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特表2023-549105DC電圧グリッドを動作させる方法及びAC電圧グリッドにDC電圧グリッドを接続する電力変換器
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  • 特表-DC電圧グリッドを動作させる方法及びAC電圧グリッドにDC電圧グリッドを接続する電力変換器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】DC電圧グリッドを動作させる方法及びAC電圧グリッドにDC電圧グリッドを接続する電力変換器
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20231115BHJP
   H02H 3/24 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
H02J1/00 309D
H02J1/00 306B
H02H3/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526552
(86)(22)【出願日】2021-11-12
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 EP2021081547
(87)【国際公開番号】W WO2022101420
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】102020129917.6
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515078095
【氏名又は名称】エスエムエイ ソーラー テクノロジー アクティエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】SMA Solar Technology AG
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】アンル,アレクサンダー
【テーマコード(参考)】
5G004
5G165
【Fターム(参考)】
5G004AA04
5G004AB02
5G004AB03
5G004BA01
5G004DB01
5G004DC06
5G004DC11
5G004GA02
5G165BB02
5G165BB08
5G165EA06
5G165GA04
5G165HA04
5G165LA01
5G165MA01
5G165MA10
5G165NA10
5G165PA01
(57)【要約】
本願は、電力変換器(10)及びDC/DC変換器(40)を備える電気システムについて記載しており、電力変換器(10)は、電力変換器(10)のAC側(16)と電力変換器(10)のDC側(18)との間で電力を伝送するように構成され、電力変換器(10)のAC側(16)は、接地された三相AC電源グリッド(12)に接続可能であり、電力変換器(10)のDC側は、接地されていないDCグリッド(14)に接続可能である。電力変換器(10)はブリッジ回路(20)を有し、ブリッジ回路(20)のAC端子(ACL1、ACL2、ACL3)は、ACリレー(22)を介して電力変換器(10)のAC側(16)に接続可能であり、ブリッジ回路(20)のDC端子(DCL+、DCL-)は、回路遮断器(26.1、26.2)を介して電力変換器(10)のDC側に接続可能である。DC/DC変換器(40)は、電力変換器(10)のDC側(18)に面する出力側(24)を有し、電気システムは、DC/DC変換器(40)の出力側(24)に存在するDC電力変換器電圧(UDCS)及びDC/DC出力電圧(USym)を測定するように構成された測定装置(38)を有し、DC電力変換器電圧(UDCS)及びDC/DC出力電圧(USym)は回路遮断器(26.1、26.2)の両側に存在する。電気システムは、DC/DC出力電圧(USym)がDC/DC変換器(40)の出力側(24)に設定されるようにDC/DC変換器(40)を駆動するように構成された制御ユニット(30)を有し、DC/DC出力電圧(USym)の絶対値はDC電力変換器電圧(UDCS)に対応する。本願はまた、電気システムを動作させる方法についても記載している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力変換器(10)及びDC/DC変換器(40)を備える電気システムであって、前記電力変換器(10)は、前記電力変換器(10)のAC側(16)と前記電力変換器(10)のDC側(18)との間で電力を伝送するように構成され、前記電力変換器(10)の前記AC側(16)は、接地された三相AC電源グリッド(12)に接続可能であり、前記電力変換器(10)の前記DC側(18)は、接地されていないDCグリッド(14)に接続可能であり、前記電力変換器(10)はブリッジ回路(20)を有し、前記ブリッジ回路(20)のAC端子(ACL1、ACL2、ACL3)はACリレー(22)を介して前記電力変換器(10)の前記AC側(16)に接続可能であり、かつ、前記ブリッジ回路(20)のDC端子(DCL+、DCL-)は、回路遮断器(26.1、26.2)を介して前記電力変換器(10)の前記DC側(18)に接続可能であり、
前記DC/DC変換器(40)は、前記電力変換器(10)の前記DC側(18)に面する出力側(24)を有し、前記電気システムは、前記DC/DC変換器(40)の前記出力側(24)に存在するDC電力変換器電圧(UDCS)及びDC/DC出力電圧(USym)を測定するように構成された測定装置(38)を有し、前記DC電力変換器電圧(UDCS)及び前記DC/DC出力電圧(USym)は前記回路遮断器(26.1、26.2)の両側に存在し、前記電気システムは、前記DC/DC出力電圧(USym)が前記DC/DC変換器(40)の前記出力側(24)に設定されるように前記DC/DC変換器(40)を駆動するように構成された制御ユニット(30)を有し、前記DC/DC出力電圧(USym)の絶対値は前記DC電力変換器電圧(UDCS)に対応する、電気システム。
【請求項2】
前記DC/DC変換器(40)の前記出力側(24)が前記電力変換器(10)の前記DC側(18)に接続される、請求項1に記載の電気システム。
【請求項3】
前記DC/DC変換器(40)が、前記ブリッジ回路(20)と前記回路遮断器(26.1、26.2)との間に配置される、請求項1又は2に記載の電気システム。
【請求項4】
前記回路遮断器(26.1、26.2)が、前記DC/DC変換器(40)と前記ブリッジ回路(20)との間に配置される、請求項1又は2に記載の電気システム。
【請求項5】
前記測定装置(38)は、接地電位(PE)に対するそれぞれのDCライン(DC+、DC-)の電圧を測定することによって前記DC電力変換器電圧(UDCS)及び/又は前記DC/DC出力電圧(USym)を決定するように構成され、それぞれのDCライン(DC+、DC-)はそれぞれのDC端子(DCL+、DCL-)に接続される、請求項1~4のいずれか1項に記載の電気システム。
【請求項6】
前記DC電力変換器電圧(UDCS)及び前記DC/DC出力電圧(USym)の接地電位(PE)に対するそれぞれの電圧が相互に一致させられるように、前記制御ユニット(30)は前記記DC/DC変換器(40)を駆動するように構成される、請求項1~5のいずれか1項に記載の電気システム。
【請求項7】
前記DC/DC出力電圧(USym)が前記DC電力変換器電圧(UDCS)に対応する場合、前記制御ユニット(30)は前記回路遮断器(26.1、26.2)を閉じるように構成される、請求項1~6のいずれか1項に記載の電気システム。
【請求項8】
前記DC/DC出力電圧(USym)は前記DC電力変換器電圧(UDCS)に対応し、前記DC/DC出力電圧(USym)及び前記DC電力変換器電圧(UDCS)はともに、前記回路遮断器(26.1、26.2)が閉じられる場合、前記DCグリッド(14)のDCバス電圧を形成する、請求項1~7のいずれか1項に記載の電気システム。
【請求項9】
前記制御ユニット(30)は、前記DCバス電圧が平衡化されるように前記DC/DC変換器(40)を駆動するように構成され、前記平衡化は、中間電位として特に接地電位に関して実行される、請求項8に記載の電気システム。
【請求項10】
前記制御ユニット(30)は、対称のDC/DC電圧変換器をクロックすることによって前記DC/DC変換器(40)の前記出力側(24)に前記DC/DC出力電圧(USym)を設定するように構成される、請求項1~9のいずれか1項に記載の電気システム。
【請求項11】
前記制御ユニット(30)は、ACリレー(22)を介して前記電力変換器(10)の前記AC側(16)に前記ブリッジ回路(20)の前記AC端子(ACL1、ACL2、ACL3)を接続し、かつ、その後、前記DC/DC出力電圧(USym)を設定するように構成される、請求項1~10のいずれか1項に記載の電気システム。
【請求項12】
前記ブリッジ回路(20)の前記AC端子(ACL1、ACL2、ACL3)及び前記DC端子(DCL+、DCL-)はガルバニック結合され、かつ、前記電力変換器(10)の前記AC側(16)と前記DC側(18)との間の前記電力伝達経路は特に無変圧器であるように設計される、請求項1~11のいずれか1項に記載の電気システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の電気システムを動作させるための方法であって、
DC電力変換器電圧(UDCS)を測定するステップと、
前記DC/DC変換器(40)の前記出力側(24)にDC/DC出力電圧(USym)を設定するステップであって、前記DC電力変換器電圧(UDCS)及び前記DC/DC出力電圧(USym)は前記回路遮断器(26.1、26.2)の両側に存在し、設定された前記DC/DC出力電圧(USym)の絶対値は、測定された前記DC電力変換器電圧(UDCS)に対応する、ステップと、を含む方法。
【請求項14】
前記DC電力変換器電圧(UDCS)及び前記DC/DC出力電圧(USym)は、接地電位(PE)に対するそれぞれのDCライン(DC+、DC-)の電圧を測定することによって決定され、それぞれのDCライン(DC+、DC-)はそれぞれのDC端子(DCL+、DCL-)に接続される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記DC電力変換器電圧(UDCS)及び前記DC/DC出力電圧(USym)の接地電位(PE)に対するそれぞれの電圧は互いに一致させられる、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
前記DC/DC出力電圧(USym)が設定された後、前記DC/DC変換器(40)の前記出力側(24)が、前記回路遮断器(26.1、26.2)を閉じることによって前記電力変換器(10)に接続されるステップを含む、請求項13~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記ブリッジ回路(20)の前記AC端子(ACL1、ACL2、ACL3)が、前記DC/DC出力電圧(USym)が設定される前にACリレー(22)を介して前記電力変換器(10)の前記AC側(16)に接続されるステップを含む、請求項13~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記回路遮断器(26.1、26.2)が閉じられた後、前記DC/DC変換器(40)が前記DCバス電圧を平衡化するステップを含み、前記平衡化は特に中間電位として前記接地電位に関して実行される、請求項13~17のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
DCエネルギーシステムは、好ましくはDC電流の形態で電力を利用可能にする少なくとも1つのエネルギー源、すなわち、DC電源、例えば、バッテリ、PVジェネレータ、又は燃料電池と、好ましくはDC電流の形態で電力を消費する少なくとも1つの負荷、すなわち、DCシンク、例えば、コンシューマ及びこれらの電気部品間の接続と、を備える。DCエネルギーシステムは、電気部品が接続されるDCグリッド又はDCバスを備え得、かつ、電源、ストレージ及び/又はコンシューマを備え得る。いくつかの接続された部品を有するDCバス、例えば、1つのみの電源及び1つのみのシンクと、そのような多数の部品を有するDCグリッドとの間の移行は流動的である。本願では、DCグリッドの用語はDCバスを意味するものとも理解される。
【0002】
このようなDCグリッドは接地されて又は接地されないで動作可能である。特定の動作モードに応じて、地絡の場合には、基準に従って異なる監視及び保護機構が必要とされ得る。
【0003】
それぞれのDCラインDCL+及びDCL-の電位DC+及びDC-が接地電位に対する固定基準を有していない非接地型DCグリッドは、DCグリッドで最初の地絡、例えば、DCラインのうちの1つに沿った絶縁不良が依然としていかなる損害にもならないという利点を有する。しかしながら、不良の発生を検出するため、例えば、最初の地絡が発生した場合には必要に応じて対抗措置の開始を可能にするため、例えば、エネルギー源のスイッチをオフにする、又は、DCグリッドからエネルギー源及び/若しくは不良箇所を切断するため、絶縁監視が必要とされる。
【0004】
接地されたDCグリッドにおいて、電位DC+及びDC-は、接地電位に対する規定された基準を有する。こうした接地基準は、例えば、接地電位とDC電位DC+又はDC-のうちの1つとの間の抵抗接続によって容易に実装され得る。
【0005】
DCグリッドは、電力変換器を介して、例えば、さらなるDCグリッド又はACグリッド、例えばAC電源グリッドに接続されてもよく、かつ、特にDCグリッドのDC電源を補助する又はリチャージするため、さらなるエネルギーグリッドと電力を交換してもよい。原則として、DCグリッドにも、恒久的に又は時には完全に、電力変換器を介してさらなるエネルギーグリッドからのエネルギーが供給され得、DCグリッドのエネルギー源は、必要に応じて、電力変動をバッファリングするために使用され得る。
【0006】
さらなるエネルギーグリッドが、例えば、接地された中性線の形態の接地を有し、かつ、電力変換器が、無変圧器であるように設計される場合、すなわち、AC側とDC側との間にガルバニック絶縁を有していない場合、DCグリッドは、電力変換器を介して固定接地基準を自動的に備える、すなわち、接地される。接地基準に対するDCグリッドの電位の特定の位置は、この場合、電力変換器の具体的に使用されるトポロジによって予め規定されている。例えば、DC側に、電力変換器は、分割リンク回路を有してもよく、そのセンタータップすなわち中間電位は、固定設置基準を有する中性線に接続され、その結果、リンク回路のDC電位は接地電位に対して大部分が対称である。
【0007】
この点、接地されていないDCグリッド自体は同様に、無変圧器の電力変換器を介して、接地されたエネルギーグリッドへの接続を通じて接地されたグリッドになる。したがって、これは、そうしたDCグリッドのための2つの動作状態:接地されていない「スタンドアロン」モードと、接地されたエネルギーグリッドに接続された場合の接地モードと、をもたらし得る。これは、システムを設計する場合に考慮されるべきである。
【0008】
しかしながら、接地されたDCグリッドが、例えば電力変換器を介して、接地されたACグリッドに接続される場合、これは、電力変換器の構成部品又はグリッドの構成部品が損傷を受けるグリッド間のそうした高い制御されていない電流フローをもたらし得る。これは、おそらく接地されていないDCグリッドに絶縁不良が存在する場合も同様である。
【0009】
本願では、略語DCは直流電流又は直流電圧を表し、かつ、略語ACは交流電流又は交流電圧を表す。
【0010】
本発明の目的は、DCエネルギーシステムの安全な動作を可能にする電気システム及び方法を開示することである。
【発明の概要】
【0011】
当該目的は、独立請求項1の特徴を有する電気システムによって解決される。当該目的は、独立請求項13の特徴を有する方法によって達成される。方法の有利な実施形態は従属請求項で特許請求される。
【0012】
電気システムは、電力変換器及びDC/DC変換器を有し、電力変換器は、電力変換器のAC側と電力変換器のDC側との間で電力を伝送するように構成される。電力変換器のAC側は、接地された三相AC電源グリッドに接続可能であり、電力変換器のDC側は、接地されていないDCグリッドに接続可能である。電力変換器はブリッジ回路を有し、ブリッジ回路のAC端子はACリレーを介して電力変換器のAC側に接続可能であり、ブリッジ回路のDC端子は回路遮断器を介して電力変換器のDC側に接続可能であり、DC/DC変換器は、電力変換器のDC側に面する出力側を有する。電気システムは、DC変換器電圧及びDC/DC変換器の出力側に存在するDC/DC出力電圧を測定するように構成された測定装置を有し、DC電力変換器電圧及びDC/DC出力電圧は回路遮断器の両側に存在する。電気システムは、DC/DC出力電圧がDC/DC変換器の出力側に設定されるようにDC/DC変換器を駆動するように構成された制御ユニットを有し、その電圧の絶対値はDC電力変換器電圧に対応する。
【0013】
これにより、回路遮断器が閉じられる前にDC電圧を一致させることを可能にし、及びしたがって、回路遮断器を閉じている間又は閉じた後に過大補償電流が流れることを防止することに役立ち得る。動作上の安全性がさらにサポートされてもよい。
【0014】
これにより特に、プロセスでDC側の保護概念を変更する必要なく、例えば、無変圧器の電力変換器を介して、接地されたAC電源グリッドに対する、接地されていないDCグリッドの可変接続の許可を可能にする。
【0015】
これには、それ自体が接地基準を有するDCグリッドに対して利点を有する。例えば、DCエネルギーシステムがDC-で接地される場合、その後、一方で、電力変換器のブリッジ回路に適したトポロジの選択が制限される必要があり、他方で、DC+電位でのラインの絶縁が、接地に対する全システム電圧に対して設計される必要があり、その逆も同様である。これは、システム電圧が高い場合、かなりのコストにつながる可能性がある。さらに、DCエネルギーシステム自体が接地基準を有する場合、無変圧器の電力変換器を介して、接地されたAC電源グリッドへの接続に起因して、第2接地基準が発生する。これにより、特に回路遮断器の閉鎖中又は閉鎖後に高い補償電流が発生する可能性があり、例えば差動電流センサなどの保護装置がトリップされる可能性がある。
【0016】
DC/DC変換器の出力側は、電力変換器のDC側に面する側である。DC/DC変換器の入力側には、特に電力変換器のDCリンク回路又はDCグリッド内の別のDC電源、例えばバッテリに起因する電圧が最初に存在する。DC/DC変換器の出力側の電圧がDC/DC出力電圧である。出力側は、DC/DC変換器の入力側の所定の電圧に対して、DC/DC変換器によって電圧が設定可能である側である。
【0017】
例えば、DC/DC変換器が電力変換器内に配置され、かつ、DC/DC出力電圧が、回路遮断器のブリッジ回路が配置される側のDC/DC変換器によって設定されるように、電圧の絶対値が一致させられてもよい。例えば、DC/DC変換器がDCグリッド内に配置され、かつ、DC/DC出力電圧が、ブリッジ回路とは反対側の回路遮断器の側のDC/DC変換器によって設定されるように、電圧の絶対値が一致させられてもよい。
【0018】
電圧の絶対値は、DCグリッドのDCライン間の電圧、又は、回路遮断器の電力変換器側端子間の電圧を意味するものと理解される。これは、DCグリッドの2つのDCライン又は回路遮断器の電力変換器側端子の電位差に対応する。DC/DC出力電圧は、この電圧の絶対値に設定される。
【0019】
電気システムの一実施形態では、DC/DC変換器の出力側は電力変換器のDC側に接続される。この場合、DC/DC変換器は、特に、ブリッジ回路と回路遮断器との間の電力変換器内に配置されてもよい。この実施形態では、DC/DC変換器は、電力変換器のリンク回路電圧からの適切なクロッキングを通じてDC/DC出力電圧を生成する。その後、DC/DC変換器の出力側は、回路遮断器を介して電力変換器のDC側に接続されてもよく、回路遮断器は電力変換器の外側に配置される。
【0020】
DC/DC変換器の出力側が電力変換器のDC側に接続される電気システムの代替の一実施形態では、DC/DC変換器は、特に、DCグリッド内で電力変換器の外側に配置されてもよい。この実施形態では、DC/DC変換器は、DCグリッド内のDCエネルギー貯蔵部から、例えばバッテリから例えば適切なクロッキングを通じてDC/DC出力電圧を生成することができる。その後、DC/DC変換器の出力側が電力変換器のDC側に接続され、かつ、回路遮断器がDC/DC変換器とブリッジ回路との間に配置される。回路遮断器は、ブリッジ回路と電力変換器のDC側との間で電力変換器の内側又は外側のいずれかに配置されてもよい。
【0021】
DC/DC出力電圧は、DC/DC変換器の出力側で設定可能であり、かつ、DC電力変換器電圧はDC/DC変換器の反対側で回路遮断器の側に存在する。
【0022】
電気システムの一実施形態では、測定装置は、接地電位に対するそれぞれのDCライン又は端子の電圧を測定することによって、DC電力変換器電圧及びDC/DC出力電圧を決定するように構成され、それぞれのDCラインは、回路遮断器を介してそれぞれのDC端子に接続可能である。これにより、DCラインの各々は、接地電位に関して個別に測定されてもよい。
【0023】
電気システムの一実施形態では、制御ユニットは、DC電力変換器電圧及びDC/DC出力電圧の接地電位に対するそれぞれの電圧が互いに一致させられるように、DC/DC変換器を駆動するように構成される。この実施形態では、電圧の絶対値に加えて、電圧の位置も一致させられ、すなわち、絶対値に加えて、相互に及び第三点に関するDCライン又はDC端子の電位の位置も、例えば接地電位に対して、一致させられる。
【0024】
電気システムの一実施形態では、制御ユニットは、DC/DC出力電圧がDC電力変換器電圧に対応する場合に回路遮断器を閉じるように構成される。これにより、DCグリッドが接続される前に電圧を一致させることを可能にし、かつ、回路遮断器の閉鎖中及び閉鎖後に過大補償電流を回避することを可能にする。
【0025】
電気システムの一実施形態では、DC/DC出力電圧はDC電力変換器電圧に対応し、回路遮断器が閉じられている場合、これらはともにDCグリッドのDCバス電圧を形成する。DCグリッド自体は接地されていないが、回路遮断器が閉じられてACリレーも同様に閉じられる場合、電力変換器と、接地されたAC電源グリッドとを介して接地される。この場合、電力変換器は、DC電圧、及び該当する場合、接地電位に関するそれらの位置に正確に影響を与えてそれを制御することができる。これによって、動作の安全性を向上させ得る。
【0026】
電気システムの一実施形態では、制御ユニットは、DCバス電圧が平衡化されるようにDC/DC変換器を駆動するように構成され、平衡化は、特に中間電位としての接地電位に関して実行される。電力変換器がDCグリッドに接続されている場合、電力変換器は、DCグリッドの電圧に影響を与えることができる。接地電位に対するDCグリッドのDCラインのそれぞれの最大電圧が、DCグリッドのDCライン間の電圧未満に維持され得るので、接地電位に関して平衡化することで利点が得られ、これにより、設計を簡素化し、かつ、安全性を向上させるのに役立つ。
【0027】
電気システムの一実施形態では、制御ユニットは、対称のDC/DC電圧変換器をクロックすることによって、DC/DC変換器の出力側にDC/DC出力電圧を設定するように構成される。この実施形態では、DC/DC変換器は対称のDC/DC電圧変換器として設計される。
【0028】
電気システムの一実施形態では、制御ユニットは、ブリッジ回路のAC端子を、ACリレーを介して電力変換器のAC側に接続し、及びその後、DC/DC出力電圧を設定するように構成される。この実施形態では、電力変換器は、DC/DC変換器がそのDC/DC出力電圧を設定する前に、AC電源グリッドに接続される。
【0029】
電気システムの一実施形態では、ブリッジ回路のAC端子及びDC端子はガルバニック結合され、かつ、電力変換器のAC側とDC側との間の電力伝送経路は、特に無変圧器であるように設計される。接地基準を有するAC電源グリッドの場合、例えば、接地されたTN又はTTシステムの場合、この点でガルバニック結合されるこのような無変圧器の電力変換器のリンク回路電圧は、AC電源グリッドに対する接続後、接地電位に関してほぼ対称である。この電力変換器のDC側を非対称のDCバスに接続した場合、特にDCグリッドの絶縁不良によって非対称が発生した場合、大きな補償電流が生じる。このような補償電流又は故障電流は、接地電位に関してDCバス電圧を平衡化することによって、電気システムによって回避又は補償さえされ得る。
【0030】
DCグリッド内で電力変換器及びDC/DC変換器を備える電気システムを動作させる方法であって、電力変換器は、電力変換器のAC側と電力変換器のDC側との間で電力を伝送するように構成され、以下の:
DC電力変換器電圧を測定するステップと、
DC/DC変換器の出力側にDC/DC出力電圧を設定するステップであって、DC電力変換器電圧及びDC/DC出力電圧は回路遮断器の両側に存在し、かつ、設定されたDC/DC出力電圧の絶対値は、測定されたDC電力変換器電圧に対応する、設定するステップと、を含む。
【0031】
任意選択的に、DC電力変換器電圧が測定されるステップにおいて、DC/DC出力電圧が測定されてもよい。
【0032】
電圧の絶対値は、DCグリッドのDCライン間の電圧、又は、回路遮断器の電力変換器側端子間の電圧を意味するものと理解される。これは、DCグリッドの2つのDCライン又は回路遮断器の電力変換器側端子の電位差に対応する。DC/DC出力電圧は、この電圧の絶対値に設定される。
【0033】
方法の一実施形態では、DC電力変換器電圧及びDC/DC出力電圧は、接地電位に対するそれぞれのDCライン又は端子の電圧を測定することによって決定され、それぞれのDCラインは、回路遮断器を介してそれぞれのDC端子に接続可能である。これにより、DCラインの各々は接地電位に関して個別に測定されてもよい。
【0034】
方法の一実施形態では、DC電力変換器電圧及びDC/DC出力電圧の接地電位に対するそれぞれの電圧は互いに一致させられる。この実施形態では、電圧の絶対値に加えて、電圧の位置も一致させられ、すなわち、絶対値に加えて、DCライン又はDC端子の電位の位置も、相互に及び第3点に関して、例えば接地電位に対して、一致させられる。
【0035】
方法の一実施形態は、DC/DC出力電圧が設定された後、回路遮断器を閉じることによってDC/DC変換器の出力側が電力変換器に接続されるステップを含む。
【0036】
方法の一実施形態は、DC/DC出力電圧が設定される前、ブリッジ回路のAC端子がACリレーを介して電力変換器のAC側に接続されるステップを含む。
【0037】
方法の一実施形態は、回路遮断器が閉じられた後、DC/DC変換器がDCバス電圧を平衡化するステップを含み、DC/DC出力電圧はDC電力変換器電圧に対応し、かつ、これらはともに、回路遮断器が閉じられる場合のDCグリッドのDCバス電圧を形成する。DCグリッドは、それ自体接地されていないが、回路遮断器が閉じられてACリレーも同様に閉じられる場合、AC電源グリッドを介して接地される。平衡化は、特に中間電位としての接地電位に関して実行される。
【0038】
以下、図面を用いて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】電気システムの例示的な一実施形態を概略的に示している。
図2】電気システムの別の例示的な実施形態を概略的に示している。
図3】方法の例示的な一実施形態を概略的に示している。
図4】電圧の可能性のある推移を概略的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1は、電気システムの一実施形態を概略的に示している。電力変換器10はAC側16及びDC側18を有している。接地電位PEで接地された三相AC電源グリッド12はAC側16に接続される。バッテリ42は、DCスイッチ46を介してDCグリッド14に接続可能である。負荷44は、DCスイッチ48を介してDCグリッドに接続可能である。負荷44は、特に、機械、産業プラント又は電解槽などの1以上のコンシューマを備えてもよい。バッテリ42及び負荷44は、DCラインDC+、DC-を介して電力変換器10に接続される。
【0041】
電力変換器10は、AC端子ACL1、ACL2、ACL3のAC電流又はAC電圧を、DC端子DCL+、DCL-のDC電流又はDC電圧に変換するように設計されたブリッジ回路20を有している。同様に、ブリッジ回路20は、DC端子DCL+、DCL-のDC電流又はDC電圧を、AC端子ACL1、ACL2、ACL3のAC電流又はAC電圧に変換するように設計される。図示する例示的な実施形態では、変換は、ブリッジ回路20の半導体スイッチを適切な方法で駆動する制御ユニット30によって行われる。半導体スイッチを有するブリッジ回路20は、一般に無変圧器であるように設計され、すなわち、こうしたブリッジ回路のAC端子ACL1、ACL2、ACL3及びDC端子DCL+、DCL-はガルバニック結合される。AC電源グリッドが、例えば、PEに接地された中性線によって提供される接地基準を有する場合、DC端子DCL+、DCL-は、電力変換器10の通常動作中にブリッジ回路20を介して自動的に接地される。
【0042】
DCラインDC+、DC-はDC端子DCL+、DCL-に接続される。この場合、接地基準に対するDCラインの電位の特定の位置(PEに対するDC+/DC-)は、ブリッジ回路20の特に使用されるトポロジによって予め規定される。例として、ブリッジ回路20は、DC側の分割DCリンク回路を有してもよく、そのセンタータップは、固定接地基準PEを中間電位としてAC電源グリッド12の中性線に接続され、その結果、DCリンク回路のDC電位、ひいては、DC端子DCL+、DCL-は、接地電位PEに関してほぼ対称に設定される。この点で、それ自体が接地されていないDCグリッド14も同様に、無変圧器の電力変換器10を介して、接地されたAC電源グリッド12への接続を通じて、接地されたDCグリッド14になる。したがって、DCグリッド14には2つの動作状態:バッテリ42からの電源を有する接地されていない「スタンドアロンモード」と、接地されたAC電源グリッド12に接続された場合の接地モードと、があり得る。
【0043】
AC端子ACL1、ACL2、ACL3はAC側16に接続されてもよく、及びしたがって、ブリッジ回路20はACリレー22を介してACグリッド12に接続されてもよい。電力変換器10は、3つのAC端子ACL1、ACL2、ACL3の差動電流測定値に基づいている、AC端子ACL1、ACL2、ACL3における障害電流測定値32を有している。
【0044】
電力変換器10は、DC/DC変換器40を有し、その入力側はブリッジ回路20のDC端子DCL+、DCL-に接続される。DC/DC変換器40は、DC端子DCL+、DCL-の電圧に対して、DC/DC変換器40の出力側24にDC/DC出力電圧USymを設定するために使用されてもよい。DC/DC出力電圧USymは、例えば、制御ユニット30がDC/DC変換器40の半導体スイッチを駆動することによって設定されてもよい。
【0045】
DC/DC変換器40の出力側24は、回路遮断器26.1、26.2を介してDC側18に接続されてもよい。DCグリッド14の正のDCラインDC+は回路遮断器26.1に接続され、DCグリッド14の負のDCラインDC-は回路遮断器26.2に接続される。測定装置38は、DC/DC出力電圧USym及び/又は電力変換器電圧UDCSを測定するように構成される。電力変換器電圧UDCSは、電力変換器10のDC側18、すなわち、DC/DC変換器40とは反対側の回路遮断器26.1、26.2に存在する。
【0046】
図2は、電気システムの別の実施形態を概略的に示している。電力変換器10はAC側16及びDC側18を備える。接地電位PEに接地された三相AC電源グリッド12はAC側16に接続される。バッテリ42はDCスイッチ46を介してDCグリッド14に接続可能である。負荷44は、DCスイッチ48を介してDCグリッドに接続可能である。負荷44は、特に、例えば機械、産業プラント又は電解槽などの1以上のコンシューマを備えてもよい。バッテリ42及び負荷44は、DCラインDC+、DC-を介して電力変換器10に接続される。
【0047】
電力変換器10は、AC端子ACL1、ACL2、ACL3のAC電流又はAC電圧を、DC端子DCL+、DCL-のDC電流又はDC電圧に変換するように設計されたブリッジ回路20を有する。同様に、ブリッジ回路20は、DC端子DCL+、DCL-のDC電流又はDC電圧を、AC端子ACL1、ACL2、ACL3のAC電流又はAC電圧に変換するように設計される。図示する例示的な実施形態では、変換は、ブリッジ回路20の半導体スイッチを適切な方法で駆動する制御ユニット30によって行われる。半導体スイッチを有するブリッジ回路20は、一般に無変圧器であるように設計され、すなわち、こうしたブリッジ回路のAC端子ACL1、ACL2、ACL3及びDC端子DCL+、DCL-はガルバニック結合される。AC電源グリッドが、例えば、PEに接地された中性線によって提供される接地基準を有する場合、DC端子DCL+、DCL-は、したがって、電力変換器10の通常動作中にブリッジ回路20を介して自動的に接地される。
【0048】
DCラインDC+、DC-はDC端子DCL+、DCL-に接続される。この場合、接地基準に対するDCラインの電位の特定の位置(PEに対するDC+/DC-)は、ブリッジ回路20の特に使用されるトポロジによって予め規定される。例として、ブリッジ回路20は、DC側に、DC側の分割されたDCリンク回路を有してもよく、そのセンタータップは、中間電位として固定接地基準PEを有するAC電源グリッド12の中性線に接続され、その結果、DCリンク回路、ひいては、DC端子DCL+、DCL-におけるDC電位が、接地電位PEに関してほぼ対称に設定される。この点で、それ自体が接地されていないDCグリッド14も同様に、無変圧器の電力変換器10を介して、接地されたAC電源グリッド12への接続を通じて、接地されたDCグリッド14になる。したがって、DCグリッド14には2つの動作状態:バッテリ42からの電源を有する、接地されていない「スタンドアロンモード」と、接地されたAC電源グリッド12に接続された場合の接地モードと、があってもよい。
【0049】
AC端子ACL1、ACL2、ACL3はAC側16に接続されてもよく、及びしたがって、ブリッジ回路20はACリレー22を介してACグリッド12に接続されてもよい。電力変換器10は、3つのAC端子ACL1、ACL2、ACL3の差動電流測定に基づいている、AC端子ACL1、ACL2、ACL3における障害電流測定値32を備えている。
【0050】
DC/DC変換器40は、DCグリッド14内に配置され、かつこの点で、電力変換器10の外側に配置される。DC/DC変換器40の入力側はバッテリ42に接続される。DC/DC変換器40の出力側24では、DC/DC出力電圧USymはバッテリ42の電圧に対して設定されてもよい。DC/DC出力電圧USymは、例えば、DC/DC変換器40の半導体スイッチを駆動する制御ユニット30によって設定されてもよい。
【0051】
ブリッジ回路20のDC端子DCL+、DCL-は回路遮断器26.1、26.2を介してDC側18に接続されてもよい。正のDCラインDC+は回路遮断器26.1を介してDC側18に接続されてもよく、負のDCラインDC-は回路遮断器26.2を介してDC側に接続されてもよい。測定装置38は、DC/DC出力電圧USym及び/又は電力変換器電圧UDCSを測定するように構成される。電力変換器電圧UDCSは、ブリッジ回路20のDC側18、すなわち、DC/DC変換器40とは反対側の回路遮断器26.1、26.2に存在する。したがって、図示する例示的な実施形態では、電力変換器電圧UDCSは、電力変換器10のブリッジ回路20のDC端子DCL+、DCL-に存在する。
【0052】
図3は、電気システムを動作させる方法の例示的な一実施形態を概略的に示している。
【0053】
ステップS1において、ブリッジ回路20のAC端子ACL1、ACL2、ACL3は、ACリレー22を介して電力変換器10のAC側16に接続される。
【0054】
ステップS2において、DC電力変換器電圧USymが測定される。任意選択的に、ステップS2において、DC/DC出力電圧USymがさらに測定されてもよい。DC/DC出力電圧USymは、DC/DC変換器40の出力側24に設定されてもよく、DC電力変換器電圧UDCS及びDC/DC出力電圧USymは、回路遮断器26.1、26.2の両側に存在する。DC電力変換器電圧UDCS及び/又はDC/DC出力電圧USymは、接地電位PEに対するそれぞれのDCラインDC+、DC-又はDC端子DCL+、DCL-の電圧を測定することによって決定されてもよい。これは、DCラインDC+、DC-又はDC端子DCL+、DCL-の各々が、接地電位PEに関して個別に測定され得ることを意味している。
【0055】
ステップS3において、DC/DC変換器40の出力側24のDC/DC出力電圧USymは、設定されたDC/DC出力電圧USymが、測定されたDC電力変換器電圧UDCSに一致させられるように設定される。この場合、DC電力変換器電圧UDCS及びDC/DC出力電圧USymの接地電位PEに対するそれぞれの電圧は互いに一致させられてもよい。この場合、電圧は絶対値と位置とに関して互いに一致させられる。ステップS3は、2つの電圧が互いに一致させられるまで繰り返される。
【0056】
ステップS4は、電圧が成功裏に一致させられた場合に実行される。ステップS4において、DC/DC出力電圧USymの設定後、DC/DC変換器40の出力側24は、時間tに回路遮断器26.1、26.2を閉じることによって電力変換器10のDC側18に接続される(図4)。
【0057】
ステップS5において、DC/DC変換器40は、回路遮断器26.1、26.2を閉じた後、DCバス電圧を平衡化し、平衡化は、特に中間電位としての接地電位に関して実行される。
【0058】
図4は、一例として、DC電力変換器電圧UDCS及びDC/DC出力電圧USymの特性を概略的に示している。両方の電圧が接地電位PEに関連して示されている。グラフの上の線は、接地電位PEに対する正のDCラインDC+又は正のDC端子DCL+の電位を示しており、下の線は、接地電位PEに対する負のDCラインDC-又は負のDC端子DCL-の電位を示している。
【0059】
初期では、DC電力変換器電圧UDCS及びDC/DC出力電圧USymは、互いに独立しており、かつ、異なる値を有している。その後、DC/DC出力電圧USymは、接地電位PEに対する絶対値及び位置に関して、DC電力変換器電圧UDCSに一致させられる。これは、好ましくは、ACリレー22を閉じた後、DC/DC変換器40の半導体スイッチを駆動することによって実行される。駆動は、好ましくは、制御ユニット30によって実行される。
【0060】
時間tに、回路遮断器26.1及び26.2が閉じられる。回路遮断器26.1、26.2が閉じている場合、DC/DC出力電圧USymはDC電力変換器電圧UDCSに対応し、これらはともにDCグリッド14のDCバス電圧を形成する。DCグリッド14は、それ自体接地されていないが、回路遮断器26.1、26.2が閉じられてACリレー22が同様に閉じられる場合、電力変換器10及びAC電源グリッド12を介して接地される。
【0061】
回路遮断器26.1、26.2を閉じた後、DCバス電圧は、制御ユニット30によって駆動される方法で、DC/DC変換器40によって又は電力変換器10によって平衡化される。このプロセスにおいて、上限電圧値は所望の正のDCバス電圧Ubus+にされ、下限電圧値は所望の負のDCバス電圧Ubus-にされる。ここで、所望の正のDCバス電圧Ubus+及び所望の負のDCバス電圧Ubus-は、好ましくは、接地電位PEに対する絶対値及び位置に関して等しく、及びしたがって、接地電位PEに関して対称である。したがって、DCバス電圧は接地電位PEに対して平衡化される。
【符号の説明】
【0062】
10 電力変換器
12 AC電源グリッド
14 DCグリッド
16 AC側
18 DC側
20 ブリッジ回路
22 ACリレー
24 DC/DC変換器の出力側
26.1、26.2 回路遮断器
30 制御ユニット
32 故障電流測定値
38 電圧計
40 DC/DC変換器
42 バッテリ
44 負荷
46 DCスイッチ
48 DCスイッチ
ACL1、ACL2、ACL3 AC端子
DCL+、DCL- DC端子
DC+、DC- DCライン
PE 接地電位
S1、S2、S3、S4、S5 方法ステップ
t 時間
時間:回路遮断器を閉じる
Sym DC/DC出力電圧
DCS DC電力変換器電圧
Bus+ 所望の正のDCバス電圧
Bus- 所望の負のDCバス電圧
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】