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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】カラーケア洗剤組成物
(51)【国際特許分類】
   C11D 3/37 20060101AFI20231115BHJP
   C11D 1/722 20060101ALI20231115BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20231115BHJP
   C11D 1/75 20060101ALI20231115BHJP
   D06P 5/12 20060101ALI20231115BHJP
   C08F 283/06 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
C11D3/37 ZBP
C11D1/722
C11D1/29
C11D1/75
D06P5/12 101
C08F283/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528398
(86)(22)【出願日】2021-06-24
(85)【翻訳文提出日】2023-05-12
(86)【国際出願番号】 CN2021101948
(87)【国際公開番号】W WO2022266911
(87)【国際公開日】2022-12-29
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】バルベロ、フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ベルティ、デボラ
(72)【発明者】
【氏名】ビアンチェッチ、ギリア・オッタヴィア
(72)【発明者】
【氏名】コヴァ、カミラ・マリア
(72)【発明者】
【氏名】フォッサム、ルネ・ダイアナ
(72)【発明者】
【氏名】タン、ミン
(72)【発明者】
【氏名】ヴィンソン、フィリップ・カイル
【テーマコード(参考)】
4H003
4H157
4J026
【Fターム(参考)】
4H003AB03
4H003AB19
4H003AB31
4H003AC09
4H003AC15
4H003AC23
4H003BA12
4H003DA01
4H003EB08
4H003EB28
4H003EB34
4H003EB36
4H003ED02
4H003FA14
4H157CA04
4H157GA28
4J026AB19
4J026BA18
4J026BA27
4J026BA40
4J026BB03
4J026DB05
4J026DB13
4J026GA09
(57)【要約】
同時洗浄される布地への移染の低減だけでなく、洗濯中の染料退色の低減も提供する洗剤組成物の必要性は、洗剤組成物を分岐鎖状非イオン性界面活性剤と移染抑制(DTI)ポリマーとの組み合わせと配合することによって満たされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤系及び移染抑制(DTI)ポリマーを含む洗濯洗剤組成物であって、前記界面活性剤系が分岐鎖状非イオン性界面活性剤を含み、前記移染抑制ポリマーがグラフトコポリマーであり、前記グラフトコポリマーが、
a.約1000~約20000ダルトンの数平均分子量を有し、かつエチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシドに基づくポリアルキレンオキシドと、
b.N-ビニルピロリドンと、
c.1~6個の炭素原子を含む飽和モノカルボン酸由来のビニルエステル及び/又はアクリル酸もしくはメタクリル酸のメチルエステルもしくはエチルエステルと、を含み、
(a):(b)の重量比は、1:0.1~1:2であり、
(a)の重量での量は、(c)の量よりも大きく、
前記分岐鎖状非イオン性界面活性剤が、
a)式I:R1-CH(R2)-O-(PO)(EO)(PO)-H
式I中、
R1は、C4~C14アルキル鎖、好ましくはC4~C8アルキル鎖、より好ましくはC6アルキル鎖であり、
R2は、C1~C7アルキル鎖、好ましくはC1~C5アルキル鎖、より好ましくはC3アルキル鎖であり、
xは、0~10、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、
yは、5~20、好ましくは6~15、より好ましくは7~12であり、
zは、0~20、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、
EOはエトキシル化を表し、POはプロポキシル化を表す、
b)式II:R1-CH(R2)CH-O-(PO)(EO)(PO)-H
式II中、
R1は、C3~C13アルキル鎖、好ましくはC3~C7アルキル鎖、より好ましくはC5アルキル鎖であり、
R2は、C1~C7アルキル鎖、好ましくはC1~C5アルキル鎖、より好ましくはC3アルキル鎖であり、
xは、0~10、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、
yは、5~20、好ましくは6~15、より好ましくは7~12であり、
zは、0~20、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、
EOはエトキシル化を表し、POはプロポキシル化を表す、から選択される、洗濯洗剤組成物。
【請求項2】
前記界面活性剤系が、前記組成物の、0.1重量%~12重量%、好ましくは0.5重量%~10重量%、より好ましくは1重量%~3重量%の濃度で前記分岐鎖状非イオン性界面活性剤を含む、請求項1に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項3】
前記洗濯組成物が、1重量%~70重量%、好ましくは10重量%~50重量%、より好ましくは12重量%~35重量%の濃度で前記界面活性剤系を含む、請求項1又は2に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤系が、アニオン性界面活性剤、好ましくはスルホネート界面活性剤、サルフェート界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を更に含み、より好ましくは前記アニオン性界面活性剤が、スルホネート界面活性剤及びサルフェート界面活性剤を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項5】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルサルフェート界面活性剤を含み、前記アルキルサルフェート界面活性剤が、0.5~8.0、好ましくは1.0~5.0、より好ましくは2.0~3.5の平均エトキシ化度を有する、請求項4に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項6】
前記アニオン性界面活性剤が、アルキルサルフェート界面活性剤を含み、前記アルキルサルフェート界面活性剤が、0.5未満の平均エトキシ化度を有し、好ましくは、0.5未満の平均エトキシ化度を有する前記アルキルサルフェート界面活性剤が、分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤を含み、より好ましくは、0.5未満の平均エトキシ化度を有する前記アルキルサルフェート界面活性剤が、2-分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤を含む、請求項5に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項7】
前記界面活性剤系が、両性及び/又は双極性イオン性界面活性剤、好ましくはアミンオキシド界面活性剤から選択される両性界面活性剤を含み、より好ましくは、前記アミンオキシド界面活性剤がラウリルジメチルアミンオキシドである、請求項1~6のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項8】
前記グラフトポリマーが、前記洗剤組成物の0.05重量%~15重量%、好ましくは0.1重量%~30重量%、より好ましくは0.2重量%~1.0重量%の濃度で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項9】
前記グラフトポリマーにおいて、
a)前記ポリアルキレンオキシドが、エチレンオキシド単位を含み、好ましくはエチレンオキシド単位からなり、
c)前記ビニルエステルが酢酸ビニルを含み、好ましくは酢酸ビニルからなる、請求項1~8のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項10】
前記グラフトポリマーにおいて、(a):(c)の重量比が、1.0:0.1~1.0:0.99、好ましくは、1.0:0.3~1.0:0.9である、請求項1~9のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項11】
前記グラフトポリマーにおいて、成分(c)のグラフトされたモノマーの1.0モル%~60モル%、好ましくは20モル%~60モル%、より好ましくは30モル%~50モル%が加水分解されている、請求項1~10のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項12】
前記グラフトポリマーが、5,000Da~100,000Da、好ましくは5,000Da~50,000Da、より好ましくは8,000Da~20,000Daの重量平均分子量を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項13】
前記組成物が、ポリマー付着助剤、染料定着ポリマー、及びこれらの混合物を更に含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の洗濯洗剤組成物。
【請求項14】
洗濯中の色保護を改善し、好ましくは洗濯中の染料再付着を減少させるための、少なくとも1つの分岐鎖状非イオン性界面活性剤とグラフトコポリマー移染抑制ポリマーとの組合せを含む洗濯洗剤組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
洗濯洗剤組成物、特に、着色布地の改善されたケアを提供する液体洗濯洗剤組成物又は単位用量物品。
【背景技術】
【0002】
洗濯洗剤組成物は、白色布地を白色に保ち、着色布地を明るく保つために、布地に良好な洗浄を提供するように配合される。洗濯洗剤組成物はまた、典型的には染み及び汚れを除去するように配合される。しかしながら、汚れを除去することに加えて、洗濯洗剤組成物は、着色布地から染料も除去し、着色布地の退色をもたらすことが知られている。更に、これらの除去された染料は、洗濯プロセス中に他の布地上に移染し、望ましくない布地の変色をもたらす可能性がある。
【0003】
このような染料の同時洗浄された布地への移染を制限するために、移染抑制(DTI)ポリマーが、着色布地を洗浄するために市販されている洗剤組成物に組み込まれることが多い。典型的な移染抑制剤は、典型的には、ポリビニルピロリドンホモポリマー(PVP)、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリビニルピロリドン/ポリビニルイミダゾールコポリマー(PVP/PVI)、ポリ-4-ビニルピリジンN-オキシド(PVNO)、及びポリ(ビニルピロリドン)コ-ポリ(ビニルピリジン-N-オキシド)(PVP/PVNO)ポリマーなどのポリマーをベースとしており、これらは典型的には比較的高濃度のビニルピロリドン(「VP」)を含んでいる。しかしながら、そのようなDTIポリマーは、同時洗浄された布地への移染を減少させるが、染料退色をもたらす布地からの染料ブリードを防止するものではない。実際に、洗濯中に、多くの布地染料が布地と洗浄液との間で分配され、更に、DTIポリマーによる洗浄液中の染料の捕捉が、洗浄液中に分配される染料の量を増加させることが分かっている。したがって、DTIポリマーは、洗濯中に同時洗浄された布地への移染を防止するが、染料退色を増加させることも分かっている。
【0004】
このように、同時洗浄された布地への染料の再付着を減少させると共に、洗濯中の染料の退色も減少させる洗剤組成物が依然として必要とされている。
【0005】
国際公開第2010025116(A1)号は、少なくとも1つのカチオン性ポリマー及びアニオン性界面活性剤を含む安定した色維持及び/又は復活組成物、並びにそれを提供する方法に関する。国際公開第2013070560(A1)号は、特定のカチオン性ポリマー(複数可)、アニオン性界面活性剤、1つ以上の遮蔽塩及び疎水性会合破壊剤を含む表面処理組成物に関し、表面処理組成物は、少なくとも6重量%のカチオン性ポリマー、少なくとも6重量%のアニオン性界面活性剤、及び少なくとも4重量%の遮蔽塩を含み、アニオン性界面活性剤対カチオン性ポリマーの重量比は0.5:1~4:1であり、また、遮蔽塩対カチオン性ポリマーの重量比が0.3:1~3:1であってもよい。
【0006】
米国出願第20190390142(A1)号は、(a)ポリエチレンオキシド(PEG)などのポリアルキレンオキシドと、(b)N-ビニルピロリドン(VP)と、(c)酢酸ビニルなどのビニルエステルと、を含み得るグラフトコポリマーを含む布地ケア組成物に関する。そのような組成物及び/又はグラフトコポリマーに関する方法及び使用。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2010025116(A1)号
【特許文献2】国際公開第2013070560(A1)号
【特許文献3】米国出願第20190390142(A1)号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、界面活性剤系及び移染抑制(DTI)ポリマーを含む洗濯洗剤組成物に関し、界面活性剤系が分岐鎖状非イオン性界面活性剤を含み、移染抑制ポリマーがグラフトコポリマーであり、グラフトコポリマーが、1000~20,000ダルトンの数平均分子量を有し、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシドに基づくポリアルキレンオキシドと、N-ビニルピロリドンと、1~6個の炭素原子を含有する飽和モノカルボン酸及び/又はアクリル酸もしくはメタクリル酸のメチルもしくはエチルエステル由来のビニルエステルと、を含み、(a):(b)の重量比が1:0.1~1:2であり、(a)の重量での量が(c)の量よりも大きく、分岐鎖状非イオン性界面活性剤が、
a)式I:R1-CH(R2)-O-(PO)x(EO)y(PO)z-H
式I中、R1は、C4~C14アルキル鎖、好ましくはC4~C8アルキル鎖、より好ましくはC6アルキル鎖であり、R2は、C1~C7アルキル鎖、好ましくはC1~C5アルキル鎖、より好ましくはC3アルキル鎖であり、xは、0~10、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、yは、5~20、好ましくは6~15、より好ましくは7~12であり、zは、0~20、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、EOはエトキシル化を表し、POはプロポキシル化を表す、
b)式II:R1-CH(R2)CH2-O-(PO)x(EO)y(PO)z-H
式II中、R1は、C3~C13アルキル鎖、好ましくはC3~C7アルキル鎖、より好ましくはC5アルキル鎖であり、R2は、C1~C7アルキル鎖、好ましくはC1~C5アルキル鎖、より好ましくはC3アルキル鎖であり、xは、0~10、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、yは、5~20、好ましくは6~15、より好ましくは7~12であり、zは、0~20、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、EOはエトキシル化を表し、POはプロポキシル化を表す、から選択される。
【0009】
本発明は更に、洗濯中の色保護を改善し、好ましくは洗濯中の染料再付着を減少させるための、少なくとも1つの分岐鎖状非イオン性界面活性剤と移染抑制ポリマーとの組合せを含む洗濯洗剤組成物の使用に関する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の洗剤組成物は、洗濯中の染料退色を減少させることが分かった。
【0011】
別途注記がない限り、全ての構成要素又は組成物のレベルは、その構成要素又は組成物の活性部分に関するものであり、このような構成要素又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば、残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0012】
全ての百分率及び比率は、別途示されない限り、重量基準で計算される。全ての百分率及び比率は、別途示されない限り、全組成に基づいて計算される。
【0013】
特に明記されない限り、全ての測定は、25℃で実施される。
【0014】
本明細書で使用するとき、「a」及び「an」などの冠詞は、特許請求の範囲において使用されるときは、特許請求されている又は記載されるもののうちの1つ以上を意味するものと理解される。
【0015】
洗濯洗剤組成物:
洗濯洗剤組成物は、液体、ペースト、顆粒、固体、粉末などの任意の好適な形態であってもよく、又は基材などの担体と組合せてもよい。好ましい洗濯洗剤組成物は液体又は顆粒のいずれかであり、液体が最も好ましい。
【0016】
本明細書で使用される場合、「液体洗剤組成物」は、流体であり、好ましくは、家庭用洗濯機において、布地、例えば、衣服を濡らして洗浄することができる液体洗剤組成物を指す。本明細書で使用するとき、「洗濯洗剤組成物」は、衣類を洗浄するのに好適な組成物を指す。その組成物は、好適に細分された形態の固体又は気体を含んでいてもよいが、組成物全体は、例えば錠剤又は顆粒などの全体として非液体である製品形態を除外する。液体洗濯洗剤組成物は、任意の固形の添加剤は除外されるが、存在する場合、任意の泡は含まれ、好ましくは1立方センチメートル当たり0.9~1.3グラム、更に具体的には、1立方センチメートル当たり1.00~1.10グラムの範囲の密度を有する。
【0017】
組成物は、水性液体洗濯洗剤組成物とすることができる。このような水性液体洗濯洗剤組成物では、含水量は、液体洗濯洗剤組成物の5.0重量%~95重量%、好ましくは25重量%~90重量%、より好ましくは50重量%~85重量%のレベルで存在することができる。
【0018】
洗剤組成物のpH範囲は、6.0~8.9、好ましくは7~8.8である。
【0019】
洗剤組成物はまた、水溶性フィルム中に封入されて、単位用量物品を形成することができる。このような単位用量物品は、本発明の洗剤組成物を含み、洗剤組成物は、20重量%未満、好ましくは15重量%未満、より好ましくは10重量%未満の水を含み、洗剤組成物は水溶性又は水分散性フィルムに封入される。このような単位用量物品は、当該技術分野において既知の任意の手段を使用して形成することができる。好適な単位用量物品は、1つの区画を含むことができ、この区画は、液体洗濯洗剤組成物を含む。あるいは、単位用量物品は、少なくとも1つの区画が液体洗濯洗剤組成物を含む多区画単位用量物品とすることができる。
【0020】
移染抑制剤ポリマー:
洗剤組成物は、1つ以上の移染抑制ポリマーを含む。移染抑制ポリマーは、グラフトコポリマーを含む。グラフトコポリマーは、洗剤組成物の0.05重量%~15重量%、又は0.1重量%~3.0重量%、及び/又は0.2重量%~1.0重量%のレベルで存在することができる。
【0021】
移染抑制ポリマーは、洗濯プロセス中の移染を低減又は防止するためのものとして当該技術分野において既知である。しかしながら、洗濯中に、多くの布地染料が布地と洗浄液との間で分配され、DTIポリマーを使用して洗浄液中の染料を捕捉することは、布地からの染料除去を増加させ、染料退色の増加をもたらすことが分かっている。
【0022】
本明細書で使用する移染抑制ポリマーは、グラフトコポリマーであり、このグラフトコポリマーは、(a)1000~20,000ダルトンの数平均分子量を有し、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシドに基づくポリアルキレンオキシド、(b)N-ビニルピロリドン、及び(c)1~6個の炭素原子を含有する飽和モノカルボン酸由来のビニルエステル、を含み、(a):(b)の重量比は、1:0.1~1:2、好ましくは1:0.3~1:1であり、(a)の重量での量は(c)の量よりも大きい。
【0023】
(a):(c)の重量比は、1.0:0.1~1.0:0.99又は1.0:0.3~1.0:0.9である。ポリアルキレンオキシド対N-ビニルピロリドンの比が低すぎる場合、ポリマーは、他の組成物成分と負の相互作用をなす場合がある、及び/又は布地上の負の感触、並びに洗浄効果の低下をもたらす場合がある。
【0024】
(b):(c)の重量比は、約1.0:0.1~約1.0:5.0、又は約1.0:4.0までとすることができる。理論に束縛されることを望むものではないが、高すぎるN-ビニルピロリドン対ビニルエステルの比は、より多い付着につながり、処理された布地に負の感触を引き起こす可能性がある。更に、増白剤などの成分との負の相互作用が生じる可能性がある。
【0025】
(a)のポリマーの重量での量は、(c)の量よりも大きい。ポリマーは、少なくとも50重量%、好ましくは少なくとも60重量%、より好ましくは少なくとも75重量%の(a)ポリアルキレンオキシドを含み得る。理論に束縛されることを望むものではないが、特に構成成分(a)に関連して、構成成分(c)(例えば、酢酸ビニル)を比較的高濃度にすると、移染抑制性能が低下する、及び/又は疎水性が相対的に高くなる可能性があり、これは、配合及び/又は安定性の課題につながる可能性があると考えられる。
【0026】
グラフト重合におけるモノマー(b)及び(c)の添加順序は、重要ではない。
【0027】
グラフトコポリマーは、(a)1000~20000Da、又は15000まで、又は12000Daまで、又は10000Daまでの数平均分子量を有し、かつエチレンオキシド、プロピレンオキシド、又はブチレンオキシドに基づく、好ましくはエチレンオキシドに基づくポリアルキレンオキシドを、(b)N-ビニルピロリドンで更に(c)1~6個の炭素原子を含有する飽和モノカルボン酸由来のビニルエステル、好ましくは酢酸ビニル又はその誘導体であるビニルエステルでグラフトすることを含む、及び/又はそれによって得ることができる。
【0028】
好適なポリアルキレンオキシドは、ホモポリマー又はコポリマーに基づくことができ、ホモポリマーが好ましい。ポリアルキレンオキシドは、エチレンオキシドのホモポリマー、又はエチレンオキシド含有量が40モル%~99モル%のエチレンオキシドコポリマーをベースとするものであり得る。このようなコポリマーに好適なコモノマーとしては、プロピレンオキシド、n-ブチレンオキシド、及び/又はイソブチレンオキシドを挙げることができる。好適なコポリマーとしては、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとのコポリマー、エチレンオキシドとブチレンオキシドとのコポリマー、及び/又はエチレンオキシド、プロピレンオキシド、及び少なくとも1種のブチレンオキシドのコポリマーを挙げることができる。コポリマーは、40~99モル%のエチレンオキシド含有量、1.0~60モル%のプロピレンオキシド含有量、及び1.0~30モル%のブチレンオキシド含有量を含み得る。グラフトベースは、直鎖状(直鎖)又は分岐鎖状、例えば、分岐鎖状ホモポリマー及び/又は分岐鎖状コポリマーであり得る。
【0029】
分岐鎖状コポリマーは、プロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドを含む又は含まないエチレンオキシドを、多価低分子量アルコール、例えば、トリメチロールプロパン、ペントース、又はヘキソースに付加することによって調製することができる。
【0030】
アルキレンオキシド単位は、ポリマー中にランダムに分布していても、ブロックとして内部に存在していてもよい。
【0031】
構成成分(a)のポリアルキレンオキシドは、遊離形態(すなわち、OH末端基を有する)の対応するポリアルキレングリコールであってもよく、又は一方もしくは両方の末端基が保護されていてもよい。好適な末端基は、例えば、C1~C25-アルキル基、フェニル基、及びC1~C14-アルキルフェニル基であり得る。末端基は、C1-アルキル(例えば、メチル)基であり得る。グラフトベースに好適な材料としては、ポリエチレングリコールであるPEG300、PEG1000、PEG2000、PEG4000、PEG6000、PEG8000、PEG10000、PEG12000、及び/もしくはPEG20000、並びに/又はBASFから商品名PLURIOLで市販されているモノメトキシポリエチレングリコールであるMPEG2000、MPEG4000、MPEG6000、MPEG8000、及びMEG10000を挙げることができる。
【0032】
理論に束縛されることを望むものではないが、構成成分(a)(例えば、ポリエチレングリコール)の分子量が比較的低い場合、移染抑制の性能が低下することがあると考えられる。追加的又は代替的に、分子量が高すぎる場合、ポリマーが溶液中に懸濁されたままではなくなる可能性がある、及び/又は処理された布地に付着する可能性がある。
【0033】
本開示のグラフトコポリマーは、比較的低い分岐度(すなわち、グラフト化度)によって特徴付けることができる。本開示のグラフトコポリマーにおいて、グラフト部位の平均数は、アルキレンオキシド基、例えばエチレンオキシド基50個当たり1.0個以下、又は0.8個以下、又は0.6個以下、又は0.5個以下、又は0.4個以下であり得る。グラフトコポリマーは、平均して、得られる反応混合物に基づいて、アルキレンオキシド基、例えばエチレンオキシド基50個当たり少なくとも0.05個又は少なくとも0.1個のグラフト部位を含み得る。分岐度は、例えば、13C NMR分光法を用いて、グラフト部位及びポリアキレンオキシドの-CH-基のシグナルの積分値から求めることができる。
【0034】
グラフト部位の数は、モノマーの温度及び/又は供給速度を操作することで調整することができる。例えば、過剰な構成成分(a)及び形成されたグラフトコポリマーが反応器内に常に存在するような方式で、重合を行ってもよい。例えば、構成成分(a)及びポリマーとグラフトされていないモノマー(及び存在する場合は開始剤)との定量的モル比は、通常10:1以上、又は15:1まで、又約20:1までである。
【0035】
ポリアルキレンオキシドは、構成成分(b)のモノマーとしてN-ビニルピロリドンでグラフトされる。理論に束縛されることを望むものではないが、本開示によるグラフトコポリマー中にN-ビニルピロリドン(「vinylpyrrolidone、VP」)モノマーが存在すると、N-ビニルピロリドンモノマーを含有しない他の類似のポリマーと比較して、水溶性及び良好なフィルム形成特性が得られると考えられる。ビニルピロリドンの繰り返し単位は、双極子を形成することができる極性アミド基と、骨格及び環を疎水性にするにメチレン基がある非極性部分とにより両親媒性を有する。ビニルピロリドン含有量が高すぎると、布地の柔軟性に悪影響がある場合があり、ビニルピロリドン含有量が高いので材料コストが高くなる。
【0036】
ポリアルキレンオキシドは、構成成分(c)のモノマーとして、ビニルエステルでグラフトされる。ビニルエステルは、1~6個の炭素原子、又は1~3個の炭素原子、又は1~2個の炭素原子、又は1個の炭素原子を含み得る飽和モノカルボン酸から誘導され得る。好適なビニルエステルは、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、イソ吉草酸ビニル、カプロン酸ビニル、又はこれらの混合物からなる群から選択され得る。構成成分(c)の好ましいモノマーは、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、又はこれらの混合物からなる群から選択されるものを含み、任意選択で酢酸ビニルである。
【0037】
従来、分子量は、相対粘度測定から得られる「K値」によって表される。グラフトコポリマーは、25℃のジメチルホルムアミド中2重量%の強度の溶液においてH.Fikentscherに従って測定される、5.0~200、任意選択で5.0~50のK値を有し得る。
【0038】
本開示のグラフトコポリマーは、比較的狭いモル質量分布によって特徴付けることができる。例えば、グラフトコポリマーは、3.0以下、又は2.5以下、又は2.3以下の多分散性M/Mによって特徴付けることができる。グラフトコポリマーの多分散性は、1.5~2.2であり得る。多分散性は、多角度レーザ光散乱検出によるヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)などの有機溶媒を使用するゲル浸透クロマトグラフィによって決定することができる。
【0039】
グラフトコポリマーは、フリーラジカル開始剤の存在下で及び/又は高エネルギー放射線の作用(高エネルギー電子線の作用を含み得る)によって、構成成分(a)の好適なポリアルキレンオキシドを構成成分(b)のモノマーでグラフトすることによって、調製することができる。これは、例えば、ポリアルキレンオキシドをグループ(b)の少なくとも1種のモノマーに溶解し、重合開始剤を加え、混合物を完全に重合することによって行うことができる。また、グラフト重合は、まず、重合するポリアルキレンオキシド、グループ(b)及び/又は(c)の少なくとも1種のモノマー、並びに開始剤の混合物の一部分、例えば10%を導入し、重合温度まで加熱し、重合開始後、重合する混合物の残りを重合速度に見合った速度で添加することにより、半連続的に行うことができる。グラフトコポリマーは、グループ(a)のポリアルキレンオキシドを反応器に導入し、重合温度まで加熱し、グループ(b)及び/又は(c)の少なくとも1つのモノマー及び重合開始剤を、一度に全部、少しずつ、又は途切れることなく、任意選択で途切れることなく添加し、重合させることによって得ることもできる。
【0040】
グラフトコポリマーの調製において、モノマー(b)及び(c)が構成成分(a)にグラフトされる順序は、重要ではなく及び/又は自由に選択可能であり得る。例えば、まずN-ビニルピロリドンを構成成分(a)にグラフトし、次にモノマー(c)又はグループ(c)のモノマーの混合物をグラフトすることができる。また、まずグループ(c)のモノマーをグラフトベース(a)にグラフトし、次にN-ビニルピロリドンをグラフトすることも可能である。(b)及び(c)のモノマー混合物をグラフトベース(a)に1工程でグラフトすることが可能である。グラフトコポリマーは、グラフトベース(a)を提供し、次いで、まずN-ビニルピロリドン、次に酢酸ビニルをグラフトベースにグラフトすることによって調製することができる。
【0041】
任意の好適な重合開始剤を使用することができ、この重合開始剤の例としては、ジアセチルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、スクシニルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルピバレート、tert-ブチルペルマレート、クメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルペルオキソジカルバメート、ビス(o-トルオイル)ペルオキシド、ジデカノイルペルオキシド、ジオクタノイルペルオキシド、ジラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルイソブチレート、tert-ブチルペルアセテート、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルペルアセテート、ジ-tert-アミルペルオキシド、tert-ブチルヒドロペルオキシド、これらの混合物、レドックス開始剤、及び/又はアゾスタータなどの有機ペルオキシドを挙げることができる。開始剤の選択は、重合温度の選択と関連している場合がある。
【0042】
グラフト重合は、約50℃~約200℃、又は約70℃~約140℃で行われ得る。グラフト重合は、典型的には大気圧下で行われ得るが、減圧下又は超大気圧下でも行われ得る。
【0043】
グラフト重合は、溶媒中で行われ得る。好適な溶媒としては、エタノール、プロパノール、及び/又はブタノールなどの一価アルコール;エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールなどの多価アルコール;エチレングリコールモノメチル及び-エチルエーテル並びに/又はプロピレングリコールモノメチル及び-エチルエーテルなどのアルキレングリコールエーテル;ジ-もしくはトリ-エチレングリコール及び/又はジ-もしくはトリ-プロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール;3~20のアルキレングリコール単位を有するポリ(C2~C3-アルキレン)グリコールモノ(C1~C16-アルキル)エーテルなどのポリアルキレングリコールモノエーテル;酢酸エチル及びプロピオン酸エチルなどのカルボン酸エステル;アセトン及び/又はシクロヘキサノンなどの脂肪族ケトン;テトラヒドロフラン及び/又はジオキサンなどの環状エーテル;又はそれらの混合物から選択されるアルギン酸リアーゼを含み得る。
【0044】
また、グラフト重合は、溶媒として水中で行ってもよい。このような場合、第1の工程は、添加された構成成分(b)のモノマーの量に応じて、ある程度水に可溶である溶液を導入することであってもよい。重合中に形成する可能性のある水不溶性の生成物を溶液に移動させるために、例えば、有機溶媒、例えば、1~3個の炭素原子を有する一価アルコール、アセトン、及び/又はジメチルホルムアミドを添加することが可能である。水中でのグラフト重合プロセスでは、通常の乳化剤又は保護コロイド、例えばポリビニルアルコールを添加することによって、水不溶性のグラフトコポリマーを微細分散液に移動させることも可能である。使用する乳化剤は、HLB値が3.0~13のイオン性又は非イオン性の界面活性剤であり得る。HLB値は、W.C.Griffin in J.Soc.Cosmet.Chem.5(1954),249の論文に記載されている方法に従って測定される。
【0045】
グラフト重合プロセスで使用される界面活性剤の量は、グラフトコポリマーの0.1~5.0重量%であり得る。水を溶媒として使用する場合、グラフトコポリマーの溶液又は分散液を得ることができる。有機溶媒又は有機溶媒と水との混合物中でグラフトコポリマーの溶液を調製する場合、グラフトコポリマー100重量部当たりの有機溶媒又は溶媒混合物の使用量は、5~200重量部、任意選択で10~100重量部であり得る。
【0046】
グラフト重合の後、任意選択で、グラフトコポリマーを部分的な加水分解に供してもよい。グラフトコポリマーでは、成分(c)のグラフトされたモノマーの1.0モル%~60モル%、好ましくは20モル%~60モル%、より好ましくは30モル%~50モル%が加水分解される。例えば、構成成分(c)として酢酸ビニル又はプロピオン酸ビニルを用いて調製されたグラフトコポリマーを加水分解すると、ビニルアルコール単位を含有するグラフトコポリマーが得られる。加水分解は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液又は水酸化カリウム水溶液などの塩基を加えるか、あるいは、酸を加え、必要に応じて混合物を加熱することによって行うことができる。理論に束縛されることを望むものではないが、構成成分(c)の加水分解度を上げることにより、グラフコトポリマーの相対的な親水性が高まると考えられ、次に、捕捉された染料がより良好に懸濁するようになると考えられる。
【0047】
界面活性剤系
洗濯組成物は、この組成物の2.5重量%~60重量%、好ましくは5.0重量%~25重量%、最も好ましくは7.0重量%~15重量%の濃度で界面活性剤系を含み得る。
【0048】
本明細書で使用するとき、好適な界面活性剤は、汚れた材料に洗浄、染み除去、又は洗濯上の利益を提供する界面活性剤又は界面活性剤の混合物を意味する。洗浄性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双極性イオン界面活性剤、及びこれらの組合せから選択することができる。
【0049】
界面活性剤系は、分岐鎖状非イオン性界面活性剤を含む。界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤、両性イオン界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される界面活性剤を更に含むことができる。したがって、界面活性剤系は、アニオン性界面活性剤と非イオン性界面活性剤との組合せ、より好ましくはアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤の組合せを含むことができる。
【0050】
好ましくは、飽和アルキル鎖を含む界面活性剤が使用される。
【0051】
分岐鎖状非イオン性界面活性剤
この界面活性剤系は、この組成物の0.1重量%~12重量%、好ましくは0.5重量%~10重量%、最も好ましくは1.0重量%~3.0重量%の濃度で分岐鎖状非イオン性界面活性剤を含むことができる。
【0052】
好適な分岐鎖状非イオン性界面活性剤は、第一級又は第二級アルコール由来であり得る。分岐鎖状非イオン性界面活性剤は、以下から選択される。
a)式I:R1-CH(R2)-(PO)(EO)(PO)-H
式I中、R1は、C4~C14アルキル鎖、好ましくはC4~C8アルキル鎖、より好ましくはC6アルキル鎖であり、R2は、C1~C7アルキル鎖、好ましくはC1~C5アルキル鎖、より好ましくはC3アルキル鎖であり、xは、0~10、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、yは5~20、好ましくは6~15、より好ましくは7~12であり、zは0~20、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、EOはエトキシ化を表し、POはプロポキシ化を表す、
b)式II:R1-CH(R2)CH-(PO)(EO)(PO)-H
式II中、R1は、C3~C13アルキル鎖、好ましくはC3~C7アルキル鎖、より好ましくはC5アルキル鎖であり、R2は、C1~C7アルキル鎖、好ましくはC1~C5アルキル鎖、より好ましくはC3アルキル鎖であり、xは、0~10、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、yは5~20、好ましくは6~15、より好ましくは7~12であり、zは0~20、好ましくは0~5、より好ましくは0~3であり、EOはエトキシ化を表し、POはプロポキシ化を表す。
【0053】
式Iによる好ましい分岐鎖状非イオン性エトキシレートは、3~40のアルコキシル化度を有する、商品名Tergitol(登録商標)15-Sで入手可能なものである。例えば、20の平均アルコキシル化度を有するTergitol(登録商標)15-S-20。式Iによる他の好適な市販の材料は、商品名Softanol(登録商標)M及びEPシリーズで入手可能なものである。
【0054】
式IIによる好ましい分岐鎖状非イオン性界面活性剤は、Ethylan(登録商標)1007及び1008などの7又は8EOを有するGuerbet C10アルコールエトキシレート、並びに市販のLutensol(登録商標)XLシリーズ(XL50、XL70など)のGuerbet C10アルコールアルコキシル化非イオン性界面活性剤(エトキシル化及び/又はプロポキシル化されている)である。他の代表的なアルコキシル化分岐鎖状非イオン性界面活性剤としては、BASF Corporationから入手可能なLutensol(登録商標)XP30、Lutensol(登録商標)XP-50、及びLutensol(登録商標)XP-80の商品名で入手可能なものが挙げられる。一般に、Lutensol(登録商標)XP-30は、3つの反復エトキシ基を有すると考えることができ、Lutensol(登録商標)XP-50は、5つの反復エトキシ基を有すると考えることができ、Lutensol(登録商標)XP-70は、7つの反復エトキシ基を有すると考えることができる。他の好適な分岐鎖状非イオン性界面活性剤としては、Lutensol(登録商標)ON50(5EO)及びLutensol(登録商標)ON70(7EO)などのオキソ分岐状非イオン性界面活性剤が挙げられる。他の好適な分岐鎖状非イオン性界面活性剤としては、Plurafac(登録商標)SLF170(3PO、12EO、15PO)が挙げられる。また、最大で分岐が50%であり(40%メチル(モノ又はビ)10%シクロヘキシル)、SasolのSafol(登録商標)アルコールから製造されたものなどを含む、フィッシャーアンドトロプシュ反応により得られるエトキシル化脂肪族アルコール、オキソ反応に由来するエトキシル化脂肪族アルコールも好適であり、ここで、少なくとも50重量%のアルコールは、SasolのIsalchem(登録商標)アルコール又はLial(登録商標)アルコールから製造されたものなどのC2異性体(メチル~ペンチル)である。
【0055】
更なる非イオン性界面活性剤
液体洗剤組成物は、更なる非イオン性界面活性剤を含むことができる。液体洗剤組成物中の更なる非イオン性界面活性剤の濃度は、15重量%未満、好ましくは7.0重量%未満、より好ましくは5.0重量%未満、更により好ましくは3.0重量%未満の濃度で存在することができる。最も好ましくは、組成物は更なる非イオン性界面活性剤を含まない。
【0056】
好適な非イオン性界面活性剤として、いわゆるピークの狭いアルキルエトキシレートを含む直鎖C12~C18アルキルエトキシレート(「AE」)、及びC6~C12アルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及びエトキシ/プロポキシ混合物)、C6~C12アルキルフェノールのブロック型アルキレンオキシド縮合体、C8~C22アルカノールのアルキレンオキシド縮合体、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー(Pluronic、BASF Corp.)が挙げられるが、これらに限定されず、並びに、半極性の非イオン性物質(例えば、アミンオキシド及びホスフィンオキシド)を本発明の組成物に使用することができる。これらの種類の界面活性剤の広範囲の開示は、米国特許第3,929,678号に見出される。
【0057】
米国特許第4,565,647号に開示されているようなアルキル多糖類もまた本発明の組成物で有用な非イオン性界面活性剤である。
【0058】
アルキルポリグルコシド界面活性剤も好適である。
【0059】
更なる非イオン性界面活性剤として、式R(OCOHのものが挙げられ、式中、Rは、直鎖C10~C16アルキル基又はC8~C12アルキルフェニル基であり、nは好ましくは3~80である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり5~20モルのエチレンオキシドと直鎖C12~C15アルコール、例えば、アルコール1モル当たり6.5モルのエチレンオキシドと縮合したC12~C13アルコールの縮合生成物であり得る。
【0060】
アニオン性界面活性剤
この界面活性剤系は、液体洗濯洗剤組成物の1.4重量%~52重量%、好ましくは4.4重量%~20重量%、より好ましくは5.9重量%~11.5重量%の濃度でアニオン性界面活性剤を含むことができる。
【0061】
界面活性剤系は、好ましくはスルホネート界面活性剤、サルフェート界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を更に含むことができ、より好ましくは、アニオン性界面活性剤は、スルホネート界面活性剤及びサルフェート界面活性剤を含む。好適なアニオン性界面活性剤は、典型的にはビルダーとして添加される、脂肪酸及びそれらの塩も含む。しかしながら、W.M.Linfield,Marcel Dekker編「Surfactant Science Series」、Vol.7に開示されるものなどの、洗剤組成物の技術分野において既知のあらゆるアニオン性界面活性剤を本質的に使用することができる。しかしながら、組成物は、好ましくは少なくともスルホン酸界面活性剤、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸を含むが、水溶性塩形態も使用され得る。アルキルサルフェート又はそれらの混合物も好ましい。直鎖アルキルベンゼンスルホネートとアルキルサルフェート界面活性剤の組合せは、特に染み除去を改善するために特に好ましい。
【0062】
本明細書で使用するのに好適なアニオン性スルホネート又はスルホン酸界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホネート、アルキルエステルスルホネート、アルカンスルホネート、アルキルスルホン化ポリカルボン酸の酸及び塩形態、並びにこれらの混合物が挙げられる。好適なアニオン性スルホネート又はスルホン酸界面活性剤としては、C5~C20アルキルベンゼンスルホネート、より好ましくはC10~C16アルキルベンゼンスルホネート、より好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホネート、C5~C20アルキルエステルスルホネート、C6~C22一級もしくは二級アルカンスルホネート、C5~C20スルホン化(ポリ)カルボン酸、及びこれらの任意の混合物を含むが、好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホネートが挙げられる。上記界面活性剤は、その2-フェニル異性体含有率が幅広く異なり得る。
【0063】
本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性硫酸塩としては、
9~22個の炭素原子、より好ましくは12~18個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖状アルキルもしくはアルケニル部分を有する、第一級及び第二級アルキルサルフェートが挙げられる。(界面活性剤又は混合物の)重量平均分岐度が少なくとも50%である、β-分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤、又は市販の物質の混合物も同様に有用である。
【0064】
中鎖分岐鎖状アルキルサルフェート又はスルホネートもまた、本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤である。好ましいものは、C5~C22の、好ましくはC10~C20の中鎖分枝状アルキル一級サルフェートである。混合物を使用する場合、アルキル部分の炭素原子の好適な平均合計数は、好ましくは14.5超~17.5の範囲内である。好ましいモノ-メチル-分枝状一級アルキルサルフェートは、3-メチル~13-メチルペンタデカノールサルフェート、対応するヘキサデカノールサルフェート、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ジメチル誘導体、又は軽度の分枝を有する他の生分解性のアルキルサルフェートも同様に使用することができる。
【0065】
使用される場合、アルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤は、1つ以上のアルキルエトキシル化サルフェートのブレンドとすることができる。好適なアルキルアルコキシル化サルフェートとしては、C10~C18アルキルエトキシル化サルフェート、より好ましくはC12~C15アルキルエトキシル化サルフェートが挙げられる。アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート界面活性剤を含むことができ、アルキルサルフェート界面活性剤は、0.5~8.0、好ましくは1.0~5.0、より好ましくは2.0~3.5の平均エトキシ化度を有する。
【0066】
あるいは、アニオン性界面活性剤は、アルキルサルフェート界面活性剤を含むことができ、アルキルサルフェート界面活性剤は、0.5未満、好ましくは0.1未満の平均エトキシ化度を有する低いエトキシ化度を有し、より好ましくはエトキシ化されていない。好ましい低エトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤は、更なるアルコキシル化を含まない。好ましい低エトキシ化アルキルサルフェート界面活性剤は、分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤を含む。分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤は、分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤のアルキル鎖の少なくとも20重量%、好ましくは60重量%~100重量%、より好ましくは80重量%~90重量%の2-分岐鎖状アルキル鎖を含むことができる。2-分岐鎖状アルキル鎖を有するこのような分岐鎖状アルキルサルフェートは、2-アルキルアルカノールサルフェート、又は2-アルキルアルキルサルフェートと記載することもできる。分岐鎖状アルキルサルフェートは、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リチウム、カルシウム、アンモニウム、又はモノエタノールアミン、トリエタノールアミン、及びモノイソプロパノールアミンなどであるがこれらに限定されない任意の好適なアミンによって、又は中和金属もしくはアミンのいずれかの混合物によって中和することができる。好適な分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤は、10~18個の炭素原子(C10~C18)又は12~15個の炭素原子(C12~C15)を含むアルキル鎖を含むことができ、13~15個の炭素原子(C13~C15)が最も好ましい。分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤は、所望のレベルの2-分岐を提供するためにヒドロホルミル化反応を含むプロセスを使用して製造することができる。特に好ましい分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤は2-分岐を含み、2-分岐は、20重量%~80重量%、好ましくは30重量%~65重量%、より好ましくは40重量%~50重量%のメチル分岐、エチル分岐、及びこれらの混合物の2-分岐を含む。
【0067】
好適な低エトキシル化分岐鎖状アルキルサルフェート界面活性剤は、アルキルアルコール、例えば両方ともSasolによって供給されるLial(登録商標)145、Isalchem(登録商標)145由来であり得、所望の分岐分布を達成するために他のアルキルアルコールと任意選択でブレンドすることができる。
【0068】
このような低エトキシ化アルキルサルフェート界面活性剤を含む本発明の組成物を使用して布地を洗浄する場合、特に低エトキシ化アルキルサルフェート界面活性剤が上記のような2-分岐を含む場合、30℃以下の温度で布地を洗濯するとき、洗浄性能を維持しながら、洗濯中の布地からのより低いレベルの染料除去を達成することができる。
【0069】
しかし、このようなアルキルエーテルサルフェートアニオン性界面活性剤を製造するプロセスでは、微量の残留1,4-ジオキサン副生物が生じることがある。アルコキシル化アルキルサルフェート、とりわけエトキシル化アルキルサルフェート内の1,4-ジオキサン副生物の量を低減することができる。近年の技術進歩に基づいて、1,4-ジオキサン副生物の更なる低減は、その後のストリッピング、蒸留、溶媒蒸発、遠心分離、マイクロ波照射、分子ふるいがけ、又は接触分解工程もしくは酵素分解酵素工程により実現することができる。代替法は、低レベルのエトキシル化しか含まない、又はエトキシル化を含まないことさえある、アルキルサルフェートアニオン性界面活性剤を使用することである。したがって、アルキルMiguel
【0070】
本明細書で使用するのに好適な他のアニオン性界面活性剤としては、脂肪メチルエステルスルホネート及び/又はアルキルポリアルコキシル化カルボキシレート、例えば、アルキルエトキシル化カルボキシレート(AEC)が挙げられる。
【0071】
アニオン性界面活性剤は、典型的には、アルカノールアミン、又はナトリウム及びカリウムなどのアルカリ金属とのそれらの塩の形態で存在する。
【0072】
安定性の改善及び油脂の洗浄のために、液体洗剤組成物は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤対アルキルアルコキシル化サルフェート界面活性剤の比が15:1~0.1:1、好ましくは10:1~0.3:1、より好ましくは5:1~1:1になるように、直鎖アルキルベンゼンスルホネート界面活性剤とアルキルサルフェート界面活性剤との組合せを含むことができる。
【0073】
両性及び/又は双極性界面活性剤
この界面活性剤系は、液体洗濯洗剤組成物の0.1重量%~2.0重量%、好ましくは0.1重量%~1.0重量%、より好ましくは0.1重量%~0.5重量%の濃度で両性及び/又は双極性界面活性剤を含むことができる。
【0074】
好適な両性界面活性剤としては、アミンオキシド界面活性剤が挙げられる。アミンオキシド界面活性剤は、以下の式:RNO(式中、Rは、1~30個、好ましくは6~20個、より好ましくは8~16個の炭素原子を含む炭化水素鎖であり、R及びRは、独立して、1~4個の炭素原子、好ましくは1~3個の炭素原子を含む飽和又は不飽和、置換又は非置換、直鎖又は分岐鎖状の炭化水素鎖であり、より好ましくはメチル基である)を有するアミンオキシドである。Rは、飽和又は不飽和、置換又は非置換、直鎖又は分枝鎖の炭化水素鎖であってよい。
【0075】
本明細書で使用される好適なアミンオキシドは、例えば、好ましくは、Albright & Wilsonから市販されているC12~C14ジメチルアミンオキシド、ClariantからGenaminox(登録商標)LAの商品名で市販されているC12~C14アミンオキシド、又はAKZO Nobelから市販されているAROMOX(登録商標)DMCである。
【0076】
適切な両性又は双極性洗浄性界面活性剤としては、ヘアケア又は他のパーソナルケアクレンジングでの使用が知られているものが挙げられる。好適な双極性又は両性界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号及び同第5,106,609号に記載されている。好適な両性洗浄性界面活性剤としては、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として広く記載される界面活性剤が挙げられ、ここで脂肪族ラジカルは直鎖状又は分岐鎖状であってもよく、脂肪族置換基のうちの1つは8~18個の炭素原子を含有し、1つはアニオン性基、例えばカルボキシ基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基、又はホスホン酸基を含有する。本発明に使用するのに好適な両性洗浄性界面活性剤としては、ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
任意選択的な成分
洗剤組成物は、以下の任意成分の1つ以上を更に含んでもよい:外部構造化剤又は増粘剤、酵素、酵素安定剤、洗浄ポリマー、漂白系、蛍光増白剤、色相染料、微粒子物質、香料及び他の臭気制御剤、ヒドロトロープ、抑泡剤、布地ケア有益剤、pH調整剤、更なる移染抑制ポリマー、染料固定ポリマー、防腐剤、非布地直接染料、並びにこれらの混合物。より好ましい実施形態では、洗濯洗剤組成物は漂白剤を含まない。
【0078】
外部構造化剤又は増粘剤:好ましい外部構造化剤及び増粘剤は、構造化効果を提供するために電荷-電荷相互作用に依存しないものである。したがって、特に好ましい外部構造化剤は、非高分子結晶性ヒドロキシル官能性構造化剤、例えば硬化ヒマシ油;微小繊維状セルロース;非荷電性ヒドロキシエチルセルロース;非荷電性疎水変性ヒドロキシエチルセルロース;疎水変性エトキシル化ウレタン;疎水変性非イオン性ポリオール;及びこれらの混合物からなる群から選択されるものなどの非荷電性外部構造化剤である。
【0079】
好適なポリマー構造化剤は、天然由来及び/又は合成のポリマー構造化剤を含む。
【0080】
本発明において使用する天然由来のポリマー構造化剤の例としては、ミクロフィブリル化セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖類誘導体、及びこれらの混合物が挙げられる。ミクロフィブリル化セルロースの非限定的な例は、国際公開第2009/101545(A1)号に記載されている。好適な多糖類誘導体としては、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアガム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0081】
本発明において使用する合成ポリマー構造化剤又は増粘剤の例としては、ポリカルボキシレート、疎水変性エトキシル化ウレタン(HEUr)、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0082】
好ましくは、水性液体洗剤組成物は、20℃の温度で100s-1の剪断速度で測定した場合、50~5,000、好ましくは75~1,000、より好ましくは100~500MPa.sの粘度を有する。相安定性の改善、また懸濁成分の安定性のために、水性液体洗剤組成物は、0.05s-1の剪断速度、20℃の温度で測定したとき、50~250,000、好ましくは5,000~125,000、より好ましくは10,000~35,000MPa.sの粘度を有する。
【0083】
洗浄ポリマー:洗剤組成物は、好ましくは洗浄ポリマーを含む。このような洗浄ポリマーは、織物繊維から染みを少なくとも部分的に持ち上げ、酵素系がマンナン及び他の多糖類を含む複合体をより効果的に分解することを可能にすると考えられる。好適な洗浄ポリマーは、表面及び布地の広範な汚れ洗浄並びに/又は汚れの懸濁を提供する。好適な洗浄ポリマーの非限定的な例としては、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー、粘土汚れ洗浄ポリマー、汚れ放出ポリマー、及び汚れ懸濁ポリマーが挙げられる。好ましい洗浄ポリマーは、式(I)の少なくとも1つの化合物
【0084】
【化1】
(式中、nは、3以上の数である)と、
式(II)の少なくとも1つの化合物
【0085】
【化2】
(式中、Aはアニオンを表し、特にフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物などのハロゲン化物、硫酸塩、硫酸水素塩、硫酸メチルなどの硫酸アルキル、及びそれらの混合物から選択される)とのフリーラジカル共重合によって得ることができる。このようなポリマーは、欧州特許出願第3196283(A1)号に更に記載されている。
【0086】
同様の理由で、Clariantによって供給されるSRA300などのポリエステルベースの汚れ放出ポリマーも特に好ましい。
【0087】
他の有用な洗浄ポリマーは、米国特許出願第20090124528(A1)号に記載されている。洗剤組成物は、布地及び表面からグリース粒子を除去するように、親水性と疎水性が釣り合っている両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマーを含み得る。両親媒性アルコキシル化脂洗浄ポリマーは、コア構造及びそのコア構造に結合した複数のアルコキシレート基を含んでもよい。これらは、例えばアルコキシル化ポリアルキレンイミンを含んでもよい。このような化合物としては、エトキシル化ポリエチレンイミン、エトキシル化ヘキサメチレンジアミン、及びこれらのサルフェート化体を挙げることができるが、これらに限定されない。ポリプロポキシル化誘導体も挙げることができる。多種多様なアミン及びポリアルキレンイミンを様々な程度にアルコキシル化することができる。有用な例は、NH1個当たり20のEO基までエトキシル化されている600g/モルポリエチレンイミンコアであり、BASFから入手可能である。アルコキシル化ポリアルキレンイミンは、内側ポリエチレンオキシドブロック及び外側ポリプロピレンオキシドブロックを含んでいてもよい。洗剤組成物は、洗剤組成物の0.1重量%~10重量%、好ましくは0.1重量%~8.0重量%、より好ましくは0.1重量%~2.0重量%の洗浄ポリマーを含み得る。
【0088】
更なる移染抑制ポリマー:洗剤組成物は、1つ以上の更なる移染抑制ポリマーを含むことができる。しかしながら、好ましい組成物は、このような更なる移染抑制ポリマーを含まない。洗濯中、多くの布地染料が布地と洗浄液との間で分配されることが分かっている。このように、DTIポリマーを使用する洗浄液中の染料の封鎖は、布地からの染料除去を増加させ、したがって染料退色を増加させることが分かっている。
【0089】
使用される場合、好適な更なる移染抑制ポリマーは、ポリビニルピロリドンホモポリマー(PVP)、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ポリビニルピロリドン/ポリビニルイミダゾールコポリマー(PVP/PVI)、ポリビニルピリジン-N-オキサイド(PVNO)、ポリ(ビニルピロリドン)コ-ポリ(ビニルピリジン-N-オキサイド)(PVP/PVNO)ポリマー、ポリ-N-カルボキシルメチル-4-vinylpyridiumchloride、ポリ(2-ヒドロキシプロピルジメチルアンモニウムクロライド)、及びこれらの混合物、好ましくはポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルイミダゾール(PVI)、ビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマー(PVP/PVI)、及びこれらの混合物からなる群から選択することができる。
【0090】
ポリビニルピロリドン(「PVP」)は、親水性及び極性誘引特性を付与する高極性アミド基を有する両親媒性を有し、骨格及び/又は環に、疎水性特性を付与する極性メチレン及びメタン基も有する。環はまた、染料分子において、芳香環との平面配向を提供し得る。PVPは、水性及び有機溶媒系に容易に溶解する。PVPは、いくつかの粘度グレードの粉末又は水溶液のいずれかで市販されている。本発明の組成物は、好ましくは、NビニルピロリドンとNビニルイミダゾールとのコポリマー(本明細書では「PVPVI」とも略される)を利用する。N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとのコポリマーを更に添加すると、優れた移染抑制性能を提供できることが分かった。N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとのコポリマーは、1:1~0.2:1、より好ましくは0.8:1~0.3:1、最も好ましくは0.6:1~0.4:1のN-ビニルイミダゾール対N-ビニルピロリドンのモル比を有することができる。N-ビニルピロリドンとN-ビニルイミダゾールとのコポリマーは、直鎖状又は分岐鎖状のいずれかとすることができる。特に好適なポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルイミダゾール(PVI)、及びビニルピロリドンとビニルイミダゾールとのコポリマー(PVP/PVI)は、5,000Da~1,000,000Da、好ましくは5,000Da~50,000Da、より好ましくは10,000Da~20,000Daの重量平均分子量を有することができる。数平均分子量範囲は、Barth J.H.G.及びMays J.W.Chemical Analysis Vol 113.「Modern Methods of Polymer Characterization」に記載されているような光散乱によって決定される。ポリ(N-ビニル-2-ピロリドン)及びポリ(N-ビニル-イミダゾール)のコポリマーは、BASFを含む多くの供給元から市販されている。好ましいDTIは、BASF(ドイツ、BASF SE)からSokalan(登録商標)HP 56 Kの商品名で市販されている。
【0091】
有機ビルダー及び/又はキレート剤:洗濯洗剤組成物は、0.6重量%~10重量%、好ましくは2.0~7.0重量%の1つ以上の有機ビルダー及び/又はキレート剤を含むことができる。好適な有機ビルダー及び/又はキレート剤は、MEAシトレート、クエン酸、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホネート)、アルカリ金属エタン1-ヒドロキシジスホスホネート、及びニトリロトリメチレン、ホスホネート、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシ-エチレン1,1ジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸、エチレンジアミンジコハク酸(EDDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸(HEDTA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、メチルグリシン二酢酸(MGDA)、イミノ二コハク酸(IDS)、ヒドロキシエチルイミノ二コハク酸(HIDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸(HEIDA)、グリシン二酢酸(GLDA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、Tiron(商標)などのカテコールスルホネート、並びにこれらの混合物からなる群から選択される。
【0092】
酵素:好適な酵素は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果をもたらす。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ(malanases)、Β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及び既知のアミラーゼ、又はそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい酵素の組合せは、アミラーゼと共に、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような従来の洗浄性酵素のカクテルを含むものである。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号により詳細に記載されている。
【0093】
酵素安定剤:酵素は、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物、ホウ素化合物及び置換されたホウ酸、芳香族ホウ酸エステル、ペプチド及びペプチド誘導体、ポリオール、低分子量カルボン酸塩、比較的疎水性の有機化合物[例えば、特定のエステル、ジアルキルグリコールエーテル(diakyl glycol ethers)、アルコール、又はアルコールアルコキシレート]、カルシウムイオン源に加えてアルキルエーテルカルボン酸塩、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低級脂肪族アルコール及びカルボン酸、N,N-ビス(カルボキシメチル)セリン塩;(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステルコポリマー及びPEG;リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸又はその塩;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N-ビス-3-アミノ-プロピル-ドデシルアミン又は塩;並びにこれらの混合物のような任意の既知の安定剤系を使用して安定化できる。
【0094】
色相剤:洗剤組成物は、布地色相剤(色合い剤、青味剤、又は白化剤と称される場合もある)を含み得る。典型的には、色相剤は、布地に青色又は青紫色の色合いをもたらす。色相剤は、単独又は組合せのいずれかで使用され、特定の色相の色合いを作り出し、かつ/又は異なる種類の布地に色合いを付けることができる。これは、例えば赤と緑-青の染料とを混合して青又は紫の色合いを生じさせることによりもたらされ得る。色相剤は、アクリジン、アントラキノン(多環式キノンを含む)、アジン、前金属化した(premetallized)アゾを含むアゾ(例えば、モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ)、ベンゾジフラン及びベンゾジフラノン、カロテノイド、クマリン、シアニン、ジアザヘミシアニン、ジフェニルメタン、ホルマザン、ヘミシアニン、インジゴイド、メタン、ナフタルイミド、ナフトキノン、ニトロ及びニトロソ、オキサジン、フタロシアニン、ピラゾール、スチルベン、スチリル、トリアリールメタン、トリフェニルメタン、キサンテン、並びにこれらの組合せを含むが、これらに限定されない任意の既知の染料の化学分類から選択され得る。
【0095】
好適なポリマー染料としては、共有結合した(結合したと呼ぶこともある)色原体(染料ポリマー結合体とも呼ばれるもの)を含有するポリマー、例えば、ポリマーの骨格中に共重合した色原体モノマーを有するポリマー及びこれらの混合物からなる群から選択される染料が挙げられる。好ましいポリマー染料は、アルコキシル化トリフェニルメタンポリマー着色剤、アルコキシル化炭素環アゾ着色剤、及びアルコキシル化チオフェンポリマー着色剤をはじめとするアルコキシル化複素環アゾ着色剤、並びにこれらの混合物などの任意選択で置換されたアルコキシル化染料を含み、Liquitint(登録商標)(Milliken,Spartanburg(South Carolina,USA))の名称で販売の布地染色性着色剤(fabric-substantive colorants)などがある。
【0096】
本発明の洗濯ケア組成物中に存在する補助色調剤の量は、総クリーニング組成物に基づいて、0.0001重量%~0.05重量%、好ましくは0.0001重量%~0.005重量%であってもよい。洗浄液に基づいて、色調剤の濃度は、1ppb~5ppm、好ましくは10ppb~500ppbであってもよい。
【0097】
蛍光増白剤:洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、0.005%~2.0%、好ましくは0.01%~0.1%の蛍光剤(蛍光増白剤)を含み得る。蛍光剤は周知であり、多くの蛍光剤が市販されている。通常、これらの蛍光剤はアルカリ金属塩、例えばナトリウム塩の形態で供給され、使用される。好ましい蛍光剤の種類としては、ジスチリルビフェニル化合物、例えば、Tinopal(登録商標)CBS-X、ジアミノスチルベンジスルホン酸化合物、例えば、Tinopal(登録商標)DMS pure Xtra及びBlankophor(登録商標)HRH、並びにピラゾリン化合物、例えば、Blankophor(登録商標)SNが挙げられる。好ましい蛍光剤は、2-(4-スチリル-3-スルホフェニル)-2H-ナフトール(napthol)[1,2-d]トリアゾールナトリウム、4,4’-ビス{[(4-アニリノ-6-(Nメチル-N-2-ヒドロキシエチル)アミノ1,3,3.5-トリアジン-2-イル)]アミノ}スチルベン-2-2’ジスルホン酸二ナトリウム、4,4’-ビス{[(4-アニリノ-6-モルホリノ-1,3,5-トリアジン-2-イル)]アミノ}スチルベン-2-2’ジスルホン酸二ナトリウム、及び4,4’-ビス(2-スルホスチリル)ビフェニル二ナトリウムである。
【0098】
ヒドロトロープ:洗剤組成物は、洗剤組成物の総重量に基づいて、0~30%、好ましくは0.5~5%、より好ましくは1.0~3.0%のヒドロトロープを含んでもよく、これは液晶形成を防止することができる。したがって、ヒドロトロープの添加は、組成物の清澄性/透明性を助ける。好適なヒドロトロープは、尿素、ベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、キシレンスルホネート、又はクメンスルホネートの塩を含むが、これらに限定されない。好ましくは、ヒドロトロープは、最適な性能を提供するために、プロピレングリコール、キシレンスルホネート、エタノール、及び尿素からなる群から選択される。
【0099】
粒子:組成物はまた、特に組成物が構造化剤又は増粘剤を更に含むとき、粒子を含むことができる。組成物は、総重量に基づいて、0.02%~10%、好ましくは0.1%~4.0%、より好ましくは0.25%~2.5%の粒子を含み得る。当該粒子としては、ビーズ、真珠光沢剤、カプセル、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0100】
好適なカプセルは、典型的には、少なくとも部分的に、好ましくは完全に壁材料で有益剤を包囲することによって形成される。好ましくは、カプセルは香料カプセルであり、当該有益剤は1つ以上の香料原材料を含む。カプセルの壁材料は、メラミン、ポリアクリルアミド、シリコーン、シリカ、ポリスチレン、ポリ尿素、ポリウレタン、ポリアクリレート系材料、ポリアクリレートエステル系材料、ゼラチン、スチレン無水マレイン酸、ポリアミド、芳香族アルコール、ポリビニルアルコール、レゾルシノール系材料、ポリ-イソシアネート系材料、アセタール(1,3,5-トリオール-ベンゼン-グルタルアルデヒド及び1,3,5-トリオール-ベンゼンメラミンなど)、デンプン、酢酸フタル酸セルロース、及びこれらの混合物を含み得る。好ましくは、カプセル壁は、メラミン及び/又はポリアクリレート系材料を含む。香料カプセルは、付着助剤、カチオン性ポリマー、非イオン性ポリマー、アニオン性ポリマー、又はこれらの混合物でコーティングされてもよい。好ましくは、香料カプセルは、0.1マイクロメートル~100マイクロメートル、好ましくは0.5マイクロメートル~60マイクロメートルの体積加重平均粒径を有する。特に、組成物が、少なくとも部分的にホルムアルデヒドから形成されたシェルを有するカプセルを含む場合、組成物は、1つ以上のホルムアルデヒド捕捉剤を更に含むことができる。
【0101】
洗濯洗剤組成物を作製する方法
洗濯洗剤組成物は、当業者に公知の任意の好適なプロセスを使用して作製することができる。典型的には、成分は任意の適切な順序で一緒にブレンドされる。好ましくは、洗浄性界面活性剤は濃縮プレミックスの一部として添加され、これに他の任意成分が添加される。好ましくは、溶媒は、最後に添加されるか、又は外部構造化剤が添加される場合、外部構造化剤の直前に添加され、外部構造化剤は最後の成分として添加される。
【0102】
布地を洗濯する方法:
本発明の洗濯洗剤組成物は、布地を洗濯するために使用することができる。
【0103】
特に、分岐鎖状非イオン性界面活性剤を含む洗濯洗剤組成物は、洗濯中の着色布地の色保護、好ましくは色保持を改善するために使用することができる。
【0104】
本発明の洗濯洗剤組成物は、反応性染料、分散染料、及びこれらの混合物からなる群から選択される布地染料の洗濯プロセス中の布地からの除去を防止するのに特に有用であり、好ましくは、布地染料は、分散染料、反応性染料、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0105】
本発明の組成物は、コットンを含む布地、特に反応性染料、分散染料、直接染料、バット染料、及びこれらの混合物からなる群から選択される染料を有するコットン含有布地からの染料の再付着を低減するのに特に有効である。好ましくは、反応性染料は、反応性ブラック5、反応性レッド239、反応性レッド195からなる群から選択され、直接染料は、直接ブラック22、直接レッド83、直接レッド227からなる群から選択され、バット染料は、インジゴ(バットブルー1)、サルファブラック1、及びこれらの混合物からなる群から選択される。本発明の組成物は、反応性染料、特に反応性ブラック5、反応性レッド239、及びこれらの混合物からなる群から選択される反応性染料からなる群から選択される染料を有するコットン含有布地からの染料の除去を低減するのに特に有用である。
【0106】
本発明の組成物はまた、ポリエステルを含む布地、特に、分散オレンジ30、分散レッド167、分散ブルー79、分散レッド60、及びこれらの混合物からなる群から選択される分散染料、好ましくは分散ブルー79を含むポリエステル含有布地からの染料の再付着を低減するのに有効である。
【0107】
このような方法及び使用では、洗濯洗剤組成物を希釈して、100ppm超、好ましくは200ppm~2,500ppm、より好ましくは300ppm~1000ppmの総界面活性剤濃度を有する洗浄液を提供することができる。次いで、布地を洗浄液中で洗浄し、好ましくは濯ぐ。
【0108】
方法:
A)pH測定:
pHは、取扱説明書に従って較正されたジェル充填プローブ(例えばToledoプローブ、部品番号52 000 100)付きのSantarius PT-10P pHメータを用いて、25℃で測定する。pHは、脱塩水中の10%希釈液(すなわち、洗濯洗剤組成物1部及び脱塩水9部)において測定される。
【0109】
B)粘度の測定方法:
粘度は、TA instruments製のAR2000レオメータを使用して、直径40mm、角度1度の円錐平板形状を用いて測定される。様々な剪断速度での粘度を、20℃での3分間の0.1s-1~1200s-1の対数剪断速度掃引から得る。低剪断粘度は、0.05s-1の連続剪断速度で測定される。
【0110】
C)処理された布地における移染測定方法
「Lh色空間」及び「L色空間」は、染色された物品の色又は色の変化を測定するために、Hunter Associates Laboratoryによって開発され、国際照明委員会(Commission Internationale d'Eclairage(「CIE」))によって推奨されている3次元比色分析モデルである。CIE L色空間(「CIELAB」)は、3回転軸を有するスケールを有し、L軸は色空間の明度を表し(黒色はL=0、白色はL=100)、a軸は赤色から緑色までの色空間を表し(赤色はa>0、緑色はa<0)、b軸は黄色から青色までの色空間を表す(黄色はb>0、青色はb<0)。Lh色空間は、極性色空間を有するほぼ均一なスケールである。CIE Lh色空間(「CIELCh」)スケール値は、機器で測定され、またCIELABスケール値から計算することもできる。用語の定義及び式の導出は、Hunter Associates Laboratory,Inc.から、及びwww.hunterlab.comから入手可能であり、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0111】
受容布地への移染量は、例えば、分光光度計を介して(例えば、Spetro-Guide 45/0 Gloss 6801分光光度計を介して)測定したときの布地の処理前後のLbの変化の観点で記載することができ、dE値として報告される。本明細書で使用するとき、dE値は、初期Lb値と最終Lb値との間のLb空間における距離に関連するベクトルを含む。測定前に、試験布地を半分に折って厚さを2倍にする。試験布地ごとに2つのLb測定値の平均を求め、1例あたり2枚の布地を測定する。
【0112】
相対的に高いdE値は、より大きな色変化に対応し、相対的により多くの染料が問題の布地に移染したことを示し、相対的に低いdE値は、より少ない移染に対応する。
【0113】
実施例:
グラフトコポリマーの例としては、表1に列挙されているものが挙げられる。
【0114】
【表1】
PEG=ポリ(エチレングリコール)、VP=ビニルピロリドン、VAc=酢酸ビニル
表1中のK値は、希釈ポリマー溶液の相対粘度の尺度であり、平均分子量の相対的尺度である。特定のポリマーについてポリマーの平均分子量が増加するにつれて、K値も増加する傾向がある。K値は、Cellulosechemie,1932,13,58におけるH.Fikentscherの方法に従って、23℃の3重量%NaCl溶液中、1%ポリマーのポリマー濃度で求められる。
【0115】
以下の方法論を使用して、洗濯中の染料ブリードに対する分岐鎖状及び直鎖非イオン性界面活性剤の影響を評価した。
【0116】
ガラスバイアル(サイズ4ml)を、以下に記載されるように、2mlの試験洗剤溶液で満たした後、続いて、40℃の温度に設定されたサーモシェーカー(Echotherm(登録商標)Orbital Shaker)に挿入した。温度を平衡化するために、溶液をこの温度で15分間保持した。
【0117】
以下に記載されるような着色された布地サンプルを150±1mgの小片に切断した(化学天秤を使用して秤量した)。これらの小片は、(使用される布地に応じて)約2.5×2.5cm2の面積を有していた。必要に応じて、同じ布地の追加片を加えて、目標重量に到達させた。
【0118】
バイアルをサーモシェーカーに戻す前に、各布地片を折り畳み、次いで、布地が溶液によって完全に覆われるように、使い捨てガラス棒を使用してバイアルに挿入した。
【0119】
バイアルを40℃の温度で60分間、(中速度設定を使用して)連続的に振盪した。
【0120】
次いで、バイアルをサーモシェーカーから取り出し、布地を試験洗剤溶液から取り出した。室温(25℃)に達するのに必要な時間、溶液を暗所に保持した。
【0121】
染料脱着を以下のように定量した。
950μlの各溶液をセミマイクロプラスチックキュベットに入れ、それらの吸光度スペクトルを、UV-vis分光光度計(Agilentから供給されるCary UV-Vis Multicell Peltier)を使用して記録し、300nm~900nmの吸光度を測定した。
各溶液に、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール(Sigma Aldrichから供給されるTriton X-100)の20重量%水溶液50μlを添加し、300nm~900nmの吸光度スペクトルを再測定した。使用した試験濃度において、Triton X-100が染料吸収スペクトルと重複する領域において試験した界面活性剤の散乱を強く減少させることが観察されたので、Triton X-100を添加した。
【0122】
使用した各染料の較正曲線は、以下の手順を用いて得た。
まず、以下の規準洗剤溶液を作製した。
硬度2.67ミリモルのCaCO当量(1.93ミリモルのCaCl当量、0.64ミリモルのMgCl当量、15gpg)の水中の等重量部の直鎖C10~C13アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)、直鎖C12~C15アルキルエトキシ(3.0)スルフェート(AE3.0S)、及び直鎖C12~C14EO7(Sasolから供給されるLordaCL726)の350ppm水溶液を調製した。エタノールアミンを用いて、得られた溶液のpHを8.0に調整した。
2.0mlの組成物を150mgの各布地と共にガラスバイアルに入れ、上記手順を使用して、だが92℃の温度で15分間洗浄した。
暗所で室温まで冷却した後、脱着した染料を含む得られた溶液950μlを、2-[4-(2,4,4-トリメチルペンタン-2-イル)フェノキシ]エタノール(Triton X-100)の20重量%水溶液50μlと合わせた。吸光度スペクトルを上記のように測定し、これらの溶液を95%染料脱着として任意に固定した。溶液を以下の媒体で希釈した:95%の上記規準洗剤溶液を5%のTriton X-100(20重量%)と組合せて、使用した各染料についての較正曲線を得た。
【0123】
脱着実験から得られた(異なる染料試料の主ピークの)吸光度の値を、上記の較正手順において92℃で規準洗剤溶液を使用して脱着された同じ染料の値のパーセンテージとして報告した。
【0124】
以下の溶液を、染色されたコットン布地(CFTによって製品コードAISEコード21で供給される反応性ブラック5を使用して染色されたコットン布地)及び染色されたポリエステル布地(CFTによって製品コードAISEコード31で供給される分散ブルー79を使用して染色されたポリエステル布地)の両方について、染料ブリードに対するそれらの影響に関して評価し、結果を以下に示す。レッグA及びF(水)を除いて、残りのレッグで使用した溶液は、350ppmの界面活性剤を含んでいた。
【0125】
【表2】
硬度2.67ミリモルCaCO当量(15gpg)
直鎖C10~C13アルキルベンゼンスルホン酸(HLAS)、直鎖C12~C15アルキルエトキシレート(3.0)サルフェート(AE3.0S)、及び直鎖C12~C14アルキル-7-エトキシレート(Lordac(登録商標)L726、Sasolによって供給される)の1:1:1重量比。
Sasolから供給されたLordac(登録商標)L726
BASFから供給されたLutensol(登録商標)XP70
BASFから供給されたPlurafac(登録商標)SLF180
【0126】
【表3】
【0127】
洗濯中の布地からの染料ブリードに対する洗剤の効果は、コットン布地については表1の染料脱着結果のレッグBをレッグAと比較し、ポリエステル布地についてはレッグGをレッグFと比較した表3の結果から見ることができる。
【0128】
レッグD及びEからの染料ブリードをレッグCと比較することから、分岐鎖状非イオン性界面活性剤は、コットンを洗濯するときに、直鎖分岐状非イオン性界面活性剤よりも染料ブリードを減少させることが分かる。レッグI及びJとレッグHとの比較は、ポリエステル布地を洗濯するときに、分岐非イオン性物質について同じ利益を実証する。
【0129】
レッグB及びGから、洗濯温度を低下させたとき(92℃から40℃に)、コットン及びポリエステル布地の両方について染料ブリードが少なくなることが分かる。
【0130】
以下の方法論を使用して、洗濯中の染料再付着に対する分岐鎖状及び直鎖非イオン性界面活性剤の影響を評価した。
【0131】
以下の洗剤組成物を、成分を混合することによって調製した。実施例1及び2は本発明のものであり、一方、実施例Aは分岐鎖状非イオン性界面活性剤の代わりに直鎖非イオン性界面活性剤を含み、したがって比較例であった。
【0132】
【表4】
NSCLから供給されたSoftanol70
中国、JINTUNG Petrochemical Co.,ltdによって商品名AEO7で販売されている天然由来のもの
BASFから供給されたWO2020005476Aの実施例1K
【0133】
Tergotometer(モデル:RHLQ1V、Research Institute of Daily Chemical Industry(RIDCI)製)において、以下のプロトコルを用いて試験を行った。
1. 2.67ミリモルのCaCO当量(15gpg)の硬度を有する室温の水990mlをターゴメータポットに添加した。
2. 2gのそれぞれの洗剤組成物を水に添加し、溶液を3分間撹拌した。
3. 増白剤を含まない8cm×8cmのヘビーコットン(中国、Daxing Textile Co.によって供給されたcw98など)の3枚の布地見本を調製し、Spetro-Guide 45/0 Gloss 6801色分光光度計を使用して、各布地片のL/a/b値を測定した。
4. 次いで、3片の重いコットン布地をターゴメータポットに加え、ポットの内容物を更に3分間撹拌した。
5. 10mlのダイレクトレッド227染料(中国、SUN DAT DYESTUFFS LIMITEDから供給)の250ppm水溶液を、洗浄液が2.5ppmの染料を含むようにターゴメータポットに添加し、ポットを5分間撹拌した。
6. 布地見本をターゴメータポットから取り出し、水道水(2.85mmol/lのCa当量、16gpg)を流しながら完全にすすいだ。
7. 布地見本を室温で一晩ライン乾燥させた。
8. 各乾燥布地見本のL/a/b値を、同じSpetro-Guide 45/0 Gloss 6801色分光光度計を用いて再測定した。
【0134】
布地上での洗浄前後の平均L/a/b値の間のΔE(CIELab)変化は、洗浄液から布地見本上への染料付着の評価、したがって、染料再付着を防止する洗剤組成物の能力の評価を提供した。低いΔEほど、洗浄プロセス中の染料再付着の防止における高い有効性を実証する。
【0135】
【表5】
【0136】
表5の結果から分かるように、本発明で使用する分岐鎖状非イオン性界面活性剤とグラフトポリマー移染抑制剤との組合せで布地を処理すると、ΔE値が低くなり、したがって洗濯サイクル中の布地への染料の再付着が減少する。
【0137】
【表6】
Shellから供給されたNeodol45/7
NH1個当たり20個のエトキシレート基を有する分子量600g/molのポリエチレンイミンコア、BASF(ドイツ、ルートヴィヒスハーフェン)から入手可能
【0138】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲の両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【国際調査報告】