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特表2023-549140操作されたキメラ融合タンパク質組成物およびその使用方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】操作されたキメラ融合タンパク質組成物およびその使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/62 20060101AFI20231115BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20231115BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20231115BHJP
   C12N 15/88 20060101ALI20231115BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20231115BHJP
   C07K 14/705 20060101ALI20231115BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 47/44 20170101ALI20231115BHJP
   A61K 35/28 20150101ALI20231115BHJP
   A61K 38/16 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
C12N15/62 Z ZNA
C12N15/63 Z
C12N5/10
C12N15/88 Z
C07K19/00
C07K14/705
C07K16/28
A61P35/00
A61P35/02
A61K48/00
A61K39/395 D
A61K39/395 N
A61K39/395 E
A61K39/395 T
A61K31/7105
A61K9/16
A61K47/44
A61K35/28
A61K38/16
A61K39/395 C
A61K39/395 L
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527407
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-07-04
(86)【国際出願番号】 US2021058104
(87)【国際公開番号】W WO2022098905
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】63/109,445
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/162,205
(32)【優先日】2021-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/196,994
(32)【優先日】2021-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/251,400
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521475473
【氏名又は名称】マイエロイド・セラピューティクス,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135415
【弁理士】
【氏名又は名称】中濱 明子
(72)【発明者】
【氏名】ゲッツ,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】ワーン,ユーシャオ
(72)【発明者】
【氏名】マクリーディ,ブルース,ジュニア
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA31
4C076BB11
4C076CC27
4C076EE51
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA13
4C084DC50
4C084MA41
4C084MA66
4C084NA05
4C084ZB26
4C084ZB27
4C085AA13
4C085AA14
4C085AA21
4C085BB31
4C085BB41
4C085CC22
4C085CC23
4C085EE01
4C085EE03
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA41
4C086NA05
4C086ZB26
4C086ZB27
4C087AA01
4C087AA02
4C087BB44
4C087MA41
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZB27
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045DA50
4H045DA76
4H045EA20
(57)【要約】
罹患細胞などの標的細胞上の表面分子に結合することが可能な結合性ドメインを有するキメラ融合タンパク質を発現する操作された骨髄細胞などの操作された細胞を作製および使用するための組成物および方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)膜貫通ドメイン、または
(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメイン
を含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および
(b)標的細胞上のCD137に特異的に結合しうるCD137抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメイン
を含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【請求項2】
(a)標的細胞上のCD137抗原に特異的に結合する第1のCD137抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のCD137抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【請求項3】
(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のClaudin 18.2に特異的に結合しうるClaudin 18.2抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【請求項4】
(a)標的細胞上のClaudin 18.2抗原に特異的に結合する第1のClaudin 18.2抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のClaudin 18.2抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【請求項5】
(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のClaudin 3に特異的に結合しうるClaudin 3抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【請求項6】
(a)標的細胞上のClaudin 3抗原に特異的に結合する第1のClaudin 3抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のClaudin 18.2抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【請求項7】
(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のCD70に特異的に結合しうるCD70抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【請求項8】
(a)標的細胞上のCD70抗原に特異的に結合する第1のCD70抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のCD70抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【請求項9】
(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のTROP2に特異的に結合しうるTROP2抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【請求項10】
(a)標的細胞上のTROP2抗原に特異的に結合する第1のTROP2抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のTROP2抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【請求項11】
(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のTMPRSSに特異的に結合しうるTMPRSS抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【請求項12】
(a)標的細胞上のTMPRSS抗原に特異的に結合する第1のTMPRSS抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のTMPRSS抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【請求項13】
(a)(i)膜貫通ドメイン、および(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含むPRサブユニット;ならびに(b)標的細胞の抗原に対する強力な結合親和性を有する、請求項1、3、5、7、9、または11のいずれか一項に記載の抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)融合タンパク質(PFP)をコードする組換え核酸を含む組成物であって、膜貫通ドメインと細胞外ドメインとが作動的に連結されており;PFPの標的細胞の抗原への結合時に、PFPを発現する細胞の殺滅または貪食活性が、PFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも20%を超えて増大される、組成物。
【請求項14】
細胞内シグナル伝達ドメインが、貪食または繋留受容体に由来するか、または細胞内シグナル伝達ドメインが、貪食活性化ドメインを含む、請求項1、3、5、7、9、11、または13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
細胞内シグナル伝達ドメインが、炎症促進性シグナル伝達ドメインを含む、請求項1、3、5、7、9、11、13、または14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
炎症促進性シグナル伝達ドメインが、キナーゼ活性化ドメインまたはキナーゼ結合性ドメインを含む、請求項1、3、5、7、9、11、または13~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
細胞内シグナル伝達ドメインが、PI3キナーゼ動員ドメインを含む、請求項11、3、5、7、9、11、または13~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
炎症促進性シグナル伝達ドメインが、IL-1シグナル伝達カスケード活性化ドメインを含む、請求項1、3、5、7、9、11、または13~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
炎症促進性シグナル伝達ドメインが、TLR3、TLR4、TLR7、TLR9、TRIF、RIG-1、MYD88、MAL、IRAK1、MDA-5、IFN受容体、NLRPファミリーメンバーであるNLRP1~14、NOD1、NOD2、ピリン、AIM2、NLRC4、FCGR3A、FCERIG、CD40、カスパーゼドメインもしくはプロカスパーゼ結合性ドメイン、またはこれらの任意の組合せに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項1、3、5、7、9、11、または13~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
CD2、CD8、CD28、またはCD68のタンパク質TMドメインに由来する膜貫通ドメインをさらに含む、請求項1、3、5、7、9、11、および13~19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
ヒンジドメインをさらに含む、請求項1、3、5、7、9、11、および13~20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
PFPの標的細胞の抗原への結合時に、PFPを発現する細胞の殺滅活性が、PFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも20%を超えて増大される、請求項1、3、5、7、9、11、または13から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
PFPの標的細胞の抗原への結合時に、PFPを発現する細胞の殺滅活性が、PFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも1.1倍増大される、請求項1、3、5、7、9、11、または13から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項24】
標的細胞上の抗原と特異的に相互作用する第1の抗体またはその機能的断片である、第1の結合性ドメイン、および
骨髄細胞と特異的に相互作用する第2の抗体またはその機能的断片である、第2の結合性ドメイン
を含む、第1の治療剤を含み;
(i)第1の治療剤が、さらなる治療剤もしくは第3の結合性ドメインである、第1の構成要素とカップリングされるか、または
(ii)組成物がさらなる治療剤を含む、請求項2、4、6、8、10、または12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
治療剤が、(a)標的細胞の抗原と特異的に相互作用する第1の結合性ドメイン、(b)骨髄細胞と特異的に相互作用する第2の結合性ドメイン、および(c)骨髄細胞と特異的に相互作用する第3の結合性ドメインを含む、請求項2、4、6、8、10、12、または24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項26】
治療剤の結合性ドメインのうちのいずれか1つが、抗体の結合性ドメイン、抗体の機能的断片、その可変ドメイン、VHドメイン、VLドメイン、VNARドメイン、VHHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、Fab、単一ドメイン抗体(sdAb)、ナノボディー、二特異性抗体、ダイアボディー、またはこれらの機能的断片もしくは組合せを含む、請求項1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
第1の結合性ドメインが結合する標的細胞上の抗原が、標的細胞上のがん抗原もしくは病原性抗原、または自己免疫性抗原である、請求項1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
第1の治療剤が、1000アミノ酸または1000nm未満の長さであるポリペプチドを含む、請求項2、4、6、8、10、12、または24のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
第1の治療剤が、500アミノ酸または500nm未満の長さであるポリペプチドを含む、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
第1の治療剤が、200~1000アミノ酸または200~1000nmの長さであるポリペプチドを含む、請求項2、4、6、8、10、12、24、28、または29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
第1の治療剤の結合性ドメインの係合が、がん細胞を、骨髄細胞へと接触させる、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
第2の結合性ドメインが、骨髄細胞と特異的に相互作用し、骨髄細胞の貪食活性を促進する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
第2の結合性ドメインが、骨髄細胞と特異的に相互作用し、骨髄細胞の炎症性シグナル伝達を促進する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~32のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項34】
第2の結合性ドメインが、骨髄細胞または接着分子と特異的に相互作用し、骨髄細胞の標的細胞への接着を促進する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~33のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項35】
第2の結合性ドメインが、骨髄細胞と特異的に相互作用し、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗貪食活性を阻害する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
第2の結合性ドメインが、骨髄細胞と特異的に相互作用し、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗炎症活性を阻害する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~35のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、骨髄細胞の貪食活性を促進する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~36のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、骨髄細胞の炎症性シグナル伝達を促進する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~37のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項39】
第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、骨髄細胞または接着分子と特異的に相互作用し、骨髄細胞の標的細胞への接着を促進する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~38のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項40】
第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗貪食活性を阻害する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~39のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項41】
第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗炎症活性を阻害する、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~40のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項42】
第3の結合性ドメインまたはさらなる治療剤が、CD47アンタゴニスト、CD47ブロッカー、抗体、キメラCD47受容体、シアリダーゼ、サイトカイン、炎症促進性遺伝子、プロカスパーゼ、または抗がん剤を含む、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
第1の結合性ドメイン、第2の結合性ドメイン、および第3の結合性ドメインが、別個の同一ではない標的抗原に結合する、請求項1から42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
第1の結合性ドメイン、第2の結合性ドメイン、または第3の結合性ドメインが、リガンド結合性ドメインである、請求項2、4、6、8、10、12、24、または28~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
第1、第2または第3の結合性ドメインが、1つまたは複数のリンカーにより作動可能に連結される、請求項1から44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
リンカーが、ポリペプチドである、請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
リンカーが、機能的ペプチドである、請求項46に記載の組成物。
【請求項48】
リンカーが、受容体に対するリガンドである、請求項45から47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
リンカーが、単球またはマクロファージ受容体に対するリガンドである、請求項45に記載の組成物。
【請求項50】
リンカーが、受容体を活性化する、請求項45から49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
リンカーが、受容体を阻害する、請求項45から50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
リンカーが、マクロファージM2受容体に対するリガンドである、請求項51に記載の組成物。
【請求項53】
リンカーが、TLR4などのTLR受容体に対するリガンドである、請求項48または49に記載の組成物。
【請求項54】
リンカーが、TLR受容体を活性化する、請求項48、49、または50に記載の組成物。
【請求項55】
第1、第2および/または第3の結合性ドメインが、結合性ドメインに結合するマスクと会合する、請求項45から54のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項56】
マスクがそれぞれの結合性ドメインと会合したままである場合に、マスクが、結合性ドメインのその標的との相互作用を阻害する阻害剤である、請求項55に記載の組成物。
【請求項57】
マスクが、ペプチドリンカーを介して、結合性ドメインと会合する、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
ペプチドリンカーが、切断可能部分を含む、請求項57に記載の組成物。
【請求項59】
切断可能部分が、がんまたは腫瘍の部位において選択的に豊富であるタンパク質または酵素により切断される、請求項58に記載の組成物。
【請求項60】
組換え核酸が、RNAである、請求項1から59のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項61】
組換え核酸が、mRNAである、請求項1から60のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項62】
組換え核酸が、1つまたは複数の脂質と会合する、請求項1から61のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項63】
組換え核酸が、リポソーム内に封入される、請求項1から62のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項64】
リポソームが、ナノ粒子である、請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
組換え核酸が、ベクター内に含まれる、請求項1から64のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項66】
請求項1から65のいずれか一項に記載の組成物の組換え核酸のうちのいずれか1つと、賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項67】
請求項1から65のいずれか一項に記載の組換え核酸によりコードされるポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項68】
請求項1から65のいずれか一項に記載の組換え核酸を含む細胞。
【請求項69】
骨髄細胞である、請求項68に記載の細胞。
【請求項70】
CD14+、CD16-である、請求項69に記載の細胞。
【請求項71】
請求項1から65のいずれか一項に記載の組換え核酸を含む細胞の集団を含み、細胞のうちの少なくとも50%が、CD14+CD16-である、医薬組成物。
【請求項72】
細胞のうちの10%未満が、樹状細胞である、請求項71に記載の医薬組成物。
【請求項73】
適切な賦形剤をさらに含む、請求項71または72に記載の医薬組成物。
【請求項74】
請求項1から73に記載の組成物のうちのいずれか1つを作製する方法。
【請求項75】
対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、請求項71から73のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項76】
対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、請求項66、67、および71~73のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項77】
がんが、胃がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、および肺がんからなる群から選択される、請求項75または76に記載の方法。
【請求項78】
キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えポリ核酸を含む組成物であって、CFPが
(a)抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および
(b)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含み;
膜貫通ドメインが、骨髄細胞内の内因性FcRガンマ受容体と二量体化するタンパク質に由来する膜貫通ドメインであり;組換えポリ核酸が、ナノ粒子送達媒体により封入され;組成物のヒト対象への投与の後に、CFPが、ヒト対象の骨髄細胞の表面上において発現される、組成物。
【請求項79】
抗原結合性ドメインが、Fab断片、scFvドメイン、またはsdAbドメインを含む、請求項78に記載の組成物。
【請求項80】
膜貫通ドメインが、CD8、CD16a、CD64、CD68、またはCD89に由来する膜貫通ドメインである、請求項78に記載の組成物。
【請求項81】
細胞外ドメインが、CD8に由来するヒンジドメインをさらに含み、ヒンジドメインが、膜貫通ドメインおよび抗原結合性ドメインへと作動的に連結される、請求項78に記載の組成物。
【請求項82】
膜貫通ドメインが、骨髄細胞、単球、またはマクロファージの内因性FcRガンマ受容体と二量体化するタンパク質に由来する膜貫通ドメインであり;医薬組成物のヒト対象への投与の後に、CFPが、ヒト対象の骨髄細胞、単球、またはマクロファージ内で特異的に発現される、請求項78に記載の組成物。
【請求項83】
膜貫通ドメインが、CD16a、CD64、CD68、またはCD89に由来する膜貫通ドメインである、請求項78に記載の組成物。
【請求項84】
CFPが、細胞内ドメインをさらに含む、請求項78に記載の組成物。
【請求項85】
細胞内ドメインが、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含み、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインが、FcγR、FcαR、FcεR、CD40、またはCD3ゼータに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインが、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)動員ドメインをさらに含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項87】
PI3K動員ドメインが、配列番号26に対する少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
細胞内ドメインが、CD16a、CD64、CD68、またはCD89に由来する細胞内ドメインを含む、請求項84に記載の組成物。
【請求項89】
組換えポリ核酸が、mRNAである、請求項78に記載の組成物。
【請求項90】
ナノ粒子送達媒体が、脂質ナノ粒子を含む、請求項78に記載の組成物。
【請求項91】
脂質ナノ粒子が、極性脂質を含む、請求項90に記載の組成物。
【請求項92】
脂質ナノ粒子が、非極性脂質を含む、請求項90に記載の組成物。
【請求項93】
脂質ナノ粒子が、100~300nmの直径である、請求項90に記載の組成物。
【請求項94】
抗原結合性ドメインが、TROP2、GPC3、CD5、HER2、CD137、CD70、Claudin 3、Claudin 18.2、TMPRSS、CD19、CD22、CD7、およびGP75からなる群から選択される抗原に結合する、請求項78から93のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項95】
請求項78から94のいずれか一項に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項96】
がんを有するヒト対象へと投与された場合に、がんの増殖を阻害するのに有効な量の、請求項78から94のいずれか一項に記載の組成物を含む、請求項95に記載の医薬組成物。
【請求項97】
それを必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、請求項95または96に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【請求項98】
請求項78から94のいずれか一項に記載の組成物を、骨髄細胞へと導入する方法であって、(a)抗TROP2結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および(b)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含むキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えリポ核酸の存在下で、骨髄細胞に電気穿孔するステップを含み;組換えリポ核酸が、(i)骨髄細胞内に存在するか、または(ii)ナノ粒子送達媒体により封入され;組換えリポ核酸が、ヒト対象の骨髄細胞内における組換えポリ核酸の発現のために構成される、方法。
【請求項99】
(a)配列番号34および配列番号35に示された配列、または配列番号34または配列番号35と少なくとも80%同一である配列のうちの少なくとも1つを含む、抗TROP2結合性ドメインを含む細胞外ドメイン;
(b)細胞外ドメインと作動可能に連結され、FcγR1分子(CD64)、FcγRIIIA分子(CD16)、またはFcαR1分子(CD89)の膜貫通ドメインに由来する配列を含む膜貫通ドメイン;ならびに
(c)任意選択で、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインへと作動可能に連結されたヒンジドメインであって、CD16タンパク質、CD64タンパク質、もしくはCD89タンパク質、またはCD8αヒンジドメインに由来するアミノ酸配列を含むヒンジドメイン
を含むキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えポリ核酸を含む組成物。
【請求項100】
配列番号26、27、もしくは28に示された配列;または配列番号26、27、もしくは28に示された配列から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一である配列から選択されるアミノ酸配列を含む細胞内ドメインと、任意選択で、CD16タンパク質、CD64タンパク質、もしくはCD89タンパク質、またはこれらの断片に由来する細胞内ドメインとをさらに含む、請求項99に記載の組成物。
【請求項101】
組換えポリ核酸が、mRNAである、請求項99または100に記載の組成物。
【請求項102】
請求項99から101に記載の組成物を含み、CD14+細胞である細胞。
【請求項103】
疾患または障害の処置における、請求項1から65、78から94、もしくは99から101のいずれか一項に記載の組成物、または請求項66から67、71から73、もしくは95から96のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項68から70もしくは102に記載の細胞の使用。
【請求項104】
対象におけるがんの処置における、請求項66から67、71から73、もしくは95から96のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項68から70もしくは102に記載の細胞の使用。
【請求項105】
がんが、胃がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、および肺がんからなる群から選択される、請求項103または104に記載の医薬組成物の使用。
【請求項106】
胃がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、および肺がんからなる群から選択される、対象におけるがんを処置するための医薬の作製における、請求項1から65、78から94、もしくは99から101のいずれか一項に記載の組成物、または請求項66から67、71から73、もしくは95から96のいずれか一項に記載の医薬組成物、または請求項68から70もしくは102に記載の細胞の使用。
【請求項107】
チロシン残基を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達サブユニットが、少なくとも1つの免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)ドメインを含む、請求項1、3、5、7、9、11、または13から22のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項108】
少なくとも1つのITAMドメインが、CD3ゼータTCRサブユニット、CD3イプシロンTCRサブユニット、CD3ガンマTCRサブユニット、CD3デルタTCRサブユニット、TCRゼータ鎖、Fcイプシロン受容体1鎖、Fcイプシロン受容体2鎖、Fcガンマ受容体1鎖、Fcガンマ受容体2a鎖、Fcガンマ受容体2b1鎖、Fcガンマ受容体2b2鎖、Fcガンマ受容体3a鎖、Fcガンマ受容体3b鎖、Fcベータ受容体1鎖、TYROBP(DAP12)、CD5、CD16a、CD16b、CD22、CD23、CD32、CD64、CD79a、CD79b、CD89、CD278、CD66d、これらの機能的断片、およびこれらに対する少なくとも1つであるが20を超えない修飾を有するこれらのアミノ酸配列からなる群から選択されるタンパク質またはポリペプチドの細胞内ドメインに由来する、請求項107に記載の組成物。
【請求項109】
少なくとも1つのITAMドメインが、Srcファミリーキナーゼのリン酸化部位を含む、請求項107に記載の組成物。
【請求項110】
少なくとも1つのITAMドメインが、Syk動員ドメインを含む、請求項107に記載の組成物。
【請求項111】
細胞内シグナル伝達サブユニットが、DAP12動員ドメインをさらに含む、請求項107から110のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項112】
細胞内ドメインが、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のITAMドメインを含む、請求項107から111のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項113】
(A)外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列と;
(B)キメラ抗原受容体融合タンパク質(CFP)をコードする第2の核酸配列であって、
CFPが、
(a)受容体による抗原結合時にリン酸化される1つまたは複数のチロシン残基を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達サブユニット;
(b)膜貫通ドメイン;
(c)標的細胞の表面上の構成要素に対する結合特異性を有し、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結される細胞外結合性ドメイン;ならびに
(d)プロテアーゼ切断配列により、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結され、外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列の転写を促進する転写活性化ドメイン
を含む、第2の核酸配列と;
(C)(i)転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼ;(ii)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインをコードし;プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼとチロシン残基に結合するドメインとが作動可能に連結された、第3の核酸配列と
を含む、1つまたは複数の組換え核酸配列を含む組成物。
【請求項114】
第3の核酸配列が、(iii)刺激応答性エレメントをさらにコードする、請求項113に記載の組成物。
【請求項115】
刺激応答性エレメント(iii)が、リン酸化チロシン残基に結合するドメインと融合される、請求項114に記載の組成物。
【請求項116】
刺激応答性エレメント(iii)が、核酸配列を発現する細胞の微小環境に対して、応答性である、請求項114または115に記載の組成物。
【請求項117】
1つまたは複数の組換え核酸が、骨髄細胞内で発現される、請求項116に記載の組成物。
【請求項118】
転写活性化ドメインが、DNA結合性ドメインをさらに含む、請求項113に記載の組成物。
【請求項119】
DNA結合性ドメインが、Gal4、ZFHD1、またはtet-RのDNA結合性ドメイン(DB)から選択される、請求項118に記載の組成物。
【請求項120】
転写活性化ドメインが、VP64トランス活性化ドメインを含む、請求項113に記載の組成物。
【請求項121】
転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼが、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼである、請求項113から120のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項122】
CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインが、ホスホチロシン結合性(PTB)ドメインである、請求項113から121のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項123】
PTBが、Shc PTBである、請求項122に記載の組成物。
【請求項124】
(c)が、(b)と作動可能に連結された、デグロンである、請求項113から117のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項125】
デグロンが、HIF-1aデグロンである、請求項124に記載の組成物。
【請求項126】
請求項113から125のいずれか一項に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【請求項127】
請求項113から125のいずれか一項に記載の組成物を含む細胞。
【請求項128】
CD14+である、請求項128に記載の細胞。
【請求項129】
対象における疾患を処置する方法であって、対象へと、(i)請求項126に記載の医薬組成物;または
(ii)請求項127または請求項128に記載の細胞
のうちのいずれか1つを投与するステップを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001]本出願は、それらの各々が、参照によりその全体において本明細書に組み込まれる、2020年11月4日に出願された、米国特許仮出願第63/109,445号;2021年10月1日に出願された、米国特許仮出願第63/251,400号;2021年6月4日に出願された、米国特許仮出願第63/196,994号;および2021年3月17日に出願された、米国特許仮出願第63/162,205号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002]細胞免疫療法は、がんおよび遷延性の感染症など、処置が困難な疾患に対抗し、また、他の処置形態に不応性である、ある特定の疾患にも対抗するための、有望な新技術である。CAR-T細胞の発見、および免疫療法における、それらの潜在的な使用により、大きなブレークスルーが生じた。CAR-T細胞とは、キメラ抗原受容体を発現するTリンパ球であって、T細胞を、がん細胞など、特異的罹患細胞へと標的化する一助となり、援用される細胞内ドメイン、および共発現される免疫抑制性サイトカインに応じて、標的がん細胞を死滅させるように意図された細胞傷害性応答を誘導する場合もあり、免疫抑制および/または免疫寛容を誘導する場合もある、Tリンパ球である。しかし、途上における、いくつかの限界が、CAR-T細胞における進歩を遅延させ、臨床試験におけるその有望性を減殺している。
【0003】
[0003]CAR-T細胞の限界を理解することは、技術を利用し、良好な免疫療法モデルへの革新を持続するための鍵である。具体的には、T細胞悪性腫瘍において、CAR-T細胞は、大きな問題に直面していると考えられる。CAR-T細胞と、悪性T細胞とは、大半のT細胞リンパ腫(TCL)において、表面抗原を共有するため、CAR-T細胞は、がん細胞と同様に、細胞傷害作用下に置かれる。一部の場合に、CAR-T生成物は、悪性T細胞により夾雑される場合がある。加えて、T細胞無形成は、CAR-T細胞の存続の延長のために、潜在的な問題である。他の限界は、CAR-T細胞が、それらの抗腫瘍潜勢力を下方調節するように作用する、充実性腫瘍および強力な腫瘍微小環境へと浸透する能力の乏しさを含む。CAR-T細胞機能はまた、内因性T細胞の不活化および疲弊をもたらす、免疫抑制性腫瘍微小環境(TME)による負の影響も受ける。
【0004】
[0004]マクロファージを含む骨髄細胞は、骨髄系統に由来する細胞であり、自然免疫系に属する。骨髄細胞は、血液へと逸出し、組織へと遊走する、骨髄幹細胞に由来する。それらの主要な機能のうちの一部は、貪食、T細胞応答の活性化、ならびに細胞破砕物および細胞外マトリックスの除去を含む。骨髄細胞はまた、ホメオスタシスの維持、ならびに炎症の惹起および消失においても、重要な役割を果たす。さらに、骨髄細胞は、それらが、周囲の微小環境から受け取る刺激の種類に応じて、炎症促進性~抗炎症性の範囲にわたる、異なる応答を提示しうる、マクロファージを含む、多数の下流細胞へと分化しうる。さらに、組織マクロファージは、CDTエフェクター細胞、NK細胞、および制御性T細胞を含む、他の免疫細胞型に対して、広範な、調節および活性化の役割を果たすことが示されている。マクロファージは、悪性腫瘍内の、主要な免疫浸潤物であることが示されており、エフェクターの免疫浸潤および免疫機能に対して、広範な免疫抑制効果を及ぼすことも示されている。
【0005】
[0005]骨髄細胞は、単球、樹状細胞、組織マクロファージ、および顆粒球を含む、免疫系の、主要な細胞コンパートメントである。骨髄細胞の細胞個体発生、活性化、分化、および組織特異的機能についてのモデルは、過去数年間にわたり再検討され、驚くべき結果がもたらされている。しかし、ホメオスタシスおよび疾患の両方における、それらの巨大な可塑性および異種性は、理解からほど遠い。骨髄細胞は、貪食、およびT細胞、可溶性因子の産生を活性化するそれらの能力を含む、多くの機能を有するが、治療的使用のための、これらの機能の利用については、捉えどころがないままである。こうして、T細胞悪性腫瘍を含むがこれらに限定されない、改善された治療剤の開発に向けて、他の細胞型を使用するための、新規の方途が求められている。
【0006】
[0006]in vivoまたはex vivoにおける操作された骨髄細胞はまた、in vivoにおいて短命でもあり、表現型的に多様でもあり、高感受性でもあり、可塑性でもあり、in vitroにおける操作が困難であると見出されることが多い。例えば、単球内の外因性遺伝子の発現は、非造血細胞内の外因性遺伝子の発現と比較して困難となっている。骨髄細胞(例えば、単球/マクロファージ)にトランスフェクトすることと関連する、著明な技術的困難が存在する。プロフェッショナル貪食細胞として、単球/マクロファージなどの骨髄細胞は、核酸の完全性を破壊しうる、多くの強力な分解酵素を含み、これらの細胞への遺伝子導入を、非効率的過程としている。これは、免疫刺激または炎症性刺激への曝露後における、それらの生理学の劇的な変化を経る活性化マクロファージにとりわけ当てはまる。マクロファージは、一般に、分裂しない最終段階の細胞であるため、これらの細胞へのウイルスによる形質導入は妨げられており;このため、複製性ゲノムへの組込みに依存する一部のベクターは、成功が限られている。さらに、マクロファージは、「危険信号」に対する反応性が大きいため、遺伝子導入のために使用された元のウイルスベクターのうちのいくつかは、これらの細胞内で強力な抗ウイルス反応を誘導し、これらのベクターを遺伝子送達に不適切なものとしている。
【発明の概要】
【0007】
[0007]骨髄細胞の多様な機能性は、骨髄細胞を、多数の治療効果を及ぼすように操作されうる、理想的な細胞治療剤候補とする。本開示は、免疫系の骨髄細胞(例えば、CD14+細胞)、特に、貪食細胞を使用する免疫療法に関する。骨髄細胞を使用する、多数の治療適応が想定されうるであろう。例えば、骨髄細胞による免疫療法は、がん、自己免疫、線維性疾患、および感染症において、極めて重要でありうるであろう。本開示は、免疫系の貪食細胞、特に、マクロファージを含む骨髄細胞を使用する免疫療法に関する。骨髄細胞のこれらの機能のうちの1つまたは複数を、治療的使用のために利用することは、本明細書で開示される本発明の目的である。例えば、操作された骨髄細胞を含む骨髄細胞の貪食活性を、治療的使用のために利用することは、本明細書で開示される本発明の目的である。例えば、操作された骨髄細胞を含む骨髄細胞が、T細胞の活性化を促進する能力を利用することは、本明細書で開示される本発明の目的である。例えば、操作された骨髄細胞を含む骨髄細胞が、腫瘍殺滅分子の分泌を促進する能力を利用することは、本明細書で開示される本発明の目的である。例えば、操作された骨髄細胞を含む骨髄細胞が、免疫細胞および免疫分子の動員および輸送を促進する能力を利用することは、本明細書で開示される本発明の目的である。本開示は、骨髄細胞の機能的側面を増強することに加えて、細胞の分化能、その成熟可能性、および/または可塑性を損なわないことを目的として、骨髄細胞にトランスフェクトもしくは形質導入するか、または骨髄細胞内の遺伝子改変を、他の形で誘導するのに成功しうる、新規の方法および組成物を提示する。骨髄細胞は、in vivoの体内に常在する場合もあり、ex vivoにおいて操作される場合もある。
【0008】
[0008]本開示は、in vivoまたはex vivoにおける、骨髄細胞のプログラム化、がん細胞および感染細胞などの罹患細胞を、直接的に、かつ/または間接的に攻撃し、これらを死滅させうる(ATAK)、マクロファージまたは他の貪食細胞など、操作された骨髄細胞(例えば、CD14+細胞)の作製および使用を伴う。マクロファージおよび他の貪食細胞などの操作された骨髄細胞は、組換え核酸技術、合成核酸、遺伝子編集法(例えば、CRISPR)、形質導入(例えば、ウイルス構築物を使用する)、電気穿孔、またはヌクレオフェクション、またはin vivoにおける、LNP技術を含むがこれらに限定されない、mRNA送達技術の使用を使用して、例えば、ex vivoにおいて使用して、疾患関連抗原(例えば、がん抗原)に特異的な細胞外結合性ドメインを有する、キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする核酸配列(例えば、mRNA、プラスミド、ウイルス構築物)を、細胞へと組み込むことにより調製されうる。骨髄細胞は、広範かつ多様な範囲の活性を及ぼすように操作されうることが見出されている。例えば、骨髄細胞は、広範かつ多様な範囲の活性を及ぼすのに、抗原結合性ドメインを含有するキメラ融合タンパク質(CFP)を発現するように操作されうることが見出されている。例えば、骨髄細胞は、CFPの標的細胞上の抗原への結合時に、細胞が、標的細胞の貪食の増大を呈するよう、貪食活性が増強されるように操作されうることが見出されている。また、骨髄細胞は、CFPの標的細胞上の抗原への結合時に、細胞が、腫瘍微小環境内のT細胞などのT細胞の活性化を促進するよう、T細胞の活性化を促進するように操作されうることも見出されている。骨髄細胞は、CFPの標的細胞上の抗原への結合時に、細胞が、近傍の細胞からの腫瘍殺滅分子の分泌を促進するよう、腫瘍殺滅分子の分泌を促進するように操作されうる。骨髄細胞は、CFPの標的細胞上の抗原への結合時に、細胞が、免疫細胞および免疫分子の、標的細胞または腫瘍微小環境への動員および輸送を促進するよう、免疫細胞および免疫分子の動員および輸送を促進するように操作されうる。
【0009】
[0009]本開示は、操作された骨髄細胞が、CAR-T細胞の限界のうちの、少なくとも一部を克服する、重要な発見であって、充実性腫瘍へとたやすく動員されること;生存期間が短いほか、操作可能であること、したがって、無形成および免疫不全症を結果としてもたらす、存続の延長の危険性が小さいこと;骨髄細胞は、T細胞と夾雑される可能性がないこと;骨髄細胞は、少なくとも、悪性T細胞と同じ抗原を発現しないため、フラトリサイドを回避しうること;および骨髄細胞は、展開されうる、大量の抗腫瘍機能を有することを含む発見に基づく。一部の点では、操作された骨髄由来細胞は、罹患細胞を標的化し、破壊するための、より安全な免疫療法ツールでありうる。
【0010】
[0010]さらに、マクロファージなどの骨髄細胞は、腫瘍環境(TME)内において、遍在することが見出されており、とりわけ、一部の腫瘍型では、最も豊富な細胞である。免疫系における、それらの役割の一部として、マクロファージなどの骨髄細胞は、天然では、罹患細胞の除去に関与する。本発明は、骨髄細胞機能の利用に関し、とりわけ、罹患細胞の標的化、殺滅、ならびに直接的除去および/または間接的除去のほか、抗原およびサイトカインなどのペイロードの送達に関する。
【0011】
[0011]本開示はまた、操作された骨髄細胞が、内因性T細胞活性を促進しうることの、重要な発見にも基づく。本開示は、加えて、骨髄細胞のプログラム化を伴う。操作された骨髄細胞は、組換え核酸技術、合成核酸、遺伝子編集法(例えば、CRISPR)、形質導入(例えば、ウイルス構築物を使用する)、電気穿孔、またはヌクレオフェクション、またはin vivoにおける、LNP技術を含むがこれらに限定されない、mRNA送達技術の使用を使用する、例えば、ex vivoにおいて使用する、in vivoにおける、疾患関連抗原(例えば、がん抗原)に特異的な細胞外結合性ドメインを有する、キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする核酸配列(例えば、mRNA、プラスミド、ウイルス構築物)の、細胞への組込みを介して達成されうる。
【0012】
[0012]操作された骨髄細胞はまた、in vivoにおいて短命でもあり、表現型的に多様でもあり、高感受性でもあり、可塑性でもあり、in vitroにおける操作が困難であると見出されることが多い。例えば、単球内の外因性遺伝子の発現は、非造血細胞内の外因性遺伝子の発現と比較して困難となっている。骨髄細胞(例えば、単球/マクロファージ)にトランスフェクトすることと関連する、著明な技術的困難が存在する。プロフェッショナル貪食細胞として、単球/マクロファージなどの骨髄細胞は、核酸の完全性を破壊しうる、多くの強力な分解酵素を含み、これらの細胞への遺伝子導入を、非効率的過程としている。これは、免疫刺激または炎症性刺激への曝露後における、それらの生理学の劇的な変化を経る活性化マクロファージにとりわけ当てはまる。マクロファージは、一般に、分裂しない最終段階の細胞であるため、これらの細胞へのウイルスによる形質導入は妨げられており;このため、複製性ゲノムへの組込みに依存する一部のベクターは、成功が限られている。さらに、マクロファージは、「危険信号」に対する反応性が大きいため、遺伝子導入のために使用された元のウイルスベクターのうちのいくつかは、これらの細胞内で強力な抗ウイルス反応を誘導し、これらのベクターを遺伝子送達に不適切なものとしている。本開示は、骨髄細胞の機能的側面を増強することに加えて、細胞の分化能、その成熟可能性、および/または可塑性を損なわないことを目的として、骨髄細胞にトランスフェクト形質導入するか、または骨髄細胞内の遺伝子改変を、他の形で誘導するのに成功しうる、新規の方法および組成物を提示する。
【0013】
[0013]本明細書では、罹患細胞、例えば、がん細胞上で発現された、ある特定の抗原に結合するように方向付けられた治療剤であって、治療剤(例えば、標的化「結合剤」)の、標的罹患細胞上の標的抗原への結合が、標的細胞の破壊過程を惹起する治療剤が提供される。本明細書で記載される治療剤は、ヒト細胞などの哺乳動物細胞など、適切な細胞内で発現されうる組換え核酸であることが可能であり、この場合、適切な細胞は、骨髄細胞でありうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される治療剤は、標的細胞上の標的抗原に結合しうる組換えタンパク質でありうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される治療剤は、細胞、例えば、骨髄細胞でありうるが、骨髄細胞は、骨髄細胞の、細胞表面上において標的抗原を発現する罹患細胞への標的化が可能であり;骨髄細胞が、罹患細胞を溶解するか、またはこれを貪食するように、本明細書で記載される組換え核酸を含み、かつ/または本明細書で記載される組換えタンパク質を発現する。
【0014】
[0014]一部の実施形態では、治療剤は、本明細書で記載される骨髄細胞などの骨髄細胞である。一部の実施形態では、骨髄細胞は、骨髄前駆細胞である。一部の実施形態では、骨髄細胞は、非分化骨髄細胞および/または非極性化骨髄細胞である。一部の実施形態では、骨髄細胞は、貪食細胞である。一部の実施形態では、骨髄細胞は、CD14+/CD16-細胞である。
【0015】
[0015]一部の実施形態では、治療剤は、組換え核酸または操作された核酸である。一部の実施形態では、核酸は、RNAである。
【0016】
[0016]一部の実施形態では、操作された核酸は、mRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸または操作された核酸である治療剤は、キメラ融合受容体タンパク質(CFP)をコードする。
【0017】
[0017]一部の実施形態では、組換え核酸は、例えば、タンパク質の1つの末端に配置された、標的結合剤ドメインにより、罹患細胞上の標的抗原に結合し;骨髄細胞などのエフェクター細胞の構造上の分子に結合する、少なくとも別のドメインにより、エフェクター骨髄細胞、例えば、活性貪食細胞などのエフェクター細胞に結合することが可能である、「エンゲージャー」としてもまた公知である、細胞外タンパク質または可溶性タンパク質をコードする。例示的なエンゲージャーは、本明細書で記載される、二特異性エンゲージャー(BiME)、または三特異性エンゲージャー(TRiME)である。
【0018】
[0018]本明細書の一態様では、(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のCD137に特異的に結合しうるCD137抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物が開示される。
【0019】
[0019]本明細書の一態様では、(a)標的細胞上のCD137抗原に特異的に結合する第1のCD137抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のCD137抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合が開示される。
【0020】
[0020]本明細書の一態様では、(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のClaudin 18.2に特異的に結合しうるClaudin 18.2抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物が開示される。
【0021】
[0021]本明細書の一態様では、(a)標的細胞上のClaudin 18.2抗原に特異的に結合する第1のClaudin 18.2抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のClaudin 18.2抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合が開示される。
【0022】
[0022]本明細書の一態様では、(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のClaudin 3に特異的に結合しうるClaudin 3抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物が開示される。
【0023】
[0023]本明細書の一態様では、(a)標的細胞上のClaudin 3抗原に特異的に結合する第1のClaudin 3抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のClaudin 18.2抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合が開示される。
【0024】
[0024]本明細書の一態様では、(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のCD70に特異的に結合しうるCD70抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物が開示される。
【0025】
[0025]本明細書の一態様では、(a)標的細胞上のCD70抗原に特異的に結合する第1のCD70抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のCD70抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合が開示される。
【0026】
[0026]本明細書の一態様では、(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のTROP2に特異的に結合しうるTROP2抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物が開示される。
【0027】
[0027]本明細書の一態様では、(a)標的細胞上のTROP2抗原に特異的に結合する第1のTROP2抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のTROP2抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合が開示される。
【0028】
[0028]本明細書の一態様では、(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のTMPRSSに特異的に結合しうるTMPRSS抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物が開示される。
【0029】
[0029]本明細書の一態様では、(a)標的細胞上のTMPRSS抗原に特異的に結合する第1のTMPRSS抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のTMPRSS抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合が開示される。
【0030】
[0030]本明細書の一態様では、(a)(i)膜貫通ドメイン、および(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含むPRサブユニット;ならびに(b)標的細胞の抗原に対する強力な結合親和性を有する、上記で記載されたもののいずれか1つの抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)融合タンパク質(PFP)をコードする組換え核酸を含む組成物であって、膜貫通ドメインと細胞外ドメインとが作動的に連結されており;PFPの標的細胞の抗原への結合時に、PFPを発現する細胞の殺滅または貪食活性が、PFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも20%を超えて増大される、組成物が開示される。
【0031】
[0031]一部の実施形態では、本明細書で記載されるPFPのうちのいずれか1つの細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食または繋留受容体(PR)に由来するか、または細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食活性化ドメインを含む。
【0032】
[0032]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインを含む。
【0033】
[0033]一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、キナーゼ活性化ドメインまたはキナーゼ結合性ドメインを含む。
【0034】
[0034]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、PI3キナーゼ動員ドメインを含む。
【0035】
[0035]一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、IL-1シグナル伝達カスケード活性化ドメインを含む。
【0036】
[0036]一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、TLR3、TLR4、TLR7、TLR9、TRIF、RIG-1、MYD88、MAL、IRAK1、MDA-5、IFN受容体、NLRPファミリーメンバーであるNLRP1~14、NOD1、NOD2、ピリン、AIM2、NLRC4、FCGR3A、FCERIG、CD40、カスパーゼドメインもしくはプロカスパーゼ結合性ドメイン、またはこれらの任意の組合せに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0037】
[0037]一部の実施形態では、本明細書で記載されるPFPのうちのいずれか1つは、CD2、CD8、CD28、CD64、またはCD68のタンパク質膜貫通ドメインに由来するTMドメインをさらに含む。
【0038】
[0038]一部の実施形態では、本明細書で記載されるPFPのうちのいずれか1つは、ヒンジドメインをさらに含む。
【0039】
[0039]一部の実施形態では、PFPの標的細胞の抗原への結合時に、PFPを発現する細胞の殺滅活性は、PFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも20%を超えて増大される。
【0040】
[0040]一部の実施形態では、PFPの標的細胞の抗原への結合時に、PFPを発現する細胞の殺滅活性は、PFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも1.1倍増大される。
【0041】
[0041]一部の実施形態では、組成物は、標的細胞上の抗原と特異的に相互作用する第1の抗体またはその機能的断片である、第1の結合性ドメイン、および骨髄細胞と特異的に相互作用する第2の抗体またはその機能的断片である、第2の結合性ドメインを含む、第1の治療剤を含み、この場合、(i)第1の治療剤は、さらなる治療剤もしくは第3の結合性ドメインである、第1の構成要素とカップリングされるか、または(ii)一部の実施形態では、組成物は、さらなる治療剤を含む。
【0042】
[0042]一部の実施形態では、治療剤は、(a)標的細胞の抗原と特異的に相互作用する第1の結合性ドメイン、(b)骨髄細胞と特異的に相互作用する第2の結合性ドメイン、および(c)骨髄細胞と特異的に相互作用する第3の結合性ドメインを含む。
【0043】
[0043]一部の実施形態では、治療剤の結合性ドメインのうちのいずれか1つは、抗体の結合性ドメイン、抗体の機能的断片、その可変ドメイン、Vドメイン、Vドメイン、VNARドメイン、VHHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、Fab、単一ドメイン抗体(sdAb)、ナノボディー、二特異性抗体、ダイアボディー、またはこれらの機能的断片もしくは組合せを含む。
【0044】
[0044]一部の実施形態では、第1の結合性ドメインが結合する標的細胞上の抗原は、標的細胞上のがん抗原もしくは病原性抗原、または自己免疫性抗原である。
【0045】
[0045]一部の実施形態では、第1の治療剤は、1000アミノ酸または1000nm未満の長さであるポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の治療剤は、500アミノ酸または500nm未満の長さであるポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の治療剤は、200~1000アミノ酸または200~1000nmの長さであるポリペプチドを含む。
【0046】
[0046]一部の実施形態では、第1の治療剤の結合性ドメインの係合は、がん細胞を、骨髄細胞へと接触させる。
【0047】
[0047]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞と特異的に相互作用し、骨髄細胞の貪食活性を促進する。
【0048】
[0048]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞と特異的に相互作用し、骨髄細胞の炎症性シグナル伝達を促進する。
【0049】
[0049]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞または接着分子と特異的に相互作用し、骨髄細胞の標的細胞への接着を促進する。
【0050】
[0050]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞と特異的に相互作用し、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗貪食活性を阻害する。
【0051】
[0051]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞と特異的に相互作用し、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗炎症活性を阻害する。
【0052】
[0052]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、骨髄細胞の貪食活性を促進する。
【0053】
[0053]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、骨髄細胞の炎症性シグナル伝達を促進する。
【0054】
[0054]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、骨髄細胞または接着分子と特異的に相互作用し、骨髄細胞の標的細胞への接着を促進する。
【0055】
[0055]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗貪食活性を阻害する。
【0056】
[0056]一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗炎症活性を阻害する。
【0057】
[0057]一部の実施形態では、第3の結合性ドメインまたはさらなる治療剤は、CD47アンタゴニスト、CD47ブロッカー、抗体、キメラCD47受容体、シアリダーゼ、サイトカイン、炎症促進性遺伝子、プロカスパーゼ、または抗がん剤を含む。
【0058】
[0058]一部の実施形態では、第3の結合性ドメインまたはさらなる治療剤は、SIRPアルファアンタゴニスト、SIRPAブロッカー、抗体、キメラSIRPA受容体、サイトカイン、炎症促進性遺伝子、プロカスパーゼ、または抗がん剤を含む。
【0059】
[0059]一部の実施形態では、第3の結合性ドメインまたはさらなる治療剤は、PD1アンタゴニスト、PD1ブロッカー、抗体、キメラPD1受容体、サイトカイン、炎症促進性遺伝子、プロカスパーゼ、または抗がん剤を含む。
【0060】
[0060]一部の実施形態では、第2の結合性ドメイン、および第3の結合性ドメインは、別個の同一ではない標的抗原に結合する。
【0061】
[0061]一部の実施形態では、第1の結合性ドメイン、第2の結合性ドメイン、または第3の結合性ドメインは、リガンド結合性ドメインである。
【0062】
[0062]一部の実施形態では、第1、第2または第3の結合性ドメインは、1つまたは複数のリンカーにより作動可能に連結される。
【0063】
[0063]一部の実施形態では、リンカーは、ポリペプチドである。一部の実施形態では、リンカーは、機能的ペプチドである。一部の実施形態では、リンカーは、受容体に対するリガンドである。一部の実施形態では、リンカーは、単球またはマクロファージ受容体に対するリガンドである。一部の実施形態では、リンカーは、受容体を活性化する。一部の実施形態では、リンカーは、受容体を阻害する。
【0064】
[0064]一部の実施形態では、リンカーは、マクロファージM2受容体に対するリガンドである。一部の実施形態では、リンカーは、TLR4などのTLR受容体に対するリガンドである。一部の実施形態では、リンカーは、TLR受容体を活性化する。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の結合性ドメインは、結合性ドメインに結合するマスクと会合する。
【0065】
[0065]一部の実施形態では、マスクがそれぞれの結合性ドメインと会合したままである場合に、マスクは、結合性ドメインのその標的との相互作用を阻害する阻害剤である。一部の実施形態では、マスクは、ペプチドリンカーを介して、結合性ドメインと会合する。一部の実施形態では、リンカーは、切断可能部分を含む。
【0066】
[0066]一部の実施形態では、切断可能部分は、がんまたは腫瘍の部位において選択的に豊富であるタンパク質または酵素により切断される。
【0067】
[0067]一部の実施形態では、治療剤は、核酸、例えば、操作された核酸であり、この場合、核酸は、RNAである。
【0068】
[0068]一部の実施形態では、核酸は、mRNAである。
【0069】
[0069]一部の実施形態では、核酸は、骨髄細胞を標的化するようにデザインされた自己複製型RNAである。
【0070】
[0070]一部の実施形態では、操作された核酸である核酸は、骨髄細胞を標的化するようにデザインされたcircRNAである。
【0071】
[0071]一部の実施形態では、操作された組換え核酸は、骨髄細胞を標的化するようにデザインされたRNAである。
【0072】
[0072]一部の実施形態では、操作された核酸は、骨髄細胞を標的化するようにデザインされたmRNAである。
【0073】
[0073]一部の実施形態では、操作された核酸は、骨髄細胞を標的化するようにデザインされた自己複製型RNAである。
【0074】
[0074]一部の実施形態では、操作された核酸は、骨髄細胞を標的化するようにデザインされたcircRNAである。
【0075】
[0075]一部の実施形態では、操作された組換え核酸は、1つまたは複数の脂質と会合する。
【0076】
[0076]一部の実施形態では、組換え核酸は、リポソーム内に封入される。
【0077】
[0077]一部の実施形態では、リポソームは、ナノ粒子である。
【0078】
[0078]一部の実施形態では、組換え核酸は、ベクター内に含まれる。
【0079】
[0079]本明細書では、上記で記載された実施形態による組成物の組換え核酸のうちのいずれか1つと、許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。
【0080】
[0080]本明細書では、上記で記載された組換えタンパク質のうちのいずれか1つをコードする組換え核酸によりコードされるポリペプチドを含む医薬組成物が提供される。
【0081】
[0081]本明細書では、上記で記載された組換えタンパク質のうちのいずれか1つをコードする組換え核酸を含む細胞が提供される。
【0082】
[0082]一部の実施形態では、細胞は、骨髄細胞である。
【0083】
[0083]一部の実施形態では、細胞は、CD14+、CD16-である。
【0084】
[0084]本明細書では、上記で記載された実施形態のうちのいずれか1つによる組換え核酸を含む細胞の集団を含み、細胞のうちの少なくとも50%が、CD14+CD16-である、医薬組成物が提供される。
【0085】
[0085]一部の実施形態では、医薬組成物の細胞のうちの10%未満は、樹状細胞である。
【0086】
[0086]一部の実施形態では、医薬組成物は、適切な賦形剤をさらに含む。
【0087】
[0087]本明細書では、上記で記載された実施形態のうちのいずれか1つによる組成物のうちのいずれか1つを作製する方法が提供される。
【0088】
[0088]本明細書の一態様では、対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、上記で記載された実施形態のうちのいずれか1つによる医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。
【0089】
[0089]本明細書の一態様では、対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、上記で記載された実施形態のうちのいずれか1つによる医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。
【0090】
[0090]一部の実施形態では、がんは、胃がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、および肺がんからなる群から選択される。
【0091】
[0091]本明細書の一態様では、本明細書で記載された組成物のうちのいずれか1つを作製する方法が提供される。
【0092】
[0092]本明細書の一態様では、対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、本明細書で記載された医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。
【0093】
[0093]本明細書の一態様では、対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、本明細書で記載された医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。
【0094】
[0094]一部の実施形態では、がんは、胃がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、および肺がんからなる群から選択される。
【0095】
[0095]本明細書の一態様では、キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えポリ核酸を含む組成物であって、CFPが(a)抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および(b)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含み;膜貫通ドメインが、骨髄細胞内の内因性FcRガンマ受容体と二量体化するタンパク質に由来する膜貫通ドメインであり;組換えポリ核酸が、ナノ粒子送達媒体により封入され;組成物のヒト対象への投与の後に、CFPが、ヒト対象の骨髄細胞の表面上において発現される、組成物が提供される。
【0096】
[0096]一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、Fab断片、scFvドメイン、またはsdAbドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8、CD16a、CD64、CD68、またはCD89に由来する膜貫通ドメインである。
【0097】
[0097]一部の実施形態では、細胞外ドメインは、CD8に由来するヒンジドメインをさらに含み、この場合、ヒンジドメインは、膜貫通ドメインおよび抗原結合性ドメインへと作動的に連結される。
【0098】
[0098]一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、骨髄細胞、単球、またはマクロファージ内の内因性FcRガンマ受容体と二量体化するタンパク質に由来する膜貫通ドメインであり;この場合、医薬組成物のヒト対象への投与の後に、CFPは、ヒト対象の骨髄細胞、単球、またはマクロファージ内で特異的に発現される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD16a、CD64、CD68、またはCD89に由来する膜貫通ドメインである。一部の実施形態では、CFPは、細胞内ドメインをさらに含み、この場合、細胞内ドメインは、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含み、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、FcγR、FcαR、FcεR、CD40、またはCD3ゼータに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)動員ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、PI3K動員ドメインは、配列番号26に対する少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、CD16a、CD64、CD68、またはCD89に由来する細胞内ドメインを含む。
【0099】
[0099]一部の実施形態では、本明細書で記載されるCFPの細胞内ドメインは、免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(ITAM)ドメインを含む。一部の実施形態では、本明細書で記載されるCFPの細胞内ドメインは、1つを超えるITAMドメインを含む。一部の実施形態では、ITAMドメインは、CD3ゼータTCRサブユニット、CD3イプシロンTCRサブユニット、CD3ガンマTCRサブユニット、CD3デルタTCRサブユニット、TCRゼータ鎖、Fcイプシロン受容体1鎖、Fcイプシロン受容体2鎖、Fcガンマ受容体1鎖、Fcガンマ受容体2a鎖、Fcガンマ受容体2b1鎖、Fcガンマ受容体2b2鎖、Fcガンマ受容体3a鎖、Fcガンマ受容体3b鎖、Fcベータ受容体1鎖、TYROBP(DAP12)、CD5、CD16a、CD16b、CD22、CD23、CD32、CD64、CD79a、CD79b、CD89、CD278、CD66d、これらの機能的断片、およびこれらに対する少なくとも1つであるが20を超えない修飾を有する、これらのアミノ酸配列からなる群から選択されるタンパク質またはポリペプチドの細胞内ドメインに由来する。
【0100】
[00100]一部の実施形態では、少なくとも1つのITAMドメインは、Srcファミリーキナーゼのリン酸化部位を含む。
【0101】
[00101]一部の実施形態では、少なくとも1つのITAMドメインは、Syk動員ドメインを含む。
【0102】
[00102]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達サブユニットは、DAP12動員ドメインをさらに含む。
【0103】
[00103]一部の実施形態では、細胞内ドメインは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のITAMドメインを含む。
【0104】
[00104]一部の実施形態では、組換えポリ核酸は、mRNAである。一部の実施形態では、mRNAは、ナノ粒子送達媒体を介して、細胞へと送達される。一部の実施形態では、ナノ粒子送達媒体は、脂質ナノ粒子を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、極性脂質を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、非極性脂質を含む。一部の実施形態では、脂質ナノ粒子は、100~300nmの直径である。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、TROP2、GPC3、CD5、HER2、CD137、CD70、Claudin 3、Claudin 18.2、TMPRSS、CD19、CD22、CD7、およびGP75からなる群から選択される抗原に結合する。
【0105】
[00105]本明細書では、上記で記載された組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、がんを有するヒト対象へと投与された場合に、がんの増殖を阻害するのに有効な量の、本明細書で記載される組成物を含む。
【0106】
[00106]本明細書の一態様では、それを必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、本明細書で記載される医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。
【0107】
[00107]本明細書の一態様では、本明細書で記載される組成物を、骨髄細胞へと導入する方法であって、(a)抗TROP2結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および(b)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含むキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えリポ核酸の存在下で、骨髄細胞に電気穿孔するステップを含み;組換えリポ核酸が、(i)骨髄細胞内に存在するか、または(ii)ナノ粒子送達媒体により封入され;組換えリポ核酸が、ヒト対象の骨髄細胞内における組換えポリ核酸の発現のために構成される、方法が提供される。
【0108】
[00108]本明細書の一態様では、(a)配列番号34および配列番号35に示された配列、または配列番号34もしくは配列番号35と少なくとも85%同一である配列のうちの少なくとも1つを含む抗TROP2結合性ドメインを含む細胞外ドメイン;(b)細胞外ドメインと作動可能に連結され、FcγR1分子(CD64)、FcγRIIIA分子(CD16)、またはFcαR1分子(CD89)の膜貫通ドメインに由来する配列を含む膜貫通ドメイン;ならびに(c)任意選択で、細胞外ドメインおよび膜貫通ドメインへと作動可能に連結されたヒンジドメインであって、CD8αヒンジドメインに由来するアミノ酸配列を含むヒンジドメインを含むキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えポリ核酸を含む組成物が提供される。
【0109】
[00109]一部の実施形態では、組成物は、配列番号26、27、もしくは28に示された配列;または配列番号26、27、もしくは28に示された配列から選択されるアミノ酸配列と少なくとも80%同一である配列から選択されるアミノ酸配列を含む細胞内ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、組換えポリ核酸は、mRNAである。
【0110】
[00110]本明細書では、抗TROP2結合性ドメインを含む細胞外ドメインとのキメラ融合タンパク質をコードする配列を含む組換えポリ核酸を含み、CD14+細胞である細胞が提供される。
【0111】
[00111]本明細書では、疾患または障害の処置における、本明細書で記載される組成物、または本明細書における医薬組成物、または本明細書で記載される細胞のうちのいずれか1つの使用が提供される。
【0112】
[00112]本明細書では、胃がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、および肺がんからなる群から選択される、対象におけるがんの処置における、本明細書で記載される医薬組成物の使用が提供される。
【0113】
[00113]本明細書では、胃がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、および肺がんからなる群から選択される、対象におけるがんを処置するための医薬の作製における、本明細書で記載される組成物、または本明細書で記載される医薬組成物、または本明細書で記載される細胞のうちのいずれか1つの使用が提供される。
【0114】
[00114]本明細書ではまた、(A)外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列と;(B)キメラ抗原受容体融合タンパク質(CFP)をコードする第2の核酸配列であって、CFPが、(a)受容体による抗原への結合時にリン酸化される1つまたは複数のチロシン残基を有す細胞内シグナル伝達ドメインを含む、細胞内シグナル伝達サブユニット;(b)膜貫通ドメイン;(c)標的細胞の表面上の構成要素に対する結合特異性を有し、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結される細胞外結合性ドメイン;ならびに(d)プロテアーゼ切断配列により、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結され、外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列の転写を促進する転写活性化ドメインを含む、第2の核酸配列と;(C)(i)転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼ;(ii)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインをコードし;プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼとチロシン残基に結合するドメインとが作動可能に連結された、第3の核酸配列とを含む、1つまたは複数の組換え核酸配列を含む組成物も提供される。
【0115】
[00115]一部の実施形態では、第3の核酸配列は、(iii)刺激応答性エレメントをさらにコードする。
【0116】
[00116]一部の実施形態では、刺激応答性エレメント(iii)は、リン酸化チロシン残基に結合するドメインと融合される。
【0117】
[00117]一部の実施形態では、刺激応答性エレメント(iii)は、核酸配列を発現する細胞の微小環境に対して、応答性である。
【0118】
[00118]一部の実施形態では、1つまたは複数の組換え核酸は、骨髄細胞内で発現される。
【0119】
[00119]一部の実施形態では、転写活性化ドメインは、DNA結合性ドメインをさらに含む。
【0120】
[00120]一部の実施形態では、DNA結合性ドメインは、Gal4、ZFHD1、またはtet-RのDNA結合性ドメイン(DB)から選択される。
【0121】
[00121]一部の実施形態では、転写活性化ドメインは、VP64トランス活性化ドメインを含む。
【0122】
[00122]一部の実施形態では、転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼは、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼである。
【0123】
[00123]一部の実施形態では、CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインは、ホスホチロシン結合性(PTB)ドメインである。
【0124】
[00124]一部の実施形態では、PTBは、Shc PTBである。
【0125】
[00125]一部の実施形態では、(iii)は、(ii)と作動可能に連結されたデグロンである。
【0126】
[00126]一部の実施形態では、デグロンは、HIF-1aデグロンである。
【0127】
[00127]本明細書では、段落[00114]~[00126]に列挙された組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物が提供される。本明細書では、段落[00114]~[00126]に列挙された組成物を含む細胞が提供される。一部の実施形態では、細胞は、CD14+である。本明細書では、対象における疾患を処置する方法であって、対象へと、(i)医薬組成物;または(ii)段落[00127]に列挙された細胞のうちのいずれか1つを投与するステップを含む方法が提供される。
【0128】
参照による組込み
[00128]本明細書で言及される、全ての刊行物、特許、および特許出願は、各個別の刊行物、特許、または特許出願が、参照により組み込まれることが、具体的に、かつ、個別に指し示された場合と同じ程度において、参照により本明細書に組み込まれる。
【0129】
[00129]本発明の新規の特色は、付属の特許請求の範囲において、詳細に示される。本発明の原理が利用される、例示的な実施形態を示す以下の詳細な説明および添付した図面を参照することにより、本発明の特色および利点についての良好な理解が得られるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0130】
図1】[00130]左側のCFPが、細胞外結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含有し、右側のCFPが、細胞外結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、第1の細胞内シグナル伝達ドメイン、第2の細胞内シグナル伝達ドメイン、第3の細胞内シグナル伝達ドメイン、および1つまたは複数のさらなる細胞内シグナル伝達ドメインを含有する、2つの例示的CFPを示す概略を描示する図である。シグナル伝達ドメインは、他の受容体に由来する場合があり、任意の数の細胞機能を誘発するようにデザインされうる。例示的な結合性ドメインは、CD137結合性ドメインである。例示的な結合性ドメインは、TROP2結合性ドメインである。
図2A】[00131]抗CD137細胞外結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、ならびにPI3K動員ドメインへと融合された、FcRγに由来する細胞内ドメインを含有する、細胞内シグナル伝達ドメインを含有する例示的なCFP二量体を示す概略を描示する図である。
図2B】[00132]抗CD137細胞外抗原結合性ドメイン、膜貫通ドメイン、ならびに貪食ドメイン、PI3K動員ドメイン、および炎症促進性ドメインを含有する、細胞内シグナル伝達ドメインを含有する例示的なCFP二量体を示す概略を描示する図である。
図3】[00133]各サブユニットが、単一の標的に結合するscFvへと融合された細胞外ドメインを含有する、例示的CFPのホモ二量体(左)、およびヘテロ二量体の第1のサブユニットが、第1の標的に結合するscFvへと融合された細胞外ドメインを含有し、ヘテロ二量体の第2のサブユニットが、第2の標的に結合するscFvへと融合された細胞外ドメインを含有する、例示的CFPのヘテロ二量体(右)を描示する概略図である。
図4A】[00134]細胞外ドメイン(ECD)、膜貫通ドメイン(TMD)、ならびにシグナル伝達ドメイン1、シグナル伝達ドメイン2、およびシグナル伝達ドメイン3を伴う、スカベンジャー受容体の細胞内ドメイン(ICD)と融合された、抗原特異的scFvへと融合されたシグナルペプチドを含有するCFPをコードする、例示的組換え核酸を描示する概略図である。加えて、例示的組換え核酸は、5’UTRおよび3’UTRを伴うmRNAである。
図4B】[00135]ウイルスによる遺伝子送達(左パネル)では、一部の細胞型は、形質導入不良および細胞分化を示し、これは、治療的細胞機能および細胞寿命の潜在的効果に負の影響を及ぼすが;プラスミド媒介送達(右上)は、分化および細胞(ell)死を誘導することが可能であり;この場合、mRNAの送達は、安全であり、かつ、送達後に細胞内で引き起こす免疫応答がほとんど無視できることのデータを裏付ける図である(右下)。
図5】[00136]上方の略式図に描示される通り、空ベクター(対照)、または抗原でコーティングされたビーズと共に共培養されたCFPをコードするベクターにより形質導入された、ヒト初代骨髄細胞内における、相対貪食についての予測結果を描示する、例示的データを示す図である。貪食は、フローサイトメトリーを使用して定量される。
図6A】[00137]上方の略式図に描示される通り、空ベクター(対照)、または蛍光染料で標識された標的細胞を発現する抗原と共に共培養されたCFPをコードするベクターにより形質導入された、ヒト初代骨髄細胞内における、相対貪食についての予測結果を描示する、例示的データを示す図である。貪食は、フローサイトメトリーを使用して定量される。異なる骨髄細胞対標的比の効果は、予測された通りに描示される。
図6B】[00138]CFP結合性ドメイン(結合剤)の特異性を裏付けるデータを示す図であり、CD19に結合するCFP構築物を発現する細胞(CD19-ATAK)は、CD19+標的の存在下に限り、高度の貪食を示し、表面上に、CD19を保有しない、CD22+標的の存在下では、これを示さず、この逆もまた成り立つ。
図6C】[00139]腫瘍内で、蛍光CFP構築物を発現する骨髄細胞の走化性および局在化の成功を示すデータを示す図であり(イメージングによる;左パネル);右側のグラフは、in vitroの、濃度を変動させるCCL2の存在下における走化性を示す。
図7A】[00140]抗CD5 CFPを発現する、初代ヒト単球であって、異なる極性化条件下で(上パネルに示された)、例えば、MCSF単独の存在下で(M0条件);またはIL-10、IL-4、およびTGFβと共に(M2条件);またはIFNおよびLPSの存在下で、24時間にわたりインキュベートされ、次いで、H9 T細胞リンパ腫細胞と共にインキュベートされた、初代ヒト単球における、フローサイトメトリー解析による、例示的グラフを描示する図であり、結果は、細胞が、これらの条件下で極性化される能力を、CFPの発現が、変更しなかったことを指し示す。加えて、腫瘍細胞との共インキュベーションも、極性化を変更しなかった。さらに、同じ培養条件を使用して、抗CD5 CFPを発現する、初代ヒト単球が、M2環境において、強力な腫瘍細胞貪食/殺滅活性を有することについて調べ、これを裏付けた(本明細書では、図示しない)。同じ手法は、本明細書で記載される結合剤のうちのいずれかの、in vitroにおける効能を、M1促進環境またはM2促進環境において調べるのに使用されうる。
図7B】[00141]末梢T細胞リンパ腫処置の動物モデル実験についての例示的な実験フローチャートを示す概略図を描示する図である。CD5-HU9セザリー症候群腫瘍株細胞1×10個を、マウスへと、皮下注入した。表示量の、抗CD5 CFPを発現するヒト初代単球による処置は、腫瘍株細胞の注射後11日目に開始した。3日ごとに1回ずつ、合計5回の注入を実施した。同じ手法は、本明細書で記載される結合剤のうちのいずれかの、in vitroにおける効能を、in vivoの、適切な実験的腫瘍モデルにおいて調べるのに使用されうる。
図7C】[00142]相対腫瘍サイズ(放射輝度)における、相対腫瘍サイズ(放射輝度)についてのグラフを描示する図である。
図8】[00143]単球特異的発現のための、CFP構築物についての、例示的モジュラーデザイン(ECD=細胞外ドメイン;H=ヒンジ;TMD=膜貫通ドメイン;ICD=細胞内ドメインである)を示す図である。
図9】[00144]抗GPC3抗体ドメインまたは抗TROP2抗体ドメイン、FLAG細胞外ドメイン、ヒトCD16膜貫通(TM)ドメインまたはヒトCD89膜貫通ドメイン、およびヒトCD16細胞内(cyto)ドメインまたはヒトCD89細胞内ドメインを伴う、抗GPC3 CFP構築物および抗TROP2 CFP構築物を含む、例示的CFP構築物の発現についての、代表的ワークフローおよび機能的解析を示す図である。描示される通り、構築物をコードする、200ug/mLのRNAを、PBMCへと電気穿孔(EP)し、発現、標的腫瘍細胞の殺滅、およびサイトカイン/ケモカインの産生について解析することができる。
図10A】[00145]多様な細胞型における、表示の抗TROP2 CFP構築物の発現を解析する、フローサイトメトリーデータを描示する図である。下パネルに示される通り、CD14+骨髄細胞内では、表示の抗TROP2 CFP構築物の発現が観察されたが、CD19+ B細胞内、CD3+ T細胞内、またはCD56+ NK細胞内では観察されなかった。
図10B】[00146]多様な細胞型における、表示の抗GPC3 CFP構築物の発現を解析する、フローサイトメトリーデータを描示する図である。下パネルに示される通り、CD14+骨髄細胞内では、表示の抗GPC3 CFP構築物の発現が観察されたが、CD19+ B細胞内、CD3+ T細胞内、またはCD56+ NK細胞内では観察されなかった。
図11A】[00147]表示の抗TROP2 CFP構築物をトランスフェクトされたPBMCによる、SKOV3細胞の殺滅を測定するルシフェラーゼアッセイによるデータを描示する図である。表示の抗TROP2 CFP構築物をトランスフェクトされたPBMCを、SKOV3-Luc細胞と共に、5:1のエフェクター細胞:標的細胞で、3日間にわたり共培養した。表示の抗TROP2 CFP構築物をトランスフェクトされたPBMCは、SKOV3細胞の、対照と比較した、特異的殺滅を裏付けた。
図11B】[00148]表示の抗TROP2 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触された骨髄細胞を使用して、発現、腫瘍特異的貪食、および抗腫瘍サイトカイン産生について解析するデータを描示する図である。左パネルは、表示の抗TROP2 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触された、多様な細胞型における、表示の抗TROP2 CFP構築物の発現を解析する、フローサイトメトリーデータを描示する。表示の抗TROP2 CFP構築物の発現は、CD14+骨髄細胞内では観察されるが、CD19+ B細胞内、CD3+ T細胞内、またはCD56+ NK細胞内では観察されない。中パネルは、表示の抗TROP2 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触されたPBMCによる、SKOV3細胞の殺滅を測定する、ルシフェラーゼアッセイからのデータについてのグラフを描示する。表示の抗TROP2 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触され、SKOV3-Luc細胞と共に共培養されたPBMCは、SKOV3細胞の、対照と比較した、特異的殺滅を裏付けた。右パネルは、中パネルに由来する試料による、TNFアルファの産生についてのグラフを描示する。
図12A】[00149]表示の抗TROP2 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触された骨髄細胞を使用する、サイトカイン産生についてのデータを描示する図である。表示の抗TROP2 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触されたPBMCを、単独で培養するか、またはSKOV3細胞と共に共培養した試料からの、IL-1ベータおよびIL-18の産生についてのグラフを示す。
図12B】[00150]表示の抗TROP2 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触された骨髄細胞を使用する、サイトカイン産生についてのデータを描示する図である。表示の抗TROP2 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触されたPBMCを、単独で培養するか、またはSKOV3細胞と共に共培養した試料からの、CCL2およびTNFアルファの産生についてのグラフを示す。
図12C】[00151]in vivoにおける骨髄細胞特異的プログラム化を駆動する、CD89(FcRアルファ鎖)の利用の成功についての概略を示す図である。CD89へと接合されたscFvを伴うCFPをコードするmRNAを、LNP内で製剤化し、マウスへと注射した。CFPを発現する、骨髄細胞およびリンパ球の百分率についてのグラフを示す。対照と比較したCD14+骨髄細胞では、CFPの発現が観察されたが、リンパ球では、観察されなかった。
図13A】[00152]scFvを伴う、2つの例示的抗TROP2 CFP構築物のための、異なるVHドメイン構成およびVLドメイン構成についての例示的概略を描示する図である。
図13B】[00153]図13Aに示された、scFvを伴う、2つの例示的抗TROP2 CFP構築物のための、異なるVHドメイン構成およびVLドメイン構成の、表示のCFP構築物をコードするRNAを電気穿孔されたTHP-1細胞内の発現に対する効果を示す、例示的フローサイトメトリーデータを描示する図である。
図13C】[00154]表示のエフェクター:標的細胞(E:T)比における、pHrhodo Redシグナルの増大により定量される、X軸に表示の構築物を発現するTHP-1細胞による、SKOV3細胞の貪食を示す、例示的グラフを描示する図である。
図13D】[00155]表示の、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとの組合せによる、表示の抗TROP2 CFP構築物の発現を示す、例示的フローサイトメトリーデータを描示する図である。モックトランスフェクトセットおよび抗HER2 CFP構築物トランスフェクトセットは、それぞれ、陰性対照および陽性対照として用いられる。
図13E】[00156]こと表示の、膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとの組合せによる、表示の、抗HER2 CFP構築物(右)、および抗TROP2 CFP構築物(左)の発現を示す、例示的データを描示する図である。
図14A】[00157]例示的抗GP75(αGP75)CFP構築物についての概略を描示する図である。例示的抗GP75-FLAG-hCD8-Fcg-PI3K構築物(第一世代のATAK受容体)を、上方に示す。描示された、他の抗GP75 CFP構築物の各々は、表示のドメインをコードする配列を含有し、T2Aペプチドをコードするコード配列により、細胞内ドメインをコードする配列から隔てられた、GFPをコードする配列も描示される。左側の概略図は、内因性Fcγ受容体タンパク質を伴う、抗GP75 CFP構築物の、CD16膜貫通ドメインまたはCD89膜貫通ドメインの多量体化、および抗GP75 CFP構築物の、腫瘍細胞上のGP75抗原への結合を描示する。
図14B】[00158]表示のCFP構築物をコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの注射の後の、in vivoの多様な種類のマウス肺細胞内における、表示のCFP構築物の発現について解析するのに使用された、例示的なフローサイトメトリーによるゲーティング戦略を描示する図である。
図14C】[00159]CFP構築物をコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの単回または二回の注射の後の、in vivoの表示の種類のマウス肺細胞内におけるイムノアッセイ、および図14Bに描示されたゲーティング戦略に従うフローサイトメトリー解析により測定される、GFP蛍光またはflag発現について陽性である細胞のパーセントにより測定される、CFP発現構築物についてのグラフを描示する図である。発現は、肺の骨髄細胞内では観察されるが、リンパ球内またはCD45-細胞内では観察されない。
図14D】[00160]表示のCFP構築物をコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの注射の後の、in vivoの多様な種類のマウス肝細胞内における、表示のCFP構築物の発現について解析するのに使用された、例示的なフローサイトメトリーによるゲーティング戦略を描示する図である。
図14E】[00161]CFP構築物をコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの単回または二回の注射の後の、in vivoの表示の種類のマウス肝細胞内におけるイムノアッセイ、および図14Dに描示されたゲーティング戦略に従うフローサイトメトリー解析により測定される、GFP蛍光またはflag発現について陽性である細胞のパーセントにより測定される、CFP発現構築物についてのグラフを描示する図である。発現は、肝臓の骨髄細胞内で観察された。
図14F】[00162]in vitroにおいて、CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触された、マウス単球内における、表示の抗GP75 CFP構築物の発現を示す、例示的フローサイトメトリーデータを描示する図である。
図15A】[00163]抗GP75 CFP構築物を発現する骨髄細胞による、pHrhodoRed標識化B16細胞の貪食を測定する、例示的in vitroアッセイを描示する図である。骨髄細胞を、CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触させた(例えば、骨髄細胞に、LNPを電気穿孔した)。描示されたフローサイトメトリーデータは、CD11b陽性単球による、pHrhodoRed標識化B16細胞の貪食を示す。
図15B】[00164]図15Aに記載されたアッセイを使用して、CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPが電気穿孔された後における、表示の抗GP75 CFP構築物を発現する単球を使用する、例示的データを描示する図である。貪食指数およびフローサイトメトリーデータについてのグラフを示す。MYL157構築物=GP75-FLAG-マウスCD16 TMD-マウスCD16 ICD-T2A-GFP(また、GP75-CD16aとしても描示される)である。MYL158構築物=GP75-FLAG-マウスCD89 TMD-マウスCD89 ICD-T2A-GFP(また、GP75-CD89としても描示される)である。
図15C】[00165]図15Aに記載されたアッセイを使用して、CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPが電気穿孔された後における、表示の抗GP75 CFP構築物を発現する単球を使用する、例示的データを描示する図である。構築物を、上パネルにグラフ表示する。フローサイトメトリー解析に基づき、貪食指数を描示するデータを、グラフに示す。CD8ヒンジを含む構築物は、わずかに良好な発現を示した。
図15D】[00166]図15Aに記載されたアッセイを使用して、表示の抗GP75 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPが電気穿孔された骨髄細胞によるサイトカイン産生についてのデータを描示する図である。B16細胞単独、または表示の抗GP75 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPと接触され、B16細胞と共に共培養された単球からの、TNFアルファ、CCL3、CCL4、およびCCL7の産生についてのグラフを示す。
図16】[00167]in vivo送達のための、多様なCFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPの調製についての例示的概略を描示する図である。
図17A】[00168]B16同系マウスモデルにおける、腫瘍の増殖を確立し、モニタリングするための、例示的LNP投与スケジュールを描示する図である。0日目に、腫瘍細胞を注入し、マウスにおける注入後10日間にわたり、腫瘍の確立が生じることを可能とした。腫瘍の確立後、マウスに、CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNP製剤を、複数回にわたり注射し、腫瘍サイズをモニタリングする。
図17B】[00169]多様なCFP構築物をコードするmRNAを含有する、jet PEI媒介型トランスフェクション複合体の調製、および注射を介する、in vivoにおける、複合体の送達についての、例示的概略を描示する図である。
図18A】[00170]CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPの尾静脈注射の後の、in vivoの肺、肝臓、および脾臓の骨髄細胞内における、表示のCFP構築物の陽性発現を裏付ける、表示のCFP構築物の発現データを描示する図である。肺、肝臓、および脾臓の、非骨髄細胞型では、発現が観察されなかった。
図18B】[00171]CFP構築物をコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの単回または二回の注射の後の、in vivoの表示の種類のマウス肺細胞およびマウス肝細胞内におけるイムノアッセイ、および図14Bまたは図14Dに描示されたゲーティング戦略に従うフローサイトメトリー解析により測定される、GFP蛍光またはFLAG発現について陽性である細胞のパーセントにより測定される、例示的CFP構築物(上方にグラフ表示された)の発現についてのグラフを描示する図である。
図18C】[00172]単球内および好中球内における、明確なGFP発現を示す、GFPおよびFLAGについてのオフセットヒストグラムを描示する図である。
図18D】[00173]CFP構築物をコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの注射の後の、in vivoの表示の種類のマウス肺細胞およびマウス肝細胞内におけるイムノアッセイ、および図14Bまたは図14Dに描示されたゲーティング戦略に従うフローサイトメトリー解析により測定される、GFP蛍光またはFLAG発現について陽性である細胞のパーセントにより測定される、CFP発現構築物についてのフローサイトメトリーデータを描示する図である。
図19】[00174]抗GP75構築物をコードするRNAを含有するLNPで処置されたB16マウスにおける、腫瘍についての組織病理学的解析を描示する図である。4匹中2匹のマウスは、完全な抗腫瘍応答を示し、腫瘍は、検出されなかった。
図20A】[00175]媒体または抗GP75-ATAK CFP構築物を発現する骨髄細胞で処置された、ナイーブマウスまたはマウス腫瘍モデルに由来する細胞による、サイトカイン産生についてのデータを描示する図である。マウスからの、CCL2およびIL-1アルファの産生についてのグラフを示す。処置マウスでは、腫瘍の進行を促進するCCL7が低減されるのに対し、腫瘍細胞死と関連するIL-1アルファは、増大される。ATAK:抗原標的化および殺滅(antigen targeting and killing)の頭字語である。
図20B】[00176]媒体または抗GP75 CFP構築物を発現する骨髄細胞で処置された、ナイーブマウスまたはマウス腫瘍モデルに由来する細胞による、サイトカイン産生についてのデータを描示する図である。マウスからの、IL23、エオタキシン、CXCL1、IL17a、G-CSF、およびCXCL5の産生についてのグラフが示され、T細胞および骨髄細胞の活性化の増大を指し示す。
図20C】[00177]刺激時に、CAR発現単球が、T細胞を動員することを示す図である。in vitroアッセイでは、CD5-ATAK細胞は、T細胞の走化性を誘導する。
図21】[00178]媒体または抗GP75 CFP構築物を発現する骨髄細胞で処置された、ナイーブマウスまたはマウス腫瘍モデルに由来する細胞による、サイトカイン産生についてのデータを描示する図である。それぞれのマウスから単離された細胞からの、IFNガンマ、TNFアルファ、およびIL-2の産生についてのフローサイトメトリーデータを示す。IFNガンマ、TNFアルファ、およびIL-2産生をもたらすCD4+ T細胞の百分率についてのグラフもまた示される。
図22】[00179]表示の時点(X軸の下方の矢印により示される)における、表示の抗GP75 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPによる処置後の時間経過にわたる、腫瘍体積についてのグラフを描示する図である。処置後9日目に、各群から、5匹ずつのマウスを選び出した。フローサイトメトリー解析のために、臓器:腫瘍を有する臓器である、肺、肝臓、および脾臓を摘出した。NanoString遺伝子発現解析のために、腫瘍試料に由来するRNA試料を保存した。Ovaペプチドによる、T細胞再刺激アッセイもまた、実施した。
図23】[00180]LNP処置が、免疫細胞の腫瘍浸潤を変化させたことを示す図である。腫瘍微小環境内の、全てのCD45+免疫細胞のうちの、表示の細胞型の百分率で処置されたマウスの、腫瘍微小環境内の、全てのCD45+免疫細胞のうちの、表示の細胞型の百分率についてのグラフが描示される。処置は、腫瘍内の炎症性単球の明確な増大、ならびにマクロファージおよびT細胞のわずかな増大を結果としてもたらした。
図24】[00181]LNP処置が、CD8細胞傷害性T細胞の有意な増大、およびTreg細胞の低減を結果としてもたらしたことを示す図である。全てのCD45+免疫細胞のうちの、表示の細胞型の百分率で処置されたマウスの、全てのCD45+免疫細胞のうちの、表示の細胞型の百分率についてのグラフが描示される。処置は、免疫抑制性Tregを低減しながら、CD8+細胞傷害性T細胞の存在を増大させた。
図25】[00182]LNP処置が、CD8 T細胞による、免疫チェックポイント発現の低減を結果としてもたらしたことを示す図である。表示の抗GP75 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPで処置されたマウスの腫瘍微小環境に由来する、CD8+ T細胞による、表示の免疫チェックポイント分子の発現レベルについてのグラフが描示される。処置は、PD1発現レベルの低減、およびLAG3発現のわずかな増大を結果としてもたらした。
図26】[00183]LNP組成物中のCFPをコードする核酸の、in vivo投与時における、腫瘍微小環境の、炎症性表現型への転換を示す図である。
図27】[00184]LNP処置が、CD8+ T細胞内における、Ki-67およびパーフォリンの発現の低減を結果としてもたらしたことを示す図である。表示の抗GP75 CFP構築物をコードするmRNAを含有するLNPで処置されたマウスの腫瘍微小環境に由来する、CD8+ T細胞による、表示の分子の発現レベルについてのグラフが描示される。
図28】[00185]CFPをコードするmRNAが電気穿孔されたTHP-1細胞内のCFP発現構築物を示すフローサイトメトリーデータを示す図である。
図29】[00186]マウス抗GP75(Trp-1)CFP ATAK細胞の作出を示す図解を示す図である。抗GP75 CFPは、マウス単球内で、抗GP75 CFPをコードするmRNAの電気穿孔を介して、効率的に発現され、抗GP75 CFPを発現する細胞は、貪食活性を有する。
図30】[00187]抗GP75 ATAK単球が、同系B16マウスモデルにおける腫瘍を抑制することを裏付けるデータを示す図である。データは、CAR Tおよびチェックポイント阻害剤に対して不応性である、マウス腫瘍モデルにおける、抗GP75 CFPを発現するマウス単球による処置後の時間経過にわたる、腫瘍体積についてのグラフを示す。マウスに、媒体と対比される、ATAK細胞2×10個ずつ、8回の注入を投与した(毎日1回×4日間の注入、3日間の休薬、毎日1回×4日間の注入;±SD(マン-ホイットニー検定))。
図31】[00188]マウス腫瘍モデルへの注入の後に、抗GP75 CFPを発現するマウス単球が、腫瘍へと浸透し、CFPの発現を維持し、炎症細胞、樹状細胞、およびマクロファージなどのエフェクター細胞へと分化することを裏付けるグラフを示す図である。左グラフは、抗GP75 CFPを発現するマウス単球のうちの、約40%が、注入後5日間にわたり、CFPの発現を維持したことを示す。右上グラフは、ATAK細胞(CFPを発現する細胞)が、腫瘍および脾臓に浸透し、樹状細胞となることを示す。右下グラフは、ATAK細胞が、腫瘍および脾臓に浸透し、マクロファージ細胞となることを示す。
図32】[00189]媒体または抗GP75 CFP構築物を発現する骨髄細胞で処置された、ナイーブマウスまたはマウス腫瘍モデルに由来する細胞による、サイトカイン産生についてのデータを描示する図である。表示のサイトカイン/ケモカインの産生についてのグラフが示される。処置に対する応答は、抗腫瘍血清中のサイトカインプロファイルと相関した。解析は、研究終了時における、処置群内のレスポンダー動物を含む。
図33】[00190]抗GP75 CFPを発現するマウス単球による、腫瘍抗原の交差提示を示すデータを描示する図である。抗GP75 CFPを発現するマウス単球が、この場合には、OVAタンパク質に由来する、サロゲートの腫瘍ネオ抗原を貪食し、プロセシングし、OVAに由来するクラスI制限ペプチド(SIINFEKL)に対してコグネイトであるTCRを保有するT細胞へと提示することが可能であり、T細胞の活性化が、IL2(左)またはインターフェロン(右)の産出により決定されるのに対し;同じマウスに由来し、ATAK受容体を発現しない単球は、これが可能でない。これは、抗GP75 CFPを発現するマウス単球が、抗原をプロセシングし、CD8 T細胞などの獲得免疫細胞へと交差提示しうることを実証する。ATAK-GP75(別称:TRP-1 ATAK)構築物である。
図34】[00191]CFPを発現するヒト単球が、自然免疫を利用し、抗腫瘍獲得免疫応答を刺激することを示すデータを描示する図である。データは、CFPを発現するヒト単球が、腫瘍に浸透し、腫瘍内に蓄積され、腫瘍を認識することを裏付ける(左上)。データは、CFPを発現するヒト単球が、骨髄細胞の活性化、サイトカインの産生、ケモカインの産生、および炎症性極性化を結果としてもたらすことを裏付ける(右上グラフ)。データは、CFPを発現するヒト単球が、貪食(左下)、サイトカイン、および死受容体(CD95L)により、腫瘍細胞を直接死滅させることを裏付ける。データは、CFPを発現するヒト単球が、抗原提示、エピトープの拡散、およびT細胞係合(右下グラフ)を介して、長期にわたる腫瘍のコントロールを裏付け、これにより、免疫レパートリーの完全な活性化を確保することを裏付ける。
図35】[00192]抗CD5 CFPを発現するヒト単球が、in vitroの、抑制性腫瘍微小環境(TME)状態において、強力な活性を示すことを示すデータを描示する図である。抗CD5 CFPを発現するヒト単球を、IL10、IL4、およびTGF-bを含有する培地中、コグネイト抗原の非存在下または存在下で、一晩にわたりインキュベートした。細胞の貪食活性を、上方左端のグラフに示す。表示のサイトカイン/ケモカインは、培養物上清中で測定した。
図36】[00193]抗CD5 CFPを発現するヒト単球が、獲得免疫系を有さないにも拘わらず、CD5+ CTCL異種移植モデルにおいて、増殖を阻害し、生存を延長することを示すデータを描示する図である。
図37】[00194]抗GP75 CFP構築物を、CD89(FcRアルファ)鎖と共にコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの注射が、in vivoにおいて、骨髄細胞を選択的にプログラム化し、結果として、強力な抗腫瘍活性をもたらすことを示すデータを描示する図である。確立されたコールド腫瘍モデルにおける、腫瘍量(体積:mm単位の尺度)の、75%の低減が観察された。
図38】[00195]抗GP75 CFP構築物を、CD89(FcRアルファ)鎖と共にコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの注射が、TME内の炎症性単球による、CFPの発現を結果としてもたらすことを示すデータを描示する図である。腫瘍内骨髄細胞のうちの、>15%は、抗GP75 CFPを発現することが観察された。
図39】[00196]抗GP75 CFP構築物を、CD89(FcRアルファ)鎖と共にコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの注射が、炎症性細胞の蓄積により特徴付けられる、TMEの修飾を結果としてもたらすことを示すデータを描示する図である。処置は、処置動物の死後に測定される通り、in vivoにおいて、腫瘍内の炎症性単球(左)および樹状細胞(右)を誘導する。処置は、自然免疫と、獲得免疫との橋渡しと関連する免疫細胞を増大させた。
図40】[00197]抗GP75 CFP構築物を、CD89(FcRアルファ)鎖と共にコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの注射が、CTLの増大、およびTregの減少により特徴付けられる、TMEの修飾を結果としてもたらすことを示すデータを描示する図である。処置は、抗腫瘍CD8 T細胞を促進し、腫瘍関連Tregを低減した。
図41】[00198]抗GP75 CFP構築物を、CD89(FcRアルファ)鎖と共にコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの注射の前、およびこれらの2回にわたる注射の24時間後、およびこれらの4回にわたる注射の72時間後における、表示の炎症促進性血清サイトカインの産生についてのデータを描示する図である。
図42】[00199]抗GP75 CFP構築物を、CD89(FcRアルファ)鎖と共にコードするRNAを含有するLNPの、マウスへの注射の前、およびこれらの2回にわたる注射の24時間後、およびこれらの4回にわたる注射の72時間後における、表示の血清ケモカインの産生についてのデータを描示する図である。
図43】[00200]実験的デザインおよび腫瘍の増殖を描示する図である。0日目に、腫瘍を接種し、75mmへと増殖させた。LNP-mRNAは、2mg/kgで投与した。
図44】[00201]腫瘍内のT細胞のサブセットおよび表現型についての探索を描示する図である。
図45】[00202]mRNA-LNP処置が、腫瘍内における、T細胞サブセット頻度の変化を誘導するデータを描示する図である。処置は、腫瘍内のTreg%の低減を引き起こした。
図46A】[00203]GP75-CD89-LNPを注射されたマウスにおける、CD8+ T細胞%による、CD8疲弊マーカー(PD1)およびCD8成熟/エフェクターT細胞マーカー(CD44)についてのフローサイトメトリー解析を示すグラフを描示する図である。
図46B】[00204]T細胞内のPD1およびCD44の発現についてのフローサイトメトリーデータを描示する図である。
図47A】[00205]GP75-CD89-LNPを注射されたマウスにおける、CD8+ T細胞%による、CD8疲弊マーカー(TIM3およびTOX)についてのフローサイトメトリー解析を示すグラフを描示する図である。
図47B】[00206]T細胞内のTIM3およびTOXの発現についてのフローサイトメトリーデータを描示する図である。
図48A】[00207]GP75-CD89-LNPを注射されたマウスにおける、CD8+ T細胞%による、細胞増殖マーカーであるKi67、およびT細胞の活性化マーカーであるグランザイムBについてのフローサイトメトリー解析を示すグラフを描示する図である。
図48B】[00208]GP75-CD89-LNPを注射されたマウスに由来するCD8T細胞内のKi67およびグランザイムBについてのフローサイトメトリーデータを描示する図である。
図49】[00209]細胞系統についての探索についてのデータを示す図であり;マーカーおよびフルオロフォアについてのパネルを、左図に指し示す。
図50】[00210]mRNA/LNP処置が、免疫細胞集団の有意なシフトを誘導しなかったことを指し示すデータを描示する図である。
図51】[00211]受容体の発現についてのデータを示す図である。
図52】[00212](すなわち、受容体)内の、FLAG(すなわち、受容体)の発現を示すドットプロットを示す図である。
図53】[00213]Ly6Chi炎症性単球内の、FLAG発現を示すドットプロットを示す図である。
図54】[00214]Ly6Clo常在骨髄細胞内のFLAG発現を示すドットプロットを示す図である。
図55】[00215]マウスにおける処置が、Ly6Chi炎症性単球内およびCCR2hi炎症性単球内の、CD40レベルおよびCD206レベルを、有意に上昇させたことを指し示すデータを描示する図である。
図56】[00216]Ly6Clo常在骨髄細胞内およびCCR2lo常在骨髄細胞内のPDL1、CD40、CD86、およびCD206のレベルを描示する図である。データは、マウスにおける処置が、CD40レベルおよびCD206レベルを、有意に上昇させたことを指し示す。
図57】[00217]PDL1、CD40、CD86、およびCD206のレベルを示す図であり;結果は、処置が、腫瘍内常在マクロファージ内のPDL1レベルを、わずかに低減したことを指し示す。
図58】[00218]処置は、MHCII、CD86、およびCD40を含むDC活性化マーカーを、有意に増大させたが、また、脾臓の、表現型をCD103+ CD11b-とする樹状細胞内のPD-L1レベルも増大させたことを示す図である。
図59】[00219]処置は、MHCII、CD86、およびCD40を含むDC活性化マーカーを、有意に増大させたが、また、脾臓の、表現型をCD103- CD11b+とする樹状細胞内のPD-L1レベルも増大させたことを示す図である。
図60】[00220]骨髄細胞内で、骨髄細胞が、がん細胞と接触されると、特異的に活性化される、プロテアーゼ切断可能、誘導性の、遺伝子転写活性化タンパク質を含む、キメラ受容体タンパク質をコードする、第1のベクターと;第1のベクターによりコードされる、遺伝子転写活性化因子により誘導される標的遺伝子を発現する、第2のベクターとを発現させるための、例示的発現ベクターデザインについてのグラフ表示を示す図である。
図61A】[00221]図60のベクターの発現により作出される、例示的キメラタンパク質についてのグラフ表示を示す図である。図61Aはまた、PTBが、キメラ受容体の細胞内ドメインのITAMモチーフのホスホチロシン残基に結合しない場合に、PTBへと融合されたデグロン複合体により惹起されて、PTB-HIF-デグロンへと融合されたプロテアーゼが、たやすく分解されることも具体的に裏付ける。
図61B】[00222]図61Aのキメラタンパク質について予測される作用方式が、標的遺伝子の発現をもたらすことを例示する図である。HIF-デグロンプロテアーゼの、受容体のリン酸化ITAMモチーフへの結合時に、プロテアーゼは活性化され、転写活性化因子である、GAL-VP64を切断する。
図62A】[00223]誘導的細胞傷害性タンパク質をコードする核酸構築物についての、グラフによる例示を示す図である。構築物は、骨髄(例えば、マクロファージ)細胞による、発現および分泌のためにデザインした。構築物は、ヒト好酸球主要塩基性タンパク質の、酸性ドメインおよび細胞傷害性ドメインを含む。2つのドメインは、MMP認識ペプチドをコードする配列と共に散在されており;MMP認識ペプチドは、腫瘍微小環境内に豊富に存在するMMPにより切断可能である。MMPの非存在下において、分泌された細胞傷害性タンパク質は、酸性ドメインとの会合により、不活性形態で維持され、MMP認識ペプチドにより、一緒に保持される。
図62B】[00224]腫瘍微小環境内において、MMPによる、MMP認識配列の切断時に、細胞傷害性ドメインタンパク質による、腫瘍細胞の溶解をもたらす、細胞傷害性ドメインタンパク質の活性化についてのグラフ表示を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0131】
[00225]全ての用語は、それらが、当業者により理解される通りに理解されることが意図される。そうでないことが規定されない限りにおいて、本明細書で使用される技術用語および科学用語は、本開示が関連する技術分野の当業者により一般に理解される意味と同じ意味を有する。
【0132】
[00226]本明細書で使用される節の見出しは、構成的目的のためだけのものであり、記載される対象物を限定するものとしては解釈されないものとする。
【0133】
[00227]本開示の多様な特色は、単一の実施形態の文脈で記載されうるが、特色はまた、個別に提供される場合もあり、任意の適切な組合せで提供される場合もある。逆に、本明細書では、明確さのために、本開示は、個別の実施形態の文脈で記載されうるが、本開示はまた、単一の実施形態でも、実施されうる。
【0134】
[00228]本明細書における、「一部の実施形態」、「ある実施形態」、「一実施形態」、または「他の実施形態」への言及は、実施形態との関連で記載される、特色、構造、または特徴が、本開示の、少なくとも一部の実施形態には含まれるが、全ての実施形態には、必ずしも含まれないことを意味する。
【0135】
[00229]本明細書および特許請求の範囲で使用される、「~を含むこと(comprising)」(ならびに「~を含む(comprise)」、「~を含む(comprises)」、および「含まれた(comprised)」など、「~を含むこと(comprising)」の任意の形態)、「~を有すること」(ならびに「~を有する(have)」および「~を有する(has)」など、「~を有すること」の任意の形態)、「~を含むこと(including)」(ならびに「~を含む(include)」および「~を含む(includes)」など、「~を含むこと(including)」の任意の形態)、または「~を含有すること」(ならびに「~を含有する(contain)」および「~を含有する(contains)」など、「~を含有すること」の任意の形態)という用語は、包含的またはオープンエンドであり、さらなる、列挙されていない要素または方法ステップを除外しない。本明細書で論じられる任意の実施形態は、本開示の任意の方法または組成物に関して実施される場合があり、この逆も成り立つことが想定される。さらに、本開示の組成物は、本開示の方法を達成するのに使用されうる。本発明の方法を達成することができる。
【0136】
[00230]パラメータ、量、時間的持続など、測定可能な値に言及する場合に、本明細書で使用される、「約」または「およそ」という用語は、そのような変動が、本開示において実施するのに適切である限りにおいて、指定された値の±30%またはこれ未満、±20%またはこれ未満、±10%もしくはこれ未満、±5%もしくはこれ未満、または±1%もしくはこれ未満の変動、および指定された値からこれらの変動を包摂することが意図される。「約」または「およそ」という修飾語が言及する値はまた、具体的に開示される場合もあることが理解されるものとする。
【0137】
[00231]「薬剤」とは、任意の細胞、低分子化合物、抗体、もしくこれらの断片、核酸分子、またはポリペプチドを指す場合がある。
【0138】
[00232]「変更」または「変化」とは、増大または減少を指す場合がある。例えば、変更は、1%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、または40%、50%、60%、なおまたは70%、75%、80%、90%、もしくは100%までの増大または減少でありうる。例えば、変更は、1倍、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、20倍、30倍、または40倍、50倍、60倍、なおまたは70倍、75倍、80倍、90倍、もしくは100倍までの増大または減少でありうる。
【0139】
[00233]本明細書で使用される、「抗原提示細胞」または「APC」は、プロフェッショナル抗原提示細胞(例えば、Bリンパ球、マクロファージ、単球、樹状細胞、ランゲルハンス細胞)のほか、他の抗原提示細胞(例えば、ケラチノサイト、内皮細胞、星状膠細胞、線維芽細胞、希突起膠細胞、胸腺上皮細胞、甲状腺上皮細胞、神経膠細胞(脳)、膵ベータ細胞、および血管内皮細胞)を含む。APCは、主要組織適合性複合体(MHC)分子を発現することが可能であり、その表面上に、T細胞による認識が可能であり、T細胞の活性化および免疫応答を誘発しうる、MHCと複合体化された抗原を提示しうる。プロフェッショナル抗原提示細胞、とりわけ、樹状細胞は、ナイーブT細胞の刺激において、鍵となる役割を果たす。線維芽細胞などの非プロフェッショナル抗原提示細胞もまた、この過程に寄与しうる。APCはまた、外因性抗原をプロセシングし、プロセシングされた抗原を、クラスIMHC分子上に提示することにより、ペプチド抗原も交差提示しうる。クラスI MHC分子との会合時に認識されるタンパク質をもたらす抗原は、一般に、細胞内で産生されるタンパク質であり、これらの抗原は、プロセシングされ、クラスIMHC分子と会合する。
【0140】
[00234]「生体試料」とは、生物に由来する、任意の組織、細胞、体液、または他の素材を指す場合がある。
【0141】
[00235]「エピトープ」という用語は、抗体もしくはその結合性断片、T細胞受容体、および/または抗体様分子に結合することが可能である、配列または構造またはアミノ酸残基など、任意のタンパク質決定基を指す場合がある。エピトープ決定基は、典型的に、アミノ酸または糖の側鎖などの分子の、化学的に活性の表面基からなり、一般に、特異的三次元構造特徴のほか、特異的電荷特徴を有する。「T細胞エピトープ」とは、T細胞受容体により認識される、ペプチドまたはペプチド-MHC複合体を指す場合がある。
【0142】
[00236]操作された骨髄細胞などの操作された細胞は、一過性に発現された場合であってもなお、細胞内で、少なくとも1つの外因性核酸配列を有する細胞を指す場合がある。外因性核酸の発現は、他の箇所に記載される、多様な方法により実施される場合があり、当技術分野で公知の方法を包摂する。本開示は、操作された細胞、例えば、操作された貪食細胞などの操作された骨髄細胞の調製および使用に関する。本開示は、とりわけ、例えば、キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする、外因性核酸を含む操作された細胞に関する。
【0143】
[00237]「免疫応答」という用語は、T細胞媒介性免疫応答、NK細胞媒介性免疫応答、および/またはB細胞媒介性免疫応答を含むがこれらに限定されない。これらの応答は、T細胞共刺激およびNK細胞共刺激のモジュレーションにより影響される場合がある。例示的な免疫応答は、T細胞応答、例えば、サイトカイン産生および細胞媒介性細胞傷害作用を含む。加えて、免疫応答は、NK細胞の活性化、B細胞の活性化、および/またはT細胞の活性化の影響を間接的に受けた免疫応答、例えば、抗体産生(体液性応答)、およびサイトカイン応答性細胞、例えば、マクロファージの活性化を含む。免疫応答は、獲得免疫応答を含む。獲得免疫系は、侵入生物の抗原など、外来分子構造に対して反応しうる。自然免疫系と異なり、獲得免疫系は、病原体に対して、高度に特異的である。獲得免疫はまた、長期持続性の保護ももたらしうる。獲得免疫反応は、体液性免疫反応および細胞媒介性免疫反応を含む。体液性免疫反応では、B細胞により、体液へと分泌された抗体は、病原体由来抗原に結合し、様々な機構、例えば、補体媒介性溶解を介して、病原体の消失をもたらす。細胞媒介性免疫反応では、他の細胞を破壊することが可能なT細胞が活性化される。例えば、疾患と関連するタンパク質が、細胞内に存在する場合、これらは、細胞内で、タンパク質分解により、ペプチドへと断片化される。次いで、特異的細胞タンパク質は、このようにして形成された抗原またはペプチドへと接合し、これらを、細胞の表面へと移送し、ここで、抗原またはペプチドは、T細胞などの分子的防御機構により提示される。細胞傷害性T細胞は、これらの抗原を認識し、これらの抗原を保有する細胞を死滅させうる。
【0144】
[00238]「リガンド」とは、受容体など、別の分子に結合するか、またはこれらと複合体を形成することが可能である分子を指す場合がある。リガンドは、タンパク質、糖タンパク質、炭水化物、リポタンパク質、ホルモン、脂肪酸、リン脂質、または受容体に結合する、任意の構成要素を含みうるがこれらに限定されない。一部の実施形態では、受容体は、特異的リガンドを有する。一部の実施形態では、受容体は、リガンドに広域的に結合する場合があり、この場合、受容体は、構造的構成、電荷分布、または他の任意の物理化学的特徴において、少なくとも1つの類似性を共有する、いくつかのリガンドに結合しうる。リガンドは、生体分子でありうる。リガンドは、非生体材料でありうる。例えば、リガンドは、スカベンジャー受容体MARCOである、負帯電粒子に対するリガンドでありうる。例えば、リガンドは、スカベンジャー受容体SRA1である、TiOに対するリガンドでありうる。
【0145】
[00239]「主要組織適合性複合体(MHC)」、「MHC分子」、または「MHCタンパク質」という用語は、抗原性ペプチドに結合し、抗原性ペプチドを、Tリンパ球へと提示することが可能なタンパク質を指す。このような抗原性ペプチドは、T細胞エピトープを表酢場合がある。ヒトMHCはまた、HLA複合体とも呼ばれる場合がある。したがって、「ヒト白血球抗原(HLA)」、「HLA分子」、または「HLAタンパク質」という用語は、「主要組織適合性複合体(MHC)」、「MHC分子」、および「MHCタンパク質」という用語と、互換的に使用される。HLAタンパク質は、HLAクラスIと分類される場合もあり、HLAクラスIIと分類される場合もある。2つのHLAクラスのタンパク質の構造な、極めて類似するが;これらは、全く異なる機能を有する。クラスIのHLAタンパク質は、大半の腫瘍細胞を含む、体内のほぼ全ての細胞の表面上に存在する。クラスIのHLAタンパク質は、通例、細胞内に存在する、内因性タンパク質または病原体由来する抗原をロードされ、次いで、ナイーブまたは細胞傷害性T-リンパ球(CTL)へと提示される。HLAクラスIIタンパク質は、樹状細胞、B細胞、およびマクロファージを含むがこれらに限定されない、抗原提示細胞(APC)上に存在する。HLAクラスIIタンパク質は、主に、外部、例えば、細胞の外部の抗原供給源からプロセシングされたペプチドを、ヘルパーT細胞へと提示する。
【0146】
[00240]HLAクラスII系では、マクロファージおよび未成熟樹状細胞などの貪食細胞は、貪食により、実体を、その酸性酵素が、取り込まれたタンパク質を、多くの異なるペプチドへと切断するリソソーム融合するファゴソーム(ただし、B細胞は、エンドソームへの、より一般的なエンドサイトーシスを呈する)へと取り込みうる。オートファジーは、HLAクラスIIペプチドの、別の供給源である。最も研究が進んだ、サブクラスIIのHLA遺伝子は、HLA-DPA1、HLA-DPB1、HLA-DQA1、HLA-DQB1、HLA-DRA、およびHLA-DRB1である。
【0147】
[00241]HLAクラスII分子による、CD4+ヘルパーT細胞への、ペプチドの提示は、外来抗原に対する免疫応答をもたらす。活性化されると、CD4+ T細胞は、B細胞分化および抗体産生のほか、CD8+ T細胞(CTL)応答を促進しうる。CD4+ T細胞はまた、他の免疫細胞の分化を活性化し、これらを誘導する、サイトカインおよびケモカインも分泌しうる。HLAクラスII分子は、典型的に、クラスIペプチド結合溝より開放的なペプチド結合溝を形成するように相互作用する、α鎖と、β鎖とによるヘテロニ量体である。
【0148】
[00242]HLA対立遺伝子は、典型的に、共優性的な形で発現される。例えば、各人が、3つのクラスI遺伝子(HLA-A、HLA-B、およびHLA-C)の各々の、2つずつの対立遺伝子を保有するので、6つの異なる種類のクラスII HLAを発現しうる。クラスII HLA遺伝子座では、各人は、HLA-DP遺伝子(α鎖およびβ鎖をコードする、DPA1およびDPB1)、HLA-DQ(αおよびβ鎖についての、DQA1およびDQB1)、1つの遺伝子である、HLA-DRα(DRA1)、および1つまたは複数の遺伝子である、HLA-DRβ(DRB1およびDRB3、DRB4、またはDRB5)の対を継承する。HLA-DRB1は、例えば、約400種を超える、公知の対立遺伝子を有する。これは、1つのヘテロ接合性個体が、6つまたは8つの機能的クラスII HLA対立遺伝子:各親から、3つまたはこれを超える対立遺伝子を継承しうることを意味する。したがって、HLA遺伝子は、高度に多型的であり;多くの異なる対立遺伝子が、集団内の異なる個体に存在する。HLAタンパク質をコードする遺伝子は、多くの可能なバリエーションを有し、各人の免疫系が、広範にわたる外来侵入物に反応することを可能とする。一部のHLA遺伝子は、それらの各々が、特定の番号を与えられた、数百に及ぶバージョン(対立遺伝子)を同定されている。一部の実施形態では、クラスI HLA対立遺伝子は、HLA-A*02:01、HLA-B*14:02、HLA-A*23:01、HLA-E*01:01(非古典的)である。一部の実施形態では、クラスII HLA対立遺伝子は、HLA-DRB*01:01、HLA-DRB*01:02、HLA-DRB*11:01、HLA-DRB*15:01、およびHLA-DRB*07:01である。
【0149】
[00243]「骨髄細胞」とは、広く、造血細胞系のうちの、骨髄系統の細胞を指し、例えば、リンパ球系統を除外する場合がある。骨髄細胞は、例えば、顆粒球系統および単球系統の細胞を含む。骨髄細胞は、骨髄中の造血幹細胞に由来する、共通の前駆細胞から分化される。骨髄細胞系統への拘束は、別個の転写因子の活性化により統御される場合があり、したがって、骨髄細胞は、細胞外刺激および細胞内刺激に基づき、末端の細胞型へと、さらに分化する能力として記載されうるレベルの可塑性を有する細胞として特徴付けられうる。骨髄細胞は、それらの表面上における、多様なケモカイン受容体を介して、局所組織へと、急速に動員されうる。骨髄細胞は、多様なサイトカインおよびケモカインに対して応答性である。
【0150】
[00244]骨髄細胞は、例えば、骨髄内で、G-CSF、GM-CSF、Flt3L、CCL2、VEGF、およびS100A8/9など、1つまたは複数のサイトカインおよびケモカインの影響下において、造血幹細胞由来する細胞でありうる。一部の実施形態では、骨髄細胞は、前駆細胞である。一部の実施形態では、骨髄細胞は、共通の骨髄前駆細胞、または顆粒球前駆細胞、骨髄芽細胞、または単球-樹状細胞前駆細胞、またはこれらの組合せの特徴を有する細胞でありうる。骨髄は、顆粒球もしくは単球、またはこれらの前駆細胞を含みうる。骨髄は、未成熟顆粒球、未成熟単球、未成熟マクロファージ、未成熟好中球、および未成熟樹状細胞を含みうる。骨髄は、単球または前単球性細胞または単球前駆体を含みうる。場合によって、本明細書で使用される骨髄細胞は、M0表現型、M1表現型、またはM2表現型を有する単球を指す場合がある。骨髄は、樹状細胞(DC)、成熟DC、単球由来DC、形質細胞様DC、前樹状細胞、またはDC前駆体を含みうる。骨髄は、成熟好中球、好中球前駆体、または多形核球(PMN)でありうる、好中球を含みうる。骨髄は、マクロファージ、単球由来マクロファージ、組織マクロファージ、M0表現型、M1表現型、またはM2表現型のマクロファージを含みうる。骨髄は、腫瘍浸潤単球(TIM)を含みうる。骨髄は、腫瘍関連単球(TAM)を含みうる。骨髄は、骨髄由来抑制細胞(MDSC)を含みうる。骨髄は、組織内常在マクロファージを含みうる。骨髄は、腫瘍関連DC(TADC)を含みうる。したがって、骨髄細胞は、1つまたは複数の細胞表面マーカー、例えば、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD38、CCR5、CD66、Lox-1、CD11c、CD64、CD68、CD163、CCR2、CCR5、HLA-DR、CD1c、CD83、CD141、CD209、CD205、Pセレクチン、インテグリン、ICAMS、VCAMS、MHC-II、CD123、CD303、CD304、SIGLECファミリータンパク質、およびCLECファミリータンパク質を発現しうる。場合によって、骨髄細胞は、細胞表面マーカー、例えば、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD66、Lox-1、CD11c、CD64、CD68、CD163、CCR2、CCR5、HLA-DR、CD1c、CD83、CD141、CD209、MHC-II、CD123、CD303、CD304、またはこれらの組合せのうちの1つまたは複数の、高度の発現または低度の発現により特徴付けられうる。
【0151】
[00245]「貪食」は、「飲作用」と互換的に使用され、細胞が、がん細胞または感染細胞などの粒子を飲み込む過程を指す場合がある。この過程は、粒子を含有する、内部コンパートメント(ファゴソーム)をもたらしうる。この過程は、がん細胞または感染細胞などの粒子を取り込み、かつ/またはこれらを、体内から除去するのに使用されうる。貪食受容体は、貪食過程に関与しうる。貪食過程は、免疫応答および抗原提示と緊密に連関しうる。外因性抗原のプロセシングは、一部の種類のエンドサイトーシスイベントによる、それらの、プロフェッショナル抗原提示細胞への取込みを後続させる。貪食はまた、抗原提示も容易としうる。例えば、貪食された細胞または病原体に由来する抗原であって、がん抗原を含む抗原は、プロセシングされ、APCの細胞表面上に提示されうる。
【0152】
[00246]「ポリペプチド」とは、糖タンパク質、リポタンパク質、細胞タンパク質、または膜タンパク質など、ペプチド結合を介して、一緒に連結されたアミノ酸を含有する分子を指す場合がある。ポリペプチドは、タンパク質の、1つまたは複数のサブユニットを含みうる。ポリペプチドは、組換え核酸によりコードされうる。一部の実施形態では、ポリペプチドは、単一のアミノ酸鎖内に、スペーサー、リンカーまたはペプチド切断配列により隔てられうる、1つを超えるペプチド配列を含みうる。ポリペプチドは、融合ポリペプチドでありうる。ポリペプチドは、1つまたは複数のドメイン、モジュール、または部分を含みうる。
【0153】
[00247]「受容体」とは、細胞外シグナルを、細胞へと伝達するポリペプチドなど、シグナルを伝達するポリペプチドから構成される化学構造を指す場合がある。受容体は、細胞内の情報、細胞または生物の形成を伝えるのに用いられる。受容体は、少なくとも1つの受容体ユニットを含み、2つまたはこれを超える受容体ユニットを含有する場合があり、この場合、各受容体ユニットは、タンパク質分子、例えば、糖タンパク質分子を含む。受容体は、リガンドに結合し、リガンドと複合体を形成しうる構造を含有しうる。シグナル伝達情報は、細胞の表面上のリガンドへの結合に続く、受容体のコンフォメーション変化により伝えられる場合がある。
【0154】
[00248]「抗体」という用語は、免疫グロブリンとして一般に公知である、タンパク質のクラスであって、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む)、IgA(IgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgM、およびIgYを含むがこれらに限定されないタンパク質のクラスを指す。「抗体」という用語は、全長抗体、単鎖抗体、単一ドメイン抗体(sdAb)、およびこれらの抗原結合性断片を含むがこれらに限定されない。抗原結合性抗体断片は、Fab、Fab’、およびF(ab’)2、Fd(VおよびC1からなる)、単鎖可変断片(scFv)、単鎖抗体、ジスルフィド連結された可変断片(dsFv)、およびVドメインおよび/またはVドメインを含む断片を含むがこれらに限定されない。抗体は、任意の動物に由来しうる。単鎖抗体を含む、抗原結合性抗体断片は、単独における可変領域(複数可)を含む場合もあり、ヒンジ領域、CH1ドメイン、CH2ドメイン、およびCH3ドメインのうちの1つまたは複数と組み合わせられた可変領域(複数可)を含む場合もある。また、可変領域(複数可)と、ヒンジ領域、CH1、CH2、およびCH3ドメインとの、任意の組合せも含まれる。抗体は、例えば、HLA関連ポリペプチドまたはHLA-ペプチド複合体に特異的に結合する、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ならびにヒトモノクローナル抗体およびヒトポリクローナル抗体でありうる。本明細書で使用される、「結合剤」とは、標的に結合しうる結合性ドメインを含むポリペプチドを表し、この場合、結合剤に対する標的は、タンパク質、例えば、がん抗原、糖タンパク質などでありうる。結合剤は、CFP、例えば、CARを表すのに使用されることが多く、それが結合する標的により命名される(例えば、CD5抗原に対する結合性ドメインを含むCD5結合剤)。場合によって、同じ結合剤が、代替的に、または互換的に称される(抗CD5結合剤または抗TROP2結合剤)。一般に使用される、結合剤という用語は、結合性ドメインを有する、任意の分子を指す。場合によって、記載される文脈により、結合剤は、BiMEの場合もあり、TRiMEの場合もある。
【0155】
[00249]「組換え核酸」という用語は、組換え手段により調製されるか、発現されるか、創出されるか、または分離された核酸を指す。組換え核酸は、自然発生ではないヌクレオチド配列を含有しうる。組換え核酸は、実験室で合成されうる。組換え核酸は、組換えDNA技術、例えば、酵素制限消化、ライゲーション、およびDNAクローニングなど、DNAの酵素修飾を使用することにより調製されうる。組換え核酸は、DNA、RNA、これらの類似体、またはこれらの組合せでありうる。組換えDNAは、メッセンジャーRNA(mRNA)を作出することなどのために、ex vivoで転写される場合もあり、in vitroで転写される場合もある。組換えmRNAは、分離され、精製され、細胞にトランスフェクトするのに使用されうる。組換え核酸は、タンパク質またはポリペプチドをコードしうる。
【0156】
[00250]核酸を、細胞へと導入するか、または組み込む過程は、形質転換、トランスフェクション、または形質導入を介しうる。形質転換とは、細菌細胞による、外来核酸の取込みの過程である。この工程は、プラスミドDNAの繁殖、タンパク質の作製、および他の適用に適合される。形質転換は、細胞外DNAを、環境から取り込む、コンピテントの細菌細胞へと、組換えプラスミドDNAを導入する。一部の細菌種は、ある特定の環境条件下で、天然でコンピテントであるが、コンピテンスは、実験室状況において、人工的に誘導される。トランスフェクションとは、DNA、RNA、または抗体などの低分子の、真核細胞への導入である。トランスフェクションはまた、バクテリオファージの、細菌細胞への導入も指す場合がある。「形質導入」が、多くの場合、組換えウイルスベクター粒子の、標的細胞への導入について記載するのに使用されるのに対し、「感染」とは、ヒトまたは動物への、野生型ウイルスの天然の感染を指す。
【0157】
[00251]「ベクター」という用語は、宿主細胞内の自律的複製が可能であり、核酸分子のクローニングを可能とする核酸分子を指す場合がある。当業者公知の通り、ベクターは、プラスミド、コスミド、ファージミド、ウイルスベクター、ファージベクター、酵母ベクター、哺乳動物ベクターなどを含むがこれらに限定されない。例えば、外因性遺伝子を形質転換するためのベクターは、プラスミドでありうる。ある特定の実施形態では、ベクターは、複製起点、ならびに宿主細胞内の核酸配列の複製および/または維持に必要な他のエレメントを含有する核酸配列を含む。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクターまたはプラスミドは、発現ベクターである。発現ベクターは、それらが作動的に連結された、遺伝子および/または核酸配列の発現を方向付けることが可能である。一部の実施形態では、発現ベクターまたはプラスミドは、環状二本鎖DNA分子の形態にある。ベクターまたはプラスミドは、宿主細胞のゲノムへと組み込まれる場合もあり、組み込まれない場合もある。一部の実施形態では、プラスミドの核酸配列は、導入の後で、宿主細胞のゲノム内または染色体内に組み込まれない。例えば、プラスミドは、宿主細胞内における核酸配列、例えば、プラスミドにより保有される遺伝子またはオープンリーディングフレームの一過性発現または安定的発現のためのエレメントを含みうる。一部の実施形態では、ベクターは、一過性発現ベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、宿主細胞内で自律的に複製される、安定発現ベクターである。一部の実施形態では、プラスミドの核酸配列は、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムまたは染色体へと組み込まれる。本明細書で開示される方法において使用されうる発現ベクターは、プラスミド、エピソーム、細菌人工染色体、酵母人工染色体、バクテリオファージ、またはウイルスベクターを含むがこれらに限定されない。ベクターは、DNAベクターの場合もあり、RNAベクターの場合もある。一部の実施形態では、本明細書で提供されるベクターは、宿主細胞への導入時に、宿主細胞のゲノムへとの統合(例えば、逆転写を介する)が可能である、RNAベクター、例えば、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。当業者により公知である、同等の機能を果たす、他の形態の発現ベクター、例えば、自己複製型染色体外ベクター、または宿主ゲノムへの統合が可能であるベクターもまた、使用されうる。例示的なベクターは、それらが連結された核酸の、自律的複製および/または自律的発現が可能であるベクターである。
【0158】
[00252]融合タンパク質に言及して使用される、「スペーサー」または「リンカー」という用語は、融合タンパク質の、他の2つのペプチド配列を接続するペプチド配列を指す。一部の実施形態では、リンカーまたはスペーサーは、タンパク質もしくはRNA配列を接続するか、またはタンパク質もしくはRNA配列の間の、何らかの最小限の距離または他の空間関係を保存すること以外に、具体的生体活性を有さない。一部の実施形態では、スペーサーの構成要素であるアミノ酸は、分子のフォールディング、可撓性、正味の電荷、または疎水性など、一部の分子特性に影響を与えるように選択されうる。本開示の実施形態における使用に適するリンカーは、当業者に周知であり、直鎖状または分枝鎖状である炭素リンカー、複素環式炭素リンカー、またはペプチドリンカーを含むがこれらに限定されない。一部の実施形態では、リンカーは、2つまたはこれを超えるポリペプチド、例えば、2つの抗原性ペプチドを、各抗原性ペプチドが、適正にフォールディングすることを確保するのに十分な距離だけ隔てるのに使用される。例示的なペプチドリンカー配列は、可撓性の伸展型コンフォメーションを取り、秩序化二次構造の発生への傾向を呈さない。可撓性のリンカータンパク質領域内のアミノ酸は、Gly、Asn、およびSer、またはGly、Asn、およびSerを含有するアミノ酸配列の、任意の並べ替えを含みうる。ThrおよびAlaなど、他の中性近傍のアミノ酸もまた、リンカー配列内で使用されうる。
【0159】
[00253]「~を処置する」、「処置された」、「~を処置すること」、「処置」などの用語は、障害および/またはこれと関連する症状(例えば、新生物もしくは腫瘍、または感染作用物質、または自己免疫疾患)を低減、防止、または改善することを指すように意図される。「~を処置すること」とは、疾患(例えば、がん、または感染作用物質による感染、または自己免疫疾患)の発症、または発症の疑いの後における対象への、治療の投与を指す場合がある。「~を処置すること」は、疾患と関連する任意の症状もしくは他の疾病の影響、および/または治療と関連する副作用の発生もしくは再発の頻度、または重症度を低下させることを指す場合がある、「~を緩和すること」の概念「~を処置すること」という用語はまた、も包摂する。患者における、疾患または障害の重症度を軽減すること、例えば、疾患を伴う患者の寿命を伸ばすか、もしくは生存性を延長すること、またはその再発を遅延させること、例えば、疾患を患ったことがある患者における寛解期間を延ばすことを指す、「~を管理すること」の概念を含む。障害または状態の処置が、障害、状態、またはこれと関連する症状が、完全に消失されることが、除外されるわけではないが、これを要求するわけではないことが察知される。本明細書で使用される、「~を防止する」、「~を防止すること」、「防止」という用語、およびこれらの文法的同等物は、薬剤または化合物の投与が始まる時点において、このような症状を発症していない対象において、疾患または状態と関連する症状の発症を回避するか、またはこれを遅延させることを指す場合がある。ある特定の実施形態では、本明細書で記載される、対象または患者の処置は、薬物、代謝物、防止的成分、核酸、ペプチド、またはタンパク質などの治療用組成物であって、薬物、代謝物、または防止的成分をコードするか、または他の形で形成する、治療用組成物の投与を含む。一部の実施形態では、処置は、細胞または細胞集団を、それを必要とする対象へと投与するステップを含む。一部の実施形態では、処置は、対象へと、本明細書で記載される、操作された細胞のうちの1つまたは複数、例えば、1つまたは複数の操作された貪食細胞などの骨髄細胞を投与するステップを含む。処置は、病理学的な疾患、状態、または症候群の場合もあり、潜在的疾患、状態、または症候群の場合もある、疾患または状態または症候群の処置を含む。場合によって、本明細書で使用される処置は、治療用ワクチンを投与するステップを含みうる。一部の実施形態では、操作された貪食細胞が、患者または対象へと投与される。一部の実施形態では、ヒト対象へと投与される細胞は、免疫原性の低減を結果としてもたらす。例えば、操作された貪食細胞は、移植片対宿主病(GVHD)またはフラトリサイド効果をもたらさないか、またはこれらの低減をもたらしうる。一部の実施形態では、ヒト対象へと投与される操作された細胞は、対象に対して、免疫適合性である(すなわち、対象において、天然で発現されるHLA亜型とのマッチングを有する)。対象特異的HLA対立遺伝子、または対象のHLA遺伝子型は、当技術分野で公知の任意の方法により決定されうる。例示的実施形態では、方法は、遺伝子多型を決定するステップであって、遺伝子多型を有する対立遺伝子変異体を含む、遺伝子参照セットに照らした、データセットのシーケンシングから抽出されるリードのアライメントを生成するステップ、アライメントにおいて、各対立遺伝子変異体についての、第1の事後確率または事後確率から導出されるスコアを決定するステップ、第1の事後確率または事後確率から導出されるスコアが最大である対立遺伝子変異体を、第1の対立遺伝子変異体として同定するステップ、第1の対立遺伝子変異体、および1つまたは複数の他の対立遺伝子変異体によりアライメントされた、1つまたは複数の重複リードを同定するステップ、重み付け係数を使用して、1つまたは複数の他の対立遺伝子変異体についての、第2の事後確率または事後確率から導出されるスコアを決定するステップ、第1の対立遺伝子変異体および第2の対立遺伝子変異体が、遺伝子多型の遺伝子型を規定する場合に、第2の事後確率または事後確率から導出されるスコアが最大である対立遺伝子変異体を選択することにより、第2の対立遺伝子変異体を同定するステップ、ならびに第1の対立遺伝子変異体および第2の対立遺伝子変異体についてのアウトプットを与えるステップを含みうるステップを含む。
【0160】
[00254]「断片」とは、タンパク質または核酸の部分を指す場合がある。一部の実施形態では、断片は、参照タンパク質または参照核酸の生体活性のうちの、少なくとも50%、75%、または80%、または90%、95%、なおまたは99%を保持する。
【0161】
[00255]「単離された」、「精製された」、「生物学的に純粋である」という用語、およびこれらの文法的同等物は、その天然状態で見出される通り、通常、これに随伴する構成要素が、多様な程度で非含有である素材を指す。「~を単離する」とは、元の供給源または環境からの単離の程度を表す。「~を精製する」とは、単離より高度である、単離の程度を表す。「精製された」タンパク質または「生物学的に純粋である」タンパク質は、不純物が、タンパク質の生物学的特性に、実質的な影響を及ぼさないか、または他の有害な帰結を引き起こさないように、他の素材が、十分に非含有である。すなわち、本開示の核酸またはペプチドは、組換えDNA法により作製される場合に、細胞素材、ウイルス素材、もしくは培養培地が、実質的に非含有であるか、または化学合成される場合に、化学的前駆体もしくは他の化学物質が、実質的に非含有である場合に、精製されている。純度および均一性は、典型的に、分析化学法、例えば、ポリアクリルアミドゲル電気泳動または高速液体クロマトグラフィーを使用して決定される。「精製された」という用語は、核酸またはタンパク質が、電気泳動ゲル内で、本質的に1つのバンドをもたらすことを表す場合がある。修飾、例えば、リン酸化またはグリコシル化にかけられうるタンパク質について、異なる修飾は、個別に精製されうる、異なる単離タンパク質をもたらしうる。
【0162】
[00256]「新生物」または「がん」という用語は、不適切に高レベルの細胞分裂、不適切に低レベルのアポトーシス、またはこれらの両方により引き起こされるか、またはこれらの結果としてもたらされる、任意の疾患を指す。神経膠芽腫は、新生物またはがんの、1つの非限定例である。「がん」または「腫瘍」または「過剰増殖性障害」という用語は、コントロール不能の増殖、不死性、転移の可能性、急速な増殖、および増殖率、ならびにある特定の特徴的な形状特色など、がん原因細胞に典型的な特徴を保有する細胞の存在を指す。がん細胞は、腫瘍形態であることが多いが、このような細胞は、動物において、単独で存在する場合もあり、白血病細胞など、非腫瘍原性のがん細胞の場合もある。
【0163】
[00257]「ワクチン」という用語とは、疾患(例えば、新生物/腫瘍/感染作用物質/自己免疫疾患)の予防および/または処置のために、免疫を発生させるための組成物を意味するものとして理解されるべきである。したがって、本明細書で使用されるワクチンとは、組換え核酸、または組換え核酸を含み、これを発現する細胞を含み、ワクチン接種により、特異的防御および保護物質を作出するために、ヒトまたは動物において使用されることが意図される薬剤である。「ワクチン組成物」は、薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤を含みうる。本開示の態様は、貪食細胞ベースワクチンの調製における、技術の使用に関する。
【0164】
[00258]「薬学的に許容される」という用語とは、ヒトを含む動物における使用について、米国連邦政府もしくは米国州政府の規制機関により承認されているか、もしくは承認可能であるか、または米国薬局方もしくは他の一般に認識された薬局方に収載されていることを指す。「薬学的に許容される賦形剤、担体、または希釈剤」とは、薬剤と一緒に対象に投与することが可能であり、その薬理学的活性を破壊せず、治療量の薬剤を送達するのに十分な用量で投与された場合に、非毒性である、賦形剤、担体、または希釈剤を指す。
【0165】
[00259]本開示の方法において有用な核酸分子は、活性を有するまたはポリペプチドをコードする任意の核酸分子を含むがこれらに限定されない。内因性配列に対する実質的な同一性を有するポリヌクレオチドは、典型的に、二本鎖核酸分子のうちの、少なくとも一方の鎖とハイブリダイズすることが可能である。「ハイブリダイズする」とは、多様な厳密性の条件下で、核酸分子が、相補的なポリヌクレオチド配列、またはそれらの部分の間で対合して、二本鎖分子を形成する場合を指す(例えば、Wahl,G.M.およびS L.Berger(1987)、Methods Enzymol.、152:399;Kimmel,A.R.(1987)、Methods Enzymol.、152:507を参照されたい)。例えば、厳密な塩濃度は、通例、約750mM未満のNaClおよび75mMのクエン酸三ナトリウム、約500mM未満のNaClおよび50mMのクエン酸三ナトリウム、または約250mM未満のNaClおよび25mMのクエン酸三ナトリウムでありうる。低厳密性のハイブリダイゼーションが、有機溶媒、例えば、ホルムアミドの非存在下で得られうるのに対し、高厳密性のハイブリダイゼーションは、少なくとも約35%のホルムアミドの存在下で、または少なくとも約50%のホルムアミドの存在下で得られうる。厳密な温度条件は、通例、少なくとも約30℃、少なくとも約37℃、または少なくとも約42℃の温度を含みうる。当業者には、ハイブリダイゼーション時間、洗浄剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)の濃度、および担体DNAの組入れまたは除外など、さらなるパラメータの変動も周知である。必要に応じて、これらの多様な条件を組み合わせることにより、多様なレベルの厳密性が達せられる。例示的実施形態では、ハイブリダイゼーションは、750mMのNaCl、75mMのクエン酸三ナトリウム、および1%のSDS中、30℃で生じうる。別の例示的実施形態では、ハイブリダイゼーションは、500mMのNaCl、50mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、35%のホルムアミド、および100μg/mlの変性サケ精子DNA(ssDNA)中、37℃で生じうる。別の例示的実施形態では、ハイブリダイゼーションは、250mMのNaCl、25mMのクエン酸三ナトリウム、1%のSDS、50%のホルムアミド、および200μg/mlのssDNA中、42℃で生じうる。当業者には、これらの条件における、有用な変動がたやすく明らかであろう。大半の適用では、ハイブリダイゼーションに後続する洗浄ステップもまた、厳密性が変動しうる。洗浄の厳密性条件は、塩濃度および温度により規定されうる。上記の通り、洗浄の厳密性は、塩濃度を減少させることにより増大される場合もあり、温度を上昇させることにより増大される場合もある。例えば、洗浄ステップのための厳密な塩濃度は、約30mM未満のNaClおよび3mMのクエン酸三ナトリウムの場合もあり、約15mM未満のNaClおよび1.5mMのクエン酸三ナトリウムの場合もある。洗浄ステップのための厳密な温度条件は、少なくとも約25℃、少なくとも約42℃、または少なくとも約68℃の温度を含みうる。例示的実施形態では、洗浄ステップは、30mMのNaCl、3mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1%のSDS中、25℃で生じうる。他の例示的実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1%のSDS中、42℃で生じうる。別の例示的実施形態では、洗浄ステップは、15mMのNaCl、1.5mMのクエン酸三ナトリウム、および0.1%のSDS中、68℃で生じるであろう。当業者には、これらの条件における、さらなる変動がたやすく明らかであろう。当業者には、ハイブリダイゼーション法が周知であり、例えば、BentonおよびDavis(Science、196:180、1977);GrunsteinおよびHogness(Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、72:3961、1975);Ausubelら(「Current Protocols in Molecular Biology」、Wiley Interscience、New York、2001);BergerおよびKimmel(「Guide to Molecular Cloning Techniques」、1987、Academic Press、New York);ならびにSambrookら、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、Cold Spring Harbor Laboratory Press、New Yorkにおいて記載されている。
【0166】
[00260]「実質的に相同な」とは、参照アミノ酸配列(例えば、本明細書で記載されるアミノ酸配列のうちのいずれか1つ)または参照核酸配列(例えば、本明細書で記載される核酸配列のうちのいずれか1つ)に対する少なくとも50%の同一性を呈示する、ポリペプチドまたは核酸分子を指す。このような配列は、アミノ酸レベルまたは核酸レベルにおいて、比較のために使用される配列と少なくとも60%、80%、もしくは85%、90%、95%、96%、97%、98%、なおもしくは99%、またはこれを超えて同一でありうる。配列相同性は、典型的に、配列解析ソフトウェア(例えば、Sequence Analysis Software Package of the Genetics Computer Group、University of Wisconsin Biotechnology Center、1710 University Avenue、Madison、Wis.53705、BLASTプログラム、BESTFITプログラム、GAPプログラム、またはPILEUP/PRETTYBOXプログラム)を使用して測定される。このようなソフトウェアは、相同性の程度を、多様な置換、欠失、および/または他の修飾へと割り当てることにより、同一な配列または同様の配列をマッチさせる。保存的置換は、典型的に、以下の群:グリシン、アラニン;バリン、イソロイシン、ロイシン;アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン;セリン、トレオニン;リシン、アルギニン;およびフェニルアラニン、チロシン内に置換を含む。同一性の程度を決定する、例示的手法では、BLASTプログラムが使用される場合があり、e-3~e-mの間の確率スコアが、近縁配列を指し示しうる。「参照」とは、比較の基準である。それぞれの配列内の、特異的位置または残基の番号付けは、特定のタンパク質、および使用される番号付けスキームに依存することが理解されるであろう。番号付けは、例えば、成熟タンパク質の前駆体と、成熟タンパク質自体とで異なる場合があり、種間の配列の差違は、番号付けに影響を及ぼしうる。当業者は、当技術分野で周知の方法により、例えば、参照配列に照らした配列アライメント、および相同な残基の決定により、任意の相同なタンパク質内、およびそれぞれをコードする核酸内において、それぞれの残基を同定することが可能であろう。
【0167】
[00261]「対象」という用語または「患者」とは、処置、観察、または実験を目的とする、動物(例えば、ヒト)などの生物を指す。例だけを目的として述べると、対象は、非ヒト霊長動物、ネズミ科動物、ウシ科動物、ウマ科動物、イヌ科動物、ヒツジ科動物、またはネコ科動物など、ヒトまたは非ヒト哺乳動物を含むがこれらに限定されない哺乳動物を含むがこれらに限定されない。
【0168】
[00262]「治療効果」という用語とは、障害(例えば、新生物、腫瘍、または感染作用物質による感染、または自己免疫性疾患)またはその関連病態の症状のうちの1つまたは複数に対するある程度の緩和を指す。本明細書で使用される、「治療有効量」とは、単回投与用量または複数回投与用量における、細胞または対象への投与時に、このような処置の非存在下で予測される場合を越えて、このような障害を伴う患者の生存性を延長するか、障害の1つもしくは複数の徴候もしくは症状を軽減するか、障害を防止するか、または遅延させるのに有効である薬剤の量を指す。「治療有効量」は、治療効果を達成するのに要求される量を定量することが意図される。医療技術分野における当業者である主治医または獣医は、要求される、医薬組成物の「治療有効量」(例えば、ED50)を、たやすく決定し、これを処方することができる。
【0169】
[00263]本明細書では、標的細胞に特異的に結合するようにデザインされた、操作された骨髄細胞(好中球、単球、骨髄樹状細胞(mDC)、マスト細胞、およびマクロファージを含むがこれらに限定されない)が提供される。操作された骨髄細胞は、標的細胞を、直接的に(例えば、貪食により)攻撃し、これを死滅させる場合もあり、かつ/または間接的に(例えば、T細胞を活性化することにより)攻撃し、これを死滅させる場合もある。一部の実施形態では、標的細胞は、がん細胞である。
【0170】
[00264]がんは、本開示において、詳細に記載される、1つの例示的実施形態であるが、本明細書で記載される方法および技術は、体内の感染細胞または他の形で罹患した細胞の標的化において有用であることが想定される。同様に、本明細書では、操作された細胞を使用する、治療用組成物およびワクチン組成物について記載される。
【0171】
[00265]本明細書では、がんなどの疾患または状態を処置するための組成物および方法が提供される。本明細書で提供される組成物および方法は、好中球、単球、骨髄樹状細胞(mDC)、マスト細胞、およびマクロファージを含むがこれらに限定されない、ヒト骨髄細胞を利用して、がん細胞などの罹患細胞を標的化する。本明細書で提供される組成物および方法は、T細胞の活性化および動員、エフェクター免疫細胞の活性化(例えば、CD8 T細胞およびNK細胞の活性化)、抗原の交差提示、炎症応答の増強、制御性T細胞の低減、および貪食を含む、様々な機構により、がん細胞などの罹患細胞、および/または罹患組織を消失させるのに使用されうる。例えば、骨髄細胞は、がん細胞に対する免疫応答を維持するのに使用されうる。
【0172】
[00266]本明細書では、貪食受容体(PR)融合タンパク質(PFP)、スカベンジャー受容体(SR)融合タンパク質(SFP)、インテグリン受容体(IR)融合タンパク質(IFP)、またはカスパーゼ動員受容体(カスパーゼ-CAR)融合タンパク質などのキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする、組換え核酸を含む組成物が提供される。組換え核酸によりコードされるCFPは、標的細胞の抗原に結合する抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメイン(ECD)を含みうる。細胞外ドメインは、ヒンジドメインまたは細胞外ドメインなどの受容体に由来する、ヒンジドメインまたは細胞外ドメインへと融合されうる。組換え核酸によりコードされるCFPは、CD2、CD8、CD28、CD68、貪食受容体、スカベンジャー受容体、またはインテグリン受容体に由来する膜貫通ドメインなどの膜貫通ドメインをさらに含みうる。一部の実施形態では、組換え核酸によりコードされるCFPは、貪食受容体、スカベンジャー受容体、またはインテグリン受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどの細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインをさらに含む。例えば、細胞内ドメインは、貪食受容体、スカベンジャー受容体、またはインテグリン受容体に由来する、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含みうる。例えば、細胞内ドメインは、貪食活性、炎症応答、一酸化窒素の産生、インテグリンの活性化、エフェクター細胞遊走の増強(例えば、ケモカイン受容体の発現を介する)、抗原提示、および/または交差提示の増強を促進する、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含みうる。一部の実施形態では、CFPは、貪食受容体融合タンパク質(PFP)である。一部の実施形態では、CFPは、貪食スカベンジャー受容体融合タンパク質(PFP)である。一部の実施形態では、CFPは、インテグリン受容体融合タンパク質(IFP)である。一部の実施形態では、CFPは、炎症性受容体融合タンパク質である。一部の実施形態では、組換え核酸によりコードされるCFPは、動員ドメインを含む細胞内ドメインをさらに含む。例えば、細胞内ドメインは、1つまたは複数のPI3K動員ドメイン、カスパーゼ動員ドメイン、またはカスパーゼ活性化/動員ドメイン(CARD)を含みうる。
【0173】
[00267]本明細書では、(i)膜貫通ドメインおよび(ii)貪食受容体細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;ならびに抗原、例えば、標的細胞の抗原、または標的細胞上に提示される抗原に特異的である細胞外抗原結合性ドメインを含み;融合受容体の細胞外抗原結合性ドメインによる標的への抗原結合が、貪食受容体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化するように、膜貫通ドメインおよび細胞外抗原結合性ドメインが作動的に連結されたCFP(例えば、貪食受容体融合タンパク質(PFP))をコードする組換え核酸を含む組成物が提供される。
【0174】
[00268]一部の実施形態では、CFPの細胞外ドメインは、Ig結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、IgA、IgD、IgE、IgG、IgM、FcRγI、FcRγIIA、FcRγIIB、FcRγIIC、FcRγIIIA、FcRγIIIB、FcRn、TRIM21、FcRL5結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPの細胞外ドメインは、FcR細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPの細胞外ドメインは、FcRα、FcRβ、FcRε、またはFcRγの細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、FcRα(FCAR)細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、FcRβ細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、FCER1A細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、FCGR1A、FCGR2A、FCGR2B、FCGR2C、FCGR3A、またはFCGR3Bの細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、インテグリンドメインまたはインテグリン受容体ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、1つまたは複数のインテグリンドメインである、α1、α2、αIIb、α3、α4、α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11、αD、αE、αL、αM、αV、αX、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、またはβ8を含む。
【0175】
[00269]一部の実施形態では、CFPは、膜貫通ドメインおよび細胞外抗原結合性ドメインへと作動的に連結された細胞外ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、受容体の細胞外ドメイン、ヒンジ、スペーサー、および/またはリンカーをさらに含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、貪食受容体の細胞外部分を含む。一部の実施形態では、CFPの細胞外部分は、細胞内シグナル伝達ドメインが由来する受容体と同じ受容体に由来する。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、スカベンジャー受容体の細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、免疫グロブリンのドメインを含む。一部の実施形態では、免疫グロブリンのドメインは、免疫グロブリンの細胞外ドメインまたは免疫グロブリンのヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、食細胞貪食ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、多量体アセンブリーが可能な構造を含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、多量体化のための土台を含む。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、300、400、または500アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、最大で、500、400、300、200、または100アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、標的細胞の抗原に特異的に結合する。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、抗体ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、受容体ドメイン、抗体ドメインを含み、この場合、抗体ドメインは、単鎖可変断片(scFv)、Fab、単一ドメイン抗体(sdAb)、ナノボディー、Vドメイン、Vドメイン、VNARドメイン、VHHドメイン、二特異性抗体、ダイアボディー、またはこれらの機能的断片もしくは組合せである、機能的抗体断片を含む。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、リガンド、受容体の細胞外ドメイン、またはアダプターを含む。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、単一の抗原に特異的である、単一の細胞外抗原結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、少なくとも2つの細胞外抗原結合性ドメインを含み、この場合、少なくとも2つの細胞外抗原結合性ドメインの各々は、異なる抗原に特異的である。
【0176】
[00270]一部の実施形態では、抗原は、がん関連抗原、系統関連抗原、病原性抗原、または自己免疫性抗原である。一部の実施形態では、抗原は、ウイルス抗原を含む。一部の実施形態では、抗原は、Tリンパ球抗原である。一部の実施形態では、抗原は、細胞外抗原である。一部の実施形態では、抗原は、細胞内抗原である。一部の実施形態では、抗原は、チミジンキナーゼ(TK1)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、ムチン1、ムチン16(MUC16)、MUC1、表皮増殖因子受容体vIII(EGFRvIII)、メソテリン、ヒト表皮増殖因子受容体2(HER2)、EBNA-1、LEMD1、ホスファチジルセリン、癌胎児性抗原(CEA)、B細胞成熟抗原(BCMA)、グリピカン3(GPC3)、濾胞刺激ホルモン受容体、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、エリスロポエチン産生肝細胞癌A2(EphA2)、EphB2、ナチュラルキラー2D(NKG2D)群リガンド、ジシアロガングリオシド2(GD2)、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD45、CD56CD79b、CD97、CD117、CD123、CD133、CD138、CD171、CD179a、CD213A2、CD248、CD276、PSCA、CS-1、CLECL1、GD3、PSMA、FLT3、TAG72、EPCAM、IL-1、インテグリン受容体、PRSS21、VEGFR2、PDGFRβ、SSEA-4、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、GM3、TEM7R、CLDN6、TSHR、GPRC5D、ALK、Dsg1、Dsg3、IGLL1、およびこれらの組合せに由来する抗原からなる群から選択される。一部の実施形態では、抗原は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CCR4、CD8、CD30、CD45、およびCD56からなる群から選択されるタンパク質の抗原である。一部の実施形態では、抗原は、卵巣がん抗原またはTリンパ腫抗原である。一部の実施形態では、抗原は、インテグリン受容体の抗原である。一部の実施形態では、抗原は、α1、α2、αIIb、α3、α4、α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11、αD、αE、αL、αM、αV、αX、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、およびβ8からなる群から選択される、インテグリン受容体またはインテグリンの抗原である。一部の実施形態では、抗原は、インテグリン受容体リガンドの抗原である。一部の実施形態では、抗原は、フィブロネクチン、ビトロネクチン、コラーゲン、またはラミニンの抗原である。一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、2つまたはこれを超える、異なる抗原に結合しうる。
【0177】
[00271]一部の実施形態では、抗原結合性ドメインは、Dsg1またはDsg3など、自己抗原またはその断片を含む。一部の実施形態では、細胞外抗原結合性ドメインは、受容体ドメインまたは抗体ドメインを含み、この場合、抗体ドメインは、Dsg1またはDsg3などの自己抗原に結合する。
【0178】
[00272]一部の実施形態では、膜貫通ドメインおよび細胞外抗原結合性ドメインは、リンカーを介して作動的に連結される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインおよび細胞外抗原結合性ドメインは、CD8α、IgG1、またはIgG4のヒンジ領域などのリンカーを介して作動的に連結される。
【0179】
[00273]一部の実施形態では、細胞外ドメインは、多量体化土台を含む。
【0180】
[00274]一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD68膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD2膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、FcR膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、FcRγ膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、FcRα膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、FcRβ膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、FcRε膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、シンタキシン3またはシンタキシン4またはシンタキシン5などのシンタキシンに由来する膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CFPが、細胞内で発現されると、内因性受容体の膜貫通ドメインと共にオリゴマー化する。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CFPが、細胞内で発現されると、外因性受容体の膜貫通ドメインと共にオリゴマー化する。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CFPが、細胞内で発現されると、内因性受容体の膜貫通ドメインと共に二量体化する。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CFPが、細胞内で発現されると、外因性受容体の膜貫通ドメインと共に二量体化する。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインが由来するタンパク質と異なるタンパク質に由来する。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞外ドメインが由来するタンパク質と異なるタンパク質に由来する。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、貪食受容体の膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインおよび細胞外ドメインは、同じタンパク質に由来する。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、細胞内シグナル伝達ドメインと同じタンパク質に由来する。一部の実施形態では、組換え核酸は、DAP12動員ドメインをコードする。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、DAP12と共にオリゴマー化する膜貫通ドメインを含む。
【0181】
[00275]一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、少なくとも12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、最大で、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32アミノ酸の長さである。
【0182】
[00276]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcRα、またはBai1から選択される貪食受容体以外の貪食受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、TNFR1、MDA5、CD40、レクチン、デクチン1、CD206、スカベンジャー受容体A1(SRA1)、MARCO、CD36、CD163、MSR1、SCARA3、COLEC12、SCARA5、SCARB1、SCARB2、CD68、OLR1、SCARF1、SCARF2、CXCL16、STAB1、STAB2、SRCRB4D、SSC5D、CD205、CD207、CD209、RAGE、CD14、CD64、F4/80、CCR2、CX3CR1、CSF1R、Tie2、HuCRIg(L)、CD64、CD32a、CD16a、CD89、Fcアルファ受容体I、CR1、CD35、CD3ζ、CR3、CR4、Tim-1、Tim-4、およびCD169からなる群から選択される貪食受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、PI3K動員ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、スカベンジャー受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、CD47阻害ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、Rac阻害ドメイン、Cdc42阻害ドメイン、またはGTPアーゼ阻害ドメインを含む。一部の実施形態では、Rac阻害ドメイン、Cdc42阻害ドメイン、またはGTPアーゼ阻害ドメインは、PFPを発現する細胞の貪食カップにおいて、Rac、Cdc42、またはGTPアーゼを阻害する。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、F-アクチンディスアセンブリー活性化ドメイン、ARHGAP12活性化ドメイン、ARHGAP25活性化ドメイン、またはSH3BP1活性化ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、ホスファターゼ阻害ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、ARP2/3阻害ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、少なくとも1つのITAMドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはこれを超えるITAMドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ゼータ、CD3イプシロン、CD3ガンマ、CD3デルタ、Fcイプシロン受容体1鎖、Fcイプシロン受容体2鎖、Fcガンマ受容体1鎖、Fcガンマ受容体2a鎖、Fcガンマ受容体2b1鎖、Fcガンマ受容体2b2鎖、Fcガンマ受容体3a鎖、Fcガンマ受容体3b鎖、Fcベータ受容体1鎖、TYROBP(DAP12)、CD5、CD16a、CD16b、CD22、CD23、CD32、CD64、CD79a、CD79b、CD89、CD278、CD66d、これらの機能的断片、およびこれらに対する少なくとも1つであるが20を超えない修飾を有するこれらのアミノ酸配列のITAMドメインから選択される、少なくとも1つのITAMドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのITAMドメインは、Srcファミリーキナーゼのリン酸化部位を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのITAMドメインは、Syk動員ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、F-アクチン脱重合活性化ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、酵素活性を欠く。
【0183】
[00277]一部の実施形態では、細胞内ドメインは、CD3ゼータ細胞内ドメインに由来するドメインを含まない。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、MerTK細胞内ドメインに由来するドメインを含まない。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、TLR4細胞内ドメインに由来するドメインを含まない。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、CD47阻害ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、PSGL-1の細胞内領域など、インテグリンを活性化するドメインを含む。
【0184】
[00278]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、EPACおよびC3Gに由来するドメインなど、GTPアーゼであるRap1を活性化するドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、パキシリンに由来する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、接着斑キナーゼを活性化する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、単一の貪食受容体に由来する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、単一のスカベンジャー受容体に由来する。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、貪食増強ドメインを含む。
【0185】
[00279]一部の実施形態では、細胞内ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、キナーゼ活性化ドメインまたはキナーゼ結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、IL-1シグナル伝達カスケード活性化ドメインを含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、TLR3、TLR4、TLR7、TLR9、TRIF、RIG-1、MYD88、MAL、IRAK1、MDA-5、IFN受容体、STING、NLRPファミリーメンバーであるNLRP1~14、NOD1、NOD2、ピリン、AIM2、NLRC4、FCGR3A、FCERIG、CD40、Tank1結合性キナーゼ(TBK)、カスパーゼドメイン、プロカスパーゼ結合性ドメイン、またはこれらの任意の組合せに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0186】
[00280]一部の実施形態では、細胞内ドメインは、コネキシン(Cx)タンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含む。例えば、細胞内ドメインは、Cx43、Cx46、Cx37、Cx40、Cx33、Cx50、Cx59、Cx62、Cx32、Cx26、Cx31、Cx30.3、Cx31.1、Cx30、Cx25、Cx45、Cx47、Cx31.3、Cx36、Cx31.9、Cx39、Cx40.1、またはCx23に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含みうる。例えば、細胞内ドメインは、Cx43に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含みうる。
【0187】
[00281]一部の実施形態では、細胞内ドメインは、SIGLECタンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含む。例えば、細胞内ドメインは、Siglec-1(シアロアデシン)、Siglec-2(CD22)、Siglec-3(CD33)、Siglec-4(MAG)、Siglec-5、Siglec-6、Siglec-7、Siglec-8、Siglec-9、Siglec-10、Siglec-11、Siglec-12、Siglec-13、Siglec-14、Siglec-15、Siglec-16、またはSiglec-17に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含みうる。
【0188】
[00282]一部の実施形態では、細胞内ドメインは、C型レクチンタンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含む。例えば、細胞内ドメインは、マンノース受容体タンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含みうる。例えば、細胞内ドメインは、アシアロ糖タンパク質受容体タンパク質に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含みうる。例えば、細胞内ドメインは、マクロファージガラクトース型レクチン(MGL)、DC-SIGN(CLEC4L)、ランジェリン(CLEC4K)、骨髄系DAP12会合レクチン(MDL)1(CLEC5A)、DC関連C型レクチン1(デクチン1)サブファミリータンパク質、デクチン1/CLEC7A、DNGR1/CLEC9A、骨髄系C型レクチン様受容体(MICL)(CLEC12A)、CLEC2(CLEC1B)、CLEC12B、DC免疫受容体(DCIR)サブファミリータンパク質、DCIR/CLEC4A、デクチン2/CLEC6A、血中DC抗原2(BDCA2)(CLEC4C)、Mincle(macrophage inducible C type lectin)(CLEC4E)、NOD様受容体タンパク質、NOD様受容体MHCクラスIIトランス活性化因子(CIITA)、IPAF、BIRC1、RIG-I様受容体(RLR)タンパク質、RIG-I、MDA5、LGP2、NAIP5/Birc1e、NLRPタンパク質、NLRP1、NLRP2、NLRP3、NLRP4、NLRP5、NLRP6、NLRP7、NLRP89、NLRP9、NLRP10、NLRP11、NLRP12、NLRP13、NLRP14、NLRタンパク質、NOD1もしくはNOD2、またはこれらの任意の組合せに由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含みうる。
【0189】
[00283]一部の実施形態では、細胞内ドメインは、細胞接着分子に由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含む。例えば、細胞内ドメインは、分子である、IgCAM、カドヘリン、インテグリン、C型レクチン様ドメインタンパク質(CTLD)、および/またはプロテオグリカンに由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含みうる。例えば、細胞内ドメインは、E-カドヘリン、P-カドヘリン、N-カドヘリン、R-カドヘリン、B-カドヘリン、T-カドヘリン、またはM-カドヘリンに由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含みうる。例えば、細胞内ドメインは、E-セレクチン、L-セレクチン、またはP-セレクチンなどのセレクチンに由来する細胞内シグナル伝達ドメインなどのシグナル伝達ドメインを含みうる。
【0190】
[00284]一部の実施形態では、CFPは、全長細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、少なくとも5、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、300、400、または500アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、最大で、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、300、300、400、または500アミノ酸の長さである。
【0191】
[00285]一部の実施形態では、組換え核酸は、FcRα鎖細胞外ドメイン、FcRα鎖膜貫通ドメイン、および/またはFcRα鎖細胞内ドメインをコードする。一部の実施形態では、組換え核酸は、FcRβ鎖細胞外ドメイン、FcRβ鎖膜貫通ドメイン、および/またはFcRβ鎖細胞内ドメインをコードする。一部の実施形態では、FcRα鎖またはFcRβ鎖は、細胞内で発現されると、FcRγと複合体を形成する。一部の実施形態では、FcRα鎖またはFcRβ鎖は、細胞内で発現されると、内因性FcRγと複合体を形成する。一部の実施形態では、FcRα鎖またはFcRβ鎖は、FcRγを発現しない細胞膜へと組み込まれない。一部の実施形態では、CFPは、FcRα鎖細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。一部の実施形態では、CFPは、FcRβ鎖細胞内シグナル伝達ドメインを含まない。一部の実施形態では、組換え核酸は、TREM細胞外ドメイン、TREM膜貫通ドメイン、および/またはTREM細胞内ドメインをコードする。一部の実施形態では、TREMは、TREM1、TREM2、またはTREM3である。
【0192】
[00286]本明細書では、がん細胞などの罹患細胞を標的化し、これらを死滅させるように操作された治療用骨髄細胞などの治療用骨髄細胞を作出するための方法および組成物が提供される。本開示は、がんまたは腫瘍細胞を死滅させるための組成物および方法を、豊富に例示するが、当業者は、不要な実験を伴わずに、感染細胞など、別の罹患細胞を標的化するように、このようなマクロファージをデザインすることが可能であろう。
【0193】
[00287]一部の実施形態では、マクロファージは、それを必要とする対象から単離され、目的の、1つまたは複数のタンパク質を発現するように操作され、対象へと投与される。一部の実施形態では、対象は、がんまたは腫瘍を有する。対象から単離され、目的の、1つまたは複数のタンパク質を発現するように操作され、次いで、対象へと投与されるマクロファージは、対象のがん細胞または腫瘍細胞を標的化し、これらを死滅させうる、治療用マクロファージである。
【0194】
[00288]本明細書の一態様では、(A)外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列と;(B)骨髄細胞キメラ抗原受容体融合タンパク質(CFP)をコードする第2の核酸配列であって、CFPが、(a)受容体による抗原への結合時にリン酸化されるチロシン残基を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達サブユニット;(b)膜貫通ドメイン;ならびに(c)標的細胞の表面上の構成要素に対する結合特異性を有し、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結される細胞外結合性ドメイン;ならびに(d)プロテアーゼ切断配列により、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結され、外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列の転写を促進する転写活性化ドメインを含む、第2の核酸配列と;(C)(a)転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼ;(b)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインをコードし;プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼとチロシン残基に結合するドメインとが作動可能に連結された、第3の核酸配列とを含む、1つまたは複数の組換え核酸配列を含む組成物が提供される。
【0195】
[00289]一部の実施形態では、第3の核酸配列は、(c)刺激応答性エレメントをさらにコードする。一部の実施形態では、刺激応答性エレメント(c)は、リン酸化チロシン残基に結合するドメインと融合される。一部の実施形態では、刺激応答性エレメントは、核酸配列を発現する細胞の微小環境に対して、応答性である。一部の実施形態では、(c)は、(b)と作動可能に連結された、デグロンである。一部の実施形態では、デグロンは、HIF-1aデグロンである。
【0196】
[00290]一部の実施形態では、1つまたは複数の組換え核酸は、骨髄細胞内で発現される。一部の実施形態では、骨髄細胞は、マクロファージ細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、がん細胞である。
【0197】
[00291]一部の実施形態では、第1の核酸は、貪食促進性ポリペプチドもしくは炎症促進性ポリペプチド、またはこれらの両方をコードする。一部の実施形態では、CFPは、1つもしくは複数の貪食受容体ドメイン、またはこれらの断片を有する、貪食受容体融合タンパク質である。一部の実施形態では、1つもしくは複数の貪食受容体ドメイン、またはこれらの断片は、レクチン、デクチン1、CD206、スカベンジャー受容体A1(SRA1)、MARCO、CD36、CD163、MSR1、SCARA3、COLEC12、SCARA5、SCARB1、SCARB2、CD68、OLR1、SCARF1、SCARF2、CXCL16、STAB1、STAB2、SRCRB4D、SSC5D、CD205、CD207、CD209、RAGE、CD14、CD64、F4/80、CCR2、CX3CR1、CSF1R、Tie2、HuCRIg(L)、CD64、CD32a、CD16a、CD89、Fcアルファ受容体I、CR1、CD35、CR3、CR4、Tim-1、Tim-4、およびCD169からなる群から選択される。
【0198】
[00292]一部の実施形態では、CFPの細胞内ドメインは、貪食受容体に由来する。
【0199】
[00293]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcRアルファ、またはBai1から選択される貪食受容体以外の受容体に由来する。一部の実施形態では、チロシン残基を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達サブユニットは、少なくとも1つのITAMドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達サブユニットは、1つを超えるITAMドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのITAMドメインは、CD3ゼータTCRサブユニット、CD3イプシロンTCRサブユニット、CD3ガンマTCRサブユニット、CD3デルタTCRサブユニット、TCRゼータ鎖、Fcイプシロン受容体1鎖、Fcイプシロン受容体2鎖、Fcガンマ受容体1鎖、Fcガンマ受容体2a鎖、Fcガンマ受容体2b1鎖、Fcガンマ受容体2b2鎖、Fcガンマ受容体3a鎖、Fcガンマ受容体3b鎖、Fcベータ受容体1鎖、TYROBP(DAP12)、CD5、CD16a、CD16b、CD22、CD23、CD32、CD64、CD79a、CD79b、CD89、CD278、CD66d、これらの機能的断片、およびこれらに対する少なくとも1つであるが20を超えない修飾を有するこれらのアミノ酸配列からなる群から選択される。一部の実施形態では、少なくとも1つのITAMドメインは、Srcファミリーキナーゼのリン酸化部位を含む。一部の実施形態では、少なくとも1つのITAMドメインは、Syk動員ドメインを含む。
【0200】
[00294]本明細書で記載される多様な態様についての、一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達サブユニットは、DAP12動員ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、細胞内ドメインは、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のITAMドメインを含む。
【0201】
[00295]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達サブユニットは、IL-1シグナル伝達カスケード活性化ドメインを含む炎症促進性シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、TLR3、TLR4、TLR7、TLR9、TRIF、RIG-1、MYD88、MAL、IRAK1、MDA-5、IFN受容体、NLRPファミリーメンバーであるNLRP1~14、NOD1、NOD2、ピリン、AIM2、NLRC4、FCGR3A、FCERIG、CD40、カスパーゼドメインもしくはプロカスパーゼ結合性ドメイン、またはこれらの任意の組合せに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0202】
[00296]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、PSGL-1の細胞内領域など、インテグリンを活性化するドメインをさらに含む。
【0203】
[00297]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、EPACおよびC3Gに由来するドメインなど、GTPアーゼであるRap1を活性化するドメインをさらに含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、パキシリンに由来するドメインをさらに含む。
【0204】
[00298]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、接着斑キナーゼを活性化する。
【0205】
[00299]一部の実施形態では、標的細胞の表面上の構成要素に対する結合特異性を有する細胞外結合性ドメインは、抗体またはその機能的断片を含む。一部の実施形態では、細胞外結合性ドメインは、単鎖可変断片(scFv)を含む。
【0206】
[00300]一部の実施形態では、標的細胞の表面上の構成要素は、チミジンキナーゼ(TK1)、ヒポキサンチン-グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、受容体チロシンキナーゼ様オーファン受容体1(ROR1)、ムチン1、ムチン16(MUC16)、MUC1、表皮増殖因子受容体vIII(EGFRvIII)、メソテリン、ヒト表皮増殖因子受容体2(HER2)、メソテリン、EBNA-1、LEMD1、ホスファチジルセリン、癌胎児性抗原(CEA)、B細胞成熟抗原(BCMA)、グリピカン3(GPC3)、濾胞刺激ホルモン受容体、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP)、エリスロポエチン産生肝細胞癌A2(EphA2)、EphB2、ナチュラルキラー2D(NKG2D)群リガンド、ジシアロガングリオシド2(GD2)、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CD8、CD19、CD20、CD22、CD24、CD30、CD33、CD38、CD44v6、CD45、CD56CD79b、CD97、CD117、CD123、CD133、CD138、CD171、CD179a、CD213A2、CD248、CD276、PSCA、CS-1、CLECL1、GD3、PSMA、FLT3、TAG72、EPCAM、IL-1、インテグリン受容体、PRSS21、VEGFR2、PDGFRベータ、SSEA-4、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、GM3、TEM7R、CLDN6、TSHR、GPRC5D、ALK、IGLL1、およびこれらの組合せからなる群から選択される抗原である。
【0207】
[00301]一部の実施形態では、標的細胞の表面上の構成要素は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD7、CCR4、CD8、CD30、CD45、CD56からなる群から選択される抗原である。
【0208】
[00302]一部の実施形態では、標的細胞の表面上の構成要素は、卵巣がん抗原またはTリンパ腫抗原である。
【0209】
[00303]一部の実施形態では、標的細胞の表面上の構成要素は、インテグリン受容体である。
【0210】
[00304]一部の実施形態では、標的細胞の表面上の構成要素は、α1、α2、αIIb、α3、α4、α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11、αD、αE、αL、αM、αV、αX、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、およびβ8からなる群から選択される、インテグリン受容体である。
【0211】
[00305]一部の実施形態では、標的細胞の表面上の構成要素は、2つまたはこれを超える別個の抗原を含む。
【0212】
[00306]一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、少なくとも12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、最大で、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、または32アミノ酸の長さである。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、DAP12と共にオリゴマー化する膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインおよび細胞外抗原結合性ドメインは、リンカーを介して作動的に連結される。一部の実施形態では、リンカーは、ペプチドを含む。一部の実施形態では、リンカーは、CD8α、IgG1、またはIgG4のヒンジ領域を含む。一部の実施形態では、リンカーは、合成リンカーである。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、FcR膜貫通ドメインを含む。
【0213】
[00307]転写活性化ドメインが、DNA結合性ドメインをさらに含む、上記で記載された任意の実施形態による組成物。一部の実施形態では、DNA結合性ドメインは、Gal4、ZFHD1、またはtet-RのDNA結合性ドメイン(DB)から選択される。一部の実施形態では、転写活性化ドメインは、VP64トランス活性化ドメインを含む。
【0214】
[00308]一部の実施形態では、転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼは、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼである。一部の実施形態では、CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインは、ホスホチロシン結合性(PTB)ドメインである。一部の実施形態では、PTBは、Shc PTBである。
【0215】
[00309]一部の実施形態では、組換え核酸は、DNAである。
【0216】
[00310]一部の実施形態では、組換え核酸は、RNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、mRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、circRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、レプリコンRNAと会合する。
【0217】
[00311]本明細書の一態様では、上記で記載された実施形態のうちのいずれか1つによる、1つまたは複数の組換え核酸をコードするベクターが提供される。
【0218】
[00312]本明細書の一態様では、上記で記載された実施形態によるベクターを発現する骨髄細胞が提供される。
【0219】
[00313]本明細書の一態様では、上記で記載された実施形態の骨髄細胞を含む医薬組成物が提供される。
【0220】
[00314]本明細書の一態様では、(a)細胞傷害性ポリペプチド;(b)プロテアーゼ切断配列;および(c)阻害性ポリペプチドドメインを含み、阻害性ポリペプチドドメインが、細胞傷害性ポリペプチドを阻害し;この場合、細胞傷害性ポリペプチドと、プロテアーゼ切断配列と、阻害性ポリペプチドドメインとが、作動可能に連結された、キメラタンパク質をコードする、組換え核酸を含む細胞が提供される。
【0221】
[00315]一部の実施形態では、細胞は、骨髄細胞である。
【0222】
[00316]一部の実施形態では、細胞傷害性ポリペプチドは、ヒト好酸球主要塩基性タンパク質細胞傷害性ドメインである。一部の実施形態では、細胞傷害性ポリペプチドは、ヒト好酸球主要塩基性タンパク質酸性ドメインである。
【0223】
[00317]一部の実施形態では、プロテアーゼ切断配列は、MMP認識配列である。
【0224】
[00318]一部の実施形態では、プロテアーゼ切断配列は、MMPにより切断される。
【0225】
[00319]本明細書の一態様では、本明細書で記載される実施形態による細胞のうちのいずれか1つを含む医薬組成物が提供される。
【0226】
[00320]本明細書の一態様では、本明細書で記載される実施形態のうちのいずれか1つによる組換え核酸が提供される。
【0227】
[00321]本明細書の一態様では、本明細書で記載される実施形態による組換え核酸をコードするベクターが提供される。
【0228】
[00322]本明細書の一態様では、がんに対して治療的である骨髄細胞を調製するための方法であって、骨髄細胞内で、(A)外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列と;(B)骨髄細胞キメラ抗原受容体(CFP)をコードする、第2の核酸配列であって、CFPが、(a)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達サブユニット;(b)膜貫通ドメイン;ならびに(c)標的細胞の表面上の構成要素に対する結合特異性を有し、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結される細胞外結合性ドメイン;ならびに(d)プロテアーゼ切断配列により、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結され、外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列の転写を促進する転写活性化ドメインを含む、第2の核酸配列と;(C)(a)転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼ;(b)CARの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインをコードし;プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼとチロシン残基に結合するドメインとが作動可能に連結された、第3の核酸配列とを含む組換え核酸を発現させるステップを含む方法が提供される。
【0229】
[00323]本明細書の一態様では、がんに対して治療的である骨髄細胞を調製するための方法であって、骨髄細胞内で、(a)ヒト好酸球主要塩基性タンパク質酸性ドメイン;(b)MMP認識配列;および(c)ヒト好酸球主要塩基性タンパク質細胞傷害性ドメインを含むキメラタンパク質をコードする、組換え核酸を発現させるステップを含む方法が提供される。
【0230】
[00324]本明細書の一態様では、がんを有する対象を処置するための方法であって、それを必要とする対象へと、本明細書で記載される実施形態のうちのいずれか1つによる医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。
【0231】
[00325]本明細書の一態様では、それを必要とする対象において、腫瘍の退縮を誘導する方法であって、対象へと、骨髄細胞を含む医薬組成物を静脈内投与するステップを含み、骨髄細胞が、1つまたは複数のポリペプチドをコードする、1つまたは複数の組換え核酸を発現し、1つまたは複数のポリペプチドのうちの少なくとも1つが、腫瘍微小環境内では、機能的に活性であるが、非腫瘍環境内では、機能的に活性でない方法が提供される。本明細書で記載される、いくつかの態様についての、一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書で記載される実施形態による医薬組成物である。本明細書で記載される、いくつかの態様についての、一部の実施形態では、医薬組成物は、本明細書で記載される実施形態による医薬組成物である。
【0232】
[00326]本明細書で記載される、いくつかの態様についての、一部の実施形態では、標的細胞は、神経膠芽腫細胞であるがん細胞である。
【0233】
[00327]本明細書では、がんを有する対象を処置するための方法であって、それを必要とする対象へと、上記で記載された医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。
【0234】
[00328]一部の実施形態では、組換え核酸は、炎症促進性ポリペプチドをコードする配列を含む。一部の実施形態では、組成物は、組換え核酸内の、炎症促進性ヌクレオチドまたはヌクレオチド、例えば、ATP、ADP、UTP、UDP、および/またはUDP-グルコースをさらに含む。一部の実施形態では、転写活性化ドメインは、VP64トランス活性化ドメインを含む。一部の実施形態では、転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼは、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼである。一部の実施形態では、CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインは、ホスホチロシン結合性(PTB)ドメインである。一部の実施形態では、PTBは、Shc PTBである。一部の実施形態では、第3の核酸は、CFPへと作動可能に連結されうるデグロンをコードする。一部の実施形態では、デグロンは、HIF-1aデグロンである。一部の実施形態では、組換え核酸は、DNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、RNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、mRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、circRNAである。
【0235】
[00329]一部の実施形態では、組換え核酸は、レプリコンRNAと会合する。本明細書では、がんに対して治療的である骨髄細胞を調製するための方法であって、骨髄細胞内で、(A)外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列と;(B)骨髄細胞キメラ抗原受容体(CFP)をコードする第2の核酸配列であって、CFPが、(a)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達サブユニット;(b)膜貫通ドメイン;ならびに(c)標的細胞の表面上の構成要素に対する結合特異性を有し、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結される細胞外結合性ドメイン;ならびに(d)プロテアーゼ切断配列により、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結され、外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列の転写を促進する転写活性化ドメインを含む、第2の核酸配列と;(C)(a)転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼ;(b)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインをコードし;プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼとチロシン残基に結合するドメインとが作動可能に連結された、第3の核酸配列とを含む組換え核酸を発現させるステップを含む方法が提供される。本明細書では、がんに対して治療的である骨髄細胞を調製するための方法であって、骨髄細胞内で、(a)ヒト好酸球主要塩基性タンパク質酸性ドメイン;(b)MMP認識配列;および(c)ヒト好酸球主要塩基性タンパク質細胞傷害性ドメインを含むキメラタンパク質をコードする、組換え核酸を発現させるステップを含む方法が提供される。
【0236】
[00330]本明細書では、がんを有する対象を処置するための方法であって、それを必要とする対象へと、上記で記載された医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。本明細書では、がんを有する対象を処置するための方法であって、それを必要とする対象へと、本明細書で記載される医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。本明細書では、それを必要とする対象において、腫瘍の退縮を誘導する方法であって、対象へと、骨髄細胞を含む医薬組成物を静脈内投与するステップを含み、骨髄細胞が、1つまたは複数のポリペプチドをコードする、1つまたは複数の組換え核酸を発現し、1つまたは複数のポリペプチドのうちの少なくとも1つが、腫瘍微小環境内では、機能的に活性であるが、非腫瘍環境内では、機能的に活性でない方法が提供される。
【0237】
[00331]一部の実施形態では、組成物は、炎症促進性ポリペプチドをさらに含む。一部の実施形態では、炎症促進性ポリペプチドは、ケモカイン、サイトカインである。一部の実施形態では、ケモカインは、IL-1、IL3、IL5、IL-6、IL-8、IL-12、IL-13、IL-23、TNF、CCL2、CXCL9、CXCL10、CXCL11、IL-18、IL-23、IL-27、CSF、MCSF、GMCSF、IL17、IP-10、RANTES、およびインターフェロンからなる群から選択される。一部の実施形態では、サイトカインは、IL-1、IL3、IL5、IL-6、IL-12、IL-13、IL-23、TNF、CCL2、CXCL9、CXCL10、CXCL11、IL-18、IL-23、IL-27、CSF、MCSF、GMCSF、IL17、IP-10、RANTES、およびインターフェロンからなる群から選択される。
【0238】
[00332]一部の実施形態では、骨髄細胞は、送達のために、特異的に標的化される。骨髄細胞は、PLGA(ポリ(乳酸-co-グリコール酸))および/またはポリビニルアルコール(PVA)などの特化生体分解性ポリマーを使用して標的化されうる。一部の実施形態では、骨髄細胞機能に影響を及ぼすように、1つまたは複数の化合物を、このようなポリマー構造内に、選択的に組み込むことができる。一部の実施形態では、標的化構造は、例えば、1つまたは複数のPLGA層および1つまたは複数のPVA層により多層化される。一部の実施形態では、標的化構造は、層化活性のための秩序にアセンブルされる。一部の実施形態では、標的化ポリマー構造は、骨髄細胞表面に付着し、骨髄細胞を、特異的極性化を付与する微小環境内に維持することなどのために、増殖因子およびサイトカインなど、1つまたは複数の構成要素を送達しうる、柔軟構造など、特異的形状の構成要素に組織化される。一部の実施形態では、ポリマー構造は、骨髄細胞により貪食されず、表面上の付着を維持しうるような構造である。一部の実施形態では、1つまたは複数の増殖因子は、サイトカインなどのM1極性化因子でありうる。一部の実施形態では、1つまたは複数の増殖因子は、サイトカインなどのM2極性化因子でありうる。一部の実施形態では、1つまたは複数の増殖因子は、IFNγなど、マクロファージ活性化サイトカインでありうる。一部の実施形態では、ポリマー構造は、充実性腫瘍内などのin vivo環境において、1つまたは複数の増殖因子の持続放出が可能なである。
【0239】
[00333]一部の実施形態では、組換え核酸は、炎症のホメオスタシス調節因子をコードする配列を含む。一部の実施形態では、炎症のホメオスタシス調節因子は、mRNAの非翻訳領域(UTR)内の配列である。一部の実施形態では、UTR内の配列は、RNA結合性タンパク質に結合する配列である。一部の実施形態では、翻訳は、RNA結合性タンパク質の、非翻訳領域(UTR)内の配列への結合時に、阻害または阻止される。一部の実施形態では、UTR内の配列は、WWWU(AUUUA)UUUW[配列中、Wは、AまたはUである]のコンセンサス配列を含む。一部の実施形態では、組換え核酸は、バイシストロニックベクター上で発現される。
【0240】
[00334]一部の実施形態では、標的細胞は、哺乳動物細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、ヒト細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、病原体により感染された細胞を含む。一部の実施形態では、標的細胞は、がん細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、リンパ球であるがん細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、卵巣がん細胞であるがん細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、乳腺細胞であるがん細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、膵細胞であるがん細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は、神経膠芽腫細胞であるがん細胞である。
【0241】
[00335]一部の実施形態では、組換え核酸は、DNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、RNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、mRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、非修飾mRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、修飾mRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、circRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、tRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、マイクロRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、自己複製型RNAである。
【0242】
[00336]本明細書ではまた、本明細書で記載されるCFPをコードする、組換え核酸配列を含むベクターも提供される。一部の実施形態では、ベクターは、ウイルスベクターである。一部の実施形態では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクターまたはレンチウイルスベクターである。一部の実施形態では、ベクターは、1つまたは複数のポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列へと作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む。一部の実施形態では、ベクターは、ポリシストロニックベクターである。一部の実施形態では、少なくとも1つの核酸配列の各々は、個別のプロモーターへと作動可能に連結される。一部の実施形態では、ベクターは、1つまたは複数の内部リボソーム侵入部位(IRES)をさらに含む。一部の実施形態では、ベクターは、1つまたは複数のポリペプチドをコードする、少なくとも1つの核酸配列に隣接する、5’UTRおよび/または3’UTRをさらに含む。一部の実施形態では、ベクターは、1つまたは複数の調節領域をさらに含む。
【0243】
[00337]本明細書ではまた、本明細書で記載される組成物の組換え核酸によりコードされるポリペプチドも提供される。
【0244】
[00338]本明細書では、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;ならびに標的細胞の抗原に特異的な抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含むCFP(例えば、貪食受容体融合タンパク質(PFP))をコードする組換え核酸配列を含む組成物であって、膜貫通ドメインと細胞外ドメインとが作動的に連結されており;CFPの標的細胞の抗原への結合時に、CFPを発現する、好中球、単球、骨髄樹状細胞(mDC)、マスト細胞、またはマクロファージなどの骨髄細胞の殺滅または貪食活性が、CFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、または1000%を超えて増大される、組成物が提供される。
【0245】
[00339]表1は、開示について非限定的であることが意図される、キメラ融合タンパク質ドメインおよび/またはその断片の例示的配列を示す。
【0246】
【表1-1】
【0247】
【表1-2】
【0248】
【表1-3】
【0249】
【表1-4】
【0250】
【表1-5】
【0251】
【表1-6】
【0252】
【表1-7】
【0253】
【表1-8】
[00340]本明細書では、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;ならびに標的細胞の抗原に特異的な抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含むCFP(例えば、貪食受容体融合タンパク質(PFP))をコードする組換え核酸配列を含む組成物であって、膜貫通ドメインと細胞外ドメインとが作動的に連結されており;CFPの標的細胞の抗原への結合時に、CFPを発現する、好中球、単球、骨髄樹状細胞(mDC)、マスト細胞、またはマクロファージなどの骨髄細胞の殺滅または貪食活性が、CFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも1.1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、または100倍に増大される、組成物が提供される。
【0254】
CD137結合タンパク質およびCD137結合ドメイン
[00341]一態様では、本明細書では、標的細胞上のCD137に結合しうる組換えタンパク質が提供される。本明細書で使用された、標的細胞上のCD137に結合することが可能な、このような組換えタンパク質は、CD137結合剤と称される。一部の実施形態では、CD137結合剤は、キメラ融合タンパク質(CFP)の細胞外ドメインを含む。本明細書の一部の実施形態では、本明細書で使用される、CD137-CFPと称される、キメラCD137結合受容体融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸配列が提供される。一部の実施形態では、キメラ受容体融合タンパク質、例えば、CD137結合受容体融合タンパク質をコードする組換え核酸は、骨髄細胞など、適切な細胞内で発現されうる。一部の実施形態では、CD137-CFPが、骨髄細胞など、適切な細胞上で発現されると、CD137結合剤は、CD137を発現する標的細胞に結合することが可能であり、結合剤を発現する骨髄細胞が活性化される。一部の実施形態では、CD137-CFPは、CD137との係合時に、CD137-CFPの細胞内シグナル伝達ドメインを活性化し、これが、CD137-CFPをコードする組換え核酸を発現する骨髄細胞を活性化する。一部の実施形態では、骨髄細胞は、貪食細胞である。一部の実施形態では、貪食細胞であり、CD137結合剤を発現する骨髄細胞は、CD137結合剤が、別の細胞(標的細胞)上で発現されたCD137に結合すると、活性化され、標的細胞を貪食することが可能である。一部の実施形態では、標的細胞は、CD137を発現する、任意の細胞でありうる。一部の実施形態では、標的細胞は、リンパ球である。一部の実施形態では、標的細胞は、Tリンパ球(T細胞)である。一部の実施形態では、標的細胞は、悪性細胞でありうる。一部の実施形態では、標的細胞は、悪性T細胞でありうる。一部の実施形態では、CD137結合剤であるCFPを発現する骨髄細胞は、T細胞リンパ腫に対する治療用組成物を作出するのに使用されうる。
【0255】
[00342]本明細書では、キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含み、CFPタンパク質が、Tリンパ球上のCD137に結合しうる組換えポリ核酸が提供される。本明細書の一部の実施形態では、T細胞上の標的に結合しうるCFPであって、標的がCD137であるCFPが提供される。一部の実施形態では、標的T細胞は、活性化T細胞である。一部の実施形態では、CFPは、T細胞リンパ腫内で発現される、活性化T細胞を標的化する。本明細書では、CD137を標的化するCFPをコードする、組換え核酸であって、CFPが、(i)抗CD137結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および(ii)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメイン;ならびに(b)薬学的に許容される担体を含み;骨髄細胞が、CFPを発現し、CD137を発現する標的細胞の貪食の、CFPを発現しない骨髄細胞と比較した、少なくとも1.1倍の増大を呈する組換え核酸が提供される。一部の実施形態では、CD137結合性ドメインは、抗体の抗原結合性断片である、Fab断片、scFvドメイン、またはsdAbドメインを含む、CD137結合性タンパク質である。一部の実施形態では、CD137結合性ドメインは、配列番号31の配列、または配列番号31に対する少なくとも90%の配列同一性を有する、CD137リガンド配列を含む。
【0256】
[00343]本明細書では、CD137に結合しうるキメラ融合タンパク質である、組換えタンパク質が提供される。CD137は、活性化T細胞の表面マーカーである。したがって、CD137に結合しうるキメラ融合タンパク質は、活性化T細胞に特異的に結合することが可能であり、この場合、CFPは、(i)抗CD137結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および(ii)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、CD137結合性ドメインは、抗体の抗原結合性断片である、Fab断片、scFvドメイン、またはsdAbドメインを含むCD137結合性タンパク質である。一部の実施形態では、CD137結合性ドメインは、scFvを含む。本明細書では、T細胞上で発現されるCD137に結合しうるキメラ融合タンパク質である組換えタンパク質を発現する骨髄細胞であって、CFPが、(i)抗CD137結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および(ii)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含み;CD137発現T細胞を特異的に標的化することが可能であり、CD137発現T細胞を貪食し、溶解し、これにより、溶解する骨髄細胞が提供される。一部の実施形態では、CD137に結合しうるキメラ融合タンパク質である、組換えタンパク質を発現する骨髄細胞は、T細胞リンパ腫などのCD137陽性がんのための治療剤である。
【0257】
[00344]一般に、CD137は、活性化免疫細胞上で発現される。CD137は、免疫カスケードのうちの、自然細胞および獲得細胞のいずれにおいても発現される。健常個体では、T細胞は、リンパ節(例えば、T細胞が活性化状態で見出される、扁桃腺)内で豊富でありうる。CD137陽性T細胞はまた、腫瘍内でも、豊富でありうる。
【0258】
[00345]CD137陽性T細胞は、移植片対宿主拒絶および宿主対移植片拒絶の一因でありうることが注目される。加えて、同種細胞療法の場合にも、CD137は、宿主対移植片拒絶を低減するように、破壊について標的化されうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される方法および組成物は、(i)がん抗原に結合し、がん抗原を発現するがん細胞を溶解するキメラ受容体を発現する同種骨髄細胞を使用するステップ;および(ii)CD137に結合しうるキメラ抗原を発現し、CD137陽性T細胞を溶解する骨髄細胞を投与し、これにより、宿主のCD137陽性Tリンパ球による、同種骨髄細胞の殺滅を低減するステップを含む。
【0259】
[00346]本明細書の一態様では、CD137に結合しうるキメラ融合タンパク質であり、また、第2の細胞外部分、第3の細胞外部分、またはさらなる細胞外部分に結合する、第2の結合性ドメイン、第3の結合性ドメイン、またはさらなる結合性ドメインをも含み、細胞外部分が細胞表面分子でありうる、組換えタンパク質が提供される。一部の実施形態では、第2の結合性ドメイン、または第3の結合性ドメイン、またはさらなる結合性ドメインのうちのいずれか1つは、標的細胞上の、さらなる細胞表面分子、例えば、がん細胞または活性化T細胞上の細胞表面分子など、CD137以外の細胞表面分子に対する結合性ドメインを含みうる。第2の結合性ドメイン、または第3の結合性ドメイン、またはさらなる結合性ドメインは、CD5、または本明細書中の任意の箇所に記載された、他の任意の標的細胞上の抗原など、標的細胞上の、任意のさらなる細胞表面分子に対する結合性ドメインを含みうる。
【0260】
[00347]一部の実施形態では、第2の結合性ドメイン、または第3の結合性ドメイン、またはさらなる結合性ドメインのうちのいずれか1つは、骨髄細胞上の、細胞表面分子に対する結合性ドメインを含みうる。一部の実施形態では、骨髄細胞に対する結合性ドメインを含む、第2の結合性ドメイン、または第3の結合性ドメイン、またはさらなる結合性ドメインのうちのいずれか1つは、結合時に、骨髄細胞を活性化しうる。
【0261】
[00348]一部の実施形態では、CD137結合性タンパク質は、CD137に結合することが可能な細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質であり、CD8に由来するヒンジドメインをさらに含み、この場合、ヒンジドメインは、細胞質側において、膜貫通ドメインへと作動的に連結され、細胞外側において、CD137結合性ドメインへと作動的に連結される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15、16、17、18、または19の配列のうちのいずれか1つに示された配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8アルファ(CD8a)膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15に示された配列、または配列番号15に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号16に示された配列、または配列番号16に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD2膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号17に示された配列、または配列番号17に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号18に示された配列、または配列番号18に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD68膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号19に示された配列、または配列番号19に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPのECDは、配列番号15、16、17、18、もしくは19に示された配列のうちのいずれか1つから選択される膜貫通ドメイン、または配列番号15、16、17、18、もしくは19のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインへと融合された;配列番号31に描示されたアミノ酸配列、または31に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0262】
[00349]一部の実施形態では、細胞外ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインは、配列番号20もしくは配列番号21の配列、または配列番号20もしくは配列番号21のそれぞれに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20の膜貫通ドメイン、または配列番号20に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号21の膜貫通ドメイン、または配列番号21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20または21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインへと融合された;配列番号31に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するECD結合ドメインを含む。
【0263】
[00350]一部の実施形態では、CFPは、表4に示された、CD16膜貫通ドメイン(例えば、短鎖ヒンジドメインを含む)の配列を含むTMドメインへと作動可能に連結された;配列番号31に示された配列、または配列番号31に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、CD64膜貫通ドメイン配列を含むTMドメインへと作動可能に連結された;配列番号31に示された配列、または配列番号31に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、表4に示された、CD89膜貫通ドメイン(例えば、短鎖ヒンジドメインを含む)の配列を含むTMドメインへと作動可能に連結された;配列番号31に示された配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号31に示された配列、または配列番号31に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を伴うECD;CD16タンパク質のTMドメイン、またはCD64タンパク質のTMD、またはCD89タンパク質のTMDに由来する配列を含むTMドメイン;および、任意選択で、本明細書で記載される、他の別個のICDに加えて、例えば、CD16タンパク質、CD64タンパク質、またはCD89タンパク質のそれぞれに由来する、対応する細胞内ドメイン(ICD)またはその部分を含む。CD16およびCD89の、例示的ICD配列は、表4に提示される。
【0264】
[00351]一部の実施形態では、CFPは、1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcRα、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcR、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ以外の受容体に由来するドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、FcRγ、FcRα、またはFcRεに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0265】
[00352]一部の実施形態では、CFPは、配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つ、または配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列のアミノ酸配列を含む、FcRガンマタンパク質(FcRγ鎖)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、PI3キナーゼ(PI3K)動員ドメインを含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号26の配列、または配列番号26に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、CD40の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号27の配列、または配列番号27に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号28の配列、または配列番号28に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号29の配列、または配列番号29に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号30の配列、または配列番号30に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0266】
[00353]一部の実施形態では、CFPは、(a)(i)CD137に特異的に結合するscFv、および(ii)CD8に由来するヒンジドメイン;CD28に由来するヒンジドメイン;またはCD68に由来する細胞外ドメインの、少なくとも一部を含む細胞外ドメイン;(b)CD8膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD2膜貫通ドメイン、またはCD68膜貫通ドメイン;ならびに(c)少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインが、(i)FcRα、FcRγ、またはFcRεに由来する、第1の細胞内シグナル伝達ドメイン、および(ii)第2の細胞内シグナル伝達ドメイン:PI3K動員ドメインを含む(A)、またはCD40に由来する(B)を含む、細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、上記に対する代替物(c)として、少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインが、(i)貪食受容体の細胞内ドメインに由来する、第1の細胞内シグナル伝達ドメイン、および(ii)貪食受容体のスカベンジャー受容体の細胞内ドメインに由来し、PI3K動員ドメインを含む(A)、またはCD40に由来する(B)を含む、第2の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、自然免疫受容体の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0267】
[00354]一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質は、1つを超える、細胞外抗原結合性ドメインを有しうる。
【0268】
[00355]一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質は、CD137結合性ドメインおよび細胞外タンパク質または糖タンパク質、がん細胞または標的細胞の表面上に存在する、膜タンパク質または糖タンパク質など、第2の細胞表面分子に対する第2の結合性ドメインを含みうる。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、本明細書で記載される、任意の標的に結合する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、第2の結合性ドメインが、標的細胞または近傍細胞の細胞外マトリックス上のタンパク質に結合するようにデザインされうる。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、近傍細胞または標的細胞の細胞外腔内に放出される分子などの可溶性標的に結合しうる第2の結合性ドメインを含みうる。
【0269】
[00356]本明細書の一態様では、標的細胞上のCD137(また、4-1BBとしても公知である)に結合しうるキメラ融合タンパク質が提供される。一部の実施形態では、CD137に結合しうるCFPをコードする組換え核酸は、骨髄細胞が、CD137結合性CFPを発現するように、骨髄細胞内に組み込まれうる。一部の実施形態では、骨髄細胞は、CD14+細胞でありうる。一部の実施形態では、骨髄細胞は、CD14+/CD16-でありうる。一部の実施形態では、骨髄細胞は、CD14+/CD16lowでありうる。CD137に結合するCFPを発現する骨髄細胞は、多様な方式で使用されうる:単独で使用される場合もあり;CFPを発現する、他の骨髄細胞と、治療用組成物中で組み合わせて使用される場合もあり;組合せ療法レジメンにおいて、個別に使用される場合もあり;単独で使用される場合もあり、他の核酸治療剤、ペプチド治療剤、タンパク質治療剤、または低分子治療剤を含む、他の治療剤と組み合わせて使用される場合もある。
【0270】
[00357]CD137は、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー9(TNFRSF9)のメンバーであり、ある特定の免疫細胞の表面上で発現される。CD137は、活性化T細胞上で発現される、細胞表面タンパク質である。CD137の、活性化抗原提示細胞(APC)上の、そのリガンド(CD137L;また、TNFSF9または4-1BBLとしても公知である)との相互作用は、がんに対する免疫を促進する、双方向性の活性化をもたらしうる。例えば、CD137受容体を介するシグナルは、T細胞の活性化および生存をもたらしうることが示されている。逆に、係合されたCD137Lは、骨髄細胞、樹状細胞など、それを発現する細胞に影響を与え、それらの活性化および成熟をもたらしうる。ウレルマブおよびウトミルマブなど、アゴニスト性CD137抗体の使用は、多様な種類の腫瘍を処置するのに、有望な免疫療法であると考えられる。一部の実施形態では、CD137Lを含むCFPは、骨髄細胞内で発現され、抗腫瘍治療のために使用される場合があり、CD137Lの、単球へのシグナル伝達は、それらの、CD137L-DCへの分化を誘導する。CD137L-DCは、1型ヘルパーT(Th1)細胞への極性化、および腫瘍に対する強力な1型CD8+ T細胞(Tc1)応答を優先的に誘導する。
【0271】
[00358]CD137アゴニスト性抗体、またはそのCD137結合性領域は、in vivoにおける免疫応答を活性化するように、CFPをデザインするのに使用されうる。代替的に、CD137Lまたはその断片は、in vivoにおける免疫応答を活性化するように、CFPをデザインするのに使用されうる。ある特定の実施形態では、CD137アゴニスト抗体もしくはその断片またはCD137Lを、細胞外ドメインとして含む、CD137結合性CFPは、免疫応答を活性化するのに使用される場合もあり、抗新生物剤として使用される場合もある。本明細書では、CD137アゴニスト性抗体またはその断片を含む、CD137結合性細胞外ドメインを含み、抗体が、scFv、二特異性抗体、Fab、Fab断片、F(ab’)2断片、一価抗体、scFv断片、scRv-Fc断片、IgNAR、hcIgG、VHH抗体、ナノボディー、およびアルファボディーでありうる、キメラ融合タンパク質が提供される。一部の実施形態では、CD137アゴニスト性抗体は、ヒト抗体もしくはヒト化抗体、またはこれらの断片である。一部の実施形態では、CD137アゴニスト性抗体は、ウレルマブまたはその断片である。本明細書では、CD137アゴニスト性抗体またはその断片を含む、CD137結合性細胞外ドメインを含み、抗体が、scFv、二特異性抗体、Fab、Fab断片、F(ab’)2断片、一価抗体、scFv断片、scRv-Fc断片、IgNAR、hcIgG、VHH抗体、ナノボディー、およびアルファボディーでありうる、キメラ融合タンパク質をコードする核酸構築物が提供される。本明細書では、CD137Lまたはその断片を含む、CD137結合性細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質が提供される。一部の実施形態では、治療用細胞は、骨髄細胞が、リンパ球に結合し、これを活性化するように、骨髄細胞などの細胞内で発現されうる、全長CD137Lタンパク質を発現させることにより作出されうる。一部の実施形態では、治療用細胞は、CD137Lの、少なくとも1つの細胞外断片を発現するCFPをデザインし、これを発現させることにより作出されうる。一部の実施形態では、CD137Lを、細胞外ドメインとして含むCFPは、CD137Lの細胞内ドメインをさらに含みうる。本段落において記載されるCFPは、CFP、またはCFPをコードする核酸構築物を発現する治療用細胞として、対象に投与される場合に、免疫応答を刺激する、任意の治療目的で使用される場合があり、この場合、核酸構築物は、in vivoの細胞により取り込まれ、細胞が、CFPを発現するように投与される。一部の実施形態では、投与される核酸構築物は、標的に対する標的化部分を含む場合があり、特異的細胞型または特異的組織により取り込まれうる。一部の実施形態では、核酸構築物は、細胞外可溶性タンパク質など、CD137結合性ドメインを含む、細胞外タンパク質をコードしうる。一部の実施形態では、CD137結合性ドメインを含むCFPは、細胞外可溶性タンパク質であり、免疫刺激性CD137アゴニスト性タンパク質として機能し、このため、in vivoの対象に投与され、発現される場合、リンパ球を活性化しうる。一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質は、受容体タンパク質である。したがって、CD137結合性細胞外ドメインを含むCFP受容体は、膜貫通ドメインを含み、任意選択で、細胞内ドメインを含む。CD137アゴニスト結合性ドメインおよび/または膜貫通ドメインを有する、融合タンパク質を発現する細胞は、Tリンパ球を活性化し、in vivoにおける抗腫瘍応答を活性化するのに使用されうる。
【0272】
[00359]一部の実施形態では、抗がんDCワクチンなどのDCワクチンを作出するように、CD137結合性融合タンパク質がデザインされ、DC細胞などの骨髄細胞内で発現されうる。本明細書では、ヒトCD137Lまたはその結合性断片などのCD137結合性リガンドを含む細胞外ドメインを含むCFPを発現する骨髄細胞(例えば、DC)が提供される。
【0273】
[00360]しかし、CD137は、T細胞リンパ腫などのCD137陽性がんにおいても標的化されうる。本明細書で記載される、CD137結合性キメラ融合タンパク質を発現するようにデザインされた、CD137標的化骨髄細胞は、CD137+腫瘍において、強力で、安全で、かつ効果的な腫瘍殺滅薬剤として作用することが可能であり、T細胞リンパ腫のほか、肺がん、膵がん、白血病、および他のがんなど、他のがんにおける、養子細胞療法に使用されうる。
【0274】
[00361]一部の実施形態では、本明細書で記載される、キメラ融合タンパク質は、リンパ球上およびNK細胞上のCD137受容体に結合するように標的化される。適切な骨髄細胞内で発現されると、細胞を、適切な培養条件下で、限定的期間にわたり、さらに養生することにより、キラー骨髄細胞の作出、およびex vivoにおける、治療剤としての細胞の開発が可能となる。CD137結合性CFPを発現する、本明細書で記載されるキラー骨髄細胞は、CD137細胞悪性腫瘍を有するか、またはCD137細胞機能から生じる疾患もしくは状態の可能性がある対象における治療のために使用されうる。
【0275】
[00362]一部の実施形態では、本明細書で記載される、キメラ融合タンパク質は、in vivoにおいて、適切な細胞が、核酸を取り込むと、in vivoにおいて、細胞により、キメラ融合タンパク質が発現され、in vivoにおいて、細胞が、CD137を発現する細胞に結合しうるように、治療用組成物中の核酸構築物の形態で投与されうる治療剤である。CD137結合性CFP融合タンパク質内の、さらなるドメイン(例えば、細胞内シグナル伝達ドメイン)は、タンパク質が発現される細胞を、強力な細胞傷害性細胞、例えば、貪食活性が増強された細胞とし、これにより、タンパク質を発現する細胞を、リンパ球またはNK細胞など、CD137を発現する細胞の破壊に標的化された、「攻撃細胞」またはキラー細胞としうる。
【0276】
[00363]一部の実施形態では、CD137結合性キメラ融合タンパク質は、異種膜貫通ドメイン、および/または1つもしくは複数の異種細胞内ドメインを含むことが可能であり、強力な免疫反応細胞を作出するように、骨髄細胞など、適切な細胞内で発現されうる。一部の実施形態では、CD137結合剤を有するCFPの結合は、CFP発現細胞が、CD137を発現する標的細胞を破壊するように、CFPを発現する細胞内における貪食応答、炎症応答、および/または細胞傷害性応答を活性化する、キメラ融合タンパク質(受容体)の細胞内ドメインを活性化する。CD137を発現する標的細胞の例は、CD137陽性細胞がん、例えば、肺がん、白血病、膵臓がん、結腸直腸がん、およびリンパ腫などにおける、Tリンパ球またはNK細胞などのリンパ球でありうる。
【0277】
[00364]一部の実施形態では、CD137結合性CFPは、CD137発現細胞が、活性化CD137+リンパ球に結合し、これを殺滅することにより、免疫応答の調節因子として作用しうるように、適切な細胞(例えば、骨髄細胞)内で発現されうる。このような実施形態では、CD137標的化CFPは、同種免疫応答などの活性化免疫応答を低減するように、治療的に使用される。
【0278】
[00365]一部の実施形態では、抗CD137細胞外部分を発現するように操作された、活性貪食細胞などのキラー細胞は、いくつかの非自家細胞ベース免疫療法に対する補助療法として使用されうる。このような組合せ療法は、黒色腫、神経膠芽腫、肉腫、腎細胞癌、卵巣がん、肺がん、膵がん、乳がん、および他の多くのがんを含むがこれらに限定されない、多種多様ながんにおいて援用されうる。
【0279】
[00366]一部の実施形態では、CD137標的化CFPの核酸構築物は、CFPを発現させるための骨髄細胞内に組み込まれ、CD137結合性CFPを発現する骨髄細胞は、CD137 CFPを発現する細胞が、CD137を発現する腫瘍抑制性リンパ球を低減し、がん標的化CARを発現する細胞(CAR-PまたはCAR-T)の腫瘍殺滅機能を増強するように、CARを発現する細胞が、CD5、CD19、CD40など、CD137以外のがん抗原を標的化する、CAR-P(例えば、CARまたはCFPを発現する貪食細胞)療法、またはCAR-T(CAR発現T細胞)療法におけるヘルパー細胞として使用されうる。したがって、CD137結合性CFPは、ヘルパー細胞が、CD137結合性CFPをコードする核酸構築物が組み込まれ、細胞が、CD137結合剤である、CFPの細胞外ドメインを発現する、細胞傷害性細胞である、任意の養子細胞療法における共投与のためのヘルパー細胞を開発するのに使用されうる。CD137結合剤であるCFPを発現する細胞は、骨髄細胞でありうる。CD137結合剤であるCFPを発現する細胞は、貪食骨髄細胞でありうる。CD137結合剤であるCFPを発現する細胞は、リンパ系細胞でありうる。CD137結合剤であるCFPを発現する細胞は、細胞傷害性細胞でありうる。
【0280】
[00367]一部の実施形態では、CD137結合性CFPは、CD137発現細胞が、同種細胞療法応答、宿主対移植片病、または自己免疫疾患もしくは自己免疫状態などにおける、免疫応答の調節因子として作用しうるように、適切な細胞(例えば、骨髄細胞)内で発現されうる。例えば、CD137結合性CFPは、CAR-PまたはCAR-Tが、CD5、CD19、CD40など、CD137以外のがん抗原を発現するがん細胞などの罹患細胞を標的化する同種細胞である、CAR-P療法またはCAR-T療法と組み合わせて使用されうる。一部の実施形態では、CD137結合性CFPは、ヘルパー細胞が、CD137結合性CFPを含み、CD137結合剤である、CFPの細胞外ドメインを発現する、細胞傷害性細胞である、任意の養子細胞療法における共投与のためのヘルパー細胞を開発するのに使用されうる。CD137結合剤であるCFPを発現する細胞は、骨髄細胞でありうる。CD137結合剤であるCFPを発現する細胞は、貪食骨髄細胞でありうる。CD137結合剤であるCFPを発現する細胞は、リンパ系細胞でありうる。CD137結合剤であるCFPを発現する細胞は、細胞傷害性細胞でありうる。
【0281】
[00368]一部の実施形態では、CD137標的化CFPは、骨髄細胞内で発現され、CART療法と共に使用されうるが、この場合、CART細胞は、同種細胞の場合もあり、自家細胞の場合もある。一部の実施形態では、CD137標的化CFPは、骨髄細胞内で発現され、CD137+細胞以外のがん細胞を標的化するCART療法と共に使用されうるが、この場合、CART細胞は、同種細胞の場合もあり、自家細胞の場合もある。一部の実施形態では、CD137標的化CFPは、骨髄細胞内で発現され、CART療法と共に使用されうるが、この場合、CART細胞および/または骨髄細胞は、同種細胞の場合もあり、自家細胞の場合もある。一部の実施形態では、CD137標的化CFPを発現する細胞は、細胞が、治療として投与される対象と比べて、同種細胞の場合もあり、自家細胞の場合もある。
【0282】
[00369]一部の実施形態では、CD137標的化CFPは、CD137アゴニスト抗体またはその断片から構成される、CD137結合性細胞外ドメインを含みうる。一部の実施形態では、CD137アゴニスト抗体またはその断片から構成される、CD137結合性細胞外ドメインは、scFv、VHH、ダイアボディー、二特異性抗体、もしくはCD137のリガンドまたはその断片を含みうる。一部の実施形態では、CD137標的化CFPは、CD3z、CD2、CD8α、CD28、CD68、FcgR、FcG、FcRガンマ、FcRアルファの膜貫通ドメイン、または他の任意の適切なドメインに由来する膜貫通ドメイン(TMD)をさらに含みうる。一部の実施形態では、上記で記載されたCD137標的化CFPは、1つまたは複数のシグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインをさらに含みうる。一部の実施形態では、CD137標的化CFPは、PI3K動員ドメイン、スカベンジャー受容体の細胞内シグナル伝達ドメイン、CD40細胞内ドメイン、FcR由来シグナル伝達ドメイン、TLR細胞内ドメイン、NLRP3細胞内ドメイン、CD3由来細胞内ドメイン、および他の細胞内ドメインに由来する細胞内ドメインを含みうる。表1および4において、本開示は、本明細書の多様な実施形態において記載される、多様な個別のドメインについての配列情報を掲載するが、これらの多様な組合せは、表1および4における配列情報を使用し、当技術分野で公知の分子生物学法を活用して、キメラ融合タンパク質を開発するように、単一の生体分子へと組み込まれうることは、本開示の範囲内にあることが想定される。
【0283】
[00370]一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質(CFP)は、CD137に結合するように標的化された、細胞外ドメイン(ECD)であって、配列番号31のアミノ酸配列、または配列番号31に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する配列を含みうるECDを含む。
MEFGLSWLFLVAILKGVQCGLLDLRQGMFAQLVAQNVLLIDGPLSWYSDPGLAGVSLTGGLSYKEDTKELVVAKAGVYYVFFQLELRRVVAGEGSGSVSLALHLQPLRSAAGAAALALTVDLPPASSEARNSAFGFQGRLLHLSAGQRLGVHLHTEARARHAWQLTQGATVLGLFRVTPEIPAGLPSPRSE(配列番号31)。
【0284】
[00371]一態様では、キメラ融合タンパク質は、CD137に結合する結合性ドメインを有する、可溶性タンパク質を含みうる。一実施形態では、キメラ融合タンパク質は、CD137に結合する、少なくとも1つの結合性ドメインと、それらのうちの少なくとも1つが、骨髄細胞上の細胞表面分子に結合する、1つまたは複数のさらなる結合性ドメインとを有する、可溶性タンパク質を含みうる。一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質は、CD137に結合しうる結合性ドメインと、骨髄細胞上の細胞表面分子に結合しうる結合性ドメインとを含む。一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質は、CD137に結合しうる結合性ドメインと、骨髄細胞上の細胞表面分子に結合しうる結合性ドメインとを含む。一部の実施形態では、CFPはまた、第3の細胞外部分、またはさらなる細胞外部分に結合する、第3の結合性ドメイン、または任意の数の、さらなる結合性ドメインも含み、この場合、細胞外部分は、細胞表面分子の場合もあり、細胞外環境内の可溶性成分の場合もある。一部の実施形態では、本明細書で記載される、キメラ融合タンパク質は、二特異性エンゲージャー(例えば、二特異性骨髄細胞エンゲージャー:BiME)と称される場合があり、この場合、二特異性エンゲージャーは、2つの「エンゲージャー」部分を含み、エンゲージャー部分は、2つの異なる標的に対する結合性ドメインであり、第1の結合性ドメインは、例えば、活性化T細胞上、活性化NK細胞上、またはがん細胞上など、任意のCD137+細胞上のCD137に結合し、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞上の表面分子に結合する。一部の態様では、本明細書で記載される、キメラ融合タンパク質は、三特異性エンゲージャー(三特異性骨髄細胞エンゲージャー、TRiME)と称され、この場合、三特異性エンゲージャーは、3つの異なる標的に対する結合性ドメインである、3つのエンゲージャー部分を含み、第1の結合性ドメインは、例えば、活性化T細胞、活性化NK細胞、またはCD137発現がん細胞など、任意のCD137+細胞上のCD137に結合し、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞上の細胞表面分子に結合し、第3の結合性ドメインは、第3のエレメントに結合し、第3のエレメントは、CD137、または第2の結合性ドメインが結合する骨髄細胞上の細胞表面分子以外の異なる細胞表面分子でありうる。一部の実施形態では、第3の結合性ドメインは、CD137+細胞上の、CD137以外の細胞表面分子に結合する。一部の実施形態では、第3の結合性ドメインは、骨髄細胞上の細胞表面分子に結合し、かつ、第2の結合性ドメインが結合する分子以外の分子に結合する。一部の実施形態では、BiMEまたはTriMEは、骨髄細胞が、標的細胞を攻撃し、貪食し、溶解しうるように、標的細胞を、骨髄細胞と並置する。一部の実施形態では、BiMEまたはTRiMEの、骨髄細胞への係合は、骨髄細胞と、標的細胞とを近接させるだけではなく、また、標的細胞に、効率的に係合し、これを、効率的に死滅させるようにも、骨髄細胞を活性化しうる。一部の実施形態では、本明細書で記載される、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、結合時において、骨髄細胞を活性化する。一部の実施形態では、BiMEまたはTriMEは、分泌型融合タンパク質である。一部の実施形態では、本明細書で記載されるエンゲージャー、または任意の結合性ドメインは、抗原結合性断片(Fab)、単鎖可変断片(scFv)、ナノボディー、Vドメイン、Vドメイン、単一ドメイン抗体(sdAb)、VNARドメイン、およびVHHドメイン、二特異性抗体、ダイアボディー、もしくはこれらのいずれかの機能的断片でありうる。一部の実施形態では、エンゲージャーは、CD137のリガンド(配列番号31)、またはCD137に結合する、その断片などのリガンドでありうる。
【0285】
[00372]一部の実施形態では、腫瘍細胞上のCD137に結合することが可能である結合性ドメインを含むCFPは、抗腫瘍活性における使用のためにデザインされる。CD137に結合することが可能である結合性ドメインを含む融合タンパク質をコードする組換え核酸は、骨髄細胞内で発現されるが、この場合、キメラ融合タンパク質は、膜貫通タンパク質であり、骨髄細胞は、貪食細胞であり;CFPの、細胞上、例えば、腫瘍細胞上で発現された標的であるCD137への係合時に、骨髄細胞は、活性化され、標的細胞、例えば、腫瘍細胞を貪食し、これを溶解し、これにより、腫瘍の増殖を緩徐化または失速させ、腫瘍のサイズを低減し、かつ/または腫瘍を消失させる。
【0286】
[00373]一部の実施形態では、活性化CD137発現細胞上の、CD137に結合することが可能である結合性ドメインを含むCFPは、宿主対移植片病(host-versus-graph-disease)(HVGD)、あるいは同種反応、または急性もしくは持続性の重度炎症と関連する状態の処置など、免疫の抑制における使用のためにデザインされる。一部の実施形態では、CD137発現細胞は、活性化T細胞または活性化NK細胞である。一部の実施形態では、骨髄細胞内で発現される、CFPの細胞外ドメイン上の、CD137のリガンドまたはその断片は、活性化T細胞上または活性化NK細胞上のCD137への結合時に、骨髄細胞を活性化し、貪食を活性化し、活性化T細胞または活性化NK細胞を溶解し、炎症を低減する。
【0287】
[00374]本明細書の一部の実施形態では、医薬組成物などの治療剤について記載され、この場合、医薬組成物は、(i)CD137に結合することが可能である結合性ドメインを含むCFP;(ii)CD137に結合することが可能である結合性ドメインを含むCFPをコードする組換え核酸;または(iii)CD137に結合することが可能である結合性ドメインを含むCFPを発現する細胞を含みうる。
【0288】
[00375]一部の実施形態では、CD137に結合することが可能である結合性ドメインを含むCFP;CD137に結合することが可能である結合性ドメインを含むCFPをコードする組換え核酸を含む本明細書で記載される医薬組成物;またはCD137に結合することが可能である結合性ドメインを含むCFPを発現する細胞などの治療剤は、(i)1つもしくは複数のさらなるCFP;または(ii)1つもしくは複数のさらなるCFPをコードする組換え核酸;または(iii)1つもしくは複数のさらなるCFPを発現する細胞のそれぞれ、あるいはこれらの任意の組合せと組み合わせて使用されうる。上記についての、1つの例として述べると、CD137に結合することが可能である結合性ドメインを含むCFPを発現する骨髄細胞を含む、本明細書で記載される医薬組成物は、CD5、または本明細書中の任意の箇所に記載された、他の任意の結合性ドメインに結合することが可能である、結合性ドメインを含むCFPを発現する骨髄細胞と組み合わせて使用されうる。同様に、本明細書で記載される組成物の任意の組合せは、治療剤中で組み合わされるか、または混合されることが想定され、本開示の範囲内にあるであろう。
【0289】
CD70結合タンパク質およびCD70結合ドメイン
[00376]CD70は、結腸直腸がん(CRC)、肺がん、T細胞リンパ腫、神経膠腫、甲状腺がん、頭頸部がん、胃がん、肝がん、膵がん、尿路上皮がん、卵巣がん、および黒色腫を含むがこれらに限定されない、ある特定のがんにおいて高度に発現されうる。本明細書では、がん細胞上のCD70に結合することが可能であり、がんなど、CD70の過剰発現を伴う疾患に対する治療的使用のためにデザインされた、キメラ融合タンパク質が提供される。
【0290】
[00377]本明細書の一態様では、CD70(CD70結合剤であるCFP)に結合しうる細胞外結合性ドメインを有するキメラ融合タンパク質が提供される。一部の実施形態では、CD70結合剤であるCFPは、配列番号32のアミノ酸配列、または配列番号32のアミノ酸配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を有する、細胞外結合性ドメインを含みうる。CD70結合性ドメインは、抗原結合性断片(Fab)、単鎖可変断片(scFv)、ナノボディー、Vドメイン、Vドメイン、単一ドメイン抗体(sdAb)、VNARドメイン、およびVHHドメイン、二特異性抗体、ダイアボディー、もしくはこれらのいずれかの機能的断片を含みうる。
【0291】
[00378]一部の実施形態では、細胞外ドメインは、CD8に由来するヒンジドメインをさらに含み、この場合、ヒンジドメインは、細胞質側において、膜貫通ドメインへと作動的に連結され、細胞外側において、CD70結合性ドメインへと作動的に連結される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15、16、17、18、または19の配列のうちのいずれか1つに示された配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8アルファ(CD8a)膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15に示された配列、または配列番号15に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号16に示された配列、または配列番号16に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD2膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号17に示された配列、または配列番号17に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号18に示された配列、または配列番号18に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD68膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号19に示された配列、または配列番号19に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPのECDは、配列番号15、16、17、18、もしくは19に示された配列のうちのいずれか1つから選択される膜貫通ドメイン、または配列番号15、16、17、18、もしくは19のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインへと融合された;配列番号32に描示されたアミノ酸配列、または32に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0292】
[00379]一部の実施形態では、細胞外ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインは、配列番号20もしくは配列番号21の配列、または配列番号20もしくは配列番号21のそれぞれに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20の膜貫通ドメイン、または配列番号20に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号21の膜貫通ドメイン、または配列番号21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20または21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインへと融合された;配列番号32に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するECD結合ドメインを含む。
【0293】
[00380]一部の実施形態では、CFPは、表4に示された、CD16膜貫通ドメイン(例えば、短鎖ヒンジドメインを含む)の配列を含む膜貫通ドメインへと作動可能に連結された;配列番号32に示された配列、または配列番号32に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、CD64膜貫通ドメイン配列を含む膜貫通ドメインへと作動可能に連結された;配列番号32に示された配列、または配列番号32に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、表4に示された、CD89膜貫通ドメイン(例えば、短鎖ヒンジドメインを含む)の配列を含む膜貫通ドメインへと作動可能に連結された;配列番号32に示された配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号32に示された配列、または配列番号32に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を伴うECD;CD16タンパク質の膜貫通ドメイン、またはCD64タンパク質のTMD、またはCD89タンパク質のTMDに由来する配列を含む膜貫通ドメイン;および、任意選択で、本明細書で記載される、他の別個のICDに加えて、例えば、CD16タンパク質、CD64タンパク質、またはCD89タンパク質のそれぞれに由来する、対応する細胞内ドメイン(ICD)またはその部分を含む。CD16およびCD89の、例示的ICD配列は、表4に提示される。
【0294】
[00381]一部の実施形態では、CFPは、1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcRα、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcR、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ以外の受容体に由来するドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、FcRγ、FcRα、またはFcRεに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0295】
[00382]一部の実施形態では、CFPは、配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つ、または配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列のアミノ酸配列を含む、FcRガンマタンパク質(FcRγ鎖)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、PI3キナーゼ(PI3K)動員ドメインを含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号26の配列、または配列番号26に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、CD40の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号27の配列、または配列番号27に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号28の配列、または配列番号28に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号29の配列、または配列番号29に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号30の配列、または配列番号30に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0296】
[00383]本明細書では、骨髄細胞など、適切な細胞内で発現されうる、上記で記載されたCD70結合性ドメイン(CD70結合剤)を含むCFPをコードする、組換え核酸が提供される。骨髄細胞は、貪食細胞でありうる。一部の実施形態では、CD70結合剤は、細胞上のCD70への結合時に、CD70結合性CFPを発現する骨髄細胞を活性化する。本明細書では、本明細書で使用される、CD70-CFPと称される、キメラCD70結合受容体融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸配列が提供される。一部の実施形態では、キメラ受容体融合タンパク質、例えば、CD70結合受容体融合タンパク質をコードする組換え核酸は、骨髄細胞など、適切な細胞内で発現されうる。一部の実施形態では、CD70-CFPが、骨髄細胞など、適切な細胞上で発現されると、CD70結合剤は、CD70を発現する標的細胞に結合することが可能であり、結合剤を発現する骨髄細胞が活性化される。一部の実施形態では、CD70-CFPは、CD70との係合時に、CD70-CFPの細胞内シグナル伝達ドメインを活性化し、これが、CD70-CFPをコードする組換え核酸を発現する骨髄細胞を活性化する。一部の実施形態では、骨髄細胞は、貪食細胞である。一部の実施形態では、貪食細胞であり、CD70結合剤を発現する骨髄細胞は、CD70結合剤が、別の細胞(標的細胞)上で発現されたCD70に結合すると、活性化され、標的細胞を貪食することが可能である。一部の実施形態では、標的細胞は、CD70を発現する、任意の細胞でありうる。一部の実施形態では、標的細胞は、リンパ球である。一部の実施形態では、標的細胞は、Tリンパ球(T細胞)である。一部の実施形態では、標的細胞は、悪性細胞でありうる。一部の実施形態では、標的細胞は、悪性T細胞でありうる。一部の実施形態では、CD70結合性CFPを発現する骨髄細胞は、T細胞リンパ腫に対する治療用組成物を作出するのに使用されうる。
【0297】
[00384]別の実施形態では、本明細書では、CD70の細胞外ドメインに結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質などの組換えタンパク質が提供される。一部の実施形態では、本明細書で記載される、可溶性タンパク質などのキメラ融合タンパク質は、二特異性エンゲージャー(例えば、二特異性骨髄細胞エンゲージャー:BiME)と称される場合があり、この場合、二特異性エンゲージャーは、2つの「エンゲージャー」部分を含み、エンゲージャー部分は、2つの異なる標的に対する結合性ドメインであり、第1の結合性ドメインは、例えば、活性化T細胞上、活性化NK細胞上、またはがん細胞上など、任意のCD70+細胞上のCD70に結合し、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞上の表面分子に結合する。一部の態様では、本明細書で記載される、キメラ融合タンパク質は、三特異性エンゲージャー(三特異性骨髄細胞エンゲージャー、TRiME)と称され、この場合、三特異性エンゲージャーは、3つの異なる標的に対する結合性ドメインである、3つのエンゲージャー部分を含み、第1の結合性ドメインは、CD70に結合する。一部の実施形態では、CD70に結合しうるドメインを有する、組換え細胞外タンパク質(BiMEまたはTRiME)は、貪食細胞などの骨髄細胞の表面タンパク質に結合しうる第2のドメインをさらに含む。骨髄細胞の表面タンパク質は、骨髄細胞の膜上で発現されるタンパク質、例えば、貪食受容体、パターン認識分子、またはスカベンジャー受容体でありうる。本明細書では、本明細書で記載された、CD70の細胞外ドメインに結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質をコードする組換え核酸が提供される。
【0298】
[00385]本明細書では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、CD70タンパク質過剰発現と関連し、上記で記載された、CD70結合タンパク質のうちのいずれかなどのCD70に結合しうる細胞外結合性ドメインを有する、少なくとも1つの組換えタンパク質を含む治療剤が提供される。本明細書の一部の実施形態では、CD70結合タンパク質を発現する細胞が提供される。本明細書の一部の実施形態では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、CD70過剰発現と関連し、本明細書で記載されたCD70結合剤をコードする、少なくとも1つの組換え核酸を含む治療剤が提供される。本明細書の一部の実施形態では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、CD70タンパク質過剰発現と関連し、本明細書で記載されたCD70結合剤をコードする、組換え核酸を含む細胞を含む治療剤が提供される。一部の実施形態では、細胞は、骨髄細胞である。一部の実施形態では、疾患は、がん、例えば、T細胞リンパ腫または結腸直腸がん(CRC)である。
【0299】
[00386]例示的なCD70結合剤の配列は、配列番号32:
QVQLVQSGAEVKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVRQAPGQGLEWMGWINTYTGEPTYADAFKGRVTMTTDTSTSTAYMELRSLRSDDTAVYYCARDYGDYGMDYWGQGTTVTVSSGSTSGSGKPGSSEGSTKGDIVMTQSPDSLAVSLGERATINCRASKSVSTSGYSFMHWYQQKPGQPPKLLIYLASNLESGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQAEDVAVYYCQHSREVPWTFGQGTKVEIK(配列番号32)
である。
【0300】
[00387]一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質(CFP)は、配列番号32のアミノ酸配列、または配列番号32に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する配列を含む、CD70に結合するように標的化された細胞外ドメイン(ECD)を含む。
【0301】
claudin 18.2結合タンパク質およびclaudin 18.2結合ドメイン、ならびにclaudin 3結合タンパク質およびclaudin 3結合ドメイン
[00388]タンパク質のclaudinファミリーは、密着結合の構成要素であり、細胞間の分子の流動を制御する、傍細胞障壁を確立する。claudinの膜貫通ドメインは、細胞質内の、N末端およびC末端を含む。claudinタンパク質は、組織特異的発現を呈し、それらの機能の変更は、特異的組織のがんと関連することが多い。claudin-1の発現は、結腸がんにおいて、予後診断価値を有することが示されている。claudin-1は、病期IIの結腸がんにおける、強力な予後診断指標であり、claudin-18は、胃がんにおける、強力な予後診断指標である。腸表現型を伴う胃がんでは、遺伝子発現データの連続解析を介して、claudin-18遺伝子の下方調節が裏付けられており、肝細胞癌では、claudin-10の下方調節が裏付けられている。表面タンパク質であるclaudinは、多様な治療戦略に有用な標的を表す。
【0302】
[00389]claudin 18アイソフォーム2(claudin 18.2)は、高度に選択的な系統マーカーである。claudin-18スプライス変異体2は、治療用抗体の開発に適する、汎がん標的であり、正常組織内では、高度に限定的な発現パターンを呈する一方、胃がん、卵巣がん、および膵臓がんを含む、多様なヒトがんでは、高頻度の異所性活性化を伴う。
【0303】
[00390]claudin-3は、密着結合内で発現され、乳腺、卵巣、子宮、前立腺、および食道など、多数の臓器内および組織内の腫瘍形成時に調節されることが示される。claudin 3(caudin 3)の過剰発現が、傍細胞抵抗により測定される、経上皮抵抗を増大させるのに対し、経細胞抵抗は、著明には変化しなかった。claudin-3の過剰発現は、ナトリウムおよび塩化物の両方対する透過性の低下を結果としてもたらし、Claudin 3分子の発現は、卵巣がん組織、前立腺がん組織、乳がん組織、子宮がん組織、肝がん組織、肺がん組織、膵がん組織、胃がん組織、膀胱がん組織、および結腸がん組織など、多くのがん組織内で上昇される。Claudin 3およびClaudin 4の発現は、化学療法耐性子宮がんにおいて、特に、上昇されることが示されている。Claudin 3は、4回膜貫通領域を伴うタンパク質であり、2つのペプチドループを、細胞の外部へと露出させる構造を有する。
【0304】
[00391]本明細書の一態様では、claudin 18.2(Claudin 18.2結合剤であるCFP)に結合しうる細胞外結合性ドメインを有するキメラ融合タンパク質が提供される。
【0305】
[00392]別の態様では、本明細書では、claudin 3.0に結合しうる細胞外結合性ドメインを有する、キメラ融合タンパク質が提供される。
【0306】
[00393]一実施形態では、細胞外結合性ドメインは、ヒトclaudin 18.2、またはその断片に特異的であるscFvを含む。一部の実施形態では、キメラ融合受容体タンパク質のECDは、標的細胞上のClaudin 18.2の細胞外ループに結合する結合性ドメインを含む。
【0307】
[00394]一部の実施形態では、例示的Claudin 18.2結合ドメインは、配列番号33の配列;または配列番号33に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する配列を含みうる。
QVQLQESGPGLVKPSQTLSLTCTVSGGSISSGYNWHWIRQPPGKGLEWIGYIHYTGSTNYNPALRSRVTISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCARIYNGNSFPYWGQGTTVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIVMTQSPDSLAYSLGERATINCKSSQSLFNSGNQKNYLTWYQQKPGQPPKLLIYWASTRESGVPDRFSGSGSGTDIFITISSLQAEDVAVYYCQNAYSFPYTFGGGTKLEIKR(配列番号33)
[00395]一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質(CFP)は、配列番号33のアミノ酸配列、または配列番号33に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する配列を含む、Claudin 18.2に結合するように標的化された細胞外ドメイン(ECD)を含む。
【0308】
[00396]一部の実施形態では、CFPは、表4に示された、CD16膜貫通ドメイン(例えば、短鎖ヒンジドメインを含む)の配列を含むTMドメインへと作動可能に連結された;配列番号33に示された配列、または配列番号33に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、CD64膜貫通ドメイン配列を含むTMドメインへと作動可能に連結された;配列番号33に示された配列、または配列番号33に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、表4に示された、CD89膜貫通ドメイン(例えば、短鎖ヒンジドメインを含む)の配列を含むTMドメインへと作動可能に連結された;配列番号33に示された配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号33に示された配列、または配列番号33に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を伴うECD;CD16タンパク質のTMドメイン、またはCD64タンパク質のTMD、またはCD89タンパク質のTMDに由来する配列を含むTMドメイン;および、任意選択で、本明細書で記載される、他の別個のICDに加えて、例えば、CD16タンパク質、CD64タンパク質、またはCD89タンパク質のそれぞれに由来する、対応する細胞内ドメイン(ICD)またはその部分を含む。CD16およびCD89の、例示的ICD配列は、表4に提示される。
【0309】
[00397]一実施形態では、細胞外結合性ドメインは、ヒトclaudin 3.0に特異的なscFvを含む。一部の実施形態では、細胞外結合性ドメインは、表2において示される配列を含む、claudin 3結合性ドメインを含む。表2は、開示について非限定的であることが意図される、ヒトclaudin 3.0結合性ドメインおよび/またはその断片の例示的配列を示す。
【0310】
【表2-1】
【0311】
【表2-2】
【0312】
【表2-3】
[00398]claudin 3結合性ドメインは、表2による配列のうちの1つまたは複数を含みうる。一部の実施形態では、claudin 3結合性ドメインは、表2の配列を含むScFvを含む。一部の実施形態では、結合性ドメインは、表2の配列を含む、抗原結合性断片(Fab)、単鎖可変断片(scFv)、ナノボディー、VHドメイン、VLドメイン、単一ドメイン抗体(sdAb)、VNARドメイン、およびVHHドメイン、二特異性抗体、ダイアボディー、もしくはこれらのいずれかの機能的断片を含む。一部の実施形態では、抗原結合性断片(Fab)、単鎖可変断片(scFv)、ナノボディー、VHドメイン、VLドメイン、単一ドメイン抗体(sdAb)、VNARドメイン、およびVHHドメイン、二特異性抗体、ダイアボディー、もしくはこれらのいずれかの機能的断片は、1つまたは複数の抗原に特異的に結合する。
【0313】
[00399]一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質は、抗原結合性ドメインなどの細胞外結合性ドメインを含み;細胞外結合性ドメインが、本明細書で記載されるclaudin 18.2タンパク質に結合する場合もあり;本明細書で記載されるclaudin 3タンパク質に結合する場合もあり;細胞外抗原結合性ドメインと、細胞内ドメインとの間に、ヒンジドメインを伴うか、またはこれを伴わない、膜貫通ドメインをさらに含みうる配列を含みうる受容体である。一部の実施形態では、細胞外ドメインは、CD8に由来するヒンジドメインをさらに含み、この場合、ヒンジドメインは、細胞質側において、膜貫通ドメインへと作動的に連結され、細胞外側において、Claudin 18.2結合性ドメインへと作動的に連結される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15、16、17、18、または19の配列のうちのいずれか1つに示された配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8アルファ(CD8a)膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15に示された配列、または配列番号15に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号16に示された配列、または配列番号16に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD2膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号17に示された配列、または配列番号17に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号18に示された配列、または配列番号18に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD68膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号19に示された配列、または配列番号19に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPのECDは、配列番号15、16、17、18、もしくは19に示された配列のうちのいずれか1つから選択される膜貫通ドメイン、または配列番号15、16、17、18、もしくは19のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインへと融合された;表2における配列に描示されたアミノ酸配列、または表2における配列のうちのいずれかに対する70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0314】
[00400]一部の実施形態では、細胞外ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインは、配列番号20もしくは配列番号21の配列、または配列番号20もしくは配列番号21のそれぞれに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20の膜貫通ドメイン、または配列番号20に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号21の膜貫通ドメイン、または配列番号21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20または21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインへと融合された;表2における配列のうちのいずれかに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するECD結合ドメインを含む。
【0315】
[00401]一部の実施形態では、CFPは、1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcRα、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcR、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ以外の受容体に由来するドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、FcRγ、FcRα、またはFcRεに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0316】
[00402]一部の実施形態では、CFPは、配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つ、または配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列のアミノ酸配列を含む、FcRガンマタンパク質(FcRγ鎖)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、PI3キナーゼ(PI3K)動員ドメインを含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号26の配列、または配列番号26に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、CD40の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号27の配列、または配列番号27に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号28の配列、または配列番号28に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号29の配列、または配列番号29に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号30の配列、または配列番号30に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0317】
[00403]本明細書では、骨髄細胞など、適切な細胞内で発現されうる、上記で記載されたClaudin 18.2結合性ドメイン(Claudin 18.2結合剤)を含むCFPをコードする組換え核酸が提供される。骨髄細胞は、貪食細胞でありうる。一部の実施形態では、Claudin 18.2結合剤は、細胞上のClaudin 18.2への結合時に、Claudin 18.2結合性CFPを発現する骨髄細胞を活性化する。本明細書では、キメラClaudin 18.2結合受容体融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸配列が提供される。一部の実施形態では、キメラ受容体融合タンパク質、例えば、Claudin 18.2結合受容体融合タンパク質をコードする組換え核酸は、骨髄細胞など、適切な細胞内で発現されうる。一部の実施形態では、Claudin 18.2-CFPが、骨髄細胞など、適切な細胞上で発現されると、Claudin 18.2結合剤は、Claudin 18.2を発現する標的細胞に結合することが可能であり、結合剤を発現する骨髄細胞が活性化される。一部の実施形態では、Claudin 18.2-CFPは、Claudin 18.2との係合時に、Claudin 18.2-CFPの細胞内シグナル伝達ドメインを活性化し、これが、Claudin 18.2-CFPをコードする組換え核酸を発現する骨髄細胞を活性化する。一部の実施形態では、骨髄細胞は、貪食細胞である。一部の実施形態では、貪食細胞であり、CD137結合剤を発現する骨髄細胞は、Claudin 18.2結合剤が、別の細胞(標的細胞)上で発現されたClaudin 18.2に結合すると、活性化され、標的細胞を貪食することが可能である。一部の実施形態では、標的細胞は、Claudin 18.2を発現する、任意の細胞でありうる。一部の実施形態では、標的細胞は、リンパ球である。一部の実施形態では、標的細胞は、Tリンパ球(T細胞)である。一部の実施形態では、標的細胞は、悪性細胞でありうる。一部の実施形態では、標的細胞は、悪性T細胞でありうる。一部の実施形態では、Claudin 18.2結合性CFPを発現する骨髄細胞は、T細胞リンパ腫に対する治療用組成物を作出するのに使用されうる。
【0318】
[00404]一部の実施形態では、claudin 18.2結合剤である、キメラ融合タンパク質は、claudin 18.2に結合する抗原結合性ドメインを含む細胞外タンパク質である。本明細書では、claudin 18.2に結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質などの組換えタンパク質が提供される。一部の実施形態では、細胞外タンパク質は、上記で記載された、claudin 18.2に結合しうるその断片の抗体を含む。一部の実施形態では、細胞外タンパク質または可溶性タンパク質は、貪食細胞などの骨髄細胞の表面タンパク質に結合しうる第2のドメインをさらに含む。骨髄細胞の表面タンパク質は、骨髄細胞の膜上で発現されるタンパク質、例えば、貪食受容体、パターン認識分子、またはスカベンジャー受容体でありうる。
【0319】
[00405]本明細書では、本明細書で記載された、claudin 18.2の細胞外ドメインに結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質をコードする組換え核酸が提供される。
【0320】
[00406]一部の実施形態では、claudin 3結合剤は、細胞外タンパク質である。本明細書では、claudin 3に結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質などの組換えタンパク質が提供される。一部の実施形態では、細胞外タンパク質は、表2に描示された配列のうちの、いずれか1つまたは複数など、claudin 3に結合しうるその断片の抗体を含む。一部の実施形態では、claudin 3結合剤である、細胞外タンパク質は、貪食細胞などの骨髄細胞の表面タンパク質に結合しうる第2のドメインをさらに含む。骨髄細胞の表面タンパク質は、骨髄細胞の膜上で発現されるタンパク質、例えば、貪食受容体、パターン認識分子、またはスカベンジャー受容体でありうる。本明細書では、本明細書で記載された、claudin 3の細胞外ドメインに結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質をコードする組換え核酸が提供される。
【0321】
[00407]本明細書では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、claudinタンパク質、例えば、claudin 18.2タンパク質またはclaudin 3タンパク質過剰発現と関連し、上記で記載された、claudin 18.2結合タンパク質またはclaudin 3結合タンパク質のうちのいずれかなど、claudin 18.2またはclaudin 3のそれぞれに結合しうる細胞外結合性ドメインを有する、少なくとも1つの組換えタンパク質を含む治療剤が提供される。本明細書の一部の実施形態では、claudin 18.2結合剤またはclaudin 3結合剤(binding)を発現する細胞が提供される。本明細書の一部の実施形態では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、claudinタンパク質、例えば、claudin 18.2タンパク質またはclaudin 3タンパク質過剰発現と関連し、本明細書で記載されたclaudin 18.2結合剤またはclaudin 3結合剤をコードする、少なくとも1つの組換え核酸を含む治療剤が提供される。本明細書の一部の実施形態では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、claudinタンパク質、例えば、claudin 18.2タンパク質またはclaudin 3タンパク質過剰発現と関連し、本明細書で記載されたclaudin 18.2結合剤またはclaudin 3結合剤をコードする、組換え核酸を含む細胞を含む治療剤が提供される。一部の実施形態では、細胞は、骨髄細胞である。
【0322】
TROP2結合タンパク質およびTROP2結合ドメイン
[00408]上皮糖タンパク質1、消化器抗原733-1、膜成分表面マーカー1、および腫瘍関連カルシウムシグナル伝達因子2としてもまた公知のTROP2は、TACSTD2遺伝子のタンパク質産物である。TROP2は、様々な細胞シグナル伝達経路内で機能する、膜貫通糖タンパク質であり、当初、細胞内カルシウムシグナルの伝達因子として解明された。TROP2の発現は、多種多様な転写因子に依存することが裏付けられている。TROP2は、b-カテニンシグナル伝達を介して、増殖および自己再生を調節し、TROP2シグナル伝達は、がん細胞の幹細胞様特性を増強する。TROP2は、従来、がんの発症と関連する、いくつかの分子経路への関与を踏まえると、腫瘍の進行において、役割を果たしうる。高度のTROP2発現は、膵がん(pancreatic)、肝門部胆管癌、子宮頸がん、胃がん、および他のがん(Fong Dら、Br J Cancer、2008、99(8):1290~1295;Ning S.ら、J Gastrointest Surg.、2013、17(2):360~368;Liu Tら、PLoS One、2013、8(9):e75864;Zhao Wら、Oncotarget.、2016、7(5):6136~6145)における予後不良と相関する。TROP2は、多種多様な腫瘍上で過剰発現され、正常細胞と比べて発現が上方調節されるので、新規の治療剤の開発のために標的化されうる。
【0323】
[00409]本明細書では、TROP2を発現するがん細胞に結合しうるキメラタンパク質が提供される。本明細書では、TROP2の細胞外ドメインに結合するキメラタンパク質(TROP2結合剤)が提供される。一部の実施形態では、キメラタンパク質は、TROP2の細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、および/または細胞質ドメインに結合することが可能な細胞外タンパク質を伴う、キメラ受容体タンパク質である。一部の実施形態では、キメラタンパク質は、TROP2の細胞外ドメインに結合しうる細胞外可溶性タンパク質であるタンパク質である。一部の実施形態では、TROP2の細胞外ドメインに結合することが可能である、細胞外可溶性キメラタンパク質は、貪食細胞などの骨髄細胞の表面上に発現されるタンパク質の細胞外ドメインに結合することが可能である、別のドメインを含みうる。本明細書で記載されるキメラタンパク質(TROP2結合剤)は、がんなど、TROP2タンパク質の過剰発現と関連する疾患を処置するための、TROP2結合剤を含む医薬組成物を含む治療剤を調製するのに使用されうる。このようながんは、膵がん(pancreatic)、肝門部胆管癌、子宮頸がん、および胃がんを含むがこれらに限定されない。
【0324】
[00410]本明細書の一態様では、細胞外TROP2結合性ドメインを有する、キメラ融合受容体(CFP)タンパク質(TROP2結合剤であるCFP)が提供される。一部の実施形態では、細胞外結合性ドメインは、TROP2に結合することが可能である、抗体の抗原結合性ドメイン、または抗原結合性断片(Fab)(fragment)、単鎖可変断片(scFv)、ナノボディー、VHドメイン、VLドメイン、単一ドメイン抗体(sdAb)、VNARドメイン、およびVHHドメイン、二特異性抗体、ダイアボディー、もしくはこれらのいずれかの機能的断片である。一部の実施形態では、抗原結合性断片(Fab)、単鎖可変断片(scFv)、ナノボディー、VHドメイン、VLドメイン、単一ドメイン抗体(sdAb)、VNARドメイン、およびVHHドメイン、二特異性抗体、ダイアボディー、もしくはこれらのいずれかの機能的断片は、1つまたは複数の抗原に特異的に結合する。一部の実施形態では、結合剤は、TROP2受容体に対する天然リガンドである。
【0325】
[00411]一部の実施形態では、細胞外ドメインは、CD8に由来するヒンジドメインをさらに含み、この場合、ヒンジドメインは、細胞質側において、膜貫通ドメインへと作動的に連結され、細胞外側において、TROP2結合性ドメインへと作動的に連結される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15、16、17、18、または19の配列のうちのいずれか1つに示された配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8アルファ(CD8a)膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15に示された配列、または配列番号15に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号16に示された配列、または配列番号16に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD2膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号17に示された配列、または配列番号17に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号18に示された配列、または配列番号18に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD68膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号19に示された配列、または配列番号19に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPのECDは、配列番号15、16、17、18、もしくは19に示された配列のうちのいずれか1つから選択される膜貫通ドメイン、または配列番号15、16、17、18、もしくは19のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインへと融合された;表2における配列に描示されたアミノ酸配列、または表2における配列のうちのいずれかに対する70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0326】
[00412]一部の実施形態では、細胞外ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインは、配列番号20もしくは配列番号21の配列、または配列番号20もしくは配列番号21のそれぞれに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20の膜貫通ドメイン、または配列番号20に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号21の膜貫通ドメイン、または配列番号21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20または21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインへと融合された;表2における配列のうちのいずれかに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するECD結合ドメインを含む。
【0327】
[00413]一部の実施形態では、CFPは、表4に示された、CD16膜貫通ドメイン(例えば、短鎖ヒンジドメインを含む)の配列を含むTMドメインへと作動可能に連結された;配列番号34もしくは配列番号35に示された配列またはこれらの両方、あるいは配列番号34もしくは配列番号35に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、CD64膜貫通ドメイン配列を含むTMドメインへと作動可能に連結された;配列番号34もしくは35に示された配列、または配列番号34もしくは35に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、表4に示された、CD89膜貫通ドメイン(例えば、短鎖ヒンジドメインを含む)の配列を含むTMドメインへと作動可能に連結された;配列番号34または35に示された配列を含む細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号34もしくは35に示された配列、または配列番号34もしくは35に示された配列に対する少なくとも80%の配列同一性を有する配列を伴うECD;CD16タンパク質のTMドメイン、またはCD64タンパク質のTMD、またはCD89タンパク質のTMDに由来する配列を含むTMドメイン;および、任意選択で、本明細書で記載される、他の別個のICDに加えて、例えば、CD16タンパク質、CD64タンパク質、またはCD89タンパク質のそれぞれに由来する、対応する細胞内ドメイン(ICD)またはその部分を含む。CD16およびCD89の、例示的ICD配列は、表4に提示される。
【0328】
[00414]一部の実施形態では、CFPは、1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcRα、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcR、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ以外の受容体に由来するドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、FcRγ、FcRα、またはFcRεに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0329】
[00415]一部の実施形態では、CFPは、配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つ、または配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列のアミノ酸配列を含む、FcRガンマタンパク質(FcRγ鎖)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、PI3キナーゼ(PI3K)動員ドメインを含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号26の配列、または配列番号26に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、CD40の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号27の配列、または配列番号27に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号28の配列、または配列番号28に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号29の配列、または配列番号29に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号30の配列、または配列番号30に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0330】
[00416]本明細書では、骨髄細胞など、適切な細胞内で発現されうる、上記で記載されたTROP2結合性ドメイン(TROP2結合剤)を含むCFPをコードする組換え核酸が提供される。骨髄細胞は、貪食細胞でありうる。一部の実施形態では、組換え核酸は、上記で記載されたTROP2結合性ドメイン;配列番号21~30に由来する配列のうちの1つまたは複数を含む、細胞内ドメイン;および配列番号15~21のうちのいずれか1つから選択される配列を有する配列を含む膜貫通ドメインを含むCFPをコードする。
【0331】
[00417]別の実施形態では、本明細書では、TROP2の細胞外ドメインに結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質などの組換えタンパク質が提供される。一部の実施形態では、TROP2に結合しうるドメインを有する、組換え細胞外タンパク質、例えば、TROP2の細胞外ドメインに結合しうるドメインは、貪食細胞などの骨髄細胞の表面タンパク質に結合しうる第2のドメインをさらに含む。骨髄細胞の表面タンパク質は、骨髄細胞の膜上で発現されるタンパク質、例えば、貪食受容体、パターン認識分子、またはスカベンジャー受容体でありうる。本明細書では、本明細書で記載された、TROP2の細胞外ドメインに結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質をコードする組換え核酸が提供される。
【0332】
[00418]本明細書では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、TROP2タンパク質過剰発現と関連し、上記で記載された、TROP2結合タンパク質のうちのいずれかなどのTROP2に結合しうる細胞外結合性ドメインを有するタンパク質をコードする、少なくとも1つの組換えポリ核酸を含む治療剤が提供される。一部の実施形態では、タンパク質をコードする組換えポリ核酸は、mRNAである。一部の実施形態では、タンパク質をコードする組換えポリ核酸は、DNAである。一部の実施形態では、組換えポリ核酸は、TROP2結合性細胞外ドメイン、任意選択の膜貫通ドメイン、および1つまたは複数の細胞内ドメインを含む、キメラ融合受容体タンパク質(CFP)である、TROP2結合タンパク質をコードする。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞内ドメインは、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、本明細書で記載された、PI3キナーゼ動員ドメイン、CD40細胞内ドメイン、FcRドメインを含む。一部の実施形態では、組換えポリ核酸は、細胞内に含まれる。一部の実施形態では、TROP2結合剤であるCFPをコードする配列を含む、組換えmRNAは、骨髄細胞内で発現される。本明細書の一部の実施形態では、TROP2結合タンパク質を発現する細胞が提供される。本明細書の一部の実施形態では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、TROP2過剰発現と関連し、本明細書で記載されたTROP2結合剤をコードする、少なくとも1つの組換え核酸を含む治療剤が提供される。本明細書の一部の実施形態では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、TROP2タンパク質過剰発現と関連し、本明細書で記載されたTROP2結合剤をコードする、組換え核酸を含む細胞を含む治療剤が提供される。一部の実施形態では、細胞は、骨髄細胞である。一部の実施形態では、疾患は、膵がん(pancreatic)、肝門部胆管癌、子宮頸がん、胃がん、肺がんを含むがこれらに限定されないがんである。一部の実施形態では、疾患は、非小細胞肺癌である。
【0333】
[00419]一部の実施形態では、本明細書で記載される治療剤は、TROP2に結合しうる細胞外結合性ドメインと、任意選択で、CD8ヒンジドメインと、骨髄細胞の膜上に適正に発現し局在化させるために骨髄細胞内の内因性タンパク質に結合しうる膜貫通ドメインとを有する、少なくとも1つの組換えキメラ融合タンパク質(CFP)、またはこの組換えCFPをコードするポリヌクレオチドを含む。例えば、一部の実施形態では、TROP2結合剤は、骨髄細胞の別の膜貫通タンパク質と二量体化するか、またはオリゴマー化する膜貫通領域を含む。一部の実施形態では、TROP2結合剤は、骨髄細胞膜上のFcガンマ受容体と二量体化し、これにより、骨髄細胞内だけで発現しうる、膜貫通タンパク質を含む。一部の実施形態では、TROP2結合剤は、タンパク質が、骨髄細胞内だけで発現される、内因性タンパク質と二量体化する(またはオリゴマー化する)場合に限り、機能的であるようにデザインされる。一部の実施形態では、TROP2結合剤は、Fcアルファ膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、TROP2結合剤は、CD64(FcγR1)タンパク質膜貫通ドメイン、CD89(FcαR1)タンパク質膜貫通ドメイン、CD16a(FcγRIIIA)膜貫通ドメインから選択される膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、TROP2結合剤は、Fcイプシロン膜貫通ドメインを含む。本明細書の一部の実施形態では、TROP2結合性細胞外ドメインと、任意選択で、例えば、CD8ヒンジドメインを含む、短鎖ヒンジ領域と、CD89膜貫通ドメインと、任意選択で、CD40細胞内ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインなど、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインへと融合された、CD89細胞内領域とを含む、TROP2結合性CFP(TROP2結合剤)が提供される。本明細書の一部の実施形態では、TROP2結合性細胞外ドメインと、任意選択で、例えば、CD8ヒンジドメインを含む、短鎖ヒンジ領域と、CD64膜貫通ドメインと、任意選択で、CD40細胞内ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインなど、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインへと融合された、CD64細胞内領域とを含む、TROP2結合性CFP(TROP2結合剤)が提供される。TROP2 CFPは、1つまたは複数の、ヒトドメインまたはヒト化ドメインを含みうる。本明細書では、CD89膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインへと作動可能に連結された、CD8ヒンジドメインへと融合された、抗TROP2 ScFv(TROP2抗原結合剤)を含む、TROP2 CFP構築物をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド、例えば、mRNAまたはDNAが提供される。
【0334】
[00420]一部の実施形態では、本明細書で記載されるTROP2 CFPは、骨髄細胞特異的発現を示す。一部の実施形態では、本明細書で記載されるTROP2 CFPは、Fcガンマ依存性発現を示す。一部の実施形態では、本明細書で記載されるTROP2 CFPは、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、T細胞、B細胞、上皮細胞、筋細胞、神経細胞、または任意の非骨髄細胞において検出不能な発現を呈する。一実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドによりコードされる、本明細書で記載される、CD16膜貫通ドメイン、CD89膜貫通ドメイン、またはCD64膜貫通ドメインを有する、TROP2結合剤は、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、主に、CD14+細胞内において発現する。一実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドによりコードされる、CD16膜貫通ドメイン、CD89膜貫通ドメイン、またはCD64膜貫通ドメインを有する、TROP2結合剤は、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、CD14+細胞内だけにおいて発現する。
【0335】
[00421]本明細書では、TROP2結合性ドメインを有するCFPを発現するCD14+細胞を含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、医薬組成物は、少なくとも50%の細胞が、TROP2結合剤であるCFPを発現するCD14+細胞である細胞集団を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、CD14+およびCD16-である少なくとも50%の細胞を含む。一部の実施形態では、医薬組成物は、CD16-である、CD14+細胞を発現し、TROP2-CFP(TROP2結合性細胞外ドメインを有するCFP)を発現する、少なくとも50%の細胞を含む。
【0336】
[00422]本明細書では、CD64膜貫通ドメイン、またはCD89膜貫通ドメイン、またはCD16a膜貫通ドメインを含む、膜貫通ポリペプチドをコードする、組換えポリヌクレオチド(ポリ核酸)を含み、組換えポリヌクレオチドが、LNP内に封入された医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、膜貫通ポリペプチドは、がん細胞上の抗原への結合に特異的な、細胞外結合性ドメインを有するCFPである。一部の実施形態では、CFPは、TROP2への結合に特異的な、細胞外結合性ドメインを含む。
【0337】
[00423]本明細書では、ヒト対象におけるがんを処置するための医薬組成物であって、本明細書で記載される、TROP2結合剤であるCFPを発現する細胞、例えば、CD14+骨髄細胞を含み、がんが、肺がんである組成物が提供される。一部の実施形態では、肺がんは、NSCLCである。
【0338】
[00424]本明細書では、ヒト対象におけるがんを処置するための医薬組成物であって、in vivoの骨髄細胞内における発現が可能である、TROP2結合性細胞外ドメインを含むCFPをコードする、組換えポリ核酸を含み;TROP2結合性細胞外ドメインを含むCFPが、本明細書で記載される、CD64膜貫通ドメイン、CD16a膜貫通ドメイン、またはCD89膜貫通ドメインを含み、組換えポリ核酸が、LNP内に封入され、がんが、肺がんである組成物が提供される。一部の実施形態では、肺がんは、NSCLCである。
【0339】
[00425]例示的なTROP2結合性ドメインの配列は、配列番号34のアミノ酸配列、または配列番号34に対する少なくとも80%の配列同一性を共有する配列でありうる。
DIQLTQSPSSLSASVGDRVSITCKASQDVSIAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGAGTKVEIKRGGGGSGGGGSGGGGSQVQLQQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYTDDFKGRFAFSLDTSVSTAYLQISSLKADDTAVYFCARGGFGSSYWYFDVWGQGSLVTVSS(配列番号34)。
【0340】
[00426]一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質(CFP)は、配列番号34のアミノ酸配列、または配列番号34に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する配列を含む、TROP2に結合するように標的化された細胞外ドメイン(ECD)を含む。
【0341】
[00427]例示的TROP2結合性ドメインは、配列番号35に描示された配列でありうる。
【0342】
[00428]QVQLQQSGSELKKPGASVKVSCKASGYTFTNYGMNWVKQAPGQGLKWMGWINTYTGEPTYTDDFKGRFAFSLDTSVSTAYLQISSLKADDTAVYFCARGGFGSSYWYFDVWGQGSLVTVSSGGGGSGGGGSGGGGSDIQLTQSPSSLSASVGDRVSITCKASQDVSIAVAWYQQKPGKAPKLLIYSASYRYTGVPDRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFAVYYCQQHYITPLTFGAGTKVEIKR(配列番号35)。
【0343】
[00429]一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質(CFP)は、配列番号35のアミノ酸配列、または配列番号35に対する少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%の配列同一性を有する配列を含む、TROP2に結合するように標的化された細胞外ドメイン(ECD)を含む。
【0344】
TMPRSS3結合タンパク質およびTMPRSS3結合ドメイン
[00430]前立腺がんのうちの約50%は、アンドロゲン調節型遺伝子である、膜貫通プロテアーゼ、セリン2(TMPRSS2)を、赤芽球症ウイルスE26形質転換配列(ETS)ファミリーの転写因子、典型的には赤芽球形質転換特異的関連遺伝子(ERG)と連結する遺伝子融合を有する。近年、TMPRSS2:ERG融合は、典型的に、腫瘍発生の早期に生じ、がんの塊にわたり、均一に分布することが多いことが裏付けられている。近年の研究では、前立腺がん84例のうちの30%のリンパ節内で、ERG所見の不具合が観察された。TMPRSS2:ERG融合タンパク質は、前立腺がん細胞に高度に特異的であるので、新規の治療に最適の標的でありうる。本明細書の一態様では、細胞外TMPRSS結合性ドメイン(TMPRSS結合剤であるCFP)を有する、キメラ融合受容体(CFP)タンパク質が提供される。
【0345】
[00431]一部の実施形態では、細胞外結合性ドメインは、TMPRSSに結合することが可能である、抗体の抗原結合性ドメイン、または抗原結合性断片(Fab)(fragment)、単鎖可変断片(scFv)、ナノボディー、VHドメイン、VLドメイン、単一ドメイン抗体(sdAb)、VNARドメイン、およびVHHドメイン、二特異性抗体、ダイアボディー、もしくはこれらのいずれかの機能的断片である。一部の実施形態では、抗原結合性断片(Fab)、単鎖可変断片(scFv)、ナノボディー、VHドメイン、VLドメイン、単一ドメイン抗体(sdAb)、VNARドメイン、およびVHHドメイン、二特異性抗体、ダイアボディー、もしくはこれらのいずれかの機能的断片は、1つまたは複数の抗原に特異的に結合する。
【0346】
[00432]一部の実施形態では、細胞外ドメインは、CD8に由来するヒンジドメインをさらに含み、この場合、ヒンジドメインは、細胞質側において、膜貫通ドメインへと作動的に連結され、細胞外側において、TMPRSS結合性ドメインへと作動的に連結される。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15、16、17、18、または19の配列のうちのいずれか1つに示された配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD8アルファ(CD8a)膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号15に示された配列、または配列番号15に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号16に示された配列、または配列番号16に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD2膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号17に示された配列、または配列番号17に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号18に示された配列、または配列番号18に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、CD68膜貫通ドメインに由来する配列を含む。一部の実施形態では、膜貫通ドメインは、配列番号19に示された配列、または配列番号19に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPのECDは、配列番号15、16、17、18、もしくは19に示された配列のうちのいずれか1つから選択される膜貫通ドメイン、または配列番号15、16、17、18、もしくは19のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する膜貫通ドメインへと融合された;表2における配列に描示されたアミノ酸配列、または表2における配列のうちのいずれかに対する70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0347】
[00433]一部の実施形態では、細胞外ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインは、配列番号20もしくは配列番号21の配列、または配列番号20もしくは配列番号21のそれぞれに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20の膜貫通ドメイン、または配列番号20に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号21の膜貫通ドメイン、または配列番号21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する膜貫通ドメインへと融合させた細胞外ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号20または21に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を有する、ヒンジドメインおよび膜貫通ドメインへと融合された;表2における配列のうちのいずれかに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性を有するECD結合ドメインを含む。
【0348】
[00434]一部の実施形態では、TMPRSSタンパク質またはその部分に結合しうるECDドメインを含むCFPは、TMDおよびヒンジドメイン、任意選択で、本明細書で記載される、1つまたは複数の他のICDを伴う、CD16タンパク質、CD64タンパク質、またはCD89タンパク質の、任意選択で、短鎖細胞質ドメインを含む。
【0349】
[00435]一部の実施形態では、CFPは、1つの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcRα、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcR、およびBai1以外の受容体に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ζ以外の受容体に由来するドメインを含む。一部の実施形態では、貪食シグナル伝達ドメインは、FcRγ、FcRα、またはFcRεに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0350】
[00436]一部の実施形態では、CFPは、配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つ、または配列番号22、23、24、もしくは25のうちのいずれか1つに対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列のアミノ酸配列を含む、FcRガンマタンパク質(FcRγ鎖)に由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインをさらに含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、PI3キナーゼ(PI3K)動員ドメインを含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号26の配列、または配列番号26に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、CD40の細胞内シグナル伝達ドメインに由来する。一部の実施形態では、炎症促進性シグナル伝達ドメインは、配列番号27の配列、または配列番号27に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する配列を含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号28の配列、または配列番号28に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号29の配列、または配列番号29に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、CFPは、配列番号30の配列、または配列番号30に対する少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、もしくは99%の配列同一性を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0351】
[00437]本明細書では、骨髄細胞など、適切な細胞内で発現されうる、上記で記載されたTMPRSS結合性ドメイン(TMPRSS2結合剤)を含むCFPをコードする組換え核酸が提供される。骨髄細胞は、貪食細胞でありうる。一部の実施形態では、組換え核酸は、上記で記載されたTMPRSS結合性ドメイン;配列番号21~30に由来する配列のうちの1つまたは複数を含む、細胞内ドメイン;および配列番号15~21のうちのいずれか1つから選択される配列を有する配列を含む膜貫通ドメインを含むCFPをコードする。
【0352】
[00438]別の実施形態では、本明細書では、TMPRSSの細胞外ドメインに結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質などの組換えタンパク質が提供される。一部の実施形態では、TMPRSSに結合しうるドメインを有する、組換え細胞外タンパク質、例えば、TMPRSSの細胞外ドメインに結合しうるドメインは、貪食細胞などの骨髄細胞の表面タンパク質に結合しうる第2のドメインをさらに含む。骨髄細胞の表面タンパク質は、骨髄細胞の膜上で発現されるタンパク質、例えば、貪食受容体、パターン認識分子、またはスカベンジャー受容体でありうる。本明細書では、本明細書で記載された、TMPRSSの細胞外ドメインに結合しうる可溶性タンパク質などの細胞外タンパク質をコードする組換え核酸が提供される。
【0353】
[00439]本明細書では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、TMPRSSタンパク質の過剰発現と関連し、上記で記載された、TMPRSS結合タンパク質のうちのいずれかなどのTMPRSSに結合しうる細胞外結合性ドメインを有する、少なくとも1つの組換えタンパク質を含む治療剤が提供される。本明細書の一部の実施形態では、TMPRSS結合タンパク質を発現する細胞が提供される。本明細書の一部の実施形態では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、TMPRSSの過剰発現と関連し、本明細書で記載されたTMPRSS結合剤をコードする、少なくとも1つの組換え核酸を含む治療剤が提供される。本明細書の一部の実施形態では、対象における疾患を処置するための治療剤であって、疾患が、TMPRSSタンパク質の過剰発現と関連し、本明細書で記載されたTMPRSS結合剤をコードする、組換え核酸を含む細胞を含む治療剤が提供される。一部の実施形態では、細胞は、骨髄細胞である。一部の実施形態では、疾患は、前立腺がんなどのがんである。
【0354】
BiME構造およびTRiME構造
[00440]本明細書では、上記で記載された、治療剤の結合性ドメインのうちのいずれか1つを含み、結合性ドメインが、抗体の結合性ドメイン、抗体の機能的断片、その可変ドメイン、Vドメイン、Vドメイン、VNARドメイン、VHHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、Fab、単一ドメイン抗体(sdAb)、ナノボディー、二特異性抗体、ダイアボディー、またはこれらの機能的断片もしくは組合せを含む、二特異性エンゲージャー(BiME)または三特異性エンゲージャー(TRiME)が提供される。一部の実施形態では、第1の結合性ドメインが結合する標的細胞上の抗原は、標的細胞上のがん抗原もしくは病原性抗原、または自己免疫性抗原である。一部の実施形態では、第1の治療剤は、1000アミノ酸または1000nm未満の長さであるポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の治療剤は、500アミノ酸または500nm未満の長さであるポリペプチドを含む。一部の実施形態では、第1の治療剤は、200~1000アミノ酸または200~1000nmの長さであるポリペプチドを含む。
【0355】
[00441]一部の実施形態では、第1の治療剤の結合性ドメインの係合は、がん細胞を、骨髄細胞へと接触させる。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞と特異的に相互作用し、骨髄細胞の貪食活性を促進する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞と特異的に相互作用し、骨髄細胞の炎症性シグナル伝達を促進する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞または接着分子と特異的に相互作用し、骨髄細胞の標的細胞への接着を促進する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞と特異的に相互作用し、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗貪食活性を阻害する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインは、骨髄細胞と特異的に相互作用し、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗炎症活性を阻害する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、骨髄細胞の貪食活性を促進する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、骨髄細胞の炎症性シグナル伝達を促進する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、骨髄細胞または接着分子と特異的に相互作用し、骨髄細胞の標的細胞への接着を促進する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗貪食活性を阻害する。一部の実施形態では、第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインは、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗炎症活性を阻害する。
【0356】
[00442]一部の実施形態では、第3の結合性ドメインまたはさらなる治療剤は、CD47アンタゴニスト、CD47ブロッカー、抗体、キメラCD47受容体、シアリダーゼ、サイトカイン、炎症促進性遺伝子、プロカスパーゼ、または抗がん剤を含む。一部の実施形態では、第1の結合性ドメイン、第2の結合性ドメイン、および第3の結合性ドメインは、別個の同一ではない標的抗原に結合する。一部の実施形態では、第1の結合性ドメイン、第2の結合性ドメイン、または第3の結合性ドメインは、リガンド結合性ドメインである。
【0357】
[00443]一部の実施形態では、第1、第2または第3の結合性ドメインは、1つまたは複数のリンカーにより作動可能に連結される。一部の実施形態では、リンカーは、ポリペプチドである。一部の実施形態では、リンカーは、機能的ペプチドである。一部の実施形態では、リンカーは、受容体に対するリガンドである。一部の実施形態では、リンカーは、単球またはマクロファージ受容体に対するリガンドである。一部の実施形態では、リンカーは、受容体を活性化する。一部の実施形態では、リンカーは、受容体を阻害する。一部の実施形態では、リンカーは、マクロファージM2受容体に対するリガンドである。一部の実施形態では、リンカーは、TLR4などのTLR受容体に対するリガンドである。一部の実施形態では、リンカーは、TLR受容体を活性化する。一部の実施形態では、第1、第2および/または第3の結合性ドメインは、結合性ドメインに結合するマスクと会合する。一部の実施形態では、マスクがそれぞれの結合性ドメインと会合したままである場合に、マスクは、結合性ドメインのその標的との相互作用を阻害する阻害剤である。一部の実施形態では、マスクは、ペプチドリンカーを介して、結合性ドメインと会合する。一部の実施形態では、ペプチドリンカーは、切断可能部分を含む。一部の実施形態では、切断可能部分は、がんまたは腫瘍の部位において選択的に豊富であるタンパク質または酵素により切断される。
【0358】
治療用組成物
[00444]本明細書の一態様では、CD14+細胞、CD14+/CD16-細胞、CD14+/CD16+細胞、CD14-/CD16+細胞、CD14-/CD16-細胞、樹状細胞、M0マクロファージ、M2マクロファージ、M1マクロファージ、またはモザイク骨髄細胞/マクロファージ/樹状細胞などの骨髄細胞が提供される。本明細書の一部の実施形態では、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%のCD14+細胞を含む治療用組成物が提供される。一部の実施形態では、治療用組成物は、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、または少なくとも50%のCD14+/CD16-細胞を含む。本明細書の一部の実施形態では、20%未満、15%未満、10%未満、または5%未満の樹状細胞を含む治療用組成物が提供される。本明細書で記載される治療用組成物のための骨髄細胞は、キメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸であって、本明細書で記載される、CFP受容体タンパク質またはエンゲージャータンパク質をコードする組換え核酸を含む。本明細書で記載される治療用組成物のための骨髄細胞は、組換え核酸によりコードされるCFPを発現するか、または本明細書で記載される組換え核酸によりコードされるエンゲージャータンパク質を発現する。
【0359】
[00445]本明細書の一部の実施形態では、キメラ融合受容体タンパク質(CFP)などのキメラ融合タンパク質を含み、CFPが、(a)(i)本明細書で開示される標的のうちのいずれか1つに特異的に結合するscFv、および(ii)CD8に由来するヒンジドメイン、CD28に由来するヒンジドメイン;またはCD68に由来する細胞外ドメインの、少なくとも一部を含む細胞外ドメイン;(b)CD8膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD2膜貫通ドメイン、またはCD68膜貫通ドメイン;ならびに(c)少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインが、(i)FcRγまたはFcRεに由来する、第1の細胞内シグナル伝達ドメイン、および(ii)(A)が、PI3K動員ドメインを含むか、または(B)が、CD40に由来する、第2の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む治療用組成物が提供される。
【0360】
[00446]本明細書の一部の実施形態では、本明細書で開示される、二特異性エンゲージャーまたは三特異性エンゲージャーを含む治療用組成物が提供される。
【0361】
[00447]本明細書の一態様では、本明細書で記載される、受容体またはエンゲージャーなどのキメラ融合タンパク質でありうる、1つまたは複数の組換えタンパク質をコードする、1つまたは複数の組換えポリ核酸(複数可)が提供される。一部の実施形態では、組換えポリ核酸(複数可)は、mRNAである。一部の実施形態では、組換えポリ核酸は、circRNAを含む。一部の実施形態では、組換えポリ核酸は、ウイルスベクター内に組み入れられる。一部の実施形態では、組換えポリ核酸は、ウイルスベクターを介して送達される。
【0362】
[00448]本明細書の一部の実施形態では、キメラ融合受容体タンパク質(CFP)などのキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含み、CFPが、(a)(i)本明細書で開示される標的のうちのいずれか1つに特異的に結合するscFv、および(ii)CD8に由来するヒンジドメイン、CD28に由来するヒンジドメイン;またはCD68に由来する細胞外ドメインの、少なくとも一部を含む細胞外ドメイン;(b)CD8膜貫通ドメイン、CD28膜貫通ドメイン、CD2膜貫通ドメイン、またはCD68膜貫通ドメイン;ならびに(c)少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインを含み、少なくとも2つの細胞内シグナル伝達ドメインが、(i)FcRγまたはFcRεに由来する、第1の細胞内シグナル伝達ドメイン、および(ii)(A)が、PI3K動員ドメインを含むか、または(B)が、CD40に由来する、第2の細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む治療用組成物が提供される。
【0363】
[00449]本明細書の一部の実施形態では、本明細書で開示される、二特異性エンゲージャーまたは三特異性エンゲージャーをコードする組換え核酸を含む治療用組成物が提供される。
【0364】
共投与のための、他の治療用組成物
[00450]一部の実施形態では、治療用組成物は、CD47アゴニスト、Racを阻害する薬剤、Cdc42を阻害する薬剤、GTPアーゼを阻害する薬剤、F-アクチンのディスアセンブリーを促進する薬剤、PI3KのPFPへの動員を促進する薬剤、PI3Kの活性を促進する薬剤、ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸の産生を促進する薬剤、ARHGAP12の活性を促進する薬剤、ARHGAP25の活性を促進する薬剤、SH3BP1の活性を促進する薬剤、一次リンパ系臓器内および/または二次リンパ系臓器内におけるリンパ球の封鎖を促進する薬剤、二次リンパ系臓器内の、ナイーブT細胞およびセントラルメモリーT細胞の濃度を増大させる薬剤、ならびにこれらの任意の組合せからなる群から選択される、さらなる治療剤をさらに含む。
【0365】
[00451]一部の実施形態では、骨髄細胞は、(a)CFPと二量体化する、内因性ペプチドまたは内因性タンパク質;(b)CFPと二量体化する、非内因性ペプチドまたは非内因性タンパク質;および/または(c)第2の組換えポリ核酸配列をさらに含み、この場合、第2の組換えポリ核酸配列は、CFPと相互作用するペプチドまたはタンパク質をコードする配列を含み;二量体化または相互作用は、CFPを発現する骨髄細胞による貪食を、CFPを発現しない骨髄細胞と比較して強化する。
【0366】
[00452]一部の実施形態では、骨髄細胞は、(i)エフェクター活性、交差提示、呼吸バースト、ROSの産生、iNOSの産生、炎症性メディエーター、細胞外小胞の産生、ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸の産生、抗原を発現する標的細胞との齧作用、貪食のCD47媒介性阻害に対する抵抗性、貪食のLILRB1媒介性阻害に対する抵抗性、もしくはこれらの任意の組合せの増大;および/または(ii)IL-1、IL3、IL-6、IL-10、IL-12、IL-13、IL-23、TNFα、サイトカインのTNFファミリー、CCL2、CXCL9、CXCL10、CXCL11、IL-18、IL-23、IL-27、CSF、MCSF、GMCSF、IL-17、IP-10、RANTES、インターフェロン、MHCクラスIタンパク質、MHCクラスIIタンパク質、CD40、CD48、CD58、CD80、CD86、CD112、CD155、TRAIL/TNFファミリーの死受容体、TGFβ、B7-DC、B7-H2、LIGHT、HVEM、TL1A、41BBL、OX40L、GITRL、CD30L、TIM1、TIM4、SLAM、PDL1、MMP(例えば、MMP2、MMP7、およびMMP9)、またはこれらの任意の組合せの発現の増大を呈する。
【0367】
[00453]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食または繋留受容体(PR)に由来するか、または細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食活性化ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcRアルファ、またはBai1から選択される貪食受容体以外の受容体に由来する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、TNFR1、MDA5、CD40、レクチン、デクチン1、CD206、スカベンジャー受容体A1(SRA1)、MARCO、CD36、CD163、MSR1、SCARA3、COLEC12、SCARA5、SCARB1、SCARB2、CD68、OLR1、SCARF1、SCARF2、CXCL16、STAB1、STAB2、SRCRB4D、SSC5D、CD205、CD207、CD209、RAGE、CD14、CD64、F4/80、CCR2、CX3CR1、CSF1R、Tie2、HuCRIg(L)、CD64、CD32a、CD16a、CD89、Fcα受容体I、CR1、CD35、CD3ζ、補体受容体、CR3、CR4、Tim-1、Tim-4、およびCD169からなる群から選択される受容体(例えば、貪食受容体)などのタンパク質に由来する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、PI3K動員ドメインではない、炎症促進性シグナル伝達ドメインを含む。
【0368】
[00454]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、ITAMドメインを含有する受容体に由来する。一部の実施形態では、組換え細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食受容体に由来する、第1の部分と、非貪食受容体に由来する、第2の部分とを含み、この場合、非貪食受容体に由来する、第2の部分は、リン酸化部位を含む。一部の実施形態では、リン酸化部位は、自己リン酸化部位に適するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リン酸化されるアミノ酸残基は、チロシンである。一部の実施形態では、リン酸化部位は、Srcファミリーキナーゼによるリン酸化に適するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リン酸化部位は、リン酸化時に、キナーゼ内のSH2ドメインに結合することが可能であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、受容体チロシンキナーゼドメインは、キメラ受容体の細胞質末端部において、第1の細胞質部分に加えて融合される。
【0369】
[00455]一部の実施形態では、リン酸化部位は、チロシンリン酸化部位である。
【0370】
[00456]一部の実施形態では、第2の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)である。例示的なITAMモチーフは、哺乳動物の免疫グロブリンαタンパク質内および免疫グロブリンβタンパク質内、TCRγ受容体内、FCRγ受容体サブユニット内、CD3鎖受容体内、およびNFAT活性化分子内に存在する。
【0371】
[00457]一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、1つのITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、1つを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、2つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、3つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、4つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、5つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、6つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、7つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、8つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、9つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、10またはこれを超えるITAMモチーフを含む。
【0372】
[00458]本明細書では、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含むPRサブユニット;ならびに標的細胞の抗原に特異的な抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;膜貫通ドメインと細胞外ドメインとが作動的に連結されており;細胞内シグナル伝達ドメインが、Megf10、MerTk、FcRα、またはBai1から選択される貪食受容体以外の貪食受容体に由来する、貪食または繋留受容体(PR)融合タンパク質(PFP)などのCFPをコードする組換え核酸を含む組成物が提供される。
【0373】
459. 一部の実施形態では、CFPの標的細胞の抗原への結合時に、CFPを発現する細胞の殺滅活性は、CFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、または1000%を超えて増大される。一部の実施形態では、CFPは、CFPが、細胞内で発現されると、細胞の細胞膜へと機能的に組み込まれる。一部の実施形態では、CFPの標的細胞の抗原への結合時に、CFPを発現する細胞の殺滅活性は、CFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも1.1倍、1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、10倍、11倍、12倍、13倍、14倍、15倍、16倍、17倍、18倍、19倍、20倍、25倍、30倍、40倍、50倍、75倍、または100倍に増大される。
【0374】
[00460]一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、TNFR1、MDA5、CD40、レクチン、デクチン1、CD206、スカベンジャー受容体A1(SRA1)、MARCO、CD36、CD163、MSR1、SCARA3、COLEC12、SCARA5、SCARB1、SCARB2、CD68、OLR1、SCARF1、SCARF2、CXCL16、STAB1、STAB2、SRCRB4D、SSC5D、CD205、CD207、CD209、RAGE、CD14、CD64、F4/80、CCR2、CX3CR1、CSF1R、Tie2、HuCRIg(L)、CD64、CD32a、CD16a、CD89、Fcα受容体I、CR1、CD35、CD3ζ、CR3、CR4、Tim-1、Tim-4、およびCD169からなる群から選択される貪食受容体などの受容体に由来する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインを含む。
【0375】
[00461]本明細書では、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含むPRサブユニット;ならびに標的細胞の抗原に特異的な抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;膜貫通ドメインと細胞外ドメインとが作動的に連結されており;細胞内シグナル伝達ドメインが、TNFR1、MDA5、CD40、レクチン、デクチン1、CD206、スカベンジャー受容体A1(SRA1)、MARCO、CD36、CD163、MSR1、SCARA3、COLEC12、SCARA5、SCARB1、SCARB2、CD68、OLR1、SCARF1、SCARF2、CXCL16、STAB1、STAB2、SRCRB4D、SSC5D、CD205、CD207、CD209、RAGE、CD14、CD64、F4/80、CCR2、CX3CR1、CSF1R、Tie2、HuCRIg(L)、CD64、CD32a、CD16a、CD89、Fcα受容体I、CR1、CD35、CD3ζ、CR3、CR4、Tim-1、Tim-4、およびCD169からなる群から選択される貪食受容体などの受容体に由来する、貪食または繋留受容体(PR)融合タンパク質(PFP)などのCFPをコードする組換え核酸を含む組成物が提供される。
【0376】
[00462]一部の実施形態では、CFPの標的細胞の抗原への結合時に、CFPを発現する細胞の殺滅活性は、CFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、100%、150%、200%、250%、300%、350%、400%、450%、500%、550%、600%、650%、700%、750%、800%、850%、900%、950%、または1000%を超えて増大される。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、Megf10、MerTk、FcRα、またはBai1から選択される貪食受容体以外の貪食受容体に由来する。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、炎症促進性シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD19に由来するPI3K動員ドメインなどのPI3K動員ドメインを含む。一部の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、PI3K動員ドメインではない、炎症促進性シグナル伝達ドメインを含む。
【0377】
[00463]一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、抗原を発現する標的細胞の貪食の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、抗原を発現する標的細胞の貪食の、CFPを発現しない細胞と比較した、少なくとも1.1倍の増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、抗原を発現する標的細胞の貪食の、CFPを発現しない細胞と比較した、少なくとも2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、20倍、30倍、または50倍の増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、サイトカインの産生の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、サイトカインは、IL-1、IL3、IL-6、IL-12、IL-13、IL-23、TNF、CCL2、CXCL9、CXCL10、CXCL11、IL-18、IL-23、IL-27、CSF、MCSF、GMCSF、IL17、IP-10、RANTES、インターフェロン、およびこれらの組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、エフェクター活性の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、交差提示の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、MHCクラスIIタンパク質の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、CD80の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、CD86の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、MHCクラスIタンパク質の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、TRAIL/TNFファミリーの死受容体の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、B7-H2の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、LIGHTの発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、HVEMの発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、CD40の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、TL1Aの発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、41BBLの発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、OX40Lの発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、GITRL死受容体の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、CD30Lの発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、TIM4の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、TIM1のリガンドの発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、SLAMの発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、CD48の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、CD58の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、CD155の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、CD112の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、PDL1の発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、B7-DCの発現の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、呼吸バーストの、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、ROSの産生の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、iNOSの産生の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、iNOSの産生の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、細胞外小胞の産生の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、抗原を発現する標的細胞との齧作用の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、貪食のCD47媒介性阻害に対する抵抗性の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、貪食のLILRB1媒介性阻害に対する抵抗性の、CFPを発現しない細胞と比較した増大を呈する。一部の実施形態では、CFPを発現する細胞は、ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸の産生の増大を呈する。
【0378】
[00464]本明細書ではまた、本明細書で記載される組換え核酸、本明細書で記載されるベクター、本明細書で記載されるポリペプチド、または本明細書で記載される細胞など、本明細書で記載される組成物と;薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物も提供される。
【0379】
[00465]一部の実施形態では、医薬組成物は、さらなる治療剤をさらに含む。一部の実施形態では、さらなる治療剤は、CD47アゴニスト、Racを阻害する薬剤、Cdc42を阻害する薬剤、GTPアーゼを阻害する薬剤、F-アクチンのディスアセンブリーを促進する薬剤、PI3KのPFPへの動員を促進する薬剤、PI3Kの活性を促進する薬剤、ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸の産生を促進する薬剤、ARHGAP12の活性を促進する薬剤、ARHGAP25の活性を促進する薬剤、SH3BP1の活性を促進する薬剤、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。一部の実施形態では、薬学的に許容される賦形剤は、無血清培地、脂質、またはナノ粒子を含む。
【0380】
[00466]一部の実施形態では、組換え核酸は、mRNAまたはcircRNAである。
【0381】
[00467]本明細書の一部の実施形態では、本明細書中の任意の箇所に記載された、細胞を含む治療用組成物、組換え核酸を含む細胞が提供される。一部の実施形態では、治療用組成物は、本明細書中の任意の箇所に記載された、キメラタンパク質を発現する組換え核酸を含む。一部の実施形態では、骨髄細胞は、CD14+細胞、CD14+/CD16-細胞、CD14+/CD16+細胞、CD14-/CD16+細胞、CD14-/CD16-細胞、樹状細胞、M0マクロファージ、M2マクロファージ、M1マクロファージ、またはモザイク骨髄細胞/マクロファージ/樹状細胞である。
【0382】
新規のキメラ受容体融合タンパク質(CFP)構築物を作出するための方法
[00468]本明細書の一態様では、新規のキメラ受容体タンパク質を作出するための方法であって、融合受容体が、骨髄細胞内で発現されると、本明細書で記載されるエフェクター骨髄細胞として機能するように、例えば、骨髄細胞機能の増強において有用でありうる、新規のドメインの同定を含む方法が提供される。本明細書で記載される融合タンパク質の作出は、周知の分子クローニング法を使用して実施される場合があり、配列は、組換え核酸を作出した後で検証されうる。
【0383】
[00469]CARをコードする組換え核酸の調製:キメラ抗原受容体(CAR)をコードする、組換え核酸構築物が調製され、真核細胞内の増幅および/または発現についての試験のために、プラスミドベクター内に組み込まれる。組換えCARは、当技術分野で公知の分子クローニング法を使用して構築される。組換えCARタンパク質は、細胞内ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞外ドメインを含む。各ドメイン、またはドメインのサブセクションは、異種供給源配列から、PCRにより作出される、核酸配列によりコードされる場合があり、クローニングにより、ベクターへと、個別につなぎ合わされる場合もあり、長鎖核酸へとライゲーションされ、次いで、これが、増幅に適するプロモーターおよび3’側調節エレメントと共に、適切なプラスミドまたはベクターの、マルチクローニング部位へと挿入される場合もある。略述すると、例示的CARは、1つまたは複数のシグナル伝達ドメイン(例えば、PI3キナーゼ動員ドメイン)をコードする核酸(nucleic)配列、CD8ヒンジドメインおよびCD8膜貫通ドメインをコードする核酸配列、細胞外末端において、標的抗原結合性scFvをコードする配列を有する、細胞外ドメインをコードする核酸配列を組み込むことにより調製される。ある特定の構築物は、細胞外末端において、その標的抗原に結合するscFvに対して、立体障害をもたらさないようにデザインされた、FLAGペプチド配列を含む。これらの構成要素は、完全に機能的な膜貫通CARをコードする配列へと、一緒にライゲーションされる。組換えタンパク質の個別のドメインをコードする核酸サブユニットは、2つのドメイン間に介在する、可撓性の短鎖リンカー配列を含むようにデザインされる。プロモーターおよび3’側安定化構造ユニットを有する構築物は、プラスミド内でライゲーションされる。1つの変形形態では、構築物は、ORF2pをコードし、それぞれの5’-UTR配列および3’-UTR配列、CMVプロモーターを有する、レトロトランスポゾンAluエレメント内に配置される。プラスミドは、E.coli内で増幅され、シーケンシングにより検証されるか、または-80℃で保管される。
【0384】
mRNAの調製:mRNAは、消化されたプラスミドを、鋳型として使用する、in vitro転写により調製され、夾雑DNAを除去するように精製され、ポリアデニル化されうる。RNA産物は、精製され、RNアーゼ非含有水中に、1mg/mlまで再懸濁され、クライオバイアル内で保管される。
【0385】
[00470]新規のCFPを作出するために有用な、CFPのECD、TM、ICD、および抗原結合性ドメインの同定は、本明細書で記載される方法を使用してなされうる。略述すると、多数の、潜在的な候補タンパク質が、貪食特性、およびそれらのそれぞれの貪食関連細胞内シグナル伝達の増強についてスクリーニングされうる。次いで、有用ドメインは、新規のCFPを作出するために使用されうる。スクリーンは、2つの部分:A.貪食受容体(PR)ドメインのスクリーニング;B.細胞外抗原結合性ドメインについてのスクリーニングに分けられうる。
【0386】
PRドメインについてのスクリーニング:
[00471]一実施形態では、約5,800種の細胞膜タンパク質を、本明細書で記載される一般的方法に従い、それらの貪食可能性についてスクリーニングした。J774マクロファージ細胞に、5,800種の細胞膜タンパク質のライブラリーを、一過性にトランスフェクトした。細胞膜の、多様な潜在的機能を査定するのに、ハイスループットマルチプレックスアッセイ(ロボット操作を伴う、6ウェルプレートアッセイセットアップ~384ウェルプレートアッセイの範囲の)が設定されうる。例示的なアッセイは、貪食アッセイ、サイトカイン産生アッセイ、インフラマソーム活性化アッセイ、およびiNOS活性化アッセイを含むがこれらに限定されない。例示的な略式法については、以下の段落で記載されうる。各方法の変形形態も使用することができ、当業者により理解されうる。例示的な被験細胞内シグナル伝達ドメインは、CD40-FcRγ;FcRγ-CD40;NLRP3;FcRγ-SH2-Proカスパーゼ;FcRγ-Myd88;FcRγ-IFN受容体;FcR-TNFR1;FcRγ-TNFR2;FcR-AIM2;FcRγ-TRIFN;FcRγ-Proカスパーゼ;TRIFC;RIG1;MDA5;TBK;CD64;CD16A;CD89;FcRε;SIRPβ(2つの連続細胞内ドメインは、ハイフンでつながれた用語により表されうる、例えば、FcRγ-Myd88とは、シグナル伝達ドメイン1としてのFcRγ細胞内シグナル伝達ドメインと;シグナル伝達ドメイン2としてのMyd88細胞内シグナル伝達ドメインとを含む、細胞内ドメインを指す)を含むがこれらに限定されない。スクリーニングされる細胞外リンカードメインは、CD64、CD16A、CD89、SIRPα、FcRε、CD8ヒンジを含むがこれらに限定されない。被験膜貫通ドメインは、CD8、CD64、CD16A、CD89、FcRε、SIRPα、TNFR1、およびCD40を含むがこれらに限定されない。MDA5ドメインについてもまた、スクリーニングした。
【0387】
貪食アッセイ:
[00472]直径1nm、5nm、または10nmの範囲の、抗原へと連結された、シリカビーズまたはポリスチレンビーズを、マクロファージのスクリーンのために使用した。不活性ビーズは、支持体つき脂質二重層でコーティングすることができ、抗原を、脂質二重層へとライゲーションすることができる。各細胞系が、クローニングされた組換え細胞膜タンパク質を発現する、J774マクロファージ細胞系を調製することができる。組換え細胞膜タンパク質はまた、蛍光タグも発現しうる。細胞系は、熱不活化血清および抗生剤(ペニシリン/ストレプトマイシン)を伴う完全RPMI培地中で維持し、繁殖させることができる。アッセイの当日、細胞を、6ウェルプレート内のウェル1つ当たり1ml当たりの細胞1×10個の密度、または12もしくは24ウェルプレート内の、これに比例する密度で播種し、2~6分間にわたりインキュベートすることができる。次いで、細胞を、リン酸緩衝生理食塩液中で1回洗浄し、ビーズを、血清枯渇培地中または補体枯渇栄養培地中に添加することができる。細胞は、ビーズを添加した30分間後および2時間後に、光学顕微鏡により視覚化することができる。タグ付け抗体を使用して、免疫蛍光反応を実施することができ、蛍光共焦点顕微鏡は、飲作用時の相互作用および細胞タンパク質の共局在を検出するのに使用される。信頼水準は、ダネットの多重比較補正を伴う、クルスカル-ワリス検定により決定されうる。
【0388】
[00473]一部の例では、染料をロードした腫瘍細胞を、マクロファージ細胞系へとフィードすることができ、貪食について、顕微鏡により評価する。
【0389】
サイトカイン産生:
[00474]マクロファージ細胞系は、上記で記載された通りに培養することができる。一アッセイでは、細胞膜タンパク質を発現する、各J774細胞系を、マルチウェルに播種し、抗原連結ビーズで抗原投与し、4時間後および24時間後において、上清を回収することにより、サイトカイン産生についてアッセイした。サイトカインは、ELISAにより、上清からアッセイすることができる。別の画分では、細胞は、インキュベーションの4時間後および24時間後に、ビーズにより回収することができ、サイトカインを検出するために、フローサイトメトリーを実施する。各場合に、IL-1α、IL-1β、IL-6、IL-12、IL-23、TNF-α、GMCSF、CXCL1、CXCL3、CXCL9、CXCL-10、MIP1-α、およびMIP-2から選択されうる、複数のサイトカインは、マルチプレックスフォーマットでアッセイすることができる。マクロファージ炎症性サイトカインアレイキット(R&D Systems)を使用する。
【0390】
[00475]炎症性遺伝子およびサイトカイン活性化のための細胞内シグナル伝達経路は、MAPキナーゼのリン酸化、JNKシグナル伝達経路、Aktシグナル伝達経路、STAT-1のリン酸化および活性化を含む、インターフェロン活性化経路についてのウェスタンブロット解析により同定することができる。
【0391】
機能的アッセイ
インフラマソーム活性化アッセイ:
[00476]NLRP3インフラマソームの活性化は、IL-1の産生の増大の、ELISAによる検出、および短鎖カスパーゼを作出する、プロカスパーゼの切断を検出する、カスパーゼ-1の活性化の、ウェスタンブロットによる検出によりアッセイする。マイクロウェルプレートによるマルチプレックス設定では、カスパーゼ1活性化の迅速な読取りのために、Caspase-Glo(Promega Corporation)を使用する。
【0392】
iNOS活性化アッセイ:
[00477]酸化バーストの潜在的可能性の活性化は、蛍光測定アッセイNOS活性アッセイキット(AbCAM)を使用して、iNOSの活性化およびNOの産生により測定することができる。
【0393】
がん細胞殺滅アッセイ:
[00478]Raji B細胞は、がん抗原提示細胞として使用されうる。Raji細胞を、がん細胞の全細胞粗抽出物とインキュベートし、J774マクロファージ細胞系と共に共インキュベートすることができる。マクロファージは、感染の1時間後に、細胞を破壊する場合があり、これは、顕微鏡により検出される場合もあり、細胞死アッセイにより検出される場合もある。
【0394】
高アフィニティー抗原結合性ドメインについてのスクリーニング:
[00479]CFPのための細胞外結合性ドメインを作出するために、がんリガンドを、抗体の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインについてのスクリーニングにかけることができる。ヒト全長抗体ライブラリーまたはヒトscFvライブラリーをスクリーニングすることができる。また、ラマにおける新規の免疫グロブリン結合性ドメインの開発、および単一ドメイン抗体の調製のために、ラマを免疫化するための、潜在的なリガンドも使用することができる。
【0395】
[00480]次いで、スクリーンから同定された、特異的な有用ドメインを逆転写し、レンチウイルス発現ベクターへとクローニングして、CFP構築物を作出することができる。スクリーンから作出された、高度な貪食受容体の、細胞外領域、膜貫通領域、および細胞質領域に由来する、1つまたは複数のドメインを使用して、CFPをコードする組換え核酸を作出することができる。略述すると、炎症促進性サイトカイン産生およびインフラマソーム活性化の、高度な活性化因子を示す細胞膜受容体を、同定することができる。バイオインフォマティクス研究を実施して、細胞外活性化ドメイン、膜貫通ドメイン、および細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、特異的キナーゼ活性化部位、SH2動員部位を含む、機能的ドメインを同定することができる。次いで、これらのスクリーニングされた機能的ドメインを、新規のCFPを作出するための、モジュラー構築物内でクローニングすることができる。これらは、候補CFPの場合があり、これらのキメラ構築物の各々を、in vitroおよび/またはin vivoにおける、貪食増強、サイトカイン産生、およびケモカイン、ならびに/または腫瘍細胞殺滅について調べる。マイクロ粒子ベース貪食アッセイを使用して、貪食の変化について検討した。略述すると、ストレプトアビジンカップリング蛍光ポリスチレン微粒子(直径6μm)を、ビオチニル化組換え発現/精製がんリガンドとコンジュゲートさせることができる。新規のCFPを発現する骨髄細胞を、リガンドでコーティングされた微粒子と共に、1~4時間にわたりインキュベートし、フローサイトメトリーを使用して、貪食量について解析し、定量した。次いで、デザイナーCFPによるプラスミド構築物またはレンチウイルス構築物を調製し、マクロファージ細胞内で、がん細胞の溶解について調べることができる。
【0396】
細胞標的化CFPのための、具体的デザイン
[00481]in vivoにおける送達のために、キメラ抗原受容体をコードする組換え核酸を開発する、一態様は、単球性細胞内のCFPの取込み、発現、および機能を、マクロファージ特異的とし、貪食能を有さない非骨髄細胞内の発現を回避することである。したがって、一態様では、CFPは、CFPの発現が、骨髄特異的タンパク質に依存性であるようにデザインされる。例として述べると、本明細書では、骨髄特異的プロモーターの、CFPの発現への適合という概念が想定される。骨髄特異的プロモーターは、ベクター内でコードされる場合もあり、そうでなければ、CFPをコードすること配列の上流の位置における組換え核酸内でコードされる場合もあり、この配列へと作動的に連結された組換え核酸内でコードされる場合もある。当技術分野では、ある特定の骨髄細胞特異的プロモーターについて開示されている。例えば、CD68Sプロモーターは、骨髄特異的プロモーターである。(Scharenbergら、Nat Commun、11,3327(2020)。)
[00482]一態様では、組換え核酸は、mRNAである。本明細書では、核酸が、mRNAとして送達されるのか、DNAとして送達されるのかに関わらず活用されうる、骨髄特異的発現のための方法が想定される。したがって、一態様では、CFPは、その固有の発現および機能性のために、骨髄内因性タンパク質の存在を利用するようにデザインされる。一態様では、CFPの骨髄特異的発現は、CFPが、1つの単球特異的タンパク質と二量体化する(または多量体化する)場合に限り、膜内で発現されるデザインを介して達成される。一部の実施形態では、CFPの骨髄特異的機能性は、CFPが、単球特異的タンパク質と二量体化する(または多量体化する)場合に限り、膜上で発現されるデザインを介して達成される。FcRアルファ受容体は、骨髄細胞上の膜発現および/または機能のために、FcRガンマ受容体とオリゴマー化する。いくつかのFc受容体(FcR)は、単球内および骨髄細胞内で、内因的に発現される。免疫複合体による、それらの架橋後、FcRは、放出されたサイトカインによる免疫応答のモジュレーションまたは貪食のモジュレーションなど、多様な役割を果たす。FcRアルファ受容体と、FcRガンマ受容体とは、膜貫通ドメインを介してオリゴマー化する。
【0397】
[00483]一部の実施形態では、CFPは、内因性FcRと共にオリゴマー化する、Fc受容体に由来する膜貫通ドメインおよび/または細胞内ドメインを含む。
【0398】
[00484]FcRおよびそれらの細胞内発現パターンは、下記の表3に示される:
【0399】
【表3】
[00485]本明細書で開示される、キメラ受容体融合タンパク質の構築において使用される、例示的なFcRドメイン配列は、表4に提示される。
【0400】
【表4】
[00487]一部の実施形態では、CFPは、FcγR1(CD64)から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインに由来する膜貫通ドメインを含むようにデザインされる。一部の実施形態では、CFPは、FcγRIIIA(CD16)から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインに由来する膜貫通ドメインを含むようにデザインされる。一部の実施形態では、CFPは、FcγRIIA(CD32a)から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインに由来する膜貫通ドメインを含むようにデザインされる。一部の実施形態では、CFPは、FcαR1(CD89)から選択されるタンパク質の膜貫通ドメインに由来する膜貫通ドメインを含むようにデザインされる。本明細書で記載されるCFP内のドメインのうちのいずれかは、他の任意の隣接するドメインの由来に応じて、またはこれらに関わらず、適切な哺乳動物由来のドメインに由来しうる。非ヒト哺乳動物の膜貫通ドメインは、本開示の範囲内にあることが想定される。
【0401】
[00488]一部の実施形態では、CFPは、細胞外ドメイン内の、TMDが由来するタンパク質に由来する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個のアミノ酸残基を含みうる。一部の実施形態では、CFPは、細胞内ドメイン内の、TMDが由来するタンパク質に由来する2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、もしくは20個、またはこれを超えるアミノ酸残基を含みうる。
【0402】
[00489]一部の実施形態では、CFPは、TMDが由来する、タンパク質である、FcγR1(CD64)、FcγRIIIA(CD16)、またはFcγRIIA(CD32a)に由来する細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、TMDは、タンパク質である、FcγR1(CD64)、FcγRIIIA(CD16)、またはFcγRIIA(CD32a)のTMDの配列と同一である配列を有する。
【0403】
[00490]骨髄細胞特異的CFP構築物は、骨髄細胞内で、特異的に発現され、これにより、二量体化の結果として、機能的に活性となる、内因性Fcガンマ受容体と二量体化する膜貫通ドメインを含むようにデザインされる。
【0404】
[00491]一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、FcαR1(CD89)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、ヒトFcαR1(CD89)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、マウスFcαR1(CD89)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、齧歯動物FcαR1(CD89)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、ウマ科動物FcαR1(CD89)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、ブタ科動物FcαR1(CD89)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、ヒツジ科動物FcαR1(CD89)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、CD89 TMDは、ヒトまたはマウスのCD89 TMDと少なくとも80%相同である。一部の実施形態では、CD89 TMDは、ヒトまたはマウスのCD89 TMDと少なくとも85%相同である。一部の実施形態では、CD89 TMDは、ヒトまたはマウスのCD89 TMDと少なくとも90%相同である。一部の実施形態では、CD89 TMDは、ヒトまたはマウスのCD89 TMDと少なくとも95%相同である。
【0405】
[00492]一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、FcγRIII(CD16)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、ヒトFcγRIII(CD16)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、マウスFcγRIII(CD16)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、齧歯動物FcγRIII(CD16)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、ウマ科動物FcγRIII(CD16)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、ブタ科動物FcγRIII(CD16)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFP構築物は、ヒツジ科動物FcγRIII(CD16)膜貫通ドメインを含む。一部の実施形態では、CD16 TMDは、ヒトまたはマウスのCD16 TMDと少なくとも80%相同である。一部の実施形態では、CD16 TMDは、ヒトまたはマウスのCD16 TMDと少なくとも85%相同である。一部の実施形態では、CD16 TMDは、ヒトまたはマウスのCD16 TMDと少なくとも90%相同である。一部の実施形態では、CD16 TMDは、ヒトまたはマウスのCD16 TMDと少なくとも95%相同である。一実施形態では、FcγRIIIは、FcγRIIIA(CD16a)である。
【0406】
[00493]本明細書では、任意の骨髄細胞特異的CFPが、CD89分子、CD16分子、CD64分子、またはCD32a分子に由来するTMDを使用してデザインまたは作出され、所望の抗原結合性ドメインを有する、骨髄細胞特異的CFPが、本開示で記載される組成物および方法に基づき創出されうることが想定される。一部の実施形態では、CFPは、骨髄細胞特異的発現を呈する。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的発現は、Fcガンマ依存性発現である、すなわち、CFP構築物を含む核酸を含む細胞が、Fcガンマを、内因的に発現する場合、CFPは、細胞内で共発現する。一部の実施形態では、CFPは、骨髄細胞以外の細胞内でも発現するが、一過性に限り発現し、検出可能ではない場合がある。一部の実施形態では、骨髄細胞だけが、Fcガンマ依存的に機能的であるCFPを発現する、すなわち、CFPは、Fcガンマを、内因的に発現しない細胞内で、機能的ではない。一部の実施形態では、骨髄細胞特異的CFPは、がん細胞特異的標的抗原に結合する、抗原結合性ドメイン、および1つ、2つ、3つ、またはこれを超えるドメイン、例えば、細胞内シグナル伝達ドメイン、例えば、PI3キナーゼ動員ドメインを含む、細胞内領域を含む。例えば、骨髄細胞特異的CFPは、標的抗原であるCD5に結合する、抗原結合性ドメインを含む。本明細書では、抗CD5抗体またはその一部、例えば、抗CD5 ScFvを含む細胞外ドメイン、ヒンジドメイン、例えば、CD8ヒンジドメイン、骨髄細胞により、内因的に発現されたFcガンマ受容体と二量体化することが可能である膜貫通ドメイン、および1つ、2つ、3つ、またはこれを超えるドメイン、例えば、CD40細胞内シグナル伝達ドメイン、および/またはPI3キナーゼ動員ドメインを含む、例えば、細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内領域を含む、それぞれのCFPがデザインされる。
【0407】
[00494]本明細書の一部の実施形態では、TROP2結合性細胞外ドメインと、任意選択で、例えば、CD8ヒンジドメインを含む、短鎖ヒンジ領域と、CD89膜貫通ドメインと、任意選択で、CD40細胞内ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインなど、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインへと融合された、CD89細胞内領域とを含む、TROP2結合性CFP(TROP2結合剤)が提供される。本明細書の一部の実施形態では、TROP2結合性細胞外ドメインと、任意選択で、例えば、CD8ヒンジドメインを含む、短鎖ヒンジ領域と、CD16膜貫通ドメインと、任意選択で、CD40細胞内ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインなど、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインへと融合された、CD16細胞内領域とを含む、TROP2結合性CFP(TROP2結合剤)が提供される。TROP2 CFPは、1つまたは複数の、ヒトドメインまたはヒト化ドメインを含みうる。本明細書では、CD16、またはCD89膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインへと作動可能に連結された、CD8ヒンジドメインへと融合された、抗TROP2 ScFv(TROP2抗原結合剤)を含む、TROP2 CFP構築物をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド、例えば、mRNAまたはDNAが提供される。一部の実施形態では、本明細書で記載されるTROP2 CFPは、骨髄細胞特異的発現を示す。一部の実施形態では、本明細書で記載されるTROP2 CFPは、Fcガンマ依存性発現を示す。一部の実施形態では、本明細書で記載されるTROP2 CFPは、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、T細胞、B細胞、上皮細胞、筋細胞、神経細胞、または任意の非骨髄細胞において検出不能な発現を呈する。一実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドによりコードされる、本明細書で記載される、CD16膜貫通ドメイン、CD89膜貫通ドメイン、またはCD64膜貫通ドメインを有する、TROP2結合剤は、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、主に、CD14+細胞内において発現する。一実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドによりコードされる、CD16膜貫通ドメイン、CD89膜貫通ドメイン、またはCD64膜貫通ドメインを有する、TROP2結合剤は、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、CD14+細胞内だけにおいて発現する。
【0408】
[00495]本明細書の一部の実施形態では、GPC3結合性細胞外ドメインと、任意選択で、例えば、CD8ヒンジドメインを含む、短鎖ヒンジ領域と、CD89膜貫通ドメインと、任意選択で、CD40細胞内ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインなど、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインへと融合された、CD89細胞内領域とを含む、GPC3に結合するCFP(GPC3結合剤)が提供される。本明細書の一部の実施形態では、GPC3結合性細胞外ドメインと、任意選択で、例えば、CD8ヒンジドメインを含む、短鎖ヒンジ領域と、CD16膜貫通ドメインと、任意選択で、CD40細胞内ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインなど、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインへと融合された、CD16細胞内領域とを含む、GPC3に結合するCFP(GPC3結合剤)が提供される。GPC3 CFPは、1つまたは複数の、ヒトドメインまたはヒト化ドメインを含みうる。一部の実施形態では、GPC3-CFPは、インターフェロン誘導性細胞内ドメインをさらに含む。
【0409】
[00496]本明細書では、CD16、またはCD89膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインへと作動可能に連結された、CD8ヒンジドメインへと融合された、抗GPC3 ScFv(GPC3抗原結合剤)を含む、GPC3 CFP構築物をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド、例えば、mRNAまたはDNAが提供される。一部の実施形態では、本明細書で記載されるGPC3 CFPは、骨髄細胞特異的発現を示す。一部の実施形態では、本明細書で記載されるGPC3 CFPは、Fcガンマ依存性発現を示す。一部の実施形態では、本明細書で記載されるGPC3 CFPは、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、T細胞、B細胞、上皮細胞、筋細胞、神経細胞、または任意の非骨髄細胞において検出不能な発現を呈する。一実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドによりコードされる、本明細書で記載される、CD16膜貫通ドメイン、CD89膜貫通ドメイン、またはCD64膜貫通ドメインを有する、GPC3結合剤は、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、主に、CD14+細胞内において発現する。一実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドによりコードされる、CD16膜貫通ドメイン、CD89膜貫通ドメイン、またはCD64膜貫通ドメインを有する、GPC3結合剤は、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、CD14+細胞内だけにおいて発現する。一部の実施形態では、GPC3 CFPは、インターフェロン誘導性細胞内ドメインをさらに含む。
【0410】
[00497]本明細書では、を含む医薬組成物が提供される。一部の実施形態では、本明細書で記載されるGPC3結合剤は、ヒト対象におけるがんを処置するのに使用される。一部の実施形態では、GPC3結合剤は、肝細胞癌(HCC)の処置のために使用される。
【0411】
[00498]本明細書の一部の実施形態では、GP75結合性細胞外ドメインと、任意選択で、例えば、CD8ヒンジドメインを含む、短鎖ヒンジ領域と、CD89膜貫通ドメインと、任意選択で、CD40細胞内ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインなど、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインへと融合された、CD89細胞内領域とを含む、GP75に結合するCFP(GP75結合剤)が提供される。本明細書の一部の実施形態では、GP75結合性細胞外ドメインと、任意選択で、例えば、CD8ヒンジドメインを含む、短鎖ヒンジ領域と、CD16膜貫通ドメインと、任意選択で、CD40細胞内ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインなど、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインへと融合された、CD16細胞内領域とを含む、GP75に結合するCFP(GP75結合剤)が提供される。GP75 CFPは、1つまたは複数の、ヒトドメインまたはヒト化ドメインを含みうる。本明細書では、CD16、またはCD89膜貫通ドメインおよび細胞内ドメインへと作動可能に連結された、CD8ヒンジドメインへと融合された、抗GP75 ScFv(GP75抗原結合剤)を含む、GP75 CFP構築物をコードする配列を含む、ポリヌクレオチド、例えば、mRNAまたはDNAが提供される。一部の実施形態では、本明細書で記載されるGP75 CFPは、骨髄細胞特異的発現を示す。一部の実施形態では、本明細書で記載されるGP75 CFPは、Fcガンマ依存性発現を示す。一部の実施形態では、本明細書で記載されるGP75 CFPは、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、T細胞、B細胞、上皮細胞、筋細胞、神経細胞、または任意の非骨髄細胞において検出不能な発現を呈する。一実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドによりコードされる、本明細書で記載される、CD16膜貫通ドメイン、CD89膜貫通ドメイン、またはCD64膜貫通ドメインを有する、GP75結合剤は、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、主に、CD14+細胞内において発現する。一実施形態では、本明細書で記載されるポリヌクレオチドによりコードされる、CD16膜貫通ドメイン、CD89膜貫通ドメイン、またはCD64膜貫通ドメインを有する、GP75結合剤は、ポリヌクレオチドが、in vivoにおいて投与された場合に、CD14+細胞内だけにおいて発現する。
【0412】
[00499]一部の実施形態では、本節で記載されるCFP構築物のうちのいずれか1つは、少なくとも、CD40細胞内シグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、本節で記載されるCFP構築物のうちのいずれか1つは、少なくとも、PI3キナーゼ動員ドメインおよびシグナル伝達ドメインを含む。一部の実施形態では、本節で記載されるCFP構築物のうちのいずれか1つは、少なくとも、CD40細胞内シグナル伝達ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインを含む。一部の実施形態では、本節で記載される、骨髄細胞特異的CFP構築物は、例えば、CD40細胞内シグナル伝達ドメインおよびPI3キナーゼ動員ドメインおよび第3の細胞内シグナル伝達ドメインを含む、少なくとも3つの細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、本節で記載されるCFP構築物のうちのいずれか1つは、受容体活性化時に、NF-カッパBの活性化を誘導する、少なくとも1つの細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、本節で記載されるCFP構築物のうちのいずれか1つは、受容体活性化時に、インターフェロンの産生を刺激する、少なくとも1つの細胞内ドメインを含む。一部の実施形態では、本節で記載されるCFP構築物のうちのいずれか1つは、NF-カッパBの活性化を誘導する、少なくとも1つの細胞内ドメインを含み、受容体活性化時に、インターフェロンの産生を刺激する、少なくとも1つの細胞内ドメインを含む。
【0413】
対象に由来する骨髄細胞を作製する方法
PBMCからの、骨髄細胞の単離
[00500]末梢血単核細胞は、Histopaque 1077(Sigma)を使用する、密度遠心分離により、正常ドナー軟膜から分離することができる。洗浄の後、CliniMACS GMPグレードCD14マイクロビーズおよびLS磁気分離カラム(Miltenyi Biotec)を使用して、CD14+単球を、単核細胞画分から分離することができる。略述すると、細胞を、PEA緩衝液(リン酸緩衝生理食塩液[PBS]+1L当たり2.5ミリモルのエチレンジアミン四酢酸[EDTA]、およびヒト血清アルブミン[20%のAlburex、Octopharmaのうちの、最終容量0.5%])中、適切な濃度まで再懸濁させ、製造元の指示書に従い、CliniMACS CD14ビーズと共にインキュベートし、次いで、洗浄し、磁化LSカラムを流過させた。洗浄の後、精製された単球を、脱磁化カラムから溶出させ、洗浄し、培養に関連する培地中に再懸濁させることができる。CD14+細胞の、白血球アファレーシスからの分離:PBMCは、研究に参加する旨の説明同意文書を提出した肝硬変ドナーから、白血球アファレーシスにより回収することができる。末梢血の、単核細胞(MNC)についての白血球アファレーシスは、Optiaアファレーシスを使用する、滅菌回収により実行する。MNCのための、標準的回収プログラムを使用し、2.5倍の血液量を処理する。CD14細胞の分離は、GMP準拠機能閉鎖系(CliniMACS Prodigyシステム、Miltenyi Biotec)を使用して実行する。略述すると、細胞カウントのために、白血球アファレーシス生成物をサンプリングし、分離前フローサイトメトリーのために、アリコートを採取する。単球(CD14+)の百分率および細胞の絶対数を決定することができ、要求される場合は、容量を、選択のための要求基準(全白血球20×10個以下;1mL当たりの白血球400×10個未満;CD14細胞3.5×10個以下、容量:50~300mL)を満たすように調整する。CD14細胞の単離および分離は、CliniMACS Prodigyを、CliniMACS CD14マイクロビーズ(医療機器分類III)、TS510チュービングセット、およびLP-14プログラムと共に使用して実行する。処理の終了時に、選択されたCD14+陽性単球を、医薬のグレードの0.5%ヒトアルブミン(Alburex)を含有する、PBS/EDTA緩衝液(CliniMACS緩衝液、Miltenyi)中で洗浄し、次いで、培養のためのTexMACS(または同等物)培地中で再懸濁させることができる。
【0414】
細胞のカウントおよび純度:
[00501]Sysmex XP-300自動式解析器(Sysmex)を使用して、全MNCおよび分離単球画分の細胞カウントを実施することができる。Sysmexは、単球数を、一貫して過小評価したので、マクロファージ数の評価は、絶対細胞数を決定するのに、TruCountチューブ(Becton Dickinson)を伴う、フローサイトメトリーにより実行する。フローサイトメトリー(FACSCanto II、BD Biosciences)を、ヒト白血球に対する抗体パネル(CD45-VioBlue、CD15-FITC、CD14-PE、CD16-APC)と共に使用して、分離の純度について評価し、好中球の夾雑(CD45int、CD15pos)量を決定することにより、生成物の品質について評価する。
【0415】
細胞培養物:健常ドナー試料による培養物の養生
[00502]マクロファージの分化に最適の培養培地を探索し、3つの候補を、細胞生成物のために使用して調べた。加えて、単球の低温保存の、治療的使用のための、骨髄細胞およびマクロファージの導出に対する影響について検討した。本開示の他の箇所で記載される通りに、機能的アッセイを行って、骨髄細胞およびマクロファージの貪食能力、ならびにさらなる極性化に対するそれらの能力、および貪食可能性を定量した。
【0416】
対象試料による、フルスケールの工程検証
[00503]Prodigyによる分離物に由来する、白血球アファレーシスから培養される単球は、GMPグレードのTexMACS(Miltenyi)および100ng/mLのM-CSFを伴う培養バッグ(MACS GMP分化バッグ、Miltenyi)中に、1mL当たり、1cm当たりの単球2×10個で培養することができる。単球は、100ng/mLの、GMP準拠組換えヒトM-CSF(R&D Systems)と共に培養することができる。細胞は、5%のCOを伴う加湿雰囲気中、37℃で、7日間にわたり培養することができる。50%の培養培地を除去し、次いで、200ng/mLのM-CSFを補充された、新鮮培地をフィードして(100ng/mLの最終濃度を回復させるために)、培養(2および4日目)期間中、2回にわたり、50%容量の培地交換を実行する。
【0417】
細胞の採取:
[00504]正常ドナー由来マクロファージのために、7日目に、細胞解離緩衝液(Gibco、ThermoFisher)およびpastetteを使用して、細胞を、ウェルから採取することができる。細胞を、PEA緩衝液中に再懸濁させ、カウントし、次いで、フローサイトメトリーのために、試験1回当たりの細胞約1×10個を、染色することができる。7日目に、血清に由来する、医薬グレードの0.5%ヒトアルブミン(HAS;Alburex)を含有する、PBS/EDTA緩衝液(CliniMACS緩衝液、Miltenyi)を使用して、白血球アファレーシス由来マクロファージを、培養バッグから採取することができる。採取された細胞は、2つの認可生成物:0.5%ヒトアルブミン(Alburex)を伴う、注入用の0.9%生理食塩液(Baxter)から構成される賦形剤中に再懸濁させることができる。
【0418】
フローサイトメトリーによる特徴付け:
[00505]フローサイトメーターである、FACSCanto II(BD Biosciences)またはMACSQuant 10(Miltenyi)を使用して、単球およびマクロファージ細胞の表面マーカー発現について解析することができる。典型的に、各試料について、約20,000例ずつの事象を収集することができる。分離したての細胞および成熟7日目の細胞における、白血球マーカーの細胞表面発現は、細胞を、特異的抗体(最終希釈率:1:100)と共にインキュベートすることにより実行する。細胞を、FcRブロッキング剤(Miltenyi)と共に、5分間にわたりインキュベートし、次いで、抗体カクテルと共に、4℃で20分間にわたりインキュベートする。細胞を、PEA中で洗浄することができ、死細胞除外染料である、DRAQ7(BioLegend)を、1:100で添加する。細胞は、以下:CD45-VioBlue、CD14-PE、またはCD14-PerCP-Vio700、CD163-FITC、CD169-PEおよびCD16-APC(全て、Miltenyi製)、CCR2-BV421、CD206-FITC、CXCR4-PE、およびCD115-APC(全て、BioLegend製)、ならびに25F9-APCおよびCD115-APC(eBioscience)の範囲の表面マーカーについて染色することができる。前方散乱および側方散乱、ならびにDRAQ7死細胞弁別器(BioLegend)を使用して、破砕物、ダブレット、および死細胞を除外するように、単球およびマクロファージの両方にゲートをかけ、FlowJoソフトウェア(Tree Star)を使用して、解析することができる。初期の詳細な表現型解析から、単球からの、機能的マクロファージの作出について規定するパネルを、出荷判定基準(CD45-VB/CD206-FITC/CD14-PE/25F9 APC/DRAQ7)として開発した。マクロファージは、平均値蛍光強度(MFI)が、25F9およびCD206の両方について、5つの時点において、0日目における単球より高レベルである細胞として決定することができる。他のマーカーについて、拡張パネル(CCR2-BV421/CD163-FITC/CD169-PE/CD14-PerCP-Vio700/CD16-APC/DRAQ7から構成される)の一部として評価する、第2のパネルも開発するが、細胞生成物のための出荷判定基準の一部としては使用しない。
【0419】
[00506]単球およびマクロファージは、分離された末梢血細胞の、スクロース勾配遠心分離試料中で形成された軟膜層を回収することにより分離することができる。酸性エンドソームへと取り込まれた場合に限り蛍光発光する、pHRodoビーズを使用して、CD14細胞を、貪食性取込みについて調べることができる。略述すると、単球またはマクロファージを、1~2uLのpHRodo Escherichia coli bioparticles(Life Technologies、Thermo Fisher)と共に、1時間にわたり培養し、次いで、培地を採取し、細胞を洗浄して、貪食されなかった粒子を除去することができる。EVOS顕微鏡(Thermo Fisher)を使用して、貪食について評価し、ImageJソフトウェア(NIH)を使用して、画像を捕捉し、細胞内へのビーズの取込みを定量した。7日目のマクロファージを、M1表現型またはM2表現型(または、それぞれ、M[IFNγ]表現型対M[IL-4]表現型)への極性化を誘導するように、IFNγ(50ng/mL)またはIL-4(20ng/mL)で、48時間にわたりで処理することにより、規定された分化マクロファージへと極性化する能力を検討する。48時間後に、EVOS明視野顕微鏡により、細胞を視覚化することができ、次いで、前述と同様に、採取し、表現型解析することができる。作出後におけるマクロファージ、および炎症性刺激に応答するマクロファージの、サイトカイン/増殖因子分泌プロファイルについて、さらなる解析を実施する。前述と同様に、マクロファージは、健常ドナー軟膜から作出することができ、非処理のまま放置するか、または炎症肝内に存在する状態を模倣するように、TNFα(50ng/mL;Peprotech)、およびポリイノシン酸:ポリシチジン酸(polyI:C、TLR3に結合するウイルス相同体、1g/mL;Sigma)、もしくは最大限のマクロファージ活性化をもたらすように、リポ多糖(LPS、100ng/mL;Sigma)+IFNγ(50IU/mL、Peprotech)で刺激した。7日目のマクロファージを、一晩にわたりインキュベートし、上清を回収し、スピンダウンして、破砕物を除去し、次いで、試験まで、-80℃で保管した。Magpixマルチプレックス酵素免疫測定プレートリーダー(BioRad)上で試行された、27プレックスヒトサイトカインキットおよび9プレックスマトリックスメタロプロテアーゼキットを使用して、セクレトーム解析を実施する。
【0420】
生成物の安定性:
[00507]工程開発時に、PBS/EDTA緩衝液;0.5%HAS(Alburex)を伴うPBS/EDTA緩衝液、0.9%生理食塩液単独または0.5%HASを伴う生理食塩液を含む、多様な賦形剤について調べることができる。0.5%HAS賦形剤を伴う、0.9%の生理食塩液(Baxter)が、最適の細胞生存率および表現型を維持することが見出される(データは示さない)。肝硬変ドナーに由来するマクロファージの、採取後における安定性について、3工程の最適化試行において探索し、工程検証試行では、より限定的な範囲の時点について評価した(n=3)。採取および賦形剤(注入用の0.9%生理食塩液、0.5%ヒト血清アルブミン)中の再懸濁後、バッグは、周囲温度(21℃~22℃)で保管することができ、採取の0、2、4、6、8、12、24、30、および48時間後に、サンプリングする。出荷判定基準のための抗体パネルを、各試料について試行し、25F9およびCD206についての幾何MFIにより、生存率および0日目からの平均値倍数変化を測定する。
【0421】
統計学的解析:
[00508]結果は、平均値±SDとして発現されうる。対応のない両側t検定による評価が可能な場合、GraphPad Prism 6を使用して、差違の統計学的有意性について評価する。P値が、<0.05である場合に、結果を、統計学的に有意であると考えることができる。
【0422】
[00509]本明細書ではまた、本明細書で記載される組成物、本明細書で記載されるベクター、または本明細書で記載されるポリペプチドを含む細胞も提供される。一部の実施形態では、細胞は、貪食細胞である。一部の実施形態では、細胞は、幹細胞由来細胞、骨髄細胞、マクロファージ、樹状細胞、リンパ球、マスト細胞、単球、好中球、小膠細胞、または星状膠細胞である。一部の実施形態では、細胞は、自家細胞である。一部の実施形態では、細胞は、同種細胞である。一部の実施形態では、細胞は、M1細胞である。一部の実施形態では、細胞は、M2細胞である。一部の実施形態では、細胞は、M1マクロファージ細胞である。一部の実施形態では、細胞は、M2マクロファージ細胞である。一部の実施形態では、細胞は、M1骨髄細胞である。一部の実施形態では、細胞は、M2骨髄細胞である。
【0423】
[00510]本明細書ではまた、それを必要とする対象における疾患を処置する方法であって、対象へと、本明細書で記載される医薬組成物を投与するステップを含む方法も提供される。一部の実施形態では、疾患は、がんである。一部の実施形態では、がんは、固形がんである。一部の実施形態では、固形がんは、卵巣がんであり、適切ながんは、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、肺がんを含む。一部の実施形態では、がんは、液性がんである。一部の実施形態では、液性がんは、白血病またはリンパ腫である。一部の実施形態では、液性がんは、T細胞リンパ腫である。一部の実施形態では、疾患は、T細胞悪性腫瘍である。一部の実施形態では、がんは、NSCLCである。一部の実施形態では、がんは、HCCである。
【0424】
[00511]一部の実施形態では、方法は、さらなる治療剤を、対象へと投与するステップをさらに含む。一部の実施形態では、さらなる治療剤は、CD47アゴニスト、Racを阻害する薬剤、Cdc42を阻害する薬剤、GTPアーゼを阻害する薬剤、F-アクチンのディスアセンブリーを促進する薬剤、PI3KのPFPへの動員を促進する薬剤、PI3Kの活性を促進する薬剤、ホスファチジルイノシトール3,4,5-三リン酸の産生を促進する薬剤、ARHGAP12の活性を促進する薬剤、ARHGAP25の活性を促進する薬剤、SH3BP1の活性を促進する薬剤、およびこれらの任意の組合せからなる群から選択される。
【0425】
[00512]一部の実施形態では、投与するステップは、注入または注射を含む。一部の実施形態では、投与するステップは、固形がんへの直接的投与を含む。一部の実施形態では、投与するステップは、circRNAベース送達手順、非粒子封入型mRNAベース送達手順、mRNAベース送達手順、ウイルスベース送達手順、粒子ベース送達手順、リポソームベース送達手順、またはエクソソームベース送達手順を含む。一部の実施形態では、CD4+ T細胞応答またはCD8+ T細胞応答が、対象において誘発される。
【0426】
[00513]本明細書ではまた、細胞を調製する方法であって、細胞を、本明細書で記載される組成物、本明細書で記載されるベクター、または本明細書で記載されるポリペプチドと接触させるステップを含む方法も提供される。一部の実施形態では、接触させるステップは、形質導入を含む。一部の実施形態では、接触させるステップは、化学的トランスフェクション、電気穿孔、ヌクレオフェクション、またはウイルスによる感染もしくは形質導入を含む。
【0427】
[00514]本明細書では、上記で記載された組成物のうちのいずれか1つを含む治療剤を投与するための方法が提供される。一部の実施形態では、治療的は、非経口投与経路を介して投与される。
【0428】
[00515]一部の実施形態では、治療的は、筋内投与経路を介して投与される。一部の実施形態では、治療的は、静脈内投与経路を介して投与される。一部の実施形態では、治療的は、皮下投与経路を介して投与される。
【0429】
[00516]本明細書ではまた、本明細書で記載される、1つまたは複数の組換え核酸と、脂質とを、本明細書で記載される水性組成物中に含む、医薬組成物を調製する方法も提供される。一部の実施形態では、組成物は、本明細書で記載されるベクターを含む。一部の実施形態では、脂質は、脂質ナノ粒子の形成を含む。
【0430】
組換え核酸の、in vitroおよびin vivoにおける送達
[00517]一態様では、キメラ抗原受容体をコードする組換え核酸は、in vivoにおける送達のための治療用組成物である、適切な脂質ナノ粒子内に封入される。組換え核酸は、DNA、circRNA、またはmRNAでありうる。一部の実施形態では、ネイキッドDNAまたはメッセンジャーRNA(mRNA)は、核酸を、細胞内に導入するのに使用されうる。一部の実施形態では、キメラ融合タンパク質をコードする、DNAまたはmRNAは、脂質ナノ粒子(LNP)封入法により、貪食細胞へと導入される。mRNAは、コドン最適化されうる。一部の実施形態では、mRNAは、5’-メチルシトシンまたはシュードウリジンなど、1つまたは複数の修飾塩基または非天然塩基を含みうる。mRNAは、50~10,000塩基長でありうる。一態様では、トランス遺伝子は、mRNAとして送達される。mRNAは、約100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10,000を超える塩基を含みうる。一部の実施形態では、mRNAは、10,000塩基長を超える場合がある。一部の実施形態では、mRNAは、約11,000塩基長でありうる。一部の実施形態では、mRNAは、約12,000塩基長でありうる。
【0431】
[00518]一部の実施形態では、対象に局所送達または全身送達される医薬組成物は、1つまたは複数の脂質成分と会合された、本明細書で記載される、キメラ融合タンパク質をコードする、メッセンジャーRNAを含む。一部の実施形態では、1つまたは複数の脂質成分は、カチオン性脂質を含みうる。一部の実施形態では、1つまたは複数の脂質成分は、非カチオン性脂質を含みうる。一部の実施形態では、1つまたは複数の脂質成分は、極性脂質および/または非極性脂質を含みうる。一部の実施形態では、1つまたは複数の脂質成分は、中性脂質を含みうる。一部の実施形態では、1つまたは複数の脂質成分は、コンジュゲート脂質を含みうる。一部の実施形態では、1つまたは複数の脂質成分は、mRNAの周囲に、リポソームを含みうる。一部の実施形態では、1つまたは複数の脂質成分は、mRNAを封入する脂質ナノ粒子を含みうる。
【0432】
[00519]LNPに封入されたDNAまたはRNAは、単球またはマクロファージなどの骨髄細胞にトランスフェクトするために使用される場合もあり、対象へと投与される場合もある。LNPは、対象へと、局所送達または全身送達される場合に、骨髄細胞による取込みのための標的化送達のためにデザインされうる。一部の実施形態では、LNPは、骨髄細胞の表面エレメントに結合し、骨髄細胞による、mRNAが封入されたLNPの取込みを容易とする、抗体もしくはリガンド、または生体分子もしくはその一部など、1つまたは複数の標的化部分を含みうる。一部の実施形態では、LNPは、LNPと会合する場合もあり、LNPへと組み込まれる場合もある、1つまたは複数の抗体、リガンド、結合剤、アプタマーにより、組織へと標的化されうる。
【0433】
[00520]一実施形態では、LNPは、1つまたは複数のポリマーを含む。
【0434】
[00521]一実施形態では、LNPは、合成ポリマーを含む。
【0435】
[00522]一部の実施形態では、LNPは、カチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、LNPは、非カチオン性脂質を含む。一部の実施形態では、LNPは、中性脂質を含む。一部の実施形態では、LNPは、1つまたは複数のPEG化脂質を含む。一部の実施形態では、LNPは、約100nm~約200nmの直径である。一部の実施形態では、LNPは、80~120nm、100~140nm、100~130nm、70~140nm、80~150nm、または90~180nmの直径など、約150nmの直径である。一部の実施形態では、LNPは、90nm未満、または80nm未満の直径など、100nm未満である。
【0436】
[00523]一部の実施形態では、送達媒体は、上記で記載された脂質媒体のうちのいずれか1つ、例えば、組換え核酸と自由に会合した脂質成分であって、リポソームまたはLNPを封入する脂質成分であり、この場合、mRNAは、本明細書中の他の箇所記載された、骨髄細胞内の優先的発現のためにデザインされる。
【0437】
[00524]一部の実施形態では、本明細書中の任意の箇所に記載された送達媒体を伴うmRNAは、in vitroにおける、CFPをコードするmRNAの、単球を含む細胞集団内の単球など、骨髄細胞内への送達のための組成物を製剤化するために使用されるが、この場合、CFPをコードするmRNAを含む骨髄細胞は、ヒト対象などの哺乳動物対象への送達のための医薬組成物へと製剤化される。一部の実施形態では、mRNAは、本明細書で記載される、TROP2に結合する細胞外抗原結合性ドメインを含むCFPを含む。一部の実施形態では、本明細書中の任意の箇所に記載された送達媒体を伴うmRNAは、ヒト対象などの哺乳動物対象への送達のための医薬組成物を製剤化するために使用される。一部の実施形態では、mRNAは、本明細書で記載される、TROP2に結合する細胞外抗原結合性ドメインを含むCFPをコードする配列を含む。一部の実施形態では、TROP2結合性CFPをコードする配列を含むmRNAと、送達媒体とは、異種細胞集団内の骨髄細胞により特異的に取り込まれる。一部の実施形態では、TROP2結合性CFPをコードする配列を含むmRNAは、異種細胞集団内の骨髄細胞および非骨髄細胞により、特異的に取り込まれるが、異種細胞集団内の骨髄細胞内だけで発現され、かつ/または機能的となる。
【0438】
[00525]一部の実施形態では、上記で記載されたmRNAは、細胞へと電気穿孔される。一部の実施形態では、mRNAを含む組成物は、in vitroにおいて、細胞へと電気穿孔される。一部の実施形態では、mRNAは、例えば、LNP内で、上記で記載された、1つまたは複数の脂質成分と会合される。一部の実施形態では、mRNAを含む組成物(例えば、1つまたは複数の脂質成分を含む)は、in vitroにおいて、骨髄細胞への送達のためにデザインされ、最適化された、異種細胞集団内の骨髄細胞へと電気穿孔される。
【0439】
機能的増強のための、CFPデザインの改変
[00526]本明細書の一態様では、(A)外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列と;(B)キメラ抗原受容体融合タンパク質(CFP)をコードする第2の核酸配列であって、CFPが、(a)受容体による抗原への結合時にリン酸化される1つまたは複数のチロシン残基を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達サブユニット;(b)膜貫通ドメイン;ならびに(c)標的細胞の表面上の構成要素に対する結合特異性を有し、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結される細胞外結合性ドメイン;ならびに(d)プロテアーゼ切断配列により、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結され、外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列の転写を促進する転写活性化ドメインを含む、第2の核酸配列と;(C)(i)転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼ;(ii)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインをコードし;プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼとチロシン残基に結合するドメインとが作動可能に連結された、第3の核酸配列とを含む、1つまたは複数の組換え核酸配列を含む組成物が提供される。一部の実施形態では、第3の核酸配列は、(iii)刺激応答性エレメントをさらにコードする。一部の実施形態では、刺激応答性エレメント(iii)は、リン酸化チロシン残基に結合するドメインと融合される。一部の実施形態では、刺激応答性エレメント(iii)は、核酸配列を発現する細胞の微小環境に対して、応答性である。一部の実施形態では、1つまたは複数の組換え核酸は、骨髄細胞内で発現される。
【0440】
[00527]一部の実施形態では、刺激応答性エレメント(iii)は、リン酸化チロシン残基に結合するドメインと融合される。一部の実施形態では、刺激応答性エレメントは、核酸配列を発現する細胞の微小環境に対して、応答性である。一部の実施形態では、(iii)は、(ii)と作動可能に連結されたデグロンである。一部の実施形態では、デグロンは、HIF-1aデグロンである。
【0441】
[00528]一部の実施形態では、転写活性化ドメインは、VP64トランス活性化ドメインを含む。一部の実施形態では、転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼは、C型肝炎ウイルス(HCV)NS3プロテアーゼである。一部の実施形態では、CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインは、ホスホチロシン結合性(PTB)ドメインである。一部の実施形態では、PTBは、Shc PTBである。
【0442】
[00529]一部の実施形態では、組換え核酸は、DNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、RNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、mRNAである。一部の実施形態では、組換え核酸は、circRNAである。
【0443】
[00530]一部の実施形態では、組換え核酸は、レプリコンRNAと会合する。本明細書では、がんに対して治療的である骨髄細胞を調製するための方法であって、骨髄細胞内で、(A)外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列と;(B)骨髄細胞キメラ抗原受容体(CFP)をコードする第2の核酸配列であって、CFPが、(a)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達サブユニット;(b)膜貫通ドメイン;ならびに(c)標的細胞の表面上の構成要素に対する結合特異性を有し、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結される細胞外結合性ドメイン;ならびに(d)プロテアーゼ切断配列により、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結され、外因性ポリペプチドをコードする、第1の核酸配列の転写を促進する転写活性化ドメインを含む、第2の核酸配列と;(C)(i)転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼ;(ii)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインをコードし;プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼとチロシン残基に結合するドメインとが作動可能に連結された、第3の核酸配列とを含む組換え核酸を発現させるステップを含む方法が提供される。
【0444】
[00531]本明細書では、がんに対して治療的である骨髄細胞を調製するための方法であって、骨髄細胞内で、(a)ヒト好酸球主要塩基性タンパク質酸性ドメイン;(b)MMP認識配列;および(c)ヒト好酸球主要塩基性タンパク質細胞傷害性ドメインを含むキメラタンパク質をコードする、組換え核酸を発現させるステップを含む方法が提供される。
【0445】
[00532]本明細書では、がんを有する対象を処置するための方法であって、それを必要とする対象へと、上記で記載された医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。本明細書では、がんを有する対象を処置するための方法であって、それを必要とする対象へと、本明細書で記載される医薬組成物を投与するステップを含む方法が提供される。本明細書では、それを必要とする対象において、腫瘍の退縮を誘導する方法であって、対象へと、骨髄細胞を含む医薬組成物を静脈内投与するステップを含み、骨髄細胞が、1つまたは複数のポリペプチドをコードする、1つまたは複数の組換え核酸を発現し、1つまたは複数のポリペプチドのうちの少なくとも1つが、腫瘍微小環境内では、機能的に活性であるが、非腫瘍環境内では、機能的に活性でない方法が提供される。
【0446】
モジュラーセンシングおよび内部プログラム化可能スイッチを伴う、キメラ抗原受容体
[00533]免疫療法剤のデザインにおける、際だった目的は、(1)治療剤が、疾患部位において活性であり、罹患細胞に対して、特異的に作用することを含む、疾患特異性;(2)治療剤が、プログラム化される場合もあり、または所望の時点および位置において、その所望の機能を果たすように意図される場合もあることを含む、プログラム化可能性を包摂する。
【0447】
[00534]一態様では、本開示は、疾患微小環境を感知し、これを利用し、疾患に対抗する、アウトプット機能の発生へと転換する、キメラ抗原受容体の開発を包摂する。一実施形態では、これは、スイッチ機能と称される。主に、本明細書で開示される、目的の組換えタンパク質は、スイッチを切り替えるために、腫瘍微小環境(TME)など、疾患系内のシグナル伝達を利用する。例えば、TMEは、キメラタンパク質の構成要素を活性化し、その機能を可能とするペプチドを切断する誘因として使用される、マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)に富む。これは、免疫療法細胞が、特異的であり、体内の全ての細胞へと適用されるわけではなく、これにより、免疫療法と関連する毒性の可能性を低減することを確保する。
【0448】
骨髄細胞治療剤のための、標的特異的、プログラム可能キメラ構築物の作出
[00535]本明細書では、免疫療法のための骨髄細胞を作製するための方法であって、骨髄細胞が、腫瘍微小環境内で誘導製である、キメラ融合タンパク質をコードする、外因性組換え核酸を発現する方法が提供される。例えば、免疫療法のための骨髄細胞は、その少なくとも一部が、腫瘍微小環境(TME)内で活性化される、キメラ受容体を発現する、組換え核酸を含む。一部の実施形態では、免疫療法のための骨髄細胞は、それらの発現が、誘導性転写活性化因子の制御下にある、炎症促進性タンパク質、またはアポトーシス促進性タンパク質もしくは溶解タンパク質をコードする、組換え核酸を含む。休眠状態下で、転写活性化因子は、非核タンパク質との融合を維持する。腫瘍環境への到達時に、転写活性化因子は、炎症促進性タンパク質、またはアポトーシス促進性タンパク質もしくは溶解タンパク質をコードする核酸の、核内局在およびトランス活性化のために、融合タンパク質からの切断を介して放出される。このような機能的転帰は、組換えタンパク質のモジュラーデザインおよび骨髄細胞内におけるそれらの発現により達成されうる。
【0449】
[00536]一実施形態では、切断可能転写活性化因子は、非内因性プロテアーゼにより切断される、切断可能配列を挿入することによりデザインされうる。一部の実施形態では、転写活性化因子は、膜貫通タンパク質、例えば、キメラ抗原受容体融合タンパク質(CFP)と融合される。一部の実施形態では、CFPは、受容体の活性化時に活性化される、1つまたは複数のチロシン残基を含む、1つまたは複数のITAMドメインを伴うICDを含む。受容体の活性化は、細胞外結合性ドメインを介する、受容体の、がん細胞との係合時に生じると理解される。一部の実施形態では、誘導性転写活性化因子の、例示的なモジュラーデザインは、以下の通りに達成されうる:転写活性化ドメインは、非内因性プロテアーゼ切断配列により、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結され;この場合、非内因性プロテアーゼは、同じ細胞内において発現される、組換え核酸によりコードされる。非内因性プロテアーゼは、それが融合され、活性化のために、CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合する、別のタンパク質ドメインへと作動可能に連結されるようにデザインされうる。リン酸化チロシン残基に結合するドメインは、ホスホチロシン結合性ドメイン(PTB)である。CFPの活性化時に、ITAMは、リン酸化され、PTBドメインは、ITAMドメインにより活性化され、活性化PTBドメインは、転写活性化ドメインを、CFPの細胞質末端から切断し、これにより、核局在化転写活性化因子を放出しうる、プロテアーゼを活性化しうる。
【0450】
[00537]加えて、プロテアーゼ-PTB融合タンパク質は、不活性状態にあるPTBおよびプロテアーゼの分解を惹起する、デグロンへと融合されうる。一実施形態では、デグロンは、天然では、正常酸素状態下で分解される、HIF1アルファ(HIF1-a)のデグロン配列である。したがって、PTB-プロテアーゼは、循環中または正常(非腫瘍)組織内である、正常酸素状態下にある細胞内で分解されるであろう。他方、タンパク質を発現する細胞が、低酸素性の組織環境内にある場合、PTB-プロテアーゼは、もはや分解されず、活性化CFP細胞内配列内に存在する、コグネイトのリン酸化残基を見出す。さらに、デグロン-PTB複合体の、CFP-ICD内の、細胞内ホスホチロシン残基への結合時に、デグロンは、ICDの部分との接触により不活化される(図2Bを参照されたい)。したがって、組換えタンパク質は、以下の通りにデザインされうる:組換えタンパク質は、(i)がん細胞または腫瘍細胞の表面上の構成要素に結合する、細胞外ドメインを含み、結合が、受容体(CFP)を活性化し、膜貫通ドメインおよび細胞内ドメイン(ICD)を含み、ICDが、受容体の活性化時に活性化され、リン酸化される、ITAMドメインを含むCFP;(ii)任意選択で、組換え核酸をコードする、同じベクターによりコードされる場合があり、デグロン-PTB-プロテアーゼが、T2A自己切断可能配列により挟まれた、プレタンパク質をもたらす、デグロン-PTB-プロテアーゼ複合体;(iii)プロテアーゼの基質である、切断可能配列により、CFPの細胞内ドメインへと作動可能に連結された、転写活性化因子を含む。加えて、骨髄細胞は、切断可能配列により、CFPの細胞内ドメインへと作動可能に連結された、転写活性化因子に対して応答性である、プロモーターまたは転写活性化因子の影響下にある核酸も共発現する。がん細胞との係合を介する、CFPの活性化時に、ICD内のITAMは、リン酸化され、活性化ITAMドメインは、PTBの結合およびその活性化を、同時に容易とし、結合は、そうでなければ、遊離(ITAM内のホスホチロシン残基に結合されていない;不活性)デグロン-PTB-プロテアーゼを分解する、デグロンを不活化する。活性化PTBは、プロテアーゼを活性化し、これを安定化させ(デグロン活性の非存在下において)、これが、核内局在化のための転写活性化因子を切断する。
【0451】
[00538]第1の融合タンパク質内で使用されうる、例示的なプロテアーゼは、C型肝炎ウイルスプロテアーゼ(例えば、NS3およびNS2~3);シグナルペプチダーゼ;スブチリシン/ケキシンファミリーのプロタンパク質コンベルターゼ(フーリン、PC1、PC2、PC4、PACE4、PCS、PC);疎水性残基(例えば、Leu、Phe、Val、またはMet)において切断するプロタンパク質コンベルターゼ;AlaまたはThrなど、小型アミノ酸残基において切断するプロタンパク質コンベルターゼ;プロオピオメラノコルチン転換酵素(PCE);クロマフィン顆粒アスパラギン酸プロテアーゼ(CGAP);プロホルモンチオールプロテアーゼ;カルボキシペプチダーゼ(例えば、カルボキシペプチダーゼE/H、カルボキシペプチダーゼD、およびカルボキシペプチダーゼZ);アミノペプチダーゼ(例えば、アルギニンアミノペプチダーゼ、リシンアミノペプチダーゼ、アミノペプチダーゼB);プロピルエンドペプチダーゼ;アミノペプチダーゼN;インスリン分解酵素;カルパイン;高分子量プロテアーゼ;ならびにカスパーゼ1、2、3、4、5、6、7、8、および9を含む。他のプロテアーゼは、アミノペプチダーゼN;ピューロマイシン感受性アミノペプチダーゼ;アンジオテンシン転換酵素;ピログルタミルペプチダーゼII;ジペプチジルペプチダーゼIV;N-アルギニン二塩基性コンベルターゼ;エンドペプチダーゼ24.15;エンドペプチダーゼ24.16;アミロイド前駆体タンパク質セクレターゼアルファ、同ベータ、および同ガンマ;アンジオテンシン転換酵素セクレターゼ;TGFアルファセクレターゼ;TNFアルファセクレターゼ;FASリガンドセクレターゼ;TNF受容体IおよびTNF受容体IIセクレターゼ;CD30セクレターゼ;KL1セクレターゼおよびKL2セクレターゼ;IL6受容体セクレターゼ;CD43、CD44セクレターゼ;CD16-IセクレターゼおよびCD16-IIセクレターゼ;L-セレクチンセクレターゼ;葉酸受容体セクレターゼ;MMP1、MMP2、MMP3、MMP7、MMP8、MMP9、MMP10、MMP11、MMP12、MMP13、MMP14、およびMMP15;ウロキナーゼプラスミノーゲン活性化因子;組織プラスミノーゲン活性化因子;プラスミン;トロンビン;BMP-1(プロコラーゲンCペプチダーゼ);ADAM1、ADAM2、ADAM3、ADAM4、ADAM5、ADAM6、ADAM7、ADAM8、ADAM9、ADAM10、およびADAM11;ならびにグランザイムA、グランザイムB、グランザイムC、グランザイムD、グランザイムE、グランザイムF、グランザイムG、およびグランザイムHを含むがこれらに限定されない。
【0452】
[00539]一部の実施形態では、プロテアーゼは、C型肝炎ウイルス(HCV)非構造タンパク質3プロテアーゼNS3である。一部の実施形態では、NS3切断可能配列は、EDVVCCである。一部の実施形態では、NS3切断可能配列は、DEMEECである。
【0453】
[00540]一部の実施形態では、転写活性化因子は、DNA結合性ドメインを含む。一部の実施形態では、DNA結合性ドメインは、GAL4ドメインである。一部の実施形態では、DNA結合性ドメインは、ZFHD1またはtetRのDNA結合性ドメインである。一部の実施形態では、転写活性化因子は、VP64トランス活性化ドメイン(単純ヘルペスウイルスタンパク質VP16の、四量体リピート最小活性化ドメイン(アミノ酸437~447))を含む。
【0454】
[00541]一部の実施形態では、デグロンは、HIF-デグロンである。
【0455】
[00542]本明細書の一部の実施形態では、(A)外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列と;(B)キメラ抗原受容体(CFP)をコードする第2の核酸配列であって、CFPが、(a)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基を有する細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達サブユニット;(b)膜貫通ドメイン;ならびに(c)標的細胞の表面上の構成要素に対する結合特異性を有し、膜貫通ドメインおよび細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結される細胞外結合性ドメイン;ならびに(d)プロテアーゼ切断配列により、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結され、外因性ポリペプチドをコードする第1の核酸配列の転写を促進する転写活性化ドメインを含む、第2の核酸配列と;(C)(i)転写活性化ドメインを、細胞内シグナル伝達サブユニットへと作動可能に連結する、プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼ;(ii)CFPの活性化時にリン酸化されるチロシン残基に結合するドメインをコードし;プロテアーゼ切断配列を切断するプロテアーゼとチロシン残基に結合するドメインとが作動可能に連結された、第3の核酸配列とを含む、1つまたは複数の組換え核酸が提供される。
【0456】
[00543]一部の実施形態では、本明細書では、免疫療法における使用のために、骨髄細胞内で発現されうる、モジュラーポリペプチドのための組換え核酸が提供される。組換え核酸は、(a)細胞傷害性ポリペプチド;(b)プロテアーゼ切断配列;および(c)阻害性ポリペプチドドメインを含み、阻害性ポリペプチドドメインが、細胞傷害性ポリペプチドを阻害し;この場合、細胞傷害性ポリペプチドと、プロテアーゼ切断配列と、阻害性ポリペプチドドメインとが、作動可能に連結された、キメラタンパク質をコードする。一部の実施形態では、細胞傷害性ポリペプチドは、ヒト好酸球主要塩基性タンパク質細胞傷害性ドメインである。一部の実施形態では、細胞傷害性ポリペプチドは、ヒト好酸球主要塩基性タンパク質酸性ドメインである。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断配列は、MMP認識配列である。一部の実施形態では、プロテアーゼ切断配列は、MMPにより切断される。
【0457】
[00544]一部の実施形態では、第1の貪食ICD内の、1つまたは複数のドメインは、突然変異を含む。
【0458】
[00545]一部の実施形態では、第2のICD内の、1つまたは複数のドメインは、キナーゼ結合性ドメインを増強する突然変異、リン酸化部位を作出する突然変異、SH2ドッキング部位を作出する突然変異、またはこれらの組合せを含む。
【0459】
炎症性遺伝子の共発現
[00546]一態様では、組換え核酸は、操作された細胞内のキメラ受容体と共に、共発現される、炎症促進性遺伝子のコード配列を含む。一部の実施形態では、炎症促進性遺伝子は、サイトカインである。例は、TNF-a、IL-1α、IL-1β、IL-6、CSF、GMCSF、またはIL-12もしくはインターフェロンを含むがこれらに限定されない。
【0460】
[00547]炎症促進性遺伝子をコードする組換え核酸は、モノシストロニック核酸の場合があり、この場合、(a)CFPおよび(b)炎症促進性遺伝子の、2つのコード配列は、独立の発現のために、転写後または翻訳後に切断される。
【0461】
[00548]一部の実施形態では、2つのコード配列は、例えば、P2A配列をコードする、自己切断ドメインを含む。
【0462】
[00549]一部の実施形態では、2つのコード領域は、IRES部位により隔てられる。
【0463】
[00550]一部の実施形態では、2つのコード配列は、バイシストロニックの遺伝子エレメントによりコードされる。(a)CFPおよび(b)炎症促進性遺伝子のコード領域は、各々が、個別の調節制御下にある、単一方向性のコード領域でありうる。一部の実施形態では、(a)および(b)のいずれのコード領域も双方向性であり、反対方向に駆動される。各コード配列は、個別の調節制御下にある。
【0464】
[00551]炎症促進性遺伝子の共発現は、マクロファージの強力な炎症性刺激を付与し、周囲の組織を、炎症のために活性化するようにデザインされる。
【0465】
細胞内シグナル伝達および炎症活性化を増強するためのキメラ抗原受容体
[00552]一態様では、組換え核酸は、細胞外結合性ドメイン、膜貫通ドメインに加えて、キメラ細胞内ドメインをコードし、場合によって、受容体の細胞内ドメインの一部または全部をコードする。細胞内ドメインは、マクロファージが、感染への対抗に関与する場合など、強力な炎症促進性免疫活性化の能力を伴うようにデザインされる。キメラ細胞内ドメイン(または、場合により、第2のICD)は、ICDが、細胞外ドメインへと作動可能に連結され、細胞外ドメインの活性化が、融合ICDを活性化しうるように、キメラ受容体の細胞質側末端と融合される。このICDは、炎症促進性シグナルを誘発するのに必要である、第2のシグナルをもたらす。一実施形態では、炎症促進性シグナルは、インフラマソームの活性化のためのシグナルである。Nod様受容体(NLR)は、インフラマソーム経路の構成要素を形成する受容体のサブセットである。これらの受容体は、自然免疫応答において活性化され、炎症促進性カスパーゼを動員し、それらの切断および活性化を誘導するプラットフォームとして用いられる、多タンパク質複合体を形成するようにオリゴマー化する。これは、ROSの直接的な活性化をもたらし、パイロトーシスとして公知である、激烈な細胞死を結果としてもたらすことが多い。NLRP1m、NLRP3、IPAF、およびAIM2の、4つのインフラマソーム複合体が存在する。
【0466】
[00553]腫瘍微小環境(TME)は、免疫抑制性環境を構成する。IL-10、ホルモンであるグルココルチコイド、アポトーシス細胞、および免疫複合体の影響は、自然免疫細胞機能に干渉しうる。貪食細胞を含む免疫細胞は、寛容原性表現型へと確定する。マクロファージでは、M2表現型として一般に公知であるこの表現型は、マクロファージが強力であり、病原体を死滅させることが可能であるM1表現型と異なる。LPSまたはIFNガンマへと曝露されたマクロファージが、例えば、M1(Ml)表現型へと極性化しうるのに対し、IL-4またはIL-13へと曝露されたマクロファージは、M2表現型へと極性化するであろう。LPSまたはIFNガンマは、マクロファージの表面上の、Toll様受容体4(TLR4)と相互作用し、Trif/MyD88経路を誘導することから、転写因子である、IRF3、AP-1、およびNFKBの活性化を誘導し、これにより、炎症促進性M1(Ml)マクロファージ応答において必要である、TNF遺伝子、インターフェロン遺伝子、CXCL10、NOS2、IL-12などを活性化しうる。同様に、IL-4およびIL-13は、IL-4Rに結合し、Jak/Stat6経路を活性化し、これは、抗炎症応答(M2応答)と関連する遺伝子である、CCL17、ARG1、IRF4、IL-10、SOCS3などの発現を調節する。CD14、CD80、D206の発現、およびCD163の低度の発現は、マクロファージの、M1表現型への極性化の指標である。
【0467】
[00554]一部の実施形態では、組換え核酸は、炎症応答のための細胞質ドメインを含む、1つまたは複数のさらなる細胞内ドメインをコードする。一部の実施形態では、操作されたマクロファージ内に、炎症応答のための細胞質ドメインを含む、キメラ受容体融合タンパク質をコードする組換え核酸の発現は、M1表現型と同様の、強力な炎症促進性応答を付与する。
【0468】
[00555]一部の実施形態では、炎症応答のための細胞質ドメインは、TLR3、4、9、MYD88、TRIF、RIG-1、MDA5、CD40、IFN受容体、NLRP-1~14、NOD1、NOD2、ピリン、AIM2、NLRC4、CD40のシグナル伝達ドメインまたはシグナル伝達領域でありうる。
【0469】
[00556]一部の実施形態では、キメラ受容体融合タンパク質をコードする組換え核酸の発現は、IL-1シグナル伝達カスケードの活性化のための、炎症促進性細胞質ドメインを含む。
【0470】
[00557]一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞質部分は、toll様受容体3(TLR3)、toll様受容体4(TLR4)、toll様受容体7(TLR7)、toll様受容体8(TLR8)、toll様受容体9(TLR9)の細胞内シグナル伝達ドメインなど、toll様受容体に由来する細胞質ドメインを含む。
【0471】
[00558]一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞質部分は、インターロイキン1受容体関連キナーゼ1(IRAK1)に由来する、適切な領域を含む。
【0472】
[00559]一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞質部分は、分化初期応答タンパク質(MYD88)に由来する、適切な領域を含む。
【0473】
[00560]一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞質部分は、ミエリンリンパ球タンパク質(MAL)に由来する、適切な領域を含む。
【0474】
[00561]一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞質部分は、レチノイン酸誘導遺伝子(RIG-1)に由来する、適切な領域を含む。
【0475】
[00562]一部の実施形態では、キメラ受容体の膜貫通ドメインは、タンパク質である、MYD88、TLR3、TLR4、TLR7、TLR8、TLR9、MAL、IRAK1のうちのいずれか1つの膜貫通ドメインを含む。
【0476】
[00563]一部の実施形態では、組換え細胞内シグナル伝達ドメインは、貪食受容体に由来する、第1の部分と、非貪食受容体に由来する、第2の部分とを含み、この場合、非貪食受容体に由来する、第2の部分は、リン酸化部位を含む。一部の実施形態では、リン酸化部位は、自己リン酸化部位に適するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リン酸化されるアミノ酸残基は、チロシンである。一部の実施形態では、リン酸化部位は、Srcファミリーキナーゼによるリン酸化に適するアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、リン酸化部位は、リン酸化時に、キナーゼ内のSH2ドメインに結合することが可能であるアミノ酸配列を含む。一部の実施形態では、受容体チロシンキナーゼドメインは、キメラ受容体の細胞質末端部において、第1の細胞質部分に加えて融合される。
【0477】
[00564]一部の実施形態では、リン酸化部位は、チロシンリン酸化部位である。
【0478】
[00565]一部の実施形態では、第2の細胞内ドメインは、免疫受容体チロシン活性化モチーフ(ITAM)である。例示的なITAMモチーフは、哺乳動物の免疫グロブリンαタンパク質内および免疫グロブリンβタンパク質内、TCRγ受容体内、FCRγ受容体サブユニット内、CD3鎖受容体内、およびNFAT活性化分子内に存在する。
【0479】
[00566]一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、1つのITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、1つを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、2つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、3つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、4つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、5つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、6つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、7つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、8つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、9つまたはこれを超えるITAMモチーフを含む。一部の実施形態では、キメラ受容体の細胞内ドメインは、10またはこれを超えるITAMモチーフを含む。
【0480】
[00567]一部の実施形態では、第1の貪食ICD内の、1つまたは複数のドメインは、突然変異を含む。
【0481】
[00568]一部の実施形態では、第2のICD内の、1つまたは複数のドメインは、キナーゼ結合性ドメインを増強する突然変異、リン酸化部位を作出する突然変異、SH2ドッキング部位を作出する突然変異、またはこれらの組合せを含む。
【0482】
「市販」治療用組成物としての、骨髄細胞特異的キメラ抗原受容体をコードするポリ核酸
[00569]本明細書では、任意の時点の、それを必要とする対象における使用のために調製され、保管されうる、治療的に有効な組成物が、初めて提供される。治療的に有効な組成物は、キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を有する核酸組成物を含む。CFPをコードするポリヌクレオチドは、(i)細胞外抗原結合性ドメイン、例えば、ScFvをコードする配列、(ii)細胞内における発現時に、Fcガンマ受容体膜貫通ドメインと二量体化することが可能な膜貫通ドメインをコードする配列、および(iii)細胞内ドメインをコードする配列を含む。一部の実施形態では、治療的に有効な組成物は、上記に加えて、送達媒体を含む。一部の実施形態では、送達媒体は、脂質ナノ粒子を含む。一部の実施形態では、核酸、すなわち、ポリヌクレオチドは、mRNAである。
【0483】
[00570]本明細書では、CFPをコードし、CFPが、(i)標的抗原に結合する細胞外抗原結合性ドメインをコードする配列であって、結合性ドメインが、がん細胞上で発現された標的抗原に結合する標的特異的抗体またはその断片、例えば、scFv、例えば、scFvを含む配列、(ii)細胞内における発現時に、Fcガンマ受容体膜貫通ドメインと二量体化することが可能な膜貫通ドメインをコードする配列、および(iii)構築物を発現する細胞内における貪食の活性化、炎症性サイトカインの分泌、および/または免疫の活性化のための細胞内シグナル伝達を活性化しうる、シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数の細胞内ドメインをコードする配列を含み;送達のための脂質ナノ粒子内に封入されたポリヌクレオチドである、骨髄細胞特異的発現構築物が提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、mRNAである。
【0484】
[00571]本明細書では、CFPをコードし、CFPが、(i)標的抗原、例えば、がん細胞上で発現された標的抗原、例えば、CD5、HER2、TROP2、GPC3、GP75、CD19、CD7、CD22、または他の任意の想定可能な標的抗原に結合する細胞外抗原結合性ドメインをコードする配列、(ii)細胞内における発現時に、Fcガンマ受容体膜貫通ドメインと二量体化することが可能な膜貫通ドメインをコードする配列、例えば、CD89 TMD、CD16 TMD、CD64 TMD、またはCD32a TMD、および(iii)構築物を発現する細胞内における貪食の活性化、炎症性サイトカインの分泌、および/または免疫の活性化のための細胞内シグナル伝達を活性化しうる、シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数の細胞内ドメインをコードする配列を含み;ポリヌクレオチドであり、送達のための脂質ナノ粒子内に封入された、骨髄細胞特異的発現構築物が提供される。一部の実施形態では、ポリヌクレオチドは、mRNAである。
【0485】
[00572]治療的に有効な組成物は、医薬組成物である。医薬組成物は、in vivoにおける送達に適する、例えば、それを必要とするヒトへの送達に適するである。
【0486】
[00573]一部の実施形態では、CFPをコードする、骨髄細胞特異的発現構築物を含む医薬組成物は、その中の組成物の保存に適正な温度および条件において保管されることが要求される。
【0487】
[00574]本明細書で記載される、治療的に有効な組成物は、静脈内投与経路、筋内投与経路、皮下投与経路、眼内投与経路、頭蓋内投与経路、髄腔内投与経路、鼻腔内投与経路、または任意の適切な投与経路により送達されうる。
【0488】
[00575]本明細書ではまた、CFPをコードする、骨髄細胞特異的発現構築物を含む骨髄細胞であって、それを必要とする対象のための「市販品」として製剤化されうる、治療用組成物としての骨髄細胞も想定される。一部の実施形態では、骨髄細胞は、CFPをコードし、CFPが、(i)標的抗原、例えば、がん細胞上で発現された標的抗原、例えば、CD5、HER2、TROP2、GPC3、GP75、CD19、CD7、CD22、または他の任意の想定可能な標的抗原に結合する細胞外抗原結合性ドメインをコードする配列、(ii)細胞内における発現時に、Fcガンマ受容体膜貫通ドメインと二量体化することが可能な膜貫通ドメインをコードする配列、例えば、CD89 TMD、CD16 TMD、CD64 TMD、またはCD32a TMD、および(iii)貪食の活性化、炎症性サイトカインの分泌、および/または免疫の活性化のための細胞内シグナル伝達を活性化しうる、シグナル伝達ドメインを含む、1つまたは複数の細胞内ドメインをコードする配列を含む構築物により電気穿孔される。骨髄細胞は、in vivoにおける送達のための組成物中に製剤化される。一部の実施形態では、このような組成物は、それを必要とするヒトへの、in vivoにおける送達に適するである。
【0489】
[00576]実施形態の列挙
1.(a)(i)膜貫通ドメイン、または
(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメイン
を含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および
(b)標的細胞上のCD137に特異的に結合しうるCD137抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメイン
を含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【0490】
2.(a)標的細胞上のCD137抗原に特異的に結合する第1のCD137抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のCD137抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【0491】
3.(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のClaudin 18.2に特異的に結合しうるClaudin 18.2抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【0492】
4.(a)標的細胞上のClaudin 18.2抗原に特異的に結合する第1のClaudin 18.2抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のClaudin 18.2抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【0493】
5.(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のClaudin 3に特異的に結合しうるClaudin 3抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【0494】
6.(a)標的細胞上のClaudin 3抗原に特異的に結合する第1のClaudin 3抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のClaudin 18.2抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【0495】
7.(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のCD70に特異的に結合しうるCD70抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【0496】
8.(a)標的細胞上のCD70抗原に特異的に結合する第1のCD70抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のCD70抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【0497】
9.(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のTROP2に特異的に結合しうるTROP2抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【0498】
10.(a)標的細胞上のTROP2抗原に特異的に結合する第1のTROP2抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のTROP2抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【0499】
11.(a)(i)膜貫通ドメイン、または(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)サブユニット;および(b)標的細胞上のTMPRSSに特異的に結合しうるTMPRSS抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含み;細胞外ドメインと膜貫通ドメインとが作動可能に連結されたキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする組換え核酸を含む組成物。
【0500】
12.(a)標的細胞上のTMPRSS抗原に特異的に結合する第1のTMPRSS抗原結合性ドメイン、および(b)骨髄細胞上の表面作用物質に特異的に結合する第2の結合性ドメインを含むキメラ融合タンパク質をコードする組換え核酸を含む組成物;標的細胞上のTMPRSS抗原への第1の抗原結合性ドメインの結合および骨髄細胞上の表面作用物質への第2の結合性ドメインの結合。
【0501】
13.(a)(i)膜貫通ドメイン、および(ii)細胞内シグナル伝達ドメインを含む細胞内ドメインを含むPRサブユニット;ならびに(b)標的細胞の抗原に対する強力な結合親和性を有する、実施形態1、3、5、7、9、または11のいずれか一項に記載の抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメインを含む貪食または繋留受容体(PR)融合タンパク質(PFP)をコードする組換え核酸を含む組成物であって、膜貫通ドメインと細胞外ドメインとが作動的に連結されており;PFPの標的細胞の抗原への結合時に、PFPを発現する細胞の殺滅または貪食活性が、PFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも20%を超えて増大される、組成物。
【0502】
14.細胞内シグナル伝達ドメインが、貪食または繋留受容体(PR)に由来するか、または細胞内シグナル伝達ドメインが、貪食活性化ドメインを含む、実施形態1、3、5、7、9、11、または13のいずれか一項に記載の組成物。
【0503】
15.細胞内シグナル伝達ドメインが、炎症促進性シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1、3、5、7、9、11、13、または14のいずれか一項に記載の組成物。
【0504】
16.炎症促進性シグナル伝達ドメインが、キナーゼ活性化ドメインまたはキナーゼ結合性ドメインを含む、実施形態1、3、5、7、9、11、または13~15のいずれか一項に記載の組成物。
【0505】
17.細胞内シグナル伝達ドメインが、PI3キナーゼ動員ドメインを含む、実施形態11、3、5、7、9、11、または13~16のいずれか一項に記載の組成物。
【0506】
18.炎症促進性シグナル伝達ドメインが、IL-1シグナル伝達カスケード活性化ドメインを含む、実施形態1、3、5、7、9、11、または13~17のいずれか一項に記載の組成物。
【0507】
19.炎症促進性シグナル伝達ドメインが、TLR3、TLR4、TLR7、TLR9、TRIF、RIG-1、MYD88、MAL、IRAK1、MDA-5、IFN受容体、NLRPファミリーメンバーであるNLRP1~14、NOD1、NOD2、ピリン、AIM2、NLRC4、FCGR3A、FCERIG、CD40、カスパーゼドメインもしくはプロカスパーゼ結合性ドメイン、またはこれらの任意の組合せに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態1、3、5、7、9、11、または13~18のいずれか一項に記載の組成物。
【0508】
20.CD2、CD8、CD28、またはCD68のタンパク質膜貫通ドメインに由来する膜貫通ドメインをさらに含む、実施形態1、3、5、7、9、11、および13~19のいずれか一項に記載の組成物。
【0509】
21.ヒンジドメインをさらに含む、実施形態1、3、5、7、9、11、および13~20のいずれか一項に記載の組成物。
【0510】
22.PFPの標的細胞の抗原への結合時に、PFPを発現する細胞の殺滅活性が、PFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも20%を超えて増大される、実施形態1、3、5、7、9、11、または13から21のいずれか一項に記載の組成物。
【0511】
23.PFPの標的細胞の抗原への結合時に、PFPを発現する細胞の殺滅活性が、PFPを発現しない細胞と比較して、少なくとも1.1倍増大される、実施形態1、3、5、7、9、11、または13から22のいずれか一項に記載の組成物。
【0512】
24.治療剤が
a.標的細胞上の抗原と特異的に相互作用する第1の抗体またはその機能的断片である、第1の結合性ドメイン、および
b.骨髄細胞と特異的に相互作用する第2の抗体またはその機能的断片である、第2の結合性ドメイン
を含む、第1の治療剤を含み;
(i)第1の治療剤が、さらなる治療剤もしくは第3の結合性ドメインである、第1の構成要素とカップリングされるか、または
(ii)組成物がさらなる治療剤を含む、実施形態2、4、6、8、10、または12のいずれか一項に記載の組成物。
【0513】
25.治療剤が、(a)標的細胞の抗原と特異的に相互作用する第1の結合性ドメイン、(b)骨髄細胞と特異的に相互作用する第2の結合性ドメイン、および(c)骨髄細胞と特異的に相互作用する第3の結合性ドメインを含む、実施形態2、4、6、8、10、12、または24のいずれか一項に記載の組成物。
【0514】
26.治療剤の結合性ドメインのうちのいずれか1つが、抗体の結合性ドメイン、抗体の機能的断片、その可変ドメイン、Vドメイン、Vドメイン、VNARドメイン、VHHドメイン、単鎖可変断片(scFv)、Fab、単一ドメイン抗体(sdAb)、ナノボディー、二特異性抗体、ダイアボディー、またはこれらの機能的断片もしくは組合せを含む、実施形態1から25のいずれか一項に記載の組成物。
【0515】
27.第1の結合性ドメインが結合する標的細胞上の抗原が、標的細胞上のがん抗原もしくは病原性抗原、または自己免疫性抗原である、実施形態1から26のいずれか一項に記載の組成物。
【0516】
28.第1の治療剤が、1000アミノ酸または1000nm未満の長さであるポリペプチドを含む、実施形態2、4、6、8、10、12、または24のいずれか一項に記載の組成物。
【0517】
29.第1の治療剤が、500アミノ酸または500nm未満の長さであるポリペプチドを含む、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28のいずれか一項に記載の組成物。
【0518】
30.第1の治療剤が、200~1000アミノ酸または200~1000nmの長さであるポリペプチドを含む、実施形態2、4、6、8、10、12、24、28、または29のいずれか一項に記載の組成物。
【0519】
31.第1の治療剤の結合性ドメインの係合が、がん細胞を、骨髄細胞へと接触させる、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~30のいずれか一項に記載の組成物。
【0520】
32.第2の結合性ドメインが、骨髄細胞と特異的に相互作用し、骨髄細胞の貪食活性を促進する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~31のいずれか一項に記載の組成物。
【0521】
33.第2の結合性ドメインが、骨髄細胞と特異的に相互作用し、骨髄細胞の炎症性シグナル伝達を促進する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~32のいずれか一項に記載の組成物。
【0522】
34.第2の結合性ドメインが、骨髄細胞または接着分子と特異的に相互作用し、骨髄細胞の標的細胞への接着を促進する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~33のいずれか一項に記載の組成物。
【0523】
35.第2の結合性ドメインが、骨髄細胞と特異的に相互作用し、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗貪食活性を阻害する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~34のいずれか一項に記載の組成物。
【0524】
36.第2の結合性ドメインが、骨髄細胞と特異的に相互作用し、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗炎症活性を阻害する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~35のいずれか一項に記載の組成物。
【0525】
37.第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、骨髄細胞の貪食活性を促進する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~36のいずれか一項に記載の組成物。
【0526】
38.第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、骨髄細胞の炎症性シグナル伝達を促進する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~37のいずれか一項に記載の組成物。
【0527】
39.第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、骨髄細胞または接着分子と特異的に相互作用し、骨髄細胞の標的細胞への接着を促進する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~38のいずれか一項に記載の組成物。
【0528】
40.第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗貪食活性を阻害する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~39のいずれか一項に記載の組成物。
【0529】
41.第2の結合性ドメインおよび/または第3の結合性ドメインが、標的細胞により媒介される、骨髄細胞の抗炎症活性を阻害する、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~40のいずれか一項に記載の組成物。
【0530】
42.第3の結合性ドメインまたはさらなる治療剤が、CD47アンタゴニスト、CD47ブロッカー、抗体、キメラCD47受容体、シアリダーゼ、サイトカイン、炎症促進性遺伝子、プロカスパーゼ、または抗がん剤を含む、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~41のいずれか一項に記載の組成物。
【0531】
43.第1の結合性ドメイン、第2の結合性ドメイン、および第3の結合性ドメインが、別個の同一ではない標的抗原に結合する、実施形態1から42のいずれか一項に記載の組成物。
【0532】
44.第1の結合性ドメイン、第2の結合性ドメイン、または第3の結合性ドメインが、リガンド結合性ドメインである、実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28~43のいずれか一項に記載の組成物。
【0533】
45.第1、第2または第3の結合性ドメインが、1つまたは複数のリンカーにより作動可能に連結される、実施形態1から44のいずれか一項に記載の組成物。
【0534】
46.リンカーが、ポリペプチドである、実施形態45に記載の組成物。
【0535】
47.リンカーが、機能的ペプチドである、実施形態46に記載の組成物。
【0536】
48.リンカーが、受容体に対するリガンドである、実施形態45から47のいずれか一項に記載の組成物。
【0537】
49.リンカーが、単球またはマクロファージ受容体に対するリガンドである、実施形態45に記載の組成物。
【0538】
50.リンカーが、受容体を活性化する、実施形態45から49のいずれか一項に記載の組成物。
【0539】
51.リンカーが、受容体を阻害する、実施形態45から50のいずれか一項に記載の組成物。
【0540】
52.リンカーが、マクロファージM2受容体に対するリガンドである、実施形態51に記載の組成物。
【0541】
53.リンカーが、TLR4などのTLR受容体に対するリガンドである、実施形態48または49に記載の組成物。
【0542】
54.リンカーが、TLR受容体を活性化する、実施形態48、49、または50に記載の組成物。
【0543】
55.第1、第2および/または第3の結合性ドメインが、結合性ドメインに結合するマスクと会合する、実施形態45から54のいずれか一項に記載の組成物。
【0544】
56.マスクがそれぞれの結合性ドメインと会合したままである場合に、マスクが、結合性ドメインのその標的との相互作用を阻害する阻害剤である、実施形態55に記載の組成物。
【0545】
57.マスクが、ペプチドリンカーを介して、結合性ドメインと会合する、実施形態56に記載の組成物。
【0546】
58.ペプチドリンカーが、切断可能部分を含む、実施形態57に記載の組成物。
【0547】
59.切断可能部分が、がんまたは腫瘍の部位において選択的に豊富であるタンパク質または酵素により切断される、実施形態57に記載の組成物。
【0548】
60.組換え核酸が、RNAである、実施形態1から59のいずれか一項に記載の組成物。
【0549】
61.組換え核酸が、mRNAである、実施形態1から60のいずれか一項に記載の組成物。
【0550】
62.組換え核酸が、1つまたは複数の脂質と会合する、実施形態1から61のいずれか一項に記載の組成物。
【0551】
63.組換え核酸が、リポソーム内に封入される、実施形態1から61のいずれか一項に記載の組成物。
【0552】
64.リポソームが、ナノ粒子である、実施形態63に記載の組成物。
【0553】
65.組換え核酸が、ベクター内に含まれる、実施形態1から64のいずれか一項に記載の組成物。
【0554】
66.実施形態1から65のいずれか一項に記載の組成物の組換え核酸のうちのいずれか1つと、許容可能な賦形剤とを含む医薬組成物。
【0555】
67.実施形態2、4、6、8、10、12、24、または28から59のいずれか一項に記載の組換え核酸によりコードされるポリペプチドを含む医薬組成物。
【0556】
68.実施形態1から67のいずれか一項に記載の組換え核酸を含む細胞。
【0557】
69.骨髄細胞、例えば、CD14+細胞である、実施形態68に記載の細胞。
【0558】
70.CD14+、CD16-である、実施形態69に記載の細胞。
【0559】
71.実施形態1から66のいずれか一項に記載の組換え核酸を含む細胞の集団を含み、細胞のうちの少なくとも50%が、CD14+CD16-である、医薬組成物。
【0560】
72.細胞のうちの10%未満が、樹状細胞である、実施形態71に記載の医薬組成物。
【0561】
73.適切な賦形剤をさらに含む、実施形態71または72に記載の医薬組成物。
【0562】
74.実施形態1から73に記載の組成物のうちのいずれか1つを作製する方法。
【0563】
75.対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、実施形態71から73のいずれか一項に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【0564】
76.対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、実施形態66に記載の医薬組成物;または実施形態67に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【0565】
77.がんが、胃がん、卵巣がん、腎臓がん、乳がん、前立腺がん、肝がん、脳がん、リンパ腫、白血病、皮膚がん、膵臓がん、結腸直腸がん、神経膠芽腫、および肺がんからなる群から選択される、実施形態75または76に記載の方法。
【0566】
78.キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えポリ核酸を含む組成物であって、CFPが(a)抗腫瘍関連抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメイン;および(b)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含み;膜貫通ドメインが、骨髄細胞内の内因性FcRガンマ受容体と二量体化するタンパク質に由来する膜貫通ドメインであり、キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えポリ核酸が、細胞内で発現されると、骨髄細胞内では機能的となり、非骨髄細胞内では機能的とならない、組成物。
【0567】
79.CFPの発現が、CFPをコードする配列を含む組換え核酸によるトランスフェクションの24、36、48、または72時間後における、骨髄細胞内では検出可能であるが、同組換え核酸によるトランスフェクションの24、36、48、または72時間後における、非骨髄細胞内では検出可能でない、実施形態78に記載の組成物。
【0568】
80.キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えポリ核酸を含む組成物であって、CFPが
(a)抗腫瘍関連抗原結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および
(b)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含み;
組換えポリ核酸が、ナノ粒子送達媒体により封入され;組成物のヒト対象への投与の後に、CFPが、ヒト対象の骨髄細胞の表面上において発現される、組成物。
【0569】
81.キメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えポリ核酸を含む組成物であって、CFPが
(a)抗腫瘍関連カルシウムシグナル伝達因子2(抗TROP2)結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および
(b)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含み;
膜貫通ドメインが、骨髄細胞内の内因性FcRガンマ受容体と二量体化するタンパク質に由来する膜貫通ドメインであり;組換えポリ核酸が、ナノ粒子送達媒体により封入され;組成物のヒト対象への投与の後に、CFPが、ヒト対象の骨髄細胞の表面上において発現される、組成物。
【0570】
82.抗TROP2結合性ドメインが、Fab断片、scFvドメイン、またはsdAbドメインを含む、実施形態1に記載の組成物。
【0571】
83.細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインが、CD8、CD16a、CD64、CD68、またはCD89に由来する、細胞外ドメインまたは膜貫通ドメインである、実施形態1に記載の組成物。
【0572】
84.細胞外ドメインが、CD8に由来するヒンジドメインをさらに含み、ヒンジドメインが、膜貫通ドメインおよび抗TROP2結合性ドメインへと作動的に連結される、実施形態1に記載の組成物。
【0573】
85.膜貫通ドメインが、骨髄細胞、単球、またはマクロファージ内の内因性FcRガンマ受容体と二量体化するタンパク質に由来する膜貫通ドメインであり;医薬組成物のヒト対象への投与の後に、CFPが、ヒト対象の骨髄細胞、単球、またはマクロファージ内で特異的に発現される、実施形態78に記載の組成物。
【0574】
86.膜貫通ドメインが、CD16a、CD64、CD68、またはCD89に由来する膜貫通ドメインである、実施形態85に記載の組成物。
【0575】
87.CFPが、細胞内ドメインをさらに含む、実施形態78に記載の組成物。
【0576】
88.細胞内ドメインが、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインを含み、1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインが、FcγR、FcαR、FcεR、CD40、またはCD3ゼータに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、実施形態87に記載の組成物。
【0577】
89.1つまたは複数の細胞内シグナル伝達ドメインが、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)動員ドメインをさらに含む、実施形態87に記載の組成物。
【0578】
90.PI3K動員ドメインが、配列番号26に対する少なくとも90%の配列同一性を有する配列を含む、実施形態89に記載の組成物。
【0579】
91.細胞内ドメインが、CD16a、CD64、CD68、またはCD89に由来する細胞内ドメインを含む、実施形態87に記載の組成物。
【0580】
92.組換えポリ核酸が、mRNAである、実施形態1に記載の組成物。
【0581】
93.ナノ粒子送達媒体が、脂質ナノ粒子を含む、実施形態78に記載の組成物。
【0582】
94.脂質ナノ粒子が、極性脂質を含む、実施形態93に記載の組成物。
【0583】
95.脂質ナノ粒子が、非極性脂質を含む、実施形態93に記載の組成物。
【0584】
96.脂質ナノ粒子が、100~300nmの直径である、実施形態93に記載の組成物。
【0585】
97.実施形態78に記載の組成物と、薬学的に許容される賦形剤とを含む医薬組成物。
【0586】
98.がんを有するヒト対象へと投与された場合に、がんの増殖を阻害するのに有効な量の、実施形態78に記載の組成物を含む、実施形態97に記載の医薬組成物。
【0587】
99.それを必要とする対象におけるがんを処置する方法であって、対象へと、実施形態97または98に記載の医薬組成物を投与するステップを含む方法。
【0588】
100.実施形態78に記載の組成物を、骨髄細胞へと導入する方法であって、
(a)抗TROP2結合性ドメインを含む細胞外ドメイン、および
(b)細胞外ドメインへと作動的に連結された膜貫通ドメインを含むキメラ融合タンパク質(CFP)をコードする配列を含む組換えリポ核酸の存在下で、骨髄細胞に電気穿孔するステップを含み;
組換えリポ核酸が、(i)骨髄細胞内に存在するか、または
(ii)ナノ粒子送達媒体により封入され;
組換えリポ核酸が、ヒト対象の骨髄細胞内における組換えポリ核酸の発現のために構成される、方法。
【0589】
101.インターフェロン誘導性細胞内ドメインをさらに含む、実施形態81から84に記載の組成物。
【実施例
【0590】
実施例1.CD137-FcR-PI3K CFP構築物:
[00577]本節では、がん抗原、例えば、CD37などの抗原に結合する、細胞外結合性ドメインを有する、例示的キメラ融合タンパク質(CFP)受容体、すなわち、CD137結合剤であるCFP受容体タンパク質のデザインおよび機能的解析を、本明細書で記載される結合剤(図1、2A、2B、および図3に図解される)についての例示的場合として提示する。手順および方法は、本明細書で記載される、他の構築物のうちのいずれか1つを作出するために必要な、一部の改変を伴って使用されうる。CD137標的化CFPは、公知の分子生物学法を使用して構築される。核酸構築物は、ヒトCD137Lのリガンド結合性断片に由来する、CD137結合性細胞外ドメインをコードする配列の上流において融合された、シグナルペプチドをコードする配列を含む。ヒトCD137Lのリガンド結合性ドメインを、ヒト相補性DNAライブラリーから、PCR増幅し、短鎖リンカーを介して、CD8α鎖ヒンジドメインおよびCD8α鎖TMドメインへと接合された膜貫通領域を含有する骨格と融合させた。TMドメインは、細胞質末端において、FcRγ細胞質部分、およびPI3K動員ドメインと融合させる。グラフ表示を、図4Aに提示する。蛍光マーカーおよび薬物(アンピシリン)耐性を有する構築物を、ベクター内で調製し、細菌宿主にトランスフェクトすることにより増幅する。
【0591】
[00578]構築物は、非分裂哺乳動物細胞へと、mRNAとして送達され、送達媒体、例えば、脂質、リポソーム、脂質ナノ粒子、またはポリマーなどの合成化合物を伴う。研究者グループにより、骨髄細胞など、いくつかの細胞型が、ウイルス形質導入による場合であれ、プラスミド送達による場合であれ、外来DNAの導入の影響を受けることが見出され、既に報告された。骨髄細胞は、外来DNAの発現が不良であり、外来DNAの発現という単純な細胞操作時でも、成熟、分化など、細胞の形質転換を受けることが多い(図4B、左)。場合によって、細胞の生存率も影響を受ける(右上)。他方、図4Bの右下図に示される通り、mRNAを介する送達は、細胞が、細胞活性化の指標である、TNFおよびIL6などのサイトカインを放出しない点において、細胞の進行、老化、または形質転換をもたらさない。
【0592】
実施例2.CD137標的化キメラ抗原受容体を発現する単球の効能
[00579]本実施例では、本開示において記載される、例示的デザインを有する、細胞外CD137抗原結合性ドメインを有する、キメラ融合タンパク質(CAR)を、潜在的な抗がん剤としての、機能的な効能について解析する。第一世代のレンチウイルスベクターを使用して、骨髄THP1細胞系へと形質導入するのに使用される、レンチウイルスを作出することができる。PMA処理されたTHP1細胞内の形質導入効率は、CFP構築物について、67~90%の範囲であり、他の結合性ドメインを伴う、CD137結合剤と同様である。実験の設定を、図5の上パネルの概略図に描示し、貪食について予測される結果を、図5の下パネルに描示する。標的細胞の死は、式:[(SKOV3単独の数-エフェクターを伴うSKOV3の数)/SKOV3単独の数]×100により計算することができる。
【0593】
[00580]健常ドナーから単離されたCD14+細胞であって、FcRγ+ PI3K細胞内ドメインをコードする、レンチウイルスCD137標的化CFP構築物を形質導入されたCD14+細胞を、CSFE標識化SCOV3腫瘍細胞の貪食および殺滅について解析する(図6A)。
【0594】
[00581]ATAK構築物は、構築物を発現する細胞に対して、標的を特異性とする(図6B)。例えば、CD19結合剤を発現する細胞は、CD19ではなく、CD22を、それらの表面上に提示する標的を貪食しなかった。図6Cは、構築物の、骨髄細胞内への組込みが、細胞の、腫瘍部位(cite)への遊走に影響を及ぼさないことを例示する(例えば、左の画像:CARを発現する細胞構築物は、腫瘍内では、GFP+であり、細胞は、mRNAの、マウスへの導入後に、遊走した)。CARを発現する細胞は、in vitroにおいて、ケモカインに対して応答性である(データ(右)に示される通りである)。
【0595】
[00582]これらのCD137構築物を発現する細胞が、腫瘍環境内で、M0表現型、M1表現型、M2表現型へと、分化することが可能であるのかどうかについて調べるために、CARを発現する骨髄細胞を、M0、M1またはM2の極性化シグナル下に置き、培養物中の、腫瘍細胞または非腫瘍対照細胞の存在下で、18時間にわたりインキュベートした。M0(100ng/mlのMCSF);M1(5ng/mlのLPS+100ng/mlのIFNγ);M2(100ng/mlのMCSF+20ng/mlのIL-10+20ng/mlのTGFβ);DC(100ng/mlのGMCSF+20ng/mlのIL-4);および対照であった。図7Aは、記載された異なる条件下で予測される、CD80およびCD206の発現プロファイルを示すことから、これらの細胞の分化可能性を指し示す。これらの実験の一部のために、FLAGペプチドをコードする配列を、キメラCD137構築物の細胞外領域内の、scFvと、膜貫通ドメインとの間に組み込む。細胞を採取し、細胞生存率を調べ、80%を超えることを見出すことができる。24時間後に、フローサイトメトリーにより細胞の表現型を検討することができる。24、48、および72時間後における、いくつかの細胞マーカーの発現を決定することができる。CARの発現単独により、CD16の発現が増大するわけではない。
【0596】
[00583]CD137を発現する腫瘍についてのin vivoモデルを活用して、CD137-CFPを発現する細胞の、腫瘍への浸透および活性化について探索することができる。実験デザインについての概略を、図7Bに示す。CD137標的化CFPを発現する細胞の遊走および浸透は、細胞質染料であるCSFEで標識化された、CFPを発現する細胞の単回注入の24時間後に決定することができる。腫瘍は、摘出し、組織学のために処理することができる。図7Cの予測データに示される通り、CD137-CFPを発現する骨髄細胞は、腫瘍へと遊走し、腫瘍細胞の周囲に蓄積しうる。MSTO腫瘍を保有するNSGマウスにおける、CFSEで標識化された、CD137標的化CFPを発現する細胞投与の24時間後に、脾臓を摘出し、組織学のために処理することができる。
【0597】
実施例3.骨髄特異的発現のための、キメラ抗原受容体
[00584]本実施例は、骨髄特異的発現のための、キメラ抗原受容体のデザインを示す。デザインによるキメラ融合タンパク質は、細胞膜内におけるその発現が、単球内で内因的に発現される、Fcガンマ受容体と共に多量体化することに依存する、FcR TDMからなる膜貫通ドメインを有する。本実施例では、単球特異的発現のためのCFP構築物は、CD16またはCD89の膜貫通ドメイン(TMD)を伴ってデザインされる。具体的CFPは、図8に概括された一般的概略に基づきデザインされうる。例示的なデザインは、CD16(FcRIIIA)TMDおよびCD16細胞内ドメインと作動可能に連結された、細胞外がん抗原結合性ドメインを有するデザイン;またはCD89(FcRIアルファ)TMDおよびCD89細胞内ドメインと作動可能に連結された、細胞外がん抗原結合性ドメインを有するデザインを含む。細胞外抗原結合性ドメインの間に、ヒンジ(H)を置くことができる。ある特定の構築物では、CD16 TMDまたはCD89 TMDは、細胞外領域内で、可撓性のために、約10アミノ酸にわたり広がり、個別のヒンジドメインを組み入れる場合もあり、組み入れない場合もある。ECDがん抗原結合性ドメインは、本明細書で想定される、多様な抗原のうちのいずれか1つに結合するscFvの場合もあり、抗体またはその断片の場合もある。
【0598】
実施例4.TROP2抗原特異的CFP構築物
[00585]本実施例は、がん細胞上のTROP2を標的化し、骨髄細胞上で発現されるCFPについてのデザインを裏付ける。図9には、in vitro試験を目的として、細胞外FLAGタグを有する、例示的なバージョンが示される。略述すると、1つの構築物は、この場合、FLAGタグに続き、FcRIIIA(CD16)タンパク質の膜貫通ドメイン、および同じタンパク質に由来する細胞質ドメインへと融合された、細胞外抗TROP2 scFvからなる。別の構築物は、この場合、FLAGタグに続き、FcアルファR(CD89)タンパク質の膜貫通ドメイン、およびCD89細胞質ドメインへと融合された、細胞外抗TROP2 scFvからなる。
【0599】
[00586]図ではまた、構築物の各々をコードする組換えmRNAの、PBMCへの電気穿孔、ならびに貪食およびサイトカイン発生についてのin vitro試験の、略式実験的計画も示される。図16は、in vivo送達のための、一般的LNP製剤について、図解により示す。
【0600】
実施例5.TROP2-CD16構築物およびTROP2-CD89構築物は、骨髄細胞/単球内の優先的発現をもたらす
[00587]フローサイトメトリーアッセイのために、FLAGタグを使用して、CD16 TMDおよびCD89 TMD、ならびにTROP2結合剤を有する構築物を、異なる細胞型内の発現について調べた。他の箇所でもまた開示される通り、TROP2結合剤は、抗TROP2 scFVである。B細胞、T細胞、NK細胞、および単球の供給源であるPBMCに、TROP2-FLAG-CD16 mRNAおよびTROP2-FLAG-CD89 mRNAを電気穿孔し、24時間後に、フローサイトメトリーを実施した。データを、構築物が、単球内の優先的な発現に成功し(右端)、CD19+細胞(B細胞)、CD3+細胞(リンパ球)、またはCD56+細胞(NK細胞)では、発現が検出されなかったことを示す、図10に示す。CD89ベース構築物は、CD16ベース構築物より高度の発現を示し、ゲーティングされた細胞のうちの60%を超える細胞が、TROP2-FLAG-CD89構築物を示した。
【0601】
実施例6.TROP2-CD16細胞およびTROP2-CD89細胞は、標的細胞の貪食を示した
[00588]in vitroにおいて、TROP2構築物が電気穿孔されたPBMCを、腫瘍細胞の貪食に対する効果について調べた。使用された標的腫瘍細胞は、ルシフェラーゼを発現するSKOV3細胞系であった。モックトランスフェクト単球、および非トランスフェクト単球は、ルシフェラーゼ活性の低減により決定される、貪食の基礎レベルを示した。2つのTROP2 CFPを発現する細胞は、ルシフェラーゼ活性の、これらの対照と比較した、統計学的に有意な低減を示したが、これは、構築物の発現が、細胞の貪食能力を増大させたたことを示す(図11)。
【0602】
[00589]サイトカインの発現は、標的SKOV3細胞の存在下および非存在下の両方の、TROP2-FLAG-CD16発現細胞内およびTROP2-FLAG-CD89発現細胞内において示される結果により検討した。図12Aおよび12Bに描示されたデータは、TROP2-CD16構築物およびTROP2-CD89構築物の発現が、単球内で、強力なシグナル伝達を呈さないことを示す。これは、サイトカインまたはケモカインの発現(IL-1b、IL-18、もしくはTNFアルファ、またはケモカインであるCCL2)が、標的細胞(SKOV3)の存在下で誘導され、これは、CFPのECDの、その標的との係合時であるという事実により裏付けられる。標的細胞の非存在では、サイトカインの誘導は、見られないか、または無視できることが明らかであった。これらの結果は、がん細胞上のTROP2に結合しうる特異的骨髄標的化CFPが作出され、骨髄細胞を、標的がん細胞の破壊の標的化のために活性化し、これらの構築物により、治療用組成物に向けた、さらなる開発が実行されうることを示唆する。
【0603】
[00590]次いで、TROP2に結合する、scFvのVHおよびVLの配向性が、発現レベルの差違をもたらすのかどうかについて調べた。図13Aは、VL-VH配向性(左)およびVH-VL配向性(右)を有する構築物を例示する。例示的なVL-VH scFvは、配列番号34の配列を有する。例示的なVH-VL scFvは、配列番号35の配列を有する。VH-VL構築物の発現は、THP-1細胞(図13B)および初代単球(データは示さない)のいずれにおいても、高度の発現を示す。VH-VL構築物を発現するTHP-1細胞はまた、VL-VH構築物より、わずかに高度の貪食能も示した(図13C)。膜貫通ドメインと、細胞内ドメインとの組合せを含む、TROP2結合性CFP構築物を構築した。TROP2-CD8ヒンジ-CD8 TM-FcRg-PI3K構築物は、膜貫通ドメイン(TMD)が、CD8ヒンジドメインと、CD8TMドメインとを含むTMドメインであり、細胞内ドメインが、Fc受容体g鎖と、PI3キナーゼ動員ドメインとを含む細胞内ドメインであるように作出した。同様に、TROP2-FcR-41BB構築物は、CD8ヒンジドメインおよびCD8TMドメインと、CD137(4-1BB)細胞内ドメインとを有するものとして作出し;TROP2-41BB-FcR構築物は、CD8ヒンジドメインおよびCD8TMドメインと、FcRg細胞内ドメインおよびCD137(4-1BB)細胞内ドメインとを有するものとして作出した。TROP2-CD40-FcRは、CD8ヒンジドメインおよびCD8TMドメインと、CD40細胞内ドメインおよびFcR細胞内ドメインとを使用して構築した。TROP2-FcR-MDA5は、CD8ヒンジドメインおよびCD8TMドメインと、FcRg細胞内ドメインおよびMDA5タンデムCARDドメインと構築した。TROP2-CD64構築物およびTROP2 CD89構築物は、CD64TMドメインまたはCD89TMドメインと、細胞内ドメインとをものとして作出したが、細胞内シグナル伝達を伝えるのに、内因性FcRg鎖との二量体化または多量体化を要求する。THP-1-565細胞系は、HER2-CD8ヒンジ-CD8 TM-FcRg-PI3K、およびin vitroにおける貪食可能性について調べるための他の構築物を、安定的に発現する。
【0604】
[00591]図13Dは、構築物の発現を指し示す、フローサイトメトリーデータを示す。TROP2結合構築物の各々は、発現レベルが、HER2結合剤であるCFP構築物と比較して低度である。図13Eは、各TROP2結合構築物およびHER2結合構築物の発現レベルの、フローサイトメトリー検出による、直接的な比較を示す。
【0605】
実施例7.GP75標的化CAR-P構築物およびその発現
[00592]GP75は、黒色腫および正常メラノサイトのいずれにおいても発現される、メラノソーム糖タンパク質である。GP75は、ヒト黒色腫およびマウス黒色腫の細胞表面上のほか、これらの細胞内で発現されうる。細胞および動物モデルにおける試験のために、GP75結合性ドメインを有する、キメラ融合タンパク質を構築した。図14Aに示される通り、発現について調べるために、キメラ受容体の抗GP75結合性細胞外ドメインに干渉しない、細胞外FLAGドメインを有する、実験構築物をデザインした。一構築物では、CD8ヒンジドメインおよびCD8膜貫通ドメインを、細胞外抗GP75-ScFv-FLAG配列へと融合させる。Fcγドメインは、ICDとして組み入れる。PI3キナーゼ動員ドメインは、ICD内に組み込む。図14Aに示される通り、抗GP75細胞外結合性ドメインを、CD16膜貫通領域またはCD89膜貫通領域と共に有する、CFP構築物の例示的セットを作出した。一部の構築物では、CD16ドメインおよびCD89ドメインは、それらの全細胞質部分を有する。GFPをコードする配列は、自己切断可能ペプチドであるT2Aをコードする配列により、キメラ融合タンパク質(CFP)の細胞質ドメインから隔てられた、細胞質側末端においてタグ付けされる。マウス特異的発現およびマウスにおけるin vivo実験のために、ヒト配列の代わりに、マウスCD16膜貫通ドメインまたはCD89膜貫通ドメインをコードする配列を組み込んだ。対応するヒトCD89を含む構築物もまた、デザインし、調製した。
【0606】
[00593]図14Aの下パネルに具体的に示される通り、実験に応じて、ヒンジ/TMおよびICDを変動させる、一部の例示的CD16ベース抗GP75-FLAG構築物を作出して、ヒンジドメインの、発現レベルに対する効果について調べた。構築物は、ヒンジドメイン(MYL157)を欠く構築物から、CD8ヒンジドメイン(MYL184)を有する構築物、CD28ヒンジドメイン(MYL185)を有する構築物の範囲にわたった。本明細書に示されない、他の構築物は、抗GP75-FLAG-hCD89 TM-hCD89 ICD(MYL158)を含む。
【0607】
[00594]単球は、マウス大腿骨から、陰性選択により単離し、mRNA構築物を電気穿孔し、一晩にわたり培養し、GP75を発現するB16腫瘍細胞と共にインキュベートした。構築物の発現の成功は、マウス細胞内で観察された(図14B)。CD8ヒンジドメインの組込みは、構築物の、発現レベルにおける、わずかな利点を示した(図示しない)。図15A~15Cに示される通り、頑健な腫瘍細胞特異的貪食が観察された。図15Bに具体的に示される通り、抗GP75 ECDおよびCD89TMドメインを有する構築物である、MYL158は、貪食の増大を示した。同様に、図15Cに示される通り、GP75細胞外抗原結合性ドメインおよびCD89TMドメインを有する、MYL158構築物およびMYL186構築物のいずれも、貪食の増大を示した。図中の陽性対照は、FcR-PI3K動員ICDを有し、高貪食指数を示した、本発明者らによる、第一世代の骨髄細胞用CFP構築物である。図15Dは、表示の構築物を発現する単球による、サイトカイン放出データを示す。
【0608】
実施例8.同系マウス腫瘍モデルおよびCAR-P療法
[00595]本実施例では、HER2同系マウスモデルを使用して、CFPの内因性腫瘍に対する効果について調べた。乳清タンパク質プロモーター構築物により駆動されるヒトErb B2を使用して、同系マウスの脳および乳腺において、ヒトHER2を発現することから、拒絶を伴わずに、hHER2腫瘍の確立を可能とした。完全な免疫コンピテント宿主において、HER2+腫瘍を確立した。次いで、hHER2を発現する、抗HER2 CFPの効果を、マウスモデルにおいて検討した。CRISPR編集HER2-CFPを発現する単球を使用して、このモデルにおけるHER2腫瘍を処置した。腫瘍の増殖、CAR細胞の輸送、CAR細胞の存続および腫瘍への浸潤、ならびに免疫解析を実施した。
【0609】
実施例9.CFPのin vivo送達および骨髄特異的発現
[00596]図16は、操作されたCFPを、GFPタグおよび/またはFLAGタグと共にコードし、LNP内に封入され、in vivoにおける、骨髄細胞特異的発現および抗腫瘍活性について調べるために、注射により、マウス黒色腫モデルへと導入された(図17A)、組換えmRNAについてのグラフ表示を示す。
【0610】
[00597]図17Bは、CFPをコードするmRNAの、in vivoにおける送達のための、PEI製剤を示す。
【0611】
[00598]CFPは、CD89膜貫通ドメインを有する。臓器は、図18Aに表示の通りに、定期的に摘出し、mRNAによりコードされるCFPの臓器特異的発現についてアッセイした。非骨髄細胞(リンパ球など)は、CFPを発現しなかった。発現は、肺、肝臓、および脾臓の骨髄細胞内で、陽性であることが検証された。図18Bは、細胞型特異的発現について、さらに解析する。CFPの1回目または2回目の注射の後で単離された細胞は、いずれの臓器内の、Ly6C+/F4/80+マクロファージ内およびLY6C+ Ly6G-単球内でも、タグの発現の、統計学的に有意な増大が見られることを示した。好中球もまた、構築物の発現を示した。T細胞などの非骨髄細胞は、発現を示さなかった。図18C~18Jは、in vitroおよびin vivoの両方における、骨髄細胞特異的発現を可能とする、図に表示の、特異的膜貫通ドメインを有する構築物の、細胞特異的発見および組織特異的発見を、さらに例示する。
【0612】
実施例10.マウスにおける、CAR発現マクロファージ処置の免疫学的影響
[00599]腫瘍の組織病理学結果は、処置マウス4匹中2匹では、腫瘍の大幅な低減および消失が見られたが、非処置群では、低減が見られなかったことを指し示す。代表的結果を、図19に示す。加えて、図20Aおよび20Bは、腫瘍の殺滅に必要である、高度の骨髄細胞活性を指し示す、組織内における、サイトカインおよびケモカインのサインを示す。図20Cは、in vitroアッセイにおいて、操作された単球が、T細胞を動員することを裏付ける。図21ならびに図41および42は、CFP構築物を投与された、腫瘍を伴うマウスから単離された細胞による、炎症性サイトカインの分泌の増大を示す。このような炎症性サイトカインは、潜在的にコールドな腫瘍を、ホットなTMEへと転換する。
【0613】
[00600]図22は、CFPを含むLNPの注射を施されたマウスにおける、腫瘍の低減を確認するデータを示す。同系マウスモデルは、GP75に結合するCFPを発現する骨髄細胞により作出した。マウス抗GP75(Trp-1)ATAK細胞の作出を、図29に示す。ATAK-GP75受容体は、左下パネルのフローサイトメトリープロットに示された、mRNAの電気穿孔を介して、マウス単球内で、効率的に発現される。これらの細胞は、GP75を発現する腫瘍細胞を、効率的に貪食することが可能であった(図29右下グラフ)。同様のデータは、それぞれのCFPを発現するマウスにおける、腫瘍の低減および生存の利点を描示する、図30および36および37におけるデータにより確証される。図30は、ATAK骨髄細胞が、CAR Tおよびチェックポイント阻害剤に対して不応性である、腫瘍モデルにおける腫瘍の増殖を阻止する効力についての、in vivoにおける最初の例示を表す(媒体と対比される、ATAK細胞2×10個ずつ、8回の注入;毎日1回×4日間の注入、3日間の休薬、毎日1回×4日間の注入;±SD(マン-ホイットニー検定))。GP-75 ATAK単球を、皮下において植え込まれたGP75+ B16黒色腫を保有する、免疫コンピテントC57Bl/6マウス(これらのマウスは、B16同系腫瘍に対して寛容である)へと静脈内注射したところ、マウスは、腫瘍の増殖をコントロールすることが可能であり、媒体または対照単球を投与されたマウスと比較した、生存の有意な改善を経た。加えて、腫瘍を、動物から摘出し、免疫細胞含量について検討したところ、GP75-ATAK単球で処置された動物は、炎症性単球/マクロファージおよび好中球による、腫瘍への、著明に高レベルの浸潤のほか、MDSCと対比した、樹状細胞の増大を示した。これは、ATAK単球が、腫瘍部位へと輸送され、腫瘍の増殖を抑制し、他の免疫細胞集団を、TMEへと動員することを実証した。
【0614】
[00601]図21は、CFPを発現する骨髄細胞によるマウスの処置が、脾臓再刺激培養物中の、広範なT細胞活性であって、CD4エピトープの拡散を含む、T細胞活性と関連したことを、具体的に示す。本実験では、脾臓細胞を、OVA323*329SINFECKELまたはPMA/イオノマイシンで、6時間にわたり刺激する、脾臓細胞リコール培養を行った。サイトカインは、フローサイトメトリーにより検出した。GP75-ATAK細胞による処置は、非抗原特異的活性の増大と関連し、これは、交差提示を指し示した。
【0615】
[00602]CFPの陽性発現は、骨髄細胞内および一部のCD3+細胞内で同定された(図23および図24)。貪食およびサイトカイン分泌の増大はまた、図31、32、33、および35に示されるデータに明らかでもある。図31に示される通り、単球は、腫瘍内および脾臓内において、さらに、DCおよび成熟単球となった。図32に示される血清サイトカインレベルは、レスポンダーにおける広範な骨髄活性を例示する。抗腫瘍血清サイトカインプロファイルと相関する処置応答:他の著明な観察は、ATAK単球による、腫瘍抗原の交差提示であった(図33)。ATAK骨髄細胞は、ネオ抗原を貪食し、遊離させ、T細胞へと提示する結果として、T細胞性獲得免疫応答をもたらしうる。ATAK-GP75(別称:TRP-1 ATAK)単球が、この場合には、OVAタンパク質に由来する、サロゲートの腫瘍ネオ抗原を貪食し、プロセシングし、OVAに由来するクラスI制限ペプチド(SIINFEKL)に対してコグネイトであるTCRを保有するT細胞へと提示することが可能であるのに対し、同じマウスに由来し、ATAK受容体を発現しない単球は、これが可能でない。これは、ATAK単球が、抗原をプロセシングし、CD8 T細胞などの獲得免疫細胞へと交差提示しうることを実証する。これは、T細胞の、潜在的に新規のサブセットが、in vivoにおける、これらの骨髄細胞の機能を介して刺激されうることをさらに指し示し、これにより、T細胞など、他の免疫細胞型による処置と対比して、広範な免疫カバレッジを裏付ける。
【0616】
[00603]in vivoの骨髄細胞内における構築物の優先的発現は、図38に描示されるデータにおいて確証された。LNP-FcRα鎖受容体は、TME内の炎症性単球により発現され腫瘍内骨髄細胞のうちの15%を超える細胞は、GP-75-FcaR構築物を発現する。
【0617】
実施例11.in vivoにおけるCFP発現の修飾による、微小環境の修飾
[00604]本実施例では、炎症性遺伝子発現を、in vivoにおける腫瘍試料からプロファイリングしたが、これは、炎症促進性のサイトカインおよびケモカインの発現(図26)、およびTMEの発熱(図34、右上)により、CFP構築物が、腫瘍微小環境を、活性の炎症性部位へと転換することを指し示す。図27および図34は、in vivoにおけるCFP注射が、T細胞の誘導が可能であることを指し示すデータを示す。図34は、本明細書で開示されるヒトATAK単球は、自然免疫を利用し、抗腫瘍獲得免疫応答を刺激することが可能であったことを裏付ける。操作されたヒト細胞産物が、鍵となる機能的機構を有することが確認されたことを指し示す、重要点の要約を、下記に列挙する:
[00605]腫瘍への浸透および腫瘍の認識
・浸透
・蓄積
・腫瘍の認識
[00606]シグナル伝達動態
・骨髄細胞の活性化
・サイトカインの産生
・ケモカインの産生
・炎症性の極性化
[00607]直接的な腫瘍殺滅
・貪食
・サイトカイン
・死受容体(CD95L)
[00608]長期にわたる腫瘍のコントロール
・抗原提示
・エピトープの拡散
・T細胞の関与
[00609]示されたデータから、骨髄細胞は、腫瘍微小環境を変更する能力を有し、炎症性単球およびDCを増大させることが明らかであり、これを、図39のデータに示す。図39中のデータは、炎症性単球(左)および樹状細胞(右)の上方調節を示す。加えて、これらの細胞は、T細胞機能に影響を与える。まとめると、本出願者らの知る限りにおいて、かつて、治療的可能性および重要性を有する、このような劇的効果が達成され、かつ/または裏付けられたことはない。
【0618】
実施例12.マウスにおける処置後のin vivoにおける、T細胞の特徴付け
[00610]図40図60に示されるデータは、送達のための、LNP組成物の使用に関する。図40は、尾静脈注射を介する、マウスにおける、CFP処置による、CD8+ T細胞の上方調節を裏付ける。サイトカインプロファイルを伴う、T細胞サブセット表現型の探索を、図41に示す。ケモカインプロファイルを伴う、T細胞サブセット表現型の探索を、図42に示す。本明細書で論じられる研究では、GP75腫瘍を保有する同系マウスに、4日ごとに1回または隔日1回投与し、腫瘍のサイズを測定することにより、腫瘍の進行を決定した。図43に示される通り、いずれの処置群も、腫瘍の進行の、対照と比較して効率的な阻害を示した。図44は、T細胞亜型について研究するためのゲーティング戦略を示した。
【0619】
[00611]T細胞亜型についての解析は、CD8+細胞の高度の誘導、および腫瘍内のTregの低減を明らかにした(図45)。T細胞における、T細胞疲弊マーカー(PD1)の低下を伴う、T細胞の活性化マーカーの上昇が注目された(図46Aおよび46B、図47Aおよび47B、図48Aおよび48B)。
【0620】
実施例13.マウスにおける処置後のin vivoにおける、骨髄細胞の特徴付け
[00612]さらに、図49に示されるゲーティング戦略図49を使用して、処置GP75マウスから単離された後における、リンパ球、DCなどを含む、全ての細胞型を、非処置GP75マウスと対比してプロファイリングした。全免疫細胞頻度は、顕著な変化を示さなかった(図50)。骨髄細胞および樹状細胞は、受容体構築物の、高度の発現を示す。発現は、図51~53に示される、多様な細胞型において特徴付けられ、骨髄細胞が、LNP調製物を介して送達される、顕著な発現構築物を示すことを指し示す。図54は、50%を超える常在骨髄(Ly6Clo)細胞における、受容体の発現を示す。図55は、マウスにおける処置が、Ly6Chi炎症性単球内およびCCR2hi炎症性単球内の、CD40レベルおよびCD206レベルを、有意に上昇させたことを指し示すデータを描示する。
【0621】
[00613]図56に示される通り、CD40レベルおよびCD206レベルは、Ly6Clo常在骨髄細胞内、およびCCR2lo常在骨髄細胞内で、著明に増大され;PDL1レベルは、腫瘍内常在マクロファージ内で、わずかに低減された(図57)。図58は、処置は、MHCII、CD86、およびCD40を含むDC活性化マーカーを、有意に増大させたが、また、脾臓の、表現型をCD103+ CD11b-とする樹状細胞内のPD-L1レベルも増大させたことを示す。図59は、処置は、MHCII、CD86、およびCD40を含むDC活性化マーカーを、有意に増大させたが、また、脾臓の、表現型をCD103- CD11b+とする樹状細胞内のPD-L1レベルも増大させたことを示す。
【0622】
実施例14.プロテアーゼ動員チロシンリン酸化ドメイン、およびプロテアーゼ誘導性転写活性化因子を伴う、キメラ融合タンパク質ライブラリーの作出
[00614]本実施例では、マクロファージ内または骨髄細胞内で発現されると、骨髄細胞の標的細胞特異的活性化を可能とする、標的特異的、プログラム化可能発現ベクターをデザインすると、骨髄細胞が、その予測された機能を実施し、標的細胞に対する免疫原性応答および標的細胞の破壊をもたらす。ベクターは、レンチウイルスの場合もあり、アデノウイルス発現ベクターの場合もある。標的細胞は、がん細胞である。本実施例では、例示的骨髄細胞発現ベクターを作製するための組成物および方法であって、発現ベクターが、がん特異的細胞外結合性ドメインを有する膜タンパク質、膜貫通ドメイン、およびホスホチロシン結合性タンパク質(PTB)を動員する、チロシンリン酸化/活性化部分を有する細胞内ドメイン(ITAMドメイン)をコードし、細胞内ドメインが、ホスホチロシン結合性プロテアーゼ切断可能配列を介して、転写活性化ドメイン、およびHIF-デグロン配列へと融合されたプロテアーゼ(T2A切断型プロテアーゼなど)(HIF-デグロン-プロテアーゼ)へと連結される、組成物および方法を示す。発現ベクターは、転写活性化因子により活性化されうる、標的遺伝子配列をコードする。標的遺伝子またはその断片は、炎症促進性タンパク質もしくは貪食促進性タンパク質、またはこれらのタンパク質断片である。ベクターは、転写の活性化のために、任意の選り抜きの標的遺伝子を使用する柔軟性を保持するようにデザインされうる。例示的マクロファージ発現ベクターは、図60に示される通りにデザインされる。
【0623】
[00615]ベクターは、5’側から、3’側へと、以下の各々をコードする核酸配列:(a)膜貫通局在を可能とする、N末端シグナル配列を有する、細胞外がん細胞結合性ドメイン;(b)膜貫通ドメイン;(c)ホスホチロシン活性化/動員ドメイン(例えば、ITAM)を含む細胞内ドメイン;(d)GAL4 DNA結合性配列およびVP64転写活性化因子を含み、ホスホチロシン結合性タンパク質(PTB)依存性プロテアーゼの基質である、切断可能配列により、細胞内ドメインコード配列へと連結された、DNA結合性ドメインおよび転写活性化因子;(e)例示的構築物内では、PTB-HIFデグロンへと融合された、HCV非構造プロテアーゼ(NS3)である、ホスホチロシンPTB依存性プロテアーゼをコードする配列を含み;PTB-HIF-NS3配列は、T2A切断可能配列である。ホスホチロシン結合性タンパク質(PTB)依存性プロテアーゼの基質である、切断可能配列は、EDVVCCまたはDEMEECである。第2のベクター構築物は、その転写が、上流においてコードされる、転写活性化因子により活性化される、標的遺伝子をコードする配列を共発現するのに使用される。標的遺伝子は、上流にGAL4結合性/活性化ドメインを伴う、CMVミニプロモーターにより駆動される。細胞外がん細胞結合性部分をコードする核酸配列は、例示的構築物内では、CD19結合性scfvであるが、がん細胞上または標的細胞上で特異的に発現される、別のタンパク質に特異的なscfvでもありうる、scfv抗体をコードする。転写結合性/活性化因子は、CMVプロモーターの上流における、GAL-4 DNA結合性領域を介して結合し、これにより、標的遺伝子の転写を活性化しうる、VP64配列へと融合された、5×GAL4配列を含む。PTB-HIFおよび隣接プロテアーゼ配列は、T2A切断可能配列により挟まれ、T2Aプロテアーゼにより自己切断可能であり、これにより、翻訳後に、プロテアーゼを放出する。
【0624】
[00616]実施例において示される、多様な部分をコードするベクターデザインは、他の形で、様々にデザインされうる。例えば、本明細書では、ポリシストロニックデザインまたは多重ベクターデザインも同等に想定される。
【0625】
[00617]上記で記載された構成要素の共発現を伴う、モジュラーベクターデザインは、標的細胞のマクロファージ媒介性の貪食および殺滅の活性化および強化をもたらしうる、標的遺伝子の、CMVプロモーターの下流への、柔軟な組込みのための道を開く。例示的な標的遺伝子は、炎症性遺伝子、インフラマソーム活性化遺伝子、サイトカイン、ケモカイン、酸化還元遺伝子である。
【0626】
[00618]細胞外ドメインおよび細胞内ドメインならびに切断可能ユニットの基本構造レイアウトを、図61Aに示す。上記で記載された構築物は、マクロファージ細胞内で発現される。発現後、成熟タンパク質の翻訳および放出の後に予測される作用方式を、図61Bに示す。HIF-デグロンは、PTBと、ITAMとの相互作用を介して、細胞内ドメイン上の、ホスホチロシン結合性エレメントに結合すると、不活化され、プロテアーゼの適正な機能を可能とし、これにより、転写因子の切断および放出を可能とする。ITAMとの会合の非存在下において、デグロンは、図2Bに示される通り、HIF-プロテアーゼエレメントの分解の一因をなす。こうして、ITAMは、細胞外ドメイン、例えば、scfv(がん細胞における、そのCD19標的へと結合された)からのシグナルを受け取る場合に限り、活性化され、PTBを動員するので、この機能は、転写因子のがん細胞特異的活性化を可能とし、これは、CMVプロモーターにより駆動される、特異的標的遺伝子の転写を可能とする。
【0627】
実施例15.腫瘍活性化好酸球溶解タンパク質の作出
[00619]本実施例では、がん細胞などの標的細胞の溶解が可能である、操作されたマクロファージまたは骨髄細胞を調製するために、好酸球溶解タンパク質を活用する。前出の実施例で指し示された通り、マクロファージ内で、例示的発現ベクターを構築し、発現する一方;発現ベクターは、標的特異性を可能とし、細胞溶解機能の実行について、プログラム可能である。
【0628】
[00620]構築物のデザインを、図62Aに示す。本質的に、ベクターは、ヒト好酸球主要結合性タンパク質1の、酸性ドメイン(アミノ酸残基17~105)をコードする配列を含み;ヒト好酸球主要結合性タンパク質1の、細胞傷害性ドメイン(アミノ酸残基106~222)をコードする配列;好酸球主要結合性タンパク質の2つのドメインの間には、インフレームで、コグネイトMMPにより切断可能である、マトリックスメタロプロテアーゼタンパク質(MMP)認識配列をコードする配列が散在されている、組換えキメラタンパク質をコードする。キメラタンパク質をコードする配列には、マクロファージ細胞の外部における、キメラタンパク質の分泌を可能とする、シグナルペプチドをコードする配列が前置される。マクロファージから分泌される、成熟キメラタンパク質を、例示的な図62Bに示す。酸性ドメインと、細胞傷害性ドメインとは、MMPにより一緒に保持された、稠密な対構成を形成する一方、酸性ドメイン結合形態は、細胞傷害性ドメインを、不活性に保つ。
【0629】
[00621]腫瘍微小環境は、MMPに富むので、MMP認識切断可能ドメインを有する、分泌型キメラタンパク質は、たやすく切断され、これにより、細胞傷害性ドメインから、酸性ドメインを放出し、これにより、細胞傷害性ドメインを遊離させて、溶解活性をもたらす。腫瘍細胞は、環境内で豊富であり、この結果、放出された好酸球主要塩基性タンパク質細胞傷害性ドメインタンパク質により、攻撃され、溶解され、損傷される一方、近傍のマクロファージは、これらを貪食し、溶解および/または損傷された細胞を、よりたやすく除去する。他方、マクロファージは、分泌された好酸球主要塩基性タンパク質の、がん細胞に対する効果を強化するように、さらなるタンパク質、キメラ受容体、および/または標的細胞テザリング部分をさらに発現しうる。
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図12C
図13A
図13B
図13C
図13D
図13E
図14A
図14B
図14C
図14D
図14E
図14F
図15A
図15B
図15C
図15D
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図18C
図18D
図19
図20A
図20B
図20C
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46A
図46B
図47A
図47B
図48A
図48B
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61A
図61B
図62A
図62B
【配列表】
2023549140000001.app
【国際調査報告】