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特表2023-549063熱可塑性複合材料及びその製造方法並びに応用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】熱可塑性複合材料及びその製造方法並びに応用
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/68 20060101AFI20231115BHJP
   B29C 70/16 20060101ALI20231115BHJP
   B29C 70/52 20060101ALI20231115BHJP
   B29K 101/12 20060101ALN20231115BHJP
   B29K 105/08 20060101ALN20231115BHJP
【FI】
B29C70/68
B29C70/16
B29C70/52
B29K101:12
B29K105:08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023525054
(86)(22)【出願日】2021-10-30
(85)【翻訳文提出日】2023-04-25
(86)【国際出願番号】 CN2021127770
(87)【国際公開番号】W WO2022089623
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】202011192228.7
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011193483.3
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011191450.5
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202011199839.4
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503191287
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】510016575
【氏名又は名称】中国石油化工股▲ふん▼有限公司北京化工研究院
【氏名又は名称原語表記】BEIJING RESEARCH INSTITUTE OF CHEMICAL INDUSTRY,CHINA PETROLEUM & CHEMICAL CORPORATION
【住所又は居所原語表記】NO.14,BEISANHUAN EAST ROAD,CHAOYANG DISTRICT,BEIJING 100013,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】高達利
(72)【発明者】
【氏名】李長金
(72)【発明者】
【氏名】張師軍
(72)【発明者】
【氏名】徐凱
(72)【発明者】
【氏名】康鵬
(72)【発明者】
【氏名】張▲チー▼
(72)【発明者】
【氏名】尹華
(72)【発明者】
【氏名】呂明福
(72)【発明者】
【氏名】孔徳輝
(72)【発明者】
【氏名】辛▲チー▼
(72)【発明者】
【氏名】蔡涛
(72)【発明者】
【氏名】董穆
(72)【発明者】
【氏名】邵静波
(72)【発明者】
【氏名】施紅偉
(72)【発明者】
【氏名】孫昌輝
(72)【発明者】
【氏名】白奕青
(72)【発明者】
【氏名】譚以綱
(72)【発明者】
【氏名】李光
(72)【発明者】
【氏名】高曉勇
(72)【発明者】
【氏名】和金▲チー▼
(72)【発明者】
【氏名】李梅杰
(72)【発明者】
【氏名】徐萌
(72)【発明者】
【氏名】▲チョウ▼白▲ゲ▼
(72)【発明者】
【氏名】呂芸
(72)【発明者】
【氏名】任月明
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AA11
4F205AB05
4F205AC05
4F205AD16
4F205AG14
4F205AG28
4F205AH17
4F205AH31
4F205AH33
4F205AJ08
4F205HA05
4F205HA06
4F205HA27
4F205HA34
4F205HA37
4F205HA46
4F205HB02
4F205HB11
4F205HC02
4F205HF01
4F205HK22
(57)【要約】
本発明は熱可塑性複合材料及びその製造方法並びに応用を開示する。前記熱可塑性複合材料は、内層材料及び少なくとも一層の外層材料を含み、前記内層材料は繊維束、第一熱可塑性樹脂及び第一助剤を含むコア層であり、前記少なくとも一層の外層材料は前記コア層を包みかつ第二熱可塑性樹脂及び任意選択の第二助剤を含む樹脂層であり、ここで、前記繊維束は前記コア層の一端からその対向端まで連続的に延在する。本発明の熱可塑性複合材料はコア層及び外層の複合構造を有し、熱可塑性複合材料の加工性能及び射出成形時の繊維と樹脂基体との間の潤滑性を効果的に改善し、かつ繊維の樹脂基体溶融体での流動性を向上させ、製造された熱可塑性複合材料の総合性能及び表面品質を大幅に向上させ、同時に射出成形プロセスへの要求を低下させ、熱可塑性複合材料の応用範囲を拡張した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層材料及び少なくとも一層の外層材料を含み、前記内層材料は繊維束、第一熱可塑性樹脂及び第一助剤を含むコア層であり、前記少なくとも一層の外層材料は前記コア層を包みかつ第二熱可塑性樹脂及び任意選択の第二助剤を含む樹脂層であり、ここで、前記繊維束は前記コア層の一端からその対向端まで連続的に延在する熱可塑性複合材料。
【請求項2】
前記熱可塑性複合材料は長尺状、棒状又は粒子状であり、長尺状、棒状又は粒子状の熱可塑性複合材料の長さは好ましくは5-30mmであり、より好ましくは5-25mmであり、さらに好ましくは6-15mmであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項3】
前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は1-90重量部であり、好ましくは20-70重量部であり、より好ましくは20-55重量部であり、さらに好ましくは24-45重量部であり、前記繊維束の量は10-110重量部であり、好ましくは20-110重量部であり、より好ましくは25-110重量部であり、及び/又は、
前記内層材料において、前記繊維束と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.25-6:1であり、好ましくは0.35-4.5:1であり、さらに好ましくは0.43-4.5:1であり、及び/又は、
前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は1-110重量部であり、好ましくは10-99重量部であり、好ましくは40-90重量部であり、
好ましくは、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は1-90重量部であり、好ましくは20-70重量部であり、より好ましくは20-55重量部であり、さらに好ましくは24-45重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は10-99重量部であり、好ましくは20-80重量部であり、より好ましくは25-50重量部であり、又は、
前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は50-70重量部であり、さらに好ましくは50-60重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は90-110重量部であり、好ましくは100-110重量部であり、及び/又は、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は90-110重量部であり、さらに好ましくは95-105重量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項4】
前記内層材料は非配向の短繊維を含まず、好ましくは、前記内層材料は繊維束、第一熱可塑性樹脂及び第一助剤で構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項5】
前記外層材料は繊維を含まず、好ましくは、前記外層材料は第二熱可塑性樹脂で構成されるか又は第二熱可塑性樹脂及び第二助剤で構成され、又は、
前記外層材料は繊維、例えば短繊維を含み、好ましくは、前記外層材料において、前記繊維と前記第二熱可塑性樹脂との重量比は1-50:100であり、好ましくは5-50:100であり、より好ましくは20-45:100であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項6】
前記第一熱可塑性樹脂及び第二熱可塑性樹脂は同じであるか又は異なり、それぞれ独立してポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフェニレンスルフィド及びそれらの合金ポリマーから選択される少なくとも一種であり、好ましくは、前記第一熱可塑性樹脂及び第二熱可塑性樹脂はそれぞれ独立してポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン及びポリエーテルエーテルケトンから選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、前記第一熱可塑性樹脂及び第二熱可塑性樹脂はそれぞれ独立して単独重合ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、単独重合ポリプロピレン及び共重合ポリプロピレンの混合物、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6及びナイロン66の混合物から選択される少なくとも一種であり、及び/又は、
前記繊維束はガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、芳香族ポリアミド繊維、ステンレス繊維、合成樹脂繊維及び鉱物繊維から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項7】
前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-8000g/10minであり、好ましくは100-8000g/10minであり、より好ましくは1000-7500g/10minであり、さらに好ましくは1900-7500g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは0.1-8000g/10minであり、好ましくは3-55g/10min又は450-8000g/10minであり、さらに好ましくは3-45g/10min又は1900-8000g/10minであり、
好ましくは、
前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-450g/10minであり、例えば、60-200g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは3-55g/10min又は450-8000g/10minであり、より好ましくは、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-450g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは800-8000g/10minであり、又は、
前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは450g/10min以上であり、特に450g/10minより大きく、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは100g/10minより小さく、好ましくは1.5-55g/10minであり、より好ましくは3-50g/10minであり、
及び/又は、前記第二熱可塑性樹脂と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.05-12.5:1であり、好ましくは0.1-4:1であり、より好ましくは0.14-3.5:1であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項8】
前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートが800-8000g/10minである場合、前記第二熱可塑性樹脂と第一熱可塑性樹脂との重量比が0.25:1より小さく、好ましくは0.18:1より小さく、より好ましくは0.15:1より小さく、及び/又は、
前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂がナイロン6、ナイロン66、ナイロン6及びナイロン66の混合物から選択される少なくとも一種である場合、前記ナイロン6及びナイロン66の粘度が1.8-3.5であることを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項9】
それぞれ前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂の質量を100重量部とし、前記第一助剤及び第二助剤はそれぞれ独立して0.5-15重量部の相溶化剤、0.05-3重量部の酸化防止剤及び0.05-2.5重量部の潤滑剤のうちの少なくとも一種を含み、好ましくは、前記第一助剤及び前記第二助剤はそれぞれ独立して1-15重量部の相溶化剤、0.1-1重量部の酸化防止剤及び0.5-2.5重量部の潤滑剤のうちの少なくとも一種を含み、及び/又は、
前記相溶化剤は極性モノマーグラフト変性ポリマーから選択される少なくとも一種であり、好ましくは、前記極性モノマーは無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体、アクリル酸及びアクリル酸エステル系誘導体から選択される少なくとも一種であり、好ましくは、前記ポリマーはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-α-オクテン共重合体及びプロピレン-α-オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種であり、及び/又は、
前記酸化防止剤はテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトールエステル、トリス[2,4-ジ-tert-ブチルフェニル]ホスファイト、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n-オクタデカノールエステル、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノール)ペンタエリスリトールジホスファイトから選択される少なくとも一種であり、及び/又は、
前記潤滑剤はエチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル、シリコーン、ポリエチレングリコール及びフッ素含有樹脂から選択される少なくとも一種であり、及び/又は、
前記第一助剤はさらに滑剤、帯電防止剤及び可塑剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、
及び/又は前記第二助剤はさらに滑剤、帯電防止剤、可塑剤、核形成剤、光安定剤、難燃剤、熱安定剤、マスターバッチ、帯電防止剤及び充填剤のうちの少なくとも一種を含むことができることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項10】
それぞれ前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂の質量を100重量部とし、前記第一助剤及び第二助剤はそれぞれ独立して2-30重量部の電気絶縁改質剤を含み、好ましくはそれぞれ独立して5-25重量部の電気絶縁改質剤を含み、
好ましくは、前記電気絶縁改質剤は、
a)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位と、アクリル酸エステル系単量体及び任意選択のアクリル酸系単量体に由来する構造単位を含み、例えば、ポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレートであるアルキル及び/又はアルコキシグラフト変性ポリプロピレン、
b)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位及びスチレン系単量体に由来する構造単位を含み、例えば、ポリプロピレン-g-スチレンである芳香族オレフィングラフト変性ポリプロピレン、
c)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位及びアルケニル基含有シラン系単量体に由来する構造単位を含むシラン変性ポリプロピレングラフト物、
d)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位、無水マレイン酸単量体に由来する構造単位及びアルケニル基含有重合性単量体に由来する構造単位を含む酸無水物基を有するポリプロピレングラフト物、及び/又は、
e)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位及びアルケニル基含有複素環系単量体に由来する構造単位を含むポリプロピレングラフト複素環の改質材料、のうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項11】
ステップA、第一熱可塑性樹脂と第一助剤を混合した後に溶融し、第一成分溶融体を得ること、
ステップB、連続繊維束を前記第一成分溶融体に第一浸漬処理を行い、糸状コア層製品を形成すること、
ステップC、第二熱可塑性樹脂と任意選択の第二助剤を混合した後に溶融し、第二成分溶融体を得ること、
ステップD、前記糸状コア層製品を前記第二成分溶融体に第二浸漬処理を行い、コア層を包む樹脂層を形成することを含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料の製造方法。
【請求項12】
ステップAの混合条件は、温度が40-60℃であり、時間が0.5-20minであり、好ましくは1-10minであり、より好ましくは3-5minであることを含み、ステップAにおける溶融温度は200-380℃であり、及び/又は、
ステップCの混合条件は、温度が40-60℃であり、時間が0.5-20minであり、好ましくは1-10minであり、より好ましくは3-5minであることを含み、ステップCにおける溶融温度は200-380℃であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
ステップBにおける前記第一浸漬処理は第一浸漬金型において行われ、前記第一浸漬金型は調整可能な浸漬金型であり、前記第一浸漬金型は繊維入口、繊維出口及び溶融体流路を含み、前記第一浸漬金型のキャビティ内に少なくとも一つの第一ゴデットローラが設置され、前記第一ゴデットローラは前記繊維入口と繊維出口との間に移動することができ、及び/又は、前記第一ゴデットローラは前記繊維入口と繊維出口との接続線に垂直な方向に沿って移動することができることを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項14】
ステップBにおける前記第一浸漬処理は第二浸漬金型において行われ、前記第二浸漬金型は組み合わせ式浸漬金型であり、前記第二浸漬金型は順に接続された第一モジュール、中間モジュール及び第二モジュールを含み、前記第一モジュールに繊維入口及び第一モジュール流路が設置され、前記第二モジュールに繊維出口及び第二モジュール流路が設置され、前記中間モジュールに中間モジュール流路が設置され、前記第一モジュール、中間モジュール及び第二モジュールが順に接続された後、前記第一モジュール流路、前記中間モジュール流路及び第二モジュール流路が連通して繊維を通過させるための組み合わせ流路を形成することを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項15】
ステップBにおける前記第一浸漬処理は第三浸漬金型において行われ、前記第三浸漬金型は強い乱流浸漬金型であり、前記第三浸漬金型は繊維入口通路、浸漬出口及び溶融体ニップ流路を含み、前記繊維入口通路、浸漬出口及び溶融体ニップ流路はいずれも前記第三浸漬金型内部のキャビティと連通し、ここで、前記第三浸漬金型のキャビティ内に第二ゴデットローラが設置され、前記第二ゴデットローラは少なくとも一つの能動ゴデットローラを含み、前記能動ゴデットローラは駆動装置により回転駆動されることを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料又は請求項11~15のいずれか一項に記載の製造方法で製造された熱可塑性複合材料の自動車工業、機械製造、電子電気製品、化学工業環境保護、宇宙通信及び建築業界の分野における応用、好ましくは大型自動車部品及び/又は高精密電子電気素子における応用、より好ましくは自動車フロントエンドモジュール及び/又は全プラスチック尾部ドア内板における応用。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本願は2020年10月30日に提出された以下の特許出願の優先権を享受するように請求する。
【0002】
1.名称が「熱可塑性複合材料及びその製造方法並びに応用」であり、出願番号がCN202011192228.7である中国特許出願。
【0003】
2.名称が「浸漬金型、浸漬方法及び浸漬金型を含む製造システム」であり、出願番号がCN202011193483.3である中国特許出願。
【0004】
3.名称が「浸漬金型、浸漬方法及び浸漬金型を含む製造システム」であり、出願番号がCN20201119140.5である中国特許出願。
【0005】
4.名称が「浸漬金型、浸漬方法及び浸漬金型を含む製造システム」であり、出願番号がCN202011199839.4である中国特許出願。
【0006】
それらの内容は本発明と一致する程度で引用により本明細書に組み込まれる。
【0007】
〔技術分野〕
本発明は高分子複合材料の分野に属し、具体的には熱可塑性複合材料及びその製造方法並びに応用に関する。
【0008】
〔背景技術〕
長繊維強化熱可塑性複合材料は一般的な熱可塑性複合材料であり、それは現在の複合材料市場において発展が最も速い材料の一つである。半構造材料及び構造材料として、長繊維強化熱可塑性複合材料の開発目標は工業及び民生用の様々な分野であり、自動車、器械、娯楽、食品加工、通信、電子電器、電動工具、園芸等の分野を含む。
【0009】
長繊維強化熱可塑性材料の繊維長は粒子の長さと同じであり、繊維配向が高度に一致し、低密度、成形しやすく、高比強度、モジュラスが高く、耐疲労性が優れ、及び吸水しないなどの特性を備える。また、該材料は優れた寸法安定性、優れた耐衝撃性、化学的安定性(耐塩、耐油、耐燃料など)及び循環利用可能な利点を有し、特に高低温交番が頻繁である場合に使用することに適し、それは一般的な射出成形機で射出成形されてもよく、プレス成形されてもよく、金属代替材料の理想的な候補者である。長繊維強化熱可塑性複合材料の総使用量において、自動車材料の応用量の比率は80%-90%に達する。
【0010】
しかし、長繊維強化熱可塑性複合材料の技術レベルの継続的な向上及び応用例の継続的な拡張、及び人々の健康、安全、環境保護に対する意識のさらなる向上及び自動車化プロセスの継続的な推進に伴い、材料の性能に対してもより多くのより高い要求が提出されている。材料が優れた機械的性能を備えること、機能化等の要求に加えて、加工性能及び成形後の部品の性能要求を両立させることが要求される。例えば、自動車の大型複雑部品、高精密電子電気素子に対して、製造材料が高流動性、成形しやすく、寸法安定性が高く、高い表面品質及び加工成形要件を備えることが要求される。
【0011】
上記課題に対して、従来の技術は実際の応用の需要を満たすことがまだ出来ていない。
【0012】
〔発明の概要〕
従来の技術に存在する上記課題に対して、本発明は熱可塑性複合材料及びその製造方法並びに応用を提供し、本発明の熱可塑性複合材料は多成分材料体系に基づいて設計され、各成分の間に性能の相乗効果を達成させることができる。さらに、本発明の熱可塑性複合材料はさらに繊維の樹脂溶融体での流動性を大幅に向上させることができ、複合材料の表面性能を大幅に向上させ、応用範囲を広げた。
【0013】
本発明の第一態様は熱可塑性複合材料を提供し、内層材料及び少なくとも一層の外層材料を含み、前記内層材料は繊維束、第一熱可塑性樹脂及び第一助剤を含むコア層であり、前記少なくとも一層の外層材料は前記コア層を包みかつ第二熱可塑性樹脂及び任意選択の第二助剤を含む樹脂層であり、ここで、前記繊維束は前記コア層の一端からその対向端まで連続的に延在する。
【0014】
本発明において、用語「一端」及び/又は「対向端」は、通常、熱可塑性複合材料の縦方向に対するものである。
【0015】
本願発明者らは、第一熱可塑性樹脂及び第一助剤を含む第一成分を採用して連続繊維束を浸漬してコア層を形成し、かつコア層の外側に第二熱可塑性樹脂及び任意選択の第二助剤を含む第二成分を均一に被覆し、これにより連続繊維強化樹脂をコア層(内層材料)とし、コア層の外側に被覆された樹脂層を外層材料とする熱可塑性複合材料を形成し、前記コア層における第一熱可塑性樹脂及び前記樹脂層における第二熱可塑性樹脂の性能及び機能を調整することにより、前記熱可塑性複合材料が異なる性能及び機能を有することができることを発見した。
【0016】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、外層材料(樹脂層)は前記内層材料(コア層)を実質的に連続的に被覆することができる。好ましいわけでもないが、本発明の熱可塑性複合材料において、外層材料(樹脂層)は少なくとも80%で前記内層材料(コア層)を被覆し、例えば、80-99%、85-95%で前記内層材料(コア層)を被覆する。
【0017】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記熱可塑性複合材料は長尺状、棒状又は粒子状であってもよい。当然のことながら、本発明の熱可塑性複合材料は他の形状であってもよく、例えば連続糸状である。本発明において、長尺状、棒状又は粒子状の熱可塑性複合材料は連続的な糸状の熱可塑性複合材料を切断してなるものであってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態において、前記熱可塑性複合材料は長尺状、棒状又は粒子状である。長尺状、棒状又は粒子状の熱可塑性複合材料の長さ(縦方向寸法)は5-30mmであってもよく、好ましくは5-25mmであり、より好ましくは6-15mmである。
【0019】
他の実施形態において、好ましいわけでもないが、前記熱可塑性複合材料は相対的に小さい長さ寸法を有してもよい。例えば、前記熱可塑性複合材料は粒子状であり、粒子状熱可塑性複合材料の粒径(長さ)は2-5mmであってもよく、好ましくは3-4mmである。
【0020】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、本発明は熱可塑性複合材料の横断面形状に対して特別な要求がない。いくつかの実施形態において、粒子状又は棒状の熱可塑性複合材料の横断面は円形又は略円形である。他の実施形態において、粒子状又は長尺状の熱可塑性複合材料の横断面は長方形又は正方形であってもよい。
【0021】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は1-90重量部であり、前記繊維束の量は10-110重量部である。
【0022】
いくつかの具体的な実施形態において、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は1重量部、10重量部、20重量部、25重量部、30重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、70重量部、80重量部、90重量部又はそれらで構成された範囲であってもよい。及びいくつかの具体的な実施形態において、前記繊維束の量は1重量部、10重量部、20重量部、25重量部、30重量部、40重量部、50重量部、60重量部、70重量部、80重量部、90重量部、100重量部、110重量部又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0023】
いくつかの好ましい実施形態において、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は20-70重量部であってもよく、好ましくは20-55重量部であり、より好ましくは24-45重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は20-110重量部であってもよく、より好ましくは25-110重量部である。
【0024】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は1-110重量部である。
【0025】
いくつかの具体的な実施形態において、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は1重量部、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部、45重量部、50重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部、95重量部、100重量部、105重量部、110重量部又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0026】
いくつかの好ましい実施形態において、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は10-99重量部であってもよく、より好ましくは10-90重量部であり、好ましくは40-90重量部である。
【0027】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は1-90重量部であり、好ましくは20-70重量部であり、より好ましくは20-55重量部であり、さらに好ましくは24-45重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は10-99重量部であり、好ましくは20-80重量部であり、より好ましくは25-50重量部である。
【0028】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の他の具体的な実施形態によれば、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は50-70重量部であり、さらに好ましくは50-60重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は90-110重量部であり、好ましくは100-110重量部であり、及び/又は、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は90-110重量部であり、さらに好ましくは95-105重量部である。
【0029】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記内層材料において、前記繊維束と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.25-6:1である。例えば、前記内層材料において、前記繊維束と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.25:1、0.3:1、0.35:1、0.4:1、0.45:1、0.5:1、0.55:1、0.6:1、0.65:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.2:1、1.5:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1又はそれらで構成された範囲である。
【0030】
いくつかの好ましい実施形態において、前記内層材料において、前記繊維束と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.35-4.5:1であってもよく、好ましくは0.43-4.5:1である。
【0031】
本発明において第一助剤及び第二助剤の使用量を制限し、関連助剤の作用を実現することを目的とする。
【0032】
本発明の異なる実施形態において、外層材料の層数を限定せず、該外層材料は一層又は多層であってもよい。外層材料が多層である場合、多層外層材料は一種の外層材料で形成されてもよく、複数種の外層材料で形成されてもよい。
【0033】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂は同じであるか又は異なり、それぞれ独立してポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフェニレンスルフィド及びそれらの合金ポリマーから選択される少なくとも一種である。
【0034】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の好ましい実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂はそれぞれ独立してポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド(ナイロンとも呼ばれる)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から選択される少なくとも一種である。
【0035】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の好ましい実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂はそれぞれ独立して単独重合ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、単独重合ポリプロピレン及び共重合ポリプロピレンの混合物、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ナイロン6及びナイロン66の混合物から選択される少なくとも一種である。
【0036】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の他の実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂はさらに熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)及び/又は高温ナイロン(PPA)から選択することができる。
【0037】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-8000g/10minである。例えば、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60g/10min、100g/10min、200g/10min、450g/10min、500g/10min、1000g/10min、1500g/10min、2000g/10min、3000g/10min、4000g/10min、5000g/10min、6000g/10min、7000g/10min、7500g/10min、8000g/10min又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0038】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは100-8000g/10minであってもよく、好ましくは1000-7500g/10minであり、より好ましくは1900-7500g/10minである。
【0039】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは0.1-8000g/10minである。例えば、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは0.1g/10min、1g/10min、1.5g/10min、3g/10min、10g/10min、20g/10min、30g/10min、40g/10min、45g/10min、50g/10min、55g/10min、60g/10min、70g/10min、80g/10min、90g/10min、100g/10min、450g/10min、500g/10min、800g/10min、1000g/10min、1500g/10min、1900g/10min、2500g/10min、3000g/10min、4000g/10min、5000g/10min、6000g/10min、7000g/10min、8000g/10min又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0040】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは3-55g/10min又は450-8000g/10minであってもよく、好ましくは3-45g/10min又は1900-8000g/10minである。
【0041】
本発明の異なる実施形態において、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートは特にされず、所望の性能に応じて前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートを選択することができる。
【0042】
特に、本願発明者らは、本発明のパラメータ(例えば、メルトフローレート)に基づいて表面品質性能及び総合性能がいずれも高い熱可塑性複合材料を製造して得ることができることを発見した。例えば、前記第一熱可塑性樹脂のメルトフローレートは前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートよりも高い場合、これにより熱可塑性複合材料は改善された力学的性質を有することができる。逆に、前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートは前記第一熱可塑性樹脂のメルトフローレートよりも高い場合、熱可塑性複合材料は改善された光沢度を有することができる。
【0043】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの好ましい実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-450g/10minであり、例えば、60-200g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは3-55g/10min又は450-8000g/10minである。いくつかの具体的な実施形態において、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-450g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは800-8000g/10minである。
【0044】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の他の好ましい実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは450g/10min以上であり、特に450g/10minより大きく、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは100g/10minより小さく、好ましくは1.5-55g/10minであり、より好ましくは3-50g/10minである。
【0045】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記第二熱可塑性樹脂と前記第一熱可塑性樹脂の重量比は0.05-12.5:1である。例えば、前記第二熱可塑性樹脂と前記第一熱可塑性樹脂の重量比は0.05:1、0.1:1、0.14:1、0.15:1、0.18:1、0.2:1、0.25:1、0.3:1、0.5:1、0.8:1、1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.7:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、5:1、8:1、10:1、12.5:1又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0046】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第二熱可塑性樹脂と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.1-4:1であってもよく、好ましくは0.14-3.5:1である。
【0047】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の好ましい実施形態によれば、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートが800-8000g/10minである場合、前記第二熱可塑性樹脂と第一熱可塑性樹脂との重量比は0.25:1より小さく、好ましくは0.18:1より小さく、より好ましくは0.15:1より小さい。
【0048】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂がナイロン6、ナイロン66、ナイロン6及びナイロン66の混合物から選択される少なくとも一種である場合、選択されたナイロン6及びナイロン66の粘度は1.8-3.5である。ここで、本発明におけるナイロンの粘度はエングラー粘度測定法GB/T266-88に基づいて測定された相対粘度である。
【0049】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の具体的な実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂は自製されてもよく、市販されてもよい。
【0050】
例えば、中国石化揚子石化公司から購入された商品名がPPB-M100-GHであるポリプロピレン樹脂、中国石化華東分公司から購入された商品名がM60RHCであるポリプロピレン樹脂、中国石化巴陵分公司から購入された商品名がPA6-BL3200Hであるナイロン6を前記第一熱可塑性樹脂として採用することができる。
【0051】
例えば、中国石化揚子石化公司から購入された商品名がPPB-M100-GHであり、中国石化茂名分公司から購入された商品名がPPH-T03であるポリプロピレン樹脂、中国石化華東分公司から購入された商品名がM50RHであるポリプロピレン樹脂、燕山石化公司から購入された商品名がK8303であるポリプロピレン樹脂、湖南盛錦新材料有限公司から購入された商品名がPF1500であるポリプロピレン樹脂、又は中国石化石家庄錬化分公司から購入された商品名がPPH-Y450であるポリプロピレン樹脂、中国石化巴陵分公司から購入された商品名がPA6-BL3200Hであるナイロン6を前記第二熱可塑性樹脂として採用することができる。
【0052】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記繊維束はガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、芳香族ポリアミド繊維、ステンレス繊維、合成樹脂繊維及び鉱物繊維から選択される少なくとも一種である。
【0053】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の好ましい実施形態によれば、前記ガラス繊維は連続ガラス繊維及び/又は定長ガラス繊維である。
【0054】
本発明に適用される繊維束はオーウェンスコーニング(上海)ガラス繊維有限公司から購入された商品名がSE4805の無アルカリガラス繊維であってもよく、重慶国際複合材料コフン有限公司から購入された商品名がER4301Hの無アルカリガラス繊維であってもよく、日本東レ社から購入された商品名がT700SCの炭素繊維であってもよく、牡丹江金石玄武岩繊維有限公司から購入された玄武岩繊維であってもよい。
【0055】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記熱可塑性複合材料の横方向断面において、内から外へ順にコア層及び樹脂層である。前記繊維束は前記熱可塑性複合材料の縦方向に沿って配向する。好ましくは、本発明に記載の繊維束の長さは前記熱可塑性複合材料の長さ(縦方向寸法)と基本的に同じであり、これにより、前記繊維束は前記コア層の縦方向の一端から縦方向の対向端まで連続的に延在する。
【0056】
いくつかの好ましい実施形態において、前記繊維束は分散処理されてもよい。このような分散処理方法は本分野において既知であり、本発明はそれを特に限定しない。
【0057】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記内層材料は短繊維を含まず、特に非配向の短繊維を含まない。
【0058】
いくつかの具体的な実施形態において、前記内層材料は繊維束、第一熱可塑性樹脂及び第一助剤で構成される。
【0059】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記外層材料は繊維を含まない。いくつかの好ましい実施形態において、前記外層材料は第二熱可塑性樹脂で構成されるか又は第二熱可塑性樹脂及び第二助剤で構成される。
【0060】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の他の実施形態によれば、前記外層材料は繊維、例えば短繊維を含む。
【0061】
いくつかの具体的な実施形態において、前記外層材料において、前記繊維と前記第二熱可塑性樹脂との重量比は1-50:100であり、好ましくは5-50:100であり、より好ましくは20-45:100である。
【0062】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、それぞれ前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂の質量を100重量部とし、前記第一助剤及び第二助剤はそれぞれ独立して0.5-15重量部の相溶化剤、0.05-3重量部の酸化防止剤及び0.05-2.5重量部の潤滑剤のうちの少なくとも一種を含む。好ましくは、前記第一助剤及び前記第二助剤はそれぞれ独立して1-15重量部、好ましくは1-6重量部、より好ましくは3-6重量部の相溶化剤、0.1-1重量部、好ましくは0.1-0.5重量部の酸化防止剤及び0.5-2.5重量部の潤滑剤のうちの少なくとも一種を含む。
【0063】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記相溶化剤は極性モノマーグラフト変性ポリマーから選択される少なくとも一種である。好ましくは、前記極性モノマーは無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体、アクリル酸及びアクリル酸エステル系誘導体から選択される少なくとも一種である。好ましくは、前記ポリマーはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-α-オレフィン共重合体及びプロピレン-α-オレフィン(プロピレン以外のα-オレフィン)共重合体から選択される少なくとも一種である。
【0064】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の具体的な実施形態によれば、Polyram Plastic Industries Ltdから購入された商品名がBONDYRAM 1001である無水マレイン酸グラフトポリプロピレン(PP-g-MAH)、上海日之昇科技有限公司から購入された商品名がCMG9805である無水マレイン酸グラフトエチレン-オクテン共重合体(POE-g-MAH)、南京曙光化工グループ有限公司から購入された商品名がNDZ12であるチタネートカップリング剤、又は南京優普化工有限公司から購入された商品名がXHY-501であるアルミネートカップリング剤を前記相溶化剤として採用することができる。
【0065】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記酸化防止剤はテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトールエステル(酸化防止剤1010)、トリス[2,4-ジ-tert-ブチルフェニル]ホスファイト(酸化防止剤168)、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n-オクタデカノールエステル(酸化防止剤1076)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)(酸化防止剤2246)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン(酸化防止剤CA)及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノール)ペンタエリスリトールジホスファイト(酸化防止剤626)から選択される少なくとも一種である。
【0066】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の具体的な実施形態によれば、BASF社から購入された酸化防止剤1010及び/又は酸化防止剤168を前記酸化防止剤として採用することができる。
【0067】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記潤滑剤はエチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル、シリコーン、ポリエチレングリコール及びフッ素含有樹脂から選択される少なくとも一種である。
【0068】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の具体的な実施形態によれば、祥和塗料グループから購入された商品名がXH-201である酸化ポリエチレンワックスを前記潤滑剤として採用することができる。
【0069】
本発明の異なる実施形態において、前記第一助剤はさらに滑剤、帯電防止剤及び可塑剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、及び/又は前記第二助剤はさらに滑剤、帯電防止剤、可塑剤、核形成剤、光安定剤、膨張難燃剤、熱安定剤、マスターバッチ、帯電防止剤、電気絶縁改質剤及び充填剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、かつ該複数種の助剤の具体的な種類及び使用量を限定せず、いずれも広い選択範囲を有することができる。
【0070】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の具体的な実施形態によれば、前記膨張難燃剤は複合型難燃剤であってもよく、ポリリン酸アンモニウム(APP)、ペンタエリスリトール(PER)、メラミンシアヌレート(MCA)、任意選択のナノシリコーンゴム及び任意選択の有機モンモリロナイト(MMT)を含む。
【0071】
本発明において、前記ポリリン酸アンモニウムの重合度は1000より大きく、Pの含有量は71重量%より大きく、密度は1.9g/cmであり、平均粒径は15umである。
【0072】
本発明において、前記ペンタエリスリトールは市販の汎用のペンタエリスリトールであってもよい。
【0073】
本発明において、前記メラミンシアヌレートは市販の汎用のメラミンシアヌレートを選択することができる。
【0074】
本発明において、前記ナノ粉末シリコーンゴムは完全加硫粉末シリコーンゴムVP-601であってもよい。このような完全加硫粉末シリコーンゴムVP-601は中国特許ZL01801656.1に記載され、その内容は本発明と一致する程度で引用により本明細書に組み込まれる。
【0075】
本発明において、前記有機モンモリロナイトの粒径は100-300nmである。
【0076】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの具体的な実施形態によれば、前記膨張難燃剤において、ポリリン酸アンモニウム(APP)、ペンタエリスリトール(PER)、メラミンシアヌレート(MCA)、ナノ粉末シリコーンゴム及び有機モンモリロナイトの重量比は(3-8):(1-3):(1-5):(0-0.5):(0-0.5)であり、好ましくは(3-4):(1-2):(1-3):(0.05-0.3):(0.05-0.3)である。
【0077】
使用時に、前記第二熱可塑性樹脂の質量100重量部に対して、前記膨張難燃助剤の量は30-50重量部であり、好ましくは30-45重量部であり、より好ましくは32-38重量部である。
【0078】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、それぞれ前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂の質量100重量部に対して、前記第一助剤と前記第二助剤はそれぞれ独立して2-30重量部の電気絶縁性改質剤を含み、好ましくはそれぞれ独立して5-25重量部の電気絶縁性改質剤を含む。
【0079】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記電気絶縁改質剤はアルキル及び/又はアルコキシグラフト変性ポリプロピレン材料であってもよい。該グラフト変性ポリプロピレン材料は、共重合ポリプロピレンに由来する構造単位と、アクリル酸エステル系単量体及び任意選択のアクリル酸系単量体に由来する構造単位とを含む。グラフト変性ポリプロピレン材料の重量を基準として、前記グラフト変性ポリプロピレン材料中のアクリル酸エステル系単量体及び任意選択のアクリル酸系単量体に由来するグラフト状態にある構造単位の含有量は0.3-7重量%であり、好ましくは0.8-5重量%である。
【0080】
前記グラフト変性ポリプロピレン材料は以下の特徴のうちの少なくとも一種を有する。230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートは0.01-30g/10minであり、好ましくは0.05-20g/10minであり、さらに好ましくは0.1-10g/10minであり、より好ましくは0.2-8g/10minである。
【0081】
いくつかの具体的な実施形態において、前記アクリル酸エステル系単量体は式Iに示す構造を有するモノマーから選択される少なくとも一種である。
【0082】
【化1】
【0083】
式Iにおいて、R、R、Rはそれぞれ独立してH、C-C直鎖アルキル基、C-C分岐鎖アルキル基から選択され、Rは置換又は非置換の、C-C20直鎖アルキル基、C-C20分岐鎖アルキル基、C-C12シクロアルキル基、C-C12エポキシアルキル基、C-C12エポキシアルキル基から選択され、前記置換の基はハロゲン、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される少なくとも一種である。
【0084】
好ましくは、前記アクリル酸エステル系単量体は(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸sec-ブチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸tert-ブチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ヤシ油酸エステル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル及び(メタ)アクリル酸グリシジルから選択される少なくとも一種である。
【0085】
前記グラフト変性ポリプロピレン材料において、前記アクリル酸系単量体は式IIに示す構造を有するモノマーから選択される少なくとも一種である。
【0086】
【化2】
【0087】
式IIにおいて、R、R、Rはそれぞれ独立してH、C-C直鎖アルキル基、C-C分岐鎖アルキル基から選択される。
【0088】
好ましくは、前記アクリル酸系単量体はアクリル酸、メタクリル酸及び2-エチルアクリル酸から選択される少なくとも一種である。
【0089】
前記グラフト変性ポリプロピレン材料において、アクリル酸エステル系単量体に由来する構造単位とアクリル酸系単量体に由来する構造単位のモル比は1:0-2であり、好ましくは1:0.125-1である。
【0090】
具体的な実施形態において、前記ポリプロピレングラフト複素環の改質材料はポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレートであり、230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートが2-8g/10minであり、グラフト状態にある構造単位の含有量が1-8%である。
【0091】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の他の実施形態によれば、前記電気絶縁改質剤は芳香族オレフィングラフト変性ポリプロピレン材料である。該芳香族オレフィングラフト変性ポリプロピレン材料は共重合ポリプロピレンに由来する構造単位及びスチレン系単量体に由来する構造単位を含む。芳香族オレフィングラフト変性ポリプロピレン材料の重量を基準として、前記芳香族オレフィングラフト変性ポリプロピレン材料におけるスチレン系単量体に由来するグラフト状態にある構造単位の含有量は0.5-14重量%であり、好ましくは1-7.5重量%であり、より好ましくは1.5-5重量%である。
【0092】
前記芳香族オレフィングラフト変性ポリプロピレン材料の230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートは0.01-30g/10minであり、好ましくは0.05-20g/10minであり、さらに好ましくは0.1-10g/10minであり、より好ましくは0.2-8g/10minである。
【0093】
前記スチレン系単量体は式IIIに示す構造を有するモノマー、式IVに示す構造を有するモノマー及び式Vに示す構造を有するモノマーから選択される少なくとも一種である。
【0094】
【化3】
【0095】
式IIIにおいて、R、R、Rはそれぞれ独立してH、置換又は非置換のC-Cのアルキル基から選択され、R-Rはそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、置換又は非置換のC-C12のアルキル基、置換又は非置換のC-C12のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12のアルコキシ基、置換又は非置換のC-C12のエステル基、置換又は非置換のC-C12のアミン基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、C-C12のアルキル基、C-C12のシクロアルキル基、C-C12のアルコキシ基、C-C12のエステル基、C-C12のアミン基から選択される。好ましくは、R、R、Rはそれぞれ独立してH、置換又は非置換のC-Cのアルキル基から選択され、R-Rはそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、置換又は非置換のC-Cのアルキル基、置換又は非置換のC-Cのアルコキシ基から選択される。
【0096】
【化4】
【0097】
式IVにおいて、R、R、Rはそれぞれ独立してH、置換又は非置換のC-Cのアルキル基から選択され、R-R10はそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、置換又は非置換のC-C12のアルキル基、置換又は非置換のC-C12のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12のアルコキシ基、置換又は非置換のC-C12のエステル基、置換又は非置換のC-C12のアミン基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、C-C12のアルキル基、C-C12のシクロアルキル基、C-C12のアルコキシ基、C-C12のエステル基、C-C12のアミン基から選択される。好ましくは、R、R、Rはそれぞれ独立してH、置換又は非置換のC-Cのアルキル基から選択され、R-R10はそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、置換又は非置換のC-Cのアルキル基、置換又は非置換のC-Cのアルコキシ基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、C-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシ基から選択される。
【0098】
【化5】
【0099】
式Vにおいて、R’、R’、R’はそれぞれ独立してH、置換又は非置換のC-Cのアルキル基から選択され、R’-R10’はそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、置換又は非置換のC-C12のアルキル基、置換又は非置換のC-C12のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12のアルコキシ基、置換又は非置換のC-C12のエステル基、置換又は非置換のC-C12のアミン基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、C-C12のアルキル基、C-C12のシクロアルキル基、C-C12のアルコキシ基、C-C12のエステル基、C-C12のアミン基から選択される。好ましくは、R’、R’、R’はそれぞれ独立してH、置換又は非置換のC-Cのアルキル基から選択され、R’-R10’はそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、置換又は非置換のC-Cのアルキル基、置換又は非置換のC-Cのアルコキシ基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、C-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシ基から選択される。
【0100】
好ましくは、前記スチレン系単量体はスチレン、α-メチルスチレン、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、単置換又は多置換のスチレン、単置換又は多置換のα-メチルスチレン、単置換又は多置換の1-ビニルナフタレン及び単置換又は多置換の2-ビニルナフタレンから選択される少なくとも一種である。前記置換の基は好ましくはハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、C-Cの直鎖アルキル基、C-Cの分岐鎖アルキル基又はシクロアルキル基、C-Cの直鎖アルコキシ基、C-Cの分岐鎖アルコキシ基又は環状アルコキシ基、C-Cの直鎖エステル基、C-Cの分岐鎖エステル基又は環状エステル基、C-Cの直鎖アミン基及びC-Cの分岐鎖アミン基又は環状アミン基から選択される。
【0101】
より好ましくは、前記スチレン系単量体はスチレン、α-メチルスチレン、2-メチルスチレン、3-メチルスチレン及び4-メチルスチレンから選択される少なくとも一種である。
【0102】
いくつかの具体的な実施形態において、前記ポリプロピレングラフト複素環の改質材料はポリプロピレン-g-スチレンであり、230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートが2-8g/10minであり、グラフト状態にある構造単位の含有量が1-8%である。
【0103】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のさらに他の実施形態によれば、前記電気絶縁改質剤はシラン変性ポリプロピレングラフト物である。該グラフト物は共重合ポリプロピレンに由来する構造単位及びアルケニル基含有シラン系単量体に由来する構造単位を含む。シラン変性ポリプロピレングラフト物の重量を基準として、前記シラン変性ポリプロピレングラフト物におけるアルケニル基含有シラン系単量体に由来するグラフト状態にある構造単位の含有量は0.2-6重量%であり、好ましくは0.2-2.5重量%である。
【0104】
前記共重合ポリプロピレンは以下の特徴を有する。共重合モノマーの含有量は0.5-40mol%であり、好ましくは0.5-30mol%である。キシレン可溶物の含有量は2-80重量%である。可溶物中の共重合モノマーの含有量は10-70重量%である。可溶物とポリプロピレンの特性粘度比は0.3-5である。
【0105】
前記シラン変性ポリプロピレングラフト物であって、ここで、前記シラン変性ポリプロピレングラフト物は以下の特徴のうちの少なくとも一種を有する。230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートは0.01-30g/10minであり、好ましくは0.05-20g/10minであり、さらに好ましくは0.1-10g/10minであり、より好ましくは0.2-8g/10minである、
前記シラン変性ポリプロピレングラフト物であって、ここで、前記アルケニル基含有シラン系単量体は式VIに示す構造を有するモノマーから選択される少なくとも一種であり、
【0106】
【化6】
【0107】
ここで、RはC-C12のアルケニル基であり、好ましくはモノ不飽和アルケニル基であり、R、R、Rはそれぞれ独立して置換又は非置換のC-C12の直鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C12の分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-C12のアルコキシ基、置換又は非置換のC-C12のアシルオキシ基から選択され、好ましくは、RはC-Cのアルケニル基であり、好ましくはモノ不飽和アルケニル基であり、R、R、Rはそれぞれ独立して置換又は非置換のC-Cの直鎖アルキル基、置換又は非置換のC-Cの分岐鎖アルキル基、置換又は非置換のC-Cのアルコキシ基、置換又は非置換のC-Cのアシルオキシ基から選択される。
【0108】
より好ましくは、前記アルケニル基含有シラン系単量体はビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリt-ブトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリ(β-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリ(β-メトキシエトキシ)シラン、アリルトリt-ブトキシシラン、アリルトリアセトキシシラン、メタリルジメトキシシラン及びエチルアリルジエトキシシランから選択される少なくとも一種である。
【0109】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記第一助剤及び第二助剤はそれぞれ独立して2-30重量部の電気絶縁性改質剤を含み、好ましくはそれぞれ独立して5-25重量部の電気絶縁性改質剤を含む。該電気絶縁改質材料はCN202011190993.5に従って製造される。
【0110】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のいくつかの実施形態によれば、前記電気絶縁改質剤は酸無水物基を有するポリプロピレングラフト物であり共重合ポリプロピレンに由来する構造単位、無水マレイン酸単量体に由来する構造単位及びアルケニル基含有重合性単量体に由来する構造単位を含む。酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物の重量を基準として、前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物における無水マレイン酸単量体及びアルケニル基含有重合性単量体に由来するグラフト状態にある構造単位の含有量は0.1-5重量%であり、好ましくは0.4-3重量%である。そして、前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物における無水マレイン酸単量体に由来する構造単位とアルケニル基含有重合性単量体に由来する構造単位とのモル比は1:1-20であり、好ましくは1:1-10である。
【0111】
前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフトは以下の特徴のうちの少なくとも一種を有する。230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートは0.01-30g/10minであり、好ましくは0.05-20g/10minであり、さらに好ましくは0.1-10g/10minであり、より好ましくは0.2-8g/10minである。
【0112】
前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物であって、ここで、前記共重合ポリプロピレンの共重合モノマーはプロピレン以外のC-Cのα-オレフィンから選択される少なくとも一種である。好ましくは、前記共重合ポリプロピレンの共重合モノマーはエチレン、1-ブテン、1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン及び1-オクテンから選択される少なくとも一種である。さらに好ましくは、前記共重合ポリプロピレンの共重合モノマーはエチレン及び/又は1-ブテンである。さらに好ましくは、前記共重合ポリプロピレンはプロピレン及びエチレンで構成される。
【0113】
前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物であって、ここで、前記アルケニル基含有重合性単量体は式VIIに示す構造を有するモノマーから選択される少なくとも一種であり、
【0114】
【化7】
【0115】
式VIIにおいて、R、R、Rはそれぞれ独立してH、置換又は非置換のアルキル基から選択され、Rは置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のエステル基、置換又は非置換のカルボキシル基、置換又は非置換のシクロアルキル基又は複素環基、シアノ基から選択され、
好ましくは、R、R、Rはそれぞれ独立してH、置換又は非置換のC-Cアルキル基から選択され、より好ましくは、R、R、Rはそれぞれ独立してH、置換又は非置換のC-Cアルキル基から選択され、好ましくは、Rは置換又は非置換のC-C20アルキル基、置換又は非置換のC-C20アルコキシ基、置換又は非置換のC-C20アリール基、置換又は非置換のC-C20エステル基、置換又は非置換のC-C20カルボキシル基、置換又は非置換のC-C20シクロアルキル基又は複素環基、シアノ基から選択され、前記置換の基がハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、C-Cアルキル基、C-Cシクロアルキル基であり、さらに好ましくは、Rは置換又は非置換のC-C12アルキル基、置換又は非置換のC-C18アルコキシ基、置換又は非置換のC-C12アリール基、置換又は非置換のC-C12エステル基、置換又は非置換のC-C12カルボキシル基、置換又は非置換のC-C12シクロアルキル基又は複素環基、シアノ基から選択され、前記置換の基はハロゲン、C-Cアルキル基、C-Cシクロアルキル基であり、より好ましくは、Rは置換又は非置換のC-Cアルキル基、置換又は非置換のC-C12アルコキシ基、置換又は非置換のC-C8アリール基、置換又は非置換のC-C6エステル基、置換又は非置換のC-C6カルボキシル基、置換又は非置換のC-Cシクロアルキル基又は複素環基、シアノ基から選択され、好ましくは、前記複素環基はイミダゾリル基、ピラゾリル基、カルバゾリル基、ピロリジニル基、ピリジル基、ピペリジニル基、カプロラクタム基、ピラジニル基、チアゾリル基、プリン基、モルホリニル基、オキサゾリン基から選択される。
【0116】
前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物であって、ここで、R、R、Rはそれぞれ独立してH、置換又は非置換のC1-アルキルから選択され、
は式VIIIに示す基、式IXに示す基、式Xに示す基、式XIに示す基、式XIに示す基及び式XIIに示す基の組み合わせ、複素環基から選択され、
【0117】
【化8】
【0118】
式VIIIにおいて、R-Rはそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、置換又は非置換のC-C12のアルキル基、置換又は非置換のC-C12のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12のアルコキシ基、置換又は非置換のC-C12のエステル基、置換又は非置換のC-C12のアミン基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、C-C12のアルキル基、C-C12のシクロアルキル基、C-C12のアルコキシ基、C-C12のエステル基、C-C12のアミン基から選択され、好ましくは、R-Rはそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、置換又は非置換のC-Cのアルキル基、置換又は非置換のC-Cのアルコキシ基から選択され、
【0119】
【化9】
【0120】
式IXにおいて、R-R10はそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、置換又は非置換のC-C12のアルキル基、置換又は非置換のC-C12のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12のアルコキシ基、置換又は非置換のC-C12のエステル基、置換又は非置換のC-C12のアミン基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、C-C12のアルキル基、C-C12のシクロアルキル基、C-C12のアルコキシ基、C-C12のエステル基、C-C12のアミノ基から選択され、好ましくは、R-R10はそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、置換又は非置換のC-Cのアルキル基、置換又は非置換のC-Cのアルコキシ基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、C-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシから選択され、
【0121】
【化10】
【0122】
式Xにおいて、R’-R10’はそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、置換又は非置換のC-C12のアルキル基、置換又は非置換のC-C12のシクロアルキル基、置換又は非置換のC-C12のアルコキシ基、置換又は非置換のC-C12のエステル基、置換又は非置換のC-C12のアミン基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、リン酸基、スルホン酸基、C-C12のアルキル基、C-C12のシクロアルキル基、C-C12のアルコキシ基、C-C12のエステル基、C-C12のアミン基から選択され、好ましくは、R’-R10’はそれぞれ独立してH、ハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、置換又は非置換のC-Cのアルキル基、置換又は非置換のC-Cのアルコキシ基から選択され、前記置換の基はハロゲン、ヒドロキシ基、アミノ基、C-Cのアルキル基、C-Cのアルコキシ基から選択され、
【0123】
【化11】
【0124】
式XIにおいて、Rmは置換又は非置換の、C-C20直鎖アルキル基、C-C20分岐鎖アルキル基、C-C12シクロアルキル基、C-C12エポキシアルキル基、C-C12エポキシアルキル基から選択され、前記置換の基はハロゲン、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される少なくとも一種である。
【0125】
前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物であって、ここで、前記アルケニル基含有重合性単量体は酢酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、ビニルアルキルエーテル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール及びアクリロニトリルから選択される少なくとも一種である。前記(メタ)アクリル酸エステルは好ましくは(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸グリシジルのうちの少なくとも一種である。好ましくは、前記アルケニル基含有重合性単量体は酢酸ビニル、スチレン、α-メチルスチレンから選択され、さらに好ましくは、前記アルケニル基含有重合性単量体はスチレンである。
【0126】
前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物であって、ここで、前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物における酸無水物単量体に由来する構造単位とアルケニル基含有重合性単量体に由来する構造単位とのモル比は1:1-20であり、好ましくは1:1-10である。
【0127】
前記酸無水物基を含有するポリプロピレングラフト物であって、ここで、前記酸無水物は少なくとも一つのオレフィン不飽和度を有する酸無水物から選択される。好ましくは、前記酸無水物は無水マレイン酸及び/又は無水イタコン酸から選択される。さらに好ましくは、前記酸無水物は無水マレイン酸である。
【0128】
本発明に記載の熱可塑性複合材料の具体的な実施形態によれば、前記ポリプロピレングラフト複素環の改質材料はポリプロピレン-g-スチレン/無水マレイン酸であり、230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートは2-8g/10minであり、グラフト状態にある構造単位の含有量は1-8%である。
【0129】
本発明に記載の熱可塑性複合材料のさらに他の実施形態によれば、前記電気絶縁改質剤はポリプロピレングラフト複素環の改質材料である。該ポリプロピレングラフト複素環の改質材料は共重合ポリプロピレンに由来する構造単位及びアルケニル基含有複素環系単量体に由来する構造単位を含む。ポリプロピレングラフト複素環の改質材料の重量を基準として、前記ポリプロピレングラフト複素環の改質材料におけるアルケニル基含有複素環系単量体に由来するグラフト状態にある構造単位の含有量は0.5-6重量%であり、好ましくは0.5-4重量%である。前記共重合ポリプロピレンは以下の特徴を有する。共重合モノマーの含有量は0.5-40mol%であり、好ましくは0.5-30mol%であり、より好ましくは4-25mol%である。キシレン可溶物の含有量は2-80重量%である。可溶物における共重合モノマーの含有量は10-70重量%である。可溶物とポリプロピレンの特性粘度比は0.3-5である。
【0130】
前記ポリプロピレングラフト複素環の改質材料の230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートは0.01-30g/10minであり、好ましくは0.05-20g/10minであり、さらに好ましくは0.1-10g/10minであり、より好ましくは0.2-8g/10minである。
【0131】
前記アルケニル基含有複素環系単量体はラジカルにより重合可能な任意のアルケニル基含有複素環系化合物であってもよく、アルケニル基置換基含有イミダゾール、アルケニル基置換基含有ピラゾール、アルケニル基置換基含有カルバゾール、アルケニル基置換基含有ピロリドン、アルケニル基置換基含有ピリジン又はピリジニウム塩、アルケニル基置換基含有ピペリジン、アルケニル基置換基含有カプロラクタム、アルケニル基置換基含有ピラジン、アルケニル基置換基含有チアゾール、アルケニル基置換基含有プリン、アルケニル基置換基含有モルホリン及びアルケニル基置換基含有オキサゾリンから選択される少なくとも一種であってもよい。好ましくは、前記アルケニル基含有複素環系単量体はモノアルケニル基含有複素環系単量体である。
【0132】
具体的には、前記アルケニル基含有複素環系単量体は、1-ビニルイミダゾール、2-メチル-1-ビニルイミダゾール、N-アリルイミダゾール、1-ビニルピラゾール、3-メチル-1-ビニルピラゾール、ビニルカルバゾール、N-ビニルピロリドン、2-ビニルピリジン、3-ビニルピリジン、4-ビニルピリジン、2-メチル-5-ビニルピリジン、ビニルピリジンN酸化物、ビニルピリジニウム塩、ビニルピペリジン、N-ビニルカプロラクタム、2-ビニルピラジン、N-ビニルピペラジン、4-メチル-5-ビニルチアゾール、N-ビニルプリン、ビニルモルホリン及びビニルオキサゾリンから選択される少なくとも一種である。
【0133】
本発明の第二態様は、
ステップA、第一熱可塑性樹脂と第一助剤を混合した後に溶融し、第一成分溶融体を得ること、
ステップB、連続繊維束を前記第一成分溶融体に第一浸漬処理を行い、糸状コア層製品を形成すること、
ステップC、第二熱可塑性樹脂と任意選択の第二助剤を混合した後に溶融し、第二成分溶融体を得ること、
ステップD、前記糸状コア層製品を前記第二成分溶融体に第二浸漬処理を行い、コア層を連続的に包む樹脂層を形成することを含む熱可塑性複合材料の製造方法を提供する。
【0134】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記製造方法はオンラインで連続的に行うことができ、連続糸状製品を得て、このような連続糸状製品をそのまま貯蔵し、使用してもよく、一定の長さを有する長尺状、棒状又は粒子状製品に切断してもよい。
【0135】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、ステップAの混合条件は、温度が40-60℃であり、時間が0.5-20minであり、好ましくは1-10minであり、より好ましくは3-5minであることを含む。
【0136】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、ステップAにおける溶融温度は200-380℃である。本発明において、第一熱可塑性樹脂及び第一助剤を十分に溶融させて溶融体を得ることを目的として、溶融時間は広い選択範囲を有することができる。
【0137】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、好ましくは、ステップBにおいて、連続繊維を第一成分溶融体に第一浸漬処理を行う前にさらに連続繊維に分散処理及び予熱処理を行うことを含み、予熱処理温度は好ましくは80-250℃である。本発明における分散処理プロセスは本分野の一般的な繊維分散処理プロセスを採用する。
【0138】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、ステップCの混合条件は、温度が40-60℃であり、時間が0.5-20minであり、好ましくは1-10minであり、より好ましくは3-5minであることを含む。
【0139】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、ステップCにおける溶融温度は200-380℃である。本発明において、第二熱可塑性樹脂及び任意選択の第二助剤を十分に溶融させることを目的として、溶融時間はより広い選択範囲を有することができる。
【0140】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、ステップBにおける前記第一浸漬処理は第一浸漬金型において行うことができ、前記第一浸漬金型は調整可能な浸漬金型であり、前記第一浸漬金型は繊維入口、繊維出口及び溶融体流路を含み、前記第一浸漬金型のキャビティ内に少なくとも一つの第一ゴデットローラが設置され、前記第一ゴデットローラは前記繊維入口と繊維出口との間に移動することができ、及び/又は、前記第一ゴデットローラは前記繊維入口と繊維出口との接続線に垂直な方向に沿って移動することができる。
【0141】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、ステップBにおける前記第一浸漬処理は第二浸漬金型において行うことができ、前記第二浸漬金型は組み合わせ式浸漬金型であり、前記第二浸漬金型は順に接続された第一モジュール、中間モジュール及び第二モジュールを含み、前記第一モジュールに繊維入口及び第一モジュール流路が設置され、前記第二モジュールに繊維出口及び第二モジュール流路が設置され、前記中間モジュールに中間モジュール流路が設置され、前記第一モジュール、中間モジュール及び第二モジュールが順に接続された後、前記第一モジュール流路、前記中間モジュール流路及び第二モジュール流路が連通して繊維を通過させるための組み合わせ流路を形成する。
【0142】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、ステップBにおける前記第一浸漬処理はさらに第三浸漬金型において行うことができ、前記第三浸漬金型は強い乱流浸漬金型であり、前記第三浸漬金型は繊維入口通路、浸漬出口及び溶融体ニップ流路を含み、前記繊維入口通路、浸漬出口及び溶融体ニップ流路はいずれも前記第三浸漬金型内部のキャビティと連通する。ここで、前記第三浸漬金型のキャビティ内に第二ゴデットローラが設置され、前記第二ゴデットローラは少なくとも一つの能動ゴデットローラを含み、前記能動ゴデットローラは駆動装置により回転駆動される。
【0143】
本発明に使用される第一浸漬金型、第二浸漬金型及び第三浸漬金型は中国特許出願CN202011193483.3、202011191450.5及び202011199839.4に記載され、本発明と一致する程度でその全ての内容を引用することにより本明細書に組み込まれる。
【0144】
なお、本発明の上記第一浸漬金型、第二浸漬金型及び第三浸漬金型は任意の従来の熱可塑性複合材料の製造システム及び製造技術に適用することができ、特に任意の従来の連続繊維強化熱可塑性複合材料の製造システム及び製造技術に適用することができる。
【0145】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、ステップDにおける第二浸漬処理は成形金型内で行うことができる。前記成形金型はコア部、外側スリーブ、外側スリーブ口型枠で構成される。前記コア部は外側スリーブの内部に位置し、外側スリーブとキャビティを形成し、樹脂溶融体は外側スリーブの底部又は頂部又は二つの側面からキャビティに入ることができる。前記コア部は外側スリーブにおいて前後に移動することができ、形成されたキャビティ空間の大きさを調整することによりキャビティ内の溶融体の圧力を決定する。コア部と外側スリーブとの間の夾角の大きさによってもキャビティ内の溶融体の圧力を調整することができる。
【0146】
該成形金型の動作原理は以下のとおりである。浸漬金型を経過した後に内層浸漬材料のストランドを形成し、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、次に、コア部と外側スリーブで形成された混合溶融体で満たされたキャビティにおいて内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に外側スリーブ口型枠により導出される。
【0147】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、ステップDの後にさらに、得られた熱可塑性複合材料に対して引き出し、ストランド引き、冷却、乾燥、造粒処理を行うことを含む。ここで、引き出し、ストランド引き、冷却、乾燥、造粒処理のプロセス条件は特に限定されず、異なる仕様要件を満たす熱可塑性複合材料を得ることを目的として、いずれも広い選択範囲内にある。
【0148】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は1-90重量部であり、前記繊維束の量は10-110重量部である。
【0149】
いくつかの具体的な実施形態において、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は1重量部、10重量部、20重量部、25重量部、30重量部、40重量部、45重量部、50重量部、55重量部、60重量部、70重量部、80重量部、90重量部又はそれらで構成された範囲であってもよい。及びいくつかの具体的な実施形態において、前記繊維束の量は1重量部、10重量部、20重量部、25重量部、30重量部、40重量部、50重量部、60重量部、70重量部、80重量部、90重量部、100重量部、110重量部又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0150】
いくつかの好ましい実施形態において、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は20-70重量部であってもよく、好ましくは20-55重量部であり、より好ましくは24-45重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は20-110重量部であってもよく、好ましくは25-110重量部である。
【0151】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の使用量は1-110重量部である。
【0152】
いくつかの具体的な実施形態において、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は1重量部、10重量部、20重量部、30重量部、40重量部、45重量部、50重量部、60重量部、65重量部、70重量部、75重量部、80重量部、85重量部、90重量部、95重量部、100重量部、105重量部、110重量部又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0153】
いくつかの好ましい実施形態において、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は10-90重量部であってもよく、好ましくは40-90重量部である。
【0154】
本発明に記載の製造方法のいくつかの具体的な実施形態によれば、内層材料において、第一熱可塑性樹脂の量は1-90重量部であり、好ましくは20-70重量部であり、より好ましくは20-55重量部であり、さらに好ましくは24-45重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は10-99重量部であり、好ましくは20-80重量部であり、より好ましくは25-50重量部である。
【0155】
本発明に記載の製造方法の他の具体的な実施形態によれば、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は50-70重量部であり、さらに好ましくは50-60重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は90-110重量部であり、好ましくは100-110重量部であり、及び/又は、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は90-110重量部であり、さらに好ましくは95-105重量部である。
【0156】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記内層材料において、前記繊維と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.25-6:1である。例えば、前記内層材料において、前記繊維束と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.25:1、0.3:1、0.35:1、0.4:1、0.45:1、0.5:1、0.55:1、0.6:1、0.65:1、0.7:1、0.8:1、0.9:1、1:1、1.2:1、1.5:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、4.5:1、5:1、6:1又はそれらで構成された範囲である。
【0157】
いくつかの好ましい実施形態において、前記内層材料において、前記繊維束と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.35-4.5:1であってもよく、好ましくは0.43-4.5:1である。
【0158】
本発明の異なる実施形態において、外層材料の層数を限定せず、該外層材料は一層又は複数層であってもよい。外層材料が複数層である場合、複数層の外層材料は一種の外層材料で形成されてもよく、複数種の外層材料で形成されてもよい。
【0159】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂と前記第二熱可塑性樹脂は同じであるか又は異なり、それぞれ独立してポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフェニレンスルフィド及びそれらの合金ポリマーから選択される少なくとも一種である。
【0160】
本発明に記載の製造方法の好ましい実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び第二熱可塑性樹脂はそれぞれ独立してポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド(ナイロンとも呼ばれる)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から選択される少なくとも一種である。
【0161】
本発明に記載の製造方法の好ましい実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び第二熱可塑性樹脂はそれぞれ独立して単独重合ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、単独重合ポリプロピレン及び共重合ポリプロピレンの混合物、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ナイロン6及びナイロン66の混合物から選択される少なくとも一種である。
【0162】
本発明に記載の製造方法の他の実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び第二熱可塑性樹脂はさらに熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)及び/又は高温ナイロン(PPA)から選択することができる。
【0163】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-8000g/10minである。例えば、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60g/10min、100g/10min、200g/10min、450g/10min、500g/10min、1000g/10min、1500g/10min、2000g/10min、3000g/10min、4000g/10min、5000g/10min、6000g/10min、7000g/10min、7500g/10min、8000g/10min又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0164】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは100-8000g/10minであってもよく、好ましくは1000-7500g/10minであり、より好ましくは1900-7500g/10minである。
【0165】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは0.1-8000g/10minである。例えば、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは0.1g/10min、1g/10min、1.5g/10min、3g/10min、10g/10min、20g/10min、30g/10min、40g/10min、45g/10min、50g/10min、55g/10min、60g/10min、70g/10min、80g/10min、90g/10min、100g/10min、450g/10min、500g/10min、800g/10min、1000g/10min、1500g/10min、1900g/10min、2500g/10min、3000g/10min、4000g/10min、5000g/10min、6000g/10min、7000g/10min、8000g/10min又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0166】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは3-55g/10min又は450-8000g/10minであってもよく、好ましくは3-45g/10min又は1900-8000g/10minである。
【0167】
本発明の異なる実施形態において、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートを特に限定せず、所望の性能に応じて前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートを選択することができる。特に、本願の発明者らは、本発明の製造条件(例えば、メルトフローレート)に基づいて表面品質性能及び総合性能がいずれも高い熱可塑性複合材料を製造して得ることができることを発見した。例えば、前記第一熱可塑性樹脂のメルトフローレートは前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートよりも高い場合、これにより熱可塑性複合材料は改善された力学的性質を有することができる。逆に、前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートは前記第一熱可塑性樹脂のメルトフローレートよりも高い場合、熱可塑性複合材料は改善された光沢度を有することができる。
【0168】
本発明に記載の製造方法のいくつかの好ましい実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-450g/10minであり、例えば、60-200g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは3-55g/10min又は450-8000g/10minである。いくつかの具体的な実施形態において、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-450g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは800-8000g/10minである。
【0169】
本発明に記載の製造方法の他の好ましい実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは450g/10min以上であり、特に450g/10minより大きく、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは100g/10minより小さく、好ましくは1.5-55g/10minであり、より好ましくは3-50g/10minである。
【0170】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記第二熱可塑性樹脂と前記第一熱可塑性樹脂の重量比は0.05-12.5:1である。例えば、前記第二熱可塑性樹脂と前記第一熱可塑性樹脂の重量比は0.05:1、0.1:1、0.14:1、0.15:1、0.18:1、0.2:1、0.25:1、0.3:1、0.5:1、0.8:1、1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.7:1、2:1、2.5:1、3:1、3.5:1、4:1、5:1、8:1、10:1、12.5:1又はそれらで構成された範囲であってもよい。
【0171】
いくつかの好ましい実施形態において、前記第二熱可塑性樹脂と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.14-4:1であってもよく、好ましくは0.14-3.5:1である。
【0172】
本発明に記載の製造方法の好ましい実施形態によれば、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートが800-8000g/10minである場合、前記第二熱可塑性樹脂と第一熱可塑性樹脂の重量比は0.25:1より小さく、好ましくは0.18:1より小さく、より好ましくは0.15:1より小さい。
【0173】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂がナイロン6、ナイロン66、ナイロン6及びナイロン66の混合物から選択される少なくとも一種である場合、選択されたナイロン6及びナイロン66の粘度は1.8-3.5である。
【0174】
本発明に記載の製造方法の具体的な実施形態によれば、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂は自製されてもよく、市販されてもよい。
【0175】
例えば、中国石化揚子石化公司から購入された商品名がPPB-M100-GHであるポリプロピレン樹脂、中国石化華東分公司から購入された商品名がM60RHCであるポリプロピレン樹脂、中国石化巴陵分公司から購入された商品名がPA6-BL3200Hであるナイロン6を前記第一熱可塑性樹脂として採用することができる。
【0176】
例えば、中国石化揚子石化公司から購入された商品名がPPB-M100-GHであり、中国石化茂名分公司から購入された商品名がPPH-T03であるポリプロピレン樹脂、中国石化華東分公司から購入された商品名がM50RHであるポリプロピレン樹脂、燕山石化公司から購入された商品名がK8303であるポリプロピレン樹脂、湖南盛錦新材料有限公司から購入された商品名がPF1500であるポリプロピレン樹脂、又は中国石化石家庄錬化分公司から購入された商品名がPPH-Y450であるポリプロピレン樹脂、中国石化巴陵分公司から購入された商品名がPA6-BL3200Hであるナイロン6を前記第二熱可塑性樹脂として採用することができる。
【0177】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記繊維束はガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、芳香族ポリアミド繊維、ステンレス繊維、合成樹脂繊維及び鉱物繊維から選択される少なくとも一種である。
【0178】
本発明に記載の製造方法の好ましい実施形態によれば、前記ガラス繊維は連続ガラス繊維及び/又は定長ガラス繊維である。
【0179】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、それぞれ前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂の質量100重量部に対して、前記第一助剤及び第二助剤はそれぞれ独立して0.5-15重量部の相溶化剤、0.05-3重量部の酸化防止剤及び0.05-2.5重量部の潤滑剤のうちの少なくとも一種を含む。好ましくは、前記第一助剤及び第二助剤はそれぞれ独立して1-15重量部、好ましくは1-6重量部、より好ましくは3-6重量部の相溶化剤、0.1-1重量部、好ましくは0.1-0.5重量部の酸化防止剤及び0.5-2.5重量部の潤滑剤のうちの少なくとも一種を含む。
【0180】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記相溶化剤は極性モノマーグラフト変性ポリマーから選択される少なくとも一種である。好ましくは、前記極性モノマーは無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体、アクリル酸及びアクリル酸エステル系誘導体から選択される少なくとも一種である。
【0181】
好ましくは、前記ポリマーはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-α-オレフィン共重合体及びプロピレン-α-オレフィン(プロピレン以外のα-オレフィン)から選択される少なくとも一種である。
【0182】
本発明に記載の製造方法のいくつかの実施形態によれば、前記潤滑剤はエチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル、シリコーン、ポリエチレングリコール及びフッ素含有樹脂から選択される少なくとも一種である。
【0183】
本発明の異なる実施形態において、前記第一助剤はさらに滑剤、帯電防止剤及び可塑剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、前記第二助剤はさらに滑剤、帯電防止剤、可塑剤、核形成剤、光安定剤、膨張難燃剤、熱安定剤、マスターバッチ、帯電防止剤及び充填剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、かつ該複数種の助剤の具体的な種類及び使用量を限定せず、使用量は広い範囲内で選択することができる。
【0184】
本発明のいくつかの実施形態において、本発明の製造方法は図2又は図3に示すような熱可塑性複合材料製造システムにおいて行われ、該熱可塑性複合材料製造システムの具体的な構造及び接続方式は具体的な実施形態の部分で説明する。
【0185】
本発明の第三態様は上記熱可塑性複合材料、上記製造方法で製造された熱可塑性複合材料の自動車工業、機械製造、電子電気製品、化学工業環境保護、宇宙通信及び建築業界の分野における応用を提供し、好ましくは大型自動車部品及び/又は高精密電子電気素子における応用であり、より好ましくは自動車フロントエンドモジュール及び/又は全プラスチック尾部ドア内板における応用である。ただし、これらに限られるものではない。
【0186】
本発明の有益な効果
1、本発明で製造された熱可塑性複合材料はコア層及び外層の複合構造を有し、該複数種の材料の複合系設計に基づいて内層材料と外層材料との間に異なる成分間の性能相乗効果を実現することができ、熱可塑性複合材料の加工性能及び射出成形時の繊維と樹脂基体との間の潤滑性を効果的に改善し、かつ繊維の樹脂基体溶融体での流動性を向上させ、さらに両者の間の接着状態を改善し、両者の間の分離状態を減少させ、かつ材料系全体の流動性を向上させ、製造された熱可塑性複合材料の総合性能及び表面品質を大幅に向上させ、同時に射出成形プロセスへの要求を低下させ、熱可塑性複合材料の応用範囲を拡張し、広い応用の将来性及び経済的意義を有する。
【0187】
2、本発明の熱可塑性複合材料はコストが低く、射出成形周期が短く、製品の寸法安定性が高く、材料強度が高く、使用時に二次混合を必要とせず、かつ第一成分及び/又は第二成分、特に第二成分(樹脂層)に機能性材料を添加することができ、適用性が広い。さらに、本発明の熱可塑性複合材料材料の外層材料は繊維を含まなくてもよく、表面品質性能が高いという利点を有し、表面に浮遊繊維がなく、向上した光沢度を有する。
【0188】
〔図面の簡単な説明〕
図面の説明は本発明をさらに理解するために用いられ、かつ明細書の一部を構成し、以下の具体的な実施形態と共に本発明を説明するために用いられるが、本発明を限定するものではない。図面において、
図1:本発明の一実施形態の熱可塑性複合材料の構造概略図である。
図2:本発明の一実施形態における熱可塑性複合材料の製造システムの構造概略図である。
図3:本発明の別の実施形態における熱可塑性複合材料の製造システムの構造概略図である。
図4:本発明の一実施形態における第一浸漬金型の断面図である。
図5:本発明の一実施形態における第二浸漬金型の断面図である。
図6:本発明の一実施形態における第三浸漬金型の断面図である。
図7:本発明の一実施形態における第二浸漬処理の概略図である。
図8:本発明の一実施形態に係る第二浸漬処理に用いられる成形型の断面図である。
【0189】
〔符号の説明〕
0-1:コア層、0-2:繊維束、0-3:樹脂層、
1:繊維フレーム及び繊維ガイド装置、2:繊維前処理装置、3:第一浸漬金型、4:溶融可塑化供給装置、5:成形金型、6:冷却水槽、7:乾燥機、8:引取機、9:造粒機、10:収集箱、
A300:第一浸漬金型ダイヘッド、A1:繊維入口、A2:第二スライド溝、A3:溶融体流路、A4:第一スライド溝、A5:上型カバー、A6:繊維出口、A7:浸漬金型本体、A8:第一ゴデットローラ、
B300:第二浸漬金型ダイヘッド、B1:繊維入口、B2:溶融体流路、B3:第一モジュール、B31:第一モジュール流路、B4:組み合わせ流路、B5:標準化継手、B6:中間モジュール、B61:中間モジュール流路、B7:第二モジュール、B71:第二モジュール流路、B8:繊維出口、
C300:第三浸漬金型ダイヘッド、C1:溶融体ニップ流路、C2:浸漬金型外体、C3:繊維入口通路、C4:主動ゴデットローラ、C5:従動ゴデットローラ、C6:浸漬出口、
4-1:押出機I、4-2:押出機II、
5-1:コア部、5-2:外側スリーブ、5-3:外側スリーブ口型枠、5-4:ストランド、5-5:第二樹脂入口。
【0190】
〔発明を実施するための形態〕
本発明をより理解しやすくするために、以下に実施例を結合して本発明を詳細に説明し、これらの実施例は例示的な作用のみを果たし、本発明の応用範囲に限定されるものではない。
【0191】
本発明の試験方法及び試験に用いられる設備は以下のとおりである。
【0192】
(1)引張強度試験はISO527-2規格に準拠して測定し、引張速度は5mm/minである。
【0193】
(2)曲げ強度試験はISO178規格に準拠して測定し、曲げ速度は2mm/minである。
【0194】
(3)ノッチ衝撃強度試験は、ISO179に準拠して測定した。
【0195】
(4)表面光沢度試験は、ISO2813に準拠して測定した。
【0196】
(5)体積抵抗率:GB/T 1410-2006に規定された方法に準拠して測定した。
【0197】
本発明に用いられる一部の試薬の供給源は以下のとおりである。
【0198】
(1)PPB-M100-GH、メルトフローレートは100g/10minであり、試験条件は230℃、2.16Kgの負荷であり、中国石化揚子石化公司製。
【0199】
(2)PF1500、メルトフローレートは1500g/10minであり、試験条件は230℃、2.16Kgの負荷であり、湖南盛錦新材料有限公司製。
【0200】
(3)PPH-Y450、メルトフローレートは450g/10minであり、試験条件は230℃、2.16Kgの負荷であり、中国石化石家庄錬化分公司製。
【0201】
(4)BL3200H、粘度が1.8であり、中国石化巴陵分公司製。
【0202】
(5)SE4805、無アルカリガラス繊維であって、直径が17μmであり、線密度が2400texであり、オーウェンスコーニング(上海)ガラス繊維有限公司製。
【0203】
(6)ER4301H、無アルカリガラス繊維であって、直径が17μmであり、線密度が2400texであり、重慶国際複合材料コフン有限公司製。
【0204】
(7)T700SC、炭素繊維、トウ1200-50C、東レ社製。
【0205】
(8)玄武岩繊維、単繊維直径が12μmであり、牡丹江金石玄武岩繊維有限公司製。
【0206】
(9)PP-g-MAH、商品名がBONDYRAM 1001であり、Polyram Plastic Industries Ltd製。
【0207】
(10)POE-g-MAH、商品名がCMG9805であり、上海日之昇科技有限公司製。
【0208】
(11)NDZ12、南京曙光化工グループ有限公司製。
【0209】
(12)XHY-501、南京優普化工有限公司製。
【0210】
(13)酸化防止剤1010、BASF社製。
【0211】
(14)酸化防止剤168、BASF社製。
【0212】
(15)XH-201、祥和塗料グループ製。
【0213】
(16)ポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレート、230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートが5.47g/10minであり、グラフト状態にある構造単位の含有量が4.05%であり、グラフト効率が85%である。
【0214】
(17)ポリプロピレン-g-スチレン、230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートが6.37g/10minであり、グラフト状態にある構造単位の含有量が4.74%であり、グラフト効率が52%である。
【0215】
(18)ポリプロピレン-g-ビニルトリエトキシシラン、230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートが1.15g/10minであり、グラフト状態にあるシラン系モノマー構造単位の含有量が1.03%である。
【0216】
(19)ポリプロピレン-g-スチレン/無水マレイン酸、北京化工研究院により自製される。230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートが5.84g/10minであり、無水マレイン酸単量体及びアルケニル基含有重合性モノマーに由来するグラフト状態にある構造単位の含有量が0.84%であり、グラフト効率が23%である。
【0217】
(20)ポリプロピレン-g-ビニルイミダゾール、230℃、2.16kgの荷重でのメルトフローレートが7.98g/10minであり、グラフト状態にある構造単位のビニルイミダゾール含有量が3.45%であり、モノマーグラフト効率が46%である。
【0218】
以下に図面を参照して本発明をさらに説明する。
【0219】
図1は本発明の熱可塑性複合材料の構造を示す。図1に示すように、本発明の熱可塑性複合材料の横断面は円形であり、内から外へ順にコア層0-1及び樹脂層0-3を含み、コア層0-1内に縦方向に沿って配向する繊維束0-2が分布し、かつ繊維束0-2はコア層0-1内に均一に分散する。
【0220】
図2及び図3に示すように、本発明の製造システムは順に接続された繊維フレーム及び繊維ガイド装置1、繊維前処理装置2、第一浸漬金型3、溶融可塑化供給装置4、成形金型5、冷却水槽6、乾燥機7、引取機8、造粒機9、収集箱10及び電気制御システム(図示せず)を含む。
【0221】
製造システムにおいて、成形金型5は内外層複合構造複合材料の成形に用いられ、その構造は図8に示すとおりである。
【0222】
製造システムにおいて、第一浸漬金型3は繊維と樹脂溶融体の浸潤に用いられる。
【0223】
図4に示すように、そのうちの一つの実施形態において、第一浸漬金型はゴデットローラの位置を調整可能な浸漬装置であり、第一浸漬金型ダイヘッドA300を含み、第一浸漬金型ダイヘッドA300は浸漬金型本体A7、繊維入口A1、繊維出口A6及び溶融体流路A3を含む。キャビティ内に少なくとも一つの第一ゴデットローラA8が設置され、ここで、第一ゴデットローラA8は繊維入口A1と繊維出口A6との間に移動することができ、又は、第一ゴデットローラA8は繊維入口A1と繊維出口A6との接続線に垂直な方向に沿って移動することができ、さらに又は、第一ゴデットローラA8は繊維入口A1と繊維出口A6との間に移動するだけでなく繊維入口A1と繊維出口A6との接続線に垂直な方向に沿って移動することができる。
【0224】
矩形の第一浸漬金型ダイヘッドA300を例にして、第一浸漬金型ダイヘッドA300に複数の第一ゴデットローラA8が設置され、各第一ゴデットローラA8の軸方向は第一浸漬金型ダイヘッドA300の幅方向であり、したがって各第一ゴデットローラA8はいずれも第一浸漬金型ダイヘッドA300の長さ方向に沿って移動することができ、高さ方向に沿って移動することもでき、それにより第一ゴデットローラA8の第一浸漬金型ダイヘッドA300内での位置を変更する。
【0225】
理解できるように、第一ゴデットローラA8の軸方向はさらに第一浸漬金型ダイヘッドA300の長さ方向であってもよく、この時に各第一ゴデットローラA8はいずれも第一浸漬金型ダイヘッドA300の幅方向に沿って移動することができ、第一浸漬金型ダイヘッドA300の高さ方向に沿って移動することもでき、それにより第一ゴデットローラA8の第一浸漬金型ダイヘッドA300内での位置を変更する。
【0226】
繊維(繊維束)が第一浸漬金型ダイヘッドA300内のキャビティ内で走行する時、それは順次にキャビティ内の第一ゴデットローラA8を迂回する必要があるため、第一ゴデットローラA8の第一浸漬金型ダイヘッドA300内での位置(水平位置、縦方向位置等)を変更することにより、繊維のキャビティ内での走行経路を変更することができ、それにより繊維に必要な浸漬条件が変更する時、新たな金型を交換する必要がなく第一ゴデットローラA8の第一浸漬金型ダイヘッドA300内での位置を調整するだけでよく、それにより生産効率及び生産の連続性を向上させる。同時に第一浸漬金型ダイヘッドA300の数を減少させ、製造コストを節約することができる。
【0227】
具体的には、本発明の発明構想は第一浸漬金型ダイヘッドA300のキャビティ内壁に溝を開ける方式で第一ゴデットローラA8の位置を調整する目的を実現することである。
【0228】
第一浸漬金型ダイヘッドA300の第一内壁に第一スライド溝A4が設置され、第一スライド溝A4は繊維入口A1と繊維出口A6との間に延在し(すなわち図4に示すX軸方向)、第一ゴデットローラA8は第一スライド溝A4に沿って移動することによりその第一浸漬金型ダイヘッドA300内の水平位置を変更する。
【0229】
さらに、第一浸漬金型ダイヘッドA300の第一内壁にさらに第二スライド溝A2が設置され、第二スライド溝は第一スライド溝A4に垂直な方向(すなわち図4に示すY軸方向)に沿って延在し、第一ゴデットローラA8は第二スライド溝A2に沿って移動することによりそのダイヘッド内での垂直位置を変更する。
【0230】
なお、第一スライド溝A4と第二スライド溝A2は連通してもよい。これにより、第一ゴデットローラA8は縦方向又は横方向に沿って任意に移動することができ、それによりその位置を変化させる。
【0231】
ここで、第一スライド溝A4及び第二スライド溝A2の横断面は台形、円形、円弧状又は矩形等の形状であってもよく、本発明はそれを限定しない。
【0232】
第一ゴデットローラA8の両端にはいずれも調整装置(図示せず)が設置され、調整装置は第一ゴデットローラA8の軸方向長さを調整するために用いられ、ここで、第一ゴデットローラA8の最小軸方向長さは第一内壁と第二内壁との間の間隔より小さく、第一ゴデットローラA8の最大軸方向長さは第一内壁と第二内壁との間の間隔より大きい。
【0233】
図5に示すように、本発明の別の実施形態において、第二浸漬金型は組み合わせ式浸漬金型であり、第二浸漬金型ダイヘッドB300を含み、第二浸漬金型ダイヘッドB300は順に接続された第一モジュールB3、中間モジュールB6及び第二モジュールB7を含む。ここで、第一モジュールB3には繊維入口B1及び第一モジュール流路B31が設置され、第二モジュールB7には繊維出口B8及び第二モジュール流路B71が設置され、中間モジュールB6には中間モジュール流路B61が設置されている。
【0234】
第一モジュールB3、中間モジュールB6及び第二モジュールB7を順に接続した後、第一モジュール流路B31、中間モジュール流路B61及び第二モジュール流路B71を連通して繊維を通過させるための組み合わせ流路B4を形成し、ここで、中間モジュールB6の数は少なくとも一つである。すなわち第一モジュールB3は先頭モジュールであり、第二モジュールB7は尾部モジュールであり、両者の間に一つ又は複数の中間モジュールB6を有する。なお、これらの中間モジュールB6も順に接続される。
【0235】
つまり、中間モジュールB6の数は必要に応じて増加するか又は減少することができ、それにより浸漬要件条件が変化する場合、異なる中間モジュールB6を組み合わせて組み合わせ式第二浸漬金型ダイヘッドB300を形成することを選択し、それにより製造の連続性及び製造効率を向上させ、余分の金型作製のコストを節約することができる。
【0236】
さらに、異なる中間モジュールB6を選択することにより、形成された組み合わせ流路B4の形状パラメータ(例えば曲率など)を変更することができ、それにより繊維及び溶融体の流動経路を変更することができ、繊維の金型の異なるステーションでの浸漬角度及び繊維張力を変更することができ、最終的に繊維の浸漬過程全体を調整し最適化するという目的を達成し、かつ第二浸漬金型ダイヘッドB300の異なる樹脂基体及び繊維に対する適応性を向上させる。
【0237】
上記第一モジュールB3、中間モジュールB6及び第二モジュールB7を型枠に入れ、型枠の拘束作用によりそれを互いに密着させ、それにより形成された組み合わせ流路B4の密封性を保証する。
【0238】
図5に示すように、2つの中間モジュールB6を有する実施形態が示されている。図5に示す実施形態では、第一モジュール流路B31の下流端はそのうちの一つの中間モジュール流路B61の上流端に接続され、二つの中間モジュール流路B61は互いに接続され、かつ他の中間モジュール流路B61の下流部は第二中間モジュール流路B71の上流端に接続され、これにより繊維入口B1から繊維出口B8まで延在する組み合わせ流路B4を形成する。
【0239】
理解できるように、異なる中間モジュールB6を選択することにより、異なる組み合わせ流路B4を得ることができる。
【0240】
図5に示すように、第一モジュール流路B31の下流端、第二モジュール流路B71の上流端及び中間モジュール流路B61の両端はいずれも同一平面内に位置し、かつ標準化継手B5が配置されている。換言すれば、第一モジュール流路B31、中間モジュール流路B61及び第二モジュールB71の相互間の接続部は標準化継手B5により接続されている。標準化継手B5がいずれも同一平面内に位置し、かつ標準化継手B5の形状及び寸法がいずれも同じであるため、異なるモジュールの間の組み合わせ接続が容易になる。
【0241】
図6に示すように、本発明の別の実施形態において、第三浸漬金型は強い乱流浸漬金型であり、第三浸漬金型ダイヘッドC300を含み、第三浸漬金型ダイヘッドC300は浸漬金型外体C2を含み、浸漬金型外体C2に繊維入口通路C3、浸漬出口C6及び溶融体ニップ流路C1が設置され、繊維入口通路C3、浸漬出口C6及び溶融体ニップ流路C1はいずれも浸漬金型外体C2内部のキャビティに連通する。
【0242】
ここで、浸漬金型外体C2のキャビティ内に第二ゴデットローラが設置され、第二ゴデットローラは少なくとも一つの能動ゴデットローラC4を含み、能動ゴデットローラC4は駆動装置(図示せず)により回転駆動される。能動ゴデットローラC4の回転は駆動装置により駆動され、繊維の引取により駆動されるものではないため、繊維が能動ゴデットローラC4を通過する時、能動的に回転する能動ゴデットローラC4は繊維の引取張力及び繊維と能動ゴデットローラC4との間の摩擦力を減少させることに役立ち、それにより繊維の破断量を減少させ、繊維の完全性を保証し、繊維が切れる状況を回避し、それにより材料の力学的性質を向上させる。好ましくは、第二ゴデットローラはさらに少なくとも一つの従動ゴデットローラC5を含み、従動ゴデットローラC5は能動ゴデットローラC4を通過した繊維により駆動され、又は従動ゴデットローラC5と能動ゴデットローラC4はベルト機構、歯車機構又はチェーン機構により接続される。図6に示すように、一つの能動ゴデットローラC4及び2つの従動ゴデットローラC5を有する例を示し、ここで2つの従動ゴデットローラC5が上下に配置されることにより、それを通過する繊維の浸漬経路を延長する。主動ゴデットローラC4と従動ゴデットローラC5のキャビティ内での高さは同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0243】
さらに、駆動装置はモータ、油圧機構又は減速ギアボックスなどの能動ゴデットローラC4を回転駆動することができる装置であってもよい。
【0244】
浸漬金型外体C2のキャビティ内に入る繊維の走行速度v1に基づいて、対応する能動ゴデットローラC4の接線速度v2を選択することができ、例えば能動ゴデットローラC4の接線速度v2と繊維の走行速度v1を同じにし、すなわちv1=v2にし、それにより繊維の断裂及び摩耗を減少させるという目的を達成し、したがって繊維の完全性を保証しかつ繊維の浸漬度を促進し、浸漬時間を短縮し、生産効率を向上させることができる。
【0245】
図2に示すように、溶融可塑化供給装置4は一台の二軸スクリュー押出機で構成され、材料を溶融可塑化するために用いられる。二軸スクリュー押出機は同方向二軸スクリュー押出機であり、スクリューの直径は25mm-95mmであり、アスペクト比は36:1-65:1である。溶融可塑化供給装置4は一台の押出機4で構成される場合、溶融体分配器により押出機内の溶融可塑化された溶融体を分流し、それぞれ浸漬金型と成形金型に入り、溶融体流量制御弁を利用してそれぞれの流量を制御する。
【0246】
図3に示すように、溶融可塑化供給装置4は二台の押出機4-1及び4-2で構成される場合、押出機I4-1及び押出機II4-2によりそれぞれの溶融可塑化された溶融体をそれぞれ浸漬金型及び成形金型に入れる。本実施形態において、溶融可塑化供給装置は二台の押出機、すなわち押出機I4-1及び押出機II4-2で構成され、押出機I4-1及び押出機II4-2によりそれぞれの溶融可塑化された溶融体をそれぞれ第一浸漬金型3及び成形金型5に入れる。押出機I4-1と押出機II4-2は同じ又は異なる材料を添加することができ、したがって内層と外層が同じ又は異なる材料の複合材料を製造することができる。
【0247】
繊維前処理装置2はテンションローラと加熱乾燥通路を組み合わせる方式で構成され、このような組み合わせ方式により繊維が加熱乾燥通路に入る時に受けた張力がある程度解放され、それにより異なる強度の繊維に適応し、自身の強度が小さい繊維が浸漬ダイヘッドに入る前に糸が切れることを回避する。表面粗さを向上させ、繊維への摩擦を低減するために、繊維前処理装置2におけるテンションローラの表面に表面セラミックメッキ処理を行う必要がある。
【0248】
製造システムにおいて、繊維フレーム及び繊維ガイド装置1は繊維の導出及び解撚に用いられ、該装置に自動制御解撚装置が取り付けられ、引取機8に連動し、それぞれ電気制御システム(例えばPLC制御装置)に電気的に接続される。
【0249】
製造システムにおいて、冷却水槽6、乾燥機7、引取機8、造粒機9、収集箱10は当業者に知られている一般的な設備又は装置であり、ここでは説明を省略する。
【0250】
図7は成形金型を用いて第二浸漬処理を行う概略図を示し、図8は第二浸漬処理に用いられる成形金型の断面図を示す。
【0251】
図8に示すように、一実施形態において、成形金型5はコア部5-1、外側スリーブ5-2、外側スリーブ口型枠5-3で構成される。コア部5-1は外側スリーブ5-2の内部に位置し、外側スリーブ5-2とキャビティを形成し、樹脂溶融体は外側スリーブ5-2の底部又は頂部又は二つの側面からキャビティに入ることができる。コア部5-1は外側スリーブ5-2内に前後に移動することができ、形成されたキャビティ空間の大きさを調整することによりキャビティ内の溶融体の圧力を決定する。コア部5-1と外側スリーブ5-2との間の夾角の大きさによりキャビティ内の溶融体の圧力を調整することができる。該成形金型5の動作原理は以下のとおりである。浸漬金型3を経過した後に内層浸漬材料のストランドを形成し、コア部5-1の中間の孔からガイドされ貫通し、次に、コア部5-1と外側スリーブ5-2で形成された混合溶融体で満たされたキャビティ内に内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に外側スリーブ口型枠5-3により導出される。
【0252】
図7に示すように、ストランド5-4はコア部(図示せず)と外側スリーブ5-2で形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティ内に入って処理を行い、ここで、第二成分溶融体は第二樹脂入口5-5からキャビティ内に送り込まれる。
【0253】
以下の実施例及び比較例において、図3に示す製造システムを採用して熱可塑性複合材料を製造し、ここで、第一浸漬処理は図4に示す第一浸漬金型を選択し、第二浸漬処理は図8に示す成形金型を採用する。
【0254】
〔実施例1〕
(1)乾燥した50重量部のPPB-M100-GHポリプロピレン樹脂(メルトフローレートが100g/10minである)、3重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、第一成分溶融体を得て、第一浸漬金型に送り込む。
【0255】
(2)30重量部のガラス繊維SE4805は引取機により第一浸漬金型に入り、ここで第一成分溶融体と浸潤分散を行い、ストランドを形成し、それを内層材料とする。
【0256】
(3)乾燥した49重量部のPPH-Y450ポリプロピレン樹脂(メルトフローレートが450g/10minである)、3重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とし、成形金型に接続された二軸スクリュー押出機に送り込み、第二成分溶融体を得る。
【0257】
(4)内層材料は引取機により成形金型に入り、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、コア部と外側スリーブで形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティにおいて、内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に金型出口から導出される。
【0258】
(5)外層材料用の押出機の押出量及び金型口金の出口直径を調整することにより外層材料の被覆量を調整することにより、それをステップ(3)に限定された量に応じて被覆し、造粒機のカッターの回転速度を調整することにより、製造された熱可塑性複合材料の造粒長さを6.1mmに制御する。
【0259】
(6)上記方法で製造されたポリプロピレン複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0260】
〔実施例2〕
(1)乾燥した20重量部の自製された高流動ポリプロピレン(メルトフローレートが1000g/10minである)、0.6重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、第一成分溶融体を得て、第一浸漬金型に送り込む。
【0261】
(2)50重量部のガラス繊維SE4805は引取機により第一浸漬金型に入り、ここで溶融体と浸潤分散を行い、ストランドを形成し、それを内層材料とする。
【0262】
(3)乾燥した59重量部のPPH-T03ポリプロピレン樹脂(メルトフローレート3g/10min)、3重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とし、成形金型に接続された二軸スクリュー押出機に送り込み、第二成分溶融体を得る。
【0263】
(4)内層材料は引取機により成形金型に入り、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、コア部と外側スリーブで形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティにおいて、内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に金型出口から導出される。
【0264】
(5)外層材料用の押出機の押出量及び金型口金の出口直径を調整することにより外層材料の被覆量を調整することにより、それをステップ(3)に限定された量に応じて被覆し、造粒機のカッターの回転速度を調整することにより、製造された熱可塑性複合材料の造粒長さを15mmに制御する。
【0265】
(6)上記方法で製造されたポリプロピレン複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0266】
〔実施例3〕
(1)乾燥した20重量部の自製された高流動ポリプロピレン(メルトフローレートが7500g/10minである)、0.6重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、第一成分溶融体を得て、第一浸漬金型に送り込む。
【0267】
(2)80重量部のガラス繊維SE4805は引取機により第一浸漬金型に入り、ここで溶融体と浸潤分散を行い、ストランドを形成し、それを内層材料とする。
【0268】
(3)乾燥した69重量部のK8303ポリプロピレン樹脂(メルトフローレートが1.5g/10minである)、3重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とし、成形金型に接続された二軸スクリュー押出機に送り込み、第二成分溶融体を得る。
【0269】
(4)内層材料は引取機により成形金型に入り、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、コア部と外側スリーブで形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティにおいて、内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に金型出口から導出される。
【0270】
(5)外層材料用の押出機の押出量及び金型口金の出口直径を調整することにより外層材料の被覆量を調整することにより、それをステップ(3)に限定された量に応じて被覆し、造粒機のカッターの回転速度を調整することにより、製造された熱可塑性複合材料の造粒長さを18mmに制御する。
【0271】
(6)上記方法で製造されたポリプロピレン複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0272】
〔実施例4〕
(1)乾燥した70重量部のPPB-M100-GH(メルトフローレートが100g/10minである)、3重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、第一成分溶融体を得て、第一浸漬金型に送り込む。
【0273】
(2)25重量部のガラス繊維SE4805は引取機により第一浸漬金型に入り、ここで溶融体と浸潤分散を行い、ストランドを形成し、それを内層材料とする。
【0274】
(3)乾燥した10重量部の自製された高流動ポリプロピレン(メルトフローレートが1900g/10minである)、0.5重量部のBONDYRAM 1001、0.05重量部の酸化防止剤1010、0.25重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とし、成形金型に接続された二軸スクリュー押出機に送り込み、第二成分溶融体を得る。
【0275】
(4)内層材料は引取機により成形金型に入り、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、コア部と外側スリーブで形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティにおいて、内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に金型出口から導出される。
【0276】
(5)外層材料用の押出機の押出量及び金型口金の出口直径を調整することにより外層材料の被覆量を調整し、それをステップ(3)に限定された量に応じて被覆し、造粒機のカッターの回転速度を調整することにより、製造された熱可塑性複合材料の造粒長さを5mmに制御する。
【0277】
(6)上記方法で製造されたポリプロピレン複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0278】
〔実施例5〕
(1)乾燥した57重量部のM60RHCポリプロピレン樹脂(メルトフローレートが60g/10minである)、2.5重量部のBONDYRAM 1001、0.5重量部のNDZ12、0.1重量部の酸化防止剤168、0.25重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、第一成分溶融体を得て、第一浸漬金型に送り込む。
【0279】
(2)40重量部のガラス繊維SE4805は引取機により第一浸漬金型に入り、ここで溶融体と浸潤分散を行い、ストランドを形成し、それを内層材料とする。
【0280】
(3)乾燥した97重量部のM50RHポリプロピレン樹脂(メルトフローレートが50g/10minである)、4重量部のBONDYRAM 1001、0.8重量部のNDZ12、0.1重量部の酸化防止剤168、0.8重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とし、成形金型に接続された二軸スクリュー押出機に送り込み、第二成分溶融体を得る。
【0281】
(4)内層材料は引取機により成形金型に入り、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、コア部と外側スリーブで形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティにおいて、内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に金型出口から導出される。
【0282】
(5)外層材料用の押出機の押出量及び金型口金の出口直径を調整することにより外層材料の被覆量を調整することにより、それをステップ(3)に限定された量に応じて被覆し、造粒機のカッターの回転速度を調整することにより、製造された熱可塑性複合材料の造粒長さを10mmに制御する。
【0283】
(6)上記方法で製造されたポリプロピレン複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0284】
〔実施例6〕
(1)乾燥した57重量部のPA6-BL3200H、3重量部のCMG9805、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、第一成分溶融体を得て、第一浸漬金型に送り込む。
【0285】
(2)ER4301Hは引取機により第一浸漬金型に入り、ここで第一成分溶融体と浸潤分散を行い、ストランドを形成し、それを内層材料とする。
【0286】
(3)乾燥した97重量部のPA6-BL3200H、3重量部のCMG9805、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とし、成形金型に接続された二軸スクリュー押出機に送り込み、第二成分溶融体を得る。
【0287】
(4)内層材料は引取機により成形金型に入り、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、コア部と外側スリーブで形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティにおいて、内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に金型出口から導出される。
【0288】
(5)外層材料用の押出機の押出量及び金型口金の出口直径を調整することにより外層材料の被覆量を調整することにより、それをステップ(3)に限定された量に応じて被覆し、造粒機のカッターの回転速度を調整することにより、製造された熱可塑性複合材料の造粒長さを12mmに制御する。複合材料において、ER4301Hの割合は40重量%である。
【0289】
(6)上記方法で製造された長ガラス繊維強化PA6複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0290】
〔実施例7〕
(1)乾燥した57重量部のPPB-M100-GH、3重量部のBONDYRAM 1001、0.5重量部のXHY-501、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、第一成分溶融体を得て、第一浸漬金型に送り込む。
【0291】
(2)連続玄武岩繊維は引取機により第一浸漬金型に入り、ここで第一成分溶融体と浸潤分散を行い、ストランドを形成し、それを内層材料とする。
【0292】
(3)乾燥した97重量部のPPB-M100-GH、3重量部のBONDYRAM 1001、0.5重量部のXHY-501、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とし、成形金型に接続された二軸スクリュー押出機に送り込み、第二成分溶融体を得る。
【0293】
(4)内層材料は引取機により成形金型に入り、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、コア部と外側スリーブで形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティにおいて、内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に金型出口から導出される。
【0294】
(5)外層材料用の押出機の押出量及び金型口金の出口直径を調整することにより外層材料の被覆量を調整することにより、それをステップ(3)に限定された量に応じて被覆し、造粒機のカッターの回転速度を調整することにより、製造された熱可塑性複合材料の造粒長さを12mmに制御する。複合材料において、連続玄武岩繊維の割合は40重量%である。
【0295】
(6)上記方法で製造された玄武岩繊維強化PP複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0296】
〔実施例8〕
(1)乾燥した57重量部のPA6-BL3200H、3重量部のBONDYRAM 1001、0.5重量部のNDZ12、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、第一成分溶融体を得て、第一浸漬金型に送り込む。
【0297】
(2)連続炭素繊維は引取機により第一浸漬金型に入り、ここで第一成分溶融体と浸潤分散を行い、ストランドを形成し、それを内層材料とする。
【0298】
(3)乾燥した97重量部のPA6-BL3200H、3重量部のBONDYRAM 1001、0.5重量部のNDZ12、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とし、成形金型に接続された二軸スクリュー押出機に送り込み、第二成分溶融体を得る。
【0299】
(4)内層材料は引取機により成形金型に入り、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、コア部と外側スリーブで形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティにおいて、内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に金型出口から導出される。
【0300】
(5)外層材料用の押出機の押出量及び金型口金の出口直径を調整することにより外層材料の被覆量を調整することにより、それをステップ(3)に限定された量に応じて被覆し、造粒機のカッターの回転速度を調整することにより、製造された熱可塑性複合材料の造粒長さを12mmに制御する。複合材料において、連続炭素繊維の割合は40重量%である。
【0301】
(6)上記方法で製造された炭素長繊維強化PA6複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0302】
〔実施例9〕
実施例1の製造過程と同じであり、異なる点は、ステップ(1)において70重量部のPPB-M100-GHを秤量し、ステップ(3)において85重量部のPPH-Y450を秤量することにある。製造された複合材料に対して性能試験を行い、試験結果は表1に示すとおりである。
【0303】
〔実施例10〕
実施例1の製造過程と同じであり、異なる点は、ステップ(1)において45重量部のPPB-M100-GHを秤量し、ステップ(3)において65重量部のPPH-Y450を秤量することにある。製造された複合材料に対して性能試験を行い、試験結果は表1に示すとおりである。
【0304】
〔実施例11〕
実施例1の製造過程と同じであり、異なる点は、ステップ(1)において25重量部のPPB-M100-GHを秤量し、ステップ(3)において45重量部のPPH-Y450を秤量することにある。製造された複合材料に対して性能試験を行い、試験結果は表1に示すとおりである。
【0305】
〔実施例12〕
実施例1の製造過程と同じであり、異なる点は、ステップ(1)において55重量部のPPB-M100-GHを秤量し、ステップ(3)において70重量部のPPH-Y450を秤量することにある。製造された複合材料に対して性能試験を行い、試験結果は表1に示すとおりである。
【0306】
〔実施例13〕
(1)乾燥した50重量部のPPB-M100-GHポリプロピレン樹脂(メルトフローレートが100g/10minである)、3重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、第一成分溶融体を得て、第一浸漬金型に送り込む。
【0307】
(2)30重量部のガラス繊維SE4805は引取機により第一浸漬金型に入り、ここで第一成分溶融体と浸潤分散を行い、ストランドを形成し、それを内層材料とする。
【0308】
(3)乾燥した49重量部のM60RHCポリプロピレン樹脂(メルトフローレートが60g/10minである)、20重量部のガラス繊維SE4805で切断された長さが3mmの短ガラス繊維、2.5重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とし、成形金型に接続された二軸スクリュー押出機に送り込み、第二成分溶融体を得る。
【0309】
(4)内層材料は引取機により成形金型に入り、コア部の中間の孔からガイドされ貫通し、コア部と外側スリーブで形成された第二成分溶融体で満たされたキャビティにおいて、内外層材料複合構造の成形を実現し、最後に金型出口から導出される。
【0310】
(5)外層材料用の押出機の押出量及び金型口金の出口直径を調整することにより外層材料の被覆量を調整することにより、それをステップ(3)に限定された量に応じて被覆し、造粒機のカッターの回転速度を調整することにより、製造された熱可塑性複合材料の造粒長さを6.1mmに制御する。
【0311】
(6)上記方法で製造されたポリプロピレン複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0312】
〔実施例14〕
実施例1の製造過程と同じであり、異なる点は、ステップ(1)及びステップ(3)においてそれぞれ5重量部のポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレートを添加することにあり、試験結果は表1に示すとおりである。
【0313】
〔実施例15〕
実施例1の製造過程と同じであり、異なる点は、ステップ(1)及びステップ(3)においてそれぞれ5重量部のポリプロピレン-g-スチレンを添加することにあり、試験結果は表1に示すとおりである。
【0314】
〔実施例16〕
実施例1の製造過程と同じであり、異なる点は、ステップ(1)及びステップ(3)においてそれぞれ5重量部のポリプロピレン-g-ビニルトリエトキシシランを添加することにあり、試験結果は表1に示すとおりである。
【0315】
〔実施例17〕
実施例1の製造過程と同じであり、異なる点は、ステップ(1)及びステップ(3)においてそれぞれ5重量部のポリプロピレン-g-スチレン/無水マレイン酸を添加することにあり、試験結果は表1に示すとおりである。
【0316】
〔実施例18〕
実施例1の製造過程と同じであり、異なる点は、ステップ(1)及びステップ(3)においてそれぞれ5重量部のポリプロピレン-g-ビニルイミダゾールを添加することにあり、試験結果は表1に示すとおりである。
【0317】
〔比較例1〕
(1)乾燥した57重量部のPPB-M100-GH、3重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、溶融体を得て、浸漬金型に送り込む。
【0318】
(2)SE4805は引取機により浸漬金型に入り、ここで溶融体と浸潤分散を行い、浸漬金型定型口型枠のサイズを選択することにより複合材料中のSE4805の含有量を調整し、SE4805の含有量を22重量%に制御し、造粒機のカッター回転速度を調整することにより、製造されたポリプロピレン複合材料の造粒長さを12mmに制御する。
【0319】
(3)上記方法で製造されたポリプロピレン複合材料を標準試料に射出成形し、性能試験を行う。試験結果を表1に示す。
【0320】
〔比較例2〕
(1)乾燥した50重量部のPPB-M100-GHポリプロピレン樹脂(メルトフローレートが100g/10minである)、30重量部のガラス繊維SE4805で切断された長さが3mmの短ガラス繊維、3重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、内層樹脂とする。
【0321】
(2)乾燥した49重量部のM60RHCポリプロピレン樹脂(メルトフローレートが60g/10minである)、20重量部のガラス繊維SE4805で切断された長さが3mmの短ガラス繊維、3重量部のBONDYRAM 1001、0.1重量部の酸化防止剤1010、0.5重量部のXH-201を秤量し、高速混合機で、50℃で3min撹拌し、それを外層材料とする。
【0322】
(3)それぞれ前記内層材料を1号押出機に添加し、前記外層材料を2号押出機に添加し、二台の押出機は前記原料を同時に押出し、内外層構造を有するダイヘッドにより押出して内層が短ガラス繊維含有樹脂層であり、外層が短ガラス繊維含有樹脂層である連続糸材を得て、造粒された後、比較例の原料を得る。性能試験を表1に示す。
【0323】
【表1】
【0324】
実施例1-5及び実施例9-18と比較例1-2を比較することにより、本発明で製造された長ガラス繊維強化ポリプロピレン材料の引張強度、曲げ強度、シャルピーノッチ衝撃強度及び表面光沢度はいずれも比較例1で製造された材料より明らかに高く、製造物の表面品質がより高い。
【0325】
本発明の実施例6-8から分かるように、本発明の提供する製造方法は長ガラス繊維強化ポリプロピレン複合材料に適用されるだけでなく、連続ガラス繊維強化PA6、連続玄武岩繊維強化ポリプロピレン、連続炭素繊維強化PA6複合材料の製造にも適用される。
【0326】
さらに、表1のデータから分かるように、内層材料及び外層材料の熱可塑性樹脂のメルトフローレートを選択することにより、製造された複合材料は理想的な表面光沢度を有することができる。
【0327】
本発明の製造方法は操作しやすく、オンライン連続化生産を実現することができ、高い生産能力及び低いエネルギー消費を保証することができ、工業化生産及び応用に適する。
【0328】
以上は本発明の好ましい例に過ぎない。当業者であれば、本発明の提供する技術的示唆の下で、本分野の技術常識として、他の同等の変形及び改良を行うことができ、本発明の保護範囲と見なすべきであることを指摘すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0329】
図1】本発明の一実施形態の熱可塑性複合材料の構造概略図である。
図2】本発明の一実施形態における熱可塑性複合材料の製造システムの構造概略図である。
図3】本発明の別の実施形態における熱可塑性複合材料の製造システムの構造概略図である。
図4】本発明の一実施形態における第一浸漬金型の断面図である。
図5】本発明の一実施形態における第二浸漬金型の断面図である。
図6】本発明の一実施形態における第三浸漬金型の断面図である。
図7】本発明の一実施形態における第二浸漬処理の概略図である。
図8】本発明の一実施形態に係る第二浸漬処理に用いられる成形型の断面図である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【手続補正書】
【提出日】2023-05-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内層材料及び少なくとも一層の外層材料を含み、前記内層材料は繊維束、第一熱可塑性樹脂及び第一助剤を含むコア層であり、前記少なくとも一層の外層材料は前記コア層を包みかつ第二熱可塑性樹脂及び任意選択の第二助剤を含む樹脂層であり、ここで、前記繊維束は前記コア層の一端からその対向端まで連続的に延在する熱可塑性複合材料。
【請求項2】
前記熱可塑性複合材料は長尺状、棒状又は粒子状であり、長尺状、棒状又は粒子状の熱可塑性複合材料の長さは好ましくは5-30mmであり、より好ましくは5-25mmであり、さらに好ましくは6-15mmであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項3】
前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は1-90重量部であり、好ましくは20-70重量部であり、より好ましくは20-55重量部であり、さらに好ましくは24-45重量部であり、前記繊維束の量は10-110重量部であり、好ましくは20-110重量部であり、より好ましくは25-110重量部であり、及び/又は、
前記内層材料において、前記繊維束と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.25-6:1であり、好ましくは0.35-4.5:1であり、さらに好ましくは0.43-4.5:1であり、及び/又は、
前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は1-110重量部であり、好ましくは10-99重量部であり、好ましくは40-90重量部であり、
好ましくは、前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は1-90重量部であり、好ましくは20-70重量部であり、より好ましくは20-55重量部であり、さらに好ましくは24-45重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は10-99重量部であり、好ましくは20-80重量部であり、より好ましくは25-50重量部であり、又は、
前記内層材料において、前記第一熱可塑性樹脂の量は50-70重量部であり、さらに好ましくは50-60重量部であり、及び/又は、前記繊維束の量は90-110重量部であり、好ましくは100-110重量部であり、及び/又は、前記外層材料において、前記第二熱可塑性樹脂の量は90-110重量部であり、さらに好ましくは95-105重量部であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項4】
前記内層材料は非配向の短繊維を含まず、好ましくは、前記内層材料は繊維束、第一熱可塑性樹脂及び第一助剤で構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項5】
前記外層材料は繊維を含まず、好ましくは、前記外層材料は第二熱可塑性樹脂で構成されるか又は第二熱可塑性樹脂及び第二助剤で構成され、又は、
前記外層材料は繊維、例えば短繊維を含み、好ましくは、前記外層材料において、前記繊維と前記第二熱可塑性樹脂との重量比は1-50:100であり、好ましくは5-50:100であり、より好ましくは20-45:100であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項6】
前記第一熱可塑性樹脂及び第二熱可塑性樹脂は同じであるか又は異なり、それぞれ独立してポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体、ポリアクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフェニレンスルフィド及びそれらの合金ポリマーから選択される少なくとも一種であり、好ましくは、前記第一熱可塑性樹脂及び第二熱可塑性樹脂はそれぞれ独立してポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリウレタン及びポリエーテルエーテルケトンから選択される少なくとも一種であり、より好ましくは、前記第一熱可塑性樹脂及び第二熱可塑性樹脂はそれぞれ独立して単独重合ポリプロピレン、共重合ポリプロピレン、単独重合ポリプロピレン及び共重合ポリプロピレンの混合物、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン6及びナイロン66の混合物から選択される少なくとも一種であり、及び/又は、
前記繊維束はガラス繊維、炭素繊維、玄武岩繊維、芳香族ポリアミド繊維、ステンレス繊維、合成樹脂繊維及び鉱物繊維から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項7】
前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-8000g/10minであり、好ましくは100-8000g/10minであり、より好ましくは1000-7500g/10minであり、さらに好ましくは1900-7500g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは0.1-8000g/10minであり、好ましくは3-55g/10min又は450-8000g/10minであり、さらに好ましくは3-45g/10min又は1900-8000g/10minであり、
好ましくは、
前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-450g/10minであり、例えば、60-200g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは3-55g/10min又は450-8000g/10minであり、より好ましくは、前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは60-450g/10minであり、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは800-8000g/10minであり、又は、
前記第一熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは450g/10min以上であり、特に450g/10minより大きく、前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートは100g/10minより小さく、好ましくは1.5-55g/10minであり、より好ましくは3-50g/10minであり、
及び/又は、前記第二熱可塑性樹脂と前記第一熱可塑性樹脂との重量比は0.05-12.5:1であり、好ましくは0.1-4:1であり、より好ましくは0.14-3.5:1であることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項8】
前記第二熱可塑性樹脂の230℃及び負荷が2.16kgの条件でのメルトフローレートが800-8000g/10minである場合、前記第二熱可塑性樹脂と第一熱可塑性樹脂との重量比が0.25:1より小さく、好ましくは0.18:1より小さく、より好ましくは0.15:1より小さく、及び/又は、
前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂がナイロン6、ナイロン66、ナイロン6及びナイロン66の混合物から選択される少なくとも一種である場合、前記ナイロン6及びナイロン66の粘度が1.8-3.5であることを特徴とする請求項7に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項9】
それぞれ前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂の質量を100重量部とし、前記第一助剤及び第二助剤はそれぞれ独立して0.5-15重量部の相溶化剤、0.05-3重量部の酸化防止剤及び0.05-2.5重量部の潤滑剤のうちの少なくとも一種を含み、好ましくは、前記第一助剤及び前記第二助剤はそれぞれ独立して1-15重量部の相溶化剤、0.1-1重量部の酸化防止剤及び0.5-2.5重量部の潤滑剤のうちの少なくとも一種を含み、及び/又は、
前記相溶化剤は極性モノマーグラフト変性ポリマーから選択される少なくとも一種であり、好ましくは、前記極性モノマーは無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体、アクリル酸及びアクリル酸エステル系誘導体から選択される少なくとも一種であり、好ましくは、前記ポリマーはポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-α-オクテン共重合体及びプロピレン-α-オレフィン共重合体から選択される少なくとも一種であり、及び/又は、
前記酸化防止剤はテトラキス[β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトールエステル、トリス[2,4-ジ-tert-ブチルフェニル]ホスファイト、β-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸n-オクタデカノールエステル、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン及びビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェノール)ペンタエリスリトールジホスファイトから選択される少なくとも一種であり、及び/又は、
前記潤滑剤はエチレンビスステアリン酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレンワックス、ペンタエリスリトールステアリン酸エステル、シリコーン、ポリエチレングリコール及びフッ素含有樹脂から選択される少なくとも一種であり、及び/又は、
前記第一助剤はさらに滑剤、帯電防止剤及び可塑剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、
及び/又は前記第二助剤はさらに滑剤、帯電防止剤、可塑剤、核形成剤、光安定剤、難燃剤、熱安定剤、マスターバッチ及び充填剤のうちの少なくとも一種を含むことができることを特徴とする請求項1~8のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項10】
それぞれ前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂の質量を100重量部とし、前記第一助剤及び第二助剤はそれぞれ独立して2-30重量部の電気絶縁改質剤を含み、好ましくはそれぞれ独立して5-25重量部の電気絶縁改質剤を含み、
好ましくは、前記電気絶縁改質剤は、
a)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位と、アクリル酸エステル系単量体及び任意選択のアクリル酸系単量体に由来する構造単位を含み、例えば、ポリプロピレン-g-グリシジルメタクリレートであるアルキル及び/又はアルコキシグラフト変性ポリプロピレン、
b)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位及びスチレン系単量体に由来する構造単位を含み、例えば、ポリプロピレン-g-スチレンである芳香族オレフィングラフト変性ポリプロピレン、
c)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位及びアルケニル基含有シラン系単量体に由来する構造単位を含むシラン変性ポリプロピレングラフト物、
d)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位、無水マレイン酸単量体に由来する構造単位及びアルケニル基含有重合性単量体に由来する構造単位を含む酸無水物基を有するポリプロピレングラフト物、及び/又は、
e)共重合ポリプロピレンに由来する構造単位及びアルケニル基含有複素環系単量体に由来する構造単位を含むポリプロピレングラフト複素環の改質材料、のうちの少なくとも一種であることを特徴とする請求項1~9のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料。
【請求項11】
ステップA、第一熱可塑性樹脂と第一助剤を混合した後に溶融し、第一成分溶融体を得ること、
ステップB、連続繊維束を前記第一成分溶融体に第一浸漬処理を行い、糸状コア層製品を形成すること、
ステップC、第二熱可塑性樹脂と任意選択の第二助剤を混合した後に溶融し、第二成分溶融体を得ること、
ステップD、前記糸状コア層製品を前記第二成分溶融体に第二浸漬処理を行い、コア層を包む樹脂層を形成することを含むことを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料の製造方法。
【請求項12】
ステップAの混合条件は、温度が40-60℃であり、時間が0.5-20minであり、好ましくは1-10minであり、より好ましくは3-5minであることを含み、ステップAにおける溶融温度は200-380℃であり、及び/又は、
ステップCの混合条件は、温度が40-60℃であり、時間が0.5-20minであり、好ましくは1-10minであり、より好ましくは3-5minであることを含み、ステップCにおける溶融温度は200-380℃であることを特徴とする請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
ステップBにおける前記第一浸漬処理は第一浸漬金型において行われ、前記第一浸漬金型は調整可能な浸漬金型であり、前記第一浸漬金型は繊維入口、繊維出口及び溶融体流路を含み、前記第一浸漬金型のキャビティ内に少なくとも一つの第一ゴデットローラが設置され、前記第一ゴデットローラは前記繊維入口と繊維出口との間に移動することができ、及び/又は、前記第一ゴデットローラは前記繊維入口と繊維出口との接続線に垂直な方向に沿って移動することができることを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項14】
ステップBにおける前記第一浸漬処理は第二浸漬金型において行われ、前記第二浸漬金型は組み合わせ式浸漬金型であり、前記第二浸漬金型は順に接続された第一モジュール、中間モジュール及び第二モジュールを含み、前記第一モジュールに繊維入口及び第一モジュール流路が設置され、前記第二モジュールに繊維出口及び第二モジュール流路が設置され、前記中間モジュールに中間モジュール流路が設置され、前記第一モジュール、中間モジュール及び第二モジュールが順に接続された後、前記第一モジュール流路、前記中間モジュール流路及び第二モジュール流路が連通して繊維を通過させるための組み合わせ流路を形成することを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項15】
ステップBにおける前記第一浸漬処理は第三浸漬金型において行われ、前記第三浸漬金型は強い乱流浸漬金型であり、前記第三浸漬金型は繊維入口通路、浸漬出口及び溶融体ニップ流路を含み、前記繊維入口通路、浸漬出口及び溶融体ニップ流路はいずれも前記第三浸漬金型内部のキャビティと連通し、ここで、前記第三浸漬金型のキャビティ内に第二ゴデットローラが設置され、前記第二ゴデットローラは少なくとも一つの能動ゴデットローラを含み、前記能動ゴデットローラは駆動装置により回転駆動されることを特徴とする請求項11又は12に記載の製造方法。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか一項に記載の熱可塑性複合材料又は請求項11~15のいずれか一項に記載の製造方法で製造された熱可塑性複合材料の自動車工業、機械製造、電子電気製品、化学工業環境保護、宇宙通信及び建築業界の分野における応用、好ましくは大型自動車部品及び/又は高精密電子電気素子における応用、より好ましくは自動車フロントエンドモジュール及び/又は全プラスチック尾部ドア内板における応用。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
本発明において第一助剤及び第二助剤の使用量を制限せず、関連助剤の作用を実現することを目的とする。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0041
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0041】
本発明の異なる実施形態において、前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートは特に限定されず、所望の性能に応じて前記第一熱可塑性樹脂及び前記第二熱可塑性樹脂のメルトフローレートを選択することができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
本発明の異なる実施形態において、前記第一助剤はさらに滑剤、帯電防止剤及び可塑剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、及び/又は前記第二助剤はさらに滑剤、帯電防止剤、可塑剤、核形成剤、光安定剤、膨張難燃剤、熱安定剤、マスターバッチ、電気絶縁改質剤及び充填剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、かつ該複数種の助剤の具体的な種類及び使用量を限定せず、いずれも広い選択範囲を有することができる。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0083
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0083】
式Iにおいて、R、R、Rはそれぞれ独立してH、C-C直鎖アルキル基、C-C分岐鎖アルキル基から選択され、Rは置換又は非置換の、C-C20直鎖アルキル基、C-C20分岐鎖アルキル基、C-C12シクロアルキル基、C-C12エポキシアルキル基から選択され、前記置換の基はハロゲン、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される少なくとも一種である。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0124
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0124】
式XIにおいて、Rmは置換又は非置換の、C-C20直鎖アルキル基、C-C20分岐鎖アルキル基、C-C12シクロアルキル基、C-C12エポキシアルキル基から選択され、前記置換の基はハロゲン、アミノ基及びヒドロキシ基から選択される少なくとも一種である。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0183
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0183】
本発明の異なる実施形態において、前記第一助剤はさらに滑剤、帯電防止剤及び可塑剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、前記第二助剤はさらに滑剤、帯電防止剤、可塑剤、核形成剤、光安定剤、膨張難燃剤、熱安定剤、マスターバッチ及び充填剤のうちの少なくとも一種を含むことができ、かつ該複数種の助剤の具体的な種類及び使用量を限定せず、使用量は広い範囲内で選択することができる。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0238
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0238】
図5に示すように、2つの中間モジュールB6を有する実施形態が示されている。図5に示す実施形態では、第一モジュール流路B31の下流端はそのうちの一つの中間モジュール流路B61の上流端に接続され、二つの中間モジュール流路B61は互いに接続され、かつ他の中間モジュール流路B61の下流部は第二モジュール流路B71の上流端に接続され、これにより繊維入口B1から繊維出口B8まで延在する組み合わせ流路B4を形成する。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0240
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0240】
図5に示すように、第一モジュール流路B31の下流端、第二モジュール流路B71の上流端及び中間モジュール流路B61の両端はいずれも同一平面内に位置し、かつ標準化継手B5が配置されている。換言すれば、第一モジュール流路B31、中間モジュール流路B61及び第二モジュール流路B71の相互間の接続部は標準化継手B5により接続されている。標準化継手B5がいずれも同一平面内に位置し、かつ標準化継手B5の形状及び寸法がいずれも同じであるため、異なるモジュールの間の組み合わせ接続が容易になる。
【国際調査報告】