(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】新規OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼ-RNA複合体
(51)【国際特許分類】
C12N 15/11 20060101AFI20231115BHJP
C12N 15/55 20060101ALI20231115BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20231115BHJP
C12N 1/15 20060101ALI20231115BHJP
C12N 1/19 20060101ALI20231115BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
C12N15/55
C12N15/09 110
C12N1/15
C12N1/19
C12N5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527402
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-02
(86)【国際出願番号】 US2021057814
(87)【国際公開番号】W WO2022098693
(87)【国際公開日】2022-05-12
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521476126
【氏名又は名称】エメンドバイオ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】イザール、リオル
(72)【発明者】
【氏名】ロッカー、リアット
(72)【発明者】
【氏名】マールバッハ・バール、ナダブ
【テーマコード(参考)】
4B065
【Fターム(参考)】
4B065AA57X
4B065AA57Y
4B065AA72X
4B065AA72Y
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065CA44
(57)【要約】
非天然のRNA分子を含む組成物であって、RNA分子が、RNA足場部分を含み、RNA足場部分が、crRNA反復配列部分-リンカー部分-tracrRNA部分の構造を有し、RNA足場タンパク質が、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、RNA分子のガイド配列部分と相補性を有するDNA標的部位を標的化する、組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非天然のRNA分子を含む組成物であって、前記RNA分子が、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含み、前記RNA分子が、tracrRNA配列の存在下で、OMNI-50ヌクレアーゼと複合体を形成し、DNA標的部位を標的化し、前記tracrRNA配列が、前記RNA分子のtracrRNA部分又は第2のRNA分子のtracrRNA部分によってコードされる、組成物。
【請求項2】
前記crRNA反復配列部分が、17個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは12~16個のヌクレオチドの長さであるか、又は前記crRNA反復配列部分が、17個以上のヌクレオチドの長さ、好ましくは18~24個のヌクレオチドの長さである、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記crRNA反復配列部分が、Ezakiella peruensis株M6.X2によってコードされる成熟OMNI-50 crRNA反復配列と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記crRNA反復配列部分が、配列番号23と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記crRNA反復配列部分が、配列番号8、23、24、及び25のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記crRNA反復配列が、配列番号8又は23以外である、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記crRNA反復配列部分及び前記ガイド配列部分を含む前記RNA分子が、前記tracrRNA部分を更に含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記crRNA反復配列部分が、ポリヌクレオチドリンカー部分によって前記tracrRNA部分と共有結合する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、前記tracrRNA部分を含む第2のRNA分子を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記OMNI-50ヌクレアーゼが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ガイド配列部分が、17~30個のヌクレオチドの長さ、好ましくは22個のヌクレオチドの長さである、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
非天然のRNA分子を含む組成物であって、前記RNA分子が、tracrRNA部分を含み、前記RNA分子が、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分の存在下で、OMNI-50ヌクレアーゼと複合体を形成し、DNA標的部位を標的化し、前記crRNA反復配列部分及び前記ガイド配列部分が、前記RNA分子又は第2のRNA分子によってコードされる、組成物。
【請求項13】
前記tracrRNA部分が、91個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは90~80、89~80、79~70、69~60、59~50、49~40、若しくは39~28個のヌクレオチドの長さであるか、又は前記tracrRNA部分が、91以上個以上のヌクレオチドの長さ、好ましくは91~112個のヌクレオチドの長さである、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記tracrRNA部分が、Ezakiella peruensis株M6.X2によってコードされる成熟OMNI-50 tracrRNA配列と少なくとも30~40%、41~50%、51~60%、61~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する、請求項12又は13に記載の組成物。
【請求項15】
前記tracrRNA部分が、配列番号5の前記tracrRNA部分と少なくとも30~40%、41~50%、51~60%、61~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する、請求項12~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記tracrRNA部分が、配列番号4、5、16~21、29~31、74~126、132~137、及び148~167のうちのいずれか1つの前記tracrRNA部分と少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項12~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記tracrRNA部分が、配列番号4又は5の前記tracr部分以外である、請求項12~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記tracrRNA部分が、19個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは14~18個のヌクレオチドの長さであるtracrRNA抗反復配列部分を含む、請求項12~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記tracrRNA部分が、配列番号26と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有するtracrRNA抗反復配列部分を含む、請求項12~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記tracrRNA部分が、配列番号9、26~28、及び138のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するtracrRNA抗反復配列部分を含む、請求項12~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記tracrRNA部分が、配列番号9又は26以外であるtracrRNA抗反復配列部分を含む、請求項12~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記RNA分子が、tracrRNA部分を含み、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を更に含む、請求項12~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
前記tracrRNA部分が、ポリヌクレオチドリンカー部分によって前記crRNA反復配列と共有結合する、請求項12~22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
前記ポリヌクレオチドリンカー部分が、4~10個のヌクレオチドの長さである、請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記ポリヌクレオチドリンカーが、GAAAの配列を有する、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物が、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含む第2のRNA分子を更に含む、請求項12~21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
前記OMNI-50ヌクレアーゼが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項12~26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
前記ガイド配列部分が、17~30個のヌクレオチドの長さ、好ましくは22個のヌクレオチドの長さである、請求項12~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
非天然のRNA分子を含む組成物であって、前記RNA分子が、RNA足場部分を含み、前記RNA足場部分が、
crRNA反復配列部分-リンカー部分-tracrRNA部分の構造を有し、
前記RNA足場タンパク質が、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、前記RNA分子のガイド配列部分と相補性を有するDNA標的部位を標的化する、組成物。
【請求項30】
前記RNA足場部分が、112、111~110、109~105、104~100、99~95、94~90、89~85、84~80、79~75、74~70、69~50、又は49~45個のヌクレオチドの長さである、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記RNA足場部分が、配列番号5と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項29又は30に記載の組成物。
【請求項32】
前記crRNA反復配列部分が、17個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは12~16個のヌクレオチドの長さであるか、又は前記crRNA反復配列部分が、17個以上のヌクレオチドの長さ、好ましくは18~24個のヌクレオチドの長さである、請求項29~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記crRNA反復配列部分が、Ezakiella peruensis株M6.X2によってコードされる成熟OMNI-50 crRNA反復配列と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する、請求項29~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
前記crRNA反復配列部分が、配列番号23と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する、請求項29~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
前記crRNA反復配列部分が、配列番号8、23、24、及び25のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項29~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記crRNA反復配列が、配列番号8又は23以外である、請求項29~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記tracrRNA部分が、91個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは90~80、89~80、79~70、69~60、59~50、49~40、若しくは39~28個のヌクレオチドの長さであるか、又は前記tracrRNA部分が、91以上個以上のヌクレオチドの長さ、好ましくは91~112個のヌクレオチドの長さである、請求項29~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記tracrRNA部分が、Ezakiella peruensis株M6.X2によってコードされる成熟OMNI-50 tracrRNA配列と少なくとも30~40%、41~50%、51~60%、61~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する、請求項29~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
前記tracrRNA部分が、配列番号5の前記tracrRNA部分と少なくとも30~40%、41~50%、51~60%、61~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する、請求項29~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
前記tracrRNA部分が、配列番号4、5、16~21、29~31、74~126、132~137、及び148~167のうちのいずれか1つの前記tracrRNA部分と少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項29~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
前記tracrRNA部分が、配列番号4又は5の前記tracrRNA部分以外である、請求項29~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
前記tracrRNA部分が、tracrRNA抗反復配列部分を含み、前記crRNA反復配列及び前記tracrRNA抗反復配列部分が、前記リンカー部分によって共有結合する、請求項29~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記リンカー部分が、4~10個のヌクレオチドの長さであるポリヌクレオチドリンカーである、請求項42に記載の組成物。
【請求項44】
前記ポリヌクレオチドリンカーが、GAAAの配列を有する、請求項43に記載の組成物。
【請求項45】
前記tracrRNA抗反復配列部分が、19個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは14~18個のヌクレオチドの長さである、請求項42~44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記tracrRNA部分が、配列番号5と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有するtracrRNA抗反復配列部分を含む、請求項42~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記tracrRNA抗反復配列部分が、配列番号9、26~28、及び138のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項42~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
前記tracrRNA抗反復配列部分が、配列番号9又は26以外である、請求項42~47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記tracrRNA部分が、前記tracrRNA抗反復部分と連結されたヌクレオチドの第1の区画を含み、前記ヌクレオチドの第1の区画が、配列番号10、11、127、128、139~143、AAC、A、AA、AAA、及びACAAACCのうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項42~48のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項50】
前記tracrRNA部分が、ヌクレオチドの第1の区画と連結されたヌクレオチドの第2の区画を含み、前記ヌクレオチドの第2の区画が、配列番号12、32、144~146、GCCUAUU、GCCUAU、AAUGGC、AAAGGC、UAUAGGC、AUAGGC、及びGCCUのうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項42~49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記tracrRNA部分が、ヌクレオチドの第2の区画と連結されたヌクレオチドの第3の区画を含み、前記ヌクレオチドの第3の区画が、配列番号13、33、34、129、130、147、CGCAG、CGC、CGCAGG、C、CUUCUGC、及びCGCAGUUGのうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項42~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記tracrRNA部分が、ヌクレオチドの第3の区画と連結されたヌクレオチドの第4の部分を含み、ヌクレオチドの第4の区画が、配列番号14、15、35~73、131、AUU、AUUAUUU、AUUU、AUUUUUUUU、AGCUUUUUU、UUUU、UUUUU、及びUUUのうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項42~51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記RNA足場部分が、配列番号4、5、16~21、29~31、74~126、132~137、及び148~167のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を有する、請求項29~52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記RNA足場部分が、Full F、Full C、Short 1、Short 2、Short 3、Short 4、Short 5、Short 6、NGS13、NGS14、NGS15、NGS16、NGS17、NGS18、NGS40、NGS41、NGS42、NGS43、NGS44、NGS9、NGS2、NGS3、NGS12、NGS1、又はNGS6 RNA足場のうちのいずれか1つの予測構造を有する、請求項29~53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記RNA足場部分が、配列番号4又は5以外である、請求項29~54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
前記ガイド配列部分が、前記RNA分子の前記crRNA反復配列部分と共有結合して、
ガイド配列部分-crRNA反復配列部分-リンカー部分-tracrRNA部分の構造を有する単一ガイドRNA分子を形成する、請求項29~55のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項57】
前記ガイド配列部分が、17~30個のヌクレオチドの長さ、より好ましくは20~23個のヌクレオチド、より好ましくは22個のヌクレオチドの長さである、請求項29~56のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項58】
OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼを更に含み、前記OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼが、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有する、請求項29~57のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項59】
前記RNA分子が、インビトロ転写(IVT)又は固相人工オリゴヌクレオチド合成によって形成される、請求項29~58のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項60】
前記RNA分子が、修飾ヌクレオチドを含む、請求項59に記載の組成物。
【請求項61】
請求項29~56のいずれか一項に記載のRNA分子をコードする、ポリヌクレオチド分子。
【請求項62】
無細胞系又は細胞のゲノムにおけるDNA標的部位のヌクレオチド配列を修飾する方法であって、請求項29~56のいずれか一項に記載の組成物、及びOMNI-50 CRISPRヌクレアーゼを系又は細胞に導入することを含む、方法。
【請求項63】
前記細胞が、真核細胞又は原核細胞である、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
無細胞系又は細胞のゲノムにおけるDNA標的部位のヌクレオチド配列を修飾するためのキットであって、請求項29~56のいずれか一項に記載の組成物、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼを系又は細胞に導入することと、前記RNA分子及び前記OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼを前記細胞に送達するための指示と、を含む、キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2020年11月4日に出願された米国仮出願第63/109,835号の利益を主張し、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願全体を通して、括弧内で参照されているものを含む様々な刊行物が参照される。本出願で言及される全ての刊行物のそれらの全体における開示は、本発明が属する技術分野及び本発明とともに用いることができる技術分野の特色の追加の説明を提供するために、参照により本出願に組み込まれる。
【0003】
配列表への参照
本出願は、88キロバイトのサイズであり、本出願の一部として2021年11月3日に出願されたテキストファイルに含まれる、MS-Windows(登録商標)とのオペレーティングシステムの互換性を有するIBM-PCマシンフォーマットで2021年10月25日に作成された「211103_91628-A-PCT_Sequence_Listing_AWG.txt」という名称のファイルに存在するヌクレオチド配列を参照により組み込む。
【0004】
技術分野
本発明は、とりわけ、ゲノム編集のための組成物及び方法を対象とする。
【背景技術】
【0005】
細菌及び古細菌適応免疫のクラスター化された規則的な間隔の短い回文配列反復(CRISPR)システムは、タンパク質組成及びゲノム遺伝子座アーキテクチャの極めて高い多様性を示す。CRISPRシステムは、研究及びゲノム操作のための重要なツールとなっている。それにもかかわらず、CRISPRシステムの多くの詳細は、決定されておらず、CRISPRヌクレアーゼの適用可能性は、配列特異性要件、発現、又は送達における困難によって限定され得る。異なるCRISPRヌクレアーゼは、サイズ、PAM部位、オンターゲット活性、特異性、切断パターン(例えば、ブラントエンド、付着末端)、及び切断に続くインデル形成の卓越したパターンなどの多様な特徴を有する。異なる特徴の組は、異なる用途に有用であり得る。例えば、PAM部位の限定に起因して他のCRISPRヌクレアーゼが標的化することができない特定のゲノム遺伝子座に、いくつかのCRISPRヌクレアーゼを標的化することが可能であり得る。加えて、現在使用されているいくつかのCRISPRヌクレアーゼは、インビボでの適用可能性を限定し得る前免疫を呈する。Charlesworth et al., Nature Medicine (2019)及びWagner et al., Nature Medicine (2019)を参照されたい。したがって、新規CRISPRヌクレアーゼ、並びにそれらを活性化して標的化するRNA分子の発見、操作、及び改善が、重要である。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、非天然のRNA分子を含む組成物であって、RNA分子が、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含み、RNA分子が、tracrRNA配列の存在下で、OMNI-50ヌクレアーゼと複合体を形成し、DNA標的部位を標的化し、tracrRNA配列が、RNA分子のtracrRNA部分又は第2のRNA分子のtracrRNA部分によってコードされる、組成物を提供する。
【0007】
本発明はまた、非天然のRNA分子を含む組成物であって、RNA分子が、crRNA反復配列部分、ガイド配列部分、及びtracrRNA部分を含み、RNA分子が、OMNI-50ヌクレアーゼと複合体を形成し、RNA分子のガイド配列部分と相補性を有するDNA標的部位を標的化する、組成物を提供する。
【0008】
本発明はまた、非天然のRNA分子を含む組成物であって、RNA分子が、RNA足場部分を含み、RNA足場部分が、
crRNA反復配列部分-リンカー部分-tracrRNA部分の構造を有し、
RNA足場タンパク質が、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、RNA分子のガイド配列部分と相補性を有するDNA標的部位を標的化する、組成物を提供する。
【0009】
本明細書で開示されるのは、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼと特異的に結合して活性化し、RNA分子のRNAスペーサー部分とも呼ばれるガイド配列部分に基づいてDNA標的部位を標的化することができる足場部分を含む、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼ及び非天然のRNA分子を使用する、ゲノム操作、エピゲノム操作、ゲノム標的化、細胞のゲノム編集、及び/又はインビトロ診断のために利用することができる組成物並びに方法である。
【0010】
開示の組成物は、ゲノムDNA配列を修飾するために利用することができる。本明細書で使用される場合、ゲノムDNAは、目的の1つの細胞又は複数の細胞に存在する線状及び/若しくは染色体DNA、並びに/又はプラスミド、又は他の染色体外DNA配列を指す。いくつかの実施形態では、目的の細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態では、目的の細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、方法は、ゲノムDNA配列内の所定の標的部位で二重鎖分解(DSB)を生じ、ゲノム内の標的部位におけるDNA配列の変異、挿入、及び/又は欠失を生じる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1A-1G】
図1A~1Gは、表3に列挙される、3’トリミングsgRNAの予測二次構造を示す。
図1A:「Full c」RNA構造。
図1B:「Short 1」RNA構造。
図1C:「Short 2」RNA構造。
図1D:「Short 3」RNA構造。
図1E:「Short 4」RNA構造。
図1F:「Short 5」RNA構造。
図1G:「Short 6」RNA構造。
【
図2】
図2は、RNPにおける3’トリミングガイド(表3)の活性アッセイを示す。精製したOMNI-50を、IVT転写短縮ガイドと反応させた。インビトロアッセイでは、RNPを5’-FAM標識直鎖基質と反応させた。切断効率は、切断断片の蛍光を切断断片及び未切断断片の合計で割って計算した。インビボアッセイでは、U2OS細胞にRNPをエレクトロポレーションし、活性をNGSによるインデル頻度として決定した。
【
図3A-3M】
図3A~3Mは、表4に列挙される完全な足場sgRNAのバージョンf及びバージョンc、並びに表5に列挙される高位の短いsgRNAの予測二次構造を示す。
図3A:「Full f」RNA構造。
図3B:「Full c」RNA構造。
図3C:「NGS13」RNA構造。
図3D:「NGS14」RNA構造。
図3E:「NGS15」RNA構造。
図3F:「NGS16」RNA構造。
図3G:「NGS17」RNA構造。
図3H:「NGS18」RNA構造。
図3I:「NGS40」RNA構造。
図3J:「NGS41」RNA構造。
図3K:「NGS42」RNA構造。
図3L:「NGS43」RNA構造。
図3M:「NGS44」RNA構造。
【
図4A-4F】
図4A~4Fは、表6に列挙される中位の短いsgRNAの予測二次構造を示す。
図4A:「NGS9」RNA構造。
図4B:「NGS2」RNA構造。
図4C:「NGS3」RNA構造。
図4D:「NGS12」RNA構造。
図4E:「NGS1」RNA構造。
図4F:「NGS6」RNA構造。
【
図5A】
図5A~5Eは、寛容なガイド(g35、g62)を用いたU2OS哺乳動物細胞株におけるRNP活性を示す。U2OS細胞に示されるsgRNAを有するOMNI-50のRNPをエレクトロポレーションし、活性をNGSによって、標的プロトスペーサー及びそれらの既知のオフターゲット上のインデル頻度として決定した(g35、g62、表8、表9)。
図5A:NGS1、NGS2、NGS3、NGS6、若しくはNGS9足場を有する「g35-ON」又は「g35-OT2」ガイド(スペーサー)、並びに「処理なし」(NT)及び「ガイドなし」対照。
【
図5B】
図5B:NGS1、NGS12、NGS13、NGS14、NGS15、NGS16、NGS17、NGS18、NGS2、NGS3、NGS6、若しくはNGS9足場を有するg35-Onターゲット又はg35-Offターゲットガイド(スペーサー)、並びに「処理なし」(NT)対照。
【
図5C】
図5C:NGS1、NGS6、NGS12、NGS17、若しくはFull f足場を有する「g35-ON」又は「g35-OT2」ガイド(スペーサー)、並びに「処理なし」(NT)対照。
【
図5D】
図5D:Full f若しくはNGS1足場を有する「g62-ON」、「g62-OT1」、又は「g62-OT2」ガイド(スペーサー)、並びに「処理なし」(NT)及び「ガイドなし」対照。
【
図5E】
図5E:NGS9若しくはNGS17足場を有する「g62-ON」、「g62-OT1」、又は「g62-OT2」ガイド(スペーサー)、並びに「ガイドなし」及び「処理なし」(NT)対照。
【
図6A】
図6A~6Cは、困難なガイド(g58)を用いたU2OS哺乳動物細胞株における活性を示す。U2OS細胞に示されるsgRNAを有するOMNI-50のRNPをエレクトロポレーションし、活性をNGSによって、標的プロトスペーサー及びその既知のオフターゲット上のインデル頻度として決定した(g58、表8、表9)。
図6A:Full f若しくはNGS1足場を有する「g58-ON」又は「g58-OT2」ガイド(スペーサー)、並びに「処理なし」(NT)及び「ガイドなし」対照。
【
図6B】
図6B:NGS12、NGS9、若しくはNGS17足場を有する「g58-ON」又は「g58-OT2」ガイド(スペーサー)、並びに「処理なし」(NT)及び「ガイドなし」対照。
【
図6C】
図6C:Full f、NGS12、NGS,40、NGS41、NGS42、NGS43、若しくはNGS44足場を有する「g58」又は「g58-OT」ガイド(スペーサー)、並びに「処理なし」(NT)及び「ガイドなし」対照。
【
図7A】
図7A~7Bは、短いsgRNAを有するHSC500及びLCL細胞における活性を示す。
図7A:HSC500細胞に示されるsgRNAを有するOMNI-50のRNPをエレクトロポレーションし、活性をNGSによって、標的プロトスペーサー及びその既知のオフターゲット上のインデル頻度として決定した(g58及びg35、表8、表9)。
【
図7B】
図7B:LCL細胞に示されるsgRNAを有するOMNI-50のRNPをエレクトロポレーションし、活性をNGSによって、標的プロトスペーサー及びその既知のオフターゲット上のインデル頻度として決定した(g58及びg35、表8、表9)。
【
図8】
図8は、RNA足場の代表的な例を示す。例示的なRNA足場部分は、テトラループによってtracrRNA部分と連結されたcrRNA部分を含む。crRNA部分は、crRNA反復配列を含む。tracrRNA部分は、tracrRNA抗反復配列及び追加のtracrRNA区画を含む。RNA分子は、RNA分子が単一ガイドRNA分子として機能するように、crRNA反復配列と連結されたガイド配列部分(すなわち、RNAスペーサー)を更に含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0012】
詳細な説明
本発明は、非天然のRNA分子を含む組成物であって、RNA分子が、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含み、RNA分子が、tracrRNA配列の存在下で、OMNI-50ヌクレアーゼと複合体を形成し、DNA標的部位を標的化し、tracrRNA配列が、RNA分子のtracrRNA部分又は第2のRNA分子のtracrRNA部分によってコードされる、組成物を提供する。
【0013】
crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含むRNA分子とtracrRNA分子は別個の分子であり得る。代替的に、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含むRNA分子は、tracrRNA分子と連結されて、crRNA反復配列部分、ガイド配列部分、及びtracrRNA部分を有する単一のRNA分子を形成し得る。
【0014】
いくつかの実施形態では、crRNA反復配列部分は、17個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは12~16個のヌクレオチドの長さであるか、又はcrRNA反復配列部分は、17個以上のヌクレオチドの長さ、好ましくは18~24個のヌクレオチドの長さである。
【0015】
いくつかの実施形態では、crRNA反復配列部分は、Ezakiella peruensis株M6.X2によってコードされる成熟OMNI-50 crRNA反復配列と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する。
【0016】
いくつかの実施形態は、crRNA反復配列部分は、配列番号23と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%配列同一性である。
【0017】
いくつかの実施形態では、crRNA反復配列部分は、配列番号8、23、24、及び25のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0018】
いくつかの実施形態では、crRNA反復配列は、配列番号8又は23以外である。
【0019】
いくつかの実施形態では、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含むRNA分子は、tracrRNA部分を更に含む。
【0020】
いくつかの実施形態は、crRNA反復配列部分は、ポリヌクレオチドリンカー部分によってtracrRNA部分と共有結合する。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、tracrRNA部分を含む第2のRNA分子を更に含む。
【0022】
いくつかの実施形態は、OMNI-50ヌクレアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0023】
いくつかの実施形態は、ガイド配列部分は、17~30個のヌクレオチドの長さ、好ましくは22個のヌクレオチドの長さである。
【0024】
本発明はまた、非天然のRNA分子を含む組成物であって、RNA分子が、tracrRNA配列部分を含み、RNA分子が、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分の存在下で、OMNI-50ヌクレアーゼと複合体を形成し、DNA標的部位を標的化し、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分が、RNA分子又は第2のRNA分子によってコードされる、組成物を提供する。
【0025】
crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含むRNA分子とtracrRNA部分を含むRNA分子は、別個の分子であり得る。代替的に、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含むRNA分子は、tracrRNA分子と連結されて、crRNA反復配列部分、ガイド配列部分、及びtracrRNA部分を有する単一のRNA分子を形成し得る。
【0026】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、91個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは90~80、89~80、79~70、69~60、59~50、49~40、若しくは39~28個のヌクレオチドの長さであるか、又はtracrRNA部分は、91以上個以上のヌクレオチドの長さ、好ましくは91~112個のヌクレオチドの長さである。
【0027】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、Ezakiella peruensis株M6.X2によってコードされる成熟OMNI-50 tracrRNA配列と少なくとも30~40%、41~50%、51~60%、61~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する。
【0028】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号5のtracrRNA部分と少なくとも30~40%、41~50%、51~60%、61~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する。
【0029】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号4、5、16~21、29~31、74~126、132~137、及び148~167のうちのいずれか1つのtracrRNA部分と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0030】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号4又は5のtracrRNA部分以外である。
【0031】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、19個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは14~18個のヌクレオチドの長さであるtracrRNA抗反復配列部分を含む。
【0032】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号26と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有するtracrRNA抗反復配列部分を含む。
【0033】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号9、26~28、及び138のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有するtracrRNA抗反復配列部分を含む。
【0034】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号9又は26以外であるtracrRNA抗反復配列部分を含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、RNA分子は、tracrRNA部分を含み、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を更に含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、tracrRNA部分は、ポリヌクレオチドリンカー部分によってcrRNA反復配列と共有結合する。
【0037】
いくつかの実施形態は、ポリヌクレオチドリンカー部分は、4~10個のヌクレオチドの長さである。
【0038】
いくつかの実施形態は、ポリヌクレオチドリンカーは、GAAAの配列を有する。
【0039】
いくつかの実施形態では、組成物は、crRNA反復配列部分及びガイド配列部分を含む第2のRNA分子を更に含む。
【0040】
いくつかの実施形態は、OMNI-50ヌクレアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0041】
いくつかの実施形態は、ガイド配列部分は、17~30個のヌクレオチドの長さ、好ましくは22個のヌクレオチドの長さである。
【0042】
本発明は、非天然のRNA分子を含む組成物であって、RNA分子が、RNA足場部分を含み、RNA足場部分が、
crRNA反復配列部分-リンカー部分-tracrRNA部分の構造を有し、
RNA足場タンパク質が、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、RNA分子のガイド配列部分と相補性を有するDNA標的部位を標的化する、組成物を提供する。
【0043】
いくつかの実施形態は、RNA足場部分は、112、111~110、109~105、104~100、99~95、94~90、89~85、84~80、79~75、74~70、69~50、又は49~45個のヌクレオチドの長さである。
【0044】
いくつかの実施形態は、RNA足場部分は、配列番号5と少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、crRNA反復配列部分は、17個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは12~16個のヌクレオチドの長さであるか、又はcrRNA反復配列部分は、17個以上のヌクレオチドの長さ、好ましくは18~24個のヌクレオチドの長さである。
【0046】
いくつかの実施形態では、crRNA反復配列部分は、Ezakiella peruensis株M6.X2によってコードされる成熟OMNI-50 crRNA反復配列と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する。
【0047】
いくつかの実施形態は、crRNA反復配列部分は、配列番号23と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%配列同一性である。
【0048】
いくつかの実施形態では、crRNA反復配列部分は、配列番号8、23、24、及び25のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0049】
いくつかの実施形態では、crRNA反復配列は、配列番号8又は23以外である。
【0050】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、91個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは90~80、89~80、79~70、69~60、59~50、49~40、若しくは39~28個のヌクレオチドの長さであるか、又はtracrRNA部分は、91以上個以上のヌクレオチドの長さ、好ましくは91~112個のヌクレオチドの長さである。
【0051】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、Ezakiella peruensis株M6.X2によってコードされる成熟OMNI-50 tracrRNA配列と少なくとも30~40%、41~50%、51~60%、61~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する。
【0052】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号5のtracrRNA部分と少なくとも30~40%、41~50%、51~60%、61~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有する。
【0053】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号4、5、16~21、29~31、74~126、132~137、及び148~167のうちのいずれか1つのtracrRNA部分と少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0054】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号4又は5のtracrRNA部分以外である。
【0055】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、tracrRNA抗反復配列部分を含み、crRNA反復配列及びtracrRNA抗反復配列部分は、リンカー部分によって共有結合する。
【0056】
いくつかの実施形態では、リンカー部分は、4~10個のヌクレオチドの長さであるポリヌクレオチドリンカーである。
【0057】
いくつかの実施形態は、ポリヌクレオチドリンカーは、GAAAの配列を有する。
【0058】
いくつかの実施形態では、tracrRNA抗反復配列部分は、19個未満のヌクレオチドの長さ、好ましくは14~18個のヌクレオチドの長さである。
【0059】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、配列番号5と少なくとも60~70%、71~80%、81~90%、91~95%、又は96~99%の配列同一性を有するtracrRNA抗反復配列部分を含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、tracrRNA抗反復配列部分は、配列番号9、26~28、及び138のうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0061】
いくつかの実施形態は、tracrRNA抗反復配列部分は、配列番号9又は26以外である。
【0062】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、tracrRNA抗反復部分と連結されたヌクレオチドの第1の区画を含み、ヌクレオチドの第1の区画は、配列番号10、11、127、128、139~143、AAC、A、AA、AAA、及びACAAACCのうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0063】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、ヌクレオチドの第1の区画と連結されたヌクレオチドの第2の区画を含み、ヌクレオチドの第2の区画は、配列番号12、32、144~146、GCCUAUU、GCCUAU、AAUGGC、AAAGGC、UAUAGGC、AUAGGC、及びGCCUのうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0064】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、ヌクレオチドの第2の区画と連結されたヌクレオチドの第3の区画を含み、ヌクレオチドの第3の区画は、配列番号13、33、34、129、130、147、CGCAG、CGC、CGCAGG、C、CUUCUGC、及びCGCAGUUGのうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0065】
いくつかの実施形態は、tracrRNA部分は、ヌクレオチドの第3の区画と連結されたヌクレオチドの第4の部分を含み、ヌクレオチドの第4の区画は、配列番号14、15、35~73、131、AUU、AUUAUUU、AUUU、AUUUUUUUU、AGCUUUUUU、UUUU、UUUUU、及びUUUのうちのいずれか1つと少なくとも95%の配列同一性を有する。
【0066】
いくつかの実施形態は、RNA足場部分は、配列番号4、5、16~21、29~31、74~126、132~137、及び148~167のヌクレオチド配列と少なくとも95%の同一性を有する。
【0067】
いくつかの実施形態は、RNA足場部分は、Full F、Full C、Short 1、Short 2、Short 3、Short 4、Short 5、Short 6、NGS13、NGS14、NGS15、NGS16、NGS17、NGS18、NGS40、NGS41、NGS42、NGS43、NGS44、NGS9、NGS2、NGS3、NGS12、NGS1、又はNGS6 RNA足場のうちのいずれか1つの予測構造を有する。
【0068】
いくつかの実施形態は、RNA足場部分は、配列番号4又は5以外である。
【0069】
いくつかの実施形態は、ガイド配列部分は、RNA分子のcrRNA反復配列部分と共有結合して、
ガイド配列部分-crRNA反復配列部分-リンカー部分-tracrRNA部分の構造を有する単一ガイドRNA分子を形成する。
【0070】
いくつかの実施形態では、ガイド配列部分は、17~30個のヌクレオチド、より好ましくは20~23個のヌクレオチド、より好ましくは22個のヌクレオチドの長さである。
【0071】
いくつかの実施形態は、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼを更に含み、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼは、配列番号1のアミノ酸配列と少なくとも95%の同一性を有する。
【0072】
いくつかの実施形態は、RNA分子は、インビトロ転写(IVT)又は固相人工オリゴヌクレオチド合成によって形成される。
【0073】
いくつかの実施形態では、RNA分子は、修飾ヌクレオチドを含む。
【0074】
本発明はまた、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つのRNA分子をコードするポリヌクレオチド分子を提供する。
【0075】
本発明は、OMNI-50ヌクレアーゼと特異的に結合、活性化、及び/又は標的化する少なくとも1つの非天然のRNA分子を含む組成物を提供する。
【0076】
本発明はまた、無細胞系又は細胞のゲノムにおけるDNA標的部位のヌクレオチド配列を修飾する方法であって、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つに記載の組成物、及びOMNI-50 CRISPRヌクレアーゼを系又は細胞に導入することを含む、方法を提供する。DNA標的部位は、RNAスペーサーがDNA標的部位に対して配列において相補的であるように、組成物のRNA分子によってコードされるRNAスペーサーによって決定される。
【0077】
いくつかの実施形態では、細胞は、真核細胞又は原核細胞である。
【0078】
本発明はまた、無細胞系又は細胞のゲノムにおけるDNA標的部位のヌクレオチド配列を修飾するためのキットであって、本明細書に記載の実施形態のいずれか1つに記載の組成物、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼを系又は細胞に導入することと、組成物及びOMNI-50 CRISPRヌクレアーゼを細胞に送達するための指示と、を含む、キットを提供する。
【0079】
いくつかの実施形態では、非天然のRNA分子は、Ezakiella peruensis株M6.X2の野生型crRNA配列とは異なるcrRNA配列部分を含む。いくつかの実施形態では、非天然のRNA分子は、Ezakiella peruensis株M6.X2の野生型crRNA配列よりも短いcrRNA配列部分を含む。
【0080】
いくつかの実施形態では、非天然のRNA分子は、Ezakiella peruensis株M6.X2の野生型tracrRNA配列とは異なるtracrRNA配列部分を含む。いくつかの実施形態では、非天然のRNA分子は、Ezakiella peruensis株M6.X2の野生型tracrRNA配列よりも短いtracrRNA配列部分を含む。
【0081】
本発明の実施形態では、非天然のRNA分子は、「スペーサー」又は「ガイド配列」部分を含む。RNA分子の「スペーサー部分」又は「ガイド配列部分」は、特定の標的DNA配列にハイブリダイゼーション可能なヌクレオチド配列を指し、例えば、ガイド配列部分は、ガイド配列部分の長さに沿って標的DNA配列に完全に相補的であるヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、ガイド配列部分は、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、若しくは30個のヌクレオチドの長さ、又は約17~30、17~29、17~28、17~27、17~26、17~25、17~24、18~22、19~22、18~20、17~20、若しくは21-22個のヌクレオチドの長さである。好ましくは、ガイド配列部分の全長は、ガイド配列部分の長さに沿って標的とされるDNA配列と完全に相補的である。ガイド配列部分は、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成して活性化することができる「足場部分」を有するRNA分子の一部であり得、RNA分子のガイド配列部分は、CRISPR複合体のDNA標的部分として機能する。足場部分及びガイド配列部分を有するRNA分子がCRISPR分子と同時に存在する場合、RNA分子は、CRISPRヌクレアーゼを特定の標的DNA配列に標的化することができる。各可能性は、別個の実施形態を表す。RNA分子のスペーサー部分は、任意の所望の配列を標的化するようにカスタム設計することができる。
【0082】
一実施形態では、ヌクレアーゼ結合RNAヌクレオチド配列及びDNA標的化RNAヌクレオチド配列(例えば、スペーサー又はガイド配列部分)は、単一ガイドRNA分子(sgRNA)上にあり、sgRNA分子が、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、DNA標的化モジュールとして機能することができる。
【0083】
一実施形態では、ヌクレアーゼ結合RNAヌクレオチド配列は、第1のRNA分子上にあり、DNA標的化RNAヌクレオチド配列は、第2のRNA分子上にあり、第1及び第2のRNA分子は、塩基対形成によって相互作用し、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、標的化モジュールとして機能する。
【0084】
発明のいくつかの態様によれば、開示の方法は、無細胞系又は細胞のゲノム内の標的部位におけるヌクレオチド配列を修飾する方法であって、本明細書に記載の実施形態のうちのいずれか1つの組成物を細胞に導入することを含む、方法を含む。
【0085】
本発明はまた、細胞内のDNA標的部位のヌクレオチド配列を修飾するための本発明の組成物又は方法のいずれかの使用を提供する。
【0086】
本発明は、真核細胞のゲノム内の標的部位におけるヌクレオチド配列を修飾する方法を提供する。
【0087】
本発明は、哺乳動物細胞のゲノム内の標的部位におけるヌクレオチド配列を修飾する方法を提供する。
【0088】
本発明は、植物細胞のゲノム内の標的部位におけるヌクレオチド配列を修飾する方法を提供する。
【0089】
いくつかの実施形態では、方法は、エクスビボで実施される。いくつかの実施形態では、方法は、インビボで実施される。いくつかの実施形態では、方法のいくつかのステップは、エクスビボで実施され、いくつかのステップは、インビボで実施される。いくつかの実施形態では、哺乳動物細胞は、ヒト細胞である。
【0090】
本発明はまた、本明細書に記載の方法のうちのいずれかによって得られる修飾された1つの細胞又は複数の細胞を提供する。一実施形態では、これらの修飾された1つの細胞又は複数の細胞は、子孫細胞を生じさせることが可能である。一実施形態では、これらの修飾された1つの細胞又は複数の細胞は、生着後に子孫細胞を生じさせることが可能である。
【0091】
本発明はまた、これらの修飾された細胞及び薬学的に許容可能な担体を含む組成物を提供する。提供されるのはまた、細胞を薬学的に許容可能な担体と混合することを含む、組成物を調製するインビトロ又はエクスビボ方法である。
【0092】
発明のいくつかの態様によれば、開示の方法は、ゲノム変異関連疾患に罹患している対象を治療するための、本明細書に記載の組成物のうちのいずれか1つの使用であって、対象のゲノム内の標的部位におけるヌクレオチド配列を修飾することを含む、使用を含む。
【0093】
発明のいくつかの態様によれば、開示の方法は、変異障害を有する対象を治療する方法であって、本明細書に記載の組成物のうちのいずれか1つを、変異障害に関連する対立遺伝子に標的化することを含む、方法を含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、変異障害は、新生物、加齢関連黄斑変性、統合失調症、神経学的、神経変性、又は運動障害、脆弱X症候群、分泌酵素関連障害、プリオン関連障害、ALS、中毒、自閉症、アルツハイマー病、好中球減少症、炎症関連障害、パーキンソン病、血液及び凝固疾患及び障害、細胞調節不全及び腫瘍疾患及び障害、炎症及び免疫関連疾患及び障害、代謝性、肝臓、腎臓、及びタンパク質疾患及び障害、筋肉及び骨格疾患及び障害、皮膚疾患及び障害、神経学的及び神経疾患及び障害、並びに眼疾患及び障害のうちのいずれかから選択される疾患又は障害に関連する。
【0095】
疾患及び療法
発明のある特定の実施形態は、遺伝子編集の形態、治療する方法、又は療法として、ヌクレアーゼを、疾患又は障害に関連する特定の遺伝子座に標的化する。例えば、遺伝子の編集又はノックアウトを誘導するために、カスタム設計されたガイドRNA分子を使用して、本明細書に開示の組成物を遺伝子の病原性変異対立遺伝子に特異的に標的化することができる。ガイドRNA分子は、好ましくは、まず、本明細書に示されるように、遺伝子編集が実施されている系にも依存する、ヌクレアーゼのPAM要件を考慮することによって設計される。例えば、OMNI-50ヌクレアーゼを標的部位に標的化するように設計されたガイドRNA分子は、OMNI-50 PAM配列「NGG」に隣接する領域に相補的なスペーサー領域を含有するように設計される。ガイドRNA分子は、更に、好ましくは、ヌクレアーゼの特異的活性を増加させ、オフターゲット効果を低減するために、十分であり、好ましくは最適な長さのスペーサー領域(すなわち、標的対立遺伝子に相補性を有するガイドRNA分子の領域)を含有するように設計される。例えば、OMNI-50ヌクレアーゼを標的化するように設計されたガイドRNA分子は、高オンターゲット切断活性のための22個のヌクレオチドのスペーサーを含有するように設計され得る。
【0096】
非限定的な例として、ヌクレアーゼによって引き起こされるDNA損傷の際に、非相同末端接合(NHEJ)経路が誘導され、フレームシフト変異の導入による変異対立遺伝子のサイレンシングをもたらすように、ガイドRNA分子は、ヌクレアーゼが変異対立遺伝子の特定領域に標的化するように設計され得る。ガイドRNA分子設計に対するこのアプローチは、ドミナントネガティブ変異の効果を変化させ、それによって対象を治療するために特に有用である。別個の非限定的な例として、ヌクレアーゼによって引き起こされるDNA損傷の際に、相同性指向修復(HDR)経路が誘導され、変異対立遺伝子のテンプレート媒介性補正をもたらすように、ガイドRNA分子は、変異対立遺伝子の特定の病原性変異に標的化するように設計され得る。ガイドRNA分子に対するこのアプローチは、変異対立遺伝子のハプロ不全効果を変化させ、それによって対象を治療するために特に有用である。
【0097】
疾患又は障害を治療するための変化のために標的化され得る特定の遺伝子の非限定的な例を本明細書で以下に提示する。変異障害を誘導する特定の疾患関連遺伝子及び変異は、文献に記載されている。そのような変異は、CRISPR組成物を疾患関連遺伝子の対立遺伝子に標的化するようにDNA標的化RNA分子を設計するために使用することができ、CRISPR組成物が、DNA損傷を引き起こし、DNA修復経路を誘導して対立遺伝子を変化させ、それによって変異障害を治療する。
【0098】
ELANE遺伝子の変異は、好中球減少症に関連している。したがって、限定されないが、ELANEに標的化する発明の実施形態は、好中球減少症に罹患している対象を治療する方法で使用され得る。
【0099】
CXCR4は、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)感染症の共受容体である。したがって、限定されないが、CXCR4に標的化する発明の実施形態は、HIV-1に罹患している対象を治療する方法、又はHIV-1感染に対する耐性を対象に付与する方法で使用され得る。
【0100】
プログラム細胞死タンパク質1(PD-1)破壊は、腫瘍細胞のCAR-T細胞媒介性殺傷を向上させ、PD-1は、他のがん療法における標的であり得る。したがって、限定されないが、PD-1に標的化する発明の実施形態は、がんに罹患している対象を治療する方法で使用され得る。一実施形態では、治療は、PD-1欠損となるように発明に従って修飾されたT細胞を用いたCAR-T細胞療法である。
【0101】
加えて、BCL11Aは、ヘモグロビン産生の抑制において役割を果たす遺伝子である。グロビン産生は、BCL11Aを阻害することによって、サラセミア又は鎌状赤血球貧血などの疾患を治療するために増加され得る。例えば、国際公開第2017/077394号;米国特許出願公開第2011/0182867号;Humbert et al. Sci. Transl. Med. (2019)及びCanver et al. Nature (2015)を参照されたい。したがって、限定されないが、BCL11Aのエンハンサーに標的化する発明の実施形態は、ベータサラセミア又は鎌状赤血球貧血に罹患している対象を治療する方法で使用され得る。
【0102】
発明の実施形態はまた、任意の疾患関連遺伝子に標的化するために、以下の表A又は表Bに列挙される疾患又は障害のうちのいずれかを研究、変化、又は治療するために使用され得る。実際、遺伝子座に関連する任意の疾患は、本明細書に開示のヌクレアーゼを、適切な疾患関連遺伝子、例えば、米国特許出願公開第2018/0282762号及び欧州特許第3079726号に列挙されているものに標的化することによって、研究、変化、又は治療することができる。
【0103】
【0104】
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
【0109】
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び/又は科学用語は、発明が関連する技術分野の当業者によって通常理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は同等の方法及び材料を、発明の実施形態の実施又は試験で使用することができるが、例示的な方法及び/又は材料を以下に記載する。矛盾する場合、定義を含む特許明細書が優先されるであろう。加えて、材料、方法、及び実施例は、単なる例示であり、必ずしも限定することを意図しない。
【0110】
別途記載されない限り、考察における発明の実施形態の1つの特色又は複数の特色の条件又は関係特徴を修正する「実質的に」及び「約」などの形容詞は、条件又は特徴が、それが意図される用途のための実施形態の操作に対して許容可能な許容範囲内に定義されることを意味すると理解される。別途示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲における「又は」という単語は、排他的な又はではなく、包括的な「又は」であるとみなされ、それが結合する項目のうちの少なくとも1つ及び任意の組み合わせを示す。
【0111】
上及び本明細書の他の箇所で使用される「a」及び「an」という用語は、列挙された構成要素のうちの「1つ以上」を指すことが理解されるべきである。別途特別に記載されない限り、単数形の使用が複数形を含むことは当業者には明らかであろう。したがって、「a」、「an」、及び「少なくとも1つ」という用語は、本出願において同義に使用される。
【0112】
本教示のより良好な理解、及び教示の範囲を決して限定しないことを目的とするために、別途示されない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される量、割合、又は比率、及び他の数値を表す全ての数は、「約」という用語によって全ての事例で修正されるものと理解されるものである。したがって、別途逆の意味が示されない限り、以下の明細書及び添付の特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、得ることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。最低限でも、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有意な桁の数に照らして、及び通常の丸め技法を適用することによって解釈されるべきである。
【0113】
本明細書で数値範囲が列挙される場合、本発明は、別途記載されない限り、上限と下限との間の各整数、並びに上限及び下限を含む各整数を企図することが理解される。
【0114】
本出願の記載及び特許請求の範囲では、動詞「含む(comprise)」、「含む(include)」、及び「有する」、及びそれらの活用形の各々は、必ずしも動詞の1つの目的語又は複数の目的語が、構成要素、要素、又は動詞の1つの対象又は複数の対象の一部の完全な列挙ではないことを示すために使用される。本明細書で使用される他の用語は、当該技術分野において周知の意味によって定義されることを意味する。
【0115】
「ポリヌクレオチド」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド配列」、「核酸」、及び「オリゴヌクレオチド」という用語は、同義に使用される。これらは、任意の長さのヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド若しくはリボヌクレオチドのいずれか、又はそれらの類似体のポリマー形態を指す。ポリヌクレオチドは、任意の三次元構造を有し得、既知又は未知の任意の機能を実施し得る。以下は、ポリヌクレオチドの非限定的な例である:遺伝子又は遺伝子断片のコード領域又は非コード領域、連結分析から定義される複数の遺伝子座(1つの遺伝子座)、鉄におけるエクソン、メッセンジャーRNA(mRNA)、転写RNA、リボソームRNA、短い干渉RNA(siRNA)、短いヘアピンRNA(shRNA)、マイクロRNA(miRNA)、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分岐ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離DNA、任意の配列の単離RNA、核酸プローブ、及びプライマーである、ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体などの1つ以上の修飾ヌクレオチドを含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの組み立ての前又は後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成要素によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識構成要素とのコンジュゲーションなどによる重合後に、更に修飾され得る。
【0116】
「ヌクレオチド類似体」又は「修飾ヌクレオチド」という用語は、ヌクレオシドの窒素塩基(例えば、シトシン(C)、チミン(T)、又はウラシル(U)、アデニン(A)、又はグアニン(G))の中若しくは上に、ヌクレオシドの糖部分(例えば、リボース、デオキシリボース、修飾リボース、修飾デオキシリボース、6員糖類似体、又は開鎖糖類似体)、又はリン酸塩の中若しくは上に、1つ以上の化学的修飾(例えば、置換)を含有するヌクレオチドを指す。本明細書に記載のRNA配列の各々は、1つ以上のヌクレオチド類似体を含み得る。
【0117】
本明細書で使用される場合、以下のヌクレオチド識別子は、参照されるヌクレオチド塩基を表すために使用される。
【0118】
【0119】
本明細書で使用される場合、「標的化配列」又は「標的化分子」という用語は、特定の標的配列にハイブリダイズすることが可能なヌクレオチド配列又はヌクレオチド配列を含む分子を指し、例えば、標的化配列は、標的化配列の長さに沿って標的配列に少なくとも部分的に相補的であるヌクレオチド配列を有する。標的化配列又は標的化分子は、例えば足場部分を介して、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成することができる標的化RNA分子の一部であり得、標的化配列は、CRISPR複合体の標的化部分、例えばスペーサー部分として機能する。標的化配列を有するRNA分子がCRISPRヌクレアーゼと同時に存在する場合、RNA分子は、単独で、又は追加の1つ以上のRNA分子(例えば、tracrRNA分子)と組み合わせて、CRISPRヌクレアーゼを特定の標的配列に標的化することができる。非限定的な例として、CRISPR RNA分子又は単一ガイドRNA分子のガイド配列部分は、標的化分子として機能し得る。各可能性は、別個の実施形態を表す。標的化配列は、任意の所望の配列に標的化するようにカスタム設計することができる。
【0120】
本明細書で使用される場合、「標的化する」という用語は、標的化配列又は標的化分子を、標的ヌクレオチド配列を有する核酸に優先的にハイブリダイゼーションすることを指す。「標的化する」という用語は、標的ヌクレオチド配列を有する核酸を優先的に標的化するが、オンターゲットハイブリダイゼーションに加えて、意図しないオフターゲットハイブリダイゼーションも生じ得るように、可変的なハイブリダイゼーション効率を包含することが理解される。RNA分子を配列に標的化する場合、RNA分子とCRISPRヌクレアーゼ分子との複合体は、ヌクレアーゼ活性によりその配列に標的化することが理解される。
【0121】
RNA分子の「ガイド配列部分」は、特定の標的DNA配列にハイブリダイゼーション可能なヌクレオチド配列を指し、例えば、ガイド配列部分は、ガイド配列部分の長さに沿って標的DNA配列と部分的又は完全に相補的であるヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、ガイド配列部分は、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、若しくは50個のヌクレオチドの長さ、又は約17~50、17~49、17~48、17~47、17~46、17~45、17~44、17~43、17~42、17~41、17~40、17~39、17~38、17~37、17~36、17~35、17~34、17~33、17~31、17~30、17~29、17~28、17~27、17~26、17~25、17~24、17~22、17~21、18~25、18~24、18~23、18~22、18~21、19~25、19~24、19~23、19~22、19~21、19~20、20~22、18~20、20~21、21~22、若しくは17~20個のヌクレオチドの長さである。好ましくは、ガイド配列部分の全長は、ガイド配列部分の長さに沿って標的とされるDNA配列と完全に相補的である。ガイド配列部分は、CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成することができるRNA分子の一部であり得、ガイド配列部分がCRISPR複合体のDNA標的化部分として機能する。ガイド配列部分を有するRNA分子が、単独で、又は追加の1つ以上のRNA分子(例えば、tracrRNA分子)と組み合わせて、CRISPR分子と同時に存在する場合、RNA分子は、CRISPRヌクレアーゼを特定の標的DNA配列に標的化することができる。したがって、CRISPR複合体は、ガイド配列部分を有するRNA分子のCRISPRヌクレアーゼとの直接的な結合によって、又はガイド配列部分を有するRNA分子及び追加の1つ以上のRNA分子のCRISPRヌクレアーゼとの結合によって形成され得る。各可能性は、別個の実施形態を表す。ガイド配列部分は、任意の所望の配列を標的化するようにカスタム設計することができる。したがって、「ガイド配列部分」を含む分子は、標的化分子の一種である。本出願全体を通じて、「ガイド分子」、「RNAガイド分子」、「ガイドRNA分子」、及び「gRNA分子」という用語は、ガイド配列部分を含む分子と同義である。
【0122】
複数の細胞に存在するDNA配列に標的化する背景では、標的化は、RNA分子のガイド配列部分と、細胞のうちの1つ以上の配列とのハイブリダイゼーションを包含し、また、RNA分子と、複数の細胞において全ての細胞よりも少ない標的配列とのハイブリダイゼーションを包含することが理解される。したがって、RNA分子が複数の細胞内の配列を標的化する場合、RNA分子及びCRISPRヌクレアーゼの複合体は、1つ以上の細胞内の標的配列とハイブリダイズすると理解され、また、全ての細胞よりも少ない標的配列とハイブリダイゼーションし得ることが理解される。したがって、RNA分子とCRISPRヌクレアーゼとの複合体は、1つ以上の細胞の標的配列とのハイブリダイゼーションと関連して二重鎖分解を導入し、また、全ての細胞よりも少ない標的配列とのハイブリダイゼーションと関連して二重鎖分解を導入し得ることが理解される。本明細書で使用される「修飾細胞」という用語は、二重鎖分解が、標的配列とのハイブリダイゼーション、すなわち、オンターゲットハイブリダイゼーションの結果として、RNA分子とCRISPRヌクレアーゼとの複合体によって影響を受ける細胞を指す。
【0123】
本明細書で使用される場合、「野生型」という用語は、当業者によって理解される当該技術分野の用語であり、変異形態又はバリアント形態とは区別される、天然に存在する生物、株、遺伝子、又は特徴の典型的な形態を意味する。したがって、本明細書で使用される場合、アミノ酸又はヌクレオチドの配列が野生型配列を指す場合、バリアントは、例えば、置換、欠失、挿入を含む、その配列のバリアントを指す。本発明の実施形態では、操作CRISPRヌクレアーゼは、表1に示されるOMNI-50 CRISPRヌクレアーゼと比較して、少なくとも1つのアミノ酸修飾(例えば、置換、欠失、及び/又は挿入)を含むバリアントCRISPRヌクレアーゼである。
【0124】
「非天然」又は「操作」という用語は、同義に使用され、ヒトの操作を示す。核酸分子又はポリペプチドを指す場合、これらの用語は、核酸分子又はポリペプチドが、それらが天然で自然に関連し、天然で見出される少なくとも1つの他の構成要素を少なくとも実質的に含まないことを意味し得る。
【0125】
本明細書で使用される場合、「アミノ酸」という用語は、グリシン、及びD又はIの両方、光学異性体、及びアミノ酸類似体、及びペプチド模倣体を含む、天然及び/又は非天然又は合成アミノ酸を含む。
【0126】
本明細書で使用される場合、「ゲノムDNA」は、目的の1つの細胞又は複数の細胞に存在する線状及び/若しくは染色体DNA、並びに/又はプラスミド、又は他の染色体外DNA配列を指す。いくつかの実施形態では、目的の細胞は、真核細胞である。いくつかの実施形態では、目的の細胞は、原核細胞である。いくつかの実施形態では、方法は、ゲノムDNA配列内の所定の標的部位で二重鎖分解(DSB)を生じ、ゲノム内の標的部位におけるDNA配列の変異、挿入、及び/又は欠失を生じる。
【0127】
「真核生物」細胞としては、限定されないが、真菌細胞(酵母など)、植物細胞、動物細胞、哺乳動物細胞、及びヒト細胞が挙げられる。
【0128】
本明細書で使用される場合、「ヌクレアーゼ」という用語は、核酸のヌクレオチドサブユニット間のホスホジエステル結合を切断することが可能な酵素を指す。ヌクレアーゼは、天然源から単離されていても、又は天然源に由来してもよい。天然源は、任意の生物であり得る。代替的に、ヌクレアーゼは、ホスホジエステル結合切断活性を保持する修飾タンパク質又は合成タンパク質であり得る。
【0129】
本明細書で使用される場合、「PAM」という用語は、標的DNA配列に近接して位置し、CRISPRヌクレアーゼによって認識される標的DNAのヌクレオチド配列を指す。PAM配列は、ヌクレアーゼの同一性に応じて異なり得る。
【0130】
本明細書で使用される場合、「変異障害」又は「変異疾患」という用語は、変異によって引き起こされる遺伝子の機能不全に関連する任意の障害又は疾患を指す。変異障害として現れる機能不全遺伝子は、その対立遺伝子のうちの少なくとも1つに変異を含有し、「疾患関連遺伝子」と称される。変異は、疾患関連遺伝子の任意の部分、例えば、調節部分、コード部分、又は非コード部分にあり得る。変異は、置換、挿入、又は欠失などの任意のクラスの変異であり得る。疾患関連遺伝子の変異は、劣性、ドミナントネガティブ、機能獲得、機能喪失、又は遺伝子産物のハプロ不全をもたらす変異などの任意のタイプの変異のメカニズムによる障害又は疾患として現れ得る。
【0131】
当業者は、本発明の実施形態が、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼと複合体を形成し、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼを活性化して、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と隣接する目的の標的DNA部位を標的とすることができる足場部分を含むRNA分子を開示することを理解するであろう。OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼは、目的の標的DNA部位と相補性を有するガイド配列部分(すなわち、RNAスペーサー)によって、目的のDNA部位を標的とする。次いで、ヌクレアーゼは標的DNAの切断を媒介して、プロトスペーサー標的部位内に二本鎖切断を作製する。
【0132】
「タンパク質結合配列」又は「ヌクレアーゼ結合配列」という用語は、CRISPRヌクレアーゼと結合してCRISPR複合体を形成することが可能な配列を指す。当業者は、CRISPRヌクレアーゼと結合してCRISPR複合体を形成することができる足場RNA又はtracrRNAが、タンパク質又はヌクレアーゼ結合配列を含むことを理解するであろう。
【0133】
CRISPRヌクレアーゼの「RNA結合部分」は、RNA分子と結合してCRISPR複合体を形成し得るCRISPRヌクレアーゼの部分、例えば、sgRNAのRNA足場部分のヌクレアーゼ結合配列を指す。CRISPRヌクレアーゼの「活性部分(activity portion)」又は「活性部分(active portion)」は、例えばDNA標的化RNA分子と複合体を形成すると、DNA分子内の二重鎖分解をもたらすCRISPRヌクレアーゼの部分を指す。
【0134】
「RNA足場」又は「足場」という用語は、tracrRNA部分と共有結合したcrRNA部分を含む非天然分子の部分を指す。本明細書で使用される場合、「crRNA部分」は、crRNA反復配列を含む。本明細書で使用される場合、「tracrRNA部分」は、tracrRNA抗反復配列を含む。tracrRNA部分は、tracrRNA抗反復配列と連結した追加のtracrRNA配列を更に含み得る。そのような配列には、ネクサス、ヘアピン、又はtracrRNA抗反復配列のネクサス、ヘアピン、又は他のtracrRNA配列上流又は下流が含まれ得るが、これらに限定されない。したがって、RNA足場のtracrRNA部分は、任意に追加のtracrRNA区画と連結される抗反復配列を含む。
【0135】
本明細書で使用される場合、RNA足場部分及びRNAガイド配列部分(又はRNAスペーサー部分)を含むRNA分子は、単一ガイドRNA(sgRNA)分子として機能する。sgRNAのRNA足場部分は、CRISPRヌクレアーゼと特異的に結合して活性化し、sgRNAのRNAスペーサー部分は、DNA標的部位にCRISPRヌクレアーゼを標的化する。例えば、sgRNA分子は、RNA足場のcrRNA反復配列部分とのガイド配列部分の共有結合によって形成され得る。
【0136】
したがって、本発明の実施形態では、RNA分子は、OMNI-50 CRISPRヌクレアーゼと結合して標的化することができる単一ガイドRNA(sgRNA)を一緒に形成する、足場部分及びスペーサー部分の合成融合物として設計され得る。Jinek et al., Science (2012)を参照されたい。
【0137】
本発明の実施形態は、別個のcrRNA分子及び別個のtracrRNA分子を利用してCRISPR複合体を形成することもできる。そのような実施形態では、crRNA分子は、crRNA分子のcrRNAリピート配列部分とtracrRNA分子のtracrRNA抗反復配列部分との間の少なくとも部分的なハイブリダイゼーションを介して、tracrRNA分子とハイブリダイズし得る。そのような部分的なハイブリダイゼーションには、ハイブリダイズしたRNAヌクレオチドを「上部」ステム及び「下部」ステムに分離する典型的なバルジも含まれ得る。別個のcrRNA分子及びtracrRNA分子は、本明細書に記載の本発明の特定の用途において有利であり得る。
【0138】
本発明の実施形態では、RNA分子の足場部分は、RNA分子の構造を更に定義し得る「ネクサス」領域及び/又は「ヘアピン」領域を含み得る。(Briner et al., Molecular Cell (2014)を参照されたい)。
【0139】
本明細書で使用される場合、「直接反復配列」という用語は、特定のアミノ酸配列又はヌクレオチド配列の2つ以上の反復を指す。
【0140】
本明細書で使用される場合、CRISPRヌクレアーゼと「相互作用する」又は「結合する」ことが可能なRNA配列又は分子は、CRISPRヌクレアーゼとCRISPR複合体を形成するRNA配列又は分子の能力を指す。
【0141】
本明細書で使用される場合、「操作可能に連結した」という用語は、2つの配列間又は分子間の関係(すなわち、融合、ハイブリダイゼーション)が、それらが意図された様式で機能することを可能にする関係を指す。本発明の実施形態では、RNA分子がプロモーターに操作可能に連結されていると、RNA分子とプロモーターとの両方が、意図された様式で機能することが可能になる。
【0142】
本明細書で使用される場合、「異種プロモーター」という用語は、促進される分子又は経路が一緒に天然に存在しないプロモーターを指す。
【0143】
本明細書で使用される場合、分子の配列間のヌクレオチド又はアミノ酸のX%が同じであり、同じ相対位置にある場合、配列又は分子は、別の配列又は分子とX%の「配列同一性」を有する。例えば、第2のヌクレオチド配列と少なくとも95%の配列同一性を有する第1のヌクレオチド配列は、他の配列と同じ相対位置において少なくとも95%同一のヌクレオチドを有するであろう。非限定的な例として、配列同一性は、例えば、Needleman-Wunschアルゴリズムを適用することによって、第1のヌクレオチド配列と第2のヌクレオチド配列のアラインメントを作製することによって決定され得る。
【0144】
送達
本明細書に記載のCRISPRヌクレアーゼ又はCRISPR組成物は、タンパク質、DNA分子、RNA分子、リボ核タンパク質(RNP)、核酸ベクター、又はそれらの任意の組み合わせを含み、送達され得る。いくつかの実施形態では、RNA分子は、化学的修飾を含む。好適な化学的修飾の非限定的な例には、2’-0-メチル(M)、2’-0-メチル、3’ホスホロチオエート(MS)又は2’-0-メチル、3’thioPACE(MSP)、シュードウリジン、及び1-メチルシュード-ウリジンが含まれる。各可能性は、本発明の別個の実施形態を表す。
【0145】
本明細書に記載のCRISPRヌクレアーゼ及び/若しくはそれをコードするポリヌクレオチド、並びに任意選択的に追加のタンパク質(例えば、ZFP、TALEN、転写因子、制限酵素)、並びに/又はガイドRNAなどのヌクレオチド分子は、任意の好適な手段によって標的細胞に送達され得る。標的細胞は、任意の環境の、例えば、単離された若しくは単離されていない、培養中の、インビトロ、エクスビボ、インビボ、又は植物体内で維持されている、任意のタイプの細胞、例えば、真核細胞又は原核細胞であり得る。
【0146】
いくつかの実施形態では、送達される組成物には、ヌクレアーゼのmRNA及びガイド分子のRNAが含まれる。いくつかの実施形態では、送達される組成物は、ヌクレアーゼのmRNA、ガイドのRNA、及びドナーテンプレートを含む。いくつかの実施形態では、送達される組成物は、CRISPRヌクレアーゼ及びガイドRNAを含む。いくつかの実施形態では、送達される組成物は、CRISPRヌクレアーゼ、ガイドRNA、及び例えば、相同性指向修復を介した遺伝子編集のためのドナーテンプレートを含む。いくつかの実施形態では、送達される組成物は、ヌクレアーゼのmRNA、DNA標的化RNA、及びtracrRNAを含む。いくつかの実施形態では、送達される組成物は、ヌクレアーゼのmRNA、DNA標的化RNA、及びtracrRNA、及びドナーテンプレートを含む。いくつかの実施形態では、送達される組成物は、CRISPRヌクレアーゼDNA標的化RNA及びtracrRNAを含む。いくつかの実施形態では、送達される組成物は、CRISPRヌクレアーゼ、DNA標的化RNA、及びtracrRNA、及び例えば、相同性指向修復を介した遺伝子編集のためのドナーテンプレートを含む。
【0147】
任意の好適なウイルスベクター系を使用して、RNA組成物を送達することができる。従来のウイルス及び非ウイルスに基づく遺伝子転写方法を使用して、細胞(例えば、哺乳動物細胞、植物細胞など)及び標的組織に核酸及び/又はCRISPRヌクレアーゼを導入することができる。そのような方法はまた、インビトロで細胞に、CRISPRヌクレアーゼタンパク質をコードする核酸及び/又はCRISPRヌクレアーゼタンパク質を投与するために使用され得る。ある特定の実施形態では、核酸及び/又はCRISPRヌクレアーゼは、インビボ又はエクスビボ遺伝子療法を使用するために投与される。非ウイルスベクター送達系は、裸の核酸、及びリポソーム又はポロキサマーなどの送達ビヒクルと複合体化された核酸を含む。遺伝子療法手順の概説については、Anderson, Science (1992);Nabel and Felgner, TIBTECH (1993);Mitani and Caskey, TIBTECH (1993);Dillon, TIBTECH (1993);Miller, Nature (1992);Van Brunt, Biotechnology (1988);Vigne et al., Restorative Neurology and Neuroscience 8:35-36 (1995);Kremer and Perricaudet, British Medical Bulletin (1995);Haddada et al., Current Topics in Microbiology and Immunology (1995)及び Yu et al., Gene Therapy 1:13-26 (1994)を参照されたい。
【0148】
核酸及び/又はタンパク質の非ウイルス送達の方法としては、電気穿孔、リポフェクション、マイクロインジェクション、バイオリスティック法、パーティクルガン法(particle gun acceleration)、ビロソーム、リポソーム、免疫リポソーム、ポリカチオン若しくは脂質:核酸コンジュゲート、人工ビリオン、及び薬剤で向上された核酸取り込みが挙げられるか、又は細菌若しくはウイルス(例えば、Agrobacterium、Rhizobium sp.NGR234、Sinorhizoboiummeliloti、Mesorhizobium loti、タバコモザイクウイルス、ジャガイモXウイルス、カリフラワーモザイクウイルス、及びキャッサバ静脈モザイクウイルスによって植物細胞に送達され得る。例えば、Chung et al. Trends Plant Sci. (2006)を参照されたい。例えば、Sonitron 2000系(Rich-Mar)を使用するパルス超音波照射も、核酸の送達に使用され得る。タンパク質及び/又は核酸のカチオン性脂質媒介送達は、インビボ又はインビトロ送達方法としても企図される。Zuris et al., Nat. Biotechnol. (2015);Coelho et al., N. Engl. J. Med. (2013);Judge et al., Mol. Ther. (2006)及びBasha et al., Mol. Ther. (2011)を参照されたい。
【0149】
追加の例示的な核酸送達系としては、Amaxa(登録商標)Biosystems(Cologne, Germany)、Maxcyte, Inc.(Rockville, Md.)、BTX Molecular Delivery Systems(Holliston, Mass.)及びCopernicus Therapeutics Inc.(例えば、米国特許第6,008,336を参照されたい)によって提供されるものが挙げられる。リポフェクションは、例えば、米国特許第5,049,386号、同第4,946,787号及び同第4,897,355号に記載されており、リポフェクション試薬は、市販されている(例えば、Transfectam(商標)、Lipofectin(商標)及びLipofectamine(商標)RNAiMAX)。ポリヌクレオチドの効率的な受容体認識リポフェクションに好適なカチオン性及び中性脂質としては、国際公開第91/17424号及び同第91/16024号に開示のものが挙げられる。送達は、細胞(エクスビボ投与)又は標的組織(インビボ投与)であり得る。
【0150】
免疫脂質複合体などの標的リポソームを含む脂質:核酸複合体の調製は、当業者に周知である(例えば、Crystal, Science (1995);Blaese et al., Cancer Gene Ther. (1995);Behr et al., Bioconjugate Chem. (1994);Remy et al., Bioconjugate Chem. (1994);Gao and Huang, Gene Therapy (1995);Ahmad and Allen, Cancer Res., (1992)、米国特許第4,186,183号;同第4,217,344号;同第4,235,871号;同第4,261,975号;同第4,485,054号;同第4,501,728号;同第4,774,085号;同第4,837,028号及び同第4,946,787号を参照されたい)。
【0151】
追加の送達の方法としては、EnGeneIC送達ビヒクル(EDV)に送達される核酸のパッケージングの使用が挙げられる。これらのEDVは、抗体の一方のアームが標的組織に対する特異性を有し、他方がEDVに対する特異性を有する二重特異性抗体を使用して標的組織に特異的に送達される。抗体は、EDVを標的細胞表面に運び、次いでEDVは、エンドサイトーシスによって細胞内に運び込まれる。細胞内に入ると、内容物が放出される(MacDiamid et al., Nature Biotechnology (2009))を参照されたい)。
【0152】
核酸の送達のためのRNA又はDNAウイルスに基づく系の使用は、ウイルスを体内の特定の細胞に標的化し、ウイルスペイロードを核に輸送するための高度に進化したプロセスを利用する。ウイルスベクターは、患者に直接投与され得る(インビボ)か、又は細胞をインビトロで治療するために使用され得、修飾細胞は、患者に投与される(エクスビボ)。核酸を送達するための従来のウイルスに基づくシステムとしては、限定されないが、遺伝子転写のための組換えレトロウイルス、レンチウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴、ワクシニア、及び単純ヘルペスウイルスベクターが挙げられる。しかしながら、RNAウイルスが、本明細書に記載のRNA組成物の送達に好ましい。追加的に、多くの異なる細胞型及び標的組織での高い形質導入効率が観察されている。発明の核酸は、非統合レンチウイルスによって送達され得る。任意選択的に、レンチウイルスを用いるRNA送達が利用される。任意選択的に、レンチウイルスは、ヌクレアーゼのmRNA、ガイドのRNAを含む。任意選択的に、レンチウイルスは、ヌクレアーゼのmRNA、ガイドのRNA、及びドナーテンプレートを含む。任意選択的に、レンチウイルスは、ヌクレアーゼタンパク質、ガイドRNAを含む。任意選択的に、レンチウイルスは、ヌクレアーゼタンパク質、ガイドRNA、及び/又は例えば、相同性指向修復を介した遺伝子編集のためのドナーテンプレートを含む。任意選択的に、レンチウイルスは、ヌクレアーゼのmRNA、DNA標的化RNA、及びtracrRNAを含む。任意選択的に、レンチウイルスは、ヌクレアーゼのmRNA、DNA標的化RNA、及びtracrRNA、及びドナーテンプレートを含む。任意選択的に、レンチウイルスは、ヌクレアーゼタンパク質、DNA標的化RNA、及びtracrRNAを含む。任意選択的に、レンチウイルスは、ヌクレアーゼタンパク質、DNA標的化RNA、及びtracrRNA、及び例えば、相同性指向修復を介した遺伝子編集のためのドナーテンプレートを含む。
【0153】
上に言及した本明細書に記載の組成物は、非統合レンチウイルス粒子方法、例えば、LentiFlash(登録商標)システムを使用して、標的細胞に送達され得る。標的細胞へのRNAの送達が標的細胞内部で本明細書に記載の組成物の組み立てを生じるようにそのような方法を使用して、mRNA又は他のタイプのRNAを標的細胞内に送達することができる。また、国際公開第2013/014537号、同第2014/016690号、同第2016/185125号、同第2017/194902号、及び同第2017/194903号を参照されたい。
【0154】
外来のエンベロープタンパク質を組み込んで、レトロウイルスのトロピズムを変化させて、標的細胞の潜在的な標的集団を拡大することができる。レンチウイルスベクターは、非分裂細胞を形質導入又は感染させることが可能なレトロウイルスベクターであり、典型的には、高いウイルス力価を生成する。レトロウイルス遺伝子転写系の選択は、標的組織に依存する。レトロウイルスベクターは、最大6~10kbの外来配列のパッケージング能力を有するシス作用の長い末端反復で構成される。最小のシス作用LTRは、ベクターの複製及びパッケージングに十分であり、次いで、療法的遺伝子を標的細胞に統合して永続的な導入遺伝子発現を提供するために使用される。広く使用されているレトロウイルスベクターとしては、マウス白血病ウイルス(MuLV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLV)、サル免疫不全ウイルス(SIV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、及びそれらの組み合わせに基づくものが挙げられる(例えば、Buchscher Panganiban, J. Virol. (1992);Johann et al., J. Virol. (1992);Sommerfelt et al., Virol. (1990);Wilson et al., J. Virol. (1989);Miller et al., J. Virol. (1991);国際公開第94/026877号を参照されたい)。
【0155】
現在、ヘルパー細胞株に挿入された遺伝子による欠陥ベクターの相補性を伴うアプローチを利用して、形質導入物質を生成する臨床試験における遺伝子転写には、少なくとも6つのウイルスベクターアプローチが利用可能である。
【0156】
pLASN及びMFG-Sは、臨床試験で使用されているレトロウイルスの例である(Dunbar et al., Blood (1995);Kohn et al., Nat. Med. (1995);Malech et al., PNAS (1997))。PA317/pLASNは、遺伝子療法試験で使用された最初の療法的ベクターであった。(Blaese et al., Science (1995))。MFG-Sをパッケージングしたベクターでは、50%以上の形質導入効率が観察されている。(Ellem et al., Immunol Immunother. (1997);Dranoff et al., Hum. Gene Ther. (1997))。
【0157】
パッケージング細胞は、宿主細胞に感染することが可能なウイルス粒子を形成するために使用される。そのような細胞としては、アデノウイルス、AAV、及びpsi.2細胞をパッケージングする293細胞、又はレトロウイルスをパッケージングするPA317細胞が挙げられる。遺伝子療法に使用されるウイルスベクターは、通常、核酸ベクターをウイルス粒子内にパッケージングするプロデューサー細胞株によって生成される。ベクターは、典型的には、パッケージング及びその後の宿主への統合に必要な最小限のウイルス配列を含有し(該当する場合)、他のウイルス配列は、発現されるタンパク質をコードする発現カセットによって置き換えられる。欠損したウイルス機能は、パッケージング細胞株によってトランスで供給される。例えば、遺伝子療法に使用されるAAVベクターは、典型的には、パッケージング及び宿主ゲノムへの統合に必要な、AAVゲノムからの反転末端反復(ITR)配列のみを有する。ウイルスDNAは、他のAAV遺伝子、すなわちrep及びcapをコードするが、ITR配列を欠くヘルパープラスミドを含有する細胞株にパッケージングされる。細胞株はまた、ヘルパーとしてのアデノウイルスに感染する。ヘルパーウイルスは、AAVベクターの複製及びヘルパープラスミドからのAAV遺伝子の発現を促進する。ヘルパープラスミドは、ITR配列を欠くことに起因して、有意な量でパッケージングされない。アデノウイルスによる汚染は、例えば、アデノウイルスがAAVよりも感受性が高い熱処理によって低減することができる。追加的に、AAVは、バキュロウイルス系を使用して臨床規模で産生することができる(米国特許第7,479,554号を参照されたい)。
【0158】
多くの遺伝子療法用途において、遺伝子療法ベクターは、特定の組織タイプに対して高い程度の特異性で送達されることが望ましい。したがって、ウイルスベクターは、ウイルスの外表面上にウイルスコートタンパク質を有する融合タンパク質としてリガンドを発現させることによって、所与の細胞型に対する特異性を有するように修飾することができる。リガンドは、目的の細胞型上に存在することが知られている受容体に対して親和性を有するように選択される。例えば、Han et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1995)は、Moloneyマウス白血病ウイルスが、gp70に融合したヒトヘレグリンを発現するように修飾することができ、組換えウイルスは、ヒト表皮増殖因子受容体を発現するある特定のヒト乳がん細胞に感染することを報告した。この原理は、標的細胞が受容体を発現し、ウイルスが細胞表面受容体のリガンドを含む融合タンパク質を発現する、他のウイルス標的細胞対に拡大することができる。例えば、糸状ファージは、事実上任意の選択された細胞受容体に対する特異的結合親和性を有する抗体断片(例えば、FAB又はFv)を表示するように操作することができる。上の説明は、主にウイルスベクターに適用されるが、同じ原理を非ウイルスベクターに適用することができる。そのようなベクターは、特異的標的細胞による取り込みに有利な特異的取り込み配列を含有するように操作され得る。
【0159】
遺伝子療法ベクターは、以下に記載されるように、個々の患者への投与によって、典型的には、全身投与(例えば、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、又は頭蓋内注入)、又は局所適用によって、インビボで送達され得る。代替的に、ベクターは、個々の患者から摘出された細胞(例えば、リンパ球、骨髄穿刺液、組織生検)、又はユニバーサルドナー造血幹細胞などの細胞にエクスビボで送達され、続いて、通常、ベクターを組み込んだ細胞の選択後に、患者への細胞の再移植が行われ得る。いくつかの実施形態では、インビボ及びエクスビボでのmRNAの送達、並びにRNP送達が利用され得る。
【0160】
診断、研究、又は遺伝子療法のための(例えば、宿主生物へのトランスフェクト細胞の再注入を介した)エクスビボ細胞トランスフェクションは、当業者に周知である。好ましい実施形態では、細胞は、対象生物から単離され、RNA組成物でトランスフェクトされ、対象生物(例えば、患者)に再注入される。エクスビボトランスフェクションに好適な様々な細胞型は、当業者に周知である(例えば、患者から細胞を単離及び培養する方法の考察については、Freshney, “Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Technique and Specialized Applications (6th edition, 2010)及びこれに列挙されている参考文献を参照されたい)。
【0161】
好適な細胞としては、限定されないが、真核細胞及び原核細胞、並びに/又は細胞株が挙げられる。そのような細胞又はそのような細胞から生成される細胞株の非限定的な例としては、COS、CHO(例えば、CHO-S、CHO-K1、CHO-DG44、CHO-DUXB11、CHO-DUKX、CHOK1SV)、VERO、MDCK、WI38、V79、B14AF28-G3、BHK、HaK、NSO、SP2/0-Ag14、HeLa、HEK293(例えば、HEK293-F、HEK293-H、HEK293-T)、及びPerC6細胞、任意の植物細胞(分化又は未分化)、並びにSpodopterafugiperda(Sf)などの昆虫細胞、又はSaccharomyces、Pichia及びSchizosaccharomycesなどの真菌細胞が挙げられる。特定の実施形態では、細胞株は、CHO-K1、MDCK、又はHEK293細胞株である。追加的に、初代細胞は、単離され、ヌクレアーゼ(例えば、ZFN又はTALEN)、又はヌクレアーゼ系(例えば、CRISPR)での処理に続いて、治療される対象への再導入のためにエクスビボで使用され得る。好適な初代細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)、並びに限定されないが、CD4+T細胞又はCD8+T細胞などの他の血液細胞サブセットが挙げられる。また、好適な細胞としては、例としては、胚性幹細胞、人工多能性幹細胞、造血幹細胞(CD34+)、神経幹細胞、及び間葉系幹細胞などの幹細胞が挙げられる。
【0162】
一実施形態では、幹細胞は、細胞トランスフェクション及び遺伝子療法のためのエクスビボ手順で使用される。幹細胞を使用する利点は、それらがインビトロで他の細胞型に分化することができるか、又はそれらが骨髄に移植される場合、哺乳動物(細胞のドナーなど)に導入することができることである。CD34+細胞をインビトロでGM-CSF、IFN-ガンマ、及びTNF-アルファのサイトカインを使用して臨床的に重要な免疫細胞型に分化させるための方法が知られている(非限定的な例として、Inaba et al., J. Exp. Med. (1992)を参照されたい)。
【0163】
幹細胞は、既知の方法を使用して形質導入及び分化のために単離される。例えば、幹細胞は、CD4+及びCD8+(T細胞)、CD45+(panB細胞)、GR-1(顆粒球)、並びにIad(分化抗原提示細胞)などの不要な細胞に結合する抗体で骨髄細胞を選別することによって、骨髄細胞から単離される(非限定的な例として、Inaba et al., J. Exp. Med. (1992)を参照されたい)。いくつかの実施形態では、修飾された幹細胞も使用され得る。
【0164】
とりわけ、本明細書に記載の組成物は、有糸分裂後の細胞又は活動的に分裂していない任意の細胞、例えば、休止細胞におけるゲノム編集に好適であり得る。本発明のCRISPRヌクレアーゼを使用して編集され得る有糸分裂後の細胞の例としては、限定されないが、筋細胞、心筋細胞、肝細胞、骨細胞、及びニューロンが挙げられる。
【0165】
療法的RNA組成物を含有するベクター(例えば、レトロウイルス、リポソームなど)はまた、インビボでの細胞の形質導入のために生物に直接投与され得る。代替的に、裸のRNA又はmRNAが投与され得る。投与は、限定されないが、注射、注入、局所適用、及び電気穿孔を含む、血液又は組織細胞との根本的な接触に分子を導入するために通常使用される経路のうちのいずれかによる。そのような核酸を投与する好適な方法は、利用可能かつ当業者に周知であり、2つ以上の経路を使用して特定の組成物を投与することができるが、特定の経路は、多くの場合、別の経路よりも即時的かつ効果的な反応を提供し得る。
【0166】
免疫細胞(例えば、T細胞)への導入遺伝子の導入に好適なベクターとしては、非統合レンチウイルスベクターが挙げられる。例えば、米国特許公開第2009/0117617号を参照されたい。
【0167】
薬学的に許容可能な担体は、投与される特定の組成物によって、並びに組成物を投与するために使用される特定の方法によって部分的に決定される。したがって、以下に記載されるように、利用可能な薬学的組成物の多様な好適な製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 17th ed., 1989を参照されたい)。
【0168】
相同組換えによるDNA修復
「相同性指向修復」又は「HDR」という用語は、例えば、DNAにおける二重鎖及び一本鎖分解の修復中に、細胞におけるDNA損傷を修復するための機構を指す。HDRは、ヌクレオチド配列相同性を必要とし、「核酸テンプレート」(本明細書で同義に使用される核酸テンプレート又はドナーテンプレート)を使用して、二重鎖又は一本鎖分解が生じた配列(例えば、DNA標的配列)を修復する。これにより、例えば、核酸テンプレートからDNA標的配列への遺伝子情報の転写が生じる。核酸テンプレート配列がDNA標的配列と異なり、核酸テンプレートポリヌクレオチド又はオリゴヌクレオチドの一部又は全てがDNA標的配列に組み込まれる場合、HDRは、DNA標的配列の変化(例えば、挿入、欠失、変異)を生じ得る。いくつかの実施形態では、核酸テンプレートポリヌクレオチド全体、核酸テンプレートポリヌクレオチドの一部分、又は核酸テンプレートのコピーは、DNA標的配列の部位に統合される。
【0169】
「核酸テンプレート」及び「ドナー」という用語は、ゲノムに挿入又はコピーされるヌクレオチド配列を指す。核酸テンプレートは、標的核酸に付加されるか、又は標的核酸の変化をテンプレートするか、又は標的配列を修飾するために使用され得るであろう、例えば、1つ以上のヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。核酸テンプレート配列は、任意の長さ、例えば2~10,000ヌクレオチド長(又はそれらの間若しくはそれらの上の任意の整数値)、好ましくは約100~1,000ヌクレオチド長(又はそれらの間の任意の整数値)、より好ましくは約200~500ヌクレオチド長であり得る。核酸テンプレートは、一本鎖核酸、二重鎖核酸であり得る。いくつかの実施形態では、核酸テンプレートは、例えば、標的位置の標的核酸の野生型配列に対応する、例えば1つ以上のヌクレオチドのヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸テンプレートは、例えば、標的位置の標的核酸の野生型配列に対応する、例えば1つ以上のリボヌクレオチドのリボヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態では、核酸テンプレートは、修飾されたリボヌクレオチドを含む。
【0170】
外因性配列(「ドナー配列」、「ドナーテンプレート」、又は「ドナー」とも呼ばれる)の、例えば、変異遺伝子の補正のための、又は野生型遺伝子の発現増加のための挿入も行うことができる。ドナー配列は、典型的には、それが配置されるゲノム配列と同一ではないことが容易に明らかであろう。ドナー配列は、目的の位置で効率的なHDRを可能にするために、相同性の2つの領域に隣接する非相同配列を含有し得る。追加的に、ドナー配列は、細胞クロマチンにおける目的の領域に相同ではない配列を含有するベクター分子を含み得る。ドナー分子は、細胞クロマチンと相同性のいくつかの非連続的な領域を含有し得る。例えば、目的の領域に通常存在しない配列を標的に挿入するための当該配列は、ドナー核酸分子内に存在し、目的の領域内の配列と相同性の領域に隣接し得る。
【0171】
ドナーポリヌクレオチドは、DNA又はRNA、一本鎖及び/又は二本鎖であり得、線状又は環状の形態で細胞に導入され得る。例えば、米国特許公開第2010/0047805号、同第2011/0281361号、同第2011/0207221号、及び同第2019/0330620号を参照されたい。線状形態で導入される場合、ドナー配列の末端は、当業者に既知の方法によって(例えば、エキソヌクレアーゼによる分解から)保護され得る。例えば、1つ以上のジデオキシヌクレオチド残基が線状分子の3’末端に付加され、及び/又は自己相補性オリゴヌクレオチドが1つ又は両方の末端にライゲーションされる。例えば、Chang and Wilson, Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1987);Nehls et al., Science (1996)を参照されたい。外因性ポリヌクレオチドを分解から保護するための追加の方法としては、限定されないが、末端アミノ基の付加、並びに修飾ヌクレオチド間連結、例えば、ホスホロチオエート、ホスホロアミダート、及びO-メチルリボース、又はデオキシリボース残基などの使用が挙げられる。
【0172】
したがって、修復のためにドナーテンプレートを使用する本発明の実施形態は、線状又は環状形態で細胞に導入され得るDNA又はRNA、一本鎖及び/又は二重鎖ドナーテンプレートが使用され得る。本発明の実施形態では、遺伝子編集組成物は、(1)修復前の遺伝子内の二重鎖分解に影響を及ぼすためのガイド配列を含むRNA分子、及び(2)修復のためのドナーRNAテンプレートを含み、ガイド配列を含むRNA分子が、第1のRNA分子であり、ドナーRNAテンプレートが、第2のRNA分子である。いくつかの実施形態では、ガイドRNA分子及びテンプレートRNA分子は、単一分子の一部として接続されている。
【0173】
ドナー配列はまた、オリゴヌクレオチドであり得、内因性配列の遺伝子補正又は標的遺伝子の変化のために使用され得る。オリゴヌクレオチドは、ベクター上で細胞に導入され得るか、細胞内に電気穿孔され得るか、又は当該技術分野において既知の他の方法を介して導入され得る。オリゴヌクレオチドは、内因性遺伝子の変異配列(例えば、ベータグロビンの鎌状変異)を「補正」するために使用することができるか、又は所望の目的を有する配列を内因性遺伝子座に挿入するために使用することができる。
【0174】
ポリヌクレオチドは、例えば、複製起点、プロモーター、及び抗生物質耐性をコードする遺伝子などの追加の配列を有するベクター分子の一部として細胞に導入され得る。更に、ドナーポリヌクレオチドは、裸の核酸として、リポソーム若しくはポロキサマーなどの物質と複合体化された核酸として導入され得るか、又は組換えウイルス(例えば、アデノウイルス、AAV、ヘルペスウイルス、レトロウイルス、レンチウイルス、及びインテグラーゼ欠損レンチウイルス(IDLV))によって送達され得る。
【0175】
ドナーは、一般に、その発現が、統合部位の内因性プロモーター、すなわち、ドナーが挿入される内因性遺伝子の発現を推進するプロモーターによって推進されるように挿入される。しかしながら、ドナーは、プロモーター及び/又はエンハンサー、例えば、構成的プロモーター、又は誘導性若しくは組織特異的プロモーターを含み得ることが明らかであろう。
【0176】
ドナー分子は、内因性遺伝子の全て、一部を発現するか、又は全く発現しないように、内因性遺伝子に挿入され得る。例えば、本明細書に記載の導入遺伝子は、例えば、導入遺伝子との融合体として、内因性配列の一部(導入遺伝子に対するN末端及び/又はC末端)を発現するか、又は内因性配列のいずれも発現しないように、内因性遺伝子座に挿入され得る。他の実施形態では、(例えば、内因性遺伝子などための追加のコード配列を有するか又は有さない)導入遺伝子は、任意の内因性遺伝子座、例えば、セーフハーバー遺伝子座、例えば、CCR5遺伝子、CXCR4遺伝子、PPP1R12c(AAVS1としても知られている)遺伝子、アルブミン遺伝子、又はRosa遺伝子に統合される。例えば、米国特許第7,951,925号及び同第8,110,379号、米国特許出願公開第2008/0159996号、同第2010/0218264号、同第2010/0291048号、同第2012/0017290号、同第2011/0265198号、同第2013/0137104号、同第2013/0122591号、同第2013/0177983号及び同第2013/0177960号、並びに米国仮出願第61/823,689号を参照されたい)。
【0177】
内因性配列(内因性又は導入遺伝子の一部)が導入遺伝子を伴って発現される場合、内因性配列は、完全長配列(野生型又は変異型)又は部分配列であり得る。好ましくは、内因性配列は、機能的である。これらの全長配列又は部分配列の機能の非限定的な例としては、導入遺伝子によって発現されるポリペプチドの血清半減期を増加させること(例えば、療法的遺伝子)、及び/又は担体として作用することが挙げられる。
【0178】
更に、発現には必要ではないが、外因性配列としてはまた、転写又は翻訳調節配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、インシュレーター、内部リボソーム進入部位、2Aペプチドをコードする配列、及び/又はポリアデニル化シグナルを挙げることができる。
【0179】
ある特定の実施形態では、ドナー分子は、タンパク質をコードする遺伝子(例えば、細胞内若しくは個体に欠けているタンパク質をコードするコード配列、又はタンパク質をコードする遺伝子の代替バージョン)、調節配列、及び/又はマイクロRNA若しくはsiRNAなどの構造的核酸をコードする配列からなる群から選択される配列を含む。
【0180】
前述の実施形態では、本明細書に開示の各実施形態は、他の開示の実施形態の各々に適用可能であることが企図される。例えば、本発明のRNA分子又は組成物のうちのいずれかを、本発明の方法のうちのいずれかに利用することができることが理解される。
【0181】
本明細書で使用される場合、全ての見出しは単に組織についての見出しであり、いかなる様式でも開示を限定することを意図しない。任意の個々の段落の内容は、全ての段落に同等に適用可能であり得る。
【0182】
本発明の追加の目的、利点、及び新規の特色は、限定することを意図しない以下の実施例を考察することによって、当業者に明らかになるであろう。追加的に、本明細書に上記され、以下の特許請求の範囲の段落で特許請求される本発明の様々な実施形態及び態様の各々により、以下の実施例において実験的裏付けが見出される。
【0183】
明確にするために、別個の実施形態の背景で記載される発明のある特定の特色はまた、単一の実施形態で組み合わせて提供され得ることが理解される。むしろ、簡潔にするために、単一の実施形態の背景で記載される発明の様々な特色はまた、別個に、又は任意の好適な部分的な組み合わせで、又は発明の任意の他の記載の実施形態で好適なものとして提供され得る。様々な実施形態の背景で記載されるある特定の特色は、実施形態がそれらの要素を用いずに操作不能でない限り、それらの実施形態の本質的な特色とみなされるものではない。
【0184】
一般に、本明細書で使用される命名法、及び本発明で利用される実験手順は、分子、生化学、微生物学、及び組換えDNA技法を含む。そのような技法は、文献において丁寧に説明されている。例えば、Sambrook et al., "Molecular Cloning: A laboratory Manual" (1989);Ausubel, R. M. (Ed.), "Current Protocols in Molecular Biology" Volumes I-III (1994);Ausubel et al., "Current Protocols in Molecular Biology", John Wiley and Sons, Baltimore, Maryland (1989);Perbal, "A Practical Guide to Molecular Cloning", John Wiley & Sons, New York (1988);Watson et al., "Recombinant DNA", Scientific American Books, New York;Birren et al. (Eds.), "Genome Analysis: A Laboratory Manual Series", Vols. 1-4, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (1998);米国特許第4,666,828号;同第4,683,202号;同第4,801,531号;同第5,192,659号及び同第5,272,057号に記載の方法;Cellis, J. E. (Ed.), "Cell Biology: A Laboratory Handbook", Volumes I-III (1994);Freshney, "Culture of Animal Cells - A Manual of Basic Technique" Third Edition, Wiley-Liss, N. Y. (1994);Coligan J. E. (Ed.), "Current Protocols in Immunology" Volumes I-III (1994);Stites et al. (Eds.), "Basic and Clinical Immunology" (8th Edition), Appleton & Lange, Norwalk, CT (1994);Mishell and Shiigi (Eds.), "Strategies for Protein Purification and Characterization - A Laboratory Course Manual" CSHL Press (1996);Clokie and Kropinski (Eds.), "Bacteriophage Methods and Protocols", Volume 1: Isolation, Characterization, and Interactions (2009)を参照されたい。他の一般的な参考文献は、本文書全体を通して提供される。
【0185】
発明のより完全な理解を容易にするために、実施例を以下に提供する。以下の実施例は、発明の作製及び実施の例示的なモードを示している。しかしながら、発明の範囲は、これらの実施例に開示の特定の実施形態に限定されず、例示のみを目的とするものである。
【0186】
実験の詳細
発明のより完全な理解を容易にするために、実施例を以下に提供する。以下の実施例は、発明の作製及び実施の例示的なモードを示している。しかしながら、発明の範囲は、これらの実施例に開示の特定の実施形態に限定されず、例示のみを目的とするものである。
【0187】
方法
OMNI-50配列、例えば、OMNI-50 CRISPR反復(crRNA)配列、OMNI-50トランス活性化crRNA(tracrRNA)配列、及びOMNI-50ヌクレアーゼポリペプチド配列を、Ezakiella peruensis株M6.X2から予測した。
【0188】
スペーサー最適化を伴う全長足場、OMNI-50「NGG」PAM同定、及び哺乳動物細胞における活性は、PCT国際出願第PCT/US2020/030782に開示され、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。OMNI-50要素の概要を、以下の表1に示す。
【0189】
OMNI-50タンパク質発現
RNPアセンブリのためのタンパク質産生及び合成ガイド産生のための発現方法は、PCT国際出願第PCT/US2020/030782号に記載されている。簡潔に述べると、ヌクレアーゼオープンリーディングフレームをヒト細胞に対してコドン最適化し(表1)、以下の要素を有する修飾pET9aプラスミドにクローニングした:SV40 NLS-OMNI-50 ORF(第2のアミノ酸から、ヒト最適化)-HAタグ-SV40 NLS-8 His-タグ。配列は表2に見出すことができる。OMNI-50構築物をT7発現細胞(NEB)で発現させた。細胞をTB中で増殖させ、培養温度を18℃に下げながら1mMのIPTGを添加することにより対数期中期で発現させた。細胞を超音波処理を使用して溶解し、透明な溶解物をNi-NTAカラムを使用して精製した。OMNIタンパク質を含む画分を収集し、HiLoad 16/600 Superdex 200pg-SEC、AKTA Pure(GE Healthcare Life Sciences)でのSECによって更に精製した。OMNIタンパク質を含む画分をプールし、10mg/mlストックに濃縮して、液体窒素中で急速冷凍し、-80℃で保存した。
【0190】
使用される合成sgRNA
OMNI-50の全ての合成sgRNAを、3’及び5’末端の3つの2’-O-メチル 3’-ホスホロチオエートを用いて合成した(Agilent又はSynthego)。
【0191】
インビトロでのRNP活性
RNPを、1mg/mLのタンパク質を1μMのIVT転写又は合成で製造したsgRNAと室温で10分間インキュベートすることによって形成した。OMNI-50 RNPを、推奨される切断緩衝液中で、OMNIのPAM配列と隣接するsgRNAによって標的とされるg35プロトスペーサーを含む100ngの直鎖状5’-FAM標識DNA基質と反応させた(表8)。切断効率は、切断断片の蛍光強度を、切断断片及び未切断断片の蛍光強度の合計で割って計算した(
図2)。
【0192】
哺乳動物細胞株における活性
ここでアッセイした足場の異なるスペーサー及び標的を表8に列挙する。RNPを、100μMのヌクレアーゼを120μMの合成ガイド及び100μMのCas9エレクトロポレーションエンハンサー(IDT)と混合することによって組み立てた。室温での10分間のインキュベーションの後、RNP複合体を200,000個の事前に洗浄したU2OS、LCL、又はHSC細胞と混合し、製造元のプロトコルに従って、DN100、CA137、又はDZ100プログラムを備えたLonza SE、SG又はP3 Cell Line 4D-Nucleofector(商標)Xキット(それぞれ)を使用してエレクトロポレーションした。72時間で細胞を溶解し、それらのゲノムDNA内容物をPCR反応に使用して、対応する推定ゲノム標的を増幅した。アンプリコンを次世代シークエンシング(NGS)に供し、次いで生じた配列を使用して、編集イベントの割合を計算した。
【0193】
結果
3’トリミングガイドの活性
OMNI-50ガイドRNAを、より短い足場部分を作製することによって最適化した。OMNI-50ヌクレアーゼ特異性及び活性を最小限に犠牲にする短い、非天然の足場部分を含むRNA分子は、CRISPRシステムの複雑性を低減し、RNA分子の信頼性の高い人工的な製造及び産生を可能にするため、非常に望ましい。まず、3’トリミングされたsgRNA足場を、「full c」二本鎖バージョンに基づいて試験した。3’末端をOMNI-50二本鎖バージョンcの全長ガイドから開始する12個のヌクレオチドでトリミングした6つの(6)短いガイドを設計した(表3、
図1A~1G)。T7プロモーターとそれに続くg35の22個のヌクレオチドのスペーサー(表8)及び短縮された足場設計を有するDNAテンプレートを用いたIVTキット(GeneJet RNA精製及び濃縮マイクロキット、ThermoScientific)を使用して、ガイドを転写し、ワクシニアをキャップした。各ガイドRNA分子を精製OMNI-50ヌクレアーゼと反応させてRNPを作製し、g35直鎖状テンプレートの切断についてインビトロで試験し、U2OS細胞株中の内因性g35部位の編集についてインビボで試験した。
図2から見ることができるように、最大46個のヌクレオチドまで短縮された足場を有するRNA分子は、インビトロ活性を長く保持した。更に、細胞系編集レベルは、70個のヌクレオチドという短い足場でも検出された。
【0194】
ガイドを順位付けするためのガイド選択
アッセイを、それらの活性に基づいて足場を順位付けするために設計した。足場配列の4つの部分に沿って欠失を有する様々な足場を試験した。足場バリアントを、アッセイにおけるそれらの性能に基づいて3つのカテゴリに分けた(それぞれ、高、中、及び低;表5~7)。以下に記載されるように、独立したアッセイを使用して、高及び中スコアリスト(
図3及び4)からのガイドバリアントもまた、活性について試験した。
【0195】
ゲノム部位及び細胞型にわたる短いガイドの活性
ゲノム部位上の短いガイドRNA分子の活性を、異なるスペーサー及び異なる細胞株を用いて試験した(表8~9、
図5~8)。いくつかの任意のスペーサー、特に、困難な標的であるg58、及び寛容な標的であるg35又はg62を選択した。中位のガイドは、ほとんどが寛容な部位で活性であった(g35及びg62、
図5)。しかしながら、高位のガイド、特にNGS17及びNGS40-44は、困難な部位(g58、
図6)及び困難な細胞株(HSC及びLCL、
図7及び8)において機能することが証明された。いくつかの短いガイドRNA分子を使用したオフターゲット編集の増加が検出され、これは、短いガイドRNA分子によるRNP活性の増加を意味する。表5及び表9に見ることができるように、第1、第2、及び第3の部分における最小限の欠失を有する足場は、ゲノム部位及び細胞型にわたって高い活性を保持する。
【0196】
【0197】
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【図】
【配列表】
【国際調査報告】