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特表2023-548990孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法
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  • 特表-孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C25F 3/04 20060101AFI20231115BHJP
   C25F 3/14 20060101ALI20231115BHJP
   C25D 11/12 20060101ALI20231115BHJP
   C25D 11/14 20060101ALI20231115BHJP
   C25D 11/16 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
C25F3/04 Z
C25F3/14
C25D11/12 Z
C25D11/14 F
C25D11/16
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2022543065
(86)(22)【出願日】2022-02-22
(85)【翻訳文提出日】2022-12-27
(86)【国際出願番号】 CN2022077204
(87)【国際公開番号】W WO2023056725
(87)【国際公開日】2023-04-13
(31)【優先権主張番号】202111177085.7
(32)【優先日】2021-10-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】518446097
【氏名又は名称】南通海星電子股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Nantong Haixing Electronics Limited Liability Company
【住所又は居所原語表記】No.518, South Tongyang Road, Pingchao Town, Tongzhou District, Nantong City, Jiangsu 226300 China
(71)【出願人】
【識別番号】518446101
【氏名又は名称】南通海一電子有限公司
【氏名又は名称原語表記】Nantong Haiyi Electronics Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.519, South Tongyang Road, Pingchao Town, Tongzhou District, Nantong City Jiangsu 226300 China
(71)【出願人】
【識別番号】518446112
【氏名又は名称】四川中雅科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Si Chuan Zhongya Technology Company.
【住所又は居所原語表記】Industrial Park Yaan, Sichuan 625000 China
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】王建中
(72)【発明者】
【氏名】冒慧敏
(72)【発明者】
【氏名】朱偉晨
(72)【発明者】
【氏名】何桂麗
(72)【発明者】
【氏名】金学軍
(72)【発明者】
【氏名】王貴州
(72)【発明者】
【氏名】▲グン▼▲イュ▼
(72)【発明者】
【氏名】宋双喜
(72)【発明者】
【氏名】肖飛
(57)【要約】
本発明は、エッチング箔の製造プロセス技術の分野に関するものであり、アルミニウム箔を新規な前処理液に入れ、短時間の大直流電流を印加し、前処理を行ってエッチング開始点を形成する工程a)と、一次エッチング液で孔形成エッチングを行い、二次エッチング液で孔拡張エッチングを行い、熱処理後にエッチングアルミニウム箔を得る工程b)とを含む、孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法を開示している。前記新規な前処理液は、主に混酸とグルコースの混合水溶液であり、エッチング開始点の分布状況が把握しやすく、前処理過程において新規な前処理液の濃度、温度を制御することで、エッチング開始点の制御を実現する。前記プロセスによって製造されたエッチングアルミニウム箔は、表面の孔分布がより均一であり、孔長の一貫性が良く、エッチングアルミニウム箔の曲げ性能及び電気性能を効果的に向上させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前処理:洗浄したアルミニウム箔を新規な前処理液に入れ、定電圧40~400Vの条件で電圧を1~3s印加し、前処理を行ってアルミニウム箔表面にエッチング開始点を形成する、工程a)と、
孔形成エッチング:前処理後のアルミニウム箔を一次エッチング液で孔形成エッチングを行い、二次エッチング液で孔拡張エッチングを行い、洗浄・熱処理後に完成品のエッチング箔を得る、工程b)と、
を含むことを特徴とする、孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法。
【請求項2】
前記工程a)における新規な前処理液が、酸とグルコースの混合溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法。
【請求項3】
前記新規な前処理液における酸が、H、HSO、HCl、HPOのうちの1つまたは複数の酸の混合物であることを特徴とする、請求項2に記載の孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法。
【請求項4】
前記新規な前処理液における遊離水素イオンの含有量が0.6~1.0Mであることを特徴とする、請求項3に記載の孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法。
【請求項5】
前記前処理液におけるグルコースの含有量が1~10g/Lであることを特徴とする、請求項2に記載の孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法。
【請求項6】
前記工程a)における前処理液の温度が15~30℃であることを特徴とする、請求項1に記載の孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エッチング箔の製造プロセス技術の分野に関し、特に孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アルミニウム電解コンデンサに使用される陽極エッチングアルミニウム箔の製造プロセスでは、主に前処理、一次孔形成エッチング、二次孔拡張エッチング、後処理、熱処理などにより、アルミニウム箔表面に高密度のトンネル孔を形成することで、アルミニウム箔の比表面積を拡大し、単位面積当たりの容量を増加させる。一次孔形成は通常、塩酸と硫酸の混合溶液で行われ、孔径が小さく、深さが深い細長いトンネル孔を形成する。二次孔拡張エッチングは通常、硝酸溶液で行われ、孔形成エッチング時に形成された小径のトンネル孔を比較的大径のトンネル孔に拡大することで、より大きな比表面積を得る。孔形成プロセスは、エッチング箔製品の表面の孔分布と孔長の均一性に重要な役割を果たしている。
【0003】
現在、素箔の製造には、一般的に微量のFe、Si、Cuなどの元素が添加されており、これらの微量元素は、一次孔形成エッチングのエッチング開始点となり、孔形成に必要なエネルギーを低減し、孔形成の難しさを軽減することができると考えられる。しかし、微量元素の添加量は、一般的に0.0002%~0.0005%と極めて少なく、かつアルミニウム箔表面での分散は、経済的かつ効果的な検出方法がないため、微量元素を添加する方法では、表面の孔分布の均一性と孔長の均一性を実際に効果的に高めることができず、かつエッチング開始点の分布の制御は容易ではないため、実際の製造工程では、孔形成に前後順序があり、表面の孔分布が不均一であり、トンネル孔の長さの一貫性が低い、短い孔が多いという問題が依然として存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の問題を解決し、従来技術の欠点を克服するために、本発明は、エッチングアルミニウム箔表面の孔分布がより均一であり、孔長の一貫性が良く、エッチングアルミニウム箔の曲げ性能及び電気性能を効果的に向上させることができる製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の技術的手段によって実現される。
【0006】
前処理:洗浄したアルミニウム箔を新規な前処理液に入れ、定電圧40~400Vの条件で電圧を1~3s印加し、前処理を行ってアルミニウム箔表面にエッチング開始点を形成する、工程a)と、
前処理後のアルミニウム箔を一次エッチング液で孔形成エッチングを行い、二次エッチング液で孔拡張エッチングを行い、洗浄・熱処理後に完成品のエッチング箔を得る、工程b)と、
を含むことを特徴とする、孔長の一貫性の高いエッチングアルミニウム箔の製造方法である。
【0007】
さらに、前記工程a)における新規な前処理液は、酸とグルコースの混合溶液である。
【0008】
さらに、前記新規な前処理液における酸は、H、HSO、HCl、HPOのうちの1つまたは複数の酸の混合物である。
【0009】
さらに、前記新規な前処理液における遊離水素イオンの含有量が0.6~1.0Mである。
【0010】
さらに、前記前処理液におけるグルコースの含有量が1~10g/Lである。
【0011】
さらに、前記工程a)における前処理液の温度は15~30℃である。
【発明の効果】
【0012】
従来技術と比べて、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0013】
1、本発明に開示するエッチングアルミニウム箔の製造方法における新規な前処理液としては、酸とグルコースの混合溶液が採用され、前処理におけるエッチング開始点は、アルミニウム箔表面に均一に分布しており、エッチング開始点の分布状況が把握しやすく、前処理過程において新規な前処理液の濃度、温度を制御することで、エッチング開始点の制御を実現し、後続の多段階孔形成の一貫性を確保する。
【0014】
2、本発明に開示するエッチングアルミニウム箔の製造方法では、前処理過程において、短時間の定電圧大電流により、エッチングアルミニウム箔表面に規則的なエッチングピットを形成して、後続の孔形成エッチングにエッチング開始点を提供し、孔が形成されたエッチング箔エッチング箔及び最終完成品のエッチング箔の孔長の一貫性を向上させ、さらに完成品のエッチング箔の容量と曲げ性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態にかかるエッチングアルミニウム箔の製造方法によって製造されたエッチングアルミニウム箔の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の利点及び特徴が当業者によってより容易に理解され、本発明の保護範囲がより明確に定義されるように、具体的な実施形態を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明される。
【0017】
実施形態:
工程1(前処理):アルミニウム箔を20℃の0.3mol/LHと3g/Lグルコース溶液を混合して調製された新規な前処理液に入れて、前処理を行い、前処理の電圧は100V、処理時間は1sであり、アルミニウム箔表面にエッチング開始点を形成する。
【0018】
工程2(孔形成エッチング):工程1のアルミニウム箔を純水で洗浄した後、70℃の0.5mol/LのHCLと1.2mol/LのH溶液に入れて、孔形成エッチングを行い、孔形成電流は最大1.5A/cmの勾配減衰電流、印加時間は65sであり、当該工程を3回繰り返す。
【0019】
工程3(孔拡張エッチング):工程2のアルミニウム箔を純水で洗浄した後、70℃の0.3mol/LのHNO溶液に入れて、孔拡張エッチングを行い、孔拡張電流は0.4A/cmの定電流、印加時間は120sであり、当該工程を3回繰り返す。
【0020】
工程4(熱処理):工程3のアルミニウム箔を50℃の0.03ml/LのHNO溶液に60s浸漬して、不純物イオンを除去し、純水で洗浄した後、120℃のオーブンに入れて、熱処理時間80sで熱処理を行い、孔長の一貫性が高いエッチングアルミニウム箔を得ることができる。
【0021】
当業者にとって、本発明は、上記の例示的な実施形態の詳細に限定されず、本発明の精神または本質的な特徴から逸脱しない限り、他の具体的な形態で本発明を実施することができることは明らかである。したがって、いずれの点から見ても、実施形態は例示的であり、かつ限定的ではなく、本発明の範囲は、上述の説明ではなく、特許請求の範囲によって定義されるため、特許請求の範囲の均等な意味及び範囲内にあるすべての変更は、本発明に含まれることが意図されている。請求項における参照記号は、かかる請求項を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
【国際調査報告】