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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】電気外科用切除ツール
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/18 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
A61B18/18 100
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023516596
(86)(22)【出願日】2021-10-06
(85)【翻訳文提出日】2023-03-13
(86)【国際出願番号】 EP2021077621
(87)【国際公開番号】W WO2022100934
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】2017867.9
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512008495
【氏名又は名称】クレオ・メディカル・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CREO MEDICAL LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウルリヒ,ジョージ・クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ハンコック,クリストファー・ポール
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160FF19
4C160JK01
4C160KK03
4C160KK04
4C160KK19
4C160KK23
4C160KK38
4C160MM32
4C160NN02
(57)【要約】
様々な実施形態は、高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを搬送するためのエネルギー伝達構造であって、絶縁体材料によって外側導体から分離された内側導体を有する同軸伝送線を備えるエネルギー伝達構造と、エネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられた器具の先端とを備える、電気外科用切除ツールを提供する。器具の先端は、第1の顎部及び第2の顎部を備える。第2の顎部は、第1の顎部と第2の顎部が互いに並んで位置する閉位置と、生体組織を受容するためのギャップによって第2の顎部が第1の顎部から離れている開位置との間で第1の顎部に対して移動可能である。第1の顎部は、互いに電気的に絶縁された第1の電極対を含む。第2の顎部は、互いに電気的に絶縁された第2の電極対を含む。第1の電極対は、第1の電極対がエネルギー伝達構造によって搬送されるRF EMエネルギーを送達するための活性電極及び戻り電極として動作可能であるように、エネルギー伝達構造に結合される。第2の電極対は、第2の電極対がエネルギー伝達構造によって搬送されるRF EMエネルギーを送達するための活性電極及び戻り電極として動作可能であるように、エネルギー伝達構造に結合される。第1及び第2の電極対は、エネルギー伝達構造によって搬送されるマイクロ波EMエネルギーを放出するためのマイクロ波フィールド放射構造として動作可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気外科用切除ツールであって、
高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを搬送するためのエネルギー伝達構造であって、絶縁体材料によって外側導体から分離された内側導体を有する同軸伝送線を備える、前記エネルギー伝達構造と、
前記エネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられた器具の先端であって、第1の顎部及び第2の顎部を含む、前記器具の先端とを備え、
前記第2の顎部は、前記第1の顎部と前記第2の顎部が互いに並んで位置する閉位置と、生体組織を受容するためのギャップによって前記第2の顎部が前記第1の顎部から離れている開位置との間で前記第1の顎部に対して移動可能であり、
前記第1の顎部は、互いに電気的に絶縁された第1の電極対を含み、
前記第2の顎部は、互いに電気的に絶縁された第2の電極対を含み、
前記第1の電極対は、前記第1の電極対が前記エネルギー伝達構造によって搬送されるRF EMエネルギーを送達するための活性電極及び戻り電極として動作可能であるように、前記エネルギー伝達構造に結合され、
前記第2の電極対は、前記第2の電極対が前記エネルギー伝達構造によって搬送されるRF EMエネルギーを送達するための活性電極及び戻り電極として動作可能であるように、前記エネルギー伝達構造に結合され、
前記第1及び第2の電極対は、前記エネルギー伝達構造によって搬送されるマイクロ波EMエネルギーを放出するためのマイクロ波フィールド放射構造として動作可能である、
前記電気外科用切除ツール。
【請求項2】
前記第1の顎部は、前記第2の顎部の方に向く内面と、前記第2の顎部とは反対側に向く外面とを有する第1の平面絶縁体要素を備え、前記第1の電極対は、前記第1の平面絶縁体要素の前記内面及び前記外面にそれぞれ配置された内側電極及び外側電極を備え、
前記第2の顎部は、前記第1の顎部の方に向く内面と、前記第1の顎部とは反対側に向く外面とを有する第2の平面絶縁体要素を備え、前記第2の電極対は、前記第2の平面絶縁体要素の前記内面及び前記外面にそれぞれ配置された内側電極及び外側電極を備える、
請求項1に記載の電気外科用器具。
【請求項3】
前記第1の電極対の前記内側電極は、前記第1の平面絶縁体要素の前記内面に形成された第1の導電層を含み、
前記第2の電極対の前記内側電極は、前記第2の平面絶縁体要素の前記内面に形成された第2の導電層を含む、
請求項2に記載の電気外科用器具。
【請求項4】
前記第1の顎部は、前記第1の平面絶縁体要素の前記外面に付着され、前記第1の電極対の前記外側電極の少なくとも一部を形成するように配置された第1の導電性シェルをさらに備え、
前記第2の顎部は、前記第2の平面絶縁体要素の前記外面に付着され、前記第2の電極対の前記外側電極の少なくとも一部を形成するように配置された第2の導電性シェルをさらに備える、
請求項2または3に記載の電気外科用器具。
【請求項5】
前記第1の導電性シェル及び前記第2の導電性シェルは、互いに電気的に結合される、請求項4に記載の電気外科用器具。
【請求項6】
前記器具の先端が、前記第1の導電性シェル及び前記第2の導電性シェルを前記エネルギー伝達構造の前記遠位端に接続するベース構造をさらに備える、請求項4または5に記載の電気外科用器具。
【請求項7】
前記ベース構造は、前記第1の導電性シェルを前記エネルギー伝達構造の前記遠位端に堅固に接続する第1のベース部分と、前記第2の導電性シェルが旋回可能に接続される第2のベース部分とを含み、前記第2の顎部が前記第2のベース部分に対して旋回可能である、請求項6に記載の電気外科用器具。
【請求項8】
前記ベース構造は、前記第1の導電性シェル及び/または前記第2の導電性シェルを、前記同軸伝送線の遠位端の前記内側導体及び前記外側導体のうちの第1の導体に電気的に接続する導電性材料を備える、請求項6または7に記載の電気外科用器具。
【請求項9】
前記ベース構造は、前記第1の電極対の前記内側電極及び/または前記第2の電極対の前記内側電極が、前記同軸伝送線の前記遠位端で前記内側導体及び前記外側導体のうちの第2の導体に電気的に接続されるキャビティを画定する、請求項8に記載の電気外科用器具。
【請求項10】
前記キャビティは、絶縁体材料を含む、請求項9に記載の電気外科用器具。
【請求項11】
前記ベース構造は、前記キャビティ内に絶縁体材料を注入するために前記ベース構造の側壁に形成された開口部を備える、請求項9または10に記載の電気外科用器具。
【請求項12】
前記第1の電極対の前記外側電極及び前記第2の電極対の前記外側電極は両方とも、前記内側導体及び前記外側導体のうちの第1の導体と電気的に接続され、前記第1の電極対の前記内側電極と、前記第2の電極対の前記内側電極は両方とも、前記内側導体及び前記外側導体のうちの第2の導体に電気的に接続される、請求項2から11のいずれか一項に記載の電気外科用器具。
【請求項13】
前記第1の電極対の内側電極と前記第2の電極対の内側電極とが互いに接触し、それらの間に摺動電気接触が形成される、請求項12に記載の電気外科用器具。
【請求項14】
前記第1の顎部は、前記エネルギー伝達構造の前記遠位端に対して固定され、前記第2の顎部は、前記エネルギー伝達構造の前記遠位端に対して移動可能であり、
前記第1の電極対の前記内側電極は、前記内側導体及び前記外側導体の一方に電気的に接続される、請求項13に記載の電気外科用器具。
【請求項15】
前記第1の電極対の前記外側電極及び前記第2の電極対の前記内側電極は、前記内側導体及び前記外側導体のうちの第1の導体に接続され、
前記第1の電極対の前記内側電極及び前記第2の電極対の前記外側電極は、前記内側導体及び前記外側導体のうちの第2の導体に接続される、請求項2から11の一項に記載の電気外科用器具。
【請求項16】
前記第1の顎部及び/または前記第2の顎部は、前記第1の電極対の前記内側電極と前記第2の電極対の前記内側電極との間に配置され、それらを互いに絶縁する絶縁体材料を含む、請求項15に記載の電気外科用器具。
【請求項17】
電気外科装置であって、
高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波周波数EMエネルギーを供給するための電気外科ジェネレータ、
患者の体内に挿入するための器具コードを有する外科用スコープデバイスであって、前記器具コードは、前記外科用スコープデバイスを貫通して延びる器具チャネルを有する、前記外科用スコープデバイス、及び
前記外科用スコープデバイスの前記器具チャネルを通して挿入される、先行請求項のいずれかに記載の電気外科用切除ツール
を備える、前記電気外科装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体組織を切断、凝固、及び切除するための電気外科用切除ツールに関する。特に、本発明は、生体組織の切断、止血(すなわち、血液の凝固を促進することによる壊れた血管の封鎖)、及び組織の切除のために、無線周波数(RF)エネルギー及び/またはマイクロ波周波数エネルギーを送達することができる電気外科用切除ツールに関する。
【背景技術】
【0002】
外科的切除は、ヒトまたは動物の体内から器官の一部を除去する手段である。器官は、血管が多い場合がある。組織が切断される(すなわち、分割または離断される)際、小さい血管が損傷され得るかまたは破裂し得る。初期の出血に続いて、出血をふさぐことを試みる際に血液が血餅に変化する凝固カスケードが起こる。手術の間、患者にとって、できるだけ血液を失わないことが望ましいため、出血がない切断をもたらす試みにおいて、様々なデバイスが開発されてきた。内視鏡処置の場合、出血が発生し、適切に処理されないことも望ましくない。なぜなら、血流が術者の視界を覆い隠す可能性があるからである。
【0003】
鋭利なブレードの代わりに、高周波(RF)エネルギーを用いて生体組織を切断することが知られている。RFエネルギーを使用して切断する方法は、電流が組織マトリックスを通過するときに(細胞のイオン性含有物により補助される)、組織を横切る電子の流れに対するインピーダンスが熱を発生する原理を使用して動作する。純粋な正弦波が組織マトリックスに適用されるときに、組織の水分を気化させるのに十分な熱が細胞内で発生する。したがって、細胞の内圧が大幅に上昇して細胞膜では制御できなくなり、結果、細胞が破裂する。これが大きい範囲にわたって発生すると、組織が切断されることが見てとれる。上記の手順は、脂肪が少ない組織ではうまく機能するが、脂肪組織では、電子の通過を助けるイオン性構成物が少ないため、効率が低下する。これは、脂肪の蒸発潜熱が水の蒸発潜熱よりもはるかに大きいため、細胞の内容物を蒸発させるために必要なエネルギーがはるかに大きいことを意味する。
【0004】
RF凝固は、効率の劣る波形を組織に適用することで機能させ、それにより、気化させる代わりに、細胞の内容物が約65℃に加熱され、乾燥によって組織を脱水させ、血管壁のタンパク質を変性させる。この変性は凝固カスケードへの刺激として作用するため、凝固が促進される。同時に、その壁のコラーゲンは変性し、棒状の分子からコイル形の分子に変わり、これにより、血管が収縮して大きさが小さくなり、血餅にアンカーポイントを付し、詰まる領域を小さくする。ただし、RFでの凝固は、脂肪組織が存在する場合電気的効果が減少するため、効率が低下する。したがって、脂肪質の放血部を封止することは非常に困難であり得る。クリーンな白いマージンを有する代わりに、組織は黒く焦げた外見を有する。
【0005】
マイクロ波電磁(EM)エネルギーを使用する組織切除は、生体組織が主に水から構成されているという事実に基づいている。人間の軟器官組織は、通常、水分含有量が70%~80%である。水分子には永久的な電気双極子モーメントがあり、これは、分子全体に電荷の不均衡が存在することを意味する。この電荷の不均衡により、時間的に変化する電場を印加することによって生成される力に応答して、分子が回転して電気双極子のモーメントが印加された電場の極性と整合するので、分子が移動する。マイクロ波周波数では、急速な分子の振動が摩擦加熱を引き起こし、結果としてフィールドのエネルギーが熱の形で散逸する。これは誘電加熱として知られている。この原理は、マイクロ波焼灼療法で利用され、マイクロ波周波数で局所的な電磁場を印加することにより、標的組織の水分子が急速に加熱され、組織の凝固と細胞死が起こる。
【発明の概要】
【0006】
最も一般的には、本発明は、無線周波数(RF)電磁エネルギー及び/またはマイクロ波EMエネルギーを使用して生体組織の切断及び封止を容易にする複数の操作モダリティを提供するエネルギー送達構造を有する電気外科用切除ツールを提供する。特に、本発明は、内視鏡、胃内視鏡または気管支鏡などの外科用スコープデバイスの器具チャネルを通してツールを挿入可能にし得るのに十分コンパクトな作動及びエネルギー伝達機構の組み合わせに関する。このデバイスはまた、腹腔鏡手術または開腹手術、すなわち腹腔を開いた状態で肝葉を無血切除するために使用することもできる。
【0007】
本発明は、GB2567480で論じられた電気外科用切除ツールの概念に対する発展を表す。本発明の電気外科用切除ツールは、一対の顎部を含み、各顎部は、それぞれの電極対を有する。これにより、電気外科用切除ツールを3つの補完的なモダリティ、つまり(i)顎部が閉じているときのRFベースのグライディングカット、(ii)RFエネルギーと加えられた圧力の組み合わせを使用して、顎部の間で把持された組織に対して実行されるはさみタイプのカット、及び(iii)マイクロ波エネルギーと加えられた圧力の組み合わせを使用して、顎部の間で把持された組織に対して実行される凝固または血管封止操作、に従って操作できるようになる。本発明者らは、各顎部に電極対を設けることによって、EMエネルギーを使用して組織を切断及び凝固するツールの能力を向上させることが可能であることを発見した。特に、電極のそのような配置は、顎部全体に複数のRFフィールドを確立することを可能にすることができ、それは、より滑らかでより均一な切断をもたらすことができる。同様に、そのような電極の構成は、マイクロ波エネルギーを使用して、より均一なマイクロ波フィールドを放出することを可能にすることによって、及び/または顎部全体に複数のマイクロ波フィールドを放出することによって、より効果的な組織の凝固及び切除をもたらすことができる。
【0008】
本発明によれば、電気外科用切除ツールであって、高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを搬送するためのエネルギー伝達構造であって、絶縁体材料によって外側導体から分離された内側導体を有する同軸伝送線を備えるエネルギー伝達構造と、エネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられた器具の先端であって、第1の顎部及び第2の顎部を含む、器具の先端とを備え、第2の顎部は、第1の顎部と第2の顎部が互いに並んで位置する閉位置と、生体組織を受容するためのギャップによって第2の顎部が第1の顎部から離れている開位置との間で第1の顎部に対して移動可能であり、第1の顎部は、互いに電気的に絶縁された第1の電極対を含み、第2の顎部は、互いに電気的に絶縁された第2の電極対を含み、第1の電極対は、第1の電極対がエネルギー伝達構造によって搬送されるRF EMエネルギーを送達するための活性電極及び戻り電極として動作可能であるように、エネルギー伝達構造に結合され、第2の電極対は、第2の電極対がエネルギー伝達構造によって搬送されるRF EMエネルギーを送達するための活性電極及び戻り電極として動作可能であるように、エネルギー伝達構造に結合され、第1及び第2の電極対は、エネルギー伝達構造によって搬送されるマイクロ波EMエネルギーを放出するためのマイクロ波フィールド放射構造として動作可能である電気外科用切除ツールが提供される。
【0009】
エネルギー伝達構造は、器具の先端がシャフト(または外側シース)の遠位端から突出するように、シャフトの管腔に配置され得る。シャフトは、同軸伝送線を挿入できる任意の適切なシャフトであってもよい。シャフトは可撓性であり得る、例えば、治療部位に到達するための曲げまたは他の操作に適し得る。可撓性シャフトにより、デバイスは、内視鏡などの外科用スコープデバイスにおいて使用できるようにし得る。他の例では、シャフトは、例えば、切開手術または腹腔鏡で使用するために剛性であってもよい。
【0010】
同軸伝送線は、RF EMエネルギー及びマイクロ波EMエネルギーの両方を伝達するように適合され得る。あるいは、エネルギー伝達構造は、RF EMエネルギー及びマイクロ波EMエネルギーのための異なる経路を備えてもよい。例えば、マイクロ波EMエネルギーは、同軸伝送線を通じて送達することができるが、RF EMエネルギーは、ツイストペアのワイヤなどを介して送達することができる。同軸伝送線は、可撓性の同軸ケーブルの形態であってもよい。
【0011】
例として、内側導体は、第1の電極対の第1の電極及び第2の電極対の第1の電極に電気的に接続されてもよく、外側電極は、第1の電極対の第2の電極、及び第2の電極対の第2の電極に電気的に接続されてもよい。このような構成により、RF EM及び/またはマイクロ波EMは、同軸伝送線によって第1及び第2の電極対に伝達され得る。
【0012】
第1の顎部及び第2の顎部は、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能であるように、エネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられる。顎部間の様々なタイプの相対的な動きを利用することができる。第1の顎部と第2の顎部との間の相対的な動きは、回転及び/または並進の動きを含み得る。第1の顎部及び第2の顎部の少なくとも1つは、エネルギー伝達構造の遠位端に対して移動可能に取り付けられ得、第1の顎部と第2の顎部との間の相対的な動きを可能にする。場合によっては、第1及び第2の顎部の一方のみがエネルギー伝達構造の遠位端に対して移動可能に取り付けられてもよく、他の場合では、第1及び第2の顎部の両方がエネルギー伝達構造の遠位端に対して移動可能に取り付けられてもよい。
【0013】
例として、第1の顎部と第2の顎部とは、例えば、第1の顎部と第2の顎部との間の開口角度を調整できるように、互いに対して旋回可能であってもよい。この例は、はさみタイプの閉鎖に似ている場合がある。第1の顎部及び/または第2の顎部は、エネルギー伝達構造の遠位端に旋回可能に取り付けられ得る。
【0014】
別の例では、例えば、顎部の長さに沿って供給されるエネルギーが均一であることを保証するために、いったん組織がその間に把持されると、第1及び第2の顎部間のギャップが均一であることが有益であり得る。この例では、第1の顎部及び第2の顎部は、互いに対して動かされるときに平行を維持するように構成され得る。例えば、第1の顎部と第2の顎部は、顎部が開位置にあるとき平行になり得、第1及び第2の顎部は、互いに通り過ぎて閉位置に摺動するとき、平行のままであり得る。
【0015】
第1の顎部は、第1のブレード要素を含み得、第2の顎部は、第2のブレード要素を含み得る。次に、顎部が閉位置にあるとき、第1のブレード要素は第2のブレード要素と並んで位置することができ、顎部が開位置にあるとき、第1のブレード要素と第2のブレード要素との間に、生体組織を受容するためのギャップが存在し得る。
【0016】
第1のブレード要素及び第2のブレード要素は、第1及び第2の顎部が開位置から閉位置に移動されるときに、第1及び第2の顎部の間のギャップに配置された組織を切断するように構成され得る。したがって、第1のブレード要素及び第2のブレード要素はそれぞれ、組織を切断するために配置された切断(例えば鋭い)刃を含むことができる。顎部が閉じられたときに顎部の間の組織が切断される領域に対応して、第1の顎部と第2の顎部との間に切断界面を画定することができる。
【0017】
第1のブレード要素及び第2のブレード要素は、第1及び第2の顎部が開位置と閉位置との間で移動するとき、例えば剪断力の適用によって組織の機械的切断を行うために、互いを越えて摺動するように配置され得る。したがって、第1及び第2のブレード要素によって行われる切断は、はさみタイプの切断機構に類似し得る。
【0018】
第1及び/または第2のブレード要素は、1つまたは複数の鋸歯(例えば、歯)を含むことができる。鋸歯は、顎部の間のギャップに位置する組織の把持及び切断を容易にすることができる。
【0019】
電気外科用切除ツールは、第1の顎部に対する第2の顎部の動きを制御するためのアクチュエータを備えることができる。アクチュエータは、顎部間の相対的な動きを制御するための任意の適切なタイプのアクチュエータを含むことができる。例として、アクチュエータは、エネルギー伝達構造に沿って(例えば、シャフトの内側に)延在し、その長さに沿って可動で顎部の一方または両方の位置を制御する制御ロッドを含むことができる。制御ロッドは、第1及び第2の顎部の一方または両方と係合する付着機構を有し、制御ロッドの長手方向の動きが第1の顎部に対する第2の顎部の動きを引き起こす。付着機構は、顎部の一方または両方に押す力及び引く力を伝送するためのフックまたは任意の適切な係合であり得る。
【0020】
第1の電極対は第1の顎部に配置され、第1の対における第1の電極は、RF EMエネルギーの活性電極として作用し、第1の対の第2の電極は、RF EMエネルギーの戻り電極として作用する。このようにして、エネルギー伝達構造によって搬送されるRF EMエネルギーを、第1の電極対を介して組織に送達することができる。第1の電極対は、標的組織を切断するために、エネルギー伝達構造からのRF EMエネルギーで第1のRF切断フィールドを確立することができる。第1の電極対は、これらが標的組織に接触してRF EMエネルギーを標的組織に送達できるように、第1の顎部の表面に露出され得る。
【0021】
第2の電極対は第2の顎部に配置され、第2の対における第1の電極は、RF EMエネルギーの活性電極として作用し、第2の対の第2の電極はRF EMエネルギーの戻り電極として作用する。このようにして、エネルギー伝達構造によって搬送されるRF EMエネルギーを、第2の電極対を介して組織にさらに送達することができる。第2の電極対は、標的組織を切断するために、エネルギー伝達構造からのRF EMエネルギーで第2のRF切断フィールドを確立することができる。第2の電極対は、これらが標的組織に接触してRF EMエネルギーを標的組織に送達できるように、第2の顎部の表面に露出され得る。
【0022】
したがって、RF EMエネルギーがエネルギー伝達構造によって伝達されると、第1のRF切断フィールドが第1の電極対によって確立され、第2のRF切断フィールドが第2の電極対によって確立される。換言すれば、それぞれのRF切断フィールドが各顎部で確立され得る。さらに、顎部の間、例えば、第1の顎部の活性電極と第2の顎部の戻り電極との間(及びその逆)に、RF切断フィールドを確立することができる。このように、RFでの切断は、顎部の間だけでなく、各顎部でも発生する可能性がある。これにより、組織のより広い領域にわたってRFでの切断を実行できるようになり、さらに均一的なRFでの切断が実行できるようになる。
【0023】
さらに、第1及び第2の電極対は、エネルギー伝達構造からマイクロ波EMエネルギーを放射(または放出)するためのマイクロ波フィールド放射構造を画定する働きをする。したがって、エネルギー伝達構造によって搬送されるマイクロ波EMエネルギーは、標的組織を凝固及び/または切除するために、第1及び第2の電極対から標的組織内に放射され得る。したがって、第1及び第2の電極対は、マイクロ波EMエネルギーを組織に送達するための1つまたは複数のマイクロ波アンテナとして機能し得る。放射されるマイクロ波フィールド(複数可)の特定の形状は、顎部の電極対の配置次第である。いくつかの例では、各電極対は、それぞれのマイクロ波フィールドが各顎部で放出されるように、それぞれのマイクロ波フィールド放射構造として機能することができる。追加的または代替的に、第1の対及び第2の対の電極は、一緒にマイクロ波フィールド放射構造を形成し、共通のマイクロ波フィールドが両方の顎部にわたって放出されるようにすることができる。マイクロ波EMエネルギーを放射するために各顎部において電極対を使用することは、顎部にわたって放出されるマイクロ波フィールド(複数可)の均一性と対称性を改善するのに役立ち得、このことは、マイクロ波エネルギーによる組織の治療の有効性を改善し得る。
【0024】
いくつかの実施形態では、第1の顎部は、第2の顎部の方に向く内面と、第2の顎部とは反対側に向く外面とを有する第1の平面絶縁体要素を備え得、第1の電極対は、第1の平面絶縁体要素の内面及び外面にそれぞれ配置された内側電極及び外側電極を備え、第2の顎部は、第1の顎部の方に向く内面と、第1の顎部とは反対側に向く外面とを有する第2の平面絶縁体要素を備え得、第2の電極対は、第2の平面絶縁体要素の内面及び外面にそれぞれ配置された内側電極及び外側電極を備え得る。したがって、各顎部は、それぞれの平面絶縁体要素によって間隔を空けられた内側電極及び外側電極を備えることができる。第1及び第2の平面絶縁体要素の内面は、第1及び第2のブレード要素の間の切断界面を横切って、互いに向き合うことができる。その結果、第1の電極対と第2の電極対は、顎部が閉じているとき、横方向に互いに実質的に整列することができる。これにより、顎部が閉じている場合に、広い領域にわたる標的組織の効果的な治療が可能になり得る。
【0025】
第1の平面絶縁体要素及び第2の平面絶縁体要素は、互いに実質的に平行であり得、例えば、第1の平面絶縁体要素の内面によって画定される平面は、第2の平面絶縁体要素の内面によって画定される平面と実質的に平行であり得る。第1の平面絶縁体要素及び第2の平面絶縁体要素はそれぞれ、第1の顎部及び第2の顎部が互いに対して可動である平面に平行に整列され得る。
【0026】
第1及び第2の平面絶縁体要素のそれぞれは、セラミック(例えば、アルミナ)などの絶縁体(すなわち、絶縁)材料片によって形成され得る。本明細書において、「平面」要素の言及は、その幅及び長さより実質的に小さい厚さを有する平坦な材料片を意味し得る。各平面絶縁体要素は、長手方向に整列した長さの次元、横方向に整列した厚さの次元、及び長さと厚さの次元両方に直交する幅の次元を有することができる。平面絶縁体要素の平面は、長さ及び幅の次元が存在する平面、すなわち、幅の次元に直交する平面である。各平面絶縁体要素の内面及び外面は、平面絶縁体要素の平面に平行であってもよい、すなわち、それらは幅の次元に直交していてもよい。各平面絶縁体要素の内面及び外面は、その幅に関して、平面絶縁体要素の反対側に配置され得る。
【0027】
電極が配置されている各顎部に平面絶縁体要素を使用すると、器具の先端の製造が大幅に容易になる可能性がある。これは、例えば導電性材料を表面上に堆積させることによって、及び/または表面に導電性要素を付着させることによって、電極をそれらの内面及び外面に容易に形成できるからである。対照的に、従来技術の切除ツールでは、顎部は通常、絶縁材料でコーティングされた導電性材料で作られ、電極は、絶縁材料がエッチング除去される顎部の領域によって画定される。絶縁材料をエッチング除去することによって電極を画定することは、単調で時間のかかるプロセスである場合がある。さらに、本発明者らは、組織が絶縁材料に付着し、器具の先端を洗浄しにくくする可能性があることを発見した。したがって、顎部に平面絶縁体要素を使用することは、器具の先端の製造を容易にするだけでなく、組織が器具の先端に付着するのを回避することができる。
【0028】
場合によっては、第1の平面絶縁体要素は、第1のブレード要素を画定することができる。例えば、第1の平面絶縁体要素は、顎部の間に位置する組織に接触し、顎部が閉じているときに組織を切断するように構成された切断縁を備えることができる。次に、第1の対の内側電極は、第1の平面絶縁体要素の切断縁またはその近くに形成することができる。
【0029】
同様に、第2の平面絶縁体要素は、第2のブレード要素を画定することができ、例えば、第2の平面絶縁体要素は、顎部の間に位置する組織に接触して切断するように構成された切断縁を備えることができる。次に、第2の対の内側電極は、第2の平面絶縁体要素の切断縁またはその近くに形成することができる。
【0030】
第1の平面絶縁体要素が第1のブレード要素を画定し、第2の平面絶縁体要素が第2のブレード要素を画定する場合、第1の平面絶縁体要素の内面は、顎部が開位置と閉位置の間を移動するとき、第2の平面絶縁体要素の内面を横切って摺動するように配置され得る。
【0031】
第1の電極対の内側電極は、第1の平面絶縁体要素の内面に形成された第1の導電層を含むことができ、第2の電極対の内側電極は、第2の平面絶縁体要素の内面に形成された第2の導電層を含むことができる。したがって、各対の内側電極は、それぞれの平面絶縁体要素の内面に直接導電性材料のそれぞれの層によって形成することができる。例えば、導電性材料の層は、任意の適切な堆積技術を使用して堆積され得るか、または導電性材料の層は、他の方法で(例えば、接着剤を介して)内面に取り付けられ得る。各内側電極の導電層は、金などの任意の適切な導電材料で形成することができる。
【0032】
第1の導電層は、長手方向に延在することができる、すなわち、第1の平面絶縁体要素の長さの全部または一部に沿って延在することができる。同様に、第2の導電層は、長手方向に延在することができる、すなわち、第2の平面絶縁体要素の長さの全部または一部に沿って延在することができる。
【0033】
さらに、いくつかの場合に、第1の電極対の外側電極は、第1の平面絶縁体要素の外面に形成された第3の導電層を含むことができ、第2の電極対の外側電極は、第2の平面絶縁体要素の外面に形成された第4の導電層を含むことができる。第3及び第4の導電層は、上述の第1及び第2の導電層と同様に形成することができる。
【0034】
したがって、電極を形成するために、顎部のいずれかにおける絶縁層のパターニング及びエッチングを必要としなくてもよく、器具の先端の製造を大幅に容易にし得る。
【0035】
第1の顎部は、第1の平面絶縁体要素の外面に付着され、第1の電極対の外側電極の少なくとも一部を形成するように配置された第1の導電性シェルをさらに備え得、第2の顎部は、第2の平面絶縁体要素の外面に付着され、第2の電極対の外側電極の少なくとも一部を形成するように配置された第2の導電性シェルをさらに備え得る。したがって、各電極対の外側電極は、対応する平面絶縁体要素の外面に取り付けられた導電性シェルを備えることができる。第1の導電性シェルは第1の顎部の外面を画定することができ、一方で第2の導電性シェルは第2の顎部の外面を画定することができる。したがって、各導電性シェルは、外側電極を画定することと、それが取り付けられる平面絶縁体要素を保護することの二重の目的を果たすことができる。各導電性シェルは、対応する平面絶縁体要素の外面に(例えば、接着剤及び/または機械的固定を介して)取り付けられる導電性材料片から形成され得る。ステンレス鋼などの任意の適切な導電性材料を導電性シェルに使用することができる。
【0036】
第1の導電性シェルの表面積は、第1の電極対の内側電極の表面積より大きくてもよい。例えば、第1の導電性シェルは、第1の平面絶縁体要素の外面のすべてまたは大部分を覆う導電性材料の比較的厚いブロックから形成されてもよく、一方、内側電極は、第1の平面絶縁体要素の内面の比較的薄い導電層として形成されてもよい。同様に、第2の導電性シェルの表面積は、第2の電極対の内側電極の表面積より大きくてもよい。したがって、導電性シェルは、内側電極に対して各対の外側電極の表面積を増加させる働きをすることができる。
【0037】
本発明者らは、異なるサイズを有する離間した電極対を使用して組織のRFでの切断を行う場合、組織は2つの電極のうち小さい方の近くで切断される傾向があることを発見した。したがって、内側電極と比較して大きな表面積を有する導電性シェルを使用すると、内側電極の近くで組織のRFでの切断が生じるのを確実にし得る。これにより、RF EMエネルギーを使用して、顎部の間に位置する組織に明確な切断を行うことができる。特に、これは、RF EMエネルギーによって生じる切断が、ブレード要素間の切断界面またはその近くに位置することを保証するのに役立ち得る。さらに、両方の電極対は、それぞれの導電性シェルに起因して大きな外側電極を備えるため、各電極対は、ブレード要素間の切断界面の両側に集中する、RFでの組織の切断を生成することができる。結果として、顎部の間に位置する組織の効果的なRFでの切断が保証され得る。
【0038】
第1の導電性シェル及び第2の導電性シェルは、互いに電気的に結合され得る。換言すれば、第1の対の外側電極と第2の対の外側電極は、互いに電気的に接続され得る。このようにして、第1の導電性シェルと第2の導電性シェルは共に、両方の電極対のための単一の大きな外側電極として機能することができる。これは、内側電極の周囲、したがってブレード要素間の切断界面に、RFでの切断をさらに集中させるのに役立ち得る。これにより、顎部の間の組織の細かく正確なRFでの切断が可能になる場合がある。第1の導電性シェル及び第2の導電性シェルは、任意の好適な手段で、互いに電気的に結合され得る。例えば、電気コネクタは、第1及び第2の導電性シェルの間に結合することができる。場合によっては、第1及び第2の導電性シェルがエネルギー伝達構造を介して電気的に結合されるように、第1及び第2の導電性シェルは、両方ともエネルギー伝達構造の共通の導体に結合され得る。
【0039】
器具の先端は、第1の導電性シェル及び第2の導電性シェルをエネルギー伝達構造の遠位端に接続するベース構造をさらに備えることができる。このようにして、第1の導電性シェルは、第1の顎部の支持体として機能し得、これを介して第1の顎部がエネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられる。同様に、第2の導電性シェルは、第2の顎部の支持体として作用することができ、それを介して第2の顎部がエネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられる。これにより、導電性シェルが顎部の外面で露出し得、ベース構造に容易に接続できるため、エネルギー伝達構造の遠位端に顎部を取り付けることが容易になり得る。これはまた、機械加工が困難な脆い材料で典型的に作られる可能性がある、平面絶縁体要素のいずれかの取り付け穴を機械加工する必要を回避することもできる。
【0040】
ベース構造は、エネルギー伝達構造の端部で顎部を支持するための任意の適切な構造であってもよい。ベース構造は、例えば、一端でエネルギー伝達構造の遠位端に固定され、他端で第1及び第2の顎部に接続されたアームを備えることができる。このようなベース構造は、エネルギー伝達構造(典型的には可撓性であり得る)の遠位端を補強するのに役立ち、長手方向の力を器具の先端に伝送するのを容易にすることができる。ベース構造は、剛性材料(例えば、ステンレス鋼などの金属)を含んでもよい。
【0041】
第1の顎部及び/または第2の顎部は、第1の顎部と第2の顎部との間の相対的な動きを可能にするために、ベース構造に移動可能に接続され得る。例えば、第1の顎部及び/または第2の顎部は、ベース構造に旋回可能に接続され得る。
【0042】
ベース構造は、第1の導電性シェルをエネルギー伝達構造の遠位端に堅固に接続する第1のベース部分と、第2の導電性シェルが旋回可能に接続される第2のベース部分とを含むことができ、これにより、第2の顎部は、第2のベース部分に対して旋回可能である。したがって、第1の顎部は静的であり、すなわち、ベース構造に対して、したがってエネルギー伝達構造の遠位端に対して固定され、一方、第2の顎部は旋回可能である。したがって、顎部は、第2の顎部を旋回させることによって、開位置と閉位置との間で移動され得る。
【0043】
場合によっては、第1のベース部分は第1の導電性シェルの一部であってもよく、すなわち、第1の導電性シェルはベース構造の一部を形成してもよい。例えば、第1のベース部分は、第1の顎部とエネルギー伝達構造の遠位端との間に延在する第1の導電性シェルの一部であってもよい。これは、第1の顎部とエネルギー伝達構造の遠位端との間の堅固な接続を確実にし、第1の対の外側電極とエネルギー伝達構造との間の電気的接続を容易にするのに役立ち得る。
【0044】
ベース構造は、同軸伝送線の遠位端で第1の導電性シェルを内側導体及び外側導体の第1の導体に電気的に接続する導電性材料を含む(例えば、それで構成される)ことができる。このようにして、第1の導電性シェルは、ベース構造を介して同軸伝送線の導体に直接接続することができる。例えば、第1のベース部分は、第1の導電性シェルを内側導体及び外側導体のうちの第1の導体に電気的に接続する導電性材料を含み得る。
【0045】
さらにまたはあるいは、ベース構造は、同軸伝送線の遠位端で第2の導電性シェルを内側導体及び外側導体の第1の導体に電気的に接続する導電性材料を含む(例えば、それで構成される)ことができる。このようにして、第2の導電性シェルは、ベース構造を介して同軸伝送線の導体に直接接続することができる。例えば、第2のベース部分は、第2の導電性シェルを内側導体及び外側導体のうちの第1の導体に電気的に接続する導電性材料を含み得る。
【0046】
第1の導電性シェルと第2の導電性シェルが互いに電気的に結合されている場合、ベース構造は、第1及び第2の導電性シェルのそれぞれを同軸伝送線の遠位端にある内側導体及び外側導体の第1の導体に接続する導電性材料を含む(例えば、それで構成される)ことができる。したがって、第1の導電性シェル及び第2の導電性シェルは、ベース構造を介して電気的に結合され得る。
【0047】
ベース構造は、第1の電極対の内側電極及び/または第2の電極対の内側電極が、同軸伝送線の遠位端で内側導体及び外側導体のうちの第2の導体に電気的に接続されるキャビティを画定し得る。このように、ベース構造は、第1の対及び/または第2の対の内側電極と、内側導体及び外側導体のうちの第2の導体との間の電気接続を保護するように機能し得る。ベース構造の導電性材料はまた、キャビティ内部の電気接続のための電磁シールドを設けるのに役立ち得る。キャビティは、ベース構造内に画定された空間または空隙であってもよい。
【0048】
キャビティは、絶縁体材料を含むことができる。これにより、キャビティ内側の電気接続と周囲のベース構造との間の断絶を回避するために、キャビティの電気接続が電気的に絶縁されることが保証され得る。絶縁体材料は、任意の適切なタイプの絶縁体材料であってもよい。一例として、熱硬化性プラスチック、シリコーン、エポキシ、または樹脂などの電気ポッティング材料をキャビティ内の絶縁体材料として使用することができる。
【0049】
ベース構造は、ベース構造の側壁に形成された、絶縁体材料をキャビティ内に注入するための開口部を備えることができる。例えば、開口部は、ベース構造の側壁に形成されたホールまたはアパーチャであってもよい。これにより、エネルギー伝達構造の遠位端で器具の先端を組み立てた後、絶縁体材料をキャビティに注入することが可能になり得る。これにより、器具の先端の組み立てが容易になり得る。
【0050】
いくつかの実施形態では、第1の電極対の外側電極及び第2の電極対の外側電極は両方とも、内側導体及び外側導体のうちの第1の導体と電気的に接続され得、第1の電極対の内側電極と、第2の電極対の内側電極は両方とも、内側導体及び外側導体のうちの第2の導体に電気的に接続され得る。電極のそのような構成は、第1のRF切断フィールドが第1の電極対の間に確立されることを、第2のRF切断フィールドが第2の電極対の間に確立されることを可能にでき、したがって、組織のRFでの切断が両方の顎部で生じることを可能にする。2つのRFフィールドは、ブレード要素間の切断界面に関して実質的に対称であり得、これは、顎部間に保持された組織の非常に均一な切断をもたらし得る。さらに、そのような電極の構成により、実質的に対称的なマイクロ波フィールドが顎部全体に放出され得て、顎部周囲の組織のマイクロ波での切除及び/または凝固が可能になる。
【0051】
このような実施形態の例は、互いに電気的に結合され、内側導体及び外側導体の第1のものに接続された第1の導電性シェル及び第2の導電性シェルが存在し、両方の対の内側電極が、内側導体と外側導体の第2のものに接続されている場合であり得る。
【0052】
第1の電極対の内側電極と第2の電極対の内側電極とが互いに接触し、それらの間に摺動性電気接触が形成され得る。したがって、2つの対の内側電極は、互いに物理的に接触し得、それらが互いに直接電気的に接触するようにする。第1の対の内側電極は、顎部が開位置と閉位置との間で動かされるとき、第2の対の内側電極を横切って摺動するように配置され得る。2つの対の内側電極は、顎部が開位置にある場合でも、内側電極の一部が物理的に接触したままであるように成形することができる。各々の顎部の内側電極間のそのような電気的接触により、それらが単一のより大きな電極として効果的に機能することができるようになる。これはまた、内側電極のうちの1つのみがエネルギー伝達構造に直接接続される必要がある場合があり、エネルギー伝達構造と内側電極との間の電気的接続を容易にすることができる。
【0053】
例として、第1の電極は、第1の平面絶縁体要素の内面に位置する第1の接続パッドに接続することができ、第2の電極は、第2の平面絶縁体要素の内面に位置する第2の接続パッドに接続することができ、第1及び第2の接続パッドは、それらの間に摺動性電気接触が形成されるように互いに接触することができる。第1の接続パッド及び第2の接続パッドは、第1及び第2の顎部が互いに対して旋回可能である軸と整列され得る。これにより、顎部が互いに対して旋回するときに接触パッドが接触したままであることを保証することができる。
【0054】
第1の顎部は、エネルギー伝達構造の遠位端に対して固定され得、第2の顎部は、エネルギー伝達構造の遠位端に対して移動可能であり得る。第1の電極対の内側電極は、内側導体及び外側導体の一方に電気的に接続され得る。したがって、可動の顎部(すなわち、第2の顎部)の内側電極は、固定された顎部(すなわち、第1の顎部)の内側電極との電気的接触を介して接続されるので、エネルギー伝達構造に直接電気的に接続される必要がない場合もある。これにより、器具の先端の構造が簡素化され、可動の顎部の内側電極への電気接続の信頼性が向上する(例えば、これが顎部の動きによって断線する可能性のあるワイヤを介して接続されてはいないため)。例として、第1の顎部は、エネルギー伝達構造の遠位端に(例えば、上述の第1のベース部分を介して)堅固に取り付けられてもよく、一方、第2の顎部は、第1の顎部に対して(したがって、エネルギー伝達構造の遠位端に対して)旋回可能であるように取り付けられてもよい。
【0055】
いくつかの実施形態では、第1の電極対の外側電極及び第2の電極対の内側電極は、内側導体及び外側導体のうちの第1のものと接続され得、第1の電極対の内側電極と、第2の電極対の外側電極は、内側導体及び外側導体のうちの第2のものに電気的に接続され得る。換言すれば、各対の内側電極は反対の極性を有することができ、各対の外側電極は反対の極性を有することができる。電極のそのような構成は、第1のRF切断フィールドが第1の電極対の間に確立されること、第2のRF切断フィールドが第2の電極対の間に確立されること、及び第3のRF切断フィールドが第1の対の内側電極と第2の対の内側電極の間に確立されることを可能にし得る。その結果、RFでの組織の切断は、各顎部、ならびに第1及び第2のブレード要素の間の切断界面で発生し得る。したがって、顎部に対応する領域にわたってRFでの切断を行うことができる。さらに、このような電極の構成では、2つの別個のマイクロ波フィールドが放出され得る。第1のマイクロ波フィールドは第1の電極対によるものであり、第2のマイクロ波フィールドは第2の電極対によるものである。これにより、顎部の周囲の組織のマイクロ波アブレーション及び/または凝固の均一性が向上し得る。
【0056】
第1の顎部及び/または第2の顎部は、第1の電極対の内側電極と第2の電極対の内側電極との間に配置され、それらを互いに絶縁する絶縁体材料を含み得る。場合によっては、絶縁体材料は、第1の顎部または第2の顎部に完全に配置され得る。あるいは、絶縁体材料は2つの顎部の間で分割されてもよい、すなわち、絶縁体材料の第1の部分が第1の顎部に配置され、絶縁体材料の第2の部分が第2の顎部に配置されてもよい。
【0057】
絶縁体材料は、平面絶縁体要素の形態であってもよく、第1及び/または第2の平面絶縁体要素と同様の形状を有してもよい。絶縁体材料は、ブレード要素のうちの1つの全部または一部を画定するように配置され得る。例えば、絶縁体材料は、顎部の間に位置する組織に接触して切断するように配置された切断縁を備えてもよい。
【0058】
この器具の先端は、外科用スコープデバイスの器具チャネルの内部に適合する寸法に作られることができる。したがって、別の態様では、本発明は、電気外科装置であって、高周波(RF)電磁(EM)エネルギー及びマイクロ波EMエネルギーを供給するための電気外科用ジェネレータ、患者の体内に挿入するための器具コードを有する外科用スコープデバイスであって、器具コードが外科用スコープデバイスを貫通して延びる器具チャネルを有する、外科用スコープデバイス、及び外科用スコープデバイスの器具チャネルを通して挿入される、上記の電気外科用切除ツールを備える、電気外科装置を提供する。
【0059】
装置は、電気外科用切除ツールを制御するためのハンドピースを備えることができる。ハンドピースは、シャフトの近位端、例えば外科用スコープデバイスの外側に取り付けることができる。
【0060】
本明細書では、「外科用スコープデバイス」という用語は、侵襲的処置の間に患者の体内に導入される剛性または可撓性の(例えば、操作可能な)導管である挿入管を備えた任意の外科用デバイスという意味で使用され得る。挿入管は、器具チャネルと(例えば、光を伝えて挿入管の遠位端で治療部位を照らす、及び/または治療部位の画像をキャプチャするための)光チャネルとを含み得る。器具チャネルは、侵襲的な手術用ツールを受け入れるのに適した直径を有し得る。器具チャネルの直径は5mm以下であってよい。
【0061】
本明細書において、用語「内部」とは、器具チャネル及び/または同軸伝送線の中心(例えば、軸)に対して半径方向により近いことを意味する。用語「外部」は、器具チャンネル及び/または同軸伝送線の中心(軸)から半径方向により遠いことを意味する。
【0062】
「伝導性」という用語は、本明細書では、文脈上別の意味が示される場合を除き、電気伝導性を意味するために用いる。
【0063】
本明細書では、用語「近位」及び「遠位」とは、細長いツールの端部のことをいう。使用時、近位端は、RF及び/またはマイクロ波エネルギーを供給するジェネレータにより近く、一方、遠位端は、ジェネレータからより遠い。
【0064】
本明細書では、「マイクロ波」は、400MHz~100GHzの周波数範囲を指して広く使われてよいが、好ましくは1GHz~60GHzの範囲を指す。検討された具体的な周波数は、915MHz、2.45GHz、3.3GHz、5.8GHz、10GHz、14.5GHz、及び24GHzである。対照的に、本明細書は、「無線周波数」または「RF」を使用して、例えば最大300MHz、好ましくは10kHz~1MHz、最も好ましくは400kHzという、少なくとも3桁低い周波数範囲を示す。
【0065】
添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0066】
図1】本発明の実施形態である電気外科用システムの概略図である。
図2】本発明の実施形態による電気外科用切除ツールの概略的な透視図である。
図3図2の電気外科用切除ツールの概略的な斜視図である。
図4図2の電気外科用切除ツールの部品を示す概略図である。
図5図2の電気外科用切除ツールの部品を示す概略図である。
図6】組み立て前の図2の電気外科用切除ツールの部品を示す概略図である。
図7】組み立てが完了する前の、図2の電気外科用切除ツールの概略図である。
図8】組み立てが完了する前の、図2の電気外科用切除ツールの概略図である。
図9】本発明の実施形態による電気外科用切除ツールの器具の先端を示す概略図である。
図10】本発明の実施形態による電気外科用切除ツールの器具の先端を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1は、本発明の実施形態である完全な電気外科用システム100の概略図である。システム100は、器具の先端からの無線周波数(RF)またはマイクロ波電磁(EM)エネルギーを使用して生体組織を治療する(例えば、切断または密封する)ように構成される。このシステム100は、RF及びマイクロ波EMエネルギーを制御可能に供給するためのジェネレータ102を含む。この目的のための適切なジェネレータは、参照により本明細書に組み込まれるWO2012/076844に記載されている。ジェネレータ102は、インタフェースケーブル104によってハンドピース106に接続されている。ハンドピース106はまた、シリンジなどの流体送達デバイス108から流体の供給107を受け取るように接続され得るが、これは必須ではない。必要に応じて、ハンドピース106は、アクチュエータ109によって操作可能な器具作動機構、例えば親指で操作されるスライダまたはプランジャを収容することができる。例えば、本明細書で論じるように、器具作動機構を使用して、切除器具の顎部の開閉を操作することができる。他の機構もハンドピースに含めることができる。例えば、器具の先端に針を配備するために、(ハンドピースの適切なトリガーによって操作可能な)針移動機構を設けることができる。ハンドピース106の機能は、ジェネレータ102、必要なその他の入力とともに、流体送達デバイス108及び器具作動機構からの入力を、ハンドピース106の遠位端から延びる単一の可撓性シャフト112に結合することである。
【0068】
可撓性シャフト112は、外科用スコープデバイス114の器具(作業)チャネルの全長を通して挿入可能である。可撓性シャフト112は、外科用スコープデバイス114の器具チャネルを通過し、内視鏡の挿入管の遠位端で(例えば、患者の体内に)突出するような形の器具の先端118を有する。器具の先端118は、生体組織を把持して切断するためのブレード要素を有する一対の顎部と、ジェネレータ102から伝達されるRFまたはマイクロ波EMエネルギーを送達するように配置されたエネルギー送達構造とを含む。任意選択的に、器具の先端118は、流体送達デバイス108から運ばれる流体を送達するための格納式皮下注射針も含み得る。ハンドピース106は、器具の先端118の顎部を開閉するための作動機構を含む。ハンドピース106はまた、外科用スコープデバイス114の器具チャネルに対して器具の先端118を回転させるための回転機構を含み得る。
【0069】
器具の先端118の構造は、作動チャネルを通過するのに適している最大外径を有するように配置することができる。通常、内視鏡などの外科用スコープデバイスの作動チャネルの直径は、4.0mm未満であり、例えば、2.8mm、3.2mm、3.7mm、3.8mmのいずれか1つである。可撓性シャフト112は、これよりも小さい、例えば2.65mmの最大直径を有し得る。可撓性シャフト112の長さは、1.2m以上、例えば、2m以上であることができる。他の例では、器具の先端118は、シャフトが作動チャネルを通して挿入された後(及び器具コードが患者に導入される前に)、可撓性シャフト112の遠位端に取り付けられ得る。あるいは、可撓性シャフト112は、その近位の接続を行う前に、遠位端から作動チャネルに挿入することができる。これらの構成では、遠位端組立体118は、外科用スコープデバイス114の作動チャネルよりも大きい寸法を有することが許容され得る。上述のシステムは、器具を患者の体内に入れる1つの方法である。他の技法も可能である。例えば、この器具は、カテーテルを使用して挿入することもできる。
【0070】
本明細書の例は、外科用スコープデバイスに関連して存在するが、電気外科用切除器具は、開腹手術または腹腔鏡との使用に適したデバイスで具現化され得ることが理解されるべきである。
【0071】
図2~8は、本発明の実施形態である電気外科用切除ツールの器具の先端200を示す。器具の先端200は、例えば、図1に関連して上述した器具の先端118に対応することができる。図2は、器具の先端200の第1の側面を描写する、器具の先端200の第1の概略的な斜視図を示し、図3は、器具の先端200の第2の側面を示す、器具の先端200の第2の概略的な斜視図を示す。図4~8は、器具の先端200の構造を示す。
【0072】
器具の先端200は、同軸ケーブル202(図4及び6~8に示される)の形態であるエネルギー伝達構造の遠位端に取り付けられる。同軸ケーブル202は、上述の可撓性シャフト112に対応し得る可撓性シャフト204を通って延在する。特に、可撓性シャフト204は、可撓性シャフト204の遠位端から突出する器具の先端200を備えた、同軸ケーブル202が延在する管腔を画定する。同軸ケーブル202は、RF及びマイクロ波EMエネルギーを電気外科ジェネレータ(例えば、上述のジェネレータ102)から器具の先端200に伝達するように配置される。
【0073】
器具の先端200は、開位置と閉位置との間で互いに対して移動可能な第1の顎部206及び第2の顎部208を有する。具体的には、図示の例では、第1の顎部206は静止している、すなわち同軸ケーブル202の遠位端に対して固定されているが、第2の顎部208は第1の顎部208に旋回可能に取り付けられている。第1の顎部206に対する第2の顎部208の動きを制御するために、制御ワイヤ(またはロッド)210の形態のアクチュエータが第2の顎部208に接続される(例えば、図3及び8を参照)。制御ワイヤ210は、可撓性シャフト204の管腔内部に配置され、第2の顎部208を動かすために管腔内部で長手方向に摺動可能である。制御ワイヤ210の近位端は、制御ワイヤ210を介して第2の顎部208の動きを制御するように動作可能なハンドピース(例えば、ハンドピース106)に接続されてもよい。図2及び3は、開位置にある顎部206、208を示しており、顎部206、208の間に、組織を受け入れることができるギャップが画定されている。
【0074】
第1の顎部206は、第1のブレード要素212を含み、第2の顎部208は、第2のブレード要素214を含む。各ブレード要素は、顎部間のギャップに位置する組織に接触し、顎部が閉位置に移動したときに組織を切断するように配置された縁部を備えてもよい。具体的には、第2のブレード要素214は、顎部206、208の間のギャップに位置する組織に剪断力が加えられるように、第2の顎部208が閉位置に向かって移動するときに、第1のブレード要素212を横切って摺動するように配置される。したがって、顎部間のギャップに位置する組織は、第2の顎部208を閉位置に向かって旋回させることによって切断することができる。
【0075】
第1のブレード要素212は、第1の顎部206の第1の平面絶縁体要素216によって画定され、第2のブレード要素214は、第2の顎部208の第2の平面絶縁体要素218によって画定される。特に、第1の平面絶縁体要素216は、第2の平面絶縁体要素218の方に向く内面220を含み、第2の顎部208が第1の顎部206に対して旋回されると、第2の平面絶縁体要素218の内面222が摺動する。これにより、2つの平面絶縁体要素の間に剪断の動きが生じる。第1及び第2の平面絶縁体要素のそれぞれは、セラミック(例えば、アルミナ)または他の適切な電気絶縁材料から作ることができる。第1及び第2の平面絶縁体要素はそれぞれ、第2の顎部208が第1の顎部206に対して旋回する平面に平行な平面を画定する。第2の平面絶縁体要素218は、第2のブレード要素214のセレーションとして機能する一対の突起(または歯)223を含む。したがって、突起223は、組織の保持及び/または切断を容易にするために、顎部の間のギャップに位置する組織を把持するように機能し得る。第1の平面絶縁体要素216は、同様の突起(図示せず)を含み、第1のブレード要素212のセレーションとして機能することができる。
【0076】
器具の先端200は、各顎部に1つずつ配置された、2つの電極対をさらに含む。第1の顎部206は、第1の平面絶縁体要素216の内面220に形成された内側電極224と、第1の平面絶縁体要素216の外面に配置された外側電極226とを含む。同様に、第2の顎部206は、第2の平面絶縁体要素218の内面222に形成された内側電極228と、第2の平面絶縁体要素218の外面に配置された外側電極230とを含む。したがって、第1の平面絶縁体要素216は、第1の顎部206の内側電極及び外側電極を互いに電気的に絶縁する働きをし、第2の平面絶縁体要素218は、第2の顎部208の内側電極及び外側電極を互いに電気的に絶縁する働きをする。
【0077】
第1の顎部206の内側電極224は、第1の平面絶縁体要素216の内面220に堆積される導電性材料(例えば、金)の層またはフィルムによって形成される。内側電極224は、内面220の一部を覆い、第1のブレード要素212(すなわち、第1の平面絶縁体要素216)の切断縁に沿って延在し、顎部が閉じているときにそれが第1のブレード要素と第2のブレード要素との間の切断界面に位置するようにする。第1の顎部206の外側電極226は、第1の平面絶縁体要素216の外面に付着される(例えば、接着される)第1の導電性シェルの形態である。第1の導電性シェルは、第1の平面絶縁体要素216の外面全体を覆い、第1の平面絶縁体要素216の厚さと同様の厚さを有する一片の導電性材料である。第1の導電性シェルの外面は、第1の顎部206の外面に作用する。第1の導電性シェルの外面は、丸くすることができるので、第1の顎部206は滑らかな外面を有する。
【0078】
第2の顎部208の電極は、第1の顎部206の電極と同様の方法で形成される。特に、第2の顎部208の内側電極228は、第2の平面絶縁体要素218の内面222に堆積される導電性材料(例えば、金)の層またはフィルムによって形成される。内側電極228は、内面222の一部を覆い、第2のブレード要素214(すなわち、第2の平面絶縁体要素218)の切断縁に沿って延在し、顎部が閉じているときにそれが第1のブレード要素と第2のブレード要素との間の切断界面に位置するようにする。第2の顎部208の外側電極230は、第2の平面絶縁体要素218の外面に付着させる(例えば、接着させる)第2の導電性シェルの形態である。第2の導電性シェルは、第2の平面絶縁体要素218の外面の大部分を覆い、第2の平面絶縁体要素218の厚さと同様の厚さを有する一片の導電性材料である。第2の導電性シェルの外面は、第2の顎部206の外面を形成する。図2に示すように、第2の導電性シェルは、第2の平面絶縁体要素218の溝に係合する突起232を有する。溝での突起232の係合は、第2の導電性シェルを第2の平面絶縁体要素218と整列させ、2つの部分の間の滑りを回避するのに役立つ。当然、第2の導電性シェルを第2の平面絶縁体要素218に対して配置するための異なるタイプの係合機構を使用することができる。同様の係合機構は、第1の平面絶縁体要素216に対して第1の導電性シェルを配置するためにも使用され得る。
【0079】
各顎部の電極対は、同軸ケーブル202の遠位端に電気的に接続されているため、電極は、同軸ケーブル202によって伝達されるRF及びマイクロ波EMエネルギーを送達することができる。電極が同軸ケーブルに接続される方法は、より詳細に以下に論じられる。
【0080】
今より、器具の先端200の構造について、図4~8を参照して説明する。図は、器具の先端200の組み立ての様々な段階を示している。同軸ケーブル202は、絶縁体材料238によって分離される内側導体234及び外側導体236を含む。さらに、同軸ケーブル202は、絶縁材料で作られた外側シース240を含む。第1の顎部206及び第2の顎部208は、ベース構造242を介して同軸ケーブル202の遠位端に取り付けられる。ベース構造242は、導電性材料で作られた第1のベース部分244を含み、これは、第1の顎部206を同軸ケーブル202の遠位端にしっかりと接続する。第1のベース部分244は、同軸ケーブル202の遠位端と第1の導電性シェル(第1の顎部206の外側電極226を形成する)との間に延びるアームを備える。図示の例では、第1の導電性シェル及び第1のベース部分244は、導電性材料の単一片として一体に形成される。しかし、他の例では、それらは互いに接続される別個の部品として形成されてもよい。第1のベース部分244は、同軸ケーブル202の遠位端が受け入れられるチャネルを含む第1の取り付け部分246を含む。同軸ケーブル202の外側シース240の長さは、同軸ケーブルの遠位端の近くで取り除かれ、外側導体236が露出される。したがって、外側導体236は、第1の取り付け部分246のチャネルの第1のベース部分244と電気的に接触している。同軸ケーブル202の遠位端は、適切な導電性エポキシを使用して、第1の取り付け部分246のチャネルに固定することができる。その結果、第1の導電性シェル(したがって、第1の顎部206の外側電極226)は、第1のベース部分244を介して外側導体236に電気的に接続される。
【0081】
ベース構造242は、第2の顎部208を同軸ケーブル202の遠位端に旋回可能に取り付ける第2のベース部分248をさらに備える。第2のベース部分248は、導電性材料で作られ、導電性材料は、第1のベース部分244と同じ材料(例えば、ステンレス鋼)であり得る。第2のベース部分248は、第1のベース部分244と第2のベース部分248が電気的に接触するように、第1のベース部分244の第1の取り付け部分246に固定される第2の取り付け部分250を含む。第1の取り付け部分246及び第2の取り付け部分250は、ベース部分が一緒に固定されると互いに係合する相補的な形状の係合面を有する。図8に示すように、第1のベース部分244及び第2のベース部分248は、第1の取り付け部分246及び第2の取り付け部分250の周りに嵌合してそれらを一緒に保持する導電リング252を介して一緒に固定される。導電リング252を第1及び第2の取り付け部分にわたる適所に固定するために、導電リング252の内側に接着剤が注入されてもよい。ベース構造242を一緒に保持することに加えて、導電性リング252はマイクロ波シールドとして機能することができ、マイクロ波エネルギーが顎部の電極に到達する前に放射されるのを防止する。
【0082】
第2のベース部分248は、第2の取り付け部分250から長手方向に延びるアームを含み、第2の導電性シェル(第2の顎部208に外側電極230を形成する)が旋回可能に取り付けられる。示されている例では、第2の導電性シェルは、リベット254を介して第2のベース部分240に旋回可能に取り付けられている。第2の導電性シェルは、リベット254(導電性材料でできている)を介して第2のベース部分248と電気的に接触している。したがって、第2の導電性シェル(したがって、第2の顎部208の外側電極230)は、同軸ケーブル202の外側導体236に電気的に接続される。したがって、第1の顎部206の外側電極226及び第2の顎部の外側電極230の両方が、ベース構造242を介して外側導体236に電気的に接続される。
【0083】
図6に示されるように、第2のベース部分248は、制御ワイヤ210が第2の顎部208に接続するように延在する通路249を含み得る。第2の導電性シェルは、制御ワイヤ210の遠位端が接続される付着部分251を含むことができる。第2の導電性シェルには、制限ピン253(図6に示す)を設けることもでき、これは開位置と閉位置との間で第1の顎部206に対する第2の顎部208の動きを制限する働きをする。これにより、第2の顎部208の位置をより正確に制御することが可能になり得る。
【0084】
第1の顎部206の内側電極224は、同軸ケーブル202の内側導体234に電気的に接続される。図4に示すように、第1の平面絶縁体要素216は、第1のブレード要素212と同軸ケーブル202の遠位端との間に延在する接続部分256を含む。内側導体234の遠位端は、同軸ケーブル202の遠位端を越えて突出し、第1の平面絶縁体要素216の接続部分256にあるようにする。ワイヤ258は、第1の平面絶縁体要素の接続部分256に沿って長手方向に延在し、内側電極224を内側導体234の遠位端に電気的に接続する。ワイヤ258は、接続部分256に沿って延在する内側電極224の一部であってもよく、例えば、ワイヤ258及び内側電極224は、第1の平面絶縁体要素216の内面220に一緒に堆積させてもよい。
【0085】
ワイヤ258は、第1の平面絶縁体要素216の内面220に形成された第1の接続パッド260(図4及び5に示される)を備える。第1の接続パッド260は、第2の平面絶縁体要素218の内面222上に形成された第2の接続パッド262(図6に示す)に接触するように配置され、第1の接続パッド260と第2の接続パッド262との間に摺動での電気接触が形成されるようにする。特に、第1及び第2の接続パッドは、リベット254の軸を中心として配置され、その軸を中心に第2の顎部208が旋回する。したがって、第2の接続パッド262は、第2の顎部208が第1の顎部206に対して旋回するとき、第1の接続パッド260と電気的に接触したままである。第2の接続パッド262は、第2の顎部208の内側電極228に電気的に接続される。例えば、第2の接続パッド262は、内側電極228の一部であってもよく、及び/または内側電極228と共に内面222に堆積させてもよい。このようにして、第2の顎部208の内側電極228は、接続パッド260、262及びワイヤ258を介して内側導体234に電気的に接続される。
【0086】
絶縁体ブロック264は、ワイヤ258と導電性の第2のベース部分248との間の電気的断絶を回避するために、第2のベース部分248と第1の平面絶縁体要素216との間に取り付けられる。例えば、絶縁体ブロック264は、アルミナなどのセラミック材料で作ることができる。絶縁体ブロック264は、接着剤を使用して適所に固定することができる。さらに、図7に示すように、ベース構造242は、キャビティ266が第1のベース部分244と第2のベース部分248との間に形成されるように形作られ、その中で内側導体234がワイヤ258に(したがって、内側電極224、228に)電気的に接続される。キャビティ266は、内側導体234の遠位端とベース構造242との間の電気的断絶のリスクを低減するために、ポッティング材料などの絶縁体材料で満たされ得る。キャビティ266を絶縁体材料で充填することはまた、器具の先端200を補強し、第1及び第2のベース部分を一緒に保持するように働き得る。第2のベース部分248は、絶縁体材料をキャビティ266に注入することができる注入ポート268を含む。
【0087】
器具の先端200を組み立てるために、図4に示されるように、第1のベース部分244及び第1の顎部208が最初に組み立てられ、同軸ケーブル202の遠位端に接続され得る。図5及び6に示されるように、第2の顎部208は、リベット254を介して第2のベース部分248に接続される。次に、絶縁体ブロック264は、(図6に示されるように)第1の平面絶縁体要素216の内面220に配置されてもよく、その後、第2のベース部分248が第1のベース部分244に取り付けられる(図7に示されるように)。次に、注入ポート268を介して、キャビティ266に絶縁体ポッティング材料を注入することができる。次に、導電性リング252を同軸ケーブル202上で、第1及び第2の取り付け部分246、250上に摺動させて、第1及び第2のベース部分244、248を一緒に保持することができる。上記のように、接着剤を使用して、導電リング252を第1の取り付け部分246及び第2の取り付け部分250の上に固定することができる。次いで、制御ワイヤ210を、第2のベース部分248の通路249に通し、第2の顎部208の付着部分に接続することができる(図8に示すように)。最後に、可撓性シャフト204を同軸ケーブル202上に引っ張り、例えば接着剤を使用して導電リング252に固定することができる。
【0088】
図2~8を参照して説明した実施形態では、顎部の1つだけが可動である。しかし、他の実施形態では、両方の顎部を同軸ケーブル202の遠位端に移動可能に取り付けて、例えば顎部のはさみ状の開閉をもたらすことができる。異なる実施形態では、電極への異なる電気接続を使用できることにも留意されたい。例えば、いくつかの実施形態では、内側電極を外側導体236に接続することができ、一方で外側電極を内側導体に接続することができる。種々の電極の構成は、図9及び10を参照しながら下部で論じられる。
【0089】
図9及び10は、本発明の実施形態による電気外科用切除ツールにおける可能な電極の構成を示す概略図である。
【0090】
図9は、第1の顎部902及び第2の顎部904を有する、電気外科用切除ツールの器具の先端900の一部の概略的な断面図を示す。第1及び第2の顎部は、互いに対して移動可能(例えば、旋回可能)であり、それぞれ、顎部の間に位置する組織を切断するためのそれぞれのブレード要素を含む。第1の顎部902は、第1の絶縁体材料910によって分離された第1の内側電極906及び第1の外側電極908を含む。第1の内側電極906は、電気外科用切除ツールの同軸ケーブルの内側導体に電気的に接続され、一方で第1の外側電極908は、同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続される。同様に、第2の顎部904は、第2の絶縁体材料916によって分離された第2の内側電極912及び第2の外側電極914を含む。第2の内側電極912は同軸ケーブルの内側導体に電気的に接続され、一方で第2の外側電極914は同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続される。図9~10の「+」及び「-」という記号は、各電極が同軸ケーブルの内側導体と外側導体のどちらに接続されているかを示し、「+」は電極が内側導体に接続されていることを示し、「-」は電極が外側導体に接続されていることを示す。
【0091】
したがって、図9に示される電極の構成は、内側電極が同軸ケーブルの内側導体に接続され、外側電極が同軸ケーブルの外側導体に接続される、上述の器具の先端200の電極の構成に対応し得る。したがって、例えば、第1の内側電極906は内側電極224に対応し得、第1の外側電極908は外側電極226に対応し得、第1の絶縁体材料910は第1の平面絶縁体要素216に対応し得、第2の内側電極912は内側電極228に対応することができ、第2の外側電極914は外側電極230に対応することができ、第2の絶縁体材料916は第2の平面絶縁体要素218に対応することができる。したがって、第1の内側導体906と第2の内側導体912との間に摺動性の電気接点(図示せず)があってもよい。
【0092】
図9に示される電極の構成では、RF EMエネルギーが同軸ケーブルを介して電極に伝送されるとき、2つのRF切断フィールドが生成され得る。第1の内側電極906と第1の外側電極908との間に第1のRF切断フィールドを確立することができ、第1の内側電極906は第1の活性電極として作用し、第1の外側電極908はRF EMエネルギーの第1の戻り電極として作用する。同様に、第2の内側電極912と第2の外側電極914との間に第2のRF切断フィールドを確立することができ、第2の内側電極912は第2の活性電極として作用し、第2の外側電極914はRF EMエネルギー用の第2の戻り電極として作用する。その結果、RF切断フィールドは、2つの顎部の間の界面に関して実質的に対称にし得、RFでの均一な組織の切断を可能にすることができる。さらに、外側電極が大きな導電性シェルによって形成されながらも、内側電極が導電性材料の薄層によって形成される上記の器具の先端200の実施形態では、RFでの切断は内側電極の近くに集中させることができる。これは、組織のRFでの切断が2つの電極の小さい方で発生する傾向があるためである。したがって、外側電極908、914を内側電極906、912よりも大きくすることによって(例えば、それらにより大きな表面積を充てることによって)、組織のRFでの切断は、第1及び第2の顎部902、904の間の界面に集中させることができ、そのことが細かく正確な切断を実現させ得る。
【0093】
マイクロ波EMエネルギーが同軸ケーブルを介して顎部902、904の電極に送達されると、マイクロ波のフィールドが顎部の周りに確立され得る。特に、内側電極及び外側電極は、共に、マイクロ波エネルギーを放出するためのマイクロ波フィールド放射構造(またはアンテナ構造)として機能することができる。第1の内側電極906及び第2の内側電極912は互いに電気的に接続されているので、それらはマイクロ波エネルギーを放出する単一のマイクロ波エミッタとして機能することができる。第1の外側電極908及び第2の外側電極914は、放出されたマイクロ波エネルギーを形成する接地導体として機能することができる。そのようなマイクロ波フィールド放射構造は、実質的に対称的なマイクロ波のフィールドが顎部の周りに放出される結果を生じ得る。器具の先端200の実施形態では、外側導体が顎部の外面の導電性シェルに設けられるので、放出されたマイクロ波エネルギーは、顎部の周囲及び顎部間のギャップに集中させることができる。これにより、組織のマイクロ波焼灼及び/または凝固が、顎部の周囲の明確に定義された領域で確実に行われるようにし得る。
【0094】
当然、他の実施形態では、電極の極性は、図9に示されるものと比較して逆にすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の内側電極906を外側導体に接続することができ、第1の外側電極908を内側導体に接続することができ、第2の内側電極912は外側導体に接続することができ、第2の外側電極914は内側導体に接続することができる。
【0095】
図10は、第1の顎部1002及び第2の顎部1004を有する、電気外科用切除ツールの器具の先端1000の一部の概略的な断面図を示す。第1及び第2の顎部は、互いに対して移動可能(例えば、旋回可能)であり、それぞれ、顎部の間に位置する組織を切断するためのそれぞれのブレード要素を含む。第1の顎部1002は、第1の絶縁体材料1010によって分離された第1の内側電極1006及び第1の外側電極1008を含む。第1の内側電極1006は、電気外科用切除ツールの同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続され、一方で第1の外側電極1008は、同軸ケーブルの内側導体に電気的に接続される。同様に、第2の顎部1004は、第2の絶縁体材料1016によって分離された第2の内側電極1012及び第2の外側電極1014を含む。第2の内側電極1012は同軸ケーブルの外側導体に電気的に接続され、一方で第2の外側電極1014は同軸ケーブルの内側導体に電気的に接続される。したがって、2つの顎部の内側電極は同軸ケーブルの反対側の導体に接続され、2つの顎部の外側電極は同軸ケーブルの反対側の導体に接続される。
【0096】
第1の内側電極1006と第2の内側電極1012との間の電気的接続を防止するために、第2の顎部1004は、第2の内側電極1012を覆い、第2の内側電極1012と第1の内側電極1006との間に配置される第3の絶縁体材料1018を含む。第3の絶縁体材料1018は、第1及び第2の絶縁体材料1010、1016と同じ絶縁体材料でできていてもよく、例えば、第2の顎部1004に取り付けられる平面絶縁体要素の形態であってもよい。第3の絶縁体材料1018は、第2の顎部1004のブレード要素を画定する働きをし、例えば、第3の絶縁体材料1018は、顎部間に位置する組織を切断するように配置された切断縁を有し得る。第3の絶縁体要素1018はまた、第2の内側電極1018を保護する働きをし得る。追加的または代替的に、第4の絶縁体材料片(図示せず)は、それが第1の内側電極1006を覆い、第1の内側電極1006と第2の内側電極1012との間に配置されるように、第1の顎部1002に設けられてもよい。第4の絶縁体材料片は、第1の顎部1002のブレード要素を画定するのに役立ち得る。このように第1及び第2の内側導体のそれぞれを絶縁体材料で覆うことにより、内側電極間の電気的断絶のリスクを最小限に抑えることができる。これはまた、顎部間の対称性を改善することができ、その結果、やがて器具の先端によって放出されるRF及びマイクロ波エネルギーの対称性を改善することができる。
【0097】
図10に示される電極の構成では、RF EMエネルギーが同軸ケーブルを介して電極に伝送されるとき、3つのRF切断フィールドが生成され得る。第1の内側電極1006と第1の外側電極1008との間に第1のRF切断フィールドを確立することができ、第1の内側電極1006は第1の戻り電極として作用し、第1の外側電極1008はRF EMエネルギーの第1の活性電極として作用する。第2の内側電極1012と第2の外側電極1014との間に第2のRF切断フィールドを確立することができ、第2の内側電極1012は第2の活性電極として作用し、第2の外側電極1014はRF EMエネルギー用の第2の戻り電極として作用する。さらに、第1の内側電極1006と第2の内側電極1012とが同軸ケーブルの異なる導体に接続されているので、それらの間に第3のRF切断フィールドを確立することができる。その結果、RF切断フィールドは、各顎部において、ならびに顎部の間に確立され得る。これは、顎部の間に位置する組織のRF切断を実行できる均一性を改善し、顎部のより広い領域にわたってRFでの切断を実行できるようにする。上記の論述と同様に、RF切断は、内側電極1006、1012に対して外側電極1008、1014のサイズを大きくすることによって、顎部1002、1004の間の界面に集中させることができる。例えば、外側電極1008、1014は、顎部の外面の比較的大きな導電性シェルによって実装されてもよく、一方で内側電極1006、1012は、顎部の薄い導電層によって実装されてもよい。
【0098】
マイクロ波エネルギーが顎部1002、1004の電極に送達されると、それぞれのマイクロ波フィールドが、各顎部の電極対によって放出され得る。特に、第1の内側電極1006及び第1の外側電極1008は、第1のマイクロ波フィールド放射構造として機能し得、一方で第2の内側電極1012及び第2の外側電極1014は、第2のマイクロ波フィールド放射構造として機能し得る。その結果、それぞれのマイクロ波フィールドが各顎部で放出され得る。これにより、顎部の間に位置する組織をマイクロ波エネルギーで、顎部の間の界面に関して実質的に対称的に治療することが可能になり得る。例えば、これにより、顎部の間に位置する組織を両側で実質的に均一に切除及び/または凝固することが可能になり得る。
【0099】
当然、他の実施形態では、電極の極性は、図10に示されるものと比較して逆にすることができる。例えば、いくつかの実施形態では、第1の内側電極1006を内側導体に接続し得、第1の外側電極1008を外側導体に接続し得、第2の内側電極1012を外側導体に接続し得、第2の外側電極1014を第2の内側電極に接続することができる。
【0100】
図9及び10に示されている器具の先端の部分は、原寸に比例させて示されてはいないことに留意されたい。さらに、説明の目的で、図9及び10は、第1及び第2の顎部を接触しているものとして示してはいない。しかし、実際には、第1及び第2の顎部は互いに接触していてもよく、例えば、これらは互いに旋回可能に接続されていてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【国際調査報告】