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特表2023-548865治療制御パラメータ更新を制御するシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】治療制御パラメータ更新を制御するシステム
(51)【国際特許分類】
   A61N 1/36 20060101AFI20231114BHJP
   A61N 1/05 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61N1/36
A61N1/05
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527014
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-03
(86)【国際出願番号】 US2021058006
(87)【国際公開番号】W WO2022098837
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/109,483
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507213592
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ハドック アンドリュー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】シェルセキ ジェリコ ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ジャヤクマール アダーシュ
(72)【発明者】
【氏名】ウエダ ジョシュア
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053CC10
4C053JJ01
4C053JJ21
4C053JJ40
(57)【要約】
治療を提供するシステムの例が、治療を提供する治療出力装置と、検知された治療制御信号を使用して治療の提供を制御する治療制御回路とを含むことができる。治療制御回路は、治療パラメータを使用して治療の提供を制御する治療コントローラと、1又は2以上の検知された入力パラメータを使用して治療パラメータを調整する治療パラメータ調整器と、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の生理的信号を使用して患者の生理的状態を検出する生理的状態検出器と、検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の信号を検知更新レートで測定し、測定に基づいて1又は2以上の検知された入力パラメータを生成する測定システムと、検出された生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レートを調整する更新レート調整器と、を含むことができる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に治療を提供するためのシステムであって、
前記患者に前記治療を提供するように構成された治療出力装置と、
検知治療制御信号を受け取り、受け取った前記検知治療制御信号を使用して前記治療の提供を制御するように構成された治療制御回路と、
を備え、前記治療制御回路は、
治療パラメータを使用して前記治療の提供を制御するように構成された治療コントローラと、
1又は2以上の検知された入力パラメータを使用して前記治療パラメータを調整するように構成された治療パラメータ調整器と、
受け取った前記検知治療制御信号のうちの1又は2以上の生理的信号を使用して前記患者の生理的状態を検出するように構成された生理的状態検出器と、
受け取った前記検知治療制御信号のうちの1又は2以上の信号を検知更新レートで測定し、該測定に基づいて前記1又は2以上の検知された入力パラメータを生成するように構成された測定システムと、
検出された前記生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて前記検知更新レートを調整するように構成された更新レート調整器と、
を含む、ことを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記治療出力装置及び前記治療制御回路を含む埋め込み型医療装置を備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記治療出力装置は、前記患者に神経刺激を送達するように構成された刺激出力回路を含み、前記治療制御回路は、前記検知治療制御信号を受け取り、該受け取った検知治療制御信号を使用して前記神経刺激の送達を制御するように構成された刺激制御回路を含む、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記更新レート調整器は、検出された前記生理的状態と、前記治療制御回路が利用できるエネルギー又は計算リソースの少なくとも一方を定量的に示す1又は2以上のパラメータと、に基づいて前記検知更新レートを調整するように構成される、請求項1~3のいずれかに記載のシステム。
【請求項5】
前記治療制御回路は、
前記治療コントローラ及び前記治療パラメータ調整器を含むメインプロセッサと、
前記生理的状態検出器、前記測定システム及び前記更新レート調整器を含むコプロセッサと、
を含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
電源をさらに備え、
前記更新レート調整器は、
検出された前記生理的状態と、
前記電源における残留エネルギーの尺度であるバッテリ状態、前記メインプロセッサにおける計算活動のレベルの尺度であるメインプロセッサ状態、又は、前記コプロセッサにおける計算活動のレベルの尺度であるコプロセッサ状態、のうちの少なくとも1つと、
に基づいて前記検知更新レートを調整するように構成される、請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記治療パラメータ調整器は、前記1又は2以上の検知された入力パラメータを治療更新レートで使用して前記治療パラメータを決定するように構成され、前記更新レート調整器は、検出された前記生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて前記検知更新レート及び前記治療更新レートを調整するように構成される、請求項1~6のいずれかに記載のシステム。
【請求項8】
前記検知更新レート及び前記治療更新レートは共通レートを備える、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記検知更新レートは前記治療更新レートと異なる、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記生理的状態検出器は、受け取った前記検知治療制御信号のうちの1又は2以上の活動信号を使用して前記生理的状態としての活動レベルを検出するように構成された活動レベル検出器を含み、前記活動レベルは前記患者の身体活動レベルの尺度であり、前記更新レート調整器は、検出された前記活動レベルを含む前記1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて前記検知更新レートを調整するように構成される、請求項1~9のいずれかに記載のシステム。
【請求項11】
1又は2以上の活動信号を検知するように構成された1又は2以上の活動センサを含む、前記治療制御回路に通信可能に結合されるように構成されたセンサをさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記活動レベル検出器は、受け取った前記検知治療制御信号のうちの単一の活動信号を使用して前記活動レベルを検出するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記活動レベル検出器は、受け取った前記検知治療制御信号のうちの複数の活動信号を使用して前記活動レベルを検出するように構成される、請求項11に記載のシステム。
【請求項14】
前記更新レート調整器は、前記検知更新レートを前記1又は2以上のレート調整パラメータに関連付ける関係に従って前記検知更新レートを調整するように構成される、請求項1~13のいずれかに記載のシステム。
【請求項15】
前記更新レート調整器は、前記関係を表すルックアップテーブルを使用して前記検知更新レートを調整するように構成される、請求項14に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔優先権の主張〕
本出願は、2020年11月4日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第63/109,483号に対する優先権の利益を主張するものであり、この文献は全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本文書は、一般に医療装置に関し、具体的には、電力及び計算リソースの効率的な使用のためにパラメータ更新レートを閉ループ制御で修正する医療装置に関する。
【背景技術】
【0003】
多くの疾患の治療法として(神経調節法とも呼ばれる)神経刺激法が提案されてきた。神経刺激法の例としては、脊髄刺激法(SCS)、脳深部刺激法(DBS)、末梢神経刺激法(PNS)、及び機能的電気刺激法(FES)が挙げられる。このような治療を提供するために、埋め込み型神経刺激システムが応用されてきた。埋め込み型神経刺激システムは、埋め込み型パルス発生器(IPG)とも呼ばれる埋め込み型神経刺激器と、それぞれが1又は2以上の電極を含む1又は2以上の埋め込み型リードとを含むことができる。埋め込み型神経刺激器は、神経系内の標的部位又はその付近に配置された1又は2以上の電極を通じて神経刺激エネルギーを送達する。埋め込み型神経刺激器に神経刺激エネルギーの送達を制御する刺激パラメータをプログラムするには、外部プログラミング装置が使用される。
【0004】
1つの例では、神経刺激エネルギーが電気信号の形態で送達される。この送達は、電気信号パターンの空間的側面(どこを刺激するか)、時間的側面(いつ刺激するか)、情報的側面(神経系を望む通りに反応させる刺激パターン)を指定する刺激パラメータを使用して制御される。患者の状態及び治療目的に応じてこれらの刺激パラメータを決定することにより、特定の神経刺激治療の有効性及び効率を改善し、その副作用を軽減することができる。現代電子工学は、高度な信号パターンを生成するというニーズに対応することはできるが、神経刺激システムの能力は、患者に神経刺激を適用する際にこれらの刺激を用いた治療の有効性及び効率を保証するために、このような信号パターンを定める刺激パラメータを患者のためにどのように決定して調整できるかに依存する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
患者に治療を提供するシステムの例(例えば、「実施例1」)が、治療出力装置及び治療制御回路を含むことができる。治療出力装置は、患者に治療を提供するように構成することができる。治療制御回路は、検知された治療制御信号を受け取り、受け取った検知された治療制御信号を使用して治療の提供を制御するように構成される。治療制御回路は、治療コントローラと、治療パラメータ調整器と、生理的状態検出器と、測定システムと、更新レート調整器とを含むことができる。治療コントローラは、治療パラメータを使用して治療の提供を制御するように構成することができる。治療パラメータ調整器は、1又は2以上の検知された入力パラメータを使用して治療パラメータを調整するように構成することができる。生理的状態検出器は、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の生理的信号を使用して患者の生理的状態を検出するように構成することができる。測定システムは、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の信号を検知更新レートで測定し、測定に基づいて1又は2以上の検知された入力パラメータを生成するように構成することができる。更新レート調整装置は、検知された生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レートを調整するように構成することができる。
【0006】
実施例2では、任意に実施例1の主題を、治療出力装置及び治療制御回路を含む埋め込み型医療装置を含むように構成することができる。
【0007】
実施例3では、任意に実施例1及び2のいずれか一方又はいずれかの組み合わせの主題を、治療出力装置が、患者に神経刺激を送達するように構成された刺激出力回路を含み、治療制御回路が、検知された治療制御信号を受け取り、受け取った検知された治療制御信号を使用して神経刺激の送達を制御するように構成された刺激制御回路を含むように構成することができる。
【0008】
実施例4では、任意に実施例1から3のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題を、更新レート調整器が、検出された生理的状態と、治療制御回路が利用できるエネルギー又は計算リソースの少なくとも一方を定量的に示す1又は2以上のパラメータとに基づいて検知更新レートを調整するように構成されるように構成することができる。
【0009】
実施例5では、任意に実施例4の主題を、治療制御回路がメインプロセッサ及びコプロセッサを含むように構成することができる。メインプロセッサは、治療コントローラ及び治療パラメータ調整器を含む。コプロセッサは、生理的状態検出器、測定システム、及び更新レート調整器を含む。
【0010】
実施例6では、任意に実施例5の主題を、電源をさらに含むとともに、更新レート調整器が、検出された生理的状態と、バッテリ状態、メインプロセッサ状態又はコプロセッサ状態のうちの少なくとも1つとに基づいて検知更新レートを調整するように構成されるように構成することができる。バッテリ状態は、電源の残留エネルギーの尺度である。メインプロセッサ状態は、メインプロセッサにおける計算活動のレベルの尺度である。コプロセッサ状態は、コプロセッサにおける計算活動のレベルの尺度である。
【0011】
実施例7では、任意に実施例1から6のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題を、治療パラメータ調整器が、1又は2以上の検知された入力パラメータを治療更新レートで使用して治療パラメータを決定するように構成され、更新レート調整器が、検出された生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レート及び治療更新レートを調整するように構成されるように構成することができる。
【0012】
実施例8では、任意に実施例7の主題を、検知更新レート及び治療更新レートが共通レートを含むように構成することができる。
【0013】
実施例9では、任意に実施例7の主題を、検知更新レートが治療更新レートと異なるように構成することができる。
【0014】
実施例10では、任意に実施例1~9のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題を、生理的状態検出器が、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の活動信号を使用して生理的状態としての活動レベルを検出するように構成された活動レベル検出器を含み、更新レート調整器が、検出された活動レベルを含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レートを調整するように構成されるように構成することができる。活動レベルは、患者の身体活動レベルの尺度である。
【0015】
実施例11では、任意に実施例10の主題を、1又は2以上の活動信号を検知するように構成された1又は2以上の活動センサを含む、治療制御回路に通信可能に結合されるように構成されたセンサをさらに含むように構成することができる。
【0016】
実施例12では、任意に実施例11の主題を、活動レベル検出器が、受け取った検知された治療制御信号のうちの単一の活動信号を使用して活動レベルを検出するように構成されるように構成することができる。
【0017】
実施例13では、任意に実施例11の主題を、活動レベル検出器が、受け取った検知された治療制御信号のうちの複数の活動信号を使用して活動レベルを検出するように構成されるように構成することができる。
【0018】
実施例14では、任意に実施例1から13のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題を、更新レート調整器が、検知更新レートを1又は2以上のレート調整パラメータに関連付ける関係に従って検知更新レートを調整するように構成されるように構成することができる。
【0019】
実施例15では、任意に実施例14の主題を、更新レート調整器が、上記関係を表すルックアップテーブルを使用して検知更新レートを調整するように構成されるように構成することができる。
【0020】
患者に治療を提供する方法の例(例えば、「実施例16」)も提供する。この方法は、治療出力装置から患者に治療を提供することと、治療パラメータを使用して治療制御回路を使用して治療の提供を制御することとを含むことができる。制御することは、検知された治療制御信号を受け取ることと、検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の信号を検知更新レートで測定することと、測定に基づいて1又は2以上の検知入力パラメータを生成することと、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の生理的信号を使用して患者の生理的状態を検知すること、検知された生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レートを調整することと、1又は2以上の検知入力パラメータを使用して治療パラメータを調整することと、を含む。
【0021】
実施例17では、実施例16で見出される治療出力装置から治療を提供する主題が、埋め込み型神経刺激器の刺激出力回路から神経刺激を送達することを任意に含むことができ、実施例16で見出される治療パラメータを使用して治療制御回路を使用して治療の提供を制御する主題が、刺激パラメータを使用して埋め込み型神経刺激器の刺激制御回路を使用して神経刺激の送達を制御することを任意に含むことができる。
【0022】
実施例18では、実施例16及び17のいずれか一方又はいずれかの組み合わせで見出される検知更新レートを調整する主題が、検出された生理的状態と、埋め込み型神経刺激器において利用できるエネルギー又は計算リソースの少なくとも1つを定量的に示す1又は2以上のパラメータとに基づいて検知更新レートを調整することを任意に含むことができる。
【0023】
実施例19では、実施例16から18のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせで見出される治療パラメータを調整する主題が、1又は2以上の検知入力パラメータを治療更新レートで使用して治療パラメータを決定することを任意に含むことができ、実施例16から18のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題が、検知生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レート及び治療更新レートを調整することをさらに任意に含むことができる。
【0024】
実施例20では、実施例19の主題が、検知更新レート及び治療更新レートが共通レートを含むことを任意に含むことができる。
【0025】
実施例21では、実施例19及び20のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせの主題が、検知更新レート及び治療更新レートの各々を1又は2以上のレート調整パラメータに関連付ける関係に従って検知更新レート及び治療更新レートを調整することをさらに任意に含むことができる。
【0026】
実施例22では、実施例16から21のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせで見出される患者の生理的状態を検出する主題が、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の活動信号を使用して生理的状態としての活動レベルを検出することを任意に含むことができ、実施例16から21のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせで見出される検知更新レートを調整する主題が、検出された活動レベルを含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レートを調整することを任意に含むことができる。活動レベルは患者の身体活動レベルの尺度である。
【0027】
実施例23では、実施例22で見出される観察モード(viewing modes)の主題が、1又は2以上の加速度計を使用して1又は2以上の活動信号を検知することをさらに任意に含むことができる。
【0028】
実施例24では、実施例16から23のいずれか1つ又はいずれかの組み合わせで見出される患者の生理的状態を検出する主題が、検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の電気生理学的信号を検知することを任意に含むことができる。
【0029】
システムによって実行された時に患者に治療を提供するための方法をシステムに実行させる命令を含む非一時的コンピュータ可読記憶媒体の例(例えば、「実施例25」)も提供する。方法は、治療出力装置から患者に治療を提供することと、治療パラメータを使用して治療制御回路を使用して治療の提供を制御することとを含むことができる。制御することは、検知された治療制御信号を受け取ることと、検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の信号を検知更新レートで測定することと、測定に基づいて1又は2以上の検知入力パラメータを生成することと、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の生理的信号を使用して患者の生理的状態を検知すること、検知された生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レートを調整することと、1又は2以上の検知入力パラメータを使用して治療パラメータを調整することと、を含む。
【0030】
実施例26では、実施例25の主題を、患者の生理的状態を検出することが、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の活動信号を使用して生理的状態としての活動レベルを検出することを含み、活動レベルが患者の身体活動レベルの尺度であるように構成することができ、実施例25で見出される検知更新レートを調整する主題が、検出された活動レベルを含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レートを調整することをさらに任意に含むことができる。
【0031】
この概要は、本出願の教示の一部を要約したものであり、本主題を排他的又は包括的に扱うことを意図したものではない。本主題に関するさらなる詳細は、詳細な説明及び添付の特許請求の範囲に見出される。当業者には、それぞれ限定的な意味で捉えるべきではない以下の詳細な説明及びその一部を成す図面を読んで理解すれば、本開示の他の態様が明らかになるであろう。本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその法的同等物によって定められる。
【0032】
図面には、本明細書で説明する様々な実施形態を一例として大まかに示す。図面は、例示を目的とするものであり、縮尺通りでない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】神経刺激システムの実施形態を示す図である。
図2図1の神経刺激システムに実装できるような刺激装置及びリードシステムの実施形態を示す図である。
図3図1の神経刺激システムに実装できるようなプログラミング装置の実施形態を示す図である。
図4図2の刺激装置及びリードシステムの実装例などの、埋め込み型パルス発生器(IPG)及び埋め込み型リードシステムの実施形態を示す図である。
図5図4のIPG及びリードシステムなどの、患者に神経刺激を与えるように配置されたIPG及び埋め込み型リードシステムの実施形態を示す図である。
図6】神経刺激システムの一部の実施形態を示す図である。
図7図6の埋め込み型神経刺激システムなどの埋め込み型神経刺激システムの埋め込み型刺激器及び1又は2以上のリードの実施形態を示す図である。
図8図6の埋め込み型神経刺激システムなどの埋め込み型神経刺激システムの外部プログラミング装置の実施形態を示す図である。
図9】患者に治療を提供し、検知された治療制御信号を使用して治療の提供を制御するセンサ及び治療装置の実施形態を示す図である。
図10図9の治療装置に実装されるような、治療出力装置及び治療制御回路を含むシステムの実施形態を示す図である。
図11図7の埋め込み型刺激器などの、埋め込み型刺激器であるように構成できる埋め込み型医療装置の実施形態を示す図である。
図12図10のシステムなどの治療制御システムにおいて患者の生理的状態を検出する1又は2以上の生理的状態センサ及び生理的状態検出器の実施形態を示す図である。
図13図10のシステムなどの治療制御用システムにおいて1又は2以上のパラメータ更新レートを調整する更新レート調整器の実施形態を示す図である。
図14図10のシステムが実行できる方法などの、患者に治療を提供する方法の実施形態を示す図である。
図15】レート調整パラメータの関数としてのパラメータ更新レートの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下の詳細な説明では、本発明を実施できる特定の実施形態を一例として示す、本明細書の一部を成す添付図面を参照する。これらの実施形態については、当業者が本発明を実施できるように十分に詳細に説明するが、これらの実施形態を組み合わせることも、又は他の実施形態を利用することもでき、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく構造的、論理的及び電気的な変更を行うこともできると理解されたい。本開示における「ある」、「1つの」又は「様々な」実施形態という言及は、必ずしも同じ実施形態について行うものではなく、このような言及は複数の実施形態を意図するものである。以下の詳細な説明は例を示すものであり、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその法的同等物によって定められる。
【0035】
本文書では、数ある中でもとりわけ、電力及び計算リソースの効率的使用のために更新頻度を閉ループ治療制御動作で動的に調整する埋め込み型医療装置について説明する。例えば、埋め込み型医療装置は、オンボード検知及び刺激更新を伴う閉ループ動作を実行するバッテリ駆動式の埋め込み型パルス発生器(IPG)を含むことができる。検知及び刺激更新を実行するレート(すなわち、頻度)は、エネルギーのコスト及び計算リソースのコストを含む閉ループ治療制御の動作コストを決定する重要な因子である。IPGは、患者の皮下に配置して慢性的に使用できるようにバッテリ駆動式とすることができる。バッテリは、寿命及び/又は充電間隔が長いことが望ましく、従ってバッテリ電力の節約は、患者の利益を計るための設計目標である。埋め込み型神経刺激器を含むIPGでは、患者のニーズ及び/又は状態の変化に対応する治療制御を提供するために、IPG内の1又は2以上のセンサによって検知することができ、患者に埋め込んでIPGに通信可能に結合することができ、及び/又は患者が外部に持ち運び又は患者の近くに配置してIPGに通信可能に結合することができる閉ループ検知及び刺激システムが使用される。このような閉ループシステムの動作はエネルギーを必要とし、IPGから利用できる計算リソースに負担をかける。このような要件は、検知及び刺激の更新を行うレートと共に高くなる。検知及び刺激の更新レートが速ければ、患者のニーズ及び/又は状態の変化に応答して素早く治療を調整することができるが、より多くのエネルギー及び(やはりより多くのエネルギーを意味する)より多くの計算リソースを消費する。従って、閉ループ治療制御の動作に必要なエネルギー消費量を最小限に抑えながら閉ループ治療制御の十分な性能を可能にする検知及び刺激の更新レートが必要とされている。
【0036】
本主題は、閉ループ治療制御システムにおいて検知及び刺激の更新を実行するレートを、1又は2以上の入力信号がどれほど素早く変化するかについての検出された指標に基づいて制御する。埋め込み型神経刺激器などのIPGに、検知及び刺激の更新レートを制御するシステムを実装することができる。治療更新レートは、指標を検出できる1又は2以上の検知信号に基づいて調整することができる。指標は、埋め込み型センサ及び/又は外部センサを使用して検知できる患者の活動を示すいずれか1つ又は2つ以上の信号から検出できる患者の活動レベルを含むことができる。治療更新レートは、高い患者の活動レベルによって示されるような必要時には高めて、患者の活動レベルが低い時には下げることができる。他の因子を使用して治療更新レートを調整することもできる。例えば、バッテリレベルが低い時には、治療更新レートを下げてIPGの動作を省電力モードに維持することができる。
【0037】
ある実施形態例では、検知及び刺激治療の更新レートを制御するシステムが、IPGの動作を高レベルで制御するIPGのプロセッサにファームウェアとして実装され、IPGのコプロセッサが、閉ループ治療制御システムへの1又は2以上の入力信号がどれほど速く変化したかについての検出された指標をメインプロセッサに提供する。従って、IPGのメインプロセッサは、閉ループ治療制御システムの治療更新レートを制御し、コプロセッサは、1又は2以上のセンサからの信号を使用して患者の活動レベルを検出することができる。メインプロセッサは、IPGにおいて利用できる電力(バッテリ)リソース及び計算リソースを追跡し、コプロセッサから患者の活動レベルを示すデータを受け取り、患者の活動レベルに基づいて一定間隔などで治療更新レートを調整することができる。
【0038】
検知及び刺激治療の更新レートの決定は、不適切な(例えば、不十分又は過剰な)刺激のリスクと、治療更新レートに関連する(例えば、メインプロセッサ及びコプロセッサからの)電力消費及び計算リソースの量との間のバランスを図る最適化プロセスとすることができる。閉ループ治療制御アルゴリズムの実行頻度、1又は2以上の入力信号の測定、及び治療(例えば、刺激)の調整は、測定毎に変更することができる。様々な実施形態では、検知及び刺激治療の更新レートを、1又は2以上の入力信号を測定するレート(頻度)、又はこのレートの関数とすることができる。
【0039】
一例として神経刺激のためのIPGについて説明するが、本主題は、例えば電力消費及び/又は計算リソースの需要を低減するためにあらゆる閉ループ治療制御システムに適用することができる。様々な実施形態では、本主題が、患者の活動レベル及びIPGのバッテリ状態などの、進行中の又は予想される一定頻度の調整の必要性についての1又は2以上の指標に基づく治療調整の柔軟性を提供する。この結果、例えば最も高い患者の活動レベルに対応するように決定された一定の検知及び刺激治療更新レートを使用する既存の装置と比較した時に、相当量の電力及び/又は計算リソースの節約を可能にすることができる。
【0040】
本明細書における「患者」は、本主題による埋め込み型神経刺激器を含む神経刺激システムなどのIPGを含む治療システムを使用して提供される治療を受ける人物を含み、「ユーザ」は、治療システムを使用して患者を治療する医師又はその他の介護士を含む。
【0041】
図1に、神経刺激システム100の実施形態を示す。システム100は、電極106と、刺激装置104と、プログラミング装置102とを含む。電極106は、患者の体内の1又は2以上の神経標的又はその近くに配置されるように構成される。刺激装置104は、電極106に電気的に接続されて、電極106を通じて1又は2以上の神経標的に電気パルスなどの形の神経刺激エネルギーを送達するように構成される。神経刺激の送達は、電気パルスパターン及び各電気パルスを送達する電極の選択を指定する刺激パラメータなどの複数の刺激パラメータを用いて制御される。様々な実施形態では、複数の刺激パラメータのうちの少なくともいくつかのパラメータが、システム100を用いて患者を治療する医師又はその他の介護者などのユーザによってプログラム可能である。プログラミング装置102は、ユーザプログラム可能パラメータにユーザがアクセスしやすくする。様々な実施形態では、プログラミング装置102が、有線又は無線リンクを介して刺激装置に通信可能に結合するように構成される。
【0042】
本文書における「ユーザ」は、システム100を使用して患者を治療する医師又はその他の臨床医又は介護士を含み、「患者」は、システム100を使用して送達される神経刺激を受け取る人物又はそのように意図された人物を含む。いくつかの実施形態では、患者が、特定の治療パラメータを調整し、フィードバック及び臨床効果情報を入力することなどにより、システム100を使用して自身の治療をある程度調整することができる。
【0043】
様々な実施形態では、プログラミング装置102が、ユーザがシステム100の動作を制御し、システム100の性能、及び神経刺激の送達に対する応答を含む患者の状態をモニタすることを可能にするユーザインターフェイス110を含むことができる。ユーザは、ユーザプログラム可能なパラメータの値を設定及び/又は調整することによってシステム100の動作を制御することができる。
【0044】
様々な実施形態では、ユーザインターフェイス110が、ユーザが様々な波形のグラフィック表現を作成及び/又は編集することによってユーザプログラム可能パラメータの値を設定及び/又は調整できるようにするグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)を含むことができる。このような波形は、例えば患者に送達すべき神経刺激パルスのパターンを表す波形と、神経刺激パルスのパターンの各パルスの波形などの、神経刺激パルスのパターンの構築単位として使用される個々の波形とを含むことができる。GUIは、波形によって表される1又は2以上の神経刺激パルスを患者に送達できるようにする電極セットによってそれぞれが定められる刺激場をユーザが設定及び/又は調整することを可能にすることができる。各刺激場は、波形内の各神経刺激パルスの電流の分布によってさらに定めることができる。様々な実施形態では、(治療セッションの期間などの)刺激期間にわたる神経刺激パルスを複数の刺激場に送達することができる。
【0045】
様々な実施形態では、システム100を神経刺激用途のために構成することができる。ユーザインターフェイス110は、ユーザがシステム100の神経刺激動作を制御することを可能にするように構成することができる。例えば、システム100及びユーザインターフェイス100は、DBS用途のために構成することができる。このようなDBS構成は、患者にDBSを送達するように刺激装置104をプログラムする際のユーザのタスクを単純化できる、本文書で説明する特徴などの様々な特徴を含む。
【0046】
図2に、神経刺激システム100に実装できるような刺激装置204及びリードシステム208の実施形態を示す。刺激装置204は刺激装置104の一例を表し、刺激出力回路212及び刺激制御回路214を含む。刺激出力回路212は、神経刺激パルスを生成して送達する。刺激制御回路214は、神経刺激パルスパターンを指定する複数の刺激パラメータを用いて刺激出力回路212からの神経刺激パルスの送達を制御する。リードシステム208は、それぞれ刺激装置204に電気的に接続されるように構成された1又は2以上のリードと、1又は2以上のリード上に分布する複数の電極206とを含む。複数の電極206は、それぞれが刺激出力回路212と患者の組織との間の電気的インターフェイスを提供する単一の導電性接点である電極206-1、電極206-2、・・・電極206-Nを含み、この場合N≧2である。神経刺激パルスは、電極206から選択された一連の電極を通じて刺激出力回路212から送達される。様々な実施形態では、神経刺激パルスが、1又は2以上の個別に定義されたパルスを含むことができ、ユーザは、個別に定義されたパルスの各々、又は同じ電極の組み合わせを使用して送達されるように意図された一群のパルスの各々について電極セットを個別に定めることができる。様々な実施形態では、それぞれが刺激装置204のハウジングの一部である、又は刺激装置204のハウジングに別様に組み込まれた1又は2以上の電極などの(それぞれを基準電極と呼ぶことができる)1又は2以上のさらなる電極207を刺激装置204に電気的に接続することができる。単極刺激は、電極206から選択された1又は2以上の電極と(単複の)電極207からの少なくとも1つの電極とを含む単極電極構成を使用する。双極刺激は、電極206から選択された2つの電極を含んで(単複の)電極207を含まない双極電極構成を使用する。多極刺激は、電極206から選択された複数(2又は3以上)の電極を含んで(単複の)電極207を含まない多極電極構成を使用する。
【0047】
様々な実施形態では、リードの数及び各リード上の電極の数が、例えば(単複の)神経刺激標的の分布、及び各標的における電場の分布を制御する必要性に依存する。1つの実施形態では、リードシステム208が、それぞれが8つの電極を有する2つのリードを含む。
【0048】
図3に、神経刺激システム100に実装できるようなプログラミング装置302の実施形態を示す。プログラミング装置302はプログラミング装置102の一例を表し、記憶装置318と、プログラミング制御回路316と、ユーザインターフェイス310とを含む。プログラミング制御回路316は、例えば刺激波形及び電極構成を定めることができる指定された神経刺激プログラムに従って神経刺激パルスの送達を制御する複数の刺激パラメータを生成する。ユーザインターフェイス310はユーザインターフェイス110の一例を表し、刺激制御回路320を含む。記憶装置318は、神経刺激プログラムを複数の刺激パラメータに関連付ける刺激装置に関する情報などの、プログラミング制御回路316及び刺激制御回路320によって使用される情報を記憶する。様々な実施形態では、刺激制御回路320を、本文書で説明するような1又は2以上の選択された神経刺激プログラムに従って本文書で説明するような様々な実施形態を含む刺激装置104などの刺激装置のプログラミングを可能にする1又は2以上の機能をサポートするように構成することができる。
【0049】
様々な実施形態では、ユーザインターフェイス310が、グラフィカルな方法を使用して1又は2以上の刺激波形を作成及び/又は調整することにより、神経刺激治療セッション中に送達される神経刺激パルスのパターンの定義を可能にすることができる。この定義は、それぞれが神経刺激パルスのパターンの1又は2以上のパルスに関連する1又は2以上の刺激場の定義を含むこともできる。本文書で使用する「神経刺激プログラム」は、1又は2以上の刺激場を含む神経刺激パルスのパターン、或いは1又は2以上の刺激場を含む神経刺激パルスのパターンの少なくとも様々な態様又はパラメータを含むことができる。様々な実施形態では、ユーザインターフェイス310が、ユーザがグラフィカルな方法を使用して神経刺激パルスのパターンを定義し、他の機能を実行することを可能にするGUIを含む。本文書にける「神経刺激プログラミング」は、1又は2以上の刺激場の定義を含む1又は2以上の刺激波形の定義を含むことができる。
【0050】
様々な実施形態では、本文書で説明する様々な実施形態を含む神経刺激100の回路を、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを使用して実装することができる。例えば、本文書で説明する様々な実施形態を含むユーザインターフェイス100の回路、刺激制御回路214、プログラミング制御回路316及び刺激制御回路320は、1又は2以上の特定の機能を実行するように構成された特定用途向け回路、或いはこのような(単複の)機能を実行するようにプログラムされた汎用回路を使用して実装することができる。このような汎用回路としては、以下に限定するわけではないが、マイクロプロセッサ又はその一部、マイクロコントローラ又はその一部、及びプログラムマブル論理回路又はその一部が挙げられる。
【0051】
図4に、埋め込み型パルス発生器(IPG)404及び埋め込み型リードシステム408の実施形態を示す。IPG404は、刺激装置204の実装例を表す。リードシステム408は、リードシステム208の実装例を表す。図4に示すように、IPG404は、埋め込み型リード408A及び408Bの近位端において各リードに結合することができる。各リードの遠位端は、電気的神経刺激の対象である組織部位に接触する電気接点又は電極406を含む。図1に示すように、リード408A及び408Bは、それぞれ遠位端に8つの電極406を含む。図1に示すようなリード408A及び408B、並びに電極406の数及び配置は例示にすぎず、他の数及び配置も可能である。様々な実施形態では、電極がリング電極である。埋め込み型リード及び電極は、被験者の脳に含まれる神経細胞標的に電気的神経刺激エネルギーを提供するような、或いは被験者の脊髄に含まれる神経細胞標的に電気的神経刺激エネルギーを提供するような形状及びサイズで構成することができる。
【0052】
図5に、埋め込み型神経刺激システム500、及びシステム500を使用できる環境の一部を示す。システム500は、埋め込み型システム521と、外部システム502と、埋め込み型システム521と外部システム502との間の無線通信を提供するテレメトリリンク540とを含む。図5には、埋め込み型システム521を患者の身体599内に埋め込まれた形で示す。
【0053】
埋め込み型システム521は、(埋め込み型パルス発生器又はIPGとも呼ばれる)埋め込み型刺激器504と、リードシステム508と、電極506とを含み、これらはそれぞれ刺激装置204、リードシステム208及び電極206の一例を表す。外部システム502は、プログラミング装置302の一例を表す。様々な実施形態では、外部システム502が、それぞれがユーザ及び/又は患者と埋め込み型システム521との通信を可能にする1又は2以上の外部(非埋め込み型)装置を含む。いくつかの実施形態では、外部502が、埋め込み型刺激器504の設定の初期化及び調整をユーザが行うように意図されたプログラミング装置と、患者が使用するように意図された遠隔制御装置とを含む。例えば、遠隔制御装置は、埋め込み型刺激器504のオン及びオフの切り替え、及び/又は複数の刺激パラメータのうちの特定の患者プログラム可能パラメータの調整を患者が行えるようにすることができる。
【0054】
埋め込み型システム521の要素のサイズ及び形状、並びに身体599内におけるこれらの位置は、限定ではなく一例として示すものである。埋め込み型システムについては、本主題の様々な実施形態によるプログラミングの特定の用途として説明する。様々な実施形態では、患者の体内の刺激標的、及び刺激装置が埋め込み可能であるかどうかにかかわらず、電気パルスを刺激として使用するいずれかのタイプの刺激装置をプログラムする上で本主題を適用することができる。
【0055】
再び図4を参照すると、IPG404は、IPG404の電子回路を収容する密閉されたIPGケース422を含むことができる。IPG404は、IPGケース422上に形成された電極426を含むことができる。IPG404は、リード408A及び408Bの近位端を結合するIPGヘッダ424を含むことができる。IPGヘッダ424は、任意に電極428を含むこともできる。電極426及び/又は428は電極207の実施形態を表し、それぞれ基準電極と呼ぶことができる。神経刺激エネルギーは、電極426又は電極428と、電極406から選択された1又は2以上の電極とを使用して(ユニポーラとも呼ばれる)単極モードで送達することができる。神経刺激エネルギーは、同じリード(リード408A又はリード408B)の一対の電極を使用して双極モードで送達することもできる。神経刺激エネルギーは、リードの1又は2以上の電極(例えば、リード408Aの1又は2以上の電極)と、異なるリードの1又は2以上の電極(例えば、リード408Bの1又は2以上の電極)とを使用して拡張双極(extended bipolar)モードで送達することもできる。
【0056】
IPG404の電子回路は、神経刺激エネルギーの送達を制御する制御回路を含むことができる。制御回路は、ソフトウェア又はファームウェアに含まれる命令を解釈又は実行する、マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)、又はその他のタイプのプロセッサを含むことができる。神経刺激エネルギーは、指定された(例えば、プログラムされた)変調パラメータに従って送達することができる。変調パラメータの設定例としては、数ある中でもとりわけ、刺激において使用する電極又は電極の組み合わせの選択、1又は複数の電極を刺激のための陽極又は陰極としての設定、電極又は電極の組み合わせによって提供される神経刺激の割合の指定、及び刺激パルスパラメータの指定が挙げられる。パルスパラメータの例としては、数ある中でもとりわけ、(電流又は電圧で指定される)パルスの振幅、(例えば、マイクロ秒単位での)パルス持続時間、(例えば、パルス/秒単位での)パルスレート、並びにバーストレート(例えば、「オン」変調時間の後の「オフ」変調時間)、パルス列内のパルスの振幅、パルスの極性などのパルス列又はパターンに関連するパラメータが挙げられる。
【0057】
図6に、神経刺激システム600の一部の実施形態を示す。システム600は、IPG604、埋め込み型神経刺激リード608A及び/又は608B、外部遠隔制御装置(RC)632、臨床医プログラマ(CP)630、及び(外部試験変調器又はETMとも呼ばれる)外部試験刺激器(ETS)634を含む。IPG404は、直接又は経皮的延長リード636を通じてリード608A及び608Bに電気的に結合することができる。ETS634は、経皮的延長リード636及び/又は外部ケーブル638の一方又は両方を介してリード608A及び608Bに電気的に接続可能であることができる。システム600はシステム100の一例を表し、IPG604は刺激装置104の実施形態を表し、リード608A及び608Bの電極606は電極106を表し、CP630、RC632及びETS634は集合的にプログラミング装置102を表す。
【0058】
ETS634は、スタンドアロン型とすることも、或いはCP630に組み込むこともできる。ETS634は、上述したような指定された変調パラメータに従って神経刺激エネルギーを供給する、IPG604と同様のパルス生成回路を有することができる。ETS634は、典型的にはリード408A及び408Bが埋め込まれた後に予備刺激装置として使用され、IPG604によって提供される刺激に対する患者の応答性を試験するためにIPG604での刺激前に使用される外部装置である。ETS634は外付けであるため、IPG604よりも容易に構成可能であることができる。
【0059】
CP630は、ETS634によって提供される神経刺激を構成することができる。ETS634がCP630に統合されていない場合、CP630は、(例えば、USBリンクを介した)有線接続を使用して、又は無線テレメトリを用いた無線通信リンク640によってETS634と通信することができる。CP630は、無線通信リンク640を使用してIPG604とも通信する。
【0060】
無線テレメトリの例は、2つの密接して配置されたコイル間の相互インダクタンスを用いた誘導結合に基づく。この種のテレメトリは、通常は誘導結合通信(inductively coupled communication)を取得するためにコイルが密接して存在しなければならないので、誘導テレメトリ又は近距離場テレメトリと呼ばれる。IPG604は、第1のコイル及び通信回路を含むことができる。CP630は、IPG604の近くに配置できるワンドなどの形態の第2のコイルを含み、又はこのような第2のコイルに別様に電気的に接続することができる。無線テレメトリの別の例は、無線周波数(RF)テレメトリリンクとも呼ばれる遠距離場テレメトリリンクを含む。フラウンホーファゾーン(Fraunhofer zone)とも呼ばれる遠距離場は、送信電磁放射源によって生成される電磁場の成分が実質的に1/rに比例して減衰するゾーンを意味し、ここでのrは、観測点と放射源との間の距離である。従って、遠距離場は、r=λ/2π(λは送信電磁波の波長)の境界の外側のゾーンを意味し、ここでのλは、送信される電磁エネルギーの波長である。1つの例では、RFテレメトリリンクの通信距離が少なくとも6フィートであるが、特定の通信技術によって可能なだけ長くすることもできる。例えば、IPG604のヘッダ及び/又はCP630のハウジングにRFアンテナを含めて、ワンド又は他の誘導結合手段の必要性を排除することができる。このようなRFテレメトリリンクの例はBluetooth(登録商標)無線リンクである。
【0061】
CP630は、IPG604が埋め込まれた後に、神経刺激の変調パラメータを設定するために使用することができる。これにより、埋め込み後に神経刺激の要件が変化した場合に神経刺激を調整することができる。CP630は、IPG604からの情報をアップロードすることもできる。
【0062】
RC632は、無線リンク340を使用してIPG604とも通信する。RC632は、ユーザによって使用される又は患者に与えられる通信装置とすることができる。RC632は、CP630と比べてプログラミング能力が低い場合がある。この結果、ユーザ又は患者が神経刺激治療を変更することはできるが、患者が完全に治療を制御することはできない。例えば、患者は、神経刺激パルスの振幅を増大させ、又は予めプログラムされた刺激パルス列の適用時間を変更することができる。RC632は、CP630によってプログラムすることができる。CP630は、有線又は無線通信リンクを使用してRC632と通信することができる。いくつかの実施形態では、CP630が、RC632から離れて位置する時にRC632をプログラムすることができる。
【0063】
図7に、埋め込み型システム600などの埋め込み型神経刺激システムの埋め込み型刺激器704及び1又は2以上のリード708の実施形態を示す。埋め込み型刺激器704は刺激装置104又は204の一例を表し、例えばIPG604として実装することができる。(単複の)リード708はリードシステム208の一例を表し、例えば埋め込み型リード608A及び608Bとして実装することができる。(単複の)リード708に含まれる電極706は電極106又は206の一例を表し、電極606として実装することができる。
【0064】
埋め込み型刺激器704は、刺激器が検知能力を必要とする場合にのみ必要な任意の検知回路742と、刺激出力回路212と、刺激制御回路714と、インプラント記憶装置746と、インプラントテレメトリ回路744と、電源748と、1又は2以上の電極707とを含むことができる。検知回路742が含められ、必要とされる場合、検知回路742は、患者モニタリング及び/又は神経刺激のフィードバック制御を目的として1又は2以上の生理学的信号を検知する。1又は2以上の生理学的信号の例としては、それぞれが神経刺激によって治療される患者の状態及び/又は神経刺激の送達に対する患者の応答を示す神経信号及びその他の信号が挙げられる。刺激出力回路212は、電極707と同様に1又は2以上のリード708を通じて電極706に電気的に接続され、電極706及び(単複の)電極707から選択された電極セットを通じて神経刺激パルスの各々を送達する。刺激制御回路714は刺激制御回路214の一例を表し、神経刺激パルスのパターンを指定する複数の刺激パラメータを使用して神経刺激パルスの送達を制御する。1つの実施形態では、刺激制御回路714が、1又は2以上の検知された生理学的信号を使用して神経刺激パルスの送達を制御する。インプラントテレメトリ回路744は、埋め込み型刺激器704に、CP630及びRC632などの別の装置から複数の刺激パラメータの値を受け取ることを含む、別の装置との無線通信を提供する。インプラント記憶装置746は、1又は2以上の神経刺激プログラム、及び1又は2以上の神経刺激プログラムの各々の複数の刺激パラメータの値を記憶することができる。電源748は、埋め込み型刺激器704に動作のためのエネルギーを供給する。1つの実施形態では、電源748がバッテリを含む。1つの実施形態では、電源748が、充電式バッテリと、充電式バッテリを充電するためのバッテリ充電回路とを含む。インプラントテレメトリ回路744は、外部装置から送信された電力を誘導結合を通じて受け取る受電機として機能することもできる。(単複の)電極707は、単極モードでの神経刺激パルスの送達を可能にする。(単複の)電極707の例としては、図4に示すようなIPG404内の電極426及び電極418が挙げられる。
【0065】
1つの実施形態では、埋め込み型刺激器704がマスターデータベースとして使用される。従って、(IPG604として実装できるような)埋め込み型刺激器704を埋め込まれた患者は、自身の医療のために必要な患者情報を別の方法で利用できない時にこのような情報を保持することができる。インプラント記憶装置746は、このような患者情報を記憶するように構成される。例えば、患者は、新たなRC632を与えられ、及び/又は新たなクリニックに移動し、そこで新たなCP630を使用して自身に埋め込まれた装置と通信することができる。新たなRC632及び/又はCP630は、埋め込み型刺激器704と通信して、インプラント記憶装置746に記憶されている患者情報をインプラントテレメトリ回路744及び無線通信リンク640を通じて検索し、検索された患者情報に基づいて埋め込み型刺激器704の動作のいずれかの必要な調整を可能にすることができる。様々な実施形態では、インプラント記憶装置746に記憶される患者情報が、例えば患者の生体構造に対する(単複の)リード708及び電極706の位置(術後のリード配置のコンピュータ断層写真(CT)を脳の磁気共鳴画像(MRI)に融合させる変換)、臨床効果マップデータ、症状の定量的評価を用いた(例えば、微小電極記録、加速度計及び/又は他のセンサを用いた)客観的測定、及び/又は患者に適切なケアを行うために重要又は有用と考えられる他のいずれかの情報などを含むことができる。様々な実施形態では、インプラント記憶装置746に記憶される患者情報が、患者情報の一部として記憶するために埋め込み型刺激器704に送信されたデータ、及び検知回路742などを使用して埋め込み型刺激器704によって取得されたデータを含むことができる。
【0066】
様々な実施形態では、検知回路742(含まれる場合)、刺激出力回路212、刺激制御回路714、インプラントテレメトリ回路744、インプラント記憶装置746及び電源748が、密閉された埋め込み型ハウジング又はケースに封入され、ケース上に(単複の)電極707が形成され又は別様に組み込まれる。様々な実施形態では、神経刺激パルスを送達すべき1又は2以上の標的上及び/又はその周囲に電極706が配置される一方で、埋め込み型刺激器704が皮下に埋め込まれて、埋め込み時に(単複の)リード708に接続されるように(単複の)リード708が埋め込まれる。
【0067】
図8に、システム600などの埋め込み型神経刺激システムの外部プログラミング装置802の実施形態を示す。外部プログラミング装置802はプログラミング装置102又は302の一例を表し、例えばCP630及び/又はRC632として実装することができる。外部プログラミング装置802は、外部テレメトリ回路852、外部記憶装置818、プログラミング制御回路816、及びユーザインターフェイス810を含む。
【0068】
外部テレメトリ回路852は、外部プログラミング装置802に、複数の刺激パラメータを埋め込み型刺激器704に送信すること、及び埋め込み型刺激器704から患者データを含む情報を受け取ることを含む、無線通信リンク640を介した埋め込み型刺激器704などの別の装置との無線通信を提供する。1つの実施形態では、外部テレメトリ回路852が、誘導結合を通じて埋め込み型刺激器704に電力も送信する。
【0069】
様々な実施形態では、無線通信リンク640が、誘導テレメトリリンク(近距離場テレメトリリンク)及び/又は遠距離場テレメトリリンク(RFテレメトリリンク)を含むことができる。例えば、DBSは、患者の活動、歩行、バランスなどを通じて評価される運動障害のために使用されることが多いので、プログラミング中及び評価中に患者の移動性を可能にすることが有用である。従って、システム600がDBSを含む用途を目的とする場合、無線通信リンク640は、最大約20メートルなどの比較的長い距離にわたる外部プログラミング装置802と埋め込み型刺激器704との間の通信を可能にする遠距離テレメトリリンクを少なくとも含む。外部テレメトリ回路852及びインプラントテレメトリ回路744の各々は、このような無線テレメトリをサポートするように構成されたアンテナ及びRF回路を含む。
【0070】
外部記憶装置818は、DBS治療セッションなどの神経刺激治療セッション中に送達される1又は2以上の刺激波形、並びに1又は2以上の波形を定める様々なパラメータ及び構築単位を記憶する。1又は2以上の刺激波形の各々は1又は2以上の刺激場に関連し、神経刺激治療セッション中に1又は2以上の刺激場に送達すべき神経刺激パルスのパターンを表すことができる。様々な実施形態では、1又は2以上の刺激波形の各々を、ユーザが修正できるように、及び/又は治療を提供するために埋め込み型刺激器704などの刺激装置をプログラムする際に使用できるように選択することができる。様々な実施形態では、1又は2以上の刺激波形の各波形がパルス毎に定義可能であり、外部記憶装置818が、それぞれが1又は2以上のパルスタイプを定める1又は2以上の個別に定義可能なパルス波形を記憶するパルスライブラリを含むことができる。外部記憶装置818は、1又は2以上の個別に定義可能な刺激場も記憶する。1又は2以上の刺激波形の各波形は、1又は2以上の個別に定義可能な刺激場のうちの少なくとも1つの刺激場に関連付けられる。1又は2以上の個別に定義可能な刺激場の各刺激場は、神経刺激パルスを送達する電極セットによって定められる。様々な実施形態では、1又は2以上の個別に定義可能な刺激場の各刺激場が、神経刺激パルスを送達する電極セットと、電極セット上の神経刺激パルスの電流分布とによって定められる。1つの実施形態では、電流分布が、全体的パルス振幅の一部を電極セットの各電極に割り当てることによって定められる。本文書では、このような電流分布の定義を「分割(fractionalization)」と呼ぶことができる。別の実施形態では、電流分布が、電極セットの各電極に振幅値を割り当てることによって定められる。例えば、電極セットは、4mAのパルス振幅を有する神経刺激パルスを供給するために、陽極として使用される2つの電極、及び陰極として使用される電極を含むことができる。陽極として使用される2つの電極にわたる電流分布を定める必要がある。例えば、電極1に75%、電極2に25%のように、2つの電極の各々にパルス振幅の割合が割り当てられる。別の実施形態では、電極1に3mA、電極2に1mAのように、2つの電極の各々に振幅値が割り当てられる。電流を割合単位で制御することで、パルス振幅が調整された場合でも電極間の電流を正確に一貫して配分することができる。このことは、問題を刺激地点(stimulation locus)の操縦として考え、刺激量を一定に保ちながらこの地点を移動させるように複数の接点上で同時に刺激が変化することに適する。各電極を通じた総電流を絶対値(例えば、mA)の単位で制御し表示することで、各特定の電極を通じて正確に電流を投与することができる。このことは、同時に1つの接点上の電流を変化させて刺激を粘土片のように成形する(同時に1つの部位を押す/引く)ことに適する(ユーザがそうすることを可能にする)。
【0071】
プログラミング制御回路816はプログラミング制御回路316の一例を表し、指定された神経刺激プログラム(例えば、1又は2以上の刺激波形及び1又は2以上の刺激場によって表される神経刺激パルスのパターン、又はパターンの少なくともいくつかの態様)に基づいて、埋め込み型刺激器704に送信すべき複数の刺激パラメータを生成する。神経刺激プログラムは、ユーザがユーザインターフェイス810を使用して作成及び/又は調整し、外部記憶装置818に記憶することができる。様々な実施形態では、プログラミング制御回路816が、複数の刺激パラメータの値を安全規則に照らしてチェックして、これらの値を安全規則の制限範囲内に制限することができる。1つの実施形態では、安全規則が発見的規則(heuristic rules)である。
【0072】
ユーザインターフェイス810はユーザインターフェイス310の一例を表し、ユーザが神経刺激パルスのパターンを定めて他の様々なモニタリング及びプログラミングタスクを実行することを可能にする。ユーザインターフェイス810は、ディスプレイ画面856、ユーザ入力装置858、及びインターフェイス制御回路854を含む。ディスプレイ画面856は、いずれかのタイプの相互作用画面又は非相互作用画面を含むことができ、ユーザ入力装置858は、タッチ画面、キーボード、キーパッド、タッチパッド、トラックボール、ジョイスティック、マウスなどの、本文書で説明する様々な機能をサポートするいずれかのタイプのユーザ入力装置を含むことができる。1つの実施形態では、ユーザインターフェイス810がGUIを含む。GUIは、当業者であれば理解できるように、本文書で説明するグラフィカルな提示及び/又は編集が適するいずれかの機能をユーザが実行することを可能にすることもできる。
【0073】
インターフェイス制御回路854は、ユーザ入力装置858が受け取った様々な入力に応答して1又は2以上の刺激波形を定めることを含むユーザインターフェイス810の動作を制御する。インターフェイス制御回路854は刺激制御回路320を含む。
【0074】
様々な実施形態では、外部プログラミング装置802が、構成(composition)モード及びリアルタイムプログラミングモードを含む動作モードを有することができる。(パルスパターン構成モードとも呼ばれる)構成モード下では、ユーザインターフェイス810が作動してプログラミング制御回路816が作動しない。プログラミング制御回路816は、1又は2以上の刺激波形のいずれかの変化に応答して複数の刺激パラメータの値を動的に更新しない。リアルタイムプログラミングモード下では、ユーザインターフェイス810及びプログラミング制御回路816の両方が作動する。プログラミング制御回路816は、1又は2以上の刺激波形セットの変化に応答して複数の刺激パラメータの値を動的に更新し、更新値を有する複数の刺激パラメータを埋め込み型刺激器704に送信する。
【0075】
図9に、患者に治療を提供し、検知された治療制御信号を使用して治療の提供を制御するセンサ960及び治療装置904の実施形態を示す。治療装置904は、神経刺激エネルギーを送達し、センサ960を使用して検知された治療制御信号を使用して神経刺激エネルギーの送達を制御する、限定するわけではないが本文書で説明した刺激装置104の様々な実施形態を含む刺激装置104として実装することができる。治療制御信号は、患者の状態及び/又は治療に対する反応に基づいて治療の提供を調整する閉ループシステムの入力信号を含むことができる。センサ960は、患者に埋め込まれるように構成された1又は2以上の埋め込み型センサ962、患者に外部的に取り付けられ又は別様に装着されるように構成された1又は2以上の外部センサ964、及び/又は患者から離れて配置されるように構成された1又は2以上の遠隔センサ966を含むことができる。治療装置904が埋め込み型刺激器704などの埋め込み型治療装置であるように構成される場合、(単複の)埋め込み型センサ962は、それぞれ埋め込み型治療装置に含め、及び/又は有線又は無線接続を介して埋め込み型治療装置に通信可能に結合された別の埋め込み型装置であるように構成することができる。(単複の)外部センサ964及び(単複の)遠隔センサ966は、それぞれ無線接続を介して埋め込み型治療装置に通信可能に結合されるように構成することができる。1つの実施形態では、センサ960が埋め込み型センサ962のみを含む。他の実施形態では、センサ960が、(単複の)埋め込み型センサ962、(単複の)外部センサ964及び遠隔センサ966のいずれかの組み合わせを含むことができる。
【0076】
センサ960は、患者からの1又は2以上の生理学的信号を検知する1又は2以上の生理学的センサを含むことができる。1又は2以上の生理学的信号は、1又は2以上の神経信号などの1又は2以上の電気生理学的信号を含むことができる。このような1又は2以上の神経信号の例としては、局所電場電位(LFP、脳からの振動信号)及び/又は誘発複合活動電位(ECAP)を示す信号を挙げることができる。このような神経信号を検知するセンサは、1又は2以上の埋め込み型リード(例えば、リード408A及び408B上の電極406)及び/又は埋め込み型医療装置(例えば、IPGケース422上の電極426及び/又はIPGヘッダ424内の電極428を含むIPG404)上に組み込まれた電極などの電極を含むことができる。
【0077】
センサ960は、患者の生理的状態を検知する1又は2以上のセンサを含むことができる。様々な実施形態では、生理的状態を、1又は2以上の検知された生理学的信号がどれほど速く変化しているか、従って1又は2以上の検知された生理学的信号によって示される患者のニーズの変化に基づいて治療への提供をタイムリーに調整するためにこれらの生理学的信号をどれほど頻繁に測定すべきかについての指標として使用することができる。様々な実施形態では、生理的状態が活動レベルを含み、センサ960が、患者の活動レベルを示す1又は2以上の活動信号を検知する1又は2以上の活動センサを含む。1又は2以上の活動センサは、1又は2以上の加速度計を含むことができる。治療装置904がIPG404などの埋め込み型治療装置であるように構成されている場合には、1又は2以上の加速度計の各々をIPG404に含め、又は埋め込み型リード408A又は408B上に組み込むことができる。
【0078】
センサ960は、患者の環境を示す1又は2以上の環境信号を検知する1又は2以上のセンサを含むことができる。1又は2以上の環境信号の例としては、温度、圧力、湿度、高度、及び患者の神経活動などの特定の生理的機能に影響を与え得るその他の信号が挙げられる。
【0079】
治療装置904は、治療出力装置912及び治療制御回路914を含むことができる。治療出力装置912は、患者に治療を提供することができる。治療制御回路914は、センサ960を使用して検知された治療制御信号を使用して治療の提供を制御することができる。様々な実施形態では、治療制御回路914が、検知された治療制御信号から導出された1又は2以上の検知された入力パラメータを使用して閉ループ制御アルゴリズムを実行することによって治療の提供を制御する。センサ906は、1又は2以上の検知された入力パラメータを導出するために使用される信号を検知するセンサを含む。
【0080】
治療装置904は、患者に電気刺激パルスの形態の治療を提供するIPGなどの埋め込み型医療装置であるように構成することができる。1つの実施形態では、治療装置904が、患者に神経刺激を送達する埋め込み型刺激器704などの埋め込み型刺激器として実装される。神経刺激は、例えば神経刺激パルスとして送達することができる。治療装置912は212として実装することができ、治療制御回路914は刺激制御回路714として実装することができる。治療装置912は、検知された治療制御信号を使用して、刺激制御回路714に刺激出力回路からの神経刺激送達の閉ループ制御を提供する。
【0081】
図10に、治療出力装置912及び治療制御回路1014を含むシステム1070の実施形態を示す。治療制御回路1014は治療装置914の一例を表すことができ、検知された治療制御信号を受け取り、検知された治療制御信号を使用して治療の提供を制御することができる。図示の実施形態では、治療制御回路1014が、治療コントローラ1072、治療パラメータ調整器1074、生理的状態検出器1076、測定システム1078、及び更新レート調整器1080を含む。
【0082】
治療コントローラ1072は、治療パラメータを使用して治療の提供を制御することができる。治療の提供は、治療パラメータを使用する閉ループ制御アルゴリズムを実行することによって制御することができる。治療パラメータ調整器1074は、検知された治療制御信号から導出された1又は2以上の検知された入力パラメータを使用して治療パラメータを調整することができる。様々な実施形態では、治療パラメータ調整器1074が、1又は2以上の検知された入力パラメータを治療更新レートで使用して治療パラメータを調整する。治療更新レートは、1又は2以上の検知された入力パラメータの変化に応答して治療パラメータを調整すべき頻度である。換言すれば、治療更新レートは、刺激パラメータを調整するために1又は2以上の検知された入力パラメータの(単複の)測定値を使用できる頻度である。
【0083】
生理的状態検出器1076は、検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の生理的信号を使用して患者の生理的状態を検出することができる。生理的状態の例としては、睡眠中、調理中、着席中、運動中、シャワー中、及び歩行中が挙げられる。検出すべき患者の生理的状態は、治療制御の必要性と、検知された信号の検知及び処理に関する設計検討とによって決定することができる。様々な実施形態では、生理的状態検出器1076が、1又は2以上の検知された活動信号を使用して活動レベルを検出することができる。活動レベルは、患者の身体活動レベルの尺度である。1つの実施形態では、患者の生理的状態が活動レベルのみによって表される。他のいくつかの実施形態では、患者の生理的状態を活動レベル及び1又は2以上のセンサ信号によって決定することができる。測定システム1078は、検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の信号を検知更新レート(sensing update rate)で測定し、この測定に基づいて、1又は2以上の検知された入力パラメータを生成することができる。様々な実施形態では、測定システム1078を、検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の信号を測定することによって、1又は2以上の検知された入力パラメータを生成するために必要な様々な機能を実行するように構成することができる。検知更新レートは、1又は2以上の検知された入力パラメータを生成するために1又は2以上の検知された信号を測定する頻度である。様々な実施形態では、検知更新レートが、次の測定をいつ行うべきであるかを決定し、治療更新レートが、刺激パラメータの次の調整をいつ行うべきであるかを決定する。更新レート調整器1080は、検出された患者の生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レートを調整することができる。様々な実施形態では、更新レート調整器1080が、検出された生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レート及び治療更新レートを調整することができる。他の1又は2以上のレート調整パラメータは、システム1070が使用できるエネルギー及び/又は計算リソースを定量的に示す1又は2以上のパラメータを含むことができる。
【0084】
システム1070は、本文書で説明した刺激装置を含む治療装置(例えば、刺激装置104、刺激装置204、IPG404、IPG504、IPG604、埋め込み型刺激器704、治療装置904、及び埋め込み型医療装置1104)に実装することができる。このような治療装置において閉ループ制御が使用される場合、本主題は、高頻度での更新を必要とする最悪のシナリオに基づいて確立された検知更新レート及び治療更新レートを治療制御回路が常に使用することを防ぎ、これによってバッテリ寿命及び/又は充電サイクルを延ばし、埋め込み型医療装置の他の機能を改善するために使用できる計算リソースを解放し、及び/又は計算に使用されるエネルギーを節約することができる。
【0085】
図11に、埋め込み型医療装置1104の実施形態を示す。埋め込み型医療装置1104は治療装置904の一例を表すことができ、埋め込み型刺激器704などの埋め込み型刺激器であるように構成することができる。図示の実施形態では、埋め込み型医療装置1104が、治療出力装置912、検知回路1142、インプラントテレメトリ回路1144、インプラント記憶装置1146、電源1148、及び治療制御回路1114を含む。埋め込み型医療装置1104は、刺激出力回路212に実装された治療出力装置912、検知回路742に実装された検知回路1142、インプラントテレメトリ回路744に実装されたインプラントテレメトリ回路1144、インプラント記憶装置746に実装されたインプラント記憶装置1146、電源748に実装された電源1148及び刺激制御回路714に実装された治療制御回路1114を有する埋め込み型刺激器704であるように構成することができる。
【0086】
検知回路1142は、センサ960などのセンサからの検知治療制御信号を受け取ることができる。様々な実施形態では、検知回路1142が、増幅及びフィルタリングなどによって治療制御信号のうちの1又は2以上の信号を測定のために調整することができる。
【0087】
インプラントテレメトリ回路1144は、埋め込み型医療装置1104に無線双方向通信を提供することができる。様々な実施形態では、近距離場磁気テレメトリ及び/又は遠距離場電磁テレメトリを使用して無線双方向通信を実行することができる。1つの実施形態では、無線双方向通信のためにBluetooth又はBluetooth Low Energy(BLE)プロトコルが使用される。
【0088】
インプラント記憶装置1146は、埋め込み型医療装置1104の動作に必要な情報及び埋め込み型医療装置1104によって取得された情報を記憶することができる。埋め込み型医療装置1104の動作に必要な情報は、1又は2以上の神経刺激プログラムなどの1又は2以上の治療プログラム、及び1又は2以上の治療プログラムの各々の治療パラメータを含む。
【0089】
電源1148は、1又は2以上のバッテリを含むことができる。1又は2以上のバッテリに残っているエネルギーの量は、バッテリレベルによって示すことができる。バッテリレベルは、1又は2以上のバッテリのエネルギー容量の割合として測定することができる。様々な実施形態では、1又は2以上のバッテリが充電式バッテリを含むことができる。
【0090】
治療制御回路1114は、埋め込み型医療装置に実装される治療制御回路1014の一例を表すことができる。図示の実施形態では、治療制御回路1114が、メインプロセッサ1182及びコプロセッサ1184に実装される。メインプロセッサ1182は、治療コントローラ1072及び治療パラメータ調整器1074を含む。コプロセッサ1184は、生理的状態検出器1076、測定システム1078、及び更新レート調整器1080を含む。様々な実施形態では、メインプロセッサ1182が、上述したような閉ループ制御アルゴリズムを実行することに加えて、1又は2以上の検知された入力パラメータを使用して1又は2以上のさらなる検知ベースのアルゴリズム(例えば、1又は2以上のさらなる治療のための診断アルゴリズム及び/又は制御アルゴリズム)を実行することができる。メインプロセッサ1182は、インプラントテレメトリ回路1144を使用して埋め込み型医療装置1104との間の無線通信を制御することもできる。メインプロセッサ1182及びコプロセッサ1184は、単一のプロセッサ又は複数のプロセッサに実装された回路を含むことができる。1つの実施形態では、マイクロコントローラがメインプロセッサ1182であるように構成され、別のマイクロコントローラがコプロセッサ1184であるように構成される。いくつかの実施形態では、マイクロコントローラがメインプロセッサ1182であるように構成され、さらなるマイクロコントローラが、それぞれが治療制御回路1114の機能を実行するコプロセッサであるように構成される。
【0091】
更新レート調整器1080は、検知更新レートを1又は2以上のレート調整パラメータに関連付ける関係に従って、1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて少なくとも検知更新レートを調整することができる。様々な実施形態では、更新レート調整器1080が、検知更新レート及び治療更新レートの各々を1又は2以上のレート調整パラメータに関連付ける関係に従って検知更新レート及び治療更新レートを調整することができる。1又は2以上のレート調整パラメータは、患者の検出された生理的状態(例えば、活動レベル)、電源1148の残留エネルギーの尺度であるバッテリ状態、メインプロセッサ1182の計算活動レベルの尺度であるメインプロセッサ状態、コプロセッサ1184の計算活動レベルの尺度であるコプロセッサ状態、及び/又は埋め込み型医療装置1104の計算リソース及び/又はエネルギーニーズを示す1又は2以上の他のパラメータを含むことができる。1つの実施形態では、検知更新レートが治療更新レートに等しい。別の実施形態では、(例えば、1又は2以上の検知された入力パラメータを平均化によって生成するために1又は2以上の検知信号の複数回の測定を可能にするように)検知更新レートが治療更新レートよりも高い。別の実施形態では、(例えば、次の検知更新の前に即時の治療変更と後の時点でのスケジュールされた治療変更とを可能にするように)検知更新レートが治療更新レートよりも低い。
【0092】
図12に、患者の生理的状態を検出する1又は2以上の生理的状態センサ1286及び生理的状態検出器1276の実施形態を示す。生理的状態検出器1276は生理的状態検出器1076の一例を表すことができ、(単複の)生理的状態センサ1286を使用して検知された1又は2以上の生理的信号を使用して患者の生理的状態を検出することができる。(単複の)生理的状態センサ1286は、センサ960のうちの1又は2以上のセンサとすることができる。生理的状態検出器1276によって検出すべき生理的状態の例としては、睡眠中、調理中、着席中、運動中、シャワー中、及び歩行中が挙げられる。
【0093】
図示の実施形態では、(単複の)生理的状態センサが、1又は2以上の活動信号を検出できる1又は2以上の活動センサ1288を含む。(単複の)活動センサ1288は、活動信号である加速度計信号をそれぞれが生成する1又は2以上の加速度計1290を含むことができる。生理的状態検出器1276は、1又は2以上の検知された活動信号を使用して活動レベルを検出する活動レベル検出器1292を含む。活動レベルは、患者の身体活動レベルの尺度である。様々な実施形態では、活動レベルが患者の全体的身体活動レベルを表すことができ、単一の活動信号又は活動信号の組み合わせを使用して決定することができる。様々な実施形態では、活動レベル検出器1292が、それぞれが患者の身体活動レベルの範囲に対応する活動レベルの離散値を生成することができる。各離散値は、患者の生理的状態(例えば、睡眠中、調理中、着席中、運動中、シャワー中又は歩行中)に対応することができるが、追加情報を使用して患者が実際にその生理的状態にあるかどうかを検証することが必要となり得る。様々な実施形態では、レート調整パラメータとして使用するために(例えば、患者の全体的身体活動レベルを表す)活動レベルのみで十分である。さらなる活動信号の使用はさらなる(単複の)センサを必要とし、及び/又は埋め込み型医療装置1104の計算活動、従って電力消費量を増加させる恐れがある。
【0094】
図13に、更新レート調整器1080の一例を表すことができる更新レート調整器1380の実施形態を示す。図示の実施形態では、更新レート調整器1080が、検知更新レートを1又は2以上のレート調整パラメータに関連付ける関係、又は検知更新レート及び治療更新レートの各々を1又は2以上のレート調整パラメータに関連付ける関係を表すルックアップテーブル1394を含む。更新レート調整器1380は、ルックアップテーブル1394を使用して1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて少なくとも検知更新レートを調整することができる。様々な実施形態では、更新レート調整器1080が、ルックアップテーブル1394を使用して検知更新レート及び治療更新レートを調整することができる。
【0095】
ルックアップテーブル1394によって表される関係は、調査及び実験からの結果を使用して確立することができる。様々な実施形態では、この関係を、不適切な治療(例えば、過剰又は不十分な神経刺激)のリスク、検知更新レート及び/又は治療更新レートに関するバッテリ管理検討、及び埋め込み型医療装置1104の利用可能な計算リソースなどの、治療と設計検討とのバランスを図ることによって確立することができる。様々な実施形態では、この関係を、患者に埋め込まれた後の埋め込み型医療装置1104の性能の関連する態様に基づいて患者のルックアップテーブル1394を更新することによって実験的に調整することができる。様々な実施形態では、この関係が、検出された活動レベル(例えば、離散値の数)の変化に対する検知更新レート及び治療更新レートの感度を反映する。治療が神経刺激パルスの送達を含む様々な実施形態では、(例えば、刺激パラメータが神経刺激パルスのパルス毎に調整されることを可能にするように)検知更新レート及び治療更新レートをパルス周波数に基づいて決定することができる。
【0096】
図14に、患者に治療を提供する方法1400の実施形態を示す。方法1400は、システム1070、及び限定するわけではないが本文書で説明した治療装置(例えば、刺激装置104、刺激装置204、IPG404、IPG504、IPG604、埋め込み型刺激器704、治療装置904、及び埋め込み型医療装置1104)を含む、システム1070が実装されるいずれかの治療装置によって実行することができる。
【0097】
1410において、患者に治療を提供する。様々な実施形態では、神経刺激を送達できる刺激出力回路などの治療出力装置から治療が提供される。
【0098】
1420において、治療パラメータを使用して治療の提供を制御する。様々な実施形態では、治療の提供が、刺激パラメータを使用して神経刺激の送達を制御する刺激制御回路などの治療制御回路を使用して制御される。刺激出力回路及び刺激制御回路は、埋め込み型神経刺激器の一部であることができる。1420における治療の提供の制御は、図14に示すようなステップ1421~1426を含むことができる。
【0099】
1421において、1又は2以上のセンサから検知された治療制御信号を受け取る。治療制御信号は、閉ループ制御アルゴリズムへの入力信号を含む、治療の提供を制御するために使用される全ての検知された信号を含む。様々な実施形態では、検知された治療制御信号が、患者から検知された1又は2以上の電気生理学的信号を含む。治療が神経刺激を含む場合、1又は2以上の電気生理学的信号は、刺激パラメータの決定及び調整に使用される患者の神経活動を示す1又は2以上の神経信号を含むことができる。1422において、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の信号を検知更新レートで測定する。1423において、測定に基づいて1又は2以上の検知された入力パラメータを生成する。
【0100】
1424において、受け取った検知された治療制御信号のうちの1又は2以上の生理的信号を使用して患者の生理的状態を検出する。例えば、1又は2以上の加速度計を使用して検知できる1又は2以上の活動信号を使用して、患者の活動レベルを生理的状態として検出することができる。活動レベルは、患者の身体活動レベルの尺度である。様々な実施形態では、生理的状態が、検出された活動レベルのみによって表される。他の様々な実施形態では、1又は2以上のさらなるレート調整パラメータを使用して、睡眠中、調理中、着席中、運動中、シャワー中及び歩行中などの患者の生理的状態を決定する。1425において、検出された生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて検知更新レートを調整する。様々な実施形態では、検出された生理的状態のみを使用して検知更新レートが調整される。他の様々な実施形態では、検知更新レートが、検出された生理的状態と、治療装置において利用可能なエネルギー及び/又は計算リソースを定量的に示す1又は2以上のパラメータとを使用して調整される。1426において、1又は2以上の検知された入力パラメータを使用して治療パラメータを調整する。様々な実施形態では、治療パラメータが、やはり検出された生理的状態を含む1又は2以上のレート調整パラメータに基づいて調整される治療更新レートで調整される。1つの実施形態では、検知更新レート及び治療更新レートが共通レートである。別の実施形態では、検知更新レートが治療更新レートとは異なる。様々な実施形態では、検知更新レート及び治療更新レートの各々が、検知更新レート及び治療更新レートの各々を1又は2以上のレート調整パラメータに関連付ける関係に従って調整される。この関係は、調査及び実験に基づいて決定され、ルックアップテーブルとして使用できるように記憶することができる。この関係(例えば、ルックアップテーブル)は、定期的に及び/又は患者の必要性に応じて実行される治療調整の一部として患者のために実験的に調整することができる。
【0101】
図15に、埋め込み型神経刺激器であるように構成された埋め込み型治療装置1104におけるレート調整パラメータの関数としてのパラメータ更新レートの例を示す。この例では、複数のレート調整パラメータを使用して、各パラメータ更新レートとレート調整パラメータとの間の関係に従ってパラメータ更新レートを調整する。パラメータ更新レートは、検知更新レート及び治療更新レートを含む。レート調整パラメータは、患者の生理的状態、コプロセッサ状態、バッテリ状態、及び(埋め込み型治療装置1104に関して上述したような)メインプロセッサ状態を含む。図示の例には、生理的状態が高活動レベルに対応する場合には検知更新レート及び治療更新レートが増加し、生理的状態が低活動レベルに対応する場合には減少することを示す。治療パラメータは患者のニーズ及び/又は状態の変化に応答して調整され、このような変化は患者の生理的状態に対応する速度で発生するため、生理的状態を使用してパラメータ更新レートを決定することで、(パラメータ値の変化をほとんど又は全く含まない)不要なパラメータ更新が減少することによってエネルギー及び計算リソースの使用が削減される。利用可能なエネルギー及び計算リソースと、患者のニーズ及び/又は状態の変化に応答した治療の調整速度との間で治療の提供を制御する上での性能バランスを図るために、コプロセッサ状態、バッテリ状態及びメインプロセッサ状態も使用される。
【0102】
上記の詳細な説明は、限定的なものではなく例示的なものとして意図したものであると理解されたい。当業者には、上記の説明を読んで理解すれば他の実施形態が明らかになるであろう。従って、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲、及びこのような特許請求の範囲が権利を有する同等物の全範囲を参照して決定されるべきものである。
【符号の説明】
【0103】
912 治療出力装置
1014 治療制御回路
1070 システム
1072 治療コントローラ
1074 治療パラメータ調整器
1076 生理的状態検出器
1078 測定システム
1080 更新レート調整器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【国際調査報告】