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特表2023-548936改善された特性を有するアルキル化ジフェニルアミンを含む組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】改善された特性を有するアルキル化ジフェニルアミンを含む組成物
(51)【国際特許分類】
   C10M 133/12 20060101AFI20231114BHJP
   C10N 40/25 20060101ALN20231114BHJP
   C10N 30/10 20060101ALN20231114BHJP
   C10N 30/12 20060101ALN20231114BHJP
【FI】
C10M133/12
C10N40:25
C10N30:10
C10N30:12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528255
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-06-28
(86)【国際出願番号】 KR2021016769
(87)【国際公開番号】W WO2022108298
(87)【国際公開日】2022-05-27
(31)【優先権主張番号】63/114,561
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516167059
【氏名又は名称】ソンウォン インダストリアル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Songwon Industrial Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】83, Jangsaengpo-ro, Nam-gu, Ulsan, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ドン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジョンキュ
(72)【発明者】
【氏名】ムルクイーン ジェラルド
【テーマコード(参考)】
4H104
【Fターム(参考)】
4H104BA04A
4H104BA07A
4H104BB33A
4H104BB34A
4H104BB41A
4H104BE07C
4H104BH03A
4H104CB14A
4H104CJ02A
4H104DA02A
4H104DA06A
4H104EA02C
4H104EA06C
4H104EA11C
4H104EA22C
4H104LA05
4H104LA06
4H104PA41
(57)【要約】
本発明は、構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンを含む組成物、このアルキル化ジフェニルアミンの混合物を含む添加剤ブレンド、エンジンオイル、及びポリマー組成物等の工業製品、並びに添加剤ブレンド、エンジンオイル及びポリマー組成物等の工業製品における添加剤としての当該混合物の使用に関する。式中、Rは分枝状C~C16-アルキル基であり、構造式(IV)のテトラアルキル化ジフェニルアミンの総量は、当該組成物中の構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、0.20~3.5重量%の範囲にある。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンを含む組成物であって、
【化1】
式中、Rは分枝状C~C16-アルキル基であり、
構造式(IV)のテトラアルキル化ジフェニルアミンの総量は、前記組成物中の前記構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、0.20~3.5重量%の範囲にある、組成物。
【請求項2】
前記構造式(I)のモノアルキル化ジフェニルアミンの総量は、前記組成物中の前記構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、10~35重量%の範囲にある請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記構造式(II)のジアルキル化ジフェニルアミンの総量は、前記組成物中の前記構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、60~85重量%の範囲にある請求項1又は請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記構造式(III)のトリアルキル化ジフェニルアミンの総量は、前記組成物中の前記構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、1~10重量%の範囲にある請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物は、前記組成物中の前記構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、1重量%未満の非アルキル化ジフェニルアミンをさらに含む請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
残基Rは、式-C19を有する分枝状アルキル基である請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
以下の条件(α1)~(α6):
(α1)前記組成物は、100~1000cStの範囲の動粘度(ASTM D 445に従って40℃の温度で測定)を有する、
(α2)前記組成物は、15ガードナー未満のガードナー色数(ASTM D 1544に従って測定)を有する、
(α3)前記組成物は、0.1重量%未満の水分含量(ASTM E 203に従って測定)を有する、
(α4)前記組成物は、3.2~3.8%の範囲の窒素含有量(ASTM D 2896に従って測定)を有する、
(α5)前記組成物は、0.930~0.980の範囲の比重(ASTM D 1298に従って25℃の温度で測定)を有する、
(α6)前記組成物は、125~160mgKOH/gの範囲の総塩基価(TBN)(ASTM D 2896に従って測定)を有する、
のうち少なくとも1つが満たされる請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量は、前記組成物の総重量に基づいて少なくとも98重量%である請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物は添加剤ブレンドである請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量は、前記添加剤ブレンドの総重量に基づいて0.01~30重量%の範囲にある請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物は、少なくとも1種の基油を含むエンジンオイルである請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量は、前記エンジンオイルの総重量に基づいて0.01~5重量%の範囲にある請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物は、ポリマーを含むポリマー組成物である請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記構造式(I)、(II)、(III)、及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量は、前記ポリマー組成物の総重量に基づいて0.01~1重量%の範囲にある請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
添加剤ブレンド、エンジンオイル、又はポリマー組成物における添加剤としての請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルキル化ジフェニルアミンを含む組成物に関する。本発明は、この組成物を含む工業製品、及び工業製品における添加剤としてのこの組成物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤、例えば様々な機械で使用される潤滑剤は、貯蔵、輸送、及び使用中に、特に、そのような潤滑剤がそれらの酸化を大いに促進する高温及び鉄触媒環境に曝露される場合に、酸化的劣化を受けやすい。この酸化は、制御されない場合、腐食性酸性生成物、スラッジ、ワニス、樹脂、及び他の油不溶性生成物の形成に寄与し、その潤滑剤の指定された物理特性及びトライボロジー特性の喪失をもたらす可能性がある。それゆえ、潤滑剤の耐用寿命を延ばすために、酸化防止剤を潤滑剤に含めて酸化を少なくともある程度防止することが一般的な実務である。酸化防止剤として様々なジアリールアミン又はフェノール化合物を含有する潤滑剤組成物は、当該技術分野において広く公知である。
【0003】
国際公開第2007/100726A2号パンフレットは、天然及び合成の潤滑油基油からなる群から選択される少なくとも1種の潤滑油と、アルキル化ジフェニルアミンであってもよい少なくとも1種の第1の酸化防止剤と、第2の酸化防止剤としての少なくとも1種の硫黄含有アルキル化フェノールとを含む潤滑油組成物を開示し、この潤滑油組成物では、潤滑剤に第1及び第2の酸化防止剤を補充する場合、酸化安定性に関して相乗効果が観察されている。
【0004】
しかしながら、このアプローチの欠点は、エンジンオイルの酸化安定性を改善するために、新しいクラスの添加剤(すなわち硫黄含有アルキル化フェノール)をエンジンオイルに添加しなければならず、これはやはり、完全に完成したエンジン潤滑剤の複雑さだけでなく、その製造のためのコストも増大させるという事実に見ることができる。
【0005】
さらに、エンジンオイル仕様は、性能要件の点でより厳しくなっており、これらの新しい仕様を満たすための新しい配合物が開発中である。エンジンオイルに含まれる添加剤の多くは鉛に対して腐食性である。鉛腐食の仕様も満たしながら、特定の有益な添加剤を使用することによって、配合者が現在のエンジンオイル仕様を満たすことは困難である。例えば、鉛腐食を引き起こす配合エンジンオイルの特定の成分は、特定の清浄剤、耐摩耗添加剤、摩擦調整剤及び酸化防止剤を含む。多くのそのような所望の添加剤の化学物質は、エンジンオイル配合物を鉛腐食に対する限界に関する業界仕様に未達にさせることに起因して、使用不適格である。
【0006】
国際公開第2004/015043A1号パンフレットは、鉛に対してとりわけ非攻撃性である特定の1,2,4-トリアゾール金属不活性化剤を含むエンジンオイルを開示する。しかしながら、このアプローチの欠点も、通常、酸化防止剤、耐摩耗添加剤、分散剤、洗浄剤、消泡添加剤、粘度指数向上剤、銅不動態化剤、防錆剤、流動点降下剤、解乳化剤及び摩擦調整剤等の添加剤の複雑な混合物をすでに含むエンジンオイルにさらなる複雑な化学添加剤を添加しなければならないという事実に見られなければならない。従って、このアプローチは、完全に完成したエンジン潤滑剤の複雑さを増大させるだけでなく、それらの製造のためのコストも増大させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2007/100726A2号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2004/015043A1号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
それゆえ、本発明の目的は、エンジンオイル等の工業製品の特性を改善するために使用される組成物に関連する従来技術の、特にそれらの酸化安定性に関して、しかし好ましくは鉛の腐食に対するそれらの抵抗性に関して、欠点を克服することである。
【0009】
特に、本発明の目的は、完全に完成したエンジンオイルを形成するために基油に別個の添加剤として又はいわゆる「添加剤パッケージ」中の成分として添加される場合、エンジンオイルの特性を、特に酸化安定性に関して、好ましくは鉛の腐食に対する抵抗性に関しても改善する組成物を提供することである。
【0010】
より好ましくは、本発明の目的は、完全に完成したエンジンオイルを形成するために基油に別個の添加剤として、又は添加剤パッケージ中の成分として添加される場合、又は完全に完成したエンジンオイルの形態で既に存在している場合に、高い酸化還元安定性及び鉛の腐食に対する良好な抵抗性という特性の有利な組み合わせをもたらす組成物を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的の少なくとも1つ、好ましくは2つ以上を少なくとも部分的に解決することへの寄与は、独立請求項によってなされる。従属請求項は、目的のうち少なくとも1つを少なくとも部分的に解決することに寄与する好ましい実施形態を提供する。
【0012】
本発明に係る目的のうち少なくとも1つを解決することへの寄与は、構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンを含む組成物の実施形態1によってなされ、
【化1】
上記式中、Rは分枝状C~C16-アルキル基であり、構造式(IV)のテトラアルキル化ジフェニルアミンの総量は、いずれの場合も組成物中の構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、0.20~3.5重量%の範囲、より好ましくは0.21~3.3重量%の範囲、さらにより好ましくは0.22~3.1重量%の範囲にある。
【0013】
構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)における残基Rにつながる線は、この残基Rがベンゼン環の炭素原子のいずれかに(すなわち、オルト位、メタ位又はパラ位で)つながることができることを示す。従って、構造式(I)のアルキル化ジフェニルアミンは一置換ジフェニルアミン誘導体を、構造式(II)のアルキル化ジフェニルアミンは二置換ジフェニルアミン誘導体を、構造式(III)のアルキル化ジフェニルアミンは三置換ジフェニルアミン誘導体を、構造式(IV)のアルキル化ジフェニルアミン誘導体は四置換ジフェニルアミン誘導体を表す。
【0014】
構造式(I)、(II)及び(III)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物を含む潤滑剤用添加剤は、先行技術から公知である。それらは、エンジンオイル等の潤滑剤の酸化安定性を改善するために酸化防止剤として使用される。しかしながら、今回驚くべきことに、これらの組成物が明確に定義された量の構造式(IV)を有するテトラアルキル化ジフェニルアミンを含むことを確実にすることによって、このような添加剤を含むエンジンオイルの改善された性能が酸化安定性に関して達成できるということが発見された。特に驚くべきことに、これらの組成物が明確に定義された量のテトラアルキル化ジフェニルアミンを含むことを確実にすることによって、鉛の腐食に対する抵抗性も改善することができる。
【0015】
本発明に係る組成物は、構造式(I)、(II)及び(III)を有するアルキル化ジフェニルアミンの混合物を提供し、この混合物に所望の量の構造式(IV)を有するテトラアルキル化ジフェニルアミンを補充することによって調製することができる。
【0016】
構造式(I)、(II)及び(III)を有するアルキル化ジフェニルアミンの製造プロセスは、例えば、米国特許第6,315,925B1号明細書に開示されている。このプロセスでは、ジフェニルアミンは、触媒としての酸性白土上でアルケンと反応する。Rが式-C19を有する分枝状残基を表す好ましいノニルアルキル化ジフェニルアミンの調製については、米国特許第6,315,925B1号明細書の実施例1に示されるように、ジフェニルアミンは、ジフェニルアミンに基づいて2.0~25.0重量%の酸性白土の存在下で、かつ例えば、反応混合物中の無機酸又は有機酸の不存在下で、過剰のノネン又は異性体ノネンの混合物でアルキル化することができる。
【0017】
構造式(IV)を有するアルキル化ジフェニルアミン、例えばテトラノニルジフェニルアミンは、ジフェニルアミンを過剰のアルケン(例えばテトラノニルジフェニルアミンの場合、ノネン)と、4週間の反応時間にわたり、大気圧下で140~155℃の反応温度で反応させることによって製造することができる。このようにして得られた一置換、二置換、三置換及び四置換ジフェニルアミンを含む反応混合物から、構造式(IV)を有する四置換ジフェニルアミンを、例えば蒸留によってさらに濃縮することができる。構造式(IV)を有するアルキル化ジフェニルアミンの濃縮含量を含むこのように得られた画分を用いると、構造式(I)、(II)及び(III)を有するアルキル化ジフェニルアミンの所与の混合物中のこの異性体の含有量は、この画分を所与の混合物に適当量添加することによって調整することができる。
【0018】
本発明に係る組成物の実施形態2において、当該組成物は、本発明の実施形態1に従って設計され、構造式(I)のモノアルキル化ジフェニルアミンの総量は、いずれの場合も組成物中の構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、10~35重量%の範囲、より好ましくは13~30重量%の範囲、さらにより好ましくは16~25重量%の範囲にある。
【0019】
本発明に係る組成物の実施形態3において、当該組成物は、本発明の実施形態1又は2に従って設計され、構造式(II)のジアルキル化ジフェニルアミンの総量は、いずれの場合も組成物中の構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、60~85重量%の範囲、より好ましくは65~82重量%の範囲、さらにより好ましくは70~79重量%の範囲にある。
【0020】
本発明に係る組成物の実施形態4において、当該組成物は、本発明の実施形態1~3のいずれか1つに従って設計され、構造式(III)のトリアルキル化ジフェニルアミンの総量は、いずれの場合も組成物中の構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、1~10重量%の範囲、より好ましくは2~8重量%の範囲、さらにより好ましくは3~6重量%の範囲にある。
【0021】
本発明に係る組成物の実施形態5において、当該組成物は、本発明の実施形態1~4のいずれか1つに従って設計され、当該組成物は、いずれの場合も組成物中の構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満の構造式C1211Nを有する非アルキル化ジフェニルアミンを含む。
【0022】
本発明に係る組成物の実施形態6において、当該組成物は、本発明の実施形態1~5のいずれか1つに従って設計され、残基Rは、1~20個の炭素原子のアルキル基であり、このアルキル基は分枝状又は直鎖状であってもよく、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、上述のものの異性体、例えば、t-ブチル、2-エチルヘキシル等、及び上述のものの混合物であってもよい。
【0023】
本発明に係る組成物の実施形態7において、当該組成物は、本発明の実施形態6に従って設計され、残基Rは、式-C19を有する分枝状アルキル基である。
【0024】
本発明に係る組成物の実施形態8において、当該組成物は、本発明の実施形態7に従って設計され、当該組成物は、構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンに加えて、いずれの場合も組成物中の構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総重量に基づいて、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満、さらにより好ましくは0.1重量%未満の式-C19を有する分枝状アルキル基ではない少なくとも1つのアルキル基R’を有するアルキル化ジフェニルアミンを含む。
【0025】
本発明に係る組成物の実施形態9において、当該組成物は、本発明の実施形態1~8のいずれか1つに従って設計され、以下の条件(α1)~(α7)のうち少なくとも1つ、好ましくは以下の条件(α1)~(α6)のすべてが満たされる。
(α1)当該組成物は、100~1000cStの範囲、より好ましくは200~900cStの範囲、より好ましくは450~650cStの範囲の動粘度(ASTM D 445に従って40℃の温度で測定)を有する、
(α2)当該組成物は、15ガードナー未満、好ましくは10ガードナー未満、より好ましくは5ガードナー未満のガードナー色数(ASTM D 1544に従って決定される)を有する、
(α3)当該組成物は、0.1重量%未満、好ましくは0.05重量%未満、より好ましくは0.01重量%未満の水分含量(ASTM E 203に従って測定)を有する、
(α4)当該組成物は、3.2~3.8%の範囲、好ましくは3.3~3.7%の範囲、より好ましくは3.4~3.9重量%の範囲の窒素含有量(ASTM D 2896に従って測定)を有する、
(α5)当該組成物は、0.930~0.980の範囲、好ましくは0.935~0.975の範囲、より好ましくは0.940~0.970の範囲の比重(ASTM D 1298に従って25℃の温度で測定)を有する、
(α6)当該組成物は、125~160mgKOH/gの範囲、好ましくは130~150mgKOH/gの範囲、より好ましくは135~145mgKOH/gの範囲の総塩基価(TBN)(ASTM D 2896に従って測定)を有する。
【0026】
本発明に係る組成物の実施形態10において、当該組成物は、本発明の実施形態1~9のいずれか1つに従って設計され、構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量、好ましくはRが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量は、いずれの場合も組成物の総重量に基づいて、少なくとも98重量%、より好ましくは少なくとも98.5重量%、さらにより好ましくは少なくとも99重量%である。
【0027】
本発明に係る組成物の実施形態11において、当該組成物は、本発明の実施形態1~10のいずれか1つに従って設計され、当該組成物は、潤滑剤又は潤滑組成物である。
【0028】
本発明に係る組成物の実施形態12において、当該組成物は、本発明の実施形態11に従って設計され、当該組成物は添加剤ブレンドである。「添加剤ブレンド」(「添加剤マスターバッチ」又は「添加剤パッケージ」とも呼ばれる)は、工業用及び自動車用潤滑剤の処理のためのブレンドであり、酸化防止剤、耐摩耗添加剤、分散剤、無灰(金属を含まない)ポリマー材料、洗浄剤、消泡添加剤、粘度指数向上剤、銅不動態化剤、防錆剤、流動点降下剤、解乳化剤及び摩擦調整剤等の異なる添加剤の組み合わせを含む。従って、本発明に係る構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物は、そのような添加剤パッケージの一部であってもよい。
【0029】
本発明に係る組成物の実施形態13において、当該組成物は、本発明の実施形態12に従って設計され、上記添加剤ブレンドは、鉛に対して攻撃的な添加剤、好ましくは硫黄含有酸化防止剤、硫黄含有耐摩耗添加剤、硫黄含有銅不動態化剤又は植物油由来摩擦調整剤からなる群から選択される添加剤を含む。
【0030】
本発明に係る組成物の実施形態14において、当該組成物は、本発明の実施形態12又は13に従って設計され、構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量、好ましくは、Rが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量は、いずれの場合も添加剤ブレンドの総重量に基づいて、0.01~30重量%の範囲、好ましくは0.1~20重量%の範囲、さらにより好ましくは0.5~10重量%の範囲にある。
【0031】
本発明に係る組成物の実施形態15において、当該組成物は、本発明の実施形態11に従って設計され、当該組成物はエンジンオイルである。
【0032】
本発明に係る組成物の実施形態16において、当該組成物は、本発明の実施形態15に従って設計され、上記エンジンオイルは、少なくとも1種の基油と、実施形態1~7で規定される構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物、好ましくはRが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物とを、好ましくは、実施形態12~14で規定される添加剤ブレンドの形態で含む。
【0033】
本発明に係る組成物の実施形態17において、当該組成物は、本発明の実施形態16に従って設計され、Rが分枝状C~C16-アルキル基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量、好ましくはRが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量は、いずれの場合もエンジンオイルの総重量に基づいて、0.01~5重量%の範囲、好ましくは0.05~2.5重量%の範囲、さらにより好ましくは0.1~1.5重量%の範囲にある。
【0034】
本発明に係る組成物の実施形態18において、当該組成物は、本発明の実施形態11に従って設計され、当該組成物は、ポリマー、好ましくは熱可塑性ポリマー、好ましくはポリウレタンを含むポリマー組成物である。
【0035】
本発明に係る組成物の実施形態19において、当該組成物は、本発明の実施形態18に従って設計され、構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量、好ましくは、Rが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの総量は、いずれの場合もポリマー組成物の総重量に基づいて、0.01~1.0重量%の範囲、好ましくは0.05~0.75重量%の範囲、さらにより好ましくは0.1~0.5重量%の範囲にある。
【0036】
本発明に係る組成物の実施形態20において、当該組成物は、本発明の実施形態18又は19に従って設計され、上記熱可塑性ポリマーは、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、C3以上のモノエチレン性及びジエチレン性不飽和炭化水素モノマーから誘導されるホモポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリメチルブテン-1、ポリメチルペンテン-1、ポリブテン-1、ポリイソブチレン、など;2種以上のモノマーから誘導されるコポリマー、例えば、エチレン-プロピレンコポリマー、好ましくは少なくとも大部分がプロピレンであるエチレン-プロピレンコポリマー、プロピレン-ブテン-1コポリマー、プロピレン-イソブチレンコポリマー、など、並びにこれらのブレンド、ポリスチレン;ポリハロゲン化ビニル;並びにエンジニアリング熱可塑性プラスチック、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、脂肪族ポリケトンコポリマー又はターポリマー、ポリ(エーテルスルホン)、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリウレタン、並びにポリ(アリレート)からなる群から選択される。本発明の組成物によって保護される熱可塑性樹脂は、ポリウレタン又はポリプロピレンであることが好ましい。
【0037】
本発明に係る組成物によって安定化される熱可塑性ポリマーがポリウレタンである場合、本発明に係る組成物は、続いてイソシアネートと反応してポリウレタンを形成するポリオールに添加することができる。
【0038】
本発明に係る目的のうち少なくとも1つを解決することへの寄与は、工業製品における添加剤としての、好ましくは実施形態12~14に規定される添加剤混合物の一部としての、実施形態15~17に規定されるエンジンオイルにおける添加剤としての、又は実施形態18~20に規定されるポリマー組成物中の添加剤としての、本発明の実施形態1~10のいずれか1つに記載の組成物の使用によってもなされる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明に係る添加剤ブレンド中の添加剤
本発明に係る添加剤ブレンド(又は添加剤パッケージ)は、工業用及び自動車用潤滑剤の処理のためのブレンドであり、これらの潤滑剤は、基油に加えて、酸化防止剤、耐摩耗添加剤、分散剤、無灰(金属を含まない)ポリマー材料、洗浄剤、消泡添加剤、粘度指数向上剤、銅不動態化剤、防錆剤、流動点降下剤、解乳化剤及び摩擦調整剤等の異なる添加剤の組み合わせを含む。従って、本発明に係る構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物、好ましくはRが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物は、そのような添加剤パッケージの一部であってもよい。
【0040】
構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物に加えて、好ましくは、Rが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物に加えて存在してもよい添加剤ブレンド中の好適な酸化防止剤は、
1)アルキル化モノフェノール、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-ブチル-4,6-ジ-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-n-ブチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-iso-ブチルフェノール、2,6-ジ-シクロペンチル-4-メチルフェノール、2-(α-メチル-シクロ-ヘキシル)-4,6-ジメチルフェノール、2,6-ジ-オクタデシル-4-メチルフェノール、2,4,6-トリシクロヘキシルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシメチルフェノール、直鎖又は側鎖分枝状ノニルフェノール、例えば2,6-ジノニル-4-メチルフェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチル-ウンデカ-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルヘプタデカ-1’-イル)フェノール、2,4-ジメチル-6-(1’-メチルトリデカ-1’-イル)-フェノール又はこれらの混合物、
2)アルキルチオメチルフェノール、例えば2,4-ジ-オクチルチオメチル-6-tert-ブチルフェノール、2,4-ジ-オクチルチオメチル-6-メチルフェノール、2,4-ジ-オクチルチオメチル-6-エチルフェノール又は2,6-ジ-ドデシルチオメチル-4-ノニルフェノール、
3)ヒドロキノン及びアルキル化ヒドロキノン、例えば2,6-ジ-tert-ブチル-4-メトキシ-フェノール、2,5-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン、2,6-ジフェニル-4-オクタデシルオキシフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-ヒドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルステアレート又はビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)アジペート、
4)トコフェロール、例えば、α-、β-、γ-若しくはδ-トコフェロール又はそれらの混合物(ビタミンE)、
5)ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル、例えば2,2’-チオビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-チオビス(4-オクチルフェノール)、4,4’-チオビス(6-tert-ブチル-3-メチルフェノール)、4,4’-チオビス-(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、4,4’-チオビス(3,6-ジ-sec-アミルフェノール)又は4,4’-ビス(2,6-ジ-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ジスルフィド、
6)アルキリデンビスフェノール、例えば2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-tert-ブチル-4-エチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-(α-メチル-シクロヘキシル)-フェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-シクロヘキシルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス-(6-ノニル-4-メチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデン-ビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、2,2’-エチリデンビス(6-tert-ブチル-4-イソブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(6-(α-メチルベンジル)-4-ノニルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(6-(α,α-ジメチルベンジル)-4-ノニルフェノール)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジ-tert-ブチルフェノール)、4,4’-メチレン-ビス(6-tert-ブチル-2-メチルフェノール)、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-ブタン、2,6-ビス(3-tert-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、1,1,3-トリス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)ブタン、1,1-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-n-ドデシルメルカプトブタン、エチレングリコールビス(3,3-ビス(3’-tert-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)ブチレート)、ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ジシクロペンタジエン、ビス(2-(3’-tert-ブチル-2’-ヒドロキシ-5’-メチルベンジル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェニル)テレフタレート、1,1-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-4-n-ドデシルメルカプトブタン又は1,1,5,5-テトラ(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-ペンタン、
7)O-、N-及びS-ベンジル化合物、例えば3,5,3’,5’-テトラ-tert-ブチル-4,4’-ジヒドロキシ-ジベンジルエーテル、オクタデシル 4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルベンジルメルカプトアセテート、トリデシル 4-ヒドロキシ-3,5-ジ-tert-ブチルベンジルメルカプトアセテート、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル)アミン、ビス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)ジチオテレフタレート、ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル)スルフィド又はイソオクチル 3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジルメルカプトアセテート、
8)ヒドロキシベンジル化マロネート、例えばジオクタデシル 2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-2-ヒドロキシベンジル)マロネート、ジオクタデシル 2-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-マロネート、d-ドデシル メルカプトエチル-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-マロネート、又はジ(4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル)-2,2-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)マロネート、
9)芳香族ヒドロキシベンジル化合物、例えば1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-ベンジル)-2,4,6-トリメチルベンゼン、1,4-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,5,6-テトラメチルベンゼン又は2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール、
10)トリアジン化合物、例えば2,4-ビスオクチルメルカプト-6-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシアニリノ)-1,3,5-トリアジン、2-オクチルメルカプト-4,6-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェノキシ)-1,2,3-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリス(4-tert-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルエチル)-1,3,5-トリアジン、1,3,5-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン又は1,3,5-トリス-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレート、
11)ベンジルホスホネート、例えばジメチル 2,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル-ホスホネート、ジエチル 3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル 3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート、ジオクタデシル 5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル-ホスホネート、又は3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩、
12)アシルアミノフェノール、例えば4-ヒドロキシラウルアニリド(hydroxylauranilide)、4-ヒドロキシステアルアニリド(hydroxystearanilide)、又はN-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)カルバミン酸オクチル、
13)β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸、β-(5-tert-ブチル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロピオン酸、β-(3,5-ジシクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-プロピオン酸、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル酢酸、若しくはβ-(5-tert-ブチル)-4-ヒドロキシフェニル))-3-チア酪酸と一価若しくは多価アルコールとのエステル、例えばメタノール、エタノール、n-オクタノール、i-オクタノール、オクタデカノール、1,6-ヘキサンジオール、1,9-ノナンジオール、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、N,N’-ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3-チアウンデカノール、3-チアペンタデカノール、トリメチル-ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4-ヒドロキシメチル-1-ホスファ-2,6,7-トリオキサビシクロ(2.2.2)オクタン、グリセロールとのエステル、又は、例えばココナッツ油、ナタネ(rape seed)油、ヒマワリ油若しくはナタネ(コルザ、colza)油の天然トリグリセリドに基づくエステル交換生成物、
14)β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、例えばN,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、又はN,N’-ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン、
15)アスコルビン酸(ビタミンC)、
16)アミン型酸化防止剤、例えばN,N’-ジイソプロピル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1,4-ジメチルペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-エチル-3-メチル-ペンチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス(1-メチル-ヘプチル)-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジシクロヘキシル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-(ナフト-2-イル)-p-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレン-ジアミン、N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1-メチルヘプチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-シクロヘキシル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、4-(p-トルエンスルホンアミド)ジフェニルアミン、N,N’-ジメチル-N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-アリルジフェニルアミン、4-イソプロポキシ-ジフェニルアミン、N-フェニル-1-ナフチルアミン、N-(4-tert-オクチルフェニル)-1-ナフチルアミン、N-フェニル-2-ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミン、例えばp,p’-ジ-tert-オクチルジフェニルアミン、4-n-ブチルアミノフェノール、4-ブチリルアミノフェノール、4-ノナノイルアミノフェノール、4-ドデカノイルアミノフェノール、4-オクタデカノイルアミノフェノール、ジ-(4-メトキシフェニル)-アミン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ジメチルアミノ-メチルフェノール、2,4’-ジアミノ-ジフェニルメタン、4,4’-ジアミノ-ジフェニルメタン、N,N,N’,N’-テトラメチル-4,4’-ジアミノ-ジフェニルメタン、1,2-ジ-((2-メチル-フェニル)-アミノ)エタン、1,2-ジ-(フェニルアミノ)プロパン、(o-トリル)ビグアニド、ジ(4-(1’,3’-ジメチル-ブチル)-フェニル)アミン、tert-オクチル化N-フェニル-1-ナフチルアミン、モノアルキル化及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化ノニルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化ドデシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化イソプロピル/イソヘキシルジフェニルアミンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化tert-ブチルジフェニルアミンの混合物、2,3-ジヒドロ-3,3-ジメチル-4H-1,4-ベンゾチアジン、フェノチアジン、モノアルキル化及びジアルキル化tert-ブチル/tert-オクチルフェノチアジンの混合物、モノアルキル化及びジアルキル化tert-オクチル-フェノチアジンの混合物、N-アリルフェノチアジン、N,N,N’,N”-テトラフェニル-1,4-ジアミノブタ-2-エン、N,N-ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)ヘキサメチレンジアミン、ビス-(2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-イル)セバケート、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オン、又は2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-オール、並びに
17)脂肪族若しくは芳香族ホスファイト、チオジプロピオン酸若しくはチオ二酢酸のエステル、又はジチオカルバミン酸若しくはジチオリン酸の塩、2,2,12,12-テトラメチル-5,9-ジヒドロキシ-3,7,1-トリチアトリデカン、又は2,2,15,15-テトラメチル-5,12-ジヒドロキシ-3,7,10,14-テトラチアヘキサデカン
から選択される。
【0041】
好適な耐摩耗添加剤は、
1)金属がアルミニウム、鉛、スズ、マンガン、コバルト、ニッケル、亜鉛又は銅、ほとんどの場合亜鉛であるジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩であって、亜鉛塩(亜鉛ジアルキルジチオホスフェート)は、
【化2】
として表され、式中、R及びR’は独立に、C~C20アルキル、C~C20アルケニル、C~C12シクロアルケニル、C~C13アラルキル又はC~C10アリールを表し、例えば、R及びR’は独立にC~C12アルキルである、ジヒドロカルビルジチオホスフェート金属塩、並びに
2)硫黄及び/又はリン及び/又はハロゲン含有化合物、例えば、硫化オレフィン及び植物油、リン酸トリトリル、リン酸トリクレジル、塩素化パラフィン、アルキル及びアリールジスルフィド並びにアルキル及びアリールトリスルフィド、モノアルキルホスフェート及びジアルキルホスフェートのアミン塩、メチルホスホン酸のアミン塩、ジエタノールアミノメチルトリルトリアゾール、ジ(2-エチルヘキシル)アミノメチルトリルトリアゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾールの誘導体、エチル((ビスイソプロピルオキシホスフィノチオイル)チオ)プロピオネート、チオリン酸トリフェニル(トリフェニルホスホロチオエート)、トリス(アルキルフェニル)ホスホロチオエート及びこれらの混合物(例えば、トリス(イソノニルフェニル)ホスホロチオエート)、ジフェニルモノノニルフェニルホスホロチオエート、イソブチルフェニルジフェニルホスホロチオエート、3-ヒドロキシ-1,3-チアホスフェタン-3-オキシドのドデシルアミン塩、トリチオリン酸 5,5,5-トリス(イソオクチル 2-アセテート)、2-メルカプトベンゾチアゾールの誘導体、例えば1-(N,N-ビス(2-エチルヘキシル)アミノメチル)-2-メルカプト-1H-1,3-ベンゾチアゾール又はエトキシカルボニル 5-オクチルジチオカルバメート
から選択される。
【0042】
好適な分散剤は、
1)高分子量フェノールと、アリレンポリアミンと、ホルムアルデヒド等のアルデヒドとの縮合反応生成物であるマンニッヒ塩基、
2)オレフィンポリマーとコハク酸アシル化剤(酸、無水物、エステル又はハロゲン化物)との反応生成物を、さらに有機ヒドロキシ化合物及び/又はアミンと反応させたものであるコハク酸系分散剤は、並びに
3)高分子量のアミド及びエステル、例えばヒドロカルビルアシル化剤と多価脂肪族アルコール(グリセロール、ペンタエリスリトール又はソルビトール等)との反応生成物
から選択される。
【0043】
分散される粒子と会合する極性官能基に連結された油溶性高分子量骨格を通常含有する無灰(金属を含まない)ポリマー材料は、典型的には分散剤として使用される。一般に使用される炭化水素骨格材料は、オレフィンポリマー及びコポリマー、すなわちエチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、スチレンであり、さらなる官能基がポリマーの主鎖に組み込まれていてもよく組み込まれていなくてもよい。アミン、アルコール、アミド又はエステル等の極性材料は、架橋を介して骨格に結合される。
【0044】
好適な洗浄剤は、有機酸、例えばスルホン酸、アルキル石炭酸、硫化アルキル石炭酸、カルボン酸、サリチル酸、ホスホン酸、チオホスホン酸、及びホスフィン酸のカルシウム、マグネシウム、バリウム、ナトリウム又はリチウム塩から選択される。塩は中性であってもよく、又は例えば金属水酸化物若しくは炭酸塩によって過塩基性であってもよい。
【0045】
好適な消泡添加剤は、シリコーンオイル、ポリシロキサン、及びポリエチレングリコールエーテルから選択される。
【0046】
好適な粘度指数向上剤は、ポリイソブチレン、エチレン及びプロピレンのコポリマー、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ビニルピロリドン/メタクリレートコポリマー、ポリビニルピロリドン、ポリブテン、オレフィンコポリマー、スチレン/アクリレートコポリマー、スチレン/イソプレンコポリマー、スチレン/イソブタジエンコポリマー、イソプレン/ブタジエンコポリマー及びポリエーテルから選択される。
【0047】
好適な銅不動態化剤は、
1)ベンゾトリアゾール及びその誘導体、例えば4-又は5-アルキルベンゾトリアゾール(例えばトルトリアゾール)及びその誘導体、4,5,6,7-テトラヒドロベンゾトリアゾール、5,5’-メチレンビスベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾール又はトルトリアゾールのマンニッヒ塩基、例えば1-(ジ(2-エチルヘキシル)アミノメチル)トルトリアゾール及び1-(ジ-(2-エチルヘキシル)アミノメチル)-ベンゾトリアゾール、アルコキシアルキルベンゾトリアゾール、例えば1-(ノニルオキシメチル)-ベンゾトリアゾール、1-(1-ブトキシエチル)-ベンゾトリアゾール、又は1-(1-シクロヘキシルオキシブチル)-トルトリアゾール、
2)イミダゾール誘導体、例えば、4,4’-メチレンビス(2-ウンデシル-5-メチル-イミダゾール)、ビス((N-メチル)イミダゾール-2-イル)カルビノールオクチルエーテル、
3)硫黄含有複素環化合物、例えば2-メルカプトベンゾチアゾール、2,5-ジメルカプト-1,3,4-チアジアゾール、2,5-ジメルカプトベンゾチアジアゾール及びこれらの誘導体、又は3,5-ビス(ジ(2-エチルヘキシル)アミノメチル)-1,3,4-チアジアゾリン-2-オン、並びに
4)アミノ化合物、例えばサリチリデンプロピレンジアミン、サリチルアミノグアニジン又はこれらの塩
から選択される。
【0048】
好適な防錆剤は、
1)非イオン性ポリオキシアルキレンポリオール及びそのエステル、ポリオキシアルキレンフェノール、有機酸、そのエステル、金属塩、アミン塩及び無水物、例えばアルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸並びにこれらとアルコール、ジオール又はヒドロキシカルボン酸との部分エステル、アルキルコハク酸及びアルケニルコハク酸の部分アミド、4-ノニルフェノキシ酢酸、アルコキシエトキシカルボン酸及びアルコキシエトキシカルボン酸、例えばドデシルオキシ酢酸、ドデシルオキシ(エトキシ)酢酸及びこれらのアミン塩、又はN-オレオイルサルコシン、ソルビタンモノオレエート、ナフテン酸鉛並びにアルケニルコハク酸無水物、例えば、ドデセニルコハク酸無水物、2-(2-カルボキシエチル)-1-ドデシル-3-メチルグリセロール及びその塩、例えば、ナトリウム及びトリエタノールアミン塩、
2)i)第一級、第二級若しくは第三級脂肪族若しくは第一級、第二級若しくは第三級脂環式アミン並びに有機酸及び無機酸のアミン塩、例えば油溶性アルキルアンモニウムカルボキシレート、及びまた1-(N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アミノ)-3-(4-ノニルフェノキシ)プロパン-2-オール、又はii)複素環式化合物、例えば置換されたイミダゾリン又はオキサゾリン、例えば、2-ヘプタデセニル-1-(2-ヒドロキシエチル)-イミダゾリンから選択される窒素含有化合物、
3)リン含有化合物、例えばリン酸、リン酸部分エステル若しくはホスホン酸部分エステルのアミン塩、又は亜鉛ジアルキルジチオホスフェート、
4)硫黄含有化合物、例えば、ジノニルナフタレン-スルホン酸バリウム、石油スルホン酸カルシウム、アルキルチオ置換脂肪族カルボン酸、脂肪族2-スルホカルボン酸のエステル、又はこれらの塩、並びに
5)グリセロール誘導体、例えばグリセロールモノオレエート、1-(アルキルフェノキシ)-3-(2-ヒドロキシエチル)グリセロール、1-(アルキルフェノキシ)-3-(2,3-ジヒドロキシプロピル)グリセロール、又は2-カルボキシアルキル-1,3-ジアルキルグリセロール
から選択される。
【0049】
好適な流動点降下剤は、ポリメタクリレート及びアルキル化ナフタレン誘導体から選択される。
【0050】
好適な解乳化剤は、ポリエーテルポリオール及びジノニルナフタレンスルホネートから選択される。
【0051】
好適な摩擦調整剤は、脂肪酸及びその誘導体、例えば、グリセロールモノオレエート等の脂肪酸の天然エステル、アミド、イミド及びアミン、例えば、オレイルアミン、硫黄含有有機モリブデンジチオカルバメート、硫黄-リン含有有機モリブデンジチオホスフェート、分散剤に基づく硫黄-窒素含有有機モリブデン化合物、カルボン酸モリブデン塩、モリブデン-アミン錯体、モリブデンアミン/アルコール/アミド錯体、並びにモリブデンクラスター化合物、Teflon(テフロン)(登録商標)及び二硫化モリブデンから選択される。
【0052】
本発明に係るエンジンオイルにおける基油
本発明に係るエンジンオイルは、少なくとも1種の基油(すなわち潤滑粘度の潤滑剤)と、本発明に係る構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物、好ましくはRが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物、好ましくは、実施形態12~14に規定される添加剤ブレンドとを含む。
【0053】
好適な基油は、グループI~Vから選択される鉱物基油及び合成基油である。これらの基油は、American Petroleum Institute(API)Base Oil Interchangeability Guidelines(米国石油協会(API)基油互換性ガイドライン)において広く特定されている。
【0054】
基油は、例えば鉱油又は植物油及び動物油、脂肪、獣脂及びワックス又はこれらの混合物に基づく油及びグリースであってもよい。植物油及び動物油、脂肪、獣脂及びワックスは、例えば、パーム核油、パーム油、オリーブ油、ナタネ(colza)油、ナタネ(rape seed)油、亜麻仁油、大豆油、綿実油、ヒマワリ油、ココナッツ油、トウモロコシ油、ヒマシ油、クルミ油及びこれらの混合物、魚油、並びに化学修飾された、例えばエポキシ化又はスルホキシド化された形態又は遺伝子操作によって調製された形態、例えば、遺伝子操作によって調製された大豆油である。
【0055】
合成基油の例としては、脂肪族若しくは芳香族カルボン酸エステル、ポリマーエステル、ポリアルキレンオキシド、リン酸エステル、ポリ-α-オレフィン、シリコーン、アルキル化ベンゼン、アルキル化ナフタレン、若しくは二塩基性酸と一価アルコールとのジエステル、例えば、セバシン酸ジオクチル若しくはアジピン酸ジノニル、トリメチロールプロパンと一塩基酸若しくはこのような酸の混合物とのトリエステル、例えば、トリメチロールプロパントリペラルゴネート、トリメチロールプロパントリカプリレート、若しくはそれらの混合物、ペンタエリスリトールと一塩基酸若しくはこのような酸の混合物とのテトラエステル、例えばペンタエリスリチルテトラカプリレート、若しくは一塩基酸及び二塩基酸と多価アルコールとの複合エステル、例えばトリメチロールプロパンとカプリル酸及びセバシン酸との複合エステル、又はそれらの混合物をベースとする潤滑剤が挙げられる。鉱油に加えて特に好適なものは、例えば、ポリ-α-オレフィン、エステル系潤滑剤、リン酸エステル、グリコール、ポリグリコール、及びポリアルキレングリコール、並びにこれらと水との混合物である。
【0056】
本発明に係る構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物に加えて、好ましくは、Rが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物に加えて他の添加剤が用いられる場合、本発明に係る構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物と上記他の添加剤のうち1種以上との濃縮溶液又は分散液を含む上記の添加剤ブレンド(又は添加剤パッケージ)の形態の添加剤濃縮物を調製することが、必要というわけではないが、望ましい場合があり、このような手法により、いくつかの添加剤を基油に同時に添加して潤滑油組成物を形成することができる。添加剤濃縮物の潤滑油への溶解は、溶媒によって、及び穏やかな加熱を伴う混合によって促進することができるが、この行為は必須ではない。濃縮物又は添加剤ブレンドは、典型的には、添加剤ブレンドが所定量の基油と組み合わされるときに最終配合物中に所望の濃度を提供するのに適切な量の添加剤を含有するように配合される。従って、本発明に係る構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物を、少量の基油又は他の相溶性溶媒に、他の望ましい添加剤とともに添加して、典型的には約2.5~約90重量%、好ましくは約15~約75重量%、より好ましくは約25~約60重量%の添加剤、の総量で、適切な割合の活性成分を含有し、残部は基油である添加剤ブレンドを形成することができる。最終配合物は、典型的には約1~20重量%の添加剤ブレンドを用いることができ、残りは基油である。
【0057】
本発明に係るポリマー組成物中の熱可塑性ポリマー
本発明に係るポリマー組成物は、本発明に係る構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物に加えて、好ましくはRが式-C19を有する分枝状残基である構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物に加えて、ポリマー、好ましくは熱可塑性ポリマーを含む。
【0058】
構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンの混合物を用いて酸化分解に対して安定化することができる熱可塑性ポリマーとしては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又は0.85~1.4gm/cmの密度を有する他のエチレン由来の樹脂を含むエチレンから誘導される樹脂;C3以上のモノエチレン性及びジエチレン性不飽和炭化水素モノマーから誘導されるホモポリマー、例えば、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリメチルブテン-1、ポリメチルペンテン-1、ポリブテン-1、ポリイソブチレン、など;2種以上のモノマーから誘導されるコポリマー、例えば、エチレン-プロピレンコポリマー、好ましくは少なくとも大部分がプロピレンであるエチレン-プロピレンコポリマー、プロピレン-ブテン-1コポリマー、プロピレン-イソブチレンコポリマー、など、並びにこれらのブレンド、ポリスチレン;ポリハロゲン化ビニル;並びにエンジニアリング熱可塑性プラスチック、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアセタール、脂肪族ポリケトンコポリマー又はターポリマー、ポリ(エーテルスルホン)、ポリカーボネート、液晶ポリマー、ポリ(エーテルエーテルケトン)、ポリウレタン並びにポリ(アリレート)が挙げられる。本発明に係る組成物によって保護される熱可塑性樹脂は、ポリウレタン又はポリプロピレンであることが好ましい。
【0059】
これより、試験方法及び非限定的な実施例を参照することによって、本発明をより詳細に記載する。
【実施例
【0060】
試験方法
酸化安定性の測定
酸化安定性は、加圧示差走査熱量測定(PDSC)装置を用いて評価した。
【0061】
PDSCは、薄膜酸化条件下での油の酸化安定性を調べる。PDSC温度が所定の値に維持される等温モードでは、試験油の酸化安定性は、油の酸化の開始によって引き起こされる熱の発熱的放出に対応する酸化誘導時間(OIT)に従ってランク付けされる。より長いOITを与える油は、概して、酸化に対してより抵抗性であると考えられる。各ブレンドを、以下の機器条件を使用して二連で試験し、平均OITを決定した。PDSC試験温度は185℃であった。
【0062】
以下の測定条件を選択した。
温度勾配: 40℃/分
圧力: 500psi(約3.45MPa)
流量: 100ml/分
試料サイズ:約1.5mg
パン:アルミニウム、開放
【0063】
鉛腐食の測定
鉛の腐食は、ASTM D 6594に従って測定した。
【0064】
実施例
Rが式-C19を有する分枝状アルキル基を表す構造式(I)、(II)、(III)のアルキル化ジフェニルアミンの市販の混合物に、異なる量の構造式(IV)の対応するアルキル化ジフェニルアミンを補充し、続いて「TN-DPA」(テトラノニルジフェニルアミン)と称した。表1の試料を入手し、分析した。
【0065】
【表1】
【0066】
モノノニルジフェニルアミン、ジノニルジフェニルアミン、トリノニルジフェニルアミン及びテトラノニルジフェニルアミンを含む混合物の上述の試料を使用して、完全に完成したエンジンオイルを調製した。この目的のために、試料を、1.0重量%の量で、酸化防止剤を含まない完全に完成したエンジンオイルに別々に添加した。エンジンオイルは、SK Lubricants Co.Ltd.(SKルブリカンツ)、ソウル、韓国から入手したYubase4及びYubase6の混合物からなるAPIグループIII基油を用いて配合した。このようにして得られた潤滑剤から、酸化安定性及び鉛腐食を求めた(PDSC試験及びASTM D 6594試験による)。PDSC試験の結果を表2に示し、ASTM D 6594試験の結果を表3に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
表2及び3に示す結果から分かるように、構造式(I)、(II)、(III)及び(IV)のアルキル化ジフェニルアミンを含む組成物中の構造式(IV)のテトラアルキル化ジフェニルアミンの含有量を0.2~3.5重量%の非常に狭い範囲に調整すると、エンジンオイルの形成のための基油に添加される場合に、酸化安定性及び鉛の腐食に対する抵抗性の両方に関してエンジンオイルの最適な性能を提供する組成物が得られる。
【国際調査報告】