(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】配合ポリアミドプレポリマーを連続調製するための方法
(51)【国際特許分類】
C08G 69/04 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
C08G69/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527661
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 FR2021051987
(87)【国際公開番号】W WO2022101580
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クワインベシュ, セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ロマジーニ, ジェラルド
(72)【発明者】
【氏名】ロジェ-ダルベルト, ピエリック
(72)【発明者】
【氏名】ブリフォー, ティエリー
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DA01
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4J001JB01
4J001JB02
(57)【要約】
本発明は、20℃においてm-クレゾール中でISO 307:2007に従って測定された場合、溶液中の粘度が0.25dL/g~0.70dL/gである配合ポリアミドプレポリマーを連続調製するための方法であって、方法が、1つまたは複数のポリアミド前駆体モノマーをベースとして重縮合する工程を含み、前記重縮合工程が、少なくとも2つの共回転搬送スクリューを含む押出機内で実施され、少なくとも1つのモノマーが、溶媒または水に溶解されずに固体または液体形態であらかじめ押出機に供給され、前記重縮合工程が、前記重縮合工程中に形成される水を抽出せずに実施され、押出機内での前記重縮合工程中に少なくとも1つの添加剤を添加することを含むことを特徴とする、方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配合ポリアミドプレポリマーを連続調製するための方法であって、20℃においてm-クレゾール中でISO 307:2007に従って測定された場合、配合ポリアミドプレポリマーの溶液中の粘度が0.25dL/g~0.70dL/gの間に含まれ、前記配合ポリアミドプレポリマーが、溶液中での電位差滴定によって決定された末端官能基のレベルおよび前記プレポリマーの官能性からの計算によって、またはNMRアッセイによって、またはサイズ排除クロマトグラフィーによって決定された場合、10,000g/mol未満、特に1,000と9,000の間、特に1,500~7,000、より具体的には2,000~5,000g/molの重量平均分子量(Mn)を有する、方法であって
方法が、1つまたはいくつかのポリアミド前駆体モノマーから重縮合する工程を含み、前記重縮合工程が、少なくとも2つの共回転搬送スクリューを含む単一の押出機中で実施され、前記モノマーが、溶媒または水に溶解せずに固体または液体形態であらかじめ添加され、前記重縮合工程が、前記重縮合中に形成される副生成物、特に形成される水を抽出せずに実施され、押出機内での前記重縮合工程中に少なくとも1つの添加剤を添加することを含み、
前記押出機が、特に不活性ガスを押出機内に添加することによるいずれかの脱気装置、または形成された重縮合副生成物、特に形成された水を除去するためのいずれかの装置を有しておらず、大気圧における外側上の出口、または反応中に押出機内に低圧領域を作り出すことが可能な、真空ポンプなどの装置に接続された出口からなることを特徴とする、方法。
【請求項2】
ポリアミドの数平均分子量(Mn)から、以下の式
DPn=Mn/M
0
[式中、
Mnは、請求項1に定義される通りに決定されたポリアミドの数平均分子量であり、
M
0は、モノマーの数平均分子量である]
に従って決定された場合、得られるポリアミドの平均重合度(DPn)が、50未満、特に45以下、特に5~45に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリアミドが脂肪族ポリアミドであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
モノマーが、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より具体的にはC10~C12のアミノカルボン酸、特に11-アミノウンデカン酸であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
モノマーが、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より具体的にはC10~C12のラクタム、特にラウリルラクタムであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
モノマーが、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より具体的にはC10~C12脂肪族ジアミン、および少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より具体的にはC10~C12脂肪族ジカルボン酸であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
押出機が、2つの共回転搬送スクリューを有する二軸押出機であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
220~340℃の間に含まれる温度、優先的には260~300℃の間に含まれる温度で実施されることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
220~340℃に含まれる温度での押出機における材料の滞留時間により、所望の平均重合度に到達するように重縮合反応を実行することが可能となり、前記滞留時間が1分以上であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
押出機が、少なくとも6つのスクリュー、特に12の共回転スクリューを有する環状多軸押出機であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
220~340℃の間に含まれる温度での押出機における材料の滞留時間により、所望の平均重合度に到達するように重縮合反応を実行することが可能となり、前記滞留時間が1分以上であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
押出機における材料の滞留時間が1分以上、特に1~10分、特に2~6分に含まれることを特徴とする、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つの添加剤が、触媒、充填剤、染料、安定剤、特に光安定剤、特にUVおよび/または熱安定剤、可塑剤、界面活性剤、核形成剤、顔料、増白剤、抗酸化剤、潤滑剤、難燃剤、天然ワックス、およびそれらの混合物から選択されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの添加剤が、メインホッパー内の前記単一の押出機に添加されることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの添加剤が、メインホッパーの後の前記単一の押出機に添加されることを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、重縮合による配合ポリアミドプレポリマーの連続調製方法、およびそのような方法を実施するのに好適な押出機に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド(PA)は、従来、モノマーを添加し、十分な粘度の混合物が得られるまで圧力下で加熱するバッチ式方法で、反応器内におけるジアミンとジカルボン酸、またはアミノ酸、あるいはラクタムとの重縮合により調製される。モノマーは水溶液で添加されることが多く、反応器を減圧下に置くことによって、重縮合中に存在する、および/または形成される水を除去しなければならない。
【0003】
しかしながら、ポリアミドの「リビング」性質のため、反応器を空にする間に、反応器を空にする開始時および終了時で生成物が同じモル質量(同じ粘度)を有さない場合があり、ポリアミドのモル質量を制御/管理することは困難である。
【0004】
目標とするモル質量を超えると、もはや後戻りすることはできず、生成物は、生産されたバッチ全体が「除外(declassified)」される。
【0005】
さらに、バッチ式方法は、(毎年製造される製品の量に対して)よりキャピタルインテンシブな方法であり、環境にやさしくもない(エネルギーおよび水の消費が多く、排ガスおよび廃棄物などの発生が多い)。
【0006】
さらに、特にジアミンとジカルボン酸との重縮合の場合、水の除去は、添加されたモノマーの損失につながることも多く、これにより過剰なモノマーを用いて作業する必要があり、したがって、この方法における追加コストの原因となる。
【0007】
より最近では、連続合成のための方法が開発されている。
【0008】
したがって、特許EP2,877,516には、重量平均分子量(Mw)が14,000g/mol以上のポリアミドを連続合成するための方法が記載されている。この方法は、少なくとも2回の排水操作を必要とし、プレポリマーではなく、ポリマーをもたらす。
【0009】
米国特許第8,765,902号には、6T/6Iコポリアミドを連続調製するための方法が記載されている。この方法は、水のエバポレーションを必要とし、プレポリマーではなく、ポリマーをもたらす。
【0010】
特許EP0,410,650には、ジアミンとジカルボン酸との重縮合によりプレポリマーを連続調製するための方法が記載されている。この方法は、水のエバポレーションを必要とする。
【0011】
さらに、得られたバッチの配合物には、得られた生成物を1つまたは複数の添加剤とバッチでコンパウンディングすることからなる追加の工程を必要とする。
【0012】
したがって、上記の問題を克服する必要があり、本発明の目的の1つは、先行技術による方法よりも単純で、より速く、より信頼性が高く、より安価で、単一工程によって配合ポリアミドプレポリマーを調製する方法を提案することである。
【0013】
したがって、本発明は、20℃においてm-クレゾールでのISO 307:2007に従って測定された場合、溶液中の粘度が0.25dL/g~0.70dL/gである配合ポリアミドプレポリマーを連続調製するための方法であって、
方法が、1つまたは複数のポリアミド前駆体モノマーから重縮合する工程を含み、前記重縮合工程が、少なくとも2つの共回転搬送スクリューを含む単一の押出機中で実施され、前記モノマーが、溶媒または水に溶解せずに固体または液体形態であらかじめ添加され、前記重縮合工程が、前記重縮合中に形成される副生成物、特に形成される水を抽出せずに実施され、押出機内での前記重縮合工程中に少なくとも1つの添加剤を添加することを含むことを特徴とする、
方法に関する。
【0014】
したがって、本発明者らは、必要な粘度のプレポリマーを調製するために、特に押出機を真空下に置くことにより水を除去する必要なく、押出機内における材料の滞留時間と押出機内における反応温度との間の妥協点を見出すことができ、同時に、このプレポリマーを押出機中での重縮合工程中に配合して、配合プレポリマーをもたらすこともできることを見出した。
【0015】
実際、水を除去するために押出機内のプレポリマーを真空下に置くと、プレポリマーは低粘度であるため、真空ライン内で媒体が非常に容易に泡立ち、上昇する傾向がある。このため、プレポリマーを真空下に置くことは技術的に困難である。したがって、これにより目詰まりが起こり、真空の有効性が失われる。
【0016】
押出機内での滞留時間は常に同じであるため、形成された生成物は、したがって、常に同じ数平均モル質量(Mn)または同じ粘度を有する。
【0017】
形成された生成物は、インラインで特性評価することもでき、これにより、完成品の適切な制御を保証するために、フィードバックによって方法パラメータを修正することが可能となる。
【0018】
本明細書を通じて、プレポリマーという用語は、オリゴマーという用語と同じ意味を有する。
【0019】
プレポリマーという用語は、10,000g/mol未満、特に1,000~9,000、特に1,500~7,000、より具体的には2,000~5,000g/molの数平均分子量Mnを有するポリアミドを示す。
【0020】
Mnは、特に、溶液中での電位差滴定によって決定された末端官能基のレベル、および前記プレポリマーの官能性からの計算によって、またはNMRアッセイによって決定される(Postmaら、Polymer, 47, 1899-1911(2006))。
【0021】
Mnをまた、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定してもよい。
【0022】
重縮合による重合、特にジアミンとジカルボン酸、あるいはそれ以外のカルボン酸官能基およびアミン官能基の両方を含む単一モノマーとの重縮合では、各工程が、関与するモノマーに応じて、H2Oなどの反応副生物と呼ばれる小分子が脱離しながら行われる縮合反応である。
【0023】
本発明の方法では、形成された副生成物、特に形成された水の脱離はなく、これは、押出機が、重縮合反応によって形成された反応副生成物(大部分の場合、水である)を排出するためのいかなる装置も有していないことを意味する。
【0024】
特に、押出機は、特に不活性ガスを押出機内に添加することによる脱気装置、または形成された重縮合副生成物、特に形成された水を除去するための装置を有しておらず、大気圧における外側上の出口、または反応中に押出機内に低圧領域を作り出すための、真空ポンプなどの装置に接続された出口で構成される。
【0025】
それにもかかわらず、押出機は、反応の完了後、したがってスクリューの後に大気圧に戻すための装置を含む。
【0026】
使用される押出機は、2つの搬送スクリューを含む。
【0027】
本発明によるポリアミドを調製する方法は、すべて押出機内で実施される以下の連続する工程を含む:
選択されたモノマーを混合する工程、
および搬送スクリューにより搬送された材料に剪断操作を行うことによって実施される重縮合工程。
【0028】
好ましい様式において、混合工程と重縮合工程との間に、搬送スクリューで材料を搬送することにより、連続的に更新されるキャップまたはシールを形成する工程も実施される。有利なことに、処理中の材料で構成されたキャップまたはシールは、材料の通過に利用可能なすべての容積を満たし、蒸気、特に発生し得るモノマー蒸気に対して密閉された領域を構成する。
【0029】
押出機では、各搬送スクリューは、搬送方向に互いに追従する異なる要素からなる。これらの異なる要素は、回転軸において互いに隣り合って配置されている。共回転押出機では、すべての搬送スクリューが同じ方向に回転し、これは通常、反時計回り方向に相当する。要素は、リニア押出機の場合は一列で、環状押出機の場合は円形で互いに隣り合って配置される。押出機を構成する異なる搬送スクリューはすべて、搬送スクリュー全体に沿って一定である同じ直径を有する。ほとんどの場合、この直径は、18~134mmの範囲に属する。
【0030】
このような押出機は、特に特許EP2,877,516に記載されているが、本発明による方法には存在しない、減圧のための、または形成された副生成物を抽出するための要素は除外されている。
【0031】
ポリアミドの前駆体であるモノマーは、その自然な外観の機能に応じて、固体または液体の形態であらかじめ添加されるが、いかなる場合にも、いかなる溶媒または水にも溶解されることはない。
【0032】
表現「あらかじめ」は、重縮合反応の任意の開始前にモノマーが添加されることを意味する。
【0033】
本発明の文脈において、モノマーは、事前に反応させることなく、また対応する塩を事前に調製することなく、添加される。
【0034】
ポリアミドについて
ポリアミドを定義するために使用される命名法は、ISO 1874-1:2011規格「Plastics-Polyamide(PA)Moulding And Extrusion Materials-Part 1:Designation」に記載されており、当業者には周知である。
【0035】
ポリアミドは、脂肪族、脂環式、芳香族または半芳香族のポリアミドであるかどうかにかかわらず、任意のポリアミドであってもよい。
【0036】
ポリアミドは、ホモポリアミドまたはコポリアミドであってもよい。
【0037】
有利には、前記ポリアミドは、ホモポリアミドである。
【0038】
前記芳香族ポリアミドは、特に、メタキシリレンジアミン(MXD、CAS番号:1477-55-0)またはパラキシリレンジアミン(PXD、CAS番号:539-48-0)から選択されてもよいアリールアミンと、特にテレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレン酸(naphthalenic acid)から選択される芳香族ジカルボン酸との重縮合から得られる。
【0039】
任意に尿素単位で修飾された前記半芳香族ポリアミドは、特にEP1,505,099に記載されているような式X/YArの半芳香族ポリアミド、特に式A/XT[式中、Aが、アミノ酸モノマーから得られる単位、ラクタムモノマーから得られる単位、および式(Caジアミン)・(Cb二酸)[両方ともモノマーを表し、aはジアミンの炭素原子数を表し、bは二酸の炭素原子数を表し、aおよびbはそれぞれ4と36の間、有利には9~18であり、単位(Caジアミン)は直鎖または分枝鎖状脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択され、単位(Cb二酸)は直鎖または分枝鎖状脂肪族二酸、脂環式二酸および芳香族二酸から選択される]に対応する単位から選択される]の半芳香族ポリアミドであってもよい。
【0040】
X.Tは、Cxジアミンとテレフタル酸との重縮合から得られる単位[xはCxジアミンの炭素原子数を表し、xは6と36の間、有利には9と18の間である]を示し、特に式A/6T、A/9T、A/10TまたはA/11Tのポリアミド(Aは上で定義された通り)、特にポリアミドPA 6/6T、PA 66/6T、PA 6I/6T、PA MPMDT/6T、PA MXDT/6T、PA PA11/10T、PA 5T/10T、PA 11/5T/10T、PA 11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA 11/BACT/10T、PA 11/BACT/6T、PA 11/MPMDT/10T、PA 11/MXDT/10T、およびブロック共重合体、特にポリアミド/ポリエーテル(PEBA)である。
【0041】
Tはテレフタル酸に対応し、MXDはm-キシリレンジアミンに対応し、MPMDはメチルペンタメチレンジアミンに対応し、BACはビス(アミノメチル)シクロヘキサンに対応する。
【0042】
前記脂環式ポリアミドは、特に、以下のモノマー:脂環式ジアミンと脂肪族ジカルボン酸、または脂肪族ジアミンと脂環式ジカルボン酸、または脂環式ジアミンと脂環式ジカルボン酸、の重縮合によって得られる。
【0043】
脂環式ジアミンは、例えば、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)-メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)-プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)-ブタン、ビス-(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)-メタンまたは、3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジシクロヘキシル-メタン、通称「BMACM」もしくは「MACM」(以下Bと表記)、p-ビス(アミノシクロヘキシル)-メタン、通称「PACM」(以下Pと表記)、イソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)、通称「PACP」、イソホロンジアミン(以下IPDと表記)、および2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナン、通称「BAMN」から選択されてもよい。
【0044】
これらの脂環式ジアミンの非網羅的な一覧は、刊行物「Cycloaliphatic Amines」(Encyclopaedia of Chemical Technology, Kirk-Othmer, 4th Edition (1992), pp. 386-405)に示されている。
【0045】
脂環式ジカルボン酸は、ノルボルニルメタン、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパンの炭素骨格を含んでもよい。
【0046】
脂肪族ジアミンおよび脂肪族ジカルボン酸は、以下に記載する脂肪族ポリアミドに対応するものである。
【0047】
前記脂肪族ポリアミドは、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より特定するとC10~C12カルボン酸、特に11-アミノウンデカン酸である1つまたは複数のモノマーの重縮合から得られ得る。
【0048】
前記脂肪族ポリアミドは、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より特定するとC10~C12ラクタム、特にラウリルラクタムである1つまたは複数のモノマーの重縮合から得られ得る。
【0049】
前記脂肪族ポリアミドは、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より特定するとC10~C12脂肪族ジアミンである1つまたは複数のモノマーと、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より特定するとC10~C12脂肪族ジカルボン酸との重縮合から得られ得る。
【0050】
使用される脂肪族ジアミンは、少なくとも6個の炭素原子を含む直鎖状の主鎖を有する脂肪族ジアミンである。
【0051】
この直鎖状の主鎖は、必要に応じて、1つまたはいくつかのメチルおよび/またはエチル置換基を含んでもよく、後者の構成では、該脂肪族ジアミンは「分岐鎖状脂肪族ジアミン」と呼ばれる。主鎖がいかなる置換基も含まない場合、該脂肪族ジアミンは、「直鎖状脂肪族ジアミン」と呼ばれる。
【0052】
このジアミンが直鎖状脂肪族ジアミンである場合、該ジアミンは特に式H2N-(CH2)x-NH2に相当し、例えばヘキサンジアミン、ヘプタンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミンおよびオクタデセンジアミンから選択されてもよい。今述べた直鎖状脂肪族ジアミンは、規格ASTM D6866の意味において、すべてバイオソースとすることができる。
【0053】
このジアミンが分岐鎖状脂肪族ジアミンである場合、特に2-メチル-ペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミンまたはトリメチレン(2,2,4または2,4,4)-ヘキサンジアミンであってもよい。
【0054】
ジカルボン酸は、直鎖状または分枝鎖状脂肪族ジカルボン酸から選択されてもよい。
【0055】
有利には、ジアミンは、直鎖状脂肪族ジアミンである。
【0056】
ジカルボン酸が脂肪族で直鎖状である場合、アジピン酸(6)、ヘプタン二酸(7)、オクタン二酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカン二酸(11)、ドデカン二酸(12)、ブラシル酸(13)、テトラデカン二酸(14)、ヘキサデカン二酸(16)、オクタデカン二酸(18)、オクタデセン二酸(18)から選択されてもよい。
【0057】
有利には、ポリアミドは、半芳香族、脂環式または半芳香族のポリアミドである。
【0058】
より有利には、前記ポリアミドは半芳香族または脂肪族であり、特に前記ポリアミドは脂肪族である。
【0059】
より有利には、前記ポリアミドは脂肪族であり、単一のアミノカルボン酸から、または単一のラクタムから得られ、特に11-アミノウンデカン酸またはラウリルラクタムから得られ、特に11-アミノウンデカン酸から得られる。
【0060】
添加剤について
前記少なくとも1つの添加剤は、触媒、充填剤、染料、安定剤、特に光安定剤、特にUVおよび/または熱安定剤、可塑剤、界面活性剤、核剤、顔料、増白剤、抗酸化剤、潤滑剤、難燃剤、天然ワックス、およびそれらの混合物から選択される。
【0061】
添加剤の例として、1つまたは複数の顔料または染料を挙げることができる。
【0062】
顔料は、原則として、従来の方法で使用される顔料の中から自由に選択されてもよい。特に、顔料は、二酸化チタン、カーボンブラック、酸化コバルト、チタン酸ニッケル、二硫化モリブデン、アルミニウムフレーク、酸化鉄、酸化亜鉛、リン酸亜鉛などの無機顔料、ならびにフタロシアニンおよびアントラキノン誘導体などの有機顔料から選択されてもよい。
【0063】
染料はまた、当業者に公知である任意のタイプのものであってもよい。特に、アゾ染料、アントラキノン染料、インディゴ染料、トリアリールメタン染料、塩素染料およびポリメチン染料を挙げることができる。
【0064】
また、触媒、クレーター防止剤もしくは展着剤、還元剤、抗酸化剤、補強充填剤、UV安定剤、流動化剤、腐食防止剤、またはそれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤も挙げることができる。
【0065】
クレーター防止剤および/または展着剤は、当業者に公知である任意のタイプのものであってもよい。好ましくは、クレーター防止剤および/または展着剤は、ポリアクリレート誘導体からなる群から選択される。
【0066】
UV安定剤は、当業者に公知である任意のタイプのものであってもよい。好ましくは、UV安定剤は、レゾルシン誘導体、ベンゾトリアゾール、フェニルトリアジンおよびサリチレートからなる群から選択される。
【0067】
抗酸化剤は、当業者に公知である任意のタイプのものであってもよい。好ましくは、抗酸化剤は、ヨウ化カリウムと組み合わせたヨウ化銅、フェノール誘導体およびヒンダードアミンからなる群から選択される。
【0068】
流動化剤は、当業者に公知である任意のタイプのものであってもよい。好ましくは、流動化剤は、アルミナおよびシリカからなる群から選択される。
【0069】
腐食防止剤は、当業者に公知である任意のタイプのものであってもよい。好ましくは、腐食防止剤は、ホスホケイ酸塩およびホウケイ酸塩からなる群から選択される。
【0070】
用語「触媒」は、無機または有機酸などの重縮合触媒を示す。
【0071】
有利には、触媒は、リン酸(H3PO4)、亜リン酸(H3PO3)、次亜リン酸(H3PO2)、またはその塩のうちの1つ、例えば一水和物の形態で販売されている次亜リン酸ナトリウム、またはその塩のうち別の1つ、例えばカルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、バナジウム、亜鉛、マンガン、錫、チタン、ジルコニウム、アンチモン、ゲルマニウム、アルミニウムおよびアンモニウムの塩、またはそれらの混合物から選択される。
【0072】
少なくとも1つの添加剤が押出機内に添加され、その添加割合は添加剤の種類と相関関係がある。
【0073】
添加剤は、好ましくは、モノマーおよび添加された添加剤の重量の合計に対して、1~30質量%、より好ましくは2~10質量%、さらに好ましくは3~5質量%、例えば0~5質量%、または5~10質量%、または10~15質量%、または15~20質量%、または20~25質量%、または25~30質量%の量で存在する。
【0074】
添加剤が触媒である場合、モノマーおよび添加された添加剤の重量の合計に対して、約50ppm~約20,000ppm、特に約100~約10,000ppm、より特定すると1,000~10,000ppmの重量割合の触媒が含まれる。
【発明を実施するための形態】
【0075】
方法について
好ましくは、本発明の方法に従って得られるポリアミドの平均重合度(DPn)は、50未満、特に45以下、特に5と45の間である。
【0076】
有利には、本発明の方法に従って得られるポリアミドの平均重合度(DPn)は、8~40、特に12~30である。
【0077】
用語「平均重合度(DPn)」は、ポリマー鎖中に存在する構造単位の平均数を意味する。平均重合度(DPn)は、典型的には、以下の式に従って、ポリアミドの数平均分子量(Mn)から評価される:
DPn=Mn/M0
[式中、
Mnは、ポリアミドの数平均分子量であり、
M0は、モノマーの数平均分子量である]
有利には、本発明の方法に従って得られるポリアミドの重量平均分子量(Mn)は、10,000g/mol未満、特に1,000と9,000の間、特に1,500~7,000、より特定すると2,000~5,000g/molである。
【0078】
重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーによって決定され得る。
【0079】
一実施形態において、前記押出機は、2~12の共回転搬送スクリューを含む。
【0080】
この実施形態の第1の変形形態では、前記押出機は、2つの共回転搬送スクリューを含む二軸押出機である。
【0081】
有利には、この第1の変形形態において、前記方法は、220~340℃、優先的には260~300℃の温度で実施される。
【0082】
この第1の変形形態の一実施形態において、220と340℃の間に含まれる温度での押出機における材料の滞留時間により、所望の平均重合度に到達するように重縮合反応を実行することが可能となる。
【0083】
有利には、所望の重合度は、8~40、特に12~30の間に含まれる。
【0084】
この第1の変形形態の一実施形態において、220と340℃の間に含まれる温度での押出機における材料の滞留時間により、0.25と0.7dL/gの間の所望の粘度に到達するように重縮合反応を実行することが可能となる。
【0085】
この実施形態の第2の変形形態において、前記押出機は、共回転する少なくとも6つの搬送スクリュー、特に12の搬送スクリューを含む環状多軸押出機である。
【0086】
この第2の変形形態の一実施形態において、220~340℃の間に含まれる温度での押出機における材料の滞留時間により、所望の平均重合度に到達するように重縮合反応を実行することが可能となる。
【0087】
有利には、所望の重合度は、8~40、特に12~30の間に含まれる。
【0088】
この第2の変形形態の一実施形態において、220~340℃の間に含まれる温度での押出機における材料の滞留時間により、0.25と0.7dL/gの間の所望の粘度に到達するように重縮合反応を実行することが可能となる。
【0089】
有利には、第1または第2の変形形態の押出機における材料の滞留時間は、1分以上であり、特に1~10分、特に2~6分の間に含まれる。
【0090】
2つの変形形態のうち一方または他方の別の実施形態において、押出機の流量は、10kg/h以上、特に15kg/h以上、特に30kg/h以上、より特定すると50kg/h以上である。
【0091】
有利には、10kg/時以上、特に15kg/時以上、特に30kg/時以上、より具体的には50kg/時以上の流量で使用される押出機は、6~12の共回転搬送スクリュー、特に12の共回転搬送スクリューを含む押出機である。
【0092】
一実施形態において、上述の流れを有する6~12の共回転搬送スクリュー、特に12の共回転搬送スクリューを含む押出機の長さは、30L/D以上、特に30~100L/Dである。
【0093】
本発明の方法において、少なくとも1つの添加剤は、押出機における重縮合中に添加される。少なくとも1つの添加剤は、モノマーの添加区分で、または後続の作業区分で、または2つの領域で、例えば、モノマーの添加区分で、次いで後続の作業区分で添加されてもよい。
【0094】
数種の添加剤を添加する場合、各添加剤は、上で定義された方法に従って添加され得る。
【0095】
本発明による方法の一実施形態において、前記方法中にインライン分析が実施される。
【0096】
この後者の実施形態における第1の変形形態では、インライン分析により、得られた生成物が必要な特性、特に所望の重合度を有すると特性評価された場合、方法の操作パラメータ、特に押出機の滞留時間および温度の組合せは変更されない。
【0097】
この後者の実施形態における第2の変形形態では、インライン分析により、得られた生成物が必要な特性、特に所望の重合度を有さないと特性評価された場合、方法の操作パラメータ、特に押出機の滞留時間および温度の組合せを変更して、必要な特性、特に所望の重合度を有する生成物を得ることを可能にする。
【0098】
一実施形態において、前記少なくとも1つの添加剤は、メインホッパー中の前記単一の押出機内に添加される。
【0099】
有利には、前記少なくとも1つの添加剤は、触媒、充填剤、染料、および安定剤から選択される。
【0100】
別の実施形態において、前記少なくとも1つの添加剤は、メインホッパーの後の前記単一の押出機内に添加される。
【0101】
有利には、前記少なくとも1つの添加剤は、リン酸および亜リン酸から選択される。
【0102】
さらに別の実施形態において、少なくとも1つの添加剤が、メインホッパー中の前記単一の押出機内に添加され、少なくとも1つの添加剤が、メインホッパーの後の前記単一の押出機内に添加される。
【0103】
有利には、メインホッパーに添加される前記少なくとも1つの添加剤は、触媒、充填剤、染料、安定剤から選択され、メインホッパーの後に添加される前記添加剤は、リン酸および亜リン酸から選択される。
【0104】
別の態様によれば、本発明は、上で定義された通りの方法によって得ることができる配合生成物に関する。
【0105】
したがって、配合生成物は、上で定義された方法によって得られる配合ポリアミドプレポリマーに相当する。
【0106】
別の態様によれば、本発明は、上で定義された通りの方法を実施するのに好適な押出機に関する。
【実施例】
【0107】
例1(比較例)
配合脂肪族ポリアミドの調製の代表例
H3PO2を配合したPA11プレポリマーを、2つの工程で調製した。
【0108】
プレポリマーを調製するための、バッチプロセスごとの第1の工程:
14リットルのオートクレーブ反応器に、以下の原料5kgを添加する:
- 水500g、
- ジアミンとジカルボン酸および/またはアミノ酸、
- WACKER AK1000消泡剤(Wacker Silicones製)0.1g。
【0109】
閉じた反応器の残留酸素をパージし、次いで230℃の材料温度まで加熱する。これらの条件下で30分間撹拌した後、反応器内で形成された加圧蒸気を60分にわたって徐々に緩和し、大気圧でTf+10℃に安定するように材料の温度を徐々に調整する。
【0110】
次いで、オリゴマー(プレポリマー)を、底部バルブから空けて、次いで水浴中で冷却し、次いで粉砕する。
【0111】
この手順に従って、ジアミンまたはジカルボン酸を使用せずに、11-アミノウンデカン酸(CAS 2432-99-7)から、本発明の例2および3に記載の方法(1と5分の間)よりもはるかに長い滞留時間(1時間超)で、Mn=3000および粘度0.40のPA11プレポリマーを調製した。
【0112】
次いで、直径D=32mm(長さ=40D)のEvolum32HT二軸押出機(EV32 Clextral)において、H3PO2添加剤水溶液(H3PO2 8000ppm)を用いた第2のコンパウンディング工程。
【0113】
例2(本発明)
重縮合中に形成された副生成物の抽出、およびH
3PO
2水溶液(H
3PO
2 8000ppm)のメインホッパーへの添加、またはメインホッパーの後の添加を行わずに、固体状態の11-アミノウンデカン酸(CAS 2432-99-7)から直径D=32mm(長さ=40D)のEV32二軸押出機(Clextral)で配合PA11プレポリマーを調製した(表1および2)。
[表1]
[表2]
【0114】
例3(本発明)
重縮合中に形成された副生成物の抽出、およびH
3PO
4水溶液(H
3PO
4 5,300ppm)のメインホッパーへの添加、またはメインホッパーの後の添加を行わずに、固体状態の11-アミノウンデカン酸(CAS 2432-99-7)から直径D=32mm(長さ=40D)のEV32二軸押出機(Clextral)で配合PA11プレポリマーを調製した(表3および4)。
[表3]
[表4]
【0115】
例2および3は、本発明の連続式方法により、必要な粘度特性を有する配合PA11を単一工程で得ることができることを示す。
【0116】
さらに、本発明の方法から得られる配合生成物は、得られる生成物の溶液中の粘度、粉砕性、形状および機械的特性などのいくつかの点に関して、バッチプロセスから得られる生成物と同等である。
【国際調査報告】