(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】唾液サンプル採取用キット
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20231115BHJP
G01N 33/569 20060101ALI20231115BHJP
G01N 1/10 20060101ALI20231115BHJP
C12N 15/10 20060101ALI20231115BHJP
C12M 1/34 20060101ALI20231115BHJP
C12Q 1/686 20180101ALI20231115BHJP
C12Q 1/6888 20180101ALI20231115BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20231115BHJP
C12N 7/06 20060101ALN20231115BHJP
C12N 15/50 20060101ALN20231115BHJP
【FI】
G01N33/50 G
G01N33/569 Z
G01N1/10 V
C12N15/10 100Z
C12M1/34 Z
C12Q1/686 Z
C12Q1/6888 Z
C12Q1/6869 Z
C12N7/06
C12N15/50
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023517649
(86)(22)【出願日】2020-09-18
(85)【翻訳文提出日】2023-03-15
(86)【国際出願番号】 EP2020076183
(87)【国際公開番号】W WO2022058023
(87)【国際公開日】2022-03-24
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521222305
【氏名又は名称】プロコムキュア バイオテック ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Procomcure Biotech GmbH
【住所又は居所原語表記】Breitwies 1, 5303 Thalgau, Austria
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ワーラーシュトルファー ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】エンダー カミーユ
【テーマコード(参考)】
2G045
2G052
4B029
4B063
4B065
【Fターム(参考)】
2G045BB54
2G045CB07
2G045DA14
2G045FB02
2G052AA29
2G052AB20
2G052DA27
4B029AA23
4B029BB13
4B029DG04
4B029FA11
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ03
4B063QQ10
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR62
4B063QR79
4B063QS25
4B063QS34
4B065AA95X
4B065AA95Y
4B065AC14
4B065CA46
(57)【要約】
本発明は、レセプタブルの内部にコロナウイルス不活性化組成物が固体形態で存在する体液用レセプタブル、唾液の採取のためのレセプタブルの使用、レセプタブルを含む唾液サンプル採取用キット、唾液、特にウイルスRNAを含む唾液の採取のためのキットの使用、およびRNAまたはDNAの検出方法に関するものである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レセプタブルの内部に抗コロナウイルス不活性化組成物が固形で存在することを特徴とする体液用レセプタブル。
【請求項2】
前記レセプタブルが、固形状のグアニジニウム塩を含むか、またはそれからなるコロナウイルス不活性化組成物を含む、請求項1に記載の体液用レセプタブル。
【請求項3】
前記コロナウイルス不活性化組成物が、沈殿により前記レセプタブルの内面に体積する、請求項1または2に記載のレセプタブル。
【請求項4】
前記コロナウイルス不活性化組成物が固形化緩衝剤を含む、前記請求項の1つ以上に記載のレセプタブル。
【請求項5】
前記コロナウイルス不活性化組成物が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび/またはエチレンジアミン四酢酸を含む、前記請求項の1つ以上に記載のレセプタブル。
【請求項6】
前記コロナウイルス不活性化組成物が、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとグアニジニウム塩を、1:1000~1:10、好ましくは1:500~1:20、より好ましくは1:150~1:50の範囲のモル比で含む、前記請求項の1つ以上に記載のレセプタブル。
【請求項7】
前記コロナウイルス不活性化組成物は、エチレンジアミン四酢酸およびグアニジニウム塩を、1:1000~1:20、好ましくは1:600~1:50、より好ましくは1:300~1:100の範囲のモル比で含む、前記請求項の1以上に記載のレセプタブル。
【請求項8】
前記コロナウイルス不活性化組成物は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンとエチレンジアミン四酢酸を、20:1~0.5:1、好ましくは10:1~0.8:1、より好ましくは5:1~1:1の範囲のモル比で含む、前記請求項の1以上に記載のレセプタブル。
【請求項9】
グアニジニウム塩は、グアニジニウムチオシアネート、グアニジニウム塩酸塩、グアニジニウムイソチオシアネートおよびそれらの混合物からなる群から選択される、前記請求項の1以上に記載のレセプタブル。
【請求項10】
グアニジニウム塩は、チオシアン酸グアニジニウムおよび/または塩酸グアニジニウムである、前記請求項の1以上に記載のレセプタブル。
【請求項11】
前記レセプタブルがサンプルチューブである、前記請求項の1以上に記載のレセプタブル。
【請求項12】
前記レセプタブルは、密閉可能な開口部を有し、好ましくは密閉可能なサンプルチューブである、前記請求項の1以上に記載のレセプタブル。
【請求項13】
前記レセプタブルは、キャップ、好ましくはスクリューキャップを有する、前記請求項の1以上に記載のレセプタブル。
【請求項14】
前記体液は、唾液である、前記請求項の1以上に記載のレセプタブル。
【請求項15】
前記レセプタブルは、ポリスチレン、またはポリオレフィン、好ましくはポリプロピレンおよび/またはポリエチレンからなる、前記請求項の1以上に記載のレセプタブル。
【請求項16】
唾液の採取のための、前記請求項の1以上に記載のレセプタブルの使用。
【請求項17】
a.請求項1~15の1つ以上に記載の体液用第1レセプタブル、
b.うがい組成物を含む第2レセプタブル、および
c.任意に、充填装置、好ましくは漏斗、
を含む、唾液サンプル採取用キット。
【請求項18】
体液用レセプタブルが、ポリプロピレンまたはポリエチレンまたはポリスチレンからなる密封可能なサンプルチューブである、請求項17に記載のキット。
【請求項19】
第2レセプタブルがサンプルチューブまたはアンプルであり、前記第2レセプタブルは、好ましくはポリプロピレンまたはポリエチレンまたはポリスチレンを含むか、またはそれらからなる、請求項17または18に記載のキット。
【請求項20】
うがい組成物は、水または緩衝生理食塩水を含むか、またはそれらからなる、請求項17または18に記載のキット。
【請求項21】
唾液、特にウイルスRNA、特にSARS-CoV-2ウイルス由来のRNAのようなコロナウイルス由来のRNAを含む唾液を採取するための請求項17から20までの1以上に記載のキットの使用。
【請求項22】
i) 唾液またはうがい液のサンプルを提供すること、
ii) 請求項1~15の1つ以上に記載のレセプタブルに唾液のサンプルを充填すること、および
iii) サンプルを分析すること、
ことを含む、RNAまたはDNAの検出方法。
【請求項23】
前記唾液のサンプルは、うがい組成物でうがいをすることによって得られる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
ウイルスRNA、特にSARS-CoV-2ウイルス由来のRNAのようなコロナウイルス由来のRNAの抽出のための、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
ウイルスRNA、特にSARS-CoV-2ウイルス由来のRNAのようなコロナウイルス由来のRNAの検出のための、請求項22~24に記載の方法。
【請求項26】
前記サンプルは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)もしくはRT-qPCRなどのPCR技術、またはRNA/DNA配列決定もしくはRNA/DNAハイブリダイゼーションで分析される、請求項22~25までの1以上の項に従う方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レセプタブル(receptable)の内部にコロナウイルス不活性化組成物が固形で存在する体液用レセプタブル、唾液の採取のためのレセプタブルの使用、レセプタブルを含む唾液サンプル採取用キット、唾液、特にウイルスRNAを含む唾液の採取のためのキットの使用、およびRNAまたはDNAの検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パンデミックの状況は世界中の医療システムにとって重大かつ困難である。パンデミックの影響は、世界中の公衆衛生および医療提供システムを急速に圧倒する可能性がある。人員配置、医薬品や備品の有用性、およびケアを提供するための代替手段の探索能力は、事前にテストおよびドリルダウンされた詳細な計画に含まれなければならない。恐怖を軽減するために、病気に関する正確な情報を医療スタッフや一般市民が利用できるようにする必要がある。パンデミックをコントロールし、経済を安全に再開するためには、情報収集と人々の検査が最も重要になっている。これは、コロナウイルスによって引き起こされる病気など伝染性の高い病気に特に当てはまる。疾病予防管理センター(CDC)によれば、新型コロナウイルス感染症2019、または「COVID-19」は、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2、または「SARS-CoV-2」によって引き起こされる呼吸器疾患である。この病気は、感染した個体がくしゃみや咳をしたときに生じる呼吸飛沫を介して広がる。症状には、発熱、咳、息切れなどがある。重度の合併症には、肺炎、多臓器不全、場合によっては死亡などがある。
【0003】
COVID-19抗体の存在に基づいて過去の感染を示す抗体検査も利用可能であるが、アクティブなCOVID-19感染を検出するウイルス検査が主要なタイプの検査である。
【0004】
アクティブなCOVID-19感染について人々を検査することが重要な理由はいくつかある。SARS-CoV-2は、この特定のコロナウイルスが人間の間で感染したのはこれが初めてであり、特に伝染性が高い。ワクチンや集団免疫がなければ、COVID-19の感染を予防する唯一の方法は、感染者と非感染者を隔離することである。陽性診断を受けた人は、COVID-19のさらなる拡散を防ぐために自己隔離すべきである。COVID-19に感染していることを確実に知っている人は、隔離、ソーシャルディスタンスの確保、マスク着用などの適切な予防措置をとる可能性が高い。接触を完全に回避したり、感染者の近くではより注意を払ったりすることができるため、この情報は感染者の周囲の人々にとっても有益である。
【0005】
COVID-19に感染したかなりの数の人々が無症状であるという証拠が存在するため、これは特に重要であり、つまりCOVID-19が病気の一般的な兆候を全く示さないか、風邪のような他の病気と間違えられ得るほどの軽度の症状しか示さないことを意味する。研究によると、COVID-19に感染した人々の40%~75%は無症状である。さらに、COVID-19の確定症例の治療を受けている人が増えるほど、Data Doctor、疫学者、および研究者は、病気、その影響、および可能な治療法をよりよく理解する必要がある。
【0006】
誰がCOVID-19に感染しているか、どこでアウトブレイクが発生する可能性があるかを理解することは、急増の可能性に備えて病院を準備することから、ビジネス、学校、教会、およびその他の集会所を安全に再開することまで、パンデミックを管理する上で重要な要素である。上述のように、ウイルスの感染力が強いため、人々は職場、社交の集まり、またはその他の公共の場所で他の人々と接触する前に、現在疫病に感染しているかどうかを比較的確実に知る必要がある。そうしないと、コミュニティ全体に疫病を広げるリスクがある。
【0007】
広範囲に及ぶロックダウンの間、公衆衛生の専門家は、自宅待機命令を解除し、広範な検査を行わずに通常の仕事や社会的習慣に戻ることは、感染症の急増につながる可能性が高いと警告した。これらの専門家は、アウトブレイクを防止するための効果的な広範な検査は、経済を再開させるために重要な部分であることを強調した。しかしながら、COVID-19検査を推奨レベルまで増加させるための課題が存在する。検査は、診断検査を処理する研究所における供給および在庫の不足のために困難になっている。さらに、診療所や研究所は、適切な検体を採取するための熟練者を用意する必要がある。鼻腔スワップによる従来のサンプリングと比較して、唾液サンプルの採取はより容易であり、侵襲的ではなく、検査を受ける人にとって不快ではない。使い勝手の良い態様のおかげで、唾液サンプルの使用は例えば、子供を検査する必要がある学校におけるSARS-CoV-2アウトブレイク中に有利であり得る。また、唾液サンプルを採取する場合は、患者が自分で唾液を摂取できるため、スワップでサンプルを摂取する場合よりも咳やくしゃみのリスクが少ないため、医療従事者のリスクも少なくなる。
【発明の概要】
【0008】
検査システムに関連する問題を考慮すると、自宅で検査を受ける人からのサンプルの採取を可能にするサンプル採取システムが求められている。しかしながら、これは、困難な作業である採取手順の信頼性が高く安全な取り扱いを必要とする。さらに、自宅でのサンプルの採取は、サンプル分析を行っている研究所に郵便サービスで安全にサンプルを輸送することができるように、採取されたサンプルの保存と安定した保管とをさらに必要とする。特に、DNAおよびRNA(例えば、ウイルスRNA)が破壊または損傷を受けないことが重要である。
【0009】
上記課題は、本発明に反映される実施形態によって解決されたものである。
【0010】
本発明の目的は、採取されたサンプルの保存および安定した保管を可能にし、検査を受ける人に十分な安全性を提供する、体液の採取のためのレセプタブルを提供することである。したがって、本発明のレセプタブルは、被験者自身による、例えば自宅での体液の自己採取に適している。
【0011】
本発明の一実施形態は、体液用レセプタブルであって、レセプタブルの内部にコロナウイルス不活性化組成物が固形で存在するものである。
【0012】
本発明の意味における体液用レセプタブルは、一般に体外診断用医用器具であると考えられる。レセプタブルは、体外診断検査の目的において、人体、特に体液に由来するサンプルの格納および保存に特に適している。好ましくは、本発明のレセプタブルはサンプルチューブまたはバイアルである。本発明の一態様では、レセプタブルは、0.5ml~1l、好ましくは1ml~200ml、特に1.5ml~20mlまたは2ml~10mlの範囲の液体の容量を有する。
【0013】
さらなる態様では、レセプタブルは密閉可能な開口部を有し、好ましくは密閉可能なサンプルチューブである。
【0014】
さらなる態様では、レセプタブルは有利には液密密閉され、より好ましくは気密密閉され得る。気密密閉または液密密閉は、汚染を避けるためにサンプルの輸送に有利である。
【0015】
顧客または一般に検査を受けた人が容易かつ安全に密閉することができる密閉可能なレセプタブルが特に好ましい。
【0016】
したがって、本発明のさらなる一態様では、本発明のレセプタブルがキャップ、好ましくはスクリューキャップを有する。
【0017】
本発明のレセプタブルは、一般に、体液および/または生物学的物質との接触に適した任意の材料から構成され得る。非限定的な例は、ガラスまたは有機ポリマーである。有機ポリマーは、壊れにくく耐衝撃性が高く、検査を受ける人が安全に取り扱うことができるため好ましい。
【0018】
特に良好な結果は、ポリスチレンまたはポリオレフィン、好ましくはポリプロピレンおよび/またはポリエチレンなどのポリオレフィンを含むか、またはそれらからなるレセプタブルを用いて達成することができる。
【0019】
好ましい一態様では、レセプタブルは本質的に、120℃より高い、好ましくは140℃より高い、最も好ましくは150℃より高い、例えば150~200℃の融点を有する有機ポリマーからなる。好ましい態様では、コロナウイルス不活性化組成物は、好ましくは80℃以上または90℃以上などの高温でコロナウイルス不活性化組成物を含む組成物から水分を蒸発させることによってレセプタブルの内面に沈殿するので、より高い融点は本発明のレセプタブルにとって有利である。
【0020】
本発明の一態様では、レセプタブルは本質的に高密度ポリオレフィンからなる。さらなる態様では、レセプタブルの材料はキャップなどの密閉の材料とは異なっていてもよい。
【0021】
一態様では、本発明のレセプタブルはポリプロピレンを含むか、または本質的にポリプロピレンからなり、キャップはポリエチレンを含むか、または本質的にポリプロピレンからなる。好ましくは、レセプタブルは採取チューブの形態を有する。
【0022】
本発明のレセプタブルは、体液と接触するのに適した内面を有しており、使用および充填されると、採取された体液と接触する。本発明のレセプタブル中には、固体コロナウイルス不活性化組成物がある。固体コロナウイルス不活性化組成物は、20℃で水溶性である。
【0023】
通常、組成物は、固体形態で、好ましくは粉末形態で、レセプタブルに添加することができる。一態様では、レセプタブルの内面は、少なくとも部分的にコロナウイルス不活性化組成物でコーティングされている。組成物は、少なくとも部分的に、好ましくは完全に、レセプタブルの内面に付着する。
【0024】
特に好ましい実施形態では、コロナウイルス不活性化組成物は、沈殿によってレセプタブルの内面に堆積される。好ましい態様によれば、沈殿は、本発明のレセプタブル中にコロナウイルス不活性化組成物を含む溶液または分散液の溶媒、好ましくは水を蒸発させることによって行われる。
【0025】
固体コロナウイルス組成物を含有するレセプタブルは、検査を受ける人にとってより安全であることが分かった。特に、サンプル採取用キット、好ましくはうがい製剤を含む第2レセプタブルを含むキットで使用される場合、ユーザーがコロナウイルス組成物を含むレセプタブルを誤ってうがい製剤として服用することを回避することができる。
【0026】
コロナウイルスの不活性化は、文献(Evaluation of Chemical Protocols for Inactivating SARS-CoV-2 Infectious Samples; Viruses 2020、12、624)で知られている。コロナウイルス、特にSARS-CoV-2は、カオトロープによって不活性化できることが分かっている。本明細書に記載される特定の実施形態は、生体サンプル中の核酸および/またはポリペプチド分子の実質的に安定な保存のために、組成物中に少なくとも1つのカオトロープを含み得る。DNAおよびRNAを含むポリペプチド、タンパク質、および核酸などの生体高分子の二次、三次および/または四次構造体を破壊する多数のカオトロープまたはカオトロピック剤が当技術分野で知られている。本開示の特定の実施形態での使用が企図されるそのようなカオトロープの非限定的な例としては、グアニジニウム塩、グアニジニウム塩酸塩、グアニジニウムチオシアネート、カリウムチオシアネート、ナトリウムチオシアネートおよび尿素が挙げられる。特定の生体サンプルの特定のタイプに関連し得るものを含む、特定の企図される実施形態は、キレート剤も存在する場合に、カオトロープの存在、特に、タンパク質、ポリペプチドまたは核酸分子を変性させるのに十分な濃度のカオトロープの存在を明示的に除外するが、特定の他の企図される実施形態はそのように限定されない。限定されないが、約0.05、0.1、0.5、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.4、2.6、2.8、3.0、3.2、3.4、3.4、3.6、3.8または4.0Mの濃度のカオトロープを含む特定の実施形態を企図し、ここで、「約」は列挙された量よりも50%未満、より好ましくは40%未満、より好ましくは30%未満、より好ましくは20%、15%、10%または5%未満で有り得る量的変動を表すと理解される。
【0027】
好ましい実施形態ではグアニジニウム塩、具体的にはグアニジニウムチオシアネートは1M~6M、好ましくは2M~5M、例えば4Mの濃度で使用することができる。通常、溶液をレセプタブルに充填し、溶媒を蒸発させる。レセプタブルに充填された体液は凝固したコロナウイルス不活性化組成物を溶解し、再びコロナウイルスを不活性化するのに十分な濃度になる。
【0028】
生体サンプルにおける核酸の不安定性の主な原因は、デオキシリボヌクレアーゼおよびリボヌクレアーゼの存在である。デオキシリボヌクレアーゼおよびリボヌクレアーゼは、それぞれDNAまたはRNAを分解する酵素である。消化管におけるこれらの主要な供給源は膵臓の分泌物であるが、これらの酵素は唾液腺および頬粘膜の分泌物および細胞にも存在し得る。加えて、口内または最近摂取された食品に存在する微生物は、デオキシリボヌクレアーゼまたはリボヌクレアーゼを放出する可能性がある。水中に保存された生体サンプル(例えば、唾液)内の核酸は、時間の経過とともに劣化または分解すると予想される。
【0029】
グアニジニウム塩、特にグアニジニウムチオシアネートおよび/または塩酸グアニジニウムもまた、デオキシリボヌクレアーゼおよびリボヌクレアーゼを阻害することが知られている(Methods in Enzymology; Volume 502、2012、Pages 273-290)。
【0030】
好ましい実施形態によれば、コロナウイルス不活性化組成物は、固体のグアニジニウム塩を含むか、またはそれからなる。
【0031】
本発明のさらなる態様において、コロナウイルス不活性化組成物は、固形化緩衝剤を含んでもよい。
【0032】
適切な緩衝剤の非限定的な例としては、シクロヘキサンジアミンテトラアセテート(CDTA)、N、N-ビス(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(BES)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-エタンスルホン酸(HEPES)、酢酸または酢酸塩(例えば、酢酸ナトリウム)、クエン酸またはクエン酸塩、リンゴ酸、フタル酸、コハク酸、ヒスチジン、ピロリン酸、マレイン酸、カコジル酸、BB'-ジメチルグルタル酸、炭酸または炭酸塩、5(4)ヒドロキシメチルイミダゾール、グリセロール2-リン酸、エチレンジアミン、イミダゾール、ヒ酸、リン酸またはリン酸塩、酢酸ナトリウム、2:4:6-コリジン、5(4)-メチルイミダゾール、N-エチルモルホリン、トリエタノールアミン、ジエチルバルビツール酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)、3-(Nモルホリノ)プロパンスルホン酸;4-モルホリンプロパンスルホン酸(MOPS)、2-モルホリノエタンスルホン酸(MES)、ピペラジン-1、4-ビス(2-エタンスルホン酸)PIPES)、N-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]-2アミノエタンスルホン酸(TES)、4-(2-ヒドロキシエチル)ピペラジン-1-プロパンスルホン酸(EPPS)、N-(2アセトアミド)-2-アミノエタンスルホン酸(ACES)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。他の例としては、リン酸塩、炭酸塩、エチレンジアミンまたはイミダゾール緩衝液が挙げられる。適切な緩衝剤のさらなる非限定的な例としては、25℃で約4.7~約8.0のpKaを有する緩衝剤が挙げられる。
【0033】
コロナウイルス不活性化組成物がトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよび/またはエチレンジアミン四酢酸を含む場合、有利であり、採取されたサンプルの保存安定性が向上することが分かっている。
【0034】
好ましい実施形態において、コロナウイルス不活性化組成物は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびグアニジニウム塩を、1:1000~1:10、より好ましくは1:500~1:20、最も好ましくは1:150~1:50の範囲のモル比で含む。
【0035】
さらに好ましい実施形態において、コロナウイルス不活性化組成物は、エチレンジアミン四酢酸およびグアニジニウム塩を、1:1000~1:20、好ましくは1:600~1:50、さらにより好ましくは1:300~1:100の範囲のモル比で含む。
【0036】
本発明のさらに好ましい態様において、コロナウイルス不活性化組成物は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンおよびエチレンジアミン四酢酸を、20:1~0.5:1、好ましくは10:1~0.8:1、最も好ましくは5:1~1:1の範囲のモル比で含む。
【0037】
本発明のさらなる態様では、グアニジニウム塩は、グアニジニウムチオシアネート、グアニジニウム塩酸塩、グアニジニウムイソチオシアネートおよびそれらの混合物からなる群から選択される。
【0038】
最も好ましくは、グアニジニウム塩は、グアニジニウムチオシアネートおよび/またはグアニジニウム塩酸塩である。
【0039】
本発明のレセプタブルは、体液の採取に適している。特定の実施形態では、体液は、血液、尿、血清、漿液、血漿、リンパ液、脳脊髄液、唾液、粘膜分泌物、膣液、腹水、胸水、心膜液、腹膜液および腹腔液から選択される。
【0040】
体液は、凝固したコロナウイルス不活性化組成物を本発明のレセプタブルに溶解することができる。体液で完全に満たされたとき、レセプタブルの容積は、通常、十分な濃度のコロナ不活性化組成物を提供するように調整されている。
【0041】
本発明の別の態様によれば、体液は唾液である。本明細書で使用される「唾液」という用語は、口の内側にある多数の小さな唇腺、頬腺、および口蓋腺からの分泌物と任意に混合された、耳下腺、顎下腺、および舌下腺を含む唾液腺のいずれかからの分泌物または分泌物の組み合わせを指す。
【0042】
リボ核酸の供給源として血液サンプルではなく、唾液サンプルまたは鼻、前鼻孔、および/または鼻咽頭サンプルを提供することの被験者に対する利点としては、被験者が通常、採血に関連する不快感、痛み、および不安を回避することを好むことが挙げられる。さらに、使用可能な量のDNAを回収するには、ピンの使用、一滴の血液を採取するための一刺しだけで十分であるが、予想されるRNAの量は少なすぎてほとんどの目的に使用できない。唾液、痰、鼻、前鼻孔、および/または鼻咽頭サンプルは採取のために専門の人員を必要としないというさらなる利点を有し、それによって、大量のサンプル採取が行われている場合(例えば、流行/パンデミックの間)にコストが削減される。しかしながら、唾液はRNAの1つの供給源であるが、血液を含む他の体液を使用することができることは当業者には明らかであろう。本発明は、痰、唾液、鼻、前鼻孔および/または鼻咽頭サンプルから得られるRNAの採取および保存に限定されるものではない。被験者から唾液を採取するために、サンプル採取前に口をすすぐことが好ましい。食品粒子は外来RNAを導入する可能性があり、キスによって移入された唾液は、外来ヒトRNAまたはウイルスRNAの供給源になる可能性がある。激しくすすぐか、または歯磨き粉を使わずに歯ブラシでブラッシングすることによって、約50mlの水で口をすすぐことができる。刺激されていない唾液は通常、粘液型であり、ゆっくりと分泌される。刺激された唾液(美味しい食べ物、甘いまたは酸っぱいキャンディーへの期待)は漿液性(水様)タイプであり、より速い速度で分泌される。口をすすぎ、口から水がなくなるまで約5分間待った後、被験者は唾液、好ましくは刺激された唾液を、(例えば、約1~2ml)本発明のレセプタブル中に吐き出すことができる。唾液の流れは、数粒/ひとつまみのテーブルシュガーを舌の上に置くか、RNAの安定性またはその後の増幅を妨げないその他の唾液刺激物質を用いて、便利に刺激することができる。唾液は、採取器具に直接唾を吐き出すことができない可能性のある乳児、幼児、および障害および/または病気をもつ人々などの被験者からも得ることができる。この例では、器具(例えば、綿棒など)を使用して唾液を採取する。唾液はまた、採取器具に直接唾を吐き出すことができない、またはそれを望まない家畜、コンパニオンアニマルなどの非ヒト動物からも得ることができる。この場合、器具(例えば、綿棒など)を使用して唾液を採取することができる。被験者から前鼻孔または鼻咽頭サンプルを採取するために、様々な器具を使用することができる。粘膜細胞は硬質または柔らかいブラシ、綿棒、またはプラスチック/木製のスクレーパーを使用して擦り取ることができ、細胞は液体(例えば、生理食塩水)を導入し液体を回収することによって鼻腔から洗い流すことができる。例えば、硬い綿棒/ブラシを鼻の前部に配置し、柔らかい綿棒/ブラシを鼻咽頭腔の後部に配置して、粘膜分泌物を採取し、粘膜から細胞をやさしく擦り落とすために使用することができる。前述の液体および/または器具で採取されたサンプルは、本発明のレセプタブルに送達することができる。
【0043】
本発明のさらなる実施形態は、唾液、特にうがい組成物、例えば水で得られる唾液の採取のための本発明のレセプタブルの使用である。
【0044】
本発明の意味の範囲内で、唾液という用語は、唾液を含むうがい組成物も含む。うがい組成物およびその結果として唾液およびうがい組成物の混合物を用いて得られる唾液は、特にSARS-CoV-2ウイルスなどのコロナウイルスに感染した患者では、より高いウイルス量を有するサンプルが得られることが分かった。
【0045】
コロナウイルスによる感染は重篤な急性呼吸器症候群につながる可能性があり、うがいは、例えばPCR技術を介して、ウイルスRNAを検出するのに十分なウイルス量が得られることが分かった。
【0046】
したがって、本発明の別の実施形態は、以下を含む唾液サンプル採取用キットである。
(a)本発明に係る体液用の第1レセプタブル、
(b)うがい組成物を含む第2レセプタブル;および
(c)任意に、充填器具、好ましくは漏斗。
【0047】
キットはヒトの唾液サンプルを採取し、輸送のために安定化するのに適している。ダウンストリームプロセスは、DNAまたはRNAの抽出と、その後のPCR分析である。本発明のキットは唾液サンプルの採取に優れており、サンプルを安定化して、通常の郵便および宅配便サービスにより周囲温度で輸送できることが分かった。
【0048】
本発明のキットは、以下の成分のうちの1つまたは複数をさらに含むか、またはそれらから構成されてもよい:体液サンプル、例えば唾液サンプルで満たされた本発明のレセプタブルを運ぶ容器。容器は、密閉可能なプラスチックバッグであってもよい;サンプルをラベル付けするためのラベリングステッカー;および吸収性材料。
【0049】
キットは、本発明のレセプタブル、好ましくはヒトのうがい液を採取するための漏斗からなる。このキットは、喉の奥と唾液からの細胞の自宅での採取を可能にする。サンプルを安定化し、タンパク質を変性させ、周囲温度で輸送するために調製する。採取チューブは、サンプルが輸送中に汚染されないようにする。
【0050】
その後、サンプルは、安定化された細胞または唾液からDNAまたはRNAを抽出するために、特別に装備された施設で使用することができる。サンプルのダウンストリームアプリケーションは、DNAまたはRNAの分析である。この分析の目的は、ウイルス学のための本質的に医学的なものである可能性があり、または非医学的生活様式の祖先および栄養を有する可能性がある。
【0051】
好ましい一態様では、本発明のキットは密閉可能な開口部、好ましくはキャップを有するサンプルチューブの形態の本発明のレセプタブルを含む。
【0052】
ユーザーは採取チューブのキャップを取り外し、充填器具、好ましくは漏斗をチューブの開口部に入れる。次に、ユーザーはうがい組成物を含む第2レセプタブルを開き、うがい組成物、好ましくは水を口に入れる。うがい組成物は十分な時間、例えば、10秒間、喉の奥でうがいするために使用される。ユーザーは、漏斗を使用して液体を第1のレセプタブルに移す。漏斗を捨て、チューブを同封のキャップで閉じる。チューブは、輸送のためにプラスチックの背面に戻される。ユーザーは、分析のためにサンプルを施設に送る。
【0053】
本発明の好ましい実施形態によれば、キットは、ポリプロピレンまたはポリエチレンまたはポリスチレンを含むか、またはこれらからなる密閉可能なサンプルチューブである体液用レセプタブルを含む。
【0054】
本発明のさらなる実施形態において、本発明による唾液の採取のためのキットの第2レセプタブルはサンプルチューブまたはアンプルであり、第2レセプタブルは好ましくはポリプロピレンまたはポリエチレンまたはポリスチレンを含むか、またはそれらからなる。
【0055】
本発明の一態様では、第2のレセプタブルに存在するうがい組成物は、水または緩衝生理食塩水を含むか、またはそれらからなる。
【0056】
本発明のさらなる実施形態は、唾液、特にウイルスRNA、特にSARS-CoV-2ウイルス由来のRNAのようなコロナウイルス由来のRNAを含む唾液の採取のための本発明のキットの使用である。
【0057】
本発明のさらなる実施形態は、以下の工程を含む、RNAまたはDNAの検出のための方法である:
(i)唾液またはうがい液のサンプルを提供し、
(ii)唾液のサンプルを、請求項1~15のうちの1つまたは複数に記載のレセプタブルに充填し、
(iii)サンプルを分析する。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、唾液のサンプルは、うがい組成物でうがいすることによって得られる。
【0059】
本発明の方法は、そのような方法において使用される組成物を、キット、例えば本発明のキットの形態で提供することによって、便利に実施される。このようなキットは、好ましくは本発明のレセプタブルと、サンプル採取を容易にするための綿棒などの適切な採取器具とを含む。標的遺伝子または核酸配列(例えば、転写物)の検出のためのサンプルの適合性を実証するための核酸(DNAまたはRNA)テンプレートであり得る、少なくとも1種類の陽性対照または標準を提供することができる。望ましくは、容器は診療所または病院を必要とせずに現場での採取を容易にし、採取サイトおよび/または分析サイトに郵送できるサイズである。
【0060】
さらに好ましい実施形態において、本発明は、ウイルスRNA、特にSARS-CoV-2ウイルス由来のRNAのようなコロナウイルス由来のRNAの抽出に関する。
【0061】
好ましくは、RNAまたはDNAの検出は、ウイルスRNA、特にSARS-CoV-2ウイルス由来のRNAのようなコロナウイルス由来のRNAの検出である。
【0062】
本発明による方法の特に好ましい実施形態において、サンプルは、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)もしくはRT-qPCRなどのPCR技術、またはRNA/DNA配列決定もしくはRNA/DNAハイブリダイゼーションを用いて分析される。
【実施例】
【0063】
本発明のレセプタブルは、ポリプロピレンからなるサンプルチューブに、濃度4M グアニジニウムチオシアネート、55mM トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA)を含む水性組成物1.5mlを充填したものであった。溶液を90℃で15時間インキュベートした。凝固したコロナウイルス不活性化組成物を含むサンプルチューブに、ポリエチレンからなるスクリューキャップを装備した。
【0064】
レセプタブルは、下流の遺伝子解析のためのサンプル安定化を目的としている。遺伝子解析は、DNAまたはRNAに対して行うことができる。RNAはDNAよりも著しく不安定であると考えられるので、安定性の検証はRNAに対して行った。したがって、RNAが安定している場合、DNAはさらに安定していると考えられる。さらに、ウイルスRNAはさらに不安定であると考えられているため、この検証では安定性の2つの側面を調査する:
【0065】
・サンプル中のRNAse-P RNAを経時的に測定するヒトRNA安定性
・経時的なウイルス(SARS-CoV-2)RNA
【0066】
(サンプル調製)
この実験の目的は、0℃および45℃で長期間にわたってヒトおよびウイルスRNAの安定性を評価することであった。サンプルを採取し、研究所に輸送されるまでの通常の時間は24時間未満であるが、72時間ほどかかる場合もある。これらのサンプルの安定性を評価するために、以下の実験を設定した:4人からの唾液サンプルを、本発明の上記レセプタブルと、1mlの水を含むサンプルチューブからなる第2レセプタブルとを含む本発明のキットを用いて採取した。被験者はうがい液を使用し、10秒間うがいを行った。その後、うがいサンプルを採取した。これらの被験者は、以前にSARS-CoV-2ウイルス感染の存在について検査され、陰性であることが分かった。サンプルを4つの等しいアリコートに分割した。各アリコートに、以前に陽性でありウイルス量が多いと分析された臨床サンプルからの実際のSARS-CoV-2ウイルスを注入した。陽性サンプルのCT値は24.27であり、1反応あたり250000ウイルスコピーの大まかなウイルス量を示した。本発明のレセプタブルはウイルス量を少なく保つことができるはずであるので、陰性唾液サンプルに、陽性ウイルス物質を1:500の希釈でスパイクした。これにより、感染力の強い個体の500分の1(1反応あたり約500コピー)のウイルス物質のサンプルが得られる(2.5コピーまでの検出限界は、このアプリケーションの後の段階で決定される)。
【0067】
(1.ヒトRNAのサンプル安定性)
ヒトRNAの存在を、全ての時点で4回測定した。4回の平均値を求め、計算に使用した。全ての増幅曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図1に示す。
【0068】
【0069】
(結果)
ヒトRNAは、陰性のヒト唾液サンプルで希釈を行った場合と同様に(予想どおり)全てのサンプルにおいてほぼ等しく豊富であった。ヒト材料を含まないNTCサンプルは、予想されるような増幅を示さなかった。
【0070】
(2.ヒトRNAのサンプル安定性)
ヒトRNAの存在を、全ての時点で4回測定した。4回の平均値を求め、計算に使用した。全ての増幅曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図2に示す。
【0071】
【0072】
(結果)
ヒトRNAも45℃で安定であった。劣化の指標であるCT値の増加はなかった。
【0073】
(3.ヒトRNAのサンプル安定性)
ヒトRNAの存在を、全ての時点で4回測定した。4回の平均値を求め、計算に使用した。全ての増幅曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図3に示す。
【0074】
【0075】
(結果)
ヒトRNAも45℃で安定であった。劣化の指標であるCT値の増加はなかった。
【0076】
(4.ヒトRNAのサンプル安定性)
ヒトRNAの存在を、全ての時点で4回測定した。4回の平均値を求め、計算に使用した。全ての増幅曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図4に示す。
【0077】
(結果)
CT値は、高い安定性を示す両方の温度に対して安定であった。45℃の温度は、室温で4.5倍の加速劣化をシミュレートする。これは、この温度での72hの期間が72×4.5=324hまたは13.5日に相当することを意味する。したがって、ヒトRNAは、室温で最低2週間は安定である。
【0078】
【0079】
(5.ウイルスRNAのサンプル安定性)
ウイルスRNAの存在を、全ての時点で3回測定した。3回の平均値を求め、計算に使用した。全ての曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図5に示す。
【0080】
【0081】
(6.ウイルスRNAのサンプル安定性)
ウイルスRNAの存在を、全ての時点で3回測定した。3回の平均値を求め、計算に使用した。全ての曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図6に示す。
【0082】
【0083】
(結果)
ウイルスRNAは0℃で非常に安定であり、分解は認められなかった。
【0084】
(7.ウイルスRNAのサンプル安定性)
ウイルスRNAの存在を、全ての時点で3回測定した。3回の平均値を求め、計算に使用した。全ての曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図7に示す。
【0085】
【0086】
(結果)
ウイルスRNAは45℃でも安定であった。劣化の指標であるCT値のわずかな増加のみがあった。
【0087】
(8.ウイルスRNAのサンプル安定性)
ウイルスRNAの存在を、全ての時点で3回測定した。3回の平均値を求め、計算に使用した。全ての曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図8に示す。
【0088】
【0089】
(結果)
CT値は、高い安定性を示す両方の温度に対して安定であった。45℃の温度は、室温で4.5倍の加速劣化をシミュレートする。これは、この温度での72hの期間が72×4.5=324hまたは13.5日に相当することを意味する。したがって、ウイルスRNAは室温で最低2週間、または45℃で3日間安定である。
【0090】
(9.複数の凍結THAWサイクル)
凍結融解は、サンプルの品質に影響を与え、DNAとRNAの分解につながると考えられている。凍結サイクルの繰り返しがサンプルの安定性に影響を与えるかどうかを評価するために、サンプルを-20℃で凍結し、次に室温まで解凍して測定し、その後再凍結して再解凍し、合計5回測定した。曲線を
図9に示す。
【0091】
【0092】
(結果)
凍結と解凍を5回繰り返しても、ウイルスまたはヒトRNAのいずれの安定性にも影響しない。
【0093】
(10.ウイルスRNAのサンプル安定性)
ウイルスコピーの連続希釈を、陰性個体のサンプルにおいて実施した。推定ウイルスコピー数を
図10に示す。
【0094】
(結果)
本発明のレセプタブルは、反応あたり2.5コピーまでのウイルスRNAの正確な検出を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【
図1】ヒトRNAの存在を、全ての時点で4回測定した。4回の平均値を求め、計算に使用した。全ての増幅曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図1に示す。
【
図2】ヒトRNAの存在を、全ての時点で4回測定した。4回の平均値を求め、計算に使用した。全ての増幅曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図2に示す。
【
図3】ヒトRNAの存在を、全ての時点で4回測定した。4回の平均値を求め、計算に使用した。全ての増幅曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図3に示す。
【
図4】ヒトRNAの存在を、全ての時点で4回測定した。4回の平均値を求め、計算に使用した。全ての増幅曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図4に示す。
【
図5】ウイルスRNAの存在を、全ての時点で3回測定した。3回の平均値を求め、計算に使用した。全ての曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図5に示す。
【
図6】ウイルスRNAの存在を、全ての時点で3回測定した。3回の平均値を求め、計算に使用した。全ての曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図6に示す。
【
図7】ウイルスRNAの存在を、全ての時点で3回測定した。3回の平均値を求め、計算に使用した。全ての曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図7に示す。
【
図8】ウイルスRNAの存在を、全ての時点で3回測定した。3回の平均値を求め、計算に使用した。全ての曲線を指数関数的rtPCR増幅曲線として表示し、CT値を決定した。曲線を
図8に示す。
【
図9】凍結融解は、サンプルの品質に影響を与え、DNAとRNAの分解につながると考えられている。凍結サイクルの繰り返しがサンプルの安定性に影響を与えるかどうかを評価するために、サンプルを-20℃で凍結し、次に室温まで解凍して測定し、その後再凍結して再解凍し、合計5回測定した。曲線を
図9に示す。
【
図10】ウイルスコピーの連続希釈を、陰性個体のサンプルにおいて実施した。推定ウイルスコピー数を
図10に示す。
【国際調査報告】