(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】再帰反射を利用した空中イメージング
(51)【国際特許分類】
G02B 30/56 20200101AFI20231115BHJP
A63G 31/16 20060101ALI20231115BHJP
H04N 13/346 20180101ALI20231115BHJP
H04N 13/366 20180101ALI20231115BHJP
【FI】
G02B30/56
A63G31/16
H04N13/346
H04N13/366
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526261
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 US2021057865
(87)【国際公開番号】W WO2022098733
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】クラウトハマー アキヴァ メイア
(72)【発明者】
【氏名】ガルニエ ティモシー フィッツジェラルド
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BA43
2H199BA46
2H199BA49
2H199BB18
2H199BB20
2H199BB52
2H199BB59
(57)【要約】
再帰反射によって実像を生成するシステム及び方法が提供される。画像発生源は、光ビームを投影し、前記光ビームはビームスプリッタで受光される。ビームスプリッタは、再帰反射器と視聴領域の間に配置され、光ビームを再帰反射器に向けて反射させることができる。次いで、光ビームは、再帰反射器からビームスプリッタに向けて通過させて反射して、視聴者が視聴領域内に浮かんでいるように見える実像を生成することができる。コントローラは、少なくとも1つのセンサによって検出された制御パラメータに基づいて実像を調整するように画像発生源を制御することができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
錯覚システムであって、
光ビームを投影するように構成された画像発生源と、
再帰反射器と、
前記再帰反射器と視聴領域との間に配置されたビームスプリッタであって、前記ビームスプリッタは、前記画像発生源から光ビームを受け取り、前記光ビームを前記再帰反射器に向けて反射するように構成され、前記再帰反射器は、前記視聴領域内の視聴者のための実像を定義するために、前記光ビームを前記ビームスプリッタに向けて反射して、前記ビームスプリッタを通して戻すように構成されている、ビームスプリッタと、
少なくとも1つのセンサによって検出された制御パラメータに基づいて、前記画像発生源を制御して前記実像を調整するように構成されたコントローラと、
を備える、錯覚システム。
【請求項2】
表示オブジェクトの位置を検出するように構成された少なくとも1つのセンサを備え、前記コントローラは、前記画像発生源を制御して、前記表示オブジェクトと空間的に関連して見えるように前記実像を提供するように構成されている、請求項1に記載の錯覚システム。
【請求項3】
前記コントローラは、アクチュエータに前記画像発生源を動かすように命令し、前記実像を定義する交差光ビームの位置が前記表示オブジェクトの位置に相関するように構成されている、請求項2に記載の錯覚システム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのセンサは、表示オブジェクトの向きを含む位置を検出するように構成されたカメラを含む、請求項1に記載の錯覚システム。
【請求項5】
前記画像発生源は、ライト組立体と、前記コントローラからの命令に基づいて前記ライト組立体の少なくとも一部を機械的に動かすように構成されたアクチュエータと、を含む、請求項1に記載の錯覚システム。
【請求項6】
前記画像発生源は、前記コントローラからの命令に基づいて、前記画像発生源によって提供される画像を制御するための出力を操作するように構成されたライト組立体を含む、請求項1に記載の錯覚システム。
【請求項7】
前記ライト組立体は、液晶ディスプレイ、ライトマトリックス、複数のライトストリング、発光ダイオードのストリップ、プロジェクタ、又はこれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の錯覚システム。
【請求項8】
前記ビームスプリッタが、ガラス、プレキシガラス、プラスチック、水、2面コーナーリフレクタアレイ(DCRA)、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の錯覚システム。
【請求項9】
前記実像を定める光ビームが交差する位置を通過するように動作可能な乗り物車両を備え、前記コントローラは、前記交差する光ビームの位置に対する前記乗り物車両の位置に応答して、前記実像の提示を変更する又は無効にするように構成される、請求項1に記載の錯覚システム。
【請求項10】
前記ビームスプリッタが回転可能であり、前記コントローラは、来園客又は乗り物車両の検出された動きに基づいて、前記ビームスプリッタの動きを制御するように構成されている、請求項1に記載の錯覚システム。
【請求項11】
前記ビームスプリッタと協働して、前記画像発生源、前記ビームスプリッタ及び前記再帰反射器によって提供される前記実像と連動してペッパーズゴースト効果を提供するように構成された追加の画像発生源を備える、請求項1に記載の錯覚システム。
【請求項12】
前記ビームスプリッタは、前記光ビームの少なくとも80%を前記再帰反射器に向けて反射するように構成されている、請求項1に記載の錯覚システム。
【請求項13】
錯覚システムであって、
視聴領域内の手持ちオブジェクト又は人の位置を検出するように構成された1又は2以上のセンサと、
光の反射及び透過の両方を行うように構成された材料の層を含むビームスプリッタであって、前記視聴領域と再帰反射器との間に配置される、ビームスプリッタと、
光ビームをビームスプリッタに向けるように構成され、前記光ビームの少なくとも一部が前記ビームスプリッタから前記再帰反射器に向かって反射されて、前記再帰反射器から前記ビームスプリッタを通って戻り、実像を定めるように構成される、画像発生源と、
前記位置を示す前記1又は2以上のセンサからのデータに基づいて、前記実像の提示を制御するように構成されたコントローラと、
を備える、錯覚システム。
【請求項14】
乗り物軌道のセクションに沿って移行するときに、前記1又は2以上のセンサをトリガするように構成された乗り物車両を備える、請求項13に記載の錯覚システム。
【請求項15】
前記ビームスプリッタが、は透明フィルムを含み、前記再帰反射器は、再帰反射材料の層を含む、請求項13に記載の錯覚システム。
【請求項16】
前記1又は2以上のセンサは、前記手持ちオブジェクトの位置及び向きを検出するように構成されたカメラを含む、請求項13に記載の錯覚システム。
【請求項17】
錯覚システムを用いて実像を提供する方法であって、
画像発生源から光ビームを投影するステップと、
再帰反射器と視聴領域の間に配置されたビームスプリッタにて前記画像発生源からの前記光ビームを受け取り、前記光ビームを前記ビームスプリッタから前記再帰反射器に向かって反射させるステップと、
前記視聴領域内の視聴者のための実像を定めるよう、前記光ビームを前記再帰反射器から前記ビームスプリッタに向けて通過させて反射するステップと、
少なくとも1つのセンサによって検出された制御パラメータに基づいて、前記実像を調整するように前記画像発生源を制御するステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記光ビームを前記ビームスプリッタから前記再帰反射器に向けて反射するステップは、前記光ビームの約90%を反射させ、光ビームの約10%を前記ビームスプリッタを通過させることを可能にするステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
追加の画像発生源から前記ビームスプリッタに追加の光ビームを投影することによって、ペッパーズゴースト効果を提供するステップを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記制御パラメータに基づいて前記画像発生源を制御するステップと連動して物理的効果を作動させるステップを含む、請求項17に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2020年11月5日に出願された「AERIAL IMAGING USING RETROREFLECTION」と題する米国仮出願第63/110,216号からの優先権及びその利益を主張するものであり、あらゆる目的で引用により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
このセクションは、本開示の様々な態様に関連する可能性がある技術の様々な態様を読み手に紹介することを意図している。ここでの議論は、本開示の様々な態様のより良い理解を容易にする背景情報を読み手に提供するのに役立つと考えられる。従って、これらの記載は、このような観点から読まれるべきであり、先行技術の自認ではないことを理解されたい。
【背景技術】
【0003】
遊園地又はテーマパークは、一般に、各々が遊園地の来園客にユニークな体験を提供する様々な娯楽システム又はアトラクションを含む。例えば、遊園地は、ローラーコースター、ドロップタワー、ログフリュームなどの異なるアトラクションシステムを含むことができる。一部のアトラクションシステムは、3D画像(例えば、適切なレンズを通して見たときに、その特徴が3次元であるかのように錯覚させる、特徴の2次元画像のオフセットペア)、体積表示、及び特殊効果など、複数の異なる特徴を有する環境を含むことができ、これらは、来園客をアトラクションシステムの体験に没頭させるのに役立つ。投影技術を使用すると、来園客は、3D画像及び浮遊画像を見るために特別な視聴用眼鏡(例えば、3D眼鏡、拡張現実ヘッドセット)を着用する場合がある。しかしながら、このような視聴用眼鏡は不便であり、3D媒体を投影することに関連する運用コストが増加する可能性がある。例えば、拡張現実ヘッドセットは、各来園客による使用後に清掃する必要があり、高価となる可能性がある。従って、3D画像に関連する改善された特徴及び技術は、来園客に望ましい効果又は経験を提供するのに有用である。
【0004】
本開示のこれら及び他の特徴、態様、並びに利点は、図面全体を通じて同様の参照符号が同様の要素を示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むと更に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【
図1】本開示の実施形態による、再帰反射を使用して空間像又は実像を生成する錯覚システムのブロック図である。
【
図2】本開示の実施形態による、2D源に基づいて実像を生成する
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図3】本開示の実施形態による、3D源に基づいて実像を生成する
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図4】本開示の実施形態による、実像を通って移動する乗り物車両を描いた
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図5】本開示の実施形態による、
図4の錯覚システムの概略立面図である。
【
図6】本開示の実施形態による、Pepperのゴースト効果と組み合わせて実像を生成する
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図7】本開示の実施形態による、
図6のPepperのゴースト効果を使用した画像の共有視聴体験を提供する
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図8】本開示の実施形態による、狭い視野角で実像を生成する
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図9】本開示の実施形態による、回転ビームスプリッタを用いて実像を生成する
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図10】本開示の実施形態による、ビームスプリッタとして水を使用して実像を生成する
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図11】本開示の実施形態による、ビームスプリッタとして2面コーナーリフレクタアレイを使用して実像を生成する
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図12】本開示の実施形態による、光源を調整することによって実像に関して没入効果を提供する
図1の錯覚システムの概略図である。
【
図13A】本開示の実施形態による、2つのビームスプリッタ、2つの画像発生源、及び2つの再帰反射器を用いて実像を生成する
図1の錯覚システムの概略平面図である。
【
図13B】本開示の実施形態による、異なる位置から見た
図13Aの実像を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本開示は、一般に、ゲーム環境又は遊園地などのインタラクティブな環境で使用するための特殊効果の分野に関する。より具体的には、本開示は、再帰反射を利用して空間像又は実像を生成するためのシステム及び方法に関する。本明細書で使用する場合、空間像又は実像は、空中に浮いているように見えるか、又は視聴用眼鏡なしで空中で観察できる2D又は3D画像(例えば、投影画像)として定義することができる。2D画像は、典型的には、2次元(例えば、水平方向及び垂直方向)で提供される「平坦な」画像と考えられているものを指す。典型的な2D画像の例は、従来の映画スクリーンに投影され、観察者にとっては平面に見える画像を含む。3D画像もまた、実際には「平坦」な画像であるが、3次元に見えるように提供される。例えば、3D画像を提供する従来の方法は、視聴者の目の各々に1つの画像ずつ、オブジェクトの2つの画像を提供することである。このような従来のシステムでは、それぞれの画像の視覚を視聴者のそれぞれの目に制限する特別な眼鏡を使用して、3次元の錯覚が視聴者に提供される。本実施形態によれば、2D画像は、3次元環境においてホバリングしているように見えるように投影することができることに留意されたい。
【0007】
1又は2以上の特定の実施形態を以下で説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を行うために、本明細書では、実際の実施態様の全ての特徴については説明しないことにする。何れかの技術又は設計プロジェクトと同様に、このような何らかの実際の実装の開発において、システム及びビジネスに関連した制約への準拠など、実装毎に異なる可能性のある開発者の特定の目標を達成するために、多数の実装時固有の決定を行う必要がある点に留意されたい。更に、このような開発の取り組みは、複雑で時間を要する可能性があるが、本開示の利点を有する当業者にとっては、設計、製作、及び製造の日常的な業務である点に留意されたい。
【0008】
本開示の種々の実施形態の要素を導入する際に、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、要素の1又は2以上が存在することを意味するものとする。用語「備える」、「含む」、及び「有する」は、包括的なものであり、記載した要素以外の付加的な要素が存在し得ることを意味する。
【0009】
遊園地は、遊園地アトラクションで望ましい来園客の体験を提供するために、再帰反射を使用して空間像を生成することによって特別な効果を生み出す錯覚システムを含むことができる。実際、特定のハードウェア構成(例えば、回路)、ソフトウェア構成(例えば、アルゴリズム構造及び/又はモデル化された応答)、並びに特定のアトラクション特徴の組み合わせを利用して、来園客に空間像を提供することができる。
【0010】
本明細書で使用する場合、空間像又は実像は、空中に浮いているように見えるか、又は眼鏡なしで空中で観察することができる2D又は3D画像として定義することができる。空間像又は実像は、画像発生源(例えば、光源)の位置決め及び/又は再帰反射技術に基づいて空中に投影することができる。画像発生源は、何れかの適切なサイズ又は形状とすることができ、複数の離散的発生源を含むことができる。幾つかの実施形態では、画像発生源は、2D画像、3D画像、又はその両方を照明又は投影するのに役立つ光源とすることができる。光源の非限定的な例としては、1又は2以上の発光ダイオード(LED)又は有機発光ダイオード(OLED)ストリングライト、1又は2以上のLED又はOLEDディスプレイ、1又は2以上のLED又はOLEDパネル、1又は2以上のLED又はOLEDランプ、フラットスクリーンテレビ、液晶ディスプレイ(LCD)、ライトマトリックス、及び1又は2以上のプロジェクタを挙げることができる。
【0011】
一例として、光源は、光ビームが光源から発散するように、複数又は多数の光ビームを投影することができる。光ビームは、ビームスプリッタに向けることができる。ビームスプリッタは、何れかの適切なサイズ及び形状(例えば、立方体、プレート)とすることができる。ビームスプリッタの組成は、ガラス、プラスチック、又は何れかの完全又は部分的に透明な材料を含むことができる。本明細書で使用されるように、ビームスプリッタは、光ビームを2又は3以上の異なる光ビームに分割又は分離するように構成された光学デバイスとすることができる。ビームスプリッタは、光を反射及び透過するように構成された材料の層を含む。光ビームがビームスプリッタに到達した後、光ビームの第1の部分は、ビームスプリッタを屈折又は透過させることができる。このように、光ビームは、光強度及び光パワーが異なる複数の異なる光ビームに分離することができる。これらの複数の異なる光ビームは、光源から元々発散している光ビームと比較して、減少した光強度を有することがある。ビームスプリッタは、光ビーム54の20%未満(例えば、光ビーム54の10%、15%)がビームスプリッタを透過するように構成することができる。一方、光ビームの第2の部分は、ビームスプリッタから反射されて再帰反射器に向けることができる。例えば、ビームスプリッタは、光ビーム54の少なくとも80%(例えば、光ビーム54の90%、95%)を再帰反射器に向かって反射するように構成することができる。ビームスプリッタは、再帰反射器と視聴領域との間に配置することができる。視聴領域は、来園客が実像を見ることができるように配置することができる物理的空間である。
【0012】
再帰反射器は、限定された散乱で光をその発生地点に戻すように反射するデバイス又は表面とすることができる。すなわち、再帰反射器は、光ビームの第2の部分の各光ビームを特定の角度で受け取り、第2の部分の各光ビームを特定の角度でその発生地点(例えば、ビームスプリッタ)に反射することができる。再帰反射器は、70~100%の間のどこかの効率(例えば、70~75%、75~80%、80~85%、85~90%、90~95%、又は100%の効率)で光を発生領域に再帰反射することができる(例えば、5%未満の誤差帯域内)。再帰反射器は、何れかの適切なサイズ、形状、又は色とすることができる。一般に、再帰反射器の品質が向上すると、ビームスプリッタにおける反射光の散乱を低減することができる。再帰反射器から反射した光ビームの第2部分の各光ビームは、ビームスプリッタを通過して集束し、光源に基づく画像(例えば、実像、空間像)を形成することができる。実像又は空間像は、第2の部分に関連する光ビームが空間内の一点に集束するように見える場合に生成することができる。本明細書で記載されるように、実像及び空間像は、互換的に使用することができる。すなわち、実像又は空間像が再帰反射を介して生成される場合、実像又は空間像は、来園客には、空中に浮いているように見える。
【0013】
前述したように、再帰反射技術を用いて、遊園地での特別な効果を提供すること、又は来園客の体験を向上させることができる。例えば、特殊効果は、来園客が剣を特定のパターンで動かして達成した後に、剣から稲妻が飛び出すように見える画像を含むことができる。稲妻の実像を生成するために、錯覚システムのコントローラは、1又は2以上のセンサを介して、表示オブジェクトの位置又は実像が生成されると予想される位置を追跡することができる。この例では、実像は、来園客から最も遠い剣の端点から投影するように見えるように生成することができる。幾つかの実施形態では、表示オブジェクトは、小道具、手持ちオブジェクト(例えば、スタッフ)、又は来園客の手とすることができる。1又は2以上のセンサは、視聴領域内の表示オブジェクトの位置又は来園客の位置を検出するように構成することができる。視聴領域から、来園客は、実像(例えば、杖から飛び出す稲妻)を見ることを可能にすることができる。
【0014】
更に、画像発生源又は光ビームの発生源(例えば、LEDストリングライト、LEDディスプレイ)の位置が与えられると、実像の予想位置を計算することができる。すなわち、光ビームの発生源からビームスプリッタまでの距離は、実像からビームスプリッタまでの距離と同様である。言い換えれば、実像の位置は、ビームスプリッタに関して光ビームの供給源の鏡像位置である。コントローラは、画像発生源を制御して、実像が表示オブジェクトに空間的に関連して見えるような実像を提供するように構成することができる。すなわち、コントローラは、実像を定める交差光ビームの位置が表示オブジェクトの位置に相関するように、画像発生源を調整する。実像が表示オブジェクトと空間的に関連付けられた場合、実像と表示オブジェクトは共に、空間的に類似した位置に配置される。従って、表示オブジェクトの位置決めは、実像の位置決めと結び付けられ、又は実像の位置決めに影響を与える。実像が表示オブジェクトと特別に関連して見えるように画像発生源を制御するようコントローラによって実装される技術について、以下で説明する。
【0015】
稲妻に関連する光ビーム(例えば、発散する光ビーム)は、1又は2以上のLEDストリングライトから放出されて、ビームスプリッタに向けることができる。光ビームの一部は、部分的又は完全に透明なビームスプリッタから反射され、再帰反射器に向けることができる。次に、再帰反射器は、受け取ったのと同様の大きさ及び角度で光ビームを反射してビームスプリッタに戻すことができる。光ビームは、ビームスプリッタを通過し、集束して発生源の実像(例えば、稲妻を表す実像)を形成することができる。来園客の視点からは、剣から稲妻が飛び出しているように見える可能性がある。実際には、稲妻のように見えるのは、再帰反射によって稲妻の空間像を生成した結果である。
【0016】
光ビームの発生源は、ストリングライト、プロジェクタ、ライトのグリッド(例えば、LED)、ライトフィールドディスプレイなどとすることができる。しかしながら、LEDのグリッドは、グリッドがフルボリュームである場合、個々のLEDライトが互いにブロックし合う影響を受けやすい可能性がある。ライトフィールドディスプレイは、空間内のあらゆる点を通ってあらゆる方向に流れる光の量を記述するベクトル関数に基づいて、3D空間像を生成することができる。しかしながら、ライトフィールドディスプレイは、高価で、入手が困難である場合がある。幾つかの実施形態では、費用対効果の高い方法で正確な空間像を生成するために、錯覚システム内の光ビームの発生源は、ストリングライトを含むことができる。ストリングライトは、LEDストリングライト、OLEDストリングライト、蛍光灯ストリングライトなどの何れかの適切な数又はタイプの光とすることができる。
【0017】
例えば、錯覚システムは、複数のLEDストリングライトを含むことができ、各LEDストリングライトは、ビームスプリッタの後ろの領域において異なる位置に配置することができる。実像の予想される位置を計算又は追跡することに基づいて、複数のLEDストリングライトから特定のLEDストリングライトをアクティブにすることができる。予想される位置の追跡は、無線自動識別(RFID)監視、GPS、カメラ、モーションセンサなどの様々な追跡技術の何れかを使用して、ユーザ、小道具(例えば、玩具)、又はデバイスを追跡することに基づくことができる。幾つかの実施形態では、コントローラは、1又は2以上のセンサを介して来園客(例えば、剣を振っている)に関連するモーションデータ(例えば、予め定義されたモーションシグネチャと相関する)を検出することに応答して、実像の予想位置を算出することができる。例として、コントローラは、剣の端点(例えば、稲妻が発せられると予想される剣の位置)がビームスプリッタに対して39度の角度であると決定することができる。すなわち、実像がビームスプリッタから39度の位置で来園客に表示されると予想される場合、コントローラは、ビームスプリッタから39度の位置で実像を生成するために、複数のLEDストリングライトのうちのどのLEDストリングライトをアクティブにするか決定することができる。例えば、コントローラは、ビームスプリッタから45度の位置にあるLEDストリングライトが、他のLEDストリングライトと比較して、ビームスプリッタから39度の位置の実像の位置に最も近い角度であると決定することができる。このようにして、コントローラは、45度の角度でLEDストリングライトをアクティブにすることができる。
【0018】
幾つかの実施形態では、光ビームの発生源(例えば、複数のLEDライト)及び再帰反射器は、両方が来園客の直接の視線から隠されるように、ビームスプリッタの背後に配置することができる。上述したように、LEDストリングライトからビームスプリッタまでの距離は、実像からビームスプリッタまでの距離に関して同様の距離である。実像の位置は、ビームスプリッタに関する光ビームの発生源の鏡像位置である。光ビームの発生源は、実像が表示オブジェクトに関連する特別なように見えるように制御することができる。すなわち、アクティブにされたLEDストリングライトの角度は、実像の予想位置に影響を与える。コントローラは、ビームスプリッタから45度に位置するLEDストリングライトをアクティブにされた可能性があるので、実像の位置もまた、ビームスプリッタから同様に45度である可能性がある。複数のLEDライトの位置決めの制約から、45度での実像の位置は、39度の剣の端点の位置と角度が最も類似することができる。45度と39度の角度の差は、人間の目には無視できる程度とすることができる。従って、コントローラが45度でLEDストリングライトをアクティブにしたときに、剣から来園客に稲妻(例えば、実像)が放たれたように見える可能性がある。
【0019】
代替又は追加の実施形態において、錯覚システムは、1又は2以上の可動ストリングライトを含むことができ、ストリングライトの一方端又は両端を電動化できるようになる。例えば、コントローラが、実像の予想位置をビームスプリッタから39度の位置にあると決定したことに応答して(例えば、表示オブジェクトの位置の検出に基づいて)、コントローラは、ストリングライトをビームスプリッタから39度の角度に動かすようにアクチュエータに命令することができる。
【0020】
図に目を向けると、
図1は、本開示の実施形態による、再帰反射を使用して空間像又は実像を生成する錯覚システム10のブロック図を示す。図示のように、錯覚システム10は、画像発生源20(例えば、光源)と、コントローラ14(例えば、プログラム可能な論理コントローラ又はコンピュータ)と、1又は2以上のセンサ12(例えば、モーションセンサ、光センサ、熱センサ)とを含むことができる。前述のように、画像発生源20は、1又は2以上のストリングライトを含むことができる。幾つかの実施形態では、画像発生源20(例えば、ストリングライト)は、作動可能(例えば、1又は2以上のアクチュエータ22を介して移動可能)とすることができる。画像発生源20の移動は、画像発生源20に結合されたアクチュエータ22によって制御することができる。アクチュエータ22は、限定ではないが、電気アクチュエータ、空気圧アクチュエータ、機械アクチュエータ、リニアアクチュエータ、回転アクチュエータ、又はこれらの何れかの組み合わせを含む、運動を提供するための何れかの適切なタイプ及び数のアクチュエータとすることができる。コントローラ14からの命令に基づいて、アクチュエータ22は、画像発生源20(例えば、ストリングライト、プロジェクタ、又はディスプレイ)の動きを調節することができる。幾つかの実施形態では、アクチュエータ22は、画像発生源20に接続する複数のアクチュエータのセットを表し、画像発生源20の動きを提供する。上述のように、コントローラ14が来園客に関連するモーションデータ(例えば、手や小道具を振る)を検出し、実像の予想位置を決定することに応答して、コントローラ14は、光源の角度が空間像の予想位置と同様の角度になるように光源(例えば、ストリングライト)を移動させるようアクチュエータ22に命令することができる。例として、実像が39度で来園客に表示されると予想される場合、コントローラ14は、LEDストリングライトをビームスプリッタから39度の角度に移動させるようアクチュエータに命令することができる。別の実施形態では、コントローラは、他のLEDストリングライトと比較して、45度の角度に配置されたLEDストリングライトが実像の予想される位置の角度に最も近いときに、この45度の角度に配置されたLEDストリングライトをアクティブにさせることができる。他の実施形態では、ディスプレイ上の様々な画素を作動させるなど、実像を所望の位置(例えば、小道具又は人物の検出された位置)に相関させる異なる技術を採用してもよい。
【0021】
図示のように、1又は2以上のセンサ12及び画像発生源20は各々、錯覚システム10のコントローラ14に通信可能に結合される。幾つかの実施形態では、画像発生源20は、アクチュエータ22を介してコントローラ14に通信可能に結合することができる。コントローラ14は、プロセッサ16及びメモリ18を含む。コントローラ14は、1又は2以上のセンサ12から受信した信号に基づいて、画像発生源20によって放出される光ビームを制御することができる。例えば、1又は2以上のセンサ12は、表示オブジェクト(例えば、小道具又は手)の位置又は実像が生成されると予想される位置を決定することができ、また、表示オブジェクト(例えば、手持ちオブジェクト、小道具)の位置を示すセンサ信号をコントローラ14に出力することができる。センサ信号によって示される表示オブジェクトの位置に基づいて、コントローラ14は、プロセッサ16を介して、光ビームを放出する画像発生源20の位置をアクティブに及び/又は更新することができる。放出された光ビームは、ビームスプリッタから反射され、その後、再帰反射器に向けられる。幾つかの実施形態において、コントローラ14は、画像発生源20の位置を示す制御信号をアクチュエータ22に出力することができる。コントローラ14からの画像発生源20の位置を示す制御信号の受信に基づいて、アクチュエータ22は、LEDストリングライトが制御信号によって示されるのと同様の位置にあるようにLEDストリングライトを移動させることができる。
【0022】
特定の実施形態では、アクチュエータ及び1又は2以上のセンサ12は、コントローラ14に通信可能に結合される。コントローラ14は、ハードウェア及び/又はソフトウェア制御アルゴリズムを実行して、画像発生源20のアクティブ化又は移動を調節することができる。これは、画像発生源20の異なる部分(例えば、ディスプレイの異なるピクセル又はライトのマトリックスの部分)をアクティブにすることを含むことができる。コントローラ14は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)又は他の適切な制御デバイスを含むことができる。幾つかの実施形態によれば、コントローラ14は、アナログ・デジタル(A/D)変換器、1又は2以上のマイクロプロセッサ又は汎用もしくは特殊用途コンピュータ、不揮発性メモリ、メモリ回路、及び/又はインターフェースボードを含むことができる。例えば、コントローラ14は、光のストリングを動かす速度など、様々なシステム構成要素の制御のために実装されたプログラム、制御ルーチン、及び/又はアルゴリズムを格納するためのメモリ回路を含むことができる。コントローラ14はまた、1又は2以上のセンサ12から感知された信号を受信するための入出力回路、及び制御信号を出力するためのインターフェース回路を含むか、又はこれらと関連付けられる。メモリ回路は、このようなパラメータの何れか又は全てについて設定点、実際の値、履歴値などを格納することができる。他の何れかの適切なデバイスは、来園客に関連する動き、光、音などを感知する追加のトランスデューサ又はスイッチなど、錯覚システム10に含めることができる。更に、画像発生源20をいつ、どのように動作させるか(例えば、ストリングライトの動き及び/又は複数のストリングライトから特定のストリングライトをアクティブにすること)を決定するために、他の値及び/又は設定点を使用することができる。例えば、コントローラ14は、ビームスプリッタからの画像発生源20の距離及び角度、画像発生源20の一部をアクティブ又は移動させることを含むことができる画像発生源20のアクティブ化又は移動の頻度及び時間機関などを決定することができる。コントローラ14はまた、動作パラメータの確認、設定点及び所望の動作パラメータを表す制御信号の入力、エラーログ及び履歴動作の確認などのための表示パネル及び/又は入出力デバイスなど、錯覚システム10の態様とオペレータとの対話のための構成要素を含むことができる。コントローラ14は、1又は2以上のセンサ12からデータを受信し、及び/又はアクチュエータ22を制御することができ、次いで、画像発生源20の位置を制御して空間像を生成する。他の実施形態では、画像発生源20の態様は、アクチュエータ22を介することなく直接制御することができる。例えば、画像発生源20は、同様の結果を達成するためにディスプレイを変更するように制御することができる。
【0023】
コントローラ14は、実像の予想位置を決定するためのソフトウェアプログラムを実行することができる1又は2以上のプロセッサ16(例えば、マイクロプロセッサ)を含むことができる。プロセッサ16は、錯覚システム10内で実行するための命令を処理することができる。プロセッサ16は、シングルスレッドプロセッサ、マルチスレッドプロセッサ、又はその両方を含むことができる。プロセッサ16は、メモリデバイス18又はストレージデバイス上に格納された命令及び/又は情報(例えば、制御ソフトウェア、ルックアップテーブル、設定データ)を処理することができる。プロセッサ16は、各々が1又は2以上のコアを含む、ハードウェアベースのプロセッサを含むことができる。更に、プロセッサ16は、複数のマイクロプロセッサ、1又は2以上の「汎用」マイクロプロセッサ、1又は2以上のシステムオンチップ(SoC)デバイス、1又は2以上の特殊用途マイクロプロセッサ、1又は2以上の特定用途集積回路(ASIC)、及び/又は1又は2以上の縮小命令セットコンピュータ(RISC)プロセッサを含むことができる。プロセッサ16は、1又は2以上のセンサ12、アクチュエータ22、及び/又は他の電子デバイスに通信可能に結合することができる。
【0024】
メモリデバイス18は、揮発性メモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM))及び/又は不揮発性メモリ(例えば、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードドライブ、及び/又は他の何れかの適切な光学、磁気、又は固体記憶媒体)などの有形で非一時的な機械可読媒体を含むことができる。メモリデバイス18は、様々な目的のために使用できる様々な情報を格納することができる。例えば、メモリデバイス18は、ユーザ又は小道具の検出された位置と実像が提示されるべき場所とを関連付けるためにプロセッサ16が実行するための機械可読及び/又はプロセッサ実行可能命令(例えば、ファームウェア又はソフトウェア)を格納することができる。特に、メモリデバイス18は、例えば、画像発生源20を動作又は移動させて、ユーザ又は小道具の位置との対応関係を有するように観察される実像を提供することによって、所望のプレゼンテーションを達成するようにプロセッサ16に画像発生源20を調節させる命令を格納することができる。
【0025】
特定の実施形態では、1又は2以上のセンサ12は、来園客の存在、来園客及び表示オブジェクトの位置、及び/又はコントローラ14への特定の動作の実行を示す動作データ(例えば、予め定義された動作シグネチャと相関する)を検出するのに有用な種々のセンサタイプの何れかを含むことができる。このように、1又は2以上のセンサ12は、来園客に関連する動き、光、音などの変化を検出することができる。例えば、1又は2以上のセンサ12は、何れかの数の位置センサ、モーションセンサ、近接センサ、超音波センサ、光電センサ、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)センサ、音センサ、及び/又はカメラを含むことができる。例えば、カメラは、来園客の位置及び動き(例えば、来園客の体の動き、顔の特徴、及び/又は他の部分)を検出することができる。更に、カメラは、表示オブジェクト(例えば、玩具の剣のような小道具)の動き及び位置を検出することができる。
【0026】
前述のことを念頭に置いて、
図2は、本開示の実施形態による、視聴者又は来園客62によって観察可能であり2D画像発生源20(例えば、2D源20)に基づいて実像60を生成する錯覚システム10の概略平面図を示している。本明細書で使用されるように、2D源は、実像60を生成するために使用される2D画像又は投影とすることができる。例えば、2D源は、1又は2以上のLEDストリングライトによって照らされた2D画像を含むことができる。また、2D源20は、スクリーンプロジェクタ又は他の2D画像プロバイダによって生成された投影を含むことができる。更に、2D源20の位置決めは、実像60の予想位置を示す1又は2以上のセンサ12からの命令をコントローラ14が受信することに基づいて構成可能とすることができる。コントローラ14からの命令に基づいて、アクチュエータ22は、2D源20(例えば、ストリングライト、プロジェクタ、又はディスプレイ)の移動を調節することができる。2D源20は、2D画像を定める光ビーム54を生成することができる。
図2において光ビーム54を表す2本の線は、提供される2D画像のエッジを表すことを意図しているが、光ビーム54はまた、2本の線の間の光ビームを含み、これらは、提供される2D画像の本体を形成すると考えることができることに留意されたい。
【0027】
図2に示すように、ビームスプリッタ56は、2D源20から放出される光ビーム54の方向に対して横方向に延在する面を有して配置することができる。光ビーム54は、発散しながら2D源20からビームスプリッタ56に向かって拡大するように示されている。2D源20からの光ビーム54の一部は、ビームスプリッタ56から反射され、来園客(例えば、ビューア)62に対してビームスプリッタ56の後ろに位置する再帰反射器58に向けることができる。ビームスプリッタ56は、部分的に又は完全に透明とすることができ、ガラス又はプラスチックなどの何れかの適切な材料から構成することができる。例えば、ビームスプリッタ56は、部分的に鏡面であってもよいが、反射と透過の特性の両方が、所望の効果を提供するために錯覚システム10内のビームスプリッタ56によって使用されるので、これを通って光を透過させることができる必要がある。ビームスプリッタ56による反射の量は、光ビーム56に対する入射角に依存することができる。
【0028】
上述のように、再帰反射器58は、非常に限定された散乱で光を反射してその発生地点に戻すデバイス又は表面とすることができる。すなわち、再帰反射器58は、各光ビーム54を特定の角度で受け取り、各光ビーム54を反射して、本質的にその特定の角度で発生地点(例えば、ビームスプリッタ56)に戻すことができる。再帰反射器58は、何れかの適切なサイズ、形状又は色とすることができる。例えば、再帰反射器58は、スクリーン又はシートとすることができる。再帰反射器58から反射された光ビーム54の一部は、ビームスプリッタ56を通過し、来園客62に向かって進んで集束し、2D源20の画像(例えば、実像60)を形成する。実像又は空間像は、光ビームが空間内の一点に集束するように見えるときに生成することができる。来園客62にとって、2D源20の画像は、空中に浮いているように見えるか、又は(他の特徴の位置付けに応じて)環境内の何かによって支持されているように見える場合がある。来園客62にとって実像60は、空中に浮いている(又は視聴領域に存在する物理的オブジェクトと何らかの形で係合している)ように見えるが、実像60は、ビームスプリッタ56に関する2D源20の像の鏡面反射とすることができる。
【0029】
図3は、本開示の実施形態による、3D画像発生源20(例えば、3D源20)に基づいて実像60を生成する構成における錯覚システム10の概略平面図を示している。幾つかの実施形態では、3D源20は、光源(例えば、1又は2以上のLEDストリングライト)によって照明された物理的又は3Dオブジェクトを含むことができる。3D源20として照明された物理オブジェクトを使用することで、実像60をもたらすことができる。他の実施形態では、3D源20は、来園客62の各目に対して1つの画像である物理オブジェクトの2つの画像を提供し、実像60が3D画像であるように見えるようにすることができる。更に、3D源20の位置決めは、実像60の予想位置を示す1又は2以上のセンサ12からの命令をコントローラ14が受信擦ることに基づいて構成可能とすることができる。コントローラ14からの命令に基づいて、アクチュエータ22は、3D源20(例えば、ストリングライト、プロジェクタ、又はディスプレイ)の移動を調節することができる。3D源20からの光ビーム54の一部は、
図2に関して上述したのと同様の方法で、ビームスプリッタ56から反射され、再帰反射器58に向けることができる。前述のように、ビームスプリッタ56は、部分的又は完全に透明であってもよく、ガラス又はプラスチックなどの何れかの適切な材料で構成することができる。前述のように、再帰反射器58は、非常に限定された散乱で光を反射してその発生地点に戻すデバイス又は表面とすることができる。すなわち、再帰反射器58は、各光ビーム54を特定の角度で受け取り、各光ビーム54を反射して、特定の角度でその発生地点(例えば、ビームスプリッタ56)に戻すことができる。再帰反射器58は、何れかの適切なサイズ、形状又は色とすることができる。再帰反射器58から反射された光ビーム54の一部は、ビームスプリッタ56を通過し、集束して3D源20の画像(例えば、実像60)を形成することができる。実像60又は空間像は、光ビームが空間内の一点に集束するように見えるときに生成することができる。来園客62にとって、3D源20の画像は、空中に浮いているように見えるか、又は環境特徴に支持/接続されているように見える場合がある。実像60は、ビームスプリッタ56の周りに3D源20の像の鏡面反射とすることができる。
【0030】
幾つかの実施形態では、来園客62が乗り物軌道136(例えば、進路、レール軌道、ガイドレール、又は移動空間)に沿って移動している乗り物車両134にいる間に、錯覚システム10の特殊効果を視聴者又は来園客62に提示することができる。このような
図4は、実像60を通って移動する乗り物車両134を描いた錯覚システム10の概略平面図である。
図4において、画像発生源20は、2D又は3D源とすることができる。画像発生源20の位置決めは、実像60の予想位置を示す1又は2以上のセンサ12からの命令をコントローラ14が受信することに基づいて構成可能とすることができる。コントローラ14からの命令に基づいて、アクチュエータ22は、2D源20(例えば、ストリングライト、プロジェクタ、又はディスプレイ)の移動を調節することができる。上記で説明した実施形態と同様に、錯覚システム10は、来園客62(例えば、乗り物車両134に乗る来園客62)に、2D又は3D源20の画像が環境内に物理的に存在する(例えば、乗り物軌道136の上に座っているか上空に浮かんでいる)と認識させることができる。
【0031】
乗り物車両134が乗り物軌道136に沿って移動するときに、
図4の錯覚システムによって提供される乗り物体験の間、乗り物車両134は、光ビーム54とビームスプリッタ56及び再帰反射器58との相互作用を介して生成された実像60(又はより具体的には、実像60が環境内に位置するように見える場所に対応する集束点)を通過することができる。乗り物車両134が実像60を通って移動するとき、乗り物135内の来園客62には、実像60が実像60を通過する前に見ていたものに対して実像60の反転形態に遷移するかのように見え、これによって来園客62を混乱させる可能性がある。例えば、実像60が家の投影を表している場合である。家は、来園客62にとって、乗り物軌道136に沿って移行する乗り物車両134を介して実像60を通過する際に、反転した状態になるように見える可能性がある。これを回避するために、コントローラ14は、乗り物車両134が実像60を通って移動したときに、画像発生源20に提供されるメディアを反転させることができる(例えば、投影)。例えば、画像発生源20が2D源である場合、コントローラ14は、画像発生源20にて動作するプロジェクタに、家の反転画像を投影するように命令することができる。このように、来園客62が実像60を通過するとき、家の画像は、乗り物車両134が乗り物軌道136に沿って移動する際に実像60(或いは、集束点)を移行する前に見ていたものに対して反転しているようには見えない。幾つかの実施形態では、画像発生源20に関連する媒体は、来園客62が後ろからではなく、自分の前にある実像60のみを見ることができるように、乗り物車両134及び来園客が実像60を通過した後にオフにすることができる。例えば、家の投影は、来園客が実像60を通過した後にオフにすることができる。1又は2以上のセンサ12は、乗り物車両134の移動及び位置を追跡することができ、これは、乗り物車両134が実像60に接近しているとき、及び/又は通過して移行しているときを検出することを含む。乗り物車両134が実像60に接近している、実像60を通過している、及び/又は実像60を既に通過したという指標を受け取ることに応答して、コントローラ14は、画像発生源20に関連する媒体を反転又はオフにすることができる(例えば、非アクティブ化又は他の形で来園客62による視聴をブロックさせる)場合がある。幾つかの実施形態では、構造的特徴は、実像60を通過して遷移する直前又は直後に、実像60の閲覧をブロックすることができる。幾つかの実施形態では、実像60をブロックする構造的特徴は、1又は2以上のセンサ12を介して決定される、乗り物車両134の動き又は位置に基づいて動的に作動させることができる。また、動的な小道具を用いて、実像60が接近又は通過する際に、来園客62が実像60を観察することから注意を逸らすことができる。
【0032】
追加の実施形態では、乗り物が実像60を通過するときに画像発生源20を反転させるのではなく、又はこれに加えて、コントローラ14は、実像60(例えば、アニメーション又はダイナミックプロップの反射)が実像60が壊れている又は砕けているかのように来園客62に見えるように画像発生源20を制御することができる。これは、支持する画像を反転させること、又は上述したように、視聴ポイントの移行から生じる反転を阻止するために画像の動的性質に依存することを含むことができる。一例として、実像60は、レンガの壁のように見えるかもしれない。コントローラ14が、乗り物車両134及び来園客62がレンガ壁の実像60を通過しているという命令を1又は2以上のセンサ12から受け取ると、コントローラ14は、画像発生源20に関連付けられた媒体を更新して、レンガ壁138が砕ける又は壊れる別の実像を生成することができる。具体的には、例えば、無傷のレンガ壁のスクリーン投影は、粉砕しているレンガ壁のスクリーン投影に移行することができる。幾つかの実施形態では、実際のレンガ壁の小道具は、その反射が実像60を提供するように、組み立てられた構成と粉々になった構成との間で移行することができる。来園客62に実像60と物理的に対話できるかのように感じさせるように見える特殊効果を作り出すために、コントローラ14は、ハプティクス又は乗り物車両134に関連する動作プロファイルをアクティブにすることができる。例えば、乗り物車両134が実像60を通過するとき(例えば、レンガの壁が砕けたり壊れたりすることを表す)、乗り物車両134が揺れて、乗り物車両134が物理的構造物に衝突することをシミュレートする効果を生じさせることができる。このようなハプティクス又は運動効果は、リアルタイムで実行されてもよいし、乗り物車両134の動きの予め定義されたタイミングに基づくものとすることができる。1又は2以上のセンサ12に基づく追跡システムを使用して、来園客62の位置及び動き(例えば、乗り物車両が実像60に近づいているとき)を追跡し、このような効果を作動させてもよい。更に、物理的な小道具が、これらの効果を支援又は補足するために含めることがある。例えば、壁からの粒子のように見える実際の物理的な小道具は、乗り物環境の周りを移動することができる。別の例として、実像60で提供される画像に相関する実際のレンガ壁138を、実像60を通過した直後に開口139を設けて、実像60で描かれたレンガ壁の破壊が、実際のレンガ壁138の開口139をもたらしたという感覚を作り出すことができる。同様に、実像60に描かれているものと乗り物環境で提供されるものとの間に他の相関関係を提供することもできる。
【0033】
幾つかの実施形態では、錯覚システム10の特殊効果は、来園客62及び/又は乗り物車両134の位置に基づいて様々な方法の何れかで調整される実像60を含むことができる。これは、画像発生源20の物理的操作(例えば、画像発生源20の再位置決め)、画像発生源20の制御された作動(例えば、幾つかのライトを点灯させるが他のライトを点灯させない)、画像発生源20が提供する媒体の作動(例えば、アニメーションのビデオクリップの表示)などを含む、画像発生源20(例えば、2D源、3D源)の調節を含むことができる。例えば、生成される実像60の大きさが増減するように、画像発生源20を調整することができる。
【0034】
図5は、体験への没入感を高めるために、錯覚システム10の態様が来園客62による直接の視聴から隠されるように配置された錯覚システム10の概略立面図である。
図5に示すように、画像発生源20及び再帰反射器58は、来園客62から隠すことができる。すなわち、画像発生源20及び再帰反射器58は、来園客62に対してビームスプリッタ56の下方に配置することができる。その結果、乗り物車両134が乗り物経路136に沿って移動するとき、来園客62は、後ろを見て画像発生源20及び再帰反射器58を見ることができない場合がある。この場合も、体験の没入感を高めることができる。
【0035】
上記を念頭に置いて、
図6は、本開示の実施形態による、ペッパーズゴースト効果と組み合わせて実像60を生成する
図1の錯覚システム10の概略平面図である。例えば、画像発生源20は、稲妻を表す媒体を投影することに関連することができる。画像発生源20の位置決めは、実像60の予想位置を示す1又は2以上のセンサ12からの命令をコントローラ14が受信することに基づいて構成可能とすることができる。コントローラ14からの命令に基づいて、アクチュエータ22は、2D源20(例えば、ストリングライト、プロジェクタ、又はディスプレイ)の移動を調節することができる。上記の図と同様に、再帰反射器58から反射された光ビーム54は、ビームスプリッタ56を通過して集束し、画像発生源20に基づく実像60を形成することができる。実像60又は空間像は、光ビーム54が空間の一点に集束するときに生成することができる。来園客62には、稲妻の実像60が空中に浮いているように見えるかもしれない。
【0036】
再帰反射器58は、外観が灰色とことができ、来園客62によって見るのに魅力的でない可能性がある。幾つかの実施形態では、再帰反射器58は、再帰反射器58の外観が遊園地の小道具、環境などとテーマ上又は視覚的に相関するように、視覚的外観に関して変更することができる。再帰反射器58は、環境内に溶け込み、来園客62にとって目立たないように見えるよう装飾することができる。例えば、再帰反射器58と鑑賞者62との間に、有色の薄い半透明のフィルムを配置することができる。
【0037】
追加又は代替の実施形態では、来園客が再帰反射器58の元の外観(例えば、灰色のシートの外観)に気付くのを防ぐために、再帰反射器58は来園客62から隠すことができる。来園客62の視界から再帰反射器58を隠すために、再帰反射を介して生成された実像60と連動して、ペッパーズゴースト効果を介した仮想像152を生成することができる。ペッパーズゴースト効果は、来園客62が見るための画像(例えば、仮想像152)を提供するためにビームスプリッタ56などの半透明又は透明な材料(例えば、ガラス、プレキシガラス、プラスチック、又はポリエステル箔)の反射特性を利用する。
図6に示される仮想像152は、閲覧者62が知覚するであろう場所に示されている。しかしながら、これは、実際には、視聴者62とビームスプリッタ56の同じ側にある発生源153の反射である。上述のように、これは、再帰反射器58の性質を隠すために、実像60の提供と連動して機能することができる。例えば、ビームスプリッタ56は、ビームスプリッタ56と再帰反射器58とを協働させて実像60を提供することができ、一方で、発生源153は、ビームスプリッタ56と異なる方法で協働させて仮想像152(又はペッパーズゴースト効果)を提供することができる。従って、来園客62は、実像60と関連して、視聴領域からペッパーズゴースト効果による仮想像52又は反射像を見ることができる。再帰反射器58は、ビームスプリッタ56のガラスを介して来園客62の視線から依然として見ることができるが、来園客62の注意は、再帰反射器58ではなく、ペッパーズゴースト効果に関連する反射画像又は仮想像152に向けることができる。幾つかの実施形態では、仮想像152は、再帰反射器上にパターン(例えば、葉の画像)を本質的に覆うか又は提供することができる。このように、Pepperのゴースト効果は、再帰反射器58を隠すのに役立ち、又は来園客62の注意を再帰反射器58から逸らすのに役立つ。
【0038】
しかしながら、来園客62がPepperのゴースト効果によって実像60から注意を逸らされないように、実像60に関連する光の強度は、仮想像152に関連する光の強度よりも高くすることができる。
【0039】
図7は、本開示の実施形態による、
図6のペッパーズゴースト効果を用いた画像の共有視聴体験を提供する錯覚システム10の概略平面図である。画像発生源20の位置決めは、実像60の予想位置を示す1又は2以上のセンサ12からの命令をコントローラ14が受信することに基づいて構成可能とすることができる。コントローラ14からの命令に基づいて、アクチュエータ22が2D源20(例えば、ストリングライト、プロジェクタ、又はディスプレイ)の移動を調節することができる。
図6とは異なり、画像発生源20からの光ビーム54は、最初に、ビームスプリッタ56を透過又は通過して、再帰反射器58に向けることができる。再帰反射器58は、各光ビーム54を特定の角度で受け取り、各光ビーム54を反射して、特定の角度でその発生地点(例えば、ビームスプリッタ54)に戻すことができる。光ビーム54の一部は、ビームスプリッタ56から反射して集束し、実像60として画像発生源20の画像を形成することができる。従って、来園客172は、画像発生源20に関連するメディアに基づいて実像60を見ることができる。更に、この再帰反射効果に関連して、ペッパーズゴースト効果も実施することができる。すなわち、来園客172とはビームスプリッタ56の反対側にいる別の来園客176が、画像発生源20に関連するメディアの仮想像152を見ることができるようにすることができる。従って、来園客172及び176の両方が、画像発生源20に関連するメディアの共有された視聴体験を経験することができる。
【0040】
図8は、本開示の実施形態による、狭い視野角で実像60を生成する錯覚システム10の概略平面図である。例えば、アミューズメントライド又はゲームは、パズルを含むことができ、この場合、実像60は、手がかりを見つけたか又はパズルを解いた来園客にのみ見えるようにすることができる。手がかり又はパズルを解くことは、来園客62が、実像60の観察を可能にする一方で、その位置にいない他者からの閲覧を除外する特定の位置に配置されることを含むことができる。実像60の視野角を狭めるために、画像発生源20の一部としてコリメータを使用することができる。上述したように、画像発生源20(例えば、コリメータを含む)の位置決めは、実像60の予想位置を示す1又は2以上のセンサ12からの命令をコントローラ14が受信することに基づいて構成可能とすることができる。コントローラ14からの命令に基づいて、アクチュエータ22は、画像発生源20の移動を調節することができる。視野角は、来園客が実像60を見ることができる可能性がある角度又は位置の範囲として定義することができる。本明細書で使用されるように、コリメータは、光ビーム54(例えば、2D又は3Dの実像を生成するために使用される狭い光ビーム)を狭め、これにより実像60の視野角を狭めるデバイスとすることができる。コリメータから出力された狭い光ビーム54は、ビームスプリッタ56から反射して、再帰反射器58に向けることができる。再帰反射器58は、特定の角度で狭い光ビーム54を受光し、単一の光ビーム54を特定の角度で反射して発生地点(例えば、ビームスプリッタ56)に戻すことができる。再帰反射器58から反射された狭い光ビーム54は、ビームスプリッタ56を通過して集束し、光源52の像(例えば、実像60)を形成することができる。実像60は、来園客62に可視とすることができる。視野角を狭くすることにより、実像60は、来園客62の近くにいる他の来園客に見えないようにすることができる。すなわち、実像60は、来園客62が配置されている位置からのみ見ることができる。このように、来園客62がアミューズメントゲームのヒントを見つけた場合、ヒントを見つけられなかった近くの来園客とは異なり、実像60を視聴することが可能になる。
【0041】
図9は、本開示の実施形態による、回転ビームスプリッタ56で実像を生成する錯覚システム10の概略平面図である。この図示された実施形態では、乗り物車両134は、乗り物軌道136に沿って通過しており、ビームスプリッタ56は、(例えば、乗り物車両134の移動に基づいて、又は乗り物車両134の移動とタイミングを合わせて)位置間で回転するように動作する。ビームスプリッタ56を回転させることにより、実像60の視野角がシフトする可能性がある。乗り物車両134が乗り物軌道136に沿って移動すると、来園客62は、実像60を見続ける。コントローラ14は、1又は2以上のセンサ12を介して乗り物車両134の動きを監視又は追跡し、乗り物車両134が移動するにつれて、ビームスプリッタ56を動かすようアクチュエータ22に命令することができる。アクチュエータ22は、ビームスプリッタ56に結合することができる。画像発生源20に関連する媒体を調整する必要ではなく、コントローラ14は、実像60の視野角が変化するようにビームスプリッタ56を回転させることができ、乗り物車両134が錯覚システム10の他の態様に対して移動する際に、来園客が実像60を見ることができるようにする。幾つかの実施形態では、コントローラ14は、乗り物車両134の移動と同様の速度でビームスプリッタ56の回転又は移動を命令することができる。
【0042】
図10は、本開示の一実施形態による、ビームスプリッタ180として水を用いて実像60を生成する錯覚システム10の概略平面図である。例えば、水に関するウォーターパーク又は遊園地の乗り物において、ビームスプリッタ180として水を使用することができる。画像発生源20及び再帰反射器58は、水面下に配置することができる。例えば、プールの底は、再帰反射器58として機能を果たすことができる。再帰反射器58は、各光ビーム54を特定の角度で受けることができ、各光ビーム54を特定の角度で反射して、その発生地点(例えば、ビームスプリッタ180)に戻すことができる。再帰反射器から反射された光ビーム54の一部は、ビームスプリッタ180(例えば、水)を通過して集束し、画像発生源20の像(例えば、実像60)を形成することができる。来園客62にとって、画像発生源20の画像は、空中に浮いているように、水上に浮かんでいるように、又は表面(例えば、プール縁部)に腰掛けているように見えるかもしれない。画像発生源20の位置決めは、実像60の予想される位置(例えば、水に浮いている、プールの縁部に配置されている)を示す1又は2以上のセンサ12からの命令をコントローラ14が受け取ることに基づいて調整することができる。コントローラ14からの命令に基づいて、アクチュエータ22は、画像発生源20の移動を調節することができる。
【0043】
更に、
図11は、本開示の実施形態による、ビームスプリッタとして2面コーナーリフレクタアレイ(DCRA)200を用いて実像60を生成する錯覚システム10の概略平面図である。DCRA200は、アクリル又はガラスのシートを含むことができる。再帰反射器58とは異なり、DCRA200は、画像発生源20からの光ビーム54を特定の角度で受光する。上記の図と同様に、光ビーム54は、画像発生源20(例えば、2D源、3D源)から放出することができる。画像発生源20の位置決めは、実像60の予想位置を示す1又は2以上のセンサ12からの命令をコントローラ14が受信することに基づいて構成可能とすることができる。コントローラ14からの命令に基づいて、アクチュエータ22は、画像発生源20(例えば、ストリングライト、プロジェクタ、又はディスプレイ)の移動を調節することができる。光ビーム54は、光ビーム54が受信された角度と同様の角度でDCRA200を通過又は透過することができる。DCRA200を通過した後、光ビーム54は集束し、実像60を形成することができる。幾つかの実施形態では、DCRA200は、何れかの仮想像を生成することなく実像60を生成することを可能にする。
【0044】
実像60は、反射及び/又は再帰反射により視聴のために観客に提供されるので、表示されている2D及び/又は3D画像の特徴(例えば、空間内を移動するキャラクタ)に関連する照明は、観客が実際の特徴を期待するような方法と相関していない可能性がある。画像発生源20(例えば、ランプ、懐中電灯、炎又は他の発光体)を使用する再帰反射技術は、実像60において光及び対応する影を発生させないようなる場合がある。例えば、空間に立っているキャラクタの実像60を観客に表示することができる。しかしながら、実像60は、空間を通過する光を遮らないので、実像60に影を発生させることができない場合がある。実像60は、空間に立っているキャラクタが影を落とすことを期待する観客には非現実的に見える可能性がある。実像60の真実性を高め、観客に没入感を与えるために、錯覚システム10は、実像60が物理的オブジェクトである場合に実像60の影がある場所を除く空間の全ての表面を照明するのに使用することができる。前述のことを念頭に置いて、
図12は、画像発生源20に関連する照明を調整することによって、没入効果(例えば、影を落とす252、屈折効果254を生成する)を提供する錯覚システム10の概略図である。
【0045】
画像発生源20は、実像60に対して没入効果を提供する何れかの数又はタイプの装飾照明要素250に結合することができる(例えば、影252を落とす、屈折効果254を生み出す)。幾つかの実施形態では、装飾照明要素250は、実像60に影252を落とすために画像発生源20の一部を覆うフィルタ256を含むことができる。例えば、照明又は画像発生源20の位置と、有形又は物理オブジェクト(例えば、キャラクタ)であった場合に実像60によって落とされる影252の予想位置とを決定した後、コントローラ14は、アクチュエータ22に命令して、影252が落とされることが予想される画像発生源20上にフィルタ256(例えば、キャラクタのシルエット)を配置することができる。フィルタ256は、光が画像発生源20を通過するのを阻止し、これによりキャラクタの影252が実像60に現れることを可能にする何れかの適切な不透明材料とすることができる。
【0046】
追加的及び/又は代替的な実施形態では、これらの没入効果(例えば、影252)は、実像60、画像発生源20、及び装飾照明要素250の位置及び/又は形状、並びに実像60が変位され且つ画像発生源20が配置される物理的空間で更新するようにアニメーション化することができる。幾つかの実施形態では、画像発生源20及び/又は装飾照明要素250の調整は、没入型効果を生成するための環境内の照明の事前計算に基づくことができる。他の実施形態では、画像発生源20及び/又は装飾光学要素250の更新は、没入型効果を生成するために環境内の照明の変化に基づいてリアルタイムで計算することができる。例えば、1又は2以上のセンサ12は、画像発生源20の位置と、環境又は物理的空間内の照明の変化とを監視することができる。1又は2以上のセンサ12からのこのような照明情報に基づいて、コントローラ14は、画像発生源20及び/又は装飾光学要素250の位置、強度、及び他の照明特性を動的に調整して、実像60に影252を落とすこと、又は他の没入効果を発生させることができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、実像60が表示される環境は、空気中の粒子(例えば、塵、霞、又は霧)を有することができる。このような粒子に関して、影252が環境の表面上の明るい部分及び暗い部分として可視であるだけでなく、影252が粒子に起因して空気中の光線及び暗光線として可視とすることができる。このような粒子を有する環境において没入効果を高め、現実感を増すために、画像発生源20の位置は、装飾光学要素250と位置的に相関することができる。
【0048】
他の実施形態では、2又は3以上の実像60及び装飾光学要素250を観客に表示することができる。装飾光学要素250は、物理的空間又は実像60の一部とすることができる。幾つかの実施形態では、装飾光学要素250は、物理的空間において、あるオブジェクトの影252を別のオブジェクト上に落とすことが予想されるので、ために、各オブジェクト及び装飾光学要素250の位置及び姿勢を追跡し、物理的空間において影を落とす可能性がある場所を計算することができる。従って、影を有するオブジェクトは、デジタル的又は物理的に照明することができ、オブジェクトの対応する実像60が、影が落とされる可能性のある暗領域を有することができるようになる。
【0049】
幾つかの実施形態では、実像60は、発光することができるオブジェクト(例えば、火の玉、稲妻)とすることができる。実像60は、火の玉又は稲妻が現実にそのように行うことができるように全方向に光を放出しない可能性があるので、火の玉又は稲妻の実像60は、観客には非現実的に見える可能性がある。影を落とす可能性のあるキャラクタの実像60を生成する際の錯覚システム10の使用と同様に、錯覚システム10を使用して、実像60(例えば、火の玉、稲妻)が表示される物理的空間の表面を照明し、実像60が発光できた場合に見られたはずの効果に相関させることができる。
【0050】
追加の実施形態では、実像60は、屈折面(例えば、水中、ガラス面258)上に生成することができる。このように、錯覚システム10は、屈折面(例えば、水、ガラス258)に関連する屈折特性254を生成する装飾光学要素250を含むことができる。例えば、観客は、屈折特性254に起因して、ビームスプリッタ56を過ぎてビームスプリッタ56の背後の物理的空間まで見えるようにすることができる。実像60は、実像60が水、ガラス258、又は別の屈折面内の物理オブジェクトであるかのように、同様の方法で光を屈折させるように見える場合がある。実像60が物理オブジェクトの照明を介して生成される場合、物理オブジェクトを配置できる物理的セット(例えば、水、ガラス258)が、実像60に関して有効な屈折特性254を生成するために物理オブジェクトの背後に配置することができる。
【0051】
図13A及び
図13Bは、本開示の実施形態による、2つのビームスプリッタ56、2つの画像発生源20、及び2つの再帰反射器58を用いて実像60を生成する錯覚システム10の概略平面図である。図示されるように、2つのビームスプリッタ56、2つの画像発生源20、及び2つの再帰反射器58の位置決めにより、視聴者62が、ビームスプリッタ56の両側から実像60及び仮想像152を見ることができるようになる。具体的には、
図13Aは、第1の側からの視聴を表し、
図13Bは、第2の側(第1の側と反対側)からの視聴を表している。幾つかの実施形態では、実像60は、ビームスプリッタ56の一方の側からビームスプリッタ56の別の側(例えば、反対側)へ移動するように見える。少なくとも2つのビームスプリッタ56、2つの画像発生源20、及び2つの再帰反射器58を使用することにより、実像60は、ビームスプリッタ56の一方の側からビームスプリッタ56の他方の側へ本質的にシームレスに移動するように見える。
図13A及び
図13Bに示される配置において2つのビームスプリッタ56を採用することにより、単一のビームスプリッタ56の近傍に実質的にアクセスできない視聴領域を残すことになる、単一のビームスプリッタ56を用いることと比較して、実像60のより流動的で連続した表現を提供することができる。更に、
図13A及び
図13Bの配置により、視聴者62が、ビームスプリッタ56のどちらの側からも同じ実像60を見ることを可能にすることができる。
【0052】
更に、実像60がデジタルデバイス(例えば、2Dスクリーン、プロジェクタ)を介して生成される場合、コンピュータベースのシミュレーションを実行して、実像60が、物理的オブジェクトである場合に来園客の特定の視点からどのように屈折して見えるかを決定することができる(例えば、コントローラ14を介して屈折特性254を計算する)。コントローラ14は、来園客の位置を追跡して、来園客の視点から屈折特性254を計算することができる。屈折特性254は、来園客の視点と相関しない他の視点からは異なって見えるか、又は完全には正確でない可能性がある。
【0053】
屈折特性254が、見る位置又は特定の視点に関係なく正確であることを保証するために、幾つかの実施形態では、実像60は、ライトフィールドディスプレイを使用して生成することができる。ライトフィールドディスプレイを使用すると、コントローラ14は、実像60が物理的オブジェクトであった場合に、実像60を見ることができるあらゆる視点からどのように屈折して見えるかを計算することができる(例えば、屈折特性254を計算する)。このため、来園客の位置を追跡するのではなく、コントローラ14は、ライトフィールドディスプレイを使用して、正確な屈折特性254などの没入効果を提供することができる。
【0054】
更に、上述の没入効果(例えば、影252を落とす、屈折効果254を作成する)は、実像60と組み合わせてペッパーズゴースト効果に同時に適用することができ、両方の画像(例えば、ペッパーズゴースト効果からの仮想像及び実像60)が発光している、光を屈折している、及び/又は、影を落としているように見えるようになる。すなわち、実像60を見る視聴者及びペッパーズゴースト効果からの仮想像を見る別の視聴者は、対応する物理オブジェクトが現実において挙動する(例えば、影252を落とす、光を屈折させる)ように実像60及び仮想像を知覚することができる。幾つかの実施形態では、錯覚システム10は、コントローラ14が、両方の視聴者のあらゆる視点又は視聴位置に基づいて、補助照明、プロジェクションマッピング、及び他の照明効果に関連する位置、強度、及び他のパラメータを計算することを含むことができる。ペッパーズゴースト効果の視界は、実像60の視界と同様に強化され、仮想像及び実像60の両方が影252を落とし光を屈折させて見えるようにすることができる。更に、実像60は、再帰反射、DCRAを含む技術、ライトフィールドディスプレイなどを使用する没入効果で生成することができることは理解できる。
【0055】
本発明の特定の特徴のみを本明細書で例示し説明してきたが、当業者であれば、多くの変更形態及び変形が想起されるであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の真の技術的思想の範囲内にあるこのような修正形態及び変更全てを保護することを意図していることを理解すべきである。本明細書で提示され請求項に記載された手法は、本発明の技術分野を明らかに改善する実際的な性質の実質的な目的及び具体的な実施例に参照及び適用され、このため、抽象的、無形、又は真に理論的でもない。更に、本明細書の終わりに添付した何れかの請求項が「機能」を「実行」する手段」又は「機能」を「実行」するステップ」として指定された1又は2以上の要素を含む場合、このような要素は、米国特許法第112条(f)に従って解釈されるものとする。しかしながら、他の何れかの方法で指定された要素を含む何れかの請求項については、このような要素は、米国特許法第112条(f)に従って解釈されないものとする。
【符号の説明】
【0056】
12 追跡センサ
14 コントローラ
22 アクチュエータ
20 画像発生源
【国際調査報告】