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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】レーザベースの照明デバイス
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20231114BHJP
   F21V 9/08 20180101ALI20231114BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20231114BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20231114BHJP
【FI】
F21S2/00 340
F21V9/08 400
F21V23/00 117
F21V23/00 140
F21Y115:30
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023533404
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(85)【翻訳文提出日】2023-07-19
(86)【国際出願番号】 EP2021082935
(87)【国際公開番号】W WO2022117422
(87)【国際公開日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】20210877.5
(32)【優先日】2020-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン アッセルト ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ブルルス ドミニク マリア
(72)【発明者】
【氏名】ヒクメット リファット アタ ムスターファ
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
本発明は、レーザベースの照明デバイスの、信頼性が高く、より安全な動作に関連する、高強度レーザ光への危険な暴露に対して講じられる安全対策に関する。本発明によれば、照明デバイスは、第1発光半導体デバイスと、光変換デバイスとを有する。前記第1発光半導体デバイスは、第1光出力を生成するよう構成されるレーザデバイスであり、前記光変換デバイスは、前記第1光出力を受け取り、前記第1光出力の少なくとも一部を、変換光出力に変換するよう構成される。前記照明デバイスは、前記光変換デバイスから前記変換光出力を受け取るよう構成される光学要素を更に有する。前記光学要素は、前記変換光出力及び前記第1光出力を透過し、前記第1光出力の閾値を超える前記第1光出力を減衰させるよう構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1光出力を生成するよう構成されるレーザデバイスである第1発光半導体デバイスと、
前記第1光出力を受け取り、前記第1光出力の少なくとも一部を、照明方向に向かわされるための変換光出力に変換するよう構成される光変換デバイスと、
前記光変換デバイスから前記変換光出力を受け取るよう構成される光学要素とを有する照明デバイスであって、
前記光学要素が、前記第1光出力の閾値に依存して光透過状態から光減衰状態に変化することができる双安定光学材料を有し、
前記光学要素が、前記変換光出力及び前記第1光出力を透過するよう構成され、
前記光学要素が、前記第1光出力の閾値を超える前記第1光出力を減衰させるよう構成される照明デバイス。
【請求項2】
前記光変換デバイスが、光反射器を更に有し、前記光反射器が、前記光変換デバイスの光入射面の反対側に配置される請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項3】
前記照明デバイスが、前記第1発光半導体デバイスと前記光変換デバイスとの間に配置される第1光学系装置を更に有し、前記第1光学系装置が、前記第1光出力を、前記光変換デバイスの方へ透過し、前記光変換デバイスの前記光反射器から反射された前記第1光出力及び前記変換光出力を、前記照明方向の方へ反射するよう構成され、前記光学要素が、前記第1光学系装置からの反射光を受け取るよう構成される請求項2に記載の照明デバイス。
【請求項4】
前記照明デバイスが、前記第1発光半導体デバイスと前記光変換デバイスとの間に配置される第1光学系装置を更に有し、前記第1光学系装置が、前記第1光出力を、前記光変換デバイスの方へ透過し、前記光変換デバイスの前記光反射器から反射された前記第1光出力及び前記変換光出力を、前記照明方向の方へ反射するよう構成され、前記光学要素が、前記光変換デバイスと前記光反射器との間に配置される請求項2に記載の照明デバイス。
【請求項5】
前記照明デバイスが、
第2光出力を生成するよう構成される第2発光半導体デバイスと、
第2光学系装置とを更に有し、
前記第2光学系装置が、前記第2発光半導体デバイスからの前記第2光出力と前記光学要素からの透過光とを照明方向に向けて組み合わせるよう構成される請求項1に記載の照明デバイス。
【請求項6】
前記光変換デバイスが、前記第1光出力の実質的に全てを前記変換光出力に変換するよう構成される請求項5に記載の照明デバイス。
【請求項7】
前記照明デバイスが、前記光学要素の下流に配置される光学レンズを有し、前記光学レンズが、前記照明方向における光のコリメート、集束、ぼかし又は拡散のうちの1つをするよう構成される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項8】
前記光学要素が、前記照明方向における光のコリメート、集束、ぼかし又は拡散のうちの1つをするよう構成される請求項1乃至3のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項9】
前記照明デバイスが、前記第1光学系装置の下流に配置される光学レンズを有し、前記光学レンズが、前記照明方向における光のコリメート、集束、ぼかし又は拡散のうちの1つをするよう構成される請求項4に記載の照明デバイス。
【請求項10】
前記照明デバイスが、前記第2光学系装置の下流に配置される光学レンズを有し、前記光学レンズが、前記照明方向における光のコリメート、集束、ぼかし又は拡散のうちの1つをするよう構成される請求項5及び6のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項11】
前記光学要素が、前記第1光出力の前記閾値を超える前記第1光出力を吸収する又は散乱させるよう構成されるフォトクロミック材料又はサーモクロミック材料のうちの1つを有する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項12】
前記光学要素が、前記第1光出力の前記閾値を超える前記第1光出力を反射するよう、吸収するよう及び/又は散乱させるよう構成される光学的相変化材料を有する請求項1乃至10のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項13】
前記第1光出力の前記閾値が、1平方ミリメートル当たり0.5ワットのレーザ出力密度である請求項1乃至12のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項14】
前記第1発光半導体デバイスが、405乃至470nmの範囲内のスペクトルパワー分布を有する請求項1乃至13のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【請求項15】
前記照明デバイスが、熱センサ及びコントローラを有し、
前記熱センサが、前記光学要素の温度を検出するために前記光学要素に取り付けられ、
前記熱センサが、前記コントローラに通信可能に接続され、
前記コントローラが、検出される前記温度が所定の温度閾値を超えるときに、前記第1発光半導体デバイスをオフにするよう構成される請求項1乃至14のいずれか一項に記載の照明デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザベースの照明デバイスに関し、とりわけ、レーザベースの照明デバイスのより安全な動作のために高強度レーザ光への危険な暴露に対して講じられる受動的な手段に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度照明デバイスは、投影、ステージ照明、スポット照明、自動車用照明などの用途において非常に大きな需要がある。この目的のために、レーザが、高輝度光を供給し、遠隔蛍光体が、レーザ光から変換光を生成する波長変換器としての役割を果たすレーザ・蛍光体技術が使用され得る。白色光を生成するための最も容易なやり方は、青色ポンプレーザ光(blue pump laser light)を蛍光体変換黄色光と組み合わせて使用することによるものである。ポンプ青色レーザ光は、蛍光体変換器によって散乱される。その結果、青色ポンプレーザ光のエテンデュは増大され、それを、レーザ光源から直接やって来るビームよりもはるかに危険性が低いものにする。しかしながら、高強度レーザ光がデバイスから外に出る可能性がある危険な状況が生じることがある。このような重大なシステムの故障は、例えば、熱機械的応力、外部衝撃などによって引き起こされる、遠隔蛍光体の損傷又は消失に関連し得る。このような場合には、青色ポンプレーザビームの形状及び幾何学的特性は、もはや、変えられない。このことは、レーザビームが、非常に平行である可能性があるので、又は非常に小さなスポットに再集束される可能性があるので、危険な状況をもたらし得る。これが起こる場合、蛍光体ユニットからの青色ポンプレーザ光の反射又は透過が危険なレベルまで増加し得る。この状態は、ライトエンジンの損傷、及び周囲への高指向性レーザ光の放出をもたらす可能性がある。
【0003】
一般に、レーザベースの(ポンプ)照明デバイスにおいては、目の安全性が大きな関心事である。故障の場合、裸眼が直射レーザ光にさらされる可能性をもたらし得る、集光又はコリメートされたレーザ光が照明デバイスから漏れることを防止することが重要である。照明デバイスの正確な構造に応じて、照明デバイスには、レーザ安全指令IEC60825、又はIEC62471のような全般照明基準が適用され得る。分類及び危険レベルは、故障の場合の悪影響から保護することによって、より低い危険レベル又はリスク分類レベルに引き下げられ得る。このような製品の、安全性の確保、並びに分類及び危険レベルの引き下げは、より容易に市場に受け入れられることを可能にするために、及びより低いレーザクラスを取得するために、最も重要である。一般に、分類プロセスにおいては、単一故障状態が考慮に入れられる必要がある。
【0004】
EP 2297827 B1は、レーザベースの照明デバイスの安全を可能にするための技術を開示している。この従来技術によれば、レーザベースの照明デバイスは、レーザ光の出力と相関関係があるレーザ出力信号を決定するためのレーザ出力センサと、光変換デバイス(例えば、蛍光体変換器)によって発せられる変換光の出力と相関関係がある変換光信号を決定するための変換光センサと、レーザ出力信号及び変換光信号を受信し、安全動作パラメータを決定し、危険な暴露が行われないようにレーザベースの光源の動作を制御するよう構成されるコントローラとを有する。
【0005】
WO 2017059472 A1は、少なくとも1つのレーザ光モジュールと、少なくとも1つの変換要素の形態の少なくとも1つの発光領域とを有する照明デバイスを開示している。照明デバイスは、レーザ光モジュールの機能をチェックするように設計される診断デバイスを更に有し、少なくとも1つの変換要素は、光、とりわけ白色光、例えば、混合光、とりわけ白色混合光を発する。少なくとも1つの光学活性な光学要素が設けられ、前記光学要素は、ロック状態をとることができ、前記ロック状態においては、光学要素は、その照射強度の点でレーザ光線を弱め、少なくとも1つの光学要素は、レーザ光モジュールから出力されるレーザ光線が光学要素を通過せざるを得ないように配設され、少なくとも1つの光学要素は、診断デバイスによって判定されるレーザ光モジュールの機能不能の場合に、少なくとも1つの光学要素が、ロック状態に切り替えられる、又はロック状態のままであるように、診断デバイスからの情報に従って制御されることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術において提案されている装置は、電気回路及びセンサの形態の幾つかの追加の構成要素を必要とし、このことは、高価で複雑なレーザベースの照明デバイスをもたらし得る。加えて、レーザベースの照明アプリケーションは、多くの場合、これらの電気的構成要素が追加のパッケージスペースを必要とすることにより妨げられる小型化に重点を置く。更に、このような照明デバイスの安全性は、これらの構成要素の適切な機能に依存する。電気的構成要素は、多くの場合、信頼性によって制限され、過酷な環境においてはうまく機能しないことがある。また、電気的構成要素は、電磁干渉及び誤ったトリップ(false tripping)による問題を経験する可能性がある。
【0007】
ここで、本発明者は、追加の回路及びセンサを必要とせずに、危険な高強度レーザ光が照明デバイスから出るのを防止するが、使用される材料及び/又は構成要素の物理的特性に依存し、本質的に安全なシステムをもたらす安全機構を構築することを提案する。
【0008】
それ故、本発明の目的は、信頼性を高めるためにレーザベースの照明デバイスの安全性を向上させること、並びに小型化及び潜在的により低いコストを可能にするより少ない構成要素しか必要としないレーザベースの照明デバイスの安全性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、独立請求項において規定されているような特徴を有する照明デバイスを提供することによって達成される。好ましい実施形態は、従属請求項において規定されている。
【0010】
第1態様によれば、前記照明デバイスは、第1発光半導体デバイスと、光変換デバイスとを有する。前記第1発光半導体デバイスは、第1光出力を生成するよう構成されるレーザデバイスであり、前記光変換デバイスは、前記第1光出力を受け取り、前記第1光出力の少なくとも一部を、照明方向における変換光出力に変換するよう構成される。前記照明デバイスは、前記光変換デバイスから前記変換光出力を受け取るよう構成される光学要素を更に有する。前記光学要素は、前記第1光出力の閾値に依存して光透過状態から光減衰状態に変化することができる双安定光学材料を有する。前記光学要素は、前記変換光出力及び前記第1光出力を透過し、前記第1光出力の閾値を超える前記第1光出力を減衰させるよう構成される。
【0011】
前記第1発光半導体デバイスは、レーザデバイスであり、前記レーザデバイスの適切な例は、ガス、色素、固体、又は半導体レーザ(例えば、ダイオードレーザ又は垂直共振器面発光レーザ(VCSEL))のうちのいずれか1つを含み得る。
【0012】
前記第1発光半導体デバイスは、光変換デバイスの方へ第1光出力を発するよう構成される。前記光変換デバイスは、或るボリュームの、結晶状態又は多結晶状態の蛍光体材料フィルム又はブロックであり得る。
【0013】
前記光変換デバイスにぶつかる、第1スペクトル分布を有する前記第1光出力は、少なくとも部分的に、第2スペクトル分布を有する変換光出力に変換され得る。例えば、青色ポンプレーザ光にさらされる蛍光体材料は、広帯域の黄色光である第2波長光をもたらし得る。そして、変換されなかった前記第1光出力の残りの部分は、前記光変換デバイスを透過し得る。前記変換光出力と前記変換されなかった第1光出力との組み合わせは、第3スペクトル分布を有する光をもたらし得る。例えば、青色光と黄色光との混合は、白色光をもたらす。前記変換光出力及び前記変換されなかった第1光出力は、強度又は出力密度の点で目に安全(eye-safe)であり得る。これは、光変換効率の限界、前記変換光出力のより低いエネルギ光子組成(lower energetic photon composition)及び最終的な組み合わされた光ビームの空間分布に関連し得る。前記光学要素は、前記光変換デバイスからの前記変換光出力及び前記変換されなかった第1光出力を受け取り、透過するよう構成され得る。
【0014】
危険なレベルの前記第1光出力が前記照明デバイスから外に出る可能性がある危険な状況が生じることがある。前記光変換デバイスが損傷を受ける場合、前記第1光出力の少なくともかなりの部分が、損傷を受けた前記光変換デバイスを通過し、前記光学要素によって受け取られる可能性がある。このような状態において、前記光学要素は、前記第1光出力が閾値を超えて増加するときに前記第1光出力を減衰させるよう構成される。前記減衰は、前記第1光出力を完全に遮断してもよく、又は少なくとも、前記第1光出力を目に安全なレベル(例えば、1平方センチメートル当たり0.01ワット、より好ましくは、1平方センチメートル当たり0.001ワット)まで低減させてもよい。
【0015】
前記光学要素は、前記第1光出力の閾値に依存して光透過状態から光減衰状態に変化することができる双安定光学材料を有してもよい。また、前記光学要素は、前記第1光出力の閾値に依存して光透過状態から光減衰状態への緩やかな変化を示してもよい。前記光学要素の減衰特性の変化は、可逆的なものであってもよく、又は不可逆的なものであってもよい。前記光学要素は、前記照明デバイスのハウジングにおける出射窓、レンズ又はダイクロイック反射器などの、前記照明デバイスに関連する構成要素の表面層として考えられ得る。
【0016】
本発明との関連においては、「減衰」という用語は、吸収、散乱、拡散及び/又は反射による光減衰を指す。更に、光減衰は、前記第1光出力の閾値を超える前記第1光出力のエタンデュを増加させるよう構成される前記光学要素によっても実現され得る。前記光ビームは、前記光減衰状態にある前記光学要素の散乱、ぼかし(blurring)、混合又は拡散機能との相互作用の結果として、増大したエテンデュを示し得る。危険なレベルの前記第1光出力が前記光学要素にさらされる場合、前記エテンデュは、10倍、より好ましくは100倍、最も好ましくは1000倍に増加し得る。
【0017】
前記光変換デバイスは、前記光変換デバイスの光入射面にぶつかる前記第1光出力を透過し得る。透過光は、前記変換光出力と、前記変換されなかった第1光出力との組み合わせであってもよい。前記透過光はまた、前記光入射面の粗さによって散乱されてもよく、それによって、前記透過光のエテンデュを増加させ得る。
【0018】
前記光変換デバイスは、光反射器を更に有してもよく、前記光反射器は、前記光変換デバイスの光入射面の反対側に配置されてもよい。
【0019】
角度によっては、前記第1光出力は、前記光反射器から複数回反射して前記光変換デバイス内に戻り得る。それ故、この構成は、効率的な光変換を可能にする。
【0020】
前記照明デバイスは、第1光学系装置(first optics arrangement)を更に有してもよい。前記第1光学系装置は、前記第1発光半導体デバイスと、前記光変換デバイスの光入射面の反対側に配置される前記光反射器を備える前記光変換デバイスとの間に配置されてもよい。前記第1光学系装置は、前記第1光出力を、前記光変換デバイスの方へ透過し、前記光変換デバイスの前記光反射器から反射された前記第1光出力及び前記変換光出力を、前記照明方向の方へ反射するよう構成されてもよく、前記光学要素は、前記第1光学系装置からの反射光を受け取るよう構成されてもよい。
【0021】
前記第1光学系装置は、ダイクロイックスプリッタ及び1/4波長板を有してもよい。前記ダイクロイックスプリッタは、前記第1光出力を透過し、前記変換光出力及び前記変換されなかった第1光出力を反射するよう構成される。前記1/4波長板が、前記第1光出力の偏光に対して90度のところにある場合、前記第1光出力と、前記変換されなかった第1光出力とが、互いに反対の偏光を有し得る。前記ダイクロイックスプリッタのバンドエッジ(band-edge)が適切に選ばれる場合には、前記第1光出力を透過し、前記変換光出力及び前記変換されなかった第1光出力を反射することが可能である。他の例においては、1/4波長板の後に配置される偏光ビームスプリッタと組み合わせた前記第1光学系装置を選択してもよい。この場合には、前記偏光ビームスプリッタは、或る偏光(例えば、前記第1光出力)を透過する一方で、他の偏光(例えば、前記変換されなかった第1光出力及び前記変換光出力)を反射することができる。上記のような前記第1光学系装置の機能を実現するために、光学的構成要素の他の組み合わせを選択してもよい。
【0022】
前記光変換デバイスが損傷を受ける場合、危険な前記第1光出力が、損傷を受けた前記光変換デバイスの裏面に配置されている前記光反射器から反射され、その後、前記第1光学系装置から反射され、いずれは前記光学要素によって受け取られる可能性がある。このような状態において、前記光学要素は、前記第1光出力が閾値を超えて増加する場合に前記第1光出力を目に安全なレベルまで減衰させるよう構成される。
【0023】
前記照明デバイスは、第1光学系装置を更に有してもよい。前記第1光学系装置は、前記第1発光半導体デバイスと、前記光変換デバイスの光入射面の反対側に配置される前記光反射器を備える前記光変換デバイスとの間に配置されてもよい。前記第1光学系装置は、前記第1光出力を、前記光変換デバイスの方へ透過し、前記光変換デバイスの前記光反射器から反射された前記第1光出力及び前記変換光出力を、前記照明方向の方へ反射するよう構成されてもよく、前記光学要素は、前記光変換デバイスと前記光反射器との間に配置されてもよい。
【0024】
前記照明デバイスは、第2光出力を生成するよう構成される第2発光半導体デバイスと、前記第2光学系装置とを更に有してもよい。前記第2光学系装置は、前記第2発光半導体デバイスからの前記第2光出力と、前記光学要素からの透過光とを、照明方向に向けて組み合わせるよう構成されてもよい。この場合には、前記光変換デバイスは、前記第1光出力の実質的に全てを前記変換光出力に変換するよう構成されてもよい。
【0025】
幾つかの照明アプリケーションの場合、より広い範囲の色温度及び演色評価数の実現における更なる柔軟性を可能にするために、光分割トポロジにおいて変換光(広帯域の黄色光)と共に二次光(例えば青色光)を導入することが好ましいことがある。これは、この第2発光半導体デバイスの動作パラメータを適切に選択することによって達成され得る。前記第1発光半導体デバイスは、前記第1光出力を生成するポンプレーザとして機能し得る。従って、前記第1光出力は、目にさらすには非常に危険である可能性がある。前記第2発光半導体デバイスは、第2光出力を発するよう構成されるレーザ又はLEDであってもよい。前記第2光出力は、前記第1光出力の前記第1スペクトル分布と同じである、又は少なくとも比較的類似しているスペクトル分布を有してもよい。しかし、前記第2発光半導体デバイスの出力密度は、目に安全であり、一般的な環境暴露にも適しているものとすることができる。
【0026】
通常動作中、前記変換光出力が、前記第2光学系装置によって前記第2光出力と組み合わされる。前記光変換デバイスが損傷を受ける場合、前記第1光出力が、そのまま、前記光変換デバイスを通過することがある。前記光学要素は、前記第1光出力が閾値を超えている場合に前記第1光出力を少なくとも安全な減衰レベルまで減衰させるよう構成され得る。減衰された前記第1光出力及び前記第2光出力も、前記第2光学系装置によって組み合わされ得る。
【0027】
前記第2光学系装置は、前記変換光出力及び前記第1光出力を透過する一方で、前記第2光出力を前記照明方向に反射するよう構成されるダイクロイックコンバイナであり得る。この場合には、前記第1光出力及び前記第2光出力の波長及び/又は偏光は、前記ダイクロイックコンバイナのバンドエッジがこれらの2つの光を組み合わせることを可能にするように、異なり得る。しかしながら、前記減衰された第1光出力及び前記第2光出力による組み合わされた光が、目に安全なレベルを超えないように注意が払われる必要がある。前記第2光学系装置はまた、異なる光学的構成要素、例えば、偏光フィルタと偏光感応ビームスプリッタ(polarization-sensitive beam splitter)との組み合わせを使用して実施されてもよい。
【0028】
前記照明デバイスは、前記光学要素の下流に配置される光学レンズを有してもよく、前記光学レンズは、前記照明方向における光のコリメート、集束、ぼかし又は拡散のうちの1つのためのものである。
【0029】
光のコリメート、集束、ぼかし又は拡散は、前記照明デバイスの様々な応用分野を可能にし得る。
【0030】
他の例においては、前記光学要素が、前記照明方向における光のコリメート、集束、ぼかし又は拡散のうちの1つをするよう構成されることもある。
【0031】
前記光学要素は、上述の受動的安全機能を提供することに加えて、屈折光学レンズの役割を果たすよう構成されることもある。前記光学要素は、前記照明方向における光のコリメート、集束、ぼかし又は拡散のための適切な屈折レンズに成形されてもよい。このような多機能光学要素は、前記照明デバイスのフットプリントの縮小を可能にし得る。
【0032】
他の例においては、前記光学レンズは、前記第1光学系装置の下流に配置されてもよい。
【0033】
他の例においては、前記光学レンズは、前記第2光学系装置の下流に配置されてもよい。
【0034】
前記光学要素は、前記第1光出力の前記閾値を超える前記第1光出力を吸収する又は散乱させるよう構成されるフォトクロミック材料又はサーモクロミック材料のうちの1つを有してもよい。
【0035】
フォトクロミック材料は、閾値を超える第1光出力を吸収し、又は散乱させ、それによって、前記第1光出力の或る特定の閾値を超えてさらされるときに前記第1光出力を減衰させ得る。前記フォトクロミック材料のこの吸収の増加は、閾値を超える出力密度の前記第1光出力への暴露によって引き起こされる化学反応の結果として、材料が暗くなる(darken)こと又は散乱を増加させることに関連し得る。
【0036】
同様に、サーモクロミック材料も、閾値を超える第1光出力の散乱又は吸収の増加を示し得る。これも、閾値を超える出力密度の前記第1光出力への暴露によって引き起こされる前記サーモクロミック材料が暗くなること又は散乱を増加させることに関連し得る。これは、その後、このような遷移のための閾値温度を上昇させる。
【0037】
前記光学要素は、前記第1光出力の前記閾値を超える前記第1光出力を反射するよう、吸収するよう及び/又は散乱させるよう構成される光学的相変化材料(optical phase change material)を有してもよい。
【0038】
光学的相変化材料は、相転移温度をもたらす或る特定の閾値出力密度の前記第1光出力にさらされるときに、その光学特性を透明なものから反射性のもの、吸収性のもの及び/又は散乱性のものに変え得る。相は、非晶質状態から結晶状態に、又はその逆に変わり得る。これらの光学的相変化材料に関しては、相転移温度が高い場合がある。オプションとしては、故障の場合に熱負荷を高めるために、相変化層の上に吸収層を追加するものがある。他の例においては、光が、集光され、集光解除(de-focus)され、光学的相変化材料が、スポットの焦点にある。その場合には、この場所における光学密度は、非常に高くなる可能性があり、故障の場合に、レーザ出力密度は、転移温度を超える温度まで上昇する。
【0039】
前記材料が散乱状態になる場合、前記材料は、危険な前記第1光出力がユーザの目に到達することを防止するよう、光をそらし、複数の方向に誘導するために使用されることができる。別の方法では、前記材料が反射状態になる場合、前記材料は、反射光を安全に集めるための偏光感応ミラー又は偏光スプリッタによって前記危険な第1光出力をビームダンプの方へそらし、それによって、前記危険な第1光出力がユーザの目に到達することを防止するために使用されることができる。
【0040】
他の例においては、複合体(combined body)における2つ以上の材料が、前記光学要素を実現するために使用されてもよい。前記光学要素は、或る特定の粒子のホスト(host)の役割を果たすマトリックス材料を有してもよい。前記マトリックス材料は、液体状態、半固体状態又は固体状態のうちの1つの状態にあり得る。前記マトリックス材料は、前記粒子を溶解させなくてもよく、又は前記粒子と反応しなくてもよい。前記マトリックス材料は、これらの2つの材料が、前記変換されなかった第1光出力及び前記変換光出力に対して透明であるとき、前記粒子と一致する屈折率を有し得る。それ故、前記マトリックス材料及び前記粒子は、閾値未満の前記第1光出力、例えば、前記変換されなかった第1光出力及び前記変換光出力に対して透明であり得る。前記粒子は、閾値を超える前記第1光出力への暴露時に、吸収性のもの又は反射性のものになることによって減衰性のものになり得る。このことは、前記光学要素を通る危険な第1光出力の透過を減少させて、減衰第1光出力にし得る。前記粒子は、上述のようなフォトクロミック又はサーモクロミックを有してもよい。
【0041】
前記粒子はまた、散乱を引き起こし、それによって、光のエテンデュを増加させ、高い透過率を防止し得る。この場合には、前記粒子は、閾値を超える前記第1光出力への暴露時に、反射性のもの又はより屈折性のものになり得る。従って、前記粒子は、光学的相変化材料を有してもよい。例えば、前記光学的相変化材料の結晶化相変化は、透明な材料を不透明な材料にし得る。危険なレベルの前記第1光出力が前記光学要素にさらされる場合、前記エテンデュは、10倍、より好ましくは100倍、最も好ましくは1000倍に増加し得る。
【0042】
前記光学要素は、第2材料と接合された第1材料を有してもよい。前記第1材料及び前記第2材料は、閾値未満の前記第1光出力前記変換されなかった第1光出力及び前記変換光出力に対して透明であり得る。前記第2材料は、閾値を超える前記第1光出力への暴露時に、減衰性のものになり得る。それ故、前記第2材料は、フォトクロミック、サーモクロミック又は光学的相変化材料であってもよい。
【0043】
他の例においては、前記第1材料と前記第2材料との間の分離部が、閾値を超える前記第1光出力によって損傷を受け得る。前記分離部は、前記第1材料と前記第2材料とを、互いに接触しないように分離する薄膜又は障壁であってもよい。そして、前記第1材料及び前記第2材料は、互いに反応するものであってもよい。それ故、閾値を超える前記第1光出力による分離部の損傷は、前記第1材料と前記第2材料との間の化学反応を可能にし得る。結果として生じる材料は、閾値を超える前記危険な第1光出力に対して減衰性のものになり得る。このような状態において、前記光学要素は、前記第1光出力を安全なレベルまで減衰させ得る。
【0044】
前記光学要素のための材料の組み合わせは、2つの材料に限定されない。前記光学要素を構成する複数の2層構成又は3つ以上の材料が考えられ得る。
【0045】
前記第1光出力の前記閾値は、1平方ミリメートル当たり0.5ワットのレーザ出力密度であってもよい。
【0046】
このような値は、アイセーフ基準(eye-safe standard)及び他の安全基準、並びにレーザビームのスポットサイズ、前記光学要素のための材料の選択、所望の色温度、及び前記照明デバイスの演色評価数に依存し得る。レーザ出力密度の閾値は、1平方ミリメートル当たり2ワット、より好ましくは1平方ミリメートル当たり1ワットであってもよい。例えば、出力密度の閾値は、3000K且つCRIが80の場合は1平方ミリメートル当たり0.5ワットであってもよく、4000K且つCRIが80の場合は1平方ミリメートル当たり1ワットであってもよい。
【0047】
前記第1発光半導体デバイスは、405乃至470nmの範囲内、好ましくは440乃至460nmの範囲内のスペクトルパワー分布を有してもよく、それはまた、445nmを中心とするものであってもよい。前記第2発光半導体デバイスのスペクトル分布も、405乃至470nmの範囲内であってもよい。
【0048】
前記照明デバイスは、熱センサ及びコントローラを有してもよい。前記熱センサは、前記光学要素の温度を検出するために前記光学要素に取り付けられ、前記コントローラに通信可能に接続されてもよい。前記コントローラは、検出される前記温度が所定の温度閾値を超えるときに、前記第1発光半導体デバイスをオフにするよう構成されてもよい。
【0049】
前記第1光出力が閾値を超え、前記第1光出力が前記光学要素にさらされる場合、前記光学要素の温度が上昇し得る。それ故、前記コントローラは、前記光学要素の温度の変化をモニタし、検出される前記温度が所定の温度閾値を超える場合に、前記光変換デバイスの故障又は損傷を決定するよう構成されてもよい。前記コントローラは、更に、故障が検出される場合に、電源スイッチを介して前記第1発光半導体デバイスをオフにするよう構成されてもよい。これは、目に安全なレーザベースの照明デバイスを更に容易にするための追加の安全機能である。前記所定の温度閾値は、通常の動作条件の温度より10度高いもの、より好ましくは、通常の動作条件の温度より5度高いものであってもよい。
【0050】
本発明は、請求項において挙げられている特徴の全てのあり得る組み合わせに関することに留意されたい。本発明の概念の他の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な開示、添付の特許請求の範囲及び図面から、明らかになるだろう。前記態様のうちの1つに関連して記載されている特徴は、他の態様にも組み込まれてもよく、前記特徴の利点は、前記特徴が組み込まれる全ての態様に当てはまる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
開示されているデバイス、方法及びシステムの、上記の及び更なる目的、特徴及び利点は、デバイス、方法及びシステムの実施形態の以下の例示的且つ非限定的な詳細な説明を通して、添付の図面を参照して、より理解されるだろう。
図1(a)】レーザベースの照明デバイスの一般的な構成を概略的に示す。
図1(b)】この構成の危険な態様を概略的に示す。
図2(a)】通常動作モードにおける照明デバイスを概略的に示す。
図2(b)】安全動作モードにおける照明デバイスを概略的に示す。
図3(a)】透明状態における、2つの材料の混合物を有する光学要素を概略的に示す。
図3(b)】減衰状態における、2つの材料の混合物を有する光学要素を概略的に示す。
図4(a)】透明状態における、2つの材料を有する光学要素を概略的に示す。
図4(b)】減衰状態に移行中の、2つの材料を有する光学要素を概略的に示す。
図4(c)】完全な減衰状態における、2つの材料を有する光学要素を概略的に示す。
図5(a)】通常動作モードにおける、付加的な光学レンズを備える照明デバイスを概略的に示す。
図5(b)】安全動作モードにおける、付加的な光学レンズを備える照明デバイスを概略的に示す。
図6(a)】透明状態における、収束レンズとして成形される光学要素を概略的に示す。
図6(b)】減衰状態における、収束レンズとして成形される光学要素を概略的に示す。
図7(a)】通常動作モードにおける照明デバイスの代替構成を概略的に示す。
図7(b)】安全動作モードにおける照明デバイスの代替構成を概略的に示す。
図8(a)】通常動作モードにおける照明デバイスの別の代替構成を概略的に示す。
図8(b)】安全動作モードにおける照明デバイスの別の代替構成を概略的に示す。
図9(a)】通常動作モードにおける照明デバイスの別の代替構成を概略的に示す。
図9(b)】安全動作モードにおける照明デバイスの別の代替構成を概略的に示す。
図10(a)】通常動作モードにおける照明デバイスの別の代替構成を概略的に示す。
図10(b)】安全動作モードにおける照明デバイスの別の代替構成を概略的に示す。
図11】熱センサ及びコントローラを備える照明デバイスを概略的に示す。
【0052】
全ての図が、概略的なものであり、必ずしも縮尺通りではなく、一般に、本発明を明らかにするために必須である部分しか示しておらず、他の部分は、省略されている場合がある、又は単に示唆されているにすぎない場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0053】
ここで、本発明の現在好ましい実施形態が示されている添付図面を参照して、本発明について以下により詳細に説明する。しかしながら、本発明は、多様な形態で実施されることができ、本明細書において記載されている実施形態に限定されると解釈されるべきではなく、もっと正確に言えば、これらの実施形態は、完全及び完璧を期すために示されており、本発明の範囲を当業者に十分に伝える。
【0054】
図1(a)は、レーザベースの照明デバイスの一般的な構成を概略的に示している。この図においては、第1発光半導体デバイス101が、レーザデバイス101であるよう図示されている。レーザデバイス101は、ガス、色素、固体、又は半導体レーザ(例えば、ダイオードレーザ又は垂直共振器面発光レーザ(VCSEL))のうちのいずれか1つであり得る。レーザデバイスは、光変換デバイス103の方へ第1光出力102を発するよう構成される。第1光出力102は、405乃至470nmの範囲内のスペクトルパワー分布を有する青色光であってもよい。好ましくは、440乃至460nmの範囲内であり、445nmを中心とするものであってもよい。光変換デバイス103は、或るボリュームの、結晶状態又は多結晶状態の蛍光体材料フィルム又はブロックであり得る。ここでは、レーザベースの照明デバイスは、透過型遠隔蛍光体形態(transmission remote phosphor mode)で示されている。第1スペクトル分布を有する第1光出力102は、光変換デバイス103にぶつかっており、少なくとも部分的に、図1(a)における変換光出力104によって示されているような、第2スペクトル分布を有する変換光出力104に変換される。例えば、青色ポンプレーザ光にさらされる蛍光体材料は、広帯域の黄色光である第2波長光をもたらし得る。そして、変換されなかった第1光出力の残りの部分112は、光変換デバイス103を介して透過され得る。変換光出力104と、変換されなかった第1光出力112との組み合わせは、例えば、照明方向に発せられ、それによって、ユーザの目001に見える白色光をもたらす。変換光出力104、及び変換されなかった第1光出力112は、強度又は出力密度の点で目に安全であり得る。これは、光変換効率の限界、変換光出力104のより低いエネルギ光子組成、及び最終的な組み合わされた光ビームの空間分布に関連し得る。
【0055】
図1(b)においては、危険なレベルの第1光出力102が照明デバイスから外に出る可能性がある危険な状況が生じることがある。このような重大なシステムの故障は、熱機械的応力によって引き起こされ得る、光変換デバイス103内の遠隔蛍光体の損傷又は消失102によって、発生し得る。この状態は、周囲への危険な第1光出力102の放出をもたらす可能性があり、いずれは、照明デバイス100の照明方向と一致するユーザの目001に到達する可能性がある。
【0056】
図2は、照明デバイス100に光学要素105を組み込むことによって、上述の危険なレーザ光への危険な暴露に対処するための照明デバイス100を示している。図2(a)においては、照明デバイス100の通常動作モードが示されている。光学要素105は、光変換デバイス103からの変換光出力104を受け取り、透過し、変換されなかった第1光出力112も受け取り、透過するよう構成される。光学要素105にぶつかる変換されなかった第1光出力112は、第1光出力102の閾値以下のままであるので、光学要素105は、通常動作モードにおける透過性のままである。
【0057】
光変換デバイス103が損傷002を受ける場合、危険な第1光出力102の少なくとも大部分又は全てが、図2(b)において示されているように、損傷を受けた光変換デバイス103を通過し、光学要素105によって受け取られる可能性がある。このような状態において、光学要素105は、第1光出力102が閾値を超えて増加するときに第1光出力102を安全なレベル(例えば、1平方センチメートル当たり0.01ワット、より好ましくは、1平方センチメートル当たり0.001ワット)まで減衰させるよう構成される。それによって、光学要素105を通る危険な第1光出力102の透過を減少させて、減衰第1光出力122にし、照明デバイス100をユーザの目001にとって安全なものにする。この減衰は、第1光出力102の減衰を完了するために、大幅に減少した透過をもたらすこともある。
【0058】
閾値は、第1発光半導体デバイス101によって生成される第1光出力102の出力密度に関連し得る。このような値は、アイセーフ基準及び他の安全基準、並びにレーザビームのスポットサイズ、光学要素105のための材料の選択、所望の色温度、及び照明デバイス100の演色評価数に依存し得る。レーザ出力密度の閾値は、1平方ミリメートル当たり2ワット、より好ましくは1平方ミリメートル当たり1ワットであってもよい。例えば、出力密度の閾値は、3000K且つCRIが80の場合は1平方ミリメートル当たり0.6ワットであってもよく、4000K且つCRIが80の場合は1平方ミリメートル当たり1ワットであってもよい。
【0059】
それ故、光学要素105は、第1光出力102の閾値に依存して光透過状態から光減衰状態に変化することができる双安定光学材料を有してもよい。また、光学要素105は、第1光出力102の閾値に依存して光透過状態から光減衰状態への緩やかな変化を示してもよい。この点において、光学要素105を実現するのに適した幾つかの異なる材料が存在し得る。
【0060】
例えば、フォトクロミック材料は、閾値を超える第1光出力102を吸収し、又は散乱させ、それによって、第1光出力102の或る特定の閾値を超えてさらされるときに第1光出力102を減衰させ得る。フォトクロミック材料のこの吸収の増加は、閾値を超える出力密度の第1光出力102への暴露によって引き起こされる化学反応の結果として、材料が暗くなること又は散乱を増加させることに関連し得る。
【0061】
実際上は、フォトクロミックガラスを考慮し得る。フォトクロミックガラスの暗くなった(吸収)状態とクリアな(cleared)(透過)状態との間の光学特性は、ガラス組成に依存し得る。最大90パーセントまでのクリアな透過率と、5パーセントまでの暗くなった透過率とが可能であり得る。光学的用途に適したフォトクロミック材料は、非常に多くの光学ガラスでの使用でよく知られているハロゲン化銀粒子をベースとしたものであり得る。例えば、アルカリアルモホウケイ酸塩(alkali-alumo-boro-silicate)、アルカリホウ酸塩(alkali-borate)、鉛ホウ酸塩(lead-borate)、ランタンホウ酸塩(lanthanum borate)、及びアルモリン酸塩(alumo-phosphate)の中のものである。アルカリアルモホウケイ酸塩が最も広く使用されている。これらのガラスは、数十質量パーセントのオーダまで添加された銀イオン、塩素イオン及び臭素イオンと一緒に溶融される。ハロゲンイオンの量は、銀イオンの量を上回る必要がある場合がある。同様に、2乃至10質量パーセンタイル(percentile by mass)のオーダまでの第1銅イオン(cuprous ion)がガラス融液中に存在する必要がある。このようなガラスが、適切な時間にわたってガラス転移温度を超えて熱処理される場合、本質的に疲労のないフォトクロミズムが発生し得る。その場合、幾らかの第1銅イオンを含むハロゲン化銀粒子が、複雑な相分離プロセスを経て、ガラス母材に含まれる。それらの直径は、最大限のフォトクロミズム、最小限の光散乱、及び許容可能なダイナミクス(acceptable dynamics)のために、10乃至20nmの範囲内である必要がある。
【0062】
同様に、サーモクロミック材料も、閾値を超える第1光出力102の散乱又は吸収の増加を示し得る。これも、閾値を超える出力密度の第1光出力102への暴露によって引き起こされるサーモクロミック材料が暗くなること又は散乱を増加させることに関連し得る。これは、その後、このような遷移のための閾値温度を上昇させる。
【0063】
必要とされる適用波長及び温度範囲に依存して、多くの異なるタイプのサーモクロミック材料が利用可能であり得る。これらのサーモクロミック材料は、金属及び塩(例えば、酸化バナジウム)を含む無機材料、並びに溶剤系材料を含む有機材料であり得る。よく知られている光学的サーモクロミック材料は、多くの場合、発色剤(color former)、顕色剤(color developer)及び溶剤を含む有機ロイコ染料混合物である。発色剤は、通常、ベース色(base color)を決定する環状エステルである。顕色剤は、色の変化及び最終的な色の強さをもたらす弱酸であり得る。溶剤(アルコール又はエステル)の融点は、色遷移温度に影響を及ぼし得る。従って、化合物のサーモクロミック転移温度は、所望の用途を満足するよう設計され得る。
【0064】
他の例においては、光学的相変化材料も、適切に光学要素105の役割を果たし得る。光学的相変化材料は、相転移温度をもたらす或る特定の閾値出力密度の第1光出力102にさらされるときに、その光学特性を透明なものから反射性のもの、吸収性のもの及び/又は散乱性のものに変え得る。相は、非晶質状態から結晶状態に、又はその逆に変わり得る。これらの光学的相変化材料に関しては、相転移温度が高い場合がある。オプションとしては、故障の場合に熱負荷を高めるために、相変化層の上に吸収層を追加するものがある。他の例においては、光が、集光され、集光解除され、光学的相変化材料が、スポットの焦点にある。その場合には、この場所における光学密度は、非常に高くなる可能性があり、故障の場合に、レーザ出力密度は、転移温度を超える温度まで上昇する。
【0065】
前記材料が散乱状態になる場合、前記材料は、危険な第1光出力102がユーザの目001に到達することを防止するよう、光をそらし、複数の方向に誘導するために使用されることができる。別の方法では、前記材料が反射状態になる場合、前記材料は、反射光を安全に集めるための偏光感応ミラー又は偏光スプリッタによって危険な第1光出力102をビームダンプの方へそらし、それによって、危険な第1光出力102がユーザの目001に到達することを防止するために使用されることができる。
【0066】
光学式記憶媒体、書換可能DVD、及びブルーレイディスクから、多くの異なる相変化材料が知られている。光学的相変化材料は、ゲルマニウム(Ge)、ガリウム(Ga)、ヒ素(As)、インジウム(In)、テルル(Te)及びアンチモン(Sb)の合金を含み得る。光学的相変化材料の光学特性、光学特性の遷移条件、及び遷移の程度は、最適な合金組成を選択することによって、用途に従って調整され得る。
【0067】
他の例においては、図3及び図4において示されているように、光学要素105を実現するために2つの材料が使用されてもよい。図3において、光学要素105は、粒子125のホストの役割を果たすマトリックス材料115を有する。マトリックス材料115は、液体状態、半固体状態又は固体状態のうちの1つの状態にあり得る。マトリックス材料115は、粒子125を溶解させなくてもよく、又は粒子125と反応しなくてもよい。マトリックス材料115は、これらの2つの材料が、変換されなかった第1光出力112及び変換光出力104に対して透明であるとき、粒子125と一致する屈折率を有し得る。それ故、マトリックス材料115及び粒子125は、図3(a)において示されているように、閾値未満の第1光出力102、例えば、変換されなかった第1光出力112及び変換光出力104に対して透明であり得る。粒子125は、図3(b)において示されているように、閾値を超える第1光出力102への暴露時に、吸収性のものになることによって減衰性のものになり得る。このことは、光学要素105を通る危険な第1光出力102の透過を減少させて、減衰第1光出力122にし得る。粒子125は、上述のようなフォトクロミック又はサーモクロミック材料を有してもよい。
【0068】
粒子125はまた、散乱を引き起こし、それによって、光のエテンデュを増加させ、高い透過率を防止し得る。この場合には、粒子125は、閾値を超える第1光出力102への暴露時に、反射性のもの又はより屈折性のものになり得る。従って、粒子125は、光学的相変化材料を有してもよい。例えば、光学的相変化材料の結晶化相変化は、透明な材料を不透明な材料にし得る。
【0069】
図4において、光学要素105は、第2材料125と接合された第1材料115を有してもよい。第1材料115及び第2材料125は、図4(a)において示されているように、閾値未満の第1光出力102、例えば、変換されなかった第1光出力112及び変換光出力104に対して透明であり得る。第2材料125は、閾値を超える第1光出力102への暴露時に、減衰性のものになり得る。
【0070】
他の例においては、第1材料115と第2材料125との間の分離部135が、図4(b)において示されているように、閾値を超える第1光出力102によって損傷を受け得る。分離部135は、第1材料115と第2材料125とを、互いに接触しないように分離する薄膜又は障壁であってもよい。そして、第1材料115及び第2材料125は、互いに反応するものであってもよい。それ故、閾値を超える第1光出力102による分離部135の損傷は、第1材料115と第2材料125との間の化学反応を可能にし得る。結果として生じる材料145は、図4(c)において示されているように、危険な第1光出力102に対して減衰性のものになり得る。このような状態において、光学要素105は、第1光出力102を減衰させて安全なレベルの減衰第1光出力122にし得る。
【0071】
第1材料115及び第2材料125の適切な例は、析出反応材料、例えば、CaCl水溶液及びNaCO水溶液を含み得る。これらは、混ぜ合わされるとき、水に不溶性であり、不透明な溶液を作成するCaCOを形成する。有機有色分子、有色塩、又は酸塩基反応若しくは酸化還元反応によって形成される色の形成の例も考えられ得る。酸化すると、深い青色になり、青色レーザ光も吸収する無色のメチレンブルーなどである。無色の第2鉄イオン溶液(Fe3+)は、塩又はH溶液と反応して青色の反応副生成物を生成する。また、固体ポリマを形成する、2つの液状ポリマ材料の間の重合反応も、透明度の変化をもたらし得るので、考えられ得る。
【0072】
図3及び4においては、光学要素105のための2つの材料の組み合わせが示されている。しかしながら、光学要素105を構成する複数の2層構成又は3つ以上の材料も考えられ得る。
【0073】
光学要素105の減衰特性の変化は、可逆的なものであってもよく、又は不可逆的なものであってもよい。光学要素105は、照明デバイスのハウジングにおける出射窓、レンズ又はダイクロイック反射器などの、照明デバイス100に関連する構成要素の表面層として考えられ得る。
【0074】
図5(a)は、通常動作モードにおける、付加的な光学レンズ111を備える照明デバイス100を概略的に示している。光学レンズ111は、照明デバイス100の照明方向における、変換光出力104、及び変換されなかった第1光出力112のコリメート、集束、ぼかし又は拡散をするよう、光学要素105の下流に配置される。図5(b)は、安全動作モードにおける、付加的な光学レンズ111を備える照明デバイス100を概略的に示している。光学レンズ111は、減衰第1光出力122のコリメート、集束、ぼかし又は拡散をすることもあり、それ故、第1光出力102の減衰を安全なレベル未満にすることが好ましいことがある。
【0075】
光学要素105は、上述の受動的安全機能を提供することに加えて、屈折光学レンズの役割を果たすよう構成されることもある。光学要素105は、照明方向における光のコリメート、集束、ぼかし又は拡散のための適切な屈折レンズに成形されてもよい。図6(a)においては、光学要素105は、照明方向において、変換光出力104、及び変換されなかった第1光出力112を集束させるための収束レンズとして概略成形されている。図6(b)においては、収束レンズの役割を果たす光学要素105が、危険なレベルの第1光出力102を減衰させて安全なレベルの減衰第1光出力122にするための減衰状態に遷移している。
【0076】
図7においては、光変換デバイス103は、光変換デバイス103の光入射面113の反対側に配置される光反射器106と共に構成されている。第1発光半導体デバイス101からの第1光出力102は、光入射面113と比較して90度以外の角度で光変換デバイス103にぶつかる。角度によっては、第1光出力102は、光反射器106から複数回反射して光変換デバイス103内に戻り得る。それ故、この構成は、効率的な光変換を可能にする。しかしながら、光学要素105による安全対策は、図2において示されているものと同じままである。光変換デバイス103が損傷002を受ける場合、危険な第1光出力102が、図7(b)において示されているように、損傷を受けた光変換デバイス103から反射し、光学要素105によって受け取られる可能性がある。このような状態において、光学要素105は、第1光出力102が閾値を超えて増加するときに第1光出力102を安全なレベルまで減衰させるよう構成される。それによって、光学要素105を通る危険な第1光出力102の透過を減少させて、減衰第1光出力122にし、照明デバイス100をユーザの目001にとって安全なものにする。
【0077】
図8においては、照明デバイス100は、図7において示されているような光反射器106を備える光変換デバイス103を有するよう構成されている。しかしながら、第1発光半導体デバイス101からの第1光出力102は、光入射面113と比較して90度の角度で光変換デバイス103に向かわされる。図8において示されているように、第1光学系装置107が、第1発光半導体デバイス101と光変換デバイス103との間に配置される。図8(a)において示されているように、第1光学系装置107は、第1光出力102を、光変換デバイス103の方へ透過するが、変換光出力104及び変換されなかった第1光出力112を反射するよう構成される。第1光学系装置107は、図8において示されているように、ダイクロイックスプリッタ117及び1/4波長板127を有してもよい。ダイクロイックスプリッタ117は、第1光出力102を透過し、変換光出力104及び変換されなかった第1光出力112を反射するよう構成される。1/4波長板127は、あらゆる方向からの第1光出力102、変換されなかった第1光出力112、及び変換光出力104を透過するよう構成される。1/4波長板127が、第1光出力102の偏光に対して90度のところにある場合、第1光出力102と、変換されなかった第1光出力112とが、互いに反対の偏光を有し得る。ダイクロイックスプリッタ117のバンドエッジが適切に選ばれる場合には、第1光出力102を透過し、変換光出力104及び変換されなかった第1光出力112を反射することが可能である。他の例においては、1/4波長板の後に配置される偏光ビームスプリッタと組み合わせた第1光学系装置107を選択してもよい。この場合には、偏光ビームスプリッタは、或る偏光(例えば、第1光出力102)を透過する一方で、他の偏光(例えば、変換されなかった第1光出力112及び変換光出力104)を反射することができる。上記のような第1光学系装置107の機能を実現するために、光学的構成要素の他の組み合わせを選択してもよい。
【0078】
光学要素105は、第1光学系装置107からの反射光を受け取るよう構成される。光学要素105を介して透過された光は、光学レンズ111を使用して集束される。光変換デバイス103が損傷002を受ける場合、危険な第1光出力102が、損傷を受けた光変換デバイス103の裏面に配置されている光反射器106から反射される可能性がある。その後、図8(b)において示されているように、第1光学系装置107から反射され、いずれは光学要素105によって受け取られる。このような状態において、光学要素105は、第1光出力102が閾値を超えて増加する場合に第1光出力102を目に安全なレベルまで減衰させるよう構成される。
【0079】
図9(a)は、通常動作モードにおける照明デバイスの代替構成を示しており、図9(b)は、安全動作モードにおける照明デバイスの代替構成を示している。図8と同様に、照明デバイス100は、第1発光半導体デバイス101と光変換デバイス103との間に第1光学系装置107を有する。光学要素105は、光変換デバイス103と光反射器106との間に挟まれている。それ故、変換光出力104及び変換されなかった第1光出力112は、光学要素105を介して透過され、最終的に光反射器106から第1光学系装置107の方へ反射される。第1光学系装置107は、変換光出力104及び変換されなかった第1光出力112を光学レンズ111の方へ反射するよう構成され、変換光出力104及び変換されなかった第1光出力112は、いずれは、ユーザの目001に到達する可能性がある。光変換デバイス103が損傷002を受ける場合、第1光学系装置107を介して透過された第1光出力102が、直接、光学要素105によって受け取られる。第1光出力102が閾値を超えている場合には、光学要素105は、危険な第1光出力102を目に安全なレベルまで減衰させるよう構成される。光学要素105は、減衰第1光出力122のみを透過し得る。減衰第1光出力122は、光反射器106から第1光学系装置107の方へ反射される。その後、減衰第1光出力122は、図9(b)において示されているように、第1光学系装置107から、同様に、光学レンズ111の方へ、最終的には、ユーザの目001の方へ反射される。
【0080】
幾つかの照明アプリケーションの場合、図10において示されているように、光分割トポロジにおいて変換光と共に二次光(例えば、別の青色光)を導入することが好ましいことがある。照明デバイス100のこの構成は、この二次光を発する半導体デバイス109の動作パラメータを適切に選択することによって、より広い範囲の色温度及び演色評価数の実現における更なる柔軟性を可能にし得る。照明デバイス100は、図10においては2つの光源を有する。第1発光半導体デバイス101は、第1光出力102を生成するポンプレーザとして機能し得る。従って、第1光出力102は、目にさらすには非常に危険である可能性がある。第2発光半導体デバイス109は、第1光出力102の第1スペクトル分布と同じである、又は少なくとも比較的類似しているスペクトル分布を持つ第2光出力110を発するよう構成されるレーザ又はLEDであってもよい。第2発光半導体デバイス109のスペクトル分布も、405乃至470nmの範囲内であってもよい。好ましくは、440乃至460nmの範囲内である。しかし、出力密度は、目及び一般的な環境暴露に安全であり得る。図10(a)において示されているように、光変換デバイス103は、第1光出力102を完全に変換光出力104に変換する。光変換デバイス103は、図2乃至9において示されているように、第1光出力102を、部分的に、変換されなかった第1光出力に変換してもよい。変換光出力104は、光学要素105を介して透過され、第2光学系装置108によって第2光出力110と組み合わされる。
【0081】
図10(b)は、照明デバイス100の安全動作モードを示している。光変換デバイス103が損傷002を受ける場合、第1光出力102が、そのまま、光変換デバイス103を通過することがある。光学要素105は、第1光出力102が閾値を超えている場合に第1光出力102を少なくとも安全な減衰レベルまで減衰させるよう構成される。減衰第1光出力122及び第2光出力110も、第2光学系装置108によって組み合わされる。図10においては、第2光学系装置108は、変換光出力104及び第1光出力102を透過する一方で、第2光出力110をユーザの目001の方へ反射するよう構成されるダイクロイックコンバイナ118であり得る。この場合には、第1光出力102及び第2光出力110の波長及び/又は偏光は、ダイクロイックコンバイナ118のバンドエッジがこれらの2つの光を組み合わせることを可能にするように、異なり得る。しかしながら、減衰第1光出力122及び第2光出力110による組み合わされた光が、目に安全なレベルを超えないように注意が払われる必要がある。第2光学系装置108はまた、異なる光学的構成要素の組み合わせ、例えば、偏光フィルタと偏光感応ビームスプリッタとの組み合わせを使用して実施されてもよい。
【0082】
図11は、熱センサ112及びコントローラ113を備える照明デバイス100を概略的に示している。熱センサ112は、光学要素105と接触しており、コントローラ113に通信可能に接続される。閾値を超える第1光出力102が光学要素105にさらされるときには、光学要素105の温度も上昇し得る。それ故、コントローラ113は、光学要素105の温度の変化をモニタし、検出される温度が所定の温度閾値を超える場合に、光変換デバイス113の故障又は損傷002を決定するよう構成されてもよい。コントローラ113は、更に、故障が検出される場合に、電源スイッチ114を介して第1発光半導体デバイス101をオフにするよう構成されてもよい。これは、目に安全なレーザベースの照明デバイス100を更に容易にするための追加の安全機能である。
【0083】
上述の実施形態は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するものであり、当業者は、添付の特許請求の範囲の範囲から逸脱することなく、多くの他の実施形態を設計することができるだろうことに留意されたい。特許請求の範囲において、括弧内に配置される如何なる参照符号も、請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。「有する」という動詞及びその語形変化の使用は、請求項において示されている要素又はステップ以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。要素の単数形表記は、このような要素の複数の存在を除外するものではない。
【0084】
単に、或る特定の特徴が、相互に異なる従属請求項において引用されているという事実は、これらの特徴の組み合わせが有利になるように用いられることができないことを示すものではない。上述の様々な態様は、更なる利点を提供するために組み合わされることができる。更に、当業者は、2つ以上の実施形態が組み合わされてもよいこと理解するだろう。
図1(a)】
図1(b)】
図2(a)】
図2(b)】
図3(a)】
図3(b)】
図4(a)】
図4(b)】
図4(c)】
図5(a)】
図5(b)】
図6(a)】
図6(b)】
図7(a)】
図7(b)】
図8(a)】
図8(b)】
図9(a)】
図9(b)】
図10(a)】
図10(b)】
図11
【国際調査報告】