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特表2023-549128ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルを含む皮膚外用剤用保存剤およびこれを含む化粧料組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルを含む皮膚外用剤用保存剤およびこれを含む化粧料組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/88 20060101AFI20231115BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20231115BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61Q 5/02 20060101ALI20231115BHJP
   A01P 1/00 20060101ALI20231115BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20231115BHJP
   A01N 31/14 20060101ALI20231115BHJP
   A01N 37/44 20060101ALI20231115BHJP
   A01N 61/00 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
A61K8/88
A61K8/34
A61Q19/00
A61Q5/02
A01P1/00
A01P3/00
A01N31/14
A01N37/44
A01N61/00 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527361
(86)(22)【出願日】2021-03-03
(85)【翻訳文提出日】2023-04-28
(86)【国際出願番号】 KR2021002617
(87)【国際公開番号】W WO2022092453
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】10-2020-0143891
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523162421
【氏名又は名称】アクティブオン・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ミョ・ドク・キム
(72)【発明者】
【氏名】ジュン・ハク・イ
(72)【発明者】
【氏名】ミュン・チャン・チョ
(72)【発明者】
【氏名】スン・ウォン・ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ビュン・ギュ・パク
(72)【発明者】
【氏名】ユン・キ・チョ
【テーマコード(参考)】
4C083
4H011
【Fターム(参考)】
4C083AC022
4C083AC111
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC172
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC532
4C083AC582
4C083AC792
4C083AD022
4C083AD041
4C083AD071
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD132
4C083AD152
4C083AD212
4C083AD332
4C083BB48
4C083CC01
4C083CC04
4C083CC05
4C083CC38
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD31
4C083EE10
4H011AA02
4H011AA03
4H011BA01
4H011BA06
4H011BB03
4H011BB06
4H011BB19
4H011BC03
4H011BC06
4H011BC16
4H011BC19
4H011DF04
4H011DH02
4H011DH07
4H011DH10
(57)【要約】
本出願は、ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルを含む保存剤およびその用途に関し、バクテリアおよび真菌に対して優れた抗菌または防腐効果を示す皮膚外用剤用保存剤およびこれを含む化粧料組成物を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルを含む皮膚外用剤用保存剤。
【請求項2】
前記ポリリジンおよび前記カプリリルグリセリルエーテルの重量比は、0.1~5:10~30である、請求項1に記載の皮膚外用剤用保存剤。
【請求項3】
グリコール類化合物を追加的に含む、請求項1に記載の皮膚外用剤用保存剤。
【請求項4】
前記ポリリジン;前記カプリリルグリセリルエーテル;および前記グリコール類化合物の重量比は、0.1~5:10~30:65~75である、請求項3に記載の皮膚外用剤用保存剤。
【請求項5】
前記グリコール類化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシジグリコール、および炭素数3~12のアルカンジオールからなる群より選択された1種以上である、請求項3に記載の皮膚外用剤用保存剤。
【請求項6】
前記グリコール類化合物は、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、およびペンタンジオールからなる群より選択された1種以上である、請求項3に記載の皮膚外用剤用保存剤。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1項に記載の皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物。
【請求項8】
全体重量に対して前記皮膚外用剤用保存剤を0.0001重量%~50重量%含むものである、請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項9】
剤形が溶液、乳濁液、懸濁液、柔軟化粧水、栄養化粧水、マッサージクリーム、栄養クリーム、パック、ジェル、皮膚粘着タイプの化粧料、口紅、パウダー、メーキャップベース、ファウンデーション、シャンプー、リンス、頭皮用洗浄剤、頭皮用化粧水、頭皮用クリーム、頭皮用パック、頭皮用ジェル、頭皮用軟膏、頭皮用ゲル、ボディクレンザー、石けん、歯磨き粉、口腔洗浄剤、ペースト、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチ、スプレー、または噴霧剤である、請求項7に記載の化粧料組成物。
【請求項10】
精製水、担体、乳化剤、保湿剤、皮膚コンディショニング剤、界面活性剤、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、安定化剤、保存剤、pH調整剤、潤滑剤、可溶化剤、溶剤、およびその組み合わせからなる群より選択される添加剤を追加的に含む、請求項7に記載の化粧料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルを含む皮膚外用剤用保存剤およびこれを含む化粧料組成物に関する。本特許出願は、2020年10月30日付で大韓民国特許庁に提出された大韓民国特許出願第10-2020-0143891号に対して優先権を主張し、前記特許出願の開示事項は本明細書に参照として組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
化粧料製品は製造過程または使用過程で微生物による汚染が避けられないため、化粧料製品の製造に際して、製品の保存力を向上させることができる保存剤が必須で要求される。このような保存剤として広く使用されるものには、パラベン類保存剤、イミダゾリジニルウレア、フェノキシエタノールなどがある。ただし、前記言及された保存剤は、抗菌力が高くて保存力が非常に優れているというメリットがあるが、毒性、皮膚刺激、アレルギーなどを誘発しうるというデメリットも広く知られている。したがって、皮膚刺激を誘発することなく、保存力が高い安全な保存剤の開発が必要なのが現状である。
【0003】
このような研究の一環として、抗菌力が知られたカプリリルグリセリルエーテルを用いた保存剤の開発が続いており、大韓民国公開特許公報第2019-0035047号は、保存剤として使用可能なカプリリルグリセリルエーテルの用途について開示している。しかし、防腐効果を高めるためにカプリリルグリセリルエーテルを多量使用して化粧料製品に適用する時、沈殿発生などの安定性の低下を引き起こしうるという問題点が依然として存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】大韓民国公開特許公報第2019-0035047号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルを含む皮膚外用剤用保存剤を開発し、前記保存剤の優れた抗菌力、防腐力、安全性、および安定性を確認することにより、本発明を完成した。
【0006】
本発明の一目的は、ポリリジン(polylysine)およびカプリリルグリセリルエーテル(caprylyl glyceryl ether)を含む皮膚外用剤用保存剤を提供しようとする。
【0007】
本発明の他の目的は、前記皮膚外用剤用保存剤にグリコール(glycol)類化合物を追加的に含む皮膚外用剤用保存剤を提供しようとする。
【0008】
本発明のさらに他の目的は、前記皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物を提供しようとする。
【0009】
しかし、本発明が解決しようとする技術的課題は以上に言及した課題に制限されず、言及されていないさらに他の課題は以下の記載から当業界における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一態様は、ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルを含む皮膚外用剤用保存剤を提供する。
【発明の効果】
【0011】
一態様による皮膚外用剤用保存剤は、抗菌力、防腐力、および安全性が著しく優れていて、化粧料組成物に適用される場合、皮膚に安全な保存剤、防腐剤、または防腐補助剤などとして使用可能である。
【0012】
また、前記皮膚外用剤用保存剤は、多様な温度条件、具体的には、室温および冷蔵条件で変色、変臭、および沈殿なしに安定的に液体状態を維持可能な最適化された剤形安定性を有するので、ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルの混合物で発生しうる安定性低下の問題を解消して、化粧料組成物に安定的に適用可能である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書の用語「ポリリジン(polylysine)」は、リジンの重合体を意味する。前記ポリリジンは、poly(Lys)、(Lys)nなどで表される。前記ポリリジンは、具体的には、ポリエプシロン-リジン(polyepsilon-lysine)であってもよい。
【0014】
本明細書の用語「ポリエプシロン-リジン(polyepsilon-lysine)」は、epsilon-polylysine、poly epsilon L-lysine、poly(L-lysine)macromoleculeなどと名付けられ、カルボキシルおよびエプシロンアミノ基の間のアミド結合により連結されたアミノ酸リジン(L-Lysine)からなるポリアミドを意味する。
【0015】
前記皮膚外用剤用保存剤は、前記ポリリジンを約0.01~10重量%含むものであってもよい。具体的には、前記皮膚外用剤用保存剤は、前記ポリリジンを約0.01~5重量%、約0.01~1重量%、約0.01~0.1重量%、約0.1~10重量%、約0.1~5重量%、約0.1~3重量%、約0.1~1重量%、約1~10重量%、約1~5重量%、約1~3重量%、約3~10重量%、約3~5重量%、または約5~10重量%含むものであってもよく、好ましくは、約0.1~5重量%または約0.1~1重量%含むものであってもよい。一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤が前記ポリリジンを約0.01重量%未満で含む場合、抗菌または防腐効果が減少し、前記ポリリジンを約10重量%超過で含む場合、固体化、沈殿発生、溶解力の減少、乳化力または可溶化力の減少などの安定性の低下を引き起こしうる。
【0016】
前記皮膚外用剤用保存剤は、前記カプリリルグリセリルエーテルを約10~35重量%含むものであってもよい。具体的には、前記皮膚外用剤用保存剤は、前記カプリリルグリセリルエーテルを約10~30重量%、約10~25重量%、約10~20重量%、約10~15重量%、約15~35重量%、約15~30重量%、約15~25重量%、約15~20重量%、約20~35重量%、約20~30重量%、約20~25重量%、約25~35重量%、約25~30重量%、または約30~35重量%含むものであってもよく、好ましくは、約10~30重量%、約15~30重量%、約15~25重量%、約20~30重量%、または約25~30重量%含むものであってもよい。一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤が前記カプリリルグリセリルエーテルを約10重量%未満で含む場合、抗菌または防腐効果が減少し、前記カプリリルグリセリルエーテルを約35重量%超過で含む場合、固体化、沈殿発生、溶解力の減少、乳化力または可溶化力の減少などの安定性の低下を引き起こしうる。
【0017】
前記皮膚外用剤用保存剤は、約0.1~5重量%または約0.1~1重量%のポリリジン;および約10~30重量%、約15~30重量%、約15~25重量%、約20~30重量%、または約25~30重量%のカプリリルグリセリルエーテルを含むものであってもよい。あるいは、前記皮膚外用剤用保存剤は、ポリリジン0.1~5重量部または0.1~1重量部;およびカプリリルグリセリルエーテル10~30重量部、15~30重量部、15~25重量部、20~30重量部、25~30重量部、または25重量部を含むものであってもよい。一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤に含まれたポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルの量または比率が前記重量%または重量部を外れる場合、前記皮膚外用剤用保存剤の抗菌または防腐効果が著しく減少したり、固体化、沈殿、溶解力の減少、乳化力または可溶化力の減少などが発生して、前記皮膚外用剤用保存剤の安定性が著しく減少しうる。
【0018】
前記皮膚外用剤用保存剤に含まれた前記ポリリジンおよび前記カプリリルグリセリルエーテルの重量比は、0.1~5:10~30であってもよい。具体的には、前記皮膚外用剤用保存剤に含まれた前記ポリリジンおよび前記カプリリルグリセリルエーテルの重量比は、0.1~5:10~25、0.1~5:10~20、0.1~5:10~15、0.1~5:15~30、0.1~5:15~25、0.1~5:15~20、0.1~5:20~30、0.1~5:20~25、0.1~5:25~30、0.1~5:25、0.1~3:10~30、0.1~3:10~25、0.1~3:10~20、0.1~3:10~15、0.1~3:15~30、0.1~3:15~25、0.1~3:15~20、0.1~3:20~30、0.1~3:20~25、0.1~3:25~30、0.1~3:25、0.1~1:10~30、0.1~1:10~25、0.1~1:10~20、0.1~1:10~15、0.1~1:15~30、0.1~1:15~25、0.1~1:15~20、0.1~1:20~30、0.1~1:20~25、0.1~1:25~30、または0.1~1:25であってもよい。一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤に含まれた前記ポリリジンおよび前記カプリリルグリセリルエーテルの重量比が0.1~5:10~30の比率を外れる場合、前記皮膚外用剤用保存剤の抗菌または防腐効果が著しく減少したり、固体化、沈殿、溶解力の減少、乳化力または可溶化力の減少などが発生して、前記皮膚外用剤用保存剤の安定性が著しく減少しうる。
【0019】
前記皮膚外用剤用保存剤は、グリコール類化合物を追加的に含むものであってもよい。
【0020】
前記グリコール類化合物は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール、エトキシジグリコール、および炭素数3~12のアルカンジオールからなる群より選択された1種以上であってもよく、これに限定されるものではない。また、前記炭素数3~12のアルカンジオールは、オクタンジオール、デカンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、ウンデカンジオール、ドデカンジオール、またはこれらの組み合わせであってもよく、これに限定されるものではない。好ましくは、前記グリコール類化合物は、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、およびペンタンジオールからなる群より選択された1種以上であってもよい。
【0021】
前記皮膚外用剤用保存剤は、前記グリコール類化合物を約60~80重量%含むものであってもよい。具体的には、前記皮膚外用剤用保存剤は、前記グリコール類化合物を約60~78重量%、約60~75重量%、約60~73重量%、約60~70重量%、約60~68重量%、約60~65重量%、約60~63重量%、約63~80重量%、約63~78重量%、約63~75重量%、約63~73重量%、約63~70重量%、約63~68重量%、約63~65重量%、約65~80重量%、約65~78重量%、約65~75重量%、約65~73重量%、約65~70重量%、約65~68重量%、約68~80重量%、約68~78重量%、約68~75重量%、約68~73重量%、約68~70重量%、約70~80重量%、約70~78重量%、約70~75重量%、約70~73重量%、約73~80重量%、約73~78重量%、約73~75重量%、約75~80重量%、約75~78重量%、または約78~80重量%含むものであってもよく、好ましくは、約65~75重量%または約70~75重量%含むものであってもよい。一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤が前記グリコール類化合物を約60重量%未満で含む場合、固体化、沈殿発生、溶解力の減少、乳化力または可溶化力の減少などの安定性の低下を引き起こし、前記グリコール類化合物を約80重量%超過で含む場合、抗菌または防腐効果が減少しうる。
【0022】
前記皮膚外用剤用保存剤は、約0.1~5重量%または約0.1~1重量%のポリリジン;および約10~30重量%、約15~30重量%、約15~25重量%、約20~30重量%、または約25~30重量%のカプリリルグリセリルエーテル;および約65~75重量%または約70~75重量%のグリコール類化合物を含むものであってもよい。あるいは、前記皮膚外用剤用保存剤は、ポリリジン0.1~5重量部または0.1~1重量部;およびカプリリルグリセリルエーテル10~30重量部、15~30重量部、15~25重量部、20~30重量部、25~30重量部、または25重量部;およびグリコール類化合物65~75重量部または70~75重量部を含むものであってもよい。一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤に含まれたポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物の量または比率が前記重量%または重量部を外れる場合、前記皮膚外用剤用保存剤の抗菌または防腐効果が著しく減少したり、固体化、沈殿、溶解力の減少、乳化力または可溶化力の減少などが発生して、前記皮膚外用剤用保存剤の安定性が著しく減少しうる。
【0023】
前記皮膚外用剤用保存剤に含まれた前記ポリリジン;前記カプリリルグリセリルエーテル;および前記グリコール類化合物の重量比は、0.1~5:10~30:65~75であってもよい。具体的には、前記皮膚外用剤用保存剤に含まれた前記ポリリジン;前記カプリリルグリセリルエーテル;および前記グリコール類化合物の重量比は、0.1~5:15~30:65~75、0.1~5:15~25:65~75、0.1~5:20~30:65~75、0.1~5:25~30:65~75、0.1~5:25:65~75、0.1~1:10~30:65~75、0.1~1:10~30:70~75、0.1~1:15~30:65~75、0.1~1:15~30:70~75、0.1~1:15~25:65~75、0.1~1:15~25:70~75、0.1~1:20~30:65~75、0.1~1:20~30:70~75、0.1~1:25~30:65~75、0.1~1:25~30:70~75、0.1~1:25:65~75、または0.1~1:25:70~75であってもよい。一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤に含まれた前記ポリリジン;前記カプリリルグリセリルエーテル;および前記グリコール類化合物の重量比が0.1~5:10~30:65~75の比率を外れる場合、前記皮膚外用剤用保存剤の抗菌または防腐効果が著しく減少したり、固体化、沈殿、溶解力の減少、乳化力または可溶化力の減少などが発生して、前記皮膚外用剤用保存剤の安定性が著しく減少しうる。
【0024】
一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤は、優れた抗菌または防腐効果、および剤形安定性を示すことができる。具体的には、前記皮膚外用剤用保存剤が前記ポリリジンおよび前記カプリリルグリセリルエーテルを含む場合、ポリリジンまたはカプリリルグリセリルエーテルを単独で含む場合に比べて、著しく増加した抗菌または防腐効果を示すことができ、同時に多様な温度条件、具体的には、室温および冷蔵条件で変色、変臭、固体化、沈殿、溶解力の減少、乳化力または可溶化力の減少などの発生なしに安定的に液体状態を維持可能な最適化された剤形安定性を示すことができる。また、前記皮膚外用剤用保存剤が前記ポリリジンおよび前記カプリリルグリセリルエーテルの他に前記グリコール類化合物を追加的に含む場合、前記グリコール類化合物を含まない場合に比べて、抗菌または防腐効果、および剤形安定性がさらに増加できる。一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤がポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールを含む場合、最も優れた抗菌または防腐効果、および剤形安定性を示すことができる。
【0025】
また、一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤は、多様な種類の微生物(具体的には、汚染微生物)に対して優れた抗菌または防腐効果を示すことができる。具体的には、前記皮膚外用剤用保存剤は、グラム陽性菌(Gram-positive bacteria)、グラム陰性菌(Gram-negative bacteria)、および真菌(例えば、酵母、カビなど)の生長を抑制させたり、死滅させることができる。詳しくは、前記皮膚外用剤用保存剤は、Escherichia coli、Pseudomonas aeruginosa、Staphylococcus aureus、Candida albicans、およびAspergillus brasiliensisなどに対して優れた抗菌または防腐効果を示すことができ、これに限定されるものではない。
【0026】
また、一具体例によれば、前記皮膚外用剤用保存剤は、既存の化粧料製品で主に使用される保存剤(パラベン類保存剤、イミダゾリジニルウレア、フェノキシエタノールなど)、またはポリリジンまたはカプリリルグリセリルエーテルの単独使用の場合に比べて、皮膚刺激が著しく低くて、優れた皮膚安全性を示すことができる。
【0027】
本明細書の用語「皮膚外用剤」とは、皮膚に適用する組成物全般を包括する概念であり、例えば、基礎化粧料、メーキャップ化粧料、毛髪用化粧料などの各種化粧料;軟膏剤、クリーム剤、ローション剤など、医薬品および医薬部外品を含む局所投与用薬学組成物などを含む概念である。
【0028】
本明細書において、用語「皮膚外用剤用保存剤」は、「抗菌剤」、「防腐剤」、「抗菌用保存剤」、「防腐用保存剤」、「抗菌用組成物」、「防腐用組成物」、「抗菌または防腐用組成物」、「抗菌用化粧料組成物」、「防腐用化粧料組成物」、「抗菌または防腐用化粧料組成物」などと相互交換的に使用できる。
【0029】
本明細書の用語「抗菌」とは、細菌、カビ、酵母などの汚染微生物全部に対する抵抗性を意味し、「抗菌力」または「抗菌効果」とは、これらの汚染微生物に対する防御力または防御効果を意味するものであり、「防腐力」または「防腐効果」とは、微生物による汚染によって腐敗することに対する防御力または防御効果を意味し、抗菌力または抗菌効果を含む概念である。
【0030】
本明細書の用語「保存剤」とは、防腐力または抗酸化力を有し、長期間製品の変質を防ぎ、元の状態を維持可能にする物質を意味し、「保存力」とは、長期間製品の変質を防ぎ、元の状態を維持可能にする防御力を意味する。
【0031】
前記皮膚外用剤用保存剤は、精製水、担体、乳化剤、保湿剤、皮膚コンディショニング剤、界面活性剤、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、安定化剤、保存剤、pH調整剤、潤滑剤、可溶化剤、溶剤などの添加剤を追加的に含むものであってもよい。また、前記皮膚外用剤用保存剤は、皮膚に必須栄養素を補助的に提供可能な物質または皮膚状態を改善させる物質、例えば、シワまたは美白改善などの効果を有する機能性物質をさらに含むことができる。さらに、前記皮膚外用剤用保存剤は、天然香、化粧品香、または植物抽出物が含まれるが、これらに限らない補助剤をさらに含むことができる。
【0032】
他の態様は、前記皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物を提供する。
【0033】
前記化粧料組成物は、前記皮膚外用剤用保存剤を化粧料組成物の全体重量に対して約0.0001~50重量%含むものであってもよい。具体的には、前記化粧料組成物は、前記皮膚外用剤用保存剤を化粧料組成物の全体重量に対して約0.0001~0.001重量%、約0.001~0.01重量%、約0.01~0.1重量%、約0.1~1重量%、約1~10重量%、約10~20重量%、約20~30重量%、約30~40重量%、または約40~50重量%含むものであってもよい。一具体例によれば、前記化粧料組成物が前記皮膚外用剤用保存剤を化粧料組成物の全体重量に対して約0.0001重量%未満で含む場合、抗菌または防腐効果が減少し、前記皮膚外用剤用保存剤を化粧料組成物の全体重量に対して約50重量%超過で含む場合、固体化、沈殿発生、溶解力の減少、乳化力または可溶化力の減少などの安定性の低下を引き起こしうる。
【0034】
前記化粧料組成物は、精製水、担体、乳化剤、保湿剤、皮膚コンディショニング剤、界面活性剤、キレート剤、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、安定化剤、保存剤、pH調整剤、潤滑剤、可溶化剤、溶剤、およびその組み合わせからなる群より選択される添加剤を追加的に含むものであってもよく、これに限定されない。また、前記化粧料組成物は、皮膚に必須栄養素を補助的に提供可能な物質または皮膚状態を改善させる物質、例えば、シワまたは美白改善などの効果を有する機能性物質をさらに含むことができる。前記化粧料組成物は、天然香、化粧品香、または植物抽出物が含まれるが、これらに限らない補助剤をさらに含むことができる。
【0035】
前記化粧料組成物は、当業界にて通常製造されるいかなる剤形でも製造可能である。具体的には、前記化粧料組成物は、その剤形が溶液、乳濁液、懸濁液、柔軟化粧水、栄養化粧水、マッサージクリーム、栄養クリーム、パック、ジェル、皮膚粘着タイプの化粧料、口紅、パウダー、メーキャップベース、ファウンデーション、シャンプー、リンス、頭皮用洗浄剤、頭皮用化粧水、頭皮用クリーム、頭皮用パック、頭皮用ジェル、頭皮用軟膏、頭皮用ゲル、ボディクレンザー、石けん、歯磨き粉、口腔洗浄剤、ペースト、ローション、軟膏、ゲル、クリーム、パッチ、スプレー、または噴霧剤であってもよく、これに限定されるものではない。
【0036】
前記化粧料組成物に含まれる担体は、化粧品の剤形によって選択的に使用可能である。例えば、軟膏、ペースト、クリーム、またはジェル状の化粧品を製造する場合には、担体成分として、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、シリカ、タルク、酸化亜鉛などを単独でまたは組み合わせて使用可能である。パウダーまたはスプレー状の化粧品を製造する場合には、担体成分として、ラクトース、タルク、シリカ、アルミニウムヒドロキシド、カルシウムシルケート、ポリアミドパウダー、クロロフルオロハイドロカーボン、プロパン/ブタン、ジメチルエーテルなどを単独でまたは組み合わせて使用可能である。溶液または乳濁液状の化粧品を製造する場合には、担体成分として、水、エタノール、イソプロパノール、エチルカーボネート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、プロピレングリコール、1,3-ブチルグリコールオイル、綿実油、ピーナッツ油、トウモロコシ胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、胡麻油、グリセロール脂肪族エステル、ポリエチレングリコール、またはソルビタンの脂肪酸エステルなどを単独でまたは組み合わせて使用可能である。懸濁液状の化粧品を製造する場合には、担体成分として、水、エタノールまたはプロピレングリコール、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールエステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、微小結晶性セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天、トラガカントなどを単独でまたは組み合わせて使用可能である。石けん状の化粧品を製造する場合には、担体成分として、脂肪酸のアルカリ金属塩、脂肪酸ヘミエステル塩、脂肪酸タンパク水素化物、イセチオネート、ラノリン誘導体、脂肪族アルコール、植物性油、グリセロール、糖などを単独でまたは組み合わせて使用可能である。
【0037】
上記の化粧料組成物で言及された用語または要素のうち、前記皮膚外用剤用保存剤に関する説明で言及されたようなものは、上記の前記皮膚外用剤用保存剤に関する説明で言及された通りに理解される。
【0038】
さらに他の態様は、ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテル;またはポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を混合するステップを含む皮膚外用剤用保存剤を製造する方法を提供する。
【0039】
前記方法において、前記各構成の混合重量比、重量%、または重量部は、前記皮膚外用剤用保存剤に関する説明で言及された通りである。
【0040】
さらに他の態様は、前記皮膚外用剤用保存剤を用いて前記皮膚外用剤または前記化粧料組成物を抗菌、保存、または防腐処理する方法を提供する。
【0041】
上記の方法で言及された用語または要素のうち、前記皮膚外用剤用保存剤または化粧料組成物に関する説明で言及されたようなものは、上記の前記皮膚外用剤用保存剤または化粧料組成物に関する説明で言及された通りに理解される。
【0042】
以下、本発明を、実施例を通じてより詳細に説明する。しかし、これらの実施例は本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例
【0043】
1.ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、またはこれらの組み合わせを含む皮膚外用剤用保存剤の製造および評価
実施例1.から実施例5.皮膚外用剤用保存剤の製造
本実施例では、ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、またはこれらの組み合わせを含む皮膚外用剤用保存剤を製造した。前記ポリリジンとしてポリエプシロン-リジンを使用した。
【0044】
具体的には、混合された各原料の重量%を異にする、5種類の皮膚外用剤用保存剤を製造し、その結果を下記表1に示した。
【0045】
【表1】
実験例1.皮膚外用剤用保存剤の抗菌効果の確認
本実験例では、前記製造された実施例1~5の皮膚外用剤用保存剤の抗菌効果を確認するために、Escherichia coli(ATCC8739)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC9027)、Staphylococcus aureus(ATCC6538)、Candida albicans(ATCC10231)、およびAspergillus brasiliensis(ATCC16404)などのバクテリアまたは真菌に対する前記各実施例の最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration、MIC)を測定した。
【0046】
具体的には、前記製造された実施例1~5の皮膚外用剤用保存剤それぞれを約13%~約25%に希釈し、これらのそれぞれを再度1/2に10段階まで希釈した。これにより、前記実施例1~5の皮膚外用剤用保存剤それぞれに対する多様な濃度(約0.05%~約10%)の試料を製造し、得られた各試料をそれぞれ独立してトリプチケースソイ培地(TSB)またはジャガイモ寒天培地(PDA)に添加した。各試料が添加された培地約10mlに、最終的に菌の濃度が約10CFU/mlとなるように、前記バクテリアまたは真菌それぞれを接種した後、約25℃または約32℃で約24~48時間培養した。その後、菌培養液の状態を観察して菌の生長を約95%以上阻害させることができる試料の最小濃度をMICに決定した。試料を全く添加しない培地での正常な菌の生長を測定して陽性対照群として用い、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、またはプロピレングリコールそれぞれを単独で添加した培地での菌の生長に対するMICを測定して比較群として用いた。
【0047】
その結果、表2に示したように、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、またはプロピレングリコールそれぞれを単独で処理する場合に比べて、ポリエプシロン-リジンおよびカプリリルグリセリルエーテルを組み合わせて製造された前記実施例1~5の皮膚外用剤用保存剤の場合、著しく低い濃度で優れた抗菌活性を示すことを確認した。
【0048】
【表2】
2.ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を含む皮膚外用剤用保存剤の製造および評価
実施例6.から実施例50.安定性が増加した皮膚外用剤用保存剤の製造(最適な組成比導出)
前記実施例1~5の皮膚外用剤用保存剤の場合、固体化または沈殿現象が発生しかねず、化粧料組成物への適用に限界がありうる。したがって、本実施例では、安定性がさらに増加した皮膚外用剤用保存剤を製造し、これにより、皮膚外用剤用保存剤を構成する成分の最適な組み合わせおよび組成比を導出した。
【0049】
具体的には、ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルの他にグリコール類化合物を追加的に添加し、各成分の組成比を調節することにより、皮膚外用剤用保存剤の安定性を最適化した。すなわち、ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を、組成比を異ならせて含む実施例6~実施例50の皮膚外用剤用保存剤を製造した後、冷蔵条件(約2~8℃)で約72時間保管後に安定性を評価した。前記ポリリジンとしてポリエプシロン-リジンを使用し、前記グリコール類化合物としてプロピレングリコール、ブチレングリコール、またはペンチレングリコールを使用した。
【0050】
その結果、表3、4、および5に示したように、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を0.1~10:5~35:63~75の重量比で含む実施例6、7、9、10、12、14、15、17、21、24、27、29、30、36、39、42、44、および45の皮膚外用剤用保存剤の場合に、固体化または沈殿現象の発生なしに液状状態が安定的に維持されて、著しく増加した安定性を示すことを確認した。
【0051】
特に、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を0.1~5:10~30:65~75の重量比で含む実施例6、9、12、14、15、21、24、27、29、30、36、39、42、44、および45の皮膚外用剤用保存剤において、前記グリコール類化合物としてプロピレングリコール、ブチレングリコール、またはペンチレングリコールを使用したそれぞれの場合、すべて固体化または沈殿現象の発生なしに液状状態が安定的に維持されて、著しく増加した安定性を示すことを確認した。また、皮膚外用剤用保存剤に含まれたポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物の組成比が0.1~5:10~30:65~75の重量比を外れる場合、固体化または沈殿現象などが発生して、安定性が著しく減少しうることを確認した。
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
本実施例を通して、ポリリジン約0.1~5重量%、カプリリルグリセリルエーテル約10~30重量%、およびグリコール類化合物約65~75重量%を含む皮膚外用剤用保存剤の場合、ポリリジンおよびカプリリルグリセリルエーテルの混合物で発生しうる固体化または沈殿現象の問題を解消することができ、著しく増加した安定性を示すことができることを確認した。また、皮膚外用剤用保存剤に含まれたポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物それぞれの重量%が前記重量%を外れる場合、固体化または沈殿現象などが発生して、安定性が著しく減少しうることを確認した。
【0055】
実験例2.安定性が増加した皮膚外用剤用保存剤の抗菌力評価
本実験例では、ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を0.1~5:10~30:65~75の重量比で含む皮膚外用剤用保存剤の抗菌効果を確認するために、Escherichia coli(ATCC8739)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC9027)、Staphylococcus aureus(ATCC6538)、Candida albicans(ATCC10231)、およびAspergillus brasiliensis(ATCC16404)などのバクテリアまたは真菌に対する前記各実施例の最小発育阻止濃度(minimum inhibitory concentration、MIC)を測定した。前記ポリリジンとしてポリエプシロン-リジンを使用し、前記グリコール類化合物としてプロピレングリコール、ブチレングリコール、またはペンチレングリコールを使用した。
【0056】
具体的には、表6に示したように、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を0.1~5:10~30:65~75の重量比で含む皮膚外用剤用保存剤を製造した。製造された皮膚外用剤用保存剤それぞれを約10%に希釈し、これらのそれぞれを再度1/2に12段階まで希釈した。これにより、前記皮膚外用剤用保存剤それぞれに対する多様な濃度(約0.01%~約10%)の試料を製造し、得られた各試料をそれぞれ独立してトリプチケースソイ培地(TSB)またはジャガイモ寒天培地(PDA)に添加した。各試料が添加された培地約10mlに、最終的に菌の濃度が約10CFU/mlとなるように、前記バクテリアまたは真菌それぞれを接種した後、約32℃または約25℃で約24~48時間培養した。その後、菌培養液の状態を観察して菌の生長を約95%以上阻害させることができる試料の最小濃度をMICに決定した。試料を全く添加しない培地での正常な菌の生長を測定して陽性対照群として使用した。
【0057】
その結果、表6に示したように、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を0.1~5:10~30:65~75の重量比で含む皮膚外用剤用保存剤において、前記グリコール類化合物としてプロピレングリコール、ブチレングリコール、またはペンチレングリコールを使用したそれぞれの場合、いずれも著しく低い濃度で優れた抗菌活性を示すことを確認した。特に、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールを0.1~1:25~30:65~75の重量比で含む皮膚外用剤用保存剤の場合、C.albicansまたはA.brasiliensisに対して最も優れた抗菌活性を示すことを確認した。
【0058】
【表6】
本実験例を通して、ポリリジン約0.1~5重量%、カプリリルグリセリルエーテル約10~30重量%、およびグリコール類化合物約65~75重量%を含む皮膚外用剤用保存剤の場合、著しく低い濃度で優れた抗菌活性を示すことを確認した。
【0059】
特に、ポリエプシロン-リジン約0.1~1重量%、カプリリルグリセリルエーテル約25~30重量%、およびプロピレングリコール約65~75重量%を含む皮膚外用剤用保存剤の場合、バクテリアおよび真菌ともに対して著しく低い濃度で最も優れた抗菌活性を示すことを確認した。
【0060】
3.皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物の製造および評価
実施例51.から実施例56.皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物の製造(エマルジョンおよびシャンプー)
本実施例では、ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物のうちの2以上を含む皮膚外用剤用保存剤を含み、その他の化粧料原料を追加的にさらに含む化粧料組成物を製造した。前記ポリリジンとしてポリエプシロン-リジンを使用し、前記グリコール類化合物としてプロピレングリコールを使用した。
【0061】
具体的には、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールのうちの2以上を含み、それらの重量比を異にする3種類の皮膚外用剤用保存剤を製造し、前記3種類の皮膚外用剤用保存剤のうちのいずれか1つを約3重量%含み、追加的に含まれたその他の化粧料原料の重量%は同一に維持して製造された、3種類のエマルジョン剤形および3種類のシャンプー剤形の化粧料組成物を得た。その結果を下記表7および8に示した。また、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールをすべて含まないエマルジョンおよびシャンプー剤形の化粧料組成物を製造し、比較群として使用した。
【0062】
【表7】
【0063】
【表8】
実験例3.皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物(エマルジョンおよびシャンプー)の防腐力評価
本実験例では、前記ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物のうちの2以上を含む皮膚外用剤用保存剤の防腐力を評価するために、前記皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物である、前記実施例51~56の化粧料組成物に、一定数の菌を接種した後、残存する生菌数を確認した。前記比較例1および2の化粧料組成物を比較群として使用した。
【0064】
具体的には、前記実施例51~56および比較例1および2の化粧料組成物それぞれに、Escherichia coli(ATCC8739)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC9027)、またはStaphylococcus aureus(ATCC6538)の菌培養液をそれぞれ独立して接種して混合し、この時、各試料あたりのバクテリアの初期濃度が約10CFU/gとなるようにした。その後、各試料を約30℃~約32℃の恒温槽で約4週間培養しながら、約7日間隔で各試料の約1gを取って、残存する生菌数を測定した。
【0065】
また、前記実施例51~56、および比較例1および2の化粧料組成物それぞれに、真菌類であるAspergillus brasiliensis(ATCC16404)の菌培養液を接種および混合して、各試料あたりの菌の初期濃度が約10CFU/gとなるようにした。その後、各試料を約25℃の恒温槽で約4週間培養しながら、約7日間隔で、各試料に対して変臭の有無と試料表面の菌糸および胞子発生の有無を観察した。
【0066】
その結果、表9に示したように、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールを0.1~1:25~30:65~75の重量比で含む皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物である、前記実施例51および54の場合、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールの中から選択される2種のみを含む皮膚外用剤用保存剤を含むか、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールのすべてを含まない化粧料組成物である、前記実施例52、53、55、56、および比較例1および2と比較して、バクテリアおよび真菌に対する防腐力が著しく優れていることを確認した。
【0067】
【表9】
(-:8週間変臭、菌糸、および胞子の発生がない正常状態;+:4週以内に器壁または蓋にカビ発生;++:4週以内に変臭発生および試料表面の一部にカビ発生;+++:4週以内に変臭発生および試料表面全体にカビ発生)
本実験例を通して、ポリリジン約0.1~1重量%、カプリリルグリセリルエーテル約25~30重量%、およびグリコール類化合物約65~75重量%を含む皮膚外用剤用保存剤をエマルジョンおよびシャンプー剤形の化粧料組成物に添加する場合、バクテリアおよび真菌に対する防腐力が著しく優れていることを確認し、皮膚外用剤用保存剤に含まれたポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物それぞれの重量%が前記重量%を外れる場合、エマルジョンおよびシャンプー剤形の化粧料組成物において、バクテリアおよび真菌に対する防腐力が著しく減少することを確認した。
【0068】
実施例57.から実施例60.皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物の製造(クリーム)
本実施例では、ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を含む皮膚外用剤用保存剤を含み、その他の化粧料原料を追加的にさらに含む化粧料組成物を製造した。前記ポリリジンとしてポリエプシロン-リジンを使用し、前記グリコール類化合物としてプロピレングリコールを使用した。
【0069】
具体的には、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールの重量比を異にする4種類の皮膚外用剤用保存剤を製造し、前記4種類の皮膚外用剤用保存剤のいずれか1つを約3重量%含み、追加的に含まれているその他の化粧料原料の重量%は同一に維持して製造された、4種類のクリーム剤形の化粧料組成物を得た。その結果を下記表10に示した。また、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールをすべて含まないクリーム剤形の化粧料組成物を製造し、比較群として使用した。
【0070】
【表10】
実験例4.皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物(クリーム)の防腐力評価
本実験例では、前記ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を含む皮膚外用剤用保存剤の防腐力を評価するために、前記皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物である、前記実施例57~60の化粧料組成物に、一定数の菌を接種した後、残存する生菌数を確認した。前記比較例3の化粧料組成物を比較群として使用した。
【0071】
具体的には、前記実施例57~60および比較例3の化粧料組成物それぞれに、Escherichia coli(ATCC8739)、Pseudomonas aeruginosa(ATCC9027)、またはStaphylococcus aureus(ATCC6538)の菌培養液をそれぞれ独立して接種して混合し、この時、各試料あたりのバクテリアの初期濃度が約10CFU/gとなるようにした。その後、各試料を約30℃~約32℃の恒温槽で約4週間培養しながら、約7日間隔で各試料の約1gを取って、残存する生菌数を測定した。
【0072】
また、前記実施例57~60および比較例3の化粧料組成物それぞれに、真菌類であるAspergillus brasiliensis(ATCC16404)の菌培養液を接種および混合して、各試料あたりの菌の初期濃度が約10CFU/gとなるようにした。その後、各試料を約25℃の恒温槽で約4週間培養しながら、約7日間隔で、各試料に対して変臭の有無と試料表面の菌糸および胞子発生の有無を観察した。
【0073】
その結果、表11に示したように、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールを0.1~1:25~30:65~75の重量比で含む皮膚外用剤用保存剤を含む化粧料組成物である、前記実施例57の場合、バクテリアおよび真菌に対する防腐力が著しく優れていることを確認した。これに対し、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールを前記0.1~1:25~30:65~75の比率を外れた重量比で含む皮膚外用剤用保存剤を含むか、ポリエプシロン-リジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびプロピレングリコールのすべてを含まない化粧料組成物である、前記実施例58、59、60、および比較例3は、バクテリアおよび真菌に対する防腐力が著しく減少したことを確認した。
【0074】
【表11】
(-:8週間変臭、菌糸、および胞子の発生がない正常状態;+:4週以内に器壁または蓋にカビ発生;++:4週以内に変臭発生および試料表面の一部にカビ発生;+++:4週以内に変臭発生および試料表面全体にカビ発生)
本実験例を通して、ポリリジン約0.1~1重量%、カプリリルグリセリルエーテル約25~30重量%、およびグリコール類化合物約65~75重量%を含む皮膚外用剤用保存剤をクリーム剤形の化粧料組成物に添加する場合、バクテリアおよび真菌に対する防腐力が著しく優れていることを確認し、皮膚外用剤用保存剤に含まれたポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物それぞれの重量%が前記重量%を外れる場合、クリーム剤形の化粧料組成物において、バクテリアおよび真菌に対する防腐力が著しく減少することを確認した。
【0075】
前記実施例および実験例を通して、ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、グリコール類化合物、またはこれらの組み合わせを含む皮膚外用剤用保存剤の場合、優れた抗菌および防腐効果を示すことができることを確認し、加えて、皮膚刺激が非常に低くて皮膚に安全であるので、化粧料組成物への使用に適することを確認した。
【0076】
特に、ポリリジン、カプリリルグリセリルエーテル、およびグリコール類化合物を0.1~5:10~30:65~75の重量比、具体的には0.1~1:25~30:65~75の重量比で含む皮膚外用剤用保存剤の場合、バクテリアだけでなく、真菌に対しても著しく優れた抗菌および防腐効果を示し、同時に最適化された剤形安定性を示すので、保存剤、防腐剤、または防腐補助剤として化粧料組成物に安定的に適用できることを確認した。
【0077】
以上、本発明の特定の部分を詳細に記述したが、当業界における通常の知識を有する者にとってこのような具体的な記述は単に好ましい実施形態に過ぎず、よって、本発明の範囲が制限されるものではない点は明らかである。したがって、本発明の実質的な範囲は添付した請求項とその等価物によって定義される。
【国際調査報告】