(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】太陽光集光システム用のレシーバ、及び上記レシーバを実現するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
H02S 40/22 20140101AFI20231115BHJP
H02S 40/44 20140101ALI20231115BHJP
F24S 20/20 20180101ALI20231115BHJP
F24S 23/71 20180101ALI20231115BHJP
F24S 80/50 20180101ALI20231115BHJP
【FI】
H02S40/22
H02S40/44
F24S20/20
F24S23/71
F24S80/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528481
(86)(22)【出願日】2021-08-23
(85)【翻訳文提出日】2023-06-26
(86)【国際出願番号】 IB2021057716
(87)【国際公開番号】W WO2022101695
(87)【国際公開日】2022-05-19
(31)【優先権主張番号】102020000027218
(32)【優先日】2020-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523173302
【氏名又は名称】グリーネティカ ディストリビューション エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シチローロ、アントニオ
(72)【発明者】
【氏名】ビアスッティ、アンドレア
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251BA18
5F251JA23
5F251JA29
(57)【要約】
太陽集光器(100)から太陽光線(12)を受けるように構成され、ハウジングの少なくとも1つの空洞(21)を画定する少なくとも1つの透明な壁(20)を含むコンテナ(2)、太陽光線(12)から取得した太陽エネルギーを熱及び/又は電気エネルギーへと変換するように構成され、壁(20)の近くで空洞(21)の一部の内部に収容され、スロット(22)によって壁(21)から分離された変換モジュール(3)、及び空洞(21)の内部に収容され、少なくともスロット(22)を完全に占有して変換モジュール(3)を保護するように構成された透明な光ゲル(4)を備える、太陽光集光システム用のレシーバ(1)が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽集光器から太陽光線を受けるように構成され、ハウジングの少なくとも1つの空洞を画定する少なくとも1つの透明な壁を有するコンテナ、
前記太陽光線から取得した太陽エネルギーを熱及び/又は電気エネルギーへと変換するように構成され、前記壁の近くで前記空洞の一部の内部に収容され、スロットによって前記壁から分離された変換モジュール
を備え、
前記空洞の内部に収容され、少なくとも前記スロットを完全に占有して前記変換モジュールを保護するように構成された透明な光ゲル
をさらに備える、太陽光集光システム用のレシーバ。
【請求項2】
前記光ゲルが、前記空洞の内部のいかなる空き空間も排除するような方式で、前記空洞のうちの前記変換モジュールによって占有されていない部分を完全に占有する、請求項1に記載の太陽光集光システム用のレシーバ。
【請求項3】
前記コンテナが、前記空洞と流体が流れるように連結し前記空洞への、又は前記空洞からの前記光ゲルの進入又は排出を可能にするように構成されたアクセス通路を有し、前記太陽光集光システム用のレシーバが、それぞれの前記アクセス通路の近くに配置され前記アクセス通路を封止して前記空洞の内部に前記光ゲルを密閉して閉じ込めるように構成されたキャップをさらに備える、請求項1又は2に記載の太陽光集光システム用のレシーバ。
【請求項4】
前記コンテナが、前記空洞の内部に収容され、前記光ゲルの最終的な拡張を補償するような方式で前記光ゲルに比例して膨張するように構成された1つ又は複数のベアリングを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の太陽光集光システム用のレシーバ。
【請求項5】
前記変換モジュールが、少なくとも、前記壁に面する第1の光起電性捕捉装置、及び前記第1の光起電性捕捉装置から熱を捕捉するように構成された第2の熱捕捉装置を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載の太陽光集光システム用のレシーバ。
【請求項6】
前記第2の熱捕捉装置が、前記スロットに対して反対側に、前記第1の光起電性捕捉装置と接触するように配置されたマイクロチャネル熱交換器を含む、請求項5に記載の太陽光集光システム用のレシーバ。
【請求項7】
前記コンテナが、それに沿って前記壁、前記空洞、及び前記変換モジュールが延在する延在軸を画定し、前記アクセス通路は、数が2つであり、前記延在軸に沿って、前記コンテナの両端部に配置されており、前記1つ又は複数のベアリングが、前記延在軸に対して平行に延在する弾性の管状要素である、請求項3に従属する請求項4に記載の太陽光集光システム用のレシーバ。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の太陽光集光システム用のレシーバ、及び支持体及び前記太陽光線を前記太陽光集光システム用のレシーバに向かって反射するように構成された鏡を含む集光器を備える、太陽光集光システム。
【請求項9】
前記アクセス通路のうちの1つを介して前記光ゲルを含む外部コンテナとの間の流体通路と連結した制御可能圧力チャンバの内部に前記太陽光集光システム用のレシーバを配置する段階、
前記外部コンテナの内部で、低圧で前記光ゲルを脱気する段階、
前記外部コンテナよりも低い圧力を作り出すような方式で前記制御可能圧力チャンバを減圧し、前記光ゲルを押して前記アクセス通路から前記空洞に入れる段階、及び
前記光ゲルが前記空洞を完全に飽和させ、他のアクセス通路に到達するのを待機する段階
を備える、請求項7に記載の太陽光集光システム用のレシーバを実現するためのプロセス。
【請求項10】
前記空洞の内部に前記光ゲルを封止するような方式で、前記待機する段階の終了時に前記アクセス通路に前記キャップを差し込む段階
を備える、請求項9に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光集光システム用のレシーバ、及び第1の請求項のプリアンブルに規定されているタイプの上記レシーバを実現するためのプロセスに関する。
【0002】
具体的には、本発明は、反射表面から反射された太陽光線を受け、太陽エネルギーを使用可能なエネルギー、例えば電気及び/又は熱へと変換するように構成されたレシーバ及び関連する実現プロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
知られているように、頭字語CSP(集光型太陽熱発電)でも知られている太陽集光器、又は太陽光集光システムにより、鏡からなる概して反射性の表面から得られた日光の反射を活用することによって太陽エネルギーを熱及び/又は電気エネルギーへと変換することが可能になる。
【0004】
こうした鏡は、様々な形状及びサイズを画定することができる。最も使用されている反射器の中には円筒形反射器、パラボラ反射器、及び放物面反射器が存在することは疑いようがない。
【0005】
したがって、反射表面は太陽の光線を小さいレシーバに集中させるように構成される。詳細には、集光モードは、線状の捕捉ゾーンに沿って、又は点状の捕捉ゾーンに沿って太陽の光線を反射することができる反射器の形状に依存し得る。
【0006】
一般に、光線が捕捉領域に集中させられると、太陽放射は電気へと変換され、かつ/又は熱は、例えば蒸気タービンからなる熱エンジンによって力学的エネルギーへと変換され、その駆動軸は発電機の軸に連結される。
【0007】
具体的には、モータの軸及び発電機の軸は、例えば機械的トランスミッションによって一体的に、又は釣り合うように相互に連結され得る。
【0008】
より詳細には、一般に、レシーバは、集中させられた太陽放射を変換するのに適当な、集光用光起電性セル、場合によってはさらには多接合セルを備えることができる。赤外線などの、太陽放射のうちの変換されない部分は、セル、及びセルが係留されている支持構造体を高温で実質的に熱する。
【0009】
したがって、説明した知られている技法は、いくつかの重大な欠点を備える。
【0010】
具体的には、温度が上昇することにより、空気中に分散させることによる、又はより好ましくは特別な冷却回路による熱の処理が必要になる。
【0011】
さらに、レシーバ構造体全体が受ける熱応力により、様々な構成要素間での拡張が生じる場合がある。後者は異なる性質及び材料のものであるので、膨張が異なり、したがって構成要素間の内部分離が生じる可能性がある。さらに、いくつかの構成要素はそれら自体の融点にさえ近づく可能性があり、システムに甚大な損傷を発生させるリスクを伴う。
【0012】
さらに、良好な効率及び耐久性を保証するために、光起電性セルは外気物質から保護されなければならない。
【0013】
この状況において、本発明の根底をなす技術的課題は、前述の欠点の少なくとも一部を実質的になくすことが可能な太陽光集光システム用のレシーバ、及び上記レシーバを製造するためのプロセスを考案することである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記技術的課題の範囲内では、電気へと変換されない太陽放射に由来する熱に依存するその内部構造体の温度上昇を限定することができる、太陽光集光システム用のレシーバ、及び関連する製造プロセスを得ることが、本発明の重要な目的である。
【0015】
本発明の別の重要な目的は、レシーバに存在する光起電性セルを効果的に保護して高いレベルの効率及び耐久性を維持することを可能にする、太陽光集光システム用のレシーバを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
技術的課題及び規定された目標は、添付の請求項1で特許請求される太陽光集光システム用のレシーバ及び関連する製造プロセスによって得られる。
【0017】
好ましい技術的解決策は、従属請求項において強調される。
【0018】
本発明の特性及び利点は、添付の図を参照することにより、本発明の好ましい実施形態の詳細な説明によって以下で明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明による太陽光集光システム用のレシーバの側方断面図である。
【0020】
【
図2】本発明による太陽光集光システム用のレシーバの斜視図である。
【0021】
【
図3】本発明による太陽光集光システム用のレシーバを含む集光器を備える、太陽光集光電力システムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
この文書では、測定値、値、形状、及び(垂直及び平行などの)幾何学的基準は、「およそ」のような語、又は「約」又は「実質的に」などの他の同様の用語に関連付けられたとき、生産及び/又は製造エラーによる測定エラー又は不正確さを除き、何よりもまず、それが関連付けられた値、測定値、形状、又は幾何学的基準からのわずかな逸脱を除くものと考えられるべきである。例えば、これらの用語は、値と関連付けられる場合、好ましくは値の10%以下の逸脱を示す。
【0023】
さらに、使用されるとき、「第1の」、「第2の」、「より高い」、「より低い」、「主な」及び「二次的な」などの用語は、順序、関係の優先度、又は相対的位置を必ずしも特定するものではなく、単に、それらの異なる構成要素間を明確に区別するために使用される場合がある。
【0024】
そうでないことが規定されていなければ、以下の議論の結果として、「処理」、「算出」、「決定」、「計算」、又は同様のものなどの用語は、コンピュータシステム及び/又はメモリのレジスタの電子的な量、コンピュータシステム、レジスタ、又は他の記憶装置、トランスミッション、又は情報表示装置内の物理的な量として同様に表されている他のデータなどの、物理的なものとして表されているデータを操作及び/又は変換する、コンピュータ又は同様の電子計算装置の動作及び/又はプロセスを指す。
【0025】
そうでないことが示されていない限り、この文章で報告されている測定値及びデータは、国際標準大気ICAO(ISO2533:1975)で実施されているものと考えられるべきである。
【0026】
図1、
図2、
図3を参照すると、本発明による太陽光集光システムが数1で全体的に示されている。
【0027】
レシーバ1は、太陽光集光システムの内部に挿入されるように実質的に構成される。したがって、それは、実際レシーバ1及び太陽集光器100を含む太陽光集光システムの一部となり得る。
【0028】
太陽集光器100は、予め決められた点又はゾーンに太陽光線12を集中させて、集中させられた太陽エネルギーを捕捉するように実質的に構成される。
【0029】
特に、集光器100は支持体11を備えることができることが好ましい。
【0030】
実質的に、支持体11は、1つ又は複数の構成要素が地上から高所で支持されることを可能にする要素である。したがって、支持体11それ自体を地上に位置決めし、好ましくはそこに拘束することができる。
【0031】
したがって、実質的に、支持体11はそれ自体の軸に沿って延在する長い物体、例えばポール又は塔などの円筒形の物体でもよい。
【0032】
集光器100は、少なくとも1つの反射鏡10も備える。
【0033】
実質的に、鏡10は、太陽光線12を受け、予め決められた、材料に依存する反射角に基づいてそれらを反射するように構成された反射装置である。
【0034】
集光器用の反射装置は現況技術においてよく知られている。
【0035】
鏡10は、支持体11に適合するように拘束されることが好ましい。特に、鏡10は、上記支持体11に対して少なくとも1自由度、好ましくは2、を決定するような方式で、支持体11に拘束されることが好ましい。
【0036】
具体的には、鏡10は、太陽光線12をレシーバ1に向かって反射するように構成される。
【0037】
レシーバ1は、コンテナ2を備えることが好ましい。
【0038】
実質的に、コンテナ2は箱状の要素であることが好ましい。この点に関して、コンテナ2は一体に作成されてもよく、又は複数の構成要素によって決定されてもよい。
【0039】
本質的に、コンテナ2は少なくとも1つの壁20を備えることが好ましい。
【0040】
壁20は透明であることが適当である。実際、壁20は太陽集光器100から太陽光線12を受けるように構成される。
【0041】
したがって、壁20は、太陽光線12が使用可能なエネルギーへと変換され得るように、太陽光線12がコンテナ2へと貫通することを可能にする。
【0042】
詳細には、太陽光線12はハウジングの空洞21に蓄積される。
【0043】
実際、コンテナ2はハウジング空洞21を画定する。実質的に、空洞21は、壁20のおかげで太陽光線12がアクセスすることができ、レシーバ1の構成要素を収容するように構成された、コンテナ2の内側部分である。
【0044】
レシーバ1は変換モジュール3も備える。
【0045】
変換モジュール3は、太陽光線12から取得した太陽エネルギーを熱エネルギー及び/又は電気エネルギーへと変換するように構成される。
【0046】
したがって、変換モジュール3は壁20の近くの空洞21の内部に収容されることが適当である。
【0047】
さらに、変換モジュール3はスロット22によって壁20から分離されることが好ましい。
【0048】
したがって、スロット22は、壁20及び変換モジュール3の間に配置された、空洞21の一部分である。
【0049】
さらにより詳細には、変換モジュール3は様々な方式で構築され得る。
【0050】
例えば、それにより、光起電性システムを介して太陽放射から電気を生成することが可能になり得る。この意味で、変換モジュール3は第1の捕捉装置30を備えることができる。
【0051】
第1の捕捉装置30は光起電性であることが好ましい。したがって、それは、存在する場合、壁20に面することが適当である。したがって、第1の捕捉装置30は、様々な多接合セル、ダイオード、コネクタ、様々な電気回路構成要素、及び他の構成要素が配置されるセラミックの支持体を備えることができる。
【0052】
別法として、変換モジュール3は、太陽光線12によって作り出された熱エネルギーを電気エネルギーへと変換するように構成されてもよい。
【0053】
したがって、変換モジュール3は第2の捕捉装置31を含んでもよい。
【0054】
したがって、第2の捕捉装置31は熱を捕捉するように構成される。例えば、それは、フィン又はマイクロチャネルを含む少なくとも1つの熱交換器を備えることができる。
【0055】
好ましいが非排他的な実施形態では、レシーバ1は、太陽光線12から電気エネルギー及び熱エネルギーの両方を発生させるように構成されることが有利である。
【0056】
したがって、変換モジュールは、第1の捕捉装置30及び第2の捕捉装置31を備えることが好ましい。
【0057】
さらに、第2の捕捉装置31は、第1の捕捉装置30から熱を捕捉するように構成される。
【0058】
さらにより詳細には、第2の捕捉装置31は、スロット22とは反対の側に、第1の捕捉装置30と接触するように配置されたマイクロチャネル熱交換器を備える。
【0059】
第1及び第2の装置30、31は、接着剤層32によって相互に連結されることが好ましい。
【0060】
接着剤層は、ポリマーゲルを含むことが好ましい。具体的には、例えば、接着剤層32はDOWSIL(商標)SE4450熱伝導性接着剤として販売されている材料を備えることができる。
【0061】
レシーバ1は、透明な光ゲル4も備えることが有利である。
【0062】
実質的に、ゲル4は、好ましくはシリコーンタイプの流体要素である。例えば、ゲル4は、SYLGARD(商標)527シリコーン誘電性ゲルとして販売されているタイプのものでもよい。
【0063】
したがって、ゲル4は空洞21の内部に収容される。
【0064】
具体的には、ゲル4は、少なくともスロット22を完全に占有するように構成されることが有利である。こうすると、ゲル4は変換モジュール3を保護することができる。
【0065】
やはり、ゲル4は、空洞21のうちの変換モジュール3によって占有されていない部分を完全に占有することがより好ましい。こうすると、ゲル4により、空洞21の内部のいかなる空き空間も排除することが可能になる。
【0066】
何よりもまず、空洞21にゲル4を導入することを容易にするために、コンテナ2は、いくつかの他の特定の装置を含むことができる。
【0067】
コンテナ2は、アクセス通路23を備えることが好ましい。
【0068】
アクセス通路23は、空洞21との間の流体通路と連結していることが好ましい。したがって、それらは空洞21への、又は空洞21からのゲル4の導入又は排出を可能にするように構成される。
【0069】
したがって、それらはコンテナ2の外周に沿って配置された、穴の開けられたコネクタからなる。
【0070】
したがって、レシーバ1はキャップ5を備えることができる。
【0071】
キャップ5は、それぞれのアクセス通路23の近くに配置されることが好ましい。
【0072】
また、キャップ5は、アクセス通路23を封止して空洞21の内部にゲル4を密閉して閉じ込めるように構成される。
【0073】
キャップ5は物理的なキャップでもよい。又は、キャップ5は第2のポリマーゲルを用いて作成され得ることが好ましい。キャップ5に含まれるゲルは、ゲル4よりも小さい弾性及び熱による膨張性を有することが好ましい。
【0074】
キャップ5に適当なゲルの一例が、DOWSIL(商標)SE9186黒色、透明、又は白色接着剤として販売されている。
【0075】
ゲル4には、特に接着剤層32及びキャップ5に対する特定の膨張性が与えられているので、コンテナ2は、ゲル4の膨張を吸収することが可能な別の構成要素を含み得ることが好ましい。
【0076】
コンテナ2は、1つ又は複数のベアリング24を備えることが好ましい。
【0077】
ベアリング24は、具体的には空洞21の内部に収容される。さらに、それらはゲル4に比例して膨張するように構成される。比例してという用語は、その膨張が同じであることを意味するのではなく、むしろ、その膨張がゲル4の膨張とは逆であることを意味する。こうすると、ベアリング24はゲル4それ自体のいかなる膨張も補償することができる。
【0078】
例えば、熱の投入によりゲル4が膨張した場合、ベアリング24は、コンテナ2に高すぎる内圧が発生することを避けるために、比例して縮むことができる。
【0079】
当然、コンテナ2は様々な形状及びサイズをとることができる。
【0080】
好ましいが非排他的な実施形態では、コンテナ2は延在軸2aを画定する。
【0081】
延在軸2aは、レシーバ1が集光器100で使用されているとき、鏡10の展開軸に対して実質的に平行になるような方式で延在する。
【0082】
さらに、壁20、空洞21、及び変換モジュール3は延在軸2aに沿って延在することが好ましい。
【0083】
さらに、特にレシーバ1の実現を容易にするために、アクセス通路23は数が2つであり、延在軸2aに沿って、コンテナ2の両端部に配置されることが好ましい。
【0084】
したがって、ベアリング24は、延在軸2aに対して平行に延在する弾性の管状要素でもよい。
【0085】
既に言及したように、コンテナ2はいくつかの部品を結合することによって作成されてもよい。例えば、コンテナ2は、絶縁部分25、及び絶縁プロファイル25を閉じ込め、空洞21を画定するように構成された外形形成カバー26を含むことができる。
【0086】
この意味で、壁20は外形形成カバー26に拘束され得る。さらに、外形形成蓋部26は、壁20から外部に向かって分岐するダクトを画定することができる。したがって、分岐ダクトは、二次的光学鏡26aによって横方向に境界を画定され得る。
【0087】
いずれの場合でも、このタイプの構成は、現況技術において既に知られている。
【0088】
構造的な観点でこれまでに説明した太陽光集光システム用のレシーバ1の動作は、任意のレシーバの動作と実質的に同様であるが、他の何よりも効率及び寿命の点で重要な相違点を有する。
【0089】
本発明は、レシーバ1を実現するための新規なプロセスを備える。
【0090】
具体的には、プロセスは、少なくとも1つの準備段階を備える。
【0091】
準備段階では、レシーバ1は、アクセス通路23のうちの1つを介してゲル4を含む外部コンテナとの間の流体通路と連結した圧力制御チャンバの内部に配置される。
【0092】
チャンバは、その内部で圧力を変化させることができる、加圧されたケースでもよい。外部コンテナは任意のタンクでもよい。
【0093】
外部コンテナの圧力も、圧力を変化させることによって外部コンテナ及びレシーバ1の間のゲル4の流れを管理できるような方式で制御され得ることが好ましい。
【0094】
言い換えれば、外部コンテナ及びコンテナ2には液圧回路が提供され、ゲル4はその内部を圧力下で流れることができる。
【0095】
したがって、プロセスは脱気段階を含む。脱気段階では、ゲル4は、外側コンテナの内部で、低圧下で脱気される。
【0096】
例えば、使用される圧力は数mbarでもよく、したがってそれはほとんど空に近い。
【0097】
したがって、プロセスは減圧段階を含む。減圧段階では、チャンバは、外部コンテナよりも低い圧力を得るような方式で減圧される。例えば、圧力はゼロに等しくてもよく、つまり、チャンバ内に真空が作り出され得る。
【0098】
次いで、減圧段階では、ゲル4が押されてアクセス通路23から空洞21に入る。
【0099】
したがって、プロセスは待機段階を備える。待機段階では、ゲル4が空洞を全体的に飽和させ、他方のアクセス通路23に到達することが予想される。
【0100】
空洞21を完全に満たすことを容易にし、気泡の可能性を軽減するために、待機段階は緩慢であることが好ましい。ゲル4が浸透する緩慢さは、具体的には、外部コンテナ内の圧力及びチャンバ内の圧力の間の圧力比率を減らすことによって容易にされる。この理由のために、外部コンテナの圧力は、最大でも抑制された、又は非常に低圧で、例えばわずか1mbarだけ増加させられることが好ましい。
【0101】
したがって、プロセスはさらなるキャップ付け段階を含む。
【0102】
待機段階が終了するとキャップ付け段階が行われることが好ましい。キャップ付け段階では、空洞21内にゲル4を封止するような方式で、アクセス通路23にキャップ5が差し込まれることが好ましい。
【0103】
本発明による太陽光集光システム1用のレシーバ、及びその製造プロセスにより、重要な利点が得られる。
【0104】
実際、レシーバ1の構造により、電気エネルギーへと変換されない太陽放射に由来する熱に依存する内部構造体の温度上昇を限定することが可能になる。
【0105】
ゲル4によって保証される透過性、及び空洞21が完全に飽和することにより、光起電性パネルを損傷させる現象は存在しないことが保証される。さらに、熱の放散が接着剤層32によってさらに容易にされる。
【0106】
レシーバ1、及び関連する製造プロセスにより、光起電性セルが効果的に保護されて高い効率レベルを維持することも可能になる。
【0107】
同時に、ゲル4の膨張はベアリング24によって補償され、したがってレシーバ1それ自体の内部の部品が分離する現象さえも起こり得ない。
【0108】
本発明は、特許請求の範囲によって定義される発明概念の範囲に含まれる変形形態を許容可能である。
【0109】
この文脈において、あらゆる詳細は均等な要素によって置換されてもよく、材料、形状、及び寸法は任意のものでもよい。
【国際調査報告】