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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】超音波走査システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 29/06 20060101AFI20231114BHJP
【FI】
G01N29/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528154
(86)(22)【出願日】2021-11-11
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2021081360
(87)【国際公開番号】W WO2022101331
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】2017816.6
(32)【優先日】2020-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521181596
【氏名又は名称】ドルフィテック、アクティーゼルスカブ
【氏名又は名称原語表記】DOLPHITECH AS
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】ウービンデ、アルネ、シルヤーセン
(72)【発明者】
【氏名】エスキル、スコグルンド
(72)【発明者】
【氏名】ビュールン-ハラルデ、ティルド
(72)【発明者】
【氏名】イングベ、ラウドベルゲット
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AA05
2G047BA03
2G047BC02
2G047BC03
2G047BC07
2G047BC11
2G047CA01
2G047DA01
2G047DA02
2G047DA03
2G047DB03
2G047GB02
2G047GG28
2G047GG30
2G047GG35
2G047GH06
(57)【要約】
物体の表面の下の構造的特徴を撮像するための走査システムであって、走査システムは、超音波信号を物体に向かって送信し、物体から反射された超音波信号を受信するように構成され、それによって物体の内部構造に関連するデータを取得することができるトランスデューサモジュールであって、トランスデューサモジュールは、第1および第2のフレームを備える超音波走査において第1のフレームおよび後続の第2のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成されるトランスデューサモジュールと、受信した超音波信号に基づいて物体を表す画像データを生成するように構成された画像生成モジュールと、遠隔デバイスと通信するための通信モジュールであって、通信モジュールは、遠隔デバイスに、走査の第1のフレームの間に受信された超音波信号に基づく受信した超音波信号のセット、および走査の第2のフレームの間に受信された超音波信号に基づいて生成された画像データを送るように構成される通信モジュールとを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面の下の構造的特徴を撮像するための走査システムであって、
超音波信号を物体に向かって送信し、前記物体から反射された超音波信号を受信するように構成され、それによって前記物体の内部構造に関連するデータを取得することができるトランスデューサモジュールであって、前記トランスデューサモジュールは、第1および第2のフレームを備える超音波走査において前記第1のフレームおよび後続の前記第2のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成されるトランスデューサモジュールと、
前記受信した超音波信号に基づいて前記物体を表す画像データを生成するように構成された画像生成モジュールと、
遠隔デバイスと通信するための通信モジュールであって、前記通信モジュールは、前記遠隔デバイスに、
前記走査の前記第1のフレームの間に受信された超音波信号に基づく受信した超音波信号のセット、および
前記走査の前記第2のフレームの間に受信された超音波信号に基づいて生成された画像データ
を送るように構成される通信モジュールと
を備える、走査システム。
【請求項2】
前記受信した超音波信号のセットは、すべての前記受信した超音波信号の少なくともサブセット(a subset)を備える、請求項1に記載の走査システム。
【請求項3】
前記受信した超音波信号のセットは、振幅データおよび/または飛行時間(time-of-flight)データを備える、請求項1または2に記載の走査システム。
【請求項4】
前記画像データは、A走査画像、B走査画像、およびC走査画像のうちの1つまたは複数を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項5】
前記走査システムは、前記受信した超音波信号および/または前記画像データを少なくとも一時的に記憶するように構成された記憶媒体を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項6】
前記通信モジュールは、前記受信した超音波信号のセットが前記遠隔デバイスに転送されるべきであることを示すデータ転送信号に応答して、前記受信した超音波信号のセットを送るように構成される、請求項1から5のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項7】
前記データ転送信号は、前記受信した超音波信号における特徴、前記トランスデューサモジュールの相対的な場所、時間信号、および前記トランスデューサモジュールの移動速度のうちの1つまたは複数を示す、請求項6に記載の走査システム。
【請求項8】
前記特徴は、
前記物体の後壁における変化、
前記物体の腐食の尺度における変化、
前記物体の多孔度(porosity)の尺度における変化、
前記物体における層間剥離(demination)、
前記物体における亀裂、および
前記物体における空隙(void)
のうちの1つまたは複数を表す前記受信した超音波信号に基づいて識別される、請求項7に記載の走査システム。
【請求項9】
前記受信した超音波信号における前記特徴を識別するように構成された分析モジュールを備える、請求項7または8に記載の走査システム。
【請求項10】
前記受信した超音波信号のセットは、前記物体の選択された領域に関する、請求項1から9のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項11】
前記分析モジュールは、前記物体の前記選択された領域を識別するように構成される、請求項10に記載の走査システム。
【請求項12】
前記選択された領域は、腐食の尺度、多孔度の尺度、飛行時間値または飛行時間値の範囲、前記領域内の値の標準偏差、前記領域内の値の分散、および前記領域内の値の平均のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて選択可能である、請求項10から11のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項13】
前記選択された領域は、前記物体内で不連続である、請求項10から12のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項14】
前記通信モジュールは、前記第2のフレームの間および/または前記第2のフレームの後に前記画像データを前記遠隔デバイスに送るように構成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項15】
前記通信モジュールは、前記第1のフレームの間および/または前記第1のフレームの後に前記受信した超音波信号のセットを前記遠隔デバイスに送るように構成される、請求項1から14のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項16】
前記通信モジュールは、前記画像データの少なくとも一部と同時に、前記受信した超音波信号のセットの少なくとも一部を前記遠隔デバイスに送るように構成される、請求項1から15のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項17】
前記受信した超音波信号は、それらの受信した超音波信号が取得された場所および/またはそれらの受信した超音波信号が取得された時間に従ってビンにビニングされる、請求項1から16のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項18】
前記受信した超音波信号がビニングされる前記ビン内のデータは、前記ビニングされた受信した超音波信号の平均を表す、請求項17に記載の走査システム。
【請求項19】
前記受信した超音波信号がビニングされる前記ビン内のデータは、前記ビニングされた受信した超音波信号の重み付け平均を表し、各ビニングされたデータ値は、そのデータ値の信号対雑音比に応じて重み付けされる、請求項17または18に記載の走査システム。
【請求項20】
前記受信した超音波データがビニングされる前記ビン内のデータは、前記ビニングされた受信した超音波信号の重み付けおよび/またはスケーリング平均(scaled average)を表し、各ビニングされたデータ値は、そのデータ値が取得されたトランスデューサ素子の特性に応じて重み付けおよび/またはスケーリング(scaled)される、請求項17から19のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項21】
超音波信号は、それらの超音波信号が取得された前記トランスデューサ素子に応じて重み付けおよび/またはスケーリングされる、請求項1から20のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項22】
前記受信した超音波信号は、タイルマップ(a tile map)に記憶され、前記タイルマップの寸法は、前記トランスデューサが前記物体に対して移動するときに修正可能である、請求項1から21のいずれか一項に記載の走査システム。
【請求項23】
物体の表面の下の構造的特徴を撮像する方法であって、
超音波信号を物体に向かって送信し、前記物体から反射された超音波信号を受信し、それによって前記物体の内部構造に関連するデータを取得することができることであって、前記トランスデューサモジュールは、第1および第2のフレームを備える超音波走査において前記第1のフレームおよび後続の前記第2のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成されることと、
前記受信した超音波信号に基づいて前記物体を表す画像データを生成することと、
遠隔デバイスに、
前記走査の前記第1のフレームの間に受信された超音波信号に基づく受信した超音波信号のセット、および
前記走査の前記第2のフレームの間に受信された超音波信号に基づいて生成された画像データ
を送ることと
を含む、方法。
【請求項24】
走査システムから受信された超音波信号を分析するための超音波分析システムであって、前記走査システムは、超音波走査における複数のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成されたトランスデューサモジュールを備え、前記超音波分析システムは、
前記走査システムから、前記走査における複数のフレームのうちの少なくとも1つについて、撮像された物体の内部構造を表す超音波信号のセットを受信するように構成された受信機と、
前記受信した超音波信号のセットに基づいて、前記撮像された物体の前記内部構造を表す画像データを生成するように構成された画像生成モジュールと
を備える、超音波分析システム。
【請求項25】
走査システムから受信された超音波信号を分析するための超音波分析システムであって、前記走査システムは、超音波走査における複数のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成されたトランスデューサモジュールを備え、前記超音波分析システムは、
前記走査システムから、前記走査における前記複数のフレームの各々について、撮像された物体の内部構造を表す超音波信号のセットを受信するように構成された受信機と、
前記受信した超音波信号のセットに基づいて、前記撮像された物体の前記内部構造を表すデータを共にスティッチング(stitch)するように構成されたプロセッサと
を備える、超音波分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の表面の下の構造的特徴を撮像するための超音波走査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
走査システムは、典型的には、トランスデューサモジュールを含む。トランスデューサモジュールは、例えば物体の表面の下の構造的特徴を撮像するために、物体を撮像するためのものである。トランスデューサモジュールは、層間剥離(demination)、剥離、およびフレーキング(flaking)などの表面下材料の欠陥を撮像するのに特に有用であり得る。
【0003】
超音波を使用して、物体における特定の構造的特徴を識別することができる。例えば、超音波は、サンプル中の欠点のサイズおよび位置を検出することによって非破壊試験に使用することができる。様々な材料、サンプル深さ、および積層構造における様々な層、衝撃損傷、ボアホールなどのような構造的特徴のタイプをカバーする非破壊試験から利益を得ることができる広範囲の用途が存在する。超音波は、物体を検出し、距離を測定するために使用することができる振動音圧波である。送信された音波は、異なる音響インピーダンス性質を有する材料に遭遇すると反射および屈折する。これらの反射および屈折が検出および分析される場合、結果として得られるデータを使用して、音波が移動した環境を記述することができる。そのデータのその後の分析における柔軟性を高めることが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
本発明の一態様によれば、物体の表面の下の構造的特徴を撮像するための走査システムであって、
超音波信号を物体に向かって送信し、物体から反射された超音波信号を受信するように構成され、それによって物体の内部構造に関連するデータを取得することができるトランスデューサモジュールであって、トランスデューサモジュールは、第1および第2のフレームを備える超音波走査において第1のフレームおよび後続の第2のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成されるトランスデューサモジュールと、
受信した超音波信号に基づいて物体を表す画像データを生成するように構成された画像生成モジュールと、
遠隔デバイスと通信するための通信モジュールであって、通信モジュールは、遠隔デバイスに、
走査の第1のフレームの間に受信された超音波信号に基づく受信した超音波信号のセット、および
走査の第2のフレームの間に受信された超音波信号に基づいて生成された画像データ
を送るように構成される通信モジュールと
を備える、走査システムが提供される。
【0005】
受信した超音波信号のセットは、すべての受信した超音波信号の少なくともサブセット(a subset)を備えてもよい。受信した超音波信号のセットは、振幅データおよび/または飛行時間(time-of-flight)データを備えてもよい。画像データは、A走査画像、B走査画像、およびC走査画像のうちの1つまたは複数を備えてもよい。
【0006】
走査システムは、受信した超音波信号および/または画像データを少なくとも一時的に記憶するように構成された記憶媒体を備えてもよい。通信モジュールは、受信した超音波信号のセットが遠隔デバイスに転送されるべきであることを示すデータ転送信号に応答して、受信した超音波信号のセットを送るように構成されてもよい。データ転送信号は、受信した超音波信号における特徴、トランスデューサモジュールの相対的な場所、時間信号、およびトランスデューサモジュールの移動速度のうちの1つまたは複数を示してもよい。特徴は、物体の後壁における変化、物体の腐食の尺度における変化、物体の多孔度(porosity)の尺度における変化、物体における層間剥離、物体における亀裂、および物体における空隙(void)のうちの1つまたは複数を表す受信した超音波信号に基づいて識別されてもよい。走査システムは、受信した超音波信号における特徴を識別するように構成された分析モジュールを備えてもよい。
【0007】
受信した超音波信号のセットは、物体の選択された領域に関するものであってもよい。分析モジュールは、物体の選択された領域を識別するように構成されてもよい。選択された領域は、腐食の尺度、多孔度の尺度、飛行時間値または飛行時間値の範囲、領域内の値の標準偏差、領域内の値の分散、および領域内の値の平均のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に基づいて選択可能であってもよい。選択された領域は、物体内で不連続であってもよい。
【0008】
通信モジュールは、第2のフレームの間および/または第2のフレームの後に画像データを遠隔デバイスに送るように構成されてもよい。通信モジュールは、第1のフレームの間および/または第1のフレームの後に受信した超音波信号のセットを遠隔デバイスに送るように構成されてもよい。通信モジュールは、画像データの少なくとも一部と同時に、受信した超音波信号のセットの少なくとも一部を遠隔デバイスに送るように構成されてもよい。
【0009】
受信した超音波信号は、それらの受信した超音波信号が取得された場所および/またはそれらの受信した超音波信号が取得された時間に従ってビンにビニングされてもよい。受信した超音波信号がビニングされるビン内のデータは、ビニングされた受信した超音波信号の平均を表してもよい。受信した超音波信号がビニングされるビン内のデータは、ビニングされた受信した超音波信号の重み付け平均を表してもよく、各ビニングされたデータ値は、そのデータ値の信号対雑音比に応じて重み付けされる。受信した超音波データがビニングされるビン内のデータは、ビニングされた受信した超音波信号の重み付けおよび/またはスケーリング平均(scaled average)を表してもよく、各ビニングされたデータ値は、そのデータ値が取得されたトランスデューサ素子の特性に応じて重み付けおよび/またはスケーリング(scaled)されてもよい。
【0010】
超音波信号は、それらの超音波信号が取得されたトランスデューサ素子に応じて重み付けおよび/またはスケーリングされてもよい。
【0011】
受信した超音波信号は、タイルマップ(a tile map)に記憶されてもよく、タイルマップの寸法は、トランスデューサが物体に対して移動するときに修正可能であってもよい。
【0012】
本発明の別の態様によれば、物体の表面の下の構造的特徴を撮像する方法であって、
超音波信号を物体に向かって送信し、物体から反射された超音波信号を受信し、それによって物体の内部構造に関連するデータを取得することができることであって、トランスデューサモジュールは、第1および第2のフレームを備える超音波走査において第1のフレームおよび後続の第2のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成されることと、
受信した超音波信号に基づいて物体を表す画像データを生成することと、
遠隔デバイスに、
走査の第1のフレームの間に受信された超音波信号に基づく受信した超音波信号のセット、および
走査の第2のフレームの間に受信された超音波信号に基づいて生成された画像データ
を送ることと
を含む、方法が提供される。
【0013】
本発明の別の態様によれば、走査システムから受信された超音波信号を分析するための超音波分析システムであって、走査システムは、超音波走査における複数のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成されたトランスデューサモジュールを備え、超音波分析システムは、
走査システムから、走査における複数のフレームのうちの少なくとも1つについて、撮像された物体の内部構造を表す超音波信号のセットを受信するように構成された受信機と、
受信した超音波信号のセットに基づいて、撮像された物体の内部構造を表す画像データを生成するように構成された画像生成モジュールと
を備える、超音波分析システムが提供される。
【0014】
方法は、画像データを生成するために使用される設定を修正することを備えてもよい。
【0015】
本発明の別の態様によれば、走査システムから受信された超音波信号を分析するための超音波分析システムであって、走査システムは、超音波走査における複数のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成されたトランスデューサモジュールを備え、超音波分析システムは、
走査システムから、走査における複数のフレームの各々について、撮像された物体の内部構造を表す超音波信号のセットを受信するように構成された受信機と、
受信した超音波信号のセットに基づいて、撮像された物体の内部構造を表すデータを共にスティッチング(stitch)するように構成されたプロセッサと
を備える、超音波分析システムが提供される。
【0016】
走査システムは、本明細書に記載の通りであり得る。
【0017】
撮像された物体の内部構造を表すデータは、走査システムから受信された画像データの1つまたは複数と、それぞれの超音波信号のセットの少なくとも一部とを備えることができる。
【0018】
上記の任意の態様の任意の1つまたは複数の特徴は、任意の他の態様と組み合わせることができる。これらは、単に簡潔にするために、ここでは完全に記載されていない。
【0019】
以下、添付の図面を参照して、本発明を例示的に説明する。図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】物体を撮像するためのデバイスを示す図である。
図2】走査システムおよび物体の一例を示す図である。
図3】走査システムの機能ブロックの一例を示す図である。
図4】トランスデューサモジュールの概略図である。
図5】走査システムの概略図である。
図6】トランスデューサ素子の概略グループを示す図である。
図7a】タイルマップの例を示す図である。
図7b】タイルマップの例を示す図である。
図7c】タイルマップの例を示す図である。
図7d】タイルマップの例を示す図である。
図7e】タイルマップの例を示す図である。
図8a】タイルマップの他の例を示す図である。
図8b】タイルマップの他の例を示す図である。
図9】構造的特徴を撮像する方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
典型的には、超音波走査中、2D画像は、キャプチャされた3Dデータに基づいて生成され、それらの2D画像が、閲覧または記憶のために遠隔デバイスに「ライブ」で転送される。そのような2D画像データを扱うときには、それらの画像を生成するために使用される設定を修正することができないことを含む固有の制限がある。
【0022】
本技術によれば、走査中に取得された3Dデータまたはそのサブセットは、2D画像と共に走査システムから遠隔デバイスに転送することができる。これにより、特にその処理がはるかに後に実施されるとき、物体を再走査することができないときには、そのデータのその後の処理において、はるかに優れた柔軟性が可能になる。本技術は、2Dデータの「ライブ」転送を維持しながらこの3Dデータの転送を可能にし、したがって超音波オペレータに利用可能な走査および分析能力を大幅に向上させる。
【0023】
走査システムは、典型的には、物体の表面の下の異なる深さに位置する構造的特徴に関する情報を収集する。この情報を取得する1つの方法は、物体において音パルスを送信し、任意の反射を検出することである。人間のオペレータが物体の表面の下にある構造的欠点のサイズ、形状、および深さを認識および評価することができるように、収集された情報を描写する画像を生成することが有用である。これは、表面下の構造的欠点が危険であり得る多くの産業用途にとって不可欠な活動である。一例は、航空機のメンテナンスである。
【0024】
超音波トランスデューサは、電気信号によって駆動されて圧電材料を振動させ、超音波信号を生成する圧電材料を利用する。逆に、音信号が受信されると、超音波トランスデューサは圧電材料を振動させ、検出可能な電気信号を生成する。
【0025】
トランスデューサによって受信された超音波信号は、走査される物体の3Dボリュームに関する。トランスデューサは、トランスデューサ素子のアレイを備えるアレイトランスデューサであってもよい。本明細書で説明する例では、トランスデューサは正方形アレイであるが、他の実施態様では、アレイは任意の所望の形状およびサイズであり得る。トランスデューサアレイは、2つの直交方向に128個の素子を備えることができ、合計16,384個の素子を有する128*128アレイを形成する。2Dアレイは、物体内に深さ方向に沿って撮像し、したがって3Dデータを形成する。走査システムで取得された走査は、適切には、各々が超音波トランスデューサで撮影された一連のショット(shot)またはフレームを備える。適切には、走査は、10Hz~30Hzの速度で、すなわち走査に毎秒10~30フレームが存在するように実施される。これらのフレームレートは、典型的なフレームレートである。フレームレートは、これらよりも高くても低くてもよい。トランスデューサは、各フレーム間で走査される物体に対して移動することができるが、そうである必要はない。
【0026】
各トランスデューサ素子の深さ走査は、一連のA走査(走査フレームごとに各トランスデューサ素子に対して1つ)を生成する。トランスデューサアレイの行または列に沿った素子からのA走査データを使用してB走査を生成することができ、典型的には、走査される物体を通るスライスを示す。典型的には物体の平面表現を示すC走査は、3Dデータまたはそのサブセットに基づいて生成することができる。
【0027】
3Dデータは、3Dデータを表す2D画像データを生成するために、例えば振幅および飛行時間に基づいて分析することができる。2Dデータは、走査される物体の表面下構造を表す。3Dデータ(受信した超音波信号)を使用して、A走査、B走査、およびC走査の表現を示す画像を生成することができる。したがって、3Dデータは、適切には、A走査画像、B走査画像、およびC走査画像を生成するために使用される。画像または画像データは、例えばオペレータによる閲覧のために転送および/または記憶することができる。画像データは3Dデータ(受信した超音波信号)よりもサイズが小さいため、走査が行われているときに許容可能なフレームレートでライブで転送することができる。例示的なフレームレートは、少なくとも1Hz、少なくとも10Hz、少なくとも20Hz、またはより好ましくは少なくとも30Hzであり得る。フレームレートは、最大50Hz、または最大60Hz、または最大70Hzとすることができる。適切には、フレームレートは、1Hz~30Hz、または10Hz~30Hz、またはより好ましくは20Hz~30Hzである。
【0028】
受信した超音波信号の完全なセットを転送するには、かなりの時間の長さがかかる可能性がある。典型的には、受信した超音波信号の完全なセットを転送するのには、走査を実施してそれらの信号を受信するのにかかるよりも長い時間がかかる。フレームレートが、例えば、30Hzである場合、128*128個の素子を走査するのに0.033秒かかる。しかし、素子の128*128アレイ全体について受信した超音波信号の完全なセットを転送するのに0.033秒を超える時間がかかる可能性がある。したがって、典型的なフレームレートでは、受信した超音波信号の完全なセットをライブで転送することはできない。典型的には、3Dデータはトランスデューサバッファに記憶されるが、トランスデューサから遠隔に転送されることはない。画像データは、トランスデューサモジュールで生成することができ、その画像データは、例えばオペレータによる閲覧または記憶装置に保存するために遠隔で転送される。
【0029】
走査システムの設定は、取得されたデータを最適化するためにオペレータによって変更することができる。この最適化された3Dデータを使用して、A走査画像、B走査画像、および/またはC走査画像を生成することができる。しかし、画像が生成されると、画像を後で修正することはできない。すなわち、画像の生成に使用される設定は、画像データに基づいて修正することはできない。下地の3Dデータは、画像データに含まれない。
【0030】
走査が進行するにつれて、走査のフレームごとにC走査画像を生成することができる。トランスデューサモジュールが走査される物体を横切って移動すると、C走査は、物体の異なる横方向の場所に関する。C走査を共にスティッチングすることで、より大きなC走査画像を形成することができる。典型的には、このスティッチングは、C走査画像が取得された既知の場所、例えばグリッドツール(a grid tool)を使用して、走査を実行する前に既知の場所にトランスデューサモジュールを位置決めする場所に基づいて実行される。スティッチングは、C走査画像自体における特徴に基づいて、例えばC走査画像における特徴的な特徴を並べることによって実行することができる。
【0031】
走査が進行するにつれて完全な3Dデータを転送することはできないが、走査の最終フレームに関する完全な3Dデータを転送することは可能である。このプロセスは、フルマトリックスキャプチャ(FMC)と呼ぶことができ、すなわちトランスデューサ素子の全マトリックスからのデータがキャプチャされる。3Dデータの完全なセットは、走査の最終フレームの後に送ることができる。データ転送には依然としてかなりの時間がかかるが、走査が終了しているため、このデータ転送は、後続のデータキャプチャ、またはその後続のデータキャプチャからの画像データなどのデータの転送と干渉しない。3Dデータの完全なセットが走査のこの最終フレームに対して転送されるので、様々なA、B、および/またはC走査画像を生成するために使用される設定は、3Dデータのセットに基づいて異なる画像を生成するように修正することができる。
【0032】
本技術による走査システムの説明を、図を参照して説明する。
【0033】
物体の表面の下を撮像するための、本明細書に記載の走査システムなどのハンドヘルドデバイスの一例を図1に示す。デバイス101は、一体型ディスプレイを有することができるが、この例では、画像をタブレットコンピュータ102に出力する。タブレットとの接続は、図示のように有線であってもよいし、無線であってもよい。デバイスは、超音波信号を送信および受信するためのマトリックスアレイ(a matrix array)103を有する。適切には、アレイは、トランスデューサ素子のアレイを形成するように交差パターンで配置された複数の電極を備える超音波トランスデューサによって実装される。トランスデューサ素子は、送信と受信との間で切り替えられてもよい。図示のハンドヘルド装置は、超音波信号を物体に結合するための乾式結合層(a dry coupling layer)104などの結合層を備える。結合層はまた、トランスデューサが送信から受信に切り替わる時間を可能にするために超音波信号を遅延させる。すべての例において、結合層が設けられる必要はない。走査システムは、トランスデューサの前面に取り付けられた結合シュー(a coupling shoe)を備えることができる。結合シューは、任意選択で乾式結合と組み合わせて、ディレイラインとして作用することができる。
【0034】
マトリックスアレイ103は二次元であるため、画像を取得するために物体を横切ってマトリックスアレイを移動させる必要はない。典型的なマトリックスアレイは、約30mm×30mmであり得るが、マトリックスアレイのサイズおよび形状は、用途に合わせて変えることができる。デバイスは、オペレータによって物体に対して直に保持されてもよい。一般に、オペレータは、物体が表面下の欠点または材料欠陥を有する可能性がある場所についてすでに良好な考えを持っており、例えば、構成要素は、衝撃を受けた可能性があるか、または応力集中を引き起こす場合がある1つまたは複数のドリルもしくはリベット穴を備える可能性がある。デバイスは、適切には、リアルタイムで反射パルスを処理するので、オペレータは、任意の関心エリアにデバイスを簡単に載置することができる。
【0035】
ハンドヘルドデバイスはまた、パルス形状および対応するフィルタを変更するためにオペレータが使用することができるダイヤル105または他のユーザ入力デバイスを備える。他の例では、ダイヤルを設ける必要はない。パルス形状および/またはフィルタの選択は、ソフトウェアで行うことができる。最も適切なパルス形状は、撮像される構造的特徴のタイプおよび構造的特徴が物体内のどこに位置するかに依存し得る。オペレータは、ディスプレイを介して時間ゲーティング(the time-gating)を手動で調整することによって、異なる深さで物体を見ることができる。装置をタブレット102などのハンドヘルドディスプレイまたは一体型ディスプレイに出力させることは、オペレータがディスプレイ上で見られるものに応じて物体の上でトランスデューサを容易に移動させ、または装置の設定を変更して瞬間的な結果を得ることができるので有利である。他の構成では、オペレータは、非ハンドヘルドディスプレイ(PCなど)と物体との間を歩き、物体上の新しい設定または場所が試験されるたびに再走査し続ける必要があり得る。
【0036】
物体の表面の下の構造的特徴を撮像するための走査システムが、図2に示される。概して201で示される装置は、送信機202と、受信機203と、信号プロセッサ204と、画像生成器205とを備える。いくつかの例では、送信機および受信機は、超音波トランスデューサによって実装されてもよい。送信機および受信機は、例示のみを容易にするために図2において互いに隣接して示されている。送信機202は、適切には、撮像される物体206において特定の形状を有する音パルスを送信するように構成される。受信機203は、適切には、物体から送信された音パルスの反射を受信するように構成される。物体の表面下特徴は、207に示されている。
【0037】
装置の一実施形態に備えられる機能ブロックの一例が、図3に示される。この例では、送信機および受信機は、トランスデューサ素子312のマトリックスアレイを備える超音波トランスデューサ301によって実装される。トランスデューサ素子は、超音波を送信および/または受信する。マトリックスアレイは、交差パターンで配置された多数の平行な細長い電極を備えることができ、交差部は、トランスデューサ素子を形成する。送信機電極は、特定の形状を有するパルスパターンを特定の電極に供給する送信機モジュール302に接続される。送信機制御部304は、作動させる送信機電極を選択する。所与の瞬間に作動される送信機電極の数は、変化してもよい。送信機電極は、個々にまたはグループで順に作動させることができる。適切には、送信機制御部は、送信機電極に一連の音声パルスを物体に送信させ、生成された画像を連続的に更新することを可能にする。送信機電極はまた、特定の周波数を使用してパルスを送信するように制御されてもよい。周波数は、100kHz~30MHzであってもよく、好ましくは0.5MHz~15MHzであり、最も好ましくは0.5MHz~10MHzである。
【0038】
受信機電極は、物体から放出される音波を感知する。これらの音波は、物体に送信された音パルスの反射である。受信機モジュールは、これらの信号を受信して増幅する。信号は、アナログ-デジタル変換器によってサンプリングされる。受信機制御部は、適切には、送信機電極が送信した後に受信するように受信機電極を制御する。装置は、交互に送信および受信することができる。一実施形態では、電極は送信と受信の両方が可能であってもよく、その場合、受信機および送信機制御部は、それらの送信状態と受信状態との間で電極を切り替える。好ましくは、送信される音パルスと、装置で受信されるそれらの反射との間にいくらかの遅延がある。装置は、電極を送信から受信に切り替えるのに必要な遅延を提供するために、結合層(乾式結合および/または結合シューによって提供されるものなど)を含んでもよい。相対的な深さが計算されるとき、任意の遅延が補償されてもよい。結合層は、好ましくは、送信音波の低減衰を提供する。
【0039】
各トランスデューサ素子は、画像内の画素に対応することができる。言い換えれば、各画素は、トランスデューサ素子の1つで受信された信号を表すことができる。これは、1対1の対応である必要はない。単一のトランスデューサ素子は、2つ以上の画素に対応することができ、逆もまた同様である。各画像は、1つのパルスから受信された信号を表すことができる。「1つの」パルスは、通常、多くの異なるトランスデューサ素子によって送信されることを理解されたい。「1つの」パルスのこれらのバージョンはまた、異なる時間に送信されてもよく、例えばマトリックスアレイは、順にアレイの各ラインを作動させることによってトランスデューサ素子の「波」を作動させるように構成することができる。しかし、サンプルの単一の画像を生成するために使用されるのはそのパルスの反射であるため、この送信されたパルスの集合は依然として「1つの」パルスを表すと考えることができる。サンプルの画像のビデオストリーム(video stream)を生成するために使用される一連のパルス内のすべてのパルスについても、同じことが当てはまる。
【0040】
パルス選択モジュール303は、送信される特定のパルス形状を選択する。パルス選択モジュールは、トランスデューサによって超音波パルスに変換される電子パルスパターンを送信機モジュールに供給するパルス生成器を備えることができる。パルス選択モジュールは、メモリ314に記憶された複数の予め定義されたパルス形状にアクセスすることができる。パルス選択モジュールは、自動的にまたはユーザ入力に基づいて送信されるパルス形状を選択することができる。パルスの形状は、撮像される構造的特徴のタイプ、その深さ、材料のタイプなどに応じて選択することができる。一般に、パルス形状は、信号プロセッサ305によって収集され得る、かつ/または画像強調モジュール310によって改善され得る情報を最適化し、オペレータに物体の高品質画像を提供するように選択されるべきである。
【0041】
図4は、トランスデューサモジュールを概略的に示している。トランスデューサモジュール(TRM)は、概して400で示されている。ケーブル401などの電気的接続は、TRMを遠隔システムに結合する。遠隔システムは、駆動信号を提供することができ、検出信号を受信することができる。トランスデューサモジュールは、試験対象の物体402に対して載置されているものとして示されている。TRMは、トランスデューサ404を備える。トランスデューサ404は、送信機を備える。トランスデューサは、受信機を備える。送信機および受信機は、別々に設けられてもよい。トランスデューサ構造およびその電気的接続の詳細は、明確にするためにこの図では省略されている。トランスデューサは、超音波信号を撮像される物体に向かって送信するように構成される。トランスデューサは、適切には、406で示される方向に超音波信号を送信するように構成される。
【0042】
物体の表面の下の構造的特徴を撮像するための走査システム500の一例が、図5に示されている。走査システムは、トランスデューサモジュール502と、画像生成モジュール504と、通信モジュール506とを備える。通信モジュールは、通信ポートを備えることができる。トランスデューサモジュールは、超音波信号を物体に向かって送信し、物体から反射された超音波信号を受信するように構成され、それによって物体の内部構造に関連するデータを取得することができる。トランスデューサモジュールは、適切には、第1および第2のフレームを備える超音波走査において第1のフレームおよび後続の第2のフレームの各々について超音波信号を送信および受信するように構成される。画像生成モジュールは、受信した超音波信号に基づいて物体を表す画像データを生成するように構成される。通信モジュールは、遠隔デバイスと通信するためのものである。通信モジュールは、遠隔デバイスに、走査の第1のフレームの間に受信された超音波信号に基づく受信した超音波信号のセットを送るように構成される。通信モジュールはまた、遠隔デバイスに、走査の第2のフレームの間に受信された超音波信号に基づいて生成された画像データを送るように構成される。
【0043】
このようにして、通信モジュールによって送られた受信した超音波信号(3Dデータ)のセットは、走査中に送られる。すなわち、走査は、受信した超音波信号のセットが送られた後、少なくとも1フレームにわたって継続することができる。受信した超音波信号のセットを送った後、通信モジュールは、例えば3Dデータが関するフレームの後の走査のフレームに関する2D画像データを送る。
【0044】
受信した超音波信号のセットは、すべての受信した超音波信号の少なくともサブセットを備えることができる。受信した超音波信号のセットは、適切には、振幅データおよび/または飛行時間データを備える。受信した超音波信号のセットは、受信した超音波信号のすべてを備えることができる。受信した超音波は、受信した超音波信号のセットを取得するために少なくとも部分的に処理されてもよい。受信した超音波信号は、受信した超音波信号のセットを形成するために上部境界および/または下部境界および/または中間境界でクリッピングすることができる。境界は、アレイ全体または走査される物体に対する振幅、飛行時間、および場所のうちの1つまたは複数に関することができる。したがって、受信した超音波信号のセットは、物体内の選択された深さもしくは深さ範囲、および/または物体の表面の選択されたエリア内で受信されたそれらの信号に関することができる。
【0045】
通信モジュールによって送られる画像データは、画像データのセットを備えることができる。画像データのセットは、生成された画像データの少なくとも一部を備えることができる。好ましくは、画像データのセットは、生成された画像データのすべてを備える。生成された画像データは、A走査画像、B走査画像、およびC走査画像のうちの1つまたは複数を備えることができる。
【0046】
A走査画像のセットが受信した超音波信号に応じて形成される場合、画像データのセットは、そのA走査画像のセット全体を備えることができる。B走査画像のセットが受信した超音波信号に応じて形成される場合、画像データのセットは、そのB走査画像のセット全体を備えることができる。A走査画像のセットとB走査画像のセットの両方が形成される場合、画像データのセットは、適切には、A走査画像のセットとB走査画像のセットの両方を備える。
【0047】
同様に、画像生成器がA走査画像のセット、B走査画像のセット、およびC走査画像のセットを生成する場合、画像データのセットは、適切には、A走査画像のセット、B走査画像のセット、およびC走査画像のセットを備える。例えば、トランスデューサモジュールが128*128個の素子の送信機および受信機アレイを有する場合、複数のフレームを備える走査のフレームについての受信した超音波信号は、素子の各々についてのA走査データ(すなわち16,384回のA走査)、素子の各行および列についてのB走査データ(すなわち256回のB走査)、ならびにフレーム全体についてのC走査データ(すなわち単一のC走査であるが、複数のC走査をC走査データから形成することができる)を備える。このデータから、画像生成器は、16,384個のA走査画像、256個のB走査画像、および少なくとも1つのC走査画像を生成することができる。
【0048】
画像データのセットを転送する際、通信モジュールは、1つまたは複数のA走査画像を転送することができる。画像データのセットを転送する際、通信モジュールは、1つまたは複数のB走査画像を転送することができる。画像データのセットを転送する際、通信モジュールは、1つまたは複数のC走査画像を転送することができる。適切には、B走査画像は、複数のA走査画像に応じて形成することができる。C走査画像は、複数のA走査画像および/またはB走査画像に応じて形成され得る。A走査画像、B走査画像、およびC走査画像の少なくとも一部は、受信した超音波信号またはそのサブセットから形成することができる。
【0049】
C走査画像を生成する前に、データをアップサンプリングすることが可能である。アップサンプリングされたデータは、記憶される必要はない。アップサンプリングされたデータは、画像生成後に破棄することができる。元のデータを記憶することができ、必要に応じて後で再びアップサンプリングを実施することができる。
【0050】
走査システム500は、受信した超音波信号および/または生成された画像データを(少なくとも一時的に)記憶するように構成された記憶媒体508を備える。適切には、記憶媒体は、バッファを備える。記憶媒体は、トランスデューサモジュールにアクセス可能である。記憶媒体は、トランスデューサモジュールに好都合に位置することができる。記憶媒体は、画像生成モジュールに結合される。記憶媒体がトランスデューサモジュールに設けられていない場合、記憶媒体は、トランスデューサモジュールに結合することができる。
【0051】
適切には、走査システムは、受信した超音波信号のセットの一部として、1つまたは複数のB走査を表すデータを送るように構成される。例えば、受信した超音波信号のセットは、単一の行および/または列などのトランスデューサアレイの特定の数の行および/または列に対してB走査を形成することができる受信した超音波信号を備えることができる。単一の行および/または列に相当する分のデータが受信した超音波信号のセットの一部として送られる場合、特定の行および/または列は、関心特徴(本明細書の他の箇所の説明を参照)に基づいて、またはディスプレイ上のインジケータに基づいて選択することができ、インジケータの位置は、オペレータによって制御可能である。128*128個の素子の正方形アレイの場合、単一の行および列についてのデータを転送することは、255個のA走査データのセット(すなわち行と列の両方にある素子に対して同じA走査データを二度送ることを回避するために、行および列の一方にある128個の素子ならびに行および列の他方にある127個の素子に対する)を転送することを備えることができる。
【0052】
B走査データは、適切には、画像データの転送に影響を与えることなく転送することができる。すなわち、通信チャネルの帯域幅は、受信した超音波データのセットが、B走査データが取得されたフレームに続く1つまたは複数のフレームについての画像データと共に転送されるのに十分である。
【0053】
経時的に、受信した超音波信号のセットの一部として転送されたB走査データのセットを構築することができる。このB走査データは、物体にわたるすべての別個の場所に関するものである必要はない。B走査データは、物体にわたる離間した場所に関することができる。それにもかかわらず、B走査データのセットは、一度にすべてのFMCデータを転送する必要なしに、所与のエリアまたはエリアの一部に対するFMCデータのマップを提供することができる。したがって、この手法は、リアルタイム撮像およびデータ転送に有用である。
【0054】
B走査データのセットは、適切には、一方向のアレイの範囲にわたって、および直交方向のアレイの範囲にわたって部分的に、128*128アレイの一部からキャプチャされるか、または128*128アレイの一部に関する。例えば、B走査データのセットは、アレイの128*10個の部分からキャプチャすることができる。すなわち、アレイの128個の素子×10個の素子の部分である。アレイの128*10個の部分は、適切には、アレイの「先頭」部分である。言い換えれば、トランスデューサが右に移動されている場合、アレイの右側における10列の素子は、128*10個の部分を形成する。
【0055】
物体を走査するために使用されるフレームレートは、B走査データのセットをキャプチャするために使用されるアレイの部分のサイズに基づいて決定することができる。0.1秒でアレイの一部(例えば128*10個の部分)からキャプチャされたデータを転送することが可能である場合、10Hzのフレームレートを選択することができる。実際には、B走査データを転送すると同時に画像データを転送する帯域幅が残るように、これよりもわずかに小さいフレームレートが選ばれてもよい。したがって、計算されたフレームレートは、フレームレートの上限とすることができる。
【0056】
このようにしてアレイの一部を選択すると、アレイのその部分についてのFMCデータが有用に提供される。典型的には、トランスデューサモジュールは、走査でキャプチャされた各フレーム間のアレイの部分の幅以下の距離だけ移動するように十分に低い速度で移動する。すなわち、アレイの部分が128*10個の部分であり、フレームレートが10Hzである場合、トランスデューサモジュールは、0.1秒で10列の幅以下の距離だけ移動することができる。
【0057】
この手法は、物体の各部分についてのFMCデータが遠隔デバイスに送られ、したがって遠隔デバイスで利用可能であることを意味する。したがって、走査にわたって、走査中に走査された物体のボリュームに関してFMCデータのセット全体を構築することができる。
【0058】
遠隔デバイスで利用可能なFMCデータは、走査が終了した後に画像日付を生成するために使用される設定を変更することを可能にする。走査中、画像データは走査システムで生成され、その画像データは遠隔デバイスに転送される。時間ゲーティングおよび閾値振幅(threshold amplitudes)などの設定は、転送された画像データに基づいて後で変更することはできない。これは、フルデータが画像データに含まれていないためである。したがって、オペレータは、画像データのみに基づいて、走査後に設定を修正することができない。しかし、本技術では、追加のデータが遠隔デバイスに転送される。転送されたFMCデータは、遠隔デバイスでの画像データの生成を可能にする。この画像生成プロセスの一部として、設定は所望に応じて修正することができる。これにより、走査が完了した後に設定を修正することができる。これは、例えばその物体の走査が終了した場合であっても、走査された物体内の異なる深さ(時間ゲート(time-gates))での分析を可能にすることによって走査技術の有用性を大幅に高める。
【0059】
したがって、FMCデータに基づいて、遠隔デバイスでB走査および/またはC走査を生成することができる。
【0060】
通信モジュールは、適切には、データ転送信号に応答して、受信した超音波信号のセットを、例えば遠隔デバイスに送るように構成される。データ転送信号は、受信した超音波信号のセットが遠隔デバイスに転送されるべきであることを示すことができる。データ転送信号は、適切には、受信した超音波信号における特徴、トランスデューサモジュールの相対的な場所、時間信号、およびトランスデューサモジュールの移動速度のうちの1つまたは複数を示す。
【0061】
トランスデューサモジュールの相対的な場所は、適切には、物体に対するトランスデューサモジュールの場所である。トランスデューサモジュールの相対的な場所は、走査システムに結合された、または走査システムの一部を形成する位置決めシステムによって提供されてもよい。例えば、位置決めシステムは、トランスデューサモジュールが取り付け可能なグリッドツールを備えることができる。グリッドツールは、一連の離散位置にトランスデューサモジュールを位置決めするように構成することができる。したがって、試験対象の物体に対して固定された相対的な位置にグリッドツールを位置させることにより、トランスデューサモジュールが物体に対して一連の離散位置を通って移動することが可能になる。グリッドツールは、トランスデューサモジュールが直交方向に互いに30mm離間したグリッド場所でグリッドツールを使用して位置決め可能であるように設定することができる。このグリッド間隔は、約30mmのトランスデューサ寸法を有するトランスデューサモジュールに適し得る。より小さいトランスデューササイズは、完全なカバレッジが達成されることを確実にするために、より小さいグリッド間隔を必要とする場合がある。同様に、より大きなトランスデューササイズには、より大きなグリッド間隔を使用することができる。適切には、グリッドサイズはトランスデューササイズよりもわずかに小さいため、隣接するグリッド位置から取得される走査にはいくらかの重複がある。この重複は、複数の走査画像または走査データを共にスティッチングするのを助けることができる。
【0062】
位置決めシステムは、位置エンコーダを備えることができる。位置決めシステムは、適切には、符号化ホイール、または好ましくは少なくとも2つの符号化ホイールを備え、少なくとも2つの符号化ホイールのうちの2つは、互いに直交することができる。位置決めシステムは、走査される物体に対するトランスデューサの位置を示す信号を生成する。これらの信号は、超音波データまたは超音波データから生成された画像を共にスティッチングするために使用することができる。
【0063】
上記の例として与えられたものなどの位置決めシステムは、少なくともある程度、本質的に不正確であり得る。例えば、エンコーダホイールは、物体に沿って転がるのではなく、物体の表面上で滑る可能性がある。この滑りは、位置決めシステムによって生成される信号の精度を低下させる。その結果、超音波および画像データのスティッチングはあまり正確ではない。そのようなスティッチングされたデータおよび/または画像に対して実施される分析は、それに応じて結果としてあまり正確ではない。
【0064】
典型的には、C走査画像は、2D画像内のデータに基づいて、例えば遠隔デバイスで共にスティッチングされる。本技術によれば、受信した超音波信号のセットに少なくとも部分的に基づいて、C走査画像を共にスティッチングすることができる。すなわち、スティッチングは、C走査が取得された3Dデータに少なくとも部分的に基づくことができる。このことは、2D C走査画像データに応じてC走査をスティッチングすることに加えてもよい。
【0065】
スティッチングプロセスにFMCデータを使用することは、スティッチング精度の向上につながり得る。FMCデータは、別々にキャプチャされたFMCデータのセットを共にスティッチングするために使用することができる。これにより、グリッチなしでデータを効率的にスティッチングすることができる。したがって、スティッチングプロセスにおいて受信した超音波信号のセットを使用することにより、(例えばエンコーダの位置決めの不正確さを考慮することによって)スティッチングの精度を改善することができ、したがってスティッチングされた画像に対して実施されるデータ分析の精度を改善することができる。画像をスティッチングすることは、例えば画像またはデータセット間の変換をチェックするためにMPEG符号化を利用することによって、2D画像および/または3Dデータの移動を評価することを備えることができる。
【0066】
所望のフレームレートおよび/または走査される物体に対するトランスデューサの移動速度に基づいて、アレイの部分に対して適切なサイズを選択することにより、B走査データなどのデータのセットの重複が可能になり、そのためデータの正確なスティッチングを可能にすることができる。
【0067】
走査システムは、適切には、nフレームごとに受信した超音波信号のセットを送るように構成される。適切には、n>1である。走査システムは、y秒ごとに受信した超音波信号のセットを送るように構成されてもよい。適切には、y>(1/f)であり、fは、Hz単位のフレームレートである。走査システムは、走査にわたってzmmごとに受信した超音波信号のセットを送るように構成されてもよい。適切には、zは、トランスデューサモジュール内の受信素子の隣接するラインの間隔(mm)よりも大きい。いくつかの実施態様では、受信した超音波信号のセットが転送される周波数は、トランスデューサモジュールと走査される物体との間の相対的な速度に依存する。この手法は、キャプチャされたデータに望ましくないギャップがないように、十分な周波数のデータ転送が行われることを可能にする。
【0068】
適切には、特徴は、物体の後壁における変化、物体の腐食の尺度における変化、物体の多孔度の尺度における変化、物体における層間剥離、物体における亀裂、および物体における空隙のうちの1つまたは複数を表す受信した超音波信号に基づいて識別される。
【0069】
このようにして、走査システムは、物体の特定の構造的特性の識別に基づいて、受信した超音波信号のセットを遠隔デバイスに転送することができる。構造的特性は、欠陥、例えば積層構造の層間剥離のエリアまたは構造における亀裂を備えることができる。適切には、不均一性は、物体の構造的特性の一部として識別可能である。
【0070】
走査システムは、受信した超音波信号内で特定の特徴を検出することに応答して、受信した超音波信号のセットを転送することができる。この手法は、後の処理および分析のために画像データよりも詳細なデータのセットを送ることを可能にする。このより詳細なデータのセットは、特徴の検出に応答して送られるため、その検出された特徴を表すデータとすることができる。転送されるデータのこの選択性は、関連するデータが転送されることを確実にしながら、帯域幅および処理電力を節約するのに役立つ。
【0071】
物体の後壁における変化は、閾値後壁振幅(a threshold backwall amplitude)よりも大きい振幅を有する深さ走査での特徴に対する飛行時間における変化を検出することによって決定することができる。後壁における変化は、後壁におけるステップ変化であってもよい。変化は、界面の性質における変化を示す後壁の振幅における変化、および/または後壁の厚さもしくは薄さを示す後壁の深さにおける変化であってもよい。閾値変化(a threshold change)を超える変化は、データ転送信号の生成につながる可能性がある。
【0072】
材料の腐食および/または多孔度の尺度は、既知の材料との比較によって決定することができる。したがって、腐食および/もしくは多孔度の尺度は、材料が基準材料よりも多かれ少なかれ腐食されているか、かつ/またはより大きいもしくはより小さい多孔度を有するかを決定することができるという点で、相対的な尺度であり得る。腐食の尺度および/または多孔度の尺度が所定の尺度または以前の尺度と閾値量を超えて異なる場合、データ転送信号を生成することができる。
【0073】
材料における層間剥離、亀裂、および空隙の存在などの欠陥は、受信した超音波信号を分析してそのような欠陥に特徴的な信号プロファイルを検出することによって決定することができる。欠陥が検出されると、または閾値サイズを超える欠陥が検出されると、データ転送信号を生成することができる。
【0074】
走査システムは、適切には、受信した超音波信号における特徴を識別するように構成された分析モジュール510を備える。
【0075】
分析モジュールは、受信した超音波信号にアクセスするようにトランスデューサモジュールに結合することができる。分析モジュールは、適切には、受信した超音波信号の分析に基づいて特徴を識別するように構成される。分析モジュールは、任意の好都合な方法で特徴を識別するように構成することができる。例えば、特徴は、既知の信号プロファイルとの比較に基づいて識別することができる。既知の信号プロファイルは、トランスデューサ特性(超音波の周波数、形状、およびサイズを含む)、物体の材料、特徴の深さなどのうちの1つまたは複数に依存し得る。特徴は、飛行時間および/または振幅における変化に基づいて識別することができる。特徴は、閾値変化値を超える飛行時間および/または振幅における変化に基づくことができる。特徴は、閾値横方向距離(a threshold lateral distance)にわたる飛行時間および/または振幅における変化(例えば閾値距離内で発生する閾値変化を超える変化)に基づくことができる。
【0076】
受信した超音波信号のセットは、超音波トランスデューサによってキャプチャされたフレーム全体を表すことができるが、本明細書の他の箇所で導入されるように、それは必要ではない。受信した超音波信号のセットは、超音波トランスデューサのエリアの一部に関するものであり得る。例えば、前のフレームと重複がある場合、重複エリアに関するデータは、受信した超音波データのセットの一部を形成する必要はない。このようにして、その重複エリアに関するデータは、2回転送する必要はない。このようにしてデータを分析して受信した超音波信号のセットを選択的に形成することにより、フレームに関するデータが転送される効率および/または速度を高めることができる。
【0077】
重複が存在する場合、再びそのエリアに関するデータを転送するのではなく、データは、遠隔デバイスにある、または遠隔デバイスにアクセス可能なデータ記憶場所からコピーされてもよい。したがって、そのデータのフレーム全体の転送を必要とせずに、データのフレーム全体を依然として生成することができる。重複データは、新しいフレームに関連付けられたタイルマップ(本明細書の他の箇所で説明される)などのデータ記憶装置に記憶することができる。あるいは、古いフレームに関する重複データのデータ記憶場所へのポインタは、新しいフレームのデータ記憶場所に記憶されてもよい。
【0078】
受信した超音波信号のセットは、受信した超音波信号の選択を備えることができる。選択は、関心エリア(それらの信号が受信された場所に基づくかどうか、および/またはそれらの信号が受信された深さに基づくかどうか)に関する受信信号に基づくことができる。選択されたエリアは、フレーム内で不連続であってもよい。選択されたエリアは、トランスデューサモジュールの移動、速度、および/または場所に少なくとも部分的に基づいて定義することができる。
【0079】
関心超音波信号の選択は、手動または自動的に実施されてもよい。手動選択ツールは、画像データのセットの画像などの物体を表す画像上で移動可能なインジケータを備えることができる。インジケータは、適切には、画像が表示される画面上のマウスカーソルである。あるいは、インジケータは、タッチセンサ式ディスプレイ画面上のタッチ入力によって制御することができる。手動選択ツールを使用して、長方形、円、円の断面などのエリアを選択することができる。ディスプレイは、平均値、標準偏差、中央値、およびモードのうちの1つまたは複数などの選択されたエリアについての統計を表示することができる。表示された統計に基づいて、エリアを関心エリアとして指定することができる。2つ以上のエリアが、画像上に描画されてもよい。2つ以上のエリアが、関心エリアとして指定されてもよい。
【0080】
1つまたは複数の関心領域は、自動的に識別することができる。関心領域は、例えば走査が実施されているときに動的に識別することができる。関心領域は、腐食の尺度、多孔度の尺度、飛行時間値または飛行時間値の範囲、領域内の値の標準偏差、領域内の値の分散、領域内の値の平均などのうちの1つまたは複数に基づいて識別されてもよい。
【0081】
走査中、フレーム当たり約100MBのデータを生成することができる。典型的な長さに沿って管を走査すると、合計で1TBを超えるデータにつながる場合がある。したがって、すべてのデータを転送するのではなく、領域またはエリアを選択し、それらの選択された領域/エリアのデータを転送できる上記のような手法は、転送する必要がある総データの大幅な減少につながる可能性がある。本技術によれば、これは、関心データが選択的に転送され、転送されたデータのその後の分析が関心領域/エリアの分析を含むことを可能にするように達成することができる。したがって、1つの手法では、所与のメトリックまたは特性に従ってデータを関心のあるものとして識別することができ、そのデータのみを転送する必要がある。
【0082】
データの解像度を考慮することによって、データ転送効率のさらなる向上を提供することができる。受信した超音波信号で達成可能な解像度は、送信されたパルスの帯域幅、すなわち送信されたパルスの周波数または周波数範囲、トランスデューサのサイズ、トランスデューサと物体または物体内の関心特徴との間の距離などを含む要因に依存し得る。一例として、送信されたパルスが2MHzパルス、すなわち比較的低い周波数である場合、パルスは、ある程度、より高い周波数のパルスよりも横方向に広がることになり、すなわちパルスは、より低い周波数でより大きなビーム拡散を有することになる。このビームの広がりは、達成可能な空間解像度を低下させる。したがって、受信した超音波信号に寄与する別個の素子の数は、キャプチャされたデータの解像度に影響を及ぼす(または実質的に影響を及ぼす)ことなく減らすことができる。
【0083】
受信した超音波信号に寄与する別個の素子の数は、複数の方法で減らすことができる。1つの方法は、1つおきの素子、または3つおきの素子など、素子のサブセットからデータをキャプチャすることである。これにより、大幅にデータの量を削減することができる。別の方法は、素子を共にグループ化することである。例えば、素子は、トランスデューサアレイの横方向にわたって、2つまたは3つのグループにグループ化することができる。素子が横方向に2つのグループにグループ化される場合、グループは、2Dで4つのグループとすることができる。すなわち、128*128素子アレイは、64*64個の素子の有効アレイをもたらすようにグループ化することができる。この「縮小された」アレイは、32*32個の素子の有効アレイにさらに縮小することができる。これは図6に概略的に示されており、図6は、第1のレベル(4つのグループ)604にグループ化され、第2のレベル(16個のグループ)606にグループ化された個々のトランスデューサ素子602を示す。グループ化された素子からのデータは、例えば各素子からのデータ値を合計することによって、または異なる素子からのデータ値を平均化することによって、任意の適切な方法で組み合わせることができる。
【0084】
通信モジュールは、適切には、第2のフレームの間および/または第2のフレームの後(または直後)に画像データ(例えば走査の第2のフレームなどの所与のフレームに関する)を、例えば遠隔デバイスに送るように構成される。通信モジュールは、適切には、第1のフレームの間および/または第1のフレームの後に受信した超音波信号のセット(例えば第1のフレームなどの特定のフレームに関する)を、例えば遠隔デバイスに送るように構成される。
【0085】
適切には、通信モジュールは、(第2のフレームに関し得る)画像データの少なくとも一部と同時に、(第1のフレームに関し得る)受信した超音波信号のセットの少なくとも一部を、例えば遠隔デバイスに送るように構成される。第2のフレームは、適切には、走査の一連のフレームにおいて第1のフレームの後に続く。
【0086】
受信した超音波信号は、それらの受信した超音波信号が取得された場所および/またはそれらの受信した超音波信号が取得された時間に従ってビンにビニングすることができる。
【0087】
受信した超音波信号が取得される場所は、適切には、物体に対する場所を指す。したがって、所与のビンは、物体に対する所与の場所に対応する。この手法は、同じビン内の物体に対して同じ場所から取得されたビニングデータを可能にする。物体を「ペイント」するときに典型的には発生すると予想されるように、1つまたは複数のエリアを再走査するためにトランスデューサモジュールが物体の上で移動される場合、データのビニングは、例えば後で取得されたデータを以前に取得されたデータと平均化することによって、その後に取得されたデータを利用してデータ品質を改善することができる。
【0088】
受信した超音波信号がビニングされるビン内のデータは、ビニングされた受信した超音波などのビニングされたデータの平均を表すことができる。各ビン内のデータは、そのビンにビニングされたデータ値の平均値などの平均を備えることができる。データを平均化することは、典型的には、ビニングされたデータの信号対雑音比を改善するのに役立つ。
【0089】
受信した超音波信号がビニングされるビン内のデータは、ビニングされたデータの重み付け平均を表すことができる。各データ値は、そのデータ値の信号対雑音比に応じて重み付けすることができる。信号対雑音値は、個々に各データ値に対して決定することができる。信号対雑音値は、走査のフレームについて、例えばそのフレームについてのトランスデューサアレイ全体にわたって決定することができる。
【0090】
受信した超音波データがビニングされるビン内のデータは、適切には、ビニングされたデータの重み付けおよび/またはスケーリング平均を表す。各データ値は、そのデータ値が取得されたトランスデューサ素子の特性に応じて重み付けおよび/またはスケーリングすることができる。
【0091】
トランスデューサ素子のアレイ全体にわたって、トランスデューサ素子間に差がある可能性が高い。これらの差は、製造プロセスから生じる固有の差であり得る。そのような差は、1つのトランスデューサ素子の特性が別のトランスデューサ素子の特性とは異なることにつながる。アレイのトランスデューサ素子の特性は、決定することができる。適切には、特性は、例えば既知の材料の走査の分析によって事前に決定される。
【0092】
トランスデューサ素子の既知の特性に基づいて、各トランスデューサ素子から取得されたデータをそれに応じて重み付けおよび/またはスケーリングすることができる。信号は、例えばトランスデューサ素子の特性に応じて拡大または縮小することができる。
【0093】
受信した超音波信号がビニングされるビンは、走査システムに、および/またはそこから離れて設けることができる。すなわち、後の処理のために、データを走査システムにローカルにビニングすることができる。例えば、ビニングされたデータは、遠隔デバイスに共に転送することができる。この手法は、ビニングされたデータの転送に関する全体的な帯域幅を低減することができる。いくつかの実施態様では、受信した超音波信号は、例えば遠隔デバイスに転送され、その遠隔デバイスにある、またはその遠隔デバイスにアクセス可能なメモリでビニングされる。この手法は、ビニングプロセスが完了し、ビニングされたデータがその後処理のために遠隔デバイスに転送される必要があるのではなく、ビニングされたデータのより高速なその後の処理を可能にすることができ、かつデータの中間処理を可能にすることができる。
【0094】
それぞれのビンへのデータのビニングは、トランスデューサモジュールの位置に基づいて実施することができる。適切には、位置は、トランスデューサモジュールに結合されたエンコーダホイールなどの位置エンコーダの出力に基づいて決定される。データが取得されるときにビニングが実行される場合、処理オーバーヘッドを低減することができる。これにより、別の場所にデータを別々に記憶してから別々のビニングステップを実施する必要性を回避することができる。
【0095】
受信した超音波信号を備える受信した超音波信号データは、適切には、タイルマップに記憶され、タイルマップは、1つまたは複数のタイルを備える。例示的なタイルマップ700を示す図7を参照する。各タイルは、全トランスデューサエリア、またはトランスデューサエリアの一部、例えばトランスデューサエリアの4分の1に対応することができる。好ましくは、各タイルは、全トランスデューサエリアに対応する。この場合、各タイルは、各トランスデューサ素子についてキャプチャされたデータを記憶するように配置される。トランスデューサが128*128個の素子を有する例では、各タイルは、適切には、16,384個すべての素子についてのデータを収容することができる。タイルは正方形であってもよいが、正方形である必要はない。タイルは、適切には、正方形トランスデューサアレイに対応するように正方形である。すなわち、タイルは、トランスデューサアレイの形状に対応するように成形することができる。この対応は、トランスデューサアレイとタイルとの間のより効率的なマッピングを可能にし、データのより効率的な記憶を容易にする。
【0096】
タイルマップは、固定サイズであってもよい。この手法は、走査される物体のサイズ(または走査される物体の別々のエリアの数)が事前に知られている場合に有用であり得る。したがって、タイルマップは、各タイルに十分な量のメモリを割り当てることができる。この事前の割り当ては、データ記憶および検索のための効率的なメモリアクセスを可能にする方法でメモリ内のタイルマップを構造化するのに役立つことができる。例えば、簡単な例を挙げると、いくつかのタイルについてのデータを1つのメモリページに記憶することができる。走査またはラスタパターン(raster pattern)が既知である場合、各タイルまたはタイルのグループについてのメモリは、走査の順序で割り当てることができる。したがって、メモリページに順次アクセスすることができ、メモリアクセス効率が向上する。
【0097】
しかし、走査サイズは事前に分からないのが通常である。例えば、航空機の翼などの部品を走査する場合、走査システムを使用してより「自由な形」で翼を走査することができると有用である。したがって、走査は、既知の走査パターンに対応する必要はない。走査は、規則的な走査パターンに対応する必要はない。すなわち、トランスデューサモジュールは、任意の所望の方向に走査される部品に対して移動され、エリアの任意の所望のカバレッジを達成することができる。この手法は、ブラシが任意の予め設定されたパターンで移動されることを必要とせずに表面の上でペイントブラシを移動させることに似ているため、「ペイント」と呼ぶことができる。
【0098】
この「ペイント」手法では、タイルマップが固定サイズではなく、走査が進行するにつれて動的に成長することが可能であることが好ましい。タイルマップが成長するにつれて、より多くのメモリをタイルマップに割り当てることができる。これにより、タイルマップに過度に大量のデータを事前に割り当てる必要なく、十分なデータを収容するようにタイルマップをサイズ設定することが可能になる。
【0099】
タイルマップは、適切には、異なる方向に動的に成長することが可能である。タイルマップは、最初に単一のタイル701を備えることができる(図7a)。当然ながら、タイルマップは任意の数の初期タイルを備えることができ、かつ必要に応じて動的に成長することが可能であることが理解されよう。その最初の単一のタイルについてのデータを取得した後、トランスデューサモジュールを右に移動させることができる(絶対方向は重要ではなく、ここでの相対的な方向は、トランスデューサモジュールの移動に応答して成長するタイルマップを示すために使用される)。したがって、タイルマップは、最初の単一のタイルの右に別の単一のタイル702を追加することによって成長することができる。トランスデューサモジュールがさらに右に移動すると、別のタイル703を第2のタイルの右のタイルマップに追加することができ、以下同様である(図7b参照)。
【0100】
次にトランスデューサモジュールが上方に移動されると、単一のタイル704を前のタイルの上のタイルマップに追加することができる(図7c)。上記の例を続けると、トランスデューサは、第3のタイルから上方に移動する。第4のタイルは、第3のタイルの上のタイルマップに追加される。タイルマップは、このようにして成長を続けることができ、単一のタイルが、トランスデューサモジュールが移動される方向にタイルマップに追加される。
【0101】
あるいは、タイルマップの成長は、各場合において単一のタイルだけである必要はない。むしろ、タイルの新しい行または列を追加することができる。タイルの新しい行または列は、タイルマップの既存のサイズに対応する寸法を有することができる。トランスデューサモジュールが第3のタイルから上方に移動される図7bの例を再び参照すると、既存の行と同じサイズの新しい行を形成することができる。この例では、3つのタイル714、715、716の新しい行を、3つのタイルの既存の行に追加することができる(図7d)。この新しい行は、トランスデューサモジュールが最初の3つのタイルのいずれか1つから上方に移動されるかどうかにかかわらず追加することができる。
【0102】
トランスデューサモジュールが図7dのタイル716から右に移動された場合、新しい列を追加することができる。既存のタイルマップは、タイルの2×3アレイを備える。適切には、既存の列の長さに対応する新しい列が追加される。したがって、この例では、2つのタイル717、718の新しい列を追加することができ、2×4アレイの新しいタイルマップを形成する(図7e)。
【0103】
この新しい列の最上部のタイルからトランスデューサを上方に移動させると、本例の同じ手法に従って、4つのタイルの新しい行が追加される。したがって、タイルマップは、タイルの3×4アレイを備えることになる。このプロセスは、必要に応じてタイルマップを成長させるために繰り返すことができる。
【0104】
適切には、タイルは、すべて同じサイズである。これは、すべての場合に必要ではない。タイルのいくつかは、異なるサイズを有してもよい。タイルは、すべて異なるサイズを有してもよい。タイルのサイズのグループが、存在してもよい。タイルがすべて同じサイズである場合、タイルマップの処理を単純化することができる。
【0105】
上記の例では、タイルマップは、必要に応じて行および列を追加することによって動的に成長した。したがって、タイルマップはn×mアレイとすることができ、nおよびmは、異なる整数とすることができる。タイルマップが正方形のままであれば、これは処理を単純化するのを助けることができるので好ましい。すなわち、タイルマップは、n×nアレイであることが好ましい。
【0106】
この場合、タイルマップが正方形のままであるために、最初に長さおよび幅nの正方形タイルマップ800を備えることができ、n≧1である。タイルマップが拡大するにつれて、結果として得られるタイルマップが正方形のままであるようにタイルが追加される。最初のタイルマップが単一の正方形801(すなわちn=1、図8a参照)である単純な例を挙げると、トランスデューサモジュールを右に移動させると、右に単一のタイル802を追加するだけでなく、2つの追加のタイル803、804が追加される。結果として得られるタイルマップは、正方形のままである(n=2、図8b参照)。図では、これらの追加のタイルは、最初のタイルの上に追加されている。場合によっては、追加のタイルを最初のタイルの下に追加することができる。同様に、トランスデューサモジュールが最初の単一のタイルから左に移動する場合、2つの追加のタイルを最初のタイルの上または下のいずれかに追加することができる。同様に、トランスデューサモジュールが最初の単一のタイルから上方(または下方)に移動する場合、追加の2つのタイルを最初のタイルの左または右のいずれかに追加することができる。タイルをどの方向に追加するかの選択は、デフォルト(例えば右上)に従うことができ、または以前の走査の知識および以前のタイルマップがどのように成長したかに基づくことができる。方向の選択は、例えばユーザによって選択可能であり得る。方向は、走査される物体に対して相対的であり得る。方向は、トランスデューサモジュールの向きに相対的であり得る。
【0107】
タイルマップは、スパースにすることが可能である。すなわち、タイルマップ内の各タイルがデータを備える必要はない。これは、特定のタイルに対応するいくつかのエリアが走査されない可能性があるため、トランスデューサモジュールが物体を「ペイント」するために使用される場合が多い。タイルマップは、非スパースであってもよい。例えば、ラスタパターン(タイルマップの最終的な形状に対応する)が追従される場合、タイルマップの各タイルは、適切には、データを備える。
【0108】
各タイルは、適切には、トランスデューサ全体からのデータを収容することができる。すなわち、各タイルは、適切には、128×128素子アレイ内の16,384個の素子の各々からのデータを収容することができる。A走査長は、最大2000個のデータ値を有することができる。各データ値は、16ビットの値によって表されてもよい。したがって、この例では、各タイルは、適切には、128*128*2000*16ビットの容量を有する。トランスデューサが異なるサイズである場合、A走査が異なる深さを有する場合、またはデータ値が異なるデータ精度で表される場合、他のタイル容量が明らかになる。
【0109】
タイルマップ用のデータは、データのチャンク(chunk)に記憶することができる。チャンクは、すべて同じサイズである必要はない。好ましくは、チャンクは、すべて同じサイズである。これにより、処理が単純化される。適切には、チャンクは、最大のタイルが単一のデータのチャンク内に記憶され得るようなサイズにされる。データのチャンクは、サイズ128*128*2000*16ビットのデータ部分に対応することができる。チャンク全体が使用されない場合、チャンク内に一定量の無駄なスペースがある。あるいは、例えばチャンクのサイズが異なる場合、および/またはチャンクがタイルについてのデータを記憶するのに必要なサイズよりも小さい場合、データを異なるチャンクに割り当てることができる。割り当てプロセスには、時間、電力、および/または帯域幅がかかる。本発明者らは、データをチャンクに割り当てる際に処理労力を費やすのではなく、タイルの価値のあるデータを単一のチャンクに記憶することができるように適切なチャンクサイズを選ぶことが効率的であると決定した。
【0110】
タイルマップ内のデータの記憶は、異なるタイル内のデータの並列処理を可能にする。したがって、タイルマップの使用は、データ記憶、アクセス、および処理の効率を改善することができる。
【0111】
説明したように、物体に対して同じ場所に関して取得されたデータを平均化するように、データをタイルマップに記憶することができる。代替案は、各データのセットを、そのデータがキャプチャされた時間を示すタイムスタンプと共に記憶することである。このようにして、物体上の各場所は、特定の時間にキャプチャされた受信した超音波信号のセットと関連付けることができる。
【0112】
1つの手法では、場所ベースのビニングシステムを採用するのではなく、ビニングシステムは、時間ベース(または場所ベースと時間ベースの何らかの組み合わせ)とすることができる。例えば、所与の期間にキャプチャされた任意のデータを共にビニングすることができる。そのようなビニングされたデータは、データの場所ベースのビニングに関して説明したように処理(例えば平均化)することができる。期間は、いくらかの平均化が各期間内の信号対雑音比を改善するために実施されるが、全走査時間が不必要に長くなることなくデータが走査内の異なる期間にキャプチャされるように、10秒など、比較的短くてもよい。
【0113】
この手法は、走査中に条件が変化し得る場合に有用であり得る。例えば、走査される物体は、力の作用下にあり得る。力は、亀裂の形成および/または成長を引き起こす可能性がある。したがって、物体または物体内の欠陥が力にどのように応答したかを分析することができるように、異なる時間にキャプチャされたデータを見ることができることが有用であり得る。このような時間ベースのデータをキャプチャすることで、画像を作成する際の時間ベースの修正が可能となる。これにより、選択された時点(または選択された期間)における物体の分析を可能にすると共に、選択された場所における物体の分析を可能にすることができる。
【0114】
ここで、物体における構造的特徴を撮像する方法のフローチャートを示す図9を参照する。超音波信号が走査される物体に向かって送信され、物体から反射された超音波信号が受信される(902)。受信した超音波信号に基づいて、物体(例えば物体の内部)を表す画像データが生成される(904)。この画像データは、A走査画像、B走査画像、およびC走査画像のうちの1つまたは複数の形態をとることができる。方法は、例えば通信ポートを備え得る通信モジュールを使用して、受信した超音波信号のセットを送ることをさらに備える(906)。受信した超音波信号のセットは、本明細書の他の箇所で説明するように、受信した超音波信号のサブセットとすることができる。受信した超音波信号のセットは、遠隔デバイス、例えば物体を走査するために使用される走査システムから離れたデバイスに送ることができる。方法はまた、画像データのセットを送ることを備える(908)。画像データのセットは、本明細書の他の箇所で説明するように、生成された画像データのサブセットとすることができる。画像データのセットは、通信モジュールを使用して送ることができる。画像データのセットは、受信した超音波信号のセットを送った後に送られる。
【0115】
本明細書に記載の装置および方法は、炭素繊維強化ポリマー(CFRP)などの複合材料の剥離および層間剥離を検出するのに特に適している。これは、航空機のメンテナンスにとって重要である。これはまた、応力集中部として作用し得るリベット穴の周りのフレーキングを検出するために使用することができる。装置は、金属または金属構造における腐食、溶接、亀裂などを検出するのに特に有用である。装置は、はるかに大きな構成要素の小さなエリアを撮像することが望まれる用途に特に適している。装置は、軽量で携帯可能であり、使いやすい。装置は、物体上の必要な場所に載置されるように、オペレータによって手で容易に持ち運ぶことができる。
【0116】
本明細書の図に示す構造は、装置内のいくつかの機能ブロックに対応することを意図している。これは、例示のみを目的としている。図に示されている機能ブロックは、装置が実施するように構成される異なる機能を表し、装置内の物理的構成要素間の厳密な分割を定義することを意図していない。いくつかの機能の性能は、いくつかの異なる物理的構成要素にわたって分けられてもよい。1つの特定の構成要素は、いくつかの異なる機能を実施することができる。図は、チップ上のハードウェアの異なる部分間、またはソフトウェア内の異なるプログラム、手順、もしくは機能間の厳密な分割を定義することを意図していない。機能は、ハードウェアもしくはソフトウェア、またはこれら2つの組み合わせで実施されてもよい。任意のそのようなソフトウェアは、好ましくは、メモリ(RAM、キャッシュ、FLASH、ROM、ハードディスクなど)または他の記憶手段(USBスティック、FLASH、ROM、CD、ディスクなど)などの非一時的コンピュータ可読媒体に記憶される。装置は、1つの物理デバイスのみを備えてもよいし、いくつかの別々のデバイスを備えてもよい。例えば、信号処理および画像生成の一部は、携帯型のハンドヘルドデバイスで実施されてもよく、一部は、PC、PDA、またはタブレットなどの別々のデバイスで実施されてもよい。いくつかの例では、画像生成の全体が別々のデバイスで実施されてもよい。本明細書に記載の機能ユニットのいずれも、クラウドの一部として実装され得る。
【0117】
本出願人は、本明細書に記載の各個々の特徴および2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを単独で本明細書により開示するが、これは、そのような特徴または特徴の組み合わせが本明細書に開示された問題を解決するかどうかにかかわらず、また特許請求の範囲に限定されず、当業者の共通の一般知識に照らして、そのような特徴または組み合わせが全体として本明細書に基づいて実行することが可能な範囲内におけるものである。本出願人は、本発明の態様が、任意のそのような個々の特徴または特徴の組み合わせからなり得ることを示す。前述の説明を考慮すると、本発明の範囲内で様々な修正を行うことができることが当業者には明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7(a)】
図7(b)】
図7(c)】
図7(d)】
図7(e)】
図8(a)】
図8(b)】
図9
【国際調査報告】