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特表2023-548920最初の天然ガスの流れからエタンを抽出するための方法、及び対応するプラント
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】最初の天然ガスの流れからエタンを抽出するための方法、及び対応するプラント
(51)【国際特許分類】
   F25J 3/02 20060101AFI20231114BHJP
   F25J 1/00 20060101ALI20231114BHJP
   F25J 3/06 20060101ALI20231114BHJP
   C10L 3/10 20060101ALI20231114BHJP
   C07C 9/06 20060101ALI20231114BHJP
   C07C 7/04 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
F25J3/02 B
F25J1/00 B
F25J3/06
C10L3/10
C07C9/06
C07C7/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528170
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 EP2021081135
(87)【国際公開番号】W WO2022101211
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】2011521
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522294671
【氏名又は名称】テクニップ エナジーズ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【弁理士】
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【弁理士】
【氏名又は名称】今井 千裕
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ヴォヴァード,シルヴァイン
(72)【発明者】
【氏名】ラフロット,ブノワ
【テーマコード(参考)】
4D047
4H006
【Fターム(参考)】
4D047AA10
4D047AB08
4D047BA07
4D047BA08
4D047CA03
4D047CA04
4D047CA16
4D047CA19
4D047DA01
4D047DA05
4H006AA02
4H006AD11
4H006BD53
4H006BD82
4H006BD84
(57)【要約】
【解決手段】本方法は、-分離カラム(34)からの塔頂流(98)を回収して圧縮し、圧縮された精製天然ガスの流れ(102) を生成する工程、-圧縮された精製天然ガスの流れ(102) を液化ユニット(24)で液化して、加圧された液化天然ガスの流れ(120) を生成する工程、-加圧された液化天然ガスの流れ(120) のフラッシュ膨張を行って、貯蔵部(66)で回収する工程、-膨張によって得られたフラッシュガスの流れ(126) を回収して圧縮する工程、-圧縮されたフラッシュガスの流れ(132) を燃料流(20)及び再循環流(134) に分離する工程、-再循環流(134) を冷却して膨張させ、次に、冷却されて膨張した再循環流を分離カラム(34)の塔頂段に導入する工程を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初の天然ガスの流れ(12)からエタンを抽出するための方法であって、
- 少なくとも1つの第1の上流側熱交換器(28)で最初の天然ガスの流れ(12)を冷却して、冷却された天然ガスの流れ(80)を生成する工程、
- 冷却された天然ガスの流れ(80)を液体流(82)及び気体流(84)に分離する工程、
- 前記液体流(82)を膨張させて、前記液体流(82)からの少なくとも1つの流れをメタン及びC2+ 炭化水素を分離するための分離カラム(34)に第1のレベル(N1)で導入する工程、
- 前記気体流(84)からタービン供給流(90)を生成する工程、
- 前記タービン供給流(90)を動的膨張タービン(36)で膨張させて、前記動的膨張タービン(36)からの膨張した流れ(94)を前記分離カラム(34)に第2のレベル(N2)で導入する工程、
- 前記分離カラム(34)から回収されたC2+ 炭化水素が豊富な底流を分留カラム(48)に導入して、前記分留カラム(48)からエタンの流れ(14)を回収する工程、
- 前記分離カラム(34)からの塔頂流(98)の少なくとも一部を回収して圧縮し、圧縮された精製天然ガスの流れ(102) を生成する工程、
- 圧縮された精製天然ガスの流れ(102) を液化ユニット(24)で液化して、加圧された液化天然ガスの流れ(120) を生成する工程、
- 加圧された液化天然ガスの流れ(120) のフラッシュ膨張を行って、膨張した液化天然ガス(18)を貯蔵部(66)に回収する工程、
- 加圧された液化天然ガスの流れ(120) の膨張によって得られたフラッシュガスの少なくとも1つの流れ(126; 162)を回収する工程、
- 前記フラッシュガスの少なくとも1つの流れ(126; 162)を圧縮する工程、
- 圧縮されたフラッシュガスの流れ(132; 164)を燃料流(20)及び再循環流(134) に分離する工程、
- 前記再循環流(134) を少なくとも部分的に冷却して膨張させ、その後、冷却されて膨張した再循環流を前記分離カラム(34)の塔頂段に導入する工程
を有する、方法。
【請求項2】
前記再循環流(134) のメタン濃度が90 mol%より高く、特に95 mol%より高い、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再循環流(134) の導入を、前記分離カラム(34)の最上部から1段目で行う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記再循環流(134) を前記第1の上流側熱交換器(28)に導入して、前記分離カラム(34)からの塔頂流(98)との熱交換により冷却する、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記気体流(84)を、前記動的膨張タービン(36)に導入されるタービン供給流(90)と、第2の上流側熱交換器(30)で冷却して静的膨張を行った後、前記再循環流(134) より低い位置で前記分離カラム(34)に導入される還流の流れ(92)とに分離する、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記再循環流(134) を冷却する際、前記再循環流の流れ(134) を前記第2の上流側熱交換器(30)を通して流す、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記再循環流(134) を膨張させる際、前記再循環流の流れ(134) を静的膨張バルブ(136) を通して流す、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
圧縮された精製天然ガス(102) の少なくとも一部は、下流側熱交換器(68)でフラッシュガスの流れ(126) と熱交換関係にある、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記液化ユニット(24)の上流側で、圧縮された精製天然ガスの流れ(102) から再循環流(142) を除き、前記再循環流(142) を冷却して膨張させ、前記分離カラム(34)に導入する、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
加圧された液化天然ガスの流れ(120) を動的又は静的な膨張部品(60)で膨張させ、次にフラッシュドラム(62)に導入して、前記貯蔵部(66)に導入される膨張した液化天然ガス(124) とフラッシュガスの流れ(126) とに分離する、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
膨張した液化天然ガスを前記貯蔵部(66)に導入すると、前記貯蔵部(66)にフラッシュガスの少なくとも1つの流れ(162) が生成される、請求項1~10のいずれか1つに方法。
【請求項12】
加圧された液化天然ガスの流れ(120) を、フラッシュドラム(62)を通して流すことなく前記貯蔵部(66)に直接導入する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記分離カラム(34)からの塔頂流(98)の圧縮を、前記動的膨張タービン(36)に連結された少なくとも1つの第1のコンプレッサ(38)で行って、その後、圧縮された精製天然ガスの流れを生成するために第2のコンプレッサ、前記第2のコンプレッサで圧縮された気体のための冷却器、及び第3のコンプレッサを連続的に有する圧縮装置で行う、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記分留カラム(48)からの塔頂流(112) を冷却して部分的に凝縮し、次に塔頂ドラム(56)に導入し、エタンの流れ(14)を前記塔頂ドラム(56)の塔頂部で回収し、前記塔頂ドラム(56)の底流を還流として前記分留カラム(48)に再び導入する、請求項1~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
冷却された天然ガスの流れ(80)の分離によって得られた気体流(84)全体が、分離せずに前記動的膨張タービン(36)に送られるタービン供給流(90)を形成する、請求項1~14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
最初の天然ガスの流れ(12)からエタンを抽出するための装置であって、
- 最初の天然ガスの流れ(12)を冷却して、冷却された天然ガスの流れ(80)を生成するのに適した少なくとも1つの第1の上流側熱交換器(28)と、
- 冷却された天然ガスの流れ(80)を液体流(82)及び気体流(84)に分離するための分離器と、
- 液体流(82)の膨張部品と、
- メタン及びC2+ 炭化水素の分離カラム(34)と、膨張した液体流(82)からの少なくとも1つの流れを前記分離カラム(34)に第1のレベル(N1)で導入するためのシステムと、
- 前記気体流(84)からタービン供給流(90)を生成するためのシステムと、
- 前記タービン供給流(90)を膨張させるのに適した動的膨張タービン(36)と、前記動的膨張タービン(36)からの膨張した流れ(94)を前記分離カラム(34)に第2のレベル(N2)で導入するためのシステムと、
- 分留カラム(48)と、前記分離カラム(34)からのC2+ 炭化水素が豊富な底流(106) を前記分留カラム(48)に導入するためのシステムと、前記分留カラム(48)からエタンの流れ(14)を回収するためのシステムと、
- 前記分離カラム(34)からの塔頂流(98)の少なくとも一部を回収して圧縮し、圧縮された精製天然ガスの流れ(102) を生成するためのシステムと、
- 加圧された液化天然ガスの流れ(120) を生成するのに適した、圧縮された精製天然ガスの流れ(102) のための液化ユニットと、
- 加圧された液化天然ガスの流れ(120) のフラッシュ膨張のためのシステムと、膨張した液化天然ガス(18)を回収するための貯蔵部(66)と、
- 加圧された液化天然ガスの流れ(120) の膨張によって得られたフラッシュガスの少なくとも1つの流れ(126; 162)を回収するためのシステムと、
- 前記フラッシュガスの少なくとも1つの流れ(126; 162)を圧縮するためのシステムと、
- 圧縮されたフラッシュガスの流れ(132; 164)を燃料流(20)及び再循環流(134) に分離するためのシステムと、
- 前記再循環流(134) を冷却して少なくとも部分的に膨張させ、冷却されて膨張した再循環流を前記分離カラム(34)の塔頂段に導入するためのシステムと
を備えている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、最初の天然ガスの流れからエタンを抽出する方法であって、
- 少なくとも1つの第1の上流側熱交換器で最初の天然ガスの流れを冷却して、冷却された天然ガスの流れを生成する工程、
- 冷却された天然ガスの流れを液体流及び気体流に分離する工程、
- 液体流を膨張させて、液体流からの少なくとも1つの流れを、メタン及びC2+ 炭化水素を分離するための分離カラムに第1のレベルで導入する工程、
- 気体流からタービン供給流を生成する工程、
- タービン供給流を動的膨張タービンで膨張させて、動的膨張タービンからの膨張した流れを分離カラムに第2のレベルで導入する工程、
- 分離カラムから回収されたC2+ 炭化水素が豊富な底流を分留カラムに導入して、分留カラムからエタンの流れを回収する工程、
- 分離カラムからの塔頂流の少なくとも一部を回収して圧縮し、圧縮された精製天然ガスの流れを生成する工程、
- 圧縮された精製天然ガスの流れを液化ユニットで液化して、加圧された液化天然ガスの流れを生成する工程、
- 加圧された液化天然ガスの流れのフラッシュ膨張を行って、膨張した液化天然ガスを貯蔵部で回収する工程、
- 加圧された液化天然ガスの流れの膨張によって得られたフラッシュガスの少なくとも1つの流れを回収する工程、
- フラッシュガスの少なくとも1つの流れを圧縮する工程
を有する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
このような方法は特に、後で液化されて次に貯蔵のために膨張する加圧された処理天然ガスを生成しながら、最初の天然ガスからエタン及びC3+ 炭化水素を抽出するための方法である。
【0003】
エチレン、エタン、プロピレン、プロパン及びより重い炭化水素は、天然ガス、製油所ガス、及び、石炭、原油、ナフサなどの他の炭化水素源から得られる合成ガスなどのガスから抽出され得る。
【0004】
天然ガスは通常、メタン及びエタンが大部分を占める(例えば、メタン及びエタンは天然ガスの少なくとも50 mol%を構成する)。天然ガスは、ごく少量のプロパン、ブタン、ペンタンなどのより重い炭化水素、更に水素、窒素及び二酸化炭素も含み得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書に記載されている発明は、より具体的には天然ガスからのエタン、プロパン及びより重い炭化水素の回収に関する。エタン、プロパン及びブタンなどの天然ガス中の重質炭化水素は、高純度で個別に販売することにより高く評価され得ることに加えて、前記炭化水素は運搬中に凝縮したり、(最も重い炭化水素の場合)液化交換器を凍結したりする場合がある。
【0006】
このため、運搬施設での液体プラグの設置、又は凍結した液化交換器の詰まりを解消するための液化プラントの停止などの問題が生じ得る。
【0007】
米国特許第6578379 号明細書には、天然ガスの流れからエタン及びプロパンを回収するための非常に効率的な方法が記載されている。このような方法は一般に、特にエネルギー消費を最小限度に抑えながら、天然ガス供給流に含まれる非常に高い抽出率の(例えば99 mol%を超える)エタンを得るために非常に効率的な方法で実行される。
【0008】
このような抽出収率を得るために、主還流で、すなわちメタン・エタン分離カラムの最大還流でエタンが著しく枯渇した流れを使用する方法が知られている。
【0009】
このために、メタン及びエタンのための分離カラムの塔頂部からの再圧縮ガスから再循環流が取り出される。再循環流は分離カラムの塔頂部からのガスに対して向流で冷却され、次に膨張して分離カラムの塔頂部に導入される主還流を生成する。
【0010】
しかしながら、特定の動作条件では、主還流の質が温度及び/又は組成の点で劣化する可能性がある。
【0011】
例えば、主還流のメタンが枯渇する場合、カラム内のエタン分離速度が低下し、カラムの塔頂部で生成される塔頂流の質が更に劣化し、主還流のメタン枯渇を更に悪化させる。「雪だるま」効果が生じて、エタン抽出率が大幅に低下することになる。このような状況は、特に液体がカラムの上部プレートに取り込まれる場合に生じ得る。
【0012】
本発明の1つの目的は、分離カラムの塔頂部の質に変動が生じた場合にエタン抽出率に全く影響を及ぼさないか又はほんの僅かしか影響を及ぼさない、天然ガスの最初の流れからエタン及びC3+ 炭化水素を抽出するための柔軟で非常に効率的な方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
このために、本発明の主題は、
- 圧縮されたフラッシュガスの流れを燃料流及び再循環流に分離する工程、
- 再循環流を冷却して少なくとも部分的に膨張させ、次に、冷却されて膨張した再循環流を分離カラムの塔頂段に導入する工程
を有することを特徴とする上述したタイプの方法である。
【0014】
本発明に係る方法は、個別に又は任意の技術的に可能な組み合わせに応じて、以下の特徴の一又は複数を有することが可能である。
【0015】
- 再循環流のメタン濃度が90 mol%より高く、特に95 mol%より高い。
【0016】
- 再循環流の導入を、分離カラムの最上部から1段目で行う。
【0017】
- 再循環流を第1の熱交換器に導入して、分離カラムからの塔頂流との熱交換により冷却する。
【0018】
- 気体流を、動的膨張タービンに導入されるタービン供給流と、第2の上流側熱交換器で冷却して静的膨張を行った後、再循環流より低い位置で分離カラムに導入される還流の流れとに分離する。
【0019】
- 再循環流を冷却する際に再循環流の流れを第2の熱交換器を通して流す。
【0020】
- 再循環流を膨張させる際に再循環流の流れを静的膨張バルブを通して流す。
【0021】
- 圧縮された精製天然ガスの少なくとも一部は、下流側熱交換器でフラッシュガスの流れと熱交換関係にある。
【0022】
- 液化ユニットの上流側で、圧縮された精製天然ガスの流れから再循環流を除き、再循環流を冷却して膨張させ、分離カラムに導入する。
【0023】
- 加圧された液化天然ガスの流れを動的又は静的な膨張部品で膨張させ、次にフラッシュドラムに導入して、貯蔵部に導入される膨張した液化天然ガスと、フラッシュガスの流れとに分離する。
【0024】
- 膨張した液化天然ガスを貯蔵部に導入すると、貯蔵部にフラッシュガスの少なくとも1つの流れが生成される。
【0025】
- 加圧された液化天然ガスの流れを、フラッシュドラムを通して流すことなく貯蔵部に直接導入する。
【0026】
- 分離カラムからの塔頂流の圧縮を、動的膨張タービンに連結された少なくとも1つの第1のコンプレッサで行って、その後、圧縮された精製天然ガスの流れを生成するために第2のコンプレッサ、第2のコンプレッサで圧縮された気体のための冷却器、及び第3のコンプレッサを連続的に有する圧縮装置で行う。
【0027】
- 分留カラムからの塔頂流を冷却して部分的に凝縮し、次に塔頂ドラムに導入して、塔頂ドラムの塔頂部でエタンの流れを回収し、塔頂ドラムの底流を還流として分留カラムに再び導入する。
【0028】
- 冷却された天然ガスの流れの分離によって得られた気体流全体が、分離せずに動的膨張タービンに送られるタービン供給流を形成する。
【0029】
本発明は更に、最初の天然ガスの流れからエタンを抽出するためのプラントであって、
- 最初の天然ガスの流れを冷却して、冷却された天然ガスの流れを生成するのに適した少なくとも1つの第1の上流側熱交換器と、
- 冷却された天然ガスの流れを液体流及び気体流に分離するための分離器と、
- 液体流の膨張部品と、
- メタン及びC2+ 炭化水素の分離カラムと、膨張した液体流からの少なくとも1つの流れを分離カラムに第1のレベルで導入するためのシステムと、
- 気体流からタービン供給流を生成するためのシステムと、
- タービン供給流を膨張させるのに適した動的膨張タービンと、動的膨張タービンからの膨張した流れを分離カラムに第2のレベルで導入するためのシステムと、
- 分留カラムと、分離カラムからのC2+ 炭化水素が豊富な底流を分留カラムに導入するためのシステムと、分留カラムからエタンの流れを回収するためのシステムと、
- 分離カラムからの塔頂流の少なくとも一部を回収して圧縮し、圧縮された精製天然ガスの流れを生成するためのシステムと、
- 加圧された液化天然ガスの流れを生成するのに適した、圧縮された精製天然ガスの流れのための液化ユニットと、
- 加圧された液化天然ガスの流れのためのフラッシュ膨張システムと、膨張した液化天然ガスのための回収貯蔵部と、
- 加圧された液化天然ガスの流れの膨張によって得られたフラッシュガスの少なくとも1つの流れを回収するためのシステムと、
- フラッシュガスの少なくとも1つの流れを圧縮するためのシステムと、
- 圧縮されたフラッシュガスの流れを燃料流及び再循環流に分離するためのシステムと、
- 再循環流を冷却して少なくとも部分的に膨張させ、冷却されて膨張した再循環流を分離カラムの塔頂段に導入するためのシステムと
を備えているプラントに関する。
【0030】
本発明は、添付図面を参照して、単に一例として挙げられる以下の説明を読むと更に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る、エタンを抽出するための第1の方法を実行するための第1の装置を示す図である。
図2】本発明に係る、エタンを抽出するための第2の方法を実行するための第2の装置を示す、図1に示されている図と同様の図である。
図3】本発明に係る、エタンを抽出するための第3の方法を実行するための第3の装置を示す、図1に示されている図と同様の図である。
図4】本発明に係る第4の抽出方法を実行するための第4の装置を示す、図1に示されている図と同様の図である。
図5】本発明に係る第5の抽出方法を実行するための第5の装置を示す、図2に示されている図と同様の図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に全体を通して、同一の参照番号が、液体の流れ及び流体を運ぶパイプを特定するために使用されており、対象とする圧力は絶対圧であり、対象とするパーセントはモルパーセントである。
【0033】
記載されている方法はプロセスシミュレータでモデル化されている。コンプレッサには82%のポリトロープ効率が定められており、タービンには86%の断熱効率が定められている。
【0034】
本発明に係る、エタンを抽出するための第1の装置10が図1に示されている。
【0035】
第1の装置10は、最初の天然ガス流12から、エタンが豊富な流れ14、C3+ 炭化水素が豊富な底流16、膨張した液化天然ガス18、及び有利には第1の装置10で再利用するための燃料流20を同時的に生成するように構成されている。
【0036】
図1を参照すると、第1の装置10はエタン抽出ユニット22、液化ユニット24、及び液化天然ガスのためのフラッシュ・貯蔵ユニット26を備えている。
【0037】
エタン抽出ユニット22は、第1及び第2の上流側熱交換器28, 30、分離ドラム32、並びにメタン及びC2+ 炭化水素を分離するためのカラム34を有している。カラム34は、ここでは底部リボイラ35を有している。
【0038】
エタン抽出ユニット22は、第1のコンプレッサ38に連結されている動的膨張タービン36及び第2のコンプレッサ40を更に有しており、第1のコンプレッサ38及び第2のコンプレッサ40は下流側に冷却器42及び冷却器44を夫々有している。
【0039】
エタン抽出ユニット22は、底部ポンプ46、底部リボイラ50を有する分留カラム48、及び還流システム52を更に有しており、還流システム52は、冷却器54、還流ドラム56及び還流ポンプ58を有している。
【0040】
天然ガス液化ユニット24は既知のユニットであり、特にC3MRユニット又はDMR ユニットである。
【0041】
図1に示されている例では、フラッシュ・貯蔵ユニット26は、膨張部品60、ここでは動的膨張タービン、フラッシュタンク62、及び液化天然ガスを貯蔵部66に搬送するためのポンプ64を有している。変形例では、膨張部品60は静的膨張バルブである。
【0042】
貯蔵部66は、例えば断熱性の貯蔵タンクである。
【0043】
この例では、フラッシュ・貯蔵ユニット26は、下流側熱交換器68、適切な場合には吸込ドラム70、及び圧縮装置72を更に有しており、圧縮装置72は、直列に取り付けられて冷却器76によって分離された複数のコンプレッサ74を有している。
【0044】
装置10で実行される本発明に係る第1の方法を説明する。
【0045】
流れ12を形成する最初の天然ガスは、有利には乾燥して、少なくとも部分的に脱炭されて脱硫された天然ガスである。
【0046】
「少なくとも部分的に脱炭され」という用語は、最初の天然ガスの流れ12中の二酸化炭素の濃度が有利には50 ppmv以下であることを意味する。
【0047】
同様に、水の濃度が1ppmv未満であり、有利には0.1 ppmv未満である。
【0048】
硫化水素を含む硫黄含有元素の濃度は10ppmv未満であり、有利には4ppmv以下である。
【0049】
最初の天然ガスの流れ12のモル組成の例が以下の表に示されている。
【0050】
【表1】
【0051】
より一般的には、最初の天然ガスの流れ12中のメタンのモル分率は75 mol%~95 mol%の範囲内であり、C2炭化水素のモル分率は3mol %~12 mol%の範囲内であり、C3+ 炭化水素のモル分率は1mol %~8mol %の範囲内である。
【0052】
最初の天然ガスの流れ12の流量は、例えば2,000 kmol/hより大きく、例えば2,000 kmol/h~70,000kmol/hの範囲内であり、特には55,000kmol/hである。
【0053】
最初の天然ガスの流れ12は、周囲温度に近く、特には0℃~40℃の範囲内であり、ここでは21.5℃の温度、及び有利には35バールより高く、特には70バールより高く、この例では81バールの圧力を有する。
【0054】
最初の天然ガス12を第1の熱交換器28に導入して第1の熱交換器28内で冷却する。最初の天然ガス12は冷却された天然ガスの流れ80を形成する。最初の天然ガス12はここでは超臨界状態であるため、単に冷却される。変形例では、最初の天然ガスは超臨界状態ではなく、第1の熱交換器28で少なくとも部分的に凝縮する。
【0055】
最初の天然ガスの温度は-20℃未満であり、特に-25℃~-45℃の範囲内であり、特に-37℃である。
【0056】
その後、流れ80を分離ドラム32に導入して分離ドラム内で、分離ドラム32の底部で回収される液体流82と、分離ドラム32の塔頂部で回収される気体流84とに分離する。液体流82の流量は、特に冷却された天然ガスの流れ80が超臨界状態である場合にはゼロになり得る。
【0057】
液体流82は静的膨張バルブ86を通って流れて混合膨張相88を生成する。混合膨張相88の圧力は50バール未満であり、特に30バール未満であり、例えば28.7バールである。混合膨張相88を分離カラム34の底部レベルN1に導入する。
【0058】
気体流84を主タービン供給流90及び二次還流の流れ92に分離する。
【0059】
タービン供給流90のモル流量は二次還流の流れ92のモル流量より大きく、特に二次還流の流れ92のモル流量の5%~25%の範囲内である。
【0060】
タービン供給流90を動的膨張タービン36に導入して、動的膨張タービン36内で50バール未満、特に30バール未満、例えば28.7バールの圧力に膨張させる。
【0061】
流れ90の動的な膨張により、10,000kWを超えるエネルギー、例えば10,865kWのエネルギーを回収することができる。
【0062】
動的膨張タービン36からの冷却されて膨張した流れ94の温度は、例えば-70℃未満であり、特に-80℃未満であり、例えば-80.8℃である。
【0063】
その後、冷却されて膨張した流れ94を分離カラム34にレベルN1の上側にあるレベルN2で導入する。
【0064】
還流の流れ92を静的膨張バルブ96に導入して、静的膨張バルブ96内で50バール未満、特に30バール未満、特には28.7バールの圧力に膨張させる。還流の流れ92を第2の上流側熱交換器30で-80℃未満、特に-90℃未満、特に-95.8℃の温度に冷却する。
【0065】
膨張して冷却された還流の流れを、分離カラム34の塔頂部で分離カラム34にレベルN2の上側にあるレベルN3で導入する。
【0066】
分離カラム34の圧力は、優先的には10バール~40バールの範囲内であり、特に20バール~40バールの範囲内であり、例えば実質的に28.5バールである。
【0067】
分離カラム34は塔頂流98を生成する。塔頂流98を、第2の上流側熱交換器30で加熱して、次に第1の上流側熱交換器28で最初の天然ガス12に対して向流で加熱して、加熱された塔頂流100 を生成する。
【0068】
加熱された塔頂流100 の温度は0℃より高く、特に15℃より高く、例えば17.6℃である。
【0069】
次に、加熱された塔頂流100 を、タービン36に連結されたコンプレッサ38で圧縮し、その後冷却器42で冷却して、30バールより高く、特に34.6バールの圧力の流れを得る。
【0070】
次に、この流れをコンプレッサ40で再圧縮して、その後冷却器44で冷却し、液化ユニット24のための圧縮された精製天然ガスの流れ102 を生成する。
【0071】
圧縮された精製天然ガスの流れ102 の圧力は、60バールより高く、特に80バールより高く、例えば91バールである。圧縮された精製天然ガスの流れ102 の温度は、0℃より高く、特に10℃より高く、より具体的には21.5℃である。
【0072】
ここで、冷却器42, 44には、10℃未満、特に7℃の温度の冷却流が供給される。冷却流は、特に空気又は水とすることができる。
【0073】
圧縮された精製天然ガスの流れ102 はメタンが豊富である。圧縮された精製天然ガスの流れ102 のメタン濃度は99.0 mol%より高く、特に99.1 mol%である。圧縮された精製天然ガスの流れ102 は、低い窒素濃度、特に1.0mol%未満の窒素濃度、及びC2+ 炭化水素の低い濃度、より具体的には0.5mol%未満、実質的には0.2mol%のエタン濃度を有する。
【0074】
分離カラム34は底部でC2+ 炭化水素が豊富な底流106 を生成する。底流106 は、例えば最初の天然ガス12に含まれる95 mol%を超えるエタン、及びこの流れに含まれる100mol%のC3+ 炭化水素を含む。
【0075】
底流106 の温度は10℃より高く、特に20℃~30℃の範囲内であり、例えば23.2℃である。底流106 は、1000 ppmv未満の二酸化炭素、優先的には200 ppmv~500 ppmvの範囲内の二酸化炭素、例えば313 ppmvの二酸化炭素を含む。底流106 のメタン濃度は5mol %未満であり、例えば0mol %~3mol %の範囲内であり、特に1mol %未満である。
【0076】
以下の表は、底流106 の組成の例を示す。
【0077】
【表2】
【0078】
分離カラム34から、レベルN1より低く、例えば分離カラム34の最上部から20段目のレベルN5で第1の横方向の再沸騰流108 を抽出する。
【0079】
第1の液体の再沸騰流108 を第1の熱交換器28に送り、第1の熱交換器28内で特に最初の天然ガス12との熱交換によって0℃を超える温度、特に8.25℃の温度に加熱する。その後、再沸騰流108 を、レベルN5より低く、例えば分離カラム34の最上部から21段目のレベルN6で分離カラム34に再び導入する。
【0080】
同様に、分離カラム34からレベルN6より低く、例えば分離カラム34の最上部から22段目のレベルN7で第2の液体の再沸騰流110 を抽出して底部リボイラ35に送り、底部リボイラ35内で0℃を超える温度、例えば10.7℃の温度に加熱する。1MWを超えるエネルギー、例えば4MWのエネルギーが第2の液体の再沸騰流110 に供給される。
【0081】
その後、第2の液体の再沸騰流110 を、レベルN7より下のレベルN8で分離カラム34に戻す。レベルN8は、例えば分離カラムの最上部から23段目にある。
【0082】
底流106 を、ポンプ46に送り込んで分留カラム48の中間レベルP1に導入する。
【0083】
分留カラム48は、1mol %未満のC3+ 炭化水素、より具体的には1mol %未満のプロパンを含む塔頂流112 を塔頂部で生成する。
【0084】
塔頂流112 を冷却器54で部分的に凝縮して、次に還流ドラム56で分離し、エタンが豊富な流れ14を最上部で生成して、還流ポンプ58のポンピング後に分留カラム48の最上部に再び導入される液体の還流の流れ114 を底部で生成する。
【0085】
エタンが豊富な流れ14は、最初の天然ガス12に含まれる96 mol%を超えるエタンを含む。エタンが豊富な流れ14は、97 mol%を超えるエタンを含む。
【0086】
エタンが豊富な流れ14はここではガス状である。変形例(不図示)では、エタンが豊富な流れ14は液体流114 から取り出される液体である。
【0087】
C3+ 炭化水素の流れは500 ppmv未満のエタン、より具体的には100 ppmv未満のエタンを含む。
【0088】
圧縮された精製天然ガスの流れ102 は液化ユニット24に送られ、液化ユニット24は、既知の方法で加圧された液化天然ガスの流れ120 を生成する。
【0089】
加圧された天然ガスの流れの圧力は20バールより高く、特に20バール~90バールの範囲内であり、有利には73バールである。加圧された天然ガスの流れの温度は、-120 ℃より低く、特に-130 ℃より低く、有利には-136.8 ℃である。
【0090】
圧縮された液化天然ガス120 を膨張部品60、ここでは動的膨張タービンに導入する。圧縮された液化天然ガス120 を、5バール未満、特に2バール未満、例えば1.25バールの圧力に膨張させて、フラッシュさせた液化天然ガスの流れ122 を生成する。
【0091】
フラッシュさせた液化天然ガスの流れ122 をフラッシュドラム62に導入して、フラッシュドラム内で、膨張した液化天然ガスの流れ124 とフラッシュガスの第1の流れ126 とに分離する。
【0092】
膨張した液化天然ガスの流れ124 をポンプ64によって貯蔵タンク66に送り込んで、膨張した液化天然ガス18を生成する。
【0093】
フラッシュガスの第1の流れ126 をフラッシュドラム62の塔頂部で回収する。フラッシュガスの第1の流れ126 を下流側熱交換器68に導入して、下流側熱交換器68で、圧縮された精製天然ガス102 の一部に対して向流で加熱し、フラッシュドラム62の上流側で、フラッシュした液化天然ガスの流れ122 に再び導入する。
【0094】
下流側熱交換器68での熱交換後、このようにして生成されて加熱されたフラッシュガスの流れ130 の温度は-60℃より高く、特に実質的に5℃である。加熱されたフラッシュガスの流れ130 のメタン濃度は非常に高く、例えば80 mol%より高く、例えば85 mol%より高く、特に90 mol%より高い。このようなメタン濃度は有利には95 mol%より高く、特に96 mol%より高く、例えば96.46mol%である。
【0095】
加熱されたフラッシュガスの流れ130 の窒素濃度は20 mol%未満であり、例えば15 mol%未満であり、特に10 mol%未満である。前記窒素濃度は有利には5mol %未満であり、特に4mol %未満であり、例えば実質的に3.54 mol%である。
【0096】
加熱されたフラッシュガスの流れ130 のエタン濃度は50 ppmv未満であり、特に10ppmv未満であり、例えば5ppmvである。
【0097】
加熱されたフラッシュガスの流れ130 は、吸込フラスコ70を通って流れた後、圧縮装置72で25バールを超える圧力、特に30バールを超える圧力、例えば60バールの圧力に圧縮されて、圧縮されたフラッシュガスの流れ132 を生成する。
【0098】
圧縮されたフラッシュガスの流れ132 を燃料流20及び再循環流134 に分離する。
【0099】
燃料流20は、装置10の燃料ガス網に送られて、例えば天然ガス液化ユニット24のガスタービンに供給されるか、又は例えば装置10のコンプレッサ40若しくは他の機器に供給するように構成されている電流発生ユニットのガスタービンに供給される。
【0100】
再循環流134 の圧力は30バールより高く、特に50バールより高く、例えば58.5バールである。
【0101】
再循環流134 を第1の熱交換器28、次に第2の熱交換器30に連続的に搬送して、-80℃未満、特に-90℃未満、例えば-95.5℃の温度に冷却する。
【0102】
その後、再循環流134 を静的膨張バルブ136 内で50バール未満、特に30バール未満、例えば28.7バールの圧力に膨張させて、分離カラム34の塔頂レベルN9、例えば分離カラム34の最上部から1段目で分離カラム34に導入する。レベルN9は、膨張して冷却された還流の流れを導入するためにレベルN3の上側にある。
【0103】
上述したように、エタンが液化天然ガス18に残存しているか又は分離カラム34、次に分留カラム48で連続的に抽出されるため、フラッシュガスの流れ126 からの再循環流134 はメタンが非常に豊富である。
【0104】
従って、分離カラム34の塔頂部に導入される還流の組成は、分離カラム34の塔頂流98の質の変動にかかわらず、メタンが非常に豊富なままである。
【0105】
新たな還流が存在するため、本方法の実行中、更に設計段階中にも運用上の柔軟性が更にもたらされる。
【0106】
このため、エタン抽出ユニット22及び液化ユニット24で必要なコンプレッサ及びコンプレッサの駆動モードを最善に選択するために、2つのユニット22, 24のパラメータを調節することにより、エタン抽出ユニット22と液化ユニット24とのエネルギー消費全体を最適化することが可能である。これにより、以下の例に示されているように投資コストが大幅に削減され、運転コストも大幅に削減される。
【0107】
変形例(不図示)では、加熱された塔頂流100 は、同一の電力の2つの圧縮段を備えた圧縮装置内でタービン36に連結されているコンプレッサ38の出口で圧縮され、総電力はコンプレッサ40の電力と等しい。圧縮装置は、圧縮段間にガスを冷却する中間冷却器を有している。このようにして得られた構成により、5.8 MWの電力が節約される。
【0108】
本発明に係る第2の方法を実行するための第2の装置140 が図2に示されている。
【0109】
本発明に係る第2の方法は、本発明に係る第1の方法と同様である。第2の方法は、圧縮された精製天然ガスの流れ102 から再循環流142 を除く工程を有する点で本発明に係る第1の方法とは異なる。
【0110】
再循環流142 のモル流量は、液化ユニット24への導入の際の、再循環流142 を除いた後の圧縮された精製天然ガスの残りの流れ102 のモル流量より少ないことが有利である。
【0111】
再循環流142 の圧力は50バールより高く、特に80バールより高く、例えば90バールである。再循環流142 を第1の熱交換器28、次に第2の熱交換器30に連続的に導入して、-90℃未満、優先的に-95℃未満、例えば実質的に-95.4℃の温度に冷却する。
【0112】
その後、再循環流142 を50バール未満、特に30バール未満、特に28.7バールの圧力に膨張させて、再循環流134 と還流の流れ92との間で分離カラム34に導入する。
【0113】
本発明に係る第3の方法を実行するための第3の装置150 が図3に示されている。
【0114】
装置150 は、貯蔵部66で生成された蒸発ガスを収集して再圧縮するための収集システム152 を備えている点で第1の装置10とは異なる。
【0115】
収集システム152 は、保護ドラム154 と、冷却器160 によって2つずつ離隔している複数の圧縮段158 を含む圧縮装置156 とを有している。
【0116】
貯蔵部66内の液化天然ガスを蒸発させることにより得られたフラッシュガスの第2の流れ162 を貯蔵部66の塔頂部で収集し、その後、圧縮装置156 に導入して25バールを超える圧力、特に26バール~70バールの範囲内の圧力、例えば60バールの圧力に圧縮する。
【0117】
このように生成されて圧縮されたフラッシュガスの第2の流れ164 を燃料流20及び再循環流134 に分離し、再循環流134 を熱交換器28, 30で冷却して膨張バルブ136 で膨張させた後に分離カラム34に再び導入する。
【0118】
図3に示されている例では、装置150 が膨張部品60を備えないことが有利である。液化ユニット24からの圧縮された液化天然ガス120 を、液化天然ガスのための貯蔵部66に直接導入して貯蔵部66内でフラッシュさせる。
【0119】
本発明に係る第4の方法を実行するための第4の装置170 が図4に示されている。
【0120】
第4の装置170 は、貯蔵ユニット66が、第3の装置150 と同様に蒸発ガスを収集するためのシステム152 を有している点で第1の装置10とは異なる。
【0121】
本発明に係る第4の方法の実行中、圧縮されたフラッシュガスの第1の流れ132 及び圧縮されたフラッシュガスの第2の流れ164 を混合して、その後、混合物を燃料流20及び再循環流134 に分離する。
【0122】
上記と同様に、再循環流134 を熱交換器28, 30を通して流し、次に静的膨張バルブ136 で膨張させた後、分離カラム34に再び導入する。
【0123】
本発明に係る第5の方法を実行するための第5の装置200 が図5に示されている。
【0124】
第5の方法は、ドラム32から回収された気体流84全体が、分離することなく動的膨張タービン36に送られるタービン供給流90を形成する点で図2に示されている第2の方法とは異なる。
【0125】
上述した発明により、分離カラム34の還流の組成を実質的に一定に保つことが可能であり、再循環流134 の供給がない場合、分離カラム34から抽出される塔頂流98の組成の変動中に生じる雪だるま効果が防止される。
【0126】
従って、前記方法は、投資コスト又は運転コストを上昇させることなく、抽出されたエタンの一定濃度を維持するのに簡単且つ効果的である。
【0127】
本方法のエネルギー消費が、以下の表に詳細に示されている。
【0128】
【表3】
【0129】
上記の表に示されているように、再循環流134 から生じる還流の存在下で消費される総電力は、消費電力と装置によって生成される液化天然ガスの流量で割った特定電力との著しい減少を表す。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
最初の天然ガスの流れからエタンを抽出するための方法であって、
- 少なくとも1つの第1の上流側熱交換器で最初の天然ガスの流れを冷却して、冷却された天然ガスの流れを生成する工程、
- 冷却された天然ガスの流れを液体流及び気体流に分離する工程、
- 前記液体流を膨張させて、前記液体流からの少なくとも1つの流れをメタン及びC2+ 炭化水素を分離するための分離カラムに第1のレベルで導入する工程、
- 前記気体流からタービン供給流を生成する工程、
- 前記タービン供給流を動的膨張タービンで膨張させて、前記動的膨張タービンからの膨張した流れを前記分離カラムに第2のレベルで導入する工程、
- 前記分離カラムから回収されたC2+ 炭化水素が豊富な底流を分留カラムに導入して、前記分留カラムからエタンの流れを回収する工程、
- 前記分離カラムからの塔頂流の少なくとも一部を回収して圧縮し、圧縮された精製天然ガスの流れを生成する工程、
- 圧縮された精製天然ガスの流れを液化ユニットで液化して、加圧された液化天然ガスの流れを生成する工程、
- 加圧された液化天然ガスの流れのフラッシュ膨張を行って、膨張した液化天然ガスを貯蔵部に回収する工程、
- 加圧された液化天然ガスの流れの膨張によって得られたフラッシュガスの少なくとも1つの流れを回収する工程、
- 前記フラッシュガスの少なくとも1つの流れを圧縮する工程、
- 圧縮されたフラッシュガスの流れを燃料流及び再循環流に分離する工程、
- 前記再循環流を少なくとも部分的に冷却して膨張させ、その後、冷却されて膨張した再循環流を前記分離カラムの塔頂段に導入する工程
を有する、方法。
【請求項2】
前記再循環流のメタン濃度が90 mol%より高、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再循環流の導入を、前記分離カラムの最上部から1段目で行う、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記再循環流を前記第1の上流側熱交換器に導入して、前記分離カラムからの塔頂流との熱交換により冷却する、請求項1~3のいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
前記気体流を、前記動的膨張タービンに導入されるタービン供給流と、第2の上流側熱交換器で冷却して静的膨張を行った後、前記再循環流より低い位置で前記分離カラムに導入される還流の流れとに分離する、請求項1~4のいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
前記再循環流を冷却する際、前記再循環流の流れを前記第2の上流側熱交換器を通して流す、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記再循環流を膨張させる際、前記再循環流の流れを静的膨張バルブを通して流す、請求項1~6のいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
圧縮された精製天然ガスの少なくとも一部は、下流側熱交換器でフラッシュガスの流れと熱交換関係にある、請求項1~7のいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
前記液化ユニットの上流側で、圧縮された精製天然ガスの流れから再循環流を除き、前記再循環流を冷却して膨張させ、前記分離カラムに導入する、請求項1~8のいずれか1つに記載の方法。
【請求項10】
加圧された液化天然ガスの流れを動的又は静的な膨張部品で膨張させ、次にフラッシュドラムに導入して、前記貯蔵部に導入される膨張した液化天然ガスとフラッシュガスの流れとに分離する、請求項1~9のいずれか1つに記載の方法。
【請求項11】
膨張した液化天然ガスを前記貯蔵部に導入すると、前記貯蔵部にフラッシュガスの少なくとも1つの流れが生成される、請求項1~10のいずれか1つに方法。
【請求項12】
加圧された液化天然ガスの流れを、フラッシュドラムを通して流すことなく前記貯蔵部に直接導入する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記分離カラムからの塔頂流の圧縮を、前記動的膨張タービンに連結された少なくとも1つの第1のコンプレッサで行って、その後、圧縮された精製天然ガスの流れを生成するために第2のコンプレッサ、前記第2のコンプレッサで圧縮された気体のための冷却器、及び第3のコンプレッサを連続的に有する圧縮装置で行う、請求項1~12のいずれか1つに記載の方法。
【請求項14】
前記分留カラムからの塔頂流を冷却して部分的に凝縮し、次に塔頂ドラムに導入し、エタンの流れを前記塔頂ドラムの塔頂部で回収し、前記塔頂ドラムの底流を還流として前記分留カラムに再び導入する、請求項1~13のいずれか1つに記載の方法。
【請求項15】
冷却された天然ガスの流れの分離によって得られた気体流全体が、分離せずに前記動的膨張タービンに送られるタービン供給流を形成する、請求項1~14のいずれか1つに記載の方法。
【請求項16】
最初の天然ガスの流れからエタンを抽出するための装置であって、
- 最初の天然ガスの流れを冷却して、冷却された天然ガスの流れを生成するのに適した少なくとも1つの第1の上流側熱交換器と
- 冷却された天然ガスの流れを液体流及び気体流に分離するための分離器と、
- 液体流の膨張部品と、
- メタン及びC2+ 炭化水素の分離カラムと、膨張した液体流からの少なくとも1つの流れを前記分離カラムに第1のレベルで導入するためのシステムと、
- 前記気体流からタービン供給流を生成するためのシステムと、
- 前記タービン供給流を膨張させるのに適した動的膨張タービンと、前記動的膨張タービンからの膨張した流れを前記分離カラムに第2のレベルで導入するためのシステムと、
- 分留カラムと、前記分離カラムからのC2+ 炭化水素が豊富な底流を前記分留カラムに導入するためのシステムと、前記分留カラムからエタンの流れを回収するためのシステムと、
- 前記分離カラムからの塔頂流の少なくとも一部を回収して圧縮し、圧縮された精製天然ガスの流れを生成するためのシステムと、
- 加圧された液化天然ガスの流れを生成するのに適した、圧縮された精製天然ガスの流れのための液化ユニットと、
- 加圧された液化天然ガスの流れのフラッシュ膨張のためのシステムと、膨張した液化天然ガスを回収するための貯蔵部と
- 加圧された液化天然ガスの流れの膨張によって得られたフラッシュガスの少なくとも1つの流れを回収するためのシステムと、
- 前記フラッシュガスの少なくとも1つの流れを圧縮するためのシステムと、
- 圧縮されたフラッシュガスの流れを燃料流及び再循環流に分離するためのシステムと、
- 前記再循環流を冷却して少なくとも部分的に膨張させ、冷却されて膨張した再循環流を前記分離カラムの塔頂段に導入するためのシステムと
を備えている、装置。
【国際調査報告】