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特表2023-548899ポリアミドプレポリマーの連続調製のための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】ポリアミドプレポリマーの連続調製のための方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 69/04 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
C08G69/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528034
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-05
(86)【国際出願番号】 FR2021051988
(87)【国際公開番号】W WO2022101581
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】2011602
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】クワインベシュ, セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ブリフォー, ティエリー
(72)【発明者】
【氏名】ロマジニ, ジェラルド
【テーマコード(参考)】
4J001
【Fターム(参考)】
4J001DA01
4J001DB01
4J001DB03
4J001DC12
4J001DC14
4J001EA08
4J001EA16
4J001EB04
4J001EB08
4J001EB09
4J001EB10
4J001EB14
4J001EB37
4J001EC08
4J001EC09
4J001EC10
4J001EC13
4J001EC14
4J001EC16
4J001EC47
4J001EC48
4J001FA01
4J001FA03
4J001FB01
4J001FB03
4J001FC01
4J001FC03
4J001GA12
4J001GB02
4J001GB03
4J001GB05
4J001GB06
4J001GB12
4J001GB16
4J001GC05
4J001JB01
4J001JB02
(57)【要約】
本発明は、20℃にてm-クレゾール中でISO307:2007に従って測定される溶液中の粘度が、0.25dL/gと0.70dL/gの間に含まれる、ポリアミドプレポリマーを連続調製する方法であって、方法が、1つまたは複数のポリアミド前駆体モノマーに基づく重縮合の工程を含み、前記重縮合の工程が、少なくとも2つの共回転搬送スクリューを含む押出機で行われ、少なくとも1つのモノマーが、溶媒または水に溶解されずに固体または液体の形態で予め添加されており、前記重縮合の工程が、前記重縮合の間に形成される水を抽出することなく行われることを特徴とする、方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリアミドプレポリマーの連続調製のための方法であって、20℃おいてm-クレゾール中でISO307:2007に従って測定された場合、ポリアミドプレポリマーの溶液中の粘度が、0.25dL/gと0.70dL/gの間に含まれ、
前記配合されたポリアミドプレポリマーが、溶液の電位差滴定および前記プレポリマーの官能性によって求められる末端官能基のレベルからの計算によって、またはNMRアッセイもしくはサイズ排除クロマトグラフィーによって決定された場合、10,000g/mol未満、特に1,000と9,000の間、特に1,500~7,000、より具体的には2,000~5,000g/molの重量平均分子量(Mn)を有する方法であって、
方法が、1つまたは複数のポリアミド前駆体モノマーからの重縮合の工程を含み、前記重縮合の工程が、少なくとも2つの共回転搬送スクリューを含む単一の押出機で行われ、前記モノマーが、溶媒または水に溶解せずに固体または液体の形態で予め添加されており、前記重縮合の工程が、前記重縮合の間に形成される生成物、特に形成される水を抽出することなく行われ、前記押出機が、特に不活性ガスを押出機内に添加することによるいずれかの脱気装置、または形成された重縮合副生成物、特に形成された水を除去するためのいずれかの装置を有しておらず、大気圧における外側上の出口、または反応中に押出機内に低圧領域を作り出すことが可能な、真空ポンプなどの装置に接続された出口からなることを特徴とする、方法。
【請求項2】
ポリアミドの数平均分子量(Mn)から、以下の式
[数1]
DPn=Mn/M
[式中、
Mnは、請求項1に定義される通りに決定されたポリアミドの数平均分子量であり、
は、モノマーの数平均分子量である]
に従って決定された場合、得られるポリアミドの平均重合度(DPn)が、50未満、特に45以下、特に5~45に含まれることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリアミドが、脂肪族ポリアミドであることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
モノマーが、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より具体的にはC10~C12のカルボキシルアミノ酸、特に11-アミノウンデカン酸であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
モノマーが、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より具体的にはC10~C12のラクタム、特にラウリルラクタムであることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
モノマーが、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より具体的にはC10~C12の脂肪族ジアミン、および少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より具体的にはC10~C12の脂肪族ジカルボン酸であることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
押出機が、2つの共回転搬送スクリューを含む二軸押出機であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
220と340℃の間に含まれ、優先的には260と300℃の間に含まれる温度で行われることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
220と340℃の間に含まれる温度での押出機内での材料の滞留時間が、所望の平均重合度に到達するように重縮合反応を実行することを可能にし、前記滞留時間が、1分以上であることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
押出機が、共回転する少なくとも6つのスクリュー、特に12のスクリューを含む環状多軸押出機であることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
220と340℃の間に含まれる温度での押出機内での材料の滞留時間が、所望の平均重合度に到達するように重縮合反応を実行することを可能にし、前記滞留時間が、1分以上であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
押出機内での材料の滞留時間が1分以上であり、特に1~10分の間に含まれ、特に2と6分の間に含まれることを特徴とする、請求項7から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
押出機での重縮合の間に、少なくとも1つの添加剤が添加されることを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、重縮合によるポリアミドプレポリマーの連続調製のための方法、およびそのような方法を実行するのに好適な押出機に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリアミド(PA)は、従来、バッチ法により、反応器内でジアミンとジカルボン酸、またはアミノ酸、またはラクタムとの重縮合によって調製され、この方法では、モノマーが添加され、十分な粘度の混合物が得られるまで加圧下で加熱される。モノマーは水溶液中に頻繁に添加され、重縮合の間に存在するおよび/または形成される水は、反応器を減圧下に置くことによって除去されなければならない。
【0003】
しかしながら、ポリアミドのモル質量は、その「リビング」な性質のために制御/管理が困難であり、その理由は、反応器を空にしている間、生成物が反応器を空にする開始時および終了時に同じモル質量(同じ粘度)を有さない可能性があるためである。
【0004】
目標モル質量を超えた場合、元に戻すことは不可能となり、生成物は、生成されたバッチ全体が「除外(declassified)」される。
【0005】
さらに、バッチ法は、(年間に製造される大量の製品の場合)より資本集約的な方法であり、環境にやさしくない(より多くのエネルギーおよび水の消費、ガス状排出物および廃棄物をより多く生成するなど)。
【0006】
さらに、水の除去はまた、特にジアミンとジカルボン酸との重縮合の場合、添加されるモノマーの損失を引き起こすことが多く、これは過剰のモノマーで作業することを必要とし、したがってこの方法の追加コストにつながる。
【0007】
より最近では、連続合成のための方法が開発されている。
【0008】
したがって、特許EP2,877,516は、重量平均分子量(Mw)が、14,000g/mol以上のポリアミドの連続合成のための方法を記載している。この方法は、少なくとも2回の排水操作を必要とし、プレポリマーではなくポリマーをもたらす。
【0009】
米国特許第8,765,902号は、6T/6Iコポリアミドの連続調製のための方法を記載している。この方法は、水のエバポレーションを必要とし、プレポリマーではなくポリマーをもたらす。
【0010】
特許EP0,410,650は、ジアミンとジカルボン酸との重縮合によるプレポリマーの連続調製のための方法を記載している。この方法は、水のエバポレーションを必要とする。
【発明の概要】
【0011】
したがって、上述の問題を克服する必要性があり、本発明の目的の1つは、先行技術の方法よりも単純で、より速く、より信頼性が高く、より安価なポリアミドプレポリマーを調製する方法を提案することである。
【0012】
したがって、本発明は、20℃にてm-クレゾール中でISO307:2007に従って測定される溶液中の粘度が0.25dL/gと0.70dL/gの間である、ポリアミドプレポリマーの連続調製のための方法であって、
方法が、1つまたは複数のポリアミド前駆体モノマーからの重縮合の工程を含み、前記重縮合の工程が、少なくとも2つの共回転搬送スクリューを含む単一の押出機で行われ、前記モノマーが、溶媒または水に溶解せずに固体または液体の形態で予め添加されており、前記重縮合の工程が、形成される生成物、特に前記重縮合の間に形成される水を取り出すことなく行われることを特徴とする、
方法に関する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
したがって、本発明者らは、特に押出機を真空下に置くことによって、水の除去を必要とせずに、押出機内の材料の滞留時間と押出機内の反応温度との間の妥協点を見出すことができることを発見した。
【0014】
実際、水を除去するためにプレポリマーを押出機内で真空下に置くことは、技術的に困難であり、その理由は、粘度が低いために媒体が真空ライン内で非常に容易に発泡および上昇する傾向があるためである。したがって、これは目詰まりおよび真空の有効性の損失を引き起こす。
【0015】
押出機内での滞留時間は常に同じであるため、したがって形成される生成物は、所与の押出温度に対して常に同じ数平均分子量(Mn)または同じ粘度を有する。
【0016】
形成される生成物はまた、インラインで特徴付けられ得、それは最終生成物の適切な制御を保証するために、フィードバックによって方法パラメータを変更することを可能にする。
【0017】
説明全体を通して、プレポリマーという用語は、オリゴマーという用語と同じ意味を有する。
【0018】
プレポリマーという用語は、10,000g/mol未満、特に1,000~9,000、特に1,500~7,000、より具体的には2,000~5,000g/molの数平均分子量Mnを有するポリアミドを示す。
【0019】
Mnは、特に、溶液の電位差滴定および前記プレポリマーの官能性によって求められる末端官能基のレベルからの計算によって、またはNMRアッセイによって求められる(Postmaら(Polymer、47、1899~1911(2006))。
【0020】
サイズ排除クロマトグラフィーによって求めることもできる。
【0021】
重縮合による重合、特にジアミンとジカルボン酸との重縮合、またはカルボン酸官能基とアミン官能基の両方を含む単一のモノマーの重縮合では、各工程は、関与するモノマーに応じて、HOなどの反応副生成物と呼ばれる小分子を排除して行われる縮合反応である。
【0022】
本発明の方法では、形成される副生成物、特に形成される水の反応中の除去がなく、これは押出機が、重縮合反応によって形成される反応副生成物(大多数の場合において水である)を反応が起こるスクリューの上に排出するためのいかなる装置も有さないことを意味する。
【0023】
特に、押出機は、いずれの脱気装置、または生成した重縮合副生成物、特に生成した水を除去するための装置を有しておらず、大気圧における外側上の出口、または反応中に真空ポンプなどの押出機内に低圧ゾーンを作成できる装置に接続された出口から構成される。
【0024】
しかしながら、押出機には、反応の完了後、したがってスクリューの後に大気圧に戻すための装置が装備されている。
【0025】
使用される押出機は、少なくとも2つの搬送スクリューを含む。
【0026】
本発明によるポリアミドを調製する方法は、すべて押出機内で行われる以下の連続した工程を含む:
選択されたモノマーを添加した後、固体の可融性モノマーを溶融する工程、このように溶融したモノマーならびに液体モノマーならびに液体および/または非溶融性固体モノマーを混合する工程、
ならびに搬送スクリューにより搬送される材料に対してせん断操作を実施することによって行われる重縮合工程。溶融および混合工程は、単一の工程に組み合わせてもよい。
【0027】
好ましい方法では、材料を搬送スクリュー上で搬送することによって、再生されたキャップまたはシール(seal)を連続的に形成する工程はまた、溶融および混合工程の間、ならびに混合および重縮合工程の間で行われる。有利には、進行中の材料で形成されたキャップまたはシールは、材料の通過に利用可能なすべての容積を満たし、蒸気、特に生成され得るモノマー蒸気に対して気密封止されるゾーンを形成した。
【0028】
押出機では、各搬送スクリューは、搬送方向に相互に連続している異なる要素からなる。これらの異なる要素は、回転軸上で相互に隣接して配置されている。共回転押出機では、すべての搬送スクリューが同じ方向に回転し、これは、通常は反時計回りの方向に対応する。要素は、リニア押出機(linear extruder)の場合は一列に、または、環状押出機の場合は円形に相互に隣接して位置付けられる。押出機を構成する異なる搬送スクリューは、すべて同じ直径を有し、搬送スクリュー全体に沿って一定のままである。ほとんどの場合、この直径は、18から134mmの範囲に属する。
【0029】
このような押出機は、特に特許EP2,877,516に記載されているが、本発明の方法には存在しない減圧のための要素、または形成された副生成物の抽出のための要素を除く。
【0030】
ポリアミドの前駆体であるモノマーは、それらの自然な外観に応じて固体または液体の形態で予め添加されるが、決していかなる溶媒または水にも溶解されない。
【0031】
「予め」という表現は、重縮合反応の任意の開始の前に、モノマーが添加されることを意味する。
【0032】
本発明の文脈において、モノマーは、事前の反応なしに、および対応する塩の事前の調製なしに添加される。
【0033】
ポリアミドについて
ポリアミドを定義するために使用される命名法は、ISO1874-1:2011規格「Plastics-Polyamide(PA)Moulding And Extrusion Materials-Part1:Designation」に記載されており、当業者に公知である。
【0034】
ポリアミドは、脂肪族、脂環式、芳香族または半芳香族ポリアミドのいずれであろうと、任意のポリアミドであってもよい。
【0035】
ポリアミドは、ホモポリアミドでもコポリアミドでもよい。
【0036】
有利には、前記ポリアミドは、ホモポリアミドである。
【0037】
前記芳香族ポリアミドは、特に、メタキシリレンジアミン(MXD、CAS番号:1477-55-0)またはパラキシリレンジアミン(PXD、CAS番号:539-48-0)から選択され得るアリールアミンと、特にテレフタル酸、イソフタル酸およびナフタレン酸から選択される芳香族ジカルボン酸との重縮合から得られる。
【0038】
場合により尿素単位で修飾される前記半芳香族ポリアミドは、特にEP1,505,099に記載されている式X/YArの半芳香族ポリアミドであってもよく、特に式A/XTの半芳香族ポリアミドであり、ここで、Aは、アミノ酸モノマーから得られる単位、ラクタムモノマーから得られる単位、式(Caジアミン)・(Cb二酸)に対応する単位から選択され、ここで、(Caジアミン)と(Cb二酸)はいずれもモノマーを表し、aがジアミンの炭素原子数を表し、bが二酸の炭素原子数を表し、aおよびbがそれぞれ4と36の間であり、有利には9と18の間であり、単位(Caジアミン)が、直鎖または分岐脂肪族ジアミン、脂環式ジアミンおよびアルキル芳香族ジアミンから選択され、単位(Cb二酸)は、直鎖または分岐脂肪族二酸、脂環式二酸、および芳香族二酸から選択され;
X.Tは、Cxジアミンとテレフタル酸との重縮合から得られる単位を示し、ここで、xが、Cxジアミンの炭素原子数を表し、xが、6と36の間であり、有利には9と18の間であり、前記芳香族ポリアミドは、特に式A/6T、A/9T、A/10TまたはA/11Tのポリアミドであり、Aは、上記で定義した通りであり、特にポリアミドPA6/6T、PA66/6T、PA6I/6T、PA MPMDT/6T、PA MXDT/6T、PA PA11/10T、PA5T/10T、PA11/5T/10T、PA11/6T/10T、PA MXDT/10T、PA MPMDT/10T、PA BACT/10T、PA BACT/6T、PA BACT/10T/6T、PA11/BACT/10T、PA11/BACT/6T、PA11/MPMDT/10TおよびPA11/MXDT/10T、ならびにブロック共重合体、特にポリアミド/ポリエーテル(PEBA)である。
【0039】
Tはテレフタル酸に対応し、MXDはm-キシレンジアミンに対応し、MPMDはメチルペンタメチレンジアミンに対応し、BACはビス(アミノメチル)シクロヘキサンに対応する。
【0040】
前記脂環式ポリアミドは、特に以下のモノマーの重縮合によって得られる:脂環式ジアミンと脂肪族ジカルボン酸、または脂肪族ジアミンと脂環式ジカルボン酸、または脂環式ジアミンと脂環式ジカルボン酸。
【0041】
脂環式ジアミンは、例えば、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)-メタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)エタン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)-プロパン、ビス(3,5-ジアルキル-4-アミノシクロヘキシル)-ブタン、一般に「BMACM」または「MACM」と呼ばれる(かつ、以下Bと記載される)ビス-(3-メチル-4-アミノシクロヘキシル)-メタンまたは3’-ジメチル-4,4’-ジアミノ-ジシクロヘキシルメタン、一般に「PACM」と呼ばれる(かつ、以下Pと記載される)p-ビス(アミノシクロヘキシル)-メタン、一般に「PACP」と呼ばれるイソプロピリデンジ(シクロヘキシルアミン)、イソホロンジアミン(以下IPDと記載される)、および一般に「BAMN」と呼ばれる2,6-ビス(アミノメチル)ノルボルナンから選択され得る。
【0042】
これらの脂環式ジアミンの非網羅的な列挙は、出版物「Cycloaliphatic Amines」(Encyclopaedia of Chemical Technology、Kirk-Othmer、第4版(1992)、386~405ページ)に記載されている。
【0043】
脂環式ジカルボン酸は、以下の炭素骨格を含んでもよい:ノルボルニルメタン、シクロヘキサン、シクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルメタン、ジシクロヘキシルプロパン、ジ(メチルシクロヘキシル)またはジ(メチルシクロヘキシル)プロパン。
【0044】
脂肪族ジアミンおよび脂肪族ジカルボン酸は、後述する脂肪族ポリアミドのようなものである。
【0045】
前記脂肪族ポリアミドは、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より特定するとC10~C12のカルボン酸、特に11-アミノウンデカン酸である1つまたは複数のモノマーの重縮合から誘導され得る。
【0046】
前記脂肪族ポリアミドは、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より特定するとC10~C12のラクタム、特にラウリルラクタムである1つまたは複数のモノマーの重縮合から誘導され得る。
【0047】
前記脂肪族ポリアミドは、少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より特定するとC10~C12の脂肪族ジアミン、および少なくとも1つのC6~C18、特にC6~C12、より特定するとC10~C12の脂肪族ジカルボン酸である1つまたは複数のモノマーの重縮合から誘導され得る。
【0048】
使用される脂肪族ジアミンは、少なくとも6個の炭素原子を含む直鎖状主鎖を有する脂肪族ジアミンである。
【0049】
この直鎖状主鎖は、必要に応じて、1つまたは複数のメチルおよび/またはエチル置換基を含むことができ;後者の構成では、これを「分岐脂肪族ジアミン」と呼ぶ。主鎖が置換基を1つも含まない場合、脂肪族ジアミンを「直鎖脂肪族ジアミン」と呼ぶ。
【0050】
このジアミンが直鎖脂肪族ジアミンである場合、特に式HN-(CH)x-NHに対応し、例えばヘキサンジアミン、ヘプタンジアミン、オクタンジアミン、ノナンジアミン、デカンジアミン、ウンデカンジアミン、ドデカンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ヘキサデカンジアミンおよびオクタデセンジアミンから選択することができる。先ほど述べたこの直鎖脂肪族ジアミンはすべて、ASTM規格D6866の意味の中でバイオソースであり得る。
【0051】
このジアミンが分岐脂肪族ジアミンである場合、特に2-メチルペンタンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミンまたはトリメチレン(2,2,4もしくは2,4,4)ヘキサンジアミンであり得る。
【0052】
ジカルボン酸は、直鎖または分岐脂肪族ジカルボン酸から選択することができる。
【0053】
有利には、ジアミンは、直鎖脂肪族ジアミンである。
【0054】
ジカルボン酸が脂肪族および直鎖である場合、アジピン酸(6)、ヘプタン二酸(7)、オクタン二酸(8)、アゼライン酸(9)、セバシン酸(10)、ウンデカン二酸(11)、ドデカン二酸(12)、ブラシル酸(13)、テトラデカン二酸(14)、ヘキサデカン二酸(16)、オクタデカン二酸(18)、オクタデセン二酸(18)から選択することができる。
【0055】
有利には、ポリアミドは、半芳香族、脂環式または半芳香族ポリアミドである。
【0056】
より有利には、前記ポリアミドは、半芳香族または脂肪族であり、特に前記ポリアミドは、脂肪族である。
【0057】
より有利には、ポリアミドは、脂肪族であり、単一のアミノカルボン酸から、または単一のラクタムから得られ、特に11-アミノウンデカン酸またはラウリルラクタムから得られ、特に11-アミノウンデカン酸から得られる。
【0058】
方法について
好ましくは、本発明の方法に従って得られるポリアミドの平均重合度(DPn)は、50未満、特に45以下、特に5と45の間である。
【0059】
有利には、本発明の方法に従って得られるポリアミドの平均重合度(DPn)は、8から40、特に12から30である。
【0060】
「平均重合度(DPn)」という用語は、ポリマー鎖に存在する構造単位の平均数を意味する。平均重合度(DPn)は、典型的には、下記式に従ってポリアミドの数平均分子量(Mn)から評価される。
DPn=Mn/M
[式中、
Mnは、ポリアミドの数平均分子量であり、
は、モノマーの数平均分子量である]
【0061】
有利には、本発明の方法に従って得られるポリアミドの重量平均分子量(Mn)は、10,000g/mol未満、特に1,000と9,000の間、特に1,500から7,000、より特定すると2,000から5,000g/molである。
【0062】
重量平均分子量は、サイズ排除クロマトグラフィーによって求めることができる。
【0063】
一実施形態では、前記押出機は、2~12の共回転搬送スクリューを含む。
【0064】
この実施形態の第1の変形形態(variant)では、前記押出機は、2つの共回転搬送スクリューを含む二軸押出機である。
【0065】
有利には、この第1の変形形態では、前記方法は、220と340℃の間の温度で、優先的には、260から300℃の温度で行われる。
【0066】
この第1の変形形態の一実施形態では、220と340℃の間に含まれる温度での押出機内での材料の滞留時間は、所望の平均重合度に到達するように重縮合反応を実行することを可能にする。
【0067】
有利には、所望の重合度は、8~40、特に12~30に含まれる。
【0068】
この第1の変形形態の一実施形態では、220と340℃の間に含まれる温度での押出機内での材料の滞留時間は、0.25と0.7dL/gの間の所望の粘度に到達するように重縮合反応を実行することを可能にする。
【0069】
この実施形態の第2の変形形態では、前記押出機は、共回転している少なくとも6つの搬送スクリュー、特に12の搬送スクリューを含む環状多軸押出機を含む。
【0070】
この第2の変形形態の一実施形態では、220と340℃の間に含まれる温度での押出機内での材料の滞留時間は、所望の平均重合度に到達するように重縮合反応を実行することを可能にする。
【0071】
有利には、所望の重合度は、8と40の間、特に12~30に含まれる。
【0072】
この第2の変形形態の一実施形態では、220と340℃の間に含まれる温度での押出機内での材料の滞留時間は、0.25と0.7dL/gの間の所望の粘度に到達するように重縮合反応を実行することを可能にする。
【0073】
有利には、第1または第2の変形形態の押出機内での材料の滞留時間は、1分以上であり、特に1と10分の間に含まれ、特に2と6分の間に含まれる。
【0074】
2つの変形形態のうちの一方または他方の別の実施形態では、押出機の流量は、10kg/時以上、特に15kg/時以上、特に30kg/時以上、より特定すると50kg/時以上である。
【0075】
有利には、10kg/時以上、特に15kg/時以上、特に30kg/時以上、より特定すると50kg/時以上の流量で使用される押出機は、6~12の共回転搬送スクリュー、特に12の共回転搬送スクリューを含む押出機である。
【0076】
一実施形態では、上述の流れを有する6~12の共回転搬送スクリュー、特に12の共回転搬送スクリューを含む押出機の長さは、30L/D以上、特に30から100L/Dである。
【0077】
別の実施形態では、本発明の方法では、少なくとも1つの添加剤が、押出機での重縮合の間に添加される。
【0078】
添加剤の例として、1つまたは複数の顔料または染料を挙げることができる。
【0079】
また、触媒、クレーター防止剤もしくは展着剤(spreading agent)、還元剤、抗酸化剤、補強充填剤、UV安定剤、流動化剤、腐食防止剤、またはこれらの混合物からなる群から選択される1つまたは複数の添加剤について言及することができる。
【0080】
本発明による方法の一実施形態では、インライン分析は、前記方法の間に行われる。
【0081】
この後者の実施形態の第1の変形形態では、インライン分析が、必要な特性および特に所望の重合度を有する、得られた生成物を特徴付ける場合、方法の動作パラメータ、特に押出機の滞留時間と温度との対は、変更されない。
【0082】
この後者の実施形態の第2の変形形態では、インライン分析が、必要な特性および特に所望の重合度を有さない、得られた生成物を特徴付ける場合、方法の動作パラメータ、特に押出機の滞留時間と温度との対は、必要な特性および特に所望の重合度を有する生成物を得ることを可能にするように変更される。
【0083】
別の態様によれば、本発明は、上記で定義した方法によって得ることができる生成物に関する。
【0084】
したがって、生成物は、上記で定義した方法によって得られるプレポリマーに対応する。
【0085】
別の態様によれば、本発明は、上記で定義した方法を実行するのに適した押出機に関する。
【実施例
【0086】
例1(比較)
バッチでのプレポリマーの調製のための一般的な手順
14リットルのオートクレーブ反応器に、5kgの以下の原料を添加する。
- 水500g
- ジアミンならびにジカルボン酸および/またはアミノ酸
- WACKER AK1000消泡剤(Wacker Silicones製)0.1g
【0087】
密閉反応器から残留酸素をパージし、次いで230℃の材料温度に加熱する。これらの条件下で30分間撹拌した後、反応器内に形成された加圧蒸気を、大気圧でTf+10℃で安定するように材料の材料温度を徐々に調整しながら、60分かけて徐々に緩和する。
【0088】
次いで、オリゴマー(プレポリマー)を、底部バルブを通して空にし、次いで水浴中で冷却し、次いで粉砕する。
【0089】
Mn=3000および粘度0.40のPA11プレポリマーを、ジアミンまたはジカルボン酸を使用せずに、固体状態の11-アミノウンデカン酸(CAS 2432-99-7)から、本発明の例2および3に記載の方法の滞留時間(1と5分の間)よりもさらに長い滞留時間(1時間超)のこの手順に従って調製した。
【0090】
例2(本発明)
重縮合の間に形成される副生成物を抽出することなく、PA11プレポリマーを、直径D=18mm(長さ=40Dもしくは60D)のZSK18Ml二軸押出機(Coperion)で、または直径D=32mm(長さ=40D)の二軸Evolum32HT押出機(EV32 Clextral)で、いくつかの温度および流量条件下で、固体状態の11-アミノウンデカン酸(CAS 2432-99-7)から調製した(表1~表6)。
【0091】
ZSK18二軸押出機
[表1]
【0092】
温度プロファイル(℃)
[表2]
AT = 常温

[表3]
【0093】
温度プロファイル(℃)
[表4]
AT = 常温
【0094】
EV32二軸押出機
[表5]
【0095】
温度プロファイル(℃)
[表6]
【0096】
例3(本発明)
重縮合の間に形成される副生成物を抽出することなく、PA11プレポリマーを、直径D=19mm(長さ=36Dもしくは100D)の12のスクリューを含むRE1 XPV(Extricom)押出機で、または直径D=31mm(長さ=55D)の12のスクリューを含むRE3 XPV(Extricom)押出機で、いくつかの温度および流量条件下で、固体状態の11-アミノウンデカン酸(CAS 2432-99-7)から調製した(表7~表12)。
【0097】
12のスクリューを含む押出機RE1 XPV
[表7]
【0098】
温度プロファイル(℃)
[表8]
AT = 常温

[表9]
【0099】
温度プロファイル(℃)
[表10]
AT = 常温
【0100】
12のスクリューを含む押出機RE3 XPV
[表11]
【0101】
温度プロファイル(℃)
[表12]
【0102】
本発明の連続法は、バッチ法でPA11プレポリマーを得るのに必要な滞留時間(1時間超)よりもはるかに短い数分の滞留時間(1と5分の間)で、必要な溶液中の粘度を有するPA11プレポリマーを調製することを可能にする。
【国際調査報告】