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特表2023-548976AAVの体内分布を制限するための方法および組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-21
(54)【発明の名称】AAVの体内分布を制限するための方法および組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/76 20150101AFI20231114BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231114BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231114BHJP
   C07K 16/08 20060101ALN20231114BHJP
   C12N 7/01 20060101ALN20231114BHJP
【FI】
A61K35/76
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61P43/00
C07K16/08 ZNA
C12N7/01
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023552153
(86)(22)【出願日】2021-11-09
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021058572
(87)【国際公開番号】W WO2022099179
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/256,437
(32)【優先日】2021-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/111,496
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521384588
【氏名又は名称】アフィニア セラピューティクス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Affinia Therapeutics Inc.
【住所又は居所原語表記】43 Foundry Avenue, Suite 120, Waltham, Massachusetts 02453, United States
(71)【出願人】
【識別番号】511140770
【氏名又は名称】マサチューセッツ アイ アンド イヤー インファーマリー
(71)【出願人】
【識別番号】502144235
【氏名又は名称】ザ スキーペンズ アイ リサーチ インスティチュート インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】カルセド デル オヨ, ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンデンベルグ, ルーク エイチ.
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA23
4B065CA44
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085BB44
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE03
4C085GG02
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087MA02
4C087MA55
4C087MA56
4C087MA58
4C087MA65
4C087NA05
4C087NA07
4C087ZC80
4H045AA11
4H045AA30
4H045DA75
4H045EA22
(57)【要約】
本開示は、非全身投与された組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物を全身投与を介して患者に補助的に投与することにより、患者をrAAVで処置する改善された方法に関する。本開示は、併用治療のためのキットをさらに提供する。本開示は、非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物を、全身投与を介して患者に補助的に投与することにより、患者をrAAVで処置する改善された方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の標的部位への非全身投与によって患者を処置する方法において、前記改善が、
前記非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体を含む組成物を全身投与によって前記患者に補助的に投与するステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの抗体が、前記rAAVの少なくとも1つのカプシドタンパク質に結合する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記rAAVが、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択されるAAVのカプシドタンパク質を有する、請求項1~2のいずれか1項に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの抗体がIgG抗体である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物が、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIからから選択されるrAAVを中和する能力をもつ、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記組成物がモノクローナル抗体を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、モノクローナル抗体の混合物を含むポリクローナル抗体を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が、少なくとも100人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、少なくとも500人、少なくとも1000人、少なくとも5000人、または少なくとも10,000人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
前記組成物が静脈内免疫グロブリン(IVIG)である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記IVIGが、Gammagard(商標)Liquid(登録商標)(バクスター・ヘルスケア株式会社)、Gammagard(商標)S/D、Gammaplex(商標)、Bivigam(商標)、Carimune(商標)NF、Gamunex-C、Gammaked(商標)、Flebogamma(商標)DIF、Octagam(商標)、およびPrivigen(商標)から得られた抗体のプールである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物が組換えポリクローナル抗体を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が組換えIVIG(rIVIG)を含む、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの抗体が、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab’)、および(scFv)から選択される抗原結合フラグメントである、請求項1~3または5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、二重特異性抗体、単一ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ(Db)、ナノボディ、およびユニボディを含む、請求項1~3または5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物が、静脈内注射または注入によって投与される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物がIVIGであり、前記IVIGが1~2000mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記IVIGが、1~2mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記IVIGが、1~10mg/mlの範囲の用量で投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記IVIGが、1~4mg/mlの範囲の用量で投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項21】
IVIGが単回用量として投与される、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記IVIGが毎日投与される、請求項17~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記IVIGが、1日2回、1日3回、または1日4回投与される、請求項17~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記IVIGが、1日2回、1日3回、または1日4回投与される、請求項17~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記IVIGが1週間以内の間に投与される、請求項19~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記IVIGが、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、または少なくとも30分間投与される、請求項17~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記組成物が、前記rAAVを前記患者に投与する前に投与される、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記組成物が、前記rAAVを前記患者に投与する少なくとも30分前、少なくとも1時間前、少なくとも2時間前、少なくとも4時間前、少なくとも6時間前、または少なくとも24時間前に投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記組成物が、前記rAAVを前記患者に投与する1週間前までに投与される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記組成物が、前記rAAVを前記患者に投与した後に投与される、請求項1~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記組成物が、前記rAAVを前記患者に投与してから30分以内、少なくとも1時間後、少なくとも2時間後、少なくとも4時間後、少なくとも6時間後、少なくとも24時間後、または1週間以内に投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が、前記rAAVを前記患者に投与する日と同じ日に投与される、請求項1~3128のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記組成物が、前記患者への投与後に前記rAAVの体内分布を変化させるのに十分な量で投与される、請求項1~32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
rAAVの体内分布を変化させることにより、肝細胞の感染を減少させる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
rAAVの体内分布を変化させることにより、前記標的部位以外の細胞の感染を減少させる、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が、前記患者への投与後に前記rAAVの肝毒性を軽減するのに十分な量で投与される、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記組成物が、前記患者への投与後に前記標的部位以外でrAAVの毒性を軽減するのに十分な量で投与される、請求項1~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
前記組成物が、前記標的部位から放出されたrAAVを中和するのに十分な量で投与される、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記標的部位が、前記患者の脳、脊髄、筋肉、眼、および耳から選択される、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記標的部位が、前記患者の中枢神経系内にない、請求項1~39のいずれか1項に記載の方法。
【請求項41】
患者を処置する方法であって、
組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む第1の医薬組成物を前記患者の標的部位に非全身的に投与するステップと;
前記非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体を含む第2の医薬組成物を全身投与によって前記患者に補助的に投与するステップと
を含む、方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの抗体が、前記rAAVのカプシドタンパク質に結合する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記rAAVが、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;Anc80DI;およびそのバリアントから選択されるAAVのカプシドタンパク質を有する、請求項41~42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
前記AAVが、AAV8またはAAV9である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記AAVが、rh.10である、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記AAVが、hu.68である、請求項43に記載の方法。
【請求項47】
前記AAVが、Anc80L65である、請求項43に記載の方法。
【請求項48】
前記抗体がIgG抗体である、請求項41~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の医薬組成物が、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択されるAAVを中和する能力をもつ、請求項41~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの抗体がモノクローナル抗体である、請求項40~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記第2の医薬組成物が、モノクローナル抗体の混合物を含むポリクローナル抗体を含む、請求項40~50のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記第2の医薬組成物が、少なくとも100人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む、請求項41~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記第2の医薬組成物が、少なくとも500人、1000人、5000人、または10,000人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記第2の医薬組成物が静脈内免疫グロブリン(IVIG)を含む、請求項41~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記IVIGが、Gammagard(商標)Liquid(登録商標)(バクスター・ヘルスケア株式会社)、Gammagard(商標)S/D、Gammaplex(商標)、Bivigam(商標)、Carimune(商標)NF、Gamunex-C、Gammaked(商標)、Flebogamma(商標)DIF、Octagam(商標)、およびPrivigen(商標)から得られた抗体のプールである、請求項55に記載の方法。
【請求項56】
前記第2の医薬組成物が組換えポリクローナル抗体を含む、請求項41~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記第2の医薬組成物が組換えIVIG(rIVIG)を含む、請求項41~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
前記少なくとも1つの抗体が、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab’)、および(scFv)から選択される抗原結合フラグメントを含む、請求項41~57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記少なくとも1つの抗体が、二重特異性抗体、単一ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ(Db)、ナノボディ、ユニボディ、およびダイアボディを含む、請求項41~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の医薬組成物が局所投与される、請求項41~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記標的部位が中枢神経系内にある、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記標的部位が、前記患者の脳、脊髄、筋肉、眼、および耳から選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記第1の医薬組成物が、髄腔内注射もしくは注入、眼内注射、硝子体内注射もしくは注入、内耳注射もしくは注入、脳室内注射もしくは注入、大槽内注射(ICM)もしくは注入、網膜下注射もしくは注入、または筋肉内注射もしくは注入によって投与される、請求項61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
髄腔内注射もしくは注入が、腰椎注射もしくは注入である、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の医薬組成物が、脳内、髄腔内、頭蓋内、脳室内、または大槽投与によって前記脳または脊髄に投与される、請求項61に記載の方法。
【請求項66】
前記第2の医薬組成物が全身投与される、請求項41~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の医薬組成物が静脈内注射または注入によって投与される、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記第2の医薬組成物がIVIGを含み、前記IVIGが1~2000mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項41~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記IVIGが、1~2mg/kgの範囲の用量で投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記IVIGが、1~10mg/mlの範囲の用量で投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項71】
前記IVIGが、1~4mg/mlの範囲の用量で投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項72】
IVIGが単回用量として投与される、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記IVIGが毎日投与される、請求項68~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記IVIGが1日に少なくとも2回投与される、請求項68~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記第2の医薬組成物が、前記第1の医薬組成物を前記患者に投与する前に投与される、請求項41~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記第2の医薬組成物が、前記第1の医薬組成物の前記患者への投与の少なくとも30分前、少なくとも1時間前、または少なくとも2時間前に投与される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記第2の医薬組成物が、前記第1の医薬組成物の前記患者への投与の少なくとも1日前、少なくとも1週間前、または少なくとも2週間前に投与される、請求項75に記載の方法。
【請求項78】
前記第2の医薬組成物が、前記第1の医薬組成物を前記患者に投与した後に投与される、請求項41~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記第2の医薬組成物が、前記第1の医薬組成物の前記患者への投与の少なくとも30分後、少なくとも1時間後、または少なくとも2時間後に投与される、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
前記第2の医薬組成物が、前記第1の医薬組成物の前記患者への投与の少なくとも1日後、少なくとも2日後、または少なくとも1週間後に投与される、請求項78に記載の方法。
【請求項81】
前記第1の医薬組成物および前記第2の医薬組成物が、同じ日に投与される、請求項41~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記第2の医薬組成物が、前記患者への投与後に前記rAAVの体内分布を変化させるのに十分な量で投与される、請求項41~81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
AAVの体内分布を変化させることにより、肝細胞のrAAV感染が減少する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
AAVの体内分布を変化させることにより、前記標的部位以外の細胞のrAAV感染を減少させる、請求項82に記載の方法。
【請求項85】
前記第2の医薬組成物が、前記患者への投与後に前記rAAVの肝毒性を軽減するのに十分な量で投与される、請求項41~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記第2の医薬組成物が、前記患者への投与後に前記標的部位以外で前記rAAVの毒性を軽減するのに十分な量で投与される、請求項41~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記標的部位が、前記患者の脳、脊髄、筋肉、眼、および耳から選択される、請求項83~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記標的部位が、前記中枢神経系内にない、請求項41~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
併用治療のためのキットであって、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む第1の医薬組成物と、非全身投与された前記第1の医薬組成物のrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体を含む第2の医薬組成物とを含む、キット。
【請求項90】
前記少なくとも1つの抗体が、前記rAAVのカプシドタンパク質に結合する、請求項89に記載のキット。
【請求項91】
AAVの前記カプシドタンパク質が、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択される、請求項89~90のいずれか1項に記載のキット。
【請求項92】
前記少なくとも1つの抗体がIgGを含む、請求項89のいずれか1項に記載のキット。
【請求項93】
前記第2の医薬組成物が、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択されるAAVを中和する能力をもつ、請求項89~92のいずれか1項に記載のキット。
【請求項94】
前記少なくとも1つの抗体がモノクローナル抗体である、請求項89~93のいずれか1項に記載のキット。
【請求項95】
前記第2の医薬組成物が、少なくとも100人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む、請求項89~94のいずれか1項に記載のキット。
【請求項96】
前記第2の医薬組成物が、少なくとも500人、1000人、5000人、または10,000人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む、請求項95に記載のキット。
【請求項97】
前記第2の医薬組成物が静脈内免疫グロブリン(IVIG)を含む、請求項89~96のいずれか1項に記載のキット。
【請求項98】
前記第2の医薬組成物が、組換え静脈内免疫グロブリン(rIVIG)を含む、請求項89~96のいずれか1項に記載のキット。
【請求項99】
前記IVIGが、Gammagard(商標)Liquid(登録商標)(バクスター・ヘルスケア株式会社)、Gammagard(商標)S/D、Gammaplex(商標)、Bivigam(商標)、Carimune(商標)NF、Gamunex-C、Gammaked(商標)、Flebogamma(商標)DIF、Octagam(商標)、およびPrivigen(商標)から得られた抗体のプールである、請求項98に記載のキット。
【請求項100】
前記第2の医薬組成物が組換えポリクローナル抗体を含む、請求項89~99のいずれか1項に記載のキット。
【請求項101】
前記第2の医薬組成物が、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab’)、および(scFv)から選択されるAAV中和抗原結合フラグメントを含む、請求項89~100のいずれか1項に記載のキット。
【請求項102】
前記第2の医薬組成物が、二重特異性抗体、単一ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ(Db)、ナノボディ、ユニボディ、およびダイアボディを含む、請求項89~101のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連出願の相互参照
本願は、2020年11月9日付で出願された米国特許仮出願第63/111,496号、および2021年10月15日付で出願された同第63/256,437号の利益を主張し、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
2.配列表
本願は、EFS-Webを介して提出されたて配列表を含み、この配列表はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。2021年XX月に作成された前記ASCIIコピーの名前は47299WO_CRF_sequencelisting.txtであり、サイズはXXXバイトである。
【背景技術】
【0003】
3.背景
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、インビボ遺伝子治療に最適なベクター系となっている。治療用核酸を送達するように設計された組換えAAV(rAAV)の種類は増加しており、非ヒト霊長類およびヒトにおいて開発および試験されている。最近、FDAは2つのrAAV遺伝子治療製品の商品化を承認した。
【0004】
AAVベクターは他のウイルスよりも安全で炎症性が低いが、遺伝子治療のための高用量のrAAVの投与後に毒性が生じている。ヒト以外の霊長類の研究では血小板減少症および高トランスアミナーゼ血症の急性発症ならびに肝臓損傷が観察されており、ヒトの臨床研究では肝機能障害、肝臓酵素の急激な上昇および血小板の減少が観察されている。最近、遺伝性神経筋障害の処置のためのrAAV遺伝子治療の臨床試験において、数件の死亡が報告された。
【0005】
標的組織または器官へのrAAVの局所投与は、ターゲティングを改善し、全身毒性を軽減するために使用されてきたが、完全な局在化は不可能であり、AAVのいくつかの血清型は、注射部位から遠位の組織において形質導入を示し、全身毒性の危険性があった。
【0006】
したがって、全身循環および肝臓などの非標的組織および器官の形質導入を低減または排除しながら、局所または局部投与後に標的組織および器官へのAAVの体内分布を制限する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
4.概要
本開示は、非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物を、全身投与を介して患者に補助的に投与することにより、患者をrAAVで処置する改善された方法に関する。
【0008】
補助的に投与される中和抗体は、非標的器官および組織内のAAVを中和することにより、標的組織および器官へのrAAVの体内分布を制限することができる。この補助的な中和抗体の全身投与は、標的器官および組織を逃れる非全身投与rAAVの非標的形質導入を減少させ、全身毒性を軽減し、rAAVによって形質導入された標的組織および器官に移動する全身性免疫応答を低減する。
【0009】
本開示の態様には、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の非全身投与によって患者を処置する改善された方法が含まれる。この改善は、非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物を、全身投与によって患者に補助的に投与することを含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体または抗原結合フラグメントは、rAAVの少なくとも1つのカプシドタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択されるAAVのカプシドタンパク質を有する。
【0011】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体はIgG抗体である。
【0012】
いくつかの実施形態では、組成物は、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択されるrAAVを中和する能力をもつ。
【0013】
いくつかの実施形態では、組成物はモノクローナル抗体を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、組成物は、モノクローナル抗体の混合物を含むポリクローナル抗体を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも100人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体は、少なくとも500人、少なくとも1000人、少なくとも5000人、または少なくとも10,000人のドナーから得られる。
【0016】
いくつかの実施形態では、組成物は静脈内免疫グロブリン(IVIG)である。いくつかの実施形態では、IVIGは、Gammagard(商標)Liquid(登録商標)(バクスター・ヘルスケア株式会社)、Gammagard(商標)S/D、Gammaplex(商標)、Bivigam(商標)、Carimune(商標)NF、Gamunex-C、Gammaked(商標)、Flebogamma(商標)DIF、Octagam(商標)、およびPrivigen(商標)から得られた抗体のプールである。
【0017】
いくつかの実施形態では、組成物は組換えポリクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、組成物は組換えIVIG(rIVIG)を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体は、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab’)、および(scFv)から選択される抗原結合フラグメントである。いくつかの実施形態では、組成物は、二重特異性抗体、単一ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ(Db)、ナノボディ、およびユニボディを含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、組成物は静脈内注射または注入によって投与される。
【0020】
いくつかの実施形態では、組成物はIVIGであり、IVIGは1~2000mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは1~2mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは1~10mg/mlの範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは1~4mg/mlの範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは、単回用量として投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは毎日投与される。
【0021】
いくつかの実施形態では、IVIGは1日2回、1日3回、または1日4回投与される。
【0022】
いくつかの実施形態では、IVIGは1日2回、1日3回、または1日4回投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは1週間以内の間に投与される。
【0023】
いくつかの実施形態では、IVIGは、少なくとも5分間、少なくとも10分間、少なくとも15分間、少なくとも20分間、少なくとも25分間、または少なくとも30分間投与される。
【0024】
いくつかの実施形態では、組成物は、rAAVを患者に投与する前に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、rAAVを患者に投与する少なくとも30分前、少なくとも1時間前、少なくとも2時間前、少なくとも4時間前、少なくとも6時間前、少なくとも12時間前、または少なくとも24時間前に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、rAAVを患者に投与する30分前、1時間前、2時間前、4時間前、6時間前、12時間前、または24時間前に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、rAAVを患者に投与する1週間前までに投与される。
【0025】
いくつかの実施形態では、組成物は、rAAVを患者に投与した後に投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、rAAVを患者に投与してから30分以内、少なくとも1時間後、少なくとも2時間後、少なくとも4時間後、少なくとも6時間後、少なくとも24時間後、または1週間以内に投与される。
【0026】
いくつかの実施形態では、組成物は、rAAVを患者に投与した日と同じ日に投与される。
【0027】
いくつかの実施形態では、組成物は、患者への投与後にrAAVの体内分布を変化させるのに十分な量で投与される。
【0028】
いくつかの実施形態では、rAAVの体内分布を変化させると、肝細胞の感染が減少する。いくつかの実施形態では、rAAVの体内分布を変化させると、標的部位以外の細胞の感染が減少する。
【0029】
いくつかの実施形態では、組成物は、患者への投与後にrAAVの肝毒性を軽減するのに十分な量で投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、患者への投与後に標的部位以外でrAAVの毒性を軽減するのに十分な量で投与される。
【0030】
いくつかの実施形態では、組成物は、標的部位から放出されたrAAVを中和するのに十分な量で投与される。
【0031】
いくつかの実施形態では、標的部位は、患者の脳、脊髄、筋肉、眼、および耳から選択される。いくつかの実施形態では、標的部位は患者の中枢神経系内にはない。
【0032】
本開示の態様には、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む第1の医薬組成物を患者の標的部位に非全身的に投与するステップと;非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体を含む第2の医薬組成物を全身投与によって患者に補助的に投与するステップとを含む、患者を処置する方法が含まれる。
【0033】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体は、rAAVのカプシドタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、rAAVは、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択されるAAVのカプシドタンパク質を有する。いくつかの実施形態では、AAVは、AAV8またはAAV9である。いくつかの実施形態では、AAVは、rh.10である。いくつかの実施形態では、AAVは、hu.68である。
【0034】
いくつかの実施形態では、抗体はIgG抗体である。
【0035】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択されるAAVを中和する能力をもつ。
【0036】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体はモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、モノクローナル抗体の混合物を含むポリクローナル抗体を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、少なくとも100人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、少なくとも500人、1000人、5000人、または10,000人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、静脈内免疫グロブリン(IVIG)を含む。いくつかの実施形態では、IVIGは、Gammagard(商標)Liquid(登録商標)(バクスター・ヘルスケア株式会社)、Gammagard(商標)S/D、Gammaplex(商標)、Bivigam(商標)、Carimune(商標)NF、Gamunex-C、Gammaked(商標)、Flebogamma(商標)DIF、Octagam(商標)、およびPrivigen(商標)から得られた抗体のプールである。
【0039】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は組換えポリクローナル抗体を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、組換えIVIG(rIVIG)を含む。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体は、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab’)、および(scFv)から選択される抗原結合フラグメントを含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体は、二重特異性抗体、単一ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ(Db)、ナノボディ、ユニボディ、およびダイアボディを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物は局所投与される。
【0043】
いくつかの実施形態では、標的部位は中枢神経系内にある。いくつかの実施形態では、標的部位は、患者の脳、脊髄、筋肉、眼、および耳から選択される。
【0044】
いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物は、髄腔内注射もしくは注入、眼内注射、硝子体内注射もしくは注入、内耳注射もしくは注入、脳室内注射もしくは注入、大槽内注射(ICM)もしくは注入、網膜下注射もしくは注入、または筋肉内注射もしくは注入によって投与される。いくつかの実施形態では、髄腔内注射もしくは注入は腰椎注射もしくは注入である。いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物は、脳内、髄腔内、頭蓋内、脳室内、または大槽投与によって脳または脊髄に投与される。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は全身投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は静脈内注射または注入によって投与される。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物はIVIGを含み、IVIGは1~2000mg/kgの範囲の用量で投与される。
【0047】
いくつかの実施形態では、IVIGは1~2mg/kgの範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは1~10mg/mlの範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは1~4mg/mlの範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは、単回用量として投与される。
【0048】
いくつかの実施形態では、IVIGは毎日投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは少なくとも1日2回投与される。
【0049】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物を患者に投与する前に投与される。
【0050】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物を患者に投与する少なくとも30分前、少なくとも1時間前、少なくとも2時間少なくとも6時間(at least 2 at least 6 hours)、少なくとも12時間または少なくとも24時間前に投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物を患者に投与する30分前、1時間前、2時間、6時間、12時間または24時間前に投与される。
【0051】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物を患者に投与する少なくとも1日前、少なくとも1週間前、または少なくとも2週間前に投与される。
【0052】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物を患者に投与した後に投与される。
【0053】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物の患者への投与の少なくとも30分後、少なくとも1時間後、または少なくとも2時間後に投与される。
【0054】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物の患者への投与の少なくとも1日後、少なくとも2日後、または少なくとも1週間後に投与される。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物は、同じ日に投与される。
【0056】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、患者への投与後にrAAVの体内分布を変化させるのに十分な量で投与される。
【0057】
いくつかの実施形態では、AAVの体内分布を変化させると、肝細胞のrAAV感染が減少する。いくつかの実施形態では、AAVの体内分布を変化させると、標的部位以外の細胞のrAAV感染が減少する。
【0058】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、患者への投与後にrAAVの肝毒性を軽減するのに十分な量で投与される。
【0059】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、患者への投与後に標的部位以外でrAAVの毒性を軽減するのに十分な量で投与される。
【0060】
いくつかの実施形態では、標的部位は、患者の脳、脊髄、筋肉、眼、および耳から選択される。
【0061】
いくつかの実施形態では、標的部位は中枢神経系内にない。
【0062】
本開示の態様には、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む第1の医薬組成物と、非全身投与された第1の医薬組成物のrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体を含む第2の医薬組成物とを含む、併用治療のためのキットが含まれる。
【0063】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体は、rAAVのカプシドタンパク質に結合する。いくつかの実施形態では、AAVのカプシドタンパク質は、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択される。
【0064】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体はIgGを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択されるAAVを中和する能力をもつ。
【0066】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体はモノクローナル抗体である。
【0067】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、少なくとも100人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、少なくとも500人、1000人、5000人、または10,000人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む。
【0068】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、静脈内免疫グロブリン(IVIG)を含む。
【0069】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、組換え静脈内免疫グロブリン(rIVIG)を含む。
【0070】
いくつかの実施形態では、IVIGは、Gammagard(商標)Liquid(登録商標)(バクスター・ヘルスケア株式会社)、Gammagard(商標)S/D、Gammaplex(商標)、Bivigam(商標)、Carimune(商標)NF、Gamunex-C、Gammaked(商標)、Flebogamma(商標)DIF、Octagam(商標)、およびPrivigen(商標)から得られた抗体のプールである。
【0071】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は組換えポリクローナル抗体を含む。
【0072】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab’)、および(scFv)から選択されるAAV中和抗原結合フラグメントを含む。
【0073】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、二重特異性抗体、単一ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ(Db)、ナノボディ、ユニボディ、およびダイアボディを含む。
【0074】
5.図面のいくつかの図の簡単な説明
本発明のこれらおよび他の特徴、態様、および利点は、以下の説明および添付の図面に関してよりよく理解される。
【図面の簡単な説明】
【0075】
図1-1】図1A図1Gは、ddPCRによって測定された、IVIG投与を伴うまたは伴わない、AAV9.CAG.GFPで処置したマウスの様々な組織におけるベクターゲノムコピーの体内分布を示す。Y軸は、RPP30のDNAコピー数に対するeGFP DNAのコピー数の比を表し、x軸は処置条件を表す。各グラフは、脳(図1A)、肝臓(図1B)、脾臓(図1C)、頸部DRG(図1D)、腰部DRG(図1E)、心臓(図1F)、または腎臓(図1G)におけるeGFP発現を示す。データポイントは個々の動物を示し、線は平均を示す。統計は、一元配置分散分析およびテューキーの多重比較検定を使用して実施した。
図1-2】同上。
図1-3】同上。
図1-4】同上。
【0076】
図2-1】図2A図2Gは、RT-ddPCRによって測定された、IVIG投与を伴うまたは伴わない、AAV9.CAG.GFPで処置したマウスの様々な組織におけるeGFP mRNA発現を示す。Y軸は、RPP30転写物に対するeGFP転写物の比を表し、x軸は処置条件を表す。各グラフは、脳(図2A)、肝臓(図2B)、脾臓(図2C)、頸部/胸部DRG(図2D)、腰部DRG(図2E)、心臓(図2F)、または腎臓(図2G)におけるeGFP発現を示す。データポイントは個々の動物を示し、線は平均を示す。統計は、一元配置分散分析およびテューキーの多重比較検定を使用して実施した。
図2-2】同上。
図2-3】同上。
図2-4】同上。
【0077】
図3A図3A図3Gは、IVIGによる処置を伴うまたは伴わない、AAV9.CAG.GFPで処置したマウスの様々な組織における抗GFP免疫組織化学データを示す。抗GFP免疫組織化学は、生理食塩水;AAV9.CAG.GFP ICV;AAV9.CAG.GFP ICVと2時間のIVIG;AAV9.CAG.GFPと24時間のIVIG;またはAAV9.CAG.GFP IVを形質導入した動物の脳(図3A)、肝臓(図3B)、脾臓(図3C)、頸部/胸部DRG(図3D)、腰部DRG(図3E)、心臓(図3F)、または腎臓(図3G)の断面で実施した。GFP陽性細胞は褐色に染色される(図3A~3Gでは濃い灰色の細胞として示されている)。DR-後根。DRG-後根神経節。
図3B】同上。
図3C】同上。
図3D】同上。
図3E】同上。
図3F】同上。
図3G】同上。
【発明を実施するための形態】
【0078】
6.詳細な説明
6.1.定義
別に定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の当業者が一般に理解する意味を有する。本明細書で使用される場合、以下の用語は、それらについて以下に記載される意味を有する。
【0079】
本明細書において使用される「rAAV」という用語は、AAVキャプシドに封入された組換え核酸構築物を含むビリオンを指す。組換え構築物は、AAV逆方向末端反復配列の間に位置するポリヌクレオチドペイロードを含む。ペイロードは、タンパク質(例えば、治療用タンパク質)をコードする発現可能なポリヌクレオチドまたはCRISPRなどの遺伝子編集機構のためのmiRNA、siRNAもしくはガイドRNAであり得る。ペイロードは、遺伝子編集によって促進される相同組換え修復のためのDNA相同性構築物であり得る。
【0080】
本明細書で使用される「中和する」または「中和」という用語は、AAVの毒性および/または循環レベルの測定可能な減少を指す。「中和抗体」という用語は、AAVの毒性および/または循環レベルを低下させる能力をもつ抗体を指す。中和抗体は、感染を遮断する、受容体との相互作用を遮断する、ゲノムの脱外被を阻害する、ウイルスを凝集する、カプシドにおける構造変化を誘導する、ウイルスの解離(disassembly)および脱外被(DNAを放出するのに必要なステップ)を防止するなどの方法でウイルスに結合することができる。中和抗体の中には、これらの効果をいくつか持つものがある。
【0081】
「抗体」という用語(「免疫グロブリン」とも交換可能にされる)は、ポリクローナル、モノクローナル、および同種異系の抗体調製物を包含し、この抗体は、目的のクラス(例えば、IgM、IgG、IgA、およびそれらのサブクラス)のいずれか、ならびにハイブリッド抗体、改変抗体、F(ab’)フラグメント、F(ab)分子、Fvフラグメント、ファージ上に提示される単鎖可変領域フラグメント(scFv)、ナノボディ、単鎖抗体、単一ドメイン抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、および親抗体分子の免疫学的結合特性を示すそれらの機能的フラグメントをはじめとする調製物であってもよい。抗体は、他の部分にコンジュゲートされていてもよく、かつ/またはポリスチレンプレートもしくはビーズ、試験ストリップなどの支持体(例えば、固体支持体)に結合されていてもよい。
【0082】
本開示の抗体およびフラグメントは、二重特異性または多重特異性であるものを包含する。本明細書中に記載される方法において有用な二重特異性抗体または多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有していてよく、その少なくとも1つはrAAVのエピトープである。rAAV結合抗体およびフラグメントは、ヘテロ抗体であってもよい。ヘテロ抗体は、互いに連結された2またはそれを超える抗体または抗体結合フラグメント(例えば、Fab)であり、各抗体またはフラグメントは異なる特異性を有する。
【0083】
抗体に言及する場合、「に結合する」、「に特異的に結合する」または「と特異的に免疫反応性である」という語句は、タンパク質および他の生物製剤の異種集団の存在下でタンパク質の存在を決定する結合反応を指す。したがって、指定されたイムノアッセイ条件下では、指定された抗体は特定のタンパク質に結合し、試料中に存在する他のタンパク質に有意な量で結合しない。そのような条件下でのタンパク質またはビリオンへの特異的結合には、特定のタンパク質に対するその特異性について選択された抗体が必要となる場合がある。例えば、AAV中和抗体は、AAV7に対して産生させることができ、AAV7ビリオンに特異的に結合して、組織、器官または体液中に存在する他のビリオンには結合しない。様々なイムノアッセイ形式を使用して、特定のタンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択するために日常的に使用されている。
【0084】
本明細書で使用される「体内分布」という用語は、投与後のAAVの広がり、ならびに組織、体液または器官におけるその局在化および持続性を指す。例えば、AAVの体内分布には、肝臓または他の器官の細胞へのベクターの取り込みおよび形質導入の量、ならびに、導入遺伝子、RNAまたはDNAを発現するポリヌクレオチドなどの発現可能なポリヌクレオチドの発現が含まれ得る。いくつかの実施形態では、体内分布分析には、限定されるものではないが、qPCRおよびディープシーケンシングによるウイルスゲノムの発現の定量、ならびにAAV感染が含まれる。
【0085】
本明細書で使用される「AAVカプシドタンパク質」という用語は、天然に存在するAAV血清型のVP1、VP2、またはVP3カプシドタンパク質あるいは当技術分野で利用可能または公知の天然に存在しないVP1、VP2、またはVP3カプシドタンパク質を指す。
【0086】
「補助的投与」または「補助的に投与する」という用語は、効果を提供するために一方の治療剤を他方の治療剤に時間的に十分に近接して投与することを指す。補助的投与には、一方の治療剤を、他方の治療剤の投与と同時に(同時に)、逐次に(異なる時間であるが、同じ日に、例えば、同じ患者の来診中に)、またはそれとは別個に(別の日に)投与することが含まれる。
【0087】
本明細書で使用される「IVIG」または「静脈内免疫グロブリン」という用語は、臨床分野で一般に理解されている意味を有する。IVIGには、多くの抗原に対する抗体の濃縮された多様なコレクションが含まれる。IVIGは、通常、被験体に静脈内投与されるが、異なる経路で投与することができる。
【0088】
本明細書で使用される「ポリクローナル抗体」という用語は、通常は異なるB細胞クローンによって産生される異種抗体の集団を指す。それらは、単一の抗原または多くの抗原の多くの異なるエピトープを認識して結合することができる。ポリクローナル抗体は、単一特異性または多特異性のいずれかであり得る。ポリクローナル抗体は、限定されるものではないが、モノクローナル抗体の混合物であってよい。
【0089】
本明細書で使用される「組換えポリクローナル抗体」という用語は、組換え構築物のライブラリによって産生される異種抗体の集団を指し、各組換え構築物は抗体または抗原結合フラグメントのコード配列を含む。組換えポリクローナル抗体は、単一抗原の多くの異なるエピトープを認識して結合することができる。いくつかの実施形態では、組換えポリクローナル抗体は、多くの異なる抗原を認識して結合する。
【0090】
本明細書で使用される「標的部位」という用語は、組成物が投与される細胞、組織、器官または身体部分を指す。
【0091】
本明細書および特許請求の範囲を通して、「組成物」および「医薬組成物」は交換可能に使用される。
【0092】
本明細書および特許請求の範囲を通して、「含む(comprise)」という単語または「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形形態は、記載された整数または整数群を含むが、任意の他の整数または整数群を除外しないことを意味すると理解される。
【0093】
本発明をさらに説明する前に、本発明は、説明された特定の実施形態に限定されず、したがって当然のことながら変化し得ることを理解されたい。また、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるため、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではないことも理解されたい。
【0094】
値の範囲が提供されている場合、文脈上明らかに別段の記載がない限り、その範囲の上限と下限の間の、下限の単位の10分の1までの各中間値(intervening value)、およびその記載された範囲内の他の記載された値または中間値は、本発明内に包含されることが理解される。これらのより小さい範囲の上限および下限は、独立してより小さい範囲に含まれてよく、同様に、記載された範囲内の任意の具体的に除外された限界にしたがって、本発明内に包含される。記載された範囲が限界の一方または両方を含む場合、それらの含まれる限界の一方または両方を除いた範囲も本発明に含まれる。
【0095】
本明細書に記載されるものと類似または同等の方法および材料を本方法および組成物(composition of matter)の実践または試験に使用することができるが、適した方法および材料は以下に記載される。さらに、材料、方法、および実施例は例示にすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書で言及されるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、参照によりその全文が組み込まれる。
【0096】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される、単数形の「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「抗体または抗原結合フラグメント」への言及には、複数のそのような抗体および抗原結合フラグメントが含まれ、「組換えアデノ随伴ウイルス」への言及には、1またはそれを超える組換えアデノ随伴ウイルスおよび当業者に公知のその等価物などへの言及が含まれる。特許請求の範囲は、あらゆる任意の要素を除外するように起草され得ることにさらに留意されたい。したがって、この記述は、特許請求の範囲の要素の列挙に関連して「もっぱら」、「のみ」などの排他的な用語を使用したり、「否定的な」限定を使用したりする際の先行詞ととして働くことが意図されている。
【0097】
明確にするために別個の実施形態の文脈で説明されている本発明の特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供されてもよいことが理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明されている本発明の様々な特徴は、個別にまたは任意の適したサブコンビネーションで提供されてもよい。本発明に関連する実施形態のすべての組み合わせは、本発明によって具体的に包含され、どの組み合わせも個別に明示的に開示されているかのように、本明細書に開示される。さらに、様々な実施形態およびその要素のすべてのサブコンビネーションもまた、本発明に具体的に包含され、そのようなどのサブコンビネーションも個別に明示的に本明細書に開示されているかのように、本明細書に開示される。
【0098】
本明細書で考察される刊行物は、本出願の提出日以前のその開示のためにのみ提供される。本明細書中のいかなるものも、本発明が先行発明によってかかる刊行物に先行する権利がないことを認めるものとして解釈されるべきではない。さらに、提供された公開日が実際の公開日と異なる場合があり、独立して確認する必要があり得る。
6.2.他の解釈規則
【0099】
本明細書に列挙された範囲は、列挙された端点を含む、範囲内のすべての値の簡略表記であると理解される。例えば、1から50の範囲は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、および50からなる群の任意の数、数の組み合わせ、または部分範囲を含むと理解される。
6.3.処置方法
【0100】
第1の態様では、本開示は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)の非全身投与によって患者を処置する改善された方法を提供する。この改善は、非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物を、全身投与によって患者に補助的に投与することを含む。
【0101】
抗体またはその抗原結合フラグメントは、非全身投与されたrAAV、特に投与部位を出て全身区画に入るrAAVを中和することができる。患者の全身区画には、限定されるものではないが、非標的器官もしくは非標的組織、または標的部位以外の患者の循環系内の位置が含まれ得る。
【0102】
補助的に投与された抗体組成物は、投与部位から逃れて全身循環に到達するrAAVによる組織の形質導入を低減または排除する。特に、抗体または抗原結合フラグメントの全身投与は、患者において全身的に循環するrAAVによる非標的(例えば、肝臓)形質導入を減少させ、毒性(例えば、肝毒性)を低減または排除する。補助的に投与された抗体組成物は、rAAVに対する全身免疫応答の誘導を低減または排除することもできる。
【0103】
本開示の別の態様では、患者を処置する方法が提供される。本方法は、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む第1の医薬組成物を患者に非全身的に投与するステップと;非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の医薬組成物を全身投与によって患者に補助的に投与するステップとを含む。
【0104】
いくつかの実施形態では、患者は、本明細書に記載の方法で処置される前にrAAVを含む治療で処置されたことがない。いくつかの実施形態では、患者は、本明細書に記載の方法で処置される前にrAAVを含む治療で処置されたことがある。
6.3.1.組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)
【0105】
本明細書に記載の方法では、組換えAAV(rAAV)を含む第1の組成物は、非全身投与される。
【0106】
いくつかの実施形態では、rAAV組換え核酸構築物のペイロードは発現可能なポリヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、発現可能なポリヌクレオチドは、タンパク質をコードする(例えば、治療用タンパク質をコードする)。ある特定の実施形態では、発現可能なポリヌクレオチドを転写して、ガイドRNA、トランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)、メッセンジャーRNA(mRNA)、マイクロRNA(miRNA)、またはshRNAを提供することができる。
【0107】
いくつかの実施形態では、ペイロードは、相同組換え修復のためのDNA相同性構築物を提供する。
【0108】
いくつかの実施形態では、rAAVは、Zolgensma、Luxturna、他の治療用に開発されたrAAV薬物、またはその変形形態であり、
【0109】
いくつかの実施形態では、rAAVは、天然に存在するAAV血清型のVP1、VP2、および/またはVP3カプシドタンパク質を含む。いくつかの実施形態では、rAAVは、天然に存在しないVP1、VP2、および/またはVP3カプシドタンパク質を含む。これらの実施形態の特定のものでは、天然に存在しないVP1、VP2、および/またはVP3カプシドタンパク質は、天然に存在するカプシドとは一次アミノ酸配列が異なる。特定の実施形態では、天然に存在しないカプシドには、一次アミノ酸配列の変化以外に、またはそれに加えて、天然に存在するAAVカプシドタンパク質の生物学的または化学的変化または変形形態が含まれる。
【0110】
様々な実施形態では、カプシドタンパク質は、AAV1、AAV2、AAV3B、AAV5、AAV6、AAV8、またはAAV9の天然に存在するAAV血清型のカプシドタンパク質である。様々な実施形態では、カプシドタンパク質は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれるPCT/US2014/060163号、USP9695220号、PCT/US2016/044819号、PCT/US2018/032166号、PCT/US2019/031851号、およびPCT/US2019/047546号に開示されるカプシドタンパク質から選択される。
【0111】
いくつかの実施形態では、カプシドタンパク質は、AAV9(Genbank受入番号:AAS99264.1)、AAV1(Genbank受入番号:AAD27757.1)、AAV2(Genbank受入番号:AAC03780.1)、AAV3(Genbank受入番号:AAC55049.1)、AAV3b(Genbank受入番号:AF028705.1)、AAV4(Genbank受入番号:AAC58045.1)、AAV5(Genbank受入番号:AAD13756.1)、AAV6(Genbank受入番号:AF028704.1)、AAV7(Genbank受入番号:AAN03855.1)、AAV 8(Genbank受入番号:AAN03857.1)、AAV10(Genbank受入番号:AAT46337.1)、AAVrh10(Genbank受入番号:AY243015.1)、AAV11(Genbank受入番号:AAT46339.1)、AAV12(Genbank受入番号:ABI16639.1)、AAV13(Genbank受入番号:ABZ10812.1)、またはAAVpol(Genbank受入番号:FJ688147.1)のカプシドタンパク質である。
【0112】
様々な実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、:AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;およびhu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DI、またはそれらのバリアントからなる群から選択されるAAVのVP1、VP2またはVP3カプシドタンパク質である。
【0113】
いくつかの実施形態では、カプシドタンパク質は、配列番号54(AAV1(AAD27757))、配列番号55(AAV2(AAC03780))、配列番号56(AAV3(AAC55049))、配列番号57(AAV5(AAD13756))、配列番号58(AAV6(AAB95450))、配列番号59(AAV7(AF513851_2))、配列番号60(AAV8(AF513852_2))、配列番号61(AAV9(AAS99264))、配列番号62(AAV10(AAT46337))、配列番号63(AAV hu.68)、配列番号64(AAV LK03)、配列番号65(AAV hu.1(AAS99260))、配列番号66(AAV hu.2(AAS99270))、配列番号67(AAV hu.3(AAS99280))、配列番号68(AAV hu.4(AAS99287))、配列番号69(AAV hu.6(AAS99306))、配列番号70(AAV hu.7(AAS99313))、配列番号71(AAV hu.9(AAS99314))、配列番号72(AAV hu.10(AAS99261))、配列番号73(AAV hu.11(AAS99262))、配列番号74(AAV hu.15(AAS99265))、配列番号75(AAV hu.16(AAS99266))、配列番号76(AAV hu.17(AAS99267))、配列番号77(AAV hu.18(AAS99268))、配列番号78(AAV hu.20(AAS99271))、配列番号79(AAV hu.21(AAS99272))、配列番号80(AAV hu.22(AAS99273))、配列番号81(AAV hu.23(AAS99274))、配列番号82(AAV hu.25(AAS99276))、配列番号83(AAV hu.27(AAS99277))、配列番号84(AAV hu.28(AAS99278))、配列番号85(AAV hu.29(AAS99279))、配列番号86(AAV hu.31(AAS99281))、配列番号87(AAV hu.32(AAS99282))、配列番号88(AAV hu.34(AAS99283))、配列番号89(AAVhu.37(AAS99285))、配列番号90(AAV hu.39(AAS99286))、配列番号91(AAV hu.41(AAS99289))、配列番号92(AAV hu.42(AAS99290))、配列番号93(AAV hu.43(AAS99291))、配列番号94(AAV hu.44(AAS99292))、配列番号95(AAV hu.45(AAS99293))、配列番号96(AAV hu.46(AAS99294))、配列番号97(AAV hu.47(AAS99295))、配列番号98(AAV hu.48(AAS99296))、配列番号99(AAV hu.51(AAS99298))、配列番号100(AAV hu.52(AAS99299))、配列番号101(AAV hu.53(AAS99300))、配列番号102(AAV hu.54(AAS99301))、配列番号103(AAV hu.55(AAS99302))、配列番号104(AAV hu.56(AAS99303))、配列番号105(AAV hu.57(AAS99304))、配列番号106(AAV hu.60(AAS99307))、配列番号107(AAV hu.61(AAS99308))、配列番号108(AAV hu.63(AAS99309))、配列番号109(AAV hu.66(AAS99311))、配列番号110(AAV hu.67(AAS99312))、配列番号111(AAV rh.10(AAO88201))、配列番号112(AAV rh.13(AAO88199))、配列番号113(AAV rh.19(AAO88194))、配列番号114(AAV rh.22(AAO88192))、配列番号115(AAV rh.23(AAO88191))、配列番号116(AAV rh.24(AAO88190))、配列番号117(AAV rh.35(AAO88186))、配列番号118(AAV rh.43(AAS99245))、配列番号119(AAV rh.48(AAS99246))、配列番号120(AAV rh.49(AAS99247))、配列番号121(AAV rh.50(AAS99248))、配列番号122(AAV rh.51(AAS99249))、配列番号123(AAV rh.52(AAS99250))、配列番号124(AAV rh.53(AAS99251))、配列番号125(AAV rh.54(AAS99252))、配列番号126(AAV rh.55(AAS99253))、配列番号127(AAV rh.57(AAS99254))、配列番号128(AAV rh.58(AAS99255))、配列番号129(AAV rh.62(AAS99258))、配列番号130(AAV rh.64(AAS99259))、配列番号131(AAV rh.56(JA400164))、配列番号143(Anc80L1)、配列番号144(Anc80L27)、配列番号145(Anc80L33)、配列番号146(Anc80L36)、配列番号147(Anc80L44)、配列番号148(Anc80L59)、配列番号149(Anc80L60)、配列番号150(Anc80L62)、配列番号151(Anc82DI)、および配列番号152(AAV rh.74)から選択される配列を有するvp1カプシドタンパク質である。
【0114】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、配列番号132(Anc80)、配列番号133(Anc81(AKU89596))、配列番号134(Anc82(AKU89597))、配列番号135(Anc83(AKU89598))、配列番号136(Anc84(AKU89599))、配列番号137(Anc94)配列番号138(Anc110(AKU89600))、配列番号139(Anc113(AKU89601))、配列番号140(Anc126(AKU89602))、配列番号141(Anc127(AKU89603))、および配列番号142(Anc80L65(AKU89595))から選択される配列を有するvp1カプシドタンパク質である。
【0115】
AAVカプシドタンパク質は、vp1配列の1つの一部を有するvp2またはvp3タンパク質であってよい。例えば、vp2タンパク質は、AAV9 vp1のアミノ酸138~736に対応する配列を有することができ、vp3タンパク質は、AAV9 vp1タンパク質についてのアミノ酸138~736に対応する配列を有することができる。ライブラリ配列の配列番号が本開示で使用される場合、それはライブラリのいずれか1つのメンバーの配列を指す。いくつかの実施形態では、AAVカプシドタンパク質は、本明細書に記載のvp1、vp2、またはvp3タンパク質のバリアントである。
【0116】
いくつかの実施形態では、rAAVは第1の組成物で投与される。第1の医薬組成物は、治療有効量のrAAVおよび生理学的に適合する担体を含む。適した担体としては、生理食塩水、人工脳脊髄液、および局所または局部投与用に設計された他の担体が挙げられる。
【0117】
対象に投与されるウイルスベクターの用量は、主に、処置される臨床状態、投与経路、ならびに対象の年齢、体重、および健康状態などの要因に依存する。例えば、ヒト対象に投与されるウイルスベクターの治療有効投与量は、一般に、ウイルスベクターを含有する溶液0.1ml~約10mlの範囲内である。治療有効投与量は、約1×10~2×1016ゲノムコピー(GC)のウイルス(例えば、約1×10~1×1016;約1×10~1×1015;約1×10~1×1014GCなど)を含むことができる。いくつかの実施形態では、患者あたり1×10~1×1015ゲノムコピー(GC)のウイルスが投与される。いくつかの実施形態では、患者あたり1×1010~1×1016ゲノムコピー(GC)のウイルスが投与される。いくつかの実施形態では、患者あたり1×1012~1×1016ゲノムコピー(GC)のウイルスが投与される。いくつかの実施形態では、患者あたり1×1012~1×1014ゲノムコピー(GC)のウイルスが投与される。いくつかの実施形態では、患者あたり1×1013~1×1014ゲノムコピー(GC)のウイルスが投与される。いくつかの実施形態では、患者あたり1×1013~1×1018ゲノムコピー(GC)のウイルスが投与される。いくつかの実施形態では、患者あたり1×1013~1×1020ゲノムコピー(GC)のウイルスが投与される。
【0118】
ある特定の実施形態では、ヒト対象に投与されるウイルスベクターの治療有効投与量は、一般に、約1×10~2×1016ゲノムコピー(GC)のウイルス(例えば、約1×10~1×1016;約1×10~1×1015;約1×10~1×1014GCなど)を含有する約0.1ml~約10mlの溶液の範囲内である。
【0119】
導入遺伝子の形質導入および/または発現は、DNA、RNAまたはタンパク質アッセイによる投与後の様々な時点でモニターすることができる。場合によっては、導入遺伝子の発現レベルをモニタリングして、投与頻度および/または投与量を決定することができる。治療目的のために記載されたものと同様またはそれより低い投与計画を免疫のために利用することができる。
6.3.2.AAV中和抗体
【0120】
本開示で提供される方法は、非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む組成物を全身投与するステップを含む。
【0121】
様々な実施形態では、非全身投与されたrAAVには、セクション5.3.1に記載のAAVのカプシドタンパク質が含まれ、組成物は、セクション5.3.1に記載のAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体または抗原結合フラグメントを含む。
【0122】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体を含む組成物は、少なくとも2個の抗体、少なくとも3個の抗体、少なくとも4個の抗体、少なくとも5個の抗体、少なくとも6個の抗体、少なくとも7個の抗体、少なくとも8個の抗体、少なくとも9個の抗体、または少なくとも10個の抗体を含む。様々な実施形態では、組成物は、少なくとも10個の抗体、少なくとも50個の抗体、少なくとも100個の抗体、少なくとも150個の抗体、少なくとも200個の抗体、少なくとも250個の抗体、少なくとも300個の抗体、少なくとも350個の抗体、少なくとも400個の抗体、少なくとも450個の抗体、少なくとも500個の抗体、少なくとも750個の抗体、少なくとも1000個の抗体、少なくとも1500個の抗体、少なくとも2000個の抗体、少なくとも2500個の抗体、少なくとも3000個の抗体、少なくとも3500個の抗体、少なくとも4000個の抗体、少なくとも4500個の抗体、少なくとも5000個の抗体、少なくとも5500個の抗体、少なくとも6000個の抗体、少なくとも6500個の抗体、少なくとも7000個の抗体、少なくとも7500個の抗体、少なくとも8000個の抗体、少なくとも8500個の抗体、少なくとも9000個の抗体、少なくとも9500個の抗体、または少なくとも10,000個の抗体を含む。様々な実施形態では、組成物は、少なくとも500個の抗体、少なくとも1000個の抗体、少なくとも5000個の抗体、少なくとも10,000個の抗体、少なくとも15,000個の抗体、少なくとも20,000個の抗体、少なくとも25,000個の抗体、少なくとも30,000個の抗体、少なくとも35,000個の抗体、少なくとも40,000個の抗体、少なくとも45,000個の抗体、少なくとも50,000個の抗体、少なくとも55,000個の抗体、少なくとも60,000個の抗体、少なくとも65,000個の抗体、または少なくとも70,000個の抗体を含む。
【0123】
典型的な実施形態では、組成物は1個のポリクローナル抗体を含む。ある特定の実施形態では、組成物は複数のポリクローナル抗体を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体はヒト抗体である。典型的な実施形態では、ヒト抗体はレシピエントに対して同種異系である。いくつかの実施形態では、ポリクローナル抗体は異種であるが、異種抗体としての認識を低減、緩和、または回避するように設計されている。ある特定のこれらの実施形態では、抗体はヒト化抗体である。
【0125】
いくつかの実施形態では、組成物はIgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4)抗体を含む。いくつかの実施形態では、組成物はIgA抗体を含む。
【0126】
ある特定の実施形態では、プールされたヒト血漿由来の免疫グロブリンが使用される。これらの実施形態では、免疫グロブリンは、10またはそれを超える個体、100またはそれを超える個体、1000またはそれを超える個体、またはそれより多くを含む任意の数の個体(例えば、ドナー)からプールすることができる。ある特定の実施形態では、組成物には、少なくとも100人のドナーから得られたポリクローナル抗体の混合物が含まれる。ある特定の実施形態では、組成物には、少なくとも500人のドナー、少なくとも1000人のドナー、少なくとも5000人のドナー、少なくとも10,000人のドナー、少なくとも15,000人のドナー、少なくとも20,000人のドナー、少なくとも25,000人のドナー、少なくとも30,000人のドナー、少なくとも35,000人のドナー、少なくとも40,000人のドナー、少なくとも45,000人のドナー、少なくとも50,000人のドナー、少なくとも55,000人のドナー、少なくとも60,000人のドナー、少なくとも65,000人のドナー、または少なくとも70,000人のドナーから得られたポリクローナル抗体の混合物が含まれる。
【0127】
いくつかの実施形態では、抗体は、使用前に血清から単離または精製される。精製は、異なる個体由来の抗体をプールする前または後に行うことができる。
【0128】
いくつかの実施形態では、プールされた免疫グロブリンは、1またはそれを超えるrAAVカプシド血清型に対する中和抗体を含有することが投与前に決定されている。いくつかの実施形態では、組成物は、特定の血清型のAAVまたは特定のカプシドタンパク質を含有するrAAVを中和する能力のある少なくとも1つの抗体を含有することが事前に決定された1または複数の個体由来の免疫グロブリンをプール内に含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、ポリクローナル組成物は、少なくとも1つの組換え抗体を含む。ある特定の実施形態では、組成物には、組換え抗体の混合物が含まれる。ある特定の実施形態では、組換え抗体の混合物には、2またはそれを超える、3またはそれを超える、4またはそれを超える、5またはそれを超える、6またはそれを超える、7またはそれを超える、8またはそれを超える、9またはそれを超える、または10またはそれを超える、100またはそれを超える、1000またはそれを超える、10,000またはそれを超える、または100、000またはそれを超える種の組換え抗体が含まれる。
【0130】
いくつかの実施形態では、組換えポリクローナル抗体の混合物は、2またはそれを超えるモノクローナル抗体または抗原結合フラグメントのコード配列を含有する組換え構築物のライブラリから生成された抗体を含む。いくつかの実施形態では、組換えポリクローナル抗体は、それぞれが抗体または抗原結合フラグメントをコードする複数の組換え構築物から生成された抗体を混合して組み合わせることによって生成される。いくつかの実施形態では、組換えポリクローナル抗体は、単一抗原の異なるエピトープを認識して結合する。いくつかの実施形態では、組換えポリクローナル抗体は、異なる抗原を認識して結合する。
【0131】
ある特定の実施形態では、少なくとも1つの抗体はモノクローナル抗体である。これらの後者の実施形態では、モノクローナル抗体の結合特異性は、投与されたrAAVを中和するその能力に基づいて選択される。
【0132】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの抗体は、定義されたサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、またはIgA2)のモノクローナル抗体である。抗体の組み合わせを使用する場合、抗体は同じサブクラスに由来するものでも、異なるサブクラスに由来するものでもよい。例えば、抗体はIgG1抗体であり得る。当業者であれば、異なるサブクラスの様々な組み合わせを、異なる相対比率で得ることができる。
【0133】
いくつかの実施形態では、抗体は、AAV、または、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIから選択されるAAVのカプシドタンパク質を含有するrAAVに対するモノクローナル抗体である。
【0134】
様々な実施形態では、抗体は、抗AAV2抗体;抗AAV1抗体;抗AAV6抗体;抗AAV3抗体;抗AAV LK03抗体;抗AAV7抗体;抗AAV8抗体;抗AAV hu.37抗体;抗AAV rh.10抗体;抗AAV9抗体;抗AAV hu.68抗体;抗AAV10抗体;抗AAV5抗体;抗AAV3-3抗体;抗AAV4-4抗体;抗AAV1-A抗体;抗hu.46-A抗体;抗hu.48-A抗体;抗hu.44-A抗体;抗hu.43-A抗体;抗AAV6-A抗体;抗hu.34-B抗体;抗hu.47-B抗体;抗hu.29-B抗体;抗rh.63-B抗体;抗hu.56-B抗体;抗hu.45-B抗体;抗rh.57-B抗体;抗rh.35-B抗体;抗rh.58-B抗体;抗rh.28-B抗体;抗rh.51-B抗体;抗rh.19-B抗体;抗rh.49-B抗体;抗rh.52-B抗体;抗rh.13-B抗体;抗AAV2-B抗体;抗rh.20-B抗体;抗rh.24-B抗体;抗rh.64-B抗体;抗hu.27-B抗体;抗hu.21-B抗体;抗hu.22-B抗体;抗hu.23-B抗体;抗hu.7-C抗体;抗hu.61-C抗体;抗rh.56-C抗体;抗hu.9-C抗体;抗hu.54-C抗体;抗hu.53-C抗体;抗hu.60-C抗体;抗hu.55-C抗体;抗hu.2-C抗体;抗hu.1-C抗体;抗hu.18-C抗体;抗hu.3-C抗体;抗hu.25-C抗体;抗hu.15-C抗体;抗hu.16-C抗体;抗hu.11-C抗体;抗hu.10-C抗体;抗hu.4-C抗体;抗rh.54-D抗体;抗rh.48-D抗体;抗rh.55-D抗体;抗rh.62-D抗体;抗AAV7-D抗体;抗rh.52-E抗体;抗rh.51-E抗体;抗hu.39-E抗体;抗rh.53-E抗体;抗hu.37-E抗体;抗rh.43-E抗体;抗rh.50-E抗体;抗rh.49-E抗体;抗rh.61-E抗体;抗hu.41-E抗体;抗rh.64-E抗体;抗hu.42-E抗体;抗rh.57-E抗体;抗rh.40-E抗体;抗hu.67-E抗体;抗hu.17-E抗体;抗hu.6-E抗体;抗hu.66-E抗体;抗rh.38-E抗体;抗hu.32-F抗体;抗AAV9/hu抗体;抗hu.31-F抗体;抗Anc80抗体;抗Anc81抗体;抗Anc82抗体;抗Anc83抗体;抗Anc84抗体;抗Anc94抗体;抗Anc113抗体;抗Anc126抗体;抗Anc127抗体;抗Anc80L27抗体;抗Anc80L59抗体;抗Anc80L60抗体;抗Anc80L62抗体;抗Anc80L65抗体;抗Anc80L33抗体;抗Anc80L36抗体;抗Anc80L44抗体;抗Anc80L1抗体;抗Anc110抗体;および抗Anc80DI抗体から選択されるモノクローナル抗体である。
【0135】
いくつかの実施形態では、組成物は少なくとも1つの二重特異性抗体を含む。ある特定の実施形態では、二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープ(その少なくとも1つはrAAVのエピトープである)に対して結合特異性を有する。
【0136】
いくつかの実施形態では、抗体は単一ドメイン抗体(dAb)である。いくつかの実施形態では、抗体はダイアボディ(Db)である。いくつかの実施形態では、抗体はナノボディである。いくつかの実施形態では、抗体はユニボディ、またはダイアボディである。
【0137】
いくつかの実施形態では、抗体は、第2の医薬組成物で投与される。いくつかの実施形態では、第2の組成物は、ヒト血清から精製された、または組換え構築物から生成されたポリクローナル抗体を含む。
6.3.2.1.IVIG
【0138】
現在好ましい実施形態では、中和抗体を含む組成物は静脈内免疫グロブリン(IVIG)である。ある特定の実施形態では、IVIGは、Gammagard(商標)Liquid(登録商標)(バクスター・ヘルスケア株式会社)、Gammagard(商標)S/D、Gammaplex(商標)、Bivigam(商標)、Carimune(商標)NF、Gamunex-C、Gammaked(商標)、Flebogamma(商標)DIF、Octagam(商標)、およびPrivigen(商標)から選択される。
【0139】
いくつかの実施形態では、組換え構築物から生成された組換えIVIG(rIVIG)が使用される。これらの実施形態では、IVIGは、ドナー血漿から抽出されるのではなく、組換え細胞で産生される。これらの実施形態では、初代B細胞を数千人のヒトドナーから収集して、rIVIGを発現する構築物または細胞株のライブラリを作製する。本発明のいくつかの実施形態では、次に、タンパク質発現構築物のライブラリを細胞集団に導入して、数百、数千、または数百万の抗体タンパク質のライブラリを発現する操作された細胞のライブラリを作製する。いくつかの実施形態では、これらの抗体タンパク質は、元の初代B細胞によって産生される抗体と実質的に等価である。
【0140】
いくつかの実施形態では、超並列DNAシークエンシングを使用して、B細胞、タンパク質発現構築物のライブラリ、および/または操作された宿主細胞の多様性を決定する。rIVIGを作製する方法は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開(US PreGrant Publication)第2016/0362470号に見出すことができる。
【0141】
いくつかの実施形態では、IVIGまたはrIVIGは、第2の医薬組成物で投与される。
6.3.2.2.AAV中和抗原結合フラグメント
【0142】
いくつかの実施形態では、第2の組成物は、AAV中和抗原結合フラグメントを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、第2の組成物は、AAV中和抗原結合フラグメントの混合物を含む。ある特定の実施形態では、混合物は、1個またはそれを超える、2個またはそれを超える、3個またはそれを超える、4個またはそれを超える、5個またはそれを超える、6個またはそれを超える、7個またはそれを超える、8個またはそれを超える、9個またはそれを超える、10個またはそれを超える、11個またはそれを超える、12個またはそれを超える、13個またはそれを超える、14個またはそれを超える、15個またはそれを超える、16個またはそれを超える、17個またはそれを超える、18個またはそれを超える、19個またはそれを超える、20個またはそれを超える、100個またはそれを超える、1000個またはそれを超える、10,000個またはそれを超える、または100,000個またはそれを超えるAAV中和抗原結合フラグメントを含む。
【0144】
ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab’)、および(scFv)から選択される。
【0145】
ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントはscFvである。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは(scFv)である。
【0146】
ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントはFabである。ある特定の実施形態では、抗原結合フラグメントは(Fab’)である。
【0147】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、第2の組成物で投与される。いくつかの実施形態では、第2の組成物は、第2の医薬組成物である。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ抗体またはその抗原結合フラグメントと、薬学的に許容され得る担体とを含む。
【0148】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、少なくとも10、少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10,000個または少なくとも100,000個の抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、少なくとも10個、少なくとも100個、少なくとも1000個、少なくとも10,000個または少なくとも100,000個の抗原結合フラグメントを含む。
6.3.3.投与経路および投与スケジュール
【0149】
本開示は、rAAVを含む第1の医薬組成物を投与すること、および、rAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の医薬組成物を補助的に投与することを含む方法を提供する。rAAVを含む第1の医薬組成物は非全身投与される。非全身投与されたrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の医薬組成物は全身投与される。
【0150】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の医薬組成物は、rAAVを含む第1の医薬組成物を投与する前に患者に投与される。
【0151】
ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物の患者への投与の少なくとも30分前、少なくとも1時間前、少なくとも2時間前、少なくとも4時間前、少なくとも6時間前、少なくとも8時間前、少なくとも10時間前、少なくとも12時間前、少なくとも14時間前、少なくとも16時間前、少なくとも18時間前、少なくとも20時間前、少なくとも22時間前、または少なくとも24時間前に投与される。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物の患者への投与の少なくとも1日前、2日前、3日前、4日前、5日前、6日前、または7日前に投与される。
【0152】
ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物の患者への投与の少なくとも1日前、少なくとも1週間前、または少なくとも2週間前に投与される。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の医薬組成物は、rAAVを含む第1の医薬組成物を患者に投与した後に投与される。
【0153】
ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物の患者への投与の少なくとも30分後、少なくとも1時間後、少なくとも2時間後、少なくとも4時間後、少なくとも6時間後、少なくとも8時間後、少なくとも10時間後、少なくとも12時間後、少なくとも14時間後、少なくとも16時間後、少なくとも18時間後、少なくとも20時間後、少なくとも22時間後、または少なくとも24時間後に投与される。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物の患者への投与の30分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、10時間後、12時間後、14時間後、16時間後、18時間後、20時間後、22時間後、または24時間後に投与される。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物の患者への投与の少なくとも1日後、少なくとも1週間後、少なくとも2週間後、または少なくとも1か月後に投与される。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、第1の医薬組成物の患者への投与の少なくとも1日後、少なくとも2日後、少なくとも3日後、少なくとも4日後、少なくとも5日後、少なくとも6日後、または少なくとも7日後に投与される。
【0154】
いくつかの実施形態では、rAAVを含む第1の医薬組成物および、抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の医薬組成物は同じ日に投与される。
【0155】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の医薬組成物は、患者への投与後にrAAVの体内分布を変化させるのに十分な量で投与される。第2の医薬組成物の投与は、非標的組織、細胞および/または器官のrAAV感染を減少させる。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物の投与は、肝細胞、骨格筋細胞、心筋細胞、肺組織、またはrAAVが投与された非全身区画以外の他の非標的器官細胞のrAAV感染を減少させる。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、患者への投与後にrAAVの非全身区画以外で肝毒性または他の非標的器官への毒性を軽減するのに十分な量で投与される。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、後根神経節(DRG)における毒性を軽減するのに十分な量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、患者への投与後にrAAVの全身毒性を軽減するのに十分な量で投与される。
【0156】
いくつかの実施形態では、本方法は、rAAVを含むさらなる医薬組成物を投与することをさらに含む。いくつかの実施形態では、追加の医薬組成物は、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物の投与の前に投与される。いくつかの実施形態では、追加の医薬組成物は、第1の医薬組成物および第2の医薬組成物の投与の後に投与される。いくつかの実施形態では、追加の医薬組成物は、少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む医薬組成物とともに投与される。
【0157】
したがって、rAAVを含む第3の医薬組成物を投与すること、およびrAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第4の医薬組成物を補助的に投与することを含む方法も本明細書で提供される。第3の医薬組成物中のrAAVは、第1の医薬組成物中のrAAVと同じであっても異なっていてもよい。いくつかの実施形態では、第3の医薬組成物は、第1の医薬組成物と同一である。いくつかの実施形態では、第3の医薬組成物は、第1の医薬組成物とは異なる。いくつかの実施形態では、第4の医薬組成物は、第2の医薬組成物と同一である。いくつかの実施形態では、第4の医薬組成物は、第2の医薬組成物とは異なる。
【0158】
ある特定の実施形態では、rAAVを含む第1の医薬組成物の第1の用量を投与された患者は、治療有効量のrAAVが患者に投与されるために、第1の医薬組成物の第2の用量(第3の用量、第4の用量、または第5またはそれを超える用量)を必要とし得る。そのような実施形態では、第2の医薬組成物を第1の医薬化合物の第2の用量の前に、同時に(例えば、同じ日に)、または後に投与することにより、治療有効量の第1の医薬組成物を患者送達することが可能になる。
【0159】
いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物の第2の用量は、患者に投与された第1の医薬組成物の第1の用量よりも低い用量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物の第2の用量は、患者に投与された医薬組成物の第1の用量よりも高い用量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物の第2の用量は、患者に投与された医薬組成物の第1の用量と同じ用量で患者に投与される。
【0160】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物の第2の用量は、患者に投与された第2の医薬組成物の第1の用量よりも低い用量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物の第2の用量は、患者に投与された第2の医薬組成物の第1の用量よりも高い用量で患者に投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物の第2の用量は、患者に投与された第2の医薬組成物の第1の用量と同じ用量で患者に投与される。
【0161】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物の第1または第2の用量は、第1の医薬組成物の第1または第2の用量を患者に投与する前に(例えば、本明細書に記載される例示的なタイミングで)投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物の第1または第2の用量は、第1の医薬組成物の第1または第2の用量を患者に投与した後に(例えば、本明細書に記載される例示的なタイミングで)投与される。いくつかの実施形態では、第1の医薬組成物の第1または第2の用量および第2の医薬組成物の第2の用量は、同じ日に患者に投与される。
【0162】
また、本明細書では、rAAVを含む第1の医薬組成物の第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、またはそれを超える用量を投与すること、および、rAAVを中和する能力をもつ少なくとも1つの抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の医薬組成物の第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、第9、第10、またはそれを超える用量を補助的に投与することを含む方法も提供される。
6.3.3.1.rAAVの非全身投与
【0163】
本明細書に記載されるように、rAAVまたはrAAVを含む第1の医薬組成物は、患者への非全身投与経路を介して投与される。いくつかの実施形態では、rAAVまたはrAAVを含む組成物は、局所または局部送達によって脳、脊髄、筋肉、眼、耳、または任意の他の器官に投与される。
【0164】
いくつかの実施形態では、rAAVまたは第1の医薬組成物は、髄腔内投与、脳室内投与、または大槽内投与によって中枢神経系に非全身投与される。ある特定の実施形態では、rAAVまたはrAAVを含む第1の医薬組成物は、脳、脊髄、網膜、嗅上皮、眼または耳に投与される。特定の実施形態では、標的器官は脳である。
【0165】
ある特定の実施形態では、rAAVまたは第1の医薬組成物は、海馬、皮質、視床(視床中部を含む)、感覚皮質、腹側被蓋野(VTA)、前頭前野(PFC)、側坐核(NAc)、扁桃体、黒質、腹側淡蒼球、淡蒼球(global pallidus)、背側線条体、腹側線条体、視床下核、歯状回、帯状回、嗅内皮質、嗅覚皮質、一次運動皮質、および小脳から選択される標的組織に投与される。ある特定の実施形態では、脳内の標的組織は、海馬、皮質、扁桃体、および大脳基底核からなる群から選択される。
【0166】
ある特定の実施形態では、標的器官は眼である。
【0167】
ある特定の実施形態では、標的器官は筋肉である。
【0168】
いくつかの実施形態では、rAAVまたは第1の医薬組成物は局所に(例えば、非全身的に)投与される。ある特定の実施形態では、rAAVまたは第1の医薬組成物は、髄腔内注射もしくは注入、眼内注射、硝子体内注射もしくは注入、内耳注射もしくは注入、脳室内注射もしくは注入、大槽内注射(ICM)もしくは注入、網膜下注射もしくは注入、筋肉内注射もしくは注入、または他の非全身投与経路によって投与される。ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は、関節内注射もしくは注入、心臓内注射もしくは注入、真皮内もしくは皮内注射、または髄腔内注射もしくは注入によって投与される。
【0169】
ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は髄腔内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は髄腔内注入によって投与される。
【0170】
ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は眼内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は眼内注入によって投与される。
【0171】
ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は硝子体内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は硝子体内注入によって投与される。
【0172】
ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は脳室内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は脳室内注入によって投与される。
【0173】
ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は網膜下注射または注入によって投与される。
【0174】
ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は大槽内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は大槽内注入によって投与される。
【0175】
ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は内耳注射によって投与される。ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は内耳注入によって投与される。
【0176】
ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は筋肉内注射によって投与される。ある特定の実施形態では、第1の医薬組成物は筋肉内注入によって投与される。
6.3.3.2.中和抗体の全身投与
【0177】
本明細書に記載の方法では、第2の医薬組成物は、全身投与経路を介して投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、筋肉内注射、骨内注射、気管内注射、静脈内注射、または皮下注射によって投与される。ある特定の実施形態では、全身投与経路は、静脈内注射または注入である。いくつかの実施形態では、全身投与経路は、限定されるものではないが、または経粘膜、舌下、または直腸投与である。
【0178】
第2の医薬組成物は、標的組織および器官を逃れて患者内で全身循環しているrAAVを中和および/または除去する目的で、本方法において全身投与される。例えば、rAAVは、非標的組織および器官を含む全身区画、または中枢神経系以外の患者内の場所に逃げることができる。
【0179】
いくつかの実施形態では、中和抗体またはそのフラグメントは、1~2000mg/kg(患者体重)の範囲の投与量で投与される。ある特定の実施形態では、中和抗体またはそのフラグメントは、1~2mg/kg、1~3mg/kg、1~5mg/kg、1~6mg/kg、1~7mg/kg、1~8mg/kg、または1~9mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される。ある特定の実施形態では、中和抗体またはそのフラグメントは、少なくとも1mg/kg、少なくとも2mg/kg、少なくとも3mg/kg、少なくとも4mg/kg、少なくとも5mg/kg、少なくとも6mg/kg、少なくとも7mg/kg、少なくとも8mg/kg、少なくとも9mg/kg、少なくとも10mg/kg、少なくとも11mg/kg、少なくとも12mg/kg、少なくとも13mg/kg、少なくとも14mg/kg、少なくとも15mg/kg、少なくとも16mg/kg、少なくとも17mg/kg、少なくとも18mg/kg、少なくとも19mg/kg、または少なくとも20mg/kg(患者体重)の用量で投与される。
【0180】
いくつかの実施形態では、IVIGは、1~2000mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは、1~200mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは、1~100mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは、1~50mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは、1~10mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは、1~2mg/kg(患者体重)の範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは1~10mg/mlの範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、IVIGは1~4mg/mlの範囲の用量で投与される。
【0181】
ある特定の実施形態では、中和抗体またはそのフラグメントは、少なくとも20mg/kg、少なくとも30mg/kg、少なくとも40mg/kg、少なくとも50mg/kg、少なくとも60mg/kg、少なくとも70kg/mg/、少なくとも80kg/mg、少なくとも90mg/kg、または少なくとも100mg/kg(患者体重)の用量で投与される。ある特定の実施形態では、中和抗体またはそのフラグメントは、少なくとも110mg/kg、少なくとも125mg/kg、少なくとも150mg/kg、少なくとも175mg/kg、少なくとも200mg/kg、少なくとも225mg/kg、少なくとも250mg/kg、少なくとも275mg/kg、少なくとも300mg/kg、少なくとも325mg/kg、少なくとも350mg/kg、少なくとも375mg/kg、少なくとも400mg/kg、少なくとも425mg/kg、少なくとも450mg/kg、少なくとも475mg/kg、少なくとも500mg/kg、少なくとも525mg/kg、少なくとも550mg/kg、少なくとも575mg/kg、少なくとも600mg/kg、少なくとも625mg/kg、少なくとも650mg/kg、少なくとも675mg/kg、少なくとも700mg/kg、少なくとも725mg/kg、少なくとも50mg/kg、少なくとも775mg/kg、少なくとも800mg/kg、少なくとも835mg/kg、少なくとも850mg/kg、少なくとも875mg/kg、少なくとも900mg/kg、少なくとも925mg/kg、少なくとも950mg/kg、少なくとも950mg/kg、少なくとも975mg/kg、または少なくとも1000mg/kg(患者体重)の用量で投与される。
【0182】
ある特定の実施形態では、中和抗体またはそのフラグメントは、少なくとも1100mg/kg、少なくとも1200mg/kg、少なくとも1300mg/kg、少なくとも1400mg/kg、少なくとも1500mg/kg、少なくとも1600mg/kg、少なくとも1700mg/kg、少なくとも1800mg/kg、少なくとも1900mg/kg、または少なくとも2000mg/kg(患者体重)の用量で投与される。
【0183】
いくつかの実施形態では、中和抗体またはそのフラグメントは、1~10g、100mg~1g、1~100mg、1~75mg、1~50mg、1~25mg、1~10mg、1~5mg、1~4mg、または1~2mgの範囲の用量で投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、中和抗体またはそのフラグメントを1~10g/ml、100mg/ml~1g/ml、1~100mg/ml、1~75mg/ml、1~50mg/ml、1~25mg/ml、1~10mg/ml、1~5mg/ml、1~4mg/ml、または1~2mg/mlの範囲の濃度で含む。
【0184】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は単回用量として投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は毎日投与される。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、1日1回、1日2回、1日3回、1日4回、1日5回、1日6回または1日7回投与される。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、1週間以内、6日以内、5日以内、4日以内、3日以内、または2日以内に投与される。
【0185】
ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物の投与は、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも6分、少なくとも7分、少なくとも8分、少なくとも9分、少なくとも10分、少なくとも15分、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、少なくとも45分、少なくとも50分、または少なくとも60分かかる。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物の投与は、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分、25分、30分、45分、50分、60分、70分、80分、90分、100分、110分、または120分かかる。
6.3.4.中和抗体の有効量
【0186】
好ましい実施形態では、有効量のAAV中和抗体または抗原結合フラグメントは、全身投与によって患者に補助的に投与される。本明細書で提供される有効量とは、標的組織または標的器官以外でAAVまたはrAAVの体内分布を減少させるのに十分な量を指す。
【0187】
いくつかの実施形態では、有効量は、肝臓、脾臓、頸部DRG、腰部DRG、心臓および/または腎臓におけるAAVまたはrAAVの検出を低下させるのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、肝臓、脾臓、および/または心臓におけるAAVまたはrAAVの検出を低下させるのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、DRGにおけるAAVまたはrAAVの検出を低下させるのに十分な量である。
【0188】
いくつかの実施形態では、有効量は、血清中のレベルと比較して、脳脊髄液(CSF)中でAAVまたはrAAVに対して発生する結合抗体(BAb)(例えば、IgGおよび/またはIgM)のレベルを低下させるのに十分な量である。いくつかの実施形態では、有効量は、血清中のレベルと比較して、CSF中でAAVまたはrAAVに対して発生するIgMおよび/またはIgG抗体のレベルを低下させるのに十分な量である。
【0189】
rAAVの体内分布は、実験動物において、rAAVゲノムの存在、rAAV感染、または発現可能なポリヌクレオチドの発現を測定することによって試験することができる。いくつかの実施形態では、ターゲティングは、非ヒト霊長類(NHP)、マウス、ラット、鳥類、ウサギ、モルモット、ハムスター、農場動物(ブタおよびヒツジを含む)、イヌまたはネコにおいて測定される。
【0190】
いくつかの実施形態では、組織または器官へのrAAVの特異的および非特異的ターゲティングは、rAAVの非全身投与後に、かつ/あるいはrAAVの非全身投与および中和抗体またはその抗原結合フラグメントの全身投与後に測定することができる。いくつかの実施形態では、rAAVのターゲティングは、rAAVの非全身投与後、およびrAAVを中和する能力をもつ抗体または抗原結合フラグメントの全身投与後に測定される。
6.4.キット
【0191】
一態様では、本開示は、本明細書に記載の組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を含む第1の医薬組成物;および本明細書に記載のAAV中和抗体またはその抗原結合フラグメントを含む第2の医薬組成物を含む、併用治療のためのキットを提供する。
【0192】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントは、セクション5.3.1に記載されているように、rAAVのカプシドタンパク質に結合する。
【0193】
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合フラグメントはIgGである。
【0194】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物はrAAVを中和する能力をもつ。ある特定の実施形態では、第2の医薬組成物は、AAV2;AAV1;AAV6;AAV3;AAV LK03;AAV7;AAV8;AAV hu.37;AAV rh.10;AAV9;AAV hu.68;AAV10;AAV5;AAV3-3;AAV4-4;AAV1-A;hu.46-A;hu.48-A;hu.44-A;hu.43-A;AAV6-A;hu.34-B;hu.47-B;hu.29-B;rh.63-B;hu.56-B;hu.45-B;rh.57-B;rh.35-B;rh.58-B;rh.28-B;rh.51-B;rh.19-B;rh.49-B;rh.52-B;rh.13-B;AAV2-B;rh.20-B;rh.24-B;rh.64-B;hu.27-B;hu.21-B;hu.22-B;hu.23-B;hu.7-C;hu.61-C;rh.56-C;hu.9-C;hu.54-C;hu.53-C;hu.60-C;hu.55-C;hu.2-C;hu.1-C;hu.18-C;hu.3-C;hu.25-C;hu.15-C;hu.16-C;hu.11-C;hu.10-C;hu.4-C;rh.54-D;rh.48-D;rh.55-D;rh.62-D;AAV7-D;rh.52-E;rh.51-E;hu.39-E;rh.53-E;hu.37-E;rh.43-E;rh.50-E;rh.49-E;rh.61-E;hu.41-E;rh.64-E;hu.42-E;rh.57-E;rh.40-E;hu.67-E;hu.17-E;hu.6-E;hu.66-E;rh.38-E;hu.32-F;AAV9/hu;hu.31-F;Anc80;Anc81;Anc82;Anc83;Anc84;Anc94;Anc113;Anc126;Anc127;Anc80L27;Anc80L59;Anc80L60;Anc80L62;Anc80L65;Anc80L33;Anc80L36;Anc80L44;Anc80L1;Anc110;およびAnc80DIまたはその変形形態から選択されるAAVのカプシドタンパク質を含有するAAVまたはrAAVを中和する能力をもつ。
【0195】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、少なくとも100人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、少なくとも500人、少なくとも1000人、少なくとも5000人、または少なくとも10,000人のドナーから得られたポリクローナル抗体を含む。
【0196】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、静脈内免疫グロブリン(IVIG)を含む。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、組換え静脈内免疫グロブリン(rIVIG)を含む。ある特定の実施形態では、IVIGは、Gammagard(商標)Liquid(登録商標)(バクスター・ヘルスケア株式会社)、Gammagard(商標)S/D、Gammaplex(商標)、Bivigam(商標)、Carimune(商標)NF、Gamunex-C、Gammaked(商標)、Flebogamma(商標)DIF、Octagam(商標)、およびPrivigen(商標)から選択される。
【0197】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は組換えポリクローナル抗体を含む。
【0198】
いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、単鎖Fv(scFv)、Fab、(Fab”)、および(scFv)から選択されるAAV中和抗原結合フラグメントを含む。いくつかの実施形態では、第2の医薬組成物は、二重特異性抗体、単一ドメイン抗体(dAb)、ダイアボディ(Db)、ナノボディ、ユニボディ、およびダイアボディを含む。
【0199】
いくつかの実施形態では、rAAVは、セクション5.3.1に記載のAAVのカプシドタンパク質を有する。
【実施例
【0200】
6.5.実施例
以下の実施例は、限定ではなく例示として提供される。
6.5.1.実施例1:rAAVの非全身投与を伴うIVIGの補助投与
【0201】
この実験は、IVIGの全身投与がICV投与されたAAV9.CAG.GFPの体内分布を制限するという仮説を試験するために行われた。特に、この実験は、AAV9.CAG.GFPをICV投与する前にIVIGを投与することにより、CNSから肝臓、心臓、および腎臓などの末梢器官へのAAVベクターの伝播が制限されるかどうかを評価するように設計された。AAVのICV投与後、ベクターは、肝臓などの末梢器官ならびにDRGに見られることが多い。ベクターがどのようにCNSから逃れるのかは不明である。IVIGは、数千人の健康なドナーから得られたIgGの精製混合物で、AAV9を含む多くのAAV血清型に対する中和抗体を含有する。この仮説は、AAV9.CAG.GFPのICV投与の前のIVIGの全身投与が、CNSから逃れるベクターを中和し、肝臓などの末梢器官の形質導入を妨げるというものであった。以下に示すように、この実験は、IVIG投与がCNSから末梢器官へのベクターの伝播を制限することを証明した。
6.5.1.1.実験デザイン
【0202】
処置するマウスを5つの処置群(群1~5)に分けた。群1には、ICV生理食塩水注射を投与し、ビヒクル対照としての役割を果たした。群2には、ICV注射によってAAV9.CAG.GFPを投与した。群3には、AAV9.CAG.GFPのICV注射の2時間前に、IV注射によって20mgのIVIG(10mgのIVIG/血液mL)を投与した。群4には、AAV9.CAG.GFPのICV注射の24時間前に、IV注射によって20mgのIVIGを投与した。群5には、末梢器官のベクター形質導入の対照として、同じ用量のAAV9.CAG.GFPをIV注射によって投与した。表1は、群1~5についての実験条件を含む実験デザインの概要を提供する。
【表1】
【0203】
剖検時(14日目)に組織を収集して、ベクターの体内分布(AAVゲノムDNA)およびeGFP発現(eGFP mRNA)を評価した。さらに、ベクター投与の前(0日目)に血液を採取し、中和抗体(NAb)力価アッセイによってIVIG投与を検証した。血液およびCSFも剖検時に収集した。採取したら、組織を直ちに保存液RNAlaterに入れ、その後RNAlaterを取り除き、組織を急速凍結するか、またはDNA単離のためにプロテイナーゼKを含む溶解緩衝液に入れた。同じ組織からさらなる組織材料を固定し、切片化および免疫組織化学(IHC)による抗GFP染色のために包埋した。
6.5.1.2.中和抗体力価の分析
【0204】
中和抗体(NAb)力価の分析は、インビトロNAbアッセイを使用して研究動物由来の血清に対して行った。AAV NAb試験は、以前に記載されたように、ペンシルバニア大学の遺伝子治療プログラムの免疫学コアによって実施された(Calcedoら、Human Gene Ther Methods.2018 Apr;29(2):86~95、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0205】
表1に示すように、マウスはAAVに対する既存の抗体を持たず、研究登録前は血清陰性であった。ベクター投与の日(1日目、該当する群ではIVIG投与後2時間、または24時間)に、血清試料をベクター投与前に収集し、NAbについて評価した。NAb力価を表2に示す。IVIGを投与した動物、動物ID#7~#16は、IVIG対照(動物に投与されていない新鮮なIVIG試料)と同様のNAb力価を示しした。予想通り、IVIGを投与されなかった動物のNAb力価は、検出閾値を下回っていた。
【表2】
MR-18-7~MR-18-16およびIVIG試料タイプ(下の2行)は、陽性のNAb応答を有し、MR-18-2~MR-18-6およびMR-18-17~MR-18-19は陰性のNAb応答を有した。
値は、数値は、相対発光単位(RLU)がウイルス対照ウェル(試験試料なし)と比較して50%減少した血清逆希釈である。検出限界は1/5希釈。
検出限界は1/10希釈-1/5希釈では利用可能な十分な血清がない。
**検出限界は1/40希釈-1/5希釈では利用可能な十分な血清がない。
6.5.1.3.結合抗体価の分析
【0206】
マウスB細胞応答は、インビトロ結合抗体(BAb)ELISAを使用して血清およびCSF中で評価した。14日目(剖検)に、インビトロBAb ELISAアッセイを使用して、研究動物からの血清および脳脊髄液についてBAb力価分析を実施した。AAV9 BAb試験は、以前に記載されたように(Calcedoら、Human Gene Ther Methods.2018 Apr;29(2):86~95)、抗マウスIgM-HRP(Invitrogen、カタログ番号31456)または抗マウスIgG-HRP(Promega、カタログ番号W402B)を使用して行った。血清およびCSF中のIgGの分析のために群をプールした。
【0207】
個々の動物についてのIgM BAb力価を表3に示す。
【表3】
【0208】
プールされた群からのIgG BAb力価を表4に示す。
【表4】
【0209】
表3および表4に示すように、AAVの投与前にIVIGで処置したマウスは、血清中のIgMおよび/またはIgG抗体のレベルと比較して、CSF中でAAVに対してより低いレベルのIgMおよび/またはIgG抗体を発現した。このことは、IVIGが、投与されたAAVカプシドに対する高レベルのIgMおよび/またはIgG抗体の発現からCNSを保護することを示唆している。
6.5.1.4.ベクターゲノムの体内分布
【0210】
様々な組織におけるベクターゲノム分布(すなわち、AAVベクターゲノムDNA)を、ddPCRによって測定し、細胞あたりのベクターゲノムコピーの大まかな指標である、RPP30のDNAコピー数に対するeGFPのDNAコピー数の比(eGFP/RPP30)として示した。AAV9.CAG.GFP注射の14日後に組織を採取し、DNAを単離した。DNAは、Bio-Rad ddPCR Supermix for Probes(dUTPなし)(Bio-Rad 1863024)を、eGFP導入遺伝子をコードするDNAおよび非ヒト霊長類RPP30リファレンスをコードするDNAに特異的なプライマーおよびプローブと組み合わせて使用して分析した。プライマーおよびプローブは、混入RNAがベクターゲノムの正確な定量を妨げるのを防ぐために、イントロン配列を含むように設計した。サーマルサイクリングの後、Bio-Rad QX200 Droplet Reader装置でAbsolute Quantitationプログラムを使用して試料を分析した。
【0211】
ベクターゲノムの体内分布測定の結果を、図1A(脳)、2B(肝臓)、2C(脾臓)、2D(頸部DRG)、2E(腰部DRG)、2F(心臓)、および2G(腎臓)に示す。例えば、eGFP導入遺伝子をコードするDNAのコピー(cp)/μL量を、RPP30リファレンスをコードするDNAのcp/μL量に対して正規化し、100を掛けて、RPP30のDNAコピー数に対するeGFPのDNAについてのコピー数の比を生成した。各組織について、3つの生物学的反復からの結果を各処置について提供した。統計学的有意差は、P値を用いた一元配置分散分析検定によって決定し、アスタリスクで示した。P<0.05、**p<0.002;***P<0.001;****p<0.0001、ns=有意でない。
【0212】
図1Aは、脳におけるeGFPとRPP30のDNAのコピー数の比を示す。いずれの処置群間でも有意差は観察されなかった。
【0213】
図1Bは、肝臓におけるeGFPとRPP30のDNAコピー数の比を示す。AAV9.CAG.GFP ICV投与の2時間前または24時間前にIVIGを投与すると、ベクター形質導入が減少した。
【0214】
図1Cは、脾臓におけるeGFPとRPP30のDNAコピー数の比を示す。尾静脈IV注射を介してAAV9を投与された動物は、ICV注射対照と比較して、同様のベクターゲノムのコピーを有していた。このことは、ベクターがCNSから循環に逃げていることを示唆している。AAV9.CAG.GFP ICV投与の2時間前にIVIGを投与された動物は、ベクターゲノムの有意な増加をもたらしたが、AAV9.CAG.GFP ICV投与の24時間前にIVIGを投与された群は、ベクターゲノムの増加は示したが、有意な増加ではなかった。これはおそらく、24時間処置における、ベクター投与前の循環中の一部のIVIGのクリアランスまたは分解に起因する。抗体に結合したカプシドは循環中の食細胞による貪食の標的となるため、この結果は予想される。したがって、脾臓におけるベクターゲノムのこの増加は、剖検の時点(14日目)に脾臓に存在するマクロファージ、好中球、および樹状細胞集団のAAVベクターが不活性化された可能性がある。
【0215】
図1D~1Eは、頸部DRG(図1D)および腰部DRG(図1E)におけるeGFPとRPP30のDNAのコピー数の比を示す。
【0216】
図1Fは、心臓におけるeGFPとRPP30のDNAのコピー数の比を示す。ICVまたはIV注射を介してAAV9.CAG.GFPを投与された動物は、心筋に同様のベクター形質導入を示した。AAV9.CAG.GFP ICV投与の2時間前または24時間前にIVIGを投与された動物は、心臓においてベクター形質導入が減少し(すなわち、細胞あたりのベクターゲノムコピーが減少)、これは24時間で統計学的に有意であった。
【0217】
図1Gは、腎臓におけるeGFPとRPP30のDNAのコピー数の比を示す。ICVまたはIVを介してAAV9.CAG.GFPを投与された動物は、同様のベクター形質導入を示した。AAV9.CAG.GFP ICV投与の2時間前または24時間前にIVIGを投与された動物は、腎臓においてベクター形質導入が有意に減少した(すなわち、細胞あたりのベクターゲノムコピーがより少ない)。
6.5.1.5.遺伝子発現
【0218】
様々な組織におけるeGFP mRNA発現をRT-ddPCRによって測定し、細胞あたりのeGFP mRNAコピーの大まかな指標である、RPP30転写物に対するeGFP転写物の比(eGFP/RPP30)として示した。注射の14日後に組織を採取し、RNAを単離した。試料からのRNAは、Bio-Rad One-Step RT-ddPCR Advanced Kit for Probes(Bio-Rad1864022)を、eGFP導入遺伝子および非ヒト霊長類RPP30リファレンス遺伝子に特異的なプライマーおよびプローブと組み合わせて使用して分析した。両標的についてのリバースプライマーは、逆転写ステップのための逆転写プライマーとして作用した。可能であれば、混入DNAとの交差反応性を防止するために、プライマーおよびプローブはエクソン-エクソン接合部をまたぐように設計された。サーマルサイクリングの後、QX200 Droplet Reader装置でAbsolute Quantitationプログラムを使用して試料を分析した。
【0219】
eGFP mRNAの発現測定の結果を、図2A(脳)、2B(肝臓)、2C(脾臓)、2D(頸部/胸部DRG)、2E(腰部DRG)、2F(心臓)、および2G(腎臓)に示す。例えば、eGFP導入遺伝子についてのcp/μL量を、RPP30リファレンス遺伝子のcp/μL量に対して正規化し、100を掛けて、RPP30転写物に対するeGFP転写物の比(eGFP/RPP30)を生成した。各組織について、3つの生物学的反復からの結果を各条件について提供した。統計学的有意差は、P値を用いた一元配置分散分析検定によって決定し、アスタリスクで示した。P<0.05、**p<0.002;***P<0.001;****p<0.0001、ns=有意でない。
【0220】
図2Aは、脳におけるeGFP転写物とRPP30転写物の比を示す。IVIGで処置された動物は、ICV投与を介してAAV9.CAG.GFPを投与された動物と比較して、eGFP mRNA発現に差を示さなかった。
【0221】
図2Bは、肝臓におけるeGFP転写物とRPP30転写物の比を示す。ICVを介してAAV9.CAG.GFPを投与された動物は、IV尾静脈注射を介してAAV9.CAG.GFPを投与された動物と同様のレベルのeGFP mRNA発現を示した。AAV9.CAG.GFPのICV投与の2時間前または24時間前にIVIGを投与した動物は、eGFP mRNA発現の有意な低下を示した。この発現データは、ベクターゲノムの体内分布データと一致している。
【0222】
図2Cは、脾臓におけるeGFP転写物とRPP30転写物の比を示す。ICV投与によりAAV9.CAG.GFPを投与された動物は、IV投与によりAAV9.CAG.GFPを投与された動物と比較して、GFPの発現が低下した。AAV9.CAG.GFPのICV投与の2時間前または24時間前にIVIGを投与した動物は、ICV単独投与群と比較してGFP発現のわずかな減少を示したが、この減少は統計学的に有意ではなかった。
【0223】
図2D~2Eは、頸部/胸部DRG(図2D)および腰部DRG(図2E)におけるeGFP転写物とRPP30転写物の比を示す。頸部/胸部DRG群と腰部DRG群の両方で、ICV投与を介してAAV9.CAG.GFPを投与された動物は、AAV9.CAG.GFPのICV投与前にIVIGで処置された動物と比較して、eGFP mRNAの発現に差を示さなかった。ICV投与を介してAAV9.CAG.GFPを投与された動物は、IV投与を介してAAV9.CAG.GFPを投与された動物と比較して、GFP発現がわずかに増加した(しかし、統計学的に有意ではない)。
【0224】
図2Fは、心臓におけるeGFP転写物とRPP30転写物の比を示す。AAV9.CAG.GFPのICV投与の2時間前または24時間前にIVIGを投与された動物は、GFP発現が減少したが、統計学的に有意ではなかった。
【0225】
図2Gは、腎臓におけるeGFP転写物とRPP30転写物の比を示す。AAV9.CAG.GFPのICV投与の2時間前または24時間前にIVIGを投与した動物は、GFP発現の有意な低下を示した。
6.5.1.6.タンパク質の発現
【0226】
IHC分析のための組織試料をベクター投与後14日目に収集し、直ちに10%中性緩衝ホルマリンに約48時間入れ、その後70%エタノールに移した。エタノール中の試料を周囲温度でHistoserv(メリーランド州ゲルマンタウン)に輸送した。手短に言えば、組織試料をトリミングし、パラフィンに包埋した。得られたブロックをミクロトームによって切片化し、スライドガラスに取り付け、GFPを検出するために染色した。手短に言えば、スライドを55~65℃で15分間焼成してパラフィンを除去し、Monet Blue希釈液中1:1,000のGeneTex、GTX20290 GFP抗体、および抗ウサギHRP標識二次抗体(Biocare Medical、BRR4009)を使用して染色した。ベタゾイドDAB(Biocare Medical、BDB2004)を現像に使用し、マイヤーのヘマトキシリン(StatLab、HXMMHPT)を対比染色に使用した。各条件(すなわち、生理食塩水;AAV9.CAG.GFP ICV;AAV9.CAG.GFP ICVと2時間のIVIG;AAV9.CAG.GFPと24時間のIVIG;またはAAV9.CAG.GFP IV)からの代表的な画像を図3A(脳)、3B(肝臓)、3C(脾臓)、3D(頸部/胸部DRG)、3E(腰部DRG)、3F(心臓)、および3G(腎臓)に示す。
【0227】
図3Aは、抗GFP IHCの後に得られた脳断面の代表的な画像を示す。図3Aは、予想通り、ICV投与動物の脳におけるeGFP発現を示す。IV注射を介して投与された脳ではeGFPの発現はほとんどまたは全くなく、生理食塩水対照ではバックグラウンドがなかった。表5は、各動物についてのGFP脳細胞の割合の要約を提供する。
【表5-1】
【表5-2】
MR-18-7~MR-18-16は、陽性のNAb応答を有し、MR-18-2~MR-18-6およびMR-18-17~MR-18-19は陰性のNAb応答を有した。
【0228】
図3Bは、抗GFP IHCの後に得られた肝臓断面の代表的な画像を示す。GFP発現は、ICVまたはIV注射のいずれかで、AAV単独を投与された群で明らかであった。AAV9.CAG.GFP ICV投与の2時間または24時間前にIVIGを投与された動物では、GFP発現は肝臓で検出されず、生理食塩水を注射した対照と同様であった。1つの例外は、24時間IVIG処置群の動物#15であり、GFP陽性細胞がほとんどなかった(表6参照)。この動物はまた、RT-ddPCRによって測定した場合、群内の他の動物と比較してより高い量のGFP発現を有した。表6は、各動物のGFP肝細胞の割合の要約を提供する。
【表6】
MR-18-7~MR-18-16は、陽性のNAb応答を有し、MR-18-2~MR-18-6およびMR-18-17~MR-18-19は陰性のNAb応答を有した。
【0229】
図3Cは、抗GFP IHCの後に得られた脾臓断面の代表的な画像を示す。GFP発現の差は、いずれの処置群間でも検出されなかった。脾臓の性質のために、生理食塩水を注射された動物には高度のバックグラウンドが存在する。表7は、各動物についてのGFP脾臓細胞の割合の要約を提供する。
【表7】
MR-18-7~MR-18-16は、陽性のNAb応答を有し、MR-18-2~MR-18-6およびMR-18-17~MR-18-19は陰性のNAb応答を有した。
【0230】
図3D~3Eは、抗GFP IHC後に得られた頸部/胸部DRG断面(図3D)および腰部DRG断面(図3E)の代表的な画像を示す。表8および表9は、頸部/胸部DRG(表8)および腰部DRG(表9)におけるGFP細胞の割合の要約を提供する。
【表8-1】
【表8-2】
MR-18-7~MR-18-16は、陽性のNAb応答を有し、MR-18-2~MR-18-6およびMR-18-17~MR-18-19は陰性のNAb応答を有した。
【表9】
MR-18-7~MR-18-16は、陽性のNAb応答を有し、MR-18-2~MR-18-6およびMR-18-17~MR-18-19は陰性のNAb応答を有した。
【0231】
図3Fは、抗GFP IHCの後に得られた心臓断面の代表的な画像を示す。GFP発現は、ICVまたはIV投与のいずれかによってAAV9.CAG.GFPで処置された群の心臓で観察された。AAV9.CAG.GFP ICV投与の2時間または24時間前にIVIGを投与された動物では、GFP発現は心臓で検出されず、生理食塩水を注射した対照と同様であった。表10は、各動物のGFP心臓細胞の割合の要約を提供する。
【表10】
MR-18-7~MR-18-16は、陽性のNAb応答を有し、MR-18-2~MR-18-6およびMR-18-17~MR-18-19は陰性のNAb応答を有した。
【0232】
図3Gは、抗GFP IHCの後に得られた腎臓断面の代表的な画像を示す。GFP発現は、ICVまたはIV投与のいずれかによってAAV9.CAG.GFPで処置された群の腎臓で観察された。GFP発現は糸球体に隣接する尿細管に限定されており、緻密斑を表す上皮細胞で特異的に発現することが示唆された。AAV9.CAG.GFP ICV投与の2時間または24時間前にIVIGを投与された動物では、GFP発現は腎臓で検出されず、生理食塩水を注射した対照と同様であった。表11は、各動物のGFP腎細胞の割合の要約を提供する。
【表11-1】
【表11-2】
MR-18-7~MR-18-16は、陽性のNAb応答を有し、MR-18-2~MR-18-6およびMR-18-17~MR-18-19は陰性のNAb応答を有した。
6.5.1.7.結論
【0233】
この実験は、AAV9.CAG.GFPのICV投与の前にIVIGを全身投与すると、CNSを逃れたAAV9.CAG.GFPによる末梢器官の形質導入が制限されるという仮説を試験するために設計された。
【0234】
ベクターゲノムは、ICVまたはIV投与のいずれかによってAAV9.CAG.GFPで処置された群の肝臓、心臓、および腎臓で観察された。末梢器官にベクターゲノムが存在することは、AAVがICV注射後にCNSから逃れるのに熟達していることを示唆している。ICVのみを投与された動物と比較して、AAVのICV投与前にIVIGで処置された動物は、肝臓、心臓および腎臓において形質導入および発現の有意な減少を示した。脾臓は、IVIGで前処置した動物においてベクターゲノムの増加を示したが、これは、真正の形質導入ではなく、循環食細胞による抗体結合カプシドの貪食に起因する可能性がある。これを裏付けるように、GFP発現データ(IHCまたはRT-ddPCR)は、IVIGを投与した群とIVIGを投与せずにAAVを投与した群との間で有意な変化を示さなかった。全体として、AAV ICV投与の前のIVIG投与は、肝臓、心臓、および腎臓を含む末梢組織におけるAAV形質導入を制限した。
7.参照による組み込み
【0235】
本出願で引用されたすべての刊行物、特許、特許出願および他の文書は、あたかも個々の刊行物、特許、特許出願または他の文書があらゆる目的のために参照により組み込まれることが個別に示されているのと同程度に、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
8.等価物
【0236】
様々な具体的な実施形態を図示し説明したが、上記の明細書は限定的なものではない。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更を行うことができることが理解されよう。本明細書を検討すると、多くの変形形態が当業者に明らかになる。
【化1-1】
【化1-2】
【化1-3】
【化1-4】
【化1-5】
【化1-6】
【化1-7】
【化1-8】
【化1-9】
【化1-10】
【化1-11】
【化1-12】
【化1-13】
【化1-14】
【化1-15】
【化1-16】
【化1-17】
【化1-18】
【化1-19】
【化1-20】
【化1-21】
【化1-22】
【化1-23】
【化1-24】
【化1-25】
【化1-26】
図1-1】
図1-2】
図1-3】
図1-4】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
【配列表】
2023548976000001.app
【国際調査報告】