユニットによって実行されると、請求項1~13のいずれか1項記載の方法の実行を生じさせるように適合されているコンピュータプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
データ処理ユニットによって実行されると、請求項1~13のいずれか1項記載の方法の実行を生じさせるコンピュータプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、免疫抑制剤の用量の投与後の特定のタイミングにおける対象の血液又は血漿中の前記免疫抑制剤の濃度-時間曲線下面積(AUC)値を評価する方法に関する。本発明はまた、評価する方法のステップを実施する、患者をモニタリングする方法に関する。本発明はまた、これらの方法に関与するコンピュータプログラム製品及びコンピュータ可読媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫抑制剤とは、対象の免疫系の活動を阻害又は阻止する化合物である。そのような化合物はまた、免疫抑制薬、免疫抑制物質、免疫抑制剤又は拒絶反応抑制薬とも知られている。
【0003】
狭い処置指数及び大きな個人間変動のせいで、免疫抑制剤を包含する処置は、選択されたタイミングにおける薬物濃度の測度にしたがって個別化用量を投与することからなる、治療薬モニタリングを必要とする。
【0004】
したがって、選択されたタイミングの中から、対象の臓器中での免疫抑制剤への全般的暴露(AUC)の最良の暴露マーカを決定することが望ましい。
【0005】
たとえば、「Therapeutic Drug Monitoring of Tacrolimus-Personalized Therapy: Second Consensus Report」と題するM. Brunetらによる文献(Ther Drug Monit, volume 41, number 3, June 2019)は、タクロリムス(主に固形臓器移植における拒絶反応の予防に使用されるカルシニューリン阻害剤)の効果における複数の暴露マーカの関連性を考察したものである。
【0006】
この文献においては、タクロリムスの個人用量を調整するための二つの主要なマーカ:トラフ値及びAUCが考察されている。
【0007】
トラフ値(又はトラフ濃度)C0とは、次の用量が投与される前に薬物が到達する最低濃度である。トラフ(through)値は主に実用的及び経済的理由から使用されるが、アウトカムと一貫して相関するものではない。
【0008】
対照的に、AUCは理論的には最良の暴露マーカであるが、これまでのところ、タクロリムスに関して正式な証拠は得られていない。
【0009】
同様に、「Immunosuppressive drug monitoring―what to use in clinical practice today to improve renal graft outcome」と題するDR Kuypersらによる文献(Transpl Int., volume 18, number 2, pages 140 to 150, February 2005)の分析は、シクロスポリンの治療薬モニタリングに最良のマーカはAUCであるが、タクロリムスの場合と同じ理由で、C0もまた広く使用されていることを示している。
【0010】
ミコフェノール酸モフェチル(MMF)の場合、「Mycophenolate, clinical pharmacokinetics, formulations, and methods for assessing drug exposure」と題するS. E Tettらの文献(Transplant. Rev. (Orlando) 25 pages 47 to 57, 2011)において、AUCが最良の暴露マーカとして総意的に認められている。
【0011】
それにもかかわらず、免疫抑制剤のAUCの正確な測定は、投与間隔中に複数の血液サンプルを必要とし、それが費用を要し、臨床的に非実用的になり得るため、日常ケアにおいては容易ではない。
【0012】
このような課題を解決するために、より少数の血液サンプルに基づく様々な回帰法が開発されてきたが、それでも比較的多数の血液サンプルを必要としながら、適切な精度を提供できていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
免疫抑制剤の用量を含む薬物の投与後に対象の臓器中の免疫抑制剤のAUCを評価するための、より簡便かつ正確である方法がなおも必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この目的を達成するために、本明細書は、薬物の投与を含む処置によって対象を治療するとき、免疫抑制剤の用量の投与後の特定のタイミングにおける対象の血液又は血漿中の免疫抑制剤の濃度-時間曲線下面積の値を評価するための、コンピュータ実装される方法であって、処置に関するパラメータを含むパラメータを提供するステップ、及び提供されたパラメータに対し、人工知能技術によって得られる予測関数を適用して、特定のタイミングにおける免疫抑制剤の濃度-時間曲線下面積の値を得るステップを含む方法を記載する。
【0015】
特定の実施形態にしたがって、人工知能技術はニューラルネットワークの使用を含まない。特に、人工知能技術は、勾配ブースティング技術、好ましくは極端勾配ブースティング技術の使用を含む、又は勾配ブースティング技術である。
【0016】
人工知能技術はニューラルネットワークの使用を含まない。
【0017】
また、大きなサンプルが使用される場合のみ、ディープニューラルネットワーク手法が「古典的」機械学習アルゴリズムよりも優れた性能と関連するということが述べられるべきである。これは特に、「A State-of-the-Art Survey on Deep Learning Theory and Architectures」と題するMd Zahangir Alomの文献(Electronics 2019, 8, 292)から公知である(特に
図7を参照)。
【0018】
これは、ニューラルネットワーク以外の人工知能技術の使用が、学習データセットに対する制約を減らすことを可能にすることを意味する。
【0019】
当業者が小さなデータセットを考慮することは自然ではない。実際、当業者はむしろ、学習データセットのサイズを増すことを考慮するであろう。特に、これに関連して、当業者は明らかに、完全なAUC曲線の使用を検討し、この技術によって達成される精度の真の改善を期待する。当業者はまた、既に利用可能なデータを使用することによって新たなデータを人工的に生成するための技術を好都合に使用することもできる。しかし、そのような手法はここでは不適切である。
【0020】
そのような性質は、以下に説明するように、学習データセットを構築する特定の方法を使用することを可能にする。
【0021】
AUCは、ISBAウェブサイト(https://abis.chu-limoges.fr)から抜粋されたものである。簡潔にいうと、ISBAは、ベイズの定理を適用して個々のAUCを(事後)推定することにより、以前のような母集団薬物動態モデルを使用する。これは、最大事後確率ベイズ推定(MAP-BE)に相当する。MAP-BE推定は、三つの濃度+いくつかの共変量(移植後のタイミング、関連する免疫抑制剤、移植のタイプ)のみを使用する。
【0022】
データセットの準備プロセスは、たとえば、以下のとおりである。
―ISBAウェブサイト中の三つのサンプルから推定された特徴及び簡約(abbreviated)AUCの抽出、
―データの整理及びグラフィカル探索、
―特徴エンジニアリング:濃度の差及び理論的タイミングに対する相対偏差の作成、
―二つ又は三つのサンプルに基づく機械学習アルゴリズムの開発:クロスバリデーションによるハイパーパラメータのチューニング、
―10分割クロスバリデーションを使用する性能評価、
―バイアス及び不正確さの計算によるテストセットにおける評価、及び
―バイアス及び不正確さの計算による完全AUC(少なくとも八つのサンプルから計算)に基づく外部データセットにおける評価。
【0023】
この評価方法のさらなる態様にしたがって、処置に関するパラメータは、薬物投与後の異なるタイミングにおける免疫抑制剤のいくつかの濃度値を含み、濃度値の数は好ましくは2に等しい。
【0024】
もう一つの態様にしたがって、処置に関するパラメータは、薬物の投与後の第一の所与のタイミングと第二の所与のタイミングとのいくつかの対の場合に第一の所与のタイミング及び第二の所与のタイミングにおける免疫抑制剤の濃度の差の値を含む。
【0025】
実際、前述のタイミングでサンプリングされた濃度間の差の変数が非常に重要である(濃度そのものに次いで)と思われる。
【0026】
これらのパラメータは、免疫抑制剤の投与において観測される遅延ピークと連係している。たとえば、1時間での濃度と3時間での濃度との差が、タクロリムスの場合で0μg/L又はミコフェノール酸の場合で0mg/Lよりも厳密に優れているならば、そこに遅延ピークはないが、1時間での濃度と3時間での濃度(との差)が、タクロリムスの場合で0μg/L又はミコフェノール酸の場合で0mg/Lよりも厳密に劣るならば、そこには遅延ピークがあり、それがAUC値と相関する。
【0027】
要約すると、一方で、そのようなパラメータの使用は非常に独創的であり、これまで使用されたことはなく、他方で、そのようなパラメータの使用は、AUC値のロバストな予測を得るのに非常に効果的である。
【0028】
この評価方法のさらなる態様にしたがって、提供されるパラメータはさらに、対象に関する少なくとも一つのパラメータ、特に対象の年齢を含む。
【0029】
もう一つの態様にしたがって、処置に関するパラメータは投与量を含む。
【0030】
この評価方法のさらなる態様にしたがって、処置は対象への臓器の移植を含み、処置に関するパラメータは、免疫抑制剤の濃度-時間曲線下面積の評価のリクエストと移植との間の遅れを含む。
【0031】
もう一つの態様にしたがって、提供されるパラメータは、処置に関するパラメータからなる。
【0032】
この評価方法のさらなる態様にしたがって、免疫抑制剤はカルシニューリン阻害剤、特にタクロリムス又はシクロスポリンである。
【0033】
もう一つの態様にしたがって、免疫抑制剤はイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤である。
【0034】
この評価方法のさらなる態様にしたがって、免疫抑制剤はmTOR阻害剤、特にシロリムス又はエベロリムスである。
【0035】
本明細書はさらに、前記のような評価方法のステップを患者、特に臨床試験に組み入れられた患者に対して実施することにより、前記患者をモニタリングして、治療、特に臨床試験に付される治療の治療効能の定量的測度を提供する方法を記載する。
【0036】
本明細書はまた、データ処理ユニットにロード可能であり、データ処理ユニットによって実行されると、前記のような方法の実行を生じさせるように適合されているコンピュータプログラム命令を含むコンピュータプログラム製品に関する。
【0037】
本明細書はさらに、データ処理ユニットによって実行されると、前記のような方法の実行を生じさせるコンピュータプログラム命令を含むコンピュータ可読媒体を記載する。
【0038】
本発明は、本発明の目的を限定することなく、添付の図面と対応して実例として記される以下の詳細な説明に基づいて、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】評価方法を実施するように適合されたシステムの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
いくつかの実施形態の詳細な説明
システム20及びコンピュータプログラム製品30が
図1に示されている。コンピュータプログラム製品30とシステム20との間の相互作用が、以下に説明するように、対象の血液又は血漿中の免疫抑制剤のAUCを評価する方法を実施することを可能にする。このような評価する方法を本明細書の残り部分で「評価方法」と呼ぶ。
【0041】
この評価方法はコンピュータ実装方法である。
【0042】
システム20はデスクトップコンピュータである。変形形態において、システム20は、ラックマウントコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、PDA又はスマートフォンである。
【0043】
特定の実施形態において、システム20は、リアルタイムで動作するように適合されている、及び/又は特に飛行機などの乗り物に埋め込まれたシステムである。
【0044】
図1の場合、システム20は、計算機32、ユーザインタフェース34及び通信デバイス36を含む。
【0045】
計算機32は、計算機32及び/又はメモリのレジスタ中の電子的又は物理的量によって表されるデータならびにレジスタ又は他の種類の表示デバイス、送信デバイスもしくは記憶デバイスのメモリ中の物理データに対応する他の類似のデータを操作及び/又は変換するように適合された電子回路である。
【0046】
具体例として、計算機32は、モノコア又はマルチコアプロセッサ(たとえばCPU、GPU、マイクロコントローラ及びDSP)、プログラマブル論理回路(たとえばASIC、FPGA、PLD及びPLA)、ステートマシン、ゲート論理及びディスクリートハードウェアコンポーネントを含む。
【0047】
計算機32は、特に計算を実施することによってデータを処理するように適合されているデータ処理ユニット38、データを記憶するように適合されたメモリ40及びコンピュータ可読媒体を読み取るように適合されたリーダ42を含む。
【0048】
ユーザインタフェース34は入力デバイス44及び出力デバイス46を含む。
【0049】
入力デバイス44は、システム20のユーザがシステム20に情報又はコマンドを入力することを可能にするデバイスである。
【0050】
図1中、入力デバイス44はキーボードである。あるいはまた、入力デバイス44は、ポインティングデバイス(たとえばマウス、タッチパッド及びデジタル化タブレット)、音声認識デバイス、アイトラッカ又はハプティックスデバイス(モーションジェスチャー解析)である。
【0051】
出力デバイス46はグラフィカルユーザインタフェースであり、グラフィカルユーザインタフェースとは、システム20のユーザに情報を提供するように適合された表示ユニットである。
【0052】
図1中、出力デバイス46は、出力の視覚的提示のための表示画面である。他の実施形態において、出力デバイスは、プリンタ、拡張及び/又は仮想表示ユニット、出力の聴覚的提示のためのスピーカ又は別の音声生成デバイス、振動及び/又は匂いを生成するユニット又は電気信号を生成するように適合されたユニットである。
【0053】
特定の実施形態において、入力デバイス44と出力デバイス46とは、対話画面などのマンマシンインタフェースを形成する同じコンポーネントである。
【0054】
通信デバイス36は、システム20のコンポーネント間の一方向又は双方向通信を可能にする。たとえば、通信デバイス36はバス通信システム又は入出力インタフェースである。
【0055】
通信デバイス36の存在が、いくつかの実施形態において、システム20のコンポーネントを互いから離れさせることを可能にする。
【0056】
コンピュータプログラム製品30はコンピュータ可読媒体48を含む。
【0057】
コンピュータ可読媒体48は、計算機32のリーダ42によって読み取ることができる有形のデバイスである。
【0058】
特に、コンピュータ可読媒体48は、それ自体、電波又は他の自由に伝搬する電磁波、たとえば光パルスもしくは電子信号などの一時的な信号ではない。
【0059】
このようなコンピュータ可読記憶媒体48は、たとえば、電子記憶デバイス、磁気記憶デバイス、光学記憶デバイス、電磁記憶デバイス、半導体記憶デバイス又はそれらの任意の組み合わせである。
【0060】
より具体的な例の非網羅的なリストとして、コンピュータ可読記憶媒体48は、機械的にコード化されたデバイス、たとえばパンチカード又は溝の中の一段高い構造、ディスケット、ハードディスク、ROM、RAM、EROM、EEPROM、光磁気ディスク、SRAM、CD-ROM、DVD、メモリスティック、フロッピーディスク、フラッシュメモリ、SSD又はPCカード、たとえばPCMCIAである。
【0061】
コンピュータプログラムはコンピュータ可読記憶媒体48に記憶される。コンピュータプログラムは、一つ以上の記憶されたプログラム命令のシーケンスを含む。
【0062】
そのようなプログラム命令は、データ処理ユニット38によって実行されると、以下に説明する方法のステップの実行を生じさせる。
【0063】
たとえば、プログラム命令の形式は、ソースコード形式、コンピュータ実行可能な形式又はソースコードとコンピュータ実行可能な形式との中間の形式、たとえば、インタプリタ、アセンブラ、コンパイラ、リンカ又はロケータを介するソースコードの変換から生じる形式である。変形形態において、プログラム命令は、マイクロコード、ファームウェア命令、状態設定データ、集積回路の構成データ(たとえばVHDL)又はオブジェクトコードである。
【0064】
プログラム命令は、一つ以上の言語、たとえばオブジェクト指向プログラミング言語(FORTRAN、C″++、JAVA(登録商標)、HTML)、手続き型プログラミング言語(たとえばC言語)の任意の組み合わせで記述されている。
【0065】
あるいはまた、特にアプリケーションの場合に当てはまるように、プログラム命令は、ネットワークを介して外部ソースからダウンロードされる。そのような場合、コンピュータプログラム製品は、プログラム命令をそこに記憶されたコンピュータ可読データキャリア又はプログラム命令をそこにコード化されたデータキャリア信号を含む。
【0066】
いずれの場合も、コンピュータプログラム製品30は、データ処理ユニット38にロード可能であり、データ処理ユニット38によって実行されると、以下に説明する方法のステップの実行を生じさせるように適合されている命令を含む。これらの実施形態にしたがって、実行は、単一のコンピュータであるシステム20上で、又はいくつかのコンピュータの間で分散したシステム中で(特にクラウドコンピューティングを介して)、全体的又は部分的に達成される。
【0067】
システムの操作
次に、免疫抑制剤の用量の投与後に対象の血液又は血漿中の免疫抑制剤のAUCを評価する方法である評価方法を実施する例を参照して、システム20の操作を説明する。
【0068】
そのような投与は、ドナーからの臓器移植の場合、臓器拒絶反応を防ぐために必須である。
【0069】
「ドナー」という語は、レシピエントに移植される臓器及び/又は組織移植片もしくグラフトを提供する対象を指す。
【0070】
これは、この段落に示されるような場合において、「対象」という語が、ドナーから得られた臓器及び/又は組織移植片もしくはグラフトを受け入れるレシピエントを指すことを意味する。
【0071】
この具体例において、対象は人間である。
【0072】
より一般的に、対象は生きた対象、特に動物である。
【0073】
たとえば、対象は哺乳動物、より具体的には、マウスなどの齧歯類である。
【0074】
対象は、用量の投与を含む処置によって治療される。
【0075】
前記処置は一般に、手術又は薬物投与などの他の医療行為を意味する。
【0076】
方法は、提供するステップ及び適用するステップを含む。
【0077】
提供するステップにおいて、パラメータが提供される。
【0078】
たとえば、ユーザが入力デバイス44にデータを入力する。
【0079】
あるいはまた、パラメータは、特にリモートサーバからシステム20によって受信される。
【0080】
提供されるパラメータは、処置に関するパラメータを含む。
【0081】
具体例として、処置に関するパラメータは、用量の投与後の異なるタイミングにおける血液又は血漿中の免疫抑制剤のいくつかの濃度値である。
【0082】
通常、三つの濃度値が提供される。
【0083】
第一のタイミングは初期に相当し、これは、30分未満(inferior)、多くの場合、10分未満を意味する。
【0084】
第二のタイミングは一般に60分(±50%)に設定される。この値がもっとも好都合である。
【0085】
以下の例において、第二のタイミングは30分~100分の間に設定される。
【0086】
第三のタイミングは一般に180分(±25%)に設定される。この値がもっとも好都合である。
【0087】
以下の例において、第三のタイミングは140分~200分の間に設定される。
【0088】
また、二つの濃度値だけでも満足なAUC評価を得ることが可能であることに留意すべきである。
【0089】
当然、三つの値を有すると、より高い精度を得ることができるが、それは、サンプルが一つ増すことを意味し、場合によっては問題になることがある。
【0090】
もう一つの例にしたがって、処置に関するパラメータは免疫抑制剤の投与量である。
【0091】
一般に、免疫抑制剤の用量は経口経路によって投与される。
【0092】
さらにもう一つの例にしたがって、処置は対象への臓器の移植を含み、処置に関するパラメータは、免疫抑制剤の濃度-時間曲線下面積の評価のリクエストと移植との間の遅れを含む。
【0093】
本例において、提供されるパラメータは、処置に関するパラメータからなる。
【0094】
他の実施形態にしたがって、提供されるパラメータはさらに、対象に関する少なくとも一つのパラメータを含む。
【0095】
たとえば、対象に関するパラメータは対象の年齢である。
【0096】
したがって、具体例において、提供されるパラメータは、処置に関するパラメータ及び対象の年齢からなる。
【0097】
したがって、臓器移植の場合、提供されるパラメータは、好都合に、
―二つ又は三つの濃度値、
―投与量、
―AUC評価のリクエストと移植日との間の遅れ、及び
―対象の年齢
であることができる。
【0098】
適用するステップ中に、提供されたパラメータに予測関数を適用して、免疫抑制剤のAUCを得る。
【0099】
予測関数は、入力として提供されたパラメータに、特定のタイミングにおけるAUCの値である出力を関連させる。
【0100】
たとえば、1日2回(TAD)摂取した場合の12時間又は1日1回(OAD)摂取した場合の24時間でのAUC値が特に関心対象である。
【0101】
予測関数は人工知能技術によって得られる。
【0102】
人工知能技術は、データに基づいてモデル(アルゴリズムとも呼ばれる)を確立することからなる。
【0103】
特に、人工知能技術は、多くの場合、モデルを学習することを含む。したがって、「機械学習」という語は、データに基づいてモデルが機械によって学習されるという事実を指すために用いられる。
【0104】
場合に応じて、機械学習技術は、教師あり学習、教師なし学習、半教師あり学習、強化学習、自己学習、特徴学習、スパース辞書学習、異常検出学習、ロボット学習及び連想ルール学習の中からの学習を使用することを含む。
【0105】
特に、本例において、機械学習技術は、教師あり学習技術、半教師あり学習技術又は強化学習技術である。
【0106】
人工知能技術に使用されるモデルは、様々なモデル/アルゴリズム、たとえば、分類、クラスタリング、回帰及び次元削減のための計算モデル及びアルゴリズム、たとえばニューラルネットワーク、遺伝的アルゴリズム、サポートベクターマシン、k-means法、カーネル回帰及び判別分析から選択することができる。
【0107】
より一般的に、人工知能技術は、以下の要素の一つ又はいくつかの使用を含むことができる:とりわけ、和、比及び回帰演算子、たとえば係数又は指数、バイオマーカ値変換及び正規化(非限定的に、臨床パラメータ、たとえば臨床データ58、性別、年齢又は民族性に基づく正規化スキームを含む)、ルール及びガイドライン、統計分類モデル及びニューラルネットワーク、構造的及び構文的な統計分類アルゴリズム及びパターン認識特徴を利用するリスク指数構築法、たとえば確立された技術、たとえば相互相関、主成分分析(PCA)、因子の回転、ロジスティック回帰(LogReg)、線形判別分析(LDA)、固有遺伝子線形判別分析(ELDA)、サポートベクターマシン(SVM)、ランダムフォレスト(RF)、再帰分割木(RPART)ならびに他の関連する決定木分類技術、収縮重心法(SC)、StepAIC、k近傍法、ブースティング、決定木、ニューラルネットワーク、ベイジアンネットワーク、サポートベクターマシン及び隠れマルコフモデル。
【0108】
代替的又は補足的に、人工知能技術は、以下の要素の一つ又はいくつかの使用を含むことができる:平均一依存推定器(AODE)、人工ニューラルネットワーク(たとえば誤差逆伝播法)、ベイズ統計(たとえば単純ベイズ分類器、ベイジアンネットワーク、ベイジアンナレッジベース)、事例ベース推論、決定木、帰納論理プログラミング、ガウス過程回帰、グループデータ処理法(GMDH)、学習オートマトン、学習ベクトル量子化、最小メッセージ長(決定木、決定グラフなど)、怠惰学習、インスタンスベース学習、最近傍アルゴリズム、類似モデリング、確率的で近似的に正しい(PAC)学習、リップルダウンルール、知識獲得方法論、シンボリック機械学習アルゴリズム、サブシンボリック機械学習アルゴリズム、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、分類器のアンサンブル、ブートストラップ集計(バギング)、ブースティング、回帰分析、情報ファジィネットワーク(IFN)、統計的分類、AODE、線形分類器(たとえばフィッシャーの線形判別、ロジスティック回帰、単純ベイズ分類器、パーセプトロン及びサポートベクターマシン)、二次分類器、k最近傍法、ブースティング、決定木(たとえばC4.5、ランダムフォレスト)、ベイジアンネットワーク及び隠れマルコフモデル。
【0109】
代替的又は補足的に、人工知能技術は、以下の要素の一つ又はいくつかの使用を含むことができる:人工ニューラルネットワーク、データクラスタリング、期待値最大化アルゴリズム、自己組織化マップ、動径基底関数ネットワーク、ベクトル量子化、生成的地形マッピング、情報ボトルネック法及びIBSEAD、ルール学習アルゴリズム、たとえばAprioriアルゴリズム、Eclatアルゴリズム及びFP-growthアルゴリズム、階層的クラスタリング、たとえば単連結クラスタリング及び概念クラスタリング、分割クラスタリング、たとえばk-meansアルゴリズム及びファジィクラスタリング。
【0110】
代替的又は補足的に、人工知能技術は強化学習アルゴリズムを使用する。強化学習アルゴリズムの例は、時間差分学習、Q学習及び学習オートマトンを含むが、これらに限定されない。
【0111】
代替的又は補足的に、人工知能技術はデータ前処理を使用する。
【0112】
代替的又は補足的に、人工知能技術はデータ前処理を使用する。
【0113】
より具体的に、モデルは、線形モデル、非線形モデル、アンサンブルモデル及びディープラーニングモデルの中から選択される。
【0114】
線形モデルとは、入力と出力との間の線形関係を使用するモデルである。
【0115】
具体例として、線形モデルは罰則付き多項回帰又は線形判別分析である。
【0116】
非線形モデルとは、入力と出力との間の非線形関係を使用するモデルである。
【0117】
具体例として、線形モデルはラジアルサポートベクターマシンである。
【0118】
ラジアルサポートベクターマシンとは、高次元決定境界を探索してクラスを分け、マージンを最大化することを可能にする分類器である。
【0119】
アンサンブルモデルとは、複数のモデルを集約して損失を減らすモデルである。
【0120】
この場合、アンサンブルモデルは、いくつかのモデルの集合体、特に、ランダムフォレスト(そのようなアルゴリズムは、同時並行の複数の木を集約して損失を減らす)と、勾配ブースティングマシン(そのようなアルゴリズムは、損失関数の勾配を使用することにより、逐次的及び加法的決定木に対応して損失を減らす)と、極度勾配ブースティング木(これは、勾配ブースティングよりも効果的、フレキシブルかつ規則的なアルゴリズムである)と、ナイーブベイズ(これは、非常に簡単かつ効果的な確率分類器である。ナイーブベイズは、すべての特徴が独立していると単純に(強く)仮定する)との集合体である。
【0121】
ディープラーニングモデルとは、複数の層を使用して生の入力からより高レベルの特徴を漸進的に抽出するモデルである。
【0122】
具体例として、ディープラーニングモデルはモデル平均ニューラルネットワークである。
【0123】
ランダムフォレストと同様に、モデル平均ニューラルネットワークは、複数のニューラルネットワークを作成してそれらを一つに平均化する。
【0124】
好都合に、人工知能法は、以下に説明する人工知能法である。
【0125】
人工知能技術は、準備段階、トレーニング段階及び評価段階を含む。
【0126】
準備段階中、データセットが準備される。
【0127】
データセットは、予測子及びAUC値によって形成される。
【0128】
換言するならば、データセットは、多くの対象(たとえば100人超、好ましくは1000人超)に関して特定の予測子及び摂取された免疫抑制剤のAUC値を与えるデータの集合体である。
【0129】
データセットの予測子は、提供された予測子及び通常はさらなる予測子(特徴量エンジニアリング)を包含する。
【0130】
さらなる予測子として、理論的タイミングからの相対偏差及び濃度間の差を考慮することができる。
【0131】
変形形態において、又は補足的に、提供されたパラメータから他のさらなるパラメータが導出される。
【0132】
たとえば、提供された濃度値の間の濃度の差が関心対象となる。
【0133】
したがって、データセットの予測子の例は、リクエストと移植との間の遅れ、対象の年齢、免疫抑制剤の用量、用量摂取後のタイミング0、第二のタイミング(たとえば1時間)及び第三のタイミング(たとえば3時間)における免疫抑制剤濃度、理論的タイミングからの相対偏差(定義については実施例を参照)及び濃度間の差、AUCの値と関連する。
【0134】
二つの濃度値しか提供されない場合、第二のタイミングを含む各値は存在しない。
【0135】
分割ステップ中、得られたデータセットはトレーニングセットとテストセットとに分割される。
【0136】
たとえば、代入ステップの最後に得られたデータセットの予測子の3/4が初期トレーニングセットとみなされ、他の予測子はテストセットとみなされる。
【0137】
あるいはまた、70/30又は80/20の比率を分割ステップで使用することもできる。
【0138】
補足的に、準備段階中に他の操作を実施することもできることに留意すること。
【0139】
たとえば、代入技術を実装することができる。統計学において、代入とは、欠測データを代わりの値で置き換えるプロセスである。
【0140】
もう一つの例として、各種のAUC値が表現されるようにデータセットをアップサンプリングすることができる。
【0141】
データセット中のAUC値の大多数が閾値よりも高いと想像するならば、閾値よりも低いAUC値を有する要素の数を人為的に増すことが興味深いかもしれない。
【0142】
一例として、アップサンプリングは、閾値未満のAUC値を有する要素の数が所定の値に達するように要素の数を増し、置換する操作を繰り返すことを含む。
【0143】
標準化とは、定量的パラメータが類似の範囲に入り、それがトレーニングの段階を促進することを可能にする操作である。
【0144】
トレーニングの段階中、人工知能技術は勾配ブースティング技術の使用を含む。
【0145】
極端勾配ブースティングとは、ブースティングに基づく機械学習手法である。簡潔にいうと、予測誤差を最小化する、すべての入力変数中の分割値を見つけることにより、シンプルな回帰木が反復的に構築される。反復プロセスは同じ構造のさらなる回帰木を構築し、それが最初の回帰木の残差を最小化する。
【0146】
記載した例においては、トレーニングステップ中、データのセット中に異質性が作成される。
【0147】
たとえば、本例においては、k分割クロスバリデーションが繰り返される。
【0148】
たとえば、新たなトレーニングプロセスで10分割クロスバリデーションがランダムに3回繰り返され、その間にモデルのハイパーパラメータがチューニングされる。
【0149】
そのような作成ステップは、オーバーフィッティングの可能性及び起こり得るサンプリングバイアスを最小化することを可能にする。
【0150】
代替的又は補足的に、作成ステップはブートストラッピングの使用を含む。
【0151】
チューニングステップ中、トレーニングプロセスを制御するように適合されたモデルのハイパーパラメータがチューニングされる。
【0152】
ハイパーパラメータ最適化とも呼ばれるそのような手順は、所与の独立データにおける事前に規定された損失関数を最小化する最適モデルを生成するハイパーパラメータのタプルを見いだす。目的関数は、ハイパーパラメータのタプルを取り、対応する損失を返す。
【0153】
このような場合、ハイパーパラメータチューニングは、作成ステップの最後に得られたデータを使用することによって達成される。
【0154】
記載される特定のケースにおいて、30のランダムな組み合わせのグリッドの中でチューニングされるパラメータは、
・mtry=各分割でランダムにサンプリングされた予測子の数、
・min_n=ノードがさらに分割されるために必要なノード中のデータポイントの最小数、
・tree_depth=木の最大深さ、及び
・learn_rate=ブースティングアルゴリズムが反復ごとに適応する比率
である。
【0155】
このようなパラメータは、極度勾配ブースティング技術が、予測子を連続的に分割し(したがって、実施することができる分割を決定するパラメータmtry、min_n及びtree_depth)、木の誤差に重みを適用することを提案するという事実に相当する。この考え方は、小さなステップによって最適に向けて収束させることである。
【0156】
評価段階中、予測関数は、少なくとも一つの評価技術を実施することによって評価される。
【0157】
評価技術の第一の例は、予測関数によって予測されたAUC値と実のAUC値との間のRMSEを計算する例である。
【0158】
評価技術の第二の例は、ロバスト性テスト及び/又は耐久性テストを使用する例である。
【0159】
たとえば、テストデータセット上に人為的に作成された連続的な誤差を使用して、モデルの性能がどのように連続的に低下するのかを評価する。
【0160】
評価技術の第三の例は、ランダム置換を使用する例である。そのようなアルゴリズムは、AUC値を予測するために特徴の重要度を試験するために使用される。
【0161】
評価技術の第四の例は、ブートストラッピング技術の使用を含む。そのようなブートストラッピング技術は、予測における信頼区間を生成するために使用される。
【0162】
評価方法のすべてのステップを実施したのち、AUC値が得られる。
【0163】
実施例に示すように、そのような方法は、三つの濃度値でより正確な結果を提供することを可能にする。
【0164】
場合によっては、二つの濃度値だけでも満足な結果が得られる。
【0165】
現在、免疫抑制剤の場合に三つよりも少ない血液サンプルで良好な精度を得ることを可能にする方法は存在しないため、これが、採取すべき血液サンプルの数を減らすということが強調されるべきである。
【0166】
また、提供されるべきパラメータが非常に少ないということが注目に値する。
【0167】
実際、ドナーの併存疾患及び臨床データが重要なデータであると想像する人がいたかもしれないが、本出願人の研究は、それが当てはまらないことを示している。
【0168】
定義によると、併存疾患とは、主要な疾患と同時に発生する一つ以上のさらなる疾患の存在である。
【0169】
具体例として、併存疾患は、ドナーが生存しているか死亡したかどうか、ドナーが死亡したならば、死因が心臓病などの循環器疾患であるかどうか、又はドナーが糖尿病を患っているかどうか、であることができる。また、対象の併存疾患が考慮されたかもしれない。
【0170】
記載される例において、ドナーの年齢、ドナーの性別及びドナーのボディマス指数は不要である。ボディマス指数とは、ドナーの体重(キログラム単位)を身長(メートル単位)の二乗で割ったものである。
【0171】
したがって、評価方法は、非常に少ないパラメータで正確である。
【0172】
換言するならば、このような方法を用いると、AUCは速やかかつ容易なやり方でアクセス可能である。
【0173】
予測関数を適用するために必要な計算能力をシステム20が有しない場合、リモートサーバと対話することによって計算を実施することができる。
【0174】
これは、評価方法が、AUCを測定するためのより簡便かつ正確な方法であることを意味する。
【0175】
本評価方法は、多くの異なる方法で実装することができる。以下、いくつかの例を記す。
【0176】
評価方法は、予測されたAUC値を出力するなどのさらなるステップを含んでもよい。
【0177】
出力は、グラフ又は数値の列挙などであることができる。
【0178】
好ましくは、出力はシステム20の出力デバイス46上に表示される。
【0179】
たとえば、提供ステップでは、濃度値などの特定のパラメータのみが提供される。
【0180】
もう一つの例として、対象の民族性など、より多くのパラメータが提供される。
【0181】
加えて、評価方法は、別の臓器に対しても実施される。
【0182】
たとえば、腎臓であるグラフトを考慮する代わりに、グラフトは心臓又は肺又は肝臓である。
【0183】
加えて、このような方法は、一般に知られる、又は非侵襲的なやり方で測定することができる対象パラメータを入力することによって実施することができるため、実装しやすい。このような入力動作及び方法の実施は、各ケアユニット中で一般に利用可能であるシステム20を使用することによって達成することができる。
【0184】
予測関数を適用するために必要な計算能力をシステム20が有しない場合、リモートサーバと対話することによって計算を実施することができる。
【0185】
これらのケースそれぞれにおいて、ケアユニット中にさらなるハードウェアリソースの必要はない。
【0186】
他に、侵襲的行為が実施されないため、侵襲的行為を実施するために割り当てられたリソースが節約され、それを他の作業に割り当てることができる。
【0187】
加えて、このような評価方法は多くの異なる状況に適切である。
【0188】
任意の免疫抑制剤を考慮することができる。
【0189】
特に、免疫抑制剤は、イノシン一リン酸デヒドロゲナーゼ阻害剤、たとえばミコフェノール酸モフェチル、カルシニューリン阻害剤:タクロリムス、シクロスポリン又は哺乳類ラパマイシン標的タンパク質(mTOR)阻害剤、たとえばエベロリムス又はシロリムスであることができる。
【0190】
腎臓、心臓、肺、肝臓又は造血幹細胞など、任意の臓器を考慮することができる。
【0191】
ある実施形態において、臓器はグラフトではない。これは特に、対象が自己免疫疾患を患っている場合に当てはまる。
【0192】
評価方法のこのような利点は、この方法を多くの用途に適したものにする。
【0193】
この評価方法はまた、臨床試験に組み入れられた患者に対して評価方法のステップを実施することにより、前記患者をモニタリングして、臨床試験に付される治療の治療効能の定量的測度を提供する方法に好都合である。
【0194】
より一般的には、評価方法は、組織学的情報が使用される任意の状況において好都合に使用することができ、そのような組織学的情報が侵襲的なやり方でしか得ることができない場合においてなおさら好都合に使用することができる。
【0195】
加えて、当業者は、評価方法の前述の実施形態の特徴が技術的に互換性である場合、それらの特徴の任意の組み合わせを考慮して、新たな実施形態を得ることもできる。
【実施例】
【0196】
以下、タクロリムス、シクロスポリン及びミコフェノール酸である三つの異なる免疫抑制剤に関し、前記評価方法の効果を示す。
【0197】
第一の免疫抑制剤:タクロリムス
材料及び方法
患者及びデータ
tidyverseフレームワークを使用して、ISBAウェブサイトからタクロリムスリクエストを抽出し、クリーニングした。腎移植の患者及びHPLC法を使用して測定されたタクロリムス濃度を選択した。投与量摂取後0分、60分及び180分の少なくとも三つのサンプルタイミングを含むリクエストを選択し、60分の場合には30分~100分、180分の場合には140分~220分の選択範囲であった(Prograf(登録商標)及びAdvagraf(登録商標)の場合、0、60、180分が最適なサンプリングスケジュールであるが、Envarsus(登録商標)に要求される最適なサンプリングタイミングは用量摂取後0、8及び12時間であるため、この後者の製剤は分析に含めなかった)。
【0198】
タクロリムス投与間隔(interdose)にしたがってデータセットを二つのデータセットに分割し、二つの独立した予測関数を、一つは1日2回の製剤(TAD;Prograf(登録商標))に関し、もう一つは1日1回の製剤(OAD;Advagraf(登録商標))のために、開発した。
【0199】
他の利用可能な予測子は、タクロリムスの朝用量、グラフトのリクエストとグラフトの移植との間の遅れ及び年齢であった。
【0200】
データクリーニングに使用されるコードは、tidyverse関数、たとえばselect、mutate、filter、たとえばfct_recode、str_c、dmy又はcase_whenを使用して作成した。
【0201】
研究計画
本研究は、教師あり学習を使用して、三つ濃度に基づき、ISBAウェブサイト中でMAP-BEによって基準値が取得されている投与間AUCを予測した。
【0202】
本出願人は、AUC0-12予測とAUC0-24h予測(それぞれ二つ及び三つの濃度に基づく)の両方に関する二つの予測関数である四つの予測関数を開発した。二つの濃度に基づくAUC0-12の予測関数を
【数1】
と名付け、三つの濃度に基づくAUC0-12の予測関数を
【数2】
と名付け、二つの濃度に基づくAUC0-24の予測関数を
【数3】
と名付け、三つの濃度に基づくAUC0-24の予測関数を
【数4】
と名付けた。
【0203】
トレーニングセットを使用してハイパーパラメータを構築し、チューニングし、クロスバリデーションによって予測関数性能を評価した。
【0204】
最良の予測関数が規定されたならば、それを、予測関数の開発に使用されなかった独立したテストセットに対して評価した。このような評価は、推定AUCと基準AUCとの間のμg*h/Lで表される二乗平均平方根誤差(RMSE)を測定することによって実施した。
【0205】
基準AUCは、「真実」AUC(台形則AUC)のバイアス推定量とみなすことができるため、本出願人は、外部バリデーションデータセット中のMAP-BEから台形則によって得られた「真実」AUCにおいて、二つ又は三つの濃度に基づいて開発された予測関数の性能を再び調査した。
【0206】
そのために、腎移植患者においてPrograf(登録商標)の二つのデータセットを使用し、肝移植患者においてPrograf(登録商標)の一つのデータセットを使用し、心移植患者においてPrograf(登録商標)一つのデータセットを使用し、腎移植患者においてAdvagraf(登録商標)の一つのデータセットを使用し、肝移植患者においてAdvagraf(登録商標)の一つのデータセットを使用した。また、性能をMAP-BEの性能とで比較した。
【0207】
特徴エンジニアリング
タクロリムス濃度を、三つの理論的タイミングクラス(トラフでの濃度(t=0でサンプリングしたC0)、1時間での濃度(30~100分でサンプリングしたC1)及び3時間での濃度(140~220分でサンプリングしたC3))へとビニングして、1患者あたり三つのコラムを導出した。
【0208】
理論的サンプリングタイミングからの偏差を考慮するために、理論的タイミングに対する相対偏差に対応する、1時間及び3時間の場合の新たな変数を導出した。例を示すと、サンプリングのタイミングが1.06時間であり、対応する理論的タイミングが1時間であったならば、相対時間差は(1.06-1)/1=0.06であった。
【0209】
遅延吸収ピークに関する情報を追加するために、濃度C1-C0、C1-C3及びC3-C0の間の差に対応する他の予測子を作成した。
【0210】
最後に、三つの濃度に基づく予測関数、すなわち
【0211】
【0212】
に関して投与間AUCを予測するために使用された特徴のセットは:
・リクエストと移植との間の遅れ、
・年齢、
・タクロリムス朝用量、
・用量摂取後のタイミング0時間、1時間及び3時間でのタクロリムス濃度、
・理論的タイミングからの相対偏差及び濃度間の差
であった。
【0213】
最後に、二つの濃度(C0及びC3)に基づく予測関数、すなわち
【0214】
【0215】
に関して、タイミング=1時間の場合の相対時間差及びC1を含む濃度差を除外した。
【0216】
探索的データ解析
AUCと予測子との間の相関を探索するために、GGallyパッケージを使用して相関行列及び散布図を描画した。
【0217】
データの前処理
すべての機械学習解析のために、tidymodelsフレームワークを使用した。
【0218】
極端勾配ブースティングは解析の前に正規化ステップを要しないため、データには前処理を適用しなかった。
【0219】
予測子に欠測データはなかった。
【0220】
トレーニングセット(75%)及びテストセット(25%)中の患者のランダムな選択により、データ分割を実施した。
【0221】
予測関数の開発
トレーニングデータセットをランダムに10分割する10分割クロスバリデーションを使用して、基準AUC値で最低のRMSE及び最高のr2と関連したパラメータ組み合わせを検索することにより、四つの予測関数、すなわち
【0222】
【0223】
をチューニングした。
【0224】
簡潔にいうと、パラメータの最良の組み合わせを、トレーニングデータセット(解析セット)の90%において調査し、残り10%の(評価)データセットにおいて評価し、このプロセスを10回繰り返した。
【0225】
30のランダムな組み合わせのグリッドの中でチューニングされたパラメータは:
・分割ごとにランダムにサンプリングされた予測子の数(mtry、1~11)、
・ノードをさらに分割するために必要なノード中のデータポイントの最小数(min_n、1~40)、
・木の最大深さ(tree_depth、1~15)、及び
・ブースティングアルゴリズムが反復ごとに適応する比率(learn_rate、0~0.08)
であった。
【0226】
ハイパーパラメータの最良の組み合わせが選択されたならば、ランダム置換によって予測子の相対重要度を評価し、変数重要度プロットを描画した。
【0227】
第二に、さらなる10分割クロスバリデーションを使用して最良のパラメータ組み合わせ予測式を評価して、トレーニングセット中の平均RMSE及びr2ならびにそれらの標準偏差を評価し、基準AUCの関数として推定AUCの散布図を描画した。
【0228】
最後に、テストセットを使用してAUC予測を実施した。RMSE及びr2ならびに相対平均予測誤差(MPE)、相対RMSE、±20%区間外のMPE値を有する推定の数及び割合の計算によって予測推定性能を評価した。基準値の関数としての予測AUC及び基準値の関数としての残差の散布図を描画した。
【0229】
結果の評価
0、1及び3時間での濃度ならびに用量、サンプリングタイミング及びリクエストと移植との間の遅れを臨床試験データベースから抽出して、予測関数及びMAP-BE技術を使用してAUCを予測した。各研究において利用可能な全濃度を使用して、PKNCAパッケージを使用して「真実」台形AUCを計算した。
【0230】
予測関数及びMAP-BE技術の性能を、相対MPE及びRMSE、±10及び±20%区間外のバイアスの割合に関し、台形AUCとで比較した。
【0231】
加えて、基準AUCの関数としての予測及び基準AUCの関数としての残差の散布図を手法ごとに同じグラフ上に描画して、視覚的比較を可能にした。
【0232】
「対象」に対してランダムな効果を有する線形混合効果モデルを構築して、AUCを推定するための予測関数間のバイアスの差を評価した(MPEの比較)。
【0233】
PCCP研究は、腎移植後7日及び14日目、1ヶ月、3ヶ月及び6ヶ月でサンプリングされた11サンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、8、12時間)の137の完全な薬物動態プロファイル(すなわち、数多くの利用可能なサンプルとの)を含むものであった。
【0234】
AADAPT研究のPrograf及びAdvagraf患者は、それぞれ腎移植後7日及び3ヶ月で採取された、10のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、2、3、4、6、8、12時間)の34の完全なPK及び13のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、2、3、4、6、8、12、13、14、15及び24時間)の41の完全なPKを含むものであった。
【0235】
肝移植患者におけるPrograf及びAdvagraf(PALTP研究)は、それぞれ肝移植後7日及び3ヶ月で採取された、九つのサンプル(投与後0、0.5、1、2、3、4、6、8、12時間)の68の完全なPK及び17のサンプル(投与後0、0.5、1、2、3、4、6、8、12、12.5、13、14、15、16、18、20及び24時間)の91の完全なPKを含むものであった。
【0236】
Pigrec研究は、心移植後7 1、3及び12ヶ月でサンプリングされた11のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、8、12時間)の47の完全なPKを含むものであった。
【0237】
結果
患者及びデータ
予測関数ごとに、1912人及び773人の患者で実施されたクリーニング済みデータセット中、それぞれ合計4771及び1449のISBAリクエストが利用可能であった。トレーニング及びテストセットの特性を表1に報告する。投与間AUCは、TAD及びOADの場合でそれぞれ22~380μg*h/L及び44~698μg*h/Lの範囲である。
【0238】
【0239】
探索的データ解析
AUCと予測子との間の相関行列が
図2に示され、投与間AUCと、TADの場合のC0又はC3h及びOADの場合のC0との間の強い相関(>0.8)を示している。
【0240】
図2中、上から下に、三つ濃度の場合の予測関数TAD(第一のグラフ)、二つの濃度の場合の予測関数TAD(第二のグラフ)、三つの濃度の場合の予測関数OAD(第三のグラフ)、二つの濃度の場合の予測関数OAD(第四のグラフ)の変数重要度プロットが示されている。
【0241】
TADの場合の予測関数
予測関数
【0242】
【0243】
(三つの濃度の場合)
【0244】
10分割クロスバリデーション後に予測関数に関して得られた性能は:
・平均±標準偏差RMSE=7.09±0.32mg*h/L、
・r2=0.978±0.002、相対MPE=0.2%及びRMSE=5.1%
であった。
【0245】
最良にチューニングされたパラメータ値は:
・mtry=9、
・min_n=35、
・tree_depth=10、及び
・learning_rate=0.0776
であった。
【0246】
モデルの変数重要度プロットが
図2に示され、投与後のタイミング3、0時間での濃度及びC0とC3との間の差がそれぞれ最高重要度の変数であったことを示している。
【0247】
テストセットで観測された性能は類似し、
・RMSE=7.7mg*h/L、及び
・r2=0.977、相対MPE=0.3%及びRMSE=4.7%及び±20%区間外のバイアスわずか9(0.7%)
であった。
【0248】
散布図及び残差プロットが
図3に示されている。この図は、二つ又は三つの濃度の場合の、予測関数TAD(第一ないし第四のグラフ)及びOAD(第五及び第八(eightieth)のグラフ)に関するテストセット中の予測投与間AUCに対する基準AUCの散布図及び残差プロットを表す。
【0249】
予測関数
【0250】
【0251】
(二つの濃度の場合)
【0252】
10分割クロスバリデーション後に予測関数に関して得られた性能は:
・平均±標準偏差RMSE=12.1±0.262mg*h/L、及び
・r2=0.936±0.002、相対MPE=0.7%及びRMSE=8.8%
であった。
【0253】
最良にチューニングされたパラメータ値は:
・mtry=5、
・min_n=31、
・tree_depth=9、及び
・learning_rate=0.0126
であった。
【0254】
モデルの変数重要度プロットが
図2に示され、投与後のタイミング3、0時間での濃度及びC0とC3との間の差がそれぞれ最高重要度の変数であったことを示している。
【0255】
テストセットで観測された性能は類似し:
・RMSE=12.2mg*h/L、及び
・r2=0.941、相対MPE=1.0%及びRMSE=8.5%及び±20%区間外のバイアス38(3.2%)であった。
【0256】
対応する散布図及び残差プロットが
図3に示されている(第五及び第四のグラフ)。
【0257】
OADの場合の予測関数
予測関数
【0258】
【0259】
(三つの濃度の場合)
【0260】
10分割クロスバリデーション後に予測関数に関して得られた性能は:
・平均±標準偏差RMSE=20.2±1.25mg*h/L、及び
・r2=0.938±0.006、相対MPE=0.8%及びRMSE=8.9%
であった。
【0261】
最良にチューニングされたパラメータ値は:
・mtry=9、
・min_n=31、
・tree_depth=9、及び
・learning_rate=0.0126
であった。
【0262】
モデルの変数重要度プロットが
図2に示され、投与後のタイミング0、3及び1時間での濃度がそれぞれ最高重要度の変数であったことを示している。
【0263】
テストセットで観測された性能は類似し:
・RMSE=22.7mg*h/L、及び
・r2=0.917、相対MPE=0.15%及びRMSE=7.7%及び±20%区間外のバイアス12(3.3%)であった。
【0264】
散布図及び残差プロットが
図3に示されている(第五及び第六のグラフ)。
【0265】
予測関数
【0266】
【0267】
(二つの濃度の場合)
【0268】
10分割クロスバリデーション後に予測関数に関して得られた性能は:
・平均±標準偏差RMSE=21.3±1.32mg*h/L、及び
・r2=0.931±0.005、相対MPE=0.8%及びRMSE=9.2%
であった。
【0269】
最良にチューニングされたパラメータ値は:
・mtry=7、
・min_n=31、
・tree_depth=9、及び
・learning_rate=0.0126
であった。
【0270】
モデルの変数重要度プロットが
図2に示され、投与後のタイミング3、0時間での濃度及びC0とC3との間の差がそれぞれ最高重要度の変数であったことを示している。
【0271】
テストセットで観測された性能は類似し、
・RMSE=24.0mg*h/L、及び
・r2=0.908、相対MPE=-0.1%及びRMSE=8.2%及び±20%区間外のバイアス14(3.9%)であった。
【0272】
散布図及び残差プロットが
図3に示されている(第七及び第八のグラフ)。
【0273】
外部評価対台形AUCならびにPOPPK及びMAP-BEとの比較
外部評価の結果が表2に示され、二つの濃度での予測関数
【0274】
【0275】
が、三つの濃度での二つの予測関数
【0276】
【0277】
又はMAP-BE技術と比べて、許容可能な結果を導くことを示した。
【0278】
【0279】
図4及び5は、バリデーションスタディにおけるTAD及びOADそれぞれの基準AUCの関数としての推定AUCの散布図及び残差プロットを示す。
【0280】
より正確には、
図4は、外部全サンプルバリデーションスタディにおけるTAD心、腎及び肝移植患者に関し、予測関数(二つの濃度値の場合にはauc_pred_2pts、三つの濃度値の場合にはauc_pred)及びMAP-BE技術(auc_pk)の場合の外部データセットにおける台形則AUC対予測投与間AUCの散布図及び残差プロットに相当する。
【0281】
図5に関し、同図は、外部全サンプルバリデーションスタディにおけるOAD腎及び肝移植患者に関し、予測関数(二つの濃度値の場合にはauc_pred_2pts、三つの濃度値の場合にはauc_pred)及びMAP-BE技術(auc_pk)の場合の外部データセットにおける台形則AUC対予測投与間AUCの散布図及び残差プロットを表す。
【0282】
本研究で得られた予測は、普通に得られるPOPPK結果と比べて優れており、二つ以上のタクロリムス濃度を使用したベイズ予測戦略の場合、71%が10%以下のバイアスを示し、わずか39%が10%以下の不正確さを示した。予測関数を使用して、本出願人は、外部データセット中、約10%又は10%未満のRMSE及び5%未満のバイアスならびに非常に少ない数の±20%の相対バイアス区間外のプロファイルを見いだした。
【0283】
第二の免疫抑制剤:シクロスポリン
材料及び方法
タクロリムスに関して実施したものと同様の実験が本出願人によってシクロスポリンに関して実施された。
【0284】
したがって、多くの共通の要素が二つの実験間で共有されており、以下、それらの説明を繰り返すことはせず、タクロリムスをシクロスポリンに換えること以外の相違点のみを強調する。
【0285】
患者及びデータに関し、「その他」カテゴリーに集められた腎、心、肝、肺、骨髄移植患者及びネフローゼ症候群又は自己免疫疾患患者を抽出し、HPLC又はEMIT法を使用して各患者のシクロスポリン濃度を測定した。
【0286】
加えて、濃度の数(それぞれ2及び3)あたり一つだけ予測関数を計算する。
【0287】
心移植のデータセット、骨髄移植の一つ、肺の一つ、LCMSを使用して測定した腎臓の三つ、EMITを使用して測定した腎臓の一つ、FPIAを使用して測定した腎臓の一つを使用した。
【0288】
開発において、分割ごとにランダムにサンプリングされた予測子の数mtryは、1~11ではなく、1~21であった。
【0289】
第一の腎臓研究(Debord et al clinpk 2001)は、安定な状態の腎移植レシピエントにおける10のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、8時間)の21の完全なPKを含むものであった。第二の腎臓研究はStablocineであり、安定な状態の腎移植レシピエントにおける10のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、9時間)の20の完全なPKに関してLCMS、EMIT及びFPIAを使用してサンプルを測定した。第三の腎臓研究はCONCEPT研究であり、安定な状態の腎移植レシピエントにおける11のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、8及び12時間)の20の完全なPKに関してLCMSを使用してサンプルを測定した。Stimmugrep研究の肺移植は、37人の患者において心移植後7日、1、3及び12ヶ月でサンプリングされた11のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、8、12時間)の79の完全なPKを含むものであった。Pigrec研究は、11人の患者において心移植後7日、1、3及び12ヶ月でサンプリングされた11のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、8、12時間)の33の完全なPKを含むものであった。リモージュ大学病院で実施された研究からの骨髄移植患者は、45人の患者においてサンプリングされた72のリッチなPKプロファイル(投与後0、0.33、0.66、1、2、3、4、6、8、12時間)からなるものであった。
【0290】
結果
患者及びデータ
2009人の患者に対して実施されたクリーニング済みデータセット中、合計6,360のISBAリクエストが利用可能であった。トレーニング及びテストセットの特性を表3に報告する。投与間AUCは0.28~10.40mg*h/Lの範囲である。
【0291】
表1:モデルの開発及びバリデーションに使用されたISBAリクエストの特性
【0292】
【0293】
探索的データ解析
タクロリムスの場合、AUCと予測子との間の相関行列が、投与間AUCとC0又はC3hとの間の強い相関(>0.8)を示す。
【0294】
予測関数
三つの濃度の場合の予測関数
【0295】
10分割クロスバリデーション後に予測関数に関して得られた性能は:
・平均±標準偏差RMSE=0.168±0.009mg*h/L、
・r2=0.981±0.002、相対MPE=0.28%及びRMSE=4.7%
であった。
【0296】
最良にチューニングされたパラメータ値は:
・mtry=12、
・min_n=31、
・tree_depth=9、及び
・learning_rate=0.0126
であった。
【0297】
モデルの変数重要度プロットが
図6に示され、投与後のタイミング3、0時間での濃度及びC0とC3との間の差がそれぞれ最高重要度の変数であったことを示している。
【0298】
テストセットで観測された性能は類似し、
・RMSE=0.199mg*h/L、及び
・r2=0.978、相対MPE=0.15%及びRMSE=4.35%及び±20%区間外のバイアスわずか10(0.8%)
であった。
【0299】
二つの濃度の場合の予測関数
10分割クロスバリデーション後に予測関数に関して得られた性能は:
・平均±標準偏差RMSE=0.309±0.008mg*h/L、及び
・r2=0.937±0.003、相対MPE=0.9%及びRMSE=9.8%
であった。
【0300】
最良にチューニングされたパラメータ値は:
・mtry=9、
・min_n=31、
・tree_depth=9、及び
・learning_rate=0.0126
であった。
【0301】
モデルの変数重要度プロットが
図6に示され、投与後のタイミング3、0時間での濃度及びC0とC3との間の差がそれぞれ最高重要度の変数であったことを示している。
【0302】
テストセットで観測された性能は類似し:
・RMSE=0.345mg*h/L、及び
・r2=0.931、相対MPE=0.5%及びRMSE=9.5%及び±20%区間外のバイアス85(5.3%)であった。
【0303】
外部評価対台形AUCならびにPOPPK及びMAP-BEとの比較
外部評価の結果が表4に示され、特に腎及び心移植の場合、二つの濃度での予測関数が、三つの濃度での予測関数又はMAP-BE技術ならびにEMIT及びLCMS用量測定法と比べて、許容可能な結果を導くことを示した。
【0304】
【0305】
図7は、バリデーションスタディにおける基準AUCの関数としての2又は3濃度XGBoostモデル又はMAP-BEの場合の推定AUCの散布図及び残差プロットを示す。
【0306】
より正確には、
図7は、外部全サンプルバリデーションスタディにおける心、腎及び肝移植患者におけるシクロスポリンに関する予測関数(二つの濃度値の場合にはauc_pred_2pts、三つの濃度値の場合にはauc_pred)及びMAP-BE技術(auc_pk)の場合の外部データセットにおける台形則AUC対予測投与間AUCの散布図及び残差プロットに相当する。
【0307】
ここでもまた、本研究で得られた予測は、POPPK結果との比較において満足なものである。
【0308】
第三の免疫抑制剤:ミコフェノール酸(MPA)
材料及び方法
タクロリムスに関して実施したものと同様の実験が本出願人によってミコフェノール酸に関して実施された。
【0309】
したがって、多くの共通の要素が二つの実験間で共有されており、以下、それらの説明を繰り返すことはせず、タクロリムスをミコフェノール酸に換えること以外の相違点のみを強調する。
【0310】
患者及びデータに関し、用量摂取後約20分(10~30分、C20)、60分(30~100分、C1)及び180分(140~220分、C3)の少なくとも3回のサンプリングを含め、HPLCを使用してMPA血漿レベルを測定したリクエストを選択することにより、データセットを逐次的にリファンした。実際、20、60、180分が、MMFに最適なサンプリングスケジュールである。投与間隔12時間のリクエストを選択するために、フィルタを適用した。利用可能な他の予測子は、MMFの朝用量、移植とMPA血漿サンプリングとの間の経過時間、移植片のタイプ、関連する免疫抑制剤及び患者年齢であった。
【0311】
そのために、成人腎移植患者における三つのデータセット:MPA+タクロリムスの一つのデータセット(PCCP)、MPA+シクロスポリンの一つ(Stablocine)及びMPA+シクロスポリン又はシロリムスの二つのデータセット(CONCEPT、SPIESSER);小児腎移植患者における一つのデータセットMPA;MPA+シクロスポリン又はタクロリムスの心移植患者の一つのデータセット(Pigrec)を使用した。また、これらの確認データセットにおける予測関数の性能をMAP-BE技術の性能と比較した。カルシニューリン阻害剤とは対照的に、基準AUCは台形則ではなく、利用可能なすべてのサンプルからのMAP-BEによって得られたAUCであった。
【0312】
濃度C1-C20、C1-C3及びC3-C20間の差に対応する他の予測子を作成し、また、潜在的に遅れた吸収ピークに関する情報を追加するために、C3>C1、C3>C20及びC3>C20&C1に対応する三つのダミー変数を作成した。移植片のタイプを、九つのカテゴリー:腎臓、心臓、肺、肝臓、骨髄、ループス、小児ループス、ネフローゼ症候群及び残りのすべての適応症(二つの実質臓器の移植又は自己免疫疾患を含む)のための「その他」カテゴリーに分割した。
【0313】
最後に、投与間AUCを予測するために使用される特徴のセットは:
―移植片のタイプ、
―関連する免疫抑制剤(タクロリムス、シロリムス、シクロスポリン又は何もなし)、
―患者年齢、
―移植とMPA血漿サンプリングとの間の経過時間、
―MMF朝用量、
―20分、1時間及び3時間のタイミングにおけるMPA濃度、
―理論的タイミングからの相対偏差、
―濃度間の差、及び
―遅延吸収ピークのためのダミー変数:3時間でのMPA濃度が1時間での濃度、20分での濃度又はその両方より高い場合、遅延吸収=1、そうでない場合=0
であった。
【0314】
二つの濃度(C1及びC3)に基づく予測関数の場合、時間=20分の場合の相対時間差及びC20を含む濃度差又はダミー遅延吸収を除外した。
【0315】
予測関数の開発のために、40×40グリッドを使用した。分割ごとにランダムにサンプリングされた予測子の数mtryは1~28であり、フィッティングルーチンに暴露されるデータの量sample_sizeは10~100%であった。
【0316】
外部評価のために、20分、1時間、3時間の濃度ならびに用量、サンプリングタイミング及び移植とMPA血漿サンプリングとの間の経過時間をPKデータベースから抽出して、予測関数及びMAP-BE技術を使用してAUCを予測した。
【0317】
PCCP研究は、腎移植後7及び14日、1、3及び6ヶ月で採取された11のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、8、12時間)の128の完全なPKプロファイルを含むものであった。Stablocine研究は、安定な状態の腎移植患者における10又は11のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、9時間及び(すべてのプロファイルに存在するわけではないが)12時間)の20のPKプロファイルを含むものであった。CONCEPT研究は、腎移植後12、16及び26週で採取された10又は11のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6、9時間及び(すべてのプロファイルに存在するわけではないが)12時間)の67のPKプロファイルを含むものであった。Pigrec研究は、移植後7日と14日との間ならびに1、3及び12ヶ月で採取された10のサンプル(投与後0、0.33、0.66、1、1.5、2、3、4、6及び9時間)の75のPKプロファイルを含むものであった。
【0318】
結果
患者及びデータ
ISBAから抽出されたクリーニング済みデータセット中、6884人の患者から合計12877のミコフェノール酸AUC0-12hが利用可能であった。トレーニング及びテストセットの特性を表5に報告する。
【0319】
【0320】
探索的データ解析
ここでもまた、AUCと予測子との間の相関行列が、投与間AUCとC3h(r=0.7)及びC1h(r=0.66)との間の強い相関を示す。
【0321】
予測関数
モデルごとの最良にチューニングされたパラメータ値を表6に示す。
【0322】
【0323】
10分割クロスバリデーション後に得られたトレーニングセット及びテストセットの結果が表6に示され、優れた結果及びそれらの間に差がなく(オーバーフィッティングなし)、二つの濃度に対し、三つの濃度の場合で推定が約2倍良好であることを示している。相対MPEは0に近く、相対RMSEは、トレーニングセットとテストセットの両方で<20%であった。
【0324】
加えて、各モデルの変数重要度プロットは、タイミング3及び0における濃度が最も重要な変数であることを示す。
【0325】
外部評価
外部評価の結果が以下の表7に示され、二つの濃度での予測関数が、三つの濃度での予測関数又はMAP-BE技術と比べて、許容可能な結果を導いたことを示す。
【0326】
【0327】
いくつかのアルゴリズムの性能比較
この段落において、対処すべき問いは、少なくとも八つのサンプルから(台形則を使用して)推定された基準AUCを使用して構築されたアルゴリズムが、3サンプル薬物動態モデルに基づいて推定されたAUC(=簡約AUC)を使用して構築されたアルゴリズムよりも良好であるかどうかである。
【0328】
理論的には、台形則を使用していくつかのサンプルに基づく、より正確なAUCを使用すると、基準簡約AUCのモデルベースの推定に関連するランダムノイズが減ることにより、性能は改善するであろう。しかし、これはまた、アルゴリズムの開発に利用可能なサンプルサイズの減少をも伴う。
【0329】
本出願人は、タクロリムスの場合に基準AUCを使用して構築されたアルゴリズムの性能が、以前に簡約AUCから開発されたアルゴリズムの性能と比べて、より良い性能を示さないことを示した。
【0330】
【0331】
【0332】
上記の表8及び9に認められように、外部の完全なPKプロファイルデータセットにおける性能は、バイアス及びRMSEに関してはほぼ同じである。
【0333】
用語集
・AADAPT研究:Marquet, P. et al. Pharmacokinetic therapeutic drug monitoring of Advagraf(R) in more than 500 adult renal transplant patients, using an expert system online. Ther Drug Monit (2018).doi:10.1097/FTD.0000000000000503の研究を参照すること。
・Advagraf(登録商標):1日1回投与(OAD)される、タクロリムスを含む薬物の商品名(Astellas Pharmaが商品化)。
・AUC曲線:濃度-時間曲線下面積
・AUC0-12:t=0(投与時)とt=12hとの間のAUC
・AUC0-24h:t=0(投与時)とt=24hとの間のAUC
・Debord et al clinpk 2001: Debord J, Risco E, Harel M, Le Meur Y, Buehler M, Lachatre G, Le Guellec C, Marquet P. Application of a gamma model of absorption to oral cyclosporin. Clin Pharmacokinet 2001; 40: 375-82に見ることができる研究を指す。
・EMIT:「酵素多重免疫測定法」を指す。この技術は、血清及び尿中の治療薬及び嗜好用薬物ならびに特定のタンパク質の定性的及び定量的測定の方法である。
・Envarsus(登録商標):1日1回投与(OAD)される、タクロリムスを含む薬物の商品名(米国ではVeloxis Pharmaceuticalsにより、欧州ではChiesiにより、Envarsus XRとして市販)。
・FPIA:「蛍光偏光免疫測定法」を指し、サンプル中の抗体又は抗原の高速検出に使用されるインビトロ生化学検査の1クラスである。
・GGallyパッケージ:以下のインタネットサイト:https://www.rdocumentation.org/packages/GGally/versions/1.5.0を参照されたい。
・HPLC:「高速液体クロマトグラフィー」を指す。この技術は、混合物中の各成分を分離し、同定し、定量化するために使用される分析化学の技術である。
・ISBA:ISBA(Immunosuppressant Bayesian Dose Adjustment)ウェブサイト(www.pharmaco.chu-limoges.fr)は、少なくとも三つの血液サンプルならびに他の特性、たとえば年齢、移植後遅延及び薬物測定方法に基づく最大事後確率ベイズ推定(MAP-BE)を使用することによって免疫抑制剤のAUCを推定することを可能にする。(たとえばLCMS又はHPLC)。ISBAにおいて、掲示される各リクエストは、訓練を受けた薬理学者によって48時間以内にバリデーションされる。これは、膨大な数のリクエスト(2005年以降で>120000)のせいで多大な時間を表す。
・LCMS:「液体クロマトグラフィー質量分析」を指し、液体クロマトグラフィー(又はHPLC)の物理的分離能力を質量分析法(MS)の質量分析能力と組み合わせる分析化学技術である。
・MAP-BE:最大事後確率ベイズ推定(ISBAによって使用される技術)
・MMF:ミコフェノール酸のプロドラッグのミコフェノール酸モフェチル(登録商標)薬物商品名(Rocheが商品化)
・MPA:ミコフェノール酸
・MPE:平均予測誤差
・OAD:1日1回
・PALTP研究:Riff, C., Debord, J., Monchaud, C., Marquet, P. & Woillard, J.-B. Population pharmacokinetic model and Bayesian estimator for 2 tacrolimus formulations in adult liver transplant patients(Br J Clin Pharmacol 85, 1740-1750, 2019)。
・PCCP研究:「Tacrolimus population pharmacokinetic-pharmacogenetic analysis and Bayesian estimation in renal transplant recipients」と題するBenkali, K.らの文献(Clin Pharmacokinet 48, 805-816, 2009)に定義あり。
・Pigrec研究:「Ciclosporin population pharmacokinetics and Bayesian estimation in thoracic transplant recipients」と題するFruit, D.らの文献(Clin Pharmacokinet 52, 277-288, 2013)及び「Mycophenolic mofetil optimized pharmacokinetic modelling, and exposure-effect associations in adult heart transplant recipients」と題するWoillard, J.-B.らの文献(Pharmacol. Res. 99, 308-315, 2015)に定義あり。
・PK:薬物動態プロファイル
・POPPK=母集団薬物動態解析
・PKNCA:Denney [aut, B., ere, Buckeridge, C. & Duvvuri, S. PKNCA: Perform Pharmacokinetic Non-Compartmental Analysis. (2020).at <https://CRAN.R-project.org/package=PKNCA>
・Prograf(登録商標):1日2回投与(TAD)される、タクロリムスを含む薬物の商品名(Astellas Pharmaが商品化)。
・RMSE:二乗平均平方根誤差
・Stimmugrep研究:Monchaud C、Rousseau A、Leger F、David OJ、Debord J、Dantoine T、Marquet Pによる文献Limited sampling strategies using Bayesian estimation or multilinear regression for cyclosporin AUC (0-12) monitoring in cardiac transplant recipients over the first year post-transplantation. Eur J Clin Pharmacol. 2003 Apr;58(12): 813-20に見ることができる研究を指す。
・TAD:1日2回
・tidyverseフレームワーク:tidyverseは、データサイエンスのために設計されたRパッケージのオピニオン化された(opinionated)コレクションである。www.tidyverse.orgで入手可能。
・XGBoost:この方法は、「XGBoost: A Scalable Tree Boosting System」と題するT. Chenらの文献(arXiv:1603.02754v3)に記載されている。パラメータmtry、min_n、tree_depth及びlearning_rate(文献中では縮小)の定義及び使用。
この方法は、以下のアドレスでアクセスすることができるRパッケージを用いて実装された:
https://cran.rproject.org/web/packages/xgboost/vignettes/xgboostPresentation.html
【国際調査報告】