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特表2023-549152選択的コイル測定を通じたモータ制御のためのシステムおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】選択的コイル測定を通じたモータ制御のためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   H02P 21/14 20160101AFI20231115BHJP
【FI】
H02P21/14
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527763
(86)(22)【出願日】2021-10-29
(85)【翻訳文提出日】2023-06-23
(86)【国際出願番号】 US2021057356
(87)【国際公開番号】W WO2022094278
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】17/084,093
(32)【優先日】2020-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523164171
【氏名又は名称】インサイト・オートメーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エミール・ヴイ・ポポフ
(72)【発明者】
【氏名】イヴァイロ・エヌ・ソティロフ
【テーマコード(参考)】
5H505
【Fターム(参考)】
5H505DD08
5H505EE41
5H505HA09
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ04
5H505JJ16
5H505JJ25
5H505LL05
5H505LL22
5H505LL41
(57)【要約】
多重コイルを有するモータ12を制御するためのモータ制御システム10が、PWM信号23などの、モータを制御するための制御信号を提供するためのモータ制御回路22を含む。モータ駆動回路14が、制御信号23を受信するために結合され、かつモータの多重コイルに電流駆動信号を提供するために構成される。回路網が、モータの多重コイルに提供される電流駆動信号のレベルを反映する複数の信号値24、26、28を測定する。測定された電流信号値を受信するために結合される選択回路網70が、測定された複数の信号値から或る電流信号値を動的に選択するように構成され、かつ誤っているまたは信頼できない可能性がある値を示す電流信号値24、26、28の少なくとも1つを除外するように更に構成される。計算回路網60が、選択された信号値73を使用して除外された電流信号値に対する値を計算するように構成され、モータ制御回路22は、モータ12に制御信号を提供するために測定および計算された電流信号値を使用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重コイルを有するモータを制御するためのモータ制御システムであって、
モータを制御するための制御信号を提供するためのモータ制御回路と、
前記モータの前記多重コイルに提供される駆動信号のレベルを反映する複数の信号値を測定するための回路網と、
前記測定された複数の信号値から或る信号値を動的に選択し、少なくとも1つの信号値を除外するように構成される選択回路網と、
選択された信号値を使用して前記少なくとも1つの除外された信号値に対して使用されることになる信号値を計算するように構成される計算回路網とを備え、
前記モータ制御回路が、モータに前記制御信号を提供するために前記測定および計算された信号値を使用する、モータ制御システム。
【請求項2】
前記制御信号を受信するために結合されるモータ駆動回路を更に備え、前記駆動回路が、前記モータの前記多重コイルに電流駆動信号を提供するために構成される、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項3】
前記測定された複数の信号値からの或る信号値の前記動的選択が前記モータ制御回路の前記制御信号の評価に基づく、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項4】
前記モータ制御回路が、前記モータを制御するための複数のPWM制御信号を提供し、前記選択回路網が、前記PWM制御信号の評価に基づいて信号値を動的に選択するために構成される、請求項3に記載のモータ制御システム。
【請求項5】
前記選択回路網が、前記複数のPWM制御信号の最高PWMレベル制御信号または最低PWMレベル制御信号の少なくとも1つに基づいて前記少なくとも1つの信号値を除外するように構成される、請求項4に記載のモータ制御システム。
【請求項6】
前記モータ駆動回路が、オン/オフするためのかつ前記モータの前記多重コイルに前記電流駆動信号を提供するための複数のトランジスタを含み、複数の信号値を測定するための前記回路網が、オンにされたトランジスタを通る電流のレベルを反映する値を測定するために構成される、請求項2に記載のモータ制御システム。
【請求項7】
制御信号が、前記トランジスタがオンにされて電流駆動信号を提供することになる時間の長さを示し、前記選択回路網が、最短の時間の長さオンにされるトランジスタに対する少なくとも1つの信号値を除外するように構成される、請求項6に記載のモータ制御システム。
【請求項8】
前記制御されているモータのロータの角度を決定するための回路を更に備え、前記測定された複数の信号からの或る信号値の前記動的選択が前記ロータの前記角度の評価に基づく、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項9】
前記モータ制御回路がフィールド指向制御回路を含む、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項10】
前記モータ駆動回路が、複数のトランジスタを有するハーフブリッジ回路を含む、請求項2に記載のモータ制御システム。
【請求項11】
多重コイルを有するモータを制御するためのモータ制御システムの方法であって、
モータを制御するための制御信号を提供するステップと、
前記モータの前記多重コイルに提供される駆動信号のレベルを反映する複数の信号値を測定するステップと、
前記測定された複数の信号値から或る信号値を動的に選択し、少なくとも1つの信号値を除外するステップと、
前記選択された信号値を使用して前記少なくとも1つの除外された信号値に対して使用されることになる信号値を計算するステップと、
モータに前記制御信号を提供するために前記測定および計算された信号値を使用するステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記制御信号に基づいて前記モータの前記多重コイルに電流駆動信号を提供するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記測定された複数の信号値から或る信号値を動的に選択するステップが、前記モータを制御するための前記制御信号の評価に基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
モータを制御するための複数のPWM制御信号を提供し、前記PWM制御信号の評価に基づいて信号値を動的に選択するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のPWM信号の最高PWMレベル信号または最低PWMレベル信号の少なくとも1つを提供するPWM制御信号に基づいて前記少なくとも1つの信号値を除外するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
オン/オフする複数のトランジスタで前記モータの前記多重コイルに電流駆動信号を提供し、オンにされたトランジスタを通る電流のレベルを反映する値を測定するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のトランジスタのうち最短の時間の長さオンにされるトランジスタに対する少なくとも1つの信号値を動的に除外するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記制御されているモータのロータの角度を決定し、前記ロータの前記角度の評価に基づいて前記測定された複数の信号から或る信号値を動的に選択するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
フィールド指向制御回路でモータを制御するための制御信号を提供するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
複数のトランジスタを有するハーフブリッジ回路で前記モータの前記多重コイルに電流駆動信号を提供するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月29日出願(係属中)の、米国特許出願第17/084,093号の優先権の利益を主張するものであり、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、一般にモータの制御、詳細には、DCモータおよび多相モータなどのモータの精密制御を対象とする。
【背景技術】
【0003】
モータ制御、特に、DCおよび多相モータのためなどの精密モータ制御の領域では、モータドライバ回路網がモータのコイルを通る電流を測定することができることが重要である。そのような測定および制御のために活用され得る様々な異なる解決策が利用可能であるが、各々が様々な欠点および費用を有する。
【0004】
例えば、電流トランスデューサまたは変成器が使用され得る。2つまたは3つのトランスデューサが制御スキームへ実装され得る。しかしながら、そのようなトランスデューサ/変成器は、しばしば嵩張り、モータに対して著しい空間を占める。更には、それらは、他の解決策より高価である。
【0005】
費用効果的な解決策のために、電流分流器も、そのようなハードウェアの低コストにより使用される。そのため、様々な異なる設計が、モータ制御のために使用されるトランジスタハーフブリッジ回路の接地接続経路に分路抵抗器を設置することによってコイル電流を測定することに重点を置く。そのようなシステムは、便宜上中央揃えパルス幅変調(PWM)を活用する。しかしながら、以下に更に述べるように、分流器の使用も多少の欠点を有する。例えば、分流器がハーフブリッジ回路の下半分を通る導通の間に望ましいコイル電流信号を提供するので、電流を測定するための時間窓が限られる。また、電流整定時間および時間に伴うコイルを通る電流の変動により、PWMサイクルの中央点が電流を測定するための望ましい点である。PWMサイクルが100%に近づくと、ハーフブリッジ回路の下半分における電流測定窓は非常に短く、測定が窓内のリンギングおよびノイズによって支配されれば、測定はほとんど価値がない。
【0006】
結果として、電流分流器を使用する一部の解決策は、電流分流器を使用して2つの電流を測定すること、および整定時間問題を回避する目的で最大PWM値を約90%に制限することである。この手法の結果、モータドライバは全DCバス電圧を出力することができなくなり、そのためモータの定格速度に近づくまたはそれを超えると、それはモータのトルク能力を制限する。
【0007】
電流分流器を使用する別の解決策は、電流分流器を通る全ての3つの電流の測定を要する。次いで、最もノイズが多い電流測定が除外される。2つの測定信号を使用して、次いで第3の信号がカーカフの法則:Current_U+Current_V+Current_W=0を使用して再構築される。この手法は、100%PWM値の使用を見込む。しかしながら、そのような解決策には、3つの電流の全てを並行してサンプリングできるアナログ-デジタル(ADC)ハードウェアを見つけることが困難かつ幾分高価であるという事実に基づく欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、ブラシレスDCモータ(BLDC)または永久磁石同期モータ(PMSM)などのDCまたは多相モータの動的制御において電流測定を提供する効率的かつ費用効果的な仕方が依然として求められている。あまり嵩張らずまたは高価でなくかつモータ制御のために一貫した測定を提供することができる、利用可能なハードウェアを使用する解決策を提供することが更に求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
多重コイルを有するモータを制御するためのモータ制御システムが、PWM信号などの、モータを制御するための制御信号を提供するためのモータ制御回路を含む。モータ駆動回路が、制御信号を受信するために結合され、かつモータの多重コイルに電流駆動信号を提供するために構成される。回路網が、モータの多重コイルに提供される電流駆動信号のレベルを反映する複数の信号値を測定する。測定された電流信号値を受信するために結合される選択回路網が、測定された複数の信号値から或る信号値を動的に選択するように構成され、かつ誤っているまたは信頼できない可能性がある電流値を示す電流信号値の少なくとも1つを除外するように更に構成される。計算回路網が、選択された信号値を使用して除外された電流信号値に対する電流信号値を計算するように構成され、モータ制御回路は、モータに制御信号を提供するために測定および計算された電流信号値を使用する。
【0010】
1つの実施形態において、動的選択は、PWM信号などの、モータ制御回路の制御信号の評価に基づく。駆動回路がモータコイルを駆動するためにトランジスタを使用し、最短時間オンであるトランジスタと関連付けられた電流信号が除外される。行われる電流測定に応じて、最高または最低PWM信号によって駆動されるトランジスタと関連付けられた測定電流が除外され、続いて計算される。代替的に、動的選択は、制御されているモータのロータの角度の評価に基づく。
【0011】
添付の図面は、本明細書に組み込まれて、その一部を構成するが、本発明の実施形態を例示し、かつ以下に与えられる本発明の概説と共に、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】制御スキームに使用するためのモータの3つのコイルを通るモータ電流の従来の測定を提供するモータ制御回路システムの回路図である。
図2図1に例示されるようなハーフブリッジ回路配置において測定されるような被制御モータの3相に対する電流測定を図示するチャートである。
図3】制御スキームに使用するためのモータの2つのコイルを通るモータ電流の従来の測定とともに第3の信号の計算を提供する代替のモータ制御回路システムの回路図である。
図4】制御スキームに使用するためのモータの2つの動的に選択されるコイルを通るモータ電流の選択的測定を提供する本発明の一実施形態に従うモータ制御回路システムの回路図である。
図4A】他の測定スキームでモータ電流の選択的測定を提供する本発明の別の実施形態に従うモータ制御回路システムの回路図である。
図5】本発明の一実施形態の動作のフロー図である。
図6図4における本発明の実施形態に従う制御スキームに使用するためのモータのコイルの電流を動的に選択するための選択回路網の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
添付の図面は必ずしも原寸に比例しておらず、本発明の基本原理を例示する様々な特徴の幾分簡略化された表現を提示することを理解されたい。本明細書に開示されるような一連の動作の具体的な設計特微は、例えば、様々な例示される部品の具体的な寸法、向き、場所および形状を含め、特定の所期の用途および使用環境によって部分的に決定されることになる。例示される実施形態の或る特徴は、可視化および明確な理解を容易にするために他に対して拡大または変形されている。特に、細い特徴は、例えば明瞭さまたは例示のために太くされ得る。
【0014】
精密モータ制御(DCおよび多相モータ)では、モータドライバ回路網がモータのコイルを通る電流を決定および/または測定することができることが不可欠である。本明細書で述べられるように、それらの電流を測定する様々な仕方がある。図1は、モータの制御のための典型的なモータ制御システム10の1つのバージョンを例示する。システム10は、モータ12の動作を制御するための幾つかの相互接続された回路を含み、詳細にはモータ制御回路22から制御信号23を受信するモータ駆動回路14を使用する。モータは、例えば、数例挙げれば、ブラシレスDCモータ(BLDC)または永久磁石同期モータ(PMSM)またはAC非同期モータまたはリラクタンスモータなどの、適切な多相モータであることができる。1つの実施形態におけるモータ駆動回路14は、モータの適切な転流のための様々なモータコイルに対する電流駆動信号17の作成のために周期的に導通するように選択的に給電される駆動回路14の上半分におけるトランジスタ16および駆動回路の下半分におけるトランジスタ18を組み込んだハーフブリッジ回路の形態である。一般に、例示される駆動回路14の動作では、それは、モータ12に所望のU、V、W相電流駆動信号17を提供するために様々なトランジスタ16、18に送られるパルス幅変調(PWM)制御信号23を通じて制御されることになる。モータの必要な制御および適切な転流のために、或る時間に様々なコイルに導かれる電流駆動信号17のレベルの他にモータのロータ要素のロータ角度を知っていることが重要である。
【0015】
モータ12の様々なコイルにおける電流レベルの測定のために、個々のコイルに導かれる電流のレベルを反映するまたはそれと関連付けられる異なる電流が測定され得る。図4に例示される実施形態において、モータ駆動回路14は、下半分トランジスタ18の出力と接続される下側または接地側分路抵抗器20を使用して接地する。トランジスタ16および18は、フィールド指向制御回路などのモータ制御回路22によって制御される。制御回路22は、制御目的で変換されるような、分路抵抗器20からのコイル電流の測定などの、モータ動作の条件を反映する幾つかの入力、およびモータ12のロータ速度48またはロータ角度44などの他の入力を受信する。制御回路22は、様々な入力を処理し、駆動回路14および様々なトランジスタ16、18を動作させるための制御信号23などの、出力を生成する。
【0016】
より詳細には、図1に例示されるように、モータコイルへの駆動信号17の電流は、駆動信号17を提供する下半分トランジスタ18を含む各分岐における実効電流を測定することによって測定される。測定される電流値24、26、28は、コイルに対するU、VおよびW相経路において駆動信号として導かれている電流駆動信号17を反映し、モータ12のコイルU、VおよびWにそれぞれ対する線路24、26、28を通る分路抵抗器20にわたる電圧を測定することによって得られてよい。測定電圧は、適切な電流測定値への変換のためにADC回路21に導かれ、次いで、本明細書で留意されるように制御回路22に対する入力として使用するためにデジタル化される。本発明の1つの実施形態において、図に例示されるように、モータ制御の分野で公知であるように時間領域信号24、26、28をアルファ/ベータ表現または系へ変換するためにクラーク変換回路30が使用される。次いでパーク変換回路がアルファ/ベータ系における2つの成分を直交回転座標系(dq)に変換する。これらの2つの変換を連続的に実装することは、モータ制御の当業者に公知のようにAC電流および電圧波形をDC信号へ変換することによって計算を単純化する。
【0017】
モータ12は、公知の方法に従ってモータ12のロータ角度44を計算するための角度推定回路42に供給される、Hu、Hv、Hwとして例示されるセンサフィードバック信号40を提供するための複数のホール効果センサも組み込む。ロータ角度出力44は、パーク変換回路32に提供され、かつ公知の方法に従ってロータ速度48を決定するための回路46によって使用できる。ロータ速度入力48も、駆動回路にモータ制御信号23を提供するためのフィールド指向制御回路22によって使用される。例示されるように、制御信号23は、適切なモータ転流のための、モータ12のコイルに対して従来のように、U、V、Wで示されるコイルに対する電流駆動信号17を提供するために駆動回路14の様々なバンクの上側および下側トランジスタ16、18のオン/オフサイクルを動作させる。
【0018】
図1を参照すると、制御回路22は、駆動回路14の下半分トランジスタ18が分路抵抗器20を通して電流を導通しているときに抵抗器20にわたる電圧測定信号24、26、28を監視することによってコイル電流の測定値にアクセスできる。下半分トランジスタ18を通るその導通時に、コイル電流は、電流感知抵抗器20を通って流れている。下半分トランジスタ18がオフにされる間、分路抵抗器20に流れる電流はなく、測定される電流信号は入手可能でない。ADC部品21は、0アンペア示度を反映する出力を有する。下側トランジスタ18がオンになりパルス幅変調(PWM)制御信号23によって駆動されるとき、分路抵抗器20を電流が通過する結果、リンギング波形電流信号U、V、Wになり、それぞれの信号が瞬時値に整定する前に測定可能な時間量持続する。この時間は、トランジスタのための「整定時間」と称される。
【0019】
図2は、提供される時間に伴う例証的なモータ制御信号U、V、Wの上下トランジスタの周期動作および測定電圧24、26、28(図1)を反映する電流測定のグラフィックを例示する。図2は、上側または上トランジスタ16および下側または下トランジスタ18の交番するオンおよびオフ期間から様々な分岐分路抵抗器20を通る実電流信号(数字24、26、28としても例示される)を例示する。図2は、上下トランジスタ導通時間の両方の組合せおよび指示を反映する。リンギング電流信号24、26、28は、下側トランジスタオン時間の間、コイルを通る電流が一定でないことを例示する。むしろ、それは、一定かつかなり遅い速度で変化する。これは正常であり、かつモータコイルを通る電流リップルを示す。この電流リップルは、誘導負荷をPWM信号で駆動する自然の結果である。電流信号の平均値(リップル振幅内)は、下側トランジスタ導通時間の略中央に発生する。モータ制御回路22がその平均値を使用するので、図2に参照数字50によって例示されるようなPWMサイクルの中央点は、モータ制御のための電流信号をサンプリングする理想的な時間である。
【0020】
図1に例示されるような電流測定および制御スキームは、しかしながら、上述したように、或る欠点を有する。100%に近づく特定の相に対するPWMデューティサイクルでは、このパーセンテージは、特定の相に対する上トランジスタが最長時間の間導通するのを示し(図2に相電流Wに対して描かれるケースのように)、下トランジスタは、次いで、最短時間量の間導通している。したがって、下トランジスタ18と関連付けられた分路抵抗器20にわたって測定が行われている場合、電流測定窓52も非常に短い。これは、W相信号に対して図2に見ることができる。事実、短い測定窓のサイズは、図2に28によって描かれるように実電流信号の整定時間と同等であり得る。ADC回路網が分路抵抗器電流測定信号24、26、28のサンプリングを開始する時間までに電流信号が整定しなければ、特定の相測定の1つに対して、結果的な測定は、リンギングおよびランダムノイズによって支配される。これにより、その相に対する測定値は、それがもはや実コイル電流を表さないので、ほとんど無用になろう。
【0021】
図3は、システム10aを例示するが、図1のそれに幾分類似しており、上記したように別の従来のモータ制御スキームを図示し、同様の要素に対して同様の参照数字が使用される。図3のシステムは、2つのコイル電流だけの測定に備える。第3の電流信号値は次いで計算される。例えば、図3は、UおよびV相信号によって駆動されるコイルに対して電流測定が行われ、それらの測定電流が、第3の電流測定28を計算する目的で2つの信号24および26を使用する回路60に提供されるシステム10aを図示する。同じ2つのトランジスタが都度測定される。信号は、次いで、上述した、制御回路22を通じてモータ12の制御を提供するために使用される変換回路網30、32に提供される。
【0022】
図4は、本発明の1つの実施形態に従うモータ制御スキームおよびシステム10bを例示する。詳細には、モータ12を制御する制御スキームに活用されることになる具体的なコイル電流測定を動的に評価および選択する選択回路70が例示される。異なる測定が時間とともに動的に選択される。図1および図3に図示されるような共通要素は、上記したような類似の参照数字を使用することになる。本発明は、常に全ての3つのコイル電流を同時に測定しなければならず、そのような連続測定を扱うのに必要な高価なかつ/または嵩張る部品を有しなければならないシナリオの改善を提供する。本発明は、同じ2つのコイル電流を測定するだけで提供される一方で、適切な測定を達成するためにモータドライバ回路の全PWMも制限しなければならない制御の劣化を更に改善する。
【0023】
本発明は、様々なモータ駆動条件の評価に基づいてどの測定されたモータ電流が使用されるべきかを動的に選択する。1つの実施形態において、制御信号は、どの実電流測定が使用されることになるか、およびどの電流測定が制御回路22による使用のために計算されることになるかを決定するために評価される。詳細には、1つの実施形態において、モータ制御の3相チャネルに対する制御信号23のためのPWM値が互いに対して評価される。それらの3つのPWM値のレベルに基づいて、回路70は、最長測定窓および最良測定を提供することになる利用可能なコイル電流測定の2つを選択し、最短窓を有しかつ最も信頼できない測定を無視する。本発明は、次いで2つの最良の動的に選択された電流測定を使用して、あまり信頼できない第3の電流測定を計算する。選択回路70は、入力データ72としてモータ駆動制御パラメータおよびPWM情報を使用し、3つの電流測定のうち最良の2つの電流測定を動的に選択する。選択回路70から、それらの選択された相チャネルと関連付けられた2つの動的に選択された電流測定73は、ADCに導かれ、次いでカーカフの法則を使用してなど、第3の電流信号を計算するための計算回路網60に提供される。ADCは、例示されるように2つのチャネルを扱うだけでよく、より安価な信号処理要素の使用を可能にする。例示される実施形態において、電流選択回路70は、どの2相電流信号がモータ制御のために使用されることになるかについてモータが動作しているときに動的な決定を行う。選択は、制御回路22を通じて駆動回路14の個々のレッグおよびトランジスタに送られることになる相信号のための3つのPWM値を調べることによって行われる。その相電流駆動信号17に対して電流を測定するための最短測定窓を反映することになる相制御信号に対する測定は、次いで制御ループに使用されることから除外される。その他の選択された相チャネルに対する選択された電流測定が次いで使用され、選択された相に対するその他の選択された電流測定を使用して第3のコイル電流(破棄された)が計算される。サイクルは動的に繰り返し、モータは、利用可能である最良電流測定を使用しつつ制御される。
【0024】
駆動電流値がいつ測定されるかに応じて、異なる相測定値が破棄され、次いで計算されることになる。また、コイル駆動電流がどこで測定されるか、またはそれらがモータ駆動回路14においてどのように測定されるかに応じて、動的選択に関する決定のために使用されることになる制御信号パラメータは異なり得る。例えば、電流測定が下トランジスタを有する駆動回路14の区間で行われるか、上トランジスタを持つ区間で行われるかに応じて、制御回路22からのデータによって反映される、最高または最低PWM信号を有する相チャネルが、どのチャネルが最小測定窓を有して破棄および計算されるべきかを示し得る。例えば、図4の例示される実施形態において、駆動電流信号17を反映する電流は、下トランジスタ18のための分岐で分路抵抗器20にわたって測定される。したがって、そのシナリオでは、制御回路22からの最高PWM値相信号(上トランジスタ16のためのPWMを反映する)を有する相またはレッグは、そのレッグに対する下トランジスタ18のために最短オン時間を反映することになる。したがって、測定時に電流高PWMチャネルが、下トランジスタに対して図2に例示されるように有害な整定時間問題点を呈するチャネルになる。測定が最も信頼できない短い測定窓は、モータ動作のそのサイクルで本発明によって動的かつ選択的に破棄される。そのため、破棄される電流測定は、本発明の1つの特徴に従って異なることになる。そのように、最良かつ最も信頼できる電流測定だけが使用され、破棄された測定値は計算される。
【0025】
破棄されるように選択されるチャネル電流測定(最短測定窓)は、電流信号がどこで測定されるかに基づいて制御信号23の異なる値によって示され得る。図4Aは、異なる相チャネルに対する駆動電流またはコイル電流を決定するための追加の測定位置を例示する。例えば、図示されるように、様々な相に対する電流駆動信号は、下トランジスタを導通させて測定され得、例示されるように、分路抵抗器20にわたる測定を使用して測定され得る。代替的に、電流は、トランジスタ18の、Rds_ON抵抗などの抵抗を使用して下トランジスタ18にわたって測定され得る。そのような測定のために、トランジスタにわたって測定31が行われる。Rds_ON抵抗およびトランジスタにわたる測定31の使用では、別個の分路抵抗器20の必要性は除かれる。
【0026】
更なる代替例では、図4Aに図示されるように、上トランジスタ16と関連付けられた分岐において測定が行われ得る。例えば、上トランジスタ導通条件に基づいてコイル電流を決定するための測定37をするために分路抵抗器35が使用され得る。または、駆動回路14の上区間に使用されるトランジスタ16の、Rds_ON抵抗などの抵抗が、トランジスタにわたって測定39が行われるように使用されてよい。上トランジスタを使用するそのような測定シナリオでは、より高いPWMは、実際には相またはレッグのための長いオン時間および大測定窓を示す。したがって、より短い測定窓および破棄されることになる測定値は、特定の相制御信号のためのより低いPWM信号を有する相と関連付けられ得る。したがって、コイル電流を反映するために電流値がどこで得られるかに応じて、選択回路70を通じて或る測定を動的に破棄して最良のかつ最も信頼できる測定を選択するために異なる制御信号条件が使用され得る。
【0027】
したがって分流器の使用またはそれらの分流器の特定の配置に言及して本明細書に記載される本発明によるプロセスの説明は、本発明にとって限定的でない。また、相電流測定のための短い測定窓を示すPWM値または他の制御信号パラメータは、動的選択目的で使用される。上記したように、その選択が高PWM値に基づくか低PWM値に基づくかは、コイル電流値がどこでどのように測定されるかに依存する。各実施形態において、除外されるチャネルまたは相およびそれぞれの除外される測定電流は、相電流測定において最短測定窓および最も信頼できない測定を示す相である。
【0028】
図4および図5は、本発明の一実施形態および図に例示されるような本発明の実施形態の制御システム10bのソフトウェアの制御の流れを例示する。用語「制御回路網」または「制御システム」は、フィールド指向制御回路22、変形回路網30、32、電流選択回路網70、ADC21および電流計算器回路60の他に、例えばロータ角度推定回路網42およびロータ速度推定回路網46などの他の要素を含め、モータ12の動作を制御するために使用される回路網を説明するために本明細書で使用される。様々な留意される機能がフィールド指向制御回路22に見出され得る。したがって、本発明は、制御システムの回路網要素の具体的なレイアウトまたは配置に限定されず、種々の機能部品が本発明から逸脱することなく種々の形態をとり得る。
【0029】
図5を参照すると、制御システム10bおよび制御回路網22のサイクルごと、特に回路網22のモータドライバ部分のサイクルごとに、図示されるプロセスおよびフローが実行される。詳細には、2つの動的に選択されたコイル電流測定値がADC回路21から読み込まれる(ステップ80)。2つの選択されたコイル電流測定値は、本明細書に記載されるように決定される。測定24、26、28からの測定されたコイル電流値を処理するアナログ-デジタル(ADC)回路21は、別のブロックとして図示される。しかし、測定電流を反映するA/D機能性および変換回路網は、本発明の電流選択回路網70に実装され得、ADCからの測定された電流値は、記載されるように選択されてよい。
【0030】
電流選択回路網70は、図4に図示されるように、動的選択機能を提供するためにフィールド指向制御回路22から動的入力72を受信する。モータ駆動回路14に導かれることになるPWM制御信号23に基づいて、電流選択回路網70は、どの測定された電流値が除外または破棄されることになるかを、したがってどの測定された電流値が第3または他の破棄された値を計算するために使用されることになるかを動的に選択していることになる。ADC21からの3つの電流測定のうち選択された最良の2つを使用して、電流計算器回路網60は、モータ制御のために使用されることになる第3の電流「測定値」を計算する(ステップ82)。3つの測定および計算された電流値24、26、28が、回路30、32によってなど、更に処理および変換され、モータ12の制御に使用するための入力33としてフィールド指向制御回路網22に提供される(ステップ84)。
【0031】
そのモータ制御では、フィールド指向制御回路22は、3相チャネルのコイルを駆動するのに必要なPWM制御信号23を計算する。回路22は、例えば、モータを駆動するための駆動回路14のトランジスタ16、18を駆動するための様々なチャネルまたは相U、V、Wとして出力されるPWM制御信号23を提供する(ステップ86)。PWM値は、例えば空間ベクトルPWM計算または正弦波PWM計算または6ステップPWM計算を使用してなど、幾つかの異なる仕方で計算され得る。したがって、本発明は、回路網22に使用されるPWM計算の種類に限定されない。
【0032】
本発明の1つの特徴に従って、フィールド指向制御回路22は、動的電流測定選択を行うために様々なチャネルまたは相U、V、Wに対して出力されるPWM制御信号23の3つの値を評価する。例えば、各チャネルに対する様々なPWM値23を評価し、モータ制御に使用するための、除外されることになる測定された電流値またはチャネルを決定するために制御回路22に比較器回路網25が実装され得る。上記したように、電流値がどこで測定されるか(上もしくは下トランジスタ経路または他の場所)に応じて、比較器は、最高PWMチャネル信号または最低PWMチャネル信号を除外しようとしてよい。詳細には、制御回路22は、測定窓が正確な電流測定のために十分広い(最長トランジスタ導通時間)2つのチャネルを選択し、最狭測定窓(最短トランジスタ導通時間)のチャネルを除外するために使用されることになる様々なチャネル信号を評価する。認められ得るように、PWM制御信号は、モータの回転ならびにロータの角度および位置に基づいて変動することになる。動的に選択された2つのチャネルは、次いでモータ制御での関連した測定された電流値の使用のための2つの最良のチャネルとして識別される(ステップ88)。2つの最良のチャネルを示すまたはそれらと関連付けられたデータ72が、除外される電流値に対する電流「測定値」を計算する電流算出に使用するための2つの最良の測定されたチャネル電流値の選択を制御する制御データとして電流選択回路網70にも電流計算器にも提供される。(ステップ90)。ステップ82に上記したように、電流計算器回路網60は、本発明に従って除外された信号値を置き換えるために、出力された2つの最良のチャネル電流測定値73を使用し、第3の電流値を計算する。それらの3つの電流値(2つの選択値および第3の計算値)は、回路30、32によって、次いで最終的にPWM値を生成するために制御回路22によって使用される。評価および選択のために使用された3つのPWM値は、実行およびモータ制御のためにフィールド指向制御回路22および駆動回路14のPWMハードウェアに渡される。(ステップ92)。サイクルがここで完成し、ループ経路94は、次回制御回路網がADCの2つのコイル電流測定を読み込むためのステップ80を通るとき、本発明が、評価されたPWM信号によって示される「2つの最良のチャネル」に対して所望の電流を測定し、潜在的にノイズが多く不正確な第3のチャネル電流測定を無視することになり、サイクルを繰り返すためにそれらの最良のチャネル測定がステップ80に使用されてよいことを示す。
【0033】
図6は、本発明に使用するための例証的な電流選択回路網70を例示する。U、VおよびW相チャネルに対する測定された相電流24、26、28は、決定された2つの最良のチャネルに対して測定される望ましい電流値の動的選択のための制御信号72を受信する切替または多重化回路75に導かれる。図に例示されるような1つの開示される実施形態に従って、2つの最良のまたは望ましいチャネルは、PWM値の使用ならびに、電流を測定するための最長導通時間およびそのため最長測定窓を示すチャネルの決定に基づいて選択される。電流選択回路網70からの2つの最良のチャネル電流値のデジタル化出力73は、次いで、本明細書に記載されるように制御回路22を通じて更なるモータ制御を提供することに使用するための全ての3つの電流値を提供するための電流計算器回路網60に導かれる。
【0034】
本発明の他の実施形態に従って、最良のチャネルの評価は、PWM値よりもむしろ他の情報を使用して達成され得る。例えば、ロータと関連付けられた位置データが使用され得る。詳細には、選択は、以下に由来するデータなど、他のそのようなデータに基づき得る:
●ホール効果センサ-ロータ角度を決定するため
●アブソリュートエンコーダ-ロータ角度を与えるため
●インクリメンタルエンコーダ-ロータ角度を与えるため
●レゾルバ-ロータ角度を与えるため
●センサレス状態オブザーバ-ロータ角度を与えるため
●センサレスBEMFモニタ/オブザーバ-ロータ角度を与えるため
ハーフブリッジトランジスタまたはスイッチが下側スイッチ/トランジスタの一部のために最短オン時間または導通時間を有することになるモータの動きの特定の時間を識別するために、ロータ角度44などの位置データが、ルックアップテーブル27と共になど、制御回路22によって使用され得る。ロータ角度は、そのため選択回路網70への制御信号72を生成するために使用され得る。そのように、ロータ角度は、最良のチャネルを動的に選択し、短い測定窓および疑わしい電流データをもたらす最悪のチャネルの1つまたは複数を除外するための判定基準として使用され得る。上記したように、最悪のまたは最も信頼できない値を測定から除外して代わりに計算できる。制御回路22は、次いで第3の信号を計算するために使用するための最良の電流測定を動的に選択するために選択回路網70に制御信号72を提供するためにロータ角度を考慮に入れる。
【0035】
制御回路は、改善されたモータ制御を提供するために或る電流測定を選択および除外するのに必要な制御信号72を選択回路網70に提供するために、PWM信号などの制御信号を評価する、またはロータ角度位置などの他のモータ条件を評価するのに十分な処理回路網を有する。
【0036】
本発明は、先行技術の解決策に対して幾つかの利益を提供する。第1に、本発明は、高価な電流トランスデューサまたは変成器の代わりに比較的安価な電流感知抵抗器を使用する。一部の実施形態において、上側または下側トランジスタにわたる電圧降下を測定しかつトランジスタのオン抵抗を使用してその相における電流を計算することによって、抵抗器さえ排除される。本発明は、たった2つの信号を並行してサンプリングするADCハードウェアを更に使用する。本発明が「2つの最良のチャネル」を測定するだけであるので、1つの実施形態において、本発明は、精度の劣化が最小の連続方式で2つの信号を測定する。並行測定を必要とする代わりに連続測定を使用して動作するアルゴリズムを使用することで、ADC要件が更に緩和されることを保証し、そのためより安価なADCハードウェアが使用されるのを可能にする。チャネルの各々に対するPWM出力機能は0-100%であるが、100%PWMでさえ、(事実上下側トランジスタが決して導通しない場合)、本発明の制御回路網が電流測定のためにその他の2つのチャネルを適応的に選択して、欠落したまたは未測定のチャネルをソフトウェアで再現するからである。
【0037】
本発明の範囲から逸脱することなく他の代替のハードウェアおよび/またはソフトウェア環境が使用され得ることを当業者は認識するであろう。追加的に、様々なデバイスまたは制御回路および/もしくはシステムコントローラまたはコンピューティングシステムがより多くのまたは少ないアプリケーション構成を含み得ることを当業者は認めるであろう。そのため、本発明の実施形態の範囲から逸脱することなく他の代替のハードウェアおよびソフトウェア環境が使用され得る。
【0038】
本発明の実施形態を実装するために実行されるルーチンは、制御回路22においてなど、オペレーティングシステムの一部として実装されようと、1つまたは複数のデバイス/コントローラおよび/または制御システム/コンピューティングシステムによって実行される具体的なアプリケーション、コンポーネント、プログラム、オブジェクト、モジュールまたは一連の命令として実装されようと、本明細書において「一連の動作」、「プログラム製品」または、より簡単に、「プログラムコード」と称されることになる。プログラムコードは、コントローラおよび/またはコンピューティングシステム内の様々なメモリおよび記憶デバイスに様々な時に常駐し、かつコントローラおよび/またはコンピューティングシステムによって読み込まれて実行されると、そのコントローラおよび/またはコンピューティングシステムに、本発明の様々な態様を具現化するステップ、要素および/またはブロックを実行するのに必要なステップを行わせる、1つまたは複数の命令を典型的に含む。制御回路は、改善されたモータ制御を提供するために或る電流測定を選択および除外するのに必要な制御信号72を選択回路網70に提供するために、PWM信号などの制御信号を評価する、またはロータ角度位置などの他のモータ条件を評価するのに十分な処理回路網を有する。
【符号の説明】
【0039】
10 モータ制御システム
10a モータ制御システム
10b モータ制御システム
12 モータ
14 モータ駆動回路
16 トランジスタ
17 駆動信号
18 トランジスタ
20 分路抵抗器
21 ADC回路
22 モータ制御回路
23 制御信号
24 電流値
25 比較器回路網
26 電流値
27 ルックアップテーブル
28 電流値
30 クラーク変換回路
31 測定
32 パーク変換回路
33 入力
35 分路抵抗器
37 測定
39 測定
40 センサフィードバック信号
42 ロータ角度推定回路
44 ロータ角度
46 ロータ速度推定回路
48 ロータ速度
50 PWMサイクルの中央点
52 電流測定窓
60 電流計算器回路
70 電流選択回路
72 電流選択制御信号
73 デジタル化出力
75 切替または多重化回路
図1
図2
図3
図4
図4A
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-07-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多重コイルを有するモータを制御するためのモータ制御システムであって、
モータを制御するための複数の制御信号を提供するためのモータ制御回路と、
前記モータの前記多重コイルへの電流駆動信号のレベルを反映する複数の信号値を測定するための回路網と、
前記測定された複数の信号値から計算に使用するために或る信号値を動的に選択するようにかつ前記測定された複数の信号値から少なくとも1つの信号値を除外するように構成される選択回路網と、
前記動的に選択された信号値を使用して前記少なくとも1つの除外された信号値に対して使用されることになる値を計算するように構成される計算回路網とを備え、
前記モータ制御回路が、モータに前記制御信号を提供するために前記測定および計算された信号値を使用する、モータ制御システム。
【請求項2】
前記制御信号を受信するために結合されるモータ駆動回路を更に備え、前記駆動回路が、前記モータの前記多重コイルに電流駆動信号を提供するために構成される、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項3】
前記測定された複数の信号値からの或る信号値の動的選択が前記モータ制御回路の前記制御信号の互いに対する評価に基づく、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項4】
前記モータ制御回路が、モータを制御する複数のPWM制御信号を提供し、前記選択回路網が、前記PWM制御信号を互いに対して評価し、前記PWM制御信号の評価に基づいて信号値を動的に選択するために構成される、請求項3に記載のモータ制御システム。
【請求項5】
前記選択回路網が、前記複数のPWM制御信号の最高PWMレベル制御信号または最低PWMレベル制御信号の少なくとも1つに基づいて前記少なくとも1つの信号値を除外するように構成される、請求項4に記載のモータ制御システム。
【請求項6】
前記モータ駆動回路が、前記モータの前記多重コイルに前記電流駆動信号を提供するためのオン/オフするための複数のトランジスタを含み、複数の信号値を測定するための前記回路網が、オンにされたトランジスタを通る電流のレベルを反映する値を測定するために構成される、請求項2に記載のモータ制御システム。
【請求項7】
制御信号が、前記トランジスタがオンにされて電流駆動信号を提供することになる時間の長さを示し、前記選択回路網が、最短の時間の長さオンにされるトランジスタに対する少なくとも1つの信号値を動的に除外するように構成される、請求項6に記載のモータ制御システム。
【請求項8】
前記制御されているモータのロータの角度を決定するための回路を更に備え、前記測定された複数の信号からの或る信号値の前記動的選択が更に前記ロータの前記角度の評価に基づく、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項9】
前記モータ制御回路がフィールド指向制御回路を含む、請求項1に記載のモータ制御システム。
【請求項10】
前記モータ駆動回路が、複数のトランジスタを有するハーフブリッジ回路を含む、請求項に記載のモータ制御システム。
【請求項11】
多重コイルを有するモータを制御するためのモータ制御システムの方法であって、
モータを制御するための複数の制御信号を提供するステップと、
前記モータの前記多重コイルへの電流駆動信号のレベルを反映する複数の信号値を測定するステップと、
前記測定された複数の信号値から計算に使用するために或る信号値を動的に選択し、前記測定された複数の信号値から少なくとも1つの信号値を除外するステップと、
前記動的に選択された信号値を使用して前記少なくとも1つの除外された信号値に対する値を計算するステップと、
モータに前記制御信号を提供するために前記測定および計算された信号値を使用するステップとを含む、方法。
【請求項12】
前記制御信号に基づいて前記モータの前記多重コイルに電流駆動信号を提供するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記測定された複数の信号値から或る信号値を動的に選択するステップが、前記モータを制御するための前記制御信号の互いに対する評価に基づく、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
モータを制御するための複数のPWM制御信号を提供し、前記PWM制御信号を互いに対して評価し、前記PWM制御信号の評価に基づいて信号値を動的に選択するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記複数のPWM信号の最高PWMレベル信号または最低PWMレベル信号の少なくとも1つを提供するPWM制御信号に基づいて前記少なくとも1つの信号値を除外するステップを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
オン/オフする複数のトランジスタで前記モータの前記多重コイルに電流駆動信号を提供し、オンにされたトランジスタを通る電流のレベルを反映する信号値を測定するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記複数のトランジスタのうち最短の時間の長さオンにされるトランジスタに対する少なくとも1つの信号値を動的に除外するステップを更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記制御されているモータのロータの角度を決定し、前記ロータの前記角度の評価に基づいて前記測定された複数の信号から或る信号値を動的に選択するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
フィールド指向制御回路でモータを制御するための制御信号を提供するステップを更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
複数のトランジスタを有するハーフブリッジ回路で前記モータの前記多重コイルに電流駆動信号を提供するステップを更に含む、請求項12に記載の方法。
【国際調査報告】