(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】測色分析を用いたカレットを処理する方法
(51)【国際特許分類】
C03B 3/02 20060101AFI20231115BHJP
【FI】
C03B3/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023528668
(86)(22)【出願日】2021-11-10
(85)【翻訳文提出日】2023-06-16
(86)【国際出願番号】 FR2021051989
(87)【国際公開番号】W WO2022106771
(87)【国際公開日】2022-05-27
(32)【優先日】2020-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502425053
【氏名又は名称】サン-ゴバン イゾベール
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100208225
【氏名又は名称】青木 修二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100217179
【氏名又は名称】村上 智史
(72)【発明者】
【氏名】リシャール クラトー
(72)【発明者】
【氏名】イザベル グロス
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AB00
(57)【要約】
【課題】カレットを処理する方法を提案する。
【解決手段】カレット(6)を処理する方法であって、カレット(6)に含まれる複数のガラスのタイプを測色法によって検出する工程、カレット(6)中で検出された種々のガラスのタイプの量を計算する工程、カレット(6)に関連する酸化物の量及び/又は酸化還元電位をカレット(6)中で検出された種々のガラスのタイプの量の関数として決定する工程、を含むことを特徴とする、方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カレット(6)を処理する方法であって、
- 前記カレット(6)に含まれる複数のガラスのタイプを、測色法によって検出する工程、
- 前記カレット(6)中で検出された種々のガラスのタイプの量を計算する工程、
- 前記カレット(6)に関連する酸化物の量及び/又は酸化還元電位を、前記カレット(6)中で検出された種々のガラスのタイプの量の関数として決定する工程、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記計算工程の間に、測色法によって検出された種々のガラスのタイプに応じて、前記カレット(6)のそれぞれのガラスのタイプの量を表す情報を、前記カレットのそれぞれのガラスのタイプに特異的なそれぞれの色によって覆われている表面積の関数として計算し、この表面積は、前記検出工程の間に取得された前記カレット(6)の取得画像(16)において計測される、請求項1に記載の処理方法。
【請求項3】
前記計算工程の間に、前記カレット(6)のそれぞれのガラスのタイプに特異的な合計の体積に対応する種々のガラスのタイプの量を、前記表面積の関数として計算する、請求項2に記載の処理方法。
【請求項4】
前記検出工程が、前記カレット(6)の取得画像(16)を取得する第1のフェーズ、そして、前記カレット(6)の前記取得画像(16)を測色処理する第2のフェーズ、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項5】
前記カレット(6)の前記取得画像(16)を測色処理する前記第2のフェーズを、HSVモデルに従って、かつ/又はRGBモデルに従って、実行する、請求項4に記載の処理方法。
【請求項6】
前記カレット(6)のそれぞれのガラスのタイプに特異的なそれぞれの色によって覆われた前記表面積を、前記第1の取得フェーズのために用いられる画像取得装置(4)のピクセルサイズ(14)、及び前記色のそれぞれに対応するパターンのピクセル(14)の数の関数として計算する、請求項4と組み合わせた、請求項1~5のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項7】
前記カレット(6)中の酸化物の量を、前記カレット(6)のそれぞれのガラスのタイプの合計の量の関数として決定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項8】
前記カレット(6)の前記酸化還元電位を、前記カレット(6)中に存在するそれぞれのガラスのタイプの酸化還元電位、及び前記カレット(6)のそれぞれのガラスのタイプの量の関数として決定する、請求項1~7のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項9】
前記カレット(6)を溶融することを意図しているガラス炉(3)を設定する工程を含み、この設定工程が、酸化物の量及び/又は酸化還元電位を決定する工程の後に行われ、この設定は、前記カレット(6)に関連する、決定された酸化物の量及び/又は酸化還元電位に応じて実行される、請求項1~8のいずれか一項に記載の処理方法。
【請求項10】
前記設定工程の間に、前記ガラス炉(3)の酸化還元バランスを、添加剤を添加することによって修正し、この添加剤の量は、前記カレット(6)の酸化物の量及び/又は酸化還元電位の関数である、請求項9に記載の処理方法。
【請求項11】
少なくとも1つのガラス炉(3)及び形成ステーションを有する、無機繊維を製造するための設備(1)であって、
カレット(6)が前記ガラス炉に投入されて、前記形成ステーションに供給されることが意図される溶融ガラスが取得され、
前記設備(1)は、請求項1~10のいずれか一項に記載のカレット(6)を処理する方法を実施する、設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リサイクルガラス(再利用ガラス)から無機繊維を製造する分野に関し、より特には、カレットを処理する方法に関し、この方法は、ガラスの溶融に先行する。
【背景技術】
【0002】
ガラス断片のサンプル、又はカレットは、ガラスに基づく種々の製品を製造するために用いられる。例えば、遮断(絶縁)の分野では、慣用的に、主にカレットから得られる無機繊維が用いられる。カレットは、また、ボトル及び他のガラス容器を製造するためにも用いられうる。
【0003】
無機繊維は、カレットを、ガラス炉中で、ガラスを溶融するために十分な温度で、すなわち約1,500℃で加熱することを第1に含む方法に続いて、製造される。そして、この溶融ガラスを、繊維延伸プレート型の遠心装置中に配置し、繊維が生成され、繊維は、コンベヤへのそれらの経路の間に結合され、そして、それらはコンベヤ上で乾燥され、硬化され、かつ成形される。
【0004】
炉の温度は、カレットの最適な溶融に影響する唯一の因子ではない。実際、炉は、また、レドックスバランス、又は酸化還元バランス、にも従って設定され、これは、正確であり、かつカレットに適合され、それによって、安定した様式で、かつ不純物を生じさせずに、カレットが溶融される。しかしながら、炉のパラメータに適用される理想的な酸化還元バランスは、カレットの組成に依存し、すなわち、どのようなタイプのガラスが含まれるか、及びどのような量で含まれるかに依存する。
【0005】
カレットを視覚的に監視し、そのようにして、主要なガラスのタイプを決定することが知られている。例示として、カレット中で頻繁に見られるガラスのタイプの中でも、クリアガラス又は緑色ガラス又は琥珀色ガラスが慣用的である。
使用者によって行われるこの監視に続いて、ガラス炉を適切に設定し、それにより、酸化還元バランスが主要なガラスのタイプに適合されるようにする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、カレットを処理する方法を提案することによって炉を設定するこの背景に属する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記を含む点で特徴づけられる:
測色法によってカレット中に含有される複数のガラスのタイプを検出する工程、
カレット中で検出された種々のガラスのタイプの量を計算する工程、
カレットに関連する酸化物の量及び/又は酸化還元電位を、カレット中で検出された種々のガラスのタイプの量に応じて決定する工程。
【0008】
したがって、このような方法によれば、カレットの組成が自動的に決定され、その化学的な組成が推定される。これを知ることによって、炉を設定し、そのようにしてカレットの最適な溶融のために炉を適合させることが、可能になる。したがって、この方法を完全に自動化することが可能であり、したがってエラーのリスクを制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明に係るカレットの処理方法を実施する、無機繊維を製造するための設備の配置の例を示す。
【
図2】
図2は、カレットの断片の体積を計測するためのシステムを描写するダイアグラムである。
【
図3】
図3は、カレット中で見いだされうるガラスのタイプのそれぞれに関する酸化鉄の質量割合及び酸化還元電位を列挙する表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
検出工程は、カレット中にどのタイプのガラスが存在するかを決定するために用いられる。測色検出は、カレットの断片のそれぞれの色を正確に分析することを可能にする方法であり、そこから、検出された色のそれぞれに対して、ガラスのタイプを推定することを可能にする方法である。そのような検出を提供するために、例示として、カレットを、画像取得装置に面して配置してよく、かつ光源によって照射してよく、そのようにして、カレットが、光源と画像取得装置との間に配置されるようにしてよい。別の例によれば、光源及び画像取得装置を、カレットの同じ側に配置してよい。そのような例では、カレットを、反響基材上に配置し、そのようにして、画像取得装置が、光源によって射出される光線をとらえることができるようにする。光源によって生成される光線は、少なくとも部分的にカレットの断片のそれぞれを通過し、そして、透過した光が、取得装置によって捕捉される。画像取得装置の赤外線捕捉によって、着色されたガラスのタイプ、例えば緑色又は琥珀色に限られず、クリアガラスの種々のタイプを検出できる。
【0011】
種々のガラスのタイプが、測色法によって同定される。そして、カレットの画像を取得し、その後に、カレット中の種々のガラスのタイプの量を決定するために用いる。
【0012】
そして、この方法では、引き続き、これらの上述の量を計算する。換言すると、この計算工程は、カレット中におけるそれぞれのガラスのタイプの相対的な分布を決定することを可能にする。この計算は、特に、カレットの取得された画像に基づいて、種々のガラスのタイプの表面積の測定を用いて、行うことができる。
【0013】
最後に、本方法では、カレット中に存在する酸化物の量を決定する工程を行う。酸化物は、化学元素と酸素とが結合した化合物である。カレット中には、例えば、シリカなどの主要な酸化物が存在する。カレットは、また、例えば、金属酸化物を含み、具体的には例えば、酸化鉄、酸化銅、又は酸化クロムを含む。より特には、種々のガラスのタイプにおける特定の酸化物の存在及びその量は、カレットの酸化還元電位に影響するパラメータであり、したがって、ガラス炉中でカレットを処理する操作に影響するパラメータである。したがって、カレット中の特定の酸化物の量を決定することは、ガラス炉のパラメータを調節することによってその最適な溶融を進めることを可能にする。したがって、この工程の目的は、カレット中に含有される少なくとも1つの酸化物のタイプの合計での量を決定することである。したがって、この酸化鉄の量は、カレット中に存在するそれぞれのガラスのタイプの量に依存し、計算工程の間に決定され、上記ガラスのタイプは、それぞれ、それに特徴的である特定の酸化物の質量割合を有する。
【0014】
本発明の1つの特徴によれば、本方法の決定工程は、カレット中で検出された種々のガラスのタイプの量に応じて、カレットに関連する酸化鉄の量を決定することを可能にする。
【0015】
一般的に、酸化鉄の量は、種々のガラスのタイプそれぞれに対して一定である。したがって、酸化鉄の質量割合を、それで特徴づけられるガラスのそれぞれのタイプに関連付けることが可能であり、かつ、この情報を用いて、ガラス炉を適宜設定することが可能である。
【0016】
本発明の1つの特徴によれば、検出工程が、カレットの取得画像を取得する第1のフェーズ、そして、カレットの上記取得画像を測色処理する第2のフェーズを含む。第1の取得フェーズは、取得装置を介してカレットの取得画像をキャプチャする(捕捉する)ことを可能にする。例示として、取得装置はカメラであってよい。
【0017】
本発明の1つの特徴によれば、検出工程に先行して、カレットを分布させる工程が行われてよい。理想的には、画像取得の誤り及びこの誤りから方法の進行とともに生じるすべてを回避するために、カレットのガラス断片は、有利には、重なり合わないように分布される必要がある。換言すると、カレットは、いくつかのガラス断片が互いに重なり合うことを回避するように分布され、又は広げられ、それによって、カレットの質の高い画像が得られる。
【0018】
本発明の1つの特徴によれば、取得画像が、赤外線フィルタを有しておらず、かつ、取得が、好ましくは、暗い環境で行われる。このようにして、取得装置は、特には赤外線を捕捉することによって、比較的正確性の高い画像捕捉を行う。したがって、そのような構成によれば、クリアガラス及び最小の断片が、比較的容易に検出される。
【0019】
第2の測色処理フェーズは、それを実行するためにカレットの取得された画像を必要とする限りにおいて、第1の取得フェーズの後に行われる。カレットのそれぞれの断片の色が検出されるのは、第2の測色処理フェーズの間である。
【0020】
第2の測色処理フェーズは、画像処理モジュールを介して行ってよい。測色処理とは、暗号化されたデータ又は文字で表現されたデータとして、取得画像に現れる色合いのマッチングを得るための、すべてのタイプの画像処理モジュールの使用を意味することが理解される。画像処理モジュールは、取得装置に含まれてよく、又はさらには、それとは独立であってよい。画像処理モジュールは、カレットの取得画像を受容し、それによって上記画像を分析するように構成されている。
【0021】
本発明の1つの特徴によれば、カレットの取得画像の測色処理の第2のフェーズが、HSVモデルに従って、かつ/又はRGBモデルに従って、行われる。いずれのモデルも用いることができる。これらのモデルのうちの1つのみを用いる場合には、HSVモデルが最も効果的である。しかしながら、好ましくは、HSVモデルを使用し、そして、RGBモデルを使用し、それによって、最適な画像処理を得るのが有利である。
【0022】
HSV色空間は、色相/彩度/輝度(Hue Saturation Value)を意味する頭文字である。これらの3つの用語それぞれの基準は、可視ドメインにおいて任意の色合いを定義することを可能にする。
【0023】
色相は、円によって表現することができる用語であり、0~360°にわたるデータ範囲によって規定される。それぞれの度数は、下記の表に従って色相を表す:
【0024】
【0025】
彩度は、0~1にわたる用語であり、色の量の観念を反映する。0に近づく彩度は、比較的ぼんやりとしており、一方で、1に近づく彩度は、より鮮やかである。
【0026】
輝度も、0~1にわたる用語であり、明度又は照度の観念を反映する。0に等しい値を有する任意のデータは、黒色に関連する。この値が1に近いほど、関連する色がより明確である。
【0027】
種々のHSVデータのすべてを、「回転する」円錐によって表現でき、この中で、可視ドメインの色合いのすべてを、HSVの観点で変換することができ、すべてが、この「回転する」円錐の領域の点に対応する。色相は、円錐の周縁に対応し、彩度は、円錐の半径に対応し、輝度は、円錐の高さに対応する。
【0028】
HSVモデルに対応する画像処理モジュールは、HSVモデルの1つのみの基準を考慮することによって、より特にはこのHSVモデルのH基準のみを考慮することによって、画像取得装置によって得られた画像を処理する。
【0029】
HSVモデルのV基準も、異なるが類似の色を有する2つのガラスのタイプを区別するために有用であり得、そのような区別は、HSVモデルのH基準のみでは困難である。
【0030】
HSVモデルと同様に、RGBモデルは、可視ドメインにおける色合いのそれぞれを規定するための3つのデータの値に基づく。それぞれの色は、この色を規定するために用いられる3つの主要な色、すなわち赤R、緑G及び青B、のそれぞれの値の関数として規定される。RGBのそれぞれの値は、0~255の範囲である。
【0031】
したがって、RGBモデルは、処理方法の間にカレットの取得画像において測色処理を実行するために用いることができる。ただし、これは、HSVモデルを用いた処理よりも長い処理を生じ、なぜならば、RGBモデルの3つのデータを計算する必要があり、それによって、カレットの取得画像からカレットのそれぞれの断片の色を決定する必要があるからである。RGBモデルは、また、HSVモデルに続いて用いることもでき、それによって、HSVモデルを介した測色処理の間に決定されたカレットのそれぞれの断片の色が、確認又は否定される。
【0032】
本発明の1つの特徴によれば、計算工程の間に、測色によって検出された種々のガラスのタイプに応じて、カレットのそれぞれのガラスのタイプに特異的なそれぞれの色によって覆われる表面積の関数として、カレットのそれぞれのガラスのタイプの量を示す情報を計算し、この表面積は、検出工程の間に取得されたカレットの取得画像において計測される。
【0033】
合計の表面積とは、同一の色に対応しておりしたがって特にはガラスのタイプに対応する種々のスポットの表面積の合計を意味するものと理解されるべきである。したがって、この表面積は、カレットのそれぞれのガラス断片に関して計測される。計算は、カレットの取得画像に現れるそれぞれの断片を考慮し、それらのそれぞれの表面積を、カレットの取得画像の解像度を考慮に入れることによって計算し、それによって、例えば、カレットの取得画像がこの断片のサイズスケールを変更する場合に、断片の真の表面積が得られる。
【0034】
それぞれの断片の表面積が計測されると、計測された表面積のすべてを、ガラスのタイプごとに整理し、それによって、それぞれのガラスのタイプに関する合計の表面積を取得し、かつそのようにして、それらそれぞれの量を決定する。
【0035】
本発明の1つの特徴によれば、計算工程の間に、カレットのそれぞれのガラスのタイプについて特定される合計体積に対応する種々のガラスのタイプの量を、上記表面積の関数として計算する。体積の計算は、カレット中の種々のガラスのタイプの表面積の計測を用いて計算される計測単位の1つの例である。カレットのそれぞれの断片の体積を計算するために、それらそれぞれの厚みを考慮する必要がある。本発明によって実施される画像取得装置が3次元画像の取得を可能にしない場合には、カレットのそれぞれの断片の体積を、それらの取得画像から直接に決定することはできない。これを解決するために、本発明者らは、それぞれの断片の体積が、実質的にその表面積に関係することを特定した。例示として、ガラスボトルの最も厚い部分、すなわち最も重い部分、例えばネック部又は底部、は、ガラスボトルの比較的薄い部分、したがって比較的軽い部分よりも、割れにくい。したがって、最も厚い部分の断片は、比較的薄い部分の断片の表面積よりも大きい表面積を有する断片である傾向がある。また、それぞれのガラス色が使用に特異的でありうる限りは、ガラス断片の体積を、例えば、それらの色を介して見積もることも可能である。例示として、カレット中で見られる色づいたガラスは、ボトルに由来する傾向があり、一方で、クリアガラスは、平坦ガラス断片に由来し、これは、平均的に、ボトルのガラスよりも厚い。したがって、カレットのそれぞれの断片の表面積に基づいて、カレット中に存在するそれぞれのガラスのタイプの体積の分布を確立することが可能である。そのような方法は、体積の実際の分布を決定するためのカレットの長くかつ労力を有する分類を行う必要なく、カレットのそれぞれのガラスのタイプの体積の実際の分布に接近することが可能であることを意味する。
【0036】
本発明の1つの特徴によれば、カレットのそれぞれのガラスのタイプに特徴的なそれぞれの色によって覆われた表面積を、第1の取得フェーズのために用いられる画像取得装置のピクセルサイズ、及び色のそれぞれに対応するパターンのピクセルの数の関数として、計算する。したがって、表面積の計算は、用いられる画像取得装置の特徴に依存する。カレットの取得画像のそれぞれのピクセルは、ガラス断片に関係する色で色づいていてよい。そうでない場合には、これは、上記ピクセルの近傍にガラス断片がないことを意味する。したがって、このピクセルは、カレットの断片の表面積を計算するためには考慮されない。
【0037】
表面積は、画像処理モジュールによって計算でき、したがってこれは、カレットの断片の色を検出し、また、検出された色のそれぞれが取得画像のいくつのピクセルにわたって延在するのかも計算する。カレットの断片のそれぞれの色に対するピクセルの数の結果を、用いられる取得画像のタイプによって決まるピクセルのサイズで乗算することによって、カレットの断片のそれぞれの色の表面積を知ることが可能になる。そうすることによって、カレットのそれぞれのガラスのタイプの体積の相対的な分布が、それから推定される。
【0038】
本発明の1つの特徴によれば、カレット中の酸化物の量が、カレットのそれぞれのガラスのタイプの合計量の関数として決定される。一般に、相当な量の酸化物がカレット中に存在し、これは、カレットの酸化還元電位に影響する。したがって、カレット中の酸化物の量、例えば酸化鉄の量を知ることは、カレットの最適な溶融を後に達成するために必須である。それぞれのガラスのタイプに関する酸化物の量は、既知の定数であり、したがって、カレット中のガラスのタイプのそれぞれの相対的な体積を確立することが有利である。カレットのそれぞれのガラスのタイプの体積を、この特定の酸化物、例えば酸化鉄、のその質量割合で乗算することによって、この酸化物の特定の量が、カレット中において、ガラスのタイプのそれぞれに特徴的なものとして、明らかとなる。これらの量のそれぞれを加算し、かつ合計をガラスの密度で乗算することによって、カレット中に存在するこの特定の酸化物の合計量が明らかとなる。
【0039】
処理されたカレットが、溶融されることが意図されているガラスの取り合わせのサンプルのみである場合には、特定の酸化物、例えば酸化鉄、の取得される量は、溶融されることが意図されているガラスの取り合わせにおける相対的な体積に対応し、したがって、ガラスの取り合わせ中に存在する特定の酸化物、例えば酸化鉄、の量を、適切な計算を介して見積もることが可能である。
【0040】
したがって、特定の酸化物、例えば酸化鉄、の合計の量は、ガラス炉のパラメータを適切に適合させることを可能にし、それによって、ガラスの最適な溶融が進行され、かつその後に、品質の高い最終製品が得られる。
【0041】
本発明の1つの特徴によれば、カレットの酸化還元電位を、カレット中に存在するそれぞれのガラスのタイプの酸化還元電位、及びカレットのそれぞれのガラスのタイプの量の関数として、決定する。それぞれのガラスのタイプの酸化還元電位は、それぞれのガラスのタイプに含まれる、鉄(II)イオンの量と、鉄の合計量との間の比の結果に対応しうる。
【0042】
酸化鉄の質量割合と同様に、それぞれのガラスのタイプの酸化還元電位は、それぞれのガラスのタイプに特定の定数である。酸化鉄は、カレットの酸化還元電位のバリエーションに主に影響する要素でありうるが、他の金属要素、例えば酸化銅又は酸化クロムが存在し、これらを考慮して、カレットの酸化還元電位を決定できる。
【0043】
例えば酸化鉄の量に加えてカレットの酸化還元電位を計算することは、ガラスの2つのタイプが同様の色を有することがありかつ同様の酸化鉄の質量割合を有することがある一方でそれらのそれぞれの酸化還元電位の点で大きく異なりうる場合に、有用でありうる。
【0044】
本発明の1つの特徴によれば、処理方法が、カレットを溶融するために意図されているガラス炉を設定する工程を含んでよく、この設定工程は、酸化物の量及び/又は酸化還元電位の決定の工程の後であり、この設定は、カレットに関連する決定された酸化物の及び/又は酸化還元電位に応じて実行される。カレットの酸化物の量及び/又は酸化還元電位が明らかとなったときに、そのような結果を考慮することができ、それによって、ガラス炉を主導で設定し、又はさらには、完全に自動化された処理の間に用いることができる。
【0045】
処理方法の先立つ工程の間に得られた結果に応じて、この設定工程は、炉を適合させることを含み、例えば、温度又は酸化還元バランスの観点で炉を適合させることを含み、それによって、カレットが最適に溶融される。
【0046】
本発明の1つの特徴によれば、設定工程の間に、ガラス炉の酸化還元バランスを、添加剤を添加することによって修正し、この添加剤の量は、カレットの酸化物の量及び/又は酸化還元電位の関数である。カレットの最適な溶融を進行するために、炉の酸化還元バランスは、溶融されることが意図されているカレットの組成に正確に適合する必要がある。したがって、カレットを溶融する際に、炉の酸化還元バランスを修正するために添加物を添加することができ、この酸化還元バランスは、好ましくは、例えば、2つのしきい値の間の範囲でありうる値で維持される必要がある。添加される添加物は、カレットの酸化還元電位を増加または減少できる化合物であり、例えば、酸化剤である。
【0047】
本発明は、また、少なくとも1つのガラス炉及び形成ステーションを有する、無機繊維を製造するための設備も含み、カレットが、このガラス炉に投入され、それによって、形成ステーションに供給されることが意図される溶融ガラスが得られ、この設備において、上述したカレットの処理方法が実施される。
【0048】
本発明のさらなる特徴及び利点が、一方では、下記の記載を通じて、他方では、添付の概略的な図面への参照とともに非制限的な提示として提供されるいくつかの態様を通じて、より明らかとなるであろう。
【0049】
図1は、無機繊維を製造するための設備1の配置である。設備1は、少なくともカレット6がガラス炉3内で溶融されることを可能にする。溶融が完了すると、溶融ガラスは、例えば、ここでは図示されていない形成ステーションへと循環されてよく、これは、無機繊維の形成を保証する。これは、非排他的な例であり、溶融ガラスは、カレット6の溶融に由来する任意の他の最終製品を製造するために使用でき、例えば、ボトル又は平坦ガラスを製造するために使用できる。
【0050】
ガラス炉3によって溶融される前に、カレット6を、例えば、移動方向11で作動するコンベヤ10を介して、移動させてよい。移動方向11は、ガラス炉3に向いている。
【0051】
カレット6は、再利用されたものであってよいガラス断片の取り合わせに対応してよく、又はさらには、上述のそのような取り合わせであってかつ溶融されることが意図されるもののサンプルに対応してよい。カレット6が、ガラス断片の取り合わせの中から取り出されたサンプルに対応する場合には、このサンプルは、ガラス断片の取り合わせ中の種々のガラスのタイプの分布に類似する種々のガラスのタイプの分布を有する。
【0052】
カレット6の組成は、ガラス炉3によるその最適な溶融を確保するための重要な因子である。実際、カレット6中に存在するガラスのタイプ、及びカレット6中のそれぞれの上記のガラスのタイプの量に応じて、ガラス炉3を設定することができ、それによって、カレット6のガラス断片の溶融が改善される。ガラス炉3の設定が良好でない場合には、カレット6の不完全な溶融を生じることがあり、かつ後に、準拠せず又は低品質である最終製品が製造されることにつながりうる。
【0053】
上記を解決するために、カレット6を、ガラス炉3内で溶融される前に、処理システム2によって実施される処理方法に供する。処理システム2は、特には、画像取得装置4及び画像処理モジュール5を有する。これら2つの要素は、処理方法のうちの少なくとも1つの第1の工程を実施することを可能にし、この工程は、検出工程である。そのような検出工程は、第1の取得フェーズ及び第2の測色処理フェーズに分けられる。
【0054】
画像取得装置4は、例えば、カメラであってよく、その目的は、コンベヤ10の上を移動するカレット6の画像を捕捉することであり、それによって、第1の取得フェーズが実施される。カレット6の取得画像を得、それによりそれを後に適切に処理できるように、カレット6は、画像取得装置4が明瞭な画像を捕捉できるように適切に照明される必要がある。このために、例えば、カレット6を支持体8の上に配置することができる。したがって、コンベヤ10の上に配置されるのは、支持体8である。この支持体8は、カレット6を照明する光源7を有する。このようにして、光源7によって射出される光線が、透過によって支持体8を通過し、そして、カレット6のそれぞれのガラス断片を通過する。光線が支持体8を通過することを可能にするために、上記の支持体は、透明な基部を有し、これの上に、カレット6が載置される。これは、複数の透過した光線9を生じ、これらは、カレット6を通過した後で、画像取得装置4によって捕捉される。
【0055】
カレット6がガラス断片の取り合わせのサンプルに対応する場合には、カレット6の画像を、コンベヤ10の外で、カレット6がその上に載置される固定支持体8を用いて、取得してよい。処理が完了したあとで、カレット6をコンベヤ10の上に配置する。
【0056】
有利には、画像取得装置4による画像取得を、暗くされた環境中で実行してよく、それによって、カレット6の明瞭な取得画像を得、のちに、最も小さい断片を含むすべての断片とともに、種々のガラスのタイプのすべてを適切に区別できるようになる。さらには、この場合に、画像取得装置は、クリアガラスの断片を断片のない区域から正確に区別するため赤外線フィルタを有しない。
【0057】
図1では、カレット6が支持体8の上に配置されており、これ自体が、光源7を有する。しかしながら、例えば、光源7を有する透明コンベヤ10を設置することができ、カレット6は、コンベヤ10の上に直接に配置される。したがって、光源7は、カレット6及び画像取得装置4に対してコンベヤ10の反対側に配置される。このようにして、コンベヤ10の透明性は、光源が、コンベヤ及びカレット6を通過し、そしてそれが画像取得装置4に到達することを、保証する。
【0058】
有利には、カレット6のガラス断片が、それらが光源7の前を通過する前に、支持体8の全体にわたって分布し、そのようにして、それらの重なり合いが回避され又は少なくとも制限され、そのようにして、カレット6の全体にわたって画像が適切に取得できるようにする。本発明を限定するものではないが、特には、支持体8及びそれに配置されるカレット6を、くしが支持体8全体にわたるカレット6の適切な分布を保証できるステーションに通過させてよい。
【0059】
カレット6の取得画像が得られたら、それを、画像処理モジュール5へと輸送する。このモジュールの特定の機能は、カレット6のガラス断片それぞれの色を検出することであり、それによって、この断片がどのタイプのガラスに対応するのかが決定される。画像処理モジュール5は、特には、異なるガラスの複数のタイプを、これらのガラスのタイプが互いに対して同様の色を有している場合であっても、検出できる。これは、検出工程の第2の測色処理フェーズである。
【0060】
カレット6の種々のガラスのタイプを適切に検出するために、検出された色を、例えば、画像処理モジュール5のデータベースと比較してよく、それによって、そこから、検出された色のそれぞれに関連するガラスのタイプを推定する。
【0061】
不決定の場合、例えば、検出された色が特定のガラスのタイプに正確に対応しない場合には画像処理モジュール5は、ガラス断片を、検出された色に最も近い色を有するガラスのタイプに関連付けてよく、又はさらには、ガラス断片を別個のカテゴリーに分類してよく、このカテゴリーは、その色が特定のガラスのタイプに明確に特異的であると識別されなかったガラス断片をまとめる。時の経過に伴って、データベースの精度を高めることができる。
【0062】
画像処理モジュール5は、種々のタイプのガラスを、HSV、RGBモデルを介して検出でき、又はさらには、この2つのモデルの組み合わせを介して検出できる。HSVモデルは、値Hのみを計算しそれによって種々のタイプのガラスが検出できるという点で有利であり、一方で、RGBモデルは、モデルのデータの3つの要素を計算する必要がある。組み合わせて用いられた場合には、HSVモデル及びRGBモデルは、二元検出を行うことを可能にする。そのようにして、カレット6の断片のそれぞれが、ガラスの特定のタイプに対応するものとして検出される。一般に、カレット6中において最も多くみられるガラスの色は、クリアガラス、緑色ガラス、及び琥珀色ガラスである。しかしながら、互いに実質的に同一の色を有するいくつかのタイプのガラスが存在しうる。測色分析は、これらの種々のタイプのガラスを、それらの類似の色にもかかわらず、互いに区別することを可能にする。
【0063】
画像処理モジュール5は、また、カレット6中に存在する種々のガラスのタイプの量を決定することもでき、例えば、カレット6中のガラスのそれぞれのタイプの合計の相対的な体積を決定することもできる。特定のガラスのタイプの体積は、特に2次元取得画像の場合には、検出された色がこのタイプのガラスの色に対応するガラス断片の合計の表面積を参照することによって決定され、この表面積は、この色に関連する取得画像中のピクセルの数の関数として計算される。表面積を考慮することは、そこから、検出されたガラスのそれぞれのタイプの厚みの推定されたデータを導くことを可能にし、これに基づいて、この特定のガラスのタイプに関連する体積を決定することを可能にする。換言すると、カレット6のそれぞれのガラスのタイプに関して、ガラスのタイプの体積が、このガラスのタイプに対応する色のパターンの形成に関与するピクセルの数の関数である。そのような相関が、発明者によって確認され、カレット6中のそれぞれのガラスのタイプの実際の体積とおおよそ同等の結果をもたらす。
【0064】
それぞれガラスのタイプの合計の相対体積は、画像取得装置4の解像度にも依存する。実際、この解像度の関数として、ピクセルの数及びピクセルのサイズが、1つの画像取得装置モデル4と他のものとの間で異なる。そのようなデータは、画像取得装置4の技術書に提供されている。
【0065】
例示として、カレット6中に見られるタイプAガラスの体積を決定するために、タイプAガラスに関連する色に関連するとして特定されたピクセルの数を、画像処理モジュール5を介して決定し、そして、ピクセルのこの数を、ピクセルのサイズで乗算する。この色の画像上のスポットに対応する表面積を、このようにして計算する。そして、このタイプAガラスに対応する体積を、下記に記載される本発明者によって規定された計算モードに基づいて、決定する。
【0066】
それぞれのガラスのタイプの体積は、カレット6中の種々のガラスのタイプの量を計算するための量的な値の例である。他の計測を実行して、カレット6の断片の表面積の計測に基づいて、カレット6のガラスのタイプのそれぞれの量を決定してもよい。
【0067】
図2は、カレットのガラス断片の表面積を決定する例を示す。
図2は、画像取得装置がカレットの画像を捕捉した後の、カレットの取得画像16の一部を概略的に示す。
【0068】
図2において、第1の断片12及び第2の断片13を見ることができ、これらは、いずれも、処理されたカレットの一部を形成する。グリッド15は、ピクセル14の1組を仮想的に示すことを可能にしている。
【0069】
したがって、画像処理モジュールが処理画像16を受け取り、かつカレット中に存在するすべてのタイプのガラスを測色法によって特定した後で、目的は、カレットのすべての断片の表面積を決定し、それによって、そこから、それらの体積を導くことである。
【0070】
したがって、画像処理モジュールは、断片のそれぞれを、それらがいくつのピクセル14にわたって延在するかを決定することによって分析する。画像取得装置の解像度に応じて、特定の断片は、程度の差はあれピクセル14にわたって延在することができ、したがって、計算において、画像取得装置の解像度を考慮することが重要である。
【0071】
表面積と体積との間の、発明者によって確認された相関によって、カレットの断片のそれぞれの体積を見積もることが可能であり、これは、2次元取得画像16に基づくのみである。
図2の例によれば、第2の断片13が、第1の断片12よりも大きい表面積を有する。
【0072】
ガラス断片のそれぞれの体積は、断片の表面積とその厚みとの間の相関の関数として決定される。換言すると、断片のそれぞれの厚みを、そのそれぞれの表面積の関数として導く。そのような相関は、ガラス断片の表面積が大きいほど、その断片の厚みがより厚くなる傾向があるという事実から導かれる。この相関が確立されうるので、ある断片がある表面積を有するときに、この表面積の値を分析することによって、その断片を、ある厚みに関連するクラスに分類することができる。
【0073】
代替的には、乗算係数を表面積に適用することができ、それによって、それから厚みを導くことができる。画像処理によって決定された表面積の値と組み合わされた、断片の厚みの決定は、それから、その断片の体積を後に導くことを可能にする。
図2に示された例を参照して、画像処理モジュールが、第2の断片13が第1の断片よりも大きい表面積を有すると分析した後で、それぞれの断片に対応する厚みが決定され、発明者によって提供された予測モデルを参照すると、第1の断片の厚みの値が、第2の断片の厚みの値よりも小さい。最後に、体積を計算し、第2の断片13が、第1の断片12よりも大きい体積を有する。
【0074】
取得画像16に現れる断片のそれぞれの体積が計算されたあとで、この体積を、検出されたガラスのタイプに従って加算する。例えば、第1の断片12及び第2の断片13が、測色法によって、同一のガラスのタイプであるとして検出された場合には、それらのそれぞれの体積を、一緒に、取得画像16で検出されたこのガラスのタイプのすべての断片の体積とともに、加算する。第1の断片12及び第2の断片13が、互いに区別される2つのガラスのタイプに対応する場合、第1の断片12の体積を、第1の断片12のガラスのタイプに対応する断片の体積に加え、第2の断片13の体積を、同じタイプのガラスの断片の体積に加える。
【0075】
カレットの断片の体積の合計が、それぞれのガラスのタイプに関して行われたときに、処理方法の計算工程を終了する。
【0076】
続く工程は、カレットに関連する酸化物の量及び/又は酸化還元電位を、カレット中で検出された種々のガラスのタイプの量の関数として決定する工程である。そのような工程は、種々のガラスのタイプ、及びそれらのそれぞれの体積、が検出された後でのみ行ってよい。例示として、それぞれのガラスのタイプの酸化鉄の量及び酸化還元電位を、
図3において情報として提供する。
【0077】
酸化鉄は、カレットの酸化還元電位に影響する化学元素であり、この理由から、ガラス炉によるカレットの溶融に影響する。したがって、カレット中における酸化鉄の量を制御し、それによって、炉を適宜設定し、そのようにして、カレットの最適な溶融を実行することが重要である。一般に、カレット中に存在するすべてのタイプの酸化物の量を決定できる。酸化物のそれぞれの量、及び、
図3の例によれば、酸化鉄の量を、それぞれのガラスのタイプ内で、一定の質量割合によって決定する。
【0078】
図3の表中に、いくつかのタイプのガラスが列挙されており、色調によって分類されている。したがって、2つのクリアガラスのタイプが、タイプA及びタイプBのガラスとして列挙されており、4つの緑色ガラスのタイプが、タイプC、D、E及びFとして列挙されており、3つの琥珀色ガラスのタイプが、G、H及びIタイプのガラスとして列挙されており、青色タイプのガラスが、タイプJガラスとして列挙されている。これらのガラスのタイプのそれぞれは、酸化鉄の一定の質量割合を有する。したがって、
図3の表によれば、これから傾向を導くことが可能であり、特に、酸化鉄が、クリアガラス及び青色ガラス内に非常に少量で存在すること、及び、琥珀ガラス中で比較的多い量で存在することを導くことが可能である。比較的多くの酸化鉄が存在するのは、緑色ガラス中である。したがって、緑色ガラスの断片を多くの量で含むカレットは、同一の合計質量であるが緑色ガラスが少数であるカレットと比較して、より多くの酸化鉄の全体的な量を有する。
【0079】
カレット中に存在する酸化鉄の合計の量は、下記の式に従って計算される:
【0080】
【0081】
ρ
ガラスは、ガラスの密度であり、体積iは、検出工程の間に計算されたガラスのタイプのそれぞれの体積であり、FeO
[%]iは、
図3の表中で見られるガラスのタイプのそれぞれの酸化鉄の質量濃度である。したがって、ガラスのタイプのそれぞれの体積を、それ自身の酸化鉄の質量濃度で乗算し、そして、これらの得られた結果のそれぞれを加算し、そして、全体を、ガラスの密度で乗算することによって、カレット中に存在する酸化鉄の合計量が明らかとなる。そのような量は、カレットがより広範囲のガラス断片の取り合わせを代表するサンプルに対応するに過ぎない場合には、のちに比例されうる。そのような計算は、また、カレット中に存在する酸化物の任意の他のタイプの量を決定するためにも適用できる。
【0082】
そのような計算は、代替的に又は加算的に、それぞれのガラスのタイプの酸化還元電位を介して実行してもよく、それによって、カレットに関連する酸化還元電位を得てよい。見られるように、それぞれのガラスのタイプの酸化還元電位は、酸化鉄の質量濃度に比例しない。これは、特には、他の元素、例えば酸化銅又は酸化クロムが、このガラスのタイプ中に存在し、その元素が、それぞれのガラスのタイプの酸化還元電位を変化させうるからである。
【0083】
酸化鉄の実質的に同一の質量割合にもかかわらず、ガラスCの酸化還元電位とガラスDの酸化還元電位が、互いに対して大きく異なっていることを特に見ることができ、この差異は、ガラスDに関して比較的多い量の還元剤の存在によって説明することができ、又はさらには、ガラスDに関してより大きい鉄の合計量の存在によって説明でき、酸化還元電位は、それぞれのガラスのタイプに関して、Fe2+イオンの量と鉄の合計量との比を決定することによって計算されうる。カレットに関連する酸化物の合計量を計算するか又は酸化還元電位を計算するかの決定は、例えば、カレットの組成に依存しうる。
【0084】
そのようなことで、カレット中で検出された種々のガラスのタイプの量の関数としてカレットに関連する酸化物の量及び/又は酸化還元電位を決定する工程が、完了する。
【0085】
図1をさらに参照して、画像処理モジュール5が、制御モジュール30と通信できることを見ることができ、これによって、カレット6中に存在する酸化物の量又はその酸化還元電位が伝達される。
【0086】
制御モジュール30は、上記の情報を受信でき、かつガラス炉3のパラメータを適宜修正できる。したがって、ガラス炉3のパラメータを、カレット6の組成の関数として修正してよく、それによって、カレットの最適な溶融がもたらされる。ガラス炉3の酸化還元バランスを、特に、カレット6の酸化還元電位又は酸化物の量に適合させるために、修正することができる。ガラス炉3の酸化還元バランスは、例えば、添加剤、例えば酸化剤を添加することによって修正でき、それによって、カレット6の酸化が低減される。これは、ガラス炉3を設定する工程である。
【0087】
図1に示されるように、この追加の工程は、完全に自動化されてよく、そのようにして、制御モジュール30が、処理モジュール5によって提供された結果の関数として、ガラス炉3のパラメータを自動で修正できる。本発明の範囲から逸脱することなく、ガラス炉3の設定のための指示を、処理モジュール5によって直接に行うこともできる。ガラス炉3は、また、操作者によって手動で設定されてもよい。この点に関して、処理モジュール5が、例えば、操作者によって読まれる結果表示スクリーンを備えてよく、これに応じて、操作者は、適宜、ガラス炉3のパラメータを修正することができ、又は修正しないことができる。
【0088】
ガラス炉3のパラメータは、絶対的な様式で修正されてよく、すなわち、溶融されることが意図されているそれぞれの新たなカレット6に対して個々に修正されてよい。ガラス炉3のパラメータは、また、相対的な様式で修正されてもよく、すなわち、それらは、カレット6と、同じガラス炉3によって以前に溶融されたカレットとの間の結果における差異の関数として、修正される。2つのカレット6の間の酸化物の量又は酸化還元電位の差が過度に大きい場合には、ガラス炉3のパラメータは、適宜修正され、ガラス炉3のパラメータは、それとして維持される。
【0089】
無論、本発明は、上記の例に限定されず、種々の調節を、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの例示に行うことができる。
【0090】
上記のように、本発明は、記載されたその目的を明らかに達成し、カレットを処理する方法を提案でき、これは、カレットが最適に溶融されることを確保する。ここに記載されない代替的な態様は、本発明に従って、それらが本発明に係る処理方法を含む限りは、本発明の範囲から逸脱することなく実施できる。
【国際調査報告】