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特表2023-549025ガスタービンの質量差の検知システム及びその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】ガスタービンの質量差の検知システム及びその方法
(51)【国際特許分類】
   F01D 21/00 20060101AFI20231115BHJP
   F01D 17/08 20060101ALI20231115BHJP
   F02C 7/00 20060101ALI20231115BHJP
   F01D 25/00 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
F01D21/00 W
F01D17/08 A
F01D21/00 U
F01D21/00 F
F02C7/00 A
F01D25/00 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023519600
(86)(22)【出願日】2021-10-27
(85)【翻訳文提出日】2023-05-24
(86)【国際出願番号】 US2021072058
(87)【国際公開番号】W WO2022094564
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】17/084,034
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンガリ、キラン
(72)【発明者】
【氏名】ハント、ルーカス クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ヨー、ベンジャミン
(72)【発明者】
【氏名】バラテ、ウトカルシャ スニル
【テーマコード(参考)】
3G071
【Fターム(参考)】
3G071BA22
3G071FA06
3G071FA09
(57)【要約】
【課題】ガスタービンの質量差の検知システム及び方法を提供する。
【解決手段】
ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量差を検知するための方法は、前記ガスタービン(13)の動作状態を監視すること、ガスタービン(13)のホイールスペース(51)温度の変化が生じたかどうかを判断するステップと、ホイールスペース(51)温度を、圧縮機(11)入口温度及び圧縮機(11)吐出温度のうちの温度変化を示す少なくとも一方の温度と比較することによって、ホイールスペース(51)温度が変化したかどうかを判断すること、ホイールスペース(51)温度は温度変化が生じたことを示していると判断されたことに応答して、ガスタービン(13)の排気温度は、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及びガスタービン(13)の振動変化のうちの少なくとも一方が現れているかどうかを判断すること、前記ガスタービン(13)の排気温度が同時に変化すること及び前記ガスタービンの振動変化のうちの少なくとも一方が現れていることに応答して、前記ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すことを含む。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量差を検知するための方法であって、
前記ガスタービン(13)の動作状態を監視すること、
ガスタービン(13)のホイールスペース(51)温度の変化が生じたかどうかを判断すること、
ホイールスペース(51)温度を、圧縮機(11)入口温度及び圧縮機(11)吐出温度のうちの温度変化を示す少なくとも一方の温度と比較することによって、ホイールスペース(51)温度が変化したかどうかを判断すること、
ホイールスペース(51)温度は温度変化が生じたことを示していると判断されたことに応答して、
ガスタービン(13)の排気温度は、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及び
ガスタービン(13)の振動変化
のうちの少なくとも一方が現れているかどうかを判断すること、
前記ガスタービン(13)の排気温度が同時に変化すること及び前記ガスタービンの振動変化のうちの少なくとも一方が現れていることに応答して、前記ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すこと
を含む、方法。
【請求項2】
前記ガスタービン(13)の動作状態を監視することと、
前記監視によって、
ガスタービン(13)のホイールスペース(51)温度に変化が生じたこと、
前記ホイールスペース(51)温度は温度変化が生じたことを示していること、及び
ガスタービン(13)の排気温度は、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及びガスタービン(13)の振動変化のうちの少なくとも一方、
を判断するための情報が入手可能であるかどうかを判断することと
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ガスタービン(13)の排気温度は、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及びガスタービン(13)の振動変化のうちの少なくとも一方が現れているかどうかを判断することは、少なくとも1つのガスタービン(13)排気温度が、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示すかどうかを判断することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すことは、前記高温ガス経路の構成要素の質量の減少による差を示すことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すことは、前記高温ガス経路の構成要素の質量の増加による差を示すことを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ガスタービン(13)の排気温度は、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及びガスタービン(13)の振動変化のうちの少なくとも一方が現れているかどうかを判断することは、少なくとも1つのガスタービン(13)排気温度が、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示すかどうかを判断することを含み、ガスタービン(13)の振動変化を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法はリアルタイムで実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
ガスタービン(13)用のガスタービン(13)制御装置(200)であって、前記制御装置(200)は、ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量差を監視及び検知し、前記制御装置(200)は、
ガスタービン(13)の動作条件を監視する少なくとも1つのセンサ(26)であって、前記少なくとも1つのセンサは、シャフト(50)速度、ガスタービン(13)負荷、ホイールスペース(51)温度、振動、ガスタービン(13)排気温度、圧縮機(11)入口温度、及び圧縮機(11)吐出温度のうちの1つ以上を監視する、少なくとも1つのセンサ(26)と、
ガスタービン(13)を動作させるためのコンピュータ実行可能命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、
前記ガスタービン(13)のパラメータ及び動作条件を監視すること、
ガスタービン(13)のホイールスペース(51)温度の変化が生じたかどうかを判断すること、
ホイールスペース(51)温度が温度変化を示すかどうかを判断すること、
ホイールスペース(51)温度が、温度変化が生じたことを示すかどうかを判断すること、及び
ホイールスペース(51)温度が温度変化を示すと判断したことに応答して、
ガスタービン(13)排気温度は、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及び
ガスタービン(13)の振動変化
のうちの少なくとも一方が現れているかどうかを判断すること、
前記ガスタービン(13)の排気温度が同時に変化すること及び前記ガスタービンの振動変化のうちの少なくとも一方に応答して、前記ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すこと
を実行するための命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体と
を含む、ガスタービン(11)制御装置(200)。
【請求項9】
ガスタービン(13)の排気温度は、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及びガスタービン(13)の振動変化のうちの少なくとも一方が現れているかどうかは、少なくとも1つのガスタービン(13)排気温度が、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示すかどうかを判断することを含む、請求項8に記載のガスタービン(11)制御装置(200)。
【請求項10】
前記ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すことは、高温ガス経路の構成要素の質量の減少による差を示すことを含む、請求項9に記載のガスタービン(13)制御装置(200)。
【請求項11】
前記ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すことは、高温ガス経路の構成要素の質量の増加による差を示すことを含む、請求項9に記載のガスタービン(13)制御装置(200)。
【請求項12】
ガスタービン(13)の排気温度は、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及びガスタービン(13)の振動変化のうちの少なくとも一方が現れているかどうかを判断することは、少なくとも1つのガスタービン(13)排気温度が、ホイールスペース(51)温度が前記圧縮機(11)入口温度及び前記圧縮機(11)吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示すかどうかを判断することを含み、ガスタービン(13)の振動変化を含む、請求項9に記載のガスタービン(11)制御装置(13)。
【請求項13】
前記ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すことは、高温ガス経路の構成要素の質量の減少による差を示すことを含む、請求項12に記載のガスタービン(13)制御装置(200)。
【請求項14】
前記ガスタービン(13)の高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すことは、高温ガス経路の構成要素の質量の増加による差を示すことを含む、請求項12に記載のガスタービン(13)制御装置(200)。
【請求項15】
ガスタービン(13)のホイールスペース(51)温度の変化が生じていない、
ホイールスペース(51)温度は、温度の変化を示していない、及び
ガスタービン(13)排気温度が変化を示さないし、振動変化もない
のうちの少なくとも1つに当てはまる場合、ガスタービン(13)の監視を続ける、請求項8に記載のガスタービン(13)の制御装置(200)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、ガスタービンにおける質量変化又は質量差を検知するためのシステム及び方法に関する。特に、本開示は、ガスタービンの高温ガス経路の構成要素の質量変化又は質量差を検知するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンの構成要素(ガスタービンの高温ガス経路の構成要素などであるが、これに限定されることはない)の質量変化を検出することは、変化がそれほど大きくなく、その変化に警告が出されている場合、ミサイル行事、ブレードの損傷及び分離、並びに疲労に関連する実質的な質量変化を回避するために有用である。ガスタービンの監視中にわずかな質量差を認識し検出すると、ガスタービンのオペレータに、差し迫った故障の恐れがあることを警告することができる。したがって、例えば、浸食、亀裂、スポーリング、付着、放出微粒子の蓄積、及び他の原因に関連する質量差を監視することにより、ガスタービン構成要素が更に損傷してしまうことを軽減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-170384号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の態様は、ガスタービンの高温ガス経路の構成要素の質量差を検知するための方法を提供する。この方法は、前記ガスタービンの動作状態を監視すること、ガスタービンのホイールスペース温度の変化が生じたかどうかを判断すること、ホイールスペース温度を、圧縮機入口温度及び圧縮機吐出温度のうちの温度変化を示す少なくとも一方の温度と比較することによって、ホイールスペース温度が変化したかどうかを判断すること、ホイールスペース温度は温度変化が生じたことを示していると判断されたことに応答して、ガスタービンの排気温度は、ホイールスペース温度が前記圧縮機入口温度及び前記圧縮機吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及びガスタービンの振動変化のうちの少なくとも一方が現れているかどうかを判断すること、前記ガスタービンの排気温度が同時に変化すること及び前記ガスタービンの振動変化のうちの少なくとも一方が現れていることに応答して、前記ガスタービンの高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すことを含む。
【0005】
本開示の第2の態様は、ガスタービン用のガスタービン制御装置を提供する。前記制御装置は、ガスタービンの高温ガス経路の構成要素の質量差を監視及び検知する。前記制御装置は、ガスタービンの動作条件を監視する少なくとも1つのセンサであって、前記少なくとも1つのセンサは、シャフト速度、ガスタービン負荷、ホイールスペース温度、振動、ガスタービン排気温度、圧縮機入口温度、及び圧縮機吐出温度のうちの1つ以上を監視する、少なくとも1つのセンサと、ガスタービンを動作させるためのコンピュータ実行可能命令を含む非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令は、前記ガスタービンのパラメータ及び動作条件を監視すること、ガスタービンのホイールスペース温度の変化が生じたかどうかを判断すること、ホイールスペース温度が温度変化を示すかどうかを判断すること、ホイールスペース温度が、温度変化が生じたことを示すかどうかを判断すること、及びガスタービン排気温度は、ホイールスペース温度が前記圧縮機入口温度及び前記圧縮機吐出温度のうちの少なくとも一方の温度と比較されている間における温度変化と同時に変化することを示している、及びガスタービンの振動変化のうちの少なくとも一方であるかどうかを判断すること、前記ガスタービンの排気温度が同時に変化すること及び前記ガスタービンの振動変化のうちの少なくとも一方に応答して、前記ガスタービンの高温ガス経路の構成要素の質量の変動を示すことを実行するための命令を含む、非一時的コンピュータ可読媒体とを含む。
【0006】
本開示の例示的な態様は、本明細書で記載される問題及び/又は記載されていない他の問題を解決するように設計される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示のこれらの特徴及び他の特徴は、本開示の様々な実施形態を示す添付の図面と併用される本開示の様々な態様の以下の詳細な説明から、より容易に理解される。
図1】本開示によって具体化される、本出願の実施形態を使用することができる例示的な燃焼ガスタービンエンジンの概略図である。
図2】本開示によって具体化される図1の燃焼ガスタービンエンジンにおける圧縮機の断面図である。
図3】本開示によって具体化される図1の燃焼ガスタービンエンジンにおけるガスタービンの断面図である。
図4】本開示によって具現化されるプロセスの一態様によるフローチャートを示す。
図5】ガスタービンの高温ガス経路の構成要素の質量差を検知するための例示的な制御装置及び関連するコンピュータを示し、ガスタービンのパラメータ及び動作条件を監視することが含まれている。
【0008】
本開示の図面は同一のスケールで拡大縮小されているわけではないことに留意されたい。図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。図面において、同様の番号は、全体の図面に渡って同様の要素を表している。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、現在の技術を明確に説明するために、ガスタービン内の関連する機械の構成要素、特にガスタービンの高温ガス経路部分内の関連する機械の構成要素に言及して説明するときに、特定の用語を選択することが必要になる。可能な限り、一般的な業界用語が、その業界で受け入れられている意味と一致する態様で使用され、採用される。特に明記しない限り、上記の用語は、本出願の文脈及び特許請求の範囲と一致する広い解釈を与えられるべきである。当業者は、多くの場合、特定の構成要素がいくつかの異なる用語又は重複する用語を使用して言及される場合があることを理解する。本明細書において単一の部品として説明されているものは、別の文脈では、複数の構成要素を含み、複数の構成要素を含むものとして言及される場合がある。あるいは、本明細書において複数の構成要素を含むものとして説明されているものは、他の箇所では単一の部品として言及されることがある。
【0010】
さらに、本明細書では、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合があり、発明を実施するための形態の始めにこれらの用語を定義しておくことが有益である。これらの用語と用語の定義は、特に明記しない限り、以下の通りである。本明細書において、「下流」及び「上流」は、タービンエンジンを流れる作業流体などの流体の流れに関する方向、又は、例えば、燃焼器を流れる空気の流れ若しくはガスタービンの複数の構成要素システムのうちの一つを流れる冷却媒体の流れに関する方向を示す用語である。用語「下流」は流体の流れの方向に対応し、用語「上流」は、その流体の流れとは反対の方向を表す。用語「前方」及び「後方」は、他に特別なことがない限り、「前方」はエンジンの前部又は圧縮機端部の方向を表し、「後方」はエンジンの後部又はガスタービン端部の方向を表している。
【0011】
中心軸に対して異なる半径方向の位置に配置された部品を説明することがしばしば要求される。用語「半径の(radial)」は、軸に対して垂直な動き又は位置を表す。例えば、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸の近くに存在している場合、本明細書では、第1の構成要素は、第2の構成要素の「半径方向内側(radially inward)」又は「内側(inboard)」であると記載される場合がある。一方、第1の構成要素が第2の構成要素よりも軸から遠くに存在する場合、本明細書では、第1の構成要素は第2の構成要素の「半径方向外側(radially outward)」又は「外側(outboard)」であると記載される場合がある。用語「軸の」は、軸に平行な動き又は位置を表す。最後に、用語「円周の」は、軸の周りの動き又は位置を表す。このような用語は、タービンの中心軸に関連して適用される場合があることが理解される。
【0012】
さらに、本明細書では、以下に説明するように、いくつかの記述用語が規則的に使用される場合がある。用語「第1」、「第2」、及び「第3」は、ある構成要素を別の構成要素と区別するために互換的に使用することができ、個々の構成要素の位置及び重要度を意味することを意図するものではない。
【0013】
明細書で使用される用語は、特定の実施形態のみを説明することを目的としており、本開示を限定することを意図するものではない。本明細書において、「1つ(a)」、「1つ(an)」、及び「この(the)」は、文脈が明らかに複数形を含むことを示していない限り、複数形を含むことを意図している。用語「含む」及び/又は「含んでいる」は、本明細書で使用される場合、言及された特徴、整数、工程、動作、要素、及び/又は構成要素が存在していることを述べているが、1つ以上の他の特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらのグループの存在及び追加を排除しないことがさらに理解される。「任意の」又は「任意に」は、その後に記述される事象又は状況が発生してもよいし発生しなくてもよいこと、及びその記述が、その事象が発生する又はその構成要素が存在する例と、その事象が発生しない又はその構成要素が存在しない例とを含むことを意味する。
【0014】
ある要素又は層が、別の要素又は層に「存在している」、「係合されている」、「接続されている」、又は「結合されている」ものとして言及されている場合、他の要素又は層に、直接的に接触してもよいし、直接的に係合され、接続され、又は結合されていてもよいし、介在する要素又は層が存在していてもよい。対照的に、ある要素が、別の要素又は層に「直接的に存在」、「直接的に結合」、「直接的に接続」、又は「直接的に結合」しているものとして言及されている場合、介在する要素又は層は存在していない。要素間の関係を説明するために使用される他の言葉は、同様のやり方で解釈されるべきである(例えば、「間に」と「直接的に間に」、「隣接する」と「直接的に隣接する」など)。本明細書において、用語「及び/又は」は、列挙された関連する複数の項目のうちの任意の項目と、複数の項目のうちの1つ以上の項目の全ての組み合わせとを含む。
【0015】
背景について、図面を参照すると、図1図3は、本願の実施形態を利用することができる例示的な燃焼ガスタービンエンジンを示す。当業者であれば、本実施形態がこのタイプの使用に限定されないことが理解される。上述のように、本実施形態は、発電及び航空機に使用されるエンジン、蒸気ガスタービンエンジン、及び他のタイプの回転エンジンなどの燃焼ガスタービンエンジンに使用することができる。
【0016】
図1は、本願の実施形態を利用することができる例示的な燃焼ガスタービンエンジンを示す。当業者であれば、本実施形態は、このタイプの燃焼ガスタービンエンジンでの利用に限定されないことが理解される。上述したように、本実施形態は、発電及び飛行機で使用されるエンジン、蒸気ガスタービンエンジン、及び他のタイプの回転エンジンなどの燃焼ガスタービンエンジンで使用することができるが、これらに限定されることはない。一般に、燃焼ガスタービンエンジンは、圧縮された空気流において燃料が燃焼することによって生成される高温ガスの加圧流からエネルギーを抽出することによって動作する。図1に示すように、燃焼ガスタービンエンジンシステム10は、共通シャフト又はロータによって下流のガスタービン部又は燃焼ガスタービンエンジン13(以下、「ガスタービン」)に機械的に結合された軸流圧縮機11と、圧縮機11とガスタービン13との間に配置された燃焼器12とで構成することができる。
【0017】
図2は、図1のガスタービン13で使用することができる例示的且つ非限定的な多段軸流圧縮機11の図を示す。図示されているように、圧縮機11は、複数の段を含むことができる。各段は、圧縮機ロータブレード14の列と、その後に続く圧縮機ステータノズル15の列とを含むことができる。したがって、第1の段は、中央シャフトの周りを回転する圧縮機ロータブレード14の列と、その後に続く圧縮機ステータノズル15であって、動作中は静止したままである圧縮機ステータノズル15の列とを含むことができる。圧縮機ステータノズル15は、概ね、周方向に互いに間隔を置いて配置され、回転軸の周りに固定される。圧縮機ロータブレード14は、シャフトに対して周方向に間隔を置いてシャフトに取り付けられている。動作中にシャフトが回転すると、圧縮機ロータブレード14がシャフトと共に回転する。圧縮機ロータブレード14は、シャフトを中心に回転すると、圧縮機11を流れる空気又は流体に運動エネルギーを与える。圧縮機11は、図2に示される段以外の他の段を有することができる。追加の段は、周方向に間隔を置いて配置された複数の圧縮機ロータブレード14と、その後に続く周方向に間隔を置いて配置された複数の圧縮機ステータノズル15とを含むことができる。
【0018】
図3は、図1の燃焼ガスタービンエンジンで使用することができる例示的なガスタービン部又はガスタービン13の非限定的な部分図を示す。また、ガスタービン13は、複数の段を含むことができる。3つの例示的なガスタービン段が示されているが、これは単なる例示であって、非限定的なものであり、いかなるやり方でも実施形態を限定することを意図するものではない。したがって、更に多くの数又は更に少ない数のガスタービン段がガスタービン13内に存在することができる。第1のガスタービン段は、動作中にシャフトの周りを回転する複数のガスタービンバケット又は複数のガスタービンロータブレード16(以下、「ブレード」)と、動作中に静止したままである複数のノズル又は複数のガスタービンステータブレード17(以下、「ノズル」)とを含む。複数のノズル17は、概ね、周方向に間隔を置いて配置され、回転軸の周りに固定される。ガスタービンロータブレード16は、ガスタービンシャフト50と共に回転するように、ガスタービンホイール又はディスク(図示せず)に取り付けることができる。ガスタービン13の第2の段も示されている。第2のガスタービン段も同様に、周方向に間隔を置いて配置された複数のノズル17と、その後に続いて周方向に間隔を置いて配置された複数のガスタービンロータブレード16とを含み、これらもガスタービンホイールに回転できるように取り付けられる。第3のガスタービン段も図示されており、同様に複数のノズル17及び複数のロータブレード16を含む。ガスタービンノズル17及びロータブレード16は、ガスタービン13の高温ガス経路にあることが理解される。ガスタービン高温ガス経路を流れる高温ガス流の方向は、矢印によって示されている。ガスタービン13は、図3に示す段以外の他の段を有していてもよい。各追加のガスタービン段は、ガスタービンノズル17の列と、その後に続くガスタービンロータブレード16の列とを含むことができる。
【0019】
非限定的な使用の説明では、軸流圧縮機11内の圧縮機ロータブレード14が回転すると、空気流を圧縮することができる。燃焼器12では、圧縮空気が燃料と混合されて点火されると、エネルギーを放出することができる。次に、燃焼器12から得られる高温ガス流(作動流体と呼ぶことができる)が、ガスタービンロータブレード16に導かれ、作動流体の流れによって、ガスタービンロータブレード16及びシャフト50の回転が誘導される。これにより、作動流体の流れのエネルギーが回転ブレードの機械的エネルギーに変換され、ロータブレードとシャフトとが接続されているので、シャフト50が回転する。次に、シャフト50の機械的エネルギーを使用して、圧縮機ロータブレード14を回転駆動することができ、必要な圧縮空気が供給され、また、例えば、発電機が電気を生成する。
【0020】
ガスタービンの動作は、幾つかのセンサ26が、ガスタービン、発電機、及びプラントのバランスの様々な動作条件(ガスタービンの周囲環境の動作条件を含む)を検出することによって監視することができる。図1は、様々なパラメータ及び動作条件を求めるためにセンサ26を配置することができる様々な位置を示す。本開示によって具現化されるように、これらの位置は、いかなる手法でも実施形態を限定することを意図するものではなく、センサ26の位置は、パラメータ及び動作条件を決定することができるガスタービン13又はガスタービンシステム内の任意の位置(既知の位置、又は以下で定められる位置)とすることができる。
【0021】
本開示によって具体化されるように、少なくとも一つのセンサ26は、ホイールスペース温度(WSTemp)を測定するために、ホイールスペース51に配置されたり、ホイールスペースの内側に配置されたり、ホイールスペースの壁面に配置されたり、又はホイールスペースと通信する。実施形態の一態様では、複数のセンサ26を同じホイールスペース51に配置することができる。同じホイールスペース51に配置することができる複数のセンサ26は、複数のホイールスペース温度(WSTemp)を取得するように、半径方向に間隔を置いて配置される。
【0022】
さらに、WSTempを評価して、高温ガス経路の構成要素の質量差(増加又は減少)を検知する。さらに、本開示によって具体化されるように、ガスタービンの様々なパラメータ及び動作条件を求めるために他のセンサ26を備え、これらのパラメータ及び動作条件を評価して、高温ガス経路の構成要素の質量差(増加又は減少)を検知することもできる。動作条件としては、シャフト速度(TNH)、負荷(DWATT)、シャフト振動、ガスタービン排気温度(TTXM)、軸受振動、ガスタービンの全出力の変化及び効率の変化、圧縮機入口温度及び圧縮機吐出温度(それぞれ、CTIM及びCTD)、及びガスタービン動作監視に望ましいものとして既知の又は以下で求められる任意の他のガスタービンパラメータ及び動作条件があるが、これらに限定されるものではない。
【0023】
本開示によって具体化されるように、温度センサ26は、ガスタービン13の周囲温度、圧縮機吐出温度、ガスタービンの排気ガス温度、及びガスタービン13を流れるガス流の他の温度測定値を監視することができる。
【0024】
センサ26には、ガスタービン13の動作に関連する様々なパラメータを決定する、流量センサ、速度センサ、ロータ(又はシャフト)振動、火炎検出器センサ、弁位置センサ、案内翼角度センサなどが含まれていてもよい。本明細書において、動作条件は、ガスタービンの所与の動作条件を表すために使用することができガスタービン内の規定された位置におけるガスタービンのパラメータ(温度、圧力、及び流量など)を定義するために使用することができる項目を表す。
【0025】
実施形態の一態様は、ガスタービンの高温ガス経路部の構成要素の質量の増加又は減少を検出することを含む。本開示によって具体化されるように、検出には、ガスタービンの高温ガス経路部における分離及び/又は質量損失事象による減少を検出する場合がある(質量損失がわずかである事象の場合もある)。質量損失がわずかである事象には、ガスタービンの高温ガス経路部の構成要素(ノズル及びブレードのうちの少なくとも一方が含まれるが、これらに限定されることはない)からの材料の分離が含まれることがある。
【0026】
さらに、本開示によって具体化されるさらなる態様は、ガスタービンの高温ガス経路部の構成要素の質量の増加を検出することを含む。本開示の態様によれば、ガスタービンの高温ガス経路部の構成要素の質量の増加は、ガスタービンの高温ガス経路部内における、ガスタービン高温ガス経路の静止構成要素又は回転構成要素(ノズル及びブレードのうちの少なくとも一方が含まれるが、これらに限定されることはない)の堆積物に起因する場合がある。
【0027】
本明細書で使用される用語「ガスタービンの高温ガス経路部の構成要素」は、以下に限定されるものではないが、燃焼ライナ、移行部品、タービンノズル及びタービンブレード、エンドキャップ、燃料ノズルアセンブリ、クロスファイアチューブ、タービン静止シュラウド、並びにタービンブレード(バケット)を含み、これらは通常、高温ガスに晒される。これらのガスタービンの高温ガス経路部の構成要素は、静止構成要素(ノズルアセンブリ及び燃焼ライナなど)であってもよいし、回転構成要素(ブレードなど)であってもよく、ガスタービンシステム内の二次空気流によって冷却することもできる。
【0028】
本開示によって具現化されるように、ガスタービンの高温ガス経路部の構成要素の質量の増加又は減少を検出することは、タービン動作パラメータ(ホイールスペース温度、振動、排気温度、排気拡散、圧縮機吐出温度、及びガスタービンの様々な他の動作条件など)の変化を監視することを含む。本開示によって具現化される、検出することのさらなる態様は、オンサイト監視(OSM)データを使用してリアルタイムで様々な動作条件を決定することと、続いて、リアルタイムの動作条件を使用して、ガスタービンの高温ガス経路部の構成要素の質量の増加又は減少を判断することとを含む。
【0029】
実施形態のいくつかの態様によれば、オンサイト監視(OSM)データを使用して様々なパラメータ及び動作条件の変化及び変動をリアルタイムで監視すると、ガスタービンの高温ガス経路部の静止構成要素又は回転構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素について、増加(堆積)又は減少(分離/質量損失)を示すことができる。本開示によって具体化されるように、ホイールスペースの温度変化は、ガスタービンの高温ガス経路部の静止構成要素又は回転構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素の質量の増加又は減少を示す少なくとも1つの主要な指標である。上述したように、少なくとも1つのセンサ26は、ホイールスペース温度、したがってホイールスペースの温度変化を測定することができる。
【0030】
上昇又は下降の傾向又は挙動が観測されるかどうかに応じて、ホイールスペース温度データをタービン入口温度で正規化することができる。正規化されたホイールスペース温度は、ロータ振動の変化(通常は、ガスタービンの高温ガス経路部の回転構成要素の異常を判定するためにのみ使用される)とガスタービン排気温度の広がりとのうちの少なくとも1つとともに使用され、ガスタービンの高温ガス経路部の静止構成要素及び回転構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素に異常が発生したときの値を決定することができる。ガスタービンの高温ガス経路部の静止構成要素及び回転構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素の異常は、質量の減少又は質量の増加を表す可能性がある。
【0031】
本開示によって具体化されるように、以下に記載されるプロセスは、パラメータ変化の複数の組み合わせを分析する診断を利用して、質量の変動が示されているかどうかを検出する。本開示の特定の実施形態では、質量の変動には、ガスタービンの高温ガス経路部の静止構成要素及び回転構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素の質量の増加又は減少がある。さらに、本開示によって具体化されるプロセス及び診断は、ガスタービンの高温ガス経路部の静止構成要素又は回転構成要素のうちの少なくとも1つの構成要素の質量がわずかに増加又は減少したことを判断するのに有効である。ここで、用語「わずかに」は、例えば、浸食、亀裂、スポーリング、ファウリング、排出微粒子の蓄積に関連する質量差を表している。
【0032】
図4に示されるように、条件変化の複数の組み合わせを分析する診断を利用して、質量の変動(ガスタービンの高温ガス経路部の静止構成要素及び回転構成要素のうちの少なくとも一つの構成要素の燃焼による質量の増加又は減少など)があるかどうかを検出するためのプロセス100が説明される。燃焼ガスタービン10には、ステップ110において、ガスタービンのリアルタイムのパラメータ及び動作条件をコンピュータ装置又は制御装置200(以下、「制御装置」)に送信することができるセンサ26が備えられている。制御装置200は、以下に説明するように、コンピュータ装置を含んでいてもよいし、コンピュータ装置から構成されていてもよく、ガスタービンのリアルタイムの様々なパラメータ及び動作条件変化の組合せを分析する診断を利用して、質量の変動(ガスタービンの高温ガス経路部の静止構成要素及び回転構成要素のうちの少なくとも一方の構成要素の質量の増加又は減少など)が示されているかどうかを検出する。
【0033】
制御装置200における監視はリアルタイムで提供されており、監視には、リアルタイムで、動的に、及び自動的に実行することができる計算及び分析が含まれている。したがって、制御装置200のオペレータは、アルゴリズムを何度も再プログラムする必要がない。本明細書において、リアルタイムは、結果(例えば、計算機を使用した計算)に影響を与える入力が変化した後の十分に短い期間に発生することを表す。例示的な実施形態では、計算は、制御装置200の走査時間及びクロック速度によって決定される周期性でリアルタイムに更新される。
【0034】
プロセス100は続いて、ステップ115において、制御装置200が様々なガスタービンのリアルタイムのパラメータ及び動作条件を受信する。これらのガスタービンのリアルタイムのパラメータ及び動作条件としては、ホイールスペース温度(WSTemp)、シャフト速度(TNH)、負荷(DWATT)、シャフト振動及び振動振幅、ガスタービン排気温度(TTXM)、軸受振動及び振動振幅、ガスタービン全出力及び効率変化、ならびに圧縮機入口温度及び圧縮機吐出温度(CTIM&CTD)、ならびにガスタービン動作監視に望ましいものとして既知の又は以下に決定される任意の他のガスタービンパラメータ及び動作条件があるが、これらに限定されることはない。
【0035】
次いで、制御装置200は、ステップ120において、ガスタービンのリアルタイムのパラメータ及び動作条件が、ガスタービンの高温ガス経路部の構成要素の質量の増加又は減少の検出の判定に十分であるかどうかを判断する。ガスタービンのリアルタイムのパラメータ及び動作条件が足りていない(一部のデータが入手可能ではない、又は更に多くのデータが必要であるなど)と判断された場合、制御装置200は、ステップ121において、ガスタービンのリアルタイムの他のパラメータ及び動作条件、追加のパラメータ及び動作条件、又は適切なパラメータ及び動作条件を利用できるようにするための通知を生成する。
【0036】
十分なガスタービンのリアルタイムのパラメータ及び動作条件が提供されている場合、プロセス100はステップ125に進み、圧縮機入口温度及び圧縮機吐出温度(CTIM及びCTD)のうちの少なくとも一方の温度をホイールスペース温度(WSTemp)に従って正規化し、分析する。これらのリアルタイムのパラメータ及び動作条件を評価して、WS温度が増加傾向にあるのか減少傾向にあるのかを判断する。WS温度に増加傾向又は減少傾向が見られない場合、ガスタービンの高温ガス経路部で分離及び/又は質量損失事象が無いことを示しており、ガスタービンの高温ガス経路部内の静止構成要素又は回転構成要素に堆積物も無いので、ステップ126で監視が継続される。
【0037】
ステップ125において、WS温度が増加傾向又は減少傾向であると判断された場合、プロセス100は、ステップ130において、ガスタービン排気温度(TTXM)と、監視イベントの間のTTXM差とのうちの少なくとも一方を分析し、ステップ135において、ガスタービン13のリアルタイムのパラメータ及び動作条件に対する振動振幅の変化を分析し続ける。これらの2つのステップ130及び135は、並列に実行することもでき、ステップを1つずつ実行し、どちらかのステップを最初に実行することもでき、ステップ130及び135において変化が示されていることを制御装置200に提供する任意の他の方法で実行することもできる。
【0038】
ステップ130において、本開示によって具体化されるように、TTXM、又は複数の監視イベント間のTTXM差は、TTXM又はTTXM差の増加傾向又は減少傾向を示し、これがWSTempの増加傾向又は減少傾向と同時に発生する場合、制御装置200は、ステップ175において質量変動警報を生成する。ステップ175における質量変動警報は、ガスタービンの高温ガス経路部内の静止構成要素又は回転構成要素における質量損失及び質量増大のうちの一方を示す。
【0039】
ステップ130において、WS温度の増加傾向及び減少傾向と同時に起こるTTXM又はTTXM差の増加傾向及び減少傾向が無い場合、制御装置200は、ステップ140において、プロセス100に、ガスタービンのリアルタイムのパラメータ及び動作条件の監視を継続させる。監視を継続するのは、制御装置200が、ガスタービンの高温ガス経路部の構成要素の分離及び/又は質量損失事象を示す情報を受けておらず、ガスタービンの高温ガス経路部内の構成要素に堆積物も無いからである。
【0040】
ステップ125においてWS温度が増加傾向又は減少傾向であると判断された場合、プロセス100はステップ135にも進むことができる。ステップ135において、制御装置200は、ガスタービンの監視されたリアルタイムのパラメータ及び動作条件を分析して、WS温度の増加又は減少とともに、ガスタービンの振動振幅が同時に変化しているかどうかを判断する。振動振幅の変化には、軸受けの振動、シャフトの振動、又はセンサ26が示すことができるガスタービンの任意の他の構成要素の振動を含むが、これらに限定されることはない。プロセス100において、監視工程の間に、WS温度の増加傾向又は減少傾向と同時に起こる振動差が現れる場合、制御装置200はステップ175において質量変動警報を生成する。ステップ175の質量変動警報は、ガスタービンの高温ガス経路部の静止構成要素又は回転構成要素の質量損失又は質量増大のいずれかを示す。
【0041】
上記と同様に、また本開示によって具体化されるように、ステップ135において、WS温度の上昇傾向又は低下傾向と同時に起きる振動の上昇傾向又は低下傾向が無い場合、制御装置200は、プロセス100に、ステップ140において、ガスタービンのリアルタイムのパラメータ及び動作条件の監視を継続させる。上記のように、監視が継続されるということは、ガスタービンの高温ガス経路部の分離及び/又は質量損失事象が無いことを示しており、ガスタービンの高温ガス経路部内の構成要素に堆積物が無いことも示している。
【0042】
図5を参照すると、当業者には理解されるように、本開示によって具現化される方法及びシステムは、制御装置200を利用するシステム及び/又は方法として提供することができる。本開示によって具現化されるように、制御装置200は、コンピュータプログラム製品を含むことができる。したがって、制御装置200は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェアとハードウェアとを組み合わせた実施形態の形式をとることができる。さらに、制御装置200は、本開示によって具現化されるように、プロセスを実行するために媒体内に具現化されたコンピュータが使用可能なプログラムコードを有する任意の有形的表現媒体内に具現化されるコンピュータプログラム製品を含むことができる。
【0043】
本開示によって具現化されるように、プロセス100は、フローチャート(図4参照)、イラスト、及び/又はブロック図を参照して以下に説明される。フローチャート図及び/又はブロック図、並びにフローチャート図及び/又はブロック図のブロックの組合せは、コンピュータプログラム命令によって実装することができ、制御装置200は、そのようなコンピュータ又はコンピュータプログラム命令により具現化できることが理解される。これらのコンピュータプログラム命令を、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、又はマシンを生成する他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサにおいて実現して、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置のプロセッサによって実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックに指定された機能/動作を実装するための手段を作成することができる。
【0044】
これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置に特定の方法で機能するように指示することができるコンピュータ可読媒体に記憶することもでき、コンピュータ可読媒体に記憶された命令は、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックに指定された機能/動作を実装する命令手段を含む製品を生成する。また、コンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラマブルデータ処理装置にロードされ、コンピュータ又は他のプログラマブル装置で実行されるべき一連の動作ステップがコンピュータに実装されたプロセスを生成させて、コンピュータ又は他のプログラマブル装置で実行される命令が、フローチャート及び/又はブロック図の1つ以上のブロックに指定された機能/動作を実装するためのプロセスを提供する。
【0045】
この場合、制御装置200は、ガスタービンの高温ガス経路の構成要素の質量差を検知するための本明細書に記載の様々なプロセスステップを実行することができるコンピュータインフラストラクチャ102を含んでいてもよいし、制御装置200がコンピュータインフラストラクチャ102として含まれていてもよい。特に、コンピュータインフラストラクチャ102は、システム106を有するコンピューティングデバイス104を含むことが示されており、これによって、コンピューティングデバイス104及び制御装置200は、本開示のプロセスステップを実行することによるガスタービンの高温ガス経路の構成要素の質量差を検知することができる。
【0046】
図5に示されているコントロール200は、メモリ112、プロセッサ(PU)114、入力/出力(I/O)インターフェース116、及びバス118を含んでいる。さらに、コンピューティングデバイス104がセンサ26と通信することが図示されている。当技術分野で知られているように、一般に、プロセッサ114は、メモリ112及び/又は記憶装置122に記憶することができるコンピュータプログラムコード(システム106など)を実行する。コンピュータプログラムコードを実行している間、プロセッサ114は、ガスタービンの動作条件などのデータ(ガスタービンの動作条件に限定されることはない)を、メモリ112、記憶装置122、及び/若しくはI/Oインターフェース116から読み取る並びに/又はメモリ112、記憶装置122、及び/若しくはI/Oインターフェース116に書き込むことができる。バス118は、コンピューティングデバイス104内の構成要素の各々の間の通信リンクを実現する。I/Oデバイス118は、ユーザがコンピューティングデバイス104とやり取りすることを可能にする任意のデバイス、又はコンピューティングデバイス104が1つ以上の他のコンピューティングデバイスと通信することを可能にする任意のデバイスを含むことができる。入力/出力デバイス(キーボード、ディスプレイ、ポインティングデバイスなどを含むが、これらに限定されない)は、直接的にシステムに結合する、又は介在するI/Oコントローラを通じてシステムに結合することができる。
【0047】
いずれにしても、コンピューティングデバイス104は、ユーザによってインストールされたコンピュータプログラムコードを実行することができる任意の汎用的なコンピュータ製品(例えば、パーソナルコンピュータ、サーバ、ハンドヘルドデバイスなど)を含むことができる。しかしながら、コンピューティングデバイス104及びシステム106は、本開示の様々なプロセスステップを実行することができる様々な考え得る同等のコンピューティングデバイスを表しているにすぎないことが理解される。この点に関して、他の実施形態では、コンピューティングデバイス104は、特定の機能を実行するためのハードウェア及び/又はコンピュータプログラムコードを含む任意の特定の目的コンピュータ製品、特定目的及び汎用のハードウェア/ソフトウェアの組合せを含む任意のコンピュータ製品などを含むことができる。いずれの場合も、プログラムコード及びハードウェアは、それぞれ標準的なプログラミング技術及びエンジニアリング技術を使用して作成することができる。
【0048】
同様に、コンピュータインフラストラクチャ102は、本開示を実装するための様々なタイプのコンピュータインフラストラクチャの単なる例示である。例えば、一実施形態では、コンピュータインフラストラクチャ102は、本開示の様々なプロセスステップを実行するために、共有メモリ、ネットワークなどの任意のタイプの有線及び/又は無線の通信リンクによって通信する2つ以上のコンピューティングデバイス(例えば、サーバクラスタ)を含む。通信リンクがネットワークを含む場合、ネットワークは1つ以上のタイプのネットワーク(例えば、インターネット、ワイドエリアネットワーク、ローカルエリアネットワーク、仮想プライベートネットワークなど)の任意の組合せを含むことができる。データ処理システムが、介在するプライベートネットワーク又はパブリックネットワークを通じて他のデータ処理システム又はリモートプリンタ又はストレージデバイスに結合できるように、ネットワークアダプタをシステムに結合することができる。モデム、ケーブルモデム及びイーサネット(登録商標)カードは、現在利用可能なタイプのネットワークアダプタのほんの一部である。いずれにしても、コンピューティングデバイス間の通信は、様々なタイプの送信技術の任意の組合せを利用することができる。
【0049】
本明細書で説明するように、様々なシステム及び構成要素は、本開示によって具現化されるように、測定及び検出のためにデータを「取得する」ものとして説明される。対応するデータは、任意の解決策を使用して取得できることが理解される。たとえば、対応するシステム/構成要素は、データを生成すること、及び/若しくはデータを生成するために使用されること、1つ以上のデータストア(例えば、データベース)からデータを取り出すこと、並びに/又は別のシステム/構成要素からデータを受信すること、などを実行することができる。データが特定のシステム/構成要素によって生成されない場合、図示されているシステム/構成要素とは別に、他のシステム/構成要素を実装し、当該他のシステム/構成要素がデータを生成し、そのデータを図示されているシステム/構成要素に提供し、及び/又はそのデータを図示されているシステム/構成要素によりアクセスできるように記憶できることが理解される。
【0050】
本明細書及び特許請求の範囲を通じて使用される、近似を表す文言は、関連する基本的機能に変化をもたらすことなく、差し支えない程度に変動し得る任意の量的表現を修飾するために適用することができる。したがって、「およそ」、「約」、及び「実質的に」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくとも一部の例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応する場合がある。ここで、並びに本明細書及び特許請求の範囲を通じて、範囲の限定は組合せ及び/又は置き換えが可能であり、文脈又は文言が特に指示しない限り、このような範囲は識別され、それに包含されるすべての部分範囲を含む。範囲の特定の値に適用される「約」は、当該範囲の両端の値に適用され、値を測定する機器の精度に特に依存しない限り、記載された値の+/-10%を示すことができる。
【0051】
以下の特許請求の範囲におけるミーンズプラスファンクション又はステッププラスファンクションの要素すべての、対応する構造、材料、動作、及び均等物は、具体的に請求された他の請求要素と組み合わせてその機能を実施するための、一切の構造、材料、又は動作を包含することを意図している。本開示の記述は、例示及び説明の目的で提示されており、可能な全てのものが含まれていることや、開示された形態で本開示に限定することを意図するものではない。当業者には、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく多くの改変及び変形が明らかである。本開示の原理及び実際の用途を最良に説明し、想定される特定の使用に適するように様々な修正を加えた様々な実施形態について本開示を他の当業者が理解することができるようにするために、本実施形態を選択し、かつ説明した。
【符号の説明】
【0052】
11 圧縮機
13 ガスタービン
26 センサ
50 ガスタービンシャフト
51 ホイールスペーサ
200 制御装置

図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】