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  • 特表-微生物中和のためのアロエ抽出物 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】微生物中和のためのアロエ抽出物
(51)【国際特許分類】
   A61K 36/886 20060101AFI20231115BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 31/10 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 31/715 20060101ALI20231115BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 39/39 20060101ALI20231115BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20231115BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20231115BHJP
【FI】
A61K36/886
A61P31/00
A61P31/04
A61P31/10
A61P31/12
A61P31/12 171
A61K31/715
A61P43/00 121
A61K45/00
A61K47/36
A61K39/39
A61K8/9794
A23L33/105
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023549003
(86)(22)【出願日】2021-10-21
(85)【翻訳文提出日】2023-05-08
(86)【国際出願番号】 EP2021079228
(87)【国際公開番号】W WO2022084455
(87)【国際公開日】2022-04-28
(31)【優先権主張番号】20202957.5
(32)【優先日】2020-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523150185
【氏名又は名称】2キューアール・リサーチ・ベスローテン・フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】2QR RESEARCH B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100150500
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100176474
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 信彦
(72)【発明者】
【氏名】コウマンス,フローリス
(72)【発明者】
【氏名】クヴァクマン,パウル
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C083
4C084
4C085
4C086
4C088
【Fターム(参考)】
4B018LB10
4B018LE01
4B018LE02
4B018MD23
4B018MD28
4B018MD29
4B018MD33
4B018MD41
4B018MD65
4B018ME09
4B018ME14
4B018MF01
4B018MF02
4C076AA06
4C076AA09
4C076AA11
4C076AA24
4C076AA30
4C076AA36
4C076AA53
4C076CC32
4C076CC35
4C076EE30G
4C083AA111
4C083AA112
4C084AA19
4C084MA13
4C084MA16
4C084MA27
4C084MA28
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA43
4C084NA05
4C084ZB321
4C084ZB331
4C084ZB351
4C084ZB352
4C084ZC751
4C085AA38
4C085CC40
4C085EE06
4C085GG08
4C085GG10
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA25
4C086MA01
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA05
4C086MA13
4C086MA16
4C086MA27
4C086MA28
4C086MA35
4C086MA37
4C086MA43
4C086NA14
4C086ZB32
4C086ZB33
4C086ZB35
4C086ZC75
4C088AB86
4C088BA12
4C088CA19
4C088MA03
4C088MA07
4C088MA13
4C088MA16
4C088MA27
4C088MA28
4C088MA35
4C088MA37
4C088MA43
4C088NA14
4C088ZB32
4C088ZB33
4C088ZB35
(57)【要約】
本発明は、微生物に対する凝集活性を有するアロエベラ由来の多糖類を含む組成物、および感染症の予防または治療におけるその使用に関する。30~100kDaの範囲の平均分子量を有し、80~100% w/wのマンノースおよび0~5% w/wのグルコースを含む組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アロエベラ由来の多糖類を含む組成物であって、微生物に対する凝集活性を有する組成物。
【請求項2】
pH7で荷電しておらず、30~100kDa、好ましくは50~100kDaの範囲の見かけの分子量を有する、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
総多糖類の80~100重量%のマンノースおよび0~5重量%のグルコースを含む、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
マンノース:グルコースの重量比が、25:35の範囲である、請求項1~3に記載の組成物。
【請求項5】
さらに、0~5% w/wのガラクトースまたは0~5% w/wのフコースを含む、請求項1~4に記載の組成物。
【請求項6】
0.5-10mg/mlの多糖類を含む、請求項1~5に記載の組成物。
【請求項7】
さらに、他のアロエベラ抽出物、抗生物質、キトサン、栄養素またはビタミンを含む、請求項1~5に記載の組成物。
【請求項8】
個体における微生物ノコロニー形成を減少させるか、または防止するために微生物を凝集させる方法であって、任意に、他のアロエベラ抽出物、抗生物質、キトサン、栄養素またはビタミンと組み合わせて、請求項1~7に記載の組成物と微生物を接触させることを含む、方法。
【請求項9】
微生物が、細菌、真菌またはウイルスである、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
微生物が、バチルス、バクテロイデス、クロストリジウム、エンテロコッカス、エシェリヒア、リステリア、ナイセリア、シュードモナス、サルモネラ、ブドウ球菌、連鎖球菌、エルシニア、アスペルギルスおよびカンジダからなる群から選択される、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
微生物が、カンジダ・アルビカンス、黄色ブドウ球菌、大腸菌およびピロリ菌からなる群から選択される、請求項8~10に記載の方法。
【請求項12】
栄養補助食品として、もしくは栄養補助食品中で、または食餌療法食用の製品中で、パーソナルケア用の製品中で、または化粧品用の製品中での、請求項1~7に記載の組成物の使用。
【請求項13】
アジュバントとしての使用のための、請求項1~7に記載の組成物。
【請求項14】
ヒトまたは動物の身体の感染症の治療または予防における使用のための、請求項1~7に記載の組成物。
【請求項15】
感染症が、家畜、ペット、競技動物またはウシでの感染症である、請求項13に記載の使用のための組成物。
【請求項16】
組成物が、クリーム、ドロップ、ジェル、リキッド、ローション、ペースト、シャンプー、スプレー、トニック、カプセル、ロゼンジ、散剤または錠剤として製剤される、請求項1~7に記載の組成物または請求項13~15に記載の使用のための組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物中和のためのアロエ抽出物に関する。特に、微生物の凝集を促進することにより微生物の中和を促進するアロエ抽出物に関する。
【背景技術】
【0002】
病原性微生物は、自然の宿主防御システムを突破してコロニー形成し、我々の組織に定着し、侵入するツールを開発している。微生物の問題の大部分は、有害な微生物が皮膚および粘膜などのヒトの上皮表面に付着することによって始まる。宿主組織表面に効果的に結合するために、多くの微生物はその外表面に複数のアドヘシンタンパク質を有する。これらのアドヘシンは、宿主上皮細胞の表面で受容体分子に結合する。抗付着戦略は、宿主細胞の微生物コロニー形成を防ぐためにこれらの受容体をブロックすることにより、微生物アドヘシンと宿主上皮細胞受容体との間の相互作用をブロックすることを目的とする。微生物のコロニー形成は感染プロセスの最初の重要なステップであるため、抗付着戦略によって微生物の付着を効果的にブロックすることにより、病原体を無害にする。しかしながら、抗付着療法の欠点は、ほとんどの病原性微生物が複数の種類のアドヘシンタンパク質をコードする遺伝子を有することである。その結果、ブロックを成功させるためには、これらのアドヘシンタンパク質のそれぞれをブロックすることが必要である。
【0003】
コロニー形成は、クラスタリングとも呼ばれる微生物の凝集によっても妨げられる可能性がある。凝集は、個々の微生物間で架橋を形成する凝集化合物によって、微生物がネットワークに絡み合うプロセスである。凝集因子が記載されている。Roche et al. 2015 Mucosal Immunol. 8:176は、抗体による微生物の凝集の物理的プロセスによるコロニー形成と感染に対する防御において、抗体がどのように主要な役割を果たすかを記載している。WO2017/117500は、細菌の凝集および口腔からの細菌のクリアランスを促進するためのムチンで被覆したシリカを含む口腔用組成物を記載している。US2016/346436は、細菌をナノ結晶セルロース(NCC)またはNCCヒドロゲル組成物と接触させ、それによって凝集を引き起こし、それによって細菌が表面に付着する能力またはバイオフィルムを形成する能力を低下させることを含む、細菌の凝集を誘発する方法を記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アロエベラからの抽出物は、薬効成分として使用されてきた。Vu et al. Pharmaceutics (2020) 12: 644は、57~77%のマンノース、15~22%のグルコース、および5~7%のガラクトースで構成され、分子量が150~800kDaのアロエベラ抽出物を開示している。この抽出物は、歯髄組織の生成を刺激するために歯科用スポンジに配合される。EP 1 323 738は、0~40%のグルコースおよび60~100%のマンノースを含む負に荷電したアロエベラ多糖類画分を記載している。この画分に含まれる多糖類の分子量は、100~300kDaであり、細菌の組織への付着をブロックする。アロエベラからの既知の抗菌剤は、抗付着に基づいており、すべての微生物アドヘシンタンパク質をブロックする可能性は低い。アロエベラからの凝集因子はこれまでに開示されていない。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】中性IEX画分D0によるFITC染色された黄色ブドウ球菌の凝集。
図1B】負に荷電したIEX画分D1によるFITC染色された黄色ブドウ球菌の凝集の欠如。
【発明を実施するための形態】
【0006】
発明の詳細な記載
1つの態様において、本発明は、微生物に対する凝集活性を有する組成物に関する。この組成物は、アロエベラ由来の多糖類を含む。
【0007】
本発明による組成物の1つの利点は、それが微生物に対して凝集活性を有し、それによって微生物を凝集体またはクラスターに固定化することである。これらの凝集体は、微生物を中和する。その理由の1つは、微生物がクラスターを形成するため、付着防止能力が低下することである。付着細胞膜表面が大幅に減少するため、微生物がクラスターで凝集すると、宿主上皮への付着に利用できる表面が少なくなる。凝集体は、単一の微生物よりも個人の体からより簡単に除去されうる。したがって、凝集効果は、微生物の侵入に対する上皮の天然の防御メカニズムをサポートする。別の利点は、細菌が死滅しないため、抗菌薬耐性が誘発されないことである。さらに別の利点は、本発明による組成物が広範囲の異なる微生物の凝集に使用することができることである。細菌、真菌(酵母を含む)およびウイルスの両方が凝集する可能性がある。
【0008】
1つの実施形態では、微生物はグラム陰性菌、グラム陽性菌または真菌である。凝集し得る細菌または真菌の適切な例には、バチルス、バクテロイデス、クロストリジウム、エンテロコッカス、エシェリヒア、リステリア、ナイセリア、シュードモナス、サルモネラ、ブドウ球菌、連鎖球菌、エルシニア、アスペルギルスおよびカンジダからなる群から選択されるものが含まれる。好ましい実施形態では、微生物は、カンジダ、エンテロコッカス、エシェリヒア、ヘリコバクター、クレブシエラ、ラクトバチルス、プロピオノバクテリウム、ブドウ球菌または連鎖球菌からなる群から選択される。1つの実施形態では、凝集される微生物は、カンジダ・アルビカンス、黄色ブドウ球菌、大腸菌およびピロリ菌からなる群から選択される。別の実施形態では、微生物は、大腸菌ATCC 25922、エンテロコッカス・フェカリス、カンジダ・アルビカンスATCC 10231、クレブシエラ・ニューモニアエ、ラクトバチルス・クリスパタスDSMZ 20584、ラクトバチルス・ガセリDSMZ 20243、ラクトバチルス・ラムノサス、プロピオニバクテリウム・アクネス、ストレプトコッカス・ミティスおよびストレプトコッカス・ピオゲネスからなる群から選択される。別の実施形態では、微生物は、黄色ブドウ球菌ATCC 35556、黄色ブドウ球菌遺伝子型B(GTB)、バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌または多耐性黄色ブドウ球菌である。
【0009】
1つの実施形態では、本発明による組成物は、アロエ、特にアロエ・バルバデンシス・ミラーまたはアロエ・キュラソーとしても知られるアロエベラから得られる。本発明による組成物はまた、アロエ・アルボレッセンス、アロエ・バオンベ、アロエ・フェロックスおよびアロエ・サポナリアを含む他のアロエ種から得ることができる。組成物は、アロエの葉の透明なゲルであるアロエのインナーリーフフィレから得ることができる。1つの実施形態において、組成物は、ゲルの凍結乾燥後に10% w/w以上の多糖類を含有するインナーリーフフィレから得られる。組成物は、脱色することができる。
【0010】
本発明による組成物は、他の植物、たとえば、オオツルコケモモ(クランベリー)、オタネニンジン、オオバコ、エキナセア、ガルシニア、アルニカ、アンゼリカ、ハイビスカス、カンゾウおよびワサビノキから得てもよい。
【0011】
好ましくは、組成物は、pH7で荷電していない。この組成物は、pH7のQ-セファロースのような陰イオン交換カラムに結合せず、それを通過する。
【0012】
本発明による組成物は、30~100kDaの範囲または1000kDaを超える見かけの分子量を有する多糖類を含むか、またはそれからなり得る。好ましくは、本発明による組成物は、50~100kDaの範囲の見かけの分子量を有する多糖類を含むか、またはそれらからなる。1つの実施形態では、本発明による組成物中の多糖類は、30~100kDaの範囲、好ましくは50~100kDaの範囲の見かけの分子量を有する。別の実施形態では、本発明による組成物中の多糖類は、1000kDaを超える見かけの分子量を有する。これらの画分は、黄色ブドウ球菌または大腸菌などの微生物に対して凝集活性を示す。見かけの分子量は、当技術分野で知られている方法、たとえば、限外ろ過によって決定することができる。
【0013】
以下の実施例に示されるように、本発明による組成物は、比較的少ないマンノースと、より多くのグルコースを含むアセマンナンとは異なる。アセマンナンは、エタノール沈殿により調製することが好ましい。1つの実施形態では、アセマンナンは、96%エタノール4部をアロエジュース1部に加え、混合物を混合し、攪拌することなく、少なくとも4時間、最大24時間インキュベートして多糖類を沈殿させ、>3500 x gで15分間、混合物を遠心分離し、沈殿した多糖類を含むペレットを回収することによって調製される。ペレットは、たとえば、フリーズドライにより乾燥させ、水溶液、好ましくはmilliQ水に溶解させてもよい。
【0014】
本出願で言及される重量数値は、別段の指示がない限り、好ましくは乾燥重量に基づく。
【0015】
本発明による組成物中の多糖類の分布は、総多糖類の80~100重量%のマンノースおよび0~5重量%のグルコース、好ましくは90~98重量%のマンノースおよび0~5重量%のグルコースである。1つの実施形態では、本発明による組成物中の多糖類の分布は、総多糖類の85~95重量%のマンノース、3~4重量%のグルコースである。別の実施形態では、本発明による組成物中の多糖類の分布は、総多糖類の90~98重量%のマンノースおよび2~4重量%のグルコースである。
【0016】
多糖類はさらに、総多糖類の0~5重量%のガラクトースおよび0~5重量%のフコース、たとえば、1.0~5.0重量%または2.5~5重量%を含んでもよい。
【0017】
好ましくは、組成物中の多糖類は、ガラクツロン酸またはグルクロン酸などの負に荷電した多糖類を含まないか、またはほとんど含まず、たとえば、組成物中の総多糖類の0~3% w/wである。
【0018】
好ましくは、組成物は、アントラキノンを含まないか、またはほとんど含まず、たとえば、約0.05%w/w未満または約0.001%w/w未満を含む。
【0019】
1つの実施形態では、本発明による組成物中の多糖類の分布は、総多糖類の重量の85~95% w/wのマンノース、3~4% w/wのグルコース、0~5% w/wのガラクトース、および0~1.5% w/wのフコースである。別の実施形態では、本発明による組成物中の多糖類の分布は、総多糖類の重量の90~98% w/wのマンノースおよび2~4%w/wのグルコース、0~5%w/wのガラクトースおよび0~1.5%w/wのフコースである。
【0020】
好ましくは、組成物中の多糖類は、マンノース:グルコースを25:35の範囲の重量比で含む。
【0021】
本発明による組成物の多糖含量は、好ましくは、0.5mg/ml~10mg/mlの範囲、1.0mg/ml~10mg/mlの範囲、1.0mg/ml~5.0mg/mlの範囲、または1.0mg/ml~3.5mg/mlの範囲などの、少なくとも0.5mg/ml、少なくとも1.0mg/mlまたは少なくとも2.0mg/mlである。
【0022】
本発明による組成物のマンノース含量は、好ましくは、0.5mg/ml~10mg/mlの範囲、1.0mg/ml~10mg/mlの範囲、1.0mg/ml~5.0mg/mlの範囲または1.0mg/ml~3.5mg/mlの範囲などの、少なくとも0.5mg/ml、少なくとも1.0mg/mlまたは少なくとも2.0mg/mlである。
【0023】
本発明による組成物のガラクトース含量は、好ましくは、最大0.15mg/ml、より好ましくは、最大0.10mg/mlである。
【0024】
本発明による組成物は、見かけの分子量が30~100kDaまたは>1000kDaの範囲、好ましくは、50~100kDaの範囲の多糖類を含むか、またはそれからなり、多糖類は、総多糖類の80~100% w/wまたは90~98% w/wのマンノースおよび0~5% w/w のグルコースを含む。
【0025】
1つの実施形態では、本発明による組成物は、好ましくは、pH7で非荷電であり、見かけの分子量が30~100kDaまたは>1000kDa、好ましくは、50~100kDaの範囲を有する多糖類を、0.5mg/ml~10mg/mlの範囲、1.0mg/ml~10mg/mlの範囲または1.0mg/ml~3.5mg/mlの範囲で含み、多糖類は、総多糖類の重量の80~100% w/wまたは90~98% w/wのマンノースおよび0~5% w/wのグルコースを含む。
【0026】
1つの実施形態では、組成物は、好ましくは、pH7で非荷電であり、組成物の重量の0.01~100%w/w、たとえば、0.05~100% w/w、40-80% w/w、0.01~30% w/w、5~80% w/w、5~50% w/w、10~30% w/w、0.05~10% w/w、0.05~1.0% w/wまたは0.1~1.0% w/wなどの多糖類を含み、多糖類の見かけの分子量が30~100kDaまたは>1000kDa、好ましくは、50~100kDaの範囲であり、多糖類は、総多糖類の重量の80~100%w/wまたは90~98%w/wのマンノースおよび0~5%w/wのグルコースを含む。
【0027】
別の実施形態では、組成物は、好ましくは、pH7で非荷電であり、見かけの分子量>1000kDaを有する0.1~3%w/wの多糖類を含み、多糖類は、80~100%w/wまたは90~98%w/wのマンノースおよび0~5% w/wのグルコースを含む。
【0028】
さらに別の実施形態では、組成物は、好ましくは、pH7で非荷電であり、30~100kDaの範囲、好ましくは50~100kDaの範囲の見かけの分子量を有する0.05~0.5% w/wの多糖類を含み、多糖類は、総多糖類の重量の80~100%w/wまたは90~98%w/wのマンノースおよび0~5% w/wのグルコースを含む。
【0029】
本発明による組成物は、薬学的に許容される担体などの担体をさらに含んでもよい。
【0030】
微生物に対する組成物の凝集能力は、最小凝集濃度(MAC)で表すことができ、これは、微生物凝集を、説得力を持って示すサンプルの多糖類の最低濃度である。1つの実施形態では、MACは、2倍希釈系列で決定される。MACが低いほど組成物は強力である。組成物は、好ましくは、黄色ブドウ球菌ATCC 35556に対してテストした場合、多糖類/サンプルについて、8mg/ml未満、5mg/ml未満、2mg/ml未満、0.1mg/ml未満、0.01mg/ml未満、0.005mg/ml未満、0.003mg/ml未満または0.001mg/ml未満、たとえば、0.001mg/ml~7mg/ml、0.001mg/ml~5mg/ml、0.001mg/ml~1mg/ml、0.001mg/ml~0.1mg/ml、0.001mg/ml~0.010mg/ml、0.001mg/ml~0.005mg/ml、0.001mg/ml~0.003mg/mlまたは0.001mg/ml~0.002mg/mlのMACを有するのが好ましい。これは、好ましくは、蛍光アッセイなどの適切なアッセイでテストされる。
【0031】
多糖類の定量化は、たとえば凍結乾燥を使用した乾燥重量の測定、または多糖類の加水分解と、その後のたとえばHPAEC-PADによるクロマトグラフィーなど、任意の適切な手段によるものであり得る。
【0032】
最大凝集希釈率(Maximal Aggregating Dilution)(MAD)、まだ凝集を示すサンプルの最高希釈率は、等量の微生物サンプルを使用して、たとえば、PBSで2倍連続希釈することによって決定することができる。本発明による1つの実施形態では、本発明による組成物のMAD値は、好ましくは、黄色ブドウ球菌ATCC 35556に対してテストした場合、少なくとも100、少なくとも500または少なくとも1000、たとえば、100~2000、500~2000または1000~2000である。
【0033】
1つの実施形態では、本発明による組成物は、好ましくは、黄色ブドウ球菌ATCC 35556に対してテストした場合、0.001mg/ml~0.010mg/ml、0.001mg/ml~0.005mg/ml、0.001mg/ml~0.003mg/mlまたは0.001mg/ml~0.002mg/mlのMACおよび500~2000または1000~2000のMAD値を有する。
【0034】
本発明による組成物は、典型的には、単離された場合、水性液体である。任意の形態で保存することができる。1つの実施形態では、それは固体形態で、またはたとえば、凍結乾燥粉末として保存される。別の実施形態では、それは、液体の形態で、たとえば、水性液体またはゲルとして保存される。
【0035】
別の態様では、本発明は、微生物を凝集させて、感染または定着、特に粘膜層の定着を防止し、対象の体内の微生物の中和を促進する方法に関する。対象はヒト、特に薬を服用している人、高齢者または女性でありうる。対象は、動物、特に、家畜、競技動物またはペットなどの哺乳動物であり、ネコ、ウシ、イヌ、ウマ、魚、ヤギ、家禽、ウサギ、ヒツジ、ブタおよびヒツジが含まれる。この方法は、微生物を本発明による組成物と接触させることを含む。1つの実施形態では、本発明による組成物は、たとえば、それをゲルに製剤し、乳房内または乳房に適用することによって、ウシの乳腺炎を予防または治療する方法において使用される。乳房炎は乳房の炎症であり、典型的には大腸菌、ブドウ球菌または連鎖球菌などの細菌、特に黄色ブドウ球菌、ストレプトコッカス・ウベリス、ストレプトコッカス・ディスガラクティエ(SDY)またはストレプトコッカス・ガラクティエ(SAG)によって引き起こされる。乳房炎は、無症状で亜臨床の場合もあれば、乳房の腫れまたは乳房の発赤または乳凝固または乳のフレーキング(milk flaking)などの症状を伴う臨床的な場合もある。乳房炎の症状は、軽度または中度または重度の場合がある。好ましい実施形態では、この方法は、ウシなどの乳牛、ヤギまたはヒツジにおける軽度または中度の乳房炎、特にウシの軽度または中度の乳房炎を予防または阻止するために使用される。乳房炎を治療するための従来の方法は、抗生物質を3~4日間投与した後、3~4日間のウォッシュアウト期間を経て、抗生物質を除去することである。抗生物質は、通常、乳房の1つまたは複数の乳頭に抗生物質を注入するための乳房注射器によって供給される。抗生物質の効果は限られている。約40%のウシが1週間後に乳房炎の再発を示す。本発明による組成物を使用すると、より良い治療が可能になる。1つの実施形態では、1~3g/lの多糖類、好ましくは約2~3g/lの多糖類を含むゲルが、乳房炎、好ましくはブドウ球菌が関与する乳房炎、特に黄色ブドウ球菌が関与する乳房炎を治療するために使用される。適切なゲルは、アクリル酸ポリマー(カーボポール)をベースにしたゲルである。
【0036】
別の実施形態では、本発明による組成物は、たとえば、動物の子宮を、0.5~2g/lの多糖類、好ましくは約1~2g/lの多糖類を含む本発明のゲルで洗い流すことによって、ウシの子宮炎を予防または治療する方法において使用される。ゲルは、生理食塩水などの希釈剤をさらに含んで、子宮を洗い流すのに十分な量を可能にし、ゲル化剤、たとえば、子宮からの即時の漏出を防ぐために、2~4% w/wのキサンタンガムを含んでもよい。
【0037】
本発明による組成物は、微生物に対して凝集活性を有し、これは、微生物が本発明による組成物と接触すると凝集することを意味する。これは、適切な染料、たとえば、フルオレセイン・イソチオシアネート(FITC)、Hoechst 33342、カルボキシフルオレセイン・スクシンイミジル・エステル(CFSE)または緑色蛍光核酸染色剤SYTO-24などの蛍光染料で微生物を標識することによってテストおよび視覚化することができ、これらは、すべて市販されている。凝集活性、希釈率および微生物によっては、微生物と本発明による組成物との接触後、1秒以内、1分以内、5分以内、10分以内、15分以内、30分以内、1時間以内、2時間以内または3時間以内にすぐに凝集が始まる場合がある。
【0038】
凝集活動は、単一の細胞ではなく、微生物のクラスターが見えるようになることで明らかになる場合がある。凝集は通常、凝集の検査を遅くするのに十分安定しており、微生物を本発明による組成物と接触させた後、少なくとも3時間、少なくとも4時間、少なくとも5時間または少なくとも16時間、少なくとも18時間または少なくとも24時間観察される場合がある。1つの実施形態では、凝集体は、微生物を本発明による組成物と接触させた後、5~16時間、5~24時間、または5~48時間観察される場合がある。
【0039】
1つの実施形態では、蛍光アッセイにおける凝集は、好ましくは、黄色ブドウ球菌ATCC 35556に対してテストした場合、0.001mg/ml~7mg/ml、0.001mg/ml~5mg/ml、0.001mg/ml~1mg/ml、0.001mg/ml~0.1mg/ml、0.001mg/ml~0.010mg/ml、0.001mg/ml~0.005mg/ml、0.001mg/ml~0.003mg/mlまたは0.001mg/ml~0.002mg/mlの多糖含量を有する組成物で行われる。
【0040】
別の態様では、本発明は、本発明による組成物の使用に関する。組成物は、栄養補助食品中で、または栄養補助食品として、または食餌療法食中で使用することができる。本発明による組成物は、パーソナルケアまたは化粧品、たとえば、デンタルケア、イヤーケア、アイケア、ヘアケア、ノーズケア、スキンケアまたはヴァギナケアにも使用することができる。1つの実施形態では、組成物は、歯肉炎または虫歯を予防または治療するための練り歯磨きでデンタルケアにおいて使用される。別の実施形態では、組成物は、目のレンズを微生物の定着から保護するためにアイケアにおいて使用される。
【0041】
本発明による組成物はまた、医薬用途、特に医薬組成物中の薬剤またはアジュバントとして、または細菌、真菌(酵母を含む)またはウイルスなどの感染性微生物による感染を予防または治療する方法において適用され得る。感染とは、通常は体内に存在しない微生物、または異常な量で存在する微生物の侵入または増殖を示す。このような感染性微生物は、病原体と呼ばれることもある。
【0042】
感染症は亜臨床の場合もあれば、明らかな症状を伴う臨床的な場合もある。治療または予防の効果は、数日、数週間、数か月または数年など、永続的または一時的であり得る。効果は、一部またはすべての微生物を固定するなど、完全または部分的であり得る。これは、一部またはすべての微生物の侵入または増殖の防止または減少につながる可能性がある。1つの実施形態では、微生物の5%~100%または5%~60%または60%~100%が固定化される。
【0043】
組成物は、生体表面または不活性表面上でのコロニー形成またはバイオフィルム形成を防止するためのリリースコーティングにおいて使用することができる。この目的のために、即時または制御放出用に、表面を本発明による組成物でコーティングすることができる。この組成物は、コーティング上で微生物の凝集を引き起こし、それによって、表面上でのコロニー形成またはバイオフィルムの形成を防止する。コーティングがリリースされると、コーティングに凝集した微生物も凝集した形でリリースされ、身体から簡単に除去することができる。この方法で処理されてもよい表面には、医療機器、特に、カテーテルなどの留置型医療機器、心臓埋め込み型電子機器(CIED)、心臓弁、固定具、関節置換術、ステント、気管切開および創傷ドレーンの表面が含まれる。デバイスは、金属、セラミック、またはプラスチックもしくはポリテトラフルオロエチレン(PTFE、テフロン(商標))などの非生分解性合成ポリマー、またはコラーゲン、ヒアルロン酸、ポリ乳酸もしくはポリウレタンなどの生分解性ポリマーを含むか、またはこれらで構成される。医療機器は、数日、数週間、数ヶ月、または数年間体内に留まることが意図される留置型デバイスまたはインプラントであることが望ましい。
【0044】
組成物は、たとえば、クリーム、ドロップ、ジェル、リキッド、ローション、ペースト、シャンプー、スプレーまたはトニックとして局所的に適用することができる。組成物は、経口投与することができる。組成物は、たとえば、噴霧乾燥または凍結乾燥により、乾燥させることができ、たとえば、カプセル、ロゼンジ、粉末または錠剤などの適切な形態に、好ましくは、適切な賦形剤を使用して、製剤化されうる。賦形剤は、一般的に安全で無毒であり、特にヒトまたは動物への使用に適している必要がある。
【0045】
本発明による組成物は、ナノ結晶セルロースまたはシリカなどの他の凝集剤;キトサン、カプリリルグリコール、1,2プロピレングリコール、キサンタンガムなどのゲル化剤または増粘剤;抗生物質などの抗菌剤;ビタミンA、ビタミンB、ビタミンDまたはビタミンEなどのビタミン;カルシウム、亜鉛、鉄またはカリウムなどのミネラルなどの他の化合物と組み合わせて使用することができる。当業者は、1つの化合物がいくつかの異なる機能を有し得ることを理解するであろう。たとえば、ビタミンは、抗菌剤でもあり得る。1つの実施形態では、組成物は、(他の)アロエベラ抽出物、抗生物質、キトサン、栄養素またはビタミンと組み合わせて使用される。別の実施形態では、組成物は、膣洗浄のために子宮用の粘性水性担体と組み合わされる。他の化合物は、組成物中に存在していても別々であってもよく、他の化合物と組成物は、同じ製剤であっても別々の製剤であってもよい。個々の製剤は、同時にまたは順次投与され得る。
【0046】
当業者は、製剤中の組成物の濃度が変動する可能性があり、処方、適用部位、用途、対象の年齢、性別および体重などの因子に依存することを理解するであろう。1つの実施形態では、製剤は、50ml/l~800ml/l、100ml/l~800ml/l、200ml/l~800ml/lまたは400ml/l~800ml/lなどの2.0ml/l~800ml/lの本発明による組成物を含む。
【0047】
別の実施形態では、本発明による組成物は、製剤に、0.05mg/ml~10mg/ml、0.5mg/ml~10mg/mlまたは0.8mg/ml~5mg/mlの多糖類濃度をもたらすように製剤される。
【0048】
当業者は、本発明による組成物を含む製剤の投与量も変動する可能性があり、処方、適用部位、使用、対象の年齢、性別および体重などの因子に依存することを理解するであろう。1つの実施形態では、本発明による組成物を含む製剤は、0.1~10mg/体重kg、0.5~5.0mg/体重kgまたは1~2mg/体重kgなどの、0.01~10mgの多糖類/体重kgで投与される。
【0049】
製剤は、場合により、接着防止剤、酸化防止剤、結合剤、増量剤、担体、着色剤、崩壊剤、希釈剤、充填剤、香味料、滑沢剤、保存剤、溶媒、界面活性剤、甘味料、ビヒクルまたは湿潤剤などの薬学的に許容される賦形剤を含む。賦形剤は、製剤中の組成物の安定性に悪影響を与えるべきではない。「薬学的に許容される」という用語は、一般に安全で毒性がないと考えられるような、意訳組成物の製造に適していることを意味する。
【0050】
実施例
材料および方法
アセマンナン製造
B21アロエジュース1部に、96%エタノール4部を加えて混合し、撹拌せずに約4時間インキュベートして多糖類を沈殿させる。続いて、サンプルを>3500 x gで15分間遠心分離し、上清を捨てた。沈殿した多糖類を含むペレットを凍結乾燥により乾燥させ、milliQ水または別の水溶液に溶解させた。
【0051】
凝集
微生物細胞を、フルオレセイン・イソチオシアネート(FITC、Sigma-Aldrich、St Louis、MO、USA)またはSYTO(商標)24緑色蛍光核酸染色(Thermo Fisher、Rockford、IL、USA)で蛍光標識した。FITC標識は、0.2M NaHCO3 pH9.5緩衝液中で最終濃度0.2 mg/mlのFITC(DMSO中の2mg/ml FITCストックから)とともにインキュベーションし、37℃で1時間振とうし、続いて、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)で十分に洗浄することによって行った。SYTO-24標識を、1μMの最終濃度の色素を使用してPBS中で少なくとも30分間行い、続いて、PBSで洗浄した。蛍光標識された微生物は、平底ポリスチレン96ウェルプレートまたはガラス製顕微鏡スライド上で、アロエサンプルまたは対照の不在または存在下、PBS中でインキュベートされた。標識された微生物サンプルは、必要に応じて、使用前にOD0.1または0.2に希釈された。凝集は、蛍光顕微鏡を使用して、すぐに、または都合のよいときに検査された。凝集をすぐに検査しなI場合は、検査まで混合物を4℃で保存した。凝集は、蛍光標識された微生物のクラスタリングから明らかであった。
【0052】
最大凝集希釈率(MAD)
最大凝集希釈率(MAD)は、まだ凝集を示しているサンプルの最高希釈率であり、等量の微生物サンプルをPBSなどで2倍連続希釈することによって決定された。
【0053】
最小凝集濃度(MAC)
最小凝集濃度(MAC)は、微生物の凝集を依然として確実に示す多糖類の最低濃度であり、2倍連続希釈によって決定され、mgまたはマイクログラム多糖類/mlで表される。MACが低いほど、微生物の凝集活性が強い。特に明記しない限り、サンプルの定量は乾燥重量測定に基づいた。
【実施例1】
【0054】
アロエベラの凝集活性
10倍濃縮アロエベラリーフジュース、10%以上の多糖類を含む精製されたインナーリーフフィレから作られた10倍脱色液体は、商業供給業者(ACTIValoe(登録商標)Aloe Vera Gel 10X-D、AloeCorp、Harlingen、TX、USA))から購入した。この材料は、Spectra/Por 4 RC透析膜チューブ12-14 kDa MWCO透析膜(Spectrum Medical Industries Inc.、Los Angeles、USA)を使用して、脱塩水に対して透析し、10kDa未満の成分をすべて除去した。黄色ブドウ球菌に対するジュース画分の凝集活性は、上記の「材料および方法」で説明したように決定された。凝集活性は、>12kDaの画分に存在した。>12kDa画分の最小凝集濃度(MAC)を測定し、D-マンノースと比較した。結果を表1に示す。D-マンノースは、テストした最高濃度(16mg/ml)では凝集活性を示さなかったが、1.28mg/ml未満の多糖類を含むアロエベラのインナーリーフジュースの>12kDa画分を4倍希釈してもまだ凝集が見られ、さらに凝集活性を保持しながら希釈することができた可能性がある。
【0055】
【表1】
【実施例2】
【0056】
微生物の凝集
実施例1の>12kDa画分の凝集能力をさまざまな微生物でテストした。最大凝集希釈率(MAD)の結果を表2に示す。これは、グラム陽性菌、グラム陰性菌から酵母菌、一部の病原体を含む広範囲の微生物が、>12kDaの画分によって凝集可能であることを示す。
【0057】
【表2】
【実施例3】
【0058】
アロエ抽出物のIEX特徴決定
微生物に対するアロエベラの凝集活性の原因となる画分をさらに特徴付けるために、10倍濃縮アロエベラインナーリーフジュース(ACTIValoe(登録商標) Aloe Vera Gel 10X-D、AloeCorp、Harlingen、TX、USA)を、Spectra/Por 4RC透析膜チューブ12-14 kDa MWCO透析膜Spectrum Medical Industries Inc.、Los Angeles、CA)を使用して、脱塩水に対して透析し、<10kDaの成分をすべて除去した。続いて、透析された材料を20mM NaPO4 pH7.0緩衝液で再構成し、手動でQ Sepharose FastFlow カラム(GE Healthcare、Uppsala、Sweden)にロードし、バッチ式手順を使用して分離した。2つのイオン交換(IEX)画分を収集した。まず、20mM NaPO4緩衝液 pH7中の非荷電フロースルーを収集した (D0 画分)。続いて、負に荷電した化合物を、20mM NaPO4/0.5M NaCl緩衝液 pH7で溶出した (D1画分)。多糖類の溶出は、屈折率検出を使用して測定された。多糖類を含む画分をプールし、12~14kDa MWCO透析膜に対して透析し、80%エタノールで沈殿させ(-20℃で一晩インキュベートし、3000 x gで20分間遠心分離した)、その後凍結乾燥した。多糖類の収率は、乾燥重量に基づいて決定された。D0画分は、アロエベラのインナーリーフジュースに含まれる多糖類の97%を占め、D1画分は、多糖類3%を占めた。
【0059】
D0およびD1をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)で、どちらも2mg/mlの濃度で、透明な平底ポリスチレン96ウェルプレート(Greiner Bio-One、Monroe、NC)中、OD 0.2でFITC標識黄色ブドウ球菌細胞とともに、振とうすることなく、室温でインキュベートした。D0の添加後10分以内に、黄色ブドウ球菌が凝集を開始した(図1A)。D1画分とのインキュベーションでは、凝集は起こらなかった(図1B)。これは、D0画分がアロエベラのインナーリーフジュースの凝集活性に関与していることを示す。
【実施例4】
【0060】
黄色ブドウ球菌およびピロリ菌に対する凝集活性
微生物に対するアロエベラの凝集活性の原因となる画分をさらに特徴付けるために、10倍濃縮アロエベラインナーリーフジュース(ACTIValoe(登録商標) Aloe Vera Gel 10X-D、AloeCorp、Harlingen、TX、USA)を、分子量カットオフフィルター(MWCO)サイズを減少させながら連続限外ろ過により、異なる見かけの分子量の画分に分画した。出発物質は、15分間、5,000gの遠心分離によって最初に粒子を取り除いた。>1000kDa、300~1000kDa、100~300kDa、30~100kDa、10~30kDa、および3~10kDaの範囲の見かけの分子量を有する画分は、それぞれ1000kDa、300kDa、100kDa、30kDa、10kDa または3kDaカットオフのVivaSpin 20限外ろ過ユニット(Sartorius、Bohemia、NY、USA)を使用した連続遠心限外ろ過によって調製された。各稼働後、フロースルーは次のフィルターのための入力として使用された。すべてのUFフィルターの保持液は、保持液の1000倍の量のMilliQ水で洗浄され、低分子量化合物が洗い流された。
【0061】
黄色ブドウ球菌およびピロリ菌に対するアロエ画分の凝集効果を調査した。アロエベラのインナーリーフジュース、透析ジュース、分画D0およびD1のサンプルもテストした。脱塩水中のアロエベラサンプルの希釈液50μlと、2X PBS中のSYTO-24標識細菌50μlを で溶解した 透明平底ポリスチレン96ウェルマイクロタイタープレート(Greiner BioOne、Monroe 、NC)のウェルに添加した。振とうすることなく、プレートを4℃でインキュベートした。16時間後に蛍光顕微鏡で凝集をチェックし、最大凝集希釈率(MAD)と最小凝集濃度(MAC)を測定した。
【0062】
結果を表3に示す。結果は、D0画分のMAD値がD1画分のMAD値よりも有意に高い(約50倍)ことを示す。これは、凝集活性を保持したまま、D0画分を何倍にも希釈することができることを意味する。これは、一部には、D0画分がD1画分よりもはるかに多くの多糖類を含むという事実(それぞれ、ジュース中の総多糖類の97%対3%)によるものであり、一部には、D0画分の多糖類がD1画分のものよりもw/wベースでより活性であるという事実(D0画分のMAC値が低いことで示されているように)によるものである。さらに、D0画分によって形成された凝集体は、D1画分によって形成された凝集体よりもはるかに大きく、これは、D0画分がD1画分よりも多くの微生物を低濃度で固定化することを示す。このD0画分によるより効率的な凝集とより大きな凝集体の形成は、微生物の中和をもたらし、凝集体は、単一の微生物細胞と比較してより制限的な動きをもたらすため、凝集体に捕捉された場合の微生物の運動性に影響を与えることができる。これは、微生物が粘膜バリアに侵入する可能性を妨げる。凝集体は、単一細胞よりも、システムからより容易に除去される。
【0063】
【表3】
【0064】
限外ろ過画分では、凝集活性は、主に30~100kDa画分と>1000kDa画分に見られた。インナーリーフジュースのMACは、30~100kDa画分のMACの約2~3倍であり、精製された30~100kDa画分は、重量ベースで表した場合、元のインナーリーフジュースよりも数倍強力であることを示す。30~100kDaの画分も、>1000kDaの画分よりも強力であった。黄色ブドウ球菌およびピロリ菌の両方に対して、30~100kDaの画分が、重量ベースで最も強力なアロエベラの画分である。
【実施例5】
【0065】
大腸菌およびカンジダ・アルビカンスに対する凝集活性
実施例4の30~100kDa画分と>1000kDa画分を、OD 0.1で50μlの活性サンプルおよび50μlの大腸菌またはカンジダ・アルビカンスから開始して、大腸菌およびカンジダ・アルビカンスに対してもテストした。16時間後に集計をチェックした。活性UF画分の凝集活性(MAD値)を表4に示す。これは、30~100kDa画分と>1000kDa画分が、大腸菌およびカンジダ・アルビカンスに対する凝集活性にも関与していることを示す。
【0066】
【表4】
【実施例6】
【0067】
凝集活性を有する画分の多糖類組成
凝集能を有するサンプルを凍結乾燥し、活性成分の中性単糖、ガラクツロン酸およびグルクロン酸を80℃でメタノリシスによって測定し、続いて、120℃で75分間トリフルオロ酢酸(TFA)加水分解によりオリゴ糖および多糖を単糖に分解した。加水分解物中の単糖類は、パルスアンペロメトリック検出(HPAEC-PAD)定量による高pH陰イオン交換クロマトグラフィー(Eurofins Food Testing Netherlands B.V.、Heerenveen)によって決定された。糖の検出下限は、これらのサンプル溶液中の個々の単糖に対して約0.05mg/mLである。
【0068】
分析により、中性画分D0は主にマンノース(約95% w/w)を含む多糖類と低濃度のグルコース(約3.5% w/w)を含むことが示された。負に帯電した画分D1には、大部分がガラクトース(約32%)とかなりの量のガラクツロン酸(約24% w/w)が含まれた。マンノースとアラビノースは、D1サンプル中の総糖類に基づいて、それぞれ約15% w/wを構成した。
【0069】
実施例4および5の最も強力な画分、30~100kDa画分と>1000kDa画分の多糖類は、主にマンノース(85% w/wを超える)、いくらかのグルコース、ガラクトースおよびいくらかのフコースから構成された。最も活性な画分である30~100kDaの画分には、少なくとも90% w/wのマンノース、約3% w/wのグルコース、および約1% w/wのフコースが含まれた。この画分のマンノース:グルコース重量比は、32であった。このように、D0画分、30~100kDa画分および>1000kDa画分の多糖類は、アロエベラのインナーリーフジュースの凝集活性に関与しており、主にマンノース(80% w/wを超える)、いくらかのグルコース(3~4% w/w)および少量の他の炭水化物で構成される。
【0070】
【表5】
【実施例7】
【0071】
アロエバッチ21のD0およびD1画分の調製
10倍濃縮アロエベラインナーリーフジュース(ACTIValoe(登録商標) Aloe Vera Gel 10X-D、AloeCorp、Harlingen、TX、USA)の新しいバッチ(バッチ21)を使用して、実施例3で前述したようにD0画分(B21 D0画分)およびD1画分(B21 D1画分)を調製した。
【実施例8】
【0072】
B21 D0の画分
続いて、B21 D0画分を、実施例4に記載のように、分子量カットオフ(MWCO)フィルターサイズを減少させながら連続限外ろ過することにより、異なる見かけの分子量の画分に分画した。今回は、30~100kDaの画分を、50~100kDaと30~50kDaの画分にサブ分画してさらに研究した。
【実施例9】
【0073】
B21 D0、D1、D0-UF画分の凝集
黄色ブドウ球菌に対するB21アロエ画分の凝集効果が調査された。アロエベラのインナーリーフジュース、透析ジュース、分画D0およびD1のサンプルもテストされた。50μlのアロエベラサンプルを脱塩水で希釈し、2X PBS中のSYTO-24標識細菌50μlを、96ウェルの透明平底ポリスチレン96ウェルマイクロタイタープレート(Greiner BioOne、Monroe、NC)に加えた。振とうすることなく、プレートを4℃でインキュベートした。16時間後に凝集を蛍光顕微鏡でチェックし、最大凝集希釈率(MAD)と最小凝集濃度(MAC)を測定した。
【0074】
結果は、表6に示され、D0画分のMAD値がD1画分のMAD値よりも有意に高いことを示す(約250倍)。これは、凝集活性を保持したまま、D0画分を何倍にも希釈可能であることを意味する。これは、一部には、D0画分がD1画分よりもはるかに多くの多糖類を含むという事実(それぞれ、ジュース中の総多糖類の98.5%対1.5%)によるものであり、一部には、D0画分の多糖類がD1画分のものよりもw/wベースでより活性であるという事実(D0画分のMAC値が低いことで示されているように)によるものである。さらに、D0画分によって形成された凝集体は、D1画分によって形成された凝集体よりもはるかに大きく、これは、D0画分がD1画分よりも多くの微生物を低濃度で固定化することを示す。このD0画分によるより効率的な凝集とより大きな凝集体の形成は、微生物の中和をもたらし、凝集体は、単一の微生物細胞と比較してより制限的な動きをもたらすため、凝集体に捕捉された場合の微生物の運動性に影響を与えることができる。これは、微生物が粘膜バリアに侵入する可能性を妨げる。凝集体は、単一細胞よりも、システムからより容易に除去される。
【0075】
【表6】
【0076】
限外ろ過画分では、凝集活性は、主に50~100kDa画分に見られた。>1000kDaの非常に粘性の高い画分は、50~100kDaの画分よりも活性が低く、凝集剤としての関心が低くなった。インナーリーフジュースのMACは、50~100kDa画分のMACの約3倍であり、精製された50~100kDa画分は、重量ベースで表した場合、元のインナーリーフジュースよりも数倍強力であることを示す。
【実施例10】
【0077】
凝集活性のある画分の多糖類組成
凝集能を有するサンプルを凍結乾燥し、多糖類組成を上記の実施例6に記載のように決定した(Eurofins Food Testing Netherlands B.V.、Heerenveen)。データ分析は、バッチ21が約28% w/wのマンノースおよび70% w/wのグルコースで構成されることを示した(表7)。B21 D0画分とB21 D0 50~100kDa画分は、95~96% w/wのマンノースおよび2~3% w/wのグルコースで構成された。アセマンナン画分は、約85% w/wのマンノースおよび約8% w/wのグルコースで構成された。他の単糖類は1%以下であった。すべてのパーセンテージは、総多糖類に基づいた。バッチ21凝集画分は明らかに、アセマンナンよりも、多糖類画分に多くのマンノースおよび少ないグルコースを含む。
【0078】
【表7】
【実施例11】
【0079】
乳房炎の治療
25頭のウシが、本発明による組成物を含むpH中性ゲルで治療された。2g/lの多糖類、2% w/wのカーボポール(Carbopol(商標)1382、Lubrizol、Cleveland、US)および15% w/wの1,2 プロピレングリコールを含むゲルを、プラスチック乳房インジェクターを使用して牛の乳頭に注射した。乳房炎は、飼育従事者による動物の目視検査によって特定された。乳房炎の徴候は、ウシの全身倦怠感と相まって、乳房または乳頭の発赤または腫れである。乳腺炎が観察された場合は、搾乳直後に5~10mlのジェルを乳頭に塗布する。これを3日間繰り返した。結果は、標準的な抗生物質治療と同等かそれ以上であった。本発明の組成物による治療後、乳房炎の再発は、抗生物質治療と比較して減少したように見えた。
【実施例12】
【0080】
子宮筋層炎の治療
子宮内膜炎の徴候、すなわち、一般的な倦怠感または鈍さ、子宮流出物または体温の上昇を示すウシは、本発明による組成物を含むゲルを多量に用いて子宮を洗い流すことによって治療された。1.5g/lの多糖類、3% w/wのキサンタンガム(Xanthanal 11K、PKelco、France)、および0.3% w/wのカプリリルグリコール(1,2-オクタンジオール)(Dermosoft Octiol、Dr. Straetmans Chemische Produkte GmbH、Hamburg、Germany)を含むゲルを使用して、1日2回、5日間子宮洗浄を行った。洗浄がない場合と比較して、分娩後の感染症の大幅な減少が観察された。結果は、標準的な抗生物質洗浄の結果に匹敵した。
図1A
図1B
【国際調査報告】