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特表2023-548966固相のシクロスポリンA及びこれを含む分散組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】固相のシクロスポリンA及びこれを含む分散組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/13 20060101AFI20231114BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20231114BHJP
   A61K 8/04 20060101ALI20231114BHJP
   A61K 8/64 20060101ALI20231114BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231114BHJP
   A23L 33/17 20160101ALI20231114BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61K38/13
A61K9/10
A61P37/06
A61P27/02
A61K47/26
A61K47/44
A61K8/04
A61K8/64
A61Q19/00
A23L33/17
A23L2/00 F
A23L2/52
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551638
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-09
(86)【国際出願番号】 KR2021015913
(87)【国際公開番号】W WO2022098122
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0148851
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0110809
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】523169877
【氏名又は名称】スカイ・セラピューティクス・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】チュルファン・キム
(72)【発明者】
【氏名】キョン-ヒ・キム
(72)【発明者】
【氏名】テウォン・ス
【テーマコード(参考)】
4B018
4B117
4C076
4C083
4C084
【Fターム(参考)】
4B018LE05
4B018MD20
4B018ME14
4B018MF02
4B018MF14
4B117LC04
4B117LK15
4B117LL06
4B117LL09
4C076AA16
4C076BB01
4C076BB24
4C076BB31
4C076CC07
4C076CC10
4C076DD09F
4C076EE23
4C076EE51
4C076FF16
4C076FF34
4C076FF43
4C076GG45
4C083AC432
4C083AC442
4C083AD411
4C083AD412
4C083BB01
4C083CC02
4C083DD23
4C083DD39
4C083EE01
4C083EE13
4C084AA03
4C084DA11
4C084MA05
4C084MA21
4C084MA52
4C084MA58
4C084MA63
4C084NA05
4C084NA11
4C084NA14
4C084ZA33
4C084ZB08
(57)【要約】
分散媒;及び目的物質を含む粒子を含む分散組成物で、前記分散組成物はスレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤を少なくとも1種を含み、前記分散組成物は可溶化剤を含まず、前記目的物質はシクロスポリンAで、前述して定義されたS‐パラメータ>1を満たす分散組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散媒;及び目的物質を含む粒子を含む分散組成物で、
前記分散組成物はスレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤を少なくとも1種を含み、
前記分散組成物は可溶化剤を含まず、
前記目的物質はシクロスポリンAで、
前記分散組成物が界面活性剤1種を含む場合、数式1及び数式2によって計算される数式3のS‐パラメータがS‐パラメータ>1を満たし、
前記分散組成物はスレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤を少なくとも2種含む場合、界面活性剤の各種類ごとに下記数式4によって得たSsurf(i)を計算して、下記数式5によってこれらの和としてSsurf値を得て、このように計算されたSsurf値を前記数式1に適用して得た数式3のS‐パラメータがS‐パラメータ>1を満たす、
分散組成物。
<数式1>
micelle=S+Ssurf
前記数式1において、Sは前記目的物質の前記分散媒に対する飽和溶解度に該当する濃度で、Ssurfは下記数式2によって計算される。
<数式2>
surf=k(Csurf‐CMC)
前記数式2において、kは1モルの前記スレッショルドミセル濃度以上の1種の界面活性剤によって前記分散媒に分散されることができる前記目的物質のモル数で定義されるモル可溶化容量(molar solubilization capacity)で、Csurfは前記組成物で界面活性剤成分のモル濃度で、CMCは前記組成物で界面活性剤のスレッショルドミセルモル濃度である。
<数式3>
S‐パラメータ=Stot/Smicelle
前記数式3において、Stotは分散組成物に含有された前記目的物質の総モル含量である。
<数式4>
surf(i)=ksurf(i)(Csurf(i)‐CMCsurf(i)
前記数式4において、ksurf(i)は1モルの前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種によって前記分散媒に分散されることができる前記目的物質のモル数で定義されるモル可溶化容量(molar solubilization capacity)で、Csurf(i)は前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種の濃度で、CMCsurf(i)は前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種の前記分散媒でのスレッショルドミセル濃度である。
【数1】
前記数式5において、mは前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の種類の総数である。
【請求項2】
前記分散組成物は前記シクロスポリンAを前記分散媒に対する飽和溶解度に該当する含量を超過する含量で含む、請求項1に記載の分散組成物。
【請求項3】
前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤を2種以上含む場合、総分散させることができるシクロスポリンAの含量は、各界面活性剤の種類ごとに分散させることができるシクロスポリンAの含量の和にしたがうように前記界面活性剤の種類が選択された、請求項1に記載の分散組成物。
【請求項4】
前記粒子の数平均直径が100nm以下の大きさを持つ、請求項1に記載の分散組成物。
【請求項5】
前記粒子の数平均直径が50nm以下の大きさを持つ、請求項1に記載の分散組成物。
【請求項6】
請求項1に記載の分散組成物を含む動物用または人体用医薬品。
【請求項7】
請求項1に記載の分散組成物を含む化粧品。
【請求項8】
請求項1に記載の分散組成物を含む食飲料。
【請求項9】
固相のシクロスポリンAとして、
前記シクロスポリンAを請求項1の目的物質として適用して請求項1に記載の分散組成物が得られる、
固相のシクロスポリンA。
【請求項10】
請求項9に記載の固相のシクロスポリンAを含む動物用または人体用医薬品。
【請求項11】
請求項9に記載の固相のシクロスポリンAを含む化粧品。
【請求項12】
請求項9に記載の固相のシクロスポリンAを含む食飲料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分散性が向上された固相のシクロスポリンAとこれを分散させて向上された分散性を示す分散組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
製薬技術分野において水溶液組成物を製造することは重要な課題の一つである。水は最も有りがちな溶媒で飲用する液状として薬物剤形に最も多く活用される溶媒である。しかし、多数の薬物が非極性を強く示すため、極性溶媒である水に対する溶解度が十分ではない。このように治療効能が優秀であるにもかかわらず、溶解度が不良な難溶性(insoluble or poorly‐soluble)薬物は臨床的に有用な薬学的剤形で作ることができない問題が生じる。
【0003】
これを解決するための代表的な公知技術としては、界面活性剤(surfactant)で難溶性薬物を可溶化させる(solubilization)ミセル可溶化技術(micellar solubilization)がある。界面活性剤は一つの分子内に親水性基(hydrophilicity)と疎水性基(hydrophobicity)を一緒に保有する物質として、目的物質(例えば、薬物)と分散媒(例えば、水)の界面(interface)に主に分布して目的物質の分散を手伝ってくれたり、分散状態を安定化させることができる物質あるいはこのような機能をする物質を通称する。前記ミセル可溶化技術は、特定濃度(スレッショルドミセル濃度)を超過して分散媒に含有された界面活性剤が自己組み立て(self‐assembly)して形成したナノメートルサイズのミセル(micelle)に、分散媒に難溶性である目的物質を選択的に分布させて、目的物質を飽和溶解度を超過する高含量で分散媒に含有させる技術である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
製薬技術で生体利用率(Bioavailability)は薬物の投与地点(site of administration)で薬物が治療効果を引き起こす生体内標的場所(site of action)に薬物が伝達される量(amount)と速度(rate)を示す概念で、生体利用率が低ければ、体外で治療効能が高い薬物でも、作用しなければならない生体内器官に伝達される実際の量が少なくて、体内治療効果が低いか、または微々たる水準にとどまるようになる。生体利用率は、角膜(cornea)、肌(skin)、脳血管障壁(Blood‐Brain‐Barrier)、血液網膜関門(Blood‐Retina Barrier)のような生体内生物学的障壁(biological barrier)を通過する流速(FLUX)(下記数式8参照)で理解されることができる。
【0005】
[数式8]
流速(FLUX)=溶解度(solubility)×透過度(permeability)
【0006】
数式8において、流速(FLUX)を高めるために溶解度と透過度がいずれもバランスをとって高くなければならないことが分かる。生物薬剤学的分類体系(The Biopharmaceutics Classification System)によれば、全体薬物の70%が透過性が高くて溶解度が低いClass IIに属し、20%が透過性が低く溶解度が低いClass IVに属する。(Reintjes、T.、Solubility enhancement with BASF Pharma polymers:Solubilizer Compendium.BASF、(2021)pp.9‐10.)。
【0007】
前記ミセル可溶化技術が水のような極性分散媒に適用される場合、界面活性剤に取り囲まれた薬物の外表面は薬物が独立的に存在する状態に比べて親水性に変化される。しかし、生体内の生理学的障壁が殆どリン脂質あるいは疎水性層(hydrophobic layer)を含むので、ミセル可溶化技術で具現された薬学的組成物の生物学的障壁に対する透過度(permeability)は一般に低くなる。このような理由によって、ミセル可溶化技術は溶解度(solubility)向上と透過度(permeability)上昇が相反して(trade‐off)生体利用率を治療効能が改善されるほど向上させた薬学的組成物を得にくい限界がある。また、界面活性剤は殆ど環境公害を誘発したり、体内毒性あるいは副作用を引き起こすなどの問題もあって使容量を最小化しなければならない必要もある。
【0008】
したがって、界面活性剤の使容量を既存の技術より下げたり最小化しても溶解度向上を達成することができる技術の必要性と商業的価値はとても大きいといえる。このような技術は界面活性剤の所要量を既存の技術より下げることで、透過度を既存の技術より改善させて、その結果生体利用率を改善したり、あるいは治療効能を向上させることができ、環境公害や体内毒性/副作用も最小化させることができる。
【0009】
本発明の目的は以上で言及した目的に制限されず、言及されていない本発明の他の目的及び長所は下記の説明によって理解されることができ、本発明の実施例によって、もっと明らかに理解される。また、本発明の目的及び長所は特許請求範囲に示す手段及びその組み合わせによって実現できることを容易に分かることができる。
【0010】
シクロスポリンは非極性環形の11個アミノ酸構造を持つ免疫抑制剤であり、シクロスポリンA、B、C、D及びGを含む。免疫リンパ球細胞の中でシクロスポリンは、カルシニューリン(Calcineurin)の活性を遮断して窮極的に免疫反応を引き起こす免疫サイトカインの生成を抑制する機能を持つ。幾つかの免疫疾患の他にもシクロスポリンは乾性角結膜塩(Keratoconjunctivitis sicca)またはドライアイ(Dry Eye Syndrome)から涙腺(lacrimal gland)の崩壊及び機能異常を回復/復元させることに効能があると知られている(US patent 4839342)。
【0011】
しかし、シクロスポリンの大きい分子量(molecular weight)と疎水性の特性によって眼球組職でシクロスポリンの治療効果を達成することは難しい。特に、シクロスポリンは不溶性物質として水溶液や水溶性媒体で向上された溶解度を期待しにくいという短所がある(US patent 5051402)。このような短所を補完するためにドライアイ治療用の薬学的組成物でシクロスポリンを可溶化させようとする多くの試みがあった。例えば、従来知られていたAllergan社、Sun Pharma社とSanten社が開発したレスタシス(Restasis)、セクア(Cequa)及びアイケルビス(Ikervis)のシクロスポリン剤形は、それぞれポリソルベート80(Polysorbate80)、水添ヒマシ油(hydrogenated castor oil)及びポロキサマー(Poloxamer)のような界面活性剤を含む(US patent 2014020662 A1p、2014005785 A1p、EP2049079B1)。しかし、多量の界面活性剤は環境公害及び体内毒性を引き起こす副作用を引き起こすことがある。
【0012】
また、レスタシス(Restasis)とアイケルビス(Ikervis)のシクロスポリン剤形は、それぞれヒマシ油(Castor oil)とMCTオイル(Medium Chain Triglycerides)を含む溶液で製造されたが、オイルを含む眼球組成物は点眼時にぼんやりした視野と眼刺激(eye irritation)のような副作用を引き起こすことがある。
【0013】
このような副作用を最小化して生体利用率を向上させるためには界面活性剤やヒマシ油のようなオイルの含量を最小化する必要がある。よって、公知された技術より少量の界面活性剤を使用するが、極性分散媒に対する溶解度は向上されたシクロスポリン剤形を開発しなければならない必要性は依然として残っている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一具現例において、分散媒、及び目的物質を含む粒子を含む分散組成物を提供し、
前記分散組成物はスレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤を少なくとも1種を含み、
前記分散組成物は可溶化剤を含まず、
前記目的物質はシクロスポリンAで、
前記分散組成物が界面活性剤1種を含む場合、数式1及び数式2によって計算される数式3のS‐パラメータがS‐パラメータ>1を満たし、
前記分散組成物はスレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤を少なくとも2種を含む場合、界面活性剤の各種類別に下記数式4によって得たSsurf(i)を計算して、下記数式5によってこれらの和としてSsurf値を得て、このように計算されたSsurf値を前記数式1に適用して得た数式3のS‐パラメータがS‐パラメータ>1を満たす。
<数式1>
micelle=S+Ssurf
前記数式1において、Sは前記目的物質の前記分散媒に対する飽和溶解度に該当する濃度で、Ssurfは下記数式2によって計算される。
<数式2>
surf=k(Csurf‐CMC)
前記数式2において、kは1モルの前記スレッショルドミセル濃度以上の1種の界面活性剤によって前記分散媒に分散されることができる前記目的物質のモル数で定義されるモル可溶化容量(molar solubilization capacity)で、Csurfは前記組成物で界面活性剤成分のモル濃度で、CMCは前記組成物で界面活性剤のスレッショルドミセルモル濃度である。
<数式3>
S‐パラメータ=Stot/Smicelle
前記数式3において、Stotは分散組成物に含有された前記目的物質の総モル含量である。
<数式4>
surf(i)=ksurf(i)(Csurf(i)‐CMCsurf(i)
前記数式4において、ksurf(i)は1モルの前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種によって前記分散媒に分散されることができる前記目的物質のモル数で定義されるモル可溶化容量(molar solubilization capacity)で、Csurf(i)は前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種の濃度で、CMCsurf(i)は前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種の前記分散媒でのスレッショルドミセル濃度である。
【数1】
前記数式5において、mは前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の種類の総数である。
【0015】
本発明の他の具現例において、前記目的物質として適用されることができる固相のシクロスポリンAを提供する。すなわち、前記固相のシクロスポリンAを前記目的物質として適用して前記分散組成物が得られる。
【発明の効果】
【0016】
薬物、化粧品などの分散組成物分野で高含量の有効物質を安定的に分散させることは有効物質の容易な吸収のための重要な課題である。よって、前記分散組成物は高含量及び分散安定性が要求される多様な産業分野で革新的に適用可能である。例えば、本発明で具現された分散組成物が難溶性薬物を含む場合、既存活用することができなかった薬物の活用可能性を広げ、界面活性剤のような添加剤の副作用を最小化して、疾病の治療に画期的な進歩を成し遂げることができる。
【0017】
本発明で具現された分散組成物は界面活性剤の含量が既存技術の含量より少なくて、目的物質の溶解度だけでなく透過度も改善して結果的に生体利用率が向上されて治療効能に優れる。また、界面活性剤の含量を既存の技術より下げることで、前記界面活性剤が引き起こす環境公害や体内毒性/副作用などのような問題点を低減させたり防ぐ効果もある。例えば、薬学的組成物に界面活性剤として主に用いられるPolyoxyl 35 castor oil(Kolliphor ELあるいはCremophor EL)は毒性がとても強い。また、シクロスポリンAの分散液を製造する時も界面活性剤であるポリソルベート80(Polysorbate 80あるいはTween 80)が使われるが、この時、眼刺激がひどい短所がある。本発明の分散組成物は、このような界面活性剤の含量が低いながら安定的な分散状態を維持するので、毒性を持つ界面活性剤の副作用を低減させたり回避することができる。他の例として、本発明で具現された分散組成物で製造された美容製品は、界面活性剤のような添加剤の含量を最小化した組成物として塗り性と浸透性などを向上させて美容効果を向上させることができる。
【0018】
上述した効果とともに本発明の具体的な効果は以下の発明を実施するための具体的な事項を説明しながら一緒に記述する。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<用語の定義>
先ず、本発明の説明に使われる主要用語に対する定義/記述である。
【0020】
「目的物質(target ingredient)」は具現しようとする分散組成物に分散させようとする物質として、製薬用であれば薬理学的活性物質(Active Pharmaceutical Ingredient)であって、化粧品用であれば肌審美性に効能がある活性物質であってもよく、用途によって多様な物質である。例えば、本発明の薬理学的活性物質には、スニチニブ(Sunitinib)、アキシチニブ(Axitinib)、そしてパゾパニブ(Pazopanib)などのようなチロシンキナーゼ抑制剤(Tyrosine Kinase Inhibitor)、シクロスポリン(Cyclosporine)、ニクロサミド(Niclosamide)、アデノシン(Adenosine)、デオキシコール酸(Deoxycholic acid)、パクリタキセル(Paclitaxel)あるいはこれらの薬学的に許容される塩(salt)あるいは誘導体(derivatives)であって、これに限定されない。前記目的物質は1種の物質であるか、または2種以上の目的物質の混合体であってもよい。前記本発明の一具現例による分散組成物は、前記目的物質が分散媒に難溶性物質である場合に商業的に価値が高く、このような難溶性物質の中で薬物の例示は「United States Pharmacopeia(USP)Solubility Criteria」でpi(practically insoluble)、vss(very slightly soluble)、ss(slightly soluble)、sps(sparingly soluble)などに分類される物質であってもよい。(O.Wolk、et al、Drug Design、Development and Therapy、8(2014)pp1563‐1575)前記目的物質の中で薬物の例として、パクリタキセル(Paclitaxel)、デオキシコール酸(Deoxycholic acid)、シクロスポリン(Cyclosporine)、ミノキシジル(Minoxidil)、フィナステリド(Finasteride)、ラタノプロスト(Latanoprost)、ミコナゾール(Miconazole)、プレドニゾロン(Prednisolone)、フルオロメトロン(Fluorometholone)またはプロスタグランジン類(Prostaglandin analog)などのように水に対して難溶性(insoluble or poorly‐soluble)である薬物や、このような薬物の薬学的に許容される塩(salt)あるいはこのような薬物の誘導体(derivatives)を含むことができ、またはこれらの組み合わせを含むことができ、これに限定されない。また、前記目的物質はクルクミン(Curcumin)のように水に対して難溶性である栄養成分や美容効果を持つ活性物質であってもよく、分散組成物の用途や目的によって多様な物質であってもよい。
【0021】
「多表面体(Medium with a plurality of surface)」は多孔性物質(porous materials)あるいは非多孔性物質(non‐porous materials)あるいはこれらの混合物で構成され、粒子内空隙(intraparticle pore)や粒子間空隙(interparticle pore)あるいはこれらの混合を含む媒体である。すなわち、前記多表面体内の空隙は粒子内空隙であるか、または粒子間空隙である。多表面体が例えば、物質の内部に気孔を含む多孔性物質(porous material)である場合、多表面体内の空隙は多孔性物質内に含まれた粒子内空隙であってもよい。例えば、前記多表面体が非多孔性粒子が集まったり積もって形成された凝集体または集合体(2次粒子、粉末あるいは充てん層など)として形成された場合、多表面体内の空隙は粒子間空隙である。例えば、前記多表面体が多孔性粒子と非多孔性粒子が混合されて集まったり積もって形成された凝集体または集合体(2次粒子、粉末あるいは充てん層など)として形成された場合、多表面体内の空隙は粒子内空隙あるいは粒子間空隙である。すなわち、多表面体は多様な形態の多孔性物質または任意の多孔性あるいは非多孔性粒子で構成された凝集体または集合体であり得る。
【0022】
前記多表面体空隙の平均サイズは約1nmないし約1μmであってもよい。例えば、前記多表面体空隙の平均サイズは約1nmないし約100nmであってもよい。例えば、前記多表面体空隙の平均サイズは約1nmないし約50nmであってもよい。例えば、前記多表面体空隙の平均サイズは約1nmないし約30nmであってもよい。前記範囲の空隙の大きさを持つ多表面体を使用することで、所定の目的とする大きさで粒子を形成するように役立つことができる。前記多表面体の孔隙率は約5ないし約97%(v/v)である。例えば、前記多表面体の孔隙率は約20ないし約60%(v/v)である。例えば、前記多表面体がエアロゲルである場合、孔隙率は約90ないし約97%(v/v)である。
【0023】
例えば、前記多表面体はシリカゲル(Silica gel)、シリカキセロゲル(Silica xerogel)、メソポーラスシリカ(Mesoporous Silica)、ヒュームドシリカ(Fumed Silica)、メソポーラスアルミナ(Mesoporous Alumina)、メソポーラス金属酸化物(Mesoporous metal oxides)、メソポーラス材料(Mesoporous material)、炭(Charcoal)、活性炭(Activated Carbon)、エアロゲル(aerogel)、ゼオライト(Zeolite)、分子篩(Molecular Sieve)、金属‐有機骨格体(Metal‐Organic Framework)、有機/無機ハイブリッド多孔性物質などであってもよく、天然物質、合成物質あるいは生物学的物質(Biological material)であってもよく、結晶質(crystalline)あるいは非結晶質(amorphous)であってもよく、組成、材質、構造、合成/製造方法などに限定されない。前記多表面体内の気孔は、形状、大きさ、生成方法、配列構造(規則的あるいは不規則的)などが様々である。前記多表面体は任意の大きさと形状を持つ粒子形態、複数の粒子が集まった2次粒子(secondary particles)形態、任意の大きさと形状を持つ粒子からなる粉末(powder)形態、粒子が積もって形成された充てん層(packed bed)形態、固体フォーム(solid foam)形態あるいは膜(membrane)またはシート(sheet)形態であってもよく、その形態に限定されない。また、前記多表面体は単独物質だけでなく、少なくとも2種以上の物質を含むことができ、また、これらの混合物であってもよい。
【0024】
すなわち、前記多表面体は粒子内あるいは粒子間空隙の大きさ、形状、空隙率、または所定の表面積、表面の物理化学的特性などが本発明の方法と組成物の用途に適すれば、多表面体の材質、相(phase)、結晶質あるいは非結晶質可否、組成、大きさ、形状、形態、形成方式や集合方式、空隙の配列構造、または前記多表面体の空隙が粒子内あるいは粒子間空隙であるか否か、前記多表面体が多孔性物質であるか非多孔性物質であるかなどに制限がない。
【0025】
「混合液製造用溶媒」は前記目的物質を意図する含量で溶解させることができる溶媒として、目的物質を目標とする含量で溶解させることができるように飽和溶解度や極性(polarity)など溶媒物性を考慮して選定されることができる。前記目的物質は分散媒より前記混合液製造用溶媒にもっと高含量で溶解されることができる。例えば、前記混合液製造用溶媒に対する前記目的物質の溶解度が分散媒に対する前記目的物質の溶解度より大きい。例えば、前記混合液製造用溶媒は、水、アルコール(メタノール、エタノールなど)、アセトン、酢酸、アセトニトリル、エチルアセテート、メチレンクロライド、クロロホルム、ジメチルスルホキシド(DMSO)などの有機溶媒、ポリエチレングリコール(PEG)、マンニトール、ソルビトールなどの糖類などを含むことができ、これらの2以上の組み合わせを含むことができ、これに限定されない。前記混合液製造用溶媒は分散媒に親和的であるか非親和的であってもよい。前記混合液製造用溶媒は前記分散媒に混和されたり(miscible)、混和されなかったり(immiscible)、不完全混和される(partially miscible)ことがある。前記混合液製造用溶媒は、親水性物質、疎水性物質または両親媒性物質であってもよい。前記混合液製造用溶媒は、極性、非極性または両親媒性であってもよい。前記混合液製造用溶媒は揮発性化合物であってもよい。前記混合液製造用溶媒を最終的に取り除いて前記分散組成物製造の際に前記混合液製造用溶媒が揮発性化合物である場合、その除去が容易である利点がある。前記混合液製造用溶媒は分散媒より沸点が低い化合物であり得る。前記混合液製造用溶媒を最終的に取り除いて前記分散組成物製造の際に前記混合液製造用溶媒が分散媒より沸点が低い化合物である場合、分離工法(separation process)の一つである蒸留(distillation)で除去が容易である利点がある。
【0026】
「混合液」は前記目的物質を前記混合液製造用溶媒と混合して前記目的物質が前記混合液製造用溶媒に溶解された(dissolved)状態で得られた溶液(solution)である。例えば、前記混合液は前記目的物質を約0.01%(w/v)ないし約50%(w/v)の含量で含むことができる。具体的に、前記混合液(A)は前記目的物質を約0.1%(w/v)ないし約10%(w/v)の含量で含むことができる。前記混合液の中で前記目的物質の含量は前記目的物質の前記混合液製造用溶媒に対する溶解度を考慮して決まることができ、それに合わせて前記混合液製造用溶媒の種類を選択することができる。
【0027】
「工程流体」は前記混合液を多表面体と接触させる時、接触容易性、生産性増大あるいは混合液の多表面体内での滞留時間調節などを目的として、多表面体接触の際に混合液とともに使われる流体である。前記工程流体は混合液の接触容易性、生産性あるいは滞留時間などを調節するために粘度や表面張力などを考慮して選定され、混合液と多表面体が接触する過程で目的物質が析出(precipitation)されたり固相化(solidification)されないように目的物質の溶解度や混合液製造用溶媒との混和性(miscibility)などを適宜考慮して種類を選定することができる。前記工程流体は前記混合液製造用溶媒と同一または相違であるか、または混合液製造用溶媒と他の流体との混合物であってもよい。
【0028】
「分散媒」は分散組成物の構成要素の中で連続相(continuous phase)に該当し、用途によって多様な物質が使われることができる。例えば、薬学的組成物であれば、水、食塩水(saline solution)あるいは水溶液バッファー(buffered aqueous solution)である。本発明の分散組成物で目的物質の含量は分散媒での飽和溶解度を超過することができる。
【0029】
前記分散媒は極性(polar)または親水性(hydrophilic)溶媒であってもよい。例えば、前記極性または親水性溶媒は、水、メタノール、エタノール、グリセロール、ポリオールなどであってもよい。例えば、前記分散媒を水にし、目的物質を水に対して難溶性であるパクリタキセル、デオキシコール酸、シクロスポリン、ラタノプロスト、ミコナゾール、クルクミンなどにすることができる。前記分散媒は非極性(non‐polar)または疎水性(hydrophobic)溶媒であってもよい。例えば、前記非極性または疎水性溶媒は、炭化水素(hydrocarbon)、シリコーンオイル(silicone oil)、エチルアセテート、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)などであってもよい。例えば、前記分散媒をヘキサン(hexane)にし、目的物質をヘキサンに対して難溶性である糖類(saccharides)または葡萄糖(glucose)などにすることができる。また、前記分散媒は両親媒性(amphiphilic)溶媒であってもよい。また、前記分散媒は極性あるいは非極性溶媒に両親媒性溶媒が添加されることができる。前記分散媒はそれに対する前記目的物質の溶解度、物理化学的物性差及び前記分散組成物を適用する用途などを多様に考慮してその種類や組成が選択されることができ、1種または2種以上の混合によって使われることができる。例えば、前記分散媒は有機溶媒であってもよい。
【0030】
「粒子(particle)」は任意の組成、形状、大きさまたは構造を持つ、複数の分子の会合体(association of multiple molecules)と定義され、分散組成物で不連続相(discrete phase)である分散相(dispersed phase)に該当する。本発明で分散組成物内粒子は、目的物質以外に補助剤、添加剤物質をさらに含むことができる。
【0031】
「分散組成物(dispersion composition)」は、前記目的物質を含む粒子が前記分散媒と区別される不連続相(discrete phase)として連続相である分散媒に分散(dispersion)されている組成物である。前記分散組成物は前記目的物質を含む粒子が前記分散媒と区分される相違な相として粒子と分散媒との間に界面(interfaceまたはinterphase boundary)を形成して前記分散媒に分散(dispersion)されているので、目的物質が溶質(solute)として溶媒(solvent)に溶解された状態(dissolved)で存在する単一相(single phase)溶液(solution)とは区別された状態である。前記分散組成物は、粘度、浸透圧、pH、イオン強度、表面張力、色、味、香など目的する用途や投与経路によって要求される物性と品質を調節するための添加剤や補助制をさらに含むことができる。
【0032】
「界面活性剤(surfactant)」は分子内で構造的に親水性頭(hydrophilic head)と疎水性しっぽ(hydrophobic tail)を一緒に保有し、分散媒内で表面張力(surface tension)や界面張力(interfacial tension)を下げる表面活性(surface active)、両親媒性(amphiphilic)物質として、分散組成物に分散媒より少量添加されて目的物質と分散媒の界面(interface)に主に分布して目的物質の分散を手伝ったり、分散状態を安定化させることができる物質あるいはこのような機能をする物質を通称する。界面活性剤(surfactant)は用途や産業によって、乳化剤(emulsifier)あるいは洗剤(detergent)などとも称される。前記界面活性剤は単量体(monomer)、オリゴマー(oligomer)あるいは重合体(polymer)であってもよく、様々な分子量を持つことができる。また、前記界面活性剤は陽イオン(cationic)、陰イオン(anionic)、非イオン(nonionic)あるいは双性イオン(zwitterionic)であってもよく、イオン状態がpHによって変化することができる。また、前記界面活性剤は天然物質、合成物質あるいは生物学的物質(Biological material)であってもよく、複数の物質が混合(mixture)されて使われることができ、これに限定されない。
【0033】
「スレッショルドミセル濃度(CMC、Critical Micelle Concentration)」は分散媒に添加された界面活性剤が自己組み立て(self‐assembly)してコロイドサイズ(1nm‐1μm)の粒子(以下、ミセル、micelleで通称)を形成する濃度を意味する。目的物質の分散媒に対する溶解度は界面活性剤がスレッショルドミセル濃度未満である場合、目的物質の飽和溶解度(saturated solubility、特定目的物質の特定分散媒に対する飽和溶解度は、目的物質の種類、組成、相(phase)及び含量、分散媒の種類と組成、そして温度及び圧力などを含む条件によって固有の値で決まる。例えば、前記目的物質の前記分散媒に対する飽和溶解度は、広く知られているデータベースである「The Merck Index:An Encyclopedia of Chemicals、Drugs and Biologicals」やPubChem:Open Chemistry Database at the National Institutes of Health(NIH)などに記載している)を持つが、分散媒に添加された界面活性剤の濃度がスレッショルドミセル濃度を超過すれば、ミセルの量に比例して増加する挙動(ミセル可溶化、solubilization by micelleまたはmicellar solubilization)を示すことがよく知られている(M.J.Rosen、J.T.Kunjappu、Surfactants and Interfacial Phenomena、Fourth edition、2012、Wiley)。例えば、参考文献M.J.Rosen & J.T.Kunjappu、「Surfactants and Interfacial Phenomena」、4th Ed、Wiley(2012)、pp141‐143、p155に多様な界面活性剤のスレッショルドミセル濃度の値が記載されている。
【0034】
「モル可溶化容量(Molar Solubilization Capacity、κ)」はスレッショルドミセル濃度(CMC)を超過する界面活性剤1モル当たり前記分散媒に可溶化される目的物質のモル数として下記数式9で定義され、通常1未満の値を持つ。下記数式9において、Sは前記目的物質の前記分散媒に対する固有値であるモル飽和溶解度で、Stotは分散組成物に含有された目的物質の総モル含量を、Csurfは分散組成物に含有された界面活性剤の総モル含量を示す(Rangel‐Yagui CO、Pessoa A Jr、Tavares LC.、J Pharm Pharm Sci.20058(2):147‐65.)。目的物質の含量(y軸)を界面活性剤含量(x軸)によって測定してグラフで示すと、界面活性剤がないか、または含量がCMC以下である場合、目的物質の含量は飽和溶解度であるか、または飽和溶解度を大きく脱することができない。界面活性剤がCMCを超過し始めると、目的物質の含量が界面活性剤の含量に比例して線形的に増加する挙動を示す(ミセル可溶化、solubilization by micelleまたはmicellar solubilization)。モル可溶化容量(κ)は前記グラフで直線区間の勾配(slope)に該当し、界面活性剤の単位量で可溶化させることができる目的物質の量を表す指標として、モル可溶化容量(κ)が高い界面活性剤は可溶化効率が高いことを意味する。モル可溶化容量(κ)は、界面活性剤、目的物質及び分散媒によって固有値を持つ物性に該当する。
【0035】
【数2】
【0036】
「可溶化剤(solubilizer)」は目的物質及び分散媒と相違する(distinct)物質として、目的物質が分散媒に分散された分散組成物に分散媒より少量添加され、目的物質の含量を目的物質の分散媒内の飽和溶解度を超過する含量で増大させる役目をする物質を通称する。例えば、シクロデキストリン(cyclodextrin)、リポソーム(liposome)、オイル(oil)、液相、固相あるいはナノ構造化されたリピド(liquid、solid or nanostructured lipid)、金属/有機/無機ナノ粒子(metallic、organic、inorganic nanoparticle)、多孔性媒体(porous medium)、水溶性高分子(water‐soluble polymer)、抗体(antibody)などであってもよく、これらの2以上の組み合わせを含むことができ、これに限定されない。目的物質は前記可溶化剤と多様な物理化学的機構(mechanism)を通じて分散媒での飽和溶解度を超過する含量で含有されることができる。このような物理化学的機構としては、錯体(complexation)、包接(inclusion)、カプセル化(encapsulation)、結合(conjugation)、吸着(adsorption)、吸収(absorption)、溶解(dissolution)などがあって、これに限定されない。界面活性剤は表面活性能(分散媒の表面/界面張力を減少させる物性)があって、分散媒内でスレッショルドミセル濃度という特性値濃度を示し、分散媒内で濃度がスレッショルドミセル濃度を超過すれば自己組み立ててミセルを形成し、ミセルが形成されることによって物理化学的物性(浸透圧、濁度、拡散係数、表面張力、電気伝導度など)がミセル形成以前と相違となり、目的物質が形成されたミセルに選択的に分布するなど、機構(mechanism)や物性が他の可溶化剤とはっきり区分され、本発明では可溶化剤と区分して別途物質として取り扱われ、可溶化剤と区分して称される。
【0037】
本明細書において、別途記載がない限り、用語(terminology)は、International Union of Pure and Applied Chemistry(IUPAC)の定義及び勧告にしたがう。
【0038】
以下、本発明の具現例を詳しく説明する。ただし、これは例示として提示されるものであって、これによって本発明が制限されず、本発明は後述する請求項の範疇によって定義される。
【0039】
本発明の一具現例による分散組成物は、ミセル可溶化技術によって可溶化させることができる最大量(Smicelle)を超過して目的物質を分散媒に安定的に分散させて含有する分散組成物を提供する。既存のミセル可溶化技術では目的物質を可溶化(solubilization)させることができる最大量(Smicelle)より高い含量で目的物質を分散媒に安定的に分散させることができなかった。
【0040】
本発明の一具現例において、混合液製造用溶媒及び工程流体を取り除いて得た、分離された固相の目的物質結果物を提供する。
【0041】
本発明の一具現例による分散組成物において、前記目的物質はシクロスポリンAである。
【0042】
本発明の一具現例において、前記分離された固相の目的物質結果物を別に用意された分散媒、界面活性剤及び必要な添加剤などと混合して前記分離された固相の目的物質が分散媒に分散された分散組成物であり、前記分散組成物はミセル可溶化技術で可溶化させることができる最大量(Smicelle)を超過して目的物質を分散媒に安定的に分散させて含む分散組成物である。
【0043】
本発明の一具現例は界面活性剤の含量を既存のミセル可溶化技術で必要な量より下げながらも高い目的物質含量を持つ(すなわち、可溶化効率を高めた)分散組成物を提供しようとする。
【0044】
本発明の一具現例は既存ミセル可溶化技術で可溶化させることができる含量を超過して目的物質を含む分散組成物を提供する。
【0045】
本発明の一具現例は界面活性剤の含量を既存のミセル可溶化技術で必要な量より下げて、生体利用率あるいは治療効能を向上させた薬学的組成物を提供する。
【0046】
本発明は薬物にのみ限らず、溶解度を高めたり、生体内での生体利用率を高める分野に同一に適用されることができる。例えば、化粧品分野で美容効果に優れる物質の中で多数が溶解度が不良であって最終剤形に多様な添加剤が付け加えられている。こうして作られた美容製品は、その剤形が不透明で審美感が悪く、肌に触れる肌触りが優秀ではない。また、過多に付加された添加剤が毛穴を密閉して有効物質の容易な吸収を邪魔する。このように、本発明は特定の目的物質や特定の分散媒あるいは特定の効能/機能に限定されない。
【0047】
分散組成物が1種の界面活性剤をスレッショルドミセル濃度を超過して含む場合、既存のミセル可溶化技術で可溶化させることができる目的物質の最大含量は、次の数式1と2を通じて得られたSmicelle値で決まる。
【0048】
<数式1>
micelle=S+Ssurf
前記数式1において、Sは前記目的物質の前記分散媒に対する飽和溶解度に該当する濃度で、Ssurfは下記数式2によって計算される。
【0049】
<数式2>
surf=k(Csurf‐CMC)
前記数式2において、kは使われた界面活性剤と目的物質に対して前記分散媒で測定されて知られたモル可溶化容量(κ)、Csurfは前記組成物に添加された界面活性剤成分のモル濃度で、CMCは前記分散媒で特定されて知られた界面活性剤のスレッショルドミセルモル濃度である。Ssurfは、したがって、目的物質、界面活性剤及び分散媒に対して測定されて知られた物性(κ、CMC)を活用して計算されることができる。
【0050】
S‐パラメータは本発明の一具現例による分散組成物に含有された目的物質の総含量(Stot)を、既存のミセル可溶化技術で可溶化させることができる目的物質の最大含量(Smicelle)で除した値で、数式3によって計算される。
【0051】
<数式3>
S‐パラメータ=Stot/Smicelle
【0052】
本発明で具現された分散組成物が1種の界面活性剤をスレッショルドミセル濃度を超過して含む場合、分散組成物で安定的に含有されることができる目的物質の含量(Stot)は前記Smicelle(数式1と2)値を超過する。すなわち、本発明で具現された1種の界面活性剤を含む分散組成物のS‐パラメータは1を超過する。一例として、本発明で具現された分散組成物でS‐パラメータ値は1.05以上、1.06以上、1.1以上、1.2以上、1.5以上、2以上、3以上であってもよい。
【0053】
後述される方法によって製造されることができる本発明の一具現例による分散組成物において、前記S‐パラメータは1を超過する値に具現される。また、後述される本発明の一具現例による固相の目的物質(例えば、粉末であり得る)を利用して製造される分散組成物において、前記S‐パラメータは1を超過する値に具現される。
【0054】
micelleは目的物質及び界面活性剤と分散媒に対して実験的に測定された物性を活用して計算された値であるため、既存のミセル可溶化技術で具現された分散組成物で目的物質の含量はSmicelleを超過することができず、よって、既存のミセル可溶化技術で具現された分散組成物のS‐パラメータは1以下である。しかし、前述したように、前記本発明で具現された分散組成物はS‐パラメータが1を超過するので、本発明は既存のミセル可溶化技術で可溶化させることができる限界を超えて、より高い含量の目的物質を含む分散組成物を具現することができる。これを界面活性剤の側面で表現すれば、本発明は既存のミセル可溶化技術で特定の目的物質の含量を可溶化させるために必要な界面活性剤より少量の界面活性剤を使用しても、前記特定の目的物質の含量を含む分散組成物を具現することができるという意味である。
【0055】
前述したように、既存のミセル可溶化技術では界面活性剤が目的物質を可溶化させることができる最大量(Smicelle)より高い含量で分散媒に目的物質を安定的に分散させることができないので、既存のミセル可溶化技術によって界面活性剤を含んで調剤された分散組成物に対する前記S‐パラメータが1を超過することができないことは概念の定義上当然である。
【0056】
しかし、既存のミセル可溶化技術によって界面活性剤を含んで調剤された分散組成物に対して前記S‐パラメータを実験的に測定する場合、測定誤差によって前記S‐パラメータが1を超過する値で測定/計算されることができる。本発明は実験的誤差または測定誤差によってS‐パラメータが1を超過する値で得られる、既存のミセル可溶化技術によって界面活性剤を含んで調剤された分散組成物の場合を含むように意図しない。
【0057】
一方、前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分が2種以上存在する場合、これらの各種類ごとに下記数式4によって得たSsurf(i)を計算し、下記数式5によってこれらの和としてSsurf値を得る。
【0058】
<数式4>
surf(i)=ksurf(i)(Csurf(i)‐CMCsurf(i)
前記数式4において、ksurf(i)は任意の1種の界面活性剤と目的物質に対して前記分散媒で測定されて知られたモル可溶化容量(κ)であり、Csurf(i)は前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種の濃度であり、CMCsurf(i)は前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種の前記分散媒で測定されて知られたスレッショルドミセル濃度である。
【0059】
【数3】
前記数式5において、mは前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の種類の総数である。前記数式5は使われた界面活性剤の可溶化容量間の和の法則(additivity rule、すなわち、複数の界面活性剤で可溶化される目的物質の含量は、各々の界面活性剤で可溶化される量の単純和と同一である)にしたがう場合であれば、複数の界面活性剤が分散媒でそれぞれ純粋(pure)ミセルを形成しても、混合(mixed)ミセルを形成しても構わず、有効に適用される。
【0060】
本発明の実施例で目的物質として使用されたシクロスポリンAに対して、PEG(polyoxyethylene glycol)に基づく非イオン性(non‐ionic)界面活性剤の間には前記和の法則が有効に適用されることが知られている(Feng et al、J.Pharmaceutical Sciences、Vol.107(8)、2018、2079‐2090)。PEG(polyoxyethylene glycol)に基づく非イオン性(non‐ionic)界面活性剤の例としては、ポリソルベート(Polysorbates、例えば、Tween20、40、60、80など)、ポリエトキシル化されたキャスター(castor)オイル(例えば、Polyoxyl 35 castor oilであるKolliphor ELあるいはCremophor EL、Marlowet 40、Emulgin RO40など)、ポリエトキシル化された水素化(hydrogenated)キャスター(castor)オイル(例えば、Cremophor RH40など)、ポリエトキシル化された脂肪アルコール(fatty alcohol、例えば、Brij 30、Brij 35など)、ポリエトキシル化された脂肪酸(fatty acid、例えば、Myrj 52、Myrj 59など)、ポリエトキシル化された水酸化脂肪酸(hydroxy fatty acid、例えば、Kolliphor HS 15、Solutol HS 15など)、ビタミンE TPGS(Vitamin E TPGS、Vitamin E Tocopheryl Polyethylene Glycol Succinate)、ポロキサマー(Poloxamer、例えば、Poloxamer 407、Lutrol F127、Poloxamer 188、Lutrol F68など)などがあって、これに限定されない。また、前記PEG(polyoxyethylene glycol)に基づく非イオン性界面活性剤間の和の法則は、本発明の実施例に使われたシクロスポリンAだけでなく、プロゲステロン(progesterone)、リトナビル(ritonavir)、ブチルパラベン(butylparaben)など相違する化学構造と物理化学的物性を持つ多様な薬理学的活性物質に対しても有効であることが知られている(Feng et al、J.Pharmaceutical Sciences、Vol.107(8)、2018、2079‐2090)。すなわち、ミセル可溶化技術で可溶化させることができる目的物質の最大量(Smicelle)は使われた界面活性剤、目的物質及び分散媒に対して実験的に測定されて知られた物性(κ、CMCなど)を活用して計算されることができ、ミセル可溶化技術として目的物質を可溶化させた既存の組成物が含むことができる目的物質の含量は前記Smicelleを超過することができない。
【0061】
ミセル可溶化技術で具現された既存の分散組成物が2種以上の界面活性剤をスレッショルドミセル濃度を超過して含む場合、前記2種以上の界面活性剤で可溶化させることができる目的物質の最大含量は前記数式1と4、5を通じて得られたSmicelle値で決まる。
【0062】
本発明で具現された分散組成物が2種以上の界面活性剤をスレッショルドミセル濃度を超過して含む場合、分散組成物で安定的に含むことができる目的物質の含量は前記Smicelle(数式1と4、5)値を超過する。すなわち、本発明で具現された2種以上の界面活性剤を含む分散組成物のS‐パラメータは1を超過する。一例として、本発明で具現された分散組成物でS‐パラメータ値は1.05以上、1.06以上、1.1以上、1.2以上、1.5以上、2以上、3以上であってもよい。
【0063】
micelleは目的物質及び界面活性剤と分散媒に対して実験的に測定された物性を活用して計算された値であるため、既存のミセル可溶化技術で具現された分散組成物で目的物質の含量はSmicelleを超過することができず、よって、既存のミセル可溶化技術で具現された分散組成物のS‐パラメータは1以下である。しかし、本発明で具現された分散組成物はS‐パラメータが1を超過するので、本発明は既存のミセル可溶化技術で可溶化させることができる限界を超えて、より高い含量の目的物質を含む分散組成物を具現することができる。すなわち、本発明の分散組成物が2種以上の界面活性剤を含む場合、使用された界面活性剤の種類や総数、あるいは目的物質の種類が何であれ、本発明で具現された分散組成物はS‐パラメータが1を超過することができる。これを界面活性剤の側面で表現すれば、本発明は既存のミセル可溶化技術で特定の目的物質の含量を可溶化させるために必要な界面活性剤より少量の界面活性剤を使用しても前記特定の目的物質含量を含有する分散組成物を具現することができるという意味である。
【0064】
前述したように、既存のミセル可溶化技術では界面活性剤が目的物質を可溶化させることができる最大量(Smicelle)より高い含量で分散媒に目的物質を安定的に分散させることができないので、既存のミセル可溶化技術によって界面活性剤を含んで調剤された分散組成物に対する前記S‐パラメータが1を超過することができないことは概念の定義上当然である。
【0065】
しかし、既存のミセル可溶化技術によって界面活性剤を含んで調剤された分散組成物に対して前記S‐パラメータを実験的に測定する場合、測定誤差によって前記S‐パラメータが1を超過する値で測定/計算されることができる。本発明は実験的誤差または測定誤差によってS‐パラメータが1を超過する値で得られる、既存のミセル可溶化技術によって界面活性剤を含んで調剤された分散組成物の場合を含むように意図しない。
【0066】
前述したように、本発明は既存のミセル可溶化技術で可溶化させることができる限界を超えてもっと高い含量の目的物質を含む分散組成物を具現することができる。これは後述する本発明の工程で混合液と多表面体を接触させながら誘導/促進/引き起こす、後述する物理化学的相互作用によって、混合液内の目的物質分子の分子群集化や配列や形態体の形成が特定の方向/形態で誘導/促進/引き起こされて、以後形成される固相の目的物質の表面特性が変化することに起因するものと推定される。変化された目的物質の表面特性と添加された界面活性剤間の相互作用が既存に比べて変化し、既存と大きさや物性が変化されたミセルが形成されたり、目的物質のミセル‐分散媒間の分配係数(partition coefficient)が既存の公知技術と相違になったり、ミセル可溶化機構(mechanism)とは相違する新しい機構が作動するなど複数の理論と説明が可能である。前述した理論と説明は科学的根拠と論理的有効性を持っているが、本発明の結果物の具現が前述した理論や説明のみで可能であると限定されることではない。糾明されていない他のメカニズムが作動したり、前述した理論や説明に追加して第3の機構が複合的に作動することができる。具体的な分子単位機構が何であれ、本発明で既存のミセル可溶化技術で可溶化させることができる限界を超えてもっと高い含量の目的物質を含む分散組成物を具現することができ、これは前述したS‐パラメータ分析を通じて既存の分散組成物と係数的な対比を通じて確認することができる。
【0067】
本発明の一具現例において、分散媒;及び目的物質を含む粒子を含む分散組成物を提供し、
前記分散組成物はスレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤を少なくとも1種を含み、
前記分散組成物は可溶化剤を含まず、
前記目的物質はシクロスポリンAで、
前記分散組成物が界面活性剤1種を含む場合、数式1及び数式2によって計算される数式3のS‐パラメータがS‐パラメータ>1を満たし、
前記分散組成物はスレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤を少なくとも2種を含む場合、界面活性剤の各種類ごとに下記数式4によって得たSsurf(i)を計算し、下記数式5によってこれらの和としてSsurf値を得て、このように計算されたSsurf値を前記数式1に適用して得た数式3のS‐パラメータがS‐パラメータ>1を満たす。
<数式1>
micelle=S+Ssurf
前記数式1において、Sは前記目的物質の前記分散媒に対する飽和溶解度に該当する濃度で、Ssurfは下記数式2によって計算される。
<数式2>
surf=k(Csurf‐CMC)
前記数式2において、kは1モルの前記スレッショルドミセル濃度以上の1種の界面活性剤によって前記分散媒に分散されることができる前記目的物質のモル数で定義されるモル可溶化容量(molar solubilization capacity)で、Csurfは前記組成物で界面活性剤成分のモル濃度で、CMCは前記組成物で界面活性剤のスレッショルドミセルモル濃度である。
<数式3>
S‐パラメータ=Stot/Smicelle
前記数式3において、Stotは分散組成物に含有された前記目的物質の総モル含量である。
<数式4>
surf(i)=ksurf(i)(Csurf(i)‐CMCsurf(i)
前記数式4において、ksurf(i)は1モルの前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種によって前記分散媒に分散されることができる前記目的物質のモル数で定義されるモル可溶化容量(molar solubilization capacity)で、Csurf(i)は前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種の濃度であり、CMCsurf(i)は前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の任意の1種の前記分散媒でのスレッショルドミセル濃度である。
【数4】
前記数式5において、mは前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤成分の種類の総数である。
【0068】
前記分散組成物が前記スレッショルドミセル濃度以上の界面活性剤を2種以上含む場合、総分散させることができる前記目的物質の含量は各界面活性剤の種類ごとに分散させることができる前記目的物質の含量の和にしたがうように前記界面活性剤の種類が選択されることができる。
【0069】
前記分散組成物は前記目的物質を前記分散媒に対する飽和溶解度に該当する含量を超過する含量で含むことができる。
【0070】
本発明の分散組成物の分散相である粒子は、1種以上の目的物質を含むことができる。前記粒子が複数種類の目的物質を含む場合、「前記目的物質の含量は前記目的物質の前記分散媒に対する飽和溶解度に該当する含量を超過」する意味は、前記複数種類の物質の中で少なくとも一つの物質が前記分散媒に対する飽和溶解度に該当する含量を超過する含量で含まれることを意味する。また、前記粒子は前記目的物質以外にも添加剤をさらに含むことができる。
【0071】
前記粒子は、結晶質(crystalline)であるか、非結晶質(amorphous)であるか、これらが混在されることができる。一具現例において、前記目的物質は薬物で、前記粒子は非結晶質(amorphous)あるいは結晶質(crystalline)である。前記粒子は、一成分(single component)あるいは多成分(multicomponent)であってもよい。前記粒子は、単一相(single phase)あるいは多重相(multiphase)であってもよい。
【0072】
本発明で具現された分散組成物内で目的物質を含む粒子の数平均直径が約100nm以下の大きさを持つ。
【0073】
一具現例において、前記数平均直径が約80nm以下であってもよい。
【0074】
一具現例において、前記数平均直径が約50nm以下であってもよい。
【0075】
一具現例において、前記数平均直径が約1nmないし約20nmであってもよい。
【0076】
一具現例において、前記数平均直径が約1nmないし約10nmであってもよい。
【0077】
一具現例において、前記数平均直径が約1nmないし約5nmであってもよい。
【0078】
前記分散組成物は透明である。もし粒子の大きさが小さくて、集まったり沈まない状態であれば、その分散組成物の透過度は高い状態で維持される。前記粒子がナノメートル単位の大きさで形成されて前記分散組成物が透明に形成され、透過度が高い。透過度は特定波長に対する透過度や濁度で測定することができ、肉眼検査でも透明であることを確認することができる。
【0079】
前記分散組成物は分散安定性に優れる。前記分散組成物は前記目的物質が前記分散媒に対する飽和溶解度を超過する含量で含みながらも安定的に分散されている。例えば、前記分散組成物は肉眼検査で時間の経過によって透明度が維持されたり沈澱が発生しないことを観察して安定性を確認することができる。また、他の例として、光学測定で得られた透過度(transmittance)や濁度(turbidity)などのように粒子の大きさに敏感な物性あるいは動的光散乱(DLS、Dynamic Light Scattering)で測定された粒子の大きさ(Z‐avg or mean particle diameter)などを時間の経過によって測定して、その変化率を通じて分散安定性を確認することができる。
【0080】
また、分散安定性は時間が経過することによる目的物質の含量変化によっても測定することができる。粒子が集まったりする理由によって沈むようになれば、フィルタリング以後測定される高性能液体クロマトグラフィー(HPLC、High Performance Liquid Chromatography)含量が時間の経過によって減るようになる。よって、フィルタリング後に測定される高性能液体クロマトグラフィー含量が時間の経過によって組成物生成直後の値で維持されるのかを調査して分散安定性を確認することができる。
【0081】
例えば、前記分散組成物は前記粒子の数平均直径が100nm以下の大きさを持つ分散状態を約24時間以上安定的に維持することができる。
【0082】
他の例を挙げると、前記分散組成物は前記粒子の数平均直径が100nm以下の大きさを持つ分散状態を約1週間以上安定的に維持することができる。
【0083】
他の例を挙げると、前記分散組成物は前記粒子の数平均直径が100nm以下の大きさを持つ分散状態を約1ヶ月以上安定的に維持することができる。
【0084】
他の例を挙げると、前記分散組成物は前記粒子の数平均直径が100nm以下の大きさを持つ分散状態を約3ヶ月以上安定的に維持することができる。
【0085】
他の例を挙げると、前記分散組成物は前記粒子の数平均直径が100nm以下の大きさを持つ分散状態を約12ヶ月以上安定的に維持することができる。
【0086】
本発明の一具現例において、前記分散組成物から前記分散媒を取り除いて得られた固相の物質を提供する。
【0087】
本発明の一具現例において、前記固相の物質を前記目的物質として適用して前述した分散組成物が得られる。
【0088】
本発明の一具現例において、前記分散組成物から前記分散媒を取り除いて得られた固相のシクロスポリンAを提供する。
【0089】
本発明の一具現例において、前記固相のシクロスポリンAを前記目的物質として適用して前述した分散組成物が得られる。
【0090】
本発明の他の具現例において、前記目的物質として適用されることができる固相の物質を提供する。すなわち、前記固相の物質を前記目的物質として適用して前記分散組成物が得られる。
【0091】
一具現例において、前記目的物質はシクロスポリンAで、前記固相の物質は固相のシクロスポリンAである。
【0092】
前記固相の物質はミセル可溶化技術で可溶化させることができる最大量(Smicelle)を超過して分散媒に安定的に分散されることができる。その結果で得られた分散組成物は前述したように、数式3のS‐パラメータがS‐パラメータ>1を満たし、詳しい説明は前述した分散組成物に対する説明と同一である。これは本発明の工程で混合液と多表面体を接触させながら誘導/促進/引き起こす、後述する物理化学的相互作用によって混合液内の目的物質分子の分子群集化や配列や形態体の形成が特定の方向/形態で誘導/促進/引き起こされて、以後形成される固相の目的物質の表面特性が変化するためであると推定される。
【0093】
前記固相の物質は粉末であってもよい。
【0094】
本発明の一具現例による分散組成物は界面活性剤の含量が既存の公知技術の含量より低く、目的物質の溶解度だけでなく透過度も改善して結果的に生体利用率が向上されて治療効能に優れる。また、界面活性剤の含量を既存の公知技術より下げることで、前記界面活性剤が引き起こす環境公害や体内毒性/副作用などのような問題点を低減させたり防ぐ効果もある。例えば、薬学的組成物に界面活性剤として主に使われるPolyoxyl 35 castor oil(Kolliphor ELあるいはCremophor EL)は毒性がとても強い。また、シクロスポリンAの分散液を製造する時も、界面活性剤であるポリソルベート80(Polysorbate 80あるいはTween 80)が使われるが、この時の眼刺激がひどい短所がある。本発明の一具現例による分散組成物は、このような界面活性剤の含量が低いながらも安定的な分散状態を維持するので、毒性を持つ界面活性剤の副作用を低減させたり回避することができる。他の例を挙げると、本発明の一具現例による分散組成物を利用して製造された美容製品は、界面活性剤のような添加剤の含量を最小化した組成物として塗り性と浸透性などを向上して美容効果を向上させることができる。
【0095】
前記分散組成物または固相の物質(または固相の目的物質)は以下で説明される製造方法によって製造されることができる。
【0096】
前記製造方法は、目的物質と混合液製造用溶媒を混合して混合液を準備する段階;多表面体を準備する段階;混合液と多表面体を接触させる段階;を含むことができる。
【0097】
本発明の一具現例において、目的物質を含む混合液を多表面体と接触させる段階において、多表面体の粒子内空隙(intraparticle pore)や粒子間空隙(interparticle pore)あるいは空隙内/外部の表面と混合液間のせん断(shear)、空間的制約(confinement effect)、表面効果(surface effects)のような物理化学的(physico‐chemical)相互作用(interaction)を誘導/促進/引き起こすことができる。
【0098】
混合液は多表面体のナノメートルあるいはミクロメーターの大きさの粒子内あるいは粒子間空隙の間を通過しながら高いせん断率(shear rate)を受けるようになるが、このような高いせん断率の条件下で混合液内で目的物質分子の特定形態の分子群集化(clustering)や配列(arrangement/alignment)あるいは形態体形成(conformation)などが誘導/促進/引き起こされることができる。
【0099】
混合液が多表面体と接触する過程で多表面体に含有された数十ナノメートル以下の空隙(粒子内あるいは粒子間)内で目的物質分子が空間的に制約を受けるようになれば(confinement effect)、混合液内で目的物質分子の特定形態の分子群集化(clustering)や配列(arrangement/alignment)あるいは形態体形成(conformation)などが誘導/促進/引き起こされることができる。
【0100】
混合液が多表面体の空隙内/外部の表面と接触する時、多表面体の表面特性によって(例えば、極性、親水性あるいは表面作用基種類など)、混合液内で目的物質分子の特定形態の分子群集化や配列あるいは形態体形成などが誘導/促進/引き起こされることができる。
【0101】
混合液が多表面体と接触しながら多表面体内に滞留する時間(滞留時間)によって、混合液が多表面体との前記物理化学的相互作用をする時間が変化するようになって、混合液内で目的物質分子の特定形態の分子群集化や配列あるいは形態体形成などが容易に誘導/促進/引き起こされることができる。
【0102】
本発明の工程で混合液と多表面体を接触させながら誘導/促進/引き起こす前記物理化学的相互作用によって、混合液内で目的物質分子の分子群集化や配列や形態体形成が特定の方向/形態で誘導/促進/引き起こされて、以後形成される固相の目的物質あるいは目的物質を含む粒子の表面特性が分散媒ともっと親和的に変化すると推定される。例えば、水に難溶性である目的物質を水に分散させようとする時、本発明の工程を経ると、混合液内で目的物質の特定形態の分子群集化や配列あるいは形態体形成が誘導/促進/引き起こされ、以後形成される目的物質粒子の表面特性(surface characteristics)が分散媒である水にもっと親和的に変化し、水に対する分散性が向上され、これによって可溶化に必要な界面活性剤の量が減少する結果をもたらすものと推定される。
【0103】
混合液と多表面体を接触させる段階は、前記多様な物理化学的相互作用を誘導/促進/引き起こす過程であって、混合液を連続的に多表面体に通過させた(flow through)後、収集したり、あるいは通過された混合液を分散媒と接触あるいは混合させる段階を含む。この段階で必要の際に工程流体を混合液とともに順次あるいは並列的に多表面体に流すことができる。また、他の一具現例において、混合液を多表面体内の空隙に含侵(impregnate)させた後、液状の混合液を含む多表面体を分散媒と接触させて(単純混合など様々な方式であり得る)混合液を分散媒に送り出す(release)段階を含む。
【0104】
一具現例において、多孔性あるいは非多孔性物質からなる充てん層あるいは膜やシート形態の多表面体に混合液と工程流体を順次あるいは並列的に一緒に通過させ、直接収集して貫通液(flowthrough)を得る。前記貫通液で混合液製造用溶媒と工程流体を凍結乾燥あるいは常圧/減圧/真空乾燥や蒸留などで全て取り除いて、固相の目的物質(または前述した前記固相の物質)を得る。前記分離された固相の目的物質(または固相の物質)は粉末であり得る。このように得られた固相の目的物質(または固相の物質)と分散媒(例えば、水であり得る)及び1種以上の界面活性剤と最終組成物の目的と用途によって添加剤(浸透圧調節剤、増粘剤、pHバッファーなど)などを混合して目的とする分散組成物を得ることができる。特に、目的物質は前記分散媒に難溶性で、目的物質が前記分散媒に過飽和されて分散された状態であってもよい。前記例において、前記混合液が多表面体を通過(flow through)するように流す時、必要に応じて前記過程中、圧力(投入口と排出口の間の圧力差)や温度を調節して滞留時間を調節したり、物理化学的相互作用の度合い/強さを調節することができる。
【0105】
本発明による工程で混合液を多表面体を通過させて接触させる場合、目的物質の中で多表面体内に残留(retained)する量がとても少なく、したがって、殆ど(95%以上)の目的物質が多表面体を抜けるようになる。本発明による工程は混合液を多表面体と接触させながら目的物質分子に前記物理化学的相互作用を加えることが目的で、多表面体内で(空隙内であり得る)目的物質の固相化(solidification、crystallization or amorphization)や析出(precipitation)などのような熱力学的相転移(phase transition)を誘導/促進/引き起こすことが目的ではない。目的物質が多表面体内で固相化や析出などのような相転移されて残留するようになれば、本発明の結果物(固相の目的物質(または固相の物質)あるいは分散組成物)や本発明による効果/効能を具現しにくい。したがって、本発明による工程の際に、多表面体内に目的物質が残留しないように工程条件(例えば、滞留時間や流速など)を調節/制御することが重要である。
【0106】
本発明による工程で混合液を多表面体を通過させて接触させる場合、混合液と多表面体が接触する総時間に該当する滞留時間(tret)は下記数式7で計算される。下記数式7において、qはダルシー流速(Darcy flux)であって多表面体の単位断面積を単位時間当り通過する流体体積で、Lは流体が多表面体を通過する方向の多表面体ディメンション(dimension)である(多表面体が充てん層であれば、充てん層の高さに該当)。
【0107】
<数式7>
ret=L/q
【0108】
本発明による工程の際に、目的物質分子の特定形態の分子群集化や配列あるいは形態体形成などが誘導/促進/引き起こされるためには、秩序化(ordering)を引き起こす移流率(advection rate)が無秩序化(randomization)を引き起こす拡散率(diffusion rate)より優勢(dominant)しなければならない。これを滞留時間の観点で表現すれば、滞留時間が長すぎると、拡散が起きる時間が十分であって特定形態の分子群集化や配列あるいは形態体の形成が難しくなるので、滞留時間が長すぎると好ましくない。一方、流速が大きすぎて滞留時間が少なすぎると、乱流(turbulent flow)が発生し、これもまた目的物質の分子群集化や配列あるいは形態体形成に支障をもたらす。よって、多表面体に混合液を通過させて本発明を具現する場合、滞留時間に適正区間(range)が存在し、本発明を具現するために滞留時間は約30sec超過、約390sec未満で調整することが適正である。一方、数式7によれば、滞留時間は充てん層の高さ(L)に比例するので、充てん層の高さL、より正確には充てん層の高さと充てん層の直径の比(高さ/直径)であるアスペクト比(Aspect ratio)を約0.01超過、約1未満で設定することが前記適正滞留時間を得ることに役に立つ。
【0109】
前記貫通液で混合液製造用溶媒や工程流体を全て取り除いて得られた前記固相の目的物質(または固相の物質)の表面特性は、混合液が多表面体を通過しながら発生する前記物理化学的相互作用によって変化された目的物質分子の分子群集化や配列あるいは形態体の形成によって分散媒ともっと親和的に変化するものと推定される。これによって、本発明の一具現例による前記固相の目的物質(または固相の物質)が界面活性剤を含む分散媒で既存のミセル可溶化技術で可溶化(solubilization)させることができる最大量(Smicelle)より高い含量で安定的に分散されることができる。前記目的物質を分散媒と1種以上の界面活性剤及び必要な添加剤などと混合して分散組成物を生成する時、前記目的物質を含む粒子の表面特性が分散媒ともっと親和的に変わって、分散媒に対する分散性が向上され、これによって可溶化に必要な界面活性剤の量が減少する結果をもたらすと推定される。また、前記分散組成物で分散媒を取り除いて得られた固相の目的物質(または固相の物質)は、再び分散媒に分散させてもこのような粒子の表面特性を維持するので、同様に分散媒に対する分散性が向上され、これによって可溶化に必要な界面活性剤の量が減少する結果をもたらすものと推定される。
【0110】
本発明の一具現例において、前記のように混合液と多表面体を接触させる段階を単位工程(unit operation)と称する。本発明の一具現例において、前記単位工程を1回遂行して前記目的物質(または前記物質)を含む粒子が分散された分散組成物を作ることができる。本発明の一具現例において、前記単位工程を同一工程条件で数回繰り返して前記目的物質(または前記物質)を含む粒子が分散された分散組成物を作ることができる。本発明の一具現例において、毎単位工程ごとに工程条件を変化/調整しながら単位工程を数回遂行して前記目的物質(または前記物質)を含む粒子が分散された分散組成物を得ることができる。この時、各単位工程の工程条件を個別的にあるいは漸進的に変化/調整することができる。
【0111】
本発明の一具現例において、前記貫通液から混合液製造用溶媒や工程流体を凍結乾燥あるいは常圧/減圧/真空乾燥や蒸留などで全て取り除いて得る固相の目的物質(または固相の物質)を分散媒と1種以上の界面活性剤、そして最終組成物の目的と用途によって多様な添加剤(浸透圧調節剤、増粘剤、pHバッファーなど)などを混合して所定の目的とする最終的な分散組成物を得ることができる。また他の具現例において、前記貫通液に分散媒と1種以上の界面活性剤を混合して、以後混合液製造用溶媒や工程流体を選択的に(preferentially)分離/取り除いて、以後必要な添加剤などを追加して所定の目的とする最終的な分散組成物を得ることができる。混合液製造用溶媒や工程流体のみ選択的に分離/取り除く方法としては、蒸留(distillation)などのような分離技術(separation technology)を利用する方式などがある。例えば、前記混合液製造用溶媒や工程流体の沸点が前記分散媒の沸点より低い場合、前記混合液製造用溶媒や工程流体の沸点以上でありながら前記分散媒の沸点未満の温度で加熱して前記混合液製造用溶媒や工程流体を選択的に分離/取り除くことができる。この他にも混合液製造用溶媒や工程流体と分散媒の間の物理化学的物性の差を利用した様々な分離技術(separation technology)を利用して混合液製造用溶媒や工程流体を選択的に分離/取り除くことができる。
【0112】
前記分散組成物は一部除去されなくて残っている前記混合液製造用溶媒や工程流体を少量含むことができる。用途によって混合液製造用溶媒や工程流体の含量を決めることができる。例えば、薬物として組成物を製造した場合、混合液製造用溶媒や工程流体の体内毒性によってその含量が決まることができる。例えば、混合液製造用溶媒や工程流体がエタノールであれば、前記分散組成物は約0.5%(w/w)未満のエタノールを含むことができる(United States Pharmacopoeia <467> Residual Solvents、December1、2020)。
【0113】
前記分散組成物の製造方法は、追加的に、前記多表面体を分離除去する段階をさらに含むことができる。前記多表面体は、例えば、フィルターを利用した濾過法で分離することができ、その他にも、物理的除去、遠心分離、凝集、沈澱、静電気的引力などの多様な分離方法を利用することができるし、これに限定されない。前記分散組成物の製造方法は、追加的に目的物質の最終含量/濃度を決定/調節するために、分散組成物の分散媒を一定量除去あるいは追加する段階を選択的に含む段階を含むことができる。
【0114】
本発明の一具現例において、
目的物質と混合液製造用溶媒を混合して混合液を準備する段階;
多表面体を準備する段階;
前記混合液と前記多表面体とを接触させる段階;及び
前記混合液から前記目的物質を分離して固相の目的物質で得る段階;を含む固相の目的物質(または固相の物質)を製造する方法を提供する。
【0115】
本発明の一具現例において、
目的物質と混合液製造用溶媒を混合して混合液を準備する段階;
充てん層あるいは膜やシート形態の多表面体を準備する段階;
混合液と選択的に(optionally)使われた工程流体を多表面体に通過させる(flow through)段階;
多表面体を通過した混合液と選択的に使われた工程流体を収集する段階;及び
収集された貫通液で混合液製造用溶媒及び工程流体を取り除く段階;を含む固相の目的物質(または固相の物質)を製造する方法を提供する。
【0116】
本発明の一具現例において、
目的物質と混合液製造用溶媒を混合して混合液を準備する段階;
充てん層あるいは膜やシート形態の多表面体を準備する段階;
混合液と選択的に(optionally)使われた工程流体を多表面体に通過させる(flow through)段階;
多表面体を通過した混合液と選択的に使われた工程流体を収集する段階;
収集された貫通液で混合液製造用溶媒及び工程流体を取り除いて固相の目的物質を得る段階;及び
前記固相の目的物質に分散媒、1種以上の界面活性剤及び/または必要な添加剤などを混合する段階;を含む目的物質を含む分散相である粒子が分散された分散組成物を製造する方法を提供する。
【0117】
本発明の一具現例による分散組成物は前記固相の目的物質(または固相の物質)を得た後、前述したように前記固相の目的物質(または固相の物質)に分散媒、1種以上の界面活性剤及び/または必要な添加剤などを混合して製造される分散組成物であってもよい。
【0118】
本発明の一具現例において、
目的物質と混合液製造用溶媒を混合して混合液を準備する段階;
充てん層あるいは膜やシート形態の多表面体を準備する段階;
混合液と選択的に(optionally)使われた工程流体を多表面体に通過させる(flow through)段階;
多表面体を通過した混合液と選択的に使われた工程流体を収集する段階;
収集された貫通液で分散媒及び1種以上の界面活性剤を混合する段階;及び
前記混合物で混合液製造用溶媒や工程流体を選択的に(preferentially)取り除く段階;を含む目的物質を含む分散相である粒子が分散された分散組成物を製造する方法を提供する。
【0119】
本発明の一具現例において、前記固相の物質(または固相の目的物質)を含む動物用または人体用医薬品を提供する。本発明の一具現例において、前記固相の物質(または固相の目的物質)を含む化粧品を提供する。本発明の一具現例において、前記固相の物質(または固相の目的物質)を含む食飲料を提供する。
【0120】
本発明の一具現例において、前記分散組成物を含む動物用または人体用医薬品を提供する。本発明の一具現例において、前記分散組成物を含む化粧品を提供する。本発明の一具現例において、前記分散組成物を含む食飲料を提供する。
【0121】
以下、本発明の実施例及び比較例を記載する。下記実施例は本発明の一実施例であって、本発明が下記の実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0122】
以下、実施例を含んで本明細書で含量/濃度を表示する単位についての説明である。
%(w/v):全体係(system)の体積(mL)に対する測定対象物質の質量(g)の百分率。例えば、目的物質の質量(g)/分散組成物の体積(mL)×100あるいは溶質の質量(g)/溶液の体積(mL)×100
%(w/w)=全体係(system)の質量に対する測定対象物質の質量の百分率。例えば、目的物質の質量/分散組成物の質量×100あるいは目的物質の質量/混合液の質量×100
%(v/v)=全体係(system)の体積に対する測定対象物質の体積の百分率。例えば、工程流体の体積/溶液の体積×100。
【0123】
実施例1‐1ないし1‐4:CsA粉末調剤
混合液製造用溶媒としてエタノールと水の体積比95:5で作られたエタノール(以下、95%v/vエタノール)を準備した。前記95%v/vエタノール995gに目的物質であるシクロスポリンA、シクロスポリンA(純度99.1%。TEVA社lot no.7414004320.以下、CsAと称する)5gをマグネチックバーと磁力式攪拌機を使って500rpmで30分間撹拌して溶解させ、最終的に0.5%w/w濃度のCsA混合液を得た。250mL三角フラスコにブフナー漏斗(内径90mm)を載せて漏斗に1μmの紙フィルターを敷いて95%v/vのエタノールで濡らした後、吸引ポンプを0.8barの圧力差で作動させて紙フィルター(1μm)をブフナー漏斗の底に吸着させた。250mLのビーカーにメソポーラスシリカ粉末(ABCナノテック社、XL‐100)を10g定量して入れた。メソポーラスシリカを含んでいる前記ビーカーに95%v/vのエタノール100gを入れた後、メソポーラスシリカ粉末とエタノールがよく混合されるように薬さじを利用して充分かき混ぜてメソポーラスシリカをエタノールで充分濡らした。紙フィルターが敷かれたブフナー漏斗に95%v/vのエタノールに担持された前記メソポーラスシリカを吸引ポンプで0.8barの圧力差を維持しながらゆっくり注いで、ブフナー漏斗の下層部に高さ8mm、直径90mmのメソポーラスシリカ充てん層(packed‐bed)を形成した(直径90mm、充てん層の高さ8mm、縦横比(=高さ/直径)0.09)。前記メソポーラスシリカ充てん層の上に上澄み液(supernatant liquid)が1cmほど残った時、吸引ポンプを止めて、三角フラスコに収集されたフィルターろ液を捨てた。以後、250mL三角フラスコを3000mL三角フラスコに交替した。ブフナー漏斗に形成された前記メソポーラスシリカ充てん層の上に1μmの紙フィルターを敷いて、予め準備した前記0.5%w/wのCsA混合液1000gをブフナー漏斗に数回にわたって注いだ。工程流体で混合液製造用溶媒と同様に95%v/vエタノールを準備し、この工程流体500gをさらにブフナー漏斗に注いで平均体積流速(volumetric flow rate)13.76ml/minで混合液と工程流体を前記メソポーラスシリカ充てん層を通過させ、総145分間3000mlの三角フラスコに収集(collect)した。したがって、平均体積流速を充てん層の断面積(直径90mm)で除した値であるダルシー流速(Darcy flux)は0.216cm/minで、数式7によって計算された混合液の前記メソポーラスシリカ充てん層内で滞留時間は総222秒(L=0.8cm、q=0.216cm/min)であった。前記メソポーラスシリカを貫通して収集された貫通液(flowthrough)を0.45μmメンブレインフィルターを利用してフィルターした。以後、回転式減圧濃縮機(Eyela、OSB‐2200)を利用して25℃、150rpm、20mbarで4時間濃縮した後、濃縮液を真空オーブンを利用して12時間減圧乾燥して、貫通液で混合液製造用溶媒と工程流体を全て取り除いて最終的にCsA粉末4.84gを得た。前記工程を通じて得られた固相のCsA量(4.84g)を、工程に投入されたCsA量(5g)で除した百分率を回収率(yield)と定義し、その値は96.8%と計算された。すなわち、殆どのCsA(95%以上)が前記メソポーラスシリカ充てん層を通過したものと表れた。前記工程を実施例1‐1と称する。同様の方法で平均体積流速を異にして滞留時間を変化させた工程を実施例1‐2、1‐3、1‐4と称し、各実施例の主要工程条件を表1に記載した。
【0124】
【表1】
【0125】
実施例2‐1ないし2‐3:CsA水相分散組成物
10mLの透明バイアルにKolliphor EL(製造社BASF、lot no.55573988Q0)、ポリソルベート80(Tween 80、製造社Croda、lot no.45971)、前記実施例1‐1で具現されたCsA粉末を表2に記載した投入量のとおり順次投入して、室温で300rpmで12時間撹拌して充分混合する。撹拌中の前記CsA/Kolliphor EL/Tween80混合物に1次で精製水を5ml投入して600rpmで30分間撹拌して充分混和させた後、さらに精製水を投入して総体積を200mlに合わせて最終的に表2に記載された組成どおりCsA粒子が連続相水に分散されたCsA水相分散組成物を調剤した。
【0126】
【表2】
【0127】
既存の公知技術との相違点を比較/対比するための比較群(control)として、前記実施例1‐1で具現されたCsA粉末の代わりに商用CsA粉末(製造社TEVA、lot no.7414004320)を使用して前記表2にしたがって、前記実施例2‐1、2‐2、2‐3のCsA水相分散組成物と同量で各成分を投入して、商用CsA粉末で調剤されたCsA水相分散組成物を調剤した(以下、比較群2‐1、2‐2、2‐3と称する)。商用CsA粉末で調剤された比較群2‐1、2‐2、2‐3は調剤直後、全て沈澱が観察され、半透明あるいは不透明に観察されて分散組成物が具現されないことが分かった。一方、前記実施例2‐1、2‐2、2‐3で調剤された同一組成のCsA水相分散組成物は、調剤後沈澱が観察されず、いずれも透明に観察されて分散組成物が具現されたことが分かった。
【0128】
前記実施例2‐1、2‐2、2‐3及び比較群2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物を0.22μm PES(Polyethersulfone)フィルターでこした後フィルターろ液を得た。前記フィルターろ液を下記の条件下でHPLC分析を遂行してCsA含量/濃度を測定して表3にそれぞれ記載した。フィルターろ液内の含量は調剤の時、あるいは直後沈澱されるCsA量は排除され、水に安定的に分散されたCsA量に該当するので、表3に記載されたCsA含量/濃度は前記実施例2‐1、2‐2、2‐3及び比較群2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物内で安定的に分散されているCsAの実際含量/濃度に該当する。
【0129】
機器:Agilent 1260 Infinity II
カラム:Hypersil ODF(4.6×250mm、3um)
カラム温度:50℃
流速:1mL/min
検出機:紫外部吸光光度計(測定波長:210nm)
注入量:40μL
【0130】
下記表3で見るように、前記実施例2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物内のCsA実際含量が表2の名目含量である0.02%w/vの+‐5%内で全て具現されたことが分かる。一方、比較群2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物内のCsA実際含量は名目含量である0.02%w/vにいずれも及ばず、0.02%w/vのCsAが分散された分散組成物が具現されなかったことが分かった。
【0131】
【表3】
【0132】
<CsA水相分散組成物のS‐パラメータ評価>
CsA水相分散組成物のS‐パラメータ計算に必要なCsA物性、使われた界面活性剤Tween 80及びKolliphor EL物性、CsAに対して前記界面活性剤で測定されたモル可溶化容量(Feng et al、J.Pharmaceutical Sciences、Vol.107(8)、2018、2079‐2090)などを表4に記載した。
【0133】
【表4】
【0134】
表4の物性と、表2の界面活性剤の含量と表3のCsA実際含量を数式1、3、4、5に代入して実施例2‐1、2‐2、2‐3で具現されたCsA水相分散組成物のS‐パラメータを計算し、表5に各過程と最終結果を記載した(モル可溶化容量はCsAモル数と使われた界面活性剤のモル数の比なので、数式4を計算する時、界面活性剤%w/v組成を界面活性剤の分子量でモル数に切り換えて代入する。また、計算された値がCsAモル数なので、これを再びCsAの分子量を利用してCsA%w/vに切り換えてSsurfを得る。表5と表6の含量/組成は、いずれもこのような転換過程を経て得られた%w/vである。)。
【0135】
【表5】
【0136】
同様の方式で表4の物性と、表2の界面活性剤の含量と表3のCsA実際含量を数式1、3、4、5に代入して比較群2‐1、2‐2、2‐3で具現されたCsA水相分散組成物のS‐パラメータを計算し、表6に各過程と最終結果を記載した。
【0137】
【表6】
【0138】
表5で見るように、実施例2‐1、2‐2、2‐3で具現されたCsA分散組成物のS‐パラメータは、それぞれ1.12、1.18、1.17として、いずれも1を超過する。これは実施例2‐1、2‐2、2‐3で具現されたCsA分散組成物内のCsAが2種の界面活性剤(Tween 80とKolliphor EL)で可溶化させることができる既存の限度(Smicelle)量をそれぞれ12%、18%、17%超過するという意味である。一方、表6で見るように、公知の技術で具現された比較群2‐1、2‐2、2‐3の分散組成物のS‐パラメータは、いずれも1以下である。すなわち、同一な界面活性剤量と同一なCsA量を投入して調剤しても、公知の技術ではSmicelleを超過するCsA量が析出されて目標とするCsAを分散組成物内で含むことができないことが分かる。本発明を利用すれば、したがって、既存の公知技術で具現できない高含量のCsAを分散させることができ、これを界面活性剤の側面で表現すれば、同一なCsA含量(0.02%)を分散させるために公知の技術より少量の界面活性剤が必要という意味である。
【0139】
実験例1‐1:CsA水相分散組成物の分散安定性:肉眼検査
実施例2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物の安定性(stability)を確認するために、調剤以後25±2℃と相対湿度60±5%の条件で2‐4週間保管し、時間の経過による沈澱可否や透明度の変化を肉眼で観察(visual inspection)して表7に調剤以後経過された時間による肉眼検査結果を記載した。表7で見るように、前記実施例2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物は、いずれも2‐4週間沈澱されずに透明さを維持していることが確認された。よって、この期間の間、実施例2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物ではCsA沈澱(precipitation)あるいは粒子の集まり(aggregation/agglomeration)などが発生せず、CsAが水に安定的に分散されていることが分かる。
【0140】
【表7】
【0141】
実験例1‐2:CsA水相分散組成物の分散安定性:HPLC含量
実施例2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物の安定性(stability)を確認するために、調剤以後25±2℃と相対湿度60±5%の条件で2‐4週間保管し、HPLCで時間の経過によるCsA含量を測定した。調剤直後、1週、2週、4週経過された時点で前記実施例2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物を0.22μmのPES(Polyethersulfone)フィルターでフィルタリングした後、フィルターろ液を下記条件下でHPLC分析を遂行してCsA含量の時間に経過による変化率を(調剤直後HPLC含量を100%にして時間の経過による含量変化率を計算)を測定して表8に記載した。
【0142】
機器:Agilent 1260 Infinity II
カラム:Hypersil ODF(4.6×250mm、3um)
カラム温度:50℃
流速:1mL/min
検出機:紫外部吸光光度計(測定波長:210nm)
注入量:40μL
【0143】
【表8】
【0144】
前記表8で見るように、実施例2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物の含量が2‐4週経過しても調剤直後の含量を維持している。よって、この期間の間、実施例2‐1、2‐2、2‐3で調剤されたCsA水相分散組成物ではCsAが沈澱されず、安定的に分散されていることが分かる。
【0145】
実施例2‐4:CsA水相分散組成物
混合液製造用溶媒としてエタノールと水の体積比95:5で作られたエタノール(以下、95%v/vのエタノール)を準備した。前記95%v/vのエタノール29.94gに目的物質であるシクロスポリン、シクロスポリンA(純度99.1%。製造社TEVA、lot no.7414004320、以下、CsAと称する)0.06gをマグネチックバーと磁力式攪拌機を使って500rpmで30分間撹拌して溶解させ、最終的に0.2%w/w濃度のCsA混合液を得た。250mLの三角フラスコにブフナー漏斗(内径90mm)を載せて漏斗に1μmの紙フィルターを敷いて95%v/vのエタノールで濡らした後、吸引ポンプを0.8barの圧力差で作動させて紙フィルター(1μm)をブフナー漏斗の底に吸着させた。250mLのビーカーにメソポーラスシリカ粉末(ABCナノテック社、XL‐100)を10g定量して入れた。メソポーラスシリカを含んでいる前記ビーカーに95%v/vのエタノール100gを入れた後、メソポーラスシリカ粉末とエタノールがよく混合されるように薬さじを利用して充分かき混ぜて、メソポーラスシリカをエタノールで充分濡らした。紙フィルターが敷かれたブフナー漏斗に95%v/vのエタノールに担持されたメソポーラスシリカを吸引ポンプで0.8bar圧力差を維持してゆっくり注いで、ブフナー漏斗の下層部に高さ8mm、直径90mmのメソポーラスシリカ充てん層(packed‐bed)を形成した(直径90mm、充てん層の高さ8mm、縦横比(=高さ/直径)0.09)。前記メソポーラスシリカ充てん層の上に上澄み液(supernatant liquid)が1cmほど残った時、吸引ポンプを止めて、紙フィルターを通過し、三角フラスコに収集されたフィルターろ液を捨てた。以後、250mLの三角フラスコを新しい250mLの三角フラスコに交替した。ブフナー漏斗に形成された前記メソポーラスシリカ充てん層の上に1μmの紙フィルターを敷いて、予め準備した0.2%w/wのCsA混合液30gをブフナー漏斗に数回にわたって注いだ。工程流体として混合液製造用溶媒と同様に95%v/vのエタノールを準備し、120gと精製水80gを混合して混合液200gをさらにブフナー漏斗に注いだ。メソポーラスシルリカを貫通して収集された貫通液(flowthrough)205gを0.45μmのメンブレインフィルターを利用してフィルターした。
【0146】
250mL濃縮フラスコを準備して、棒マグネチックバーを入れて、前記貫通液10gを分取して95%v/vのエタノール10gにポリソルベート80(Tween 80、製造社TCI、XHLAA‐GM)、Polyoxyl‐35 Castor oil(製造社ACROS、lot no.A0403500)をそれぞれ6mgずつ入れた後、よく混合されるように10分間磁力式攪拌機を利用して交ぜた。10分後、混合した250mLの濃縮フラスコに精製水を40mL入れて磁力式攪拌機で30分間500rpmで攪拌した。混合された溶液を回転式減圧濃縮機(Eyela、OSB‐2200)を利用して、25℃、150rpm、20mbarで2時間20分間選択的にエタノールを取り除いて精製水の一部を蒸留して、最終的にCsA水相分散組成物15.8mLを得た。得た液を0.45μm(製造社FUTECS、PVDF)のシリンジフィルターと0.22μm(製造社FUTECS、PTFE)フィルターでこした後、フィルターろ液を得た。得たフィルターろ液を下記の条件下でHPLC分析を遂行してCsA含量/濃度を測定して表9に記載した。
【0147】
HPLC機器:Waters
モデル名:e2695
カラム:RP C18(250×4.6mm)平均粒子の大きさ5μm
カラム温度:65℃
流速:1mL/min
検出機:紫外線吸光光度計(測定波長204nm)
注入量:10μL
【0148】
実施例2‐5:CsA水相分散組成物
混合液製造用溶媒としてエタノールと水の体積比95:5で作られたエタノール(以下、95%v/vのエタノール)を準備した。前記95%v/vのエタノール29.94gに目的物質であるシクロスポリン、シクロスポリンA(純度99.1%。製造社TEVA、lot no。7414004320、以下、CsAと称する)0.06gをマグネチックバーの磁力式攪拌機を使って500rpmで30分間撹拌して溶解させ、最終的に0.2%w/w濃度のCsA混合液を得た。250mLの三角フラスコにブフナー漏斗(内径90mm)を載せて漏斗に1μmの紙フィルターを敷いて95%v/vのエタノールで濡らした後、吸引ポンプを0.8barの圧力差で作動させて紙フィルター(1μm)をブフナー漏斗の底に吸着させた。250mLのビーカーにメソポーラスシリカ粉末(ABCナノテック社、XL‐100)を10g定量して入れた。メソポーラスシリカを含んでいる前記ビーカーに95%v/vのエタノール100gを入れた後、メソポーラスシリカ粉末とエタノールがよく混合されるように薬さじを利用して充分にかき混ぜて、メソポーラスシリカをエタノールで充分濡らした。紙フィルターが敷かれたブフナー漏斗に95%v/vのエタノールに担持されたメソポーラスシリカを吸引ポンプで0.8barの圧力差を維持しながらゆっくり注いで、ブフナー漏斗の下層部に高さ8mm、直径90mmのメソポーラスシリカ充てん層(packed‐bed)を形成した(直径90mm、充てん層の高さ8mm、縦横比(=高さ/直径)0.09)。前記メソポーラスシリカ充てん層の上に上澄み液(supernatant liquid)が1cmほど残った時、吸引ポンプを止めて、紙フィルターを通過して三角フラスコに収集されたフィルターろ液を捨てた。以後、250mLの三角フラスコを新しい250mLの三角フラスコに交替した。ブフナー漏斗に形成された前記メソポーラスシリカ充てん層の上に1μmの紙フィルターを敷いて、予め準備した0.2%w/wのCsA混合液30gをブフナー漏斗に数回にわたって注いだ。工程流体として混合液製造用溶媒と同様に95%v/vのエタノールを準備し、120gと精製水80gを混合して混合液200gをさらにブフナー漏斗に注いだ。メソポーラスシルリカを貫通して収集された貫通液(flowthrough)205gを0.45μmのメンブレインフィルターを利用してフィルターした。
【0149】
250mLの濃縮フラスコを準備して棒マグネチックバーを入れて前記貫通液10gを分取して95%v/vのエタノール10gにポリソルベート80(Tween 80、製造社TCI、XHLAA‐GM)3mg、Polyoxyl‐35 Castor oil(製造社ACROS、lot no.A0403500)9mgを入れた後、よく混合されるように10分間磁力式攪拌機を利用して交ぜた。10分後、混合した250mLの濃縮フラスコに精製水を40mL入れて磁力式攪拌機で30分間500rpmで攪拌した。混合された溶液を回転式減圧濃縮機(Eyela、OSB‐2200)を利用して25℃、150rpm、20mbarで1時間20分間選択的にエタノールを取り除いて精製水の一部を蒸留して最終的にCsA水相分散組成物15.6mLを得た。得た液を0.45μm(製造社FUTECS、PVDF)シリンジフィルターと0.22μm(製造社FUTECS、PTFE)フィルターでこした後、フィルターろ液を得た。得たフィルターろ液を下記の条件下でHPLC分析を遂行してCsA含量/濃度を測定して表9に記載した。
【0150】
HPLC機器:Waters
モデル:e2695
カラム:RP C18(250×4.6mm)平均粒子の大きさ5μm
カラム温度:65℃
流速:1mL/min
検出機:紫外線吸光光度計(測定波長204nm)
注入量:10μL
【0151】
前記実施例2‐4、2‐5の最終CsA水相分散組成物組成を表9に記載した。
【0152】
【表9】
【0153】
表4の物性と表9の界面活性剤の含量とCsA実際含量を数式1、3、4、5に代入して実施例2‐4、2‐5で具現されたCsA水相分散組成物のS‐パラメータを計算し、表10に各過程と最終結果を記載した(モル可溶化容量はCsAモル数と使われた界面活性剤のモル数の比なので、数式4を計算する時、界面活性剤%w/v組成を界面活性剤の分子量でモル数に切り換えて代入する。また、計算された値がCsAモル数なので、これを再びCsAの分子量を利用してCsA%w/vに切り換えてSsurfを得る。表10の含量/組成は、いずれもこのような転換過程を経て得られた%w/vである。)。
【0154】
【表10】
【0155】
表10で見るように、実施例2‐4、2‐5で具現されたCsA水相分散組成物のS‐パラメータは、それぞれ1.90、2.19として、いずれも1を超過する。これは実施例2‐4、2‐5で具現されたCsA水相分散組成物内のCsAが2種の界面活性剤(Tween 80とPolyoxyl‐35 Castor oil)で可溶化させることができる既存の限度(Smicelle)量をそれぞれ90%、119%超過するという意味である。
【0156】
以上のように本発明について説明したが、本明細書に開示された実施例によって本発明が限定されるものではなく、本発明の技術思想の範囲内で通常の技術者によって多様な変形がなされることができることは自明である。同時に、前述した本発明の実施例を説明しながら本発明の構成による作用効果を明確に記載して説明しなくても、該当構成によって予測可能な効果も認められなければならないことは当然である。
【国際調査報告】