(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】弱イオン化種の強化された除去のための電気脱イオン化構成
(51)【国際特許分類】
C02F 1/469 20230101AFI20231115BHJP
B01D 61/48 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
C02F1/469
B01D61/48
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023520553
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-05-17
(86)【国際出願番号】 US2021059103
(87)【国際公開番号】W WO2022104032
(87)【国際公開日】2022-05-19
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513180152
【氏名又は名称】エヴォクア ウォーター テクノロジーズ エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Evoqua Water Technologies LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100173473
【氏名又は名称】高井良 克己
(72)【発明者】
【氏名】ジョナサン エイチ ウッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェイコブ テレプシアク
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア グリフィス
(72)【発明者】
【氏名】ニコラス アームストロング
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナ カマス
【テーマコード(参考)】
4D006
4D061
【Fターム(参考)】
4D006GA03
4D006GA06
4D006GA07
4D006GA17
4D006HA42
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4D061EA09
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4D061EB13
4D061FA08
4D061FA09
(57)【要約】
電気化学的水処理デバイスが開示される。デバイスは、処理されるべき水の供給源に流体的に接続可能な電気化学的分離モジュールを備える。電気化学分離モジュールは、第1の電極、第2の電極、及び複数の希釈区画を備える。希釈区画の各々は、第1の平均粒径を有するイオン交換媒体の第1の領域、第2の平均粒径を有するイオン交換媒体の第2の領域、及び第3の平均粒径を有するイオン交換媒体の第3の領域を備える。イオン交換媒体の第2の領域の体積は、イオン交換媒体の第1および第3の領域の合計体積以上である。弱イオン化種、例えば、溶解ホウ素含有種および溶解シリカ含有種を含有する水の処理を容易にする方法が開示される。電気化学的分離モジュールもまた開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弱イオン化種を有する処理されるべき水の供給源に流体的に接続可能な電気化学水処理デバイスであって、以下:
前記処理されるべき水の供給源に流体的に接続可能な電気化学分離モジュールであって、第1の電極、第2の電極、および複数の希釈区画を備える、電気化学分離モジュール、
を備える、電気化学水処理デバイスであって、
前記希釈区画の各々が、第1の平均粒径を有するイオン交換媒体の第1の領域、第2の平均粒径を有するイオン交換媒体の第2の領域、および第3の平均粒径を有するイオン交換媒体の第3の領域を備え、
イオン交換媒体の前記第2の領域の体積が、イオン交換媒体の前記第1および第3の領域の合計体積以上である、
電気化学分離モジュール。
【請求項2】
前記電気化学水処理デバイスを1回通過する際に、約30psi~70psiの圧力降下を有する前記弱イオン化種の3対数以上の除去を提供するように構築および配置された、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記第2の平均粒径が前記第1の平均粒径および前記第3の平均粒径よりも小さい、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第1の領域および前記第2の領域内の前記イオン交換媒体が、同じイオン交換媒体を備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記第2の領域および前記第3の領域内の前記イオン交換媒体が、同じイオン交換媒体を備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の領域および前記第3の領域内の前記イオン交換媒体が、同じイオン交換媒体を備える、請求項2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記第2の平均粒径が、100μm~400μmの範囲である、請求項3に記載のデバイス。
【請求項8】
前記第1の平均粒径が、500μm~800μmの範囲である、請求項5に記載のデバイス。
【請求項9】
前記イオン交換媒体の第2の領域が、前記希釈区画の体積の約50%~約90%を占める、請求項3に記載のデバイス。
【請求項10】
前記第1および第3の領域の合計体積が、前記希釈区画の体積の約10%~約50%である、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記イオン交換媒体の前記第1、第2、または第3の領域のうちの1以上が、2以上のイオン交換媒体の混合物を備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記2以上のイオン交換媒体の混合物が、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂と少なくとも1つの陰イオン交換樹脂との混合物を備える、請求項11に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの陽イオン交換樹脂が、強酸陽イオン交換樹脂である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項14】
前記少なくとも1つの陰イオン交換樹脂が、強塩基陰イオン交換樹脂である、請求項12に記載のデバイス。
【請求項15】
前記少なくとも1つの陽イオン交換樹脂と前記少なくとも1つの陰イオン交換樹脂との前記混合物が、約50%w/wの前記少なくとも1つの陽イオン交換樹脂を備える、請求項11~14のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項16】
前記少なくとも1つの陽イオン交換樹脂と前記少なくとも1つの陰イオン交換樹脂との前記混合物が、約50%w/wの前記少なくとも1つの陰イオン交換樹脂を備える、請求項11~15のいずれか一項に記載のデバイス。
【請求項17】
前記少なくとも1つの陽イオン交換樹脂が、約5%~15%w/wの架橋含有量を有する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項18】
前記少なくとも1つの陽イオン交換樹脂が、約40%~60%の含水量を有する、請求項15に記載のデバイス。
【請求項19】
前記少なくとも1つの陰イオン交換樹脂が、約1%~10%w/wの架橋含有量を有する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの陰イオン交換樹脂が、約40%を超える水分含有量を有する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項21】
前記少なくとも1つの陰イオン交換樹脂が、約40%~65%の含水量を有する、請求項16に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第1および第2の領域の体積に対する前記第3の領域の体積が、前記モジュールを通る60psi以下の圧力降下を提供する、請求項1に記載のデバイス。
【請求項23】
前記電気化学分離モジュールが、100~150個の電気化学セルを備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項24】
前記モジュールが、それぞれが少なくとも1つのイオン交換媒体を備える濃縮区画をさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項25】
前記濃縮区画が、前記希釈区画と実質的に同一のイオン交換媒体の配置を備える、請求項24に記載のデバイス。
【請求項26】
前記濃縮区画が、前記第1の粒径を有するイオン交換媒体を備える、請求項24に記載のデバイス。
【請求項27】
前記希釈区画の入口および出口の一方または両方に配置された第1の媒体保持構造をさらに備える、請求項4または5に記載のデバイス。
【請求項28】
水中の弱イオン化種の低減を促進する方法であって、前記方法が、以下の工程:
弱イオン化種を備える水の供給源に接続可能な電気化学的水処理デバイスを提供する工程であって、前記電気化学的水処理デバイスが、以下:
第1の電極、第2の電極、およびそれらの間に流体的に結合された複数の電気化学セルであって、前記流体的に結合された複数の電気化学セルの各々が、イオン交換媒体の第1の層、イオン交換媒体の第2の層、およびイオン交換媒体の第3の層を備える希釈区画を少なくとも備える、第1の電極、第2の電極、および流体的に結合された複数の電気化学セル、
を備える電気化学分離モジュールを備える、工程であって、
イオン交換媒体の前記第2の層の体積が、イオン交換媒体の前記第1の層、第2の層、および第3の層の合計体積以上であり、イオン交換媒体の第1の層、第2の層、および第3の層は電気化学水処理デバイスを通る単一の通過において、水からの弱イオン化種の3対数以上の除去を提供するように配置される、
工程;及び
水を前記水の供給源から前記電気化学分離モジュールの前記供給入口に導くための命令を提供する工程
を備える、方法。
【請求項29】
前記第1および第2の電極に電圧を印加して、弱イオン化種の濃度が低減された希釈気流と、弱イオン化種が濃縮された濃縮気流とを生成する命令を提供する工程をさらに備える、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
約30psi~70psiの圧力降下で前記電気化学水処理デバイスを動作させるための命令を提供する工程をさらに備える、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
電気化学的分離モジュールであって、以下:
電極(複数)であって、それらの電極(複数)の間に複数の希釈区画を有する、電極(複数)であって、前記希釈区画の各々が、前記希釈区画の各々の入口の遠位にあるイオン交換媒体の入口領域、イオン交換媒体の中間領域、前記希釈区画の各々の出口に近接したイオン交換媒体の出口領域を備える、電極(複数)
を備える、電気化学的分離モジュールであって、
前記イオン交換媒体の前記中間領域が、前記入口領域の前記イオン交換媒体と、前記希釈区画の各々の前記イオン交換媒体出口領域との間に配置され、
前記入口領域の前記イオン交換媒体が、隣接するイオン交換媒体粒子間に規定される第1の平均隙間間隔を有し、前記出口領域の前記イオン交換媒体が、隣接するイオン交換媒体粒子間に規定される第2の平均隙間間隔を有し、前記中間領域の前記イオン交換媒体が、第1および第2の平均格子間隔よりも大きい平均粒径を有し、
イオン交換媒体の前記中間領域の体積が、イオン交換媒体の前記入口および出口領域の合計体積以上であり、
電気化学的分離モジュールが、約30psi~70psiの間の圧力降下で動作するように構築および配置される、
電気化学的分離モジュール。
【請求項32】
前記第1の平均格子間隔が、前記第2の平均格子間隔の約5%以内である、請求項31に記載のモジュール。
【請求項33】
前記電気化学的分離モジュールが、弱イオン化種の3対数以上の除去を提供するように構築および配置される、請求項31に記載のモジュール。
【請求項34】
複数の濃度区画をさらに備える、請求項31に記載のモジュール。
【請求項35】
前記希釈区画が、前記濃度区画の寸法よりも大きい少なくとも1つの寸法を備える、請求項33に記載のモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(技術分野)
本明細書に開示される態様および実施形態は、電気脱イオン化を使用して、汚染物質、例えば、溶解したホウ素含有化合物およびシリカ含有化合物などの弱イオン化種を水から除去するためのデバイスおよび方法に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
(要旨)
一態様によれば、弱イオン化種、例えば溶解ホウ素種、すなわちホウ素含有種を有する処理されるべき水の供給源に流体的に接続可能な電気化学水処理デバイスが提供される。デバイスは、処理されるべき水の供給源に流体的に接続可能な電気化学的分離モジュールを備えることができる。電気化学分離モジュールは、第1の電極と、第2の電極と、複数の希釈区画とを備えてもよい。希釈区画の各々は、第1の平均粒径を有するイオン交換媒体の第1の領域と、第2の平均粒径を有するイオン交換媒体の第2の領域と、第3の平均粒径を有するイオン交換媒体の第3の領域とを備え得る。イオン交換媒体の第2の領域の体積は、イオン交換媒体の第1および第3の領域の合計体積以上であってもよい。
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの実施形態では、電気化学水処理デバイスが電気化学水処理デバイスを1回通過する際に約30psi~70psiの圧力降下でホウ素の3対数以上の除去を提供するように構築及び配置され得る。
【0004】
特定の実施形態では、第2の平均粒径が第1の平均粒径および第3の平均粒径よりも小さい。
【0005】
いくつかの実施形態では、第1の領域および第2の領域内のイオン交換媒体が同じイオン交換媒体を備えることができる。いくつかの実施形態では、第2の領域および第3の領域内のイオン交換媒体が同じイオン交換媒体を備えることができる。いくつかの実施形態では、第1の領域および第3の領域内のイオン交換媒体が同じイオン交換媒体を備えることができる。
【0006】
特定の実施形態では、第2の平均粒径が100μm~400μmの範囲である。いくつかの実施形態では、第1の平均粒径が500μm~800μmの範囲である。
【0007】
いくつかの実施形態では、イオン交換媒体の第2の領域が希釈区画の体積の約50%~約90%を占める。いくつかの実施形態では、第1および第3の領域の合計体積が希釈区画の体積の約10%~約50%である。
【0008】
いくつかの実施形態ではイオン交換媒体の第1、第2、または第3の領域のうちの1以上は2以上のイオン交換媒体の混合物を備え得る。例えば、イオン交換媒体の第1、第2、または第3の領域のうちの1以上において、混合物は、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂と少なくとも1つの陰イオン交換樹脂との混合物を備え得る。特定の実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂は強酸陽イオン交換樹脂であってもよく、少なくとも1つの陰イオン交換樹脂は強塩基陰イオン交換樹脂であってもよい。特定の実施形態では少なくとも1つの陽イオン交換樹脂と少なくとも1つの陰イオン交換樹脂との混合物が約50%w/wの少なくとも1つの陽イオン交換樹脂を備え、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂と少なくとも1つの陰イオン交換樹脂との混合物は約50%w/wの少なくとも1つの陰イオン交換樹脂を備える。
【0009】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂が約5%~15%w/wの架橋含有量を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂が約40%~60%の含水量を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの陰イオン交換樹脂が約1%~10%w/wの架橋含有量を有する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの陰イオン交換樹脂が約40%を超える水分含有量を有する。例えば、少なくとも1つの陰イオン交換樹脂は、約40%~65%の水分含有量を有する。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1および第2の領域の体積に対する第3の領域の体積が60psi以下の圧力降下をモジュールを通して提供する。
【0011】
いくつかの実施形態では、電気化学分離モジュールが100~150個の電気化学セルを備えてもよい。
【0012】
さらなる実施形態では、モジュールがそれぞれが少なくとも1つのイオン交換媒体を備える複数の濃度区画を備えてもよい。複数の濃度区画は、希釈区画と実質的に同一のイオン交換媒体の配置を備えてもよい。特定の実施形態では、複数の濃度区画が第1の粒径を有するイオン交換媒体を備えてもよい。
【0013】
さらなる実施形態では、デバイスが希釈区画の入口および出口の一方または両方に配置された第1の媒体保持構造を備えてもよい。
【0014】
一態様によれば、水中のホウ素の低減を促進する方法が提供される。本方法は弱イオン化種、例えば、溶解ホウ素種を含有する水の供給源に接続可能な電気化学水処理デバイスを提供する工程を備えることができ、電気化学水処理デバイスは、電気化学分離モジュールを備える。提供される電気化学モジュールは第1の電極と、第2の電極と、それらの間に流体的に結合された複数の電気化学セルとを備え得、流体的に結合された複数の電気化学セルの各々は少なくとも、イオン交換媒体の第1の層と、イオン交換媒体の第2の層と、イオン交換媒体の第3の層とを備える希釈区画を備える。イオン交換媒体の第2の層の体積は、イオン交換媒体の第1および第3の層の合計体積以上であってもよい。イオン交換媒体の第1の層、第2の層、および第3の層は、電気化学水処理デバイスを通る単一の通過において、水からの弱イオン化種、例えばホウ素の3対数以上の除去を提供するように構成されてもよい。本方法は、水の供給源から電気化学分離モジュールの供給入口に水を導くための命令を提供することをさらに備え得る。
【0015】
さらなる実施形態では、本方法が第1および第2の電極に電圧を印加して、低減された濃度の弱イオン化種、例えば、溶解ホウ素を有する希釈気流と、弱イオン化種、例えば、溶解ホウ素が濃縮された濃縮気流とを生成するための命令を提供することを備え得る。
【0016】
さらなる実施形態では、本方法が約30psi~70psiの圧力降下で電気化学水処理デバイスを動作させるための命令を提供することを備え得る。
【0017】
一態様によれば、電気化学分離モジュールが提供される。電気化学的分離モジュールは、希釈区画の各々の入口より遠位のイオン交換媒体の入口領域と、イオン交換媒体の中間領域と、希釈区画の各々の出口付近のイオン交換媒体の出口領域とを備える、希釈区画の各々の間に複数の希釈区画を有する電極を備えてもよい。イオン交換媒体の中間領域は、入口領域のイオン交換媒体と希釈区画の各々のイオン交換媒体出口領域との間に配置されてもよい。入口領域のイオン交換媒体は隣接するイオン交換媒体粒子間に画定される第1の平均格子間隔を有してもよく、出口領域のイオン交換媒体は隣接するイオン交換媒体粒子間に画定される第2の平均格子間隔を有する可能性がある。中間領域のイオン交換媒体は、第1および第2の平均格子間隔よりも大きい平均粒子を有することができる。イオン交換媒体の中間領域の体積は、イオン交換媒体の入口領域および出口領域の合計体積以上であってもよい。電気化学分離モジュールは、約30psi~70psiの間の圧力損失で動作するように構築および配置され得る。
【0018】
いくつかの実施形態では、第1の平均格子間隔が第2の平均格子間隔の約5%以内であり得る。いくつかの実施形態では、電気化学分離モジュールが弱イオン化種、例えばホウ素の3対数以上の除去を提供するように構築および配置され得る。さらなる実施形態では、電気化学分離モジュールが複数の濃縮区画を備えてもよい。特定の実施形態では希釈区画が濃度区画の寸法よりも大きい少なくとも1つの寸法を備え、例えば、希釈区画は濃度区画よりも厚くてもよい。
【0019】
添付の図面は、一定の縮尺で描かれていない。図面では、様々な図に示されている各同一またはほぼ同一の構成要素が同様の符号によって表されている。明確にするために、すべての構成要素がすべての図面においてラベル付けされているわけではない。図面において:
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】
図1は、一実施形態による、電気化学分離モジュールを図示する。
【
図2】
図2は、一実施形態による、
図1の電気化学分離モジュールを組み込んだ水処理システムを図示する。
【
図3】
図3は一実施形態による、本開示の電気化学分離モジュールの概略図を図示する。
【
図4】
図4は、一実施形態による、本開示の電気化学分離モジュールのイオン交換媒体レイアウトを図示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(詳細な説明)
イオン交換は固体(例えば、イオン交換樹脂)と液体(例えば、水)との間のイオンの可逆的交換である。イオン交換媒体は、「化学スポンジ」として作用するので、水および他の液体からの汚染物質の効果的な除去によく適している。イオン交換技術は、水の脱塩および軟化、廃水のリサイクル、ならびに他の水処理工程において使用されることが多い。イオン交換媒体はまた、様々な特殊な用途、例えば、化学処理、医薬品、鉱山、ならびに食品および飲料処理において使用される。
【0022】
電界を使用して流体を精製するためのデバイス、すなわち、電気化学的分離モジュールを使用して、溶解イオン種を含有する水および他の液体を処理することができる。これらのモジュール内には、イオン選択膜によって分離された濃度および希釈(または枯渇)区画がある。電気化学的分離モジュールは、交互の電気活性半透性陰イオンおよび陽イオン交換膜を特徴とし得る。膜間の空間は、入口および出口を有する液体流区画を作り出すように構成される。電極を介して印加される印加電場は、それぞれの対電極に引き付けられる溶解イオンを、陰イオンおよび陽イオン交換膜を通って移動させる。これにより、一般に、希釈区画の液体はイオンが枯渇し、濃縮区画の液体は移動したイオンで富化される。
【0023】
本明細書で使用される場合、「分離モジュール」、「処理デバイス」、「精製デバイス」、または「デバイス」という語句は、処理される流体から任意の望ましくない種の濃度レベルを除去または低減するために使用され得る任意のデバイスに関する。好適な処理デバイスの実施例としてはイオン交換樹脂デバイス、逆浸透(RO)、電気脱イオン、電気透析、限外濾過、精密ろ過、及び容量性脱イオンデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
特定の非限定的な実施形態では、本明細書に開示される方法およびデバイスが電気化学分離モジュールを備える。本明細書で使用するとき、語句「電気化学的分離モジュール」は任意の数の電気的に駆動される分離システムを指し、非限定的な例としては電気脱イオン(「EDI」)デバイス、電気透析(「ED」)デバイス、容量性脱イオン(「CapDI」)デバイス、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。電気化学的水処理デバイスはこれらの動作に矛盾しない限り、本明細書に記載のシステムおよび方法の原理に従って機能する任意のデバイスを備えることができる。
【0025】
特定の実施形態では、電気化学分離モジュールが電気脱イオン(EDI)ユニットを備えることができる。そのようなデバイスの非限定的な例としては、電気透析(ED)、電気透析反転(EDR)、電気化学的脱イオン化、静電脱イオン化、連続電気脱イオン化(CEDI)、および可逆連続電気脱イオン化(RCEDI)が挙げられる。
【0026】
電気脱イオン(EDI)は、1つ以上のイオン交換媒体およびイオン輸送に影響を与えるために電極間に印加される電位を使用して、水から1つ以上のイオン化種またはイオン化可能種を除去するか、または少なくとも低減するプロセスである。イオン交換媒体は典型的にはイオン、弱イオン化種、および/またはイオン化可能種を交互に収集および排出するように働き、いくつかの実施形態では、イオンまたは電子置換機構によって、連続的であり得るイオンの輸送を促進するように働く。EDIデバイスは永久的または一時的な電荷の電気化学的に活性な媒体を備えることができ、バッチ式、断続的、連続的、および/または逆極性モードで操作することができる。EDIデバイスは、性能を達成または向上させるように特に設計された1以上の電気化学反応を促進するように動作させることができる。さらに、そのような電気化学素子は、半透過性または選択的に透過性のイオン交換膜またはバイポーラ膜などのイオン交換膜を備えることができる。連続電気脱イオン(CEDI)デバイスは、イオン交換材料が連続的に再充填される間、水の浄化が連続的に進行することができるように動作するEDIデバイスである。CEDI技術は、連続脱イオン化、充填セル電気透析、または電気透析などの処理を備えることができる。制御された電圧および塩分量条件下で、CEDIシステムにおいて、水分子を分割して、水素またはヒドロニウムイオンまたは化学種、および水酸化物またはヒドロキシルイオンまたは化学種を生成することができ、これは、デバイス内のイオン交換媒体を再生することができ、したがって、デバイスから捕捉された化学種の放出を促進することができる。このようにして、イオン交換媒体の化学的再充填を必要とすることなく、処理される水流を連続的に精製することができる。
【0027】
CEDIおよびEDIデバイスでは直流(DC)電場が典型的には電極(陽極または正電極、およびカソードまたは負極)に印加される電圧および電流の供給源からセルにわたって印加される。電圧および電流源(まとめて「電源」)は交流(AC)電源、または、例えば、太陽光、風力、または波力から得られる電源などの様々な手段によって、それ自体が給電され得る。電極/液体界面では、膜および区画を通るイオンの移動を開始および/または促進する電気化学的半電池反応が起こる。例えば、
図1では、第1および第2の電極、すなわち陰極およびアノードに電圧が印加されると、水酸化物および水素イオンが水中に形成され、水中に存在するイオンを反対極性電極に移動させることができる。
【0028】
いくつかの実施形態では電解質区画内に含まれる電極について、電極/界面で生じる特定の電気化学反応は区画内の塩の濃度によってある程度制御することができる。例えば、塩化ナトリウムが高いアノード電解質区画への供給物は塩素ガスおよび水素イオンを生成する傾向があり、一方、カソード電解質区画へのそのような供給物は、水素ガスおよび水酸化物イオンを生成する傾向がある。一般に、アノード区画で生成された水素イオンは塩化物イオンなどの遊離陰イオンと会合して、電荷中性を保存し、塩酸水溶液を生成し、同様に、カソード区画で生成された水酸化物イオンはナトリウムなどの遊離陽イオンと会合して、電荷中性を保存し、水酸化ナトリウム水溶液を生成する。生成された塩素ガスおよび水酸化ナトリウムなどの電極区画の反応生成物は、消毒目的、膜洗浄および汚れ除去目的、ならびにpH調整目的のために必要に応じてプロセスにおいて利用することができる。
【0029】
半導体産業などの各種産業用途に使用される水は一般に、18.2MΩの抵抗率を有する超純水(UPW)などの高純度水である。これらの高純度水の供給源において、ホウ素含有種およびシリカ含有種などの弱イオン化種の存在は、多数の下流の工程、例えばマイクロエレクトロニクスの製造に有害であり得る。このレベルの抵抗率を達成するために、水は大型で高度に水和された種、およびほぼ中性のpHでのみ弱くイオン化される高度に帯電された種、例えば、多くのホウ素含有種を備える、可能な限り多くのイオン含有量を含まないべきである。ホウ素含有種は、典型的には逆浸透(RO)などの電気化学的除去および圧力駆動除去を備える水処理システムを通る複数のパス、すなわち連続パスを使用して、プロセス水、例えば半導体製造プロセス水から除去される。水から弱イオン化種、例えばホウ素およびホウ素含有種を除去するために、同じまたは異なる分離技術、例えば2以上のEDIモジュールおよび/または1つ以上の他の電気化学的分離技術および/または圧力駆動分離のマルチモジュール構成が使用されていることが知られている。例えば、ホウ素含有種の除去は、直列に配置された1つ以上のEDIモジュールの使用によって達成されている。このタイプの直列に配置されたEDIシステムは一般に、大きな物理的設置面積を必要とし、複雑な配管および制御方式を有し、多くの場合、複数のEDIモジュールを通る水圧低減を有し、処理水の十分な圧力を生成するためにEDIモジュールの上流での強力なポンピング作用を必要とし、動作コストを増大させる。本開示の目的は、電流除去技術よりも小さい設置面積および良好な経済性を有する、弱イオン化種、例えばホウ素含有種およびシリカ含有種を除去するための同等またはより良好な性能を有する水処理システムを提供することである。
【0030】
電気化学的水処理デバイス、例えば、CEDIおよびEDIデバイスは正または負に帯電した種のいずれかの通過を可能にするが、典型的には両方ではない選択的透過性膜によって分離された複数の隣接する電気化学セルまたは区画を有する、1以上の、すなわち、複数の電気化学的分離モジュールを備え得る。希釈または枯渇コンパートメントは、典型的にはそのようなデバイスにおける濃縮または濃縮コンパートメントと間隔を置いて配置される。いくつかの実施形態では、複数の電気化学セルが直列に配置されてもよく、隣接するセルの希釈区画が結合され、隣接するセルの濃縮区画が結合される。
【0031】
プロセス水からの弱イオン化種、例えば、ホウ素含有種およびシリカ含有種の除去は、既存の電気化学処理溶液のものと比較して増加した数の希釈および濃縮区画を備える電気化学分離モジュールを有する電気化学水処理デバイスを使用することによって達成され得る。典型的な電気化学的処理システムでは、電気化学的分離モジュールが約100個の電気化学的セル対、すなわち、希釈-濃度区画対を備えることができ、これらの電気化学的分離モジュールのうちの2つ(またはそれ以上)は処理性能を高めるために、流体的に直列に接続される。十分に弱くイオン化された種、例えばホウ素含有種の除去のために、この設計の電気化学水処理デバイスを2回通過させ、200個の電気化学セルを通る合計の水の通過を必要とすることがある。
【0032】
本明細書に記載されるように、電気化学水処理デバイスは増加した数の電気化学セル、例えば、100個を超える電気化学セルなどの希釈-濃度区画対を有する電気化学分離モジュールを備え得る。いくつかの実施形態では、電気化学分離モジュールが既存の処理溶液と同じ物理的フットプリント内に約100~150個の電気化学セルを備えることができる。特定の実施形態では、電気化学分離モジュールが120個の電気化学セルを備えることができる。
【0033】
さらなる実施形態では電気化学水処理システムが複数の濃度区画を備えることができ、その各々は少なくとも1つのイオン交換媒体を備えることができる。いくつかの実施形態では、複数の濃度区画がイオン交換媒体を含まなくてもよい。いくつかの実施形態では、イオン交換媒体が存在する場合、濃度区画は本明細書に記載される希釈区画と実質的に同一のイオン交換媒体の配置を備えてもよく、すなわち、第1の平均粒径を有するイオン交換媒体の第1の領域、第2の平均粒径を有するイオン交換媒体の第2の領域、および第3の平均粒径を有するイオン交換媒体の第3の領域を備える希釈区画の各々を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、濃縮区画が第1の粒径を有するイオン交換媒体を備えてもよい。例えば、濃縮区画は、特定の弱イオン化種、例えばホウ素およびシリカの少なくとも部分的な除去を提供する、より大きい粒径のイオン交換媒体を備えてもよい。特定の実施形態では希釈区画が低いまたは微粒子径を有する少なくとも1つのイオン交換媒体を備え、濃度区画は本明細書に開示されるより大きいまたは粗い粒径を有する少なくとも1つのイオン交換媒体を備える。
【0034】
一般に、電気化学分離モジュールの希釈区画は濃縮区画の同じ寸法よりも大きい少なくとも1つの寸法、例えば、長さ、幅、または厚さを有する。希釈区画と濃度区画との間の厚さの相対差は、生成物流量、流量、および電気化学分離モジュールの内部圧力の制御の間のバランスを表す。濃度区画よりも厚い希釈区画は、流量容量の区画当たりの増加を提供する。並行して、より薄い濃縮区画は改善された生成物回収を提供し、電気化学的分離モジュール内の圧力をバランスさせる。いくつかの実施形態では、希釈区画が濃度区画の厚さの少なくとも2倍、すなわち2x、例えば、少なくとも2x、少なくとも2。5x、少なくとも3x、少なくとも3.5x、少なくとも4x、少なくとも4.5x、または少なくとも5xである厚さを有し得る。特定の実施形態では、希釈区画が濃度区画よりも3倍厚い。
【0035】
CEDIまたはEDIデバイスで使用されるような電気化学分離モジュールの一実施形態が
図1に示されている。
図1において、電気化学的分離モジュール100は、希釈区画102、濃度区画104、および希釈区画102および濃度区画104を分離するイオン交換膜106を備える。いくつかの実施形態では、各成分のうちの1つのみ、すなわち、1つの希釈区画102、1つの濃度区画104、および1つのイオン交換膜106が存在し得る。
図1に示すように、電気化学分離モジュール100は、交互の陽イオン交換膜および陰イオン交換膜などの交互の一連のイオン交換膜106によって分離された複数の希釈区画102および複数の濃度区画104を備えることができる。他の実施形態では、
図1に示されるよりも多くの数の希釈区画および濃度区画が存在し得る。電気化学的分離モジュール100は、アノードおよび陰極としてそれぞれ動作する第1および第2の電極108a、108bによって境界付けられる。希釈区画102内で、希釈区画102の体積の第1の領域は、第1のイオン交換媒体110aを備える。希釈区画102の体積の第2の領域は、第2のイオン交換媒体110bを備える。希釈区画102の体積の第3の領域は、第3のイオン交換媒体110cを備える。図示のように、イオン交換媒体の第2の領域の体積は、イオン交換媒体の第1および第3の領域の合計体積以上である。濃度区画104はイオン交換媒体110dを備えるが、これは任意選択であり、電気化学分離モジュール100が動作するために必要ではない。
【0036】
図1に示す電気化学分離モジュールを組み込んだ水処理デバイスの一実施形態を
図2に示す。示されるように、溶解したホウ素含有種を備える水の供給源、および場合により処理されるシリカ含有種(図示せず)に接続または接続可能な供給入口101は、水の供給源からの水を電気化学分離モジュール100の希釈区画102および濃縮区画104に分配するように配置される。水が空乏区画102(
図2に矢印で示す)を通って流れるとき、イオン種および他の荷電種は、典型的にはDC場などの電場の影響下で濃縮区画104に引き込まれる。正に帯電した種は、複数の空乏区画102および濃縮区画104のスタックの一端に位置する第2の電極108bなどの陰極に向かって引き寄せられ、負に帯電した種は同様に、区画のスタックの両端部に位置する第1の電極108aなどの陽極に向かって引き寄せられる。第1および第2の電極108a、108bは、典型的には空乏区画102および/または濃縮区画104との流体連通から部分的に隔離され得る電解質区画(図示せず)内に収容される。一旦濃度区画104に入ると、荷電種は、少なくとも部分的に濃度区画104を画定し得るイオン交換膜106の障壁によって捕捉され得る。例えば、陰イオンは陽イオン交換膜によって、第2の電極108bに向かってさらに移動し、濃度区画104から出ることが防止され得る。希釈区画102内の処理水は、電気化学分離モジュール100の下流側に流体的に接続された生成物出口112から排出されてもよい。濃縮区画104内に捕捉されると、捕捉された荷電種は、濃縮物流中で除去され、廃棄物出口114に排出され得る。
【0037】
引き続き
図1および
図2を参照すると、いくつかの実施形態では、電気化学分離モジュール100が希釈区画の入口または出口の一方または両方に配置された媒体保持構造116を備えることができる。媒体保持構造は電気化学分離モジュールの動作中、例えば、処理中またはメンテナンスプロセス、例えば、逆洗または逆流中のイオン交換媒体の損失を低減するために使用され得る。媒体保持構造は、メッシュ、スクリーン、または他の同様の構造など、電気化学分離モジュールの入口または出口に最も近接して配置されたイオン交換媒体よりも小さいサイズの任意の適切な構造であってもよい。いくつかの実施形態では、電気化学分離モジュールの入口および出口の両方が媒体保持構造を備える。媒体保持構造は希釈区画内へのまたは希釈区画からの水の流れを制御するか、またはそわなければ方向付けるのを助けるために、1以上の構造的特徴をさらに備え得る。
【0038】
プロセス水からの弱イオン化種、例えばホウ素含有種およびシリカ含有種の除去は各電気化学分離モジュールの希釈区画内に、異なる物理的および化学的特性を有するイオン交換媒体の多領域配置を使用することによって達成され得る。いくつかの実施形態では、希釈区画の各々が第1の平均粒径を有するイオン交換媒体の第1の領域と、第2の平均粒径を有するイオン交換媒体の第2の領域と、第3の平均粒径を有するイオン交換媒体の第3の領域とを備える。イオン交換媒体の第1、第2、および第3の領域は処理されるべき水から特定の種、例えばホウ素およびシリカの除去を達成するために、イオン交換媒体の任意の実用的な配置を備えることができる。例えば、第1の領域および第2の領域におけるイオン交換媒体は同じイオン交換媒体を備える、すなわち、同じ粒径および/または化学組成を有する。いくつかの実施形態では、第2の領域および第3の領域内のイオン交換媒体が同じイオン交換媒体を備える、すなわち、同じ粒径および/または化学組成を有する。特定の実施形態では、第1の領域および第3の領域内のイオン交換媒体が同じイオン交換媒体を備えてもよく、すなわち、同じ粒径および/または化学組成を有する可能性がある。当業者は処理されるべき水から特定の弱イオン化種、例えばホウ素およびシリカの所望の除去を達成するために、第1、第2および第3の領域におけるイオン交換媒体の適切な配置を決定することができるのであろう。
【0039】
いくつかの実施形態では、電気化学分離モジュールの希釈区画内のイオン交換媒体の配置が希釈区画内の別領域内のイオン交換媒体粒子間の間隔によって特徴付けられ得る。一般に、イオン交換媒体は球状の粒子状媒体から構築され、希釈区画および/または濃縮区画に形成される場合、粒子は各粒子間に間隙空間を有し、粒子間の間隙空間のサイズは粒子直径の関数である。例えば、電気化学分離モジュールは、電気化学分離モジュールの入口の先端のに配置された希釈区画の入口領域にあるタイプのイオン交換媒体と、電気化学分離モジュールの出口の近位に配置された希釈区画の出口領域にあるタイプのイオン交換媒体と、イオン交換媒体の入口領域と出口領域との間に配置されたタイプのイオン交換媒体の中間領域とを備えることができる。入口領域のイオン交換媒体は第1の平均格子間隔を有することができ、出口領域のイオン交換媒体は、第2の平均格子間隔を有することができる。本明細書で使用するとき、「平均格子間隔」は、隣接する個々のイオン交換媒体粒子間の平均間隔を指す。いくつかの実施形態では、中間領域のイオン交換媒体が第1および第2の平均格子間隔よりも大きい平均粒子を有する可能性がある。いくつかの実施形態では、第1の平均格子間隔が第2の平均格子間隔の約5%以内であり得る。
【0040】
いくつかの実施形態では、イオン交換媒体の第1の領域およびイオン交換媒体の第3の領域の平均粒径がイオン交換媒体の第2の領域の平均粒径よりも大きい。例えば、第1の平均粒径は500μm~800μm、例えば、500μm~800μm、550μm~750μm、又は600μm~700μm、例えば、約500μm、約550μm、約600μm、約650μm、約700μm、約7、約50μm、又は約800μmの範囲内である。いくつかの実施形態において、第2の平均粒径は100μm~400μmの範囲、例えば、100μm~400μm、125μm~375μm、150μm~350μm、175μm~325μm、又は200μm~300μm、例えば、約100μm、125μm、150μm、175μm、200μm、225μm、250μm、275μm、300μm、325μm、350μm、375μm、又は400μmである。
【0041】
いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、弱イオン化種、例えばホウ素含有種およびシリカ含有種の除去性能はイオン交換媒体の平均粒径および電気化学的分離モジュール中に存在するイオン交換媒体の総体積の関数である。より小さい平均粒子を有するイオン交換媒体は一般に、表面積の増加に起因して、弱くイオン化された種、例えばホウ素含有種およびシリカ含有種に対する除去性能の増加を示す。より微細なメッシュイオン交換媒体の性能は個々のイオン交換媒体粒子間のより小さい間隙空間によってバランスがとられ、これは、一般に、電気化学分離モジュールを出る水の圧力降下を増加させる。より大きな平均粒径を有するイオン交換媒体は弱くイオン化された種、例えばホウ素含有種およびシリカ含有種の除去には効果的ではないが、一般に、より低い圧力降下を有し、電気化学分離モジュールの加圧時に電気化学分離モジュールから除去されるレジストを有する。したがって、いくつかの実施形態では、イオン交換媒体の第2の領域の体積がイオン交換媒体の第1および第3の領域の合計体積以上であり得る。例えば、イオン交換媒体の第2の領域は電気化学分離モジュールの各希釈区画の約50%以上の合計体積、例えば、各希釈区画の体積の50%~95%、例えば、体積の50%~95%、55%~90%、60%~85%、65%~80%、または70~75%、例えば、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%を有し得る。イオン交換媒体の第1および第3の領域の合計体積は各希釈区画の体積の5%~約50%、例えば、各希釈区画の体積の5%~50%、10%~45%、15%~40%、20%~35%、または25~30%、例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、または約20%であってもよい。非限定的な例として、イオン交換媒体の第2の領域は、電気化学分離モジュールの各希釈区画の70%の総体積を有する可能性がある。この構成では、イオン交換媒体の第1および第3の領域の体積の合計体積が電気化学分離モジュールの各希釈区画の体積の残りの30%を占めることができる。いくつかの実施形態では、イオン交換媒体の第1および第3の領域の総体積が均等に分割されてもよい。あるいはイオン交換媒体の第1および第3の領域の合計体積が異なって分割されてもよく、すなわち、イオン交換媒体の第1の領域の体積はイオン交換媒体の第3の領域よりも大きい体積を有してもよく、またはその逆であってもよい。
【0042】
本明細書に開示される電気化学水処理デバイスの実施形態は、電気化学水処理デバイスを1回通過する際に約30psi~70psiの圧力降下で、弱イオン化種、例えばホウ素の3対数以上の除去を提供するように構築及び配置されてもよい。いくつかの実施形態では、電気化学水処理デバイスを通る水の圧力降下が約30psi~70psi、35psi~65psi、40psi~60psi、または45psi~50psi、例えば、30psi、35psi、40psi、45psi、50psi、55psi、60psi、65psi、または70psiである。本明細書に記載されるように、電気化学的水処理デバイスを通る水の圧力降下は、希釈区画内のイオン交換媒体粒子の平均サイズと、存在するイオン交換媒体の合計体積との関数である。特定の実施形態では、第1および第3の領域の体積に対する第2の領域の体積が60psi以下の圧力降下をモジュールを通して提供する。
【0043】
イオン交換媒体の第1および第3の領域に対してより小さい平均粒子およびより大きい合計体積を有するイオン交換媒体の第2の領域を有する、電気化学分離モジュールの希釈区画内のイオン交換媒体の第1、第2、および第3の領域は、既存の処理技術よりも改善された電気化学水処理システムの動作を提供する。電気化学セルの数が増加すると、電気化学水処理デバイスを通る水の保持時間が増加し、各電気化学セルを通る水の流れが減少する。これは、次に、弱イオン化種、ホウ素含有種、およびシリカ含有種の除去性能を失うことなく、単一パスでの電気化学水処理デバイスを通る全体的な圧力降下を低減する。同様に、各希釈濃度区画対を方法低減された水流は電気化学分離モジュールの電極を横切る電気負荷を低減し、弱イオン化種、例えばホウ素含有種およびシリカ含有種の除去性能を損なうことなく、動作コストを低減する。
【0044】
いくつかの実施形態では本明細書に開示される水処理システムがイオン交換媒体の第1の領域、イオン交換媒体の第2の領域、およびイオン交換媒体の第3の領域のうちの1つ、2つ、またはすべてが、2以上のイオン交換媒体の混合物を備え得る。例えば、イオン交換媒体の第1の領域、イオン交換媒体の第2の領域、およびイオン交換媒体の第3の領域のうちの1つ、2つ、またはすべては、少なくとも1つの少なくとも1つの陽イオン交換樹脂と少なくとも1つの陰イオン交換樹脂との混合物であってもよい。各タイプのイオン交換媒体の特定のタイプおよび特定の量(例えば、%w/wまたは%v/v)は、化学組成などの処理される水の特性によって決定され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂と少なくとも1つの陰イオン交換樹脂との二成分混合物が等量、例えば、混合物中の各極性媒体の50%であり得る。あるいは、イオン交換媒体の各極性の相対量が部分的には樹脂寿命、コスト、およびイオン輸送性能の間のバランスによって決定され得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂は強酸陽イオン交換樹脂であり、少なくとも1つの陰イオン交換樹脂は強塩基陰イオン交換樹脂である。これらのイオン交換樹脂型は例示的な例にすぎず、本明細書に開示される態様および実施形態はイオン交換媒体の特定種類および/または製造業者によって限定されない。当業者は、特定の用途および所望の水質に適した樹脂を容易に選択することができるのであろう。
【0045】
本明細書に記載されるように、イオン交換媒体、すなわち、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂は約1%~約20%w/w、例えば、約1%~約20%、約2%~約18%、約4%~約16%、約6%~約14%、約8%~約12%、または約10%、例えば、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約11%、約12%、約13%、約14%、約15%、約16%、約17%、約18%、約19%、または約20%の架橋含有量を有し。断面は、適量のジビニルベンゼン(DVB)などの適切な断面化合物の添加によって達成することができる。特定の実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂が約5%~15%w/wの架橋含有量を有する。少なくとも1つの陽イオン交換樹脂の断面割合は、少なくとも1つの陰イオン交換樹脂と同じであってもよい。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂および少なくとも1つの陰イオン交換樹脂の断面割合がイオン交換媒体の第1および第3の領域とイオン交換媒体の第2の領域との間で同じであり得る。例えば、希釈区画の第1および第3の領域における少なくとも1つの陽イオン交換樹脂の断面割合は約10%であり得、希釈区画の第1および第3の領域における少なくとも1つの陰イオン交換樹脂の断面割合は約4%であり得る。当業者は、これらのパラメータを調整して、電気化学水処理デバイスの性能または他の動作パラメータを調整することができることを理解するのであろう。
【0046】
他の実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂および少なくとも1つの陰イオン交換樹脂の断面割合がイオン交換媒体の第1および第3の領域と、イオン交換媒体の第2の領域と同じであってもよい。あるいは、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂および少なくとも1つの陰イオン交換樹脂の断面割合がイオン交換媒体の第1および第3の領域とイオン交換媒体の第2の領域との間で異なっていてもよく、すなわち、断面割合に対するサイズ依存性であってもよい。
【0047】
いくつかの実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂および少なくとも1つの陰イオン交換樹脂がその水分含有量によって特徴付けられ得る。架橋された重量%はイオン交換媒体については特定できないが、およそ1:1の対応関係を有するその含水量から推測することができる。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、イオン交換樹脂の水分含有量は固体樹脂マトリックス中の空隙を満たす水和水の量の尺度であり、水に曝露されたときにイオン交換媒体が吸収および保持し得る水の最大重量パーセントであると考えられる。高い水分含有量を有する樹脂はより少ない乾燥物質を備える、すなわち、行列は、ポリスチレン鎖を架橋するジビニルベンゼンの架橋を有するポリスチレンから作製される。含水量の増加(したがって、乾燥物質の減少)は構造内外に移動するための大きなイオンのより容易なアクセスを提供することができるが、含水量の増加は樹脂の物理的強度および酸化攻撃に対する耐性を低減させ、その両方は一般に、架橋ポリマー構造によって提供される。いくつかの実施形態では、イオン交換媒体の水分含有量が約40重量%~約50重量%である場合、イオン交換媒体は「高」架橋含量を有するとみなされ得る。「低」架橋イオン交換媒体は、約50重量%~約60重量%の含水量を有し得る。例えば、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂および少なくとも1つの陰イオン交換樹脂の一方または両方は約40%~65%、例えば、約40%~60%、約45%~55%、または約50%の含水量、例えば、約40%、41%、42%、43%、44%、45%、46%、47%、48%、49%、50%、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、または60%の含水量を有し得る。特定の実施形態では、少なくとも1つの陽イオン交換樹脂が50%~55%の含水量を有する。特定の実施形態では、少なくとも1つの陰イオン交換樹脂が少なくとも40%、例えば、少なくとも45%~55%、および最大65%の水分含有量を有する。
【0048】
一態様によれば、水中の弱イオン化種、例えばホウ素の低減を促進する方法が提供される。本方法は弱イオン化種、例えば、溶解ホウ素種を含有する水の供給源に接続可能な電気化学水処理デバイスを提供することを備えてもよい。提供される電気化学分離モジュールは、第1の電極と、第2の電極と、それらの間に流体的に結合された複数の電気化学セルとを備え得る。流体的に結合された複数の電気化学セルの各々は、少なくとも、イオン交換媒体の第1の層、イオン交換媒体の第2の層、およびイオン交換媒体の第3の層を備える希釈区画を備える。イオン交換媒体の第2の層の体積はイオン交換媒体の第1および第3の層の合計体積以上であり、イオン交換媒体の第1、第2、および第3の層は電気化学水処理デバイスを通る単一の通過において、水からの弱イオン化種、例えば、ホウ素の3対数以上の除去を提供するように配置される。本方法は、水の供給源から電気化学分離モジュールの供給入口に水を導くための命令を提供することをさらに備え得る。
【0049】
さらなる実施形態では、本方法が第1および第2の電極に電圧を印加して、低減された濃度の弱イオン化種、例えば、溶解ホウ素を有する希釈気流と、弱イオン化種、例えば、溶解ホウ素が濃縮された濃縮気流とを生成するための命令を提供することを備え得る。さらなる実施形態では、本方法が約30psi~70psiの圧力降下で電気化学水処理デバイスを動作させるための命令を提供することを備え得る。
【0050】
一態様によれば、電気化学分離モジュールが提供される。電気化学的分離モジュールは、その間に複数の希釈区画を有する電極を備えてもよい。希釈区画の各々は、希釈区画の各々の入口の遠位のイオン交換媒体の入口領域と、イオン交換媒体の中間領域と、希釈区画の各々の出口の近位のイオン交換媒体の出口領域とを備え得る。入口領域のイオン交換媒体は隣接するイオン交換媒体粒子間に画定される第1の平均格子間隔を有してもよく、出口領域のイオン交換媒体は隣接するイオン交換媒体粒子間に画定される第2の平均格子間隔を有する可能性がある。中間領域のイオン交換媒体は、第1および第2の平均格子間隔よりも大きい平均粒子を有することができる。イオン交換媒体の中間領域の体積は、イオン交換媒体の入口領域および出口領域の合計体積以上であってもよい。電気化学分離モジュールは、約30psi~70psiの間の圧力損失で動作するように構築および配置され得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、第1の平均格子間隔が第2の平均格子間隔の約5%以内であり得る。いくつかの実施形態では、電気化学分離モジュールが弱イオン化種、例えばホウ素の3対数以上の除去を提供するように構築および配置される。さらなる実施形態では、電気化学分離モジュールが複数の濃縮区画を備えてもよい。希釈区画は、濃度区画の寸法よりも大きい少なくとも1つの寸法を有する可能性がある。例えば、希釈区画は、濃度区画よりも厚くてもよい。
【実施例】
【0052】
これらおよび他の実施形態の機能および利点は、以下の実施例からより良く理解することができる。これらの実施例は、本質的に例示であることが意図され、決して本発明の範囲を限定すると見なされるものではない。
【0053】
以下の実施例は、商業的供給者から入手可能な特定のイオン交換媒体を参照する。本発明の電気化学的分離モジュールに使用するのに適した陰イオン交換媒体としてはSBA XFM(OH-形態の水分含有量50~55%;Cl-形態の水分含有量43~47%)、ダウケミカル社(Midland、MI)から入手可能なDOWEX(登録商標)1X4(Cl-形態の水分含有量50%)、およびII型強塩基陰イオン交換レジンが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の電気化学的分離モジュールに使用するのに適した例示的な陽イオン交換媒体としてはエボクア・ウォーター・テクノロジーズ、エボクア・ウォーター・テクノロジーズ、エルシー(ペンシルベニア州ピッツバーグ)から入手可能なC-373(Na+形成の水分含有量40~45%、10%架橋)及びピューロライト(ペンシルベニア州バラ・シンワイド)から入手可能なSAC XFM(H+形成の水分含有量50~55%、Na+形成の水分含有量45~50%)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの媒体タイプは例示的な例にすぎず、本明細書に開示される態様および実施形態はイオン交換媒体の特定種類および/または製造業者によって限定されない。
【0054】
(実施例1)
この実施例は例えば、水からのホウ素含有種の3対数除去に影響を及ぼすために、本明細書に記載されるような電気化学的分離モジュールを使用するEDIベースの弱イオン化種除去システムを例示する。
【0055】
図3は本開示の電気化学分離モジュールの概略図を示し、表1は、電気化学分離モジュールの構造的配置を識別する。
【0056】
【0057】
表1に見られるように、入口と出口との間の全圧降下は40~60psiであり、設置面積は約14フィート2である。これらの値はより大きなEDIシステムおよび圧力駆動分離、例えば、ROまたはナノ濾過(NF)などの、ホウ素除去のための周知技術を超える向上を表した。
【0058】
電気化学分離モジュールの除去性能は、希釈区画内のイオン交換樹脂の量およびタイプを調整することによって改善され得ると仮定された。試験された1つの仮説は微細メッシュ樹脂と規格寸法樹脂との比を調整して、ホウ素およびシリカの除去と同等またはそれ以上にすることであり、除去性能は一般に、微細メッシュの量が増加することにつれて増加することに留意されたい。表2は、本開示の電気化学的分離モジュールにおいて使用される樹脂のタイプを列挙する。
【0059】
【0060】
使用したイオン交換樹脂は、強塩基陰イオンおよび強酸陽イオン交換樹脂を備えていた。表2において「粗い」と指定された樹脂混合物は、10%断面を有する600μm~700μmの均一な粒径を有する陽イオン交換樹脂を備えていた。陰イオン交換樹脂は575μm+-50μmの均一な粒径を備え、約4%の断面を有した。これらの樹脂は、Evoqua Water Technologies、LLC(Pittsburgh, PA)およびダウケミカル社(Midland、MI)から市販されていた。表3において「微細」と称される樹脂混合物は、150μm~300μmの粒径およびH+形態で50~55%の含水量を有する陽イオン交換樹脂を備えていた。陰イオン交換樹脂は、150μm~300μmの間の微粒子およびOH-形態で50~55%の含水量を備えていた。これらの樹脂は、Purolite Company(Bala Cynwyd、PA)から入手可能であった。樹脂混合物は全て、陽イオン樹脂に対する陰イオン樹脂の50重量%の比率を備えていた。
【0061】
本開示の電気化学的分離モジュールでは、粗い樹脂の総重量百分率および比率が微細メッシュ樹脂の両側のベースライン値33.33%から両側の15%に減少し、希釈区画中の粗い樹脂の総パーセンテージを30%にした。微細樹脂の重量百分率及び比率は、希釈区画の中心の33.33%のベースライン値から70%に増加され、この樹脂構成はホウ素除去性能について評価された。この樹脂構成を
図4に示す。表3は、300Vで電気化学分離モジュールの電極に印加される異なるレベルの電流でのこの評価の結果を列挙する。見られるように、改善された樹脂体積を有する単一の電気化学的分離モジュールはより低いDC電力消費で、シリカおよびホウ素の両方について改善された除去性能を有し、これは、運用コストを低減させた。
【0062】
【0063】
これらの結果は大電流、すなわち13.2Aより大きい電流でさえ、一般にホウ素含有種の3-log除去を達成しない、既存の電気化学的分離技術を超える向上を示した。
【0064】
表4は、電気化学的分離モジュールにおける樹脂構成の評価のための給水条件を列挙する。表5は、本明細書に記載の変性樹脂構成を有する電気化学分離モジュールの除去性能を示す。上述のように、これらの結果は一般に、第2のEDIユニットまたは他の電気化学的または圧力駆動分離技術、例えば、ROなどの1以上の追加の分離技術を複数回通過させることなく、ホウ素含有種の3対数除去を達成しない、既存の電気化学的分離技術に対する改善を表した。
【0065】
【0066】
【0067】
本明細書で使用される表現および用語は説明を目的とするものであり、限定するものとみなされるべきではない。本明細書で使用するとき、用語「複数」は、2以上のアイテム又は構成要素を指す。「comprising」、「including」、「carrying」、「having」、「containing」、及び「involving」という用語は明細書又は請求項等のいずれにおいても、開放された用語、すなわち「備えるが、これに限定されない」を意味するものであり、従って、そのような用語の使用はその後に列挙される項目、及びその等価物、並びに追加の項目を包含することを意味する。「からなる」および「から本質的になる」という移行句のみが、特許請求の範囲に関して、それぞれ、閉じたまたは半閉じた移行句である。請求項要素を修正するためのクレームにおける「第1の」、「第2の」、「第3の」などの序数用語の使用はそれ自体ではある請求項要素の優先順位、優先順位、又は順序が別の請求項要素、又は方法の動作が実行される時間的順序よりも重要であることを意味するものではなく、単に、請求項要素を区別するために、特定の名称を有する1つの請求項要素を、同じ名称を有する別の要素から区別するための(ただし、序数用語の使用のための)標識として使用される。
【0068】
このように少なくとも1つの実施形態のいくつかの態様を説明してきたが、当業者には様々な変更、修正、および改良が容易に思い浮かぼうことを理解されたい。任意の実施形態に記載された任意の特徴は、任意の他の実施形態の任意の特徴に含まれてもよく、またはそれらに代えてもよい。そのような変更、修正、および改良は、本開示の一部であることが意図され、本発明の範囲内であることが意図される。従って、前述の記載及び図面は例示の目的のみである。
【0069】
当業者は本明細書に記載されるパラメータおよび構成が例示的であり、実際のパラメータおよび/または構成が、開示される方法および材料が使用される特定用途に依存することを理解すべきである。当業者はまた、日常的な実験のみを用いて、開示された特定の実施形態に対する等価物を認識するか、または確認することができるはずである。
【国際調査報告】