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特表2023-548848ループスを処置するための方法および組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ループスを処置するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 45/00 20060101AFI20231114BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 17/06 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 21/04 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 7/00 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20231114BHJP
   C07K 16/46 20060101ALN20231114BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20231114BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20231114BHJP
【FI】
A61K45/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P37/06
A61P19/02
A61P29/00 101
A61P17/06
A61P21/00
A61P9/00
A61P29/00
A61P21/04
A61P17/00
A61P27/02
A61P25/00
A61P7/00
A61P1/04
C07K16/46 ZNA
C12N15/13
C12N15/62 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526635
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021057625
(87)【国際公開番号】W WO2022094432
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/108,406
(32)【優先日】2020-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521155829
【氏名又は名称】プロヴェンション・バイオ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】PROVENTION BIO, INC.
(71)【出願人】
【識別番号】504438727
【氏名又は名称】マクロジェニクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(74)【代理人】
【識別番号】100166268
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 祐
(74)【代理人】
【識別番号】100180231
【弁理士】
【氏名又は名称】水島 亜希子
(72)【発明者】
【氏名】レオン,フランシスコ
(72)【発明者】
【氏名】ダンフォード,ポール
(72)【発明者】
【氏名】ムーア,ポール
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA021
4C084ZA331
4C084ZA361
4C084ZA511
4C084ZA681
4C084ZA891
4C084ZA941
4C084ZA961
4C084ZB081
4C084ZB131
4C084ZB151
4C084ZB211
4C084ZC411
4C084ZC541
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA16
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG02
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA76
4H045EA22
4H045FA74
(57)【要約】
一態様では、それを必要としている患者に、有効量の非枯渇性であるB細胞阻害剤を投与することを含む、ループスなどのB細胞駆動の自己免疫性およびアレルギー性疾患を処置する方法が本明細書中に開示されている。関連組成物も提供される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
B細胞駆動の自己免疫性および/またはアレルギー性疾患を処置するための医薬品を製造するための組成物の使用であって、前記組成物が、非枯渇性であるB細胞阻害剤を含み、前記疾患が、健康な対象と比較したCD32Bシグナル伝達の低下によって特徴づけられており、前記B細胞阻害剤が、低下したCD32Bシグナル伝達にもかかわらずCD32Bをアゴナイズすることができる、使用。
【請求項2】
前記B細胞阻害剤が、CD32BのエピトープおよびCD79Bのエピトープと免疫特異的に結合することができるCD32B×CD79B二重特異性抗体である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
前記CD32B×CD79B二重特異性抗体が、
(A)配列番号1のアミノ酸配列を含むVLCD32Bドメイン、
(B)配列番号2のアミノ酸配列を含むVHCD32Bドメイン、
(C)配列番号3のアミノ酸配列を含むVLCD79Bドメイン、および
(D)配列番号4のアミノ酸配列を含むVHCD79Bドメイン
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記CD32B×CD79B二重特異性抗体が、
(A)配列番号5のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、
(B)配列番号6のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖、および
(C)配列番号7のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖
を含むFcダイアボディである、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
前記Fcダイアボディが、約5mg/kg~約40mg/kgの用量で、1回の用量/2~8週間の投薬レジメンで、合計2~20回の用量で投与される、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
前記Fcダイアボディが、約5~20mg/kgの用量で、2~6週間毎に1回の用量の投薬レジメンで、合計5~10回の用量で投与される、請求項4に記載の使用。
【請求項7】
前記Fcダイアボディが、約10mg/kgの用量で、1回の用量/2~4週間の投薬レジメンで、合計6~8回の用量で投与される、請求項4に記載の使用。
【請求項8】
前記Fcダイアボディが、約10mg/kgの用量で、4週間毎に1回の用量の投薬レジメンで、合計6回の用量で投与される、請求項4に記載の使用。
【請求項9】
前記Fcダイアボディが、静脈輸液を介して投与される、請求項4に記載の使用。
【請求項10】
前記Fcダイアボディが、約1~10時間、または約2~4時間、または約2時間の期間にわたって投与される、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
前記Fcダイアボディが、静脈輸液を介して投与される、請求項8に記載の使用。
【請求項12】
前記Fcダイアボディが、約1~10時間、または約2~4時間、または約2時間の期間にわたって投与される、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
前記疾患が、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、乾癬、皮膚筋炎/多発性筋炎、シェーグレン症候群(SS)、原発性血管炎(たとえばリウマチ性多発性筋炎/巨細胞動脈炎/ベーチェット病)、移植片対宿主病(GVHD)、重症筋無力症、天疱瘡、視神経脊髄炎、抗NMDA受容体脳炎、ギラン-バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害(CIDP)、グレーブス眼症(opthalmopathy)、IgG4関連疾患(IgG4-RD)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、炎症性腸疾患(IBD)、およびクローン病から選択される、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
前記疾患が全身性エリテマトーデスである、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
前記疾患が慢性全身性エリテマトーデスである、請求項1~13のいずれか1項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている2020年11月1日に出願の米国仮特許出願第63/108,406号の優先権を主張するものである。
【0002】
[配列表]
EFS-Webを介して提出された、「011002seq.txt」と題する2021年11月1日に作成した13,220バイトのサイズのASCIIテキストファイルは、その全体で本明細書中に参考として組み込まれている。
【0003】
本開示は、一般に、ループスを処置するための組成物および方法に関し、より詳細には、B細胞阻害剤によってそれを行うことに関する。
【背景技術】
【0004】
全身性エリテマトーデス(SLE)は、生存、身体障害、および生活の質に顕著な影響を与える慢性の多器官性自己免疫疾患である。この疾患は、出産可能年齢の女性を主に冒すが、すべての年齢層が冒され得る。米ループス財団(Lupus Foundation of America、LFA)によれば、米国全体にわたって毎年16,000件を超えるループスの新規事例が報告されており、患者数は、米国では少なくとも150万人および世界中で5百万人である(LFA 2014年)。
【0005】
SLEは、臨床提示と疾患の経過のどちらにおいても極めて多様である(Bartels 2014)。疾患の併存症および処置の副作用が、SLEを有する患者における罹患率および死亡率のリスクを増加させる(Bertsias 2008)。ループスの病因および臨床経過の理解の大きな進展ならびに全生存の改善にもかかわらず、ループス患者の全体的な予後診断は不良のままであり、疾患の高い直接および間接的代償を伴う。
【0006】
SLEは、B細胞の病原性サブセットおよび複数の自己抗原に対する自己抗体の出現および持続によって特徴づけられており、皮膚、関節、および他の組織中における予測不可能な炎症フレアをもたらす(Bartels 2014、Cancro 2009)。ループスのために特化して開発された、いくつかの認可された処置が存在していたが、患者はしばしば、その疾患を制御するために、顕著な安全性および耐用性の問題を有するより古い未試験の免疫変調剤に頼らなければならなかった。
【0007】
したがって、ループスを処置するための方法および組成物の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
一態様では、非枯渇性であるB細胞阻害剤を必要としている対象に、非枯渇性であるB細胞阻害剤を投与することを含む、ループスなどのB細胞駆動の自己免疫性および/またはアレルギー性疾患を処置する方法が本明細書中に開示されている。一部の実施形態では、対象は、健康な対象と比較してCD32Bシグナル伝達が低下しており、B細胞阻害剤は、低下したCD32Bシグナル伝達にもかかわらずCD32Bをアゴナイズすることができる。
【0009】
また、非枯渇性であるB細胞阻害剤を含む、ループスなどのB細胞駆動の自己免疫性および/またはアレルギー性疾患を処置するための医薬品として使用するための組成物も、本明細書中に開示されている。一部の実施形態では、組成物は、健康な対象と比較してCD32Bシグナル伝達が低下している対象を処置するために使用することができ、B細胞阻害剤は、低下したCD32Bシグナル伝達にもかかわらずCD32Bをアゴナイズすることができる。
【0010】
ループスなどのB細胞駆動の自己免疫性および/またはアレルギー性疾患を処置するための医薬品を製造するための組成物であって、非枯渇性であるB細胞阻害剤を含む組成物の使用が、本明細書中にさらに開示されている。一部の実施形態では、組成物は、健康な対象と比較してCD32Bシグナル伝達が低下している対象を処置するために使用することができ、B細胞阻害剤は、低下したCD32Bシグナル伝達にもかかわらずCD32Bをアゴナイズすることができる。
【0011】
一部の実施形態では、B細胞阻害剤は、CD32BのエピトープおよびCD79Bのエピトープと免疫特異的に結合することができるCD32B×CD79B二重特異性抗体である。一部の実施形態では、CD32B×CD79B二重特異性抗体は、
(A)配列番号1のアミノ酸配列を含むVLCD32Bドメイン、
(B)配列番号2のアミノ酸配列を含むVHCD32Bドメイン、
(C)配列番号3のアミノ酸配列を含むVLCD79Bドメイン、および
(D)配列番号4のアミノ酸配列を含むVHCD79Bドメイン
を含む。
【0012】
一部の実施形態では、CD32B×CD79B二重特異性抗体は、
(A)配列番号5のアミノ酸配列を含む第1のポリペプチド鎖、
(B)配列番号6のアミノ酸配列を含む第2のポリペプチド鎖、および
(C)配列番号7のアミノ酸配列を含む第3のポリペプチド鎖
を含むFcダイアボディである。
【0013】
一部の実施形態では、Fcダイアボディは、約5mg/kg~約40mg/kgの用量で、1回の用量/2~8週間の投薬レジメンで、合計2~20回の用量で投与することができる。一部の実施形態では、Fcダイアボディは、約5~20mg/kgの用量で、2~6週間毎に1回の用量の投薬レジメンで、合計5~10回の用量で投与することができる。一部の実施形態では、Fcダイアボディは、約10mg/kgの用量で、1回の用量/2~4週間の投薬レジメンで、合計6~8回の用量で投与することができる。一部の実施形態では、Fcダイアボディは、約10mg/kgの用量で、4週間毎に1回の用量の投薬レジメンで、合計6回の用量で投与することができる。
【0014】
一部の実施形態では、Fcダイアボディは、静脈輸液を介して投与することができる。一部の実施形態では、Fcダイアボディは、約1~10時間、または約2~4時間、または約2時間の期間にわたって投与することができる。
【0015】
一部の実施形態では、Fcダイアボディは、10mg/kgのIVまたはSCの等価量を4週間毎に1回、無期限に投与することができる(たとえば慢性療法)。
【0016】
一部の実施形態では、疾患は、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、乾癬、皮膚筋炎/多発性筋炎、シェーグレン症候群(SS)、原発性血管炎(たとえばリウマチ性多発性筋炎/巨細胞動脈炎/ベーチェット病)、移植片対宿主病(GVHD)、重症筋無力症、天疱瘡、視神経脊髄炎、抗NMDA受容体脳炎、ギラン-バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害(CIDP)、グレーブス眼症(opthalmopathy)、IgG4関連疾患(IgG4-RD)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、炎症性腸疾患(IBD)、およびクローン病から選択され得る。一部の実施形態では、疾患は全身性エリテマトーデスである。
【0017】
また、治療上有効な単位用量で提供される(たとえば梱包されている)、本明細書中に開示されているB細胞阻害剤を含む医薬組成物も、本明細書中で提供される。本明細書中に開示されている投薬レジメンの指示も提供することができる。
【0018】
特許または出願のファイルは、カラーで作成した少なくとも1つの図面を含有する。カラー図面を有する本特許または特許出願公開のコピーは、請求を行い、必要な手数料を支払った際に、庁によって提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】繰り返し投薬の際の用量に比例するPKを示す図である。
図2A】PRV-3279の繰り返し投薬の後に、%B細胞の持続的低下がないことを示す図である。
図2B】PRV-3279の繰り返し投薬の後に、全B細胞の持続的低下がないことを示す図である。
図3A】結合したB細胞の用量依存的な割合を示す図である。
図3B】結合の強度の用量依存的な割合を示す図である。
図4A】IgMの持続的かつ用量依存的な低下を示す図である。
図4B】IgEの持続的かつ用量依存的な低下を示す図である。
図5】ADAの発生の時間および用量依存的な阻害を示す図である。
図6】正常対象(パネルA)またはSLE患者(パネルB)からのB細胞の阻害を示す図である。
図7】第2a相研究設計を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一態様では、非枯渇性であるB細胞の機能的阻害剤を必要としている対象に、非枯渇性であるB細胞の機能的阻害剤を投与することを含む、ループスなどのB細胞駆動の自己免疫性および/またはアレルギー性疾患の方法が、本明細書中に開示されている。一部の実施形態では、B細胞阻害剤は、それぞれその全体が参考として組み込まれている米国特許出願公開第2016/0194396号、国際公開第2015/021089号、および国際公開第2017/214096号中に開示されているものなどの、CD32B×CD79B二重特異性抗体である。
【0021】
ヒトにおけるCD32Bの多型性はSLEの有病率の増加と関連しており(Chen et al.,Association of a transmembrane polymorphism of Fcgamma receptor IIb(FCGR2B) with systemic lupus erythematosus in Taiwanese patients.Arthritis Rheum.2006;54(12):3908-3917)、ループス患者の少なくともサブセットにおいて、CD32Bシグナル伝達の低下の証拠が存在する(Floto et al.,Loss of function of a lupus-associated FcgammaRIIb polymorphism through exclusion from lipid rafts.Nat Med.2005;11(10):1056-1058)。驚くべきことに、本明細書中に開示されているように、PRV-3279は、ループス患者からのB細胞の機能を、健康な対照からのものと同程度まで抑制できることが示されている。したがって、PRV-3279は、低下したCD32Bシグナル伝達にもかかわらず、ループスにおけるCD32B経路をアゴナイズまたは活性化することができる。
【0022】
[定義]
便宜のため、明細書、実施例、および添付の特許請求の範囲で用いられる特定の用語をここに集める。別段に定義しない限りは、本明細書中で使用するすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する分野の技術者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0023】
単語「a」または「an」の使用は、特許請求の範囲および/または明細書中において用語「含む(comprising)」と併せて使用した場合は、「1つ」を意味し得るが、「1つまたは複数」、「少なくとも1つ」、および「1つ以上」の意味とも一貫している。
【0024】
本出願全体にわたって、用語「約」とは、値が、値を決定するために用いられる方法/装置の誤差の固有のばらつき、または研究対象間に存在するばらつきを含むことを示すために使用する。典型的には、この用語は、状況に応じて、およそ1%もしくはそれ未満、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、または20%のばらつきを包含することを意味する。
【0025】
用語「実質的に」とは、50%より高い、好ましくは80%高い、最も好ましくは90%または95%より高いことを意味する。
【0026】
特許請求の範囲中における用語「または」の使用は、代替物のみを指すまたは代替物が相互排他的であると明確に示されていない限りは、「および/または」を意味するために使用するが、本開示は、代替物のみおよび「および/または」を指す定義を支持する。
【0027】
本明細書および特許請求の範囲で使用する用語「含むこと(comprising)」(ならびに「含む(comprise)」および「含む(comprises)」などのcomprisingのあらゆる形態)、「有すること(having)」(ならびに「有する(have)」および「有する(has)」などのhavingのあらゆる形態)、「含む、挙げられる(including)」(ならびに「含む(includes)」および「含む(include)などのincludingのあらゆる形態」)、または「含有すること(containing)」(ならびに「含む(contains)」および「含む(contain)」などのcontainingのあらゆる形態)は、包括的またはオープンエンドであり、追加の列挙していない要素または方法ステップを排除しない。本明細書中に記述する任意の実施形態を、本発明の任意の方法、システム、宿主細胞、発現ベクター、および/または組成物に関して実行できることが企図される。さらに、本発明の組成物、システム、宿主細胞、および/またはベクターを使用して、本発明の方法およびタンパク質を達成することができる。
【0028】
本明細書中で使用する用語「から本質的になる」とは、所定の実施形態に必要な要素をいう。この用語は、本開示のその実施形態の基本的かつ新規または機能的な特徴に実質的な影響を与えない追加の要素の存在を許容する。
【0029】
用語「からなる」とは、本明細書中に記載の組成物、方法、および対応するその構成要素をいい、実施形態の説明中に列挙されていない、いかなる要素をも排除する。
【0030】
用語「たとえば」およびその対応する略記「e.g.」(斜体であるかどうかにかかわらない)の使用は、列挙した具体的な用語が代表的な例であり、別段に明確に記述した場合以外は、本発明の実施形態は、参照または引用した具体的な例に限定されることを意図しないことを意味する。
【0031】
本明細書中で使用する「抗体」または「抗体分子」とは、少なくとも1つの免疫グロブリン可変ドメイン配列を含むタンパク質、たとえば免疫グロブリン鎖またはその断片をいう。抗体分子には抗体(たとえば完全長抗体)および抗体断片が包含される。一実施形態では、抗体分子は、完全長抗体の抗原結合断片もしくは機能的断片、または完全長免疫グロブリン鎖を含む。たとえば、完全長抗体は、天然に存在する、または正常な免疫グロブリン遺伝子断片組み換えプロセスによって形成された、免疫グロブリン(Ig)分子(たとえばIgG)である。実施形態では、抗体分子とは、免疫学的に活性のある、抗体断片などの免疫グロブリン分子の抗原結合部分をいう。抗体断片、たとえば機能的断片とは、抗体の一部分、たとえば、Fab、Fab’、F(ab’)、F(ab)、可変断片(Fv)、ドメイン抗体(dAb)、または単鎖可変断片(scFv)である。機能的抗体断片は、インタクトな(たとえば完全長の)抗体によって認識されるものと同じ抗原と結合する。また、用語「抗体断片」または「機能的断片」としては、重鎖および軽鎖の可変領域からなる「Fv」断片、または軽鎖および重鎖の可変領域がペプチドリンカーによって接続されている組換え単鎖ポリペプチド分子(「scFv タンパク質」)などの、可変領域からなる単離した断片も挙げられる。一部の実施形態では、抗体断片は、Fc断片または単一アミノ酸残基などの抗原結合活性を有さない抗体の一部分は含まない。例示的な抗体分子としては、完全長抗体および抗体断片、たとえば、dAb(ドメイン抗体)、単鎖、Fab、Fab’、およびF(ab’)断片、および単鎖可変断片(scFvs)が挙げられる。用語「Fab」および「Fab断片」は互換性があるように使用され、抗体のそれぞれの重鎖および軽鎖からの1つの定常ドメインおよび1つの可変ドメイン、すなわち、V、C、V、およびC1を含む領域をいう。
【0032】
本明細書全体にわたって、IgG重鎖の定常領域中の残基の付番は、参照により明確に本明細書の一部をなす、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,NH1,MD (1991)にあるようなEUインデックスのものである(「Kabat」)。用語「KabatにあるようなEUインデックス」とは、ヒトIgG1 EU抗体の付番をいう。免疫グロブリンの成熟重鎖および軽鎖の可変ドメインからのアミノ酸は、鎖中のアミノ酸の位置によって命名される。Kabatは、抗体の数々のアミノ酸配列を記載し、それぞれの部分群についてアミノ酸コンセンサス配列を同定し、それぞれのアミノ酸に残基番号を割り当てており、CDRは、Kabatによって定義されるように同定される(Chothia,C.&Lesk,A.M.((1987)“Canonical structures for the hypervariable regions of immunoglobulins,”.J.Mol.Biol.196:901-917)によって定義されたCDR1は5個前の残基から始まることを理解されたい)。Kabatの付番スキームは、保存的アミノ酸を参照して、当該の抗体をKabat中のコンセンサス配列のうちの1つとアラインメントすることによって、概論に含まれない抗体へと拡張可能である。残基番号を割り当てるこの方法は、当分野において標準的となっており、キメラまたはヒト化変異体を含めた異なる抗体中の相当する位置のアミノ酸を容易に同定する。たとえば、ヒト抗体軽鎖の位置50のアミノ酸は、マウス抗体軽鎖の位置50のアミノ酸に相当する位置を占有する。
【0033】
実施形態では、抗体分子は単一特異性である、たとえば、これは単一のエピトープに対する結合特異性を含む。一部の実施形態では、抗体分子は多特異性である、たとえば、これは複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含み、第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列が第1のエピトープに対する結合特異性を有し、第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列が第2のエピトープに対する結合特異性を有する。一部の実施形態では、抗体分子は二重特異性抗体分子である。
【0034】
用語「二重特異性抗体分子」、「ダイアボディ」、およびDART(登録商標)タンパク質とは、本明細書中で互換性があるように使用され、複数(たとえば、2つ、3つ、4つ、またはそれより多く)のエピトープおよび/または抗原に対する特異性を有する抗体分子をいう。一部の実施形態では、抗体は、それぞれその全体が参考として組み込まれている米国特許出願公開第2016/0194396号、国際公開第2015/021089号、および国際公開第2017/214096号中に開示されているものなどの、抗原結合が可能なダイアボディまたは足場であることができる。一部の実施形態では、抗体は、CD32B×CD79B二重特異性ダイアボディ(すなわち「CD32B×CD79Bダイアボディ」、およびFcドメインをさらに含むそのようなダイアボディ(すなわち「CD32B×CD79B Fcダイアボディ」)であることができる。一実施形態では、抗体は、チャイニーズハムスター卵巣細胞中で産生させた分子量111.5kDaのヒト化CD32B×CD79B DART(登録商標)タンパク質であることができる。
【0035】
本明細書中で使用する「抗原」(Ag)とは、すべてのタンパク質またはペプチドを含む高分子をいう。一部の実施形態では、抗原は、たとえば特定の免疫細胞の活性化および/または抗体の産生に関与する、免疫応答を誘発することができる分子である。抗原は抗体の産生に関与しているだけではない。T細胞受容体も抗原を認識した(ただし、そのペプチドまたはペプチド断片がMHC分子と複合体を形成している抗原)。ほぼすべてのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原となることができる。抗原はまた、ゲノム組換えまたはDNAに由来することもできる。たとえば、免疫応答を誘発することができるタンパク質をコードしているヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAは、「抗原」をコードしている。実施形態では、抗原は、遺伝子の完全長ヌクレオチド配列のみによってコードされている必要はなく、また、抗原は遺伝子によってコードされている必要もまったくない。実施形態では、抗原は合成であることができる、または、生体試料、たとえば、組織試料、腫瘍試料、細胞、もしくは他の生物学的構成要素の流体に由来することができる。本明細書中で使用する「腫瘍抗原」、または互換性がある「がん抗原」としては、がん、たとえば、免疫応答を誘発することができるがん細胞または腫瘍微小環境上に存在するまたはそれに関連する任意の分子が挙げられる。本明細書中で使用する「免疫細胞抗原」としては、免疫応答を誘発することができる免疫細胞上に存在するまたはそれに関連する任意の分子が挙げられる。
【0036】
抗体分子の「抗原結合部位」または「抗原結合断片」または「抗原結合部分」(本明細書中で互換性があるように使用される)とは、抗原結合に参加する、抗体分子、たとえばIgGなどの免疫グロブリン(Ig)分子の一部をいう。一部の実施形態では、抗原結合部位は重(H)および軽(L)鎖の可変(V)領域のアミノ酸残基によって形成される。重鎖および軽鎖の可変領域内の3つの高度に相違するストレッチは超可変領域と呼ばれ、「フレームワーク領域」(FR)と呼ばれる、より保存的な隣接するストレッチの間に配置されている。FRとは、自然において免疫グロブリン中で超可変領域の間かつそれに隣接して見つかるアミノ酸配列である。実施形態では、抗体分子中において、軽鎖の3つの超可変領域および重鎖の3つの超可変領域は、三次元空間中において互いに対して配置されて抗原結合表面を形成し、これは結合した抗原の三次元表面に相補的である。重鎖および軽鎖のそれぞれの3つの超可変領域は「相補性決定領域」または「CDR」と呼ばれる。フレームワーク領域およびCDRは、たとえば、Kabat,E.A.,et al.(1991)Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242およびChothia,C.et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901-917中に定義および記載されている。それぞれの可変鎖(たとえば可変重鎖および可変軽鎖)は、典型的には3つのCDRおよび4つのFRから構成されており、アミノ末端からカルボキシ末端へとFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、およびFR4のアミノ酸順序で配置されている。可変軽鎖(VL)CDRは、一般に、位置27~32(CDR1)、50~56(CDR2)、および91~97(CDR3)の残基を含むと定義されている。可変重鎖(VH)CDRは、一般に、位置27~33(CDR1)、52~56(CDR2)、および95~102(CDR3)の残基を含むと定義されている。当業者は、ループは抗体間で様々な長さであることができ、フレームワークが抗体間で一貫した付番を有するようにKabatまたはChotiaなどの付番システムが支配することを理解されよう。
【0037】
一部の実施形態では、抗体の抗原結合断片(たとえば融合分子の一部として含まれる場合)は、完全Fcドメインを欠くまたは有さないことができる。ある特定の実施形態では、抗体結合断片は完全IgGまたは完全Fcを含まないが、軽鎖および/または重鎖からの1つまたは複数の定常領域(またはその断片)を含み得る。一部の実施形態では、抗原結合断片は、いかなるFcドメインをも完全に含まないことができる。一部の実施形態では、抗原結合断片は、完全Fcドメインを実質的に含まないことができる。一部の実施形態では、抗原結合断片は、完全Fcドメインの一部分(たとえば、CH2もしくはCH3ドメインまたはその一部分)を含むことができる。一部の実施形態では、抗原結合断片は完全Fcドメインを含むことができる。一部の実施形態では、Fcドメインは、IgGドメイン、たとえば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4 Fcドメインである。一部の実施形態では、FcドメインはCH2ドメインおよびCH3ドメインを含む。
【0038】
本明細書中で使用する「投与すること」および同様の用語は、組成物を、処置する個体に送達することを意味する。好ましくは、本開示の組成物は、たとえば、皮下、筋肉内、または好ましくは静脈内経路を含む非経口によって投与する。
【0039】
本明細書中で使用する「有効量」とは、任意の医療または診断試験に伴うであろう合理的なリスク/便益比で所望の局所または全身作用を提供するために十分である、生物活性剤または診断用薬剤の量を意味する。これは、患者、疾患、行われている処置、および薬剤の性質に応じて変動し得る。治療上有効な量は、処置する患者および病状、患者の体重および年齢、病状の重篤度、投与の様式などに応じて変動し得、これは当業者によって容易に決定することができる。投与の用量は、たとえば、約1ng~約10,000mg、約5ng~約9,500mg、約10ng~約9,000mg、約20ng~約8,500mg、約30ng~約7,500mg、約40ng~約7,000mg、約50ng~約6,500mg、約100ng~約6,000mg、約200ng~約5,500mg、約300ng~約5,000mg、約400ng~約4,500mg、約500ng~約4,000mg、約1μg~約3,500mg、約5μg~約3,000mg、約10μg~約2,600mg、約20μg~約2,575mg、約30μg~約2,550mg、約40μg~約2,500mg、約50μg~約2,475mg、約100μg~約2,450mg、約200μg~約2,425mg、約300μg~約2,000、約400μg~約1,175mg、約500μg~約1,150mg、約0.5mg~約1,125mg、約1mg~約1,100mg、約1.25mg~約1,075mg、約1.5mg~約1,050mg、約2.0mg~約1,025mg、約2.5mg~約1,000mg、約3.0mg~約975mg、約3.5mg~約950mg、約4.0mg~約925mg、約4.5mg~約900mg、約5mg~約875mg、約10mg~約850mg、約20mg~約825mg、約30mg~約800mg、約40mg~約775mg、約50mg~約750mg、約100mg~約725mg、約200mg~約700mg、約300mg~約675mg、約400mg~約650mg、約500mg、または約525mg~約625mgの範囲の、本明細書中に提供する抗体またはその抗原結合部分であることができる。投薬は、たとえば、1週間毎、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、または6週間毎であり得る。最適な治療反応を提供するために投薬レジメンを調節し得る。有効量とは、薬剤のいかなる毒性または有害な効果(副作用)もが、最小化されているおよび/または有益な効果に上回られているものである。投与は、静脈内で、正確にまたは約の3mg/kg、6mg/kg、10mg/kg、12mg/kg、もしくは24mg/kgを、毎週(1週間に1回)、または隔週(2週間に1回)の頻度であり得る。追加の投薬レジメンは以下に記載されている。
【0040】
本明細書中で使用する「薬学的に許容される」とは、一般に安全であり、無毒性であり、生物学的にも他の様式でも望ましくないものではない医薬組成物の調製において有用であるものをいい、獣医学的使用およびヒト製薬的使用のために許容されるものが挙げられる。「薬学的に許容される液体担体」の例としては、水および有機溶媒が挙げられる。好ましい薬学的に許容される水性の液体としては、PBS、生理食塩水、およびデキストロース溶液などが挙げられる。
【0041】
本開示の様々な態様は以下にさらに詳述されている。追加の定義は本明細書全体にわたって記載されている。
【0042】
<非枯渇性B細胞阻害剤および医薬組成物>
様々な実施形態では、B細胞阻害剤を、SLEおよび他の自己免疫性またはアレルギー性疾患を処置するために使用することができる。一部の実施形態では、そのようなB細胞阻害剤は非枯渇性免疫調節物質である。本明細書中で使用する「非枯渇性(non-depletional)」または「非枯渇性(non-depleting)」とは、阻害剤または免疫調節物質がB細胞活性を完全には枯渇させないことを意味する。他方では、B細胞の「枯渇」とは、B細胞を排除または破壊するように働くことを意味し、抗CD20抗体、たとえばリツキシマブなどである。したがって、一実施形態では、本明細書中に開示されている非枯渇性B細胞阻害剤または免疫調節物質はリツキシマブではない。一部の実施形態では、非枯渇性B細胞阻害剤または免疫調節物質は抗CD20抗体または他のCD20阻害剤ではない。
【0043】
例示的な非枯渇性B細胞阻害剤としては、それだけには限定されないが、CD32B×CD79B二重特異性阻害剤、CD32Bモジュレーター、B細胞受容体(BCR)遮断剤、たとえば抗CD22分子、B細胞生存および活性化阻害剤、たとえばB細胞活性化因子(BAFF)またはベリムマンブ(belimumanb)などのA増殖誘導リガンド(APRIL)阻害剤、抗CD40および抗CD40L分子、ならびにイブルチニブ(PCI-32765)およびアカラブルチニブなどのブルトン(Bruton)チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤が挙げられる。
【0044】
一部の実施形態では、B細胞阻害剤は、すべてその全体が参考として組み込まれている、米国特許出願公開第2016/0194396号、国際公開第2015/021089号、および国際公開第2017/214096号中に開示されているものなどの、CD32B×CD79B二重特異性抗体、またはその抗原結合断片であることができる。
【0045】
例示的なCD32B×CD79B二重特異性ダイアボディは2本以上のポリペプチド鎖を含むことができ、
(1)CD32B(VLCD32B)と結合する抗体のVLドメインであって、
DIQMTQSPSS LSASVGDRVT ITCRASQEIS GYLSWLQQKP GKAPRRLIYA
ASTLDSGVPS RFSGSESGTE FTLTISSLQP EDFATYYCLQ YFSYPLTFGG
GTKVEIK
の配列(配列番号1)を有するVLCD32Bドメイン
(2)CD32B(VHCD32B)と結合する抗体のVHドメインであって、
EVQLVESGGG LVQPGGSLRL SCAASGFTFS DAWMDWVRQA PGKGLEWVAE
IRNKAKNHAT YYAESVIGRF TISRDDAKNS LYLQMNSLRA EDTAVYYCGA
LGLDYWGQGT LVTVSS
の配列(配列番号2)を有するVHCD32Bドメイン
(3)CD79B(VLCD79B)と結合する抗体のVLドメインであって、
DVVMTQSPLS LPVTLGQPAS ISCKSSQSLL DSDGKTYLNW FQQRPGQSPN
RLIYLVSKLD SGVPDRFSGS GSGTDFTLKI SRVEAEDVGV YYCWQGTHFP
LTFGGGTKLE IK
の配列(配列番号3)を有するVLCD79Bドメイン
(4)CD79B(VHCD79B)と結合する抗体のVHドメインであって、
QVQLVQSGAE VKKPGASVKV SCKASGYTFT SYWMNWVRQA PGQGLEWIGM
IDPSDSETHY NQKFKDRVTM TTDTSTSTAY MELRSLRSDD TAVYYCARAM
GYWGQGTTVT VSS
の配列(配列番号4)を有するVHCD79Bドメイン
を含むことができる。
【0046】
一実施形態では、B細胞阻害剤は、PRV-3279、チャイニーズハムスター卵巣細胞中で産生させた分子量111.5kDaのヒト化CD32B×CD79BDART(登録商標)タンパク質であることができる。DART(登録商標)タンパク質は、2つの明白に異なる抗原と同時に結合することができる、二重特異性の、抗体に基づく分子である。PRV-3279は、Bリンパ球上のCD32B(Fcガンマ受容体IIb)およびCD79B(B細胞受容体(BCR)複合体の免疫グロブリン関連ベータサブユニット)を標的とするように設計されている。Bリンパ球上におけるCD32BおよびCD79Bの優先的なシス結合様式での同時ライゲーションは、CD32Bとカップリングさせた免疫受容体チロシンに基づく阻害性モチーフシグナル伝達を始動させ、これが、広範な枯渇なしに、抗原媒介性のナイーブおよび記憶B細胞の活性化を減少させる。インビボ半減期を延長させるために、PRV-3279は、FcγRおよび補体との望ましくない結合を大きく低下させるか排除するが、新生児FcR結合に対する親和性を保持してこの受容体によって媒介されたIgGサルベージ経路を利用するように突然変異させた、ヒト免疫グロブリンG(IgG)1 Fc領域も含有する。
【0047】
CD32B分子は、B細胞ならびにマクロファージ、好中球、および肥満細胞などの他の免疫エフェクター細胞上で広く発現される膜貫通の阻害性受容体である。PRV-3279の抗CD32B構成要素は、MacroGenics社専売のマウスモノクローナル抗体(mAb)8B5のヒト化バージョンに基づいている。CD79Bは、B細胞上で排他的に発現される、BCRの必須のシグナル伝達構成要素である。PRV-3279の抗CD79B構成要素はマウスmAb CB3のヒト化バージョンに基づいている。
【0048】
一実施形態では、PRV-3279は、
の配列を含む(CDRに下線を引き、コイルドメインは太字である)。
【0049】
一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書中に開示されているB細胞阻害剤および薬学的に許容される担体を含む。B細胞阻害剤は、薬学的に許容される担体を用いて医薬組成物内に配合することができる。
【0050】
本明細書中で使用する「薬学的に許容される担体」としては、任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、緩衝剤、ならびに生理的に適合性のある他の賦形剤が挙げられる。好ましくは、担体は非経口、経口、または外用の投与に適切である。投与経路に応じて、活性化合物、たとえば小分子または生物製剤は、酸の作用および化合物を失活させ得る他の天然条件から化合物を保護する材料でコーティングし得る。
【0051】
薬学的に許容される担体としては、無菌的な水溶液または分散体および無菌的な注射用溶液または分散体を即時調製するための無菌的な粉末、ならびに錠剤、丸薬、カプセルなどを調製するための慣用の賦形剤が挙げられる。製薬的に活性のある物質を配合するためのそのような媒体および薬剤の使用は当分野で知られている。いかなる慣用の媒体または薬剤も、活性化合物と不適合である場合以外は、本明細書中に提供する医薬組成物におけるその使用が企図される。補助的な活性化合物も組成物内に取り込ませることができる。
【0052】
薬学的に許容される担体としては、薬学的に許容される抗酸化剤を挙げることができる。製薬的に許容される抗酸化剤の例としては、(1)アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなどの水溶性抗酸化剤、(2)パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファ-トコフェロールなどの油可溶性抗酸化剤、および(3)クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸などの金属キレート化剤が挙げられる。
【0053】
本明細書中に提供する医薬組成物において用い得る適切な水性および非水性の担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適切な混合物、ならびにオレイン酸エチルなどの注射用有機エステルが挙げられる。必要な場合は、適切な流動性を、たとえば、レシチンなどのコーティング材料の使用によって、分散体の場合は所要の粒径の維持によって、および界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、等張化剤、たとえば、糖、マンニトール、ソルビトールなどのポリアルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含めることが有用であり得る。注射用組成物の持続的吸収は、組成物中に吸収を遅延させる薬剤、たとえばモノステアリン酸塩およびゼラチンを含めることによってもたらすことができる。
【0054】
これらの組成物は、保存料、湿潤剤、乳化剤、および分散剤などの機能的賦形剤も含有し得る。
【0055】
治療的組成物は、典型的には、無菌的、非系統学的(non-phylogenic)、かつ製造および貯蔵の条件下で安定でなければならない。組成物は、溶液、マイクロエマルジョン、リポソーム、または高い薬物濃度に適した他の秩序構造として配合することができる。
【0056】
無菌的注射用溶液は、活性化合物を、所要量で、適切な溶媒中に、必要に応じて上に列挙した構成成分のうちの1つまたは組合せと共に取り込ませ、続いて、たとえば微量濾過によって滅菌することによって、調製することができる。一般に、分散体は、活性化合物を、基本分散媒および上に列挙したものからの所要の他の構成成分を含有する無菌的ビヒクル内に取り込ませることによって調製する。無菌的注射用溶液を調製するための無菌的粉末の場合、調製方法としては、活性成分および事前に無菌濾過したその溶液からの任意の追加の所望の構成成分の粉末を与える、真空乾燥および凍結乾燥が挙げられる。活性薬剤(複数でもよい)を、追加の薬学的に許容される担体(複数でもよい)および必要であり得る任意の保存料、緩衝剤、または噴霧剤と共に、無菌的条件下で混合し得る。
【0057】
微生物の存在の防止は、上記の滅菌手順、ならびに様々な抗細菌剤および抗真菌剤、たとえば、パラベン、クロロブタノール、フェノールソルビン酸などの包含の両方によって確実にし得る。糖、塩化ナトリウムなどの等張化剤を組成物内に含めることも望ましい場合がある。さらに、注射用製薬形態の持続的吸収は、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなどの吸収を遅延させる薬剤の包含によってもたらし得る。
【0058】
最適な所望の応答(たとえば治療反応)を提供するために投薬レジメンを調節する。たとえば、単一ボーラスを投与し得る、いくつかの分割用量を経時的に投与し得る、または、治療状況の緊急性によって示されるように用量を比例的に低下または増加させ得る。
【0059】
抗体を投与するための例示的な投薬範囲としては、10~1000mg(抗体)/kg(患者の体重)、10~800mg/kg、10~600mg/kg、10~400mg/kg、10~200mg/kg、30~1000mg/kg、30~800mg/kg、30~600mg/kg、30~400mg/kg、30~200mg/kg、50~1000mg/kg、50~800mg/kg、50~600mg/kg、50~400mg/kg、50~200mg/kg、100~1000mg/kg、100~900mg/kg、100~800mg/kg、100~700mg/kg、100~600mg/kg、100~500mg/kg、100~400mg/kg、100~300mg/kg、および100~200mg/kgが挙げられる。例示的な投薬スケジュールとしては、3日毎に1回、5日毎に1回、7日毎に1回(すなわち1週間に1回)、10日毎に1回、14日毎に1回(すなわち2週間毎に1回)、21日毎に1回(すなわち3週間毎に1回)、28日毎に1回(すなわち4週間毎に1回)、1カ月に1回、5週間毎に1回、および6週間毎に1回が挙げられる。
【0060】
一部の実施形態では、約5~40mg/kg、約5~20mg/kg、または約10mg/kg/PRV-3279の用量を、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、5週間5毎に1回、または6週間毎に1回、投与することができる。1回用量、2回用量、または3回用量などの、1回または複数回の用量を投与することができる。投与は、IV輸液を介するものであることができる。前述のものの任意の組合せ(たとえば、3回用量の10mb/kg/用量、4週間毎に1回)を、使用することができる。一部の実施形態では、第1の用量を、遺伝子治療の2~6週間(たとえば4週間)前に、第2の用量を、遺伝子治療とほぼ同時に、第3の用量を、遺伝子治療の2~6週間(たとえば4週間)後に与えることができる。それ以降、遺伝子治療ベクター(たとえばrAAV)および/または導入遺伝子に対する特異的抗体の量を検査することによって、患者をモニタリングすることができる。抗体が検出されないまたはわずかしか検出されない場合は、追加のPRV-3279の必要はない。有意な量の抗体が存在する場合は、1回または複数回の用量のPRV-3279を投与することができる。
【0061】
投与の容易性および投薬の均一性のために、非経口組成物を単位剤形で配合することが有利であり得る。本明細書中で使用する単位剤形とは、処置する患者の単位投薬に適した物理的に別個の単位をいう。それぞれの単位は、任意の所要の製薬的担体と関連して所望の治療効果を生じるように計算された、事前に決定された量の活性薬剤を含有する。単位剤形の仕様は、(a)活性化合物のユニークな特徴および達成する特定の、ならびに(b)個体において感度を処置するための、そのような活性化合物を配合する分野に固有の制限によって指示され、それに直接依存する。
【0062】
本明細書中に開示されている医薬組成物中の活性成分の実際の投薬レベルは、患者に対して毒性とならずに、特定の患者、組成物、および投与様式において所望の治療反応を達成するために有効である、活性成分の量を得るために、変動させ得る。投与のコンテキストにおいて本明細書中で使用する「非経口」とは、経腸および外用投与以外の、通常は注射による投与様式を意味し、それだけには限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、および胸骨内の注射、ならびに輸液が挙げられる。
【0063】
本明細書中で使用する語句「非経口投与」および「非経口投与した」とは、経腸(すなわち消化管を介する)および外用投与以外の、通常は注射または輸液による投与様式をいい、それだけには限定されないが、静脈内、筋肉内、動脈内、くも膜下腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、および胸骨内の注射、ならびに輸液が挙げられる。静脈内注射および輸液が抗体投与にしばしば(であるが排他的ではなく)使用される。
【0064】
本明細書中に提供する薬剤を製薬としてヒトまたは動物に投与する場合、これらは、単独で、または、たとえば0.001~90%(たとえば0.005~70%、たとえば0.01~30%)の活性成分を薬学的に許容される担体と組み合わせて含有する医薬組成物として与えることができる。
【0065】
<治療的使用および方法>
本明細書中に開示されている組成物は、B細胞および/または自己抗体によって媒介される自己免疫疾患を防止、妨害、および処置するために使用され得る。一部の実施形態では、疾患を、全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、関節リウマチ(RA)、乾癬、皮膚筋炎/多発性筋炎、シェーグレン症候群(SS)、原発性血管炎(たとえばリウマチ性多発性筋炎/巨細胞動脈炎/ベーチェット病)、移植片対宿主病(GVHD)、重症筋無力症、天疱瘡、視神経脊髄炎、抗NMDA受容体脳炎、ギラン-バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発性神経障害(CIDP)、グレーブス眼症(opthalmopathy)、IgG4関連疾患(IgG4-RD)、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、炎症性腸疾患(IBD)、およびクローン病から選択することができる。一部の実施形態では、疾患は全身性エリテマトーデスである。
【0066】
B細胞の活性化は、SLEの病因において一般的であるだけでなく、その中心でもあり(Zhang 2001、Stohl 2003、Chu 2009)、この疾患におけるB細胞の下方調節の理論的根拠を支持している。ループスでは慢性の、場合によっては生涯にわたる免疫抑制が必要であることを考慮すると、特に魅力的なB細胞標的化治療剤は、活性化されたB細胞のすべてのサブセットを迅速に阻害するが、休止B細胞を枯渇または不活性化をさせないことができる治療剤であろう。
【0067】
一部の実施形態では、PRV-3279はフレアを防止する、すなわち、ベースラインのステロイド処置によって誘導される活動性疾患の寛解の後の24週間の間、および主要なバックグラウンド医薬品の離脱後に、SLE徴候および症状の改善を維持する。これは、以下によって測定することができる(1)臨床家による変化の全般印象(Clinician’s Global Impression of Change))(CGIC)に対する有意な悪化を有する、SLE疾患がフレアについてのアメリカループス財団(LFA)国際コンセンサス定義を満たすという調査員の評価、(2)ハイブリッドした全身性エリテマトーデス疾患活動性インデックス(Systemic Lupus Erythematosus Disease Activity Index)(SLEDAI)のベースラインからの増加が4点以上、(3)1以上のイギリス諸島ループス評価グループ(British Isles Lupus Assessment Group)(BILAG)A、および/または(4)「より悪い」もしくは「新しい」の格付けを有するBILAG Bスコア。
【0068】
一部の実施形態では、PRV-3279は、抗マラリア剤、10mgまでのプレドニゾン(または同等のコルチコステロイド)、および非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を例外として併用薬の非存在下で、コルチコステロイド(たとえば、酢酸メチルプレドニゾロン(Depo-Medrol(登録商標)または同等)の筋肉内(IM)注射、20~100mg)によって開始される疾患寛解期間を延長させる。
【0069】
一部の実施形態では、PRV-3279は、患者が低用量のコルチコステロイドを達成して持続することを可能にする。一部の実施形態では、PRV-3279は、患者が、欧州対リウマチ連盟(European League Against Rheumatism)(EULAR)に推奨される低疾患および低ステロイドの両方の処置目標を達成して持続することを可能にする。一部の実施形態では、PRV-3279は、患者が報告したその身体機能の格付けを改善させ、SLEレスポンダーインデックス-4(SRI-4)に基づくそれぞれの症状の改善について厳密な定義を使用して、SLEの1つまたは複数の徴候および症状を低下させる。一部の実施形態では、PRV-3279は、イギリス諸島ループス評価グループ(BILAG)インデックスによってベースラインで中等度または重度に活動性として格付けされたすべての器官において、疾患活動性を低下させる。
【0070】
他の実施形態では、PRV-3279の効果は、末梢血mRNA分析において、B細胞もしくは形質細胞シグネチャなどの特定の事前に決定された表現型、および/または炎症性/1型インターフェロンシグネチャの非存在に関連している。
【実施例
【0071】
実施した実験および達成された結果を含む以下の実施例は、例示目的のみで提供し、本開示を限定するものと解釈されるべきでない。
【0072】
[実施例1:PRV-3279の安全性および耐用性]
2週間毎に1回投与され、2つの用量レベル(3および10mg/kg)の3回の輸液として与えられるPRV-3279の安全性および耐用性を評価するために、反復投与用量漸増(MAD)研究(PREVAIL1)を設計した。第二の目的は、PRV-3279の複数用量PKおよび免疫原性を特徴づけることであった。予備的目的は、標的結合およびB細胞機能に関する潜在的なバイオマーカーに対するPRV-3279の効果の探索を含んでいた。
【0073】
16人の健康な対象を登録した。8人の対象のそれぞれのコホートが、PRV-3279またはプラセボを3:1の比で受けた(PRV-3279はn=6人、プラセボはn=2人)。14人の対象が予定されたすべての処置をプロトコル通りに受け、研究の臨床安全結果を完了した。
【0074】
PRV-3279は十分に許容されていた。特に注目すべき有害事象(AESI)、重篤な、処置により発生した有害事象(TEAE)、重篤有害事象(SAE)、または死をもたらしたTEAEはなかった。10mg/kgのPRV-3279を受けた1人(16.7%)の対象が、調査員によって研究薬物に関連しているとみなされた4件の軽度のTEAE(腹痛、暑さを感じる、冷汗、および多汗症)を有し、また、これらの有害事象が原因で研究から離脱した。合計34件のTEAEが9人(56.3%)の対象において報告された。カテーテルまたは静脈穿刺部位の有害事象を除外した最も頻繁に報告されたTEAEは、暑さを感じる(3件のTEAE)および冷汗(それぞれ2件のTEAE)であった。すべての他のTEAEはそれぞれ一度報告された。2件のTEAEは中等度の重篤度であり、残りは軽度であった。すべての範囲外の臨床検査値、生命徴候測定値、ECG結果、および身体検査の所見は、研究薬物に関連しておらず、臨床的に有意でないと評価され、いずれもTEAEとして報告されなかった。
【0075】
<薬物動態学的結果>
29日目のt1/2は、3mg/kgおよび10mg/kgの用量レベルでそれぞれ157時間(6.54日間)および185時間(7.71日間)であった。定常状態での分布体積(Vss)は3mg/kgおよび10mg/kgの用量で同程度であった(618mL/kgおよび576mL/kg)。10mg/kgの用量(1.63mL/時/kg)での29日目のCLは3mg/kgの用量(2.71mL/時/kg)での29日目のGM CLよりもわずかに低かった。
【0076】
29日目までの複数回投薬の後、3および10mg/kgの用量のCmax(RacCmax)およびAUC(RacAUC0~336)の値に基づいた蓄積比、それぞれ1.08および1.25ならびに1.33および1.49のレベルによって示されるように、PRV-3279の蓄積は最小限であった。29日目の相乗平均(GM)Vssは、3mg/kgおよび10mg/kgの用量レベルで同程度であった(61.8mL/kgおよび57.6mL/kg)。10mg/kgの用量(0.163mL/時/kg)での29日目のGM CLは、が3mg/kgの用量(0.271mL/時/kg)での29日目のGM CLよりも低かった。
【0077】
<免疫原性の結果>
PRV-3279がそれ自身の免疫原性を阻害する能力および作用機序と整合して、研究の終了時点でのADAの発生率は、3mg/kg(6人中6人)が10mg/kg(6人中4人)よりも高かった。使用したアッセイの妥当性が実証され、(PRV-3279の存在によって影響を受けない)薬物耐性であった。ADA力価は一般に低かった。コホートあたりの対象の数は小さな試料サイズを提供するが、PK変数に対するADAの明らかな効果はなかった。ADAの結果によるPRV-3279の平均血清濃度の評価は、ADAが陽性である場合に、3mg/kgの用量で約43日目までわずかにより高い濃度の傾向を示す。限定的なデータが原因で、10mg/kgの用量では傾向を同定することができなかった。ADA陽性対象の数は経時的に増加した。3mg/kgの用量レベルでは、陽性結果を有する最初の対象は15日目であった。この用量レベルの6人すべての対象が、85日目に試験で陽性となった。10mg/kgの用量レベルでは、試験でADA陽性となった最初の対象は36日目であった。85日目には、6人の対象のうち4人がADA陽性であった。
【0078】
<薬力学的結果>
3および10mg/kgのPRV-3279の初回投薬の後、利用可能なCD19+B細胞の合計数の85%超が結合していた。結合パターンは記憶B細胞(CD19+/CD27+)およびナイーブB細胞(CD19+/CD27-)について同様であった。PRV-3279によるB細胞との結合強度は様々なB細胞部分集団において相違はなく、10mg/kgが3mg/kgよりもわずかに高かった。10mg/kgの用量では、最適なB細胞調節に必要な最小限の結合レベルであるとみなされる50%超の受容体占有率のレベルが、最終用量の28日後まで検出された。どちらの群も85日目にはほぼベースラインのレベルまで低下した。試料の不安定性が原因で、これらのパーセント結合値は過小評価されていた可能性が高い。
【0079】
B細胞の結合は、積極的に治療した対象において、IgM産生における-35%~-44%の機能的減少と関連しており、これは研究の終わりまで続いた。用量応答傾向があり、10mg/kgがIgMのより大きな低下を達成し、IgEの低下も示した。IgGレベルでは薬効は観察されなかった。同時発生的な抗原刺激はなく、IgG半減期が他のクラスよりも長いことを考慮すると、これは予想されていた。末梢B細胞数は50%以下の短期的な低下を示し、他の免疫細胞種では異常は見られなかった。PRV-3279を投薬した後、サイトカイン放出は測定可能でなかった。
【0080】
[実施例2:PRV-3279によるB細胞機能の阻害]
一部の実施形態では、3mg/kgのIVを2週間毎に3回、および10mg/kgのIVを2週間毎に与えたB細胞阻害剤PRV-3279は、健康なボランティアにおいてB細胞機能の深くかつ持続的な阻害をもたらした。
【0081】
薬物動態学的パラメータは、3mg/kgおよび10mg/kgの群間で一般に用量に比例しており、2qwの繰り返し投薬の際に蓄積はわずかであった(図1)。薬物の半減期は、3mg/kgおよび10mg/kgの用量レベルのどちらについても繰り返し投薬の約1週間後であることが観察された(表1)。
【0082】
【0083】
図2A~2Bに示すように、3mg/kgまたは10mg/kgの繰り返し投薬の後に、B細胞または他の白血球集団の持続的な枯渇は観察されなかった。末梢B細胞数の一過性の減少が観察され、これは、2回目および3回目の用量のPRV-3279の後により明白でなくなり、それぞれの用量の後に素早く回復した。
【0084】
PRV-3279の投与は、用量に比例した大規模かつ持続的な、循環Bリンパ球との結合をもたらした。PRV-3279は、投薬後に利用可能なB細胞、記憶B細胞、およびナイーブB細胞の85%超と結合し、これは10mg/kgで繰り返し投薬の2カ月後まで維持された(図3A)。受容体のおよそ70~75%がB細胞、記憶B細胞、およびナイーブB細胞上において薬物によって占有され、10mg/kgのPRV-3279は、最終用量後に28日間まで50%超の受容体結合を維持した(図3B)。注目すべきは、以前のインビトロ研究により、ヒトB細胞に対して50%を超える最大のPRV-3279結合が達成される場合に、PRV-3279に媒介されるB細胞の阻害機能が最適効果に達することが実証されていることである。
【0085】
B細胞機能の阻害と一貫した拡張薬力学的効果が、循環免疫グロブリンMレベルの低下(図4A)および後にIgEレベルの低下(図4B)によって実証された。IgMでは、この効果は用量依存的であり、約44%の最大阻害が繰り返し投薬後に10mg/kgで観察され、これは最終用量後に少なくとも8週間持続した。IgEは10mg/kgの最終用量後に30%まで低下した。
【0086】
試験したどちらの用量レベルにおいても抗薬物抗体(ADA)の産生が観察された(図5)。しかし、B細胞阻害の作用機序と一貫して、これは用量および時間依存的であった。免疫原性は、曝露、安全性、または薬力学のパラメータに影響を与えないことが見出された。
【0087】
良好に許容される安全性プロファイルが存在した。AESI、重度のTEAE、SAE、または死をもたらしたTEAEはなかった。1人(16.7%)の10mg/kgのPRV-3279の対象が、調査員によって研究薬物に関連しているとみなされた4件の軽度なTEAE(腹痛、暑さを感じる、冷汗、および多汗症)を経験し、中断をもたらした。
【0088】
【0089】
[実施例3:PRV-3279の阻害活性のエクスビボ研究]
B細胞に対するPRV-3279の阻害活性を、正常な健康なボランティア、またはSLE疾患活動性インデックスによって定義される様々な度合の疾患重篤度のSLEを有する患者のいずれかから得た全血試料から単離したB細胞において比較した。患者は、それぞれ非活動性/軽度または活動性として定義した。手短に述べると、正常な健康な対象またはSLEを有する患者からの精製B細胞(5×10個/ウェル)を、100nMのPRV-3279と共に30分間、96ウェルの組織培養プレート中でインキュベートし、その後、10μg/mLの抗ヒトIgM抗体(抗μ)を用いて48時間刺激した。その後、インビトロでのH-チミジン取り込みB細胞増殖アッセイを使用して、これらの試料中のPRV-3279活性を評価した。
【0090】
図6に示すように、B細胞阻害剤は健康およびループス対象においてヒトB細胞増殖を阻害する。その阻害はエクスビボで証明されており、PRV-3279は、正常な健康なボランティアおよびSLE患者の試料をどちらも同様の度合(60%)まで阻害した。さらに、これらのSLE患者試料における活動性または非活動性疾患の状態にかかわらず、PRV-3279はB細胞増殖をおよそ60%阻害した。CD32Bシグナル伝達は一部のループス患者において乱れていることが示されており、自己免疫病理学的B細胞の設定においてPRV-3279の活性の潜在性の証拠を提供しているため、これは驚くべきことである。
【0091】
[実施例4:ループスにおけるPRV-3279の評価(PRV-3279 EVAluation upus))の、第2a相、ランダム化された、二重盲検の、プラセボコントロールされた治験(PREVAIL-2)]
理論的根拠:PRV-3279は、B細胞上でのみCD32B(Fcγ受容体IIb)およびCD79Bのどちらとも結合する、ヒト化二重親和性再標的化(DART(登録商標))タンパク質である。作用機序および初期臨床データは、PRV-3279が慢性全身性エリテマトーデス(SLE)の安全かつ有効な処置である可能性があることを示唆している。
【0092】
目的およびエンドポイント:
【0093】
【0094】
研究設計:これは、活動性SLEを有する成人患者における、ランダム化された、二重盲検の、プラセボコントロールされた研究である。10mg/kgのPRV-3279またはプラセボのいずれかを用いた処置を受けさせるために、およそ100人の適格な患者を1:1の比でランダム化してよい。研究薬物PRV-3279またはプラセボを、静脈内(IV)輸液として2時間かけて、4週間毎に、0週目から20週目まで、合計6回の用量を与えることができる。2回の経過観察訪問が予定される(24週目および28週目)。EOS訪問を28週目に行うことができる。
【0095】
スクリーニング期間中、患者は、SLEの徴候および症状の改善を誘導するために、酢酸メチルプレドニゾロン(Depo-Medrol(登録商標)または同等)の筋肉内(IM)注射を40mg以上の用量で受けることができる。症状をさらに寛解させるために、合計4回までの注射で最大合計用量320mgの繰り返し注射を与え得る。
【0096】
1日目(ベースライン/ランダム化の訪問)に開始し、研究全体にわたって継続して、継続してよいバックグラウンドSLE処置は、1日あたり400mgまでのヒドロキシクロロキン(または他の抗マラリア剤)、1日あたり10mgまでのプレドニゾン(または同等のコルチコステロイド)、およびNSAIDだけである。患者は、ランダム化訪問およびすべての続く研究訪問の朝にNSAIDを断つように依頼される場合がある(NSAIDはそれぞれの研究訪問日のすべての評価を完了した後に再開することができる)。研究全体にわたる他の日には、NSAIDは制限なしに許容される。スクリーニング時に摂取したすべての他のSLE処置を、スクリーニング期間中およびランダム化の前に離脱させることができる。
【0097】
潜在的に適格な患者は、1日目にランダム化の適格性を確認するために研究施設に戻ることができる。調査員は、患者が、以下によって示されるSLEの徴候および症状の少なくとも中等度の改善を達成したことを確認しなければならない:
「明確な改善」または「主要もしくは完全な改善」のCGICスコア
かつ
スクリーニングからhSLEDAIスコアの4点以上の減少、またはクリーニング時に重度(Aスコア)もしくは中等度(Bスコア)であった少なくとも1つのBILAG系における、1重篤度グレード以上の改善(すなわち、AからB~DまたはBからCもしくはD)。
【0098】
ランダム化訪問時のhSLEDAIおよびBILAGインデックスによる評価は、標準の4週間評価規則に従わない場合があるが、0週目(1日目、ランダム化訪問)でのSLE疾患活動性とスクリーニング訪問との単純な臨床的比較によってスコア付けされ得ることに注意されたい。
【0099】
患者が適格であると確認された場合、ランダム化を対話式音声/ウェブ応答システム(IVRS/IWRS)を通じて行うことができ、B細胞発現経路試験によって定義される血清抗二本鎖デオキシリボ核酸(抗dsDNA)抗体の存在または非存在およびB細胞遺伝子シグネチャの上昇の存在または非存在によって重層化することができる。
【0100】
それぞれの訪問時に、疾患活動性および安全性の正式な評価を実施することができ、検査検体を収集することができる。患者は、研究薬物のIV輸液を4週間毎に0週目から20週目まで(包括的)受けることができる。
【0101】
研究手順に対するそのコンプライアンスにかかわらず、すべての患者を研究中に保持するためにあらゆる努力をするべきである。患者が、何らかの新しいSLE医薬品(NSAID以外)を摂取した場合、現在のSLE医薬品(NSAID以外)の用量を増加した場合、研究薬物の2回の連続した用量または3回以上の合計用量を休んだ場合は、その患者は研究薬物を永久的に中断するが研究手順および評価を継続するべきであるが、第一および適用可能な第二の有効性エンドポイントにおいて非応答者として記録することができる。
【0102】
ループスフレアが起こった場合(第一エンドポイントにおいて定義)、患者はすぐに研究施設に連絡し、訪問スケジュールにかかわらずできるだけ早くフレア評価訪問に診てもらうべきであり、活動スケジュール(Schedule of Activities)(SoA、表3を参照)に従って評価するべきである。その当然の結果として、この訪問時に存在する症状および/または徴候を制御するためにSLE医薬品を処方し得る。確認された場合、患者はすべてのさらなる研究薬物の投与を中断することができ、第一および適用可能な第二の有効性エンドポイントにおいて非応答者としてみなすことができる。
【0103】
研究全体にわたって、SLE疾患活動性および患者が報告した結果(PRO)を、以下の手段を使用して評価することができる:
・疾患活動性の手段:
○ハイブリッドのループス全国的評価におけるエストロゲンの安全性 全身性エリテマトーデス疾患活動性インデックスにおける[hSLEDAI]
○SELENA-SLEDAI医師による全般評価(ssPGA)
○SELENA-SLEDAIフレアインデックス(SFI)
○改変SELENA-SLEDAIフレアインデックス(mSFI)
○イギリス諸島ループス評価グループ(BILAG)インデックス
○臨床家による変化の全般印象(CGIC)
○皮膚ループス紅斑性疾患領域および重篤度インデックス(Cutaneous Lupus Erythematous Disease Area and Severity Index)(CLASI)
○圧痛のあるおよび腫れた関節の数
・PRO:
○略式36健康調査(SF-36)
○患者による臨床的状態の変化の全般印象(Patient Global Impression of Change in Clinical Status)(PGIC)
○患者による疾患重篤度の変化の全般印象(Patient Global Impression of Change in Disease Severity)(PGIS)
○慢性疾患治療の機能評価-疲労(Functional Assessment of Chronic Illness Therapy-Fatigue)(FACIT-疲労スケール)
【0104】
安全性評価としては、TEAE、生命徴候、身体検査の所見、12誘導ECG、ならびに臨床検査(血液学、化学、尿検査、凝固パネル、ループス関連血清学、SLE疾患活動性マーカー、およびT細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞[TBNK]パネル)を挙げることができる。迅速COVID-19試験をスクリーニング時およびそれぞれの研究薬物投与の前に行うことができる。尿妊娠検査を、出産可能能力を有する女性(WOCBP)についてオンサイトでそれぞれの研究薬物投与の前に行うことができる(スクリーニング時に血清妊娠検査)。
【0105】
PK(血清PRV-3279濃度)、PD(バイオマーカー)、および免疫原性(ADA)評価も実施され得る。
【0106】
患者数:およそ100人の患者をランダム化して研究薬物処置を受けさせることができる。研究は、米国(US)および香港のおよそ30箇所で実施することができる。およそ50人の患者をそれぞれの処置群(PRV-3279またはプラセボ)に割り当てることができる。研究薬物を中断した、または研究参加への同意を撤回したランダム化した患者は、後任をとらない。
【0107】
処置群および期間:
処置群:
・PRV-3279:10mg/kgのIV輸液、2時間をかけて投与、4週間毎に1回、0週目から20週目
・プラセボ:0.9%の塩化ナトリウムIV輸液、2時間をかけて投与、4週間毎に1回、0週目から20週目
それぞれの患者の研究参加期間:34週間
・スクリーニング:6週間まで
・研究処置期間:20週間
・経過観察:8週間
【0108】
中央判決委員会(Central Adjudication Committee)(CAC):遠隔監視を用いて、研究臨床およびデータモニタリングを用いてタンデムで作業するCACによって、登録の資格および疾患活動性のスコア付けの正確さを確認するため、ならびにフレアを判定するために、研究の完全性を支持することができる。
【0109】
CACは、SLEの臨床専門知識を有する独立した医学検閲者からなることができる。CACの責任としては以下を挙げることができる:
・スクリーニング時に、研究に登録するための患者の適格性を確認すること
・SLEフレアの判定
・疾患活動性の手段のスコア付けの正確さおよび一貫性を確実にすること
【0110】
CACは研究処置に対して盲目であることができる。CACの構成、目的、および行為の詳細は、CAC設立許可書中に記載され得る。
【0111】
独立データモニタリング委員会(Independent Data Monitoring Committee)(IDMC):2人の医師および1人の統計学者からなるIDMCを形成することができる。さらに、感染性疾患、血液学、および他の関連する副専門の経験を有する、1または2人の外部の投票権を持たないアドバイザーを必要に応じて追加し得る。
【0112】
研究全体にわたって、IDMCは盲目でない安全性データをレビューし続けることができる。ミーティングはおよそ年4回行うことができる。IDMCの構成、目的、および行為の初代は、IDMC設立許可書中に記載することができる。
【0113】
統計的方法:統計的方法の詳細は統計分析プラン(Statistical Anakysis Plan)(SAP)中に提供され得る。
【0114】
第一の有効性分析:24週目まで改善を維持する基準を満たす患者の割合を、血清抗dsDNA 抗体の存在または非存在およびB細胞遺伝子シグネチャの上昇の存在または非存在のランダム化層別化要因を説明するコクラン-マンテル-ヘンツェル(CMH)試験を使用して、PRV-3279およびプラセボ群の間で比較することができる。
【0115】
ランダム化した患者の完全分析組(Full Analysis Set)(FAS)を使用することができる。
【0116】
第二の有効性分析:
1.処置の失敗までの時間は、処置群によって、カプラン-マイヤー分析(中央値、95%CI、事象数、検閲数など)およびカプラン-マイヤープロットを使用して要約され得る。重層のlog順位検定を使用して、処置群間の相違について試験することができる。24週目にEULARに推奨される低疾患の目標を達成する患者の割合を、第一の有効性分析と同じ試験を使用して群間で比較することができる。
2.スクリーニングからSF-36PCSの24週目までの変化は、繰り返し測定の混合モデル(Mixed Model for Repeated Measurements)(MMRM)を使用して分析され得る。モデルは、処置、訪問、ランダム化層別化要因、固定効果としてのベースラインスコア、および相互作用項としての訪問による処置を含むことができる。
3.24週目にSRI-4を達成する患者の割合を、第一の有効性分析と同じ試験を使用して群間で比較することができる。
4.24週目にBICLA基準を満たす患者の割合を、第一の有効性分析と同じ試験を使用して群間で比較することができる。
5.層別化による部分群における処置の失敗までの時間は、カプラン-マイヤー方法を使用して処理し、log順位検定を使用して処置群間で比較することによって、要約することができる。
【0117】
予備的分析:予備的分析の詳細はSAP中に提供することができる。
【0118】
安全性分析:TEAE、SAE、研究薬物の離脱をもたらすTEAE、特に注目すべき有害事象(AESI)、および他の安全性変数を、記述統計学を使用して分析することができる。
【0119】
免疫原性:ADAを、記述統計学を使用して分析することができる。
【0120】
PK、PD、およびPK/PD分析:PKおよびPDデータを要約することができる。PRV-3279に対する応答に対する、CD32B多型性の効果を含む、他の予備的分析は、SAP中に詳述することができる。別の報告におけるより正式な集団PK分析のために、この研究からのデータを他のPKデータと組み合わせ得る。
【0121】
試料サイズの決定:SLEにおける、可逆的B細胞阻害剤XmAb(登録商標)5871の、第2相、二重盲検の、ランダム化されプラセボコントロールされた研究からの公開データにより、処置意図(ITT)集団におけるSLEの徴候および症状における改善の維持の応答率は、活動性アームおよび対照アームについてそれぞれ225日目に40.4%対23.1%であり、169日目に57.7%対34.6%であったことが示された。この第2a相研究においてPRV-3279の同様の処置効果が24週目に観察できることを仮定すると、それぞれの処置アーム中の45人の患者が、PRV-3279およびプラセボアーム間で0.20の有意レベル(両側)で25%の割合の相違(プラセボ応答率30%を仮定)を検出するために少なくとも80%のパワーを提供することができる。合計100人の患者(それぞれの処置群中に50人の患者)をランダム化して、10%までの脱落者を許容することができる。
【0122】
研究の模式図を図7に示す。すべてのバックグラウンドSLE処置は、1日10mgまでのプレドニゾン(または同等のコルチコステロイド)、1日あたり400mgまでのヒドロキシクロロキン[または他の抗マラリア剤])、および/またはNSAID以外は、スクリーニング訪問(1日目の前)の後に停止または漸減する。**フレア時は、スケジュールされた訪問にかかわらず患者を研究施設で診るべきである。
【0123】
【0124】
[修正]
本開示の記載した方法および組成物の修正および変形は、本開示の範囲および精神から逸脱せずに当業者に明らかとなり得る。本開示は具体的な実施形態に関連して記載されているが、特許請求した本開示はそのような具体的な実施形態に過度に制限されるべきでないことが理解されよう。実際、記載した発明を実施するための形態の様々な修正は、以下の特許請求の範囲によって表される本開示の範囲内にあることが意図され、本開示が属する関連分野の技術者によってそう理解される。
【0125】
[参照による組み込み]
本明細書中で言及されたすべての特許および出版物は、それぞれの独立した特許および出版物が参照により組み込まれていることが具体的かつ個々に示されている場合と同じ程度に、参照により本明細書の一部をなすものとする。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7
【配列表】
2023548848000001.app
【国際調査報告】