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特表2023-549043カートリッジピンアセンブリ用シングルプレスリング溝
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】カートリッジピンアセンブリ用シングルプレスリング溝
(51)【国際特許分類】
   B62D 55/21 20060101AFI20231115BHJP
   F16G 13/06 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
B62D55/21 Z
F16G13/06 E
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023522441
(86)(22)【出願日】2021-09-21
(85)【翻訳文提出日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 US2021051233
(87)【国際公開番号】W WO2022081311
(87)【国際公開日】2022-04-21
(31)【優先権主張番号】17/072,312
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】391020193
【氏名又は名称】キャタピラー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CATERPILLAR INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、ベンジャミン アイザック
(72)【発明者】
【氏名】パロット、スタン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ウィークス、アレン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マイネル 4世、ジョージ エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】ハドソン、スコット エー.
(57)【要約】

スウェージツール(500)は、各々が角円周方向範囲(532)を画定する一つ以上のスウェージ突出部(510)を含み、これらの角円周方向範囲(532)の各々の総和は少なくとも290度である。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒面(604)、円筒軸(606)、半径方向(608)と円周方向(610)、および端部(612)、ならびに前記円周方向(610)に沿って360度延在する前記端部(612)近くの前記円筒面(604)上に形成された環状円錐台溝(614)を含むピン(602)と、
前記円錐台溝(614)の周りに360度円周方向に延在し、前記円錐台溝(614)を軸方向に覆う端カラー(616)と、を備え、
前記端カラー(616)が、変形された量の材料617が、前記円周方向(610)に沿って少なくとも290度、前記円錐台溝(614)内に加締められるように変形される、カートリッジピンアセンブリ(600)。
【請求項2】
前記反対側の端部(612a)の近くで前記円筒面(604)上に形成された追加の円錐台溝(614a)を有する前記ピン(602)の反対側の端部(612a)と、
前記追加の円錐台溝(614a)の周りに360度円周方向に延在し、前記追加の円錐台溝(614a)を軸方向に覆う、反対側の端カラー(618)と、をさらに備え、
前記反対側の端カラー(618)が、変形された量の材料(617)が、前記円周方向(610)に沿って少なくとも290度、前記追加の円錐台溝(614a)内に加締められるように変形される、請求項1に記載のカートリッジピンアセンブリ(600)。
【請求項3】
前記端カラー(616)と前記反対側の端カラー(618)との間に軸方向に、および前記ピン(602)の周りを円周方向に配置されるブッシング(620)と、
前記ブッシング(620)と前記端カラー(616)との間に軸方向に配置される第一のシールアセンブリ(622)と、
前記ブッシング(620)と前記反対側の端カラー(618)との間に軸方向に配置される第二のシールアセンブリ(622a)と、
前記端カラー(616)と前記ブッシング(620)との間に軸方向に、および前記ピン(602)の周りに円周方向に配置される第一のスリーブベアリング(624)と、
前記反対側の端カラー(618)と前記ブッシング(620)との間に軸方向に、および前記ピン(602)の周りに円周方向に配置される第二のスリーブベアリング(624a)と、をさらに備え、
前記第一のシールアセンブリ(622)が、前記第一のスリーブベアリング(624)の周りに円周方向に延在し、前記第二のシールアセンブリ(622a)が、前記第二のスリーブベアリング(624a)の周りに円周方向に延在する、請求項2に記載のカートリッジピンアセンブリ(600)。
【請求項4】
前記ブッシング(620)が、前記ピン(602)の周りに円周方向に延在し、前記第一のスリーブベアリング(624)と前記第二のスリーブベアリング(624a)との間に軸方向に配置される潤滑溝(626)を画定し、前記反対側の端カラー(618)が、その中にストッパ(630)を配置して軸方向に貫通して延在する潤滑穴(628)を含む、請求項3に記載のカートリッジピンアセンブリ(600)。
【請求項5】
前記円錐台溝(614)が、15度未満の軸方向テーパ(A)を画定し、前記端カラー(616)が、0.05mm~3.0mmの範囲の最小軸方向距離(634)だけ前記円錐台溝(614)をオーバーラップする、請求項1に記載のカートリッジピンアセンブリ(600)。
【請求項6】
前記端カラー(616)が、変形された量の材料(617)が、円周方向(610)に沿って、前記円錐台溝(614)に全360度加締められるように変形される、請求項1に記載のカートリッジピンアセンブリ(600)。
【請求項7】
前記端カラー(616)が、ショルダー部分(632)を含む、請求項1に記載のカートリッジピンアセンブリ(600)。
【請求項8】
前記ピン(602)の前記端部(612)が、前記端カラー(616)を通過して第一の所定の距離(636)を軸方向に延在し、前記ピン(602)の前記反対側の端部(612a)が、前記反対側の端カラー(618)を通過して、前記第一の所定の距離(636)から0.2mm以内の第二の所定の距離(636a)を延在する、請求項2に記載のカートリッジピンアセンブリ(600)。
【請求項9】
複数のスウェージジョイントを含むトラックチェーンアセンブリ(300)であって、各ジョイントが、
第一の穴(458)が貫通する内側端カラー(456)と、ピンボス(462)であって、前記ボス(462)が外側面(466)を含む、ピンボス(462)が外側に延在し、第二の穴(464)が貫通する外側端カラー(460)とを含む、トラックリンク(400)と、
円筒軸(312a)、半径方向(314)、および円周方向(316)を画定する円筒形ピン(306a)であって、前記ピン(306a)が、前記外側端カラー(460)のそれぞれの第二の穴(464)に押し込まれ、非回転可能に取り付けられる端部(318)を含む、円筒形ピン(306a)と、を備え、
環状円錐台溝(320)が、前記ピンボス(462)に軸方向および半径方向に隣接して配置された前記ピン(306a)の前記端部(318)内に形成され、前記ピンボス(462)が、前記円錐台溝(320)が、前記円筒軸(312a)の周りを少なくとも290度円周方向に延在する角充填されたアンダーカット部分(470)を含むように、前記円錐台溝(320)内に配置される少なくとも一つのスウェージ変形(468)を有する、トラックチェーンアセンブリ(300)。
【請求項10】
前記少なくとも一つのスウェージ変形(468)が、互いから円周方向に間隔を置く複数のスウェージ変形(468)に分割される、請求項9に記載のトラックチェーンアセンブリ(300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、土木、採掘、建設、および軌道下部走行体を用いる他の類似の機械で使用するためのトラックチェーンに関する。詳細には、本開示は、スウェージングを介してトラックピンに接続されたトラックリンクまたは端カラーに関する。
【背景技術】
【0002】
現在の多くの用途では、トラックチェーンアセンブリのトラックリンクまたは端カラー、およびトラックピンは、土運搬業、建設業、採鉱業などで無限トラックドライブを使用するような重機の重量を支持する。使用中に、トラックリンクおよびトラックピンの接続が歪み得る。
【0003】
例えば、トラックジョイントは、多くの場合、トラックピンの端部と、ピンの端部がしっかりと受けられるそれぞれのリンクボアとの間の締り嵌めによって一緒に保持される。非常に高い押し付け力を使用してリンクをそれぞれのピン端部上に押し付けるが、リンクまたは端カラーは、機械の動作中にトラック上に働く作動力の結果として、さらにピン上で外向きに動く(時には、「歩行」)傾向を有する。この外向きの動きにより、ジョイントが緩んだり、一般的にエンドプレイと呼ばれるものが形成されたりする場合がある。例えば、ピンまたはリンク/端カラーがピン/リンクの境界面で変形されて、境界面で形成されるアンダーカットが材料で満たされ、この「歩行」現象を防ぐのを助けるように、スウェージングプロセスが採用されることがある。
【0004】
米国特許第6,270,173号は、一対の左リンクと右リンクが、それぞれ対応するリンクに圧入されたピンによって接続され、ピンまたはリンクの固定端面が、ピン圧入穴の開口部の内側または外側の周辺部分に沿って、固定端面からピンの軸方向に連続的にかつ局所的に押され変形された、トラックチェーンアセンブリを開示する。次に、ピンまたはリンクの端部の開口部の周辺部分の一部は、直径が拡大または縮小され、直径方向に増加または減少する部分が保持され、嵌合保持空間に固定される。この固定方法によって、リンクとピンを容易かつ強く連結し、リンクとピンの軸方向の固定構造を得ることが可能である。ピンの組立時にピンが固定されている場合、既存のプレス機は専用の機械を必要とせずに使用でき、リンクおよびピンを簡単かつ確実に組立ててトラックチェーンアセンブリを形成することができる。‘173特許の図8に示すように、互いに間隔を置いている複数の離散した変形領域が、この方法によって形成される。
【0005】
‘173特許は、高荷重下に置かれるトラックチェーンアセンブリの「歩行」現象を防止するために適切なアンダーカットを生成するスウェージング作業を満足のいく形で提供しない。
【発明の概要】
【0006】
本開示の実施形態によるカートリッジピンアセンブリは、円筒面、円筒軸、半径方向および円周方向、ならびに端部を含むピンを備え得る。環状円錐台溝は、円周方向に沿って360度延在する端部近くの円筒面上に形成され得る。端カラーは、円錐台溝の周りに360度円周方向に延在してもよく、円錐台溝を軸方向に覆ってもよい。端カラーは、変形された量の材料が円周方向に沿って少なくとも290度円錐台溝に加締められるように変形される。
【0007】
本開示の実施形態によるスウェージツールは、半径方向、円周方向、および回転軸を画定する回転体を含み得る。本体はまた、外周面、外周面と同心のピン受け空洞、および半径方向かつ軸方向にピン受け空洞に隣接して配置される一つ以上のスウェージ突出部を有してもよい。一つ以上のスウェージ突出部は、回転軸に垂直な接触面を含み得る。環状面は、一つ以上のスウェージ突出部と外周面との間に半径方向に挟まれてもよい。一つ以上のスウェージ突出部は、角円周方向範囲を画定してもよく、回転軸周りのこれらの角円周方向範囲の各和は、少なくとも290度であってもよい。
【0008】
本開示の実施形態によるトラックチェーンアセンブリは、複数のスウェージジョイントを含み得る。各ジョイントは、トラックリンクおよび円筒形ピンを備えてもよい。各トラックリンクは、第一の穴が貫通する内側端カラーと、そこから外側に延在するピンボスおよび第二の穴が貫通する外側端カラーとを含み得る。ボスは、外側面を含んでもよい。各円筒形ピンは、円筒軸、半径方向、および周方向を画定してもよく、押し込まれ、外側端カラーのそれぞれの第二の穴に回転不能に取り付けられる端部を含み得る。環状円錐台溝は、ピンボスに軸方向および半径方向に隣接して配置されるピンの端部に形成されてもよく、ピンボスは、円錐台溝が円筒軸の周りで少なくとも290度円周方向に延在する角充填されたアンダーカット部分を含むように、円錐台溝内に配置される少なくとも一つのスウェージ変形を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、本開示のいくつかの実施形態を示し、説明とともに、本開示の原理を説明するのに役立つ。
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態による単一のプレスリングを使用して組み立てられるカートリッジピンアセンブリを有する、トラックアセンブリ(また、下部走行体アセンブリと呼んでもよい)を採用し得る掘削機などの機械の側面図である。
図2図2は、図1の機械用の下部走行体アセンブリの側面図である。
図3図3は、図2の下部走行体アセンブリの斜視図である。
図4図4は、本開示の実施形態による、図3の下部走行体アセンブリから取り除かれたトラックローラ、キャリアローラ、およびアイドラと嵌合するトラックチェーンアセンブリの斜視図である。
図5図5は、単独で示される図4のトラックチェーンアセンブリの上面図である。
図6図6は、ヒンジジョイントを通して線6-6に沿う、図5のトラックチェーンアセンブリの側面断面図である。
図7図7は、本発明の実施形態によるトラックリンク、スウェージツール、およびトラックピンを示す分解図である。
図8図8は、ピンをリンクに機械的にインターロックするための構造を示す、図6に示すジョイントのうちの一つの部分側面断面図である。
図9図9は、非スウェージ構造を示すジョイントの一つの断面側面図である。
図10図10は、スウェージ構造を示すジョイントの一つの断面側面図である。
図11図11は、図7~10のスウェージツールの正面図である。
図12図12は、鉱業用ショベル等によって一般的に使用されるトラックパッドを有するトラックチェーンアセンブリで使用される、本開示の実施形態による、スウェージカラーを有するカートリッジピンアセンブリの側面図である。
図13図13は、アセンブリの内部構成要素および全体構造を示す、図12のカートリッジピンアセンブリの側面断面図である。
図14図14は、図11のスウェージツールによってスウェージされたカラーを示す、図13のカートリッジピンアセンブリの左側面図である。
図15図15は、図16のスウェージツールによってスウェージされたカラーを示す、図13のカートリッジピンアセンブリの左側面端図である。
図16図16は、単一のスウェージ突出部が、スウェージツールの円筒軸の周りに360度延在する、本開示の別の実施形態によるスウェージツールの正面図である。このスウェージツールは、図7~10に示すようなカートリッジピンアセンブリまたはトラックチェーンアセンブリ上で使用され得る。
【発明を実施するための形態】
【0011】
参照が本開示の実施形態に対して詳細になされ、その例が添付図面に図示される。可能な限り、同一または類似部品に言及するのに、図面全体を通して同一の参照番号を使用するであろう。一部の事例では、参照番号が本明細書で示され、図面はその後に文字が続く、例えば、100a、100b、またはプライム記号が続く、例えば100′、100′′などの参照番号を示す。参照番号の直後に文字またはプライム記号を使用することは、これらの特徴が同様の形状であり、幾何学形状が対称面の周りにミラーリングされる場合によくあるのと同様の機能を有することを示すことを理解されたい。本明細書での説明を容易にするために、文字および素数はしばしば本明細書に含まれないが、特徴の重複を示すために図面に示され得、この書面による仕様内で説明される、類似または同一の機能または形状を有する。
【0012】
本開示の実施形態によるピンまたはリンク/端カラーの一部分を変形させるスウェージングプロセスを使用して、このようなジョイントにおける端部の遊びを防止するために、トラック型機械用の無限トラックチェーンのジョイントを機械的に接続するための装置が、最初に検討される。次いで、本開示の実施形態に従って構築されたスウェージツールが、次に説明される。最後に、前述の実施形態を使用して組み立てられ得る、重い負荷に耐えることができるより堅牢なトラックチェーンアセンブリをもたらす、トラックチェーンアセンブリの実施形態が説明される。
【0013】
図1は、本開示の原理に従って構築されたトラックチェーンアセンブリ300を利用する下部走行体アセンブリ200の実施形態を含む、掘削機の形態の軌道機械20の実施形態を示す。他の用途の中でも特に、掘削機を使用して、作業現場からバケットを使用して材料を除去することができる。
【0014】
より具体的には、図1は、本開示の特定の実施形態と一致する、トラックチェーンアセンブリ300を備える下部走行体システム200を含む機械20を示す。当然のことながら、機械20は、掘削機として図示されているが、機械20は、軌道下部走行体アセンブリを含む任意の他の種類の機械であってもよい。本明細書で使用される場合、「機械」という用語は、土木、建設、造園、林業、鉱業、農業など、特定の産業に関連する物理的移動を伴う運転操作を行う移動機械を指す。
【0015】
配置は掘削機に関連して図示されているが、本明細書に開示される配置は、車輪ではなく、軌道下部走行体システムを用いるさまざまな他の種類の機械において普遍的な適用性を有する。「機械」という用語は、採掘、土運搬、建設、または当技術分野で既知の任意の他の業界など、業界に関連するいくつかの種類の動作を実施する任意の機械を指してもよい。例えば、機械は、油圧鉱業用ショベル、ケーブルショベル、トラック型トラクタ、ドーザ、またはドラグラインなどであってもよい。さらに、一つ以上の器具が、機械に接続されてもよい。こうした器具は、例えば、持ち上げおよび荷積みを含む、さまざまな作業に利用され得る。
【0016】
下部走行体アセンブリ200は、機械20を支持し、地面、道路、および他の種類の地形に沿って機械20を移動させるように構成され得る。さらに、高いペイロード重量をトラックチェーンアセンブリ300にかけてもよい。図2および図3に示すように、下部走行体アセンブリ200は、トラックローラーフレーム202、トラックローラーフレーム202に接続されたさまざまなガイド構成要素、およびガイド構成要素と係合するトラックチェーンアセンブリ300などの無限トラックを含み得る。ガイド構成要素は、トラックチェーンアセンブリ300を誘導し、駆動スプロケット204、アイドラ206、トラックローラ208、トラックガイド210、およびキャリア212(または図4に示すようにキャリアローラ212’)を含み得るが、他の構成要素が使用されてもよく、前述の構成要素の一部は他の実施形態などでは省略されてもよい。
【0017】
図3および図4を一緒に見ると、トラックチェーンアセンブリ300は、複数のシュー304が固定されたリンクアセンブリ302を含み得る。リンクアセンブリ302は、トラックチェーンアセンブリ300の可撓性バックボーンを形成してもよく、シュー304は、さまざまな種類の地形で牽引力を提供し得る。リンクアセンブリ302は、駆動スプロケット204、トラックローラ208、アイドラ206、およびキャリア212またはキャリアローラ212‘の周りに無限チェーンで延在し得る。
【0018】
トラックシューズ304は、リンクアセンブリ302の周囲に固定されてもよい。例えば、一つのシュー304は、横方向に間隔を置いた対のトラックリンク400に取り付けられ得る。トラックシュー304は、さまざまな方法(例えば、溶接、締結など)を介してリンク400に接続され得る。その目的のために、締結穴402は、トラックリンク400の底面404(図4を参照)上に設けられてもよい。
【0019】
図4から始めて、本開示の原理による下部走行体アセンブリ200の実施形態をこれから説明する。
【0020】
下部走行体アセンブリ200は、トラックピン306の周りに配置された複数のトラックピン306およびトラックブッシング308を含むトラックチェーンアセンブリ300を備えてもよい。また、トラックピン306またはトラックブッシング308のいずれかによって互いに接続される複数のトラックリンク400。
【0021】
ここで図5から図11を参照すると、本開示の実施形態による、このようなジョイントにおけるエンドプレイを防止するために、トラック型機械(例えば、機械20)用の無限トラックチェーン(例えば、トラックチェーンアセンブリ300)のジョイントを機械的に接続するための装置がここで論じられる。
【0022】
各ジョイントは、トラックリンク400、および軸方向312(図6を参照)、半径方向314、および円周方向316(図7)を画定するトラックピン306(例えば、円錐形または円筒形であってもよい)を含み得る。各リンク400は、第一の穴458が貫通する内側端カラー456と、そこから外側に延在するピンボス462および第二の穴464が貫通する外側端カラー460とを含み得る。ボス462は、外側面466を含んでもよく、ピン306は、外側端カラー460のそれぞれの第二の穴464に押し込まれ、かつ非回転可能に取り付けられ得る端部318を含んでもよい。
【0023】
また図7に示すように、環状円錐台溝320は、ピンボス462に軸方向かつ半径方向に隣接して配置されるピン318(ピンのシャフトの円周面上)の端部に形成されてもよい。円周方向316(例えば、図10)に沿って少なくとも290度である角度504で延在するスウェージセグメント502を含むスウェージツール500も提供される。
【0024】
図9および図111を一緒に見ると、スウェージセグメント502は、ピンボス462の外側面466と接触し、スウェージ要素502は、円周方向316に沿って少なくとも325度である角度504で延在し得ることが理解され得る。外側面466は外面表面積を画定し、一方、スウェージ要素502は、外面表面積よりも小さいスウェージ要素接触表面積を画定する(図9)。特定の実施形態では、スウェージ要素接触表面積は、外側表面積の40%よりも大きい。これは、本開示の他の実施形態では当てはまらない場合がある。
【0025】
図9で最もよく分かるように、円錐台溝320は、15度未満の軸方向テーパAを画定する。さらに、ピンボス462は、0.05mm~3.0mmの範囲の軸方向距離322の円錐台溝とオーバーラップしてもよい。スウェージセグメント502は、所定の直径508を画定する内側円周面506を含んでもよく、一方、ピン306は、0mm超かつ3.0mm以下の距離326によって半径方向にオフセットされる、スウェージセグメント502の内側円周面506の所定の直径508よりも小さいピン直径324を画定してもよい。これらの特徴および寸法は、本開示の他の実施形態で異なって構成されてもよい。
【0026】
図11を参照すると、スウェージセグメント502は、所定の角度512で円周方向に間隔を置いた複数のスウェージ突出部510に分割され、複数のスウェージ突出部510のそれぞれの間に押出成形制限面514を形成する。スウェージングプロセス中、ピンボス462がピン306の溝320内に内向きに変形するが、一部の材料はスウェージツール500に向かって軸方向に膨張するため、この押出成形制限面514はそのように呼ばれる。この表面514は、この軸方向膨張を制限し、材料を溝320に強制的に流入させると同時に、必要な押す力の量を低減するのに役立つ。この所定の角度512は、本開示の様々な実施形態において、2.0度~10.0度の範囲であり得る。さらに、複数のスウェージ突出部510の各々は、0.5mm~1.0mm(例えば、0.7mm)の範囲の半径方向厚さ516、および0.4mm~0.8mm(0.6mm)の範囲の軸方向高さ518(図10を参照)を画定し得る。
【0027】
前述の特徴のいずれも、本開示の他の実施形態で本明細書に具体的に記述されているものとは異なる構成または寸法とすることができる。
【0028】
ここで、現場または工場で使用するために供給され得るスウェージツール500について、図11を参照して論じる。スウェージツール500は、半径方向520、円周方向522、および回転軸524を画定する、回転体518(例えば、円筒形、円錐形など)を含み得る。本体は、回転軸の周りを回転する幾何学的形状によって、CAD(コンピュータ支援製図)で少なくとも部分的にモデル化されてもよく、および/または旋盤またはその他の類似の装置など上で回転プロセスを使用して少なくとも部分的に製造されてもよいため、いわゆる「回転体」および「回転軸」と呼ばれる。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。トラックチェーンアセンブリ上で使用される場合、プロセスは、工場にて複数の歯をスウェージングすることを含み、ブッシングターンを行い、その後、サービスサイクル後に全リングのスウェージツールを使用してもよい。
【0029】
本体518は、外周面526、および外周面526と同心のピン受け空洞528を含み得る。複数のスウェージ突出部510(すなわち、一つ以上のスウェージ突出部)は、半径方向かつ軸方向にピン受け空洞528に配置されてもよく、複数のスウェージ突出部510の各々は、回転軸524に垂直な接触面529を含み得る。環状表面530は、複数のスウェージ突出部510と外周面526との間に半径方向に挟まれてもよい。スウェージ突出部510の各々は、角円周方向範囲532を画定し、これらの角円周方向範囲532の各々の総和は、少なくとも290度であり、一部の実施形態で少なくとも325度で(または図16に示されるなどのウェッジツールを使用してさらに360度で)あってよい。
【0030】
図11を見ると、本体518は、回転軸524の周りを四分円(それぞれ90度)に分割されてもよく、二つの同一に構成されたスウェージ突出部510は、四分円の各々に配置されてもよい。
【0031】
より具体的には、一四分円におけるスウェージ突出部510のうちの一方は、一部の実施形態では、10度以下(例えば、5度以下であってもよい)の角度536によって、別の四分円におけるスウェージ突出部から円周方向に間隔を置いてもよい。また、各四分円の二つの同一に構成されたスウェージ突出部510は、10度以下、またはさらに5度以下の角度538によって互いに間隔を置いてもよい。
【0032】
本明細書の上記で言及したように、回転体518は、少なくとも部分的に円筒体であってもよい。したがって、このような場合の回転軸518はまた、円筒軸であってもよい。
【0033】
図10に焦点を合わせると、ピン受け空洞528は、凹面円周面540を画定してもよく、複数のスウェージ突出部510の各々は、凹面円周面540を少なくとも部分的に形成する接触面529から軸方向に延在する半径方向内側面542を含み得る。これは他の実施形態では当てはまらない場合がある。
【0034】
同様に、複数のスウェージ突出部510の各々は、接触面529から環状面530まで延在する半径方向外側面544を含み得る。この半径方向外側面544は、スウェージングプロセス中に材料をピンの溝に押し込む時に、スウェージ突出部を補強するために、回転軸に対して先細りであってもよい。
【0035】
スウェージ突出部のサイズ、数、および間隔に起因して、単一のスウェージングプロセスは、溝がほぼ360度充填されるように、ピンの溝によって形成されるアンダーカットを実質的にまたは完全に充填し得る。結果として、より高い負荷に耐えることができる、より堅牢な接続を作るのにより少ない時間ですむ。本明細書で一時的に論じるように、スウェージ突出部および変形は、一部の実施形態では、図16に示すなどのスウェージツールを使用して、全360度に延在し得る。
【0036】
本明細書で使用される冠詞「a」および「an」は、一つ以上の品目を含むことが意図されており、「一つ以上(one or more)」と交換可能に使用され得る。一つの項目のみが意図される場合、「一つ(one)」または類似の言語が使用される。また、本明細書で使用される場合、「有する(has)」、「有する(have)」、「有する(having)」、「有する(with)」またはこれに類する用語は制約のない用語であることが意図されている。さらに、「に基づく」という語句は、別段の明示がない限り、「少なくとも部分的に基づく」を意味することを意図する。
【0037】
多くの実施形態で、トラックリンク、スウェージツール、および/またはピン、あるいは一時的に論じられるカートリッジピンアセンブリの任意の構成要素は、鉄、灰色鉄、鋼または他の適切な材料を使用して製造され得る。他の材料ならびに他の製造プロセスを使用して、これらの構成要素を作製してもよい。また、本明細書で論じる特徴、ならびにその寸法、および/またはそれらの寸法の比率の構成は、意図された用途に応じて、本明細書で具体的に述べられているものとは異なっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0038】
実際には、本明細書に記載される任意の実施形態によるトラックリンク、トラックチェーンアセンブリ、ピン、端カラー、カートリッジピンアセンブリ、および/またはスウェージツールは、OEM(相手先商標製造会社)またはアフターマーケットの文脈で、販売、購入、製造、またはその他の方法で取得され得る。
【0039】
本明細書に記載の様々な実施形態は、ピン/リンクおよび/またはピン/端カラー接続がより堅牢であり、また「歩行」が発生する前に重い負荷に耐えることを可能にすることによって、下部走行体アセンブリで利用されると、トラックチェーンアセンブリおよび/またはカートリッジピンアセンブリの寿命を延ばすことができる。
【0040】
特に、こうしたトラックチェーンアセンブリは、図5、7、10、および11を見ると以下のように特徴付けられ得る。
【0041】
トラックチェーンアセンブリ300は、複数のスウェージジョイントを含んでもよく、各ジョイントは、トラックリンク400および円筒形ピン306aを含む。トラックリンク400は、第一の穴458が貫通する内側端カラー456と、そこから外側に延在するピンボス462および第二の穴464が貫通する外側端カラー460とを含み得る。ボス462は、外側面466を含み得る。
【0042】
円筒形ピン306aは、円筒形軸312a、半径方向314、および円周方向316を画定してもよく、またリンク400の外側端カラー460のそれぞれの第二の穴464に押し込まれ、非回転可能に取り付けられる端部318を含み得る。
【0043】
環状円錐台溝320は、ピンボス462に軸方向かつ半径方向に隣接して配置されるピンの端部318内に形成されてもよく、ピンボス462は、円錐台溝320が円筒軸312aの周りで円周方向に少なくとも290度延在する、角充填されたアンダーカット部分470を含むように、円錐台溝320内に配置される少なくとも一つのスウェージ変形468を有する。
【0044】
少なくとも一つのスウェージ変形は、互いから円周方向に間隔を置く複数のスウェージ変形468に分割されてもよく、角充填アンダーカット部分470は、円筒軸の周りに少なくとも325度延在してもよい。
【0045】
トラックチェーンアセンブリ300の他の構成要素は、スラストリング328、スリーブベアリング330、およびシールアセンブリ332(例えば、図6)を含んでもよい。
【0046】
別の実施形態では、トラックチェーンアセンブリは、本出願の譲受人が共同所有する米国特許出願公開第2019/0283818号および第2019/0283818号に開示されるものなどの、油圧鉱業用ショベル、電気ロープショベルなどと共に使用するために提供され得る。こうした用途におけるトラックチェーンアセンブリは、複数のカートリッジピンアセンブリによって一緒に連結された複数のトラックパッドを含み得る。
【0047】
ここで図12~15を参照すると、カートリッジピンアセンブリ600が説明される。図13に最もよく示されるアセンブリ600は、円筒面604、円筒軸606、半径方向608、および円周方向610を含むピン602を含み得る(図14を参照されたい)。ピン602はまた、円周方向610に沿って360度延在する端部612の近くの円筒面604上に形成された端部612および環状円錐台溝614(図9に示す溝と類似または同一に構成された)を有してもよい。
【0048】
端カラー616は、円錐台溝614の周りに円周方向に360度延在してもよく、円錐台溝614を軸方向に覆ってもよい。端カラー616は、変形された量の材料617(図14を参照)が円周方向610に沿って少なくとも290度円錐台溝614内に加締められるように、スウェージングツールを介して変形されてもよい。他の実施形態では、これは、320度より、345度より、またはさらには360度よりも大きく変化し得る(図 15)。端カラー616はまた、ショルダー部分632を含んでもよいが、必ずしもそうではない。
【0049】
同様に、図13で最もよく分かるように、カートリッジピンアセンブリ600は、反対側の端部612aの近くの円筒面604上に形成された追加の円錐台溝614aを有する、ピン602の反対側の端部612aをさらに備えてもよい。反対側の端カラー618は、追加的な円錐台溝614aの周りに円周方向に360度延在してもよく、追加的な円錐台溝614aを軸方向に覆ってもよい。反対側の端カラー618はまた、変形された量の材料が、円周方向610に沿って少なくとも290度、追加の円錐台溝614a内に加締められるように変形されてもよい。
【0050】
カートリッジピンアセンブリ600はまた、端カラー616と反対側の端カラー618との間に軸方向に、ならびにピン602の周りに円周方向に配置されるブッシング620を有してもよい。第一のシールアセンブリ622は、ブッシング620と端カラー616との間に軸方向に配置されてもよく、第二のシールアセンブリ622aは、ブッシング620と反対側の端カラー618との間に軸方向に配置されてもよい。第一のスリーブベアリング624は、端カラー616とブッシング620との間に軸方向に、かつピン602の周り円周方向に配置されてもよい。また、第二のスリーブベアリング624aは、反対側の端カラー618とブッシング620との間に軸方向に、かつピン602の周りに円周方向に配置されてもよい。
【0051】
図13に示すように、第一のシールアセンブリ622は、第一のスリーブベアリング624の周りに円周方向に延在し、第二のシールアセンブリ622aは、第二のスリーブベアリング624aの周りに円周方向に延在する。さらに、ブッシング620は、ピン602の周りに円周方向に延在し、第一のスリーブベアリング624と第二のスリーブベアリング624aとの間に軸方向に配置される潤滑溝626を画定してもよい。反対側の端カラー618は、その中にストッパ630を配置して軸方向に貫通して延在する潤滑穴628を含む。ストッパが取り除かれると、潤滑は、シールアセンブリおよび潤滑溝などに到達するアセンブリの内部空洞内に注入され得る。
【0052】
特定の実施形態では、端カラー616は、円錐台溝614を、0.05mm~3.0mmの範囲の最小軸方向距離634だけオーバーラップする。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。
【0053】
組立プロセス中、および/またはスウェージングプロセス後、ピン602の端部612は、端カラー616を軸方向に越えて第一の所定の距離636(図12を参照)を延在してもよく、ピン602の反対側の端部612aは、反対側の端カラー616aを越えて、第一の所定の距離636から0.2mm以内の第二の所定の距離636aを延在してもよい。これにより、ピンがアセンブリに対して中央に配置されることを確実にするのに役立ち得る。これは、本開示の他の実施形態には当てはまらない場合がある。
【0054】
より具体的には、第一の所定の距離636および第二の所定の距離636aは、2.6mm~2.8mm(例えば、2.7mm)の範囲であり得る。
【0055】
利用可能なプレス機を使用して、本明細書に記載される任意の実施形態に対して任意のスウェージングプロセスを実施することができる。一部の事例では、100トン~150トンに及ぶプレス力を利用して、一つのスウェージツールを使用して一つの領域をスウェージしてもよい。カートリッジピンアセンブリをスウェージングするためのような他の実施形態では、プレストン数は、133トン~200トンの範囲など、より大きい場合がある。
【0056】
前述の寸法のいずれかは、本開示の他の実施形態において本明細書で具体的に述べられるものとは異なるように変更されてもよい。
【0057】
本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本明細書で論じられるような装置および組み立て方法の実施形態に対してさまざまな修正および変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。本開示のその他の実施形態は、本明細書に開示されるさまざまな実施形態の仕様および実践を考慮することで、当業者には明らかになるであろう。例えば、いくつかの機器は、本明細書に記載されたものとは異なる構造および機能を有し得、任意の方法の特定のステップは省略され、具体的に言及されたものとは異なる順序で実行され、または場合によっては同時にまたはサブステップで実行されてもよい。さらに、さまざまな実施形態の特定の態様または特徴に対する変形または修正を行って、さらなる実施形態を作成することができ、さらにさらなる実施形態を提供するために、さまざまな実施形態の特徴および態様を、他の実施形態の他の特徴または態様に追加または置換することができる。
【0058】
従って、本明細書および実施例は、以下の請求項およびその均等物によって示される本発明の真の範囲および精神を有する単なる例示とみなされることが意図される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【国際調査報告】