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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】地下岩ハイブリッド掘削
(51)【国際特許分類】
   E21B 7/00 20060101AFI20231115BHJP
   E21B 47/04 20120101ALI20231115BHJP
【FI】
E21B7/00
E21B47/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527976
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-05-02
(86)【国際出願番号】 US2021057999
(87)【国際公開番号】W WO2022098830
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】17/090,410
(32)【優先日】2020-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523165503
【氏名又は名称】クエイズ エナジー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】アラケ, カルロス
(72)【発明者】
【氏名】ラム, ジャスティン
(72)【発明者】
【氏名】モンモン, フランク
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ハイ
(72)【発明者】
【氏名】ホウデ, マシュー
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AA04
2D129BA09
2D129CB01
2D129CB03
2D129CB09
2D129CB16
2D129DC23
(57)【要約】
ミリ波掘削装置(300)を利用するための方法が提供される。本方法は、ボアホール内から材料を機械的に除去するためのドリルビットを含む掘削装置を使用してボアホールを形成しながら、坑井のボアホールの第1の部分の浸透率を監視することを含むことができる。本方法はまた、少なくともボアホールの浸透率が浸透率閾値を下回ることに基づいて、ボアホールに挿入するように構成された導波管(430)を含むミリ波掘削装置を利用することを決定することを含むことができる。本方法は、決定に応答して、ミリ波掘削装置を利用してボアホールの第2の部分を形成することをさらに含むことができる。坑井のダウンホール圧力を制御するための方法も提供される。本方法を実行する関連システムも提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボアホール内から材料を機械的に除去するためのドリルビットを含む掘削装置を使用して前記ボアホールを形成しながら、坑井の前記ボアホールの第1の部分の浸透率を監視することと、
少なくとも前記ボアホールの前記浸透率が浸透率閾値を下回ることに基づいて、前記ボアホール内に挿入するように構成された導波管を含むミリ波掘削装置を利用するように決定することと、
前記決定に応答して、前記ミリ波掘削装置を利用して前記ボアホールの第2の部分を形成することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記ボアホールの前記第1の部分の前記浸透率を監視することが、前記ボアホール内で測定された岩石多孔度および/または流体飽和度に少なくとも基づいて前記ボアホールの前記第1の部分の前記浸透率を決定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記掘削装置が、回転掘削、打撃掘削、撹拌掘削、またはダイヤモンド掘削から選択される掘削方法を実行するように構成されている、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ボアホールの前記第1の部分内の温度を監視することと、
温度閾値を超える前記ボアホールの前記温度にさらに基づいて前記決定を実行することと、
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記掘削装置の前記ドリルビットの貫通速度を監視することと、
貫通速度閾値を下回る前記掘削装置の前記ドリルビットの前記貫通速度にさらに基づいて前記決定を実行することと、
をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ボアホールの前記第1の部分内に存在する材料の硬度を監視することと、
前記材料の硬度が硬度閾値を超えることにさらに基づいて前記決定を実行することと、
をさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ボアホールの前記第1の部分内の温度、前記掘削装置の前記ドリルビットの前記貫通速度、および前記ボアホールの前記第1の部分内に存在する材料の硬度を監視することと、
前記ボアホールの前記第1の部分内の前記温度、前記掘削装置の前記ドリルビットの前記貫通速度、および前記ボアホールの前記第1の部分内に存在する前記材料の前記硬度が、それぞれ温度閾値を超える、貫通速度閾値を下回る、および/または硬度閾値を超えることのうちの2つ以上にさらに基づいて、前記決定を実行することと、
をさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ミリ波掘削装置および前記導波管が、前記掘削装置の深さ限界よりも深い深さまで前記ボアホールの前記第2の部分を形成するように動作される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記深さが、5,001メートルから35,000メートルである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記深さ限界が、4,000メートルから5,000メートルである、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記監視することが、第1のデータプロセッサを使用して実行され、前記決定することが、前記第1のデータプロセッサ、第2のデータプロセッサ、または前記第1のデータプロセッサと前記第2のデータプロセッサとの組み合わせを使用して実行される、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
ボアホール内に挿入するように構成された導波管を含むミリ波掘削装置を使用して、坑井の前記ボアホールの形成中に前記坑井のダウンホール圧力を監視することであって、前記監視することが、前記ダウンホール圧力を決定することを含み、前記ダウンホール圧力が、前記坑井の底部に存在する圧力の量を含む、監視することと、
前記坑井の前記底部において前記坑井を囲む岩石の静岩圧を決定することと、
前記坑井の前記底部において前記坑井を囲む前記岩石の前記静岩圧に対する前記ダウンホール圧力を制御することと、
を含む、方法。
【請求項13】
前記坑井の前記ダウンホール圧力を監視することが、
前記ボアホール内に供給される、および/または前記ボアホールから抽出される流体の圧力を測定することと、
前記ボアホール内に供給された前記流体の前記圧力、前記ボアホールから抽出された前記流体の前記圧力、ドリルビットを含む掘削装置を使用して前記坑井の一部を形成するときに決定されるダウンホール圧力、前記ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の尺度、および/または前記坑井の前記底部の深さのうちの1つ以上を使用して前記坑井の前記ダウンホール圧力を決定することと、
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記坑井の前記ダウンホール圧力を決定することが、ドリルビットを含む掘削装置を使用して前記坑井の一部を形成するときに決定される前記ダウンホール圧力、前記ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の前記尺度、および前記坑井の前記底部の前記深さのうちの1つ以上に関連する少なくとも1つの物理モデルを使用することをさらに含む、請求項12または13に記載の方法。
【請求項15】
前記ダウンホール圧力を制御することが、前記坑井の表面に配置され、前記坑井の前記ボアホール内にガスを供給するように構成されたガス圧縮機の動作、前記ガス圧縮機の入力バルブ位置、前記ガス圧縮機の出力バルブ位置、および/または前記ガス圧縮機によって供給される前記ガスの流量のうちの1つ以上を制御することをさらに含む、請求項12から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記ガスの流量が0.5m/sから50m/sの間である、請求項12から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
坑井のボアホールの第1の部分を形成する間に材料を機械的に除去するためのドリルビットを含む掘削装置であって、前記ボアホールの前記第1の部分が、前記ボアホールの前記第1の部分の浸透率に基づいて形成される、掘削装置と、
導波管を介して前記坑井の前記ボアホールの第2の部分にミリ波放射エネルギーを注入するように構成されたジャイロトロンを含むミリ波掘削装置であって、前記ボアホールの前記第2の部分が、前記ボアホールの前記第1の部分の前記浸透率が浸透率閾値未満であるとの決定に応答して前記ミリ波掘削装置を介して形成される、ミリ波掘削装置と、
を備える、システム。
【請求項18】
前記掘削装置が、回転掘削、打撃掘削、撹拌掘削、またはダイヤモンド掘削から選択される掘削方法を実行するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記ボアホールの前記第1の部分が、前記ボアホールの前記第1の部分内の温度を監視しながら形成され、前記ボアホールの前記第2の部分が、前記ボアホールの前記第1の部分内の前記温度が温度閾値を超えると決定したことに応答して、前記ミリ波掘削装置を介して形成される、請求項17または18に記載のシステム。
【請求項20】
前記ボアホールの前記第1の部分が、前記掘削装置の前記ドリルビットの貫通速度を監視しながら形成され、前記ボアホールの前記第2の部分が、前記掘削装置の前記ドリルビットの前記貫通速度が貫通速度閾値を下回ると決定したことに応答して、前記ミリ波掘削装置を介して形成される、請求項17から19のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項21】
前記ボアホールの前記第1の部分が、前記ボアホールの前記第1の部分内に存在する材料の硬度を監視しながら形成され、前記ボアホールの前記第2の部分が、前記材料の前記硬度が硬度閾値を超えると決定したことに応答して、前記ミリ波掘削装置を介して形成される、請求項17から20のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項22】
前記ボアホールの前記第1の部分が、前記ボアホールの前記第1の部分内の温度、前記掘削装置の前記ドリルビットの貫通速度、および前記ボアホールの前記第1の部分内に存在する材料の硬度を監視しながら形成され、前記ボアホールの前記第2の部分が、前記ボアホールの前記第1の部分内の前記温度、前記掘削装置の前記ドリルビットの前記貫通速度、および前記ボアホールの前記第1の部分内に存在する前記材料の前記硬度がそれぞれ温度閾値を超える、貫通速度閾値を下回る、および/または硬度閾値を超えることのうちの2つ以上を決定したことに応答して、前記ミリ波掘削装置を介して形成される、請求項17から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
前記ミリ波掘削装置および前記導波管が、前記掘削装置の深さ限界よりも深い深さまで前記ボアホールの前記第2の部分を形成するように動作される、請求項17から22のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項24】
前記深さが5,001メートルから35,000メートルである、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記深さ限界が、4,000メートルから5,000メートルである、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記掘削装置および前記ミリ波掘削装置に結合されたデータプロセッサをさらに備え、前記データプロセッサが、前記監視および前記決定を実行するように構成されている、請求項17から25のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項27】
ボアホール内に挿入するように構成された導波管を介して坑井の前記ボアホールにミリ波放射エネルギーを注入するように構成されたジャイロトロンを含むミリ波掘削装置であって、前記ボアホールが、前記ミリ波掘削装置を介して形成され、前記坑井の底部において監視されるダウンホール圧力を有する、ミリ波掘削装置と、
前記ボアホールに流体的に結合され、前記ボアホール内に供給される、および/または前記ボアホールから受け取られるガスを介して前記ダウンホール圧力を制御するように構成された圧縮機であって、前記圧縮機が、前記坑井の前記底部の前記坑井を囲む岩石について決定された静岩圧に対して前記ダウンホール圧力を制御するように構成されている、圧縮機と、
を備える、システム。
【請求項28】
前記ダウンホール圧力が、少なくとも前記ボアホール内に供給される、および/または前記ボアホールから抽出される流体の圧力を測定し、前記ボアホール内に供給された前記流体の前記圧力、前記ボアホールから抽出された前記流体の前記圧力、ドリルビットを含む掘削装置を使用して前記坑井の一部を形成するときに決定されるダウンホール圧力、前記ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の尺度、および/または前記坑井の前記底部の深さのうちの1つ以上を使用して前記坑井の前記ダウンホール圧力を決定することによって監視される、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記坑井の前記ダウンホール圧力が、前記ボアホール内に供給される前記流体の前記圧力、前記ボアホールから受け取られる前記流体の前記圧力、ドリルビットを含む掘削装置を使用して前記坑井の一部を形成するときに決定されるダウンホール圧力、前記ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の尺度、および/または前記坑井の前記前記底部の深さのうちの1つ以上に基づいて制御される、請求項27または28に記載のシステム。
【請求項30】
前記坑井の前記ダウンホール圧力が、ドリルビットを含む掘削装置を使用して前記坑井の一部を形成するときに決定される前記ダウンホール圧力、前記ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の尺度、および前記坑井の前記底部の深さのうちの1つ以上に関連する物理モデルに基づいてさらに制御される、請求項27から29のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項31】
本明細書に記載および/または例示される装置、システム、方法、および物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年11月5日に出願された米国特許出願第17/090,410号、現在は2021年6月8日に発行された米国特許第11,028,648号明細書、発明の名称「Basement Rock Hybrid Drilling」に対する米国特許法第119条に基づく優先権を主張する。その全内容は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。
【0002】
本明細書に記載の主題は、従来の掘削およびミリ波掘削、熱掘削などの他の技術を含む地表下地層の掘削に関する。
【背景技術】
【0003】
石油およびガスなどの天然資源が地表下地層内でアクセスされることができるように、回転掘削などの従来の掘削が使用されて坑井ボアホールを形成することができる。従来の掘削は、浅い地下深さの地層にアクセスすることに限定される可能性があり、より深い地層を貫通することにはあまり効果的でない可能性があり、それはより硬く、浸透性の低い岩石を含むことができる。浅い深さに存在する岩石よりも高い温度および圧力下にあることが多い、より深い深さの高密度岩石の形成は、熱掘削および/またはミリ波掘削などの非従来的な掘削技術を利用して、より効率的にアクセスされることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、ミリ波掘削装置を利用するための方法が提供される。一実施形態では、本方法は、ボアホール内から材料を機械的に除去するためのドリルビットを含む掘削装置を使用してボアホールを形成しながら、坑井のボアホールの第1の部分の浸透率を監視することを含むことができる。本方法はまた、少なくともボアホールの浸透率が浸透率閾値を下回ることに基づいて、ボアホール内に挿入するように構成された導波管を含むミリ波掘削装置を利用することを決定することを含むことができる。本方法は、決定に応答して、ミリ波掘削装置を利用してボアホールの第2の部分を形成することをさらに含むことができる。
【0005】
別の実施形態では、ボアホールの第1の部分の浸透率を監視することは、ボアホール内で測定された岩石多孔度および/または流体飽和度に基づいてボアホールの第1の部分の浸透率を決定することを含むことができる。
【0006】
別の実施形態では、掘削装置は、回転掘削、打撃掘削、撹拌掘削、またはダイヤモンド掘削から選択される掘削方法を実行するように構成されることができる。
【0007】
別の実施形態では、本方法は、ボアホールの第1の部分内の温度を監視することと、温度閾値を超えるボアホールの温度にさらに基づいて決定を実行することとをさらに含むことができる。
【0008】
別の実施形態では、本方法は、掘削装置のドリルビットの貫通速度を監視することと、貫通閾値を下回る掘削装置のドリルビットの貫通速度にさらに基づいて決定を実行することとをさらに含むことができる。
【0009】
別の実施形態では、本方法は、ボアホールの第1の部分内に存在する材料の硬度を監視することと、硬度閾値を超える材料の硬度にさらに基づいて決定を実行することとをさらに含むことができる。
【0010】
別の実施形態では、本方法は、ボアホールの第1の部分内の温度、掘削装置のドリルビットの貫通速度、およびボアホールの第1の部分内に存在する材料の硬度を監視することと、ボアホールの第1の部分内の温度、掘削装置のドリルビットの貫通速度、およびボアホールの第1の部分内に存在する材料の硬度が、それぞれ温度閾値を超える、貫通閾値バルブの速度を下回る、および/または硬度値閾値を超えることのうちの2つ以上にさらに基づいて、決定を実行することとをさらに含むことができる。
【0011】
別の実施形態では、ミリ波掘削装置および導波管は、掘削装置の深さ限界よりも深い深さまでボアホールの第2の部分を形成するように動作される。深さは、5,001メートルから35,000メートルとすることができる。深さ限界は、4,000メートルから5,000メートルの間とすることができる。
【0012】
別の実施形態では、監視は、第1のデータプロセッサを使用して実行されることができ、決定は、第1のデータプロセッサ、第2のデータプロセッサ、または第1のデータプロセッサと第2のデータプロセッサとの組み合わせを使用して実行されることができる。
【0013】
別の態様では、坑井のダウンホール圧力を制御するための方法が提供される。一実施形態では、本方法は、ボアホール内に挿入するように構成された導波管を含むミリ波掘削装置を使用して、坑井のボアホールの形成中に坑井のダウンホール圧力を監視することを含むことができる。監視は、ダウンホール圧力を決定することを含むことができる。ダウンホール圧力は、坑井の底部に存在する圧力の量を含むことができる。本方法はまた、坑井の底部において坑井を囲む岩石の静岩圧を決定することを含むことができる。本方法は、坑井の底部の坑井を囲む岩石の静岩圧に対するダウンホール圧力を制御することをさらに含むことができる。
【0014】
別の実施形態では、ダウンホール圧力を制御する方法は、ボアホール内に供給される、および/またはボアホールから抽出される流体の圧力を測定することを含むことができる。本方法はまた、ボアホール内に供給される流体の圧力、ボアホールから抽出される流体の圧力、ドリルビットを含む掘削装置を使用して坑井の一部を形成するときに決定されるダウンホール圧力、ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の尺度、および/または坑井の底部の深さのうちの1つ以上を使用して坑井のダウンホール圧力を決定することを含むことができる。坑井のダウンホール圧力を決定することは、ドリルビットを含む掘削装置を使用して坑井の一部を形成するときに決定されるダウンホール圧力、ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の尺度、および坑井の底部の深さのうちの1つ以上に関連する少なくとも1つの物理モデルを使用することをさらに含むことができる。
【0015】
別の実施形態では、ダウンホール圧力を制御するための方法は、表面に配置され、坑井のボアホール内にガスを供給するように構成されたガス圧縮機の動作、ガス圧縮機の入力バルブ位置、ガス圧縮機の出力バルブ位置、および/またはガス圧縮機によって供給されるガスの流量のうちの1つ以上を制御することを含むことができる。ガスの流量は、0.5m/sから50m/sとすることができる。
【0016】
別の態様では、ミリ波掘削装置システムが提供される。一実施形態では、システムは、坑井のボアホールの第1の部分を形成しながら材料を機械的に除去するためのドリルビットを含む掘削装置を含むことができる。ボアホールの第1の部分は、ボアホールの第1の部分の浸透率を監視しながら形成されることができる。システムはまた、導波管を介して坑井のボアホールの第2の部分にミリ波放射エネルギーを注入するように構成されたジャイロトロンを含むミリ波掘削装置を含むことができる。ボアホールの第2の部分は、ボアホールの第1の部分の浸透率が浸透率閾値を下回るとの決定に応答して、ミリ波掘削装置を介して形成されることができる。
【0017】
別の実施形態では、掘削装置は、回転掘削、打撃掘削、撹拌掘削、またはダイヤモンド掘削から選択される掘削方法を実行するように構成されることができる。
【0018】
別の実施形態では、ボアホールの第1の部分は、ボアホールの第1の部分内の温度を監視しながら形成されることができ、ボアホールの第2の部分は、ボアホールの第1の部分内の温度が温度閾値を超えると決定したことに応答して、ミリ波掘削装置を介して形成されることができる。
【0019】
別の実施形態では、ボアホールの第1の部分は、掘削装置のドリルビットの貫通速度を監視しながら形成されることができ、ボアホールの第2の部分は、掘削装置のドリルビットの貫通速度が貫通速度閾値を下回ると決定したことに応答して、ミリ波掘削装置を介して形成されることができる。
【0020】
別の実施形態では、ボアホールの第1の部分は、ボアホールの第1の部分内に存在する材料の硬度を監視しながら形成されることができ、ボアホールの第2の部分は、材料の硬度が硬度閾値を超えるという決定に応答して、ミリ波掘削装置を介して形成されることができる。
【0021】
別の実施形態では、ボアホールの第1の部分は、ボアホールの第1の部分内の温度、掘削装置のドリルビットの貫通速度、およびボアホールの第1の部分内に存在する材料の硬度を監視しながら形成されることができ、ボアホールの第2の部分は、ボアホールの第1の部分内の温度、掘削装置のドリルビットの貫通速度、およびボアホールの第1の部分内に存在する材料の硬度がそれぞれ温度閾値を超える、貫通速度閾値を下回る、および/または硬度閾値を超えることのうちの2つ以上を決定したことに応答して、ミリ波掘削装置を介して形成されることができる。
【0022】
別の実施形態では、ミリ波掘削装置および導波管は、掘削装置の深さ限界よりも深い深さまでボアホールの第2の部分を形成するように動作される。深さは、5,001メートルから35,000メートルとすることができる。深さ限界は、4,000メートルから5,000メートルの間とすることができる。
【0023】
別の実施形態では、システムは、掘削装置およびミリ波掘削装置に結合されたデータプロセッサを含むことができる。データプロセッサは、監視および決定を実行するように構成されることができる。
【0024】
別の態様では、坑井のダウンホール圧力を制御するためのシステムが提供される。一実施形態では、システムは、ボアホールに挿入するように構成された導波管を介して坑井のボアホールにミリ波放射エネルギーを注入するように構成されたジャイロトロンを含むミリ波掘削装置を含むことができる。ボアホールは、ミリ波掘削装置を介して形成されることができ、坑井の底部において監視されるダウンホール圧力を有することができる。システムはまた、ボアホールに流体結合され、ボアホール内に供給されるおよび/またはボアホールから受け取られるガスを介してダウンホール圧力を制御するように構成された圧縮機を含むことができる。圧縮機は、坑井の底部の坑井を囲む岩石について決定された静岩圧に対してダウンホール圧力を制御するように構成されることができる。
【0025】
別の実施形態では、ダウンホール圧力は、少なくともボアホール内に供給されるおよび/またはボアホールから抽出される流体の圧力を測定することによって監視されることができる。坑井のダウンホール圧力は、ボアホール内に供給される流体の圧力、ボアホールから抽出される流体の圧力、ドリルビットを含む掘削装置を使用して坑井の一部を形成するときに決定されるダウンホール圧力、ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の尺度、および/または坑井の底部の深さのうちの1つ以上を使用して決定されることができる。
【0026】
別の実施形態では、坑井のダウンホール圧力は、ボアホール内に供給される流体の圧力、ボアホールから受け取られる流体の圧力、ドリルビットを含む掘削装置を使用して坑井の一部を形成するときに決定されるダウンホール圧力、ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の尺度、および/または坑井の底部の深さのうちの1つ以上に基づいて制御されることができる。別の実施形態では、ダウンホール圧力は、ドリルビットを含む掘削装置を使用して坑井の一部を形成するときに決定されるダウンホール圧力、ミリ波掘削装置に供給されるエネルギー入力の尺度、および坑井の底部の深さの1つ以上に関連する物理モデルに基づいてさらに制御されることができる。別の実施形態では、坑井のダウンホール圧力は、圧縮機の動作、圧縮機の出力バルブ位置、および/または圧縮機によって供給されるガスの流量のうちの1つ以上を制御することに基づいてさらに制御されることができる。ガスの流量は、0.5m/sから50m/sとすることができる。
【0027】
これらおよび他の特徴は、添付の図面と併せて以下の詳細な説明からより容易に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本明細書に記載のミリ波掘削装置およびシステムを使用してボアホールの一部を形成するための方法の1つの例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【0029】
図2】本明細書に記載のミリ波掘削装置およびシステムを使用して形成された坑井のダウンホール圧力を制御するための方法の1つの例示的な実施形態を示すフローチャートである。
【0030】
図3】本明細書に記載の図1および図2の方法を実行するように構成されたミリ波掘削システムの例示的な実施形態を示す図である。
【0031】
図4】ミリ波放射の低損失伝送用の金属導波管を含むボアホールの断面図を示す図である。
【0032】
図5】本明細書に記載のミリ波掘削システムを使用するハイブリッド掘削手法の例示的な実施形態を示す図である。
【0033】
図6】本明細書に記載のミリ波掘削システムを使用して達成可能な貫通速度のプロットを示す図である。
【0034】
図7】本明細書に記載の動作中のミリ波掘削システムを使用するハイブリッド掘削手法を示す図である。
図8】本明細書に記載の動作中のミリ波掘削システムを使用するハイブリッド掘削手法を示す図である。
図9】本明細書に記載の動作中のミリ波掘削システムを使用するハイブリッド掘削手法を示す図である。
図10】本明細書に記載の動作中のミリ波掘削システムを使用するハイブリッド掘削手法を示す図である。
図11】本明細書に記載の動作中のミリ波掘削システムを使用するハイブリッド掘削手法を示す図である。
図12】本明細書に記載の動作中のミリ波掘削システムを使用するハイブリッド掘削手法を示す図である。
【0035】
図13】従来の掘削システムおよび方法ならびに本明細書に記載のミリ波掘削システムを使用して達成可能な貫通速度のプロットを示す図である。
図14】本明細書に記載の動作中のミリ波掘削システムを使用するハイブリッド掘削手法を示す図である。
【0036】
図面は必ずしも縮尺通りではないことに留意されたい。図面は、本明細書に開示される主題の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものと見なされるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0037】
従来の掘削は、ボアホールの周囲または近くの地表下地層内に存在することがある天然資源にアクセスするために、坑井のボアホールを形成するために使用されることができる。従来の掘削は、回転掘削、ハンマー掘削、および/または回転掘削とハンマー掘削との組み合わせを含むことができる。従来の掘削は、掘削中の洗浄および冷却のために、泥もしくは水などの液体、および/または空気もしくは泡などの気体を使用することができる。従来の掘削は、軟らかい多孔質岩石内にボアホールを形成するために使用されることができ、多結晶ダイヤモンドビット、ローラコーン、および高圧液体ジェットなどの回転ドリルビットの使用を含むことができる。従来の掘削は、ボアホールの形成中に岩石を切削または研削するために回転掘削装置を利用することができる。切削または研削された岩石は、ボアホール内に供給された流体を介して除去され、切削または研削された材料をボアホールから持ち上げることができる。従来の掘削は、より深いボアホール深さに存在する岩石の温度の上昇および硬度の増加により、より深いボアホール深さにおいて制限されたより低い貫通速度を達成することができる。ボアホールの表面から底部に動力を伝達する能力はまた、深いボアホールでの従来の掘削を使用して達成される貫通速度を制限することができる。
【0038】
ミリ波掘削(MMWD)などの熱掘削は、岩石を融解または気化させる圧力と組み合わせて大量の放射エネルギーをボアホールに供給することによって、より大きな貫通速度を達成することができる。MMWDは、切削、破砕、または研削された岩石を物理的に除去する必要性が低減または排除されるため、従来の掘削と比較して有利であり得る。代わりに、岩石は、気化して非常に小さな粒子になるか、または溶融する。印加された熱エネルギーの豊富さは、従来の掘削の回転機械的作用と比較して貫入岩石においてより効果的であるため、従来の掘削と比較してより高い貫通速度がMMWDを使用して達成されることができる。したがって、MMWDは、表面下のより深い深さに存在することがある天然資源または高温乾燥岩にアクセスするために、より深い坑井を形成するのに有益であり得る。
【0039】
従来の掘削から、ミリ波掘削などの熱掘削に切り替える時期を決定することは、決定するのが困難であり得て、この決定におけるエラーは、費用がかかり、危険であり得る。従来の掘削からミリ波掘削に遷移する時期を正確に特定することは、ボアホール形成中の費用効果の高い貫通速度を維持するために重要であり得る。例えば、従来の掘削装置の貫通速度が岩石の硬度および/または高温の存在に起因して遅くなる深さまでボアホールの第1の部分を形成するために、従来の掘削が使用されることができる。より深い深さで従来の掘削を実行することは、従来の掘削を監視および実行するために追加の時間、人員、および機器を必要とする可能性があり、MMWDなどの非従来の掘削と比較して、より深い深さでボアホールを形成することに関連するコストおよびリスクを増加させる可能性がある。
【0040】
したがって、本主題のいくつかの実装形態は、ミリ波掘削装置を利用するために従来の掘削から切り替える時期を決定する手法を提供することができる。ミリ波掘削は、熱加熱(例えば、ミリ波が岩石を加熱する)を使用することによってボアホールを延伸するため、材料が浸透性である場合、液体(例えば、水)が多孔質材料を貫通してボアホールに浸透することを可能にすることができる。ボアホール内の追加の液体は、ボアホールを冷却することによってミリ波掘削システムと干渉する可能性がある。換言すれば、ミリ波は、ボアホール岩石ではなく、液体(例えば、水)を気化させる。これはまた、噴出のリスクを増加させる可能性がある。したがって、本主題のいくつかの実装形態は、回転掘削手法を利用しながらボアホールの浸透率を監視または推測することと、ボアホールの底部の岩石の浸透率が浸透率閾値を下回ると、ミリ波装置を使用することを決定することとを含む。監視は、直接的または間接的とすることができ、例えば、低浸透率ゾーンで浸透率を直接監視(例えば、測定)することは困難であり得る。その結果、いくつかの実装形態では、浸透率は、岩石の多孔度などの他の測定値から推測されることができる。多孔度は、いくつかの既存のツールを使用してより容易に決定されることができる。
【0041】
いくつかの実装形態では、ボアホールの底部の岩石の温度および/または硬度は、従来の掘削中に監視されることができ、MMWDに切り替える決定は、岩石の温度および/または硬度にさらに基づくことができる。掘削に関連するコストではなく、岩石の浸透率、温度、および/または硬度に基づいてMMWDに切り替える決定を行うことにより、本主題のいくつかの実装形態は、MMWDの全体的な動作が改善され、したがって掘削に対する改善された手法をもたらす点で、MMWDなどの熱掘削に切り替える決定を提供することができる。
【0042】
いくつかの実装形態では、ミリ波掘削中、坑井の崩壊を防ぐために坑井の制御を維持する必要がある。例えば、従来の掘削手法は、液体(例えば、泥)を使用して潤滑し、ダウンホール圧力を制御することができ、(例えば、崩壊を防止するために)金属ケーシングおよびセメントを使用してボアホールを支持することができる。泥土によって裸孔壁の周囲に形成される泥土重量および濾過ケークは、崩壊を防止することができる。金属ケーシングは、掘削後に挿入されることができ、裸孔の安定性を維持するために適所にセメント打ちされることができる。しかしながら、液体(例えば、泥)は、ミリ波に対して透過性ではない場合がある。ボアホール内の温度が上昇するにつれて、ケーシングおよびセメンチングを設置することはますます困難になる可能性がある。ミリ波掘削はガスを利用することができるが、低圧は坑井を崩壊させる可能性がある。したがって、本主題のいくつかの実装形態は、ミリ波掘削装置を使用して坑井のボアホールの形成中に坑井のダウンホール圧力を監視することと、坑井の底部において坑井を囲む岩石の静岩圧を決定することと、坑井の底部において坑井を囲む岩石の静岩圧に対するダウンホール圧力を制御することとを含む。本明細書に記載の管理された圧力掘削手法を使用してダウンホール圧力を制御することにより、坑井制御が維持されることができ、坑井崩壊が防止または抑制されることができるように、岩石の静岩圧に対してダウンホール圧力が制御されることができる。裸孔崩壊を防ぐために圧力を制御することに加えて、圧力は静岩圧または破砕圧力に到達するように制御されることができる。静岩圧に到達するかまたはそれを超えるように圧力を制御することは、平衡状態または過平衡状態を可能にすることができる。また、破壊圧力に到達するように圧力を制御することは、凝縮した岩石粒子を表面に戻す代わりに、MMWDプロセスによって生成された溶融物を地層に押し込むことを可能にすることができる。
【0043】
本明細書に記載の管理された圧力掘削手法は、裸孔の閉鎖容積内に過均衡圧力状態を作り出すことができる他の圧力掘削手法と比較して有利であり得る。本明細書に記載の管理された圧力掘削手法は、開放容積システムにおいて使用されることができる。開放容積システムは、流体および/またはガスを地表から裸孔を下って切削前方に、そして地表に戻るように能動的に循環させるように構成されることができる。流体および/またはガスを能動的に循環させることは、掘削構成要素を冷却および潤滑するのに役立ち、切りくずを表面に移送することができる。能動循環の方向は、正常または逆とすることができる。通常の循環では、流体および/またはガスは、導波管を通って裸孔に供給され、裸孔アニュラスを通って戻る。逆循環では、流体および/またはガスは、裸孔アニュラスを介して裸孔に供給され、裸孔から導波管を通って戻る。対照的に、閉鎖容積システムは、循環経路に沿って流れ制限を形成する。例えば、流れの完全な閉塞または部分的な閉塞が使用されて、ダウンホール圧力を管理することができる。閉鎖容積システムが使用されて、本明細書に記載の管理された圧力掘削手法を実行することができる。閉鎖容積システムでは、閉鎖容積システムの閉ループ内の圧力は、開放容積システムと比較して、循環経路の各点でより高くなることができる。
【0044】
坑井ボアホールを形成するためにハイブリッドMMWDを実行するための改善されたシステムおよび方法が本明細書に記載される。ハイブリッドMMWDシステムおよび方法は、ボアホール全体を形成するために従来の掘削またはMMWDのみを使用して達成することが困難であり得る利点を提供することができる。例えば、従来の掘削は、岩石がより軟らかく、より浅く、および/またはより低い機械的比エネルギーを有する、深さ0kmから3kmの浅い地下岩層で効率的に実行されることができる。例えば、従来の掘削岩石の機械的比エネルギーは、約100ジュール/cmの岩石とすることができるのに対して、岩石を溶融するための機械的比エネルギーは、約5000ジュール/cmの岩石とすることができる。岩石を気化させるための機械的比エネルギーは、約12,000ジュール/cmまたはそれを超える岩石とすることができる。5kmを超える深さでは、条件はMMWDの使用に有利となり得る。従来の掘削手法を使用して5kmよりも深い坑井を掘削することは、本明細書に記載のハイブリッドMMWDシステムおよび方法を使用して坑井を掘削した場合よりも長い時間を要する可能性がある。
【0045】
岩石の硬度、浸透率、およびボアホール温度がより深い深さで増加するにつれて、貫通速度が遅くなり、従来の掘削作業を継続するコストが増加する可能性がある。より深い深さおよび浸透性の低い岩石での従来の掘削の機械的効率は、ドリルビットの摩耗の増加、および岩石を貫通するために必要な摩擦およびトルク伝達の増加のために低下する可能性がある。回転ドリルビットは、これらの条件下でより迅速に摩耗する可能性がある。ボアホールの維持に関連するコストおよびワークフローはまた、従来の掘削を使用して深さで増加させることができる。例えば、より大きな深さでボアホールを形成するのに必要なより大きなサイズのドリルビットを収容するために、より大きく、より高価で、より浅いボアホールケーシングが必要とされ得る。
【0046】
ボアホール温度はまた、従来の掘削からMMWDに切り替える時期に影響を及ぼすことができる。例えば、ボアホール温度が260℃を超える可能性のある深さは、従来の掘削に使用される電子部品にとって問題となり得る。さらに、これらの温度条件が存在することがある深さでは、高温による流体の破壊により、泥の上昇および冷却特性が低下する可能性がある。これらの深さおよび温度での従来の掘削は、300℃に定格されたドリルビットを利用することができるが、これは、オペレータが一定の方法で高速で泥を循環させることを必要とする可能性がある。
【0047】
MMWDは、より高い温度およびより深い深さで、浸透性の低いおよび/または硬い岩石にボアホールを形成する際により効率的であるが、少なくとも浅い岩石形成に必要な機械的比エネルギーが低いために、表面近くにボアホールの初期部分を形成する際にあまり有利ではない可能性がある。例えば、MMWDは、ボアホール内に大量の放射エネルギーを供給して岩石を融解または気化させる。MMWDシステムは、ジャイロトロンと呼ばれるミリ波生成装置を含み、エネルギーを形成してボアホール内に誘導するために導波管を利用する。ボアホール全体をかなりの深さまで形成するためにそのようなシステムを展開することは、ボアホールの初期部分に存在する特定の種類の岩石を適切に除去するために常に費用効率的または機械的に効率的であるとは限らない。例えば、ボアホールの初期部分を形成することができる浅い地表下地層では、岩石は、MMWDを使用して効果的に気化または溶融されない石灰石を含むことができる。本明細書に記載のハイブリッドMMWDシステムおよび方法は、従来の掘削およびその後のMMWDを利用して、従来の掘削のみよりも深い深さまでボアホールを形成することができ、岩石のより深い地表下地層に存在するように、岩石の浸透率および/または岩石硬度が低下したとき、および/またはボアホールの温度または圧力が上昇したときに、より大きな貫通速度を提供することができる。
【0048】
図1は、本明細書に記載のミリ波掘削装置およびシステムを使用してボアホールの一部を形成するための方法100の1つの例示的な実施形態を示すフローチャートである。動作105において、ボアホール内から材料を機械的に除去するためのドリルビットを含む掘削装置を使用してボアホールを形成しながら、ボアホールの第1の部分の浸透率が監視される。いくつかの実施形態では、ボアホールの第1の部分の浸透率を監視することは、ボアホール内で測定された岩石多孔度および流体飽和度に基づいて浸透率を推測すること(例えば、決定すること)を含むことができる。コア測定値(例えば、ボアホール内で測定された岩石多孔度および流体飽和度の測定値)に基づいて決定されたモデルが使用されて、ボアホールの第1の部分の浸透率を決定することができる。いくつかの実施形態では、ボアホールの浸透率の代わりに、ボアホールの多孔度および飽和度が監視されることができる。掘削装置は、従来の掘削、打撃掘削、撹拌掘削、ダイヤモンド掘削などを実行するように構成されることができる。いくつかの実施形態では、監視は、ボアホールの温度、掘削装置のドリルビットの貫通速度、および/またはボアホールの第1の部分内に存在する材料の硬度を監視することを含むことができる。いくつかの実施形態では、監視は、浸透率に対応するデータを受信するように構成されたコンピューティングデバイスを使用するなど、データプロセッサを使用して実行されることができる。いくつかの実施形態では、データプロセッサは、ボアホールの温度、ドリルビットの貫通速度、材料の硬度、およびそれらの任意の組み合わせを監視するように構成されることもできる。
【0049】
ボアホールの第1の部分の浸透率は、ボアホール内に適用され、ボアホールから受け入れられる流体に関連するデータに基づいて監視されることができる。例えば、切削または研削された材料を除去するために、流体がボアホールに供給され、ボアホールから受け取られることができる。流体の速度または流体の圧力が使用されて、ボアホールの第1の部分を囲む岩石の浸透率を推測することができる。いくつかの実施形態では、浸透率は、ボアホールの第1の部分またはボアホールを異なる位置に形成している間に収集されたロギングデータから推測されることができる。ロギングデータは、例えば、従来の掘削手法によって作成されることができる掘削中のロギング(LWD)記録からのログを含むことができる。いくつかの実施形態では、浸透率は、直接測定のために実験室に送られたコア試料に基づいて監視されることができる。例えば、既知の直径および長さのコアに単相流体を流すことによって、岩石試料全体の圧力降下が測定されることができる。コア試料の浸透率は、ダルシーの法則を使用して計算されることができる。いくつかの実施形態では、浸透率は、有線ロギングツールを用いた測定によって監視されることができる。いくつかの実施形態では、浸透率は、ダウンホール圧力およびサンプリングツールを用いた測定によって監視されることができる。いくつかの実施形態では、浸透率は、ドリルステム試験(DST)を使用して監視されることができる。DSTが使用されて、ダウンホール圧力の過渡分析に基づいて平均原位置浸透率を決定することができる。いくつかの実施形態では、浸透率は、監視されている坑井の近くに掘削されたオフセット坑井から導出された履歴データに基づいて決定されることができる。いくつかの実施形態では、浸透率は、ボアホール内の進入流体の許容可能な量を推測するために、多孔度および流体飽和度を監視することに基づいて推測されることができる。いくつかの実施形態では、浸透率は、掘削中の測定(MWD)を使用して監視または決定されることができ、リアルタイムまたはほぼリアルタイムで貯留層情報を提供する地層評価ツールの使用を含むことができる。
【0050】
ボアホールの温度は、1つ以上のダウンホールセンサを使用して監視されることができる。ダウンホールセンサは、約300℃まで利用されることができる。現在、「超高温」掘削流体は、260℃または約500°Fの定格であり、「超高温」温度モータも同様に、260℃または約500°Fの定格である。超高温モータは、ダウンホール電気部品を含まないため、回転操縦可能モータよりも高温ゾーンで動作することができる。回転操縦可能システム(RSS)およびモータは、典型的には、ダウンホール電気部品に関連する温度限界のために、200度の最大ダウンホール温度に制限される。「高」温度掘削流体およびモータは、約200℃または約400°Fに定格されることができる。「通常の」温度掘削流体およびモータは、約150℃または約300°Fに定格されることができる。従来の掘削は、高いリザーバ温度ゾーンに掘削することができるが、掘削装置の任意の温度限界内に保つために、ボアホールを冷却するために大量の掘削流体を循環させる必要があり得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、ボアホールの温度は、ボアホールから受け取った流体から推測されることができる。MMWDを実行する場合などのいくつかの実施形態では、ボアホールの温度は、高温測定法および/または放射測定法を使用して決定されることができる。いくつかの実施形態では、ボアホールの温度は、例えば測温抵抗体(RTD)または光ファイバセンサを使用して、掘削しながら測定されることができる。いくつかの実施形態では、ボアホールの温度は、有線ロギング工具を使用して測定されることができる。いくつかの実施形態では、ボアホールの温度は、履歴データに基づいて決定されることができる。いくつかの実装形態では、温度は、LWD記録を分析することによって決定されることができる。いくつかの実施形態では、RSSツールは、制御ユニット温度を監視することができる。いくつかの実施形態では、温度は、メモリゲージを使用してドリルビットで監視されることができる。いくつかの実施形態では、ボアホール温度は、掘削中にロギングしながらRTDを使用して監視されることができる。他の手法も可能である。
【0052】
掘削装置のドリルビットの貫通速度(ROP)は、ドリルビットを含む掘削装置上に構成された、またはそれに関連付けられた1つ以上のセンサを使用して監視されることができる。いくつかの実装形態では、ROPは、LWD記録を分析することによって決定されることができる。いくつかの実装形態では、ROPは、本明細書に記載のハイブリッドMMWDシステムおよび方法の使用に切り替える時期を決定する際に使用する唯一の指標ではない場合がある。例えば、ROPは、様々な問題のために低減されることができ、その全ては、RSS、モータ、およびドリルビット、ならびにこれらの構成要素が動的にどのように動作するかに関連することができる。ROPはまた、1つの場所に硬い岩石層が存在し、続いてより浸透性で柔らかい次の岩石層が存在するために低減されることができる。ROPに影響する主な要因は、岩石の深さ、岩石多孔度、岩石の浸透率、ダウンホール温度、および機械的比エネルギーを含む。加速度計をダウンホール環境に統合すると不十分な結果が生じる可能性があるため、ブロック位置などの表面からROPを監視することが通常必要である。掘削中の測定(MWD)は、加速度計および磁力計を利用して、そこからROPが決定されることができる底孔アセンブリ(BHA)の空間的配向を提供することができる。
【0053】
有効ROP(EROP)は、ボアホールを深くするのに費やされない時間量を占めるROPとすることができる。例えば、EROPは、摩耗したドリルビットの取り外しおよび交換に必要な時間を含むことができる。MMWDは、摩耗したドリルビットまたはBHA構成要素を交換する必要がないため、MMWDは、そのような余分な時間を必要としない。その結果、ボアホールの形成に費やされる非生産的な時間(NPT)の量が低減されることができ、EROP、すなわち目標深さまでの時間は、従来の掘削よりも大幅に短縮することができる。さらに、MMWDを介して形成されたボアホールは、ガラス化され、その中にケーシングまたはセメントの適用を必要としない場合がある。これは、NPTの量をさらに低減させ、EROPを増加させることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のハイブリッドMMWDシステムおよび方法は、約1mm/秒のEROPを達成することができる。したがって、本明細書に記載のハイブリッドMMWDシステムおよび方法のいくつかの例示的な実装形態は、100日間の掘削で約10kmの深さを達成することができる。
【0054】
ボアホールの第1の部分内に存在する材料の硬度は、ボアホールを出る流体の速度に基づいて監視されることができる。いくつかの実施形態では、材料の硬度は、ボアホールの第1の部分の浸透率に関連するデータから推測または測定されることができる。いくつかの実施形態では、材料の硬度は、岩石切りくずの分析から推測または測定されることができる。例えば、岩石の種類は、岩石の硬度を示すことができる。いくつかの実施形態では、材料の硬度は、ロギングツールを使用して推測または測定されることができる。掘削中またはスルービットロギング構成などの有線ツールを使用している間に、ロギングツール測定値が取得されることができる。いくつかの実施形態では、材料の硬度は、摩耗したドリルビットが変化する周波数から推測または測定されることができる。いくつかの実施形態では、材料の硬度は、コア試料の直接測定から推測または測定されることができる。いくつかの実施形態では、材料の硬度は、履歴データから推測または測定されることができる。いくつかの実施形態では、材料の硬度は、表面トルクまたはダウンホールトルクの量、ドリルビットの重量、ROP、および/またはドリルビットの毎分回転数(RPM)から推測または測定されることができる。過度の振動および低いROPは、より硬い材料を示す可能性がある。いくつかの実施形態では、アットビットまたはインビットのロギングツールは、そこから硬度を推測することができる重みオンビット(WOB)、ダウンホールWOB(DWOB)、トルクオンビット(TOB)、および/またはダウンホールTOB(DTOB)データを提供することができる。さらに、MWDツールは、岩石層の種類および対応する岩石硬度が推測されることができる地層評価データを提供することができる。
【0055】
前述の測定値および/またはデータに基づいて、材料の硬度に対応するプロキシ測定値が計算されることができる。いくつかの実施形態では、プロキシ測定値は、見かけの形成強度を含むことができる。例えば、見かけの形成強度は、(DWOB*RPM)/(ROP*深さ)として計算されることができる。いくつかの実施形態では、プロキシ測定値は、掘削比エネルギーの測定値を含むことができる。例えば、掘削比エネルギーは、((8DTOB*RPM)/(深さ*ROP))として計算されることができる。いくつかの実施形態では、プロキシ測定値は、単位体積の岩石を破壊するのに必要な機械的仕事の尺度を含むことができる。
【0056】
動作110において、ボアホールに挿入するように構成された導波管を含むMMWD装置を利用する決定を行うことができる。決定は、少なくともボアホールの浸透率が浸透率閾値を下回ることに基づいて行うことができる。例えば、掘削装置がより深く掘削するにつれて、ボアホールの浸透率を決定し、ボアホールを囲む岩石の浸透率の減少を決定することに基づいて、MMWD装置に切り替える決定を行うことができる。いくつかの実装形態では、決定は、動作105において実行される監視に関連する第1のコンピューティングデバイスの第1のデータプロセッサ、監視データが受信されるデータプロセッサおよびコンピューティングデバイスから遠隔に位置する第2のコンピューティングデバイスに関連する第2のデータプロセッサ、または第1および第2のデータプロセッサの組み合わせによって行うことができる。いくつかの実施形態では、決定は、ボアホール内で直接測定されるボアホール浸透率ではなく、推測されたボアホール浸透率に基づいて行うことができる。
【0057】
浸透率閾値は、以前のボアホール形成から決定された値とすることができる。いくつかの実施形態では、浸透率閾値は、坑井ボアホールの領域に存在する地表下地層および岩石の組成を特定する地質調査に基づいて決定されることができる。閾値浸透率値は、掘削に利用可能なエネルギー量に対して高すぎる流体流入をm/sまたは同等の単位でもたらす値とすることができる。例えば、MMWDは、ダウンホール内の全ての材料を加熱することができるため、直径8インチのボアホールでの1mm/sのROPは、25000ジュール/cmの岩石を気化させる総エネルギーを仮定すると、材料を0.0000324m/s(3.24E-5m/s)の速度で除去されることができることを意味する。流体が同じ速度でボアホールに流入していた場合、ROPは0になる。この例では、MMWDを介して生成されたエネルギーが岩石層ではなく流入流体に伝達されるため、ROPは相殺される。したがって、閾値浸透率値は、浸透率、静岩圧と裸孔圧力との差、および所望のROPの関数とすることができる。いくつかの実施形態では、浸透率閾値は、1.0マイクロダルシー(uD)から10.0ミリダルシー(mD)の値とすることができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、動作110はまた、温度閾値を超えるボアホールの監視された温度に基づいてMMWD装置を利用することを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、温度閾値は、使用される従来の掘削機器の種類の関数として決定されることができる。例えば、最高温度は、機器の温度定格に関連付けられることができる。掘削装置内に電子機器を含む装置の温度定格は、260℃に制限されることができ、掘削装置のモータライニングの温度定格は、150℃に制限されることができる。その結果、これら2つのうち最も低い温度によって最高温度が決定されることができる。
【0059】
非地熱坑井の場合、坑井は、ジオステアリングを使用してRSSなしで形成される。このようにして、坑井は、より深く掘削されることができるが、真に垂直ではない場合がある。その結果、MMWDへの遷移は、最適ではない可能性がある。RSSがボアホールの初期部分を形成するために使用される場合、RSSは、ボアホール形成のいかなる垂直ずれも最小限に抑えられるように傾斜保持モードで動作されるべきである。いくつかの実装形態では、回転ドリルによって形成されたボアホールは、MMWDの性能を改善するためにほぼ垂直であり、RSSまたは同様の技術の使用は、螺旋状に見える可能性がある回転ドリルによって形成されたいくつかのボアホールと比較して、より垂直なボアホールを可能にすることができる。
【0060】
いくつかの実施形態では、動作110はまた、貫通速度閾値を下回る掘削装置のドリルビットの有効貫通速度に基づいて、MMWD装置を利用することを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、貫通速度閾値は、坑井ボアホールの領域に存在する地表下地層および岩石の組成を特定する地質調査に基づいて決定されることができる。いくつかの実施形態では、貫通速度閾値は、履歴データに基づいて決定されることができる。いくつかの実施形態では、貫通速度閾値は、回転式およびMMWDシステムおよび/または方法の双方の既知の形成タイプによる予想EROPのモデリングおよびシミュレーションデータに基づいて決定されることができる。いくつかの実施形態では、有効貫通速度閾値は、0.5から2.0mm/sの間とすることができる。
【0061】
いくつかの実施形態では、動作110はまた、硬度閾値を超えるボアホールの第1の部分に存在する材料の監視された硬度に基づいて、MMWD装置を利用することを決定することを含むことができる。いくつかの実施形態では、硬度閾値は、坑井ボアホールの領域に存在する地表下地層および岩石の組成を特定する地質調査に基づいて決定されることができる。いくつかの実施形態では、硬度閾値は、ボアホールから除去された切りくずの分析に基づいて、およびドリルビットが交換されたときのドリルビットの分析に基づいて決定されることができる。いくつかの実施形態では、硬度閾値は、ROP、ドリルビットの重量、およびドリルビットに加えられるトルクの間の相関関係に基づいて決定されることができる。いくつかの実施形態では、モース硬度計で測定された硬度閾値は、4から6とすることができる。いくつかの実施形態では、硬度閾値は、岩石の100MPaの圧縮強度を超える値とすることができる。いくつかの実施形態では、硬度閾値は、ダウンホールトルクの量または機械的比エネルギーに対応することができる。
【0062】
動作115において、ボアホールの第2の部分は、決定に応答して、MMWD装置を利用して形成されることができる。MMWD装置は、従来の掘削装置がもはや動作110において使用される様々な閾値に対してボアホールを形成するのに十分な進行を達成していないと決定された時点でボアホールの第2の部分を形成するように構成されることができる。MMWD装置を使用してボアホールの第2の部分を形成することは、従来の掘削装置を動作させる金銭的コストだけに基づくのではなく、従来の掘削装置の浸透率、温度、ボアホールの硬度、および貫通速度などの従来の掘削動作に関連する地球物理学的変数のよりロバストな分析に基づいて有利であり得る。このようにして、従来の掘削装置からMMWD装置に変更する決定は、コストのみに基づいて従来の掘削装置からMMWDに変更することを決定するよりも、コスト削減、より高い貫通速度、およびより安全な掘削作業をもたらすことができるより正確な方法で行うことができる。従来の掘削装置からMMWD装置に変更する決定はまた、ケーシングおよびセメントを設置する必要がある坑井完成ステップを低減または排除することができる。MMWD装置に切り替える前に、坑井がケーシングおよびセメント打ちされることができ、泥がMMWDにおいて使用するように構成されたガスによって置き換えられることができる。
【0063】
図2は、本明細書に記載のミリ波掘削装置およびシステムを使用して形成された坑井のダウンホール圧力を制御するための方法200の1つの例示的な実施形態を示すフローチャートである。ボアホールの形成中にダウンホール圧力を制御することは、ボアホールの構造安定性を確保し、ボアホールへの流体の流入を管理するために重要であり得る。ボアホールの底部を、孔の崩壊を防止するのに十分な圧力に維持することが望ましい場合がある。場合によっては、十分な圧力の量は、周囲の岩石の静岩圧よりも小さくなることができる。場合によっては、十分な圧力の量は、ボアホールを囲む岩石の静岩圧よりも大きくなることができる。例えば、ダウンホール圧力は、岩石の破砕を強化することができ、溶融または蒸発した岩石からの粒子状物質を周囲の岩石の亀裂に押し込むことができるように、静岩圧よりも高くなるように制御される。いくつかの実施形態では、裸孔の圧力は、少なくとも2*岩石の密度*重力*深さ-岩石の圧縮強度とすることができる。いくつかの実施形態では、裸孔の圧力は必要とされない。例えば、より低い深さでは、岩石はそれ自体を支持するのに十分な能力を有する。
【0064】
動作205において、ボアホールに挿入するように構成された導波管を含むMMWD装置を使用して、坑井のボアホールの形成中に坑井のダウンホール圧力が監視される。監視は、ボアホールのダウンホール圧力を決定することを含むことができる。ボアホールのダウンホール圧力は、坑井またはボアホールの底部に存在する圧力の量を含むことができる。坑井またはボアホールのダウンホール圧力は、MMWD中にボアホール内に供給されるガスの表面圧力および圧力に基づいて決定されることができる。例えば、従来の掘削方法からの表面注入圧力、流量、1つ以上の流体特性、流れ面積寸法、深さ、底部孔温度、および/または最後の物理的底部孔圧力測定値のうちの1つ以上が知られていてもよい。注入速度、流体特性、流れ面積、および深さが使用されて、圧力降下を計算することができる。深さおよび流体特性は、静水圧を計算するために使用されることができる。理想気体の法則または別の経験的方程式が使用されて、例えば(PV=NRT)などの適切な温度上昇による圧力上昇を決定することができる。これらの計算値が使用されて、底孔圧力を決定することができる。
【0065】
いくつかの実施形態では、修正されたベルヌーイ方程式、ダルシー-ワイスバッハ方程式、ファニング方程式、および/またはハーゼン-ウィリアムズ方程式が使用されて、第2の点における圧力を解くことができる。計算された底孔圧力を最後の測定底孔圧力測定値と比較することによって、基準値に対してダウンホール圧力の決定を行うことができる。最後の底孔圧力測定値は、底孔圧力がボアホールの完全性を維持するのに十分であるか、または底孔圧力を増加させる必要があるかどうかを決定するために、連続的により深い底孔圧力値に直線的に外挿されることができる。
【0066】
いくつかの実施形態では、モデルは、MMWD装置のジャイロトロンに供給される入力エネルギーの量をダウンホール圧力にさらに相関させることができる。いくつかの実施形態では、モデルは、回転掘削などの従来の掘削に関連するダウンホール圧力データを含むことができる。いくつかの実施形態では、ダウンホール圧力は、ダウンホール温度、深さ(例えば、裸孔容積)、流入、および入口/出口圧力に基づいて、裸孔流をモデル化することによって決定されることができる。動作210において、坑井の底部において坑井を囲む岩石の静岩圧を決定することができる。いくつかの実施形態では、静岩圧は、過去の地質調査データおよび/または坑井サイトに関連する地球物理データのモデルに基づいて決定されることができる。
【0067】
動作215において、ダウンホール圧力は、坑井の底部の坑井を囲む岩石の静岩圧に対して制御されることができる。ダウンホール圧力を制御することは、ボアホールおよび坑井の構造的安定性を維持するために、静岩圧に対してダウンホール圧力を過均衡、不均衡、または均衡にするために重要であり得る。周囲の岩石の静岩圧に対するダウンホール圧力の非常に不均衡な状態は、ボアホールの不安定性および崩壊を引き起こす可能性がある。いくつかの実施形態では、回転圧力制御ヘッド(RCPH)が使用されることができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、ボアホールへの入口が位置する表面に配置されたガス圧縮機の動作を制御することによって、ダウンホール圧力が制御されることができる。ガス圧縮機は、入力弁および出力弁などの1つ以上の弁を介してボアホール内にガスを供給するように構成されることができる。ダウンホール圧力は、ガス圧縮機の入力バルブ位置、ガス圧縮機の出力バルブ位置、および/またはガス圧縮機によって供給されるガスの流量を制御することによって制御されることができる。いくつかの実施形態では、ガスの流量は、0.5m/sから50m/sとすることができる。いくつかの実施形態では、ダウンホール圧力は、圧縮機の入口質量流量および背圧を介して制御されることができる。いくつかの実施形態では、ダウンホール圧力は、異なる場所における(例えば、オリフィスプレートにおける)流れのマッハ数の計算に基づいて制御されることができる。
【0069】
動作220において、MMWD装置によって生成された粒子状物質が除去されることができる。MMWDは、岩石の気化の結果として形成される小さな粒子状物質を生成することができる。例えば、粒子状物質は、1ミクロン未満のサイズとすることができる。粒子は、ガス流を適用して粒子を除去することによって除去されることができる。いくつかの実施形態では、ダウンホール圧力は、周囲の岩石内の亀裂に粒子を押し込むことによって粒子を除去するように制御されることができ、したがって、粒子をボアホールから持ち上げる必要性を低減する。
【0070】
図3は、本明細書に記載の図1および図2の方法を実行するように構成されたミリ波掘削装置300の例示的な実施形態を示す図である。図3に示すミリ波掘削装置300は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Woskovらの米国特許第8,393,410号明細書、発明の名称「Millimeter-wave Drilling System」に記載されているように構成されることができる。図3に示すMMWD装置300は、ジャイロトロン302に電力を供給する電源306に電源ケーブル304を介して接続されたジャイロトロン302を備える。ジャイロトロン302によって出力された高出力ミリ波ビームは、導波管屈曲部318、窓320、オフガス放出および圧力制御のための開口部328を有する導波管部326を有する導波管308によって案内される。導波管の一部は、ボアホールを封止するのを助けるために地面330の下方にある。
【0071】
導波管伝送線路308の一部として、反射された電力がジャイロトロン302および診断アクセスのためのインターフェース312に戻るのを防止するためのアイソレータ310がある。診断アクセスは、低電力導波管314によって診断電子機器およびデータ取得316に接続される。窓320には、配管324によって窓に接続された加圧ガス供給ユニット322があり、窓の堆積を防止するために窓内面にわたって清浄ガス流を注入する。第2の加圧ユニット336は、配管332によって導波管開口部328に接続され、ボアホール348内の圧力を制御し、必要に応じてボアホールガスを導入および除去するのを助ける。窓ガス注入ユニット322は、窓表面を横切るガス流を維持するために、ボアホール圧力ユニット336に対して僅かに高い圧力で動作する。ボアホール加圧配管332内の分岐ライン334は、ガス分析監視ユニット340、続いてガスフィルタ342および排気ダクト344を介して揮発したボアホール材料および窓ガスの大気346への排気を可能にするために圧力逃がし弁338に接続される。別の実施形態では、排気ダクト344は、再使用のためにガスを加圧ユニット336に戻す。
【0072】
ボアホール内の圧力は、表面下材料の部分揮発が溶融することによって部分的または全体的に上昇する。ボアホール348の端部の熱溶融前面352は、ミリ波電力とガス圧力との複合作用下で表面下地層内に伝播され、ガラス/セラミックボアホール壁350を残す。この壁は、ミリ波ビームを熱前面352に伝送するための誘電体導波管として作用する。
【0073】
図4は、Woskovらの米国特許第8,393,410号明細書、発明の名称「Millimeter-wave Drilling System」に記載されているMMWDシステムに対応するMMWDのより詳細な図を示す図である。ガラス/セラミック壁410および透過ガラス412を有するボアホール400は、ジャイロトロンビーム伝播の効率を改善するために挿入された金属導波管部430を有する。挿入された導波管の直径は、排気/抽出のための環状隙間414を形成するためにボアホールの直径よりも小さい。ボアホールの熱溶融前面420からの金属インサート導波管の前縁のスタンドオフ距離440は、発射されたミリ波ビーム発散432が誘電体ボアホール400を導波されたミリ波ビームによって満たす434ことを可能にするのに十分な距離である。スタンドオフ距離440はまた、金属インサートの温度を残存性のために十分に低く保つのに十分な距離である。挿入されたミリ波導波管はまた、表面からの加圧ガス流436のための導管としても機能する。このガス流は、導波管を清浄に保ち、ボアホールからの岩石材料の抽出/変位に寄与する。表面436からのガス流は、岩石材料444の揮発したガス放出と混合442し、凝縮した岩石蒸気を環状空間414を通って表面に運ぶ。排気ガス流446は、揮発した岩石微粒子のサイズを制限し、それらを表面まで運ぶのに十分な大きさである。
【0074】
図5は、本明細書に記載のミリ波掘削システムを使用するように構成されたハイブリッド掘削システム500の例示的な実施形態を示す図である。本明細書に記載のハイブリッド掘削システムおよび方法は、地下岩などの岩石を効果的に掘削するためにハイブリッド掘削方法を使用する。ハイブリッド掘削システムおよび方法は、従来の掘削およびMMWDの利点が、地下岩などの浸透性の低いまたは硬い岩における掘削のための最適化された解決策を提供することができるため、従来の掘削のみと比較して有利である。本明細書に記載のハイブリッド掘削システムおよび方法の第1のステップは、従来の掘削を活用する。ハイブリッド掘削システムおよび方法は、初期形成中に裸孔の安定性および制御を確実にするために、最初に液体ベースの掘削プロセスを利用することができる。裸孔を封止して裸孔崩壊を防止するために、裸孔の初期形成中にケーシングおよびセメントが設置されることができる。封止されると、掘削泥が裸孔から循環されることができ、裸孔を排水する前に裸孔を清掃して、残りの全ての流体が押し出されたことを確実にすることができる。真空引きは、坑井が窒素、アルゴン、またはミリ波に対して実質的に透過性の任意のガスなどのガス状媒体で満たされるように、全ての液体を孔から押し出すことを含むことができる。MMWDを使用する次のステップは、地下岩に到達するか、または貫通速度が著しく遅くなったか、または高温が従来の掘削装置におけるさらなる進行を妨げると開始されることができる。MMWD用に準備された裸孔では、MMWDを利用した第2の掘削ステップを開始することができる。場合によっては、従来の掘削に戻って、その後再びMMWDを利用することが必要な場合がある。そのような反復方法は、地質学的条件に応じて複数回繰り返されることができる。場合によっては、従来の掘削は、流体切替操作を最小限に抑えるために、液体ではなく気体によって進行することができる。
【0075】
図5に示すように、ハイブリッド掘削システムは、非地下岩520にボアホール515の第1の部分を形成するために使用される、表面510に構成された従来の掘削装置などの地表設備505を含む。ボアホール525の第2の部分は、所望の目標深さ535を達成するために、MMWD装置を介して地下岩530に形成されることができる。
【0076】
図6は、本明細書に記載のミリ波掘削システムを使用して達成可能な貫通速度のプロット600を示す図である。図6に示すように、縦軸は有効貫通速度(EROP)であり、横軸に深さの関数として示されている。地下岩またはその近くの所与の深さでは、従来の掘削方法の有効性は大幅に低下する。領域S1は、従来の掘削方法がより効率的なボアホール形成を提供することができるステップ1に対応する。領域S2は、直接エネルギー法、例えばMMWDの使用がより効率的なボアホール形成を提供することができるステップ2に対応する。2つの曲線が交差する点は、地下岩の近くであってもよく、これは、従来の掘削方法からMMWD方法に切り替えることが有利であり得る点である。
【0077】
図7図12および図14は、本明細書に記載の動作中のミリ波掘削システムを使用するハイブリッド掘削手法を示す図である。図7は、本明細書に記載のハイブリッド掘削システムの初期構成を示す図700である。図7に示すように、ボアホール515の第1の部分は、ドリルパイプ710、回転操縦可能装置715、およびドリルビット720を使用して形成されることができる。従来の掘削装置505は、ドリルビット720をボアホール725の底部に向け、非地下岩520と地下岩530との間の遷移領域730に向けることができる。回転操縦可能装置715は、偏差がほとんどまたはまったくない直線状の垂直線に裸孔形成を維持するために使用される。垂直に真っ直ぐなボアホールを有することは、目標深さ535まで掘削される総距離を最小限に抑えることができ、回転掘削ボアホール515の内外に機器を繰り返し供給することによって掘削装置の摩耗を低減することができる。代替的な実施形態では、ボアホールの第1の部分は、以前に運転されていた石油および/またはガス井、地熱井または水井から再利用されることができ、したがって最終的な所望の目標深さ535に到達するまでの総時間を短縮することができる。
【0078】
図7にさらに示すように、距離「Z」は、ボアホール725の底部から所望の目標深さ535までの距離である。距離Zは、従来の掘削の開始時に最大とすることができる。従来の掘削を使用した時間に対する距離Zの初期変化率は大きく、非地下岩520における高い貫通速度を示すことができる。従来の掘削が進行してボアホール515の第1の部分を形成するにつれて、距離Zは減少し続けることができる。非地下岩520の組成および変化に応じて、深さに対する距離Zの時間に対する変化率は変動することができる。時間に対する距離Zの変化率の一般的な傾向は、減少し続ける可能性があり、ボアホールがより深い深さに形成されるにつれて貫通速度が減少する可能性があることを示している。
【0079】
図8は、許容可能な貫通速度を維持しながら、従来の掘削装置を使用したボアホール515の第1の部分の深さを示す図800である。ある時点で、典型的には、地下岩530、または地下岩遷移領域730では、貫通速度は、機械的にも財政的にも許容できないレベルに到達する。追加的または代替的に、閾値温度限界に到達することができ、これは、従来の掘削装置を介してより深く掘削することを防止する。
【0080】
図9は、地下岩遷移領域730に到達する従来の掘削装置を示す図900である。図9に示すように、従来の掘削装置505は、所望の目標深さ535から深さZにおいて、地下岩遷移領域730に到達している。時間に対する距離Zの変化率、または貫通速度は、ボアホール515の第1の部分を形成するために使用される従来の掘削装置505によって継続するには小さすぎる。従来の掘削装置505を用いて、地下岩530以下の浸透性の岩に到達するか、または貫通速度が著しく遅くなると、MMWD装置を利用してボアホールを深くすることが決定されることができる。MMWD装置を利用する前に、ボアホール515からいかなる流体も除去される必要がある。いくつかの実施形態では、MMWD(例えば、プラズマ掘削、レーザ掘削、プロジェクタイル掘削、電気衝撃掘削)以外の非従来的な掘削方法が利用されて、ボアホールを深くし続けることができる。
【0081】
図10は、従来の掘削装置505によるボアホール515の完成を示す図1000である。図10に示すように、ボアホール515は、非地下岩520と地下岩530とを区別する地下岩遷移領域730に形成されている。この時点で、ケーシングおよびセメントがボアホール515内に適用されて、ボアホールの安定性を確保し、ボアホール515内に残っているいかなる液体も除去された。いくつかの実施形態では、遷移領域730の不連続部を超えてボアホール515を拡張し、MMWDを開始するための安全な遷移点を確保するために、ボアホール515が地下岩遷移領域730を超えて形成されることができる。
【0082】
図11は、MMWD装置1105を使用したMMWDの開始を示す図1100である。図11に示すように、従来の掘削装置505は、MMWD装置1105として変更および再構成されている。従来の掘削装置505の使用に続いてMMWD装置1105を実装することは、液体(例えば、水性、油性またはガス系)泥系をMMWDと互換性のあるガス系と交換することを含むことができる。ボアホール515には導波管1110が挿入されている。導波管がボアホール725の底部またはその近傍に配置されると、地下岩530のMMWDは進行することができる。
【0083】
図12は、MMWDを介して生成された熱溶融前面1210を介したボアホール1205の形成を示す図1200である。動作中、ジャイロトロンは、放射エネルギーを生成して供給し、地下岩530を融解および気化させて熱溶融前面1210を形成して前進させる。距離Zは減少し続け、有効貫通速度は、従来の掘削装置505を使用して達成される有効貫通速度よりも大きくなる。
【0084】
図13は、本明細書に記載の従来の掘削装置505および方法と比較して、MMWD装置1105および方法を使用して達成可能な地下岩530の貫通速度のプロット1300を示す図である。図13に示すように、直接エネルギーまたはMMWD装置および方法を使用する貫通速度は、ほぼ一定の速度で維持されることができ、従来の掘削装置および方法について示されるように、深さの関数として実質的に減少しない。MMWD装置1105と岩石との間に直接接触はないため、EROPは、目標深さに到達するまでかなり連続的である。連続EROPは、MMWD装置1105がドリルビットなどの摩耗した構成要素を除去または交換するためのダウンタイムを必要とせず、岩石硬度および/または岩石温度によって大きく影響されないため、有益に達成される。
【0085】
図14は、熱溶融前面1210が目標深さ535に到達したときのMMWDの完成を示す図1400である。目標深さ535に到達すると、MMWD装置1105および導波管1110がボアホール1205から取り外され、追加の坑井ボアホールのハイブリッドMMWD形成のために次の坑井サイトに移送されることができる。
【0086】
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のハイブリッドMMWDシステムおよび方法を使用してバッチ法が使用されることができる。例えば、地表設備を地下岩の深さ内でボアホールを深くするために使用されるMMWD装置に変更する前に、従来の掘削装置および方法を使用して、所与の領域内の複数の坑井ボアホールが形成されることができる。その結果、従来の掘削およびMMWDをバッチで実行することによって、時間およびリソースが節約されることができる。他の実施形態では、従来の掘削装置505は、リグ構造を移動させることなく、切り替え操作のためにMMWD装置1105に容易に変更されることができる。
【0087】
本明細書に記載の改善されたシステム、装置、および方法は、従来の掘削装置および方法などの従来の掘削手法から、MMWD装置および方法などのMMWD手法にいつ変更すべきかを決定するという技術的課題に対処する。この決定は、坑井サイトに機器および資源を効率的に展開し、運用コストではなくアクセスされている地表下地層の地球物理学的特性に基づいて坑井サイト計画を実行するのに有用であり得る。このようにして、本明細書に記載のハイブリッドMMWDシステムおよび方法は、表面下のより高い温度で生じる浸透性の低いおよび/または硬い岩石へのより深いボアホールを可能にすることができる。その結果、天然資源および熱資源のより深い堆積物が、従来の掘削装置および方法を使用するよりも効率的にアクセスされることができる。
【0088】
本明細書に開示されたシステム、装置、および方法の構造、機能、製造、および使用の原理の全体的な理解を提供するために、特定の例示的な実施形態が記載されている。これらの実施形態の1つ以上の例が、添付の図面に示されている。本明細書に具体的に記載され、添付の図面に示されているシステム、装置、および方法は、非限定的な例示的な実施形態であり、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定義されることを当業者は理解するであろう。1つの例示的な実施形態に関連して図示または説明された特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせられることができる。そのような変更および変形は、本発明の範囲内に含まれることが意図されている。さらに、本開示では、実施形態の同様の名称の構成要素は一般に同様の特徴を有し、したがって、特定の実施形態内では、同様の名称の各構成要素の各特徴は必ずしも十分に詳述されていない。
【0089】
本明細書および特許請求の範囲を通して本明細書で使用される近似を表す文言は、関連する基本的な機能に変化をもたらすことなく許容範囲で変化することができる任意の定量的表現を修飾するために適用されることができる。したがって、「約(about)」、「ほぼ(approximately)」、および「実質的に(substantially)」などの用語によって修飾された値は、明記された厳密な値に限定されるものではない。少なくともいくつかの例では、近似を表す文言は、値を測定するための機器の精度に対応することができる。ここで、ならびに明細書および特許請求の範囲を通して、範囲の限定は組み合わせおよび/または置き換えが可能であり、文脈または文言が特に指示しない限り、そのような範囲は識別され、それに含まれる全ての部分範囲を含む。
【0090】
当業者は、上述した実施形態に基づいて本発明のさらなる特徴および利点を理解するであろう。したがって、本出願は、添付の特許請求の範囲によって示される場合を除いて、特に示され説明されたものによって限定されるべきではない。本明細書に引用される全ての刊行物および参考文献は、その全体が参照により明示的に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
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図10
図11
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【国際調査報告】