(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 50/375 20210101AFI20231114BHJP
H01M 50/342 20210101ALI20231114BHJP
H01M 50/105 20210101ALI20231114BHJP
H01M 50/184 20210101ALI20231114BHJP
H01M 50/193 20210101ALI20231114BHJP
H01M 50/178 20210101ALI20231114BHJP
【FI】
H01M50/375
H01M50/342 101
H01M50/105
H01M50/184 C
H01M50/193
H01M50/178
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527791
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 KR2022005443
(87)【国際公開番号】W WO2022220629
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0049378
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0150951
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】デ-ウォン・ソン
(72)【発明者】
【氏名】サン-フン・キム
(72)【発明者】
【氏名】ミン-ヒョン・カン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン-キュン・ユ
(72)【発明者】
【氏名】フン-ヒ・イム
(72)【発明者】
【氏名】ス-ジ・ファン
【テーマコード(参考)】
5H011
5H012
【Fターム(参考)】
5H011AA13
5H011CC02
5H011CC10
5H011DD13
5H011GG01
5H011HH02
5H011JJ12
5H012AA03
5H012DD01
5H012EE01
5H012FF08
5H012JJ10
(57)【要約】
本発明の一実施様態による二次電池は、電極リードが取り付けられた電極組立体と、内部に前記電極組立体を収納するケースと、前記電極リードの外面の一部を囲むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在されるリードフィルムと、前記ケースの少なくとも一部に形成されたベント領域と、前記ベント領域に挿入され、4以下の多分散指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、を含み、前記ベント部材は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり、常温~60℃における最大シーリング強度が6 kgf/15mm以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極組立体と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
内部に前記電極組立体を収納するケースと、
前記ケースの少なくとも一部に形成されたベント領域と、
前記ベント領域に挿入され、4以下の多分散指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、を含み、
前記ベント部材は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上であることを特徴とする、二次電池。
【請求項2】
前記ベント部材は、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記ベント部材は、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記ケースが、前記電極組立体を密封するために形成されたシーリング部を備え、
前記シーリング部が、シーラント樹脂を含み、
前記線状低密度ポリエチレンが、前記シーラント樹脂よりも融点が低いことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項5】
前記ベント部材が、100℃~120℃で溶融してガスをベントすることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項6】
前記ベント部材が、1.5atm以上の圧力でベントされることを特徴とする、請求項5に記載の二次電池。
【請求項7】
前記線状低密度ポリエチレンが、メタロセン触媒の存在下で重合されたことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項8】
前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度の差が、10℃以下であることを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項9】
前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が、90℃~115℃であることを特徴とする、請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記線状低密度ポリエチレンが、100℃~130℃の融点を有することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項11】
前記線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が、10万g/mol~40万g/molであることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項12】
前記ベント領域が、前記シーリング部に位置することを特徴とする、請求項4に記載の二次電池。
【請求項13】
前記ベント領域が、前記ケースのコーナー側のシーリング部に位置することを特徴とする、請求項12に記載の二次電池。
【請求項14】
前記二次電池が、パウチ型二次電池であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項15】
前記ベント部材は、100℃~120℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項16】
前記ベント部材は、100℃~120℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項17】
前記線状低密度ポリエチレンが、1~4の多分散指数(PDI)を有することを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項18】
前記ベント部材は、120℃以上における最大シーリング強度が3kgf/15mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項19】
前記ベント部材は、120℃以上における平均シーリング強度が2kgf/15mm未満であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【請求項20】
前記電極リードの外面の一部を囲むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在されるリードフィルムをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池に関し、より詳しくは、ベント部材を備えた二次電池に関する。
【0002】
本出願は、2021年4月15日出願の韓国特許出願第10-2021-0049378号及び2021年11月4日出願の韓国特許出願第10-2021-0150951号に基づく優先権を主張し、当該出願の明細書及び図面に開示された内容は、すべて本出願に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、多様な製品への適用が可能であり、高いエネルギー密度などの電気的特性が優秀である。二次電池は、携帯用器機のみならず、電力によって駆動される電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV)にも使用される。二次電池は、化石燃料の使用を大幅減らすことができ、エネルギー消費過程で副産物が発生しないという点で環境に優しく、エネルギー効率の向上のための新しいエネルギー源として注目されている。
【0004】
現在、広く使用される二次電池としては、リチウムイオン電池、リチウムポリマー電池、ニッカド電池、ニッケル水素電池、ニッケル亜鉛電池などがある。
【0005】
二次電池は、通常、正極/分離膜/負極の構造を有する少なくとも一つの単位セルを含む電極組立体が、外層、金属バリアー層、シーラント層が順次に積層されたラミネートシートのケースに収納され、前記シーラント層のシーラント樹脂を溶着して電極組立体が密封された構造を有する。
【0006】
従来の二次電池においては、二次電池の内部短絡、過充電または過放電、温度調節などの多様な原因によって電池が発火し得る。この際、二次電池の内部温度が急上昇すると共に隣接するセルヘ熱が伝達される熱暴走現象(Thermal Propagation)が発生して火事がさらに大きくなり得る。
【0007】
熱暴走現象の発生時、即ち、二次電池の内部温度が上昇すると、ガスによる電極の損傷を最小化するために、ガスを一方向へ排出するディレクショナルベンティング(Directional Venting)特性が求められる。しかし、従来の二次電池は、特定の方向へのガス排出を誘導しにくいという問題点がある。
【0008】
そこで、本発明は、特定の方向へガス排出を誘導することで安全性が向上した二次電池を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、特定の方向へガスの排出を誘導することで安全性が向上した二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明の一面によれば、下記の具現例による二次電池が提供される。
【0011】
第1具現例は、
電極組立体と、
前記電極組立体に取り付けられた電極リードと、
内部に前記電極組立体を収納するケースと、
前記電極リードの外面の一部を囲むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在されるリードフィルムと、
前記ケースの少なくとも一部に形成されたベント領域と、
前記ベント領域に挿入され、4以下の多分散指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、を含み、
前記ベント部材は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上であることを特徴とする二次電池に関する。
【0012】
第2具現例は、第1具現例において、
前記ベント部材は、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であり得る。
【0013】
第3具現例は、第1具現例または第2具現例において、
前記ベント部材は、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であり得る。
【0014】
第4具現例は、第1具現例から第3具現例のいずれか一具現例において、
前記ケースは前記電極組立体を密封するために形成されたシーリング部を備え、前記シーリング部はシーラント樹脂を含み、前記線状低密度ポリエチレンは前記シーラント樹脂よりも低い融点を有し得る。
【0015】
第5具現例は、第1具現例から第4具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材が、100℃~120℃で溶融してガスをベントし得る。
【0016】
第6具現例は、第5具現例において、
前記ベント部材が1.5atm以上の圧力でベントされ得る。
【0017】
第7具現例は、第1具現例から第6具現例のいずれか一具現例において、
前記線状低密度ポリエチレンが、メタロセン触媒の存在下で重合されたものであり得る。
【0018】
第8具現例は、第4具現例から第7具現例のいずれか一具現例において、
前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度の差が、10℃以下であり得る。
【0019】
第9具現例は、第8具現例において、
前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が90℃~115℃であり得る。
【0020】
第10具現例は、第1具現例から第9具現例のいずれか一具現例において、
前記線状低密度ポリエチレンが、100℃~130℃の融点を有し得る。
【0021】
第11具現例は、第1具現例から第10具現例のいずれか一具現例において、
前記線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が10万g/mol~40万g/molであり得る。
【0022】
第12具現例は、第1具現例から第11具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント領域が前記シーリング部に位置し得る。
【0023】
第13具現例は、第12具現例において、
前記ベント領域は前記ケースのコーナー側のシーリング部に位置し得る。
【0024】
第14具現例は、第1具現例から第13具現例のいずれか一具現例において、
前記二次電池はパウチ型二次電池であり得る。
【0025】
第15具現例は、第1具現例から第14具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、100℃~120℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり得る。
【0026】
第16具現例は、第1具現例から第15具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は100℃~120℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であり得る。
【0027】
第17具現例は、第1具現例から第16具現例のいずれか一具現例において、
前記線状低密度ポリエチレンが1~4の多分散指数(PDI)を有し得る。
【0028】
第18具現例は、第1具現例から第17具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、120℃以上における最大シーリング強度が3kgf/15mm未満であり得る。
【0029】
第19具現例は、第1具現例から第18具現例のいずれか一具現例において、
前記ベント部材は、120℃以上における平均シーリング強度が2kgf/15mm未満であり得る。
【発明の効果】
【0030】
本発明の一実施様態による二次電池は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上であるベント部材を備えているので、常温~60℃で電池の密封性が確保可能であり、100℃以上では、ベント領域へのガス排出を誘導することができる。これによって、電池の安全性が向上する。
【0031】
本発明の一実施様態による二次電池は、多分散指数(PDI)が4以下である線状低密度ポリエチレンを含むベント部材を備えているので、電池の正常動作温度で電池の密封性を確保することができる。
【0032】
本明細書に添付されている図面は、本発明の望ましい実施例を例示するためのものであり、発明の詳細な説明とともに本発明の技術的な思想をさらに理解させる役割を有しており、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されてはならない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の一実施様態による二次電池の分解斜視図である。
【
図2】本発明の一実施様態による二次電池を示す平面図である。
【
図3】本発明の一実施様態による二次電池でベントが発生する状態を示す図である。
【
図4】本発明のさらに他の実施様態による二次電池を示す平面図である。
【
図5】本発明のさらに他の実施様態による二次電池を示す平面図である。
【
図6】本発明のさらに他の実施様態による二次電池を示す平面図である。
【
図7】本発明のさらに他の実施様態による二次電池を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、添付された図面を参照して本発明の望ましい実施例を詳しく説明する。これに先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に使われた用語や単語は通常的または辞書的な意味に限定して解釈されてはならず、発明者自らは発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義できるという原則に則して本発明の技術的な思想に応じた意味及び概念で解釈されねばならない。
【0035】
したがって、本明細書に記載された実施例及び図面に示された構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的な思想のすべてを代弁するものではないため、本出願の時点においてこれらに代替できる多様な均等物及び変形例があり得ることを理解せねばならない。
【0036】
通常、電池は、100℃以下、特に、常温~60℃で正常に作動する。しかし、異常反応が発生すると、電池温度が上昇し得る。電池の温度が上昇すると、電池内部にガスが発生するなどの問題が発生する。特に、電池の温度が100℃以上になると、電池内部で発生するガスによって電池がより激しく膨張する。
【0037】
本発明者は、電池の正常動作温度で電池の密封性を確保し、かつ高温でベントの誘導が可能な電池を設計することで本発明を完成した。
【0038】
本発明の一面による二次電池は、電極リードが取り付けられた電極組立体と、内部に前記電極組立体を収納するケースと、前記電極リードの外面の一部を囲むように形成され、前記電極リードと前記ケースとの間に介在されるリードフィルムと、前記ケースの少なくとも一部に形成されたベント領域と、前記ベント領域に挿入され、4以下の多分散指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材と、を含む。前記ベント部材は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満であり、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上である。
【0039】
図1及び
図2は、本発明の一実施様態による二次電池を示す。
【0040】
二次電池10は、電極リード11が取り付けられた電極組立体12と、ケース13と、を備える。
【0041】
前記電極組立体12は、正極板、負極板及び分離膜を含む。電極組立体12は、分離膜を挟んで正極板と負極板が順次に積層され得る。
【0042】
正極板は、導電性に優れた金属薄板、例えば、アルミニウム(Al)ホイルからなる正極集電体と、その少なくとも一面にコーティングされた正極活物質層と、を含み得る。また、前記正極板は、一側端部に金属材質、例えば、アルミニウム材質からなる正極タブを含み得る。前記正極タブは、正極板の一側端部から突出し得る。前記正極タブは、正極板の一側端部に溶接されるか、または導電性接着剤を用いて接合され得る。
【0043】
負極板は、導電性金属薄板、例えば、銅(Cu)ホイルからなる負極集電体と、その少なくとも一面にコーティングされた負極活物質層と、を含み得る。また、前記負極板は、一側端部に、金属材質、例えば、ニッケル(Ni)材質から形成された負極タブを含み得る。前記負極タブは、負極板の一側端部から突出し得る。前記負極タブは、負極板の一側端部に溶接されるか、または導電性接着剤を用いて接合され得る。
【0044】
分離膜は、正極板と負極板との間に位置し、正極板と負極板を互いに電気的に絶縁する。前記分離膜は、正極板と負極板との間でリチウムイオンが互いに通過可能な多孔性膜であり得る。前記分離膜は、例えば、ポリエチレン(PE)、またはポリプロピレン(PP)、またはこれらの複合フィルムを使用した多孔性膜を含み得る。
【0045】
分離膜の表面には、無機物コーティング層が備えられ得る。無機物コーティング層は、無機物粒子がバインダーによって互いに結合して粒子の間に気孔構造(interstitial volume;インタースティシャルボリューム)を形成した構造を有し得る。
【0046】
電極組立体12は、長いシート状の正極と負極を分離膜が介在された状態で巻き取った構造のゼリーロール(巻取型)電極組立体、所定の大きさの単位で切り取った複数の正極と負極を、分離膜を介在した状態で順次に積層したスタック型(積層型)電極組立体、所定の単位の正極と負極を、分離膜を介在した状態で積層したバイセル(Bi-cell)またはフルセル(Full cell)を巻き取った構造のスタック/フォールディング型電極組立体などであり得る。
【0047】
前記ケース13は、電極組立体12を収納する役割を果たす。
【0048】
本発明の一実施様態において、前記ケース13は、
図1に示したように、電極組立体12を収納する収納部13aと、電極組立体12を密封するために形成されたシーリング部13bと、を備え得る。
【0049】
前記シーリング部13bがシーラント樹脂を含み、前記シーラント樹脂が前記収納部13aの外周面に沿って溶着して電極組立体12を密封し得る。
【0050】
本発明の一実施様態で、前記ケース13は、外部衝撃から保護するための外層、水分を遮断する金属バリアー層及びケースを密封するシーラント層の多層構造のフィルム形態で設けられ得る。
【0051】
前記外層は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、共重合ポリエステル、ポリカーボネート、ナイロンなどを用いたポリエステル系フィルムを含むことができ、単層または多層から構成され得る。
【0052】
前記金属バリアー層は、アルミニウム、銅などを含み得る。
【0053】
前記シーラント層は、シーラント樹脂を含むことがあり、単一層または多層から構成され得る。
【0054】
前記シーラント樹脂は、ポリプロピレン(PP)、酸変性ポリプロピレン(Acid modified polypropylene;PPa)、ランダムポリプロピレン(random polypropylene)、エチレンプロピレン共重合体、またはこれらの二種以上を含み得る。前記エチレンプロピレン共重合体は、エチレンプロピレンゴム(ethylene-propylene rubber)、エチレンプロピレンブロック共重合体などを含み得るが、これらに限定されない。
【0055】
本発明の一実施様態において、前記ケース13は、パウチ形態であり得る。
【0056】
パウチ形態のケース13は、上部パウチ及び下部パウチを含み得る。ケース13が上部パウチ及び下部パウチを含む場合、シーラント樹脂が互いに対向するように上部パウチと下部パウチを配置した後、対向するシーラント樹脂が熱と圧力によって相互に溶着することで電池を密封する構造を有し得る。
【0057】
シーリング部13bの溶着は、熱溶着、超音波による溶着などであり得るが、シーリング部13bが溶着可能であるなら、特に制限されない。
【0058】
シーリング部13bは、一部の実施様態でケース13の周縁部において四面シーリングまたは三面シーリングされ得る。三面シーリング構造において、上部パウチ及び下部パウチが一つのパウチシートで形成された後、上部パウチと下部パウチとの境界面を折り曲げて上部パウチ及び下部パウチに形成された収納部13aが重ねられるようにした状態で折曲部を除いた残りの三面の周縁がシーリングされる。
【0059】
前記電極リード11は、
図1に示したように、電極リード11の一部が前記ケース13の外部に露出するようにケース13に収納され得る。
【0060】
本発明の一実施様態による二次電池10は、リードフィルム14を備える。前記リードフィルム14は、前記電極リード11の外面の一部を囲み、電極リード11とケース13との間に介在される。例えば、リードフィルム14が、電極リード11と、電極リード11がケース13から突出または延びる部分のケース13のシーリング部13bとの間に介在されることで、電極リード11と前記ケース13との結着を助け得る。
【0061】
図1及び
図2を参照すると、本発明の一実施様態による二次電池10は、前記ケース13の少なくとも一部に形成されたベント領域(図示せず)を備え、前記ベント領域にベント部材15が挿入され得る。熱暴走現象の発生時、前記ベント部材15は、特定の方向へガスの排出を誘導して電池の安全性を向上させることができる。
【0062】
前記ベント部材15とケース13は、熱溶着によって重ねられ得る。他の例で、前記ベント部材15とケース13は、グルーなどの接着剤によって重ねられ得る。さらに他の例で、前記ベント部材15とケース13は、クリップなどによって物理的に相互に結合し得る。さらに他の例で、ケース13を構成するフィルム、例えば、シーラント樹脂内にベント部材15の少なくとも一部が埋め込まれ得る(embedding)。
【0063】
前記ベント部材15は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満である。ベント部材15が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、ケース13のベント部材15が挿入された部分のシーリング強度が100℃以上で低くなり、ベント特性を容易に具現し得る。
【0064】
前記ベント部材15は、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上である場合、100℃以上でケース13のベント部材15が挿入された部分のシーリング強度が強すぎて高温でベントを誘導しにくい。
【0065】
ベント部材15は、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上である。ベント部材15が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、ベント部材15が挿入されているとしても、ケース13のベント部材15が挿入された部分が常温~60℃で優秀なシーリング強度を有することができ、電池の密封性を容易に確保することができる。
【0066】
前記ベント部材15は、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満である場合、ケース13のベント部材15が挿入された部分が常温~60℃で電池の密封性を確保しにくい。
【0067】
本発明の一実施様態において、前記ベント部材15の100℃以上における最大シーリング強度は5kgf/15mm未満、または4.5kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施様態において、前記ベント部材15は、100℃~120℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満、または5kgf/15mm未満、または4.5kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施様態において、前記ベント部材15は、120℃以上における最大シーリング強度が3kgf/15mm未満、または2kgf/15mm未満、または1kgf/15mm未満、または0.5kgf/15mm未満あり得る。前記ベント部材15が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、100℃以上でケース13のベント部材15が挿入された部分のシーリング強度が低下し、より容易にベント特性が具現可能である。
【0068】
本発明の一実施様態において、前記ベント部材15は、常温~60℃における最大シーリング強度が8kgf/15mm以上、または10kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材15が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、ベント部材15が挿入されているとしても、ケース13のベント部材15が挿入された部分が常温~60℃で優秀なシーリング強度を有することができ、より容易に電池の密封性が確保可能である。
【0069】
本発明の一実施様態で、前記ベント部材15は、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満、または3kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施様態で、前記ベント部材15は、100℃~120℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満、または3kgf/15mm未満であり得る。本発明の一実施様態で、前記ベント部材15は、120℃以上における平均シーリング強度が2kgf/15mm未満、または1kgf/15mm未満、または0.5kgf/15mm未満であり得る。前記ベント部材15が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、100℃以上でケース13のベント部材15が挿入された部分のシーリング強度が低下するようになり、より容易にベント特性が具現可能である。
【0070】
本発明の一実施様態で、前記ベント部材15は、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上、または5kgf/15mm以上、または6kgf/15mm以上、または7kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材15が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を満たす場合、ベント部材15が挿入されているとしても、ケース13のベント部材15が挿入された部分が常温~60℃で優秀なシーリング強度を有することができ、より容易に電池の密封性が確保可能になり得る。
【0071】
本発明の一実施様態で、前記ベント部材15は、100℃以上における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であり、常温~60℃における平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であり得る。前記ベント部材15が前述した温度範囲で前述したシーリング強度を有する場合、100℃以上でケース13のベント部材15が挿入された部分のシーリング強度が低下するようになり、より容易にベント特性が具現できる。また、ケース13は電池の正常作動時に優秀なシーリング強度を有することができ、電池の密封性をより容易に確保できる。
【0072】
温度によるベント部材15のシーリング強度は、ベント部材15が挿入されたケース13の一部を幅15mm、長さ5cmに裁断した後、両端を180゜に開けてUTMジグに介在した後、5mm/分の速度で引張テストを行って測定し得る。
【0073】
この際、最大シーリング強度は、ケース13が破断するときの最大値を意味し、平均シーリング強度は、最大シーリング強度が4.5kgf/15mm以上である場合には4.5kgf/15mmでケース13が8mm延伸したときの平均値を意味し、最大シーリング強度が4.5kgf/15mm未満である場合には、最大シーリング強度でケース13が8mm延伸したときの平均値を意味する。
【0074】
図3は、本発明の一実施様態による二次電池でベントが発生する状態を示した図である。具体的には、
図3は、本発明の一実施様態による二次電池におけるベント部材を示した断面図である。
【0075】
図3を参照すると、電池が正常に作動する温度、例えば、常温~60℃で、ベント部材が優秀なシーリング強度を有することで、ベント部材が挿入されたベント領域がケースを外部から密封する役割を果たす。電池の異常作動によって電池の温度が過度に上昇すると、例えば、電池の温度が100℃以上になる場合、ベント部材のシーリング強度が低下し、ベント部材が挿入された部分のシーリング強度が低下して、当該部分からガスが排出され得る。例えば、電池の内部ガスの圧力がベント部材と電池ケースとの界面に加えられることによって、ベント部材とケースとの間に隙間が形成されることによってそこからガスが排出され得る。
【0076】
本発明の一実施様態において、前記ベント部材15は、100℃~120℃でベントされることで、収納部から電池の外部へガスを排出または排気し得る。特に、前記ベント部材15は、100℃~120℃で1.5atm以上の圧力でベントされ得る。前記ベント部材15が前述した温度範囲及び/または前述した圧力条件でベントされることによって、電池が正常に作動するときには電池の密封が可能でありながら、電池の異常作動時のみにガス排出を誘導することがより容易になり得る。
【0077】
前記ベント部材15は、4以下の多分散指数(Poly Dispersity Index;PDI)を有する線状低密度ポリエチレンを含む。前記線状低密度ポリエチレンの多分散指数が前述した範囲を満たす場合、分子量の分布が狭くなり、電池の正常作動時、例えば、常温~60℃でシーリング強度及び物性が優秀になり得る。
【0078】
本発明の一実施様態において、前記線状低密度ポリエチレンの多分散指数(PDI)が3.8以下、または3.796以下、または3.5以下、または3.023以下、または3以下、または2.7以下、または2.674以下であり得る。また、多分散指数(PDI)が1.0以上であり得る。前記線状低密度ポリエチレンの多分散指数が前述した範囲を満たす場合、分子量分布が狭くなり、電池の正常作動時にシーリング強度及び物性がさらに優秀になり得る。
【0079】
本発明の一実施様態で、前記線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が10万g/mol~40万g/mol、または20万g/mol~35万g/mol、または23万g/mol~30万g/molであり得る。前記線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量が前述した範囲を満たす場合、電池の正常作動時にシーリング強度がさらに向上し得る。例えば、ベント部材が常温~60℃で6kgf/15mm以上の最大シーリング強度を有することがより容易になり得る。
【0080】
前記線状低密度ポリエチレンの重量平均分子量及び多分散指数は、ゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography;GPC)によって下記の条件で測定したものであり得る。
【0081】
-カラム:Tosoh社 HLC-8321 GPC/HT
-溶媒:トリクロロベンゼン(trichlorobenzene;TCB)+0.04%BHT(after drying with 0.1% CaCl2)
-流速:1.0ml/分
-試料濃度:1.5mg/ml
-注入量:300μl
-カラム温度:160℃
-Detector:RI detector
-Standard:ポリスチレン(三次関数に補正)
【0082】
本発明の一実施様態において、前記線状低密度ポリエチレンは、前記シーラント樹脂よりも融点が低いことがある。前記線状低密度ポリエチレンがシーラント樹脂よりも融点が低い場合、高温でベント部材がシーラント樹脂よりも速く溶融し得る。これによって、高温では、ベント部材15が挿入された部分のシーリング強度が、シーラント樹脂を含むケース部分のシーリング強度よりも低下することで、より容易にベント特性が具現され得る。
【0083】
本発明の一実施様態において、前記線状低密度ポリエチレンが100℃~130℃、または105℃~125℃、または110℃~120℃の融点を有し得る。前記線状低密度ポリエチレンの融点が前述した範囲を満たす場合、高温、例えば、100℃以上でベント部材15が挿入されたケース13のシーリング強度が低下することによって、より容易にベント特性が具現され得る。また、ベント部材が、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満となり、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上となることがより容易に具現され得る。
【0084】
前記線状低密度ポリエチレンの融点は、示差走査熱量計(Differential scanning calorimeter;DSC)を用いて測定し得る。例えば、試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、280℃で10分間維持し、10℃/分で30℃まで冷却した後、30℃で10分間維持し得る。その後、試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、温度を280℃で10分間維持して融点を測定し得る。
【0085】
本発明の一実施様態において、前記線状低密度ポリエチレンはメタロセン触媒の存在下で重合されたものであり得る。前記線状低密度ポリエチレンがメタロセン触媒の存在下で重合されたものである場合、チーグラー・ナッタ触媒の存在下で重合された場合よりもシーリング強度及び物性の面でより有利になり得る。例えば、線状低密度ポリエチレンを含むベント部材が、100℃以上における最大シーリング強度が6kgf/15mm未満となり、常温~60℃における最大シーリング強度が6kgf/15mm以上となることがより容易に具現され得る。
【0086】
本発明の一実施様態において、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が類似であり得る。例えば、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が、10℃以下、または5℃以下あり得る。また、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が0.1℃以上であり得る。前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が前述した範囲を満たす場合、前記シーラント樹脂と線状低密度ポリエチレンの電池の正常作動時における溶着特性がより優秀になり得る。例えば、前記線状低密度ポリエチレンを含むベント部材が常温~60℃で6kgf/15mm以上の最大シーリング強度を有することがより容易に具現し得る。
【0087】
本発明の一実施様態において、前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が、90℃~115℃、または95℃~110℃、または100℃~110℃、または105℃~110℃であり得る。前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が前述した範囲を満たす場合、前記シーラント樹脂と前記線状低密度ポリエチレンの溶着特性がより優秀になり得る。
【0088】
本発明の一実施様態において、前記シーラント樹脂の結晶化温度と前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度との差が10℃以下であり、前記線状低密度ポリエチレンの結晶化温度が90℃~115℃であり得る。
【0089】
前記結晶化温度は、示差走査熱量計(DSC)を用いて測定可能である。例えば、試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、280℃で10分間維持し、10℃/分で30℃まで冷却した後、30℃で10分間維持し得る。その後、試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、温度を280℃で10分間維持することで、結晶化温度を測定し得る。
【0090】
本発明の一実施様態において、前記ベント部材15は、ガスがベント領域に向かうように多様な形状を有し得る。例えば、ベント部材15がフィルム形状を有し得る。
【0091】
前記ベント部材15は、予め設定された大きさの所定の厚さを有するように形成され得る。
【0092】
本発明の一実施様態において、
図1及び
図2に示したように、ベント部材15がシーリング部に位置し得る。
【0093】
図2を参照すると、ベント部材15は、ケースのコーナー側のシーリング部に位置し得る。例えば、ベント部材15は、電極リード11が外部に露出されるシーリング部のコーナー側に位置し得る。具体的には、ベント部材15は、電極リード11同士の間の領域を除いて、電極リード11の隣のシーリング部に位置し得る。ベント部材15が、電極リード11が外部に露出されるシーリング部のコーナー側に位置する場合、電極リード11に向かってベントされるガスの量を最小化することができ、電池の安全性をさらに向上させることができる。
【0094】
本発明の一実施様態において、シーリング部13bが三面で密封される場合、ケースの折り曲げられた側面とベント部材15の一端が密着し得る。
【0095】
また、ベント部材15は、設計によって、挿入長を相違させるか、またはベンティング圧力及び位置を制御可能にケース13に挿入され得る。ここで、ベント部材の挿入長とは、電極リードの突出方向を基準にしてベント部材の一端と他端との距離の最大値を意味する。
【0096】
例えば、
図4に示したように、ベント部材15の挿入長は、シーリング部13bの幅よりも小さいことがある。例えば、ベント部材15の挿入長は、シーリング部13bの幅の約50%未満であり得る。ここで、シーリング部13bの幅とは、電極リード11の突出方向を基準にしてシーリング部13bの一端と他端との距離の最大値を意味する。
【0097】
または、
図5に示したように、ベント部材15の挿入長は、シーリング部13bの幅よりも大きくなり得る。例えば、ベント部材15は、収納部13aを経てケース13の外部に露出するように挿入され得る。
【0098】
本発明の一実施様態において、ベント部材15は、より円滑な配置のために接着層をさらに含み得る。
【0099】
図6は、本発明のさらに他の実施様態による二次電池を示す平面図である。
【0100】
図6を参照すると、ベント部材15は、電極リード11が外部に露出するシーリング部を除いたシーリング部に位置し得る。
【0101】
図7は、本発明のさらに他の実施様態による二次電池を示す平面図である。
【0102】
図7を参照すると、ベント部材15は、電極リード11が外部に露出されるシーリング部に位置し得る。例えば、ベント部材15は、電極リード11と電極リード11との間のシーリング部に位置し得る。
【0103】
本発明の一実施様態による二次電池は、多分散指数(PDI)が4以下である線状低密度ポリエチレンを含むベント部材を含み、ベント部材の最大シーリング強度が100℃以上で6kgf/15mm未満であり、常温~60℃で最大シーリング強度が6kgf/15mm以上であることから、高温でシーリング強度を低下させて特定の方向へガスを排出できるディレクショナルベンティングをより円滑かつ迅速に具現可能であるので、熱暴走現象の発生時、即ち、二次電池の内部温度が上昇する場合、ガスによる電極の損傷を最小化することができる。
【0104】
本発明の一実施様態において、前記二次電池は、円筒型、角形またはパウチ型二次電池であり得る。その中でも、前記二次電池はパウチ型二次電池であり得る。
【実施例】
【0105】
以下、本発明を具体的な実施例を挙げて説明する。しかし、本発明による実施例は多様な他の形態に変形可能であり、本発明の範囲が下記の実施例に限定されると解釈されてはならない。本発明の実施例は当業界で平均的な知識を持つ者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
【0106】
実施例1
ポリエチレンテレフタレート/アルミニウムホイル/ポリプロピレン樹脂の順に積層された上部パウチ及び下部パウチを、ポリプロピレン樹脂が互いに対向するように配置した後、正極/分離膜/負極の順に積層された電極組立体を収納した。
【0107】
その後、前記ポリプロピレン樹脂の間にメタロセン触媒の存在下で重合された炭素数6のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン(ExxonMobile社,ExceedTM,1018)を含むベント部材を挿入した後、熱溶着して二次電池を製造した。
【0108】
実施例2
メタロセン触媒の存在下で重合された炭素数6のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン(LG化学,LuceneTM,SP311)を含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0109】
実施例3
メタロセン触媒の存在下で重合された炭素数8のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン(Dow,EliteTM,5401GT)を含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0110】
比較例1
ポリエチレンテレフタレート/アルミニウムホイル/ポリプロピレン樹脂の順に積層された上部パウチ及び下部パウチをポリプロピレン樹脂が互いに対向するように配置した後、正極/分離膜/負極の順に積層された電極組立体を収納した。
【0111】
その後、前記ポリプロピレン樹脂を熱溶着して二次電池を製造した。
【0112】
比較例2
チーグラー・ナッタ触媒の存在下で重合された炭素数4のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレンを含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0113】
比較例3
高密度ポリエチレン(SABIC(登録商標)、HDPE F04660)を含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0114】
比較例4
チーグラー・ナッタ触媒の存在下で重合された炭素数6のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン(DowlexTM 2645G)を含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0115】
比較例5
チーグラー・ナッタ触媒の存在下で重合された炭素数8のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン(DowlexTM 2045G)を含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0116】
比較例6
メタロセン触媒の存在下で重合された炭素数8のコモノマーを有する線状低密度ポリエチレン(LG化学,LuceneTM,LF100)を含むベント部材をポリプロピレン樹脂の間に挿入したことを除いては、実施例1と同様の方法で二次電池を製造した。
【0117】
評価例1:ベント部材に使用された樹脂の物性評価
実施例1~3及び比較例2、4~6のベント部材に使用された樹脂(本明細書で「ベント樹脂」ともいう。)と比較例1で使用されたシーラント樹脂の融点、コモノマーの含量、重量平均分子量、多分散指数及び結晶化温度を測定して下記表1に示した。
【0118】
(1)融点及び結晶化温度の測定
比較例1で使用されたシーラント樹脂と、実施例1~3及び比較例2、4~6のベント部材に使用されたベント樹脂の融点及び結晶化温度を下記のような方法で測定した。
【0119】
示差走査熱量計(Differential scanning calorimeter;DSC)を用いて試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、280℃で10分間維持し、10℃/分で30℃まで冷却した後、30℃で10分間維持した。その後、試料の温度を30℃から10℃/分で280℃まで増加させた後、280℃で10分間維持して融点及び結晶化温度を測定した。
【0120】
(2)コモノマーの含量測定
比較例1で使用されたシーラント樹脂と、実施例1~3及び比較例2、4~6のベント部材に使用されたベント樹脂のコモノマー含量をH-NMRを用いて測定した。
【0121】
試料約10mgを約0.6mLのトリクロロエチレン溶媒にヒーターガン(heat gun)を使用して完全に溶解した後、NMRチューブにサンプリングし、H-NMRを用いて測定した。
【0122】
(3)重量平均分子量及び多分散指数の測定
比較例1で使用されたシーラント樹脂と、実施例1~3及び比較例2、4~6のベント部材に使用されたベント樹脂の重量平均分子量及び多分散指数をゲル透過クロマトグラフィー(gel permeation chromatography;GPC)によって下記の条件で測定した。
【0123】
-カラム:Tosoh社 HLC-8321 GPC/HT
-溶媒:トリクロロベンゼン(trichlorobenzene;TCB)+0.04%BHT(after drying with 0.1% CaCl2)
-流速:1.0ml/分
-試料濃度:1.5mg/ml
-注入量:300μl
-カラム温度:160℃
-Detector:RI detector
-Standard:ポリスチレン(三次関数に補正)
【0124】
【0125】
評価例2:温度によるシーリング強度測定
実施例1~3及び比較例2~6で製造した二次電池において、ベント部材が挿入されたケース部分を幅15mm、長さ5cmに裁断し、両端を180゜に開けてUTMジグに介在した後、下記の温度で5mm/分の速度で引張テストを行った。この際のケースのシーリング強度を下記の表2に示した。
【0126】
比較例1で製造した二次電池において、シーリング部のケースを幅15mm、長さ5cmに裁断し、両端を180゜に開けてUTMジグに介在した後、下記の温度で5mm/分の速度で引張テストを行った。この際のケースのシーリング強度を下記の表2に示した。
【0127】
この際、最大シーリング強度は、ケースが破断するときの最大値を意味し、平均シーリング強度は、最大シーリング強度が4.5kgf/15mm以上である場合には4.5kgf/15mmでケースが8mm延伸したときの平均値を意味し、最大強度が4.5kgf/15mm未満である場合には、最大シーリング強度でケースが8mm延伸したときの平均値を意味する。
【0128】
【0129】
上記表2から分かるように、実施例1~3で製造した二次電池は、ベント部材が挿入されたケース部分の常温~60℃における最大シーリング強度が6.0kgf/15mm以上、平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であり、100℃以上では、最大シーリング強度が6.0kgf/15mm未満であり、平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であることを確認することができた。これによって、実施例1~3で製造したベント部材を備えた二次電池は、電池が正常に作動する常温~60℃では、適切なシーリング強度が確保可能であると共に、異常現象によって電池が100℃以上の高温になる場合には、シーリング強度が弱くなったベント部材からガスを排出できる。
【0130】
一方、比較例1で製造した二次電池は、常温~60℃におけるケースの最大シーリング強度が6.0kgf/15mm以上であり、平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であるが、100℃以上においても最大シーリング強度が6.0kgf/15mm以上であり、平均シーリング強度が4.5kgf/15mm以上であることを確認することができた。これによって、比較例1で製造した二次電池は、電池が正常に作動する常温~60℃では適切なシーリング強度が確保できるが、異常現象によって電池が100℃以上の高温になる場合には、ガスが不特定な方向へ排出され、連鎖発火が起こり得る。
【0131】
比較例2~6で製造した二次電池は、ベント部材が挿入されたケース部分の常温~60℃における最大シーリング強度が6.0kgf/15mm未満であり、平均シーリング強度が4.5kgf/15mm未満であり、100℃以上ではシーリング強度が低すぎて測定が不可能であった。このことから、比較例2~6で製造した二次電池は、正常に作動する常温~60℃で適切なシーリング強度が確保できないことを確認することができた。
【符号の説明】
【0132】
10 二次電池
11 電極リード
12 電極組立体
13 ケース
13a 収納部
13b シーリング部
14 リードフィルム
15 ベント部材
【国際調査報告】