(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】再利用可能、生分解性かつ工業的に堆肥化可能な押し出し発泡体、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
C08J 9/12 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
C08J9/12
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023518873
(86)(22)【出願日】2021-11-16
(85)【翻訳文提出日】2023-05-19
(86)【国際出願番号】 US2021059491
(87)【国際公開番号】W WO2022104250
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】520457203
【氏名又は名称】オーツー・パートナーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100210398
【氏名又は名称】横尾 太郎
(72)【発明者】
【氏名】ファルケン,ロバート
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA03
4F074AA03L
4F074AA65
4F074AA65L
4F074AA66
4F074AA66L
4F074AA68
4F074AA68L
4F074BA32
4F074BA33
4F074CA22
4F074DA35
4F074DA36
4F074DA37
4F074DA59
(57)【要約】
可撓性発泡体を製造するためのプロセスは、マスターバッチ材料であって、マスターバッチ材料が、基本的に、再利用された、再利用可能、生分解性および/または堆肥化可能な1つまたは複数の熱可塑性ポリマーからなる、マスターバッチ材料を押し出し機に導入することと、不活性ガスをマスターバッチ材料と混合することと、ポリマーメルトを形成するために押し出し機を通じてマスターバッチ材料を押し出すことと、押し出し物を形成するためにダイにポリマーメルトを通過させることと、押し出し物を発泡体に膨張させることと、を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本質的に、再利用された、再利用可能、生分解性および/または堆肥化可能な1つまたは複数の熱可塑性ポリマーからなる、マスターバッチ材料を押し出し機に導入することと、
不活性ガスを前記マスターバッチ材料と混合することと、
ポリマーメルトを形成するために前記押し出し機を通じて前記マスターバッチ材料を押し出すことと、
押し出し物を形成するために前記ポリマーメルトにダイを通過させることと、
前記押し出し物を発泡体に膨張させることと
を含む、
可撓性発泡体を製造するためのプロセス。
【請求項2】
前記不活性ガスが、二酸化炭素である、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記不活性ガスが、窒素である、
請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、ポリアミドまたはポリアミドコポリマーを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、
ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、
ポリアミド6、
ポリアミド6/6-6、
ポリアミド12、
それらのうちの1つまたは複数を含有する混合物、
からなる群から選択されたポリアミドを含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、ポリエステルまたはポリエステルコポリマーを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、
ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、
ポリ乳酸(PLA)、
ポリ(L-乳酸)(PLLA)、
ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、
ポリカプロラクトン(PCL)、
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、
ポリヒドロキシブチレート(PHB)、
ポリブチレンサクシネート(PBS)、
ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、
ポリブチレンアジペート(PBA)、
熱可塑性デンプン(TPS)、
それらのうちの1つまたは複数を含有する混合物、
からなる群から選択されたポリマーを含む、
請求項1から3および6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、1つまたは複数の再利用されたポリマー材料を含む、
請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、1つまたは複数の生物由来ポリマーからなる、
請求項1から7のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項10】
前記1つまたは複数の生物由来ポリマーが、生物由来PBATを含む、
請求項9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記不活性ガスが、超臨界流体として前記マスターバッチ材料と混合される、
請求項1から10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記マスターバッチ材料および前記超臨界流体が、単相溶液を形成するために混合される、
請求項11に記載のプロセス。
【請求項13】
前記マスターバッチ材料を前記押し出し機に導入する前に前記不活性ガスが前記マスターバッチ材料と混合される、
請求項1から10のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記マスターバッチ材料が、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーのペレットを含み、
前記不活性ガスを前記マスターバッチ材料と混合することが、前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーの前記ペレットに前記不活性ガスを注入することを含む、
請求項13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーの前記ペレットに前記不活性ガスを注入することが、前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーの前記ペレットを膨張させる、
請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記マスターバッチ材料を前記押し出し機に導入することが、前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーの膨張した前記ペレットを前記押し出し機に導入することを含む、
請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
ポリマーメルトを形成するために前記押し出し機を通じて前記マスターバッチ材料を押し出すことが、前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーの膨張した前記ペレットを溶融させることを含む、
請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
請求項1から17のいずれか一項に記載のプロセスによって製造された発泡体。
【請求項19】
前記発泡体が、再利用可能、生分解性および/または堆肥化可能である、
請求項18に記載の発泡体。
【請求項20】
前記発泡体が、いかなる架橋剤も含まない、
請求項18または19に記載の発泡体。
【請求項21】
請求項1から17のいずれか一項によって製造された発泡体を含む物品。
【請求項22】
前記物品が、履物構成要素、座席構成要素、防具構成要素、車両構成要素、寝具またはウォータースポーツアクセサリである、
請求項21に記載の物品。
【請求項23】
再利用可能、生分解性および/または工業的に堆肥化可能な1つまたは複数の熱可塑性ポリマーを含む複数のペレットを提供することと、
前記ペレットに不活性ガスを注入することによって前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーの前記ペレットを膨張させることと、
膨張した前記ペレットを押し出し機に導入することと、
膨張した前記ペレットを前記押し出し機において溶融させることと、
溶融した膨張した前記ペレットを、押し出し機を使用してダイを通じて押し出すことと
を含む、
可撓性発泡体を製造するためのプロセス。
【請求項24】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、
ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、
ポリ乳酸(PLA)、
ポリ(L-乳酸)(PLLA)、
ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、
ポリカプロラクトン(PCL)、
ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、
ポリヒドロキシブチレート(PHB)、
ポリブチレンサクシネート(PBS)、
ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、
ポリブチレンアジペート(PBA)、
熱可塑性デンプン(TPS)、
それらのうちの1つまたは複数を含有する混合物、
からなる群から選択されたポリマーを含む、
請求項23に記載のプロセス。
【請求項25】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、PBATである、
請求項23に記載のプロセス。
【請求項26】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、PHAである、
請求項23に記載のプロセス。
【請求項27】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、PHBである、
請求項23に記載のプロセス。
【請求項28】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、1つまたは複数の生物由来ポリマーからなる、
請求項23に記載のプロセス。
【請求項29】
前記1つまたは複数の熱可塑性ポリマーが、再利用可能なポリマーである、
請求項23に記載のプロセス。
【請求項30】
前記不活性ガスが、二酸化炭素である、
請求項23から29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項31】
前記不活性ガスが、窒素である、
請求項23から29のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項32】
請求項23から29のいずれか一項に記載のプロセスによって形成された発泡体。
【請求項33】
前記発泡体が、再利用可能、生分解性および/または工業的に堆肥化可能である、
請求項32に記載の発泡体。
【請求項34】
前記発泡体が、いかなる架橋剤も含まない、請求項32に記載の発泡体。
【請求項35】
前記物品が、履物構成要素、座席構成要素、防具構成要素、車両構成要素、寝具またはウォータースポーツアクセサリである、
請求項33に記載の発泡体を含む物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2020年11月16日に出願された米国仮特許出願第63/114,051号の優先権および利益を主張する。
【0002】
[0002]本開示は、幾つかの実施形態によれば、再利用された、再利用可能、生分解性、生物由来および/または工業的に堆肥化可能な材料から可撓性発泡体を形成するためのプロセスに関する。幾つかの実施形態において、本開示は、可撓性発泡体を形成するための押し出しプロセスを提供する。本開示の実施形態に従って製造された発泡体は、様々な産業および最終製品、例えば、それらに限定されない、履物構成要素、座席構成要素、防具構成要素、車両構成要素、寝具、およびウォータースポーツアクセサリにおいて有用であり得る。
【背景技術】
【0003】
[0003]可撓性発泡体は、液体または固体に気体のポケットを捕捉することによって形成される1つのタイプの物体であり、結果として得られる発泡体は、部分的にその展性により可撓性であると言われる。可撓性発泡体は、典型的には、クッション用途、例えば、履物、家具、寝具、およびその他のスポーツ用品において使用される。可撓性発泡体は、典型的には、2つのカテゴリ、つまり、独立気泡可撓性熱可塑性ポリマー発泡体および連続気泡可撓性ポリウレタン発泡体に当てはまる。これらの発泡体タイプのそれぞれは、非常に異なる製造方法を有する。
【0004】
[0004]独立気泡可撓性熱可塑性ポリマー発泡体は、一般的に、ドライプロセスにおいて製造され、このドライプロセスでは、適切な合成ポリマーが選択され、「生地」を製造するために様々な化学添加物、架橋剤および化学的発泡剤と混合される。次いで、生地は、練られ、平坦なシートに押し出される。次いで、シートは、互いに重ねられ、制御された圧力下で加熱されたプレスに配置される。材料および化学的発泡剤のこの混合物は、加熱されたプレスのキャビティの内部において反応し、膨張する。その結果、独立気泡可撓性発泡体の「バン」または「ブロック」が得られ、次いで、これは所定の厚さにスライスされる。対照的に、連続気泡可撓性ポリウレタン発泡体は、一般的に、液体注入プロセスまたは液体成形プロセスにおいて製造され、このプロセスでは、人工のポリオール化学物質、イソシアネート化学物質およびその他の化学添加物が、「バン」または「ブロック」などの成形された形状になるように注がれまたは噴射されながら反応させられる。その結果、連続気泡可撓性発泡体が得られ、次いで、これは所定の厚さにスライスされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005]今日、市場において現在利用可能な可撓性発泡体における問題は、これらの発泡体がほとんど専ら、それらの製造において、再利用不能および堆肥化不能な材料、および/または環境的に有害な化学物質を使用するということである。さらに、部分的に、従来の可撓性発泡体を製造する上述の方法において行われる化学的架橋により、これらの可撓性発泡体の物理構造を容易に再利用または堆肥化することができない。これは、大部分は、発泡体の設計の化学的組成、および根源的な前駆体構成要素へ再び分離することが不可能であることによる。すなわち、従来の可撓性発泡体の寿命の終了時に、発泡体は、さらに使用されることがなく、あらゆる公知の商業的に実行可能な方法においてうまく新たな材料に再処理することができない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[0006]本開示は、幾つかの実施形態によれば、再利用可能、生分解性、堆肥化可能、持続可能および/または環境的に責任がある最終製品を製造するために使用されてよい、可撓性発泡体および製造プロセスを提供する。幾つかの実施形態において、発泡体材料および最終製品は、分解なしに、両方とも持続的な使用が可能であるが、寿命の終了後に容易に再利用可能および/または堆肥化可能である。
【0007】
[0007]より従来の製造プロセスと比較して、本明細書に開示された製造プロセスの目的は、製造プロセスが環境に配慮した最終製品を生じることである。ポリマーを製造するために、再利用されたおよび/または再利用可能なまたは生分解性および工業的に堆肥化可能な原料を選択することによって、本開示の実施形態は、いわゆる循環経済に貢献することができ、毎年最終的に埋め立て地に行き着く廃棄物を著しく削減することができる。好ましい実施形態において、可撓性発泡体は、再利用された材料から得られかつ可使時間の終了時に再利用可能である。そのために、上記最終製品の製造において使用される環境的に持続可能な材料の選択は、注意深く検討され、最終製品の意図された性能および可使時間とのバランスを取るべきである。
【0008】
[0008]例えば、ランニングシューズは、かなりの期間、恐らく使用頻度に応じて1~3年にわたって衝撃、摩耗および全ての形式の環境暴露を含む、繰り返される酷使に曝される非常に技術的な製品である。ランニングシューズのソール、ミッドソール、および/またはインソール用のクッションの製造において使用するための持続可能な材料を選択する場合、上記要因を検討することが重要である。故障の前に反復される酷使に対処することができない材料は、満足できるランニングシューズの対を製造しない。加えて、意図された寿命終了の前に、通常の製品使用中に故障のポイントまで分解するまたは弱まる可能性を有するあらゆる材料は、受け入れられない。
【0009】
[0009]この問題を解決するために、本開示の実施形態は、技術的性能特性および持続可能性側面のバランスを提供する特定の材料を利用する。これらの持続可能性側面は、例えば、管理された寿命終了ソリューションを備える再利用可能性または堆肥化可能性などの特性を含む。幾つかの実施形態において、本開示において使用される材料は、有害排出物に関してネット・ニュートラル(またはネガティブ)である。本開示の実施形態に従って形成された再利用可能または堆肥化可能な可撓性発泡体を含む最終製品は、製品の可使時間にわたって非常によく機能すべきであり、製品可使時間の終了時にのみ、材料は、「閉ループ」廃棄物転換のための再利用または堆肥化セッティングに向けられるオプションを有する。
【0010】
[0010]幾つかの実施形態において、可撓性発泡体を製造するためのプロセスは、マスターバッチ材料であって、マスターバッチ材料が、基本的に、再利用された、再利用可能、生分解性および/または堆肥化可能な1つまたは複数の熱可塑性ポリマーからなる、マスターバッチ材料を押し出し機に導入するステップと、不活性ガスをマスターバッチ材料と混合するステップと、ポリマーメルトを形成するために押し出し機を通じてマスターバッチ材料を押し出すステップと、押し出し物を形成するためにポリマーメルトをダイに通過させるステップと、押し出し物を発泡体に膨張させるステップと、を含む。幾つかの実施形態において、不活性ガスは窒素である。その他の実施形態において、不活性ガスは二酸化炭素である。
【0011】
[0011]幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、ポリアミドまたはポリアミドコポリマーである。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリアミド6、ポリアミド6/6-6、ポリアミド12、またはそれらの1つまたは複数を含有する混合物からなる群から選択されたポリアミドである。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、ポリエステルまたはポリエステルコポリマーを含む。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、熱可塑性デンプン(TPS)、およびそれらの1つまたは複数を含有する混合物からなる群から選択されたポリエステルである。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、1つまたは複数の再利用されたポリマー材料であるまたはこれを含む。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、1つまたは複数の生物由来ポリマー(例えば、生物由来PBAT)からなる。
【0012】
[0012]幾つかの実施形態において、不活性ガスは、超臨界流体としてマスターバッチ材料と混合される。幾つかの実施形態において、マスターバッチ材料および超臨界流体は、単相溶液を形成するために混合される。その他の実施形態において、不活性ガスは、マスターバッチ材料を押し出し機に導入する前にマスターバッチ材料と混合される。幾つかの実施形態において、マスターバッチ材料は、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーのペレットを含み、不活性ガスをマスターバッチ材料と混合することは、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーのペレットに不活性ガスを注入することを含む。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーのペレットに不活性ガスを注入することは、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーのペレットを膨張させる。幾つかの実施形態において、マスターバッチ材料を押し出し機に導入することは、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーの膨張したペレットを押し出し機に導入することを含む。幾つかの実施形態において、ポリマーメルトを形成するために押し出し機を通じてマスターバッチ材料を押し出すことは、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーの膨張したペレットを溶融させることを含む。
【0013】
[0013]幾つかの実施形態において、可撓性発泡体を製造するためのプロセスは、再利用可能、生分解性および/または工業的に堆肥化可能な1つまたは複数の熱可塑性ポリマーを含む複数のペレットを提供するステップと、ペレットに不活性ガスを注入することによって1つまたは複数の熱可塑性ポリマーのペレットを膨張させるステップと、膨張したペレットを押し出し機に導入するステップと、膨張したペレットを押し出し機において溶融させるステップと、溶融した膨張したペレットを、押し出し機を使用してダイを通じて押し出すステップと、を含む。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、熱可塑性デンプン(TPS)、およびそれらの1つまたは複数を含有する混合物からなる群から選択されたポリマーであるまたはそれを含む。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、PBAT、PHAおよび/またはPHBであるまたはそれを含む。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、1つまたは複数の生物由来ポリマーからなる。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の熱可塑性ポリマーは、再利用可能ポリマーである。不活性ガスは、例えば、窒素または二酸化炭素であってよい。幾つかの実施形態において、不活性ガスは、75bar~200bar、例えば、90bar~150barの範囲の飽和圧力においてペレットに注入される。幾つかの実施形態において、不活性ガスは、90℃~200℃の範囲の温度でペレットに注入される。
【0014】
[0014]幾つかの実施形態において、本明細書に説明されたプロセスに従って形成された発泡体は、再利用可能、生分解性および/または堆肥化可能である。幾つかの実施形態において、発泡体は、いかなる架橋剤も含まない。幾つかの実施形態において、発泡体は、発泡体が再利用または生分解されることを妨げるあらゆる架橋または架橋剤を含まない。さらなる実施形態において、本明細書に説明されたプロセスに従って形成された発泡体は、様々な物品、例えば、それらに限定されないが、履物構成要素(例えば、靴のインソールまたはミッドソール)、座席構成要素(例えば、座席クッション)、防具構成要素(例えば、パッド)、車両構成要素、寝具構成要素、ウォータースポーツアクセサリ、または発泡体構成要素を含むその他の最終製品の製造において成形されかつ使用されてよい。
【0015】
[0015]前述の概要、および発明の以下の詳細な説明は、添付の図面に関連して読んだ場合により良く理解されるであろう。発明を例示するために、現時点で好ましい実施形態が図面に示されている。しかしながら、発明は異なる形式で具体化することができ、したがって、本明細書に示された実施形態に限定されるものとして解釈されるべきでないことが理解されるべきである。添付の図面は、縮尺どおりに描かれていない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】[0016]本開示の幾つかの実施形態による、押し出された可撓性発泡体を形成するためのプロセスのフローチャートである。
【
図2】[0017]本開示の幾つかの実施形態による、押し出された可撓性発泡体を形成するためのシステムを示す図である。
【
図3】[0018]本開示のさらなる実施形態による、押し出された可撓性発泡体を形成するための別のシステムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[0019]本開示は、幾つかの実施形態において、再利用可能、生分解性および/または工業的に堆肥化可能な可撓性発泡体およびその製造方法を提供する。本開示の実施形態による発泡体は、独立気泡発泡体であってよい。その他の実施形態において、本開示の発泡体は、連続気泡発泡体であってよい。様々な実施形態において、再利用可能、生分解性および/または工業的に堆肥化可能な可撓性発泡体は、従来の再利用不能なエチレンビニルアセテート(EVA)発泡体または熱可塑性ポリウレタン(TPU)の類似の特性および性能特性を有するが、高い割合の再利用されたまたは生物由来の内容物を含有するように形成することができる。本開示の実施形態に従って製造された発泡体は、様々な産業および最終製品、例えば、それらに限定されないが、履物構成要素、座席構成要素、防具構成要素、車両構成要素、寝具、およびウォータースポーツアクセサリにおいて有用である場合がある。
【0018】
[0020]本明細書において使用される場合、「生分解性」とは、概して、生物学的活動、特に微生物によって分解することができることを言う。幾つかの実施形態において、生分解性および/または工業的に堆肥化可能として本開示において説明された材料および発泡体は、以下の規格のうちの少なくとも1つに示された要件を満たすまたは超える:欧州規格EN13432、ASTM D6400、または豪州規格AS4736。幾つかの実施形態において、生分解性および/または工業的に堆肥化可能として本開示において説明された材料および発泡体は、少なくとも欧州規格EN13432に示された要件を満たすまたは超える。幾つかの実施形態において、工業的に堆肥化可能として本開示において説明された材料および発泡体は、商業用堆肥化ユニットにおける180日以内の堆肥化において少なくとも60%の生分解を示すように構成されている(材料の少なくとも60%が、生物学的活動によって分解されなければならない)。幾つかの実施形態において、工業的に堆肥化可能として本開示において説明された材料および発泡体は、商業用堆肥化ユニットにおける180日以内の堆肥化において少なくとも90%の生分解を示すように構成されている。
【0019】
[0021]幾つかの実施形態において、「再利用可能」という用語は、概して、別のアイテムを製造するまたは組み立てる際の再利用または使用のための廃棄物流から収集、分離、またはさもなければ回収される材料または製品の能力を言う場合がある。幾つかの実施形態において、再利用可能として本開示において説明されたポリマーおよび発泡体は、例えば、機械的再利用、化学的再利用、および/または生物学的または有機的再利用によって回収される構成要素材料の能力を言う。幾つかの実施形態において、再利用可能として本開示において説明されるポリマーおよび発泡体は、例えば、ISO15270:2008に示された標準的なプラスチック再利用方法を使用して回収される構成要素材料の能力を言う。幾つかの実施形態において、本明細書において説明される再利用される材料、発泡体および/または製品は、テキスタイル・エクスチェンジ・リサイクル表示基準2.0(RCS、2017年7月1日)および/またはテキスタイル・エクスチェンジ・グローバル・リサイクル基準4.0(GRS、2017年7月1日)に示された要件に従って製造されてよい。
【0020】
[0022]幾つかの実施形態において、本開示に従って押し出された可撓性発泡体を形成するためのプロセスは、概して、押し出し機にポリマーペレットを導入するステップと、ポリマーメルトを形成するために押し出し機においてポリマーペレットを溶融させるステップと、押し出し物を形成するためにダイを通じてポリマーメルトを押し出すステップとを含む。幾つかの実施形態において、発泡剤が押し出し機に導入され、ポリマーメルトと混合させられる。幾つかの実施形態において、発泡剤は、超臨界流体として導入され、ポリマーメルトとともに単相溶液を形成する。その他の実施形態において、押し出し機にポリマーペレットを導入する前に、ポリマーペレットは発泡剤によって飽和させられる。本明細書においてさらに説明するように、ポリマーペレットは、好ましくは、再利用可能、生分解性および/または工業的に堆肥化可能な1つまたは複数の熱可塑性ポリマーからなる。幾つかの実施形態において、ポリマーペレットは、生物由来の熱可塑性ポリマーからなる。幾つかの実施形態において、ポリマーペレットは、再利用されたプラスチック材料から形成されている。
【0021】
[0023]
図1は、本開示の幾つかの典型的な実施形態による、押し出された可撓性発泡体を形成するためのプロセス100のフローチャートである。ステップ102において、幾つかの実施形態において、プロセス100は、1つまたは複数の予め選択された材料のマスターバッチを提供することを含む。マスターバッチは、幾つかの実施形態において、ペレット、顆粒等の形態の熱可塑性ポリマー材料からなる。上記のように、1つまたは複数の予め選択された材料は、好ましくは、幾つかの実施形態によれば再利用可能、生分解性および/または工業的に堆肥化可能な1つまたは複数の熱可塑性ポリマーである。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の予め選択された材料は、再利用されたプラスチック廃棄物材料から得られる。幾つかの実施形態において、マスターバッチは、完全に、1つまたは複数の予め選択された生分解性材料(例えば、生分解性熱可塑性ポリマー)からなる。幾つかの実施形態において、マスターバッチは、完全に、1つまたは複数の予め選択された再利用可能な材料(例えば、再利用可能な熱可塑性ポリマー)からなる。
【0022】
[0024]プロセス100のステップ104において、不活性ガスがマスターバッチと混合される。幾つかの実施形態において、不活性ガス(例えば、発泡剤)は、1つまたは複数の押し出し機においてマスターバッチと混合される。不活性ガスは、幾つかの実施形態において超臨界流体としてマスターバッチと混合されてよい。幾つかの実施形態において、マスターバッチは、溶融させられ、超臨界流体と単相溶液を形成する。その他の実施形態において、マスターバッチを1つまたは複数の押し出し機に導入する前に、マスターバッチは不活性ガス(例えば、発泡剤)によって飽和させられる。
【0023】
[0025]幾つかの実施形態において、マスターバッチのペレットを不活性ガスで飽和させることは、ペレットにガスの一部を注入し、ペレットを少なくとも部分的に膨張させる。幾つかの実施形態において、マスターバッチを不活性ガスで飽和させることは、膨らんだ(膨張した)または少なくとも部分的に膨らんだポリマーペレットを形成し、このポリマーペレットは、次いで、(例えば、押し出しを介して)溶融させることができる。幾つかの実施形態において、膨らんだ(膨張した)ポリマーペレットは、(例えば、最も広い寸法において)4mm~10mmのサイズを有する。幾つかの実施形態において、膨らんだ(膨張した)ポリマーペレットは、約100kg/m3~約200kg/m3のかさ密度を有する。幾つかの実施形態において、ポリマーペレットは、約1.5~約4.5の範囲の膨張比を有する。幾つかの実施形態において、不活性ガス飽和圧力は、75bar~200bar、例えば、90bar~150barの範囲であることができる。幾つかの実施形態において、不活性ガス飽和温度は、特定の生分解性、工業的に堆肥化可能、および/または再利用されたおよび/または再利用可能なポリマーの滴点および溶融温度に応じて、90℃~200℃の範囲であることができる。さらに、幾つかの実施形態において、発泡体の平均細孔径および気泡密度は、飽和圧力の調節によってある程度まで制御可能である。幾つかの実施形態において、小さな平均細孔径および高い気泡密度を得るためには高い不活性ガス飽和圧力が好ましい。さらなる実施形態において、ポリマーは、選択的に、発泡前に予備乾燥および除湿されてよい。幾つかの実施形態において、例えば、予備乾燥条件は、-40℃の露点および0.05%未満の相対湿度で4~6時間にわたる65~85℃の範囲にある。
【0024】
[0026]ステップ106において、ガスと混合されたマスターバッチは、1つまたは複数の押し出し機を通じて押し出されるポリマーメルトを形成する。1つまたは複数の押し出し機は、例えば、ポリマーメルトを圧縮および搬送するための1つまたは複数の押し出しスクリューを有するスクリュー押し出し機であってよい。ステップ108において、ポリマーメルトは、微小気泡発泡体のシートに押し出される。幾つかの実施形態において、ポリマーメルトは、押し出し物を形作るように構成されたダイを通じて押し出される。幾つかの実施形態において、ポリマーメルトがダイを通じて押し出されるとき、ポリマーメルト内に混合されたガスが膨張させられ、その結果、可撓性発泡体を生じる。さらなる実施形態において、可撓性発泡体は、次いで、あらゆる所望の構成に切断および/または成形される(例えば、圧縮成形を介して)。
【0025】
[0027]ここで、本発明の主題は、以下でさらに詳しく説明され、そこでは代表的な実施形態が説明される。しかしながら、本発明の主題は、異なる形態で具体化することができ、本明細書に示された特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、説明し、当業者に可能にするために提供されている。
【0026】
[0028]熱可塑性ポリマー
[0029]幾つかの実施形態において、再利用されたおよび/または再利用可能な熱可塑性ポリマー、または代替的に、生物由来の熱可塑性ポリマーから微小気泡押し出し発泡体を製造することは、適切な高性能ポリマーを選択することから始まる。本開示の実施形態に従って利用されてよい適切な熱可塑性ポリマーは、好ましくは以下の特性を含むべきである:低密度の発泡体を製造する、中間のメルト流量を有する、発泡されたときに高い伸びを生じる、および100%再利用可能および/または100%工業的に堆肥化可能である。幾つかの非限定的な実施例において、適切な熱可塑性ポリマーは、0.15g/cc~0.35g/cc、好ましくは0.20g/cc~0.25g/ccの密度を有する発泡体を製造する。幾つかの非限定的な実施例において、適切な熱可塑性ポリマーは、5g/10min~30g/10min、好ましくは、10g/10min~20g/10minの範囲のメルト流量を有する。その他の実施例において、メルト流量は、7g/10min~15g/10minの範囲であってよい。幾つかの非限定的な実施例において、適切な熱可塑性ポリマーは、150%~800%、好ましくは250%~450%の範囲の発泡伸びを生じる。幾つかの実施形態において、熱可塑性ポリマーは、押し出し機に供給されるようにサイズ決めおよび構成された固体ペレットの形式で供給されてよい。押し出し機に供給されるポリマー材料の複数のペレットは、本明細書では「マスターバッチ」とも称される場合がある。
【0027】
[0030]幾つかの実施形態において、本開示の再利用可能、生分解性、および/または工業的に堆肥化可能な可撓性発泡体を製造するために使用される熱可塑性ポリマーは、あらゆる数のポリアミドまたはポリアミドコポリマーから選択することができる。適切なポリアミドポリマーの非限定的な例は、ポリエーテルブロックアミド(PEBA)、ポリアミド6、ポリアミド6/6-6、ポリアミド12、およびそれらの1つまたは複数を含有する混合物を含む。適切な再利用されたおよび/または再利用可能なポリマーの非限定的な例は、ニューハンプシャー州マンチェスター所在のNylon Corporation of Americaによって製造されたPEBAである。
【0028】
[0031]幾つかの実施形態において、本開示の再利用可能、生分解性、および/または工業的に堆肥化可能な可撓性発泡体を製造するために使用される熱可塑性ポリマーは、あらゆる数のポリエステルまたはポリエステルコポリマー、好ましくは、生物由来のポリエステルから選択することができる。適切なポリエステルポリマーの非限定的な例は、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ(L-乳酸)(PLLA)、ポリ(ブチレンアジペート-コ-テレフタレート)(PBAT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリヒドロキシアルカノエート(PHA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリブチレンアジペート(PBA)、熱可塑性デンプン(TPS)、およびそれらの1つまたは複数を含有する混合物を含む。幾つかの実施形態において、本開示の再利用可能、生分解性、および/または工業的に堆肥化可能な可撓性発泡体のために選択される熱可塑性ポリマーは、PBATを含むまたは完全にPBATからなる。幾つかの実施形態において、本開示の再利用可能、生分解性、および/または工業的に堆肥化可能な可撓性発泡体のために選択される熱可塑性ポリマーは、PHAを含むまたは完全にPHAからなる。
【0029】
[0032]幾つかの実施形態において、本開示の適切な再利用可能なポリマーまたはポリマー混合物を製造するために、再利用された原料が使用される。幾つかの実施形態の目的は、可能な場合にはいつでも再利用されたポリマー原料を使用することである。再利用された原料を使用する一例は、幾つかの実施形態によれば、脱工業化ポリアミドカーペット繊維、収集された海洋プラスチック漁業網、または収集、分類、溶融、および再処理されたその他のプラスチック廃棄物材料を使用することである。幾つかのこのような実施例において、収集された廃棄物材料は、バージンクオリティのポリアミド前駆体(例えば、カプロラクタム)に再処理することができる。脱工業化カーペット繊維および使用済み漁業網から得られた典型的なカプロラクタムは、ジョージア州カーターズビル所在のAquafil USA Inc.によって製造されたEconylである。前述の熱可塑性ポリマー樹脂は、本開示の実施形態による最適な微小気泡可撓性発泡体構造を形成する際に有利な技術的特性を示した。これらの技術的特性のうちの幾つかは、利点の中でも特に、並外れた劣化性、優れた伸び、引張強さ、および圧縮永久ひずみを含む。
【0030】
[0033]さらに、幾つかの実施形態において、生物由来のポリマーが、本開示の可撓性発泡体を製造するために使用される。幾つかの実施形態において、「生物由来」または「バイオポリマー」または「バイオプラスチック」という用語は、本明細書において、(例えば、石油ベースソースとは反対に)生物学的起源に由来するポリマー、または生物学的起源に由来する前駆体材料(例えば、モノマー)から形成されたポリマーを指すために使用される場合がある。幾つかのこのような実施形態において、生物学的起源は、再生可能植物起源であってよい。本開示において使用するための適切なバイオポリマーの1つの非限定的な例は、イタリア、ノヴァラ所在のNovamont SpAによって製造された生物由来のPBATである。この生物由来のPBATは、生分解性かつ工業的に堆肥化可能であり、ポリマーの前駆体、すなわちアゼライン酸および生物由来バイオブタンジオール(bio-BDO)が、ポリマーの一次的な生物由来の性質を形成する。この生物由来のPBATは、本開示の実施形態による最適な微小気泡可撓性発泡体構造を形成する際に全体的な有利な技術的特性を示す。向上した技術的特性のうちの幾つかは、利点の中でも特に、並外れた劣化性、優れた伸び、引張強さ、および圧縮永久ひずみを含む。植物に加えて、幾つかの実施形態において、「生物由来」または「バイオポリマー」または「バイオプラスチック」材料の生物学的起源は、例えば、微生物(例えば、バクテリア)、藻、動物(例えば、動物脂肪/脂質)、および/または昆虫を含む。
【0031】
[0034]幾つかの実施形態において、2つ以上の熱可塑性ポリマーの混合物を利用することができる。幾つかの実施形態において、2つ以上の熱可塑性ポリマーの混合物は、単一のポリマーにおいて見られない特性の組合せを提供することができる。ポリマーをうまく混合するために幾つかの方法がある。1つのこのような方法は、ツインスクリュー押し出し機を使用して、2つ以上のポリマー樹脂を溶融させ、次いで、溶融したポリマー樹脂混合物をストランドになるように押し出し、ストランドは冷却されて、マスターバッチと呼ばれるペレット化されたピースの配列を製造するためにペレタイザに供給される。ポリマー混合の別の方法は、相溶化剤を使用して、ポリマー混合物における異なるポリマーを結合させることである。この方法も、ツインスクリュー押し出し機等を使用して、相溶化剤および2つ以上のポリマーを溶融させ、混合物を形成してよい。
【0032】
[0035]添加物
[0036]幾つかの実施形態において、用途に応じて、1つまたは複数の添加物が選択的にポリマー製剤に添加されてよい。1つまたは複数の添加物は、例えば、1つまたは複数の充填剤、核形成剤および/または着色剤を含むことができる。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の添加物は、結果として生じる発泡体の物理的および/または化学的特性を調節するために含まれてよい。好ましくは、幾つかの実施形態において、1つまたは複数の添加物は、再利用可能および/または堆肥化可能な材料を含むまたはそれらからなる。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の生分解性および/または再利用可能な結合剤(バインダ)が、膨らんだペレットを溶融させることを助けるために選択的に含まれる。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の添加物は、押し出しの前にポリマーに添加されてよい(例えば、マスターバッチと混合される)。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の添加物は、追加的または代替的に、押し出し機に加えられ、押し出し機においてポリマーと混合されてよい(例えば、押し出し機への側方送り込みを介して)。
【0033】
[0037]幾つかの実施形態において、パートコストを減じるために、1つまたは複数の充填剤が、選択的に、ポリマーに加えられてよい。例えば、幾つかの実施形態において、1つまたは複数の充填剤は、ポリマー材料よりも低い重量当たりコストを有し、製品に対する物理的かさおよび/または改善された特定の性能を追加するために使用されてよい。幾つかの非限定的な実施例において、1つまたは複数の充填剤は、含まれる場合、負荷重量比で1%~30%の範囲で加えられてよい。1つまたは複数の充填剤は、例えば、沈殿させられた炭酸カルシウム、魚卵状アラゴナイト、デンプン、バイオマス等を含んでよい。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の充填剤のための材料は、可撓性発泡体および/または最終製品が再利用可能および/または堆肥化可能なままであるように選択される。
【0034】
[0038]核形成剤、例えば、微細ラメラタルクまたは高アスペクト比魚卵状アラゴナイトが、幾つかの実施形態において含まれてよい。核形成剤は、幾つかの実施形態において、有利に高められた特質の中でも特に、セル合体(例えば、気泡の合併)を防止し、かさ密度を低下させ、反発弾性を改善することによって、結果として生じる可撓性発泡体の主要な特性を著しく改善することができる。幾つかのこのような実施形態において、核形成材料は、発泡体材料における個々の気泡の量を増大させることによって発泡を改善する。可撓性発泡体を製造する際に使用するための核形成剤の複数の非限定的な例は、テキサス州ヒューストン所在のImerys Talc America Inc.によってMistrocell(登録商標)として市販されている微細ラメラタルク、およびアラバマ州ギャズデン所在のCalcean Minerals & Materials LLCによってOceanCal(登録商標)として市販されている高アスペクト比魚卵状アラゴナイトを含む。幾つかの非限定的な例において、1つまたは複数の核形成剤は、含まれる場合、負荷重量比において0.1%~10%の範囲で含まれてよい。
【0035】
[0039]さらなる実施形態において、完成した発泡体製品の生分解を加速させかつ/または改善するように構成された1つまたは複数の添加物が含まれてよい。1つの実施例において、幾つかの例において適切であるように生分解を加速させるためにおよび特定のエンドマーケット使用のために、オリゴマーポリ(アスパラギン酸-コ-ラクチド)(PAL)が選択的にマスターバッチに混合されてよい。
【0036】
[0040]幾つかの実施形態において、結果として生じる可撓性発泡体の色を変化させるために1つまたは複数の着色剤が選択的に含まれてよい。例えば、染料または顔料などの様々な着色剤が、選択的に本発明のポリマー製剤に含まれてよい。複数の非限定的な例は、特定のタイプの熱可塑性ポリマー使用のために調製された顔料、例えば、ドイル、ビンゲン・アム・ライン所在のTreffert GmBH & Co.KGによって提供される顔料またはインディアナ州リッチモンド所在のHolland Colours Americas Inc.によって提供されるものである。幾つかの非限定的な実施例において、1つまたは複数の着色剤は、含まれる場合、負荷重量比において0.1%~5%の範囲で加えられてよい。
【0037】
[0041]発泡剤
[0042]本開示の幾つかのプロセスに従って発泡体を製造するために、ポリマー製剤は発泡剤と混合される。従来の製造プロセスにおいて使用される広く知られた発泡剤は、アゾジカーボンアミド(ADA)である。ADAは、典型的には、従来の射出成形発泡プロセスにおいて使用するために従来の熱可塑性マスターバッチ樹脂に予め含浸させられる。しかしながら、ADAは、環境的に優しいとは考えられず、人間の健康にとって疑わしい発がん物質である。さらに、ADAを使用する従来の発泡プロセスは、典型的には、製造プロセス中に架橋され、したがって、再利用可能または堆肥化可能ではない発泡体を製造する。したがって、好ましい実施形態において、本開示のプロセスはADAを使用しない。
【0038】
[0043]幾つかの実施形態において、本開示の発泡プロセスのための発泡剤として不活性ガスが使用される。幾つかの実施形態において、本開示の実施形態において使用される発泡剤は、窒素ガス(N2)または二酸化炭素(CO2)のいずれかである。幾つかの実施形態において、発泡剤は、超臨界流体(SCF)としてポリマー材料と混合される。幾つかの実施形態において、SCFおよびポリマー材料は、単相溶液を形成する。幾つかの実施形態において、本開示の発泡プロセスは、連続的な形式の押し出し物を形成するために、ポリマーおよび超臨界流体(SCF)の単相溶液を押し出し機ダイに通過させることを含む。幾つかの実施形態において、押し出し物は環状である。幾つかの実施形態において、押し出し物は平坦なシートに形成される。その他の実施形態によればその他の形状も可能である。幾つかの実施形態において、ポリマーおよび超臨界流体(SCF)の単相溶液が押し出し機ダイを通過するときに、均質なセル核形成が生じる。幾つかの実施形態において、溶液が押し出し機ダイから出るとき、圧力が降下し、これにより、次いで、SCFが溶液から出て、セル核を形成する。セルは、次いで、材料が膨張するまで成長し、SCFの膨張能力が費やされ、これにより、結果として生じる発泡体を安定させる。本明細書においてさらに説明するように、幾つかの実施形態によるプロセスは、単相溶液を形成するためにポリマーへの不活性SCFの計測、排出および混合を許容するように修正された押し出し機械において行われてよい。
【0039】
[0044]発泡剤としての窒素および二酸化炭素の有効性の差は、ポリマーメルトにおけるそれらの挙動から生じる。臨界点(約31℃および約73bar)よりも高い温度および圧力においてSCFとなる二酸化炭素は、約-147℃および約34barにおいて超臨界流体となる窒素よりも、ポリマーにおいて4~5倍溶けやすい。例えば、充填されていないポリマーにおける飽和点は、温度および圧力条件に応じて、窒素の約1.5~2質量パーセントであるが、二酸化炭素の飽和レベルは、8質量パーセントに近い。二酸化炭素は、ポリマーにおいてより大きな可動性も示し、二酸化炭素が、窒素よりも既存の気泡内へさらに移動することを可能にする。セル核形成の観点から、より高い溶解性および可動性は、より少ないセルが核形成されることを意味し、核形成を行うものは、より大きくなる傾向がある。
【0040】
[0045]しかしながら、溶解性は、目的が粘度減少である場合には幾つかの実施形態によれば利点となる。幾つかの実施形態において、より低い粘度は、より低い部分重量のために有利である場合がある。幾つかの実施形態において、ポリマーに溶解させられたSCFは、可塑剤として作用し、ポリマーの粘度を減じる。粘度減少は、部分的に、ポリマーに加えられたSCFの量の関数であり、また、二酸化炭素は、窒素よりも高い溶解限度を有するので、二酸化炭素によって粘度を減じる能力のほうが大きい。
【0041】
[0046]部品を製造するために必要とされる窒素の量が低く、それにより、部品を一貫して処理することができない場合、幾つかの実施形態において、二酸化炭素も発泡剤として好ましい。幾つかの実施形態において、二酸化炭素が、窒素よりもポリマーにおけるより高い溶解性を有するならば、非常に低いレベルの窒素、0.05パーセント未満と比較して、低いレベルの二酸化炭素、0.15または0.2パーセントを用いるほうが容易であるときがある。これは、主に、厚い断面を有する柔軟な材料および部品で生じる。
【0042】
[0047]幾つかの代替的な実施形態において、1つまたは複数の発泡剤は、ポリマー材料の予め発泡されたペレットを予め膨張させるために使用される。幾つかの実施形態において、発泡剤は、不活性ガスである。幾つかのこのような実施形態において、発泡剤は、窒素または二酸化炭素のいずれかであってよい。幾つかの実施形態において、予備膨張は、ガス(例えば、窒素または二酸化炭素)をポリマーペレットに注入し、これにより、個々の膨張を強制して、予め発泡した膨らんだペレットを形成する。幾つかの実施形態において、これらの予め発泡したペレットは、次いで、任意の必要性を満たすために様々な厚さおよび長さの連続的なシートに押し出される。ペレットの完成した溶融したシートは、それぞれの個々の予め発泡されたペレットが複数の発泡および溶融したペレットに溶融した結果である。次いで、完成した均質なシートは、当該技術分野において知られるものなどの従来の手段によるダイカットおよび成形の準備が整っている。
【0043】
[0048]押し出しシステム
[0049]幾つかの態様によれば、本開示は、再利用可能、生分解性および/または工業的に堆肥化可能な可撓性発泡体を製造するためのシステムを提供する。様々な実施形態において、システムは、以下の構成要素のうちの1つまたは複数を含んでよい:ポリマー材料を溶融させかつ搬送するために構成された少なくとも1つの押し出し機、ポリマー材料を(例えば、ペレットの形態で)押し出し機に導入するように構成されたホッパ、および押し出し機によって押し出された材料を成形するためのダイ。幾つかの実施形態において、前述の構成要素は、単一の装置に組み合わされてよい。幾つかの実施形態において、本開示によるシステムは、さらに、ポリマー材料と混合されるための発泡剤(例えば、窒素または二酸化炭素)を供給するように構成されたガス源を含む。幾つかの実施形態において、システムは、さらに、押し出しシステムの様々なプロセスパラメータ、例えば、それらに限定されないが、温度、圧力、ポリマー供給速度、ガス投与、または押し出し速度のうちの1つまたは複数を制御するように構成された制御システムを含む。
【0044】
[0050]幾つかの実施形態において、少なくとも1つの押し出し機は、スクリュー押し出し機であってよい。幾つかのこのような実施形態において、スクリュー押し出し機は、バレルと、バレル内に配置されかつバレル内で回転するように構成された少なくとも1つのスクリューとを含む。幾つかの実施形態において、少なくとも1つのスクリューは、押し出し機に導入されたポリマー材料を圧縮し、溶融させかつ搬送するように構成されている。幾つかの実施形態において、ポリマーマスターバッチ(例えば、ペレット化されたポリマー材料)を押し出し機のバレル内へ供給するためのホッパが含まれてよい。幾つかの実施形態において、ポリマーマスターバッチは、ホッパからホッパのスロートを通って押し出し機のバレルおよびスクリューアセンブリ内へ重力により供給されてよい。
【0045】
[0051]幾つかの実施形態において、少なくとも1つのスクリューは、1つまたは複数のモータによって駆動されてよい。幾つかの実施形態において、スクリュー押し出し機は、2つ以上の回転するスクリューを有する多数スクリュー押し出し機である。幾つかのこのような実施形態において、スクリュー押し出し機は、互いに噛み合った一対の平行なスクリューを有するツインスクリュー押し出し機であってよい。さらなる実施形態において、スクリューは、往復スクリューであってよい。往復スクリューは、3つのゾーン、すなわち、供給ゾーン、圧縮(または移行)ゾーンおよび計測ゾーンを含んでよい。幾つかの実施形態において、システムは、少なくとも2つの押し出し機を含む。幾つかの実施形態において、システムは、第1の溶融押し出し機を含み、この第1の溶融押し出し機は、材料を第2の冷却押し出し機へ供給する。
【0046】
[0052]幾つかの実施形態において、ノズルが存在してよく、ノズルは、押し出し機のバレルをダイに接続しており、バレルとダイとの間にシールを形成している。幾つかの実施形態において、ノズルの温度は、ポリマー材料の溶融温度またはそれよりも僅かに低く設定されてよい。幾つかの実施形態において、ダイは、スプルーブッシングを含み、ノズルはスプルーブッシングに接続されている。幾つかの実施形態において、排出システムも含まれてよい。排出システムは、幾つかの実施形態において、ノズルからダイまでの溶融ポリマーのための通路を提供し、一般的に、スプルー、コールドスラグウェル、メインランナ、ブランチランナ、ゲート等を含んでよい。幾つかの実施形態において、バレルが、完全に前方の処理位置にあるとき、ノズルの半径は、位置決めリングを備えたスプルーブッシングにおける凹状の半径に嵌合してシールしてよい。バレルのパージング(クリーニング)の間、バレルは、スプルーからバックアウトされてよく、それにより、パージ化合物はノズルから自由落下することができる。
【0047】
[0053]さらなる態様において、システムは、追加的に、ガス(例えば、窒素または二酸化炭素)を受け取り、受け取ったガスを上記導入時に超臨界流体を製造するための条件下で押し出し機のバレル内へ導入するように構成された超臨界流体(SCF)投与システムを含んでよい。幾つかの実施形態において、超臨界流体投与システムは、ガスの臨界点を超えるように、受け取ったガスの圧力および/または温度を変更するように構成されてよい。幾つかの実施形態において、例えば、SCF投与システムは、ガス(例えば、窒素または二酸化炭素)の供給部、空気圧縮機、SCF計測および制御装置、SCF噴射器、および前後の逆流防止弁を含んでよい。幾つかの実施形態において、超臨界流体は、押し出し機のバレル内で熱可塑性ポリマーと混合される。幾つかの実施形態において、超臨界流体および熱可塑性ポリマーは、押し出し機のバレル内で単相溶液を形成する。幾つかの実施形態において、SCFが溶融ポリマーに完全に溶解し、均一に分散させられた単相溶液の生成は、注意深く制御されたプロセス条件下で押し出し機バレル内において行われる。幾つかの実施形態において、SCFは、正確に、固定された量の時間だけポリマー内へ計測された質量流量であるべきであり、その投与期間の間、温度、圧力および剪断の特定の条件がバレル内で確立されなければならない。幾つかの実施形態において、背圧、スクリュー速度およびバレル温度制御、ならびにSCF投与システムは全て、単相溶液を生成するプロセス条件を確立する際に役割を果たす。
【0048】
[0054]幾つかの実施形態において、プロセスセットアッププロシージャは、単相溶液を生じるスクリュー速度、温度、および圧力条件下で押し出し機バレル内への制御されたSCF投与を確立することを中心に展開する。幾つかの実施形態において、以下のシステムパラメータのうちの1つまたは複数は、SCF投与の基本条件が満たされていることを保証するために調節されてよい:
1)SCF飽和圧力:幾つかの実施形態において、不活性ガス飽和圧力および飽和温度の効果は、発泡体の膨張比において主要な役割を果たす。幾つかの非限定的な実施例において、飽和圧力は、75bar~200barの範囲、好ましくは90bar~150barの範囲であることができる。不活性ガス飽和温度は、例えば、特定の生分解性、工業的に堆肥化可能、および/または再利用されたおよび/または再利用可能なポリマーの滴点および溶融温度に応じて、90℃~200℃の範囲であることができる。さらに、発泡体の平均細孔径および気泡密度は、飽和圧力(選択されたポリマーへの不活性ガス飽和の圧力)の調節によってある程度まで制御可能である。小さな平均細孔径および高い気泡密度を得るためには幾つかの実施形態において高い不活性ガス飽和圧力が好ましい。不活性ガス飽和圧力および飽和温度の効果は、発泡体の膨張比において主要な役割を果たす。
2)SCF噴射器開放位置:このセットポイントは、SCF投与が開示するスクリュー位置をセットする。位置は、スクリュー回復中のバレルにおける圧力が投与の開始前に安定するようにセットされるべきである。非限定的な実施例として、開放位置は、7.62mm(0.3インチ)~10.16mm(0.4インチ)の範囲であることができる。
3)SCFパーセント:これは、投与されるSCFの実際の質量を制御する。SCFパーセントの非限定的な例は、0.45%~0.75%の範囲、より好ましくは、0.5%であることができる。
4)投与最適化:これは、投与時間を最大化しかつ流量(計測前圧力と排出圧力との間の差圧)を最少化することによって達成される。投与時間の非限定的な例は、1~2秒、より好ましくは、1.7秒である。幾つかの実施形態において、単一ポリマーメルトは、ダイ内で核形成され、ダイの出口において単一ポリマーメルト流として解放され、これにより、開放時間は、好ましくは、ほんの一瞬である。
【0049】
[0055]幾つかの実施形態において、単相溶液が生成されると、押し出し機は、押し出しの開始まで溶液を加圧状態に維持する。幾つかの実施形態において、押し出し機は、圧力調整器弁とメルトポンプ制御との組み合わされた努力によってそうする。幾つかの実施形態において、圧力調整器弁は、減圧およびダイエレメント内への早期発泡を防止する。さらなる実施形態において、能動的または受動的スクリュー位置制御は、スクリューの後方移動による減圧を防止するために利用されてよい。幾つかのこのような実施形態において、能動的スクリュー位置制御の間、スクリューの位置は連続的に監視され、スクリューの背後に加えられる圧力は位置セットポイントを維持するように調節されるかまたは一定の圧力がスクリューの背後において保持される。受動的位置制御において、オイルが、背圧を調整するために使用されてよく、スクリュー回復の終了時にタンクへ流出することが防止される。この残留オイルは、単相溶液の圧力によりスクリューが後方へ移動しないように維持する。
【0050】
[0056]幾つかの実施形態において、本開示のシステムは、さらに、システムのバレルまたはその他の構成要素内の温度を監視および/または制御するように構成された1つまたは複数の温度センサを含んでよい。幾つかの実施形態において、システムは、システムのバレルまたはその他の構成要素内の圧力を監視および/または制御するように構成された1つまたは複数の圧力センサを含んでよい。追加的に、1つまたは複数のマイクロプロセッサを有する制御ユニットが含まれてよく、制御ユニットは、1つまたは複数のシステムパラメータに従って、押し出し機および超臨界ガス投与システムのうちの1つまたは複数を制御するように構成されている。幾つかの実施形態において、制御システムは、押し出し機動作における一貫性および再現性を提供するように構成されてよい。幾つかの実施形態において、制御システムは、温度、圧力、SCF投与、噴射速度、スクリュー速度および位置、ならびに液圧位置を含む処理パラメータを監視および制御する。制御システムは、単純なリレーオン/オフ制御から、極めて高度なマイクロプロセッサベースの閉ループ制御までの範囲にわたることができる。
【0051】
[0057]幾つかの実施形態において、システムおよび/またはそのあらゆるサブシステムは、1つまたは複数のセンサ、例えば、温度センサ、圧力センサ、加速度計、ジャイロスコープおよび配向センサを含んでよい。幾つかの実施形態において、1つまたは複数のセンサは、押し出し機、ダイなどの内部に、押し出しシステムのその他の構成要素のうちの1つまたは複数と通信して位置決めされるように構成されている。様々な実施形態において、1つまたは複数のセンサは、スマートセンサであってよく、ネットワークに接続するように構成された通信モジュールを含んでよい。幾つかの実施形態において、通信モジュールは、さらに、無線通信を行うように構成されてよい。幾つかの実施形態において、システムおよび/またはその様々な部分のいずれかは、通信モジュールが、WIFI、Bluetooth、低エネルギーBluetooth、ならびに3G、4Gおよび5Gセルラー通信を含む1つまたは複数の無線通信プロトコルを実行するように構成されているところなど、制御システム、SCF投与システムおよびガス反対圧力制御ユニットのうちの1つまたは複数に結合されてよい通信モジュールを含んでよい。
【0052】
[0058]
図2は、1つの非限定的な実施例による可撓性発泡体を製造するためのシステム200を示す。幾つかの実施形態において、第1の段階において、システム200は、マスターバッチ204のペレットを含むように構成された圧力容器202を含む。ペレットは、上述の熱可塑性ポリマー材料の非限定的な例のうちのいずれか1つまたは複数からなってよい。例えば、ペレットは、完全に1つまたは複数の再利用可能な熱可塑性ポリマーからなってよいか、または完全に1つまたは複数の生分解性熱可塑性ポリマー(例えば、1つまたは複数のバイオポリマー)からなってよい。幾つかの実施形態において、マスターバッチ204のペレットは、圧力容器202内で不活性ガス(例えば、二酸化炭素または窒素)が注入または飽和されてよい。
【0053】
[0059]幾つかの実施形態において、(例えば、圧力容器202での)不活性ガス飽和圧力および飽和温度の効果は、発泡体の膨張比において主要な役割を果たす。幾つかの実施形態において、飽和圧力は、75bar~200bar、好ましくは、90bar~150barの範囲であることができる。不活性ガス飽和温度は、特定の生分解性、工業的に堆肥化可能、および/または再利用されたおよび/または再利用可能なポリマーの滴点および溶融温度に応じて、90℃~200℃の範囲であることができる。さらに、発泡体の平均細孔径および気泡密度は、飽和圧力、つまり選択されたポリマー内への不活性ガス飽和の圧力の調節によってある程度まで制御可能である。高い不活性ガス飽和圧力は、小さな平均細孔径および高い気泡密度を得るために理想的である。
【0054】
[0060]幾つかの実施形態において、不活性ガスによる飽和に続く第2の段階において、マスターバッチ204のペレットは、ペレットを押し出し機208に供給するように構成されたホッパ206へ移送される。ペレットは、不活性ガスによる飽和の後、膨張状態にあってよい。幾つかの実施形態において、押し出し機208は、バレル212内に収容されかつバレル212内で回転するように構成された1つまたは複数の押し出しスクリュー210を含む。1つまたは複数の押し出しスクリュー210の回転は、例えば、モータ214によって駆動されてよい。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の押し出しスクリュー210は、ペレットが押し出し機208を通じて押し出されるときにマスターバッチ204の飽和したペレットを一緒に搬送、圧縮および溶融するように構成されており、ポリマーメルトを形成する。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の生分解性および/または再利用可能な結合剤(バインダ)が、選択的に、ペレットを溶融させることを助けるために含まれる。
【0055】
[0061]幾つかの実施形態において、ポリマーメルトは、押し出し機208によってダイ216を通じて押し出される。ダイ216は、幾つかの実施形態において、押し出し機208の端部に位置決めされてよく、ダイ216を通過するときにポリマーメルトを成形するように構成されている。幾つかの実施形態において、ダイ216の温度は、ポリマー材料の溶融温度またはそれよりも僅かに低く設定されている。幾つかの実施形態において、ポリマーメルトは、ダイ216を通じて押し出され、較正器218を通過する。幾つかの実施形態において、較正器218は、ダイを通じた押し出しに続いて押し出し物を冷却するように構成されている。幾つかの実施形態において、較正器218は、温度制御ユニット220(例えば、Thermolator(登録商標)温度制御ユニット)に接続されている。幾つかの実施形態において、温度制御ユニット220は、較正器218の温度を制御するように構成されている。幾つかの実施形態において、較正器218および/または温度制御ユニット220は、押し出し物を固化させるために押し出し物が較正器218を通過するときに押し出し物を十分に冷却するように構成されている。
【0056】
[0062]さらなる実施形態において、較正器218は真空システム222に接続されている。幾つかの実施形態において、真空システム222は低圧ゾーンを形成するように構成されている。ポリマーメルトがダイ216から出て、低圧ゾーンに曝されると、ポリマーメルトに導入されたガスが膨張し、押し出された発泡体226を形成する。さらなる実施形態において、引っ張りシステム224が、押し出された発泡体226をダイ216から搬送するために含まれている。引っ張りシステム224は、例えば、押し出された発泡体226を受け取るように構成された1つまたは複数のローラを含んでよい。幾つかの実施形態において、引っ張りシステムのローラは、押し出された発泡体226を(例えば、平坦なシートに)成形することを助ける。
【0057】
[0063]
図3は、別の非限定的な実施例による可撓性発泡体を製造するためのシステム300を示す。幾つかの実施形態において、システム300は、第1の押し出し機306にマスターバッチ304のペレットを供給するように構成されたホッパ302を含む。ペレットは、上述の非限定的な熱可塑性ポリマー材料のいずれかからなってよい。幾つかの実施形態において、第1の押し出し機306はメルト押し出し機である。幾つかの実施形態において、第1の押し出し機306は、バレル310内に収容されかつバレル310内で回転するように構成された1つまたは複数の押し出しスクリュー308を含む。1つまたは複数の押し出しスクリュー308の回転は、例えば、歯車314のシステムによって押し出しスクリュー308に接続された第1のモータ312によって駆動されてよい。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の押し出しスクリュー308は、ペレットが第1の押し出し機306を通じて押し出されるときにマスターバッチ304のペレットを搬送、圧縮および溶融するように構成されており、ポリマーメルトを形成する。
【0058】
[0064]システム300は、幾つかの実施形態において、ポリマーメルトと混合されるために不活性ガスを第1の押し出し機306内へ供給するように構成された超臨界流体(SCF)投与システム316を含む。幾つかのこのような実施形態において、SCF投与システム316は、例えば、不活性ガス(例えば、窒素または二酸化炭素)の供給部(例えば、タンク)318、ポンプ制御装置320、不活性ガスの流れを制御するための弁322,324、および第1の押し出し機306内へ不活性ガスを噴射するための噴射ライン316のうちの1つまたは複数を含む。幾つかの実施形態において、SCF投与システム316は、不活性ガスを超臨界流体として第1の押し出し機306に導入するように構成されている。幾つかのこのような実施形態において、SCF投与システム316は、ガスの臨界点よりも高い圧力および温度で不活性ガスを第1の押し出し機内へ噴射するように構成されている。例えば、幾つかの実施形態において、SCF投与システム316は、約150bar~約300barの範囲の圧力および約150℃~約350℃の温度で超臨界流体を導入するように構成されている。幾つかの実施形態において、SCF投与システム316は、約90bar~約150barの範囲の圧力および約90℃~約200℃の温度で超臨界流体を導入するように構成されている。幾つかの実施形態において、第1の押し出し機306内の圧力および温度は、不活性ガスを超臨界状態に維持するために十分である。
【0059】
[0065]幾つかの実施形態において、超臨界流体およびポリマーメルトは、単相溶液を形成するために第1の押し出し機306内で混合される。幾つかの実施形態において、単相溶液は、第1の押し出し機306から管328を介して第2の押し出し機330へ押し出される。幾つかの実施形態において、第2の押し出し機330は、冷却押し出し機である。幾つかの実施形態において、第2の押し出し機330の使用は、発泡体気泡の崩壊および収縮を回避することを助ける。さらなる実施形態において、第2の押し出し機330の使用は、滑らかでかつ均質な発泡体構造を製造することを助ける。幾つかの実施形態において、第2の押し出し機330は、第2のバレル334内に収容されかつ第2のバレル334内で回転するように構成された1つまたは複数の押し出しスクリュー332を含む。1つまたは複数の押し出しスクリュー332の回転は、例えば、歯車338の第2のシステムによって押し出しスクリュー332に接続された第2のモータ336によって駆動されてよい。幾つかの実施形態において、1つまたは複数の押し出しスクリュー332は、(例えば、水、油またはその他の冷媒を介して)内部で冷却される。幾つかのこのような実施形態において、1つまたは複数の押し出しスクリュー332の冷却は、第2の押し出し機330を通じて押し出されるポリマー材料が1つまたは複数の押し出しスクリュー332に付着することを防止し得る。
【0060】
[0066]幾つかの実施形態において、第2の押し出し機330は、ダイ340を通じてポリマーメルトを搬送しかつ押し出すように構成されている。ダイ340は、幾つかの実施形態において、ダイ340を通過するときにポリマーメルトを成形するように構成されている。幾つかの実施形態において、システム300は、第2の押し出し機330とダイ340との間に配置されたミキサ342を含む。さらなる実施形態において、システム300は、第2の押し出し機330とダイ340との間に配置された熱交換器344を含む。さらなる実施形態において、システム300は、第2の押し出し機330とダイ340との間に配置されたメルトポンプ346を含む。幾つかの実施形態において、メルトポンプ346は、ダイ340の出力を正確に制御するように構成されている。幾つかのこのような実施形態において、メルトポンプ346は、押し出された材料を第2の押し出し機330から受け取る吸引側と、押し出された材料をダイ340へ出力する排出側とを含む。幾つかの実施形態において、押し出された材料は、第2の押し出し機330からメルトポンプ346へミキサ342を通過する。幾つかの実施形態において、メルトポンプ346は、押し出された材料をより一貫した圧力および体積でダイ340へ出力するように構成されている。幾つかの実施形態において、熱交換器344は、第2の押し出し機330、メルトポンプ346および/またはダイ340の温度を調整することを助けるように構成されている。幾つかの実施形態において、ポリマーメルトがダイ340を出るとき、ポリマーメルトに導入されたガスが膨張し、押し出された発泡体350を形成する。幾つかの実施形態において、引っ張りシステム348が、押し出された発泡体350をダイ340から搬送するために含まれてよい。
【0061】
[0067]幾つかの実施形態において、システム300は、さらに、システムの様々な構成要素に結合された1つまたは複数のセンサ352を含んでよい。1つまたは複数のセンサ352は、例えば、構成要素の様々な動作パラメータを測定するように構成された圧力センサ、温度センサ等を含んでよい。1つまたは複数のセンサ352は、例えば、第1の押し出し機306、第2の押し出し機330およびダイ340のうちの1つまたは複数に結合されてよい。幾つかの実施形態において、1つまたは複数のセンサ352は、さらに、制御システム(図示せず)と(例えば、無線で)通信するように構成されてよく、制御システム自体は、1つまたは複数のセンサ352によって検出されたパラメータに応答してシステム300の構成要素の動作を制御するように構成されている。例えば、幾つかの実施形態における制御システムは、システム300の幾つかの構成要素を所定の範囲の温度および/または圧力において動作させるおよび/または維持するために1つまたは複数のセンサ352からのフィードバックに依存してよい。押し出し機速度、温度制御システム、および/またはその他の構成要素が、制御システムによって調節されてよい。
【0062】
[0068]本明細書に説明されているように、本開示の実施形態に従って製造された発泡体は、様々な工業および最終製品、例えば、それらに限定されないが、履物構成要素(例えば、靴のインソールまたはミッドソール)、座席構成要素、防具構成要素、車両構成要素、寝具材料、およびウォータースポーツアクセサリにおいて有用であり得る。幾つかの実施形態において、本開示の押し出された発泡体は、意図された用途に応じて、様々な所定の寸法(例えば、厚さ、長さ、幅)で形成されてよい。さらなる実施形態において、押し出された発泡体は、引き続き、最終製品を形成するために有用な発泡体ピースを形成するために切断または成形(例えば、圧縮成形を介して)されてよい。例えば、本開示の実施形態に従って形成された生分解性および/または再利用可能な発泡体のシートは、「ブロッカ」と呼ばれてよい使用可能なピースにダイカットされてよい。ブロッカは、次いで、例えば、靴またはその他の履物を組み立てる際に使用するための成形された履物ミッドソールを形成するために圧縮成形されてよい。
【0063】
[0069]幾つかの実施形態による発泡体は、架橋なしで、再利用された、再利用可能、生分解性、および/または堆肥化可能な材料から形成されるので、発泡体は、従来の発泡体材料(例えば、EVAまたはTPU発泡体)に代わる環境的に優しい代替物を提供する。発泡体の可使時間の終了時、発泡体は、生分解性発泡体の場合には選択的に生分解または堆肥化することができ、または再利用可能な発泡体の場合には(例えば、新たな発泡体に)再利用および再処理することができる。幾つかの実施形態において、発泡体は、架橋剤またはその他の妨げる化学添加物の欠如により、使用可能な前駆体成分(例えば、モノマー)に再び分解することができる。
【0064】
[0070]添付の特許請求の範囲によって定義された発明の思想および範囲から逸脱することなく本明細書において様々な変更、代用および修正を行うことができることが理解されるべきである。特定の実施形態に属するものとして本明細書において特定された個々の要素は発明のその他の実施形態に含まれてもよいことも明らかであるべきである。さらに、本願の範囲は、明細書に説明されたプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法およびステップの特定の実施形態に限定されることは意図されていない。当業者が本明細書における開示から容易に認めるように、本明細書に説明された対応する実施形態と実質的に同じ機能を果たすまたは実質的に同じ結果を達成する、現時点で既存のまたは後に開発されるプロセス、機械、製造、組成物、手段、方法またはステップは、本発明に従って利用されてよい。
【国際調査報告】