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特表2023-549232供給元と施設との間のピーク電力交換の軽減
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】供給元と施設との間のピーク電力交換の軽減
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/46 20060101AFI20231115BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20231115BHJP
   H02J 3/28 20060101ALI20231115BHJP
   G06Q 50/06 20120101ALI20231115BHJP
【FI】
H02J3/46
H02J3/38 110
H02J3/28
G06Q50/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528474
(86)(22)【出願日】2021-09-20
(85)【翻訳文提出日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 EP2021075805
(87)【国際公開番号】W WO2022100910
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】20207563.6
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
【氏名又は名称原語表記】ABB Schweiz AG
【住所又は居所原語表記】Bruggerstrasse 66, 5400 Baden, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】グタームート、ゲオルグ
(72)【発明者】
【氏名】レンダース、フェリクス
【テーマコード(参考)】
5G066
5L049
【Fターム(参考)】
5G066AE09
5G066HA15
5G066HB02
5G066HB08
5G066KA01
5G066KA11
5L049CC06
(57)【要約】
供給元(150)と施設(100)との間の電力交換についての軽減されたピーク電力交換値を決定するためのコンピュータ実行方法が提供される。本方法は、所定の時間期間にわたって供給元と施設との間の電力交換についての電力交換値を備える時系列を受信することと、変数として施設における1つ以上のピークシェービング能力(102~108)を定義するデータを使用して時系列中の軽減された最大電力交換値を決定するように構成された最適化アルゴリズムを実行することと、決定された軽減された最大電力交換値を出力することとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給元(150)と施設(100)との間の電力交換についての軽減されたピーク電力交換値を決定するためのコンピュータ実行方法であって、前記方法は、
所定の時間期間にわたって前記供給元と前記施設との間の電力交換についての電力交換値を備える時系列を受信することと、
変数として前記施設における1つ以上のピークシェービング能力(102~108)を定義するデータを使用して前記時系列中の軽減された最大電力交換値を決定するように構成された最適化アルゴリズムを実行することと、
決定された前記軽減された最大電力交換値を出力することと
を備える、コンピュータ実行方法。
【請求項2】
受信された前記時系列は、前記施設(100)における電力交換シナリオの区分を定義する複数の時系列のうちの1つであり、前記最適化アルゴリズムを実行することは、入力として前記複数の時系列を使用してロバスト最適化を実行することを備える、請求項1に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項3】
ロバスト最適化を実行することは、前記電力交換シナリオの全ての中で前記最大電力交換値を軽減するために最悪ケースのロバスト最適化を実行することを備える、請求項2に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項4】
ロバスト最適化を実行することは、前記電力交換シナリオの所定の割合の中で前記最大電力交換値を軽減することを備える、請求項2に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項5】
ロバスト最適化を実行することは、前記電力交換シナリオの中で平均値ケースの最大電力交換値を軽減するためにL2平均ロバスト最適化を実行することを備える、請求項2に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項6】
ロバスト最適化を実行することは、前記電力交換シナリオの中で中央値ケースの最大電力交換値を軽減するためにL1平均ロバスト最適化を実行することを備える、請求項2に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項7】
ロバスト最適化を実行することは、入力として前記複数の時系列を使用してシナリオツリーオンライン最適化を実行することを備える、請求項2に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項8】
受信された前記時系列は、前記所定の時間期間内の電力交換値の少なくとも第1及び第2のサブセットを備え、前記最適化アルゴリズムを実行することは、前記サブセットの各々中の前記軽減された最大電力交換値を決定することを備える、請求項1~7のうちのいずれか一項に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項9】
前記最適化アルゴリズムを実行することは、前記最大電力交換値の軽減と能力コストとの間のトレードオフを決定するためにピークシェービングシステムの1つ以上の能力に関連するコスト関数を使用することを更に備える、請求項1~8のうちのいずれか一項に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項10】
前記電力交換は、電力取り込み又は電力送り込みに関連し、前記最大電力交換値は、それぞれ、最大電力取り込み値又は最大電力送り込み値であり、前記最適化アルゴリズムは、それぞれ、軽減された最大電力取り込み値又は軽減された最大電力送り込み値を決定するように構成される、請求項1~9のうちのいずれか一項に記載のコンピュータ実行方法。
【請求項11】
電力管理方法であって、
前記供給元(150)と前記施設(100)との間の電力交換についての電力交換値を前記軽減された最大電力交換値に又はそれ未満に維持するように前記施設の前記ピークシェービング能力(102~108)を動作させるための電力管理ソリューションを定義するデータを前記最適化アルゴリズムから得るために、請求項1~10のうちのいずれか一項に記載のコンピュータ実行方法を実行することと、
前記電力管理ソリューションに従って前記施設の1つ以上の前記ピークシェービング能力を動作させることと
を備える、方法。
【請求項12】
請求項1~10のうちのいずれか一項に記載のコンピュータ実行方法を実行するように構成される、計画ツール(120)。
【請求項13】
請求項11に記載の方法を実行するように構成される、電力管理システム(110)。
【請求項14】
コンピューティングデバイス(400)によって実行されると、前記コンピューティングデバイスが請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の方法を実施することを可能にする命令を備える、コンピュータプログラム製品。
【請求項15】
コンピューティングデバイス(400)によって実行されると、前記コンピューティングデバイスが請求項1~11のうちのいずれか一項に記載の方法を実施することを可能にする命令を備える、コンピュータ可読媒体(404,408)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給元と施設との間のピーク電力交換の軽減に関する。
【背景技術】
【0002】
製造施設などの電気エネルギーの大口需要家の場合、電気料金請求書は、典型的には、2つの構成要素、即ち、エネルギー消費及び需要料金から成る。エネルギー消費は、瞬間的な需要変動にかかわらず、ある特定の時間期間にわたって消費されたエネルギーの総量を表す。需要料金は、電力需要に適用され、ある特定の時間期間内に到達した最大電力需要に基づき得る。大口需要家の場合、需要料金は、典型的には、コストの大部分を占める。
【0003】
現在のエネルギーコスト最小化ソリューションは、ピーク電力需要が供給契約において指定された限度未満に留まることを保証するためにエネルギー消費を低減又はシフトし、それによって需要料金を低減することに焦点を当てている。これは、当該技術分野において「ピークシェービング」(peak shaving)として知られている。負荷管理システムは、負荷制限(ピーク需要の期間中に重要でない制限可能な負荷をオフに切り替えること)、負荷シフト(シフト可能な負荷を使用して、エネルギー消費をピーク需要の期間外の時間期間又はエネルギーがより安価な時間期間に移動させること)、及び負荷変位(オンサイト発電器及び/又はエネルギー貯蔵装置を使用して、ピーク電力需要を相殺すること)を実行するために、施設の1つ以上のピークシェービング能力(例えば、シフト可能な負荷、制限可能な負荷、オンサイト発電器、及びエネルギー貯蔵装置を含む)を使用して動作し得る。
【0004】
負荷管理システムは、最適化アルゴリズムを使用して、ピーク電力需要が供給契約において指定された限度未満のままであるように、ピークシェービング能力をどのように動作させるかを決定し得る。
【発明の概要】
【0005】
供給元と施設との間のピーク電力交換をより効果的に軽減する必要がある。この必要性は、独立請求項の主題によって満たされる。オプションは、従属請求項によって記載される。
【0006】
第1の態様によると、供給元と施設との間の電力交換についての軽減されたピーク電力交換値を決定するためのコンピュータ実行方法が提供される。本方法は、所定の時間期間にわたって供給元と施設との間の電力交換についての電力交換値を備える時系列を受信することと、変数として施設における1つ以上のピークシェービング能力を定義するデータを使用して時系列中の軽減された最大電力交換値を決定するように構成された最適化アルゴリズムを実行することと、決定された軽減された最大電力交換値を出力することとを備える。
【0007】
このようにして、特許請求される主題は、所与の境界下で、軽減された(例えば、最小)可能ピーク電力需要値を見出し、このことから、需要料金を削減することによってコスト削減を可能にする。最小可能ピーク電力需要値は、施設が遵守することができる現実的な限度を表し、このことから、施設運営者が、料金を削減するために下限を有する供給契約を選ぶことを可能にする。前記最小値は、限度をどこに設定するか、及びこのことから契約をどのように取り決めるかについてのガイドラインを提供する。合意された限度は、当然ながら、決定された最小値に対する安全マージンを含み得る。特許請求される方法は、アプリとして実装される計画ツールによって実行され得、更に、電力管理システムのための最適化構成要素として提供することができる。
【0008】
最適化アルゴリズムの多数の可能な実装が、本開示によって想定される。例えば、受信された時系列が、施設における電力交換シナリオの区分を定義する複数の時系列のうちの1つである場合、最適化アルゴリズムを実行することは、入力として複数の時系列を使用してロバスト最適化を実行することを備え得る。ロバスト最適化を実行することは、電力交換シナリオの全ての中で最大電力交換値を軽減するために最悪ケースのロバスト最適化を実行することを備え得る。代替として、ロバスト最適化を実行することは、電力交換シナリオの所定の割合の中で最大電力交換値を軽減することを備え得る。代替として、ロバスト最適化を実行することは、電力交換シナリオの中で平均値ケースの最大電力交換値を軽減するためにL2平均ロバスト最適化を実行することを備え得る。代替として、ロバスト最適化を実行することは、電力交換シナリオの中で中央値ケースの最大電力交換値を軽減するためにL1平均ロバスト最適化を実行することを備え得る。代替として、ロバスト最適化を実行することは、入力として複数の時系列を使用してシナリオツリーオンライン最適化を実行することを備える。
【0009】
本開示はまた、最適化が区分的に実行され得ることを想定する。より具体的には、受信された時系列が、所定の時間期間内の電力交換値の少なくとも第1及び第2のサブセットを備える場合、最適化アルゴリズムを実行することは、サブセットの各々中の軽減された最大電力交換値を決定することを備え得る。
【0010】
より現実的な軽減された最大電力交換値を提供するために、最適化アルゴリズムを実行することは、最大電力交換値の軽減と能力コストとの間のトレードオフを決定するためにピークシェービングシステムの1つ以上の能力に関連するコスト関数を使用することを更に備え得る。本方法は、加えて又は代替として、トレードオフを決定するために費用便益分析を実行することを備え得る。
【0011】
本明細書で説明する方法は、電力網を介して供給元によって供給される電力が施設において消費される場合と、施設が電力網に給電し戻される電力を発生させる場合との両方に適用可能である。このことから、電力交換は、電力電力取り込み又は電力送り込みに関連し得、最大電力交換値は、それぞれ、最大電力取り込み値又は最大電力送り込み値であり、最適化アルゴリズムは、それぞれ、軽減された最大電力取り込み値又は軽減された最大電力送り込み値を決定するように構成される。両方の軽減された最大電力値(送り込み及び取り込み)は、電力網側の変動性及び例えば施設と電力網との間の物理的接続容量(変圧器容量を含む)を低減するのに役立ち得る。
【0012】
第2の態様によると、供給元と施設との間の電力交換についての電力交換値を軽減された最大電力交換値に又はそれ未満に維持するように施設のピークシェービング能力を動作させるための電力管理ソリューションを定義するデータを最適化アルゴリズムから得るために、第1の態様に記載の方法を実行することと、電力管理ソリューションに従って施設の1つ以上のピークシェービング能力を動作させることとを備える、電力管理方法が提供される。
【0013】
第3の態様によると、第1の態様に記載の方法を実行するように構成された計画ツールが提供される。
【0014】
第4の態様によると、第2の態様に記載の方法を実行するように構成された電力管理システムが提供される。
【0015】
本発明の第5の態様によると、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスが/に、第1又は第2の態様に記載の方法を実施することを可能にする/実施させる命令を備える、コンピュータプログラム製品が提供される。
【0016】
本発明の第6の態様によると、コンピューティングデバイスによって実行されると、コンピューティングデバイスが/に、第1又は第2の態様に記載の方法を実施することを可能にする/実施させる命令を備える、コンピュータ可読媒体が提供される。
【0017】
本明細書で開示する「時系列」及びそれらの「電力交換値」は、電力消費データ及び/又は発電データに関連し得、測定及び/又は予測データを備え得る。「電力交換」は、それ故に、電力消費及び/又は発電に関連すると理解され得る。
【0018】
「軽減する」とは、最大電力交換値が(受信された時系列に現れる値と比較して)ある程度低減されることを意味する。好ましくは、最大電力交換値は最小化されるが、本明細書で説明する主題はまた、非最適なソリューションを介して有益なエネルギーコスト削減を提供し得ることが認識されるであろう。
【0019】
本明細書で使用される場合、「能力」は、施設における電力需要に影響を与えるために、特にピーク電力需要を低減するために使用され得る任意の装置、デバイス、又はシステムを指す。例えば、シフト可能な負荷、制限可能な負荷、オンサイト発電器、及びエネルギー貯蔵装置は、ピークシェービング能力として説明し得る。他の能力は、ある形態から別の形態へのエネルギーの変換を提供し得る。「能力」及び「柔軟性」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0020】
「施設」とは、エネルギーを消費する及び/又は発生させる用地、建物、又は設備の一部を意味する。施設は、このことから、エネルギー消費者、エネルギー発生器、又はその両方として説明し得る。施設は、商業施設若しくは民間施設、例えばオフィスビル若しくは家庭などの非工業施設であり得るか、又は、工業施設、特に工業プラントなどの工業地、特に電力用の発電器、消費者、及び貯蔵装置の任意の組み合わせを含むものであり得る。「施設」という用語は、全体としての用地、建物、又は設備の一部だけでなく、それらの個々の部分、区分、又は構成要素も包含する。
【0021】
以下に与えられる特定の例は、電気エネルギーの供給に関連するが、説明するシステム及び方法は、水、ガス、熱、輸送能力、又は電気通信帯域幅などの他のコモディティの供給に等しく適用可能であることが理解されるであろう。
【0022】
「モジュール」、「システム」、「回路」、及び「ツール」という用語は、本明細書では交換可能に使用される。
【0023】
本発明は、組み合わせて又は単独で具体的に開示しているか否かにかかわらず、単独で又は組み合わせて1つ以上の態様、例、又は特徴を含み得る。
【0024】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載する実施形態から明らかになり、それらを参照して解明されるであろう。
【0025】
ここで、発明を実施するための形態が、例としてのみ、添付の図面を参照して与えられる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】電力管理システムを備える施設を例示する。
図2】本明細書で説明するような最適化の前後の図1の施設における電力需要を例示するヒストグラムである。
図3】本明細書で説明するような最適化の前後の電力交換値を例示する時系列を示す。
図4】本明細書で開示するシステム及び方法に従って使用することができるコンピューティングデバイスを例示する。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1は、電力網152を介して供給元150から電気エネルギーを受け取る製造施設100を例示する。施設100は、(簡略化のために図1に示していない他の消費及び/又は発電デバイスの中でもとりわけ)制限可能な負荷102、シフト可能な負荷104、エネルギー貯蔵装置106、及び発電器108を備える様々なピークシェービング能力を備える。図1に示すピークシェービング能力は、例示のみを目的とするものであり、1つ以上のピークシェービング能力の任意の組み合わせが、本開示によって企図されることが認識されるであろう。施設は、ピークシェービング能力102~108に結合され、必要なときに施設100における電力需要を低減するようにピークシェービング能力102~108を動作させるように構成された電力管理システム110を更に備える。特に、電力管理システム110は、電力管理ソリューションに従ってピークシェービング能力102~108を動作させるように構成される。以下に説明するように、電力管理ソリューションは、供給元150と施設100との間の電力交換についての電力交換値を軽減された最大電力交換値に又はそれ未満に維持するようにピークシェービング能力102~108を動作させるために、本明細書で説明するような最適化構成要素によって決定される。
【0028】
図1には、供給元150と施設100との間の電力交換についての軽減されたピーク電力交換値を決定するための方法を実行するように構成された計画ツール120を更に例示している。計画ツール120は、本方法を実行するアプリを実行するスマートフォンの形態で図1に示しているが、他の実装形態も可能であることが認識されるであろう。アプリの最適化構成要素414は、所定の(例えば過去の)時間期間又は間隔、例えば1年にわたる供給元150と施設100との間の電力交換についての電力交換値を備える時系列を受信する。最適化構成要素414は、変数として施設100におけるピークシェービング能力102~108を定義するデータを使用して時系列中の軽減された最大電力交換値を決定するように構成された最適化アルゴリズムを実行する。最適化構成要素414は、決定された軽減された最大電力交換値を出力し、それは、上記で説明したように、特に電力供給契約を取り決める(例えば最適化する)ために、施設100における動作の計画において使用され得る。更なる使用事例は、電力網への電気接続のハードウェア(変圧器、開閉装置、ケーブル)拡張を軽減することである。
【0029】
また、図1に例示するように、最適化構成要素414は、加えて又は代替として、電力管理システム110の一部を形成し得る。いずれの場合でも、最適化構成要素414は、供給元150と施設100との間の電力交換についての電力交換値を軽減された最大電力交換値に又はそれ未満に維持するように施設100のピークシェービング能力102~108を動作させる際に電力管理システム110によって使用するための電力管理ソリューションを定義するデータを最適化アルゴリズムを使用して決定するように更に構成される。
【0030】
最適化構成要素414は、このことから、施設100におけるピークエネルギー取り込みの最小化を提供する。本明細書で開示する主題は、エネルギーコスト最小化の文脈で適用され得、建物、及び電力網(例えば、小規模電力網、配電網)の用地又は一部などのより広いエリアに適用される。
【0031】
以前の最適化構成要素は、電力需要を所与の閾値未満に維持するという最適化目標で機能した。本発明者らは、そのような方法が、ピークシェービング能力102~108の全潜在能力を活用することができず、それは、単に電力需要を閾値未満に維持するために必要とされない場合があることを認識している。
【0032】
本開示によると、ピークシェービング能力102~108を定義するデータが最適化構成要素414に提供され、最適化構成要素414は、それらの能力を使用して得ることができる最小ピーク電力交換値を見出す。これは、ピークシェービング能力の使用及び(軽減された)ピーク値に付加されたコストを有するコスト最小化最適化関数を設定することによって行うことができる。
【0033】
ここで、ピーク電力交換値は、時間期間における電力交換の最大値を指す。このことから、以前の方法とは対照的に、最適化構成要素414は、ピーク値を可能な限り押し下げることを目的とし、単にピーク値を所与の限度未満に保つ素粒子を見出すことを目的としない。最適化構成要素414は、決して超えられる必要がないピーク値を提供し、限度を順守することができるかどうかに関するイエス/ノーの答えを提供しない。
【0034】
図2は、本明細書で説明するような最適化の前後の施設100における電力需要を例示するヒストグラムであり、最適化構成要素414が電力網152からの最大電力取り込みを最小化する能力を実証する。点線のヒストグラムは、最適化前の施設100における電力網152からの電力取り込みを示す。電力取り込みは、1年の各時間に対して-9MW~32MWの範囲である(及びこのことから、9MWまでの余剰分が電力網152に供給し戻される時間がある)。最適化構成要素414は、破線のヒストグラムが示すように、範囲を-8MW~19MWに最小化する。19MWの新しい最大値は、所与の限度を表すのではなく、ピークシェービング能力102~108を使用して得ることができる最小化された最大電力交換値を表す。
【0035】
入力時系列が不確実であり(例えば、将来の電力消費又は発電の予測)、及びこのことからシナリオの区分として実現される場合、最適化構成要素414は、ロバスト最適化を使用し得る。ロバスト最適化は、例えば、以下のいくつかの方法で実施することができる:
○最悪ケースのロバスト最適化:全てのシナリオの中で最悪ケース(100%)の最大電力交換値を最小化する。
○上記と同様であるが、シナリオの95%において最適化された限度が保たれることを要求する値(例えば95%)を取る。
○L2平均値ケースのロバスト最適化:全てのシナリオの中で平均値ケースの最大電力交換値を最小化する。
○L1平均値ケースのロバスト最適化:全てのシナリオの中で中央値ケースの最大電力交換値を最小化する。
○シナリオツリーオンライン最適化:ここでは、決定を時間ステップで行うことができると仮定する。入力データの不確実性は、時間ステップ毎に、入力データのうちの一部が確実になり、所与の時間ステップに対して確実な入力データが、全ての将来の時間ステップに対して確実なままであるようなものである。シナリオツリー最適化(“Application of an explicit min-max MPC to a scaled laboratory process”, D.M. de la Pena, 2005に記載されているものなど)を適用すると、最悪ケースの最適化ほど最大電力交換値において保守的ではないが、L2平均値ケースのロバスト最適化によって除外されるシナリオよりも遙かに多くのシナリオをカバーする最適化結果が得られる。
【0036】
最適化構成要素414は、更に「区分的に」最適化し得、これは、最小可能限度が、(上記のように)完全な所与の時間期間に対してではなく、電力交換値の異なるサブセットに対して決定されることを意味する。一例では、特定の限度は、図3に例示するように、夜間(例えば、19:00~7:00)及び昼間(例えば、7:00~19:00)に対して最適化される。
【0037】
ピークシェービング能力102~108を定義するデータは、ピークシェービングの量に依存するコスト関数を備え、使用することができる固定された量の柔軟性を備えない。様々な能力102~108に対するコスト関数を導入することによって、最適化構成要素414は、価格と「最小エネルギー取り込み」との間の妥当な重み付けされた最適条件を提供し得る。これは、能力102~108が、限度まで能力を使用するときに過度に増大し得るコストに関連付けられ得るので、より現実的な値であり得る。
【0038】
本開示は、最大電力交換値を最小化することに限定されず、電力交換値の区分の任意のスカラー統計的特性を最適化することができることが理解されるであろう。スカラー統計的特性の例は、平均値、中央値(中間値)、最大値(複数可)、最小値、分散(広がりの尺度として)、範囲(広がりの尺度として)、又はこれらの値の任意の組み合わせを含む。入力データが確率論的性質を有するとき、結果は、ある特定の区分、中央値、又は「最も可能性の高い」値であり得る。
【0039】
このことから、本開示によって提供されるのは、最小可能ピークを決定するために、間隔時系列データ及び所与の柔軟性に基づいて最適化する構成要素である。
【0040】
ここで図4を参照すると、本明細書で開示するシステム及び方法に従って使用することができる例証的なコンピューティングデバイス400の高レベル図を例示している。特に、コンピューティングデバイスは、上記で説明した計画ツール120及び/又は電力管理システム110を実装するために使用され得る。コンピューティングデバイス400は、メモリ404中に記憶された命令を実行する少なくとも1つのプロセッサ402を含む。命令は、例えば、上記で議論した1つ以上の構成要素(特に、最適化構成要素414)によって実行されるものとして説明する機能を実施するための命令、又は上記で説明した方法のうちの1つ以上を実施するための命令であり得る。プロセッサ402は、システムバス406を経由してメモリ404にアクセスし得る。実行可能命令を記憶することに加えて、メモリ404はまた、会話入力、会話入力に割り当てられたスコア、等を記憶し得る。
【0041】
コンピューティングデバイス400は、加えて、システムバス406を経由してプロセッサ402によってアクセス可能なデータストア408を含む。データストア408は、実行可能命令、ログデータ、等を含み得る。コンピューティングデバイス400はまた、外部デバイスがコンピューティングデバイス400と通信することを可能にする入力インタフェース410を含む。例えば、入力インタフェース410は、外部コンピュータデバイス、ユーザ、等から命令を受信するために使用され得る。コンピューティングデバイス400はまた、コンピューティングデバイス400を1つ以上の外部デバイスとインタフェースする出力インタフェース412を含む。例えば、コンピューティングデバイス400は、出力インタフェース412によってテキスト、画像、等を表示し得る。
【0042】
入力インタフェース410及び出力インタフェース412を介してコンピューティングデバイス400と通信する外部デバイスは、ユーザが対話することができる実質的に任意のタイプのユーザインタフェースを提供する環境中に含めることができることが企図される。ユーザインタフェースタイプの例は、グラフィカルユーザインタフェース、ナチュラルユーザインタフェースなどを含む。例えば、グラフィカルユーザインタフェースは、キーボード、マウス、リモートコントロールなどの入力デバイス(複数可)を用いるユーザからの入力を受け付け、ディスプレイなどの出力デバイス上に出力を提供し得る。更に、ナチュラルユーザインタフェースは、キーボード、マウス、リモートコントロールなどの入力デバイスによって課される制約から解放された形で、ユーザがコンピューティングデバイス400と対話することを可能にし得る。むしろ、ナチュラルユーザインタフェースは、音声認識、タッチ及びスタイラス認識、画面上及び画面に隣接の両方におけるジェスチャ認識、空中ジェスチャ、ヘッド及びアイトラッキング、声及び音声、視覚、タッチ、ジェスチャ、機械知能などに依拠することができる。
【0043】
加えて、単一のシステムとして例示しているが、コンピューティングデバイス400は分散システムであり得ることを理解されたい。このことから、例えば、いくつかのデバイスは、ネットワーク接続によって通信している場合があり、コンピューティングデバイス400によって実行されるものとして説明するタスクを集合的に実行し得る。
【0044】
本明細書で説明した様々な機能は、ハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの任意の組み合わせで実装することができる。ソフトウェアで実装される場合、それら機能は、1つ以上命令又はコードとして、コンピュータ可読媒体上に記憶することができるか、又はコンピュータ可読媒体を通して送信することができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ可読記憶媒体を含む。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータがアクセスすることができる任意の利用可能な記憶媒体であり得る。限定ではなく例として、そのようなコンピュータ可読記憶媒体は、RAM、ROM、EEPROM(登録商標)、CD-ROM若しくは他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置若しくは他の磁気記憶デバイス、又は命令若しくはデータ構造の形式で所望されるプログラムコードを搬送若しくは記憶するために使用することができ、且つコンピュータがアクセスすることができる任意の他の媒体を備えることができる。ディスク(disk)及びディスク(disc)は、本明細書で使用される場合、コンパクトディスク(disc)(CD)、レーザーディスク(登録商標)(disc)、光ディスク(disc)、デジタル多用途ディスク(disc)(DVD)、フロッピー(登録商標)ディスク(disk)、及びBlu-ray(登録商標)ディスク(disc)(BD)を含み、ここで、ディスク(disk)は、通常、磁気的にデータを再生し、ディスク(disc)は、通常、レーザーを用いて光学的にデータを再生する。更に、伝播信号は、コンピュータ可読記憶媒体の範囲内に含まれない。コンピュータ可読媒体はまた、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む通信媒体を含む。接続は、例えば、通信媒体であり得る。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線、無線、及びマイクロ波などのワイヤレス技術を使用して、ウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、DSL、又は赤外線、無線、及びマイクロ波などのワイヤレス技術は、通信媒体の定義中に含まれる。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
【0045】
代替として、又は加えて、本明細書で説明した機能は、少なくとも部分的に、1つ以上のハードウェアロジック構成要素によって実行することができる。例えば、限定はしないが、使用することができる例示的なタイプのハードウェアロジック構成要素は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、プログラム固有集積回路(ASIC)、プログラム固有標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、複合プログラマブルロジックデバイス(CPLD)、等を含む。
【0046】
前述の回路は、言及された機能に加えて他の機能を有し得、これらの機能は同じ回路によって実行され得ることが認識されるであろう。
【0047】
本出願人は、本明細書で説明した各個々の特徴及び2つ以上のそのような特徴の任意の組み合わせを、そのような特徴又は特徴の組み合わせが本明細書で開示した任意の問題を解決するかどうかにかかわらず、且つ特許請求の範囲を限定することなく、そのような特徴又は組み合わせが当業者の共通の一般的知識に照らして全体として本明細書で基づいて実施されることが可能な範囲まで、単独で開示する。本出願人は、本発明の態様が任意のそのような個々の特徴又は特徴の組み合わせから成り得ることを示す。
【0048】
本発明を、図面及び前述の説明において詳細に例示及び説明してきたが、そのような例示及び説明は、例証であって限定的ではないと見なされるべきである。本発明は、開示した実施形態に限定されない。
【0049】
開示した実施形態に対する他の変形形態は、図面、開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、当業者が理解及び達成することができる。特許請求の範囲では、「備える」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、不定冠詞「a」又は「an」は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を果たし得る。ある特定の手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示さない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光記憶媒体又は固体媒体などの適切な媒体上に記憶/配布され得るが、インターネット又は他のワイヤード若しくはワイヤレス通信システムなどを介して他の形態でも配布され得る。特許請求の範囲におけるいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】