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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】ガラス製造装置
(51)【国際特許分類】
   C03B 5/235 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
C03B5/235
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528424
(86)(22)【出願日】2021-11-04
(85)【翻訳文提出日】2023-06-30
(86)【国際出願番号】 US2021058040
(87)【国際公開番号】W WO2022103647
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】63/113,009
(32)【優先日】2020-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【弁理士】
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】デ アンジェリス ギルバート
(72)【発明者】
【氏名】イサザ ジュアン カミロ
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AF00
(57)【要約】
溶融ガラスを送るように構成された容器と、容器から延びる導管と、を含むガラス製造装置が開示され、導管は、凹状加熱部材が接合された遠位端部と、導管に接合された第1の電気フランジと、凹状加熱部材に接合された第2の電気フランジと、を含む。溶融ガラス形成材料の失透を防止する方法も記載される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス製造装置であって、
溶融ガラスを送るように構成された容器と、
前記容器から下方に延びる導管であって、それに接合された凹状加熱部材を含む遠位端部を有する導管と、
前記導管に接合された第1の電気フランジと、
前記凹状加熱部材に接合された第2の電気フランジと、
を備える、ガラス製造装置。
【請求項2】
前記凹状加熱部材が、切頭円錐体を含む、請求項1に記載のガラス製造装置。
【請求項3】
前記凹状加熱部材が、小端部及び大端部を含み、前記第2の電気フランジが、前記大端部の上側リムに接合されている、請求項1又は2に記載のガラス製造装置。
【請求項4】
前記第2の電気フランジは、内部開口部を定める内側縁部を有する本体部分を含み、前記内側縁部は、前記大端部の外周の周りに前記凹状加熱部材の上側リムに接合されている、請求項3に記載のガラス製造装置。
【請求項5】
前記第1の電気フランジと前記溶融ガラスを送る前記容器との間で前記導管に電気的に接続された第3の電気フランジを更に備える、請求項1から4のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項6】
前記凹状加熱部材が、前記導管と直交する、請求項1から5のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項7】
前記凹状加熱部材と前記導管の壁との間に定められた容積内に配置された熱伝導性材料を更に含む、請求項1から6のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項8】
前記熱伝導性材料が、セラミックセメントを含む、請求項7に記載のガラス製造装置。
【請求項9】
前記導管の厚みが、前記凹状加熱部材の厚みT2よりも大きい、請求項1から8のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項10】
前記導管、前記凹状加熱部材及び前記第2の電気フランジが、白金を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項11】
前記導管が、前記容器のドレインパイプを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項12】
前記凹状加熱部材が、上向き凹状加熱部材である、請求項1から11のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項13】
ガラス製造装置であって、
溶融ガラス送出容器と、
前記溶融ガラス送出容器から延びる導管であって、前記溶融ガラス送出容器に接合された近位端部及び遠位端部を含み、前記遠位端部から前記溶融ガラス送出容器に向かって延びる円錐状加熱部材を有する、導管と、
前記円錐状加熱部材に接合された電気フランジと、
を備える、ガラス製造装置。
【請求項14】
前記円錐状加熱部材と前記導管の壁との間に定められた容積内に配置されたセラミックセメントを更に備える、請求項13に記載のガラス製造装置。
【請求項15】
前記導管、前記円錐状加熱部材及び前記第2の電気フランジが、白金を含む、請求項13又は14に記載のガラス製造装置。
【請求項16】
前記円錐状加熱部材が、前記遠位端部に直交接合された円弧状ネック部分を含む、請求項15に記載のガラス製造装置。
【請求項17】
前記導管の厚みT1が、前記円錐加熱部材の厚みT2よりも大きい、請求項13から16のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項18】
ガラス製造装置であって、
溶融ガラスを送るように構成された容器と、
前記容器から延び且つ前記容器と流体連通する導管であって、前記容器に接合された近位端部と、前記近位端部とは反対側で且つ前記近位端部から離間して配置された遠位端部とを含む導管と、
前記導管に接合された凹状加熱部材であって、大端部及び小端部を含み、前記導管の長さの少なくとも一部の周りに延びる凹状加熱部材と、
前記凹状加熱部材の大端部にて前記凹状加熱部材に接合された電気フランジと、
を備える、ガラス製造装置。
【請求項19】
前記凹状加熱部材の前記小端部が、前記導管に接合される、請求項18に記載のガラス製造装置。
【請求項20】
前記小端部が、前記導管の方向に湾曲した湾曲部を有する円弧状ネック部分を含む、請求項18又は19に記載のガラス製造装置。
【請求項21】
前記円弧状ネック部分が、前記導管に直交接合されている、請求項20に記載のガラス製造装置。
【請求項22】
前記凹状加熱部材の前記小端部が、前記導管の遠位端部に接合されている、請求項18から21のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項23】
前記導管の厚みT1が、前記凹状加熱部材の厚みT2よりも大きい、請求項18から22のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項24】
前記導管、前記凹状加熱部材及び前記電気フランジが、白金を含む、請求項18から23のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項25】
凹状加熱部材が、上向き凹状加熱部材である、請求項18から24のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【請求項26】
溶融ガラス形成材料の失透を防止する方法であって、
前記溶融ガラス形成材料を導管に流すステップであって、前記導管は、前記導管に接合され且つ前記導管の長さの少なくとも一部の周りに延びる凹状加熱部材を含む、ステップと、
前記導管に接合された第1の電気フランジと、前記凹状加熱部材に接合された第2の電気フランジとの間で、前記導管及び前記凹状加熱部材に電流を確立し、前記凹状加熱部材が前記導管の長さの少なくとも一部を伝導加熱するステップと、
を含む、方法。
【請求項27】
前記凹状加熱部材は、第1の直径d1を含む大端部と、前記大端部の反対側の小端部とを含み、前記小端部は、d1より小さい第2の直径d2を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記小端部が、前記導管に向かう方向に湾曲する湾曲部を含み且つ前記導管に直交接合された円弧状ネック部分を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記凹状加熱部材が、前記導管の遠位端部に接合される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記凹状加熱部材が、上向き凹状加熱部材である、請求項26から29のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願に対する相互参照)
本出願は、2020年11月12日に出願された米国仮出願シリアル番号第63/113,009号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本開示は、一般にガラス製造装置に関し、より詳細には、例えばガラス形成装置に溶融ガラス等の溶融材料を送出するためのガラス製造装置に関する。
【背景技術】
【0003】
ガラス製造プロセスは、原材料を加熱して溶融ガラス形成材料を形成する溶融ステップと、溶融ガラス形成材料からガス状介在物(例えば、気泡)を除去するファイニングステップ、及び熱調整ステップの3つの段階に分けることができる。熱調整ステップの後、溶融ガラス形成材料は、出口導管を通って形成装置に送出される。出口導管から出る溶融材料は、溶融ガラス形成材料に適切な形成粘度を与える温度プロファイルを有するべきである。
【0004】
溶融ガラス形成材料の粘度(例えば温度)が出口導管、特に出口導管の出口において適切に維持されない場合、溶融ガラス形成材料は失透する可能性がある。すなわち、十分な時間で溶融ガラス形成材料の温度が失透温度を下回ると、失透が生じる可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
以下では、詳細な説明に記載された幾つかの実施形態の基本的な理解を提供するために、本開示の簡略化された概要を示す。これら及び他の特徴、態様及び利点は、添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読むと、より良く理解される。
【0006】
幾つかのガラス製造プロセスにおいて、溶融ガラス形成材料は、例えば送出容器などの送出システムから、溶融材料をガラス物品に形成するように構成された形成装置などの下流プロセスに送出される。典型的には、溶融ガラス形成材料は、導管を通って送られ、溶融ガラス形成材料は導管の出口アパーチャから排出される。様々な実施形態において、溶融ガラス形成材料の温度、及び従って粘度は、導管を通る均質な輸送を促進するために適切な温度に維持される。例えば、図1及び図2は、導管10に接合された上側電気フランジ12と、溶融ガラス形成材料18がそこから流れる導管の排出端部16において上側電気フランジ12の下方で導管10に接合された下側電気フランジ14とを含む垂直配向導管10を示している。これは、上側電気フランジ12と下側電気フランジ14との間の導管を通って電流を供給することによって行うことができ、これにより、ジュール加熱によって上側電気フランジ12と下側電気フランジ14との間の導管10を加熱し、その結果、導管内の溶融ガラス形成材料18が加熱される。この方法による溶融ガラス形成材料の加熱は、導管に隣接して配置された電気巻線等の外部熱源を用いる間接的な方法とは対照的に、「直接」加熱と呼ばれることが多い。
【0007】
電気フランジは、多くの場合数百から数千アンペアの大きな電流を導管に供給するように設計されている。電気フランジは、高温に達することを意図しておらず、電気抵抗を低減し、動作中の温度を制限するのに十分な厚みで構成されている。場合によっては、電気フランジは、電気フランジの外周の周りに配置された冷却チャネル、例えば冷却チューブ(図示せず)によって冷却することができる。従って、電気フランジ、及び特に導管の排出端部又はその近傍にある下側電気フランジ14は、放熱フィンとして機能することができ、導管の排出端部を冷却することができる。更に、下側電気フランジ14が排出端部16に位置することにより、その直近の排出端部におけるジュール熱を低減することができる。排出端部16のガラス形成材料が、ガラス形成材料の液相温度を下回る温度まで冷却され、ガラス形成材料が排出端部に十分な時間で滞留する場合、ガラス形成材料は失透を生じ、結晶塊22(以下「デビット」)を形成することができる。デビット22成長できるようになると、導管から分離され、下流のガラス形成材料を汚染する可能性がある。例えば、ガラス製造装置の運転中、溶融ガラス形成材料が導管のエッジ面20を越えて下側の電気フランジ14上に移動することがある。このエッジ面及び電気フランジ14上に移動したガラス形成材料は、結晶化してデビット22を形成することができ、このデビット22は、導管の内部にまで、更なるデビットの成長の種となることがある。
【0008】
従って、溶融ガラスを送るように構成された容器と、容器から下方に延びる導管と、を備え、導管は、それに接合された凹状加熱部材を含む遠位端部と、導管に接合された第1の電気フランジと、凹状加熱部材に接合された第2の電気フランジとを含む、ガラス製造装置が本明細書に開示される。幾つかの実施形態において、凹状加熱部材は、切頭円錐体を含むことができる。凹状加熱部材は、導管に直交接合することができる。すなわち、凹状加熱部材は、凹状加熱部材と導管との間の接合部において導管と直交することができる。
【0009】
様々な実施形態において、凹状加熱部材は、小端部及び大端部を備え、第2の電気フランジは、大端部の上側リムに接合される。
【0010】
実施形態において、第2の電気フランジは、内部開口部を定める内側縁部を有する本体部分を含むことができ、内側縁部は、大端部の円周について凹状加熱部材の上側リムに接合することができる。
【0011】
幾つかの実施形態では、ガラス製造装置は更に、第1の電気フランジと溶融ガラス送出容器との間の導管に接合された第3の電気フランジを含むことができる。
【0012】
ガラス製造装置は更に、凹状加熱部材と導管の壁との間に定められた容積内に配置された熱伝導性材料を含むことができる。熱伝導性材料は、セラミックセメントを含むことができる。
【0013】
幾つかの実施形態において、導管の厚みは、凹状加熱部材の厚みT2よりも大きくすることができる。
【0014】
種々の実施形態において、導管、凹状加熱部材、及び第2の電気フランジは、白金、例えば白金-ロジウム合金を含むことができる。
【0015】
導管が容器の排水管を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のガラス製造装置。
【0016】
種々の実施形態において、凹状加熱部材は、上向き凹状加熱部材とすることができる。
【0017】
他の実施形態では、ガラス製造装置が記載され、溶融ガラス送出容器と、溶融ガラス送出容器から延びる導管と、を備え、導管は、溶融ガラス送出容器に接合された近位端部と、遠位端部から溶融ガラス送出容器に向かって延びる円錐状加熱部材と、円錐状加熱部材に接合された電気フランジとを有する遠位端部と、を備える。
【0018】
ガラス製造装置は、円錐状加熱部材と導管の壁との間に定められた容積内に配置されたセラミックセメントを更に含むことができる。
【0019】
種々の実施形態において、導管、円錐状加熱部材、及び第2の電気フランジは、白金、例えば白金-ロジウム合金を含むことができる。
【0020】
幾つかの実施形態において、円錐状加熱部材は、遠位端部に直交接合された円弧状ネック部分を含むことができる。
【0021】
幾つかの実施形態において、導管の厚みT1は、円錐状加熱部材の厚みT2よりも大きい。
【0022】
更に他の実施形態では、ガラス製造装置が開示され、溶融ガラスを送るように構成された容器と、容器から延び、容器と流体連通している導管であって、導管は、容器に接合された近位端部と、近位端部とは反対側であって、近位端部から離間して配置された遠位端部とを含む導管と、導管に接合された凹状加熱部材であって、凹状加熱部材は、大端部及び小端部を含み、導管の長さの少なくとも一部の周りに延びている凹状加熱部材と、その大端部において凹状加熱部材に接合された電気フランジとを備える。例えば、凹状加熱部材の小端部は導管に接合することができる。
【0023】
幾つかの実施形態において、小端部は、導管の方向に湾曲する湾曲部を有する円弧状ネック部分を備える。例えば、円弧状ネック部分は導管に直交接合することができる。
【0024】
幾つかの実施形態において、凹状加熱部材の小端部は、導管の遠位端部に接合される。
【0025】
幾つかの実施形態において、導管の厚みT1は、凹状加熱部材の厚みT2よりも大きい。
【0026】
種々の実施形態において、導管、凹状加熱部材、及び電気フランジは、白金、例えば白金-ロジウム合金を含む。
【0027】
幾つかの実施形態において、凹状加熱部材は、上向き凹状加熱部材とすることができる。
【0028】
更に他の実施形態では、溶融ガラス形成材料の失透を防止する方法が開示され、本方法は、溶融ガラス形成材料を導管に流すステップであって、導管は、導管に接合され且つ導管の長さの少なくとも一部の周りに延びる凹状加熱部材を含む、ステップと、導管に接合された第1の電気フランジと、凹状加熱部材に接合された第2の電気フランジとの間で導管及び凹状加熱部材に電流を確立し、凹状加熱部材が導管の長さの少なくとも一部を伝導加熱する、ステップと、を含む。凹状加熱部材は、第1の直径d1を含む大端部と、大端部の反対側の小端部とを含む。小端部は、d1よりも小さい第2の直径d2を含むことができる。
【0029】
幾つかの実施形態において、小端部は、導管に向かう方向に湾曲し、導管に直交接合された湾曲部を含む円弧状ネック部分を含むことができる。
【0030】
幾つかの実施形態において、凹状加熱部材は、導管の遠位端部に接合することができる。
【0031】
幾つかの実施形態において、凹状加熱部材は、上向き凹状加熱部材とすることができる。
【0032】
本明細書に開示される実施形態の追加の特徴及び利点は、以下の詳細な説明に記載され、一部には、その説明から、又は以下の詳細な説明から当業者には明らかであり、特許請求の範囲、及び添付図面を含む、本明細書に記載される実施形態を実施することによって認識されるであろう。前述の概要及び以下の詳細な説明は共に、本明細書に開示される実施形態の性質及び特性を理解するための概要又は枠組みを提供することを意図した実施形態を示すことを理解されたい。添付図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。図面は、本開示の様々な実施形態を示し、説明と共にその原理及び動作を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】導管を流れる溶融ガラス形成材料を直接加熱するための導管及びそれに接合された電気フランジのペアの概略図である。
図2図1の導管及び電気フランジの断面図である。
図3】電気フランジが出口導管内に電流を確立するように構成され、送出容器及びそこから延びる出口導管を含む、本明細書に開示される実施形態による例示的なガラス形成装置である。
図4】出口導管の遠位端部に取り付けられた凹状加熱部材を示す、図1の出口導管の断面立面図である。
図5】凹状加熱部材を示す、図2の出口導管の少なくとも一部の斜視図である。
図6】例示的な第1の電気フランジの斜視図である。
図7】例示的な第2の電気フランジの斜視図である。
図8】出口導管の遠位端部及び出口導管に直交接合されたスカート及び円弧状ネック部分を示す凹状加熱部材の一部の断面図である。
図9】出口導管及び上向き凹状加熱部材それぞれに第1及び第2の電気フランジが取り付けられた、図4の出口導管の少なくとも一部の斜視図である。
図10】放物線形状を有する別の凹状加熱部材の斜視図である。
図11】ダウンカマーが、回転成形ロールを含む例示的な形成装置に溶融ガラス形成材料を送出するよう示されている、本明細書に記載される実施形態による例示的なダウンカマーの一部の断面図である。
図12】ダウンカマーが、溶融ガラス形成材料を逆回転形成ロールのペアを含む形成装置に送出するよう示されている、本明細書に記載される実施形態による別の例示的なダウンカマーの一部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
ここで、その実施例が添付図面に例示されている本開示の実施形態について詳細に説明する。可能な限り、同じ参照数字は、図面全体を通して、同じ又は同様の要素を指すのに使用される。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0035】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、量、サイズ、配合物、パラメータ、及び他の量及び特性が、正確ではなく、正確である必要はないが、要求に応じて、公差、換算係数、四捨五入、測定誤差等、及び当業者には周知の他の要因を反映して、近似値である、及び/又はより大きい又はより小さいくなり得ることを意味する。
【0036】
本明細書において、範囲は、「約」ある特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値として表すことができる。このような範囲で表される場合、別の実施形態は、ある特定の値から他の特定の値まで含む。同様に、先行詞「約」の使用により値が近似値として表現される場合、特定の値が別の実施形態を形成することは理解されるであろう。更に、各範囲の端点は、他の端点と関連して、及び他の端点とは独立して有意であることが理解されるであろう。
【0037】
本明細書で使用される方向性の用語、例えば、上、下、右、左、前、後、上、下は、図示の図を基準としてのみ示され、絶対的な方向を意味することを意図するものではない。
【0038】
別段の明示的な記載がない限り、本明細書で記載される方法は、そのステップを特定の順序で実行することを要求するものと解釈されること、あらゆる装置においても特定の向きを要求することは意図されていない。従って、方法のクレームが、そのステップに従うべき順序を実際には記載していない場合、又はいずれかの装置クレームが、個々の構成要素に対する順序又は向きを実際には記載していない場合、又はステップが特定の順序に限定されることが請求項又は明細書において他の方法で具体的に記載されていない場合、或いは装置の構成要素に対する特定の順序又は向きが記載されていない場合には、いかなる点においても順序又は向きが推測されることは意図されていない。このことは、ステップの配置、動作フロー、構成要素の順序、又は構成要素の向きに関する論理的事項、文法的構成又は句読点から導かれる一般的意味、及び本明細書に記載された実施形態の数又は種類を含む、解釈のためのあらゆる可能な非表現的根拠について当てはまる。
【0039】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈から明らかに指示がない限り、複数形の照応を含む。従って、例えば、「a」構成要素への言及は、文脈上明らかにそうでないことが指示されない限り、2又は3以上のこのような構成要素を有する態様を含む。
【0040】
用語「例示的」、「実施例」、又はこれらの様々な形態が、実施例、実例、又は例証として役立つことを意味するために本明細書で使用される。本明細書において「例示的」又は「実施例」として記載されるいずれかの態様又は設計は、他の態様又は設計よりも好ましい又は有利であると解釈されるべきではない。更に、実施例は、明瞭性及び理解のためにのみ提供されるものであり、開示された主題又は本開示の関連部分をいかなる方法によっても限定又は制限することを意図するものではない。様々な範囲の多数の追加又は代替の実施例を提示できるが、簡潔にする目的で省略されていることは理解できる。
【0041】
本明細書で使用される場合、用語「備える(comprising)」及び「含む(including)」、並びにこれらの変形形態は、特に指示がない限り、同義であり、オープンエンドと解釈されるものとする。移行句であるcomprising又はincludingに続く要素のリストは、リストに具体的に記載された要素に加えられる要素も存在し得るような、非排他的リストである。
【0042】
本明細書で使用される用語「実質的な」、「実質的に」及びその変形は、記載された特徴が値又は記載に等しい又はほぼ等しいことを注記することを意図している。例えば、「実質的に平面状」の表面は、平面状又はほぼ平面状である表面を示すことを意図している。更に、「実質的に」は、2つの値が等しい又はほぼ等しいことを示すことを意図している。幾つかの実施形態では、「実質的に」は、互いの約10%以内、例えば互いの約5%以内、又は互いの約2%以内の値を示すことができる。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「電気的に接続された」、「電気的に接続する」及びこれらの変形形態は、導電体、例えば金属導電体を介して接続されることを意味するが、溶融材料(例えば溶融ガラス)は含まない。第2の要素に電気的に接続された第1の要素は、第1の要素と第2の要素との間に追加要素を含むことができ、追加要素も第1の要素及び第2の要素に電気的に接続される。すなわち、第2の素子に電気的に接続された第1の素子は、接続部における追加の導電性素子の存在を排除すると解釈されるものではない。典型的には、このような導電体は、金属配線又はケーブル、バスバー等を含むことができるが、これに限定されるものではない。電気的接続は、構成要素間の接続を容易にする電気コネクタ(例えば、プラグ、タブ、ラグ、ボルト等)、電流及び/又は電圧コントローラ等の電気制御デバイス、電流及び/又は電圧測定デバイス等を含むが、これらに限定されない他の構成要素を更に含むことができる。
【0044】
本明細書において「耐火物」とは、538℃を超える環境に曝される構造体又はシステムの構成部品として適用可能な化学的及び物理的特性を有する非金属材料をいう。
【0045】
本明細書において、「円錐状」とは、直円錐状、斜円錐状及び切頭円錐状を含む。
【0046】
特に断りのない限り、図面は縮尺どおりではない。
【0047】
図3に示すのは、例示的なガラス製造装置100である。幾つかの実施形態では、ガラス製造装置100は、溶融容器104を含むガラス溶融炉102を備えることができる。溶融容器104に加えて、ガラス溶融炉102は、任意選択的に、原材料を加熱し、原材料を溶融ガラスに変換するように構成された加熱要素(例えば、燃焼バーナー及び/又は電極)のような1又は2以上の追加の構成要素を含むことができる。例えば、溶融容器104は、燃焼バーナー及び直接加熱の両方を通して原材料にエネルギーが付加される電気ブースト溶融容器とすることができ、この場合、電流が原材料に通され、電流はそれによって原材料のジュール加熱を介してエネルギーを付加する。
【0048】
更なる実施形態において、ガラス溶融炉102は、溶融容器からの熱損失を低減する他の熱管理デバイス(例えば、隔離構成要素)を含むことができる。更に別の実施形態において、ガラス溶融炉102は、原材料のガラス融液への溶融を促進する電子デバイス及び/又は電気機械デバイスを含むことができる。ガラス溶融炉102は、支持構造(例えば、支持シャーシ、支持部材等)又は他の構成要素を含むことができる。
【0049】
溶融容器104は、耐火性材料、例えばアルミナ及び/又はジルコニアを含む耐火性セラミック材料から形成することができるが、耐火性セラミック材料は、他の耐火性材料、例えばイットリウム(例えば、イットリア、イットリア安定化ジルコニア、リン酸イットリウム)、ジルコン(ZrSiO4)又はアルミナ-ジルコニア-シリカ、又は酸化クロム等の他の耐火性材料を含むことができ、これらは、代替的に又は任意の組み合わせで使用される。幾つかの実施例では、溶融容器104は耐火セラミックレンガから構成することができる。
【0050】
幾つかの実施形態において、ガラス溶融炉102は、ガラス物品、例えばガラスリボンを作製するように構成されたガラス製造装置の構成要素として組み込むことができるが、更なる実施形態において、ガラス製造装置は、他の多くのガラス物品が企図され、限定ではなく、ガラスロッド、ガラス管、ガラスエンベロープ(例えば、照明デバイス、例えば電球用のガラスエンベロープ)及びガラスレンズ等の他のガラス物品を形成するように構成することができる。幾つかの例では、溶融炉は、スロットドロー装置、フロートバス装置、ダウンドロー装置(例えば、フュージョンダウンドロー装置)、アップドロー装置、プレス装置、圧延装置、チューブドロー装置、又は本開示の恩恵を受ける他のガラス製造装置を含むガラス製造装置に含めることができる。一例として、図3は、その後の個々のガラスシートへの処理又はガラスリボンのスプールへの圧延のためにガラスリボンを融合ドローするための融合ダウンドロー式ガラス製造装置100の構成要素としてのガラス溶融炉102を概略的に示す。本明細書で使用されるように、融合ドローは、溶融ガラスを形成体の側面上に流すことを含み、その結果生じる溶融材料の流れは、形成体の底部で接合又は「融合」する。
【0051】
ガラス製造装置100は、任意選択的に、溶融容器104の上流に配置された上流側ガラス製造装置106を含むことができる。幾つかの例では、上流側ガラス製造装置106の一部又は全体をガラス溶融炉102の一部として組み込むことができる。
【0052】
図3に示される実施形態に示されるように、上流側ガラス製造装置106は、原材料貯蔵ビン108、原材料送出デバイス110、例えばオーガ又はスクリューフィーダ、及び原材料送出デバイス110に接続されたモータ120を含むことができる。原材料貯蔵ビン108は、矢印124で示すように、1又は2以上の供給ポートを介して溶融容器104に供給することができる量の原材料122を貯蔵するように構成することができる。原材料122は通常、1又は2以上のガラス形成材料金属酸化物及び1又は2以上の改質剤を含む。幾つかの実施例では、原材料送出デバイス110は、原材料貯蔵ビン108から溶融容器104に所定量の原材料122を供給するために、モータ120によって動力を供給することができる。更なる実施例において、モータ120は、溶融材料の流れ方向に対して溶融容器104の下流で感知された溶融材料のレベルに基づいて制御された速度で原材料122を導入するために、原材料送出デバイス110に動力を供給することができる。溶融容器104内の原材料122は、その後、溶融ガラス形成材料126を形成するため加熱することができる。典型的には、初期溶融ステップにおいて、原材料は、粒子状、例えば様々な「砂」又は粉末として溶融容器に添加される。原材料122はまた、以前の溶融及び/又は形成工程からのスクラップガラス(カレット)を含むこともできる。燃焼バーナーは通常、溶融プロセスを開始するために使用される。電気ブースト溶融プロセスでは、原材料の電気抵抗が十分に低下すると、原材料に接触して配置された電極間に電位を発生させることによって電気加熱を開始することができ、これによって原材料を通る電流を駆動し、原材料は典型的には溶融状態に入る又は溶融状態にある。本明細書では、結果として生じる溶融ガラス形成材料は、溶融ガラス126と呼ばれる。
【0053】
ガラス製造装置100は、任意選択的に、溶融ガラス126の流れ方向に対してガラス溶融炉102の下流に配置された下流側ガラス製造装置128を含むことができる。幾つかの実施例では、下流側ガラス製造装置128の一部をガラス溶融炉102の一部として組み込むことができる。しかしながら、幾つかの実施例では、後述する第1の接続導管130、又は下流側ガラス製造装置128の他の部分をガラス溶融炉102の一部として組み込むことができる。
【0054】
下流側ガラス製造装置128は、溶融容器104の下流に位置し、及び上記第1の接続導管130によって溶融容器104に結合された、ファイニング容器132のような第1の調整(例えば、処理)チャンバを含むことができる。幾つかの例では、溶融ガラス126は、第1の接続導管130によって溶融容器104からファイニング容器132に重力供給することができる。例えば、重力は、溶融容器104からファイニング容器132まで、第1の接続導管130の内部通路を通って溶融ガラス126を駆動することができる。従って、第1の接続導管130は、溶融容器104からファイニング容器132への溶融ガラス126の流路を提供する。しかしながら、他のコンディショニングチャンバーが、例えば溶融容器104とファイニング容器132との間など、溶融容器104の下流に配置されてもよいことが理解されるべきである。幾つかの実施形態では、コンディショニングチャンバーは、溶融容器とファイニング容器との間に採用することができる。例えば、一次溶融容器からの溶融ガラスは、二次コンディショニング容器において更に加熱され得るか、又は二次コンディショニング容器において、ファイニングチャンバーに入る前に一次溶融容器における溶融ガラスの温度よりも低い温度まで冷却することができる。
【0055】
ガス状介在物は、様々な技術によって溶融ガラス126から除去することができる。例えば、原材料122は、加熱されると化学還元反応を起こして酸素を放出する酸化錫のような多価化合物(例えば、ファイニング剤)を含むことができる。他の好適なファイニング剤としては、限定されないが、ヒ素、アンチモン、鉄及びセリウムが挙げられるが、ヒ素及び/又はアンチモンの使用は環境上の理由から推奨されない場合がある。ファイニング容器132は、例えば溶融容器温度よりも高い温度まで加熱することができ、それによってファイニング剤を加熱する。溶融ガラスに含まれる1又は2以上のファイニング剤の温度誘起化学還元によって生成された酸素は、ファイニング容器内の溶融ガラスを通って上昇し、溶融プロセス中に生成された気泡に合体又は拡散することができる。浮力が増加した肥大化したガス気泡は、その後、ファイニング容器内の溶融ガラスの自由表面まで上昇し、その後、ファイニング容器から排気することができる。
【0056】
下流のガラス製造装置128は、ファイニング容器132から下流に流れる溶融ガラスを混合するための混合装置134、例えば攪拌容器などの別の調整チャンバを更に含むことができる。混合装置134は、均質なガラス溶融組成を提供するために使用することができ、それにより、ファイニング室を出る溶融ガラス内に存在し得る化学的又は熱的不均一性を低減する。図示されるように、ファイニング容器132は、第2の接続導管136によって混合装置134に結合することができる。幾つかの実施形態では、溶融ガラス126は、第2の接続導管136によってファイニング容器132から混合装置134に重力供給することができる。例えば、重力は、溶融ガラス126を、ファイニング容器132から混合装置134への第2の接続導管136の内部通路を通して駆動することができる。典型的には、混合装置134内の溶融ガラスは自由表面を含み、自由表面と混合装置の頂部との間に自由体積が延びている。混合装置134は、溶融ガラスの流れ方向に対してファイニング容器132の下流に示されているが、混合装置134は、他の実施形態では、ファイニング容器132の上流に配置されてもよい。幾つかの実施形態では、下流のガラス製造装置128は、複数の混合装置、例えば、ファイニング容器132より上流の混合装置及びファイニング容器132より下流の混合装置を含むことができる。使用される場合、複数の混合装置は同じ設計であってもよく、又は互いに異なる設計であってもよい。幾つかの実施形態では、容器及び/又は導管の1又は2以上は、溶融材料の混合及びその後の均質化を促進するためにその中に配置された静的混合ベーンを含むことができる。
【0057】
下流のガラス製造装置128は、混合装置134の下流に位置する送出容器138のような別の調整チャンバを更に含むことができる。送出容器138は、下流の成形デバイスに供給される溶融ガラス126を調整することができる。例えば、送出容器138は、出口導管、以下ダウンカマー140によって下流プロセスへの溶融ガラス126の一貫した流れを調整及び/又は提供するためのアキュムレータ及び/又は流量制御器として機能することができる。送出容器138内の溶融ガラス126は、幾つかの実施形態では、自由表面を含むことができ、自由体積は、自由表面から送出容器の頂部まで上方に延びる。示されるように、混合装置134は、第3の接続導管142によって送出容器138に結合することができる。幾つかの例では、溶融ガラス126は、混合装置134から第3の接続導管142によって送出容器138に重力供給することができる。例えば、重力は、溶融ガラス126を、混合装置134から送出容器138まで第3の接続導管142の内部通路を通して駆動することができる。
【0058】
ここで図4及び図5を参照すると、ダウンカマー140は、送出容器138に結合され、それと流体連通している近位端部144と、近位端部144とは反対側であり、ダウンカマー140の中心長手方向軸148に沿ってそこから間隔を空けて配置されている遠位端部146とを備える。ダウンカマー140の壁150は、内側面154及び外側面156を含み、壁150は、近位端部144と遠位端部146との間に延びる内部通路157を定める。重力によって、溶融ガラス126は、内部通路157を通って、送出容器138からダウンカマー140の遠位端部146まで駆動することができ、そこで、溶融ガラスは、遠位端部146から形成装置158まで送出することができる。例えば、溶融ガラス126は、ダウンドローガラス形成装置(例えば、スロットドローガラス形成装置、オーバーフローダウンドロー)、フロート型ガラス形成装置、又は圧延ガラス形成装置に送出され得るが、更なる実施形態では、溶融ガラス126は、当該技術分野で知られているような任意の他のガラス形成装置に送出することができる。
【0059】
図4に示すように、ダウンカマー140は、第1の電気フランジ160に接合され、凹状加熱部材164、第1の電気フランジ160及び第2の電気フランジ162を介して第2の電気フランジ162に電気的に接続され、ダウンカマー140に電流を供給するように構成される。例えば、第1の電気フランジ160と第2の電気フランジ162との間の壁150に、壁150を加熱し、それにより第1の電気フランジ160と第2の電気フランジ162との間のダウンカマー140の部分を通って流れる溶融ガラスの温度を加熱及び/又は維持する電流を確立することができる。第1の電気フランジ160は、第2の電気フランジ162の上流に配置されるが、更なる実施形態では、第1の電気フランジは、送出容器38に接合することができる。
【0060】
図6を参照すると、第1の電気フランジ160は、第1の本体部分166と、第1の本体部分166から延びる第1の電極部分168とを備える。第1の本体部分166は、第1の本体部分166を貫通する開口部172を定める内縁部170を備える。
【0061】
図7に目を向けると、第2の電気フランジ162は、第2の本体部分174及び第1の電極部分176aを含む。図示された実施形態のような幾つかの実施形態では、第2の電気フランジ162は、第2の電極部分176bを含むことができ、第1の電極部分176aは、電極部分176a及び176bが180度離れるように第2の電極部分176bに対向して第2の本体部分174上に配置される。第2の本体部分174は、第2の本体部分174を貫通する開口部182を定める内側縁部180と、本体部分の円周に関する外側周縁部178とを更に備える。様々な実施形態において、第1の本体部分166及び/又は第2の本体部分174は、平面状又は実質的に平面状とすることができる。
【0062】
図示されていないが、更なる実施形態において、第1の電気フランジは、第1の電極部分168に対向する第2の電極部分を含むことができる。同様に、第2の電気フランジ162は、第1の電気フランジ160について示された方法で、1つの電極部分から構成されてもよい。複数の電極部分、例えば対向する電極部分の使用は、電気フランジが接合される構成要素に供給される電流を、接合部における構成要素の円周についてより均一にすることができる。
【0063】
幾つかの実施形態では、1又は2以上の追加の電気フランジを、第1の電気フランジ160と送出容器138との間のダウンカマー140に接合することができる。例えば、図3及び図4は、ダウンカマー140に取り付けられ、第1の電気フランジ160の上方、例えば、第1の電気フランジ160と送出容器138との間に配置された第3の電気フランジ184を図示する。第3の電気フランジ184は、幾つかの実施形態によれば、第1の電気フランジ160と同様又は同一のものとすることができる。第3の電気フランジ184は、単一の電極部分又は複数の電極部分を有することができる。各電気フランジは、電気電源(図示せず)に電気的に接続することができ、及び電気フランジに電流を供給するように構成される。電力供給は、ローカル電力網、例えば変電所、又は別個の発電機とすることができる。
【0064】
図4及び図5に戻ると、幾つかの実施形態において、凹状加熱部材164は、ダウンカマー140の遠位端部146から上方に延びることができる。すなわち、凹状加熱部材164は、凹状加熱部材とすることができる。凹状加熱部材164は、長手方向軸148に直交する平面において円形断面を含むスカート186を備えることができるが、更なる実施形態において、加熱部材164は、非円形断面形状を有することができる。上側開口部188は、凹状加熱部材164の上側リム190によって定められ、上側リム190は、第1の直径d1を有する。凹状加熱部材164は、第2の、下側リム194によって定められた第2の、下側開口部192を更に備え、下側リム194は、第1の直径d1よりも小さい第2の直径d2を有する。最も大きいサイズの開口部、すなわち上側開口部188を有する凹状加熱部材164の端部は、大端部196として定義され、一方、より小さい開口部、すなわち第2の開口部192を有する上向き凹状加熱部材164の端部は、小端部198として定義される。幾つかの実施形態において、凹状加熱部材164は、円錐状とすることができ、例えば、円錐状スカート186を含む。種々の実施形態において、上方に凹状加熱部材164の小端部198は、円弧状ネック部分200(図8参照)を含むことができ、ここで、ネック部分200は、長手方向軸148の方向の湾曲部を含む。すなわち、円弧状ネック部分200は、ダウンカマー140に向かって内側に湾曲し、下側リム194を含む。
【0065】
第2の電気フランジ162の内側縁部180は、例えば溶接によって、凹状加熱部材164の上側リム190に取り付けられ、及び凹状加熱部材164の下側リム194は、ダウンカマー140の遠位端部146に取り付けられる又は近接する。従って、凹状加熱部材164及び壁150の間に、底が閉じたカップ状の容積が形成される。
【0066】
幾つかの実施形態では、図5の領域Aを示す図8に最もよく見られるように、下側リム194は、下側リム194を壁150に接合するために使用される溶接部195の間に十分なクリアランスを可能にするために、遠位端部146の上方に短い距離δで取り付けることができる。すなわち、遠位端部146でダウンカマー140に下側リム194を直接接合する溶接作業は、遠位端部146からの溶融ガラスの流れを乱し得る遠位端部146の変形を生じる可能性がある。従って、凹状加熱部材164の下側リム194は、遠位端部146の上方にわずかに移動させることができ、例えば、δが約1ミリメートルから約3ミリメートルの範囲、例えば約1ミリメートルから約1.5ミリメートルの範囲、又はゼロミリメートルより大きく約1ミリメートル以下の範囲である。従って、本明細書で使用される場合、凹状加熱部材が導管の遠位端部146に接合されているという言及は、遠位端部から3ミリメートル以内の導管の長さを含む。円弧状ネック部分200は、円弧状ネック部分が、下側リム194が壁150と交差する壁150と直交するように配置することができる。ダウンカマー140に対する凹状加熱部材164の直交は、凹状加熱部材164の一貫した厚みを維持することを助け、及び凹状加熱部材164内で起こり得る電気抵抗変化を回避する。別の言い方をすれば、様々な実施形態において、ダウンカマー140の壁150は、実質的に均一な厚みT1を含むことができる。他方、凹状加熱部材164は、T1に等しいか又はT1より小さい厚みT2を有することができる。導体を通る電流密度は、電流の大きさ及び導体の断面積の関数である。ダウンカマー140の抵抗は、導体の長さを断面積で除算した値に比例する。すなわち、ダウンカマー140、又はその選択された部分の電気抵抗Rは、ダウンカマー又はその選択された部分の長さLを、均一な厚みを仮定した場合の長手方向軸148に垂直な平面における累積断面積Aで除算した値(R∝L/A)である。ダウンカマー140の電流Iは、I=E/Rであり、ここで、Eは長さLの両端の電圧であり、Rは電気抵抗である。長手方向軸148に直交する平面による上向き凹状加熱部材164の各断面において、d1がd2よりも大きいことは明らかであろう。実際、凹状加熱部材164の断面が上側リム190に近づくにつれて、d2は増加する。凹状加熱部材164の厚みT2がT1よりも大きい場合、その任意の断面における凹状加熱部材164の断面積A2は、ダウンカマー140の対応する断面の断面積A1よりも大きくなる。従って、凹状加熱部材164における電流密度、及び凹状加熱部材によって生成される熱電力は、減少するであろう。従って、様々な実施形態において、スカート186のT2は、壁150の厚みT1よりも小さく、ここで、厚みT1及びT2の両方は、対応する構成要素の対向する表面間の最短距離(例えば、対向する表面に直交する線に沿った対向する表面間の距離、例えば、ダウンカマー140の内側面154と外側面156との間の直交する距離)として測定される。凹状加熱部材164がダウンカマー140と90度以外の角度で交差する場合、ダウンカマー140との交差部における凹状加熱部材の断面積は、凹状加熱部材の他の場所における断面積と異なることになる。
【0067】
図9は、ダウンカマーに接合された第1の電気フランジ160、ダウンカマーの遠位端部に接合された凹状加熱部材164、及び凹状加熱部材164に接合された第2の電気フランジ162と共に示されたダウンカマー140の斜視図である。図示の実施形態では、凹状加熱部材164は、上向き凹状加熱部材、例えば円錐状加熱部材として配置される。
【0068】
図4に戻ると、熱伝導性材料202は、凹状加熱部材164及び壁150間のカップ状容積204内に配置することができる。しかしながら、熱伝導性材料202は、上向き凹状加熱部材164を横切って電気的に短絡するのを防止するために、電気的に絶縁性(非電気伝導性)であるべきである。熱伝導性材料202は、Aremco Products社(Valley Cottage,NY)から入手可能なCeramabond503、Saint-Gobain Abrasives Incorporated社により製造されるEA139、又は、例えば、Ceramabond及びEA139の混合物等、注型セラミックセメント(キャスタブル)を含むことができる。
【0069】
熱伝導性材料202は、(第1の電気フランジ160及び第2の電気フランジ162の間の)凹状加熱部材164内の電流によって発生した熱を、熱伝導性材料202と接触しているダウンカマー140のその部分に伝導するように機能する。更に、凹状加熱部材164の厚みT2は薄くすることができるので、熱伝導性材料202は、凹状加熱部材に構造的剛性を提供することができ、それにより、上向き凹状加熱部材の歪み又は崩壊を防止することができる。凹状加熱部材164のサイズ(例えば、高さ、直径、厚み)、及び第1の電気フランジ160と第2の電気フランジ162との間に供給される電流の大きさは、遠位端部146の端面、又は凹状加熱部材164の外側面に移動する溶融ガラスが、溶融ガラスの液相温度以上の温度に維持されるように、遠位端部146に十分な熱エネルギーを供給するように選択される。従って、遠位端部146は、凹状加熱部材164からの伝導により加熱され、及び壁のジュール加熱により壁150により直接加熱することができる。
【0070】
様々な実施形態によれば、第1の断熱材料206は、第1の電気フランジ160と第2の電気フランジ162との間、例えば、第1の本体部分166と第2の本体部分174との間に配置することができる。第1の断熱材は、例えば、Unifrax Fiberfrax(登録商標)Duraboard(登録商標)3000、又はZIRCAR Refractory Composites,Incorporated社によって製造されたZIRCAR RS-100耐火物シート等のセラミック繊維ボード(例えば、アルミノシリカ及び/又はムライト繊維及びバインダ)とすることができる。幾つかの実施形態では、第2の断熱材料207もまた、第1の電気フランジ160及び第2の電気フランジ162の間に配置することができる。第2の断熱材料207は、例えば、第1の電気フランジ160の上方に配置された絶縁材料又は他の材料の重量を支持するのに適した耐火性耐火レンガとすることができる。第2の断熱材料207は、アルミナ及び/又はジルコニアを含むことができるが、当該技術分野で公知の他の耐火レンガ材料を採用することもできる。
【0071】
幾つかの実施形態において、第3の熱絶縁材料208は、第2の電気フランジ162の下方に配置され、及び第2の電気フランジ162と接触することができる。第3の断熱材料208は、第1の断熱材料206と同じ材料、例えば、Unifrax Fiberfrax(登録商標) Duraboard(登録商標)3000及び/又はZIRCAR RS-100耐火物シート等のセラミック繊維ボードとすることができる。第3の断熱材料208は、ダウンカマー140の遠位端部146から送出する溶融ガラスのストリームが断熱材料208に接触することなく第2の断熱材料208を通過することを可能にするのに十分な直径の通路210を定めることができる。
【0072】
第4の断熱材料212、例えば鋳造可能な耐火物は、ダウンカマー140を取り囲むことができる。更に、幾つかの実施形態では、第5の断熱材料214、例えば耐火性耐火レンガが、第4の断熱材料212を取り囲むことができる。第5の断熱材料214は、例えば、アルミナ及び/又はジルコニアを含むことができるが、他の耐火材料も採用することができる。
【0073】
接続導管130、136、142、ファイニング容器132、混合装置134、送出容器138、ダウンカマー140、又は電気フランジ160、162、又は184のいずれかを含む下流側ガラス製造装置128の構成要素は、貴金属から形成することができる。好適な貴金属としては、白金、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム及びパラジウムを含む群より選択される白金族金属、又はこれらの合金が挙げられる。例えば、ガラス製造装置の下流構成要素は、約70重量%~約90重量%の白金及び約10重量%~約30重量%のロジウムを含む白金-ロジウム合金から形成されるか又は白金-ロジウム合金を含むことができる。しかしながら、ガラス製造装置の下流構成要素を形成するのに適した他の金属としては、モリブデン、レニウム、タンタル、チタン、タングステン及びこれらの合金を挙げることができる。
【0074】
ダウンカマー140、第4の断熱材料212及び第5の断熱材料214は、第5の断熱材料214の周りに配置された1又は2以上の鋼構造要素216によって支持することができる。
【0075】
更なる実施形態において、凹状加熱部材164は、図10に示されるような放物線形状を含むことができ、その結果、凹状加熱部材164とダウンカマー壁150の外側面156との間に配置されたボウル形状の容積をもたらす。しかしながら、凹状加熱部材164は、半球形などの他の凹状形状を有することができる。
【0076】
図3は更に、ガラスのリボン220を製造するように配置された1又は2以上の成形ロール218を含む形成装置158の例示的な実施形態を示す。例えば、幾つかの実施形態では、図11に示されるように、形成装置は、回転軸を中心に回転するように配置された単一の成形ロール218を含むことができ、溶融ガラス126は、ダウンカマー140によって成形ロール218の頂部に送られる。溶融ガラスは成形ロールと共に回転し、ガラスリボン220として成形ロール218の下部付近で放出される。図12に示す別の実施形態では、溶融ガラスは、ダウンカマー140によって、第1の回転成形ロール218aと、第1の回転成形ロール218aから離間して配置された第2の逆回転成形ロール218bとの間に送られる。溶融ガラスは、2つの逆回転成形ロール間で押圧され、2つの逆回転成形ロール間からガラスリボン220として出てくる。
【0077】
凹状加熱部材は、溶融ガラスを形成装置に送ることを意図した導管と組み合わせて使用する必要はない。例えば、ガラス製造装置内の様々な容器(又は導管)は、その動作のある時点で排水を必要とする場合がある。従って、これらの容器にはドレンチューブが設けられ、及びこれらのドレンチューブには、前述のダウンカマーに関して説明したように、それに取り付けられた電気フランジと共に使用される本明細書に記載の凹状加熱部材が取り付けることができる。更に、幾つかの実施形態では、本明細書に記載の凹状加熱部材と同様の凹状加熱部材は、追加の熱エネルギーが必要とされる導管上の任意の位置で使用することができ、従って、上向きに凹状であること(例えば、垂直に配置された導管又は管に接合されること)に限定されず、他の方向に配向されてもよい。更に、凹状加熱部材は、管又は導管の端部に限定されず、管又は導管の中間部分の一部を取り囲むように配置されてもよい。
【0078】
様々な実施形態が、その特定の例示的及び具体例に関連して詳細に説明されてきたが、開示された特徴の多数の変更及び組み合わせが、以下の特許請求の範囲から逸脱することなく可能であるため、本開示は、そのようなものに限定されると考えられるべきではない。
【符号の説明】
【0079】
140 ダウンカマー
160 第1の電気フランジ
162 第2の電気フランジ
164 凹状加熱部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【国際調査報告】