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特表2023-548928シリコン酸素材料、負極材料及びその製造方法、並びに、リチウムイオン電池
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】シリコン酸素材料、負極材料及びその製造方法、並びに、リチウムイオン電池
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/113 20060101AFI20231114BHJP
   H01M 4/48 20100101ALI20231114BHJP
   H01M 4/36 20060101ALI20231114BHJP
   H01M 4/587 20100101ALI20231114BHJP
   H01M 4/58 20100101ALI20231114BHJP
【FI】
C01B33/113 A
H01M4/48
H01M4/36 C
H01M4/36 E
H01M4/587
H01M4/36 B
H01M4/58
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528208
(86)(22)【出願日】2022-06-23
(85)【翻訳文提出日】2023-05-11
(86)【国際出願番号】 CN2022100781
(87)【国際公開番号】W WO2022268165
(87)【国際公開日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】202110711962.8
(32)【優先日】2021-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417045
【氏名又は名称】貝特瑞新材料集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BTR NEW MATERIAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7A, 7B, and 8, High-Tech Industrial Park, Xitian Community, Gongming Office, Guangming New District Shenzhen, Guangdong 518106 China
(71)【出願人】
【識別番号】521520935
【氏名又は名称】惠州市鼎元新能源科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】陳 曦
(72)【発明者】
【氏名】厖 春雷
(72)【発明者】
【氏名】▲デン▼ 志強
(72)【発明者】
【氏名】梁 騰宇
(72)【発明者】
【氏名】任 建国
(72)【発明者】
【氏名】賀 雪琴
【テーマコード(参考)】
4G072
5H050
【Fターム(参考)】
4G072AA24
4G072AA35
4G072BB07
4G072DD04
4G072GG02
4G072HH04
4G072HH13
4G072HH22
4G072HH23
4G072HH24
4G072JJ38
4G072JJ41
4G072JJ42
4G072JJ47
4G072LL02
4G072LL03
4G072MM24
4G072QQ01
4G072QQ09
4G072RR11
4G072RR25
4G072TT01
4G072TT02
4G072TT06
4G072UU30
5H050AA07
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CB02
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB29
5H050EA08
5H050EA09
5H050EA11
5H050EA23
5H050FA16
5H050FA17
5H050FA18
5H050FA20
5H050GA02
5H050GA06
5H050GA12
5H050GA27
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA08
5H050HA09
5H050HA11
5H050HA13
5H050HA14
5H050HA15
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】本発明は、シリコン酸素材料、負極材料及びその製造方法、並びに、リチウムイオン電池を提供する。
【解決手段】前記シリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料は、一次粒子であり、前記一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。本発明に関わる負極材料は、球形度の高いシリコン酸化物を含み、循環過程において構造がより安定であり、SEI膜の繰り返し生成による材料粒子の破砕の問題を回避可能であり、サイクル性能の向上に有利であり、SEI膜の生成による体積膨張を緩和することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン酸素材料であって、
前記シリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料は、一次粒子であり、前記一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きいことを特徴とするシリコン酸素材料。
【請求項2】
前記シリコン酸素材料は、還元性金属及び還元性金属化合物のうちの少なくとも1種を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコン酸素材料。
【請求項3】
前記シリコン酸素材料は、
(1)前記還元性金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含むことと、
(2)前記還元性金属元素がLi、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiのうちの少なくとも1種を含むことと、
(3)前記シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量が10%~50%であることと、
(4)前記シリコン酸素材料中の還元性金属元素の質量含有量が0.5%~50%であることと、
(5)前記シリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面をX線で走査して得られた元素分布図において、Si、O及び還元性金属元素の分布面が均一分散状態であることと、
(6)前記還元性金属化合物が還元性金属の酸化物、還元性金属のシリサイド及び還元性金属のケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含むことと、
(7)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記還元性金属のケイ酸塩が前記一次粒子内に均一に分布することと、
(8)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量が10%~80%であることと、
(9)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩がケイ酸リチウムを含むことと、
(10)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩がケイ酸リチウムを含み、前記ケイ酸リチウムがLiSiO、LiSiO、LiSi及びLiSiのうちの少なくとも1種を含むことと、
(11)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩がケイ酸リチウムを含み、前記ケイ酸リチウムがLiSiであることと、
(12)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩が結晶質のLiSiを含み、LiSiの結晶粒サイズが20nmよりも小さいことと、
(13)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩が結晶質のLiSiを含み、前記シリコン酸素材料中のLiSiの質量含有量が20%~80%であることと、
(14)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩がケイ酸リチウムを含み、前記シリコン酸素材料中のSiとLiとのモル比が(1~50):1であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項2に記載のシリコン酸素材料。
【請求項4】
(1)前記一次粒子のwadellの球形度が0.95よりも大きいことと、
(2)前記シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズが20nm以下であることと、
(3)前記シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズが10nm以下であることと、
(4)前記シリコン酸素材料のD50がD50≦50μmを満たすことと、
(5)前記シリコン酸素材料の粒径分布が3μm<D50<10μm、2μm≦D10≦5μm、及び、0.8≦(D90-D10)/D50≦1.2を満たすことと、
(6)前記シリコン酸素材料の比表面積が10m/gよりも小さいことと、
(7)前記シリコン酸素材料が非金属ドープ元素を更に含むことと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のシリコン酸素材料。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のシリコン酸素材料を含むことを特徴とする負極材料。
【請求項6】
前記負極材料は、
(1)前記負極材料が前記シリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層を更に含むことと、
(2)前記炭素層の厚さの最大値と最小値との差が最小値よりも小さいことと、
(3)前記炭素層の厚さが10nm~500nmであることと、
(4)前記負極材料のD50がD50≦100μmを満たすことと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項5に記載の負極材料。
【請求項7】
前記負極材料は、
(1)前記負極材料が炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料が前記炭素材料中に分散され、前記負極材料が球形粒子であり、前記負極材料のwadellの球形度が0.3よりも大きいことと、
(2)前記負極材料のwadellの球形度が0.5よりも大きいことと、
(3)前記負極材料のwadellの球形度が0.92よりも大きいことと、
(4)前記シリコン酸素材料において、酸素元素の質量がシリコン元素と酸素元素との質量の総和の0%~67%(ただし、0%を含まない)を占めることと、
(5)前記負極材料のD50がD50≦40μmを満たすことと、
(6)前記負極材料の空孔率が20%よりも小さいことと、
(7)前記シリコン酸素材料の質量が前記負極材料の質量の40%~95%を占めることと、
(8)前記負極材料が炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料が前記炭素材料中に分散され、前記炭素材料が非晶質炭素を含むことと、
(9)前記負極材料が黒鉛を更に含むことと、
(10)前記負極材料が黒鉛を更に含み、前記黒鉛が天然黒鉛、人造黒鉛及びメソカーボンマイクロビーズのうちの少なくとも1種を含むことと、
(11)前記負極材料が黒鉛を更に含み、前記負極材料の総質量を100%としたときに、前記黒鉛の質量分率が0%~40%であり、前記シリコン酸素材料の質量分率が40%~95%であり、前記炭素材料の質量分率が5%~60%であることと、
(12)前記負極材料が炭素材料を更に含み、前記炭素材料が前記シリコン酸素材料の表面に形成され、且つ前記炭素材料がグラフェン構造を有することと、
(13)ラマンスペクトルにおいて、前記負極材料が炭素特徴ピークD、炭素特徴ピークG、シリコン特徴ピークA及びグラフェン特徴ピークBを有することと、
(14)前記シリコン特徴ピークAのピーク強度Iと前記グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iとの比I/Iが0.1~50であり、且つ前記炭素特徴ピークDのピーク強度Iと前記炭素特徴ピークGのピーク強度Iとの比I/Iが0.5~2.0であり、前記グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iと前記炭素特徴ピークDのピーク強度Iとの比I/Iが0~1であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項5に記載の負極材料。
【請求項8】
前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料は、前記炭素材料中に分散され、前記負極材料は、二次粒子であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の負極材料。
【請求項9】
前記負極材料は、
(1)前記シリコン酸素材料がシリコン酸化物の一次粒子であることと、
(2)前記シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積が全シリコン酸化物の体積の15%以下を占めることと、
(3)前記シリコン酸化物の粒径がD90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たすことと、
(4)前記シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズが1.0nm~20nmであることと、
(5)前記負極材料の比表面積が0.5m/g~50m/gであることと、
(6)前記負極材料のタップ密度が0.5g/cm~5.0g/cmであることと、
(7)前記負極材料の粒径D50が前記シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍であることと、
(8)前記負極材料の粒径が20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たすことと、
(9)前記負極材料における炭素元素の質量含有量が2%~20%であることと、
(10)前記負極材料の空孔率が1%~50%であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項8に記載の負極材料。
【請求項10】
前記負極材料は、前記シリコン酸素材料の表面に位置する被覆層を更に含み、前記被覆層は、可撓性ポリマーを含むことを特徴とする請求項5に記載の負極材料。
【請求項11】
前記負極材料は、
(1)前記可撓性ポリマーが天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含むことと、
(2)前記可撓性ポリマーがポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちの少なくとも1種を含むことと、
(3)前記可撓性ポリマーの重量平均分子量が2000~1000000であることと、
(4)前記可撓性ポリマーに熱架橋型官能基が含まれ、前記熱架橋型官能基がエポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちの少なくとも1種を含むことと、
(5)前記被覆層が導電性材料を更に含むことと、
(6)前記導電性材料が鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含むことと、
(7)前記鱗片状黒鉛が天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛を含むことと、
(8)前記ナノ炭素系材料が導電性グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも1種を含むことと、
(9)前記被覆層が非水溶性ケイ酸リチウムを更に含むことと、
(10)前記非水溶性ケイ酸リチウムがLiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含むことと、
(11)前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記可撓性ポリマーの質量百分率が0~10%(ただし、0を含まない)であることと、
(12)前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記鱗片状黒鉛の質量百分率が0~20%(ただし、0を含まない)であることと、
(13)前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記ナノ炭素系材料の質量百分率が0~5%(ただし、0を含まない)であることと、
(14)前記可撓性ポリマーがポリカーボネートを含むことと、
(15)前記被覆層の厚さが10nm~5000nmであることと、
(16)前記被覆層の前記負極材料における質量割合が0%~20%(ただし、0%を含まない)であることと、
(17)前記被覆層の前記負極材料における質量割合が2%~10%であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項10に記載の負極材料。
【請求項12】
負極材料の製造方法であって、
シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理し、冷却した後、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得するステップを含み、
前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きいことを特徴とする製造方法。
【請求項13】
前記製造方法は、
(1)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸素材料を製造する原料に対してプラズマ反応を行うことを含むことと、
(2)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含むことと、
(3)前記シリコン酸素材料を製造する原料がSi、SiO及びSiOの混合物と、SiO及びSiの混合物と、Si及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含み、0<y<2であることと、
(4)前記シリコン酸素材料を製造する原料がSiH及びOを含むことと、
(5)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含み、前記プラズマ流中の温度が1400℃~2400℃であることと、
(6)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含み、前記シリコン酸化物の原料の供給速度が2.0g/min~80g/minであることと、
(7)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含むことと、
(8)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含むことと、
(9)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスがメタン及び水素ガスのうちの少なくとも1種を含むことと、
(10)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスと前記シリコン酸化物とのモル比が0~0.25(ただし、0を含まない)であることと、
(11)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスの径方向速度が1m/h~10m/hであることと、
(12)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含むことと、
(13)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含み、前記還元性金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含むことと、
(14)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含み、前記還元性金属がLi、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiのうちの少なくとも1種を含むことと、
(15)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含み、前記還元性金属がLiを含み、前記シリコン酸化物を製造する原料中のSiとLiとのモル比が(1~50):1であることと、
(16)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含み、前記還元性金属がMgを含み、前記シリコン酸化物を製造する原料中のSiとMgとのモル比が(5~50):1であることと、
(17)前記製造方法が、熱処理後の生成物に対して水洗及び/又は酸洗を行い、洗浄生成物を中性になるまで洗浄し、且つ固液分離及び乾燥を行うことを更に含むことと、
(18)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが溶融したシリコン酸素材料の原料を霧化することを含むことと、
(19)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧気体を用いて霧化することを含むことと、
(20)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧ガスを用いて霧化することを含み、前記加圧ガスが保護ガスであり、前記保護ガスが窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含むことと、
(21)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧気体を用いて霧化することを含み、前記加圧気体の圧力が0.2Mpa~100Mpaであることと、
(22)前記冷却のステップが前記シリコン酸化物の原料液滴を100℃以下まで冷却することであることと、
(23)前記冷却の速度が1℃/s~100℃/sであることと、
(24)前記冷却が保護ガスを用いた冷却であり、前記保護ガスが窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含むことと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記製造方法は、
(1)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含むことと、
(2)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源が糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含むことと、
(3)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源がポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、クエン酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含むことと、
(4)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源と前記シリコン酸化物との質量比が5:(5~95)であることと、
(5)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料が黒鉛を更に含むことと、
(6)前記製造方法が、冷却された生成物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含むことと、
(7)前記製造方法が、冷却された生成物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記炭化処理の温度が600℃~1000℃であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
前記製造方法は、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行い、冷却してシリコン酸化物と炭素材料とを含む負極材料を取得することを更に含み、前記負極材料は、二次粒子であり、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きいことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記製造方法は、
(1)前記シリコン酸素材料がシリコン酸化物の一次粒子であることと、
(2)前記シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積が全シリコン酸化物の体積の15%以下を占めることと、
(3)前記シリコン酸化物の粒径がD90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たすことと、
(4)前記シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズが1.0nm~20nmであることと、
(5)前記炭素源ガスが炭化水素類を含むことと、
(6)前記炭素源ガスがメタン、アセチレン、エチレン、エタン、プロパン、プロペン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含むことと、
(7)前記キャリアガスと前記炭素源ガスとの体積比が10:(0.5~10)であることと、
(8)炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップがプラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含むことと、
(9)炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップがプラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤が糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含むことと、
(10)炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップがプラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤がポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含むことと、
(11)炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップがプラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤と前記シリコン酸化物との質量比が5:95~50:50であることと、
(12)前記負極材料の粒径D50が前記シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍であることと、
(13)前記負極材料の粒径が20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たすことと、
(14)前記負極材料における炭素元素の質量含有量が2%~20%であることと、
(15)前記負極材料の空孔率が1%~50%であることと、
(16)前記負極材料の比表面積が0.5m/g~50m/gであることと、
(17)前記負極材料のタップ密度が0.5g/cm~5.0g/cmであることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記製造方法は、
(1)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行い、負極材料を取得することを更に含むことと、
(2)前記製造方法が前記シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行うことを更に含み、前記炭素被覆処理が固相炭素被覆、液相炭素被覆及び気相炭素被覆のうちの少なくとも1種を含むことと、
(3)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含むことと、
(4)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスが炭化水素類であることと、
(5)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスがメタン、エチレン、アセチレン、プロピン、プロペン、プロパン、トルエン、ベンゼン、スチレン及びフェノールのうちの少なくとも1種を含むことと、
(6)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記熱分解の温度が600℃~1000℃であることと、
(7)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記シリコン酸素材料の加熱温度が500℃~1200℃であり、保温時間が0.5h~20hであることと、
(8)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記熱分解の反応ガス圧が1.0atm~10.0atmであることと、
(9)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス、炭素源ガス及び補助ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記補助ガスがHを含むことと、
(10)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス、炭素源ガス及び補助ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスと補助ガスとのモル比が(2~10):1であることと、
(11)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含むことと、
(12)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記炭化処理の温度が500℃~1000℃であり、炭化処理の時間が2h~20hであることと、
(13)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源が糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含むことと、
(14)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源がポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含むことと、
(15)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源と前記シリコン酸素材料との質量比が5:(5~95)であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項12~14の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記製造方法は、可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行い、負極材料を取得することを更に含むことを特徴とする請求項12~14の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記製造方法は、
(1)前記可撓性ポリマーが天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含むことと、
(2)前記可撓性ポリマーがポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含むことと、
(3)前記可撓性ポリマーの重量平均分子量が2000~1000000であることと、
(4)前記可撓性ポリマーに熱架橋型官能基が含まれ、前記熱架橋型官能基がエポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含むことと、
(5)前記可撓性ポリマーがポリオレフィン及びその誘導体、又は、ポリオレフィン及びその誘導体とアルギン酸及びその誘導体との組み合わせであることと、
(6)前記コート液が溶媒を含み、前記溶媒が水、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素から選択されるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであることと、
(7)前記コート液が逆溶媒を含み、前記逆溶媒が可撓性ポリマーの貧溶媒であることと、
(8)前記コート液が逆溶媒を含み、前記逆溶媒がメタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素から選択されるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであることと、
(9)前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップが、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含むことと、
(10)前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップが、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含み、前記熱処理の温度が100℃~400℃であり、前記熱処理の時間が2h~12hであることと、
(11)前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップが、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含み、前記撹拌の温度が20℃~100℃であり、前記撹拌の時間が1~24hであることと、
(12)前記コート液が導電性材料を更に含むことと、
(13)前記コート液が導電性材料を更に含み、前記導電性材料が鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含むことと、
(14)前記コート液が非水溶性ケイ酸リチウムを更に含むことと、
(15)前記コート液が非水溶性ケイ酸リチウムを更に含み、前記非水溶性ケイ酸リチウムがLiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含むことと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
請求項1~4の何れか一項に記載のシリコン酸素材料、請求項5~11の何れか一項に記載の負極材料、又は、請求項12~19の何れか一項に記載の製造方法によって製造された負極材料を含むことを特徴とするリチウムイオン電池。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年6月25日に中国専利局へ提出された、出願番号が2021107119628であって発明名称が「シリコン酸化物、負極材料、製造方法及び応用」である中国特許出願の優先権を要求し、その全ての内容は、引用によって本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、負極材料の技術分野に関し、具体的に、シリコン酸素材料、負極材料及びその製造方法、リチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0003】
SiOx(0<x<2)負極材料は、現在最も有力視されるリチウムイオン電池負極材料であり、黒鉛の低比容量、ケイ素単体の高貯蔵リチウム電圧プラットフォーム及び相対的に悪いサイクルや倍率性能の欠点を同時に克服しながら、良好な安全性及び広範な原料供給源を有する。しかし、SiOx負極材料は、サイクル過程において約200%の体積膨張率を有し、如何にしてSiOx負極材料の体積膨張を低下させるかは、業界の研究の焦点となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、本願は、シリコン負極材料の初回クーロン効率を向上させつつ製造コストを低減可能であるシリコン酸素材料、負極材料及びその製造方法、並びに、リチウムイオン電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様において、本願は、シリコン酸素材料を提供し、前記シリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料は、一次粒子であり、前記一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0006】
本願に関わるシリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、シリコン酸化物は、wadellの球形度が0.92よりも大きい球形シリコン酸化物の一次粒子であり、球形粒子は、等方性の特徴を有するため、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けて構造の安定性を保持することができ、形状の不均一による応力の「脆弱点」の受けが現れないので、粒子構造の崩れ及びSEI膜の破裂によって電解液が材料内部に浸透する可能性が大幅に低減され、電解液が材料内部に浸透して新たなSEI膜を生成し続けることが効果的に回避され、SEI膜の繰り返し破砕及び生成が回避され、材料の体積膨張が低減され、材料のサイクル性能が向上する。また、同体積の粒子のうち球形粒子の比表面積が最小であり、循環過程において生成されたSEI膜が最も少ないため、不可逆充電容量が効果的に減少し、循環過程における不可逆容量損失が更に低減することができる。
【0007】
幾つかの実施形態において、前記シリコン酸素材料は、還元性金属及び還元性金属化合物のうちの少なくとも1種を更に含む。
【0008】
本願に関わるシリコン酸素材料は、シリコン酸化物、還元性金属及び/又は還元性金属化合物を含み、当該シリコン酸化物の一次粒子においてSi、O及び還元性金属が均一に分布し、シリコン酸素材料は、wadellの球形度が0.92よりも大きい球形の一次粒子であり、球形粒子は、等方性の特徴を有するため、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けて構造の安定性を保持することができ、形状の不均一による応力の「脆弱点」の受けが現れないので、粒子構造の崩壊及びSEI膜の破裂によって電解液が材料内部に浸透する可能性が大幅に低減され、電解液が材料内部に浸透して新たなSEI膜を生成し続けることが効果的に回避され、SEI膜の繰り返し破砕及び生成が回避され、材料の体積膨張が低減され、材料のサイクル性能が向上する。また、同体積の粒子のうち球形粒子の比表面積が最小であり、循環過程において生成されたSEI膜が最も少ないため、不可逆充電容量が効果的に減少し、循環過程における不可逆容量損失が更に低減することができる。
【0009】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含む。
【0010】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属元素は、Li、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiのうちの少なくとも1種を含む。
【0011】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、10%~50%である。
【0012】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料中の還元性金属元素の質量含有量は、0.5%~50%である。
【0013】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面をX線で走査して得られた元素分布図において、Si、O及び還元性金属元素の分布面は、均一分散状態である。
【0014】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属の酸化物、還元性金属のシリサイド及び還元性金属のケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0015】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記還元性金属のケイ酸塩は、前記一次粒子内に均一に分布する。
【0016】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、10%~80%である。
【0017】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含む。
【0018】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含み、前記ケイ酸リチウムは、LiSiO、LiSiO、LiSi及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0019】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含み、前記ケイ酸リチウムは、LiSiである。
【0020】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、結晶質のLiSiを含み、LiSiの結晶粒サイズは、20nmよりも小さい。
【0021】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、結晶質のLiSiを含み、前記シリコン酸素材料中のLiSiの質量含有量は、20%~80%である。
【0022】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含み、前記シリコン酸素材料中のSiとLiとのモル比は、(1~50):1である。
【0023】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記一次粒子のwadellの球形度は、0.95よりも大きい。
【0024】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズは、20nm以下である。
【0025】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズは、10nm以下である。
【0026】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の平均粒径D50は、D50≦50μmを満たす。
【0027】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の粒径分布は、3μm<D50<10μm、2μm≦D10≦5μm、及び、0.8≦(D90-D10)/D50≦1.2を満たす。
【0028】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の比表面積は、10m/gよりも小さい。
【0029】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料は、非金属ドープ元素を更に含む。
【0030】
第2態様において、本願は、負極材料を提供する。前記負極材料は、上記シリコン酸素材料を含む。
【0031】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、前記シリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層を更に含む。
【0032】
上記解決手段において、シリコン酸素材料の一次粒子の表面に炭素層を形成することにより、一次粒子が充放電サイクル中に粒子が破裂し、粉化することを効果的に抑制することができ、材料の体積膨張を緩和し、負極材料内部の一次粒子の構造安定性を保証することができる。炭素層で被覆した後、より高い導電性及び安定性を有し、炭素充填材料の内部空孔を効果的に回避し、材料の初回効率を向上させることができ、それにより負極材料は、高容量、長サイクル寿命、高倍率性能及び低膨張等の特性を示すことができる。
【0033】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記炭素層の厚さの最大値と最小値との差は、最小値よりも小さい。
【0034】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記炭素層の厚さは、10nm~500nmである。
【0035】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のD50は、D50≦100μmを満たす。
【0036】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、金属化合物を更に含み、前記金属化合物は、金属酸化物、金属シリサイド及び金属ケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0037】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料は、前記炭素材料中に分散され、前記負極材料は、球形粒子であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.3よりも大きい。
【0038】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のwadellの球形度は、0.5よりも大きい。
【0039】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0040】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料において、酸素元素の質量は、シリコン元素と酸素元素との質量の総和の0%~67%(ただし、0%を含まない)を占める。
【0041】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のD50は、D50≦40μmを満たす。
【0042】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の空孔率は、20%よりも小さい。
【0043】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料は、前記負極材料の質量の40%~95%を占める。
【0044】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料は、前記炭素材料中に分散され、前記炭素材料は、非晶質炭素を含む。
【0045】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、黒鉛を更に含む。
【0046】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、黒鉛を更に含み、前記黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛及びメソカーボンマイクロビーズのうちの少なくとも1種を含む。
【0047】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、黒鉛を更に含み、前記負極材料の総質量を100%としたときに、前記黒鉛の質量分率は、0%~40%であり、前記シリコン酸素材料の質量分率は、40%~95%であり、前記炭素材料の質量分率は、5%~60%である。
【0048】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記炭素材料は、原位置で成長して前記シリコン酸素材料の表面に形成され、且つ前記炭素材料は、グラフェン構造を有する。
【0049】
幾つかの実行可能な実施形態において、ラマンスペクトルにおいて、前記負極材料は、炭素特徴ピークD、炭素特徴ピークG、シリコン特徴ピークA及びグラフェン特徴ピークBを有する。
【0050】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン特徴ピークAのピーク強度Iと前記グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iとの比I/Iは、0.1~50であり、且つ前記炭素特徴ピークDのピーク強度Iと前記炭素特徴ピークGのピーク強度Iとの比I/Iは、0.5~2.0であり、前記グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iと前記炭素特徴ピークDのピーク強度Iとの比I/Iは、0~1である。
【0051】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料は、前記炭素材料中に分散され、前記負極材料は、二次粒子であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きい。
【0052】
上記解決手段において、当該負極材料が二次粒子であり、シリコン酸素材料の一次粒子が炭素材料中に分散され、二次粒子における炭素層が、シリコン酸素材料粒子表面を被覆する作用を果たすだけでなく、シリコン酸素材料を接続して二次粒子を構成する作用も果たし、優れた電気化学的性能を有する。二次粒子内部の多孔質構造は、一部の体積膨張を吸収して材料の循環性能の向上と相乗作用することができる。且つ一次粒子の間に充填された炭素は、粒子と粒子との間の良好な電気的接触を提供することができ、電解液と活物質との直接的な接触を減少させ、粒子の粉化時に活物質間が電気的接触を失うことによるサイクル劣化を回避する。それは、球形構造の安定性と相乗作用して優れた電気化学的性能を実現する。
【0053】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料は、シリコン酸化物の一次粒子である。
【0054】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の体積の15%以下を占める。
【0055】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物の粒径は、D90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たす。
【0056】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、1.0nm~20nmである。
【0057】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の比表面積は、0.5m/g~50m/gである。
【0058】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のタップ密度は、0.5g/cm~5.0g/cmである。
【0059】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の粒径D50は、前記シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍である。
【0060】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の粒径は、6μm≦D90≦8μm、4μm<D50<6μm、及び、2μm≦D10≦3μmを満たす。
【0061】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料中の炭素元素の質量含有量は、2%~20%である。
【0062】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の空孔率は、1%~50%である。
【0063】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、前記シリコン酸素材料の表面に位置する被覆層を更に含み、前記被覆層は、可撓性ポリマーを含む。
【0064】
上記解決手段において、被覆層は、シリコン酸素材料の一次粒子の表面に被覆され、高強度の可撓性ポリマーは、シリコン酸素材料の表面に被覆され、シリコン酸素材料の膨張をより効果的に抑制することができ、且つ被覆された負極材料は、導電率が高く、導電性が安定であり、優れたサイクル膨張性能を有する。
【0065】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含む。
【0066】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちの少なくとも1種を含む。
【0067】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーの重量平均分子量は、2000~1000000である。
【0068】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーには、熱架橋型官能基が含まれ、前記熱架橋型官能基は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちの少なくとも1種を含む。
【0069】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層は、導電性材料を更に含む。
【0070】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記導電性材料は、鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含む。
【0071】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記鱗片状黒鉛は、天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛を含む。
【0072】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記ナノ炭素系材料は、導電性グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも1種を含む。
【0073】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含む。
【0074】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記非水溶性ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0075】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記可撓性ポリマーの質量百分率は、0~10%(ただし、0を含まない)である。
【0076】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記鱗片状黒鉛の質量百分率は、0~20%(ただし、0を含まない)である。
【0077】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記ナノ炭素系材料の質量百分率は、0~5%(ただし、0を含まない)である。
【0078】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、ポリカーボネートを含む。
【0079】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層の厚さは、10nm~5000nmである。
【0080】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層の前記負極材料における質量割合は、0%~20%(ただし、0%を含まない)である。
【0081】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層の前記負極材料における質量割合は、2%~10%である。
【0082】
第6態様において、本願は、負極材料の製造方法を提供する。当該製造方法、以下のステップを含む。つまり、
【0083】
シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送して反応させるステップと、
【0084】
反応後の生成物を冷却し、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得するステップとを含み、前記シリコン酸素材料は、一次粒子であり、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0085】
上記解決手段において、原料は、プラズマ流中に入って高温で反応を行うと同時に、シリコン酸化物液滴を生成する。シリコン酸化物液滴が冷却され、表面張力の作用で自動的に球形になり、且つ球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率と優れたサイクル性能を有する。
【0086】
第3態様において、本願は、負極材料の製造方法を提供する。当該製造方法は、以下のステップを含む。
【0087】
シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理し、冷却した後、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得し、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0088】
上記解決手段において、原料を熱処理することにより、高温でシリコン酸化物液滴を生成する。シリコン酸化物液滴が冷却され、表面張力の作用で自動的に球形になり、且つ球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率及び優れたサイクル性能を有する。
【0089】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料を製造する原料に対してプラズマ反応を行うことを含む。
【0090】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含む。
【0091】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、Si、SiO及びSiOの混合物と、SiO及びSiの混合物と、Si及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含み、0<y<2である。
【0092】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、SiH及びOを含む。
【0093】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含み、前記プラズマ流中の温度は、1400℃~2400℃である。
【0094】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含み、前記シリコン酸化物の原料の供給速度は、2.0g/min~80g/minである。
【0095】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含む。
【0096】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含む。
【0097】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスは、メタン及び水素ガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0098】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスと前記シリコン酸化物とのモル比は、0~0.25(ただし、0を含まない)である。
【0099】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスの径方向速度が1m/h~10m/hである。
【0100】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含む。
【0101】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含み、前記還元性金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含む。
【0102】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含み、前記還元性金属は、Li、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiのうちの少なくとも1種を含む。
【0103】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含み、前記還元性金属は、Liを含み、前記シリコン酸化物を製造する原料中のSiとLiとのモル比は、(1~50):1である。
【0104】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含み、前記還元性金属は、Mgを含み、前記シリコン酸化物を製造する原料中のSiとMgとのモル比は、(5~50):1である。
【0105】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記方法は、熱処理後の生成物に対して水洗及び/又は酸洗を行い、洗浄生成物を中性になるまで洗浄し、且つ固液分離及び乾燥を行うことを更に含む。
【0106】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、溶融したシリコン酸素材料の原料を霧化することを含む。
【0107】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧気体を用いて霧化することを含む。
【0108】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧ガスを用いて霧化することを含み、前記加圧ガスは、保護ガスであり、前記保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0109】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧気体を用いて霧化することを含み、前記加圧気体の圧力は、0.2Mpa~100Mpaである。
【0110】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記冷却のステップは、前記シリコン酸化物の原料液滴を100℃以下まで冷却することである。
【0111】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記冷却の速度は、1℃/s~100℃/sである。
【0112】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記冷却は、保護ガスを用いた冷却であり、前記保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0113】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物原料は、SiOzであり、0<z<2である。
【0114】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物原料は、SiO、Si及びSiOの混合物と、Si及びSiOの混合物と、SiO及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含む。
【0115】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含む。
【0116】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0117】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、クエン酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0118】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源と前記シリコン酸化物との質量比は、5:(5~95)である。
【0119】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料は、黒鉛を更に含む。
【0120】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記方法は、冷却された生成物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含む。
【0121】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記方法は、冷却された生成物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記炭化処理の温度は、600℃~1000℃である。
【0122】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行い、冷却してシリコン酸化物と炭素材料とを含む負極材料を取得することを更に含み、前記負極材料は、二次粒子であり、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きい。
【0123】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物の一次粒子である。
【0124】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の体積の15%以下を占める。
【0125】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物の粒径は、D90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たす。
【0126】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、1.0nm~20nmである。
【0127】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記炭素源ガスは、炭化水素類を含む。
【0128】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記炭素源ガスは、メタン、アセチレン、エチレン、エタン、プロパン、プロペン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。
【0129】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記キャリアガスと前記炭素源ガスとの体積比は、10:(0.5~10)である。
【0130】
幾つかの実行可能な実施形態において、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含む。
【0131】
幾つかの実行可能な実施形態において、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0132】
幾つかの実行可能な実施形態において、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0133】
幾つかの実行可能な実施形態において、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤と前記シリコン酸化物との質量比は、5:95~50:50である。
【0134】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の粒径D50は、前記シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍である。
【0135】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の粒径は、20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たす。
【0136】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料における炭素元素の質量含有量は、2%~20%である。
【0137】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の空孔率は、1%~50%である。
【0138】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の比表面積は、0.5m/g~50m/gである。
【0139】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のタップ密度は、0.5g/cm~5.0g/cmである。
【0140】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行い、負極材料を取得することを更に含む。
【0141】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行うことを更に含み、前記炭素被覆処理は、固相炭素被覆、液相炭素被覆及び気相炭素被覆のうちの少なくとも1種を含む。
【0142】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含む。
【0143】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスは、炭化水素類である。
【0144】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスは、メタン、エチレン、アセチレン、プロピン、プロペン、プロパン、トルエン、ベンゼン、スチレン及びフェノールのうちの少なくとも1種を含む。
【0145】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記熱分解の温度は、600℃~1000℃である。
【0146】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記シリコン酸素材料の加熱温度は、500℃~1200℃であり、保温時間は、0.5h~20hである。
【0147】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記熱分解の反応ガス圧は、1.0atm~10.0atmである。
【0148】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス、炭素源ガス及び補助ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記補助ガスは、Hを含む。
【0149】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス、炭素源ガス及び補助ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスと補助ガスとのモル比は、(2~10):1である。
【0150】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含む。
【0151】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記炭化処理の温度は、500℃~1000℃であり、炭化処理の時間は、2h~20hである。
【0152】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0153】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0154】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源と前記シリコン酸素材料との質量比は、5:(5~95)である。
【0155】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行い、負極材料を取得することを更に含む。
【0156】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含む。
【0157】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0158】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーの重量平均分子量は、2000~1000000である。
【0159】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーに熱架橋型官能基が含まれ、前記熱架橋型官能基は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0160】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリオレフィン及びその誘導体とアルギン酸及びその誘導体との組み合わせである。
【0161】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、溶媒を含み、前記溶媒は、水、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素から選択されるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0162】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、逆溶媒を含み、前記逆溶媒は、可撓性ポリマーの貧溶媒である。
【0163】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、逆溶媒を含み、前記逆溶媒は、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素から選択されるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0164】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップは、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含む。
【0165】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップは、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含み、前記熱処理の温度は、100℃~400℃であり、前記熱処理の時間は、2h~12hである。
【0166】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップは、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含み、前記撹拌の温度は、20℃~100℃であり、前記撹拌の時間は、1~24hである。
【0167】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、導電性材料を更に含む。
【0168】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、導電性材料を更に含み、前記導電性材料は、鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含む。
【0169】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含む。
【0170】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含み、前記非水溶性ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0171】
第4態様において、本願は、リチウムイオン電池を提供する。当該リチウムイオン電池は、上記負極材料又は上記製造方法で得られた負極材料を含む。
【発明の効果】
【0172】
本願の解決手段は、少なくとも以下の有利な作用効果を有する。
【0173】
本願に関わるシリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、シリコン酸化物は、wadellの球形度が0.92よりも大きい球形シリコン酸化物の一次粒子であり、球形粒子は、等方性の特徴を有するため、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けて構造の安定性を保持することができ、形状の不均一による応力の「脆弱点」の受けが現れないので、粒子構造の崩れ及びSEI膜の破裂によって電解液が材料内部に浸透する可能性が大幅に低減され、電解液が材料内部に浸透して新たなSEI膜を生成し続けることが効果的に回避され、SEI膜の繰り返し破砕及び生成が回避され、材料の体積膨張が低減され、材料のサイクル性能が向上する。また、同体積の粒子のうち球形粒子の比表面積が最小であり、循環過程において生成されたSEI膜が最も少ないため、不可逆充電容量が効果的に減少し、循環過程における不可逆容量損失が更に低減することができる。
【0174】
本願は、プラズマ法又はアトマイズ法を採用してシリコン酸素材料又は負極材料を製造し、まず原料を溶融して液滴状の生成物を取得し、次に冷却過程で高球形度のシリコン酸素材料の一次粒子を形成し、シリコン酸化物の体積膨張の技術的課題を解決し、且つ当該製造方法は、簡単で操作しやすく、量産化に適する。
【図面の簡単な説明】
【0175】
図1】本願の実施例に係る負極材料の製造方法のプロセスのフローチャートである。
図2a】本願の実施例1で製造されたシリコン酸素材料の電子顕微鏡写真である。
図2b】本願の実施例1で製造されたシリコン酸素材料の断面電子顕微鏡写真である。
図3】本願の実施例1で製造されたシリコン酸素材料の電子顕微鏡写真である。
図4a】本願の実施例3で製造されたシリコン酸素材料の電子顕微鏡写真である。
図4b】本願の実施例3で製造されたシリコン酸素材料の断面電子顕微鏡写真である。
図5a】本願の実施例4で製造されたシリコン酸素材料の電子顕微鏡写真である。
図5b】本願の実施例4で製造されたシリコン酸素材料の断面電子顕微鏡写真である。
図6】本願の実施例10で製造された負極材料の電子顕微鏡写真である。
図7a】本願の実施例12で製造されたシリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面図である。
図7b】本願の実施例12で製造されたシリコン酸素材料の一次粒子におけるSi元素の分布図である。
図7c】本願の実施例12で製造されたシリコン酸素材料の一次粒子におけるO元素の分布図である。
図7d】本願の実施例12で製造されたシリコン酸素材料の一次粒子におけるMg元素の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0176】
以下は、本願の実施例の好適な実施形態であり、注意すべきことは、当業者にとって、本願の実施例の原理から逸脱することなく、幾つかの改善及び修飾を行うことができ、これらの改善及び修飾も本願の実施例の保護範囲内のものと見なされる。
【0177】
[第1態様]
本願の実施例は、シリコン酸素材料を提供し、当該シリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、シリコン酸素材料は、一次粒子であり、一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0178】
本実施形態のシリコン酸素材料は、wadellの球形度が0.92よりも大きいシリコン酸化物の一次粒子であり、負極材料に用いられる場合、循環過程において構造がより安定であり、SEI膜の繰り返し生成による材料粒子の破砕の問題を回避することができ、材料のサイクル性能を向上させ且つSEI膜の生成による体積膨張を低減することに役立つ。従来の技術において単体シリコン又は二酸化ケイ素に対して球形化処理を行うだけであり、酸化ケイ素の球形化技術は、現在では困難であり、酸化ケイ素の高さ球形化(球形度が0.92よりも大きい)は、一層困難であり、本願において、研究開発者は、大量の試験及びプロセスの最適化により、製造された酸化ケイ素の球形度が0.92以上に達することができ、それは、循環過程において構造がより安定であり、SEI膜の繰り返し生成による材料粒子の破砕の問題を回避することができ、予想外の効果を有する。
【0179】
具体的には、シリコン酸化物の一次粒子のwadellの球形度は、0.925、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99等であってもよい。理解できるように、シリコン酸化物の一次粒子のwadellの球形度は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0180】
本願の実施例に係るシリコン酸素材料は、還元性金属及び還元性金属化合物のうちの少なくとも1種を更に含む。
【0181】
上記解決手段において、単純なシリコン酸化物の一次粒子に比べて、シリコン酸素材料中の還元性金属及び/又は還元性金属化合物は、材料の初回充電時に正極材料から脱出するリチウムの消耗を低減することができ、製造されたリチウムイオン電池は、不可逆充電リチウムの消費を大幅に低減することができ、高い充放電比容量及び優れた初回クーロン効率を有する。例えば、還元性金属がリチウム元素である場合に、プレリチウム化材料がケイ素系材料を事前にプレリチウム化するため、材料中のケイ素結晶粒のサイズが従来のケイ素基材料より顕著に大きく、それによりサイクル性能の劣化をもたらす可能性がある。球形度が高い材料は、構造安定性の向上によりサイクル性能を改善することができる。両者の総合的作用の結果により材料は、高い効果を有すると同時にサイクル性能を両立させることができ、材料全体の総合性能に優れている。
【0182】
具体的には、一次粒子のwadellの球形度は、0.925、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99等であってもよい。理解できるように、一次粒子のwadellの球形度は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0183】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の一次粒子のwadellの球形度は、0.95よりも大きい。
【0184】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含む。
【0185】
具体的には、還元性金属元素は、Li、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiから選択される少なくとも1種である。
【0186】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、10%~50%であり、具体的に、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、48%又は50%等であってもよく、ここで限定されない。
【0187】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中の還元性金属元素の質量含有量は、0.5%~50%であり、具体的に、0.5%、1%、3%、5%、7%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%等であってもよく、ここで限定されない。
【0188】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、10%~80%であり、具体的に、10%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%又は80%等であってもよく、ここで限定されない。
【0189】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面をX線で走査して得られた元素分布図において、Si、O及び還元性金属元素の分布面は、均一分散状態である。シリコン酸素材料において、Si、O及び還元性金属元素は、一次粒子内に均一に分布し、空気等の成分が一次粒子内部に浸透して活性成分が失効することを効果的に回避することができ、長期保存構造及び性質が劣化せず、リチウムイオン電池に非常に適する。均一分散の主な利点は、材料内部の各箇所の物質化状態が類似し(即ち、ケイ酸塩濃度、シリコン結晶粒サイズ等)を保証することであり、このようにリチウム放出過程で各箇所の膨張収縮がいずれも同じレベルにあり、局所的な膨張が大きすぎることによる応力の脆弱点が現れず、より優れた材料性能を発揮させる。
【0190】
幾つかの実施形態において、還元性金属化合物は、還元性金属の酸化物、還元性金属のシリサイド及び還元性金属のケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0191】
幾つかの実施形態において、還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、還元性金属のケイ酸塩は、一次粒子内に均一に分布する。
【0192】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含み、即ち、還元性金属元素は、Liである。
【0193】
幾つかの実施形態において、ケイ酸リチウムは、LiSiO、LiSiO、LiSi及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。好ましくは、ケイ酸リチウムは、LiSiである。
【0194】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、結晶質のLiSiを含み、LiSiの結晶粒サイズは、20nmよりも小さく、生成されたケイ酸塩の結晶粒サイズを制御することにより、最終的にシリコン酸素材料は、高い初回クーロン効率を取得すると同時に、材料のサイクル性能を向上させる。また、ケイ酸塩(特にケイ酸リチウム)は、良好なリチウムイオン伝導特性を有し、それよりも小さい結晶粒サイズを結合し、リチウムイオンがスムーズにリチウム吸蔵・放出反応を完了することをよりよく保証し、良好な倍率性能を示し、安全性が高い。
【0195】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、結晶質のLiSiを含み、シリコン酸素材料中のLiSiの質量含有量は、20%~80%であり、具体的に、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%又は80%等であってもよく、ここで限定されない。
【0196】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中のSiとLiとのモル比は、(1~50):1であり、具体的に、1:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1又は50:1等であってもよく、ここで限定されない。
【0197】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、シリコン酸化物に分散して分布し、シリコンの充放電時の体積膨張の問題を緩和することができる。球形構造は、材料の構造安定性を更に向上させることができ、優れたサイクル性能を有し且つ体積効果が小さく、それにより優れた電気化学的性能を有する。
【0198】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、非金属ドープ元素、例えばN、S、P等を更に含む。
【0199】
幾つかの実施形態において、一次粒子のwadellの球形度は、0.95よりも大きい。
【0200】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料のD50は、D50≦50μmを満たす。具体的には、D50は、50μm、45μm、40μm、38μm、35μm、33μm、30μm、25μm、20μm、15μm、10μm、8μm、6μm等であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0201】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の粒径分布は、3μm<D50<10μm、2μm≦D10≦5μm、及び、0.8≦(D90-D10)/D50≦1.2を満たす。シリコン酸素材料の一次粒子の粒径を適切なミクロン範囲内に制御し、粒径が小さすぎることによる大きな比表面積及びシリコン酸素材料の酸化問題を防止することができ、これらは、いずれも容量及び初回効率の低下をもたらす。(D90-D10)/D50は、材料の粒径分布を代表し、狭い粒径分布は、材料中の微粉及び大粒子が占める割合を大幅に低減し、後続の再処理過程における微粉除去工程を回避し、製品のサイクル性能を向上させ、膨張率、高温貯蔵及び高温サイクルをを改善し、相対的に低い割合の大粒子は、サイクルを改善することができ、材料は、優れたサイクル、膨張、高温貯蔵及び高温サイクル性能を有する。具体的には、D50は、3.5μm、4μm、6μm、8μm、9.5μmであってもよく、D10は、2μm、4μm、5μmであってもよく、(D90-D10)/D50は、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0202】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の比表面積は、10m/gより小さく、比表面積が10m/gよりも大きいと、容量及び初回効率の低下をもたらし、電池の性能に影響を与える。シリコン酸化物の比表面積は、具体的に、0.2m/g、0.6m/g、1.0m/g、1.5m/g、1.8m/g、2.0m/g、2.5m/g、3.0m/g、3.6m/g、4.0m/g、4.2m/g、4.6m/g、5m/g、5.2m/g、5.5m/g、5.8m/g、6.0m/g、6.2m/g、6.8m/g、7.0m/g、7.4m/g、8.0m/g、8.5m/g、9.2m/g又は9.8m/gであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0203】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズは、20nm以下である。具体的には、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、20nm、18nm、15nm、12nm、10nm、9.2nm、8nm、6.7nm、6nm、5nm又は3nm等であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0204】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、10nm以下である。Si結晶粒の大きさは、シリコン酸化物の不均化度を反映し、Si結晶粒のサイズが大きいほど、不均化の度合いが高くなることを示し、Si結晶粒とSiOを大量に生成し、それにより単体Siによるより大きな体積膨張、及び、SiOの容量がないことによる容量低下等の問題をもたらし、SiO自体の優れた性能を示すことに不利である。
【0205】
説明すべきことは、上記各実施形態のシリコン酸素材料は、互いに矛盾しない場合に、任意に組み合わせることができ、例えば比表面積とSi結晶子サイズとを組み合わせて限定する等である。
【0206】
[第2態様]
本願は、負極材料を提供し、当該負極材料は、第1態様のシリコン酸素材料を含む。
【0207】
上記シリコン酸素材料を負極材料に用いる場合、それは、サイクル過程において構造がより安定であり、SEI膜の繰り返し生成による材料粒子の破砕を回避し、負極材料のサイクル性能を向上させ、且つSEI膜の生成による体積膨張を低減することに役立つ。
【0208】
説明すべきことは、上記負極材料は、上記シリコン酸素材料のみを含むことに限定されず、幾つかの好適な実施形態において、負極材料で構成された設計に基づいて、他の材料を添加して上記シリコン酸化物と配合して負極材料の各方面の性能を最適化することができる。
【0209】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、シリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層を更に含む。
【0210】
理解できるように、負極材料中のシリコン酸素材料コアの球形度が高く、炭素被覆を行うときに炭素材料をより均一に被覆することができ、炭素層の厚さがより均一であり、露出したシリコン酸素材料の一次粒子及び炭素層の脆弱箇所がより少なく、負極材料のサイクル安定性を向上させることに役立つ。
【0211】
幾つかの実施形態において、炭素層の厚さの最大値と最小値との差は、最小値よりも小さい。
【0212】
幾つかの実施形態において、炭素層の厚さは、10nm~500nmであり、更に好ましくは、50nm~200nmである。具体的には、炭素層の厚さは、10nm、50nm、80nm、100nm、120nm、150nm、200nm、300nm、400nm又は500nmであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0213】
幾つかの実施形態において、上記負極材料のD50は、D50≦100μmを満たす。具体的には、負極材料のD50は、100μm、90μm、80μm、70μm、65μm、60μm、58μm、55μm、50μm、48μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μm、15μm又は10μm等であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0214】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、シリコンを更に含んでもよい。
【0215】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、シリコン及びリチウム含有化合物を更に含んでもよい。
【0216】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、シリコン及びケイ酸リチウムを更に含む。更に、ケイ酸リチウムは、LiSiO、LiSiO、LiSi及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0217】
幾つかの実施形態において、上記シリコン酸素材料を負極材料に適用する場合に、負極材料は、金属化合物を更に含んでもよい。金属化合物は、金属酸化物、金属シリサイド及び金属ケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0218】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、炭素材料を更に含み、シリコン酸素材料は、炭素材料中に分散される。
【0219】
シリコン酸素材料は、炭素材料中に分散され、炭素材料は、シリコン酸素材料のための導電ネットワークを構築し、シリコン酸素材料の導電性が低いという欠点を克服し、シリコン酸素材料の容量発揮及びサイクル安定化に役立つ。
【0220】
別の実施形態の負極材料であって、負極材料は、シリコン酸素材料及び炭素材料を含み、シリコン酸素材料は、炭素材料中に分散され、負極材料は、球形粒子であり、負極材料のwadellの球形度は、0.3よりも大きい。
【0221】
当該負極材料全体の球形度が高く、シリコン酸素材料が膨張過程で全ての方向に均一に膨張することができ、膨張応力が均一に分散され、同時に球形構造が安定であり、長いサイクルの過程で粒子が割れにくい。粒子の突出箇所の存在は、破断しやすい脆弱点であり、球形構造は、この構造の存在を回避するため、長いサイクル過程でSEI膜の成長が遅く、膨張率が低く、炭素材料は、シリコン酸素材料の導電性が低いという欠点を克服し、シリコン酸素材料の容量発揮及びサイクル安定に役立つ。
【0222】
具体的には、負極材料のwadellの球形度は、0.31、0.35、0.40、0.42、0.45、0.5、0.55、0.6、0.7、0.8、0.9、0.95等であってもよく、理解できるように、負極材料のwadellの球形度は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0223】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、炭素材料中に均一に分散する。
【0224】
幾つかの実施形態において、炭素材料は、シリコン酸素材料を被覆する。
【0225】
幾つかの実施形態において、負極材料のwadellの球形度は、0.5よりも大きい。
【0226】
幾つかの実施形態において、負極材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。具体的には、負極材料のwadellの球形度は、0.925、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97等であってもよい。当該負極材料の球形度が当該範囲にあると、SiOxが膨張過程で全ての方向に均一に膨張することを保証することができ、膨張応力が均一に分散される。同時に球体の構造が安定であり、長いサイクルの過程で粒子が割れにくい。粒子の突出箇所の存在は、破断しやすい脆弱点であり、球形構造は、この構造の存在を回避し、長いサイクル過程でSEI膜の繰り返し成長及び破砕を効果的に回避する。
【0227】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料において、酸素元素の質量は、シリコン元素と酸素元素との総和の0%~67%(ただし、0%を含まない)を占める。具体的には、酸素元素の質量は、ケイ素元素と酸素元素との総和が0.5%、1%、5%、10%、15%、18%、21%、28%、30%、37%、42%、47%、50%、55%、60%又は67%であってもよい。理解できるように、酸素元素の質量がケイ素元素と酸素元素との総和を占める比率は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0228】
幾つかの実施形態において、負極材料球形粒子において、シリコン酸化物のD50は、D50≦1.5μmを満たす。シリコン酸化物の粒径が小さいほど、炭素材料中での分散度合いが高くなる。具体的には、シリコン酸化物のD50は、1.5μm、1.2μm、1μm、0.8μm、0.5μm、0.4μm、0.2μm又は0.1μmであってもよい。理解できるように、シリコン酸化物のD50は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0229】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、50nm以下である。Si結晶子サイズが小さいほど、シリコン酸化物のサイクル性能が良好になり、膨張率が低くなる。具体的には、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、50nm、46nm、40nm、38nm、34nm、30nm、28nm、25nm、23nm、20nm、16nm、13nm、10nm、7nm、5nm又は3.8nm等であってもよく、理解できるように、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。好ましくは、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、20nm以下であり、より好ましくは、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、10nm以下である。
【0230】
幾つかの実施形態において、負極材料のD50は、D50≦40μmを満たす。負極材料の粒度が小さいほど、破砕しにくく、膨張率が低くなる。具体的には、負極材料のD50は、40μm、35μm、33μm、30μm、27μm、24μm、21μm、18μm、15μm、13μm、10μm、7μm、5μm、3μm又は1.5μm等であってもよい。理解できるように、負極材料のD50は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0231】
幾つかの実施形態において、負極材料の空孔率は、20%よりも小さい。空孔率が小さいほど、炭素材料とシリコン酸化物との間の接触が緊密にあり、且つ構造安定性を保持することに役立ち、負極材料の容量発揮及びサイクル安定性に役立つ。具体的には、負極材料の空孔率は、19.2%、18%、15%、13%、10%、8%、5%、3%又は2%等であってもよい。理解できるように、負極材料の空孔率は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0232】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、負極材料の質量の40%~95%を占める。具体的には、シリコン酸化物が負極材料を占める質量分率は、40%、45%、50%、58%、60%、63%、67%、70%、74%、78%、80%、85%、90%、93%又は95%であってもよい。理解できるように、シリコン酸化物が負極材料を占める質量分率は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0233】
幾つかの実施形態において、炭素材料は、非晶質炭素を含む。
【0234】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、黒鉛を更に含み、黒鉛は、炭素材料中に分散され、黒鉛の添加は、体系の導電性及び初回クーロン効率を向上させることに役立つ。
【0235】
幾つかの実施形態において、負極材料の総質量を100%としたときに、黒鉛の質量分率は、0%~40%であり、シリコン酸化物の質量分率は、40%~95%であり、炭素材料の質量分率は、5%~60%である。
【0236】
更に、黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛及びメソカーボンマイクロビーズのうちの少なくとも1種を含む。
【0237】
別の実施形態の負極材料であって、負極材料は、シリコン酸素材料及び炭素材料を含み、炭素材料の原位置で成長してシリコン酸素材料の表面に形成され、且つ炭素材料は、グラフェン構造を有し、シリコン酸素材料は、グラフェン構造を有する炭素材料中に均一に分散される。
【0238】
幾つかの実施形態において、ラマンスペクトルにおいて、負極材料は、炭素特徴ピークD、炭素特徴ピークG、シリコン特徴ピークA及びグラフェン特徴ピークBを有する。
【0239】
幾つかの実施形態において、シリコン特徴ピークAのピーク強度Iとグラフェン特徴ピークBのピーク強度Iとの比I/Iは、0.1~50であり、具体的に、0.1、0.5、0.8、1、5、8、10、15、20、25、30、35、40、45又は50等であってもよい。I/Iの比率が大きすぎると、多すぎるSiOが一次粒子の表面に露出し、炭素被覆が不完全であり、負極材料の導電性が低下し、電気化学的性能を発揮しにくい。I/Iの比率が小さすぎると、炭素被覆層が厚すぎ、材料の比容量が低下する。
【0240】
幾つかの実施形態において、炭素特徴ピークDのピーク強度Iと炭素特徴ピークGのピーク強度Iとの比I/Iは、0.5~2.0であり、具体的に、0.5、0.8、1.0、1.2、1.5、1.8又は2.0等であってもよく、I/Iの比率が大きすぎると、複合負極材料の初回効率が低下する。I/Iの比率が小さすぎると、複合負極材料の倍率性能が低下する。
【0241】
幾つかの実施形態において、グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iと炭素特徴ピークDのピーク強度Iとの比I/Iは、0~1であり、具体的に、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0等であってもよい。
【0242】
別の実施形態の負極材料であって、負極材料は、シリコン酸素材料及び炭素材料を含み、シリコン酸素材料は、炭素材料中に分散され、負極材料は、二次粒子であり、負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きい。シリコン酸素材料の球形度が高いと、二次粒子を形成する時に構造がより安定であり、二次粒子とシリコン酸素材料との球形度がいずれも非常に高いと、二次粒子全体の負極材料構造の安定性を保証する。
【0243】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物の一次粒子である。
【0244】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の15%以下を占める。
【0245】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物の粒径分布は、D90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たす。シリコン酸素材料の一次粒子の粒径を適切なミクロン範囲内に制御し、粒径が小さすぎることによる大きな比表面積及びシリコン酸素材料の酸化問題を防止することができ、これらは、いずれも容量及び初回効率の低下をもたらす。具体的には、D90は、3.5μm、4μm、6μm、8μm、9.5μm、15μm、19.5μm、20.5μm、23.5μm又は24.5μm等であってもよく、D10は、0.5μm、0.8μm、1.0μm、2μm、4μm、5μmであってもよく、D50は、1.0μm、1.2μm、2.0μm、4.5μm、5.5μm、7.5μm、8.5μm又は10μmであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0246】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、1.0nm~20nmである。具体的には、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、20nm、18nm、15nm、12nm、10nm、9.2nm、8nm、6.7nm、6nm、5nm、3nm又は1.0nm等であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0247】
幾つかの実施形態において、負極材料の比表面積は、0.5m/g~50m/gであり、負極材料の比表面積は、具体的に、0.5m/g、0.6m/g、1.0m/g、1.5m/g、2.0m/g、2.5m/g、3.0m/g、3.6m/g、4.0m/g、4.6m/g、5m/g、5.5m/g、5.8m/g、6.0m/g、6.8m/g、7.0m/g、7.4m/g、8.0m/g、8.5m/g、9.8m/g、15m/g又は50m/gであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0248】
幾つかの実施形態において、負極材料のタップ密度は、0.5g/cm~5.0g/cmであり、具体的に、0.5g/cm、0.8g/cm、1.0g/cm、1.2g/cm、1.5g/cm、2.0g/cm、2.5g/cm、3.0g/cm、3.5g/cm、4.0g/cm又は5.0g/cm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。理解できるように、負極材料のタップ密度が上記範囲内に制御され、材料のエネルギー密度を向上させることに役立つ。
【0249】
幾つかの実施形態において、負極材料の粒径D50は、シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍であり、具体的に、2倍、3倍、5倍、7倍、8倍又は10倍等であってもよい。好ましくは、負極材料の粒径D50は、シリコン酸化物の粒径D50の2~5倍である。
【0250】
幾つかの実施形態において、負極材料の粒径は、20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たす。具体的には、D90は、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm又は50μm等であってもよく、D10は、2μm、2.5μm、3μm、4μm又は5μmであってもよく、D50は、5μm、8μm、10μm、12μm、15μm、18μm又は20μmであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0251】
幾つかの実施形態において、負極材料における炭素元素の質量含有量は、2%~20%であり、具体的に、2%、5%、8%、10%、12%、15%、18%又は20%等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0252】
幾つかの実施形態において、負極材料の空孔率は、1%~50%であり、負極材料の空孔率は、具体的に、1%、5%、10%、20%、35%、48%又は50%等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。理解できるように、適切な空孔率は、負極材料の体積膨張を緩和することに役立つ。空孔率が高すぎると、材料の体積エネルギー密度を著しく低下させる。好ましくは、負極材料の空孔率は、2%~20%である。
【0253】
本願は、負極材料を提供し、当該負極材料は、第1態様のシリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に位置する被覆層とを含み、被覆層は、可撓性ポリマーを含む。
【0254】
上記解決手段において、被覆層は、シリコン酸素材料の表面に被覆され、可撓性ポリマーにより電解液中の水とシリコン酸素材料との接触を効果的に阻止し、アルカリ性を生成し、シリコン酸素材料の加工安定性の問題を改善し、材料の水系加工性能に影響を与えず、更に可撓性ポリマーによりシリコン系材料の膨張をより効果的に抑制することができ、それにより負極材料の導電率が高く、導電性が安定する。したがって、本願に関わるシリコン系負極材料は、リチウムイオン電池に非常に適し、優れたサイクル膨張性能を有する。
【0255】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含む。
【0256】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちの少なくとも1種を含む。
【0257】
本願の「天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマー」は、天然の可撓性ポリマーであってもよく、合成された可撓性ポリマーであってもよく、天然の可撓性ポリマーと合成された可撓性ポリマーとの混合物であってもよいことを指す。
【0258】
可撓性ポリマーの組み合わせは、典型的であるが非制限的な例として、ポリオレフィン及びポリビニルアルコールの組み合わせと、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースの組み合わせと、カルボキシメチルセルロース及びアルギン酸の組み合わせと、ポリアミド及びカルボキシメチルセルロースの誘導体の組み合わせと、ポリオレフィン、ポリオレフィンの誘導体及びポリアクリル酸の組み合わせと、ポリビニルアルコール、ポリアミドの誘導体及びアルギン酸の組み合わせと、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸の誘導体、ポリアミド及びアルギン酸の組み合わせ等がある。
【0259】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリオレフィン及びその誘導体とアルギン酸及びその誘導体の組み合わせを含む。
【0260】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリカーボネートを含む。
【0261】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーの重量平均分子量は、2000~1000000であり、例えば2000、5000、10000、15000、20000、30000、40000、50000、60000、75000、100000、200000、300000、350000、400000、500000、600000、650000、700000、800000、900000又は1000000等であってもよく、好ましくは、100000~500000である。
【0262】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーには、熱架橋型官能基(熱架橋性官能基とも呼ばれる)が含まれ、熱架橋型官能基は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちの少なくとも1種を含む。理解できるように、熱架橋型官能基は、一定の温度に加熱された条件で架橋反応が発生する。理解できるように、架橋(架橋反応とも呼ばれる)は、2つ以上の分子が互いに結合してネットワーク構造に架橋された比較的安定な分子(体型分子)反応であり、架橋反応は、トリガ要因に応じて物理架橋、化学架橋等に分けられ、ここで限定されない。
【0263】
幾つかの実施形態において、被覆層は、導電性材料を更に含む。
【0264】
幾つかの実施形態において、導電性材料は、鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含む。
【0265】
幾つかの実施形態において、鱗片状黒鉛は、シリコン酸素材料の表面に貼り合わせられ、可撓性ポリマーは、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆され、ナノ炭素系材料は、シリコン酸素材料の表面の、鱗片状黒鉛によって貼り合わされていない領域に充填され、及び/又は、ナノ炭素系材料は、シリコン酸素材料の表面の、可撓性ポリマーで被覆されていない領域に充填される。シリコン酸素材料の表面に貼り付けられた鱗片状黒鉛、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆された可撓性ポリマー及びケイ酸リチウム及び空隙領域に充填されたナノ炭素系材料の共同作用で、シリコン酸素材料の膨張を効果的に抑制することができ、同時に、鱗片状黒鉛の貼り合わせ及びナノ炭素系材料の空隙領域の充填により、製造された被覆後の負極材料の性能に優れ、サイクル膨張性能を効果的に抑制し、リチウムイオン電池の耐用年数を延長する。
【0266】
幾つかの実施形態において、鱗片状グラフェンは、天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛を含む。本願の「天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛」は、天然鱗片状黒鉛であってもよく、人造鱗片状黒鉛であってもよく、天然鱗片状黒鉛と人造鱗片状黒鉛との混合物であってもよいことを指す。
【0267】
幾つかの実施形態において、導電性材料は、鱗片状黒鉛とナノ炭素系材料の組み合わせを含む。導電性材料がちょうどこの2種類の材料の混合物である場合に、この2種類の物質をケイ素基複合材料と配合してケイ素基材料の膨張を抑制する作用を発揮し、導電率及び導電安定性を更に向上させることができる。
【0268】
幾つかの実施形態において、ナノ炭素系材料は、導電性グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも1種を含む。
【0269】
1つの実現可能な実施形態において、導電性材料は、導電性金属、導電性合金等を更に含んでもよい。導電性金属は、例えば銅、アルミニウム、銀、金等であってもよく、導電性合金は、例えば銅亜鉛合金、銅アルミニウム合金、チタン亜鉛合金、アルミニウム銅亜鉛合金等であってもよい。理解できるように、導電性材料に上記これらの金属物質が含まれる場合、シリコン酸素材料の表面に被覆された被覆層内にもこれらの金属物質がドープされ、それにより導電率を更に向上させる。
【0270】
幾つかの実施形態において、被覆層は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含み、非水溶性ケイ酸リチウムは、電解液中の水とシリコン酸素材料との接触を効果的に阻止することができ、アルカリ性を生成し、包まれたシリコン酸素材料は、水に溶解しやすいか又は強アルカリ性を示し、材料の水系加工性能に影響を与えない。
【0271】
幾つかの実施形態において、非水溶性ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0272】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、可撓性ポリマーの質量百分率は、0~10%(ただし、0を含まない)であり、例えば0.5%、1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、6.5%、8%、9%又は10%等であり、好ましくは、3~7%である。
【0273】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、鱗片状黒鉛の質量百分率は、0~20%(ただし、0を含まない)であり、例えば0.5%、1%、3%、3.5%、5%、6%、8%、10%、12%、13%、15%、16%、18%又は20%等であり、好ましくは、5~10%である。
【0274】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、ナノ炭素系材料の質量百分率は、0~5%(ただし、0を含まない)であり、例えば0.5%、1%、2%、2.5%、3%、4%又は5%等であり、好ましくは、1~3%である。
【0275】
幾つかの実施形態において、被覆層の厚さは、10nm~5000nmであり、被覆層の厚さは、例えば10nm、20nm、30nm、50nm、60nm、70nm、80nm、100nm、200nm、300nm、500nm、1000nm又は5000nm等であってもよく、ここで限定されない。
【0276】
幾つかの実施形態において、被覆層の負極材料における質量割合は、0%~20%(ただし、0%を含まない)であり、例えば0.5%、1%、3%、3.5%、5%、6%、8%、10%、12%、13%、15%、16%、18%又は20%等であり、好ましくは、2%~10%である。
【0277】
[第3態様]
本願の実施例は、負極材料の製造方法を提供し、図1に示すように、以下のステップを含む。
【0278】
S110では、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理する。
【0279】
S120では、冷却した後でシリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得し、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0280】
上記解決手段において、シリコン酸素材料を製造する原料を高温で熱処理すると同時にシリコン酸化物液滴を生成し、シリコン酸化物液滴が冷却され、表面張力の作用で自動的に球形になり、且つ球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率及び優れたサイクル性能を有する。
【0281】
本願の幾つかの実施形態において、熱処理の方式は、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ反応させるか又は材料を製造する原料を溶融した後で霧化し、以下では、これらの実施形態をそれぞれ説明する。
【0282】
ステップS210では、シリコン酸素材料を製造する原料に対してプラズマ反応を行う。
【0283】
ステップS220では、反応後の生成物を冷却し、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得し、シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0284】
幾つかの実施形態において、S210のステップは、具体的に、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含む。
【0285】
上記解決手段において、原料は、プラズマ流中に入り、高温で反応を行うと同時に、シリコン酸化物液滴を生成し、シリコン酸化物液滴が冷却され、表面張力の作用で自動的に球形になり、且つ球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率と優れたサイクル性能を有する。
【0286】
以下では、本解決手段S210~S220に係る製造方法を詳細に説明する。
【0287】
ステップS210の前に、方法は、以下のステップS200を更に含む。
ステップS200では、プラズマ発生器を用いてプラズマ流を生成する。
ここで、プラズマ発生器には、プラズマ発生ガスが充填されている。
【0288】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生器の高周波電力は、50~100000kWであり、この範囲では、低気圧且つ高密度のプラズマを生成することができる。具体的には、プラズマ発生器の高周波電力は、50kW、70kW、100kW、150kW、200kW、250kW、500kW、1000kW、1500kW、2000kW、2500kW、3000kW、3500kW、4000kW、4500kW、5000kW、10000kW、20000kW、30000kW、40000kW、50000kW、60000kW、70000kW、80000kW、90000kW又は100000kW等であってもよい。プラズマ発生器の高周波電力は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0289】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生器の直流電力は、2kW~3000kWである。具体的には、プラズマ発生器の直流電力は、2kW、10kW、20kW、502kW、100kW、150kW、200kW、250kW、500kW、1000kW、1500kW、2000kW、2500kW、2800kW又は3000kWであってもよい。プラズマ発生器の直流電力は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0290】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生ガスは、窒素ガス及びアルゴンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0291】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生ガスの圧力は、100torr~10000torrに制御される。具体的には、100torr、200torr、300torr、400torr、500torr、600torr、700torr、800torr、900torr、1000torr、2000torr、4000torr、6000torr、8000torr、10000torrであってもよい。ただし列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。プラズマ発生ガスの圧力を上記範囲に制御し、ガス衝突の確率を制御することにより安定したプラズマを取得することができる。
【0292】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生ガスの径方向ガス速度は、0.8m/h~100m/hである。径方向ガスは、取り込み続けることでプラズマ噴射を安定させる。
【0293】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生ガスの接線方向ガス速度は、1.0m/h~20m/hである。接線方向ガスは、放電高温時に石英管を保護するために用いられる。
【0294】
なお、プラズマ流を生成する方法は、上記方法を採用することに限定されない。
【0295】
ステップS210では、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行う。
【0296】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、Si、SiO及びSiOの混合物、SiO及びSiの混合物、並びに、Si及びSiOの混合物のうちの少なくとも1種を含み、0<y<2である。
【0297】
幾つかの実施形態において、製造されたシリコン酸化物の化学式がSiOであるときに、シリコン酸素材料を製造する原料は、SiH及びOを含む。
【0298】
原料は、全てのプラズマ流中にシリコン酸化物を生成することができる物質であってもよく、上記実施形態は、幾つかの好ましい技術的解決手段を列挙しただけであり、本願に関わる技術的解決手段を限定するものではない。
【0299】
幾つかの実施形態において、プラズマ流中の温度は、1400℃~2400℃である。具体的には、プラズマ温度は、1400℃、1450℃、1500℃、1550℃、1575℃、1600℃、1650℃、1700℃、1764℃、1800℃、1850℃、1900℃、1950℃、2000℃、2150℃、2200℃、2270℃、2300℃又は2400℃であってもよい。理解できるように、プラズマ流中の温度は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0300】
幾つかの実施形態において、原料をプラズマ流中に輸送してプラズマ反応を行うステップにおいて、原料供給速度は、2.0g/min~80g/minであり、具体的に、2.0g/min、5.0g/min、10.0g/min、15g/min、17.5g/min、20.0g/min、30g/min、35g/min、40.0g/min、45g/min、50g/min、55g/min、60.0g/min、65g/min、75g/min、80.0g/minとすることができる。原料粒子の粒径が一定である場合に、原料のプラズマ流中での滞留時間は、原料供給速度により決定される。原料供給速度が大きすぎると、原料粒子がプラズマ流を通過する時間が短すぎ、単一粒子に吸収されたエネルギーが低すぎ、粒子の溶融が不十分であり、更に生成物の球形化率を低下させる。原料供給速度が小さすぎると、粒子の球形化率を向上させることができるが、低すぎる速度は、収率を制限する。球形化率と収率を考慮した総合的な影響要因で適切な原料供給速度を決定する必要がある。
【0301】
幾つかの実施形態において、原料をプラズマ流中に輸送してプラズマ反応を行うステップは、具体的に、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行う。
【0302】
幾つかの実施形態において、キャリアガスは、窒素ガス及びアルゴンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0303】
幾つかの実施形態において、キャリアガスの流量は、0.1m/h~3m/hである。具体的には、キャリアガスの流量は、0.1m/h、0.5m/h、0.8m/h、1m/h、1.2m/h、1.5m/h、1.75m/h、2m/h、2.2m/h、2.6m/h又は3m/h等であってもよい。キャリアガスの気流量が大きすぎると、プラズマ発生装置内の径方向気流場は、粒子が高温領域から飛行し、軸方向気流は、粒子を「混合」した後で冷却領域に飛ぶように促進し、両者が共同で作用して生成物の球形化率が顕著に低下する。一方で、低すぎるキャリアガス流量は、原料がノズルを目詰まりしやすく、原料の吐出速度を低下させ、原料のプラズマトーチ内での停留時間が長すぎ、大量の気化を引き起こす。したがって、適切なキャリアガス流量は、原料がプラズマトーチ内に均一に分散することに役立ち、球形化率を向上させる。
【0304】
幾つかの実施形態において、S210のステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含む。還元性ガスは、SiOの還元を促進し、且つ電気化学的不活性SiCの生成を抑制することができる。
【0305】
幾つかの実施形態において、還元性ガスは、メタン及び水素ガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0306】
幾つかの実施形態において、原性ガスとシリコン酸化物とのモル比は、0~0.25(ただし、0を含まない)である。
【0307】
幾つかの実施形態において、還元性ガスの径方向速度は、1m/h~10m/hであり、具体的に、1m/h、2m/h、4m/h、5m/h、7m/h、9m/h又は10m/h等であってもよく、ここで限定されない。
【0308】
ステップS220では、反応後の生成物を冷却し、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得する。
【0309】
当該実施形態では、冷却は、従来の技術の水冷装置により行われる。
【0310】
更に、ステップS200の後且つステップS210の前に、方法は、更に以下のことを含む。
シリコン酸素材料を製造する原料をD50が2μm~10μmになるまで篩分けする。具体的には、原料D50の値は、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μmであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0311】
具体的な実施形態において、篩分けは、破砕、ボールミル、スクリーニング及び分級のうちの少なくとも1種を含む。
【0312】
別の実施形態に係るシリコン酸素材料の製造方法において、シリコン酸素材料を製造する原料に適量の還元性金属を添加して製造されたシリコン酸素材料の一次粒子は、一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きく、シリコン酸化物、還元性金属及び/又は還元性金属化合物は、一次粒子内に均一に分布し、シリコン酸化物の化学式は、SiOxであり、0<x<2である。
【0313】
上記解決手段において、シリコン酸素材料を製造する原料に一定の割合の還元性金属を増加させることにより、還元性金属がプラズマの流下で加熱し気化して気体状の還元性金属蒸気を形成し、それによりシリコン酸素材料へのドープを実現する。当該複合シリコン酸素材料を原料として製造された負極材料の構造が安定であり、空気等の成分が粒子内部に浸透することによる活性成分の失効を効果的に回避することができ、長期保存構造及び性質が劣化せず、リチウムイオン電池に非常に適する。単純なシリコン酸素材料に比べて、複合シリコン酸素材料中の還元性金属及び/又は還元性金属化合物(特にケイ酸リチウム)は、シリコン酸素材料の初回充電時に正極材料から脱出したリチウムの消費を低減することができ、製造されたリチウムイオン電池は、不可逆充電リチウムの消費を大幅に低減することができ、高い充放電比容量及び優れた初回クーロン効率を有し、材料のサイクル性能を向上させる。
【0314】
幾つかの実施形態において、還元性金属化合物は、還元性金属の酸化物、還元性金属のシリサイド及び還元性金属のケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0315】
幾つかの実施形態において、還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、還元性金属のケイ酸塩は、一次粒子内に均一に分布する。
【0316】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含む。ケイ酸リチウムは、良好なリチウムイオン伝導特性を有し、それよりも小さい結晶粒サイズを結合し、リチウムイオンがスムーズにリチウム吸蔵・放出反応を完了することをよりよく保証し、良好な倍率性能を示し、安全性が高い。
【0317】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、シリコン酸化物に分散して分布し、シリコンの充放電時の体積膨張の問題を緩和することができ、球形構造の一次粒子は、材料の構造安定性を更に向上させることができ、優れたサイクル性能を有し且つ体積効果が小さく、それにより優れた電気化学的性能を有する。
【0318】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含む。
【0319】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、Li、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiから選択される少なくとも1種である。
【0320】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、Liを含み、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとLiとのモル比は、(1~50):1であり、具体的に、1:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1又は50:1等であってもよく、ここで限定されない。
【0321】
幾つかの実施形態において、ステップS220は、以下を含む。
反応後の生成物を冷却し、非LiSiケイ酸塩とシリコン酸化物とを含むシリコン酸素材料を取得する。
【0322】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、Mgを含み、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとMgとのモル比は、(5~50):1であり、具体的に、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1又は50:1等であってもよく、ここで限定されない。
【0323】
ステップS220は、反応後の生成物を冷却し、MgSiOケイ酸塩とシリコン酸化物とを含むシリコン酸素材料を取得することを含む。
【0324】
幾つかの実施形態において、ステップS220の後で、方法は、熱処理後の生成物を水洗及び/又は酸洗することを更に含む。
【0325】
幾つかの実施形態において、酸洗で用いられる酸は、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ギ酸及び酢酸のうちの少なくとも1種を含む。
【0326】
幾つかの実施形態において、酸洗で用いられる酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液を含む。
【0327】
幾つかの実施形態において、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:(0.5~5)であり、具体的に、1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4又は1:5等であってもよく、ここで限定されない。
【0328】
幾つかの実施形態において、酸洗の洗浄時間は、10min~2000minである。
【0329】
幾つかの実施形態において、熱処理後の生成物を水洗及び/又は酸洗した後、方法は、洗浄生成物を中性になるまで洗浄し、且つ固液分離及び乾燥を行うことを更に含む。
【0330】
幾つかの実施形態において、固液分離の方式は、遠心分離及び濾過分離のうちの少なくとも1種を含む。
【0331】
幾つかの実施形態において、乾燥の方式は、高温乾燥及び凍結乾燥のうちの少なくとも1種を含む。
【0332】
別の実施形態のシリコン酸素材料の製造方法は、以下のステップを含む。
ステップS310では、溶融したシリコン酸化物原料を霧化し、霧化生成物を取得する。
ステップS320では、霧化生成物を冷却し、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得する。
【0333】
当該実施形態で製造されたシリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、シリコン酸化物は、一次粒子であり、シリコン酸化物のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0334】
上記方法において、溶融したシリコン酸化物原料をシリコン酸化物液滴に霧化し、液滴は、表面張力の作用で自動的に球形になり、冷却した後で球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率と優れたサイクル性能を有する。
【0335】
以下に本実施形態を具体的に説明する。
【0336】
具体的には、ステップS310は、溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧ガスを用いて霧化することを含む。
【0337】
幾つかの実施形態において、加圧ガスは、保護ガスである。
【0338】
ここで、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0339】
幾つかの実施形態において、加圧気体の圧力は、0.2Mpa~100Mpaである。具体的には、圧力は、0.2Mpa、1Mpa、5Mpa、8Mpa、10Mpa、12Mpa、15Mpa、20Mpa、25Mpa、35Mpa、50Mpa、60Mpa、75Mpa、85Mpa又は100Mpaであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0340】
幾つかの実施形態において、ステップS310の前に、前記方法は、シリコン酸化物原料を溶融まで熱処理することを更に含む。
【0341】
幾つかの実施形態において、前記シリコン酸化物原料は、zであり、0<z<2である。
【0342】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物原料は、SiO、Si及びSiOの混合物と、Si及びSiOの混合物と、SiO及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含む。
【0343】
幾つかの実施形態において、熱処理の温度は、1400℃~2200℃である。具体的には、熱処理の温度は、1400℃、1500℃、1600℃、1800℃、2000℃又は2200℃であってもよい。
【0344】
ステップS320では、霧化生成物を冷却した後でシリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得する。
【0345】
幾つかの実施形態において、冷却するステップは、100℃以下まで冷却することである。具体的には、90℃、80℃、75℃、65℃、60℃、50℃等まで冷却する。
【0346】
幾つかの実施形態において、冷却の速度は、1℃/s~100℃/sである。当該冷却速度は、シリコン酸化物液滴を急速に冷却することができ、それにより、小さいSi結晶子サイズを取得する。具体的には、冷却の速度は、1℃/s、10℃/s、20℃/s、35℃/s、45℃/s、60℃/s、70℃/s、80℃/s、90℃/s又は100℃/sであってもよい。
【0347】
幾つかの実施形態において、冷却の方法は、ガス冷却を採用する。
【0348】
幾つかの実施形態において、冷却に用いられるガスは、保護ガスである。
【0349】
具体的には、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0350】
別の実施形態の負極材料の製造方法であって、シリコン酸化物を製造する原料に有機炭素源を添加することにより、ケイ素系材料と炭素材料との複合材料を取得し、具体的には、以下のステップを含む。
ステップS410では、シリコン酸化物と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、有機炭素源を溶融させる。
ステップS420では、シリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化する。
ステップS430では、霧化された生成物を冷却して球形中間体を取得する。
ステップS440では、球形中間体を炭化処理し、負極材料を取得する。
【0351】
当該方法で製造された負極材料は、シリコン酸化物及び炭素材料を含み、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、負極材料は、球形粒子であり、負極材料のwadellの球形度は、0.3よりも大きい。
【0352】
上記解決手段において、有機炭素源は、溶融して流動性が高い溶融体になり、シリコン酸化物は、依然としてこの溶融体中に固相均一に分散され、当該溶融体系に対して加圧気体を用いて霧状液滴に分散し、固体シリコン酸化物は、有機炭素源液滴中に分散され、液滴は、表面張力の作用で球形に自動的に収縮し且つ自身の内部の気泡を排除して緻密構造を形成し、更に冷却して固体球形中間体になり、球形中間体は、炭化処理を経て、炭素源は、非晶質炭素材料に変換され、シリコン酸化物は、非晶質炭素材料中に分散され、球形負極材料を形成し、球形負極材料は、依然として球形中間体の形態を維持し、高い球形度を有する。
【0353】
具体的には、SiOは、SiO0.5、SiO1.0、SiO1.2、SiO1.5又はSiO1.8等であってもよい。
【0354】
幾つかの実施形態において、SiOは、SiO、Si及びSiOの混合物と、Si及びSiOの混合物と、SiO及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含む。
【0355】
幾つかの実施形態において、SiOのD50は、D50≦1.5μmである。
【0356】
幾つかの実施形態において、前記シリコン酸化物の原料は、溶融した有機炭素源を更に含む。
【0357】
幾つかの実施形態において、前記有機炭素源は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0358】
幾つかの実施形態において、前記有機炭素源は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、クエン酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0359】
幾つかの実施形態において、熱処理の温度は、100℃~600℃である。具体的な例において、熱処理の温度は、100℃、120℃、150℃、200℃、250℃、280℃、300℃、400℃、450℃、500℃、550℃又は600℃等であってもよい。有機炭素源の融点は、シリコン酸化物よりもはるかに低く、この熱処理の温度は、有機炭素源の溶融温度に達し、且つシリコン酸化物の融点まで昇温する必要がなく球形負極材料を製造することができ、高温によるシリコン酸化物中のSi結晶子サイズの増大を回避し、それを50nm以内に保持する。
【0360】
更に、原料は、黒鉛を更に含む。黒鉛の添加は、体系の導電性及び初回クーロン効率を増加させることに役立つ。
【0361】
幾つかの実施形態において、黒鉛、SiOw及び有機炭素源の総質量を100%としたときに、黒鉛の質量分率は、0%~40%であり、SiOの質量分率は、40%~95%であり、有機炭素源の質量分率は、5%~60%である。
【0362】
幾つかの実施形態において、黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛及びメソカーボンマイクロビーズのうちの少なくとも1種を含む。
【0363】
ステップS420では、加圧気体を用いてシリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化する。
【0364】
シリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化して得られた生成物は、シリコン酸化物粒子が有機炭素源液滴中に分散されたものである。
【0365】
幾つかの実施形態において、加圧気体の圧力は、0.2Mpa~100Mpaであり、当該範囲である圧力の加圧気体は、シリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化することができる。具体的な例において、加圧気体の圧力は、0.2Mpa、10Mpa、20Mpa、30Mpa、40Mpa、50Mpa、70Mpa、80Mpa、90MPa又は100Mpaであってもよい。
【0366】
幾つかの実施形態において、加圧ガスは、保護ガスを含み、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0367】
なお、霧化の方法は、本分野の一般的な霧化装置を使用することができ、シリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化し、シリコン酸化物粒子を有機炭素源液滴中に分散させる。
【0368】
ステップS430では、霧化された生成物を冷却して球形中間体を取得する。
【0369】
幾つかの実施形態において、冷却過程は、霧化された生成物を100℃以下まで冷却することである。
【0370】
幾つかの実施形態において、冷却速度は、1℃/s~100℃/sであり、急速冷却は、小さいSi結晶子サイズを取得することに役立つ。
【0371】
幾つかの実施形態において、冷却過程は、ガス冷却であり、更に、ガスは、保護ガスである。
【0372】
更に、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0373】
ステップS440では、球形中間体を炭化処理し、負極材料を取得する。
【0374】
幾つかの実施形態において、炭化処理は、保護雰囲気の下で行われる。
【0375】
更に、保護雰囲気のガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0376】
幾つかの実施形態において、炭化処理の温度は、600℃~1000℃であり、時間は、1h~24hである。
【0377】
幾つかの実施形態において、前記方法は、シリコン酸素材料を製造する原料に炭素源ガスを添加し、且つ二次造粒を行うことを更に含む。
【0378】
具体的な実施形態は、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行い、冷却してシリコン酸化物と炭素材料とを含む負極材料を取得し、ここで、負極材料は、二次粒子であり、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きい。
【0379】
上記解決手段において、シリコン酸化物を二次造粒することで形成された製品の球形度が高く、内部構造の応力を増加させ、材料の強度を向上させ、更にサイクル及び倍率性能を向上させる。
【0380】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物の一次粒子である。
【0381】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の15%以下を占める。
【0382】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物の粒径は、D90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たす。
【0383】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、1.0nm~20nmである。
【0384】
幾つかの実施形態において、炭素源ガスをプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含む。
【0385】
幾つかの実施形態において、前記炭素質結合剤は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0386】
幾つかの実施形態において、炭素質接着剤は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0387】
幾つかの実施形態において、炭素質結合剤とシリコン酸化物との質量比は、5:95~50:50である。
【0388】
幾つかの実施形態において、炭素源ガスは、炭化水素類を含む。
【0389】
幾つかの実施形態において、炭素源ガスは、メタン、アセチレン、エチレン、エタン、プロパン、プロペン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。
【0390】
幾つかの実施形態において、負極材料の粒径D50は、シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍である。
【0391】
幾つかの実施形態において、負極材料の粒径は、20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たす。
【0392】
幾つかの実施形態において、負極材料における炭素元素の質量含有量は、2%~20%である。
【0393】
幾つかの実施形態において、負極材料の空孔率は、1%~50%である。
【0394】
別の実施形態の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
ステップS130では、シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行い、負極材料を取得する。
ここで、シリコン酸素材料は、ステップS110~ステップS120を用いて製造されてもよい。
【0395】
当該製造方法で得られた負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0396】
一実施形態において、炭素被覆処理は、具体的に、固相炭素被覆、液相炭素被覆及び気相炭素被覆のうちの少なくとも1種である。
【0397】
具体的には、気相炭素被覆は、具体的に、冷却された生成物を化学気相堆積装置に入れ、炭素源ガスを導入して熱分解を行い、アモルファスカーボンを材料表面に堆積させる。
【0398】
幾つかの実施形態において、気相炭素被覆用の炭素源ガスは、炭化水素類を含む。
【0399】
幾つかの実施形態において、炭素源ガスは、メタン、アセチレン、エチレン、エタン、プロパン、プロペン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。
【0400】
幾つかの実施形態において、化学気相堆積装置は、回転式化学気相堆積反応炉、プラズマ強化化学気相堆積反応炉、化学気相堆積管状炉及び流動床のうちの少なくとも1種を含む。具体的には、化学気相堆積装置は、回転炉及び箱型炉のうちの少なくとも1種である。
【0401】
幾つかの実施形態において、熱分解の温度は、600℃~1000℃である。
【0402】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の加熱温度は、500℃~1200℃であり、保温時間は、0.5h~20hである。
【0403】
幾つかの実施形態において、炭化処理の反応気圧は、1.0atm~10.0atmである。
【0404】
幾つかの実施形態において、保護ガス及び炭素源ガスを導入する時に補助ガスを更に導入し、補助ガスは、Hを含み、炭素源ガスと補助ガスとのモル比は、(2~10):1である。
【0405】
幾つかの実施形態において、保護ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0406】
幾つかの実施形態において、固相炭素被覆過程は、具体的に、シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得する。
【0407】
幾つかの実施形態において、固相炭素被覆用の炭素源は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0408】
幾つかの実施形態において、冷却された生成物と炭素源との混合方式は、VC混合、融合、ボールミル、三次元混合、流動床混合等であってもよい。
【0409】
幾つかの実施形態において、混合は、融合機で行われ、融合時間は、0.5h~2hであり、融合機の回転速度は、500r/min~5000r/minである。
【0410】
幾つかの実施形態において、固相炭素源とシリコン酸素材料との質量比は、5:(5~95)である。
【0411】
幾つかの実施形態において、炭化処理の温度は、500℃~1000℃であり、炭化処理の時間は、2h~20hである。
【0412】
幾つかの実施形態において、固相炭素被覆用の装置は、回転炉、箱型炉、ローラーハースキルン、トンネルキルン及びプッシャーキルンのうちの少なくとも1種である。
【0413】
幾つかの実施形態において、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0414】
液相炭素被覆過程は、具体的に、冷却された生成物と炭素源を均一に混合し、次に炉に入れ、保護ガスを導入し、熱処理により炭素源を分解して、冷却された後の生成物の表面に被覆する。
【0415】
幾つかの実施形態において、液相炭素被覆用の炭素源は、有機炭素源であり、具体的に、低温液相アスファルト、フルフリルアルコール、メタクリル酸グリシジル、トリエチレングリコールジメタクリレート等であってもよい。
【0416】
幾つかの実施形態において、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0417】
幾つかの実施形態において、熱処理温度は、600℃~1000℃である。
【0418】
別の実施形態の負極材料の製造方法であって、シリコン酸素材料を製造した後、更に以下のことを含む。
可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行い、負極材料を取得する。
【0419】
上記解決手段において、本願は、ポリマーコート液を利用してシリコン酸素材料に対して被覆処理を行い、ポリマー沈殿がシリコン酸素材料の表面に被覆され、ポリマーの牽引及び結束作用により、シリコン酸素材料のサイクル膨張過程において電気的接続を維持することに役立ち、シリコン系活物質の膨張を効果的に抑制することができ、ケイ素系活物質のサイクル膨張抑制性能を顕著に向上させ、リチウムイオン電池の耐用年数を延長する。
【0420】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含む。
【0421】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちの少なくとも1種を含む。
【0422】
本願の「天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマー」は、天然の可撓性ポリマーであってもよく、合成された可撓性ポリマーであってもよく、天然の可撓性ポリマーと合成された可撓性ポリマーとの混合物であってもよいことを指す。
【0423】
可撓性ポリマーの組み合わせは、典型的であるが非制限的な例として、ポリオレフィン及びポリビニルアルコールの組み合わせと、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースの組み合わせと、カルボキシメチルセルロース及びアルギン酸の組み合わせと、ポリアミド及びカルボキシメチルセルロースの誘導体の組み合わせと、ポリオレフィン、ポリオレフィンの誘導体及びポリアクリル酸の組み合わせと、ポリビニルアルコール、ポリアミドの誘導体及びアルギン酸の組み合わせと、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸の誘導体、ポリアミド及びアルギン酸の組み合わせ等がある。
【0424】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体と、ポリオレフィン及びその誘導体と、アルギン酸及びその誘導体との組み合わせを含む。
【0425】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリカーボネートを含む。
【0426】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーの重量平均分子量は、2000~1000000であり、例えば2000、5000、10000、15000、20000、30000、40000、50000、60000、75000、100000、200000、300000、350000、400000、500000、600000、650000、700000、800000、900000又は1000000等であってもよく、好ましくは、100000~500000である。
【0427】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーには熱架橋型官能基(熱架橋性官能基とも呼ばれる)が含まれ、熱架橋型官能基は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちの少なくとも1種を含む。理解できるように、熱架橋型官能基は、一定の温度に加熱された条件で架橋反応が発生する。理解できるように、架橋(架橋反応とも呼ばれる)は、2つ以上の分子が互いに結合してネットワーク構造に架橋された比較的安定な分子(体型分子)反応であり、架橋反応は、トリガ要因に応じて物理架橋、化学架橋等に分けられ、ここで限定されない。
【0428】
幾つかの実施形態において、前記コート液は、溶媒を含み、溶媒は、水、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素のうちの少なくとも1種を含む。
【0429】
幾つかの実施形態において、前記コート液は、逆溶媒を含み、逆溶媒は、可撓性ポリマーの貧溶媒を含む。
【0430】
幾つかの実施形態において、逆溶媒は、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素のうちの少なくとも1種を含む。
【0431】
幾つかの実施形態において、前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップは、以下のことを含む。
前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行う。
【0432】
幾つかの実施形態において、熱処理の温度は、100℃~400℃であり、具体的に、100℃、125℃、150℃、170℃、200℃、220℃、240℃、260℃、300℃、350℃又は400℃等であってもよく、好ましくは、150~250℃である。
【0433】
幾つかの実施形態において、熱処理の時間は、2h~12hであり、具体的に、2h、4h、5h、6.5h、8h、10h、11h又は12h等であってもよい。
【0434】
幾つかの実施形態において、撹拌の温度は、20℃~100℃であり、撹拌の時間は、1~24hであり、撹拌の温度は、具体的に、20℃、30℃、40℃、45℃、50℃、60℃、70℃、80℃又は100℃等であってもよく、撹拌の時間は、具体的に、1h、2h、2.5h、3h、3.5h、4h、5h、6h、12h、18h又は24h等であってもよい。
【0435】
幾つかの実施形態において、前記コート液は、導電性材料を更に含む。
【0436】
幾つかの実施形態において、導電性材料は、鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含む。
【0437】
幾つかの実施形態において、鱗片状黒鉛は、シリコン酸素材料の表面に貼り合わせられ、可撓性ポリマーは、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆され、ナノ炭素系材料は、シリコン酸素材料の表面が鱗片状黒鉛によって貼り合わされていない領域に充填され、及び/又は、ナノ炭素系材料は、シリコン酸素材料の表面が可撓性ポリマーで被覆されていない領域に充填される。シリコン酸素材料の表面に貼り付けられた鱗片状黒鉛、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆された可撓性ポリマー及びケイ酸リチウム並びに空隙領域に充填されたナノ炭素系材料の共同作用で、シリコン酸素材料の膨張を効果的に抑制することができると同時に、鱗片状黒鉛の貼り合わせ及びナノ炭素系材料の空隙領域の充填により、製造された被覆後の負極材料の性能に優れ、サイクル膨張性能を効果的に抑制し、リチウムイオン電池の耐用年数を延長する。
【0438】
幾つかの実施形態において、鱗片状グラフェンは、天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛を含む。本願の「天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛」は、天然鱗片状黒鉛であってもよく、人造鱗片状黒鉛であってもよく、天然鱗片状黒鉛と人造鱗片状黒鉛との混合物であってもよいことを指す。
【0439】
幾つかの実施形態において、導電性材料は、鱗片状黒鉛とナノ炭素系材料との組み合わせを含む。導電性材料がちょうどこの2種類の材料の混合物である場合に、この2種類の物質をケイ素基複合材料と配合してケイ素基材料の膨張を抑制する作用を発揮し、導電率及び導電安定性を更に向上させることができる。
【0440】
幾つかの実施形態において、ナノ炭素系材料は、導電性グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも1種を含む。
【0441】
1つの実現可能な実施形態において、導電性材料は、導電性金属、導電性合金等を更に含んでもよい。導電性金属は、例えば銅、アルミニウム、銀、金等であってもよく、導電性合金は、例えば銅亜鉛合金、銅アルミニウム合金、チタン亜鉛合金、アルミニウム銅亜鉛合金等であってもよい。理解できるように、導電性材料に上記これらの金属物質が含まれる場合に、シリコン酸素材料の表面に被覆された被覆層内にもこれらの金属物質がドープされ、それにより導電率を更に向上させる。
【0442】
幾つかの実施形態では、前記コート液は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含む。非水溶性ケイ酸リチウムは、電解液中の水とシリコン酸素材料との接触を効果的に阻止することができ、アルカリ性を生成し、包まれたシリコン酸素材料は、水に溶解しやすいか又は強アルカリ性を示しても、材料の水系加工性能に影響を与えない。
【0443】
幾つかの実施形態において、非水溶性ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む、
【0444】
幾つかの実施形態において、被覆層の厚さは、10nm~5000nmであり、被覆層の厚さは、例えば10nm、20nm、30nm、50nm、60nm、70nm、80nm、100nm、200nm、300nm、500nm、1000nm又は5000nm等であってもよく、ここで限定されない。
【0445】
幾つかの実施形態において、被覆層の負極材料における質量割合は、0%~20%(ただし、0%を含まない)であり、例えば0.5%、1%、3%、3.5%、5%、6%、8%、10%、12%、13%、15%、16%、18%又は20%等であり、好ましくは、2%~10%である。
【0446】
本願は、リチウムイオン電池を更に提供し、上記負極材料又はその製造方法で得られた負極材料を含む。
【0447】
タブは、提供され、上記負極材料又は上記製造方法で得られた負極材料を含む。
【0448】
以下に複数の実施例に分けて本願の実施例を更に説明する。ただし、本願実施例は、以下の具体的な実施例に限定されない。保護範囲内において、変更実施を適切に行うことができる。
【0449】
実施例1
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとし、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させる。ここで、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
【0450】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
【0451】
本実施例で製造された球形SiOの電子顕微鏡写真は、図2a、2bに示される。図2a、2bから分かるように、本実施例で製造された球形SiO粒子の表面は、滑らかであり、球体の球形度が良く、断面図は、球体の内部も均一な構造であることを示す。
【0452】
更に、(4)SiOを取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiOを被覆する負極材料を取得する。
【0453】
本実施例の負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、120nmであり、炭素層の厚さの最小値は、80nmであり、負極材料の平均粒径D50は、20μmである。
【0454】
実施例2
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が100kWであり、高周波電力が1000kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.2m/hであり、圧力は、1000torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、20m/hであり、接線方向速度は、5m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限され、還元性雰囲気Hを導入し、その径方向速度は、5m/hである。
(2)窒素ガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO及びSi原料をプラズマジェット流に入れて、SiOとSiとのモル比が1:1であり、キャリアガス流量が0.4m/hであり、原料供給速度が60g/minである。
(3)ステップ(2)で得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO0.5生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
(4)SiO0.5粉体をCVD回転炉に入れ、メタンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、600℃で120min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiO0.5を被覆する負極材料を取得する。
【0455】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiO0.5であり、球形SiO0.5は、一次粒子である。
【0456】
本実施例で製造された球形SiO0.5の電子顕微鏡写真は、図3に示される。図3から分かるように、本実施例で製造された球形SiO粒子の表面は、滑らかであり、球体の球形度が良い。
【0457】
更に、(4)SiO0.5を取ってCVD回転炉に置き、メタンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、600℃で120min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiO0.5を被覆する負極材料を取得する。
【0458】
本実施例の負極材料は、球形SiO0.5及び球形SiO0.5の表面に被覆された炭素層を含み、球形SiO0.5は、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、90nmであり、炭素層の厚さの最小値は、70nmであり、負極材料の平均粒径D50は、15μmである。
【0459】
実施例3
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が200kWであり、高周波電力が5000kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、2m/hであり、圧力は、8000torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、50m/hであり、接線方向速度は、10m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO及びSiO原料をプラズマジェット流に入れて反応させ、SiOとSiOとのモル比が1:1であり、キャリアガス流量が1m/hであり、原料供給速度が40g/minである。
(3)ステップ(2)で得られた生成物を迅速にプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO1.5生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
【0460】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiO1.5であり、球形SiO1.5は、一次粒子である。
【0461】
本実施例で製造された球形SiO1.5の電子顕微鏡写真は、図4a、4bに示される。図4a、4bから分かるように、本実施例で製造された球形SiO1.5粒子の表面の平滑度は、実施例1及び実施例2に及ばず、球体の球形度が良く、切断面図は、球体の内部も均一な構造であることを示し、その中、表面の凹凸は、EDS確認により、SiとOが均一に分散する構造であることが分かる。
【0462】
更に、(4)SiO1.5の粉体材料を取ってCVD回転炉に入れ、エチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、1000℃で30min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiO1.5を被覆する負極材料を取得する。
【0463】
本実施例の負極材料は、球形SiO1.5及び球形SiO1.5の表面に被覆された炭素層を含み、球形SiO1.5は、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、100nmであり、炭素層の厚さの最小値は、75nmであり、負極材料の平均粒径D50は、12μmである。
【0464】
実施例4
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が1000kWであり、高周波電力が20000kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、1m/hであり、圧力は、4000torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、25m/hであり、接線方向速度は、8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限され、還元性雰囲気CHを導入し、ガスの径方向速度は、2m/hである。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSi及びSiO原料をプラズマジェット流に入れて、SiとSiOのモル比が1:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が20g/minである。
(3)ステップ(2)で得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
【0465】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
【0466】
本実施例で製造された球形SiOの電子顕微鏡写真は、図5a、5bに示される。図5a、5bから分かるように、本実施例で製造された球形シリコン酸化物粒子は、球形度が良いが、表面に網状構造が現れ、化学反応に関与するため過程において発熱等がその表面性状に影響を与える可能性がある。EDS確認により、球表面は、依然として均一なSi、O分布であり、その網状形態は、材料の元素分布に影響を与えないことが分かる。
【0467】
更に、(4)SiO粉体材料を取ってCVD回転炉に入れ、エタンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、1000℃で90min堆積し、冷却して排出して炭素被覆SiO材料を取得する。
【0468】
本実施例の負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、80nmであり、炭素層の厚さの最小値は、50nmであり、負極材料の平均粒径D50は、15μmである。
【0469】
実施例5
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が2000kWであり、高周波電力が50000kWであるように制御され、窒素ガスは、プラズマ発生ガスとして、直流窒素ガスの流速は、0.5m/hであり、圧力は、2000torrであり、径方向速度は、80m/hであり、接線方向速度は、15m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとしてSiH及びOを原料としてプラズマジェット流に入れて、SiHとOのモル比は、2:3であり、キャリアガスの流量は、0.2m/hであり、SiHの流量は、2.5m/hであり、Oの流量は、4m/hである。
(3)ステップ(2)で得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
【0470】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
【0471】
更に、(4)SiO粉体材料を取ってCVD回転炉に入れ、プロパンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、900℃で300min堆積し、冷却して排出して炭素被覆SiO材料を取得する。
【0472】
本実施例の負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、150nmであり、炭素層の厚さの最小値は、120nmであり、負極材料の平均粒径D50は、8μmである。
【0473】
実施例6
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)1kgのSiOを溶解坩堝に入れ、1750℃まで加熱し且つ溶融体になるまで保温する。
(2)溶融体を霧化装置内の霧化ノズルに導流し、2MPaのNを用いて溶融体を小液滴として吹き飛ばすと同時に、霧化装置に液体窒素を導入し、溶融体を5℃/sの速度で50℃まで降温して材料を取り出す。
(3)シリコン酸素材料を収集し、シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)球形粉末を回転炉に入れ、エタンガスを導入して1000℃で被覆を行い、負極材料を取得する。
【0474】
当該負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子であり、負極材料中の酸素元素の質量含有量は、36.5%であり、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、5.1%であり、炭素層の厚さは、100nmであり、負極材料のD50は、5μmである。
【0475】
実施例7
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)1kgのSiOを溶解坩堝に入れ、1750℃まで加熱して且つ溶融体になるまで保温する。
(2)溶融体を霧化装置内の霧化ノズルに導流し、40MpaのNを用いて溶融体を小液滴として吹き飛ばすと同時に、霧化装置に液体窒素を導入し、溶融体を100℃/sの速度で50℃まで降温して材料を取り出す。
(3)シリコン酸素材料を収集し、シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)シリコン酸素材料を回転炉に置いて1000℃まで予熱し、エタンガスを導入して1000℃で気相炭素被覆処理を行い、炭素被覆処理の反応ガス圧は、5atmである。
【0476】
本願の実施例で製造された負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子であり、負極材料中の酸素元素の質量含有量は、36.3%であり、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.7%である。
【0477】
実施例8
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)800gのSi及び200gのSiOを溶解坩堝に入れ、1600℃まで加熱して且つ溶融体になるまで保温する。
(2)溶融体を霧化装置内の霧化ノズルに導流し、2MPaのNを用いて溶融体を小液滴として吹き飛ばすと同時に、霧化装置に液体窒素を導入し、溶融体を20℃/sの速度で50℃まで降温して材料を取り出す。
(3)シリコン酸素材料を収集し、シリコン酸素材料は、球形SiO0.137であり、球形SiO0.137は、一次粒子である。
(4)シリコン酸素材料を回転炉に置き、エタンガスを導入して1000℃で気相炭素被覆処理を行い、炭素被覆処理の反応ガス圧は、8atmである。
【0478】
本実施例で製造された負極材料は、球形SiO0.137及び球形SiO0.137表面に被覆された炭素層を含み、球形SiO0.137は、一次粒子であり、負極材料中の酸素元素の質量含有量は、7.3%であり、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.8%であり、負極材料の比表面積は、5m/gである。
【0479】
実施例9
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)800gのSiO及び200gのSiOを溶解坩堝に入れ、1750℃まで加熱して且つ溶融体になるまで保温する。
(2)溶融体を霧化装置内の霧化ノズルに導流し、2MPaのNを用いて溶融体を小液滴として吹き飛ばすと同時に、霧化装置に液体窒素を導入し、溶融体を50℃/sの速度で50℃まで降温して材料を取り出す。
(3)シリコン酸素材料を収集し、シリコン酸素材料は、球形SiO1.155であり、球形SiO1.155は、一次粒子である。
(4)球形粉末を回転炉に入れ、エタンガスを導入して1000℃で被覆する。
【0480】
本実施例の負極材料は、球形SiO1.155及び球形SiO1.155の表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子であり、負極材料中の酸素元素の質量含有量は、39.9%であり、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.8%であり、負極材料の比表面積は、6.7m/gである。
【0481】
実施例10
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)1kgのSiO0.5と670gのクエン酸を200℃のアルゴンガス中で熱処理することにより、クエン酸を溶融させる。
(2)SiO0.5及び溶融クエン酸を気圧が2Mpaである窒素ガスを用いて液滴として霧化する。
(3)液滴を液体窒素条件で2℃/sの速度で50℃まで降温して材料を吐出し、球形中間体を取得する。
(4)球形中間体を炭化処理し、炭化温度が900℃であり、時間が12hであり、炭化雰囲気のガスがNであり、球形負極材料を取得する。
【0482】
本実施例で製造された負極材料は、SiO0.5及び非晶質炭素を含み、負極材料のwadellの球形度は、0.91であり、SiO0.5は、非晶質炭素に均一に分散され、SiO0.5は、負極材料の60%を占め、負極材料の空孔率は、55.3%である。
【0483】
本実施例で製造された負極材料の電子顕微鏡写真は、図6に示される。図6から分かるように、本実施例で製造された球形負極材料の表面は、滑らかであり、球体の球形度が良く、断面図は、球体の内部も均一な構造であることを示す。
【0484】
実施例11
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)1kgのSiO1.5、166gの人造黒鉛及び1.25kgのグルコースを250℃の窒素ガス中で熱処理することにより、グルコースを溶融させる。
(2)SiO1.5、人造黒鉛及び溶融グルコースを空気圧が40Mpaである窒素ガスを用いて液滴として分散する。
(3)液滴を液体アルゴン条件で5℃/sの速度で50℃まで降温して材料を吐出し、球形中間体を取得する。
(4)球形中間体を炭化処理し、炭化温度が900℃であり、時間が6hであり、炭化する時に保護雰囲気がNであり、球形負極材料を取得する。
【0485】
本実施例で製造された負極材料は、SiO1.5、人造黒鉛及び非晶質炭素を含み、負極材料のwadellの球形度は、0.93である。SiO1.5は、非晶質炭素に均一に分散され、負極材料の空孔率は、50.5%であり、人造黒鉛は、負極材料の質量の10%を占め、SiO1.5は、負極材料の質量の50%を占める。
【0486】
比較例1
SiOを取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiOを被覆する負極材料を取得する。
【0487】
本実施例の負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子であり、SiO粉体材料のwadellの球形度は、0.87である。炭素層の厚さの最大値は、100nmであり、炭素層の厚さの最小値は、80nmであり、負極材料の平均粒径D50は、20μmである。
【0488】
性能パラメータ試験
Mastersizer3000レーザー回折技術を用いて粒度を測定する。レーザビームが分散された粒子サンプルを通過する時、散乱光の強度を測定することで粒度測定を完了する。次にデータを分析して散乱スペクトログラムを形成する粒子の粒度分布を計算する。D50は、1つのサンプルの累積粒度分布パーセントが50%に達する時に対応する粒径である。その物理的意味は、粒径がそれよりも大きい粒子が50%を占め、それよりも小さい粒子も50%を占め、D50もメジアン径又はメジアン粒径と呼ばれる。D90粒径、D50粒径、D10粒径は、それぞれ、分布曲線における累積分布が90%、50%、10%であるときの最大粒子の相当径(平均粒径)である。
【0489】
窒素ガス吸着多点BETを利用し、米国マイクTriStar3000&3020比表面積と孔径アナライザーを使用し、液体窒素冷却制御の低温でガス吸着法で粉末サンプルの比表面積を測定する。ガス吸着法(BET法)は、ラングミュア(Langnuir)の単分子層吸着理論に基づいてBrunauer、Emmett及びTeller等の3人によって普及されて得た多分子層吸着理論(BET理論)方法であるため、BET法とも呼ばれる。
【0490】
パナリティカル社のX’pertPROX線回折計を用いて、9.749°~41.157°の走査範囲内でXRDを測定する。走査ステップサイズ:0.013°、走査速度:6.060°/min、電圧:40kV、電流:40mAであり、Jade6でファイルを開き、バックグラウンド除去&平滑化を行い、26~30の範囲内のSiピークをフィッティングする。シェラーの式D=kλ/βcosθを用いて、dは、Si反射結晶面(111)に垂直な結晶粒の平均粒度であり、β(弧度)は、当該結晶面回折ピークの半値幅の幅化度合い=FWHM*π/180である。Kは、シェラー定数であり、0.89の値を取る。θは、回折角であり、λは、入射X線波長であり、0.15406nmの値を取る。半値全幅fullwidthathalfmaximaは、FWHMと略称される。半値全幅は、半値幅、半ピーク幅、ピーク半幅、領域幅、領域の半値幅とも呼ばれる。それは、クロマトグラフィー分析の用語であり、クロマトグラフィーのピーク高さの半分でのピーク幅を指し、即ち、ピーク高さの中間点を通過してピークボトムに平行な直線を作成し、この直線とピークの両側に交差する2つの点との間の距離である。ここで、FHWM及びは、いずれもXRDにより取得することができる。
【0491】
1.粒径分布:レーザー粒度計を用いてD50、D90及びD10を測定し、計算して(D90-D10)/D50の値を取得する。
【0492】
2.比表面積:米国マイクTriStar3000比表面積・孔径分析装置を用いて比表面積を測定する。
【0493】
3.wadellの球形度の試験:レーザー粒度計を用いて粒径分布を測定し、各粒度範囲内の等価体積径を取得する。当該等価体積径を当該極小粒度分布範囲内の全ての球体の粒径とし、且つ当該範囲内の全ての粒子を理想的な球体に等価し、各粒径分布範囲内の比表面積を算出し、次に体積比%で加重して全ての粒子と等体積である球の比表面面積を取得し、それにより、プラズマで製造された球形粒子の球形度=計算して得られた粒子と等体積である球の表面面積/比表面積計で試験して得られた粒子の比表面積。
【0494】
4.Si結晶子サイズ: パナリティカル社のX’pertProX線回折計を用いてXRDピークを測定し、次にJade 6.5ソフトウェアを用いてXRDにおけるSiピークをフィッティングすることにより、Si結晶子サイズを取得する。
【0495】
5.電気的性能試験:
複合材料(実施例1~11の材料)、導電性カーボンブラック、PAA接着剤を質量比75:15:10の比率で負極スラリーに調製し、銅箔上に塗布し、乾燥した後で負極シートを製造する。金属リチウム片を対極とし、アルゴンガスで充填されたグローブボックス中にボタン式電池として組み立てて後の試験に備える。0.1Cの電流密度で、充放電区間0.01~1.5Vで充放電試験を行う。試験により電池の初回可逆比容量及び初回効率を得た。
【0496】
複合材料(実施例1~11の材料):Super-P:KS-6:CMC:SBR=92:2:2:2:2で負極スラリーに調製し、銅箔上に塗布し、乾燥した後で負極シートを製造する。金属リチウム片を対極とし、アルゴンガスで充填されたグローブボックス中にボタン式電池として組み立てて後の試験に備える。1Cの電流密度で、充放電区間0.01V~1.5Vで充放電試験を行う。電池の50サイクル後の体積膨張率および容量維持率を試験により得た。
【0497】
その中、実施例1~19の試験結果は、表1に示される。
【0498】
【0499】
【0500】
実施例1~11の試験データから分かるように、シリコン酸化物は、wadellの球形度が0.92よりも大きい球形シリコン酸化物の一次粒子であり、球形粒子は、等方性の特徴を有し、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けて構造の安定性を保持することができ、形状の不均一による応力の「脆弱点」の受けが現れないため、粒子構造の崩壊及びSEI膜の破裂によって電解液が材料内部に浸透する可能性が大幅に低減され、電解液が材料内部に浸透して新たなSEI膜を生成し続けることが効果的に回避され、SEI膜の繰り返し破砕及び生成が回避され、材料の体積膨張が低減され、材料のサイクル性能が向上する。
【0501】
比較例1で採用されたSiOのwadellの球形度は、0.87のみであり、この時に材料の球形度が悪く、依然として角張って応力の脆弱点をもたらし、この時に粒子構造が崩壊しSEI膜が破裂することによって電解液が材料内部に浸透する可能性が増加し、局所の電解液の浸透が発生する可能性があり、それによりSEI膜の厚さ増加度合いは、wadellの球形度が0.92よりも大きいサンプルよりも高く、材料の容量維持率及び膨張率は、いずれもある程度劣化する。
【0502】
実施例12
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料及び金属Mgをプラズマ流に入れて反応させ、SiとMgのモル比が20:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiOとMgSiOを含有するケイ酸塩生成物とを水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。
【0503】
本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、球形の一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。図7aに示すように、X線でシリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面を走査して得られた元素分布図において、図7bに示すように、Si元素分布面は、均一分散状態であり、図7cに示すように、O元素分布面は、均一分散状態であり、図7dに示すように、Mg元素の分布面は、均一分散状態である。
【0504】
更に、(4)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0505】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、炭素層の厚さは、50nmである。
【0506】
実施例13
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)SiO原料を取って真空炉の炉尾に近接する側に入れる。
(2)1kgのドロマイト、500gのケイ素鉄粉を取り、VCミキサーに投入して30min混合した後で1.5kgのドロマイトとケイ素鉄粉との混合物を取得し、当該混合物をMgを製造する原料として真空炉の炉口に近接する側に投入する。
(3)収集室内に収集器を入れ、真空度が3Paである負圧条件で1350℃まで加熱し且つ24h保温し、炉内でSiO蒸気及びMg蒸気を生成させ、SiとMgのモル比は、20:1であり、均一に混合されたガス状混合物は、迅速に凝結し(凝結温度が900℃である)SiO-Mg材料を生成し、反応が終了した後で装置を冷却し且つ生成物として収集する。
(4)質量比が1:1である硝酸とフッ酸で、収集された生成物を1h酸洗し、洗浄後の生成物を脱イオン水で中性になるまで洗浄し、濾過した後で100℃で乾燥させ、シリコン酸素材料を取得する。
【0507】
本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。
【0508】
更に、(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0509】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、炭素層の厚さは、50nmである。
【0510】
【0511】
【0512】
実施例12及び13の比較から分かるように、負極材料は、シリコン酸素材料及びシリコン酸素材料の表面に形成された炭素層を含み、球形度が向上したシリコン酸素材料の球形粒子は、等方性の特徴を有するため、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けるため構造の安定性を保持することができる。球形度の高いシリコン酸素材料及び表層の炭素層が相乗的に作用し、負極材料と電解液との副反応を抑制することができ、負極材料の導電性及びサイクル安定性を向上させることができるとともに、負極材料の体積膨張が更に緩和され、そのサイクル性能が顕著に向上する。
【0513】
実施例14
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が10kWであり、高周波電力が200kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料及び金属Mgをプラズマ流に入れて反応させ、SiとMgのモル比が20:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiOとMgSiOを含有するケイ酸塩生成物とを水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、球形の一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。
更に、(4)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0514】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、炭素層の厚さは、50nmである。
【0515】
実施例15
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が20kWであり、高周波電力が500kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料及び金属Mgをプラズマ流に入れて反応させ、SiとMgのモル比が20:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiOとMgSiOを含有するケイ酸塩生成物とを水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、球形の一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。
更に、(4)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0516】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、炭素層の厚さは、50nmである。
【0517】
【0518】
【0519】
実施例14及び15の比較から分かるように、プラズマの直流及び高周波電力を調整することにより、最終的に製造されたシリコン酸素材料におけるSi結晶粒サイズが異なり、Si結晶粒サイズが大きすぎる材料の結晶化が顕著であり、循環過程において大きな膨張率を示し、それにより粒子の破砕が発生しやすく、サイクル性能が低下する。
【0520】
実施例16
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料及び金属Liをプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minであり、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとLiのモル比は、20:1である。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO、及びLiSiOとLiSiとを含有するリチウムシリケート生成物を水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、SiO及びケイ酸リチウムを含み、ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiを含み、ケイ酸リチウムは、SiOに分散して分布する。
(4)反応後の生成物を水洗及び酸洗し、酸洗で採用された酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液であり、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:2であり、酸洗の洗浄時間は、1000minであり、洗浄製品を中性になるまで洗浄し、且つ遠心分離及び高温乾燥を行う。
(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0521】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料のコアに被覆された炭素層とを含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、炭素層の厚さは、200nmである。
【0522】
実施例17
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料及び金属Liをプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量が0.5m/hであり、原料供給速度が10g/minであり、シリコン酸素材料を製造する原料におけるSiとLiとのモル比が1:2である。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO、及びLiSiOとLiSiとを含有するリチウムシリケート生成物を水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、SiO及びケイ酸リチウムを含み、ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiを含み、ケイ酸リチウムは、SiOに分散して分布する。
(4)反応後の生成物を水洗及び酸洗し、酸洗で採用された酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液であり、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:2であり、酸洗の洗浄時間は、1000minであり、洗浄製品を中性になるまで洗浄し、且つ遠心分離及び高温乾燥を行う。
(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0523】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料のコアに被覆された炭素層とを含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、炭素層の厚さは、200nmである。
【0524】
【0525】
【0526】
実施例16及び17の比較から分かるように、シリコン酸素材料中のケイ酸塩含有量が増加すると、負極材料の可逆比容量が低下し、初回効率が向上し、ケイ酸塩含有量の増加は、一般的にシリコン酸素材料中のSi結晶粒の増大をもたらし、増大したケイ素結晶粒子は、循環過程において体積膨張効果がより顕著であるため、負極材料のサイクル性能もある程度劣化する。
【0527】
実施例18
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が10kWであり、高周波電力が100kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料及び金属Liをプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minであり、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとLiのモル比は、20:1である。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO、及びLiSiOとLiSiとを含有するリチウムシリケート生成物を水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、SiO及びケイ酸リチウムを含み、ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiを含み、ケイ酸リチウムは、SiOに分散して分布する。
(4)反応後の生成物を水洗及び酸洗し、酸洗で採用された酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液であり、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:2であり、酸洗の洗浄時間は、1000minであり、洗浄製品を中性になるまで洗浄し、且つ遠心分離及び高温乾燥を行う。
(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出し、負極材料を取得する。
【0528】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料のコアに被覆された炭素層とを含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、炭素層の厚さは、200nmである。
【0529】
実施例19
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が10kWであり、高周波電力が100kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、5m/hであり、圧力は、20000torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料及び金属Liをプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量が5m/hであり、原料供給速度が5g/minであり、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとLiとのモル比が20:1である。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO、及びLiSiOとLiSiとを含有するリチウムシリケート生成物を水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、SiO及びケイ酸リチウムを含み、ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiを含み、ケイ酸リチウムは、SiOに分布する。
(4)反応後の生成物を水洗及び酸洗し、酸洗で採用された酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液であり、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:2である;酸洗の洗浄時間は、1000minであり、洗浄製品を中性になるまで洗浄し、且つ遠心分離及び高温乾燥を行う。
(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0530】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料のコアに被覆された炭素層とを含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、炭素層の厚さは、200nmである。
【0531】
【0532】
【0533】
実施例18及び19の比較から分かるように、実施例18において、ケイ酸リチウムがSiOに分散して分布し、実施例19においてキャリアガスの流量及び圧力が大きすぎるため、金属元素がケイ素系材料内に均一にドープされず、ケイ酸リチウムもSiOに均一に分布することができず、それにより材料に充放電時に応力の脆弱点が存在し、電気化学的性能が低下する。
【0534】
実施例20
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)得られた球形SiOを被覆し、100gのSiO粉末を回転炉に入れ、炉内に窒素ガスを導入して雰囲気置換を行い、排出ガス中の酸素含有量が200ppm未満になると、2℃/minで600℃まで昇温し、アセチレンガスを導入し、流量が0.2L/minであり、全反応過程にN保護雰囲気を導入し、ガス流量を0.1L/minに制御し、反応ガス圧を1atmに維持し、10h反応させ続けた後、アセチレンガスを切断し、自然降温を開始し、複合負極材料を取得する。
【0535】
本実施例で製造された負極材料は、SiOコア及びSiOコアに被覆された炭素層を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、2.85%である。本実施例で製造された負極材料のラマンスペクトルのケイ素特徴ピークAが504cm-1にあり、炭素特徴ピークDが1352cm-1にあり、炭素特徴ピークGが1601cm-1にあり、グラフェン特徴ピークBが2695cm-1にあり、ピーク強度I=90.6であり、I=110であり、I=106であり、I=56.4であり、I/Iが1.61であり、I/Iが0.51であり、I/Iが1.04である。
【0536】
実施例21
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)得られた球形SiOを被覆し、100gのSiO粉末を回転炉に入れ、炉内に窒素ガスを導入して雰囲気置換を行い、排出ガス中の酸素含有量が200ppm未満になると、2℃/minで600℃まで昇温し、アセチレンガスを導入し、流量が0.5L/minであり、全反応過程にN保護雰囲気を導入し、ガス流量を1L/minに制御し、反応ガス圧を2atmに保持し、10h反応させ続けた後、アセチレンガスを切断し、自然降温を開始し、複合負極材料を取得する。
【0537】
本実施例で製造された負極材料は、SiOコア及びSiOコアに被覆された炭素層を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、3.96%である。本実施例で製造された負極材料のラマンスペクトルのケイ素特徴ピークAが504cm-1にあり、炭素特徴ピークDが1352cm-1にあり、炭素特徴ピークGが1601cm-1にあり、グラフェン特徴ピークBが2695cm-1にあり、ピーク強度I=90.6であり、I=110であり、I=106であり、I=112.3であり、I/Iが1.61であり、I/Iが1.02であり、I/Iが1.04である。
【0538】
実施例22
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)得られた球形SiOを被覆し、100gのSiO粉末を回転炉に入れ、炉内に窒素ガスを導入して雰囲気置換を行い、排出ガス中の酸素含有量が200ppm未満になると、2℃/minで900℃まで昇温し、アセチレンガスを導入し、流量が0.5L/minであり、全反応過程にN保護雰囲気を導入し、ガス流量を1L/minに制御し、反応ガス圧を2atmに保持し、10h反応させ続けた後、アセチレンガスを切断し、自然降温を開始し、複合負極材料を取得する。
【0539】
本実施例で製造された負極材料は、SiOコア及びSiOコアに被覆された炭素層を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.68%である。本実施例で製造された負極材料のラマンスペクトルのケイ素特徴ピークAが504cm-1にあり、炭素特徴ピークDが1352cm-1にあり、炭素特徴ピークGが1601cm-1にあり、グラフェン特徴ピークBが2695cm-1にあり、ピーク強度I=10.6であり、I=110であり、I=106であり、I=112.3であり、I/Iが0.09であり、I/Iが1.02であり、I/Iが1.04である。
【0540】
実施例23
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)得られた球形SiOを被覆し、100gのSiO粉末を回転炉に入れ、炉内に窒素ガスを導入して雰囲気置換を行い、排出ガス中の酸素含有量が200ppm未満になると、2℃/minで700℃まで昇温し、アセチレンガスを導入し、流量が1L/minであり、全反応過程にN保護雰囲気を導入し、ガス流量を1.5L/minに制御し、反応ガス圧を2atmに保持し、10h反応させ続けた後、アセチレンガスを切断し、自然降温を開始し、複合負極材料を取得する。
【0541】
本実施例で製造された負極材料は、SiOコア及びSiOコアに被覆された炭素層を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.38%である。本実施例で製造された負極材料のラマンスペクトルのケイ素特徴ピークAが504cm-1にあり、炭素特徴ピークDが1352cm-1にあり、炭素特徴ピークGが1601cm-1にあり、グラフェン特徴ピークBが2695cm-1にあり、ピーク強度I=10.6であり、I=110であり、I=50であり、I=112.3であり、I/Iが0.09であり、I/Iが1.02であり、I/Iが2.2である。
【0542】
【0543】
【0544】
実施例20~23の試験データの比較から分かるように、炭素被覆表面のシリコン酸素材料中の炭素特徴ピーク、ケイ素特徴ピーク及び黒鉛特徴ピークを適切な範囲内に制御する必要があり、材料に優れた電気化学的性能を有することができる。グラフェンの層状構造が大きすぎると比表面積の増大及び負極材料中の炭素元素の質量含有量の増加をもたらし、材料の初回可逆容量及び初回クーロン効率を向上させることに不利である。
【0545】
実施例24
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)5gのビニレンカーボネートを100mlの酢酸エチルに溶解し、50℃まで昇温した後、0.2gの過硫酸アンモニウムを添加し、1h撹拌し反応させた後、100gのSiO、0.2gの過硫酸アンモニウム及び5gの水を添加し、5h反応させた後で冷却し、吸引濾過して固体物質を分離してから、100℃の乾燥箱に入れて10h熱処理し、冷却して負極材料を取得する。
【0546】
本実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に位置する被覆層とを含み、被覆層の厚さは、500nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、8%であり、被覆層は、ポリカーボネートである。
【0547】
実施例25
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)4gのポリアクリル酸を100mlの蒸留水に溶解し、40℃まで昇温した後で2h撹拌し反応させた後、100gのSiO及び5gの水を添加し、温度60℃で2h反応した後で冷却し、吸引濾過して固体物質を分離してから、180℃の乾燥箱に置いて4h熱処理し、冷却して負極材料を取得する。
【0548】
本実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に位置する被覆層とを含み、被覆層の厚さは、500nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、6.5%であり、被覆層は、ポリアクリル酸である。
【0549】
実施例26
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料及び金属Mgをプラズマ流に入れて反応させ、SiとMgのモル比が20:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiOとMgSiOを含有するケイ酸塩生成物とを水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。
【0550】
本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、球形の一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。X線でシリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面を走査して得られた元素分布図において、Si元素分布面は、均一分散状態であり、O元素分布面は、均一分散状態であり、Mg元素分布面は、均一分散状態である。
【0551】
更に、(4)5gのビニレンカーボネートを100mlの酢酸エチルに溶解し、50℃まで昇温した後、0.2gの過硫酸アンモニウムを添加し、1h撹拌し反応させた後、100gのSiO、0.2gの過硫酸アンモニウム及び5gの水を添加し、5h反応させた後で冷却し、吸引濾過して固体物質を分離してから、100℃の乾燥箱に入れて10h熱処理し、冷却して負極材料を取得する。
【0552】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された被覆層とを含み、被覆層の厚さは、500nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、8%であり、被覆層は、ポリカーボネートである。
【0553】
【0554】
【0555】
実施例24及び25の比較から分かるように、異なるポリマー被覆を採用していずれも材料のサイクル性能を改善することに寄与可能であるが、負極材料におけるポリマーの質量含有量は、材料の倍率性能に影響を与える。
【0556】
実施例27
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)4gのビニレンカーボネートを100gの蒸留水に溶解し、温度40℃で十分に溶解した後、撹拌の条件で1gのカーボンナノファイバ及び5gの鱗片状黒鉛CSG-3を添加し、2時間撹拌した後で200gのエタノールを添加し、0.5時間引き続き撹拌し、更に90gの球形SiOを撹拌しながらその中に添加し、温度が60℃で2時間撹拌した後で室温まで降温し、吸引濾過して材料を分離してから、180℃の乾燥箱に入れて4時間熱処理し、冷却した後で取り出して負極材料を取得する。
【0557】
本実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料SiOとシリコン酸素材料SiOの表面に位置する被覆層とを含み、被覆層の厚さは、300nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、5%であり、被覆層は、ポリアクリル酸、鱗片状黒鉛及びカーボンナノファイバを含み、鱗片状黒鉛は、シリコン酸素材料の表面に貼り合わせられ、ポリアクリル酸は、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆される。
【0558】
実施例28
実施例27との相違点は、以下のようになる。
(4)4gのポリアクリル酸を100gの蒸留水に溶解し、温度40℃で十分に溶解した後、撹拌の条件で1gのカーボンナノファイバ及び5gの鱗片状黒鉛CSG-3を添加し、2時間撹拌した後で200gのエタノールを添加し、0.5時間引き続き撹拌し、更に90gのSiOを撹拌しながらその中に添加し、温度60℃で2時間撹拌した後で室温まで降温し、吸引濾過して材料を分離してから、180℃の乾燥箱に置いて4時間熱処理し、冷却した後で取り出して負極材料を取得する。
【0559】
本実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料SiOとシリコン酸素材料SiOの表面に位置する被覆層とを含み、被覆層の厚さは、300nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、5%であり、被覆層は、ポリアクリル酸、鱗片状黒鉛及びカーボンナノファイバを含み、鱗片状黒鉛は、シリコン酸素材料の表面に貼り合わせられ、ポリアクリル酸は、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆される。
【0560】
【0561】
【0562】
実施例27及び28の比較から分かるように、ポリマー被覆処理を経て負極材料を取得することができ、コアのシリコン酸素材料は、より高い球形度を有するため、それは、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けるため構造の安定性を保持することができ、負極材料のサイクル性能が顕著に向上する。
【0563】
実施例29
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、冷却してシリコン酸化物SiOを取得し、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)アルゴンガスをキャリアガスとしてプラズマ発生器にメタンガス及びポリアクリロニトリルを導入して反応させ、ポリアクリロニトリルとSiOの質量比は、1:4であり、アルゴンガスとメタンガスの体積比は、10:2であり、キャリアガス流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(4)ステップ(3)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集して負極材料を取得する。
【0564】
本実施例の負極材料は、球形SiO-C複合材料であり、負極材料は、二次粒子であり、負極材料は、炭素材料及び炭素材料内に分布するシリコン酸化物を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の9%を占め、負極材料の粒径は、D90が約31μmであり、D50が約20.3μmであり、D10が約8.9μmであることを満たす。
【0565】
実施例30
実施例29との相違点は、以下のようになる。
ステップ(2)でプラズマ発生器にメタンガスを導入して反応させる。
【0566】
本実施例の負極材料は、球形SiO-C複合材料であり、負極材料は、二次粒子であり、負極材料は、炭素材料及び炭素材料内に分布するシリコン酸化物を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、5%であり、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の9%を占め、負極材料の粒径は、D90が約36μmであり、D50が約19μmであり、D10が約11μmであることを満たす。
【0567】
【0568】
【0569】
実施例29及び30の比較から分かるように、製造された負極材料の球形度が高いほど、負極材料のサイクル性能が顕著に向上する。
【0570】
実施例31
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、冷却してシリコン酸化物SiOを取得し、キャリアガス流量が1m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)アルゴンガスをキャリアガスとしてプラズマ発生器にメタンガス及びポリアクリロニトリルを導入して反応させ、ポリアクリロニトリルとSiOの質量比は、1:4であり、アルゴンガスとアセチレンガスの体積比は、10:2であり、キャリアガスの流量は、1m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(4)ステップ(3)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集して負極材料を取得する。
【0571】
本実施例の負極材料は、球形SiO-C複合材料であり、負極材料は、二次粒子であり、負極材料は、炭素材料及び炭素材料内に分布するシリコン酸化物を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、12%であり、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の8.5%を占め、負極材料の粒径は、D90が約30μmであり、D50が約15μmであり、D10が約5μmであることを満たす。
【0572】
実施例32
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングし、ガス粉末を分級したD50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、冷却してシリコン酸化物SiOを取得し、キャリアガス流量が1m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)アルゴンガスをキャリアガスとしてプラズマ発生器にメタンガス及びポリアクリロニトリルを導入して反応させ、ポリアクリロニトリルとSiOの質量比は、1:6であり、アルゴンガスとアセチレンガスの体積比は、10:3であり、キャリアガスの流量は、1m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(4)ステップ(3)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集して負極材料を取得する。
【0573】
本実施例の負極材料は、球形SiO-C複合材料であり、負極材料は、二次粒子であり、負極材料は、炭素材料及び炭素材料内に分布するシリコン酸化物を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の10%を占め、負極材料の粒径は、D90が約55μmであり、D50が約22μmであり、D10が約11μmであることを満たす。
【0574】
【0575】
【0576】
実施例31及び32の試験データの比較から分かるように、炭素質結合剤及び炭素源ガスの含有量が増加する場合、負極材料の粒径が顕著に増加し、このようにサイクル時に粒子の過大な応力集中により、サイクル性能が悪くなる。
【0577】
本願では、好適な実施例は、以上のように開示されたが、請求項を制限するためのものではない。当業者が本願の構想から逸脱することなく、幾つかの可能な変動及び修正を行うことができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項で定められた範囲を基準とすべきである。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図5a
図5b
図6
図7a
図7b
図7c
図7d
【手続補正書】
【提出日】2023-05-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
(関連出願)
本願は、2021年6月25日に中国専利局へ提出された、出願番号が2021107119628であって発明名称が「シリコン酸化物、負極材料、製造方法及び応用」である中国特許出願の優先権を要求し、その全ての内容は、引用によって本願に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、負極材料の技術分野に関し、具体的に、シリコン酸素材料、負極材料及びその製造方法、リチウムイオン電池に関する。
【背景技術】
【0003】
SiOx(0<x<2)負極材料は、現在最も有力視されるリチウムイオン電池負極材料であり、黒鉛の低比容量、ケイ素単体の高貯蔵リチウム電圧プラットフォーム及び相対的に悪いサイクルや倍率性能の欠点を同時に克服しながら、良好な安全性及び広範な原料供給源を有する。しかし、SiOx負極材料は、サイクル過程において約200%の体積膨張率を有し、如何にしてSiOx負極材料の体積膨張を低下させるかは、業界の研究の焦点となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑み、本願は、シリコン負極材料の初回クーロン効率を向上させつつ製造コストを低減可能であるシリコン酸素材料、負極材料及びその製造方法、並びに、リチウムイオン電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1態様において、本願は、シリコン酸素材料を提供し、前記シリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料は、一次粒子であり、前記一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0006】
本願に関わるシリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、シリコン酸化物は、wadellの球形度が0.92よりも大きい球形シリコン酸化物の一次粒子であり、球形粒子は、等方性の特徴を有するため、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けて構造の安定性を保持することができ、形状の不均一による応力の「脆弱点」の受けが現れないので、粒子構造の崩れ及びSEI膜の破裂によって電解液が材料内部に浸透する可能性が大幅に低減され、電解液が材料内部に浸透して新たなSEI膜を生成し続けることが効果的に回避され、SEI膜の繰り返し破砕及び生成が回避され、材料の体積膨張が低減され、材料のサイクル性能が向上する。また、同体積の粒子のうち球形粒子の比表面積が最小であり、循環過程において生成されたSEI膜が最も少ないため、不可逆充電容量が効果的に減少し、循環過程における不可逆容量損失が更に低減することができる。
【0007】
幾つかの実施形態において、前記シリコン酸素材料は、還元性金属及び還元性金属化合物のうちの少なくとも1種を更に含む。
【0008】
本願に関わるシリコン酸素材料は、シリコン酸化物、還元性金属及び/又は還元性金属化合物を含み、当該シリコン酸化物の一次粒子においてSi、O及び還元性金属が均一に分布し、シリコン酸素材料は、wadellの球形度が0.92よりも大きい球形の一次粒子であり、球形粒子は、等方性の特徴を有するため、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けて構造の安定性を保持することができ、形状の不均一による応力の「脆弱点」の受けが現れないので、粒子構造の崩壊及びSEI膜の破裂によって電解液が材料内部に浸透する可能性が大幅に低減され、電解液が材料内部に浸透して新たなSEI膜を生成し続けることが効果的に回避され、SEI膜の繰り返し破砕及び生成が回避され、材料の体積膨張が低減され、材料のサイクル性能が向上する。また、同体積の粒子のうち球形粒子の比表面積が最小であり、循環過程において生成されたSEI膜が最も少ないため、不可逆充電容量が効果的に減少し、循環過程における不可逆容量損失が更に低減することができる。
【0009】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含む。
【0010】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属元素は、Li、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiのうちの少なくとも1種を含む。
【0011】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、10%~50%である。
【0012】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料中の還元性金属元素の質量含有量は、0.5%~50%である。
【0013】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面をX線で走査して得られた元素分布図において、Si、O及び還元性金属元素の分布面は、均一分散状態である。
【0014】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属の酸化物、還元性金属のシリサイド及び還元性金属のケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0015】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記還元性金属のケイ酸塩は、前記一次粒子内に均一に分布する。
【0016】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、10%~80%である。
【0017】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含む。
【0018】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含み、前記ケイ酸リチウムは、LiSiO、LiSiO、LiSi及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0019】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含み、前記ケイ酸リチウムは、LiSiである。
【0020】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、結晶質のLiSiを含み、LiSiの結晶粒サイズは、20nmよりも小さい。
【0021】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、結晶質のLiSiを含み、前記シリコン酸素材料中のLiSiの質量含有量は、20%~80%である。
【0022】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含み、前記シリコン酸素材料中のSiとLiとのモル比は、(1~50):1である。
【0023】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記一次粒子のwadellの球形度は、0.95よりも大きい。
【0024】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズは、20nm以下である。
【0025】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズは、10nm以下である。
【0026】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の平均粒径D50は、D50≦50μmを満たす。
【0027】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の粒径分布は、3μm<D50<10μm、2μm≦D10≦5μm、及び、0.8≦(D90-D10)/D50≦1.2を満たす。
【0028】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の比表面積は、10m/gよりも小さい。
【0029】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料は、非金属ドープ元素を更に含む。
【0030】
第2態様において、本願は、負極材料を提供する。前記負極材料は、上記シリコン酸素材料を含む。
【0031】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、前記シリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層を更に含む。
【0032】
上記解決手段において、シリコン酸素材料の一次粒子の表面に炭素層を形成することにより、一次粒子が充放電サイクル中に粒子が破裂し、粉化することを効果的に抑制することができ、材料の体積膨張を緩和し、負極材料内部の一次粒子の構造安定性を保証することができる。炭素層で被覆した後、より高い導電性及び安定性を有し、炭素充填材料の内部空孔を効果的に回避し、材料の初回効率を向上させることができ、それにより負極材料は、高容量、長サイクル寿命、高倍率性能及び低膨張等の特性を示すことができる。
【0033】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記炭素層の厚さの最大値と最小値との差は、最小値よりも小さい。
【0034】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記炭素層の厚さは、10nm~500nmである。
【0035】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のD50は、D50≦100μmを満たす。
【0036】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、金属化合物を更に含み、前記金属化合物は、金属酸化物、金属シリサイド及び金属ケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0037】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料は、前記炭素材料中に分散され、前記負極材料は、球形粒子であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.3よりも大きい。
【0038】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のwadellの球形度は、0.5よりも大きい。
【0039】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0040】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料において、酸素元素の質量は、シリコン元素と酸素元素との質量の総和の0%~67%(ただし、0%を含まない)を占める。
【0041】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のD50は、D50≦40μmを満たす。
【0042】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の空孔率は、20%よりも小さい。
【0043】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料は、前記負極材料の質量の40%~95%を占める。
【0044】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料は、前記炭素材料中に分散され、前記炭素材料は、非晶質炭素を含む。
【0045】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、黒鉛を更に含む。
【0046】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、黒鉛を更に含み、前記黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛及びメソカーボンマイクロビーズのうちの少なくとも1種を含む。
【0047】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、黒鉛を更に含み、前記負極材料の総質量を100%としたときに、前記黒鉛の質量分率は、0%~40%であり、前記シリコン酸素材料の質量分率は、40%~95%であり、前記炭素材料の質量分率は、5%~60%である。
【0048】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記炭素材料は、原位置で成長して前記シリコン酸素材料の表面に形成され、且つ前記炭素材料は、グラフェン構造を有する。
【0049】
幾つかの実行可能な実施形態において、ラマンスペクトルにおいて、前記負極材料は、炭素特徴ピークD、炭素特徴ピークG、シリコン特徴ピークA及びグラフェン特徴ピークBを有する。
【0050】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン特徴ピークAのピーク強度Iと前記グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iとの比I/Iは、0.1~50であり、且つ前記炭素特徴ピークDのピーク強度Iと前記炭素特徴ピークGのピーク強度Iとの比I/Iは、0.5~2.0であり、前記グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iと前記炭素特徴ピークDのピーク強度Iとの比I/Iは、0~1である。
【0051】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料は、前記炭素材料中に分散され、前記負極材料は、二次粒子であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きい。
【0052】
上記解決手段において、当該負極材料が二次粒子であり、シリコン酸素材料の一次粒子が炭素材料中に分散され、二次粒子における炭素層が、シリコン酸素材料粒子表面を被覆する作用を果たすだけでなく、シリコン酸素材料を接続して二次粒子を構成する作用も果たし、優れた電気化学的性能を有する。二次粒子内部の多孔質構造は、一部の体積膨張を吸収して材料の循環性能の向上と相乗作用することができる。且つ一次粒子の間に充填された炭素は、粒子と粒子との間の良好な電気的接触を提供することができ、電解液と活物質との直接的な接触を減少させ、粒子の粉化時に活物質間が電気的接触を失うことによるサイクル劣化を回避する。それは、球形構造の安定性と相乗作用して優れた電気化学的性能を実現する。
【0053】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料は、シリコン酸化物の一次粒子である。
【0054】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の体積の15%以下を占める。
【0055】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物の粒径は、D90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たす。
【0056】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、1.0nm~20nmである。
【0057】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の比表面積は、0.5m/g~50m/gである。
【0058】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のタップ密度は、0.5g/cm~5.0g/cmである。
【0059】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の粒径D50は、前記シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍である。
【0060】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の粒径は、6μm≦D90≦8μm、4μm<D50<6μm、及び、2μm≦D10≦3μmを満たす。
【0061】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料中の炭素元素の質量含有量は、2%~20%である。
【0062】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の空孔率は、1%~50%である。
【0063】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料は、前記シリコン酸素材料の表面に位置する被覆層を更に含み、前記被覆層は、可撓性ポリマーを含む。
【0064】
上記解決手段において、被覆層は、シリコン酸素材料の一次粒子の表面に被覆され、高強度の可撓性ポリマーは、シリコン酸素材料の表面に被覆され、シリコン酸素材料の膨張をより効果的に抑制することができ、且つ被覆された負極材料は、導電率が高く、導電性が安定であり、優れたサイクル膨張性能を有する。
【0065】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含む。
【0066】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちの少なくとも1種を含む。
【0067】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーの重量平均分子量は、2000~1000000である。
【0068】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーには、熱架橋型官能基が含まれ、前記熱架橋型官能基は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちの少なくとも1種を含む。
【0069】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層は、導電性材料を更に含む。
【0070】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記導電性材料は、鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含む。
【0071】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記鱗片状黒鉛は、天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛を含む。
【0072】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記ナノ炭素系材料は、導電性グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも1種を含む。
【0073】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含む。
【0074】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記非水溶性ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0075】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記可撓性ポリマーの質量百分率は、0~10%(ただし、0を含まない)である。
【0076】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記鱗片状黒鉛の質量百分率は、0~20%(ただし、0を含まない)である。
【0077】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記ナノ炭素系材料の質量百分率は、0~5%(ただし、0を含まない)である。
【0078】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、ポリカーボネートを含む。
【0079】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層の厚さは、10nm~5000nmである。
【0080】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層の前記負極材料における質量割合は、0%~20%(ただし、0%を含まない)である。
【0081】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記被覆層の前記負極材料における質量割合は、2%~10%である。
【0082】
態様において、本願は、負極材料の製造方法を提供する。当該製造方法、以下のステップを含む。つまり、
【0083】
シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送して反応させるステップと、
【0084】
反応後の生成物を冷却し、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得するステップとを含み、前記シリコン酸素材料は、一次粒子であり、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0085】
上記解決手段において、原料は、プラズマ流中に入って高温で反応を行うと同時に、シリコン酸化物液滴を生成する。シリコン酸化物液滴が冷却され、表面張力の作用で自動的に球形になり、且つ球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率と優れたサイクル性能を有する。
【0086】
態様において、本願は、負極材料の製造方法を提供する。当該製造方法は、以下のステップを含む。
【0087】
シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理し、冷却した後、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得し、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0088】
上記解決手段において、原料を熱処理することにより、高温でシリコン酸化物液滴を生成する。シリコン酸化物液滴が冷却され、表面張力の作用で自動的に球形になり、且つ球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率及び優れたサイクル性能を有する。
【0089】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料を製造する原料に対してプラズマ反応を行うことを含む。
【0090】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含む。
【0091】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、Si、SiO及びSiOの混合物と、SiO及びSiの混合物と、Si及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含み、0<y<2である。
【0092】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、SiH及びOを含む。
【0093】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含み、前記プラズマ流中の温度は、1400℃~2400℃である。
【0094】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含み、前記シリコン酸化物の原料の供給速度は、2.0g/min~80g/minである。
【0095】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含む。
【0096】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含む。
【0097】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスは、メタン及び水素ガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0098】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスと前記シリコン酸化物とのモル比は、0~0.25(ただし、0を含まない)である。
【0099】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスの径方向速度が1m/h~10m/hである。
【0100】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含む。
【0101】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含み、前記還元性金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含む。
【0102】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含み、前記還元性金属は、Li、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiのうちの少なくとも1種を含む。
【0103】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含み、前記還元性金属は、Liを含み、前記シリコン酸化物を製造する原料中のSiとLiとのモル比は、(1~50):1である。
【0104】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、還元性金属を更に含み、前記還元性金属は、Mgを含み、前記シリコン酸化物を製造する原料中のSiとMgとのモル比は、(5~50):1である。
【0105】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記方法は、熱処理後の生成物に対して水洗及び/又は酸洗を行い、洗浄生成物を中性になるまで洗浄し、且つ固液分離及び乾燥を行うことを更に含む。
【0106】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、溶融したシリコン酸素材料の原料を霧化することを含む。
【0107】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧気体を用いて霧化することを含む。
【0108】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧ガスを用いて霧化することを含み、前記加圧ガスは、保護ガスであり、前記保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0109】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧気体を用いて霧化することを含み、前記加圧気体の圧力は、0.2Mpa~100Mpaである。
【0110】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記冷却のステップは、前記シリコン酸化物の原料液滴を100℃以下まで冷却することである。
【0111】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記冷却の速度は、1℃/s~100℃/sである。
【0112】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記冷却は、保護ガスを用いた冷却であり、前記保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0113】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物原料は、SiOzであり、0<z<2である。
【0114】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物原料は、SiO、Si及びSiOの混合物と、Si及びSiOの混合物と、SiO及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含む。
【0115】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含む。
【0116】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0117】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、クエン酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0118】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源と前記シリコン酸化物との質量比は、5:(5~95)である。
【0119】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップは、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料は、黒鉛を更に含む。
【0120】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記方法は、冷却された生成物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含む。
【0121】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記方法は、冷却された生成物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記炭化処理の温度は、600℃~1000℃である。
【0122】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行い、冷却してシリコン酸化物と炭素材料とを含む負極材料を取得することを更に含み、前記負極材料は、二次粒子であり、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きい。
【0123】
幾つかの実行可能な実施形態において、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物の一次粒子である。
【0124】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の体積の15%以下を占める。
【0125】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物の粒径は、D90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たす。
【0126】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、1.0nm~20nmである。
【0127】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記炭素源ガスは、炭化水素類を含む。
【0128】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記炭素源ガスは、メタン、アセチレン、エチレン、エタン、プロパン、プロペン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。
【0129】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記キャリアガスと前記炭素源ガスとの体積比は、10:(0.5~10)である。
【0130】
幾つかの実行可能な実施形態において、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含む。
【0131】
幾つかの実行可能な実施形態において、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0132】
幾つかの実行可能な実施形態において、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0133】
幾つかの実行可能な実施形態において、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤と前記シリコン酸化物との質量比は、5:95~50:50である。
【0134】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の粒径D50は、前記シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍である。
【0135】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の粒径は、20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たす。
【0136】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料における炭素元素の質量含有量は、2%~20%である。
【0137】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の空孔率は、1%~50%である。
【0138】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料の比表面積は、0.5m/g~50m/gである。
【0139】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記負極材料のタップ密度は、0.5g/cm~5.0g/cmである。
【0140】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行い、負極材料を取得することを更に含む。
【0141】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行うことを更に含み、前記炭素被覆処理は、固相炭素被覆、液相炭素被覆及び気相炭素被覆のうちの少なくとも1種を含む。
【0142】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含む。
【0143】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスは、炭化水素類である。
【0144】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスは、メタン、エチレン、アセチレン、プロピン、プロペン、プロパン、トルエン、ベンゼン、スチレン及びフェノールのうちの少なくとも1種を含む。
【0145】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記熱分解の温度は、600℃~1000℃である。
【0146】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記シリコン酸素材料の加熱温度は、500℃~1200℃であり、保温時間は、0.5h~20hである。
【0147】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記熱分解の反応ガス圧は、1.0atm~10.0atmである。
【0148】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス、炭素源ガス及び補助ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記補助ガスは、Hを含む。
【0149】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス、炭素源ガス及び補助ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスと補助ガスとのモル比は、(2~10):1である。
【0150】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含む。
【0151】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記炭化処理の温度は、500℃~1000℃であり、炭化処理の時間は、2h~20hである。
【0152】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0153】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0154】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源と前記シリコン酸素材料との質量比は、5:(5~95)である。
【0155】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記製造方法は、可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行い、負極材料を取得することを更に含む。
【0156】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含む。
【0157】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0158】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーの重量平均分子量は、2000~1000000である。
【0159】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーに熱架橋型官能基が含まれ、前記熱架橋型官能基は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含む。
【0160】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリオレフィン及びその誘導体とアルギン酸及びその誘導体との組み合わせである。
【0161】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、溶媒を含み、前記溶媒は、水、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素から選択されるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0162】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、逆溶媒を含み、前記逆溶媒は、可撓性ポリマーの貧溶媒である。
【0163】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、逆溶媒を含み、前記逆溶媒は、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素から選択されるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせである。
【0164】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップは、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含む。
【0165】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップは、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含み、前記熱処理の温度は、100℃~400℃であり、前記熱処理の時間は、2h~12hである。
【0166】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップは、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含み、前記撹拌の温度は、20℃~100℃であり、前記撹拌の時間は、1~24hである。
【0167】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、導電性材料を更に含む。
【0168】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、導電性材料を更に含み、前記導電性材料は、鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含む。
【0169】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含む。
【0170】
幾つかの実行可能な実施形態において、前記コート液は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含み、前記非水溶性ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0171】
態様において、本願は、リチウムイオン電池を提供する。当該リチウムイオン電池は、上記負極材料又は上記製造方法で得られた負極材料を含む。
【発明の効果】
【0172】
本願の解決手段は、少なくとも以下の有利な作用効果を有する。
【0173】
本願に関わるシリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、シリコン酸化物は、wadellの球形度が0.92よりも大きい球形シリコン酸化物の一次粒子であり、球形粒子は、等方性の特徴を有するため、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けて構造の安定性を保持することができ、形状の不均一による応力の「脆弱点」の受けが現れないので、粒子構造の崩れ及びSEI膜の破裂によって電解液が材料内部に浸透する可能性が大幅に低減され、電解液が材料内部に浸透して新たなSEI膜を生成し続けることが効果的に回避され、SEI膜の繰り返し破砕及び生成が回避され、材料の体積膨張が低減され、材料のサイクル性能が向上する。また、同体積の粒子のうち球形粒子の比表面積が最小であり、循環過程において生成されたSEI膜が最も少ないため、不可逆充電容量が効果的に減少し、循環過程における不可逆容量損失が更に低減することができる。
【0174】
本願は、プラズマ法又はアトマイズ法を採用してシリコン酸素材料又は負極材料を製造し、まず原料を溶融して液滴状の生成物を取得し、次に冷却過程で高球形度のシリコン酸素材料の一次粒子を形成し、シリコン酸化物の体積膨張の技術的課題を解決し、且つ当該製造方法は、簡単で操作しやすく、量産化に適する。
【図面の簡単な説明】
【0175】
図1】本願の実施例に係る負極材料の製造方法のプロセスのフローチャートである。
図2a】本願の実施例1で製造されたシリコン酸素材料の電子顕微鏡写真である。
図2b】本願の実施例1で製造されたシリコン酸素材料の断面電子顕微鏡写真である。
図3】本願の実施例1で製造されたシリコン酸素材料の電子顕微鏡写真である。
図4a】本願の実施例3で製造されたシリコン酸素材料の電子顕微鏡写真である。
図4b】本願の実施例3で製造されたシリコン酸素材料の断面電子顕微鏡写真である。
図5a】本願の実施例4で製造されたシリコン酸素材料の電子顕微鏡写真である。
図5b】本願の実施例4で製造されたシリコン酸素材料の断面電子顕微鏡写真である。
図6】本願の実施例10で製造された負極材料の電子顕微鏡写真である。
図7a】本願の実施例12で製造されたシリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面図である。
図7b】本願の実施例12で製造されたシリコン酸素材料の一次粒子におけるSi元素の分布図である。
図7c】本願の実施例12で製造されたシリコン酸素材料の一次粒子におけるO元素の分布図である。
図7d】本願の実施例12で製造されたシリコン酸素材料の一次粒子におけるMg元素の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0176】
以下は、本願の実施例の好適な実施形態であり、注意すべきことは、当業者にとって、本願の実施例の原理から逸脱することなく、幾つかの改善及び修飾を行うことができ、これらの改善及び修飾も本願の実施例の保護範囲内のものと見なされる。
【0177】
[第1態様]
本願の実施例は、シリコン酸素材料を提供し、当該シリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、シリコン酸素材料は、一次粒子であり、一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0178】
本実施形態のシリコン酸素材料は、wadellの球形度が0.92よりも大きいシリコン酸化物の一次粒子であり、負極材料に用いられる場合、循環過程において構造がより安定であり、SEI膜の繰り返し生成による材料粒子の破砕の問題を回避することができ、材料のサイクル性能を向上させ且つSEI膜の生成による体積膨張を低減することに役立つ。従来の技術において単体シリコン又は二酸化ケイ素に対して球形化処理を行うだけであり、酸化ケイ素の球形化技術は、現在では困難であり、酸化ケイ素の高さ球形化(球形度が0.92よりも大きい)は、一層困難であり、本願において、研究開発者は、大量の試験及びプロセスの最適化により、製造された酸化ケイ素の球形度が0.92以上に達することができ、それは、循環過程において構造がより安定であり、SEI膜の繰り返し生成による材料粒子の破砕の問題を回避することができ、予想外の効果を有する。
【0179】
具体的には、シリコン酸化物の一次粒子のwadellの球形度は、0.925、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99等であってもよい。理解できるように、シリコン酸化物の一次粒子のwadellの球形度は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0180】
本願の実施例に係るシリコン酸素材料は、還元性金属及び還元性金属化合物のうちの少なくとも1種を更に含む。
【0181】
上記解決手段において、単純なシリコン酸化物の一次粒子に比べて、シリコン酸素材料中の還元性金属及び/又は還元性金属化合物は、材料の初回充電時に正極材料から脱出するリチウムの消耗を低減することができ、製造されたリチウムイオン電池は、不可逆充電リチウムの消費を大幅に低減することができ、高い充放電比容量及び優れた初回クーロン効率を有する。例えば、還元性金属がリチウム元素である場合に、プレリチウム化材料がケイ素系材料を事前にプレリチウム化するため、材料中のケイ素結晶粒のサイズが従来のケイ素基材料より顕著に大きく、それによりサイクル性能の劣化をもたらす可能性がある。球形度が高い材料は、構造安定性の向上によりサイクル性能を改善することができる。両者の総合的作用の結果により材料は、高い効果を有すると同時にサイクル性能を両立させることができ、材料全体の総合性能に優れている。
【0182】
具体的には、一次粒子のwadellの球形度は、0.925、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97、0.98、0.99等であってもよい。理解できるように、一次粒子のwadellの球形度は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0183】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の一次粒子のwadellの球形度は、0.95よりも大きい。
【0184】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含む。
【0185】
具体的には、還元性金属元素は、Li、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiから選択される少なくとも1種である。
【0186】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、10%~50%であり、具体的に、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、48%又は50%等であってもよく、ここで限定されない。
【0187】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中の還元性金属元素の質量含有量は、0.5%~50%であり、具体的に、0.5%、1%、3%、5%、7%、9%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%又は50%等であってもよく、ここで限定されない。
【0188】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、10%~80%であり、具体的に、10%、15%、18%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%又は80%等であってもよく、ここで限定されない。
【0189】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面をX線で走査して得られた元素分布図において、Si、O及び還元性金属元素の分布面は、均一分散状態である。シリコン酸素材料において、Si、O及び還元性金属元素は、一次粒子内に均一に分布し、空気等の成分が一次粒子内部に浸透して活性成分が失効することを効果的に回避することができ、長期保存構造及び性質が劣化せず、リチウムイオン電池に非常に適する。均一分散の主な利点は、材料内部の各箇所の物質化状態が類似し(即ち、ケイ酸塩濃度、シリコン結晶粒サイズ等)を保証することであり、このようにリチウム放出過程で各箇所の膨張収縮がいずれも同じレベルにあり、局所的な膨張が大きすぎることによる応力の脆弱点が現れず、より優れた材料性能を発揮させる。
【0190】
幾つかの実施形態において、還元性金属化合物は、還元性金属の酸化物、還元性金属のシリサイド及び還元性金属のケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0191】
幾つかの実施形態において、還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、還元性金属のケイ酸塩は、一次粒子内に均一に分布する。
【0192】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含み、即ち、還元性金属元素は、Liである。
【0193】
幾つかの実施形態において、ケイ酸リチウムは、LiSiO、LiSiO、LiSi及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。好ましくは、ケイ酸リチウムは、LiSiである。
【0194】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、結晶質のLiSiを含み、LiSiの結晶粒サイズは、20nmよりも小さく、生成されたケイ酸塩の結晶粒サイズを制御することにより、最終的にシリコン酸素材料は、高い初回クーロン効率を取得すると同時に、材料のサイクル性能を向上させる。また、ケイ酸塩(特にケイ酸リチウム)は、良好なリチウムイオン伝導特性を有し、それよりも小さい結晶粒サイズを結合し、リチウムイオンがスムーズにリチウム吸蔵・放出反応を完了することをよりよく保証し、良好な倍率性能を示し、安全性が高い。
【0195】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、結晶質のLiSiを含み、シリコン酸素材料中のLiSiの質量含有量は、20%~80%であり、具体的に、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、60%、70%又は80%等であってもよく、ここで限定されない。
【0196】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中のSiとLiとのモル比は、(1~50):1であり、具体的に、1:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1又は50:1等であってもよく、ここで限定されない。
【0197】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、シリコン酸化物に分散して分布し、シリコンの充放電時の体積膨張の問題を緩和することができる。球形構造は、材料の構造安定性を更に向上させることができ、優れたサイクル性能を有し且つ体積効果が小さく、それにより優れた電気化学的性能を有する。
【0198】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、非金属ドープ元素、例えばN、S、P等を更に含む。
【0199】
幾つかの実施形態において、一次粒子のwadellの球形度は、0.95よりも大きい。
【0200】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料のD50は、D50≦50μmを満たす。具体的には、D50は、50μm、45μm、40μm、38μm、35μm、33μm、30μm、25μm、20μm、15μm、10μm、8μm、6μm等であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0201】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の粒径分布は、3μm<D50<10μm、2μm≦D10≦5μm、及び、0.8≦(D90-D10)/D50≦1.2を満たす。シリコン酸素材料の一次粒子の粒径を適切なミクロン範囲内に制御し、粒径が小さすぎることによる大きな比表面積及びシリコン酸素材料の酸化問題を防止することができ、これらは、いずれも容量及び初回効率の低下をもたらす。(D90-D10)/D50は、材料の粒径分布を代表し、狭い粒径分布は、材料中の微粉及び大粒子が占める割合を大幅に低減し、後続の再処理過程における微粉除去工程を回避し、製品のサイクル性能を向上させ、膨張率、高温貯蔵及び高温サイクルをを改善し、相対的に低い割合の大粒子は、サイクルを改善することができ、材料は、優れたサイクル、膨張、高温貯蔵及び高温サイクル性能を有する。具体的には、D50は、3.5μm、4μm、6μm、8μm、9.5μmであってもよく、D10は、2μm、4μm、5μmであってもよく、(D90-D10)/D50は、0.8、0.9、1.0、1.1、1.2であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0202】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の比表面積は、10m/gより小さく、比表面積が10m/gよりも大きいと、容量及び初回効率の低下をもたらし、電池の性能に影響を与える。シリコン酸化物の比表面積は、具体的に、0.2m/g、0.6m/g、1.0m/g、1.5m/g、1.8m/g、2.0m/g、2.5m/g、3.0m/g、3.6m/g、4.0m/g、4.2m/g、4.6m/g、5m/g、5.2m/g、5.5m/g、5.8m/g、6.0m/g、6.2m/g、6.8m/g、7.0m/g、7.4m/g、8.0m/g、8.5m/g、9.2m/g又は9.8m/gであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0203】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズは、20nm以下である。具体的には、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、20nm、18nm、15nm、12nm、10nm、9.2nm、8nm、6.7nm、6nm、5nm又は3nm等であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0204】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、10nm以下である。Si結晶粒の大きさは、シリコン酸化物の不均化度を反映し、Si結晶粒のサイズが大きいほど、不均化の度合いが高くなることを示し、Si結晶粒とSiOを大量に生成し、それにより単体Siによるより大きな体積膨張、及び、SiOの容量がないことによる容量低下等の問題をもたらし、SiO自体の優れた性能を示すことに不利である。
【0205】
説明すべきことは、上記各実施形態のシリコン酸素材料は、互いに矛盾しない場合に、任意に組み合わせることができ、例えば比表面積とSi結晶子サイズとを組み合わせて限定する等である。
【0206】
[第2態様]
本願は、負極材料を提供し、当該負極材料は、第1態様のシリコン酸素材料を含む。
【0207】
上記シリコン酸素材料を負極材料に用いる場合、それは、サイクル過程において構造がより安定であり、SEI膜の繰り返し生成による材料粒子の破砕を回避し、負極材料のサイクル性能を向上させ、且つSEI膜の生成による体積膨張を低減することに役立つ。
【0208】
説明すべきことは、上記負極材料は、上記シリコン酸素材料のみを含むことに限定されず、幾つかの好適な実施形態において、負極材料で構成された設計に基づいて、他の材料を添加して上記シリコン酸化物と配合して負極材料の各方面の性能を最適化することができる。
【0209】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、シリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層を更に含む。
【0210】
理解できるように、負極材料中のシリコン酸素材料コアの球形度が高く、炭素被覆を行うときに炭素材料をより均一に被覆することができ、炭素層の厚さがより均一であり、露出したシリコン酸素材料の一次粒子及び炭素層の脆弱箇所がより少なく、負極材料のサイクル安定性を向上させることに役立つ。
【0211】
幾つかの実施形態において、炭素層の厚さの最大値と最小値との差は、最小値よりも小さい。
【0212】
幾つかの実施形態において、炭素層の厚さは、10nm~500nmであり、更に好ましくは、50nm~200nmである。具体的には、炭素層の厚さは、10nm、50nm、80nm、100nm、120nm、150nm、200nm、300nm、400nm又は500nmであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0213】
幾つかの実施形態において、上記負極材料のD50は、D50≦100μmを満たす。具体的には、負極材料のD50は、100μm、90μm、80μm、70μm、65μm、60μm、58μm、55μm、50μm、48μm、40μm、35μm、30μm、25μm、20μm、15μm又は10μm等であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0214】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、シリコンを更に含んでもよい。
【0215】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、シリコン及びリチウム含有化合物を更に含んでもよい。
【0216】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、シリコン及びケイ酸リチウムを更に含む。更に、ケイ酸リチウムは、LiSiO、LiSiO、LiSi及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0217】
幾つかの実施形態において、上記シリコン酸素材料を負極材料に適用する場合に、負極材料は、金属化合物を更に含んでもよい。金属化合物は、金属酸化物、金属シリサイド及び金属ケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0218】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、炭素材料を更に含み、シリコン酸素材料は、炭素材料中に分散される。
【0219】
シリコン酸素材料は、炭素材料中に分散され、炭素材料は、シリコン酸素材料のための導電ネットワークを構築し、シリコン酸素材料の導電性が低いという欠点を克服し、シリコン酸素材料の容量発揮及びサイクル安定化に役立つ。
【0220】
別の実施形態の負極材料であって、負極材料は、シリコン酸素材料及び炭素材料を含み、シリコン酸素材料は、炭素材料中に分散され、負極材料は、球形粒子であり、負極材料のwadellの球形度は、0.3よりも大きい。
【0221】
当該負極材料全体の球形度が高く、シリコン酸素材料が膨張過程で全ての方向に均一に膨張することができ、膨張応力が均一に分散され、同時に球形構造が安定であり、長いサイクルの過程で粒子が割れにくい。粒子の突出箇所の存在は、破断しやすい脆弱点であり、球形構造は、この構造の存在を回避するため、長いサイクル過程でSEI膜の成長が遅く、膨張率が低く、炭素材料は、シリコン酸素材料の導電性が低いという欠点を克服し、シリコン酸素材料の容量発揮及びサイクル安定に役立つ。
【0222】
具体的には、負極材料のwadellの球形度は、0.31、0.35、0.40、0.42、0.45、0.5、0.55、0.6、0.7、0.8、0.9、0.95等であってもよく、理解できるように、負極材料のwadellの球形度は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0223】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、炭素材料中に均一に分散する。
【0224】
幾つかの実施形態において、炭素材料は、シリコン酸素材料を被覆する。
【0225】
幾つかの実施形態において、負極材料のwadellの球形度は、0.5よりも大きい。
【0226】
幾つかの実施形態において、負極材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。具体的には、負極材料のwadellの球形度は、0.925、0.93、0.94、0.95、0.96、0.97等であってもよい。当該負極材料の球形度が当該範囲にあると、SiOxが膨張過程で全ての方向に均一に膨張することを保証することができ、膨張応力が均一に分散される。同時に球体の構造が安定であり、長いサイクルの過程で粒子が割れにくい。粒子の突出箇所の存在は、破断しやすい脆弱点であり、球形構造は、この構造の存在を回避し、長いサイクル過程でSEI膜の繰り返し成長及び破砕を効果的に回避する。
【0227】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料において、酸素元素の質量は、シリコン元素と酸素元素との総和の0%~67%(ただし、0%を含まない)を占める。具体的には、酸素元素の質量は、ケイ素元素と酸素元素との総和が0.5%、1%、5%、10%、15%、18%、21%、28%、30%、37%、42%、47%、50%、55%、60%又は67%であってもよい。理解できるように、酸素元素の質量がケイ素元素と酸素元素との総和を占める比率は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0228】
幾つかの実施形態において、負極材料球形粒子において、シリコン酸化物のD50は、D50≦1.5μmを満たす。シリコン酸化物の粒径が小さいほど、炭素材料中での分散度合いが高くなる。具体的には、シリコン酸化物のD50は、1.5μm、1.2μm、1μm、0.8μm、0.5μm、0.4μm、0.2μm又は0.1μmであってもよい。理解できるように、シリコン酸化物のD50は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0229】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、50nm以下である。Si結晶子サイズが小さいほど、シリコン酸化物のサイクル性能が良好になり、膨張率が低くなる。具体的には、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、50nm、46nm、40nm、38nm、34nm、30nm、28nm、25nm、23nm、20nm、16nm、13nm、10nm、7nm、5nm又は3.8nm等であってもよく、理解できるように、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。好ましくは、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、20nm以下であり、より好ましくは、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、10nm以下である。
【0230】
幾つかの実施形態において、負極材料のD50は、D50≦40μmを満たす。負極材料の粒度が小さいほど、破砕しにくく、膨張率が低くなる。具体的には、負極材料のD50は、40μm、35μm、33μm、30μm、27μm、24μm、21μm、18μm、15μm、13μm、10μm、7μm、5μm、3μm又は1.5μm等であってもよい。理解できるように、負極材料のD50は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0231】
幾つかの実施形態において、負極材料の空孔率は、20%よりも小さい。空孔率が小さいほど、炭素材料とシリコン酸化物との間の接触が緊密にあり、且つ構造安定性を保持することに役立ち、負極材料の容量発揮及びサイクル安定性に役立つ。具体的には、負極材料の空孔率は、19.2%、18%、15%、13%、10%、8%、5%、3%又は2%等であってもよい。理解できるように、負極材料の空孔率は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0232】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、負極材料の質量の40%~95%を占める。具体的には、シリコン酸化物が負極材料を占める質量分率は、40%、45%、50%、58%、60%、63%、67%、70%、74%、78%、80%、85%、90%、93%又は95%であってもよい。理解できるように、シリコン酸化物が負極材料を占める質量分率は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0233】
幾つかの実施形態において、炭素材料は、非晶質炭素を含む。
【0234】
幾つかの実施形態において、上記負極材料は、黒鉛を更に含み、黒鉛は、炭素材料中に分散され、黒鉛の添加は、体系の導電性及び初回クーロン効率を向上させることに役立つ。
【0235】
幾つかの実施形態において、負極材料の総質量を100%としたときに、黒鉛の質量分率は、0%~40%であり、シリコン酸化物の質量分率は、40%~95%であり、炭素材料の質量分率は、5%~60%である。
【0236】
更に、黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛及びメソカーボンマイクロビーズのうちの少なくとも1種を含む。
【0237】
別の実施形態の負極材料であって、負極材料は、シリコン酸素材料及び炭素材料を含み、炭素材料の原位置で成長してシリコン酸素材料の表面に形成され、且つ炭素材料は、グラフェン構造を有し、シリコン酸素材料は、グラフェン構造を有する炭素材料中に均一に分散される。
【0238】
幾つかの実施形態において、ラマンスペクトルにおいて、負極材料は、炭素特徴ピークD、炭素特徴ピークG、シリコン特徴ピークA及びグラフェン特徴ピークBを有する。
【0239】
幾つかの実施形態において、シリコン特徴ピークAのピーク強度Iとグラフェン特徴ピークBのピーク強度Iとの比I/Iは、0.1~50であり、具体的に、0.1、0.5、0.8、1、5、8、10、15、20、25、30、35、40、45又は50等であってもよい。I/Iの比率が大きすぎると、多すぎるSiOが一次粒子の表面に露出し、炭素被覆が不完全であり、負極材料の導電性が低下し、電気化学的性能を発揮しにくい。I/Iの比率が小さすぎると、炭素被覆層が厚すぎ、材料の比容量が低下する。
【0240】
幾つかの実施形態において、炭素特徴ピークDのピーク強度Iと炭素特徴ピークGのピーク強度Iとの比I/Iは、0.5~2.0であり、具体的に、0.5、0.8、1.0、1.2、1.5、1.8又は2.0等であってもよく、I/Iの比率が大きすぎると、複合負極材料の初回効率が低下する。I/Iの比率が小さすぎると、複合負極材料の倍率性能が低下する。
【0241】
幾つかの実施形態において、グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iと炭素特徴ピークDのピーク強度Iとの比I/Iは、0~1であり、具体的に、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1.0等であってもよい。
【0242】
別の実施形態の負極材料であって、負極材料は、シリコン酸素材料及び炭素材料を含み、シリコン酸素材料は、炭素材料中に分散され、負極材料は、二次粒子であり、負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きい。シリコン酸素材料の球形度が高いと、二次粒子を形成する時に構造がより安定であり、二次粒子とシリコン酸素材料との球形度がいずれも非常に高いと、二次粒子全体の負極材料構造の安定性を保証する。
【0243】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物の一次粒子である。
【0244】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の15%以下を占める。
【0245】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物の粒径分布は、D90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たす。シリコン酸素材料の一次粒子の粒径を適切なミクロン範囲内に制御し、粒径が小さすぎることによる大きな比表面積及びシリコン酸素材料の酸化問題を防止することができ、これらは、いずれも容量及び初回効率の低下をもたらす。具体的には、D90は、3.5μm、4μm、6μm、8μm、9.5μm、15μm、19.5μm、20.5μm、23.5μm又は24.5μm等であってもよく、D10は、0.5μm、0.8μm、1.0μm、2μm、4μm、5μmであってもよく、D50は、1.0μm、1.2μm、2.0μm、4.5μm、5.5μm、7.5μm、8.5μm又は10μmであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0246】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、1.0nm~20nmである。具体的には、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、20nm、18nm、15nm、12nm、10nm、9.2nm、8nm、6.7nm、6nm、5nm、3nm又は1.0nm等であってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0247】
幾つかの実施形態において、負極材料の比表面積は、0.5m/g~50m/gであり、負極材料の比表面積は、具体的に、0.5m/g、0.6m/g、1.0m/g、1.5m/g、2.0m/g、2.5m/g、3.0m/g、3.6m/g、4.0m/g、4.6m/g、5m/g、5.5m/g、5.8m/g、6.0m/g、6.8m/g、7.0m/g、7.4m/g、8.0m/g、8.5m/g、9.8m/g、15m/g又は50m/gであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0248】
幾つかの実施形態において、負極材料のタップ密度は、0.5g/cm~5.0g/cmであり、具体的に、0.5g/cm、0.8g/cm、1.0g/cm、1.2g/cm、1.5g/cm、2.0g/cm、2.5g/cm、3.0g/cm、3.5g/cm、4.0g/cm又は5.0g/cm等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。理解できるように、負極材料のタップ密度が上記範囲内に制御され、材料のエネルギー密度を向上させることに役立つ。
【0249】
幾つかの実施形態において、負極材料の粒径D50は、シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍であり、具体的に、2倍、3倍、5倍、7倍、8倍又は10倍等であってもよい。好ましくは、負極材料の粒径D50は、シリコン酸化物の粒径D50の2~5倍である。
【0250】
幾つかの実施形態において、負極材料の粒径は、20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たす。具体的には、D90は、20μm、25μm、30μm、35μm、40μm、45μm又は50μm等であってもよく、D10は、2μm、2.5μm、3μm、4μm又は5μmであってもよく、D50は、5μm、8μm、10μm、12μm、15μm、18μm又は20μmであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0251】
幾つかの実施形態において、負極材料における炭素元素の質量含有量は、2%~20%であり、具体的に、2%、5%、8%、10%、12%、15%、18%又は20%等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0252】
幾つかの実施形態において、負極材料の空孔率は、1%~50%であり、負極材料の空孔率は、具体的に、1%、5%、10%、20%、35%、48%又は50%等であってもよく、無論上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。理解できるように、適切な空孔率は、負極材料の体積膨張を緩和することに役立つ。空孔率が高すぎると、材料の体積エネルギー密度を著しく低下させる。好ましくは、負極材料の空孔率は、2%~20%である。
【0253】
本願は、負極材料を提供し、当該負極材料は、第1態様のシリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に位置する被覆層とを含み、被覆層は、可撓性ポリマーを含む。
【0254】
上記解決手段において、被覆層は、シリコン酸素材料の表面に被覆され、可撓性ポリマーにより電解液中の水とシリコン酸素材料との接触を効果的に阻止し、アルカリ性を生成し、シリコン酸素材料の加工安定性の問題を改善し、材料の水系加工性能に影響を与えず、更に可撓性ポリマーによりシリコン系材料の膨張をより効果的に抑制することができ、それにより負極材料の導電率が高く、導電性が安定する。したがって、本願に関わるシリコン系負極材料は、リチウムイオン電池に非常に適し、優れたサイクル膨張性能を有する。
【0255】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含む。
【0256】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちの少なくとも1種を含む。
【0257】
本願の「天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマー」は、天然の可撓性ポリマーであってもよく、合成された可撓性ポリマーであってもよく、天然の可撓性ポリマーと合成された可撓性ポリマーとの混合物であってもよいことを指す。
【0258】
可撓性ポリマーの組み合わせは、典型的であるが非制限的な例として、ポリオレフィン及びポリビニルアルコールの組み合わせと、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースの組み合わせと、カルボキシメチルセルロース及びアルギン酸の組み合わせと、ポリアミド及びカルボキシメチルセルロースの誘導体の組み合わせと、ポリオレフィン、ポリオレフィンの誘導体及びポリアクリル酸の組み合わせと、ポリビニルアルコール、ポリアミドの誘導体及びアルギン酸の組み合わせと、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸の誘導体、ポリアミド及びアルギン酸の組み合わせ等がある。
【0259】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリオレフィン及びその誘導体とアルギン酸及びその誘導体の組み合わせを含む。
【0260】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリカーボネートを含む。
【0261】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーの重量平均分子量は、2000~1000000であり、例えば2000、5000、10000、15000、20000、30000、40000、50000、60000、75000、100000、200000、300000、350000、400000、500000、600000、650000、700000、800000、900000又は1000000等であってもよく、好ましくは、100000~500000である。
【0262】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーには、熱架橋型官能基(熱架橋性官能基とも呼ばれる)が含まれ、熱架橋型官能基は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちの少なくとも1種を含む。理解できるように、熱架橋型官能基は、一定の温度に加熱された条件で架橋反応が発生する。理解できるように、架橋(架橋反応とも呼ばれる)は、2つ以上の分子が互いに結合してネットワーク構造に架橋された比較的安定な分子(体型分子)反応であり、架橋反応は、トリガ要因に応じて物理架橋、化学架橋等に分けられ、ここで限定されない。
【0263】
幾つかの実施形態において、被覆層は、導電性材料を更に含む。
【0264】
幾つかの実施形態において、導電性材料は、鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含む。
【0265】
幾つかの実施形態において、鱗片状黒鉛は、シリコン酸素材料の表面に貼り合わせられ、可撓性ポリマーは、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆され、ナノ炭素系材料は、シリコン酸素材料の表面の、鱗片状黒鉛によって貼り合わされていない領域に充填され、及び/又は、ナノ炭素系材料は、シリコン酸素材料の表面の、可撓性ポリマーで被覆されていない領域に充填される。シリコン酸素材料の表面に貼り付けられた鱗片状黒鉛、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆された可撓性ポリマー及びケイ酸リチウム及び空隙領域に充填されたナノ炭素系材料の共同作用で、シリコン酸素材料の膨張を効果的に抑制することができ、同時に、鱗片状黒鉛の貼り合わせ及びナノ炭素系材料の空隙領域の充填により、製造された被覆後の負極材料の性能に優れ、サイクル膨張性能を効果的に抑制し、リチウムイオン電池の耐用年数を延長する。
【0266】
幾つかの実施形態において、鱗片状黒鉛は、天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛を含む。本願の「天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛」は、天然鱗片状黒鉛であってもよく、人造鱗片状黒鉛であってもよく、天然鱗片状黒鉛と人造鱗片状黒鉛との混合物であってもよいことを指す。
【0267】
幾つかの実施形態において、導電性材料は、鱗片状黒鉛とナノ炭素系材料の組み合わせを含む。導電性材料がちょうどこの2種類の材料の混合物である場合に、この2種類の物質をケイ素基複合材料と配合してケイ素基材料の膨張を抑制する作用を発揮し、導電率及び導電安定性を更に向上させることができる。
【0268】
幾つかの実施形態において、ナノ炭素系材料は、導電性グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも1種を含む。
【0269】
1つの実現可能な実施形態において、導電性材料は、導電性金属、導電性合金等を更に含んでもよい。導電性金属は、例えば銅、アルミニウム、銀、金等であってもよく、導電性合金は、例えば銅亜鉛合金、銅アルミニウム合金、チタン亜鉛合金、アルミニウム銅亜鉛合金等であってもよい。理解できるように、導電性材料に上記これらの金属物質が含まれる場合、シリコン酸素材料の表面に被覆された被覆層内にもこれらの金属物質がドープされ、それにより導電率を更に向上させる。
【0270】
幾つかの実施形態において、被覆層は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含み、非水溶性ケイ酸リチウムは、電解液中の水とシリコン酸素材料との接触を効果的に阻止することができ、アルカリ性を生成し、包まれたシリコン酸素材料は、水に溶解しやすいか又は強アルカリ性を示し、材料の水系加工性能に影響を与えない。
【0271】
幾つかの実施形態において、非水溶性ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む。
【0272】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、可撓性ポリマーの質量百分率は、0~10%(ただし、0を含まない)であり、例えば0.5%、1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、6.5%、8%、9%又は10%等であり、好ましくは、3~7%である。
【0273】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、鱗片状黒鉛の質量百分率は、0~20%(ただし、0を含まない)であり、例えば0.5%、1%、3%、3.5%、5%、6%、8%、10%、12%、13%、15%、16%、18%又は20%等であり、好ましくは、5~10%である。
【0274】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、ナノ炭素系材料の質量百分率は、0~5%(ただし、0を含まない)であり、例えば0.5%、1%、2%、2.5%、3%、4%又は5%等であり、好ましくは、1~3%である。
【0275】
幾つかの実施形態において、被覆層の厚さは、10nm~5000nmであり、被覆層の厚さは、例えば10nm、20nm、30nm、50nm、60nm、70nm、80nm、100nm、200nm、300nm、500nm、1000nm又は5000nm等であってもよく、ここで限定されない。
【0276】
幾つかの実施形態において、被覆層の負極材料における質量割合は、0%~20%(ただし、0%を含まない)であり、例えば0.5%、1%、3%、3.5%、5%、6%、8%、10%、12%、13%、15%、16%、18%又は20%等であり、好ましくは、2%~10%である。
【0277】
[第3態様]
本願の実施例は、負極材料の製造方法を提供し、図1に示すように、以下のステップを含む。
【0278】
S110では、シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理する。
【0279】
S120では、冷却した後でシリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得し、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0280】
上記解決手段において、シリコン酸素材料を製造する原料を高温で熱処理すると同時にシリコン酸化物液滴を生成し、シリコン酸化物液滴が冷却され、表面張力の作用で自動的に球形になり、且つ球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率及び優れたサイクル性能を有する。
【0281】
本願の幾つかの実施形態において、熱処理の方式は、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ反応させるか又は材料を製造する原料を溶融した後で霧化し、以下では、これらの実施形態をそれぞれ説明する。
【0282】
ステップS210では、シリコン酸素材料を製造する原料に対してプラズマ反応を行う。
【0283】
ステップS220では、反応後の生成物を冷却し、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得し、シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0284】
幾つかの実施形態において、S210のステップは、具体的に、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含む。
【0285】
上記解決手段において、原料は、プラズマ流中に入り、高温で反応を行うと同時に、シリコン酸化物液滴を生成し、シリコン酸化物液滴が冷却され、表面張力の作用で自動的に球形になり、且つ球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率と優れたサイクル性能を有する。
【0286】
以下では、本解決手段S210~S220に係る製造方法を詳細に説明する。
【0287】
ステップS210の前に、方法は、以下のステップS200を更に含む。
ステップS200では、プラズマ発生器を用いてプラズマ流を生成する。
ここで、プラズマ発生器には、プラズマ発生ガスが充填されている。
【0288】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生器の高周波電力は、50~100000kWであり、この範囲では、低気圧且つ高密度のプラズマを生成することができる。具体的には、プラズマ発生器の高周波電力は、50kW、70kW、100kW、150kW、200kW、250kW、500kW、1000kW、1500kW、2000kW、2500kW、3000kW、3500kW、4000kW、4500kW、5000kW、10000kW、20000kW、30000kW、40000kW、50000kW、60000kW、70000kW、80000kW、90000kW又は100000kW等であってもよい。プラズマ発生器の高周波電力は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0289】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生器の直流電力は、2kW~3000kWである。具体的には、プラズマ発生器の直流電力は、2kW、10kW、20kW、502kW、100kW、150kW、200kW、250kW、500kW、1000kW、1500kW、2000kW、2500kW、2800kW又は3000kWであってもよい。プラズマ発生器の直流電力は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0290】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生ガスは、窒素ガス及びアルゴンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0291】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生ガスの圧力は、100torr~10000torrに制御される。具体的には、100torr、200torr、300torr、400torr、500torr、600torr、700torr、800torr、900torr、1000torr、2000torr、4000torr、6000torr、8000torr、10000torrであってもよい。ただし列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。プラズマ発生ガスの圧力を上記範囲に制御し、ガス衝突の確率を制御することにより安定したプラズマを取得することができる。
【0292】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生ガスの径方向ガス速度は、0.8m/h~100m/hである。径方向ガスは、取り込み続けることでプラズマ噴射を安定させる。
【0293】
幾つかの実施形態において、プラズマ発生ガスの接線方向ガス速度は、1.0m/h~20m/hである。接線方向ガスは、放電高温時に石英管を保護するために用いられる。
【0294】
なお、プラズマ流を生成する方法は、上記方法を採用することに限定されない。
【0295】
ステップS210では、シリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行う。
【0296】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料を製造する原料は、Si、SiO及びSiOの混合物、SiO及びSiの混合物、並びに、Si及びSiOの混合物のうちの少なくとも1種を含み、0<y<2である。
【0297】
幾つかの実施形態において、製造されたシリコン酸化物の化学式がSiOであるときに、シリコン酸素材料を製造する原料は、SiH及びOを含む。
【0298】
原料は、全てのプラズマ流中にシリコン酸化物を生成することができる物質であってもよく、上記実施形態は、幾つかの好ましい技術的解決手段を列挙しただけであり、本願に関わる技術的解決手段を限定するものではない。
【0299】
幾つかの実施形態において、プラズマ流中の温度は、1400℃~2400℃である。具体的には、プラズマ温度は、1400℃、1450℃、1500℃、1550℃、1575℃、1600℃、1650℃、1700℃、1764℃、1800℃、1850℃、1900℃、1950℃、2000℃、2150℃、2200℃、2270℃、2300℃又は2400℃であってもよい。理解できるように、プラズマ流中の温度は、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0300】
幾つかの実施形態において、原料をプラズマ流中に輸送してプラズマ反応を行うステップにおいて、原料供給速度は、2.0g/min~80g/minであり、具体的に、2.0g/min、5.0g/min、10.0g/min、15g/min、17.5g/min、20.0g/min、30g/min、35g/min、40.0g/min、45g/min、50g/min、55g/min、60.0g/min、65g/min、75g/min、80.0g/minとすることができる。原料粒子の粒径が一定である場合に、原料のプラズマ流中での滞留時間は、原料供給速度により決定される。原料供給速度が大きすぎると、原料粒子がプラズマ流を通過する時間が短すぎ、単一粒子に吸収されたエネルギーが低すぎ、粒子の溶融が不十分であり、更に生成物の球形化率を低下させる。原料供給速度が小さすぎると、粒子の球形化率を向上させることができるが、低すぎる速度は、収率を制限する。球形化率と収率を考慮した総合的な影響要因で適切な原料供給速度を決定する必要がある。
【0301】
幾つかの実施形態において、原料をプラズマ流中に輸送してプラズマ反応を行うステップは、具体的に、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行う。
【0302】
幾つかの実施形態において、キャリアガスは、窒素ガス及びアルゴンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0303】
幾つかの実施形態において、キャリアガスの流量は、0.1m/h~3m/hである。具体的には、キャリアガスの流量は、0.1m/h、0.5m/h、0.8m/h、1m/h、1.2m/h、1.5m/h、1.75m/h、2m/h、2.2m/h、2.6m/h又は3m/h等であってもよい。キャリアガスの気流量が大きすぎると、プラズマ発生装置内の径方向気流場は、粒子が高温領域から飛行し、軸方向気流は、粒子を「混合」した後で冷却領域に飛ぶように促進し、両者が共同で作用して生成物の球形化率が顕著に低下する。一方で、低すぎるキャリアガス流量は、原料がノズルを目詰まりしやすく、原料の吐出速度を低下させ、原料のプラズマトーチ内での停留時間が長すぎ、大量の気化を引き起こす。したがって、適切なキャリアガス流量は、原料がプラズマトーチ内に均一に分散することに役立ち、球形化率を向上させる。
【0304】
幾つかの実施形態において、S210のステップは、シリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含む。還元性ガスは、SiOの還元を促進し、且つ電気化学的不活性SiCの生成を抑制することができる。
【0305】
幾つかの実施形態において、還元性ガスは、メタン及び水素ガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0306】
幾つかの実施形態において、原性ガスとシリコン酸化物とのモル比は、0~0.25(ただし、0を含まない)である。
【0307】
幾つかの実施形態において、還元性ガスの径方向速度は、1m/h~10m/hであり、具体的に、1m/h、2m/h、4m/h、5m/h、7m/h、9m/h又は10m/h等であってもよく、ここで限定されない。
【0308】
ステップS220では、反応後の生成物を冷却し、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得する。
【0309】
当該実施形態では、冷却は、従来の技術の水冷装置により行われる。
【0310】
更に、ステップS200の後且つステップS210の前に、方法は、更に以下のことを含む。
シリコン酸素材料を製造する原料をD50が2μm~10μmになるまで篩分けする。具体的には、原料D50の値は、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μmであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0311】
具体的な実施形態において、篩分けは、破砕、ボールミル、スクリーニング及び分級のうちの少なくとも1種を含む。
【0312】
別の実施形態に係るシリコン酸素材料の製造方法において、シリコン酸素材料を製造する原料に適量の還元性金属を添加して製造されたシリコン酸素材料の一次粒子は、一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きく、シリコン酸化物、還元性金属及び/又は還元性金属化合物は、一次粒子内に均一に分布し、シリコン酸化物の化学式は、SiOxであり、0<x<2である。
【0313】
上記解決手段において、シリコン酸素材料を製造する原料に一定の割合の還元性金属を増加させることにより、還元性金属がプラズマの流下で加熱し気化して気体状の還元性金属蒸気を形成し、それによりシリコン酸素材料へのドープを実現する。当該複合シリコン酸素材料を原料として製造された負極材料の構造が安定であり、空気等の成分が粒子内部に浸透することによる活性成分の失効を効果的に回避することができ、長期保存構造及び性質が劣化せず、リチウムイオン電池に非常に適する。単純なシリコン酸素材料に比べて、複合シリコン酸素材料中の還元性金属及び/又は還元性金属化合物(特にケイ酸リチウム)は、シリコン酸素材料の初回充電時に正極材料から脱出したリチウムの消費を低減することができ、製造されたリチウムイオン電池は、不可逆充電リチウムの消費を大幅に低減することができ、高い充放電比容量及び優れた初回クーロン効率を有し、材料のサイクル性能を向上させる。
【0314】
幾つかの実施形態において、還元性金属化合物は、還元性金属の酸化物、還元性金属のシリサイド及び還元性金属のケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含む。
【0315】
幾つかの実施形態において、還元性金属化合物は、還元性金属のケイ酸塩を含み、還元性金属のケイ酸塩は、一次粒子内に均一に分布する。
【0316】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、ケイ酸リチウムを含む。ケイ酸リチウムは、良好なリチウムイオン伝導特性を有し、それよりも小さい結晶粒サイズを結合し、リチウムイオンがスムーズにリチウム吸蔵・放出反応を完了することをよりよく保証し、良好な倍率性能を示し、安全性が高い。
【0317】
幾つかの実施形態において、ケイ酸塩は、シリコン酸化物に分散して分布し、シリコンの充放電時の体積膨張の問題を緩和することができ、球形構造の一次粒子は、材料の構造安定性を更に向上させることができ、優れたサイクル性能を有し且つ体積効果が小さく、それにより優れた電気化学的性能を有する。
【0318】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含む。
【0319】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、Li、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiから選択される少なくとも1種である。
【0320】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、Liを含み、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとLiとのモル比は、(1~50):1であり、具体的に、1:1、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1又は50:1等であってもよく、ここで限定されない。
【0321】
幾つかの実施形態において、ステップS220は、以下を含む。
反応後の生成物を冷却し、非LiSiケイ酸塩とシリコン酸化物とを含むシリコン酸素材料を取得する。
【0322】
幾つかの実施形態において、還元性金属は、Mgを含み、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとMgとのモル比は、(5~50):1であり、具体的に、5:1、10:1、15:1、20:1、25:1、30:1、35:1、40:1、45:1又は50:1等であってもよく、ここで限定されない。
【0323】
ステップS220は、反応後の生成物を冷却し、MgSiOケイ酸塩とシリコン酸化物とを含むシリコン酸素材料を取得することを含む。
【0324】
幾つかの実施形態において、ステップS220の後で、方法は、熱処理後の生成物を水洗及び/又は酸洗することを更に含む。
【0325】
幾つかの実施形態において、酸洗で用いられる酸は、塩酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、リン酸、クロム酸、フッ化水素酸、ギ酸及び酢酸のうちの少なくとも1種を含む。
【0326】
幾つかの実施形態において、酸洗で用いられる酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液を含む。
【0327】
幾つかの実施形態において、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:(0.5~5)であり、具体的に、1:0.5、1:1、1:1.5、1:2、1:3、1:4又は1:5等であってもよく、ここで限定されない。
【0328】
幾つかの実施形態において、酸洗の洗浄時間は、10min~2000minである。
【0329】
幾つかの実施形態において、熱処理後の生成物を水洗及び/又は酸洗した後、方法は、洗浄生成物を中性になるまで洗浄し、且つ固液分離及び乾燥を行うことを更に含む。
【0330】
幾つかの実施形態において、固液分離の方式は、遠心分離及び濾過分離のうちの少なくとも1種を含む。
【0331】
幾つかの実施形態において、乾燥の方式は、高温乾燥及び凍結乾燥のうちの少なくとも1種を含む。
【0332】
別の実施形態のシリコン酸素材料の製造方法は、以下のステップを含む。
ステップS310では、溶融したシリコン酸化物原料を霧化し、霧化生成物を取得する。
ステップS320では、霧化生成物を冷却し、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得する。
【0333】
当該実施形態で製造されたシリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、シリコン酸化物は、一次粒子であり、シリコン酸化物のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0334】
上記方法において、溶融したシリコン酸化物原料をシリコン酸化物液滴に霧化し、液滴は、表面張力の作用で自動的に球形になり、冷却した後で球形シリコン酸化物に硬化する。当該球形シリコン酸化物粒子が循環過程において構造安定性を保持することができるため、当該材料は、低い膨張率と優れたサイクル性能を有する。
【0335】
以下に本実施形態を具体的に説明する。
【0336】
具体的には、ステップS310は、溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧ガスを用いて霧化することを含む。
【0337】
幾つかの実施形態において、加圧ガスは、保護ガスである。
【0338】
ここで、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0339】
幾つかの実施形態において、加圧気体の圧力は、0.2Mpa~100Mpaである。具体的には、圧力は、0.2Mpa、1Mpa、5Mpa、8Mpa、10Mpa、12Mpa、15Mpa、20Mpa、25Mpa、35Mpa、50Mpa、60Mpa、75Mpa、85Mpa又は100Mpaであってもよいが、列挙された数値に限定されるものではなく、当該数値範囲内の列挙されていない他の数値は、同様に適用可能である。
【0340】
幾つかの実施形態において、ステップS310の前に、前記方法は、シリコン酸化物原料を溶融まで熱処理することを更に含む。
【0341】
幾つかの実施形態において、前記シリコン酸化物原料は、zであり、0<z<2である。
【0342】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物原料は、SiO、Si及びSiOの混合物と、Si及びSiOの混合物と、SiO及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含む。
【0343】
幾つかの実施形態において、熱処理の温度は、1400℃~2200℃である。具体的には、熱処理の温度は、1400℃、1500℃、1600℃、1800℃、2000℃又は2200℃であってもよい。
【0344】
ステップS320では、霧化生成物を冷却した後でシリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得する。
【0345】
幾つかの実施形態において、冷却するステップは、100℃以下まで冷却することである。具体的には、90℃、80℃、75℃、65℃、60℃、50℃等まで冷却する。
【0346】
幾つかの実施形態において、冷却の速度は、1℃/s~100℃/sである。当該冷却速度は、シリコン酸化物液滴を急速に冷却することができ、それにより、小さいSi結晶子サイズを取得する。具体的には、冷却の速度は、1℃/s、10℃/s、20℃/s、35℃/s、45℃/s、60℃/s、70℃/s、80℃/s、90℃/s又は100℃/sであってもよい。
【0347】
幾つかの実施形態において、冷却の方法は、ガス冷却を採用する。
【0348】
幾つかの実施形態において、冷却に用いられるガスは、保護ガスである。
【0349】
具体的には、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0350】
別の実施形態の負極材料の製造方法であって、シリコン酸化物を製造する原料に有機炭素源を添加することにより、ケイ素系材料と炭素材料との複合材料を取得し、具体的には、以下のステップを含む。
ステップS410では、シリコン酸化物と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、有機炭素源を溶融させる。
ステップS420では、シリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化する。
ステップS430では、霧化された生成物を冷却して球形中間体を取得する。
ステップS440では、球形中間体を炭化処理し、負極材料を取得する。
【0351】
当該方法で製造された負極材料は、シリコン酸化物及び炭素材料を含み、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、負極材料は、球形粒子であり、負極材料のwadellの球形度は、0.3よりも大きい。
【0352】
上記解決手段において、有機炭素源は、溶融して流動性が高い溶融体になり、シリコン酸化物は、依然としてこの溶融体中に固相均一に分散され、当該溶融体系に対して加圧気体を用いて霧状液滴に分散し、固体シリコン酸化物は、有機炭素源液滴中に分散され、液滴は、表面張力の作用で球形に自動的に収縮し且つ自身の内部の気泡を排除して緻密構造を形成し、更に冷却して固体球形中間体になり、球形中間体は、炭化処理を経て、炭素源は、非晶質炭素材料に変換され、シリコン酸化物は、非晶質炭素材料中に分散され、球形負極材料を形成し、球形負極材料は、依然として球形中間体の形態を維持し、高い球形度を有する。
【0353】
具体的には、SiOは、SiO0.5、SiO1.0、SiO1.2、SiO1.5又はSiO1.8等であってもよい。
【0354】
幾つかの実施形態において、SiOは、SiO、Si及びSiOの混合物と、Si及びSiOの混合物と、SiO及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含む。
【0355】
幾つかの実施形態において、SiOのD50は、D50≦1.5μmである。
【0356】
幾つかの実施形態において、前記シリコン酸化物の原料は、溶融した有機炭素源を更に含む。
【0357】
幾つかの実施形態において、前記有機炭素源は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0358】
幾つかの実施形態において、前記有機炭素源は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、クエン酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0359】
幾つかの実施形態において、熱処理の温度は、100℃~600℃である。具体的な例において、熱処理の温度は、100℃、120℃、150℃、200℃、250℃、280℃、300℃、400℃、450℃、500℃、550℃又は600℃等であってもよい。有機炭素源の融点は、シリコン酸化物よりもはるかに低く、この熱処理の温度は、有機炭素源の溶融温度に達し、且つシリコン酸化物の融点まで昇温する必要がなく球形負極材料を製造することができ、高温によるシリコン酸化物中のSi結晶子サイズの増大を回避し、それを50nm以内に保持する。
【0360】
更に、原料は、黒鉛を更に含む。黒鉛の添加は、体系の導電性及び初回クーロン効率を増加させることに役立つ。
【0361】
幾つかの実施形態において、黒鉛、SiOw及び有機炭素源の総質量を100%としたときに、黒鉛の質量分率は、0%~40%であり、SiOの質量分率は、40%~95%であり、有機炭素源の質量分率は、5%~60%である。
【0362】
幾つかの実施形態において、黒鉛は、天然黒鉛、人造黒鉛及びメソカーボンマイクロビーズのうちの少なくとも1種を含む。
【0363】
ステップS420では、加圧気体を用いてシリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化する。
【0364】
シリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化して得られた生成物は、シリコン酸化物粒子が有機炭素源液滴中に分散されたものである。
【0365】
幾つかの実施形態において、加圧気体の圧力は、0.2Mpa~100Mpaであり、当該範囲である圧力の加圧気体は、シリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化することができる。具体的な例において、加圧気体の圧力は、0.2Mpa、10Mpa、20Mpa、30Mpa、40Mpa、50Mpa、70Mpa、80Mpa、90MPa又は100Mpaであってもよい。
【0366】
幾つかの実施形態において、加圧ガスは、保護ガスを含み、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0367】
なお、霧化の方法は、本分野の一般的な霧化装置を使用することができ、シリコン酸化物と溶融有機炭素源とを含む原料を霧化し、シリコン酸化物粒子を有機炭素源液滴中に分散させる。
【0368】
ステップS430では、霧化された生成物を冷却して球形中間体を取得する。
【0369】
幾つかの実施形態において、冷却過程は、霧化された生成物を100℃以下まで冷却することである。
【0370】
幾つかの実施形態において、冷却速度は、1℃/s~100℃/sであり、急速冷却は、小さいSi結晶子サイズを取得することに役立つ。
【0371】
幾つかの実施形態において、冷却過程は、ガス冷却であり、更に、ガスは、保護ガスである。
【0372】
更に、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0373】
ステップS440では、球形中間体を炭化処理し、負極材料を取得する。
【0374】
幾つかの実施形態において、炭化処理は、保護雰囲気の下で行われる。
【0375】
更に、保護雰囲気のガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0376】
幾つかの実施形態において、炭化処理の温度は、600℃~1000℃であり、時間は、1h~24hである。
【0377】
幾つかの実施形態において、前記方法は、シリコン酸素材料を製造する原料に炭素源ガスを添加し、且つ二次造粒を行うことを更に含む。
【0378】
具体的な実施形態は、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行い、冷却してシリコン酸化物と炭素材料とを含む負極材料を取得し、ここで、負極材料は、二次粒子であり、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きい。
【0379】
上記解決手段において、シリコン酸化物を二次造粒することで形成された製品の球形度が高く、内部構造の応力を増加させ、材料の強度を向上させ、更にサイクル及び倍率性能を向上させる。
【0380】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物の一次粒子である。
【0381】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の15%以下を占める。
【0382】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物の粒径は、D90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たす。
【0383】
幾つかの実施形態において、シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズは、1.0nm~20nmである。
【0384】
幾つかの実施形態において、炭素源ガスをプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップは、プラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含む。
【0385】
幾つかの実施形態において、前記炭素質結合剤は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。
【0386】
幾つかの実施形態において、炭素質接着剤は、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含む。
【0387】
幾つかの実施形態において、炭素質結合剤とシリコン酸化物との質量比は、5:95~50:50である。
【0388】
幾つかの実施形態において、炭素源ガスは、炭化水素類を含む。
【0389】
幾つかの実施形態において、炭素源ガスは、メタン、アセチレン、エチレン、エタン、プロパン、プロペン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。
【0390】
幾つかの実施形態において、負極材料の粒径D50は、シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍である。
【0391】
幾つかの実施形態において、負極材料の粒径は、20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たす。
【0392】
幾つかの実施形態において、負極材料における炭素元素の質量含有量は、2%~20%である。
【0393】
幾つかの実施形態において、負極材料の空孔率は、1%~50%である。
【0394】
別の実施形態の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
ステップS130では、シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行い、負極材料を取得する。
ここで、シリコン酸素材料は、ステップS110~ステップS120を用いて製造されてもよい。
【0395】
当該製造方法で得られた負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きい。
【0396】
一実施形態において、炭素被覆処理は、具体的に、固相炭素被覆、液相炭素被覆及び気相炭素被覆のうちの少なくとも1種である。
【0397】
具体的には、気相炭素被覆は、具体的に、冷却された生成物を化学気相堆積装置に入れ、炭素源ガスを導入して熱分解を行い、アモルファスカーボンを材料表面に堆積させる。
【0398】
幾つかの実施形態において、気相炭素被覆用の炭素源ガスは、炭化水素類を含む。
【0399】
幾つかの実施形態において、炭素源ガスは、メタン、アセチレン、エチレン、エタン、プロパン、プロペン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含む。
【0400】
幾つかの実施形態において、化学気相堆積装置は、回転式化学気相堆積反応炉、プラズマ強化化学気相堆積反応炉、化学気相堆積管状炉及び流動床のうちの少なくとも1種を含む。具体的には、化学気相堆積装置は、回転炉及び箱型炉のうちの少なくとも1種である。
【0401】
幾つかの実施形態において、熱分解の温度は、600℃~1000℃である。
【0402】
幾つかの実施形態において、シリコン酸素材料の加熱温度は、500℃~1200℃であり、保温時間は、0.5h~20hである。
【0403】
幾つかの実施形態において、炭化処理の反応気圧は、1.0atm~10.0atmである。
【0404】
幾つかの実施形態において、保護ガス及び炭素源ガスを導入する時に補助ガスを更に導入し、補助ガスは、Hを含み、炭素源ガスと補助ガスとのモル比は、(2~10):1である。
【0405】
幾つかの実施形態において、保護ガスは、窒素ガス、ヘリウムガス、ネオンガス、アルゴンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種を含む。
【0406】
幾つかの実施形態において、固相炭素被覆過程は、具体的に、シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得する。
【0407】
幾つかの実施形態において、固相炭素被覆用の炭素源は、糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含む。具体的には、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種であってもよい。
【0408】
幾つかの実施形態において、冷却された生成物と炭素源との混合方式は、VC混合、融合、ボールミル、三次元混合、流動床混合等であってもよい。
【0409】
幾つかの実施形態において、混合は、融合機で行われ、融合時間は、0.5h~2hであり、融合機の回転速度は、500r/min~5000r/minである。
【0410】
幾つかの実施形態において、固相炭素源とシリコン酸素材料との質量比は、5:(5~95)である。
【0411】
幾つかの実施形態において、炭化処理の温度は、500℃~1000℃であり、炭化処理の時間は、2h~20hである。
【0412】
幾つかの実施形態において、固相炭素被覆用の装置は、回転炉、箱型炉、ローラーハースキルン、トンネルキルン及びプッシャーキルンのうちの少なくとも1種である。
【0413】
幾つかの実施形態において、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0414】
液相炭素被覆過程は、具体的に、冷却された生成物と炭素源を均一に混合し、次に炉に入れ、保護ガスを導入し、熱処理により炭素源を分解して、冷却された後の生成物の表面に被覆する。
【0415】
幾つかの実施形態において、液相炭素被覆用の炭素源は、有機炭素源であり、具体的に、低温液相アスファルト、フルフリルアルコール、メタクリル酸グリシジル、トリエチレングリコールジメタクリレート等であってもよい。
【0416】
幾つかの実施形態において、保護ガスは、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、ネオンガス、クリプトンガス及びキセノンガスのうちの少なくとも1種であってもよい。
【0417】
幾つかの実施形態において、熱処理温度は、600℃~1000℃である。
【0418】
別の実施形態の負極材料の製造方法であって、シリコン酸素材料を製造した後、更に以下のことを含む。
可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行い、負極材料を取得する。
【0419】
上記解決手段において、本願は、ポリマーコート液を利用してシリコン酸素材料に対して被覆処理を行い、ポリマー沈殿がシリコン酸素材料の表面に被覆され、ポリマーの牽引及び結束作用により、シリコン酸素材料のサイクル膨張過程において電気的接続を維持することに役立ち、シリコン系活物質の膨張を効果的に抑制することができ、ケイ素系活物質のサイクル膨張抑制性能を顕著に向上させ、リチウムイオン電池の耐用年数を延長する。
【0420】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含む。
【0421】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちの少なくとも1種を含む。
【0422】
本願の「天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマー」は、天然の可撓性ポリマーであってもよく、合成された可撓性ポリマーであってもよく、天然の可撓性ポリマーと合成された可撓性ポリマーとの混合物であってもよいことを指す。
【0423】
可撓性ポリマーの組み合わせは、典型的であるが非制限的な例として、ポリオレフィン及びポリビニルアルコールの組み合わせと、ポリビニルアルコール及びカルボキシメチルセルロースの組み合わせと、カルボキシメチルセルロース及びアルギン酸の組み合わせと、ポリアミド及びカルボキシメチルセルロースの誘導体の組み合わせと、ポリオレフィン、ポリオレフィンの誘導体及びポリアクリル酸の組み合わせと、ポリビニルアルコール、ポリアミドの誘導体及びアルギン酸の組み合わせと、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸の誘導体、ポリアミド及びアルギン酸の組み合わせ等がある。
【0424】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリオレフィン及びその誘導体と、ポリオレフィン及びその誘導体と、アルギン酸及びその誘導体との組み合わせを含む。
【0425】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーは、ポリカーボネートを含む。
【0426】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーの重量平均分子量は、2000~1000000であり、例えば2000、5000、10000、15000、20000、30000、40000、50000、60000、75000、100000、200000、300000、350000、400000、500000、600000、650000、700000、800000、900000又は1000000等であってもよく、好ましくは、100000~500000である。
【0427】
幾つかの実施形態において、可撓性ポリマーには熱架橋型官能基(熱架橋性官能基とも呼ばれる)が含まれ、熱架橋型官能基は、エポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちの少なくとも1種を含む。理解できるように、熱架橋型官能基は、一定の温度に加熱された条件で架橋反応が発生する。理解できるように、架橋(架橋反応とも呼ばれる)は、2つ以上の分子が互いに結合してネットワーク構造に架橋された比較的安定な分子(体型分子)反応であり、架橋反応は、トリガ要因に応じて物理架橋、化学架橋等に分けられ、ここで限定されない。
【0428】
幾つかの実施形態において、前記コート液は、溶媒を含み、溶媒は、水、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素のうちの少なくとも1種を含む。
【0429】
幾つかの実施形態において、前記コート液は、逆溶媒を含み、逆溶媒は、可撓性ポリマーの貧溶媒を含む。
【0430】
幾つかの実施形態において、逆溶媒は、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素のうちの少なくとも1種を含む。
【0431】
幾つかの実施形態において、前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップは、以下のことを含む。
前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行う。
【0432】
幾つかの実施形態において、熱処理の温度は、100℃~400℃であり、具体的に、100℃、125℃、150℃、170℃、200℃、220℃、240℃、260℃、300℃、350℃又は400℃等であってもよく、好ましくは、150~250℃である。
【0433】
幾つかの実施形態において、熱処理の時間は、2h~12hであり、具体的に、2h、4h、5h、6.5h、8h、10h、11h又は12h等であってもよい。
【0434】
幾つかの実施形態において、撹拌の温度は、20℃~100℃であり、撹拌の時間は、1~24hであり、撹拌の温度は、具体的に、20℃、30℃、40℃、45℃、50℃、60℃、70℃、80℃又は100℃等であってもよく、撹拌の時間は、具体的に、1h、2h、2.5h、3h、3.5h、4h、5h、6h、12h、18h又は24h等であってもよい。
【0435】
幾つかの実施形態において、前記コート液は、導電性材料を更に含む。
【0436】
幾つかの実施形態において、導電性材料は、鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含む。
【0437】
幾つかの実施形態において、鱗片状黒鉛は、シリコン酸素材料の表面に貼り合わせられ、可撓性ポリマーは、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆され、ナノ炭素系材料は、シリコン酸素材料の表面が鱗片状黒鉛によって貼り合わされていない領域に充填され、及び/又は、ナノ炭素系材料は、シリコン酸素材料の表面が可撓性ポリマーで被覆されていない領域に充填される。シリコン酸素材料の表面に貼り付けられた鱗片状黒鉛、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆された可撓性ポリマー及びケイ酸リチウム並びに空隙領域に充填されたナノ炭素系材料の共同作用で、シリコン酸素材料の膨張を効果的に抑制することができると同時に、鱗片状黒鉛の貼り合わせ及びナノ炭素系材料の空隙領域の充填により、製造された被覆後の負極材料の性能に優れ、サイクル膨張性能を効果的に抑制し、リチウムイオン電池の耐用年数を延長する。
【0438】
幾つかの実施形態において、鱗片状黒鉛は、天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛を含む。本願の「天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛」は、天然鱗片状黒鉛であってもよく、人造鱗片状黒鉛であってもよく、天然鱗片状黒鉛と人造鱗片状黒鉛との混合物であってもよいことを指す。
【0439】
幾つかの実施形態において、導電性材料は、鱗片状黒鉛とナノ炭素系材料との組み合わせを含む。導電性材料がちょうどこの2種類の材料の混合物である場合に、この2種類の物質をケイ素基複合材料と配合してケイ素基材料の膨張を抑制する作用を発揮し、導電率及び導電安定性を更に向上させることができる。
【0440】
幾つかの実施形態において、ナノ炭素系材料は、導電性グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも1種を含む。
【0441】
1つの実現可能な実施形態において、導電性材料は、導電性金属、導電性合金等を更に含んでもよい。導電性金属は、例えば銅、アルミニウム、銀、金等であってもよく、導電性合金は、例えば銅亜鉛合金、銅アルミニウム合金、チタン亜鉛合金、アルミニウム銅亜鉛合金等であってもよい。理解できるように、導電性材料に上記これらの金属物質が含まれる場合に、シリコン酸素材料の表面に被覆された被覆層内にもこれらの金属物質がドープされ、それにより導電率を更に向上させる。
【0442】
幾つかの実施形態では、前記コート液は、非水溶性ケイ酸リチウムを更に含む。非水溶性ケイ酸リチウムは、電解液中の水とシリコン酸素材料との接触を効果的に阻止することができ、アルカリ性を生成し、包まれたシリコン酸素材料は、水に溶解しやすいか又は強アルカリ性を示しても、材料の水系加工性能に影響を与えない。
【0443】
幾つかの実施形態において、非水溶性ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含む、
【0444】
幾つかの実施形態において、被覆層の厚さは、10nm~5000nmであり、被覆層の厚さは、例えば10nm、20nm、30nm、50nm、60nm、70nm、80nm、100nm、200nm、300nm、500nm、1000nm又は5000nm等であってもよく、ここで限定されない。
【0445】
幾つかの実施形態において、被覆層の負極材料における質量割合は、0%~20%(ただし、0%を含まない)であり、例えば0.5%、1%、3%、3.5%、5%、6%、8%、10%、12%、13%、15%、16%、18%又は20%等であり、好ましくは、2%~10%である。
【0446】
本願は、リチウムイオン電池を更に提供し、上記負極材料又はその製造方法で得られた負極材料を含む。
【0447】
タブは、提供され、上記負極材料又は上記製造方法で得られた負極材料を含む。
【0448】
以下に複数の実施例に分けて本願の実施例を更に説明する。ただし、本願実施例は、以下の具体的な実施例に限定されない。保護範囲内において、変更実施を適切に行うことができる。
【0449】
実施例1
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとし、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させる。ここで、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
【0450】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
【0451】
本実施例で製造された球形SiOの電子顕微鏡写真は、図2a、2bに示される。図2a、2bから分かるように、本実施例で製造された球形SiO粒子の表面は、滑らかであり、球体の球形度が良く、断面図は、球体の内部も均一な構造であることを示す。
【0452】
更に、(4)SiOを取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiOを被覆する負極材料を取得する。
【0453】
本実施例の負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、120nmであり、炭素層の厚さの最小値は、80nmであり、負極材料の平均粒径D50は、20μmである。
【0454】
実施例2
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が100kWであり、高周波電力が1000kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.2m/hであり、圧力は、1000torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、20m/hであり、接線方向速度は、5m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限され、還元性雰囲気Hを導入し、その径方向速度は、5m/hである。
(2)窒素ガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO及びSi原料をプラズマジェット流に入れて、SiOとSiとのモル比が1:1であり、キャリアガス流量が0.4m/hであり、原料供給速度が60g/minである。
(3)ステップ(2)で得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO0.5生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
(4)SiO0.5粉体をCVD回転炉に入れ、メタンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、600℃で120min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiO0.5を被覆する負極材料を取得する。
【0455】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiO0.5であり、球形SiO0.5は、一次粒子である。
【0456】
本実施例で製造された球形SiO0.5の電子顕微鏡写真は、図3に示される。図3から分かるように、本実施例で製造された球形SiO粒子の表面は、滑らかであり、球体の球形度が良い。
【0457】
更に、(4)SiO0.5を取ってCVD回転炉に置き、メタンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入し、600℃で120min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiO0.5を被覆する負極材料を取得する。
【0458】
本実施例の負極材料は、球形SiO0.5及び球形SiO0.5の表面に被覆された炭素層を含み、球形SiO0.5は、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、90nmであり、炭素層の厚さの最小値は、70nmであり、負極材料の平均粒径D50は、15μmである。
【0459】
実施例3
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が200kWであり、高周波電力が5000kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、2m/hであり、圧力は、8000torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、50m/hであり、接線方向速度は、10m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO及びSiO原料をプラズマジェット流に入れて反応させ、SiOとSiOとのモル比が1:1であり、キャリアガス流量が1m/hであり、原料供給速度が40g/minである。
(3)ステップ(2)で得られた生成物を迅速にプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO1.5生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
【0460】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiO1.5であり、球形SiO1.5は、一次粒子である。
【0461】
本実施例で製造された球形SiO1.5の電子顕微鏡写真は、図4a、4bに示される。図4a、4bから分かるように、本実施例で製造された球形SiO1.5粒子の表面の平滑度は、実施例1及び実施例2に及ばず、球体の球形度が良く、切断面図は、球体の内部も均一な構造であることを示し、その中、表面の凹凸は、EDS確認により、SiとOが均一に分散する構造であることが分かる。
【0462】
更に、(4)SiO1.5の粉体材料を取ってCVD回転炉に入れ、エチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、1000℃で30min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiO1.5を被覆する負極材料を取得する。
【0463】
本実施例の負極材料は、球形SiO1.5及び球形SiO1.5の表面に被覆された炭素層を含み、球形SiO1.5は、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、100nmであり、炭素層の厚さの最小値は、75nmであり、負極材料の平均粒径D50は、12μmである。
【0464】
実施例4
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が1000kWであり、高周波電力が20000kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、1m/hであり、圧力は、4000torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、25m/hであり、接線方向速度は、8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限され、還元性雰囲気CHを導入し、ガスの径方向速度は、2m/hである。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSi及びSiO原料をプラズマジェット流に入れて、SiとSiOのモル比が1:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が20g/minである。
(3)ステップ(2)で得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
【0465】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
【0466】
本実施例で製造された球形SiOの電子顕微鏡写真は、図5a、5bに示される。図5a、5bから分かるように、本実施例で製造された球形シリコン酸化物粒子は、球形度が良いが、表面に網状構造が現れ、化学反応に関与するため過程において発熱等がその表面性状に影響を与える可能性がある。EDS確認により、球表面は、依然として均一なSi、O分布であり、その網状形態は、材料の元素分布に影響を与えないことが分かる。
【0467】
更に、(4)SiO粉体材料を取ってCVD回転炉に入れ、エタンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、1000℃で90min堆積し、冷却して排出して炭素被覆SiO材料を取得する。
【0468】
本実施例の負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、80nmであり、炭素層の厚さの最小値は、50nmであり、負極材料の平均粒径D50は、15μmである。
【0469】
実施例5
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が2000kWであり、高周波電力が50000kWであるように制御され、窒素ガスは、プラズマ発生ガスとして、直流窒素ガスの流速は、0.5m/hであり、圧力は、2000torrであり、径方向速度は、80m/hであり、接線方向速度は、15m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとしてSiH及びOを原料としてプラズマジェット流に入れて、SiHとOのモル比は、2:3であり、キャリアガスの流量は、0.2m/hであり、SiHの流量は、2.5m/hであり、Oの流量は、4m/hである。
(3)ステップ(2)で得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。
【0470】
本実施例のシリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
【0471】
更に、(4)SiO粉体材料を取ってCVD回転炉に入れ、プロパンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、900℃で300min堆積し、冷却して排出して炭素被覆SiO材料を取得する。
【0472】
本実施例の負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子である。炭素層の厚さの最大値は、150nmであり、炭素層の厚さの最小値は、120nmであり、負極材料の平均粒径D50は、8μmである。
【0473】
実施例6
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)1kgのSiOを溶解坩堝に入れ、1750℃まで加熱し且つ溶融体になるまで保温する。
(2)溶融体を霧化装置内の霧化ノズルに導流し、2MPaのNを用いて溶融体を小液滴として吹き飛ばすと同時に、霧化装置に液体窒素を導入し、溶融体を5℃/sの速度で50℃まで降温して材料を取り出す。
(3)シリコン酸素材料を収集し、シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)球形粉末を回転炉に入れ、エタンガスを導入して1000℃で被覆を行い、負極材料を取得する。
【0474】
当該負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子であり、負極材料中の酸素元素の質量含有量は、36.5%であり、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、5.1%であり、炭素層の厚さは、100nmであり、負極材料のD50は、5μmである。
【0475】
実施例7
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)1kgのSiOを溶解坩堝に入れ、1750℃まで加熱して且つ溶融体になるまで保温する。
(2)溶融体を霧化装置内の霧化ノズルに導流し、40MpaのNを用いて溶融体を小液滴として吹き飛ばすと同時に、霧化装置に液体窒素を導入し、溶融体を100℃/sの速度で50℃まで降温して材料を取り出す。
(3)シリコン酸素材料を収集し、シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)シリコン酸素材料を回転炉に置いて1000℃まで予熱し、エタンガスを導入して1000℃で気相炭素被覆処理を行い、炭素被覆処理の反応ガス圧は、5atmである。
【0476】
本願の実施例で製造された負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子であり、負極材料中の酸素元素の質量含有量は、36.3%であり、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.7%である。
【0477】
実施例8
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)800gのSi及び200gのSiOを溶解坩堝に入れ、1600℃まで加熱して且つ溶融体になるまで保温する。
(2)溶融体を霧化装置内の霧化ノズルに導流し、2MPaのNを用いて溶融体を小液滴として吹き飛ばすと同時に、霧化装置に液体窒素を導入し、溶融体を20℃/sの速度で50℃まで降温して材料を取り出す。
(3)シリコン酸素材料を収集し、シリコン酸素材料は、球形SiO0.137であり、球形SiO0.137は、一次粒子である。
(4)シリコン酸素材料を回転炉に置き、エタンガスを導入して1000℃で気相炭素被覆処理を行い、炭素被覆処理の反応ガス圧は、8atmである。
【0478】
本実施例で製造された負極材料は、球形SiO0.137及び球形SiO0.137表面に被覆された炭素層を含み、球形SiO0.137は、一次粒子であり、負極材料中の酸素元素の質量含有量は、7.3%であり、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.8%であり、負極材料の比表面積は、5m/gである。
【0479】
実施例9
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)800gのSiO及び200gのSiOを溶解坩堝に入れ、1750℃まで加熱して且つ溶融体になるまで保温する。
(2)溶融体を霧化装置内の霧化ノズルに導流し、2MPaのNを用いて溶融体を小液滴として吹き飛ばすと同時に、霧化装置に液体窒素を導入し、溶融体を50℃/sの速度で50℃まで降温して材料を取り出す。
(3)シリコン酸素材料を収集し、シリコン酸素材料は、球形SiO1.155であり、球形SiO1.155は、一次粒子である。
(4)球形粉末を回転炉に入れ、エタンガスを導入して1000℃で被覆する。
【0480】
本実施例の負極材料は、球形SiO1.155及び球形SiO1.155の表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子であり、負極材料中の酸素元素の質量含有量は、39.9%であり、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.8%であり、負極材料の比表面積は、6.7m/gである。
【0481】
実施例10
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)1kgのSiO0.5と670gのクエン酸を200℃のアルゴンガス中で熱処理することにより、クエン酸を溶融させる。
(2)SiO0.5及び溶融クエン酸を気圧が2Mpaである窒素ガスを用いて液滴として霧化する。
(3)液滴を液体窒素条件で2℃/sの速度で50℃まで降温して材料を吐出し、球形中間体を取得する。
(4)球形中間体を炭化処理し、炭化温度が900℃であり、時間が12hであり、炭化雰囲気のガスがNであり、球形負極材料を取得する。
【0482】
本実施例で製造された負極材料は、SiO0.5及び非晶質炭素を含み、負極材料のwadellの球形度は、0.91であり、SiO0.5は、非晶質炭素に均一に分散され、SiO0.5は、負極材料の60%を占め、負極材料の空孔率は、55.3%である。
【0483】
本実施例で製造された負極材料の電子顕微鏡写真は、図6に示される。図6から分かるように、本実施例で製造された球形負極材料の表面は、滑らかであり、球体の球形度が良く、断面図は、球体の内部も均一な構造であることを示す。
【0484】
実施例11
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)1kgのSiO1.5、166gの人造黒鉛及び1.25kgのグルコースを250℃の窒素ガス中で熱処理することにより、グルコースを溶融させる。
(2)SiO1.5、人造黒鉛及び溶融グルコースを空気圧が40Mpaである窒素ガスを用いて液滴として分散する。
(3)液滴を液体アルゴン条件で5℃/sの速度で50℃まで降温して材料を吐出し、球形中間体を取得する。
(4)球形中間体を炭化処理し、炭化温度が900℃であり、時間が6hであり、炭化する時に保護雰囲気がNであり、球形負極材料を取得する。
【0485】
本実施例で製造された負極材料は、SiO1.5、人造黒鉛及び非晶質炭素を含み、負極材料のwadellの球形度は、0.93である。SiO1.5は、非晶質炭素に均一に分散され、負極材料の空孔率は、50.5%であり、人造黒鉛は、負極材料の質量の10%を占め、SiO1.5は、負極材料の質量の50%を占める。
【0486】
比較例1
SiOを取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出し、炭素材料でSiOを被覆する負極材料を取得する。
【0487】
本実施例の負極材料は、球形SiO及び球形SiO表面に被覆された炭素層を含み、球形SiOは、一次粒子であり、SiO粉体材料のwadellの球形度は、0.87である。炭素層の厚さの最大値は、100nmであり、炭素層の厚さの最小値は、80nmであり、負極材料の平均粒径D50は、20μmである。
【0488】
性能パラメータ試験
Mastersizer3000レーザー回折技術を用いて粒度を測定する。レーザビームが分散された粒子サンプルを通過する時、散乱光の強度を測定することで粒度測定を完了する。次にデータを分析して散乱スペクトログラムを形成する粒子の粒度分布を計算する。D50は、1つのサンプルの累積粒度分布パーセントが50%に達する時に対応する粒径である。その物理的意味は、粒径がそれよりも大きい粒子が50%を占め、それよりも小さい粒子も50%を占め、D50もメジアン径又はメジアン粒径と呼ばれる。D90粒径、D50粒径、D10粒径は、それぞれ、分布曲線における累積分布が90%、50%、10%であるときの最大粒子の相当径(平均粒径)である。
【0489】
窒素ガス吸着多点BETを利用し、米国マイクTriStar3000&3020比表面積と孔径アナライザーを使用し、液体窒素冷却制御の低温でガス吸着法で粉末サンプルの比表面積を測定する。ガス吸着法(BET法)は、ラングミュア(Langnuir)の単分子層吸着理論に基づいてBrunauer、Emmett及びTeller等の3人によって普及されて得た多分子層吸着理論(BET理論)方法であるため、BET法とも呼ばれる。
【0490】
パナリティカル社のX’pertPROX線回折計を用いて、9.749°~41.157°の走査範囲内でXRDを測定する。走査ステップサイズ:0.013°、走査速度:6.060°/min、電圧:40kV、電流:40mAであり、Jade6でファイルを開き、バックグラウンド除去&平滑化を行い、26~30の範囲内のSiピークをフィッティングする。シェラーの式D=kλ/βcosθを用いて、は、Si反射結晶面(111)に垂直な結晶粒の平均粒度であり、β(弧度)は、当該結晶面回折ピークの半値幅の幅化度合い=FWHM*π/180である。Kは、シェラー定数であり、0.89の値を取る。θは、回折角であり、λは、入射X線波長であり、0.15406nmの値を取る。半値全幅fullwidthathalfmaximaは、FWHMと略称される。半値全幅は、半値幅、半ピーク幅、ピーク半幅、領域幅、領域の半値幅とも呼ばれる。それは、クロマトグラフィー分析の用語であり、クロマトグラフィーのピーク高さの半分でのピーク幅を指し、即ち、ピーク高さの中間点を通過してピークボトムに平行な直線を作成し、この直線とピークの両側に交差する2つの点との間の距離である。ここで、FHWM及びは、いずれもXRDにより取得することができる。
【0491】
1.粒径分布:レーザー粒度計を用いてD50、D90及びD10を測定し、計算して(D90-D10)/D50の値を取得する。
【0492】
2.比表面積:米国マイクTriStar3000比表面積・孔径分析装置を用いて比表面積を測定する。
【0493】
3.wadellの球形度の試験:レーザー粒度計を用いて粒径分布を測定し、各粒度範囲内の等価体積径を取得する。当該等価体積径を当該極小粒度分布範囲内の全ての球体の粒径とし、且つ当該範囲内の全ての粒子を理想的な球体に等価し、各粒径分布範囲内の比表面積を算出し、次に体積比%で加重して全ての粒子と等体積である球の比表面面積を取得し、それにより、プラズマで製造された球形粒子の球形度=計算して得られた粒子と等体積である球の表面面積/比表面積計で試験して得られた粒子の比表面積。
【0494】
4.Si結晶子サイズ: パナリティカル社のX’pertProX線回折計を用いてXRDピークを測定し、次にJade 6.5ソフトウェアを用いてXRDにおけるSiピークをフィッティングすることにより、Si結晶子サイズを取得する。
【0495】
5.電気的性能試験:
複合材料(実施例1~11の材料)、導電性カーボンブラック、PAA接着剤を質量比75:15:10の比率で負極スラリーに調製し、銅箔上に塗布し、乾燥した後で負極シートを製造する。金属リチウム片を対極とし、アルゴンガスで充填されたグローブボックス中にボタン式電池として組み立てて後の試験に備える。0.1Cの電流密度で、充放電区間0.01~1.5Vで充放電試験を行う。試験により電池の初回可逆比容量及び初回効率を得た。
【0496】
複合材料(実施例1~11の材料):Super-P:KS-6:CMC:SBR=92:2:2:2:2で負極スラリーに調製し、銅箔上に塗布し、乾燥した後で負極シートを製造する。金属リチウム片を対極とし、アルゴンガスで充填されたグローブボックス中にボタン式電池として組み立てて後の試験に備える。1Cの電流密度で、充放電区間0.01V~1.5Vで充放電試験を行う。電池の50サイクル後の体積膨張率および容量維持率を試験により得た。
【0497】
その中、実施例1~19の試験結果は、表1に示される。
【0498】
【0499】
【0500】
実施例1~11の試験データから分かるように、シリコン酸化物は、wadellの球形度が0.92よりも大きい球形シリコン酸化物の一次粒子であり、球形粒子は、等方性の特徴を有し、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けて構造の安定性を保持することができ、形状の不均一による応力の「脆弱点」の受けが現れないため、粒子構造の崩壊及びSEI膜の破裂によって電解液が材料内部に浸透する可能性が大幅に低減され、電解液が材料内部に浸透して新たなSEI膜を生成し続けることが効果的に回避され、SEI膜の繰り返し破砕及び生成が回避され、材料の体積膨張が低減され、材料のサイクル性能が向上する。
【0501】
比較例1で採用されたSiOのwadellの球形度は、0.87のみであり、この時に材料の球形度が悪く、依然として角張って応力の脆弱点をもたらし、この時に粒子構造が崩壊しSEI膜が破裂することによって電解液が材料内部に浸透する可能性が増加し、局所の電解液の浸透が発生する可能性があり、それによりSEI膜の厚さ増加度合いは、wadellの球形度が0.92よりも大きいサンプルよりも高く、材料の容量維持率及び膨張率は、いずれもある程度劣化する。
【0502】
実施例12
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料及び金属Mgをプラズマ流に入れて反応させ、SiとMgのモル比が20:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiOとMgSiOを含有するケイ酸塩生成物とを水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。
【0503】
本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、球形の一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。図7aに示すように、X線でシリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面を走査して得られた元素分布図において、図7bに示すように、Si元素分布面は、均一分散状態であり、図7cに示すように、O元素分布面は、均一分散状態であり、図7dに示すように、Mg元素の分布面は、均一分散状態である。
【0504】
更に、(4)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0505】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、炭素層の厚さは、50nmである。
【0506】
実施例13
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)SiO原料を取って真空炉の炉尾に近接する側に入れる。
(2)1kgのドロマイト、500gのケイ素鉄粉を取り、VCミキサーに投入して30min混合した後で1.5kgのドロマイトとケイ素鉄粉との混合物を取得し、当該混合物をMgを製造する原料として真空炉の炉口に近接する側に投入する。
(3)収集室内に収集器を入れ、真空度が3Paである負圧条件で1350℃まで加熱し且つ24h保温し、炉内でSiO蒸気及びMg蒸気を生成させ、SiとMgのモル比は、20:1であり、均一に混合されたガス状混合物は、迅速に凝結し(凝結温度が900℃である)SiO-Mg材料を生成し、反応が終了した後で装置を冷却し且つ生成物として収集する。
(4)質量比が1:1である硝酸とフッ酸で、収集された生成物を1h酸洗し、洗浄後の生成物を脱イオン水で中性になるまで洗浄し、濾過した後で100℃で乾燥させ、シリコン酸素材料を取得する。
【0507】
本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。
【0508】
更に、(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0509】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、炭素層の厚さは、50nmである。
【0510】
【0511】
【0512】
実施例12及び13の比較から分かるように、負極材料は、シリコン酸素材料及びシリコン酸素材料の表面に形成された炭素層を含み、球形度が向上したシリコン酸素材料の球形粒子は、等方性の特徴を有するため、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けるため構造の安定性を保持することができる。球形度の高いシリコン酸素材料及び表層の炭素層が相乗的に作用し、負極材料と電解液との副反応を抑制することができ、負極材料の導電性及びサイクル安定性を向上させることができるとともに、負極材料の体積膨張が更に緩和され、そのサイクル性能が顕著に向上する。
【0513】
実施例14
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が10kWであり、高周波電力が200kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料及び金属Mgをプラズマ流に入れて反応させ、SiとMgのモル比が20:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiOとMgSiOを含有するケイ酸塩生成物とを水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、球形の一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。
更に、(4)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0514】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、炭素層の厚さは、50nmである。
【0515】
実施例15
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が20kWであり、高周波電力が500kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料及び金属Mgをプラズマ流に入れて反応させ、SiとMgのモル比が20:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiOとMgSiOを含有するケイ酸塩生成物とを水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、球形の一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。
更に、(4)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0516】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層とを含み、炭素層の厚さは、50nmである。
【0517】
【0518】
【0519】
実施例14及び15の比較から分かるように、プラズマの直流及び高周波電力を調整することにより、最終的に製造されたシリコン酸素材料におけるSi結晶粒サイズが異なり、Si結晶粒サイズが大きすぎる材料の結晶化が顕著であり、循環過程において大きな膨張率を示し、それにより粒子の破砕が発生しやすく、サイクル性能が低下する。
【0520】
実施例16
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料及び金属Liをプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minであり、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとLiのモル比は、20:1である。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO、及びLiSiOとLiSiとを含有するリチウムシリケート生成物を水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、SiO及びケイ酸リチウムを含み、ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiを含み、ケイ酸リチウムは、SiOに分散して分布する。
(4)反応後の生成物を水洗及び酸洗し、酸洗で採用された酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液であり、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:2であり、酸洗の洗浄時間は、1000minであり、洗浄製品を中性になるまで洗浄し、且つ遠心分離及び高温乾燥を行う。
(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0521】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料のコアに被覆された炭素層とを含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、炭素層の厚さは、200nmである。
【0522】
実施例17
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料及び金属Liをプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量が0.5m/hであり、原料供給速度が10g/minであり、シリコン酸素材料を製造する原料におけるSiとLiとのモル比が1:2である。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO、及びLiSiOとLiSiとを含有するリチウムシリケート生成物を水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、SiO及びケイ酸リチウムを含み、ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiを含み、ケイ酸リチウムは、SiOに分散して分布する。
(4)反応後の生成物を水洗及び酸洗し、酸洗で採用された酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液であり、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:2であり、酸洗の洗浄時間は、1000minであり、洗浄製品を中性になるまで洗浄し、且つ遠心分離及び高温乾燥を行う。
(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0523】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料のコアに被覆された炭素層とを含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、炭素層の厚さは、200nmである。
【0524】
【0525】
【0526】
実施例16及び17の比較から分かるように、シリコン酸素材料中のケイ酸塩含有量が増加すると、負極材料の可逆比容量が低下し、初回効率が向上し、ケイ酸塩含有量の増加は、一般的にシリコン酸素材料中のSi結晶粒の増大をもたらし、増大したケイ素結晶粒子は、循環過程において体積膨張効果がより顕著であるため、負極材料のサイクル性能もある程度劣化する。
【0527】
実施例18
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が10kWであり、高周波電力が100kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料及び金属Liをプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minであり、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとLiのモル比は、20:1である。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO、及びLiSiOとLiSiとを含有するリチウムシリケート生成物を水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、SiO及びケイ酸リチウムを含み、ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiを含み、ケイ酸リチウムは、SiOに分散して分布する。
(4)反応後の生成物を水洗及び酸洗し、酸洗で採用された酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液であり、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:2であり、酸洗の洗浄時間は、1000minであり、洗浄製品を中性になるまで洗浄し、且つ遠心分離及び高温乾燥を行う。
(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出し、負極材料を取得する。
【0528】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料のコアに被覆された炭素層とを含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、炭素層の厚さは、200nmである。
【0529】
実施例19
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が10kWであり、高周波電力が100kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、5m/hであり、圧力は、20000torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料及び金属Liをプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量が5m/hであり、原料供給速度が5g/minであり、シリコン酸素材料を製造する原料中のSiとLiとのモル比が20:1である。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO、及びLiSiOとLiSiとを含有するリチウムシリケート生成物を水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、一次粒子であり、シリコン酸素材料は、SiO及びケイ酸リチウムを含み、ケイ酸リチウムは、LiSiO及びLiSiを含み、ケイ酸リチウムは、SiOに分布する。
(4)反応後の生成物を水洗及び酸洗し、酸洗で採用された酸は、硝酸とフッ化水素酸との混合液であり、硝酸とフッ化水素酸の質量比は、1:2である;酸洗の洗浄時間は、1000minであり、洗浄製品を中性になるまで洗浄し、且つ遠心分離及び高温乾燥を行う。
(5)シリコン酸素材料を取ってCVD回転炉に置き、アセチレンを炭素源として導入し、窒素ガスを保護ガスとして導入して、800℃で60min堆積し、冷却して材料を取り出して負極材料を取得する。
【0530】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料のコアに被覆された炭素層とを含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、炭素層の厚さは、200nmである。
【0531】
【0532】
【0533】
実施例18及び19の比較から分かるように、実施例18において、ケイ酸リチウムがSiOに分散して分布し、実施例19においてキャリアガスの流量及び圧力が大きすぎるため、金属元素がケイ素系材料内に均一にドープされず、ケイ酸リチウムもSiOに均一に分布することができず、それにより材料に充放電時に応力の脆弱点が存在し、電気化学的性能が低下する。
【0534】
実施例20
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)得られた球形SiOを被覆し、100gのSiO粉末を回転炉に入れ、炉内に窒素ガスを導入して雰囲気置換を行い、排出ガス中の酸素含有量が200ppm未満になると、2℃/minで600℃まで昇温し、アセチレンガスを導入し、流量が0.2L/minであり、全反応過程にN保護雰囲気を導入し、ガス流量を0.1L/minに制御し、反応ガス圧を1atmに維持し、10h反応させ続けた後、アセチレンガスを切断し、自然降温を開始し、複合負極材料を取得する。
【0535】
本実施例で製造された負極材料は、SiOコア及びSiOコアに被覆された炭素層を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、2.85%である。本実施例で製造された負極材料のラマンスペクトルのケイ素特徴ピークAが504cm-1にあり、炭素特徴ピークDが1352cm-1にあり、炭素特徴ピークGが1601cm-1にあり、グラフェン特徴ピークBが2695cm-1にあり、ピーク強度I=90.6であり、I=110であり、I=106であり、I=56.4であり、I/Iが1.61であり、I/Iが0.51であり、I/Iが1.04である。
【0536】
実施例21
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)得られた球形SiOを被覆し、100gのSiO粉末を回転炉に入れ、炉内に窒素ガスを導入して雰囲気置換を行い、排出ガス中の酸素含有量が200ppm未満になると、2℃/minで600℃まで昇温し、アセチレンガスを導入し、流量が0.5L/minであり、全反応過程にN保護雰囲気を導入し、ガス流量を1L/minに制御し、反応ガス圧を2atmに保持し、10h反応させ続けた後、アセチレンガスを切断し、自然降温を開始し、複合負極材料を取得する。
【0537】
本実施例で製造された負極材料は、SiOコア及びSiOコアに被覆された炭素層を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、3.96%である。本実施例で製造された負極材料のラマンスペクトルのケイ素特徴ピークAが504cm-1にあり、炭素特徴ピークDが1352cm-1にあり、炭素特徴ピークGが1601cm-1にあり、グラフェン特徴ピークBが2695cm-1にあり、ピーク強度I=90.6であり、I=110であり、I=106であり、I=112.3であり、I/Iが1.61であり、I/Iが1.02であり、I/Iが1.04である。
【0538】
実施例22
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)得られた球形SiOを被覆し、100gのSiO粉末を回転炉に入れ、炉内に窒素ガスを導入して雰囲気置換を行い、排出ガス中の酸素含有量が200ppm未満になると、2℃/minで900℃まで昇温し、アセチレンガスを導入し、流量が0.5L/minであり、全反応過程にN保護雰囲気を導入し、ガス流量を1L/minに制御し、反応ガス圧を2atmに保持し、10h反応させ続けた後、アセチレンガスを切断し、自然降温を開始し、複合負極材料を取得する。
【0539】
本実施例で製造された負極材料は、SiOコア及びSiOコアに被覆された炭素層を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.68%である。本実施例で製造された負極材料のラマンスペクトルのケイ素特徴ピークAが504cm-1にあり、炭素特徴ピークDが1352cm-1にあり、炭素特徴ピークGが1601cm-1にあり、グラフェン特徴ピークBが2695cm-1にあり、ピーク強度I=10.6であり、I=110であり、I=106であり、I=112.3であり、I/Iが0.09であり、I/Iが1.02であり、I/Iが1.04である。
【0540】
実施例23
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)得られた球形SiOを被覆し、100gのSiO粉末を回転炉に入れ、炉内に窒素ガスを導入して雰囲気置換を行い、排出ガス中の酸素含有量が200ppm未満になると、2℃/minで700℃まで昇温し、アセチレンガスを導入し、流量が1L/minであり、全反応過程にN保護雰囲気を導入し、ガス流量を1.5L/minに制御し、反応ガス圧を2atmに保持し、10h反応させ続けた後、アセチレンガスを切断し、自然降温を開始し、複合負極材料を取得する。
【0541】
本実施例で製造された負極材料は、SiOコア及びSiOコアに被覆された炭素層を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、4.38%である。本実施例で製造された負極材料のラマンスペクトルのケイ素特徴ピークAが504cm-1にあり、炭素特徴ピークDが1352cm-1にあり、炭素特徴ピークGが1601cm-1にあり、グラフェン特徴ピークBが2695cm-1にあり、ピーク強度I=10.6であり、I=110であり、I=50であり、I=112.3であり、I/Iが0.09であり、I/Iが1.02であり、I/Iが2.2である。
【0542】
【0543】
【0544】
実施例20~23の試験データの比較から分かるように、炭素被覆表面のシリコン酸素材料中の炭素特徴ピーク、ケイ素特徴ピーク及びグラフェン特徴ピークを適切な範囲内に制御する必要があり、材料に優れた電気化学的性能を有することができる。グラフェンの層状構造が大きすぎると比表面積の増大及び負極材料中の炭素元素の質量含有量の増加をもたらし、材料の初回可逆容量及び初回クーロン効率を向上させることに不利である。
【0545】
実施例24
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)5gのビニレンカーボネートを100mlの酢酸エチルに溶解し、50℃まで昇温した後、0.2gの過硫酸アンモニウムを添加し、1h撹拌し反応させた後、100gのSiO、0.2gの過硫酸アンモニウム及び5gの水を添加し、5h反応させた後で冷却し、吸引濾過して固体物質を分離してから、100℃の乾燥箱に入れて10h熱処理し、冷却して負極材料を取得する。
【0546】
本実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に位置する被覆層とを含み、被覆層の厚さは、500nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、8%であり、被覆層は、ポリカーボネートである。
【0547】
実施例25
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)4gのポリアクリル酸を100mlの蒸留水に溶解し、40℃まで昇温した後で2h撹拌し反応させた後、100gのSiO及び5gの水を添加し、温度60℃で2h反応した後で冷却し、吸引濾過して固体物質を分離してから、180℃の乾燥箱に置いて4h熱処理し、冷却して負極材料を取得する。
【0548】
本実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に位置する被覆層とを含み、被覆層の厚さは、500nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、6.5%であり、被覆層は、ポリアクリル酸である。
【0549】
実施例26
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料及び金属Mgをプラズマ流に入れて反応させ、SiとMgのモル比が20:1であり、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiOとMgSiOを含有するケイ酸塩生成物とを水冷装置の壁に付着させ、シリコン酸素材料を取得する。
【0550】
本実施例で製造されたシリコン酸素材料は、球形の一次粒子であり、シリコン酸素材料は、シリコン酸化物SiO及びケイ酸マグネシウムを含み、シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量は、30%であり、シリコン酸素材料中のMg元素の質量含有量は、15%であり、シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量は、20%である。X線でシリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面を走査して得られた元素分布図において、Si元素分布面は、均一分散状態であり、O元素分布面は、均一分散状態であり、Mg元素分布面は、均一分散状態である。
【0551】
更に、(4)5gのビニレンカーボネートを100mlの酢酸エチルに溶解し、50℃まで昇温した後、0.2gの過硫酸アンモニウムを添加し、1h撹拌し反応させた後、100gのSiO、0.2gの過硫酸アンモニウム及び5gの水を添加し、5h反応させた後で冷却し、吸引濾過して固体物質を分離してから、100℃の乾燥箱に入れて10h熱処理し、冷却して負極材料を取得する。
【0552】
本願の実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料とシリコン酸素材料の表面に被覆された被覆層とを含み、被覆層の厚さは、500nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、8%であり、被覆層は、ポリカーボネートである。
【0553】
【0554】
【0555】
実施例24及び25の比較から分かるように、異なるポリマー被覆を採用していずれも材料のサイクル性能を改善することに寄与可能であるが、負極材料におけるポリマーの質量含有量は、材料の倍率性能に影響を与える。
【0556】
実施例27
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、キャリアガスの流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(3)ステップ(2)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集してシリコン酸素材料を取得する。シリコン酸素材料は、球形SiOであり、球形SiOは、一次粒子である。
(4)4gのビニレンカーボネートを100gの蒸留水に溶解し、温度40℃で十分に溶解した後、撹拌の条件で1gのカーボンナノファイバ及び5gの鱗片状黒鉛CSG-3を添加し、2時間撹拌した後で200gのエタノールを添加し、0.5時間引き続き撹拌し、更に90gの球形SiOを撹拌しながらその中に添加し、温度が60℃で2時間撹拌した後で室温まで降温し、吸引濾過して材料を分離してから、180℃の乾燥箱に入れて4時間熱処理し、冷却した後で取り出して負極材料を取得する。
【0557】
本実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料SiOとシリコン酸素材料SiOの表面に位置する被覆層とを含み、被覆層の厚さは、300nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、5%であり、被覆層は、ポリアクリル酸、鱗片状黒鉛及びカーボンナノファイバを含み、鱗片状黒鉛は、シリコン酸素材料の表面に貼り合わせられ、ポリアクリル酸は、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆される。
【0558】
実施例28
実施例27との相違点は、以下のようになる。
(4)4gのポリアクリル酸を100gの蒸留水に溶解し、温度40℃で十分に溶解した後、撹拌の条件で1gのカーボンナノファイバ及び5gの鱗片状黒鉛CSG-3を添加し、2時間撹拌した後で200gのエタノールを添加し、0.5時間引き続き撹拌し、更に90gのSiOを撹拌しながらその中に添加し、温度60℃で2時間撹拌した後で室温まで降温し、吸引濾過して材料を分離してから、180℃の乾燥箱に置いて4時間熱処理し、冷却した後で取り出して負極材料を取得する。
【0559】
本実施例で製造された負極材料は、シリコン酸素材料SiOとシリコン酸素材料SiOの表面に位置する被覆層とを含み、被覆層の厚さは、300nmであり、被覆層の負極材料における質量割合は、5%であり、被覆層は、ポリアクリル酸、鱗片状黒鉛及びカーボンナノファイバを含み、鱗片状黒鉛は、シリコン酸素材料の表面に貼り合わせられ、ポリアクリル酸は、シリコン酸素材料及び鱗片状黒鉛の表面に被覆される。
【0560】
【0561】
【0562】
実施例27及び28の比較から分かるように、ポリマー被覆処理を経て負極材料を取得することができ、コアのシリコン酸素材料は、より高い球形度を有するため、それは、循環過程において径方向に沿って外向きに均一に収縮・膨張し、等方的な応力を受けるため構造の安定性を保持することができ、負極材料のサイクル性能が顕著に向上する。
【0563】
実施例29
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、冷却してシリコン酸化物SiOを取得し、キャリアガス流量が0.5m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)アルゴンガスをキャリアガスとしてプラズマ発生器にメタンガス及びポリアクリロニトリルを導入して反応させ、ポリアクリロニトリルとSiOの質量比は、1:4であり、アルゴンガスとメタンガスの体積比は、10:2であり、キャリアガス流量は、0.5m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(4)ステップ(3)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた球形SiO生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集して負極材料を取得する。
【0564】
本実施例の負極材料は、球形SiO-C複合材料であり、負極材料は、二次粒子であり、負極材料は、炭素材料及び炭素材料内に分布するシリコン酸化物を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の9%を占め、負極材料の粒径は、D90が約31μmであり、D50が約20.3μmであり、D10が約8.9μmであることを満たす。
【0565】
実施例30
実施例29との相違点は、以下のようになる。
ステップ(2)でプラズマ発生器にメタンガスを導入して反応させる。
【0566】
本実施例の負極材料は、球形SiO-C複合材料であり、負極材料は、二次粒子であり、負極材料は、炭素材料及び炭素材料内に分布するシリコン酸化物を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、5%であり、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の9%を占め、負極材料の粒径は、D90が約36μmであり、D50が約19μmであり、D10が約11μmであることを満たす。
【0567】
【0568】
【0569】
実施例29及び30の比較から分かるように、製造された負極材料の球形度が高いほど、負極材料のサイクル性能が顕著に向上する。
【0570】
実施例31
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、冷却してシリコン酸化物SiOを取得し、キャリアガス流量が1m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)アルゴンガスをキャリアガスとしてプラズマ発生器にアセチレンガス及びポリアクリロニトリルを導入して反応させ、ポリアクリロニトリルとSiOの質量比は、1:4であり、アルゴンガスとアセチレンガスの体積比は、10:2であり、キャリアガスの流量は、1m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(4)ステップ(3)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集して負極材料を取得する。
【0571】
本実施例の負極材料は、球形SiO-C複合材料であり、負極材料は、二次粒子であり、負極材料は、炭素材料及び炭素材料内に分布するシリコン酸化物を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、12%であり、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の8.5%を占め、負極材料の粒径は、D90が約30μmであり、D50が約15μmであり、D10が約5μmであることを満たす。
【0572】
実施例32
本実施例の負極材料の製造方法は、以下のステップを含む。
(1)プラズマ発生器における直流電力が8.5kWであり、高周波電力が95kWであるように制御され、アルゴンガスは、プラズマ発生ガスとして、直流アルゴンガスの流速は、0.6m/hであり、圧力は、450torrであり、プラズマ発生ガスの径方向速度は、8.4m/hであり、接線方向速度は、1.8m/hであり、高温ガス流は、軸方向範囲内に制限される。
(2)アルゴンガスをキャリアガスとして用いてメカニカルミリングして気流による粉砕・分級を行った50が5μmであるSiO原料をプラズマ流中に入れて反応させ、冷却してシリコン酸化物SiOを取得し、キャリアガス流量が1m/hであり、原料供給速度が5g/minである。
(3)アルゴンガスをキャリアガスとしてプラズマ発生器にアセチレンガス及びポリアクリロニトリルを導入して反応させ、ポリアクリロニトリルとSiOの質量比は、1:6であり、アルゴンガスとアセチレンガスの体積比は、10:3であり、キャリアガスの流量は、1m/hであり、原料供給速度は、5g/minである。
(4)ステップ(3)で反応させて得られた生成物をプラズマ流の尾部の水冷装置で冷却し、冷却固化した後で得られた生成物を水冷装置の壁に付着させ、それを収集して負極材料を取得する。
【0573】
本実施例の負極材料は、球形SiO-C複合材料であり、負極材料は、二次粒子であり、負極材料は、炭素材料及び炭素材料内に分布するシリコン酸化物を含み、負極材料中の炭素元素の質量含有量は、10%であり、シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積は、全シリコン酸化物の10%を占め、負極材料の粒径は、D90が約55μmであり、D50が約22μmであり、D10が約11μmであることを満たす。
【0574】
【0575】
【0576】
実施例31及び32の試験データの比較から分かるように、炭素質結合剤及び炭素源ガスの含有量が増加する場合、負極材料の粒径が顕著に増加し、このようにサイクル時に粒子の過大な応力集中により、サイクル性能が悪くなる。
【0577】
本願では、好適な実施例は、以上のように開示されたが、請求項を制限するためのものではない。当業者が本願の構想から逸脱することなく、幾つかの可能な変動及び修正を行うことができるため、本願の保護範囲は、本願の請求項で定められた範囲を基準とすべきである。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン酸素材料であって、
前記シリコン酸素材料は、シリコン酸化物を含み、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料は、一次粒子であり、前記一次粒子のwadellの球形度は、0.92よりも大きいことを特徴とするシリコン酸素材料。
【請求項2】
前記シリコン酸素材料は、還元性金属及び還元性金属化合物のうちの少なくとも1種を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のシリコン酸素材料。
【請求項3】
前記シリコン酸素材料は、
(1)前記還元性金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含むことと、
(2)前記還元性金属元素がLi、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiのうちの少なくとも1種を含むことと、
(3)前記シリコン酸素材料中の酸素元素の質量含有量が10%~50%であることと、
(4)前記シリコン酸素材料中の還元性金属元素の質量含有量が0.5%~50%であることと、
(5)前記シリコン酸素材料の一次粒子のSEM切断面をX線で走査して得られた元素分布図において、Si、O及び還元性金属元素の分布面が均一分散状態であることと、
(6)前記還元性金属化合物が還元性金属の酸化物、還元性金属のシリサイド及び還元性金属のケイ酸塩のうちの少なくとも1種を含むことと、
(7)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記還元性金属のケイ酸塩が前記一次粒子内に均一に分布することと、
(8)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記シリコン酸素材料中のケイ酸塩の質量含有量が10%~80%であることと、
(9)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩がケイ酸リチウムを含むことと、
(10)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩がケイ酸リチウムを含み、前記ケイ酸リチウムがLiSiO、LiSiO、LiSi及びLiSiのうちの少なくとも1種を含むことと、
(11)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩がケイ酸リチウムを含み、前記ケイ酸リチウムがLiSiであることと、
(12)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩が結晶質のLiSiを含み、LiSiの結晶粒サイズが20nmよりも小さいことと、
(13)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩が結晶質のLiSiを含み、前記シリコン酸素材料中のLiSiの質量含有量が20%~80%であることと、
(14)前記還元性金属化合物が還元性金属のケイ酸塩を含み、前記ケイ酸塩がケイ酸リチウムを含み、前記シリコン酸素材料中のSiとLiとのモル比が(1~50):1であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項2に記載のシリコン酸素材料。
【請求項4】
(1)前記一次粒子のwadellの球形度が0.95よりも大きいことと、
(2)前記シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズが20nm以下であることと、
(3)前記シリコン酸素材料中のSi結晶子サイズが10nm以下であることと、
(4)前記シリコン酸素材料のD50がD50≦50μmを満たすことと、
(5)前記シリコン酸素材料の粒径分布が3μm<D50<10μm、2μm≦D10≦5μm、及び、0.8≦(D90-D10)/D50≦1.2を満たすことと、
(6)前記シリコン酸素材料の比表面積が10m/gよりも小さいことと、
(7)前記シリコン酸素材料が非金属ドープ元素を更に含むことと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載のシリコン酸素材料。
【請求項5】
請求項1に記載のシリコン酸素材料を含むことを特徴とする負極材料。
【請求項6】
前記負極材料は、
(1)前記負極材料が前記シリコン酸素材料の表面に被覆された炭素層を更に含むことと、
(2)前記炭素層の厚さの最大値と最小値との差が最小値よりも小さいことと、
(3)前記炭素層の厚さが10nm~500nmであることと、
(4)前記負極材料のD50がD50≦100μmを満たすことと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項5に記載の負極材料。
【請求項7】
前記負極材料は、
(1)前記負極材料が炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料が前記炭素材料中に分散され、前記負極材料が球形粒子であり、前記負極材料のwadellの球形度が0.3よりも大きいことと、
(2)前記負極材料のwadellの球形度が0.5よりも大きいことと、
(3)前記負極材料のwadellの球形度が0.92よりも大きいことと、
(4)前記シリコン酸素材料において、酸素元素の質量がシリコン元素と酸素元素との質量の総和の0%~67%(ただし、0%を含まない)を占めることと、
(5)前記負極材料のD50がD50≦40μmを満たすことと、
(6)前記負極材料の空孔率が20%よりも小さいことと、
(7)前記シリコン酸素材料の質量が前記負極材料の質量の40%~95%を占めることと、
(8)前記負極材料が炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料が前記炭素材料中に分散され、前記炭素材料が非晶質炭素を含むことと、
(9)前記負極材料が黒鉛を更に含むことと、
(10)前記負極材料が黒鉛を更に含み、前記黒鉛が天然黒鉛、人造黒鉛及びメソカーボンマイクロビーズのうちの少なくとも1種を含むことと、
(11)前記負極材料が黒鉛を更に含み、前記負極材料の総質量を100%としたときに、前記黒鉛の質量分率が0%~40%であり、前記シリコン酸素材料の質量分率が40%~95%であり、前記炭素材料の質量分率が5%~60%であることと、
(12)前記負極材料が炭素材料を更に含み、前記炭素材料が前記シリコン酸素材料の表面に形成され、且つ前記炭素材料がグラフェン構造を有することと、
(13)ラマンスペクトルにおいて、前記負極材料が炭素特徴ピークD、炭素特徴ピークG、シリコン特徴ピークA及びグラフェン特徴ピークBを有することと、
(14)前記シリコン特徴ピークAのピーク強度Iと前記グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iとの比I/Iが0.1~50であり、且つ前記炭素特徴ピークDのピーク強度Iと前記炭素特徴ピークGのピーク強度Iとの比I/Iが0.5~2.0であり、前記グラフェン特徴ピークBのピーク強度Iと前記炭素特徴ピークDのピーク強度Iとの比I/Iが0~1であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項5に記載の負極材料。
【請求項8】
前記負極材料は、炭素材料を更に含み、前記シリコン酸素材料は、前記炭素材料中に分散され、前記負極材料は、二次粒子であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の負極材料。
【請求項9】
前記負極材料は、
(1)前記シリコン酸素材料がシリコン酸化物の一次粒子であることと、
(2)前記シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積が全シリコン酸化物の体積の15%以下を占めることと、
(3)前記シリコン酸化物の粒径がD90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たすことと、
(4)前記シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズが1.0nm~20nmであることと、
(5)前記負極材料の比表面積が0.5m/g~50m/gであることと、
(6)前記負極材料のタップ密度が0.5g/cm~5.0g/cmであることと、
(7)前記負極材料の粒径D50が前記シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍であることと、
(8)前記負極材料の粒径が20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たすことと、
(9)前記負極材料における炭素元素の質量含有量が2%~20%であることと、
(10)前記負極材料の空孔率が1%~50%であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項8に記載の負極材料。
【請求項10】
前記負極材料は、前記シリコン酸素材料の表面に位置する被覆層を更に含み、前記被覆層は、可撓性ポリマーを含むことを特徴とする請求項5に記載の負極材料。
【請求項11】
前記負極材料は、
(1)前記可撓性ポリマーが天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含むことと、
(2)前記可撓性ポリマーがポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちの少なくとも1種を含むことと、
(3)前記可撓性ポリマーの重量平均分子量が2000~1000000であることと、
(4)前記可撓性ポリマーに熱架橋型官能基が含まれ、前記熱架橋型官能基がエポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちの少なくとも1種を含むことと、
(5)前記被覆層が導電性材料を更に含むことと、
(6)前記導電性材料が鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含むことと、
(7)前記鱗片状黒鉛が天然鱗片状黒鉛及び/又は人造鱗片状黒鉛を含むことと、
(8)前記ナノ炭素系材料が導電性グラファイト、グラフェン、カーボンナノチューブ及びカーボンナノファイバのうちの少なくとも1種を含むことと、
(9)前記被覆層が非水溶性ケイ酸リチウムを更に含むことと、
(10)前記非水溶性ケイ酸リチウムがLiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含むことと、
(11)前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記可撓性ポリマーの質量百分率が0~10%(ただし、0を含まない)であることと、
(12)前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記鱗片状黒鉛の質量百分率が0~20%(ただし、0を含まない)であることと、
(13)前記シリコン酸素材料の総質量を100%としたときに、前記ナノ炭素系材料の質量百分率が0~5%(ただし、0を含まない)であることと、
(14)前記可撓性ポリマーがポリカーボネートを含むことと、
(15)前記被覆層の厚さが10nm~5000nmであることと、
(16)前記被覆層の前記負極材料における質量割合が0%~20%(ただし、0%を含まない)であることと、
(17)前記被覆層の前記負極材料における質量割合が2%~10%であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項10に記載の負極材料。
【請求項12】
負極材料の製造方法であって、
シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理し、冷却した後、シリコン酸化物を含むシリコン酸素材料を取得するステップを含み、
前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記シリコン酸素材料のwadellの球形度は、0.92よりも大きいことを特徴とする製造方法。
【請求項13】
前記製造方法は、
(1)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸素材料を製造する原料に対してプラズマ反応を行うことを含むことと、
(2)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含むことと、
(3)前記シリコン酸素材料を製造する原料がSi、SiO及びSiOの混合物と、SiO及びSiの混合物と、Si及びSiOの混合物とのうちの少なくとも1種を含み、0<y<2であることと、
(4)前記シリコン酸素材料を製造する原料がSiH及びOを含むことと、
(5)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含み、前記プラズマ流中の温度が1400℃~2400℃であることと、
(6)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸素材料を製造する原料をプラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含み、前記シリコン酸化物の原料の供給速度が2.0g/min~80g/minであることと、
(7)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行うことを含むことと、
(8)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含むことと、
(9)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスがメタン及び水素ガスのうちの少なくとも1種を含むことと、
(10)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスと前記シリコン酸化物とのモル比が0~0.25(ただし、0を含まない)であることと、
(11)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップがシリコン酸化物を製造する原料をキャリアガスを用いて前記プラズマ流中に搬送してプラズマ反応を行い、且つ還元性ガスを導入することを含み、前記還元性ガスの径方向速度が1m/h~10m/hであることと、
(12)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含むことと、
(13)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含み、前記還元性金属がアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属のうちの少なくとも1種を含むことと、
(14)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含み、前記還元性金属がLi、K、Mg、Al、Ca、Zn、Na及びTiのうちの少なくとも1種を含むことと、
(15)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含み、前記還元性金属がLiを含み、前記シリコン酸化物を製造する原料中のSiとLiとのモル比が(1~50):1であることと、
(16)前記シリコン酸素材料を製造する原料が還元性金属を更に含み、前記還元性金属がMgを含み、前記シリコン酸化物を製造する原料中のSiとMgとのモル比が(5~50):1であることと、
(17)前記製造方法が、熱処理後の生成物に対して水洗及び/又は酸洗を行い、洗浄生成物を中性になるまで洗浄し、且つ固液分離及び乾燥を行うことを更に含むことと、
(18)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが溶融したシリコン酸素材料の原料を霧化することを含むことと、
(19)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧気体を用いて霧化することを含むことと、
(20)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧ガスを用いて霧化することを含み、前記加圧ガスが保護ガスであり、前記保護ガスが窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含むことと、
(21)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが溶融したシリコン酸素材料の原料を加圧気体を用いて霧化することを含み、前記加圧気体の圧力が0.2Mpa~100Mpaであることと、
(22)前記冷却のステップが前記シリコン酸化物の原料液滴を100℃以下まで冷却することであることと、
(23)前記冷却の速度が1℃/s~100℃/sであることと、
(24)前記冷却が保護ガスを用いた冷却であり、前記保護ガスが窒素ガス、アルゴンガス、ネオンガス、クリプトンガス及びヘリウムガスのうちの少なくとも1種を含むことと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記製造方法は、
(1)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含むことと、
(2)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源が糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含むことと、
(3)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源がポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、クエン酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含むことと、
(4)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記有機炭素源と前記シリコン酸化物との質量比が5:(5~95)であることと、
(5)前記シリコン酸素材料を製造する原料を熱処理するステップが、シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料を熱処理することにより、前記有機炭素源を溶融させ、且つ霧化処理を行うことを含み、前記シリコン酸素材料と有機炭素源とを含む原料が黒鉛を更に含むことと、
(6)前記製造方法が、冷却された生成物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含むことと、
(7)前記製造方法が、冷却された生成物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記炭化処理の温度が600℃~1000℃であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
前記製造方法は、炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行い、冷却してシリコン酸化物と炭素材料とを含む負極材料を取得することを更に含み、前記負極材料は、二次粒子であり、前記シリコン酸化物の化学式は、SiOx(0<x<2)であり、前記負極材料のwadellの球形度は、0.91よりも大きいことを特徴とする請求項13に記載の製造方法。
【請求項16】
前記製造方法は、
(1)前記シリコン酸素材料がシリコン酸化物の一次粒子であることと、
(2)前記シリコン酸化物のうち、粒径が1.0μm以下である粉末の体積が全シリコン酸化物の体積の15%以下を占めることと、
(3)前記シリコン酸化物の粒径がD90<25.0μm、D10>0.5μm、及び、1μm≦D50≦10μmを満たすことと、
(4)前記シリコン酸化物におけるSi結晶子サイズが1.0nm~20nmであることと、
(5)前記炭素源ガスが炭化水素類を含むことと、
(6)前記炭素源ガスがメタン、アセチレン、エチレン、エタン、プロパン、プロペン、プロピン、アセトン及びベンゼンのうちの少なくとも1種を含むことと、
(7)前記キャリアガスと前記炭素源ガスとの体積比が10:(0.5~10)であることと、
(8)炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップがプラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含むことと、
(9)炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップがプラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤が糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含むことと、
(10)炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップがプラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤がポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含むことと、
(11)炭素源ガス及びシリコン酸素材料をプラズマ流中に搬送して二次造粒を行うステップがプラズマ流中に炭素質接着剤を添加することを更に含み、前記炭素質接着剤と前記シリコン酸化物との質量比が5:95~50:50であることと、
(12)前記負極材料の粒径D50が前記シリコン酸化物の粒径D50の2~10倍であることと、
(13)前記負極材料の粒径が20μm≦D90≦50μm、5μm<D50<20μm、及び、2μm≦D10≦5μmを満たすことと、
(14)前記負極材料における炭素元素の質量含有量が2%~20%であることと、
(15)前記負極材料の空孔率が1%~50%であることと、
(16)前記負極材料の比表面積が0.5m/g~50m/gであることと、
(17)前記負極材料のタップ密度が0.5g/cm~5.0g/cmであることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項15に記載の製造方法。
【請求項17】
前記製造方法は、
(1)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行い、負極材料を取得することを更に含むことと、
(2)前記製造方法が前記シリコン酸素材料に対して炭素被覆処理を行うことを更に含み、前記炭素被覆処理が固相炭素被覆、液相炭素被覆及び気相炭素被覆のうちの少なくとも1種を含むことと、
(3)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含むことと、
(4)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスが炭化水素類であることと、
(5)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスがメタン、エチレン、アセチレン、プロピン、プロペン、プロパン、トルエン、ベンゼン、スチレン及びフェノールのうちの少なくとも1種を含むことと、
(6)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記熱分解の温度が600℃~1000℃であることと、
(7)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記シリコン酸素材料の加熱温度が500℃~1200℃であり、保温時間が0.5h~20hであることと、
(8)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス及び炭素源ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記熱分解の反応ガス圧が1.0atm~10.0atmであることと、
(9)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス、炭素源ガス及び補助ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記補助ガスがHを含むことと、
(10)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料を加熱した後、保護ガス、炭素源ガス及び補助ガスを導入し、前記炭素源ガスを熱分解して負極材料を取得することを更に含み、前記炭素源ガスと補助ガスとのモル比が(2~10):1であることと、
(11)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含むことと、
(12)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記炭化処理の温度が500℃~1000℃であり、炭化処理の時間が2h~20hであることと、
(13)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源が糖類、エステル類、炭化水素類、有機酸及び高分子重合体のうちの少なくとも1種を含むことと、
(14)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源がポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリロニトリル、ポリアクリル酸、ポリエチレングリコール、ポリピロール、ポリアニリン、スクロース、グルコース、マルトース、クエン酸、アスファルト、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂及びフェノール樹脂のうちの少なくとも1種を含むことと、
(15)前記製造方法が、前記シリコン酸素材料と固相炭素源とを混合して得られた混合物に対して炭化処理を行い、負極材料を取得することを更に含み、前記固相炭素源と前記シリコン酸素材料との質量比が5:(5~95)であることと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項12~14の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項18】
前記製造方法は、可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行い、負極材料を取得することを更に含むことを特徴とする請求項12~14の何れか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
前記製造方法は、
(1)前記可撓性ポリマーが天然の可撓性ポリマー及び/又は合成された可撓性ポリマーを含むことと、
(2)前記可撓性ポリマーがポリオレフィン及びその誘導体、ポリビニルアルコール及びその誘導体、ポリアクリル酸及びその誘導体、ポリアミド及びその誘導体、カルボキシメチルセルロース及びその誘導体、並びに、アルギン酸及びその誘導体のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含むことと、
(3)前記可撓性ポリマーの重量平均分子量が2000~1000000であることと、
(4)前記可撓性ポリマーに熱架橋型官能基が含まれ、前記熱架橋型官能基がエポキシ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、アミノ基、二重結合及び三重結合のうちのいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせを含むことと、
(5)前記可撓性ポリマーがポリオレフィン及びその誘導体、又は、ポリオレフィン及びその誘導体とアルギン酸及びその誘導体との組み合わせであることと、
(6)前記コート液が溶媒を含み、前記溶媒が水、メタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素から選択されるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであることと、
(7)前記コート液が逆溶媒を含み、前記逆溶媒が可撓性ポリマーの貧溶媒であることと、
(8)前記コート液が逆溶媒を含み、前記逆溶媒がメタノール、エタノール、ポリビニルピロリドン、イソプロパノール、アセトン、石油エーテル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ノルマルヘキサン及びハロゲン化炭化水素から選択されるいずれか1種又は少なくとも2種の組み合わせであることと、
(9)前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップが、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含むことと、
(10)前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップが、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含み、前記熱処理の温度が100℃~400℃であり、前記熱処理の時間が2h~12hであることと、
(11)前記可撓性ポリマーを含有するコート液を利用して前記シリコン酸素材料に対して被覆処理を行うステップが、前記可撓性ポリマーのコート液にシリコン酸素材料を添加し、撹拌し、分離して負極材料前駆体を取得し、前記負極材料前駆体に対して熱処理を行うことを含み、前記撹拌の温度が20℃~100℃であり、前記撹拌の時間が1~24hであることと、
(12)前記コート液が導電性材料を更に含むことと、
(13)前記コート液が導電性材料を更に含み、前記導電性材料が鱗片状黒鉛及びナノ炭素系材料を含むことと、
(14)前記コート液が非水溶性ケイ酸リチウムを更に含むことと、
(15)前記コート液が非水溶性ケイ酸リチウムを更に含み、前記非水溶性ケイ酸リチウムがLiSiO及びLiSiのうちの少なくとも1種を含むことと、のうちの少なくとも1つを満足することを特徴とする請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
請求項1~の何れか一項に記載のシリコン酸素材料、請求項5~11の何れか一項に記載の負極材料、又は、請求項12~16の何れか一項に記載の製造方法によって製造された負極材料を含むことを特徴とするリチウムイオン電池。

【国際調査報告】