(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】コロナウイルス疾患2019(COVID-19)ワクチンとしてのDNAコードナノ粒子及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/215 20060101AFI20231115BHJP
A61K 31/711 20060101ALI20231115BHJP
A61P 31/14 20060101ALI20231115BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20231115BHJP
C12N 15/50 20060101ALI20231115BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20231115BHJP
C07K 14/165 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
A61K39/215
A61K31/711
A61P31/14
A61K38/16
C12N15/50 ZNA
C12N15/63 Z
C07K14/165
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527386
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-07-07
(86)【国際出願番号】 US2021057859
(87)【国際公開番号】W WO2022098728
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516142001
【氏名又は名称】ザ ウィスター インスティテュート オブ アナトミー アンド バイオロジー
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【氏名又は名称】池田 達則
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル クルプ
(72)【発明者】
【氏名】ツーアン シュイ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ウェイナー
【テーマコード(参考)】
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084BA01
4C084BA22
4C084BA23
4C084CA01
4C084CA59
4C084MA02
4C084MA66
4C084NA13
4C084NA14
4C084ZB331
4C085AA03
4C085BA71
4C085CC32
4C085CC33
4C085EE03
4C085GG01
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA66
4C086NA13
4C086NA14
4C086ZB33
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA01
4H045DA86
4H045EA20
4H045EA31
4H045FA74
(57)【要約】
本明細書では、1つ以上のSARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)スパイク受容体結合ドメイン(RBD)抗原、及びそれをコードする核酸分子を含む、ナノ粒子が開示される。また、本明細書では、SARS-COV-2感染症を治療する、又はそれに関連する疾患若しくは障害を治療若しくは予防することを必要とする対象において、SARS-COV-2感染症を治療する、又はそれに関連する疾患若しくは障害を治療若しくは予防する方法であって、対象に対してナノ粒子、又はコード核酸分子を投与することによる、方法も開示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードする核酸分子を含む免疫原性組成物であって、前記核酸分子が、
(a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードするヌクレオチド配列と、
(b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするヌクレオチド配列と、
(c)少なくとも2つのペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記少なくとも2つのペプチドのそれぞれが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヌクレオチド配列と、
(d)少なくとも2つのペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記少なくとも2つのペプチドのそれぞれが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ヌクレオチド配列、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、免疫原性組成物。
【請求項2】
前記核酸分子が、
(a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択される核酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列と、
(b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択される核酸配列と、
(c)少なくとも2つのペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記コード配列のそれぞれが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を含む、ヌクレオチド配列と、
(d)少なくとも2つのペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記コード配列のそれぞれが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、ヌクレオチド配列、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項3】
前記核酸分子が、
(a)配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、及び配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドと、
(b)配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、及び配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド、
からなる群から選択されるオリゴマー化ドメインを更にコードする、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項4】
前記オリゴマー化ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列が、
(a)配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、及び配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列と、
(b)配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、及び配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列、
からなる群から選択される、請求項3に記載の免疫原性組成物。
【請求項5】
前記核酸分子が、
(a)配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列と、
(b)配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68からなる群から選択されるアミノ酸配列と、
(c)配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68からなる群から選択される全長アミノ酸配列の少なくとも60%を含む断片、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む自己集合性ナノ粒子をコードする、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項6】
前記自己集合性ナノ粒子をコードする前記核酸分子が、
(a)配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、及び配列番号67からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列と、
(b)配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、及び配列番号67からなる群から選択されるヌクレオチド配列と、
(c)配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、及び配列番号67からなる群から選択される全長ヌクレオチド配列の少なくとも60%を含む断片、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項5に記載の免疫原性組成物。
【請求項7】
前記核酸分子が発現ベクターを含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項8】
前記核酸分子がウイルス粒子に組み込まれている、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項9】
薬学的に許容される賦形剤を更に含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項10】
アジュバントを更に含む、請求項1に記載の免疫原性組成物。
【請求項11】
SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードするヌクレオチド配列を含む核酸分子であって、前記核酸分子が、
(a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードするヌクレオチド配列と、
(b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドをコードするヌクレオチド配列と、
(c)少なくとも2つのペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記少なくとも2つのペプチドのそれぞれが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ヌクレオチド配列と、
(d)少なくとも2つのペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記少なくとも2つのペプチドのそれぞれが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ヌクレオチド配列、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、核酸分子。
【請求項12】
前記核酸分子が、
(a)配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択される核酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列と、
(b)配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択される核酸配列と、
(c)少なくとも2つのペプチドをコードする前記ヌクレオチド配列であって、前記コード配列のそれぞれが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を含む、ヌクレオチド配列と、
(d)少なくとも2つのペプチドをコードするヌクレオチド配列であって、前記コード配列のそれぞれが、配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、ヌクレオチド配列、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項11に記載の核酸分子。
【請求項13】
(a)配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、及び配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドと、
(b)配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、及び配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド、
からなる群から選択されるオリゴマー化ドメインを更にコードする、請求項11に記載の核酸分子。
【請求項14】
前記オリゴマー化ドメインをコードする前記ヌクレオチド配列が、
(a)配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、及び配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列と、
(b)配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、及び配列番号19からなる群から選択されるヌクレオチド配列、
からなる群から選択される、請求項13に記載の核酸分子。
【請求項15】
前記ヌクレオチド配列が、
(a)配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列と、
(b)配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68からなる群から選択されるアミノ酸配列と、
(c)配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68からなる群から選択される全長アミノ酸配列の少なくとも60%を含む断片、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む自己集合性ナノ粒子をコードする、請求項11に記載の核酸分子。
【請求項16】
前記自己集合性ナノ粒子をコードする前記核酸分子が、
(a)配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、及び配列番号67からなる群から選択されるヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列と、
(b)配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、及び配列番号67からなる群から選択されるヌクレオチド配列と、
(c)配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、及び配列番号67からなる群から選択される全長ヌクレオチド配列の少なくとも60%を含む断片、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、請求項15に記載の核酸分子。
【請求項17】
前記核酸分子が発現ベクターを含む、請求項11に記載の核酸分子。
【請求項18】
(a)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドと、
(b)配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチドと、
(c)少なくとも2つのペプチドを含むアミノ酸配列であって、前記少なくとも2つのペプチドのそれぞれが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、アミノ酸配列と、
(d)少なくとも2つのペプチドを含むアミノ酸配列であって、前記少なくとも2つのペプチドのそれぞれが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、アミノ酸配列、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、ペプチド。
【請求項19】
(a)配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、及び配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドと、
(b)配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、及び配列番号20からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むペプチド、
からなる群から選択されるオリゴマー化ドメインを更に含む、請求項18に記載のペプチド。
【請求項20】
(a)配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68からなる群から選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列と、
(b)配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68からなる群から選択されるアミノ酸配列と、
(c)配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、及び配列番号68からなる群から選択される全長アミノ酸配列の少なくとも60%を含む断片、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む自己集合性ナノ粒子を含む、請求項18に記載のペプチド。
【請求項21】
SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する免疫応答を、それを必要とする対象において誘導する方法であって、前記方法が、請求項1に記載の免疫原性組成物、請求項11に記載の核酸分子、又は請求項18に記載のペプチドを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項22】
投与がエレクトロポレーション及び注射のうちの少なくとも1つを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
SARS-CoV-2による感染からの防御を必要とする対象をSARS-CoV-2による感染から防御する方法であって、請求項1に記載の免疫原性組成物、請求項11に記載の核酸分子、又は請求項18に記載のペプチドを前記対象に投与することを含む、方法。
【請求項24】
投与がエレクトロポレーション及び注射のうちの少なくとも1つを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
SARS-CoV-2に対する治療を必要とする対象を治療する方法であって、請求項1に記載の免疫原性組成物、請求項11に記載の核酸分子、又は請求項18に記載のペプチドを前記対象に投与することを含み、前記対象が、それによって1つ以上のSARS-CoV-2株に対して耐性となる、方法。
【請求項26】
投与がエレクトロポレーション及び注射のうちの少なくとも1つを含む、請求項25に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月3日に出願された米国仮特許出願第63/109,123号の優先権を主張するものであり、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
背景
コロナウイルス(CoV)は、世界中に存在するウイルスの一種であり、感冒から重症急性呼吸器症候群(SARS)まで、ヒトにおいて様々な疾患を引き起こす。コロナウイルスはまた、動物においても多くの疾患を引き起こし得る。ヒトコロナウイルス229E、OC43、NL63、及びHKU1は、ヒト集団に蔓延している。
【0003】
以前は2019-nCoV肺炎又は疾患として知られていたCOVID-19は、動物からヒトに移ったコロナウイルス関連疾患が増加する中、重症急性呼吸器症候群(SARS)及び中東呼吸器症候群(MERS)と並んで、世界的な公衆衛生上の危機として急速に浮上してきた。ヒトに感染する少なくとも7つのコロナウイルスが同定されている。2019年12月、中国の武漢市は、新型コロナウイルスであるSARS-CoV-2の感染爆発の中心地となった。SARS-CoV-2は、感染患者由来のヒト気道上皮細胞から単離され、配列決定された(Zhu et al.,2020 N Engl J Med,382:727-733;Wu et al.,2020,Nature,579:265-269)。疾患の症状は、インフルエンザのような軽度のものから、生命を脅かす肺炎を伴う重症例まで様々であり得る(Huang et al.,2020,Lancet,395:497-506)。世界情勢は動的に変化しており、2020年1月30日に世界保健機関はCOVID-19を国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)として宣言し、2020年3月11日に世界的なパンデミックとして宣言した。2020年4月1日現在、932,605人が感染しており、46,809人が死亡している(gisaid.org/epiflu-applications/global-cases-covid-19)。感染は複数の大陸に広がっている。ヒトからヒトへの伝染が複数の国で観察されており、使い捨ての個人用防護具の不足、及び無生物表面上でのコロナウイルスの生存時間の延長(Hulkower et al.,2011,Am J Infect Control 39,401-407)が、この既に困難な状況を更に悪化させ、院内感染のリスクを高めている。世界中で数十億人の無防備状態の個体を保護するために、予防的治療を推進するための高度な研究活動を並行して進める必要がある。現在、COVID-19に対して利用可能な認可された予防ワクチン又は特異的な抗ウイルス療法は存在していない。
【0004】
したがって、SARS-CoV-2感染症の治療、又はCOVID-19などのSARS-CoV-2感染症に関連する疾患若しくは障害の治療若しくは予防のための安全かつ有効なワクチンの開発が当該技術分野において依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の概要
一実施形態では、本発明は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードする核酸分子を含む、免疫原性組成物に関する。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8をコードする。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも2つのペプチドをコードし、少なくとも2つのペプチドのそれぞれは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8のうちの少なくとも2つをコードする。
【0006】
一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の核酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を含む。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7を含む。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも2つのペプチドをコードし、コード配列のそれぞれは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を含む。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7のうちの少なくとも2つを含む。
【0007】
一実施形態では、核酸分子は、オリゴマー化ドメインを更にコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20を含むペプチドをコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、又は配列番号19のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、又は配列番号19のヌクレオチド配列を含む。
【0008】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む自己集合性ナノ粒子をコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68のアミノ酸配列を含む自己集合性ナノ粒子をコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68の全長アミノ酸配列の少なくとも60%を含む断片を含む自己集合性ナノ粒子をコードする。
【0009】
一実施形態では、自己集合性ナノ粒子をコードする核酸分子は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、自己集合性ナノ粒子をコードする核酸分子は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、自己集合性ナノ粒子をコードする核酸分子は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67の全長ヌクレオチド配列の少なくとも60%を含む断片を含む。
【0010】
一実施形態では、核酸分子は発現ベクターを含む。
【0011】
一実施形態では、核酸分子はウイルス粒子に組み込まれる。
【0012】
一実施形態では、免疫原性組成物は、薬学的に許容される賦形剤を更に含む。
【0013】
一実施形態では、免疫原性組成物は、アジュバントを更に含む。
【0014】
一実施形態では、本発明は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードする核酸分子に関する。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8をコードする。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも2つのペプチドをコードし、少なくとも2つのペプチドのそれぞれは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8のうちの少なくとも2つをコードする。
【0015】
一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の核酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を含む。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7を含む。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、少なくとも2つのペプチドをコードし、コード配列のそれぞれは、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を含む。一実施形態では、ヌクレオチド配列は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、及び配列番号7のうちの少なくとも2つを含む。
【0016】
一実施形態では、核酸分子は、オリゴマー化ドメインを更にコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含むペプチドをコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20を含むペプチドをコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、又は配列番号19のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、核酸分子は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、又は配列番号19のヌクレオチド配列を含む。
【0017】
一実施形態では、核酸分子は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む自己集合性ナノ粒子をコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68のアミノ酸配列を含む自己集合性ナノ粒子をコードする。一実施形態では、核酸分子は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68の全長アミノ酸配列の少なくとも60%を含む断片を含む自己集合性ナノ粒子をコードする。
【0018】
一実施形態では、自己集合性ナノ粒子をコードする核酸分子は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67のヌクレオチド配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、自己集合性ナノ粒子をコードする核酸分子は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67のヌクレオチド配列を含む。一実施形態では、自己集合性ナノ粒子をコードする核酸分子は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67の全長ヌクレオチド配列の少なくとも60%を含む断片を含む。
【0019】
一実施形態では、核酸分子は発現ベクターを含む。
【0020】
一実施形態では、本発明は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ペプチドに関する。一実施形態では、ペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8を含む。一実施形態では、本発明は、少なくとも2つのペプチドを含むポリペプチドであって、少なくとも2つのペプチドのそれぞれが、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドに関する。一実施形態では、ポリペプチドは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、及び配列番号8のうちの少なくとも2つを含む。
【0021】
一実施形態では、ペプチドはオリゴマー化ドメインを更に含む。一実施形態では、ペプチドは、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。一実施形態では、ペプチドは、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20を含む。
【0022】
一実施形態では、本発明は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68に選択されるアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、自己集合性ナノ粒子に関する。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68を含む。一実施形態では、アミノ酸配列は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68の全長アミノ酸配列の少なくとも60%を含む断片を含む。
【0023】
一実施形態では、本発明は、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する免疫応答の誘導を必要とする対象において、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)に対する免疫応答を誘導する方法であって、SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードする核酸分子を含む免疫原性組成物、SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードする核酸分子、又はSARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)を含むペプチドを対象に投与することを含む、方法に関する。
【0024】
一実施形態では、投与方法は、エレクトロポレーション及び注射のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
一実施形態では、本発明は、SARS-CoV-2による感染からの防御を必要とする対象において、SARS-CoV-2による感染から防御する方法であって、SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードする核酸分子を含む免疫原性組成物、SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードする核酸分子、又はSARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)を含むペプチドを対象に投与することを含む、方法に関する。
【0026】
一実施形態では、投与方法は、エレクトロポレーション及び注射のうちの少なくとも1つを含む。
【0027】
一実施形態では、本発明は、SARS-CoV-2に対する治療を必要とする対象を治療する方法であって、SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードする核酸分子を含む免疫原性組成物、SARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)をコードする核酸分子、又はSARS-CoV-2スパイクタンパク質受容体結合ドメイン(RBD)を含むペプチドを対象に投与することを含み、該対象が、それによって1つ以上のSARS-CoV-2株に対して耐性となる、方法に関する。
【0028】
一実施形態では、投与方法は、エレクトロポレーション及び注射のうちの少なくとも1つを含む。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1-1】SARS-CoV-2 RBD二量体が構造的により安定していると考えられることを実証するデータを表す。
【
図1-2】SARS-CoV-2 RBD二量体が構造的により安定していると考えられることを実証するデータを表す。
【
図1-3】SARS-CoV-2 RBD二量体が構造的により安定していると考えられることを実証するデータを表す。
【
図1-4】SARS-CoV-2 RBD二量体が構造的により安定していると考えられることを実証するデータを表す。
【0030】
【
図2-1】免疫効力の改善のためにRBD二量体を足場とするナノ粒子の設計を表す。各構築物について2μgのDNAによるBALB/cマウスでの単回ワクチン接種を使用した。
【
図2-2】免疫効力の改善のためにRBD二量体を足場とするナノ粒子の設計を表す。各構築物について2μgのDNAによるBALB/cマウスでの単回ワクチン接種を使用した。
【
図2-3】免疫効力の改善のためにRBD二量体を足場とするナノ粒子の設計を表す。各構築物について2μgのDNAによるBALB/cマウスでの単回ワクチン接種を使用した。
【0031】
【
図3-1】Dl(DNA投入型(DNA Launched))ナノワクチン(RBD-48mer)が免疫化の7日後に迅速な中和抗体応答を誘発することを実証するデータを表す。
【
図3-2】Dl(DNA投入型(DNA Launched))ナノワクチン(RBD-48mer)が免疫化の7日後に迅速な中和抗体応答を誘発することを実証するデータを表す。
【0032】
【
図4-1】更なるDNAナノ粒子構築物の設計及び試験を表す。
【
図4-2】更なるDNAナノ粒子構築物の設計及び試験を表す。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、1つ以上のSARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)抗原を含む自己集合性ナノ粒子を含む免疫原性組成物又はワクチンに関する。SARS-CoV-2は、2019年に出現した高病原性ウイルスである。SARS-CoV-2抗原は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質又はその断片であり得る。一実施形態では、SARS-CoV-2抗原は、SARS-CoV-2スパイク抗原の受容体結合ドメイン(RBD)を含む。一実施形態では、免疫原性組成物は、SARS-CoV-2スパイク抗原のRBDの二量体を含む自己集合性ナノ粒子を含む。
【0034】
一実施形態では、本発明は、1つ以上のSARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)抗原を含むナノ粒子をコードする核酸分子に関する。一実施形態では、核酸分子は、SARS-CoV-2スパイク抗原の受容体結合ドメイン(RBD)を含む自己集合性ナノ粒子をコードする。一実施形態では、核酸分子は、SARS-CoV-2スパイク抗原のRBDの二量体を含む自己集合性ナノ粒子をコードする。
【0035】
ワクチンは、SARS-CoV-2感染症を治療するため、又はSARS-CoV-2感染症に関連する疾患若しくは障害を予防若しくは治療するために使用することができる。一実施形態では、SARS-CoV-2感染症に関連する疾患又は障害はCOVID-19である。ワクチンは、SARS-CoV-2スパイク抗原を標的とする体液性免疫応答及び細胞性免疫応答の両方を誘発することができる。ワクチンは、SARS-CoV-2スパイク抗原と反応性である中和抗体及び免疫グロブリンG(IgG)抗体を誘発することができる。ワクチンはまた、SARS-CoV-2スパイク抗原に反応性であり、インターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、及びインターロイキン-2(IL-2)を産生するCD8+及びCD4+T細胞応答を誘発することができる。
【0036】
定義
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾する場合には、定義を含む本明細書が優先するものとする。好ましい方法及び材料を以下に記載するが、本明細書に記載されるものと類似又は同等の方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができる。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に開示される材料、方法、及び実施例は、例示にすぎず、限定することを意図するものではない。
【0037】
本明細書で使用される「を含む(comprise)(s)」、「を含む(include)(s)」、「を有する(having)」、「を有する(has)」、「できる(can)」、「を含む(contain)(s)」という用語、及びその変形は、付加的な行為又は構造の可能性を妨げない、制限しない移行句、用語、又は単語であることを意図している。単数形「a」、「and」、及び「the」は、文脈によって別途明確に指示されない限り、複数の指示対象を含む。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示される実施形態又は要素を「含む」、「からなる」、及び「から本質的になる」他の実施形態も企図する。
【0038】
本明細書で使用される「アジュバント」は、抗原の免疫原性を増強するために本明細書に記載のワクチンに添加される任意の分子を意味する。
【0039】
本明細書で使用される「抗体」は、クラスIgG、IgM、IgA、IgD、若しくはIgEの抗体、又はその断片、断片若しくは誘導体を意味し、Fab、F(ab’)2、Fd、並びに一本鎖抗体、ダイアボディ、二重特異性抗体、二機能性抗体、及びその誘導体を含む。抗体は、所望のエピトープ又はそれに由来する配列に対して十分な結合特異性を示す、哺乳動物の血清試料から単離された抗体、ポリクローナル抗体、アフィニティー精製抗体、又はそれらの混合物であり得る。
【0040】
本明細書で使用される「コード配列」又は「コード核酸」は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む核酸(RNA又はDNA分子)を意味する。コード配列は、核酸が投与される個体又は哺乳動物の細胞において発現を指向することができるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された開始シグナル及び終結シグナルを更に含むことができる。
【0041】
本明細書で使用される「相補体」又は「相補的」は、核酸分子の複数のヌクレオチド又はヌクレオチド類似体間のワトソン・クリック型塩基対合(例えば、A-T/U及びC-G)又はフーグスティーン型塩基対合を意味する。
【0042】
本明細書で使用される「コンセンサス」又は「コンセンサス配列」は、特定の抗原の複数のサブタイプのアラインメントの解析に基づいて構築された合成核酸配列又は対応するポリペプチド配列を意味し得る。この配列は、特定の抗原の複数のサブタイプ、血清型、又は株に対する広範な免疫を誘導するために使用され得る。融合タンパク質などの合成抗原を操作して、コンセンサス配列(又はコンセンサス抗原)を生成してもよい。
【0043】
本明細書で互換的に使用される「エレクトロポレーション」、「電気透過処理(electro-permeabilization)」、又は「界面動電増強」(「EP」)は、生体膜に微細経路(細孔)を生じさせるための膜貫通電場パルスの使用を意味する。これらの存在により、生体分子、例えば、プラスミド、オリゴヌクレオチド、siRNA、薬剤、イオンが、細胞膜の一方の側から他方の側に通過することが可能になる。
【0044】
本明細書で使用される「断片」は、哺乳動物において免疫応答を誘発し得るポリペプチドをコードする核酸配列又はその一部分を意味する。断片は、以下に記載されるタンパク質断片をコードする種々のヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つから選択されるDNA断片であり得る。
【0045】
ポリペプチド配列に関する「断片」又は「免疫原性断片」は、全長野生型株SARS-CoV-2抗原と交差反応する、哺乳動物において免疫応答を誘発することができるポリペプチドを意味する。コンセンサスタンパク質の断片は、コンセンサスタンパク質の少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、又は少なくとも95%を含むことができる。いくつかの実施形態では、コンセンサスタンパク質の断片は、コンセンサスタンパク質の少なくとも20アミノ酸以上、少なくとも30アミノ酸以上、少なくとも40アミノ酸以上、少なくとも50アミノ酸以上、少なくとも60アミノ酸以上、少なくとも70アミノ酸以上、少なくとも80アミノ酸以上、少なくとも90アミノ酸以上、少なくとも100アミノ酸以上、少なくとも110アミノ酸以上、少なくとも120アミノ酸以上、少なくとも130アミノ酸以上、少なくとも140アミノ酸以上、少なくとも150アミノ酸以上、少なくとも160アミノ酸以上、少なくとも170アミノ酸以上、少なくとも180アミノ酸以上、少なくとも190アミノ酸以上、少なくとも200アミノ酸以上、少なくとも210アミノ酸以上、少なくとも220アミノ酸以上、少なくとも230アミノ酸以上、又は少なくとも240アミノ酸以上を含むことができる。
【0046】
本明細書で使用される場合、「遺伝子構築物」という用語は、タンパク質をコードするヌクレオチド配列を含むDNA分子又はRNA分子を指す。コード配列は、核酸分子が投与された個体の細胞において発現を指向することができるプロモーター及びポリアデニル化シグナルを含む調節エレメントに作動可能に連結された開始シグナル及び終結シグナルを含む。本明細書で使用される場合、「発現可能な形態」という用語は、個体の細胞中に存在する場合、コード配列が発現されるように、タンパク質をコードするコード配列に作動可能に連結された必要な調節エレメントを含む遺伝子構築物を指す。
【0047】
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈において本明細書で使用される「同一」又は「同一性」は、配列が、特定の領域にわたって同じである特定の百分率の残基を有することを意味する。百分率は、2つの配列を最適に整列し、2つの配列を特定の領域にわたって比較し、両方の配列において同一の残基が発生する位置の数を決定して一致した位置の数を得、一致した位置の数を特定の領域における位置の総数で割り、結果に100を掛けて配列同一性の百分率を得ることによって、計算され得る。2つの配列の長さが異なる場合、又は整列によって1つ以上の付着末端が生成され、特定の比較領域に単一の配列のみが含まれる場合、単一の配列の残基は、計算の分母には含まれるが、分子には含まれない。DNAとRNAを比較する場合、チミン(T)とウラシル(U)は等価であるとみなされ得る。同一性は、手動で、又はBLAST若しくはBLAST2.0などのコンピュータ配列アルゴリズムを使用して実施され得る。
【0048】
本明細書で使用される「免疫応答」は、抗原の導入に応答した、宿主の免疫系、例えば哺乳動物の免疫系の活性化を意味する。免疫応答は、細胞性応答若しくは体液性応答、又はその両方の形態であり得る。
【0049】
本明細書で使用される「核酸」又は「オリゴヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド」は、互いに共有結合した少なくとも2つのヌクレオチドを意味する。一本鎖の説明は、相補鎖の配列も定義する。したがって、核酸は、説明される一本鎖の相補鎖も包含する。核酸の多くのバリアントは、所与の核酸と同じ目的のために使用され得る。したがって、核酸はまた、実質的に同一の核酸及びその相補体を包含する。一本鎖は、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で標的配列にハイブリダイズすることができるプローブを提供する。したがって、核酸はまた、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイズするプローブを包含する。
【0050】
核酸は、一本鎖若しくは二本鎖であってもよく、又は二本鎖配列及び一本鎖配列の両方の部分を含んでもよい。核酸は、ゲノムとcDNAの両方のDNA、RNA、又はハイブリッドであり得、核酸は、デオキシリボヌクレオチドとリボヌクレオチドの組み合わせ、並びにウラシル、アデニン、チミン、シトシン、グアニン、イノシン、キサンチンヒポキサンチン、イソシトシン、及びイソグアニンを含む塩基の組み合わせを含むことができる。核酸は、化学合成法又は組換え法によって得ることができる。
【0051】
本明細書で使用される「作動可能に連結された」とは、遺伝子の発現が、空間的に接続されているプロモーターの制御下にあることを意味する。プロモーターは、その制御下にある遺伝子の5’側(上流)又は3’側(下流)に配置され得る。プロモーターと遺伝子との間の距離は、そのプロモーターと、プロモーターが由来する遺伝子においてプロモーターが制御する遺伝子との間の距離とほぼ同じであり得る。当該技術分野で公知であるように、この距離の変動は、プロモーター機能を失うことなく適応され得る。
【0052】
本明細書で使用される「ペプチド」、「タンパク質」、又は「ポリペプチド」は、アミノ酸の連結配列を意味することができ、天然、合成、又は修飾、又は天然及び合成の組み合わせであり得る。
【0053】
本明細書で使用される「プロモーター」は、細胞において核酸の発現をもたらす、活性化する、又は増強することができる、合成又は天然由来の分子を意味する。プロモーターは、その発現を更に増強し、かつ/又はその空間的発現及び/若しくは時間的発現を変化させる1つ以上の特定の転写調節配列を含んでもよい。プロモーターはまた、転写開始部位から数千塩基対ほど離れて位置し得る遠位エンハンサー又はリプレッサーエレメントも含んでもよい。プロモーターは、ウイルス、細菌、真菌、植物、昆虫、及び動物を含む供給源に由来するものであり得る。プロモーターは、遺伝子構成要素の発現を、発現が生じる細胞、組織、若しくは器官に対して、又は発現が生じる発達段階に対して、又は生理学的ストレス、病原体、金属イオン、若しくは誘導剤などの外部刺激に応答して、構成的に又は差次的に調節することができる。プロモーターの代表的な例としては、バクテリオファージT7プロモーター、バクテリオファージT3プロモーター、SP6プロモーター、lacオペレーター-プロモーター、tacプロモーター、SV40後期プロモーター、SV40初期プロモーター、RSV-LTRプロモーター、CMV IEプロモーター、SV40初期プロモーター又はSV40後期プロモーター、及びCMV IEプロモーターが挙げられる。
【0054】
「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書において互換的に使用され、本明細書に記載のSARS-CoV-2タンパク質のアミノ末端に連結することができるアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的にはタンパク質の局在化を指向する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、タンパク質が産生される細胞からのタンパク質の分泌を促進する。シグナルペプチド/リーダー配列は、多くの場合、細胞から分泌されると、成熟タンパク質と呼ばれることが多いタンパク質の残部から切断される。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端で連結される。
【0055】
本明細書で使用される「対象」は、本明細書に記載のワクチンで免疫化されることを望むか、又はそれを必要とする哺乳動物を意味し得る。哺乳動物は、ヒト、チンパンジー、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、マウス、又はラットであり得る。
【0056】
本明細書で使用される「実質的に同一」は、第1のアミノ酸配列と第2のアミノ酸配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、又はそれ以上のアミノ酸の領域にわたって少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%であることを意味し得る。実質的に同一とはまた、第1の核酸配列と第2の核酸配列が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、又はそれ以上のヌクレオチドの領域にわたって少なくとも60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%であることを意味し得る。
【0057】
本明細書で使用される「治療」又は「治療すること」は、疾患を予防する、抑制する、抑止する、又は完全に排除する手段を通して、疾患から動物を防御することを意味し得る。疾患の予防は、疾患の発症前に本発明のワクチンを動物に投与することを含む。疾患の抑制は、疾患の誘導後であるが、その臨床的出現の前に、本発明のワクチンを対象に投与することを含む。疾患の抑止は、疾患の臨床的出現後に本発明のワクチンを動物に投与することを含む。
【0058】
核酸に関して本明細書で使用される「バリアント」は、(i)参照ヌクレオチド配列の部分若しくは断片、(ii)参照ヌクレオチド配列若しくはその部分の相補体、(iii)参照核酸若しくはその相補体と実質的に同一である核酸、又は(iv)参照核酸、その相補体、若しくはそれと実質的に同一である配列にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸、を意味する。
【0059】
バリアントは更に、アミノ酸の挿入、欠失、又は保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持するペプチド又はポリペプチドとして定義され得る。「生物学的活性」の代表的な例としては、特異的抗体による結合能力、又は免疫応答を促進する能力が挙げられる。バリアントはまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を意味し得る。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を、類似の特性(例えば、親水性、荷電領域の程度及び分布)の別のアミノ酸で置き換えることは、当該技術分野では、通常は軽微な変化を伴うものと認識されている。こうした軽微な変化は、当該技術分野で理解されているように、アミノ酸のハイドロパシー指数を考慮することによって、部分的に特定することができる。Kyte et al.,J.Mol.Biol.157:105-132(1982)。アミノ酸のハイドロパシー指数は、その疎水性及び電荷の考慮に基づく。類似のハイドロパシー指数のアミノ酸は、置換しても依然としてタンパク質機能を保持し得ることが当該技術分野で公知である。一態様では、±2のハイドロパシー指数を有するアミノ酸が置換される。アミノ酸の親水性はまた、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらすであろう置換を明らかにするためにも使用することができる。ペプチドの文脈においてアミノ酸の親水性を考慮することで、そのペプチドの最大局所平均親水性を計算することができ、これは抗原性及び免疫原性と十分に相関することが報告されている有用な尺度である。当該技術分野で理解されているように、類似の親水性値を有するアミノ酸の置換により、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドを得ることができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性指数及び親水性値の両方は、そのアミノ酸の特定の側鎖によって影響を受ける。その観察と一致するように、生物学的機能に適合するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズ、及び他の特性によって明らかなように、アミノ酸の、特にアミノ酸の側鎖の相対的類似性によって左右されることが理解される。
【0060】
バリアントは、完全な遺伝子配列又はその断片の全長にわたって実質的に同一である核酸配列であり得る。核酸配列は、遺伝子配列又はその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であり得る。バリアントは、アミノ酸配列又はその断片の全長にわたって実質的に同一であるアミノ酸配列であり得る。アミノ酸配列は、アミノ酸配列又はその断片の全長にわたって80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%同一であり得る。
【0061】
本明細書で使用される「ベクター」は、複製起点を含む核酸配列を意味する。ベクターは、ウイルスベクター、バクテリオファージ、細菌人工染色体、又は酵母人工染色体であり得る。ベクターは、DNA又はRNAベクターであり得る。ベクターは自己複製染色体外ベクターであってもよく、好ましくはDNAプラスミドである。
【0062】
本明細書における数値範囲の記述について、同程度の精度でその間に介在する各数が明示的に企図される。例えば、6~9という範囲の場合、6及び9に加えて、7及び8という数が企図され、6.0~7.0という範囲の場合、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、及び7.0という数が明示的に企図される。
【0063】
ワクチン
本明細書では、免疫原性組成物、例えば、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)抗原、その断片、そのバリアント、又はそれらの組み合わせを含むワクチンが提供される。ワクチンは、SARS-CoV-2感染症を治療するために使用することができ、それにより、SARS-CoV-2ベースの病態を治療、予防、及び/又はそれから防御する。一実施形態では、SARS-CoV-2ベースの病態はCOVID-19である。ワクチンは、ワクチンを投与された対象の免疫応答を著しく誘導することができ、それにより、SARS-CoV-2感染症から防御し、それを治療する。
【0064】
一実施形態では、SARS-CoV-2抗原は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインを含む。一実施形態では、SARS-CoV-2抗原は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインの二量体を含む。
【0065】
ワクチンは、DNAワクチン、ペプチドワクチン、又はDNAとペプチドの組み合わせワクチンであり得る。DNAワクチンは、SARS-CoV-2抗原をコードする核酸配列を含むことができる。核酸配列は、DNA、RNA、cDNA、それらのバリアント、それらの断片、又はそれらの組み合わせであり得る。核酸配列はまた、ペプチド結合によってSARS-CoV-2抗原に連結されるリンカー、リーダー、又はタグ配列をコードする更なる配列を含むことができる。ペプチドワクチンは、SARS-CoV-2抗原性ペプチド、SARS-CoV-2抗原性タンパク質、それらのバリアント、それらの断片、又はそれらの組み合わせを含むことができる。DNAとペプチドの組み合わせワクチンは、SARS-CoV-2抗原及びSARS-CoV-2抗原性ペプチド又はタンパク質をコードする上記の核酸配列を含むことができ、SARS-CoV-2抗原性ペプチド又はタンパク質及びコードされたSARS-CoV-2抗原は、同じアミノ酸配列を有する。
【0066】
一実施形態では、1つ以上のSARS-CoV-2抗原は、本発明のワクチンにおける使用のための自己集合性ペプチドナノ粒子(SAPN)ウイルス粒子に組み込まれる。自己集合性タンパク質ナノ粒子(SAPN)は、少なくとも1つの抗原及び少なくとも1つのタンパク質オリゴマー化ドメインを含む1つ以上のポリペプチド鎖の集合体によって形成され得る。限定するものではないが、本発明のSAPNは、自己集合して四面体、立方体、八面体、十二面体、又は二十面体となり得る。本発明のSAPNは、1つ以上のSARS-CoV-2抗原を提示するための効率的な手段として使用することができる。
【0067】
一実施形態では、本発明のSAPNは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインを含む。一実施形態では、本発明のSAPNは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインの二量体を含む。
【0068】
ワクチンは、ワクチンを投与された対象において体液性免疫応答を誘導することができる。誘導された体液性免疫応答は、SARS-CoV-2抗原に特異的であり得る。誘導された体液性免疫応答は、SARS-CoV-2抗原と反応性であり得る。体液性免疫応答は、ワクチンを投与された対象において、約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、又は約3倍~約10倍誘導され得る。体液性免疫応答は、ワクチンを投与された対象において、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、又は少なくとも約16.0倍誘導され得る。
【0069】
ワクチンによって誘導される体液性免疫応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、ワクチンを投与された対象に関連する中和抗体のレベルの増加を含むことができる。中和抗体は、SARS-CoV-2抗原に特異的であり得る。中和抗体は、SARS-CoV-2抗原と反応性であり得る。中和抗体は、ワクチンを投与された対象において、SARS-CoV-2感染症及びその関連する病態からの防御及び/又はその治療を提供することができる。
【0070】
ワクチンによって誘導される体液性免疫応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、ワクチンを投与された対象に関連するIgG抗体のレベルの増加を含むことができる。これらのIgG抗体は、SARS-CoV-2抗原に特異的であり得る。これらのIgG抗体は、SARS-CoV-2抗原と反応性であり得る。好ましくは、体液性応答は、SARS-CoV-2の2つ以上の株に対して交差反応性である。ワクチンを投与された対象に関連するIgG抗体のレベルは、ワクチンを投与されていない対象と比較して、約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、又は約3倍~約10倍増加し得る。ワクチンを投与された対象に関連するIgG抗体のレベルは、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約5.5倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約15.5倍、又は少なくとも約16.0倍増加し得る。
【0071】
ワクチンは、ワクチンを投与された対象において細胞性免疫応答を誘導することができる。誘導された細胞性免疫応答は、SARS-CoV-2抗原に特異的であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、SARS-CoV-2抗原に対して反応性であり得る。好ましくは、細胞応答は、SARS-CoV-2の2つ以上の株に対して交差反応性である。誘導された細胞性免疫応答は、CD8+T細胞応答を誘発することを含むことができる。誘発されたCD8+T細胞応答は、SARS-CoV-2抗原と反応性であり得る。誘発されたCD8+T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD8+T細胞がインターフェロン-ガンマ(IFN-γ)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)、インターロイキン-2(IL-2)、又はIFN-γ及びTNF-αの組み合わせを産生する、CD8+T細胞応答を誘発することを含むことができる。
【0072】
誘導された細胞性免疫応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、ワクチンを投与された対象に関連するCD8+T細胞応答の増加を含むことができる。ワクチンを投与された対象に関連するCD8+T細胞応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、約2倍~約30倍、約3倍~約25倍、又は約4倍~約20倍増加し得る。ワクチンを投与された対象に関連するCD8+T細胞応答は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2.0倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約4.0倍、少なくとも約5.0倍、少なくとも約6.0倍、少なくとも約6.5倍、少なくとも約7.0倍、少なくとも約7.5倍、少なくとも約8.0倍、少なくとも約8.5倍、少なくとも約9.0倍、少なくとも約9.5倍、少なくとも約10.0倍、少なくとも約10.5倍、少なくとも約11.0倍、少なくとも約11.5倍、少なくとも約12.0倍、少なくとも約12.5倍、少なくとも約13.0倍、少なくとも約13.5倍、少なくとも約14.0倍、少なくとも約14.5倍、少なくとも約15.0倍、少なくとも約16.0倍、少なくとも約17.0倍、少なくとも約18.0倍、少なくとも約19.0倍、少なくとも約20.0倍、少なくとも約21.0倍、少なくとも約22.0倍、少なくとも約23.0倍、少なくとも約24.0倍、少なくとも約25.0倍、少なくとも約26.0倍、少なくとも約27.0倍、少なくとも約28.0倍、少なくとも約29.0倍、又は少なくとも約30.0倍増加し得る。
【0073】
誘導された細胞性免疫応答は、IFN-γを産生するCD3+CD8+T細胞の頻度の増加を含むことができる。ワクチンを投与された対象に関連するCD3+CD8+IFN-γ+T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、又は20倍増加し得る。
【0074】
誘導された細胞性免疫応答は、TNF-αを産生するCD3+CD8+T細胞の頻度の増加を含むことができる。ワクチンを投与された対象に関連するCD3+CD8+TNF-α+T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、又は14倍増加し得る。
【0075】
誘導された細胞性免疫応答は、IL-2を産生するCD3+CD8+T細胞の頻度の増加を含むことができる。ワクチンを投与された対象に関連するCD3+CD8+IL-2+T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約0.5倍、1.0倍、1.5倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、又は5.0倍増加し得る。
【0076】
誘導された細胞性免疫応答は、IFN-γ及びTNF-αの両方を産生するCD3+CD8+T細胞の頻度の増加を含むことができる。ワクチンを投与された対象に関連するCD3+CD8+IFN-γ+TNF-α+T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍、100倍、110倍、120倍、130倍、140倍、150倍、160倍、170倍、又は180倍増加し得る。
【0077】
ワクチンによって誘導される細胞性免疫応答は、CD4+T細胞応答を誘発することを含むことができる。誘発されたCD4+T細胞応答は、SARS-CoV-2抗原と反応性であり得る。誘発されたCD4+T細胞応答は、多機能性であり得る。誘導された細胞性免疫応答は、CD4+T細胞がIFN-γ、TNF-α、IL-2、又はIFN-γ及びTNF-αの組み合わせを産生する、CD4+T細胞応答を誘発することを含むことができる。
【0078】
誘導された細胞性免疫応答は、IFN-γを産生するCD3+CD4+T細胞の頻度の増加を含むことができる。ワクチンを投与された対象に関連するCD3+CD4+IFN-γ+T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、又は20倍増加し得る。
【0079】
誘導された細胞性免疫応答は、TNF-αを産生するCD3+CD4+T細胞の頻度の増加を含むことができる。ワクチンを投与された対象に関連するCD3+CD4+TNF-α+T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、又は22倍増加し得る。
【0080】
誘導された細胞性免疫応答は、IL-2を産生するCD3+CD4+T細胞の頻度の増加を含むことができる。ワクチンを投与された対象に関連するCD3+CD4+IL-2+T細胞の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、35倍、36倍、37倍、38倍、39倍、40倍、45倍、50倍、55倍、又は60倍増加し得る。
【0081】
誘導された細胞性免疫応答は、IFN-γ及びTNF-αの両方を産生するCD3+CD4+T細胞の頻度の増加を含むことができる。ワクチンを投与された対象に関連するCD3+CD4+IFN-γ+TNF-α+の頻度は、ワクチンを投与されていない対象と比較して、少なくとも約2倍、2.5倍、3.0倍、3.5倍、4.0倍、4.5倍、5.0倍、5.5倍、6.0倍、6.5倍、7.0倍、7.5倍、8.0倍、8.5倍、9.0倍、9.5倍、10.0倍、10.5倍、11.0倍、11.5倍、12.0倍、12.5倍、13.0倍、13.5倍、14.0倍、14.5倍、15.0倍、15.5倍、16.0倍、16.5倍、17.0倍、17.5倍、18.0倍、18.5倍、19.0倍、19.5倍、20.0倍、21倍、22倍、23倍、24倍、25倍、26倍、27倍、28倍、29倍、30倍、31倍、32倍、33倍、34倍、又は35倍増加し得る。
【0082】
本発明のワクチンは、ワクチン自体が病気又は死を引き起こさないように安全であること、ウイルス又は細菌などの生きた病原体への曝露に起因する病気に対して防御的であること、細胞の感染を予防するために中和抗体を誘導すること、細胞内病原体に対する防御性T細胞を誘導すること、並びに投与の容易さ、副作用の少なさ、生物学的安定性、及び用量当たりの低コストを提供することなどの、有効なワクチンに必要な特徴を有することができる。
【0083】
ワクチンは、筋肉又は皮膚などの異なる組織に投与された場合に免疫応答を更に誘導することができる。ワクチンは、エレクトロポレーション、又は注射、又は皮下、又は筋肉内を介して投与された場合に免疫応答を更に誘導することができる。
【0084】
SARSコロナウイルス2(SARS-CoV-2)抗原
上記のように、一実施形態では、本発明は、SARS-CoV-2抗原、その断片、そのバリアント、又はそれらの組み合わせを含む、ワクチンに関する。SARS-CoV-2を含むコロナウイルスは、膜で被包されており、コロナウイルスの表面に突出スパイクを形成するスパイク(S)タンパク質として知られる1型膜糖タンパク質を有する。スパイクタンパク質は、細胞の表面に位置するタンパク質、例えば、メタロプロテアーゼアミノペプチダーゼNへのコロナウイルスの結合を促し、細胞-ウイルス膜融合を媒介する。具体的には、スパイクタンパク質は、細胞表面タンパク質へのコロナウイルスの結合を促すS1サブユニットを含み、したがって受容体結合ドメイン(RBD)を含む。したがって、スパイクタンパク質のS1サブユニットは、どの細胞がコロナウイルスによって感染されるかを制御する。一実施形態では、本発明のSARS-CoV-2抗原は、1つ以上のSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDを含むことができる。
【0085】
SARS-CoV-2抗原は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBD、その断片、そのバリアント、又はそれらの組み合わせであり得る。一実施形態では、本発明の組成物は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDの二量体を含む。
【0086】
一実施形態では、本発明の組成物は、哺乳動物において1つ以上のSARS-CoV-2株に対する免疫応答を誘発することができる。SARS-CoV-2抗原は、該抗原を免疫原として特に有効にさせるエピトープを含むことができ、これに対して抗SARS-CoV-2免疫応答が誘導され得る。
【0087】
SARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDは、SARS-CoV-2の2つ以上の株に由来するコンセンサス配列であり得る。SARS-CoV-2スパイク抗原は、コンセンサス配列及び/又は改善された発現のための修飾を含むことができる。修飾には、コドン最適化、RNA最適化、翻訳開始を進展させるためのコザック配列の付加、及び/又は免疫グロブリンリーダー配列の付加により1つ以上のSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDの免疫原性を増加させることが含まれ得る。1つ以上のSARS-CoV-2スパイクタンパク質RBDは、免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチド、例えば、これらに限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)又は免疫グロブリン(IgG)シグナルペプチドを含むことができる。
【0088】
SARS-CoV-2 RBDは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のアミノ酸配列を有することができる。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 RBDは、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列であり得る。
【0089】
SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号2をコードする配列番号1の核酸配列を含むことができる。SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号4をコードする配列番号3の核酸配列を含むことができる。SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号6をコードする配列番号5の核酸配列を含むことができる。SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号8をコードする配列番号7の核酸配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 RBD抗原は、IgEリーダー配列に作動可能に連結され得る。
【0090】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の免疫原性断片が提供され得る。免疫原性断片は、配列番号2又は配列番号4の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%を含むことができる。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列、例えば、免疫グロブリンリーダー、例えば、IgEリーダーを含む。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列を含まない。
【0091】
配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8の免疫原性断片に相同なアミノ酸配列を有するタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。そのような免疫原性断片は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を含むことができる。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列、例えば、免疫グロブリンリーダー、例えば、IgEリーダーを含む。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列を含まない。
【0092】
いくつかの実施形態は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の免疫原性断片に関する。免疫原性断片は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の全長の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であり得る。免疫原性断片は、配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7の断片に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を含むことができる。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列、例えば、免疫グロブリンリーダー、例えば、IgEリーダーをコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
【0093】
SARS-CoV-2スパイクRBD二量体
SARS-CoV-2抗原は、SARS-CoV-2 RBD抗原の二量体、その断片、又はそのバリアントであり得る。二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、2つのRBD抗原の間にリンカー配列を含むことができる。二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、発現を改善するためのコンセンサス配列及び/又は修飾を含むことができる。修飾には、コドン最適化、RNA最適化、翻訳開始を進展させるためのコザック配列の付加、及び/又は免疫グロブリンリーダー配列の付加により1つ以上の外れ値のSARS-CoV-2スパイク抗原の免疫原性を増加させることが含まれ得る。二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、免疫グロブリンシグナルペプチドなどのシグナルペプチド、例えば、これらに限定されないが、免疫グロブリンE(IgE)又は免疫グロブリン(IgG)シグナルペプチドを含むことができる。二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、単量体SARS-CoV-2 RBD抗原よりも強力な細胞性免疫応答及び/又は体液性免疫応答を誘発するように設計することができる。
【0094】
二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のうちの少なくとも2つのRBD配列を含むことができる。一実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、同じSARS-CoV-2 RBD配列の2つのコピーを含む。一実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、2つの異なるSARS-CoV-2 RBD配列を含む。一実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、配列番号10のアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、配列番号10に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0095】
いくつかの実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号2、配列番号4、配列番号6、又は配列番号8のうちの少なくとも2つのRBD配列をコードする。いくつかの実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、少なくとも配列番号1、配列番号3、配列番号5、又は配列番号7を含む。一実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、同じSARS-CoV-2 RBD配列の2つのコピーをコードする。一実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、2つの異なるSARS-CoV-2 RBD配列をコードする。一実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号10のアミノ酸配列をコードする。一実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号9のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号10に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原をコードする核酸分子は、配列番号9に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、二量体SARS-CoV-2 RBD抗原は、IgEリーダー配列に作動可能に連結され得る。
【0096】
10の免疫原性断片が提供され得る。免疫原性断片は、配列番号10の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%を含むことができる。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列、例えば、免疫グロブリンリーダー、例えば、IgEリーダーを含む。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列を含まない。
【0097】
配列番号10の免疫原性断片に相同なアミノ酸配列を有するタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。そのような免疫原性断片は、配列番号10に対して95%相同であるタンパク質の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%を含むことができる。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片に対して96%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片に対して97%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片に対して98%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態は、本明細書に記載のタンパク質配列の免疫原性断片に対して99%の相同性を有する免疫原性断片に関する。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列、例えば、免疫グロブリンリーダー、例えば、IgEリーダーを含む。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列を含まない。
【0098】
いくつかの実施形態は、配列番号9の免疫原性断片に関する。免疫原性断片は、配列番号9の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であり得る。免疫原性断片は、配列番号9の断片に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%相同であり得る。いくつかの実施形態では、免疫原性断片は、リーダー配列、例えば、免疫グロブリンリーダー、例えば、IgEリーダーをコードする配列を含む。いくつかの実施形態では、断片は、リーダー配列をコードするコード配列を含まない。
【0099】
自己集合性ナノ粒子
一実施形態では、本発明は、オリゴマー化ドメインを含み、更にSARS-CoV-2抗原、その断片、そのバリアント、又はそれらの組み合わせを含む、自己集合性ナノ粒子を含むワクチンに関する。一実施形態では、本発明は、自己集合して球状ナノ粒子となり、異種タンパク質を発現するための足場として機能する、遍在性の鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンを利用する。したがって、一実施形態では、オリゴマー化ドメインは、フェリチン、又はその断片若しくはバリアントを含む。
【0100】
一実施形態では、オリゴマー化ドメインは、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20に記載の配列を含む。いくつかの実施形態では、オリゴマー化ドメインは、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0101】
一実施形態では、本発明は、オリゴマー化ドメインを含み、更にSARS-CoV-2抗原、その断片、そのバリアント、又はそれらの組み合わせを含む、自己集合性ナノ粒子をコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態では、オリゴマー化ドメインをコードする核酸分子は、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、オリゴマー化ドメインをコードする核酸分子は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、又は配列番号19に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、オリゴマー化ドメインをコードするヌクレオチド配列は、LS3又はGGSリンカー配列などの少なくとも1つのリンカー配列をコードする配列に作動可能に連結され得る。
【0102】
配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20の免疫原性断片が提供され得る。免疫原性断片は、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%を含むことができる。配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20の免疫原性断片に相同なアミノ酸配列を有するタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。そのような免疫原性断片は、配列番号12、配列番号14、配列番号16、配列番号18、又は配列番号20に対して少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を含むことができる。
【0103】
いくつかの実施形態は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、又は配列番号19の免疫原性断片に関する。免疫原性断片は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、又は配列番号19の全長の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であり得る。免疫原性断片は、配列番号11、配列番号13、配列番号15、配列番号17、又は配列番号19の断片に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を含むことができる。
【0104】
一実施形態では、オリゴマー化ドメインを含み、少なくとも1つのSARS-CoV-2 RBDドメインを更に含む自己集合性ナノ粒子(本明細書ではRBD-NPと称される)は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68に記載の配列を含む。いくつかの実施形態では、RBD-NPは、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0105】
一実施形態では、本発明は、RBD-NP、その断片、そのバリアント、又はそれらの組み合わせをコードする核酸分子に関する。いくつかの実施形態では、RBD-NPをコードする核酸分子は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68に記載のアミノ酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するアミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、RBD-NPをコードする核酸分子は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67に記載の核酸配列の全長にわたって少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むことができる。いくつかの実施形態では、オリゴマー化ドメインをコードするヌクレオチド配列は、LS3又はGGSリンカー配列などの少なくとも1つのリンカー配列をコードする配列に作動可能に連結され得る。
【0106】
配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68の免疫原性断片が提供され得る。免疫原性断片は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%を含むことができる。配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68の免疫原性断片に相同なアミノ酸配列を有するタンパク質の免疫原性断片が提供され得る。そのような免疫原性断片は、配列番号22、配列番号24、配列番号26、配列番号28、配列番号30、配列番号32、配列番号34、配列番号36、配列番号38、配列番号40、配列番号42、配列番号44、配列番号46、配列番号48、配列番号50、配列番号52、配列番号54、配列番号56、配列番号58、配列番号60、配列番号62、配列番号64、配列番号66、又は配列番号68の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を含むことができる。
【0107】
いくつかの実施形態は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67の免疫原性断片に関する。免疫原性断片は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67の全長の少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であり得る。免疫原性断片は、配列番号21、配列番号23、配列番号25、配列番号27、配列番号29、配列番号31、配列番号33、配列番号35、配列番号37、配列番号39、配列番号41、配列番号43、配列番号45、配列番号47、配列番号49、配列番号51、配列番号53、配列番号55、配列番号57、配列番号59、配列番号61、配列番号63、配列番号65、又は配列番号67の断片に対して、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%の同一性を含むことができる。
【0108】
リーダー配列
いくつかの実施形態では、本発明のSARS-CoV-2スパイクRBD又はRBD-NP配列は、少なくとも1つのリーダー配列又はその薬学的に許容される塩に作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2スパイクRBD又はRBD-NP配列をコードする本発明の核酸分子は、リーダー配列又はその薬学的に許容される塩をコードする少なくとも1つのヌクレオチド配列に作動可能に連結される。「シグナルペプチド」及び「リーダー配列」は、本明細書において互換的に使用され、本明細書に記載されるタンパク質のアミノ末端で連結され得るアミノ酸配列を指す。シグナルペプチド/リーダー配列は、典型的にはタンパク質の局在化を指向する。本明細書で使用されるシグナルペプチド/リーダー配列は、好ましくは、タンパク質が産生される細胞からのタンパク質の分泌を促進する。シグナルペプチド/リーダー配列は、多くの場合、細胞の分泌時に、多くの場合、成熟タンパク質と呼ばれるタンパク質の残部から切断される。シグナルペプチド/リーダー配列は、タンパク質のN末端で連結される。
【0109】
一実施形態では、リーダー配列は、MDWTWILFLVAAATRVHS(配列番号69)のアミノ酸配列を含むIgEリーダー配列である。したがって、いくつかの実施形態、開示される発現可能な核酸配列中のリーダー配列は、配列番号69をコードする配列を含む。
【0110】
リンカー配列
いくつかの実施形態では、本発明のSARS-CoV-2スパイクRBD又はRBD-NP配列は、少なくとも1つのリンカー配列に作動可能に連結される。例えば、いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2スパイクRBD又はRBD-NP配列は、リーダー配列とSARS-CoV-2スパイクRBD配列との間にリンカーを含む。いくつかの実施形態では、RBD-NP配列は、SARS-CoV-2スパイクRBD配列とオリゴマー化ドメインとの間にリンカーを含む。リンカーは、柔軟性若しくは剛性又はそれらの組み合わせのいずれかであり得る。一実施形態では、リンカーは(GGS)nリピートであり、GGSは少なくとも1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、若しくは10回、又は10回を超えて反復される。
【0111】
いくつかの実施形態では、発現可能な核酸配列は、配列番号70に対して少なくとも70%の配列同一性を含むリンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列又はその薬学的に許容される塩を含む。配列番号70は、GGSGGSGGSGGSGGG(配列番号71)のアミノ酸配列をコードする核酸配列GGAGGCTCCGGAGGATCTGGAGGGAGTGGAGGCTCAGGAGGAGGCである。いくつかの実施形態では、リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、配列番号71に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは99%の配列同一性を含む配列又はその薬学的に許容される塩をコードする。いくつかの実施形態では、リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、配列番号70に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは99%の配列同一性を有する配列又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、発現可能な核酸配列は、配列番号72に対して少なくとも70%の配列同一性を含むLS3リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列又はその薬学的に許容される塩を含む。配列番号72は、LRFGIVASRANHALVGGSGG(配列番号73)のアミノ酸配列をコードする核酸配列TTGCGATTTGGTATTGTCGCTTCCCGCGCAAACCATGCGCTCGTGGGTGGTTCCGGTGGCである。いくつかの実施形態では、リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、配列番号73に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは99%の配列同一性を含む配列又はその薬学的に許容される塩をコードする。いくつかの実施形態では、リンカーをコードする少なくとも1つの核酸配列は、配列番号72に対して少なくとも約70%、75%、80%、85%、90%、95%、若しくは99%の配列同一性を有する配列又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0113】
ベクター
ワクチンは、RBD-NPをコードする核酸を含む1つ以上のベクターを含むことができる。1つ以上のベクターは、RBD-NPを発現することができ得る。ベクターは、複製起点を含有する核酸配列を有し得る。ベクターは、プラスミド、バクテリオファージ、細菌人工染色体、又は酵母人工染色体であり得る。ベクターは、自己複製染色体外ベクター、又は宿主ゲノムに組み込まれるベクターのいずれかであり得る。
【0114】
1つ以上のベクターは、発現構築物であり得、これは概して、特定の遺伝子を標的細胞に導入するために使用されるプラスミドである。発現ベクターが細胞内に入ると、遺伝子によってコードされたタンパク質が、細胞転写及び翻訳機構リボソーム複合体によって産生される。プラスミドは、エンハンサー及びプロモーター領域として作用し、発現ベクター上に保持される遺伝子の効率的な転写をもたらす調節配列を含有するように操作されることが多い。本発明のベクターは、大量の安定なメッセンジャーRNA、ひいてはタンパク質を発現する。
【0115】
ベクターは、強力なプロモーター、強力な終結コドン、プロモーターとクローニング遺伝子との間の距離の調節、並びに転写終結配列及びPTIS(ポータブル翻訳開始配列)の挿入などの発現シグナルを有してもよい。
【0116】
(1)発現ベクター
ベクターは、環状プラスミド又は直鎖状核酸であり得る。環状プラスミド及び直鎖状核酸は、適切な対象細胞において特定のヌクレオチド配列の発現を指向することができる。ベクターは、終結シグナルに作動可能に連結され得る、抗原をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されたプロモーターを有し得る。ベクターはまた、ヌクレオチド配列の適切な翻訳に必要とされる配列も含むことができる。目的のヌクレオチド配列を含むベクターはキメラであってもよく、これは、その構成要素のうちの少なくとも1つが、その他方の構成要素のうちの少なくとも1つに対して異種であることを意味する。発現カセットにおけるヌクレオチド配列の発現は、構成的プロモーター、又は宿主細胞が何らかの特定の外部刺激に曝露された場合にのみ転写を開始する誘導性プロモーターの制御下にあり得る。多細胞生物の場合、プロモーターはまた、特定の組織又は器官又は発生段階に特異的であり得る。
【0117】
(2)環状及び直鎖状ベクター
ベクターは、細胞ゲノムへの組み込みによって標的細胞を形質転換し得るか、又は染色体外に存在し得る(例えば、複製起点を有する自己複製プラスミド)、環状プラスミドであり得る。
【0118】
ベクターは、pVAX、pcDNA3.0、若しくはprovaxであり得るか、又は抗原をコードし、細胞が配列を免疫系に認識される抗原に翻訳できるようにするDNAを発現可能な任意の他の発現ベクターであり得る。
【0119】
エレクトロポレーションを介して対象に効率的に送達され、1つ以上の所望の抗原を発現することができる、直鎖状核酸ワクチン又は直鎖状発現カセット(「LEC」)もまた本明細書で提供される。LECは、任意のリン酸骨格を欠く任意の直鎖状DNAであり得る。DNAは、1つ以上の抗原をコードし得る。LECは、プロモーター、イントロン、終止コドン、及び/又はポリアデニル化シグナルを含有し得る。抗原の発現は、プロモーターによって制御され得る。LECは、任意の抗生物質耐性遺伝子及び/又はリン酸骨格を含有しなくてもよい。LECは、所望の抗原遺伝子発現に関連しない他の核酸配列を含有しなくてもよい。
【0120】
(3)プロモーター、イントロン、終止コドン、ポリアデニル化シグナル
ベクターはプロモーターを有していてもよい。プロモーターは、遺伝子発現を駆動し、単離された核酸の発現を調節することができる任意のプロモーターであり得る。このようなプロモーターは、本明細書に記載される抗原配列を転写する、DNA依存性RNAポリメラーゼを介する転写に必要なシス作用性配列エレメントである。異種核酸の発現を指向するために使用されるプロモーターの選択は、特定の用途に依存する。プロモーターは、ベクターの転写開始部位から、その天然状態における転写開始部位からの距離とほぼ同じ距離に位置し得る。しかしながら、この距離の変動は、プロモーター機能を失うことなく適応され得る。
【0121】
プロモーターは、抗原をコードする核酸配列、並びに転写物の効率的なポリアデニル化、リボソーム結合部位、及び翻訳終結に必要なシグナルに作動可能に連結され得る。プロモーターは、CMVプロモーター、SV40初期プロモーター、SV40後期プロモーター、メタロチオネインプロモーター、マウス乳腺腫瘍ウイルスプロモーター、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、ポリヘドリンプロモーター、又は真核細胞での発現に有効であることが示されている別のプロモーターであり得る。
【0122】
ベクターは、エンハンサー、並びに機能的スプライスドナー及びアクセプター部位を有するイントロンを含むことができる。ベクターは、効率的な終結を提供するために構造遺伝子の下流に転写終結領域を含むことができる。終結領域は、プロモーター配列と同じ遺伝子から得てもよいし、異なる遺伝子から得てもよい。
【0123】
ワクチンの賦形剤及び他の成分
ワクチンは、薬学的に許容される賦形剤を更に含んでもよい。薬学的に許容される賦形剤は、溶媒、担体、又は希釈剤などの機能的分子であり得る。薬学的に許容される賦形剤は、トランスフェクション促進剤であり得、これには、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、小胞、例えば、スクアレン及びスクアレン、ヒアルロン酸、脂質、リポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、又はナノ粒子、又は他の公知のトランスフェクション促進剤が含まれ得る。
【0124】
トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、ポリ-L-グルタメート(LGS)など、又は脂質である。トランスフェクション促進剤はポリ-L-グルタメートであり、ポリ-L-グルタメートは、ワクチン中に6mg/ml未満の濃度で存在し得る。トランスフェクション促進剤はまた、界面活性剤、例えば免疫刺激複合体(ISCOMS)、フロイント不完全アジュバント、モノホスホリルリピドAを含むLPS類似体、ムラミルペプチド、キノン類似体、並びに小胞、例えば、スクアレン及びスクアレンを含むことができ、ヒアルロン酸はまた、遺伝子構築物とともに投与されて使用され得る。DNAプラスミドワクチンはまた、トランスフェクション促進剤、例えば、脂質、レシチンリポソーム若しくはDNAリポソーム混合物(例えば、W09324640を参照のこと)として当該技術分野で公知のその他のリポソームを含むリポソーム、カルシウムイオン、ウイルスタンパク質、ポリアニオン、ポリカチオン、又はナノ粒子、又は他の公知のトランスフェクション促進剤も含むことができる。トランスフェクション促進剤は、ポリアニオン、ポリカチオン、ポリ-L-グルタメート(LGS)など、又は脂質である。ワクチン中のトランスフェクション剤の濃度は、4mg/ml未満、2mg/ml未満、1mg/ml未満、0.750mg/ml未満、0.500mg/ml未満、0.250mg/ml未満、0.100mg/ml未満、0.050mg/ml未満、又は0.010mg/ml未満である。
【0125】
薬学的に許容される賦形剤は、アジュバントであり得る。アジュバントは、別のプラスミドで発現されるか、又はワクチンにおいて上述のプラスミドと組み合わせてタンパク質として送達される、他の遺伝子であってもよい。アジュバントは、α-インターフェロン(IFN-α)、β-インターフェロン(IFN-β)、γ-インターフェロン、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮増殖因子(EGF)、皮膚T細胞誘引ケモカイン(CTACK)、上皮胸腺発現ケモカイン(TECK)、粘膜関連上皮ケモカイン(MEC)、IL-12、IL-15、MHC、CD80、CD86(シグナル配列が欠失し、任意選択でIgEからのシグナルペプチドを含むIL-15を含む)からなる群から選択され得る。アジュバントは、IL-12、IL-15、IL-28、CTACK、TECK、血小板由来増殖因子(PDGF)、TNFα、TNFβ、GM-CSF、表皮増殖因子(EGF)、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-10、IL-12、IL-18、又はそれらの組み合わせであり得る。
【0126】
アジュバントとして有用であり得る他の遺伝子には、以下をコードするものが含まれる:MCP-1、MIP-1a、MIP-1p、IL-8、RANTES、L-セレクチン、P-セレクチン、E-セレクチン、CD34、GlyCAM-1、MadCAM-1、LFA-1、VLA-1、Mac-1、p150.95、PECAM、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、CD2、LFA-3、M-CSF、G-CSF、IL-4、IL-18の変異型、CD40、CD40L、血管増殖因子、線維芽細胞増殖因子、IL-7、IL-22、神経増殖因子、血管内皮増殖因子、Fas、TNF受容体、Flt、Apo-1、p55、WSL-1、DR3、TRAMP、Apo-3、AIR、LARD、NGRF、DR4、DR5、KILLER、TRAIL-R2、TRICK2、DR6、カスパーゼICE、Fos、c-jun、Sp-1、Ap-1、Ap-2、p38、p65Rel、MyD88、IRAK、TRAF6、IkB、不活性NIK、SAP K、SAP-1、JNK、インターフェロン応答遺伝子、NFkB、Bax、TRAIL、TRAILrec、TRAILrecDRC5、TRAIL-R3、TRAIL-R4、RANK、RANKリガンド、Ox40、Ox40リガンド、NKG2D、MICA、MICB、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2E、NKG2F、TAP1、TAP2、及びそれらの機能的断片。
【0127】
ワクチンは、参照により完全に組み込まれる、1994年4月1日に出願された米国特許出願第021,579号に記載される遺伝子ワクチン促進剤を更に含んでもよい。
【0128】
ワクチンは、用いられる投与様式に応じて製剤化され得る。注射用ワクチン医薬組成物は、滅菌、発熱性物質不含、及び微粒子不含であり得る。等張性製剤又は溶液を使用することができる。等張性のための添加剤としては、塩化ナトリウム、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、及びラクトースを挙げることができる。ワクチンは、血管収縮剤を含むことができる。等張性溶液としては、リン酸緩衝生理食塩水を挙げることができる。ワクチンは、ゼラチン及びアルブミンを含む安定剤を更に含むことができる。安定剤は、製剤が長時間にわたって室温又は周囲温度で安定であることを可能にし、LGS、又はポリカチオン若しくはポリアニオンが含まれる。
【0129】
ワクチン接種方法
対象にワクチンを投与することによって、疾患を治療、それから防御、及び/又はそれを予防する必要のある対象においてそれらを行う方法もまた本明細書に提供される。対象へのワクチンの投与により、対象において免疫応答を誘導又は誘発することができる。誘導された免疫応答は、疾患、例えば、SARS-CoV-2感染症に関連する病態を治療、予防、及び/又はそれから防御するために使用することができる。一実施形態では、SARS-CoV-2感染症に関連する病態はCOVID-19である。
【0130】
誘導された免疫応答は、誘導された体液性免疫応答及び/又は誘導された細胞性免疫応答を含むことができる。体液性免疫応答は、約1.5倍~約16倍、約2倍~約12倍、又は約3倍~約10倍誘導することができる。誘導された体液性免疫応答は、SARS-CoV-2スパイクRBDに反応性であるIgG抗体及び/又は中和抗体を含むことができる。誘導された細胞性免疫応答は、約2倍~約30倍、約3倍~約25倍、又は約4倍~約20倍誘導されたCD8+T細胞応答を含むことができる。
【0131】
ワクチン用量は、1μg~10mgの活性成分/kg体重/回であり、20μg~10mgの活性成分/kg体重/回であり得る。ワクチンは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、又は31日毎に投与することができる。有効な治療のためのワクチン投与回数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10回であり得る。
【0132】
投与
ワクチンは、薬学分野の当業者に周知の標準的な技術にしたがって製剤化することができる。かかる組成物は、特定の対象の年齢、性別、体重、及び状態、並びに投与経路などの因子を考慮して、医学分野の当業者に周知の投与量及び技法によって投与することができる。対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ネコ、イヌ、ラット、又はマウスであり得る。
【0133】
ワクチンは、予防的又は治療的に投与することができる。予防的投与では、ワクチンは、免疫応答を誘導するのに十分な量で投与され得る。治療用途において、ワクチンは、治療効果を誘発するのに十分な量で、それを必要とする対象に投与される。これを達成するための適切な量は、「治療有効用量」として定義される。この使用に有効な量は、例えば、投与されるワクチンレジメンの個々の組成、投与方法、疾患の段階及び重症度、患者の全身健康状態、及び処方医師の判断による。
【0134】
ワクチンは、Donnelly et al.(Ann.Rev.Immunol.15:617-648(1997));Felgner et al.(1996年12月3日発行の米国特許第5,580,859号);Felgner(1997年12月30日発行の米国特許第5,703,055号);及びCarson et al.(1997年10月21日発行の米国特許第5,679,647号)(これらの全ての内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載される当業者に周知の方法によって投与することができる。ワクチンのDNAは、例えば、ワクチン銃を使用して個体に投与され得る粒子又はビーズに複合体化することができる。当業者であれば、生理学的に許容される化合物を含む薬学的に許容される担体の選択が、例えば、発現ベクターの投与経路に依存することを知っているであろう。
【0135】
ワクチンは、様々な経路を介して送達することができる。典型的な送達経路には、非経口投与、例えば皮内、筋肉内、又は皮下送達が含まれる。他の経路としては、経口投与、鼻腔内、及び腟内経路が含まれる。特にワクチンのDNAについては、ワクチンは、個体の組織の間質空間に送達され得る(Felgner et al.,米国特許第5,580,859号及び同第5,703,055号(これらの全ての内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる))。ワクチンはまた、筋肉に投与され得るか、又は皮内注射若しくは皮下注射を介して、又は経皮的に、例えばイオン導入によって投与され得る。ワクチンの表皮投与も用いることができる。表皮投与は、表皮の最外層を機械的又は化学的に刺激して、刺激物に対する免疫応答を促すことを含むことができる(Carson et al.,米国特許第5,679,647号(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。
【0136】
ワクチンはまた、鼻腔を介して投与するために製剤化することもできる。担体が固体である、経鼻投与に好適な製剤は、例えば、約10~約500ミクロンの範囲の粒径を有する粗粉末を含むことができ、これは、鼻から吸い込む様式で、すなわち、鼻の近くで保持された粉末の容器から鼻腔を通して急速に吸入することよって、投与される。製剤は、経鼻スプレー、点鼻薬であり得るか、又はネブライザーによるエアロゾル投与によるものであってもよい。製剤は、ワクチンの水性又は油性溶液を含むことができる。
【0137】
ワクチンは、懸濁液、シロップ剤、又はエリキシル剤などの液体製剤であってもよい。ワクチンはまた、非経口、皮下、皮内、筋肉内、又は静脈内投与(例えば、注射投与)用製剤、例えば、滅菌懸濁液又はエマルジョンであってもよい。
【0138】
ワクチンは、リポソーム、マイクロスフェア、又は他のポリマーマトリックスに組み込むことができる(Felgner et al.,米国特許第5,703,055号;Gregoriadis,Liposome Technology,Vols.Ito III(2nd ed.1993)(その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)。リポソームは、リン脂質又は他の脂質からなり得、比較的簡単に作製及び投与される非毒性で生理学的に許容される代謝可能な担体であり得る。
【0139】
ワクチンは、エレクトロポレーション、例えば米国特許第7,664,545号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている方法によるエレクトロポレーションを介して投与することができる。エレクトロポレーションは、米国特許第6,302,874号:同第5,676,646号;同第6,241,701号;同第6,233,482号;同第6,216,034号;同第6,208,893号;同第6,192,270号;同第6,181,964号;同第6,150,148号;同第6,120,493号;同第6,096,020号;同第6,068,650号;及び同第5,702,359号(これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されている方法及び/又は装置によるものであり得る。エレクトロポレーションは、低侵襲性デバイスを介して実施され得る。
【0140】
低侵襲性エレクトロポレーションデバイス(「MID」)は、上記ワクチン及び関連する流体を体組織内に注入するための装置であり得る。デバイスは、中空針、DNAカセット、及び流体送達手段を備えることができ、該デバイスは、使用時に流体送達手段を作動させて、体組織に針を挿入している間に同時に(例えば、自動的に)DNAを体組織に注入するように構成される。これは、針が挿入されている間にDNA及び関連する流体を徐々に注入できるため、体組織を通る流体の分布がより均一になるという利点がある。注入中に感じる疼痛は、注入されるDNAがより広範囲にわたって分布されるために軽減され得る。
【0141】
MIDは、針を使用せずにワクチンを組織に注入することができる。MIDは、ワクチンが組織の表面を貫通し下層の組織及び/又は筋肉に進入するような力で、該ワクチンを小さな流れ又は噴流として注入することができる。小さな流れ又は噴流の原動力は、一瞬のうちにマイクロオリフィスを通過する二酸化炭素などの圧縮ガスの膨脹によって提供されてもよい。低侵襲性エレクトロポレーションデバイス及びその使用方法の例は、米国特許出願公開第20080234655号:米国特許第6,520,950号;米国特許第7,171,264号;米国特許第6,208,893号;米国特許第6,009,347号;米国特許第6,120,493号;米国特許第7,245,963号;米国特許第7,328,064号;及び米国特許第6、763,264号(これらの各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0142】
MIDは、疼痛を伴わずに組織を貫通する液体の高速噴流を引き起こすインジェクタを備えてもよい。このような無針インジェクタは市販されている。本明細書で利用することができる無針インジェクタの例としては、米国特許第3,805,783号;同第4,447,223号;同第5,505,697号;及び同第4,342,310号(これらの各々の内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものが挙げられる。
【0143】
直接的又は間接的な電気輸送に好適な形態の所望のワクチンは、無針インジェクタを使用して治療される組織内に導入(例えば、注入)することができ、通常、組織表面とインジェクタを接触させて、ワクチンを組織内に浸透させるのに十分な力で薬剤の噴流の送達を作動させることによって、導入することができる。例えば、治療される組織が粘膜、皮膚、又は筋肉である場合、薬剤は、角質層を通って真皮層に、又は下層組織及び筋肉にそれぞれ薬剤を浸透させるのに十分な力で粘膜又は皮膚表面に向けて放出される。
【0144】
無針インジェクタは、あらゆる種類の組織、特に皮膚及び粘膜にワクチンを送達するのに適している。いくつかの実施形態は、無針インジェクタを使用して、ワクチンを含有する液体を表面に、及び対象の皮膚又は粘膜中に噴射することができる。本発明の方法を使用して治療することができる様々な種類の組織の代表例としては、膵臓、喉頭、鼻咽頭、下咽頭、口咽頭、唇、喉、肺、心臓、腎臓、筋肉、乳房、結腸、前立腺、胸腺、精巣、皮膚、粘膜組織、卵巣、血管、又はこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0145】
MIDは、組織をエレクトロポレーションする針電極を備えてもよい。例えば、長方形又は正方形のパターンに設置された複数の電極アレイにおける複数対の電極間にパルスを発生させることで、一対の電極間にパルスを発生させるよりも優れた結果が得られる。例えば、「Needle Electrodes for Mediated Delivery of Drugs and Genes」と題された米国特許第5,702,359号に開示されているのは、治療的処置中に複数対の針がパルスを発生させられ得る針のアレイである。それらが完全に記載されているかのように参照により本明細書に組み込まれる同出願において、針は円形アレイに配置されたが、対向する対の針電極間にパルスを発生させることが可能なコネクタ及びスイッチング装置を備える。組換え発現ベクターを細胞に送達するための一対の針電極を使用することができる。かかるデバイス及びシステムは、米国特許第6,763,264号に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。あるいは、通常の注射針と類似した単針でDNAの注入及びエレクトロポレーションをし、現在用いられているデバイスで供給されるよりも低電圧のパルスを印加し、それにより患者が感じる電気刺激を軽減することができる単針デバイスを用いてもよい。
【0146】
MIDは、1つ以上の電極アレイを備えてもよい。アレイは、同一直径又は異なる直径の2つ以上の針を備えてもよい。針は、等間隔又は不等間隔に設けられ得る。針は、0.005インチ~0.03インチ、0.01インチ~0.025インチ、又は0.015インチ~0.020インチであり得る。針は、直径0.0175インチであり得る。針は、0.5mm、1.0mm、1.5mm、2.0mm、2.5mm、3.0mm、3.5mm、4.0mm、又はそれ以上の間隔をあけて設けられ得る。
【0147】
MIDは、1つのパルス発生器と、ワクチン及びエレクトロポレーションパルスを単一ステップで供給する2つ以上の針インジェクタとから構成され得る。パルス発生器は、フラッシュカードで操作されるパーソナルコンピュータを介したパルス及び注入パラメータのフレキシブルなプログラミング、並びにエレクトロポレーション及び患者データの包括的な記録及び格納を可能にし得る。パルス発生器は、様々な電圧パルスを短時間の間に供給することができる。例えば、パルス発生器は、持続時間100msの3つの15ボルトのパルスを供給し得る。このようなMIDの一例は、Inovio Biomedical CorporationによるElgen 1000システムであり、米国特許第7,328,064号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0148】
MIDは、体内又は植物内の選択された組織の細胞に、DNAなどの巨大分子の導入を促進するモジュール式電極システムである、CELLECTRA(Inovio Pharmaceuticals,Blue Bell PA)デバイス及びシステムであってもよい。モジュール式電極システムは、複数の針電極、皮下針、プログラム可能な定電流パルスコントローラから複数の針電極への導電性連結を提供する電気コネクタ、及び電源を備えてもよい。操作者は、支持構造体に取り付けられた複数の針電極をつかみ、それらを体内又は植物の選択された組織にしっかりと挿入することができる。次いで、皮下針を介して選択された組織に巨大分子が送達される。プログラム可能な定電流パルスコントローラが作動し、定電流電気パルスが複数の針電極に印加される。印加された定電流電気パルスは、複数の電極間において巨大分子の細胞内への導入を促進する。定電流パルスにより組織内の電力散逸を制限することによって、細胞の過熱による細胞死は最小限に抑えられる。Cellectraデバイス及びシステムは、米国特許第7,245,963号(その内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0149】
MIDは、Elgen 1000システム(Inovio Pharmaceuticals)であってもよい。Elgen 1000システムは、中空針と流体送達手段とを提供するデバイスを備えてもよく、装置は、使用時に流体送達手段を作動させて、体組織に針を挿入している間に同時に(例えば、自動的に)本明細書に記載のワクチンである流体を体組織に注入するように構成される。この利点は、針が挿入されている間に流体を徐々に注入できるため、体組織を通る流体の分布がより均一になることである。また、注入中に感じる疼痛は、注入される流体の量がより広範囲にわたって分布されるために軽減されると考えられる。
【0150】
加えて、流体の自動注入は、注入される流体の実際量の投与量の自動的な監視及び登録を容易にする。このデータは、必要に応じて、文書化のために制御ユニットにより格納することができる。
【0151】
注入速度は、直線的又は非直線的のいずれでもよいこと、並びに注入は、針が治療を受ける対象の皮膚を通して挿入された後、かつ、それらが体組織内に更に挿入される間に実行され得ることが理解されるであろう。
【0152】
本発明の装置によって流体が注入され得る好適な組織としては、腫瘍組織、皮膚、又は肝組織が挙げられるが、筋組織であってもよい。
【0153】
装置は更に、体組織内への針の挿入を誘導するための針挿入手段を備える。流体注入速度は、針挿入速度によって制御される。これは、針の挿入と流体の注入の両方を制御して、挿入速度を所望の注入速度と一致させることができるという利点を有する。また、ユーザーが装置を操作するのをより容易にする。必要に応じて、体組織に自動的に針を挿入するための手段を設けてもよい。
【0154】
ユーザーは、流体の注入を開始する時点を選択することができる。しかしながら、理想的には、注入は、針の先端が筋組織に達した時点で開始され、装置は、針が流体の注入が開始されるのに十分な深さまで挿入された時点を感知するための手段を含むことができる。これは、針が所望の深さ(通常、筋組織が始まる深さになる)に到達した時点で流体の注入が自動的に開始されるよう促すことができることを意味する。筋組織が始まる深さは、例えば、針が皮膚層を通過するのに十分であるとみなされる4mmの値などの予め設定された針挿入深さとすることができる。
【0155】
感知手段は、超音波プローブを備えてもよい。感知手段は、インピーダンス又は抵抗の変化を感知するための手段を備えてもよい。この場合、手段は、それ自体が体組織内の針の深さを記録するのではなく、むしろ、針が異なる種類の体組織から筋肉へと移動するにつれてインピーダンス又は抵抗が変化するのを感知するように構成される。これらの選択肢のいずれも、注入が開始し得ることを感知する比較的正確で操作が単純な手段を提供する。針の挿入の深さは、必要に応じて更に記録されてもよく、針の挿入の深さが記録されると注入される流体の量が決定されるように流体の注入を制御するために使用することができる。
【0156】
装置は、針を支持するための基部と、その中に基部を収容するための筐体とを更に備えてもよく、該基部は、該基部が筐体に対して第1の後方位置にある場合に針が筐体内で後退し、該基部が筐体内で第2の前方位置にある場合に針が筐体外に延びるように、筐体に対して移動可能である。これは、筐体を患者の皮膚上に真っすぐに向けることができ、次いで筐体を基部に対して移動させることによって針を患者の皮膚内に挿入することができるため、ユーザーにとって好都合である。
【0157】
上述したように、針が皮膚に挿入されるときに針の長さにわたって流体が均一に分布するように、制御された流体注入速度を達成することが望ましい。流体送達手段は、制御された速度で流体を注入するように構成されたピストン駆動手段を備えてもよい。ピストン駆動手段は、例えばサーボモーターにより作動させることができる。しかしながら、ピストン駆動手段は、基部が筐体に対して軸方向に移動されることによって作動させてもよい。流体送達のための代替手段を設けてもよいことが理解されるであろう。したがって、例えば、制御された速度又は非制御の速度での流体送達のために圧搾され得る密封容器を、シリンジ及びピストンシステムの代わりに設けてもよい。
【0158】
上述の装置は、あらゆるタイプの注入に使用することができる。しかしながら、エレクトロポレーションの分野において特に有用であることが想定されるため、該装置は針に電圧を印加するための手段を更に備え得る。これにより、針を注入に使用するだけでなく、エレクトロポレーション中の電極としても使用できるようになる。このことは、注入される流体と同じ領域に電場が印加されることを意味するため、特に好都合である。従来、エレクトロポレーションには、以前に注入された流体と電極を正確に位置合わせすることが非常に困難であるため、ユーザーが、より広範囲にわたって必要とされるよりも多くの量の流体を注入し、より高い領域にわたって電場を印加して、注入物質と電場との重なりを確実にしようとする傾向があるという問題があった。本発明を使用して、注入される流体の量及び印加される電場のサイズの両方を、電場と流体との間の良好な適合を達成しながら、低減させることができる。
【0159】
キット
本明細書では、上記のワクチン接種方法を用いて対象を治療するために使用することができる、キットが提供される。一実施形態では、キットはワクチンを含むことができる。一実施形態では、キットは、本発明のRBD-NPをコードする核酸分子を含むことができる。
【0160】
キットはまた、上記のワクチン接種方法を実施するための、及び/又はキットを使用するための説明書も含むことができる。キットに含まれる説明書は、包装材料に貼付されてもよく、又は添付文書として含まれてもよい。説明書は、典型的には、書面又は印刷物であるが、これらに限定されない。説明書を保存し、エンドユーザーに伝達することができる任意の媒体が本開示で企図される。このような媒体としては、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ)、光学媒体(例えば、CD ROM)などが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「説明書」は、説明書を提供するインターネットサイトのアドレスを含むことができる。
【0161】
本発明は、複数の態様を有し、以下の非限定的な実施例によって例示される。
【実施例】
【0162】
実施例1
本明細書に提示されるデータは、効力が向上したSARS-CoV2に対するワクチンの開発を実証する。RBD結合ドメインと多価自己集合性DNAを組み合わせた足場が開発されている(
図1及び
図4)。データは、ワクチンが、免疫原による抗体陽転の迅速な誘導、中和力価の迅速な誘導(
図3)、及び全体的に高い免疫効力(
図2)をもたらすことを実証する。
【0163】
【0164】
前述の発明を実施するための形態及び付随する実施例は、単に例示的なものであり、添付の特許請求の範囲及びそれらの等価物によってのみ定義される本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではないことが理解される。
【0165】
開示された実施形態に対する様々な変更及び修正は、当業者には明らかであろう。本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、製剤、又は使用方法に関するものを含むがこれらに限定されないそのような変更及び修正は、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことができる。
【配列表】
【国際調査報告】