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特表2023-548890逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層用コーティング剤及び逆構造ペロブスカイト太陽電池
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層用コーティング剤及び逆構造ペロブスカイト太陽電池
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/50 20230101AFI20231114BHJP
   H10K 30/40 20230101ALI20231114BHJP
   H10K 30/85 20230101ALI20231114BHJP
【FI】
H10K30/50
H10K30/40
H10K30/85
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527781
(86)(22)【出願日】2021-10-19
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 KR2021014538
(87)【国際公開番号】W WO2022097963
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0148473
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520263899
【氏名又は名称】ハンファ ソルーションズ コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】HANWHA SOLUTIONS CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヨン,ウンジュ
(72)【発明者】
【氏名】チョン,クァンホ
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251AA11
5F251CB13
5F251CB24
5F251FA02
5F251FA04
5F251GA02
5F251GA03
5F251XA01
5F251XA54
(57)【要約】
本発明は、電子伝達層(又は電子輸送層)形成用コーティング剤として、表面改質された金属酸化物ナノ粒子を分散液タイプで製造されたコーティング剤として提供し、これを利用して電子伝達層が形成した逆構造ペロブスカイトに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒に表面改質された金属酸化物が分散された分散液を含み、前記有機溶媒は、誘電定数が20以下であることを特徴とする、逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層用コーティング剤。
【請求項2】
表面改質された金属酸化物0.50~3.00重量%及び残量の有機溶媒を含むことを特徴とする、請求項1に記載の逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層用コーティング剤。
【請求項3】
前記有機溶媒は、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メトキシエタノール及びエチルアセテートのうち選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載の逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層用コーティング剤。
【請求項4】
前記表面改質された金属酸化物は、金属酸化物ナノ粒子を下記化学式1で表示される化合物と反応させて表面改質させたことを特徴とする、請求項1に記載の逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層用コーティング剤。
【化1】

(前記化学式1で、R~Rは、独立的に水素原子又はハロゲン原子であり、nは、0~5である。)
【請求項5】
前記金属酸化物ナノ粒子は、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、アルミニウム(Al)及びガリウム(Ga)のうち選択された1種又は2種以上を含む金属の酸化物を含むことを特徴とする、請求項4に記載の逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層用コーティング剤。
【請求項6】
金属酸化物ナノ粒子は、平均粒径2~10nmであることを特徴とする、請求項4に記載の逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層用コーティング剤。
【請求項7】
請求項1~請求項6のうちいずれか一項に記載のコーティング剤で形成されたコーティング層を含むことを特徴とする、逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層。
【請求項8】
前記コーティング層は、厚さ20~30nmであるとき、500~550nmの波長に対する光透過度(transmittance)が88~95%であることを特徴とする、請求項7に記載の逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層。
【請求項9】
請求項7に記載の電子伝達層を含むことを特徴とする、逆構造ペロブスカイト太陽電池。
【請求項10】
伝導性基板、ドレイン電極(drain electrode)、正孔輸送層(Hole
transport layer)、光吸収層、電子伝達層(Electron Transporting Layer)及びソース電極(source electrode)が順に積層された構造を含むことを特徴とする、請求項9に記載の逆構造ペロブスカイト太陽電池。
【請求項11】
前記光吸収層及び電子伝達層の間にパッシベーション(passivation)層をさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載の逆構造ペロブスカイト太陽電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽電池の電子伝達層形成用コーティング剤及びこれを利用して形成された電子伝達層を含む逆構造ペロブスカイト太陽電池に関する。
【背景技術】
【0002】
化石エネルギーの枯渇とその使用による地球の環境的な問題を解決するために、太陽エネルギー、風力、水力のような再生可能であり、清浄な代替エネルギー源に対する研究が活発に進行されている。
【0003】
その中で太陽光から直接電気的エネルギーを変化させる太陽電池に対する関心が大きく増加している。ここで、太陽電池とは、太陽光から光エネルギーを吸収して電子と正孔を発生する光電効果を利用して電流-電圧を生成する電池を意味する。
【0004】
現在、光エネルギーの変換効率が20%を越えるn-pダイオード型シリコン(Si)単結晶基盤の太陽電池の製造が可能で実際に太陽光の発電に用いられており、これより変換効率に優れたガリウムアーセナイド(GaAs)のような化合物半導体を利用した太陽電池もある。しかし、このような無機半導体基盤の太陽電池は、高効率化のために非常に高純度に精製した素材が必要なので、原素材の精製に多くのエネルギーが消費され、また、原素材を利用して単結晶あるいは薄膜化する過程で高価の工程装備が要求されて太陽電池の製造費用を低くするには限界があり、大規模的な活用への障害物となって来た。
【0005】
それによって、太陽電池を低価で製造するためには、太陽電池で核心として用いられる素材あるいは製造工程の費用を大幅に減少させる必要があり、無機半導体基盤の太陽電池の代案として低価の素材と工程で製造が可能なペロブスカイト太陽電池に対する研究が進行されている。
【0006】
最近、ペロブスカイト構造のハロゲン化合物である(NHCH)PbX(X=I、Br、Cl)を光活性体で用いるペロブスカイト太陽電池が開発されて商業化のための研究が進行されている。ペロブスカイト構造の一般的な構造式は、ABX構造であり、Xには陰イオンが位置し、Aには大きい陽イオンが位置し、Bにはサイズが小さい陽イオンが位置する構造を有する。
【0007】
分子式(CHNH)PbXの有機金属ハロゲン化合物であるペロブスカイト太陽電池は、2009年に初めて太陽電池の光活性体で使われた。その後、2012年現在のような構造の固体型ペロブスカイト太陽電池が開発された以来、急速に効率向上が行われた。通常のペロブスカイト太陽電池は、電子伝達層に金属酸化物を用い、正孔輸送層(HTL)にspiro-OMETADのような有機物又は高分子物質を主に用いる。すなわち、FTOのような透明電極に金属酸化物の多孔性膜又は薄膜を製作してペロブスカイト物質をコーティングし、その後、正孔輸送層をコーティングした後に金(Au)又は銀(Ag)のような電極層を蒸着する。
【0008】
ペロブスカイト太陽電池の商業化のための重要な課題は、安定性の確保及びフレキシブル(flexible)技術であるが、光活性層の上部に金属酸化物を利用して形成された既存の電子伝達層は、光活性層(又は光吸収層)の上部に金属酸化物を蒸着又は金属酸化物をコーティングさせた後、その上に別の有機バインダコーティング層を形成させた。ところが、金属酸化物を蒸着させて形成させる場合、製造工程が複雑多段となり製造費用を
大きく増加させ、蒸着工程過程で発生する物理的、化学的エネルギーにより光吸収層が損傷され得るという不利な問題がある。そして、有機バインダコーティング層を形成させる方法は、コーティング層の形成のために高温熱処理をするが、ペロブスカイト物質は、200℃以上の高温では分解される問題があり、太陽電池のフレキシブル性を低下させペロブスカイト太陽電池の適用範囲を狭小にする問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するために案出されたものであって、電子伝達層(又は電子輸送層、ETL、Electron Transporting Layer)形成用コーティング剤として、表面改質された金属酸化物ナノ粒子を分散液タイプで製造されたコーティング剤で提供し、これを利用して電子伝達層を形成した逆構造ペロブスカイトを提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層用コーティング剤に関するものであって、有機溶媒に表面改質された金属酸化物が分散された分散液を含む。
【0011】
本発明の好ましい一実施例として、本発明の前記電子伝達層用コーティング剤は、表面改質された金属酸化物0.50~3.00重量%及び残量の有機溶媒を含んでもよい。
【0012】
本発明の好ましい一実施例として、前記有機溶媒は、誘電定数が20以下であってもよい。
【0013】
本発明の好ましい一実施例として、前記有機溶媒は、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メトキシエタノール及びエチルアセテートのうち選択された1種以上を含んでもよい。
【0014】
本発明の好ましい一実施例として、前記表面改質された金属酸化物は、金属酸化物ナノ粒子を下記化学式1で表示される化合物と反応させて表面改質させたものであってもよい。
【0015】
【化1】
【0016】
前記化学式1で、R~Rは、独立的に水素原子又はハロゲン原子であり、nは、0~5である。
【0017】
本発明の好ましい一実施例として、前記金属酸化物ナノ粒子は、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、アルミニウム(Al)及びガリウム(Ga)のうち選択された1種又は2種以上を含む金属の酸化物を含んでもよい。
【0018】
本発明の好ましい一実施例として、前記金属酸化物ナノ粒子は、平均粒径2~10nmであってもよい。
【0019】
本発明の他の目的は、上述した電子伝達層用コーティング剤で形成されたコーティング層を含む逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層に関する。
【0020】
本発明の好ましい一実施例として、前記コーティング層は、厚さ20~30nmであるとき、500~550nmの波長に対する光透過度(transmittance)が88~95%であってもよい。
【0021】
本発明のまた他の目的は、前記電子伝達層を含む逆構造ペロブスカイト太陽電池に関する。
【0022】
本発明の好ましい一実施例として、逆構造ペロブスカイト太陽電池は、伝導性基板、ドレイン電極(drain electrode)、正孔輸送層(Hole transport layer)、光吸収層、電子伝達層(Electron Transporting Layer)及びソース電極(source electrode)が順に積層された構造を含んでもよい。
【0023】
本発明の好ましい一実施例として、逆構造ペロブスカイト太陽電池は、前記光吸収層及び電子伝達層の間にパッシベーション(passivation)層をさらに含んでもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の電子伝達層形成用コーティング剤は、薄膜の形成のための高温処理過程なしに200℃以下の低温熱処理を通じて1~20nm厚さの超薄膜を形成させ得るので、ペロブスカイト光吸収層の損傷を防止することができ、本発明のコーティング液で形成された電子伝達層は、高い薄膜均一度を有するところ、太陽電池のVoc(open-circuit voltage)及びFF(fill factor)に優れ、高い光透過度(transmittance)でJsc(short-circuit current)に優れ、光-電変換効率に優れた太陽電池を製作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施例1で製造したSnOナノ粒子のTEM測定イメージである。
【0026】
図2図2は、実施例1で製造したSnOナノ粒子のXRD測定グラフである。
【0027】
図3図3は、実施例1で製造した表面改質されたSnOナノ粒子のFT-IR測定グラフである。
【0028】
図4図4の(a)は、改質されないSnOナノ粒子をイソプロピルアルコールに分散させた溶液を撮った写真であり、(b)は、実施例1で製造した電子伝達層形成用コーティング液を撮った写真である。
【0029】
図5図5は、実施例1の電子伝達層形成用コーティング液を利用して製造した薄膜の透過率を測定した結果である。
【0030】
図6図6は、製造例1で製造した逆構造ペロブスカイト太陽電池の構造図面及び断面SEM測定イメージである。
【0031】
図7図7は、製造例1で製造した逆構造ペロブスカイト太陽電池の電流密度を測定した結果である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0033】
本発明は、逆構造ペロブスカイト太陽電池の電子伝達層(又は電子輸送層、ETL、Electron Transporting Layer)形成用コーティング剤に関するものであって、表面改質された金属酸化物ナノ粒子が有機溶媒に分散した分散液を含む。
【0034】
本発明のコーティング剤は、全体重量のうち前記表面改質された金属酸化物0.50~3.00重量%及び残量の有機溶媒を含み、好ましくは、前記表面改質された金属酸化物0.58~2.88重量%及び残量の有機溶媒を含み、より好ましくは、前記表面改質された金属酸化物0.65~1.91重量%及び残量の有機溶媒を含む。
【0035】
このとき、コーティング剤内の表面改質された金属酸化物の含量が0.50重量%未満であると、SnO含量が不十分なのでSnO薄膜の形成時に光吸収層が露出する問題があり得、3.00重量%を超過すると、SnO薄膜の厚さが増加して太陽電池の短絡電流(Jsc)及び開放電圧(Voc)値が減少する問題があり得るので、前記範囲内に表面改質された金属酸化物を含む方が良い。
【0036】
そして、前記有機溶媒は、誘電定数(dielectric constant)が20以下、好ましくは、誘電定数5~15である溶媒を用いることができる。このような有機溶媒の具体的な例としては、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、2-メトキシエタノール及びエチルアセテートなどがあり、これを本発明の有機溶媒として単独、又は混合して用いることができる。もし、誘電率が20を超過する溶媒を用いる場合、SnO粒子と極性溶媒間の引力が増加してSnO粒子が凝集する問題(分散性及び分散安定性の低下)があり得、SnO薄膜の形成過程で極性溶媒に光吸収層であるペロブスカイト物質が分解される問題があり得る。
【0037】
前記表面改質された金属酸化物ナノ粒子は、金属酸化物ナノ粒子を製造する1段階;前記金属酸化物を下記化学式1で表示される化合物と反応させて表面改質された金属酸化物ナノ粒子を製造する2段階;を含む工程を行って製造することができる。
【0038】
【化2】
【0039】
前記化学式1で、R~Rは、独立的に水素原子又はハロゲン原子であり、好ましくは、ハロゲン原子であり、より好ましくは、-Fである。そして、nは、0~5であり、好ましくは、0~3であり、より好ましくは、0~2である。
【0040】
より具体的に、前記1段階は、金属前駆体及び超純水を混合して金属前駆体溶液を製造する1-1段階;前記金属前駆体溶液に塩基性水溶液を添加して反応溶液を製造する1-2段階;前記反応溶液を水熱合成を行い、水熱合成物から金属酸化物ナノ粒子を収得する1-3段階;を含む工程を行って製造することができる。
【0041】
前記1-1段階の金属前駆体溶液は、金属前駆体及び超純水を含むことができ、金属前駆体溶液内の金属前駆体の濃度は、0.15~0.7M、好ましくは、0.16~0.5Mを含むことができる。このとき、金属前駆体溶液内の金属前駆体の濃度が0.15M未満であると、金属酸化物ナノ粒子の収得量が過度に少なくなり得、金属前駆体溶液内の金属前駆体の濃度が0.7Mを超過すると、金属前駆体水溶液の粘度が増加して、同一工程条件下で製造するとき金属酸化物ナノ粒子のサイズが不均一に形成されて均一なナノ粒子を収得することができないという問題があり得る。
【0042】
前記1-2段階の塩基性水溶液は、KOH水溶液、NaOH水溶液、ヒドラジン(Hydrazine)水溶液及びNHOH水溶液のうち選択された1種以上を含むことができる。そして、塩基性水溶液の使用量は、反応溶液のpHが8.0以上、好ましくは、pH8.0~pH9.0、より好ましくは、pH8.2~8.8程度となるように金属前駆体溶液に投入し、このとき、pHが8未満であると、金属酸化物ナノ粒子の収得量が過度に少なくなり得、また、金属前駆体溶液がゲル(Gel)化して撹拌がよく行われない問題があり得、pHが過度に高いと、金属酸化物粒子の粒径が過度に大きくなる問題があり得る。
【0043】
前記1-3段階の水熱合成は、当業界で用いられている一般的な水熱合成法を適用して行うことができ、前記水熱合成は、100~200℃、好ましくは、120~190℃、より好ましくは、140~180℃下で6~48時間の間、好ましくは、10~24時間、より好ましくは、12~18時間の間行った方が良い。このとき、水熱合成温度が100℃未満であると、金属酸化物の結晶性が低いという問題があり得、200℃を超過すると、金属酸化物粒子のサイズが増加する問題があり得る。また、水熱合成時間が6時間未満であると、金属酸化物ナノ粒子の収率が過度に落ちる問題があり得、48時間を超過すると、水熱合成物のサイズが過度に大きくなる問題があり得るので、前記時間内で水熱合成を行った方が良い。
【0044】
水熱合成を通じて収得した金属酸化物ナノ粒子を超純水及びエタノールを利用して3~5回繰り返し洗浄することができる。
【0045】
このようにして収得された金属酸化物ナノ粒子は、平均粒径2~10nm、好ましくは、平均粒径2~8nm、より好ましくは、平均粒径3~5nmであってもよい。
【0046】
また、前記金属酸化物ナノ粒子の金属酸化物は、スズ(Sn)、チタン(Ti)、ジンク(Zn)、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、ストロンチウム(Sr)、亜鉛(Zn)、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、ニオビウム(Nb)、アルミニウム(Al)及びガリウム(Ga)のうち選択された1種又は2種以上を含む金属の酸化物であってもよく、一具現例として、前記金属酸化物は、SnO、TiO、ZnO、CeO及び/又はZnSnOなどを含むことができ、好ましくは、SnO及び/又はZnOを含むことができる。
【0047】
次に、2段階は、1段階で収得した金属酸化物ナノ粒子の表面を改質する工程であって、前記金属酸化物ナノ粒子及び超純水を混合して溶液を製造する2-1段階;前記溶液に前記化学式1で表示される化合物を添加して反応溶液を製造する2-2段階;前記反応溶液
に還流反応を行う2-3段階;還流反応を行って溶液から反応生成物を分離し、分離した反応生成物を洗浄する2-4段階;及び洗浄した反応生成物を乾燥して表面改質された金属酸化物ナノ粒子を収得する2-5段階;を含む工程を行うことができる。
【0048】
前記反応溶液は、金属酸化物ナノ粒子100重量部に対して超純水100~700重量部及び前記化学式1で表示される化合物300~1,500重量部を含むことができ、好ましくは、金属酸化物ナノ粒子100重量部に対して超純水350~600重量部及び前記化合物400~1,200重量部を含むことができ、より好ましくは、超純水350~550重量部及び前記化合物450~850重量部を含むことができる。このとき、超純水の使用量が100重量部未満であると、表面改質工程中に溶媒の還流が十分に行われず、表面改質が均一に行われない問題があり得、700重量部を超過すると、還流反応時間が過度に長くなる問題があり得る。また、前記化合物の使用量が300重量部未満であると、金属酸化物表面の改質程度が過度に不足又は不均一となって金属酸化物粒子が均一に溶媒に分散せず沈澱する問題があり得、1,500重量部を超過すると、非経済的であり、むしろ未反応化合物により太陽電池の素子特性が低下する問題があり得るので、前記範囲内で用いる方が良い。
【0049】
2-3段階の還流反応は、80~140℃下で、好ましくは、80~120℃下で行うことができ、このとき、還流反応温度が80℃未満であると、還流が十分に行われない問題があり得、140℃を超過すると、金属酸化物の表面が過度に改質されて太陽電池素子の駆動を阻害する問題があり得る。そして、還流反応時間は、1~4時間程度、好ましくは、1.5~3時間程度が適切である。
【0050】
2-4段階の分離及び/又は洗浄は、当業界で用いられている一般的な方法で行うことができ、一具現例として、遠心分離を行って反応溶液から還流反応生成物を収得した後、これを超純水などで洗浄して行うことができる。
【0051】
2-5段階の乾燥は、当業界で用いられている一般的な方法で行うことができ、一具現例として、洗浄を行って収得した反応生成物を50~80℃オーブンで熱を加えて行うことができる。
【0052】
上述した本発明の電子伝達層形成用コーティング剤は、スピンコーティング(spin coating)、ブレードコーティング(blade coating)、バーコーティング(bar coating)、スプレーコーティング(spray coating)、グラビアコーティング、ダイコーティングなど一般的なコーティング方法でコーティングを行うことができ、一具現例として、コーティングした後に200℃以下で熱処理加工して厚さ100nm以下、好ましくは、厚さ1~40nm、より好ましくは、1~20nm厚さの超薄膜を形成させてもよい。
【0053】
このような本発明の前記コーティング剤を利用して逆構造(inverted)又はピン構造ペロブスカイト太陽電池を次のように製造することができる。
【0054】
本発明の逆構造ペロブスカイト太陽電池は、伝導性基板、ドレイン電極(drainelectrode)、正孔輸送層(HTL、Hole transport layer)、光吸収層(又は光活性層)、電子伝達層(又は電子輸送層、ETL、Electron
Transporting Layer)及びソース電極(source electrode)が順に積層された構造の太陽電池であってもよい。
【0055】
また、本発明の逆構造ペロブスカイト太陽電池は、伝導性基板、ドレイン電極、正孔輸送層、光吸収層、電子伝達層及びソース電極が順に積層された形態が1個のセットを構成し
、前記セットが単層又は多数層で積層されて形成されてもよい。
【0056】
前記伝導性基板は、当業界で用いられている一般的な伝導性基板を用いることができ、一例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルスルホン、芳香族ポリエステル又はポリイミドなどの素材で製造された透明プラスチック基板、ガラス基板、スズ基板、シリコン基板などを用いることができる。
【0057】
前記ドレイン電極は、伝導性金属、伝導性金属の合金、金属酸化物及び伝導性高分子のうち選択された1種以上を含む素材で製造することができ、好ましい一例として、ITO(lnduim Tin Oxide)、FTO(Fluorine doped Tin
Oxide)、ATO(Sb doped Tin Oxide)、GTO(Gallium doped Tin Oxide)、ZTO(tin doped zinc oxide)、ZTO:Ga(gallium doped ZTO)、IGZO(lndium gallium zinc oxide)、IZO(lndium doped zinc oxide)及び/又はAZO(Aluminum doped zinc oxide)などを含むことができる。
【0058】
そして、前記正孔輸送層(HTL)は、無機及び/又は有機正孔伝達物質を含むことができる。前記無機正孔伝達物質は、ニッケル酸化物(NiO)、CuSCN、CuCrO及びCuIのうち選択された1種以上を含むことができる。
【0059】
前記有機正孔伝達物質は、カルバゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第3級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリジン系化合物、ポルフィリン系化合物、フタロシアニン系化合物、ポリチオフェン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリパラフェニレンビニレン誘導体、ペンタセン(pentacene)、クマリン6(coumarin 6、3-(2-benzothiazolyl)-7-(diethylamina)coumarin)、ZnPC(zincphthalocyanine)、CuPC(copper phthalocyanine)、TiOPC(titanium oxide phthalocyanine)、Spiro-MeOTAD(2,2’,7,7’-tetrakis(N,N-p-dimethoxyphenylamino)-9,9’-spirobifluorene)、F16CuPC(copper(II)1,2,3,4,8,9,10,11,15,16,17,18,22,23,24,25-hexadecafluoro-29H,31H-phthalocyanine)、SubPc(boron subphthalocyanine chloride)及びN3(cis-di(thiocyanato)-bis(2,2’bipyridyl-4,4’-dicarboxylic acid)-ruthenium(II)、P3HT(poly[3-hexylthiophene])、MDMO-PPV(poly[2-methoxy―5-(3’,7’-dimethyloctyloxyl)]-1,4-phenylene vinylene)、MEH-PPV(poly[2-methoxy-5-(2”-ethylhexyloxy)-p-phenylene vinylene]、P3OT(poly(3-octyl thiophene))、POT(poly(octyl thiophene))、P3DT(poly(3-decyl thiophene))、P3DDT(poly(3-dodecyl thiophene)、PPV(poly(p-phenylene vinylene))、TFB(poly(9,9’-dioctylfluorene-co-N-(4-butylphenyl)diphenyl amine)、ポリアニリン(Polyaniline)、Spiro-MeOTAD([2,22',7,77'-tetrkis(N,N-di-pmethoxyphenyl ami
ne)-9,9,9'-spirobi fluorine])、CuSCN、Cul、
PCPDTBT(Poly「2,1,3-benzothiadiazole-4,7-diyl「4,4-bis(2-ethylhexyl-4H-cyclopenta「2,1-b:3,4-b’」dithiophene-2,6-diyl)」、Si-PCPDTBT(poly[(4,4'-bis(2-ethylhexyl)dithi
eno[3,2-b:2',3'-d]silole)2,6-diyl-alt-(2,1,3-benzothiadiazole)―4,7-diyl])、PBDTTPD(poly((4,8-diethylhexyloxyl)、PFDTBT(poly「2,7-(9-(2-ethylhexyl)-9-hexyl-fluorene)-alt-5,5-(4’,7,-di-2-thienyl-2’,1’,3’-benzothiadiazole)」)、PFO-DBT(poly[2,7-9,9-(dioctyl-fluorene)-alt-5,5-(4’,7’-di-2-thienyl-2’,1’,3’-benzothiadiazole)])、PSiFDTBT(poly「(2,7-dioctylsilafluorene)-2,7-diyl-alt-(4,7-bis(2-thienyl)-2,1,3-benzot
hiadiazole)-5,5'-diyl」)、PCDTBT(Poly「「9-
(1-octylnonyl)-9H-carbazole-2,7-diyl」-2,5-thiophenediyl-2,1,3-benzothiadiazole-4,7-diyl-2,5-thiophenediyl」)、PFB(poly(9,9'-dioctylfluorene-co-bis(N,N'-(4,butylpheny))bis(N,N'-phenyl-1,4-phenylene)diamin
e)、F8BT(poly(9,9'-dioctylfluorene-cobenz
othiadiazole)、PEDOT(poly(3,4-ethylenedioxythiophene))、PEDOT:PSS poly(3,4-ethylenedioxythiophene)poly(styrenesulfonate)、PTAA(poly(triarylamine))、2-PACz、及び/又はMeO-2PACzを含むことができる。
【0060】
そして、前記正孔輸送層の形成方法としては、塗布法及び真空蒸着法などが挙げられ、塗布法としては、グラビア塗布法、バー塗布法、印刷法、スプレー法、スピンコーティング法、ディップ法及びダイコート法などが挙げられる。
【0061】
また、本発明の太陽電池の構成のうち前記光吸収層は、太陽電池の光吸収層に適用される一般的なペロブスカイト素材を含むことができ、好ましい一例として、下記化学式2で表示されるペロブスカイト物質を含むことができる。
【0062】
【化3】
【0063】
化学式2で、Cは、1価陽イオンであって、アミン、アンモニウム、1族金属、2族金属及び/又は他の陽イオン又は陽イオン-類似化合物を含むことができ、好ましくは、ホルムアミジウム(FA、formamidinium)、メチルアンモニウム(MA、methylammonium)、FAMA、CsFAMA又はN(R) (ここで、Rは、同一であるか又は相異なっている基であってもよく、Rは、炭素数1~の直鎖型アルキル基、炭素数3~5の分枝鎖型アルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基又はアルキルハライドである)。
【0064】
また、化学式2のMは、2価陽イオンであって、Fe、Co、Ni、Cu、Sn、Pb、
Bi、Ge、Ti、Eu及びZrのうち選択された1種又は2種を含むことができる。
【0065】
また、化学式2のXは、1価陰イオンであって、F、Cl、Br及びIのうち選択された1種以上のハライド元素及び/又は16族陰イオンを含むことができ、好ましい一例として、Xは、1Br3x(O≦x≦3)であってもよい。
【0066】
そして、前記化学式2の好ましい一具現例として、FAPbIBr3x(O≦x≦3)、MAPblBr3-x(O≦x≦3)、CSMAFAPblBr3-x(O≦x≦3)、CHNHPbX(X=Cl、Br、I、Brl又はBrI)、CHNHSnX(X=Cl、Br又はI)、CH(=NH)NHPbX(X=Cl、Br、I、Brl又はBrI)、CH(=NH)NHSnX(X=Cl、Br又はI)などがある。
【0067】
また、本発明の太陽電池において、前記光吸収層は、同一のペロブスカイト物質で構成された単層であるか、又は他のペロブスカイト物質で構成された層が多数積層された多層構造であってもよく、1種のペロブスカイト物質からなった光吸収層の内部に柱形状、板状、針状、ワイヤ形状、棒状などのフィラー形状を有する前記1種のペロブスカイト物質と他の異種のペロブスカイト物質を含んでもよい。
【0068】
本発明の太陽電池の構成のうち電子伝達層は、上述した本発明のコーティング剤(表面改質された金属酸化物ナノ粒子が有機溶媒に分散された分散液)のコーティング液でコーティング処理した後、200℃以下、好ましくは、30~100℃以下で低温熱処理して薄膜形態のコーティング層を形成させて電子伝達層を光吸収層の上部に形成させ得る。
【0069】
このとき、前記コーティングは、スピンコーティング(spin coating)、ブレードコーティング(blade coating)、バーコーティング(bar coating)、スプレーコーティング(spray coating)、グラビアコーティング又はダイコーティングを行うことができる。
【0070】
そして、前記電子伝達層の厚さが100nm以下、好ましくは、1~40nm、より好ましくは、1~20nmで形成させた方が良く、このとき、電子伝達層の厚さが100nmを超過すると、太陽電池の短絡電流(Jsc)及び開放電圧(Voc)が減少する問題があり得るので、前記範囲内の厚さで形成させた方が良い。
【0071】
このように形成されたコーティング層、すなわち、電子伝達層の表面は、粗さが非常に低く形成され得、RMS(root mean square)粗さ(roughness)が30nm以下、好ましくは、17.0~25.0nm、より好ましくは、17.5~24.0nmを満足することができる。
【0072】
そして、本発明の太陽電池の構成のうち前記ソース電極は、Pt、Au、Ni、Cu、Ag、In、Ru、Pd、Rh、Ir、Os、C及び伝導性高分子のうち選択された1種以上の物質をコーティング又は蒸着させて形成させ得る。
【0073】
また、本発明の太陽電池は、前記光吸収層及び電子伝達層の間にパッシベーション(passivation)層をさらに含んでもよい。
【0074】
以下では、実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例が本発明の範囲を制限するものではなく、これは本発明の理解を助けるためのものと解釈しなければならない。
【0075】
<実施例1>
【0076】
実施例1:電子伝達層(ETL)形成用コーティング液の製造
【0077】
(1)SnOナノ粒子の製造
【0078】
SnCl・5HOを超純水が入っているビーカーに投入して撹拌してSnCl濃度0.33Mである金属前駆体溶液を製造した後、金属前駆体溶液265mlに塩基性水溶液であるNHOH 35mlを添加して水溶液のpHが約8.0~8.5である反応溶液を製造した。
【0079】
前記反応性溶液を圧力容器(Autoclave or hydrothermal reactor)に入れ、180℃で12時間の間水熱合成を実施した。
【0080】
次に、水熱合成を通じて収得した収得物を超純水及びエタノールを利用して3~5回洗浄してSnOナノ粒子を製造した。
【0081】
製造されたSnOナノ粒子の平均粒径は、3~5nmであった。
【0082】
そして、製造したSnOナノ粒子のTEM測定イメージを図1に示し、XRD測定結果を図2に示した。
【0083】
(2)表面改質されたSnOナノ粒子の製造
【0084】
先に製造した前記SnOナノ粒子8gを超純水40mLが入っている丸底フラスコに投入して撹拌した後、TFA(Trifluoroacetic acid)54gを添加して反応溶液を製造した。製造された反応溶液を含んでいる丸底フラスコにコンデンサー(condenser)を装着し、90℃で2時間の間還流反応を実施した。
【0085】
次に、前記還流反応させた反応溶液を遠心分離機を利用してナノ粒子を分離した後、60℃のオーブンで乾燥して表面改質されたSnOナノ粒子を製造した。
【0086】
そして、製造した表面改質されたSnOナノ粒子のFT-IR測定結果を図3に示した。
【0087】
(3)表面改質されたSnOナノ粒子の分散溶液(コーティング液)の製造
【0088】
先に製造した前記表面改質されたSnOナノ粒子30mgを極性が低いイソプロピルアルコール(誘電定数(dielectric constant)≦20)4mlに添加した後、超音波粉砕機を利用して分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液(表面改質された金属酸化物約0.74重量%)を製造した。
【0089】
そして、分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液を撮った写真を図4の(b)に示し、図4の(a)は、表面改質されなかったSnOナノ粒子30mgをイソプロピルアルコールに添加した後、超音波粉砕機を利用して分散させた後に撮った写真である。
【0090】
<比較例1>
【0091】
実施例1の(1)で製造したSnOナノ粒子を表面改質工程なしに準備した。
【0092】
そして、前記表面加湿されなかったSnOナノ粒子を30mgをイソプロピルアルコール4mlに添加した後、超音波粉砕機を利用して分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液を製造した。製造したコーティング液を撮った写真を図4の(a)に示した。
【0093】
<実施例2、実施例3及び比較例2、比較例3>
【0094】
前記実施例1と同一に電子伝達層形成用コーティング液を製造するが、下記表1のような組成を有する表面改質されたSnOナノ粒子を製造した後、表面改質されたSnOナノ粒子を有機溶媒と混合した後に超音波粉砕機を利用して分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液をそれぞれ製造し、実施例2、実施例3及び比較例2、比較例3を実施した。
【0095】
<比較例4>
【0096】
前記実施例1と同一に電子伝達層形成用コーティング液を製造するが、実施例1の前記表面改質されたSnOナノ粒子を誘電定数が25であるエチルアルコールと混合した後に超音波粉砕機を利用して分散溶液タイプの電子伝達層形成用コーティング液をそれぞれ製造し、比較例4を実施した。
【0097】
【表1】
【0098】
実験例1:超薄膜の製造及びコーティング層の表面粗さ、光透過率の測定
【0099】
前記実施例及び比較例で製造したコーティング液それぞれをガラス基板とガラス基板を含
むペロブスカイト薄膜の上部にスピンコーティングした後、30℃で熱処理して20nm厚さの超薄膜を製造した。
【0100】
そして、ガラス基板を含むペロブスカイト薄膜の上部に形成した超薄膜の表面粗さを非接触式方法で測定した後、粗さの二乗平均平方根(root-mean-squre、rms)で算出し、任意の3ポイント(point)の表面粗さを測定した後、測定された3ポイントの表面粗さの平均値を下記表2に示した。
【0101】
また、ガラス基板に形成した前記超薄膜をUVスペクトラム測定方法で近赤外線光線を超薄膜が形成された基板に走査して試料に対する吸光度と光透過率(transmittance、%)を測定し、その結果を下記表2に示し、実施例1に対する光透過率測定結果を図5に示した。このとき、光透過率は、500~550nmでの光透過率である。
【0102】
【表2】
【0103】
前記表2のRMS粗さ及び光透過は、前記実施例1~3の場合、RMS粗さ18.0~23.0nmと非常に低い表面粗さを有し、光透過度90%以上の優れた光学的特性を有することを確認することができた。それに反して、表面改質されたSnOナノ粒子の合成時にTFAを300重量部未満である270重量部のみ使用して製造した表面改質されたSnOナノ粒子を利用したコーティング液である比較例2の場合、実施例1又は実施例2と比較するとき、光透過率が低調であるだけでなく、粗さが相対的に過度に高い問題があり、TFAを1500重量部を超過した1570重量部を使用した比較例3の場合、実施例3と比較するとき、むしろ粗さも増加して部分的に光透過率が落ちる部分があったが、これは表面改質されたSnOナノ粒子のうち一部のナノ粒子間が固まる現象によると判断される。
【0104】
そして、比較例4の場合、SnOナノ粒が分散せずに凝集された粒子がガラス基板の上端に島形態でコーティングされて薄膜が形成されない問題があった。
【0105】
製造例1:表面改質されたSnOナノ粒子が適用された逆構造ペロブスカイト(Perovskite)太陽電池の製造
【0106】
ドレイン電極(Drain electrode)として、酸化インジウムスズ(indium tin oxide、ITO)が約110nm厚さでコーティングされた有機基板(厚さ1.1mm、15.0Ω/sq)をアセトン及びイソプロピルアルコール(is
opropyl alchol、IPA)で順次に超音波洗浄機を利用して1時間ずつ洗浄した。
【0107】
次に、前記ITO基板上にE-beam真空蒸着方法条件を通じて30nm厚さの正孔輸送層(NiO)を形成させた。
【0108】
次に、前記正孔輸送層の上部にジメチルホルムアミド(dimethylformamide、DMF)及びジメチルスルホキシド(Dimethyl sulfoxide、DMSO)に溶解させて形成した黄色光吸収層溶液をスピンコーティングを通じて形成し、100℃で20分間熱処理することによって、NiOx正孔輸送層と450~500nm厚さのペロブスカイト結晶構造を有する光吸収層(CSMAFAPblBr3-x(0≦x≦3))を形成させた。
【0109】
次に、前記光吸収層の上部に熱蒸着(thermal evaporation)方法条件を通じて13nm厚さのパッシベーション層(C60フラーレン)を形成させた。
【0110】
次に、前記パッシベーション層の上部に実施例1で製造した表面改質されたコーティング液を1,500rpmで1分間の条件でスピンコーティングした後、30℃で熱処理して20nm厚さの電子伝達層を形成させた。
【0111】
次に、電子伝達層の上部に銀(Ag)を1X10-8torrの圧力で150nmの厚さで蒸着してソース電極(source electrode)を形成することによって逆構造のペロブスカイト太陽電池を製造した。
【0112】
そして、製造した太陽電池のSEM測定イメージを図6に示した。
【0113】
製造例2、製造例3及び比較製造例1~3
【0114】
前記製造例1と同一の方法で逆構造のペロブスカイト太陽電池を製造するが、実施例1のコーティング剤の代わりに実施例2、実施例3及び比較例1~3のコーティング剤それぞれを使用して電子伝達層を形成させた太陽電池それぞれを製造して製造例2、製造例3及び比較製造例1~3をそれぞれ実施した。
【0115】
実験例2:太陽電池の性能測定
【0116】
前記製造例1で製造した太陽電池の電流-電圧の特性及び効率を測定し、その結果を下記表3に示した。そして、製造例1に対する短絡電流密度の測定結果を図7に示した。
【0117】
【表3】
【0118】
前記表3及び図7の太陽電池の電流-電圧の特性及び効率の測定結果、非常に高いフィルファクター及び光電変換効率を有することを確認することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】