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特表2023-549172走査プローブ顕微鏡検査システムにおけるカンチレバーの撓みを特定する装置および方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】走査プローブ顕微鏡検査システムにおけるカンチレバーの撓みを特定する装置および方法
(51)【国際特許分類】
   G01Q 20/02 20100101AFI20231115BHJP
   G01B 11/16 20060101ALI20231115BHJP
   G01Q 60/24 20100101ALI20231115BHJP
【FI】
G01Q20/02
G01B11/16 Z
G01Q60/24
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023527978
(86)(22)【出願日】2021-11-03
(85)【翻訳文提出日】2023-06-27
(86)【国際出願番号】 NL2021050675
(87)【国際公開番号】W WO2022098234
(87)【国際公開日】2022-05-12
(31)【優先権主張番号】2026823
(32)【優先日】2020-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523165385
【氏名又は名称】ニアフィールド インストルメンツ ベーフェー
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】サデギアン マルナニ、ハメド
(72)【発明者】
【氏名】カリーニン、アーセニー
(72)【発明者】
【氏名】マクレス、ケフィン ヘンリ ルイ
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA03
2F065AA19
2F065AA65
2F065BB01
2F065CC00
2F065FF23
2F065GG04
2F065HH04
2F065HH12
2F065JJ08
2F065JJ18
2F065JJ26
(57)【要約】
本発明は、走査プローブ顕微鏡検査システムにおけるカンチレバーの撓みを特定する装置に向けられている。システムは、プローブを支持する走査ヘッドを含み、プローブは、鏡面反射面を含むカンチレバーとプローブ先端とを含む。装置は、光ビームを提供する光源を含む。光ビームは鏡面反射面に当てられる。光センサは、センサ上に光点を形成する、鏡面反射面からの反射ビームを受ける。光センサは、センサ上の光点の位置情報が取得可能なセンサ信号を提供する。光センサは、フォトダイオード素子のアレイを含む。各フォトダイオード素子は、センサ信号に含まれるフォトダイオード信号を提供するように構成されており、ビームの方向に対して横断する面内に有効領域を有するフォト感応面を含み、有効領域は反射ビームの断面積より小さい。それにより、有効領域は光点のサイズより小さい。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査プローブ顕微鏡検査システムにおけるカンチレバーの撓みを特定する装置であって、
前記走査プローブ顕微鏡検査システムは、プローブを支持する走査ヘッドを含み、
前記プローブは、前記カンチレバーとプローブ先端とを含み、
前記カンチレバーまたは前記プローブ先端の、少なくとも1つの面は、鏡面反射面を含み、
前記装置は、光ビームを提供する光源を含み、
前記装置は、前記鏡面反射面から反射される反射ビームを生じるように、前記鏡面反射面に前記光ビームを当てるように構成されており、
前記装置は、光センサを含み、
前記装置は、前記光センサで前記反射ビームを受け、前記光センサ上で光点を形成するように構成されており、
前記光センサは、センサ信号を提供するように構成されており、前記センサ信号からは前記光センサ上の前記光点の位置の位置情報が取得可能であり、
前記光センサは、フォトダイオード素子のアレイを含み、
各フォトダイオード素子は、前記センサ信号に含まれるフォトダイオード信号を提供するように構成されており、
各フォトダイオード素子は、前記ビームの方向に対して横断する面内に有効領域を有するフォト感応面を含み、前記有効領域が前記光点のサイズより小さくなるように、前記有効領域は前記反射ビームの断面積より小さく、
フォトダイオードの前記アレイのうちの、隣接するフォトダイオードの第1のサブセットは、第1の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含み、
フォトダイオードの前記アレイのうちの、隣接するフォトダイオードの第2のサブセットは、第2の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含み、
前記第1のサブセットを形成する前記フォトダイオード素子は、前記第2のサブセットを形成する前記フォトダイオード素子とは異なる、
装置。
【請求項2】
フォトダイオード素子の前記アレイは、N*Mのフォトダイオード素子の配列を含み、
前記フォトダイオード素子はN行M列に配置され、
少なくとも、Nが2より大きい又はMが2より大きいうちの一方である、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、更に、コントローラを含む、あるいは、コントローラと協働するように構成されており、
前記コントローラは、前記フォトダイオード信号を含む前記センサ信号を受信するように構成されており、
前記コントローラは、前記光センサ上の前記光点の位置を特定するように、前記センサ信号を処理するように構成されており、
前記光センサ上の前記光点の前記位置を特定するのに、前記コントローラは、前記フォトダイオード信号に基づく重心計算を実行するように構成されている、
請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記コントローラは、N行の間の垂直方向での前記重心計算を実行するのに、アルゴリズムを適用するように構成されており、
前記アルゴリズムは、
【数1】

であり、iは第i行が検討されていることを示す前記行のカウンターであり、
TBは、垂直方向の点の位置座標であり、
TB,segmentは、垂直方向の前記フォトダイオード素子のサイズを前記行の行ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、
TB,offsetは、0オフセット座標を前記垂直方向に設定することを可能にするオフセットであり、
は、第i行の前記フォトダイオード信号の信号値の合計を示す行合計値である、
請求項2かつ3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、M行の間の水平方向での前記重心計算を実行するのに、アルゴリズムを適用するように構成されており、
前記アルゴリズムは、
【数2】

であり、jは第j行が検討されていることを示す前記列のカウンターであり、
LRは、水平方向の点の位置座標であり、
LR,segmentは、水平方向の前記フォトダイオード素子のサイズを前記列の列ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、
LR,offsetは、0オフセット座標を前記水平方向に設定することを可能にするオフセットであり、
は、第j列のフォトダイオード信号の信号値の合計を示す列合計値である、
請求項2かつ3、または請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラは、前記フォトダイオード信号の時間依存的な分析を実行するように構成され、
少なくとも2つのフォトダイオード素子の前記フォトダイオード信号の時間依存は、前記光源の強度変化を確認するように比較される、
請求項1から5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記装置は、更に、前記光点と少なくとも部分的に重なるフォトダイオードに関するフォトダイオード信号のみを含むように、前記フォトダイオード信号をフィルタリングするように構成されている請求項1から6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記フィルタリングを実行するのに、前記コントローラは、前記フォトダイオード信号と閾値とを比較すること、または、前記閾値未満の信号値を有する各フォトダイオード信号を0に設定すること、または、閾値を超える信号値を有するフォトダイオード信号を選択すること、の少なくとも1つに適して構成されている、請求項7、かつ請求項3から6の少なくとも1項に記載の装置。
【請求項9】
前記光源は、第1の波長の第1の光ビームと、第2の波長の第2の光ビームを提供するように1以上の光源を含み、
前記装置は、第1の反射ビームと第2の反射ビームを生じるように、前記第1の光ビームと前記第2の光ビームを前記鏡面反射面に当て、前記第1の反射ビームを、前記アレイの隣接するフォトダイオードの前記第1のサブセットに当て、前記第2の反射ビームを、前記アレイの隣接するフォトダイオードの前記第2のサブセットに当てるように構成されている、
請求項1から8のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記鏡面反射面は、前記カンチレバーと、前記プローブ先端との両方に位置し、
前記装置は、前記第1の反射ビームと前記第2の反射ビームを提供するのに、前記第1の光ビームを前記プローブ先端に当て、前記第2の光ビームを前記カンチレバーに当てるように構成されている、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記プローブは、プローブをつけるプローブチップによって支えられ、
前記鏡面反射面は前記プローブ先端に位置し、更なる鏡面反射面が前記プローブチップ上に位置し、
前記装置は、前記第1の反射ビームと前記第2の反射ビームを提供するのに、前記第1の光ビームを前記プローブ先端に当て、前記第2の光ビームを前記プローブチップに当てるように構成されている、
請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記装置は、前記第1の光ビームと前記第2の光ビームを、前記プローブ先端または前記カンチレバーの前記鏡面反射面の同じ領域に当てるように構成され、
前記光センサは、隣接するフォトダイオードの前記第1または第2のサブセットのうちの少なくとも1つからの、望ましくは、一度にフォトダイオード素子の前記第1または第2のサブセットのうちの多くとも1つからの前記センサ信号を提供するように構成されている、
請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記装置は複数のプローブを含み、
各プローブが鏡面反射面を含むように、各プローブはカンチレバーとプローブ先端を含んで、カンチレバーとプローブ先端のうちの少なくとも1つが前記鏡面反射面を含み、
前記装置は、前記第1の反射ビームと第2の反射ビームを提供するのに、前記第1の光ビームを、前記複数のプローブのうちの第1のプローブの前記プローブ先端または前記カンチレバーに当て、前記第2の光ビームを、前記複数のプローブのうちの第2のプローブの前記プローブ先端または前記カンチレバーに当てるように構成されている、
請求項9に記載の装置。
【請求項14】
1以上のフォトダイオードにとって、前記ビームの方向に対して横断する平面内の前記フォト感応面の前記有効領域と、前記反射ビームの前記断面積との間の比率は、0.3と1.0の間、望ましくは0.4と0.75の間で、より望ましくは0.4と0.6の間で、更により望ましくは0.4と0.45の間である、請求項1から13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
走査プローブ顕微鏡検査システムであって、
少なくとも1つの走査ヘッドと、
サブストレートを支持するサブストレート・キャリヤーと、
を含み、
前記走査ヘッドは、前記サブストレートの測定実行用に、前記サブストレートの面を走査するのに、カンチレバーとプローブ先端とを含むプローブを含み、
前記走査ヘッドは、更に、前記カンチレバーのカンチレバー撓みを特定するのに、請求項1から14のいずれか1項に記載の装置を含む、
走査プローブ顕微鏡検査システム。
【請求項16】
走査プローブ顕微鏡検査システムにおけるカンチレバーの撓みを特定する方法であって、
前記走査プローブ顕微鏡検査システムは、プローブを支持する走査ヘッドを含み、
前記プローブは、カンチレバーとプローブ先端とを含み、
前記カンチレバーまたは前記プローブ先端の、少なくとも1つの面は、鏡面反射面を含み、
前記方法は、
光源を使って光ビームを提供し、前記鏡面反射面から反射される反射ビームを生じるように、前記鏡面反射面に前記光ビームを当てることと、
光センサで前記反射ビームを受けることで前記光センサ上に光点を形成し、前記光センサ上の前記光点の位置の位置情報を取得可能なセンサ信号を提供することと、
を含み、
前記センサ信号は、フォトダイオード素子のアレイから、複数のフォトダイオード素子のフォトダイオード信号により提供され、
前記反射ビームのビーム方向に対して横断する面内の各フォトダイオードのフォト感応面の有効領域が前記光点のサイズより小さくなるように、前記反射ビームの断面は、前記有効領域より大きく、
前記センサ信号は、
第1の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含む、フォトダイオードの前記アレイのうちの隣接するフォトダイオードの第1のサブセットと、
第2の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含む、フォトダイオードの前記アレイのうちの隣接するフォトダイオードの第2のサブセットと、
のうちの少なくとも1つによって提供され、
前記第1のサブセットを形成する前記フォトダイオード素子は、前記第2のサブセットを形成する前記フォトダイオード素子とは異なる、
方法。
【請求項17】
フォトダイオード素子の前記アレイは、N*Mフォトダイオード素子のアレイを含み、
前記フォトダイオード素子は、垂直に並べられたN行と水平に並べられたM列に配置され、
前記フォトダイオード信号を含む前記センサ信号は、前記光センサ上の前記光点の位置を特定するように、コントローラを使って処理される、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記光点の前記位置を特定するのに、重心計算が前記コントローラにより実行され、
前記コントローラの少なくとも1つは、N行の間の垂直方向での前記重心計算を実行するのに、アルゴリズムを適用し、
前記アルゴリズムは、
【数3】

であり、iは第i行が検討されていることを示す行のカウンターであり、
TBは、垂直方向の点の位置座標であり、
TB,segmentは、垂直方向の前記フォトダイオード素子のサイズを前記行の行ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、
TB,offsetは、0オフセット座標を前記垂直方向に設定することを可能にするオフセットであり、
は、第i行の前記フォトダイオード信号の信号値の合計を示す行合計値であり、
前記コントローラは、M列の間の水平方向での前記重心計算を実行するのに、アルゴリズムを適用し、
前記アルゴリズムは、
【数4】

であり、jは第j行が検討されていることを示す列のカウンターであり、
LRは、水平方向の点の位置座標であり、
LR,segmentは、水平方向の前記フォトダイオード素子のサイズを前記列の列ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、
LR,offsetは、0オフセット座標を前記水平方向に設定することを可能にするためのオフセットであり、
は、第j列の前記フォトダイオード信号の信号値の合計を示す列合計値である、
請求項17記載の方法。
【請求項19】
更に、前記フォトダイオード信号の時間依存的分析を実行することを含み、
少なくとも2つのフォトダイオード素子の前記フォトダイオード信号の時間依存が、前記光源の強度変化を確認するために比較される、
請求項16から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
更に、前記光点と少なくとも部分的に重なるフォトダイオードに関するフォトダイオード信号のみを含むように、前記フォトダイオード信号をフィルタリングするステップを含む、請求項16から19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記フィルタリングは、前記フォトダイオード信号と閾値とを比較すること、または、前記閾値未満の信号値を有する各フォトダイオード信号を0に設定すること、または、前記閾値を超える信号値を有するフォトダイオード信号を選択すること、のうちの少なくとも1つにより実行される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
走査プローブ顕微鏡検査システムの分析システムのメモリにロードするのに適したコンピュータプログラム製品であって、
前記分析システムのコントローラが請求項16から21のいずれか1項に記載の方法を実行することを可能にする指示を含む、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査プローブ顕微鏡検査システムにおけるカンチレバーの撓みを特定するための装置に関し、走査プローブ顕微鏡検査システムは、プローブを支持する走査ヘッドを含み、プローブはカンチレバーとプローブ先端とを含み、カンチレバーまたはプローブ先端の、少なくとも1つの面は、鏡面反射面を含み、装置は、光ビームを提供する光源を含み、装置は、鏡面反射面から反射される反射ビームを生じるように、鏡面反射面に光ビームを当てるように構成されている。装置は、光センサを含み、装置は、光センサで反射ビームを受け、光センサ上で光点を形成するように構成されている。光センサは、センサ信号を提供するように構成されており、センサ信号からは光センサ上の光点の位置の位置情報が取得可能である。
【0002】
本発明は、更に、走査プローブ顕微鏡検査システムと、カンチレバーの撓みを特定する方法と、コンピュータプログラム製品に関する。
【背景技術】
【0003】
原子間力顕微鏡(atomic force microscopes(AFM))のような走査プローブ顕微鏡(scanning probe microscopy(SPM))システムは、通常、カンチレバーの撓みを特定するのに光ビームを適用する。方法は、大体、上述したものである。光ビーム検出(optical beam detector(OBD))装置では、通常、レーザービームはプローブ先端またはカンチレバーの裏側の鏡面反射面により反射される。このことは、ビームがカンチレバーの鏡面反射面に向かって方向づけられるように、光源を適切に配置し方向づけることによって、または、目標物または鏡または光学ビームの方向を修正する光学素子のような光学系を含むことによって、達成されうる。反射されたビームは、光センサに当たり、センサの面上で反射ビームの衝突によって形成される光点の位置を正確に特定するのを可能にする。位置感応検出器(position sensitive detector(PSD))と呼ばれる光センサは、通常、クォードラント・セルによって形成される。クォードラント・セルは4つの隣接するセルを含み、それらの端は一緒に十字を形成する。各セルで一緒に捕えた光量が、光点の中心がどこに位置するかを正確に特定することを可能とするように、反射されたビームの光点が十字と重なるように、システムは調整される。セルは、受けた光量を示すセンサ信号を提供し、セルの信号間の比率により、光点(点の形が既知であると仮定する。例えば円形の点)の中心位置を特定することが可能となる。カンチレバーの非常に小さな撓みは、プローブ先端とクォードラント・セルの間の距離を超えるレバレッジゆえ、この方法では重要になる。
【0004】
正確に反射されたビームの光点がどこに作られるか、そして、このような「0地点」または測定の原点がセンサ上のどこに存在するかは、カンチレバーの湾曲次第である。この湾曲は個々のカンチレバーの間で少し変わる可能性がある。SPMシステムでは、走査中のプローブ先端と面との間の連続的または断続的な接触により、プローブ先端はすり減りやすい。したがって、カンチレバー上にプローブ先端が形成されているカンチレバーを含むプローブは、しばしば交換される必要がある。頻繁な交換と、個体差と、他の要因との結果として、クォードラント・セルのセルによって形成される十字と重なることを確実とするために、0地点は何度も何度も調整される必要がある。さらに、0地点が光センサの十字の中心に最適に重なった場合に、クォードラント・セル(または単に「クォード・セル」)の信号対雑音比(signal-to-noise ratio(SNR))は最大である。走査中の使用では、しかし、0地点の位置は、様々な理由で時間とともに移動する可能性がある。このことは、SNRが時間と共に悪くなることを防ぐために、プローブ交換の間にさえ、時々、クォードラント・セルの位置を調節する必要があるという結果になる。
【0005】
上記の理由でシステムを調整するために、クォード・セルの位置は、非常に正確に及び頻繁に調節される必要がある。上述したように、十分なSNRを保証するために、PSDまたはクォード・セルの位置を機械的に調節するためのいくつかの解決方法が存在する。大抵のSPMシステムでは、手動調節ネジが、通常横方向にクォード・セルを移動させるのを可能とする。光点がクォード・セルの十字の中心に当たることを確実とするために、それによって、これらのSPMシステムのクォード・セルは、調整される。いくつかの高度なSPMシステムでは、一体型の電気機械アクチュエータが、自動的にチューニングを実行することを可能にする。不利な点は明白である。手動調節は測定プロセスを遅くし、労働集約的で、それゆえ厄介である。これらの不利な点は、自動調節により、部分的に克服されているが、自動調節の不利な面は、自動調節がシステムの複雑さを増してシステムの製作をより高価にし、たとえ調節が手動の場合より速く実行されるとしても、自動調節はまだ全体的なプロセスを遅くする、ということである。この理由から、特に高収率を通常要求する産業アプリケーションには、より良い選択肢が必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の不利な点を克服し、正確な測定を提供して、望ましくはカンチレバーの交換による影響を受けない、カンチレバーの撓みを特定する装置および方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のために、先述した装置がここで提供され、光センサはフォトダイオード素子のアレイを含み、各フォトダイオード素子は、センサ信号に含まれるフォトダイオード信号を提供するように構成され、各フォトダイオード素子は、ビームの方向に対して横断する面内に有効領域を有するフォト感応面を含み、有効領域が光点のサイズより小さくなるように、有効領域は反射ビームの断面積より小さく、フォトダイオードのアレイのうちの、隣接するフォトダイオードの第1のサブセットは、第1の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含み、フォトダイオードのアレイのうちの、隣接するフォトダイオードの第2のサブセットは、第2の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含み、第1のサブセットを形成するフォトダイオード素子は、第2のサブセットを形成するフォトダイオード素子とは異なる。
【0008】
本発明に従う装置では、光点より小さいサイズのフォトダイオード素子のアレイは、どんな調整またはチューニングも必要とすることなく、光点の位置を直接とらえることができる。本発明の装置では、有効ビーム径より小さいフォトダイオード素子のサイズにより、光センサの面上のビームの光点は、1より多いフォトダイオード素子と常に重なる。したがって、再び既知のビーム断面形状であると仮定すると、光点の既知の形状ゆえに、光点の中心位置が、フォトダイオード信号から正確に特定されうる。たとえば、このことは、受けた光の量またはそれらの比率を比較することによって達成されても良い。
【0009】
特に、本発明は、様々な波長に感応する様々な領域を含むOBD装置に光センサを提供することを可能とする。このことは、OBDの光センサを再調整する必要なく、様々な波長の様々な光源を使うこと、または、光源の波長を変えることを可能とする。多くの場合では、使われる2つのビームの波長は、干渉を防ぐために、十分に異ならなければならない。このことは、少なくとも、1より多い光ビームが同時に適用される、これらのアプリケーションと実施例で重要である。
【0010】
本発明に従う装置では、例えば、カンチレバーの交換または移動のために、光センサ上の反射ビームの0地点の位置が変わった場合、光点は、常に少なくとも2つのフォトダイオードと重なる。したがって、フォトダイオード素子は、ビーム方向に対して横断する面内に、反射ビームの断面積より小さい(そして、それゆえ光点よりもまた小さい)有効領域を有するので、光点が常に1より多いフォトダイオードに当たることによって、光点の位置は常に正確に特定されうる。
【0011】
望ましくは、実施例に従って、フォトダイオード素子は、光センサのセンサ面を形成するように、並べて配置される。望ましい実施例では、フォトダイオード素子の光感応面は、光センサの面を形成するように、平面内に配置される。これらの実施例のフォトダイオード素子は、互いに隣接して、並べて配置される。
【0012】
最も望ましくは、この方法では、フォトダイオード素子のアレイは、フォトダイオード素子の少なくとも2つの平行な行または列を含み、各々の行または列は、望ましくは、少なくとも3つのフォトダイオード素子を含む。したがって、いくつかの実施例では、フォトダイオード素子のアレイは、フォトダイオード素子がN行M列に配置された、N*Mのフォトダイオード素子の配列を含み、少なくとも、Nが2より大きい又はMが2より大きい。より望ましくは、これらの実施例において、NまたはMのうち少なくとも一方は最小でも2であり、NまたはMのうち他方は最小でも3である。少なくとも一方向(列または行)に2より多いフォトダイオード素子を有し、これらのフォトダイオードが反射ビームの断面より小さな有効範囲を有することが、この方向への光点の移動を容易に速やかに検出することを可能とする。(少なくとも)一方向におけるフォトダイオード素子の追加により、これらの実施例における光点の移動は、光点がスケールから外れる要因とはならない。むしろ、光点が他のフォトダイオード素子と重なるような光点の移動は、光点の位置を検出可能であり続けさせる。フォトダイオードの数が十分多ければ、このように、どのような光点の移動も検出可能であり続け、結果として、光点の新しい位置が即座に知られる限りは、プローブは常に交換されうる。このことは、OBD装置の頻繁な再チューニングを克服する。更に、フォトダイオード素子が、NとMの両方が3より大きいN×M行列を形成するならば、カンチレバーの撓みの角度の差による光点の移動だけでなく、カンチレバーのねじれによる光点の移動も検出可能である。したがって、これはOBD装置に提供され、例えば、サブストレート面上の高アスペクト比特徴部を測るために、カンチレバーのねじれを適用するSPMシステムにおいて、有利に適用されうる。高アスペクト比特徴部は、高い壁または深い溝を有する構造的特徴部であり、標準的なSPMシステムを用いて容易に測定されマップされることができない。
【0013】
本装置では、光点の位置を特定するために、アナログまたはデジタルフォトダイオード信号のどちらでも使用されうる。例えば、各フォトダイオードのアナログ信号は、位置を特定する信号を得るために、アナログ電子機器を用いて前処理されても良い。そのようなアナログ電子機器は、例えば、後にアナログ標準化が続き、その後はデジタル領域での標準化が続く、可変ゲインアンプを含んでも良い。他の実施例では、フォトダイオード信号はデジタル化されても良く、デジタル信号は光源の位置を生成するために更に処理されうる。いくつかの実施例では、装置は、フォトダイオード素子の1以上のフォトダイオード信号をデジタル化するためのデジタイザを含む。例えば、各フォトダイオード信号は、個々にデジタル化されても良く、または、複数のフォトダイオード(例えば同じ列または行のすべてのフォトダイオード)の信号が一緒にデジタル化されても良い。
【0014】
いくつかの実施例では、装置は、更に、コントローラを含む、あるいは、コントローラと協働するように構成されており、コントローラは、フォトダイオード信号を含むセンサ信号を受信するように構成されており、コントローラは、光センサ上の光点の位置を特定するように、センサ信号を処理するように構成されている。このことは、さまざまな方法で達成されうる。粗い特定は、フォトダイオード信号の単なる比較によって、すでに得られていても良く、この比較に基づく位置評価が続く。しかし、他の又は更なる実施例では、光センサ上の光点の位置を特定するのに、コントローラは、フォトダイオード信号に基づく重心計算を実行するように構成される。重心計算は、当然、光点の中心位置の特定において、一層正確であり、入力としてのフォトダイオード信号を使用して、複数の方法で実行されうる。これらの実施例のいくつかでは、フォトダイオード素子のアレイは、N*Mフォトダイオード素子アレイを含み、フォトダイオード素子は、垂直に並べられたN行と水平に並べられたM列に配置され、コントローラは、N行の間の垂直方向での重心計算を実行するのに、以下のアルゴリズムを適用するように構成されている。
【数1】

ここで、iは第i行が検討されていることを示す行のカウンターであり(ここで、iは1からNまでの範囲で、i∈Nである)、PTBは、垂直方向の点の位置座標であり(ここで、下付きの「TB」は、上下(top-bottom)のことを言うという点に留意)、WTB,segmentは、垂直方向のフォトダイオード素子のサイズを行の行ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、PTB,offsetは、0オフセット座標を垂直方向に設定することを可能にするオフセットであり、Sは、列のi番目(すなわち第i行内)のフォトダイオード素子の信号値であるか、または、第i行のフォトダイオード信号の信号値の合計を示す行合計値である。
【0015】
上記アルゴリズムは、垂直方向(上下または列方向)の光点の重心を算出する。例えば、普通のカンチレバーの撓みのような、一方向のみの撓み(すなわち横曲げ、又は、ねじれを無視)が検討される場合、カンチレバーと揃った一方向のみの光点の移動を分析すれば十分であるかもしれない。上記アルゴリズムは、フォトダイオード信号の信号値に適用されても良く、フォトダイオード信号の信号値は、アルゴリズム内では、列内のi番目のフォトダイオードのフォトダイオード信号の信号値を示すSで表される(iは行カウンターであり、したがって、列のi番目のフォトダイオードは、各列内で第i行内にみられるフォトダイオード素子であることに留意)。この信号値は、各フォトダイオード素子が受けた光量を示す。したがって、信号値Sは、フォトダイオードのフォトダイオード信号の数値化であり、フォトダイオードのフォトダイオード信号は、例えば、電流信号であっても良いし、あるいは、例えば抵抗器で変換されるならば、フォトダイオード素子が受けた光量に応じた電圧信号であっても良い。通常、フォトダイオード素子から受けた電流は、受けた光量に線形従属しており、それゆえに、そのようなアナログ変換によって得られる電圧信号は、受けた光量に同様に線形従属する。このように得られた又は変換されたフォトダイオード信号は、上記アルゴリズムで使用される信号値Sを得るために、どのような種類のアナログ-デジタル変換器(analogue-to-digital converter(ADC))(例えば、超高速オンチップADC、フラッシュADC、ハーフフラッシュADC、逐次比較ADC、シグマ-デルタADCなどのようなオンチップADC)を用いてデジタル化されていても良い。列の第i行のフォトダイオードの信号値Sを使うことに代えて、垂直方向(すなわち列)では、第i行のすべての信号値Sij(ここで、jは1からMまでの範囲で、j∈Nである)の合計、または、それと同等のもの(例えば平均信号値または最大信号値)にアルゴリズムを適用することも可能である。
【0016】
2方向の撓み、例えば普通のカンチレバーの撓みに加えて、横への撓み、又は、ねじれも分析される必要があるならば、追加の方向は、類似したアルゴリズムを水平方向(すなわち左右または行方向)に適用することによって分析されても良い。これらの実施例では、フォトダイオード素子のアレイは、N*Mフォトダイオード素子アレイを含んでも良く、フォトダイオード素子は、垂直に並べられたM行と水平に並べられたM列に配置され、コントローラは、M行の間の水平方向での重心計算を実行するのに、以下のアルゴリズムを適用するように構成されている。
【数2】

ここで、jは第j行が検討されていることを示す列のカウンターであり(ここで、jは1からMまでの範囲で、j∈Nである)、PLRは、水平方向の点の位置座標であり(ここで、下付きの「LR」は、左右(left-right)のことを言う)、WLR,segmentは、水平方向のフォトダイオード素子のサイズを列の列ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、PLR,offsetは、0オフセット座標を水平方向に設定することを可能にするオフセットであり、Sは、行のj番目(すなわち第j列内)のフォトダイオード素子の信号値であるか、または、第j列のフォトダイオード信号の信号値の合計を示す列合計値である。
【0017】
上記アルゴリズムは、水平方向(上下または列方向)の光点の重心を算出する。上記アルゴリズムは、フォトダイオード信号の信号値に適用されても良く、フォトダイオード信号の信号値は、アルゴリズム内では、行内のj番目のフォトダイオードのフォトダイオード信号の信号値を示すSで表される(jは列カウンターであり、したがって、行のj番目のフォトダイオードは、各行内で第j列内にみられるフォトダイオード素子であることに留意)。この信号値は、各フォトダイオード素子が受けた光量を示す。したがって、信号値Sは、フォトダイオード素子のフォトダイオード信号の数値化であり、フォトダイオード素子のフォトダイオード信号は、例えば、電流信号であっても良いし、あるいは、例えば抵抗器で変換されるならば、フォトダイオード素子が受けた光量に応じた電圧信号であっても良い。通常、フォトダイオード素子から受ける電流は、受けた光量に線形従属しており、それゆえに、そのようなアナログ変換によって得られる電圧信号は、受けた光量に同様に線形従属する。このように得られた又は変換されたフォトダイオード信号は、上記アルゴリズムで使用される信号値Sを得るために、どのような種類のアナログ-デジタル変換器(ADC)(例えば、超高速オンチップADC、フラッシュADC、ハーフフラッシュADC、逐次比較ADC、シグマ-デルタADCなどのようなオンチップADC)を用いてデジタル化されていても良い。行の第j列のフォトダイオードの信号値Sを使うことに代えて、水平方向(すなわち行)では、第j列のすべての信号値Sij(ここで、上記したように、iは1からNまでの範囲で、i∈Nである)の合計、または、それと同等のもの(例えば平均信号値または最大信号値)にアルゴリズムを適用することも可能である。
【0018】
当業者は、フォトダイオード素子のアレイが、例えば、アレイのフォトダイオード素子の数に関して、どのような望ましいサイズであっても良いと理解するだろう。
【0019】
いくつかの実施例では、コントローラは、フォトダイオード信号の時間依存的な分析を実行するように構成され、少なくとも2つのフォトダイオード素子のフォトダイオード信号の時間依存は、光源の強度変化を確認するように比較される。例えば、複数または全てのフォトダイオード素子のフォトダイオード信号が、時間依存的に分析され、光源(例えばレーザー)の強度変化を確認するために、互いに比較される。
【0020】
いくつかの実施例では、装置は、更に、光点と少なくとも部分的に重なるフォトダイオードに関するフォトダイオード信号のみを含むように、フォトダイオード信号をフィルタリングするように構成される。あまりに弱い(例えば閾値未満の絶対値を有する)フォトダイオード信号を除くことによって、位置の特定の正確さが、反射ビームによって照らされないフォトダイオードからのノイズによって悪化することが防がれる。フィルタリングは、さまざまな方法で成し遂げられても良い。例えば、いくつかの実施例では、フィルタリングを実行するために、装置は、アナログまたはデジタル・マルチプレクサ、または、1以上のハイパスフィルタ、または、デジタルフィルタのうち少なくとも1つを含む。チャンネル(すなわち、ここでは、フォトダイオード信号の行の合計、または、フォトダイオード信号の列の合計、または、個々のフォトダイオード素子のフォトダイオード信号によって、チャンネルが形成される)のグループを分析するのに、マルチプレクサが用いられても良い。ハイパスフィルタまたはデジタルフィルタは、閾値を越える信号のみを通過させるように、例えば各フォトダイオード信号に適用されても良い。いくつかの実施例では、フィルタリングを実行するのに、コントローラは、フォトダイオード信号と閾値とを比較すること、または、閾値未満の信号値を有する各フォトダイオード信号を0に設定すること、または、閾値を超える信号値を有するフォトダイオード信号を選択すること、の少なくとも1つに適して構成される。フィルタリングは、コントローラにより、(例えば、弱い信号を例えば0に設定することによって)実行されても良い。
【0021】
本発明のいくつかの実施例では、光源は、第1の波長の第1の光ビームと、第2の波長の第2の光ビームを提供するように1以上の光源を含み、装置は、第1の反射ビームと第2の反射ビームを生じるように、第1の光ビームと第2の光ビームを鏡面反射面に当て、第1の反射ビームを、アレイの隣接するフォトダイオードの第1のサブセットに当て、第2の反射ビームを、アレイの隣接するフォトダイオードの第2のサブセットに当てるように構成されている。理解されるように、通常、第1と第2の光ビームは、異なる光源で作られ、多くの場合、単色(例えばレーザー)である。しかし、いくつかの実施例では、同一の多色の光源が、第1ならびに第2の光学ビームの両方を提供しても良い。例えば、広帯域光スペクトルを提供する同一の源から、スプリッタと、その後のフィルタが、別々のビームを提供しても良い。これが有利に適用される可能性がある複数のアプリケーションが存在する。
【0022】
例えば、いくつかの実施例では、鏡面反射面は、カンチレバーの付け根に近いカンチレバーの中間領域と、プローブ先端下部のカンチレバーの端領域との両方に位置し、装置は、第1の反射ビームと第2の反射ビームを提供するのに、第1の光ビームをカンチレバーの端領域に当て、第2の光ビームをカンチレバーの中間領域に当てるように構成されている。これらの実施例では、第1の光ビームは、プローブ先端の撓みを示すプローブ先端センサ信号を提供する。追加された第2の光ビームは、特定の調和モードに関する情報を得るために、カンチレバーの中間領域に当てられる。カンチレバー上の位置は、特定のモードに対し最も敏感であるように、選択され設定されても良い。例えば、基本モード(モード1)は、プローブ先端で最も強く感知される所で、第1の調和モード(モード2)、第2の調和モード(モード3)と第3の調和モード(モード4)は、カンチレバーの長さに沿った他の位置の中で最も強い。したがって、本発明のこの実施形態を用いて、走査中のプローブの複数の振動モードの非常に効果的な同時測定を実行することができる。これには、多くの適用がある。
【0023】
他の又は更なる実施例では、プローブは、プローブをつけるプローブチップによって支えられ、鏡面反射面がプローブ先端に位置し、更なる鏡面反射面はプローブチップ上に位置し、装置は、第1の反射ビームと第2の反射ビームを提供するのに、第1の光ビームをプローブ先端に当て、第2の光ビームをプローブチップに当てるように構成されている。これらの実施例は、チップ・ダイナミクスのモニターを可能とし、例えば、プローブ先端のダイナミクスから、これらをフィルタリングするのに用いられても良い。例えば、チップ・ダイナミクスは、装置におけるありとあらゆる邪魔なダイナミクス信号の原因となるために、プローブ先端のダイナミクスから引かれても良く、このように、感知の正確さを改善する。
【0024】
まだ更なる実施例では、装置は、第1の光ビームと第2の光ビームを、プローブ先端またはカンチレバーの鏡面反射面の同じ領域に当てるように構成され、光センサは、隣接するフォトダイオードの第1または第2のサブセットのうちの少なくとも1つからの、望ましくは、一度にフォトダイオード素子の第1または第2のサブセットのうちの多くとも1つからのセンサ信号を提供するように構成されている。これらの実施例は、全く異なる性質の長所を提供する。特に、これらの実施例では、一度に、様々な光ビームのうちの1つが適用されても良く、当該様々な光ビームのうちの1つは、プローブ上のコーティングが敏感な波長と同じ特定の波長の光エネルギから形成される。例えばプローブの機能要求に従い、異なるプローブは、異なるコーティングを備えているかもしれない。これらの実施例では、そのような異なるコーティングを有する異なるプローブが適用可能であり、同時に、プローブの交換の際に、光源を再調整する必要なく同じ装置を使用することが可能である。例えば、使用される様々なカンチレバーが、様々な反射係数の様々なコーティングを有する場合、カンチレバーのコーティングの各々の種類に対応するレーザーが、反射強度と、したがって、感度を最大にするのに用いられうる。異なる種類のカンチレバーのためにシステムを再調整する必要がないので、複数の予め位置合わせされたレーザーと、フォトダイオードの複数のサブセットを有するセンサにより、走査プローブ顕微鏡の操作は速くなる。
【0025】
まだ更なる実施例では、装置は複数のプローブを含み、各プローブが鏡面反射面を含むように、各プローブはカンチレバーとプローブ先端を含んで、カンチレバーとプローブ先端のうちの少なくとも1つが鏡面反射面を含む。これらの実施例の装置は、第1の反射ビームと第2の反射ビームを提供するのに、第1の光ビームを、複数のプローブのうちの第1のプローブのプローブ先端またはカンチレバーに当て、第2の光ビームを、複数のプローブのうちの第2のプローブのプローブ先端またはカンチレバーに当てるように構成されている。走査プローブ顕微鏡検査システムのプローブチップは、同一のチップに複数のカンチレバーを有していても良い。その場合、複数のレーザーが別々のカンチレバーに焦点を合わせられ、フォトダイオードの対応するサブセットに反射されうる。この感知方法により、如何なる種類の機械的再調整なく、様々な走査技術(すなわちFFTPモード、AMモード)を実行することが可能になる。更に、カンチレバーが測定の間で相互配置を変えないので、それらの複数のカンチレバーの間のオフセットがわかっていることは重要であり、当該オフセットは、この場合簡単に調整されうる。
【0026】
上記説明したように、フォトダイオード素子は、ビーム方向に対して横断する面内に有効領域を有し、有効領域は反射ビームの断面積より小さい(したがって、有効領域は、光点よりも小さい)。いくつかの実施例では、1以上のフォトダイオードにとって、ビーム方向に対して横断する平面内のフォト感応面の有効領域と、反射ビームの断面積との間の比率は、0.3と1.0の間、望ましくは0.4と0.75の間で、より望ましくは0.4と0.6の間で、更により望ましくは0.4と0.45の間である。十分な分解能が得られるようなフォトダイオード素子の望ましいサイズでは、同時に、フォトダイオード素子が照らされた場合、十分に強い信号が得られる。フォトダイオード素子をあまりに小さくすると、フォトダイオード信号もあまりに小さくなる原因となり、それによってSNRを悪化させる。フォトダイオード素子を大きくすると、強い信号を生じるが、位置の特定に関する分解能を低下させる。他方、複数の小さなフォトダイオード素子を使用すれば、反射ビームおよび形成された光点に関する更なる情報が提供される。例えば、小さなフォトダイオードは、ビームの形状または光点の形状の分析を可能にし、当該分析は、たとえば光学素子に起因する収差のような光学的歪みを修正するのに用いられても良い。
【0027】
第2の面に従って、本発明は、少なくとも1つの走査ヘッドと、サブストレートを支持するサブストレート・キャリヤーとを含み、走査ヘッドは、サブストレートの測定実行用に、サブストレートの面を走査するのに、カンチレバーとプローブ先端とを含むプローブを含み、走査ヘッドは、更に、カンチレバーのカンチレバー撓みを特定するのに、上述したような装置を含む、走査プローブ顕微鏡検査システムを提供する。
【0028】
第3の面に従って、本発明は、走査プローブ顕微鏡検査システムにおけるカンチレバーの撓みを特定する方法を提供し、走査プローブ顕微鏡検査システムはプローブを支持する走査ヘッドを含み、プローブはカンチレバーとプローブ先端とを含み、カンチレバーまたはプローブ先端の、少なくとも1つの面は、鏡面反射面を含み、方法は、光源を使って光ビームを提供し、鏡面反射面から反射される反射ビームを生じるように、鏡面反射面に光ビームを当てることと、光センサで前記反射ビームを受けることで前記光センサ上に光点を形成し、前記光センサ上の前記光点の位置の位置情報を取得可能なセンサ信号を提供することと、を含み、センサ信号は、フォトダイオード素子のアレイから、複数のフォトダイオード素子のフォトダイオード信号により提供され、反射ビームのビーム方向に対して横断する面内の各フォトダイオードのフォト感応面の有効領域が光点のサイズより小さくなるように、反射ビームの断面は、当該有効領域より大きく、センサ信号は、第1の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含む、フォトダイオードのアレイのうちの隣接するフォトダイオードの第1のサブセットと、第2の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含む、フォトダイオードのアレイのうちの隣接するフォトダイオードの第2のサブセットと、のうちの少なくとも1つによって提供され、第1のサブセットを形成するフォトダイオード素子は、第2のサブセットを形成するフォトダイオード素子とは異なる。
【0029】
ここで、いくつかの実施例では、フォトダイオード素子のアレイは、N*Mフォトダイオード素子のアレイを含み、フォトダイオード素子は、垂直に並べられたN行と水平に並べられたM列に配置され、フォトダイオード信号を含むセンサ信号は、光センサ上の光点の位置を特定するように、コントローラを使って処理される。これらの実施例のうちのいくつかでは、光点の前記位置を特定するのに、重心計算がコントローラにより実行され、コントローラの少なくとも1つは、N行の間の垂直方向での重心計算を実行するのに、以下のアルゴリズムを適用し、
【数3】

ここで(上記と同様)、iは第i行が検討されていることを示す行のカウンターであり、PTBは、垂直方向の点の位置座標であり、WTB,segmentは、垂直方向のフォトダイオード素子のサイズを行の行ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、PTB,offsetは、0オフセット座標を垂直方向に設定することを可能にするオフセットであり、Sは、列のi番目(すなわち第i行内)のフォトダイオード素子の信号値であるか、または、第i行のフォトダイオード信号の信号値の合計を示す行合計値である。代替的に又は付加的に、コントローラは、M列の間の水平方向での重心計算を実行するのに、以下のアルゴリズムを適用し、
【数4】

ここで(上記と同様)、jは第j行が検討されていることを示す列のカウンターであり、PLRは、水平方向の点の位置座標であり、WLR,segmentは、水平方向のフォトダイオード素子のサイズを列の列ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、PLR,offsetは、0オフセット座標を水平方向に設定することを可能にするためのオフセットであり、Sは、行のj番目(すなわち第j列内)のフォトダイオード素子の信号値であるか、または、第j列のフォトダイオード信号の信号値の合計を示す列合計値である。
【0030】
いくつかの実施例では、方法は、更に、フォトダイオード信号の時間依存的分析を実行することを含んでも良く、少なくとも2つのフォトダイオード素子のフォトダイオード信号の時間依存が、光源の強度変化を確認するために比較される。いくつかの実施例では、方法は、更に、光点と少なくとも部分的に重なるフォトダイオードに関するフォトダイオード信号のみを含むように、フォトダイオード信号をフィルタリングすることを含んでも良い。いくつかの実施例では、そのようなフィルタリングは、フォトダイオード信号と閾値とを比較すること、または、閾値未満の信号値を有する各フォトダイオード信号を0に設定すること、または、閾値を超える信号値を有するフォトダイオード信号を選択すること、のうちの少なくとも1つにより実行されても良い。
【0031】
第4の面に従って、走査プローブ顕微鏡検査システムの分析システムのメモリにロードするのに適したコンピュータプログラム製品が提供され、当該コンピュータプログラム製品は、分析システムのコントローラが第3の面に従った上述した方法を実行することを可能にする指示を含む。
【図面の簡単な説明】
【0032】
本発明は、添付図面を参照しつつ、いくつかの特定の実施例の記述によって更に説明される。詳細な説明は、発明の可能性のある実施例を提供するが、範囲内の唯一の実施例を記述しているとみなされるべきではない。発明の範囲は請求項で定義されており、説明は発明の限定ではなく例であるとみなされるべきである。
【0033】
図1】本発明の装置が適用される走査プローブ顕微鏡検査システムを模式的に示す。
図2A】従来の位置感応検出器の正面図と側面図を模式的に提供する。
図2B】従来の位置感応検出器の正面図と側面図を模式的に提供する。
図3】本発明の実施例に従った装置を模式的に示す。
図4】本発明に従った装置で使用される光センサを模式的に示す。
図5】本発明に従った装置で使用される光センサを模式的に示す。
図6A】本発明に従った装置で使用されるデジタル信号処理スキームを模式的に示す。
図6B図6Aと連続する。本発明に従った装置で使用されるデジタル信号処理スキームを模式的に示す。
図7】本発明の実施例に従った装置を模式的に示す。
図8図3で示された装置を使用して検出可能な、カンチレバーの様々な振動モードのグラフを示す。
図9】本発明の実施例に従った装置を模式的に示す。
図10】本発明の実施例に従った装置を模式的に示す。
図11】本発明の実施例に従った装置を模式的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1には、走査プローブ顕微鏡検査システム1の仕組みが模式的に示されている。走査プローブ顕微鏡検査システム1は、サブストレートサンプル4が置かれうるサンプルステージ3を含む。図1に示したように、第1のアクチュエータシステム6は、XおよびY方向にサンプルステージ3を正確に動かすことを可能にする。図示したように、ピエゾ式アクチュエータシステム8は、垂直方向Zにサンプルステージ3を正確に動かすことを可能にする。アクチュエータシステム6とピエゾ式アクチュエータ8は、コントローラ電子機器10により制御される。
【0035】
使用において、カンチレバー18とプローブ先端19とを含むプローブ17は、プローブ先端19がサブストレート4の表面と連続的または断続的に接触されている間、サブストレート4の表面に対して走査されている。XおよびY方向の走査は、コントローラ10およびアクチュエータシステム6を使ったSPMシステムにより実行される。プローブ先端19と表面との間の距離を減らすようにZ方向にサブストレート4を動かすピエゾ式アクチュエータシステム8を操作することによって、プローブ先端19がサンプル表面4と接触する。サブストレート4とプローブ先端19がXおよびY方向に互いに対して動かされる間、プローブ先端19は、任意で、表面との前記断続的な接触を可能とするように振動されても良い。
【0036】
通常、プローブ先端19がサブストレート4に触れる位置でのサブストレート表面の高さは、SPMシステム1によって非常に正確に測定される。プローブ先端19がサブストレート4に触れる各位置で、そのような精度の高い高さ測定を実行することによって、地図上に表面構造が見えるサブストレート4の表面のトポグラフィーの地図が提供されうる。この正確な高さを特定するために、プローブ先端19がサブストレート4の表面に触れた際の、プローブ先端19の頂点のZ位置の非常に精密で正確な特定を可能とするために、カンチレバー18のカンチレバー撓みは、高精度に特定される必要がある。このカンチレバー撓みを測定するために、光ビーム撓み(OBD)装置が適用される。このために、プローブ先端19の裏側に、鏡面のような鏡面反射面20が配置されても良い。この面20は、光源22からの光ビーム、通常レーザーで照らされ、光ビーム25は鏡面反射面20に当てられる。反射ビーム27は、鏡面反射面20から光センサ30の方へ放射される。光センサ30は、光センサ30の面上に反射ビーム27によって形成される光点28の位置を正確に特定することが可能である。検出電子機器15は、光センサ30からのセンサ信号を受信し、光点28の位置を特定する分析を実行する。
【0037】
図2Aおよび2Bは、それぞれ、光センサ30の正面図と、光センサ30が適用された光ビーム撓み装置(OBD装置)の側面図とを提供する。図2Aでは、光センサ30が4つの光セル31、32、33、34から成ることがわかる。光センサ30の中央で十字35を形成するように、光セル31-34は、それらの端が互いに隣接した状態で、互いに隣接して配置される。
【0038】
図2Bでは、入射ビーム25は光センサ30の方へ反射され、反射ビーム27を提供することがわかる。入射ビーム25と反射ビーム27の発散は、この図では誇張されている。通常、光点28を形成するにはレーザービーム25が使用され、したがって、ビーム発散は、非常に限られるか無視さえできる。図1で分かるように、反射ビーム27は、光検出器30の面上に光点28を形成する。図2Bの光点28は、反射ビーム27が光センサ30の面に当たった場所に位置する。図2Bでは、光セル33、34は側面図で示されている。図2Bから更に、カンチレバー18は撓み角度αでわずかに反り返っていることになる。このことは、プローブ先端19がサブストレート4(図示せず)の表面に触れていることが原因かもしれない。しかし、各プローブがオフセット撓みの+/―1.5度の僅かなずれを生じた場合、図2Bの角度αは、このオフセット撓みであった方がよいかもしれない。撓み角度αが原因で、反射ビーム27は光センサ30の中心に向けられないが、大部分はセル34上に形成される。セル33は、反射ビーム27から光エネルギの小部分を受けるだけである。
【0039】
どのぐらい正確に光点28が光セル31、32、33、34上で形成されるかに応じて、セル31-34の各々は、反射ビーム27から来る量の光を受ける。セル31-34の各々からのセンサ信号の大きさを比較することによって、光点28が、どの程度十字35の中心に当たっているかを特定することができる。ここでは、光セル33が光エネルギの小部分を受けるだけであるのに対して、光セル34は多くの光エネルギを受ける。多くの従来のSPMシステム1では、各プローブ交換の後、そして、時折走査操作の間、光センサ30の位置が調節されて、光点28が十字35の中心に正確に形成されるようにシステムが調整される。その後、走査中にサブストレート4の局所的な高さを測定するために、正確に光センサ30の十字35の中心に光点28を再び戻すように、ピエゾ型アクチュエータ8は、光点28のずれをもたらす各撓みに対して制御される。このフィードバック方法を用いると、ピエゾ型アクチュエータ8を用いて適用されたZ方向の修正を記録することによって、局所的な高さが測定されうる。光センサ30の中心35に光点28の位置を戻すために、サンプルステージZ位置がどの程度適合されたのかを記録することによって、この特定の位置でのサブストレート4の高さが正確に分かる。先述したように、この種類の光センサの不利な点は、カンチレバーの撓みは、このように正確に特定されうるが、測定を可能にするためには、光センサ30が、しばしば調整されなければならないということである。
【0040】
図3は、本発明の実施例に従って、光ビーム撓み装置を模式的に示す。この装置は、図1のシステム1で、または、カンチレバー撓みを測定するためにOBDを適用する他のSPMデザインで、適用されても良い。図3には、カンチレバー18とプローブ先端19とを含むプローブ17が示されている。鏡面反射面20は、図1のSPM1と同様に、プローブ先端19の裏側にある。入射ビーム25は、プローブ先端19の裏側に当てられて、折り畳み可能な鏡26の方へ戻って反射ビーム27として反射される。鏡26は、光センサ30の方へ反射ビーム27´を向け直す。この追加の鏡26は、示された実施例では、光センサ30のどのような望ましいサイズも許容するように、光センサ30の様々な配置を可能とするデザインで適用される。しかし、他の実施例では、鏡26は無くても良く、光センサは従来の光センサ30と同じ位置にはめ込まれるように上手く設計されていても良い。
【0041】
光センサ30は、フォトダイオード素子40のアレイ41を含む。図4、5は、そのようなアレイ41の様々な構成を模式的に示す。本発明に従って、フォトダイオード素子40のサイズは、各フォトダイオード素子40が、光点28の断面直径より小さいようなサイズである。レーザービーム25の反射ビーム27によって形成される光点28は、強度値が軸値の1/eまで下がる半径、0.5-1.5mmの半径を有していても良い。これは単なる典型的な範囲であり、発明を限定することを意図せず、様々な大きさの光点が適用されても良い。この点からみれば、したがって、フォトダイオード素子40は比較的小さい。本発明の実施例では、フォトダイオード素子40は、一緒になって、アレイ41、例えば図4、5に示されたような列と行からなるアレイを形成する。フォトダイオード素子の数は望み通りに選択されても良いが、アレイ41は、少なくとも、3以上のフォトダイオード素子40を有する1つの列または1つの行を含む。特に、フォトダイオード素子アレイ41は、N×Mフォトダイオード素子の配列からなっても良く、Nは行の数でMは列の数であり、NまたはMのうち少なくとも一方は、少なくとも3つのフォトダイオード素子40からなるのに対して、NまたはMのうち他方は、少なくとも2つのフォトダイオード素子40からなっても良い。したがって、本発明の実施例に従うフォトダイオード素子40の最も小さなアレイ41は、2×3のフォトダイオード素子の配列からなる。しかし、任意に、アレイは、10×10のフォトダイオード素子または20×15のフォトダイオード素子40または望まれる他のどのような構成の配列からなっても良い。非常に特定のアプリケーションでは、フォトダイオード素子の数が大変大きく、たとえば100×50のフォトダイオード素子からなってさえ良い。
【0042】
図4は、本発明に従った装置におけるフォトダイオードアレイ41を模式的に示す。フォトダイオードアレイ41は、水平方向に8つのフォトダイオード素子40を含み、垂直方向に2つのフォトダイオード素子40を含み、それによって、センサの方向に応じて、8つのフォトダイオード素子40からなる2つの行、または2つのフォトダイオード素子40からなる8つの列を形成する。光点28は、複数のフォトダイオード素子40に当たっていることが図示されている。光強度信号プロファイル42-1、42-2は、図の隣に示されている。カンチレバー18とプローブ先端19とを含むプローブ17が、新しいプローブに交換されると、新しいプローブのカンチレバー18の曲げ角度の違いが、矢印29で示されているように、光点28が新しい位置28´へ移動する原因となる。図4から明確なように、光点28の移動29により、新しい光点28´の位置がわからなくなるという結果にはならない。フォトダイオード素子40が光点28、28´の直径より小さいサイズであるという事実により、光点28、28´は、常に複数のフォトダイオード素子40にわたって広がり、そのことによって、光センサ30上の光点28、28´の位置の正確な特定が可能になる。更に、図4の形式、そして、これが有利であろうそれらの実装例に従うと、光センサ30のアレイ41上に複数の点28を形成し、同時にそれらの位置を特定することさえ可能である。
【0043】
図5は、フォトダイオード素子40からなる代わりのフォトダイオードアレイ41を模式的に示す。再び、光点28は、複数のフォトダイオード素子40に当たっていることが図示されている。軸43-1、43-2に沿った光強度信号グラフ42-1、42-2が、図の隣に示されている。光点28のサイズに対するフォトダイオード素子40のサイズは、図4のものより小さく、光点28の半径のおよそ0.4倍である。あまりよく見えないが、光点28は完全に丸形ではなくて、卵形である。フォトダイオード素子40が光点28のサイズと比べて比較的小さいという事実により、光点28の形を正確に特定することができる。図5において、強度が等しい線45は、アレイ41の横に示されている。線45から明らかに、光点28の形は丸形ではなくて、わずかに卵形であるということになる。このことが位置特定で、ずれを引き起こすかもしれないので、光点の形が検出可能であるという事実によれば、このずれで修正して、光点の中心の正確な位置を特定することが可能である。等しい強度のフィールド線45の隣に、ビームグラフが示されている。
【0044】
図6は、本発明の実施例に従ったOBD装置のための信号処理のデジタル実現を模式的に示す。図6において、デジタル信号処理装置48は、フォトダイオード40からなるフォトダイオードアレイ41に接続されており、各行のフォトダイオード信号が加算器50に送信される。デジタル実現ロジックの第1部分51では、信号s1からs8までの総合計を得るために、信号は加算器52で更に加算される。この総合計が、除算器55で分母として使用される。更に、加算器50から得られる行合計の各々は、正規化セグメントサイズ×行番号に応じた因数によって乗算され、先に説明したようにオフセットを引かれる。このことは、各々の行に対して乗算器ユニット53でなされる。その後、加算器54は乗算された信号値の総合計を計算し、割り算の分子で使用するように、これを除算器55に提供する。除算器55の出力は、ミリメートル単位で絶対点位置58を提供する。第1部分51は、光点28のサイズがフォトダイオード素子40のサイズと比較して大きい場合に、たとえば図5で示される場合に使用されても良い。しかし、光点のサイズがフォトダイオード素子40のサイズと比べて比較的小さい場合では、デジタル信号処理ロジックは、図6で示された部分60に従って実行されても良い。部分60において、マルチプレクサ63は、行信号のs1からs8までのチャンネルのサブセットを使い、チャンネルのこれらのサブセットから、光点の位置を計算する。加算器64において、サブセットの総合計は、除算器75で使用するために計算される。更に、68において、オフセットは、光点の位置が0あたりに集中することを確実とするために、システムで設定されうる。このオフセットは、正規化セグメントサイズ×行番号に応じた因数、を表す値67から、減算器69で引かれる。その後、結果は、行信号の各々により乗算器70で乗算されて、73で加算されて、除算器75の分子を提供する。除算器75は、光センサ30の出力信号77の一部として、光点の位置を提供する。
【0045】
図7は、本発明の更なる実施例に従った装置を模式的に示す。図7では、カンチレバー18とプローブ先端7とを有するプローブを含むプローブチップ17が、第1の光ビーム25-1と第2の光ビーム25-2を使って照らされている。第1の光ビーム25-1は、第1の波長で光信号から形成される一方、第2の光ビーム25-2は、第2の波長で光信号から成る。これらの波長は自由に選択されても良いが、干渉を妨げるために、十分に離れた波長を選択することが望ましい。図7の実施例では、第1の光ビーム25-1は、プローブ先端19の裏側へ向けられている。プローブ先端19の裏側の鏡面反射面は、入射光ビーム25-1を反射し、それによって反射ビーム27-1を形成する。鏡26-1(または別の指向光学素子)は、上で説明したような複数のフォトダイオード素子40を含むフォトダイオードアレイ41の方へ、反射光ビーム27-1を向け直す。向け直されたビームは、参照番号27´-1によって示される。アレイ41上で、向け直された反射ビーム27´―1は、アレイの第1エリアに、第1の光点28-1を形成する。アレイ41の第1エリアに形成された第1の光点28-1は、プローブ先端19の撓みを示すセンサ信号を得ることを可能にする。プローブ先端19の動きと方向は、それにより測定されうる。
【0046】
第2の光ビーム25-2は、カンチレバー18の裏側に向けられる。カンチレバー18の裏側も、したがって、鏡面反射部分を含む。この鏡面反射部分は、カンチレバー18の裏側全体または一部に沿ってプローブ先端19から伸びていても、あるいは、いくつかの鏡面反射領域が、プローブのこの側面に形成されて広がっていても良い。第2の光ビーム25-2は、反射されて反射ビーム27-2となり、反射ビーム27-2は、鏡26-2(または別の方向転換光学素子)を用いてアレイ41へと向け直される。ここでは、向け直された反射ビーム27´―2は、第2の光点28-2を形成する。第2の光点28-2が形成されたエリアのフォトダイオード素子40から来る信号により、カンチレバー18の動きをモニターすることができる。ここで、第2の光ビーム25-2が当たる特定位置に応じて、プローブの1以上の調和モードが計測されうる。理解されうるように、図7で示されているものに代えて、2より多い光検知ビーム25が、この手法で、プローブ先端19とカンチレバー18の様々な部分に当たるように向けられても良い。各位置は、様々なふるまいで1以上の調和モードに感応し、このように、いくつかの位置を検知することは、1以上のモードを、より正確に同時にモニターすることを可能にする。
【0047】
図8は、図7のプローブと類似のプローブの調和モードのシミュレーションを示す。プローブは、自由端を有し、プローブチップ17に固定されることによって一端で制限されている、半制限の振動レバーである。振動において、自由端は自由に動くことが可能で、それによって、機械的に、第2の境界必要条件(第1のものは制限された第1の端である)を設定する。基本モードは、グラフの中で「モード1」と示されており、参照番号80で示されている。基本モードは、定常波のおよそ4分の1で提供される。このことは上記境界必要条件によっており、プローブ先端19が位置するカンチレバー18の自由端が自由に動き、それによって局所的に最大振幅を提供する。第1の調和モードは、グラフの中で「モード2」であり、1つの腹と次の半波の4分の1、すなわち定常波全部の4分の3によって特徴づけられ、それによって、第1の腹を含む。更に、第2の調和モードは、グラフの中で「モード3」と示され、1つの定常波全部と次の定常波全部の4分の1、それゆえ、2つの腹と自由端を含む、定常波の1と1/4(1と4分の1)で提供される。そして、同様、第3の調和モードは、3つの腹と自由端から成り、それによって、定常波のおよそ1と3/4(1と4分の3)を含む。
【0048】
図8のグラフから、カンチレバー18の長さに沿ったどの任意の位置でも、例示された第1の4つのモードの各々に関する位置感度の混合が様々であることが明白になる。プローブ先端18により形成される自由端では、自由端の境界必要条件により、すべてのモードが最大限に寄与する。カンチレバー18に沿った他のどの点でも、常にモードの1つが優位に存在する。特定のあらかじめ選択されたモードを調査するのに最適な位置は、例えば図8から得られる。このポイントでは、他のモードの寄与がどうであるかも特定される。このように、様々な光ビーム25は、カンチレバー19の様々な励起周波数(モード)をモニターするのに用いられうる。第2の光ビーム25-2がカンチレバー19に当たったポイントでのモードの振幅が大きいほど、スポット28-2から得られるセンサ信号は、この特定のモードに対して、より感応する。位置に対応する数で2以上のビームで測定することによって、すべてのこれらのモードに関する情報の正確さと量は、改善され増加する。
【0049】
図9で示される実施例では、第2のビーム25-2は、プローブチップ17に当たる。プローブチップ17上の鏡面反射部分はビーム25-2を反射し、反射ビーム27-2を提供する。この反射ビーム27-2は、鏡26-2(または別の方向転換光学素子)用いて、アレイ41の方へ向け直される。向け直された反射ビーム27´―2は、アレイの表面に点28-2を形成し、それによってアレイのそのエリアのフォトダイオード素子40を照らす。向け直された反射ビーム27´―2によって照らされたセンサ40は、プローブチップ17の動的振る舞いをモニターすることを可能にするセンサ信号を提供する。理解されうるように、プローブチップ17の動的振る舞いは、プローブ先端19の動きに関して外乱を提供する。このように、プローブチップ17の動的振る舞いを測定することは、プローブ先端19の動きを示す信号から、それを取り除くことを可能とする。プローブ先端19の動きを示す信号は第1のビーム25-1によって形成された光点28-1を使って得られる。たとえば、プローブチップ17の動きは、プローブ先端の信号の正確さを改善するために、プローブ先端19の信号から引かれても良い。
【0050】
図10の実施例では、第1の光ビーム25-1と第2の光ビーム25-2の両方が、プローブ先端19の裏側の同じ点に当たっている。これらの光ビーム25-1と光ビーム25-2は、共に反射されて、各々反射ビーム27-1と反射ビーム27-2を提供し、反射ビーム27-1と反射ビーム27-2は、向きをかえられて27´―1と27´―2となり、アレイ41上の異なるエリアに2つの点28-1、28-2を形成する。ビーム25-1とビーム25-2の光信号の波長は異なり、特に、走査プローブ顕微鏡検査システムで使用されるプローブに関連して選択される。例えば、走査プローブ顕微鏡検査システム1は、後に、いくつかの種類の異なるプローブを使うように設計されても良く、プローブの各々の種類は異なる機能を有する。そのようなプローブは、材料が異なっていても良く、特定の波長に最も敏感で他の波長により敏感でない、表面18上の特定のコーティングを含んでも良い。図10で示される装置では、光ビーム25-1、25-2は、各々、異なる波長に敏感である。それぞれ、各プローブに対して、反射光ビーム27-1と反射光ビーム27-2のそれぞれで強い反射信号を提供するように、波長は選択される。このように、第1の光ビーム25-1の波長は、第1の種類のプローブのプローブ先端19により、よく反射される波長であるように選択される。第2の光ビーム25-2の波長は、第2の種類のプローブのプローブ先端19により、よく反射される波長であるように選択される。第1の種類のプローブが第2の種類のプローブと交換された場合、第2の光ビーム25-2が十分によく反射される光信号を提供して、プローブ先端19の動きの測定が可能となる。したがって、プローブの交換に際し、光源の交換または再調整をする必要がなく、交換のプロセスをより効率的にする。
【0051】
図11で示された実施例では、プローブチップ17は、同時測定の実行を可能にする複数のプローブを含む。示された例では、プローブチップは、カンチレバー18-1、18-2、18-3、18-4からなる4つのプローブを含む。カンチレバー18-1~18-4は、各々プローブ先端19-1、19-2、19-3、19-4を含む。示された実施例では、複数の光ビーム25-1、25-2、25-3、25-4は、プローブ先端19-1~19-4の裏側に当たる。このように、プローブ先端19-1~19-4の各々は、入射光ビーム25-1~25-4のうちの1つによって照らされる。ビーム25-1~25-4の波長を違ったものとすることは、これらのビームが、干渉することなく、互いに十分近くに位置することを可能にする。図11の実施例に従う装置では、複数のレーザー25-1~25-4は、別々のプローブ先端19-1~19-4に集中することが可能で、反射ビーム27-1~27-4は、アレイ41のフォトダイオード40の対応するサブセットに向けられる。検知のこの方法は、どのような機械の再編成もなく、様々な走査技術(すなわちFFTPモード、AMモード)を実行することを可能にする。更に、カンチレバーは測定の間に相互配置を変えないので、複数のカンチレバー18-1~18-4の間のオフセットがわかっていることが重要であり、当該オフセットは、この場合簡単に調整されうる。上記様々な走査技術は、例えば、フィードフォワード軌道プランナー(feed-forward trajectory planner(FFTP))モードを含んでも良い。FFTPは、例えば溝のスペースまたは穴の直径が20~40nm未満で、深さが約200nmの、高アスペクト比構造を測定する。このモードは、そのような範囲に対するプローブの動きを制御し、側壁との相互作用を最小化し、プローブがそのような複雑な構造の底に到達することを確実とする。得られる他の走査スキャン技術は、例えば、AFMモードのコレクションを参照する動的外力モードを含み、動的外力モードでは、カンチレバーは、高周波で又は共振近くで振動する。振幅変調モード(amplitude modulation(AM-AFM))と呼ばれる特定の種類の動的モードは、最も一般的なAFM撮像モードである。AM-AFMでは、振動の振幅がフィードバック・パラメータであり、他の動的モードでは、周波数(周波数変調)または位相(位相変調)のような、フィードバック・ループに対する様々なパラメータがある。振幅変調モードとタッピングモードと断続的接触モードと動的外力モードは、同義的に使われうる。
【0052】
本発明は、いくつかの特定の実施例に関して記述された。図示され、ここで記述された実施例は、目的を示すことだけを意図しており、どのような方法または手段によっても、発明を限定する意図はないことは理解されるだろう。ここで述べられる発明の文脈は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0053】
(付記)
(付記1)
走査プローブ顕微鏡検査システムにおけるカンチレバーの撓みを特定する装置であって、
前記走査プローブ顕微鏡検査システムは、プローブを支持する走査ヘッドを含み、
前記プローブは、前記カンチレバーとプローブ先端とを含み、
前記カンチレバーまたは前記プローブ先端の、少なくとも1つの面は、鏡面反射面を含み、
前記装置は、光ビームを提供する光源を含み、
前記装置は、前記鏡面反射面から反射される反射ビームを生じるように、前記鏡面反射面に前記光ビームを当てるように構成されており、
前記装置は、光センサを含み、
前記装置は、前記光センサで前記反射ビームを受け、前記光センサ上で光点を形成するように構成されており、
前記光センサは、センサ信号を提供するように構成されており、前記センサ信号からは前記光センサ上の前記光点の位置の位置情報が取得可能であり、
前記光センサは、フォトダイオード素子のアレイを含み、
各フォトダイオード素子は、前記センサ信号に含まれるフォトダイオード信号を提供するように構成されており、
各フォトダイオード素子は、前記ビームの方向に対して横断する面内に有効領域を有するフォト感応面を含み、前記有効領域が前記光点のサイズより小さくなるように、前記有効領域は前記反射ビームの断面積より小さく、
フォトダイオードの前記アレイのうちの、隣接するフォトダイオードの第1のサブセットは、第1の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含み、
フォトダイオードの前記アレイのうちの、隣接するフォトダイオードの第2のサブセットは、第2の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含み、
前記第1のサブセットを形成する前記フォトダイオード素子は、前記第2のサブセットを形成する前記フォトダイオード素子とは異なる、
装置。
【0054】
(付記2)
フォトダイオード素子の前記アレイは、N*Mのフォトダイオード素子の配列を含み、
前記フォトダイオード素子はN行M列に配置され、
少なくとも、Nが2より大きい又はMが2より大きいうちの一方である、
付記1に記載の装置。
【0055】
(付記3)
前記装置は、更に、コントローラを含む、あるいは、コントローラと協働するように構成されており、
前記コントローラは、前記フォトダイオード信号を含む前記センサ信号を受信するように構成されており、
前記コントローラは、前記光センサ上の前記光点の位置を特定するように、前記センサ信号を処理するように構成されており、
前記光センサ上の前記光点の前記位置を特定するのに、前記コントローラは、前記フォトダイオード信号に基づく重心計算を実行するように構成されている、
付記1または2に記載の装置。
【0056】
(付記4)
前記コントローラは、N行の間の垂直方向での前記重心計算を実行するのに、アルゴリズムを適用するように構成されており、
前記アルゴリズムは、
【数5】

であり、iは第i行が検討されていることを示す前記行のカウンターであり、
TBは、垂直方向の点の位置座標であり、
TB,segmentは、垂直方向の前記フォトダイオード素子のサイズを前記行の行ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、
TB,offsetは、0オフセット座標を前記垂直方向に設定することを可能にするオフセットであり、
は、第i行の前記フォトダイオード信号の信号値の合計を示す行合計値である、
付記2かつ3に記載の装置。
【0057】
(付記5)
前記コントローラは、M行の間の水平方向での前記重心計算を実行するのに、アルゴリズムを適用するように構成されており、
前記アルゴリズムは、
【数6】

であり、jは第j行が検討されていることを示す前記列のカウンターであり、
LRは、水平方向の点の位置座標であり、
LR,segmentは、水平方向の前記フォトダイオード素子のサイズを前記列の列ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、
LR,offsetは、0オフセット座標を前記水平方向に設定することを可能にするオフセットであり、
は、第j列のフォトダイオード信号の信号値の合計を示す列合計値である、
付記2かつ3、または付記4に記載の装置。
【0058】
(付記6)
前記コントローラは、前記フォトダイオード信号の時間依存的な分析を実行するように構成され、
少なくとも2つのフォトダイオード素子の前記フォトダイオード信号の時間依存は、前記光源の強度変化を確認するように比較される、
付記1から5のいずれか1項に記載の装置。
【0059】
(付記7)
前記装置は、更に、前記光点と少なくとも部分的に重なるフォトダイオードに関するフォトダイオード信号のみを含むように、前記フォトダイオード信号をフィルタリングするように構成されている付記1から6のいずれか1項に記載の装置。
【0060】
(付記8)
前記フィルタリングを実行するのに、前記コントローラは、前記フォトダイオード信号と閾値とを比較すること、または、前記閾値未満の信号値を有する各フォトダイオード信号を0に設定すること、または、閾値を超える信号値を有するフォトダイオード信号を選択すること、の少なくとも1つに適して構成されている、付記7、かつ付記3から6の少なくとも1項に記載の装置。
【0061】
(付記9)
前記光源は、第1の波長の第1の光ビームと、第2の波長の第2の光ビームを提供するように1以上の光源を含み、
前記装置は、第1の反射ビームと第2の反射ビームを生じるように、前記第1の光ビームと前記第2の光ビームを前記鏡面反射面に当て、前記第1の反射ビームを、前記アレイの隣接するフォトダイオードの前記第1のサブセットに当て、前記第2の反射ビームを、前記アレイの隣接するフォトダイオードの前記第2のサブセットに当てるように構成されている、
付記1から8のいずれか1項に記載の装置。
【0062】
(付記10)
前記鏡面反射面は、前記カンチレバーと、前記プローブ先端との両方に位置し、
前記装置は、前記第1の反射ビームと前記第2の反射ビームを提供するのに、前記第1の光ビームを前記プローブ先端に当て、前記第2の光ビームを前記カンチレバーに当てるように構成されている、
付記9に記載の装置。
【0063】
(付記11)
前記プローブは、プローブをつけるプローブチップによって支えられ、
前記鏡面反射面は前記プローブ先端に位置し、更なる鏡面反射面が前記プローブチップ上に位置し、
前記装置は、前記第1の反射ビームと前記第2の反射ビームを提供するのに、前記第1の光ビームを前記プローブ先端に当て、前記第2の光ビームを前記プローブチップに当てるように構成されている、
付記9に記載の装置。
【0064】
(付記12)
前記装置は、前記第1の光ビームと前記第2の光ビームを、前記プローブ先端または前記カンチレバーの前記鏡面反射面の同じ領域に当てるように構成され、
前記光センサは、隣接するフォトダイオードの前記第1または第2のサブセットのうちの少なくとも1つからの、望ましくは、一度にフォトダイオード素子の前記第1または第2のサブセットのうちの多くとも1つからの前記センサ信号を提供するように構成されている、
付記9に記載の装置。
【0065】
(付記13)
前記装置は複数のプローブを含み、
各プローブが鏡面反射面を含むように、各プローブはカンチレバーとプローブ先端を含んで、カンチレバーとプローブ先端のうちの少なくとも1つが前記鏡面反射面を含み、
前記装置は、前記第1の反射ビームと第2の反射ビームを提供するのに、前記第1の光ビームを、前記複数のプローブのうちの第1のプローブの前記プローブ先端または前記カンチレバーに当て、前記第2の光ビームを、前記複数のプローブのうちの第2のプローブの前記プローブ先端または前記カンチレバーに当てるように構成されている、
付記9に記載の装置。
【0066】
(付記14)
1以上のフォトダイオードにとって、前記ビームの方向に対して横断する平面内の前記フォト感応面の前記有効領域と、前記反射ビームの前記断面積との間の比率は、0.3と1.0の間、望ましくは0.4と0.75の間で、より望ましくは0.4と0.6の間で、更により望ましくは0.4と0.45の間である、付記1から13のいずれか1項に記載の装置。
【0067】
(付記15)
走査プローブ顕微鏡検査システムであって、
少なくとも1つの走査ヘッドと、
サブストレートを支持するサブストレート・キャリヤーと、
を含み、
前記走査ヘッドは、前記サブストレートの測定実行用に、前記サブストレートの面を走査するのに、カンチレバーとプローブ先端とを含むプローブを含み、
前記走査ヘッドは、更に、前記カンチレバーのカンチレバー撓みを特定するのに、付記1から14のいずれか1項に記載の装置を含む、
走査プローブ顕微鏡検査システム。
【0068】
(付記16)
走査プローブ顕微鏡検査システムにおけるカンチレバーの撓みを特定する方法であって、
前記走査プローブ顕微鏡検査システムは、プローブを支持する走査ヘッドを含み、
前記プローブは、カンチレバーとプローブ先端とを含み、
前記カンチレバーまたは前記プローブ先端の、少なくとも1つの面は、鏡面反射面を含み、
前記方法は、
光源を使って光ビームを提供し、前記鏡面反射面から反射される反射ビームを生じるように、前記鏡面反射面に前記光ビームを当てることと、
光センサで前記反射ビームを受けることで前記光センサ上に光点を形成し、前記光センサ上の前記光点の位置の位置情報を取得可能なセンサ信号を提供することと、
を含み、
前記センサ信号は、フォトダイオード素子のアレイから、複数のフォトダイオード素子のフォトダイオード信号により提供され、
前記反射ビームのビーム方向に対して横断する面内の各フォトダイオードのフォト感応面の有効領域が前記光点のサイズより小さくなるように、前記反射ビームの断面は、前記有効領域より大きく、
前記センサ信号は、
第1の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含む、フォトダイオードの前記アレイのうちの隣接するフォトダイオードの第1のサブセットと、
第2の波長範囲で感応するフォトダイオード素子を含む、フォトダイオードの前記アレイのうちの隣接するフォトダイオードの第2のサブセットと、
のうちの少なくとも1つによって提供され、
前記第1のサブセットを形成する前記フォトダイオード素子は、前記第2のサブセットを形成する前記フォトダイオード素子とは異なる、
方法。
【0069】
(付記17)
フォトダイオード素子の前記アレイは、N*Mフォトダイオード素子のアレイを含み、
前記フォトダイオード素子は、垂直に並べられたN行と水平に並べられたM列に配置され、
前記フォトダイオード信号を含む前記センサ信号は、前記光センサ上の前記光点の位置を特定するように、コントローラを使って処理される、
付記16に記載の方法。
【0070】
(付記18)
前記光点の前記位置を特定するのに、重心計算が前記コントローラにより実行され、
前記コントローラの少なくとも1つは、N行の間の垂直方向での前記重心計算を実行するのに、アルゴリズムを適用し、
前記アルゴリズムは、
【数7】

であり、iは第i行が検討されていることを示す行のカウンターであり、
TBは、垂直方向の点の位置座標であり、
TB,segmentは、垂直方向の前記フォトダイオード素子のサイズを前記行の行ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、
TB,offsetは、0オフセット座標を前記垂直方向に設定することを可能にするオフセットであり、
は、第i行の前記フォトダイオード信号の信号値の合計を示す行合計値であり、
前記コントローラは、M列の間の水平方向での前記重心計算を実行するのに、アルゴリズムを適用し、
前記アルゴリズムは、
【数8】

であり、jは第j行が検討されていることを示す列のカウンターであり、
LRは、水平方向の点の位置座標であり、
LR,segmentは、水平方向の前記フォトダイオード素子のサイズを前記列の列ピッチ距離によって割ることで提供される、正規化セグメントサイズであり、
LR,offsetは、0オフセット座標を前記水平方向に設定することを可能にするためのオフセットであり、
は、第j列の前記フォトダイオード信号の信号値の合計を示す列合計値である、
付記17記載の方法。
【0071】
(付記19)
更に、前記フォトダイオード信号の時間依存的分析を実行することを含み、
少なくとも2つのフォトダイオード素子の前記フォトダイオード信号の時間依存が、前記光源の強度変化を確認するために比較される、
付記16から18のいずれか1項に記載の方法。
【0072】
(付記20)
更に、前記光点と少なくとも部分的に重なるフォトダイオードに関するフォトダイオード信号のみを含むように、前記フォトダイオード信号をフィルタリングするステップを含む、付記16から19のいずれか1項に記載の方法。
【0073】
(付記21)
前記フィルタリングは、前記フォトダイオード信号と閾値とを比較すること、または、前記閾値未満の信号値を有する各フォトダイオード信号を0に設定すること、または、前記閾値を超える信号値を有するフォトダイオード信号を選択すること、のうちの少なくとも1つにより実行される、付記20に記載の方法。
【0074】
(付記22)
走査プローブ顕微鏡検査システムの分析システムのメモリにロードするのに適したコンピュータプログラム製品であって、
前記分析システムのコントローラが付記16から21のいずれか1項に記載の方法を実行することを可能にする指示を含む、
コンピュータプログラム製品。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
【国際調査報告】