(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】増強されたオーディオを提供するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
H04S 7/00 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
H04S7/00 300
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526638
(86)(22)【出願日】2021-10-25
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 US2021072012
(87)【国際公開番号】W WO2022094540
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591009509
【氏名又は名称】ボーズ・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】BOSE CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チャールズ・オズワルド
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・エス・ダブリン
【テーマコード(参考)】
5D162
【Fターム(参考)】
5D162AA09
5D162BA07
5D162CA13
5D162CA15
5D162CA17
5D162CD07
5D162CD32
5D162DA04
5D162DA06
5D162DA17
5D162DA32
5D162EG02
(57)【要約】
車両内でユーザに増強されたオーディオを提供するためのシステムであって、車両の客室の周囲に配置された複数のスピーカと、コントローラと、を備え、コントローラは、第1のオーディオ信号及び第2のオーディオ信号を受信し、第1のオーディオ信号の低音コンテンツが車両客室内の第1の聴取ゾーンで生成されるように、第1のアレイ構成に従って複数のスピーカを駆動し、かつ第2のオーディオ信号の低音コンテンツが車両客室内の第1の聴取ゾーンで生成されるように、第2のアレイ構成に従って複数のスピーカを駆動するように構成されており、第1の聴取ゾーンにおいて、第1の低音コンテンツの大きさが、第2の低音コンテンツの大きさよりも大きく、第2の聴取ゾーンにおいて、第2の低音コンテンツの大きさが、第1の低音コンテンツの大きさよりも大きい、システム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内に増強されたオーディオを提供するためのシステムであって、
前記車両の客室の周囲に配置された複数のスピーカと、
コントローラと、を備え、前記コントローラは、第1のコンテンツ信号及び第2のコンテンツ信号を受信し、前記第1のコンテンツ信号の低音コンテンツが前記客室内の第1の聴取ゾーンで生成されるように、第1のアレイ構成に従って前記複数のスピーカを駆動し、かつ前記第2のコンテンツ信号の低音コンテンツが前記客室内の第2の聴取ゾーンで生成されるように、第2のアレイ構成に従って前記複数のスピーカを駆動するように構成されており、前記第1の聴取ゾーンにおいて、前記第1の低音コンテンツの大きさが、前記第2の低音コンテンツの大きさよりも大きく、前記第2の聴取ゾーンにおいて、前記第2の低音コンテンツの前記大きさが、前記第1の低音コンテンツの前記大きさよりも大きい、システム。
【請求項2】
前記コントローラが、前記第1の聴取ゾーンにおいて、前記第1の低音コンテンツの前記生成を第1のバイノーラルデバイスによる前記第1のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合させ、かつ前記第2の聴取ゾーンにおいて、前記第2の低音コンテンツの前記生成を第2のバイノーラルデバイスによる前記第2のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、第1のバイノーラルデバイスに前記第1のコンテンツ信号の第1の上位範囲を出力し、かつ第2のバイノーラルデバイスに前記第2のコンテンツ信号の第2の上位範囲を出力するように更に構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記コントローラが、第1のモバイルデバイスから前記第1の低音コンテンツ及び前記第2の低音コンテンツのうちの少なくとも1つを受信するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1の聴取ゾーンにおいて、前記第1の低音コンテンツの前記大きさが、前記第2の低音コンテンツの前記大きさを3デシベルだけ超え、前記第2の聴取ゾーンにおいて、前記第2の低音コンテンツの前記大きさが、前記第1の低音コンテンツの前記大きさを3デシベルだけ超える、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記コントローラが、複数のフィルタを実装することによって前記第1のアレイ構成及び前記第2のアレイ構成を形成し、前記コントローラが、誤差信号に従って前記複数のフィルタのうちの少なくとも1つを調整するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記コントローラが、複数のフィルタを実装することによって前記第1のアレイ構成及び前記第2のアレイ構成を形成し、前記複数のフィルタが、前記客室の構成を表すパラメータに従って、記憶されたフィルタのセットから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
第1のバイノーラルデバイス及び第2のバイノーラルデバイスを更に備え、前記コントローラは、前記第1のバイノーラルデバイスが前記第1の聴取ゾーンにおいて前記第1のオーディオ信号の上位範囲コンテンツを生成するように、前記第1のオーディオ信号の前記上位範囲コンテンツを前記第1のバイノーラルデバイスに提供し、かつ前記第2のバイノーラルデバイスが前記第2の聴取ゾーンにおいて前記第2のオーディオ信号の上位範囲コンテンツを生成するように、前記第2のオーディオ信号の前記上位範囲コンテンツを前記第2のバイノーラルデバイスに提供するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記コントローラが、前記第1の聴取ゾーンにおいて、前記第1の低音コンテンツの前記生成を前記第1のバイノーラルデバイスによる前記第1のコンテンツ信号の前記上位範囲コンテンツの生成と時間整合させ、かつ前記第2の聴取ゾーンにおいて、前記第2の低音コンテンツの前記生成を前記第2のバイノーラルデバイスによる前記第2のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合させるように構成されている、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記第1の聴取ゾーン又は前記第2の聴取ゾーンのうちの少なくとも1つにおける前記時間整合が、少なくとも1つのマイクロフォン信号に従って自動的に決定される、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記第1のバイノーラルデバイス及び前記第2のバイノーラルデバイスが各々、ヘッドレスト又はオープンイヤーウェアラブル内に配置されたスピーカのセットのうちの1つから選択される、請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
車両内でユーザに増強されたオーディオを提供するための方法であって、
第1のコンテンツ信号及び第2のコンテンツ信号を受信するステップと、
前記第1のオーディオ信号の低音コンテンツが客室内の第1の聴取ゾーンにおいて生成されるように、前記車両の前記客室の周囲に配置された複数のスピーカを第1のアレイ構成で駆動するステップと、
前記第2のオーディオ信号の低音コンテンツが前記客室内の第2の聴取ゾーンにおいて生成されるように、第2のアレイ構成に従って前記複数のスピーカを駆動するステップと、を含み、前記第1の聴取ゾーンにおいて、前記第1の低音コンテンツの大きさが、前記第2の低音コンテンツの大きさよりも大きく、前記第2の聴取ゾーンにおいて、前記第2の低音コンテンツの前記大きさが、前記第1の低音コンテンツの前記大きさよりも大きい、方法。
【請求項13】
前記第1の低音コンテンツの前記生成が、前記第1の聴取ゾーンにおいて、第1のバイノーラルデバイスによる前記第1のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合され、前記第2の低音コンテンツの前記生成が、前記第2の聴取ゾーンにおいて、第2のバイノーラルデバイスによる前記第2のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の聴取ゾーン又は前記第2の聴取ゾーンのうちの少なくとも1つにおける前記時間整合が、少なくとも1つのマイクロフォン信号に従って自動的に決定される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1のバイノーラルデバイスに前記第1の上位範囲を出力し、かつ前記第2のバイノーラルデバイスに前記第2の上位範囲を出力するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の低音コンテンツ及び前記第2の低音コンテンツのうちの少なくとも1つが、第1のモバイルデバイスから受信される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のバイノーラルデバイス及び前記第2のバイノーラルデバイスが各々、ヘッドレスト又はオープンイヤーウェアラブル内に配置されたスピーカのセットのうちの1つから選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の聴取ゾーンにおいて、前記第1の低音コンテンツの前記大きさが、前記第2の低音コンテンツの前記大きさを3デシベルだけ超え、前記第2の聴取ゾーンにおいて、前記第2の低音コンテンツの前記大きさが、前記第1の低音コンテンツの前記大きさを3デシベルだけ超える、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
誤差信号に従って複数のフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタを調整するステップを更に含み、前記複数のフィルタが、前記第1のアレイ構成及び前記第2のアレイ構成を形成する、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
前記客室の構成を表すパラメータに従って、記憶されたフィルタのセットから複数のフィルタを選択するステップを更に含み、前記複数のフィルタが、前記第1のアレイ構成及び前記第2のアレイ構成を形成する、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年10月30日に出願され、「Systems and Methods for Providing Augmented Audio」と題された米国特許出願第17/085,600号の優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本開示は、概して、車室内で増強されたオーディオを提供するためのシステム及び方法に関し、特に、車室内に配置された少なくとも1つのバイノーラルデバイスの低音応答を増強する方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
下記で言及される全ての実施例及び特徴は、任意の技術的に可能な方式で組み合わせることができる。
【0004】
一態様によれば、車両内に増強されたオーディオを提供するためのシステムは、車両の客室の周囲に配置された複数のスピーカと、コントローラと、を含み、コントローラは、第1のコンテンツ信号及び第2のコンテンツ信号を受信し、第1のコンテンツ信号の低音コンテンツが客室内の第1の聴取ゾーンで生成されるように、第1のアレイ構成に従って複数のスピーカを駆動し、かつ第2のコンテンツ信号の低音コンテンツが客室内の第2の聴取ゾーンで生成されるように、第2のアレイ構成に従って複数のスピーカを駆動するように構成されており、第1の聴取ゾーンにおいて、第1の低音コンテンツの大きさは、第2の低音コンテンツの大きさよりも大きく、第2の聴取ゾーンにおいて、第2の低音コンテンツの大きさは、第1の低音コンテンツの大きさよりも大きい。
【0005】
一実施例では、コントローラは、第1の聴取ゾーンにおいて、第1の低音コンテンツの生成を第1のバイノーラルデバイスによる第1のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合させ、かつ第2の聴取ゾーンにおいて、第2の低音コンテンツの生成を第2のバイノーラルデバイスによる第2のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合させるように構成されている。
【0006】
一実施例では、コントローラは、第1のバイノーラルデバイスに第1のコンテンツ信号の第1の上位範囲を出力し、かつ第2のバイノーラルデバイスに第2のコンテンツ信号の第2の上位範囲を出力するように更に構成されている。
【0007】
一実施例では、コントローラは、第1のモバイルデバイスから第1の低音コンテンツ及び第2の低音コンテンツのうちの少なくとも1つを受信するように構成されている。
【0008】
一実施例では、第1の聴取ゾーンにおいて、第1の低音コンテンツの大きさは、第2の低音コンテンツの大きさを3デシベルだけ超え、第2の聴取ゾーンにおいて、第2の低音コンテンツの大きさは、第1の低音コンテンツの大きさを3デシベルだけ超える。
【0009】
一実施例では、第1の聴取ゾーンは、車両内の第1の着座位置の周りに配置され、第2の聴取ゾーンは、車両内の第2の着座位置の周りに配置される。
【0010】
一実施例では、コントローラは、複数のフィルタを実装することによって第1のアレイ構成及び第2のアレイ構成を形成し、コントローラは、誤差信号に従って複数のフィルタのうちの少なくとも1つを調整するように構成されている。
【0011】
一実施例では、コントローラは、複数のフィルタを実装することによって第1のアレイ構成及び第2のアレイ構成を形成し、複数のフィルタは、車両客室の構成を表すパラメータに従って、記憶されたフィルタのセットから選択される。
【0012】
一実施例では、システムは、第1のバイノーラルデバイス及び第2のバイノーラルデバイスを更に含み、コントローラは、第1のバイノーラルデバイスが第1の聴取ゾーンにおいて第1のオーディオ信号の上位範囲コンテンツを生成するように、第1のオーディオ信号の上位範囲コンテンツを第1のバイノーラルデバイスに提供し、かつ第2のバイノーラルデバイスが第2の聴取ゾーンにおいて第2のオーディオ信号の上位範囲コンテンツを生成するように、第2のオーディオ信号の上位範囲コンテンツを第2のバイノーラルデバイスに提供するように構成されている。
【0013】
一実施例では、コントローラは、第1の聴取ゾーンにおいて、第1の低音コンテンツの生成を第1のバイノーラルデバイスによる第1のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合させ、かつ第2の聴取ゾーンにおいて、第2の低音コンテンツの生成を第2のバイノーラルデバイスによる第2のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合させるように構成されている。
【0014】
一実施例では、第1の聴取ゾーン又は第2の聴取ゾーンのうちの少なくとも1つにおける時間整合は、少なくとも1つのマイクロフォン信号に従って自動的に決定される。
【0015】
一実施例では、第1のバイノーラルデバイス及び第2のバイノーラルデバイスは各々、ヘッドレスト又はオープンイヤーウェアラブル内に配置されたスピーカのセットのうちの1つから選択される。
【0016】
別の態様によれば、車両内でユーザに増強されたオーディオを提供するための方法は、第1のコンテンツ信号及び第2のコンテンツ信号を受信するステップと、第1のオーディオ信号の低音コンテンツが客室内の第1の聴取ゾーンにおいて生成されるように、車両の客室の周囲に配置された複数のスピーカを第1のアレイ構成で駆動するステップと、第2のオーディオ信号の低音コンテンツが客室内の第2の聴取ゾーンにおいて生成されるように、第2のアレイ構成に従って複数のスピーカを駆動するステップと、を含み、第1の聴取ゾーンにおいて、第1の低音コンテンツの大きさは、第2の低音コンテンツの大きさよりも大きく、第2の聴取ゾーンにおいて、第2の低音コンテンツの大きさは、第1の低音コンテンツの大きさよりも大きい。
【0017】
一実施例では、第1の低音コンテンツの生成は、第1の聴取ゾーンにおいて、第1のバイノーラルデバイスによる第1のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合され、かつ第2の低音コンテンツの生成は、第2の聴取ゾーンにおいて、第2のバイノーラルデバイスによる第2のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツの生成と時間整合される。
【0018】
一実施例では、第1の聴取ゾーン又は第2の聴取ゾーンのうちの少なくとも1つにおける時間整合は、少なくとも1つのマイクロフォン信号に従って自動的に決定される。
【0019】
一実施例では、方法は、第1のバイノーラルデバイスに第1の上位範囲を出力し、かつ第2のバイノーラルデバイスに第2の上位範囲を出力するステップを更に含む。
【0020】
一実施例では、第1の低音コンテンツ及び第2の低音コンテンツのうちの少なくとも1つは、第1のモバイルデバイスから受信される。
【0021】
一実施例では、第1の聴取ゾーンにおいて、第1の低音コンテンツの大きさは、第2の低音コンテンツの大きさを3デシベルだけ超え、第2の聴取ゾーンにおいて、第2の低音コンテンツの大きさは、第1の低音コンテンツの大きさを3デシベルだけ超える。
【0022】
一実施例では、第1の聴取ゾーンは、車両内の第1の着座位置の周りに配置され、第2の聴取ゾーンは、車両内の第2の着座位置の周りに配置される。
【0023】
一実施例では、方法は、誤差信号に従って複数のフィルタのうちの少なくとも1つのフィルタを調整するステップを更に含み、複数のフィルタは、第1のアレイ構成及び第2のアレイ構成を形成する。
【0024】
一実施例では、方法は、車両客室の構成を表すパラメータに従って、記憶されたフィルタのセットから複数のフィルタを選択するステップを更に含み、複数のフィルタは、第1のアレイ構成及び第2のアレイ構成を形成する。
【0025】
1つ以上の実装形態の詳細が、添付図面及び以下の説明において記載される。他の特徴、目的、及び利点は、本明細書及び図面から、並びに特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【0026】
図面では、同じ参照符号は、一般に、異なる図を通して同じ部分を指す。また、図面は、必ずしも縮尺通りではなく、むしろ、一般に、様々な態様の原理を例解することに重点が置かれている。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1A】一実施例による、車両客室内に増強されたオーディオを提供するためのオーディオシステムを示す。
【
図1B】一実施例による、車両客室内に増強されたオーディオを提供するためのオーディオシステムを示す。
【
図2】一実施例による、オープンイヤーウェアラブルを示す。
【
図3】一実施例による、オープンイヤーウェアラブルを示す。
【
図4】一実施例による、車両客室内に増強されたオーディオを提供するための方法のフローチャートを示す。
【
図5】一実施例による、車両客室内に増強された、空間化されたオーディオを提供するためのオーディオシステムを示す。
【
図6】一実施例による、車両客室内に増強された、空間化されたオーディオを提供するための方法のフローチャートを示す。
【
図7A】一実施例によるクロスオーバプロットを示す。
【
図7B】一実施例によるクロスオーバプロットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
周辺スピーカのみを含む車両オーディオシステムは、異なる乗客に異なるオーディオコンテンツを提供する能力において制限される。車両オーディオシステムは、十分な分離を伴う低音コンテンツの別個のゾーンを提供するように配列され得るが、これは、波長が、周辺スピーカのみを使用して独立コンテンツを伴う別個の聴取ゾーンを適切に生成するには短すぎる、上位範囲コンテンツに関して同様に述べることはできない。
【0029】
聴取ゾーン間の上位範囲コンテンツの漏れは、ヘッドホンなどのウェアラブルデバイスを各ユーザに提供することによって解決され得る。各ユーザが一対のヘッドホンを装着している場合、最小限の音漏れで各ユーザに別個のオーディオ信号を提供することができる。しかし、最小限の漏れは、各乗客を環境から隔離するという犠牲を払って生じ、これは車両の状況では望ましくない。これは、特に、緊急車両によって生成される音又は乗客の声などの環境内の音を聞くことができる必要がある運転者に当てはまるが、典型的には会話に携わって互いに対話することができることを望む残りの乗客にも当てはまる。
【0030】
これは、ユーザの耳へのオープンパスを維持しながら、各乗客に別個の上位範囲オーディオコンテンツを提供し、ユーザがその環境に関与することを可能にする、オープンイヤーウェアラブル又はヘッドレストスピーカ等の近接場スピーカ等のバイノーラルデバイスを各ユーザに提供することによって解決され得る。しかし、オープンイヤーウェアラブル及び近接場スピーカは、典型的には、ロードノイズが同じ周波数帯域をマスクする傾向があるので、移動している車両において適切な低音応答を提供しない。
【0031】
ここで
図1Aを参照すると、車室100内に増強されたオーディオを提供するためのオーディオシステムを表す概略図が示されている。図示のように、車両客室100は、周辺スピーカ102のセットを含む。(本開示の目的について、スピーカは、電気信号を受信し、それを音響信号に変換する任意のデバイスである。)車両内に配置されたコントローラ104は、第1のコンテンツ信号u
1及び第2のコンテンツ信号u
2を受信するように構成されている。第1のコンテンツ信号u
1及び第2のコンテンツ信号u
2は、低音コンテンツ(すなわち、250Hz±150Hz未満のコンテンツ)及び上位範囲コンテンツ(すなわち、250Hz±150Hzを超えるコンテンツ)を各々が含む、オーディオ信号(及び、任意の好適なプロトコルに従ってアナログ又はデジタル信号として受信され得る)である。コントローラ104は、駆動信号d
1~d
4で周辺スピーカ102を駆動して、少なくとも第1のアレイ構成及び第2のアレイ構成を形成するように構成されている。周辺スピーカ102の少なくともサブセットによって形成される第1のアレイ構成は、第1の着座位置P
1に配列された第1の聴取ゾーン106において第1のコンテンツ信号u
1の低音コンテンツを生成するために、周辺スピーカ102によって発生した音響エネルギーを建設的に組み合わせる。周辺スピーカ102の少なくともサブセットによって同様に形成される第2のアレイ構成は、第2の着座位置P
2に配列された第2の聴取ゾーン108において第2のコンテンツ信号u
2の低音コンテンツを生成するために、周辺スピーカ102によって発生した音響エネルギーを建設的に組み合わせる。更に、第1のアレイ構成は、第2の聴取ゾーン108(及び車両客室内の任意の他の着座位置)において実質的なヌルを形成するために、周辺スピーカ102によって発生した音響エネルギーを弱め合うように組み合わせることができ、第2のアレイ構成は、第1の聴取ゾーン(及び車両客室内の任意の他の着座位置)において実質的なヌルを形成するために、周辺スピーカ102によって発生した音響エネルギーを弱め合うように組み合わせることができる。
【0032】
様々な実施例では、第1の聴取ゾーン106内の第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツを生成するように配列された周辺スピーカ102のサブセットと、第2の聴取ゾーン内の第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツを生成するように配列された周辺スピーカ102のサブセットとの間に、いくらか又は完全なオーバーラップが存在し得ることを理解されたい。
【0033】
第1及び第2のコンテンツ信号における低音コンテンツの大きさが実質的に同じであるとすると、周辺スピーカ102の配列は、第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツの大きさが、第1の聴取ゾーン106において第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツの大きさよりも大きいことを意味する。同様に、第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツの大きさは、第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツの大きさよりも大きい。最終的な効果は、位置P1に座っているユーザが、第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツを、第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツよりも大きいものとして主に知覚することであり、これは、場合によっては知覚されないことがある。同様に、位置P2に座っているユーザは、第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツを、第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツよりも大きいものとして主に知覚する。一実施例では、第1の聴取ゾーンにおいて、第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツの大きさは、第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツの大きさよりも少なくとも3dBだけ大きく、同様に、第2の聴取ゾーンにおいて、第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツの大きさは、第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツの大きさよりも少なくとも3dBだけ大きい。
【0034】
4つの周辺スピーカ102のみが示されているが、1より大きい任意の数の周辺スピーカ102が使用され得ることが理解されるべきである。更に、本開示の目的のために、周辺スピーカ102は、車両ドア、ピラー、天井、床、ダッシュボード、リアデッキ、トランク、座席の下、座席内に一体化されたもの、若しくは客室100内のセンターコンソール、又は客室内に音響低音エネルギーを生成する客室の構造内の任意の他の駆動ポイントに配置され得る。
【0035】
様々な実施例では、第1のコンテンツ信号u1及び第2のコンテンツ信号u2(並びに任意の他の受信されたコンテンツ信号)は、(例えば、Bluetooth(登録商標)接続を介して)モバイルデバイス、無線信号、衛星無線信号、又はセルラー信号のうちの1つ以上から受信され得るが、他のソースが企図される。更に、各コンテンツ信号は、同時に受信される必要はなく、むしろ、以前に受信され、後で再生するためにメモリに記憶されていてもよい。更に、上述したように、第1のコンテンツ信号u1及び第2のコンテンツ信号u2は、任意の好適な通信プロトコルに従ってアナログ又はデジタル信号として受信され得る。更に、第1のコンテンツ信号u1及び第2のコンテンツ信号u2は、バイナリ値のセットから構成されるデジタルで送信され得るので、これらの信号の低音コンテンツ及び上位範囲コンテンツは、コンテンツ信号がスピーカ又は他のデバイスによって変換される前にアナログ信号に変換されるときの、低音コンテンツ及び上位範囲コンテンツのそれぞれの周波数範囲の構成信号を指す。
【0036】
図1Aに示されるように、バイノーラルデバイス110及び112は、それぞれ、第1の聴取ゾーン106においてステレオの第1の音響信号114を生成し、第2の聴取ゾーンにおいてステレオの第2の音響信号116を生成するように位置付けられている。
図1Aに示すように、バイノーラルデバイス110及び112は、聴取ゾーン106、108に近接して配置されたそれぞれのヘッドレストに配置されたスピーカ118、120から構成されている。バイノーラルデバイス110は、例えば、第1の着座位置P
1に座っているユーザの左耳に左側の第1の音響信号114Lを送出するためにヘッドレストに配置された左スピーカ118Lと、ユーザの右耳に右側の第1の音響信号114Rを送出するための右スピーカ118Rと、を備える。同様に、バイノーラルデバイス112は、第2の着座位置P
2に座っているユーザの左耳に左側の第2の音響信号116Lを送出するためにヘッドレストに配置された左スピーカ120Lと、ユーザの右耳に右側の第2の音響信号116Rを送出するための右スピーカ120Rと、を備える。音響信号114、116は、左右のステレオ成分を備えるものとして示されているが、いくつかの実施例では、音響信号114、116の一方又は両方が、左側と右側の両方が同じであるモノラル信号であり得ることを理解されたい。バイノーラルデバイス110、112は各々、反対側によって生成されたそれぞれの側のオーディオをキャンセルするクロスキャンセルフィルタのセットを更に採用することができる。したがって、例えば、バイノーラルデバイス110は、ユーザの右耳のために生成されたオーディオをユーザの左耳においてキャンセルするために(その逆もまた同様である)、クロスキャンセルフィルタのセットを採用することができる。バイノーラルデバイスがウェアラブル(例えば、オープンイヤーヘッドホン)であり、耳の近くに駆動ポイントを有する実施例では、クロストークキャンセルは典型的には必要とされない。しかしながら、より遠くにあるヘッドレストスピーカ又はウェアラブル(例えば、Bose SoundWear)の場合、バイノーラルデバイスは、典型的には、バイノーラル制御を達成するために何らかの測定クロストークキャンセルを採用する。
【0037】
第1のバイノーラルデバイス110及び第2のバイノーラルデバイス112は、ヘッドレストに配置されたスピーカとして示されているが、本開示で説明されるバイノーラルデバイスは、それぞれの位置に座っているユーザに独立した左耳音響信号及び右耳音響信号(すなわち、ステレオ信号)を送出するのに適した任意のデバイスであり得ることを理解されたい。したがって、代替例では、第1のバイノーラルデバイス110及び/又は第2のバイノーラルデバイス112は、独立した左耳及び右耳の音響信号をユーザに送出するのに適した、上部シートバック、ヘッドライナー、又はユーザの耳の近くに配置される任意の他の場所など、車両客室100の他の領域に位置するスピーカから構成され得る。更に別の代替例では、第1のバイノーラルデバイス110及び/又は第2のバイノーラルデバイス112は、それぞれの着座位置に座っているユーザによって装着されるオープンイヤーウェアラブルであり得る。本開示の目的のために、オープンイヤーウェアラブルは、ユーザによって装着されるように設計され、かつユーザの耳へのオープンパスを維持しながら、独立した左耳及び右耳音響信号を送出することが可能である、任意のデバイスである。
図2及び
図3は、そのようなオープンイヤーウェアラブルの2つの実施例を示す。第1のオープンイヤーウェアラブルは、左テンプル204L及び右テンプル204Rにそれぞれ位置する左スピーカ202L及び右スピーカ202Rを特徴とする、一対のフレーム200である。第2のものは、左スピーカ302L及び右スピーカ302Rを特徴とする、一対のオープンイヤーヘッドホン300である。フレーム200及びオープンイヤーヘッドホン300の両方は、ユーザの左耳及び右耳に別個の音響信号を提供することができる一方で、ユーザの耳へのオープンパスを保持する。
【0038】
コントローラ104は、バイノーラル信号b1を介して第1のコンテンツ信号u1の少なくとも上位範囲コンテンツを第1のバイノーラルデバイス110に提供し、かつバイノーラル信号b2を介して第2のコンテンツ信号u2の少なくとも上位範囲コンテンツを第2のバイノーラルデバイス112に提供することができる。(一実施例では、第1のコンテンツ信号u1及び第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツを含む全範囲が、それぞれ第1のバイノーラルデバイス110及び第2のバイノーラルデバイス112に送出される。)結果として、第1の音響信号114は、少なくとも第1のコンテンツ信号u1の上位範囲コンテンツを含み、第2の音響信号116は、少なくとも第2の信号u2の上位範囲コンテンツを含む。周辺スピーカ102による第1の聴取ゾーン106における第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツの生成は、第1のバイノーラルデバイス110によって生成される第1の信号u1の上位範囲コンテンツの生成を増強し、周辺スピーカ102による第2の聴取ゾーン108における第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツの生成は、第2のバイノーラルデバイスによって生成される第2のコンテンツ信号u2の上位範囲コンテンツの生成を増強する。
【0039】
したがって、着座位置P1に座っているユーザは、第1の聴取ゾーン106において再生される第1のコンテンツ信号u1を、周辺スピーカ102と第1のバイノーラルデバイス110との第1の配列構成の組み合わされた出力から知覚する。同様に、着座位置P2に座っているユーザは、第2の聴取ゾーン108において再生される第2のコンテンツ信号u2を、周辺スピーカ102と第2のバイノーラルデバイス112との第2の配列構成の組み合わされた出力から知覚する。
【0040】
図7A及び
図7Bは、それぞれ100Hz及び200Hzにおける例示的なコンテンツ信号(例えば、第1のコンテンツ信号u
1)の低音コンテンツと上位範囲コンテンツとの間の周波数クロスオーバの例示的なプロットを示す。上述したように、低音コンテンツと上位範囲コンテンツとの間のクロスオーバは、例えば、250Hz±150Hzで発生する可能性があり、したがって、クロスオーバ100Hz又は200Hzは、この範囲の例である。図示されるように、聴取ゾーンにおける組み合わされた総応答は、平坦な応答であると知覚される。(もちろん、平坦な応答は、周波数応答の一例にすぎず、他の例は、所望の等化に応じて、例えば、低音域、中音域、及び/又は高音域をブーストすることができる。
【0041】
バイノーラル信号b1、b2(及び追加のバイノーラルデバイスについて発生する任意の他のバイノーラル信号)は、概してNチャネル信号であり、ここで、N≧2である(1つの耳につき少なくとも1つのチャネルが存在するため)。Nは、レンダリングシステム内のスピーカの数に相関することができる(例えば、ヘッドレストが4つのスピーカを有する場合、関連するバイノーラル信号は、典型的には4つのチャネルを有する)。バイノーラルデバイスがクロストークキャンセルを採用する場合、キャンセルの目的でチャネル内のコンテンツ間にいくらかのオーバーラップが存在し得る。しかし、典型的には、信号の混合は、バイノーラルデバイスによって受信されたバイノーラル信号ではなく、バイノーラルデバイス内に配置されたクロストークキャンセルフィルタによって実施される。
【0042】
コントローラ104は、バイノーラル信号b1、b2を有線又は無線のいずれかで提供することができる。例えば、バイノーラルデバイス110又は112がオープンイヤーウェアラブルである場合、それぞれのバイノーラル信号b1、b2は、Bluetooth、WiFi、又は任意の他の好適な無線プロトコルを介して送信され得る。
【0043】
更に、コントローラ104は、そのような信号の生成に固有の無線、音響、又は他の伝送遅延を考慮するために、第1の聴取ゾーン106における低音コンテンツの生成を、第1のバイノーラルデバイス110による上位範囲コンテンツの生成と時間整合させるように更に構成され得る。同様に、コントローラ104は、第2の聴取ゾーン108における低音コンテンツの生成を、第2のバイノーラルデバイス112による上位範囲コンテンツの生成と時間整合させるように更に構成され得る。駆動信号d1~d4の出力と、周辺スピーカ102によって変換された低音コンテンツがそれぞれの聴取ゾーン106、108に到達する時点との間には、いくらかの固有の遅延が存在する。遅延は、駆動信号d1~d4がそれぞれのスピーカ102によって音響信号に変換され、それぞれのスピーカ102から第1の聴取ゾーン106又は第2の聴取ゾーン108に移動するのに必要な時間を含む。(ただし、他の要因が遅延に影響を与えることも考えられる)。各周辺スピーカ102は、第1の聴取ゾーン106及び第2の聴取ゾーン108からある固有の距離に位置する可能性が高いので、遅延は、各周辺スピーカ102について別々に計算することができる。更に、バイノーラル信号b1、b2の出力と第1の聴取ゾーン106及び第2の聴取ゾーン108における音響信号114、116のそれぞれの生成との間にいくらかの遅延が存在する。この遅延は、受信されたバイノーラル信号b1、b2を処理し(バイノーラル信号が無線プロトコルなどの通信プロトコルで符号化される場合、及び/又はバイノーラルデバイスが何らかの追加の信号処理を実施する場合)、かつバイノーラル信号b1、b2を音響信号114、116に変換する時間と、音響信号114、116が位置P1、P2に座っているユーザに伝わる時間(ただし、各バイノーラルデバイスはユーザの比較的近くに位置するので、これは無視できる可能性が高い)との関数である。(この場合も、他の要因が遅延に影響を及ぼす可能性がある。)したがって、これらの遅延を考慮に入れて、コントローラ104は、駆動信号d1~d4及びバイノーラル信号b1、b2の生成のタイミングをとることができ、その結果、周辺スピーカ102による第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツの生成が、第1の聴取ゾーン106において、第1のバイノーラルデバイス110による第1のコンテンツ信号u1の上位範囲コンテンツの生成と時間整合され、周辺スピーカ102による第2のコンテンツ信号u2の低音コンテンツの生成が、第2の聴取ゾーン108において、第2のバイノーラルデバイス112による第2のコンテンツ信号u2の上位範囲コンテンツの生成と時間整合される。
【0044】
本開示の目的のために、「時間整合された」は、空間内の所与の点において、コンテンツが正確に再生されるように、空間(例えば、聴取ゾーン)内の所与の点における所与のコンテンツ信号の低音コンテンツ及び上位範囲コンテンツの生成の時間における整合を指す。低音コンテンツ及び上位範囲コンテンツは、コンテンツ信号が正確に再生されることをユーザが知覚するのに十分な程度に時間整合される必要があるだけであることを理解されたい。一般に、低音コンテンツと上位範囲コンテンツとの間のクロスオーバ周波数における90°のオフセットは、時間整合された音響信号において許容可能である。いくつかの異なるクロスオーバ周波数におけるいくつかの例を提供するために、許容可能なオフセットは、100Hzに対して+/-2.5ms、200Hzに対して+/-1.25ms、250Hzに対して+/-1ms、及び400Hzに対して+/-0.625msであり得る。しかしながら、本開示の目的のために、クロスオーバ周波数における180°オフセットまでの任意のものが時間整合されていると考えられることが理解されるべきである。
【0045】
図7A及び
図7Bに示されるように、クロスオーバ周波数を超えて、低音コンテンツと上位範囲コンテンツとの間に更なるオーバーラップがある。オーバーラップ内のこれらの周波数の位相を個々にシフトさせて、上位範囲コンテンツと低音コンテンツとを時間的に整合させることができる。理解されるように、適用される位相シフトは、周波数に依存する。例えば、周波数にわたって所望の時間整合を達成するために、少なくとも上位範囲コンテンツと低音コンテンツのオーバーラップ周波数に位相シフトを導入するように設計された1つ以上の全域通過フィルタを含めることができる。
【0046】
時間整合は、所与のバイノーラルデバイスについて先験的に確立され得る。ヘッドレストスピーカの実施例では、バイノーラル信号の受信と音響信号の生成との間の遅延は、常に同じであり、したがって遅延は、工場設定として設定され得る。しかしながら、バイノーラルデバイス110、112がウェアラブルである場合、遅延は、典型的には、それぞれのバイノーラル信号b1、b2を処理し、かつ音響信号114、116を生成するために必要とされる様々な時間に基づいて、ウェアラブルごとに変化する(これは、よく知られている可変レイテンシを有する無線プロトコルの場合に特に当てはまる)。したがって、一実施例では、コントローラ104は、様々なウェアラブルデバイス又はウェアラブルデバイスのタイプについて、低音コンテンツの生成を音響信号114、116の生成と時間整合させるための複数の遅延プリセットを記憶することができる。したがって、コントローラ104は、特定のウェアラブルデバイスに接続すると、ウェアラブルデバイス(例えば、一対のBoseフレーム)を識別し、かつ低音コンテンツを識別されたウェアラブルデバイスによって生成された音響信号114、116と時間整合させるための特定の予め記憶された遅延をストレージから取り出すことができる。代替例では、予め記憶された遅延を特定のデバイスタイプと関連付けることができる。例えば、特定の通信プロトコル(例えば、Bluetooth)又はプロトコルバージョン(例えば、Bluetoothバージョン)を動作させるウェアラブルと関連付けられた遅延が典型的には同じである場合、コントローラ104は、検出された通信プロトコル又は通信プロトコルバージョンに従って遅延を選択することができる。所与のデバイス又はデバイスのタイプに対するこれらの予め記憶された遅延は、所与のコンテンツ信号の低音コンテンツが、聴取ゾーンにおける所与のバイノーラルデバイスの音響信号と時間整合されるまで、所与の聴取ゾーンにおいてマイクロフォンを採用し、手動又は自動プロセスによって遅延を較正することによって決定され得る。更に別の例では、遅延は、ユーザ入力に従って較正され得る。例えば、オープンイヤーウェアラブルデバイスを装着しているユーザは、着座位置P1又はP2に着座し、低音コンテンツが音響信号114、116の上位範囲と正しく時間整合されるまで、駆動信号d1~d4及び/又はバイノーラル信号b1、b2の生成を調整することができる。別の例では、デバイスは、時間整合に必要な遅延をコントローラ104に報告することができる。
【0047】
代替例では、時間整合は、予め記憶された遅延のセットによってではなく、ランタイム中に自動的に決定され得る。一実施例では、マイクロフォンは、バイノーラルデバイス上又はその近く(例えば、ヘッドレスト上又はウェアラブル上)に配置され得、時間整合のための遅延を決定するためにコントローラへの信号を生成するために使用され得る。時間整合を自動的に決定するための1つの方法は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Latency Negotiation in a Heterogeneous Network of Synchronized Speakers」と題された米国特許出願公開第2020/0252678号に説明されているが、遅延を決定するための任意の他の好適な方法が使用されてもよい。
【0048】
上記で説明したように、時間整合は、全域通過フィルタを使用して周波数の範囲にわたって達成され得る。様々なバイノーラルデバイスの異なる遅延を考慮するために、実装される特定のフィルタが、記憶されたフィルタのセットから選択され得るか、又は全域通過フィルタによって実装される位相変化が、調整され得る。選択されたフィルタ又は位相変化は、上述したように、異なるデバイス又はデバイスタイプに基づく、ユーザ入力による、ウェアラブルデバイス上のマイクロフォンによって検出された遅延に従う、ウェアラブルデバイスによって報告された遅延に従う、などであり得る。
【0049】
図1Aの実施例では、コントローラ104は、駆動信号d
1~d
4及びバイノーラル信号b
1、b
2の両方を発生させる。しかしながら、代替例では、1つ以上のモバイルデバイスが、バイノーラル信号b
1、b
2を提供することができる。例えば、
図1Bに示されるように、モバイルデバイス122は、有線又は無線(例えば、Bluetooth)接続を介して、バイノーラル信号b
1をバイノーラルデバイス110(例えば、バイノーラルデバイス110がオープンイヤーウェアラブルである場合)に提供する。例えば、ユーザは、オープンイヤーウェアラブルバイノーラルデバイス110を装着して車両客室100に入り、かつモバイルデバイス122とペアリングされたブルートゥース(登録商標)接続(バイノーラル信号b
1)を介して音楽を聴くことができる。車両客室100に入ると、コントローラ104は、第1のコンテンツ信号u
1の低音コンテンツを提供し始めることができ、一方で、モバイルデバイス122は、バイノーラル信号b
1をオープンイヤーウェアラブルバイノーラルデバイス110に提供し続ける。この実施例では、コントローラ104は、第1の聴取ゾーン106において第1のコンテンツ信号u
1の低音コンテンツを生成するために、モバイルデバイス122から第1のコンテンツ信号u
1を受信することができる。したがって、モバイルデバイス122は、バイノーラル信号b
1及び第1のコンテンツ信号u
1を提供するために、バイノーラルデバイス110及びコントローラ104の両方とペアリングすることができる(又はそうでなければ接続されることができる)。代替例では、モバイルデバイス122は、コントローラ104及びバイノーラルデバイス110の両方によって受信される単一の信号をブロードキャストすることができる(この実施例では、各デバイスは、クロスオーバのためにそれぞれのハイパス/ローパスを適用することができる)。例えば、Bluetooth5.0規格は、近くのデバイスに信号をローカルにブロードキャストするためのそのような等時性チャネルを提供する。代替例では、第1のコンテンツ信号u
1を送信するのではなく、モバイルデバイス122は、第1のバイノーラル信号b
1によって第1のバイノーラルデバイス110に送信されたコンテンツのメタデータをコントローラ104に送信することができ、これは、コントローラ104が、ストリーミングサービスなどの外部ソースから正しい第1のコンテンツ信号u
1(すなわち、同じコンテンツ)を供給することを可能にする。
【0050】
1つのモバイルデバイス122のみが
図1Bに示されているが、任意の数のモバイルデバイスが、車両客室100内に配置された任意の数のバイノーラルデバイス(例えば、バイノーラルデバイス110、112)にバイノーラル信号を提供することができることを理解されたい。
【0051】
もちろん、
図1Aに関連して説明したように、コントローラ104は、モバイルデバイスから第1のコンテンツ信号u
1を受信することができる。したがって、一実施例では、ユーザは、車両に入るときに、オープンイヤーウェアラブルの第1のバイノーラルデバイス110を装着することができ、そのとき、モバイルデバイス122は、コンテンツを第1のバイノーラルデバイスに送信することを停止し、代わりに、第1のコンテンツ信号u
1をコントローラ104に提供し、これは、例えば、Bluetoothなどの無線接続を介して、バイノーラル信号b
1を送信することを想定する。同様に、複数のモバイルデバイスから信号を受信する複数のバイノーラルデバイス(例えば、バイノーラルデバイス110、112)の場合、コントローラ104は、それぞれのバイノーラル信号(例えば、バイノーラル信号b
1、b
2)をモバイルデバイスではなくバイノーラルデバイスに送信することを想定することができる。
【0052】
コントローラ104は、プロセッサ124(例えば、デジタル信号プロセッサ)と、プロセッサ124によって実行されたときに本開示で説明される様々な機能及び方法を実行するプログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体126と、を備えることができる。しかしながら、いくつかの実施例において、コントローラ104は、ハードウェアのみとして(例えば、特定用途向け集積回路又はフィールドプログラマブルゲートアレイとして)、又はハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアの何らかの組み合わせとして実装され得ることが理解されるべきである。
【0053】
第1の聴取ゾーン106及び第2の聴取ゾーン108に低音コンテンツを提供するように周辺スピーカ102を配列するために、コントローラ104は、第1のコンテンツ信号u1の低音コンテンツが第1の聴取ゾーン106で建設的に組み合わされ、第2の信号u2の低音コンテンツが第2の聴取ゾーン108で建設的に組み合わされるように、各々が周辺スピーカ102の音響出力を調整する複数のフィルタを実装することができる。このようなフィルタは、通常デジタルフィルタとして実現されるが、これらのフィルタは、代替的にアナログフィルタとして実現されてもよい。
【0054】
更に、
図1A及び
図1Bには2つの聴取ゾーン106及び108のみが示されているが、コントローラ104は、任意の数のコンテンツ信号を受信し、コンテンツ信号をアレイ周辺スピーカにフィルタリングすることによって任意の数の聴取ゾーン(1つのみを含む)を作成することができ、各聴取ゾーンは、固有のコンテンツ信号の低音コンテンツを受信することを理解されたい。例えば、5席の自動車では、周辺スピーカは、5つの別個の聴取ゾーンを生成するように配列され得、各聴取ゾーンは、固有のコンテンツ信号の低音コンテンツを生成する(すなわち、各コンテンツ信号の低音コンテンツが他の聴取ゾーンにおいて実質的に等しい大きさで再生されると仮定すると、それぞれのコンテンツ信号の低音コンテンツの大きさが最も大きい)。更に、別個のバイノーラルデバイスは、各聴取ゾーンに配置され、それぞれの聴取ゾーンにおいて生成された低音コンテンツによって増強され、かつそれと時間整合された別個のバイノーラル信号を受信することができる。
【0055】
上記の実施例では、バイノーラルデバイス110、112(又は任意の他のバイノーラルデバイス)は、両方のユーザに同じコンテンツを送出することができる。この実施例では、コントローラ104は、別個のコンテンツを再生するための別個の聴取ゾーンを作成することなく、バイノーラルデバイスによって生成された音響信号を、周辺スピーカ102によって生成された低音コンテンツで増強することができる。低音コンテンツは、バイノーラルデバイス110、112の両方から再生される上位範囲コンテンツと時間整合され得、したがって、両方のユーザは、バイノーラルデバイス110、112によって送出される上位範囲信号及び周辺スピーカ102によって再生される低音コンテンツを含む、再生されたコンテンツ信号を知覚する。各デバイスは同じプログラムコンテンツ信号を受信するが、ユーザが同じコンテンツの異なるボリュームレベルを選択することが考えられる。この場合、別個の聴取ゾーンを作成するのではなく、コントローラ104は、第1のアレイ構成及び第2のアレイ構成を採用して、各ユーザが同じプログラムコンテンツを異なるボリュームで知覚する別個のボリュームゾーンを作成することができる。
【0056】
一実施例では、各ユーザが関連付けられたバイノーラルデバイスを有する必要はなく、むしろ、一部のユーザは、周辺スピーカ102によって生成されたコンテンツのみを聴くことができる。この実施例では、周辺スピーカ102は、低音コンテンツだけでなく、プログラムコンテンツ信号の上位範囲コンテンツ(例えば、プログラムコンテンツ信号u1)も生成する。バイノーラルデバイスを有するユーザにとって、プログラムコンテンツ信号は、バイノーラル信号(例えば、バイノーラル信号b1)によって、かつバイノーラルデバイスの左右のスピーカによって提供されるように、ステレオ信号として知覚される。実際、本開示で説明される実施例の各々では、周辺スピーカ102によって生成される信号とバイノーラルデバイス(例えば、バイノーラルデバイス110、112)によって生成される信号との間にスペクトル範囲のいくらかの又は完全なオーバーラップがあり得ることを理解されたい。周辺スピーカ102とのスペクトル範囲のオーバーラップを有するバイノーラルデバイスを有するものは、改善されたステレオ、オーディオステージング、及び知覚される広がりを有する強化された体験を受ける。
【0057】
ナビゲーションプロンプト及び電話は、聴取ゾーン内の特定のユーザに向けられ得るプログラムコンテンツ信号に含まれることが理解されるべきである。したがって、運転者は、周辺スピーカによって増強された低音を有するバイノーラルデバイス(例えば、バイノーラルデバイス110)によって生成されたナビゲーションプロンプトを聞くことができる一方で、乗客は、異なる聴取ゾーンにおいて音楽を聞くことができる。
【0058】
加えて、ウェアラブルバイノーラルデバイス上のマイクロフォンは、音声ピックアップのために、電話、車両ベース又はモバイルデバイスベースの音声認識、デジタルアシスタントなどの従来の使用のために使用され得る。
【0059】
更に、車両客室100の構成に応じて、1セットのフィルタではなく、複数のフィルタをコントローラ104によって実装することができる。例えば、車室内の様々なパラメータは、車両客室100の音響を変化させ、そのパラメータには、車両内の乗客数、窓がロールアップされているか、又はロールダウンされているかどうか、車両内の座席の位置(例えば、座席が直立しているかリクライニングしているか、又は車両客室内で前後に移動しているか)などが含まれる。これらのパラメータは、コントローラ104によって(例えば、車両搭載コンピュータから信号を受信することによって)検出され、第1、第2、及び任意の追加の配列構成を提供するためにフィルタの正しいセットを実装することができる。例えば、フィルタの様々なセットをメモリ126に記憶し、検出された客室構成に従って取り出すことができる。
【0060】
代替例では、フィルタは、それぞれの座席位置(第1の座席位置P1又は第2の座席位置P2)にわたって第1の聴取ゾーンを位置合わせするようにフィルタ係数を調整するために、又は窓がロールアップされているか、若しくはロールダウンされているかどうかなどの客室構成の変化に対して調整するために、(例えば、バイノーラルデバイス上又はそれぞれの聴取ゾーン内に配置された)エラーマイクロフォンから受信された信号に従って調整される、適応フィルタのセットであり得る。
【0061】
図4は、車両客室内のユーザに増強された音声を提供する方法400のフローチャートを示す。方法400のステップは、車両内に配置された周辺スピーカ(周辺スピーカ102など)のセットと通信し、更に車両内のそれぞれの座席位置に配置されたバイノーラルデバイス(バイノーラルデバイス110、112など)のセットと通信する、コントローラ(コントローラ104など)によって実行され得る。
【0062】
ステップ402において、第1のコンテンツ信号及び第2のコンテンツ信号が受信される。これらのコンテンツ信号は、モバイルデバイス、ラジオ、衛星ラジオ、セルラー接続などの複数の潜在的なソースから受信され得る。コンテンツ信号は各々、低音コンテンツ及び上位範囲コンテンツを含み得る、オーディオを表す。
【0063】
ステップ404及び406において、複数の周辺スピーカは、第1のアレイ構成(ステップ404)及び第2のアレイ構成(ステップ406)に従って駆動され、その結果、第1のコンテンツ信号の低音コンテンツが、第1の聴取ゾーンにおいて生成され、第2のコンテンツ信号の低音コンテンツが、客室内の第2の聴取ゾーンにおいて生成される。配列の性質は、第2の信号の低音コンテンツが第2の聴取ゾーンにおいて再生されるのと同じ大きさで、第1のコンテンツ信号の低音コンテンツが第1の聴取ゾーンにおいて再生されるときに、第1のコンテンツ信号の低音コンテンツの大きさが第1の聴取ゾーンにおいて第2のコンテンツ信号の低音コンテンツの大きさよりも大きくなり(例えば、少なくとも3dBだけ)、かつ第2の信号の低音コンテンツの大きさが第2の聴取ゾーンにおいて第1のコンテンツ信号の低音コンテンツの大きさよりも大きくなる(例えば、少なくとも3dBだけ)ように、聴取ゾーンを生成する。このようにして、第1の着座位置に座っているユーザは、第1の低音コンテンツの大きさを第2の低音コンテンツよりも大きいものとして知覚する。同様に、第2の着座位置に座っているユーザは、第2の低音コンテンツの大きさを第1の低音コンテンツよりも大きいものとして知覚する。
【0064】
ステップ408及び410において、第1のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツは、第1の聴取ゾーンにおいて上位範囲コンテンツを生成するように位置付けられた第1のバイノーラルデバイスに提供され(ステップ408)、第2のコンテンツ信号の上位範囲コンテンツは、第2の聴取ゾーンにおいて上位範囲コンテンツを生成するように位置付けられた第2のバイノーラルデバイスに提供される(ステップ410)。最終的な結果は、第1の着座位置に座っているユーザが、第1のバイノーラルデバイスの出力と周辺スピーカの出力との組み合わせから第1のコンテンツ信号を知覚し、かつ第2の着座位置に座っているユーザが、第2のバイノーラルデバイスの出力と周辺スピーカの出力との組み合わせから第2のコンテンツ信号を知覚することである。別の言い方をすれば、周辺スピーカは、第1の聴取ゾーンにおいて第1のコンテンツ信号の低音を用いて第1のバイノーラルデバイスによって生成されるように第1のコンテンツ信号の上位範囲を増強し、かつ第2の聴取ゾーンにおいて第2のコンテンツ信号の低音を用いて第2のバイノーラル信号によって生成されるように第2のコンテンツ信号の上位範囲を増強する。様々な代替例では、第1のバイノーラルデバイスは、オープンイヤーウェアラブル又はヘッドレストに配置されたスピーカである。
【0065】
更に、第1の聴取ゾーンにおける第1のコンテンツ信号の低音コンテンツの生成は、第1の聴取ゾーンにおける第1のバイノーラルデバイスによる第1のコンテンツ信号の上位範囲の生成と時間整合されてもよく、第2の聴取ゾーンにおける第2の低音コンテンツの生成は、第2のバイノーラルデバイスによる第2のコンテンツ信号の上位範囲の生成と時間整合されてもよい。代替的な実施例では、第1の上位範囲コンテンツ又は第2の上位範囲コンテンツは、モバイルデバイスによって第1のバイノーラルデバイス又は第2のバイノーラルデバイスに提供され得、モバイルデバイスを用いて、低音コンテンツの生成が時間整合される。
【0066】
方法400は、2つの別個の聴取ゾーン及び2つのバイノーラルデバイスについて説明されるが、方法400は、車両内に配置され、かつそれぞれのバイノーラルデバイスが配置される任意の数の聴取ゾーン(1つのみを含む)に拡張され得ることを理解されたい。単一のバイノーラルデバイス及び聴取ゾーンの場合、他の座席への分離はもはや重要ではなく、複数の周辺スピーカフィルタは、低音提示を最適化するためにマルチゾーンの場合とは異なることができる。(単一のユーザの場合は、例えば、ユーザインターフェースによって、又は座席に配置されたセンサを介して決定され得る。)
【0067】
ここで
図5を参照すると、車両客室100内に配置された車両オーディオシステムの代替的な概略図が示されており、ここでは、周辺スピーカ102が、空間化されたオーディオを生成する少なくとも1つのバイノーラルデバイスの低音コンテンツを増強するために採用される。この実施例では、コントローラ504(コントローラ104の代替例)は、バイノーラル信号b
1、b
2を空間オーディオ信号として生成するように構成され、これにより、バイノーラルデバイス110及び112は、音響信号114、116を、仮想オーディオソースSP
1及びSP
2からそれぞれ発せられたものとしてユーザによって知覚される空間音響信号として生成する。バイノーラル信号b
1は、位置P
1に座っているユーザの頭部の位置に応じた空間オーディオ信号として生成される。同様に、バイノーラル信号b
2は、位置P
2に座っているユーザの頭部の位置に応じた空間オーディオ信号として生成される。
図1A及び
図1Bの実施例と同様に、バイノーラルデバイス110、112によって生成されるこれらの空間化された音響信号は、周辺スピーカ102によって生成され、かつコントローラ504によって駆動される低音コンテンツによって増強され得る。
【0068】
図5に示すように、第1の頭部追跡デバイス506及び第2の頭部追跡デバイス508は、着座位置P
1に座っているユーザ及び着座位置P
2に座っているユーザの頭部の位置をそれぞれ検出するように配置される。様々な実施例において、第1の頭部追跡デバイス506及び第2の頭部追跡デバイス508は、車両客室100内のユーザの頭部の位置を検出するように構成された飛行時間センサから構成され得る。しかしながら、飛行時間センサは可能な例にすぎない。代替として、8点アルゴリズム等のエピポーラ幾何学を使用して、カメラ焦点のうちの1つからの距離を三角測量する複数の2Dカメラが、使用され得る。代替的に、各頭部追跡デバイスは、1つのデータセットとして各ピクセルに対する測距データを有する白黒画像を生成するLIDARデバイスを備えることができる。各ユーザがオープンイヤーウェアラブルを装着している代替例では、頭部追跡は、ユーザ上のオープンイヤーウェアラブルのそれぞれの位置を追跡することによって達成され得るか、又は増強され得、これは、典型的には、ユーザの頭部の位置に相関するためである。更に他の代替例では、容量性感知、誘導性感知、慣性測定ユニット追跡を撮像と組み合わせて使用することができる。頭部追跡デバイスの上述の実装形態は、様々な可能なデバイス及びデバイスの組み合わせが、ユーザの頭部の場所を追跡するために使用され得ることを伝えることを意味することを理解されたい。
【0069】
本開示の目的のために、ユーザの頭部の位置を検出することは、ユーザの頭蓋の中心の位置がそこから導出され得る、ユーザ又はユーザによって装着されるウェアラブルの任意の部分を検出することを含むことができる。例えば、ユーザの耳の場所を検出することができ、そこから耳珠の間に線を引いて、中心を見つけることに近似して中央を見つけることができる。ユーザの頭部の位置を検出することはまた、ピッチ角、ヨー角、及びロール角を見出すための任意の方法に従って導出され得る、ユーザの頭部の配向を検出することを含むことができる。これらのうち、ヨーは、典型的には、各バイノーラルスピーカまでの耳の距離に最も影響を与えるので、特に重要である。
【0070】
第1の頭部追跡デバイス506及び第2の頭部追跡デバイス508は、第1の頭部追跡デバイス506及び第2の頭部追跡デバイス508のそれぞれの出力h1、h2を受信し、それらから位置P1又は位置P2に座っているユーザの頭部の位置を決定し、かつそれに応じてコントローラ504への出力信号を発生させる、頭部追跡コントローラ510と通信することができる。例えば、頭部追跡コントローラ510は、第1の頭部追跡デバイス506から生の出力データh1を受信し、位置P1に座っているユーザの頭部の位置を解釈し、かつ検出された位置を表す位置信号e1をコントローラ504に出力することができる。同様に、頭部追跡コントローラ510は、第2の頭部追跡デバイス508から出力データh2を受信し、着座位置P2に座っているユーザの頭部の位置を解釈し、かつ検出された位置を表す位置信号e2をコントローラ504に出力することができる。位置信号e1及びe2は、(例えば、ピッチ、ヨー、及びロールによって決定されるような配向を含む)ユーザの頭部の位置を表す座標としてリアルタイムで送出され得る。
【0071】
コントローラ510は、プロセッサ512と、プログラムコードを記憶する非一時的記憶媒体514と、を備えることができ、プログラムコードは、プロセッサ512によって実行されると、各頭部追跡デバイス506、508の出力信号を受信することを含む位置信号を生成するために、かつコントローラ104への位置信号e1、e2を発生させるために、本明細書で開示される様々な機能及び方法を実施する。一実施例では、コントローラ510は、記憶されたソフトウェアを通して、又は頭部追跡デバイスの出力に従ってユーザの頭部の位置を検出するように訓練されたニューラルネットワークを用いて、ユーザの頭部の位置を決定することができる。代替例では、各頭部追跡デバイス506、130は、コントローラ510の機能を実行するためのそれ自体のコントローラを備えることができる。更に別の実施例では、コントローラ504は、頭部追跡デバイス506、508の出力を直接的に受信し、かつコントローラ510の処理を実施することができる。
【0072】
位置信号e
1及び/又はe
2を受信するコントローラ504は、バイノーラル信号b
1及び/又はb
2を発生させることができ、そのため、バイノーラルデバイス110、112のうちの少なくとも1つが、音響信号を発生させるスピーカ(例えばスピーカ118、120)の実際の場所以外の車両客室100内の空間におけるいくつかの仮想点から発せられたものとしてユーザによって知覚される音響信号を発生させる。例えば、コントローラ504は、バイノーラルデバイス110が、着座位置P
1に座っているユーザによって知覚される音響信号114を、空間点SP
1(これは仮想音源であるため、
図5において点線で表される)から発するものとして発生させるように、バイノーラル信号b
1を発生させることができる。同様に、コントローラ504は、バイノーラルデバイス112が、着座位置P
2に座っているユーザによって知覚される音響信号116を空間点SP
2から発するものとして発生させるように、バイノーラル信号b
2を発生させることができる。これは、仮想空間点(例えば、空間点SP
1、SP
2)からの音をシミュレートするように音響信号114、116を調整する複数の頭部伝達関数(head-related transfer function、HRTF)に従って、バイノーラル信号b
1、b
2をフィルタリング及び/又は減衰することによって達成され得る。信号がバイノーラルである、すなわち、聴取者の耳の両方に関連するので、システムは、1つ以上のHRTFを利用して、聴取者の周りの様々な場所に特有の音をシミュレートすることができる。コントローラ504によって使用される特定の左及び右HRTFは、ユーザの左耳及び右耳の相対位置とそれぞれの空間位置SP
1、SP
2との間で検出される方位角及び仰角の所与の組み合わせに基づいて選択され得ることを認識されたい。より具体的には、複数のHRTFがメモリに記憶され、ユーザの左耳及び右耳の検出された位置及び選択された空間位置SP
1、SP
2に従って取り出され、かつ実装され得る。しかしながら、バイノーラルデバイス110、112がオープンイヤーウェアラブルである場合、ユーザの耳の場所は、オープンイヤーウェアラブルの場所の代わりに使用され得るか、又はオープンイヤーウェアラブルの場所から決定され得ることを理解されたい。
【0073】
2つの異なる空間点SP
1、SP
2が
図5に示されているが、同じ空間点がバイノーラルデバイス110、112の両方に使用され得ることを理解されたい。更に、所与のバイノーラルデバイスに対して、空間内の任意の点が、発生した音響信号を仮想化する空間点として選択され得る。(空間内の選択された点は、例えば、動いている、オーディオ発生オブジェクトをシミュレートするために、空間内の移動する点であり得る。)例えば、左、右、又は中央チャネルオーディオ信号は、あたかもそれらが周辺スピーカ102に近接する場所で発生したかのようにシミュレートされ得る。更に、シミュレートされた音の現実性は、環境、すなわち、車両客室100内の位置に追加の仮想音源を追加して、仮想音源場所で発生した音が音響反射面から反射されて聴取者に戻る効果をシミュレートすることによって高めることができる。具体的には、環境内で発生した仮想音源ごとに、追加の仮想音源を発生させ、様々な位置に置いて、第1の仮想音源から伝搬し、表面から音響的に反射し、かつ聴取者の耳に伝搬して戻る音(一次反射)、及び第1の仮想音源から伝搬し、第1の表面及び第2の表面から音響的に反射し、かつ聴取者の耳に伝搬して戻る音(二次反射)に対応する音の一次反射及び二次反射をシミュレートすることができる。空間化されたオーディオを作成するためにHRTF及び仮想反射を実装する方法は、全体が参照により本明細書に組み込まれる、「Systems and methods for sound source virtualization」と題された米国特許出願公開第2020/0037097(A1)号においてより詳細に論じられている。一実施例では、仮想音源は、車両の外部に位置することができる。同様に、一次反射及び二次反射は、車両内の実際の表面に対して計算される必要はなく、むしろ、車両の外側の仮想表面に対して計算されて、例えば、ユーザが客室よりも広い領域にいるという印象を生成するか、又は少なくとも、車両の客室よりも良好な環境に対する音の残響及び品質を最適化することができる。
【0074】
コントローラ504は、そうでなければ、
図1A及び
図1Bに関連して説明したコントローラ104のように構成され、すなわち、空間化された音響信号114、116は、周辺スピーカ102によって生成された低音コンテンツを用いて(例えば、時間整合された方法で)増強され得る。例えば、周辺スピーカ102は、第1のコンテンツ信号u
1の低音コンテンツを生成するために利用され得、その上位範囲コンテンツは、バイノーラルデバイス110によって空間化音響信号として生成され、空間位置SP
1で発するために、着座位置P
1のユーザによって知覚される。第1の聴取ゾーン106内の周辺スピーカ102によって生成される低音コンテンツは、ステレオ信号ではない場合があるが、着座位置P
1に座っているユーザは、依然として、第1のコンテンツ信号u
1が空間位置SP
1から発していると知覚する場合がある。同様に、周辺スピーカは、第2の聴取ゾーンにおいて、第2のコンテンツ信号u
2の低音コンテンツを増強することができ、その上位範囲は、空間音響信号としてバイノーラルデバイス112によって生成される。着座位置P
2にいるユーザは、第2のコンテンツ信号u
2が第2の聴取ゾーンにおいて空間位置SP
2として発生し、低音コンテンツが周辺スピーカ102からモノラル音響信号として提供されることを知覚する。
【0075】
2つのバイノーラルデバイス110、112が
図5に示されているが、単一の空間化されたバイノーラル信号(例えば、バイノーラル信号b
1)のみが1つのバイノーラルデバイスに提供され得ることが理解されるべきである。更に、各バイノーラルデバイスが空間化された音響信号を提供する必要はなく、いずれにしても、一方のバイノーラルデバイス(例えば、バイノーラルデバイス110)は、空間化音響信号を提供することができ、一方で、他方のバイノーラルデバイス(例えば、バイノーラルデバイス112)は、非空間化音響信号を提供することができる。更に、上述したように、各バイノーラルデバイスは、各ユーザが同じコンテンツを聞くように、同じバイノーラル信号を受信することができ、その低音コンテンツは、周辺スピーカ102によって増強される(必ずしも別個の聴取ゾーンにおいて生成される必要はない)。更に、
図5の実施例は、任意の数の聴取ゾーン及び任意の数のバイノーラルデバイスに拡張され得る。
【0076】
コントローラ504は、例えば、左右のプログラムコンテンツ信号を受信し、かつ車両内の左、右、中央などのチャネルを発生させるアップミキサを更に実装することができる。バイノーラルデバイス(例えば、バイノーラルデバイス110、112)によってレンダリングされる空間化されたオーディオは、これらのチャネルのソースのユーザの知覚を向上させるために活用され得る。したがって、実際には、複数の仮想音源を選択して、左、右、中央などのオーディオチャネルの印象を正確に生成することができる。
【0077】
図6は、車両客室内のユーザに増強された音声を提供する方法600のフローチャートを示す。方法600のステップは、車両内に配置された周辺スピーカ(周辺スピーカ102など)のセットと通信し、更に車両内のそれぞれの座席位置に配置されたバイノーラルデバイス(バイノーラルデバイス110、112など)のセットと通信する、コントローラ(コントローラ504など)によって実行され得る。
【0078】
ステップ602で、コンテンツ信号が受信される。コンテンツ信号は、モバイルデバイス、ラジオ、衛星ラジオ、セルラー接続などの複数の潜在的なソースから受信され得る。コンテンツ信号は、低音コンテンツ及び上位範囲コンテンツを含む、オーディオ信号である。
【0079】
ステップ604において、空間オーディオ信号は、車両内のユーザの頭部の位置を示す位置信号に従ってバイノーラルデバイスに出力され、その結果、バイノーラルデバイスは、仮想音源から発せられたものとしてユーザによって知覚される空間音響信号を生成する。仮想音源は、一実施例では、車両の周辺スピーカの近くなど、車両客室内の選択された位置とすることができる。これは、仮想音源(例えば、空間点SP1、SP2)からの音をシミュレートするように音響信号を調整する、複数の頭部伝達関数(HRTF)に従って、バイノーラルデバイスへのオーディオ信号出力をフィルタリング及び/又は減衰することによって達成され得る。信号がバイノーラルである、すなわち、聴取者の耳の両方に関連するので、システムは、1つ以上のHRTFを利用して、聴取者の周りの様々な場所に特有の音をシミュレートすることができる。使用される特定の左及び右HRTFは、ユーザの左耳及び右耳の相対位置とそれぞれの空間位置との間で検出される方位角及び仰角の所与の組み合わせに基づいて選択され得ることを認識されたい。より具体的には、複数のHRTFがメモリに記憶され、ユーザの左耳及び右耳の検出された位置及び選択された空間位置に従って取り出され、かつ実装され得る。
【0080】
ユーザの頭部位置は、例えば、飛行時間センサ、LIDARデバイス、複数の二次元カメラ、ウェアラブル搭載慣性運動ユニット、近接センサ、又はこれらの構成要素の組み合わせから成り得る、頭部追跡デバイス(頭部追跡デバイス506、508など)の出力に従って決定され得る。更に、他の好適なデバイスが企図される。頭部追跡デバイスの出力は、ユーザの頭部の位置を検出するように訓練されたソフトウェア又はニューラルネットワークを実装することができる、専用コントローラ(例えば、コントローラ510)を通して処理され得る。
【0081】
ステップ606において、周辺スピーカは、コンテンツ信号の低音コンテンツが車室内で生成されるように駆動される。このようにして、バイノーラルデバイスによって生成された空間音響信号は、車両客室内の周辺スピーカによって増強される。ユーザの頭部の位置を検出することは、ユーザの耳の位置を直接的に検出すること、又はウェアラブルの位置を直接的に検出することを含む、ユーザの耳のそれぞれの位置又はユーザによって装着されたウェアラブルの位置をそこから導出することができる、ユーザ又はユーザによって装着されたウェアラブルの任意の部分を検出することを含むことができる。
【0082】
方法600は、単一のバイノーラルデバイスによって提供される空間音響信号を増強するための方法を説明しているが、方法600は、客室全体にわたる異なる聴取ゾーンにおいてそれぞれのコンテンツ信号の低音コンテンツを生成するように周辺スピーカを配列することによって、複数のバイノーラルデバイスによって提供される複数のコンテンツ信号を増強するように拡張され得る。そのような方法のステップは、方法400において、
図1A及び
図1Bに関連して説明される。
【0083】
本明細書に記載される機能又はその部分、及びその種々の修正(以下「機能」)は、少なくとも部分的に、コンピュータプログラム製品(例えば、1つ以上のデータ処理装置、例えば、プログラム可能プロセッサ、コンピュータ、複数のコンピュータ、及び/若しくはプログラム可能論理構成要素による実行のための、又はその動作を制御するための、1つ以上の非一時的機械可読媒体又は記憶デバイスなどの情報キャリアにおいて有形に具現化されたコンピュータプログラム)を介して実装され得る。
【0084】
コンピュータプログラムは、コンパイル型言語又はインタプリタ型言語を含む任意の形態のプログラム言語で書き得るが、それは、独立型プログラムとして、又はコンピューティング環境での使用に好適なモジュール、構成要素、サブルーチン若しくは他のユニットとして含む任意の形態で配設され得る。コンピュータプログラムは、1つのコンピュータ上で、若しくは1つの設置先における複数のコンピュータ上で実行されるように配設され得るか、又は複数の設置先にわたって配信されて、ネットワークによって相互接続され得る。
【0085】
機能の全部又は一部を実装することと関連した動作は、較正プロセスの機能を実施するために1つ以上のコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラム可能なプロセッサによって、実施され得る。機能の全部又は一部は、特殊目的論理回路、例えば、FPGA及び/又はASIC(application-specific integrated circuit)(特定用途向け集積回路)として実装され得る。
【0086】
コンピュータプログラムの実行に好適なプロセッサとしては、例として、汎用マイクロプロセッサ及び特殊目的マイクロプロセッサの両方並びに任意の種類のデジタルコンピュータの任意の1つ以上のプロセッサが挙げられる。一般的に、プロセッサは、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、又はその両方から命令及びデータを受信することになる。コンピュータの構成要素は、命令を実行するためのプロセッサ並びに命令及びデータを記憶するための1つ以上のメモリデバイスを含む。
【0087】
本明細書において、いくつかの本発明の実施形態について説明及び例解してきたが、当業者であれば、様々な他の手段及び/若しくは機能の実行及び/若しくは結果を得るための構造、並びに/又は本明細書に説明される1つ以上の利点を容易に想起し、こうした変更形態及び/又は修正の各々は、本明細書に説明される本発明の実施形態の範囲内にあるとみなされる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に説明されるパラメータ、寸法、材料及び構成の全てが例示的であること、実際のパラメータ、寸法、材料、及び/又は構成が、具体的な用途又は本発明の教示が使用される用途に依存するであろうことを、容易に理解するであろう。当業者であれば、本明細書に説明される具体的な本発明の実施形態に対する多くの同等物を、通常の実験のみを使用して認識するか、又は確認することができるであろう。したがって、前述の実施形態は、単なる例として提示されたものであり、添付の特許請求の範囲及びその等価物の範囲内で、具体的に記載及び特許請求されるものとは別様に本発明の実施形態を実践することができるということを理解されたい。本開示の本発明の実施形態は、本明細書に説明される各個々の特徴、システム、物品、材料、及び/又は方法に関する。更に、2つ以上のこうした特徴、システム、物品、材料及び/又は方法のいかなる組み合わせも、こうした特徴、システム、物品、材料及び/又は方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0088】
100 車両客室
102 スピーカ
104 コントローラ
106 第1の聴取ゾーン
108 第2の聴取ゾーン
110 第1のバイノーラルデバイス
112 第2のバイノーラルデバイス
114 第1の音響信号
116 第2の音響信号
118L 左スピーカ
118R 右スピーカ
120L 左スピーカ
120R 右スピーカ
122 モバイルデバイス
124 プロセッサ
126 非一時的記憶媒体
130 頭部追跡デバイス
200 フレーム
202L 左スピーカ
202R 右スピーカ
204L 左テンプル
204R 右テンプル
300 オープンイヤーヘッドホン
302L 左スピーカ
302R 右スピーカ
504 コントローラ
506 第1の頭部追跡デバイス
508 第2の頭部追跡デバイス
510 コントローラ
512 プロセッサ
514 非一時的記憶媒体
【国際調査報告】