(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】消弧プリチャージ回路
(51)【国際特許分類】
H02H 9/02 20060101AFI20231114BHJP
H02H 5/04 20060101ALI20231114BHJP
H02H 7/122 20060101ALI20231114BHJP
H02H 7/125 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
H02H9/02 D
H02H5/04 170
H02H7/122
H02H7/125
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526212
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-07
(86)【国際出願番号】 US2021057540
(87)【国際公開番号】W WO2022094389
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508013489
【氏名又は名称】ヤザキ ノース アメリカ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ウー ユアンユアン
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル ケネス ジョン
【テーマコード(参考)】
5G013
5G053
【Fターム(参考)】
5G013AA01
5G013AA02
5G013AA14
5G013AA17
5G013BA01
5G013CA05
5G013CA07
5G053AA05
5G053BA01
5G053CA04
5G053FA05
(57)【要約】
消弧プリチャージ回路は、負荷にエネルギーを提供するための電源と、電源から負荷にエネルギーを提供するために選択的に閉じられる主接触器とを含み、ここで主接触器は電源から負荷までの代替電流路を提供して、主接触器が閉じられた時に回路のプリチャージ枝路をバイパスする。プリチャージ枝路は、電圧制御抵抗器と、電圧制御抵抗器の抵抗を制御するように構成された制御回路とを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
消弧プリチャージ回路であって、
負荷にエネルギーを提供するための電源と、
該電源から該負荷にエネルギーを提供するために選択的に閉じられる主接触器であって、該電源から該負荷までの代替電流路を提供して、該主接触器が閉じられた時に該回路のプリチャージ枝路をバイパスする、該主接触器と、
該プリチャージ枝路と
を具備し、
該プリチャージ枝路が、
電圧制御抵抗器と、
該電圧制御抵抗器の抵抗を制御するように構成された制御回路と
を具備する、
該消弧プリチャージ回路。
【請求項2】
電力源が、交流(AC)電源、直流(DC)電源、電池、発電機、またはグリッドのうち少なくとも1つである、請求項1記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項3】
負荷が、交流電流(AC)を直流電流(DC)に変換するように構成されたコンバーター、またはDCからACに変換するように構成されたインバーターのうち少なくとも1つである、請求項1記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項4】
主接触器が、開構成と閉構成との間で選択的に移行できるように構成された機械的な多極スイッチである、請求項1記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項5】
開構成において電流が主接触器を渡って流れないようにブロックされ、かつ、閉構成において電流が主接触器を渡って流れる、請求項4記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項6】
電圧制御抵抗器を通る代わりに主接触器を通って負荷に電流を流すよう該電圧制御抵抗器の抵抗を制御するように、制御回路が構成されている、請求項1記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項7】
負荷の容量素子が充電されたことに応答して、電圧制御抵抗器を通る代わりに主接触器を通って該負荷に電流を流すよう抵抗を制御するように、制御回路が構成されている、請求項6記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項8】
電源と負荷との間で、プリチャージ枝路と並列に充電枝路をさらに具備する、請求項1記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項9】
充電枝路が、電力源と負荷との間の電流路を選択的に確立するためのスイッチを具備する、請求項8記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項10】
主接触器の故障の検出に応答して開くように構成された、電力源と負荷との間の冗長スイッチ
をさらに具備する、請求項1記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項11】
過電流条件に応答して回路から電力源を切り離すように構成された、プリチャージ枝路と直列に配置されたヒューズ
をさらに具備する、請求項1記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項12】
前記ヒューズが、接触器、ブレーカー、またはリレーのうち少なくとも1つである、請求項11記載の消弧プリチャージ回路。
【請求項13】
以下を具備する、消弧プリチャージデバイス:
ハウジング;
該ハウジング内に少なくとも部分的に配された消弧プリチャージ回路であって、
負荷にエネルギーを提供するための電源と、
該電源から該負荷にエネルギーを提供するために選択的に閉じられる主接触器であって、該電源から該負荷までの代替電流路を提供して、該主接触器が閉じられた時に該回路のプリチャージ枝路をバイパスする、該主接触器と、
該回路の該プリチャージ枝路と
を具備し、
該プリチャージ枝路が、
電圧制御抵抗器と、
該電圧制御抵抗器の抵抗を制御するように構成された制御回路と
を具備する、
該消弧プリチャージ回路。
【請求項14】
ハウジングが、少なくとも制御回路と、電圧制御抵抗器と、主接触器とを格納するように構成された単一のハウジングである、請求項13記載の消弧プリチャージデバイス。
【請求項15】
ハウジングが、4ピンリレーまたは5ピンリレーのうち少なくとも1つである、請求項13記載の消弧プリチャージデバイス。
【請求項16】
制御回路または電圧制御抵抗器のうち少なくとも1つが、4ピンリレーまたは5ピンリレーのピンを介して電力を受けるように構成されている、請求項15記載の消弧プリチャージデバイス。
【請求項17】
電圧制御抵抗器を通る代わりに主接触器を通って負荷に電流を流すよう該電圧制御抵抗器の抵抗を制御するように、制御回路が構成されている、請求項13記載の消弧プリチャージデバイス。
【請求項18】
負荷の容量素子が充電されたことに応答して、電圧制御抵抗器を通る代わりに主接触器を通って該負荷に電流を流すよう抵抗を制御するように、制御回路が構成されている、請求項17記載の消弧プリチャージデバイス。
【請求項19】
消弧プリチャージ回路を使用する方法であって、以下の段階を含む方法:
該消弧プリチャージ回路の動作を開始する段階;
負荷のプリチャージ条件が満たされていないという決定に応答して、該消弧プリチャージ回路を介して電圧制御抵抗器のゲートに電圧を印加する段階であって、該ゲートに印加された該電圧が、電流を、主接触器を通って該負荷に流れる代わりに、バイパス路に沿ってプリチャージ回路のプリチャージ枝路を通って該負荷に流れさせる、該段階。
【請求項20】
以下の段階をさらに含む、請求項17記載の消弧プリチャージ回路を使用する方法:
充電閾値が満たされたかを決定する段階;
該充電閾値が満たされたことに応答して、主接触器を通って負荷に電流を流すために電圧制御抵抗器のゲートから電圧を除去する段階;
該主接触器を通って該負荷に電流が流れたことに続いて、電弧を検出する段階;
該電弧を検出したことに応答して、バイパス路に沿ってプリチャージ枝路を通って負荷に電流を流れさせるために、該消弧プリチャージ回路を介して該電圧制御抵抗器の該ゲートに電圧を再印加する段階。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその内容全体が本明細書に組み入れられる、2020年10月30日に提出された米国特許仮出願第63/107,711号の恩典と、これに対する優先権とを主張する。
【背景技術】
【0002】
背景
本開示は概してプリチャージ回路に関する。より具体的には、本開示は消弧プリチャージ回路に関する。未充電の容量性負荷を電力源(例えば電池、パワーサプライ、グリッドなど)などに接続すると、その結果として、電気系統を通る突然の大きなサージ電流(すなわち過渡電流、スイッチオンサージ、突入電流など)が生じる可能性がある。これは部分的には、電力源の電位(すなわち電圧)が容量性負荷の電位より高い時には典型的に電源にとって電気系統内の短絡として見えるという、未充電または部分的充電時の容量素子の性質によるものである。
【0003】
電源と負荷とを連結している電気系統の初期通電後に電力源から電流が急速に引かれると、電気系統にかなりのストレスをかけることによって、電気系統のコンポーネントを損傷するか、または電気系統および/もしくはそのコンポーネントの動作寿命を縮める潜在的可能性がある。例えば、電気系統の機械的スイッチ(例えば接触器)が閉から開に、および/または開から閉に移行される際に、サージ電流がアーキングを引き起こす可能性がある。スイッチのアーキングは、スイッチ内の溶着接点につながる可能性があるので、特に問題になる可能性がある。溶着接点はスイッチ内の短絡であり、ゆえに、電源と負荷との間の電流を断つことを妨げる。この点において、溶着接点は、回路を安全に遮断することを妨げる可能性がある。そうであるから、サージまたは突入電流は、電気系統の機能に悪影響を及ぼすことに加えて、電気系統のユーザーにとって危険となる可能性もある。
【発明の概要】
【0004】
概要
少なくとも1つの態様は消弧プリチャージ回路に関する。消弧プリチャージ回路は、負荷にエネルギーを提供するための電源と、電源から負荷にエネルギーを提供するために選択的に閉じられる主接触器とを含み、ここで主接触器は電源から負荷までの代替電流路を提供して、主接触器が閉じられた時に回路のプリチャージ枝路をバイパスする。プリチャージ枝路は、電圧制御抵抗器と、電圧制御抵抗器の抵抗を制御するように構成された制御回路とを含む。
【0005】
別の態様は消弧プリチャージデバイスに関する。消弧プリチャージデバイスは、ハウジングと、ハウジング内に少なくとも部分的に配された消弧プリチャージ回路とを含む。消弧プリチャージ回路は、負荷にエネルギーを提供するための電源と、電源から負荷にエネルギーを提供するために選択的に閉じられる主接触器とを含み、ここで主接触器は電源から負荷までの代替電流路を提供して、主接触器が閉じられた時に回路のプリチャージ枝路をバイパスする。プリチャージ枝路は、電圧制御抵抗器と、電圧制御抵抗器の抵抗を制御するように構成された制御回路とを含む。
【0006】
なお別の態様は、消弧プリチャージ回路を使用する方法に関する。本方法は、消弧プリチャージ回路の動作を開始する段階;および、負荷のプリチャージ条件が満たされていないという決定に応答して、消弧プリチャージ回路を介して電圧制御抵抗器のゲートに電圧を印加する段階を含む。ゲートに印加された電圧は、電流を、主接触器を通って負荷に流れる代わりに、バイパス路に沿ってプリチャージ回路のプリチャージ枝路を通って負荷に流れさせる。
【0007】
この概要は例示的なものにすぎず、限定的なものとみなされるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
本開示は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて検討することによって、より完全に理解されるであろう;添付の図面において、同様の符番は同様の要素を参照する。
【0009】
【
図1】1つの例示的態様に基づく、プリチャージ構成にある回路の線図である。
【0010】
【
図2】1つの例示的態様に基づく、充電構成にある
図1の回路の線図である。
【0011】
【
図3】1つの例示的態様に基づく、プリチャージ構成にある回路の線図である。
【0012】
【
図4】1つの例示的態様に基づく、充電構成にある
図3の回路の線図である。
【0013】
【0014】
【
図6】1つの例示的態様に基づく、リニアモードにおける電界効果トランジスター(FET)の動作を表すグラフである。
【0015】
【
図7A】
図7A~7Bは、1つの態様に基づく、負荷を予備充電するための処理のフローダイアグラムである。
【
図7B】
図7A~7Bは、1つの態様に基づく、負荷を予備充電するための処理のフローダイアグラムである。
【0016】
【
図8】1つの態様に基づく、
図5の回路を含むモーター用駆動システムの線図である。
【0017】
【
図9A】1つの態様に基づく、プリチャージ回路を備えたミニ4ピンリレーの線図である。
【0018】
【
図9B】1つの態様に基づく、プリチャージ回路を備えたミニ5ピンリレーの線図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
ある一定の例示的態様を詳しく図示した図面に言及する前に理解されるべき点として、本開示は、本説明に述べられまたは図面に図示されている、詳細または方法論に限定されるわけではない。これもまた理解されるべき点として、本明細書において用いる用語は説明を目的としたものにすぎず、限定的なものとみなされるべきではない。
【0020】
概して図面を参照すると、負荷の充電における初期段階中に容量性負荷に流れる電流を制限することは、突入電流に関連した、電気系統に対するストレスおよび損傷と、ユーザーに対する危険とを、軽減する助けとなる可能性がある。負荷に流れる初期電流を制限することによって、負荷の容量素子は制御された様式で充電される可能性があり、ゆえに電気系統内の電流における大きなサージが回避される。ゆえに、容量性負荷を具備する電気系統を充電する際に、電流が制限された初期持続時間を提供することによって、電気系統およびそのコンポーネントの動作寿命が伸び、かつ電気系統の安全性および信頼性が高まる可能性がある。
【0021】
電流が制限されたそのような初期充電フェーズが有利となる、容量性負荷を含む電気系統の非限定例には、電気モーターや始動発電機などを運転させるために電池などからのDC電力をAC電力に変換するためのインバーターを含む、完全に電動化された電気自動車(EV)、または部分的に電動化されたハイブリッド電気自動車(HEV)が含まれる。EV、HEVなどに利用されるものなどのインバーターは、電気雑音、高調波ひずみ、およびリプル電圧を低減させるように作用する、フィルタリングキャパシターなどの1つまたは複数の容量素子を、概して含有する。概して図面を参照すると、a)プリチャージモード中に突入電流を制限し、そして、b)アーキングを最小にするような、特徴を有する回路が示されている。
【0022】
図1および2を参照すると、1つの態様に基づき、負荷の初期充電中に電流を制限し、アーキングによってもたらされる危険を軽減する、回路100の線図が示されている。回路100は、負荷104にエネルギーを選択的に提供するように構成された電力源102を含む。電力源102は、任意のAC電源またはDC電源(例えば電池、発電機、グリッドなど)を具備していてもよい。負荷104は、キャパシタンスおよび/または1つもしくは複数の容量素子(例えばキャパシター)を有する、任意の負荷を具備していてもよい。例えば、負荷104は、交流電流(AC)を直流電流(DC)に変換するように構成されたコンバーター、または、DCからACに変換するように構成されたインバーターであってもよい。別の例として、負荷104は、電気雑音、高調波ひずみ、およびリプル電圧を低減させるように作用するフィルタリングキャパシターを具備していてもよい。
【0023】
回路100はまた、電力源と負荷との間で並列に配置されたプリチャージ枝路と充電枝路とを含む。プリチャージ枝路および充電枝路の各々は、電力源と負荷との間でそれを介して電流路を選択的に確立できるスイッチを含む。スイッチ106は、(スイッチを渡る電流が妨げられる)開構成と(スイッチを渡って電流が流れうる)閉構成との間で選択的に移行できる、任意の機械的な多極スイッチである。
【0024】
図1に示すように、プリチャージモードにおける回路100の動作中は、プリチャージ回路のスイッチが閉じられ、充電回路のスイッチが開かれる。ゆえに、電力源と負荷との間の電流は、プリチャージ回路を通って流れるように制限される。
図2に示すものなどのように、充電モードにおける回路100の動作中は、プリチャージ回路のスイッチが開かれ、充電回路のスイッチが閉じられる。そうであるから、電力源と負荷との間の電流は、充電回路を通って流れるように制限される。
【0025】
図1に図示するように、プリチャージ回路は、スイッチと直列に配置された抵抗性素子108(例えば固定値または可変値の抵抗器)をさらに含む。プリチャージモードにおける回路100の動作中に、抵抗器108は電源と負荷とを電気的に接続する電流路の一部を形成し、それによって、電源と負荷とを接続している電流路の等価直列抵抗(ESR)を増大させる。電流と抵抗との間の反比例関係から、プリチャージ回路の抵抗器によって提供される増大したESRは、電源と負荷との間の電流を低減させる。ゆえに、プリチャージ回路の抵抗器は、回路を通る電流を制限することによって、回路100内の過電流条件を最少化する(例えば防ぐ)ことを有利に助ける。
【0026】
スイッチ106(例えば接触器)は、負荷までの電流路から抵抗器108を選択的に除去することを可能にする。1つの態様において、抵抗器108は電源102から負荷104までの電流を制限する。負荷104の容量素子が充分に充電されたら、
図2に示すようにスイッチ106が第二ポジションにセットされて、それにより負荷104までの電流路から抵抗器108が除去され、ゆえに負荷104の容量素子の充電における第二フェーズ(すなわち充電動作モード)が開始される。いくつかの態様において、負荷104の容量素子が電源102と同じ電位(すなわち電圧)まで充電された時、または負荷104の容量素子が電源102の電位の既定範囲内(例えば90~95%)まで充電された時に、スイッチ106が第二ポジションにセットされてもよい。充電動作モード中、エネルギーは抵抗器108によって制限されることなく負荷104に供給される。
【0027】
抵抗器108は、初期のプリチャージ動作モード中に容量性負荷への電流を制限するように作用し、それによって、負荷の容量素子を制御された様式で充電することを有利に可能にするが、それでもやはり回路100は負荷の通電直後に最初の瞬間的な電流サージを受ける可能性がある。電気系統の機械的スイッチ(例えば接触器)が閉から開に、および/または開から閉に移行されることに応答した、突然かつ急速な電流増大は、スイッチのアーキングを引き起こす可能性がある。上述したように、スイッチの溶着は、回路を安全に遮断することを妨げる可能性があり、ゆえにユーザーに危険をもたらす可能性がある。
【0028】
したがって、
図3および4において冗長性が示されているプリチャージ回路300によって図示されるように、溶着によってもたらされる危険を軽減し、ゆえに回路100の信頼性を高めるために、電気系統に1つまたは複数のスイッチ(例えば接触器)を提供することが望ましい可能性がある。回路300はまた、プリチャージ接触器306と、主接触器308と、冗長接触器310とを含む、いくつかの接触器(すなわちスイッチ)も含むことが示されている。接触器の各々は、電源302から容量性負荷314までの電流を制御するように構成されていてもよい。いくつかの態様において、プリチャージ接触器306、主接触器308、および冗長接触器310の各々の接点または導体は、初期状態において開(例えば、通常は開)であってもよい。1つのそうしたソリューションは、回路をプリチャージモードと動作モードとの間で選択的に構成するために使用されるスイッチ(すなわち接触器、リレーなど)における冗長性である。例えば、二次的または三次的なスイッチ(すなわち冗長スイッチ)が回路の負枝路または中立枝路(negative or neutral branch)上に含まれていてもよい。冗長スイッチは主スイッチが(例えば溶着接点などにより)短絡となって故障した場合に開くように構成されてもよい。この様式において、冗長スイッチは、(例えば回路を安全に修復できるように)回路を遮断するための二次的なまたはバックアップの方法である。任意的なヒューズ304がプリチャージ枝路および充電枝路(ならびに電源)の各々と直列に配置されていてもよく、それは、過電流条件の場合に電力源302を回路300から除去または断路することを可能にする。
【0029】
図3に示すようなプリチャージ構成において、プリチャージ接触器306と冗長接触器310とは閉じられ、主接触器308は開いたままである。このプリチャージ構成は、それによって、電流が電源302から限流抵抗器312を通って負荷314に流れることを可能にする。この様式において、
図3のプリチャージ構成は、負荷314の容量性コンポーネントを制御された様式で充電することを可能にする。より具体的には、限流抵抗器は、詳しく上述したように、負荷314のESRよりはるかに大きい抵抗を提供する。この様式において、負荷314への電流が制御されて、負荷の容量素子が充電されている時の電流のサージが実質的に防がれまたは制限される。
【0030】
図4に示すような動作構成において、プリチャージ接触器306が開かれ主接触器308が閉じられて、電流が抵抗器312によって制限されることなく電源302から容量性負荷314に流れることを可能にする。いくつかの態様において、冗長接触器310がプリチャージ接触器306とともに開き、続いて主接触器308とともに閉じてもよい。回路300は、負荷314の容量素子があらかじめ定義された閾値に達したことに応答して、または定義されたプリチャージサイクルの終わりに、
図4に示す動作構成に移行してもよい。例えば、回路300は、負荷314の容量素子が電源の電位の少なくとも一部分(例えば電源電位の80~90%)に達した時に動作構成に移行してもよい。
【0031】
プリチャージ構成および/もしくは動作構成への移行時、またはこれらからの移行時に、プリチャージ接触器306または主接触器308のうち少なくとも1つが、
図1および2に関して上述したようにまだなおアーキングによる溶着接点をきたしやすい可能性がある。プリチャージ接触器306および/または主接触器308の接点が一緒に溶着(すなわち短絡)した場合には、冗長接触器310が開かれてもよく、それによって回路300が遮断される。少なくともこの理由のために、冗長接触器310は、例えば回路100と比較して回路300の安全性を高める。
【0032】
冗長接触器(例えば冗長接触器310)またはスイッチの追加は、回路(例えば回路300)を遮断するための二次的手段を提供する可能性があるが、接触器(例えばプリチャージ接触器306、主接触器308、および冗長接触器310)の各々はまだなお、スイッチ106に関して上述した電位の問題をきたしやすい。例えば、接触器は寿命が限られた機械的スイッチであり、磨耗、アーキング、レイテンシーなどをきたしやすい可能性がある。加えて、プリチャージ回路に含まれる追加の各接触器は、潜在的な故障点の数を増加させる可能性がある。いくつかの態様において、冗長接触器の追加はまた、(例えば回路100などの回路と比較した時に)回路のパッケージングサイズおよびコストも増大させる。この点において、消弧を含み、かつ小さく費用効果の高いパッケージで提供できる、容量性負荷の予備充電用の回路(例えばインバーター)を提供することが望ましい可能性がある。
【0033】
次に
図5を参照すると、1つの態様に基づく消弧プリチャージ回路500の線図が示されている。回路500のプリチャージ枝路は、容量性負荷の初期充電中に電流を制限することに加えて、プリチャージ枝路内の電気的アーキングのリスクをさらになくす。プリチャージ回路は、そうした消弧を提供することによって、冗長接触器(例えば
図3および4の回路300を参照しながら説明したものなど)の使用を要することなく、溶着のリスクに対して回路500を保護することができる。
【0034】
図5に示すように、回路500は、負荷512にエネルギーを提供するための電源502を含む。電源502は、負荷512にエネルギーを提供するように構成された任意のAC電源またはDC電源(例えば電池、発電機、グリッドなど)であってよい。例えば、EVまたはHEVにおいて、電源502は48VのLiイオン電池バンクまたは12Vの鉛蓄電池であってもよい。任意的なヒューズ504が電源502と直列に提供される。ヒューズ504は、過電流条件の場合に電源502を回路500から除去または断路するように動作してもよく、それによって回路500のコンポーネントを保護する。いくつかの態様において、ヒューズ504は、接触器、ブレーカー、リレー、または他の任意の機能的に同等なコンポーネントであってもよい。いくつかの態様において、回路500は、車両(例えばEV、HEVなど)のインバーターまたは別の容量性負荷を予備充電するために車両に含まれるプリチャージ回路である。他の態様において、回路500は、電力変換器、大衆消費電子製品、電動品などにおける、別の容量性負荷のためのプリチャージ回路である。
【0035】
回路500は、電源502から容量性負荷512にエネルギーを供給するために選択的に閉じられてもよい主接触器510をさらに含む。主接触器510は、接触器、ブレーカー、リレー、または、負荷512への電流を選択的に可能にするように構成された機能的に同等な他の任意のコンポーネントを具備していてもよい。いくつかの態様において、主接触器510の接点または導体は、初期状態において開(例えば、通常は開)であってもよい。主接触器510は、閉じられた時に電源502から負荷512への代替電流路を提供してもよく、それによって回路500のプリチャージ枝路をバイパスする。
【0036】
回路500のプリチャージ枝路は、制御回路506と電圧制御抵抗器508とを含むものとして示されている。後述するように、制御回路506は、電圧制御抵抗器508の抵抗を制御してもよく、かつ/または、(例えば電流が電圧制御抵抗器508を通って流れるかもしくは流れないように)電圧制御抵抗器508をオンおよびオフにしてもよい。制御回路506は、電圧制御抵抗器508を制御するように構成された任意の回路または電子デバイスであってもよい。例えば、制御回路506は、マイクロコントローラー、集積回路(IC)、リレー、抵抗器(例えば分圧器)、二次電源、または、電圧制御抵抗器508を制御するように構成された他の任意の回路、もしくはコンポーネントの組み合わせを含んでいてもよい。いくつかの態様において、制御回路506は、負荷512の容量素子の充電レベルを同定するように構成された1つまたは複数のコンポーネントを含んでいてもよい。
【0037】
電圧制御抵抗器508は、入力電圧がコンポーネントの抵抗を制御するような任意の電子コンポーネントであってもよい。いくつかの態様において、電圧制御抵抗器508は、電圧制御抵抗器508をオンにすると(例えば制御回路506が充分な電圧を印加した時に)電流がデバイスを通って流れることができるという、スイッチとして作用する。そうしたいくつかの態様において、電圧制御抵抗器508の抵抗値はデバイスの入力電圧に基づいて可変である。いくつかの態様において、印加された電圧が閾値を下回る時に、または電圧が印加されていない時に、電圧制御抵抗器508はオフになる(例えば、電流がデバイスを通って流れないように制約される)。
【0038】
いくつかの態様において、電圧制御抵抗器508は電界効果トランジスター(FET)である。電圧制御抵抗器508は、例えば、接合型電界効果トランジスター(JFET)、金属酸化膜半導体電界効果トランジスター(MOSFET)、または、電圧制御抵抗器として動作可能な他のタイプのFETであってもよい。概して、ある一定のFETは線形領域(すなわちオーミック領域、三極管領域)において動作することが公知であり、ここでFETは抵抗器として動作し、FETの抵抗値はデバイスのゲートソース間電圧によって決定される。FETを利用して、抵抗がより高いリニアモードにおいて動作させることによって、並列の接触器と大きな抵抗器とを除去することができ、ゆえにチャージポンプの動作と消弧とを組み合わせることができる。加えて、FETはカットオフ領域および/またはアクティブ領域において動作することが公知であり、ここでFETはそうした領域においてそれぞれ電流を許容しまたは電流を制約する。
【0039】
次に
図6を参照すると、いくつかの態様に基づく、印加されたゲートソース間電圧に伴って変動するMOSFETの抵抗値を図示した例示的なグラフ600が示されている。より具体的には、グラフ600は、線形領域またはリニアモードにおける動作時のMOSFETのドレインソース間抵抗を図示しうる。概して、MOSFETは、MOSFETのゲートソース間電圧が閾値より大きく(例えばMOSFETがオンにされ)、かつドレインソース間電圧がゲートソース間電圧と閾値電圧との差より小さい時に、リニアモードで動作する。リニアモードにおいてMOSFETは抵抗器として動作し、ここでMOSFETの等価抵抗値は印加されたゲートソース間電圧に基づいて可変である。
【0040】
グラフ600に示すように、正規化したドレインソース間抵抗(例えば正規化した等価抵抗)は、ゲートソース間電圧が増大するにつれて低減する可能性がある。概して、MOSFETの印加されるゲートソース間電圧と等価抵抗との間の関係は、製造者の仕様書、構築様式、またはMOSFETの他の属性に基づき公知である(すなわち既定である)。例えば、グラフ600に示すように、線VGS1は第一のゲートソース間電圧におけるMOSFETの等価抵抗を表す可能性があり、線VGS2は第二のゲートソース間電圧におけるMOSFETの等価抵抗を表す可能性があり、ここで VGS1 < VGS2 である。この様式において、グラフ600は、印加されたゲートソース間電圧に基づく電圧制御抵抗器としてMOSFETがどのように動作するかを図示している。
【0041】
有利な点として、MOSFETなどの電圧制御抵抗器を含むプリチャージ回路は、上述したように、他のプリチャージ回路に対するいくつもの利点を提供しかつ/またはいくつもの欠点を解決する可能性がある。例えば、MOSFETは概して、回路300など他のプリチャージ回路に利用される接触器および抵抗器に対してパッケージングサイズがかなり小さい。より具体的には、MOSFETはスイッチおよび抵抗器の両方として機能する可能性があり、それは2つの別個のコンポーネントの必要性をなくす。固体コンポーネントは可動部品をたとえ含有するとしてもそれはわずかであるため、概して、MOSFETおよび/または他の同様の固体電圧制御抵抗器は、磨耗および故障をきたしやすい機械的スイッチより信頼性が高い。加えて、MOSFETおよび他の同様の固体電圧制御抵抗器はアーキングによる接点溶着をきたさず、それは安全性および信頼性を増大させ、かつ冗長接触器の必要性をなくす。少なくともこれらの理由のために、回路300のプリチャージ接触器306および抵抗器312を電圧制御抵抗器508に置き換えると、消弧を伴うプリチャージ回路をより小さくより費用効果が高いパッケージで提供できる可能性がある。
【0042】
図5を再び参照すると、プリチャージ構成において、主接触器510は開いたままであり、制御回路506によって電圧制御抵抗器508に電圧が印加される。
図6に関して上述したように、印加される電圧は一般的に、電圧制御抵抗器508にバイアスをかけてリニアモードにするように構成される。この点において、印加される電圧は一般的に、電圧制御抵抗器508をオンにするために(例えば電流を許容するために)必要とされる閾値電圧より低い。上述したように、プリチャージ構成のために印加される電圧は、電圧制御抵抗器508の1つまたは複数のパラメーターに基づいて既定または公知であってもよい。
【0043】
いくつかの態様において、印加される電圧は可変であり、それによって電圧制御抵抗器508の等価抵抗値を変動させる。有利な点として、このことは、負荷512の容量性コンポーネントが充電されるレートについて、より大きな制御を提供する可能性がある。例えば、負荷512の容量素子が重度に枯渇している(すなわち充電されていない)時は、負荷512の容量素子がフル充電に近い時より電圧制御抵抗器508の抵抗値がはるかに大きくてもよい。このことは、従来の固定値抵抗器に対して、より安全かつ高速な充電を提供する可能性がある。
【0044】
負荷512の容量性コンポーネントが充分に充電されたら、回路500が動作構成に切り替わってもよい。いくつかの態様において、回路500は、負荷512の容量素子があらかじめ定義された閾値に達した(例えば制御回路506によってそう決定された)ことに応答して、または定義されたプリチャージサイクルの終わりに、動作構成に構成されてもよい。例えば、回路500は、負荷512の容量素子が電源502の電位の少なくとも一部分(例えば電源電位の80~90%)に達した時に動作構成に構成されてもよい。動作構成において、主接触器510が閉じてもよく、かつ制御回路506が電圧制御抵抗器508をオフ状態に構成してもよく(すなわち、電圧制御抵抗器508はカットオフ領域またはカットオフモードになるようにバイアスされる)、それによって、電流は電圧制御抵抗器508によって制限されることなく負荷512に流れることができる。
【0045】
いくつかの態様において、回路500の少なくとも一部分が消弧プリチャージデバイス内に含まれていてもよい。いくつかの態様において、消弧プリチャージデバイスは、回路500の少なくとも一部分を含有するハウジングをさらに含んでいてもよい。例えば、少なくとも制御回路506と、電圧制御抵抗器508と、接触器510とが単一のハウジング内に含まれていてもよい。いくつかの態様において、消弧プリチャージデバイスは、標準的な4ピンまたは5ピンの自動車用リレーなど、標準的なハウジングまたはデバイス内に含まれていてもよい。そうしたいくつかの態様において、含まれる回路500の部分が、電源(例えば電池)と負荷(例えばインバーター)との間に置かれてもよい。他の態様において、回路500の少なくとも一部分が、別のデバイスまたは回路内に含まれていてもよい。例えば、少なくとも制御回路506と、電圧制御抵抗器508と、接触器510とが、インバーター、コンバーター、または別の同様のデバイス内に含まれていてもよい。他の実施例において、少なくとも制御回路506と、電圧制御抵抗器508と、接触器510とが、バス付き電気センター(BEC)、電池コントローラー、電池管理システム(BMS)などに含まれていてもよい。予備充電のために消弧バイパスFETを利用すると、FETがリニアモードにおいて動作する時にそれ自体の抵抗として機能して、追加の抵抗器の必要性がなくなり、ゆえに消弧を伴ったうえで接触器の寿命が延びる。
【0046】
次に
図7A~7Bを参照すると、
図5において説明した例示的態様に基づき、消弧プリチャージ回路を使用する方法が示されている。段階702において、制御回路506が消弧プリチャージ回路の動作を開始する。段階704において、制御回路506が、プリチャージ条件が満たされているかを同定する。プリチャージ条件が満たされているならば、制御回路506は段階706に移り、ここで制御回路506はプリチャージ回路を介してFETのゲートに電圧を印加する。そうであるから、段階708において、電流がバイパス路を通って流れる。本明細書に説明したように、制御回路506は、電圧制御抵抗器508(例えばFET)の抵抗を制御してもよく、かつ/または、(例えば電流が電圧制御抵抗器508を通って流れるかもしくは流れないように)電圧制御抵抗器508をオンおよびオフにしてもよい。いくつかの態様において、電圧制御抵抗器508は、電圧制御抵抗器508をオンにすると(例えば制御回路506が充分な電圧を印加した時に)電流がデバイスを通って流れることができるという、スイッチとして作用する。そうしたいくつかの態様において、電圧制御抵抗器508の抵抗値はデバイスの入力電圧に基づいて可変である。いくつかの態様において、印加された電圧が閾値を下回る時に、または電圧が印加されていない時に、電圧制御抵抗器508はオフになる(例えば、電流がデバイスを通って流れないように制約される)。段階710において、制御回路506は充電閾値が満たされたかを決定する。充電閾値が満たされていないならば、制御回路506は段階708を繰り返す。充電閾値が満たされたならば、段階712においてFETのゲートから電圧が除去され、主スイッチまたは接触器510が閉じられる。段階714において、制御回路506は電弧を検出する。電弧が検出されないならば、段階716において、電流が主経路を通って流れる。電弧が検出されたならば、消弧回路を介してFETのゲートに電圧が印加される。次に、段階720において、電流がバイパス路を通って流れる。段階722において、FETのゲートから電圧が除去され、電流が主経路を通って流れる(段階716に戻る)。
【0047】
図8に示すように、いくつかの態様に基づき、回路800の少なくともプリチャージコンポーネントがモーター808用の駆動システム内に含まれていてもよい。エネルギーが電池パック802から電池パックコントローラー804およびインバーター806を通ってモーター808にフィードされてもよい。いくつかの態様において、電池パック802はEVまたはHEVなどの車両上にマウントされ、モーター808は車両用の主駆動モーターである。電池パックコントローラー804は、電池パック802からの電流を選択的に許容しまたは防いでもよい主接触器810を含むものとして示されている。いくつかの態様において、接触器810は、接触器510と同様に、インバーター806への、ひいてはモーター808への電力をオンまたはオフにするように構成された、任意のタイプの接触器、スイッチ、またはリレーであってもよい。
【0048】
電池パックコントローラー804は、主接触器810と並列にプリチャージ回路812をさらに含むものとして示されている。いくつかの態様において、プリチャージ回路812は、電圧制御抵抗器と、電圧制御抵抗器を制御するための制御回路とを含む。例えば、プリチャージ回路812は、
図5を参照しながら説明したような制御回路506と電圧制御抵抗器508とを含んでいてもよい。上述したように、プリチャージ回路812は、インバーター806の1つまたは複数の容量素子を充電するために、インバーター806に初期充電電流を提供してもよい。充電完了後に主接触器810が閉じてもよく、それはインバーター806およびモーター808に動作用電流を提供する。種々の態様において、電池パックコントローラー804は、電池パック802に取り付けられるように構成される;または、電池パック802とインベンター806との間に置かれる別個のデバイスであってもよい。例えば、電池パックコントローラー804は、詳しく後述するように、自動車用の典型的な4ピンまたは5ピンのミニリレーの形態を取ってもよい。
【0049】
次に
図9A~9Bを参照すると、1つの態様に基づく、4ピンミニリレー内に格納されたプリチャージ回路900が
図9Aに示されており、別の態様に基づく、5ピンミニリレー内に格納されたプリチャージ回路900が
図9Bに示されている。4ピンまたは5ピンのミニリレー(例えばピン85、86、87、87a、および30)は、例えば、自動車産業において典型的に使用されるISOミニリレーであってもよい。この様式において、4ピンまたは5ピンのミニリレーは、現在または将来の自動車用途に容易に統合されうる。例えば、プリチャージ回路を含む4ピンミニリレーが現在の自動車にレトロフィットされてもよく、または将来の設計に組み込まれてもよい。有利な点として、4ピンまたは5ピンのISOミニリレーといった標準形式を利用することによって、標準的なコネクターまたはコンポーネントを用いてプリチャージ回路をシステムに組み込むことができる。
【0050】
図に示されるように、ミニリレーは、デバイスのさまざまなコンポーネントを封入するハウジング902を有する。例えば、ハウジング902は、プリチャージ回路904と主接触器906とを含有するものとして示されている。主接触器906は、ピン87によって図示されるように、電源から容量性負荷にまたはモーター910へのインバーター908にエネルギーを提供するために、接触器906を介して選択的に閉じられてもよい。主接触器906は、接触器、ブレーカー、リレー、または、負荷への電流を選択的に可能にするように構成された機能的に同等な他の任意のコンポーネントを具備していてもよい。さまざまな用途向けにハウジング902がより多いまたはより少ないコンポーネントを含有していてもよいことが認識されるであろう。いくつかの態様において、制御回路902および/または電圧制御抵抗器がピン30を介して電力を受けてもよい。5ピンリレーにおいて、電力はピン86または87aを介して受けられてもよい。そうした態様において、電力は、電池など、任意の数の電源から受けられてもよい。例えばピン85が接地されてもよい。
【0051】
本明細書において数値範囲に関して用いる、「約(approximately)」、「約(about)」、「実質的に(substantially)」という用語、および同様の用語は、別段の指定がない限り、概して、開示される値の+/-10%を意味する。本明細書において構造的特徴に関して(例えば形状、サイズ、配向、方向、相対的ポジションなどを説明するために)用いる、「約(approximately)」、「約(about)」、「実質的に」という用語、および同様の用語は、例えば製造またはアセンブリ工程などから生じうる、構造における軽微なバリエーションを包含することが意図されており、かつ、本開示の内容が属する技術分野の当業者によって受け入れられる一般的な用法と一致する広い意味を有するものと意図されている。したがってこれらの用語は、説明されかつ特許請求される内容の非実質的もしくは瑣末な改変または変更が、添付の特許請求の範囲において具陳される本開示の範囲内に入るとみなされることを示すものとして、解釈されるべきである。
【0052】
留意されるべき点として、本明細書においてさまざまな態様を説明するために用いられる「例示的な(exemplary)」という用語およびそのバリエーションは、そうした態様が、可能な態様の、可能な例(examples)、表現物(representations)、または例証(illustrations)であることを示すことを意図している(そして、そうした用語は、そうした態様が必然的に特別なまたは最高の例であると暗示することを意図しているわけではない)。
【0053】
本明細書において用いる、「連結された(coupled)」という用語およびそのバリエーションは、2つの部材を直接的または間接的に互いに結合すること(joining)を意味する。そうした結合は、静的(例えば永久的もしくは固定的)または可動的(例えば取り外し可能もしくはリリース可能)であってもよい。そうした結合は、2つの部材が互いに直接的に連結されるか;別の介在部材および互いに連結される任意の追加的な中間部材を用いて、2つの部材が互いに連結されるか;または、2つの部材のうち1つとともに単一のユニット式ボディとして一体式に形成された介在部材を用いて、2つの部材が互いに連結されることによって、実現されてもよい。「連結された」またはそのバリエーションが、追加的な用語によって修飾される場合(例えば、直接的に連結された、など)、上述に提供した「連結された」の一般的定義は、その追加的な用語の通常語の意味によって修飾され(例えば、「直接的に連結された(directly coupled)」は、別の介在部材を伴わない2つの部材の結合を意味する)、その結果、上述に提供した「連結された」の一般的定義より狭い定義となる。そうした連結は、機械的、電気的、または流体的であってもよい。
【0054】
本明細書における、要素のポジションへの参照(例えば「最上部(top)」、「最下部(bottom)」、「上方(above)」、「下方(below)」)は、図面内におけるさまざまな要素の配向を説明するために用いられるにすぎない。さまざまな要素の配向は他の例示的態様において異なる可能性があること、および、そうしたバリエーションは本開示によって包含されるものと意図されることが、留意されるべきである。
【0055】
図面および説明は、方法の段階の具体的順序を示す可能性があるが、そうした段階の順序は、上述において別段の指定がない限り、描写および説明されるものと異なってもよい。そしてまた、上述において別段の指定がない限り、2つまたはそれ以上の段階が同時にまたは部分的に同時に行われてもよい。
【0056】
重要な留意点として、1つの態様において開示される任意の要素が、本明細書に開示する他の任意の態様に組み込まれまたは利用されてもよい。例えば、少なくとも段落[0024]において説明した例示的態様の任意的なヒューズが、少なくとも段落[0043]において説明した例示的態様の回路に組み込まれてもよい。別の態様に組み込まれまたは利用されてもよい、1つの態様からの1つの要素の1例のみを上述において説明したが、認識されるべき点として、さまざまな態様の他の要素が、本明細書に開示される他の態様のいずれかに組み込まれまたは利用されてもよい。
【国際調査報告】