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特表2023-549056作動のためのアセンブリおよび2つのギアボックスフォークシャフトを連動させるためのシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】作動のためのアセンブリおよび2つのギアボックスフォークシャフトを連動させるためのシステム
(51)【国際特許分類】
   F16H 63/32 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
F16H63/32
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023524907
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 EP2021080617
(87)【国際公開番号】W WO2022096562
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】FR2011323
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507308902
【氏名又は名称】ルノー エス.ア.エス.
【氏名又は名称原語表記】RENAULT S.A.S.
【住所又は居所原語表記】122-122 bis, avenue du General Leclerc, 92100 Boulogne-Billancourt, France
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ゲイラード, ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】サハラウィ, サリム
【テーマコード(参考)】
3J067
【Fターム(参考)】
3J067AA21
3J067AB23
3J067AC01
3J067BA51
3J067DA31
3J067DB32
3J067EA23
3J067EA52
3J067GA01
(57)【要約】
本発明は、ギアボックスの2つのフォークシャフトを作動させるためのアセンブリ(E)に関し、アセンブリ(E)は、2つの回転するアクチュエータ(AR1、AR2)とシステム(S1)とを備え、システム(S1)は、第1のレバー(L1)であって、第1のレバー(L1)は第1のフォークの駆動フィンガー(D1)およびカム(C1)を支持し、カム(C1)の輪郭は第1のレバー(L1)を係止するためのノッチ(CV1)を備える、第1のレバー(L1)と;第2のレバー(L2)であって、第2のレバー(L2)は第2のフォークの駆動フィンガーおよびカム(C2)を支持し、カム(C2)の輪郭は第2のレバー(L2)を係止するための第2のノッチ(CV2)を備える、第2のレバー(L2)と;関連するレバー(L1、L2)を、ギア比を係合させるために他方のレバー(L2、L1)が作動されたときに、角度的に係止するために、2つの係止ノッチ(CV1、CV2)の一方または他方と相互作用可能な係止ピン(PV)を支持する旋回連動揺動体(B)とを連動させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギアボックスのフォーク(F1、F2)の2つのシャフト(AF1、AF2)の運動を連動させるためのシステム(SI)であって、前記システムは、
a)第1のレバー(L1)であって、
第1の軸(A1)の周りを、ニュートラル中間角度位置(PM1)に対して少なくとも1つの作動角度位置(PA11、PA12)を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられ;
第1のフォーク(F1)の第1の駆動シャフト(AF1)に接続された第1の偏心軸方向フィンガー(D1)を支え;
第1の偏心カム(C1)であって、前記第1の偏心カム(C1)のカム輪郭(PC1)は、前記第1のレバー(L1)をそのニュートラル位置(PM1)に係止するための第1のノッチ(CV1)を有する、第1の偏心カム(C1)を支える、
第1のレバー(L1)と;
b)第2のレバー(L2)であって、
前記第1の軸(A1)に平行な第2の軸(A2)の周りを、ニュートラル中間角度位置(PM2)に対して少なくとも1つの作動角度位置(PA21、PA22)を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられ;
第2のフォーク(F2)の第2の駆動シャフト(AF2)に接続された第2の偏心軸方向フィンガー(D2)を支え;
第2の偏心カム(C2)であって、前記第2の偏心カム(C2)のカム輪郭(PC2)は、前記第2のレバー(L2)をそのニュートラル位置(PM2)に係止するための第2のノッチ(CV2)を有する、第2の偏心カム(C2)を支える
第2のレバー(L2)と;
c)連動揺動体(B)であって、
前記第1の軸(A1)に平行な揺動軸(AB)の周りを、前記連動揺動体(B)が弾性的に復帰する中間休止角度位置(PR)に対して2つの反対の係止角度位置(PV1、PV2)のうちの一方または他方を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられ;
偏心軸方向係止ピン(PV)であって、前記連動揺動体(B)がその休止角度位置(PR)にありかつ各駆動レバー(L1、L2)がそのニュートラル角度位置(PM1、PM2)にあるときに、前記第1の係止ノッチ(CV1)および前記第2の係止ノッチ(CV2)に同時に面するように位置付けられる偏心軸方向係止ピン(PV)を支える
連動揺動体(B)と
を備え、
前記システム(SI)において、レバー(L1、L2)の各カム輪郭(PC1、PC2)は、角度的にその係止ノッチ(CV1、CV2)のどちらかの側に、前記係止ピン(PV)と相互作用して前記連動揺動体(B)を旋回させ、前記係止ピン(PV)を他のレバー(L2、L1)の前記カム(C2、C1)の前記係止ノッチ(CV2、CV1)に係合させ、次いで、前記他のレバー(L2、L1)をそのニュートラル位置(PM2)に角度的に係止するように前記係止ピン(PV)をこの係止係合位置に保持することが可能な作動部分(TA11-TA12、TA21-TA22)を有する、システム(SI)。
【請求項2】
各カム輪郭(PC1、PC2)は、前記係止ノッチ(CV1、CV2)に隣接する関連する前記レバー(L1、L2)の軸(A1、A2)を中心とする凸型円弧形状を有する少なくとも1つの作動部分(TA11-TA12、TA21-TA22)を有することを特徴とする、請求項1に記載のシステム(S1)。
【請求項3】
各レバー(L1、L2)の角度位置にかかわらず、前記第1の軸(A1)、前記係止ピン(PV)、および前記第2の軸(A2)は位置合わせされることを特徴とする、請求項1または2に記載のシステム(S1)。
【請求項4】
前記連動揺動体(B)がその休止角度位置(PR)にあり、かつ、各レバー(L1、L2)がそのニュートラル角度位置(PM1、PM2)にあるとき、前記第1の軸(A1)、前記第1の係止ノッチ(CV1)、前記係止ピン(PV)、前記第2の係止ノッチ(CV2)および前記第2の軸(2)は位置合わせされることを特徴とする、請求項3に記載のシステム(S1)。
【請求項5】
各レバー(L1、L2)の角度位置にかかわらず、前記係止ピン(PV)は、前記第1のカム輪郭(PC1)と前記第2のカム輪郭(PC2)との間に受け入れられることを特徴とする、請求項2に記載のシステム(S1)。
【請求項6】
各レバーは、フォーク(F1、F2)の関連する駆動シャフト(AF1、AF2)を駆動するためのレバー(L1、L2)であることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載のシステム(S1)。
【請求項7】
前記第1のレバー(L1)は、前記第1の軸(A1)の周りを、そのニュートラル中間角度位置(PM1)に対して2つの反対の作動角度位置(PA11、PA12)のうちの一方または他方を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられ、前記第2のレバー(L2)は、前記第2の軸(A2)の周りを、そのニュートラル中間角度位置(PM2)に対して2つの反対の作動角度位置(PA21、PA22)のうちの一方または他方を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項8】
各カム輪郭(PC1、PC2)は、2つの作動部分(TA11-TA12、TA21-TA22)を有し、前記2つの作動部分(TA11-TA12、TA21-TA22)は関連する前記レバー(L1、L2)の前記軸(A1、A2)を中心とする凸型円弧形状を有し、前記係止ノッチ(CV1、CV2)は前記2つの作動部分(TA11-TA12、TA21-TA22)の間に配置されることを特徴とする、請求項7に記載のシステム(S1)。
【請求項9】
ギアボックスのフォーク(F1、F2)の2つのシャフト(AF1、AF2)を作動させるためのアセンブリ(E)であって、前記アセンブリ(E)は、
制御される第1の回転アクチュエータ(AR1)および第2の回転アクチュエータ(AR2)であって、これらの出力シャフトは平行である、第1の回転アクチュエータ(AR1)および第2の回転アクチュエータ(AR2)と;
フォーク(F1、F2)の前記2つのシャフト(AF1、AF2)の運動を連動させるための、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム(SI)と
を有し、
前記第1の回転アクチュエータ(AR1)は前記第1の駆動レバー(L1)の旋回を駆動し、前記第2の回転アクチュエータ(AR2)は前記第2の駆動レバー(L2)の旋回を駆動することを特徴とする、アセンブリ(E)。
【請求項10】
前記2つの回転アクチュエータの前記出力シャフトの回転軸は、フォーク(F1、F2)の前記2つのシャフト(AF1、AF2)の平行な滑動軸に垂直であることを特徴とする、請求項9に記載のアセンブリ(E)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機械的な連動システムを有するギアボックスの少なくとも2つのフォークを作動させるためのアセンブリに関する。
【0002】
本発明は、とりわけ、自動ギアボックスと呼ばれるものに適用され得、自動ギアボックスにおいては、各フォークシャフトは、制御ユニットによって管理された電動式アクチュエータによってその運動が引き起こされるシャフトに接続されている。
【背景技術】
【0003】
変速を管理するために、自動車の伝達装置およびハイブリッド駆動の電気モータの電気モータに関する、例えば、電気比またはギアと呼ばれる比またはギアのために設けられたアクチュエータおよびフォークシャフトもしくはスピンドルで構成された内部制御アセンブリが知られており、このハイブリッド駆動の燃焼機関に関する燃焼機関比と呼ばれる比のために2つのシャフトおよび2つのフォークが設けられている。
【0004】
このような「ハイブリッド」ギアボックスの原理は、燃焼機関比および電気ギア比を同時に変更可能とするためのものである。しかしながら、1つの同一のカテゴリ(電気または燃焼機関)の2つの比は、同時に変更可能であってはならない。
【0005】
このことは、比の連動と呼ばれる原理を伴う。
【0006】
故に、これは、燃焼機関比を変更するための2つのシャフトおよびフォークに関する。
【0007】
知られたやり方においては、各フォークシャフトは、フォークシャフトを他のものとは独立的に駆動する偏心フィンガーの回転を駆動する第1のモータに関連する。
【0008】
連動機能は、先ず第一に、回転アクチュエータまたはモータの各々を管理することによって提供される。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、安全性を向上させるために、電動式作動アセンブリに組み込まれ得る機械的連動システムのための設計を提案する。
【0010】
本発明は、ギアボックスのフォークの2つのシャフトの運動を連動させるためのシステムを提案し、システムは、
a)第1のレバーであって、
第1の軸の周りを、ニュートラル中間角度位置に対して少なくとも1つの作動角度位置を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられ;
第1のフォークの第1の駆動シャフトに接続された第1の偏心軸方向フィンガーを支え;
第1の偏心カムであって、第1の偏心カムのカム輪郭は、第1のレバーをそのニュートラル位置に係止するための第1のノッチを有する、第1の偏心カムを支える、
第1のレバーと;
b)第2のレバーであって、
第1の軸に平行な第2の軸の周りを、ニュートラル中間角度位置に対して少なくとも1つの作動角度位置を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられ;
第2のフォークの第2の駆動シャフトに接続された第2の偏心軸方向フィンガーを支え;
第2の偏心カムであって、第2の偏心カムのカム輪郭は、第2のレバーをそのニュートラル位置に係止するための第2のノッチを有する、第2の偏心カムを支える
第2のレバーと;
c)連動揺動体であって、
第1の軸に平行な揺動軸の周りを、連動揺動体が弾性的に復帰する中間休止角度位置に対して2つの反対の係止角度位置のうちの一方または他方を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられ;
偏心軸方向係止ピンであって、連動揺動体がその休止角度位置にありかつ各駆動レバーがそのニュートラル角度位置にあるときに、第1の係止ノッチおよび第2の係止ノッチに同時に面するように位置付けられる偏心軸方向係止ピンを支える
連動揺動体と
を備え、
システムにおいて、レバーの各カム輪郭は、角度的にその係止ノッチのどちらかの側に、係止ピンと相互作用して連動揺動体を旋回させ、係止ピンを他のレバーのカムの係止ノッチに係合させ、次いで、他のレバーをそのニュートラル位置に角度的に係止するように係止ピンをこの係止係合位置に保持することが可能な作動部分を有する、システム。
【0011】
連動システムの他の特徴によると、
各カム輪郭は、係止ノッチに隣接する関連するレバーの軸を中心とする凸型円弧形状を有する少なくとも1つの作動部分を有し、
各レバーの角度位置にかかわらず、第1の軸、係止ピン、および第2の軸は整列し、
連動揺動体がその休止角度位置にあり、かつ、各レバーがそのニュートラル角度位置にあるとき、第1の軸、第1の係止ノッチ、係止ピン、第2の係止ノッチおよび第2の軸は整列し、
各レバーの角度位置にかかわらず、係止ピンは、第1のカム輪郭と第2のカム輪郭との間に受け入れられ、
各レバーは、フォークの関連する駆動シャフトを駆動するためのレバーであり、
第1のレバーは、第1の軸の周りを、そのニュートラル中間角度位置に対して2つの反対の作動角度位置のうちの一方または他方を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられ、第2のレバーは、第2の軸の周りを、そのニュートラル中間角度位置に対して2つの反対の作動角度位置のうちの一方または他方を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能であるように取り付けられ、
各カム輪郭は、2つの作動部分を有し、2つの作動部分は関連するレバーの軸を中心とする凸型円弧形状を有し、係止ノッチは2つの作動部分の間に配置される。
【0012】
本発明は、ギアボックスのフォークの2つのシャフトを作動させるためのアセンブリも提案し、前記アセンブリは、
制御される第1の回転アクチュエータおよび第2の回転アクチュエータであって、これらの出力シャフトは平行である、第1の回転アクチュエータおよび第2の回転アクチュエータと;
本発明によるフォークの2つのシャフトの運動を連動させるためのシステムと
を有し、
第1の回転アクチュエータは第1の駆動レバーの旋回を駆動し、第2の回転アクチュエータは第2の駆動レバーの旋回を駆動することを特徴とする。
【0013】
2つの回転アクチュエータの出力シャフトの回転軸は、2つのフォークシャフトの平行な滑動軸に垂直である。
【0014】
本発明の更なる特徴および利点は、以下の詳細な説明を読むことによって明らかになるであろう。以下の詳細な説明の理解のために、添付の図面が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】ギアボックスの比を変更するためにフォークの3つの平行なシャフトを作動させるためのアセンブリの例示的な実施形態を図示する斜視前面図であり、そのうちの2つのシャフトは本発明による連動システムを具備している。
図2図1のものと類似の図であって、フォークシャフトまたは関連するフォークが省略された図である。
図3A図2の連動システムの斜視前面図である。
図3B図2の連動システムの斜視後面図である。
図4A図3Aおよび図3Bの連動システムの前面図であって、2つの係止レバーの各々がそのニュートラル位置にあり、連動揺動体がその休止位置にあるところが図示されている。
図4B図4Aの連動システムの後面図である。
図5A図4Aのものと類似の図であって、第1のレバーが、第1の比へと変更するその作動位置にあり、第2のレバーが、係止位置にある連動揺動体によってそのニュートラル位置に係止されている。
図5B】連動システム5Aの後面図である。
図6A図4Aのものと類似の図であって、第1のレバーが、第2の比へと変更するその他の作動位置にあり、第2のレバーが、係止位置にある連動揺動体によってそのニュートラル位置に係止されている。
図6B】連動システム6Aの後面図である。
図7A図4Aのものと類似の図であって、第1のレバーが、その他の係止位置にある連動揺動体によってそのニュートラル位置に係止され、第2のレバーが、第3の比へと変更するその作動位置にある。
図7B】連動システム7Aの後面図である。
図8A図4Aのものと類似の図であって、第1のレバーが、その他の係止位置にある連動揺動体によってそのニュートラル位置に係止され、第2のレバーが、第4の比へと変更するその他の作動位置にある。
図8B】連動システム8Aの後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
慣習により、図面において示される幾何学的軸は後方から前方に向かっている。
【0017】
以下の説明において、同一の、類似の、または同様の要素は、同じ参照番号によって表現される。
【0018】
図1は、自動車のギアボックスに属する3つのフォークF1、F2およびF3の3つの平行なシャフトAF1、AF2およびAF3を作動させるためのアセンブリEを図示する。
【0019】
知られたやり方において、各フォークシャフトは、その関連するフォークの軸の周りでの並進移動に関して固定される。
【0020】
知られたやり方において、非限定的に、各シャフトAF1、AF2およびAF3は、軸方向フォークF1、F2およびF3の軸方向並進移動を駆動し、軸方向フォークF1、F2およびF3は、この部分で、並進移動に関して、文書FR-A1-2.988.800において示されたものなどの一般的に知られた設計の比変更補助デバイスDA1、DA2およびDA3に接続される。
【0021】
非限定的な実施例として、2つの第1のトルクAF1-F1およびAF2-F2が、燃焼機関の回転速度を変えるために、「燃焼機関」ギア比と呼ばれるギア比を変更するために使用され、第3のトルクAF3-F3が、例えば、燃焼機関に関連するハイブリッドと呼ばれる伝動機構の一部である電気モータの回転速度を変えるために、「電気」ギア比と呼ばれるギア比を変更するために使用される。
【0022】
この事例において、各伝達シャフトは、どの比も係合されないニュートラルと呼ばれる中間軸方向位置に対して2つの方向において、軸方向駆動され得る。
【0023】
第1のトルクAF1-F1は、例えば、第1の比および第2の比の変更をもたらし得、第2のトルクAF2-F2は、第3の比および第4の比の変更をもたらし得る。
【0024】
第1のシャフトAF1およびその関連するフォークF1を駆動するために、作動アセンブリEは、幾何学的旋回軸A1の周りでの2つの反対向きの方向への第1のレバーL1の旋回を駆動し得る第1の制御される回転アクチュエータAR1を有する。
【0025】
第2のシャフトAF2およびその関連するフォークF2を駆動するために、作動アセンブリEは、幾何学的旋回軸A2の周りでの2つの反対向きの方向への第2のレバーL2の旋回を駆動し得る第2の制御される回転アクチュエータAR2を有する。
【0026】
2つの回転アクチュエータAR1およびAR2は、平行な軸を有し、その各々は、例えば、作動アセンブリEに組み込まれた図示されていない電気モータの出力シャフトである。
【0027】
本発明の教示によると、2つのシャフトAF1およびAF2の運動は、連動システムSIに関連付けられ、連動システムSIは、基本的には、
この事例においては第1のシャフトAF1を2つの方向に駆動するためのレバーである第1のレバーL1と;
この事例においては第2のレバーL2を2つの方向に駆動するためのレバーである第2のレバーL2と;
連動揺動体Bと
で構成される。
【0028】
図3Aおよび図3Bから詳細に分かるように、第1のレバーL1は第1の軸方向駆動フィンガーD1を支え、これは軸A1に対して偏心しており、軸方向前方に延在し、補助デバイスDA1を介して第1のフォークF1の第1のシャフトAF1に接続される。
【0029】
ここで、第1の駆動フィンガーD1の直径方向反対側で、第1のレバーL1は、軸A1に対して偏心している第1のカムC1を支える。
【0030】
第1のカムC1の凸形状筒形縁部は、筒形の弓形状を有する第1の作動部分TA11、第1のレバーL1を角度的に係止するための第1のノッチCV1、および筒形の弓形状を有する反対側の第2の作動部分TA12を連続的に有するカム輪郭PC1である。
【0031】
第1のレバーL1は、軸方向後方に延在し、第1の回転アクチュエータAR1によって駆動される第1の中央駆動ロッドTE1も有する。
【0032】
同様に、第2のレバーL2は第2の軸方向駆動フィンガーD2を支え、これは軸A2に対して偏心しており、軸方向前方に延在し、補助デバイスDA2を介して第1のフォークF2の第1のシャフトAF2に接続される。
【0033】
ここで、第2の駆動フィンガーD2に対して角度的にオフセットされて、第2のレバーL2は、軸A2に対して偏心している第2のカムC2を支える。
【0034】
第2のカムC2の凸形状筒形縁部は、筒形の弓形状を有する第1の作動部分TA21、第2のレバーL2を角度的に係止するための第2のノッチCV2、および筒形の弓形状を有する反対側の第2の作動部分TA22を連続的に有するカム輪郭PC2である。
【0035】
第2のレバーL2は、軸方向後方に延在し、第2の回転アクチュエータAR2によって駆動される第2の中央駆動ロッドTE2も有する。
【0036】
第1のレバーL1は、どの比も係合されない1つのニュートラル位置PM1と、2つの反対の作動角度位置、すなわち、第1のフォークF1によって第1の比が係合される作動角度位置PA11および第2の比が係合される作動角度位置PA12とを含む3つの別個の機能的角度位置を取ることができる。
【0037】
第2のレバーL2は、どの比も係合されない1つのニュートラル位置PM2と、2つの反対の作動角度位置、すなわち、第2のフォークF2によって第3の比が係合される作動角度位置PA21および第4の比が係合される作動角度位置PA22とを含む3つの別個の機能的角度位置を取ることができる。
【0038】
2つのレバーL1およびL2の相対的位置付けならびにそれらの寸法は、一定の最小ギャップEFが2つの反対の凸形状筒形カム輪郭PC1およびPC2の間に存在するようなものにされる。
【0039】
図3A図3B図4Aおよび図4Bから分かるように、各レバーL1、L2がそのニュートラル角度位置PM1、PM2にあるとき、第1の軸A1、第1の係止ノッチCV1、第2の係止ノッチCV2および第2の軸A2は位置合わせされる。
【0040】
その近位方向の端部の近傍において、連動揺動体Bは、2つのレバーL1およびL2の旋回軸A1およびA2に平行な揺動軸ABの周りを、駆動アセンブリEの筐体に対して旋回可能であるように取り付けられる。
【0041】
この事例において、連動揺動体Bは、揺動軸ABの周りを、その中間休止角度位置PRに対して2つの反対の係止角度位置PV1およびPV2のうちの一方または他方を取るように2つの反対向きの方向に旋回可能である板であり、これは、図3Aから図4Bにおいて図示されている。
【0042】
連動揺動体Bは、その後面に配置された復帰システムによって、その休止角度位置PRに向かって常に弾性的に復帰する。
【0043】
非限定的な実施例として、この事例における復帰システムは、ヘアピン形状と呼ばれる形状を有する復帰バネRを有し、復帰バネRは、駆動アセンブリEの筐体に支えられる固定的ストッパBFと相互作用する。
【0044】
その遠位方向の他端部の近傍において、連動揺動体Bは、偏心筒形係止ピンPVを支え、これは、2つのカム輪郭PC1およびPC2の間で軸方向前方に延在し、後者と相互作用する。
【0045】
係止ピンPVの外側直径は、ギャップEFの値よりも大きい。
【0046】
2つのレバーL1およびL2ならびに連動揺動体Bの位置および寸法は、
各レバーL1、L2および連動揺動体Bの角度位置にかかわらず、係止ピンPVが2つのカム輪郭PC1およびPC2の間に常に位置し、
連動揺動体Bがその休止角度位置PRにあり、かつ、各駆動レバーL1、L2がそのニュートラル角度位置PM1、PM2にあるときに、第1の軸A1、第1の係止ノッチCV1、係止ピンPV、第2の係止ノッチCV2および第2の軸A2が整列し、係止ピンPVは第1の係止ノッチCV1および第2の係止ノッチCV2に同時に面するように位置付けられる(図3Aおよび図4Aを参照)。
【0047】
その休止角度位置に向かって弾性的に復帰することを保証するように、係止ピンPVは、ヘアピン形状の復帰バネRの2つのアームの自由端部分の間で軸方向後方に向かっても延在する。
【0048】
固定的ストッパBFは、旋回軸ABと係止ピンPVの後部部分TAPVとの間に配置される。
【0049】
連動揺動体Bの休止角度位置PRにおいて、復帰バネRの2つのアームの自由端部分は、係止ピンPVの後部部分TAPVの筒形壁部に弾性的にもたれかかる。
【0050】
動作の説明
駆動アセンブリがニュートラル位置にあるとき(図4Aおよび図4B):
各レバーL1、L2はそのニュートラル角度位置PM1、PM2にあり、連動揺動体Bはその休止位置PRにあり、
係止ピンPVは、2つの係止ノッチCR1およびCR2の間に配置され、
各レバーL1、L2は、その軸A1、A2の周りを、一の方向または他の方向に旋回可能である。
【0051】
i)第1の比を変更するとき(図5Aおよび図5B):
図4Aおよび図4Bにおいて示された位置を離れることによって、第1の回転アクチュエータAR1は、第1のレバーL1を駆動して反時計回り方向にその第1の作動位置PA11に向かって旋回させ、
この旋回中に、第1のカム輪郭PC1の第1の作動部分TA11は、係止ピンPVと相互作用して連動揺動体Bを反時計回り方向に揺動させて、係止ピンPVを第2の係止ノッチCV2に入れ、
次いで、第2のレバーL2はそのニュートラル位置PM2に角度的に係止され、
再び第1のレバーL1を時計回り方向に駆動することによって、連動システムSIは、図4Aおよび図4Bにおいて図示された状態に復帰し、揺動体Bは復帰バネRによってその休止位置PRに向かって弾性的に復帰する。
【0052】
ii)第2の比を変更するとき(図6Aおよび図6B):
図4Aおよび図4Bにおいて示された位置を離れることによって、第1の回転アクチュエータAR1は、第1のレバーL1を駆動して時計回り方向にその第2の作動位置PA12に向かって旋回させ、
この旋回中に、第1のカム輪郭PC1の第2の作動部分TA12は、係止ピンPVと相互作用して連動揺動体Bを反時計回り方向に揺動させて、係止ピンPVを第2の係止ノッチCV2に入れ、
次いで、第2のレバーL2はそのニュートラル位置PM2に角度的に係止され、
再び第1のレバーL1を反時計回り方向に駆動することによって、連動システムSIは、図4Aおよび図4Bにおいて図示された状態に復帰し、揺動体Bは復帰バネRによってその休止位置PRに向かって弾性的に復帰する。
【0053】
iii)第3の比を変更するとき(図7Aおよび図7B):
図4Aおよび図4Bにおいて示された位置を離れることによって、第2の回転アクチュエータAR2は、第2のレバーL2を駆動して反時計回り方向にその第1の作動位置PA21に向かって旋回させ、
この旋回中に、第2のカム輪郭PC2の第1の作動部分TA21は、係止ピンPVと相互作用して連動揺動体Bを時計回り方向に揺動させて、係止ピンPVを第1の係止ノッチCV1に入れ、
次いで、第1のレバーL1はそのニュートラル位置PM1に角度的に係止され、
再び第2のレバーL2を時計回り方向に駆動することによって、連動システムSIは、図4Aおよび図4Bにおいて図示された状態に復帰し、揺動体Bは復帰バネRによってその休止位置PRに向かって弾性的に復帰する。
【0054】
iv)第4の比を変更するとき(図8Aおよび図8B):
図4Aおよび図4Bにおいて示された位置を離れることによって、第2の回転アクチュエータAR2は、第2のレバーL2を駆動して時計回り方向にその第2の作動位置PA22に向かって旋回させ、
この旋回中に、第2のカム輪郭PC2の第1の作動部分TA22は、係止ピンPVと相互作用して連動揺動体Bを時計回り方向に揺動させて、係止ピンPVを第1の係止ノッチCV1に入れ、
次いで、第1のレバーL1はそのニュートラル位置PM1に角度的に係止され、
再び第2のレバーL2を反時計回り方向に駆動することによって、連動システムSIは、図4Aおよび図4Bにおいて図示された状態に復帰し、揺動体Bは復帰バネRによってその休止位置PRに向かって弾性的に復帰する。
【0055】
本発明による機械的連動システムの設計は、特に堅牢であり、制御システムとリンクされた連動機能を補完し、電動式アクチュエータを管理することを可能とする。
【0056】
本発明による連動システムは、既存の駆動アセンブリEに容易に組み込まれ、このアセンブリをギアボックスの他のコンポーネントに接合する方法は修正されない。
【0057】
本発明の範囲内の変形例において、連動システムは、2つの別個の比を変更するように各フォークシャフトが2つの反対向きの方向に運動する場合に限定されない。
【0058】
例えば、各シャフトまたは2つのシャフトのうちの1つのみは、単一の方向に運動してもよい。
【0059】
また、本発明による連動システムは、レバーL1およびL2の両方が、2つのフォークシャフトを駆動するレバーであり、連動システムの一部であるレバーである場合に限定されない。
【0060】
例えば、各フォークシャフトAF1、AF2のために直線アクチュエータを使用し得、各フィンガーD1、D2が関連するシャフトAF1、AF2への運動に関してもっぱら接続される本発明による連動システムSIの別個の配置を有し得る。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
【国際調査報告】