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特表2023-549029ハイブリッド基板構造の形成を可能にするための高抵抗シリコンハンドルウェハの製造方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】ハイブリッド基板構造の形成を可能にするための高抵抗シリコンハンドルウェハの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20231115BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20231115BHJP
   B24B 1/00 20060101ALI20231115BHJP
   B24B 7/00 20060101ALI20231115BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20231115BHJP
【FI】
H01L21/304 622W
H01L21/304 622R
H01L21/02 B
H01L27/12 B
B24B1/00 A
B24B7/00
B24B37/005 A
B24B37/005 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520210
(86)(22)【出願日】2021-10-08
(85)【翻訳文提出日】2023-03-31
(86)【国際出願番号】 FI2021050664
(87)【国際公開番号】W WO2022074297
(87)【国際公開日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】20205989
(32)【優先日】2020-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FI
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513251131
【氏名又は名称】オクメティック オーイー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シエヴィラ、パイヴィ
(72)【発明者】
【氏名】シエヴァネン、サムリ
(72)【発明者】
【氏名】ラハテーンマキ、ユッカ-ペッカ
(72)【発明者】
【氏名】マンネルマー、カッリ
(72)【発明者】
【氏名】サルミ、ヨエル
(72)【発明者】
【氏名】ハーパリンナ、アッテ
【テーマコード(参考)】
3C043
3C049
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C043BA09
3C043BA12
3C043BA14
3C043CC02
3C049AA02
3C049AA07
3C049AA12
3C049AC02
3C049AC04
3C049BA04
3C049BA07
3C049BA08
3C049CA01
3C049CB01
3C158AA02
3C158AA07
3C158AA12
3C158AC02
3C158AC04
3C158BA04
3C158BA07
3C158BA08
3C158CB01
3C158DA12
3C158DA17
5F057AA02
5F057BA12
5F057BA15
5F057BA19
5F057BB03
5F057BB14
5F057CA02
5F057CA11
5F057CA14
5F057DA03
5F057DA11
5F057GA01
5F057GA03
5F057GA05
5F057GB02
5F057GB03
5F057GB13
(57)【要約】
ハイブリッド基板構造(336)の形成を可能にするための高抵抗シリコンハンドルウェハ(230)の製造方法(100)。方法は、結晶配向識別子(210)を有するウェハ(212)を生成することと、薄化ウェハ(222)を得るために、生成されたウェハを薄化することと、薄化ウェハの前面(221)上に表面不動態化層(229)を設けることと、ハイブリッド基板構造を形成するために、ウェハ(230)の研磨された前面(232)が活性層接合を可能にするように、不動態化層を研磨することと、を含む。薄化のステップは、ハイブリッド基板構造の形成を可能にするための所望のサブミクロン総厚変動を有するウェハを製造するために、識別子によって引き起こされる非円形非対称性の影響の少なくとも大部分を排除するチャック構成を用いた、生成された結晶配向識別子包含ウェハ(218)の制御された片面固定砥粒研削を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド基板構造(336)の形成を可能にするための高抵抗シリコンハンドルウェハ(230)の製造方法(100)であって、
結晶配向識別子(210)及び特定の厚さ(h1)を有するウェハ(212)を生成するステップ(108、112、114)と、
薄化ウェハ(222)を得るために、前記生成されたウェハを、前記特定の厚さから前記ウェハ(222)の所望の厚さ(h5)まで薄化するステップ(116、122)と、
前記薄化ウェハの前面(221)に、特定の層厚(h6)を有する表面不動態化層(229)を設けるステップ(128)と、
前記不動態化層を、前記特定の層厚から前記不動態化層の所望の最終層厚(h9)まで研磨するステップであって、したがって、前記ハイブリッド基板構造を形成するために、前記ウェハ(230)の前記研磨された前面(232)が活性層接合を可能にする、ステップ(130)と
を含み、
前記薄化のステップは、前記ハイブリッド基板構造の前記形成を可能にするための所望のサブミクロン総厚変動を有する前記ウェハ(218、222)を製造するために、前記識別子によって引き起こされる非円形非対称の影響の少なくとも大部分を排除するチャック構成を用いた、前記生成された結晶配向識別子包含ウェハ(218)の制御された片面固定砥粒研削(116、118、120)を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記制御された研削のステップは、前記所望の総厚変動を達成するために、前記制御された研削(116)の間の少なくとも1つの研削パラメータの連続制御(118)と、必要に応じて、前記少なくとも1つの研削パラメータの調整(120)と、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの研削パラメータの連続制御のステップは、前記チャック構成の冷却水温度、前記チャック構成の研削チャック傾斜、及び研削砥石の研削送り速度のうちの少なくとも1つの制御(118)を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの研削パラメータの連続制御のステップは、光学測定及び/又は電荷キャリア調整容量測定による前記制御された研削の監視(118)を含む、請求項2又は請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記薄化のステップは、前記ウェハの前記前面の状態を制御するために、前記片面固定砥粒研削ウェハ(218)の、その研削された前面(217)からの、制御された研磨(122、124、126)を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記制御された研磨のステップは、前記片面固定砥粒研削ハンドルウェハの研磨(122、124、126)を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記制御された研磨のステップは、前記ウェハの前記所望の厚さを達成するために、前記制御された研磨(122)の間の少なくとも1つの研磨パラメータの連続制御(124)と、必要に応じて、前記少なくとも1つの研磨パラメータの調整(126)と、を含む、請求項5又は請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの研磨パラメータの連続制御のステップは、前記ウェハ(222)及び研磨パッドの研磨圧力、前記ウェハ及び前記研磨パッドの回転速度、並びに前記研磨パッドに対する前記ウェハの位置のうちの少なくとも1つの制御(124)を含む、請求項5~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの研磨パラメータの連続制御のステップは、魔鏡、光学測定機器又は幾何学的形状監視のための搬送調整容量測定機器、及び表面走査機器による、前記制御された研磨の監視(124)を含む、請求項5~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ウェハの直径(d)が150~200mmであり、前記ハンドルウェハの表面配向が{111}であり、完成ウェハの前記所望の総厚変動が600nm未満である、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記表面不動態化層の生成のステップは、化学蒸着プロセスによる、前記薄化ウェハ(222)の前記前面(221)上への前記特定の層厚(h6)を有する少なくとも1つのポリシリコン層(229)の堆積(128)を含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記表面不動態化層の研磨のステップは、化学機械研磨プロセスによる、前記製造されたウェハ(222)上での、前記少なくとも1つの堆積されたポリシリコン層の前記特定の層厚から前記少なくとも1つの堆積されたポリシリコン層の所望の最終層厚(h9)までの、前記少なくとも1つの堆積されたポリシリコン層の制御された研磨(130)を含み、したがって、前記ウェハ(230)の化学機械研磨された前面(232)である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記制御された化学機械研磨のステップは、前記所望の最終層厚を達成するために、前記制御された化学機械研磨(130)の間の少なくとも1つの化学機械研磨パラメータの連続制御(132)と、必要に応じて、前記少なくとも1つの化学機械研磨パラメータの調整(134)と、を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記少なくとも1つの化学機械研磨パラメータの連続制御のステップは、前記ウェハの前面(223、232)からの除去速度及び前記ウェハの前記前面の研磨時間の制御(132)を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記少なくとも1つの化学機械研磨パラメータの連続制御のステップは、可視光~近赤外線(VIS-NIR)範囲の光波長範囲を使用する光学測定機器による、前記制御された化学機械研磨の監視(134)を含む、請求項13又は請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ハイブリッド基板構造(336)の形成を可能にするための高抵抗シリコンハンドルウェハ(230)であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法(100)のステップによって製造され、
前記結晶配向識別子(210)と、
前記所望の厚さ(h10)と、
前記ハイブリッド基板構造の前記形成を可能にするための前記研磨された前面(232)を確立するために、前記所望のサブミクロン総厚変動を有する前記片面固定砥粒研削されたウェハの前記前面(221)上に、前記所望の最終層厚(h9)を有する前記研磨された表面不動態化層(229)と
を備え、
前記識別子によって引き起こされる非円形非対称性の影響の少なくとも大部分が前記ウェハから排除されている、高抵抗シリコンハンドルウェハ(230)。
【請求項17】
請求項16に記載の高抵抗シリコンハンドルウェハ(230)を含む、ハイブリッド基板構造(336)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、概して、ハイブリッド基板構造の形成を可能にするための高抵抗シリコンハンドルウェハの製造方法、高抵抗シリコンハンドルウェハ、及びハイブリッド基板構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ハイブリッドウェハ上に製造されるデバイスは、単結晶シリコンハンドルウェハに接合され、それに対して薄化される活性層を利用する。ハンドルウェハは、標準的なシリコンウェハ加工用に設計された高度なツールを用いて、ハイブリッド材料の信頼性のある取り扱いを可能にし、機械的安定性と、半導体製造に使用される清浄性及び化学薬品との両立性と、を提供する。そのようなデバイスの1つの例は、例えばピエゾ材料で作られた薄い活性層を利用するように設計されたピエゾ音響薄膜表面音響波(TF-SAW)フィルタである。
【0003】
数百MHz~数十GHzの無線周波数(RF)で動作するデバイスに使用されるハイブリッドウェハ構造は、RF信号とハンドルウェハとの相互作用を最小限に抑えるために、追加の寄生電流抑制表面不動態化層を特徴とする、(5000Ω-cmを超える)非常に高い抵抗率のシリコン基板の使用を必要とする。
【0004】
薄層化された活性層上にあるこれらのデバイスの性能は、それらの幾何学的精度によって大きく制限される。最終的なデバイスの幾何学的形状は、デバイスの製造プロセスと、基板プロセスにおける活性層の厚さ制御との両方によって規定される。デバイス製造プロセスの精度はリソグラフィを使用して規定されるので、現代のプロセスで達成可能な精度は非常に高い。これにより、活性層の厚さの変動の相対的な重要性が、この寸法は同じ方法で制御することができないので、増大する。
【0005】
ハンドルウェハの幾何学的形状は、薄層化された活性層の幾何学的形状に強く影響し、典型的には、絶対値(μm)でほぼ同じ厚さの変動をもたらす。活性層は、ハンドルウェハの厚さと比較して非常に薄いので、比例する幾何学的形状の変動は著しく大きくなる。したがって、ハンドルウェハの平坦性要件は、標準的なシリコン基板のものをはるかに超えている。SEMI M1によれば、直径150mmを有する625μmの研磨されたウェハについて、総厚変動(TTV)は10μmと規定されている。
【0006】
更なる回転式活性層薄化プロセスは、半径方向では比較的容易に調整することができるが、他の形状を補正することははるかに複雑であるので、ウェハ表面にわたって非円形対称に現れる場合、TTVは特に重要である。
【0007】
先の欠点は、薄層化された活性層を有する既存のデバイスの性能を著しく制限している。
【発明の概要】
【0008】
発明の1つの目的は、周知の解決策の欠点を取り除くことと、生成された結晶配向識別子の幾何学的影響を補償し、直径150~200mmのシリコンハンドルウェハのより高い平坦性を可能にする、高抵抗表面不動態化シリコンハンドルウェハのための製造方法を提供することと、である。そのような製造されたシリコンハンドルウェハは、ハイブリッド基板構造の形成に使用され、次いで、形成されたハイブリッド基板構造は、半導体デバイス(コンポーネント)を製造するために、フロントエンド法及びバックエンド法などのデバイス製造方法に使用され得る。
【0009】
発明の1つの目的は、独立請求項に記載の製造方法、高抵抗シリコンハンドルウェハ、及びハイブリッド基板構造を提供することによって達成される。
【0010】
発明の実施形態は、独立請求項に記載の製造方法、高抵抗シリコンハンドルウェハ、及びハイブリッド基板構造によって特定される。
【0011】
ハイブリッド基板構造の形成を可能にするための高抵抗シリコンハンドルウェハの1つの製造方法は、結晶配向識別子及び特定の厚さを有するウェハを生成するステップを含む。方法は、薄化ウェハを得るために、生成されたウェハを特定の厚さからウェハの所望の厚さに薄化するステップを更に含む。方法は、薄化ウェハの前面上に、特定の層厚を有する表面不動態化層を設けるステップを更に含む。方法は、不動態化層を、特定の層厚から不動態化層の所望の最終層厚まで研磨するステップであって、したがって、ハイブリッド基板構造を形成するために、ウェハの研磨された前面が活性層接合(活性層の接合)を可能にする、ステップを更に含む。薄化のステップは、ハイブリッド基板構造の形成を可能にするための所望のサブミクロン総厚変動を有するウェハを製造するために、識別子によって引き起こされる非円形非対称性の影響の少なくとも大部分を排除するチャック構成を用いた、生成された結晶配向識別子包含ウェハの、制御された片面固定砥粒研削を含む。
【0012】
ハイブリッド基板構造の形成を可能にするための1つの高抵抗シリコンハンドルウェハは、先の方法のステップに従って製造される。
【0013】
1つのハイブリッド基板構造は、先のハンドルウェハによる高抵抗シリコンを備える。
【0014】
添付の図を参照して、発明の例示的な実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1a】ハンドルウェハの製造方法のフローチャートを表す。
図1b】ハンドルウェハの製造方法のフローチャートを表す。
図2a】製造方法の間にハンドルウェハがどのように加工されるかを表す。
図2b】製造方法の間にハンドルウェハがどのように加工されるかを表す。
図3a】フロントエンド製造方法においてハイブリッド基板構造を形成するために、活性層が、製造されたハンドルウェハにどのように接合され薄化されるかを表す。
図3b】フロントエンド製造方法においてハイブリッド基板構造を形成するために、活性層が、製造されたハンドルウェハにどのように接合され薄化されるかを表す。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1a及び図1bは、ハイブリッド基板構造336の形成(製造)に使用される準備ができた(準備された)高抵抗シリコン(HRS)ハンドルウェハ230の製造方法100のステップがどのように進行するかを表し、方法ステップに加えて、図2a及び図2bは、各方法ステップがウェハ230にどのように影響するかを表す。
【0017】
ウェハ230の製造は、ハイブリッド基板構造336の形成と、形成されたハイブリッド基板構造336が少なくとも1つのデバイス製造方法(プロセス)に暴露されるデバイス製造フェーズとの前に実行される。例えばフロントエンド法(プロセス)及びバックエンド法(プロセス)を含むデバイス製造方法は、半導体デバイス(コンポーネント)を得るために(製造するために、加工するために)、ハイブリッド基板構造336を対象とする。
【0018】
図3a及び図3bは、加工されたウェハ230をハンドルウェハとして使用することによってフロントエンド法で製造され、薄層化材料層に基づく、ピエゾ音響薄膜表面音響波(TF-SAW)フィルタその他、例えば、サファイアオンシリコン、III-IVハイブリッド基板構造、又はII-VIハイブリッド基板構造の製造に使用され得る、ハイブリッド基板構造336を表す。ハイブリッド基板構造336は、サファイア又は化合物半導体材料で作られ、フロントエンド法の間、図3aに従って融着され、図3bに従ってウェハ230に対して薄化される、薄い活性層334を利用する。
【0019】
ステップ108では、フロートゾーン(FZ)又は磁気チョクラルスキー(MCz)シリコン結晶成長のいずれかに好適な結晶引上げが、結晶成長に使用される。非常に低い不純物の嚢胞成長に必要な特別な準備、例えば結晶成長チャンバの非常に高度な清浄状態の検証、非常に高純度の不活性ガスの利用可能性、及び使用されるポリシリコン電荷に付加される不純物の非常に厳密な制御が行われる。
【0020】
次いで、ステップ108では、150~210mm、例えば150、160、170、180、190、又は200mmの目標直径(d)を有するHRSインゴットが、ウェハ230の生成の第1の段階として成長チャンバ内に引き込まれる。成長させたHRSインゴットは、例えば、HRSインゴットの直径dが150mmであるときにはプライマリフラットであり、又は直径dが200mmであるときにはノッチである、結晶配向識別子210を生成するために、HRSインゴットの側面に沿って、切断及び研削される。
【0021】
これらの図において識別子210の一例として使用されるプライマリフラット210は、150mmシリコンウェハ230の表面配向を識別するために、標準識別子として使用される。シリコンウェハ230の表面配向は、典型的には最大で0.5度の許容誤差で、ちょうど{111}であるか若しくはそれに非常に近い、又はちょうど{100}であるか若しくはそれに非常に近い必要がある。プライマリフラット210は、ウェハ製造で典型的に使用される機械的薄化ステップ、例えば研削及び研磨ステップ116、122で、いつも平坦性の劣化を引き起こす、シリコンウェハ230の丸い形状における不規則性である。
【0022】
方法100は、シリコンウェハ230について、例えば、このウェハサイズの処理ツール要件のために、その仕様が典型的にはプライマリフラット210を必要とする直径150mmのシリコンウェハ230について、及び直径200mmのシリコンウェハ230について、識別子210の影響を補償し、より高い平坦性を可能にする。
【0023】
ステップ112では、例えば現在の業界標準によるマルチワイヤスライシングによって、生成されたHRSインゴットからHRSウェハ212がスライスされる。スライシングプロセスは、機械的な力を加えて材料を取り除き、スライスされたウェハ212の前(上)面209の内及び下に、表面下結晶格子損傷を生じさせる。当然ながら、同様の結晶格子損傷はまた、スライスされたウェハ212の背面211の内及び下にも組み込まれる。組み込まれた結晶格子損傷は、スライスされたウェハ212の前(上)側に不規則格子損傷ゾーン213を作り出し、スライスされたウェハ212の背側に(図には示されていない)別の不規則格子損傷ゾーンを作り出す。
【0024】
各スライスされたウェハ212は、単結晶シリコン、識別子210、及び前面209と背面211との間の距離である第1の厚さh1を備える。
【0025】
ステップ114では、スライシングベースの結晶損傷、すなわち不規則ゾーン213を少なくとも部分的に除去するために、スライスされたウェハ212は、ラップ仕上げによって、少なくともその前側から薄化され得、ラップ仕上げされたウェハ212は、洗浄され得る。
【0026】
ラップ仕上げプロセスはまた、スライスされたウェハ212内にいくつかの表面下結晶格子損傷を機械的に組み込むので、ラップ仕上げされたウェハ212は、不規則ゾーン213を含む。あるいは、スライシングベースの結晶損傷がラップ仕上げされたウェハ212内に少なくとも部分的に保持されることが意図されている場合、スライシングベースの不規則ゾーン213の少なくとも一部が残るようにラップ仕上げプロセスを変更することが可能であり、その結果、ラップ仕上げされたウェハ212は、スライシングベース及びラップ仕上げベースの結晶損傷を含む。
【0027】
次いで、ステップ114では、生成された結晶損傷を少なくとも部分的に除去するために、ラップ仕上げされたウェハ212は酸性エッチングされ得、次いで、エッチングされたウェハ212は、視覚的に検査され、洗浄され、熱ドナーアニールによって処理される。
【0028】
ステップ116では、処理された識別子210包含ウェハ212は、研削機のチャック構成に取り付けられ、ウェハ212の前側にあるその前面209のみが、研削機の回転研削砥石によって実行される、制御された片面固定砥粒研削に暴露される。
【0029】
固定砥粒研削プロセスの結果として、ウェハ218の厚さは、第1の厚さh1から第3の厚さh3まで、おおよそ距離h2だけ減少し、したがって、その前面217が、ウェハ218の背面に距離h2だけ近づく。加えて、固定砥粒研削プロセスは、研削されたウェハ218の前面217の内及び下にいくつかの表面下結晶格子損傷を再び機械的に組み込み、そのようなものがまだ存在しない場合、研削されたウェハ218の前側に不規則ゾーン213を作り出す。
【0030】
効果的で短い制御ループで制御された固定砥粒研削プロセスは、ウェハ218上で所望の総厚変動(TTV)を得ることが可能であるように、研削されたウェハ218の前面217から、識別子210によって少なくとも部分的に引き起こされる非対称変動(非円形非対称)の影響を、少なくとも部分的に、実際にはその少なくとも大部分を(ほとんどを、重大なことに、実質的に完全に)排除する。TTVは、図2aによるウェハ218、222、230の最小限(最小、最低)の厚さと最大限(最大、最高)の厚さとの間の差を規定する。制御された固定砥粒研削プロセスは、識別子によって引き起こされる非対称変動を取り除くか、又はこの非対称変動を少なくとも最小化して、あまりに些細なのでTTVへのその影響が排除されるようにする。
【0031】
ステップ118では、固定砥粒研削プロセスの間、それは、光学測定(機器、システム)及び電荷キャリア調整容量測定(機器、システム)のうちの少なくとも一方によって連続的に監視され、少なくとも1つの研削パラメータが連続的に制御される。
【0032】
HRSウェハ212、218については、測定される材料の導電性の欠如の故に、標準的な容量測定を信頼性をもって適用することができない。加えて、厚さの達成可能な精度の制御は十分ではない。したがって、より高い精度を可能にする光学又は電荷キャリア調整容量測定の使用が、ハイブリッド基板構造336に使用されるウェハ230の厚さ変動要件を満たすために必要とされる。
【0033】
容量測定を使用する場合、有効静電放電(ESD)が測定機器に組み込まれる。光学及び好適に変更された容量性幾何学的形状測定の相互相関は、これらの技術は互いに補完するので、測定システム全体を強化する。超高抵抗シリコンでもウェハ全体の幾何学的形状の高精度で高分解能のデータを信頼性をもって提供する測定システムは、要求される正確な幾何学的形状制御を得るために必要な、効果的で短いフィードバックループを可能にする。方法100では、典型的にはTTVにおいて1~2μmの能力を主張する、シリコンウェハ212の片面研削のための典型的な市販のツールに見ることができる統合型の自動平坦性制御機能と比較して、明らかに優れた平坦性機能を達成することが可能である。
【0034】
研削パラメータは、チャック構成の冷却水温度、チャック構成の研削チャック傾斜、及び研削砥石の研削送り速度のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
ステップ120では、所定の研削計画又は監視の結果として出現した必要性のために研削パラメータを調整する必要がある場合、所望のTTVを達成するために、固定砥粒研削プロセスの間、研削パラメータが調整される。
【0036】
例えば、冷却水温度の許容範囲は、±1℃又はそれより良いものである。ウェハ212と研削砥石との間の研削チャックの傾斜は、一定の動作において、一定的に、例えば1時間当たり0.5~2回、監視され、短いフィードバックループを用いて調整される。入ってくるTTVは、1~5μmの範囲である。高い表面品質を得るため、及び研削砥石の安定した切削効率を可能にするために、研削送り速度は、1秒当たり0.15~1μmの範囲である。加えて、スループット、堅牢性、及び表面品質の最良の組み合わせのために、研削砥石のダイヤモンドのサイズ及びタイプが選択される。入ってくるウェハ218の粒子の清浄性は、局所的な過剰材料除去の生成を防止するのに十分でなければならない。
【0037】
ステップ122では、片面研削されたウェハ218は、研磨機のウェハ担体に取り付けられ、ウェハ218の前側にあるその研削された前面217のみが、研磨機の回転研磨パッドによって行われる制御された研磨に曝露される。
【0038】
研磨プロセスの結果として、ウェハ222の厚さ、並びにその格子損傷ゾーン213は、第3の厚さh3から第5の厚さh5まで、おおよそ第4の距離h4だけ減少し、したがって、その研磨された前面222は、ウェハ222の背面に第4の距離h4だけ近づく。加えて、研磨プロセスにより、研磨されたウェハ218の前面221の下の表面下結晶格子損傷が取り除かれる。
【0039】
研磨プロセスは、研磨されたウェハ222からの厚さ変動の排除を終了し、したがって、研磨されたウェハ222は所望のTTVレベルを満たす。
【0040】
ウェハ222、230の所望のTTVは、600nm未満、例えば200、300、400、又は500nm未満である。
【0041】
ステップ124では、研磨プロセスの間、それは、魔鏡、光学測定(機器)又は幾何学的形状監視に好適な搬送調整容量測定(機器、システム)、及び表面走査機器(システム)によって連続的に監視され、少なくとも1つの研磨パラメータが連続的に制御される。
【0042】
研磨パラメータは、ウェハ222及び研磨パッドの研磨圧力、ウェハ222及び研磨パッドの回転速度、並びに研磨パッドに対するウェハ222の位置のうちの少なくとも1つを含む。
【0043】
ステップ126では、所定の研磨計画又は監視の結果として出現した必要性のために研磨パラメータを調整する必要がある場合、少なくとも1つの研磨パラメータは、所望のTTVを達成するために研磨プロセスの間に調整されて、薄化ステップ116、122を完了し、したがって、薄化ウェハ222は、無線周波数(RF)において寄生電流抑制を生じる処置に対する準備ができる。
【0044】
ステップ128では、薄化ウェハ222は、堆積機の堆積チャンバ内にセットされ、その前面221上に、少なくとも1つのポリシリコン層229が化学蒸着(CVD)プロセスによって堆積される。堆積されたポリシリコン層229は、総層厚h6を有する高度に均一なポリシリコンフィルムからなる。
【0045】
堆積プロセスの結果として、ウェハ222の厚さは、第5の厚さh5から第7の厚さh7まで、総層厚h6に等しい、おおよそ第6の距離h6だけ増加し、したがって、その前面223は、ウェハ222の背面から第6の距離h6だけ遠ざかる。
【0046】
ステップ130では、堆積されたポリシリコン層229を含むウェハ222は、化学機械研磨に好適な研磨機のウェハ担体に取り付けられ、ウェハ222の前側にあるその堆積された前面223のみが、研磨機の回転研磨パッドによって行われる制御された化学機械研磨に暴露される。
【0047】
化学機械研磨プロセスの結果として、ウェハ230の厚さは、第7の厚さh7から第10の厚さh10まで、おおよそ8の距離h8だけ減少し、堆積されたポリシリコン層229の厚さは、第6の厚さh6から第9の厚さh9まで、おおよそ8の距離h8だけ減少し、したがって、その前面232は、ウェハ230の背面に8の距離h8だけ近づく。加えて、化学機械研磨プロセスは、ポリシリコン層229に、所望の厚さh9と、フロントエンド法でハイブリッド基板構造336を融着させるのに好適な鏡面研磨前面232とを提供する。
【0048】
ステップ134では、可視(VIS)~近赤外線(NIR)の光波長範囲を使用して、光学測定(機器)、例えば干渉測定、反射測定、又はエリプソメトリ測定を用いて、研磨されたウェハ230を測定することによって、化学機械研磨プロセスが連続的に監視され、少なくとも1つの化学機械研磨パラメータが連続的に制御される。
【0049】
光学測定の動作原理は、前面223及びポリシリコン層の界面から広帯域光を反射させ、得られたスペクトルから層厚を計算することに基づく。反射光は、層厚対波長に基づく周期的干渉スペクトルを示し、厚さは、整合周期を有する層の理論モデルを使用して、信号から計算される。多結晶及び単結晶のシリコン材料の屈折率の小さな差異の故に、多結晶-単結晶シリコン界面は弱い反射しか生じない。スペクトルの可視部分ではそれでも中程度の差が見られるが、同じ波長領域で、シリコンの吸光度は高い。見出された最適なスペクトル範囲は、600nm~900nmである。
【0050】
化学機械研磨パラメータは、ウェハ222の前面223からの材料の除去速度及びウェハ222の前面223の研磨時間のうちの少なくとも1つを含む。
【0051】
ステップ136では、所定の研磨計画又は監視の結果として出現した必要性のために化学機械研磨パラメータを調整する必要がある場合、ポリシリコン層229の所望の最終層厚h9を達成するため、及び、研磨ステップ130を完了するために、化学機械研磨プロセスの間、化学機械研磨パラメータが調整され、したがって、加工されたウェハ230は、図3aに従って活性層334と融着させて、フロントエンド法においてハイブリッド基板構造336を形成する準備ができる。代替的に又は追加的に、バックエンド法(プロセス)では、ウェハ230の背面に他の構造が形成(加工)されてもよい。
【0052】
この方法100は、円形対称の固定砥粒研削プロセスを用いて、ウェハ形状規定の圧倒的大部分の材料除去を行うことによって、ウェハ230の幾何学的形状、特にその非円形対称変動の決定的な重要性に対処する。このタイプのプロセスの両側変数は、直径300mmのウェハを製造する際に非常に厳密な形状に到達するために広く使用されるが、単結晶シリコンウェハ230に接合された基板に関連するより小さなウェハサイズでは同じことは不可能である。
【0053】
これらのウェハサイズについて、片面研削ツールが市販されているが、典型的なプロセスでは必要とされる幾何学的精度が得られない。方法100は、非常によく制御された片面研削を使用して、非常に正確に規定された幾何学的形状を製造し、ウェハ230に、典型的には500nmレベルのTTVをもたらす。重要なのは、半径方向加工のため、この変動は主に、円対称形状として現れ、厚さ変動の非対称部分は200nmほどの低度である。
【0054】
上記の例示的な実施形態を参照して、発明は上述され、そのいくつかの利点が示された。発明が、これらの実施形態に限定されるだけでなく、以下の特許請求の範囲内の全ての考えられる実施形態を含むことは明らかである。
図1a
図1b
図2a
図2b
図3a
図3b
【国際調査報告】