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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】カテーテルを操向する器具
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/092 20060101AFI20231114BHJP
   A61M 25/098 20060101ALI20231114BHJP
   A61B 17/22 20060101ALI20231114BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61M25/098
A61B17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023551953
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(85)【翻訳文提出日】2023-07-10
(86)【国際出願番号】 US2021058156
(87)【国際公開番号】W WO2022098932
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/111,122
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523171157
【氏名又は名称】アジャイル デヴァイシーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(72)【発明者】
【氏名】ヘバート スティーブン ジェイ
【テーマコード(参考)】
4C160
4C267
【Fターム(参考)】
4C160MM36
4C267AA05
4C267AA32
4C267AA38
4C267BB02
4C267BB07
4C267BB12
4C267BB40
4C267BB43
4C267BB52
4C267BB63
4C267CC08
4C267CC12
4C267HH08
4C267HH11
(57)【要約】
システムが外側部材、外側部材から遠位側に延びる細長い柱状部材および外側部材と同軸に位置決めされかつ柱状部材に取り付けられた内側部材を含む。内側部材は、外側部材の遠位側に延び、この内側部材は、遠位部分を有する。カテーテルは、外側カテーテル、例えば吸引カテーテル内に位置決めされ、外側カテーテルは、柱状部材に嵌まる補強部材となって柱状部材の動きを制限し、その結果、内側部材または外側部材のうちの一方を他方に対して動かすと、外側部材の内壁によって柱状部材の軸方向圧縮が制限されるようになっており、それにより内側部材の遠位部分が側方に偏向して外側部材を向け直すようになっている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
a)第1の器具を含み、前記第1の器具は、
i)近位部分および遠位部分を備えた外側部材を有し、
ii)前記外側部材内に同軸状に位置決めされた内側部材を有し、前記内側部材は、前記外側部材の遠位側に延びていて、前記内側部材は、遠位部分を有し、
iii)前記内側部材に取り付けられるとともに前記内側部材の外部に延びる細長い柱状部材を有し、
b)ルーメンを備えた外側カテーテルを含み、前記第1の器具は、前記柱状部材が前記外側カテーテルの前記ルーメン内に位置決めされるよう前記外側カテーテルの前記ルーメン内に摺動可能に位置決めされ、
c)前記内側部材または前記外側部材のうちの一方が他方に対して動かされると、前記柱状部材の軸方向圧縮が前記外側カテーテルの内壁によって制限され、それにより、前記内側部材の前記遠位部分が側方に偏向して前記外側カテーテルを向け直す、システム。
【請求項2】
前記内側部材は、中心長手方向軸線を有し、前記柱状部材は、前記中心長手方向軸線に対して半径方向にオフセットしている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記外側カテーテルは、吸引カテーテルである、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記柱状部材は、断面が非円形である、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記内側部材に設けられたマーカバンドをさらに含み、前記柱状部材は、前記マーカバンドに取り付けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記柱状部材は、近位端が前記外側部材に取り付けられ、遠位端が前記内側部材に取り付けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記柱状部材は、遠位末端を有し、前記内側部材は、前記柱状部材の前記末端から約2cmの距離にわたって延びている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記遠位末端は、前記内側部材の軟質遠位区分に隣接して位置している、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記柱状部材には補強部材が嵌められており、前記補強部材は、偏向中、前記外側カテーテルの前記内壁に接触する、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記柱状部材は、偏向中、前記外側カテーテルの前記内壁に接触する、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
システムであって、
a)近位部分および遠位部分を備えた外側部材を含み、
b)前記外側部材内に同軸状に位置決めされた内側部材を含み、前記内側部材は、前記外側部材の遠位側に延び、前記内側部材は、遠位部分および最も遠位側の縁を有し、前記内側部材は、近位側の区分よりも軟質の遠位側の区分を有し、
c)前記内側部材に取り付けられるとともに前記軟質遠位区分に隣接したところで前記内側部材の外部に延びる細長い柱状部材を含み、前記柱状部材は、第1の端が前記外側部材に取り付けられ、第2の端が前記内側部材に取り付けられ、前記柱状部材の前記第2の端は、前記柱状部材の遠位側に延びる前記内側部材の細長い延長部分を後に残すよう前記最も遠位側の縁の近位側に位置決めされ、前記第2の端は、前記内側部材の前記軟質遠位区分に隣接して終端し、
d)前記内側部材または前記外側部材のうちの一方が他方に対して動かされると、前記内側部材の前記遠位部分が側方に偏向する、システム。
【請求項12】
側方偏向は、前記柱状部材を前記柱状部材を収納した独立の外側カテーテルの内壁によって前記柱状部材が拘束されると起こる、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記内側部材に設けられたマーカバンドをさらに含み、前記柱状部材は、前記マーカバンドに取り付けられている、請求項11記載のシステム。
【請求項14】
カテーテルを血管系中に向け直す方法であって、
a)第1の器具を外側カテーテル中に挿入するステップを含み、前記第1の器具は、内側部材、外側部材および前記内側部材に連結された柱状部材を有し、
b)前記内側部材または前記外側部材のうちの一方を他方に対して動かして、前記柱状部材が外側カテーテルのルーメン内で曲げられると前記柱状部材の軸方向圧縮を引き起こすステップを含み、前記外側カテーテルの内壁が前記柱状部材の運動を制限し、その結果、前記内側部材の遠位部分が側方に偏向し、
c)前記外側カテーテルを前記偏向済み遠位部分上で該遠位部分に沿って前進させて前記外側カテーテルを向け直すステップを含む、方法。
【請求項15】
前記柱状部材は、前記外側カテーテルの前記内壁に接触するよう偏向させられ、そして前記外側カテーテルの繋留を行う、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記外側カテーテルは、吸引カテーテルである、請求項14記載の方法。
【請求項17】
前記柱状部材を介する前記第1の器具の前記遠位部分の操作により、前記外側カテーテルが眼動脈接合部から遠ざかるよう向け直される、請求項14記載の方法。
【請求項18】
前記柱状部材を動かして前記内側部材の露出区分を安定化するステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項19】
前記柱状部材の遠位側に延びる前記内側部材の一部分を血管内の凝血塊に通して前進させるステップをさらに含む、請求項14記載の方法。
【請求項20】
ステントリーバ(stentriever)を前記外側カテーテル中に通すステップをさらに含む、請求項19記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、医療器具、特にカテーテルを操向して曲がりくねった経路の通過を助けるためにカテーテルを操向する医療器具に関する。
【0002】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、2020年11月9日に出願された米国特許仮出願第63/111,122号の優先権主張出願である。
【背景技術】
【0003】
カテーテルを曲がりくねった経路に通して操向する必要性が広く認識されている。かかる操向性を達成する上で幾つかのアプローチがある。
【0004】
本願の発明者と同一の発明者によって米国特許第9,233,225号(以下、「第´225号特許」という)に開示された同軸カテーテルは、カテーテルを偏向させる柱状部材の形態をした偏向機構体を有する偏向性カテーテルとなっている。柱状部材は、一端が内側のカテーテルに取り付けられ、他端が外側のカテーテルに取り付けられている。補強管が柱状部材に嵌められて柱状部材の軸方向動きを制限し、その結果、内側部材または外側部材のうちの一方を他方に対して動かすと、外側部材の内壁によって柱状部材の軸方向圧縮が制限されるようになっており、それにより内側部材の遠位部分が側方に偏向して外側部材を向け直すようになっている。
【0005】
第´225号特許のカテーテルは、低プロフィールであって手の込み具合が少なくかつ一貫した仕方での偏向を達成するが、ある特定の用途では、このプロフィールをさらに小さくすることが有益な場合がある。また、ある特定の用途では、柱状部材を種々のカテーテルと併用することができるようこの柱状部材を設計することが有益な場合がある。
【0006】
現行のカテーテルはまた、曲がりくねった解剖学的構造、例えば神経血管系の解剖学的構造をナビゲートする上で難がある。ある特定のカテーテル、例えば吸引カテーテルのサイズの異なっていることおよびカテーテルの挿入にあたって嵌めるガイドワイヤまたはカテーテルが小径であることに起因して、これらカテーテルは、多くの場合、棚効果(ledge effect)と呼ばれている血管接合部、および/または接合部のところでひっかかった状態になり、しかも/あるいはカテーテルと内側ガイドワイヤまたは内側カテーテルとの間の肩が血管壁に損傷を及ぼすことがあり、場合によっては解離やくも膜下出血を引き起こすことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第9,233,225号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
曲がりくねった血管系中のカテーテルのナビゲーション性を向上させるとともに血管接合部でひっかかりまたは血管の外傷を引き起こす恐れを回避するシステムを提供することが有利である。ある特定の用途向けのかかるシステムは、有利には、減少したプロフィールを有しまたは凝血塊の横断を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、低(減少)プロフィールを提供するとともに種々のカテーテルとの併用を可能にする双方向偏向性器具を提供する。かくして、本発明の器具は、標準型カテーテルまたは特殊設計されたカテーテル中に挿入でき、そしてカテーテルの構造を変更する必要なく、達成可能なかかるカテーテルの偏向を生じさせるよう作動可能である。
【0010】
本発明の同軸双方向偏向性器具/システムは、曲がりくねった血管系中のナビゲートを容易にするとともに挿入中、血管接合部のところでひっかかるカテーテルの潜在的可能性を低くし、しかも挿入/ナビゲーション中、外傷の恐れを軽減し、例えば血管解離または出血の危険性を抑える。
【0011】
本発明は、一観点において、偏向性器具(例えば、偏向性カテーテル)を提供し、この偏向性カテーテルは、もう1本の独立した外側カテーテル内に配置され、器具偏向機構体、すなわち柱状部材を用いることにより、外側カテーテルが偏向する。
【0012】
本発明は、もう1つの観点において、近位部分および遠位部分を備えた外側部材、外側部材内に同軸状に位置決めされるとともに外側部材の遠位側に延び、そして遠位部分を有する内側部材、および内側部材に取り付けられるとともに内側部材の外部に延びる細長い柱状部材を含むシステムを提供する。第1の器具は、柱状部材が外側カテーテルのルーメン内に位置決めされるよう外側カテーテルのルーメン内に摺動可能に位置決めされ、内側部材または外側部材のうちの一方が他方に対して動かされると、柱状部材の軸方向圧縮が外側カテーテルの内壁によって制限され、それにより、内側部材の遠位部分が側方に偏向して外側カテーテルを向け直す。
【0013】
幾つかの実施形態では、内側部材は、中心長手方向軸線を有し、柱状部材は、中心長手方向軸線に対して半径方向にオフセットしている。
【0014】
幾つかの実施形態では、外側カテーテルは、吸引カテーテルである。
【0015】
幾つかの実施形態では、柱状部材は、断面が非円形である。
【0016】
幾つかの実施形態では、内側部材に設けられたマーカバンドをさらに含み、柱状部材は、マーカバンドに取り付けられている。
【0017】
幾つかの実施形態では、柱状部材は、近位端が外側部材に取り付けられ、遠位端が内側部材に取り付けられている。
【0018】
幾つかの実施形態では、柱状部材は、内側部材の軟質遠位区分に隣接して遠位末端を有し、内側部材は、柱状部材の遠位末端から約2cmの距離にわたって延びている。
【0019】
幾つかの実施形態では、柱状部材には補強材が嵌められており、補強部材は、偏向中、第2のカテーテルの内壁に接触する。
【0020】
幾つかの実施形態では、柱状部材は、偏向中、外側カテーテルの内壁に接触する。
【0021】
本発明のもう1つの観点によれば、a)近位部分および遠位部分を備えた外側部材を含み、b)外側部材内に同軸状に位置決めされた内側部材を含み、内側部材は、外側部材の遠位側に延び、内側部材は、遠位部分および最も遠位側の縁を有し、c)内側部材に取り付けられるとともに内側部材の外部に延びる細長い柱状部材を含むシステムが提供される。柱状部材は、第1の端が外側部材に取り付けられ、第2の端が内側部材に取り付けられている。柱状部材の第2の端は、柱状部材の遠位側に延びる内側部材の細長い延長部分を後に残すよう最も遠位側の縁の近位側に位置決めされている。柱状部材が外側構造体によって拘束されるとともに内側部材または外側部材のうちの一方が他方に対して動かされると、内側部材の遠位部分が側方に偏向する。
【0022】
柱状部材は、好ましくは、内側部材の軟質遠位区分に隣接して遠位端で終端する。
【0023】
幾つかの実施形態では、側方偏向は、柱状部材を柱状部材を収納した独立の外側カテーテルの内壁によって柱状部材が拘束されると起こる。
【0024】
幾つかの実施形態では、マーカバンドが最も遠位側の縁または細長い部分の近位側に間隔を置いた状態で内側部材に設けられ、柱状部材は、マーカバンドに取り付けられている。
【0025】
本発明のもう1つの観点によれば、カテーテルを血管系中に向け直す方法が提供され、本方法は、
a)第1の器具を外側カテーテル中に挿入するステップを含み、第1の器具は、内側部材、外側部材、および内側部材および/または外側部材に連結された柱状部材を有し、
b)内側部材または外側部材のうちの一方を他方に対して動かして、柱状部材が外側カテーテルのルーメン内で曲げられると内側部材が柱状部材の運動を制限し、その結果、内側部材の遠位部分が側方に偏向するようにするステップを含み、
c)外側カテーテルを偏向済み遠位部分上で該遠位部分に沿って前進させてカテーテルを向け直すステップを含む。
【0026】
外側カテーテルを器具上でこれに沿って独立して前進させることができ、あるいは器具と共に一ユニットとして前進させることができる。
【0027】
幾つかの実施形態では、柱状部材は、外側カテーテルの内壁に接触するよう偏向させられ、そして第1の器具の繋留を行う。
【0028】
幾つかの実施形態では、外側カテーテルは、吸引カテーテルである。
【0029】
幾つかの実施形態では、柱状部材を介する第1の器具の遠位部分の操作により、外側カテーテルが眼動脈接合部から遠ざかるよう向け直される。
【0030】
幾つかの実施形態では、本方法は、柱状部材を動かして内側部材の露出区分を安定化するステップをさらに含む。
【0031】
幾つかの実施形態では、本方法は、柱状部材の遠位側に延びる内側部材の一部分を血管内の凝血塊に通して前進させるステップをさらに含む。幾つかの実施形態では、本方法は、内側部材の一部分が凝血塊に通された後、ステントリーバ(stentriever)または他の凝血塊処置器具を内側部材中に通すステップをさらに含む。
【0032】
本開示の好ましい実施形態につき図面を参照して本明細書において説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】米国特許第9,233,225号に開示された先行技術の可撓性カテーテルの側面図である。
図2図1の先行技術の外側カテーテルの側面図であり、外側カテーテルから延びる柱状部材を示す図である。
図3】可撓性カテーテルを形成するよう外側カテーテル内における図1の先行技術の内側カテーテルの側面図である(図面を分りやすくするために補強管が省かれている)。
図4図3の可撓性カテーテルの遠位部分の拡大図であり、側方補強(支持)管が柱状部材を示すよう取り外されている状態を示す図である。
図5】側方補強管を備えた図4の可撓性カテーテルの遠位部分の拡大図である。
図6】本発明の一実施形態にしたがって、外側カテーテルを撓ませる偏向性器具の遠位領域の側面図である。
図7】側方支持管を備えた本発明の偏向性器具の変形実施形態の遠位部分の側面図である。
図8】内側部材が外側部材に対して近位側に引っ張られた時の図6の器具の撓み状態を示す図である。
図9】内側部材が外側部材に対して遠位側に動かされた時の図6のカテーテルの撓み状態を示す図である。
図10】吸引カテーテル中に挿入された図6の器具の側面図である。
図11図10の器具および吸引カテーテルの撓み状態を示す図であり、吸引カテーテルが偏向のための支持管として作用している状態を示す図である。
図12A】吸引カテーテルが神経血管系の眼動脈接合部のところでどのようにひっかかるかを示す斜視図である。
図12B図12Aと類似した図であり、小径の遠位側接近カテーテルによって案内された吸引カテーテルを示す図である。
図12C】吸引カテーテルを神経血管系内で撓ませるための本発明の図6の器具の使用を示す図である。
図12D】吸引カテーテルを神経血管系内で撓ませるための本発明の図6の器具の使用を示す図である。
図13A】凝血塊を脱落させる手技における図6の器具の使用を示す図であり、ガイドワイヤによる凝血塊の横断状態を示す図である。
図13B】凝血塊を脱落させる手技における図6の器具の使用を示す図であり、凝血塊を横断するよう遠位側に動かされた器具の遠位端を示す図である。
図13C】凝血塊を脱落させる手技における図6の器具の使用を示す図であり、ガイドワイヤが抜去された状態で器具が定位置にある状態を示す図である。
図13D】凝血塊を脱落させる手技における図6の器具の使用を示す図であり、内側部材を通るステントリーバの配備の状態を示す図である。
図13E】凝血塊を脱落させる手技における図6の器具の使用を示す図であり、外側カテーテルを通る吸引状態を示す図である。
図13F】凝血塊を脱落させる手技における図6の器具の使用を示す図であり、凝血塊を取り除くためのステントリーバ近位側への動きの状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明は、細い曲がりくねった血管系内における先端部撓みを可能にするとともに容易にするよう偏向性の高い双方向偏向性器具(カテーテル)を提供する。この器具は、内側部材、外側部材および柱状部材の配置状態に起因して撓む偏向性遠位部分を有する。柱状部材は、内側部材および外側部材に取り付けられている。器具は、外側カテーテル、例えば吸引カテーテル、中間カテーテル、または他のカテーテル中に挿入可能であり、したがって、器具の柱状部材は、外側カテーテルのルーメン内に位置するようになり、その結果、外側カテーテルのルーメンの内壁は、柱状部材の動きを制限する部材となっている。外側部材と内側部材の相対運動により、制限部材(外側カテーテルにより提供される)が柱状部材の軸方向運動を制限するために器具の遠位部分の側方偏向が行われる。これについては以下に詳細に説明する。
【0035】
本発明の器具では、柱状部材は、内側部材の遠位先端部から十分な間隔をおいて近位側に配置されている。これは、例えば、凝血塊の横断を可能にする低プロフィールをもたらす。これについても以下に詳細に説明する。
【0036】
本願の発明者と同一発明者に付与された米国特許第9,233,225号は、カテーテルを偏向させる柱状部材の形態をした偏向機構体を有する偏向性カテーテルを開示している。柱状部材は、一端が内側カテーテル(部材)に取り付けられ、他端が外側カテーテル(部材)に取り付けられている。補強管が柱状部材に嵌められて柱状部材の軸方向運動を制限するようになっており、その結果、内側カテーテルまたは外側カテーテルのうちの一方が他方に対して動かされると、柱状部材の軸方向圧縮が補強部材によって制限され、それにより内側カテーテルの遠位先端部分が側方に偏向するようになっている。
【0037】
第´225号特許のカテーテルは有利には、低プロフィールであって手の込み具合が少なくかつ一貫した仕方での偏向を達成するが、ある特定の用途では、例えば凝血塊を横断するためにこのプロフィールをさらに減少させることが有益な場合がある。また、ある特定の用途では、柱状部材を種々のカテーテルと併用することができるよう、すなわち、制限部材を器具「中に組み込ま」ないようにこの柱状部材を設計することが有益であるかもしれない。
【0038】
「先行技術」とラベル表示された図1図5は、本発明の理解を容易にするために第´225号特許のカテーテルの特徴を示している。図1~5をまず最初に説明し、次に本発明の器具の詳細な説明に移る。図1図5についての以下の説明は、概要を提供し、それ以上の細部については米国特許第9,233,225号(以下、「第´225号特許」という)に見いだすことができ、この米国特許を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。
【0039】
図1図5では、運動制限(補強)部材は、カテーテルの偏向をもたらすようカテーテルの一部である(カテーテルに組み込まれている)。図6図11の本発明では、運動制限(補強)部材は、本発明の器具が位置決めされた別個の外側カテーテルにより提供され、本発明の器具は、外側カテーテルを偏向させるために用いられる。
【0040】
図1を参照すると、先行技術の第´225号特許の双方向同軸偏向性マイクロカテーテルが示されている。カテーテル10は、内側カテーテル(部材)12、外側カテーテル(部材)24および偏向性先端部を備えた遠位部分48を有する。
【0041】
内側カテーテル12は、内側ルーメンを有する近位端16と遠位端58との間に延び、この内側カテーテルは、直径が約0.001インチから1.993インチまでの範囲にあり、好ましい内径が約0.017インチである内側ルーメンを有する(なお、1インチは、25.4mmに等しい)。内側カテーテル本体14の近位端には、ウィング付きハブ20が結合されており、このウィング付きハブは、ひずみ取り22上に載るように取り付けられている。ウィング付きハブ20はまた、側アームを通るアクセサリの挿入または流体の導入を可能にするために内側カテーテル12の内側ルーメン中へのチャネルとなるよう回転止血弁(RHV)18をさらに備えるのがよい。
【0042】
内側カテーテル12は、カテーテル本体14を有し、カテーテル14は、近位端16と最も遠位側の端58の間に延びる編組補強ポリマー管で構成された硬質近位区分を有する。近位区分は、遠位端が硬性の低い遠位チューブに結合されている。内側カテーテル本体14は、レーザ切断管76(図4)をさらに有し、このレーザ切断管は、遠位管の遠位端に結合されている。
【0043】
一実施形態では、近位端から遠位端に延びて摩擦係数の減少を助け、それにより内側カテーテル内におけるガイドワイヤ運動を助けるための減摩性内側ライナを有する。
【0044】
第´225号特許は、内側カテーテルの種々の実施形態を開示している。これら実施形態では、柱状部材は、ほぼ内側カテーテルの端まで延びている。
【0045】
外側カテーテル24は、近位端28と遠位端44との間に延び、この外側カテーテルは、直径が約0.007インチから約1.999インチまでの範囲にあり、好ましい内径が約0.027インチである内側ルーメンを有する。外側カテーテル本体26は、比較的軟性の遠位区分42に接合された比較的硬性の高い近位区分40を有する。外側カテーテル本体26の近位端には、ウィング付きハブ(ルアー)34が結合され、このウィング付きハブは、ひずみ取り38(図2)上に載った状態で取り付けられている。ウィング付きハブ20には端キャップ30および側アーム31を備えた回転止血弁(RHV)32が取り付けられている。端(ロック)キャップ30は、偏向性カテーテルのロック組立体としての役目を果たし、側アーム31は、潤滑および場合によっては可視化のための流体の導入のために用いられる。キャップ30が完全に開かれると、内側カテーテル12は、軸方向に自由に動くことができ、その結果、以下に説明するように遠位先端部48が偏向する。キャップ30を偏向プロセス中の任意の時点で閉めるのがよく、それにより内側カテーテル12を定位置にクランプして保持し、それにより先端部48を定位置にロックすることができる。
【0046】
内側カテーテル12の偏向性先端部48は、側方支持管50で覆われ、この側方支持管は、以下に説明する柱状部材に重なり合っている。図示の(図2および図5に示す)支持管50は、その近位端46および遠位端52がくっつけられている。側方支持管50は、螺旋巻き可撓性コイルである。側方支持管50の遠位側には、放射線不透過性マーカバンド54が設けられており、この放射線不透過性マーカバンドは、端56が内側カテーテル10の最も遠位側の端58にくっつけられている。
【0047】
外側カテーテル24は、減摩性ライナ128を有するのが良く、減摩性ライナ128は、近位端28から遠位端44まで延びて外側カテーテルの内周部と内側カテーテルの外周部との間に働く摩擦係数を減少させることによって、偏向プロセス中における内側カテーテルの運動を助ける。カテーテルは、レーザ切断管および遠位編組体を有する。ライナ表面には補強層が被着されている。補強層には、3つの別々の区分を作るために漸変するスチフネスを備えたポリマーが被着されており、スチフネスは、近位区分118から遠位区分122まで減少している。外側カテーテル本体26は、マーカバンド138を有し、マーカバンド138は、外側カテーテル本体26の遠位端のところの内周部中の中間まで挿入される。
【0048】
例えば連続した開放ピッチコイルを有する外側カテーテルの種々の実施形態が第´225号特許に開示されている。
【0049】
カテーテル10は、外側カテーテル24(または524)の遠位側に延びて内側カテーテルに取り付けられた柱状部材、例えばワイヤまたは管を有し、この柱状部材は、当該柱状部材の側方運動を制限するよう制限(支持)管によって包囲されている。図示のように、柱状部材は、柱状体またはコラム140を含み、この柱状体は、その近位端がマーカバンド138上に乗った状態で位置しまたはマーカバンド138のスロット内に位置している。柱状体140の近位部分は、外側カテーテル本体26の遠位端のところで内周部中に、すなわちカテーテル本体壁中に挿入される。柱状体140は、実質的に長方形の断面を有する。
【0050】
内側カテーテル12と外側カテーテル24は、揃えられてマーカバンド54および遠位部分のところの接着剤またははんだ接合部56により互いに接合される。
【0051】
柱状体140の遠位端と内側カテーテル12の位置合わせ状態(遠位端は、ほぼ同一平面内に位置している)が図5に示されている。
【0052】
図5は、側方支持管50が定位置にある遠位部分150を示しており、側方支持管50は、柱状体のカバーを形成している。側方支持管50は、白金/イリジウムで作られた細かいピッチの螺旋巻き可撓性コイルである。図4は、支持管50への取り付け前における遠位部分150を示している。
【0053】
第´225号特許の図12Aは、側方支持管50が設けられていない場合、軸方向引っ張り下にある内側カテーテルの遠位部分を示している。内側カテーテル本体が荷重によって近位側の方向に軸方向に引っ張られると、内部構造は、短くなろうとし、それにより柱状体140が縮む。第´225号特許の図12Bは、側方支持管50が設けられていない場合、内側カテーテル本体が荷重により遠位側の方向に軸方向に引っ張られたときの作用効果を示している。図示のように、これは、モーメントを柱状体の端に加えて柱状体が曲がるようにする。
【0054】
第´225号特許の図13Aおよび図13Cは、側方補強(支持)管50が設けられている場合における軸方向引っ張り荷重下にある遠位偏向性先端部を示している。側方支持管50が定位置にありかつ軸方向引っ張り荷重が加えられた場合、柱状体140は、管50により柱状体の補強により軸方向にもはや縮むことはあり得ない。その結果、主(ガイドワイヤ)ルーメンを含む遠位先端部全体が偏向する。
【0055】
第´225号特許の図13Bおよび図13Dは、側方支持管50が設けられている場合、内側カテーテル本体が遠位側の方向に加わる荷重155によって軸方向に動かされたときの作用効果を示している。これは、遠位先端部を例えば図12Bに示すように曲げる。
【0056】
第´225号特許は、内側カテーテルのそれぞれの近位側または遠位側への運動が図12A図13Dに示されており、同一の作用効果が外側カテーテルの遠位側の運動または近位側の運動によって、あるいは、所望の方向における内側カテーテルと外側カテーテルの両方の運動によって達成できることを説明している。
【0057】
柱状部材を介するカテーテルの偏向について第´225号特許では以下のように説明されている。同軸マイクロカテーテルの遠位先端部の双方向偏向は、2つ別々に動き、すなわち、軸方向プル(引き)偏向と軸方向プッシュ(押し)偏向に分解できる。軸方向プル偏向は、偏心的に荷重が加えられた柱状体としてモデル化でき、軸方向プッシュ偏向は、偏心的に荷重が加えられたビーム(梁)としてモデル化できる。
【0058】
軸方向プル偏向に関し、カテーテルの遠位端に側方支持管が設けられていない場合、柱状部材は、無支持の偏心的に荷重が加えられた柱状体としてモデル化される。このことは、内側カテーテルが近位側の方向における力で軸方向近位側に動かされたとき、柱状体(長方形ニチノールワイヤ)の遠位端がその近位端に向かって軸方向に動こうとし、その結果、柱状体の圧縮(座屈)が生じることを意味している。側方支持管が設けられた場合、内側カテーテルを近位側の方向における力で軸方向に引っ張ったとき、柱状体は、軸方向に縮もう(座屈しよう)とするが、これは、側方補強管50によって制限されることになる。先端部がもはや軸方向に機能しなくなるので(圧縮状態)、先端部は、側方に機能する(偏向する)。
【0059】
軸方向プッシュ偏向に関し、カテーテルの遠位端に側方支持管が設けられていない場合、柱状部材は、偏心的に荷重が加えられたビームとしてモデル化される。このことは、内側シャフトが力で軸方向に押されたとき、内側シャフトは、モーメントビーム(例えば、長方形ニチノールワイヤ)の端に加え、それによりビームが曲がることを意味している。
【0060】
第´225号特許において説明されている軸方向プッシュおよびプルは、xy軸の観点で検討できる。軸方向プッシュおよびプルがx軸上で起こり、曲げ(偏向)が1点(x,y)で終わることになる。したがって、先端部がy1位置まで曲がるようにする柱状体の圧縮に関し、先端部の遠位端は、その近位端(-x2)に向かって-x1方向に動く。
【0061】
遠位先端部の偏向は、遠位先端部を引き下げるのではなく、軸方向運動により達成され、その結果、曲げは、曲げ方向における引っ張りによってではなく、軸方向運動によって達成されるようになる。
【0062】
第´225号特許で開示されている器具では、補強部材(支持管)は、柱状部材に嵌められ、この補強部材は、これが偏向性カテーテルに取り付けられているときにこの偏向性カテーテルの一部となる。図6および図8図11の本発明では、器具(カテーテル)は、外側カテーテル、例えば吸引カテーテル内に配置され、偏向機構体、すなわち柱状部材は、外側カテーテルを偏向させるために用いられ、外側カテーテルの壁は、補強/運動制約部材(支持管)として働き、かかる部材は、それにより支持管50が偏向を行うのと同じ仕方で偏向を行う。かくして、制限部材は、器具(カテーテル)の一部ではなく、本発明の器具は、これが挿入される他の別個独立のカテーテルを偏向させるために使用できる。
【0063】
図6は、偏向性先端部を備えた本発明の双方向マイクロカテーテル(器具)の一実施形態を示している。カテーテル300の遠位区分が図6に示されており、遠位区分は、外側カテーテル302(本明細書では、外側部材302ともいう)および外側カテーテル302のルーメン内に位置決めされかつ外側部材から遠位側に延びる内側カテーテル316(本明細書では、内側部材316ともいう)を有し、内側カテーテル316は、外側カテーテル302の最も遠位側の縁から遠位側に延びる露出遠位端部316aを有している。露出遠位端部316aは、例えば最短1cmから5cmを超えるまでの範囲にあるのがよく、ただし、他の露出長さもまた想定される。この遠位延長部は、柱状部材を外側カテーテルの遠位側に配置する一方で、柱状部材を以下に説明するように内側カテーテル316の遠位端から十分な距離を置いたところに依然として配置している。
【0064】
この実施形態における外側カテーテル(部材)302は、レーザ切断ステンレス鋼管303であり、管303は、レーザ切断側穴308を備えた遠位端部306のところに非レーザ切断区分305を有している。他の外側カテーテル構造、例えば第´225号特許に記載された外側カテーテル構造を利用することができる。図6の参照符号304は、レーザ切断区分が終わりかつ非レーザ切断区分が始まる場所を指示している。外側カテーテル302は、ポリマー310で覆われた管303で形成され、ポリマー310は、好ましくは、端304までレーザ切断管の長さ全体を覆っており、後には、露出された(覆われていない)管の非レーザ切断区分305が残されている。内側PTFEライナ(図示せず)が端304まで管303の長さにわたって延びている。これにより、非レーザ切断区分305の下に位置していてPTFEライナのない管303の部分が残される。
【0065】
マーカバンド312が管303の遠位端部306に設けられた開口部中に部分的に挿入されており、マーカバンド312は、必要ならば穴308を用いて定位置に溶接され、はんだ付けされ、接着される(また、違ったやり方で取り付けられる)のがよい。マーカバンド312は、遠位端304まで管303中に挿入されるのがよく、遠位端304の時点のところで、マーカバンドは、PTFEライナに当たる。かくして、内側ライナ挿入に関する近位停止部としての役目を果たす。柱状体または柱状部材314が、マーカバンド312の頂部上に載った状態で(位置決めされた状態で)設けられており、この柱状体は、遠位端304の近くの箇所まで近位端が管303中に挿入される。柱状体314は、その近位端が、穴308を用いて管303にまたは非レーザ切断区分305に溶接され、はんだ付けされ、接着されまたは違ったやり方で取り付けられるのがよい。柱状部材314は、断面が円形であってもよく非円形であってもよい。柱状部材314は、種々の形態のものであってよく、例えば、ワイヤまたは管である。
【0066】
内側カテーテル(部材)316は、外側カテーテル管303内に配置され、製造中、この内側カテーテルは、その露出遠位端領域(区分)316aがマーカバンド312の外方に延びた状態でマーカバンド312に設けられた遠位開口部中に挿入される。内側カテーテル316は、カテーテル316の遠位端のところで終端したルーメン323を有する。露出遠位端領域316aは、2つの部分、すなわち、柱状体314が嵌まった状態で延びる近位側の領域316bおよび柱状体314のない遠位側の領域316cを有する。これら領域は、柱状部材の末端に依存して配分される。例えば、柱状部材は、約1.5cmの長さを有するのがよい。他の柱状体長さもまた想定される。区分316cの長さは、柱状部材が取り付けられた外側部材が遠位端領域316a上にどこに載ったか、すなわち、柱状体314の長さで決まる。一例を挙げると、遠位側の領域316aの長さが20cmであり、柱状体314の長さが1.5cmである場合、柱状態314は、遠位端から18.5cmのところに位置することになり、したがって、領域316cは、18.5cmとなる。区分316a,316b,316cおよび柱状体314についての他の長さが想定される。図7の実施形態では、一例として、柱状部材は、外側部材302から露出した遠位区分316aの中間点よりも短いところで遠位側に終端している。柱状部材の領域316bと比較して横方向寸法が減少した遠位領域316cの長さは、以下に説明する凝血塊を通過することができるよう設計されており、ただし、他の長さもまた想定される。内側カテーテル316は、例えば第´225号特許に記載された方法または他の方法を用いて構成されるのがよい。また、内側カテーテルは、他の内側カテーテル構造として使用できる内側カテーテルのまさに一例であり、というのは、例えば第´225号特許に記載された他の内側カテーテル構造を利用できるからである。しかしながら、かかる構造は、新規かつ有利な柱状構造および本発明の位置決めに対応するよう改造が必要である。
【0067】
図6の内側カテーテル316は、内側PTFEライナ、PTFEライナ上に載った状態で位置する近位編組体、および種々のジュロメータのポリマーで作られた外側皮膜を採用した可変スチフネス設計のものであり、かかる互いに異なるジュロメータのポリマーは、遠位側に軟らかくなり、その結果、遠位区分は、近位区分よりも軟質である。軟質遠位先端部で被覆された白金マーカバンド321が内側カテーテル316のまさに遠位端のところに位置している。内側カテーテル316は、不変の(定まった)外径を有するのがよく、あるいは、変形例として、マーカバンド318まで近位側から遠位側までその長さに沿ってテーパしているのがよく、マーカバンド318のところで、直径は、減少し、そして好ましくは少なくとも1mmの最小長さかつ好ましくは5cmを超える最大長さに関して一定になり、ただし他の長さもまた想定される。
【0068】
露出遠位端部316aは、好ましくは、全体を通じて同一の可撓性を有し、例えば、区分316cの可撓性は、好ましくは、領域316bの可撓性に等しい。このように、柱状部材314は、凝血塊横断が可能に減少したプロフィール部分316cの所望の長さに応じて、この軟質領域の長さに沿うどこかの場所で位置決めされるのがよく、すなわち、遠位側で終端するのがよい。この軟質遠位領域316aの区分は、約15cmから約20cmまでの範囲にあるのがよく、ただし、他の長さもまた想定される。内側カテーテルは、軟質遠位区分の近位側に位置していて増大したスチフネスを有する。この増大したスチフネスは、遠位区分316aのすぐ近位側で始まりまたはさらに近位側で始まる。好ましい実施形態では、柱状部材は、軟質遠位領域316a内でのみ位置し、内側カテーテル316のより硬質のより近位側の領域には位置しない。
【0069】
マーカバンド318は、内側カテーテル316上に位置決めされ、かかるマーカバンドは、露出遠位区分316bの遠位区分316bの遠位端の位置を知らせる。マーカバンド318の下には、柱状体(柱状部材)314の遠位末端が位置する。柱状体314は、定位置に溶接され、はんだ付けされ、もしくは接着されるのがよく、あるいは、他の方法によってその遠位端がマーカバンド318および/または内側カテーテル316の外面に取り付けられるのがよい。マーカバンド318の遠位端のところには、マーカバンド318を遠位区分316aに取り付けるための接着接合部320が設けられている。マーカバンド318は、露出遠位区分316aの近位領域316b(柱状部材が設けられている)と遠位領域316c(柱状部材が設けられていない)の境界部と見なすことができる。カテーテル316の遠位端322のところに位置決めされたマーカバンド321は、マーカバンド318の遠位側に位置し、マーカバンド318は、外側カテーテル302に取り付けられたマーカバンド312の遠位側に位置している。柱状体314がマーカバンド318の下に位置した状態で示されているが、柱状体314は、マーカバンド318の頂部上に位置してもよく、そしてこの柱状体314を定位置に溶接し、接着し、またははんだ付けするのがよいことに注目されたい。マーカバンド318は、マーカバンド全体を覆うカバー(図示せず)をさらに有するのがよく、かかるカバーの外径は、外側カテーテル302の外径に等しくまたはこれよりも大きい。同様に、この特定の実施形態に関し、柱状体314の近位端は、はんだ付け、溶接、接着または他の形態の機械的取り付け法を用いてマーカバンド312および/または外側カテーテル302に取り付けられるのがよい。かくして、柱状部材314は、近位端が外側カテーテル302に取り付けられ、遠位端が内側カテーテル316に取り付けられている。
【0070】
図示のように、内側カテーテル316は、柱状体314の遠位側に延びている。すなわち、柱状体314は、例えば上述したマーカバンド318を介して内側カテーテル316に取り付けられた遠位末端を有し、遠位末端は、内側カテーテル316の最も遠位側の縁の近位側で終端している。このように、内側カテーテル316の細長い長手方向に延びる部分(遠位領域316cと呼ばれる)が柱状体314の遠位側に延び、その結果、遠位領域316cに沿って柱状体314は延びてはいない。幾つかの実施形態では、一例として、可変スチフネスの区分を有する内側カテーテル316は、約15cm~約20cmの長さを有するのがよい。マーカバンド318は、柱状体314の取り付けのために利用され、このマーカバンドは、内側カテーテル316の最も遠位側の縁から間隔を置いて位置している。長さ/間隔(露出遠位区分316cを含む)は、互いに異なるサイズの凝血塊を横断するために設計/変更されるのがよい。かくして、外側カテーテルマーカバンド308、マーカバンド318および柱状部材314から成るシステムは、区分316cの互いに異なる長さ(柱状体が設けられていない)を提供するよう図6に示す内側カテーテル以外の内側カテーテルに対して位置決めされるのがよい。
【0071】
内側カテーテル316は、近位領域よりも軟質の遠位領域を有し、この軟質の領域は、少なくとも遠位領域(区分)316aを有する。このように、柱状体314が隣接した状態で延びる領域316bおよび柱状体314のない細長い領域316cは、内側カテーテル316aの軟質の領域内にある。換言すると、柱状体314の近位端および遠位末端は、内側カテーテルの軟質遠位領域に隣接して位置している。この軟質の(より可撓性の)領域の近位側に位置する領域は、硬質であり、そして偏向しない可能性が多分にある。すなわち、内側カテーテルは、例えば約15cm~約20cmであるのがよい軟質遠位区分を有し、柱状部材は、その任意の一部上に載った状態で位置するのがよい(が、より硬質であるカテーテルの次のより近位側の区分の遠位側に位置したままである)。幾つかの実施形態では、遠位領域316cは、領域316bよりも軟質であるのがよい。
【0072】
図7は、偏向可能な先端部を備えた双方向マイクロカテーテルの遠位部分324のもう1つの変形実施形態を示している。この構成は、柱状体(柱状部材)334を覆いかつ露出遠位区分316aの遠位領域316cの近位側に位置した側方支持管326を除き、図6のカテーテルの遠位区分300と同一である。側方支持管326は、ステンレス鋼コイル328で構成されかつ浸漬被覆シリコーン330で被覆されており、浸漬被覆シリコーン330は、端304に当接した近位端332および支持管326の遠位端のところに位置する接着接合部337を備えた遠位端336を有している。近位接着接合部(図示せず)が支持管326を外側カテーテルに取り付ける。支持管326は、柱状体314のための補強/制限部材として作用することができる。この実施形態は、組み込み形運動制限チューブを有していて、したがって、この実施形態は、補強/制限部材として独立カテーテルを用いた場合の利点を備えていないが、内側カテーテルの遠位端からの近位側への柱状体314の間隔は、以下の使用方法で説明するような凝血塊横断および独立カテーテルの偏向という利点を備えている。
【0073】
図6の偏向性マイクロカテーテル300の使用法が図8および図9に示されている。内側カテーテル316を外側カテーテル302に対して引き戻すと、または外側カテーテル302を内側カテーテル316に対して前方に押すと(あるいは、所望の互いに反対側の方向への内側カテーテル316および外側カテーテル302の運動時)、柱状体314は、領域314aのところで座屈しまたは縮もうとし、それにより、露出遠位先端部316aは、下方運動状態で(柱状体314の曲げ部から遠ざかる方向に)動く。内側カテーテル316を外側カテーテル302に対して押すと、あるいは、外側カテーテル302を内側カテーテル316に対して引き戻すと(あるいは、所望の互いに反対側の方向の方向への内側カテーテル316および外側カテーテル302の運動時)、内側カテーテル316に取り付けられた柱状体314は、領域338回りに曲がり始め、露出遠位端部316aは、上方に動く(柱状体314の曲げ部に向かう方向に)。領域316cが曲がり、領域316bの少なくとも一部分もまた曲がる場合のあることに注目されたい。
【0074】
図10は、吸引カテーテル340の形態をした独立外側カテーテルの内側に抜去可能に挿入された図6の双方向マイクロカテーテルの遠位部分300を示している。このシステムでは、吸引カテーテル340は、側方支持管として作用する。
【0075】
吸引カテーテル340は、内側ルーメン343および遠位開口部を備えた遠位端348を有する。マイクロカテーテル300の遠位部分は、柱状体324が吸引カテーテル340のルーメン343内に位置するよう位置決めされ、遠位セグメント316aの露出遠位領域316cは、吸引カテーテル340の遠位端348の遠位側に延び、その結果、遠位領域316bの少なくとも一部分、好ましくは少なくとも50%が吸引カテーテル300から露出されるようになっている。(幾つかの実施形態では、これは、遠位領域の少なくとも1cm、あるいは変形例として、少なくとも2cmであることを意味しており、ただし、他の長さもまた想定されている。)露出遠位領域316aをこのように位置決めすることにより、吸引カテーテル340は、柱状体314の運動を制限する側方支持管として作用することができる。すなわち、吸引カテーテルは、組み込み支持管50に対して上述した仕方で軸方向プル偏向および軸方向プッシュ偏向中、補強部材として作用する。かくして、本発明の柱状部材314は、カテーテル300の一部として(カテーテルに組み込まれた一部として)柱状部材314に嵌まる状態の支持管を備える必要はないが、本明細書において説明した偏向を達成するよう柱状部材の運動を制限するために柱状部材を挿入する別個の(独立した)カテーテルを使用することができる。柱状体314が吸引カテーテル340の遠位部分の境界部内に位置するのでこれが達成されることに注目されたい。
【0076】
幾つかの実施形態では、カテーテルは、減少したプロフィールの長手方向に延びる区分を備えておらず、したがって、柱状体は、内側部材の遠位縁に隣接して遠位側で終端するが、カテーテルは、補強管を備えておらず、カテーテルは、これとは異なり、偏向のために補強部材として働くようカテーテルが挿入される吸引カテーテルまたは他の外側カテーテルを利用する。
【0077】
脳卒中を治療するために用いられる吸引カテーテルの内側ルーメンは、大径のボアになりがちであり、かかる内側ルーメンは、0.030インチ未満から0.088インチ超まで様々であってよい。吸引カテーテル340は、一般に、PTFEライナ342、補強構造体344、およびポリマー覆い346を備えたマイクロカテーテルのように構成されている。補強構造体344は、編組体、コイル、レーザ切断管またはこれら構造の組み合わせであるのがよい。ポリマー覆い346は、遠位端に向かって次第に減少する種々のジュロメータであるのがよい。これは、吸引カテーテルのための構成の一形式であり、吸引カテーテルの構成の他の形態もまた想定されることに注目されたい。加うるに、これは、在庫があってすぐに利用可能な器具中に挿入されまたは別個独立の器具を偏向可能にするよう当該独立器具中に挿入される柱状部材314のほんの一例である。この技術的思想は、一般的な用語としての吸引下において覆われていないのがよい他のカテーテルおよび器具に利用でき、例えば、柱状部材314が取り付けられた内側カテーテルは、このカテーテルまたは管が柱状部材314のための補強部材として作用するので、本明細書において説明した仕方で偏向を引き起こすよう他のカテーテルまたは管状部材中に挿入されるのがよい。
【0078】
図11は、図8に示されているように偏向している双方向マイクロカテーテルの遠位部分300を示している。しかしながら、柱状体314は、いまや、吸引カテーテル340内に位置している。柱状体314の領域314aが外側吸引カテーテルのPTFEライナ342に接触すると(または、内側ライナが設けられていない実施形態において外側吸引カテーテルの内壁に直接接触すると)、吸引カテーテル340は、図示のように偏向する。この結果、内側カテーテル316の露出遠位部分316aならびに内側カテーテル316のルーメンを貫通したガイドワイヤ350の偏向もまた生じる場合がある。吸引カテーテル設計において考えられる内径およびスチフネスの大幅な変化に起因して、柱状体314を含む双方向カテーテルの全体的寸法は、吸引カテーテルのボアサイズが増大するので様々な場合のあることに注目されたい。
【0079】
吸引カテーテル(または他の独立カテーテル)と併用した場合の柱状部材314付きの偏向可能カテーテル300の利点は、図12Aおよび図12Bを参照すると理解できる。吸引カテーテル340の目的は、虚血性脳卒中に罹患している患者の血管再生を行うことにある。脳卒中を治療する際の難題のうちの1つは、神経血管系の曲がりくねった解剖学的構造である。図12Aは、内頸動脈(海綿状)402、眼動脈404、および後交通動脈406から成る神経解剖学的構造400の一部を示している。当該解剖学的構造のこの部分をナビゲートすることにより、眼動脈接合部408のところで引っかかる傾向のある大径ルーメンカテーテルに関して棚効果と呼ばれている問題が生じる。図12Aに示すように、吸引カテーテル340は、小径ワイヤに対する大径ルーメンに起因して、ガイドワイヤ350に追随しそこなう。
【0080】
これを解決するため、種々の会社は、大径ボア吸引カテーテル内に配置される小径カテーテルである遠位アクセスカテーテルまたは遠位アシストカテーテルを導入した。このセットアップでは、図12Bに示すように、同軸システムは、吸引カテーテル340を小径遠位アクセスカテーテル352によってガイドワイヤ350上でこれに沿って案内することができる。しかしながら、カテーテル相互間には、血管壁を損傷させる場合があり、そして場合によっては解離やくも膜下出血を引き起こすことがある肩354が依然として存在する。
【0081】
遠位アクセスまたはアシストカテーテルに加えて、会社は、可能性のある解決策として大径ガイドワイヤおよびテーパ付きマイクロカテーテルを導入した。これら設計に関する問題は、これらが吸引カテーテル先端部全体を本当の意味で向け直す能力を欠いていることである。この問題は、双方向マイクロカテーテルの上述の実施形態のうちの任意のものを吸引カテーテルのルーメン中に挿入することによって解決される。本発明の双方向カテーテルでは、ユーザは、ガイドワイヤを操作するとともに吸引カテーテル先端部を向け直すようにすることが許容される。
【0082】
脳卒中を治療するための吸引カテーテルの使用に加えて、インターベンション神経放射線学医は、他の凝血塊回収ツール、例えばステントリーバ(stentriever)を用いることが時々ある。これらの器具は、吸引カテーテルと組み合わせて時々用いられるが、これら器具は、運搬および展開のための凝血塊の横断のために小さな内径/外径カテーテルを必要とする。凝血塊の横断は、可能な限り小径のカテーテルで行われるべきであるので、会社は、上述したようなテーパ付き遠位アシストカテーテルを導入した。これらの設計は、横断のための小さな遠位プロフィールを提供するが、これら設計は、上述したような同軸システムに関する小さな肩の問題を依然として抱える。露出遠位先端部を備えた本発明の双方向カテーテルの使用は、低横断プロフィールならびに完全吸引先端部およびガイドワイヤ制御を可能にする。
【0083】
図12Cおよび図12Dは、遠位区分が吸引カテーテル340内に位置してガイドワイヤ350上でこれに沿って送られるよう構成された双方向マイクロカテーテルを示している。図12Cに示すように、サイズの不一致に起因してマイクロカテーテル遠位区分300と吸引カテーテル340との間には肩354が存在する。このシステムは、援助なしのままであれば、図12Aの場合と同様な仕方で眼動脈接合部408に接触する可能性がある。しかしながら、図12Dに示すように、双方向カテーテルの遠位端部を本発明の柱状部材314により操作すると、結果として、吸引カテーテル340の遠位端部348は、動脈の中心に向かって接合部408から遠ざかって向け直される。遠位区分は、凝血塊を横断するために小さな直径316aまで移行して肩354を最小限に抑える大きな直径もまた有することができるということが注目される。
【0084】
同軸吸引システムが凝血塊にいったん達すると、最初のステップでは、凝血塊を横断して凝血塊除去のためにステントリーバを配置する。図13A図13Fは、治療のための全体的なステップを示している。図13Aは、最初にガイドワイヤ350を用いて内側血管壁410を有する血管409内の凝血塊412の横断を示している。このステップに関し、柱状体314は、柱状体314の領域314aが壁410に接触するまで内側カテーテル316(図示せず)を動かすことによって遠位露出区分316aを安定化するために使用されるのがよい。ガイドワイヤ350が凝血塊412をいったん横断すると、柱状体412を平べったくし、そして露出遠位端部316aの露出遠位領域316を図13Bに示すように凝血塊412中に通して前方に押す。次に、ガイドワイヤ350を図13Cの場合のように抜去し、そしてデリバリワイヤ356を備えたステントリーバ358を図13Dで示すように配備する。次に、双方向マイクロカテーテルを抜去し、そして図13Eに示すように吸引カテーテル340の内側ルーメン343を介する吸引(矢印360を参照されたい)を行う。次に、吸引下において、ステントリーバ358をデリバリワイヤ356の使用により凝血塊中に引き込み(矢印380を参照されたい)、そして同軸システム全体を図13Fに示すように互いに引き寄せて凝血塊を脱落させてこれを除去し、そして凝血塊を体から取り出す。注目すべきこととして、凝血塊除去のための図13A図13Fのステップは、ほんの一例に過ぎず、と言うのは、アクセスを向上させるために本発明の偏向性内側カテーテル/柱状部材を用いてこれよりも少ないまたは多いステップを利用することができるからである。理解できるように、内側カテーテル316の露出遠位領域316aの低プロフィール遠位区分316cは、柱状体314が設けられていないので、凝血塊の横断を容易にする。
【0085】
以上要約すると、本発明の一方法によれば、カテーテルを血管系中に方向づける以下の方法が提供され、この方法は、第1の器具を外側カテーテル中に挿入するステップを含み、第1の器具は、内側部材、外側部材および内側部材および/または外側部材に連結された柱状部材を有し、この方法は、内側部材または外側部材のうちの一方を他方に対して動かして柱状部材が外側カテーテルのルーメン内で曲げられているときに柱状部材の軸方向圧縮を可能にするステップを含み、内壁は、柱状部材の運動を制限し、したがって内側部材の遠位部分が側方に偏向し、この方法は、外側カテーテルをこの器具とは別個独立にまたはこれと一緒に、偏向済みの遠位部分上でこれに沿って前進させて外側カテーテルを向け直すステップを含む。
【0086】
本発明のカテーテルは、種々の他の器具または管状部材を偏向させるために使用でき、かかるカテーテルは、吸引カテーテルには限定されないことに注目されたい。
【0087】
上記説明は、多くの細部を含んでいるが、これら細部は、本開示の範囲に対する限定と解されるべきではなく、本発明の好ましい実施形態の単なる例示と解されるべきである。当業者であれば、本明細書に添付された特許請求の範囲に記載されている本発明の範囲および精神内に含まれる他の多くの考えられる変形例を想到するであろう。
【0088】
加うるに、当業者であれば、1つの実施形態と関連して図示されまたは説明された要素および特徴を別の実施形態の要素および特徴と組み合わせることができることを理解するであろうし、このことは、本発明の範囲から逸脱せず、当業者は、提供された説明に基づいて現在開示されている主題の別の特徴および別の利点を理解するであろう。
【0089】
上記説明全体を通じて、例えば「ほぼ」、「約」、「一般的に」、「実質的に」などの用語は、これらが関連する任意の数値範囲または技術的思想におけるばらつきを許容するものと理解されるべきである。例えば「ほぼ」、「約」、「実質的に」、「一般的に」のような用語の使用は、25%のオーダのばらつきを含みまたは設計の際の製造公差および/またはばらつきを許容するものと理解されるべきである。
【0090】
端点による数値範囲の記載は、この範囲内の全ての数を含む。
【0091】
例えば「第1」、「第2」、「第3」などのような用語が種々の作用、要素、コンポーネント、領域、および/または区分を説明するものとして本明細書において使用されているが、これら作用、要素、コンポーネント、領域、および/または区分は、これらの用語が1つの作用、要素、コンポーネント、領域、または区分を別の作用、要素、コンポーネント、領域、または区分から区別するために使用するという点で、これらの用語の使用によって限定されるべきではない。かくして、別段の明示の指定がなければ、第1の作用、要素、コンポーネント、領域、または区分は、本発明の範囲から逸脱することなく、第2の作用、要素、コンポーネント、領域、または区分と称される場合がある。
【0092】
各請求項およびあらゆる請求項は、別の開示として明細書中に組み込まれて本開示の実施形態となる。また、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」という語句および「Aおよび/またはBおよび/またはC」という語句は、各々、Aのみ、Bのみ、Cのみ、またはA、B、およびCの組み合わせを含むものと解されるべきである。
図1
図2-3】
図4-5】
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図13F
【手続補正書】
【提出日】2023-07-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムであって、
a)第1の器具を含み、前記第1の器具は、
i)近位部分および遠位部分を備えた外側部材を有し、
ii)前記外側部材内に同軸状に位置決めされた内側部材を有し、前記内側部材は、前記外側部材の遠位側に延びていて、前記内側部材は、遠位部分を有し、
iii)前記内側部材に取り付けられるとともに前記内側部材の外部に延びる細長い柱状部材を有し、
b)ルーメンを備えた外側カテーテルを含み、前記第1の器具は、前記柱状部材が前記外側カテーテルの前記ルーメン内に位置決めされるよう前記外側カテーテルの前記ルーメン内に摺動可能に位置決めされ、
c)前記内側部材または前記外側部材のうちの一方が他方に対して動かされると、前記柱状部材の軸方向圧縮が前記外側カテーテルの内壁によって制限され、それにより、前記内側部材の前記遠位部分が側方に偏向して前記外側カテーテルを向け直す、システム。
【請求項2】
前記内側部材は、中心長手方向軸線を有し、前記柱状部材は、前記中心長手方向軸線に対して半径方向にオフセットしている、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
前記外側カテーテルは、吸引カテーテルである、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
前記柱状部材は、断面が非円形である、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
前記内側部材に設けられたマーカバンドをさらに含み、前記柱状部材は、前記マーカバンドに取り付けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
前記柱状部材は、近位端が前記外側部材に取り付けられ、遠位端が前記内側部材に取り付けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項7】
前記柱状部材は、遠位末端を有し、前記内側部材は、前記柱状部材の前記末端から約2cmの距離にわたって延びている、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
前記遠位末端は、前記内側部材の軟質遠位区分に隣接して位置している、請求項7記載のシステム。
【請求項9】
前記柱状部材には補強部材が嵌められており、前記補強部材は、偏向中、前記外側カテーテルの前記内壁に接触する、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
前記柱状部材は、偏向中、前記外側カテーテルの前記内壁に接触する、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
前記内側部材は、近位側の区分よりも軟質の遠位側の区分を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
側方偏向は、前記柱状部材を前記柱状部材を収納した独立の外側カテーテルの内壁によって前記柱状部材が拘束されると起こる、請求項11記載のシステム。
【請求項13】
前記柱状部材は、第1の端で前記外側部材に取り付けられ、第2の端で前記内側部材に取り付けられている、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
前記柱状部材の前記第2の端は、前記柱状部材の遠位側に延びる前記内側部材の延長された細長い部分を残すように前記内側部材の最遠位縁の近位側に位置決めされている、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
前記第2の端は、前記内側部材の前記より軟質の遠位区分に隣接して終端する、請求項14記載のシステム。
【国際調査報告】