IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティの特許一覧

特表2023-549160神経変性疾患の治療のために神経細胞におけるCHMP7発現を阻害するための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】神経変性疾患の治療のために神経細胞におけるCHMP7発現を阻害するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12Q 1/02 20060101AFI20231115BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 31/7105 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231115BHJP
   G01N 33/50 20060101ALI20231115BHJP
   G01N 33/15 20060101ALI20231115BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20231115BHJP
   C07K 16/18 20060101ALN20231115BHJP
【FI】
C12Q1/02
A61P25/00 ZNA
A61P25/14
A61P25/28
A61P25/16
A61P21/00
A61K45/00
A61K48/00
A61K31/7105
A61K31/713
A61K31/7088
A61P43/00 111
A61P43/00 105
G01N33/50 Z
G01N33/15 Z
C12N15/113 Z
C07K16/18
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527808
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-07-06
(86)【国際出願番号】 US2021058780
(87)【国際公開番号】W WO2022103838
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/111,882
(32)【優先日】2020-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】501335771
【氏名又は名称】ザ・ジョンズ・ホプキンス・ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100167623
【弁理士】
【氏名又は名称】塚中 哲雄
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー ディー ロススタイン
(72)【発明者】
【氏名】アリッサ コイン
【テーマコード(参考)】
2G045
4B063
4C084
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
2G045AA40
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QQ79
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR48
4B063QR77
4C084AA13
4C084AA17
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA941
4C084ZA942
4C084ZB211
4C084ZB212
4C084ZC411
4C084ZC412
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086ZA01
4C086ZA02
4C086ZA15
4C086ZA16
4C086ZA94
4C086ZB21
4C086ZC41
4H045AA10
4H045AA11
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA75
4H045DA76
4H045EA20
4H045EA21
4H045EA50
(57)【要約】
【課題】
【解決手段】本開示は、神経細胞または細胞の集団におけるCHMP7を低減または阻害する化合物をスクリーニングする方法、および細胞におけるCHMP7発現を阻害して1つまたは複数の神経変性疾患に罹患している1または複数の被験者を治療する方法に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経細胞または細胞の集団におけるCHMP7を低減または阻害する化合物をスクリーニングする方法であって、神経細胞または細胞の集団に少なくとも1つの化合物を投与し、前記化合物が前記細胞または細胞の集団におけるCHMP7の発現を低減または阻害するか否かを決定することを含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記化合物は、小分子もしくはその薬学的に許容される塩、抗体もしくはその抗原結合断片、オリゴヌクレオチド、短鎖干渉RNA、マイクロRNA、ペプチド、ペプチドミメティック、またはそれらの任意の組み合わせである、方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、前記オリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法に従って決定された化合物を含む、医薬組成物。
【請求項5】
神経細胞または細胞の集団におけるCHMP7発現を阻害する方法であって、有効量のCHMP7阻害剤を前記細胞または細胞の集団に投与することを含む、方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、前記CHMP7阻害剤は、小分子もしくはその薬学的に許容される塩、抗体もしくはその抗原結合断片、オリゴヌクレオチド、短鎖干渉RNA、マイクロRNA、ペプチド、ペプチドミメティック、またはそれらの任意の組み合わせである、方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記オリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、方法。
【請求項8】
その治療を必要とする被験体における神経変性疾患を治療する方法であって、治療上有効量のCHMP7阻害剤を前記被験体に投与することを含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記CHMP7阻害剤は、約0.001mg/kg~約1000mg/kgの量で被験体に投与される、方法。
【請求項10】
請求項8または9に記載の方法において、前記被験体はヒトである、方法。
【請求項11】
請求項8~10のうちいずれか一項に記載の方法において、前記CHMP7阻害剤は、小分子もしくはその薬学的に許容される塩、抗体もしくはその抗原結合断片、オリゴヌクレオチド、短鎖干渉RNA、マイクロRNA、ペプチド、ペプチドミメティック、またはそれらの任意の組み合わせである、方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、前記オリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである、方法。
【請求項13】
請求項8~12のうちいずれか一項に記載の方法において、前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多発性硬化症、または前頭側頭型変性症である、方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法において、前記神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症または前頭側頭型変性症である、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願情報)
本出願は、2020年11月10日に出願された米国特許出願第63/111,882号に対する優先権を主張し、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(電子的に提出された資料の参照による組込み)
即日出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出された配列表を含み、その全体が参照によりここに組み込まれる。2021年11月10日に作成された当該ASCIIコピーは、38922-601_ST25.txtと命名され、サイズは4,824バイトである。
【0003】
(政府声明)
本発明は、国立衛生研究所から与えられた助成金AG062171の下、政府の支援を受けて行われたものである。政府は、本発明に対して一定の権利を有する。
【背景技術】
【0004】
運動ニューロン疾患である筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動皮質および脊髄内の複数のニューロンおよびグリアサブタイプに影響を及ぼす、破壊的な神経変性疾患である。ALS症例の約10%は家族性(fALS)であり、今日までに20超の家族性変異が同定されている。ALSの最も一般的な遺伝的原因は、C9orf72遺伝子のGGGGCC(G4C2)(SEQ ID NO:1)ヘキサヌクレオチド反復伸長(HRE)で、家族性ALSの約40%、散発性ALSの8%を占める。しかし、ALS症例の90%は散発性(sALS)であり、根底にある原因遺伝子変異は知られていない。ALSの病因は異質であるにもかかわらず、TAR DNA結合タンパク質(TDP-43)の核からの排除ならびに細胞質への誤局在化および/または凝集は、末期の家族性および散発性疾患の顕著な病理学的特徴として浮上してきた(36-38)。
【0005】
C9orf72を含むALSの遺伝的形態の研究は、根底にある疾患メカニズムおよび可能性のある治療戦略について新しい洞察を提供したが、これらの発見は、必ずしもsALSに適用できない。ヒトのALSの異質性を忠実に再現する前臨床動物モデル系がないことは、ALSの病態生理の90%を理解する上での大きな課題を強調している。しかし、患者由来の線維芽細胞および末梢血単核細胞(PBMC)を人工多能性幹細胞(iPSC)へとリプログラミングし、神経細胞およびグリア細胞に分化させることで、ヒト疾患のモデル化が行われている(39-40)。C9orf72 iPSC由来運動ニューロン(iPSN)は、死後のヒト神経系で見られる疾患の主要な病理学的特徴を再現することが研究によって示されている(41-42)。まとめると、iPSNは、ALSおよび他の神経変性疾患の根底にあるメカニズムを研究するための有用かつ重要なプラットフォームを提供する。
【0006】
核膜孔複合体(NPC)の組成の分子変化は、C9orf72疾患における初期の重要な病理メカニズムとして同定されている(43)。NPCは、最大30の異なるNupの多重コピーからなり、骨格Nup(ヌクレオポリン)および可動性Nupのいずれかに分類することができる。骨格Nupは、NPCの8回対称の放射状構造を構築し、核膜に固定する。NPCの骨格は、中央輸送チャネルを満たし、高分子の核細胞質間交換を媒介するFG-Nupにアンカーポイントを提供する。いくつかのNupはまた、遺伝子の転写に影響を与える可能性がある(44-47)。細胞機能全体の維持におけるNPCの重要な役割を考えると、特定のNupの変化は、ニューロンの生存率に影響を与え、その後、疾患病態を生じさせ得る。
【0007】
8つのNupのサブセットは、C9orf72および単離された死後の核のNPCおよび核質内で著しく減少している。さらに、定常状態のNup mRNAレベル、ならびにNup mRNAの安定性および翻訳中のポリリボソーム画分との会合は、C9orf72 iPSNにおいて変化していない(43)。まとめると、これらのデータから、Nupタンパク質の恒常性維持における初期の変化が、C9orf72 ALS/FTDの発病におけるNupおよび機能的輸送の減少の根底にあり得ることが示唆された。しかし、ニューロンNPCの破壊の根底にある分子経路、およびこの病態生理が散発性疾患により広く当てはまるか否かは、依然として不明である。
【0008】
酵母を含むいくつかのモデル系における研究によって、核膜および核質内のNupおよびNPCの恒常性維持に影響を与えることが可能な分子経路の存在が裏付けられている。LEMファミリー核内膜(INM)タンパク質によるエンドソーム選別輸送複合体(ESCRT)機構の動員は、誤って組み立てられたNupのプロテアソーム分解(48)および欠陥NPCのシーリング(49-50)に関連付けられてきた。非神経系の哺乳類細胞でも類似のメカニズムが働き、NupsとNPCの除去が促進されていると考えられる(51)。酵母の最近の研究では、個々のNupおよびNPCもまたともに、オートファジーの標的になる可能性があることが明らかにされている(52-53)。重要なことに、CHMP7の核内動員および/または保持は、適切なNupおよびNPCの恒常性維持における開始ステップであると考えられるが(49、50、54)、ヒトのニューロンにおけるCHMP7を媒介としたNupプロテオスタシス、および神経変性におけるNupレベルの変化については、ほとんど知られていない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者らは、人工多能性幹細胞(iPSC)由来の脊髄ニューロン(iPSN)および死後のヒト組織を用いて、核膜特異的ESCRTタンパク質CHMP7およびその下流エフェクターAAA-ATPase VPS4が、C9orf72およびsALS核において増加していることを示す。G反復RNAが主要なNupsの減少を開始させることを示唆する本発明者らの以前の研究に一致して、G反復RNAの過剰発現のみによって、iPSNにおいてCHMP7およびVPS4の核の増加がもたらされる。
【0010】
重要なことに、トリムアウェイ(25)およびアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)を使用して、本発明者らは、CHMP7のノックダウンが、C9orf72 iPSNにおける核質およびNPCからの特定Nupの減少を緩和するという複数の証拠を提供する。その上、CHMP7 ASOは、スタスミン-2スプライシングの欠陥を緩和し、下流のニューロン毒性を緩和する。機構的に、CHMP7の核内動員の増加ではなく、核外輸送障害が、特定のNupsおよびヒトニューロンの発現の減少につながる。さらに、CHMP7の核外輸送障害は、G4C2の媒介によって、ニューロン核内のXPO1複合体におけるCHMP7の存在量が減少した結果であり得る。その上、CHMP7が媒介する特定のNupの減少は、スタスミン-2のスプライシングの変化およびTDP-43の誤局在をもたらすことがわかった。まとめると、これらのデータから、ヒトのニューロンにおいて、病的なG4C2反復RNAのためにESCRT-III経路が異常に活性化することが、ALSにおけるNupの変化の実質的かつ早期の要因であることが示された。さらに、これらの知見は、家族性および散発性ALS/FTD、ならびにNupの減少およびTDP-43病態を特徴とする関連神経変性疾患における治療標的としてのCHMP7の可能性を強調する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、一実施形態として本開示は、神経細胞または神経細胞の集団などの細胞または細胞の集団においてCHMP7を低減または阻害する化合物をスクリーニングする方法を提供する。該方法は、細胞または細胞の集団(神経細胞または神経細胞の集団など)に少なくとも1つの化合物を投与することと、化合物が細胞または細胞の集団におけるCHMP7発現を低減または阻害するかどうかを判定することとを含む。その後、CHMP7発現を低減または阻害する化合物が選択される。上記の方法に従ってスクリーニングし、その後選択することが可能な化合物は、小分子もしくはその薬学的に許容される塩、抗体(モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体など)もしくはその抗原結合断片、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはその薬学的に許容される塩)、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ペプチド、ペプチドミメティック、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数を含む可能性がある。
【0012】
別の実施形態において、本開示は、細胞または細胞の集団(神経細胞または神経細胞の集団など)においてCHMP7発現を阻害する方法を提供する。該方法は、有効量のCHMP7阻害剤を細胞に投与することを含む。本態様において、CHMP7阻害剤は、小分子もしくはその薬学的に許容される塩、抗体(モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体など)もしくはその抗原結合断片、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはその薬学的に許容される塩)、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ペプチド、ペプチドミメティック、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数とすることができる。さらなる態様においては、CHMP7阻害剤は、1つまたは複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩である。
【0013】
さらに別の実施形態において、本開示は、その治療を必要とする被験体において1つまたは複数の神経変性疾患を治療する方法を提供する。該方法は、その治療を必要とする被験体に、有効量または治療上有効量の少なくとも1つのCHMP7阻害剤を投与することを含む。本態様において、CHMP7阻害剤は、小分子もしくはその薬学的に許容される塩、抗体(モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体など)もしくはその抗原結合断片、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはその薬学的に許容される塩)、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ペプチド、ペプチドミメティック、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数とすることができる。さらに他の態様においては、CHMP7阻害剤は、1つまたは複数のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩である。本方法の他のさらなる態様においては、処置される被験体は、ヒトである。さらに他の態様においては、CHMP7阻害剤は、約0.001mg/kg~約1000mg/kgの量で被験体に投与される。さらなる態様においては、治療される神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、ハンチントン病、アルツハイマー病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多発性硬化症、または前頭側頭型変性症(FTD)である。さらなる態様においては、神経変性疾患は、ALSまたはFTDである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】CHMP7およびVPS4の核発現が、C9orf72 iPSNおよび死後の核において増加することを示す図である。図1Aは、コントロールおよびC9orf72 iPSNから単離した核におけるCHMP7およびVPS4のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。遺伝子型を左側に、抗体および時点を上側に示す。図1BはCHMP7スポットの定量化を、図1CはVPS4スポットの定量化を示す図である。n=8コントロールおよび8 C9orf72 iPSC株(1つのアイソジェニックペアを含む)、1株あたり50NeuN+核/時点。統計的有意性の算出には、Tukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。**p<0.01、****p<0.0001。図1Dは32日目のコントロールおよびC9orf72 iPSNから単離した核におけるCHMP7およびVPS4レベルのウェスタンブロットを示す図、図1Eはその定量化を示す図である。抗体を右側に、遺伝子型を下側に示す。n=4コントロールおよび4 C9orf72 iPSC株。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。p<0.05。図1FはコントロールおよびC9orf72の死後組織から単離した核におけるCHMP7およびVPS4のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。遺伝子型を左側に、抗体およびCNS領域を上側に示す。図1GはCHMP7スポットの定量化を、図1HはVPS4スポットの定量化を示す図である。n=3コントロールおよび3 C9orf72症例、1症例あたり50NeuN+核/CNS領域。統計的有意性の算出には、Tukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図2】CHMP7の核局在および発現が、死後のC9orf72患者の運動皮質の薄切片において増加していたことを示す図である。図2Aは、パラフィン包埋した死後の運動皮質および後頭部皮質におけるCHMP7に対する免疫染色を示す図である。遺伝子型を左側に、脳領域および抗体を上側に示した。図2BはCHMP7免疫染色の核/細胞質比の定量化を示す図である。n=7コントロールおよび7 C9orf72症例、1症例および脳領域あたり少なくとも50Map2+細胞。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。****p<0.0001。スケールバー=10μm。
図3】CHMP7のノックダウンが、C9orf72 iPSNにおける特定のNupの核発現を回復させることを示す。図3Aは、コントロールおよびC9orf72 iPSNにおけるTrim21 GFPの媒介によるCHMP7の減少のウェスタンブロットを示す図、図3BおよびCは、その定量化を示す図である。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。p<0.05、**p<0.01。図3Dは、CHMP7のノックダウン後にコントロールおよびC9orf72 iPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。Trim21 GFP媒介ノックダウンに使用された抗体を左側に、遺伝子型および抗体を上側に示す。図3E~Jは、スポットおよび体積の定量化を示す図である。n=3コントロールおよび3 C9orf72 iPSC株、1株あたり50GFP+核/ノックダウン。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図4】CHMP7のASO媒介ノックダウンが、C9orf72 IPSNにおいて、特定のNupの核発現を回復させ、グルタミン酸誘導興奮毒性を緩和することを示す図である。図4Aは、5μMスクランブルコントロールASOまたはCHMP7 ASO2に2週間曝露した後のコントロールおよびC9orf72 iPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。処理を左側に、遺伝子型および抗体を上側に示した。図4B~Gは、スポットおよび体積の定量化を示す図である。n=4コントロールおよび4 C9orf72 iPSC株、1株あたり50NeuN+核/処理。統計的有意性の算出には、Tukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を用いた。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。図4Hは、5μMスクランブルコントロールASOまたはCHMP7 ASO2に2週間曝露した後のコントロールおよびC9orf72 iPSNにおける、グルタミン酸への曝露後のヨウ化プロピジウム(PI)取り込みによって測定したパーセント細胞死の定量化を示す図である。n=4コントロールおよび4 C9orf72 iPSC株、ウェル当たり5フレーム。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図5】LEMD2のノックダウンが、C9orf72 iPSNにおける特定のNupの核発現を回復させないことを示す図である。図5AはコントロールおよびC9orf72 iPSNにおけるTrim21 GFPの媒介によるLEMD2の減少のウェスタンブロットを示す図、図5B~Cはその定量化を示す図である。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。p<0.05。図5Dは、LEMD2のノックダウン後のコントロールおよびC9orf72 iPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。Trim21 GFP媒介ノックダウンに使用された抗体を左側に、遺伝子型および抗体を上側に示した。図5E~Kは、スポットおよび体積の定量化を示す図である。n=3コントロールおよび3 C9orf72 iPSC株、1株あたり50GFP+核/ノックダウン。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図6】野生型iPSNにおけるCHMP7核外輸送の阻害が、C9orf72に媒介されるNupの変化を再現することを示す。図6Aは、レプトマイシンB処理後のコントロールiPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。処理を左側に、抗体を上側に示した。LMB=レプトマイシンB。図6Bは、スポットおよび体積の定量化を示す図である。n=3コントロールiPSC株、1株あたり50NeuN+核/処理。統計的有意性を算出には、Studentのt検定を使用した。p<0.05、****p<0.0001。図6Cは、GFPタグ付きCHMP7バリアントを過剰発現させたコントロールiPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。過剰発現を左側に、抗体を上側に示した。図6D~Iは、スポットおよび体積の定量化を示す図である。n=4コントロールiPSC株、1株あたり50GFP+核/過剰発現。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図7】G反復RNAが、XPO1複合体中のCHMP7の存在量を減少させることを示す図である。図7Aは、XPO1免疫沈降後のウェスタンブロットを示す図である。遺伝子型および処理を上側に、免疫沈降用の抗体を下側に、ウェスタンブロット用の抗体を右側に示した。図7BはCHMP7の、図7CはNXF3の、図7DはHuR、図7EはDDX3Xの、図7FはRanBP1の定量化を示す図である。XPO1 IPにおける濃縮は、インプットに対して正規化され、XPO1濃縮度に対して相対化されている。n=4コントロールおよび4 C9orf72 iPSC株。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。***p<0.001、****p<0.0001。図7GはXPO1免疫沈降後の示されたRNAについてのqRT-PCRを示す図である。n=4コントロールおよび4 C9orf72 iPSC株。
図8】iPSNにおけるG反復RNA発現の結果として、CHMP7およびVPS4の核発現が増加することを示す図である。図8Aは、G反復RNA発現のみを過剰発現させたコントロールiPSNから単離した核におけるCHMP7およびVPS4のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。抗体を左側に、過剰発現を上側に示した。図8BはCHMP7スポットの定量化を、図8CはVPS4スポットの定量化を、図8DはCHMP7スポットのヒストグラム分布を、図8EはVPS4スポットのヒストグラム分布を示す図である。n=4コントロールiPSC株、1株あたり100NeuN+核/過剰発現。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図9】ドミナントネガティブVPS4が核内POM121発現の変化を部分的に緩和することを示す図である。図9Aは、GFPタグ付きVPS4バリアントを過剰発現させたコントロールおよびC9orf72 iPSNから単離した核におけるCHMP7、VPS4およびPOM121のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。過剰発現を左側に、遺伝子型および抗体を上側に示した。図9BはCHMP7スポットの、図9CはVPS4スポットの、図9DはPOM121スポットの定量化を示す図である。n=4コントロールおよび4 C9orf72 iPSC株、1株あたり50GFP+核/過剰発現。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。p<0.05、****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図10】CHMP7 ASOが用量依存的にiPSNにおけるCHMP7タンパク質を減少させることを示す図である。図10AはスクランブルコントロールまたはCHMP7標的化ASOに2週間曝露した後のコントロールiPSNおよびC9orf72 iPSNにおけるCHMP7タンパク質についてのウェスタンブロットを、図10BはスクランブルコントロールまたはCHMP7標的化ASOに2週間曝露した後のコントロールiPSNにおけるCHMP7タンパク質についての定量化を、図10CはスクランブルコントロールまたはCHMP7標的化ASOに2週間曝露した後のC9orf72 iPSNにおけるCHMP7タンパク質についての定量化を示す図である。遺伝子型を上側に、濃度およびASOを下側に示した。n=4コントロールおよび4 C9orf72 IPSC株。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。p<0.05、***p<0.001、****p<0.0001。
図11】野生型iPSNにおけるXPO1のTrim21媒介ノックダウンが、C9orf72に媒介されるCHMP7、VPS4、および特定のNupの核発現の変化を再現することを示す図である。図11Aは野生型iPSNにおけるTrim21 GFPの媒介によるXPO1の減少のウェスタンブロットを、図11Bはその定量化を示す図である。n=3コントロールiPSC株。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。p<0.05。図11Cは、XPO1のTrim21 GFP媒介ノックダウン後のコントロールiPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。ノックダウン用の抗体を左側に、抗体を上側に示した。図11Dは、スポットおよび体積の定量化を示す図である。n=3コントロールiPSC株、1株あたり50GFP+核/ノックダウン。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図12】レプトマイシンB処理がC9orf72 iPSNの核にG4C2反復RNAを保持することを示す図である。図12Aは、C9orf72 iPSNの核/細胞質分画後のウェスタンブロットを示す図である。分画および処理を下側に、抗体を右側に示した。In=インプット、Nuc=核、Cyto=細胞質、LMB=レプトマイシンB。図12BはレプトマイシンB処理後の核および細胞質画分におけるRanBP1タンパク質濃縮の定量化を、図12CはレプトマイシンB処理後の核および細胞質画分におけるDDX3Xタンパク質濃縮の定量化を示す図である。n=3 C9orf72 iPSC株。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。p<0.05。図12Dは核/細胞質分画後のG反復RNAの、図12Eは核/細胞質分画後のG反復RNAの、図12Fは核/細胞質分画後のC9orf72 RNAのqRT-PCRを示す図である。n=3 C9orf72 iPSC株。
図13】G反復RNAがNXF1との複合体中に存在しないことを示す図である。図13AはNXF1免疫沈降後のウェスタンブロットを示す図である。免疫沈降用の抗体を下側に、ウェスタンブロット用の抗体を右側に示した。In=インプット。図13BはNXF1免疫沈降後の示されたRNAについてのqRT-PCRを示す図である。n=4コントロールおよび4 C9orf72 iPSC株。
図14】C9orf72 ALS/FTDにおけるCHMP7に媒介されるNupの変化のモデルを示す図である。伸長したC9orf72反復RNAは、XPO1とCHMP7との間の会合を妨害するが、他のNESを有する積荷タンパク質は妨害せず、核CHMP7レベルの上昇につながる。CHMP7はVPS4を動員し、その後、C9orf72ニューロン核およびNPCにおけるヌクレオポリンレベルの低下につながる。
図15】特定のヌクレオポリンの減少が、C9orf72およびsALS iPSN核におけるCHMP7の核発現の増加と相関することを示す図である。図15aは分化32日目にコントロールおよびsALS iPSNから単離した核におけるNupのSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。遺伝子型を左側に、抗体を上側に示した。図15bは、Nupスポットの定量化を示す図である。n=10コントロールおよび17 sALS iPSC株、1株あたり50NeuN+核。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。****p<0.0001。図15cは、コントロール、C9orf72、およびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP7のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。時点を左側に、遺伝子型を上側に示した。図15dは、CHMP7スポットの定量化を示す図である。n=10コントロール、8 C9orf72、および17 sALS iPSC株、1株あたり50NeuN+核。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。図15eは32日目のコントロール、C9orf72、およびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP7レベルのウェスタンブロットを、図15f~gは、それらの定量化を示す図である。抗体を右側に、遺伝子型を下側に示した。注:2つの独立したCHMP7抗体を使用した。ラミンB1はローディングコントロールとして使用した。n=8コントロール、8 C9orf72,および8 sALS iPSC株。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。***p<0.001、****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図16】CHMP7の核局在が、C9orf72およびsALS iPSNならびに死後患者の運動皮質において増加することを示す図である。図16aは、分化25日目のiPSNにおけるCHMP7に対する免疫染色および共焦点イメージングを示す図である。遺伝子型を左側に、抗体を上側に示した。図16bはCHMP7免疫染色の核/細胞質比の定量化を、図16cはCHMP7免疫染色の核強度の定量化を示す図である。n=7コントロール、5C9orf72、および7sALS iPSC株、1株あたり少なくとも50Map2+ニューロン。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。**p<0.01、***p<0.001。図16dは、パラフィン包埋した死後の運動皮質におけるCHMP7に対する免疫染色を示す図である。遺伝子型を左側に、抗体を上側に示した。矢印は、細胞質CHMP7免疫染色を示す。アスタリスクは核CHMP7免疫染色を示す。図16eはCHMP7免疫染色の核/細胞質比の定量化を、図16fは核強度の定量化を示す図である。n=13コントロール、17 C9orf72、および30 sALS症例、1症例あたり少なくとも100Map2+細胞。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。p<0.05、***p<0.001、****p<0.0001。スケールバー=10μm。
図17】野生型iPSNにおけるCHMP7核外輸送の阻害が、疾患に関連するNup変化を再現することを示す図である。図17aは、1週間のGFPタグ付きCHMP7バリアントの過剰発現後に、分化25日目にコントロールiPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。過剰発現を左側に、抗体を上側に示した。図17b~fは、CHMP7およびNupのスポットおよび体積の定量化を示す図である。n=4コントロールiPSC株、1株あたり50GFP+核/過剰発現。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図18】CHMP7核外輸送の阻害がTDP-43の局在化および機能に影響を与えることを示す図である。図18aは、GFPタグ付きCHMP7バリアントの2週間の過剰発現後の、分化32日目のコントロールiPSNにおけるTDP-43に対する免疫染色および共焦点イメージングを示す図である。過剰発現を左側に、抗体を上側に示した。図18bはTDP-43免疫染色の核/細胞質比の定量化を、図18cはTDP-43免疫染色の核強度の定量化を示す図である。n=3コントロールiPSC株、1株あたり少なくとも50Map2+およびGFP+ニューロン/過剰発現。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。p<0.05、****p<0.0001。図18dはGFPタグ付きCHMP7バリアントの2週間の過剰発現後の、分化32日目のコントロールiPSNにおける、スタスミン-2 mRNAの全長のqRT-PCRを、図18eはGFPタグ付きCHMP7バリアントの2週間の過剰発現後の、分化32日目のコントロールiPSNにおける、切断型スタスミン-2 mRNAのqRT-PCRを示す図である。GAPDHを正規化に使用した。統計的有意性の算出には、統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。p<0.05、***p<0.001。スケールバー=10μm。
図19】CHMP7およびTDP-43の共病態が、死後患者の運動皮質におけるニューロンのサブセットに存在することを示す図である。図19aは、パラフィン包埋した死後運動皮質におけるTDP-43およびCHMP7に対する免疫染色を示す図である。遺伝子型を左側に、抗体を上側に示した。矢印は、細胞質CHMP7免疫染色を示す。アスタリスクは、核CHMP7免疫染色を示す。図19bはコントロールの運動皮質におけるTDP-43の核/細胞質比対CHMP7の細胞質/核比の定量化を、図19cはC9orf72の運動皮質におけるTDP-43の核/細胞質比対CHMP7の細胞質/核比の定量化を、図19dはsALSの運動皮質におけるTDP-43の核/細胞質比対CHMP7の細胞質/核比の定量化を示す図である。分析した各Map2+ニューロンの個々のデータポイントを示す。n=10コントロール、10 C9orf72、および20 sALS症例。注:赤色は高核CHMP7/低核TDP-43、黄色は高核CHMP7/高核TDP-43、青色は低核CHMP7/低核TDP-43、緑色は低核CHMP7/高核TDP-43を示す。スケールバー=10μm。
図20】CHMP7のASO媒介ノックダウンが、特定のNupの核発現を回復させ、C9orf72およびsALS iPSNにおけるTDP-43媒介スプライシングの欠陥およびグルタミン酸誘導興奮毒性を緩和させることを示す図である。図20aは、5μMスクランブルコントロールASOまたはCHMP7 ASO2に2週間曝露した後の、分化40日目のコントロール、C9orf72、およびsALS iPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。処理を左側に、遺伝子型および抗体を上側に示した。図20b~fはスポットおよび体積の定量化を示す図である。n=6コントロール、4 C9orf72、8 sALS iPSC株、1株あたり50NeuN+核/処理。統計的有意性の算出には、統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。図20gは、5μMスクランブルコントロールASOまたはCHMP7 ASO2に3週間曝露した後の、分化46日目のコントロール、C9orf72およびsALS iPSNにおけるスタスミン-2 mRNAの全長のqRT-PCRを、図20hは、5μMスクランブルコントロールASOまたはCHMP7 ASO2に3週間曝露した後の、分化46日目のコントロール、C9orf72およびsALS iPSNにおける切断型スタスミン-2 mRNAのqRT-PCRを示す図である。GAPDHを正規化に使用した。n=8コントロール、6 C9orf72、および6 sALS iPSC株。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。***p<0.001、****p<0.0001。図20iは、5μMスクランブルコントロールASOまたはCHMP7 ASO2に2週間曝露した後のコントロールおよびC9orf72 iPSNにおける、グルタミン酸への曝露後のヨウ化プロピジウム(PI)取り込みによって測定したパーセント細胞死の定量化を示す図である。n=7コントロール、5 C9orf72 および6 sALS iPSC株、1ウェルあたり5フレーム。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図21】CHMP7がC9orf72およびsALS iPSNの核内で増加することを示す図である。図21a~bは、分化32日目にコントロールおよびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP7のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。遺伝子型を左側に、抗体を上側に示した。注:2つの独立したCHMP7抗体を使用した。シングルZおよび挿入画像はCHMP7が主に核内に存在するが、iPSNにおいてはNPCと近接して会合する可能性があることを示す(Nup62の染色によって評価)。スケールバー=5μm。
図22】POM121のノックダウンが核CHMP7の増加をもたらさないことを示す図である。図22aは、48時間のTrim21 GFP媒介POM121ノックダウン後のコントロールiPSNから単離した核における、CHMP7およびPOM121のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。ノックダウン用の抗体を左側に、免疫染色用の抗体を上側に示した。図22bはPOM121およびCHMP7スポットの定量化を示す図である。n=3コントロールiPSC株、1株あたり50GFP+核。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。****p<0.0001。
図23】LEMD2のノックダウンおよび過剰発現が、iPSNにおけるCHMP7またはPOM121の核発現に影響を与えないことを示す図である。図23aはコントロールiPSNにおける、Trim21 GFPに媒介されるLEMD2の減少のウェスタンブロットを、図23bはその定量化を示す図である。n=3コントロールiPSC株。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。p<0.05。図23cは、LEMD2のTrim21 GFP媒介ノックダウン後のコントロールiPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。ノックダウンに使用した抗体を左側に、免疫染色に使用した抗体を上側に示した。図23d~gは、LEMD2、CHMP7、POM121、および414スポットの定量化を示す図である。n=3コントロールiPSC株、1株あたり50GFP+核/ノックダウン。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。****p<0.0001。図23fは、GFPタグ付きLEMD2の2週間の過剰発現後のコントロールiPSNから単離した核のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。過剰発現を左側に、免疫染色用の抗体を上側に示した。図23i~lは、LEMD2、CHMP7、POM121、および414スポットの定量化を示す図である。n=3コントロールiPSC株、1株あたり50GFP+核/過剰発現。統計的有意性の算出にはStudentのt検定を使用した。p<0.05、****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図24】CHMP7 ASOが用量依存的にiPSNにおけるCHMP7タンパク質を減少させることを示す図である。図24aはスクランブルコントロールまたはCHMP7標的化ASOに2週間曝露した後のコントロールiPSN、C9orf72 iPSNおよびsALS iPSNにおけるCHMP7タンパク質についてのウェスタンブロットを、図24bはスクランブルコントロールまたはCHMP7標的化ASOに2週間曝露した後のコントロールiPSNにおけるCHMP7タンパク質についての定量化を、図24cはスクランブルコントロールまたはCHMP7標的化ASOに2週間曝露した後のC9orf72 iPSNにおけるCHMP7タンパク質についての定量化を、図24dはスクランブルコントロールまたはCHMP7標的化ASOに2週間曝露した後のsALS iPSNにおけるCHMP7タンパク質についての定量化を示す図である。遺伝子型を上側に、濃度およびASOを下側に示した。n=6コントロール、4 C9orf72、および6 sALS iPSC株。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。p<0.05、***p<0.001、****p<0.0001。
図25】CHMP7のASO媒介ノックダウンが、C9orf72およびsALS iPSNにおける核へのRan GTPaseの局在を回復させることを示す図である。図25aは、5μMスクランブルコントロールまたはCHMP7標的ASOに3週間曝露した後の分化46日目のコントロール、C9orf72、およびsALS iPSNにおけるRan GTPaseに対する免疫染色および共焦点イメージングを示す図である。処理を左側に、遺伝子型および抗体を上側に示した。図25bは、Ran GTPase免疫染色の核/細胞質比の定量化を示す図である。n=4コントロール、4 C9orf72、および6 sALS iPSC株、1株あたり少なくとも50Map2+ニューロン/処理。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=10μm。
図26】CHMP7のASO媒介ノックダウンが、sALS iPSNにおいてTDP-43の核への局在を回復させることを示す図である。図26aは、5μMスクランブルコントロールまたはCHMP7標的ASOに3週間曝露した後の分化46日目のコントロール、C9orf72、およびsALS iPSNにおけるTDP-43に対する免疫染色および共焦点イメージングを示す図である。処理を左側に、遺伝子型および抗体を上側に示した。図26bはTDP-43免疫染色の核/細胞質比の定量化を示す図である。n=4コントロール、4 C9orf72、および6 sALS iPSC株、1株あたり少なくとも50Map2+ニューロン/処理。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=10μm。
図27】CHMP4BおよびCHMP2Bではなく、VPS4がC9orf72およびsALS iPSNの核で増加することを示す図である。図27aは、分化18日目のコントロール、C9orf72、およびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP4B、CHMP2B、およびVPS4のSIMイメージングからの最大強度投影を、図27bは、分化32日目のコントロール、C9orf72、およびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP4B、CHMP2B、およびVPS4のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。遺伝子型を左側に、時点および抗体を上側に示した。図27cは、CHMP4Bのスポットの定量化を、図27dは、CHMP2Bのスポットの定量化を、図27eは、VPS4のスポットの定量化を示す図である。n=10コントロール、10 C9orf72、および10sALS iPSC株、1株あたり50NeuN+核/時点。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。**p<0.01、****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図28】CHMP4BおよびCHMP2Bではなく、VPS4がC9orf72およびsALSの死後の運動野皮質において増加していることを示す。図28aは、死後のコントロール、C9orf72、およびsALSの運動皮質組織から単離した核におけるCHMP4B、CHMP2BおよびVPS4のSIMイメージングからの最大強度投影を、図28bは死後のコントロール、C9orf72、およびsALSの後頭部皮質組織から単離した核におけるCHMP4B、CHMP2BおよびVPS4のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。遺伝子型を左側に、脳領域および抗体を上側に示した。図28cはCHMP4Bのスポットの定量化を、図28dはCHMP2Bのスポットの定量化を、図28eはVPS4のスポットの定量化を示す。n=6コントロール、6 C9orf72、および9 sALS症例、1症例あたり50NeuN+核/脳領域。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図29】C9orf72およびsALS iPSNにおいて、VPS4の核発現がCHMP7に依存することを示す図である。図29aは、5μMスクランブルコントロールまたはCHMP7 ASOに2週間曝露した後のコントロール、C9orf72およびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP4BのSIMイメージングからの最大強度投影を、図29cは、5μMスクランブルコントロールまたはCHMP7 ASOに2週間曝露した後のコントロール、C9orf72およびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP2BのSIMイメージングからの最大強度投影を、図29eは、5μMスクランブルコントロールまたはCHMP7 ASOに2週間曝露した後のコントロール、C9orf72およびsALS iPSNから単離した核におけるVPS4のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。処理を左側に、遺伝子型および抗体を上側に示した。図29bはCHMP4Bのスポットの定量化を、図29eはCHMP2Bのスポットの定量化を、図29fはVPS4のスポットの定量化を示す図である。n=5コントロール、5 C9orf72および5 sALS iPSC株、1株あたり50NeuN+核/処理。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。**p<0.01、****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図30】ドミナントネガティブVPS4の過剰発現が、C9orf72およびsALS iPSNにおいて核POM121スポットを増加させるが、その分布を回復させないことを示す図である。図30aは、GFPまたはGFPタグ付きVPS4バリアントを過剰発現させたコントロール、C9orf72、およびsALS iPSNから単離した核におけるVPS4のSIMイメージングからの最大強度投影を、図30cは、GFPまたはGFPタグ付きVPS4バリアントを過剰発現させたコントロール、C9orf72、およびsALS iPSNから単離した核におけるPOM121のSIMイメージングからの最大強度投影を示す図である。過剰発現を左側に、遺伝子型および抗体を上側に示した。矢印(図30c)は、ALS核におけるドミナントネガティブVPS4(VPS4E228Q)の過剰発現後に観察されるPOM121の不均一な分布を示す。図30bはVPS4スポットの定量化を、図30dはPOM121スポットの定量化を示す図である。n=4コントロール、4 C9orf72、および4 sALS iPSC株、1株あたり50GFP+核/過剰発現。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を使用した。p<0.05、**p<0.01、****p<0.0001。スケールバー=5μm。
図31】VPS4の発現が、C9orf72およびsALS iPSN核において増加するが、全iPSN溶解物においては増加しないことを示す図である。図31aはコントロール、C9orf72およびsALS iPSN溶解物におけるCHMP4B、CHMP2B、およびVPS4の発現のウェスタンブロットを、図31bはコントロール、C9orf72およびsALS iPSN溶解物におけるCHMP4Bの発現の定量化を、図31cはコントロール、C9orf72およびsALS iPSN溶解物におけるCHMP2Bの発現の定量化を、図31dはコントロール、C9orf72およびsALS iPSN溶解物におけるVPS4の発現の定量化を示す図である。抗体を右側に、遺伝子型を下側に示した。GAPDHをローディングコントロールとして使用した。n=4コントロール、4 C9orf72、4 sALS iPSC株。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。図31eはコントロール、C9orf72およびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP4B、CHMP2B、およびVPS4の発現のウェスタンブロットを、図31fはコントロール、C9orf72およびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP4Bの発現の定量化を、図31gはコントロール、C9orf72およびsALS iPSNから単離した核におけるCHMP2Bの発現の定量化を、図31hはコントロール、C9orf72およびsALS iPSNから単離した核におけるVPS4の発現の定量化を示す図である。抗体を右側に、遺伝子型を下側に示した。ラミンB1をローディングコントロールとして使用した。n=4コントロール、4 C9orf72、および4 sALS iPSC株。統計的有意性の算出にはTukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析を使用した。**p<0.01。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本節および本明細書の開示全体において使用される節見出しは、単に構成上の目的のためであり、限定することを意図するものではない。
【0016】
1.定義
【0017】
本明細書で使用される用語「備える(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「可能性がある/できる/し得る(can)」、「含有する(contain(s))」、およびその変形は、追加の行為または構造の可能性を排除しない、制約のない推移的な語句、用語または単語であることを意図するものである。単数形「a」、「および(and)」、および「the」は、文脈によって明確に指示されない限り、複数の参照を含む。本開示はまた、本明細書に提示された実施形態または要素「を含む」、「からなる」、および「から本質的になる」他の実施形態を、明示的に記載されているか否かにかかわらず、企図するものである。
【0018】
本明細書における数値範囲の記載については、その間に介在する、同程度の精度を有する各数値が明示的に企図される。例えば、6~9の範囲については、6および9に加えて7および8の数字が企図され、6.0~7.0の範囲については、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0の数字が明示的に企図される。
【0019】
本明細書で使用される「投与する(administering)」という用語は、CHMP7阻害剤(例えば、CHMP7アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)などの医薬剤または組成物を被験体に提供することを意味し、医療従事者による投与、自己投与、またはそれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、被験体の疾患を「治療する(treating)」または疾患を有する被験体を「治療する(treating)」という用語は、被験体を医薬治療に供すること、例えば、CHMP7阻害剤(例えば、CHMP7アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容される塩など)、またはsiRNAなどの薬剤を、疾患(例えば、神経変性疾患など)の少なくとも一つの症状を減少させる、または悪化を予防するように、投与することである。
【0020】
本明細書で使用される用語「抗体(antibody)」は、何らかの方法で抗原と特異的に反応することを特徴とする分子を指し、ここで、抗体と抗原はそれぞれ他方の観点から定義される。抗体は、完全な抗体分子、または重鎖、軽鎖、Fab領域、およびFc領域などのその任意の断片もしくは領域を指し得る。
【0021】
本明細書で使用される「抗原結合断片(antigen-binding fragment)」という用語は、全長抗体によって結合される抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体断片、例えば、1つまたは複数のCDR領域を保持する断片を指す。抗原結合断片の例としては、Fab、Fab′、F(ab′)、およびFv断片;ダイアボディ;単鎖抗体分子、例えばsc-Fv;ナノボディ、および抗体断片から形成される多特異性抗体などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
本明細書で互換的に使用される用語「CHMP7」または「荷電多胞体タンパク質7(charged multivesicular body protein 7)」は、長さが453アミノ酸のヒトESCRT-III関連タンパク質を指す(GENBANK Accession No.Q8WUX9を参照)。CHMP7は、そのC端側およびN端側にSNF7ドメインおよびSNF7遠位関連ドメインを含む。本明細書で使用する「CHMP7」という用語は、453アミノ酸のタンパク質だけでなく、このタンパク質の断片(例えば、そのような断片は、5アミノ酸~400アミノ酸、10アミノ酸~350アミノ酸、10アミノ酸~300アミノ酸、10アミノ酸~250アミノ酸、10アミノ酸~200アミノ酸、10アミノ酸~150アミノ酸、10アミノ酸~100アミノ酸、10アミノ酸~75アミノ酸、10アミノ酸~50アミノ酸、10アミノ酸~40アミノ酸、10アミノ酸~30アミノ酸、または10アミノ酸~20アミノ酸の長さを有する可能性がある)、およびCHMP7 DNA、CHMP7 cDNA、CHMP7 RNAなどを指す。
【0023】
本明細書で使用される用語「CHMP7阻害剤(CHMP7 inhibiting agent)」は、CHMP7(CHMP7タンパク質またはその断片など(例えば、そのような断片は、5アミノ酸~400アミノ酸、10アミノ酸~350アミノ酸、10アミノ酸~300アミノ酸、10アミノ酸~250アミノ酸、10アミノ酸~200アミノ酸、10アミノ酸~150アミノ酸、10アミノ酸~100アミノ酸、10アミノ酸~75アミノ酸、10アミノ酸~50アミノ酸、10アミノ酸~40アミノ酸、10アミノ酸~30アミノ酸、または10アミノ酸~20アミノ酸の長さを有する可能性がある)、CHMP7 DNA、CHMP7 cDNA、CHMP7 siRNA、CHMP7 miRNAなど)を神経細胞または神経細胞の集団などの、細胞または細胞の集団において阻害または低減することが可能な、任意の化合物または分子を指す。CHMP7阻害剤の例としては、小分子(その薬学的に許容される塩を含む)、抗体(モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体など)もしくはその抗原結合断片、オリゴヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドの薬学的に許容される塩)、マイクロRNA(miRNA)、短鎖干渉RNA(siRNA)、ペプチド、ペプチドミメティック、またはそれらの任意の組合せのうちの一つまたは複数が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
本明細書で使用される「連続する(contiguous)」という用語は、互いにすぐに隣り合っていることを意味する。
【0025】
本明細書で使用される「すぐに隣り合っている(immediately adjacent)」という用語は、すぐに隣り合っている要素の間に介在する要素がないことを意味する。
【0026】
用語「阻害する(inhibit)」または「阻害する(inhibits)」は、疾患、障害、または状態、生物学的経路の活性、または生物学的活性の進展または進行、例えば固形悪性腫瘍の成長などを、治療していないコントロール被験体、細胞、生物学的経路、もしくは生物学的活性と比較して、または被験体が治療される前の被験体における固形悪性腫瘍の成長などの標的と比較して、例えば少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、またはさらには100%低減、抑制、減衰、軽減、停止、または安定化することを意味する。「低減する(decrease)」という用語によって、がん疾患、障害、または状態の症状を阻害、抑制、減衰、軽減、停止、または安定化することを意味する。排除されるわけではないが、疾患、障害または状態を治療することは、疾患、障害、状態またはそれらに関連する症状が完全に取り除かれることを必要としないことが理解されよう。
【0027】
本明細書で使用される「神経変性疾患(neurodegenerative disease)」という語句は、ニューロンまたは網膜神経節細胞などの他の神経細胞の変性または機能不全に関連する障害(ニューロパシーを含む)を指す。神経変性疾患または障害は、ニューロンの機能低下または機能不全、あるいはニューロンまたは他の神経細胞の喪失が起こり得る、任意の疾患または状態とすることができる。そのような状態には、限定されないが、緑内障、およびアルコール依存症、アレキサンダー病、アルパー病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)、血管拡張性失調症、バッテン病(スピールマイヤー-ボッグ-シェーグレン-バッテン病としても知られる)、牛海綿状脳症(BSE)、カナヴァン病、コケイン症候群、皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、糖尿病性ニューロパシー、前頭側頭型変性症(FTD)、ハンチントン病、HIV関連認知症、ケネディー病、クラッベ病、レビー小体型認知症、神経ボレリア症、マチャド・ジョセフ病(3型脊髄小脳失調症)、湿性または乾性黄斑変性症、多系統萎縮症、多発性硬化症、ニーマンピック病、パーキンソン病、ペリザエウス-メルツバッハー病、網膜色素変性症および関連疾患などの視細胞変性疾患、ピック病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフスム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血による亜急性脊髄複合変性症、スピールマイヤー-フォクト-シェーグレン-バッテン病(バッテン病としても知られる)、脊髄小脳失調症(様々な特徴を有する複数の型)、脊髄性筋萎縮症、スティール-リチャードソン-オルゼウスキ病、および脊髄癆などの、またはそれらに関連する神経変性障害が含まれる。神経細胞に対する外傷または他の損傷(例えば、事故による外傷、鈍器による損傷、銃による損傷、脊髄損傷、脳卒中などの神経系の虚血状態、老化または酸化ストレスによる細胞損傷など)も、「神経変性疾患または障害(neurodegenerative disease or disorder)」という言葉の中に含まれることを意図している。特定の実施形態において、神経変性疾患または障害は、過剰な血管新生に関連しない疾患または障害、例えば、血管新生緑内障でない緑内障である。
【0028】
いくつかの態様において、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)である。他の態様においては、神経変性疾患はハンチントン病である。別の態様においては、神経変性疾患は、アルツハイマー病である。別の態様においては、神経変性疾患は、パーキンソン病である。さらに別の態様において、神経変性疾患は、レビー小体型認知症である。またさらに別の態様において、神経変性疾患は、多発性硬化症である。またさらに別の態様において、神経変性疾患は、前頭側頭型変性症(FTD)である。
【0029】
本明細書で使用される用語「核酸(nucleic acid)」は、単量体ヌクレオチドから構成される分子を指す。核酸は、リボ核酸(RNA)、デオキシリボ核酸(DNA)、一本鎖核酸、二本鎖核酸、短鎖干渉リボ核酸(siRNA)、およびマイクロRNA(miRNA)を含むが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書で使用される用語「核酸塩基(nucleobase)」は、別の核酸の塩基と対合することが可能な複素環部分を意味する。
【0031】
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド(oligonucleotide)」という用語は、リボ核酸またはデオキシリボ核酸のオリゴマーまたはポリマーを指す。この用語は、天然に存在する核酸塩基、糖および糖間(主鎖)共有結合から構成されるオリゴヌクレオチド、ならびに同様に機能する天然に存在しない部分を有するオリゴヌクレオチドを含む。このような修飾または置換されたオリゴヌクレオチドは、例えば、細胞への取り込みの促進、標的への結合の促進、およびヌクレアーゼの存在下での安定性の増加などの望ましい特性のために、しばしば天然型よりも好まれる。本開示のオリゴヌクレオチドは、約5~約50個の連続した核酸塩基からなる。別の態様において、オリゴヌクレオチドは、約8~約50個の連続する核酸塩基からなる。さらに別の態様においては、オリゴヌクレオチドは、約10~約50個の連続する核酸塩基からなる。またさらに別の態様においては、オリゴヌクレオチドは、約15~約50個の連続する核酸塩基からなる。またさらなる態様においては、オリゴヌクレオチドは、約20~約50の連続する核酸塩基からなる。
【0032】
オリゴヌクレオチドの一例は、アンチセンス連続オリゴヌクレオチドである。薬学的に許容されるその塩を含む本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、約5~約50個の連続する核酸塩基からなる。別の態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約8~約50個の連続する核酸塩基からなる。さらに別の態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約10~約50の連続する核酸塩基からなる。またさらに別の態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約15~約50の連続する核酸塩基からなる。またさらなる態様において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、約20~約50の連続した核酸塩基からなる。
【0033】
当技術分野で知られているように、ヌクレオシドは塩基と糖の組み合わせである。ヌクレオシドの塩基部分は、通常、複素環式塩基である。そのような複素環式塩基の2つの最も一般的なクラスは、プリンおよびピリミジンである。ヌクレオチドは、ヌクレオシドの糖部分に共有結合で結合したリン酸基をさらに含むヌクレオシドである。ペントフラノシル糖を含むヌクレオシドでは、リン酸基は糖の2=、3=または5=水酸基部分のいずれかに結合することができる。オリゴヌクレオチドを形成する場合、リン酸基は隣り合ったヌクレオシドを互いに共有結合して直鎖状の高分子化合物を形成する。この直鎖状高分子構造のそれぞれの末端は、同様に、さらに結合して円形構造を形成することができるが、一般的には開口した直鎖状構造が好ましい。オリゴヌクレオチド構造において、リン酸基は一般にオリゴヌクレオチドのヌクレオシド間主鎖を形成すると言われる。RNAおよびDNAの通常の結合または主鎖は、3=-5=ホスホジエステル結合である。
【0034】
さらに、本開示のアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩は、一本鎖または二本鎖(dsRNA分子など)であってもよい。
【0035】
本明細書で使用される用語「非経口投与(parenteral administration)」および「非経口的に投与される(administered parenterally)」は、通常注射による、経腸および局所投与以外の投与様式を意味し、通常注射によるものであり、限定されないが、静脈内、筋肉内.動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、眼内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内および胸骨内注射および点滴を含む。
【0036】
用語「ペプチド(peptide)」は、少なくとも2つのアミノ酸をアミド結合で結合することによって形成される分子を意味する。限定されないが、本明細書で使用される場合、ペプチドはポリペプチドおよびタンパク質を指す。本開示において使用するためのペプチドは、5アミノ酸~500アミノ酸、10アミノ酸~400アミノ酸、10アミノ酸~300アミノ酸、10アミノ酸~200アミノ酸、10アミノ酸~100アミノ酸、10アミノ酸~90アミノ酸、10アミノ酸~80アミノ酸、10アミノ酸~70アミノ酸、10アミノ酸~60アミノ酸、10アミノ酸~50アミノ酸または10アミノ酸~40アミノ酸の長さを有する可能性がある。「ペプチドミメティック(peptidomimetic)」は、アミド結合または他の結合、例えば、エステル、エーテルなどによって結合されたDおよびL異性体およびアミノ酸類似体を含む非天然または合成アミノ酸を含むペプチドの種類である。「ペプチドミメティック(peptidomimetic)」はまた、例えばアプタマーを含む、ペプチドに明らかに類似してはいない有機分子も含む。
【0037】
本明細書において、「薬学的に許容される(pharmaceutically acceptable)」という用語は、正当な医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴わず、ヒトおよび動物の組織と接触して使用するのに適している、妥当な利益/リスク比に見合った化合物、材料、組成物、および/または剤形を指すものとして用いられる。
【0038】
本明細書で使用する「薬学的に許容される担体(pharmaceutically acceptable carrier)」という用語は、対象化合物をある器官または体の一部から別の器官または体の一部へ運ぶ、または輸送することに関与する、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒封入材料などの薬学的に許容できる材料、組成物または溶媒を意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合し、患者に有害でないという意味で、「許容できる(acceptable)」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能することが可能な材料の例としては、以下のものが挙げられる:(1)ラクトース、グルコース、およびスクロースなどの糖;(2)コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;(3)セルロース、ならびにカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなどのその誘導体;(4)トラガカント粉末;(5)麦芽;(6)ゼラチン;(7)タルク;(8)ココアバターおよび坐剤ワックスなどの賦形剤;(9)ピーナッツ油、綿実油、サフラワー油、ごま油、オリーブ油、コーン油および大豆油などの油;(10)プロピレングリコールなどのグリコール;(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール、およびポリエチレングリコールなどのポリオール;(12)オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなどのエステル;(13)寒天;(14)水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;(15)アルギン酸;(16)ピロゲンフリー水;(17)等張食塩水;(18)リンガー液;(19)エチルアルコール;(20)pH緩衝液;(21)ポリエステル、ポリカーボネートおよび/またはポリ酸無水物;ならびに(22)医薬製剤に用いられる他の非毒性の適合物質。
【0039】
用語「薬学的に許容される塩(pharmaceutically acceptable salts)」は、小分子およびアンチセンスオリゴヌクレオチドなどのオリゴヌクレオチドを含む化合物の比較的無毒な、無機および有機塩を意味する。
【0040】
「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」、「予防(prevention)」、「予防的治療(prophylactic treatment)」などの用語は、疾患、障害、または状態を有してはいないが、疾患、障害、または状態を発症するリスクがあるまたは発症しやすい被験体において、疾患、障害、または状態を発症する確率を低減することを指す。
【0041】
「被験体(subject)」は、既存の疾患、障害、状態の治療、または疾患、障害、もしくは状態の発症を予防するための予防治療などの医療目的のヒト被験体、または医療目的、獣医学的目的、もしくは開発目的の動物被験体を含む可能性がある。適切な動物被験体としては、霊長類、例えば、ヒト、サル、類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、マカクなど;ウシ類、例えば、畜牛、雄牛など;ヒツジ類、例えば、羊など;ヤギ類、例えば、山羊など;ブタ類、例えば、豚、雄豚など;ウマ類、例えば、馬、ロバ、シマウマなど;野生猫および家猫を含むネコ科;犬を含むイヌ科;家ウサギ、ノウサギなどを含むウサギ類;およびマウス、ラット、モルモットなどを含むげっ歯類を含むがこれらに限定されない、哺乳類が含まれる。動物は、遺伝子導入動物であってもよい。いくつかの実施形態においては、被験体は、胎児、新生児、乳児、若年、および成人の被験体を含むがこれらに限定されない、ヒトである。さらに、「被験体」は、疾患、障害、または状態に罹患している、または罹患している疑いのある患者を含む可能性がある。したがって、「被験体(subject)」および「患者(patient)」という用語は、本明細書において互換的に使用される。被験体はまた、動物疾患モデル(例えば、実験に使用されるラットまたはマウスなど)も含む。
【0042】
「有する疑いのある被験体(subject suspected of having)」という用語は、疾患または状態の1つまたは複数の臨床指標を示す被験体を意味する。特定の実施形態において、疾患または状態は、神経変性疾患である。
【0043】
「それを必要とする被験体(subject in need thereof)」という用語は、療法または治療を必要とするものとして特定された被験体を意味する。
【0044】
用語「全身投与(systemic administration)」、「全身投与される(administered systemically)」、「末梢投与(peripheral administration)」、および「末梢投与される(administered peripherally)」は、患者の体に入り、したがって代謝および他の同様のプロセスの対象となるような、中枢神経系への直接以外の化合物、薬剤または他の物質の投与、例えば、皮下投与を意味する。
【0045】
本明細書で互換的に使用される用語「治療上有効量(therapeutically effective amount)」または「有効量(effective amount)」は、所望の効果、例えば、疾患、状態、または障害(例えば、神経変性疾患など、神経細胞または細胞機能の喪失に関連する疾患、状態、または障害)またはその1つもしくは複数の症状の、重症度、期間、進行または発症を低減または改善すること、疾患、状態、または障害の進行を予防すること、疾患、状態、または障害の退行を起こすこと、疾患、状態、または障害に伴う症状の再発、進展、発症、または進行を予防すること、または別の療法の予防または治療効果を促進または改善すること、をもたらすのに十分な量を指す。
【0046】
いくつかの態様において、化合物(CHMP7阻害剤など)の有効量または治療上有効量は、その治療指数、溶解度などに依存する。例えば、本開示の方法によって発見された特定の化合物は、そのような治療に適用可能な妥当な利益/リスク比をもたらすのに十分な量で投与され得る。例として、CHMP7阻害剤は、そのような治療に適用可能な妥当な利益/リスク比をもたらすのに十分な量で投与され得る。
【0047】
いくつかの他の態様において、本開示によるCHMP7阻害剤(例えば、CHMP7アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/またはsiRNAなど)の有効量または治療上有効量は、例えば、約0.001mg/kg~約1000mg/kg、または特定の実施形態においては約0.01mg/kg~約100mg/kg、または特定の実施形態においては約0.1mg/kg~約50mg/kgの範囲にわたることがあり得る。有効用量もまた、当業者によって認識されるように、治療される障害、投与経路、賦形剤の使用、被験体の年齢および性別、ならびに他の薬剤の使用などの他の治療的処置との共用の可能性に依存して変化するであろう。
【0048】
用語「治療効果(therapeutic effect)」は、例えばCHMP7阻害剤のような薬理学的に活性な物質によって引き起こされる、動物、特に哺乳類、より特にヒトにおける局所的または全身的効果を指す。したがって、この用語は、ヒトなどの動物における疾患の診断、治癒、緩和、治療もしくは予防、または望ましい身体的もしくは精神的発達および状態の促進における使用を意図した任意の物質(例えば、CHMP7阻害剤など)を意味する。
【0049】
被験体における疾患を「治療する(treating)」または疾患を有する被験体を「治療する(treating)」という用語は、疾患の少なくとも一つの症状を減少させる、または悪化を予防するように、被験体を医薬治療、例えば、薬剤の投与に供することを指す。
【0050】
以下の例は、本開示の主題の代表的な実施形態を実践するためのガイダンスを当業者に提供するために含まれたものである。本開示および当業者の一般的なレベルに照らして、当業者は、以下の実施例が例示的であることのみを意図しており、本開示の主題の範囲から逸脱することなく多数の変更、修正および改変を採用し得ることを理解することができる。以下に続く総合的な記載および具体例は、例示の目的のみを意図しており、他の方法によって本開示の化合物を製造することを、いかなる方法でも制限するものとして解釈されることはない。
【0051】
2.スクリーニング方法
【0052】
一実施形態において、本開示は、以下の化合物をスクリーニングするための方法に関する:(a)CHMP7(CHMP7タンパク質、CHMP7 DNA、CHMP7 cDNA、CHMP7 RNAなど)に一定の結合親和性で結合する化合物;(b)CHMP7の重合を阻害する化合物;(c)CHMP7の核内蓄積を阻害する化合物;および/または(d)少なくとも1つの細胞または細胞の集団、例えば、少なくとも1つの神経細胞もしくは神経細胞の集団またはアストロサイト、オリゴデンドログリア、もしくはミクログリアなどの他の神経系細胞の集団においてCHMP7の発現を低減または阻害する化合物。本明細書に記載の方法に従ってスクリーニングおよび選択することが可能な化合物は、小分子もしくはその薬学的に許容される塩、抗体(モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体など)、もしくはその抗原結合断片、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはその薬学的に許容される塩など)、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ペプチド、ペプチドミメティックまたはそれらの任意の組み合わせの、少なくとも一つである。
【0053】
1つの態様において、スクリーニング方法は、CHMP7に対する化合物の結合を測定することを含む。この方法では、試験する化合物をCHMP7(CHMP7タンパク質またはその断片、CHMP7 DNA、CHMP7 cDNA、CHMP7 RNAなど)と接触させ、当技術分野において既知の慣行技術を使用して、結合(またはその欠如)を測定する。化合物は、CHMP7に対して特定の結合親和性を有する場合、CHMP7(CHMP7タンパク質またはその断片、CHMP7 DNA、CHMP7 cDNA、CHMP7 RNAなど)に結合する化合物として同定(および選択)され得る。いくつかの態様において、化合物は、CHMP7(CHMP7タンパク質、CHMP7 DNA、CHMP7 cDNA、CHMP7 RNAなど)に特異的に結合する化合物として同定され得る。例えば、CHMP7に結合する化合物は、マイクロモル範囲、または、好ましくは100nM~1pMの範囲の解離定数(Kd)を有し得る。前述のように、CHMP7に対する化合物の結合は、例えば、Biacore、ケモプロテオミクス、マイクロスケール熱泳動、または当該技術分野において既知の任意の他の技術もしくは技術の組み合わせなど、当該技術分野における慣行技術を使用して測定することができる。
【0054】
別の態様において、スクリーニング方法は、CHMP7を発現する少なくとも1つの細胞または細胞の集団(例えば、神経細胞または神経細胞の集団)と化合物を接触させ、化合物が細胞または細胞の集団におけるCHMP7の発現を低減または阻害するか否か判定することを含む。試験化合物の存在下および非存在下におけるCHMP7の発現は、例えば、(q)PCR、ウェスタンブロット、質量分析法、または当該技術分野において既知の任意の他の技術もしくは技術の組み合わせなど、当該技術分野における慣行技術を使用して測定することができる。CHMP7を低減または阻害する化合物は、さらなる試験および本明細書に記載の他の方法における使用のために選択することができる。
【0055】
本明細書に記載のスクリーニング方法は、試験される化合物をコントロールと比較するステップを追加で含んでもよい。前記コントロールは、不活性試験化合物であってもよく、前記不活性試験化合物は、(a)CHMP7の発現および/もしくは活性を低減しない;ならびに/または(b)CHMP7に結合しない化合物である。
【0056】
別の態様において、細胞または細胞の集団(例えば、神経細胞または神経細胞の集団)におけるCHMP7の発現を低減する化合物が、神経変性疾患を予防、改善および/または阻害する(すなわち、治療する)化合物として同定される(そして、選択される可能性がある)。別の態様では、CHMP7の活性を低減する化合物が、神経変性疾患を予防、改善および/または阻害する(すなわち、治療する)化合物として同定される(そして、選択される可能性がある)。
【0057】
上記のスクリーニング方法によって、神経変性疾患を予防、改善および/または阻害する化合物を同定することが可能になる。そのような化合物を選択および使用して、神経変性疾患を改善および/または阻害する(すなわち、治療する)ことができる。したがって、本明細書で提供されるスクリーニング方法は、神経変性疾患を治療するための化合物を同定および選択するのに有用である。
【0058】
3.CHMP7阻害剤およびCHMP7阻害剤を含む医薬組成物
【0059】
別の実施形態において、本開示は、少なくとも1つのCHMP7阻害剤に関する。CHMP7阻害剤は、CHMP7(CHMP7タンパク質、CHMP7 DNA、CHMP7 cDNA、CHMP7 RNAなど)に一定の結合親和性で結合する化合物;および/または(b)少なくとも一つの細胞または細胞の集団におけるCHMP7(CHMP7タンパク質、CHMP7 DNA、CHMP7 cDNA、CHMP7 RNAなど)発現を低減または阻害する化合物とすることができる。そのような化合物は、本明細書の節2.において同定および選択された化合物を含む可能性がある。別の態様において、CHMP7阻害剤は、当技術分野において既知のCHMP7阻害剤である。
【0060】
CHMP7阻害剤は、小分子もしくはその薬学的に許容される塩、抗体(モノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体など)もしくはその抗原結合断片、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチドもしくはその薬学的に許容される塩など)、短鎖干渉RNA(siRNA)、マイクロRNA(miRNA)、ペプチド、ペプチドミメティック、またはそれらの任意の組み合わせのうち、少なくとも1つとすることができる。一態様において、CHMP7阻害剤は、小分子またはその薬学的に許容される塩である。別の態様においては、CHMP7阻害剤は、抗体またはその抗原結合断片である。さらに別の態様においては、CHMP7阻害剤はオリゴヌクレオチドである。さらに別の態様においては、CHMP7阻害剤はアンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩である。また別の態様では、CHMP7阻害剤はsiRNAである。また別の態様においては、CHMP7阻害剤は、短鎖干渉RNAである。また別の態様においては、CHMP7阻害剤は、マイクロRNAである。さらなる態様においては、CHMP7阻害剤はペプチドである。またさらなる態様においては、CHMP7阻害剤は、ペプチドミメティックである。いくつかの態様においては、CHMP7阻害剤はオリゴヌクレオチドである。別の態様においては、CHMP7阻害剤は、アンチセンスオリゴヌクレオチドまたはその薬学的に許容される塩である。CHMP7阻害剤であり、本明細書に記載の方法で使用可能なアンチセンスオリゴヌクレオチドの例としては、Coyne et al., “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS,” Science Translational Medicine, Vol.13, No.604 (2021)に記載のものが含まれ、以下の1つまたは複数が含まれる:CCTATAGGACTATCCAGGAA(SEQ ID NO:2)、GAAAACGGTTTCCACTGTAT(SEQ ID NO:3)、TGTTACCCTCAGATACCGCC(SEQ ID NO:4)、ATGTGATGCTATTAATAGGA(SEQ ID NO:14)およびその任意の組み合わせ。
【0061】
いくつかの態様において、CHMP7阻害剤は、siRNAである。CHMP7阻害剤であるsiRNA配列の例には、以下の1つまたは複数が含まれる:
【0062】
siRNA:CGACCUUGGUAAACGGAAA(SEQ ID NO:22)
【0063】
siRNA:GGGUUUAUCCUGUCGCUAA(SEQ ID NO:23)
【0064】
siRNA:GGAGGUGUAUCGUCUGUAU(SEQ ID NO:24)
【0065】
siRNA:GUAACAAAUGGCUUAGAUU(SEQ ID NO:25)
【0066】
別の態様において、本開示は、1つまたは複数の薬学的に許容される担体(添加剤)および/または希釈剤とともに処方された、上記の1つまたは複数のそのようなCHMP7阻害剤(例えば、活性剤または第1の活性剤)の治療上有効量を含む、薬学的に許容できる組成物を提供する。
【0067】
以下に詳細に記載するように、本開示の医薬組成物は、以下のために適合されたものを含む、固体または液体形態での投与のために特別に処方され得る:(1)経口投与、例えば、水薬(水性または非水性溶液または懸濁液)、錠剤、例えば、錠剤、例えば、頬、舌下、全身吸収を目的としたもの、ボーラス、粉末、顆粒、舌に塗布するためのペーストなど;(2)非経口投与、例えば、無菌溶液もしくは懸濁液、または徐放性製剤として、皮下、筋肉内、静脈内、髄腔内、または硬膜外注射により投与される;(3)局所塗布、例えば、クリーム、軟膏、または皮膚に適用される制御放出パッチもしくはスプレーとして;(4)膣内または直腸内、例えば、ペッサリー、クリームまたはフォームとして;(5)舌下;(6)眼内;(7)経皮;または(8)経鼻。
【0068】
湿潤剤、乳化剤および潤滑剤、例えばラウリル硫酸ナトリウムおよびステアリン酸マグネシウム、ならびに着色剤、放出剤、コーティング剤、甘味料、調味料および香料、保存剤および酸化防止剤も組成物中に存在することができる。
【0069】
薬学的に許容される酸化防止剤の例としては、以下のものが挙げられる:(1)水溶性酸化防止剤、例えばアスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど;(2)油溶性酸化防止剤、例えばパルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、アルファトコフェロールなど;および(3)金属キレート剤、例えば、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ソルビトール、酒石酸、リン酸など。
【0070】
CHMP7阻害剤組成物は、経口、鼻腔、局所(頬、舌下を含む)、直腸、膣および/または非経口投与に適したものを含む。製剤は、単位用量剤形で好都合に提示され得、薬学の技術分野において周知の任意の方法によって調製され得る。担体材料と組み合わせて単一用量剤形を製造することが可能なCHMP7阻害剤の量は、治療される宿主および特定の投与様式に依存して変化する。担体材料と組み合わせて単一用量剤形を製造することが可能なCHMP7阻害剤の量は、一般に、治療効果をもたらす化合物の量である。
【0071】
特定の実施形態においては、CHMP7阻害剤組成物の製剤は、より高い安定性、in vivoでの異なる放出特性、特定の部位への標的化、または被験体もしくは被験体内の標的への複合体のより効果的な送達を可能にする任意の他の所望の特性を可能にするため、例えば、限定されないが、リポソーム、ミクロスフェア、ナノスフィア、ナノ粒子、泡、ミセル形成剤、例えば胆汁酸、およびポリマー担体、例えば、ポリエステルおよびポリ酸無水物などの他の担体を含む可能性がある。特定の実施形態において、前述の組成物は、本開示のCHMP7阻害剤を経口的に生体利用可能にする。
【0072】
CHMP7阻害剤組成物の液体剤形は、薬学的に許容されるエマルション、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシル剤を含む。活性成分に加えて、液体剤形は、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤など、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル.ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ひまし油、およびごま油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ソルビタンのポリエチレングリコールおよび脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物などの、当該技術分野で一般的に使用される不活性な希釈剤を含み得る。
【0073】
不活性な希釈剤の他に、経口組成物は、湿潤剤、乳化剤および懸濁剤、甘味剤、調味料、着色剤、香料および保存剤などの補助剤も含む可能性がある。
【0074】
活性化合物に加えて、懸濁液は、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにそれらの混合物として、懸濁剤を含んでもよい。
【0075】
経口投与に適した製剤は、カプセル、カシェ、ピル、錠剤、トローチ(味付けされた基材、通常はスクロースおよびアカシアまたはトラガカントを使用)、粉末、顆粒、または水性もしくは非水性液体中の溶液もしくは懸濁液、または水中油型もしくは油中水型の液体エマルジョン、またはエリキシル剤もしくはシロップ、またはパスティーユ(ゼラチンおよびグリセリン、スクロースおよびアカシアなどの不活性基材を使用)、マウスウォッシュなどの形態であってよく、それぞれ所定量の活性成分を含む。本開示のCHMP7阻害剤組成物はまた、ボーラス、舐剤またはペーストとして投与され得る。
【0076】
固体剤形(例えば、カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒など)において、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの1つまたは複数の薬学的に許容される担体、および/または以下のいずれかと混合される:(1)例えば、デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;(2)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなどの結合剤;(3)グリセロールなどの保湿剤;(4)寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、および炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;(5)パラフィンなどの溶解遅延剤;(6)第4級アンモニウム化合物などの吸収促進剤;(7)例えば、セチルアルコール、グリセロールモノステアレート、および非イオン性界面活性剤などの湿潤剤;(8)カオリンおよびベントナイトクレーなどの吸着剤;(9)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、およびこれらの混合物などの潤滑剤;ならびに(10)着色剤。カプセル、錠剤およびピルの場合、組成物はまた、緩衝剤を含んでもよい。また、同様の種類の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖、ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて、軟殻および硬殻ゼラチンカプセルの充填材として採用することができる。
【0077】
錠剤は、加圧または成形により、任意に1つまたは複数の副成分を用いて製造することができる。加圧錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、潤滑剤、不活性希釈剤、保存剤、崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、表面活性剤または分散剤を使用して調製することができる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を適切な機械で成形することにより製造することができる。
【0078】
錠剤、および糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒などの他の固体剤形は、任意に、腸溶性コーティングおよび医薬製剤技術において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルにより、得るまたは調製することができる。また、例えば、比率を変えたヒドロキシプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフェアを使用して、その中の活性成分が徐放または制御放出されるように処方され、所望の放出特性を提供してもよい。組成物はまた、迅速な放出のために処方され、例えば、凍結乾燥され得る。これらは、例えば、細菌捕捉フィルターによる濾過、または使用直前に滅菌水または他の滅菌注射媒体に溶解することが可能な滅菌固体組成物の形態で滅菌剤を組み込むことによって滅菌され得る。これらの組成物は、任意に乳白剤を含んでもよく、消化管の特定の部分においてのみ、または優先的に、任意に遅延して、有効成分を放出する組成であってもよい。使用可能な包埋組成物の例としては、高分子物質およびワックスなどが挙げられる。活性成分はまた、適切であれば、1つまたは複数の上記の賦形剤と共にマイクロカプセル化された形態とすることができる。
【0079】
直腸または膣投与のための製剤は、坐剤として提示することができ、これは、本開示の1つまたは複数の化合物を、例えばココアバター、ポリエチレングリコール、坐剤ワックスまたはサリチル酸塩を含む1つまたは複数の適切な非刺激性賦形剤または担体と混合することによって調製することができ、室温では固体であるが体温では液体であるため、直腸または膣内で溶けて活性化合物を放出する。
【0080】
膣投与に適した製剤には、当技術分野で適切であることが知られている担体を含むペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレー製剤も含まれる。
【0081】
本開示のCHMP7阻害剤組成物の局所的または経皮的投与のための剤形には、粉末、スプレー、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が含まれる。活性化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容される担体、および必要とされ得る任意の保存剤、緩衝剤、または噴霧剤と混合することができる。
【0082】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、本開示の活性化合物に加えて、動物性および植物性の脂肪、油、ワックス、パラフィン、デンプン、トラガカント、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはこれらの混合物などの賦形剤を含んでもよい。
【0083】
粉末およびスプレーは、ラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物などの賦形剤を含むことができる。スプレーは、さらに、クロロフルオロ炭化水素、ならびにブタンおよびプロパンなどの揮発性非置換炭化水素などの慣用噴霧剤を含むことができる。
【0084】
経皮パッチは、身体への送達が制御されるという追加の利点を有する。このような剤形は、化合物を適切な媒体に溶解または分散させることによって作ることができる。また、吸収促進剤を使用して、皮膚を通過する化合物の流入を増加させることもできる。このような流入の速度は、速度制御膜を設けるか、またはポリマーマトリックスまたはゲルに化合物を分散させることによって制御することができる。
【0085】
点眼用製剤、眼軟膏、粉末、溶液なども、本開示の範囲内にあるものとして企図される。
【0086】
非経口投与に適した医薬組成物は、滅菌等張水性もしくは非水性溶液、分散液、懸濁液またはエマルション、または使用直前に滅菌注射溶液もしくは分散液で戻すことができる滅菌粉末を含むことが可能であり、これらは糖、アルコール、酸化防止剤、緩衝液、静菌剤、製剤を対象とする受容者の血液と等張にする溶質、または懸濁剤もしくは増粘剤を含み得る。
【0087】
本開示の医薬組成物に採用され得る適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびそれらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブオイル、および注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルなどが挙げられる。適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティング材料の使用、分散液の場合は必要な粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。
【0088】
特定の実施形態において、上記の医薬組成物は、本明細書に提供される方法および組成物に従って、当該技術分野において既知の他の薬理学的に活性な化合物(「第2の活性剤」)と組み合わせることができる。第2の活性剤は、大型分子(例えば、タンパク質)または小分子(例えば、合成無機分子、有機金属分子、もしくは有機分子)とすることができる。一実施形態においては、第2の活性剤は、独立して、または相乗的に、がんを治療するのに役立つ。CHMP7阻害とは独立したメカニズムを有する第2の活性剤の例としては、免疫療法、ホルモン療法、放射線療法、HER2/neu受容体拮抗薬、ビンクリスチン、シクロホスファミド、シタラビン、エトポシド、および/またはドキサルビシンの1つまたは複数が挙げられる。
【0089】
4.CHMP7の発現を阻害する方法
【0090】
別の実施形態において、本開示は、その治療を必要とする被験体において、神経細胞または神経細胞の集団などの細胞または細胞の集団におけるCHMP7発現を阻害する方法に関する。一態様においては、該方法は、有効量もしくは治療上有効量の少なくとも1つのCHMP7阻害剤を細胞または細胞の集団に投与し、または有効量もしくは治療上有効量の少なくとも1つのCHMP7阻害剤を含む組成物を、治療を必要とする被験体に投与し、その後、例えば(q)PCR、ウェスタンブロット、質量分光法または当該分野において既知の任意の他の技術もしくは技術の組み合わせなどの、当該分野において既知の慣行技術を使用して、CHMP7発現の阻害を判定、検出および/または測定することを含む。いくつかの態様においては、被験体は、少なくとも1つの神経変性疾患に罹患している。
【0091】
前記方法において使用される、有効量もしくは治療上有効量のCHMP7阻害剤(例えば、CHMP7アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/またはsiRNAなど)、または有効量もしくは治療上有効量のCHMP7阻害剤を含む組成物は、約0.001mg/kg~約1000mg/kg、または特定の実施形態においては約0.01mg/kg~約100mg/kg、または特定の実施形態においては約0.1mg/kg~約50mg/kgの範囲にわたることができる。
【0092】
本明細書の方法で使用される、有効量もしくは治療上有効量のCHMP7阻害剤(例えば、CHMP7アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/またはsiRNAなど)、または有効量もしくは治療上有効量のCHMP7阻害剤を含む組成物は、当該分野において既知の慣行技術を使用して、経口、非経口、局所、膣内もしくは直腸内、舌下、眼内、経皮または経鼻投与することができる。
【0093】
4.神経変性疾患を治療する方法
【0094】
別の実施形態においては、本開示は、その治療を必要とする被験体において、少なくとも1つの神経変性疾患を治療する方法に関する。一態様においては、この方法は、少なくとも1つの神経変性疾患に罹患している、または罹患していると考えられる(およびその治療を必要としている)被験体に、有効量もしくは治療上有効量の少なくとも1つのCHMP7阻害剤、または有効量もしくは治療上有効量の少なくとも1つのCHMP7阻害剤を含む組成物を投与して、神経変性疾患を治療することを含む。本明細書に記載の方法に従って、任意の神経変性疾患を治療することができる。いくつかの態様においては、神経変性疾患は、筋萎縮性側索硬化症(ルー・ゲーリッグ病)である。他の態様においては、神経変性疾患は、ハンチントン病である。別の態様においては、神経変性疾患は、アルツハイマー病である。別の態様においては、神経変性疾患は、パーキンソン病である。さらに別の態様においては、神経変性疾患は、レビー小体型認知症である。またさらに別の態様においては、神経変性疾患は、多発性硬化症である。またさらに別の態様においては、神経変性疾患は、前頭側頭型変性症(FTD)である。
【0095】
前記方法において使用される、有効量もしくは治療有効量のCHMP7阻害剤(例えば、CHMP7アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/またはsiRNAなど)、または有効量もしくは治療有効量のCHMP7阻害剤を含む組成物は、約0.001mg/kg~約1000mg/kg、または特定の実施形態においては約0.01mg/kg~約100mg/kg、または特定の実施形態においては約0.1mg/kg~約50mg/kgの範囲にわたるものであり得る。
【0096】
本明細書の方法で使用される、有効量もしくは治療有効量のCHMP7阻害剤(例えば、CHMP7アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび/またはsiRNAなど)、または有効量もしくは治療上有効量のCHMP7阻害剤を含む組成物は、当該分野において既知の慣行技術を使用して、経口、非経口、局所、膣内もしくは直腸内、舌下、眼内、経皮または経鼻投与することができる。
【実施例
【0097】
(実施例1)
【0098】
{材料および方法}
【0099】
実施例2~7には、以下の材料および方法を使用した。
【0100】
[iPSC由来の神経細胞の分化]
C9orf72および非神経性コントロールiPSC株は、Cedars-SinaiのAnswer ALSリポジトリから入手した(人口統計については表Aを参照)。フィーダーフリーiPSCは、MTeSRを含むマトリゲル上で維持し、Cedars Sinai SOPに従って維持した。iPSCは、以前に記載された直接誘導運動ニューロン(diMN)プロトコル(6)を用いて脊髄ニューロンに分化した。すべての細胞は、37℃、5%COで維持した。iPSCおよびiPSNは、定期的にマイコプラズマについて陰性であることを確認した。
【0101】
【表1】

【0102】
[iPSC由来ニューロンのレプトマイシンBおよびASO処理]
レプトマイシンB:分化18日目に、10nMのレプトマイシンB(LMB、Cayman Chemicals)を培地に加え、iPSNをインキュベーターに戻して最大18時間置き、その後下流分析を行った。エタノールは、溶媒コントロールとして使用した。
【0103】
C9orf72反復ASO:センス鎖標的化G4C2 ASO(619251)(13)は、Ionis Pharmaceuticalsによって寛大に提供された。分化20日目に、5μMのセンス標的化ASOを培地に添加した。分化22日目に培地交換とASO交換を行い、分化25日目に下流分析を実施した。CHMP7 ASO:非標的化スクランブルコントロール(676630):CCTATAGGACTATCCAGGAA(SEQ ID NO:2)、CHMP7 ASO1(1508916):GAAAACGGTTTCCACTGTAT(SEQ ID NO:3)、CHMP7 ASO2(1508917):TGTTACCCTCAGATACCGCC(SEQ ID NO:4)、およびCHMP7 ASO3(1508918):ATGTGATGCTATTAATAGGA(SEQ ID NO:14)は、Ionis Pharmaceuticalsによって寛大に提供された。分化25日目に、ASOを図面の説明に示したように、1、5、または10μMの濃度で培地に添加した。分化40日目まで、3日ごとに培地を交換し、ASOを交換した。
【0104】
[核の単離]
【0105】
核は、iPSNならびに死後のヒト脳および脊髄組織から、Nuclei Pure Prep核単離キット(Sigma Aldrich)を用いて、以前に記載されたメーカーのプロトコルに従って単離した(13)。簡潔には、iPSNを1×PBSで洗浄し、DTTおよびTriton X-100を添加した付属の溶解バッファーを各ウェルに直接mL添加し、セルスクレーパーでiPSNを回収することによりiPSN溶解液を調製した。死後の脳および脊髄の溶解液は、150mgの新鮮な凍結組織を付属の溶解バッファーで直接、ダウンスホモジナイザーでホモジナイズして調製した。すべての溶解液を50mLコニカルチューブに移し、ボルテックスした。スクロース勾配は、メーカーのプロトコルに従って構築した。1.85Mのスクロース勾配を使用して、神経細胞核を濃縮した。サンプルは、Swi32TスイングバケットローターおよびBeckman超遠心機(Beckman Coulter)を用いて、15,600rpm、4℃で45分間遠心分離した。上清を捨て、残りの核ペレットを付属の核保存バッファー1mLに再懸濁し、核に残っているスクロースを洗浄した。再懸濁した核を、2500rpm、4℃で5分間遠心分離した。上清をもう一度捨て、得られた核ペレットを付属の核保存バッファー1mLでボルテックスし、下流の画像分析のために再懸濁した。ウェスタンブロットのために、洗浄した核を、以下に記載するようにRIPAバッファーで溶解させた。
【0106】
[超解像構造化照明顕微鏡法]
【0107】
核染色および超解像イメージングを、以前に記載されたように行った(6)。核の単離後、10~50μLの最終核/保存バッファー懸濁液を、CytoSpin 4遠心分離機(Thermo Fisher Scientific)を用いてコラーゲンコーティング(1mg/mL;Advanced Biomatrix)スライド上に遠心分離した。核を直ちに4%PFAで5分間固定し、1×PBSで3×10分間洗浄し、0.1%Triton X-100を含む1×PBSTで15分間透過処理した。その後、1×PBSで希釈した10%正常ヤギ血清で、室温で1時間核をブロックし、ブロック(1×PBS中の10%正常ヤギ血清)で希釈した一次抗体で、4℃で一晩インキュベートした(抗体情報については表Bを参照)。16~18時間後、核を1×PBSで3×10分間洗浄し、ブロック(1×PBS中の10%正常ヤギ血清)で希釈した二次抗体で、室温で1時間インキュベートした(抗体情報については表Bを参照)。核を1×PBSで3×10分間洗浄し、Prolong Gold Antifade試薬(Invitrogen)および18mm×18mm 1.5 high tolerance coverslips(MatTek)を用いてカバースリップした。NeuNまたはGFP陽性核(図面の説明を参照)は、顕微鏡のアイピースを介して同定した。NeuNまたはGFP陽性を確認するため、ワイドフィールドイメージングにより厚さ最大110nmの単一のz切片を取得した。免疫染色したNupまたはESCRT-IIIタンパク質は、その後、Zeiss ELYRA S1を用いた超解像構造化照明顕微鏡(SIM)によって画像化した。各画像について、5グリッド回転と最適なzセクショニングパラメータを採用した。画像取得後、Zeiss Zen Black 2.3 SP1ソフトウェアでデフォルトのSIM処理パラメータを使用してSIM画像を再構築した。Imarisバージョン9.2.0(Bitplane)およびFIJIバージョン1.52pの3Dスイートプラグインを使用して、自動ヌクレオポリンスポットおよび体積分析を、以前に記載されたように行った(6、26)。ヌクレオポリンスポットは、自動スポット検出を使用してカウントした。体積、平均強度、およびコントラストの特徴を考慮したベイズ分類器を適用して、個々のスポットを検出し分割した。各核の全深度を含む分割されたSIM画像の3Dレンダリングにより、ヌクレオポリンスポットの総数が決定された。
【0108】
免疫蛍光SIMの解像度の限界のために個々のヌクレオポリンスポットが解像できなかった場合、ヌクレオポリンが占める全核体積の割合を算出した。全核体積を算出するために、各核について中央のzスライスにおけるX軸とY軸の長さを測定し、Z軸の長さは取得した画像の全z深さから推定した。ヌクレオポリン体積を算出するために、画像スタックを自動閾値処理し、FIJIの3Dスイートプラグインの自動閾値処理を使用して、各核の閾値領域の体積を決定した。代表的な画像は、Zeiss Zen Black 2.3 SP1で生成した3D最大強度投影として提示した。画像は、コントラストおよび表示のためにフェイクで緑色に着色した。
【0109】
[ヒト組織免疫蛍光法]
【0110】
非神経性コントロール、ならびにC9orf72患者の死後パラフィン包埋運動および後頭部皮質切片は、Target ALS Human Postmortem Tissue Coreを通じて入手した(人口統計情報については表Cを参照)。
【0111】
【表2】

【0112】
組織切片を、キシレン3×5分間、100%エタノール2×5分間、90%エタノール5分間、70%エタノール5分間、最後にdH2Oで3×5分間、徐々に再水和した。Tissue-Tek抗原回収溶液(IHC World)を用いて、スチーマーで1時間抗原回収を実施した。スライドを10分間冷却し、dH2Oで3×5分間、1×PBSで2×5分間洗浄し、1×PBSで希釈した0.4%Triton X-100を用いて10分間シェーカー上で透過処理を行った。その後、スライドを1×PBSで3×5分間洗浄し、DAKOプロテインフリー血清ブロック(DAKO)で4℃にて一晩ブロックした。組織切片を、バックグラウンド低減成分を含むDAKO抗体希釈試薬で希釈した一次抗体(抗体情報については表Bを参照)と共に、4℃で合計2晩インキュベートした。2晩のインキュベーションの間に、スライドを一次抗体とともに、室温で穏やかに攪拌しながら10時間インキュベートした。一次抗体の後、組織切片を1×PBSで3×5分間洗浄し、その後バックグラウンド低減成分を含むDAKO抗体希釈試薬(DAKO)で希釈した二次抗体(抗体情報については表Bを参照)と共に、室温で穏やかに攪拌しながら1時間インキュベートした。
【0113】
【表3】
【0114】
次に、スライドを1×PBSで3×5分間洗浄し、2-3滴の自家蛍光除去試薬(Millipore)でかるくすすぎ、1×PBSで5×5分間さらに洗浄して細片を除去した。組織切片を1×PBSで1:1000に希釈したHoeschtで20分間染色し、1×PBSで3×5分間洗浄した。スライドを、DAPIを含むProlong Gold Antifade試薬を用いてカバースリップし、Map2陽性Layer Vニューロンからの核を、20×対物レンズおよびアポトーム2モジュールを備えたZeiss Axioimager Z2蛍光顕微鏡を用いて画像化した。
【0115】
CHMP7核/細胞質比は、FIJIを使用して定量化した。簡潔には、可視核を有する焦点のニューロンを、Map2陽性およびHoeschtシグナルによって同定した。小さなピクセルボックスを使用してCHMP7チャンネルの蛍光強度を測定した。各細胞区画(核と細胞質)から2つの積分密度測定を行い、その平均値をその後の分析に使用した。細胞のない領域でバックグラウンド蛍光強度平均を5回測定し、その平均値を分析に使用した。核および細胞質の強度は、以下のように算出した:強度=積分密度-(バックグラウンド強度平均細胞内の測定領域)。核/細胞質CHMP7比は、各細胞について、得られた核強度を細胞質強度で割ることにより算出した。画像は、Zeiss Zen Blue 2.3で生成されたデフォルトのアポトーム処理画像として提示した。
【0116】
[免疫沈降法]
【0117】
XPO1:抗体をビーズに結合させるため、50μLのMagnetic Dynabeads Protein Gを1×PBST(0.02%Tween-20)ですすぎ、平衡化した。PBST洗浄液をビーズから除去して捨てた。次に、ビーズを、1×PBSTで希釈(最終容量200μL)した10μgのマウス抗XPO1抗体(Santa Cruz Biotechnology)またはマウスIgGアイソタイプコントロール(Thermo Fisher Scientific)抗体とともに、転倒回転させながら室温で10分間インキュベートした。上清を捨て、抗体結合ビーズを200μLの1×PBSTで洗浄した。その後、抗体結合ビーズを200μLの結合バッファー(20mM NaPO、0.15M NaCl、pH7.0)で2回洗浄した。その後、結合バッファーで希釈した250μLの5mM BS3(Thermo Fisher Scientific)で、転倒回転させながら30分間室温でインキュベートすることにより、抗体を磁気ダイナビーズに結合させた。カップリング反応は、12.5μLの1M Tris HCl pH7.5を加えて、転倒回転させながら室温で15分間インキュベートさせることによってクエンチした。抗体結合ビーズをIPバッファー(IP溶解バッファー(Thermo Fisher Scientific)、1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)、0.4U/μL RNasin Plus(Promega))で3回洗浄した。
【0118】
核は、上記のようにiPSNから単離した。得られた核ペレットを、30~45秒間ボルテックスすることにより、1mLのIPバッファーに溶解させた。核溶解液を、2500rpm、4℃で10分間遠心分離し、細片を除去した。遠心分離後、上清を清潔なエッペンドルフチューブに移した。上清の25μLを25μLの2×レムリバッファー(Biorad)に加え、タンパク質インプットとして確保し、さらに25μLの上清をRNAインプットとして氷上に確保した。残りの溶解液は、IgGおよびXPO1抗体結合ビーズチューブに均等に分けた。溶解液は、ビーズともに転倒回転させながら4℃で2時間インキュベートした。未結合の上清を捨て、4℃で転倒回転させながら、免疫沈降複合体を200μLのIPバッファーで3×5分間洗浄した。ビーズ-IP複合体を200μLのIPバッファーに再懸濁した。各ビーズ-IP複合体サンプルの100μLをRNA分析用に確保した。残りの100μLについては、上清を捨て、50μLの1×レムリバッファーをビーズ-IP複合体に添加した。すべてのRNAサンプル(インプットを含む)を500μLのRLTバッファー(QIAGEN)に加え、RNA単離、cDNA合成、およびqRT-PCRを以下に記載するように実施した。タンパク質サンプルは、以下に記載するようにウェスタンブロットで分析した。各サンプルの等量(10μL)をアクリルアミドゲルにロードした。
【0119】
NXF1:NXF1免疫沈降は、抗体-ビーズ結合を行わず、上記のように実施した。ウサギ抗NXF1(Abcam)およびウサギIgGアイソタイプコントロール(Thermo Fisher Scientific)抗体を使用した。
【0120】
[核/細胞質分画]
【0121】
iPSNを1×PBSで洗浄し、核/細胞質分画をNE-PER核および細胞質抽出キット(Thermo Fisher Scientific)を用いてメーカーのプロトコルに従って実施した。C2バッファーの添加後、25μLのサンプルを25μLの2×レムリバッファー(Biorad)に添加し、タンパク質インプットとして確保した。さらに25μLをRNAインプットとして氷上に確保した。得られた核および細胞質画分それぞれから、タンパク質分析のために25μLのサンプルを25μLの2×レムリバッファーに添加した。さらに25μLをRNA分析のために500μLのRLTバッファー(QIAGEN)に添加した。各画分の残りは、-80℃で保存した。分画の完了時に、500μLのRLTバッファーをRNAインプットサンプルに添加した。RNA単離、cDNA合成、およびqRT-PCRは、以下に記載するように実施した。ウェスタンブロット分析は、以下に記載するように行った。各サンプルの等量(10μL)をアクリルアミドゲルにロードした。
【0122】
[qRT-PCR]
【0123】
免疫沈降複合体または核および細胞質細胞画分からのRNAを、メーカーのプロトコルに従ってRNeasyキット(QIAGEN)を用いて単離した。RNA濃度は、NanoDrop1000分光光度計(Thermo Fisher Scientific)を用いて決定した。免疫沈降複合体または核および細胞質細胞画分からのmRNA転写物の検出のために、1μgのRNAをランダムヘキサマーおよびSuperscript IV第一鎖cDNA合成キット(Thermo Fisher Scientific)を用いたcDNA合成に使用した。qRT-PCR反応は、TaqMan遺伝子発現マスターミックス(Thermo Fisher Scientific)、Applied Biosystems Step One PlusリアルタイムPCR機(Thermo Fisher Scientific)、およびTaqMan遺伝子発現アッセイ(表Dを参照、Thermo Fisher Scientific)を使用して行った。
【0124】
【表4】

【0125】
免疫沈降複合体または核および細胞質細胞画分からのC9orf72 RNAの検出のために、1μgのRNAを、遺伝子特異的プライマーおよびSuperscript IV第一鎖cDNA合成キット(Thermo Fisher Scientific)を用いたcDNA合成に使用した。qRT-PCR反応は、TaqMan遺伝子発現マスターミックス(Thermo Fisher Scientific)、およびApplied Biosystems Step One PlusリアルタイムPCR機(Thermo Fisher Scientific)、および以前に記載されたプライマー/プローブセット(6、34)(配列については表Eを参照)を使用して実施した。すべての実験において、GAPDHを正規化に使用した。
【0126】
【表5】
【0127】
[ウェスタンブロット]
【0128】
核溶解液:核の単離後、核ペレットを、1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含む25μLのRIPAバッファー(Millipore)中に再懸濁した。ホモジネートを12,000gで15分間遠心し、4℃でデブリを除去した。上清を新しいエッペンドルフチューブに移し、BCAタンパク質推定アッセイキット(Thermo Fisher Scientific)を用いて、タンパク質濃度を決定した。4×レムリバッファー(Biorad)を各サンプルに1×の最終濃度になるように加え、サンプルを100℃で5分間加熱し、5μgのタンパク質を4-20%アクリルアミドゲル(Biorad)にロードした。ゲルは、色素の前面が底に達するまで泳動した。Trans-Blot Turbo Transferシステム(Biorad)を用いて、タンパク質をニトロセルロース膜上に転写した。ブロットを1×TBST(0.1%Tween-20)中で5%脱脂乳を用いて30分間ブロックし、ブロックで希釈した一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした(抗体情報については表Bを参照)。翌日、ブロットを1×TBSTで4×10分間洗浄し、ブロックで希釈した2次抗体(抗体情報については表Bを参照)を用いて室温で1時間プロービングした。続いてブロットを1×TBSTで4×10分間洗浄し、ECL基質(Thermo Fisher Scientific、Millipore)を30秒間塗布した。化学発光画像は、GE Healthcare ImageQuant LAS 4000システムで取得した。剥離せずに膜を順次プロービングするため、ブロットを室温の30%Hで15分間インキュベートすることで化学発光シグナルをクエンチした(35)。分析はFIJIで行った。正規化にはラミンB1を使用した。
【0129】
ASO処理したiPSN溶解液:分化40日目に、iPSNを、Ca2+およびMg2+を含む氷冷1×DPBSで洗浄した。各ウェルに1mLの新鮮な1×DPBSを加え、セルスクレーパーでiPSNを回収し、エッペンドルフチューブに移した。次に、細胞を2500rpm、4℃で5分間、ペレット化した。上清を吸引し、得られた細胞ペレットを、1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む50μLのRIPAバッファーに溶解させた。ウェスタンブロットおよび分析は、上記のように実施した。GAPDHを正規化のために使用した。
【0130】
トリムアウェイサンプル:培地の吸引後、iPSNを、Ca2+およびMg2+を含む氷冷1×DPBSで洗浄した。各ウェルに1mLの新鮮な1×DPBSを加え、セルスクレーパーでiPSNを回収し、エッペンドルフチューブに移した。サンプルを2500rpm、4℃で5分間遠心分離し、細胞をペレット化した。上清を吸引し、得られた細胞ペレットを、1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む25μLのRIPAバッファーに溶解させた。ウェスタンブロットおよび分析は、上記のように実施した。GAPDHを正規化のために使用した。
【0131】
[CHMP7およびVPS4過剰発現のためのプラスミドおよびヌクレオフェクション]
【0132】
GFPタグ付きCHMP7プラスミドは、Origene社から入手した。CHMP7 NES変異体(CHMP7 NES)プラスミドを生成するために、Q5部位特異的変異誘発キット(New England BioLabs)を用いて、CHMP7 GFPプラスミド(Origene)に1アミノ酸置換(アミノ酸430、LからA)を作製した。VPS4 GFPおよびVPS4E228QGFPプラスミドは、Addgene社から入手した。GFPコントロールプラスミドは、Origene社およびAddgene社から入手した。RNA Onlyプラスミド(12)はAdrian Issacsからの親切な贈り物であった。プラスミド情報については表Fを参照されたい。
【0133】
【表6】
【0134】
分化18日目に、iPSNをアキュターゼで解離させて単細胞解離を補助し、Lonza P3 Primary Cell 4D Nucleofectorキット(Lonza)およびLonzaヌクレオフェクションシステムのプログラムDC104を用いて、懸濁液にヌクレオフェクションした。各キュベットには、5×10個のiPSNおよび4μgのプラスミドDNAが含まれるようにした。ヌクレオフェクション後、iPSNはLonzaのプロトコルに従ってマトリゲル(Corning)コーティングされた細胞培養皿に播種した。分化19日目および22日目に培地を交換した。下流の実験は、分化25日目に実施された。
【0135】
[トリムアウェイによるCHMP7、LEMD2、およびXPO1のノックダウン]
【0136】
内在性CHMP7、LEMD2、およびXPO1のノックダウンは、修正したトリムアウェイプロトコル(11)を使用して実施した。CHMP7(Santa Cruz Biotechnology)、LEMD2(Thermo Fisher Scientific)、およびXPO1(Santa Cruz Biotechnology)抗体は、Slide-A-Lyzer MINI透析装置、20K MWCO(Thermo Fisher Scientific)を用いて1×PBS中で透析した。PBSを2時間後に交換し、透析は室温で一晩穏やかに攪拌しながら進めた。透析した抗体をUltacell-100膜付きAmicon Ulta-0.5遠心式フィルターユニット(Millipore)で濃縮した。得られた抗体濃度は、NanoDrop1000分光光度計(Thermo Fisher Scientific)を用いて、以前に記載されたように算出した(11)。分化18日目に、iPSNをアキュターゼで解離させた。懸濁液ベースのヌクレオフェクションは、Lonza P3 Primary Cell 4D Nucleofectorキット(Lonza)およびプログラムDC154を用いて実施された。各キュベットには、5×10個のiPSN、5μgの抗体、および4μgのTrim21 GFPプラスミドDNA(Origene、表Fを参照)が含まれるようにした。ヌクレオフェクション後、iPSNはLonzaのプロトコルに従ってマトリゲル(Corning)コーティングされた細胞培養皿に再播種し、分化20日目に下流分析に使用した。
【0137】
[グルタミン酸毒性]
【0138】
分化12日目に、iPSNを24ウェル光学底プレート(Cellvis)に、1ウェルあたり250,000ニューロンの密度で播種した。ニューロンを1×PBSで洗浄し、分化25日目まで毎日、死細胞および細片を除去した新鮮なステージ3培地を供給した。分化25日目に、上記のようにASO処理を開始した。3日ごとに、iPSNを1×PBSで3回洗浄し、培地およびASOを交換した。分化40日目に、iPSNを1×PBSで洗浄し、残った細片および死細胞を除去した。培地は、0または10μMのグルタミン酸(Sigma Aldrich)を含むACSF(Tocris)に交換した。iPSNは、37℃、5%COで4時間インキュベートした。3.5時間後、NucBlue Live ReadyProbes(Thermo Fisher Scientific)および1μMヨウ化プロピジウム(Thermo Fisher Scientific)を1滴加え、インキュベーターに30分間戻した。iPSNを、Zeiss LSM800共焦点顕微鏡を用いて環境制御チャンバー内で画像化した。10倍の対物レンズで1ウェルあたり5枚の画像を取得した。PIおよびDAPIスポットは、FIJIを使用してカウントした。
【0139】
<統計分析>
すべてのデータ分析は、上記の各実験セクションに記載したように、ImarisまたはFIJIを用いて行い、完全に自動化または盲検化した。すべての統計分析は、GraphPad Prismバージョン8(GraphPad)を用いて実施した。iPSC株または患者ごとに複数の細胞または核を定量化したイメージング実験では、iPSC株または患者ごとに評価したすべての核または細胞の平均がN=1となるように統計分析を実施し、実験およびグループごとの合計Nは「図面の説明」に示したとおりとした。Studentのt検定、Tukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析、またはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を、「図面の説明」に記載したように用いた。p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005、****p<0.0001。バイオリンプロットを使用して、大規模なデータセット(>10データポイント)の完全な広がりとばらつきを表示した。中央の点線は中央値を示す。さらに2本の点線は、第一四分位数および第三四分位数を示す。より小さなデータセットでは、個々のデータポイントを表示する棒グラフを示し、エラーバーは+/-SEMを示す。
【0140】
(実施例2)
{CHMP7およびVPS4の核発現は、G反復RNAの結果、C9orf72 iPSNおよび死後のヒト脳において増加する}
最近、8つの特定のNupのタンパク質発現が、C9orf72ヒトニューロンの核質およびNPC内で減少していることが立証された(13)。酵母のNPC恒常性にCHMP7およびVPS4が重要に関わっていることから(7-9)、これらのタンパク質の発現がC9orf72核で病的に変化しているか否かが調べられた。超解像構造化照明顕微鏡(SIM)を用いて核の分布および発現を視覚的に調べたところ、コントロールおよびC9orf72 iPSNから単離したNeuN陽性核において、CHMP7およびVPS4の両方の免疫反応性が著しく増加した(図1A~C)。興味深いことに、この増加は、Nupの減少が以前に観察された時点(6)より前の時点でも観察された(分化18日目、図1A~C)。このことは、CHMP7がNPCの損傷に反応するのではなく、その開始においてより直接的な役割を担い得ることを示唆している。さらに、ウェスタンブロット分析は、C9orf72核におけるCHMP7およびVPS4タンパク質レベルの増加を定量的に確認した(図1D~E)。
【0141】
iPSNにおける我々の結果がヒトの疾患病態を再現していることを検証するために、コントロールおよびC9orf72死後脊髄、ならびに運動皮質および後頭部皮質組織から核を単離し、CHMP7およびVPS4についてSIMを実施した。健常な後頭皮質ではなく、疾患関連CNS領域(胸髄および運動皮質)において、CHMP7およびVPS4の核発現に同様の増加が観察された(図1F~H)。さらに、薄切片の免疫蛍光染色により、死後患者の、後頭皮質ではなく運動皮質のMap2陽性ニューロンにおいて、CHMP7の核への著しい再局在化が明らかになった(図2)。
【0142】
Nupの変化は、DPRまたはC9ORF72タンパク質の損失ではなく、G反復RNAの伸長の病的な結果であることが知られている(6)。CHMP7およびVPS4の核内増加が、同様にG反復RNAによって媒介されるか否かを決定するために、G反復RNAのみを生産する停止コドン最適化構築物を過剰発現するコントロールiPSNから単離した核に対して、SIMを実施した(12)。36個ではなく、106個または288個のG反復を過剰発現させると、核内CHMP7およびVPS4免疫反応性が有意に増加した(図8)。まとめると、これらのデータは、CHMP7およびVPS4の核局在が、G反復RNAの伸長の結果、C9orf72ニューロン核において病的に増加することを示唆している。
【0143】
(実施例3)
{CHMP7タンパク質のノックダウンは、C9orf72 iPSNにおける特定のNupの核発現を回復させる}
CHMP7は、NupおよびNPCの分解を媒介する初期作用因子として以前に関連付けられているため(7-9)、CHMP7の核内増加は、C9orf72ニューロン核およびNPCにおけるNup発現の減少につながるかもしれないと仮定した。これを確認するため、トリムアウェイ法(11)を用いて、コントロールおよびC9orf72 iPSNの内在性CHMP7タンパク質を急速に分解した(図3A~C)。SIMを使用して、CHMP7のTrim21GFP媒介ノックダウン(図3D~E)は、C9orf72 iPSN核におけるNup50、POM121、およびNup133免疫反応性の減少を有意に緩和したことが明らかになった(図3D、3G~I)。重要なことに、CHMP7のノックダウンは、mAb414染色によってアッセイされたように、Nupを含むFG反復には影響を与えなかった(図3D、3J)ことから、核内CHMP7の増加は、ヒトニューロンにおけるNupのサブセットの核レベルにのみ影響を与え得ることが示唆された。さらに、一般にESCRTに媒介される細胞プロセスの末端工程で作用するVPS4は(13)、CHMP7ノックダウンによりC9orf72 iPSN核で減少した(図3D、3F)。CHMP7の下流のVPS4の機能と一致して、VPS4のGFPタグ付きドミナントネガティブバリアント(VPS4E228Q図9A、9C)の過剰発現は、POM121の核発現を一部のみ回復させ(図9A、9D)、C9orf72 iPSN核における核内CHMP7の増加に対して影響を与えなかった(図9A~B)。興味深いことに、POM121の分布は、VPS4E228Qを過剰発現するC9orf72核において異常であるようである(図9A)。これらのデータから、核内CHMP7の増加は、C9orf72核内の神経細胞NPCの複数のサブ複合体にまたがる特定のNupの核内レベルに影響を与える病理的カスケードを開始することができると示唆される。
【0144】
(実施例4)
{CHMP7のASO媒介ノックダウンは、Nupの変化を緩和し、神経細胞の生存を改善する。}
ASOは、現在、目的の遺伝子のmRNAおよびタンパク質レベルを低減する治療戦略として一般的に使用されている(14、15)。この治療戦略がNPC損傷を効果的に軽減するかどうかを評価するために、ヒトCHMP7のmRNA前駆体を特異的に標的とし、RNase Hベースのメカニズムでその分解を誘導するASOを設計した。スクランブルコントロールASOと比較して、3種類の異なるCHMP7標的ASOに2週間曝露すると、コントロールおよびC9orf72 iPSNにおけるCHMP7タンパク質レベルが用量依存的に有意に減少した(図10)。我々のトリムアウェイ実験(図3)と一致して、CHMP7 ASO処理は、コントロールおよびC9orf72 iPSNにおいて、ESCRT-IIIタンパク質CHMP7およびVPS4の両方の核レベルを有意に低減した(図4A~C)。さらに、スクランブルコントロールASOと比較して、5μMのCHMP7 ASO2は、SIMによって評価されるように、C9orf72 iPSN核およびNPCにおけるPOM121、Nup133、およびNup50発現を有意に回復した(図4A、4D~F)。重要なことに、CHMP7 ASOで処理したコントロールiPSN(図4A、4D~G)でも、C9orf72 iPSNのFG Nup(図4A、4G)でも、Nupの破壊は観察されず、CHMP7タンパク質レベルのASO媒介ノックダウンがiPSNにおける疾患に関連するNupの変化を特異的に軽減させることを示唆した。さらに、CHMP7 ASOは、以前に記載されたように(6、16)、ヨウ化プロピジウム(PI)取り込みによって測定されるグルタミン酸誘導興奮毒性に対するC9orf72 iPSNの感受性(図4H)を有意に低下させた。まとめると、これらのデータは、CHMP7 ASOが、C9orf72 iPSNにおけるNup欠陥および下流の神経細胞死を効果的に軽減できることを示唆する。
【0145】
(実施例5)
{LEMD2は、C9orf72 iPSNにおける核内CHMP7の増加を媒介しない}
核内CHMP7の増加がVPS4および特定のNupの核発現に影響を与え得ることを立証したので、次に、この病態がC9orf72核において生じるメカニズムを決定することが求められた。酵母およびヒトCHMP7オーソログがともに、内在性INMタンパク質LEMD2によって核膜に動員されるため(9、17)、トリムアウェイ法を用いて、コントロールおよびC9orf72 iPSNにおいてLEMD2を内因的にノックダウンした(図5A~C)。CHMP7のノックダウンとは対照的に、核内LEMD2のわずかではあるが有意な減少は、CHMP7、VPS4、または特定のNupの核内免疫反応性に影響を与えないことがSIMを用いて判明した(図5D~K)。したがって、このデータは、LEMD2が媒介するCHMP7の核膜への動員が、C9orf72 iPSNにおけるCHMP7の核発現の増加の原因ではないことを示唆する。
【0146】
(実施例6)
{CHMP7核外輸送の阻害は、特定のヌクレオポリンにおける、C9orf72に媒介される減少を再現する}
摂動を受けない状態では、酵母およびヒトCHMP7はともに、XPO1/CRM1による核外輸送のため核内に蓄積できない(8、18)。そこで、レプトマイシンB(LMB)を用いてXPO1機能全体を強力に阻害し(19)、CHMP7、VPS4、および特定のヌクレオポリンについてSIMを実施した。発表されたデータと一致して(8、18)、LMB処理は核内のCHMP7の有意な増加をもたらした(図6A~B)。驚くべきことに、これは、野生型iPSNから単離した核において、VPS4の増加、ならびにそれに伴うNup50、POM121、およびNup133の減少と同時に起こり、しかしFG-Nup免疫反応性の減少は伴わなかった(図6A-6B)。これらの結果は、トリムアウェイを用いたXPO1レベルの直接の低減によっても再現された(図11)。したがって、XPO1に媒介される核外輸送を全体的に阻害することにより、疾患表現型を野生型ヒトニューロンにおいて再現することができた。
【0147】
LMB処理をしたiPSNにおけるNupレベルの低下が、CHMP7の核外輸送を特異的に阻害したことによる直接的な結果であるかどうかを判定するために、CHMP7の核外輸送配列(NES)を、CHMP7 NES配列(LEAELEKLSLS(SEQ ID NO:21))に1アミノ酸置換(LからA、アミノ酸430)を行うことで変異させた。以前に記載されたように(8)、この単一点変異は、XPO1に媒介されるCHMP7の核外輸送を抑制するのに十分である(34)。野生型iPSNにおいて、野生型GFPタグ付きCHMP7ではなく、GFPタグ付きCHMP7 NES変異体(CHMP7 NES)を過剰発現させると、SIMによって評価されたように、C9orf72に媒介される核CHMP7、VPS4、Nup50、POM121およびNup133レベルの変化が再現された(図6C~I)。まとめると、このデータは、CHMP7の異常な核蓄積は、C9orf72 iPSN核におけるNupレベルの変化を促進するのに十分であることを示唆する。
【0148】
(実施例7)
{G4C2反復RNAは、核内XPO1複合体におけるCHMP7の存在量を低減する}
データは、病的なG4C2反復RNAの発現が、核内CHMP7およびVPS4レベルの増加をもたらし(図8)、野生型iPSNにおけるCHMP7の核外輸送障害が、特定のNupにおけるC9orf72に媒介される変化を再現できる(図6)ことを立証した。したがって、G4C2反復RNAがCHMP7とXPO1との間の会合を破壊し、CHMP7の核内蓄積をもたらすかもしれないと仮定した。これを確認するために、共免疫沈降を実施してヒトニューロンのXPO1複合体中に存在する核タンパク質およびRNAプールの比率を調べた。ウェスタンブロット分析により、既知のXPO1相互作用タンパク質NXF3およびHuR(21-23)を含む核関連XPO1複合体を効率的に免疫沈降させたことが確認された(図7A、7C~D)。LEMD2およびラミンB1を含まないが(図7A)、これらの免疫沈降複合体はDDX3XおよびRanBP1を含む(図7A、7E~F)。DDX3XおよびRanBP1がともに予測されるNESを含み、LMB処理は非神経細胞株(24)およびiPSN(図12A~C)においてそれらの核内レベルを増加させることから、両方のタンパク質がXPO1の積荷であることが示唆された。興味深いことに、これらの特定の積荷タンパク質の核プールと、XPO1複合体との会合は、C9orf72 HREにおいては破壊されない(図7A、7E~F)。対照的に、C9orf72 iPSN核において、CHMP7の核プールと免疫沈降XPO1複合体との会合(図7A~B)は、コントロールと比較して有意に減少していた。
【0149】
qRT-PCRを使用して、病的G4C2およびG2C4反復RNAの両方が、正規のNXF-NXT1 mRNA輸送経路(21~23)の主要構成要素であるNXF1ではなく(図13)、XPO1との複合体にも存在する(図7G)ことを発見した。特に、G4C2およびG2C4反復RNAのXPO1複合体との会合が、核外輸送が少なくとも部分的にXPO1によって支配され得るRNA(18S rRNA、ならびにRNA MAP1BおよびELAVL3を含むARE配列)(35-37)のそれと比較して増加した(図7G)。
【0150】
センス鎖G4C2反復上流のイントロンを標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)で5日間処理すると、G4C2反復RNAは減少するがDPRレベルは減少せず、POM121の変化が緩和されることが以前に立証されている(6)。そこで、G4C2反復RNAの減少が、CHMP7とXPO1複合体との会合に影響を与えるか否かを評価した。短期のASO処理の後、XPO1複合体中のG4C2およびG2C4反復RNAの両方の存在量の減少が確認された(図7G)。さらに、ウェスタンブロット分析により、CHMP7と核内XPO1複合体との会合が回復したことが明らかになった(図7A~B)。まとめると、これらのデータは、G4C2反復RNAが、全体的な積荷輸送を妨害することなく、CHMP7のXPO1複合体との会合を特異的に破壊して、C9orf72 ALS/FTDの発病におけるNupの変化を開始し得ることを示唆している。
【0151】
病的なNupの変化は、ALS、AD、およびHDを含む複数の神経変性疾患において広く見られる(1、25-27)。しかし、これらの破壊が起こる分子メカニズムは、まだ十分に理解されていない。C9orf72 ALS/FTDの人工過剰発現マウスモデルで観察されたNupの誤局在とは対照的に(2-5)、ヒトニューロンにおいては、NPCの複数のサブ複合体にまたがる8つの特定のNupの核内レベルが低下しており、対応する細胞質への蓄積は起こらないことが以前に示されている(6)。その結果、C9orf72 iPSNにおけるNup発現の低下には、Nupの監視および恒常性の変化が寄与し得ると仮定された。
【0152】
酵母および非神経細胞系における最近の研究により、CHMP7およびESCRT-IIIに媒介される分解が、NPC、Nup、および核膜の恒常性の重要なメディエータであることが明らかになった(7、9、10、28)。しかし、この経路の神経生物学および疾患の病態生理に対する寄与は、依然として不明である。C9orf72 ALSのiPSNモデルを用いて、CHMP7が疾患の発病の初期段階において、NPCの3つの異なるドメイン内に位置する主要なNupの核内レベルの低下に寄与することが明らかになった。これらのデータは、CHMP7およびESCRT-IIIが媒介するNupプロテオスタシスの、ヒトニューロンおよび神経変性における機能的な役割を定義している。これらのデータをまとめると、病的なG反復RNAがCHMP7とXPO1との会合を妨害するというモデルが裏付けられる(図14参照)。注目すべきことに、積荷タンパク質DDX3XおよびRanBP1を含む他のNESとXPO1との会合は、C9orf72核において変化しておらず、G反復RNAの伸長が、全体ではなく、特定のXPO1積荷の核外輸送に影響を与え得ることが示唆された。同様にCHMP7の核外輸送が特異的に阻害されることで、下流の病的カスケードが開始され、それに引き続いてVPS4が動員され、それがヒトニューロンにおける特定のNupの核内レベルの減少を媒介し得る(図14参照)。今後、内在性G反復RNAがCHMP7および/またはXPO1の特定のドメインに直接結合し、XPO1積荷全体の会合を明白に破壊することなく、この特定のタンパク質-タンパク質相互作用を妨害するか否かを判定するために、さらなる実験が必要である。
【0153】
以前の研究では、NXT1のノックダウンが、人工過剰発現の非CNS細胞系において核内G反復RNAレベルを増加させることが示唆されている(29)。興味深いことに、NXT1はNXF1-NXT1核外RNA輸送経路の重要な構成要素であるが(21-23)、NXT1はCRM1/XPO1とも会合することが示されている(44)。ここで、内在性レベルのC9orf72 HREを発現するヒトiPSNにおいて、GおよびG反復RNAはXPO1と強く会合するが、NXF1核複合体とは会合しないことが示された(図7G図13)。さらに、C9orf72 iPSNをXPO1阻害剤であるLMBで処理すると、核画分中のGおよびG反復RNAの存在量が強く増加する(図12D~E)。これらのデータから、GおよびG反復RNAの核外輸送は、ヒトニューロンにおいて少なくとも部分的にXPO1複合体によって媒介され得ることが示唆される。注目すべきことに、NXF1-NXT1経路が複数の細胞種における主要なmRNA輸送経路である一方で、XPO1は、異なる「アダプタ(adapter)」タンパク質と組み合わせて、いくつかの特定のイントロンを含むmRNAを含む様々なRNA種の輸送において機能できることが示されている(21、23)。
【0154】
ESCRT-IIIに媒介されるNPCおよび核膜修復は、核特異的ESCRTアダプタタンパク質CHMP7(31)によって開始され、VPS4によって触媒されるが(7-9、13、31、32)、このプロセスにおける他のCHMPの動員および関与は、ヒトニューロンを含む複数の細胞系において依然として不明である。ESCRT-III経路の構成要素であるCHMP2Bの変異がFTDに関連付けられていることから(33)、これらの変異が、C9orf72 ALS/FTD iPSNで観察されたのと同様の方法でヌクレオポリン減少を誘導するのに十分か否かを評価することは興味深いであろう。
【0155】
まとめると、本データは、核内CHMP7の増加が、最終的にC9orf72ニューロンの核質およびNPCにおけるNupの減少につながる、発病性カスケードの重要なイニシエータであることを示唆している。さらに、本データは、CHMP7が、核内Nupの減少を特徴とする神経変性疾患におけるNPC損傷を緩和するための潜在的な治療標的であることを強調する。
【0156】
(実施例8)
【0157】
実施例9~15には、以下の材料および方法を使用した。
【0158】
<iPSC由来の神経細胞の分化>
【0159】
C9orf72および非神経性コントロールiPSC株は、Cedars-SinaiのAnswer ALSリポジトリから入手した(人口統計については表Gを参照)。フィーダーフリーiPSCは、MTeSRを含むマトリゲル上で維持し、Cedars Sinai SOPに従って維持した。iPSCは、以前に記載された直接誘導運動ニューロン(diMN)プロトコル(43)を用いて脊髄ニューロンに分化した。すべての細胞は、37℃、5%COで維持した。iPSCとiPSNは、定期的にマイコプラズマについて陰性であることを確認した。
【0160】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【0161】
<iPSC由来の神経細胞のASO処理>
非標的化スクランブルコントロール(676630):CCTATAGGACTATCCAGGAA(SEQ ID NO:2)、CHMP7 ASO1(1508916):GAAAACGGTTTCCACTGTAT(SEQ ID NO:3)、CHMP7 Aso2(1508917):TGTTACCCTCAGATACCGCC(SEQ ID NO:4)、およびCHMP7 ASO3(1508918):ATGTGATGCTATTAATAGGA(SEQ ID NO:14)は、Ionis Pharmaceuticalsによって寛大に提供された。分化25日目に、ASOを、図面の説明に示したように、1、5、または10μMの濃度で培地に添加した。分化40日目にiPSN下流分析に供してウェスタンブロット、SIM、およびグルタミン酸興奮毒性、分化46日目にスタスミン-2 qRT-PCR、Ran GTPase局在、およびTDP-43局在の分析を行うまで、3日ごとに培地交換およびASO交換を行った。
【0162】
<核の単離>
核は、iPSNならびに死後のヒト脳および脊髄組織から、Nuclei Pure Prep核単離キット(Sigma Aldrich)を用いて、以前に記載されたメーカーのプロトコルに従って単離した(43)。簡潔には、iPSNを1×PBSで洗浄し、DTTおよびTriton X-100を添加した付属の溶解バッファーを各ウェルに直接mL添加し、セルスクレーパーでiPSNを回収することによりiPSN溶解液を調製した。死後の脳および脊髄の溶解液は、150mgの新鮮な凍結組織を付属の溶解バッファーで直接、ダウンスホモジナイザーでホモジナイズして調製した。すべての溶解液を50mLコニカルチューブに移し、ボルテックスした。スクロース勾配は、メーカーのプロトコルに従って構築した。1.85Mのスクロース勾配を使用して、神経細胞核を濃縮した。サンプルは、Swi32TスイングバケットローターおよびBeckman超遠心機(Beckman Coulter)を用いて、15,600rpm、4℃で45分間遠心分離した。上清を捨て、残りの核ペレットを付属の核保存バッファー1mLに再懸濁し、核に残っているスクロースを洗浄した。再懸濁した核を、2500rpm、4℃で5分間遠心分離した。上清をもう一度捨て、得られた核ペレットを付属の核保存バッファー1mLでボルテックスし、下流の画像分析のために再懸濁した。ウェスタンブロットのために、洗浄した核を、以下に記載するようにRIPAバッファーで溶解させた。
【0163】
<超解像構造化照明顕微鏡法>
核染色および超解像イメージングを、以前に記載されたように行った(43)。核の単離後、10~50μLの最終核/保存バッファー懸濁液を、CytoSpin 4遠心分離機(Thermo Fisher Scientific)を用いてコラーゲンコーティング(1mg/mL;Advanced Biomatrix)スライド上に遠心分離した。核を直ちに4%PFAで5分間固定し、1×PBSで3×10分間洗浄し、0.1%Triton X-100を含む1×PBSTで15分間透過処理した。その後、1×PBSで希釈した10%正常ヤギ血清で、室温で1時間核をブロックし、ブロック(1×PBS中の10%正常ヤギ血清)で希釈した一次抗体で、4℃で一晩インキュベートした(抗体情報については表Hを参照)。16~18時間後、核を1×PBSで3×10分間洗浄し、ブロック(1×PBS中の10%正常ヤギ血清)で希釈した二次抗体で、室温で1時間インキュベートした(抗体情報については表Hを参照)。核を1×PBSで3×10分間洗浄し、Prolong Gold Antifade試薬(Invitrogen)および18mm×18mm 1.5 high tolerance coverslips(MatTek)を用いてカバースリップした。
【0164】
NeuNまたはGFP陽性核(図面の簡単な説明を参照)は、顕微鏡のアイピースを介して同定した。NeuNまたはGFP陽性を確認するため、ワイドフィールドイメージングにより厚さ最大110nmの単一のz切片を取得した。免疫染色したタンパク質は、その後、Zeiss ELYRA S1を用いた超解像構造化照明顕微鏡(SIM)によって画像化した。各画像について、5グリッド回転と最適なzセクショニングパラメータを採用した。各免疫染色タンパク質について、すべての画像を同一のレーザー出力および露光時間で取得した。画像取得後、Zeiss Zen Black 2.3 SP1ソフトウェアでデフォルトのSIM処理パラメータを使用してSIM画像を再構築した。Imarisバージョン9.2.0(Bitplane)およびFIJIバージョン1.52pの3Dスイートプラグインを使用して、自動ヌクレオポリンスポットおよび体積分析を、以前に記載されたように行った(43、78)。ヌクレオポリンスポットは、自動スポット検出を使用してカウントした。体積、平均強度、およびコントラストの特徴を考慮したベイズ分類器を適用して、個々のスポットを検出し分割した。各核の全深度を含む分割されたSIM画像の3Dレンダリングにより、ヌクレオポリンスポットの総数が決定された。免疫蛍光SIMの解像度の限界のために個々のヌクレオポリンスポットが解像できなかった場合、ヌクレオポリンが占める全核体積の割合を算出した。全核体積を算出するために、各核について中央のzスライスにおけるX軸とY軸の長さを測定し、Z軸の長さは取得した画像の全z深さから推定した。ヌクレオポリン体積を算出するために、画像スタックを自動閾値処理し、FIJIの3Dスイートプラグインの自動閾値処理を使用して、各核の閾値領域の体積を決定した。代表的な画像は、Zeiss Zen Black 2.3 SP1で生成した3D最大強度投影として提示した。画像は、コントラストおよび表示のためにフェイクで緑色に着色した。
【0165】
【表8-1】
【表8-2】
【0166】
<iPSNの免疫染色および共焦点画像化>
分化12日目に、iPSNを24ウェル光学底プレート(Cellvis)に播種した。分化32日目(CHMP7 OE)または46日目(CHMP7 ASO)に、iPSNを4%PFAで15分間固定し、1×PBSで3×10分間洗浄し、0.3%Triton X-100を含む1×PBSTで15分間透過化し、1×PBSで希釈した10%正常ヤギ血清で1時間ブロックし、一次抗体中で、室温で2時間インキュベートした(抗体情報については表Hを参照)。その後、iPSNを1×PBSで3×10分間洗浄し、二次抗体中(抗体情報については表Hを参照)で、室温で1時間インキュベートし、1×PBSで2×10分間洗浄し、1×PBSで1:1000に希釈したHoeschtで10分間インキュベートし、1×PBSで2×10分間洗浄した。iPSNは、DAPIを含むProlong Gold Antifade試薬を使用してマウントした。iPSNは、Zeiss LSM800またはZeiss LSM980共焦点顕微鏡を使用して画像化した。すべての画像を、同一の画像化パラメータ(例えば、レーザー出力、ゲイン)を使用して取得した。核強度およびN/C比は、以前に記載されたようにFIJIを用いて算出した(80)。提示した画像は、Zeiss Zen Blue 2.3で生成した最大強度投影図である。
【0167】
<ヒト組織免疫蛍光法>
非神経性コントロール、ならびにC9orf72患者の死後パラフィン包埋運動および後頭部皮質切片は、Target ALS Human Postmortem Tissue Coreを通じて入手した(人口統計情報については表Iを参照)。組織切片を、キシレン3×5分、100%エタノール2×5分、90%エタノール5分、70%エタノール5分、最後にdH2O 3×5分で徐々に再水和した。Tissue-Tek抗原回収溶液(IHC World)を用いて、スチーマーで1時間抗原回収を実施した。スライドを10分間冷却し、dH2Oで3×5分、1×PBSで2×5分洗浄し、1×PBSで希釈した0.4%Triton X-100を用いて10分間シェーカー上で透過処理を行った。その後、スライドを1×PBSで3×5分間洗浄し、DAKOプロテインフリー血清ブロック(DAKO)で4℃にて一晩ブロックした。組織切片を、バックグラウンド低減成分を含むDAKO抗体希釈試薬で希釈した一次抗体(抗体情報については表Hを参照)と共に、4℃で合計2晩インキュベートした。2晩のインキュベーションの間に、スライドを一次抗体とともに、室温で穏やかに攪拌しながら10時間インキュベートした。一次抗体の後、組織切片を1×PBSで3×5分間洗浄し、その後バックグラウンド低減成分を含むDAKO抗体希釈試薬(DAKO)で希釈した二次抗体(抗体情報については表Hを参照)と共に、室温で穏やかに攪拌しながら1時間インキュベートした。次に、スライドを1×PBSで3×5分洗浄し、2-3滴の自家蛍光除去試薬(Millipore)でかるくすすぎ、1×PBSで5×5分さらに洗浄して細片を除去した。組織切片を1×PBSで1:1000に希釈したHoeschtで20分間染色し、1×PBSで3×5分間洗浄した。スライドを、DAPIを含むProlong Gold Antifade試薬を用いてカバースリップし、Map2陽性Layer Vニューロンからの核を、20×対物レンズおよびアポトーム2モジュールを備えたZeiss Axioimager Z2蛍光顕微鏡を用いて画像化した。すべての画像を同一の露光時間で取得した。
【0168】
CHMP7およびTDP-43核/細胞質比は、FIJIを使用して定量化した。簡潔には、可視核を有する焦点のニューロンを、Map2陽性およびHoeschtシグナルによって同定した。小さなピクセルボックスを使用してCHMP7チャンネルの蛍光強度を測定した。各細胞区画(核と細胞質)から2つの積分密度測定を行い、その平均値をその後の分析に使用した。細胞のない領域でバックグラウンド蛍光強度平均を5回測定し、その平均値を分析に使用した。核および細胞質の強度は、以下のように算出した:強度=積分密度-(バックグラウンド強度平均細胞内の測定領域)。核/細胞質CHMP7比は、各細胞について、得られた核強度を細胞質強度で割ることにより算出した。画像は、Zeiss Zen Blue 2.3で生成されたデフォルトのアポトーム処理画像として提示した。
【0169】
【表9-1】
【表9-2】
【表9-3】
【0170】
iPSNからのRNAは、RNeasyキット(QIAGEN)を用いて、メーカーのプロトコルに従って単離した。RNA濃度は、NanoDrop1000分光光度計(Thermo Fisher Scientific)を用いて決定した。CHMP7 ASO実験においては、5μMのCHMP7 ASO2またはスクランブルコントロールASOに3週間曝露した後、分化46日目にRNAを単離した。CHMP7過剰発現実験においては、RNAは分化32日目(プラスミドヌクレオフェクションから2週間後)に単離された。1μgのRNAをランダムヘキサマーおよびSuperscript IV第一鎖cDNA合成キット(Thermo Fisher Scientific)を用いたcDNA合成に使用した。qRT-PCR反応は、Sybr Greenマスターミックス(Thermo Fisher Scientific)およびApplied Biosystems Step One PlusリアルタイムPCR機(Thermo Fisher Scientific)を用いて以前に記載されたように行った(70、71)。プライマー配列は表Jを参照されたい。すべての実験において、GAPDHを正規化に使用した。
【0171】
【表10】
【0172】
<ウェスタンブロット>
核溶解液:核の単離後、核ペレットを、1×プロテアーゼ阻害剤カクテル(Roche)を含む25μLのRIPAバッファー(Millipore)中に再懸濁した。ホモジネートを12,000gで15分間回転させ、4℃で細片を除去した。上清を新しいエッペンドルフチューブに移し、BCAタンパク質推定アッセイキット(Thermo Fisher Scientific)を用いて、タンパク質濃度を決定した。4×レムリバッファー(Biorad)を各サンプルに1×の最終濃度になるように加え、サンプルを100℃で5分間加熱し、5μgのタンパク質を4~20%アクリルアミドゲル(Biorad)にロードした。ゲルは、色素の前面が底に達するまで泳動した。Trans-Blot Turbo Transferシステム(Biorad)を用いて、タンパク質をニトロセルロース膜上に転写した。ブロットを1×TBST(0.1%Tween-20)中で5%脱脂乳を用いて30分間ブロックし、ブロックで希釈した一次抗体とともに4℃で一晩インキュベートした(抗体情報については表Hを参照)。翌日、ブロットを1×TBSTで4×10分間洗浄し、ブロックで希釈した二次抗体(抗体情報については表Hを参照)を用いて室温で1時間プロービングした。続いてブロットを1×TBSTで4×10分間洗浄し、ECL基質(Thermo Fisher Scientific、Millipore)を30秒間塗布した。化学発光画像は、GE Healthcare ImageQuant LAS 4000システムで取得した。剥離せずに膜を順次プロービングするため、ブロットを室温の30%Hで15分間インキュベートすることで化学発光シグナルをクエンチした(90)。分析はFIJIで行った。正規化にはラミンB1を使用した。
【0173】
ASO処理したiPSN溶解液:分化40日目に、iPSNを、Ca2+およびMg2+を含む氷冷1×DPBSで洗浄した。各ウェルに1mLの新鮮な1×DPBSを加え、セルスクレーパーでiPSNを回収し、エッペンドルフチューブに移した。次に、細胞を2500rpm、4℃で5分間、ペレット化した。上清を吸引し、得られた細胞ペレットを、1×プロテアーゼ阻害剤カクテルを含む50μLのRIPAバッファーに溶解させた。ウェスタンブロットおよび分析は、上記のように実施した。GAPDHを正規化のために使用した。
【0174】
<CHMP7過剰発現のためのプラスミドおよびヌクレオフェクション>
GFPタグ付きCHMP7プラスミドは、Origene社から入手した。CHMP7 NES変異体(CHMP7 NES)プラスミドを生成するために、Q5部位特異的変異誘発キット(New England BioLabs)を用いて、CHMP7 GFPプラスミド(Origene)に1アミノ酸置換(アミノ酸430、LからA)を作製した。GFPコントロールプラスミドは、Origene社から入手した。プラスミド情報については表Kを参照されたい。分化18日目に、iPSNをアキュターゼで解離させて単細胞解離を補助し、Lonza P3 Primary Cell 4D Nucleofectorキット(Lonza)およびLonzaヌクレオフェクションシステムのプログラムDC104を用いて、懸濁液にヌクレオフェクションした。各キュベットには、5×10個のiPSNおよび4μgのプラスミドDNAが含まれるようにした。ヌクレオフェクション後、iPSNはLonzaのプロトコルに従ってマトリゲル(Corning)コーティングされた細胞培養皿に播種した。分化19日目および22日目に培地を交換した。CHMP7バリアントの過剰発現については、分化25日目に下流SIM実験を行い、分化32日目にTDP-43の局在およびスタスミン-2分析を行った。LEMD2の過剰発現については、分化32日目にSIM実験を行った。
【0175】
【表11】
【0176】
<トリムアウェイによるPOM121およびLEMD2のノックダウン>
内在性POM121およびLEMD2のノックダウンは、以前に記載されたように(43)修正したトリムアウェイプロトコル(58)を使用して行った。POM121(Thermo Fisher Scientific)、およびLEMD2(Thermo Fisher Scientific)抗体は、Slide-A-Lyzer MINI透析装置、20K MWCO(Thermo Fisher Scientific)を用いて1×PBS中で透析した。PBSを2時間後に交換し、透析は室温で一晩穏やかに攪拌しながら進めた。透析した抗体をUltacell-100膜付きAmicon Ulta-0.5遠心式フィルターユニット(Millipore)で濃縮した。得られた抗体濃度は、NanoDrop1000分光光度計(Thermo Fisher Scientific)を用いて、以前に記載されたように算出した(58)。分化18日目に、iPSNをアキュターゼで解離させた。懸濁液ベースのヌクレオフェクションは、Lonza P3 Primary Cell 4D Nucleofectorキット(Lonza)およびプログラムDC154を用いて実施された。各キュベットには、5×10個のiPSN、5μgの抗体、および4μgのTrim21 GFPプラスミドDNA(Origene、表Kを参照)が含まれるようにした。ヌクレオフェクション後、iPSNはLonzaのプロトコルに従ってマトリゲル(Corning)コーティングされた細胞培養皿に再播種し、分化20日目に下流分析に使用した。
【0177】
<グルタミン酸毒性>
分化12日目に、iPSNを24ウェル光学底プレート(Cellvis)に、1ウェルあたり250,000ニューロンの密度で播種した。ニューロンを1×PBSで洗浄し、分化25日目まで毎日、死細胞および細片を除去した新鮮なステージ3培地を供給した。分化25日目に、上記のようにASO処理を開始した。3日ごとに、iPSNを1×PBSで3回洗浄し、培地およびASOを交換した。分化40日目に、iPSNを1×PBSで洗浄し、残った細片および死細胞を除去した。培地は、0または10μMのグルタミン酸(Sigma Aldrich)を含むACSF(Tocris)に交換した。iPSNは、37℃、5%COで4時間インキュベートした。3.5時間後、NucBlue Live ReadyProbes(Thermo Fisher Scientific)および1μMヨウ化プロピジウム(Thermo Fisher Scientific)を1滴加え、インキュベーターに30分間戻した。iPSNを、Zeiss LSM800共焦点顕微鏡を用いて環境制御チャンバー内で画像化した。10倍の対物レンズで1ウェルあたり5枚の画像を取得した。PIおよびDAPIスポットは、FIJIを使用してカウントした。
【0178】
<統計分析>
すべてのデータ分析は、上記の各実験セクションに記載したように、ImarisまたはFIJIを用いて行い、完全に自動化または盲検化した。すべての統計分析は、GraphPad Prismバージョン8(GraphPad)を用いて実施した。iPSC株または患者ごとに複数の細胞または核を定量化したイメージング実験では、iPSC株または患者ごとに評価したすべての核または細胞の平均がN=1となるように統計分析を実施し、実験およびグループごとの合計Nは「図面の説明」に示したとおりとした。Studentのt検定、Tukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析、またはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析を、「図面の説明」に記載したように用いた。p<0.05、**p<0.005、***p<0.0005、****p<0.0001。バイオリンプロットを使用して、大規模なデータセット(>10データポイント)の完全な広がりとばらつきを表示した。中央の点線は中央値を示す。さらに2本の点線は、第一四分位数および第三四分位数を示す。より小さなデータセットでは、個々のデータポイントを表示する棒グラフを示し、エラーバーは+/-SEMを示す。
【0179】
(実施例9)
{sALS iPSN核において特定のヌクレオポリンが減少する}
最近、8つの特定のNupのタンパク質発現が、C9orf72ヒトニューロンの核質およびNPC内で減少していることが立証された(43)。複数の病態および分子経路が家族性疾患および散発性疾患の両方に共通して関連していることから(36、38、55)、Nupの減少も散発性疾患における顕著な病理学的特徴であり得ると仮定された。そこで、C9orf72疾患における先行研究に基づき、NPCの複数のサブドメインにまたがる候補Nupのサブセットを選択し、sALS iPSNから単離した核において、超解像度構造化照明顕微鏡(SIM)を用いてその核分布および発現を視覚的に調べた。SIMは、個々のヒトNPCの大きさに近い推定100nmの解像度を得ることができるため(45、56、57)、従来の免疫染色法による候補NupsのNPC局在および発現を確実に評価し確認する比類ない機会を得られた。この方法を用いて、NeuN陽性sALS iPSN核の核質およびNPCからNupのサブセットが減少していることを見出した(図15a~b)。一方、複数のFGを含むNupを認識する抗体、mAb414による免疫染色で評価すると、FG-Nupの分布または発現に明白な変化は観察されなかった(図15a~b)。注目すべきことに、sALS神経細胞核におけるNup50、TPR、POM121、およびNup133の病的減少(図15a~b)は、C9orf72疾患における我々の観察を強く想起させるものであり(43)、家族性および散発性疾患におけるNup減少の根底に共通の分子現象があり得ることを示唆した。
【0180】
(実施例10)
{CHMP7の核局在および発現は、C9orf72およびsALS iPSNならびに死後のヒト運動皮質において増加する}
酵母において、NPC恒常性にCHMP7が重要に関与していることから(48-50)、このタンパク質の発現がC9orf72およびsALS核において病的に変化しているかどうかを調べた。SIMを用いて、コントロールならびにC9orf72およびsALSのiPSNから単離したNeuN陽性核において、CHMP7免疫反応性が有意に増加していることを見出した(図15c~d)。CHMP7は、Nup62陽性NPCおよびスポットの近傍にまれに局在するが、2つの独立した抗体を用いた免疫染色によって評価されたように、その発現の増加は、C9orf72およびsALS iPSNにおいて主に核質に現れる(図21)。さらに、2つの抗CHMP7抗体を用いたウェスタンブロット分析により、C9orf72およびsALSの核におけるCHMP7タンパク質レベルの増加が定量的に確認された(図15e~g)。興味深いことに、この増加は、Nupの減少が以前に観察された時点(図15a~b)より前の時点でも観察された(分化18日目、図15c~d)。我々は、疾患関連NPC損傷が、膜貫通型Nup POM121の急速なTrim21 GFPに媒介される分解(58)によって開始される可能性があることを以前に実証した(43)。ここでは、野生型iPSN核からPOM121が急速に減少しても、核内CHMP7発現が増加しないことを発見した(図22)。これらのデータを合わせると、CHMP7がNPCの損傷に反応するのではなく、その開始においてより直接的な役割を担い得ることを示唆している。
【0181】
複数の神経変性疾患において、複数のタンパク質の核/細胞質分配が阻害されることから(59-62)、次に、疾患iPSNにおけるCHMP7の核および細胞質分配を評価した。免疫染色および共焦点イメージングを用いて、C9orf72およびsALS iPSNにおいて、CHMP7が細胞質から核へと有意に再局在化することを確認した(図16a~b)。その結果、単離された核における観察(図15c~d)と同様に、これは、コントロールと比較して、C9orf72およびsALS iPSNにおいてCHMP7核強度が全体的に増加することに一致した(図16a~c)。iPSNにおける結果がヒトの疾患病態を再現していることを検証するために、薄いパラフィン包埋切片で免疫蛍光染色を実施した。この結果、死後患者の運動皮質のMap2陽性ニューロンにおけるCHMP7の核への有意な再局在(図16d~e)およびCHMP7核強度(図16d、16f)の全体的な増加が、iPSNで得られた我々のデータを模倣することが明らかになった。
【0182】
(実施例11)
{LEMD2レベルの操作は、iPSNにおけるCHMP7の核局在または発現に影響を与えない}
核内CHMP7の増加が、散発性ALSおよび家族性ALS/FTDの強力かつ顕著な分子的特徴であることを立証したので、次に、この病態がヒト神経細胞核で発生するメカニズムを決定することを試みた。酵母およびヒトのCHMP7オルソログはともに、非神経細胞系では内在性INMタンパク質であるLEMD2によって核膜に動員されるため(50、63)、コントロールiPSNにおいて、トリムアウェイ法を用いて内在性LEMD2レベルを低減し、またはGFPタグ付き発現プラスミドを用いてLEMD2を過剰発現させ、LEMD2レベルを遺伝的に操作した。SIMを用いて、核内LEMD2のわずかではあるが有意な減少(図23a~b)も、GFPタグ付きLEMD2の過剰発現も、CHMP7または特定のNupの核内免疫反応性に影響を及ぼさないことがわかった(図23c~l)。まとめると、このデータは、LEMD2に媒介されるCHMP7の核膜への動員が、疾患iPSNにおけるCHMP7の核発現の増加の原因ではないことを示唆する。さらに、CHMP7の核内動員は、酵母および非神経性哺乳類細胞と比較して、ヒトニューロンでは異なる分子メカニズムを介して調節され得る。
【0183】
(実施例12)
{CHMP7の核外輸送の阻害は、特定のヌクレオポリンにおける疾患に関連する減少を再現し、TDP-43の誤局在化およびスタスミン-2スプライシングの変化を誘導する}
摂動を受けない状態では、酵母およびヒトCHMP7はともに、XPO1/CRM1による核外輸送のため核内に蓄積できない(49、64)。そこで、CHMP7の核外輸送を特異的に阻害することで、iPSNにおけるNupレベルの低下を開始することが可能か否かを判定するため、CHMP7のNES配列に1つのアミノ酸置換(LからA、アミノ酸430)を行うことで核外輸送配列(NES)を変異させた(LEAELEKLSLS)。以前に記載されたように(49)、この単一点変異は、XPO1に媒介されるCHMP7の核外輸送を抑制するのに十分である(65)。野生型iPSNにおいて、野生型GFPタグ付きCHMP7ではなく、GFPタグ付きCHMP7 NES変異体(CHMP7 NES)を過剰発現させると、SIMによって評価されたように、C9orf72およびsALS疾患に関連する核CHMP7、Nup50、POM121、およびNup133レベルの変化が再現された(図17)。NupおよびNPCの分解を媒介する初期作用因子としての役割(48~50)と一致して、これらのデータは、CHMP7の異常な核蓄積は、iPSN核におけるNupレベルの変化を促進するのに十分であることを示唆している。
【0184】
TDP-43はDNAおよびRNAに結合するタンパク質であり、通常は主に核にあるが、ALSの最大97%の神経細胞のサブセットにおいて、核から排除され、および/または細胞質に誤局在する(そして場合によってはその後蓄積する)ことが観察されている。この核からの排除および細胞質への誤局在が、散発性ALSを含む複数の神経変性疾患における病的現象としてTDP-43の機能喪失につながると考えられている(36、66)。カリオフェリンと呼ばれる核輸送受容体との会合により、NPCとその個々のNup構成要素は、核内および核外へのタンパク質およびRNA種の核細胞質輸送(NCT)を決定的に支配することが知られている(45、46、65)。TDP-43は核と細胞質との間を行き来してそのmRNA標的の代謝を調節していることから(68、69)、ヒトニューロンにおけるTDP-43の誤局在および機能不全に、少なくとも部分的にNPC損傷が寄与しているかもしれないと仮定した。これを確認するために、まず野生型iPSNにGFPタグ付きCHMP7バリアントを過剰発現させ、免疫染色および共焦点顕微鏡によって内在性TDP-43の局在をモニタリングした。GFPタグ付き野生型CHMP7の過剰発現は、内在性TDP-43の細胞内局在に影響を与えなかった(図18a~c)。一方、GFPタグ付きCHMP7 NES変異体(CHMP7 NES)の過剰発現は、TDP-43の核/細胞質比の減少およびTDP-43免疫染色の核強度の減少によって示されるように、コントロールiPSNにおいてTDP-43の核から細胞質への有意な再局在化をもたらす(図18a~c)。最近、スタスミン-2 mRNAスプライシングにおける変化が、TDP-43機能喪失の顕著な病的結果として同定された(70、71)。GFPタグ付きCHMP7 NES構築物の過剰発現によりTDP-43が破壊されたか否かを評価するため、全長および切断型スタスミン-2 mRNA種についてqRT-PCRを実施した。野生型CHMP7の過剰発現は、スタスミン-2 mRNAスプライシングに影響を与えなかったが、CHMP7 NESの過剰発現は、全長のスタスミン-2 mRNAの有意な減少および切断型スタスミン-2 mRNAの対応する増加(図18d~e)をもたらし、TDP-43機能の喪失と一致した(70、71)。まとめると、これらのデータは、CHMP7の核内保持が、ヒトニューロンにおける核内Nup発現、ならびにTDP-43の局在および機能に影響を与える病的カスケードを開始するのに十分であることを示す。
【0185】
次に、CHMP7およびTDP-43の共病態が実際のヒトの疾患で観察できるか否かを調べるために、死後患者の運動皮質からのパラフィン包埋薄切片における二重免疫染色を実施した(図19a)。免疫染色および画像化の後、個々のMap2陽性ニューロンにおいて、TDP-43免疫染色の核/細胞質比を、CHMP7免疫染色の細胞質/核比と定量的に比較した(図19b~19b)。TDP-43の誤局在が正常な老化(72)または非変性神経細胞損傷の結果として(73、74)観察される可能性があるという報告と一致して、非神経性コントロール運動皮質組織のニューロンのサブセットは、CHMP7病態とは独立して核/細胞質TDP-43免疫反応性の減少を示した(図19b、青枠)。一方、疾患運動皮質においては、C9orf72およびsALS患者運動皮質におけるMap2陽性ニューロンの約80~90%が、核CHMP7免疫染色の増加を示すことが明らかになった(図19)。これらのCHMP7病態陽性ニューロンのサブセットはまた、TDP-43免疫染色の核/細胞質比の減少も示した(図19a、19c~d)。注目すべきことに、細胞質TDP-43の凝集は、核/細胞質CHMP7免疫反応性が増加した少数のニューロンで観察された(図19a)。興味深いことに、評価したニューロンの大部分は、CHMP7病態は陽性であったが、TDP-43病態は陰性であり(図19)、核内CHMP7の増加が神経変性における神経細胞損傷の開始現象であるという仮説と一致した。
【0186】
(実施例13)
{CHMP7のASO媒介ノックダウンは、Nupの変化を緩和し、スタスミン-2スプライシングの欠損を軽減し、神経細胞の生存を改善する。}
我々のデータは、治療的にCHMP7を減少させることが、Nupの変化およびTDP-43の機能不全を特徴とする神経変性疾患に有益なものとなり得ることを示唆する。ASOは現在、目的の遺伝子のmRNAおよびタンパク質レベルを低減する治療戦略として一般的に使用されている(75、76)。この治療戦略がNPC損傷を効果的に軽減するか否かを評価するために、ヒトCHMP7のmRNA前駆体を特異的に標的とし、RNase Hベースのメカニズムを介してその分解を誘導するASOを設計した。スクランブルコントロールASOと比較して、3種類の異なるCHMP7標的ASOに2週間曝露すると、コントロールおよびC9orf72 iPSNにおけるCHMP7タンパク質レベルが、用量依存的に有意に減少した(図24)。全iPSN溶解物を用いたウェスタンブロット実験(図24)と一致して、SIM分析によって、CHMP7 ASO処理は、コントロール、C9orf72、およびsALS iPSNにおいてCHMP7の核レベルを有意に低減したことが明らかになった(図20a~b)。さらに、スクランブルコントロールASOと比較して、5μMのCHMP7 ASO2は、SIMによって評価されるように、C9orf72およびsALS iPSNの核ならびにNPCにおけるPOM121、Nup133、およびNup50発現を有意に回復した(図20a、20c~f)。重要なことに、CHMP7 ASOで処理したコントロールiPSNにおけるNup(図20a、20c~f)でも、C9orf72またはsALS iPSNにおけるFG Nup(図20a、20f)でも破壊は観察されず、CHMP7タンパク質レベルのASO媒介ノックダウンがiPSNにおける疾患に関連するNupの変化を特異的に軽減させることを示唆した。
【0187】
NPCの重要な機能は、核細胞質輸送(NCT)を制御することである。双方向のNCTを駆動するのに十分なエネルギーを供給するために、Ran GTPaseが核内で高レベルに維持されることが必要である(46、77)。そのため、Ran GTPaseの局在は、しばしばNCTの変化を評価するための静的な測定基準として用いられ、ALS/FTD iPSNを含む複数の神経変性疾患モデルは、細胞質のRan GTPase免疫染色の増加を示す(43、78-80)。核内のNupレベルを回復させると、C9orf72 iPSNにおいてRan GTPaseの核への局在が有意に回復することが、以前に立証されている(43)。この報告と一致して、ノックダウンならびにCHMP7発現、およびその後の核質およびNPC内のNup発現の回復は、免疫染色および共焦点イメージングによって評価されるように、C9orf72およびsALS iPSN(図25)におけるRan GTPaseの適切な細胞内分布を回復させる。
【0188】
CHMP7のノックダウン、ならびにその後のC9orf72およびsALS iPSN核の核質およびNPC内のNupレベルの回復が、TDP-43媒介スプライシング機能不全を緩和するのに十分であるかどうかを決定するために、全長および切断型スタスミン-2 mRNAについてqRT-PCRを実施した。分化46日目、核Nup減少の出現の約2週間後に、スクランブルコントロールASO処理C9orf72およびsALS iPSNにおいて、全長スタスミン-2 mRNAの有意な減少および切断型スタスミン-2 mRNAの対応する増加が観察された(図20g~h)。CHMP7 ASO2への3週間の曝露後、全長および切断型スタスミン-2 mRNAレベルは、コントロールiPSNにおいて観察されたレベルに回復した(図20g~h)。さらに、評価したsALS iPSC株のサブセットにおいて、分化46日目に、TDP-43の核から細胞質へのわずかだが有意な誤局在が観察された(図26)。TDP-43機能の喪失を緩和する役割と一致して、CHMP7 ASO2を用いた3週間の処理は、sALS iPSNsにおける核TDP-43局在化を回復させた(図26)。
【0189】
まとめると、観察されたNupの変化は、神経細胞の生存に重要な複数の細胞機能および経路に影響を与える可能性があると考えられる。その結果、次に、ストレス要因によって誘発された神経細胞生存の欠陥を緩和するためのCHMP7 ASOの有効性を評価した。CHMP7 ASO2を用いて2週間処理すると、C9orf72およびsALS iPSNのグルタミン酸誘導興奮毒性に対する感受性が有意に低下し(図20i)、以前に記載されたようにヨウ化プロピジウム(PI)取り込みによって測定した(41、43)。これらのデータは、C9orf72およびsALS iPSNにおけるNupおよびNPCの欠陥、下流のTDP-43機能不全、ならびに神経細胞死を軽減するためのCHMP7 ASOの治療可能性を強調するものである。
【0190】
(実施例14)
{神経変性におけるCHMP7に媒介されるNupの変化}
病的なNupの変化は、ALS、AD、およびHDを含む複数の神経変性疾患に広くみられる(78-81)。しかし、これらの破壊が起こる分子メカニズムはまだ十分に理解されていない。C9orf72 ALS/FTDの人工過剰発現マウスモデルで観察されたNupの誤局在とは対照的に(82-85)、我々は以前に、ヒトニューロンにおいて、NPCの複数のサブ複合体にまたがる8つの特定のNupの核内レベルが低下しており、対応する細胞質への蓄積は起こらないことを示した(43)。その結果、C9orf72 iPSNにおけるNup発現の低下には、Nupの監視および恒常性の変化が寄与し得ると仮定された。
【0191】
酵母および非神経細胞系における最近の研究により、CHMP7が、NPC、Nup、および核膜の恒常性の重要なメディエータであることが明らかになった(48、50、51、86)。しかし、この経路の神経生物学および疾患の病態生理に対する寄与は、依然として不明である。散発性ALSおよび家族性ALS/FTDのiPSNモデルを用いて、疾患発病の初期現象として、疾患と関連したCHMP7の核内発現の増加が、NPCの3つの異なるドメインに位置する主要なNupの核内レベルの低下に寄与しているという証拠を得た。これらのデータは、CHMP7が媒介するNup恒常性の、ヒトニューロンおよび神経変性における機能的な役割を定義している。
【0192】
ESCRT-IIIに媒介されるNPCおよび核膜修復は、核特異的ESCRTアダプタタンパク質CHMP7によって開始されるが(87)、このプロセスにおける他のCHMPの動員および関与は、ヒトニューロンを含む複数の細胞系において依然として不明である。ESCRT-III経路の構成要素であるCHMP2Bの変異がFTDに関連付けられていることから(88)、これらの変異が、C9orf72およびsALS iPSNで観察されたのと同様の方法でヌクレオポリン減少を誘導するのに十分か否かを評価することは興味深いであろう。
【0193】
(実施例15)
{神経変性におけるTDP-43病態へのNupの変化の寄与}
TDP-43の核からの排除および誤局在は、ALSならびにADおよびFTDを含む関連する神経変性疾患の顕著な病理学的特徴としてみなされてきた(36、72、89)。しかし、この病態および/または疾患におけるTDP-43の機能喪失に寄与し得る生物学的現象は十分に理解されていない。本明細書では、CHMP7の核内保持が、疾患におけるTDP-43の誤局在および機能不全に少なくとも部分的に寄与する可能性があることを示す複数の証拠を提供する。興味深いことに、C9orf72およびsALS iPSNならびに核内保持されるCHMP7を人工的に過剰発現させたコントロールiPSNでは、TDP-43の局在の変化およびスタスミン2のmRNAプロセシングの欠陥およびTDP-43の誤局在化は、Nup変化の出現後かなり時間が経ってから起こる。これらのデータは、死後の疾患ニューロンの80~90%がCHMP7免疫反応性の増加を示すが、それらのサブセットのみがTDP-43病態も陽性であるという我々の共病態分析を裏付けるものである。
【0194】
まとめると、このデータは、核内CHMP7の増加が、C9orf72およびsALS核内の神経細胞NPCの複数のサブコンプレックスにまたがる特定のNupsの核レベルに影響を与える病的カスケードの、重要なイニシエータであることを示唆している。最終的には、このNPCへの複合的な「損傷」がTDP-43の機能不全および下流の神経細胞生存の欠陥に寄与していると考えられる。さらに、このデータは、CHMP7が、核内Nupの減少およびTDP-43病態を特徴とする神経変性疾患における潜在的な治療標的であることを強調する。
【0195】
(実施例16)
【0196】
<材料および方法>
【0197】
[iPSC由来の神経細胞の分化]
【0198】
変異型C9orf72、sALS、および非神経性コントロールiPSC株は、Cedars-SinaiのAnswer ALSリポジトリから入手し(人口統計については下記の表Lを参照)、Cedars Sinai標準操作手順に従ってMTeSRを含むマトリゲル上で維持した。
【0199】
【表12-1】
【表12-2】
【表12-3】
【0200】
iPSCは、Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021) およびCoyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020).に以前記載されたように、直接誘導運動ニューロン(diMN)プロトコルを用いて混合脊髄神経細胞集団に分化した。すべての細胞は、37℃、5%COで維持した。iPSCおよびiPSNは、定期的にマイコプラズマについて陰性であることを確認した。
【0201】
[iPSNのASO処理]
【0202】
Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021) に以前に記載されたように、分化25日目に、5μMスクランブルコントロール(676630):CCTATAGGACTATCCAGGAA(SEQ ID NO:2)またはCHMP7標的化(1508917):TGTTACCCTCAGATACCGCC(SEQ ID NO:4)ASOを培地に添加した。分化40日目にiPSN分析を行うまで、培地およびASOを3日ごとに交換した。ASOはIonis Pharmaceuticals社によって寛大に提供された。
【0203】
[iPSNのヌクレオフェクション]
【0204】
分化18日目に、iPSNをメーカーのプロトコルに従ってアキュターゼで解離させて単細胞解離を補助し、Lonza P3 Primary Cell 4D Nucleofectorキット(Lonza)およびプログラムDC104を用いた懸濁液ベースのヌクレオフェクションに供した。各ヌクレオフェクション反応には、500万個のiPSNおよび4μgのプラスミドDNAを使用した。使用したプラスミドは以下のとおりである:GFP(Addgene54759)、VPS4 GFP(Addgene116924)、およびVPS4E228QGFP(Addgene80351)。ヌクレオフェクションしたiPSNを、マトリゲル(Corning)コーティングされた細胞培養皿に播種し、翌日に培地を交換し、その後、分化40日目の下流分析まで3日ごとに培地を交換した。
【0205】
[核の単離および超解像構造化照明顕微鏡法]
【0206】
核は、iPSNならびに死後のヒト運動皮質および後頭部皮質組織から、Nuclei Pure Prep核単離キット(Sigma Aldrich)を用いて、Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021) およびCoyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020)に以前に記載されたようにわずかに修正したメーカーのプロトコルに従って単離した。約1000万個のiPSNまたは100mgの凍結死後運動皮質組織(Target ALS Human Postmortem Tissue Coreから入手(人口統計については表Mを参照))を核単離に使用した。
【0207】
【表13】

【0208】
1.85Mスクロース勾配を使用して、神経細胞核を濃縮した。単離後、核を遠心分離機でコラーゲンコーティング(1mg/mL;Advanced Biomatrix)スライド上にCytoSpin 4遠心分離機(Thermo Fisher Scientific)を用いて遠心分離し、以前にCoyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021) およびCoyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020) に記載されたように免疫染色をした(以下の表Nを参照)。
【0209】
【表14】

【0210】
単離された核は、その後、Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021) およびCoyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020)に以前記載されたように、Zeiss ELYRA S1を用いて超解像構造化照明顕微鏡(SIM)で画像化した。すべての画像は、同一の画像化パラメーター(例えば、レーザー出力、ゲイン)を使用して取得し、Zeiss Zen Black 2.3 SP1でデフォルトSIMデコンボリューションおよび処理に供した。代表的な画像は、Zeiss Zen Black 2.3 SP1で生成した3D最大強度投影として提示した。画像は、コントラストおよび表示のためにフェイクで緑色に着色した。
【0211】
[ウェスタンブロット]
【0212】
核およびiPSN溶解液は、RIPA溶解バッファーを用いてCoyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021) およびCoyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020)に以前記載されたように作製した。5μgのタンパク質を、4~20%アクリルアミドゲル(Biorad)を用いてSDS-PAGEに供し、Trans-Blot Turbo Transferシステムを用いてニトロセルロース膜上に、Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021)およびCoyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020)に以前記載されたように転写したブロック(0.1%Tween-20を含む1×TBS中の5%脱脂乳)で、30分間室温でインキュベートした後、ブロットを、ブロックで希釈した一次抗体中で(表Nを参照)、回転させながら4℃で一晩インキュベートした。16~18時間後、ブロットを1×TBSTで4×10分間洗浄し、次にブロックで希釈した二次抗体中で(表Nを参照)、室温で1時間、回転させながらインキュベートした。次いで、ブロットを1×TBSTで4×10分間洗浄し、ECL基質(Thermo Fisher Scientific、Millipore)とともに30秒間インキュベートした。化学発光画像の取得には、GE Healthcare ImageQuant LAS 400システムを使用した。剥離せずに膜を順次プロービングするのを容易にするため、ブロットを30%Hとともに室温で15分間インキュベートした(Sennepin AD, Charpentier S, Normand T, Sarre C, Legrand A, Mollet LM, Multiple reprobing of Western blots after inactivation of peroxidase activity by its substrate, hydrogen peroxide, Anal Biochem, 393:129-131 (2009))。分析はFIJIソフトウェアで行った。GAPDHおよびラミンB1を正規化に使用した。
【0213】
[統計分析]
【0214】
全てのデータ分析は、Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021) およびCoyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020)に以前記載されたように、FIJIまたはImarisを用いて実施した。分析者は、遺伝子型/治療/時点/脳領域情報に対して完全に盲検化した。すべての統計分析は、Prismバージョン9(GraphPad)を用いて実施した。イメージング実験では、各iPSC株、患者、および治療条件ごとに評価したすべての核または細胞の平均がn=1となるように統計分析を実施した。実験ごとに評価した核または細胞の総数は、図の説明に示した。両側Studentのt検定、Tukeyの多重比較検定つき一元配置分散分析、またはTukeyの多重比較検定つき二元配置分散分析は、実験設計に応じて、図の説明で示されたとおりに使用した。p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001。バイオリンプロットを使用して、大規模なデータセット(>10データポイント)の完全な広がりとばらつきを表示した。中央の点線は中央値を示す。さらに2本の点線は、第一四分位数および第三四分位数を示す。個々のデータ点を持つ棒グラフを使用して、10データポイント未満のデータセットを要約して表示した。
【0215】
<結果>
【0216】
[ESCRT-IIIタンパク質VPS4の発現は、C9orf72およびsALS神経細胞核で増加する]
【0217】
ESCRT-IIIタンパク質CHMP7の核局在および発現の増加は、C9orf72 ALS/FTDおよびsALSにおけるNPC損傷につながる、初期および結果的な病的現象として以前に特定された(Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021))。NPCおよびNEの監視および恒常性における追加のESCRT-IIIタンパク質(CHMP4B、CHMP2B、およびVPS4)の関与が以前に報告されていることから(Denais CM, Gilbert RM, Isermann P, McGregor AL, te Lindert M, Weigelin B, Davidson PM, Friedl P, Wolf K, Lammerding J, Nuclear envelope rupture and repair during cancer cell migration, Science(New York, NY) 352:353-358, (2016)、Toyama BH, Arrojo EDR, Lev-Ram V, Ramachandra R, Deerinck TJ, Lechene C, Ellisman MH, Hetzer MW, Visualization of long-lived proteins reveals age mosaicism within nuclei of postmitotic cells, J Cell Biol. (2018)、Vietri M, Radulovic M, Stenmark H, The many functions of ESCRTs, Nat Rev Mol Cell Biol. (2019)、Vietri M, Schultz SW, Bellanger A, Jones CM, Petersen LI, Raiborg C, Skarpen E, Pedurupillay CRJ, Kjos I, Kip E et al, Unrestrained ESCRT-III drives micronuclear catastrophe and chromosome fragmentation, Nat Cell Biol., 22:856-867 (2020))、ALS神経細胞核においてCHMP4B、CHMP2B、およびVPS4の核内分布および細胞内発現が変化しているか否かを決定するための検討を行った。免疫染色SIMを用いて、C9orf72 ALS/FTDおよびsALS iPSNから単離した核において、CHMP4BおよびCHMP2Bではなく、VPS4の量がコントロールと比較して増加していることが明らかになった(図27)。発表されたCHMP7についての観察と同様に((Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021))、核VPS4スポットの増加は、NPC損傷の開始前の時点で起こった(図27a、27e)。重要なことに、C9orf72 ALS/FTDまたはsALS全細胞iPSN溶解液におけるVPS4、CHMP4B、またはCHMP2Bレベルの全体的な増加は検出されなかった(図31a-31d)。ウェスタンブロット分析により、C9orf72 ALS/FTDおよびsALS iPSNから単離した核において、CHMP4BおよびCHMP2Bタンパク質ではなく、VPS4が増加していることを定量的に確認し、タンパク質の分布だけでなく発現も評価できるSIMの有用性が強調された(図31e~h)。これらのデータは、CHMP7と同様(Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadicand familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021))、VPS4がALSニューロンにおいて細胞質から核に再局在化し得ることを示唆する。
【0218】
iPSNからの結果が実際のヒト疾患組織における観察を再現していることを検証するため、死後のヒト運動皮質および後頭部皮質組織から単離した核において、CHMP4B、CHMP2B、およびVPS4の免疫染色およびSIMを実施した。iPSNにおけるデータと一致して、C9orf72 ALS/FTDおよびsALS運動皮質の神経細胞核において、CHMP4BおよびCHMP2Bではなく、VPS4が増加した(図28a、図28c~e)。一方、ALSにおいて健常なコントロール脳領域である後頭部皮質では、C9orf72 ALS/FTDおよびsALSの神経細胞核におけるCHMP4B、CHMP2B、およびVPS4の発現の変化は観察されなかった(図28b~e)。
【0219】
[CHMP7のASO媒介ノックダウンは、C9orf72およびsALS神経細胞核においてVPS4病態を緩和する]
【0220】
CHMP7の細胞質から核への核再局在化は、VPS4によるNPCおよびNE成分の切断および除去をもたらす、追加のESCRT-III経路構成要素の動員を開始することが提唱されている(Denais CM, Gilbert RM, Isermann P, McGregor AL, te Lindert M, Weigelin B, Davidson PM, Friedl P, Wolf K, Lammerding J, Nuclear envelope rupture and repair during cancer cell migration, Science(New York, NY) 352:353-358 (2016)、Thaller DJ, Allegretti M, Borah S, Ronchi P, Beck M, Lusk CP, An ESCRT-LEM protein surveillance system is poised to directly monitor the nuclear envelope and nuclear transport system, Elife (2019)、Toyama BH, Arrojo EDR, Lev-Ram V, Ramachandra R, Deerinck TJ, Lechene C, Ellisman MH, Hetzer MW Visualization of long-lived proteins reveals age mosaicism within nuclei of postmitotic cells, J Cell Biol., (2018)、Vietri M, Radulovic M, Stenmark H, The many functions of ESCRTs, Nat Rev Mol Cell Biol. (2019)、Vietri M, Schultz SW, Bellanger A, Jones CM, Petersen LI, Raiborg C, Skarpen E, Pedurupillay CRJ, Kjos I, Kip E et al., Unrestrained ESCRT-III drives micronuclear catastrophe and chromosome fragmentation, Nat Cell Biol., 22:856-867 (2020)、Webster BM, Colombi P, Jager J, Lusk CP, Surveillance of nuclear pore complex assembly by ESCRT-III/Vps4, Cell 159:388-401 (2014)、Webster BM, Thaller DJ, Jager J, Ochmann SE, Borah S, Lusk CP, Chm7 and Heh1 collaborate to link nuclear pore complex quality control with nuclear envelope sealing, EMBO J, 35:2447-2467 (2016))。CHMP7のアンチセンスオリゴヌクレオチド(ASO)媒介ノックダウンが、CHMP7の異常な核蓄積を軽減するだけでなく、C9orf72およびsALS iPSNsにおけるNPC損傷ならびに下流のNPCおよびTDP-43機能不全を強力に緩和することは以前には示されていなかった(Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021))。核内CHMP7の増加が、ヒトニューロンにおけるESCRT-III経路の下流構成要素の核内分布および発現に影響を与えたか否かを確認するために、CHMP7標的化ASOを有するコントロールおよびALS iPSN((Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021))を、CHMP7(Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021))およびVPS4(図27a、27d)の病態の出現後2週間処理した(上記「材料および方法」を参照)。SIMを使用して、ASO媒介CHMP7ノックダウンが核CHMP4BおよびCHMP2B免疫反応性に影響を与えないことが明らかになった(図29a~d)。対照的に、CHMP7レベルの低下(Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic cand familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021)を参照)は、核VPS4免疫反応性を有意に減少させ(図29e、29f)、核VPS4発現の増加がCHMP7に依存することが示唆される。
【0221】
[VPS4機能障害は、C9orf72およびsALS神経細胞核におけるNPCの変化を軽減するのに十分ではない]
【0222】
NPCおよび核質からのNup POM121の大幅な減少は、NPCに対する早期かつ着実な損傷であり(Coyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020))、CHMP7の異常な核蓄積の結果である(Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021))ことが以前に報告されているVPS4は、核および核膜からのNPCおよびNE成分の除去を促進するAAA-ATPaseであるため(Thaller DJ, Allegretti M, Borah S, Ronchi P, Beck M, Lusk CP, Vietri M, Radulovic M, Stenmark H, The many functions of ESCRTs, Nat Rev Mol Cell Biol. (2019)、Webster BM, Colombi P, Jager J, Lusk CP, Surveillance of nuclear pore complex assembly by ESCRT-III/Vps4, Cell, 159:388-401 (2014)、An ESCRT-LEM protein surveillance system is poised to directly monitor the nuclear envelope and nuclear transport system, Elife (2019)、Webster BM, Lusk CP, Border safety: quality control at the nuclear envelope, Trends Cell Biol., 26:29-39 (2016)、Webster BM, Thaller DJ, Jager J, Ochmann SE, Borah S, Lusk CP, Chm7 and Heh1 collaborate to link nuclear pore complex quality control with nuclear envelope sealing, EMBO J, 35:2447-246 (2016))、核内VPS4発現の増加がC9orf72 ALS/FTDおよびsALSニューロンにおけるNPC損傷にも機能的に寄与するかもしれないと仮定された。これを確認するために、GFPタグ付き野生型VPS4、または、以前にESCRT依存性の放出現象を損なうことが示されたGFPタグ付きVPS4のドミナントネガティブバリアント(VPS4E228Q)(Votteler J, Ogohara C, Yi S, Hsia Y, Nattermann U, Belnap DM, King NP, Sundquist WI, Designed proteins induce the formation of nanocage-containing extracellular vesicles, Nature, 540:292-295 (2016))を過剰発現させ、コントロールおよびALS iPSNから単離した核において、POM121についてSIMおよび免疫染色を実施した。
【0223】
VPS4バリアントの過剰発現は、C9orf72およびsALSにおいて免疫染色によって検出されるVPS4の核発現を増加させたが、コントロールiPSN(図30a、図30b)においては増加せず、VPS4の核内動員が野生型ヒトニューロンにおいて「過活性」ではないことが示唆された。CHMP7の下流にあるVPS4の機能と一致して、VPS4E228Qの過剰発現は、C9orf72およびsALS iPSNにおけるPOM121の核発現を、部分的にのみ回復させた(図30c、図30d)。興味深いことに、野生型VPS4の過剰発現は、C9orf72およびsALS iPSNにおける核POM121免疫反応性に影響を与えなかった(図30c、図30d)ことから、単に核VPS4レベルを増加させるだけではNPC損傷を増強するには十分でないことが示唆された。コントロール核と比較して、VPS4E228Qを過剰発現するC9orf72 ALS/FTDおよびsALS核では、POM121の分布が異常であるように見えるが(図30c)、その理由は依然として不明である。注目すべきことに、内在性VPS4タンパク質のTrim21媒介ノックダウン(トリムアウェイ、(Clift D, McEwan WA, Labzin LI, Konieczny V, Mogessie B, James LC, Schuh M, A method for the acute and rapid degradation of endogenous proteins, Cell 171:1692-1706.e1618 (2017))は、おそらく核膜およびNPCの恒常性を超える機能の結果、iPSNsに有毒であった(McCullough J, Frost A, Sundquist WI, Structures, functions, and dynamics of ESCRT-III/Vps4 membrane remodeling and fission complexes, Annu Rev Cell Dev Biol., 34:85-109 (2018)、Vietri M, Radulovic M, Stenmark H, The many functions of ESCRTs, Nat Rev Mol Cell Biol., (2019))。まとめると、これらのデータは、CHMP7ノックダウンとは対照的に(Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021))、VPS4機能障害は、C9orf72 ALS/FTDおよびsALS核内の特定のNupの発現および分布を回復させるのに十分ではないことを示唆している。
【0224】
核膜孔複合体の損傷、特定のNupの病的な細胞質蓄積、および核細胞質輸送の欠陥は、ALS/FTD、ADおよびHDを含む複数の神経変性疾患の顕著な病理学的特徴として現在報告されている(Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Transla.t Med. (2021)、Coyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020)、Eftekharzadeh B, Daigle JG, Kapinos LE, Coyne A, Schiantarelli J, Carlomagno Y, Cook C, Miller SJ, Dujardin S, Amaral AS et al., Tau protein disrupts nucleocytoplasmic transport in Alzheimer’s disease, Neuron 99:925-940.e927 (2018)、Grima JC, Daigle JG, Arbez N, Cunningham KC, Zhang K, Ochaba J, Geater C, Morozko E, Stocksdale J, Glatzer JC et al., Mutant huntingtin disrupts the nuclear pore complex, Neuron 94:93-107.e106 (2017)、およびZhang K, Donnelly CJ, Haeusler AR, Grima JC, Machamer JB, Steinwald P, Daley EL, Miller SJ, Cunningham KM, Vidensky S et al., The C9orf72 repeat expansion disrupts nucleocytoplasmic transport, Nature 525:56-61 (2015))。しかし、これらの破壊につながる分子メカニズムはまだ十分に理解されていない。最近、ESCRT-IIIタンパク質CHMP7の異常な核内蓄積が、C9orf72 ALS/FTDおよびsALSヒト神経細胞核のNPCおよび核質からの、POM121を始めとする特定のNupsの減少を開始するのに十分であることが立証された(Coyne AN, Baskerville V, Zaepfel BL, Dickson DW, Rigo F, Bennett F, Patrick Lusk C, Rothstein JD, “Nuclear accumulation of CHMP7 initiates nuclear pore complex injury and subsequent TDP-43 dysfunction in sporadic and familial ALS”, Sci Translat. Med. (2021))。最終的に、この核孔損傷は、NCTおよびそれに続くTDP-43の機能および局在、ならびに下流の神経細胞のグルタミン酸ストレスに対する生存に影響を与える(Coyne AN, Zaepfel BL, Hayes L, Fitchman B, Salzberg Y, Luo EC, Bowen K, Trost H, Aigner S, Rigo F et al. “G(4)C(2) repeat RNA initiates a POM121-mediated reduction in specific nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD, Neuron (2020))。ESCRT-IIIタンパク質の病態ならびに家族性および散発性ALSにおけるNPC損傷への寄与の特性をさらに明らかにするために、本研究は、CHMP4BおよびCHMP2BではなくVPS4が、C9orf72 ALS/FTDおよびsALSヒト神経細胞核においてCHMP7依存的に増加することを示す。まとめると、このデータは、ALS/FTDのNPC損傷におけるESCRT-III経路の重要な役割を裏付け、その複雑さを強調するものである。本明細書で引用した出版物、特許出願、および特許を含むすべての文献は、各文献が個別に具体的に記載されているのと同じ程度に、参照によりここに組み込まれ、その全体が本明細書に記載される。
【0225】
本開示を説明する文脈における(特に、以下の請求項の文脈における)用語「a」および「an」ならびに「the」および同様の参照語の使用は、本明細書において特に示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、単数と複数の双方を包含すると解釈する。用語「備える(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」、および「含有する(containing)」は、特に断らない限り、制約のない用語として解釈すべきである(すなわち、これに限定されないが、「含む(including)」という意味)。本明細書における値の範囲の記載は、本明細書で特に指示しない限り、単に範囲内の各別の値を個別に述べるための略記法として機能することを意図しており、各別の値は、本明細書に個別に記載されているかのように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書で特に示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、任意の適切な順序で実施することができる。本明細書における任意の、およびすべての例、または例示的な言語(例えば、「など」)の使用は、単に本開示をより明らかにすることを意図しており、特に主張しない限り、本開示の範囲に対して制限するものでない。本明細書におけるいかなる言語も、請求されていない要素を本開示の実施に必須であると示すものとして解釈されるべきではない。
【0226】
本開示の好ましい実施形態は、本発明者らに知られている本開示を実施するための最良の様式を含めて、本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態の変形形態は、前述の記載を読むことで当業者にとって明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形形態を適宜採用することを期待しており、本発明者らは、本開示が本明細書に具体的に記載されている以外の方法で実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用される法律によって許可される、本明細書に添付された請求項に記載された主題のすべての修正形態および均等物を含む。さらに、上述の要素の任意の組み合わせのすべての可能な変形形態は、本明細書で特に示されない限り、または文脈によって明らかに矛盾しない限り、本開示によって包含される。
【0227】
(参照文献)
1. K. Zhang et al., The C9orf72 repeatexpansion disrupts nucleocytoplasmic transport.
Nature 525, 56-61 (2015).
2. J. Chew et al., Aberrantdeposition of stressgranule-resident proteins linked to C9orf72- associated TDP-43 proteinopathy. Molecular neurodegeneration 14, 9 (2019).
3. Y. J. Zhang et al.,Poly(GR) impairs proteintranslation and stressgranule dynamics in C9orf72-associated frontotemporal dementia and amyotrophic lateral sclerosis. Nature medicine, (2018).
4. Y. J. Zhang et al.,C9ORF72 poly(GA) aggregates sequester and impair HR23 and nucleocytoplasmic transport proteins. Nature neuroscience 19, 668-677 (2016).
5. Y. J. Zhang et al.,Heterochromatin anomalies and double-stranded RNA accumulation underlie C9orf72 poly(PR)toxicity. Science (New York,N.Y.) 363, (2019).
6. A. N. Coyne et al.,G(4)C(2) Repeat RNA Initiates a POM121-Mediated Reductionin Specific Nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD.Neuron, (2020).
7. B. M. Webster, P. Colombi, J. Jager, C. P. Lusk, Surveillance of nuclear pore complex assembly by ESCRT-III/Vps4. Cell 159, 388-401(2014).
8. D. J. Thaller et al.,An ESCRT-LEM proteinsurveillance system is poised to directly monitor the nuclear envelope and nuclear transportsystem. eLife 8, (2019).
9. B. M. Webster et al.,Chm7 and Heh1 collaborate to link nuclearpore complex quality control with nuclear envelopesealing. The EMBO journal35, 2447-2467 (2016).
10. B H. Toyama et al.,Visualization of long-lived proteins reveals age mosaicism within nuclei of postmitotic cells.The Journal of cell biology, (2018).
11. D. Clift et al., A Method for the Acuteand Rapid Degradation of Endogenous Proteins. Cell 171, 1692-1706.e1618 (2017).
12. S. Mizielinska et al., C9orf72 repeatexpansions cause neurodegeneration in Drosophila through arginine-rich proteins. Science (New York, N.Y.) 345, 1192-1194 (2014).
13. M. Vietri,M. Radulovic, H. Stenmark, The many functions of ESCRTs. Nature reviews. Molecular cell biology, (2019).
14. S. L. DeVos, T. M. Miller,Antisense oligonucleotides: treatingneurodegeneration at the level of RNA. Neurotherapeutics: the journal of the AmericanSociety for Experimental NeuroTherapeutics 10, 486-497(2013).
15. K. M. Schoch, T. M. Miller,Antisense Oligonucleotides: Translation from Mouse Models to Human Neurodegenerative Diseases.Neuron 94, 1056-1070 (2017).
16. C. J. Donnelly et al.,RNA toxicity from the ALS/FTDC9ORF72 expansion is mitigated by antisense intervention. Neuron 80, 415-428(2013).
17. M. Gu et al.,LEM2 recruits CHMP7 for ESCRT-mediated nuclear envelope closurein fission yeast and human cells. Proceedingsof the National Academy of Sciences of the United States of America 114,E2166-e2175 (2017).
18. M. Vietri et al., Unrestrained ESCRT-IIIdrives micronuclear catastrophe and chromosome fragmentation. Nature cell biology 22,856-867 (2020).
19. Kudo et al.,Leptomycin B inactivates CRM1/exportin 1 by covalent modification at a cysteineresidue in the central conserved region. Proceedingsof the National Academy of Sciences of the UnitedStates of America96, 9112-9117 (1999).
20. D. J. Thaller et al.,Direct PA-binding by Chm7 is required for nuclear envelopesurveillance at herniations. biorxiv, 2020.2005.2004.074880 (2020).
21. M. Delaleau, K. L. Borden, MultipleExport Mechanisms for mRNAs. Cells 4,452-473 (2015).
22. B. J. Natalizio, S. R. Wente, Postage for the messenger: designating routes for nuclear mRNA export. Trends in cell biology23, 365-373 (2013).
23. M. Okamura, H. Inose,S. Masuda, RNA Export throughthe NPC in Eukaryotes. Genes (Basel) 6, 124-149 (2015).
24. K. Thakar, S. Karaca,S. A. Port, H. Urlaub,R. H. Kehlenbach, Identification of CRM1- dependent Nuclear Export Cargos Using Quantitative Mass Spectrometry. Mol Cell Proteomics 12,664-678 (2013).
25. C. C. Chou et al.,TDP-43 pathology disruptsnuclear pore complexesand nucleocytoplasmic transport in ALS/FTD. Nature neuroscience 21, 228-239 (2018).
26. B. Eftekharzadeh et al., Tau Protein DisruptsNucleocytoplasmic Transport in Alzheimer's Disease. Neuron 99, 925-940.e927 (2018).
27. J. C. Grima et al.,Mutant Huntingtin Disruptsthe Nuclear Pore Complex. Neuron 94,93- 107.e106 (2017).
28. J. V. Thevathasan et al.,Nuclear pores as versatile referencestandards for quantitative superresolution microscopy. Nature methods16, 1045-1053 (2019).
29. W. Cheng et al., CRISPR-Cas9 ScreensIdentify the RNA Helicase DDX3Xas a Repressorof C9ORF72 (GGGGCC)n Repeat-Associated Non-AUG Translation. Neuron 104,885-898.e888 (2019).
30. B. E. Black et al.,NXT1 is necessary for the terminal step of Crm1-mediated nuclear export. The Journal of cell biology152, 141-155 (2001).
31. J. McCullough, A. Frost, W. I. Sundquist, Structures, Functions, and Dynamics of ESCRT-III/Vps4 Membrane Remodeling and Fission Complexes. Annu Rev Cell Dev Biol 34,85-109 (2018).
32. C. P. Lusk, N. R. Ader, CHMPions of repair: Emergingperspectives on sensingand repairing the nuclearenvelope barrier. Current opinionin cell biology 64, 25-33 (2020).
33. G. Skibinski et al., Mutationsin the endosomal ESCRTIII-complex subunitCHMP2B in frontotemporal dementia.Nature genetics 37, 806-808(2005).
34. C. Lagier-Tourenne et al., Targeteddegradation of sense and antisense C9orf72 RNA foci as therapy for ALS and frontotemporal degeneration. Proceedings of the National Academy of Sciences of the UnitedStates of America110, E4530-4539 (2013).
35. A. D. Sennepin et al.,Multiple reprobing of Western blots after inactivation of peroxidase activity by its substrate, hydrogen peroxide. Anal Biochem393, 129-131 (2009).
36. Ling, S. C., Polymenidou, M. & Cleveland, D. W. Converging mechanisms in ALS and FTD: disrupted RNA and protein homeostasis. Neuron79, 416-438, doi:10.1016/j.neuron.2013.07.033 (2013).
37. Taylor, J. P., Brown, R. H., Jr. & Cleveland, D. W. Decoding ALS: from genes to mechanism. Nature 539, 197-206, doi:10.1038/nature20413 (2016).
38. Kim, G., Gautier, O., Tassoni-Tsuchida, E., Ma, X. R. & Gitler, A. D. ALS Genetics: Gains, Losses, and Implications forfuture Therapies. Neuron, doi:10.1016/j.neuron.2020.08.022 (2020).
39. Sances, S. et al. Modeling ALS with motor neurons derived from human induced pluripotent stem cells. Nature neuroscience 19, 542-553, doi:10.1038/nn.4273 (2016).
40. Zhang, X., Hu, D., Shang, Y. & Qi, X. Using induced pluripotent stem cell neuronal models to study neurodegenerative diseases. Biochimica et biophysica acta. Molecular basis of disease, doi:10.1016/j.bbadis.2019.03.004 (2019).
41. Donnelly, C. J. et al. RNA toxicity from the ALS/FTD C9ORF72 expansion is mitigated by antisense intervention. Neuron 80, 415-428, doi:10.1016/j.neuron.2013.10.015 (2013).
42. Gendron, T. F. et al. Poly(GP) proteins are a useful pharmacodynamic marker for C9ORF72-associated amyotrophic lateral sclerosis. Science translational medicine 9, doi:10.1126/scitranslmed.aai7866 (2017).
43. Coyne, A. N. et al. G(4)C(2) Repeat RNA Initiates a POM121-Mediated Reduction in Specific Nucleoporins in C9orf72 ALS/FTD. Neuron, doi:10.1016/j.neuron.2020.06.027 (2020).
44. Beck, M. & Hurt, E. The nuclear pore complex: understanding its function through structural insight. Nature reviews. Molecular cell biology 18, 73-89, doi:10.1038/nrm.2016.147 (2017).
45. Lin, D. H. & Hoelz, A. The Structure of the Nuclear Pore Complex (An Update). Annual review of biochemistry, doi:10.1146/annurev-biochem-062917-011901 (2019).
46. Raices, M. & D'Angelo, M. A. Nuclear pore complex composition: a new regulator of tissue-specificand developmental functions. Nature reviews. Molecular cell biology 13, 687-699, doi:10.1038/nrm3461 (2012).
47. Raices, M. & D'Angelo, M. A. Nuclear pore complexes and regulation of gene expression. Current opinion in cell biology 46, 26-32, doi:10.1016/j.ceb.2016.12.006 (2017).
48. Webster, B. M., Colombi, P., Jager, J. & Lusk, C. P. Surveillance of nuclear pore complex assembly by ESCRT-III/Vps4. Cell 159, 388-401, doi:10.1016/j.cell.2014.09.012 (2014).
49. Thaller, D. J. et al. An ESCRT-LEM protein surveillance system is poised to directly monitor the nuclear envelope and nuclear transport system. eLife 8, doi:10.7554/eLife.45284 (2019).
50. Webster, B. M. et al. Chm7 and Heh1 collaborate to link nuclear pore complex quality control with nuclear envelope sealing. The EMBO journal 35, 2447-2467, doi:10.15252/embj.201694574 (2016).
51. Toyama, B. H. et al. Visualization of long-lived proteins reveals age mosaicism within nuclei of postmitotic cells. The Journal of cell biology, doi:10.1083/jcb.201809123 (2018).
52. Lee, C. W. et al. Selective autophagy degrades nuclear pore complexes. Nature cell biology 22, 159-166, doi:10.1038/s41556-019-0459-2 (2020).
53. Tomioka, Y. et al. TORC1 inactivation stimulates autophagy of nucleoporin and nuclear pore complexes. The Journal of cell biology 219, doi:10.1083/jcb.201910063 (2020).
54. Lusk, C. P. & Ader, N. R. CHMPions of repair: Emerging perspectives on sensing and repairing the nuclear envelope barrier. Current opinion in cell biology 64, 25-33, doi:10.1016/j.ceb.2020.01.011 (2020).
55. Robberecht, W. & Philips, T. The changing scene of amyotrophic lateral sclerosis. Nature reviews. Neuroscience 14, 248-264, doi:10.1038/nrn3430 (2013).
56. Maglione, M. & Sigrist, S. J. Seeing the forest tree by tree: super-resolution light microscopy meets the neurosciences. Nature neuroscience 16, 790-797, doi:10.1038/nn.3403 (2013).
57. Schermelleh, L. et al. Subdiffraction multicolor imaging of the nuclear periphery with 3D structured illumination microscopy. Science (New York, N.Y.) 320, 1332-1336, doi:10.1126/science.1156947 (2008).
58. Clift, D. et al. A Method for the Acute and Rapid Degradation of Endogenous Proteins. Cell171, 1692-1706.e1618, doi:10.1016/j.cell.2017.10.033 (2017).
59. Boeynaems, S., Bogaert, E., Vandamme, P. & Vanden Bosch, L. Inside out: the role of nucleocytoplasmic transport in ALS and FTLD. Acta neuropathologica 132, 159-173, doi:10.1007/s00401-016-1586-5 (2016).
60. Hutten, S. & Dormann, D. Nucleocytoplasmic transport defects in neurodegeneration - Cause or consequence? Seminars in cell & developmental biology, doi:10.1016/j.semcdb.2019.05.020 (2019).
61. Jovicic, A., Paul, J. W., 3rd & Gitler, A. D. Nuclear transport dysfunction: a common theme in amyotrophic lateral sclerosis and frontotemporal dementia. Journal of neurochemistry 138 Suppl 1, 134-144, doi:10.1111/jnc.13642 (2016).
62. Kim, H. J. & Taylor, J. P. Lost in Transportation: Nucleocytoplasmic Transport Defects in ALS and Other Neurodegenerative Diseases. Neuron96, 285-297, doi:10.1016/j.neuron.2017.07.029 (2017).
63. Gu, M. et al. LEM2 recruits CHMP7 for ESCRT-mediated nuclear envelope closure in fission yeast and human cells. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 114, E2166-e2175, doi:10.1073/pnas.1613916114 (2017).
64. Vietri, M. et al. Unrestrained ESCRT-III drives micronuclear catastrophe and chromosome fragmentation. Nature cell biology 22, 856-867, doi:10.1038/s41556-020-0537-5 (2020).
65. Thaller, D. J. et al. Direct PA-binding by Chm7 is required for nuclear envelope surveillance at herniations. biorxiv, 2020.2005.2004.074880, doi:10.1101/2020.05.04.074880 (2020).
66. Gao, J., Wang, L., Huntley, M. L., Perry, G. & Wang, X. Pathomechanisms of TDP-43 in neurodegeneration. Journal of neurochemistry, doi:10.1111/jnc.14327 (2018).
67. Dickmanns, A., Kehlenbach, R. H. & Fahrenkrog, B. Nuclear Pore Complexes and Nucleocytoplasmic Transport: From Structure to Function to Disease. International review of cell and molecular biology 320, 171-233, doi:10.1016/bs.ircmb.2015.07.010 (2015).
68. Coyne, A. N., Zaepfel, B. L. & Zarnescu, D. C. Failure to Deliver and Translate-New Insights intorNA Dysregulation in ALS. Frontiers in cellular neuroscience 11, 243, doi:10.3389/fncel.2017.00243 (2017).
69. Suk, T. R. & Rousseaux, M. W. C. The role of TDP-43 mislocalization in amyotrophic lateral sclerosis. Molecular neurodegeneration15, 45, doi:10.1186/s13024-020-00397-1 (2020).
70. Melamed, Z. et al. Premature polyadenylation-mediated loss of stathmin-2 is a hallmark of TDP-43-dependent neurodegeneration. Nature neuroscience22, 180-190, doi:10.1038/s41593-018-0293-z (2019).
71. Prudencio, M. et al. Truncated stathmin-2 is a marker of TDP-43 pathology in frontotemporal dementia. The Journal of clinical investigation, doi:10.1172/jci139741 (2020).
72. DeTure, M. A. & Dickson, D. W. The neuropathological diagnosis of Alzheimer's disease. Molecular neurodegeneration 14, 32, doi:10.1186/s13024-019-0333-5 (2019).
73. Johnson, V. E., Stewart, W., Trojanowski, J. Q. & Smith, D. H. Acute and chronically increased immunoreactivity to phosphorylation-independent but not pathological TDP-43 after a single traumatic brain injury in humans. Acta neuropathologica 122, 715-726, doi:10.1007/s00401-011-0909-9 (2011).
74. Thammisetty, S. S. et al. Age-related deregulation of TDP-43 after stroke enhances NF-κB-mediated inflammation and neuronal damage. J Neuroinflammation 15, 312, doi:10.1186/s12974-018-1350-y (2018).
75. DeVos, S. L. & Miller, T. M. Antisense oligonucleotides: treating neurodegeneration at the level of RNA. Neurotherapeutics : the journal of the American Society for Experimental NeuroTherapeutics 10, 486-497, doi:10.1007/s13311-013-0194-5 (2013).
76. Schoch, K. M. & Miller, T. M. Antisense Oligonucleotides: Translation from Mouse Models to Human Neurodegenerative Diseases. Neuron94, 1056-1070, doi:10.1016/j.neuron.2017.04.010 (2017).
77. Melchiorf. Ran GTPase cycle: oOne mechanism -- two functions. Current biology : CB 11, R257-260 (2001).
78. Eftekharzadeh, B. et al. Tau Protein Disrupts Nucleocytoplasmic Transport in Alzheimer's Disease. Neuron 99, 925-940.e927, doi:10.1016/j.neuron.2018.07.039 (2018).
79. Grima, J. C. et al. Mutant Huntingtin Disrupts the Nuclear Pore Complex. Neuron 94, 93-107.e106, doi:10.1016/j.neuron.2017.03.023 (2017).
80. Zhang, K. et al. The C9orf72 repeat expansion disrupts nucleocytoplasmic transport. Nature525, 56-61, doi:10.1038/nature14973 (2015).
81. Chou, C. C. et al. TDP-43 pathology disrupts nuclear pore complexes and nucleocytoplasmic transport in ALS/FTD. Nature neuroscience 21, 228-239, doi:10.1038/s41593-017-0047-3 (2018).
82. Chew, J. et al. Aberrant deposition of stress granule-resident proteins linked to C9orf72-associated TDP-43 proteinopathy. Molecular neurodegeneration 14, 9, doi:10.1186/s13024-019-0310-z (2019).
83. Zhang, Y. J. et al. Poly(GR) impairs protein translation and stress granule dynamics in C9orf72-associated frontotemporal dementia and amyotrophic lateral sclerosis. Nature medicine, doi:10.1038/s41591-018-0071-1 (2018).
84. Zhang, Y. J. et al. C9ORF72 poly(GA) aggregates sequester and impair HR23 and nucleocytoplasmic transport proteins. Nature neuroscience 19, 668-677, doi:10.1038/nn.4272 (2016).
85. Zhang, Y. J. et al. Heterochromatin anomalies and double-stranded RNA accumulation underlie C9orf72 poly(PR) toxicity. Science (New York, N.Y.) 363, doi:10.1126/science.aav2606 (2019).
86. Thevathasan, J. V. et al. Nuclear pores as versatile reference standards for quantitative superresolution microscopy. Nature methods 16, 1045-1053, doi:10.1038/s41592-019-0574-9 (2019).
87. McCullough, J., Frost, A. & Sundquist, W. I. Structures, Functions, and Dynamics of ESCRT-III/Vps4 Membrane Remodeling and Fission Complexes. Annu Rev Cell Dev Biol 34, 85-109, doi:10.1146/annurev-cellbio-100616-060600 (2018).
88. Skibinski, G. et al. Mutations in the endosomal ESCRTIII-complex subunit CHMP2B in frontotemporal dementia. Nature genetics 37, 806-808, doi:10.1038/ng1609 (2005).
89. Chang, X. L., Tan, M. S., Tan, L. & Yu, J. T. The Role of TDP-43 in Alzheimer's Disease. Molecular neurobiology 53, 3349-3359, doi:10.1007/s12035-015-9264-5 (2016).
90. Sennepin, A. D. et al. Multiple reprobing of Western blots after inactivation of peroxidase activity by its substrate, hydrogen peroxide. Anal Biochem 393, 129-131, doi:10.1016/j.ab.2009.06.004 (2009).
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
【配列表】
2023549160000001.app
【国際調査報告】