(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】眼内レンズ、眼内レンズのための挿入器具、眼内レンズを備えた組立体、および製造のための方法
(51)【国際特許分類】
A61F 2/16 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
A61F2/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527362
(86)(22)【出願日】2021-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-05-16
(86)【国際出願番号】 NL2021050669
(87)【国際公開番号】W WO2022093030
(87)【国際公開日】2022-05-05
(32)【優先日】2020-10-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523162432
【氏名又は名称】オフテック・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ペーター・ビエモルド
(72)【発明者】
【氏名】ハリー・フランシスクス・シモン
(72)【発明者】
【氏名】チャルケ・ヤダイ・ゼイルストラ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・ヘンドリク・デュッセレー
(72)【発明者】
【氏名】ルーロフ・スピールマン
【テーマコード(参考)】
4C097
【Fターム(参考)】
4C097AA25
4C097BB01
4C097BB04
4C097BB09
4C097CC01
4C097CC05
4C097CC14
4C097EE03
4C097MM09
4C097SA01
4C097SA05
4C097SA08
(57)【要約】
本発明は、眼内レンズと、眼内レンズの挿入のための器具と、レンズおよび器具の組立体と、このようなレンズの製造のための方法とに関する。本発明によるレンズは、- 実質的に円形の周囲部が設けられた、柔軟な光学材料の光学要素と、- ハプティック形態ロック要素が設けられる少なくとも1つハプティック要素と、を備え、光学要素と、ハプティック形態ロック要素を伴う少なくとも1つのハプティック要素とは、光学材料へのハプティック要素の連結によって相互に連結される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目に挿入されるように構成された眼内レンズであって、
実質的に円形の周囲部が設けられた、柔軟な光学材料の光学要素と、
ハプティック形態ロック要素が設けられた少なくとも1つハプティック要素と、
を備え、
前記光学要素と、前記ハプティック形態ロック要素を伴う前記少なくとも1つハプティック要素と、は前記光学材料への前記ハプティック要素の連結によって相互に連結されることを特徴とする眼内レンズ。
【請求項2】
前記ハプティック要素には、虹彩の前側と後側との両方に前記眼内レンズを配置するために構成された開放部または切断部が設けられる、請求項1に記載の眼内レンズ。
【請求項3】
前記ハプティック形態ロック要素は、前記光学要素の前記周囲部の中に全体または一部があり、前記光学要素の前記柔軟な材料で満たすことができる開放部を備える、請求項1または2に記載の眼内レンズ。
【請求項4】
前記ハプティック形態ロック要素は、前記光学要素の前記柔軟な材料によって全体または一部が包囲されるフック状要素を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載の眼内レンズ。
【請求項5】
前記ハプティック形態ロック要素は、前記光学要素の前記実質的に円形の周囲部の中に実質的に全体がある、請求項3または4に記載の眼内レンズ。
【請求項6】
前記光学材料は疎水性である、請求項1から5のいずれか一項に記載の眼内レンズ。
【請求項7】
ハプティック材料は、圧縮成形されたポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の眼内レンズ。
【請求項8】
前記眼内レンズの周縁に縁構成が設けられ、第1の側に凸形態が設けられ、第2の側に凹形態が設けられる、請求項1から7のいずれか一項に記載の眼内レンズ。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のレンズを目に挿入するための挿入器具であって、
レンズを受け入れるように構成されたへらと、
前記レンズを折り畳むように構成された折り畳み機構と、
前記レンズを挿入する目的のために前記へらを移動させるように構成された位置決め機構と、
を備える挿入器具。
【請求項10】
前記へらには、前記レンズを折り畳み状態に保持するように構成された留め付け要素が設けられる、請求項9に記載の挿入器具。
【請求項11】
湾曲した先端が設けられる、請求項9または10に記載の挿入器具。
【請求項12】
前記先端に、前記レンズの挿入の間に前記先端を位置決めするための目印が設けられる、請求項11に記載の挿入器具。
【請求項13】
前記位置決め機構には、前記へらを後退させるおよび/または延出させるための回転可能動作要素が設けられる、請求項9から12のいずれか一項に記載の挿入器具。
【請求項14】
前記折り畳み機構は、折り畳みおよび固定クリップを備える、請求項9から13のいずれか一項に記載の挿入器具。
【請求項15】
前記位置決め機構は、前記レンズの挿入の間に前記折り畳みおよび固定クリップがその上を移動するために構成される案内部を備える、請求項14に記載の挿入器具。
【請求項16】
前記位置決め機構には、前記へらの後退および/または延出のための押圧要素が設けられる、請求項9から15のいずれか一項に記載の挿入器具。
【請求項17】
前記位置決め機構はバネ要素をさらに備える、請求項16に記載の挿入器具。
【請求項18】
へらとして機能するスクリーニングをさらに備える、請求項9から17のいずれか一項に記載の挿入器具。
【請求項19】
前記折り畳み機構には挟み要素が設けられる、請求項9から18のいずれか一項に記載の挿入器具。
【請求項20】
前記へらを後退させるおよび/または延出させるための動作レバーをさらに備える、請求項19に記載の挿入器具。
【請求項21】
前記動作レバーには固定点が設けられる、請求項20に記載の挿入器具。
【請求項22】
請求項1から21のいずれか一項以上に記載の挿入器具と眼内レンズの組立体。
【請求項23】
折り畳みおよび固定クリップをさらに備える、請求項22に記載の組立体。
【請求項24】
請求項1から8のいずれか一項によるレンズを製造するための方法。
【請求項25】
請求項1から8のいずれか一項に記載のレンズを目に挿入するための方法であって、
前記レンズを器具に取り付けるステップと、
前記レンズが付いた挿入器具を、準備された切開に配置するステップと、
前記レンズを位置決めおよび固定するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目に挿入される眼内レンズに関する。このようなレンズは、通常、切開を介して目に挿入され、ハプティック要素を使用して目に固定される。このような眼内レンズは、インプラントレンズまたは人工水晶体とも称され、元のレンズを置き換えるために、または、元のレンズへの追加として、(人の)目に埋め込まれる。
【背景技術】
【0002】
従来の眼内レンズは切開を通じて水晶体嚢に挿入され、寸法はレンズの折り畳み寸法に対応する。ここで、眼内レンズには、光学要素、すなわち光学部が設けられ、また、レンズを嚢において中心付けるために、または、レンズを虹彩に固定するために、ハプティック要素、すなわちハプティックが設けられる。挿入の間、必要な切開が、目へのレンズの挿入のために行われる。
【0003】
特許文献1は、眼内レンズと、付随する挿入器具とを記載しており、それによってレンズを目に挿入することができる。これにより、レンズを、虹彩の前側に、または虹彩の後側に、埋め込むことが可能である。特許文献1は、切開の寸法を小さくし、目に行われる損傷を制限することを可能とするために、柔軟で変形可能な材料のレンズの適用をさらに記載している。眼内レンズには、粘着性の連結で光学要素に連結されるハプティック要素がさらに設けられる。ここで、粘着性の連結は、第1の材料のハプティック要素を第2のより柔軟な材料の光学要素に付着させるために適用される。これによって、多様な材料が1つの眼内レンズ内で組み合わされ、次に目に挿入される。これは、すべての個々の材料が(人の)目における適用に適していなければならないことを意味する。この目的のために、厳格な要件がこれらの材料について設定される。固定連結が、ハプティック要素と光学要素との間の接着によってさらに得られる。これは、レンズの柔軟性を全体として低減する。これは、レンズの折り畳みが邪魔され、切開が比較的大きな寸法をなおも有するように、柔軟性を制限してしまう。異なる材料の組み合わせは、レンズの寿命をさらに制限する可能性がある。これは、このようなレンズの実用性の制限をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許第1344503号
【特許文献2】米国特許出願第10,196,470号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、上記の問題を取り除くかまたは少なくとも低減すること、および実際に使用可能であるレンズを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、目に挿入されるように構成された、本発明による眼内レンズであって、
- 実質的に円形の周囲部が設けられた、柔軟な光学材料の光学要素と、
- ハプティック形態ロック要素が設けられる少なくとも1つハプティック要素と
を備え、
光学要素と、ハプティック形態ロック要素を伴う少なくとも1つのハプティック要素とは、光学材料へのハプティック要素の連結によって相互に連結される、眼内レンズで達成される。
【0007】
本発明による眼内レンズには、光学要素が折り畳み可能となるように、柔軟な材料の光学要素が設けられる。これによって、光学要素は、レンズの直径より小さい切開を目において用いることで、目に挿入させることができる。目において、好ましくはその虹彩に、光学要素を固定することができるようにするために、レンズは少なくとも1つのハプティック要素が設けられる。本発明によれば、少なくとも1つのハプティック要素にはハプティック形態ロック要素が設けられ、光学要素と、少なくとも1つのハプティック要素とは、形態ロック要素を用いて、光学材料へのハプティック要素の連結によって相互に連結される。形態ロック要素を利用することで、光学要素は、不必要な連結または固定の連結を必要とすることなく、効果的な手法でハプティック要素に連結される。これによって光学要素の柔軟性への影響は最小限となり、そのため、従来の虹彩固定レンズと比較して、より小さい切開の寸法で十分であり得る。形態ロック要素はハプティックおよび/または光学部の一部を形成し、これらのそれら一部が相互に連結されることを確保する。ハプティック要素を光学材料に連結することは、例えば、ハプティック要素を光学材料へ挿入することによる、または、光学材料をハプティック要素の中または表面に配置することによるなど、多様な方法で実施することができる。本発明による眼内レンズの利点は、実際上緑内障をもたらす危険がないように、レンズが角膜/虹彩の房の隅と接触しないことである。これは、失明の危険性を大幅に低減する。
【0008】
柔軟な材料からの光学要素を提供することは、最小限の切開を通じた挿入を可能とするように、レンズを折り畳むことを可能にする。レンズは、好ましくは、ここで、目における切開を通じたレンズの折り畳み/挿入の間にハプティックが(大幅に)屈曲/変形することができないように構築される。
【0009】
現在好ましいとされる実施形態のうちの1つでは、ハプティック要素は、眼内レンズの製作過程の間に、任意選択で圧力下において、キャスティングされる。例えば、正確な形および視力の処方を得るために、光学材料をフライス加工および旋盤加工することなどで、望まれる場合、さらなる処理が可能である。ハプティック要素におけるキャスティングの代替として、光学要素の製造の後にハプティック要素を窪みに挿入することが可能であり、ハプティック要素は、光学要素に配置された窪みにそれ自体を固定する。これは、例えば、ハプティック要素がそれ自体を光学要素内に固定するように、いくらか弾性またはしなやかな要素を使用して行うことができる。
【0010】
ハプティック要素の数は、特定の用途および眼内レンズの種類に適合させることができる。この数は、合計で少なくとも1つであり、好ましくは、大半の場合に2つであり、望まれる場合は3つ以上のハプティック要素を備えることもでき、または、さらなる代替として、(部分的に)環状のハプティック要素を備えることもできる。連結を強化するために、接着剤などの粘着材料を少量適用することが可能であるが、接着剤が追加されないことが好ましい。これは、他の種類の材料が適用されないという利点を有する。これは、実際上、レンズの適用を、多くの状況においてより簡単にさせる。光学要素の柔軟性は追加的に、ハプティック要素と光学要素との間に、好ましくは、形態ロックだけ、すなわち形態連結だけの適用によって、できるだけ可能に保たれる。これは、時間に伴って強さが低下し、破壊する可能性すらある接着連結の危険性も防止する。これは、例えば、紫外線放射への露出により起こる可能性がある。楕円または環状の周囲部を意味するようにも理解される実質的に円形の周囲部を光学要素に提供することで、比較的強い要素が得られ、レンズを挿入する目的のための折り畳みの間を除いては、重大な変形が光学要素の平面において起こらない。本発明の状況において、円形の周囲部は、実質的に光学要素、すなわち、いわゆる光学レンズ本体である。特に両側にある、追加の要素が、本発明による実施形態において可能である。円形の周囲部は、製作の間および/または使用中、引っ張りの蓄積を低減し、それによって効果的なレンズを提供する。
【0011】
柔軟な材料は、好ましくは疎水性または親水性の材料である。光学要素は、例えば、シリコーン材料、および/または、親水性もしくは疎水性アクリルから作られる。ハプティック材料は、光学材料よりも、好ましくは若干固いかまたは硬く、より好ましくは大幅により固いかまたは硬く、例えば、(圧縮成形された)PMMAまたはPESを含む。光学要素の屈曲は好ましくは、引っ張りの蓄積をさらに低減するように、光学要素の平面において2つのハプティック要素の間で、中心軸の周りで実施される。ハプティック要素は、好ましくは3mmより小さく、好ましくは約2.5mmの大きさであり、虹彩へのレンズの十分な保持力が達成され、挿入の間に(永久的な)変形を付与する危険性が、追加的に弱められる。
【0012】
レンズの現在好ましいとされている実施形態のうちの1つでは、光学部は、疎水性アクリルおよびPMMAのハプティックから作られる。ここで、光学部とハプティックとの間の連結は、2つの異なる材料の間の連結である。このような実施形態では、材料、設計および連結は、十分な強度を伴う折り畳み可能レンズが確保されるようなものである。
【0013】
さらなる追加の利点として、本発明による眼内レンズは、視力を矯正するために(レンズ交換)、虹彩の前側に配置される屈折の様式で具現化することができ、ここでは水晶体が保護され得る。これは、本発明によるレンズの実用性を向上させる。
【0014】
本発明による有利な実施形態によれば、ハプティック要素には、虹彩の前側と後側との両方に眼内レンズを配置するために構成された開放部または切断部が設けられる。
【0015】
ハプティック要素において、切断部、または代替で開放部を設けることは、本発明による眼内レンズの配置のための場所の周りに増大した柔軟性をもたらす。これは、虹彩の前側(前房)および後側(後房)に同じレンズを配置することが可能であるためである。これによって、本発明によるレンズは柔軟に利用することができ、レンズの種類に関する問題および誤りが追加的に回避される。
【0016】
一部には先に述べられた開放部または切断部に起因して、ハプティック要素は好ましくは、このような好ましいとされる実施形態で可能なある種の虹彩組織クリップ機構を用いた虹彩への取り付けで目に配置するのに適している。
【0017】
本発明による有利な実施形態では、眼内レンズのハプティック形態ロック要素には、光学要素の周囲部の中に全体または少なくとも一部があり、光学要素の柔軟な材料で満たすことができる開放部が設けられる。
【0018】
光学要素の柔軟な材料で全体または少なくとも一部が満たされるハプティック形態ロック要素に開放部を設けることで、効果的な形態ロックまたは形態連結が実現される。現在好ましいとされている実施形態では、これは、本発明による眼内レンズの製作の間にハプティック要素内でのキャスティングによって達成される。形態ロックをさらに向上させるために、1つのハプティック要素あたり2つ以上の開放部を提供することが可能であることは明らかである。
【0019】
本発明によるさらなる有利な実施形態では、ハプティック形態ロック要素は、光学要素の柔軟な材料によって実質的に全体または少なくとも一部が包囲されるフック状要素を備える。
【0020】
フック状要素をハプティック要素に設けることで、効果的な形態連結または形態ロックを実現する。このようなフック状要素は、例えばT字形として具現化され得る。この要素は、キャスティングによって挿入され得るか、または光学形態ロック要素の若干弾性のある部分またはしなやかな部分を使用して、後に光学要素の窪みに配置され得る。
【0021】
形態ロックの一部としての形態ロック要素は、好ましくは、光学要素の実質的に円形の周囲部の中に全体が位置する。これは、好ましくは、開放部が設けられたハプティック形態ロック要素と、フック状要素が設けられた光学形態ロック要素との両方について該当する。光学要素の実質的に円形の周囲部の内部に形態ロック要素を実質的に全体で配置することで、レンズの寸法は制限されたままであり得る。これによって、必要とされる材料の量が、追加的に限られたままであることができる。
【0022】
光学材料は好ましくは疎水性である。このような疎水性材料は、例えば特許文献2に記載されている。
【0023】
現在好ましいとされる実施形態では、光学要素は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む、または、代替の実施形態では、ハプティック要素はシリコーン材料を含み、そこでは好ましくは疎水性材料が適用される。現在好ましいとされる実施形態では、ハプティック要素は全体がPMMAから提供される。これによって、柔軟で折り畳み可能な光学要素が得られる。
【0024】
本発明による現在好ましいとされている実施形態では、レンズの周縁に縁構成が設けられ、第1の側に凸形態が設けられ、第2の側に凹形態が設けられる。この縁は、凸レンズ、凹レンズ、および両凸レンズの形態などが設けられるレンズを含め、多様な種類のレンズに適用できる。
【0025】
眼内レンズについての通常の縁構成は、通常は真っ直ぐである。これは、状況によっては気に障る眩しさ、いわゆるハローをもたらす可能性がある。凸状側と凹状側とが使用される縁構成を提供することは、入射点を短くすることで網膜における焦点を最適化し、それによって、気に障る眩しさおよびハローが制限されるか、または、あらゆる場合においてできる限り防止される。このような縁構成であれば、本発明によれば、気に障る眩しさおよびハローは、実際には、網膜の焦点の外側で維持される。これは、このような眼内レンズが提供される使用者に対して、視力および快適性を大幅に向上させる。このような縁構成の適用を伴う本発明による実施形態の例が、
図1Eに示されている。
【0026】
本発明による縁構成は、好ましくは、形態ロック要素を伴う本発明による眼内レンズに適用されるが、先に述べられているように、このような縁構成を他の(従来の)レンズに適用することも可能であり、ハプティック要素と光学要素との間の連結は、例えば、粘着または接着の連結を用いて実現される。
【0027】
本発明は、本発明によるレンズを目に挿入するための挿入器具であって、
- レンズを受け入れるように構成されたへらと、
- レンズを折り畳むように構成された折り畳み機構と、
- レンズを挿入する目的のためにへらを移動させるように構成された位置決め機構と
を備える器具にも関する。
【0028】
本発明による挿入器具は、眼内レンズを目に挿入するのに特に適している。眼内レンズは、好ましくは本発明によるレンズであるが、望まれる場合には従来のレンズであってもよい。本発明による挿入器具は、レンズが取り付けられるへらが設けられる。へらは、切開を通じて目における所望の場所までレンズを通すために使用される。挿入器具に折り畳み機構を設けることで、レンズを効果的な手法で折り畳むことができ、好ましくは、レンズが使用の位置へと折り畳み解除することができるように、へらが切開を通過させられ、折り畳み機構がレンズを解放するまで、折り畳み状態でへらに保持させることができる。挿入器具には位置決め機構がさらに設けられ、それによって、へらを移動させることができ、ここでは好ましくは、レンズを目に位置決めするために、へらは切開を通じて突出することができる。
【0029】
挿入器具は、好ましくは1回の使用のために構成される。現在好ましいとされている実施形態では、挿入器具は、使用後に加圧滅菌器などで殺菌されるとき、もはや機能しなくなるような温度に曝される。これは、例えば衛生状態に関して、挿入器具の再使用に伴う可能性のある問題を回避する。
【0030】
挿入器具は、好ましくは、へらに留め付け要素がさらに設けられる。留め付け要素は、レンズを折り畳み状態に保持するように構成されている。留め付け要素は、レンズを折り畳み状態で切開に通し、その後に折り畳み解除のためにレンズを解放することを可能にする。これは効果的な挿入器具をもたらし、それによって、レンズは、効果的な手法で、所望の場所において目に配置させることができる。
【0031】
本発明による有利な実施形態において、挿入器具には、湾曲した先端が設けられる。
【0032】
湾曲した先端を提供することで、レンズは、比較的簡単な手法で、切開を通じて目における所望に場所まで通すことができる。湾曲した先端は、好ましくは、レンズも折り畳まれ、そのため先端が折り畳み機構として機能するように、具現化される。これは、レンズが、使用の折り畳み解除位置において湾曲した先端の中に導入され、ここで、先端への導入の間に折り畳み状態にさせられ、切開を通過した後に先端を出て、再び使用の位置へと折り畳み解除することができることを意味する。これは、使用者にとって効果的な作業姿勢を可能とし、効果的で、好ましくは受動的な折り畳み機構を実現もする。
【0033】
先端は、好ましくは、レンズの挿入の間に先端を位置決めするための目印が設けられる。ここで、目印は、切開に対する先端の所望の位置を指示するために好ましくは提供される。これは、使用者に対して使用の利便性を高め、切開の位置における目への損傷の危険性をできるだけ回避する。
【0034】
有利な実施形態では、位置決め機構には、へらを後退させるおよび/または延出させるための回転可能動作要素がさらに設けられる。
【0035】
回転可能動作要素を設けることは、使用者に実用的な器具を提供し、それによって、へらは、使用者にとって最適な制御で延出させることができ、ここで、望まれる場合には切開を通過させることができる。ここで、動作要素の回転移動が、伝達装置を使用してへらの並進移動に変換される。これは、通常の手法で実施することができ、好ましくは、挿入器具の内部で実施することできる。
【0036】
本発明によるさらなる有利な実施形態では、挿入器具の折り畳み機構は折り畳みおよび固定クリップを備える。
【0037】
折り畳みおよび固定クリップを提供することで、効果的な要素がレンズの折り畳みに提供される。レンズが折り畳み解除状態で配置されるへらを伴う挿入器具は、ここでは好ましくは、レンズが折り畳み状態にされ、クリップがレンズをへらに固定するように、クリップに押圧される。ここで、クリップはレンズのための一種の留め付け要素として機能する。
【0038】
望まれる場合、このようなクリップは、挿入器具の別の構成要素として提供でき、例えば、容器、包装、またはいわゆるブリスターパックの中に配置され得る。レンズを挿入する目的のために、クリップは、好ましくは、切開の近くに、または切開に接して配置され、その後にへらがクリップに対して移動する。それによって、へらの前側は、レンズが折り畳み解除でき、所望の位置で目に挿入することができるように、切開を通じて突出する。
【0039】
挿入器具の現在好ましいとされている実施形態のうちの1つでは、クリップの使用は、折り畳みが包装からのへらおよび/または器具の取り出しと統合され得るという追加の利点を達成する。レンズは、好ましくは、挿入器具と一緒にあらかじめ包装され、ここではへら上に提供される。包装から取り出されるとき、へらは、レンズがクリップの中へと押圧され、それによって折り畳まれるように、回転させられる。これは、挿入器具がハンドルによって取り上げられるとき、包装によって提供される回転軸の周りで旋回/回転移動を実施するように、包装を用いることで可能とされる。器具が包装から取り外される前に、使用者が、レンズを保護するために、初めに粘性材料をクリップ内におよび/またはレンズに提供することが留意される。本発明の状況において、粘性材料は粘弾性材料も意味するものと理解される。器具のハンドルの好ましくはいくらかの回転移動のおかげで、へらは、レンズをクリップの狭くされた部分へと押圧され、クリップはレンズの周りを閉じ、それによって折り畳まれたレンズを固定する。クリップには、この目的のために、器具の回転移動によって互いに向けて移動させられ、レンズと共に一緒に折り畳まれる2つの相互に旋回可能に連結された部品が設けられる。ここで、これらの部品は、包装からの器具の取り出しの後にクリップが閉じたままとなるように、他の端において、例えばスナップ留めシステムと連結される。
【0040】
現在好ましいとされている実施形態では、案内部が、へらとクリップとの間の相対移動の目的のために提供されている。案内部は、レンズの挿入の目的のために、折り畳みおよび固定クリップの案内部にわたる移動のために構成される。案内部は、任意選択でへら自体によって形成される。
【0041】
この現在好ましいとされている実施形態では、クリップは、その挿入の間にへらの最も外側の先端から見られるとき、案内部にわたって後方へ滑らされる。ここで、へらとクリップとの間の全体的な相対移動は、クリップによってもたらされる。相対移動の間、レンズは、好ましくは留め付け要素によって、へらに連結されたままであり、相対移動の結果としてクリップから出て行くことになる。これによって、レンズが使用の位置に戻るように折り畳み解除することが可能である。
【0042】
目へのレンズの挿入の間、へらは目に滑り込まされ、クリップは目に圧し掛かったままである。へらの前側を切開に通すことは、クリップを案内部にわたって後方に滑らせることになる。これによって、レンズは、切開を通じて入った後に折り畳み解除させられ、次に、所望の位置に配置させることができる。次に、へらは、レンズおよび/または組織を損傷させることなく、比較的簡単な手法で切開を通じて取り外すことができる。
【0043】
現在好ましいとされている実施形態において、クリップの前側、すなわち、へらの外側端におけるクリップの側は、面取りされた形態が設けられ、面取りは、特に目の輪郭と実質的に対応し、特に、面取りされた形態により支持が求められる場所に適合している。これらの特定の形は、切開の位置におけるクリップと目との間の連結を向上させる。へらの前端は、切開が開くように切開に配置され得る。クリップを好ましくは強膜に接して配置することで、レンズの埋め込みの間に良好な血液循環を伴う場所に追加の支持が提供される。これは、数ある中でも、レンズが目に滑り込まされている間の切開への歪みが最小限にされるという結果を有する。これは、切開の位置における目への損傷の可能性を低減する。
【0044】
本発明による実施形態では、位置決め機構には、へらの後退および/または延出のための押圧要素が設けられる。
【0045】
押圧要素を提供することは、切開を通じたレンズの挿入の目的のために、へらの移動を可能にする。これは、使用者によるへらの移動の良好な制御を可能にする。
【0046】
位置決め機構には、好ましくはバネ要素がさらに設けられる。このような実施形態では、器具が解放された後、レンズは、へらに配置された後に挿入器具の保持体に戻るように運ばれる。ここで、好ましくは、保持体でレンズを折り畳む目的のために保持体に配置され、次に、レンズを目に挿入することが望まれるような時間まで折り畳み状態で保持体に留まる折り畳み機構の使用が行われる。
【0047】
現在好ましいとされている実施形態のうちの1つにおいて、バネ要素は、力を発揮する使用者がバネ要素を引っ張り、レンズを保持体内に移動させるように提供される。バネ要素を解放することで、バネ要素は緩み、具体的にはレンズを所望の位置に移動させるために、レンズを保持体の外に運ぶ。現在好ましいとされている実施形態において、バネ要素を制御されている手法で開放することが可能であり、レンズのゆっくりとした移動、または、レンズのより素早い移動をもたらすより完成した解放をもたらす。これは、挿入の間の使用者の制御を増加させ、目への損傷の危険性を低下させる。
【0048】
本発明による現在好ましいとされている実施形態において、挿入器具は、へらとして機能する、膜などの移動可能なスクリーニングをさらに備える。
【0049】
例えば膜の形態で、スクリーニングを提供することで、レンズは外部の影響からより良好に保護される。膜は、ここではレンズの周りに、やはりレンズの折り畳み状態で、存在したままとなる。目へのレンズの挿入の後、膜は目から簡単な手法で後退させることができる。
【0050】
本発明によるさらなる有利な実施形態では、挿入器具の折り畳み機構には挟み要素が設けられる。
【0051】
挟み要素を提供することで、へらは、目における切開を通じてレンズを挿入する目的のために、効果的な手法で移動させることができる。現在好ましいとされている実施形態のうちの1つでは、挟み要素は、互いに向けて移動させることができる2つのハンドルによって形成される。この実施形態では、挿入器具は、へらを後退させるおよび/または延出させるための動作レバーをさらに備える。挟み要素を合わせるように絞った後、レンズは好ましくはへら上に折り畳まれ、へらは、切開を通じて目の中に通されるように、動作レバーを使用して延出させ得る。ここで、レンズを伴うへらは、挟み要素を使用して作動させられた折り畳み機構から出て行く。次に、レンズは使用の位置へと折り畳み解除させられ得る。
【0052】
現在好ましいとされている実施形態では、動作レバーには、好ましくは回転軸が設けられる。挟み要素のハンドルを合わせるように絞ることで、レンズはへらに折り畳まれる。動作レバーを移動させることで、へらが同様に移動し、目における切開を通じて突出することができるように、動作レバーは、好ましくは固定点で、回転軸の周りを回転する。ここで、回転軸は、使用者にとって効果的な手法でへらの移動を可能にするために、へらに対して横断する方向に少なくとも部分的に延びる。
【0053】
本発明は、本発明による実施形態における挿入器具および眼内レンズの組立体にも関する。
【0054】
このような組立体は、眼内レンズおよび/または挿入器具について記載されているのと同様の利点および効果を提供する。
【0055】
組立体は、好ましくはあらかじめ包装されており、その後、使用されるとき、ある量の粘性材料が好ましくはレンズに加えられ、それに続いて、器具がレンズの挿入のために使用される。
【0056】
現在好ましいとされている実施形態のうちの1つにおいて、組立体には折り畳みおよび固定クリップがさらに設けられる。このようにして、レンズの折り畳みが、組立体の包装を用いて効果的な手法で実現され得る。
【0057】
へらは、好ましくは、レンズがへら上に2つの方法であらかじめ位置決めされ得るように形成される。例えば、レンズ交換の場合といった、完全な水晶体の場合、レンズは、好ましくは、へらからぶら下がる代わりに、へら上にあらかじめ位置決めされる。これは、配置の間、目におけるレンズの不必要な回転を防止する。
【0058】
本発明は、本発明によるレンズを製造するための方法にもさらに関する。このような製造は、いわゆる射出成形および圧縮成形を含め、多様な方法で実現することができる。
【0059】
本発明は、本発明によるレンズを目に挿入するための方法であって、
- レンズを器具に取り付けるステップと、
- レンズが付いた挿入器具を、準備された切開に配置するステップと、
- レンズを位置決めおよび固定するステップと
を含む方法にさらに関する。
【0060】
このような方法は、レンズ、挿入器具、それらの組立体、およびレンズを製造するための方法について記載されているのと同様の利点および効果を提供する。レンズおよび/または挿入器具は、好ましくは、本発明による実施形態の形態を取る。粘性材料は、好ましくは、レンズの挿入を簡単にするために、および、挿入の間にレンズを保護するために、挿入の直前にレンズに配置される。
【0061】
本発明のさらなる利点、特徴、および詳細は、添付の図面が参照される好ましい実施形態に基づいて明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【
図4A】捩じれ制御が設けられた挿入器具の図である。
【
図4B】捩じれ制御が設けられた挿入器具の図である。
【
図6A】押圧制御が設けられた、本発明による代替の挿入器具の図である。
【
図6B】押圧制御が設けられた、本発明による代替の挿入器具の図である。
【
図7A】クリップが設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【
図7B】クリップが設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【
図7C】クリップが設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【
図7D】クリップが設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【
図7E】クリップが設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【
図7F】クリップが設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【
図7G】クリップが設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【
図7H】クリップが設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【
図8A】挟み要素が設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【
図8B】挟み要素が設けられたさらなる代替の挿入器具の図である。
【発明を実施するための形態】
【0063】
眼内レンズ2(
図1A)には、周縁6とハプティック要素8とを伴う光学部4が設けられている。図示されている実施形態では、ハプティック要素8には、留め付け要素またはフック要素10と、ハプティック8にいくらかの柔軟性を付与するための準備された切断部12と、開口部14と、中間部16とが設けられている。ハプティック要素8にはキャスティング部18とキャスティング開放部20とがさらに設けられており、キャスティング開放部20はキャスティング部18と中間部16との間に設けられている。具体的にはキャスティング開放部20を使用することで、効果的な形態ロック要素が得られる。1つのハプティック要素8当たり例えば2つまたは3つなど、2つ以上の開放部20が任意選択で設けられる。図示されている実施形態では、レンズ2は好ましくは、ハプティック8におけるキャスティングによって製造される。
【0064】
代替の眼内レンズ22(
図1B)には、周縁26を伴う光学要素24が設けられている。ハプティック要素28には、好ましくは切断部32が設けられるクランプ要素またはフック要素30と、中間部36と要素30との間に設けられた開放部34とが設けられている。いくつかのフック状要素38が光学要素24に配置されており、空間40がフック状要素38と中間部36との間に設けられている。
【0065】
さらなる代替の眼内レンズ42(
図1C)には、周縁46を伴う光学要素44が設けられている。ハプティック要素48にはクランプ要素またはフック要素50が設けられ、好ましくは切断部52が柔軟性を増加させるために提供される。開放部54がフック要素50と中間部56との間に定められている。レンズ42のこの実施形態では、中間部56は、光学要素44の材料に完全に入れられてキャスティングされる。
【0066】
さらなる代替の実施形態では、眼内レンズ62(
図1D)には、周縁66を伴う光学要素64が設けられている。この実施形態では、ハプティック要素68がキャスティングされており、ハプティック要素68には、レンズ62を固定させることができるように、切断部72が設けられたクランプ要素またはフック要素70が設けられている。開放部74がフック要素70と中間部76との間に定められている。
【0067】
レンズ62の周縁66(
図1E、
図1F)が、凸形態を伴う第1の側78に設けられ、凹形態を伴う第2の側80に設けられ、それらは移行部82の位置において合流する。気に障る眩しさが、できるだけ網膜の焦点の外側、特に黄斑85の外側に維持されるように、光線または光ビーム84がレンズ62の周縁66を使用して案内される。これは、所望の像だけが網膜に投射されることを達成する。図示されている実施形態では(
図1F)、光線84aが散乱させられるように、および、望ましくない焦点が作り出されないように、周辺光線62aが、移行部82を伴う周縁66によって案内される。
【0068】
レンズ2、22、42、62は、瞳孔の手法(
図2A)と瞳孔後部の手法(
図2B)との両方で目84に配置され得る。瞳孔後部の配置の場合、d
2は例えば約3.33mmであり、d
1は瞳孔の配置の場合で約2.21mmになる。目84におけるレンズ2、22、42、62の配置は、対象者の症例に適合させられる。
【0069】
本発明によるレンズ2、22、42、62についての他の実施形態、および示された実施形態の組み合わせが、同様に可能であることは明らかである。
【0070】
レンズ2、22、42、62(
図3)は多様な方法で製造することができる。ここでは、例えば、型成形または型成形部品が使用できる。ここでは、例えば、光学材料がハプティック要素68に対して注がれ得る。代替の方法も可能であることは明らかである。
【0071】
第1の実施形態では、挿入器具202(
図4A~
図4B)には、へら206が方向Aにおける移動のために配置されている保持体204が設けられている。へら206の移動が、把持増進要素210が図示されている実施形態に配置されている回転動作要素208を用いて実現される。回転方向Bにおける動作要素208の回転は、方向Aにおけるへら206の並進移動をもたらす。
【0072】
工具202の前側に配置されているのは、外側端214を伴う先端212である。レンズ2、22、42、62を目に挿入する目的のために、レンズは、へら206の先端に配置されると、保持体204内に後退させられる。後退の間、レンズは、先端212の狭くされた部分216によって、へら上に折り畳まれる。これは、好ましくは、レンズがすでにあらかじめ位置決めされるように、製作の間に行われる。レンズの折り畳み解除は、狭くされた部分216から出た後に行われ、そのとき、レンズは、好ましくは、切開に配置されるかまたは切開を通じて配置される。
【0073】
先端212の図示されている実施形態では(
図5A~
図5B)、先端212には湾曲218が設けられる。湾曲218は、使用者に対して使用の利便性の向上を提供する。図示されている実施形態では、使用者のために先端212におけるレンズの位置決めを支持するために、目印220が配置されている。先端212は、連結要素222を使用して挿入器具202の保持体204に連結され得る。
【0074】
レンズは、挿入器具202の使用の間にへら206にあらかじめ配置される。代替で、レンズはへら206にすでにあらかじめ配置されている。ある量の粘性材料が適用された後、使用者はレンズを保持体204内に後退させる。使用者による動作部208の回転は、へら206を前方へ配置することを可能にする。へら206の前側が先端212から突出するとすぐに、器具202は、切開に配置させられ得る、または切開に接して配置させられ得る。回転方向Bにおける動作部208の連続回転によって、へら206は、レンズ2、22、42、62が折り畳み解除させられ、それによって目に位置決めされ得るように、狭くされた部分214を通じてさらに突出し、さらに目に移動させられる。
【0075】
代替の挿入器具302(
図6A~
図6B)には、へらとして機能する膜306が配置される保持体304が設けられている。レンズ2、22、42、62が膜306に提供され得る。挿入器具302は、膜306を移動させる目的のために、方向Cにおいて押圧または移動させられ得る動作要素308がさらに設けられる。動作要素308および膜306に動作可能に連結させられるバネ要素310が、概略的に示されている。レンズ2、22、42、62は、バネ要素310の引っ張りによって内向きに移動させられる。ここでは、膜306は先端314の中に後退させられ、レンズ2、22、42、62は折り畳まれる。図示されている実施形態では、膜306は、レンズ2、22、42、62の挿入の間の保護のために提供されている。粘性材料は、レンズ2、22、42、62を先端314の中に後退させる目的のために、使用者によってレンズに好ましくは適用される。方向Cにおける押圧要素308の移動は、バネ要素310を緩めさせることができ、膜306を先端314から開放部318を通じて延出および突出させることができ、それによって、レンズ2、22、42、62を目に挿入させることができ、目において使用の位置へと折り畳み解除させることができる。
【0076】
図示されている実施形態では、レンズ2、22、42、62は、バネ要素310が引っ張られるときに内向きに引っ張られ、膜306は、この実施形態では、レンズ2、22、42、62の周りで折り畳まれ、レンズは先端314において折り畳み状態にされる。レンズ2、22、42、62を目に配置する目的のために、使用者は、レンズ2、22、42、62を伴うへら306を少なくとも一部で切開に通すために、先端314を伴う挿入器具302の前側を切開内に配置し、次に押圧要素308を方向Cに移動させ、そこでレンズは折り畳み解除し、目に位置決めすることができる。
【0077】
さらなる代替の挿入器具402(
図7A~
図7H)にはハンドル404が設けられている。へら406が移動可能に配置される。レンズ2、22、42、62はへら406の前側で保持され得る。図示されている実施形態では、挿入器具402は、包装、容器、またはブリスターパック408に位置決めされ得る。
【0078】
挿入器具402が包装408から取り外されるとき、使用者は保持体404を方向Dにおいて上向きに移動させる。図示されている実施形態では、器具402は、ここでは、包装408の留め付け要素410によって定められる回転軸412の周りでの回転移動が回転方向Eにおいて実施されるように、要素410同士の間でいくらか留め付ける手法での固定点411で配置されている。レンズ2、22、42、62は、へら406において、または、少なくともへら406の先端において配置され得る。方向D、Eにおける移動のおかげで、挿入器具402は、図示されている実施形態では包装408に設けられているクリップ414へと下向きに押圧される。クリップ414には第1の部品416と第2の部品418とが設けられている。部品416、418は、ヒンジ要素420を介して一方の側において旋回可能に連結されており、固定させるために、および、レンズ2、22、42、62を折り畳み状態に保持することができるようにするために、側方にスナップ留め要素422が設けられている。図示されている実施形態では、へら406には案内部424が設けられており、図示されている実施形態では、へら406は案内部として機能し、クリップ414はへら406に対して方向Fに滑らされ得る。
【0079】
挿入器具402を使用してレンズ2、22、42、62を配置する目的のために、初めにある量の粘性材料が使用者によってレンズに適用される。次に、保持体404が取り上げられ、方向Dに回転させられ、挿入器具402が回転方向Eにおいて回転軸412の周りで回転する。これによって、レンズ2、22、42、62を伴うへら406がクリップ414へと押圧され(閉位置についての
図7G、および、開位置についての
図7H)、クリップ414は、ヒンジ留め要素420を使用して折り畳みまれ、レンズ2、22、42、62が折り畳み状態でクリップ414に挿入されるように、スナップ留め連結部422を使用して一体にスナップ留めする。折り畳み過程を、包装408からの手器具402の取り外しと統合することで、器具402は比較的単純な形態を取ることができ、それによって、より良好な視野、およびより優れた制御が、レンズの挿入および埋め込みの間に使用者にとって可能である。図示されている実施形態では、クリップのこの折り畳みは、狭くされた部分426を包装408に配置することによって実現される。包装408から取り外された器具は、次に、目84の切開内に持って行かれる。ここで、基部428が、好ましくは、埋め込みの間の追加の支持のために目に接して配置される。基部428には、この目的のために、支持を最適化し、切開への歪みを最小限にするために、目84の形と実質的に対応する形が設けられる。次に、切開を通じてへら406を圧迫することで、クリップ414は、いわば、案内部424を介して、へら406にわたって方向Fに戻るように滑らされる。レンズ2、22、42、62を伴うへら406の先端は、目における切開を通じて突出し、そこでレンズは折り畳み解除する。次に、へら406が切開から安全に取り外され得る。
【0080】
レンズ2、22、42、62は、2つの方法でへら406に任意選択で取り付けることができる。目の水晶体が完全であるいわゆるレンズ交換の場合、レンズ2、22、42、62は、好ましくは、へらからぶら下がる代わりに、へら406にあらかじめ位置決めされる。これは、目におけるレンズ2、22、42、62の望ましくない回転を防止する。
【0081】
さらなる代替の実施形態では、挿入器具502(
図8A~
図8B)には、へら506が配置されている保持体504が設けられている。挟み要素508が、柔軟な連結510のおかげで、方向Gにおいて移動可能である。折り畳み要素514は、挟み要素508を使用して、方向Gにおいて、互いに向けて、または互いから離れるように移動させられる。スナップ留め要素516、518が、挟み要素508を互いに対して固定するために設けられる。
【0082】
へら506の前側に配置されるレンズ2、22、42、62を挿入するとき、器具502は包装から取り出され、粘性材料が使用者によってレンズに好ましくは適用される。挟み要素508を合わせるように絞ることで、レンズは、折り畳み要素514によってへら506において折り畳まれ、スナップ留め要素516、518によって好ましくは固定される。次に、器具502は目における切開の前に配置される。動作レバー512を押圧することで、回転移動が旋回点513の周りで方向Hにおいて実施され、それによって、へら506は折り畳み要素514から出るように移動し、目における切開を通じて突出し、それによってレンズが折り畳み解除し、位置決めされ得る。次に、使用者は器具を後退させることができる。
【0083】
本発明は、上記のその好ましい実施形態に決して限定されない。求められる権利は、多くの変更がその範囲内で考えられ得る以下の請求項によって定められる。したがって、挿入器具の示された実施形態は、例えば、より多くの従来のレンズに適用することもできる。
【符号の説明】
【0084】
2 眼内レンズ
4 光学部
6 周縁
8 ハプティック要素
10 留め付け要素、フック要素
12 切断部
14 開口部
16 中間部
18 キャスティング部
20 キャスティング開放部
22 眼内レンズ
24 光学要素
26 周縁
28 ハプティック要素
30 クランプ要素、フック要素
32 切断部
34 開放部
36 中間部
38 フック状要素
40 空間
42 眼内レンズ
44 光学要素
46 周縁
50 クランプ要素、フック要素
52 切断部
54 開放部
56 中間部
62 眼内レンズ
62a 周辺光線
64 光学要素
66 周縁
68 ハプティック要素
70 クランプ要素、フック要素
72 切断部
74 開放部
76 中間部
78 第1の側
80 第2の側
82 移行部
84 光線、光ビーム
84 目
85 黄斑
202 挿入器具
204 保持体
206 へら
208 回転動作要素、動作部
210 把持増進要素
216 狭くされた部分
218 湾曲
220 目印
222 連結要素
302 挿入器具
304 保持体
306 膜
308 動作要素、押圧要素
310 バネ要素
314 先端
318 開放部
402 挿入器具、手器具
404 ハンドル
406 へら
408 包装、容器、ブリスターパック
410 留め付け要素
411 固定点
412 回転軸
414 クリップ
416 第1の部品
418 第2の部品
420 ヒンジ要素
422 スナップ留め要素、スナップ留め連結部
424 案内部
426 狭くされた部分
428 基部
502 挿入器具
504 保持体
506 へら
508 挟み要素
510 柔軟な連結
512 動作レバー
513 旋回点
514 折り畳み要素
516、518 スナップ留め要素
A へら206の移動方向
B 動作要素208の回転方向
C 押圧要素308の移動方向
D 保持体404の移動方向
E 挿入器具402の回転方向
F クリップ414の滑り方向
G 挟み要素508の移動方向
H 動作レバー512の回転移動方向
【国際調査報告】