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特表2023-549115アテローム硬化性心血管疾患をLPA標的RNAi構築体により処置する方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】アテローム硬化性心血管疾患をLPA標的RNAi構築体により処置する方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/7105 20060101AFI20231115BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 9/04 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 3/06 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20231115BHJP
   C12N 15/113 20100101ALI20231115BHJP
【FI】
A61K31/7105
A61P9/00
A61P9/10
A61P9/10 101
A61P9/04
A61P3/06
A61K48/00
A61K47/34
C12N15/113 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023526961
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-20
(86)【国際出願番号】 US2021058012
(87)【国際公開番号】W WO2022098841
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/110,309
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500203709
【氏名又は名称】アムジェン インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】ソーン, ウィニー
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, ザカリー
(72)【発明者】
【氏名】カサフン, ヘリナ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA95
4C076BB16
4C076CC11
4C076EE23A
4C076EE59
4C084AA13
4C084MA55
4C084MA66
4C084ZA36
4C084ZA45
4C084ZC33
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA55
4C086MA66
4C086NA05
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZC33
(57)【要約】
本発明は、リポタンパク質(a)(Lp(a))のレベルの上昇と関連するアテローム硬化性心血管疾患及び他の症状を、Lp(a)粒子の構成要素であるアポリポタンパク質(a)をコードするLPA遺伝子を標的とするRNAi構築体を用いて処置するか、又は予防する方法に関する。特に、本発明は、Lp(a)のレベルが上昇した患者において、血清Lp(a)レベルを引き下げ、且つ心血管系イベントのリスクを引き下げる方法であって、特定の投与計画に従ってLPA標的RNAi構築体を投与することを含む方法に関する。また、当該方法に用いられるLPA標的RNAi構築体を含む医薬組成物も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アテローム性動脈硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者において、アテローム性動脈硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防する方法であって、前記患者にLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含み、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、方法。
【請求項2】
血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げることを必要とする患者において血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げる方法であって、前記患者にLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含み、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、方法。
【請求項3】
前記患者は、心血管疾患と診断されるか、又はこのリスクがある、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記心血管疾患は、冠状動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、大動脈弁狭窄症、安定若しくは不安定狭心症、心房細動、心不全、高脂血症、ヘテロ接合家族性高コレステロール血症、又はホモ接合性家族性高コレステロール血症である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記患者は、冠状動脈疾患と診断される、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記患者は、心筋梗塞の履歴がある、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記患者は、急性冠動脈症候群と診断される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者において、心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防する方法であって、前記患者にLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含み、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、方法。
【請求項9】
前記心血管疾患は、冠状動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、大動脈弁狭窄症、安定若しくは不安定狭心症、心房細動、心不全、高脂血症、ヘテロ接合家族性高コレステロール血症、又はホモ接合性家族性高コレステロール血症である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
アテローム硬化性心血管疾患患者における心血管系イベントのリスクを引き下げる方法であって、前記患者にLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含み、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、方法。
【請求項11】
前記心血管系イベントは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、及び/又は冠状動脈血管再生である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記患者は、冠状動脈血管再生の履歴、冠状動脈バイパス移植の履歴、冠状動脈疾患の診断、アテローム硬化性脳血管疾患の診断、末梢動脈疾患の診断、及び/又は心筋梗塞の履歴がある、請求項10又は11に記載の方法。
【請求項13】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の1年以内に心筋梗塞を経験している、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記患者は、急性冠動脈症候群又は不安定狭心症のために入院している、請求項10~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約70nmol/L以上である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約100nmol/L以上である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約125nmol/L以上である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約150nmol/L以上である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約175nmol/L以上である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約200nmol/L以上である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約225nmol/L以上である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記投与間隔は約12週である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記投与間隔は約24週である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約10mg~約225mgの用量にて投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約50mg~約100mgの用量にて投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約150mg~約225mgの用量にて投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約75mgの用量にて投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約150mgの用量にて投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項29】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約225mgの用量にて投与される、請求項24に記載の方法。
【請求項30】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、24週毎に1回、約225mg~約675mgの用量にて投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、24週毎に1回、約225mgの用量にて投与される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記患者は、脂質引下げ療法を受けている、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記脂質引下げ療法は、スタチン、エゼチミブ、PCSK9阻害剤、ベンペド酸、又はそれらの組合せである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルが約100mg/dL以下である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルが約70mg/dL以下である、請求項1~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の推定糸球体濾過速度が約30mL/分/1.73m以上である、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の安静時の平均収縮期血圧が約160mmHg未満であり、且つ平均拡張期血圧が約100mmHg未満である、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前のグリコヘモグロビンA1cレベルが約8.5%未満である、請求項1~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清トリグリセリドレベルが約400mg/dL未満である、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記LPA RNAi構築体の前記センス鎖は、配列番号3の配列を含むか、又はこれからなり、且つ前記LPA RNAi構築体の前記アンチセンス鎖は、配列番号4の配列を含むか、又はこれからなる、請求項1~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記LPA RNAi構築体の前記センス鎖は、配列番号5に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなり、且つ前記LPA RNAi構築体の前記アンチセンス鎖は、配列番号6に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなる、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記LPA RNAi構築体の前記標的化部分は:
【化2】
の構造を有する、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記LPA RNAi構築体はオルパシランである、請求項1~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、前記患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、50%超引き下げる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、前記患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、80%超引き下げる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、前記患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、90%超引き下げる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、約100nmol/L以下に引き下げる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、約75nmol/L以下に引き下げる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、約50nmol/L以下に引き下げる、請求項1~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、リン酸カリウム及び塩化ナトリウムを含む医薬組成物内に入れられて投与される、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記LPA RNAi構築体は、皮下注射によって前記患者に投与される、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記注射の容量は、約1mL以下である、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
アテローム性動脈硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者においてアテローム性動脈硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防する方法に使用されるLPA RNAi構築体であって、前記方法は、前記患者に前記LPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含み、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、LPA RNAi構築体。
【請求項54】
血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げることを必要とする患者において血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げる方法に使用されるLPA RNAi構築体であって、前記方法は、前記患者に前記LPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含み、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、LPA RNAi構築体。
【請求項55】
前記患者は、心血管疾患と、又はこのリスクがあると診断される、請求項54に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項56】
前記心血管疾患は、冠状動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、大動脈弁狭窄症、安定若しくは不安定狭心症、心房細動、心不全、高脂血症、ヘテロ接合家族性高コレステロール血症、又はホモ接合性家族性高コレステロール血症である、請求項55に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項57】
前記患者は、慢性腎疾患と診断される、請求項54に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項58】
前記患者は、心筋梗塞の履歴がある、請求項54に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項59】
前記患者は、急性冠動脈症候群と診断される、請求項54に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項60】
心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者において、心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防する方法に使用されるLPA RNAi構築体であって、前記方法は、前記患者に前記LPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含み、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、LPA RNAi構築体。
【請求項61】
前記心血管疾患は、冠状動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、大動脈弁狭窄症、安定若しくは不安定狭心症、心房細動、心不全、高脂血症、ヘテロ接合家族性高コレステロール血症、又はホモ接合性家族性高コレステロール血症である、請求項60に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項62】
アテローム硬化性心血管疾患患者における心血管系イベントのリスクを引き下げる方法に使用されるLPA RNAi構築体であって、前記方法は、前記患者にLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含み、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、LPA RNAi構築体。
【請求項63】
前記心血管系イベントは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、及び/又は冠状動脈血管再生である、請求項62に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項64】
前記患者は、冠状動脈血管再生の履歴、冠状動脈バイパス移植の履歴、冠状動脈疾患の診断、アテローム硬化性脳血管疾患の診断、末梢動脈疾患の診断、及び/又は心筋梗塞の履歴がある、請求項62又は63に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項65】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の1年以内に心筋梗塞を経験している、請求項62~64のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項66】
前記患者は、急性冠動脈症候群又は不安定狭心症のために入院している、請求項62~64のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項67】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約70nmol/L以上である、請求項53~66のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項68】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約100nmol/L以上である、請求項53~66のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項69】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約125nmol/L以上である、請求項53~66のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項70】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約150nmol/L以上である、請求項53~66のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項71】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約175nmol/L以上である、請求項53~66のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項72】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約200nmol/L以上である、請求項53~66のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項73】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約225nmol/L以上である、請求項53~66のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項74】
前記投与間隔は約12週である、請求項53~73のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項75】
前記投与間隔は約24週である、請求項53~73のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項76】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約10mg~約225mgの用量にて投与される、請求項53~73のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項77】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約50mg~約100mgの用量にて投与される、請求項76に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項78】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約150mg~約225mgの用量にて投与される、請求項76に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項79】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約75mgの用量にて投与される、請求項76に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項80】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約150mgの用量にて投与される、請求項76に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項81】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、12週毎に1回、約225mgの用量にて投与される、請求項76に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項82】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、24週毎に1回、約225mg~約675mgの用量にて投与される、請求項53~73のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項83】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、24週毎に1回、約225mgの用量にて投与される、請求項82に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項84】
前記患者は、脂質引下げ療法を受けている、請求項53~83のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項85】
前記脂質引下げ療法は、スタチン、エゼチミブ、PCSK9阻害剤、ベンペド酸、又はそれらの組合せである、請求項84に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項86】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルが約100mg/dL以下である、請求項53~85のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項87】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルが約70mg/dL以下である、請求項53~85のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項88】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の推定糸球体濾過速度が約30mL/分/1.73m以上である、請求項53~87のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項89】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の安静時の平均収縮期血圧が約160mmHg未満であり、且つ平均拡張期血圧が約100mmHg未満である、請求項53~88のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項90】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前のグリコヘモグロビンA1cレベルが約8.5%未満である、請求項53~89のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項91】
前記患者は、前記LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清トリグリセリドレベルが約400mg/dL未満である、請求項53~90のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項92】
前記LPA RNAi構築体の前記センス鎖は、配列番号3の配列を含むか、又はこれからなり、且つ前記LPA RNAi構築体の前記アンチセンス鎖は、配列番号4の配列を含むか、又はこれからなる、請求項53~91のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項93】
前記LPA RNAi構築体の前記センス鎖は、配列番号5に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなり、且つ前記LPA RNAi構築体の前記アンチセンス鎖は、配列番号6に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなる、請求項53~92のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項94】
前記LPA RNAi構築体の前記標的化部分は:
【化3】
の構造を有する、請求項53~93のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項95】
前記LPA RNAi構築体はオルパシランである、請求項53~94のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項96】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、前記患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、50%超引き下げる、請求項53~95のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項97】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、前記患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、80%超引き下げる、請求項53~95のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項98】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、前記患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、90%超引き下げる、請求項53~95のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項99】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、約100nmol/L以下に引き下げる、請求項53~95のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項100】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、約75nmol/L以下に引き下げる、請求項53~95のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項101】
前記LPA RNAi構築体の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、約50nmol/L以下に引き下げる、請求項53~95のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項102】
前記LPA RNAi構築体は、前記患者に、リン酸カリウム及び塩化ナトリウムを含む医薬組成物内に入れられて投与される、請求項53~101のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項103】
前記LPA RNAi構築体は、皮下注射によって前記患者に投与される、請求項53~102のいずれか一項に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項104】
前記注射の容量は、約1mL以下である、請求項103に記載の使用のためのLPA RNAi構築体。
【請求項105】
アテローム性動脈硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者においてアテローム性動脈硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防するための薬剤の調製のためのLPA RNAi構築体の使用であって、前記薬剤は、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されており、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、使用。
【請求項106】
血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げることを必要とする患者において血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げるための薬剤の調製のためのLPA RNAi構築体の使用であって、前記薬剤は、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されており、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、使用。
【請求項107】
前記患者は、心血管疾患と、又はこのリスクがあると診断される、請求項106に記載の使用。
【請求項108】
前記心血管疾患は、冠状動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、大動脈弁狭窄症、安定若しくは不安定狭心症、心房細動、心不全、高脂血症、ヘテロ接合家族性高コレステロール血症、又はホモ接合性家族性高コレステロール血症である、請求項107に記載の使用。
【請求項109】
前記患者は、慢性腎疾患と診断される、請求項106に記載の使用。
【請求項110】
前記患者は、心筋梗塞の履歴がある、請求項106に記載の使用。
【請求項111】
前記患者は、急性冠動脈症候群と診断される、請求項106に記載の使用。
【請求項112】
心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者において、心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防するための薬剤の調製のためのLPA RNAi構築体の使用であって、前記薬剤は、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されており、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、使用。
【請求項113】
前記心血管疾患は、冠状動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、大動脈弁狭窄症、安定若しくは不安定狭心症、心房細動、心不全、高脂血症、ヘテロ接合家族性高コレステロール血症、又はホモ接合性家族性高コレステロール血症である、請求項112に記載の使用。
【請求項114】
アテローム硬化性心血管疾患患者における心血管系イベントのリスクを引き下げるための薬剤の調製のためのLPA RNAi構築体の使用であって、前記薬剤は、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されており、前記LPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖、配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖、及びアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、前記標的化部分は、前記センス鎖の5’末端に共有結合されている、使用。
【請求項115】
前記心血管系イベントは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、及び/又は冠状動脈血管再生である、請求項114に記載の使用。
【請求項116】
前記患者は、冠状動脈血管再生の履歴、冠状動脈バイパス移植の履歴、冠状動脈疾患の診断、アテローム硬化性脳血管疾患の診断、末梢動脈疾患の診断、及び/又は心筋梗塞の履歴がある、請求項114又は115に記載の使用。
【請求項117】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の1年以内に心筋梗塞を経験している、請求項114~116のいずれか一項に記載の使用。
【請求項118】
前記患者は、急性冠動脈症候群又は不安定狭心症のために入院している、請求項114~116のいずれか一項に記載の使用。
【請求項119】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約70nmol/L以上である、請求項105~118のいずれか一項に記載の使用。
【請求項120】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約100nmol/L以上である、請求項105~118のいずれか一項に記載の使用。
【請求項121】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約125nmol/L以上である、請求項105~118のいずれか一項に記載の使用。
【請求項122】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約150nmol/L以上である、請求項105~118のいずれか一項に記載の使用。
【請求項123】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約175nmol/L以上である、請求項105~118のいずれか一項に記載の使用。
【請求項124】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約200nmol/L以上である、請求項105~118のいずれか一項に記載の使用。
【請求項125】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約225nmol/L以上である、請求項105~118のいずれか一項に記載の使用。
【請求項126】
前記投与間隔は約12週である、請求項105~125のいずれか一項に記載の使用。
【請求項127】
前記投与間隔は約24週である、請求項105~125のいずれか一項に記載の使用。
【請求項128】
前記薬剤は、前記患者に、12週毎に1回、約10mg~約225mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている、請求項105~125のいずれか一項に記載の使用。
【請求項129】
前記薬剤は、前記患者に、12週毎に1回、約50mg~約100mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている、請求項128に記載の使用。
【請求項130】
前記薬剤は、前記患者に、12週毎に1回、約150mg~約225mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている、請求項128に記載の使用。
【請求項131】
前記薬剤は、前記患者に、12週毎に1回、約75mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている、請求項128に記載の使用。
【請求項132】
前記薬剤は、前記患者に、12週毎に1回、約150mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている、請求項128に記載の使用。
【請求項133】
前記薬剤は、前記患者に、12週毎に1回、約225mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている、請求項128に記載の使用。
【請求項134】
前記薬剤は、前記患者に、24週毎に1回、約225mg~約675mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている、請求項105~125のいずれか一項に記載の使用。
【請求項135】
前記薬剤は、前記患者に、24週毎に1回、約225mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている、請求項134に記載の使用。
【請求項136】
前記患者は、脂質引下げ療法を受けている、請求項105~135のいずれか一項に記載の使用。
【請求項137】
前記脂質引下げ療法は、スタチン、エゼチミブ、PCSK9阻害剤、ベンペド酸、又はそれらの組合せである、請求項136に記載の使用。
【請求項138】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルが約100mg/dL以下である、請求項105~137のいずれか一項に記載の使用。
【請求項139】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルが約70mg/dL以下である、請求項105~137のいずれか一項に記載の使用。
【請求項140】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の推定糸球体濾過速度が約30mL/分/1.73m以上である、請求項105~139のいずれか一項に記載の使用。
【請求項141】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の安静時の平均収縮期血圧が約160mmHg未満であり、且つ平均拡張期血圧が約100mmHg未満である、請求項105~140のいずれか一項に記載の使用。
【請求項142】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前のグリコヘモグロビンA1cレベルが約8.5%未満である、請求項105~141のいずれか一項に記載の使用。
【請求項143】
前記患者は、前記薬剤の最初の投与前の血清トリグリセリドレベルが約400mg/dL未満である、請求項105~142のいずれか一項に記載の使用。
【請求項144】
前記LPA RNAi構築体の前記センス鎖は、配列番号3の配列を含むか、又はこれからなり、且つ前記LPA RNAi構築体の前記アンチセンス鎖は、配列番号4の配列を含むか、又はこれからなる、請求項105~143のいずれか一項に記載の使用。
【請求項145】
前記LPA RNAi構築体の前記センス鎖は、配列番号5に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなり、且つ前記LPA RNAi構築体の前記アンチセンス鎖は、配列番号6に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなる、請求項105~144のいずれか一項に記載の使用。
【請求項146】
前記LPA RNAi構築体の前記標的化部分は:
【化4】
の構造を有する、請求項105~145のいずれか一項に記載の使用。
【請求項147】
前記LPA RNAi構築体はオルパシランである、請求項105~146のいずれか一項に記載の使用。
【請求項148】
前記薬剤の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、前記患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、50%超引き下げる、請求項105~147のいずれか一項に記載の使用。
【請求項149】
前記薬剤の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、前記患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、80%超引き下げる、請求項105~147のいずれか一項に記載の使用。
【請求項150】
前記薬剤の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、前記患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、90%超引き下げる、請求項105~147のいずれか一項に記載の使用。
【請求項151】
前記薬剤の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、約100nmol/L以下に引き下げる、請求項105~147のいずれか一項に記載の使用。
【請求項152】
前記薬剤の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、約75nmol/L以下に引き下げる、請求項105~147のいずれか一項に記載の使用。
【請求項153】
前記薬剤の投与が、前記患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、約50nmol/L以下に引き下げる、請求項105~147のいずれか一項に記載の使用。
【請求項154】
前記薬剤は、前記患者に、リン酸カリウム及び塩化ナトリウムを含む医薬組成物内に入れられて投与されるか、又は前記患者への、そのような医薬組成物内に入れられての投与用に製剤化されている、請求項105~153のいずれか一項に記載の使用。
【請求項155】
前記薬剤は、皮下注射によって前記患者に投与されるか、又は皮下注射による前記患者への投与用に製剤化されている、請求項105~154のいずれか一項に記載の使用。
【請求項156】
前記注射の容量は、約1mL以下である、請求項155に記載の使用。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月5日出願の米国仮特許出願第63/110,309号明細書の利益を主張しており、この出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
電子提出されたテキストファイルの説明
本出願は、ASCIIフォーマットで電子提出されており、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含有する。2021年11月1日に作成したコンピュータ可読フォーマットの配列表のコピーは、名称がA-2694-WO-PCT_ST25であり、サイズが3.5キロバイトである。
【0003】
本発明は、アテローム硬化性心血管疾患、及びリポタンパク質(a)(Lp(a))の上昇と関連する他の症状を処置する医薬組成物及び方法に関する。特に、本発明は、Lp(a)が上昇した患者において、特定の投与計画に従ってLPA標的RNAi構築体を投与することによって、Lp(a)の血清レベルを引き下げ、且つ心血管系イベント、例えば、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、及び冠状動脈血管再生のリスクを引き下げる方法に関する。
【背景技術】
【0004】
アテローム硬化性心血管疾患は非常に一般的であり、低密度リポタンパク質(LDL)引下げ療法の広く行き渡った使用にも拘わらず、全世界の死亡率で最も高い原因であり続けている。LDL引下げ療法は、メジャーな心イベントのリスクを引き下げるが、LDLレベルが低い一部の患者が直面する残りの心血管リスクは、他の機構の心血管病理を暗示している。ここ数十年にわたって、疫学的研究及びメタアナリシス、メンデルのランダム化解析、並びにゲノムワイド関連解析からの説得力に富む証拠により、血清Lp(a)濃度が上昇するにつれ、冠状動脈疾患及びアテローム性硬化症関連障害のリスクが高くなることが示されてきた(Clarke et al.,N.Engl.J.Med.,Vol.361:2518-2528,2009;Kamstrup et al.,JAMA,Vol.301:2331-2339,2009;Nordestgaard et al.,European Heart Journal,Vol.31:2844-2853,2010;Helgadottir et al.,J.Am.Coll.Cardiol,Vol.60:722-729,2012;Thanassoulis et al.,J.Am.Coll.Cardiol.,Vol.55:2491-2498,2010;Kamstrup et al.,J.Am.Coll. Cardiol.,Vol.63:470-477,2014;Kral et al.,Journal of Cardiology,Vol.118:656-661,2016;Thanassoulis et al.,J.Lipid Res.,Vol.57:917-924,2016;Tsimikas et al.,J.Am.Coll.Cardiol.,Vol.69:692-711,2017)。特に、Lp(a)レベルと、冠状動脈疾患、心筋梗塞、脳卒中、末梢血管疾患、及び大動脈弁狭窄症との関係は、いくつかの遺伝的研究及び観察に基づく研究において説明されてきた(Schmidt et al.,J.Lipid Res.,Vol.57:1339-1359,2016においてレビューされている)。このリスクの関係は連続的なものであり、Lp(a)レベルが高いほど、それに比例して影響が大きくなることが知られている。他の脂質パラメータについての補正後も、この関連性は存続する(Emerging Risk Factors Collaboration,JAMA,Vol.302:412-423,2009)。
【0005】
Lp(a)は、LDL粒子、及びジスルフィド結合によってLDL粒子のアポリポタンパク質Bに連結した糖タンパク質のアポリポタンパク質(a)(apo(a))からなる低密度リポタンパク質である(Schmidt et al.、前掲)。apo(a)は、LPA遺伝子によってコードされており、ヒトが挙げられる霊長類においてほぼ排他的に発現される。apo(a)は、プラスミノーゲンと相同性を示し、可変数のクリングルIV2型(KIV-2)ドメインリピートに起因する遺伝子内のサイズ多型に起因して、種々のアイソフォームで存在する(Kronenberg and Utermann,J.Intern.Med.,Vol.273:6-30,2013参照)。apo(a)アイソフォームのサイズとLp(a)粒子の血漿レベルとの間で、逆相関関係が観察されている(Sandholzer et al.,Hum.Genet.,Vol.86;607-614,1991)。Lp(a)は、そのアテローム発生作用に寄与する炎症誘発性酸化リン脂質を含有する(Tsimikas et al.,J.Am.Coll.Cardiol.,Vol.63:1724-1734,2014)。
【0006】
高い血漿Lp(a)濃度は、遺伝的に定義され、安定したレベルにて保持され、習慣の変更(食事、運動、又は他の環境要因)によって調節され得ず、そして現在利用可能な脂質低減薬のいずれによっても効果的に調節されない。現在、Lp(a)を引き下げることによって心血管系イベントのリスクを引き下げることを示す、承認された療法は存在しない。プロタンパク質転換酵素であるサブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)阻害剤、ナイアシン、又はミポメルセンにより、Lp(a)が穏やかに引き下げられる(約20~30%)ことが観察されている(Santos et al.,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,Vol.35:689-699,2015;Yeang et al.,Curr.Opin.Lipidol.,Vol.26:169-178,2015;及びLandray et al.,N.Engl.J.Med.,Vol.371:203-212,2014)。アフェレーシスは、Lp(a)を低下させるのに有効ではあるが、現在、アクセスが制限付きの数カ国でしか用いられていない(Julius,J.Cardiovasc.Dev.Dis.,Vol.5:27-37,2018)。加えて、アフェレーシスは侵襲性であり、頻繁な来院が必要となる極めて高価な手技であるため、生涯にわたる治療を必要とする対象は、長期処置として利用することができない(Khan et al.,Eur.Heart J.,Vol.38:1561-1569,2017;Roeseler et al.,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,Vol.36:2019-2027,2016;Leebmann et al.,Circulation,Vol.128:2567-2576,2013;Safarova et al.,Atheroscler.Suppl.,Vol.14:93-99,2013)。
【0007】
apo(a)メッセンジャーRNA転写産物を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(AKCEA-APO(a)-LRx;ISIS 681257及びTQJ230としても知られている)が開発されており、現在臨床研究中である(Graham et al.,J Lipid Res.,Vol.57:340-351,2016においてレビューされている)。ベースラインLp(a)レベルが75nmol/L以上である健康な対象に、10mg、20mg、又は40mgの用量にて1、3、5、8、15、及び22日目に投与される場合、この分子は、Lp(a)濃度を、36日目にそれぞれ平均66%、80%、及び92%、そして113日目にそれぞれ平均39%、53%、及び58%低くすることが報告された(Viney et al.,Lancet,Vol.388:2239-2253,2016)。以降の第2相研究において、AKCEA-APO(a)-LRxは、ベースラインLp(a)レベルが150nmol/L以上である、心血管疾患が確立された患者において、患者に、20mg、40mg、又は60mgの用量にて、4週毎に1回投与された場合、Lp(a)レベルを、25週目にそれぞれ平均35%、56%、及び72%引き下げた(Tsimikas et al.,New England Journal of Medicine,Vol.382:244-255,2020)。当該分子が80mgの用量にて毎月投与される第3相心血管アウトカムトライアルが継続中である(ClinicalTrials.gov識別子NCT04023552)。
しかしながら、アテローム硬化性心血管疾患の処置及び予防のための低用量、低頻度の投与計画を可能にする、Lp(a)濃度を長期間強力に低くする新しい治療剤が、当該技術においてなお必要とされている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Clarke et al.,N.Engl.J.Med.,Vol.361:2518-2528,2009
【非特許文献2】Kamstrup et al.,JAMA,Vol.301:2331-2339,2009
【非特許文献3】Nordestgaard et al.,European Heart Journal,Vol.31:2844-2853,2010
【非特許文献4】Helgadottir et al.,J.Am.Coll.Cardiol,Vol.60:722-729,2012
【非特許文献5】Thanassoulis et al.,J.Am.Coll.Cardiol.,Vol.55:2491-2498,2010
【非特許文献6】Kamstrup et al.,J.Am.Coll. Cardiol.,Vol.63:470-477,2014
【非特許文献7】Kral et al.,Journal of Cardiology,Vol.118:656-661,2016
【非特許文献8】Thanassoulis et al.,J.Lipid Res.,Vol.57:917-924,2016
【非特許文献9】Tsimikas et al.,J.Am.Coll.Cardiol.,Vol.69:692-711,2017
【非特許文献10】Schmidt et al.,J.Lipid Res.,Vol.57:1339-1359,2016
【非特許文献11】Emerging Risk Factors Collaboration,JAMA,Vol.302:412-423,2009
【非特許文献12】Kronenberg and Utermann,J.Intern.Med.,Vol.273:6-30,2013
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、部分的に、アテローム硬化性心血管疾患の処置のために循環Lp(a)レベルを効果的に引き下げるための、LPA標的RNAi構築体、特にオルパシランの治療計画の特定に基づく。従って、一部の実施形態において、本発明は、血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げることを必要とする患者において血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げる方法であって、患者に、本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含む方法を提供する。一部のそのような実施形態において、LPA RNAi構築体が投与される患者は、心血管疾患、例えば、冠状動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、大動脈弁狭窄症、安定若しくは不安定狭心症、心房細動、心不全、高脂血症、ヘテロ接合家族性高コレステロール血症、又はホモ接合性家族性高コレステロール血症と診断されるか、又はこれを発症するリスクがある。患者は、心筋梗塞の履歴若しくは家族歴を有し得、且つ/又は急性冠動脈症候群と診断され得る。他の実施形態において、LPA RNAi構築体が投与される患者は、慢性腎疾患と診断される。
【0010】
特定の実施形態において、本発明は、アテローム性動脈硬化症を処置するか、和らげるか、若しくは予防することを必要とする患者において、アテローム性動脈硬化症を処置するか、和らげるか、若しくは予防し、又は心血管疾患を処置するか、和らげるか、若しくは予防することを必要とする患者において、心血管疾患を処置するか、和らげるか、若しくは予防する方法を提供する。そのような実施形態において、方法は、患者に、本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含む。本発明の方法により処置されるか、寛解するか、和らげられるか、又は予防されることとなる心血管疾患として、冠状動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、大動脈弁狭窄症、安定若しくは不安定狭心症、心房細動、心不全、高脂血症、ヘテロ接合家族性高コレステロール血症、又はホモ接合性家族性高コレステロール血症が挙げられ得る。
【0011】
また、本発明は、アテローム硬化性心血管疾患患者における心血管系イベントのリスクを引き下げる方法を含む。一部の実施形態において、当該方法は、患者に、本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含む。心血管系イベントは、大きな心血管系イベント、例えば、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、又は不安定狭心症のための入院であり得る。一部の実施形態において、心血管系イベントは、大きな有害四肢イベント、例えば、急性四肢虚血、大きな切断手術、又は虚血のための末梢血管再生であり得る。特定の実施形態において、心血管系イベントは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、及び/又は冠状動脈血管再生である。LPA RNAi構築体が投与されることとなるアテローム硬化性心血管疾患患者は、冠状動脈血管再生の履歴、冠状動脈バイパス移植の履歴、冠状動脈疾患の診断、アテローム硬化性脳血管疾患の診断、末梢動脈疾患の診断、及び/又は心筋梗塞の履歴があり得る。一実施形態において、LPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、心筋梗塞イベントを最近経験しており、例えば、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の1年以内に心筋梗塞を経験している。別の実施形態において、LPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、急性冠動脈症候群又は不安定狭心症のために入院している。
【0012】
本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、Lp(a)の血清又は血漿レベルが上昇している。一部の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約70nmol/L以上である。他の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約150nmol/L以上である。特定の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約175nmol/L以上である。特定の他の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベルが約200nmol/L以上である。
【0013】
本発明の方法の一部の実施形態において、LPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、例えば患者のLDL-LCレベルを引き下げるために、脂質引下げ療法を受けている。脂質引下げ療法は、PCSK9阻害剤、例えば、PCSK9アンタゴニストモノクローナル抗体(例えば、エボロクマブ、アリロクマブ)、スタチン(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン)、コレステロール吸収阻害剤(例えばエゼチミブ)、ベンペド酸、ニコチン酸(例えばナイアシン)、フィブリン酸(例えば、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート)、胆汁酸吸着剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム)、LDLアフェレーシス、又はそれらの組合せであり得る。これらの、そして他の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清LDL-Cレベルが約100mg/dL以下又は約70mg/dL以下であり得る。
【0014】
本発明の方法の特定の実施形態において、LPA RNAi構築体の固定用量が、12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回、患者に投与される。一部のそのような実施形態において、固定用量は、約10mg~約225mg、約75mg~約225mg、約50mg~約100mg、又は約150mg~約225mgであり得る。一実施形態において、LPA RNAi構築体は、患者に、12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回、約10mgの固定用量にて投与される。別の実施形態において、LPA RNAi構築体は、患者に、12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回、約75mgの固定用量にて投与される。さらに別の実施形態において、LPA RNAi構築体は、患者に、12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回、約150mgの固定用量にて投与される。さらに別の実施形態において、LPA RNAi構築体は、患者に、12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回、約225mgの固定用量にて投与される。
【0015】
本発明の方法の特定の他の実施形態において、LPA RNAi構築体の固定用量が、患者に、24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回投与される。一部のそのような実施形態において、固定用量は、約225mg~約675mg、約225mg~約450mg、又は約200mg~約300mgであり得る。一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、患者に、24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回、約225mgの固定用量にて投与される。他の実施形態において、LPA RNAi構築体は、患者に、24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回、約300mgの固定用量にて投与される。特定の実施形態において、LPA RNAi構築体は、患者に、24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回、約450mgの固定用量にて投与される。特定の他の実施形態において、LPA RNAi構築体は、患者に、24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回、約675mgの固定用量にて投与される。
【0016】
本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、長期間、患者の血漿又は血清Lp(a)を実質的に引き下げる。例えば、本発明の方法の一部の実施形態において、LPA RNAi構築体の投与は、患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、少なくとも16週間、又は少なくとも24週間、80%超引き下げる。本発明の方法の他の実施形態において、LPA RNAi構築体の投与は、患者における血清又は血漿Lp(a)レベルを、患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベルと比較して、少なくとも12週間、少なくとも16週間、又は少なくとも24週間、90%超引き下げる。特定の実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者の血漿又は血清Lp(a)レベルを、約100nmol/L以下に引き下げる。一部の実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者の血漿又は血清Lp(a)レベルを、約75nmol/L以下に引き下げる。他の実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者の血漿又は血清Lp(a)レベルを、約50nmol/L以下に引き下げる。
【0017】
本明細書中で開示される方法のいずれの実施形態においても、患者に投与されるLPA RNAi構築体は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含むsiRNA分子等の二本鎖RNA分子であり得、アンチセンス鎖は、LPA mRNA配列と相補的な配列を有する領域を含む。好ましくは、センス鎖は、約15~約30塩基対長の二重鎖領域を形成するほど十分にアンチセンス鎖の配列と相補的な配列を含む。本発明の方法の特定の実施形態において、患者に投与されるLPA RNAi構築体は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、これらは各々、約19~約23のヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は、LPA mRNA配列と相補的な配列を含み、センス鎖は、アンチセンス鎖の配列と相補的な配列を含む。そのような一実施形態において、LPA RNAi構築体のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、各々21ヌクレオチド長であり得、そして互いにハイブリダイズして、RNAi構築体が2つの平滑末端を有するように、21塩基対長の二重鎖領域を形成することができる。別のそのような実施形態において、LPA RNAi構築体のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、各々19ヌクレオチド長であり得、そして互いにハイブリダイズして、RNAi構築体が2つの平滑末端を有するように、19塩基対長の二重鎖領域を形成することができる。
【0018】
本発明の方法の一部の実施形態において、患者に投与されるLPA RNAi構築体はさらに、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分を含み、標的化部分は、センス鎖に、例えば、センス鎖の5’末端に共有結合されている。標的化部分は、三価GalNAc部分、例えば、本明細書中に記載される構造1の構造を有する部分を含み得る。特定の実施形態において、本発明の方法に従って患者に投与されるLPA RNAi構築体は、配列番号1の配列を含むセンス鎖及び配列番号2の配列を含むアンチセンス鎖を含む。一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、配列番号3の配列を含むか、又はこれからなるセンス鎖、及び配列番号4の配列を含むか、又はこれからなるアンチセンス鎖を含む。特定の好ましい実施形態において、LPA RNAi構築体のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖は、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含む。そのような実施形態において、LPA RNAi構築体は、配列番号5に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなるセンス鎖、及び配列番号6に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなるアンチセンス鎖を含む。好ましい実施形態において、本発明の方法に従って患者に投与されるLPA RNAi構築体は、オルパシランである。
【0019】
また、本発明は、本明細書中に記載される本発明の方法に用いられる、LPA RNAi構築体、例えばオルパシランを含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容される希釈剤、担体、又は賦形剤を含み得る。特定の実施形態において、医薬組成物は、LPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、リン酸カリウムバッファ、及び塩化ナトリウムを含み、組成物は、pHが約6.6~約7.0、好ましくは約6.8である。本明細書中に記載されるいずれの医薬組成物も、本明細書中に記載される方法に従う患者への投与(例えば皮下投与)のために、注射デバイス、例えば、プレフィルドシリンジ、オートインジェクタ、インジェクションポンプ、オンボディインジェクタ、及びインジェクションペン中に組み込まれ得る。一部の実施形態において、本発明の方法に従う患者への、LPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、又はLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)を含む医薬組成物の投与は、皮下注射による。そのような実施形態において、注射容量は、約2mL以下又は約1mL以下、例えば約1mLである。
【0020】
本明細書中で開示される方法のいずれかでの、又は本明細書中で開示される方法のいずれかに従う投与用の薬剤の調製のためのLPA RNAi構築体の使用が、具体的に意図される。例えば、本発明は、アテローム性動脈硬化症又は心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者においてアテローム性動脈硬化症又は心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防する方法に用いられるLPA RNAi構築体を含み、方法は、患者にLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含む。また、本発明は、患者において血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げる方法に用いられるLPA RNAi構築体を含み、方法は、患者にLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含む。特定の実施形態において、本発明は、アテローム硬化性心血管疾患患者において心血管系イベントのリスクを引き下げる方法に用いられるLPA RNAi構築体を提供し、方法は、患者にLPA RNAi構築体を、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与することを含む。
【0021】
また、本発明は、アテローム性動脈硬化症又は心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者においてアテローム性動脈硬化症又は心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防するための薬剤の調製におけるLPA RNAi構築体の使用を包含し、薬剤は、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている。一部の実施形態において、本発明は、患者において血清又は血漿Lp(a)レベルを引き下げるための薬剤の調製におけるLPA RNAi構築体の使用を提供し、薬剤は、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている。他の実施形態において、本発明は、アテローム硬化性心血管疾患患者における心血管系イベントのリスクを引き下げるための薬剤の調製におけるLPA RNAi構築体の使用を提供し、薬剤は、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの用量にて投与されるか、又はその用量での投与用に製剤化されている。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】LPA RNAi構築体、オルパシランの構造を概略的に示す。5’から3’への方向に列記される上側の鎖はセンス鎖(配列番号5)であり、3’から5’への方向に列記される下側の鎖はアンチセンス鎖(配列番号6)である。黒色の円は、2’-O-メチル修飾を有するヌクレオチドを表し、白色の円は、2’-デオキシ-2’-フルオロ修飾を有するヌクレオチドを表し、灰色の円は、3’-3’結合を介して隣接ヌクレオチドに連結された(すなわち逆位)デオキシアデノシンヌクレオチドを表す。円を連結する灰色の線は、ホスホジエステル結合を表すが、円を連結する黒色の線は、ホスホロチオアート結合を表す。示す構造を有する三価GalNAc部分は、R1によって表されており、ホスホロチオアート結合によってセンス鎖の5’末端に共有結合されている。
図2】研究日の全体にわたるコホート1~7の各々における、示される用量でのプラセボ又はオルパシランの単回の皮下用量後のヒト対象内での血漿Lp(a)レベルのベースラインからの変化パーセントを示す線グラフである。ベースライン値は、スクリーニングLp(a)及び投与1日前(day 1 predose)Lp(a)レベルの平均であった。1つの値しか入手可能でないならば、当該値をベースラインとして用いた。
図3-1】ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象について、10mg(図3A)、30mg(図3B)、50mg(図3C)、75mg(図3D)、150mg(図3E)、及び225mg(図3F)の用量でのオルパシランの四半期毎(Q3M)の投与についてのベースラインの予測Lp(a)レベルをパーセンテージとして示す。各グラフ内の横線は、ベースラインからのLp(a)レベルの80%引下げを表す。予測Lp(a)レベルは、10,000人の対象についてのPK/PDモデルシミュレーションに基づく。予測データを、メジアン値(実線)として示し、95%予測区間を陰影によって表す。図3D内の黒塗りの円は、実施例1に記載されるコホート7の観察データを表す。
図3-2】ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象について、10mg(図3A)、30mg(図3B)、50mg(図3C)、75mg(図3D)、150mg(図3E)、及び225mg(図3F)の用量でのオルパシランの四半期毎(Q3M)の投与についてのベースラインの予測Lp(a)レベルをパーセンテージとして示す。各グラフ内の横線は、ベースラインからのLp(a)レベルの80%引下げを表す。予測Lp(a)レベルは、10,000人の対象についてのPK/PDモデルシミュレーションに基づく。予測データを、メジアン値(実線)として示し、95%予測区間を陰影によって表す。図3D内の黒塗りの円は、実施例1に記載されるコホート7の観察データを表す。
図4-1】ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象について、10mg(図4A)、75mg(図4B)、150mg(図4C)、225mg(図4D)、450mg(図4E)、及び675mg(図4F)の用量でのオルパシランの年2回(Q6M)の投与についてのベースラインの予測Lp(a)レベルをパーセンテージとして示す。各グラフ内の横線は、ベースラインからのLp(a)レベルの80%引下げを表す。予測Lp(a)レベルは、10,000人の対象についてのPK/PDモデルシミュレーションに基づく。予測データを、メジアン値(実線)として示し、95%予測区間を陰影によって表す。図4B内の黒塗りの円は、実施例1に記載されるコホート7の観察データを表す。
図4-2】ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象について、10mg(図4A)、75mg(図4B)、150mg(図4C)、225mg(図4D)、450mg(図4E)、及び675mg(図4F)の用量でのオルパシランの年2回(Q6M)の投与についてのベースラインの予測Lp(a)レベルをパーセンテージとして示す。各グラフ内の横線は、ベースラインからのLp(a)レベルの80%引下げを表す。予測Lp(a)レベルは、10,000人の対象についてのPK/PDモデルシミュレーションに基づく。予測データを、メジアン値(実線)として示し、95%予測区間を陰影によって表す。図4B内の黒塗りの円は、実施例1に記載されるコホート7の観察データを表す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
Lp(a)は、心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患、及び大動脈弁狭窄症が挙げられる心血管疾患の種々の形態の原因となる危険因子であることが報告されている。Lp(a)濃度は、遺伝的に決定され、そしてLDLコレステロール(LDL-C)濃度とは異なり、食事、運動、又は他のライフスタイルの変化によって変更され得ない。現在、apo(a)を選択的に標的として、Lp(a)レベルを実質的に引き下げる認可された治療法はない。本発明は、アテローム性硬化症及び関連する心血管症状の処置又は予防のためにLp(a)レベルの抑制を持続するための、apo(a)タンパク質をコードするLPA遺伝子から転写されるmRNAを標的とするRNAi構築体の新規の投与計画を提供する。特定のLPA標的RNAi構築体、オルパシランが、単回用量後に、ベースラインLp(a)レベルが≧70nmol/Lのヒト対象においてLp(a)濃度を71%~96%引き下げることが観察され、最大パーセント引下げは>90%であり、効果は、9mg以上の単回用量にて6ヵ月超の間存続した(実施例1参照)。具体的には、9mgもの低いオルパシランの単回用量が、ヒト対象において3ヵ月超の間、Lp(a)レベルを80%超引き下げるが、75mg及び225mgの単回オルパシラン用量が、6ヵ月超の間、Lp(a)レベルを80%超抑制した。また、オルパシランは、これらの用量にて十分耐容性であり、重篤な処置関連有害事象はなかった(実施例1参照)。この投薬量範囲のLp(a)のロバストな、且つ持続される抑制は、予想外であった。というのも、カニクイザルにおいて評価されるオルパシラン用量のアロメトリックスケーリングに基づいて、1ヵ月間のLp(a)の80%引下げをもたらすのに、8倍高い用量(例えば75mg対9mg)が必要とされると予測されたからである。
【0024】
また、オルパシランによるヒト対象におけるLp(a)抑制の深さ及び期間は、apo(a)を標的とする他の核酸治療薬によりヒト対象において報告される結果を考慮すると、驚くべきであった。apo(a)を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドであるAKCEA-APO(a)-LRxは、処置の6ヵ月後にヒト対象においてLp(a)レベルを35%~80%引き下げることが報告されている。しかしながら、Lp(a)レベルのそれぞれ80%引下げ及び72%引下げを達成するには、AKCEA-APO(a)-LRxの20mgの毎週用量又は60mgの毎月用量が必要とされた(Tsimikas et al.,New England Journal of Medicine,Vol.382:244-255,2020参照)。これに対し、本明細書中に記載されるように、オルパシランの単回用量は、6ヵ月よりも長い間、Lp(a)レベルの80%超の引下げをもたらすことによって、より低い用量且つより長い投与間隔、例えば、3ヵ月毎に1回又は6ヵ月毎に1回でのオルパシランの投与を可能にした。ゆえに、本発明の方法は、アテローム硬化性心血管疾患について、例えば、患者の厳守の向上、薬物のコストの引下げ、並びに注射の容量及び回数の引下げが挙げられる、ヒト処置におけるかなりの向上を実現する。従って、特定の実施形態において、本発明は、心血管疾患を処置するか、予防するか、又は発症するリスクを引き下げることを必要とする患者においてそうする方法であって、本明細書中に記載される特定の投与計画に従って患者に有効量のLPA RNAi構築体を投与することを含む方法を提供する。
【0025】
アテローム性硬化症は、脂肪物質、コレステロール、カルシウム、フィブリン、及び細胞老廃物で構成されるプラークが、体内の種々の動脈内で構築される疾患である。経時的に、プラークは、動脈のルーメンを硬化させて狭めることによって、体内で臓器及び組織への血流を制限する。アテローム性硬化症は、アテローム硬化性プラーク蓄積によって影響される特定の動脈に基づく、心血管疾患、脳血管疾患、又は慢性腎疾患等のいくつかの他の疾患の発症に至る虞がある。例えば、プラークが冠状動脈内で構築されて、心臓への血流を部分的にブロックする場合に冠状動脈疾患が生じ、これが狭心症及び心筋梗塞に至る虞がある。酸素に富んだ血液を脳に供給する頸動脈内でのアテローム硬化性プラーク構築は、頸動脈疾患をもたらし、そして血流が引き下げられるか、又はブロックされるならば、一過性脳虚血発作又は脳卒中を引き起こす虞がある。プラークが、血液を四肢及び骨盤に供給する主幹動脈内で構築される場合に、末梢動脈疾患が生じて、腹部の大動脈瘤及び四肢虚血(麻痺及び疼痛を引き起こす)に至る虞がある。アテローム硬化性プラークが腎動脈内で蓄積する場合、慢性腎疾患が発症し、そして腎機能低下に経時的に至る虞があり、これが腎不全を生じさせる虞がある。Lp(a)は、アテローム発生リポタンパク質である。そのレベルの上昇は、特に、冠状動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、及び脳卒中のリスクの増大と関連してきた。本発明の方法は、循環Lp(a)レベルを引き下げることによって、患者におけるアテローム性硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防するのに有用である。ゆえに、一部の実施形態において、本発明は、アテローム性硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者においてそうする方法であって、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従って患者に有効量のLPA RNAi構築体を投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、本発明は、アテローム性硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者においてそうするための薬剤の調製のための本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体のいずれかの使用を含み、薬剤は、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従って投与されるか、又はそれに従う投与用に製剤化されている。別の実施形態において、本発明は、アテローム性硬化症を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者においてそうする方法に用いられるLPA RNAi構築体、例えば本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体のいずれかを提供し、当該方法は、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従ってLPA RNAi構築体を投与することを含む。
【0026】
特定の実施形態において、本発明はまた、心血管疾患を処置するか、和らげるか、寛解させるか、又は予防することを必要とする患者においてそうする方法であって、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従って患者に有効量のLPA RNAi構築体を投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態において、本発明は、心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者においてそうするための薬剤の調製のための本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体のいずれかの使用を含み、当該薬剤は、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従って投与されるか、又はそれに従う投与用に製剤化されている。他の実施形態において、本発明は、心血管疾患を処置するか、和らげるか、又は予防することを必要とする患者においてそうする方法に用いられるLPA RNAi構築体、例えば本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体のいずれかを提供し、当該方法は、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従ってLPA RNAi構築体を投与することを含む。心血管疾患は、血管又は心臓を襲う疾患及び症状のクラスであり、以下に限定されないが、心筋梗塞、心不全、一過性脳虚血発作、脳卒中(虚血性及び出血性)、アテローム性動脈硬化症、冠状動脈疾患、末梢血管疾患(例えば末梢動脈疾患)、動脈瘤(例えば腹部大動脈瘤)、頸動脈疾患、脳血管疾患、安定又は不安定狭心症、心房細動、高脂血症、家族性高コレステロール血症(ヘテロ接合性及びホモ接合性)、不安定プラーク、及び大動脈弁狭窄症が挙げられる。ゆえに、特定の実施形態において、本発明の方法に従って処置されることとなる患者は、心血管疾患と、又はこれを発症するリスクがあると診断される。心血管疾患を発症するリスクがある患者は、心血管疾患の家族歴があり得、且つ/又は心血管疾患の1つ以上のリスク因子を有し得る。そのようなリスク因子として、高血圧、非HDLコレステロールのレベルの上昇、トリグリセリドのレベルの上昇、糖尿病、肥満症、又は喫煙が挙げられるが、これらに限定されない。アテローム性動脈硬化症及び心血管疾患の診断は、当業者に知られている種々の方法を用いて行うことができ、以下の1つ以上が挙げられ得る:患者の健康診断及び家族歴、患者のリスク因子、身体検査、脂質濃度(例えばLDL-C、トリグリセリド、Lp(a)、グリコヘモグロビンA1C、C反応性タンパク質、アポリポタンパク質B、心トロポニンT、その他)等の種々のバイオマーカーを測定する血液試験、心電図、心エコー図、ストレステスト、胸部X線、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン(例えば心CTスキャン)、並びに血管造影法。
【0027】
一部の実施形態において、本発明の方法に従って処置されるか、和らげられるか、寛解するか、又は予防されることとなる心血管疾患は、冠状動脈疾患である。冠状動脈疾患の徴候及び症候として、胸痛(例えば狭心症)、息切れ、心筋梗塞、1つ以上の冠状動脈の狭窄、腕又は肩の痛み又は不快感、弱化、めまい、吐き気、並びに冠状動脈バイパス及び/又は経皮的冠状動脈インターベンションの履歴が挙げられ得る。関連の実施形態において、本発明の方法に従って処置されるか、和らげられるか、寛解するか、又は予防されることとなる心血管疾患は、心筋梗塞である。
【0028】
他の実施形態において、本発明の方法に従って処置されるか、和らげられるか、寛解するか、又は予防されることとなる心血管疾患は、冠状動脈疾患、特にアテローム硬化性脳血管疾患である。脳血管疾患は、大脳血管の1つ以上の機能不全又は合併症に起因して、脳の領域が虚血又は出血によって一時的又は恒久的に冒される障害を指す。脳血管疾患として、以下に限定されないが、一過性脳虚血発作、脳卒中(虚血性又は出血性)、頸動脈狭窄症、椎骨動脈狭窄症、頭蓋内動脈狭窄症、動脈瘤、及び血管奇形が挙げられる。脳血管疾患の徴候及び症候として、目眩、吐き気、嘔吐、非常に重度の頭痛、混乱、見当識障害、記憶喪失、腕、脚、又は顔の麻痺又は弱化(とりわけ片側)、異常な、又は不明瞭に発音される言語、理解の困難、視野の喪失又は見ることの困難、平衡感覚、調整、又は歩く能力の喪失、頸動脈狭窄症、並びに一過性脳虚血発作及び/又は頸動脈血管再生の履歴が挙げられ得る。一実施形態において、本発明の方法に従って処置されるか、和らげられるか、寛解するか、又は予防されることとなる心血管疾患は、脳卒中である。
【0029】
特定の他の実施形態において、本発明の方法に従って処置又は予防される心血管疾患は、末梢動脈疾患である。末梢動脈疾患の徴候及び症候として、歩行の間の脚若しくは腕における痛み若しくは筋けいれん(跛行)、脚の麻痺若しくは弱化、下腿若しくは足の冷え、つま先の痛み、治癒しない足若しくは脚、脚の色の変化、足及び脚の脱毛若しくはより遅い毛成長、足の爪のより遅い成長、脚のテカテカの皮膚、脚若しくは足の脈なし若しくは弱い脈、足関節上腕指数≦0.90、並びに腹部大動脈瘤の履歴、腹大動脈処置(経皮的又は外科的)、並びに/又は末梢動脈血管再生(経皮的又は外科的)が挙げられ得る。
【0030】
一部の実施形態において、本発明の方法に従うLPA RNAi構築体の投与は、アテローム性硬化症、並びに他の心血管疾患及び症状の処置のためのものである。本明細書中で用いられる用語「処置」又は「処置する」は、アテローム性硬化症又は他の心血管疾患を有するか、又はこれと診断され、アテローム性硬化症又は他の心血管疾患の徴候があり、アテローム性硬化症又は他の心血管疾患を発症するリスクがあり、或いはアテローム性硬化症若しくは他の心血管疾患を治すか、治癒するか、緩和するか、軽減するか、改変するか、寛解させるか、若しくは向上させる目的で、アテローム性硬化症若しくは他の心血管疾患になりやすい体質、アテローム性硬化症若しくは他の心血管疾患の1つ以上の症候、アテローム性硬化症若しくは他の心血管疾患を発症するリスク、又はアテローム性硬化症若しくは他の心血管疾患になりやすい傾向がある患者へのLPA RNAi構築体の施用又は投与を指す。用語「処置」は、患者におけるアテローム性硬化症若しくは他の心血管疾患の進行の減速若しくは停止、アテローム性硬化症若しくは他の心血管疾患の徴候の数若しくは重症度の低下、又は患者にアテローム性硬化症若しくは他の心血管疾患の徴候がない期間の頻度若しくは長さの増大が挙げられる、患者における疾患のあらゆる改善を包含する。本明細書中で用いられる用語「患者」は、ヒトが挙げられる哺乳動物を指し、用語「対象」と互換的に用いられ得る。好ましい実施形態において、患者はヒト患者である。
【0031】
特定の好ましい実施形態において、本発明の方法のいずれかに従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、LPA RNAi構築体の投与前の患者における循環Lp(a)レベル(例えばベースラインLp(a)レベル/濃度)と比較して、又はLPA RNAi構築体を受けていない患者における循環Lp(a)レベル/濃度と比較して、患者における循環Lp(a)レベル又は濃度(例えば、血清又は血漿Lp(a)レベル/濃度)を引き下げる。従って、一部の実施形態において、本発明は、血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を引き下げることを必要とする患者においてそうする方法であって、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従ってLPA RNAi構築体を患者に投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、本発明は、血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を引き下げることを必要とする患者において、そうするための薬剤の調製のための本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体のいずれかの使用を含み、薬剤は、本明細書中に記載される投与計画のいずれか従って投与されるか、又はそれに従う投与用に製剤化されている。別の実施形態において、本発明は、血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を引き下げることを必要とする患者においてそうする方法に用いられるLPA RNAi構築体、例えば本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体のいずれかを提供し、当該方法は、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従ってLPA RNAi構築体を投与することを含む。一部の実施形態において、血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)の引下げが必要な患者は、心血管疾患、例えば上述の心血管疾患のいずれかと、又はこのリスクがあると診断される患者である。一部のそのような実施形態において、心血管疾患は、冠状動脈疾患、頸動脈疾患、末梢動脈疾患、心筋梗塞、脳血管疾患、脳卒中、大動脈弁狭窄症、安定若しくは不安定狭心症、心房細動、心不全、高脂血症、ヘテロ接合性家族性高コレステロール血症、又はホモ接合性家族性高コレステロール血症である。特定の一実施形態において、血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)の引下げが必要な患者は、心筋梗塞の履歴があるか、又は心筋梗塞の家族歴がある。
【0032】
特定の実施形態において、血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)の引下げが必要な患者は、急性冠症候群と診断される。急性冠症候群は、アテローム硬化性プラークの破壊、及び冠状動脈の部分的又は完全な血栓症によって多くの場合引き起こされる、心臓への血流の突然の引下げと関連する症状を指す。急性冠動脈症候群として、急性的な心筋虚血又は梗塞、例えば、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)及びST上昇型MI(STEMI)、並びに不安定狭心症が挙げられる。たとえ急性冠動脈症候群が最初に梗塞部をもたらさないとしても、これは、梗塞部が生じる高いリスクの徴候であり、速やかに診断且つ処置されなければならない。急性冠動脈症候群の徴候及び症候は、典型的には急に始まり、胸痛(狭心症)又は不快感、胸から肩、腕、上腹部、背中、首、又は顎への痛み拡散、吐き気又は嘔吐、消化不良、息切れ、突然の大量の発汗、朦朧、目眩、又は失神、普通でないか、又は不可解な疲労感、及び落ち着きがないか、又は不安の感情が挙げられ得る。
【0033】
特定の他の実施形態において、血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)の引下げが必要な患者は、慢性腎疾患と診断される。慢性腎疾患は一般に、腎臓への漸進的損傷、及び機能喪失を指す。慢性腎疾患は経時的に悪化して、患者は、他の心血管疾患のリスクが高くなり得る。一実施形態において、本発明の方法に従って処置されることとなる患者は、ステージ3の慢性腎疾患を有する。腎疾患の病期は、血液中のクレアチニンの量に基づく値である推定の糸球体濾過率(eGFR)によって決定される。ステージ3の慢性腎疾患は、約30mL/分/1.73m~約59mL/分/1.73mのeGFRによって特徴付けられ、正常であるよりも多かれ少なかれ、何らかの最初の徴候、例えば手及び足におけるむくみ、背中の痛み、並びに排尿を伴い得る。また、ステージ3の慢性腎疾患患者は、他の健康関連問題、例えば、高血圧、貧血、及び骨疾患を有する場合がある。別の実施形態において、本発明の方法に従って処置されることとなる患者は、ステージ4の慢性腎疾患を有する。ステージ4の慢性腎疾患患者は、eGFRが約15mL/分/1.73m~約29mL/分/1.73mであり、典型的には、正常であるよりも多かれ少なかれ、症候様の、手及び足におけるむくみ、背中の痛み、並びに排尿を示すこととなる。
【0034】
一部の実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者における血清又は血漿中のLp(a)レベル(又は濃度)を、RNAi構築体の投与前の患者における血清若しくは血漿中のLp(a)レベル(又は濃度)(例えばベースラインLp(a)レベル又は濃度)と比較して、又はRNAi構築体を受けていない患者における血清若しくは血漿中のLp(a)レベル(又は濃度)と比較して、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、又は少なくとも約95%引き下げる。これらの、そして他の実施形態において、LPA RNAi構築体の投与(例えば、LPA RNAi構築体の単回用量の投与)後、循環Lp(a)レベル又は濃度は、患者において、少なくとも4週、少なくとも6週、少なくとも8週、少なくとも10週、少なくとも12週、少なくとも14週、少なくとも16週、少なくとも18週、少なくとも20週、少なくとも22週、少なくとも24週、少なくとも26週、少なくとも28週、少なくとも30週、少なくとも32週、少なくとも36週、又は少なくとも48週間、引き下げられる。
【0035】
本発明の方法の一実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばLPA RNAi構築体の単回用量)の投与は、患者における血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を、患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)と比較して、少なくとも12週間、50%超引き下げる。ベースライン血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)は、LPA RNAi構築体(すなわち前処置レベル又は濃度)の投与前の患者における血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を指す。ベースラインレベル/濃度は、患者がLPA RNAi構築体を受ける前にとられた単一の測定値であってもよいし、ベースラインレベル/濃度は、患者がLPA RNAi構築体を受ける前にとられた2つ以上の測定値の平均であってもよい。本発明の方法の別の実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばLPA RNAi構築体の単回用量)の投与は、患者における血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を、患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)と比較して、少なくとも24週間、50%超引き下げる。本発明の方法のさらに別の実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばLPA RNAi構築体の単回用量)の投与は、患者における血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を、患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)と比較して、少なくとも12週間、80%超引き下げる。本発明の方法のさらに別の実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばLPA RNAi構築体の単回用量)の投与は、患者における血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を、患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)と比較して、少なくとも24週間、80%超引き下げる。本発明の方法の特定の実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばLPA RNAi構築体の単回用量)の投与は、患者における血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を、患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)と比較して、少なくとも32週間、80%超引き下げる。本発明の方法の一部の実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばLPA RNAi構築体の単回用量)の投与は、患者における血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を、患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)と比較して、少なくとも12週間、90%超引き下げる。本発明の方法の他の実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばLPA RNAi構築体の単回用量)の投与は、患者における血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)を、患者のベースライン血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)と比較して、少なくとも16週間、90%超引き下げる。
【0036】
特定の実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者における血清又は血漿内の絶対Lp(a)レベル(又は濃度)を、約150nmol/L以下、約125nmol/L以下、約100nmol/L以下、約75nmol/L以下、約70nmol/L以下、約65nmol/L以下、約60nmol/L以下、約55nmol/L以下、約50nmol/L、約45nmol/L以下、約40nmol/L以下、約35nmol/L以下、又は約30nmol/L以下に引き下げる。一実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者における血清又は血漿内の絶対Lp(a)レベル(又は濃度)を、約125nmol/L以下に引き下げる。別の実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者における血清又は血漿内の絶対Lp(a)レベル(又は濃度)を、約100nmol/L以下に引き下げる。別の実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者における血清又は血漿内の絶対Lp(a)レベル(又は濃度)を、約75nmol/L以下に引き下げる。さらに別の実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者における血清又は血漿内の絶対Lp(a)レベル(又は濃度)を、約50nmol/L以下に引き下げる。
【0037】
粒子濃度の単位(例えばnmol/L)でLp(a)レベル/濃度を測定する優先傾向があるが(例えば、Wilson et al.,Journal of Clinical Lipidology,Vol.13;374-392,2019参照)、Lp(a)レベルは、質量濃度の単位(例えばmg/dL)で測定されてもよい。そのような実施形態において、本発明の方法に従う患者へのLPA RNAi構築体の投与は、患者における血清又は血漿内のLp(a)レベル(又は濃度)を、約100mg/dL以下、約90mg/dL以下、約80mg/dL以下、約70mg/dL以下、約60mg/dL以下、約50mg/dL以下、約45mg/dL以下、約40mg/dL以下、約35mg/dL以下、約30mg/dL以下、約25mg/dL以下、約20mg/dL以下、又は約15mg/dL以下に引き下げ得る。
【0038】
血漿又は血清サンプル内のLp(a)レベルを、商業的に入手可能なキット、例えば、Mercodia AB(Uppsala,Sweden)のLp(a)ELISAアッセイキット、Randox Laboratories Ltd.(Crumlin,United Kingdom)のLp(a)免疫比濁アッセイ、若しくはF.Hoffmann-La Roche Ltd.(Basel,Switzerland)のTina-quant(登録商標)Lp(a)Gen.2アッセイを用いて、又は当該技術において知られている他の方法、例えば、Marcovina and Albers,J.Lipid Res.,Vol.57:526-537,2016に記載されるものを用いて測定することができる。特定の実施形態において、Lp(a)レベルは、apo(a)アイソフォームサイズから独立したLp(a)粒子を検出且つ定量化するように規格化されている比濁免疫アッセイを用いて測定される。これらの、そして他の実施形態において、Lp(a)レベルを測定するのに用いられるアッセイは、nmol/Lについて、IFCC参照材料SRM2Bに対して規格化されている(Marcovina et al.,Clin.Chem.,Vol.46:1946-1967,2000)。
【0039】
先に記載されるように、循環Lp(a)のレベルの上昇は、心血管疾患のリスクの増大と関連する。ゆえに、本発明の方法はまた、Lp(a)の血清又は血漿レベルが上昇した患者における心血管系イベントのリスクを引き下げるのに有用である。従って、特定の実施形態において、本発明は、アテローム硬化性心血管疾患患者における心血管系イベントのリスクを引き下げる方法であって、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従って患者にLPA RNAi構築体の有効量を投与することを含む方法を提供する。一実施形態において、本発明は、アテローム硬化性心血管疾患患者における心血管系イベントのリスクを引き下げるための薬剤の調製のための本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体のいずれかの使用を含み、当該薬剤は、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従って投与されるか、又はそれに従う投与用に製剤化されている。別の実施形態において、本発明は、アテローム硬化性心血管疾患患者における心血管系イベントのリスクを引き下げる方法に用いられる、LPA RNAi構築体、例えば本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体のいずれかを提供し、当該方法は、本明細書中に記載される投与計画のいずれかに従ってLPA RNAi構築体を投与することを含む。
【0040】
一部の実施形態において、心血管系イベントは、以下の1つ以上である:心血管死、心筋梗塞、脳卒中(例えば虚血性脳卒中)、冠状動脈血管再生、不安定狭心症のための入院、心不全のための入院、末梢血管再生、急性四肢虚血、一過性脳虚血発作、虚血のための大きな四肢切断手術、脳血管再生(全て死亡を引き起こす)。特定の実施形態において、心血管系イベントは、心血管死、心筋梗塞、脳卒中(例えば虚血性脳卒中)、及び/又は冠状動脈血管再生である。一部のそのような実施形態において、心血管系イベントは、心血管死、心筋梗塞、及び/又は冠状動脈血管再生である。他のそのような実施形態において、心血管系イベントは、心筋梗塞及び/又は冠状動脈血管再生である。他の実施形態において、心血管系イベントは、心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、及び不安定狭心症のための入院から選択される大きな心血管系イベントである。さらに他の実施形態において、心血管系イベントは、急性四肢虚血、大きな切断手術、及び虚血のための末梢血管再生から選択される大きな有害四肢事象である。一実施形態において、心血管系イベントは心血管死である。別の実施形態において、心血管系イベントは非致死性心筋梗塞である。さらに別の実施形態において、心血管系イベントは、非致死性脳卒中(例えば虚血性脳卒中)である。さらに別の実施形態において、心血管系イベントは冠状動脈血管再生である。
【0041】
特定の実施形態において、本発明の方法に従うLPA RNAi構築体が投与された患者は、LPA RNAi構築体を受けていない患者と比較して、上述の心血管系イベントのいずれかについて、相対リスク引下げが少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、又は少なくとも30%である。一実施形態において、本発明の方法に従うLPA RNAi構築体が投与された患者は、LPA RNAi構築体を受けていない患者と比較して、心血管死、心筋梗塞、及び虚血性脳卒中のいずれか1つについて、相対リスク引下げが約15%~約25%である。別の実施形態において、本発明の方法に従うLPA RNAi構築体が投与された患者は、LPA RNAi構築体を受けていない患者と比較して、心血管死、心筋梗塞、及び虚血性脳卒中のいずれか1つについて、相対リスク引下げが約20%~約30%である。
【0042】
特定の他の実施形態において、本発明の方法に従うLPA RNAi構築体が投与された患者は、上述の心血管系イベントのいずれかについて、絶対リスク引下げが少なくとも1.5%、少なくとも1.8%、少なくとも2.0%、少なくとも2.2%、少なくとも2.5%、少なくとも2.8%、少なくとも3.0%、少なくとも3.2%、又は少なくとも3.5%である。一実施形態において、本発明の方法に従うLPA RNAi構築体が投与された患者は、心血管死、心筋梗塞、及び虚血性脳卒中のいずれか1つについて、絶対リスク引下げが約1.5%~約3.0%である。別の実施形態において、本発明の方法に従うLPA RNAi構築体が投与された患者は、心血管死、心筋梗塞、及び虚血性脳卒中のいずれか1つについて、絶対リスク引下げが約2.0%~約3.5%である。さらに別の実施形態において、本発明の方法に従うLPA RNAi構築体が投与された患者は、心血管死、心筋梗塞、及び虚血性脳卒中のいずれか1つについて、絶対リスク引下げが約2.0%~約3.0%である。
【0043】
上記の実施形態のいずれにおいても、心血管系イベントを減らすために本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される患者は、冠状動脈血管再生の履歴、冠状動脈バイパス移植の履歴、冠状動脈疾患の診断、アテローム硬化性脳血管疾患の診断、末梢動脈疾患の診断、及び/又は心筋梗塞の履歴があり得る。特定の実施形態において、心血管系イベントを減らすために本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される患者は、心筋梗塞を経験している。例えば、一部のそのような実施形態において、心血管系イベントを減らすために本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与を受ける1年、2年、3年、4年、又は5年以内に心筋梗塞を経験している。そのような一実施形態において、心血管系イベントを減らすために本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与を受ける1年以内に心筋梗塞を経験している。特定の他の実施形態において、心血管系イベントを減らすために本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される患者は、急性冠動脈症候群又は不安定狭心症のために入院しているか、又は最近入院した。
【0044】
特定の好ましい実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、Lp(a)の循環レベル又は濃度が上昇した(例えば、Lp(a)の血清又は血漿レベル/濃度が上昇した)患者である。本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、ベースライン循環Lp(a)レベル又は濃度が約50nmol/L以上、約55nmol/L以上、約60nmol/L以上、約65nmol/L以上、約70nmol/L以上、約75nmol/L以上、約100nmol/L以上、約125nmol/L以上、約150nmol/L以上、約175nmol/L以上、約200nmol/L以上、約225nmol/L以上、又は約250nmol/L以上であり得る。一実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約70nmol/L以上であれば、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される。別の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約100nmol/L以上であれば、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される。さらに別の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約125nmol/L以上であれば、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される。さらに別の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約150nmol/L以上であれば、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される。一部の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約175nmol/L以上であれば、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される。他の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約200nmol/L以上であれば、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される。特定の他の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約225nmol/L以上であれば、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与される。
【0045】
循環Lp(a)レベル(又は濃度)が質量濃度単位で測定されるあまり好ましくない実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、循環Lp(a)レベル(又は濃度)が約30mg/dL以上、約35mg/dL以上、約40mg/dL以上、約45mg/dL以上、約50mg/dL以上、約55mg/dL以上、約60mg/dL以上、約65mg/dL以上、約70mg/dL以上、約75mg/dL以上、約90mg/dL以上、又は約100mg/dL以上であり得る。一実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約50mg/dL以上であれば、本発明のRNAi構築体が投与される。別の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約60mg/dL以上であれば、本発明のRNAi構築体が投与される。さらに別の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約70mg/dL以上であれば、本発明のRNAi構築体が投与される。さらに別の実施形態において、患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清又は血漿Lp(a)レベル(又は濃度)が約90mg/dL以上であれば、本発明のRNAi構築体が投与される。
【0046】
先で考察されるように、血漿又は血清サンプル内のLp(a)レベル(又は濃度)を、商業的に入手可能なキット、例えば、Mercodia AB(Uppsala,Sweden)のLp(a)ELISAアッセイキット、Randox Laboratories Ltd.(Crumlin,United Kingdom)のLp(a)免疫比濁アッセイ、若しくはF.Hoffmann-La Roche Ltd.(Basel,Switzerland)のTina-quant(登録商標)Lp(a)Gen.2アッセイを用いて、又は当該技術において知られている他の方法、例えば、Marcovina and Albers,J.Lipid Res.,Vol.57:526-537,2016に記載されるものを用いて測定することができる。特定の実施形態において、Lp(a)レベルは、apo(a)アイソフォームサイズから独立したLp(a)粒子を検出且つ定量化するように規格化されている比濁免疫アッセイを用いて測定される。これらの、そして他の実施形態において、Lp(a)レベルを測定するのに用いられるアッセイは、nmol/Lについて、IFCC参照材料SRM2Bに対して規格化されている(Marcovina et al.,Clin.Chem.,Vol.46:1946-1967,2000)。
【0047】
一部の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、血清低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベルが、1つ以上の脂質引下げ療法による処置を通して正常範囲内であり得、又は正常範囲内に調節され得る。例えば、一実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清LDL-Cレベルが約100mg/dL以下である。別の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清LDL-Cレベルが約70mg/dL以下である。関連する実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、1つ以上の脂質引下げ療法を受けている。脂質引下げ療法として、以下に限定されないが、PCSK9阻害剤、例えば、PCSK9アンタゴニストモノクローナル抗体(例えば、エボロクマブ、アリロクマブ)及びPCSK9標的siRNA(例えばインクリシラン)、スタチン(例えば、アトルバスタチン、セリバスタチン、フラバスタチン、ロバスタチン、メバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、ロスバスタチン、シンバスタチン)、コレステロール吸収阻害剤(例えばエゼチミブ)、ベンペド酸、ニコチン酸(例えばナイアシン)、フィブリン酸(例えば、ゲムフィブロジル、フェノフィブラート)、胆汁酸吸着剤(例えば、コレスチラミン、コレスチポール、コレセベラム)、LDLアフェレーシス、又はそれらの組合せが挙げられる。特定の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、PCSK9アンタゴニストモノクローナル抗体、スタチン、エゼチミブ、ベンペド酸、又はそれらの組合せからなる群から選択される脂質引下げ療法を受けている。
【0048】
特定の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清トリグリセリドレベルが約500mg/dL未満である。例えば、患者は、ベースラインでの(例えばLPA RNAi構築体の最初の投与前の)血清トリグリセリドレベルが、約400mg/dL未満、約375mg/dL未満、約350mg/dL未満、約325mg/dL未満、約300mg/dL未満、約275mg/dL未満、約250mg/dL未満、約225mg/dL未満、約200mg/dL未満、約175mg/dL未満、又は約150mg/dL未満であり得る。一実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清トリグリセリドレベルが約400mg/dL未満である。別の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清トリグリセリドレベルが約50mg/dL~約400mg/dLである。さらに別の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の血清トリグリセリドレベルが約150mg/dL~約375mg/dLである。
【0049】
LDL-C、トリグリセリド、総コレステロール、高密度リポタンパク質コレステロール(HDL-C)、超低密度リポタンパク質コレステロール(VLDL-C)、及び他の脂質バイオマーカー、例えば、アポリポタンパク質A1及びアポリポタンパク質Bの測定値が、患者由来の血液サンプルを用いて、標準的な脂質パネルにより測定され得る。一部の実施形態において、患者は、サンプルが採血される前に、少なくとも9時間、好ましくは12時間、断食する。ゆえに、上述の脂質バイオマーカー(例えばLDL-C、トリグリセリド)のレベル/濃度は、空腹時レベルであり得る。
【0050】
一部の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、グリコヘモグロビンA1Cレベルが、未処置であるか、又は十分に管理されていない2型糖尿病を示さない。例えば、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、ベースラインでの(例えば、LPA RNAi構築体の最初の投与前の)グリコヘモグロビンA1Cレベルが、約10.0%未満、約9.5%未満、約9.0%未満、約8.5%未満、約8.0%未満、約7.5%未満、約7.0%未満、約6.5%未満、約6.0%未満、又は約5.5%未満である。一実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前のグリコヘモグロビンA1Cレベルが約8.5%未満である。別の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前のグリコヘモグロビンA1Cレベルが約7.0%未満である。
【0051】
他の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、収縮期血圧及び/又は拡張期血圧が管理不良高血圧を示さない。例えば、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、ベースラインでの(例えば、LPA RNAi構築体の最初の投与前の)平均安静時収縮期血圧が、約180mmHg未満、約160mmHg未満、約140mmHg未満、約135mmHg未満、約130mmHg未満、約125mmHg未満、又は約120mmHg未満であり、そしてベースラインでの(例えば、LPA RNAi構築体の最初の投与前の)平均安静時拡張期血圧が、約120mmHg未満、約110mmHg未満、約100mmHg未満、約85mmHg未満、約90mmHg未満、又は約80mmHg未満である。一実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の安静時の平均収縮期血圧が約180mmHg未満であり、且つ平均拡張期血圧が約110mmHg未満である。別の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の安静時の平均収縮期血圧が約160mmHg未満であり、且つ平均拡張期血圧が約100mmHg未満である。さらに別の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前の安静時の平均収縮期血圧が約140mmHg未満であり、且つ平均拡張期血圧が約90mmHg未満である。
【0052】
一部の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、重度の腎機能不全の徴候がない。ゆえに、特定の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、ベースラインでの(例えば、LPA RNAi構築体の最初の投与前の)eGFRが、少なくとも約30mL/分/1.73m、少なくとも約45mL/分/1.73m、少なくとも約60mL/分/1.73m、少なくとも約75mL/分/1.73m、又は少なくとも約90mL/分/1.73mである。特定の一実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、LPA RNAi構築体の最初の投与前のeGFRが約30mL/分/1.73m以上である。
【0053】
他の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、活動性肝疾患又は肝機能不全の徴候がない。活動性肝疾患は、アルブミン、アルカリホスファターゼ(ALP)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、ガンマ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)、ビリルビン、及び乳酸脱水素酵素(LD)が挙げられる、肝機能検査又は肝臓パネルに含まれるもの等の肝機能の1つ以上のバイオマーカーを測定することによって判定され得る。特定の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、ベースラインでの(例えば、LPA RNAi構築体の最初の投与前の)ALTレベルが、正常上限(ULN)の3倍以下である。関連する実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、ベースラインでの(例えば、LPA RNAi構築体の最初の投与前の)ALTレベルが、ULNの3倍以下である。これらの、そして他の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、ベースラインでの(例えば、LPA RNAi構築体の最初の投与前の)総ビリルビンレベルが、ULNの2倍以下である。一部の実施形態において、本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体が投与されることとなる患者は、ベースラインにて(例えば、LPA RNAi構築体の最初の投与前に):(i)血清のASTレベルが約170ユニット/L未満、(ii)血清のASTレベルが約150ユニット/L未満、且つ/又は(iii)総ビリルビンレベルが約2.0mg/dL未満である。
【0054】
一態様において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体の有効量を投与することを含む。「有効量」は、心血管疾患、若しくは心血管疾患の1つ以上の症候、特に、心血管疾患と関連する状態若しくは症候を処置するか、和らげるか、若しくは寛解させるのに、又はそうでなければ、心血管疾患、若しくは心血管疾患と関連する他の不所望なあらゆる症候の進行を、いかなる形であれ予防するか、妨げるか、遅延させるか、若しくは食い止めるのに十分な量を指す。また、有効量は、心血管疾患から生じる後遺症の発生又は重症度を引き下げるのに十分な量を指し得る。例えば、一部の実施形態において、LPA RNAi構築体の有効量は、アテローム性動脈硬化症又は他の心血管疾患を有する患者における心血管系イベント、例えば、冠状動脈、大脳動脈、又は末梢動脈の心筋梗塞、脳卒中、又は血管再生の発生又は重症度を引き下げるのに十分な量である。
【0055】
本発明の方法の特定の実施形態において、LPA RNAi構築体は、固定用量にて患者に投与される。「固定用量」は、患者に特有の要因、例えば体重に拘わらず、全ての患者に投与される用量を指す。ゆえに、固定用量は、患者の体重に基づいて、患者によって調整されない。本発明の方法の一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、患者に、少なくとも8週の投与間隔で、約9mg~約675mgの固定量にて投与され得る。例えば、LPA RNAi構築体の固定用量は、約9mg、約10mg、約15mg、約30mg、約50mg、約60mg、約70mg、約75mg、約80mg、約90mg、約100mg、約125mg、約150mg、約175mg、約200mg、約225mg、約250mg、約300mg、約350mg、約400mg、約450mg、約500mg、約550mg、約600mg、約650mg、又は約675mgであり得、用量は、少なくとも8週の投与間隔で投与される。また、これらのエンドポイントのいずれか、そして全ての間の範囲が意図され、例えば、本発明の方法において患者に投与されるLPA RNAi構築体の固定用量は、約10mg~約225mg、約50mg~約100mg、約150mg~約225mg、約225mg~約675mg、約75mg~約150mg、約225mg~約450mg、約75mg~約225mg、約10mg~約75mg、又は約200mg~約300mgであり得、用量は、少なくとも8週の投与間隔で投与される。
【0056】
本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体の用量のいずれかが、好ましくは、少なくとも8週の投与間隔で投与される(すなわち、用量は、8週毎に1回(又は2ヵ月毎に1回)よりも高頻度で患者に投与されない)。例えば、投与間隔は、約8週、約12週、約16週、約20週、約24週、約28週、又は約32週であってよい。特定の実施形態において、投与間隔は約12週であり、例えば、LPA RNAi構築体の固定用量は、12週毎に1回(又は3ヵ月毎に1回)患者に投与される。特定の他の実施形態において、投与間隔は約24週であり、例えば、LPA RNAi構築体の固定用量は、24週毎に1回(又は6ヵ月毎に1回)患者に投与される。
【0057】
LPA RNAi構築体の固定用量は、単回のボーラス投与として(例えば、単回の皮下注射により)、又は2回以上の連続ボーラス投与(例えば、2回以上の皮下注射)として、各投与間隔で投与され得る。一部の実施形態において、LPA RNAi構築体の固定用量の全体量が、例えば、本明細書中にさらに記載されるプレフィルドシリンジ又は注射デバイスを用いて、単回のボーラス注射により、各投与間隔で患者に投与される。例えば、LPA RNAi構築体の225mgの固定用量が、225mgの単回のボーラス注射として、場合によっては、225mg用量を含有するオートインジェクタ、ペンインジェクタ、又はプレフィルドシリンジにより、各投与間隔(例えば、12週毎に1回)で患者に投与され得る。他の実施形態において、LPA RNAi構築体の固定用量の全体量が、2回以上の連続ボーラス注射として患者に投与される。一例として、LPA RNAi構築体の225mgの固定用量が、各々75mgの3回の連続注射により、場合によっては、各々75mg用量を含有する3台の注射デバイス(例えば、オートインジェクタ、ペンインジェクタ、又はプレフィルドシリンジにより、各投与間隔(例えば、12週毎に1回)で患者に投与され得る。単日の期間内に与えられる連続注射は、本発明の文脈の範囲内の単回の投与であると考えられる。言い換えると、一例として、12週毎に1回の225mgの固定用量の投与が、12週毎に1回患者に投与される225mgの単回のボーラス注射として、又は12週毎に1回、1日の期間内に患者にそれぞれ投与される75mgの3回の連続ボーラス注射として与えられ得る。
【0058】
本発明の方法の特定の実施形態において、本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体の固定用量は、12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与される。一部のそのような実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約10mg~約225mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約50mg~約100mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約75mg~約225mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約150mg~約225mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。一実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約10mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約30mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約75mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約100mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約125mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。さらに別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約150mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約175mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約200mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。さらに別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約225mgの固定用量にて12週毎に1回又は3ヵ月毎に1回投与することを含む。
【0059】
本発明の方法の特定の他の実施形態において、本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体の固定用量は、24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回投与される。一部のそのような実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約225mg~約675mgの固定用量にて24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回投与することを含む。他の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約225mg~約450mgの固定用量にて24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回投与することを含む。さらに他の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約200mg~約300mgの固定用量にて24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回投与することを含む。一実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約225mgの固定用量にて24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回投与することを含む。別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約300mgの固定用量にて24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回投与することを含む。さらに別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約450mgの固定用量にて24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回投与することを含む。さらに別の実施形態において、本発明の方法は、患者にLPA RNAi構築体を、約675mgの固定用量にて24週毎に1回又は6ヵ月毎に1回投与することを含む。
【0060】
本発明の方法の一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、一セットの処置期間にわたって患者に投与される。「処置期間」は、LPA RNAi構築体の最初の用量の投与から始まって、LPA RNAi構築体の最終の用量の投与にて終わる。処置期間は、約12週~約240週、約24週~約144週、約3ヵ月~約60ヵ月、約6ヵ月~約48ヵ月、例えば、約12週、約24週、約36週、約48週、約60週、約72週、約84週、約96週、約108週、約120週、約132週、約144週、約156週、約168週、約180週、約192週、約204週、約216週、約228週、約240週、約3ヵ月、約6ヵ月、約9ヵ月、約12ヵ月、約15ヵ月、約18ヵ月、約21ヵ月、約24ヵ月、約27ヵ月、約30ヵ月、約33ヵ月、約36ヵ月、約39ヵ月、約42ヵ月、約45ヵ月、約48ヵ月、約51ヵ月、約54ヵ月、約57ヵ月、又は約60ヵ月であってよい。一部の実施形態において、処置期間は約48週である。他の実施形態において、処置期間は約192週である。さらに他の実施形態において、処置期間は約12ヵ月である。さらに他の実施形態において、処置期間は約48ヵ月である。特定の実施形態において、処置期間は、240週又は60ヵ月よりも長くなり得、例えば、処置期間は、5年超、例えば、6、7、8、9、又は10年以上であり得る。特定の一実施形態において、LPA RNAi構築体は、少なくとも約36週の処置期間の間投与されて、LPA RNAi構築体を受けていない対象と比較して、血清又は血漿Lp(a)レベルのベースラインからの統計学的に有意な引下げパーセントをもたらす。別の特定の実施形態において、LPA RNAi構築体は、少なくとも約48週の処置期間の間投与されて、LPA RNAi構築体を受けていない対象と比較して、血清又は血漿Lp(a)レベルのベースラインからの統計学的に有意な引下げパーセントをもたらす。
【0061】
本明細書中に記載される方法は、患者にLPA RNAi構築体を投与することを含む。本明細書中で用いられる用語「LPA RNAi構築体」は、細胞中に導入されると、RNA干渉機構を介してLPA遺伝子の発現を下方制御することができるRNA分子を含む剤を指す。RNA干渉は、核酸分子が、例えば、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)経路を介して、配列特異的に標的RNA分子(例えば、メッセンジャーRNA又はmRNA分子)の切断及び分解を誘導するプロセスである。一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、ハイブリダイズして二重鎖領域を形成するほど互いに十分に相補的な、連続したヌクレオチドの2本の逆平行鎖を含む二本鎖RNA分子を含む。「ハイブリダイズする」又は「ハイブリダイゼーション」は、典型的には2つのポリヌクレオチドにおける相補的な塩基間の水素結合(例えば、ワトソン-クリック、フーグスティーン又は逆フーグスティーン水素結合)を介した、相補的なポリヌクレオチドの対形成を指す。標的LPA配列(例えば、標的LPA mRNA)と実質的に相補的な配列を有する領域を含む鎖は、「アンチセンス鎖」と称される。「センス鎖」は、アンチセンス鎖のある領域に対して実質的に相補的な領域を含む鎖を指す。一部の実施形態において、センス鎖は、標的配列と実質的に同一の配列を有する領域を含み得る。
【0062】
二本鎖RNA分子は、リボヌクレオチドのリボース糖、塩基、又は本明細書中に記載されるもの若しくは当該技術において知られているもの等の骨格構成要素への修飾が挙げられる、リボヌクレオチドへの化学修飾を含み得る。二本鎖RNA分子(例えば、siRNA、shRNA等)に用いられるようなあらゆる修飾が、本開示の目的のための用語「二本鎖RNA」によって包含される。
【0063】
本明細書中で用いられる第1の配列は、生理的条件等のある種の条件下で、第1の配列を含むポリヌクレオチドが、第2の配列を含むポリヌクレオチドにハイブリダイズして二重鎖領域を形成することができるならば、第2の配列に「相補的」である。他のそのような条件として、当業者に知られている中程度の、又はストリンジェントなハイブリダイゼーション条件が挙げられ得る。第1の配列は、第1の配列を含むポリヌクレオチドが、第2の配列を含むポリヌクレオチドと、一方又は双方のヌクレオチド配列の全長にわたって、いかなるミスマッチもなく塩基対形成するならば、第2の配列に対して完全に相補的(100%相補的)であるとみなされる。配列は、標的配列に対して少なくとも約80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、又は99%相補的であるならば、標的配列と「実質的に相補的」である。相補性パーセントは、第2の配列又は標的配列内の対応する位置の塩基に対して相補的な、第1の配列内の塩基の数を、第1の配列の全長で割ることによって算出することができる。また、2つの配列がハイブリダイズする場合に、30塩基対の二重鎖領域の全体にわたって5、4、3、又は2つ以下のミスマッチが存在するならば、一方の配列が、もう一方の配列に対して実質的に相補的であると言うことができる。一般に、何らかのヌクレオチドオーバーハングが本明細書中で定義されるように存在するならば、そのようなオーバーハングの配列は、2つの配列間の相補性の程度を判定する際に、考慮されない。例として、ハイブリダイズして各鎖の3’末端に2ヌクレオチドのオーバーハングを有する19塩基対の二重鎖領域を形成する、21ヌクレオチド長のセンス鎖及び21ヌクレオチド長のアンチセンス鎖は、当該用語が本明細書中で用いられる場合、完全に相補的であるとみなされることとなる。
【0064】
一部の実施形態において、アンチセンス鎖の一領域が、標的LPA RNA配列(例えば、LPA mRNA)の領域に対して実質的に、又は完全に相補的な配列を含む。そのような実施形態において、センス鎖は、アンチセンス鎖の配列に対して完全に相補的な配列を含み得る。他のそのような実施形態において、センス鎖は、アンチセンス鎖の配列に対して実質的に相補的な配列、例えばセンス鎖及びアンチセンス鎖によって形成される二重鎖領域内に1、2、3、4、又は5つのミスマッチを有する配列を含み得る。特定の実施形態において、何らかのミスマッチが、末端領域内(例えば、鎖の5’末端及び/又は3’末端の6、5、4、3、又は2ヌクレオチド以内)に生じることが好ましい。一実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖から形成される二重鎖領域内の何らかのミスマッチは、アンチセンス鎖の5’末端の6、5、4、3、又は2ヌクレオチド以内に生じる。
【0065】
特定の実施形態において、二本鎖RNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖は、ハイブリダイズして二重鎖領域を形成するが、そうでなければ分離している別々の2つの分子であり得る。2つの別々の鎖から形成されるそのような二本鎖RNA分子は、「低分子干渉RNA」又は「短干渉RNA」(siRNA)と称される。ゆえに、一部の実施形態において、本発明の方法に使用されるLPA RNAi構築体は、siRNAを含む。
【0066】
他の実施形態において、ハイブリダイズして二重鎖領域を形成するセンス鎖及びアンチセンス鎖は、単一RNA分子の一部であり得、すなわち、センス鎖及びアンチセンス鎖は、単一RNA分子の自己相補的領域の一部である。そのような場合、単一RNA分子は、二重鎖領域(ステム領域とも称される)及びループ領域を含む。センス鎖の3’末端は、不対ヌクレオチドの隣接配列によってアンチセンス鎖の5’末端に連結されており、これによりループ領域が形成されることとなる。ループ領域は、典型的には、アンチセンス鎖がセンス鎖と塩基対を形成して二重鎖又はステム領域を形成し得るように、RNA分子それ自体が再度折り畳まれることが可能なほど十分に長い。ループ領域は、約3~約25、約5~約15、又は約8~約12個の不対ヌクレオチドを含み得る。少なくとも部分的に自己相補的な領域を有するそのようなRNA分子は、「低分子ヘアピン型RNA」(shRNA)と称される。特定の実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、shRNAを含む。単一の、少なくとも部分的に自己相補的なRNA分子の長さは、約40ヌクレオチド~約100ヌクレオチド、約45ヌクレオチド~約85ヌクレオチド、又は約50ヌクレオチド~約60ヌクレオチドであり得、本明細書中に記載される長さを各々有する二重鎖領域及びループ領域を含み得る。
【0067】
本発明の方法に使用されるLPA RNAi構築体は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、LPA メッセンジャーRNA(mRNA)配列に対して実質的に、又は完全に相補的な配列を有する領域を含む。本明細書中で用いられる「LPA mRNA配列」は、あらゆる種(例えば、非ヒト霊長類、ヒト)由来のapo(a)タンパク質のバリアント又はアイソフォームが挙げられる、apo(a)タンパク質をコードする対立遺伝子バリアント及びスプライスバリアントが挙げられるメッセンジャーRNA配列を指す。LPA遺伝子(AK38、APOA、及びLPとしても知られている)は、リポタンパク質(a)又はLp(a)として知られている低密度リポタンパク質粒子の主要な構成要素であるapo(a)タンパク質をコードする。ヒトにおいて、LPA遺伝子は、第6染色体上で遺伝子座6q25.3-q26にて見出される。LPA遺伝子は、遺伝子の対立遺伝子が、2~40超コピーに及び得るクリングルIV2型(KIV-2)ドメインのコピー数が個体間で異なることにより、高度の多型性を有する(例えば、Kronenberg and Utermann,J.Intern.Med.,Vol.273:6-30,2013参照)。
【0068】
また、LPA mRNA配列として、その相補的DNA(cDNA)配列として表される転写産物配列が挙げられる。cDNA配列は、RNA塩基(例えば、グアニン、アデニン、ウラシル、及びシトシン)ではなく、DNA塩基(例えば、グアニン、アデニン、チミン、及びシトシン)として表される、mRNA転写産物の配列を指す。ゆえに、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体のアンチセンス鎖は、標的LPA mRNA配列又はLPA cDNA配列に対して実質的に、又は完全に相補的な配列を有する領域を含み得る。LPA mRNA又はcDNA配列として、NCBI参照配列NM_005577.4(ヒト)、XM_015448520.1(カニクイザル)、XM_028847001.1(アカゲザル)、XM_024357489.1(チンパンジー)、及びXM_031012244.1(ゴリラ)から選択されるあらゆるLPA mRNA又はcDNA配列が挙げられ得るが、これらに限定されない。特定の実施形態において、LPA mRNA配列は、参照配列NM_005577.4としてNCBIデータベースに記載されるヒト転写産物である。
【0069】
LPA RNAi構築体のセンス鎖は、典型的に、生理的条件下で2本の鎖がハイブリダイズして二重鎖領域を形成するように、アンチセンス鎖の配列に対して十分に相補的な配列を含む。「二重鎖領域」は、ワトソン-クリック塩基対形成又は他の水素結合相互作用のいずれかによって互いに塩基対を形成して、2つのポリヌクレオチド間で二重鎖を作出する2つの相補的又は実質的に相補的なポリヌクレオチド内の領域を指す。LPA RNAi構築体の二重鎖領域は、例えば、Dicer酵素及び/又はRISC複合体が結合することによって、LPA RNAi構築体がRNA干渉経路に入ることを可能にするほどの十分な長さのものであるべきである。例えば、一部の実施形態において、二重鎖領域は、約15~約30塩基対長である。また、この範囲内の二重鎖領域の他の長さ、例えば約15~約28塩基対、約15~約26塩基対、約15~約24塩基対、約15~約22塩基対、約17~約28塩基対、約17~約26塩基対、約17~約24塩基対、約17~約23塩基対、約17~約21塩基対、約19~約25塩基対、約19~約23塩基対、又は約19~約21塩基対が適している。特定の実施形態において、二重鎖領域は、約17~約26塩基対長である。他の実施形態において、二重鎖領域は、約19~約21塩基対長である。一実施形態において、二重鎖領域は、約19塩基対長である。別の実施形態において、二重鎖領域は、約21塩基対長である。
【0070】
センス鎖及びアンチセンス鎖が2つの別々の分子である(例えば、LPA RNAi構築体がsiRNAを含む)実施形態について、センス鎖及びアンチセンス鎖は、二重鎖領域の長さと同じ長さである必要はない。例えば、一方又は双方の鎖は、二重鎖領域よりも長く、且つ二重鎖領域の側面に位置する1つ以上の不対ヌクレオチド又はミスマッチを有し得る。ゆえに、一部の実施形態において、RNAi構築体は、少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを含む。本明細書中で用いられる「ヌクレオチドオーバーハング」は、鎖の末端にて、二重鎖領域を越えて延在する不対ヌクレオチド又はヌクレオチドを指す。ヌクレオチドオーバーハングは、典型的に、一方の鎖の3’末端が他方の鎖の5’末端を越えて延在する場合に、又は一方の鎖の5’末端が他方の鎖の3’末端を越えて延在する場合に作出される。ヌクレオチドオーバーハングの長さは、一般に、1~6ヌクレオチド、1~5ヌクレオチド、1~4ヌクレオチド、1~3ヌクレオチド、2~6ヌクレオチド、2~5ヌクレオチド、又は2~4ヌクレオチドである。一部の実施形態において、ヌクレオチドオーバーハングは、1、2、3、4、5、又は6つのヌクレオチドを含む。特定の一実施形態において、ヌクレオチドオーバーハングは、1~4つのヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、ヌクレオチドオーバーハングは、2つのヌクレオチドを含む。特定の他の実施形態において、ヌクレオチドオーバーハングは、単一のヌクレオチドを含む。ヌクレオチドオーバーハングがアンチセンス鎖内に存在する場合、オーバーハング内のヌクレオチドは、標的遺伝子配列に対して相補的であり得るか、標的遺伝子配列とミスマッチを形成し得るか、又は何らかの他の配列を含み得る(例えば、ポリピリミジン配列又はポリプリン配列、例えば、UU、TT、AA、GG、その他)。
【0071】
ヌクレオチドオーバーハングは、一方又は双方の鎖の5’末端又は3’末端に存在し得る。例えば、一実施形態において、LPA RNAi構築体は、アンチセンス鎖の5’末端及び3’末端にてヌクレオチドオーバーハングを含む。別の実施形態において、LPA RNAi構築体は、センス鎖の5’末端及び3’末端にてヌクレオチドオーバーハングを含む。一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、センス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の5’末端にてヌクレオチドオーバーハングを含む。他の実施形態において、LPA RNAi構築体は、センス鎖の3’末端及びアンチセンス鎖の3’末端にてヌクレオチドオーバーハングを含む。
【0072】
RNAi構築体は、二本鎖RNA分子の一方の末端にてヌクレオチドオーバーハングを、そして他方にて平滑末端を含み得る。「平滑末端」は、センス鎖及びアンチセンス鎖が分子の末端にて完全に塩基対形成されており、且つ二重鎖領域を越えて延在する不対ヌクレオチドが存在しないことを意味する。一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、センス鎖の3’末端にてヌクレオチドオーバーハングを、そしてセンス鎖の5’末端及びアンチセンス鎖の3’末端にて平滑末端を含む。他の実施形態において、LPA RNAi構築体は、アンチセンス鎖の3’末端にてヌクレオチドオーバーハングを、そしてアンチセンス鎖の5’末端及びセンス鎖の3’末端にて平滑末端を含む。特定の実施形態において、LPA RNAi構築体は、二本鎖RNA分子の双方の末端にて平滑末端を含む。そのような実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は同じ長さを有し、二重鎖領域は、センス鎖及びアンチセンス鎖と同じ長さである(すなわち、分子は、その全長にわたって二本鎖である)。
【0073】
本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体中のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、各々独立して、約15~約30ヌクレオチド長、約19~約30ヌクレオチド長、約18~約28ヌクレオチド長、約19~約27ヌクレオチド長、約19~約25ヌクレオチド長、約19~約23ヌクレオチド長、約19~約21ヌクレオチド長、約21~約25ヌクレオチド長、又は約21~約23ヌクレオチド長であり得る。特定の実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は、各々独立して、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、又は約25ヌクレオチド長である。一部の実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は、LPA RNAi構築体が2つのヌクレオチドオーバーハングを有するように、同じ長さを有するが、これらの鎖よりも短い二重鎖領域を形成する。例えば、一実施形態において、LPA RNAi構築体は、(i)各々21ヌクレオチド長のセンス鎖及びアンチセンス鎖、(ii)19塩基対長の二重鎖領域、並びに(iii)センス鎖の3’末端及びアンチセンス鎖の3’末端の双方にて2つの不対ヌクレオチドのヌクレオチドオーバーハングを含む。別の実施形態において、LPA RNAi構築体は、(i)各々23ヌクレオチド長のセンス鎖及びアンチセンス鎖、(ii)21塩基対長の二重鎖領域、並びに(iii)センス鎖の3’末端及びアンチセンス鎖の3’末端の双方にて2つの不対ヌクレオチドのヌクレオチドオーバーハングを含む。他の実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は、同じ長さを有し、それらの全長にわたって、二本鎖分子のいずれの末端にもヌクレオチドオーバーハングが存在しないように二重鎖領域を形成する。特定の一実施形態において、本発明の方法に使用されるLPA RNAi構築体は、平滑末端であり、(i)各々21ヌクレオチド長のセンス鎖及びアンチセンス鎖、並びに(ii)21塩基対長の二重鎖領域を含む。別の特定の実施形態において、本発明の方法に使用されるLPA RNAi構築体は、平滑末端であり、(i)各々19ヌクレオチド長のセンス鎖及びアンチセンス鎖、並びに(ii)19塩基対長の二重鎖領域を含む。
【0074】
他の実施形態において、LPA RNAi構築体が少なくとも1つのヌクレオチドオーバーハングを含むように、センス鎖又はアンチセンス鎖は、他方の鎖よりも長く、且つこの2本の鎖は、短い方の鎖の長さに等しい長さを有する二重鎖領域を形成する。例えば、一実施形態において、本発明の方法に使用されるLPA RNAi構築体は、(i)19ヌクレオチド長のセンス鎖、(ii)21ヌクレオチド長のアンチセンス鎖、(iii)19塩基対長の二重鎖領域、及び(iv)アンチセンス鎖の3’末端にて2つの不対ヌクレオチドのヌクレオチドオーバーハングを含む。別の実施形態において、本発明の方法に使用されるLPA RNAi構築体は、(i)21ヌクレオチド長のセンス鎖、(ii)23ヌクレオチド長のアンチセンス鎖、(iii)21塩基対長の二重鎖領域、及び(iv)アンチセンス鎖の3’末端にて2つの不対ヌクレオチドのヌクレオチドオーバーハングを含む。
【0075】
本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、1つ以上の修飾ヌクレオチドを含み得る。「修飾ヌクレオチド」は、ヌクレオシド、核酸塩基、ペントース環、又はリン酸基への1つ以上の化学修飾を有するヌクレオチドを指す。本明細書中で用いられる修飾ヌクレオチドは、アデノシン一リン酸、グアノシン一リン酸、ウリジン一リン酸、及びシチジン一リン酸を含有するリボヌクレオチドを包含しない。しかしながら、LPA RNAi構築体は、修飾ヌクレオチド及びリボヌクレオチドの組合せを含み得る。二本鎖RNA分子の一方又は双方の鎖中への修飾ヌクレオチドの組込みは、例えば、ヌクレアーゼ及び他の分解プロセスに対する分子の感受性を引き下げることによって、RNA分子のインビボ安定性を向上させることができる。また、LPA遺伝子の発現を引き下げるためのLPA RNAi構築体の効力を、修飾ヌクレオチドの組込みによって増強させることができる。
【0076】
特定の実施形態において、修飾ヌクレオチドは、リボース糖の修飾を有する。当該糖修飾として、ペントース環の2’位及び/又は5’位での修飾、並びに二環式糖修飾が挙げられ得る。2’修飾ヌクレオチドは、OH以外の置換基を2’位に有するペントース環を有するヌクレオチドを指す。そのような2’修飾として、2’H(例えばデオキシリボヌクレオチド)、2’-O-アルキル(例えば、O-C~C10又はO-C~C10置換アルキル)、2’-O-アリル(O-CHCH=CH)、2’-C-アリル、2’-デオキシ-2’-フルオロ(2’-F又は2’-フルオロとも称される)、2’-O-メチル(-OCH)、2’-O-メトキシエチル(O-(CHOCH)、2’-OCF、2’-O(CHSCH、2’-O-アミノアルキル、2’-アミノ(例えばNH)、2’-O-エチルアミン、及び2’-アジドが挙げられるが、これらに限定されない。ペントース環の5’位での修飾として、5’-メチル(R又はS);5’-ビニル、及び5’-メトキシが挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
「二環式糖修飾」は、環の2個の原子を架橋により連結して第2の環を形成して二環式糖構造を生じさせる、ペントース環の修飾を指す。一部の実施形態において、二環式糖修飾は、ペントース環の4’炭素と2’炭素との間の架橋を含む。二環式糖修飾を有する糖部分を含むヌクレオチドは、本明細書中で二環式核酸又はBNAと称される。例示的な二環式糖修飾として、α-L-メチレンオキシ(4’-CH-O-2’)二環式核酸(BNA);β-D-メチレンオキシ(4’-CH-O-2’)BNA(ロックド核酸又はLNAとも称される);エチレンエオキシ(4’-(CH-O-2’)BNA;アミノオキシ(4’-CH-O-N(R)-2’)BNA;オキシアミノ(4’-CH-N(R)-O-2’)BNA;メチル(メチレンオキシ)(4’-CH(CH)-O-2’)BNA(コンストレインド(constrained)エチル又はcEtとも称される);メチレン-チオ(4’-CH-S-2’)BNA;メチレン-アミノ(4’-CH2-N(R)-2’)BNA;メチル炭素環(4’-CH-CH(CH)-2’)BNA;プロピレン炭素環(4’-(CH-2’)BNA;及びメトキシ(エチレンオキシ)(4’-CH(CHOMe)-O-2’)BNA(コンストレインドMOE又はcMOEとも称される)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体中に組み込まれ得るこれらの、そして他の糖修飾ヌクレオチドは、米国特許第9,181,551号明細書、米国特許出願公開第2016/0122761号明細書、及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology,Vol.19:937-954,2012に記載されている。
【0078】
一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、1つ以上の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、2’-O-アルキル修飾ヌクレオチド、2’-O-アリル修飾ヌクレオチド、二環式核酸(BNA)、デオキシリボヌクレオチド、又はそれらの組合せを含む。特定の実施形態において、LPA RNAi構築体は、1つ以上の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、2’-O-メトキシエチル修飾ヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はそれらの組合せを含む。特定の一実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、1つ以上の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はそれらの組合せを含む。一部のそのような実施形態において、デオキシリボヌクレオチドは、センス鎖又はアンチセンス鎖の3’末端及び/又は5’末端にて末端ヌクレオチドであり得る。デオキシリボヌクレオチドが末端ヌクレオチドであるような実施形態において、末端ヌクレオチドは、逆位ヌクレオチドであり得、すなわち天然の3’-5’ヌクレオチド間結合ではなく、3’-3’ヌクレオチド間結合(鎖の3’末端上にある場合)を介して、又は5’-5’ヌクレオチド間結合(鎖の5’末端上にある場合)を介して、隣接するヌクレオチドに連結され得る。
【0079】
LPA RNAi構築体のセンス鎖及びアンチセンス鎖は双方とも、1つ又は複数の修飾ヌクレオチドを含み得る。例えば、一部の実施形態において、センス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の修飾ヌクレオチドを含む。特定の実施形態において、センス鎖内の全てのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドである。一部の実施形態において、アンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の修飾ヌクレオチドを含む。他の実施形態において、アンチセンス鎖内の全てのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドである。特定の他の実施形態において、センス鎖内の全てのヌクレオチド及びアンチセンス鎖内の全てのヌクレオチドが修飾ヌクレオチドである。これらの、そして他の実施形態において、修飾ヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、又はそれらの組合せであり得る。
【0080】
特定の実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体の鎖の一方又は双方中に組み込まれる修飾ヌクレオチドは、核酸塩基(本明細書中で「塩基」とも称される)の修飾を有する。「修飾核酸塩基」又は「修飾塩基」は、天然に存在するプリン塩基であるアデニン(A)及びグアニン(G)、並びにピリミジン塩基であるチミン(T)、シトシン(C)、及びウラシル(U)以外の塩基を指す。修飾核酸塩基は、合成又は天然に存在する修飾であり得、これとして、ユニバーサル塩基、5ーメチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、キサンチン(X)、ヒポキサンチン(I)、2-アミノアデニン、6-メチルアデニン、6-メチルグアニン、並びにアデニン及びグアニンの他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、及び2-チオシトシン、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン、及びチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-チオール、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル、並びに他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ、特に5-ブロモ、5-トリフルオロメチル、並びに他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン及び7-デアザアデニン、並びに3-デアザグアニン及び3-デアザアデニンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
一部の実施形態において、修飾塩基はユニバーサル塩基である。「ユニバーサル塩基」は、結果として生じる二重鎖領域の二重らせん構造を変えることなく、RNA及びDNA内の天然の塩基の全てと無差別に塩基対を形成する塩基類似体を指す。ユニバーサル塩基は、当業者に知られており、これとして、イノシン、C-フェニル、C-ナフチル、及び他の芳香族誘導体、アゾールカルボキサミド、並びに3-ニトロピロール、4-ニトロインドール、5-ニトロインドール、及び6-ニトロインドール等のニトロアゾール誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
LPA RNAi構築体中に組み込まれ得る他の適切な修飾塩基として、Herdewijn,Antisense Nucleic Acid Drug Dev.,Vol.10:297-310,2000及びPeacock et al.,J.Org.Chem.,Vol.76:7295-7300,2011に記載されているものが挙げられる。グアニン、シトシン、アデニン、チミン、及びウラシルは、上述の修飾核酸塩基等の他の核酸塩基によって置換され得る(但し、そのような置換核酸塩基を有するヌクレオチドを含むポリヌクレオチドの塩基対形成特性を実質的に変えない)ことを当業者は十分に認識している。
【0083】
一部の実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体のセンス鎖及びアンチセンス鎖は、1つ以上の脱塩基ヌクレオチドを含み得る。「脱塩基ヌクレオチド」又は「脱塩基ヌクレオシド」は、リボース糖の1’位にて核酸塩基を欠いているヌクレオチド又はヌクレオシドである。特定の実施形態において、脱塩基ヌクレオチドは、RNAi構築体のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖の末端に組み込まれている。一実施形態において、センス鎖は、その3’末端、その5’末端、又はその3’末端及び5’末端の双方にて、末端ヌクレオチドとして脱塩基ヌクレオチドを含む。別の実施形態において、アンチセンス鎖は、その3’末端、その5’末端、又はその3’末端及び5’末端の双方にて、末端ヌクレオチドとして脱塩基ヌクレオチドを含む。脱塩基ヌクレオチドが末端ヌクレオチドであるような実施形態において、末端ヌクレオチドは、逆位ヌクレオチドであり得、すなわち天然の3’-5’ヌクレオチド間結合ではなく、3’-3’ヌクレオチド間結合(鎖の3’末端上にある場合)を介して、又は5’-5’ヌクレオチド間結合(鎖の5’末端上にある場合)を介して、隣接するヌクレオチドに連結され得る。また、脱塩基ヌクレオチドは、上述の糖修飾のいずれか等の糖修飾を含み得る。特定の実施形態において、脱塩基ヌクレオチドは、2’修飾を含み、例えば、2’-フルオロ修飾、2’-O-メチル修飾、又は2’-H(デオキシ)修飾を含む。一実施形態において、脱塩基ヌクレオチドは、2’-O-メチル修飾を含む。別の実施形態において、脱塩基ヌクレオチドは、2’-H修飾(すなわちデオキシ脱塩基ヌクレオチド)を含む。
【0084】
また、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、1つ以上の修飾ヌクレオチド間結合を含み得る。本明細書中で用いられる用語「修飾ヌクレオチド間結合」は、天然の3’~5’ホスホジエステル結合以外のヌクレオチド間結合を指す。一部の実施形態において、修飾ヌクレオチド間結合は、リン含有ヌクレオチド間結合、例えば、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、アルキルホスホナート(例えば、メチルホスホナート、3’-アルキレンホスホナート)、ホスフィナート、ホスホロアミダート(例えば、3’-アミノホスホロアミダート及びアミノアルキルホスホロアミダート)、ホスホロチオアート(P=S)、キラルホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、チオノホスホロアミダート、チオノアルキルホスホナート、チオノアルキルホスホトリエステル、及びボラノホスファートである。一実施形態において、修飾ヌクレオチド間結合は、2’~5’ホスホジエステル結合である。他の実施形態において、修飾ヌクレオチド間結合は、リン非含有ヌクレオチド間結合であるので、修飾ヌクレオシド間結合と称され得る。そのようなリン非含有結合として、モルホリノ結合(一部はヌクレオシドの糖部分から形成される);シロキサン結合(-O-Si(H)-O-);スルフィド、スルホキシド、及びスルホン結合;ホルムアセチル及びチオホルムアセチル結合;アルケン含有骨格;スルファマート骨格;メチレンメチルイミノ(-CH-N(CH)-O-CH-)及びメチレンヒドラジノ結合;スルホナート及びスルホンアミド結合;アミド結合;並びにN、O、S、及びCH構成要素部分が混合された他のものが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態において、修飾ヌクレオシド間結合は、米国特許第5,539,082号明細書、米国特許第5,714,331号明細書、及び米国特許第5,719,262号明細書に記載されているもの等のペプチド核酸又はPNAを作出するためのペプチドベースの結合(例えばアミノエチルグリシン)である。LPA RNAi構築体に使用され得る他の適切な修飾ヌクレオチド間及びヌクレオシド間結合が、米国特許第6,693,187号明細書、米国特許第9,181,551号明細書、米国特許出願公開第2016/0122761号明細書、及びDeleavey and Damha,Chemistry and Biology,Vol.19:937-954,2012に記載されている。
【0085】
特定の実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、1つ以上のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含む。ホスホロチオアートヌクレオチド間結合は、LPA RNAi構築体のセンス鎖、アンチセンス鎖、又は双方の鎖内に存在し得る。例えば、一部の実施形態において、センス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8つ以上のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含む。他の実施形態において、アンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8つ以上のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含む。さらに他の実施形態において、双方の鎖は、1、2、3、4、5、6、7、8つ以上のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含む。LPA RNAi構築体は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は双方の鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端及び5’末端の双方にて、1つ以上のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含み得る。例えば、特定の実施形態において、LPA RNAi構築体は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は双方の鎖の3’末端にて、約1~約6つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6つ以上)の連続したホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含む。他の実施形態において、LPA RNAi構築体は、センス鎖、アンチセンス鎖、又は双方の鎖の5’末端にて、約1~約6つ以上(例えば、約1、2、3、4、5、6つ以上)の連続したホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含む。一方又は双方の鎖が1つ以上のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含む実施形態のいずれにおいても、鎖内の残りのヌクレオチド間結合は、天然の3’~5’ホスホジエステル結合であり得る。例えば、一部の実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖の各ヌクレオチド間結合は、ホスホジエステル及びホスホロチオアートから選択され、少なくとも1つのヌクレオチド間結合はホスホロチオアートである。
【0086】
本発明のRNAi構築体の一部の実施形態において、センス鎖、アンチセンス鎖、又はアンチセンス鎖及びセンス鎖の双方の5’末端は、ホスファート部分を含む。本明細書中で用いられる用語「ホスファート部分」は、非修飾ホスファート(-O-P=O)(OH)OH)及び修飾ホスファートを含む末端ホスファート基を指す。修飾ホスファートとして、O及びOH基の1つ以上が、H、O、S、N(R)、又はアルキル(ここで、Rは、H、アミノ保護基、又は非置換若しくは置換アルキルである)で置換されているホスファートが挙げられる。例示的なホスファート部分として、5’-モノホスファート;5’-ジホスファート;5’-トリホスファート;5’-グアノシンキャップ(7-メチル化又は非メチル化);5’-アデノシンキャップ、又は他のあらゆる修飾若しくは非修飾ヌクレオチドキャップ構造;5’-モノチオホスファート(ホスホロチオアート);5’-モノジチオホスファート(ホスホロジチオアート);5’-アルファ-チオトリホスファート;5’-ガンマ-チオトリホスファート;5’-ホスホロアミダート;5’-ビニルホスファート;5’-アルキルホスホナート(例えば、アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、その他);5’-シクロプロピルホスホナート、及び5’-アルキルエーテルホスホナート(例えば、アルキルエーテル=メトキシメチル、エトキシメチル、その他)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0087】
本発明の方法での使用に適したLPA RNAi構築体中に組み込まれ得る修飾ヌクレオチドは、本明細書中に記載される複数の化学修飾を有し得る。例えば、修飾ヌクレオチドは、リボース糖への修飾及び核酸塩基への修飾を有し得る。例として、修飾ヌクレオチドは、2’糖修飾(例えば、2’-フルオロ又は2’-O-メチル)を含み得、そして修飾塩基(例えば、5-メチルシトシン又はシュードウラシル)を含み得る。他の実施形態において、修飾ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドがポリヌクレオチド中に組み込まれた場合に、修飾ヌクレオチド間又はヌクレオシド間結合をもたらすこととなる、5’ホスファートへの修飾と組み合わされた糖修飾を含み得る。例えば、一部の実施形態において、修飾ヌクレオチドは、2’-フルオロ修飾、2’-O-メチル修飾、又は二環式糖修飾、及び5’ホスホロチオアート基等の糖修飾を含み得る。従って一部の実施形態において、本発明のRNAi構築体の一方又は双方の鎖は、2’修飾ヌクレオチド又はBNA及びホスホロチオアートヌクレオチド間結合の組合せを含む。特定の実施形態において、本発明のRNAi構築体のセンス鎖及びアンチセンス鎖は双方とも、2’-フルオロ修飾ヌクレオチド、2’-O-メチル修飾ヌクレオチド、及びホスホロチオアートヌクレオチド間結合の組合せを含む。
【0088】
LPA遺伝子は、主に肝臓内で発現される。ゆえに、特定の実施形態において、LPA RNAi構築体を肝臓細胞に特異的に送達することが望ましい。従って、一部の実施形態において、本発明の方法に使用されるLPA RNAi構築体は、以下でより詳細に解説されるような種々のアプローチを用いて、LPA RNAi構築体を肝臓細胞(例えば肝細胞)に特異的に向けるような標的化部分を含み得る。特定の実施形態において、LPA RNAi構築体は、表面発現アシアロ糖タンパク質受容体(ASGR)又はその構成要素(例えば、ASGR1、ASGR2)に結合するリガンドを含む標的化部分を含む。
【0089】
一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、肝臓細胞の表面上に発現されるタンパク質に結合するか、又はこれと相互作用するリガンドを使用することによって、肝臓に特異的に標的化され得る。例えば、特定の実施形態において、リガンドは、アシアロ糖タンパク質受容体及びLDL受容体等の、肝細胞上に発現される受容体に特異的に結合する抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はその結合断片(例えば、Fab、scFv))を含み得る。特定の一実施形態において、リガンドは、ASGR1及び/又はASGR2に特異的に結合する抗体又はその結合断片を含む。別の実施形態において、リガンドは、ASGR1及び/又はASGR2に特異的に結合する抗体のFab断片を含む。「Fab断片」は、1つの免疫グロブリン軽鎖(すなわち軽鎖可変領域(VL)及び定常領域(CL))、並びに1つの免疫グロブリン重鎖のCH1領域及び可変領域(VH)で構成される。別の実施形態において、リガンドは、ASGR1及び/又はASGR2に特異的に結合する抗体の単鎖可変抗体断片(scFv断片)を含む。「scFv断片」は、抗体のVH領域及びVL領域を含み、これらの領域は、単一のポリペプチド鎖内に存在し、場合によっては、Fvが抗原結合のための所望の構造を形成することを可能にするペプチドリンカーを、VH領域とVL領域との間に含む。本発明の方法に使用されるLPA RNAi構築体の標的化部分においてアシアロ糖タンパク質受容体として用いられ得る、ASGR1に特異的に結合する例示的な抗体及びその結合断片は、国際公開第2017/058944号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。LPA RNAi構築体における標的化部分としての使用に適した、ASGR1、LDL受容体、又は他の肝臓表面発現タンパク質に特異的に結合する他の抗体又はその結合断片は、市販されている。
【0090】
特定の実施形態において、標的化部分は、炭水化物を含む。「炭水化物」は、酸素、窒素、又は硫黄原子が各炭素原子に結合されている少なくとも6つの炭素原子を有する1つ以上の単糖単位(直鎖状、分岐鎖状、又は環状であり得る)で構成される化合物を指す。炭水化物として、糖(例えば、単糖、二糖、三糖、四糖、及び約4、5、6、7、8、又は9つの単糖単位を含有するオリゴ糖)、並びに多糖、例えば、デンプン、グリコーゲン、セルロース、及び多糖ガムが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、標的化部分中に組み込まれる炭水化物は、ペントース、ヘキソース、又はヘプトースから選択される単糖、並びにそのような単糖単位を含む二糖及び三糖である。他の実施形態において、標的化部分中に組み込まれる炭水化物は、ガラクトサミン、グルコサミン、N-アセチルガラクトサミン、及びN-アセチルグルコサミン等のアミノ糖である。
【0091】
一部の実施形態において、標的化部分は、グルコース、ガラクトース、ガラクトサミン、グルコサミン、N-アセチルグルコサミン、N-アセチル-ガラクトサミン、又は前述のいずれかの誘導体を含むアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む。特定の実施形態において、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは、N-アセチル-ガラクトサミン(GalNAc)又はその誘導体を含む。グルコース、ガラクトース、及びGalNAcを含むリガンドは、化合物を肝臓細胞に向けるのに特に有効である。なぜなら、そのようなリガンドは、肝細胞の表面上に発現されるASGRに結合するからである。例えば、D’Souza and Devarajan,J.Control Release,Vol.203:126-139,2015参照。本発明の方法に使用されるLPA RNAi構築体の標的化部分中に組み込まれ得るGalNAc含有又はガラクトース含有リガンドの例が、米国特許第7,491,805号明細書;米国特許第8,106,022号明細書;米国特許第8,877,917号明細書;及び米国特許第10,246,709号明細書;米国特許出願公開第20030130186号明細書;並びに国際公開第2013166155号パンフレットに記載されており、これらの文献は全て、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0092】
特定の実施形態において、LPA RNAi構築体内の標的化部分は、多価炭水化物部分を含む。本明細書中で用いられる「多価炭水化物部分」は、他の分子と独立して結合又は相互作用することができる2つ以上の炭水化物単位を含む部分を指す。例えば、多価炭水化物部分は、2つ以上の異なる分子、又は同じ分子上の2つ以上の異なる部位に結合することができる、炭水化物で構成される2つ以上の結合ドメインを含む。炭水化物部分の価数は、炭水化物部分内の個々の結合ドメインの数を示す。例えば、炭水化物部分に関する用語「一価」、「二価」、「三価」、及び「四価」は、それぞれ1、2、3、及び4つの結合ドメインを有する炭水化物部分を指す。多価炭水化物部分は、多価ラクトース部分、多価ガラクトース部分、多価グルコース部分、多価N-アセチル-ガラクトサミン部分、多価N-アセチル-グルコサミン部分、多価マンノース部分、又は多価フコース部分を含み得る。一部の実施形態において、標的化部分は、多価ガラクトース部分を含む。他の実施形態において、標的化部分は、多価N-アセチル-ガラクトサミン部分を含む。これらの、そして他の実施形態において、多価炭水化物部分は、二価、三価、又は四価であり得る。そのような実施形態において、多価炭水化物部分は、二分岐又は三分岐であり得る。特定の一実施形態において、多価N-アセチル-ガラクトサミン部分は、三価又は四価である。別の特定の実施形態において、多価ガラクトース部分は、三価又は四価である。
【0093】
標的化部分は、LPA RNAi構築体のRNA分子に直接的又は間接的に結合又はコンジュゲートされ得る。例えば、一部の実施形態において、標的化部分は、LPA RNAi構築体のセンス鎖又はアンチセンス鎖に直接共有結合されている。他の実施形態において、標的化部分は、LPA RNAi構築体のセンス鎖又はアンチセンス鎖に、リンカーを介して共有結合されている。標的化部分は、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体のポリヌクレオチド(例えば、センス鎖又はアンチセンス鎖)の核酸塩基、糖部分、又はヌクレオチド間結合に結合され得る。プリン核酸塩基又はその誘導体へのコンジュゲーション又は結合は、環内原子及び環外原子が挙げられるあらゆる位置にて起こり得る。特定の実施形態において、プリン核酸塩基の2位、6位、7位、又は8位が標的化部分に結合される。また、ピリミジン核酸塩基又はその誘導体へのコンジュゲーション又は結合は、あらゆる位置にて起こり得る。一部の実施形態において、ピリミジン核酸塩基の2位、5位、及び6位が、標的化部分に結合され得る。ヌクレオチドの糖部分へのコンジュゲーション又は結合は、あらゆる炭素原子にて起こり得る。標的化部分に結合され得る糖部分の例示的な炭素原子として、2’、3’、及び5’炭素原子が挙げられる。また、例えば脱塩基ヌクレオチドでは、1’位が標的化部分に結合され得る。また、ヌクレオチド間結合は、標的化部分の結合を支援することができる。リン含有結合(例えば、ホスホジエステル、ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホロアミダート等)について、標的化部分は、リン原子に直接、又はリン原子に結合しているO原子、N原子、若しくはS原子に結合され得る。アミン含有又はアミド含有ヌクレオシド間結合(例えばPNA)について、標的化部分は、アミン若しくはアミドの窒素原子に、又は隣接する炭素原子に結合され得る。
【0094】
一部の実施形態において、標的化部分は、センス鎖又はアンチセンス鎖のいずれかの3’末端又は5’末端に結合され得る。特定の好ましい実施形態において、標的化部分は、センス鎖の5’末端に共有結合されている。そのような実施形態において、標的化部分は、センス鎖の5’末端ヌクレオチドに結合されている。これらの、そして他の実施形態において、標的化部分は、センス鎖の5’末端ヌクレオチドの5’位にて結合されている。逆位脱塩基ヌクレオチド又は逆位デオキシリボヌクレオチドが、センス鎖の5’末端ヌクレオチドであり、且つ5’-5’ヌクレオチド間結合を介して隣接ヌクレオチドに連結されている実施形態において、標的化部分は、逆位脱塩基ヌクレオチド又は逆位デオキシリボヌクレオチドの3’位にて結合され得る。他の実施形態において、標的化部分は、センス鎖の3’末端に共有結合されている。例えば、一部の実施形態において、標的化部分は、センス鎖の3’末端ヌクレオチドに結合されている。特定のそのような実施形態において、標的化部分は、センス鎖の3’末端ヌクレオチドの3’位にて結合されている。逆位脱塩基ヌクレオチド又は逆位デオキシリボヌクレオチドが、センス鎖の3’末端ヌクレオチドであり、且つ3’-3’ヌクレオチド間結合を介して隣接ヌクレオチドに連結されている実施形態において、標的化部分は、逆位脱塩基ヌクレオチド又は逆位デオキシリボヌクレオチドの5’位にて結合され得る。代替の実施形態において、標的化部分は、センス鎖の3’末端近傍であるが、1つ以上の末端ヌクレオチドの前(すなわち、1、2、3、又は4つの末端ヌクレオチドの前)で結合されている。一部の実施形態において、標的化部分は、センス鎖の3’末端ヌクレオチドの糖の2’位にて結合されている。他の実施形態において、標的化部分は、センス鎖の5’末端ヌクレオチドの糖の2’位にて結合されている。
【0095】
特定の実施形態において、標的化部分は、センス鎖又はアンチセンス鎖にリンカーを介して結合されている。「リンカー」は、リガンドをLPA RNAi構築体のポリヌクレオチド構成要素に共有結合させる原子又は原子の基である。リンカーは、約1~約30原子長、約2~約28原子長、約3~約26原子長、約4~約24原子長、約6~約20原子長、約7~約20原子長、約8~約20原子長、約8~約18原子長、約10~約18原子長、及び約12~約18原子長であり得る。一部の実施形態において、リンカーは、2つの官能基を有するアルキル部分を一般に含む、二官能性結合部分を含み得る。官能基の一方は、注目する化合物(例えば、RNAi構築体のセンス鎖又はアンチセンス鎖)に結合するように選択され、そして他方は、本明細書中に記載される標的化部分又はその構成要素等の任意の選択された基に本質的に結合するように選択される。特定の実施形態において、リンカーは、エチレングリコール単位又はアミノ酸単位等の反復単位からなる鎖構造又はオリゴマーを含む。二官能性結合部分に典型的に使用される官能基の例として、求核性基と反応させるための求電子剤、及び求電子性基と反応させるための求核剤が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、二官能性結合部分として、アミノ、ヒドロキシル、カルボン酸、チオール、不飽和(例えば、二重結合又は三重結合)等が挙げられる。
【0096】
標的化部分を、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体内のセンス鎖又はアンチセンス鎖に結合させるのに用いられ得るリンカーとして、ピロリジン、8-アミノ-3,6-ジオキサオクタン酸、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシラート、6-アミノヘキサン酸、置換C~C10アルキル、置換若しくは非置換C~C10アルケニル、又は置換若しくは非置換C~C10アルキニルが挙げられるが、これらに限定されない。そのようなリンカーにとって好ましい置換基として、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、カルボキシ、ベンジル、フェニル、ニトロ、チオール、チオアルコキシ、ハロゲン、アルキル、アリール、アルケニル、及びアルキニルが挙げられるが、これらに限定されない。標的化部分を、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体内のセンス鎖又はアンチセンス鎖に結合させるのに適した他の種類のリンカーが、当該技術において知られており、米国特許第7,723,509号明細書;米国特許第8,017,762号明細書;米国特許第8,828,956号明細書;米国特許第8,877,917号明細書;及び米国特許第9,181,551号明細書に記載されるリンカーが挙げられ得る。
【0097】
特定の実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体のセンス鎖又はアンチセンス鎖に共有結合される標的化部分は、GalNAc部分、例えば多価GalNAc部分を含む。一部の実施形態において、多価GalNAc部分は、三価GalNAc部分であり、センス鎖の3’末端に結合されている。他の実施形態において、多価GalNAc部分は、三価GalNAc部分であり、センス鎖の5’末端に結合されている。さらに他の実施形態において、多価GalNAc部分は、四価GalNAc部分であり、センス鎖の3’末端に結合されている。さらに他の実施形態において、多価GalNAc部分は、四価GalNAc部分であり、センス鎖の5’末端に結合されている。
【0098】
特定の実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、以下の構造[構造1]を有する標的化部分を含む。
【化1】
好ましい実施形態において、この構造を有する標的化部分は、ホスホロチオアート又はリン酸ジエステル結合を介してセンス鎖の5’末端に共有結合されている。
【0099】
特定の実施形態において、本発明の方法での使用に適したLPA RNAi構築体は:
センス鎖及びアンチセンス鎖であって、各々、約19~約23ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は、LPA mRNA配列と相補的な配列を含み、センス鎖は、アンチセンス鎖の配列と相補的な配列を含む、センス鎖及びアンチセンス鎖と;
アシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む標的化部分であって、センス鎖の5’末端に共有結合されている標的化部分と
を含む。一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、2つの平滑末端を有する。例えば、一部のそのような実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は、各々21ヌクレオチド長であり、そして互いにハイブリダイズして、21塩基対長の二重鎖領域を形成する。他のそのような実施形態において、センス鎖及びアンチセンス鎖は、各々19ヌクレオチド長であり、そして互いにハイブリダイズして、19塩基対長の二重鎖領域を形成する。他の実施形態において、LPA RNAi構築体は、2つのヌクレオチドオーバーハングを有する。そのような一実施形態において、LPA RNAi構築体は、(i)各々21ヌクレオチド長のセンス鎖及びアンチセンス鎖、(ii)19塩基対長の二重鎖領域、並びに(iii)センス鎖の3’末端及びアンチセンス鎖の3’末端の双方にて2つの不対ヌクレオチドのヌクレオチドオーバーハングを含む。
【0100】
一部の実施形態において、標的化部分は、三価染色体GalNAc部分、例えば米国特許第10,246,709号明細書(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるいずれかの三価染色体GalNAc部分を含む。好ましい一実施形態において、標的化部分は、上述の構造1の構造を有する。
【0101】
特定の実施形態において、LPA RNAi構築体のアンチセンス鎖は、NCBI参照配列NM_005577.4に示されるヒトLPA mRNA転写産物のヌクレオチド2706~2726、NCBI参照配列NM_005577.4に示されるヒトLPA mRNA転写産物のヌクレオチド2697~2726、又はNCBI参照配列NM_005577.4に示されるヒトLPA mRNA転写産物のヌクレオチド2708~2725と実質的に相補的であるか、又は完全に相補的な配列を含む。そのような実施形態において、LPA RNAi構築体は、この領域を標的とするアンチセンス鎖と実質的に相補的であるか、又は完全に相補的なセンス鎖を含み得る。ゆえに、これらの実施形態において、センス鎖は、NCBI参照配列NM_005577.4に示されるヒトLPA mRNA転写産物のヌクレオチド2706~2726、ヌクレオチド2697~2726、又はヌクレオチド~2725 2708と同一の配列を含み得る。
【0102】
一部の実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体のセンス鎖は、5’-GCCCCUUAUUGUUAUACG-3’の配列(配列番号1)を含む。関連する実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体のアンチセンス鎖は、5’-CGUAUAACAAUAAGGGGC-3’の配列(配列番号2)を含む。
【0103】
本発明の方法での使用に適したLPA RNAi構築体の例が、国際公開第2017/059223号パンフレット(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。国際公開第2017/059223号パンフレットに記載される二重鎖AD03851、AD03853、及びAD03536が、本発明の方法に特に有用である。特定の好ましい実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、5’-CAGCCCCUUAUUGUUAUACGA-3’の配列(配列番号3)を含むか、又はこれからなるセンス鎖、及び5’-UCGUAUAACAAUAAGGGGCUG-3’の配列(配列番号4)を含むか、又はこれからなるアンチセンス鎖を含む。関連する実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、5’-csagccccuUfAfUfuguuauacgs(invdA)-3’の配列(配列番号5)に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなるセンス鎖、及び5’-usCfsgUfaUfaacaaUfaAfgGfgGfcsUfsg-3’の配列(配列番号6)に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなるアンチセンス鎖を含み、ここで、a、g、c、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルシチジン、及び2’-O-メチルウリジンであり;Af、Gf、Cf、及びUfは、それぞれ2’-デオキシ-2’-フルオロ(「2’-フルオロ」)アデノシン、2’-フルオログアノシン、2’-フルオロシチジン、及び2’-フルオロウリジンであり;invdAは逆位デオキシアデノシン(3’-3’連結ヌクレオチド)であり、sはホスホロチオアート結合である。一部のそのような実施形態において、本明細書中に記載される構造1の構造を有する標的化部分は、センス鎖の5’末端にホスホロチオアート結合を介して共有結合されている。
【0104】
他の実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、5’-GCCCCUUAUUGUUAUACGAUU-3’の配列(配列番号7)を含むセンス鎖、及び5’-UCGUAUAACAAUAAGGGGCUU-3’の配列(配列番号8)を含むアンチセンス鎖を含む。関連する実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、5’-gsccccuUfAfUfuguuauacgauus(invAb)-3’の配列(配列番号9)に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなるセンス鎖、及び5’-usCfsgUfaUfaacaaUfaAfgGfgGfcsusu-3’の配列(配列番号10)に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなるアンチセンス鎖を含み、ここで、a、g、c、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルシチジン、及び2’-O-メチルウリジンであり;Af、Gf、Cf、及びUfは、それぞれ2’-デオキシ-2’-フルオロ(「2’-フルオロ」)アデノシン、2’-フルオログアノシン、2’-フルオロシチジン、及び2’-フルオロウリジンであり;invAbは逆位脱塩基ヌクレオチド(3’-3’連結ヌクレオチド)であり、sはホスホロチオアート結合である。一部のそのような実施形態において、本明細書中に記載される構造1の構造を有する標的化部分は、センス鎖の5’末端にホスホロチオアート結合を介して共有結合されている。他の関連する実施形態において、本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、5’-(invAb)GfcCfcCfuUfAfUfuGfuUfaUfaCfgausu(invAb)-3’の配列(配列番号11)に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなるセンス鎖、及び5’-usCfsgsUfaUfaAfCfAfauaAfgGfgGfcusu-3’の配列(配列番号12)に従う修飾ヌクレオチドの配列を含むか、又はこれからなるアンチセンス鎖を含み、ここで、a、g、c、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、2’-O-メチルグアノシン、2’-O-メチルシチジン、及び2’-O-メチルウリジンであり;Af、Gf、Cf、及びUfは、それぞれ2’-デオキシ-2’-フルオロ(「2’-フルオロ」)アデノシン、2’-フルオログアノシン、2’-フルオロシチジン、及び2’-フルオロウリジンであり;invAbは逆位脱塩基ヌクレオチドであり(鎖の5’末端上にある場合、5’-5’連結ヌクレオチド、鎖の3’末端上にある場合、3’-3’連結ヌクレオチド)、sはホスホロチオアート結合である。これらの実施形態の一部において、本明細書中に記載される構造1の構造を有する標的化部分は、センス鎖の5’末端にホスホジエステル結合を介して共有結合されている。
【0105】
特定の好ましい実施形態において、本発明の方法に従う患者に投与されるLPA RNAi構築体は、オルパシランである。また、オルパシランの構造は、図1に概略的に示されており、そして国際公開第2017/059223号パンフレットに記載されており、オルパシランは二重鎖no.AD03851と表される。オルパシランは、2つの別々の鎖、センス鎖及びアンチセンス鎖(各々21ヌクレオチド長である)を含む二本鎖siRNA分子である。センス鎖及びアンチセンス鎖の核酸塩基配列は、互いに対して完全に相補的であり、そしてハイブリダイズして21塩基対長の二重鎖を形成する。オルパシランのセンス鎖及びアンチセンス鎖についてのヌクレオチド配列は、それぞれ配列番号3及び配列番号4に示されている。オルパシランのセンス鎖及びアンチセンス鎖は双方とも、修飾ヌクレオチドで構成され、鎖毎の修飾配列は、配列番号5(センス鎖)及び配列番号6(アンチセンス鎖)に示されている。構造1の構造を有する(そして、図1においてR1として表される)三価GalNAc部分は、ホスホロチオアート結合によってオルパシランのセンス鎖の5’末端に共有結合されている。用語オルパシランは、図1に示される化合物の遊離酸、及びその薬学的に許容される塩、例えばナトリウム塩を指す。
【0106】
本発明の方法に用いられるLPA RNAi構築体は、当該技術において知られている技術を用いて、例えば従来の核酸固相合成を用いて、容易に作製され得る。RNAi構築体のポリヌクレオチドは、標準的なヌクレオチド又はヌクレオシド前駆体(例えばホスホラミダイト)を利用して、適切な核酸合成装置でアセンブルすることができる。自動核酸合成装置が、いくつかのベンダーによって市販されており、Applied Biosystems(Foster City,CA)のDNA/RNA合成装置、BioAutomation(Irving,TX)のMerMade合成装置、及びGE Healthcare Life Sciences(Pittsburgh,PA)のOligoPilot合成装置が挙げられる。LPA RNAi構築体を合成し、且つ標的化部分を選択する例示的な方法が、国際公開第2017/059223号パンフレット及び米国特許第10,246,709号明細書の実施例に記載されており、これらの文献は双方とも、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。
【0107】
2’シリル保護基が、リボヌクレオシドの5’位にて酸に不安定なジメトキシトリチル(DMT)と併せて用いられて、ホスホラミダイト化学を介してオリゴヌクレオチドを合成することができる。最終脱保護条件は、RNA産物を著しく分解しないことが知られている。全ての合成は、任意の自動又は手動合成装置により、大規模、中規模、又は小規模で行うことができる。また、合成は、複数のウェルプレート、カラム、又はスライドガラスにおいて実行することができる。
【0108】
2’-O-シリル基は、フッ化物イオンへの曝露を介して除去され得、フッ化物イオンとして、フッ化物イオンの何らかの供給源、例えば無機対イオンと対になるフッ化物イオンを含有する塩、例えばフッ化セシウム及びフッ化カリウム、又は有機対イオンと対になるフッ化物イオンを含有する塩、例えばフッ化テトラアルキルアンモニウムが挙げられ得る。クラウンエーテル触媒が、脱保護反応において無機フッ化物と組み合わせて利用され得る。好ましいフッ化物イオン供給源として、フッ化テトラブチルアンモニウム又はアミノヒドロフルオリド(例えば、双極性非プロトン溶媒、例えばジメチルホルムアミド中での水性HFの、トリエチルアミンとの組合せ)がある。
【0109】
亜リン酸トリエステル及びホスホトリエステルに用いられる保護基の選択により、フッ化物に対するトリエステルの安定性を改変することができる。ホスホトリエステル又は亜リン酸トリエステルのメチル保護は、フッ化物イオンに対する結合を安定化させ、且つプロセス収率を向上させることができる。
【0110】
リボヌクレオシドは、反応性の2’ヒドロキシル置換基を有するので、RNA中の反応性の2’位を、5’-O-ジメトキシトリチル保護基に対して直交性である保護基(例えば、酸処理に対して安定な保護基)で保護することが望ましい場合がある。シリル保護基が、この条件を満たしており、最終的なフッ化物脱保護工程において容易に除去され得、これにより、RNA分解を最小減に抑えることが可能となる。
【0111】
テトラゾール触媒を、標準的なホスホラミダイトカップリング反応に用いることができる。好ましい触媒として、例えば、テトラゾール、S-エチル-テトラゾール、ベンジルチオテトラゾール、p-ニトロフェニルテトラゾールが挙げられる。
【0112】
当業者によって理解され得るように、本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体を合成する更なる方法が当業者に明らかであろう。加えて、種々の合成工程を、代替の順番又は順序で実行して、所望の化合物を得ることができる。RNAi構築体の合成に有用な他の合成化学変換、保護基(例えば、塩基に存在するヒドロキシル、アミノ、その他用)及び保護基の方法論(保護及び脱保護)が、当該技術において知られており、例えば、R.Larock,Comprehensive Organic Transformations,VCH Publishers(1989);T.W.Greene and P.G.M.Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,2d.Ed.,John Wiley and Sons(1991);L.Fieser and M.Fieser,Fieser and Fieser’s Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1994);及びL.Paquette,ed.,Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis,John Wiley and Sons(1995)、並びにそれらの後続版に記載されるようなものが挙げられる。また、RNAi剤のカスタム合成が、Agilent Technologies(Santa Clara,CA)、Nitto Denko Avecia(Milford,MA)、Dharmacon,Inc.(Lafayette,CO)、AxoLabs GmbH(Kulmbach,Germany)、及びAmbion,Inc.(Foster City,CA)が挙げられるいくつかの民間のベンダーから利用可能である。
【0113】
LPA RNAi構築体は、通常、患者に、薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤を含み得る医薬組成物内に入れられて投与される。ゆえに、本発明はまた、本明細書中に記載される本発明の方法に用いられる、LPA RNAi構築体及び薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤を含む医薬組成物及び製剤を含む。臨床用途について、医薬組成物及び製剤は、意図される用途に適切な形態で調製されることとなる。一般に、このことは、パイロジェンだけでなく、ヒト又は動物に有害となる虞のある他の不純物も本質的にない組成物の調製を伴うこととなる。
【0114】
語句「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」は、動物又はヒトに投与される場合の有害な、アレルギー性の、又は他の不都合な反応をもたらさない分子実体及び組成物を指す。本明細書中で用いられる「薬学的に許容される担体、賦形剤、又は希釈剤」として、ヒトへの投与に適した医薬等の医薬の製剤化における使用に許容される溶媒、バッファ、溶液、分散媒体、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張化剤、並びに吸収遅延剤等が挙げられる。薬学的に活性な物質に対するそのような媒体及び薬剤の使用は、当該技術において周知である。従来のあらゆる媒体又は剤は、本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体と適合しない場合を除いて、治療用組成物での使用が意図される。また、補助的な活性成分は、それらが組成物のLPA RNAi構築体を不活化しないという条件で、組成物中に組み込まれ得る。
【0115】
医薬組成物の製剤化のための組成物及び方法は、投与経路、処置されることとなる疾患若しくは障害の種類及び程度、又は投与されることとなる用量が挙げられるがこれらに限定されない、いくつかの基準に依存する。一部の実施形態において、医薬組成物は、意図される送達経路に基づいて製剤化される。例えば、特定の実施形態において、医薬組成物は、非経口送達用に製剤化される。非経口の送達形態として、静脈内、動脈内、皮下、髄腔内、腹腔内、又は筋肉内の注射又は注入が挙げられる。一実施形態において、医薬組成物は、静脈内送達用に製剤化される。別の実施形態において、医薬組成物は、皮下送達用に製剤化される。一部の実施形態において、医薬組成物は、有効量のLPA RNAi構築体を含む。LPA RNAi構築体、特にオルパシランの有効量は、本明細書中に記載される用量のいずれであってもよい。
【0116】
本発明の方法に従うLPA RNAi構築体を含む医薬組成物の投与は、標的組織がその経路を介して利用できる限り、一般的なあらゆる経路を介するものであり得る。そのような経路として、非経口(例えば、皮下、筋肉内、腹腔内、又は静脈内)、経口、経鼻、頬側、皮内、経皮、及び舌下経路、又は肝臓組織中への直接注射若しくは肝門脈を介する送達が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法の一部の実施形態において、LPA RNAi構築体、又はLPA RNAi構築体を含む医薬組成物は、患者に非経口的に投与される。例えば、特定の実施形態において、LPA RNAi構築体、又はLPA RNAi構築体を含む医薬組成物は、静脈内に投与される。他の実施形態において、LPA RNAi構築体、又はLPA RNAi医薬組成物を含む医薬組成物は、皮下に、例えば皮下注射によって投与される。そのような実施形態において、皮下注射容量は、約2mL以下、例えば、約2mL、約1.8mL、約1.7mL、約1.6mL、約1.5mL、約1.4mL、約1.3mL、約1.2mL、約1.1mL、約1mL、約0.9mL、約0.8mL、約0.7mL、約0.6mL、又は約0.5mLである。一実施形態において、皮下注射容量は約1mL以下である。別の実施形態において、皮下注射容量は約1mLである。さらに別の実施形態において、皮下注射容量は約1.5mLである。
【0117】
医薬組成物が非経口注射によって投与される実施形態において、医薬組成物は、シリンジにより患者に投与され得る。一部の実施形態において、シリンジは、医薬組成物で予め充填されている。医薬組成物が患者に非経口注射、例えば皮下注射によって投与される他の実施形態において、医薬組成物は、自己投与用のデバイスが挙げられる注射デバイスにより投与される。そのようなデバイスは、市販されており、オートインジェクタ、投与ペン、微量注入ポンプ、オンボディインジェクタ、及びプレフィルドシリンジが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の方法に従ってLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)の有効量を含む医薬組成物を投与するための例示的なデバイスとして、オートインジェクタ(例えば、SureClick(登録商標)、EverGentle(登録商標)、Avanti(登録商標)、DosePro(登録商標)、Molly(登録商標)、及びLeva(登録商標))、ペン注射デバイス(例えば、Madie(登録商標)ペンインジェクタ、DCP(商標)ペンインジェクタ、BD Vystra(商標)ディスポーザブルペン、BD(商標)再利用可能ペン)、及びプレフィルドシリンジ(BD Sterifill(商標)、BD Hypak(商標)、Baxterのプレフィルドシリンジ)が挙げられる。一部の実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)の有効量を含む医薬組成物は、プレフィルドシリンジにより患者に投与される。他の実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)の有効量を含む医薬組成物は、オートインジェクタにより患者に投与される。特定のそのような実施形態において、シリンジ、オートインジェクタ、又は他の注射デバイスの注射容量は、約2mL以下、例えば、約2mL、約1.8mL、約1.7mL、約1.6mL、約1.5mL、約1.4mL、約1.3mL、約1.2mL、約1.1mL、約1mL、約0.9mL、約0.8mL、約0.7mL、約0.6mL、又は約0.5mLである。一実施形態において、シリンジ、オートインジェクタ、又は他の注射デバイスの注射容量は、約1mL以下である。別の実施形態において、シリンジ、オートインジェクタ、又は他の注射デバイスの注射容量は、約1mLである。さらに別の実施形態において、シリンジ、オートインジェクタ、又は他の注射デバイスの注射容量は、約1.5mLである。
【0118】
水中油エマルション、ミセル、混合ミセル、及びリポソームが挙げられる、高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、及び脂質ベースの系等のコロイド分散系が、本発明のLPA RNAi構築体用の送達ビヒクルとして用いられ得る。本発明の核酸を送達するのに適した市販の脂肪エマルションとして、Intralipid(登録商標)(Baxter International Inc.)、Liposyn(登録商標)(Abbott Pharmaceuticals)、Liposyn(登録商標)II(Hospira)、Liposyn(登録商標)III(Hospira)、Nutrilipid(B.Braun Medical Inc.)、及び他の類似の脂質エマルションが挙げられる。インビボ送達ビヒクルとして用いられる好ましいコロイド系として、リポソーム(すなわち人工膜小胞)がある。LPA RNAi構築体は、リポソーム内に封入されていてもよいし、リポソーム、特にカチオン性リポソームに対して複合体を形成していてもよい。これ以外にも、LPA RNAi構築体は、脂質、特にカチオン性脂質に対して複合体形成され得る。適切な脂質及びリポソームとして、中性(例えば、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、及びジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC))、ジステアロイルホスファチジルコリン)、陰性(例えば、ジミリストイルホスファチジルグリセロール(DMPG))、そしてカチオン性(例えば、ジオレオイルテトラメチルアミノプロピル(DOTAP)及びジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOTMA))が挙げられる。そのようなコロイド分散系の調製及び使用は、当該技術において周知である。また、例示的な製剤は、米国特許第5,981,505号明細書、米国特許第6,217,900号明細書;米国特許第6,383,512号明細書;米国特許第5,783,565号明細書;米国特許第7,202,227号明細書;米国特許第6,379,965号明細書;米国特許第6,127,170号明細書;米国特許第5,837,533号明細書;米国特許第6,747,014号明細書、及び国際公開第03/093449号パンフレットに開示されている。
【0119】
一部の実施形態において、LPA RNAi構築体は、脂質製剤内に完全に封入されて、例えばSNALP又は他の核酸-脂質粒子を形成する。本明細書中で用いられる用語「SNALP」は、安定な核酸-脂質粒子を指す。SNALPは、典型的に、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及び粒子の凝集を妨げる脂質(例えば、PEG-脂質コンジュゲート)を含有する。SNALPは、全身投与に極めて有用である。というのも、静脈内注射後に長期間の循環寿命を示し、且つ遠位部位(例えば、投与部位から物理的に隔てられた部位)にて蓄積するからである。核酸-脂質粒子は、典型的に、平均直径が約50nm~約150nm、約60nm~約130nm、約70nm~約110nm、又は約70nm~約90nmであり、実質的に非毒性である。加えて、核酸-脂質粒子内に存在する場合の核酸は、水溶液中で、ヌクレアーゼによる分解に対して耐性がある。核酸-脂質粒子及びその調製方法は、例えば、米国特許第5,976,567号明細書、米国特許第5,981,501号明細書、米国特許第6,534,484号明細書、米国特許第6,586,410号明細書、米国特許第6,815,432号明細書、及び国際公開第96/40964号パンフレットに開示されている。
【0120】
注射用途に適したLPA RNAi構築体を含む医薬組成物として、例えば、滅菌水溶液又は分散系、及び注射用滅菌溶液又は分散系の即時調製用の滅菌粉末が挙げられる。一般に、これらの調製物は、滅菌済みであり、容易に注射可能である程度の流体である。調製物は、製造及び保存条件下で安定でなければならず、細菌及び真菌等の微生物の汚染作用から保護されていなければならない。適切な溶媒又は分散媒体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、それらの好適な混合液、及び植物油を含有し得る。例えば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散系の場合に必要とされる粒径を維持することによって、且つ界面活性剤の使用によって、適切な流動性を維持することができる。微生物の作用の予防は、種々の抗菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によってもたらされ得る。多くの場合、等張化剤、例えば糖又は塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンの、組成物中での使用によってもたらすことができる。
【0121】
滅菌注射溶液は、活性化合物を適切な量で、必要に応じて(例えば、先で列挙されるような)他の任意の成分と共に溶媒中に組み込んでから濾過滅菌することによって調製され得る。一般的に、分散系は、塩基性分散媒体及び所望の他の成分、例えば先で列挙される成分を含有する滅菌ビヒクル中に、滅菌された種々の活性成分を組み込むことによって調製される。滅菌注射溶液の調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法として、その予め滅菌濾過した溶液から活性成分プラス任意の追加の所望の成分の粉末が得られる、真空乾燥技術及び凍結乾燥技術が挙げられる。
【0122】
本発明の方法に用いられる組成物は、一般に、中性形態又は塩形態で製剤化され得る。薬学的に許容される塩として、例えば、無機酸(例えば、塩酸又はリン酸)又は有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸等)から誘導される酸付加塩(遊離アミノ基と共に形成される)が挙げられる。また、遊離カルボキシル基と共に形成される塩は、無機塩基(例えば、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、又は水酸化第二鉄)から、又は有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカイン等)から誘導され得る。LPA RNAi構築体のナトリウム塩は、ヒト対象への治療的投与に特に有用である。ゆえに、特定の好ましい実施形態において、LPA RNAi構築体、特にオルパシランは、ナトリウム塩の形態である。他の実施形態において、LPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)は、カリウム塩の形態である。
【0123】
水溶液による非経口投与のために、例えば、溶液は通常、適切に緩衝化され、そして液体希釈剤は最初に、例えば、十分な生理食塩水又はグルコースにより等張にされる。そのような水溶液は、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、及び腹腔内投与に用いられ得る。特に本開示を考慮して、当業者に知られているような滅菌水性媒体を使用することが好ましい。実例として、単回用量を等張NaCl溶液1ml中に溶解させて、皮下注入液1000mlに添加してもよいし、注入又は注射の候補部位に注射してもよい(例えば、“Remington’s Pharmaceutical Sciences”15th Edition,pages 1035-1038及び1570-1580参照)。ヒト投与について、調製物は、FDA基準によって要求される無菌性、発熱性、一般的安全性、及び純度の基準を満たさなければならない。特定の実施形態において、本発明の方法に用いられる医薬組成物は、滅菌生理食塩水、及び本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)を含むか、又はそれらからなる。他の実施形態において、本発明の方法に用いられる医薬組成物は、本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)及び滅菌水(例えば、注射用水、WFI)を含むか、又はそれらからなる。さらに他の実施形態において、本発明の方法に用いられる医薬組成物は、本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)及びリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含むか、又はそれらからなる。
【0124】
特定の実施形態において、本発明の方法に従って心血管疾患を処置するか、寛解させるか、予防するか、又はそのリスクを引き下げるのに有用な医薬組成物は、LPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)の有効量、リン酸カリウムバッファ、及び塩化ナトリウムを含む。一部のそのような実施形態において、医薬組成物は、約10mg/mL~約200mg/mLのLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、約5mM~約30mMリン酸カリウム、及び約20mM~約160mM塩化ナトリウムを含む。他の実施形態において、医薬組成物は、約65mg/mL~約85mg/mLのLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、約15mM~約25mMリン酸カリウム、及び約70mM~約90mM塩化ナトリウムを含む。さらに他の実施形態において、医薬組成物は、約140mg/ml~約160mg/mlのLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、約15mM~約25mMリン酸カリウム、及び約30mM~約50mM塩化ナトリウムを含む。これらのあらゆる医薬組成物のpHは、約6.4~約7.2(例えば、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、又は約7.2のpH)の範囲内であり得る。
【0125】
一部の実施形態において、本発明の方法に従って投与されることとなる医薬組成物は、約10mg/mlのLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、約5mM~約15mMリン酸カリウム、及び約135mM~約155mM塩化ナトリウムをpH6.8±0.2にて含む。一実施形態において、医薬組成物は、約10mg/mlのLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、約10mMリン酸カリウム、及び約145mM塩化ナトリウムをpH6.8にて含む。他の実施形態において、本発明の方法に従って投与されることとなる医薬組成物は、約75mg/mlのLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、約15mM~約25mMリン酸カリウム、及び約70mM~約90mM塩化ナトリウムをpH6.8±0.2にて含む。そのような一実施形態において、医薬組成物は、約75mg/mlのLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、約20mMリン酸カリウム、及び約80mM塩化ナトリウムをpH6.8にて含む。特定の実施形態において、本発明の方法に従って投与されることとなる医薬組成物は、約150mg/mlのLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、約15mM~約25mMリン酸カリウム、及び約30mM~約50mM塩化ナトリウムをpH6.8±0.2にて含む。特定の一実施形態において、医薬組成物は、約150mg/mlのLPA RNAi構築体(例えばオルパシラン)、約20mMリン酸カリウム、及び約40mM塩化ナトリウムをpH6.8にて含む。
【0126】
本明細書中に記載されるLPA RNAi構築体はいずれも、上述のいずれの医薬組成物にも組み込まれ得、そして本発明の方法に従って患者に投与され得る。特定の実施形態において、上述のいずれの医薬組成物にも組み込まれて、本発明の方法に従って患者に投与されるLPA RNAi構築体は、オルパシランである。
【0127】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、投与用のデバイス、例えば上述のあらゆる注射デバイス(例えば、プレフィルドシリンジ、オートインジェクタ、インジェクションポンプ、オンボディインジェクタ、及びインジェクションペン)によりパッケージされるか、又はその内部に保存される。エアロゾル化製剤又は粉末製剤用のデバイスとして、インヘラー、通気器、吸引器等が挙げられるが、これらに限定されない。ゆえに、本発明は、本明細書中に記載される障害又は疾患の1つ以上を処置又は予防するための本発明の医薬組成物を含む投与デバイスを含む。
【0128】
実施された実験及び達成された結果を含む以下の実施例は、例示の目的のためにのみ提供されるものであり、添付の特許請求の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例
【0129】
実施例1.血漿リポタンパク質(a)が上昇した対象においてオルパシランの安全性、耐容性、薬物動態、及び薬力学を評価するための、第1相ランダム化二重盲検プラセボ対照単回用量漸増研究
メンデルの、そして疫学的ランダム化研究は、最近、心筋梗塞及び他のアテローム硬化性合併症の強い原因リスク因子としてリポタンパク質(a)(Lp(a))を確立した。Lp(a)を選択的に標的として、心血管系イベントの引下げを実証した、認可されている医薬品は現在存在しない。オルパシラン(AMG 890としても知られている)は、LPA遺伝子から転写されるmRNAを標的とすることによってLp(a)の生成を引き下げるように設計されたsiRNAである。オルパシランの構造を、図1に示す。
【0130】
この第1相研究は、米国及び豪州における8つの場所にて行った、血漿リポタンパク質(a)が上昇した対象におけるランダム化二重盲検プラセボ対照単回用量漸増研究であった。約80人の対象を、9つの単回用量漸増コホートにおける登録について計画した;各コホートにおいて、対象を、オルパシラン又はプラセボを受けるように3:1にランダム化した。
【0131】
資格のある対象は、生殖能のない女性、及び男性であり、双方とも、コホート1~5について18~60歳(両端含む)の年齢であり;コホート6~9について18~65歳(両端含む)の年齢であった。コホート1~5について、血漿Lp(a)濃度は、スクリーニング時に≧70nmol/L且つ≦199nmol/Lであった;コホート6~9について、血漿Lp(a)濃度は、スクリーニング時に≧200nmol/Lであった;コホート6~9について、各コホートにおける少なくとも6人の対象は、登録の時点にて少なくとも6週間、スタチンの用量が安定していた。対象について、ランダム化の時点にて、医療履歴の何らかの臨床的に重要な異常はなかった。
【0132】
インフォームドコンセントを提供した後に、対象を、28日にわたる適格基準に関してスクリーニングして、-1日目に研究施設に入れた。投与前手順の完了後、対象は、研究薬(オルパシラン又はプラセボ)の投与を受けた。コホート1~5の対象は、-1日目から4日目まで研究施設で過ごして、研究の終わりまで評価のために施設に戻った。対象は、コホート1~5について、それぞれ3mg、9mg、30mg、75mg、及び225mgの単回皮下用量;そしてコホート6~9について、それぞれ9mg、75mg、225mg、及び675mgを受けた(以下の表1参照)。
【0133】
【表1】
【0134】
コホート1~5及びコホート9について、各コホートにおける最初の2人の登録対象をランダム化して、オルパシラン又はプラセボを1:1の比率(センチネル対)で受けさせて、同研究場所にて同日に盲検化様式で投与した。調査者により安全であると考え、且つセンチネル対投与の24時間以上の後に、同用量を残りのコホート対象に投与した。コホート1~5への登録は、少しずつずらした(staggered)。先行するコホートにおける投与計画が、用量レベルレビューチーム(DLRT)によって安全且つ適度に十分に耐容性であると見出された後に、全ての対象について、研究15日目までの入手可能な安全性データに基づいて、以降のコホートに投与した。コホート5~7への登録は、コホート4における投与計画が、研究15日目までの入手可能な安全性データに基づいて、DLRTによって安全且つ適度に十分に耐容性であると見出された後に、開始した。対象は、処置終了後評価のために、コホート1及び2について113日目に、そしてコホート3~7について225日目に施設に戻った。対象は、Lp(a)濃度が、ベースラインの少なくとも80%となるまで、経過観察のために戻った(コホート1及び2については約2週毎に、そしてコホート3~7については毎月)。血液サンプル及び尿サンプルを、研究の全体を通して、オルパシラン薬物動態(PK)及び薬力学(PD)の評価のために収集した。また、安全性変数を定期的に評価した。
【0135】
プライマリエンドポイントは、処置により発生した有害事象(TEAE)、安全性ラボ分析物、バイタルサイン、及び心電図(ECG)によって測定される安全性及び耐容性であった。セカンダリエンドポイントは、最大観察濃度(Cmax)、最大観察濃度の時点(tmax)、及び濃度-時間曲線下面積(AUC)が挙げられるがこれらに限定されないオルパシランPKパラメータ;並びに各予定来院時の血漿Lp(a)レベルの変化及び変化パーセンテージが挙げられるPDパラメータであった。Lp(a)についてのベースライン値を、スクリーニング及び投与1日前の平均と定義した。何らかの理由で、1つの値しか入手可能でないならば、当該値をベースラインとして用いた。探査エンドポイントは、各予定来院時の低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)及び総アポリポタンパク質B(ApoB)の変化パーセンテージを含んだ。
【0136】
64人の対象を研究に登録して、オルパシラン又はプラセボを投与した(コホート1~5:オルパシラン、n=30、用量:3mg、9mg、30mg、75mg、225mg;プラセボ、n=10;コホート6~7:オルパシラン、n=18、用量:9mg及び75mg;プラセボ、n=6)。コホート1~5においてオルパシランが投与された対象(n=30)について、対象は、平均(SD)年齢が43.9(13.5)歳であり、30.0%が女性であり、63.3%がヒスパニック系又はラテンアメリカ系人種集団であり、30.0%が黒人又はアフリカ系アメリカ人であり、70.0%が白人であった。コホート1~5においてプラセボが投与された対象(n=10)について、対象は、平均(SD)年齢が46.3(8.5)歳であり、30.0%が女性であり、50.0%がヒスパニック系又はラテンアメリカ系人種集団であり、30.0%が黒人又はアフリカ系アメリカ人であり、70.0%が白人であった。コホート6及び7においてオルパシランが投与された対象(n=18)について、対象は、平均(SD)年齢が52.7(9.4)歳であり、33.3%が女性であり、27.8%がヒスパニック系又はラテンアメリカ系人種集団であり、88.9%が白人であった。コホート6及び7においてプラセボが投与された対象(n=6)について、対象は、平均(SD)年齢が57.8(5.8)歳であり、66.7%が女性であり、33.3%がヒスパニック系又はラテンアメリカ系人種集団あり、83.3%が白人であった。コホート6及び7(n=24)において登録した全対象の67%が、スタチンをベースラインにて用いた。対象は、ほとんど共存症がなかった。コホート1~5において、脂質調節医薬品の使用はなかったが、コホート6及び7において、かなり大きな割合の対象が、スタチン及び/又はエゼチミブを服用した。メジアン(Q1、Q3)ベースラインLp(a)濃度は、コホート1~5のプラセボを受けた対象において124nmol/L(104、137)であり、コホート1~5においてオルパシランを受けた対象について122nmol/L(97、146)であった。メジアン(Q1、Q3)ベースラインLp(a)濃度は、コホート6及び7のプラセボを受けた対象において272nmol/L(233、307)であり、コホート6及び7においてオルパシランを受けた対象について253nmol/L(224、334)であった。
【0137】
オルパシランは、十分に耐容性であるように見えた。処置に関連する重篤な有害事象はなかった。1人のプラセボ対象は、重篤な非心臓性胸痛の有害事象を有し、これは処置とは無関係であると考えられた。コホート1~5において、最も共通したTEAEは、上部気道感染(10%プラセボ、13%オルパシラン)であった。以下の表2参照。コホート6~7において、最も共通したTEAEは、頭痛(50%プラセボ、28%オルパシラン)及び上部気道感染(17%プラセボ、17%オルパシラン)であった(表2)。研究において1人の対象だけが、注射部位反応を経験した。有害事象の頻度との見掛けの用量関係はなかった。肝臓試験、血小板若しくは凝固パラメータ、又は腎機能の臨床的に関連する変化は観察されなかった。
【0138】
【表2】
【0139】
Lp(a)抑制は、用量応答的に起こった。図2に示すように、コホート1~5において、オルパシランの単回用量は、平均Lp(a)レベルをベースラインから43日目に71~96%(用量に基づく)、そして113日目(コホート2~5)に80~94%効果的に引き下げた。コホート6及び7において、オルパシランの単回用量は、平均Lp(a)レベルをベースラインから43日目にそれぞれ75%及び89%、そして113日目にそれぞれ61%及び80%効果的に低くした(図2)。Lp(a)の急落が15日目から観察され、最大Lp(a)抑制が43~71日目に観察された。Lp(a)濃度は徐々に回復したが、225日目にプラセボレベルを十分に下回ったままであった。9mg以上の単回用量が、3~6ヵ月間存続するLp(a)の引下げの原因となった。
【0140】
7つの投与コホートの各々におけるオルパシランの薬物動態学的パラメータを、以下の表3に示す。3、9、30、75、及び225mg(コホート1~5)の単回用量の後に、オルパシランは迅速に吸収され、幾何平均Cmaxは、投与後の7.5時間以内に起こった。幾何平均半減期(t1/2)値は3~8時間に及び、大多数のオルパシランが2~3日以内に血清から一掃された。全身曝露は、最大225mgの用量にておおよそ用量比例的に増大した。ベースラインがLp(a)≧200nmol/L(コホート6及び7)の対象におけるオルパシランAUC曝露は、ベースラインLp(a)≧70~≦199nmol/L(コホート2及び4)の対象におけるよりも約18~33%低かった。
【0141】
【表3】
【0142】
第1相研究の結果は、Lp(a)が上昇した成人において、オルパシランの単回用量処置が、十分に耐容性であり、且つLp(a)を有意に引き下げたことを実証しており、おおよその観察メジアンパーセント引下げは>90%であり、効果は、9mg以上の用量にて3~6ヵ月間存続した。高Lp(a)群(Lp(a)≧70~≦199nmol/L)における75及び225mg用量は、Lp(a)濃度に及ぼす効果に関して、ほぼ重なり得た(superimposable);同様に、9及び30mgの用量は、ほぼ重なり得た。しかしながら、超高Lp(a)群(Lp(a)≧200nmol/L)における9及び75mg用量は、高Lp(a)コホートにおける同じ用量と比較して、ベースラインからのLp(a)の抑制パーセントの引下げを示した。
【0143】
オルパシランのこの低い単回用量により観察されたLp(a)レベルの抑制の深さ及び期間は、カニクイザルにおけるオルパシランの研究に基づいて、計画ヒト用量から予想されるよりも有意に良かった。カニクイザルにけるオルパシランについての有効性データ(例えば、国際公開第2017/059223号パンフレットにおける実施例18参照)に基づいて、75mgの計画ヒト用量は、Lp(a)レベルを少なくとも1ヵ月間約80%引き下げると予測された。注目すべきことに、先に述べたように、オルパシランの9mgもの低い単回用量が、ヒト対象におけるLp(a)レベルを、3ヵ月超の間80%超引き下げた。75mg及び225mgの単回オルパシラン用量は、Lp(a)レベルを6ヵ月超の間80%超抑制した。ゆえに、オルパシランを、より低用量且つより長い投与間隔(最大、6ヵ月毎に1回が挙げられる)にて、Lp(a)の引下げが必要なヒト患者に投与することができる。そのような投与計画は、いくつかの異なる利益、例えば、患者の忠誠の向上、薬物コストの引下げ、並びに注射の容量及び回数の引下げを有する。
【0144】
実施例2.最適なLp(a)引下げのための投与計画の設計用のオルパシランPK/PDモデル
実施例1に記載する第1相データに基づいて、血漿Lp(a)が上昇した(コホート1~5について≧70nmol/L~<200nmol/L、コホート6~7について≧200nmol/L)健康なボランティアにおけるオルパシラン薬物動態及びLp(a)抑制を特徴付けるための数学モデルを開発した。オルパシランの薬物動態(PK)を、皮下投与部位から循環系への第1のオーダーの吸収、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPR)吸収を介した肝臓への分配、肝臓から循環系に戻るオルパシランのリサイクル、並びに体循環及び肝臓からの分解を介した除去があるPKモデルを用いて記載した。オルパシラン血清曝露が、ベースラインLp(a)と相関することが見出された。ゆえに、オルパシラン生物学的利用能をベースラインLp(a)によって調節する機能もまた、モデル内に含めた。ベースラインからのLp(a)の抑制を、PK/PDモデルを用いて記載することによって、モデル予測オルパシラン肝臓濃度は、LPA mRNAの分解を促進して、肝臓におけるオルパシラン濃度が十分な期間中、Lp(a)の生成及び抑制の低下の原因となった。オルパシラン肝臓濃度とLPA mRNA分解との関係を、Emaxモデルを用いてモデル化した。LPA mRNA濃度の変化を、Lp(a)抑制の程度に基づいて推測した。ベースラインLp(a)レベルによって、Lp(a)の合成及び分解率を通知した。ベースライン値が高くなるにつれて、より大きな生成率と関連した。
【0145】
モデル開発の間に、そして臨床投与計画シミュレーションのために、以下の仮定をした:
a)第2相用量選択のためのシミュレーションを、ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの標的集団について実行した。しかしながら、モデルパラメータを、ベースラインLp(a)値が≧70nmol/L~<200nmol/L、そして≧200nmol/Lの対象から推定した;
b)第2相集団についての複数回用量後の対象間変動性及び対象内変動性を、第1相研究対象について推定したものと同じであると仮定した;そして
c)Lp(a)抑制の継続は、肝臓におけるモデル予測オルパシランPK/PD半減期に基づき、そして複数回用量後の応答の推定は、第1相研究からの観察抑制、及び投与間隔の終了時の効果の蓄積に基づく。
【0146】
このモデルは、ベースラインLp(a)がより高い(≧150nmol/L)対象におけるオルパシラン曝露の有意な観察低下を十分に予測することができた。このことは、より高い用量のオルパシランが、この患者集団において、標的Lp(a)抑制を達成するのに必須であり得ることを示唆した。このモデルのシミュレーションを実行して、Q3M及びQ6M投与計画を探査し、且つオルパシランの複数回用量後の予測Lp(a)抑制を外挿した。候補投与計画毎に、標的Lp(a)抑制(ベースラインからの≧80%引下げ)を達成する対象の割合、及び投与間隔の終了時に絶対Lp(a)値≦50nmol/Lを達成する対象の割合を算出した。
【0147】
図3A~3Fは、ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象について、10mg、30mg、50mg、75mg、150mg、及び225mgの用量でのオルパシランのQ3M投与についてのベースラインのパーセンテージとして、予測Lp(a)レベルを示す。モデルは、10mg以上の用量が、3ヵ月の投与間隔の全体を通して、Lp(a)レベルを80%以上抑制することとなると予測する。以下の表4は、各投与間隔にて3ヵ月毎に1回投与される(Q3M投与)オルパシランの用量が異なるLp(a)レベルのベースラインからの少なくとも80%の引下げを達成する対象の予測割合を示す一方、表5は、同じオルパシラン投与計画により50nmol/L以下の絶対Lp(a)レベルを達成する対象の予測割合を示す。
【0148】
【表4】
【0149】
【表5】
【0150】
第1相データに基づくモデルシミュレーションは、四半期毎(Q3M)に投与される10mgのオルパシランの用量により、ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象の約42%が、12ヵ月目までにベースラインからのLp(a)の少なくとも80%引下げを達成することとなると予測する。四半期毎に投与される75mg以上のオルパシランの用量は、オルパシランの単回用量を受けた早くも3ヵ月後に、ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象の少なくとも90%において、80%以上のLp(a)抑制を実現すると予測される。類似した割合の対象が、これらの同じ投与計画による50nmol/L以下の絶対Lp(a)値を達成すると予測された。
【0151】
また、シミュレーションを、オルパシランの年2回(Q6M)投与計画モデルに行った。図4A~4Fは、ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象について、10mg、75mg、150mg、225mg、450mg、及び675mgの用量でのオルパシランのQ6M投与についてのベースラインのパーセンテージとして、予測Lp(a)レベルを示す。モデルは、少なくとも75mgの用量が、6ヵ月の投与間隔の全体を通して、Lp(a)レベルを80%以上抑制することとなると予測する。以下の表6は、各投与間隔にて6ヵ月毎に1回投与される(Q6M投与)オルパシランの用量が異なるLp(a)レベルのベースラインからの少なくとも80%の引下げを達成する対象の予測割合を示す一方、表7は、同じオルパシラン投与計画により50nmol/L以下の絶対Lp(a)レベルを達成する対象の予測割合を示す。
【0152】
【表6】
【0153】
【表7】
【0154】
モデリングデータは、6ヵ月毎に1回(Q6M)投与される少なくとも75mgのオルパシランの用量が、2回のみの用量後(すなわち処置の12ヵ月後)に、ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象の約50%において、ベースラインからLp(a)レベルを少なくとも80%引き下げると予測されることを示す。また、同じ割合の患者は、処置の1年後、6ヵ月毎に1回投与される75mgのオルパシランにより、50nmol/L未満の絶対Lp(a)レベルを達成すると予測される。6ヵ月毎に1回投与される225mgのオルパシランの用量は、処置の1年後、対象の約76%において、Lp(a)レベルを少なくとも80%抑制すると予測されるが、6ヵ月毎に1回投与される450mg以上の用量は、処置の1年後、対象の約90%において、Lp(a)レベルをこの閾値よりも大きく抑制すると予測される。
【0155】
最近のメンデルの無作為化研究に基づいて、ベースラインからの80%以上のLp(a)レベルの引下げは、アテローム硬化性心血管疾患患者において、臨床的に意味のある心血管利益をもたらすと予想される(Burgess et al.,JAMA Cardiol.,Vol.3:619-627,2018;Lamina et al.,JAMA Cardiol.,Vol.4:575-579,2019;及びMadsen et al.,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,40:255-266,2020)。ゆえに、オルパシランPK/PDモデリングは、Lp(a)レベルをこの閾値よりも大きく引き下げることができるオルパシランの投与計画の特定に集中した。オルパシランPK/PDモデリングの結果、及び本実施例に記載するシミュレーションは、以下のことを示す:
・3ヵ月毎に1回、又は12週毎に1回投与される10mgの用量は、12ヵ月目までに、ベースラインLp(a)レベルが≧150nmol/Lの対象の約半分(42%)において、≧80%Lp(a)引下げを実現し、そして6及び12ヵ月目に約77%のベースラインからのメジアンLp(a)%引下げを実現する;
・3ヵ月毎に1回、又は12週毎に1回投与される75mgの用量は、対象の大多数(94%)において、2~3回用量の範囲内でベースラインからの≧80%Lp(a)引下げを実現すると予想され、そして対象の約90%は、この投与計画により50nmol/L以下の絶対Lp(a)濃度を達成すると予想される;
・3ヵ月毎に1回、又は12週毎に1回投与される225mgの用量は、対象の98%において≧80%Lp(a)引下げを実現し、そして対象の96%において、Lp(a)レベルを50nmol/L以下の絶対濃度に引き下げると予想される;
・10mg以上の用量について、3ヵ月毎に1回又は12週毎に1回の投与頻度は、ベースラインLp(a)レベルが150nmol/L以上の対象の大多数(≧90%)において、3ヵ月の投与間隔の全体を通して、ベースラインの20%未満のLp(a)レベルの抑制をもたらす;そして
・6ヵ月毎に1回、又は24週毎に1回投与される225mgの用量は、88%のベースラインからのメジアンLp(a)引下げをもたらすこととなり、対象の約74%が、50nmol/L以下の絶対Lp(a)濃度を達成する。
【0156】
実施例3.リポタンパク質(a)が上昇した対象におけるオルパシランの有効性、安全性、及び耐容性を評価するための二重盲検ランダム化プラセボ対照第2相研究
この第2相研究の主な目的は、アテローム硬化性心血管疾患の、そしてLp(a)が上昇した対象における処置の36週後に、Lp(a)レベルのベースラインからの変化パーセントに及ぼす、プラセボと比較した、12週毎に1回(Q12W)のオルパシランの皮下投与の効果を評価することである。研究の第2の目的は、以下におけるベースラインからの変化パーセントに及ぼす、プラセボと比較した、Q12Wで皮下投与されるオルパシランの効果:(i)処置の48週後のLp(a)レベル、(ii)処置の36及び48週後の低密度リポタンパク質コレステロール(LDL-C)レベル、並びに(iii)処置の36及び48週後のアポリポタンパク質B(ApoB)レベル、並びにオルパシランの薬物動態学的特性の特性評価を含む。また、24週毎に1回(Q24W)のオルパシランの投与が評価される。
【0157】
約240人の対象を、1:1:1:1:1の比率でランダム化する。4つのアームをオルパシランにより、そして1つのアームをプラセボにより処置する。ランダム化を、Lp(a)≦200nmol/L対>200nmol/Lに関するスクリーニングによって、そして地域(日本対非日本)によって階層化する。研究処置期間は48週であり、1日目、12週目、24週目、及び36週目に投与がある。48週目の後に、安全性経過観察を、≧40週間のオルパシラン又はプラセボの更なる投与なしに持続して、Lp(a)は、ベースラインの80%に戻る(いずれか遅い方)。対象は、処置期間及び長期の安全性経過観察期間の間に、局所ガイドラインに従う標準治療(安定した脂質変化療法が挙げられる)を続ける。
【0158】
インフォームドコンセントに署名した後に、対象は、スクリーニング相(最大4週)に入り、その間に、対象の適格基準を評価する。資格のある対象として、スクリーニングの間、Lp(a)が>150nmol/Lであるアテローム硬化性心血管疾患を有する18~80歳の成人が挙げられる。具体的には、以下の重要な採用基準の全てを満たすならば、対象を研究に登録する:
・年齢18~80歳
・中央ラボによるスクリーニングの間、Lp(a)>150nmol/L
・以下の1つに基づくアテローム硬化性心血管疾患:
・経皮的冠動脈介入(PCI)若しくは冠状動脈バイパス移植(CABG)による冠状動脈血管再生の履歴;
・以前の心筋梗塞の有無に拘わらない冠状動脈疾患の診断;
・アテローム硬化性脳血管疾患の診断;又は
・末梢動脈疾患の診断
・(適格基準に必要とされない)脂質変化療法を受けていない対象について、スタチン用量を含む脂質変化療法は、スクリーニング前の≧4週間で、そしてスクリーニングの間に、局所ガイドラインに従って安定したままでなければならない
対象は、以下の重要な除外基準のいずれかを満たすならば、研究から排除する:
・スクリーニングの間の推定糸球体濾過速度(eGFR)<30mL/min/1.73mと定義される重度の腎機能不全
・スクリーニングの間のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)若しくはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)>3×正常上限(ULN)、又は総ビリルビン(TBL)>2×ULNと定義される肝臓機能不全の履歴又は臨床所見
・1日目前の過去5年以内の悪性腫瘍(非黒色腫皮膚癌、子宮頸部上皮内癌、乳管上皮内癌、又は第1期前立腺癌を除く)
・1日目の管理不良高血圧(安静時の≧160mmHgの平均収縮期血圧又は≧100mmHgの平均拡張期血圧と定義される)
・スクリーニングの間の≧400mg/dL(4.5mmol/L)の空腹時トリグリセリド
・スクリーニング時の中心ラボによって判定される≧8.5%のグリコヘモグロビン(HbA1c)によって判定される1型糖尿病又は管理不良2型糖尿病
【0159】
研究の資格がある対象は、ベースラインLp(a)が>150nmol/Lである。この閾値は、Lp(a)>125nmol/Lが、一般的な集団データから上昇したと考えられることを示す入手可能な疫学データに基づく(Averna et al.,Atheroscler Suppl.,Vol.26:16-24,2017;Nordestgaard and Langsted,J.Lipid Res.,Vol.57:1953-75,2016;Ohro-Melander,J Intern Med.,Vol.278:433-46,2015;Leebmann et al.,Circulation,Vol.128:2567-2576,2013)。加えて、心血管系イベントに及ぼす対応する効果を実証するのに必須の絶対Lp(a)引下げの程度に基づいて、登録集団は、ベースラインLp(a)が高い必要がある。従って、Lp(a)>150nmol/Lの登録基準は、メジアンLp(a)が約200nmol/Lの研究集団を生じさせ、且つLp(a)が非常に高い対象におけるオルパシランの有効性及び安全性の評価を可能にする。
【0160】
資格のある登録対象を、以下の5つの処置群(各群において約48人の対象を有する)の1つに、1:1:1:1:1の比率でランダム化する:
群1:10mgオルパシランQ12W
群2:75mgオルパシランQ12W
群3:225mgオルパシランQ12W
群4:225mgオルパシランQ24W
群5:プラセボQ12W
実施例2に記載するように、これらのオルパシラン投与計画は、ベースラインLp(a)レベルが>150nmol/Lのヒト対象において、投与間隔(3ヵ月又は6ヵ月)の全体を通して、Lp(a)レベルをベースラインから少なくとも80%抑制すると予測される。オルパシランを、割り当てた処置群に応じて、10mg、75mg、又は225mgの用量にて、12週毎に1回(処置群1~3)又は24週毎に1回(処置群4)、皮下注射によって投与する。血清Lp(a)、LDL-C、及びApoB、並びに他の臨床ラボ分析物を評価するためのサンプルを、スクリーニングの間に、オルパシランの最初の用量の投与前に、そして12、24、36、及び48週目に、そして研究の間の他の種々の時点にて、登録対象から収集する。血液サンプルを、研究の間の種々の時点でのオルパシランの血清濃度の測定のために収集して、オルパシラン薬物動態学的パラメータを評価する。
【0161】
Lp(a)に関するスクリーニングを、中央ラボにて、apo(a)アイソフォームサイズから独立したLp(a)粒子を検出且つ定量化するように規格化されている、認可されているか、又は調査中の比濁免疫アッセイ、例えばRoche Diagnosticsから入手可能なTina-quant(登録商標)リポタンパク質(a)Gen.2アッセイを用いて行う。アッセイは、検出限界が7nmol/Lの血清サンプル中のLp(a)のnmol/Lでの測定について有効と認められており、IFCC参照材料SRM2Bに対して、nmol/Lについて規格化されている(Marcovina et al.,Clin.Chem.,Vol.46:1946-1967,2000)。他の臨床分析物、例えば、ApoB、ヘモグロビンA1C、ALT、AST、及びビリルビンについての脂質パネル及びアッセイを、標準的な方法を用いて中央ラボによって行う。
【0162】
ランダム化された全対象が、36週目の評価を完了する機会があったか、又は早く終了した場合、一次分析をする。全対象が、48週目の評価を完了する機会があったか、又は早く終了した場合、処置期間分析を終了する。最終分析は、最後の対象が長期の安全性経過観察を完了し、且つ研究を終えたか、又は研究から早く終了した後に、行う。一次エンドポイント(36週目のLp(a)のベースラインからの変化パーセント)を、群間で、処置群の期間、層別因子、予定の来院、及び予定の来院との処置の相互作用を含む反復尺度一次効果モデル(repeated measures linear effects model)を用いて比較する。Hochberg手順を用いて、活性アームとプラセボアームとの多重比較のために第一種過誤を制御する。48週目のLp(a)、36及び48週目のApoB及びLDL-Cのベースラインからの第2のエンドポイント変化パーセントを、一次エンドポイントと同様に分析する。安全性エンドポイント(例えば、処置により発生した有害事象)を説明的に要約する。ベースラインLp(a)を、研究1日目の前に、又は研究1日目に中央ラボにより測定される2つの最近の非欠測Lp(a)値の平均と定義する。何らかの理由で、1つの値しか入手可能でないならば、当該値をベースラインとして用いる。
【0163】
ベースラインからの80%以上のLp(a)引下げが、3ヵ月を超える間続くオルパシランの単回用量により観察された(実施例1参照)。Lp(a)の持続するこのレベルの引下げは、アテローム硬化性心血管疾患患者において、心血管系イベントのリスクを引き下げることによって、臨床的に意味がある心血管利益をもたらし得ると予想される。最近のメンデルの無作為化研究は、ベースラインLp(a)濃度が非常に高い個体において、Lp(a)の80%~90%引下げが、心血管系イベントのリスクの臨床的に意味のある引下げに変わると予想されることを示唆している(Burgess et al.,JAMA Cardiol.,Vol.3:619-627,2018;Lamina et al.,JAMA Cardiol.,Vol.4:575-579,2019;及びMadsen et al.,Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.,40:255-266,2020)。ゆえに、この研究の成績は、オルパシランが、プラセボと比較して、試験した全ての用量にて、アテローム硬化性心血管疾患の、Lp(a)が上昇した対象において、ベースラインからの有意なLp(a)引下げパーセントをもたらすこととなることを示すと予想される。特に、オルパシランが、12週毎に1回投与される10mgもの低い用量にて、大多数の対象において、50nmol/L未満までLp(a)レベルを効果的に引き下げることとなることが予想される。これは、そのような対象における心血管系イベントのリスクの引下げをもたらすと予想される。12週毎に1回75mgの用量にて投与されるオルパシランは、実施例2に記載するPK/PDモデリングに基づいて、特に効果的な投与計画であると予想される。
【0164】
本明細書において論じ、且つ引用してきた全ての刊行物、特許、及び特許出願は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。開示した本発明は、記載された特定の方法論、プロトコル、及び材料に限定されず、これらは変化し得ることが理解される。また、本明細書中で用いられる専門用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を限定することを意図するものではないことが理解される。
【0165】
当業者であれば、本明細書中に記載される本発明の特定の実施形態に対する多くの均等物を、単なる日常的な実験を用いて認識するか、又は確認可能であろう。そのような均等物は、以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
図1
図2
図3-1】
図3-2】
図4-1】
図4-2】
【配列表】
2023549115000001.app
【国際調査報告】