(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】睡眠時無呼吸を治療するための遠隔給電式植え込み型電極並びに関連システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/05 20060101AFI20231114BHJP
A61N 1/372 20060101ALI20231114BHJP
A61N 1/36 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61N1/05
A61N1/372
A61N1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551951
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 US2021057936
(87)【国際公開番号】W WO2022098786
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523169305
【氏名又は名称】インヴィクタ メディカル インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】オコナー リチャード ダブリュ
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンス ウォルター ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】フェイラム ティモシー エー
【テーマコード(参考)】
4C053
【Fターム(参考)】
4C053BB23
4C053CC10
4C053JJ24
4C053KK04
4C053KK07
4C053KK08
4C053KK10
(57)【要約】
睡眠時無呼吸を治療するためのパワーデリバリ・ウェアラブル付きの植え込み型電極、並びに関連システム及び方法が明細書に開示される。代表的なシステムは、患者によって着用可能な非植え込み型信号発生器を含み、この非植え込み型信号発生器は、ミッドフィールドRF信号を植え込み型電極に方向づけるアンテナを有する。植え込み型電極は次に、低周波信号を神経標的、例えば、患者の舌下神経に方向づける。代表的な信号発生器は、マウスピース、カラー又は他のウェアラブル、及び/又は皮膚取り付けパッチの形態をしているのがよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者治療システムであって、
ウェアラブル器具を含み、前記ウェアラブル器具は、
電力貯蔵装置と、
前記電力貯蔵装置に結合されると共にRF信号を300MHzから6GHzまでの周波数範囲で放出するよう構成された送電アンテナと、
前記電力貯蔵装置と前記送電アンテナとの間に結合された第1の制御回路部とを有し、
植え込み型器具を含み、前記植え込み型器具は、
電極と、
前記電極を担持したハウジングと、
前記ハウジングによって担持されると共に、前記植え込み型器具を患者の口腔内の組織に固定するよう位置決めされたアンカーと、
300MHzから6GHzまでの周波数範囲のRF信号を受信するよう構成された電極受信機アンテナと、
信号を10Hzから300Hzまでの範囲の周波数で前記電極に方向づけるよう前記電極受信機アンテナ及び前記電極に結合された信号発生器と、
前記電極への前記信号の送出を制御するよう前記信号発生器と前記電極との間に結合された第2の回路部とを有する、患者治療システム。
【請求項2】
前記植え込み型器具は、針伝送型器具であり、前記電極は、患者の舌下神経及び/又は頸神経ワナの近くに植え込まれるよう位置決めされ、前記システムはさらに、
前記ウェアラブル器具又は前記植え込み型器具によって担持された少なくとも1つのセンサを含み、前記少なくとも1つのセンサは、患者の呼吸性能の特性を検出するよう構成され、
前記ウェアラブル器具によって担持されかつ実行時に、前記少なくとも1つのセンサから受け取った情報に部分的に基づいて、前記電極への前記信号の前記送出を開始し、変更し、かつ/或いは停止する命令がプログラムされたコントローラを含む、請求項1記載の患者治療システム。
【請求項3】
前記少なくとも1つのセンサは、パルスオキシメータ、光電脈波センサ、及び患者定位センサを含む、請求項2記載の患者治療システム。
【請求項4】
前記植え込み型器具は、電荷貯蔵素子を備えていない、請求項1記載の患者治療システム。
【請求項5】
前記電極は、第1の電極であり、前記植え込み型器具は、第2の電極を有し、前記第1の回路部又は前記第2の回路部のうちの少なくとも一方は、実行時に、信号を順序付けられた前記第1及び前記第2の電極に方向づける命令を含み、前記第1の電極は、第1の信号を第1の時点で前記患者に送出し、前記第2の電極は、第2の信号を第2の時点で前記患者に送出する、請求項1記載の患者治療システム。
【請求項6】
前記ウェアラブル器具は、前記患者の口腔内に位置決めされるよう構成された口内器具を含む、請求項1記載の患者治療システム。
【請求項7】
前記口内器具の少なくとも第1の部分は、前記患者の口腔の少なくとも第2の部分に合致するよう形作られている、請求項6記載の患者治療システム。
【請求項8】
前記口内器具は、上マウスピース部分、下マウスピース部分、及び前記上マウスピース部分と前記下マウスピース部分を結合するコネクタを有する、請求項6記載の患者治療システム。
【請求項9】
前記下マウスピース部分は、前記患者の下顎骨を前進させるよう前記上マウスピース部分に対して動くことができる、請求項8記載の患者治療システム。
【請求項10】
前記下マウスピース部分は、前記送電アンテナ、前記電荷貯蔵装置、及び前記第1の回路部を担持している、請求項8記載の患者治療システム。
【請求項11】
前記下マウスピース部分は、前記送電アンテナを担持し、前記上マウスピース部分は、前記電荷貯蔵装置及び前記第1の回路部を担持している、請求項8記載の患者治療システム。
【請求項12】
前記上マウスピース部分は、前記電荷貯蔵装置又は前記第1の回路部を担持したルーフ部分を含む、請求項11記載の患者治療システム。
【請求項13】
前記下マウスピース部分は、前記電力貯蔵装置を担持し、前記上マウスピース部分は、前記第1の回路部を担持し、前記コネクタは、電力を電源から回路部に伝送するための通信リンクを有する、請求項8記載の患者治療システム。
【請求項14】
前記下マウスピース部分の少なくとも一部は、前記患者の口腔の下領域に合致するよう形作られている、請求項8記載の患者治療システム。
【請求項15】
前記上マウスピース部分の少なくとも一部は、前記患者の口腔の上領域に合致するように形作られている、請求項8記載の患者治療システム。
【請求項16】
i)前記植え込み型器具は、前記患者の口腔の第1の側部上に位置決めされた第1の植え込み型器具であり、(ii)前記電極は、第1の電極であり、前記システムは、前記第1の植え込み型器具と反対側の前記患者の口腔の第2の側部上に位置決めされた第2の植え込み型器具をさらに含み、前記第2の植え込み型器具は、第2の電極を有する、請求項1記載の患者治療システム。
【請求項17】
前記ウェアラブル器具は、ネックカラー、あご紐、ピロー、及び/又はマットレスオーバーレイのうちの少なくとも1つを有する、請求項1記載の患者治療システム。
【請求項18】
前記第1の回路部又は前記第2の回路部のうちの少なくとも一方は、実行時に、前記電極が信号を前記患者に送出するようにさせる命令を含み、前記信号は、
30μs~300μsのパルス幅、
1mA~6mA又は1mV~5Vのアノード振幅、及び
1mA~6mA又は1mV~5Vのカソード振幅のうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の患者治療システム。
【請求項19】
前記ウェアラブル器具は、前記患者の少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するよう位置決めされた少なくとも1つのセンサをさらに有し、前記少なくとも1つの生理学的パラメータは、呼吸数、心拍数、音声信号、体温、頭位置、飽和血液酸素レベル、空気流量レベル、患者の喉頭の動き、及び/又は患者の舌の動きのうちの少なくとも1つを含む、請求項1記載の患者治療システム。
【請求項20】
睡眠時無呼吸治療システムであって、
患者の口腔内に嵌まるよう構成された口内器具を含み、前記口内器具は、
RF信号を第1の周波数で放出するよう構成された送電アンテナを担持した下マウスピース部分、及び
前記下マウスピース部分と反対側に位置する上マウスピース部分を有し、前記上マウスピース部分は、
前記送電アンテナに作動可能に結合された電力貯蔵装置、及び
前記電力貯蔵装置及び前記送電アンテナに作動可能に結合された第1の制御回路部を担持し、
前記下マウスピース部分と前記上マウスピース部分を結合するコネクタを有し、
植え込み型器具を含み、前記植え込み型器具は、
電極と、
前記送電アンテナによって放出された前記RF信号を受信するよう構成された電極受信機アンテナと、
前記電極受信機アンテナ及び前記電極に結合されかつ、刺激信号を前記電極に第2の周波数で方向づけることができる信号発生器、及び
前記電極への前記刺激信号の送出を制御するよう前記信号発生器と前記電極との間に結合された第2の回路部を有する、睡眠時無呼吸治療システム。
【請求項21】
前記植え込み型器具は、電荷貯蔵素子を備えていない、請求項20記載の睡眠時無呼吸治療システム。
【請求項22】
前記電極は、第1の電極であり、前記植え込み型器具は、第2の電極を有し、前記第1の回路部又は前記第2の回路部のうちの少なくとも一方は、実行時に、信号を順序付けられた前記第1及び前記第2の電極に方向づける命令を含み、前記第1の電極は、信号を第1の時点で前記患者に送出し、前記第2の電極は、信号を第2の時点で前記患者に送出する、請求項20記載の睡眠時無呼吸治療システム。
【請求項23】
電気信号を個人に方向づける方法であって、
ウェアラブル器具をプログラムして植え込み型器具の受信機アンテナとワイヤレス通信関係をなすよう位置決めされた前記ウェアラブル器具の送電アンテナを介して、第1の電気信号を伝送するステップを含み、前記第1の電気信号の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第1の周波数範囲にある第1の周波数を有し、
前記植え込み型器具のパルス発生器をプログラムして、
前記電極受信機アンテナを介して、前記第1の電気信号を受信し、そして
前記個人のターゲット神経と電気的に連絡するよう位置決めされた前記植え込み型器具の少なくとも1つの電極を介して、第2の電気信号を送出するステップを含み、前記第2の電気信号の少なくとも一部分は、最大100kHzまでの第2の周波数範囲にある第2の周波数を有する、方法。
【請求項24】
前記第1の周波数範囲は、約900MHzから約1.2GHzまでである、請求項23記載の方法。
【請求項25】
前記第2の周波数範囲は、約10Hzから約300Hzまでである、請求項23記載の方法。
【請求項26】
前記第2の電気信号の前記一部分は、1mVから5Vまで、又は1mAから6mAまでのアノード振幅範囲にあるアノード振幅をさらに有する、請求項23記載の方法。
【請求項27】
前記第2の電気信号の前記一部分は、10μsから100μsまでの相間遅延範囲にある相間遅延をさらに有する、請求項23記載の方法。
【請求項28】
前記第2の電気信号の前記一部分は、10μsから100μsまでのインターパルス遅延範囲にあるインターパルス遅延をさらに有する、請求項23記載の方法。
【請求項29】
前記第2の電気信号の前記一部分は、2mAから12mAまでのピークピーク振幅範囲内にあるピークピーク振幅をさらに有する、請求項23記載の方法。
【請求項30】
前記個人は、睡眠時無呼吸に罹患している、請求項23記載の方法。
【請求項31】
前記パルス発生器をプログラムする前記ステップは、前記パルス発生器をプログラムして前記第2の電気信号を治療期間にわたって送出するステップを含む、請求項23記載の方法。
【請求項32】
前記治療期間は、少なくとも4時間続く、請求項31記載の方法。
【請求項33】
前記治療期間は、少なくとも1つの活動部分及び少なくとも1つの休息部分を含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
患者を治療する方法であって、
植え込み型器具を患者の舌下神経の内側枝の近くに経皮的に植え込んで、前記植え込み型器具によって担持された電極が前記患者の舌下神経の前記内側枝と電気的連絡関係をなすよう位置決めされるようにするステップと、
ウェアラブル器具の送電アンテナからの第1の信号を前記植え込み型器具の受信機アンテナに送信するステップと、
前記植え込み型器具の信号発生器により前記第1の信号を第2の信号に変換するステップと、
前記電極を介して前記第2の信号を前記患者の舌下神経の前記内側枝に印加するステップと、を含む、方法。
【請求項35】
前記第1の信号を送信する前記ステップは、前記第1の信号を約300MHzから約6GHzまでの周波数範囲で送信するステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
前記第2の信号を送信する前記ステップは、前記第2の信号を最大100kHzまでの周波数範囲で送信するステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
前記第2の信号を送信する前記ステップは、約10Hzから約300Hzまでの周波数範囲で前記第2の信号を送信するステップを含む、請求項34記載の方法。
【請求項38】
前記電極は、第1の電極であり、前記第2の信号を印加する前記ステップは、
前記第1の電極を介して前記第2の信号の第1の部分を第1の時点で印加するステップと、
前記第2の電極を介して、前記第2の信号の第2の部分を第2の時点で印加するステップと、を含む、請求項34記載の方法。
【請求項39】
前記植え込み型器具は、第1の植え込み型器具であり、前記電極は、第1の電極であり、前記方法は、
第2の植え込み型器具を経皮的に植え込んで、前記第2の植え込み型器具によって担持された第2の電極が、前記患者の舌下神経、頸神経ワナ、迷走神経、舌咽神経、口蓋舌筋、又は鼻咽頭複合体のうちの少なくとも一部分と電気的連絡関係をなすよう位置決めされるようにするステップをさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項40】
前記第1の植え込み型器具を植え込む前記ステップは、前記第1の植え込み型器具を前記患者の口腔の第1の側部に植え込むステップを含み、
前記第2の植え込み型器具を植え込む前記ステップは、前記第2の植え込み型器具を前記患者の口腔の第2の側部に植え込むステップを含む、請求項39記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、一般に、睡眠時無呼吸を治療するために遠隔給電(パワーデリバリ)器具にワイヤレス結合された植え込み型電極、並びに関連システム及び方法に関する。代表的なパワーデリバリ器具としては、マウスピース、カラー又は他の頸部衣類の形態で着用される器具、及び/又は接着剤皮膚取り付け器具が挙げられる。
【0002】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2020年11月4日に出願された米国特許仮出願第63/109,809号の優先権主張出願であり、この米国特許仮出願を参照により引用し、その記載内容を本明細書の一部とする。上記出願及び/又は任意他の文献が本開示と抵触するまで、本開示が優先する。
【背景技術】
【0003】
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は、睡眠中に患者の上気道が繰り返し閉塞(不完全又は完全閉塞)状態になって覚醒が引き起こされる病態である。上気道の閉塞の繰り返しは、睡眠の断片化を引き起こす場合があり、その結果、睡眠不足、昼間疲労感、及び/又は倦怠感が生じる場合がある。OSAのより深刻な場合として、患者が脳卒中、心不整脈、高血圧、及び/又はその他の障害を引き起こす恐れが高くなる場合がある。
【0004】
OSAは、睡眠中に、上気道の軟組織が落ち込む又は虚脱する傾向があり、それによって上気道が閉塞するという特徴がある。OSAは、典型的には、患者の上気道中への軟口蓋の虚脱、口腔咽頭の虚脱、舌の虚脱、喉頭蓋の虚脱、又はこれらの組み合わせを原因としており、それにより正常な呼吸が妨げられると共に/或いは睡眠状態からの覚醒が生じる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
OSAに適応の幾つかの治療法があり、かかる治療法としては、例えば、外科手術、持続的気道陽圧(CPAP)器械や上気道と関連していて舌(又は他の上気道組織)を動かす筋肉の電気刺激が挙げられる。手術手技としては、気管開口手術、患者の舌及び/又は軟口蓋の一部を切除する手術、及び舌が咽頭の奥に落ち込むのを阻止しようとする他の手技が挙げられる。これらの手術手技は、極めて侵襲的である。CPAP器械は、患者の鼻及び口のところに陽空気圧を加えて、上気道を開存状態に維持しようとするものである。しかし、これらの器械は、不快感をもたらし、扱いにくく、しかも着用順守率が低い場合がある。
【0006】
電気刺激法の中には、睡眠中、舌が前方(例えば、前方向)に突き出るようにする共に/或いは扁平になるようにすることによって舌が咽頭の奥に落ち込むのを阻止しようとするものである。しかしながら、患者の口腔の神経を電気的に刺激する既存の技術は、侵襲性が強すぎかつ/或いは十分に効能がないという欠点がある。かくして、OSA及び他の睡眠障害のための改良型低侵襲治療が要望されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、患者治療システムであって、
ウェアラブル器具を含み、ウェアラブル器具は、
電力貯蔵装置と、
電力貯蔵装置に結合されると共にRF信号を300MHzから6GHzまでの周波数範囲で放出するよう構成された送電アンテナと、
電力貯蔵装置と送電アンテナとの間に結合された第1の制御回路部とを有し、
植え込み型器具を含み、植え込み型器具は、
電極と、
電極を担持したハウジングと、
ハウジングによって担持されると共に、植え込み型器具を患者の口腔内の組織に固定するよう位置決めされたアンカーと、
300MHzから6GHzまでの周波数範囲のRF信号を受信するよう構成された電極受信機アンテナと、
信号を10Hzから300Hzまでの範囲の周波数で電極に方向づけるよう電極受信機アンテナ及び電極に結合された信号発生器と、
電極への信号の送出を制御するよう信号発生器と電極との間に結合された第2の回路部とを有することを特徴とする患者治療システムが提供される。
【0008】
本発明の別の観点によれば、睡眠時無呼吸治療システムであって、
患者の口腔内に嵌まるよう構成された口内器具を含み、口内器具は、
RF信号を第1の周波数で放出するよう構成された送電アンテナを担持した下マウスピース部分、及び
下マウスピース部分と反対側に位置する上マウスピース部分を有し、上マウスピース部分は、
送電アンテナに作動可能に結合された電力貯蔵装置、及び
電力貯蔵装置及び送電アンテナに作動可能に結合された第1の制御回路部を担持し、
下マウスピース部分と上マウスピース部分を結合するコネクタを有し、
植え込み型器具を含み、植え込み型器具は、
電極と、
送電アンテナによって放出されたRF信号を受信するよう構成された電極受信機アンテナと、
電極受信機アンテナ及び電極に結合されかつ、刺激信号を電極に第2の周波数で方向づけることができる信号発生器、及び
電極への刺激信号の送出を制御するよう信号発生器と電極との間に結合された第2の回路部を有することを特徴とする睡眠時無呼吸治療システムが提供される。
【0009】
本発明のさらに別の観点によれば、電気信号を個人に方向づける方法であって、
ウェアラブル器具をプログラムして植え込み型器具の受信機アンテナとワイヤレス通信関係をなすよう位置決めされたウェアラブル器具の送電アンテナを介して、第1の電気信号を伝送するステップを含み、第1の電気信号の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第1の周波数範囲にある第1の周波数を有し、
植え込み型器具のパルス発生器をプログラムして、
電極受信機アンテナを介して、第1の電気信号を受信し、そして
個人のターゲット神経と電気的に連絡するよう位置決めされた植え込み型器具の少なくとも1つの電極を介して、第2の電気信号を送出するステップを含み、第2の電気信号の少なくとも一部分は、最大100kHzまでの第2の周波数範囲にある第2の周波数を有することを特徴とする方法が提供される。
【0010】
本発明のさらに別の観点によれば、患者を治療する方法であって、
植え込み型器具を患者の舌下神経の内側枝の近くに経皮的に植え込んで、植え込み型器具によって担持された電極が患者の舌下神経の内側枝と電気的連絡関係をなすよう位置決めされるようにするステップと、
ウェアラブル器具の送電アンテナからの第1の信号を植え込み型器具の受信機アンテナに送信するステップと、
植え込み型器具の信号発生器により第1の信号を第2の信号に変換するステップと、
電極を介して第2の信号を患者の舌下神経の内側枝に印加するステップと、を含むことを特徴とする方法が提供される。
【0011】
本技術の代表的な実施形態が、例示として示されており、これらは、図によって制限されることはなく、図中、同一の参照符号は、全体として、図全体を通じて対応の部分を示している。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2A】患者の頭蓋を下から見た図であり、舌下神経、及び本発明の実施形態に従って代表的な電極配置場所を示す図である。
【
図2B】患者の頭蓋の側面図であり、本技術の実施形態に従って別の代表的な信号送出ターゲットを示す図である。
【
図3A】本技術の実施形態に従って睡眠障害を治療するシステムの構成要素を示すブロック図である。
【
図3B】患者の上気道、及び本技術の実施形態に従って睡眠障害を治療するためのシステムの構成要素の部分概略側断面図である。
【
図4】本技術の実施形態に従って構成された信号送出装置の部分略図である。
【
図5A】上マウスピース部分、下マウスピース部分、下マウスピース部分の内面のところに位置決めされた回路・電源を有する信号発生器の部分略図である。
【
図5B】上マウスピース部分、下マウスピース部分、及び上マウスピース部分の内面のところに位置決めされた回路・電源を有する信号発生器の部分略図である。
【
図5C】上マウスピース部分、下マウスピース部分、及び上マウスピース部分及び/又は下マウスピース部分の外面のところに位置決めされた回路・電源を有する信号発生器の部分略図である。
【
図6】本技術の代表的な実施形態に従って、回路部、電源、1つ以上のセンサ、及び/又はデータ受信機アンテナを担持したルーフ部分付きの上マウスピース部分を有する信号送出装置の部分概略等角図である。
【
図7】本発明の実施形態に従って、個々の電極を制御回路で制御する多数の装置構成の部分略図である。
【
図8A】本技術の実施形態に従って選択された波形パラメータを有する波形の代表的な例を示す図である。
【
図8B】本技術の実施形態に従って活動期間及び休息期間を有する波形の代表的な例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本技術については、読みやすくするために、以下の見出しの下で説明する。
・
見出し1:「導入」
・
見出し2:「代表的な刺激ターゲット」(
図1~
図2Bに焦点を当てている)
・
見出し3:「代表的な器具及び方法」(
図3A~
図7に焦点を当てている)
・
見出し4:「代表的な波形」(
図8A及び
図8Bに焦点を当てている)
【0014】
本技術の実施形態を上述の選択された見出しの下で説明するが、本技術の他の実施形態は、多数の見出し下において説明した構成要素を含むことができる。したがって、一実施形態について特定の見出しの下で説明することができるということにより、必ずしも当該実施形態が当該見出し下で説明した構成要素にのみ限定されるわけではない。
【0015】
1.導入部
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のための電気的刺激にあたり、代表的には、神経及び/又は筋を状態調節する電流を流して、舌及び/又は他の軟組織が動くようにする。したがって、電気的刺激は、上気道の閉塞を除くことができ、舌又は他の軟組織が潰れ又は軌道を閉塞するのを阻止することができる。本明細書で用いられる「状態調節」及び「刺激」という用語は、1つ以上の運動機能、例えば、呼吸関連の運動機能に対する作用効果、例えば、かかる運動機能に対する影響を呈する神経に対する作用効果を示すことを意味するよう互換的に用いられる。
【0016】
呼吸障害、例えばOSAの発症率及び/又は重症度を減少させる代表的な方法及び装置を本明細書において開示する。代表的な実施形態によれば、低侵襲信号送出装置が患者の口腔、軟口蓋、口腔咽頭、及び/又は喉頭蓋を神経支配する神経の近くに又はこれに隣接して植え込まれる。代表的な神経としては、口腔に隣接すると共に/或いは口腔の周りに又は頸部内に位置する舌下神経、頸神経ワナの枝及び/又は迷走神経が挙げられる。信号送出装置は、経皮注入により患者の体内に植え込まれるのがよい。例えば、1つ以上のマウスピース部分、カラー部分、あご紐部分、ピロー部分、マットレスオーバーレイ部分、他の適当な「ウェアラブル」、及び/又は1つ以上の粘着剤皮膚取り付け型器具を含む非植え込み型電源が電力を植え込み済みの信号送出装置にワイヤレス提供するのがよい。信号送出装置は、正確にターゲットした電気信号(例えば、パルス)を放出し、かかる電気信号は、睡眠時無呼吸を治療するために患者の上気道開存性を改善すると共に/或いは口内腔の組織の緊張度を改善する。信号送出装置によって送り出された電流は、遠心性の末梢神経、例えば、上気道と関連した患者の舌下神経及び/又は他の神経の少なくとも一部分を刺激することができる。舌を前方に動かすことによって、かつ/或いは舌及び/又は軟組織が患者の咽頭の奥上にかつ/或いは上気道上に虚脱するのを阻止することによって、本明細書において開示する器具及び関連方法は、例えば、上気道/咽頭内の潜在的に閉塞性の組織を下に動かすことによって、患者の睡眠の質を向上させることができる。具体的に説明すると、電気信号を舌下神経の内側枝に印加することにより、舌を前(前方)に動かすことができ、また、電気信号を頸神経ワナに印加することにより、甲状腺、喉頭、気管、及び/又はこれらの組織(例えば、軟骨)のうちの任意のものを下(下方又は尾方)に動かすことができ、かかる運動は、一般に、尾方牽引と呼ばれる。システムは、存在、タイミング、及び/又は電気療法が患者に提供される仕方を制御する1つ以上のフィードバック及び/又は診断器具又は機能をさらに含むのがよい。したがって、1つ以上のセンサが患者の特性(例えば、睡眠状態、覚醒状態、及び/又は呼吸特性)を検出することができ、かかる患者特性を用いると、治療又はセラピーをリアルタイムで又はほぼリアルタイムで計測することができる。その結果、システムは、患者が眠っているときのみかつ/或いは患者の呼吸性能(例えば、酸素灌流レベル)が、治療が必要であり又は有用であることが分かったときにのみ神経ターゲットに治療を施すことができる。
【0017】
以下に説明する技術の多くの実施形態は、プログラマブルコンピュータ又はコントローラによって実行されるルーチンを含む、コンピュータ実行可能又は機械実行可能又はコントローラ実行可能命令の形態をとるのがよい。当業者であれば理解されるように、本技術を図示すると共に以下に説明するコンピュータ/コントローラシステム以外のコンピュータ/コントローラシステムで実施できる。本技術は、以下に説明するコンピュータ実行可能命令のうちの1つ以上を実行するよう特別にプログラムされ、構成され又は設定された特殊目的のコンピュータ、コントローラ又はデータプロセッサで具体化できる。したがって、本明細書において一般的に用いる「コンピュータ」及び「コントローラ」は、任意適当なデータプロセッサを意味しており、これらの用語は、インターネットアプリケーション及び手持ち型器具(パームトップコンピュータ、ウェアラブルコンピュータ、タブレット、携帯電話、モバイルフォン、マルチプロセッサシステム、プロセッサ利用コンシューマーエレクトロニクス、プログラマブルコンシューマーエレクトロニクス、ネットワークコンピュータ、ミニコンピュータなど)を含む場合がある。これらのコンピュータによって取り扱われる情報を任意適当なディスプレイ媒体で提示でき、かかるディスプレイ媒体としては、液晶ディスプレイ(LCD)が挙げられる。
【0018】
本技術はまた、分散環境で実施でき、この分散環境では、タスク又はモジュールは、通信ネットワークを介して互いにリンクされた遠隔処理装置によって実施される。分散型コンピューティング環境では、プログラムモジュール又はサブルーチンは、ローカル記憶装置やリモート記憶装置内に実装できる。以下に説明する技術の諸観点を1つ以上のASIC(例えば、アドレス指定可能メモリ付き)を含む任意適当なコンピュータ可読媒体上に記憶させることができ、又は分散させることができ、また、ネットワークにより電子的に分散させることができる。本技術の諸観点に特有のデータ構造及びデータの伝送もまた、本技術の実施形態の範囲に含まれる。
【0019】
2.代表的な刺激ターゲット
本明細書において説明する代表的な実施形態は、1以上の電流を1つ以上の特定のターゲット配置場所、例えば、特定の神経及び/又は神経に沿う特定の位置に流すよう位置決めされるのがよい電極を有する信号送出装置を含む。
図1は、患者の口腔の一般的な解剖学的構造を示しており、後の図は、特定のターゲット存在場所を示している。かかる存在場所としては、舌以外の気道の筋(例えば、口蓋筋、口腔咽頭筋、喉頭筋)を神経支配する神経のような患者の舌下神経、頸神経ワナの枝、及び/又は迷走神経に沿う場所が挙げられる。ターゲット存在場所を内在筋、外来筋、関連神経枝、及び/又は他の生理学的特徴部のうちの任意のもの、又はこれらの任意の組み合わせに対して特定することができる。かかるターゲット場所及び/又は位置はまた、疼痛及び/又は他の望ましくない効果を生じさせないようにするために、唾液腺(例えば、舌下唾液腺の内側に位置する)及び/又は他の構造から遠くに位置しているのがよい。
【0020】
図1は、x軸が前方向‐後方向の方向を示し、y軸が上方向‐下方向の方向を示し、z軸が内側‐外側の方向を示す座標系に対して患者Pを示している。患者Pは、舌Tの上に位置していて、口腔OC(例えば、口)のルーフを形成する硬口蓋HPを有する。硬口蓋HPは、骨支持体BS有し、かくして、通常、呼吸中に変形しない。軟組織、例えば、膜、線維質、脂肪組織、筋組織で作られている軟口蓋SPは、硬口蓋HPから咽頭PHRの奥に向かって後方(例えば、後方向)に延びている。より具体的には、軟口蓋SPの前端AEは、硬口蓋HPの後端に固定され、軟口蓋SPの後端PEは、非固定である。軟口蓋SPは、骨又は硬い軟骨を含んでいないので、軟口蓋SPは、撓むことができ、そして咽頭PHRの奥に虚脱すると共に/或いは前後にバタつく場合がある(例えば、特に睡眠中)。
【0021】
咽頭PHRは、口腔OC及び鼻腔NCから気管TRに空気を送るもので、鼻腔の下(下方)、口腔OCの後方(背後)、かつ食道ESの上方(上)に位置する喉の一部である。咽頭PHRは、両側を舌Tの付け根に向けて下方に延びる、口蓋舌弓PGAによって口腔OCから分離されている。簡略化のために図示していないが、咽頭PHRは鼻咽頭、中咽頭、及び咽喉頭を含んでいる。鼻咽頭は軟口蓋SPの上面と喉の壁(すなわち、口腔OCの上方)との間に位置している。中咽頭は口腔OC背後に位置し、口蓋垂Uから舌骨HBの高さに延びている。中咽頭は前方に向けて口腔OCに開放している。中咽頭の横壁は口蓋扁桃から成り、口蓋舌弓PGAと口蓋咽頭弓との間に位置している。中咽頭の前壁は舌Tの付け根及び喉頭蓋谷から成っている。食物と空気の両方が咽頭PHRを通過するため、食物が飲み込まれたとき、喉頭蓋EPと呼ばれる結合組織の蓋が声門(簡略化のために図示せず)を覆って誤嚥を防止する。咽喉頭は食道ESにつながる喉の一部であり、喉頭蓋EPの下方に位置している。舌Tの下には、下の顎すなわち下顎M及びオトガイ舌骨筋GHが存在し、オトガイ舌骨筋は、舌Tの動きを制御する筋のうちの1つである。
【0022】
図2Aは、下顎Mに向かって上方に見た患者の頭蓋の部分概略等角図である。
図2Aはまた、患者の舌T(
図1)を制御する筋を神経支配する舌下神経HGNを示している。代表的な実施形態では、1つ以上の電極131が、内側枝によって定められた電極平面132内において舌下神経HGNに沿って、特に、HGNの内側枝のところに位置決めされている。電極131をこの平面132内に、かつ舌下神経HGNに隣接して正確に位置決めすることによって、本技術の実施形態に係るシステムは、不快感、及び/又は他の望ましくない効果を生じさせることなく、かつ/或いは効果的な治療信号を生じさせるのに必要な電力量を減少させる仕方で患者の気道開存性を一層効果的に制御することができる。本明細書におけるどこか他の場所で説明するように、他の代表的なターゲット神経としては、頸神経ワナ及び迷走神経が挙げられる。さらに別の代表的なターゲットとしては、脳神経(例えば、舌咽神経)及び口蓋舌筋が挙げられる。
図2Bは、これらのターゲットを示している。上記ターゲットに方向づけられた信号により、上記及び/又は他の結果をもたらす代表的なシステムについて、
図3~
図8Bを参照して以下にさらに説明する。
【0023】
3.代表的な器具及び方法
図3Aは、本技術の実施形態に従って睡眠障害を治療するためのシステム100の構成要素を示すブロック図である。システム100は、ウェアラブル器具101(以下、「ウェアラブル」という場合がある)、充電器121、1つ以上のインプラント又は植え込み型器具(例えば、第1の植え込み型器具120a、第2の植え込み型器具120b……n番目の植え込み型器具120n(これらをまとめて「植え込み型器具120」と言う)、及び接続済みデバイス又はプログラマ160を含むのがよい。一般に、プログラマ160は、電気信号(例えば、信号送出又は波形パラメータ)を発生させる命令をウェアラブル器具101に伝送することができ、ウェアラブル器具101は、命令及び電力を植え込み型器具120に伝送することができ、個々の植え込み型器具120は、伝送した命令に従って電気信号を発生させてこの電気信号を植え込み型器具120によって担持された電極を介して患者に印加することができる。システム100の上述の観点のうちの多くについても
図3Bを参照して以下に詳細に説明する。
【0024】
プログラマ160は、患者操作式プログラマ及び/又は医師操作式プログラマを含むのがよく、かかるプログラマは、患者に送出される電気信号の1つ以上の特性を制御するよう構成されているのがよい。代表的な実施形態では、プログラマ160は、植え込み型器具120によって担持された個々の電極を選択し、振幅、周波数、パルス幅、バースト継続時間(電極がアクティブ状態であれ非アクティブ状態であれいずれにせよ)及び/又は任意他の適当な信号送出パラメータを調節(例えば、増減)するよう構成された治療調節モジュールを含むのがよい。加うるに、プログラマ160は、個々のウェアラブル101及び/又は植え込み型器具120から受け取った情報(例えば、診断及び/又はフィードバック情報)を同期させるのがよく、そして少なくとも部分的に同期情報に基づいて、信号送出パラメータのうちの1つ以上を調節するのがよい。プログラマ160は、信号送出パラメータを植え込み型器具120に直接的にかつ/或いはウェアラブル器具101を介して伝送するのがよい。例えば、プログラマ160は、個々の植え込み型器具120及び/又はウェアラブル器具101にワイヤード又はワイヤレス通信リンク、例えばWi‐Fi、ブルートゥース(登録商標)(Bluetooth:BT)、セルラー接続、及び/又は任意の他の適当な通信リンクにより接続されるのがよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、プログラマ160は、例えば、ウェアラブル器具の101のセンサから受け取ったデータをアップロードすると共に/或いはウェアラブル器具101及び/又は植え込み型器具120に情報をダウンロードするよう、クラウド162及び/又は他のコンピュータサービスに接続されるのがよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、プログラマ160は、ディスプレイ及び/又はユーザーインターフェースを含むのがよい。ユーザ(例えば、患者、医師、及び/又は他の適当なユーザ)は、プログラマ160の1つ以上の観点と例えばユーザーインターフェースを介して相互作用すると共に/或いは違ったやり方で制御し、それにより、信号送出パラメータのうちの1つ以上を手動で調節し、ウェアラブル器具101のセンサから受け取ったデータを読み取り、かつ/或いは他のタスクを実行することができる。
【0025】
ウェアラブル器具101は、患者に関連するデータを収集するよう構成されている1つ以上のセンサ(例えば、単一センサ、センサのアレイ、及び/又は他の適当なセンサ配置)を有するのがよい。ウェアラブル器具は、電源(例えば、電力貯蔵装置及び/又はバッテリ)、電力及び/又は信号送出パラメータを植え込み型器具120に伝送するよう構成された送電コンポーネント、及びウェアラブル器具101の動作の1つ以上の観点を制御するよう構成された1つ以上のアルゴリズムをさらに有するのがよい。個々のセンサは、患者に関連するデータ、例えば、患者の睡眠状態及び/又は呼吸性能を収集するのがよい。1つ以上のアルゴリズムは、少なくとも部分的に、センサによって収集されたデータに基づいて、信号送出パラメータのうちの少なくとも1つを調節するよう構成されているのがよい。代表的な実施形態では、ウェアラブル101は、収集した睡眠状態及び/又は呼吸性能データに基づいて、例えば、1つ以上のアルゴリズムを介して患者に送出された電気信号の1つ以上の送出パラメータを調節し又は違ったやり方で制御するよう構成されている統合睡眠、呼吸診断、及び/又は治療モジュレーション(状態調節)システムを有するのがよい。
【0026】
幾つかの実施形態では、ウェアラブル器具101は、カバー又はハウジングをさらに有するのがよく、その少なくとも一部分は、ウェアラブル器具101の内部又はその一部分を露出させるよう取り外し可能であるのがよい。この実施形態及び他の実施形態では、ウェアラブル器具101のカバーは、織物、又は任意の他の適当な材料を含むことができる。オプションとして、ウェアラブル器具101は、ユーザがウェアラブル器具101の構成要素のうちの1つ以上と相互作用し、かつ/或いは違ったやり方でこれを制御する(例えば、電源の充電状態をチェックし、信号送出パラメータのうちの1つ以上を調節するなど)ことができるようにするよう構成された縮小されると共に/或いは単純化されたユーザーインターフェースを有するのがよい。
【0027】
ウェアラブル器具101用の充電器121は、電力をウェアラブル器具101の電源に供給するよう構成されているのがよい。充電器121は、ワイヤレス(例えば、インダクティブ)充電器、ワイヤード充電器(例えば、壁プラグ、充電ケーブルなど)、及び/又は任意の他の適当な充電器もしくは充電装置を含むことができる。オプションとして、充電器121は、ウェアラブル器具101の充電を制御すると共に/或いはウェアラブル器具101の充電中にウェアラブル器具101にデータをアップロード/ダウンロード行うための例えば統合コントローラ及び/又は接続デバイスを有するのがよい。
【0028】
1つ以上の植え込み型器具120の各々は、RFID(例えば、関連植え込み型器具120a~120nを識別すると共に/或いは存在場所を特定するために使用できる一義的なRFIDタグ)、電極受信機アンテナ(例えば、RF電力アンテナ)、電力整流器(順方向変換装置)/DC‐DC変換器、回路部(例えば、1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、状態機械など)、信号発生器、及び各々が患者に電気信号を送るよう個々に選択可能である2つ以上の電極を有するのがよい。電極受信機アンテナは、ウェアラブル器具の送電部品から電力を受け取ることができる。電力整流器/DC‐DC変換器は、電極受信機アンテナに動作可能に結合されるのがよく、また、受け取った電力を信号発生器に伝送するよう構成されているのがよい。加うるに、植え込み型器具120の各々は、電極受信機アンテナを介して、信号発生器によって発生されると共に/或いは植え込み型器具120の電極のうちの少なくとも1つを経て患者に送り出されるべき電気信号の送出パラメータのうちの1つ以上に関する情報を受け取ることができる。回路部は、植え込み型器具120の動作と関連した機械可読命令を含むのがよい。例えば、回路部は、実行時に、信号発生器が電極受信機アンテナを経て受け取った信号送出パラメータを有する電気信号を発生させるようにすることができる命令を含むのがよい。これらの実施形態及び他の実施形態では、電極受信機アンテナは、植え込み型器具120と関連した情報をウェアラブル器具101に伝送するよう使用されるのがよい。例えば、植え込み型器具120は、患者に印加される電気信号の信号送出パラメータのうちの1つ以上と関連した情報を電極受信機アンテナ経由でウェアラブル器具101に伝送することができる。これらの実施形態及び他の実施形態では、1つ以上の植え込み型器具120は各々、植え込み型器具120を患者の体内に植え込むことができるよう構成された気密パッケージ又はハウジングを有するのがよい。
【0029】
図3Bは、
図1を参照して上述した図と同様な視点において、患者の解剖学的構造との関連で示している
図3Aのシステム100の代表的な具体化例の部分概略等角図である。代表的な実施形態では、システム100は、植え込まれた構成要素と外部の構成要素の両方を含む。植え込まれた構成要素は、1つ以上の植え込み型器具120を含むのがよい。各植え込み型器具120は、ターゲット神経及び/又は筋構造に隣接して位置決めされた信号送出装置130を有するのがよい。信号送出装置130は、縫合糸及び/又は他の器具、例えばアンカーにより定位置に固定されるのがよい。信号送出装置130は、信号発生器110に動作可能に結合されている。幾つかの実施形態では、信号発生機能は全て、植え込み型器具120によって実行され、他の実施形態では、幾つかの信号発生機能は、外部構成要素によって実行可能である。信号発生機能及び信号送出機能は、単一の植え込み型器具120によって実行されてもよく、多数の器具によって実行されてもよい。
【0030】
ウェアラブル器具101は、電源109を担持するのがよい。説明の目的上、ウェアラブル器具101は、口内器具123、例えばマウスピースを含むものとして
図3Bに示されており、この口内器具は、電源109を担持している。上述したように、ウェアラブル器具101は、他の実施形態では、他の適当な構成(例えば、カラー、あご紐、ピロー、マットレスオーバーレイ)を有することができる。電源109は、電力を信号発生器110に提供し、信号発生器は、信号(例えば、治療信号)を発生させて、これら信号を信号送出器具130によって担持された1つ以上の電極131に方向づける。信号送出装置130は、低侵襲法を用いて、例えば、経皮注射針を用いて、患者の舌下神経HGNのところに又はこの近くに植え込まれるのがよい。電源109は、電力をワイヤレス送電リンク114、例えば、ミッドフィールドRF送信リンク経由で信号発生器110に提供する。
【0031】
信号発生器110は、代表的には、ウェアラブル器具101によって制御され、ウェアラブル器具101は、プログラマ160及び/又は任意の他の適当なデバイスによってワイヤレスプログラマリンク161経由で制御されるのがよい。したがって、患者P及び/又は医師は、プログラマ160を用いて信号発生器110を方向づけ(ウェアラブル器具101により)、それにより特定の信号を特定の時間にかつ/或いは特定の順序に従って特定の電極に送ることができる。プログラマリンク161は、双方向リンクであるのがよく、その結果、プログラマ160(ウェアラブル器具101及び/又は信号発生器110への命令の提供に加えて)は、治療、システムコンポーネントの状態、及び/又は他の適当なメトリックスに関するデータを受け取ることができる。データは、ウェアラブル器具101(概略的に
図3Bに示されているように)及び/又は植え込み型器具120によって担持された1つ以上のセンサ119によって収集されるのがよい。加うるに、プログラマ160は、クラウド162及び/又は他のコンピュータサービスと通信して、患者Pから受け取ったデータをアップロードすると共に/或いはウェアラブル器具101及び/又は植え込み型器具120に情報をダウンロードすることができる。ダウンロードされたデータは、適当な治療(例えば、他の同様な状況にある患者から)に関する命令及び/又は他のデータ、ウェアラブル器具101及び/又は植え込み型器具120によって担持された回路上で実行されるソフトウェアについてのアップデート、及び/又は他の有用な情報を含むのがよい。他の実施形態では、植え込み型器具120及び/又はウェアラブル器具101は、アップデート可能ではない状態機械コンポーネントを含む。患者から受け取る代表的なデータは、とりわけ、呼吸数、睡眠状態、覚醒状態、心拍数、音声信号(可聴いびき、低呼吸イベント、及び/又は無呼吸イベント)、体温、頭部の向き/位置、飽和血液酸素レベル、空気流量レベル、甲状腺の動き、気管の動き、及び/又は舌の動き、光電式容積脈波記録法(photoplethysmography:PPG)データを含むのがよい。患者から受け取ったデータは、ウェアラブル器具101及び/又は植え込み型器具120によって担持された119によって生成されるのがよい。代表的な実施形態では、ウェアラブル器具101は、実行機能、例えば、患者に提供される治療を開始し調節すると共に/或いは停止させるためにプログラマ160及び/又はセンサ119から受け取った情報の同期を実行する。したがって、ウェアラブル器具によって担持された回路部は、センサから受け取った情報に基づいて、植え込み型器具に送られた治療を開始させ、変更し、かつ/或いは停止するための命令がプログラムされたコントローラを含むのがよい。受け取ったデータは、患者の呼吸性能、睡眠状態、覚醒状態、及び/又は他の適当なメトリクス、例えば、無呼吸低呼吸指数(AHI)についてレーティングするために用いられるメトリックスの尺度に対応するのがよい。
【0032】
上述の実施形態のうちの任意のものにおいて、ウェアラブル器具101は、電力を1つ以上の送電リンク112経由で植え込み型器具120に伝送したり、電力を(例えば、断続方式で)充電器121から受け取ったりする。充電器121は、上述すると共に
図3Aを参照して、したがって、従来型誘導結合装置(例えば、Qi規格充電)及び/又は従来型ワイヤード接続方式を採用するのがよい。
【0033】
快適な装用のため、ウェアラブル器具101(口内器具123であれ他形式のウェアラブルであれいずれにせよ)は、患者にカスタムフィットさせることができ、又は種々のサイズで利用可能に作られているのがよく、かつ/或いは個々の患者に合うように部分的に構成可能であるのがよい。口内器具123は、関連する信号送出器具130が、口腔内のターゲット神経集団(例えば、HGN)のところに又はこれらの近くに位置決めされたときに最適である。ウェアラブル器具がマウスピースの形状因子を有するにせよ別の適当な形状因子を有するにせよいずれにせよ、ウェアラブル器具がHGN以外のかつ/或いはこれに加えて神経集団、例えば、迷走神経及び/又は頚神経ワナの枝をターゲットにするために用いられる場合であっても、電力を植え込み型器具120に提供することができる。さらに別の実施形態では、電源109は、接着剤により患者の皮膚に取り付けることができるが、接着剤を避けることが患者にとってより望ましく/効果的であることが予想される。
【0034】
図3Bに示す特定の実施形態を参照すると、口内器具123は、上マウスピース部分111と下マウスピース部分112の両方を有するのがよい。2つのマウスピース部分111,112は、コネクタ113により互いに結合されるのがよい。コネクタ113は、2つのマウスピース部分相互間にワイヤード通信リンクをもたらすことができ、かつ/或いはコネクタ113は、下マウスピース部分112を上マウスピース部分111に対して機械的に位置決めすることができる(かつ/或いはその位置を維持し又は安定化することができる)。このやり方を用いると、例えば、患者の下の顎又は下顎Mを、
図3Bの骨構造BSによって指示されている患者の上顎に対して前進させることができる。例えば、本技術の諸実施形態は、ウェアラブル器具によって電力供給される電気刺激に加えて、ウェアラブル器具101の物理的要素を用いて、顎弛緩(患者の口がぽかんと開いた状態)を避け又は少なくとも軽減する。例えば、カラー及び/又はあご紐を備えたウェアラブル器具は、患者の顎をターゲット位置に機械的に安定化することができる。
【0035】
電源109は、充電器121から電力を受け取り、そして電力を信号植え込み型器具120に伝送可能に蓄える1つ以上の電荷貯蔵装置116(例えば、1つ以上のバッテリ)を含むのがよい。したがって、電源109は、電荷貯蔵装置116から電力を受け取り、この電力を調整し、そしてこの電力を送電アンテナ118に伝送する回路部115(例えば、第1の回路部)を有するのがよい。送電アンテナ118は、電力をワイヤレス送電リンク114及び信号送出装置130によって担持された電極受信機アンテナ133経由で植え込み型器具120に伝送する。
【0036】
口内器具123は、プログラマ160からデータを受け取ると共に/或いはプログラマ160にデータを伝送するデータ送受信アンテナ117をさらに有するのがよい。プログラマ160に伝送されるデータは、1つ以上のセンサ119から得られたセンサデータを含むのがよい。したがって、口内器具123は、電力を信号送出装置130に方向づけるのに必要な機能要素/コンポーネントを担持するのがよく、また、患者にとって効果的な治療を提供するようプログラマ160と通信するのがよい。信号送出装置130及び信号発生器110についてのさらなる詳細について
図4~
図8Bを参照して以下に説明する。
【0037】
図4は、本技術の代表的な実施形態に従って構成された構成要素を有する信号送出装置130の部分概略側面図である。スケール感を提供するために代表的な寸法が
図4に示されているが、本技術は、明示の指定がない場合にこれらの寸法によって制限されることはない。信号送出装置130は、全体として可撓性であるのがよくかつ1つ以上の電極131を担持することができるリード本体134を有し、1つ以上の電極131は、幾つかの実施形態では、全体として剛性であり、他の実施形態では、可撓性であるのがよい。可撓性電極は、ターゲット神経の近くの曲がりくねった解剖学的構造/挿入経路に対応するようリード本体全体の可撓性を増大させる。説明の目的上、リード本体134は、
図4において4つの電極131を担持するものとして示されているが、他の実施形態では、リード本体134は、他の適当な数の電極、例えば2つの電極131を担持することができる。電極131は、アレイをなして、例えば一次元直線アレイをなして配列されるのがよい。電極131は、適当な生体適合性材料、例えば、白金/イリジウム、ステンレス鋼、MP35N及び/又は他の適当な導電性インプラント材料で作られた従来型リング形状又は円筒形の電極を含むのがよい。電極131は各々、リード本体134を貫通した個々の導体140、例えば、細いワイヤフィラメントに連結されるのがよい。各電極131は、
図4に示すようにおよそ1.5mmの長さを有するのがよく、又は他の実施形態では別の適当な長さを有することができる。閉回路を構成するため、電極131は、代表的には、一対ずつ(少なくとも一対ずつ)互いに接続されるのがよい。ハウジング135及び/又はハウジング135の幾つかの部分は、電極として、例えば接地電極又は戻り電極として働くのがよい。
【0038】
リード本体134は、ハウジング135に接続されると共にこれによって担持され、ハウジング135は、信号発生器110及び電力を受け取るための回路素子を担持している。例えば、ハウジング135全体は、アンテナハウジング又はハウジング部分135a及び回路ハウジング又は回路ハウジング部分135bを有するのがよい。アンテナハウジング135aは、可撓性であるのがよく、このアンテナハウジングは、ウェアラブル器具101(
図3A及び
図3B)からワイヤレス送電リンク114を介して電力を受け取る受信機アンテナ133(他の適当な電力受け取り装置)を担持するのがよい。回路ハウジング135bは、チタン及び/又は別の適当な材料で作られた全体として円形の金属「缶」の形態をしているのがよい。信号発生器110は、受信機アンテナ133に結合されたチャージポンプ及び/又はDC‐DC変換器139及び/又は回路部138(例えば、第2の回路部)を有するのがよい。回路部138は、対応の機械可読命令を含むのがよいASICを有するのがよい。命令は、電力伝送に加えてデータ伝送のために電極受信機アンテナ133を用いて、ワイヤレスでアップデートされるのがよい。例えば、データは、パルス幅変調(PWM)及び/又は他の適当な技術を用いて伝送されるのがよい。データはまた、例えば後方散乱及び/又は他の適当な技術を用いて逆方向に伝送可能である。例えば、植え込み型器具120は、電力を受け取ったということ及び電力がどれほどの大きさであるかを指示する受け取りを伝送するのがよい。この情報を用いると、信号発生器110の出力、例えば送信した信号及び相を自己調節する(上下に)ことができる。したがって、回路部138は、治療信号を患者に送出するためにプロセッサ及びメモリを有するのがよく、係るプロセッサ及びメモリとしては、予めプログラムされると共にアップデート可能な命令(例えば、ASICの形態をしている)が挙げられる。例えば、システムは、ブートローダ組み込み型ファームウェアを含むのがよい。さらに、システム全体は、RFID型送電認証法を用いて単一のウェアラブル器具101によって電力供給されるのがよい多数の植え込み型器具を識別することができる。RFID及び/又は他の技術を用いると、異物により又は意図しない刺激が起こることがないようにするようにセキュリティ措置を具体化するのがよい。係る技術は、少なくとも幾つかの実施形態では、植え込み型器具120に実装された適当なハードウエア/ソフトウェアにより具体化できる。
【0039】
ハウジング部分135全体は、全体として剛性であるベース136及び1つ以上のアンカー137をさらに有するのがよい。アンカー137は、植え込み型器具120を患者の組織に対して確実に位置決めする。代表的な実施形態では、アンカー137は、植え込み型器具120が患者の体内に注入され又は違ったやり方で植え込まれた時に外方にかつ患者の組織中に延びる1つ以上の歯を有する。他の実施形態では、植え込み型器具120は、他の適当なアンカーを有するのがよく、かつ/或いは繋留は、信号送出装置130の遠位区分及び/又は中間区分のところで起こるのがよい。他の適当なアンカーとしては、(a)電極アレイの長手方向長さにわたって延び、そして導入シースが引き抜かれた時に固定摩擦力を生じさせるよう曲がる弓形ばね(bow spring)、(b)ばね押しヒンジに設けられていて、電極アレイの長手方向長さに渡って延び、そして導入シースが引き抜かれた時に固定摩擦力を生じさせるよう撓る細いワイヤ、(c)回転時に拡径してまた対応のプッシュロッドがインプランタによって回されている時に摩擦固定作用を生じさせるカム及び/又は(d)回転時に拡径してまた対応のプッシュロッドがインプランタによって回されている時に摩擦固定作用を生じさせるねじりばね(torsion spring)が挙げられるが、これらには限定されない。
【0040】
植え込み型器具120を植え込むため、医師は、代表的な1組の経皮インプラントツール、例えば導入器、針、カニューレ、及びスタイレットを用いて植え込み型器具120を所望のターゲット場所に位置決めする。特定の実施例では、植え込み型器具120は、3~4フレンチ針で経皮的に植え込まれる。植え込み型器具120をカニューレから前進させているとき、アンカー137は、外方に展開することができ、そして植え込み型器具120を定位置に固定することができる。例えばスタイレットをハウジング部分135のベース136及び/又は他の部分に設けられている孔から軸方向に引き抜くことによってスタイレットを植え込み型器具120から抜去したとき、植え込み型器具120は電力を受け取り、そして治療信号をターゲット神経に送出することができる状態にある。
【0041】
作用を説明すると、受信アンテナ133は、関連のウェアラブル器具101(
図3A及び
図3B、そして
図5A~
図6を参照して以下にさらに詳細に説明する)によって担持された電源109からワイヤレスで電力を受け取る。少なくとも幾つかの実施形態では、受信機アンテナ133のところで受け取られた電力は、ミッドフィールド(midfield)範囲内にあり、例えば、約300MHzから約6GHzまでの範囲、例えば約600MHzから約2.45GHzまでの範囲、又は約900MHzから約1.2GHzまでの範囲にある無線周波数の状態にある。この周波数では、ワイヤレス送電リンク114の使用可能な範囲は、植え込み型器具120とウェアラブル器具101との間の距離に及ぶのに足るほどの距離を優に超えて約10cmである。この範囲では、送電プロセスは、組織加熱を生じさせるものとは見込まれず、したがって、他の送電技術、例えば誘導型送電技術と比較して利点をもたらす。しかしながら、誘導型送電方式により生じる潜在的な加熱を適度に制御する実施形態では、誘電技術は、本明細書にて説明するミッドフィールド送電技術に代えて使用できる。
【0042】
受信機アンテナ133のところで受け取ったAC電力を整流してDCにし、次にDC‐DC変換器、チャージポンプ及び/又は変圧器139に伝送し、そして約10Hzから約300Hzまでの範囲にあるパルスに変換する。他の実施形態では、パルスを高い周波数(例えば、10kHz以上)でかつ/或いはバーストの形態で送出するのがよい。信号の振幅は、電圧制御系では約1mV~約5V(特定の実施形態では、1V~2V)であるのがよく、或いは電流制御系では約1mA~約6mAであるのがよい。回路部138は、これら信号送出パラメータを制御し、そして結果として生じる電気信号をリード本体134内のワイヤフィラメント又は他の導体140経由で電極131に伝送する。したがって、回路部は、これが植え込み型器具120にワイヤレスで伝送された電力を受け取り、そして最終的には患者に送出される信号を発生させるという点で信号発生器110を形成する(少なくとも一部を形成する)。電流が電極131によって流された結果として生じる電界は、ターゲット神経のところで所望の効果(例えば、励起及び/又は抑制)を生じさせる。少なくとも幾つかの実施形態では、植え込み型器具120は、システムボリュームを減少させるために搭載型電力貯蔵素子(例えば、電力キャパシタ及び/又はバッテリ)を何ら備える必要がなく又は0.5秒超の貯蔵能力を備えた電力貯蔵要素を何ら備える必要がない。他の実施形態では、植え込み型器具120は、植え込み型器具120の全体的にコンパクトな形状と適合性がありかつ実施形態に応じて、1秒以下、30秒以下、1分以下、2分以下、又は5分以下の全電荷貯蔵能力を有する1つ以上の小型電荷貯蔵装置(例えば、キャパシタ)を有するのがよい。
【0043】
少なくとも幾つかの実施形態では、患者に送出された電気信号を電極131のうちの2つによって形成されるバイポールにより送出するのがよい。他の実施形態では、信号は、単極信号であるのがよく、ハウジング135(例えば、回路ハウジング部分135b)は、接地電極又は戻り電極を形成する。一般に、波形は、
図8A及び
図8Bを参照して以下に詳細に説明するように、二相性、電荷平衡波形を含む。
【0044】
図5A~
図6は、本発明の代表的な実施形態にしたがって、電力を植え込み型器具120に供給するよう構成されたウェアラブル器具101を示している。最初に
図5Aを参照すると、代表的なウェアラブル器具101が上マウスピース部分111及び下マウスピース部分112を備えた口内器具123を含む。下マウスピース部分112は、
図4を参照して上述したように、電力を植え込み型器具120に方向づける1つ以上の送電アンテナ118を有する。代表的な実施形態では、患者は、両側に、すなわち、患者の2つの舌下神経の各々のところに植え込まれた2つの植え込み型器具120を着用しており、一方の植え込み型器具が患者の口腔の右側上に配置され、他方の植え込み型器具が左側上に配置されている。したがって、口内器具123は、各々が電力を植え込み型器具120の各々にそれぞれ方向づけるよう位置決めされた2つの送電アンテナ118を有するのがよい。
図5Aに示す実施形態では、下マウスピース部分112は、左延長部124a及び右延長部124bとして示されている2つの対応の延長部124を有する。各延長部124は、送電アンテナ118の各々をそれぞれ収容し、各延長部は、患者が口内器具123を着用した時に、患者にとって快適なままである仕方で対応の植え込み型器具120の近くに送電アンテナ118を配置するよう位置決めされている。
【0045】
口内器具123は、回路部115に結合された1つ以上の電源116をさらに有し、回路115は、電力を送電アンテナ118に方向づける。電源116は、信号伝送装置を適当な治療期間の間、供電するのに十分なエネルギーを蓄えるよう構成された1つ以上のバッテリ、キャパシタ、及び/又は他の電荷貯蔵装置を含むのがよい。適当な治療期間としては、代表的には、幾つかの実施形態では少なくとも4時間、他の実施形態では少なくとも一晩が挙げられる。回路部115は、電流を電源116から受け取ってこの電流を適当なミッドフィールド高周波に変換する。電流は、送電アンテナ118に方向づけられる。
図5Aに示す実施形態では、回路部115及び電源116は、下マウスピース部分112によって担持され、係る回路部及び電源は、患者の下唇の方へ向くよう下マウスピース部分112の外面に沿って位置決めされる。この構成では、電気素子は、患者の舌の前運動を妨害することが見込まれていない。もう1つの実施形態では、例えば、
図5Bに示すように、回路部115及び電源116は、上マウスピース部分111によって担持されるのがよい。この実施形態では、回路部115及び電源116は、患者の唇の方ではなく、患者の口腔の内部の方へ向くよう上マウスピース部分111の内面に沿って位置決めされる。電気素子が上マウスピース部分111上に位置するので、これら電気素子は、これらが患者の口腔の内部の方へ向く場合であっても、患者の舌の前運動を妨害しないことが見込まれる。回路部115は、上マウスピース部分111と下マウスピース部分112との間に結合されたコネクタ113(
図3Bに示す)を対応関係を成して通る1本以上のワイヤ(
図5Aには示されていない)により電流をアンテナに方向づける。
【0046】
図5Cは、ウェアラブル器具101が上マウスピース部分111によって担持された回路部115及び下マウスピース部分112によって担持された電源116を有する別の代表的な実施形態を示している。この場合、コネクタ113(
図3B)によって担持された通信リンクが電源116からの電流を回路部115に流し、次に電流を回路部115から送電アンテナ118(
図5Cでは見えない)に流す。
【0047】
図6は、本技術のさらに別の実施形態にしたがって構成されたウェアラブル器具601の部分概略等角図である。上マウスピース部分111は、患者の口蓋に当てて上方に位置決めされるよう上マウスピース部分111の一方の側部から他方の側部に横方向に延びるルーフ部分622を有する。したがって、ウェアラブル器具101の構成要素のうちのいくつかは、ルーフ部分622によって担持されるのがよい。係る構成要素としては、回路部115、電源116、データ送受信アンテナ117(
図3Bを参照して上述した)、充電コイル621(電源116を
図3A及び
図3Bに示す充電器121により再充電する)、及び1つ以上のセンサ119(これまた
図3A及び
図3Bを参照して上述した)が挙げられる。したがって、ルーフ部分622は、ウェアラブル器具101の上述の構成要素を収納担持する追加の容積部となることができる。センサ119としては、例えば、温度センサ、例えばサーミスタ及び/又は熱電対、音響センサ、振動センサ、圧力センサ、力センサ、ひずみ計、磁力計、加速度計、ジャイロスコープ、インピーダンスセンサ、EMGセンサ、ガスセンサ、及び/又は化学センサ、酸素飽和センサ、光電脈波センサ、流動センサ(口マノメトリ又は鼻マノメトリ)、及び/又は患者の状態又は特性(例えば、睡眠状態、覚醒状態)を検出することができる他のセンサが挙げられるが、これらには限定されない。幾つかの代表的な実施形態では、患者の呼吸パラメータを用いると、患者の呼吸サイクル並びに無呼吸イベントが起きている又は起きようとしていることを指示することができる情報に基づいて、刺激をトリガすることができる。特定の実施形態では、全体的システムは、パルスオキシメータ、光電脈波センサ、及びシステム行為の基礎となるべき適当な患者フィードバックを提供するための少なくとも1つの患者定位センサを含む。
【0048】
図5A~
図6を参照して説明した上述のコンポーネントのうちの任意のものをマウスピース部分の外面に沿って配置することができ又は他の実施形態では、これらコンポーネントは、マウスピース部分から外方ではなく内方に向いてもよい。上述したように、マウスピースの外面上に位置するコンポーネントの利点は、舌が刺激中に前へ突き出ている時に舌によって占められた空間にコンポーネントが当たらないということにある。少なくとも幾つかの実施形態では、バッテリは、これを容易に取り外したり交換したりすることができるよう位置決めされるのがよい。
【0049】
図7は、本技術の代表的な実施形態にしたがって患者に印加された電気信号を制御する装置の略図である。一般的に、制御回路部115は、電流を1つ以上の送電アンテナ118に提供し、送電アンテナ118は、電力を対応のワイヤレス送電リンク114経由で対応の電極受信機アンテナ133に方向づける。
【0050】
説明の目的上、
図7は、単一器具に設けられた2つの制御構成例を示しており、1つの構成例は、患者の口腔の左側のためであり、もう1つの構成例は、右側のためのものである。これは、1つの考えられる構成であり、他の実施形態では、同一の構成例は、左側と右側の両方に用いられる。
図7に示すように、第1の受信機アンテナ133aは、信号を4つの対応の電極131の各々に提供することができる。2つの第2の受信機アンテナ133bは、各々、電力を2つの電極131に提供することができる。具体化された構成例は、対応の受信機アンテナにより個々の電極の制御と関連した有用性に基づいて選択されるのがよい。例えば、第1の受信機アンテナ133aは、同一の信号をこれに接続された多数の電極131(及び/又は電極131の対)に同時に送り出すことができる。他方、第2の受信機アンテナ133bは、各々、これらに結合された対応の電極に信号を別個独立に送り出すことができる。これにより、第2の受信機アンテナ133bは、対応の電極131に印加される信号を順序付けることができる。幾つかの実施形態では、この構成例により、有利には、医師が1つの信号を一時点で舌下神経の1つの部分に方向づけることができ、同一又は別の信号を舌下神経のもう1つの部分又はもう1つの神経に別の時点で方向づけることができる。予期されるように、1つ又は複数のターゲット神経に送り出される信号の空間的観点と時間的観点の両方を制御することができるということにより、器具が患者の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)を軽減する効能を向上させることができる。例えば、舌下神経の互いに異なる部分、及び/又は頸神経ワナ(例えば、咽頭の尾方運動を促進するため)及び/又は迷走神経を含む他の神経に、その枝が咽頭及び舌口蓋の運動筋を含む上気道の多くの筋を活動させているときに、信号を送出するのがよい。
【0051】
より一般的に言えば、多数の注入可能な電極131は、対応の筋の収縮を順序づけ、それにより患者の睡眠障害に取り組むよう段階的な仕方で(例えば、ミリ秒範囲のタイミングオフセットで)遠隔に位置決めされたウェアラブル器具によって、ワイヤレス活性化されるのがよい。加うるに、システムは、植え込み済みの信号送出装置によって提供される確実性及びロバストネスと組み合わせて信号先が定められたターゲットニューロンを変化させる融通性を持つ。
【0052】
少なくとも幾つかの実施形態では、制御回路部115は、送電アンテナ118の両方を制御し、したがって、患者に送り出される信号の全体的制御を可能にする。他の実施形態では、1つ以上のアンテナ118及び/又は対応の電極131を制御する権限を分散させるのがよい。例えば、制御回路部の一要素は、一方の送電アンテナ118を制御するのがよく、もう1つの構成要素は、他方の送電アンテナ118を制御するのがよい。制御権限を
図7に示すように互いに異なる受信機アンテナ133にさらに分散させるのがよい。これら実施形態のうちの任意のものにおいて、制御が高レベル制御回路部115の下に分散させたときシステムは全ての制御構成要素を同期状態に保つよう個々のコントローラ素子相互間の通信を可能にする手段を含む。
【0053】
4.代表的な波形
上述した信号発生器及び送出装置は、種々の適当な電気刺激波形のうちの任意のものを発生させると共に送出することができ、それにより患者の神経及び/又は筋の動作を状態調節することができる。代表的な実施形態が、
図8A及び
図8Bに示されており、これら実施例は、
図8A及び
図8Bに特定されたような周期を有する刺激波サイクルを形成する一連の二相性刺激パルスを含む。波形パラメータは、活性サイクル及び休息サイクルを含むのがよい。各期間Pは、1つ以上のパルスを含む。
図8Aに示す波形は、アノードパルス、次に相間遅延、次にカソードパルス、次にパルス間遅延を含む。したがって、期間P又はサイクル全般は、以下のパラメータ、すなわち、アノードパルス幅(PW1)、アノード振幅(例えば、電圧又は電流振幅VA)、相間遅延/無駄時間、カソードパルス幅(PW2)、カソード振幅(例えば、電圧又は電流振幅VC)、パルス間遅延/空き時間、及びピークピーク振幅(PP)を含む。パラメータは、信号を方向づける電極の同一性表示をさらに含むのがよい。幾つかの実施形態におけるアノードパルス幅(PW1)は、30μs~300μsである。幾つかの実施形態におけるアノード振幅(VA)及びカソード振幅(VC)は、1mVから5Vまでの範囲、又は1mAから6mAまでの範囲にある。代表的な実施形態における相間遅延は、10μs~100μsであるのがよい。幾つかの代表的な実施形態におけるカソードパルス幅(PW1)は、30μs~300μsである。代表的な実施形態では、アノード相及びカソード相は、電荷平衡が取られており、ただし、これらの相は、対称の形をしている必要はない。幾つかの代表的な実施形態におけるパルス間遅延は、10μs~100μsであるのがよい。幾つかの代表的な実施形態におけるピークピーク振幅は、約2mA~12mAであるのがよい。代表的な周波数は、幾つかの実施形態では約10Hzから約300Hzまでの範囲にあり、他の実施形態では最高100kHz(例えば、10kHz)である。これらのパルスを連続的に送り出すことができ又はバースト状態で送り出すことができる。
【0054】
図8Bは、活動部分及び休息部分を含む代表的な波形を示している。活動部分は、
図8Aを参照して上述した特性を備える1つ以上の期間を含む。休息部分には、刺激パルスはない。幾つかの代表的な実施形態によれば、活動部分と休息部分の比は、1:1~1:9であるのがよい。代表的な実施例として、比が1:9でありかつ300の活動期間が存在する場合、2700の休息部分が存在するのがよい。
【0055】
代表的な実施例では、刺激電圧は、各接点又は電極に独立して提供されるのがよい。正のパルスに関し、正の接点を駆動電圧に引き寄せるのがよく、負の接点をアースに引き寄せるのがよい。負のパルスに関し、負の接点を駆動電圧に引き寄せるのがよく、正の接点をアースに引き寄せるのがよい。無駄時間及び空き時間に関し、両方の接点をアースに駆動する。休息時間に関し、両方の接点は、高インピーダンス状態にある。接点中のDC電流を防ぐため、各ハーフブリッジをキャパシタ、例えば、100μFキャパシタにより接点に結合するのがよい。加うるに、抵抗器を各キャパシタと直列に配置して接点短絡の場合に電流を制限するのがよい。治療波形サイクルのパルスは、対称であってもよく、また対称でなくてもよいが、一般に、例えば電荷平衡を提供するために接点を横切る正味ゼロの電荷をもたらすよう形作られている。
【0056】
上記内容から、本技術の特定の実施形態を例示目的で本明細書において説明したが、本技術から逸脱することなく、種々の改造を行うことができることが理解されよう。例えば、電源及び関連ウェアラブルは、口内マウスピース以外のこれまた電力を1つ以上の植え込み済み電極にワイヤレスで送り出す構成を有することができる。代表的な構成としては、外部皮膚取り付け型デバイスや患者の首回りに着用される器具が挙げられ、これら器具は、頸神経ワナ、迷走神経及び/又はHGN以外の他の神経をターゲットにするのに適している場合がある。刺激のための他の代表的なターゲットとしては、舌口蓋刺激、脳神経刺激、直接舌口蓋筋刺激、鼻咽頭刺激及び/又は舌咽神経刺激が挙げられる。信号送出装置を定位置に固定するために用いられるアンカーは、配備可能な歯以外の形態を有することができ、かかる形態としては、組織内方成長を促進するS字形カーブ素子、螺旋及び/又は多孔性構造を含む。ハウジング全体を形成する多数のハウジングを含む信号送出装置については上述した。他の実施形態では、多数のハウジングは、一体的ハウジング全体の部分であってよい。システム全体により実行される機能を明示的に図示すると共に本明細書において説明したやり方以外のやり方でシステム構成要素(例えば、プログラマ、ウェアラブル器具、及び植え込み型器具)に分割することができる。
【0057】
特定の実施形態と関連して説明した技術のある特定の観点を他の実施形態によって組み合わせることができ又は省略することができる。例えば、種々の適当な構成のうちの任意のものを有する信号送出装置を任意の1つの信号発生器と併用することができ、種々の適当な構成のうちの任意のものを有する信号発生器を任意の1つの信号送出装置と併用することができる。さらに、開示した技術のある特定の実施形態と関連した利点をこの実施形態と関連して説明したが、本技術の範囲に属する他の実施形態もまた、かかる利点を奏することができ、必ずしも全ての実施形態がかかる利点を奏する必要はない。したがって、本開示及び関連技術は、明示的に図示されていない本明細書において説明されていない他の実施形態を含むことができる。
【0058】
本明細書において用いられる例えば“A”及び/又は“B”のような語句「及び/又は」は、A単独、B単独、及びAとBの両方を意味している。参照により引用した資料であればどのようなものでも本開示と抵触する程度まで本開示が優先する。本明細書に用いられる「約」、「ほぼ」という用語並びに同様な近似用語は、指定した値の10%の範囲内の値を意味している。
【0059】
以下の実施態様は、本技術の追加の代表的な特徴を提供している。
【0060】
実施態様
〔実施態様項1〕
患者治療システムであって、
ウェアラブル器具を含み、上記ウェアラブル器具は、
電力貯蔵装置と、
上記電力貯蔵装置に結合されると共にRF信号を300MHzから6GHzまでの周波数範囲で放出するよう構成された送電アンテナと、
上記電力貯蔵装置と上記送電アンテナとの間に結合された第1の制御回路部とを有し、
植え込み型器具を含み、上記植え込み型器具は、
電極と、
上記電極を担持したハウジングと、
上記ハウジングによって担持されると共に上記植え込み型器具を患者の口腔内の組織に固定するよう位置決めされたアンカーと、
300MHzから6GHzまでの周波数範囲のRF信号を受信するよう構成された電極受信機アンテナと、
信号を10Hzから300Hzまでの範囲の周波数で上記電極に方向づけるよう上記電極受信機アンテナ及び上記電極に結合された信号発生器と、
上記電極への上記信号の送出を制御するよう上記信号発生器と上記電極との間に結合された第2の回路部とを有する、患者治療システム。
〔実施態様項2〕
上記植え込み型器具は、針伝送型器具であり、上記電極は、患者の舌下神経及び/又は頸神経ワナの近くに植え込まれるよう位置決めされ、上記システムはさらに、
上記ウェアラブル器具又は上記植え込み型器具によって担持された少なくとも1つのセンサを含み、上記少なくとも1つのセンサは、患者の呼吸性能の特性を検出するよう構成され、
上記ウェアラブル器具によって担持されかつ実行時に、上記少なくとも1つのセンサから受け取った情報に部分的に基づいて、上記電極への上記信号の上記送出を開始し、変更し、かつ/或いは停止する命令がプログラムされたコントローラを含む、実施態様項1記載の患者治療システム。
〔実施態様項3〕
上記少なくとも1つのセンサは、パルスオキシメータ、光電脈波センサ、及び患者定位センサを含む、実施態様項2記載の患者治療システム。
〔実施態様項4〕
上記植え込み型器具は、電荷貯蔵素子を備えていない、実施態様項1~3のうちいずれか一に記載の患者治療システム。
〔実施態様項5〕
上記電極は、第1の電極であり、上記植え込み型器具は、第2の電極を有し、上記第1の回路部又は上記第2の回路部のうちの少なくとも一方は、実行時に、信号を順序付けられた上記第1及び上記第2の電極に方向づける命令を含み、上記第1の電極は、第1の信号を第1の時点で上記患者に送出し、上記第2の電極は、第2の信号を第2の時点で上記患者に送出する、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の患者治療システム。
〔実施態様項6〕
上記ウェアラブル器具は、上記患者の口腔内に位置決めされるよう構成された口内器具を含む、実施態様項1~4のうちいずれか一に記載の患者治療システム。
〔実施態様項7〕
上記口内器具の少なくとも第1の部分は、上記患者の口腔の少なくとも第2の部分に合致するよう形作られている、実施態様項6記載の患者治療システム。
〔実施態様項8〕
上記口内器具は、上マウスピース部分、下マウスピース部分、及び上記上マウスピース部分と上記下マウスピース部分を結合するコネクタを有する、実施態様項6記載の患者治療システム。
〔実施態様項9〕
上記下マウスピース部分は、上記患者の下顎骨を前進させるよう上記上マウスピース部分に対して動くことができる、実施態様項8記載の患者治療システム。
〔実施態様項10〕
上記下マウスピース部分は、上記送電アンテナ、上記電荷貯蔵装置、及び上記第1の回路部を担持している、実施態様項8記載の患者治療システム。
〔実施態様項11〕
上記下マウスピース部分は、上記送電アンテナを担持し、上記上マウスピース部分は、上記電荷貯蔵装置及び上記第1の回路部を担持している、実施態様項8記載の患者治療システム。
〔実施態様項12〕
上記上マウスピース部分は、上記電荷貯蔵装置又は上記第1の回路部を担持したルーフ部分を含む、実施態様項11記載の患者治療システム。
〔実施態様項13〕
上記下マウスピース部分は、上記電力貯蔵装置を担持し、上記上マウスピース部分は、上記第1の回路部を担持し、上記コネクタは、電力を電源から回路部に伝送するための通信リンクを有する、実施態様項8記載の患者治療システム。
〔実施態様項14〕
上記下マウスピース部分の少なくとも一部は、上記患者の口腔の下領域に合致するよう形作られている、実施態様項8記載の患者治療システム。
〔実施態様項15〕
上記上マウスピース部分の少なくとも一部は、上記患者の口腔の上領域に合致するように形作られている、実施態様項8記載の患者治療システム。
〔実施態様項16〕
i)上記植え込み型器具は、上記患者の口腔の第1の側部上に位置決めされた第1の植え込み型器具であり、(ii)上記電極は、第1の電極であり、上記システムは、上記第1の植え込み型器具と反対側の上記患者の口腔の第2の側部上に位置決めされた第2の植え込み型器具をさらに含み、上記第2の植え込み型器具は、第2の電極を有する、実施態様項1~15のうちいずれか一に記載の患者治療システム。
〔実施態様項17〕
上記ウェアラブル器具は、ネックカラー、あご紐、ピロー、及び/又はマットレスオーバーレイのうちの少なくとも1つを有する、実施態様項1~5のうちいずれか一に記載の患者治療システム。
〔実施態様項18〕
上記第1の回路部又は上記第2の回路部のうちの少なくとも一方は、実行時に、上記電極が信号を上記患者に送出するようにさせる命令を含み、上記信号は、
30μs~300μsのパルス幅、
1mA~6mA又は1mV~5Vのアノード振幅、及び
1mA~6mA又は1mV~5Vのカソード振幅のうちの少なくとも1つを含む、実施態様項1~17のうちいずれか一に記載の患者治療システム。
〔実施態様項19〕
上記ウェアラブル器具は、上記患者の少なくとも1つの生理学的パラメータを検出するよう位置決めされた少なくとも1つのセンサをさらに有し、上記少なくとも1つの生理学的パラメータは、呼吸数、心拍数、音声信号、体温、頭位置、飽和血液酸素レベル、空気流量レベル、患者の喉頭の動き、及び/又は患者の舌の動きのうちの少なくとも1つを含む、実施態様項1記載の患者治療システム。
〔実施態様項20〕
睡眠時無呼吸治療システムであって、
患者の口腔内に嵌まるよう構成された口内器具を含み、上記口内器具は、
RF信号を第1の周波数で放出するよう構成された送電アンテナを担持した下マウスピース部分、及び
上記下マウスピース部分と反対側に位置する上マウスピース部分を有し、上記上マウスピース部分は、
上記送電アンテナに作動可能に結合された電力貯蔵装置、及び
上記電力貯蔵装置及び上記送電アンテナに作動可能に結合された第1の制御回路部を担持し、
上記下マウスピース部分と上記上マウスピース部分を結合するコネクタを有し、
植え込み型器具を含み、上記植え込み型器具は、
電極と、
上記送電アンテナによって放出された上記RF信号を受信するよう構成された電極受信機アンテナと、
上記電極受信機アンテナ及び上記電極に結合されかつ、刺激信号を上記電極に第2の周波数で方向づけることができる信号発生器、及び
上記電極への上記刺激信号の送出を制御するよう上記信号発生器と上記電極との間に結合された第2の回路部を有する、睡眠時無呼吸治療システム。
〔実施態様項21〕
上記植え込み型器具は、電荷貯蔵素子を備えていない、実施態様項20記載の睡眠時無呼吸治療システム。
〔実施態様項22〕
上記電極は、第1の電極であり、上記植え込み型器具は、第2の電極を有し、上記第1の回路部又は上記第2の回路部のうちの少なくとも一方は、実行時に、信号を順序付けられた上記第1及び上記第2の電極に方向づける命令を含み、上記第1の電極は、信号を第1の時点で上記患者に送出し、上記第2の電極は、信号を第2の時点で上記患者に送出する、実施態様項20又は21記載の睡眠時無呼吸治療システム。
〔実施態様項23〕
電気信号を個人に方向づける方法であって、
ウェアラブル器具をプログラムして植え込み型器具の受信機アンテナとワイヤレス通信関係をなすよう位置決めされた上記ウェアラブル器具の送電アンテナを介して、第1の電気信号を伝送するステップを含み、上記第1の電気信号の少なくとも一部分は、約300MHzから約6GHzまでの第1の周波数範囲にある第1の周波数を有し、
上記植え込み型器具のパルス発生器をプログラムして、
上記電極受信機アンテナを介して、上記第1の電気信号を受信し、そして
上記個人のターゲット神経と電気的に連絡するよう位置決めされた上記植え込み型器具の少なくとも1つの電極を介して、第2の電気信号を送出するステップを含み、上記第2の電気信号の少なくとも一部分は、最大100kHzまでの第2の周波数範囲にある第2の周波数を有する、方法。
〔実施態様項24〕
上記第1の周波数範囲は、約900MHzから約1.2GHzまでである、実施態様項23記載の方法。
〔実施態様項25〕
上記第2の周波数範囲は、約10Hzから約300Hzまでである、実施態様項23又は24記載の方法。
〔実施態様項26〕
上記第2の電気信号の上記一部分は、1mVから5Vまで、又は1mAから6mAまでのアノード振幅範囲にあるアノード振幅をさらに有する、実施態様項23~25のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項27〕
上記第2の電気信号の上記一部分は、10μsから100μsまでの相間遅延範囲にある相間遅延をさらに有する、実施態様項23~26のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項28〕
上記第2の電気信号の上記一部分は、10μsから100μsまでのインターパルス遅延範囲にあるインターパルス遅延をさらに有する、実施態様項23~27のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項29〕
上記第2の電気信号の上記一部分は、2mAから12mAまでのピークピーク振幅範囲内にあるピークピーク振幅をさらに有する、実施態様項23~28のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項30〕
上記個人は、睡眠時無呼吸に罹患している、実施態様項23~29のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項31〕
上記パルス発生器をプログラムする上記ステップは、上記パルス発生器をプログラムして上記第2の電気信号を治療期間にわたって送出するステップを含む、実施態様項23~30のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項32〕
上記治療期間は、少なくとも4時間続く、実施態様項31記載の方法。
〔実施態様項33〕
上記治療期間は、少なくとも1つの活動部分及び少なくとも1つの休息部分を含む、実施態様項31記載の方法。
〔実施態様項34〕
患者を治療する方法であって、
植え込み型器具を患者の舌下神経の内側枝の近くに経皮的に植え込んで、上記植え込み型器具によって担持された電極が上記患者の舌下神経の上記内側枝と電気的連絡関係をなすよう位置決めされるようにするステップと、
ウェアラブル器具の送電アンテナからの第1の信号を上記植え込み型器具の受信機アンテナに送信するステップと、
上記植え込み型器具の信号発生器により上記第1の信号を第2の信号に変換するステップと、
上記電極を介して上記第2の信号を上記患者の舌下神経の上記内側枝に印加するステップと、を含む、方法。
〔実施態様項35〕
上記第1の信号を送信する上記ステップは、上記第1の信号を約300MHzから約6GHzまでの周波数範囲で送信するステップを含む、実施態様項34記載の方法。
〔実施態様項36〕
上記第2の信号を送信する上記ステップは、上記第2の信号を最大100kHzまでの周波数範囲で送信するステップを含む、実施態様項34又は35記載の方法。
〔実施態様項37〕
上記第2の信号を送信する上記ステップは、約10Hzから約300Hzまでの周波数範囲で上記第2の信号を送信するステップを含む、実施態様項34~36のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項38〕
上記電極は、第1の電極であり、上記第2の信号を印加する上記ステップは、
上記第1の電極を介して上記第2の信号の第1の部分を第1の時点で印加するステップと、
上記第2の電極を介して、上記第2の信号の第2の部分を第2の時点で印加するステップと、を含む、実施態様項34~37のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項39〕
上記植え込み型器具は、第1の植え込み型器具であり、上記電極は、第1の電極であり、上記方法は、
第2の植え込み型器具を経皮的に植え込んで、上記第2の植え込み型器具によって担持された第2の電極が、上記患者の舌下神経、頸神経ワナ、迷走神経、舌咽神経、口蓋舌筋、又は鼻咽頭複合体のうちの少なくとも一部分と電気的連絡関係をなすよう位置決めされるようにするステップをさらに含む、実施態様項34~38のうちいずれか一に記載の方法。
〔実施態様項40〕
上記第1の植え込み型器具を植え込む上記ステップは、上記第1の植え込み型器具を上記患者の口腔の第1の側部に植え込むステップを含み、
上記第2の植え込み型器具を植え込む上記ステップは、上記第2の植え込み型器具を上記患者の口腔の第2の側部に植え込むステップを含む、実施態様項39記載の方法。
【国際調査報告】