(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】テトラヒドロカンナビノールおよびそれを含む組成物を用いて急性呼吸不全および/または急性呼吸窮迫症候群を治療するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/352 20060101AFI20231114BHJP
A61P 11/16 20060101ALI20231114BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20231114BHJP
A61K 31/15 20060101ALI20231114BHJP
A61K 38/21 20060101ALI20231114BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20231114BHJP
A61K 31/198 20060101ALI20231114BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20231114BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20231114BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20231114BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20231114BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20231114BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20231114BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20231114BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20231114BHJP
A61K 31/4045 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61K31/352
A61P11/16
A61P11/00
A61K31/15
A61K38/21
A61P43/00 121
A61K31/198
A61K47/44
A61K47/02
A61K9/72
A61K9/02
A61K9/08
A61K9/48
A61K47/38
A61P31/14
A61K31/4045
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527005
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-09
(86)【国際出願番号】 US2021057433
(87)【国際公開番号】W WO2022094330
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-01-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-08-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523156888
【氏名又は名称】ナギー、 アウラングゼーブ ナフィーズ
【氏名又は名称原語表記】NAGY, Aurangzeb Nafees
【住所又は居所原語表記】3012 S. Durango Dr. Las Vegas, Nevada 89117 (US)
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】ナギー、 アウラングゼーブ ナフィーズ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA01
4C076AA12
4C076AA56
4C076AA93
4C076BB01
4C076BB13
4C076BB25
4C076BB27
4C076BB29
4C076CC35
4C076DD23
4C076DD29
4C076EE32A
4C076EE53
4C084AA02
4C084BA01
4C084DA21
4C084DA22
4C084DA23
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4C084ZC75
4C086AA01
4C086AA02
4C086BA08
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4C086MA03
4C086MA05
4C086MA10
4C086MA13
4C086MA17
4C086MA31
4C086MA37
4C086MA52
4C086MA59
4C086MA60
4C086MA65
4C086MA66
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA59
4C086ZA60
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4C086ZC75
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4C206AA02
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4C206MA14
4C206MA33
4C206MA37
4C206MA51
4C206MA57
4C206MA72
4C206MA79
4C206MA80
4C206MA85
4C206MA86
4C206NA05
4C206NA14
4C206ZA59
4C206ZA60
4C206ZB33
4C206ZC75
(57)【要約】
それを必要とする対象において急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)(任意にCOVID-19に罹患した対象において引き起こされる)を治療する方法であって、本方法は、テトラヒドロカンナビノール(THC)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせ、および任意に、インターフェロン(IFN)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせ、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせ、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせの1以上を含む、治療上有効な量の組成物または組み合わせを対象者に投与することを含む。
【選択図】
図4A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、任意に末期のARFまたは末期のARDSを有する対象の治療に使用するための、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を備える、
組成物。
【請求項2】
前記THCまたはその類似体は、THCA、THC、THCVA、THCV、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項1に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項3】
前記THCまたはその類似体は、Δ9-THCである、
請求項1または2に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項4】
前記THCは、ドロナビノールである、
請求項1から3のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項5】
前記THCまたはその類似体またはその組み合わせは、約0.5mg/mLから約30mg/mLの濃度で前記組成物中に存在する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項6】
前記THCまたはその類似体またはその組み合わせは、約2.5mg/mLから約10mg/mLの濃度で前記組成物中に存在する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項7】
前記THCまたはその類似体またはその組み合わせは、約5mg/mLの濃度で前記組成物中に存在する、
請求項1から6のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項8】
前記組成物中に存在する、前記THCまたはその類似体またはその組み合わせの量は、約0.5mgから約30mg、好ましくは約2.5mgから約30mgまたは約2.5mgから約10mgである、
請求項1から4のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項9】
前記組成物中に存在する、前記THCまたはその類似体またはその組み合わせの量は、約2.5mg、約5mg、約6.25mgまたは約10mgである、
請求項1から4または8のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項10】
前記組成物中に存在する、前記THCまたはその類似体またはその組み合わせの量は、約2.5mgまたは5mgまたは6.25mgである、
請求項1から4のいずれか一項または請求項8から9に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項11】
前記組成物は、フルボキサミンまたはその類似体をさらに備える、
請求項1から10のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項12】
前記フルボキサミンまたはその類似体は、約50mg/mLから約150mg/mL、任意に約75mg/mLから約150mg/mL、任意に約50mg/mL、任意に約100mg/mL、任意に約150mg/mLの濃度で前記組成物中に存在する、
請求項11に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項13】
前記フルボキサミンまたはその類似体またはその組み合わせは、約50mgから約450mg、任意に約75mgから約300mg、任意に50mg、任意に100mg、任意に約134mg、任意に約148mgまたは任意に150mgの量で前記組成物中に存在する、
請求項11または12に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項14】
前記組成物は、インターフェロン(IFN)またはその類似体をさらに備える、
請求項1から13のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項15】
前記IFNは、インターフェロンα(IFN-α)、インターフェロンβ(IFN-β)、および/またはインターフェロンλ(IFN-λ)である、
請求項14に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項16】
前記IFN-αは、IFN-α2bである、
請求項14または15に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項17】
前記IFN-αは約2.5IU/mLの濃度で前記組成物中に存在し、前記IFN-βは約3IU/mLの濃度で前記組成物中に存在し、および/または前記IFN-λは約3IU/mLの濃度で前記組成物中に存在する、
請求項14または15に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項18】
前記IFN-αは約2.5IUの量で前記組成物中に存在し、前記IFN-βは約3IUの量で前記組成物中に存在し、および/または前記IFN-λは約3IUの量で前記組成物中に存在する、
請求項14または15に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項19】
前記組成物は、アセチルシステインまたはその類似体をさらに備える、
請求項1から18のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項20】
前記アセチルシステインまたはその類似体またはその組み合わせは、前記組成物全体の約10%から約20%の量で前記組成物中に存在する、
請求項19に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項21】
前記アセチルシステインまたはその類似体またはその組み合わせは、前記組成物全体に対して約10%の量で前記組成物中に存在する、
請求項19または20に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項22】
前記アセチルシステインまたはその類似体またはその組み合わせは、前記組成物全体に対して約20%の量で前記組成物中に存在する、
請求項19または20に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項23】
前記アセチルシステインまたはその類似体またはその組み合わせは、約600mgの量で前記組成物中に存在する、
請求項19から22のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項24】
前記組成物は、1以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体をさらに備え、任意に、1以上の薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤は、それぞれ独立して、ゴマ油、二酸化ケイ素、塩化ナトリウムおよびそれらの組み合わせから選択される、
請求項1から23のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項25】
前記組成物は、ARF、任意に末期のARFを治療するためのものである、
請求項1から24のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項26】
前記組成物は、ARDS、任意に末期のARDSを治療するためのものである、
請求項1から25のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項27】
前記組成物は、サイトカインストームを経験している対象を治療するためのものである、
請求項1から26のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項28】
前記組成物は、COVID-19に罹患した対象のARF、ARDSおよび/またはサイトカインストームを治療するためのものである、
請求項1から27のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項29】
前記対象は入院しており、かつ/または低酸素状態である、
請求項1から28のいずれか一項に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項30】
前記低酸素状態の対象は、約93%未満のO
2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO
2/FiO
2比、または過去24時間におけるPaO
2/FiO
2比の約30%超の減少を有する、
請求項29に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項31】
前記低酸素状態の対象は、約93%未満のO
2飽和度を有する、
請求項29または30に記載の治療に使用するための組成物。
【請求項32】
テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体、およびフルボキサミンまたはその類似体を備える、
組成物。
【請求項33】
前記THCまたはその類似体は、THCA、THC、THCVA、THCV、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記THCまたはその類似体は、Δ9-THCである、
請求項32または33に記載の組成物。
【請求項35】
前記THCは、ドロナビノールである、
請求項32から34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記THCまたはその類似体またはその組み合わせは、約0.5mg/mLから約30mg/mLの濃度で前記組成物中に存在する、
請求項32から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記THCまたはその類似体またはその組み合わせは、約2.5mg/mLから約10mg/mLの濃度で前記組成物中に存在する、
請求項32から36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記THCまたはその類似体またはその組み合わせは、約5mg/mLの濃度で前記組成物中に存在する、
請求項32から37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記組成物中に存在する、前記THCまたはその類似体またはその組み合わせの量は、約0.5mgから約30mg、任意に約2.5mgから約10mgである、
請求項32から35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記組成物中に存在する、前記THCまたはその類似体またはその組み合わせの量は、約2.5mgまたは約5mgまたは約6.25mgである、
請求項32から35のいずれか一項または請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記組成物中に存在する、前記THCまたはその類似体またはその組み合わせの量は、約6.25mgである、
請求項32から35のいずれか一項または請求項39から40に記載の組成物。
【請求項42】
前記フルボキサミンまたはその類似体またはその組み合わせは、約50mg/mLから約150mg/mL、任意に約75mg/mLから約150mg/mL、任意に約50mg/mL、任意に約100mg/mL、任意に約150mg/mLの濃度で前記組成物中に存在する、
請求項32から41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記フルボキサミンまたはその類似体またはその組み合わせは、約50mgから約450mg、任意に約75mgから約300mg、任意に約50mg、任意に約100mg、任意に約134mg、任意に約148mg、または任意に約150mgの量で前記組成物中に存在する、
請求項32から42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記組成物は、インターフェロン(IFN)またはその類似体をさらに備える、
請求項32から43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記IFNは、インターフェロンα(IFN-α)、インターフェロンβ(IFN-β)、および/またはインターフェロンλ(IFN-λ)である、
請求項44に記載の組成物。
【請求項46】
前記IFN-αは約2.5IUの量で前記組成物中に存在し、前記IFN-βは約3IUの量で前記組成物中に存在し、または前記IFN-λは約3IUの量で前記組成物中に存在する、
請求項44または45に記載の組成物。
【請求項47】
前記組成物は、アセチルシステインまたはその類似体をさらに備える、
請求項32から43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記アセチルシステインまたはその類似体またはその組み合わせは、約600mgの量で前記組成物中に存在する、
請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物は、1以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体をさらに備え、任意に、1以上の薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤は、それぞれ独立して、ゴマ油、二酸化ケイ素、塩化ナトリウムおよびそれらの組み合わせから選択される、
請求項32から48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体またはその組み合わせを含むTHC組成物と、
フルボキサミンまたはその類似体またはその組み合わせを含むフルボキサミン組成物と、
を備える、
組み合わせ治療。
【請求項51】
前記THCまたはその類似体は、THCA、THC、THCVA、THCV、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、
請求項50に記載の組み合わせ治療。
【請求項52】
前記THCまたはその類似体は、Δ9-THCである、
請求項50または51に記載の組み合わせ治療。
【請求項53】
前記THCは、ドロナビノールである、
請求項50から52のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項54】
前記THC組成物は、約0.5mgから約30mg、任意に約2.5mgから約10mgのTHCまたはその類似体またはその組み合わせを含む、
請求項50から53のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項55】
前記THC組成物は、約2.5mg、約5mgまたは約6.25mgのTHCまたはその類似体またはその組み合わせを含む、
請求項50から54のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項56】
前記THC組成物は、約2.5mgまたは6.25mgのTHCまたはその類似体またはその組み合わせを含む、
請求項50から54のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項57】
前記フルボキサミン組成物は、約50mgから約450mg、任意に約50mg、任意に約100mg、任意に約134mg、任意に約148mgまたは任意に約150mgのフルボキサミンまたはその類似体またはその組み合わせを含む、
請求項50から57のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項58】
前記THC組成物は、THCまたはその類似体またはその組み合わせを約0.5mg/mLから約30mg/mLの濃度で含む、
請求項50から53のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項59】
前記THC組成物は、約2.5mg/mLから約10mg/mLの濃度のTHCまたはその類似体またはその組み合わせを含む、
請求項50から53または58のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項60】
前記THC組成物は、THCまたはその類似体またはその組み合わせを約5mg/mLの濃度で含む、
請求項50から53、58、のいずれか一項または請求項59に記載の組み合わせ治療。
【請求項61】
前記フルボキサミン組成物は、フルボキサミンまたはその類似体またはその組み合わせを約50mg/mLから約150mg/mL、任意に約75mg/mLから約150mg/mL、任意に約50mg/mL、任意に約100mg/mL、任意に約150mg/mLの濃度で含む、
請求項50から53のいずれか一項または請求項58から60に記載の組み合わせ治療。
【請求項62】
前記THC組成物および前記フルボキサミン組成物の一方または両方は、吸入または経口、静脈内、経鼻内または坐剤投与のために製剤される、
請求項50から61のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項63】
前記THC組成物および前記フルボキサミン組成物の一方または両方は、1以上の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤または担体をさらに備え、任意に、1以上の薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤は、それぞれ独立して、ゴマ油、二酸化ケイ素、塩化ナトリウムおよびそれらの組み合わせから選択される、
請求項50から61のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項64】
急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、任意に末期のARFおよび/または末期のARDSを、それを必要とする対象において治療する方法であって、
テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を含む組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療を前記対象に施すことを備える、
方法。
【請求項65】
THCまたはその類似体を含む前記組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、1日2回(B.I.D)施される、
請求項64に記載の方法。
【請求項66】
THCまたはその類似体を含む前記組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、1日3回(T.I.D)施される、
請求項64に記載の方法。
【請求項67】
THCまたはその類似体を含む前記組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、前記THCまたはその類似体の、約12.5mg、約10mg、約6.25mg、5mgまたは約2.5mgの用量または一日量を送達するのに充分な量で施される、
請求項64から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
THCまたはその類似体を含む前記組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、前記THCまたはその類似体の、約2.5mg、約5mgまたは約6.25mgの用量を送達するのに充分な量で施される、
請求項64から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
THCまたはその類似体を含む前記組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、前記THCまたはその類似体の、約10mgまたは12.5mgの一日量を送達するのに充分な量で施される、
請求項64から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項70】
THCまたはその類似体を含む前記組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、前記THCまたはその類似体の、約1mgから約30mgの一日量を送達するのに充分な量で施される、
請求項64から66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項71】
請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、1日2回(B.I.D)施される、
請求項64から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、1日3回(T.I.D)施される、
請求項64から70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、前記フルボキサミンまたはその類似体の、約200mg、約268mg、約296mgまたは約300mgの一日量を送達するのに充分な量である、
請求項64から72のいずれか一項に記載の方法。
【請求項74】
請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、前記フルボキサミンまたはその類似体の、
約100mgから約300mg、任意に134mgから296mg、任意に約268mgの一日量を送達するのに充分な量である、
請求項64から70のいずれか一項、または請求項72に記載の方法。
【請求項75】
前記方法は、ARF、任意に末期のARFを治療するためのものである、
請求項64から74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
前記方法は、ARDS、任意に末期のARDSを治療するためのものである、
請求項64から75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記対象は、サイトカインストームを経験している、
請求項64から76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記対象は、COVID-19に罹患している、
請求項64から77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記対象は入院しており、かつ/または低酸素状態である、
請求項64から78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記低酸素状態の対象は、約93%未満のO
2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO
2/FiO
2比、または過去24時間におけるPaO
2/FiO
2比の約30%超の減少を有する、
請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記低酸素状態の対象は、約93%未満のO
2飽和度を有する、
請求項79または80に記載の方法。
【請求項82】
THCまたはその類似体を含む前記組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療は、経口的に、吸入によって、静脈内に、鼻腔内に、または坐剤によって施される、
請求項64から81のいずれか一項に記載の方法。
【請求項83】
前記対象はヒトである、
請求項64から82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記方法は、THCまたはその類似体を含む前記組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療を前記対象に施す約10分から約15分前に、気管支拡張剤を前記対象に投与することをさらに備える、
請求項64から83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記方法は、請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療を同時に、別々に、または連続して施すことを備える、
請求項64から84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
対象における急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を含む組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療の、
使用。
【請求項87】
対象における急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、任意に末期のARFおよび/または末期のADRFを治療するためのものである医薬の製造における、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を含む組成物、請求項32から49のいずれか一項に記載の前記組成物、または請求項50から63のいずれか一項に記載の前記組み合わせ治療の、
使用。
【請求項88】
前記対象は、ヒトである、
請求項86または87に記載の使用。
【請求項89】
前記使用は、ARF、任意に末期のARFを治療するためのものである、
請求項86から88のいずれか一項に記載の使用。
【請求項90】
前記使用は、ARDS、任意に末期のARDSを治療するためのものである、
請求項86から88のいずれか一項に記載の使用。
【請求項91】
前記使用は、サイトカインストームを経験している対象を治療するためのものである、
請求項86から90のいずれか一項に記載の使用。
【請求項92】
前記対象は、COVID-19に罹患している、
請求項86から91のいずれか一項に記載の使用。
【請求項93】
前記対象は入院しており、かつ/または低酸素状態である、
請求項86から92のいずれか一項に記載の使用。
【請求項94】
前記低酸素状態の対象は、約93%未満のO
2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO
2/FiO
2比、または過去24時間におけるPaO
2/FiO
2比の約30%超の減少を有する、
請求項93に記載の使用。
【請求項95】
前記低酸素状態の対象は、約93%未満のO
2飽和度を有する、
請求項93または94に記載の使用。
【請求項96】
前記フルボキサミンの類似体は、フルボキサミンの塩である、
請求項1から31のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項97】
前記フルボキサミンの類似体は、フルボキサミンの塩である、
請求項32から49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項98】
前記フルボキサミンの類似体は、フルボキサミンの塩である、
請求項50から63のいずれか一項に記載の組み合わせ。
【請求項99】
前記フルボキサミンの類似体は、フルボキサミンの塩である、
請求項64から85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記フルボキサミンの類似体は、フルボキサミンの塩である、
請求項86から95のいずれか一項に記載の使用。
【請求項101】
前記フルボキサミンの塩は、マレイン酸フルボキサミンである、
請求項96に記載の使用するための組成物、請求項97に記載の組成物、請求項98に記載の組み合わせ、請求項99に記載の方法または請求項100に記載の使用。
【請求項102】
前記THC対フルボキサミンの比は、重量に基づいて約0.02:1から約0.075:1である、
請求項96から101のいずれか一項に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項103】
前記THC対フルボキサミンの比は、重量に基づいて約0.025:1から約0.05:1、約0.03:1から約0.04:1、約0.069:1から約0.072:1、または約0.035:1である、
請求項102に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項104】
1以上の薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤をさらに備える、
請求項96から103のいずれか一項に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項105】
1以上の薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤は、それぞれ独立して、ゴマ油、二酸化ケイ素、塩化ナトリウムおよびそれらの組み合わせから選択される、
請求項104に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項106】
ゴマ油および二酸化ケイ素をさらに備える、
請求項96から103のいずれか一項に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項107】
塩化ナトリウムをさらに備える、
請求項106に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項108】
前記組成物は、
約55wt%から約70wt%のゴマ油と、
約1wt%から約3wt%の二酸化ケイ素と、
約25wt%から約40wt%のフルボキサミンまたはその類似体と、
約0.85%から約3wt%のTHCまたはその類似体と、
を備える、
請求項105から107のいずれか一項に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項109】
前記組成物は、
約58wt%から約67wt%のゴマ油と、
約2wt%から約3wt%の二酸化ケイ素と、
約29wt%から約37wt%のフルボキサミンまたはその類似体と、
約1wt%から約2.5wt%のTHCまたはその類似体と、
を備える、
請求項108に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項110】
約60wt%から約66wt%のゴマ油と、
約2wt%から約2.5wt%の二酸化ケイ素と、
約31wt%から約35wt%のフルボキサミンまたはその類似体と、
約1wt%から約2.5wt%のTHCまたはその類似体と、
を備える、
請求項108または109に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項111】
約64wt%のゴマ油と、
約2.2wt%の二酸化ケイ素、と
約32.6wt%のフルボキサミンまたはその類似体と、
約1.2wt%のTHCまたはその類似体と、
を備える、
請求項108から110のいずれか一項に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項112】
約62.7wt%から約64.2wt%のゴマ油と、
約2.2wt%の二酸化ケイ素と、
約32.6wt%のフルボキサミンまたはその類似体と、
約1wt%から約2.5wt%のTHCまたはその類似体と、
を備える、
請求項108から110のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項113】
約62.7wt%のゴマ油と、
約2.2wt%の二酸化ケイ素と、
約32.6wt%のフルボキサミンまたはその類似体と、
約2.5wt%のTHCまたはその類似体と、
を備える、
請求項108から110のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項114】
前記フルボキサミンまたはその類似体は、マレイン酸フルボキサミンであり、および/または前記THCまたはその類似体は、Δ9-THCである、
請求項108から113のいずれか一項に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項115】
前記組成物はカプセルの形態であって、任意にカプセルはソフトゲルカプセル、任意にヒドロキシポルピルメチルセルロース(HPMC)カプセルである、
請求項114に記載の使用するための組成物、組成物、組み合わせ、方法または使用。
【請求項116】
任意にサイトカインストームによって引き起こされる、末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療に使用するための、
請求項96から115のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項117】
末期のARFの治療における、
請求項116に記載の使用するための組成物。
【請求項118】
末期のARDSの治療における、
請求項116または117に記載の使用するための組成物。
【請求項119】
サイトカインストームの治療における、
請求項116から118のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項120】
COVID-19に罹患している対象の治療における、
請求項116から119のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項121】
前記組成物は、入院および/または低酸素状態である対象において使用するためのものである、
請求項116から120のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項122】
前記対象は、約93%未満のO
2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO
2/FiO
2比、または過去24時間におけるPaO
2/FiO
2比の約30%超の減少を有する、
請求項121に記載の使用するための組成物。
【請求項123】
前記対象は、約93%未満のO
2飽和度を有する、
請求項121に記載の使用するための組成物。
【請求項124】
前記組成物は、任意に、THCの約5mgから約25mg、約5mgから約23mg、または約10mgから約22mgの一日量、およびフルボキサミンの約25mgから900mg、約75mgから約600mg、約100mgから約300mg、約100mgから約268mg、約200mgから約268mg、約100mgから約230mg、約200mgから約230mg、約210mgから約220mg、または約213mgから約218mgの一日量を達成するように、1日2回または3回使用される、
請求項116から123のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項125】
前記組成物は、経口使用するためのものである、
請求項116から124のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項126】
テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体、およびフルボキサミンまたはその類似体を、それを必要とする対象に投与することを備える、
サイトカインストームによって引き起こされる、末期の急性呼吸不全(ARF)および/または末期の急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するためのものである、請求項64に記載の方法。
【請求項127】
前記方法は、末期のARFを治療するためのものである、
請求項126に記載の方法。
【請求項128】
前記方法は、末期のARDSを治療するためのものである、
請求項126に記載の方法。
【請求項129】
前記方法は、サイトカインストームを治療するためのものである、
請求項126から128のいずれか一項に記載の方法。
【請求項130】
前記方法は、COVID-19に罹患している対象を治療するためのものである、
請求項126から129のいずれか一項に記載の方法。
【請求項131】
前記対象は、入院および/または低酸素状態である、
請求項126から130のいずれか一項に記載の方法。
【請求項132】
前記対象は、約93%未満のO
2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO
2/FiO
2比、または過去24時間におけるPaO
2/FiO
2比の約30%超の減少を有する、
請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記対象は、約93%未満のO
2飽和度を有する、
請求項131に記載の方法。
【請求項134】
前記THCまたはその類似体およびフルボキサミンまたはその類似体の投与は、請求項96から115のいずれか一項に記載の組成物を投与することを含む、
請求項126から133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
前記THCまたはその類似体およびフルボキサミンまたはその類似体は、任意に、THCの約5mgから約25mg、約5mgから約23mg、または約10mgから約22mgの一日量、およびフルボキサミンの約25mgから900mg、約75mgから約600mg、約100mgから約300mg、約100mgから約268mg、約200mgから約268mg、約100mgから約230mg、約200mgから約230mg、約210mgから約220mg、または約213mgから約218mgの一日量を達成するために、1日2回投与される、
請求項126から134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
前記THCまたはその類似体およびフルボキサミンまたはその類似体は、経口投与される、
請求項126から135のいずれか一項に記載の方法。
【請求項137】
任意にサイトカインストームによって引き起こされる、急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、任意に末期のARFおよび/または末期のARDSの治療のための医薬の製造において使用するための、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体およびフルボキサミンまたはその類似体を備える、
組成物。
【請求項138】
前記医薬は、ARF、任意に末期のARFの治療するためのものである、
請求項137に記載の使用するための組成物。
【請求項139】
前記医薬は、ARDS、任意に末期のARDSの治療するためのものである、
請求項137に記載の使用するための組成物。
【請求項140】
前記医薬は、サイトカインストームを治療するためのものである、
請求項137から139のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項141】
前記医薬は、COVID-19に罹患している対象を治療するためのものである、
請求項137から140のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項142】
前記医薬は、入院および/または低酸素状態にある対象に使用するためのものである、
請求項137から141のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項143】
前記対象は、約93%未満のO
2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO
2/FiO
2比、または過去24時間におけるPaO
2/FiO
2比の約30%超の減少を有する、
請求項142に記載の使用するための組成物。
【請求項144】
前記対象は、約93%未満のO
2飽和度を有する、
請求項142に記載の使用するための組成物。
【請求項145】
前記組成物は、請求項96から115のいずれか一項に記載される通りである、
請求項137から144のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項146】
前記医薬は、任意に、THCの約5mgから約25mg、約5mgから約23mg、または約10mgから約22mgの一日量、およびフルボキサミンの約25mgから900mg、約75mgから約600mg、約100mgから約300mg、約100mgから約268mg、約200mgから約268mg、約100mgから約230mg、約200mgから約230mg、約210mgから約220mg、または約213mgから約218mgの一日量を達成するように、1日2回使用される、
請求項137から145のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項147】
前記医薬は、経口使用するためのものである、
請求項137から146のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項148】
前記組成物は、メラトニンをさらに含む、
請求項1から31、96、101から125および137から147のいずれか一項に記載の使用するための組成物。
【請求項149】
前記組成物は、メラトニンをさらに含む、
請求項32から49、97、101から115のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項150】
前記組み合わせ治療は、メラトニンをさらに含む、
請求項50から63、98、101から115のいずれか一項に記載の組み合わせ治療。
【請求項151】
前記方法は、メラトニンを投与することをさらに含む、
請求項64から85、99、101から115および126から139のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記使用は、メラトニンを使用することをさらに含む、
請求項86から95、100、および101から115のいずれか一項に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、テトラヒドロカンナビノール(THC)およびそれを含む組成物または組み合わせを使用した、例えば、COVID-19などのウイルス感染によって引き起こされる、急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療に用いられる方法、組み合わせ、および組成物に関する。
【0002】
本PCT出願は、その全体が本明細書に組み込まれる、2020年10月29日に出願の米国仮特許出願第63/107,201号、2020年10月30日に出願の米国仮特許出願第63/107,873号、2020年12月21日に出願の米国仮特許出願第63/128,755号、2021年1月7日に出願の米国仮特許出願第63/134,919号、2021年8月20日に出願の米国仮特許出願第63/235,659号、および2021年10月6日に出願の米国仮特許出願第63/252,912号の、それぞれの利益を主張する。
【背景技術】
【0003】
COVID-19などのウイルス感染によって引き起こされる急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の患者に見られるような急性呼吸不全は、重篤になる可能性がある。
【0004】
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、地球上の全人類の健康や生命に深刻な影響を与える世界的流行病である。2019年秋の推定第1感染から2020年11月までに、5500万件を超えるCOVID-19の症例が世界中で確認されており、COVID-19に起因する130万人以上の死亡が記録されている。SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、COVID-19を引き起こすコロナウイルス科ベータコロナウイルス属に属する。SARS-CoV-2の基本再生産数(R0)は、感染した指針症例1人当たり1.4~5.7人に二次感染させると推定されており、感染力が強く、急速に拡散するウイルスである。
【0005】
ヒトに感染することが知られているコロナウイルスは、他に6種類ある。このうち4つは風邪の原因、残りの2つは死に至る可能性のある疾患の原因となっている。これらの残りの2つのコロナウイルスは、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)およびMERSコロナウイルス(MERS-CoV)である。これらの2つのウイルスは、動物の集団から発生したと考えられている。
【0006】
SARS-CoV-2は、直鎖状RNAを有する、一本鎖陽方向鎖RNAウイルスであり、現在のところ、感染したヒトの患者から呼吸器の飛沫を介して主に拡散すると考えられている。SARS-CoV-2の全ゲノムは、約3万塩基長であり、患者の検体から抽出されたRNAから配列が同定されている。SARS-CoV-2は、スパイクまたはSタンパク質、エンベロープまたはEタンパク質、膜またはMタンパク質、およびヌクレオカプシドまたはNタンパク質の4つの構造タンパク質を含む。スパイク、E、およびMタンパク質は、直鎖状RNAを含むウイルス遺伝子コアを包んでいる。RNAは、Nタンパク質によってコア内に密集している。スパイクタンパク質はウイルスの一部であり、標的細胞の細胞膜表面タンパク質と相互作用して、ウイルスをそれらの細胞に侵入させると考えられている。スパイクタンパク質は、ウイルスの表面/エンベロープ上に配置されている。
【0007】
SARS-CoV-2ウイルスに感染して0日目に、ウイルスは鼻洞の上皮に感染する。その後、肺に移動し、約2日目までには、肺のウイルス量は鼻腔のウイルス量と同様となる。約4日目までには、肺への感染プロセスが進み、ウイルス性下気道感染症の典型的な症状(乾いた咳、喉の痛み、息切れ、発熱など)が見られるようになる。免疫系が正常に機能している患者においては、通常、約7日目までにウイルス活動はほぼ抑制されるが、発症から21日目まではウイルスRNAが検出され続ける。年齢と予後の悪さは正の相関があり、これは高齢者に見られる免疫老化に起因すると考えられる。
【0008】
SARS-CoV-2は、一部の人々が他の人々よりも重い影響を受けるようである。ほとんどの感染者は軽度の症状であるが、他の患者は高い罹患率を示し、死亡することもある。なぜこのようなことが起こるのか、多くの憶測が飛び交っている。専門家は、その理由の50%は遺伝的なものだと推測している。A型または特定のHLA型の血液の患者はより感受性が高いが、しかしながら、これらの情報は、その違いを十分に説明するものではない。
【0009】
COVID-19感染症プロセスは、7日目に3つの経路に分岐する。患者の大部分は回復し始める。第2の患者集団は、サイトカインストームを発症する場合がある。第3の患者集団は、播種性ウイルス感染から回復せず、びまん性臓器不全を発症し、死に至る。
【0010】
サイトカインストームの経路では、細胞傷害性免疫細胞(例えば、細胞傷害性Tリンパ球およびナチュラルキラー細胞)は、その表面上にウイルスタンパク質が存在しているSARS-CoV-2ウイルスに感染した標的細胞を攻撃する。通常、細胞傷害性免疫細胞は、標的細胞膜を貫通するパーフォリンというタンパク質を生成する。そして、細胞傷害性免疫細胞は、穿孔した標的細胞に複数の細胞毒性剤を放出してアポトーシスを引き起こす。同時に、細胞傷害性免疫細胞は、アポトーシス時にできたデブリを除去するために、マクロファージをその部位に呼び寄せる他のサイトカイン(例えば、トランスフォーミング増殖成長因子ベータ(TGF-β)、インターロイキン6(IL-6))を分泌する。
【0011】
集団の10から15%において、パーフォリン遺伝子の2つのコピーのうちの1つが欠損しており、これらの患者はパーフォリン機能不全の影響を受けやすい。適切な状況で、これらの患者は、細胞傷害性免疫細胞がパーフォリンを利用してウイルスに感染した標的細胞を死滅させる能力の障害を経験する。しかし、細胞傷害性免疫細胞は、マクロファージをその部位に呼び寄せるためのサイトカインを分泌し続ける。その部位に呼び寄せられたマクロファージは、最初は後始末のために呼び寄せられたものの、マクロファージ自体もサイトカインを放出する。結果生じたサイトカインストームにおいて、マクロファージはフィブリンの沈着を増加させる。このマクロファージによるフィブリンの分泌は、線維芽細胞から分泌される細胞外マトリックスとともに、COVID-19の肺線維症/肺の狭窄や、胸部X線で見られるくもり硝子変性をもたらす。TGF-βの蓄積により、肺を覆う上皮細胞が結合組織の線維芽細胞に変化する。過剰なフィブリンおよび線維芽細胞の組み合わせは、COVID-19で頻繁に見られる不適切な血液凝固を増加させ得る。したがって、COVID-19の患者は、脳卒中や四肢の小血管における不適切な血液凝固を発症する傾向が増してしまうことがある。
【0012】
このウイルスは、鼻腔から始まり、肺へと多くの細胞に急速に感染していく。ウイルスが急速に進行するのは、細胞への侵入を可能にするウイルスの分子標的が、非常に多くの細胞や細胞種に広く発現しているためである。ほとんどの人は、身体の自然な免疫システムによってウイルスを除去することができる。少数の人は、身体がウイルスを除去することができず、多くの場合で患者を死に至らしめるサイトカインストームが発生する。現在、サイトカインストームはデキサメタゾンおよびIL-6アンタゴニストで治療し、ウイルス自体はレムデシビルで治療している。
【0013】
サイトカインストームは、細胞傷害性CD8+T細胞またはナチュラルキラー(NK)細胞系がウイルス感染細胞に付着し、ウイルス感染細胞が死滅しない場合に発生する。具体的には、SARS-CoV-2ウイルスに感染した細胞にNK細胞およびCD8+T細胞が結合した後、パーフォリンという分子を放出して標的細胞に穴を開け、CD8+T細胞またはNK細胞の他の毒素が標的細胞に入り込んで、細胞をアポトーシスさせて死滅させる。このプロセスの間、NK細胞およびCD8+T細胞は、標的細胞がアポトーシスを起こすまでサイトカインを分泌し、その後、炎症誘発性サイトカインの分泌を止めて、抗炎症性サイトカインの分泌に切り替える。患者によっては、パーフォリンが適切に機能しない者もいる(集団の5~15%が欠陥パーフォリン遺伝子を有する)。その場合には、標的細胞はアポトーシスを起こさないため、NK細胞およびCD8+T細胞は炎症誘発性サイトカインを産生し続け、サイトカインストームを引き起こしてしまう。
【0014】
SARS-CoV-2ウイルスは、ウイルスによる血管への直接攻撃、白血球から放出された外毒素ベシクルによる血管内皮細胞の酸化的損傷、および炎症反応による血管の透過性上昇などにより、肺胞毛細管付近で血液中に入る。その後、ウイルスは血液を介して腸管粘膜、腎臓、および脾臓に播種し、感染後4日目にはこれらの部位にウイルスが存在することが確認され、障害が発生する。
【0015】
感染経路としては、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が標的ヒト細胞のアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体に結合して、これらの細胞へのSARS-CoV-2の侵入を促進するという説がある。ACE2受容体は、ヒトの体内のほとんどの細胞に存在するが、肺の肺胞II型細胞、消化器系の上皮細胞、および腎臓の尿細管上皮など、繊毛を含む細胞膜に高発現することが知られている。ACE2受容体は通常、アンジオテンシン2を切断し、抗炎症特性を有する、より小さいタンパク質断片を生成する。SARS-CoV-2ウイルスが大量に存在するとACE2受容体の多くが結合して、アンジオテンシン2の切断が抑えられ、蓄積される。SARS-CoV-2ウイルスが引き起こす攻撃的な炎症反応には、抗炎症性タンパク質断片の切断産物の消失が寄与しているという説がある。他の説によると、アンジオテンシン2の蓄積による他の影響として、心筋症(SARS-CoV-2ウイルスが心筋細胞ACE2受容体に結合)、脳卒中(SARS-CoV-2ウイルスが脳血管内皮細胞ACE2受容体に結合)などが挙げられる。
【0016】
SARS-CoV-2ウイルスがヒトACE2受容体に結合した後、II型膜貫通型セリンプロテアーゼ(TMPRSS2)などの表面プロテアーゼは、タンパク質分解活性化、融合、標的細胞内のエンドソームへの内在化を促進する。SARS-CoV-2ウイルスが標的細胞のエンドソームに内在化された後、リソソームカテプシン(CTSL)タンパク質がSARS-CoV-2ウイルスを標的細胞の細胞質内に放出し、感染を促進する。標的細胞におけるSARS-CoV-2ウイルスの結合、内在化、および放出によって、標的細胞へのSARS-CoV-2感染が促進される。
【0017】
米国疾病管理センター(CDC)などの情報源から報告されるCOVID-19の症状一覧は、増加し進化している。数多くの様々な症状が、世界中の異なる患者グループから報告されている。COVID-19の症状は、軽症から重症まで様々である。COVID-19症状は、一般的にSARS-CoV-2ウイルス粒子に曝露してから2日から14日後に現れる。COVID-19の一般的な症状としては、咳、息切れ、発熱、および疲労などがある。頭痛、悪寒、筋肉痛または関節痛、咽頭痛などの他の症状も多くの患者に見られる。味覚および嗅覚の障害も報告されている。感染時には、肝酵素異常や血栓が形成される傾向が見られることがある。
【0018】
重症または重篤な患者は、進行性の肺炎、呼吸不全、腎不全、または低血圧などの症状を伴うサイトカイン放出症候群(サイトカインストーム)の徴候を示すことが多く、多くの場合、死に至る。重症または重篤な患者におけるサイトカインストームの証拠として、そのような患者の血液中のサイトカイン(例えば、インターロイキン-6)が高いレベルにあることが挙げられる。本明細書に記載されるように、サイトカインストームの間、患者の身体は、感染症と戦うことに加えて、自分自身の細胞および組織への攻撃も開始する。
【0019】
一説によると、SARS-CoV-2ウイルスに感染した特定の患者のサイトカインストームは、ウイルスが感染細胞内で素早く複製されることに起因すると言われている。これらの細胞は、大量のサイトカインを放出して自らを死滅させて病気の拡大を防ぐことで、反応している。残念ながら、大量のサイトカインタンパク質から生じるサイトカインストームは、近隣の細胞も死滅させてしまう。SARS-CoV-2ウイルス感染症では、細胞死の多くが肺組織で起こり、その結果、肺のガス伝達面が損傷し、液体で満たされる(すなわち「水浸しになる」)ことで悪化することがある。びまん性肺胞損傷は、肺組織の細胞死に起因するもので、死んだ細胞、タンパク質、および界面活性剤からなる硝子膜の沈着を含む。硝子膜の沈着は、肺のガス交換を制限することができる。この肺の損傷は、ガス交換を管理できない(例えば、酸素不足、二酸化炭素過多)ことから患者を死に至らしめる肺炎を引き起こすことができる。
【0020】
サイトカインストームの肺への影響は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含むがこれに限定されない、急性呼吸不全(ARF)につながる。ARFおよび/またはARDSは、上記の肺水腫、X線撮影の所見(例えば、両側のびまん性混濁)、および低酸素血症を特徴とする。そのため、ARFおよび/またはARDSは、呼吸不全を引き起こし、死亡率を増加させることができる。ARFおよび/またはARDSに対する承認された薬物療法がない場合、ARFおよび/またはARDSの治療は、対処療法および支持療法(例えば、人工呼吸器を用いる)に限定される。残念ながら、ARFおよび/またはARDSの死亡率は約40%である。
【0021】
上記のように、COVID-19による罹患率および死亡率の大部分は、感染した結果として発症するサイトカインストームの少なくとも一部に起因するARFおよび/またはARDSによるものである。IL-6は炎症誘発性サイトカインであり、サイトカインストームを抑制するための治療標的となる可能性がある(例えば、IL-6アンタゴニストを使用する)。
【0022】
トシリズマブは、IL-6受容体に対する組換えモノクローナル抗体(すなわち、IgG)である。そのため、トシリズマブはサイトカインストームに関与する患者の細胞上のIL-6受容体に結合して物理的にブロックし、IL-6炎症性経路を途絶させることができる。
残念ながら、トシリズマブの生物学的利用能は限られている。トシリズマブなどの抗体は、約150kDの大きさであるため、毛細血管の孔を通過することができない可能性がある。このサイズ制限は、トシリズマブなどの抗体の活性を、血管内のコンパートメントおよび炎症因子の作用により血管がすでに「漏出」している領域に制限することがある。
【0023】
インターフェロン(IFN)は、I型IFNおよびIII型IFNを含むが、これらに限定されない。インターフェロン-β(IFN-β)およびインターフェロン-α(IFN-α)を含むがこれらに限定されないI型IFNは、広域スペクトル抗ウイルス効果を有する。III型IFNは、インターフェロン-λ(IFN-λ)を含むが、これに限定されない。
【0024】
IFN-α(例えば、IFN-α2b)は、主要組織適合遺伝子複合体クラスI(MHC I)タンパク質の発現をアップレギュレートすることが示されており、これは、ウイルス抗原ペプチドの提示を増加させる。ウイルス抗原ペプチドの提示が増加すると、CD8+T細胞の活性化が進み、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)が形成される。CTLの増加は、CTLを介したアポトーシス(例えば、マクロファージによる)を増強する。IFN-αはまた、プロテインキナーゼRおよび2’-5’オリゴアデニル酸シンテターゼ(2’-5’Aシンテターゼ)などの他の抗ウイルスメディエーターの合成を増加させる。残念ながら、IFN-αは、炎症性タンパク質であるインターロイキン-6(IL-6)およびC反応性タンパク質(CRP)の血中濃度を増加させる。IFN-αは、I型干渉受容体に結合することでこれらの抗ウイルスメディエーターの発現機構を活性化し、受容体のリン酸化を引き起こし、これはシグナル伝達物質および転写活性化因子(STAT)を介して転写を活性化する。
【0025】
IFN-β(例えば、IFN-β-1a)は、感染領域への白血球の動員を減少させ、血管の漏出を最小限にすることによってARFおよび/またはARDSの重症度を低下させる酵素であるCD73酵素をアップレギュレートすることが示されている。CD73酵素は、抗炎症特性を有し、内皮細胞透過性を低下させ、低酸素状態での血管の完全性を高めるアデノシンを生成する。CD73酵素は、(血栓誘発性である)ADPおよび(炎症誘発性である)ATPを変換してアデノシンを生成する。
【0026】
IFN-λ(例えば、IFN-λ-1、IFN-λ-2、IFN-λ-3、および/またはIFN-λ-4)は、上皮表面において初期段階の抗ウイルス免疫反応を開始することが示されている。IFN-λおよびIL-28Rαはチロシンキナーゼ(TYK2およびJAK1)を活性化してIL-28Rαをリン酸化し、STATタンパク質に結合して様々な抗ウイルスタンパク質を生成する。IFN-λは、IFN-αまたはIFN-βに比べてIL-6産生の誘導が少ないと考えられている。
【0027】
COVID-19感染症による罹患や死亡の原因になる主要な部位の一つは患者の肺であるため、COVID-19感染症患者に吸入経路で薬剤を投与することで、COVID-19の患者を効率的に治療することができる。残念ながら、COVID-19は、肺胞に硝子膜が蓄積して、吸入経路で投与される薬剤を吸収する肺胞の能力を低下させるなどの、びまん性肺胞障害を引き起こすことがある。
【0028】
THCは、マウスでエンテロトキシン誘発性ARDSを治療するために使用される24。
【0029】
したがって、任意にCOVID-19感染症に起因する、ARFおよび/またはARDSの治療が必要とされている。
【発明の概要】
【0030】
実施形態は、THCおよびそれを含む組成物を用いてARFおよび/またはARDS(任意にCOVID-19によって引き起こされる)を治療するための組成物、組み合わせ治療、および方法を対象とする。特に、いくつかの実施形態は、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせと、任意に、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせと、任意に、インターフェロン(IFN)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせと、任意に、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはその組み合わせと、を含む組成物または組み合わせを用いて、ARFおよび/またはARDS(任意にCOVID-19によって引き起こされる)を処置するための方法を対象とする。
【0031】
本発明の第1の態様は、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を備え、前記類似体は、末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する対象を治療するために使用される、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである、組成物である。
【0032】
本発明の別の態様は、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、断片、または代謝物(11-OH-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノールなど)および/またはその組み合わせであり、フルボキサミンまたはその類似体を備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである、組成物である。いくつかの実施形態では、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、THCA(テトラヒドロカンナビノール酸)、THC(テトラヒドロカンナビノール)、THCVA(テトラヒドロカンナビバリン)、CBG(カンナビゲロール)、THCV(テトラヒドロカンナビバリン)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、△9-THCである。さらなる実施形態では、THCはドロナビノールである。
【0033】
本発明の別の態様は、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を含む組成物を備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせであり、フルボキサミンまたはその類似体を含む組成物を備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである、組み合わせ治療である。
【0034】
本発明の別の態様は、それを必要とする対象においてARFおよび/またはARDSを治療するための方法であって、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療を対象に施すこと、を備える、方法を含む。
【0035】
本発明の別の態様は、対象におけるARFおよび/またはARDSを治療するための、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療の使用である。
【0036】
本発明の別の態様は、対象におけるARFおよび/またはARDSを治療するための医薬の製造における、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療の使用である。
【0037】
本発明の別の態様は、THCおよび/またはその類似体、フルボキサミンおよび/またはその類似体、アセチルシステインおよび/またはその類似体、および/またはIFNおよび/またはその類似体の1以上を含むパッケージを備える。一の実施形態において、パッケージは、気管支拡張薬と、滅菌バイアルとをさらに備える。別の実施形態において、パッケージは、本明細書に記載の組成物のいずれか1つ、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、または本明細書に記載のTHCおよび/またはその類似体ならびにフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物を、任意に滅菌バイアル中に含む。
【0038】
一の実施形態において、それを必要とする対象において急性呼吸不全症候群(ARF)(任意にCOVID-19によって引き起こされる)を治療するための方法は、治療上有効な量の本明細書に記載の組成物または組み合わせを対象に投与することを含む。組成物または組み合わせは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む。THCは、約0.5mg/mLから約30mg/mLの量で組成物または組み合わせに含まれてもよい。いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせは、インターフェロン(IFN)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせも含む。他の実施形態では、組成物または組み合わせは、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせは、ネブライザーを使用して投与されてもよい。他の実施形態において、組成物または組み合わせは、筋肉内注射を介して投与されてもよい。他の実施形態において、組成物は、静脈内、経口(例えば、経口溶液、カプセル、可燃物、吸入物、および/または食品として)、および/または坐剤を介して投与されてもよい。ドロナビノール0.5mgから30mgを1日2回経口投与した場合と同じ血中THC濃度を得るためには、いずれの経路においても、その投与経路に必要な量を投与することになる。これは、標準的な方法による、動物でのバイオアベイラビリティ試験、次いで人でのバイオアベイラビリティ試験で決定することができる。例えば、5mgのドロナビノールをBID(1日2回)経口投与した場合のTHCおよびその活性代謝物の血中濃度は、有用とされる容量の1つであり、静脈内、経口、経皮、直腸、舌下、経鼻または他の投与経路には、同様のTHCの血中濃度を作り出す量の薬剤を投与できる。同様に、フルボキサミンを含む組成物または組み合わせの場合、任意の経路で与えられる薬剤の用量は、例えば、約25mgから約450mg、任意に約50mgから約300mg、任意に約50mgから約200mg、任意に約75mgから約200mgを1日2回経口投与して得られるようなフルボキサミンの血中濃度と同様になるように調整することになる。
【0039】
別の実施形態では、それを必要とする対象において急性呼吸不全症候群(ARF)および/またはARDS(任意にCOVID-19によって引き起こされる)を治療するための方法は、治療上有効な量の組成物または組み合わせを対象者に投与することを含む。いくつかの実施形態では、組成物または組み合わせは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む。THCは、経口摂取の場合は約0.5mgから約30mgの量で組成物または組み合わせ中に含まれてもよく、その他の場合は、別の経路で摂取する場合、異なる投与経路の異なる薬物動態を考慮して、経口投与した0.5mgから約30mgと同じTHCおよびその活性代謝物の血中濃度レベルを達成するような量で組成物または組み合わせ中に含まれてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物または組み合わせは、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせも含む。いくつかの実施形態では、組成物または組み合わせは、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態において、組成物は、ネブライザーを使用して投与されてもよい。いくつかの実施形態において、組成物は、筋肉内注射を介して投与されてもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、静脈内、経口(例えば、経口溶液として)、および/または坐薬を介して投与されてもよい。
【0041】
別の実施形態では、それを必要とする対象において急性呼吸不全(ARF)および/またはARDS(任意にCOVID-19によって引き起こされる)を吸入的に治療する方法は、ネブライザーを使用して、または経口溶液として、治療上有効な量の組成物または組み合わせを対象者に経口投与することを含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物または組み合わせは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、組成物または組み合わせは、インターフェロン(IFN)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせも含む。いくつかの実施形態では、組成物または組み合わせは、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、組成物または組み合わせは、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせは、ネブライザーを使用して投与されてもよい。
【0042】
1以上の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約0.5mg/mLから約30mg/mLの濃度で組成物または組み合わせ中に存在する。THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約5mg/mLから約10mg/mLで組成物中に存在し得る。THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な量は、約2.5mgを1日2回(B.I.D)から約10mgを1日2回(B.I.D)であってもよい。THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な量は、約5mgを1日2回(B.I.D)、約3.33mgを1日3回(T.I.D)、および/または約1.67mgを1日3回(T.I.D.)であってもよい。IFNは、インターフェロンα(IFN-α)、インターフェロンβ(IFN-β)、および/またはインターフェロンλ(IFN-λ)であってもよい。IFN-αはIFN-α2bであってもよい。IFN、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な量は、1日あたり約5IU(吸入経由)または1週間あたり約9MIU(筋肉内注射経由)のIFN-α、1日あたり約6MIUから約8MIU(吸入経由)のIFN-β、および/または約3IUを1日2回(B.I.D)(吸入経由)または1週間あたり約180μg(筋肉内注射経由)のIFN-λである。フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な量は、約150mgのフルボキサミンを1日2回(B.I.D.)、約100mgのフルボキサミンを1日2回(B.I.D.)、および/または約50mgのフルボキサミンを1日2回(B.I.D.)、または約100mgのフルボキサミンを1日3回(T.I.D.)、および/または約50mgのフルボキサミンを1日3回(T.I.D.)であってもよい。アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な量は、約1mLから約10mLの10%溶液を1日3回から4回であってもよい。アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な量は、約2mLから約20mLの20%溶液を1日4回から12回であってもよい。アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な量は、約600mgを1日2回(B.I.D.)である。本方法はまた、1日あたり最大12回、組成物または組み合わせを投与する約10分から約15分前に、治療上有効な量の気管支拡張剤を対象に投与することを含んでもよい。ARFは、対象のCOVID-19に起因する急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を含んでもよい。
【0043】
さらに別の実施形態では、組成物または組み合わせは、テトラヒドロカンナビノール(THC)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせを含む。別の実施形態では、組成物または組み合わせは、インターフェロン(IFN)、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせも含む。別の実施形態では、組成物または組み合わせは、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせをさらに含む。さらに、別の実施形態では、組成物または組み合わせは、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせを含む。組成物または組み合わせは、ネブライザーを使用して投与されてもよい。
【0044】
1以上の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、THCA、THC、THCVA、THCV、CBG、11-OH-デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、△9-THCであってもよい。THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約0.5mg/mLから約30mg/mLの量で組成物または組み合わせ中に存在してもよい。THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約0.5mg/mLから約10mg/mLの量で組成物または組み合わせ中に存在してもよい。IFNは、インターフェロンα(IFN-α)、インターフェロンβ(IFN-β)、および/またはインターフェロンλ(IFN-λ)であってもよい。IFN-αはIFN-α2bであってもよい。IFN、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な量は、1日あたり約5IU(吸入経由)または1週間あたり約9MIU(筋肉内注射経由)のIFN-α、1日あたり約6MIUから約8MIU(吸入経由)のIFN-β、および/または約3IUを1日2回(B.I.D)(吸入経由)または1週間あたり約180μg(筋肉内注射経由)のIFN-λである。アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約600mgの量で組成物または組み合わせ中に存在してもよい。フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせは、例えば1日2回(B.I.D.)合計900mgまで、合計600mgまで、または合計約300mgまで投与するために、約25mgから約450mg、例えば75mgから約300mgのフルボキサミンの量で組成物または組み合わせ中に存在してもよい。組成物または組合せは、薬学的に許容される賦形剤も含んでもよい。用量範囲については、活性成分およびそれらの活性代謝物の血中濃度を、i)経口ドロナビノール0.5mgから30mgを例えば、1日2回服用する場合、ii)経口フルボキサミン25mgから450mg、または本明細書に記載の他の範囲を、例えば、1日2回または3回服用する場合、およびiii)上述の経路でインターフェロンを摂取する場合の量、と同様の範囲に維持するように、上述のTHC、フルボキサミン、およびインターフェロンそれぞれを投与経路に応じて変更してもよい。
【0045】
別の態様において、本開示は、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体と、フルボキサミンまたはその類似体とを含む組成物または組み合わせを備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、塩、それらのいずれかの溶媒和物および/またはそれらの組み合わせである。
【0046】
別の態様において、本開示は、例えばサイトカインストームによって引き起こされる末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療に使用するための、本明細書に記載の組成物または組み合わせを含む。
【0047】
一の実施形態において、本開示は、サイトカインストームによって引き起こされる末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための方法を含み、この方法は、それを必要とする対象においてTHCまたはその類似体、およびフルボキサミンまたはその類似体を投与することを備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、塩、それらのいずれかの溶媒和物および/またはそれらの組み合わせである。
【0048】
別の態様において、本開示は、サイトカインストームに起因する末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療のための医薬品の製造において使用する、THCまたはその類似体、およびフルボキサミンまたはその類似体を備える、組成物または組み合わせを含み、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、塩、それらのいずれかの溶媒和物および/またはそれらの組み合わせである。
【0049】
本発明の前述および他の実施形態は、以下の詳細な説明に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0050】
実施形態の前記および他の態様は、添付図面を参照してさらに詳細に説明され、異なる図における同じ要素は、共通の参照番号によって参照される。
【0051】
【
図1】いくつかの実施形態による、患者におけるCOVID-19感染症の段階を示す疾患重症度対時間のグラフ。
【0052】
【
図2】いくつかの実施形態による、患者におけるCOVID-19感染症の段階を示す別の疾患重症度対時間のグラフ。
【0053】
【
図3A】治療済み群と未治療群の平均年齢の比較を示すグラフ。
【0054】
【
図3B】治療済み群対対照群の性別の比較を示すグラフ。
【0055】
【
図3C】治療済み群と未治療群の併存疾患の平均数の比較を示すグラフ。
【0056】
【
図4A】治療済み群と未治療群の死亡率を示すグラフ。
【0057】
【
図4B】治療済み群と未治療群の平均滞在期間(LOS)を示すグラフ。
【0058】
【
図4C】治療済み群と未治療群の平均初期ピークCRPを示すグラフ。
【0059】
様々な実施形態の上記および他の利点および目的を得る方法をよりよく理解するために、添付の図面を参照して実施形態のより詳細な説明を提供する。図面は縮尺通りに描かれておらず、同様の構造または機能の要素は全体を通して同様の参照番号によって表されることに留意されたい。これらの図面は、特定の例示された実施形態のみを示すもので、実施形態の範囲を限定するものと見なされるべきではないことが理解されるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0060】
特に定義されない限り、本開示に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。また、文脈上別段の要求がない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。例えば、「細胞」という用語は、単一の細胞だけでなく、複数の細胞や細胞の集団も含む。一般に、本明細書に記載される細胞および組織培養、分子生物学、ならびにタンパク質およびオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドの化学およびハイブリダイゼーションに関連して利用される命名法、ならびにその技術は、当技術分野において周知であり、一般的に用いられるものである(例えば、Green and Sambrook, 2012参照)。
【0061】
特定のセクションに記載される定義および実施形態は、当業者であれば理解できるだろう好適なものであるよう、本明細書に記載される他の実施形態に適用可能であることが意図される。
【0062】
本明細書において、終了点による数値範囲の記載は、その範囲に包含されるすべての数および端数を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.90、4、および5を含む)。すべての数およびその終了点は、「約」という用語によって修飾されるものと仮定されることも理解されたい。
【0063】
さらに、特定のセクションに記載される定義および実施形態は、当業者であれば理解できるだろう好適なものであるよう、本明細書に記載される他の実施形態に適用可能であることが意図される。例えば、以下の節では、本開示の異なる態様がより詳細に定義される。そのように定義された各態様は、明確に反対の指示がない限り、任意の他の1以上の態様と組み合わせることができる。特に、好ましいまたは有利であると示された任意の特徴は、任意の他の特徴または好ましいまたは有利であると示された特徴と組み合わせることができる。
【0064】
本開示に記載の化合物は、異なる互変異性形態で存在してもよく、化合物が形成する任意の互変異性形態、およびそれらの混合物が、本開示の範囲に含まれることが意図される。
【0065】
本明細書に記載の化合物は、様々な多形形態でさらに存在してもよく、その形態である任意の多形形態またはその混合物が本開示の範囲に含まれることが企図される。
【0066】
本開示で使用される「対象」という用語は、哺乳動物を含む動物界のすべてのメンバーを含み、好適にはヒトを指す。したがって、本開示の方法および使用は、ヒトの治療および獣医学的用途の両方に適用可能である。患者および対象は、本明細書において互換的に用いられる。
【0067】
「薬学的に許容される」という用語は、対象の治療に適合することを意味する。
【0068】
「薬学的に許容される担体」という用語は、医薬組成物、すなわち対象に投与可能な剤形の形成を可能にするために活性成分と混合される、非毒性の溶媒、分散剤、賦形剤、アジュバントまたは他の材料を意味する。
【0069】
「薬学的に許容される塩」という用語は、対象の治療に適した、または適合する酸付加塩または塩基付加塩のどちらも意味する。
【0070】
対象の治療に適した、または適合する酸付加塩は、任意の塩基性化合物の非毒性の、有機または無機の酸付加塩である。
【0071】
対象の治療に適した、または適合する塩基付加塩は、任意の酸性化合物の非毒性の、有機または無機の塩基付加塩である。
【0072】
本明細書で用いられる「投与される」という用語は、本開示の1以上の化合物または組成物の治療上有効な量を、細胞、組織、器官または対象に投与することを意味する。
【0073】
一の実施形態において、薬学的に許容される塩は、酸付加塩または塩基付加塩である。好適な塩の選択は、当業者によってなされ得る(例えば、S. M. Berge, et aI., "Pharmaceutical Salts," J. Pharm. Sci. 1977, 66, 1-19を参照)。
【0074】
対象の治療に適した、または適合する酸付加塩は、任意の塩基性化合物の非毒性の、有機または無機の酸付加塩である。酸付加塩を形成する塩基性化合物としては、例えば、アミン基を含む化合物が挙げられる。好適な塩を形成する例示的な無機酸としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸およびリン酸、ならびにオルトリン酸一水素ナトリウムおよび硫酸水素カリウムのような酸性金属塩が挙げられる。好適な塩を形成する例示的な有機酸としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、およびトリカルボン酸が挙げられる。このような有機酸の例示としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、乳酸、ピルビン酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、安息香酸、ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、桂皮酸、マンデル酸、サリチル酸、2-フェノキシ安息香酸、p-トルエンスルホン酸、およびメタンスルホン酸、エタンスルホン酸および2-ヒドロキシエタンスルホン酸などの他のスルホン酸がある。一の実施形態では、一酸塩または二酸塩が形成され、そのような塩は、水和形態、溶媒和形態、または実質的に無水形態のいずれかで存在する。一般に、酸付加塩は、水および種々の親水性有機溶媒に溶けやすく、一般に、それらの遊離塩基形態と比較して、より高い融点を示す。好適な塩の選択基準は、当業者に公知である。シュウ酸塩などであるがこれに限定されない他の薬学的に許容されない塩を、例えば、実験室での使用のために本開示の化合物を単離する際、またはその後の薬学的に許容される酸付加塩への変換のために使用することができる。
【0075】
対象の治療に適した、または適合する塩基付加塩は、任意の酸性化合物の非毒性の、有機または無機の塩基付加塩である。塩基性付加塩を形成する酸性化合物としては、例えば、カルボン酸基を含む化合物が挙げられる。好適な塩を形成する例示的な無機塩基としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、または水酸化バリウムならびにアンモニアが挙げられる。好適な塩を形成する例示的な有機塩基としては、イソプロピルアミン、メチルアミン、トリメチルアミン、ピコリン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、プロカイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリン体、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ポリアミン樹脂などの脂肪族、脂環族または芳香族有機アミンが挙げられる。例示的な有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリンおよびカフェインである。好適な塩の選択は、例えば、エステル官能基が存在する場合、化合物中の他の場所で加水分解されないようにするために有用である場合がある。好適な塩の選択基準は、当業者に公知である。
【0076】
本開示の化合物は、1以上の担体を使用する組成物に、従来の方法で好適に配合することができる。したがって、本開示は、本開示の1以上の化合物と、担体とを備える組成物も含む。本開示の化合物は、生体での投与に適した生物学的に適合する形態で、対象に投与するための医薬組成物に好適に配合することができる。したがって、本開示は、本開示の1以上の化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物をさらに含む。本開示の実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載の疾患、障害または状態のいずれかの治療に使用される。
【0077】
また、一の態様において、テトラヒドロカンナビノール(THC)、またはその類似体、またはその組み合わせを含むTHC組成物と、フルボキサミン、またはその類似体、またはその組み合わせを含むフルボキサミン組成物と、を含む治療のための組み合わせが提供される。THC組成物は、THC、その類似体、またはその組み合わせを備える、本明細書に記載の任意の組成物であることができる。フルボキサミン組成物は、フルボキサミン、その類似体、またはその組み合わせを備える、本明細書に記載の任意の組成物であることができる。組み合わせは、本明細書に記載される方法および用途に使用することができる。
【0078】
本開示の化合物は、当業者によって理解されるように、選択された投与経路に応じて様々な形態で対象に投与することができる。例えば、本開示の化合物は、経口投与、吸入投与、非経口投与、口腔投与、舌下投与、経鼻投与、直腸投与、膣内投与、パッチ投与、ポンプ投与、局所投与、または経皮投与によって投与され、医薬組成物または組み合わせは、それに応じて配合される。いくつかの実施形態において、投与は、定期的または連続的な送達のためのポンプによるものである。好適な組成物の選択および調製のための従来の手順および成分は、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (2000 - 20th edition)およびThe United States Pharmacopeia: The National Formulary (USP 24 NF19) 1999に記載されている。
【0079】
非経口投与は、胃腸(GI)管以外の全身送達経路を含み、例えば、静脈内、動脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経上皮、経鼻、肺内(例えば、エアロゾルの使用による)、髄腔内、直腸、および局所(パッチまたは他の経皮送達装置の使用を含む)投与様式を含む。非経口投与は、選択された期間にわたって連続的に注入することによるものであってもよい。
【0080】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物および/または組成物、または組み合わせは、例えば、不活性希釈剤または吸収可能な食用担体とともに経口投与されるか、硬殻または軟殻ゼラチンカプセルに封入されるか、錠剤に圧縮されるか、または食事の食品に直接または食品と共に取り込まれる。可燃性または不燃性の形態であってもよい。例えば、本明細書に記載される化合物および/または組成物または組み合わせは、食品、可燃性形態ならびに非可燃性形態、例えば加熱式の組成物またはベープ装置と共に使用するための組成物に含まれていてもよい。いくつかの実施形態において、THCは、カンナビスとして提供されてもよい。いくつかの実施形態において、フルボキサミンおよび/またはその類似体は、別々に提供されてもよい。
【0081】
いくつかの実施形態では、化合物は賦形剤と共に組み込まれ、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、カプレット、ペレット、顆粒、ドロップ、チューインガム、粉末、シロップ、エリキシル、ウエファー、水性溶液および懸濁液などの形態で用いられる。錠剤の場合、使用できる担体としては、乳糖、トウモロコシデンプン、クエン酸ナトリウム、およびリン酸の塩などが挙げられる。薬学的に許容される賦形剤としては、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン、またはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、充填剤(例えば、乳糖、微結晶性セルロースまたはリン酸カルシウム)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはシリカ)、崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプンまたはデンプングリコール酸ナトリウム)、または、湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)が挙げられる。実施形態において、錠剤は、当技術分野で周知の方法によってコーティングされる。経口投与用の錠剤、カプセル、カプレット、ペレットまたは顆粒の場合、活性成分の放出を制御するように設計されたEudragits(登録商標)などのpH感受腸溶コーティングが任意に使用される。経口剤はまた、調節放出製剤、例えば即時放出性製剤や時限放出性製剤も含む。調節放出製剤の例としては、例えば、持続放出(SR)、延長放出(ER、XR、またはXL)、時間放出または時限放出、制御放出(CR)、または連続放出(CRまたはContin)が挙げられ、例えば、コーティングされた錠剤、浸透性送達装置、コーティングされたカプセル、マイクロカプセル化マイクロスフェア、例えば分子ふるい分けタイプの粒子のような凝集粒子、または微細な中空透過性繊維束、または細断された中空透過性繊維を繊維パケットに凝集または保持させた形態で使用される。時限放出組成物は、例えば、リポソームとして、または活性化合物がマイクロカプセル化、多重コーティングなどによる、異なる分解性のコーティングで保護されているものとして製剤される。リポソーム送達系としては、例えば、小さな単層ベシクル、大きな単層ベシクルおよび多層ベシクルが挙げられる。いくつかの実施形態において、リポソームは、コレステロール、ステアリルアミンまたはホスファチジルコリンなどの様々なリン脂質から形成される。カプセル形態で経口投与する場合、有用な担体または希釈剤としては、乳糖および乾燥トウモロコシデンプンが挙げられる。
【0082】
いくつかの実施形態において、経口投与用の液体製剤は、例えば、溶液、シロップまたは懸濁液の形態をとるか、またはそれらは、使用前に水または他の適切なビヒクルで構成するための乾燥製品として好適に提示される。水性懸濁液および/または乳濁液を経口投与する場合、本明細書に記載の化合物および/または組成物または組み合わせは、好適には、乳化剤および/または懸濁剤と組み合わせることができる油相に懸濁または溶解される。所望であれば、特定の甘味料および/または香料および/または着色料を添加することができる。このような経口投与用の液体製剤は、懸濁化剤(例えば、ソルビトールシロップ、メチルセルロースまたは水素化食用油脂)、乳化剤(例えば、レシチンまたはアカシア)、非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステルまたはエチルアルコール)、および保存剤(例えば、p-ヒドロキシ安息香酸メチルまたはp-ヒドロキシ安息香酸プロピルまたはソルビン酸)などの薬学的に許容できる添加剤を使って従来手段で調製できる。有用な希釈剤としては、乳糖や高分子量ポリエチレングリコールが挙げられる。
【0083】
いくつかの実施形態において、組成物は、添加剤としてメラトニンを含む。
【0084】
本開示の化合物を凍結乾燥し、得られた凍結乾燥物を、例えば、注射用製品の調製に使用することも可能である。
【0085】
いくつかの実施形態において、本開示の化合物は、非経口的に投与される。例えば、本開示の化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と好適に混合された水中で調製することができる。いくつかの実施形態において、分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、DMSO、およびアルコールを含むまたは含まないそれらの混合物、ならびに油中で調製される。通常の保管および使用条件下では、これらの製剤は微生物の増殖を防ぐために保存剤を含有する。当業者であれば、好適な製剤を調製する方法を知っているであろう。非経口投与では、通常、本開示の化合物の無菌溶液が調製され、溶液のpHが適切に調整され緩衝される。静脈内投与する場合は、等張になるように溶質の総濃度を制御する必要がある。眼球投与する場合、軟膏または点眼液は、例えば、アプリケータまたは点眼器などの、当該技術分野で公知の眼球送達システムによって送達されてもよい。いくつかの実施形態では、このような組成物は、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ヒドロキシプロピルメチルセルロースまたはポリビニルアルコールなどの粘液模倣薬、ソルビン酸、EDTAまたはベンジルクロムクロリドなどの保存剤、および通常の量の希釈剤または担体を含む。肺投与の場合、希釈剤または担体は、エアロゾルの形成を可能にするのに適切であるように選択される。
【0086】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物および/または組成物は、従来のカテーテル法または注入を含む注射による非経口投与用に製剤化される。注射用製剤は、例えば、保存剤を添加した単位用量形態、例えば、アンプルや複数回投与容器で提供される。いくつかの実施形態では、組成物または組み合わせは、油性または水性ビヒクル中の無菌の懸濁液、溶液または乳濁液などの形態をとり、懸濁剤、安定化剤および/または分散剤などの製剤化剤を含有する。全ての場合において、形態は無菌でなければならず、容易な通針性が存在する程度に流動的でなければならない。あるいは、本開示の化合物は、好適には、使用前に適切なビヒクル、例えば、発熱物質を含まない滅菌水で再構成するための滅菌粉末形態である。
【0087】
いくつかの実施形態おいて、吸入投与、任意に経鼻投与のための組成物または組み合わせは、エアロゾル、可燃物、ドロップ、油、ゲルおよび粉末として好都合に製剤される。鼻腔内投与または吸入による投与のために、本明細書に記載の化合物は、患者によって圧搾または圧送されるポンプスプレー容器からの溶液、乾燥粉末または顆粒製剤または懸濁液、または加圧容器またはネブライザーからのエアロゾルスプレー形の形態で好都合に送達されてもよい。エアロゾル製剤は、通常、生理学的に許容される水性または非水性溶媒中の活性物質の溶液または微細な懸濁液を備え、通常、例えば、ベープ装置などの噴霧装置で使用するためのカートリッジまたはリフィルの形態をとる密閉容器中に、無菌状態で1回分または複数回分の量で提供される。あるいは、密閉容器は、1回分の経鼻吸入器、または計量弁を含むエアロゾルディスペンサなど、使用後に廃棄することを目的とした一体型のディスペンサである。剤形がエアロゾルディスペンサを含む場合、例えば、圧縮空気などの圧縮ガスまたはフルオロクロロ炭化水素などの有機噴射剤である噴射剤を含むことができる。好適な噴射剤としては、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、ヘプタフルオロアルカン、二酸化炭素、または他の好適なガスが挙げられるが、これらに限定されない。加圧エアロゾルの場合、投与単位は、計量された量を送達するための弁を提供することで、好適に決定される。いくつかの実施形態では、加圧容器またはネブライザーは、活性化合物の溶液または懸濁液を含んでいる。吸入器または通気器において使用するためのカプセル(例えば、ゼラチンから作製される)およびカートリッジは、例えば、本開示の化合物の粉末または顆粒混合物および乳糖またはデンプンなどの適切な粉末基剤を含む処方である。エアロゾル剤形はまた、ポンプアトマイザーの形態をとることもできる。
【0088】
いくつかの実施形態において、組成物は吸入用に好適に製剤され、吸入による投与は、ネブライザー、エアロゾルスプレー装置、吸入器、ベープ装置、および/または人工呼吸器などの器具または装置を用いて行うことができる。
【0089】
組成物はまた、経鼻胃管投与用に製剤されてもよい。
【0090】
口腔または舌下投与に適した組成物には、錠剤、ドロップ、およびトローチが含まれ、本開示の化合物は、糖、アカシア、トラガカント、またはゼラチンおよびグリセリンなどの担体と共に製剤される。直腸投与用の組成物は、カカオバターなどの従来の坐薬基剤を含む坐薬の形態が好都合である。
【0091】
本明細書に記載の化合物および/または組成物の坐剤形態は、膣、尿道および直腸への投与に有用である。そのような坐薬は、一般に、室温では固体であるが、体温で融解する物質の混合物で構成される。このようなビヒクルを作製するために一般的に使用される物質としては、テオブロマ油(カカオバターとしても知られている)、グリセリン化ゼラチン、他のグリセリド、水素化植物油、様々な分子量のポリエチレングリコールの混合物、ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルなどが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、坐薬の剤形については、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 16th Ed., Mack Publishing, Easton, PA, 1980, pp. 1530-1533を参照されたい。
【0092】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物および/または組成物は、標的化可能な薬物担体として可溶性ポリマーと結合される。このようなポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン、ピランコポリマー、ポリヒドロキシプロピルメタクリルアミド-フェノール、ポリヒドロキシエチルアスパルタミド-フェノール、またはパルミトイル残基と置換されたポリエチレンオキシド-ポリリシンなどが挙げられる。さらに、いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物および/または組成物は、薬物の制御放出を達成するのに有用な生分解性ポリマーのクラス、例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ乳酸とポリグリコール酸とのコポリマー、ポリイプシロンカプロラクトン、ポリヒドロキシ酪酸、ポリオルトエステル、ポリアセタール、ポリジヒドロピラン、ポリシアノアクリレート、およびヒドロゲルの架橋または両親媒性ブロックコポリマーに結合される。
【0093】
薬学的に許容される塩および/または溶媒和物を含む本明細書に記載の化合物または組成物は、好適には独立して使用されるが、一般に、本明細書に記載の1以上の化合物(活性成分)が薬学的に許容される担体と関連している医薬組成物の形態で投与される。投与の様式に応じて、医薬組成物は、約0.05wt%~約99wt%または約0.10wt%~約70wt%の活性成分、および約1wt%~約99.95wt%または約30wt%~約99.90wt%の薬学的に許容される担体を含むことができ、すべての重量パーセントは全組成物に基づくものである。
【0094】
一の実施形態において、有効量は、対象の疾患状態、年齢、性別および/または体重などの要因に応じて変化する。さらなる実施形態において、所与の化合物または有効量に相当する化合物の量は、所与の薬物または化合物、医薬製剤、投与経路、状態、疾患または障害の種類、治療される対象のアイデンティティなどの因子に応じて変化するが、それでも当業者はルーチン的に決定することができる。
【0095】
一の実施形態において、本明細書に記載の化合物および/または組成物または組み合わせは、少なくとも1週間に1回投与される。しかし、別の実施形態おいては、本明細書に記載の化合物および/または組成物または組み合わせは、約2週間に1回、3週間に1回、または1ヶ月に1回から、対象に投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の化合物および/または組成物または組み合わせは、週約1回から日に約1回投与される。別の実施形態では、本明細書に記載の化合物および/または組成物は、1日2回、3回、4回、5回、または6回投与される。治療期間の長さは、様々な因子、例えば、疾患、障害または状態の重症度、対象の年齢、本開示の化合物の濃度および/または活性、および/またはそれらの組み合わせに依存する。治療に使用される化合物の有効量は、特定の治療レジメンの過程で増加または減少する可能性があることが理解されるであろう。投与量の変化は、当技術分野で公知の標準的な診断アッセイによってもたらされ、明らかになることがある。場合によっては、慢性投与が必要とされる。例えば、化合物は、対象を治療するのに充分な量および期間で対象に投与することができる。
【0096】
一の実施形態において、対象は哺乳動物である。別の実施形態では、対象はヒトである。
【0097】
本明細書に記載の化合物および/または組成物または組み合わせは、単独で使用される、またはサイトカインストームによって引き起こされる末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するのに有用な、他の公知の薬剤と組み合わせて使用される。サイトカインストームに起因する末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療に有用な他の薬剤と組み合わせて使用される場合、本明細書に記載の化合物および/または組成物または組み合わせを、これらの薬剤と同時に投与することができる。本明細書で使用される、対象への2以上の物質または組成物の「同時投与」とは、2以上の物質または組成物のそれぞれを、それらが個体において同時に活性であるように提供することを意味する。投与の正確な詳細は、2以上の物質の互いがある状態での薬物動態に依存するもので、薬物動態が適切であれば、互いに数時間以内に2以上の物質を投与すること、または他方の投与から24時間以内に1以上の物質を投与することも含むことができる。適切な投与レジメンの設計は、当業者にとって日常的なものである。特定の実施形態では、2以上の物質または組成物は、実質的に同時に、すなわち互いに数分以内に投与される、または材質の1以上または全てを含有する単一の組成物で投与される。本開示のさらなる実施形態は、薬剤の組み合わせが非同時的な様式で対象に投与されることである。一の実施形態において、本明細書に記載の化合物および/または組成物は、別の治療剤と同時に、または別々の単位剤形で連続して、または単一の単位剤形で一緒に投与される。したがって、本開示は一の実施形態において、本明細書に記載の1以上の化合物または組成物、さらなる治療剤、および薬学的に許容される担体を含む単一の単位剤形を提供する。
【0098】
本明細書に記載の化合物および/または組成物または組み合わせの投与量は、化合物の薬力学的特性、投与様式、レシピエントの年齢、健康状態および体重、症状の性質および程度、治療の頻度および、もしあるなら同時治療の種類、治療すべき対象における化合物のクリアランス速度などの因子によって変動する。当業者であれば、上記の要因に基づいて適切な投与量を決定することができる。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の化合物または組成物または組み合わせは、対象の臨床反応に応じ、必要に応じて調整される好適な投与量で最初に投与される。投与量は、一般に、本開示の化合物の血清レベルを約0.01μg/ccから約1000μg/cc、または約0.1μg/ccから約100μg/ccに維持するように選択される。代表的な例として、本明細書に記載の1以上の化合物または組成物の経口投与量は、成人1日あたり約1mgから約1000mg、好適には1日あたり約1mgから約500mg、より好適には1日あたり約1mgから約200mgの範囲になる。非経口投与の場合、代表的な量は、約0.001mg/kgから約10mg/kg、約0.01mg/kgから約10mg/kg、約0.01mg/kgから約1mg/kg、または約0.1mg/kgから約1mg/kgを投与することができる。経口投与の場合、代表的な量は、約0.001mg/kgから約10mg/kg、約0.1mg/kgから約10mg/kg、約0.01mg/kgから約1mg/kg、または約0.1mg/kgから約1mg/kgである。坐剤の形態で投与する場合、代表的な量は、約0.1mg/kgから約10mg/kg、または約0.1mg/kgから約1mg/kgである。
【0099】
本明細書で提供される用量範囲については、各範囲内の個別の量も企図される。例えば、100mgから150mgの範囲では、100mg、101mg、102mgおよび150mgまでの各1mg刻みの個別の量が想定される。同様に、100mg/mLから150mg/mLなどの濃度についても、100mg/mL、101mg/mL、および150mg/mLまでの各1mg/mL刻みの範囲内の個別の濃度が想定される。
【0100】
いくつかの実施形態では、COVID-19感染症に罹患した対象におけるARFおよび/またはARDSを治療するために(例えば、COVID-19感染症から生じるサイトカインストームの症状を最小化することによって)、様々な組成物または組み合わせが提供される。これらの組成物または組み合わせは、吸入経路を介して(例えば、ネブライザーを使用して)送達されてもよい。COVID-19感染症に起因するARFおよび/またはARDSを効果的に治療することにより、例えばCOVID-19の罹患率および死亡率を低減することができる。
ARFおよび/またはARDSの治療に使用するための組成物
【0101】
本発明の第1の態様は、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を含む組成物を備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせであって、末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を有する対象の治療に使用される。
【0102】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のカンナビジオール(CBD)またはカンナビジオール酸(CBDA)を含む。いくつかの実施形態において、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0103】
いくつかの実施形態において、THCまたはその類似体、例えばその誘導体、中間体、代謝物、または断片は、THCA、THC、THCVA、THCV、CBG、11-OH-Δ9-THCおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、Δ9-THCである。さらなる実施形態において、THCはドロナビノールである。
【0104】
別の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約0.5mg/mLから約30mg/mLの濃度で組成物中に存在する。別の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約5mg/mLから約10mg/mLの濃度で組成物中に存在する。別の実施形態では、THCまたはその類似体は、約6.25mg/mLの濃度で組成物中に存在する。別の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約5mg/mLの濃度で組成物中に存在する。別の実施形態において、 またはその類似体は、約2.5mg/mLの濃度で組成物中に存在する。
【0105】
別の実施形態において、組成物中に存在するTHC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせの量は、約0.5mgから約10mg、任意に約2.5mgから約10mgである。別の実施形態では、組成物中に存在するTHCまたはその類似体の量は、約6.25mgである。別の実施形態では、組成物中に存在するTHCまたはその類似体の量は、約5mgである。別の実施形態では、組成物中に存在するTHCまたはその類似体の量は、約2.5mgである。
【0106】
別の実施形態において、組成物は、フルボキサミンまたはその類似体をさらに備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである。別の実施形態では、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、約50mg/mLから約150mg/mL、任意に約75mg/mLから約150mg/mL、任意に約50mg/mL、任意に約100mg/mL、任意に約150mg/mLの濃度で組成物中に存在する。
【0107】
本明細書に記載の異なる実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体は、マレイン酸フルボキサミンであり得る。
【0108】
一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体は、約25mgから約450mg、任意に約30mgから約250mg、任意に約50mgから約200mg、任意に約75mgから約180mg、任意に約50mg、任意に約100mg、任意に約134mg、任意に約148mg、または任意に約150mgの量で組成物または組み合わせ中に存在する。一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体の量は、約100mgである。一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体の量は、約134mgである。一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体の量は、約148mgである。
【0109】
これらの量は、例えば経口投与用である。他の経路で送達される用量は、直前に記載した経口投与で達成される血中濃度と同様の血中濃度を達成するように調整することができる。フルボキサミンに基づいて量が計算される場合に、フルボキサミンの塩、誘導体、中間体、代謝物、または断片などの類似体が使用される場合、本明細書に記載されるフルボキサミンおよびその類似体、塩、その誘導体、中間体、代謝物、または断片の分子量に基づいて量を当業者が調整できることが理解されるであろう。
【0110】
実施例8に示されるように、フルボキサミン(100mgを1日2回)と組み合わせたTHC(2.5mgを1日2回)の投与は、THC単独の投与またはTHCをより高い一日量(5mgを1日2回)で投与する場合と比較して、改善した結果をもたらす。組み合わせを投与された患者の群は、THCのみを投与された患者の群に比べ、併存疾患の発生率が高かった。
【0111】
一の実施形態において、組成物または組み合わせは、約2.5mgのTHCまたはその類似体および/または約100mgのフルボキサミンまたはその類似体を含む。
【0112】
一の実施形態において、組成物または組み合わせは、約2.5mgのTHCまたはその類似体および/または約134mgのフルボキサミンまたはその類似体を含む。
【0113】
一の実施形態において、組成物または組み合わせは、約2.5mgのTHCまたはその類似体および/または約148mgのフルボキサミンまたはその類似体を含む。
【0114】
一の実施形態において、組成物または組み合わせは、約5mgのTHCまたはその類似体および/または約100mgのフルボキサミンまたはその類似体を含む。
【0115】
一の実施形態において、組成物または組み合わせは、約5mgのTHCまたはその類似体および/または約134mgのフルボキサミンまたはその類似体を含む。
【0116】
一の実施形態において、組成物または組み合わせは、約5mgのTHCまたはその類似体および/または約148mgのフルボキサミンまたはその類似体を含む。
【0117】
一の実施形態において、組成物または組み合わせは、約6.25mgのTHCまたはその類似体および/または約100mgのフルボキサミンまたはその類似体を含む。
【0118】
一の実施形態において、組成物または組み合わせは、約6.25mgのTHCまたはその類似体および/または約134mgのフルボキサミンまたはその類似体を含む。
【0119】
一の実施形態において、組成物または組み合わせは、約6.25mgのTHCまたはその類似体および/または約148mgのフルボキサミンまたはその類似体を含む。
【0120】
いくつかの実施形態において、組成物は、インターフェロン(IFN)またはその類似体をさらに備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、IFNは、インターフェロンα(IFN-α)、インターフェロンβ(IFN-β)、および/またはインターフェロンλ(IFN-λ)である。いくつかの実施形態において、IFN-αはIFN-α2bである。
【0121】
いくつかの実施形態において、IFN-αは約2.5IU/mLの濃度で組成物中に存在し、IFN-βは約3IU/mLの濃度で組成物中に存在し、またはIFN-λは約3IU/mLの濃度で組成物中に存在する。
【0122】
いくつかの実施形態において、IFN-αは約2.5IUの量で組成物中に存在し、IFN-βは約3IUの量で組成物中に存在し、またはIFN-λは約3IUの量で組成物中に存在する。
【0123】
別の実施形態において、組成物は、アセチルシステインまたはその類似体をさらに備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである。別の実施形態において、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、組成物全体の約10%から約20%の量で組成物中に存在する。別の実施形態において、アセチルシステインの誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、全組成物の約10%の量で組成物中に存在する。別の実施形態において、アセチルシステインの誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、全組成物の約20%の量で組成物中に存在する。別の実施形態において、組成物は、約600mg/mLの濃度のアセチルシステインまたはその類似体を含む。
【0124】
別の実施形態において、アセチルシステインの誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、約600mgの量で組成物中に存在する。
【0125】
別の実施形態において、組成物または組み合わせは、1以上の緩衝剤、1以上の保存剤、1以上の抗酸化剤、1以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、1以上の甘味料、1以上の香料、またはそれらの組み合わせ、任意でゴマ油または鉱油などの油をさらに含む。いくつかの実施形態において、賦形剤は、鉱油またはゴマ油などの油、FD&C Yellow No.6、ゼラチン、グリセリン、精製水、ゴマ油、二酸化チタン、黒酸化鉄、シェラックグレーズ、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水酸化アンモニウム、FD&C Blue No.2および/またはFD&C Red No.21を含んでもよい。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体は、ナノベシクルを含む。例えば、1以上の活性成分がナノベシクルに含まれることもあれば、異なるナノベシクルに含まれ、異なるナノベシクルが製剤に提供されることもある。いくつかの実施形態において、ナノベシクルは、逆ナノベシクルであってもよい。
【0126】
別の実施形態において、組成物は、ARFの治療に使用するためのものである。別の実施形態において、組成物は、ARDSの治療に使用するためのものである。別の実施形態において、組成物は、サイトカインストームを経験している対象の治療に使用するためのものである。別の実施形態において、組成物は、COVID-19に罹患した対象におけるARF、ARDSおよび/またはサイトカインストームの治療に使用するためのものである。
【0127】
別の実施形態において、対象は入院しており、および/または低酸素状態である。別の実施形態において、低酸素状態の対象は、約93%未満のO2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO2/FiO2比、または過去24時間におけるPaO2/FiO2比の約30%超の減少を有する。別の実施形態において、低酸素状態の対象は、約93%未満のO2飽和度を有する。
組成物
【0128】
本発明の別の態様は、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を含む組成物を備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせ、およびフルボキサミンまたはその類似体であり、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、THCA、THC、THCVA、THCV、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、Δ9-THCである。さらなる実施形態では、THCはドロナビノールである。
【0129】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のCBDまたはCBDAを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0130】
別の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約0.5mg/mLから約30mg/mLの濃度で組成物中に存在する。別の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約5mg/mLから約10mg/mLの濃度で組成物中に存在する。別の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約5mg/mLの濃度で組成物中に存在する。
【0131】
別の実施形態において、組成物中に存在するTHC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせの量は、約0.5mgから約30mg、約0.5mgから約20mg、約0.5mgから約10mg、任意に約2.5mgから約30mg、または約2.5mgから約10mgである。別の実施形態において、組成物中に存在するTHC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせの量は、約10mgである。別の実施形態では、組成物中に存在するTHC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせの量は、約5mgである。別の実施形態では、組成物中に存在するTHC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせの量は、約2.5mgである。
【0132】
別の実施形態において、組成物は、フルボキサミンまたはその類似体をさらに備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである。別の実施形態では、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、約50mg/mLから約150mg/mL、任意に約75mg/mLから約150mg/mL、任意に約50mg/mL、任意に約100mg/mL、任意に約150mg/mLの濃度で組成物中に存在する。
【0133】
一の実施形態において、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、約50mgから約150mg、任意に約75mgから約150mg、任意に50mg、任意に100mg、任意に約134mg、任意に約148mg、または任意に150mgの量のフルボキサミンで組成物中に存在する。別の実施形態において、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、約25mgから約450mg、任意に約30mgから約250mg、任意に約50mgから約200mg、任意に約75mgから約180mg、任意に約50mg、任意に約100mg、任意に約150mg、任意に約175mg、または任意に約180mgの量で組成物中に存在する。
【0134】
一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体は、約50mgのフルボキサミンの量で組成物中に存在する。
【0135】
一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体は、約100mgのフルボキサミンの量で組成物中に存在する。
【0136】
一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体は、約134mgのフルボキサミンの量で組成物中に存在する。
【0137】
一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体は、約148mgのフルボキサミンの量で組成物中に存在する。
【0138】
一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体は、約150mgのフルボキサミンの量で組成物中に存在する。
【0139】
いくつかの実施形態において、組成物は、インターフェロン(IFN)またはその類似体をさらに備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、IFNは、インターフェロンα(IFN-α)、インターフェロンβ(IFN-β)、および/またはインターフェロンλ(IFN-λ)である。いくつかの実施形態において、IFN-αはIFN-α2bである。
【0140】
いくつかの実施形態において、IFN-αは、組成物中に約2.5IU/mLの濃度で存在し、IFN-βは、組成物中に約3IU/mLの濃度で存在し、またはIFN-λは、組成物中に約3IU/mLの濃度で存在する。
【0141】
いくつかの実施形態において、IFN-αは約2.5IUの量で組成物中に存在し、IFN-βは約3IUの量で組成物中に存在し、またはIFN-λは約3IUの量で組成物中に存在する。
【0142】
別の実施形態において、組成物は、アセチルシステインまたはその類似体をさらに備え、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである。別の実施形態において、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、組成物全体の約10%から約20%の量で組成物中に存在する。別の実施形態において、アセチルシステインの誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、全組成物の約10%の量で組成物中に存在する。別の実施形態において、アセチルシステインの誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、全組成物の約20%の量で組成物中に存在する。
【0143】
パーセンテージ量は、例えば、重量/重量、体積/体積または重量/体積であってもよい。例えば、組成物が液体であり、記載の成分も液体である場合、そのパーセンテージは、例えば体積/体積であってもよい。
【0144】
別の実施形態において、組成物は、約600mg/mLの濃度のアセチルシステインまたはその類似体を含む。
【0145】
別の実施形態において、アセチルシステインの誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせは、約600mgの量で組成物中に存在する。
【0146】
別の実施形態において、組成物または組み合わせは、1以上の緩衝剤、1以上の保存剤、1以上の抗酸化剤、1以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、1以上の甘味料、1以上の香料、またはそれらの組み合わせ、任意でゴマ油または鉱油などの油をさらに含む。いくつかの実施形態では、賦形剤は、鉱油またはゴマ油などの油、FD&C Yellow No.6、ゼラチン、グリセリン、精製水、ゴマ油、二酸化チタン、黒酸化鉄、シェラックグレーズ、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水酸化アンモニウム、FD&C Blue No.2および/またはFD&C Red No.21を含んでもよい。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体は、ナノベシクルを含む。例えば、1以上の活性成分がナノベシクルに含まれることもあれば、異なるナノベシクルに含まれ、異なるナノベシクルが製剤に提供されることもある。いくつかの実施形態において、ナノベシクルは、逆ナノベシクルであってもよい。
【0147】
一の実施形態において、THCを含む組成物およびフルボキサミンを含む組成物は、吸入または経口、静脈内、鼻腔内または坐剤投与用に製剤される。
組み合わせ治療
【0148】
本発明の別の態様は、以下を含む組み合わせ治療を含む:
テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体を含む組成物であって、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせであり、フルボキサミンまたはその類似体を含む組成物であって、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである。
【0149】
一の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、THCA、THC、THCVA、THCV、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、Δ9-THCである。さらなる実施形態では、THCはドロナビノールである。
【0150】
いくつかの実施形態において、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体および/またはその組み合わせを含む組成物は、2%未満のCBDまたはCBDAを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0151】
いくつかの実施形態において、組成物は、フルボキサミンまたはその類似体を含み、前記類似体は、2%未満のCBDまたはCBDAを含むその誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態において、組成物(例えば、THC組成物)は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0152】
一の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む組成物は、約0.5mgから約10mg、任意に約2.5mgから約10mgのTHCを含む。一の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む組成物は、約6.25mgのTHCを含む。一の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む組成物は、約5mgのTHCを含む。一の実施形態において、THCまたはその類似体を含む組成物は、約2.5mgのTHCを含む。
【0153】
一の実施形態において、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む組成物は、約50mgから約150mg、任意に約50mg、任意に約100mg、任意に約134mg、任意に約148mg、または任意に約150mgのフルボキサミンを含む。 一の実施形態において、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む組成物は、約25mgから約450mg、任意に約30mgから約250mg、任意に約50mgから約200mg、任意に約75mgから約180mg、任意に約50mg、任意に約100mg、任意に約134mg、任意に約148mgまたは任意に約150mgの量のフルボキサミンを含む。
【0154】
一の実施形態において、組成物中のTHCまたはその類似体、任意にドロナビノールの量は、6.25mgである。一の実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体、任意にマレイン酸フルボキサミンの量は、約134mgである。
【0155】
一の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む組成物は、約0.5mg/mLから約30mg/mLの濃度のTHCを含む。一の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む組成物は、約5mg/mLから約10mg/mLの濃度のTHCを含む。一の実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片は、約5mg/mLの濃度のTHCを含む組成物中に存在する。
【0156】
0.5mg/mLから30mg/mLの間の他の濃度、例えば2.5mg/mLまたは6.25mg/mLを用いることもできる。
【0157】
一の実施形態において、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせを含む組成物は、約50mg/mLから約150mg/mL、任意に約75mg/mLから約150mg/mL、任意に約50mg/mL、任意に約100mg/mL、任意に約150mg/mLの濃度のフルボキサミンを含む。
【0158】
50mg/mLから150mg/mLの間の他の濃度、例えば134mg/mLまたは148mg/mLを用いることもできる。
【0159】
一の実施形態において、THCを含む組成物およびフルボキサミンを含む組成物の一方または両方は、吸入または経口、静脈内、鼻腔内または坐剤投与用に製剤される。
【0160】
一の実施形態において、THCを含む組成物または組み合わせ、およびフルボキサミンを含む組成物または組み合わせの一方または両方は、1以上の緩衝剤、1以上の保存剤、1以上の抗酸化剤、1以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、1以上の甘味料、1以上の香料、またはそれらの組み合わせ、任意でゴマ油または鉱油などの油をさらに含む。いくつかの実施形態では、賦形剤は、鉱油またはゴマ油などの油、FD&C Yellow No.6、ゼラチン、グリセリン、精製水、ゴマ油、二酸化チタン、黒酸化鉄、シェラックグレーズ、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、水酸化アンモニウム、FD&C Blue No.2および/またはFD&C Red No.21を含んでもよい。いくつかの実施形態において、薬学的に許容される担体は、ナノベシクルを含む。例えば、1以上の活性成分がナノベシクルに含まれることもあれば、異なるナノベシクルに含まれ、異なるナノベシクルが製剤に提供されることもある。いくつかの実施形態において、ナノベシクルは、逆ナノベシクルであってもよい。
ARFおよび/またはARDSを治療するための方法
【0161】
本発明の別の態様は、それを必要とする対象においてARFおよび/またはARDSを治療するための方法を含み、本方法は、本明細書に記載の組成物または組み合わせである、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物を対象に投与すること、またはTHCおよび/または類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物を対象に投与すること、または本明細書に記載の組み合わせ治療を対象に施すことを含む。
【0162】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のCBDまたはCBDAを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0163】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/またはその類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、THCまたはその類似体の約2.5mgから約10mgの用量を送達するのに充分な量で1日2回(B.I.D)施される。
【0164】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/または類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、THCまたはその類似体の約5mgの用量を送達するのに充分な量で1日2回(B.I.D)施される。
【0165】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/またはその類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、THCまたはその類似体の約2.5mgの用量を送達するのに充分な量で1日2回(B.I.D)施される。
【0166】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/またはその類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、THCまたはその類似体の約1mgから約4mgの用量を送達するのに充分な量で1日3回(T.I.D)施される。
【0167】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/またはその類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、THCまたはその類似体の約3.33mgの用量を送達するのに充分な量で1日3回(T.I.D)施される。
【0168】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/またはその類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、THCまたはその類似体の約1.67mgの用量を送達するのに充分な量で1日3回(T.I.D)施される。
【0169】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/または類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、例えば、フルボキサミンまたはその類似体の約75mgから約150mgの用量、任意に、約100mg、約134mg、約148mgまたは150mgの容量を送達するのに充分な量で1日2回(B.I.D)施される。一日量は、例えば、フルボキサミンまたはその類似体の約150mgから約300mg、任意に約200mg、約268mg、約296mgまたは300mgであってもよい。一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/またはその類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および/またはそれらの組み合わせの約25mgから約900mg、任意に約30mgから約300mg、任意に約50mgから約200mg、任意に約75mgから約180mg、任意に約50mg、任意に約100mg、任意に約134mg、任意に148mg、任意に約150mgの個別用量または一日量を送達するのに充分な量で1日に2回(B.I.D)施される。
【0170】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/または類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、1日3回(T.I.D)施される。いくつかの実施形態において、投与される組成物または組み合わせは、約50mgから約900mgの用量のフルボキサミンまたはその類似体、または約50mgから約450mgの単位用量のフルボキサミンまたはその類似体を送達するのに充分な量である。例えば、単位用量は、約100mg、約134mg、約148mgまたは約150mgのフルボキサミンまたは類似体を含んでもよい。
【0171】
前述のように、組成物、組み合わせ、方法および使用におけるフルボキサミンまたはその類似体は、マレイン酸フルボキサミンであってもよい。
【0172】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/または類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、1日3回(T.I.D)施される。
【0173】
例えば、投与される組成物または組み合わせは、フルボキサミンまたはその類似体の約100mg、または約100mgから約250mgの用量を送達するのに充分な量である。一の実施形態において、投与される組成物または組み合わせは、約134mgの用量のフルボキサミンまたはその類似体を送達するのに充分な量である。一の実施形態において、投与される組成物または組み合わせは、約148mgの用量のフルボキサミンまたはその類似体を送達するのに充分な量である。一の実施形態において、投与される組成物または組み合わせは、約150mgの用量のフルボキサミンまたはその類似体を送達するのに充分な量である。
【0174】
例えば、投与される組成物または組み合わせは、フルボキサミンまたはその類似体の約50mgの用量、またはフルボキサミンまたはその類似体の約130mgから約200mgの用量、または148mgを送達するために十分な量である。
【0175】
一の実施形態において、本方法は、ARFを治療するためのものである。一の実施形態において、本方法は、ARDSを治療するためのものである。一の実施形態において、本方法は、サイトカインストームを経験する対象を治療するためのものである。一の実施形態において、本方法は、COVID-19に罹患している対象におけるARF、ARDSおよび/またはサイトカインストームを治療するためのものである。
【0176】
一の実施形態において、対象は入院しており、および/または低酸素状態である。一の実施形態において、低酸素状態の対象は、約93%未満のO2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO2/FiO2比、または過去24時間におけるPaO2/FiO2比の約30%超の減少を有する。一の実施形態において、低酸素状態の対象は、約93%未満のO2飽和度を有する。
【0177】
一の実施形態において、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、または本明細書に記載のTHCおよび/または類似体ならびにフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、経口、吸入経由、静脈内、経鼻、または坐薬経由で施される。
【0178】
一の実施形態において、対象とはヒトである。
【0179】
一の実施形態において、本方法は、本明細書に記載の組成物、例えばTHCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/または類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療を対象に施す約10分から約15分前に、気管支拡張薬を対象に投与することをさらに含む。
【0180】
一の実施形態において、本方法は、本明細書に記載の組み合わせ治療を同時に、別々に、または連続して施すことを含む。
ARFおよび/またはARDSを治療するための組成物の使用
【0181】
本発明の別の態様は、対象におけるARFおよび/またはARDSを治療するための、本明細書に記載の組成物、例えば、THCまたはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/または類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療の使用を含む。
【0182】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のCBDまたはCBDAを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
医薬の製造における組成物の使用
【0183】
本発明の別の態様は、対象におけるARFおよび/またはARDSを治療するための医薬の製造における、本明細書に記載の組成物、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物、または本明細書に記載の組み合わせ治療の使用を含む。
【0184】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のCBDまたはCBDAを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0185】
一の実施形態において、対象とはヒトである。
【0186】
一の実施形態において、本使用は、ARFを治療するためのものである。一の実施形態において、本使用は、ARDSを治療するためのものである。一の実施形態において、本使用は、サイトカインストームを経験する対象を治療するためのものである。一の実施形態において、本使用は、COVID-19に罹患している対象におけるARF、ARDSおよび/またはサイトカインストームを治療するためのものである。
【0187】
一の実施形態において、対象は入院しており、および/または低酸素状態である。いくつかの実施形態において、対象は、肺水腫、X線撮影所見における両側のびまん性混濁に罹患している。一の実施形態において、低酸素状態の対象は、室内空気中で約93%未満、約92%未満、約91%未満、または約90%未満のO2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO2/FiO2比、または過去24時間におけるPaO2/FiO2比の約30%超、約40%超、約50%超の減少、約60%超の減少、約70%超の減少、約80%超の減少、または約90%超の減少を有する。一の実施形態において、低酸素状態の対象は、約93%未満のO2飽和度を有する。
【0188】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物または組み合わせ、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物または組み合わせ、または本明細書に記載のTHCおよび/またはその類似体ならびにフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物または組み合わせは、錠剤形態、カプセル剤、懸濁剤、または散剤に含まれる。
パッケージ
【0189】
本発明の別の態様は、THCおよび/またはその類似体、フルボキサミンおよび/またはその類似体、アセチルシステインおよび/またはその類似体、および/またはIFNおよび/またはその類似体の1以上を含むパッケージを含む。一の実施形態において、パッケージは、気管支拡張薬および/または滅菌バイアルをさらに備える。別の実施形態において、パッケージは、本明細書に記載の任意の組成物または組み合わせ、例えば、THCおよび/またはその類似体を含む組成物または組み合わせ、またはTHCおよび/またはその類似体ならびに本明細書に記載のフルボキサミンおよび/または類似体を含む組成物または組み合わせを、任意に滅菌バイアル中に含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のCBDまたはCBDAを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0191】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物または組み合わせ、例えば、THCおよび/またはそのアナログを含む組成物または組み合わせ、またはTHCおよび/またはアナログと本明細書に記載のフルボキサミンおよび/またはアナログを含む組成物または組み合わせ、または本明細書に記載の組み合わせ治療は、グルココルチコイド、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、ナプロシン、セチリジン、サリドマイド、ヘパリン、抗ウイルス剤、プレッシャーサポート、酸素補給、換気、うつ伏せでの換気、体外式膜型人工肺などを含むがこれらに限定されない標準的な治療と同時に施される。
【0192】
いくつかの実施形態において、THCとはΔ9-THCである。例えば、FDAが承認したドロナビノール製剤を使用することができ、任意に担体および/または賦形剤を調整することができる。例えば、グリセリン、黄酸化鉄、ゼラチン、二酸化チタンなどの賦形剤をドロナビノール製剤から除去することができる。
【0193】
いくつかの実施形態において、フルボキサミンは、その薬学的に許容される塩であってもよい。例えば、フルボキサミンはマレイン酸フルボキサミンであってもよい。
【0194】
いくつかの実施形態において、フルボキサミンおよびTHCは、ゴマ種子油などの適切な担体に溶解または懸濁させることができる。Δ9-THCは疎水性であるため、ゴマ種子油などの疎水性担体が好適であってもよいことが理解される。これに対してフルボキサミンはより親水性であるが、それでもゴマ種子油のような担体に懸濁することが可能である。例えば、フルボキサミンは、約5nm超または約5nmの脱凝集粒子でゴマ種子油に溶解または懸濁することができる。フルボキサミン粒子は、当技術分野で公知の任意の好適な手段によって得ることができる。例えば、約0.5ミクロンに粉砕することができる。フルボキサミン粒子をゴマ種子油に懸濁させて、粗懸濁液を作製することができる。
【0195】
ゴマ種子油は現在市販のΔ9-THC製剤に使用されているので、Δ9-THCの薬物動態特性に悪影響を及ぼすことはないと考えられる。マレイン酸フルボキサミンを含むフルボキサミンをゴマ種子油などの食品と共に摂取することに禁忌はないので、この製剤はフルボキサミンの吸収に悪影響を及ぼさないことが理解され得る。また、脂質や油分がフルボキサミンのバイオアベイラビリティを阻害する可能性があるのであれば、それはヒトを対象とした最初のバイオアベイラビリティ研究において実証され、食事との併用投与を制限することが推奨されたはずだと考えられる。
【0196】
THCおよびフルボキサミンは、HPMCカプセルに配合することができる。例えば、各カプセルは、約5.25mgまたは約6.25mgのΔ9-THCなどのTHCおよび約134mgまたは約148mgのフルボキサミン(例えばマレイン酸フルボキサミン)を含むことができる。本明細書に記載されるように、他の投与量および単位用量を用いることができることが企図される。6.0mgのTHCおよび120mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセル、6.0mgのTHCおよび180mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセル、または12.5mgのTHCおよび180mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセルなど、本明細書に記載のように他の投与量および単位用量を用いることができると考えられる。さらに、6.25mgのTHCおよび134mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセル、または12.5mgのTHCおよび166mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセルを使用することができる。
【0197】
フルボキサミンおよびΔ9-THCの利用可能な保管および取扱い情報に基づいて、本明細書に記載のΔ9-THCおよびフルボキサミンの組成物を含むカプセルは、例えば、約8℃および15℃の温度で保管するか、あるいは、凍結から保護しつつ冷蔵庫で保管することができる。
THC組成物
【0198】
別の態様において、本開示は、テトラヒドロカンナビノール(THC)またはその類似体およびフルボキサミンまたはその類似体を備える組成物を含み、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、塩、溶媒和物または断片である。THC組成物と呼ぶことができる組成物は、本明細書に記載のTHCまたはその類似体を含む組成物のいずれかを含むことができる。
【0199】
いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、塩、溶媒和物または断片は、THCA、THC、THCVA、THCVおよびそれらの組み合わせからなる群から選択される。例えば、THC、その誘導体、中間体、代謝物、塩、溶媒和物または断片は、△9-THCである。例えば、THCはドロナビノールである。
【0200】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のCBDまたはCBDAを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0201】
いくつかの実施形態において、フルボキサミンの誘導体、中間体、代謝物、塩、溶媒和物または断片は、フルボキサミンの塩である。例えば、フルボキサミンの塩はマレイン酸フルボキサミンである。
【0202】
いくつかの実施形態において、THC対フルボキサミン(例えば、マレイン酸フルボキサミン)の比は、重量に基づいて約0.01:1から約0.075:1である。いくつかの実施形態では、THC対マレイン酸フルボキサミンの比は、重量に基づいて、約0.015:1から約0.05:1、約0.025:1から約0.05:1、約0.03:1から約0.04:1、約0.069:1から約0.072:1、または約0.035:1である。
【0203】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物または組合せは、1以上の薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤をさらに含む。例えば、1以上の薬学的に許容される希釈剤、担体および/または賦形剤は、それぞれ独立して、ゴマ油、二酸化ケイ素、塩化ナトリウムおよびそれらの組み合わせから選択される。
【0204】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、ゴマ油および二酸化ケイ素をさらに含む。いくつかの実施形態では、組成物は塩化ナトリウムをさらに含む。
【0205】
いくつかの実施形態において、組成物は、約55wt%から約70wt%のゴマ油、約1wt%から約3wt%の二酸化ケイ素、約25wt%から約40wt%のフルボキサミンまたはその類似体、および約0.85%から約3wt%のTHCまたはその類似体を含む。
【0206】
いくつかの実施形態において、組成物は、約58wt%から約67wt%のゴマ油、約2wt%から約3wt%の二酸化ケイ素、約29wt%から約37wt%のフルボキサミンまたはその類似体、および約1wt%から約2.5wt%のTHCまたはその類似体を含む。
【0207】
いくつかの実施形態において、組成物は、約60wt%から約66wt%のゴマ油、約2wt%から約2.5wt%の二酸化ケイ素、約31wt%から約35wt%のフルボキサミンまたはその類似体、および約1wt%から約2.5wt%のTHCまたはその類似体を含む。
【0208】
いくつかの実施形態において、組成物は、約64wt%のゴマ油、約2.2wt%の二酸化ケイ素、約32.6wt%のフルボキサミンまたはその類似体、および約1.2wt%のTHCまたはその類似体を含む。
【0209】
いくつかの実施形態において、組成物は、約62.7wt%から約64.2wt%のゴマ油、約2.2wt%の二酸化ケイ素、約32.6wt%のフルボキサミンまたはその類似体、および約1wt%から約2.5wt%のTHCまたはその類似体を含む。
【0210】
いくつかの実施形態において、組成物は、約62.7wt%のゴマ油、約2.2wt%の二酸化ケイ素、約32.6wt%のフルボキサミンまたはその類似体、および約2.5wt%のTHCまたはその類似体を含む。
【0211】
いくつかの実施形態において、フルボキサミンまたはその類似体はマレイン酸フルボキサミンであり、および/またはTHCまたはその類似体はΔ9-THCである。
【0212】
いくつかの実施形態において、組成物はカプセルの形態であり、任意にカプセルはソフトゲルカプセル、任意にヒドロキシポルピルメチルセルロース(HPMC)カプセルである。
末期のARFおよび/または末期のARDSを含む、ARFおよび/またはARDSの治療に使用するための組成物
【0213】
別の態様において、本開示は、急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、任意に末期のARFおよび/または末期のARDS(任意にサイトカインストームによって引き起こされる)の治療に使用するための、本明細書に記載の組成物または組み合わせを含む。
【0214】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のCBDまたはCBDAを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0215】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、ARFの治療に使用するためのものである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、ARDSの治療に使用するためのものである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物は、サイトカインストームの治療に使用するためのものである。例えば、本明細書に記載の組成物は、COVID-19に罹患した対象の治療に使用するためのものである。
【0216】
例えば、COVID-19に罹患した対象の治療とは、COVID-19ウイルス感染症および/またはCOVID-19感染症に関連し得る関連症状および/または症候群の1以上を治療することを指す。
【0217】
いくつかの実施形態において、組成物は、入院および/または低酸素状態である対象において使用するためのものである。例えば、対象は、約93%未満のO2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO2/FiO2比、または過去24時間におけるPaO2/FiO2比の約30%超の減少を有する。例えば、対象は、約93%未満のO2飽和度を有することができる。
【0218】
いくつかの実施形態において、組成物は、任意に、THCの約5mgから約25mg、約5mgから約23mg、または約10mgから約22mgの一日量、およびフルボキサミンの約25mgから900mg、約75mgから約600mg、約100mgから約300mg、約100mgから約268mg、約200mgから約268mg、約100mgから約230mg、約210mgから約220mgまたは約213mgから約218mgの一日量を達成するように、1日2回使用される。
【0219】
例えば本開示に記載されるような組成物中の、および/または本開示の方法に記載されるように投与される、本明細書に記載されるように使用されるフルボキサミンまたはその類似体の実際の量は、フルボキサミンまたはその類似体の性質に依存することが理解される。フルボキサミン類似体の分子量は、フルボキサミン類似体の化学構造によって異なり、本明細書に記載されるように使用されるフルボキサミン類似体の実際の量(すなわち重量)に影響を与え得ることが理解される。例えば、フルボキサミンの分子量は約318.335g/molであるが、マレイン酸フルボキサミンの分子量は434.4g/molである。したがって、例えば、例示的な組成物が約100mgのフルボキサミンを含む場合、フルボキサミンがそのマレイン酸塩の形態で使用される場合には、同等の組成物は約136.46mgのマレイン酸フルボキサミンを含む。例えば、対象に約50mgのフルボキサミンを投与する場合、マレイン酸フルボキサミンを使用する場合には、対象に約68mgのマレイン酸フルボキサミンを投与することになる。当業者であれば、フルボキサミンの他の類似体についても同様の計算が可能である。
【0220】
例えば本開示に記載されるような組成物中の、および/または本開示の方法に記載されるように投与される、本明細書に記載されるように使用されるTHCまたはその類似体の実際の量は、THCまたはその類似体の性質に依存することが理解される。THC類似体の分子量は、THC類似体の化学構によって異なり、本明細書に記載のように使用されるTHC類似体の実際の量(すなわち重量)に影響を与え得ることが理解される。例えば、Δ9-THCの分子量は314.5g/molであるのに対し、THCAの分子量は358.478g/molである。したがって、例えば、例示的な組成物がTHC成分として約10mgのΔ9-THCを含む場合、THC成分としてTHCAが使用される場合には、類似の組成物は約11.4mgのTHCAを含むことができる。例えば、対象に15mgのΔ9-THCを投与する場合、THCAを使用する場合には、対象に約17.1mgのTHCAを投与することができる。当業者であれば、THCの他の類似体についても同様の計算が可能である。
【0221】
いくつかの実施形態において、組成物とは経口使用するためのものである。
【0222】
別の態様において、本開示は、サイトカインストームによって引き起こされる末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を治療するための方法であって、THCまたはその類似体、およびフルボキサミンまたはその類似体を、それを必要とする対象に投与することを含み、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、塩、溶媒和物および/またはその組み合わせであるである。
【0223】
いくつかの実施形態において、本方法は、ARFを治療するためのものである。いくつかの実施形態において、本方法は、ARDSを治療するためのものである。いくつかの実施形態において、本方法は、サイトカインストームを治療するためのものである。例えば、いくつかの実施形態において、本方法は、COVID-19に罹患している対象を治療するためのものである。
【0224】
いくつかの実施形態において、対象は入院しており、および/または低酸素状態である。例えば、対象は、約93%未満のO2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO2/FiO2比、または過去24時間におけるPaO2/FiO2比の約30%超の減少を有し得る。例えば、対象は、約93%未満のO2飽和度を有し得る。
【0225】
いくつかの実施形態において、THCまたはその類似体およびフルボキサミンまたはその類似体の投与は、本明細書に記載の組成物を投与することを含む。
【0226】
いくつかの実施形態において、THCまたはその類似体およびフルボキサミンまたはその類似体は、任意に、THCの約5mgから約25mg、約5mgから約23mg、または約10mgから約22mgの一日量、およびフルボキサミンの約25mgから900mg、約75mgから約600mg、約100mgから約300mg、約100mgから約268mg、約200mgから約268mg、約100mgから約230mg、約200mgから約230mg、約210mgから約220mgまたは約213mgから約218mgの一日量を達成するように1日2回投与される。
【0227】
いくつかの実施形態において、THCまたはその類似体およびフルボキサミンまたはその類似体は、経口投与される。
末期のARFおよび/またはARDSの治療のための医薬の製造のための組成物
【0228】
別の態様において、本開示は、サイトカインストームによって引き起こされる末期の急性呼吸不全(ARF)および/または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療のための医薬の製造において使用するためのTHCまたはその類似体およびフルボキサミンまたはその類似体を含む組成物または組み合わせを含み、前記類似体は、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、塩、溶媒和物および/またはその組み合わせである。
【0229】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のCBDを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
【0230】
いくつかの実施形態において、医薬は、ARFを治療するためのものである。いくつかの実施形態において、医薬はARDSを治療するためのものである。いくつかの実施形態において、医薬はサイトカインストームを治療するためのものである。例えば、いくつかの実施形態では、医薬は、COVID-19に罹患した対象を治療するためのものである。
【0231】
いくつかの実施形態において、医薬は、入院および/または低酸素状態にある対象に使用するためのものである。例えば、対象は、約93%未満のO2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO2/FiO2比、または過去24時間におけるPaO2/FiO2比の約30%超の減少を有することができる。例えば、対象は、約93%未満のO2飽和度を有することができる。
【0232】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせは、本明細書に記載の組成物である医薬の調製に使用するためのものである。
【0233】
いくつかの実施形態において、医薬は、任意に、THCの約5mgから約25mg、約9mgから約23mg、または約10mgから約22mgの一日量、およびフルボキサミンの
約25mgから900mg、約75mgから約600mg、約100mgから約300mg、約100mgから約268mg、約200mgから約268mg、約100mgから約230mg、約200mgから約230mg、約210mgから約220mgまたは約213mgから約218mgの一日量を達成するように1日2回使用される。
【0234】
いくつかの実施形態において、医薬は経口使用するためのものである。
【0235】
いくつかの実施形態において、対象は臓器移植レシピエントである。いくつかの実施形態において、対象は肺移植レシピエントである。他の実施形態において、対象は、腎臓、心臓、角膜、膵臓、腸、中耳、皮膚、骨、骨髄、心臓弁、および/または結合組織移植レシピエントである。
COVID-19感染症に罹患している対象におけるARFおよび/またはARDSを治療するための例示的な組成物または組み合わせ
【0236】
いくつかの実施形態において、COVID-19感染症から生じるARFおよび/またはARDSを治療するための組成物または組み合わせは、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせを含む。組成物または組み合わせはまた、インターフェロン(IFN)、のその誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせを含むことができる。いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせは、フルボキサミンまたはその誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせをさらに含む。いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせは、アセチルシステインまたはその誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせを含む。組成物または組み合わせは、COVID-19に罹患し、ARFおよび/またはARDSに罹患している患者に、吸入経路を介して(例えば、ネブライザーを使用して)送達されてもよい。他の実施形態において、組成物または組み合わせはまた、静脈内、経口(例えば、経口溶液として)、および/または坐剤を介して送達されてもよい。
【0237】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせ(例えばTHC組成物)は、2%未満のCBDまたはCBDAを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、CBDまたはCBDAを含まないか、または実質的に含まない。
1.テトラヒドロカンナビノール
【0238】
いくつかの実施形態において、THC、誘導体、または中間体(プロドラッグを含む)は、これらに限定されないが、Δ9-テトラヒドロカンナビノール-C5(Δ9-THC-C5)、Δ9-テトラヒドロカンナビノール-C4(Δ9-THC-C4)、Δ9-テトラヒドロカンナビバリン(Δ9-THCV-C3)、Δ9-テトラヒドロカンナビオルコル(Δ9-THCO C-1)、Δ9-テトラヒドロカンナビノールセアール(Δ9 THCA-C-5 A)、Δ9-テトラヒドロカンナビノールセアールB(Δ9 THCA-C-5 B)、Δ9-テトラヒドロカンナビノールセアール-C4(Δ9 THCA-C-4 Aおよび/またはB)、Δ9-テトラヒドロカンナビバリンセアールA(Δ9-THCVA-C3A)、Δ9-テトラヒドロカンナビオルセアール(Δ9-THCOA-C 1Aおよび/またはB)、(-)-Δ8-trans-(6aR,10aR)-Δ8-テトラヒドロカンナビノール(Δ8-THC-C5)、(-)-Δ8-trans-(6aR,10aR)-テトラヒドロカンナビノールセアールA(Δ8-THCA-C5A)、および(-)-(6a S,10a R)-Δ9-テトラヒドロカンナビノール ((-)-cis-Δ9-THC-C 5)を含む。いくつかの実施形態において、THC、誘導体、または中間体は、これに限定されないが、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリンカルボン酸(THCVA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、およびそれらの組み合わせを含む。いくつかの実施形態において、THC、誘導体または中間体は、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)である。
【0239】
いくつかの実施形態において、THC、誘導体または中間体は、CBDまたはCBDAではない。
【0240】
いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせは、約0.5mg/mLから約30mg/mLの量で組成物または組み合わせ中に存在してもよい。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせは、約1mg/mLから約30mg/mL、約2mg/mLから約30mg/mL、約5mg/mLから約30mg/mL、約5mg/mLから約25mg/mL、約5mg/mLから約20mg/mL、約5mg/mLから約15mg/mL、または約5mg/mLから約10mg/mLの量で組成物または組み合わせ中に存在してもよい。いくつかの実施形態では、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、またそれらの組み合わせは、約0.5mg/mL、約0.75mg/mL、約1mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、約25mg/mL、または約30mg/mLの量で組成物または組み合わせ中に存在してもよい。
【0241】
いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な用量は、約2.5mgを1日2回(B.I.D.)から約10mgを1日2回(B.I.D.)であってもよい。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な用量は、約5mgを1日2回(B.I.D.)、約3.33mgを1日3回(T.I.D)、および/または約1.67mgを1日3回(T.I.D.)であってもよい。THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせのこれらの用量は、静脈内、経口(例えば、経口溶液として)、坐剤を介して、および/または吸入を介して送達されてもよい。
【0242】
いくつかの実施形態において、THC、誘導体、中間体、代謝物、またその断片、およびそれらの組み合わせは、サイクリックGMP媒介機構を介してCB2受容体を活性化して、サイトカインストーム誘導性ARFおよび/またはARDSを最小限にする。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および組み合わせはまた、炎症誘発性IFN-γおよびTNF-αの量を減少させ、抗炎症性Treg、TGF-β、およびIL-10を増加させる。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、および組み合わせもまた、細孔および毛細管を通過するのに充分に小さい。いくつかの実施形態において、THC、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせは、CB2受容体アゴニズムを介して脾臓におけるウイルス除去を増強することによって抗ウイルス性でもある。
2.インターフェロン
【0243】
いくつかの態様において、IFN、誘導体、または中間体(プロドラッグを含む)は、I型IFNおよびIII型IFNが含むが、これらに限定されない。I型IFNは、IFN-αおよび/またはIFN-βを含むが、これらに限定されない。IFN-αは、ペグ化の有無にかかわらず、IFNα1a、IFNα2a、およびIFNα2bを含むが、これらに限定されない。IFN-βは、IFN-β-1aおよびIFN-β-1bを含むが、これらに限定されない。III型IFNは、IFN-λを含むが、これに限定されない。IFN-λは、IFN-λ-1(IL-29)、IFN-λ-2(IL-28a)、IFN-λ-3(IL-28b)、およびIFN-λ-4(IFN-λ-3と同様)を含むが、これらに限定されない。
【0244】
いくつかの実施形態において、IFN、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な用量は、1日あたり約5IUまたは1週間あたり約9MIUのIFN-αであってもよく、1日あたり約6MIUから約8MIUのIFN-β、であってもよく、および/または約3IUを1日2回(B.I.D)(吸入による)または1週間あたり約180μg(筋肉内注射による)のIFN-λであってもよい。いくつかの実施形態において、1日あたり5IUのIFN-αが患者に送達されてもよい。いくつかの実施形態において、9MIUのIFN-αが、3MIUのIFN-αを週3回筋肉内注射して送達されてもよい。いくつかの実施形態において、約6MIUから約8MIUのIFN-αが1日送達されてもよい。いくつかの実施形態において、約3IUのIFN-λが、吸入を介して1日2回(B.I.D.)送達されてもよい。いくつかの実施形態において、180μgのIFN-λが、毎週筋肉内注射を介して送達されてもよい。
【0245】
いくつかの実施形態において、IFN-α、誘導体、中間体、代謝物、またはその断片、およびそれらの組み合わせは、MHC Iタンパク質をアップレギュレートし、ウイルス抗原ペプチドの提示を増加させ、それによってCD8+T細胞の細胞障害性Tリンパ球(CTL)への活性化を増加させることによってARFおよび/またはARDSの重症度を低下させる。いくつかの実施形態において、増加したCTLは、マクロファージによるCTL媒介アポトーシスを増強する。IFN-αはまた、他の抗ウイルスメディエーター(プロテインキナーゼRおよび2’-5’Aシンテターゼなど)、IL-6、およびCRPも増加させる。いくつかの実施形態において、IFN-α、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせもまた、細孔および毛細管を通過するのに充分に小さい。
【0246】
いくつかの実施形態において、IFN-β、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせは、CD73酵素をアップレギュレートし、感染領域への白血球の動員を減少させ、血管漏出を最小限に抑え、内皮細胞透過性を低下させ、血管の完全性を高めることによってARFおよび/またはARDSの重症度を低下させる。いくつかの実施形態において、CD73酵素は、アデノシンを生成し、ADPおよびATPを低減する。いくつかの実施形態では、IFN-β、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせもまた、細孔および毛細管を通過するのに充分に小さい。
【0247】
いくつかの実施形態において、IFN-λ、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせは、上皮表面で初期段階の抗ウイルス免疫反応を開始することによって、ARFおよび/またはARDSの重症度を低下させる。いくつかの態様において、IFN-λおよびIL-28Rαは、チロシンキナーゼ(TYK2およびJAK1)を活性化してIL-28Rαをリン酸化し、これがSTATタンパク質に結合して、様々な抗ウイルスタンパク質を生成する。いくつかの実施形態では、IFN-λ、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせもまた、細孔および毛細管を通過するのに充分に小さい。
3.フルボキサミン
【0248】
フルボキサミンは、σ-1非オピオイド受容体に結合して作動させ、免疫反応を潜在的に調節する選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)である。フルボキサミンは、σ-1非オピオイド受容体に結合することが知られている全ての薬剤の中で最も強いσ-1非オピオイド受容体結合を有するが、その他にも受容体に結合し、有用な作用を有すると考えられる薬剤として、3-MeO-PCP、4-PPBP、アフォバゾール、アリルノルメタゾシン、Anavex 2-73、アルケタミン、BD1031、BD1052、ベルベリン、シタロプラム、コカイン、デヒドロエピアンドステロン(DHEA)、デヒドロエピアンドステロン硫酸(DHEA-S)、デキストロメトルファン、デキストロファン、N,N-ジメチルトリプタミン、ジメモルファン、ジトリルグアナジン、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、イグメシン、ケタミン、L-687.384、ラモトリジン、メマンチン、メタンフェタミン、ノスカピン、OPC-14523、オピプラモール、ペンタゾシン、ペントキシベリン、フェンシクリジン、(+)-3-PPP、PRE-084、プレグネノロン硫酸、SA4503、シラメシン、UMB23、およびUMB82などが挙げられる。σ-1非オピオイド受容体は、小胞体ストレスセンサーイノシトール要求酵素1a(IRE1)を介してサイトカイン産生を調節する小胞体シャペロンタンパク質である。フルボキサミンは、σ-1非オピオイド受容体/IRE1経路を通じて炎症による損傷を軽減する。フルボキサミンはまた、小胞体上のσ-1非オピオイド受容体への作用により、ウイルス粒子の成熟/放出を阻害してウイルス複製を減少させる。さらに、フルボキサミンは、σ-1非オピオイド受容体への作用により、サイトカインストームの重症度を軽減する。これは、比較的穏やかな免疫調節効果である。フルボキサミンは、小胞体上のσ-1非オピオイド受容体への作用により、比較的強い抗ウイルス効果も有する。
【0249】
いくつかの実施形態において、フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの治療上有効な経口用量は、約150mgまたは約148mgまたは約134mgを1日2回(B.I.D.)、約100mgを1日3回(T.I.D.)、約50mgを1日3回(T.I.D)および/または約50mgを1日2回(B.I.D)であることができる。他の経路によって(例えば、IV溶液として)投与される用量は、例えば、現在市販されている錠剤製剤でマレイン酸フルボキサミンが達成する、前述のフルボキサミンまたはその類似体の用量と同じフルボキサミンまたはその類似体の血中濃度を達成するように計算されるであろう。
【0250】
フルボキサミン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせは、σ-1非オピオイド受容体アゴニストとして作用することで、ARFおよび/またはARDSの重症度を低下させる。フルボキサミンは、σ-1非オピオイド受容体/IRE1経路を通じて炎症およびサイトカイン産生による損傷を軽減する。フルボキサミンはまた、小胞体上のσ-1非オピオイド受容体への作用により、およびリソソーム刺激効果により、ウイルス粒子の成熟/放出を阻害して、ウイルス複製を減少させる。他の作用メカニズムには、オートファジー調節および血小板活性化のSSRI阻害も含まれる。
4.アセチルシステイン
【0251】
いくつかの実施形態において、アセチルシステイン、誘導体、または中間体(プロドラッグを含む)としては、N-アセチルシステインが挙げられるが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせは、約600mgの量で組成物または組み合わせ中に存在してもよい。いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせは、1日に2回(B.I.D.)投与するためのものである。いくつかの実施形態において、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせは、組成物または組み合わせが吸入経路を介して(例えば、ネブライザーを用いて)送達される場合に、組成物または組み合わせの他の成分の吸収を高めるために肺胞内のヒアルロン膜の少なくともいくつかを除去する、組成物または組み合わせの粘液溶解薬として機能する。
【0252】
いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせはまた、1以上の緩衝剤、1以上の保存剤、1以上の抗酸化剤、1以上の薬学的に許容される賦形剤、担体、希釈剤、1以上の甘味料、1以上の香料、またはそれらの組み合わせも含んでもよい。
例示的な投薬および送達
【0253】
4成分(例えば、アセチルシステイン、THC、フルボキサミン、IFN)治療の投与レジメンのいくつかの実施形態において、アセチルシステイン、その誘導体、中間体、代謝物、または断片、およびそれらの組み合わせの用量は、約600mgを1日2回(B.I.D.)であり、THCの用量は、約1.25mgから約5mgを1日2回(B.I.D.)、約3.33mgを1日3回(T.I.D.)、および/または約1.67mgを1日3回(T.I.D.)であり、フルボキサミンの用量は、約50mgから約450mg、または約50mgから約250mgを1日2回(B.I.D.)、または約50mgから300mg、または約50mgから約175mgを1日3回(T.I.D.)、および/または約50mgから約150mgを1日3回(T.I.D.)であり、また、IFNの用量は以下の通りである。いくつかの実施形態において、IFNの用量は、IFN-α2aを2.5IUで1日2回(B.I.D.)、IFN-β-1を3IUで1日2回(B.I.D.)、またはIFN-λ1を3IUで1日2回(B.I.D.)である。
【0254】
2成分組成物(例えば、フルボキサミン、ドロナビノール)の投与レジメンのいくつかの実施形態において、フルボキサミンの用量は、約25mgから約450mgを1日2回(B.I.D.)、または約50mgから約150mg(B.I.D.)、任意に50mg(B.I.D.)、任意に100mg(B.I.D.)、任意に134mg(B.I.D.)または148mg(B.I.D.)または150mg(B.I.D.)、または約100mgを1日3回(T.I.D.)、または約50mgから300mgを1日3回(T.I.D.)であり、また、THCの用量は、約2.5mgから約10mg、例えば、2.5mg、5mg、6.25mgまたは10mgを1日2回(B.I.D.)、任意に約6.7mg(T.I.D.)、約4.2mg(T.I.D.)、約3.33mgを1日3回(T.I.D.)、約2.1mg(T.I.D.)、約1.67mgを1日3回(T.I.D.)または約0.83mg(T.I.D.)である。経口製剤は、6.25mgのドロナビノールと134mgのマレイン酸フルボキサミンをゴマ種子油に溶解したものを、FD&C Red No.21で外部に着色され、酸化鉄ブラックで「5.25」とエンボス加工されたヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに封入したものからなることができる。別の経口製剤は、5.25mgのドロナビノールおよび148mgのマレイン酸フルボキサミンをゴマ種子油に溶解したものを、FD&C Red No.21で外部に着色され、酸化鉄ブラックで「5.25」とエンボス加工されたヒドロキシプロピルメチルセルロースカプセルに封入したのからなることができる。あるいは、フルボキサミンは、溶解させるのではなく、0.5ミクロン程度の粒子に解膠させ、懸濁させることもできる。他の経路(例えば、静脈注射液として)で投与される用量は、現在市販されている錠剤製剤でマレイン酸フルボキサミンが達成する、前述の用量と同じフルボキサミンの血中濃度を達成するように計算されるであろう。
【0255】
本明細書に開示される組成物または組み合わせのいずれかは、COVID-19感染症に罹患した対象におけるARFおよび/またはARDSの治療のために、吸入(ネブライザーを介する)、経口(例えば、経口溶液として)、静脈内、および/または坐剤を介して送達されてもよい。いくつかの実施形態において、1以上の化合物および/または組成物は、ナノベシクル中にパッケージングされ、本明細書中に記載の経路を介して送達されてもよい。
【0256】
2成分組成物のいくつかの実施形態において、THCの用量である、約2.5mg、約5mgまたは約6.25mgを1日2回(B.I.D.)、約4.2mg(T.I.D.)、約3.33mgを1日3回(T.I.D.)、および/または約1.67mgを1日3回(T.I.D.)と、フルボキサミンの用量である、約25mgから約450mgを1日2回(B.I.D.)、約136mg(B.I.D.)、約100mgを1日3回(T.I.D.)、および/または約50mgを1日3回(T.I.D.)は、本明細書中に記載される経路を介して送達するために組み合わせられる。いくつかの実施形態において、THCを鉱油と混合して懸濁液を形成してもよく、フルボキサミンを懸濁液に混合して(例えば、振盪によって)鉱油中の組成物懸濁液を形成してもよく、これは本明細書に記載の経路を通じて患者に送達される。いくつかの実施形態において、THCを懸濁液中でフルボキサミンと混合し、本明細書に記載の経路で送達するために溶解可能なコーティングでカプセル化し、制御放出または即時放出することができる。
相乗効果
【0257】
理論に縛られることを望むものではないが、以下のような相乗効果が1以上現れる。(1)アセチルシステインは、肺胞を覆う粘液を分解し、薬の肺の標的細胞へのアクセスおよび毛細血管へのアクセスを良くして、相乗効果を発揮するようにする。(2)アセチルシステインは、抗凝固剤として作用し、健康なガス交換を損ない罹患率や死亡率の上昇に寄与する肺の微小血管の凝固を防止する。(3)IFNは、細胞内のウイルス防御機構を強化させ、各細胞がウイルスにさらされても生き残ることができるよう助ける。1つの効果は、ウイルスmRNAの転写と、ウイルス粒子の成熟と放出に必要なタンパク質の生産を停止することで、ウイルスの複製を制限することである。IFNは炎症反応を加速するが、残念ながらIL-6の分泌も増加させ、このIL-6は重大な罹患率と死亡率の原因となるサイトカインストームの重要な刺激因子となる。(4)THCは、白血球に存在するCB2受容体に作用してIL-6の作用を抑制する。これにより、サイトカインストームを低減および/または排除する。(5)フルボキサミンは、小胞体のσ-1非オピオイド受容体への作用により、ウイルス粒子の成熟/放出を阻害し、ウイルス複製を停止させる。(6)血流中のアセチルシステインは、遊離基(そのうちのいくつかは、内因性のものと治療によるものの両方のIFNに起因する)の除去を助ける。そうでなければ、遊離基は罹患率や死亡率につながる末端臓器障害の一因となる可能性がある。
【0258】
本明細書に記載の1以上の医薬を組み合わせることにより、より低い投薬量が達成可能であるため、例えば、薬剤による副作用(THCおよびフルボキサミンによるセロトニン症候群の発症など)の発生率を低減でき、したがって、より安全に治療を提供することができる。
【0259】
長年にわたり、さまざまなウイルス感染症や一部のがんをIFNで治療する試みが行われてきた。これらの努力は、インターフェロン治療の深刻な副作用のために、ほとんど放棄されてきた。本明細書に記載の治療法は、IFNの使用を可能にすると同時に、その副作用を軽減し、その機能を強化するものである。
【0260】
アセチルシステインは、肺組織へのアクセスを良くし、ウイルスRNAの複製と出芽を阻害することにより、機能を向上させる。アセチルシステインは、IFNによる遊離基の生成から臓器を保護し、IFNによる凝固亢進状態を抑えることで副作用を軽減する。
【0261】
理論に縛られることを望むものではないが、THCは白血球のIL-6反応を抑えることでサイトカインストームを止め、副作用を軽減することができてもよい。△9-テトラヒドロカンナビノール(△9-THC)は、サイクリックGMP媒介機構を通じて、白血球に主に存在するTHCの受容体、カンナビノイド受容体(CB2)を活性化して抗IL-6活性を示すことが示されている。△9-THCは、サイトカインストーム誘導性ARFおよび/またはARDSの動物モデルにおいて死亡率を低下させることが示されている。THC治療はまた、炎症誘発性サイトカイン、インターフェロン-γ(IFN-γ)、および腫瘍壊死因子-α(TNF-α)の量を減少させることができる。THC治療はまた、調節性T細胞(Treg)およびTregからのサイトカイン、腫瘍増殖因子-β(TGF-β)およびインターロイキン-10(IL-10)を増加させる。THCはまた、細孔および毛細管を通過するのに充分に小さい。△9-THCの副作用プロファイルは確立されており、癌患者への使用はFDAに承認されている。
【0262】
これはまた、中枢神経系への作用により、IFNによる食欲不振を打ち消す可能性がある。どちらの効果もCB2受容体によって媒介され、エンドカンナビノイド系の主な機能は、IFNの炎症作用の精密なバランスをとること/一時的に抑制することであり得ることが示されている。
【0263】
フルボキサミンはまた、IL-6の分泌を減少させることによってサイトカインストームを減少させる。
【0264】
フルボキサミンは、ウイルスの繁殖を止めることで機能を高め、この役割においてIFNを補助する可能性がある。
【0265】
いくつかの実施形態において、THCおよびフルボキサミン、任意でアセチルシステインとの組み合わせは、COVID-19感染症に罹患した対象のARFおよび/またはARDSを治療するための組成物または組み合わせとして共に良好に機能する。いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせはIFNを含まなくてもよい。特に、THCおよびフルボキサミン、および任意にアセチルシステインを含む組成物または組み合わせは、吸入機構を介して送達されてもよい。理論に縛られることを望むものではないが、このような組成物または組み合わせは、以下のような相乗効果を示してもよい。(1)アセチルシステインは、(粘液溶解作用を介して)呼吸器上皮へのアクセスを可能にし、(抗血栓形成作用を介して)肺血管系の開存性を維持し、他の薬剤の血管内へのアクセスを促進する。(2)理論に縛られることを望むものではないが、フルボキサミンは、σ-1非オピオイド受容体での活性を介してウイルスの複製を停止することができる。フルボキサミンは、σ受容体のアゴニストである。さらに、抗うつ剤は、細胞内のコンパートメントからのIL-6の放出を防ぐことができる未知のメカニズムにより、抗ウイルスおよび抗炎症特性を有することが示されている。(3)理論に縛られることを望むものではないが、THCは、IL-6活性の抑制ならびに他の抗炎症効果を介してサイトカインストームを停止させることができる。(4)アセチルシステインは、遊離基の不活性化を補助することにより、末端臓器の障害を軽減/予防してもよい。さらに、アセチルシステインは直接的な抗ウイルス活性を有する。
【0266】
理論に縛られることを望むものではないが、THCは、IL-6産生を抑制するCB2受容体への作用を介してサイトカインストームの重症度を低減する可能性がある。これは、比較的強い免疫調節効果である。理論に縛られることを望むものではないが、フルボキサミンはσ-1非オピオイド受容体への作用によりサイトカインストームの重症度を低下させてもよい。これは、比較的穏やかな免疫調節効果である。フルボキサミンはまた、小胞体のσ-1非オピオイド受容体への作用により、相対的に強い抗ウイルス効果を発揮してもよい。
【0267】
理論に縛られることを望むものではないが、両方の薬物を併用すると、以下のうちの1以上の理由により、相乗効果が得られる。THCおよびフルボキサミンは、相補的機構によってサイトカインストームの重症度を低下させる。したがって、各薬剤の使用量を少なくすることができる。THCおよびフルボキサミンの両方は、同じ肝酵素で代謝される。したがって、患者において一定の比率に依存せずに薬剤を使用すると、1つの薬剤が危険なほど蓄積され、副作用が増加したり、致命的な事象(例えば、セロトニンストーム)を引き起こしたりする可能性がある。これら2つの薬剤を単一の組成物および/または組み合わせ治療で提供することにより、これら2つの薬剤の比率をよりよく制御することができ、より安全な組成物/薬剤を提供するよう比率を最適化することができる。フルボキサミンは、THCの一般的な副作用である不安を治療する。THCは、フルボキサミンの一般的な副作用である吐き気を治療する。2つの薬剤を一緒に使用することで、どちらかの薬剤を単独で使用した場合に経験する副作用を軽減することができる。この副作用の軽減により、患者の薬物に対する耐性が向上し、必要に応じてより高用量の薬物の使用を可能にしてもよい。
【0268】
ウイルスによる患者の細胞の直接的な破壊は、感染の初期に起こり、感染後、サイトカインストームによる破壊が進むにつれて先細りになっていく。これは、いくつかの実施形態によるCOVID-19感染症の初期ウイルス段階110および末期のサイトカインストーム段階120を描いた疾患重症度対時間グラフ100である
図1に示される。
【0269】
患者が病院にいる場合、COVID-19感染症の初期ウイルス段階、末期のサイトカインストーム段階、あるいは2つの段階の中間のどこでより苦しめられるのかを知ることは難しい可能性がある。理論に縛られることを望むものではないが、組み合わせた医薬組成物は、段階の両方またはどちらかの治療を確実にするために有益であってもよい。薬剤が別々に投与される場合(つまり併用されない場合)、一方の薬剤が患者の感染段階に適しているのに、他方の薬剤が処方されることがある。この2つの薬を併用することで、治療のミスを回避できる可能性がある。
図2は、初期のウイルス段階210、末期のサイトカインストーム段階220、およびウイルスによる直接的な細胞死とサイトカインストームによる破壊の両方による有害な影響を含む中間段階215を示す、別の疾患重症度対時間グラフ200である。THCまたはその類似体とフルボキサミンまたはその類似体との組み合わせは、これら3つのフェーズ210、215、220のすべてにおいて、疾患症状を治療することが期待される。
【0270】
いくつかの実施形態において、方法、組成物、組み合わせおよび使用は、任意に、COVID-19感染症または他のコロナウイルス感染症に罹患した対象における、ARDSまたはARFの早期治療のためのものである。早期治療は、例えば、病院受診時、陽性診断時、または曝露が判明し、COVID-19に関連する症状が少なくとも1つある場合などである。
【0271】
いくつかの実施形態において、方法、組成物、組み合わせおよび使用は、任意に、COVID-19感染または他のコロナウイルス感染に罹患した対象における、ARDSまたはARFの早期治療のためのものであり、患者は、約93%未満の酸素飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO2/FiO2比、または過去24時間におけるPaO2/FiO2比の約30%超の減少を有し得る。
【0272】
理論に縛られることを望むものではないが、THCは、CB2への作用により、複数の炎症性サイトカインの分泌を低減する。IL-10の分泌を誘導して、IL-6や他の多くのサイトカインの分泌を減少させる。また、活性化した白血球のアポトーシスを引き起こし、さらにサイトカインストームを終結させるように作用する。さらに、それは、脾臓中間帯B細胞のCB2受容体を介した作用を有してもよく、その欠如は、脾臓における多くの異なるウイルスの適切な除去を妨げる。
【0273】
フルボキサミンは、小胞体上のシグマ-ワン受容体への相互作用によって、感染細胞からのウイルス粒子の分泌を阻害する。フルボキサミンは、肺の組織に集中すると考えられている。フルボキサミンは、他のシグマ-ワン受容体リガンドのように作用し、小胞体への作用によりIL-6の分泌を抑制するという学説が立てられている。
【0274】
理論に縛られることを望むものではないが、THCの存在は、THCとは異なる機構がIL-6の分泌を抑制することで、サイトカインストームをさらに抑制するのに役立つだろう。これは、少なくともこの相乗作用が、重要な研究で認められた93%の生存率に寄与するものである。
【0275】
実施例1に示すように、THCがCOVID-19に関連した炎症による低酸素症で入院した患者の死亡率を68%低下させることが確認された。これは、活性化白血球のアポトーシスによるサイトカインストームの終結、IL-6の分泌および他のサイトカインの抑制、および脾臓でのウイルスクリアランスの増加に起因するとの学説が立てられている。生存率は93.5%であった。フルボキサミンはさらに、IL-6の分泌およびウイルス粒子の放出を抑制するために異なる機構を用いることで、生存率を高めることができるとの学説が立てられている。フルボキサミンが肺組織に集中すると考えられていることから、最初に肺組織を標的とすることが多いCOVID-19の治療に特に有用であると考えられる。IL-6の産生の抑制およびウイルス循環の抑制の相乗効果により、COVID-19の生存率を1%から4%向上させることができるとの学説が立てられている。生存率が97.5%を達成できれば、ほぼ完治と言える。
COVID-19感染症または他のコロナウイルス感染症に罹患した対象におけるARFおよび/またはARDSを治療するための例示的な方法
【0276】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の組成物または組合せを使用してARFおよび/またはARDS(任意にCOVID-19感染症に起因する)を治療するための方法は、ネブライザーを使用してARFおよび/またはARDSを患う患者に1以上の組成物または組合せを投与することを含む。いくつかの実施形態において、組成物または組み合わせは、24時間間隔で2回患者に投与されてもよい。様々な組成物または組み合わせの特定の成分が本明細書に記載されているが、当業者であれば、特許請求の範囲を超えることなく、成分が特定の成分に置換され得ることを理解するであろう。例えば、より高い抗炎症/抗IL-6活性を有する様々なTHC誘導体を組成物または組み合わせにおいて使用することができる。組成物または組み合わせの様々な成分の特定の濃度が本明細書に記載されているが、当業者であれば、これらの濃度を変化させて、組成物または組み合わせの各成分の治療上有効な用量を同時に送達するように変更され得ることを理解するであろう。
【0277】
いくつかの実施形態において、(任意にCOVID-19感染症に罹患している対象における)ARFおよび/またはARDSを治療するための方法はまた、グルココルチコイド、ヒドロキシクロロキン、アジスロマイシン、ヘパリン、抗ウイルス薬、プレッシャーサポート、および換気を含むが、これらに限定されない標準的なケア治療を患者に提供することを含んでもよい。いくつかの実施形態において、ARFおよび/またはARDSに罹患している患者は、例えば、約93%未満のO2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO2/FiO2比、または過去24時間におけるPaO2/FiO2比の約30%超の減少を示す場合にのみ、本明細書に記載される組成物または組み合わせで治療されてもよい。いくつかの実施形態において、本方法は、患者による組成物または組み合わせの吸収を高めるために、組成物または組み合わせを投与する約10分から約15分前に気管支拡張剤を投与することを含んでもよい。
【0278】
いくつかの実施形態において、(ネブライザーを介した)吸入による組成物または組み合わせの送達を記載しているが、本明細書に記載の組成物または組み合わせは、COVID-19感染症に罹患した対象におけるARFおよび/またはARDSの治療のために、経口(例えば、経口溶液として)、静脈内、および/または坐剤を介して投与されてもよい。
【0279】
本明細書で使用される用語「約(about)」、「実質的に(substantially)」および「約(approximately)」は、最終結果が大きく変化しないような、修飾した用語の妥当な逸脱量を意味する。これらの度量衡の用語は、少なくとも±5%のずれ、あるいは少なくとも±10%のずれが、それが修飾した用語の意味を否定しない場合には、修飾した用語のずれを含むと解釈されるべきである。例えば、「約100mg」は、95mgから105mgを含んでもよい。
【0280】
本明細書で使用される場合、「有効量」という語句は、患者に意図したまたは有益な結果をもたらすのに充分な量を意味する。有効量は、1以上の用量、適用、または投与で投与することができる。特定の物質の有効量は、製薬技術における通常の技術の範囲内である。
【0281】
本明細書で使用する場合、「薬学的に許容される」という表現は、健全な医学的判断の範囲内で、過剰な刺激、アレルギー反応、毒性、または他の問題や合併症を伴わず、妥当なリスク/利益比で、ヒトおよび動物、患者との接触での使用に適している、それらの組成物、材料、化合物、および/または投与形態を意味する。薬学的に許容される成分は、医薬分野において公知である。米国薬局方(The United States Pharmacopeia)など、製薬業界で知られている公的な出版物には、対象となるさまざまな成分の医薬品の受容性を分析するための基準が記載されている。
【0282】
本明細書で使用される場合、「ドロナビノール」という用語は、C21H30O2の化学式および約314.46の分子量を有する化合物を指す。ドロナビノールは、合成デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(デルタ-9-THC)である。ドロナビノールは、室温で粘着性であり、冷蔵時に硬化する淡黄色の樹脂油であってもよい。ドロナビノールは、水に不溶であり、例えばゴマ油に配合することができる。pKaは10.6で、pH7でのオクタノール-水分配係数は6,000:1である。ドロナビノール製剤は、例えば、FD&C Yellow No.6、ゼラチン、グリセリン、精製水、ゴマ油、二酸化チタン、黒色酸化鉄、シェラックグレーズ、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、プロピレングリコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよび水酸化アンモニウム、FD&C Blue No.2および/またはFD&C Red No.21といった不活性成分を含むことができる。
【0283】
本明細書で使用する場合、「類似体」という用語は、ベース化合物と同様の、またはより優れた効力および/または他の生物学的特性を有する構造的に関連する分子を含み、分子のファミリーおよび誘導体、中間体、断片および/またはそれらの組み合わせを含む。例えば、THCの類似体は、Δ9-テトラヒドロカンナビノール-C5(Δ9-THC-C5)、Δ9-テトラヒドロカンナビノール-C4(Δ9-THC-C4)、Δ9-テトラヒドロカンナビバリン(Δ9-THCV-C3)、Δ9-テトラヒドロカンナビオルコル(Δ9-THCO C-1)、Δ9-テトラヒドロカンナビノールセアール(Δ9 THCA-C-5 A)、Δ9-テトラヒドロカンナビノールセアールB(Δ9 THCA-C-5 B)、Δ9-テトラヒドロカンナビノールセアール-C4(Δ9 THCA-C-4 Aおよび/またはB)、Δ9-テトラヒドロカンナビバリンセアールA(Δ9-THCVA-C3A)、Δ9-テトラヒドロカンナビオルセアール(Δ9-THCOA-C 1Aおよび/またはB)、(-)-Δ8-trans-(6aR,10aR)-Δ8-テトラヒドロカンナビノール(Δ8-THC-C5)、(-)-Δ8-trans-(6aR,10aR)-テトラヒドロカンナビノールセアールA(Δ8-THCA-C5A)、(-)-(6a S,10a R)-Δ9-テトラヒドロカンナビノール ((-)-cis-Δ9-THC-C 5)を含む。いくつかの実施形態において、THC、誘導体、または中間体は、これに限定されないが、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリンカルボン酸(THCVA)、テトラヒドロカンナビバリン(THCV)、およびそれらの組み合わせを含む。IFNの類似体の例は、I型IFNおよびIII型IFNを含む。I型IFNは、IFN-αおよび/またはIFN-βを含むが、これらに限定されない。IFN-αは、ペグ化の有無にかかわらず、IFNα1a、IFNα2a、およびIFNα2bを含むが、これらに限定されない。IFN-βは、IFN-β-1aおよびIFN-β-1bを含むが、これらに限定されない。III型IFNには、IFN-λが含まれるが、これに限定されない。IFN-λには、IFN-λ-1(IL-29)、IFN-λ-2(IL-28a)、IFN-λ-3(IL-28b)、およびIFN-λ-4(IFN-λ-3と同様)が含まれるが、これらに限定されない。アセチルシステインの類似体の例には、N-アセチルシステインが含まれる。
【0284】
本明細書で使用される場合、用語「末期のARFおよび/またはARDS」そして「末期のARFおよび/または末期のARDS」は、ARFおよび/またはARDSを有する対象が、入院および/または換気および/または酸素補給を必要とする状態であることを指す。
末期のARFおよび/またはARDSを有する対象は、肺水腫、ARF/ARDSのX線所見(例えば、両側のびまん性混濁)、および/または低酸素症を有する可能性がある。
【0285】
本明細書で使用する場合、「低酸素症または低酸素の」という用語は、対象が約93%未満のO2飽和度、室内空気中の300mmHg未満のPaO2/FiO2比、または過去24時間におけるPaO2/FiO2比の約30%超の減少を有する場合を指す。
【0286】
本明細書中で使用する場合、「フルボキサミン」は、その薬学的に受容可能な塩を含む。本明細書で使用する場合、「フルボキサミン」という用語は、2-[(E)-[5-メトキシ-1-[4-(トリフルオロメチル)フェニル]ペンチリデン]アミノ]オキシエタンアミンのIUPAC名を有する化学化合物を指す。
【0287】
本明細書中で使用する場合、「アセチルシステイン」は、その薬学的に受容可能な塩を含む。
【0288】
本明細書で使用する場合、「テトラヒドロカンナビノール(THC)」は、Δ9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9-THC)を含む。
【0289】
本明細書で使用する場合、「Δ9-テトラヒドロカンナビノール」、「Δ9-THC」などの用語は、(-)-(6aR,10aR)-6,6,9-トリメチル-3-ペンチル-6a,7,8,10a-テトラヒドロ-6H-ベンゾ[c]-クロメン-1-オール)のIPUAC名を有する化学化合物を指し、その薬学的に許容される塩を含む。
【0290】
本明細書で使用される「治療上有効な量」という用語は、例えば、患者における障害、疾患または状態を治療または予防するための、または患者における障害、疾患または状態の1以上の症状を治療または予防するための、物質および/または化合物の量、または物質および/または化合物の組み合わせの量を含む。物質および/または化合物の組み合わせは、好ましくは、物質および/または化合物を単独で投与した場合の相加効果よりも、組み合わせて投与した場合の効果が大きい場合に生じる相乗的な組み合わせである。相乗作用は、個々の物質および/または化合物と比較して、組み合わせによる活性の増加、細胞毒性の低下、またはいくつかの他の有益な効果を含んでもよい。
【0291】
本明細書で使用する場合、特に断りのない限り、「治療する」または「治療」という用語は、有益な結果を得ること、および/またはそのような用語が適用される障害、疾患または状態を逆転させる、緩和する、進行を阻害する、または予防すること、またはそのような障害、疾患または状態の1以上の症状を逆転させる、緩和する、進行を阻害する、または予防することを意味する。例えば、死亡率の減少、ICUおよび/または病院に滞在する時間の減少は有益な結果である。
【0292】
本明細書において、様々な物質および/または成分の量、濃度などは、範囲形式で示すことが多い。範囲形式の開示は、単に簡潔さおよび便宜のためであり、特許請求される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。したがって、範囲の開示は、具体的に開示された全ての可能な部分範囲ならびにその範囲内の個々の数値を有すると解釈されるべきである。例えば、1%から5%といった範囲の記載は、1%から4%、2%から5%、2%から3%、3%から4%、4%から5%、3%から5%などといったサブ範囲、およびその範囲内の個々の数値、例えば、2%、4%、5%などを具体的に開示したと考えるべきである。
【0293】
本発明の様々な例示的な実施形態を本明細書に記載する。非限定的な意味でこれらの実施例を参照する。それらは、本発明のより広く適用可能な態様を例示するために提供される。本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、記載された本発明に様々な変更を加えることができ、同等物を代用することができる。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスの行為またはステップを本発明の目的、精神、または範囲に適合させるために、多くの修正が行われてもよい。さらに、当業者には理解されるように、本明細書で説明および図示された個々の変形例の各々は、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、他のいくつかの実施形態のいずれかの特徴から容易に分離またはそれと組み合わせることができる個別の構成要素および特徴を有する。全てのそのような修正は、本開示と関連付けられる請求項の範囲内であることが意図される。
【0294】
対象の診断または介入手順を実行するために記載された装置のいずれもが、そのような介入を実行する際に使用するためのパッケージ化された組み合わせで提供されてもよい。これらの供給品「キット」は、使用説明書をさらに含んでもよく、そのような目的のために一般的に用いられる滅菌トレイまたは容器に包装されてもよい。
【0295】
本発明は、対象装置を使用して実施され得る方法を含む。本方法は、そのような好適な装置を提供する行為を含んでもよい。そのような用意は、エンドユーザによって行われてもよい。言い換えれば、「提供する」行為は、エンドユーザが、本方法において必要な装置を入手し、アクセスし、接近し、位置決めし、セットアップし、起動し、電源を入れる、さもなければ、対象方法に必要な装置を提供するために行動する。本明細書に列挙される方法は、論理的に可能な列挙された事象の任意の順序で、ならびに記載された事象の順序で実施されてもよい。
【0296】
単一の物質または成分が請求項の文言で規定された複数の機能要件を満たすことを条件として、単一の物質または成分が複数の機能要件を満たすことができる。全ての引用された参考文献は、それらが本明細書と矛盾しない範囲で、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0297】
本発明の例示的な態様は、材料の選択および製造に関する詳細とともに、上記に記載されている。本発明の他の詳細については、上記特許および刊行物に関連して理解され得るだけでなく、当業者によって一般的に知られているか、または理解され得るものである。一般的または論理的に採用される追加的な行為に関して、本発明の方法に基づく側面に関しても同様であり得る。
【0298】
さらに、本発明は、種々の特徴を任意に組み込んで、いくつかの実施例を参照して説明されるが、本発明は、本発明の各変形例に関して企図されたものとして説明または表示されているものに限定されるものではない。本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、記載された本発明に種々の変更が加えられてもよく、同等物(本明細書に記載されている、または簡潔さのために含まれていないかにかかわらず)に置換されてもよい。さらに、値の範囲が提供される場合、その範囲の上限と下限との間の全ての介在値およびその規定された範囲内の任意の他の規定または介在値が本発明に包含されることが理解される。
【0299】
また、記載された本発明の変形例の任意の特徴は、独立して、または本明細書に記載されたいずれか1以上の特徴と組み合わせて、示され、請求され得ることが企図される。単数のものに言及する場合、同じものが複数存在する可能性を含む。より具体的には、本明細書およびそれに付随する特許請求の範囲で使用されるように、単数形「a」、「an」、「said」および「the」は、特に断りがない限り、または内容が明確に指示する場合を除いて、複数の指示物を含む。したがって、例えば、「化合物」を含む組成物は、2つ以上の化合物の混合物を含む。また、「または」という用語は、内容が明確に指示する場合を除き、一般に「および/または」を含む意味で使用されることにも留意されたい。言い換えれば、冠詞の使用は、上記の説明ならびに本開示に関連する特許請求の範囲における対象項目の「少なくとも1つ」を可能にする。このような請求項は、任意の要素いずれも除外するように起草することができることに留意されたい。したがって、この記述は、請求項の要素の列挙に関連して「単に(solely)」、「のみ(only)」などの排他的な用語を使用すること、または「否定的な」限定を使用することの先行する基礎となることが意図される。
【0300】
本願および特許請求の範囲で使用される場合、用語「からなる(consisting)」およびその派生語は、明記された特徴、要素、構成要素、群、整数、および/またはステップの存在を特定し、他の述べられていない特徴、要素、構成要素、群、整数、および/またはステップの存在も除外する、限定された用語であることが意図される。
【0301】
本明細書で使用される「組成物」という用語は、2つ以上の化合物を含む混合物である。一の実施形態において、組成物は、2つ以上の異なる化合物の組成物である。さらなる実施形態において、組成物は、化合物の2つ以上の「形態」、例えば、塩、溶媒和物、または場合によっては、任意の比率の化合物の立体異性体を含んでもよい。当業者であれば、組成物中の化合物は、混合物の形態としても存在し得ることを理解するであろう。例えば、化合物は、塩の水和物として存在し得る。本明細書に開示された化合物のすべての形態は、本開示の範囲内である。
【0302】
このような排他的な用語を使用することなく、本開示に関連する請求項における「備える(comprising)」という用語は、所定の数の要素が当該請求項に列挙されているかどうか、または特徴の追加が当該請求項に記載された要素の性質を変えるものとみなされるかどうかにかかわらず、任意の追加の要素を含むことを許容するものとする。本書で特に定義されている場合を除き、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、請求項の有効性を維持しつつ、一般に理解されるできるだけ広い意味を与えるものとする。
【0303】
本発明の広さは、提供される実施例および/または本明細書に限定されるものではなく、むしろ、本開示に関連する請求項の言語の範囲によってのみ限定されるものである。
【0304】
上記の開示は、本願を全般的に説明するものである。以下の具体的な実施例を参照することにより、より完全な理解を得ることができる。これらの実施例は、例示のみを目的として記載されており、本願の範囲を限定することを意図するものではない。状況に応じて、形状を変更したり、同等品に置き換えたりすることも想定される。本明細書では特定の用語が使用されているが、そのような用語は説明的な意味で意図されており、限定を目的としたものではない。
【0305】
以下の非限定的な実施例は、本開示の例示である。
実施例
実施例1:THCの臨床試験
【0306】
COVID-19により人命が失われていることは、よく知られているところである1。この病気は2つの段階があると考えられている2。第1段階は、ウイルスの複製と拡散で、鼻の上皮に感染し、吸入により肺組織に、そして血行性拡散により他の臓器に感染する。中には、病気を封じ込められず、サイトカインストームを発症する第2段階に進む人もいる。サイトカインストームの主な原因は、NK細胞や細胞傷害性T細胞が感染細胞を殺すことができないことにあると思われる。この失敗により、感染細胞や、それを殺そうとする細胞は、炎症性サイトカインを分泌する炎症促進状態に陥ってしまう3。IL-6は、炎症性サイトカインカスケードの主要な促進要因であると思われるサイトカインとして同定されている4。
【0307】
トシリズマブは、IL-6とその受容体の結合に拮抗するように設計された抗体である。他の病態で見られるサイトカインストームの治療にも成功している5。2020年5月には、患者のサイトカインストームを止めることを期待され、COVID-19を治療する多くの施設で使用された。期待したほどの効果は得られなかった。期待したほどの効果が得られなかった時6、IL-6の中心的な役割を強調したサイトカインストームのモデルが正しくないと考えられた。次いで、この問題はトシリズマブによるものであると考えられた。トシリズマブは抗体であるため、約150キロダルトン(kDa)の大きさがある7。毛細血管の開口部の大きさは、平均して約40kDaしかない8。トシリズマブは血管内のコンパートメントに閉じ込められ9、サイトカインストームが起こっている組織に到達できない可能性があると推察された。
【0308】
課題は、抗IL-6活性を有する小分子を見つけることであった。トシリズマブの活性型断片が最初に検討されたが、安定化した抗体断片は約47kDと依然として大きすぎた10。メトトレキサート11は、副作用のプロファイルが高すぎて、このような重篤な患者に使用するのは危険すぎる可能性があった。発明者は、体内の炎症性メディエーターに対する自然な対抗手段として考えられてきたエンドカンナビノイド系を検討した12。
【0309】
エンドカンナビノイド受容体に活性を有する薬剤は、低い周知の副作用プロファイルを有し、サイズも小さく、すでにFDAの認可を受けており、抗炎症作用も知られていた13。エンドカンナビノイドが有名である心因性作用が主にCB1受容体を介して起こるのに対し12、免疫反応は主に、ほぼ全ての白血球に存在する受容体14であるCB2受容体を介する12と考えられている。エンドカンナビノイドが抗炎症作用を発揮する正確なメカニズムについて発表された研究15は限られており、実際に、いくつかの研究は、エンドカンナビノイドが抗炎症作用を発揮する可能性を示唆していた16。
【0310】
IL-6の活性を打ち消すための、以前にFDAに承認されていた特許切れのCB1受容体およびCB2受容体のアゴニストを、酸素補給を必要とする77名の連続して入院したCOVID-19患者に投与した。72名の患者が生存し、現在の標準治療だけでは80%の生存率であったのに対し、治療群では94%の生存率が実証された(p値0.02)。入院日数は、対照群と比較して治療群で37%減少した(p値0.01)。
方法/材料
【0311】
2020年10月10日から2020年12月9日の間に、ネバダ州ラスベガスのある病院では、97人の連続したCOVID+患者が1人の感染症専門医に診察された。分析に先立ち、患者を特定するデータはすべて削除された。本調査は、米国保健社会福祉省の被験者保護方針(45 C.F.R. §46.104(d) Category 4)の条件に従い、IRBの審査を免除された。年齢18歳以上で、酸素補給のための入院が必要であることを包含基準とした。除外基準には妊娠が含まれた。低酸素症ではなかった13名および妊娠していた2名が除外された。残りの82人の患者に、ドロナビノールを提供した。4人の患者が拒否した。78人の患者がドロナビノールを受けた。患者は、2.5mgまたは5mgのドロナビノールを経口投与BIDで開始した。68人の患者は、初診日から退院日まで5mgをBIDで経口投与された。双極性障害の患者1名については間欠的に治療を拒否したが、入院期間の大半の日数で治療を受けた。5mgの経口BIDに耐えられなかった患者には、2.5mgの経口BIDに減量した。10人の患者に2.5mgドロナビノール経口投与BIDを行った。彼らは、感染症担当医が虚弱体質と判断してこの用量を開始したか、5mgをBIDで経口投与して副作用が観察または報告された後にその用量で開始されたかのいずれかであった。そのうちの1人は、複数の併存疾患があり、すべての治療から離脱した。そのため、彼女は分析対象から除外された。最終的に、彼女は医学的問題により死亡した。9人の患者が退院日または死亡日までドロナビノール2.5mgをBIDで経口投与し、治療を完了した(年齢85歳の患者1名を含む)。したがって、77人の患者がドロナビノールを受け、この調査に含められた。対照データは、ネバダ州ラスベガスの1つの病院で2020年6月6日および2020年8月25日の間に同一の感染症専門医が診察した44人の連続したCOVID+患者である。両群の患者は、酸素補給を必要とするCOVID-19患者に対する現在の標準的な治療を受けた。COVID-19+の状態は、鼻腔ぬぐい液のRNA検査によって確認された。
【0312】
対照群と治療群の詳細は、t検定(年齢、CRPピーク)、マン・ホイットニー検定(併存疾患の数)、またはカイ二乗検定(性別および重症者管理)により比較した。本試験で死亡した患者数が少なかったため、対照群と治療群の死亡率の差の調査にはフィッシャーの正確確率検定を使用した。死亡率データは、プロトコルごとの分析を用いて分析した。入院期間(LOS)を、対数リンク関数を用いたガンマ回帰モデルを使用して治療群間で比較した(Basu et al. 2004)。平均LOSの95%信頼区間は、対数スケールで推定し、報告のために逆変換した。各治療群における死亡患者と生存患者の記述的比較は、死亡率が低いこととサンプルサイズが小さいことから、平均値とプールされた標準誤差に基づく95%信頼区間を用いて行われた。解析はR3.6.3(www.r-project.org)で行った(R Core Team (2020))。R: A language and environment for statistical computing. R Foundation for Statistical Computing, Vienna, Austria.
【0313】
標準治療では、COVID-19感染症が疑われる患者には、プロカルシトニン値が0.20以下になるまでセフトリアキソンとアジスロマイシンの投薬治療を開始することになっていた。患者は全員、デキサメタゾンと皮下ヘパリンで治療された。COVID-19が確認されると、レムデシビルと回復期血漿が投与された。呼吸器サポートは標準的なプロトコルに従って提供された。2020年9月以降、18歳以上で酸素を必要とし、妊娠していなければ、ドロナビノールが提供された。
【0314】
治療対照群は、年齢、性別および併存疾患において類似しており、治療群と統計的に有意な差異を示さなかった(
図3A-3C参照)。
結果
【0315】
本調査に含まれる治療群の77人の患者のうち、死亡は5人であった。死因は表1に説明される。1人の患者は入院前に15%の駆出率を有しており、心不全で死亡した。1人の患者は、人工呼吸器装着中に致命的な緊張性気胸を発症した。1人の患者は、デカドロン投与後に致命的な消化管出血を起こした。2人の患者がCOVID-19による肺の損傷に直接起因する肺の障害で死亡した。これらの患者を表1に記載する。残りの治療された患者は、酸素補給から解放され、自宅に退院することができた。対照群における死亡原因を表2に示す。
全死因死亡率:
【0316】
【0317】
【0318】
ドロナビノールで治療した患者群の患者の死亡率、CRPレベルおよび入院期間を対照群と比較し、すべてを
図4AからCに示した。
【0319】
酸素補給を必要とするCOVID-19入院患者のうち、未治療群では20.5%であった死亡率が、治療群では6.5%に減少した。これは、治療群における死亡率が68%減少したことを表している(p値=0.02)(
図4A)。
【0320】
入院期間もまた、未治療群の15.6日から治療群の9.9日まで有意に短縮された。これは、治療群における滞在日数の37%の減少である(p値=0.01)(
図4B)。
【0321】
初期炎症の程度を示す指標であるC反応性タンパク質(CRP)の最初のピーク値の平均値は、治療群においてより低かった。これは、14%の差(0.07のp値)に相当し、統計的有意性(p値<0.05)のレベルには達しなかった(
図4C)。
【0322】
本調査では、COVID-19で入院した患者のうち、酸素補給が必要で、現在の標準治療に加えてドロナビノール2.5mgまたは5mgをBIDで経口投与した場合、現在の標準治療のみを受けた患者と比較して死亡率が減少することが示された。(
図4A)
【0323】
死者の平均年齢が調査対象患者の平均年齢より有意に高いことが示すように、年齢は生存率を決定する上で重要な役割を果たすようであった(
図3A)。これは、2つの要因によって引き起こされると考えられる。第1に、高齢の患者は、細胞内防御シグナル伝達経路に重要な2つの栄養素、亜鉛とビタミンDの腸管吸収が低下しているため、インターフェロンによる抗ウイルス免疫力が低下している
18。第2に、高齢の患者は、若年の患者よりも前回のMMRブースター注射から時系列的に離れており、必要な記憶T細胞は、加齢による免疫老化によって死滅または休眠状態にある可能性が高い
19。
【0324】
性別は酸素必要量において重要な役割を果たすと思われたが、これは、女性よりも男性の方が多く調査に参加したためであり、より少ない女性がCOVID-19が進行した低酸素症を発症することを示唆している。この調査では、ドロナビノールによる治療が、性別による影響を一時的に緩和するようであった。これを確認するためには、より大規模な調査が必要である。(
図3B)ウイルスタンパク質を細胞内で認識・提示するタンパク質であるトール様受容体(TLR)3、7、および9の遺伝子はX染色体にあり、女性は機能的な遺伝子のコピーを持つ可能性が男性の2倍ある
20。また、CD4+T細胞とB細胞はともにエストロゲンの受容体を有しており、エストロゲンシグナル伝達が体液性免疫の強化に一役買っていることが示唆された
20。体液性免疫の生成は、後述するように、COVID-19感染症に打ち勝つために重要であると思われる。
【0325】
CRPはサイトカインストームを経験した患者において上昇する
3。初期ピークCRP値の低下と、入院期間の短縮が証明する症状期間の短縮は、ドロナビノールの投与と一致しており、ドロナビノールがこれらの患者におけるサイトカインストームの減衰/終息の原因であることが示唆された。(
図4Bおよび
図4C)。
【0326】
本調査では、ウイルス量の測定は行われなかったため、ウイルス量が減少したという推定に対する根拠はない。サイトカインストームは、炎症プロセスによって組織に損傷を与えて、重大な病的状態を引き起こすことが知られている。したがって、サイトカインストームを停止させるだけで、患者の酸素必要量を軽減し、退院できるほど症状を軽減できた可能性がある。ウイルスの繁殖が続くと、ドロナビノール中止後にサイトカインストームが再燃して、退院後にまた再入院になるかどうか知るには時期尚早である。
【0327】
2020年10月以降、今のところ再入院はほとんどない。このことから、ほとんどの患者において、サイトカインストームの停止により、身体がウイルスの繁殖を停止させ、サイトカインストームの再拡大を防ぐための十分な防御の開始を可能にすることが示唆される。ドロナビノールは、CB1およびCB2受容体を活性化する。CB1およびCB2受容体は、ヒト型サイトカイン合成阻害因子(インターロイキン10)の産生を増加させる。インターロイキン10(IL-10)は、すべての炎症誘発性サイトカインであるIL-6、IFN-γ、およびIL-2の産生を抑制する。これらのサイトカインは細胞傷害性のCD8+T細胞およびNK細胞をその部位に引き寄せ、次いで、それら自身の炎症誘発性サイトカインを消失させる。IL-10は、同時にB細胞再生を直接刺激し、CD4+T細胞に作用21して、細胞内病原体に対する先天性免疫反応を抑制する。IL-10は、免疫反応を、NK細胞や細胞傷害性CD8+T細胞の活性化を誘発する自然免疫反応から逸らし、CD4+T細胞を誘導してB細胞に影響を及ぼし、誘発因子に対処するのに必要な抗体を再生および産生することからなる適応免疫反応に向かわせる、免疫系のスイッチとして働くと考えられる。
【0328】
これは、症状のある性患者が回復期血漿に良好に応答するという観察と一致し、患者自身の身体が自身を守るのに充分な、ウイルスに対する抗体を産生することができなかったことを意味する。ドロナビノールによって提供されるIL-10ブーストは、身体がそれ自体で充分な抗体を生産し始めるためのきっかけになる可能性がある。
【0329】
サイトカインストームを起こしたCOVID-19+患者をドロナビノールで治療し、治療群と対照群でIL-6値(CRPより感度が高い)、IL-10値、ウイルス量、ウイルスに対する抗体レベルを頻繁にチェックする第2の調査を計画することができる。このような調査により、ドロナビノールがIL-10産生を増加させ、IL-6産生を減少させ、ウイルスに特異的な抗体産生を誘導し、それによって循環ウイルス量を減少させるか否かを実証する。もし、このような減少が症状の改善につながれば、ドロナビノールの作用機序はより明確かつ確実に解明されるであろう。さらに、IL-6値を症状の持続時間に対してプロットした曲線の下の面積を測定することで、治療群と未治療群における炎症反応をより定量化できる可能性がある。
【0330】
ドロナビノールの用量は、最大限の有効性が望まれ、FDAが推奨する最大用量であることから、5mg経口BIDとした。行動上の副作用のため用量の減量を必要とした患者は1名のみで、合計3名の患者が2.5mgドロナビノールBIDを服用していたが、5mgをBIDで経口投与した患者と比較して有益性が低いとは考えられなかった。
【0331】
死亡した患者の一人(85歳、LOS28日)については、当初改善していたCRPの値が数日後に上昇したことから、おそらくウイルスの複製が続き、ドロナビノールに対する身体の反応を圧倒した可能性があることが示唆された。他の患者においては、ドロナビノールに明らかな反応を示すことなく、CRP値が大きく変動した。
【0332】
この治療法は、主に病気の第2段階であるサイトカインストームに対処するものであるとの学説が立てられている。
実施例2:THCとフルボキサミンの併用の臨床試験
【0333】
Δ9-THC(例えばドロナビノール)およびフルボキサミンを含む、本明細書に記載の組成物または組み合わせが使用される。COVID-19が確認され、酸素補給のために入院した患者を対象とした無作為化臨床試験を実施し、以下の結果のうちの1以上を評価する。
-全死因の死亡率
-生きていて入院もしなかったという数
-世界保健機関(WHO)の6段階臨床効果順序尺度(Ordinal Scale for Clinical Improvement)を用いた無作為化から14日後の患者の臨床状態(表3)
-無作為化から28日目または退院までの機械的換気の日数
-ベースライン時、および2日目、4日目、6日目、8日目、10日目、12日目または退院時の血漿中サイトカイン(または他のマーカー)濃度(例えば、IL-6、IL-1、IL-10、CRP)レベルの変化を評価する
-入院日数
-入院時の集中治療室(ICU)滞在日数
-例えば、ベースライン時、5日目、28日目または退院時の、治療に応答した血清抗COVID-19抗体値およびウイルス量の変化を評価する。
【0334】
介入群の患者は、標準治療に加えて、約5.25mgまたは約10.5mgのTHC、および例えば約148mgのマレイン酸フルボキサミンを、低酸素症の解消までまたは退院まで、任意に1日2回任意に経口投与する。
【0335】
対照群1の患者は、標準治療のみを受ける。当業者によって決定される適切な換気戦略を、標準治療の一部として用いることができる。本調査に含まれる臨床検査が陰性の患者は、COVID-19患者の治療経験を持つ研究グループの2名の重症患者担当医師で形成される盲検委員会により評価される予定である。この委員会は、検査のタイミング、臨床症状、および胸部画像(肺のCTスキャンまたは胸部X線)の解析などを考慮し、臨床検査が陰性でもCOVID-19感染症である(COVID-19感染の症可能性がある)か、COVID-19感染症でない可能性があるかを判断する。SARS-CoV2のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査が陽性の患者は、COVID-19感染症が確認されたものとみなす。主な解析は、治療の意図(intention-to-treat)原則に基づき、COVID-19の感染状況(確認済みと未確認)に関する感度分析を追加する予定である。
【0336】
無作為化および割り付けの秘匿
【0337】
患者を2つの群に1対1の割合で無作為に割り付ける:標準治療+THC/フルボキサミン組成物または組み合わせ(介入群)と、THC/フルボキサミン組成物または組み合わせなしの標準治療(対照群)。
盲検化
【0338】
この試験は、調査者、介護者、および患者が介入に関して盲検化された状態で実施される。すべての統計解析は、グループ割り当てに関して盲検化された方法で行われる。
データ収集
【0339】
未識別の患者データは、電子オンラインデータキャプチャツール(REDCap)を介して収集される。人口統計データおよびベースラインデータ、身長、体重、無作為化前のTHCまたはフルボキサミンの使用、臨床検査結果、および1日の最大酸素補給必要量が、すべての患者について収集される。Hunterセロトニン毒性基準に加え、SOFA、PHQ-9、GAD-7スコアが収集される。機械的換気または任意の他の換気/酸素支援(高流量鼻カニューレ、非侵襲的換気、補充酸素の使用)の使用は、28日目まで、または退院までのどちらか早い方で毎日収集される。ICUおよび退院時のバイタルステータス、および任意の他の関連臨床データ、例えば院内感染、血糖管理のためのインスリン使用、抗生物質の使用、COVID-19の他の治療法(ヒドロキシクロロキン、クロロキン、アジスロマイシン)などが収集される。機械的換気に関するデータは、治療の開始および中止の日時に関するデータとともに、特定の形態で収集される。
【0340】
調査開始後3ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月に、構造化された電話によるインタビューと、EQ-5D-3Lを用いた健康関連QOLに関する検証済みの手段により、患者を評価する。患者はまた、在宅酸素療法または呼吸の補助を使用しているかどうか、退院後に何らかの原因で再入院したことがあるかどうかも質問される。臨床状態により患者が応じられない場合、電話の追跡調査は、家族または患者のケアを担当する責任者に行われる。
【0341】
患者は、治療介入から入院28日目までか、または退院日または死亡までかのどちらか先に発生した日まで追跡され、毎日評価が行われる。
統計的方法
【0342】
結果:主な解析調査集団は、投与された薬剤に関係なく、割り付けられた群を変数として、無作為化されたすべての患者(治療意図(intention-to-treat)集団)で構成される。
【0343】
28日より前に生きて病院から退院した患者を計数する。入院日数は、平均値および標準偏差として提示される。治療効果は、95%信頼区間およびP値を有する平均差として提示される。中心をランダム効果として、年齢、無作為化前のTHCおよびフルボキサミン組成物または組み合わせの使用、およびPaO2/FiO2比を調整した、ベータ二項分布または0/1過剰ベータ分布の一般化線形モデルを使用することができる。追跡不能の場合、主要な結果に関する欠落データは、多重代入法を用いて処理される。
【0344】
28日目の全死因の死亡率を、中心をランダム効果として用いた混合Coxモデル(フレイルティモデル)を使用して分析する。ベースライン時、治療介入から3日後、7日後、14日後、および28日後のSOFAスコアにおける治療効果を、中心をランダム効果とした線形混合モデルで分析する。患者の臨床状態については、順序ロジスティック回帰を使用し、結果は2つの組み合わせ、介入と対照の2つの組み合わせを比較した比例オッズ比として提示される。確率比は、中心をランダム切片として、年齢およびPaO2/FiO2比を調整した比例確率の混合ロジスティック回帰から導き出される。累積順位スコアは、主要な二次結果と同様に別々に提示される。各オッズ比は、混合ロジスティック回帰を用いて推定される。同じモデルを用いて、追跡調査における治療の効果を比較する。比例オッズ仮定が満たされない場合、順序尺度1から4のカテゴリは、分析のために単一のカテゴリとしてグループ化される。すべての二次結果は探索的なものであり、多重検定のための調整は行われない。
【0345】
有害事象をカウントおよびパーセンテージで表し、カイ二乗検定を用いて群間で比較する。すべての分析の有意水準は0.05とする。多重検定のための調整は行わない。すべての分析は、Rソフトウェア(R Core Team, Vienna, Austria, 2020)を用いて行われる。
追加の分析:
感度分析:
【0346】
介入群において提案された治療を受けた患者のみ、および対照群においてTHC/フルボキサミン組成物またはその組み合わせを受けなかった患者を考慮して、主要および二次結果に対する治療効果を評価するための分析を行うことができる。さらに、以下の群において、主要な結果について感度分析を行うことができる。
-COVID-19感染が確認された
-COVID-19感染が確認された・可能性がある
-THC/フルボキサミン組成物または組み合わせを受けた患者およびTHC/フルボキサミン組成物または組み合わせを受けなかった患者
-介入群において提案された治療を受けた患者および対照群において治療を受けなかった患者
表3 6段階の順序尺度
【表3】
実施例3:THCおよびフルボキサミンの製剤
【0347】
Δ9-THCおよびフルボキサミンの例示的な製剤を本明細書で提供する。FDAが認証したドロナビノール製剤を使用することができ、任意に担体および/または賦形剤を調整することができる。グリセリン、黄酸化鉄、ゼラチン、および二酸化チタンなどの賦形剤は、ドロナビノール製剤から取り除くことができる。
【0348】
フルボキサミンは、その薬学的に許容される塩の形態で使用することができる。この例示的な製剤の目的のために、マレイン酸フルボキサミンを使用する。
【0349】
フルボキサミンおよびTHCは、ゴマ種子油などの適切な担体に溶解または懸濁される。Δ9-THCは疎水性であるので、ゴマ種子油などの疎水性担体が適切であり得ることが理解されてもよい。対照的に、フルボキサミンはより親水性であるが、ゴマ種子油などの担体に懸濁することが可能である。フルボキサミンは、ゴマ種子油中に約5nm未満の脱凝集粒子で溶解または懸濁される。フルボキサミン粒子は、当技術分野で公知の任意の好適な手段によって得ることができる。この例示的製剤の場合、フルボキサミンは約0.5ミクロンに粉砕される。フルボキサミン粒子をゴマ種子油に懸濁させて粗懸濁液を作製する。
【0350】
現在、市販のΔ9-THC製剤にはゴマ種子油が使用されているため、Δ9-THCの薬物動態特性に悪影響を及ぼすことはないと考えられる。マレイン酸フルボキサミンを含むフルボキサミンをゴマ種子油などの食品と共に摂取することに禁忌はないので、この製剤がフルボキサミンの吸収に悪影響を及ぼさないことが理解され得る。また、脂質や油分がフルボキサミンのバイオアベイラビリティを阻害する可能性があるのであれば、それはヒトを対象とした最初のバイオアベイラビリティ研究において実証され、食事との併用投与を制限することが推奨されたはずだと考えられる。
【0351】
THCおよびフルボキサミンは、HPMCカプセルに配合することができる。この例示的な製剤について、各カプセルは、約5.25mgのΔ9-THCおよび約148mgのマレイン酸フルボキサミンを含む。本明細書に記載されるように、他の投与量および単位用量を用いることが企図される。6.0mgのTHCおよび120mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセル、6.0mgのTHCおよび180mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセル、または12.5mgのTHCおよび180mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセルなどの、他の投与量および単位用量を本明細書に記載されるように用いることができると考えられる。さらに、6.25mgのTHCおよび134mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセル、または12.5mgのTHCおよび166mgのマレイン酸フルボキサミンを含有するカプセルを使用することができる。
【0352】
フルボキサミンおよびΔ9-THCの利用可能な保管および取扱い情報に基づいて、本明細書に記載のΔ9-THCおよびフルボキサミンの組成物を含むカプセルは、例えば、約8℃および15℃の温度で保管するか、あるいは、凍結から保護しつつ冷蔵庫で保管することができる。
実施例4:THCおよびフルボキサミンのナノベシクル
【0353】
THCおよびフルボキサミンは、ナノベシクルを使用して製剤することができる。1以上の活性医薬成分(API)は、ナノベシクル、例えば脂質二重層球に含有させることができる。この場合、Δ9-THCは、例えばゴマ種子油に溶解するので、ナノベシクルの内部環境が親水性である逆ナノベシクルを使用することが有益であると考えられる。
実施例5:THCおよびフルボキサミンの薬理学
概要
非臨床薬理学
【0354】
Δ9-THCは、白血球に存在するCB2受容体を活性化して、IL-6に対する応答をダウンレギュレートする。さらに、理論に縛られることを望むものではないが、THCは、脾臓におけるCB2受容体に依存するウイルス除去を増強する可能性が高い。THCはまた、IL-6分泌を減少させる。フルボキサミンは、非σ1オピオイド受容体に結合し、小胞体と細胞膜との融合を妨げることで、感染細胞からのIL-6およびウイルス粒子の両方の分泌を妨げると考えられている。
薬物動態学
【0355】
Δ9-THCは経口投与で90から95%吸収され、10から20%が体循環に達し、10L/kgの大きな2つのコンパートメントの容積の分布を有し、有意な脂質分布を有する。フルボキサミンは、経口投与後に53%のバイオアベイラビリティを有し、25L/kgの分布を有し、80%が血漿タンパク質に結合している。
毒性学
【0356】
フルボキサミンについて、報告されている最も低い致死量は、1400mgである。過量投与は、胃洗浄、活性炭および支持療法で管理することができる。フルボキサミンは、ごくまれにセロトニン症候群を引き起こし、これはサイトヘプタジンで治療することができる。また、ごくまれに神経遮断薬悪性症候群を引き起こすことがあり、これはダントロレンで治療することができる。Δ9-THCについて、過剰摂取による死亡例は報告されていない。高用量のΔ9-THCの副作用として、尿閉や姿勢低血圧が起こることがあるが、対症的に治療することで対応可能である。
臨床経験
【0357】
本明細書に記載されているように、COVID-19による低酸素症で入院した77人の連続した患者に標準治療に加えてΔ9-THCを使用したところ、標準治療のみを受けた44人の連続した患者と比較して、死亡率が68%減少することが統計的に有意に確認された。
薬力学
【0358】
Δ9-THCによる交感神経刺激作用により、頻拍および/または結膜充血を起こすことがある。血圧への影響は一貫していないが、対象は時々、急に立ち上がった際に起立性低血圧および/または失神を経験している。
【0359】
Δ9-THCはまた、食欲、気分、認知、記憶および知覚に対する可逆的効果を示す。これらの現象は用量に関連し、高用量になるほど頻度が高くなり、対象間での変動が大きいようである。Δ9-THCは経口投与後、約0.5時間から1時間で作用が発現し、2時間から4時間で作用がピークに達する。向精神効果の作用期間は4時間から6時間であるが、Δ9-THCの食欲増進作用は投与後24時間以上継続することがある。Δ9-THCや他のカンナビノイドの薬理作用の一部に対して、慢性的な使用により頻脈や耐性が生じることから、交感神経への間接的な作用が示唆される。慢性Δ9-THC曝露の薬力学の調査において、健康な男性ボランティアら(N=12)は、分割用量で経口投与された210mg/日のΔ9-THCを16日間受けた。Δ9-THCによって誘発された最初の頻拍は、正常な洞調律、次いで徐脈へと順次置き換えられていった。立位によって悪化する仰臥位血圧の低下も、初期には観察された。これらボランティアは、治療開始後12日以内にΔ9-THCの心血管系および自覚的な中枢神経系有害作用に対する耐性を獲得した。しかし、Δ9-THCカプセルの食欲増進作用に対して、頻脈や耐性が発現することはないようである。後天性免疫不全症候群(AIDS)患者に関する臨床試験において、Δ9-THCカプセルの食欲増進効果は、2.5mg/日から20mg/日の範囲の用量で最大5カ月まで持続した。
【0360】
強迫性障害におけるフルボキサミンの作用機序は、脳ニューロンにおけるその特異的なセロトニン再取り込み阻害に関連すると推定される。受容体結合研究により、フルボキサミンが試験管内(in vitro)ならびに生体内(in vivo)で強力なセロトニン再取り込み阻害剤であることが実証された。前臨床試験において、フルボキサミンがセロトニンの神経細胞への取り込みを阻害することが明らかになった。試験管(in vitro)研究において、フルボキサミンは、ヒスタミン作動性、αまたはβアドレナリン作動性、ムスカリン性、またはドーパミン作動性受容体に対して有意な親和性を有さなかった。これらの受容体の一部の拮抗作用は、いくつかの向精神薬の様々な鎮静作用、心血管作用、抗コリン作用、および錐体外路作用に関連すると考えられる。
薬物動態学
【0361】
吸収および分布:Δ9-THCは、単回経口投与後にほぼ完全に吸収される(90%から95%)。初回通過肝代謝と高い脂質溶解度の複合効果により、投与された用量の10%から20%のみが体循環に到達する。Δ9-THCは、その脂溶性のため、約10L/kgと、分布の見掛け容積が大きい。Δ9-THCおよびその代謝物の血漿タンパク質結合率は約97%である。Δ9-THCの排泄段階は、初期(α)半減期が約4時間、終期(β)半減期が25時間から36時間の2つのコンパートメントモデルで記述することができる。Δ9-THCおよびその代謝物は、分布容積が大きいため、長期間にわたり低レベルで排泄される可能性がある。健康な女性および男性において、単回投与(2.5mg、5mg、および10mg)および複数回投与(2.5mg、5mg、および10mgを1日2回(BID))後のΔ9-THCの薬物動態が研究されている。Δ9-THCの平均CmaxおよびAUC(0から12)については、検討した用量範囲において、用量の増加に伴い用量比例がわずかに増加することが観察された。
【0362】
健康なボランティアら(n=34;20歳から45歳)を対象とした絶食条件下でのΔ9-THCの複数回投与薬物動態パラメータの概要を表4に示す。
表4 健常ボランティアにおけるΔ9-THCの薬物動態の概要
【表4】
代謝
Δ9-THC
【0363】
Δ9-THCは、主にミクロソームの水酸化によって広範な初回通過肝代謝を受け、活性代謝物および不活性代謝物の両方が生じる。Δ9-THCおよびその主要な活性代謝物である11-OH-デルタ-9-THCは、血漿中にほぼ等しい濃度で存在する。親薬物、代謝物ともに経口投与後、約0.5時間から4時間で濃度がピークに達し、数日かけて低下する。クリアランスの値は平均約0.2L/kg-hrであるが、カンナビノイドの分布が複雑であるため、非常に変動しやすい値である。排泄:Δ9-THCおよびその生体内変換産物は、糞便および尿の両方にて排泄される。胆汁排泄が主な排泄経路であり、尿からの排泄が10%から15%であるのとは対照的に、放射標識された経口投与量の約半分が72時間以内に糞便から回収される。経口投与量の5%未満が糞便中に未変化体として回収される。単回用量投与後、尿および糞便中に低レベルのΔ9-THC代謝物が5週間超検出されている。AIDS患者を含むΔ9-THCカプセルの調査では、6週間にわたり隔週で尿中カンナビノイド/クレアチニン濃度比を調査した。尿中カンナビノイド/クレアチニン比は用量と密接な相関があった。治療開始後2週間を経過してもカンナビノイド/クレアチニン比の上昇は認められず、定常状態のカンナビノイドレベルに達したことが示された。この結論は、観察されたΔ9-THCの終末半減期に基づく予測と一致する。特別な集団:Δ9-THCの薬物動態プロファイルは、小児または高齢患者のいずれにおいても調査されていない。Δ9-THCは、主に肝臓のCYP2C9、CYP 2C19、およびCYP3A4 P450酵素によって代謝される。Δ9-THCは、CYP 2D6を阻害する可能性がある。
フルボキサミン
【0364】
マレイン酸フルボキサミンの絶対バイオアベイラビリティは53%である。経口バイオアベイラビリティは、食物によって有意に影響されない。30人の正常なボランティアにおいて、マレイン酸フルボキサミンを100、200および300mg/日で10日間連続して投与する用量比例試験において、定常状態は、約1週間の投与後に達成された。定常状態における最大血漿中濃度は投与後3時間から8時間以内に発現し、それぞれ平均88、283および546ng/mLの濃度に達した。したがって、フルボキサミンは、この用量範囲にわたって非線形の薬物動態を有し、すなわち、高用量のフルボキサミンマレイン酸塩は、低用量から予測される濃度よりも不釣り合いなほど高い濃度を示した。分布/タンパク質結合:フルボキサミンの分布の見掛け容積の平均は約25L/kgであり、広範な組織分布を示唆している。フルボキサミンの約80%は、20ng/mLから2000ng/mLの濃度範囲で、血漿タンパク質、主にアルブミンに結合する。代謝:マレイン酸フルボキサミンは、肝臓で広範囲に代謝される。主な代謝経路は、酸化的脱メチル化および脱アミノ化である。5mgの放射標識された用量のマレイン酸フルボキサミンとともに、フルボキサミンの尿排泄産物の約85%を構成する9つの代謝物が確認された。ヒトの主な代謝物はフルボキサミン酸であり、N-アセチル化したその類似体と共に、尿中排泄産物の約60%を占めた。酸化的脱アミノにより生成した第3代謝物であるフルボキサミンエタノールは約10%を占めた。フルボキサミン酸とフルボキサミンエタノールは、ラットのセロトニンおよびノルエピネフリン再取り込み阻害のインビトロ(in vitro)アッセイで試験された。前者の代謝物がセロトニン取り込み阻害に弱い影響を与える(3つの親化合物よりも1から2桁低い効力)以外は、不活性であった。フルボキサミンの約2%が、尿中に未変化で排泄された。排泄:14C標識マレイン酸フルボキサミン(5mg)の経口投与後、71時間以内に尿中に平均94%の薬物関連物質が回収された。健康な若いボランティアらに100mg/日を複数回経口投与した後の定常状態におけるフルボキサミンの平均血漿中半減期は、15.6時間であった。フルボキサミンは、肝臓のCYP3A4、CYP2C9、およびCYP2D6 P450酵素を適度に阻害する。フルボキサミンは、CYP 1ACおよびCYP 2C19を強く阻害する。フルボキサミンは、CYP 2D6によって代謝される。
【0365】
高齢の対象:フルボキサミン錠剤50mgおよび100mgを高齢者(66歳から73歳)と若年者(19歳から35歳)で比較した調査において、高齢者の平均最高血漿中濃度は40%高かった。フルボキサミンの複数回用量の排泄半減期は、50mgおよび100mgの投与でそれぞれ、定常状態の若年の対象で13.6時間および15.6時間であったのに対し、高齢者では17.4時間および25.9時間であった。高齢の患者では、フルボキサミンのクリアランスが約50%低下したため、フルボキサミン錠は治療開始時にゆっくりと用量設定する必要がある。小児の対象:男女の小児(6歳から11歳)および青年(12歳から17歳)を対象に、フルボキサミンの複数回投与時の薬物動態を決定した。定常状態の血漿フルボキサミン濃度は、小児では青年より2倍から3倍高かった。小児におけるAUCおよびCmaxは、青年におけるAUCおよびCmaxよりも1.5倍から2.7倍高かった。成人と同様に、小児および青年は両方とも非線形の複数回投与薬物動態を示した。女性小児は男性小児と比較してAUC(0-12)およびCmaxが有意に高く、したがって、フルボキサミン錠の低用量投与による治療効果が期待できる。なお、青年期では性差は認められなかった。成人および青年において、300mg/日の用量で投与した時の定常状態の血漿フルボキサミン濃度は同等であり、これら2つの集団でフルボキサミンの曝露量が同様であったことが示された。治療効果を得るためには、青年期の用量調整(成人の最大用量である300mgまで)が必要である可能性がある。
【0366】
肝臓および腎臓の疾患:クロススタディによる比較(健常対象対肝機能障害の患者)で、肝機能障害に伴うフルボキサミンクリアランスの30%低下が示唆された。腎機能障害患者(5mL/minから45mL/minのクレアチニンクリアランス)における治療4週間後及び6週間後(50mg(b.i.d.)、N=13)の平均最小血漿中濃度は同等であり、これらの患者ではフルボキサミンが蓄積しないことが示唆された。
実施例6:THCおよびフルボキサミンのカプセルの調製
【0367】
Δ9-THCおよびフルボキサミンを含むカプセルの例示的な製剤を表5に示す。
表5:Δ9-THCおよびフルボキサミンの例示的なバッチ製剤
【表5】
【0368】
Δ9-THCおよびフルボキサミンを含むカプセルの例示的な製造工程が本明細書に記載される。製造工程における特定のステップは、当該技術分野で知られている他の製剤および製造工程で代替できることが理解され得る。
【表6】
【0369】
粉末の調製:幾何学的な添加によって、以下の成分を組み合わせて混合し、均質な粉末ブレンドを形成する:マレイン酸フルボキサミンおよび二酸化ケイ素。
-最終結果:均質な粉末ブレンド。
【0370】
液体の調製:
-磁気撹拌プレート上のガラスビーカーに入れた追加のゴマ油に、ドロナビノールゴマ油をゆっくりと添加する。
-オイル懸濁液の入ったガラスビーカーに磁気撹拌某を加え、スピン速度を上げて、連続的で乱れのない均一な混合を可能にする。
-最終結果:均質な液体分散体
【0371】
粉体から媒体への取り込み:均質な液体分散体に均質な粉末ブレンドを段階的に加える。
-仕様:連続的に混合し、成分の均一な分布を確実にする
-最終結果:均質な液体状の分散体
【0372】
検証技術(平均カプセル重量):各カプセルの最終重量は、USP 795ガイドラインに従って理論的に計算された重量の90%から110%に収まるようにする。理論的に計算された重量は、植物性(ヒプロメロース)カプセルシェル重量(79mg)に、各カプセル中のマレイン酸フルボキサミン(148mg)、ドロナビノール油(24.1mg)、ゴマ油(271.6mg)および二酸化ケイ素(10mg)を添加することで、合計重量532.7mgとすることができる。
【0373】
生成物の移し替え:最終生成物を特定の分配容器に移し替える。
【0374】
カプセルの安定性:製剤が無水形態で使用される場合、無水製剤の安定性は、例えば少なくとも6ヶ月増加できることが予想できる。
【0375】
カプセルの外観:カプセルの外観は、赤(酸化鉄)と青(酸化鉄)の半々で、2.25のナンバリングが黒(酸化鉄)で刻印されているものが例示される。しかし、カプセルの他の外観も同様に使用することができる。
実施例7:THCおよびフルボキサミンの薬理学
一次薬力学
【0376】
THC:非臨床業務において、ドロナビノールの原薬であるデルタ9THCが、CB1およびCB2受容体におけるアゴニストとして作用することが示された。CB2受容体は、ほとんどの白血球に存在する。それらは、免疫調節の役割を持つと考えられている。具体的には、それらはIL-6に対する白血球反応を抑制することが示されている。THCは、免疫原性細菌タンパク質によってサイトカインストームが引き起こされたマウスにおいて、CB2受容体を刺激してサイトカインストームを抑制することが示されている。この作用は、ミトコンドリア経路を介した白血球のアポトーシス誘導によってもたらされていると思われる。これらのマウスでの所見と、気管支鏡検査を必要としたCOVID-19患者から採取した気管支肺胞洗浄における所見との比較は、同様の経路を示唆している。これは、実施例1の臨床試験で実証されたように、THCがヒトの免疫調節剤として有用であることを示唆している。
【0377】
THCは、抗ウイルス薬としても役割を果たし得る。CB2受容体活性が、適切な辺縁帯B細胞機能に必要であることが文書で立証されている(これらのB細胞は、脾臓の赤髄および白髄の境界、辺縁帯に存在する)25。B細胞が抗原をマクロファージに渡し、そのマクロファージが抗原をT細胞に渡して免疫を調節するという、B細胞の作用を調節するのに、CB2受容体の機能が必要であることが示されている26。この活性は、牛痘、CMV、アデノウイルスを含むいくつかのウイルスの感染症を除去するのに極めて重要/有益であることが示されている27。これらの情報を総合すると、CB2受容体は抗ウイルス防御に重要であり、CB2活性化は抗ウイルス防御を促進する可能性があることが示唆される。これは、THCが抗ウイルス剤としての活性を有し得ることを示唆する。このような活性が、対照群と比較して、THCを投与したCOVID-19の患者に観察された劇的な臨床効果に寄与した可能性がある。
【0378】
フルボキサミン:非臨床業務において、フルボキサミンは、これまでに試験されたすべての医薬化学物質の中で最も強いアゴニスティックなシグマ1結合親和性を有することが示された。シグマ1アゴニストは、小胞体と細胞膜との融合を妨害することが示されている。これは、ウイルス粒子が感染細胞から放出される能力を妨げるとの学説が立てられている(抗ウイルス活性)。これにより、IL-6の分泌能力が制限されることが実証されている(抗炎症活性)。シグマ1親和性は、フルボキサミンをリソソーム性にし、フルボキサミンがリソソーム内に存在することで、細胞内内容物の放出を可能にする細胞膜とのリソソームの融合に必要な酸性化を妨げるとの学説が立てられている。フルボキサミンがセラミド-16合成およびおそらくセラミド-18合成を妨害することも学説が立てられている。COVID-19を背景にして、フルボキサミンが肺組織に蓄積されると考えられている28。マウスモデルでは、炎症および敗血症のモデルにおいて、フルボキサミンの有益な効果が示されている29。
相乗作用
【0379】
理論に縛られることを望むものではないが、THCおよびフルボキサミンは、その作用機序において、少なくとも以下の共通点および/または相補的な特徴を有している:
-両者ともIL-6を標的とする異なるメカニズムで、炎症を抑制する。
-それぞれ異なるメカニズムでウイルス量を減少させるが、いずれもCOVID-19に対して臨床的有効性を発揮した。
-それぞれは、他方の副作用を改善する二次薬力学を有する。フルボキサミンの主な副作用は吐き気であり、その多くの形態はTHCによって良好に治療される。THCはしばしば不安を引き起こす可能性があり、その多くの形態はフルボキサミンによって良好に治療される。
-APIを併用することで、結果が改善され、副作用が低減されるであろう。
-THCはCB2アゴニストである。CB2は、ウイルス抗原をT細胞に提示するB細胞の役割に重要であり、ウイルスクリアランスの向上を補助する。そのため、THCは抗ウイルス剤として有効であることが期待される。他方、フルボキサミンは、CB2アゴニズムとは異なる作用機序を介して作用する抗ウイルス剤である。したがって、THCおよびフルボキサミンの組み合わせは、抗ウイルス組み合わせ療法として相乗的であり得ることが期待される。
【0380】
以下の理由から、薬物を一緒に投与する際に注意を払わなければならない:
-THCは、CYP2C9、CYP2C19およびCYP34Aで代謝されるが、いずれもフルボキサミンで阻害される(CYP2C19は強く、CYP2C9およびCYP34Aは中程度に)。フルボキサミンはCYP2D6で代謝されるが、Δ9-THCによって阻害される可能性がある。
-THCおよびフルボキサミンは両方ともアルブミンによって高度に結合されるため、一方の存在が他方の血清中の遊離量の増加を引き起こす可能性がある。
-上記の2つの要因から、両剤を併用する場合は、用量を減らすことが必要であることがわかる。
【0381】
THCは、マウスにおいて白血球のアポトーシスを引き起こし、サイトカインストームを減少させる。フルボキサミンはアポトーシスを阻害する可能性があると予測されるため、その効果を確実にするためには、THCの用量を予測されるよりも多くする必要があると考えられる。
実施例8:低酸素症で入院したCOIVD-19患者の結果改善において、THC+フルボキサミンがTHC単独を上回る効果を発揮
【0382】
実施例1において、低酸素症で入院したCOVID-19患者の死亡率および入院期間は、経口ドロナビノールの投与によって有意に低減され得ることが示された。そこで、フルボキサミンを併用することで、より低用量で有効性が向上するという仮説を検証した。
材料および方法
【0383】
2020年10月から12月にかけて、一人の感染症専門医が、低酸素症で入院した連続した成人COVID-19陽性患者に対し、標準的なICUプロトコルによる呼吸サポートに加え、セフトリアキソン、アジスロマイシン、デキサメタゾン、レムデシビル、皮下ヘパリン、回復期血漿からなる現在の標準治療法に加えて、ドロナビノールの経口を用いて治療を行った。9人の患者に2.5mgを1日2回経口投与し、68人の患者に5mgを1日2回経口投与した。2020年6月から2020年8月までに低酸素症で入院したCOVID-19陽性患者の連続治療された遡及的対照群を、同じ標準治療で治療した。患者の年齢、性別、併存疾患の数については、2.5mg投与群の方が女性患者が多く、対照群の方が若かったことを除けば、ほぼ同様であった。ドロナビノールを投与された群の患者は、投与されなかった患者と比較して、死亡率が68%減少し、入院期間が37%短縮した。このデータは、地元の医学部の博士号を持つ統計学者によって、統計的に有意であることが確認された。5mg治療群では生存率が93.5%あった。2.5mg群では生存率が89%だったのに対し、何も受けなかった群では生存率は79.5%だった。フルボキサミンは、選択的セロトニン再取り込み阻害剤のジェネリック医薬品で、米国では強迫性障害の治療薬として、その他の国ではうつ病の治療薬として効能を有している。フルボキサミンは、シグマ-I非オピオイド受容体の公知の最も強力なアゴニストであることが知られている。この受容体が細胞で活性化されると、細胞が小胞体と細胞膜を融合させる能力が阻害される30。これが、強迫性障害に対する本薬剤の有効性である。理論に縛られることを望むものではないが、これはまた、細胞からのウイルス粒子の放出を防ぎ、細胞からのIL-6の放出を防ぐのにも有効であると思われる。
【0384】
2剤を併用することで、IL-6抑制効果に加え、ウイルス複製抑制効果も相乗的に発揮される。2剤は同じシトクロム酵素によって代謝され、フルボキサミンは、肝臓におけるドロナビノールの代謝を阻害すると考えられており、フルボキサミンが存在する場合のドロナビノールの用量は、フルボキサミンが存在しない場合の目標血中濃度を達成するために必要な量よりも少なくなる可能性があることを示している。
【0385】
フルボキサミンは、ドロナビノールの使用に伴う不安感を抑制するため、一緒に投与する場合は、フルボキサミンが存在しないケースに比べ、より多い用量のドロナビノールを患者に許容され得る場合がある。
【0386】
フルボキサミンの最も一般的な副作用は、本剤を使用した患者の10%以上に見られる吐き気である22。ドロナビノールは、様々な病因による吐き気に対して有効な治療薬22であり、ドロナビノールがなければ耐えられないような高用量のフルボキサミンに、よりよく耐えられる可能性がある。このことは、患者に、強迫性障害(OCD)の治療において通常行われるよりも高用量のフルボキサミンから開始することの正当性を示している。
【0387】
2021年10月5日から2021年10月15日まで、低酸素症で入院したワクチン未接種のCOVID-19陽性患者12人が、1人の医師によって治療された。彼らは、セフトリアキソン、アジスロマイシン、デキサメタゾン、レムデシビル、エリキスを含む現在の標準治療を受け、標準的なICUプロトコルに従って呼吸サポートを行った。患者はさらに2.5mgのドロナビノールおよび100mgのマレイン酸フルボキサミンを受けた。患者の性別分布は、2020年に2.5mgのドロナビノールを投与された群と類似していたが、有意により若く、より多くの併存疾患を有していた。1人の患者は、COVID-19以前の酸素依存症であり、本明細書を書いている時点では12日目の入院中であるため、分析から除外した。
結果
【0388】
表6:ドロナビノール2.5mg、ドロナビノール5mg、ドロナビノール2.5mgおよびフルボキサミン100mgを投与した群の結果の比較分析
【表7】
【0389】
COVID-19による罹患率と死亡率のほとんどは、感染が多くの患者の過剰な免疫反応を誘発するために起こる。この免疫反応は、入院中のCOVID-19患者の血液、間質液、肺胞洗浄液にサイトカインが大量に発現することからサイトカインストームと呼ばれている。この活性に至らせる主要なサイトカインはインターロイキン-6(IL-6)である。
【0390】
実施例1は、低酸素症で入院したCOVID-19陽性患者において、経口ドロナビノールによるCB2受容体の活性化が死亡率および入院期間を有意に減少させたことを示している。実施例1のデータは、ドロナビノールで治療した患者の6.5%が治療したにもかかわらず依然として死亡したことを明らかにした。入手可能であったCRPレベルに関するデータは、ドロナビノールを開始した後、初期に減少する傾向を示した。死亡した患者において、CRPレベルは、ドロナビノール投与の継続にもかかわらず、再び上昇し始めたことが見られた。
【0391】
理論に縛られることを望むものではないが、フルボキサミンの作用機序は、細胞内小胞が細胞膜と融合して細胞外にその内容物を放出するのを妨げると考えられる細胞内シグマ-1受容体のアゴニズムであると思われる。したがって、理論に縛られることを望むものではないが、フルボキサミンで治療された患者において、IL-6または完全に形成されたウイルス粒子を含有する細胞内小胞がIL-6を放出してさらなる炎症を引き起こすことが妨げられ、完全に形成されたウイルス粒子を含有する細胞内小胞がこれらの粒子を放出してさらなる感染を引き起こすことが妨げられると考えられる。
【0392】
表6に示すデータは、低用量のフルボキサミンとドロナビノールで治療した患者について、入院期間の短縮と死亡率の低下の傾向が統計的に有意に認められたことを示している(p=0.015 t検定)。これらの初期データは、より高用量のドロナビノール単独治療の結果を超えるものである。これは、低酸素症で入院したCOVID-19陽性患者に対して、ドロナビノールとフルボキサミンの併用が有効であり、低用量のフルボキサミンを追加することで、同じ効果を得るために従来必要だったドロナビノールの投与量を少なくできるという仮説を支持している。表6に示すように、THC低用量(2.5mg)とフルボキサミン低用量(100mg)の併用投与では、THCのみを投与した患者群のいずれよりも、THC2.5mgとフルボキサミン100mgの併用投与群の方が併存疾患が多かったにもかかわらず、THC低用量(2.5mg)のみの投与やTHC高用量(5mg)の投与と比べて、予後の改善が認められる。
【0393】
本開示は、実施例を参照して説明されたが、特許請求の範囲は、実施例に記載された実施形態によって限定されるべきではなく、全体として説明と矛盾しない最も広い解釈が与えられるべきであることを理解されたい。
【0394】
全ての刊行物、特許および特許出願は、あたかも各個々の刊行物、特許または特許出願が具体的かつ個別に参照によりその全体が組み込まれることが示されるのと同程度に、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本開示における用語が、参照により本明細書に組み込まれる文献において異なって定義されることが見出される場合、本明細書に提供される定義は、その用語の定義として機能することになる。
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【国際調査報告】