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特表2023-549287核酸検出及び疾患診断のための、質量分析に基づく方法及びキット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】核酸検出及び疾患診断のための、質量分析に基づく方法及びキット
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/10 20060101AFI20231115BHJP
   C12Q 1/6872 20180101ALI20231115BHJP
   C12Q 1/6853 20180101ALI20231115BHJP
   C12N 15/11 20060101ALN20231115BHJP
【FI】
C12N15/10 110Z
C12Q1/6872 Z
C12N15/10 112Z
C12Q1/6853 Z
C12N15/11 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023548980
(86)(22)【出願日】2021-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-05-01
(86)【国際出願番号】 CA2021051510
(87)【国際公開番号】W WO2022087730
(87)【国際公開日】2022-05-05
(31)【優先権主張番号】63/105,554
(32)【優先日】2020-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】523152514
【氏名又は名称】ワイワイゼット ファーマテック インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100138210
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 達則
(74)【代理人】
【識別番号】100134784
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 和美
(72)【発明者】
【氏名】ジョン ジー.マーシャル
(72)【発明者】
【氏名】ミン ミャオ
【テーマコード(参考)】
4B063
【Fターム(参考)】
4B063QA01
4B063QA18
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR08
4B063QR56
4B063QR62
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4B063QX02
(57)【要約】
本開示は、質量分析を使用して核酸を検出する方法に関する。本開示は更に、試料中の標的核酸分子の存在を検出することによって、HIV及びCOVID-19などの疾患の核酸を検出及び/又は診断する方法に関する。本開示はまた、HIV及びCOVID-19などの疾患の核酸の検出及び核酸の検出及び/又は診断のためのキットに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的核酸分子を検出する方法であって、
a.
i.前記標的核酸分子を含むと推定される試料を、前記標的核酸分子に相補的な配列を含み、かつ固相に付着している捕捉オリゴヌクレオチドプローブと共に、第1の結合溶液中で、インキュベートすることであって、任意選択的に、前記固相がリンカーを介して前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブに付着している、インキュベートすること、又は
ii.前記標的核酸分子を含むと推定される試料を、前記固相と共にインキュベートして、第1の結合溶液中で、前記試料/標的核酸分子を前記固相に付着させることであって、任意選択的に、前記固相がリンカーを介して前記試料/標的核酸分子に付着している、インキュベートすることと、
b.標的:検出複合体を形成するための条件下で、第2の結合溶液中で、任意の標的核酸分子を検出オリゴヌクレオチドプローブに結合させることと、
c.標的:検出:酵素複合体を形成するための条件下で、第3の結合溶液中で、任意の標的:検出複合体をレポーター酵素検出プローブと共にインキュベートすることと、
d.洗浄溶液で前記固相を洗浄して、任意の未結合のレポーター酵素検出プローブを除去することと、
e.基質反応溶液中で、任意の標的:検出:酵素複合体を、レポーター酵素検出プローブ基質と共にインキュベートして、1つ以上のイオン化可能な生成物を生成することと、
f.質量分析(MS)を使用して、前記1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの少なくとも1つを検出することと、を含み、
i.前記第1の結合溶液、前記第2の結合溶液、及び前記第3の結合溶液のうちの少なくとも前記第3の結合溶液が、無機塩を実質的に含まず、
ii.前記洗浄溶液が、無機塩を実質的に含まず、
iii.前記方法が、任意の標的:検出:酵素複合体の成分と、捕捉オリゴヌクレオチドプローブとを、任意選択的なステップd)及びステップe)の前に、架橋することを更に含み、かつ/又は
iv.前記方法が、MSを使用して検出する前に、前記1つ以上のイオン化可能な生成物を分離することを更に含み、
前記1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの前記少なくとも1つの検出が、前記試料が前記標的核酸分子を含むことを示す、方法。
【請求項2】
前記第2の結合溶液、前記第3の結合溶液及び前記基質反応溶液が、トリス緩衝液を各々含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、任意選択的に前記固相への非共有結合若しくは共有結合によって前記固相に直接固定化されるか、又は前記検出オリゴヌクレオチドプローブが、検出オリゴヌクレオチドプライマーであり、前記ステップが、増幅溶液中で、検出オリゴヌクレオチドプライマーを用いて前記標的核酸分子を増幅することと、標的:検出複合体を形成するための条件下で、前記第2の結合溶液中で、任意の増幅された標的を前記検出オリゴヌクレオチドプローブに結合させることとを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記方法が、MSを使用する検出の前に前記1つ以上のイオン化可能な生成物を分離することを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記分離が、液体クロマトグラフィーによるものである、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記液体クロマトグラフィーが、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、及び高速液体クロマトグラフィー(HPLC)から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記液体クロマトグラフィーが、アイソクラチックである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
MSを使用して前記1つ以上のイオン化可能な生成物を検出する前記ステップが、任意選択的にエレクトロスプレーイオン化(ESI)、MALDI、化学イオン化、電子衝撃、レーザー脱離、電気イオン化、又は熱イオン化によって前記1つ以上のイオン化可能な生成物をイオン化して1つ以上の生成物イオンを生成することと、前記1つ以上の生成物イオンを、MS、任意選択的にタンデムMS(MS/MS)に供することとを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記イオン化が、正イオン化又は負イオン化である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記生成された1つ以上の生成物イオンが、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10である選択されたシグナル対ノイズ比を有する、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
前記MSが、エレクトロスプレーイオン化タンデムMS(ESI-MS/MS)、マトリックス支援レーザー脱着/イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)、タンデムMS(MS/MS)、複数ラウンドのフラグメンテーションMSN、MALDI、エレクトロスプレー、ナノスプレー、表面イオン化、レーザー脱着及びイオン化、大気イオン化、真空イオン化、並びにキャピラリー電気泳動、超音波又は音波又は振動、ナノ液滴又はマイクロ液滴試料導入システムを備えたMSから選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
MSを使用して検出することが、単一イオンモニタリング(SIM)による生成物イオン強度及び/又は単一試薬モニタリング(SRM)による生成物イオン親からフラグメントへの遷移を記録することを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、少なくとも25ヌクレオチド長、少なくとも35ヌクレオチド長である前記標的核酸分子の一部に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、任意選択的に、前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、約30ヌクレオチド~約60ヌクレオチド長、又は約40ヌクレオチド~約55ヌクレオチド長である前記標的核酸分子の配列の一部に相補的な配列を有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記検出オリゴヌクレオチドプローブが、ビオチン、ALFA-タグ、Aviタグ、C-タグ、カルモジュリン-タグ、ポリグルタミン酸タグ、E-タグ、Flag-タグ、HA-タグ、His-タグ、myc-タグ、NE-タグ、Rho1D4-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Sofタグ1、Sofタグ3、Spot-タグ、Strept-タグ、T7-タグ、TC-タグ、Ty1タグ、V5タグ、VSV-タグ、Xpressタグ、Isopepタグ、Spyタグ、Snoopタグ、Dogタグ、Sdyタグ、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタス、GFPタグ、Haloタグ、SNAP-タグ、CLIP-タグ、HUH-タグ、マルトース結合タンパク質タグ、Nus-タグ、チオレドキシン-タグ、Fc-タグ、及びCRDSAT-タグから選択される二次標的部分を含み、任意選択的に、前記二次標的部分がビオチンである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記標的核酸分子の他の部分に相補的な前記検出オリゴヌクレオチドプローブの前記オリゴヌクレオチドの前記配列が、少なくとも25ヌクレオチド長、少なくとも35ヌクレオチド長であり、任意選択的に、検出オリゴヌクレオチドプローブが、約30ヌクレオチド~約60ヌクレオチド長、又は約40ヌクレオチド~約55ヌクレオチド長である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブ及び前記検出オリゴヌクレオチドプローブが、両方、非重複領域で前記標的核酸分子に結合することができ、任意選択的に、前記非重複領域が隣接し、任意選択的に、前記非重複領域が少なくとも1ヌクレオチド離れ、任意選択的に、前記非重複領域が少なくとも5ヌクレオチド離れ、任意選択的に、前記非重複領域が約2ヌクレオチド、約5ヌクレオチド、約10ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、又は約25ヌクレオチド離れている、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記レポーター酵素検出プローブが、レポーター酵素及び任意選択的に二次標的結合部分を含み、前記二次標的結合部分が、前記レポーター酵素に共有結合している、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記二次標的結合部分が、前記検出オリゴヌクレオチドプローブの前記二次標的部分に結合し、アビジン、ストレプトアビジン、カルモジュリン、陰イオン交換樹脂、Mono-Q、陽イオン交換樹脂、抗E-タグ抗体、抗FLAG-タグ抗体、抗HA-タグ抗体、ニッケル又はコバルトキレート、抗Myc-タグ抗体、抗NE-タグ抗体、抗Rho1D4-タグ抗体、抗S-タグ抗体、抗Sofタグ1抗体、抗Sofタグ3抗体、ナノボディ、ストレプタクチン、抗T7-タグ抗体、FIAsH二ヒ素化合物、ReAsH二ヒ素化合物、抗Ty1タグ抗体、抗V5タグ抗体、抗VSVタグ抗体、抗Xpressタグ抗体、ピリン-Cタンパク質、SpyCatcherタンパク質、SnoopCatcherタンパク質、SnoopタグJrタンパク質、SdyCatcherタンパク質、グルタチオン、GFP抗体、ハロアルカン基質、ベンジルグアニン誘導体、ベンジルシトシン誘導体、HUH特異的DNA配列、アミロースアガロース、Nus-タグ抗体、抗チオレドキシン-タグ抗体、プロテイン-Aセファロース、ラクトース、アガロースから選択され、任意選択的に、前記二次標的結合部分が、前記二次標的部分がビオチンであるとき、アビジン及びストレプトアビジンから選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記レポーター酵素が、ホスファターゼ、任意選択的にアルカリホスファターゼ、リアーゼ、ヒドロラーゼ、シンターゼ、シンテターゼ、オキシドレダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、プロテアーゼ、例えばトリプシン、プロテイナーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、モノオキシゲナーゼ、シトクロム、デカルボキシラーゼ、リパーゼ、カスパーゼ、アミラーゼ、ペプチダーゼ、トランスアミナーゼ、キナーゼ、DNA又はRNAポリメラーゼ、任意選択的にTAQ、制限酵素、クレノーフラグメント、及びDNAリガーゼから選択される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
前記レポーター酵素が、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、トリプシン、シトクロムCモノオキシゲナーゼ、及びミエロペルオキシダーゼから選択され、任意選択的に、前記レポーター酵素が、アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記1つ以上のイオン化可能な生成物が、ESI-MS/MS又はMALDI-TOF下で容易にイオン化可能であり、高いシグナル対ノイズ比によって特徴付けられる生成物イオンを生成し、前記基質が、任意選択的に、
a.前記酵素がアルカリホスファターゼ(AP)であるとき、リン酸化ヌクレオシド、任意選択的にAMP若しくはCMP、又はヌクレオチド、任意選択的にATP若しくはCTP、リン酸化アルカロイド、リン酸化アミノ酸、リン酸化アミノ酸ポリマー、及びリン酸化代謝生成物、
b.前記レポーター酵素が西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)であるとき、フェノール、アミン、任意選択的にフェノールアミン、芳香族化合物、オレフィンハロゲン化物、ルミノール、ピロガロール、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)、及びAmplex(登録商標)Redから選択される化合物、あるいは
c.オピエート、洗剤、染料前駆体、アルコール、及びマトリックス、から選択される、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記レポーター酵素検出プローブ基質が、ピリドキサミン-5-リン酸(PA5P)、p-ニトロフェニルホスフェート(PNPP)、Amplex(登録商標)Red(AR)、ナフトールASMXホスフェート、ルミノール、Lumigen(登録商標)TMA3、Lumigen(登録商標)TMA6、スフィンゴシン、4MUP、L-(+)-2-アミノ-6-ホスホノヘキサン酸、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、BluePhos(登録商標)、フェニルベンゼンωホスホノ-α-アミノ酸、O-ホスホ-DL-スレオニン、アデノシンモノホスフェート(AMP)、AR(3-アミノ-9-エチルカルバゾール)、4-CN(4-クロロ-1-ナフトール)、DAB(3,3’-ジアミノベンジミジン)、OPD(o-フェニレンジアミン)、TMB(3,3’’,5,5’’-テトラメチルベンジジン)、pNPP(p-ニトロフェニルホスフェート)、NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)、INT(p-インドニトロテトラゾリウム)、MUP(4-メチルウンベリフェリルホスフェート)、及びFDP(フルオレセインジホスフェート)、ピロガロールから選択される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記レポーター酵素検出プローブ基質が、
a.前記レポーター酵素検出プローブがHRPを含むとき、AR、ルミノール、Lumigen(登録商標)TMA3、及びLumigen(登録商標)TMA6、又は
b.前記レポーター酵素検出プローブがAPを含むとき、ナフトールASMXホスフェート、及びPNPP、から選択される、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の結合溶液、前記第2の溶液、前記第3の結合溶液、及び/又は前記洗浄溶液が無機塩を実質的に含まないとき、前記第1の結合溶液、前記第2の溶液、前記第3の結合溶液、及び/又は前記洗浄溶液が各々独立して、エタノールアミン、重炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸ピリジニウム、トリアルキルアンモニウム/ギ酸、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、N-エチルモルホリン/アセテート、酢酸トリアルキルアンモニウム、又はそれらの組み合わせから選択される揮発性緩衝液を含む揮発性溶液である、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミン、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記トリアルキルアンモニウムが、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、又はそれらの組み合わせから選択される、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項27】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミンである、請求項24又は25に記載の方法。
【請求項28】
前記第1の結合溶液、前記第2の結合溶液、前記第3の結合溶液、及び/又は前記洗浄溶液が無機塩を実質的に含まないとき、前記第1の結合溶液、前記第2の結合溶液、前記第3の結合溶液、及び/又は前記洗浄溶液が、各々独立してエタノールアミンを含み、任意選択的に前記第2の結合溶液及び前記第3の結合溶液が、各々エタノールアミンを含み、任意選択的に前記第1の結合溶液、前記第2の結合溶液、及び前記第3の結合溶液が、各々エタノールアミンを含み、任意選択的に前記洗浄溶液が、エタノールアミンを含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
ステップa)及びステップb)が、同時に行われ、ステップa)の前記第1の結合溶液が、ステップb)の前記第2の結合溶液である、請求項1~28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記標的:検出複合体を前記レポーター酵素検出プローブとインキュベートする前に、前記固相を前記第2の結合溶液で洗浄することを更に含む、請求項1~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記標的核酸分子を前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブと共にインキュベートする前に、前記固相をブロッキング剤、任意選択的にウシ血清アルブミン(BSA)で洗浄することを更に含む、請求項1~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記第1の結合溶液、前記第2の結合溶液、前記第3の結合溶液、及び前記基質反応溶液が、各々独立して、約7~約10、任意選択的に約7~約8、任意選択的に約8.8のpHを有する、請求項1~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記基質反応溶液が、N-オクチルグルコシド、デオキシコレート、ラピゲスト、オクチル-ベータ-グルコピラノシド、オクチルグルコピラノシド、チャップ、ビッグチャップ、非イオン性酸不安定性界面活性剤、グルコシド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシドチオグルコシド、n-オクチル-β-D-チオグルコピラノシドマルトシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、n-ウンデシル-β-D-マルトピラノシド、n-トリデシル-β-D-マルトピラノシド、シマル-5、シマル-6、チオマルトシド、n-ドデシル-β-D-チオマルトピラノシド、アルキルグリコシド、オクチルグルコースネオペンチルグリコール、ポリオキシエチレングリコール、トリトン、NP40、ツイーン(商標)、ツイーン(商標)20、トリトンX-100、トリトンx-45、C8E4、C8E5、C10E5、C12E8、C12E9、Brij、Anapoe-58、Brij-58、及びそれらの組み合わせから任意選択的に選択される非イオン性非ポリマー洗剤を含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記基質がルミノールを含むとき、前記基質反応溶液が4-ヨードフェニルボロン酸を更に含む、請求項23~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記固相が、反応容器、任意選択的にビーズ、プレート、キャピラリー、フィルター、又はナノ/マイクロ/ミリウェル反応容器であり、前記表面が、紙、ニトロセルロース、アクリレート、プラスチック、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メラミン、シリカ、ポリリジン被覆ガラス、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(APTES)処理ガラス、及び3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(APTMS)処理ガラスから選択される、請求項1~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブの前記固相への前記付着が、H-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-オキシスクシンイミド(NOS)、マレイミド、ヒドラジド、グルタルアルデヒドカップリング、又はPEG架橋を介するものである、請求項1~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記標的:検出:酵素複合体が、72時間未満、24時間未満、12時間未満、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、2分未満、又は1分未満の期間、前記基質反応溶液中で、前記レポーター酵素検出プローブ基質と共にインキュベートされて、前記1つ以上のイオン化可能な生成物を生成する、請求項1~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記生成物イオンが、最適化されたフラグメンテーションエネルギー及びm/z範囲を使用して、SIM及び/又はSRMによってアッセイされる、請求項12~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記基質が、AMP、ADP若しくはATPであり、生成された1つ若しくは前記イオン化可能な生成物が、アデノシンを含み、その生成物イオンが、268m/zにおけるSIMによってアッセイされるか、又は、前記基質がCMP、CDP若しくはCTPであり、生成された1つ若しくは前記イオン化可能な生成物が、シトシンを含み、その生成物イオンが、283m/zにおけるSIMによってアッセイされるか、又は、前記基質がARであり、生成された前記1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの1つが、レゾルフィンを含み、その生成物イオンが、214m/zにおけるSIM及び214~186m/zにおける主要な強いフラグメントを使用するSRMによってアッセイされる、請求項21に記載の方法。
【請求項40】
前記基質が、ナフトールASMXホスフェートであり、生成された前記1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの1つが、脱リン酸化ナフトールASMXを含み、その生成物イオンが、292m/zにおけるSIM及び292~171m/zにおける主要な強いフラグメントを使用するSRMによってアッセイされるか、又は前記基質が、PA5Pであり、生成された1つ若しくは前記イオン化可能な生成物が、PAを含み、その生成物イオンが、169m/zにおけるSIMによってアッセイされる、請求項22に記載の方法。
【請求項41】
前記イオン化可能な生成物が、イオン化溶液中で生成物イオンにイオン化される、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記第1の結合溶液、前記第2の結合溶液、及び前記第3の結合溶液のうちの少なくとも前記第3の結合溶液が、無機塩を実質的に含まず、請求項24~27のいずれか一項に記載の揮発性緩衝液を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、前記固相を前記洗浄溶液で洗浄して、任意の未結合のレポーター酵素検出プローブを除去することを含み、前記洗浄溶液が、無機塩を実質的に含まず、請求項24~27のいずれか一項に記載の揮発性緩衝液を含む、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
任意の標的:検出:酵素複合体の前記成分及び前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、任意選択的なステップd)及びステップe)の前に架橋され、前記架橋が、H-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-オキシスクシンイミド(NOS)、マレイミド、ヒドラジド、グルタルアルデヒドカップリング、スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)架橋又はPEG架橋を介するものである、請求項1~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
任意の標的:検出:酵素複合体の前記成分及び前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブの前記架橋が、グルタルアルデヒドカップリング、DSS架橋、又はPEG架橋を介するものである、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
試料中の標的核酸分子の量を定量化する方法であって、
a.請求項1~45のいずれか一項に記載の方法に従って標的核酸分子を検出するステップと、
b.質量分析によって検出された前記イオン化可能な生成物のうちの1つ以上についての前記シグナルの強度に基づいて、前記試料中の標的核酸分子の量を定量化するステップと、を含む、方法。
【請求項47】
前記定量化が、同様の条件下で、既知量の標的物質を使用して生成されたシグナル強度に対して、1つ以上の生成物についての前記シグナルの前記強度を比較することを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記標的核酸分子が、ピコモル、フェムトモル、若しくはアトモルの範囲内で、又はそれらの範囲までで、前記試料中に存在するか、又は存在すると疑われる、請求項46又は47に記載の方法。
【請求項49】
前記標的核酸分子が、DNA、RNA、並びにそれらの組み合わせ及び誘導体から選択される、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記試料が、生物学的試料、工業生成物、環境試料、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)反応生成物である、請求項46~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記生物学的試料が、血液試料、尿試料、糞便試料、滲出液、組織試料又は痰試料である、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
標的核酸分子を検出する方法であって、
修飾プライマー及び第2のプライマーを用いて、前記標的核酸分子を含むと推定される試験試料に対して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又はハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)又はローリングサークル反応又は他の核酸反応などの核酸増幅を実施して、前記修飾プライマーを含む増幅された核酸生成物、任意選択的にPCR生成物を得ることであって、前記修飾プライマーが、二次標的部分又はレポーター酵素で官能化されている、実施することと、
前記増幅された核酸生成物を、任意の未反応修飾プライマーから分離することと、
前記修飾プライマーが、前記二次標的部分で官能化されているとき、前記増幅された核酸生成物を、第1の結合溶液中で、レポーター酵素検出プローブと共に、増幅された核酸生成物:レポーター酵素複合体を形成する条件下でインキュベートして、結合していないレポーター酵素検出プローブを洗浄溶液で除去することであって、前記レポーター酵素検出プローブが、二次標的結合部分及びレポーター酵素を含む、インキュベートすることと、
前記増幅された核酸生成物又は前記増幅された核酸生成物:レポーター酵素基質複合体を、基質反応溶液中で、レポーター酵素基質とインキュベートして、1つ以上のイオン化可能な生成物を生成することと、
質量分析(MS)を使用して、前記1つ以上のイオン化可能な生成物を検出することであって、
前記修飾プライマーがフォワードプライマーであるとき、前記第2のプライマーがリバースプライマーであり、前記修飾プライマーがリバースプライマーであるとき、前記第2のプライマーがフォワードプライマーである、検出することと、を含む、方法。
【請求項53】
前記第2のプライマーが固相に結合され、任意選択的に、前記第2のプライマーがリンカーを介して前記固相に結合される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記第2のプライマーが、任意選択的に、前記固相への非共有結合又は共有結合によって、前記固相に直接結合されている、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記増幅された核酸生成物からの前記未反応修飾プライマーの分離が、遠心分離、濾過及び/又は溶媒洗浄によるものである、請求項53又は54に記載の方法。
【請求項56】
前記増幅された核酸生成物を前記レポーター酵素検出プローブと共にインキュベートする前に、前記修飾プライマーを含む前記増幅された核酸生成物を固相と共に第2の結合溶液中で、前記増幅された核酸生成物を前記固相上に結合させる条件下でインキュベートすることを更に含み、前記固相が、前記増幅された核酸生成物に相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドプローブをその上に付着させており、任意選択的に、前記固相が、リンカーを介して捕捉オリゴヌクレオチドプローブに付着されている、請求項52に記載の方法。
【請求項57】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、任意選択的に、前記固相への非共有結合又は共有結合によって、前記固相に直接結合されている、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の結合溶液及び/又は前記洗浄溶液が、揮発性であり、NaClを実質的に含まない、請求項52~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記第2の結合溶液が、揮発性であり、NaClを実質的に含まない、請求項56又は57に記載の方法。
【請求項60】
前記第1の結合溶液又は前記第2の結合溶液が、揮発性緩衝液を各々含む、請求項58又は59に記載の方法。
【請求項61】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミン、重炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸ピリジニウム、トリアルキルアンモニウム/ギ酸、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、N-エチルモルホリン/アセテート、酢酸トリアルキルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミン、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記トリアルキルアンモニウムが、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項60又は61に記載の方法。
【請求項64】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミンである、請求項62又は63に記載の方法。
【請求項65】
前記増幅された核酸生成物を前記固相に結合させる前に、ブロッキング剤、任意選択的にウシ血清アルブミン(BSA)で前記固相を洗浄することを更に含む、請求項56に記載の方法。
【請求項66】
前記第1の結合溶液又は前記第2の結合溶液が、各々独立して、約7~約10、任意選択的に約7~約8、任意選択的に約8.8のpHを有する、請求項60に記載の方法。
【請求項67】
前記増幅された核酸生成物:レポーター酵素複合体からの任意の未結合のレポーター酵素検出プローブを除去することが、遠心分離、濾過及び/又は溶媒洗浄によるものである、請求項52~66のいずれか一項に記載の方法。
【請求項68】
MSを使用する検出の前に、前記1つ以上のイオン化可能な生成物を分離することを更に含む、請求項52~67のいずれか一項に記載の方法。
【請求項69】
前記分離が、液体クロマトグラフィー、任意選択的に順相クロマトグラフィー又は逆相クロマトグラフィーによるものであり、任意選択的にクロマトグラフィーがアイソクラチックである、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記液体クロマトグラフィーが、サイズ排除クロマトグラフィー、ゲル浸透クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、順相クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー、電気泳動分離、キャピラリー電気泳動、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、及びそれらの組み合わせである、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記HPLCが、ナノフロー液体クロマトグラフィーである、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
MSを使用して前記1つ以上のイオン化可能な生成物を検出する前記ステップが、任意選択的にエレクトロスプレーイオン化(ESI)、MALDI、化学イオン化、電子衝撃、レーザー脱離、電気イオン化、又は熱イオン化によって、前記1つ以上のイオン化可能な生成物をイオン化して、選択されたシグナル対ノイズ比を有する1つ以上の生成物イオンを生成することと、前記1つ以上の生成物イオンを、MS、任意選択的にタンデムMS(MS/MS)に供することとを含む、請求項52~71のいずれか一項に記載の方法。
【請求項73】
前記イオン化が、正イオン化又は負イオン化である、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記選択されたシグナル対ノイズ比が、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、又は少なくとも10である、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記MSが、エレクトロスプレーイオン化タンデムMS(ESI-MS/MS)、マトリックス支援レーザー脱着/イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)、タンデムMS(MS/MS)、複数ラウンドのフラグメンテーションMSN、MALDI、エレクトロスプレー、ナノスプレー、表面イオン化、レーザー脱着及びイオン化、大気イオン化、真空イオン化、並びにキャピラリー電気泳動、超音波又は音波又は振動、ナノ液滴又はマイクロ液滴試料導入システムを備えたMSから選択される、請求項52~74のいずれか一項に記載の方法。
【請求項76】
MSを使用する検出が、単一イオンモニタリング(SIM)による生成物イオン強度及び/又は単一試薬モニタリング(SRM)による生成物イオン親からフラグメントへの遷移を記録することを含む、請求項52~75のいずれか一項に記載の方法。
【請求項77】
前記二次標的部分が、ビオチン、ALFA-タグ、Aviタグ、C-タグ、カルモジュリン-タグ、ポリグルタミン酸タグ、E-タグ、Flag-タグ、HA-タグ、His-タグ、myc-タグ、NE-タグ、Rho1D4-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Sofタグ1、Sofタグ3、Spot-タグ、Strept-タグ、T7-タグ、TC-タグ、Ty1タグ、V5タグ、VSV-タグ、Xpressタグ、Isopepタグ、Spyタグ、Snoopタグ、Dogタグ、Sdyタグ、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタス、GFPタグ、Haloタグ、SNAP-タグ、CLIP-タグ、HUH-タグ、マルトース結合タンパク質タグ、Nus-タグ、チオレドキシン-タグ、Fc-タグ、及びCRDSAT-タグから選択され、任意選択的に、前記二次標的部分がビオチンである、請求項52~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記二次標的結合部分が、前記二次標的部分に結合し、アビジン、ストレプトアビジン、カルモジュリン、陰イオン交換樹脂、Mono-Q、陽イオン交換樹脂、抗E-タグ抗体、抗FLAG-タグ抗体、抗HA-タグ抗体、ニッケル又はコバルトキレート、抗Myc-タグ抗体、抗NE-タグ抗体、抗Rho1D4-タグ抗体、抗S-タグ抗体、抗Sofタグ1抗体、抗Sofタグ3抗体、ナノボディ、ストレプタクチン、抗T7-タグ抗体、FIAsH二ヒ素化合物、ReAsH二ヒ素化合物、抗Ty1タグ抗体、抗V5タグ抗体、抗VSVタグ抗体、抗Xpressタグ抗体、ピリン-Cタンパク質、SpyCatcherタンパク質、SnoopCatcherタンパク質、SnoopタグJrタンパク質、SdyCatcherタンパク質、グルタチオン、GFP抗体、ハロアルカン基質、ベンジルグアニン誘導体、ベンジルシトシン誘導体、HUH特異的DNA配列、アミロースアガロース、Nus-タグ抗体、抗チオレドキシン-タグ抗体、プロテイン-Aセファロース、ラクトース、アガロース、及びセファロースから選択され、任意選択的に、前記二次標的結合部分が、アビジン及びストレプトアビジンから選択される、請求項52~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記レポーター酵素が、ホスファターゼ、任意選択的にアルカリホスファターゼ、リアーゼ、ヒドロラーゼ、シンターゼ、シンテターゼ、オキシドレダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、プロテアーゼ、例えばトリプシン、プロテイナーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、モノオキシゲナーゼ、シトクロム、デカルボキシラーゼ、リパーゼ、カスパーゼ、アミラーゼ、ペプチダーゼ、トランスアミナーゼ、キナーゼ活性、DNA又はRNAポリメラーゼ、任意選択的にTAQ、制限酵素、クレノーフラグメント、及びDNAリガーゼから選択される、請求項52~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記レポーター酵素が、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、トリプシン、シトクロムCモノオキシゲナーゼ、及びミエロペルオキシダーゼから選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記1つ以上のイオン化可能な生成物が、ESI-MS/MS又はMALDI-TOF下で容易にイオン化可能であり、高いシグナル対ノイズ比によって特徴付けられる生成物イオンを生成し、前記基質が、任意選択的に、
a.前記酵素がアルカリホスファターゼ(AP)であるとき、リン酸化ヌクレオシド、任意選択的にAMP若しくはCMP、又はヌクレオチド、任意選択的にATP若しくはCTP、リン酸化アルカロイド、リン酸化アミノアミノ酸、リン酸化アミノ酸ポリマー、及びリン酸化代謝生成物;
b.前記レポーター酵素が西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)であるとき、フェノール、アミン、任意選択的にフェノールアミン、芳香族化合物、オレフィンハロゲン化物、ルミノール、ピロガロール、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)、及びAmplex(登録商標)Redから選択される化合物、あるいは
c.オピエート、洗剤、染料前駆体、アルコール、及びマトリックス、から選択される、請求項52~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記レポーター酵素基質が、ピリドキサミン-5-リン酸(PA5P)、p-ニトロフェニルホスフェート(PNPP)、Amplex(登録商標)Red(AR)、ナフトールASMXホスフェート、ルミノール、Lumigen(登録商標)TMA3、Lumigen(登録商標)TMA6、スフィンゴシン、4MUP、L-(+)-2-アミノ-6-ホスホノヘキサン酸、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、BluePhos(登録商標)、フェニルベンゼンωホスホノ-α-アミノ酸、O-ホスホ-DL-スレオニン、アデノシンモノホスフェート(AMP)、AR(3-アミノ-9-エチルカルバゾール)、4-CN(4-クロロ-1-ナフトール)、DAB(3,3’-ジアミノベンジミジン)、OPD(o-フェニレンジアミン)、TMB(3,3’’,5,5’’-テトラメチルベンジジン)、pNPP(p-ニトロフェニルホスフェート)、NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)、INT(p-インドニトロテトラゾリウム)、MUP(4-メチルウンベリフェリルホスフェート)、及びFDP(フルオレセインジホスフェート)、ピロガロールから選択される、請求項79に記載の方法。
【請求項83】
前記レポーター酵素基質が、
a.前記レポーター酵素検出プローブがHRPを含むとき、AR、ルミノール、Lumigen(登録商標)TMA3、及びLumigen(登録商標)TMA6、又は
b.前記レポーター酵素検出プローブがAPを含むとき、ナフトールASMXホスフェート、及びPNPP、から選択される、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記基質反応溶液が、N-オクチルグルコシド、デオキシコレート、ラピゲスト、オクチル-ベータ-グルコピラノシド、オクチルグルコピラノシド、チャップ、ビッグチャップ、非イオン性酸不安定性界面活性剤、グルコシド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシドチオグルコシド、n-オクチル-β-D-チオグルコピラノシドマルトシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、n-ウンデシル-β-D-マルトピラノシド、n-トリデシル-β-D-マルトピラノシド、シマル-5、シマル-6、チオマルトシド、n-ドデシル-β-D-チオマルトピラノシド、アルキルグリコシド、オクチルグルコースネオペンチルグリコール、ポリオキシエチレングリコール、トリトン、NP40、ツイーン(商標)、ツイーン(商標)20、トリトンX-100、トリトンx-45、C8E4、C8E5、C10E5、C12E8、C12E9、Brij、Anapoe-58、Brij-58、及びそれらの組み合わせから任意選択的に選択される非イオン性非ポリマー洗剤を含む、請求項52~83のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記基質がルミノールを含むとき、前記基質反応溶液が4-ヨードフェニルボロン酸を更に含む、請求項52~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項86】
前記固相が、反応容器、任意選択的にビーズ、プレート、キャピラリー、フィルター、又はナノ/マイクロ/ミリウェル反応容器であり、前記表面が、紙、ニトロセルロース、アクリレート、プラスチック、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メラミン、シリカ、ポリリジン被覆ガラス、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(APTES)処理ガラス、及び3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(APTMS)処理ガラスから選択される、請求項52~85のいずれか一項に記載の方法。
【請求項87】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブの前記固相への前記付着が、H-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-オキシスクシンイミド(NOS)、マレイミド、ヒドラジド、又はグルタルアルデヒドカップリングを介するものである、請求項56~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
前記増幅された核酸生成物又は前記増幅された核酸生成物:レポーター酵素複合体が、72時間未満、24時間未満、12時間未満、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、2分未満、又は1分未満の期間、前記基質反応溶液中で、前記レポーター酵素基質と共にインキュベートされて、前記1つ以上のイオン化可能な生成物を生成する、請求項52~87のいずれか一項に記載の方法。
【請求項89】
前記生成物イオンが、最適化されたフラグメンテーションエネルギー及びm/z範囲を使用して、SIM及び/又はSRMによってアッセイされる、請求項76~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記基質が、AMP、ADP若しくはATPであり、生成された1つ若しくは前記イオン化可能な生成物が、アデノシンを含み、その生成物イオンが、268m/zにおけるSIMによってアッセイされるか、又は、前記基質がCMP、CDP若しくはCTPであり、生成された1つ若しくは前記イオン化可能な生成物が、シトシンを含み、その生成物イオンが、283m/zにおけるSIMによってアッセイされるか、又は、前記基質がARであり、生成された前記1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの1つが、レゾルフィンを含み、その生成物イオンが、214m/zにおけるSIM及び214~186m/zにおける主要な強いフラグメントを使用するSRMによってアッセイされる、請求項81に記載の方法。
【請求項91】
前記基質が、ナフトールASMXホスフェートであり、生成された前記1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの1つが、脱リン酸化ナフトールASMXを含み、その生成物イオンが、292m/zにおけるSIM及び292~171m/zにおける主要な強いフラグメントを使用するSRMによってアッセイされるか、又は前記基質が、PA5Pであり、生成された1つ若しくは前記イオン化可能な生成物が、PAを含み、その生成物イオンが、169m/zにおけるSIMによってアッセイされる、請求項81に記載の方法。
【請求項92】
前記イオン化可能な生成物が、イオン化溶液中で生成物イオンにイオン化される、請求項52~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記試験試料が、生物学的試料、工業生成物、又は環境試料である、請求項52~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記生物学的試料が、血液試料、尿試料、糞便試料、滲出液、組織試料又は痰試料である、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記PCRが、リアルタイムPCR(rtPCR)、定量的PCR(qPCR)、逆転写PCR、ネステッドPCR、ハイブリダイゼーション連鎖反応、ローリングサークルPCR、及び基質リサイクリング反応から選択される、請求項52~93のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
試験試料中の標的核酸分子の量を定量化する方法であって、
a.請求項1~51のいずれか一項に記載の方法に従って前記標的核酸分子を検出するステップと、
b.質量分析によって検出された前記イオン化可能な生成物のうちの1つ以上についてのシグナルの強度に基づいて、前記試験試料中の標的核酸分子の量を定量化するステップと、を含む、方法。
【請求項97】
前記定量化が、同様の条件下で、既知量の前記標的核酸分子を使用して生成されたシグナル強度に対して、1つ以上の生成物についてのシグナルの強度を比較することを含む、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記標的核酸分子が、ピコモル、フェムトモル、若しくはアトモルの範囲内で、又はそれらの範囲までで、前記試料中に存在するか、又は存在すると疑われる、請求項96又は97に記載の方法。
【請求項99】
1つ以上の標的オリゴヌクレオチドテンプレートが検出される、請求項1~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記標的核酸分子が、プラスミドDNA、又は細菌、ウイルス、真菌、哺乳動物若しくは植物ゲノムに含まれる配列である、請求項1~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記細菌ゲノムが、E.coli、Staphylococcus aureus、Chlamydia、Vibrio cholera、Clostridium、Enterococci、Fusobacterium、anaerobic bacilli、Gram negative cocci、Gram positive bacilli、Haemophilus、Haemophilus influenza、Klebsiella、Lactobacillus、Listeria、Borrelia、Mycobacterium、Mycoplasma、Neisseria、Prevotella、Pseudomonas、Salmonella、Shigella、Spirochaetes、Staphylococcus、Streptococcus、及びYersiniaのゲノムから選択され、任意選択的に、前記細菌ゲノムが、E.coli及びStaphylococcus aureusから選択され、かつ/又は前記真菌ゲノムが、Candidaゲノムから選択される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記ウイルスゲノムが、HIV、SARS-CoV、MERS、SARS-CoV-2、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、コロナウイルスゲノム、エンテロウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HPV、ノロウイルス、パラインフルエンザ、ライノウイルス、及び水痘ウイルスゲノムから選択され、任意選択的に、前記ウイルスゲノムが、HIV、SARS-CoV、MERS、SARS-CoV-2、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、及びコロナウイルスゲノムから選択される、請求項100に記載の方法。
【請求項103】
前記哺乳動物ゲノムが、ヒトゲノムである、請求項100に記載の方法。
【請求項104】
前記標的核酸分子が、前記HIVゲノムに含まれる配列を有する、請求項100に記載の方法。
【請求項105】
前記標的核酸分子が、前記SARS-CoV-2ゲノムに含まれる配列を有する、請求項100に記載の方法。
【請求項106】
前記標的核酸分子が、HIV核酸分子である、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法を含む、HIVを検出する方法。
【請求項107】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号14、配列番号17、配列番号20、及び配列番号23から選択される配列を有する、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記検出オリゴヌクレオチドプローブオリゴヌクレオチドが、配列番号16、配列番号19、配列番号22、及び配列番号25から選択される配列を有する、請求項106又は107に記載の方法。
【請求項109】
前記標的核酸分子が、SARS-CoV-2核酸分子である、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法を含む、SARS-CoV-2を検出する方法。
【請求項110】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号6及び配列番号13から選択される配列を有する、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記検出オリゴヌクレオチドプローブオリゴヌクレオチドが、配列番号5及び配列番号12から選択される配列を有する、請求項109又は110に記載の方法。
【請求項112】
前記標的核酸分子が、HIV核酸分子である、請求項52~98のいずれか一項に記載の方法を含む、HIVを検出する方法。
【請求項113】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号14、配列番号17、配列番号20、及び配列番号23から選択される配列を有する、請求項57~98が請求項56に従属する場合の請求項56~98のいずれか一項に記載の方法を含む、請求項112に記載の方法。
【請求項114】
前記標的核酸分子が、SARS-CoV-2核酸分子である、請求項52~98のいずれか一項に記載の方法を含む、SARS-CoV-2を検出する方法。
【請求項115】
前記修飾プライマーが、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される配列を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記第2のプライマーが、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される配列を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記修飾プライマーが、配列番号2の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号3又は配列番号8の配列を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項118】
前記修飾プライマーが、配列番号3の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号2又は配列番号7の配列を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項119】
前記修飾プライマーが、配列番号7の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号3又は配列番号8の配列を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項120】
前記修飾プライマーが、配列番号8の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号2、配列番号7の配列を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項121】
前記修飾プライマーが、配列番号9の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号10の配列を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項122】
前記修飾プライマーが、配列番号10の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号9の配列を有する、請求項114に記載の方法。
【請求項123】
請求項57~98が請求項56に従属する場合の請求項56~98のいずれか一項に記載の方法を含み、前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号6及び配列番号13から選択される配列を有する、請求項111141に記載の方法。
【請求項124】
キットであって、
i.捕捉オリゴヌクレオチドプローブであって、任意選択的にリンカーを介して、任意選択的に固相に結合されている、捕捉オリゴヌクレオチドプローブ、
ii.揮発性緩衝液を含み、NaCl又は架橋剤を実質的に含まない、揮発性結合溶液、
iii.オリゴヌクレオチドと二次標的部分とを含む検出オリゴヌクレオチドプローブ、
iv.レポーター酵素検出プローブであって、レポーター酵素と、前記二次標的部分に結合することができる二次標的結合部分とを含む、レポーター酵素検出プローブ、並びに/又は
v.請求項1~51のいずれか一項に記載の、基質、固相、標準物質、任意選択的に標準曲線を調製するため又は較正物質を調整するための任意選択的な生成物イオン標準物質、第2の結合溶液、第3の結合溶液、基質反応溶液、イオン化溶液、クエンチ溶液、任意選択的な第2の結合溶液、検出プローブ溶液、基質反応溶液、クエンチ溶液、イオン化溶液のうちの1つ以上、を含む、キット。
【請求項125】
前記第2の結合緩衝液及び前記基質反応緩衝液が、各々揮発性であり、各々独立して揮発性緩衝液を含む、請求項124に記載のキット。
【請求項126】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミン、重炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸ピリジニウム、トリアルキルアンモニウム/ギ酸、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、N-エチルモルホリン/アセテート、酢酸トリアルキルアンモニウム、及びそれらの組み合わせである、請求項125に記載のキット。
【請求項127】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミン、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項125又は126に記載のキット。
【請求項128】
前記トリアルキルアンモニウムが、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項126又は127に記載のキット。
【請求項129】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミンである、請求項125~127のいずれか一項に記載のキット。
【請求項130】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブ及び前記検出オリゴヌクレオチドプローブの両方が、標的核酸分子に結合する、請求項124~129のいずれか一項に記載のキット。
【請求項131】
前記標的核酸分子が、細菌、ウイルス、真菌、哺乳動物又は植物ゲノムに含まれる配列を有する、請求項130に記載のキット。
【請求項132】
前記レポーター酵素検出プローブの酵素が、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、トリプシン、シトクロムCモノオキシゲナーゼ、及びミエロペルオキシダーゼから選択される、請求項124~131のいずれか一項に記載のキット。
【請求項133】
前記基質が、アデノシン一リン酸(AMP)、CMP、ATP、CMP、P5AP、p-ニトロフェニルホスフェート(PNPP)、Amplex(登録商標)Red(AR)、ナフトールASMXホスフェート、ルミノール、Lumigen(登録商標)TMA3、Lumigen(登録商標)TMA6、スフィンゴシン、4MUP、L-(+)-2-アミノ-6-ホスホノヘキサン酸、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、BluePhos(登録商標)、フェニルベンゼンωホスホノ-α-アミノ酸、O-ホスホ-DL-スレオニン、AR(3-アミノ-9-エチルカルバゾール)、4-CN(4-クロロ-1-ナフトール)、DAB(3,3’-ジアミノベンジミジン)、OPD(o-フェニレンジアミン)、TMB(3,3’’,5,5’’-テトラメチルベンジジン)、pNPP(p-ニトロフェニルホスフェート)、NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)、INT(p-インドニトロテトラゾリウム)、MUP(4-メチルウンベリフェリルホスフェート)、及びFDP(フルオレセインジホスフェート)、及びピロガロールから選択される、請求項124~132のいずれか一項に記載のキット。
【請求項134】
前記イオン化溶液が、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、水酸化アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、又はプロピルアミンから任意選択的に選択される酸又は塩基を含む、請求項124~133のいずれか一項に記載のキット。
【請求項135】
前記クエンチ溶液が、正イオン化のために50%アセトニトリル、0.1%酢酸若しくは0.1%ギ酸若しくは0.1%トリフルオロ酢酸を、又は負イオン化のために0.1%水酸化アンモニウムを、任意選択的に含む、請求項124~134のいずれか一項に記載のキット。
【請求項136】
前記二次標的部分が、ビオチン、ALFA-タグ、Aviタグ、C-タグ、カルモジュリン-タグ、ポリグルタミン酸タグ、E-タグ、Flag-タグ、HA-タグ、His-タグ、myc-タグ、NE-タグ、Rho1D4-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Sofタグ1、Sofタグ3、Spot-タグ、Strept-タグ、T7-タグ、TC-タグ、Ty1タグ、V5タグ、VSV-タグ、Xpressタグ、Isopepタグ、Spyタグ、Snoopタグ、Dogタグ、Sdyタグ、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタス、GFPタグ、Haloタグ、SNAP-タグ、CLIP-タグ、HUH-タグ、マルトース結合タンパク質タグ、Nus-タグ、チオレドキシン-タグ、Fc-タグ、及びCRDSAT-タグから選択され、任意選択的に、前記二次標的部分がビオチンである、請求項124~135のいずれか一項に記載のキット。
【請求項137】
前記二次標的結合部分が、アビジン、ストレプトアビジン、カルモジュリン、陰イオン交換樹脂、Mono-Q、陽イオン交換樹脂、抗E-タグ抗体、抗FLAG-タグ抗体、抗HA-タグ抗体、ニッケル又はコバルトキレート、抗Myc-タグ抗体、抗NE-タグ抗体、抗Rho1D4-タグ抗体、抗S-タグ抗体、抗Sofタグ1抗体、抗Sofタグ3抗体、ナノボディ、ストレプタクチン、抗T7-タグ抗体、FIAsH二ヒ素化合物、ReAsH二ヒ素化合物、抗Ty1タグ抗体、抗V5タグ抗体、抗VSVタグ抗体、抗Xpressタグ抗体、ピリン-Cタンパク質、SpyCatcherタンパク質、SnoopCatcherタンパク質、SnoopタグJrタンパク質、SdyCatcherタンパク質、グルタチオン、GFP抗体、ハロアルカン基質、ベンジルグアニン誘導体、ベンジルシトシン誘導体、HUH特異的DNA配列、アミロースアガロース、Nus-タグ抗体、抗チオレドキシン-タグ抗体、プロテイン-Aセファロース、ラクトース、アガロース、及びセファロースから選択され、任意選択的に、前記二次標的結合部分が、アビジン及びストレプトアビジンから選択される、請求項124~136のいずれか一項に記載のキット。
【請求項138】
前記検出オリゴヌクレオチドプローブが、前記標的核酸分子の一部に相補的な配列を含むビオチン化オリゴヌクレオチドプローブである、請求項136又は137に記載のキット。
【請求項139】
前記レポーター酵素検出プローブが、アルカリホスファターゼストレプトアビジン(APSA)酵素である、請求項137又は138に記載のキット。
【請求項140】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号6、配列番号13、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号29、配列番号32、及び配列番号35から選択される配列を含む、請求項134~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項141】
前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号5、配列番号12、配列番号16、配列番号19、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、及び配列番号37から選択される配列を含む、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項142】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号14の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号16の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項143】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号6の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号5の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項144】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号13の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号12の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項145】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号17の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号19の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項146】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号20の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号22の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項147】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号23の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号25の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項148】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号26の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号28の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項149】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号29の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号31の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項150】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号32の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号34の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項151】
前記捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、配列番号35の配列を含み、前記検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドが、配列番号37の配列を有する、請求項124~139のいずれか一項に記載のキット。
【請求項152】
キットであって、
i.二次標的部分又はレポーター酵素で官能化されている修飾プライマーと、
ii.第2のプライマーと、
iii.前記修飾プライマーが前記二次標的部分で官能化されているとき、レポーター酵素検出プローブであって、レポーター酵素及び前記二次標的部分に結合することができる二次標的結合部分を含む、レポーター酵素検出プローブと、
iv.請求項1~95のいずれか一項に記載の、基質、固相、標準物質、任意選択的に標準曲線を調製するため又は較正物質を調整するための任意選択的な生成物イオン標準物質、結合溶液、第2の結合溶液、基質反応溶液、イオン化溶液、クエンチ溶液、任意選択的な結合溶液、第2の結合溶液、検出プローブ溶液、洗浄溶液、基質反応溶液、クエンチ溶液、イオン化溶液のうちの1つ以上と、を含み、
前記修飾プライマーがフォワードプライマーであるとき、前記第2のプライマーはリバースプライマーであり、前記修飾プライマーがリバースプライマーであるとき、前記第2のプライマーはフォワードプライマーである、キット。
【請求項153】
前記第2のプライマーが、前記固相に付着している、請求項152に記載のキット。
【請求項154】
前記固相が、任意選択的にリンカーを介して、捕捉オリゴヌクレオチドプローブに付着している、請求項152に記載のキット。
【請求項155】
前記結合溶液及び前記第2の結合溶液が、各々独立して揮発性であり、NaClを実質的に含まない、請求項152~154のいずれか一項に記載のキット。
【請求項156】
前記結合溶液、前記第2の結合溶液及び前記洗浄溶液が、各々独立して揮発性緩衝液を含む、請求項155に記載のキット。
【請求項157】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミン、重炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸ピリジニウム、トリアルキルアンモニウム/ギ酸、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、N-エチルモルホリン/アセテート、酢酸トリアルキルアンモニウム、及びそれらの組み合わせである、請求項156に記載のキット。
【請求項158】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミン、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項156又は157に記載のキット。
【請求項159】
前記トリアルキルアンモニウムが、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される、請求項157又は158に記載のキット。
【請求項160】
前記揮発性緩衝液が、エタノールアミンである、請求項155~159のいずれか一項に記載のキット。
【請求項161】
前記レポーター酵素検出プローブの酵素が、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、トリプシン、シトクロムCモノオキシゲナーゼ、及びミエロペルオキシダーゼから選択される、請求項152~160のいずれか一項に記載のキット。
【請求項162】
前記基質が、アデノシン一リン酸(AMP)、CMP、ATP、CMP、P5AP、p-ニトロフェニルホスフェート(PNPP)、Amplex(登録商標)Red(AR)、ナフトールASMXホスフェート、ルミノール、Lumigen(登録商標)TMA3、Lumigen(登録商標)TMA6、スフィンゴシン、4MUP、L-(+)-2-アミノ-6-ホスホノヘキサン酸、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、BluePhos(登録商標)、フェニルベンゼンωホスホノ-α-アミノ酸、O-ホスホ-DL-スレオニン、AR(3-アミノ-9-エチルカルバゾール)、4-CN(4-クロロ-1-ナフトール)、DAB(3,3’-ジアミノベンジミジン)、OPD(o-フェニレンジアミン)、TMB(3,3’’,5,5’’-テトラメチルベンジジン)、pNPP(p-ニトロフェニルホスフェート)、NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)、INT(p-インドニトロテトラゾリウム)、MUP(4-メチルウンベリフェリルホスフェート)、及びFDP(フルオレセインジホスフェート)、及びピロガロールから選択される、請求項152~161のいずれか一項に記載のキット。
【請求項163】
前記イオン化溶液が、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、水酸化アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、又はプロピルアミンから任意選択的に選択される酸又は塩基を含む、請求項152~162のいずれか一項に記載のキット。
【請求項164】
前記クエンチ溶液が、正イオン化のために50%アセトニトリル、0.1%酢酸若しくは0.1%ギ酸若しくは0.1%トリフルオロ酢酸を、又は負イオン化のために0.1%水酸化アンモニウムを、任意選択的に含む、請求項152~163のいずれか一項に記載のキット。
【請求項165】
前記二次標的部分が、ビオチン、ALFA-タグ、Aviタグ、C-タグ、カルモジュリン-タグ、ポリグルタミン酸タグ、E-タグ、Flag-タグ、HA-タグ、His-タグ、myc-タグ、NE-タグ、Rho1D4-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Sofタグ1、Sofタグ3、Spot-タグ、Strept-タグ、T7-タグ、TC-タグ、Ty1タグ、V5タグ、VSV-タグ、Xpressタグ、Isopepタグ、Spyタグ、Snoopタグ、Dogタグ、Sdyタグ、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタス、GFPタグ、Haloタグ、SNAP-タグ、CLIP-タグ、HUH-タグ、マルトース結合タンパク質タグ、Nus-タグ、チオレドキシン-タグ、Fc-タグ、及びCRDSAT-タグから選択され、任意選択的に、前記二次標的部分がビオチンである、請求項152~164のいずれか一項に記載のキット。
【請求項166】
前記二次標的結合部分が、アビジン、ストレプトアビジン、カルモジュリン、陰イオン交換樹脂、Mono-Q、陽イオン交換樹脂、抗E-タグ抗体、抗FLAG-タグ抗体、抗HA-タグ抗体、ニッケル又はコバルトキレート、抗Myc-タグ抗体、抗NE-タグ抗体、抗Rho1D4-タグ抗体、抗S-タグ抗体、抗Sofタグ1抗体、抗Sofタグ3抗体、ナノボディ、ストレプタクチン、抗T7-タグ抗体、FIAsH二ヒ素化合物、ReAsH二ヒ素化合物、抗Ty1タグ抗体、抗V5タグ抗体、抗VSVタグ抗体、抗Xpressタグ抗体、ピリン-Cタンパク質、SpyCatcherタンパク質、SnoopCatcherタンパク質、SnoopタグJrタンパク質、SdyCatcherタンパク質、グルタチオン、GFP抗体、ハロアルカン基質、ベンジルグアニン誘導体、ベンジルシトシン誘導体、HUH特異的DNA配列、アミロースアガロース、Nus-タグ抗体、抗チオレドキシン-タグ抗体、プロテイン-Aセファロース、ラクトース、アガロース、及びセファロースから選択され、任意選択的に、前記二次標的結合部分が、アビジン及びストレプトアビジンから選択される、請求項152~165のいずれか一項に記載のキット。
【請求項167】
前記レポーター酵素検出プローブが、アルカリホスファターゼストレプトアビジン(APSA)酵素である、請求項165又は166に記載のキット。
【請求項168】
前記修飾プライマー及び前記第2のプライマーが、細菌、ウイルス、真菌、哺乳動物又は植物ゲノムに含まれる配列を有する標的核酸分子に対するプライマーである、請求項152~167のいずれか一項に記載のキット。
【請求項169】
前記修飾プライマーが、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される配列を有する、請求項152~168のいずれか一項に記載のキット。
【請求項170】
前記第2のプライマーが、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される配列を有する、請求項152~168のいずれか一項に記載のキット。
【請求項171】
前記修飾プライマーが、配列番号2の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号3又は配列番号8の配列を有する、請求項152~168のいずれか一項に記載のキット。
【請求項172】
前記修飾プライマーが、配列番号3の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号2又は配列番号7の配列を有する、請求項152~168のいずれか一項に記載のキット。
【請求項173】
前記捕捉オリゴヌクレオチドが、配列番号6の配列を有する、請求項171又は172に記載のキット。
【請求項174】
前記修飾プライマーが、配列番号7の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号8の配列を有する、請求項152~168のいずれか一項に記載のキット。
【請求項175】
前記修飾プライマーが、配列番号8の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号7の配列を有する、請求項152~168のいずれか一項に記載のキット。
【請求項176】
前記修飾プライマーが、配列番号9の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号10の配列を有する、請求項152~168のいずれか一項に記載のキット。
【請求項177】
前記修飾プライマーが、配列番号10の配列を有し、前記第2のプライマーが、配列番号9の配列を有する、請求項152~168のいずれか一項に記載のキット。
【請求項178】
前記捕捉オリゴヌクレオチドが、配列番号13の配列を有する、請求項176又は177に記載のキット。
【請求項179】
配列番号2~46から選択される配列の核酸。
【請求項180】
前記核酸が、固体支持体に、任意選択的に、請求項86又は87に記載の固体支持体に結合される、請求項179に記載の核酸。
【請求項181】
請求項77に記載の第2の標的部分に結合している、請求項179に記載の核酸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本PCT出願は、2020年10月26日に出願された米国特許出願第63/105,554号の優先権を主張するものであり、この出願は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、質量分析法を用いて標的核酸を検出及び測定するための方法及びキットに関する。更に、本開示は、疾患診断のための方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0003】
(序論)
生体分子を正確に検出及び定量する能力は、基礎的な生化学研究、診断及び治療医学、並びに水及び食品の安全性を含む、複数の分野において非常に重要である。本方法による検出の限界にある多くの潜在的な診断用DNA分子及び治療用タンパク質は、絶対的に定量化される必要がある。ポリスチレンオリゴ合成マイクロビーズ上でのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅及びDNA配列決定などの半定量的「計数」法による生物学的に重要な核酸の発見は、線形及びガウスハイブリダイゼーションアッセイによって標準と共に絶対的に定量化される必要がある重要な分子を明らかにした(Consortium,2011)。PCRなどの現在の技術は、アッセイ下でゼプトモル(10-21)~ヨクトモル(10-24)の量のそれらのレベルで分子を正確に定量することができない(Rutledge,2003)。
【0004】
PCR(Chin,2013)は、わずか1つのポリメラーゼテンプレートを検出するために使用されているが、非線形であり、偽陰性の結果を示し得、大きな定量誤差を有し、そしてPCR反応から絶対的定量性を抽出するための数学的手順は困難である(Rutledge,2003)。PCRによるHIV及び他の動物ウイルスの分析は、顕著な偽陰性率を有する(Xie,2020、Xiao,2020)。ハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション連鎖反応について広範囲の感度値が報告されている(Basiri,2020、Santhanam,2020、Doddapaneni,2020、Jiao,2020、Vermisoglou,2020)。固体支持体上での定量的DNAベースのアッセイの最近の適用は、ピコモル(pM)濃度範囲に達したようであり、その際、広い吸収範囲を使用する蛍光を使用して、本質的に線形及びガウス型ではない電気化学的検出若しくはTIRFを使用して、又はPCR若しくはHCRによる複数ラウンドの増幅を使用して、それに続いて酵素的な増幅を伴うスキーム、及び/又は超感受性の参照を使用するが、それはエラーが増加し得る(Xu、2016年)。Shi、Guo、Xiong。対照的に、質量分析は、広いスペクトルの代わりに単一の質量電荷比に対してより特異的であり、本質的に線形かつガウス型であり、pM以下の濃度範囲に達するように1回の酵素増幅で増幅することができる。
【0005】
蛍光の全内部反射率(TIRF)は、DNA配列中のヌクレオチドの定性的検出において使用され得る(Vandamme,1995)。しかしながら、シグナルは非線形であるため、その較正では1000倍に逸脱し得(Tobos,2019、Tangemann,1995)、安全検出限界の計算を妨げる定性的データの集約に依存している(Rissin,2010)。TIRFからの定量化には実用上の限界があり、最近、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)を用いた酵素増幅と同様の結果が得られることが示されている(Li,2017)。
【0006】
質量分析は、線形かつガウス型の分析技術であり(Razumienko,2008年、Bowden,2012)、そこでは、100ピコモル濃度(100pM)でアデノシンを検出する(注入された1マイクロリットル(1μL)は、酵素増幅前においてカラム上で100アトモル(100amol)に相当する(Florentinus,2011、Onisko,2007))。
【0007】
液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化タンデム質量分析(LC-ESI-MS/MS)は、他の方法と比較して、いくつかの強力な利点を有し、免疫学的又は酵素的増幅なしに、血液からng/mlレベルまでのタンパク質を直接検出することができる(Munge,2005)。
【0008】
免疫マトリックス支援レーザー脱離/イオン化(MALDI)は、タンパク質又はペプチドの免疫複合体を直接分析するが(Li,2017)、DNAには有用ではなかった。更に、そのシグナルは酵素的な増幅を利用できず、ng/ml感度がやっとである。
【0009】
同様に、液体クロマトグラフィー誘導結合プラズマ質量分析(LC-ICP-MS)は、一般に、ELISAの既存の検出限界と同様のng/mlレベルに達し得る(Shukla,2013)。
【0010】
既存の電気化学的方法は、ヨクトモル範囲に達することが報告されている。しかしながら、シグナルは本質的に線形又はガウス型ではない(Saiki,1985、Rissin,2010)。
【0011】
UV/VIS検出は、質量分析ほど高感度又は特異的ではない。しかしながら、酵素的増幅とUV/VIS検出との組み合わせは、UV/VIS分析の感度を顕著に向上させた。アルカリホスファターゼ(AP)、DNAポリメラーゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ又はルシフェラーゼによる酵素的増幅の使用は、UV-VIS、ECL又は蛍光検出などの方法の有用な感度を向上させた(Ronaghi,1996、Chen,1994、Florentinus-Mefailoski,2014、Walt,2013、Munge,2005、Saiki,1985、Sun,2006、Shukla,2013、Chin,2013、Tobos,2019、Vandamme,1995、Tangemann,1995、Tucholska,2009、Li,2017、Razumienko,2008、Bowden,2012、Florentinus-Mefailoski,2015、Florentinus,2011、Onisko,2007)。
【0012】
タンパク質及び抗体は、酵素免疫質量分析アッセイ(ELiMSA)を使用して、デオキシコレート又はN-オクチルグルコシド修飾されたLC-ESI-MS適合性タンパク質相互作用緩衝液と共に96ウェルプレートを使用して、ポリスチレン担体上で絶対的な定量化が行われていた(Florentinus-Mefailoski,2014、Florentinus-Mefailoski,2016、Florentinus-Mefailoski,2014、Florentinus-Mefailoski,2015)。ELiMSAアッセイは、米国特許第9,964,538号に記載されている。ナノグラム量のタンパクに達する従来の比色酵素免疫測定法(ELISA)による直接測定と比較して、ELiMSAは、50フェムトグラムまで検出できるアルカリホスファターゼストレプトアビジン(APSA)酵素結合体を用いたタンパクの検出に対してピコグラム感度に達している(Florentinus-Mefailoski,2015)。
【0013】
APSA酵素結合体を使用したPSA及び抗体の検出は、順相シリカ固定相上で高いヨクトモル範囲に達している(Florentinus-Mefailoski,2014、Florentinus-Mefailoski,2015、Florentinus-Mefailoski,2016)。ELiMSAによるタンパク検出は、ブラインド試験の結果、高濃度で市販の蛍光及びECLシステムと一致する結果を示したが、はるかに感度が高く、1ng/ml(フェムトモル範囲)をはるかに下回る線形的な定量性を示し続けた(Florentinus-Mefailoski,2015)。
【0014】
質量分析による核酸の定量化は困難であり得る。例えば、核酸結合、ハイブリダイゼーション及び反応で典型的に使用される緩衝液は、核酸相互作用を促進するためにNaClなどの塩を含有する。しかしながら、NaClなどの無機塩は、質量分析測定において安易に使用できない。
【0015】
したがって、例えば、核酸がフェムトモル~アトモルの濃度範囲で存在するとき、低濃度で感受性であり、かつ/又は好ましくはMSに適合する、核酸の検出及び定量化のための線形及びガウス型のアッセイが求められている。
【発明の概要】
【0016】
例えば生物学的試料又はPCR反応生成物からの低濃度の標的核酸分子が、高感度かつ特異的に検出及び定量され得ることが本発明で示された。本明細書に記載される方法は、質量分析(MS)法による検出のための、アルカリホスファターゼ(AP)などのレポーター酵素の酵素活性の測定と組み合わせた、選択的捕捉及び/又は検出オリゴヌクレオチドプローブを使用する増幅を伴う方法を含む。更に、PCR反応の少なくとも1つのプライマーがビオチンなどの二次標的部分で官能化されるとき、二次標的部分に結合し、MSによる検出のためにPCR生成物の存在を増幅する酵素活性を有するレポーター酵素検出プローブを用いて、PCR生成物を直接検出及び定量することができることが示された。
【0017】
更に、揮発性緩衝液を使用して、1つ以上の緩衝液中のNaClなどの塩を置き換えて、MS分析における残留塩を最小限に抑えることができることが示された。
【0018】
本開示の方法は、選択的かつ高感度の診断方法として有用である。
【0019】
したがって、一態様では、本開示は、以下を含む、標的核酸分子を検出する方法を含む:
a.
i.標的核酸分子を含むと推定される試料を、標的核酸分子に相補的な配列を含み、かつ固相に付着している捕捉オリゴヌクレオチドプローブと共に、第1の結合溶液中で、インキュベートすることであって、任意選択的に、固相がリンカーを介して捕捉オリゴヌクレオチドプローブに付着している、インキュベートすること、又は
ii.標的核酸分子を含むと推定される試料を、固相と共にインキュベートして、第1の結合溶液中で、当該試料/標的核酸分子を当該固相に付着させることであって、任意選択的に、固相がリンカーを介して試料/標的核酸分子に付着している、インキュベートすることと、
b.標的:検出複合体を形成するための条件下で、第2の結合溶液中で、任意の標的核酸分子を検出オリゴヌクレオチドプローブに結合させることと、
c.標的:検出:酵素複合体を形成するための条件下で、第3の結合溶液中で、任意の標的:検出複合体をレポーター酵素検出プローブと共にインキュベートすることであって、第3の揮発性結合溶液がNaClなどの無機塩を実質的に含まない、インキュベートすることと、
d.洗浄溶液で固相を洗浄して、任意の未結合のレポーター酵素検出プローブを除去することと、
e.基質反応溶液中で、任意の標的:検出:酵素複合体を、レポーター酵素検出プローブ基質と共にインキュベートして、1つ以上のイオン化可能な生成物を生成することと、
f.質量分析(MS)を使用して、1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの少なくとも1つを検出することと、を含み、
i.第1の結合溶液、第2の結合溶液、及び第3の結合溶液のうちの少なくとも第3の結合溶液が、無機塩を実質的に含まず、
ii.洗浄溶液が、無機塩を実質的に含まず、
iii.方法が、任意の標的:検出:酵素複合体の成分と、捕捉オリゴヌクレオチドプローブとを、任意選択的なステップd)及びステップe)の前に、架橋することを更に含み、かつ/又は
iv.方法が、MSを使用して検出する前に、1つ以上のイオン化可能な生成物を分離することを更に含み、
1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの少なくとも1つの検出が、試料が標的核酸分子を含むことを示す。
【0020】
検出オリゴヌクレオチドプローブは、検出オリゴヌクレオチドプライマーであり得る。かかる場合、ステップは、増幅溶液中で検出オリゴヌクレオチドプライマーを用いて標的核酸分子を増幅することと、標的:検出複合体を形成するための条件下で、第2の結合溶液中で、任意の増幅された標的を検出オリゴヌクレオチドプローブに結合させることとを含む。
【0021】
別の態様では、本開示は、以下のステップを含む、試料中の標的核酸分子の量を定量化する方法を含む:
a.本開示の方法に従って標的核酸分子を検出するステップ、及び
b.質量分析によって検出されたイオン化可能な生成物のうちの1つ以上についてのシグナルの強度に基づいて、試料中の標的核酸分子の量を定量化するステップ。
【0022】
別の態様では、本開示は、本開示は、以下を含む、標的核酸分子を検出する方法を含む:
修飾プライマー及び第2のプライマーを用いて、標的核酸分子を含むと推定される試験試料に対して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又はハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)又はローリングサークル反応又は他の核酸反応などの核酸増幅を実施して、修飾プライマーを含む増幅された核酸生成物、任意選択的にPCR生成物を得ることであって、修飾プライマーが、二次標的部分又はレポーター酵素で官能化されている、実施することと、
増幅された核酸生成物を、任意の未反応修飾プライマーから分離することと、
修飾プライマーが、二次標的部分で官能化されているとき、増幅された核酸生成物を、第1の結合溶液中で、レポーター酵素検出プローブと共に、増幅された核酸生成物:レポーター酵素複合体を形成する条件下でインキュベートして、結合していないレポーター酵素検出プローブを洗浄溶液で除去することであって、レポーター酵素検出プローブが、二次標的結合部分及びレポーター酵素を含む、インキュベートすることと、
増幅された核酸生成物又は増幅された核酸生成物:レポーター酵素基質複合体を、基質反応溶液中で、レポーター酵素基質とインキュベートして、1つ以上のイオン化可能な生成物を生成することと、
質量分析(MS)を使用して、1つ以上のイオン化可能な生成物を検出することであって、
修飾プライマーがフォワードプライマーであるとき、第2のプライマーがリバースプライマーであり、修飾プライマーがリバースプライマーであるとき、第2のプライマーがフォワードプライマーである、検出すること。
【0023】
別の態様では、本開示は、以下のステップを含む、試験試料中の標的核酸分子の量を定量化する方法を含む:
a.本開示の標的核酸分子を検出する方法に従って標的核酸分子を検出するステップ、及び
b.質量分析によって検出されたイオン化可能な生成物のうちの1つ以上についてのシグナルの強度に基づいて、試験試料中の標的核酸分子の量を定量化するステップ。
【0024】
別の態様では、本開示は、本開示の標的核酸分子を検出する方法を含む、HIVを検出する方法を含み、標的核酸分子は、HIV核酸分子である。
【0025】
別の態様では、本開示は、本開示の標的核酸分子を検出する方法を含む、SARS-CoV2を検出する方法を含み、標的核酸分子は、SARS-CoV2核酸分子である。
【0026】
別の態様では、本開示は、以下を含むキットを含む:
i.捕捉オリゴヌクレオチドプローブであって、任意選択的にリンカーを介して、任意選択的に固相に結合されている、捕捉オリゴヌクレオチドプローブ、
ii.揮発性緩衝液を含み、NaClを実質的に含まないか、又は架橋剤を含む結合溶液、
iii.オリゴヌクレオチドと二次標的部分とを含む検出オリゴヌクレオチドプローブ、
iv.レポーター酵素検出プローブであって、レポーター酵素と、二次標的部分に結合することができる二次標的結合部分とを含む、レポーター酵素検出プローブ、並びに/又は
v.本明細書で定義される、基質、固相、標準物質、任意選択的に標準曲線を調製するため又は較正物質を調整するための任意選択的な生成物イオン標準物質、第2の結合溶液、第3の結合溶液、基質反応溶液、イオン化溶液、クエンチ溶液、任意選択的な第2の結合溶液、検出プローブ溶液、基質反応溶液、クエンチ溶液、イオン化溶液のうちの1つ以上。
【0027】
別の態様では、本態様は、
i.二次標的部分又はレポーター酵素で官能化されている修飾プライマーと、
ii.第2のプライマーと、
iii.修飾プライマーが二次標的部分で官能化されているとき、レポーター酵素検出プローブであって、レポーター酵素及び二次標的部分に結合することができる二次標的結合部分を含む、レポーター酵素検出プローブと、
iv.本明細書で定義される、基質、固相、標準物質、任意選択的に標準曲線を調製するため又は較正物質を調整するための任意選択的な生成物イオン標準物質、結合溶液、第2の結合溶液、洗浄溶液、基質反応溶液、イオン化溶液、クエンチ溶液、任意選択的な結合溶液、第2の結合溶液、検出プローブ溶液、基質反応溶液、クエンチ溶液、イオン化溶液のうちの1つ以上と、を含むキットを含み、
修飾プライマーがフォワードプライマーであるとき、第2のプライマーはリバースプライマーであり、修飾プライマーがリバースプライマーであるとき、第2のプライマーはフォワードプライマーである。
【0028】
別の態様では、本開示は、配列番号2~37から選択される配列の核酸を含む。
【0029】
本開示の他の特徴及び利点は、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。しかしながら、詳細な説明及び具体例は、本開示の好ましい実施形態を示しているが、本開示の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修飾が本詳細な説明から当業者に明らかとなるため、例示のためにのみ与えられるものであることを理解されたい。
次に、本開示の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】真空なしで0.45ミクロンPVDF 96ウェルフィルタープレートに吸収された捕捉オリゴヌクレオチドプローブを用いて行われた、ウイルスDNAの検出を示す一連のグラフである。パネルAは、ブランク(トリス緩衝液)、標的核酸分子なし(0標的)及び100fmol標的核酸分子(100fmol標的)を用いた場合の268[M+H]でのMSシグナル強度を示す。パネルB及びCは、m/z 200~400のスキャンを示す。パネルDは、100fmolの標的核酸分子と比較した、標的核酸分子なしのシグナル強度を示す。
図2】ポリリジン被覆96ウェルポリスチレンプレートにおいて、プレートにNHS-PEG-NHS架橋している捕捉オリゴヌクレオチドプローブによって行われたウイルスDNAの検出を示す一連のグラフである。パネルAは、ブランク(トリス緩衝液)、標的核酸分子なし(0標的)及び100fmol標的核酸分子(100fmol標的)を用いた場合の268[M+H]でのMSシグナル強度を示す。パネルB及びCは、m/z 200~400のスキャンを示す。パネルDは、100fmolの標的核酸分子と比較した、標的核酸分子なしのシグナル強度を示す。
図3】アミン反応性Nunc Immobilizer(商標)Amino 96ウェルポリスチレンプレート上に固定化された捕捉オリゴヌクレオチドプローブを用いて行われたウイルスDNAの検出を示す一連のグラフである。パネルAは、ブランク(トリス緩衝液)、標的核酸分子なし(0標的)及び100fmol標的核酸分子(100fmol標的)を用いた場合の268[M+H]でのMSシグナル強度を示す。パネルB及びCは、m/z 200~400のスキャンを示す。パネルDは、100fmolの標的核酸分子と比較した、標的核酸分子なしのシグナル強度を示す。
図4】NOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート上に固定化された捕捉オリゴヌクレオチドプローブを用いて行われたウイルスDNAの検出を示す一連のグラフである。パネルAは、ブランク(トリス緩衝液)、標的核酸分子なし(0標的)及び100fmol標的核酸分子(100fmol標的)を用いた場合の268[M+H]でのMSシグナル強度を示す。パネルB及びCは、m/z 200~400のスキャンを示す。パネルDは、100fmolの標的核酸分子と比較した、標的核酸分子なしのシグナル強度を示す。
図5】96ウェルPVDFフィルタープレート中のポリスチレンオリゴ合成ビーズへの3’結合を有する捕捉オリゴヌクレオチドプローブによって行われたウイルスDNAの検出を示す一連のグラフである。パネルAは、ブランク(トリス緩衝液)、標的核酸分子なし(0標的)及び100fmol標的核酸分子(100fmol標的)を用いた場合の268[M+H]でのMSシグナル強度を示す。パネルB及びCは、m/z 200~400のスキャンを示す。パネルDは、100fmolの標的核酸分子と比較した、標的核酸分子なしのシグナル強度を示す。
図6】ガラスにNHS-PEG-NHS架橋させた捕捉オリゴヌクレオチドプローブによる、アミノシリル化カバーガラス上で行われたウイルスDNAの検出を示す一連のグラフである。パネルAは、ブランク(トリス緩衝液)、標的核酸分子なし(0標的)及び100fmol標的核酸分子(100fmol標的)を用いた場合の268[M+H]でのMSシグナル強度を示す。パネルB及びCは、m/z 200~400のスキャンを示す。パネルDは、100fmolの標的核酸分子と比較した、標的核酸分子なしのシグナル強度を示す。
図7】96ウェルプレートにおいてポリスチレンオリゴ合成ビーズに結合した捕捉オリゴヌクレオチドプローブを用いてHIV DNAを検出するための結合緩衝液中の、NaClの最適化から得られた結果を示す一連のグラフである。パネルAは、異なる濃度のNaClについての268.2m/zにおける2回の注入の平均シグナル強度を示す。パネルBは、各ランのシグナル強度を示す。(Bはトリス緩衝液を用いたブランクであり、0、0.05、0.1、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0はNaClのモル濃度を示し、0 tgtは標的核酸分子を含まない)。
図8】96ウェル0.45um高結合PVDFフィルタープレート中のポリスチレンオリゴ合成ビーズに連結された捕捉オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーション中及びハイブリダイゼーション後における、HIV DNAを検出するための結合緩衝液中の重炭酸アンモニウムの最適化から得られた結果を示す一連のグラフである。パネルAは、比較として、異なる濃度の重炭酸アンモニウム及び1 M NaClについての、268.2m/zにおける2回の注入の平均シグナル強度を示す。パネルBは、各ランのシグナル強度を示す。(Bはトリス緩衝液を用いたブランクであり、0、0.1、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5、2.0、2.5は重炭酸アンモニウムのモル濃度を示す)。
図9】96ウェル0.45um高結合PVDFフィルタープレート中のポリスチレンオリゴ合成ビーズに連結された捕捉オリゴヌクレオチドプローブによる、HIV DNAとのハイブリダイゼーション後の、1.5M NaClの代わりに異なる揮発性緩衝液、すなわちエタノールアミン、酢酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及び重炭酸トリエチルアンモニウムを用いた結果を示す一連のグラフである。パネルAは、X軸上に示された濃度の様々な揮発性緩衝液及び比較としての1.5M NaClの異なる濃度についての、268.2m/zにおける2回の注入の平均シグナル強度を示す。パネルBは、各ランのシグナル強度を示す。(Rxn Bは、トリス緩衝液を用いたブランクである)。
図10】10~55%の異なるパーセンテージのエタノールを、検出酵素(APSA)結合ステップ及び洗浄ステップにおいて使用した場合の、HIV標的DNA検出のMSシグナル強度を示すグラフを示す(カラム5~10)。列1~3は、反応緩衝液対照(列1)、検出酵素(APSA)結合ステップ又は洗浄ステップのいずれかにおいて塩を含まない対照(列2)、並びにハイブリダイゼーションステップにおいて1.5M NaClを使用し、検出酵素(APSA)結合ステップ及び洗浄ステップにおいてNaClを使用しなかった対照(列3)を含む、陰性対照についての結果を示す。列4は、陽性対照を示し、1.5M NaClをハイブリダイゼーションステップ並びに検出酵素(APSA)結合ステップ及び洗浄ステップに使用した。
図11】SARS-CoV2 DNA検出アッセイにおいてm/z=267.74~268.74で測定されたMSシグナル強度のグラフを示し、ここで、1.5M NaCl、2Mエタノールアミン、0.5M炭酸水素トリエチルアンモニウム、2Mスクロース又は2Mグリシンを、ハイブリダイゼーションステップ、検出酵素(APSA)結合ステップ及び洗浄ステップで使用し、あるいは、1.5M NaClをハイブリダイゼーションステップで使用し、2Mエタノールアミン、0.5M炭酸水素トリエチルアンモニウム、2Mスクロース又は2MグリシンをNaClなしで検出酵素(APSA)結合ステップ及び洗浄ステップで使用した。
図12】実施例11のPCR生成物を示すポリアクリルアミドゲルを示し、ここで、レーン1は、直接ロード広範囲分子量マーカー(5μl)に対応し、レーン2は、プライマーコンビネーション1を用いて得られたPCR生成物に対応し、レーン4は、プライマーコンビネーション2を用いて得られたPCR生成物に対応し、レーン6は、プライマーコンビネーション3を用いて得られたPCR生成物に対応し、レーン4は、プライマーコンビネーション4を用いて得られたPCR生成物に対応し、レーン3、5、7及び9は、テンプレートプラスミドDNAを使用しなかったコントロールランに対応し、レーン10は、ネガティブコントロール(4μlのDNAローディング緩衝液)に対応する。
図13】SARS-CoV2セット1 PCRプライマー(配列番号2及び3)並びに0テンプレート(レーン0)、微量テンプレート(レーン1)及び線形希釈系列(0.1ng、1ng、10ng、50ng、レーン2~5)の異なる量のテンプレート、を使用したSARS-CoV2のPCR増幅生成物を示すポリアクリルアミドゲルを示す。レーン6~10は、10ngのテンプレート及び異なる量のMg2+を使用したPCR生成物を示す(それぞれ2mM、2.5mM、3.0mM、3.5mM、又は4.0mMのMg2+)。
図14】テンプレートDNAなし(0 NC)、テンプレートDNAとしてPuC19(PCRの陰性対照)、微量のSARS-CoV2ヌクレオキャプシド遺伝子(T)を有するプラスミド、及び異なる量のSARS-CoV2ヌクレオキャプシド遺伝子を有するプラスミド(10fg、100fg、1pg、10pg、及び100pg、それぞれ10、100、1000、10,000、及び100,000に対応する)を用いて、3’で固体支持体に結合した捕捉オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号6)及び5’-ビオチン化検出オリゴヌクレオチド(配列番号5)を使用する本開示のDNA検出アッセイによって、SARS-CoV2ヌクレオキャプシド遺伝子のPCR生成物を検出したときの、m/z=267.74~268.74で観察されたMSシグナルの相対存在量のグラフを示す。
図15A】例えば、仮想PCR又は他の生成物の検出を示す例示的な概略図を示す。核酸標的は、DNA又はRNAとすることができる。
図15B】例えば、PCR生成物の検出を例示する概略図を示す。プライマーは、A/Bによって表され得、それは、それがタグ付けされていないか、又は例えばビオチンでタグ付けされていてもよく、あるいはC/Dによって表されてもよく、それは、それが固体表面に結合していないか、又は結合していてもよいことを示す。
図16】DNA検出アッセイのm/z=267.74~268.74で測定されたMSシグナル強度のグラフを示し、ここで、(i)ハイブリダイゼーションステップ及び洗浄ステップは、塩の存在下で行われ、(ii)ハイブリダイゼーションステップ及びAPSAの結合は、塩の存在下で行われ、続いて標的:検出:酵素複合体を、Tris緩衝液中での酵素反応の前にグルタルアルデヒド(GA)と架橋し、(iii)ハイブリダイゼーションステップ及びAPSAの結合を塩の存在下で行い、続いて重炭酸アンモニウム緩衝液(AMBIC)又はエタノールアミン緩衝液(EA)のいずれかを含む揮発性洗浄溶液で洗浄し、酵素反応を重炭酸アンモニウム緩衝液(AMBIC)又はエタノールアミン緩衝液(EA)のいずれかを含む揮発性基質反応用緩衝液中で行い、あるいは(iv)ハイブリダイゼーションステップ及びAPSAの結合を塩の存在下で行い、続いて酵素反応を(ポリマー(PEG)又はデキストラン硫酸ナトリウム(DSS)の存在下で行った。10mM TrisをMS測定の陰性対照として使用した。0標的核酸(0)を、DNA検出アッセイの陰性対照として使用する。
図17】本開示の例示的な方法を示すフローチャートを示す。
図18】log10(アトモル+1)の異なる濃度(logスケール、x軸)の標的ヌクレオチド酸分子(1μLを注入した場合の0~100ピコモル濃度)におけるHIV DNA検出アッセイのMSシグナル強度(logスケール、y軸、強度m/z=268)のグラフを示す。
図19】0~100nM濃度のlog10(ピコモル+1)の異なる濃度の標的核酸(logスケール、x軸)におけるSARC-CoV2 DNA検出アッセイのMSシグナル強度(logスケール、y軸、m/z=268)のグラフを示し、ここで、1マイクロリットルをHPLCカラムに(すなわち、カラム上に0~100フェムトモルを)注入した。
図20】異なる濃度のHIV DNA標的核酸分子(1pM~500pM)におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図21】異なる濃度のSARS-CoV 2標的核酸分子(100fM~10nM)におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図22】異なる濃度のSTEC標的核酸分子(1pM~1nM)におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図23】異なる濃度の溶血素標的核酸分子(1pM~1nM)におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図24A】異なる濃度のHIV 258nt PCR生成物標的核酸分子におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図24B】漸増量のHIVプラスミドを使用したPCR反応を示すGelRed染色アガロースゲルの画像を示す。
図24C図24Bにおけるバンドの定量化のグラフを示す。
図25】異なる濃度のSARS-CoV-2標的核酸分子におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図26】異なる濃度のHIV標的核酸分子(100fM~100nM)におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図27】異なる濃度のSARS-CoV-2標的核酸分子(1pM~1μM)におけるm/z 268でのMSシグナル強度のグラフを示し、ここで、捕捉物はPVDFに結合している。
図28A】ゲルの画像を示し、上のパネルは、ビオチン化HIVフォワードプライマー3及び非標識HIVリバースプライマー3を用いて生成されたPCR生成物を示し、下のパネルは、非標識HIVフォワードプライマー3及びビオチン化HIVリバースプライマー3を用いて生成されたPCR生成物を示す。
図28B】ビオチン標識HIVフォワードプライマー及び非標識HIVリバースプライマーを使用した、異なる濃度のHIVテンプレートにおけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図28C】非標識HIVフォワードプライマー及びビオチン標識HIVリバースプライマーを使用した、異なる濃度のHIVテンプレートにおけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図29】PDVF上に固定化されたHIV合成標的についてのm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
図30A】様々なCOVID-19 PCR反応を示すゲルの画像を示す。
図30B】異なる濃度のCOVID-19テンプレートでのCOVID-19 PCR反応を示すゲルの画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
I.定義
別段の指示がない限り、本セクション及び他のセクションに記載される定義及び実施形態は、当業者によって理解されるように、それらが適切である、本明細書に記載される本開示の全ての実施形態及び態様に適用可能であることが意図される。
【0032】
本明細書で使用される「又は」、「及び/又は」という用語は、列挙された項目が個別に又は組み合わせて存在する、又は使用されることを意味する。実際には、この用語は、列挙された項目「のうちの少なくとも1つ」又は「1つ以上」が使用又は存在することを意味する。
【0033】
本開示において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が明らかに他を指示しない限り、複数の言及を含む。例えば、「化合物」を含む実施形態は、1つの化合物又は2つ以上の更なる化合物を有する特定の態様を提示すると理解されるべきである。
【0034】
追加の又は第2の化合物などの、「追加の」又は「第2の」成分を含む実施形態では、本明細書で使用される第2の成分は、他の成分又は第1の成分とは化学的に異なる。「第3の」成分は、他の成分、第1の成分、及び第2の成分とは異なり、更に列挙された成分又は「追加の」成分も同様に異なる。
【0035】
本開示及び特許請求の範囲で使用されるとき、用語「含む(comprising)」(及び「含む(comprise)」及び「含む(comprises)」などの任意の形態の、含む)、「有する(having)」(及び「有する(have)」及び「有する(has)」などの任意の形態の、有する)、「含む(including)」(及び「含む(include)」及び「含む(includes)」などの任意の形態の、含む)、又は「含有する(containing)」(及び「含有する(contain)」及び「含有する(contains)」などの任意の形態の、含有する)は、包括的又はオープンエンドであり、追加の列挙されていない要素又はプロセスステップを除外しない。
【0036】
本明細書で使用される「からなる」という用語及びその派生語は、述べられた特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又はステップの存在を指定し、また、他の述べられていない特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又はステップの存在は除外する、クローズドエンドの用語であることが意図される。
【0037】
本明細書で使用される「から本質的になる」という用語は、述べられた特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又はステップ、並びに、それらの特徴、要素、構成要素、群、整数、及び/又はステップの基本的かつ新規な特性に実質的に影響を及ぼさないものの存在を指定することが意図される。
【0038】
本明細書で使用される「適切な」という用語は、特定の化合物又は条件の選択が、行われる特定の合成操作、形質転換される分子の同一性、及び/又は化合物の特定の使用に依存するが、選択が、十分に当業者の技能の範囲内であることを意味する。
【0039】
本明細書で使用される「アミン」又は「アミノ」という用語は、それが単独で使用されるか別の基の一部として使用されるかに拘わらず、一般式NR’R’’ここで、R’及びR’’は、水素又はC1~6アルキルから各々独立して選択される。
【0040】
本明細書で使用される「atm」という用語は、大気を指す。
【0041】
本明細書で使用される「MS」という用語は、質量分析を指す。
【0042】
本明細書で使用される「aq.」という用語は、水性を指す。
【0043】
本明細書で使用されるMeOHはメタノールを指す。
【0044】
本明細書で使用されるMeCNは、アセトニトリルを指す。
【0045】
本明細書で使用されるHClは、塩酸を指す。
【0046】
本明細書で使用されるμ波は、マイクロ波反応容器を指す。
【0047】
LCMSは、本明細書で使用するとき、液体クロマトグラフィー-質量分析を指す。
【0048】
本明細書で使用されるTRISは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタンを指す。
【0049】
本明細書で使用されるEDTAは、エチレンジアミン四酢酸を指す。
【0050】
本明細書で使用される「アデノシン一リン酸」又は「AMP」という用語は、以下の構造を有する化合物:
【0051】
【化1】
【0052】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。AMPは、例えばSigma Aldrichから入手することができる。
【0053】
[00133]本明細書で使用される「Amplex(登録商標)Red」又は「AR」という用語は、
【0054】
【化2】
【0055】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。Amplex(登録商標)Redは、例えば、構造的に関連し、式7-ヒドロキシ-3H-フェノキサジン-3-オン10-オキシドを有するレサズリン(Resazurin)から得ることができ、Amplex(登録商標)Redとも呼ばれる。したがって、本明細書で使用されるAmplex(登録商標)Redは、AR及びレサズリンの両方を含む。
【0056】
「5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート」又は「BCIP」という用語は、本明細書で使用されるとき、以下の構造:を有する化合物:
【0057】
【化3】
【0058】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。BCIPは、例えばSigma Aldrichから入手することができる。
【0059】
本明細書中で使用されるとき、用語「イオン化可能な生成物」は、レポーター酵素によって生成される、1つ以上のイオン化可能な基を含む生成物を意味する。例えば、イオン化可能な生成物は、正のイオン化のための1つ以上の塩基性又はアミン基、及び負のイオン化のための1つ以上の酸性又はヒドロキシル基を有し得る。イオン化可能な基としては、=NH、-NH2、グアニジニウム、メチル、エチル、アルキル、フェニル、リボース、イノシトール、リン脂質、炭水化物、核酸、カルボニル、アルデヒド、ケトン、カルボキシル、ヒドロキシル、エノール、グアニジウム、イミダゾール、スルフヒドリル、ジスルフィド、スルフェート、ホスフェート、スルホニル、ニトレート、一酸化窒素、チオエステル、エステル、エーテル、無水物、ホスホリル、混合無水物、及び/又は当該分野で公知の他のイオン化可能な基が挙げられ得る。評価されたイオン化可能な生成物は、任意選択的に、エレクトロスプレーイオン化によって気相に効率的に入る。
【0060】
本明細書で使用される用語「L-(+)-2-アミノ-6-ホスホノヘキサン酸」は、
【0061】
【化4】
【0062】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。L-(+)-2-アミノ-6-ホスホノヘキサン酸は、例えば、Sigma Aldrichから得ることができる。
【0063】
本明細書で使用される「Lumigen(登録商標)TMA-3」又は「TMA-3」という用語は、
【0064】
【化5】
【0065】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。TMA-3は、例えばBeckman Coulter Companyから入手することができる。
【0066】
本明細書で使用される「Lumigen(登録商標)TMA-6」又は「TMA-6」という用語は、
【0067】
【化6】
【0068】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。TMA-6は、例えばBeckmann Coulter Companyから入手することができる。
【0069】
本明細書で使用される「4-メチルウンベリフェリルホスフェート」又は「4-MUP」という用語は、以下の構造を有する化合物:
【0070】
【化7】
【0071】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。4-MUPは、例えばSigma Aldrichから入手することができる。
【0072】
本明細書で使用される「ナフトールASMXホスフェート」という用語は、以下の構造:を有する化合物:
【0073】
【化8】
【0074】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。ナフトールASMXホスフェートは、例えばSigma Aldrichから得ることができる。
【0075】
用語「O-ホスホ-DL-スレオニン」という用語は、以下の構造:を有する化合物:
【0076】
【化9】
【0077】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。O-ホスホ-DL-スレオニンは、例えば、Sigma Aldrichから得ることができる。
【0078】
本明細書で使用される「パラニトロフェノールホスフェート」又は「PNPP」という用語は、以下の構造を有する化合物:
【0079】
【化10】
【0080】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。パラニトロフェノールホスフェートは、例えば、Sigma Aldrichから得ることができる。
【0081】
本明細書で使用される用語「フェニルベンゼンωホスホノ-α-アミノ酸」は、以下の構造:を有する化合物:
【0082】
【化11】
【0083】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。ホスホノ-a-アミノ酸を有するフェニルベンゼンは、例えばSigma Aldrichから得ることができる。
【0084】
本明細書で使用される「ピリドキサミン5-リン酸」又は「PA5P」という用語は、以下の構造を有する化合物:
【0085】
【化12】
【0086】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。PA5Pは、例えばSigma Aldrichから入手することができる。
【0087】
本明細書で使用される「スフィンゴシン-1リン酸」という用語は、以下の構造を有する化合物:
【0088】
【化13】
【0089】
又はその薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物並びにそれらの混合物を意味する。スフィンゴシン-1リン酸は、例えば、Sigma Aldrichから得ることができる。
【0090】
用語「検出オリゴヌクレオチドプローブ」は、本明細書中で使用されるとき、二次標的部分(例えば、ビオチン)に結合されたオリゴヌクレオチドを含み、ここで、このオリゴヌクレオチド又はその一部は、標的核酸分子(例えば、細菌、ウイルス又は真菌の核酸配列が挙げられるが、これらに限定されない)に相補的であり、そして選択的に結合する。検出オリゴヌクレオチドプローブは、いくつかの実施形態では、検出オリゴヌクレオチドプライマーとすることができる。検出オリゴヌクレオチドプローブはまた、任意選択的に、二次標的部分(例えば、ビオチン)に結合させることができる。検出オリゴヌクレオチドプローブはまた、任意選択的に、レポーター酵素のような酵素に結合させることができる。例えば、検出オリゴヌクレオチドは、リボザイム、ドナザイム(DNAzyme)、ホスファターゼ(例えば、AP)、ペルオキシダーゼ(例えば、HRP)、DNAポリメラーゼ、又はグルコースオキシダーゼを含むがこれらに限定されない酵素又は触媒に任意に結合させることができる。例えば、検出オリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸分子の配列に相補的な一本鎖オリゴヌクレオチド配列を含むことができ、ハイブリダイゼーションを介して標的核酸分子に選択的に結合することができる。
【0091】
二次標的部分及び二次標的結合部分は、二次標的部分及び二次標的結合部分が互いに選択的に結合するように、高い相互親和性を有することを、当業者は理解することができる。したがって、適切な二次標的結合部分は、二次標的部分の性質に基づいて当業者によって選択され得、逆もまた同様であることを、当業者は理解することができる。以下のリストは、選択的に結合する化学物質のペアの非限定的な例を含む。二次標的部分及び二次標的結合部分は、以下に列挙される化学物質のペアから選択することができる。例えば、二次標的部分はビオチンとすることができる。例えば、二次標的結合部分は、アビジン又はストレプトアビジンとすることができる。
【0092】
化学物質同士の高親和性選択的結合ペアのリスト:
【0093】
【表1】
【0094】
本明細書で使用される「オリゴヌクレオチド」という用語は、天然に存在する塩基、糖及び糖間結合(骨格)からなるヌクレオシド又はヌクレオチドモノマーの配列を指す。この用語はまた、天然に存在しないモノマー又はその一部を含む、改変又は置換された配列を含む。本出願の核酸配列は、デオキシリボ核酸配列(DNA)又はリボ核酸配列(RNA)であってもよく、アデニン、グアニン、シトシン、チミジン及びウラシルを含む天然に存在する塩基を含み得る。配列は修飾塩基を含んでいてもよい。かかる修飾塩基の例としては、アザ及びデアザアデニン、グアニン、シトシン、チミジン及びウラシル、並びにキサンチン及びヒポキサンチンが挙げられる。核酸は、二本鎖又は一本鎖のいずれかとすることができ、センス鎖又はアンチセンス鎖を表す。例えば、捕捉配列、検出配列、標的配列又はプライマー配列はオリゴヌクレオチドとすることができる。
【0095】
用語「レポーター酵素検出プローブ」は、本明細書中で使用されるとき、二次標的結合部分(例えば、二次標的部分がビオチンであるとき、アビジン又はストレプトアビジン)を含む検出プローブ成分に結合された、酵素活性を含むレポーター酵素成分を含む。レポーター酵素は、任意選択的に、ペルオキシダーゼ(例えば、西洋ワサビペルオキシダーゼ)又はホスファターゼ(例えば、アルカリホスファターゼ)であるが、イオン化可能な生成物を生成し得る任意の安定な酵素(例えば、リアーゼ、ヒドロラーゼ、シンターゼ、シンテターゼ、オキシドレダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、プロテアーゼ(例えば、トリプシン)、プロテイナーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、モノオキシゲナーゼ、シトクロム、ホスファターゼ(例えば、アルカリホスファターゼ)、デカルボキシラーゼ、リパーゼ、カスパーゼ、アミラーゼ、ペプチダーゼ、トランスアミナーゼ、及びキナーゼを含む)を使用することができる。更なる酵素としては、DNA又はRNAポリメラーゼ、TAQ、制限酵素、クレノーフラグメント、DNAリガーゼを挙げることができる。二次標的結合部分は、検出オリゴヌクレオチドプローブの二次標的部分に選択的に結合する。例えば、二次標的結合部分は、ビオチン化検出オリゴヌクレオチドプローブに選択的に結合するアビジン又はストレプトアビジンを含む(例えば、二次標的部分はビオチンを含む)。
【0096】
プローブ、任意選択的にオリゴヌクレオチドに関して本明細書で使用される「選択的」という用語は、プローブ、任意選択的にオリゴヌクレオチドの結合特性を特徴付けるために文脈上使用される。例えば、所定の標的核酸分子に選択的に結合するオリゴヌクレオチドプローブは、別の異なる標的核酸分子と比較して、より高いアビディティ又はより高い特異性のいずれかでその標的核酸分子に結合する。一実施形態では、プローブ、任意選択的にオリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも2倍、3倍、又は5倍の効率で、任意選択的に3~5倍、5~7倍、7~10、10~15、5~15、又は5~30倍の効率で、結合する。
【0097】
本明細書で使用される「標的核酸分子」という用語は、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチド部分に相補的な配列を含む任意の核酸ポリマーを指す。例えば、標的核酸分子は、RNA若しくはDNA、又はそれらの誘導体とすることができる。標的核酸は、少なくとも30ヌクレオチド長である任意の核酸とすることができる。例えば、標的核酸分子は、約若しくは少なくとも30ヌクレオチド、約若しくは少なくとも40ヌクレオチド、約若しくは少なくとも50ヌクレオチド、約若しくは少なくとも80ヌクレオチド、約若しくは少なくとも100ヌクレオチド、約若しくは少なくとも130ヌクレオチド、約若しくは少なくとも180ヌクレオチド、約200ヌクレオチド、約250ヌクレオチド、約300ヌクレオチド、約350ヌクレオチド、約450ヌクレオチド、約600ヌクレオチド、約700ヌクレオチド、約850ヌクレオチド、又は約1000ヌクレオチドとすることができる。いくつかの実施形態では、標的核酸分子は、約30ヌクレオチド~約1500ヌクレオチド長である。例えば、標的核酸分子は、約30ヌクレオチド~約1000ヌクレオチド長、約30ヌクレオチド~約300ヌクレオチド長、約100ヌクレオチド~約500ヌクレオチド長、約100ヌクレオチド~約600ヌクレオチド長、約100ヌクレオチド~約700ヌクレオチド長、約100ヌクレオチド~約800ヌクレオチド長、約100ヌクレオチド~約900ヌクレオチド長、又は約100ヌクレオチド~約1000ヌクレオチド長である。例えば、標的核酸分子は、一本鎖又は二本鎖とすることができる。例えば、標的核酸分子は、プラスミドDNA、細菌、ウイルス若しくは真菌の核酸分子、又は例えば哺乳動物若しくは植物の遺伝子若しくはmRNA中の核酸であり得る。標的核酸はまた、核酸タグを有する化合物などの検出のための合成核酸とすることができる。
【0098】
II.方法及びキット
本明細書に記載されるのは、フェムトモルからピコモル範囲及び/又はそれ未満の核酸分子の検出を可能にする変革的技術である。ゼプトモルからアトモルの範囲での測定が達成できることが本明細書において実証されている。
【0099】
酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)は、生物医学的に重要なポリペプチド分子の反復定量分析のための好ましい分析方法であり、すなわちELISAは、重要な各分析物を捕捉して結合する特異的検出抗体に結合された西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)及び/又はアルカリホスファターゼ(AP)などのレポーター酵素を使用し得る(Engvall,1971;Van Weemen 1971)。
【0100】
現在、レポーター酵素である西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)又はアルカリホスファターゼ(AP)の基質は、着色、蛍光又は発光生成物を生じる。本開示は、質量分析によって測定される高いシグナル対ノイズ比で効率的にイオン化するレポーター酵素の酵素生成物を検出するための方法を提供する。質量分析は、ECL、蛍光又は比色法よりはるかに低い量での検出を可能にするのに十分な感度であるのみならず、別個のm/z値での複数の基質及び生成物のモニタリングも可能にする。本明細書に記載の方法を用いて、通常の産業用レポーター酵素の生成物を、アトモル量以下の定量限界でゼプトモル量以下まで測定することが可能である。
【0101】
小分子を測定するための質量分析の使用は、一般に、高いシグナル対ノイズ比で、フェムトからピコモルレベルに達し得る。例えば、産業用酵素HRP又はAPは、頑丈で耐久性があり、新しい小分子生成物の生成のための高い触媒速度を有する。AP又はHRP酵素は、例えばポリペプチド又は抗体などの特異的検出プローブに共有結合され、それらの標的に結合し、次いで短時間のインキュベーションの過程で多くの異なる生成物反応を触媒し得る。したがって、アトモル、又は更にはアトモル未満の量の酵素-プローブの結合は、LC-ESI-MS/MSによる検出可能な範囲内に十分にあるフェムトモルからピコモルの範囲で蓄積する小分子生成物の量を生じる。
【0102】
液体クロマトグラフィーエレクトロスプレーイオン化及びタンデム質量分析(LC-ESI-MS/MS)は、比色検出、蛍光検出又はECL検出よりも感度が高い。報告された分子の酵素的生成と、高度にイオン化可能な基質についての高感度質量分析との組み合わせは、同位体で標識された標準又は同位体で標識されたプローブを必要とせずに、RIAを超える感度を提供するはずである。
【0103】
HRP及びAPの定量は、AP及びHRPレポーター酵素反応の生成物を検出するためのLC-ESI-MS/MSを使用して実証されている。質量分析計はまた、抗体のような特異的分子プローブに結合したレポーター酵素活性の小分子生成物を検出し得ることが、本明細書中で実証されている。検出抗体などの特異的分子プローブに結合したAP又はHRPなどの1アトモル以下のレポーター酵素は、LC-ESI-MS/MSの信頼できる検出及び定量限界内で十分に、フェムトモルからピコモル量のレポーター酵素反応生成物を迅速に形成する。したがって、ELiMSA及び関連するDNA方法(例えば、DNA ELiMSA)において、HRP又はAPのようなレポーター酵素は、質量分析によって容易に区別及び検出され得る範囲の生成物を生成し得る。生物医学的用途及び環境的用途において広く使用されているレポーター酵素に結合した抗体は、現在、高感度で柔軟な系を作製するために、非常に高感度の質量分析を使用して検出及び定量することができる。質量分析計は、多くの分析物を同時に分離及び分析し得るので、本明細書中に記載される方法を使用して、多くの異なる抗原の同定及び定量化を、直接質量分析によって可能であるレベルよりもはるかに低いレベルまで同時に可能にし得る。
【0104】
この反応はレポーター酵素依存的である。例えば、レポーター酵素検出プローブによって作用され得る基質を適切な基質反応溶液中でインキュベートすることは、レポーター酵素検出プローブの非存在下でシグナルをほとんど又は全く生成しないことが本明細書において実証されている。対照的に、HRP又はAPを含むレポーター酵素検出プローブの添加は、ELiMSA生成物イオンの強い検出をもたらした。生成物イオンは、酵素の存在に依存し、時間及び濃度の両方に依存することが示されている。したがって、ELiMSA生成物イオンは、酵素依存アッセイの全ての特徴を示す。
【0105】
レポーター酵素又は酵素基質に依存して、異なるイオン化可能な生成物が検出され得る。それらのフラグメントも検出することができる。例えば、アデノシンはイオン化され得、268m/zで検出され得るか、又はフラグメント化され得、フラグメントは136m/zで検出され得る。
【0106】
実施例に示すように、捕捉オリゴヌクレオチドプローブを使用して、標的核酸分子を捕捉することができる。他の例において、標的核酸分子は、固体支持体(例えば、固相)に直接的に共有結合又は非共有結合され得、標識された検出プローブ、任意選択的に標識されたプライマーが、結合された標的核酸分子を検出するために使用され得る。
【0107】
一態様では、本開示は、
a.
i.標的核酸分子を含むと推定される試料を、標的核酸分子に相補的な配列を含み、かつ固相に付着している捕捉オリゴヌクレオチドプローブと共に、第1の結合溶液中で、インキュベートすることであって、任意選択的に、固相がリンカーを介して捕捉オリゴヌクレオチドプローブに付着している、インキュベートすること、又は
ii.標的核酸分子を含むと推定される試料を、固相と共にインキュベートして、第1の結合溶液中で、当該試料/標的核酸分子を当該固相に付着させることであって、任意選択的に、固相がリンカーを介して試料/標的核酸分子に付着している、インキュベートすることと、
b.標的:検出複合体を形成するための条件下で、第2の結合溶液中で、任意の標的核酸分子を検出オリゴヌクレオチドプローブに結合させることと、
c.標的:検出:酵素複合体を形成するための条件下で、第3の結合溶液中で、任意の標的:検出複合体をレポーター酵素検出プローブと共にインキュベートすることと、
d.洗浄溶液で固相を洗浄して、任意の未結合のレポーター酵素検出プローブを除去することと、
e.基質反応溶液中で、任意の標的:検出:酵素複合体を、レポーター酵素検出プローブ基質と共にインキュベートして、1つ以上のイオン化可能な生成物を生成することと、
f.質量分析(MS)を使用して、1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの少なくとも1つを検出することと、を含み、
i.第1の結合溶液、第2の結合溶液、及び第3の結合溶液のうちの少なくとも第3の結合溶液が、無機塩を実質的に含まず、
ii.洗浄溶液が、無機塩を実質的に含まず、
iii.方法が、任意の標的:検出:酵素複合体の成分と、捕捉オリゴヌクレオチドプローブとを、任意選択的なステップd)及びステップe)の前に、架橋することを更に含み、かつ/又は
iv.方法が、MSを使用して検出する前に、1つ以上のイオン化可能な生成物を分離することを更に含み、
1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの少なくとも1つの検出が、試料が標的核酸分子を含むことを示す、標的核酸分子を検出する方法を含む。
【0108】
検出オリゴヌクレオチドプローブは、検出オリゴヌクレオチドプライマーであり得る。かかる場合、ステップは、増幅溶液中で検出オリゴヌクレオチドプライマーを用いて標的核酸分子を増幅することと、標的:検出複合体を形成するための条件下で、第2の結合溶液中で、任意の増幅された標的を検出オリゴヌクレオチドプローブに結合させることとを含む。
【0109】
検出オリゴヌクレオチドプローブは、共有結合を介して直接、任意選択的にリンカーを介して、レポーター酵素に共有結合することができることも企図される。かかる場合、標的:検出複合体は、レポーター酵素検出プローブ基質と反応するのに十分である。したがって、二次標的部分及び二次標的結合部分は必要とされない。したがって、別の態様では、本開示は、
a.
i.標的核酸分子を含むと推定される試料を、標的核酸分子に相補的な配列を含み、かつ固相に付着している捕捉オリゴヌクレオチドプローブと共に、第1の結合溶液中で、インキュベートすることであって、任意選択的に、固相がリンカーを介して捕捉オリゴヌクレオチドプローブに付着している、インキュベートすること、又は
ii.標的核酸分子を含むと推定される試料を、固相と共にインキュベートして、第1の結合溶液中で、当該試料/標的核酸分子を当該固相に付着させることであって、任意選択的に、固相がリンカーを介して試料/標的核酸分子に付着している、インキュベートすることと、
b.標的:検出複合体を形成するための条件下で、第2の結合溶液中で任意の標的核酸分子を検出オリゴヌクレオチドプローブに結合させることと、
c.固相を洗浄溶液で洗浄して、任意の未結合の検出オリゴヌクレオチドプローブを除去することと、
d.標的:検出複合体を基質反応溶液中でレポーター酵素検出プローブ基質とインキュベートして、1つ以上のイオン化可能な生成物を生成することと、
e.質量分析(MS)を使用して、1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの1つ以上を検出することと、を含む、標的核酸分子を検出する方法を含み、
i.第1の結合溶液及び第2の結合溶液のうちの少なくとも第2の結合溶液が、無機塩を実質的に含まず、
ii.洗浄溶液が、無機塩を実質的に含まず、
iii.方法が、任意の標的:検出複合体の成分と、捕捉オリゴヌクレオチドプローブとを、任意選択的なステップc)及びステップd)の前に、架橋することを更に含み、かつ/又は
iv.方法が、MSを使用して検出する前に、1つ以上のイオン化可能な生成物を分離することを更に含み、
1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの少なくとも1つの検出が、試料が標的核酸分子を含むことを示す。
【0110】
検出オリゴヌクレオチドプローブは、検出オリゴヌクレオチドプライマーであり得る。かかる場合、ステップは、増幅溶液中で検出オリゴヌクレオチドプライマーを用いて標的核酸分子を増幅することと、標的:検出複合体を形成するための条件下で、第2の結合溶液中で、任意の増幅された標的を検出オリゴヌクレオチドプローブに結合させることとを含む。
【0111】
いくつかの実施形態は、第2の結合溶液、第3の結合溶液及び基質反応溶液は、トリス緩衝液を各々含む。
【0112】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、任意選択的に固相への非共有結合又は共有結合によって、固相に直接固定化されている。
【0113】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも25ヌクレオチド長、少なくとも35ヌクレオチド長である標的核酸分子の一部に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドを含み、任意選択的に、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、約30ヌクレオチド長~約60ヌクレオチド長、又は約40ヌクレオチド長~約55ヌクレオチド長である標的核酸分子の配列の一部に相補的な配列を有する。
【0114】
いくつかの実施形態では、検出オリゴヌクレオチドプローブは、標的核酸分子の別の部分に相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドと、ビオチンから選択される二次標的部分とを含む。
【0115】
いくつかの実施形態では、標的核酸分子の配列の他の部分に相補的な検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドの配列は、少なくとも25ヌクレオチド長、少なくとも35ヌクレオチド長であり、任意選択的に、検出オリゴヌクレオチドプローブは、約30ヌクレオチド~約60ヌクレオチド長、又は約40ヌクレオチド~約55ヌクレオチド長である。
【0116】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブ及び検出オリゴヌクレオチドプローブは、両方とも、非重複領域で標的核酸分子に結合することができ、任意選択的に、非重複領域は直接隣接し、任意選択的に、非重複領域は少なくとも1ヌクレオチド離れ、任意選択的に、非重複領域は少なくとも5ヌクレオチド離れ、任意選択的に、非重複領域は約2ヌクレオチド、約5ヌクレオチド、約10ヌクレオチド、約20ヌクレオチド、約25ヌクレオチド、約50ヌクレオチド、約100ヌクレオチド、約500ヌクレオチド、又は約1000ヌクレオチド離れている。いくつかの実施形態では、非重複領域は、約1kb離れている。いくつかの実施形態では、非重複領域は、1kbを超えて離れている。
【0117】
いくつかの実施形態では、結合溶液及び/又は洗浄溶液が無機塩を実質的に含まないとき、結合溶液及び/又は洗浄溶液は各々独立して揮発性溶液である。いくつかの実施形態では、揮発性溶液は揮発性緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、揮発性緩衝液は、エタノールアミン、重炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸ピリジニウム、トリアルキルアンモニウム/ギ酸、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、N-エチルモルホリン/アセテート、酢酸トリアルキルアンモニウム、又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、揮発性緩衝液は、エタノールアミン、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、トリアルキルアンモニウムは、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、又はそれらの組み合わせから選択される。いくつかの実施形態では、揮発性緩衝液はエタノールアミンである。重炭酸アンモニウムが熱に対して安定でないことは、当業者によって理解され得る。例えば、重炭酸アンモニウムは約90℃又はそれ以上で分解する。したがって、加熱を含むステップについては、エタノールアミンのような他の揮発性緩衝液が好ましい。
【0118】
いくつかの実施形態では、第1の結合溶液、第2の溶液、第3の結合溶液、及び/又は洗浄溶液が無機塩を実質的に含まないとき、第1の結合溶液、第2の溶液、第3の結合溶液、及び/又は洗浄溶液は各々独立してエタノールアミンを含み、任意選択的に第2の結合溶液及び第3の結合溶液はそれぞれエタノールアミンを含み、任意選択的に第1の結合溶液、第2の結合溶液、及び第3の結合溶液はそれぞれエタノールアミンを含み、任意選択的に洗浄溶液はエタノールアミンを含む。
【0119】
いくつかの実施形態では、ステップa)及びステップb)は同時に行われ、ステップa)の第1の結合溶液はステップb)の第2の結合溶液である。
【0120】
いくつかの実施形態は、第1の結合溶液、第2の結合溶液、第3の結合溶液、及び基質反応溶液は、各々独立して、約7~約10、任意選択的に約7~約8、任意選択的に約8.8のpHを有する。
【0121】
いくつかの実施形態では、揮発性結合溶液のいずれかを使用して、固体支持体を洗浄し、任意選択的に、存在し得る任意の無機塩を除去することができる。
【0122】
いくつかの実施形態では、標的:検出:酵素複合体は、72時間未満、24時間未満、12時間未満、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、2分未満、又は1分未満の期間、基質反応溶液中でレポーター検出プローブ基質と共にインキュベートされて、1つ以上のイオン化可能な生成物を生成する。
【0123】
いくつかの実施形態では、第1の結合溶液、第2の結合溶液、及び第3の結合溶液のうちの少なくとも第3の結合溶液は、無機塩を実質的に含まず、本明細書に記載される揮発性緩衝液を含む。
【0124】
いくつかの実施形態では、本方法は、固相を洗浄溶液で洗浄して任意の未結合レポーター酵素検出プローブを除去することを含み、洗浄溶液は、無機塩を実質的に含まず、本明細書に記載される揮発性緩衝液を含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、標的:検出:酵素複合体の任意の成分、及び捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、任意選択的なステップd)及びステップe)の前に架橋され、架橋は、H-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-オキシスクシンイミド(NOS)、マレイミド、ヒドラジド、グルタルアルデヒドカップリング、スベリン酸ジスクシンイミジル(DSS)架橋又はPEG架橋を介するものである。
【0126】
いくつかの実施形態では、標的検出:酵素複合体の任意の成分と捕捉オリゴヌクレオチドプローブとの架橋は、グルタルアルデヒドカップリング、DSS架橋、又はPEG架橋を介するものである。
【0127】
別の態様では、本開示は、以下のステップを含む、試料中の標的核酸分子の量を定量化する方法を含む:
a.本開示の方法に従って標的核酸分子を検出するステップ、及び
b.質量分析によって検出されたイオン化可能な生成物のうちの1つ以上についてのシグナルの強度に基づいて、試料中の標的核酸分子の量を定量化するステップ。
【0128】
いくつかの実施形態では、定量化は、同様の条件下で、既知量の標的物質を使用して生成されたシグナル強度に対して、1つ以上の生成物についてのシグナル強度を比較することを含む。
【0129】
いくつかの実施形態では、標的核酸分子は、ピコモル、フェムトモル、若しくはアトモルの範囲で、又はそれらの範囲までで試料中に存在するか、又は存在することが疑われる。
【0130】
いくつかの実施形態では、標的核酸分子は、DNA、RNA、並びにそれらの組み合わせ及び誘導体から選択される。
【0131】
いくつかの実施形態では、試料は、生体試料、工業生成物、環境試料、又はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)反応生成物である。いくつかの実施形態では、生体試料は、血液試料、尿試料、糞便試料、滲出液、組織試料又は痰試料である。
【0132】
別の態様では、本開示は、本開示は、以下を含む、標的核酸分子を検出する方法を含む:
修飾プライマー及び第2のプライマーを用いて、標的核酸分子を含むと推定される試験試料に対して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)又はハイブリダイゼーション連鎖反応(HCR)又はローリングサークル反応又は他の核酸反応などの核酸増幅を実施して、修飾プライマーを含む増幅された核酸生成物、任意選択的にPCR生成物を得ることであって、修飾プライマーが、二次標的部分又はレポーター酵素で官能化されている、実施することと、
増幅された核酸生成物を、任意の未反応修飾プライマーから分離することと、
修飾プライマーが、二次標的部分で官能化されているとき、増幅された核酸生成物を、第1の結合溶液中で、レポーター酵素検出プローブと共に、増幅された核酸生成物:レポーター酵素複合体を形成する条件下でインキュベートして、結合していないレポーター酵素検出プローブを洗浄溶液で除去することであって、レポーター酵素検出プローブが、二次標的結合部分及びレポーター酵素を含む、インキュベートすることと、
増幅された核酸生成物又は増幅された核酸生成物:レポーター酵素基質複合体を、基質反応溶液中で、レポーター酵素基質とインキュベートして、1つ以上のイオン化可能な生成物を生成することと、
質量分析(MS)を使用して、1つ以上のイオン化可能な生成物を検出することであって、
修飾プライマーがフォワードプライマーであるとき、第2のプライマーがリバースプライマーであり、修飾プライマーがリバースプライマーであるとき、第2のプライマーがフォワードプライマーである、検出すること。
【0133】
いくつかの実施形態では、第2のプライマーは固相に結合され、任意選択的に、第2のプライマーはリンカーを介して固相に結合される。
【0134】
いくつかの実施形態では、第2のプライマーは、任意選択的に固相への非共有結合又は共有結合によって、固相に直接付着される。
【0135】
いくつかの実施形態では、増幅された核酸生成物からの未反応修飾プライマーの分離は、遠心分離、濾過及び/又は溶媒洗浄によるものである。
【0136】
いくつかの実施形態では、本方法は、増幅された核酸生成物をレポーター酵素検出プローブとインキュベートする前に、修飾プライマーを含む増幅された核酸生成物を固相と第2の結合溶液中で、増幅された核酸生成物を固相に結合させる条件下でインキュベートするステップを更に含み、固相は、増幅された核酸生成物に相補的な配列を含む捕捉オリゴヌクレオチドプローブが結合しており、任意選択的に、固相はリンカーを介して捕捉オリゴヌクレオチドプローブに結合している。
【0137】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、任意選択的に固相への非共有結合又は共有結合によって、固相に直接結合される。
【0138】
例えば、様々な実施形態が図15A及び図15Bに示されている。図15A及びBは、いくつかの実施形態では、増幅、例えば、PCR生成物の生成を伴う、「全サンドイッチ」又は「半サンドイッチ」と称され得る実施形態、及び固体支持体への吸着等の共有結合若しくは化学結合又は非共有結合の実施形態を示す。具体的には、ビオチン化プライマー及び任意選択的に捕捉オリゴヌクレオチドプローブの5’結合又は3’結合を使用する、例えばNOS化学結合プレートを使用する「ハーフサンド」実施形態が示されている。標的核酸分子がPVDFに吸着され、ビオチン化検出プローブで検出される実施形態も示されている。捕捉オリゴヌクレオチドプローブ及び検出オリゴヌクレオチドプローブが使用される「完全サンドイッチ」の実施形態も示されている。標的核酸試料は化学的に付着又は吸着し、タグ付き検出プローブを使用して検出することができる。他の実施形態及び組み合わせも本明細書に記載されている。
【0139】
図15Aに示される「R」は、アミン若しくは他のリンカー、ビオチン若しくは他のタグ、又は固体支持体への付着のうちの任意の1つ以上とすることができる。例えば、アミンは、オリゴヌクレオチド中に存在するか又はオリゴヌクレオチドに付加されたアミン基であり得る。
【0140】
リンカーは、化学結合であってもよく、又は例えば、アミンで終わるPEG鎖などの部分を含んでもよい。アミンを含む炭素鎖などの他の部分。
【0141】
リンカーは、アミン(又は一旦連結されたアミン結合)、又はNHS、又はカルボキシル結合若しくはシステイン結合、又は例えばアミン若しくはアミン反応性基を有するPEG、又は任意の他の適切な結合とすることができる。本明細書又は以下の表に記載される他のものを含む他のものを使用することができる。
【0142】
【表2】
【0143】
様々なタグを使用することができる。例えば、タグは、ビオチン、ALFA-タグ、Aviタグ、C-タグ、カルモジュリン-タグ、ポリグルタミン酸タグ、E-タグ、Flag-タグ、HA-タグ、His-タグ、myc-タグ、NE-タグ、Rho1D4-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Sofタグ1、Sofタグ3、Spot-タグ、Strept-タグ、T7-タグ、TC-タグ、Ty1タグ、V5タグ、VSVタグ、Xpressタグ、Isopepタグ、Spyタグ、Snoopタグ、Dogタグ、Sdyタグ、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタス、GFPタグ、Haloタグ、SNAP-タグ、CLIP-タグ、HUH-タグ、マルトース結合タンパク質タグ、Nus-タグ、チオレドキシン-タグ、Fc-タグ、又はCRDSAT-タグとし得る。例えば本明細書の他の箇所に記載されている他のものも使用することができる。タグは、いくつかの実施形態ではビオチンである。
【0144】
説明したように、共有結合及び非共有結合による結合を使用することができる。例えば、支持体への結合は、共有結合(例えば、[H-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-オキシスクシンイミド(NOS)、マレイミド、ヒドラジド、グルタルアルデヒドカップリング、若しくはPEG架橋)又は非共有結合(PVDF、シリカ、ポリスチレン、ナイロンなどへの吸着)であり得る。これは、リンカーを介して又はリンカーなしで行われ得る。例えば、PVDF、ポリスチレン又はシリカ又はナイロン、アクリルアミド、アルギネート、メラミン又は任意の他の支持体への吸着である。
【0145】
固体支持体は、例えば、ポリスチレンプレート、又は化学的に反応性のNOSポリスチレンプレートなどのプレートとすることができ、またプレートは、96ウェルプレート、マイクロウェル若しくはナノウェルプレート、例えば96ウェルプレート中のPVDF膜などの膜、又はビーズなどのマイクロ若しくはナノサイズの粒子であり得る。他の結合としては、例えば、シリカ、PVDF、ポリスチレン、ナイロン、アクリルアミド、アルギン酸塩、メラミンによるものが挙げられる。
【0146】
より具体的な例を図15Bに示す。この図において、Pはホスフェートを指し、Nはアミンを指す。プライマーA/Bは、ビオチンなどのタグを有するプライマー及び有さないプライマーを指す。プライマーC/Dは、プライマーを含まないか又は表面支持体に固定されたプライマーを指す。
【0147】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、修飾プライマーを含む増幅された核酸生成物の配列の一部に相補的な配列を有する。
【0148】
いくつかの実施形態では、第1の結合溶液及び/又は洗浄溶液は揮発性であり、NaClを実質的に含まない。
【0149】
いくつかの実施形態では、第2の結合溶液は揮発性であり、NaClを実質的に含まない。
【0150】
いくつかの実施形態では、第1の結合溶液又は第2の結合溶液は、それぞれ揮発性緩衝液を含む。
【0151】
いくつかの実施形態では、揮発性緩衝液は、エタノールアミン、重炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸ピリジニウム、トリアルキルアンモニウム/ギ酸、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、N-エチルモルホリン/アセテート、酢酸トリアルキルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0152】
いくつかの実施形態では、揮発性緩衝液は、エタノールアミン、酢酸アンモニウム、重炭酸トリアルキルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0153】
いくつかの実施形態では、トリアルキルアンモニウムは、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0154】
いくつかの実施形態では、揮発性緩衝液はエタノールアミンである。
【0155】
いくつかの実施形態は、本方法は、増幅された核酸生成物を固相に結合させる前に、ブロッキング剤、任意選択的にウシ血清アルブミン(BSA)で、固相を洗浄するステップを更に含む。
【0156】
いくつかの実施形態では、第1の結合溶液又は第2の結合溶液は、各々独立して、約7~約10、任意選択的に約7~約8、任意選択的に約8.8のpHを有する。
【0157】
いくつかの実施形態では、増幅された核酸生成物:レポーター酵素複合体からの任意の非結合のレポーター酵素検出プローブの除去は、遠心分離、濾過及び/又は溶媒洗浄によるものである。
【0158】
いくつかの実施形態では、増幅された核酸生成物又は増幅された核酸生成物:レポーター酵素複合体は、72時間未満、24時間未満、12時間未満、60分未満、50分未満、40分未満、30分未満、20分未満、15分未満、10分未満、5分未満、2分未満、又は1分未満の期間、基質反応溶液中でレポーター酵素基質と共にインキュベートされて、1つ以上のイオン化可能な生成物を生成する。
【0159】
いくつかの実施形態では、試験試料は、生物学的試料、工業生成物、又は環境試料である。
【0160】
いくつかの実施形態では、生体試料は、血液試料、尿試料、糞便試料、滲出液、組織試料又は痰試料である。
【0161】
いくつかの実施形態は、PCRは、リアルタイムPCR(rtPCR)、定量的PCR(qPCR)、逆転写PCR、ネステッドPCR、ハイブリダイゼーション連鎖反応、ローリングサークルPCR、及び基質リサイクリング反応から選択される。
【0162】
レポーター酵素検出プローブは、任意選択的に、共有結合により互いに結合されたレポーター酵素成分及び検出プローブ成分を含むことができる。いくつかの実施形態では、検出オリゴヌクレオチドプローブは、共有結合を介して直接、任意選択的にリンカーを介して、レポーター酵素に結合され得ることも企図される。検出オリゴヌクレオチドプローブがすでにレポーター酵素に結合しているとき、レポーター酵素検出プローブは必要ではない。一実施形態では、レポーター酵素は、ペルオキシダーゼ活性、モノオキシゲナーゼ活性、ホスファターゼ活性、グルコースオキシダーゼ、プロテアーゼ又はカスパーゼ活性を含み、例えば、レポーター酵素は、ペルオキシダーゼ、モノオキシゲナーゼ、ホスファターゼ、グルコースオキシダーゼ、プロテアーゼ、エンドプロテイナーゼ、エキソペプチダーゼ又はカスパーゼである。別の実施形態では、レポーター酵素は、リアーゼ、ヒドロラーゼ、シンターゼ、シンテターゼ、オキシドレダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、トランスフェラーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、プロテアーゼ、例えばトリプシン、エンドプロテイナーゼ、エキソペプチダーゼ、プロテイナーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、モノオキシゲナーゼ、シトクロム、ホスファターゼ、アルカリホスファターゼ、デカルボキシラーゼ、リパーゼ、カスパーゼ、アミラーゼ、ペプチダーゼ、トランスアミナーゼ、及びキナーゼから選択される。更なる酵素としては、DNA又はRNAポリメラーゼ、TAQ、制限酵素、クレノーフラグメント、DNAリガーゼを挙げることができる。更に別の実施形態では、レポーター酵素は、HRP、AP、リガーゼ、DNAポリメラーゼ(例えば、クレノー又はTAQ)、制限酵素、及びプロテアーゼ、シトクロムモノオキシゲナーゼ、グルコースオキシダーゼ、GAPDH、並びに他の解糖酵素及びTCA回路酵素から選択される。
【0163】
固相は、任意の反応容器、任意選択的にビーズ、ロッド又はプレート、例えばポリスチレン表面を有するマイクロタイタープレートとすることができる。固相は、金属、金、ステンレス鋼、プラスチック、ガラス、シリカ、順相、逆相、ポリカーボネート、ポリエステル、PVDF、ニトロセルロース、セルロース、ポリスチレン、ポリマー、鉄、磁性、被覆磁性、マイクロビーズ、ナノビーズ、ナノチューブ、ナノファイバー又はフラーレンを含む任意の表面であり得る。8~12個の突出シリンダーを有する免疫吸着ポリスチレンロッドが、例えば米国特許第7510687号に記載されている。
【0164】
標的核酸分子の検出オリゴヌクレオチドプローブへの結合、及び検出オリゴヌクレオチドプローブのレポーター酵素検出プローブへの結合は、緩衝溶液中で起こすことができる。レポーター酵素検出プローブによる基質の変換は、基質反応緩衝液中で起こすことができる。適切な緩衝液は、NaClを実質的に含まない揮発性緩衝液を含み、質量分析の条件に適合する揮発性緩衝液である。かかる適切な緩衝液としては、重炭酸アンモニウム、ギ酸アンモニウム、ギ酸ピリジニウム、トリメチルアミン/ギ酸、酢酸アンモニウム、重炭酸トリメチルアミン、N-エチルモルホリン/アセテート、トリエチルアミン/ギ酸、重炭酸トリエチルアミン、又はポリマー(例えば、ポリエチレングリコール又は硫酸デキストラン)及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。溶液のpHをレポーター酵素の最大活性に最適な付近に維持する緩衝液が好ましい。それらの同じ緩衝液は、試験物質又は反応緩衝液の結合のために使用され得る。
【0165】
同じ結合緩衝液が、標的核酸分子の検出オリゴヌクレオチドプローブへの結合、及び検出オリゴヌクレオチドプローブのレポーター酵素検出プローブへの結合のために使用され得る。任意選択的に、基質反応緩衝液は、結合緩衝液と同じであり得る。
【0166】
増幅を含む実施形態では、結合緩衝液は、増幅のための試薬を含み得、例えば、増幅に適した緩衝液中にポリメラーゼ、ヌクレオチドなどを含む増幅溶液と称され得る。
【0167】
本明細書に開示される方法はまた、固相の非存在下で溶液中で行われ得、ここで、標的物質は、固定化されないが、マイクロビーズ若しくは磁性マイクロビーズ上に懸濁されるか、又はコロイド懸濁液中に懸濁されるか、あるいはそうでなければ完全に固定化されずに溶液中で自由に移動する。
【0168】
高いシグナル対ノイズ比を提供するイオン化可能な生成物を生成する基質が望ましい。例えば、選択されたシグナル対ノイズ比は、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも10である。一実施形態では、シグナル対ノイズ比は5以上である。シグナル対ノイズ比は、質量シグナル(ピーク高さ)対ノイズ(ベースレベル変動の振幅)の比である。シグナル対ノイズ比は、例えば、MSを使用して、既知量の分析物又は試料のシグナル強度と比較した、ブランク試料又はベースラインからのシグナル強度の比を測定することによって決定することができる。イオン化されて生成物イオンになったときに高いシグナル対ノイズ比を有するイオン化可能な生成物を生成する基質の例は、ナフトールASMXホスフェートであり、これは脱リン酸化される。高いシグナル対ノイズ比は、本明細書で使用されるとき、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも10より大きいシグナル対ノイズ比である。
【0169】
基質は、例えばエレクトロスプレー又はMALDIによってイオン化可能な、例えばNO、SO、PO、NH、=NH-、COOH、NH-NHR-、NH-NR-NHのうちの少なくとも1つを含む少なくとも1つのイオン化可能な基を含み、選択されたレポーター酵素の基質となるものである。例えばHRPの場合、適切な基質は、Hに電子を供与することができるものである。別の例として、APなどのホスファターゼの場合、基質は、酵素によって切断され得る少なくとも1つのリン酸基を有する。
【0170】
いくつかの実施形態では、本開示の方法は、MSを使用する検出の前に、1つ以上のイオン化可能な生成物を分離するステップを更に含む。いくつかの実施形態では、分離は、液体クロマトグラフ、遠心分離、濾過、溶媒洗浄、及び/又は塩転換による。いくつかの実施形態では、分離は、液体クロマトグラフィー、任意選択的にアイソクラチック順相クロマトグラフィーによる。いくつかの実施形態では、液体クロマトグラフィーは、逆相クロマトグラフィーによる。いくつかの実施形態では、逆相クロマトグラフィーは、C18クロマトグラフィーである。いくつかの実施形態では、液体クロマトグラフィーは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)である。いくつかの実施形態では、HPLCは、ナノフロー液体クロマトグラフィーである。
【0171】
いくつかの実施形態では、MSを使用して1つ以上のイオン化可能な生成物を検出するステップは、任意選択的に、エレクトロスプレーイオン化(ESI)、MALDI、化学イオン化、電子衝撃、レーザー脱離、電気イオン化、又は熱イオン化によって、1つ以上のイオン化可能な生成物をイオン化して、1つ以上の生成物イオンを生成することと、1つ以上の生成物イオンをMS、任意選択的に、タンデムMS(MS/MS)に供することとを含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、イオン化は、正イオン化又は負イオン化である。
【0173】
いくつかの実施形態では、生成された1つ以上の生成物イオンは、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10である選択されたシグナル対ノイズ比を有する。
【0174】
いくつかの実施形態では、MSは、エレクトロスプレーイオン化タンデムMS(ESI-MS/MS)、マトリックス支援レーザー脱着/イオン化飛行時間型(MALDI-TOF)、タンデムMS(MS/MS)、複数ラウンドのフラグメンテーションMSN、MALDI、エレクトロスプレー、ナノスプレー、表面イオン化、レーザー脱着及びイオン化、大気イオン化、真空イオン化、並びにキャピラリー電気泳動、超音波又は音波又は振動、ナノ液滴又はマイクロ液滴試料導入システムを備えたMSから選択される。
【0175】
いくつかの実施形態では、MSを使用して検出するステップは、単一イオン監視(SIM)によって生成物イオン強度を記録するステップ及び/又は単一試薬監視(SRM)によって生成物イオン親からフラグメントへの遷移を記録するステップを含む。
【0176】
いくつかの実施形態は、レポーター酵素検出プローブは、レポーター酵素及び任意選択的に二次標的結合部分を含み、二次標的結合部分は、レポーター酵素に共有結合している。
【0177】
いくつかの実施形態では、二次標的部分は、ビオチン、ALFA-タグ、Aviタグ、C-タグ、カルモジュリン-タグ、ポリグルタミン酸タグ、E-タグ、Flag-タグ、HA-タグ、His-タグ、myc-タグ、NE-タグ、Rho1D4-タグ、S-タグ、SBP-タグ、Sofタグ1、Sofタグ3、Spot-タグ、Strept-タグ、T7-タグ、TC-タグ、Ty1タグ、V5タグ、VSV-タグ、Xpressタグ、Isopepタグ、Spyタグ、Snoopタグ、Dogタグ、Sdyタグ、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質、グルタチオン-S-トランスフェラーゼタス、GFPタグ、Haloタグ、SNAP-タグ、CLIP-タグ、HUH-タグ、マルトース結合タンパク質タグ、Nus-タグ、チオレドキシン-タグ、Fc-タグ、及びCRDSAT-タグから選択され、任意選択的に、第2の標的部分はビオチンである。
【0178】
いくつかの実施形態では、二次標的結合部分は、二次標的部分に結合し、アビジン、ストレプトアビジン、カルモジュリン、陰イオン交換樹脂、Mono-Q、陽イオン交換樹脂、抗E-タグ抗体、抗FLAG-タグ抗体、抗HA-タグ抗体、ニッケル又はコバルトキレート、抗Myc-タグ抗体、抗NE-タグ抗体、抗Rho1D4-タグ抗体、抗S-タグ抗体、抗Sofタグ1抗体、抗Sofタグ3抗体、ナノボディ、ストレプタクチン、抗T7-タグ抗体、FIAsH二ヒ素化合物、ReAsH二ヒ素化合物、抗Ty1タグ抗体、抗V5タグ抗体、抗VSVタグ抗体、抗Xpressタグ抗体、ピリン-Cタンパク質、SpyCatcherタンパク質、SnoopCatcherタンパク質、SnoopタグJrタンパク質、SdyCatcherタンパク質、グルタチオン、GFP抗体、ハロアルカン基質、ベンジルグアニン誘導体、ベンジルシトシン誘導体、HUH特異的DNA配列、アミロースアガロース、Nus-タグ抗体、抗チオレドキシン-タグ抗体、プロテイン-Aセファロース、ラクトース、アガロース、及びセファロースから選択され、任意選択的に、二次標的結合部分が、アビジン及びストレプトアビジンから選択される。
【0179】
いくつかの実施形態では、二次標的結合部分は、検出オリゴヌクレオチドプローブの二次標的部分に結合し、二次標的部分がビオチンであるとき、アビジン及びストレプトアビジンから選択される。
【0180】
いくつかの実施形態では、レポーター酵素は、ホスファターゼ、任意でアルカリホスファターゼ、リアーゼ、ヒドロラーゼ、シンターゼ、シンテターゼ、オキシドレダクターゼ、デヒドロゲナーゼ、オキシダーゼ、トランスファーゼ、イソメラーゼ、リガーゼ、プロテアーゼ、例えばトリプシン、プロテイナーゼ、ペルオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、ミエロペルオキシダーゼ、オキシダーゼ、モノオキシゲナーゼ、シトクロム、デカルボキシラーゼ、リパーゼ、カスパーゼ、アミラーゼ、ペプチダーゼ、トランスアミナーゼ、キナーゼ活性、DNA又はRNAポリメラーゼ、任意選択的にTAQ、制限酵素、クレノーフラグメント、及びDNAリガーゼから選択される。
【0181】
いくつかの実施形態では、レポーター酵素は、アルカリホスファターゼ、西洋ワサビペルオキシダーゼ、トリプシン、シトクロムCモノオキシゲナーゼ、及びミエロペルオキシダーゼから選択され、任意選択的に、レポーター酵素は、アルカリホスファターゼ又は西洋ワサビペルオキシダーゼである。
【0182】
いくつかの実施形態では、1つ以上のイオン化可能な生成物は、ESI-MS/MS又はMALDI-TOF下で容易にイオン化可能であり、高いシグナル対ノイズ比によって特徴付けられる生成物イオンを生成し、基質は、任意選択的に、
a.酵素がアルカリホスファターゼ(AP)であるとき、リン酸化ヌクレオシド、任意選択的にAMP若しくはCMP、又はヌクレオチド、任意選択的にATP若しくはCTP、リン酸化アルカロイド、リン酸化アミノ酸、リン酸化アミノ酸ポリマー、及びリン酸化代謝生成物、
b.レポーター酵素が西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)であるとき、フェノール、アミン、任意選択的にフェノールアミン、芳香族化合物、オレフィンハロゲン化物、ルミノール、ピロガロール、2,2’-アジノ-ビス(3-エチルベンゾチアゾリン-6-スルホン酸(ABTS)、及びAmplex(登録商標)Redから選択される化合物、あるいは
c.オピエート、洗剤、染料前駆体、アルコール、及びマトリックス、から選択される。
【0183】
いくつかの実施形態では、レポーター酵素検出プローブ基質は、ピリドキサミン-5-リン酸(PA5P)、p-ニトロフェニルホスフェート(PNPP)、Am-plex(登録商標)Red(AR)、ナフトールASMXホスフェート、ルミノール、Lumigen(登録商標)TMA3、Lumigen(登録商標)TMA6、スフィンゴシン、4MUP、L-(+)-2-アミノ-6-ホスホノヘキサン酸、5-ブロモ-4-クロロ-3-インドリルホスフェート(BCIP)、BluePhos(登録商標)、フェニルベンゼンωホスホノ-α-アミノ酸、O-ホスホ-DL-スレオニン、アデノシンモノホスフェート(AMP)、AR(3-アミノ-9-エチルカルバゾール)、4-CN(4-クロロ-1-ナフトール)、DAB(3,3’-ジアミノベンジミジン)、OPD(o-フェニレンジアミン)、TMB(3,3’’,5,5’’-テトラメチルベンジジン)、pNPP(p-ニトロフェニルホスフェート)、NBT(ニトロブルーテトラゾリウム)、INT(p-インドニトロテトラゾリウム)、MUP(4-メチルウンベリフェリルホスフェート)、及びFDP(フルオレセインジホスフェート)、ピロガロールから選択される。
【0184】
いくつかの実施形態では、レポーター酵素検出プローブ基質は、
a.レポーター酵素検出プローブがHRPを含むとき、AR、ルミノール、Lumigen(登録商標)TMA3、及びLumigen(登録商標)TMA6、又は
b.レポーター酵素検出プローブがAPを含むとき、ナフトールASMXホスフェート、及びPNPP、から選択される。
【0185】
いくつかの実施形態では、本開示の標的核酸分子を検出する方法は、標的:検出複合体をレポーター酵素検出プローブとインキュベートする前に、固相を第2の結合溶液で洗浄することを更に含む。
【0186】
いくつかの実施形態では、本開示の標的核酸分子を検出する方法は、標的核酸分子を固相に結合させる前に、ブロッキング剤、任意選択的にウシ血清アルブミン(BSA)で固相を洗浄することを更に含む。
【0187】
いくつかの実施形態では、基質反応溶液は、N-オクチルグルコシド、デオキシコレート、ラピゲスト、オクチル-ベータ-グルコピラノシド、オクチルグルコピラノシド、チャップ、ビッグチャップ、非イオン性酸不安定性界面活性剤、グルコシド、n-オクチル-β-D-グルコピラノシド、n-ノニル-β-D-グルコピラノシドチオグルコシド、n-オクチル-β-D-チオグルコピラノシドマルトシド、n-デシル-β-D-マルトピラノシド、n-ドデシル-β-D-マルトピラノシド、n-ウンデシル-β-D-マルトピラノシド、n-トリデシル-β-D-マルトピラノシド、シマル-5、シマル-6、チオマルトシド、n-ドデシル-β-D-チオマルトピラノシド、アルキルグリコシド、オクチルグルコースネオペンチルグリコール、ポリオキシエチレングリコール、トリトン、NP40、ツイーン(商標)、ツイーン(商標)20、トリトンX-100、トリトンx-45、C8E4、C8E5、C10E5、C12E8、C12E9、Brij、Anapoe-58、Brij-58、及びそれらの組み合わせから任意選択的に選択される非イオン性非ポリマー洗剤を含む。
【0188】
いくつかの実施形態では、基質反応溶液は、基質がルミノールを含むとき、4-ヨードフェニルボロン酸を更に含む。
【0189】
いくつかの実施形態は、固相は、反応容器、任意選択的にビーズ、プレート、キャピラリー、フィルター、又はナノ/マイクロ/ミリウェル反応容器であり、表面は、紙、ニトロセルロース、アクリレート、プラスチック、ポリスチレン、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、メラミン、シリカ、ポリリジンコーティングガラス、3-アミノプロピル-トリエトキシシラン(APTES)処理ガラス、及び3-アミノプロピル-トリメトキシシラン(APTMS)処理ガラスから選択される。
【0190】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブの固相への付着は、H-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-オキシスクシンイミド(NOS)、マレイミド、ヒドラジド、グルタルアルデヒドカップリング、又はPEG架橋を介するものである。
【0191】
いくつかの実施形態では、生成物イオンは、最適化されたフラグメンテーションエネルギー及びm/z範囲を使用して、SIM及び/又はSRMによってアッセイされる。
【0192】
いくつかの実施形態では、基質はAMP、ADP若しくはATPであり、生成された1つ若しくはイオン化可能な生成物はアデノシンを含み、その生成物イオンはSIMによって268m/zでアッセイされるか、又は、基質はCMP、CDP若しくはCTPであり、生成された1つ若しくはイオン化可能な生成物はシトシンを含み、その生成物イオンはSIMによって283m/zでアッセイされるか、又は、基質はARであり、生成された1つ以上のイオン化可能な生成物のうちの1つは、レゾルフィンを含み、その生成物イオンは、214m/zにおけるSIM及び214~186m/zにおける主要な強いフラグメントを使用するSRMによってアッセイされる。
【0193】
いくつかの実施形態では、基質はナフトールASMXホスフェートであり、生成された1つ以上のイオン化可能な生成物の1つは脱リン酸化ナフトールASMXを含み、その生成物イオンは292m/zにおけるSIM及び292~171m/zにおける主要な強いフラグメントを用いるSRMによってアッセイされるか、又は基質はPA5Pであり、生成された1つ若しくはイオン化可能な生成物はPAを含み、その生成物イオンは169m/zにおけるSIMによってアッセイされる。
【0194】
いくつかの実施形態では、イオン化可能な生成物は、イオン化溶液中でイオン化してイオンを生成する。
【0195】
別の態様では、本開示は、以下のステップを含む、試験試料中の標的核酸分子の量を定量化する方法を含む:
a.本開示の標的核酸分子を検出する方法に従って標的核酸分子を検出するステップ、及び
b.質量分析によって検出されたイオン化可能な生成物のうちの1つ以上についてのシグナルの強度に基づいて、試験試料中の標的核酸分子の量を定量化するステップ。
【0196】
いくつかの実施形態では、定量化は、1つ以上の生成物についてのシグナルの強度を、同様の条件下で既知量の標的核酸分子を使用して生成されたシグナル強度と比較するステップを含む。
【0197】
いくつかの実施形態では、標的核酸分子は、ピコモル、フェムトモル、若しくはアトモルの範囲で、又はそれらの範囲までで試料中に存在するか、又は存在することが疑われる。
【0198】
いくつかの実施形態では、1つ以上の標的オリゴヌクレオチドテンプレートが検出される。
【0199】
いくつかの実施形態では、標的核酸分子は、プラスミドDNA、又は細菌、ウイルス、真菌、哺乳動物、若しくは植物ゲノムに含まれる配列である。
【0200】
いくつかの実施形態では、細菌ゲノムは、E.coli、Staphylococcus aureus、Chlamydia、Vibrio cholera、Clostridium、Enterococci、Fusobacterium、anaerobic bacilli、Gram negative cocci、Gram positive bacilli、Haemophilus、Haemophilus influenza、Klebsiella、Lactobacillus、Listeria、Borrelia、Mycobacterium、Mycoplasma、Neisseria、Prevotella、Pseudomonas、Salmonella、Shigella、Spirochaetes、Staphylococcus、Streptococcus、及びYersiniaのゲノムから選択される。
【0201】
いくつかの実施形態では、細菌ゲノムは、E.coli及びStaphylococcus aureusから選択される。
【0202】
いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは、HIV、SARS-CoV、MERS、SARS-CoV-2、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、コロナウイルスゲノム、エンテロウイルス、肝炎ウイルス、ヘルペスウイルス、HPV、ノロウイルス、パラインフルエンザ、ライノウイルス、及び水痘ウイルスのゲノムから選択される。
【0203】
いくつかの実施形態では、ウイルスゲノムは、HIV、SARS-CoV、MERS、SARS-CoV-2、エボラウイルス、インフルエンザウイルス、及びコロナウイルスのゲノムから選択される。
【0204】
いくつかの実施形態では、真菌ゲノムは、カンジダのゲノムから選択される。
【0205】
いくつかの実施形態では、哺乳動物ゲノムはヒトのゲノムである。
【0206】
いくつかの実施形態では、標的核酸分子は、HIVゲノムに含まれる配列を有する。いくつかの実施形態では、標的核酸分子は、SARS-CoV-2ゲノムに含まれる配列を有する。
【0207】
別の態様では、本開示は、本開示の標的核酸分子を検出する方法を含む、HIVを検出する方法を含み、標的核酸分子は、HIV核酸分子である。
【0208】
いくつかの実施形態では、HIVを検出する方法は、本開示の標的核酸分子を検出する方法を含み、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号14、配列番号17、配列番号20、及び配列番号23から選択される配列を有する。
【0209】
いくつかの実施形態では、HIVを検出する方法は、本開示の標的核酸分子を検出する方法を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブオリゴヌクレオチドは、配列番号16、配列番号19、配列番号22、及び配列番号25から選択される配列を有する。
【0210】
いくつかの実施形態では、HIVを検出する方法は、本開示の標的核酸分子を検出する方法を含み、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号14、配列番号17、配列番号20、及び配列番号23から選択される配列を有する。
【0211】
別の態様では、本開示は、本開示の標的核酸分子を検出する方法を含む、SARS-CoV2を検出する方法を含み、標的核酸分子は、SARS-CoV2核酸分子である。
【0212】
いくつかの実施形態では、本開示のSARS-CoV2を検出する方法は、本開示の標的核酸分子を検出する方法を含み、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号6及び配列番号13から選択される配列を有する。
【0213】
いくつかの実施形態では、本開示のSARS-CoV2を検出する方法は、本開示の標的核酸分子を検出する方法を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブオリゴヌクレオチドは、配列番号5及び配列番号12から選択される配列を有する。
【0214】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される配列を有する。
【0215】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、第2のプライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される配列を有する。
【0216】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号2の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号3又は配列番号8の配列を有する。
【0217】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号3の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号2又は配列番号7の配列を有する。
【0218】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号7の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号3又は配列番号8の配列を有する。
【0219】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号8の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号2、配列番号7の配列を有する。
【0220】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号9の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号10の配列を有する。
【0221】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号10の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号9の配列を有する。
【0222】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号38の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号39の配列を有する。
【0223】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号39の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号38の配列を有する。
【0224】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号41の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号42の配列を有する。
【0225】
本開示のSARS-CoV2を検出する方法のいくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号42の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号41の配列を有する。
【0226】
他のプライマーも使用することができる。
【0227】
別の態様では、本開示は、以下を含むキットを含む:
i.捕捉オリゴヌクレオチドプローブであって、任意選択的にリンカーを介して、任意選択的に固相に結合されている、捕捉オリゴヌクレオチドプローブ、
ii.揮発性緩衝液を含み、NaClを実質的に含まないか、又は架橋剤を含む結合溶液、
iii.オリゴヌクレオチドと二次標的部分とを含む検出オリゴヌクレオチドプローブ、
iv.レポーター酵素検出プローブであって、レポーター酵素と、二次標的部分に結合することができる二次標的結合部分とを含む、レポーター酵素検出プローブ、及び/又は
v.本明細書で定義される、基質、固相、標準物質、任意選択的に標準曲線を調製するため又は較正物質を調整するための任意選択的な生成物イオン標準物質、第2の結合溶液、第3の結合溶液、基質反応溶液、イオン化溶液、クエンチ溶液、任意選択的な第2の結合溶液、検出プローブ溶液、基質反応溶液、クエンチ溶液、イオン化溶液のうちの1つ以上。
【0228】
別の態様では、本態様は、以下を含むキットを含む:
i.二次標的部分又はレポーター酵素で官能化されている修飾プライマー、
ii.第2のプライマー、
iii.修飾プライマーが二次標的部分で官能化されているとき、レポーター酵素検出プローブであって、レポーター酵素及び二次標的部分に結合することができる二次標的結合部分を含む、レポーター酵素検出プローブ、並びに
iv.本明細書で定義される、基質、固相、標準物質、任意選択的に標準曲線を調製するため又は較正物質を調整するための任意選択的な生成物イオン標準物質、結合溶液、第2の結合溶液、基質反応溶液、イオン化溶液、クエンチ溶液、洗浄溶液、架橋剤、任意選択的に結合溶液、第2の結合溶液、検出プローブ溶液、基質反応溶液、クエンチ溶液、イオン化溶液のうちの1つ又は複数、
ここで、修飾プライマーがフォワードプライマーであるとき、第2のプライマーはリバースプライマーであり、修飾プライマーがリバースプライマーであるとき、第2のプライマーはフォワードプライマーである。
【0229】
いくつかの実施形態では、イオン化溶液は、ギ酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、水酸化アンモニウム、メチルアミン、エチルアミン、又はプロピルアミンから任意選択的に選択される酸又は塩基を含む。
【0230】
いくつかの実施形態では、クエンチ溶液は、任意選択的に、正のイオン化のために50%アセトニトリル、0.1%酢酸若しくは0.1%ギ酸若しくは0.1%トリフルオロ酢酸、又は負のイオン化のために0.1%水酸化アンモニウムを含む。
【0231】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号6、配列番号13、配列番号14、配列番号17、配列番号20、配列番号23、配列番号26、配列番号29、配列番号32、及び配列番号35から選択される配列を含む。
【0232】
いくつかの実施形態では、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号5、配列番号12、配列番号16、配列番号19、配列番号22、配列番号25、配列番号28、配列番号31、配列番号34、及び配列番号37から選択される配列を含む。
【0233】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号14の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号16の配列を有する。
【0234】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号6の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号5の配列を有する。
【0235】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号13の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号12の配列を有する。
【0236】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号17の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号19の配列を有する。
【0237】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号20の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号22の配列を有する。
【0238】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号23の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号25の配列を有する。
【0239】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号26の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号28の配列を有する。
【0240】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号29の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号31の配列を有する。
【0241】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号32の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号34の配列を有する。
【0242】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドプローブは、配列番号35の配列を含み、検出オリゴヌクレオチドプローブのオリゴヌクレオチドは、配列番号37の配列を有する。
【0243】
いくつかの実施形態では、捕捉プローブは、配列番号44又は45である。
【0244】
捕捉オリゴヌクレオチドプローブはまた、例えばプローブ配列の少なくとも70%、80%又は90%を含む、本明細書に記載の捕捉プローブのフラグメントであってもよい。
【0245】
いくつかの実施形態では、修飾プライマー及び第2のプライマーは、細菌、ウイルス、真菌、哺乳動物又は植物ゲノムに含まれる配列を有する標的核酸分子に対するプライマーである。
【0246】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号38、配列番号39、配列番号41及び配列番号42から選択される配列を有する。
【0247】
いくつかの実施形態では、第2のプライマーは、配列番号2、配列番号3、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号38、配列番号39、配列番号41及び配列番号42から選択される配列を有する。
【0248】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号2の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号3又は、配列番号8の配列を有する。
【0249】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号3の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号2又は、配列番号7の配列を有する。
【0250】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、配列番号6の配列を有する。
【0251】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号7の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号8の配列を有する。
【0252】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号8の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号7の配列を有する。
【0253】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号9の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号10の配列を有する。
【0254】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号10の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号9の配列を有する。
【0255】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、配列番号13の配列を有する。
【0256】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号38の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号39の配列を有する。
【0257】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号39の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号38の配列を有する。
【0258】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号41の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号42の配列を有する。
【0259】
いくつかの実施形態では、修飾プライマーは、配列番号42の配列を有し、第2のプライマーは、配列番号41の配列を有する。
【0260】
プライマーはまた、本明細書中で提供されるプライマーのフラグメントであり得るか、又は更なる相補的配列を含み得る。例えば、フラグメントは、本明細書に記載されるプライマーの配列の少なくとも70%、80%、又は90%であり得る。
【0261】
いくつかの実施形態では、捕捉オリゴヌクレオチドは、配列番号44又は45の配列を有する。
【0262】
別の態様では、本開示は、配列番号2~46から選択される配列の核酸を含む。
【0263】
配列番号2~46から選択される配列の核酸の1つ又は複数を含むベクター、キット又は組成物も提供される。
【0264】
核酸は、いくつかの実施形態では、タグで標識され得る。それらはまた、標識されていない状態で、任意選択的に、標識及び標識された核酸を生成するための試薬と組み合わせて(例えば、キットにおいて)提供され得る。
【実施例
【0265】
以下の非限定的な実施例は、本開示の例示である。
【0266】
一般的方法
195,000kDaの公称質量を有するアルカリホスファターゼストレプトアビジンコンジュゲート(APSA)(15mg/mLウシ血清アルブミンを含む1mLの0.01M Tris-HCl、0.25M NaCl、pH 8.0中、1mg)は、Jackson Immuno Research Laboratories(West Grove、PA,USA)から入手した。AMP基質及びトリス緩衝液は、Sigma Aldrich(St Louis MO,USA)製を用いた。NHS-PEG 12-ビオチンは、Pierce(Thermo Fisher Scientific)製を用いた。NHS-PEG-NHSは、Sigma Aldrich製のO,O’-ビス[2-(N-スクシンイミジル-スクシニルアミノ)エチル]ポリエチレングリコール、2000を用いた。96ウェル反応性プレートは、Thermo Fisher Scientific製のNunc(商標)Immobilizerアミノプレート及びSigma Aldrich製のCorning(登録商標)DNA-BIND(登録商標)96ウェルプレートを用いた。円形カバーガラス(直径5mm、厚さ0.16~0.19mm)は、Electron Microscopy Sciences製を用いた。3-アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)はThermo Fisher Scientific製を用いた。
【0267】
PVDF膜は、例えばウェスタンブロットに使用される任意の一般的なPVDF転写膜とすることができる。例えば、適切なPVDF膜としては、Immobilon-P(商標)転写膜が挙げられる。例えば、適切なPVDF膜は、0.45μmの孔径を有することができる。例えば、PVDF膜は、フィルタープレート、任意選択的にマルチウェルフィルタープレートの形態とすることができる。例えば、プレートの各ウェルの底にPVDF膜を取り付けることができる。例えば、マルチウェルプレートは、96ウェルフィルタープレートとすることができる。
【0268】
以下で使用されるポリスチレン支持体は、ChemGenes Coporation(カタログ番号N-4545-10b)製の、1000Å、C-18リンカーが結合された非切断性スペーサーポリスチレン支持体である。ポリスチレン支持体は以下の構造を有し、式中、DMTrはジメチルトリチルを指す:
【0269】
【化14】
【0270】
長鎖アルキルアミンカルボキシル制御細孔ガラス(CPG長鎖アルキルアミン支持体、細孔サイズ500A、直径125~177ミクロン)は、Pierce Chem.Co.製から得ることができる。Sephacryl S-500は、Pharmaciaから得ることができる。12%架橋ポリスチレンジビニルベンゼン(12%ポリスチレン-ジビニルベンゼン)樹脂(200~400メッシュ)をPolysciencesから購入した。
【0271】
ヌクレオキャプシドプラスミドをIDT 2019-nCoV_N_陽性対照プラスミド(カタログ番号10006625)から得て、InvitrogenからのDH5αに形質転換し、アンピシリンプレート上に播種し、ストリークし、一晩培養し、次いでQiagen maxi-prepsのために増殖させ、次いで260/280比によって定量した。PCR反応は、ROCHE PCR緩衝液を使用して、Bio-Rad T100 Thermo Cyclerにおける35サイクルの反応当たりのプラスミドから得られたヌクレオキャプシドプラスミドの1、10、100ゼプトモル、1、10、100アトモル、1、10、100フェムトモル、1、10ピコモルからの対数滴定を用いて作製される。300塩基未満のPCR生成物をTBE-PAGEによって分離し、標準と並べてGelredによって定量し、ゲルにかけたプラスミド定量標準曲線を切断した。
【0272】
モデル1100 HPLCは、Agilent(Santa Clara,CA,USA)製であった。モデル7725注入器は、Rheodyne(IDEX、Rohnert Park,CA)製であった。LTQ XL線形四重極イオントラップは、Thermo Electron Corporation(Waltham,MA,USA)製であった。Zorbax 3.5ミクロン300ÅC18樹脂は、Chromatographic Specialties(Brockville,ON,CANADA)から入手した。
【0273】
ユニバーサルビオチン結合シグナル増幅酵素コンジュゲートであるAPSA酵素は、600nm付近でのUV/VIS検出により、pH 8.85 20mMトリス中のBCIP/NBTで96ウェル当たり1pg~50pgの直線範囲を示した。
【0274】
APSAを、BCIP/NBT色素基質との比色反応によるアッセイのために反応緩衝液(20mMトリス、pH 8.85)に溶解させて、0.1%Tween 20中でインディゴブルーを形成し、96ウェルプレートリーダー(Bio-Rad)で595nmで測定した。アデノシンは、LC-ESI-MS反応の絶対標準として機能させ、0.1%酢酸を含む70%アセトニトリル(ACN)に溶解させた。並行して、APSAをAMPと反応させて、LC-ESI-MSによって高感度で検出することができるアデノシンを形成させた。「DNA ELiMSA」アッセイのために、APSAを10mlの20mMトリス(pH 8.85)の反応緩衝液に溶解させて、1ng/μLストックを得た。APSA 1ng/μLを、10μLを10mlの反応緩衝液に溶解させることによって連続希釈して、1pg/μL、次いで1fg/μL(1000 ag/μL)の作業ストックを得た。1fg/μLのワーキングストックを使用して、緩衝液1ml当たり0.1~1000フェムトグラムの線形希釈系列を作製し、37℃で1μM~1mMのAMPと2時間反応させた。LC-ESI-MS/MSアッセイのために、反応を氷上で0.2%酢酸を含むアセトニトリル中1:1(DF 2)でクエンチし、次いで、アデノシンを268.2[M+H]に調整した線形四重極イオントラップ(Thermo)を用いたLC-ESI-MSのために20μL/分で0.1%酢酸を含む7.5%又は95%アセトニトリル中の5ミクロンC18(2.1mm×150mm)上のAgilent 1100 HPLCを用いて、2μLを注入する96ウェルプレートオートサンプラーに装填し、200μL/分でアイソクラチック分離した。酵素コンジュゲートAPSAからのAMP基質及びアデノシン生成物をSIMモードで定量し、約1.2分での268.24[M+H]m/zクロマトグラフィーピークに隣接する局所バックグラウンドを減算及び平均した後、アデノシンピークデータを抽出した。あるいは、MS/MS:フルスキャン:m/z 120~400m/z SRM:268→136、分離ウィンドウ:2Da、衝突エネルギー35CIDのSRM生成物をモニターした。
【0275】
ブロッキング緩衝液は、血清ベース、BSA若しくはアルブミンベース、ポリリジンベース、フィブロネクチンベース、ゼラチンベース、又は脱脂粉乳ベースの緩衝液とすることができるが、これらに限定されない。ブロッキング緩衝液は、デオキシコール酸塩、n-オクチルグルコシドN-オクチル-β-グルコピラノシド、Big CHAPデオキシ、酸切断性界面活性剤、EDTAを含む非イオン性界面活性剤などの界面活性剤を更に含むことができる。ブロッキング緩衝液は、TRISなどの緩衝剤を更に含むことができる。当業者であれば、本開示の方法の特定の用途に応じて、上述したものと同様の他のブロッキング緩衝液も使用できることを理解するであろう。
【0276】
結合緩衝液は、TRIS、PBS、HEPES、MES又はMOPSベースの緩衝液とすることができるが、これらに限定されない。当業者であれば、本開示の方法の特定の用途に応じて、上記のものと同様の他の結合緩衝液も使用できることを理解するであろう。場合によっては、結合緩衝液は、塩などの他の成分を更に含むことができる。結合緩衝液が塩を含むとき、MS分析のために、1つ以上のイオン化可能な生成物を含有する試料は、塩がイオン化源に到達するのを防ぐために、任意選択的に塩迂回弁を用いてランを行うことができる。代替的又は追加的に、1つ以上のイオン化可能な生成物を含有する試料はまた、MS分析の前にクロマトグラフィーによって(例えば、C18クロマトグラフィーカラムを使用して)脱塩され得る。更に、1つ以上のイオン化可能な生成物を含む試料はまた、有機溶媒中で希釈され得、そして注射前に遠心分離され得る。
【0277】
実施例1 高結合0.45ミクロンPVDF 96ウェルフィルタープレート上での核酸の検出
以下は、PVDFフィルタープレート上での核酸吸着及び検出の一般的な方法を示す。
●PVDFフィルタープレートへの捕捉オリゴヌクレオチドプローブ吸着:PVDFをメタノールで予め湿らせる。1ウェル当たり10μLの100μM捕捉オリゴヌクレオチドプローブをスポットする。それをドラフト下で1時間乾燥させる。
●ブロッキング:ウェル当たり200μLのブロッキング溶液(20mM Tris pH8.00+1mM EDTA中3%(w/v)BSA)を添加し、37℃で1時間インキュベートし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3×2分間洗浄する(以下の洗浄ステップについても同じ)。
●洗浄:ウェルを結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄する。
●標的核酸分子のハイブリダイゼーション:
○標的核酸分子(1μM)及び検出オリゴヌクレオチドプローブを結合緩衝液中で1/10に希釈する。100μLの結合緩衝液+検出オリゴヌクレオチドプローブ1/10 10μL(0標的核酸分子の場合)、あるいは、100uLの1μM標的核酸分子+検出オリゴヌクレオチドプローブ1/10 10μL(1μM標的核酸分子の場合)(100fmol標的を注入)を添加し、そして90℃で15分間インキュベートする。
○プレートをハイブリダイゼーション温度、60℃でプレインキュベートする。ウェル当たり110μLの標的核酸分子及び検出オリゴヌクレオチドプローブ混合溶液を添加し、1時間インキュベートする。
●洗浄任意:200μLの結合緩衝液で3回洗浄する。
●レポーター酵素検出プローブ結合:10μg(10μL)のレポーター酵素検出プローブ(例えばAPSA)を1mLの結合緩衝液に溶解し、更にレポーター酵素検出プローブを結合緩衝液で1/100に希釈する10ng/ml。レポーター酵素検出プローブ希釈物100μL/ウェル(1ng)を添加し、37℃で15分間インキュベートする。
●洗浄:20mM Tris pH8.00+1M NaCl(EDTAなし)で9回洗浄し、ウェル中の最後の少量の溶液を除去する。
●レポーター酵素反応:100μLの1mMレポーター酵素検出プローブ基質(例えばAMP)を基質溶液(20mM Tris pH 8.85)に加え、37℃で2時間インキュベートする。
●ウェル当たり50μLの反応物を回収し、それを新しいチューブに移す。
●100%アセトニトリル(ACN)(HPLC)中の0.2%酢酸50μLで反応を1:1でクエンチし、次いでスキャンモードでのMS分析のために1:10に希釈する(最終DF20)。
【0278】
例として表6に列挙したHIVウイルスDNAの標的核酸分子、捕捉オリゴヌクレオチド及び検出オリゴヌクレオチド配列を使用して、96ウェルプレート中のImmobilon-P(商標)PVDF膜への吸着による特異的捕捉オリゴヌクレオチドプローブの固定化は、特異的検出DNAからの7,000カウント未満のバックグラウンドに対して55,000任意カウントを超えるシグナル強度を生じた。カラム4の独立した複製における100fmolの標的ウイルスDNAについてのシグナルを図1に示す。
【0279】
実施例2 96ウェルポリスチレンプレートにおけるポリリジンコーティングに架橋された核酸の検出
以下は、ポリリジン被覆ポリスチレンプレート上での核酸吸着及び検出の一般的方法を示す。
●ポリスチレンプレートをコーティングするポリリジン0.01%ポリ-L-リジン溶液(Sigma P4707)100μL/ウェルを添加し、4℃で一晩(16~18時間)インキュベートする。傾斜シェーカー上で200μLの1×PBS、pH7.2で3×2分間洗浄した(以下の洗浄ステップと同じ)。
●捕捉オリゴヌクレオチドプローブ架橋:1mMのNHS-PEG-NHS 1×PBS溶液を、1×PBS中に溶解した1μMのアミノ化捕捉オリゴヌクレオチドプローブ溶液に、10μMの最終濃度で添加する(DF100、1mlの捕捉オリゴヌクレオチドプローブ溶液当たり10μL)。100μLを各ウェルに移し、37℃で30分間インキュベートする;1×PBSで3回洗浄する。
●クエンチング及びブロッキング:ウェル当たり200μLの20mM Tris pH8.00+1mM EDTA中3%(w/v)BSAを添加し、37℃で1時間インキュベートし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回洗浄する。
●洗浄任意:ウェルを結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄する。
●標的核酸分子ハイブリダイゼーション:(実施例1と同じ)
●洗浄:(実施例1と同じ)
●レポーター酵素検出プローブ結合:(実施例1と同じ)
●洗浄(任意):(実施例1と同じ)
●レポーター酵素反応:(実施例1と同じ)
【0280】
実施例として表6に列挙されるHIVウイルスDNAの標的核酸分子、捕捉オリゴヌクレオチド及び検出オリゴヌクレオチド配列を使用して、ウイルス標的核酸分子が、ポリリジンでコーティングされ、NHS-PEG-NHSによって5’-又は3’-アミノ化ウイルス捕捉オリゴヌクレオチドプローブで架橋されたポリスチレンプレート上に捕捉され、100fmolの捕捉された標的核酸分子の等量がカラムに注入されたとき、約8,000カウントのバックグラウンドに対して42,000カウントのシグナル強度が観察された。3つの独立した複製物からカラムに注入された100fmolの標的核酸分子の等量からの結果を図2に示す。
【0281】
実施例3 アミン反応性Nunc Immobilizerアミノ96ウェルポリスチレンプレート上での核酸の検出
以下は、アミン反応性Nunc Immobilizer(商標)アミノポリスチレンプレート上での核酸吸着及び検出の一般的方法を示す。
●捕捉オリゴヌクレオチドプローブのプレートへの固定化:捕捉オリゴヌクレオチドプローブストック(100μM)を表面結合緩衝液(100mM炭酸ナトリウム緩衝液、pH 9.6)で1/10に希釈し、ウェル当たり100μLの希釈液を添加する。4℃で一晩インキュベートする。ティルトテーブルの上で200μLの表面結合緩衝液で3×2分間洗浄する(以下の洗浄ステップと同じ)。
●クエンチング及びブロッキング:ウェル当たり200μLの20mM Tris pH8.00+1mM EDTA中3%(w/v)BSAを添加し、37℃で1時間インキュベートし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回洗浄する。
●洗浄:結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄
●標的核酸分子ハイブリダイゼーション(実施例1と同じ)
●洗浄(任意):(実施例1と同じ)
●レポーター酵素検出プローブ結合:(実施例1と同じ)
●洗浄:(実施例1と同じ)
●レポーター酵素反応:(実施例1と同じ)
【0282】
例として表6に列挙されるHIVウイルスDNAの標的核酸分子、捕捉オリゴヌクレオチド及び検出オリゴヌクレオチド配列を使用して、96ウェルNunc Immobilizerアミノプレートにおけるアミン反応性官能基(反応性カルボン酸官能基)を介した5’-又は3’-アミノ化ウイルス捕捉オリゴヌクレオチドプローブの固定化は、3,000カウントのバックグラウンドに対して27,000カウントを生じた。カラムに注入された100fmolの標的核酸分子の等量からの結果を図3に示す。
【0283】
実施例4 NOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート上での核酸の検出
以下は、N-オキシスクシンイミド(NOS)表面化学ポリスチレンプレート上での核酸吸着及び検出の一般的方法を示す。
●捕捉オリゴヌクレオチドプローブのプレートへの固定化:捕捉DNAストック(100um)を表面結合緩衝液(10mM NaPO+1mM EDTA緩衝液、pH 8.5)で1/10に希釈し、ウェル当たり100μLを添加し、4℃で一晩インキュベートし、溶液をデカントし、表面結合緩衝液で3×2分間洗浄する。
●クエンチング及びブロッキング:ウェル当たり200μLの20mM Tris pH8.00+1mM EDTA中3%(w/v)BSAで表面をブロック及びクエンチし、37℃で1時間インキュベートし、デカントし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回洗浄する。
●洗浄:結合緩衝液20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄。
●標的核酸分子ハイブリダイゼーション(実施例1と同じ)
●洗浄:(実施例1と同じ)
●レポーター酵素検出プローブ結合:(実施例1と同じ)
●洗浄(任意):(実施例1と同じ)
●レポーター酵素反応:(実施例1と同じ)
【0284】
実施例として表6に列挙されたHIVウイルスの標的核酸配列、捕捉オリゴヌクレオチド及び検出オリゴヌクレオチド配列を使用して、標的核酸を捕捉するためのCorning(登録商標)DNA-BIND(登録商標)96ウェルプレートにおけるN-オキシスクシンイミド(NOS)表面化学による5’-又は3’-アミノ化ウイルス捕捉オリゴヌクレオチドプローブの固定化は、約3,000カウントのバックグラウンドと比較して、22,000の特異的カウントをもたらした。3つの独立した複製からカラムに注入された100fmolの標的DNAの等量からの結果を図4に示す。
【0285】
実施例5 96ウェルPVDFフィルタープレート中のポリスチレンオリゴ合成ビーズに3’結合した核酸の検出
以下は、捕捉オリゴヌクレオチドプローブが、PVDFフィルタープレート中の3’結合ポリスチレンオリゴ合成ビーズである、核酸検出の一般的方法を示す。
●フィルタープレートのブロッキング:ウェル当たり200μLのブロッキング溶液(20mM Tris pH8.00+1mM EDTA中3%(w/v)BSA)を添加し、37℃で1時間インキュベートし、デカントし、真空マニホールド設定を使用して20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回洗浄する(以下の洗浄ステップも同じ)。
●洗浄:結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄。
●標的核酸ハイブリダイゼーション:
○ウェル当たり10μLの捕捉オリゴヌクレオチドプローブビーズ懸濁液を使用する。遠心管中でビーズをペレット化し(16,000 RCFで5分間)、上清を除去する。
○捕捉ビーズを500μLのブロッキング溶液中に室温で15分間、大観覧車(Ferris Wheel)で再懸濁する。
○ビーズを1mLの20mMトリスpH 8.00+1mM EDTA中で2回洗浄し、16,000 RCFで5分間遠心分離して上清を除去する。
○捕捉ビーズを結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)に再懸濁する。
○標的核酸分子(1μM)及び捕捉オリゴヌクレオチドプローブを結合緩衝液中で1/10に希釈し、反応当たり、100μLの結合緩衝液+捕捉オリゴヌクレオチドプローブ1/10 10μL(0標的核酸分子の場合)、あるいは、100μLの1μM標的核酸分子+捕捉オリゴヌクレオチドプローブ1/10(10μLの1μM標的核酸分子の場合)を、捕捉ビーズを含む各チューブに添加する。
○90℃で15分間、次いで60℃で1時間インキュベートする。
○DNA混合物をフィルタープレートに移す。
●洗浄(任意選択):ウェル当たり200μLの結合緩衝液で3回洗浄する。
●レポーター酵素検出プローブ結合:(実施例1と同じ)
●洗浄:(実施例1と同じ)
●レポーター酵素反応:(実施例1と同じ)
【0286】
例として表6に列挙されるHIVウイルスDNAの標的核酸分子、捕捉オリゴヌクレオチド及び検出オリゴヌクレオチド配列を使用して、96ウェルPVDFフィルタープレート中のポリスチレンオリゴ合成ビーズへの3’結合を有する捕捉オリゴヌクレオチドプローブによって捕捉されたウイルスDNAは、約8,000カウントのバックグラウンドと比較して、42,000の特異的カウントのシグナルを生じた。3つの独立した複製物からカラムに注入された100fmolの標的核酸分子の等量からの結果を図5に示す。
【0287】
実施例6 アミノシリル化カバーガラス表面に架橋された捕捉オリゴヌクレオチドプローブを用いた核酸の検出
以下は、捕捉オリゴヌクレオチドプローブがアミノシリル化カバーガラス表面に架橋された核酸検出の一般的な方法を示す。
●カバーガラスのアミノシリル化:
○カバーガラスを2.5M NaOHに一晩浸漬することによって完全に洗浄し、DI水で洗浄し、10%HClに浸漬し、DI水及びメタノールでリンスし、表面を空気乾燥させる。
○アセトン中のATPESの2%溶液を調製し、カバーガラスを溶液中に15分間浸漬する。カバーガラスをアセトンでリンスし、空気乾燥させる。
○96ウェルポリスチレンプレートのウェルにカバーガラスを注意深く入れる。
●捕捉オリゴヌクレオチドプローブの架橋:1mM NHS-PEG-NHS 1×PBS溶液を、1×PBS中に溶解させた1μM捕捉オリゴヌクレオチドプローブ溶液に、10μM最終濃度で添加する(1ml捕捉オリゴヌクレオチドプローブ溶液当たり10uL)。ウェル当たり100μLを移し、37℃で30分間インキュベートする;1×PBSで3回洗浄する。
●クエンチング及びブロッキング:ウェル当たり200μLの20mM Tris pH8.00+1mM EDTA中3%(w/v)BSAを添加し、37℃で1時間インキュベートし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回洗浄する。
●洗浄:ウェルを結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄する。
●標的核酸分子ハイブリダイゼーション(上記実施例1と同じ)
●洗浄(任意):(実施例1と同じ)
●レポーター酵素検出プローブ結合:(実施例1と同じ)
●洗浄:(実施例1と同じ)
●レポーター酵素反応:(実施例1と同じ)
【0288】
例として表6に列挙されるHIVウイルスDNAの標的核酸分子、捕捉オリゴヌクレオチド及び検出オリゴヌクレオチド配列を使用して、5’-又は3’-アミノ化ウイルス捕捉オリゴヌクレオチドプローブを、ガラスのアミノ-シリル化及びNHS-PEG-NHSによる架橋を介してガラス表面に固定化すると、6,000カウントのバックグラウンドに対して35,000カウントとなった。3つの独立した複製物からカラムに注入された100fmolの標的核酸分子の等量からの結果を図6に示す。
【0289】
実施例7 DNAのための結合緩衝液中のNaClの最適化
緩衝液最適化
実施例5で先に記載したものにわずかな変更を加えて、96ウェル0.45μm PVDFフィルタープレート中のポリスチレンオリゴ合成ビーズに連結された捕捉オリゴヌクレオチドプローブを使用した、緩衝液の最適化実験を、実施例7及び8に記載する。
【0290】
PVDFフィルタープレートを3%BSAで1時間ブロッキングし、20mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.0で3回洗浄し、様々なNaCl濃度:0、0.05、0.1、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.5及び2.0Mの結合緩衝液中で平衡化した。別に、捕捉ビーズを3%BSAで15分間ブロッキングし、20mM Tris-HCl、1mM EDTA中で遠心分離により洗浄し、様々な結合緩衝液中で平衡化した。捕捉オリゴヌクレオチドプローブ及び標的核酸分子を種々の結合緩衝液中のビーズにアプライし、90℃で15分間、続いて60℃で1時間DNAハイブリダイゼーションさせた。ビーズをPVDFフィルタープレートに移し、種々の結合緩衝液で3回洗浄し、APSAと共に37℃で15分間インキュベートした。未結合APSAを種々の結合緩衝液で9回洗浄して洗い流し、ビーズを1mM AMP基質と共に20mM Tris-HCl、pH 8.85中で2時間インキュベートした。反応を停止させ、100%で1:20に希釈し、最終濃度を0.1%酢酸とした。100%アセトニトリル、0.1%酢酸の移動相を用いたC18逆相3.5umカラムによって試料を分離し、LTQリニアイオントラップによって268.2m/z[M+H]でアデノシン生成物を検出した。各試料を2回注入し、NaCl最適値を1.5Mで同定した。異なる濃度のNaClにおけるMSシグナル強度の結果を図7に示す。
【0291】
実施例8 DNAのための結合緩衝液中の重炭酸アンモニウムの最適化
PVDFフィルタープレートを3%BSAで1時間ブロッキングし、20mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.0で3回洗浄し、様々な重炭酸アンモニウム濃度:0、0.1、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5Mの結合緩衝液中で平衡化した。別に、捕捉ビーズを3%BSAで15分間ブロッキングし、20mM Tris-HCl、1mM EDTA中で遠心分離により洗浄し、様々な結合緩衝液中で平衡化した。捕捉オリゴヌクレオチドプローブ及び標的核酸分子を種々の結合緩衝液中のビーズにアプライし、90℃で15分間、続いて60℃で1時間DNAハイブリダイゼーションさせた。ビーズをPVDFフィルタープレートに移し、種々の結合緩衝液で3回洗浄し、APSAと共に37℃で15分間インキュベートした。未結合APSAを種々の結合緩衝液で9回洗浄して洗い流し、ビーズを1mM AMP基質と共に20mM Tris-HCl、pH 8.85中で2時間インキュベートした。反応を停止させ、100%で1:20に希釈し、最終濃度を0.1%酢酸とした。100%アセトニトリル、0.1%酢酸の移動相を用いたC18逆相3.5umカラムによって試料を分離し、LTQリニアイオントラップによって268.2m/z[M+H]でアデノシン生成物を検出した。各試料を2回注入し、最適な重炭酸アンモニウムを1.5Mで同定した。結果を図8に示す。
【0292】
標的核酸分子、捕捉オリゴヌクレオチドプローブ及び検出オリゴヌクレオチドプローブは、表6に示されるHIV配列である。
【0293】
実施例9 ハイブリダイゼーション後の結合緩衝液中の揮発性緩衝液の比較
PVDFフィルタープレートを3%BSAで1時間ブロッキングし、20mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.0で3回洗浄し、1.5M NaCl、20mM Tris-HCl、1mM EDTA、pH8.0(結合緩衝液)中で平衡化した。別個に、捕捉ビーズを3%BSAで15分間ブロックし、遠心分離によって20mM Tris-HCl、1mM EDTA中で洗浄し、結合緩衝液中で平衡化した。捕捉オリゴヌクレオチドプローブ及び標的核酸分子を結合緩衝液中のビーズにアプライし、90℃で15分間、続いて60℃で1時間DNAハイブリダイゼーションさせた。ビーズをPVDFフィルタープレートに移し、1.5M NaClを0.5、1.0、1.5、2.0、2.5Mエタノールアミン、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5M酢酸アンモニウム、0.5M重炭酸トリエチルアンモニウム、0.5、1.0、1.5、2.0、2.5M重炭酸アンモニウム又は標準1.5M NaClのいずれかで置き換えた結合緩衝液中で3回洗浄した。APSAを種々の結合緩衝液中のビーズにアプライし、37℃で15分間インキュベートした。未結合APSAを種々の結合緩衝液で9回洗浄して洗い流し、ビーズを1mM AMP基質と共に20mM Tris-HCl、pH 8.85中で2時間インキュベートした。反応を停止させ、100%で1:20に希釈し、最終濃度を0.1%酢酸とした。100%アセトニトリル、0.1%酢酸の移動相を用いたC18逆相3.5umカラムによって試料を分離し、LTQリニアイオントラップによって268.2m/z[M+H]でアデノシン生成物を検出した。各試料を2回注入し、最も性能の良い揮発性緩衝液は2Mエタノールアミンであった。結果を図9に示す。
【0294】
実施例10 PCRプライマー、オリゴヌクレオチド捕捉プローブ及びオリゴヌクレオチド検出プローブ配列
PCRプライマー並びにオリゴ捕捉及び検出DNA配列を、miRNA及びncRNAの干渉効果を考慮しつつ、NCBI PCR及びオリゴDNAアルゴリズムPCR-BLASTを使用して設計した(表1~6)。SARS-CoV-2のrtPCR反応において高い偽陰性率が観察された(Xie,2020)。アルカリホスファターゼによる第2段階増幅及びLC-ESI-MS検出のために、SARS-CoV-2 PCR生成物を増幅し、次いで捕捉するように、PCRプライマー及び/又はネステッドオリゴ捕捉配列の柔軟なセットを設計した。プライマーを、世界保健機関によって対照として推奨されたものと比較する。
【0295】
NC_045512.2:28274-29533武漢海鮮市場肺炎ウイルス分離株Wuhan-Hu-1、ヌクレオキャプシド遺伝子におけるNCBI Primer-BLASTアルゴリズムによって標的とされる領域を示すSARS及びMERSに相同であるSARS-CoV-2ヌクレオキャプシド遺伝子(配列番号1)に特異的なオリゴヌクレオチドハイブリダイゼーションプローブの設計を考察する。表1において、捕捉オリゴ部位及び検出オリゴ部位を太字の下線で示す。
【0296】
【表3】
捕捉領域及び検出領域に下線を付す。イタリック体はプライマー領域を示す。
【0297】
SARS-CoV-2ヌクレオキャプシドに対するPCRプライマーの第1のセット(SARS CoV2セット1)を表2に示す。略語:FPフォワードプライマー;RPリバースプライマー;P/Nポリスチレンオリゴ合成ビーズ/共有結合アミンリンク96ウェルプレート;Bビオチン。任意選択的に、プライマー(例えば、配列番号2)は、ビオチンで官能化され得、そして/又はポリスチレンオリゴ合成ビーズにコンジュゲートされ得る。
【0298】
【表4】
【0299】
SARS-CoV-2ヌクレオキャプシド遺伝子に対するPCRプライマーの第2のセット(SARS CoV2セット2)、対応する標的核酸分子配列の例、並びに対応する捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブの例示的なセットを、表3に示す。略語:Cキャプチャーオリゴ;D検出オリゴ;FPフォワードプライマー;RPリバースプライマー;P/Nポリスチレンオリゴ合成ビーズ/共有結合アミンリンク96ウェルプレート;bビオチン;PCR反応生成物。
【0300】
【表5】
【0301】
SARS-CoV-2ヌクレオキャプシド配列に対するPCRプライマーの第3のセット(SARS CoV2セット3)を表4に示す。略語:FPフォワードプライマー;RPリバースプライマー;P/Nポリスチレンオリゴ合成ビーズ/共有結合アミンリンク96ウェルプレート;Bビオチン。
【0302】
【表6】
【0303】
SARS-CoV-2のためのPCRプライマー設計の別のセット(SARS CoV2セット4)、対応する標的核酸分子配列の例、並びに対応する捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブの例示的なセットを表5に示す。略語:FPフォワードプライマー;RPリバースプライマー;P/Nポリスチレンオリゴ合成ビーズ/アミンリンク;bビオチン。同じ捕捉及び検出オリゴヌクレオチド(表3)を有するより長い反応生成物は、プライマー:フォワード、5’-TGGACCCCAAAATCAGCGAA-3’(配列番号7)、リバース、5’-TGCCGTCTTTGTTAGCACCA-3’(配列番号8)から生じる。
【0304】
【表7】
【0305】
HIV特異的捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブ配列(HIVセット1)及び可能な対応する標的核酸分子を表6に列挙する。HIV特異的捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブ配列並びに可能な対応する標的核酸分子の他のセット(HIVセット2~4)を、それぞれ表7~9に列挙する。標的核酸分子配列中の太字の配列は、捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブ配列との重複に対応する。
【0306】
【表8】
【0307】
【表9】
【0308】
【表10】
【0309】
【表11】
【0310】
志賀毒素生成大腸菌(STEC)特異的捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブ配列(STECセット1~3)及び可能な対応する標的核酸分子を、それぞれ表10~12に列挙する。標的核酸分子配列中の太字の配列は、捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブ配列との重複に対応する。
【0311】
【表12】
【0312】
【表13】
【0313】
【表14】
【0314】
α溶血素生成Staphylococcus aureus特異的捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブ配列(SAUREUSセット1)及び可能な対応する標的核酸分子を表13に列挙する。標的核酸分子配列中の太字の配列は、捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブ配列との重複に対応する。
【0315】
【表15】
【0316】
表6、7、8、9について、PCRプライマーは、少なくとも100bp又はより最適には150、200若しくは300bpの生成物を生成する標的を増幅する5’側又はいずれかの隣接配列上の最初の36塩基中にあってもよい。
【0317】
P/Nは、配列が、例えば、固体支持体への結合のために、ホスフェート末端(ヌクレオチドにおいて見出される)又はアミンを含み得ることを示す。
【0318】
実施例11 SARS-CoV2のPCR検出
PCR反応は、10ngのテンプレートプラスミドDNA(SARS-CoV2ヌクレオキャプシドプラスミド)を用いて、以下のプライマーのコンビネーションで開始した。
1.フォワードプライマー配列番号2及びリバースプライマー配列番号3(138bpのPCR生成物);
2.フォワードプライマー配列番号2及びリバースプライマー配列番号8(279bpのPCR生成物);
3.フォワードプライマー配列番号7及びリバースプライマー配列番号3(236bpのPCR生成物);及び
4.フォワードプライマー配列番号7及びリバースプライマー配列番号8(377bpのPCR生成物)。
【0319】
各プライマーコンビネーションの対応するPCR生成物の予想される長さは、表1に示すSARS-CoV2のヌクレオキャプシド遺伝子配列を用いて計算することができる。PCR生成物の予想される長さを上記の括弧内に列挙する。PCR反応は、リッド温度105℃、反応体積100μl、融解温度94℃(30秒)、アニーリング温度55℃(30秒)、伸長温度72℃(1分)で35サイクル行った。PCR生成物を、分子量マーカーと共に100ボルトで16%TBEポリアクリルアミドゲル中を泳動させることによって分離した。得られたゲルを図10に示す。ゲルは、各プライマーの組み合わせにおいて、予想される長さに対応するPCR生成物が観察されたことを示し、PCR反応がSARS-CoV2ヌクレオキャプシド遺伝子における所望の配列を首尾よく増幅したことを確認した。
【0320】
図11は、テンプレートとしてSARS-CoV2ヌクレオキャプシド遺伝子を含有するプラスミド及びSARS-CoV2セット1 PCRプライマー(配列番号2及び3)を使用したPCR結果を示す。0テンプレート、微量検出量のテンプレート、並びに異なる量のテンプレート(0.1ng、1ng、10ng、50ng)を含む異なる量のテンプレートを使用した。図13はまた、レーン6~10において、異なる濃度のMg(2mM、2.5mM、3.0mM、3.5mM、又は4.0mM)を使用して生成されたPCR生成物を示す。PCRは、ホットスタートを使用して55℃のアニーリング温度で35サイクル行った。プライマーを、10mM Tris、0.1mM EDTA中に再懸濁して、Qiagenマスターミックスを使用するPCR rxnにおいて0.2umの最終濃度にした。プラスミド濃度は、100ボルト泳動の16%TBEポリアクリルアミドゲルによって分離された100μLのPCR生成物の範囲であった。最大量のPCR生成物は、50ngの出発プラスミドDNA及び1.5~4mMのMg2+を用いることで生成された。顕著かつ観察可能な量のPCR生成物が、微量検出量のテンプレート(レーン1)、サブナノグラム(レーン2)及びナノグラム量(レーン3)のテンプレートDNAにより得られた。
【0321】
図12は、本開示のDNA検出方法を使用したSARS-CoV2ヌクレオキャプシド遺伝子のPCR生成物の検出結果を示す。固体支持体に結合した3’を有する捕捉オリゴヌクレオチドプローブ配列番号6及び5’-ビオチン化検出オリゴヌクレオチド配列番号5を用いて検出を行った。0テンプレートDNA及びPuC19プラスミドDNAを陰性対照として使用した。微量、10fg、100fg、1pg、10pg~100pgの範囲の様々な量のテンプレートDNAを使用した。テンプレートDNAの全ての量についてMSシグナルが観察された。テンプレートなし又はPuc19プラスミドについてはシグナルは観察されなかった。増幅された標的核酸生成物は、配列番号4の長さ138ntである。
【0322】
本明細書に記載される方法は、捕捉オリゴが固体状態に固定化され、AMPとAPSAとの反応による二次酵素増幅のための独立したビオチン化検出オリゴヌクレオチドプローブを用いるとき、高度に選択的なハイブリダイゼーション法によってウイルス標的核酸分子を検出するために適用することができる。本明細書中に示されるように、ウイルスDNAは、捕捉オリゴヌクレオチドプローブ、その後の選択的ハイブリダイゼーション及びAPSA増幅による、種々の固定化方法を使用して、例えば、PVDF膜に非共有結合した捕捉オリゴヌクレオチドプローブ、96ウェルフィルタープレート中のポリスチレンビーズに3’カップリングした捕捉オリゴヌクレオチドプローブ、96ウェル反応性プレートに共有結合した捕捉オリゴヌクレオチドプローブ、ポリリジンコーティングを介して96ウェルポリスチレンプレートに、及びアミノシリル化及び架橋によってカバーガラス(SiO2)に、共有結合した捕捉オリゴヌクレオチドプローブを使用して検出することができる。
【0323】
実施例12 オリゴヌクレオチドプローブの調製
本開示のオリゴヌクレオチドプローブは、当業者に公知の方法に従って調製してもよく、又は既存の供給業者から市販品を購入してもよいことが理解され得る。
【0324】
例えば、捕捉オリゴヌクレオチドは、シリカ、ポリスチレン、アガロース、メラミン、PVDF、又は他の支持体上に配置し得る。シリカ、ポリスチレン、アガロース、メラミン、PVDF、又は他の支持体は、マイクロ粒子又はナノ粒子の形態とすることができる。任意選択的に、シリカ、ポリスチレン、アガロース、メラミン、PVDF、又は他の支持体は、2次元表面、3次元表面、又は1次元繊維若しくはフィラメントとすることができる。
【0325】
例えば、シリカマイクロ粒子又はナノ粒子を官能化して、オリゴヌクレオチドの結合のための反応性部位を生成させ得る。例えば、シリカマイクロ粒子又はナノ粒子は、3-アミノプロピルトリメトキシシランを用いてアミン基で、又は3’グリシドキシプロピルトリメトキシシランを用いてエポキシド基で、官能化され得る。このとき、アミン又はエポキシドは、オリゴヌクレオチドの結合のための反応部位として機能することができる。他の反応性部位又は官能性部位としては、シラノール、ヒドロキシル、カルボン酸、アミン基又はカルボキシル基と反応する任意のもの、マレイミド、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-オキシスクシミド(NOS)、H-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)、N-オキシスクシンイミド(NOS)、マレイミド、ヒドラジド、グルタルアルデヒドカップリング、又はPEG架橋などが挙げられる。
【0326】
捕捉又はプライマーがアミン基を含み、固体支持体がそれと反応することができる基を含むことが典型的であるが、他の構成を使用することができる。例えば、NHS基又は他のNOSリンカーを捕捉オリゴヌクレオチド又はプライマーに付加して固体表面に付着させることができ、固体表面は官能化可能なアミンを含むことができる。
【0327】
例えば、オリゴヌクレオチドは、一度に1つのヌクレオチドの反応部位に結合され得る。例えば、第1のヌクレオチドは、C1位、3’-OH基、又は5’-OH基を介して結合され得る。任意選択的に、第1のヌクレオチドは、リンカーを介して固体支持体に結合され得る。例えば、アミンオリゴヌクレオチドは、任意選択的にその活性化エステルを介して、カルボキシル基(例えば、カルボン酸基)に結合され得る。例えば、第1のヌクレオチドは、3’-OH位を介して結合され得、5’-OHは、ジメチルトリチル(DMT)基で保護され得る。
【0328】
例えば、オリゴヌクレオチドは、ヌクレオチドのオリゴマーの部分で結合され得るか、又は1つのオリゴヌクレオチドとして結合され得る。
【0329】
オリゴヌクレオチドは、当業者に公知の従来のヌクレオチド合成法によって合成され得る。有機合成の間、合成中間体は、当業者に公知の従来の保護基を用いて保護することができる。例えば、ヌクレオチド塩基は、ベンゾイル基又はイソブチリル基を使用して保護され得る。更に、有機合成中に、当業者に公知の方法を使用して官能基を修飾してそれらの反応性を増加させ得る。例えば、カルボン酸は、スクシンイミドエステルなどの活性化エステルを介して活性化することができる。例えば、チオール、メルカプト又はスルフィド又はSH-オリゴヌクレオチドは、ヨードアセトアミドなどのアルキル化剤を介して共有結合され得る。
【0330】
オリゴヌクレオチドは、当業者に公知の方法によって酵素に共有結合されることができることが理解され得る。例えば、検出オリゴヌクレオチドは、APSAなどの検出酵素に共有結合され得る。
【0331】
例えば、タンパク質、ペプチド、酵素、DNA、RNA又は抗体、オリゴマー又はポリマーは、N末端及び多くのアミノ酸に見出される一級アミン(-NH2)、各ポリペプチド鎖のC末端並びにアスパラギン酸(Asp、D)及びグルタミン酸(Glu、E)の側鎖におけるカルボキシル(-COOH)、システイン(Cys、C)の側鎖におけるスルフヒドリル(-SH)、並びにケトン又はアルデヒド基などのカルボニル(-CHO)とカップリング又は架橋され得る。例えば、NHS-活性化酸は、無水溶媒中で有機塩基の存在下でカルボン酸にカップリングされ得る。次いで、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はエチル(ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)のようなカップリング試薬を添加して、第一級アミンとの安定な結合を形成する。
【0332】
任意選択的に、架橋剤が使用され得る。例えば、一官能性、二官能性又は多官能性架橋試薬が使用され得る。例えば、NHS、スルホ-NHS、DSS、BS3(スルホ-DSS)、アミン-アミン架橋剤が使用され得る。例えば、水溶性アナログスルホ-NHS、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)、及びペンタフルオロフェノールはいずれも、核酸、ペプチド及びタンパク質又は抗体のための連結試薬として使用され得る。例えば、マレイミドは、例えばシステイン中のチオール基を架橋するために使用され得る。
【0333】
タンパク質、ペプチド及び核酸は、第一級アミン及び/又はヒドロキシル基を提示し、第一級アミン及び/又はヒドロキシル基を介して修飾又は架橋され得ることが、当業者によって理解され得る。
【0334】
例えば、スルホ-SMCC(スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)シクロヘキサン-1-カルボキシレート)、EDC 1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、スルホ-NHS(N-ヒドロキシスルホスクシンイミド)、BS3(ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート)、DST(ジスクシンイミジルタルタレート)、SPDP(スクシンイミジル3-(2-ジピリジジル)プロピオネート)を架橋剤として用いてもよい。例えば、ジチオビススクシンイミジルプロピオネートは、アミンをアミンに架橋するために使用され得る。例えば、BMHビスマレイミドヘキサンは、スルフヒドリルをスルフヒドリル(例えば、タンパク質又はペプチド中のシステイン残基において)に架橋するために使用され得る。
【0335】
例えば、スルホ-EGS(エチレングリコールビス(スルホスクシンイミジルスクシナート)を使用して、アミンをアミンに架橋することができる。
【0336】
例えば、SM(PEG)4(PEG化SMCC架橋剤)を使用して、アミンをスルフヒドリルに架橋することができる。それらの架橋剤は、水溶性ポリエチレングリコールスペーサーアーム(17.6~95.2A)の末端にNHS-エステル及びマレイミド基を含有する。
【0337】
例えば、スルホ-EMCS(N-ε-マレイミドカプロイル-オキシスルホスクシンイミドエステル)を使用して、アミンをスルフヒドリルに架橋することができる。
【0338】
例えば、スルホ-SMPB(スルホスクシンイミジル4-(N-マレイミドフェニル)ブチレート)を使用して、アミンをスルフヒドリルに架橋することができる。
【0339】
タンパク質、ペプチド、又はアミン含有分子は、当業者に公知の方法を使用してビオチン化され得ることが理解され得る。例えば、NHS-PEG 4-ビオチンN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)は、ビオチン標識化のためのペグ化水溶性試薬である。
【0340】
任意選択的に、リンカーは、オリゴヌクレオチドとタンパク質(例えば、酵素)との間で使用され得る。
【0341】
例えば、1%架橋ポリスチレン樹脂の誘導体化は、Horiki et al.(15)の手順に従って行うことができる。
【0342】
例えば、ポリスチレンカルボキシル樹脂:は、Bayer et al.(16)の方法によって調製され得る。
【0343】
例えば、セファクリルS-500の臭化シアン活性化は、Biinemann(8)によって記載されているように実施され得る。
【0344】
例えば、硫酸コンドロイチン被覆CPG支持体は、硫酸コンドロイチン(タイプA又はタイプC)の長鎖アルキルアミンをEDC(Ghosh Musso NAR 1987)でCPG化することによって調製され得る。
【0345】
例えば、オリゴヌクレオチドは、5’-アミノヘキシル及び5’-シスタミニルホスホルアミデート又はオリゴヌクレオチドの他の誘導体でブロックすることによって調製され得る。例えば、0.1M N-メチルイミダゾール(pH 6.0)中の0.1M EDCの存在下での5’-リン酸化オリゴヌクレオチドと1,6-ジアミノヘキサンとの反応は、Chuら(20)によって記載された直接カップリングプロトコルに従って行われ得る。
【0346】
例えば、オリゴヌクレオチドは、0.2M HEPES(pH 7.7)中の5’-アミノヘキシル又は5’-シスタミニルホスホルアミデート又は他の保護オリゴヌクレオチドを有するN-ヒドロキシスクシンイミド活性化カルボキシルセファクリル支持体を使用して、N-ヒドロキシスクシンイミド活性化に結合され得る。
【0347】
実施例13 アトモル濃度でのDNA検出
本明細書に記載のDNA検出方法(実施例5)に従って、DNA検出アッセイを行った。HIV DNAを標的として使用した。標的核酸分子は、配列番号15の配列を有する。固体支持体としてのポリスチレンに3’を結合させた配列番号14の捕捉オリゴヌクレオチドプローブを使用した。配列番号16の検出オリゴヌクレオチドプローブを、5’をビオチン化して使用した。異なる濃度の標的核酸分子を使用した:0アトモル(陰性対照)、1アトモル、2アトモル、3アトモル、4アトモル、5アトモル、及び6アトモル。標的核酸分子への捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションは、NaClの存在下で行った。固体支持体(ポリスチレンビーズ)を、NaClを含有する緩衝液で洗浄し、遠心分離によって分離した。APSA酵素反応は、NaClの存在下で行った。反応混合物を、移動相として70%アセトニトリル/水を使用するC18逆相クロマトグラフィーで処理した。1μLの反応生成物をMSに注入した。m/z=268でMS検出を行った。
【0348】
図18は、MSシグナル強度に対するDNA標的核酸の濃度の標準化曲線を示す。結果は、DNA検出アッセイがアトモル範囲の感度であることを示す。
【0349】
実施例14 アトモル濃度でのDNA検出
本明細書に記載のDNA検出方法(実施例5)に従って、DNA検出アッセイを行った。SARS-CoV2 DNAを標的として使用した。標的核酸分子は、配列番号11の配列を有する。固体支持体としてのポリスチレンに3’を結合させた配列番号13の捕捉オリゴヌクレオチドプローブを使用した。配列番号12の検出オリゴヌクレオチドプローブを、5’をビオチン化して使用した。1ピコモル~1マイクロモル(0.1アトモル、1アトモル、10アトモル、100アトモル、1フェムトモル、10フェムトモル、100フェムトモル)の異なる濃度の標的核酸分子を使用した。トリス緩衝液をMS検出用のブランク陰性対照として使用した。ゼロDNA標的核酸を検出アッセイの陰性対照として使用した。標的核酸分子への捕捉及び検出オリゴヌクレオチドプローブのハイブリダイゼーションは、NaClの存在下で行った。固体支持体(ポリスチレンビーズ)を、NaClを含有する緩衝液で洗浄し、遠心分離によって分離した。APSA酵素反応は、NaClの存在下で行った。反応混合物を、移動相として95%アセトニトリル/水、0.1%酢酸、20μL/分を使用するC18逆相クロマトグラフィーで処理した。1μLの反応生成物をMSに注入した。m/z=268でMS検出を行った。
【0350】
図19は、MSシグナル強度に対するDNA標的核酸の濃度の標準化曲線を示す。結果は、DNA検出アッセイがピコモル~マイクロモルの範囲の感度であることを示す。
【0351】
実施例15 低濃度合成DNA標的の検出
合成DNA、PCR生成物及びプラスミドDNAをそれぞれ標的核酸分子として使用した。PCR生成物及びプラスミドDNAアッセイは、実施例16に更に記載する。合成DNAは、これらの実施例で使用された場合、合成された一本鎖DNAを指す。PCR生成物は、増幅されたDNA(任意選択的にRNAから開始)を指し、プラスミドDNAは、より大きなプラスミドの内部に対象となる標的を含むものである。
【0352】
実施例10で設計したPCRプライマー、オリゴヌクレオチド捕捉及び検出プローブを、本実施例及び実施例16で使用した。合成標的並びにHIV及びCOVIDプラスミド由来のHIV、COVID、志賀毒素生成E.coli(STEC)、及び溶血素DNAを、以下に記載される本開示の様々な方法を使用して検出した。
【0353】
捕捉オリゴヌクレオチドプローブを、NOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート上に固定化した。
【0354】
一般に、表面結合緩衝液(10mM NaPO+1mM EDTA緩衝液、pH 8.5)中の捕捉オリゴヌクレオチドプローブをプレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。次いで、ウェルを追加の表面結合緩衝液で3回洗浄し、クエンチし、3%BSAで1時間ブロッキングした。クエンチし、ブロッキングしたプレートを、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回、続いて結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄した。
【0355】
合成標的並びにHIV及びCOVIDプラスミドからのHIV、COVID、志賀及び溶血素DNAを、本明細書に記載の捕捉オリゴヌクレオチドプローブを用いて検出した。
【0356】
適切な捕捉オリゴヌクレオチドプローブを、NOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート上に、前述のようにアミン官能基を介して3’末端又は5’末端に固定化した。各実験を三連(n=3)で行った。
【0357】
合成(結果は下記)、PCR又はプラスミドウイルスDNA(結果は実施例16に記載)(例えば、標的核酸分子)及び対応する検出オリゴヌクレオチドプローブを、プレートの各ウェル(捕捉オリゴヌクレオチドプローブを含む)に添加して、約1.5時間のDNAハイブリダイゼーションを開始させた。次いで、ウェルを結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄した。プレートを1%BSAで5分間ブロックし、次いで1%BSA中のAPSA溶液と15分間インキュベートし、指定された緩衝液で11回(結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で6回、20mM Tris pH8.00+1M NaCl(EDTAなし)で3×5分間、20mM Tris pH8.00+2M AMBICで2回(1×5分間及び1×15分間)洗浄した。次いで、プレートを1mM AMPと共に2時間インキュベートした後、アッセイ生成物を回収した。回収した試料を、質量分析(m/z 136)を使用して分析した。
【0358】
図20、21、22及び23は、標的の一本鎖合成DNAの結果を示す。
【0359】
HIVオリゴヌクレオチド標的
図20は、異なる濃度のHIV合成DNA標的核酸分子(1pM~500pM)におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。
【0360】
使用したHIV DNA配列を表9に示す。標的核酸分子は、配列番号24の配列を有する。3’がアミン官能基を介して固体支持体としてのNOS表面ポリスチレンに結合した、配列番号23の捕捉オリゴヌクレオチドプローブを使用した。配列番号25の検出オリゴヌクレオチドプローブを、5’をビオチン化して使用した。
【0361】
図20は、本明細書に記載される検出方法が、1pMという低い濃度でHIV DNA標的核酸分子を検出することができたことを示す。1uLの1pM溶液の注入は、アトモル量での検出に対応する。このレベルの検出は、PCRなしで達成される。
【0362】
SARS-CoV 2(COVID)DNAオリゴヌクレオチド標的検出
図21は、異なる濃度のSARS-CoV 2合成標的核酸分子(100fM~10nM)におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。本明細書で使用した方法は、100fMという低い濃度でSARS-CoV 2標的オリゴヌクレオチドを検出することができた。検出された配列は、ヌクレオキャプシドリンタンパク質の一部である。
【0363】
図21のアッセイで使用したSARS-Co-V 2 DNA配列を表3に示す。標的核酸分子は、配列番号4の配列を有する。3’がアミン官能基を介して固体支持体としてのNOS表面ポリスチレンに結合した、配列番号6の捕捉オリゴヌクレオチドプローブを使用した。配列番号5の検出オリゴヌクレオチドプローブを、5’をビオチン化して使用した。
【0364】
志賀毒素生成大腸菌(STEC)DNA検出
図22は、異なる濃度の合成STEC標的核酸分子(1pM~1nM)におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。本明細書で使用される方法は、1pMという低い濃度でSTEC標的核酸分子を検出することができた。
【0365】
使用したSTEC DNA配列を表11に示す。標的核酸分子は、配列番号30の配列を有する。3’がアミン官能基を介して固体支持体としてのNOS表面ポリスチレンに結合した、配列番号29の捕捉オリゴヌクレオチドプローブを使用した。配列番号31の検出オリゴヌクレオチドプローブを、5’をビオチン化して使用した。
【0366】
S.aureus溶血素DNA検出
図23は、異なる濃度の溶血素合成標的核酸分子(1pM~1nM)におけるm/z 136でのMSシグナル強度のグラフを示す。本明細書で使用される方法は、1Pmという低い濃度で溶血素標的核酸分子を検出することができた(例えば、1uLの1pM溶液又は1アトモルが検出可能であった)。
【0367】
使用した溶血素DNA配列を表13に示す。標的核酸分子は、配列番号36の配列を有する。3’がアミン官能基を介して固体支持体としてのNOS表面ポリスチレンに結合した、配列番号35の捕捉オリゴヌクレオチドプローブを使用した。配列番号37の検出オリゴヌクレオチドプローブを、5’をビオチン化して使用した。
【0368】
実施例16 低濃度PCR及びプラスミドDNA標的の検出
実施例15は、本明細書中で更に記載されるPCR生成物及びプラスミドDNA生成物の検出に関するいくつかの詳細を提供する。
【0369】
PCR標的については、PCR反応を用いてプラスミドを増幅することによって標的核酸を調製した。HIVプラスミドから増幅されたPCR生成物をアガロースゲル泳動して可視化し、本明細書に記載の方法との感度比較を行った。
【0370】
本明細書に記載され示されるように、質量分析を使用する記載された方法は、感度の増強をもたらした。
【0371】
1ng~1アトグラム(rep1及びrep2)を用いてPCR反応を行った。反応は1μlのHIVプラスミドDNAで開始した。PCR 35サイクル、リッド温度105℃、25μL反応体積、94℃融解(30秒)、58℃アニーリング(30秒)、72℃伸長(30秒)。生成物を、2%アガロースゲルを100ボルトで2時間泳動することにより分離した(大きなゲルタンク、ラダーは直線的に泳動する)。5μlの試料をロードした。3μlのラダーをロードした。GelRed(商標)でのInGel染色。
【0372】
PCRテンプレートを使用する実験において、5μlのPCR試料(ゲル上にロードされたものと同じ)もまた、本明細書中に記載されるハイブリダイゼーションステップに供した。
【0373】
プラスミドを用いた実験では、プラスミドを96ウェルフォーマット中のPVDFにNOSを介して結合させるか、又はその上に吸着させた。
【0374】
更なる詳細について以下に示す。
【0375】
HIV DNA検出
HIV Gag Pr55コードプラスミド(例えば、アクセッション番号GQ432554.1)を、捕捉オリゴヌクレオチドプローブ領域内でハイブリダイズするプライマーと捕捉オリゴヌクレオチドプローブのプローブ領域の外側でハイブリダイズするプライマーとを比較するアッセイにおいて使用した。異なる長さの2つのPCR生成物を生成する2セットのプライマー(1つは133bpフラグメント(捕捉プローブの領域内のプライマー)及びもう1つは258bpフラグメント(捕捉プローブの領域外のプライマー))を使用し、PCR生成物を標的核酸分子(例えば、PCRテンプレート)として使用した。アッセイは、捕捉プローブ及び検出プローブ(例えば、完全サンドイッチ法)の使用を含み、ゲルによって示されるPCR増幅プラスミドの感度と比較し、画像分析を使用して定量化した。図24A、B及び24Cを参照されたい。
【0376】
PCR反応は、アト、フェムト、ピコ又はナノg量のテンプレートHIVプラスミドDNAを用いて行った。反応は1μlのHIVプラスミドDNAで開始した。PCR 35サイクル、リッド温度105℃、25μL反応体積、94℃融解(30秒)、58℃アニーリング(30秒)、72℃伸長(30秒)。PCR生成物を精製せずに使用(例えば、反応物の5μlアリコートを直接使用)した(ゲル可視化のため、又は記載されるアッセイ及び質量分析における使用のためのいずれか)。
【0377】
258bp標的についての捕捉オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号23)及び検出オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号25)を表9に示す。PCR生成物を生成するために使用したフォワードプライマーは、配列5’-CCAGGCCAGATGAGAGAACC-3’(配列番号38)を有していた。PCR生成物を生成するために使用したリバースプライマーは、配列5’-TGAAGCTTGCTCGGCTCTTA-3’(配列番号39)を有していた。258標的核酸分子は、以下の配列を有する。
5’-
CCAGGCCAGATGAGAGAACCAAGGGGAAGTGACATAGCAGGAACTACTAGTACCCTTCAGGAACAAATAGGATGGATGACAAATAATCCACCTATCCCAGTAGGAGAAATTTATAAAAGATGGATAATCCTGGGATTAAATAAAATAGTAAGAATGTATAGCCCTACCAGCATTCTGGACATAAGACAAGGACCAAAAGAACCCTTTAGAGACTATGTAGACCGGTTCTATAAAACTCTAAGAGCCGAGCAAGCTTCA-3’(配列番号40)。
【0378】
258bpのPCR生成物標的について、PCRプライマーは、捕捉配列及び検出配列の外側又は外側に隣接していた。検出は以下のように行った。
【0379】
5μLのPCR試料溶液を、結合緩衝液で100μLに希釈し、各「DNA ELiMSA反応」(例えば、捕捉プローブ及び検出プローブとのインキュベーション、レポーター酵素検出プローブ及び基質とのインキュベーション、並びに質量分析)に使用した。捕捉オリゴヌクレオチドプローブを、捕捉オリゴプローブ上の3’アミンを介してNOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート(n=3)上に共有結合的に固定化した。表面結合緩衝液(10mM Na2PO4+1mM EDTA緩衝液、pH 8.5)中の捕捉オリゴヌクレオチドプローブ(捕捉DNAとも呼ばれる)をプレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。表面結合緩衝液で3回洗浄し、次いでクエンチし、プレートを3%BSAで1時間ブロッキングし、20mMトリスpH8.00+1mM EDTAで3回洗浄し、続いて結合緩衝液(20mMトリスpH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄した。標的核酸分子及び検出プローブDNAをプレートの各ウェルに添加して、約1.5時間のDNAハイブリダイゼーションを開始し、結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄した。プレートを1%BSAで5分間ブロックし、次いで1%BSA中のAPSA溶液と15分間インキュベートし、指定された緩衝液で10回(結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で6回、20mM Tris pH8.00+1M NaCl(EDTAなし)で3×5分間、20mM Tris pH8.00+2M AMBICで2回(1×5分間及び1×15分間)洗浄した。次いで、プレートを1mM AMPと共に2時間インキュベートした後、アッセイ生成物を回収した。NTCは、PCR反応の非テンプレート対照を表す。エラーバー=STDEV。
【0380】
図24Aは、フェムトグラム量のHIVプラスミドDNA配列からの258ntのPCR生成物の質量分析による検出を示し、ここで、PCRプライマーは、捕捉配列及び検出配列の外側又は外側に隣接していた。上述のように、粗製のPCR生成物をアッセイに使用した。
【0381】
図24Bは、100fgのみ、かすかに見えることを実証するアガロースゲルを示す。図24Cは、図24Bのゲル上に見られる量を定量化する。
【0382】
133bp標的についての捕捉オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号23)及び検出オリゴヌクレオチドプローブ(配列番号25)は、258 np PCR生成物についてのものと同じであり、表9に示す。PCR生成物を生成するために使用したフォワードプライマーは、配列5’-CCACCTATCCCAGTAGGAGAAATCTATAAAAGATGG-3’(配列番号41)を有していた。PCR生成物を生成するために使用したリバースプライマーは、配列5’-CTACATAGTCTCTAAAGGGTTCTTTTGGTCCTTGTC-3’(配列番号42)を有していた。標的核酸分子は、以下の配列を有する:
5’-
CCACCTATCCCAGTAGGAGAAATTTATAAAAGATGGATAATCCTGGGATTAAATAAAATAGTAAGAATGTATAGCCCTACCAGCATTCTGGACATAAGACAAGGACCAAAAGAACCCTTTAGAGACTATGTAG-3’(配列番号43)。
【0383】
Covid検出
Covid PCR生成物もまた、本明細書に記載のプライマー及びプローブを用いてアッセイした。
【0384】
SARS-Co-V 2標的核酸分子PCR生成物を、以下のPCR条件によって調製した。PCR反応は、10ngのSARS-CoV-2陽性対照プラスミドで開始した。(35サイクル、リッド温度105℃、50μL反応体積、94℃融解(30秒)、58℃アニーリング(30秒)、72℃伸長(1分))。5μlの生成物を分離し、5μlを本明細書に記載のアッセイに供した。具体的には、次いで、25uLのPCR反応物を、GEL分析のために5uLに、ハイブリダイゼーション及び質量分析のために5uLに等分した。
【0385】
図25は、PCRプライマーが捕捉及び検出配列内にあった、Covid DNAプラスミドDNA配列からの138ntのPCR生成物の検出を示す。
【0386】
本記載の方法は、総反応体積のうちの少量のみが質量分析に供されることを特に考慮すると、高感度である。典型的には、200μlの最終反応容量のうち1~2μlを質量分析に供した。各場合において、本明細書中に記載される「DNA EliMSA」は、10~100倍高い感度で標的を検出した。反応物容量の1/100又は1/200のみが質量分析によってアッセイされたため、同じレベルのテンプレートについての本明細書中に記載されるようなDNA EliMSAアッセイは、10,000~20,000倍より感受性であり得る。
【0387】
PCRは、非常に高感度であると考えられているが、典型的には手動のゲルローディング、ゲル染色及び定量化を伴うため、労働集約的であるか又は時間がかかり得る。本記載の方法は自動化することができる。例えば、本明細書に記載のアッセイは96ウェルプレートで行うことができるため、96ウェル注入ロボットを使用して自動化することができる。
【0388】
プラスミドDNAの直接検出も実証した。図26は、ヌクレオチドアミンを介してNOSプレートに付着したHIVプラスミドの検出を示す。試験したプラスミドの濃度は、100fM~100nMであった。他のステップ及び使用した検出プローブは上記の通りである。図26は、試料操作(例えば、切断)なしで検出可能であったスーパーコイルプラスミドのピコモル範囲での検出を示す。
【0389】
実施例17 PVDF上のSARS-CoV-2 DNAの検出
捕捉オリゴプローブはまた、非共有結合的に付着させることができる。
【0390】
SARS-CoV-2プラスミド、IDT CAT10006625を、High Binding 0.45マイクロPVDF 96ウェルフィルタープレートに吸着させた捕捉オリゴヌクレオチドプローブで検出した。吸着により固定されたCapture DNAにより「DNA ELiMSA」を実施した(n=3)。捕捉DNAをPVDFに添加した。PVDFを3%BSAで1時間ブロックし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回、続いて結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄した。標的核酸(例えばCovidプラスミド)及び検出オリゴヌクレオチドプローブDNAを95Cに加熱し、プレートの各ウェルに添加して約1.5時間DNAハイブリダイゼーションを開始し、結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄した。プレートを1%BSAで5分間ブロックし、次いで1%BSA中のAPSA溶液と15分間インキュベートし、指定された緩衝液で10回(結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で6回、20mM Tris pH8.00+1M NaCl(EDTAなし)で3×5分間、20mM Tris pH8.00+2M AMBICで2回(1×5分間及び1×15分間)洗浄した。次いで、プレートを1mM AMPと共に2時間インキュベートした後、アッセイ生成物を回収した。
【0391】
図27は、異なる濃度のSARS-CoV-2標的核酸分子(1pM~1μM)(例えば二本鎖コイルプラスミド)におけるm/z 268でのMSシグナル強度のグラフを示す。本明細書で使用される方法は、1pM程度の低い濃度でSARS-CoV-2標的核酸分子を検出することができた。約6logにわたる線形検出が可能であった。この実施形態では、標的はCovidプラスミドであり、標的をPVDFに吸着させた(例えば、二本鎖プラスミドの非共有結合)。
【0392】
実施例18
捕捉プローブ及びタグ化プライマーを使用する、図15Aに示されるいくつかの方法を、本明細書に例示する。それらのアッセイでは検出プローブが使用されないため、これらはハーフサンド法と呼ぶことができる。
【0393】
様々な一本鎖捕捉オリゴヌクレオチドプローブを、アミン官能基を介してNOSプレートに結合させた。他の結合を使用することもできる。固体表面への結合は、捕捉オリゴヌクレオチドプローブの3’末端又は5’末端のいずれかを介したものであった(例えば、アミン官能基は、3’末端若しくは5’末端又はその両方に存在し得る)。3’及び5’結合の両方を試験し、両方とも検出が可能であることが示された。アンチセンス鎖及びセンス鎖の両方が結合され、両方とも検出が可能であることが示された。アンチセンス鎖を固体支持体に結合させたとき、5’ビオチン化フォワードプライマーを使用した。センス鎖を固体支持体に結合させたとき、5’ビオチン化リバースプライマーを使用した。センス鎖及びアンチセンス鎖の両方を結合させることができ、かかる場合、5’ビオチン標識フォワード及びリバースプライマーを使用することができる。
【0394】
一例では、ビオチン化PCRプライマー配列を、NOSプレートに対する3’AMINE捕捉プローブと共に使用した。
【0395】
ビオチン化HIV_プライマー_3_フォワード 5’ビオチン-CCAGGCCAGATGAGAGAACC(配列番号38)。
【0396】
ビオチン化HIV_プライマー_3_リバース 5’ビオチン-TGAAGCTTGCTCGGCTCTTA(配列番号39)。
【0397】
別の例では、ビオチン化PCRプライマー配列を、NOSプレートへの5’アミン捕捉と共に使用した。
【0398】
HIVプライマー3を使用する反応のための捕捉プローブは、5’アミンを介して繋がれ得るCCACCTATCCCAGTAGGAGAAATCTATAAAAGATGGATAATCCTGGGAT(配列番号45)であり得る。示されるように、5’連結及び3’連結を有利に使用することができる。
【0399】
図28A及びBは、ビオチン化フォワードプライマー及びビオチン化リバースプライマーを使用したアッセイからの結果を示す。
【0400】
図28Aは、HIVプラスミドからのPCR反応を示す。1ng~1アトグラムのプラスミドをテンプレートとして使用した。反応は1μlのHIVプラスミドDNAで開始した。PCR 35サイクル、リッド温度105C、反応体積25uL、94C融解(30秒)、58Cアニーリング(30秒)、72C伸長(1分)。100ボルトで1時間20分間泳動させる2%アガロースゲルによって生成物を分離した。5ulの試料をロードした。3ulラダーをロードした。GelRedによるゲル内染色を行った。図28Aの上のゲル:BHIV_プライマー_3_フォワード+HIV_プライマー_3_リバースPCRセット。下のゲル:HIV_プライマー_3_フォワード+BHIV_プライマー_3_リバースPCRセット。
【0401】
増幅されたアンチセンス鎖(捕捉オリゴプローブ)は、NOSプレート上に捕捉された3’AMINEであった。アンチセンス鎖をNOSプレートに共有結合させたため、ビオチン化フォワードプライマーを用いて、捕捉オリゴヌクレオチドプローブに接着することができる標識センス鎖を調製する。増幅されるPCR鎖はプライマーを介してビオチン化されるため、検出プローブはそれ自体必要ではない。
【0402】
これは、NOS_3’-アミン捕捉プローブを用いたハーフサンドイッチアッセイと呼ぶことができる。粗ビオチン-PCR 258ntを、本明細書中に記載されるように質量分析に供する。
【0403】
生成されるHIV PCR生成物は、ビオチン5’末端を含む配列番号40(258nt)である(例えば、ビオチン-5’-配列番号40)。
【0404】
本実施例で使用したHIV捕捉IIIプローブは、(50nt):5’-AATCCCAGGATTATCCATCTTTTATAGATTTCTCCTACTGGGATAGGTGG-3’-アミン(配列番号44)である。
【0405】
上述のように、ビオチン標識-フォワードプライマー+非標識リバースプライマーを使用した。
【0406】
図28Bは、以下に記載の方法を用いた質量分析による検出後の結果を示す。
【0407】
ビオチン標識フォワードプライマーは、258ntであるHIVビオチン化PCR生成物を生成した。PCR生成物を含むPCR反応物を精製せずに、NOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート(n=3)上に固定されたCapture DNAによって実施されたハーフサンドイッチHIV PCR DNA ELiMSA(例えば、捕捉プローブ、ビオチン化プライマー、レポーター酵素検出プローブとの反応、及び1つ以上のイオン化可能な生成物の検出)によって検出した。5uLのPCR試料溶液を、結合緩衝液で100uLに希釈し、各DNA ELiMSA反応に使用した。0は、標的DNA配列の付加がないことを表す。NTCは、PCR反応の非テンプレート対照を表す。100nMの合成標的DNA配列を有する全サンドイッチHIV DNA ELiMSAを陽性対照として使用した。エラーバー=STDEV。
【0408】
NOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート上に固定されたCapture DNAによってDNA ELiMSAを行った。表面結合緩衝液(10mM Na2PO4+1mM EDTA緩衝液、pH 8.5)中の捕捉DNAをプレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄し、次いで、プレートを3%BSAで1時間クエンチ及びブロッキングし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回洗浄し、続いて結合緩衝液で3回洗浄した。PCR生成物並びに合成標的及び検出DNA配列を変性させ、プレートの各ウェルに添加して約1.5時間のDNAハイブリダイゼーションを開始し、結合緩衝液で3回洗浄した。プレートを1%BSAで5分間ブロックし、次いで1%BSA中のAPSA溶液と15分間インキュベートし、指定された緩衝液で10回(結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で6回、20mM Tris pH8.00+1M NaCl(EDTAなし)で3×5分間、20mM Tris pH8.00+2M AMBICで2回(1×5分間及び1×15分間)洗浄した。次いで、プレートを1mM AMPと共に2時間インキュベートした後、アッセイ生成物を回収した。1又は2μlのアッセイ生成物(200μl)を質量分析に供し、1又は2uLを注入した(図28B参照)。図28Aに示すゲルでは、100fgの標的の検出はほとんど検出できなかった。本明細書に記載される方法を使用して、図28Bに示されるように、100fgテンプレートが明確に検出可能である。更に言及したように、ゲルが完全に等量の試料を使用するとき、アッセイ生成物のわずかな画分(1/100、1/200)のみが質量分析を使用して泳動される。
【0409】
捕捉プローブの5’アミン結合及びビオチン化リバースプライマーを用いて同様のアッセイを行った。
【0410】
このアッセイでは、一本鎖センス鎖HIV捕捉プローブを、その5’末端のアミンを介してNOSプレートに共有結合させた。
【0411】
HIV捕捉III(50nt)は、アミン-5’-CCACCTATCCCAGTAGGAGAAATCTATAAAAGATGGATAATCCTGGGATT-3’(配列番号45)である。
【0412】
このアッセイにおいて、粗PCR生成物(「生の」生成物とも呼ばれる)は、本方法の堅牢性を実証する。
【0413】
HIV PCR生成物(258nt):ビオチン-5’-TGAAGCTTGCTCGGCTCTTAGAGTTTTATAGAACCGGTCTACATAGTCTCTAAAGGGTTCTTTTGGTCCTTGTCTTATGTCCAGAATGCTGGTAGGGCTATACATTCTTACTATTTTATTTAATCCCAGGATTATCCATCTTTTATAAATTTCTCCTACTGGGATAGGTGGATTATTTGTCATCCATCCTATTTGTTCCTGAAGGGTACTAGTAGTTCCTGCTATGTCACTTCCCCTTGGTTCTCTCATCTGGCCTGG-3(配列番号46)、配列番号40に対する相補性
【0414】
結果を図28Cに示す。
【0415】
図28Cは、精製されていない258ntのHIVビオチン化PCR生成物が、NOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート(n=3)上に固定されたCapture DNAによって行われたハーフサンドイッチHIV PCR DNA ELiMSAによって検出されたことを示す。5uLのPCR試料溶液を、結合緩衝液で100uLに希釈し、各DNA ELiMSA反応に使用した。0は、標的DNA配列の付加がないことを表す。NTCは、PCR反応の非テンプレート対照を表す。100nMの合成標的DNA配列を有する全サンドイッチHIV DNA ELiMSAを陽性対照として使用した。エラーバー=STDEV。
【0416】
NOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート上に固定されたCapture DNAによってDNA ELiMSAを行った。表面結合緩衝液(10mM Na2PO4+1mM EDTA緩衝液、pH 8.5)中の捕捉DNAをプレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄し、次いで、プレートを3%BSAで1時間クエンチ及びブロッキングし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回洗浄し、続いて結合緩衝液で3回洗浄した。PCR生成物並びに合成標的及び検出DNA配列を熱により変性させ、プレートの各ウェルに添加して約1.5時間のDNAハイブリダイゼーションを開始し、結合緩衝液で3回洗浄した。プレートを1%BSAで5分間ブロックし、次いで1%BSA中のAPSA溶液と15分間インキュベートし、指定された緩衝液で10回(結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で6回、20mM Tris pH8.00+1M NaCl(EDTAなし)で3×5分間、20mM Tris pH8.00+2M AMBICで2回(1×5分間及び1×15分間)洗浄した。次いで、プレートを1mM AMPと共に2時間インキュベートした後、アッセイ生成物を回収した。
【0417】
このアッセイにおいて、出発テンプレート10fg程度の少量であっても再現性のあるシグナルを生成した。
【0418】
更なるアッセイは、非共有結合及びPVDFを使用した。本実施例では、一本鎖HIV標的配列をPVDFに吸着させ、相補的でタグで標識された検出プローブを用いて標的配列を検出するハーフサンドイッチアッセイを用いてHIVを検出した。捕捉プローブを使用しないアッセイでは、0pmol対100pmolの標的を比較した。
【0419】
HIV検出III(50nt):ビオチン-5’-CTACATAGTCTCTAAAGGGTTCTTTTGGTCCTTGTCTTATGTCCAGAATG-3’(配列番号25)。
【0420】
HIVオリゴ標的III:(133nt):
CCACCTATCCCAGTAGGAGAAATCTATAAAAGATGGATAATCCTGGGATTAAATAAAATAGTAAGAATGTATAGCCCTACCAGCATTCTGGACATAAGACAAGGACCAAAAGAACCCTTTAGAGACTATGTAG(配列番号24)。
【0421】
0.45ミクロンPVDF 96ウェルフィルタープレート(n=3)に吸着させた合成標的DNAによって、HIVハーフサンドイッチ法DNA ELiMSAを行った。PVDFフィルタープレートをメタノールで予め湿らせ、標的DNAをスポットし、3%BSAで1時間ブロックし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回洗浄し、続いて結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄した。変性検出DNA配列をプレートの各ウェルに添加して、約1.5時間のDNAハイブリダイゼーションを開始し、結合緩衝液で3回洗浄した。プレートを1%BSAで5分間ブロックし、次いで1%BSA中のAPSA溶液と15分間インキュベートし、指定された緩衝液で10回(結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で6回、20mM Tris pH8.00+1M NaCl(EDTAなし)で3×5分間、20mM Tris pH8.00+2M AMBICで2回(1×5分間及び1×15分間)洗浄した。次いで、プレートを1mM AMPと共に2時間インキュベートした後、アッセイ生成物を回収した。
【0422】
図29に示すように、非共有結合したHIV標的配列は、本明細書に記載の「DNA ELIMSA」法を用いて検出することができた。
【0423】
実施例19
本方法の堅牢性を評価するために、SDS又は非関連核酸を添加して追加のアッセイを行った。
【0424】
NOS表面化学96ウェルポリスチレン反応性プレート上に固定化された5’N Capture DNAによってCovid DNA ELiMSAを行った。表面結合緩衝液(10mM Na2PO4+1mM EDTA緩衝液、pH 8.5)中の捕捉DNAをプレートに添加し、4℃で一晩インキュベートした。表面結合緩衝液で3回洗浄し、次いで20mM Tris pH 8.5中でクエンチした。プレートを3%BSAでブロックし、及び/又はBSAの前、その間若しくはその後若しくはその後、又は標的ハイブリダイゼーションの間に1時間、5μgのサケ精子DNAでブロックし、20mM Tris pH8.00+1mM EDTAで3回、続いて結合緩衝液(20mM Tris pH8.00+1M NaCl+1mM EDTA)で3回洗浄した。プレートを1%BSAで5分間ブロックし、次いで、1%BSA中のAPSA溶液と共に15分間インキュベートし、指定された緩衝液で10回洗浄した(結合緩衝液で6回迅速洗浄、20mM Tris pH8.00+1M NaCl(EDTAなし)で3×5分間、20mM Tris+2M AMBICで2回(1回5分間及び1回15分間)。次いで、プレートを1mM AMPと共に2時間インキュベートした後、アッセイ生成物を回収した。アッセイ生成物を、質量分析m/z 136を用いて測定した。
【0425】
サケ精子DNAの添加は、BSAの前に、又はBSAと組み合わせて、又はハイブリダイゼーションステップの間に添加したとき、アッセイに感知できるほどの影響を及ぼさなかった。
【0426】
他の試験においてもSDSを添加した。
【0427】
標的及びプローブDNAを、プレートの指定ウェルに添加した0、0.1、0.5、1及び2%w/vドデシル硫酸ナトリウム(SDS)と共にインキュベートして、DNAハイブリダイゼーションを約1.5時間開始した。SDSの添加は、長いテンプレートの濃度で非特異的結合を減少させるようであった。アッセイは、高濃度のSDS又は非イオン性界面活性剤に耐えることができる。
【0428】
実施例20
PCRプライマーを、PCRにおいて非常によく機能するCOVIDのために設計した。それらはまた、本明細書中に記載される方法において使用され得る。
【0429】
SARS-Co-V2 PCR反応物を、以下のPCR条件を使用して、ヌクレオキャプシドを含むSARS-Co-V2プラスミドを使用して調製した。PCR反応は、10ngのSARS-CoV-2陽性対照プラスミドで開始した。(35サイクル、リッド温度105℃、50μL反応体積、94℃融解(30秒)、58℃アニーリング(30秒)、72℃伸長(1分))。
【0430】
図30に示すように、10μlのPCR反応物をWHOプライマー(WHO N1(72nt)及びWHO N2(67nt生成物))にロードし、5μlのPCR試料を試験したプライマー(実施例11参照、配列番号2及び3は138nt生成物を生成し、配列番号7及び8は377nt生成物を生成した。4μlラダーをロードした。次にGelRedで30分間染色した。テンプレートの非存在下又は増幅されるDNAテンプレートの非存在下ではバンドは存在しなかった。使用したプライマー対に応じて67~377ntの範囲の予想サイズの断片が得られた。配列番号2及び3並びに7及び8のプライマー対によって生成された生成物は、WHOプライマーのいずれかの対よりも強いバンドを生成した。図30を参照のこと。
【0431】
本開示を実施例を参照して説明してきたが、特許請求の範囲は、実施例に記載された実施形態によって限定されるべきではなく、全体として説明と一致する最も広い解釈が与えられるべきであることを理解されたい。
【0432】
全ての刊行物、特許及び特許出願は、それぞれ個々の刊行物、特許又は特許出願が、その全体が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。本開示における用語が、参照により本明細書に組み込まれる文書において異なって定義されることが見出されるとき、本明細書において提供される定義は、その用語の定義としての役割を果たす。
【0433】
本明細書で参照される文献の引用
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図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図25
図26
図27
図28A
図28B
図28C
図29
図30A
図30B
【配列表】
2023549287000001.app
【国際調査報告】