(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2023-11-22
(54)【発明の名称】結腸洗浄のための硫酸塩製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 33/00 20060101AFI20231115BHJP
A61K 33/06 20060101ALI20231115BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20231115BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20231115BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20231115BHJP
A61K 33/04 20060101ALI20231115BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20231115BHJP
【FI】
A61K33/00
A61K33/06
A61K9/20
A61K47/12
A61K47/10
A61K33/04
A61K47/32
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023549801
(86)(22)【出願日】2020-10-26
(85)【翻訳文提出日】2023-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020057335
(87)【国際公開番号】W WO2022093170
(87)【国際公開日】2022-05-05
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523155995
【氏名又は名称】ブレーンツリー・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】クリーブランド,マーク・ビー
(72)【発明者】
【氏名】デネット,エドマンド・ブイ
(72)【発明者】
【氏名】ペラム,ラッセル・ダブリュ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA36
4C076BB07
4C076CC16
4C076DD41
4C076EE06
4C076EE23
4C076EE48
4C076EE50
4C076FF70
4C086AA02
4C086HA17
4C086HA24
4C086MA03
4C086MA04
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA20
4C086ZA66
4C086ZC78
(57)【要約】
対象の結腸の瀉下を誘導するための、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カリウムを含む固体経口投薬製剤が、本明細書で開示される。さらに、開示された組成物及び製剤は、十分な量で投与される場合、結腸を洗浄するのに有用である。結腸の瀉下を誘導する方法及び結腸を洗浄する方法も開示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結腸を洗浄する方法であって、
a)第1回分の12錠を第1容量の水とともに投与するステップと、
b)第2容量の水を投与するステップであって、第2容量の水が約30分間にわたって投与され、第2容量の水の投与が、第1回分の12錠の最後が投与された約1時間後に開始される、ステップと、
c)第3容量の水を投与するステップであって、第3容量の水が、約30分間にわたって投与される、ステップと、
d)第2回分の12錠を第4容量の水とともに投与するステップと、
e)第5容量の水を投与するステップであって、第4容量の水が約30分間にわたって投与され、第4容量の水の投与が、第2回分の12錠の最後が投与された約1時間後に開始される、ステップと、
f)第6容量の水を投与するステップであって、第6容量の水が約30分間にわたって投与される、ステップと、
を含み、
第1回分及び第2回分が、総用量で、約34.0グラム~約38.0グラムの硫酸ナトリウム、約4.0グラム~約8.5グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.0グラム~約5.0グラムの塩化カリウムを含む組成物である、方法。
【請求項2】
第1回分の12錠が、診断処置の前の夕方若しくは夜、又は診断処置の当日に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
第1回分の12錠が、第2回分の12錠の投与の、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、又は約14時間前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
第1回分の12錠の日の翌朝に、第2回分が投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
第1容量の水が、約16オンスである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
第2容量の水が、約16オンスである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
第3容量が、約16オンスである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
第4容量の水が、約16オンスである、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
第5容量の水が、約16オンスである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
第6容量の水が、約16オンスである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
総用量が、24錠に圧縮された約35.5グラム又は約34.6グラムの硫酸ナトリウム、約5.4グラム又は約7.8グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.7グラム又は約4.5グラムの塩化カリウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
製剤が、カプリル酸ナトリウム及びポリエチレングリコールをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
製剤が、エチレングリコール及びビニルアルコールグラフトコポリマーをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
製剤が、約0.1グラム~約1.0グラムのカプリル酸ナトリウム及び約1.0グラム~約2.5グラムのポリエチレングリコールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
製剤が、約0.8グラムのカプリル酸ナトリウム及び約1.6グラム~約2.1グラムのポリエチレングリコールを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
製剤が、約35.5グラムの硫酸ナトリウム、約5.4グラムの硫酸マグネシウム、約4.5グラムの塩化カリウム、約0.8グラムのカプリル酸ナトリウム、及び約1.6グラム~約2.1グラムのポリエチレングリコールからなる、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に医学の分野に関し、特に消化器系の診断及び外科的処置に関する。
【背景技術】
【0002】
結腸に対して医療処置又は診断処置を行う場合、腸粘膜を適切に可視化するために、結腸から糞便が洗浄されなければならない。これは、例えば、軟性S状結腸鏡検査又は結腸内視鏡検査、結腸の疾患について患者をスクリーニングするために広く行われている診断検査などの、診断処置の前に重要である。加えて、結腸の満足のいくX線写真を得るために、腸が完全に洗浄されることが重要である。
【0003】
既存の腸調製物は、一般に、浸透圧剤であるポリエチレングリコール(PEG)に基づいている、等張性大容量調製物であるGoLYTELY及びNuLYTELY、又はMOVIPREP(同じくPEGに基づく、わずかに高張な溶液)、SUPREP(浸透圧剤である硫酸塩に基づく)及びPhosphosoda(リン酸塩に基づく)などの小容量調製物などの液体形態で提供されている。より大きな容量の調製物は、4リットル(約1ガロン)までの溶液の摂取を必要とする(Davisら、1980;Fordtranら、1990)。これらの調製物は、最も安全な製品として認識されているが、患者に不快感を与え、大量の塩味溶液を消費しなければならないため、多くの場合、服薬規定は十分遵守されない。この問題を解決しようとする初期の革新は、分割用量高張液の開発であった。Phosphosodaという名称で販売されている製品は、優れた腸洗浄をもたらすことが認められており、少量の溶液しか摂取する必要がなかった(Vannerら、1990)。この製品は、錠剤としても製造され、オスモプレップ(Osmoprep)の名称で販売されている(Aronchickら、2000)。これらの製品は、リン酸塩を使用して製剤化されたので、患者耐性の改善を享受したが、腎臓のリン酸カルシウム沈着(リン酸アニオンの吸収に起因する)による、腎不全のリスクと関連付けられ、最終的にFDAにそれらの使用に関する警告を出すように促した(USFDA Alert、2008)。さらなる革新は、3つの硫酸塩の独自の組合せに基づく、代替の高張性調製物の開発であった(Cleveland/Fordtran特許)。2010年にFDAによって承認されたSUPREPは、腎臓石灰化のリスクなしに、浸透圧的に活性な硫酸アニオンによって誘導される大量の下痢から生じる電解質の損失及び獲得をバランスさせる、又は補償するような方法で、ナトリウム、カリウム及びマグネシウムの硫酸塩を組み合わせた(Patelら、2009)。
【0004】
開発研究は、3つ全ての硫酸塩が液体製剤中に必要とされること、及びSUPREP製剤が、Phosphosodaと同様の洗浄下痢排便量をもたらすことを示した(約2400ml:Cleveland/Fordtran特許、Patelら、2009)。一般に、診断試験に必要な適切な洗浄を提供し、電解質シフトの可能性を低減するために、3つの硫酸塩をバランスさせた。
【0005】
当該技術分野は、硫酸塩及びリン酸塩の非水性製剤の使用を開示している。しかしながら、これらの製剤は、不十分な洗浄及び潜在的な安全性の問題を含む、欠点を有していた。さらに、硫酸塩製剤は、結腸を洗浄するために大量の錠剤を必要とし、これはほとんどの患者にとって通常望ましくない要件である、強い塩味のために非常に不味い(例えば、米国特許第6,103,268号を参照されたい)。したがって、既知の非水性製剤は、かなりの患者集団において不満足な結果をもたらす望ましくない特性を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】Cleveland/Fordtran特許
【特許文献2】米国特許第6,103,268号明細書
【特許文献3】米国特許第6,946,149号明細書
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Davisら、1980
【非特許文献2】Fordtranら、1990
【非特許文献3】Vannerら、1990
【非特許文献4】Aronchickら、2000
【非特許文献5】USFDA Alert、2008
【非特許文献6】Patelら、2009
【発明の概要】
【0008】
本明細書に開示されるように、本発明者らは、硫酸塩製剤が、吸収されにくい硫酸アニオンの浸透圧活性に依存する、2つの硫酸塩(硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウム)のみを必要とすることを発見した。加えて、本発明者らは、硫酸カリウムを含まない製剤が、錠剤の摂取後に洗浄下痢からの電解質の増加又は損失を防止するために、製剤され得ることを発見した。
【0009】
対象の結腸を洗浄するための、有効かつ安全な組成物(代替的に、「製剤」)が、本明細書に開示される。これらの製剤は、結腸の瀉下を誘導するのに有効であり、さらに、結腸を洗浄するのに安全であり、有効である。本明細書で使用される場合、用語「瀉下」は、組成物を経口投与した後の腸からの大量の糞便の排出を意味する。さらに、対象の結腸を洗浄する方法、及び結腸を洗浄する方法が、本明細書に開示される。また、結腸の瀉下を誘導する方法も本明細書に開示される。開示された組成物は、臨床的に有意な電解質シフトも引き起こさず、したがって、診断及び外科的処置のための患者の準備に有用である。このような診断処置及び外科的処置としては、結腸内視鏡検査、S状結腸鏡検査、X線検査、腸手術、結腸切除、及び他の結腸直腸処置が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明の組成物、製剤、及び方法は、結腸洗浄に使用されるよりも低用量で投与される場合、下剤として使用できる製剤を提供することによって、糞便滞留、便秘、及び固形便などの状態の治療を可能にする。
【0010】
本明細書に開示される組成物の態様は、対象の結腸を洗浄するための固体経口投薬製剤を含む。本明細書で使用される場合、用語「a」は、特に別段の定義がない限り、1以上を意味する。特定の実施形態において、製剤は、約30.0グラム~約40.0グラムの硫酸ナトリウム、約4.0グラム~約8.0グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.0グラム~約5.0グラムの塩化カリウムを含む。特定の実施形態において、製剤は、約34.0グラム~約36.0グラムの硫酸ナトリウム、約5.0グラム~約8.0グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.5グラム~約4.5グラムの塩化カリウムを含む。本明細書で使用される場合、用語「約」は、記載された値の+/-10%以内を意味する。例えば、約2.0は、1.8~2.2をカバーする。より具体的な実施形態において、製剤は、約34.6グラム又は約35.5グラムの硫酸ナトリウム、約5.4グラム又は約7.8グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.7グラム又は約4.5グラムの塩化カリウムを含む。いくつかの実施形態において、製剤は、約0.1グラム~約1.0グラムのカプリル酸ナトリウムを含む。他の実施形態において、製剤は、約0.8グラムのカプリル酸ナトリウムを含む。さらに他の実施形態において、製剤は、約0.168グラムのカプリル酸ナトリウムを含む。
【0011】
いくつかの実施形態において、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カリウムは、約14~約42錠に圧縮される。他の実施形態において、開示された製剤は、約18~約38錠に圧縮される。さらに他の実施形態において、製剤は、約20~約36錠、約22~約34錠、約24~約32錠、又は約26~約30錠に圧縮される。特定の実施形態において、製剤は、約24錠に圧縮される。他の特定の実施形態において、製剤は、約28錠に圧縮される。他の実施形態において、製剤は2回以上の用量に分割される。さらに他の実施形態において、各用量は、約7~約21錠を含む。またさらなる実施形態において、各用量は、約12錠又は約14錠を含む。
【0012】
特定の実施形態において、製剤は、約450ミリモル~約550ミリモルのナトリウム、約40ミリモル~約70ミリモルのマグネシウム、約50ミリモル~約60ミリモルのカリウム、約50ミリモル~約60ミリモルの塩化物、及び約250ミリモル~約350ミリモルの硫酸塩を送達する。特定の実施形態において、製剤は、約493ミリモル又は約500ミリモルのナトリウム、約45ミリモル又は約65ミリモルのマグネシウム、約50ミリモル又は約60ミリモルのカリウム、約50ミリモル又は約60ミリモルの塩化物、及び約295ミリモル又は約309ミリモルの硫酸塩を送達する。
【0013】
他の実施形態において、製剤は、約35.5グラム又は約34.6グラムの硫酸ナトリウム、約5.4グラム又は約7.8グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.7グラム又は約4.5グラムの塩化カリウムからなる。より特定の実施形態において、製剤は約24錠に圧縮される。
【0014】
さらなる実施形態において、製剤は、対象において、臨床的に有意な電解質シフトを引き起こさない。
【0015】
追加の態様は、対象の結腸の瀉下を誘導するための、固体経口製剤を含む。特定の実施形態において、製剤は、約17.0グラム~約20.0グラムの硫酸ナトリウム、約2.0グラム~約4.0グラムの硫酸マグネシウム、及び約1.5グラム~約2.5グラムの塩化カリウムを含む。特定の実施形態において、製剤は、少なくとも約17.3グラムの硫酸ナトリウム、少なくとも約2.7グラムの硫酸マグネシウム、及び少なくとも約1.8グラムの塩化カリウムを含む。
【0016】
特定の実施形態において、製剤は錠剤形態に圧縮される。製剤は、カプセル、カプレット、及び患者に投与できる他の固体投薬単位に圧縮することもできる。このような投薬形態は、所定量の活性成分を含有し、及び当業者に周知の薬学の方法によって調製され得る(Remington’s Pharmaceutical Sciences、第18版、Mack Publishing、Easton Pa.(1990))。他の実施形態において、製剤は約12錠を含む。
【0017】
さらに他の実施形態において、製剤は、対象において臨床的に有意な電解質シフトを引き起こさない。さらなる実施形態において、製剤は、瀉下効果を引き起こすために十分に溶解し、結腸を洗浄するのに十分な用量で溶解する。
【0018】
さらなる態様は、対象の結腸を洗浄する方法を含む。方法は、固体経口製剤を対象に投与することを含む。いくつかの実施形態において、固体経口投薬製剤は、約30.0グラム~約40.0グラムの硫酸ナトリウム、約4.0グラム~約8.0グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.0グラム~約5.0グラムの塩化カリウムを含む。特定の実施形態において、製剤は、約34.0グラム~約38.0グラムの硫酸ナトリウム、約4.0グラム~約8.0グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.0グラム~約5.0グラムの塩化カリウムを含む。本明細書で使用される場合、用語「約」は、記載された値の+/-10%以内を意味する。例えば、約2.0は、1.8~2.2をカバーする。より具体的な実施形態において、製剤は、約34.6グラム又は約35.5グラムの硫酸ナトリウム、約5.4グラム又は約7.8グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.7グラム又は約4.5グラムの塩化カリウムを含む。いくつかの実施形態において、製剤は、約0.2グラム~約1.0グラムのカプリル酸ナトリウムを含む。他の実施形態において、製剤は、約0.8グラムのカプリル酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、製剤は、約1.6グラム~約2.1グラムのポリエチレングリコールを含む。他の実施形態において、製剤は、約1.0グラム~約3.0グラムのポリエチレングリコールを含む。特定の実施形態において、ポリエチレングリコールはPEG-8000である。方法は、固体経口製剤の投与を可能にし、その結果、製剤は、対象の結腸の瀉下を誘導し、その結果、結腸から糞便物質が洗浄される。
【0019】
一部の実施形態において、対象に投与されるビサコジルの量は、5.0mg~約15.0mgである。他の実施形態において、固体経口製剤は、約60.0グラム~約100グラムのPEGとともに投与される、又はそれをさらに含む。例えば、PEGは、溶液として固体経口製剤と同時投与できる。
【0020】
さらに他の実施形態において、固体経口製剤は、粉末、錠剤、又は小袋の形態である。さらなる実施形態において、製剤は、対象において臨床的に有意な電解質シフトを引き起こさない。当業者は、臨床的に重要な事象が、対象の生活において、真の、顕著な、かつ予想外の効果をもたらさざるをえないことを認識する。単一の患者又は患者の小グループにおける所与の範囲外の電解質レベルの変化のみでは、臨床的に有意な事象のレベルまで上昇しない。むしろ、臨床的に重要な事象は、対象の生命に実質的に影響を及ぼす事象である。臨床的に有意な電解質シフトは、集団の平均電解質レベルが、集団内の個々の患者又は患者の小グループだけでなく、患者の集団についての正常範囲の外側にシフトする場合にも、見出すことができる。さらに、当業者は、事象が同様に予想されないものでなければならないことを認識する。例えば、開示された製剤は、結腸を瀉下するように設計されており、そのような製剤は、下痢、場合によっては嘔吐、及び脱水を引き起こすことが予想される。これらの事象は、一部の個体において予想されるため、臨床的に有意な事象ではない。
【0021】
一部の実施形態において、医薬錠剤組成物は、1種以上の可溶性賦形剤をさらに含む。他の実施形態において、水溶液中で可溶性の1種以上の賦形剤は、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、崩壊剤、及びそれらの組合せからなる群より選択される。さらに他の実施形態において、1種以上の可溶性賦形剤は、微粉化ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、安息香酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される。追加の実施形態において、錠剤は、エチレングリコール及びビニルアルコールグラフトコポリマーを含む。
【0022】
一部の実施形態において、1種以上の可溶性賦形剤は、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、崩壊剤、及びそれらの組合せからなる群より選択される。他の実施形態において、1種以上の水溶性賦形剤は、PEG-8000などのポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、カプリル酸ナトリウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される。他の実施形態において、錠剤は、エチレングリコール及びビニルアルコールグラフトコポリマーを、それぞれ約0.01グラム~約1.0グラムの量で含む。特定の実施形態において、錠剤は、エチレングリコール及びビニルアルコールグラフトコポリマーを、それぞれ約0.1グラム~約0.5グラムの量で含む。
【0023】
特定の実施形態において、製剤は、外科的処置と同じ日に投与される。さらに他の実施形態において、製剤は外科的処置の前日に投与される。他の実施形態において、製剤は分割用量として投与される。特定の実施形態において、製剤は、処置の前日に半分の用量として、及び処置の当日に半分の用量として与えられる。
【0024】
特定の実施形態において、錠剤は、それぞれ第2回分の12錠(すなわち、第1回分及び第2回分)で投与される。他の実施形態において、第1回分の12錠は、診断処置の前の夕方若しくは夜、又は診断処置の当日に投与される。いくつかの実施形態において、第1回分の12錠は、第2回分の12錠の投与の約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、又は約14時間前に投与される。さらなる実施形態において、第1回分の12錠は、第2回分の12錠の前の夕方に、投与される。他の実施形態において、患者は、第1回分の12錠を約15分~約20分にわたって投与する。他の実施形態において、患者は、第1回分の12錠を投与している間に、第1容量の水を消費し、第1容量の水は約8オンス~約32オンスであってよい。特定の実施形態において、第1容量の水は16オンスである。第1容量の水を消費した後、患者は、第2容量の水を約30分にわたって消費でき、第2容量は、約8オンス~約32オンスであり、いくつかの実施形態において、約16オンスである。いくつかの実施形態において、患者は、第1回分の12錠の最後の錠剤を投与してから約1時間後に、第2容量の水の消費を開始する。特定の実施形態において、患者は第3容量の水を消費し、第3容量の水は、約8オンス~約32オンスであってもよく、いくつかの実施形態においては、約30分間にわたる約16オンスの水である。特定の実施形態において、患者は、第2容量の水を飲み終えてから約30分後に、第3容量の水を消費し始める。
【0025】
第1回分の12錠の投与後、患者は、第2回分の12錠を投与する。特定の実施形態において、患者は、第1回分の12錠の投与の約2時間後、約4時間後、約6時間後、約8時間後、約12時間後、又は約14時間後に、第2回分の12錠を投与する、又は翌朝に、第2回分の12錠を代わりに投与する。いくつかの実施形態において、患者は、第2回分の12錠を約15分~約20分にわたって投与する。他の実施形態において、患者は、第2回分の12錠を投与している間に、第4容量の水を消費する。他の実施形態において、患者は、第2回分の12錠を投与している間に、第4容量の水を消費し、第4容量の水は約8オンス~約32オンスであってよい。特定の実施形態において、第4容量の水は16オンスである。第4容量の水を消費した後、患者は、約30分にわたって第5容量の水を消費でき、第5容量は、約8オンス~約32オンスであり、いくつかの実施形態において、約16オンスである。いくつかの実施形態において、患者は、第2回分の12錠の最後の錠剤を投与してから約1時間後に、第5容量の水の消費を開始する。ある特定の実施形態において、患者は、第6容量の水を消費し、第6容量の水は、約8オンス~約32オンスであってよく、いくつかの実施形態において、約30分間にわたる約16オンスの水である。特定の実施形態において、患者は、第3容量の水を飲み終えてから約30分後に、第6容量の水を消費し始める。特定の実施形態において、総用量は、24錠に圧縮された、約35.5グラム又は約34.6グラムの硫酸ナトリウム、約5.4グラム又は約7.8グラムの硫酸マグネシウム、及び約3.7グラム又は約4.5グラムの塩化カリウムを含む。特定の実施形態において、製剤は、カプリル酸ナトリウム及びポリエチレングリコールをさらに含む。非常に特定の実施形態において、製剤は、エチレングリコール及びビニルアルコールグラフトコポリマーをさらに含む。他の特定の実施形態において、製剤は、約0.1グラム~約1.0グラムのカプリル酸ナトリウム及び約1.0グラム~約2.5グラムのポリエチレングリコールを含む。より特定の実施形態において、製剤は、約0.8グラムのカプリル酸ナトリウム及び約1.6グラム~約2.1グラムのポリエチレングリコールを含む。さらにより特定の実施形態において、製剤は、約35.5グラムの硫酸ナトリウム、約5.4グラムの硫酸マグネシウム、約4.5グラムの塩化カリウム、約0.8グラムのカプリル酸ナトリウム、及び約1.6グラム~約2.1グラムのポリエチレングリコールからなる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
1.錠剤洗浄製剤
結腸の瀉下を誘導するのに有用であり、さらに結腸を洗浄するのに有用な医薬錠剤製剤が本明細書に開示される。本明細書で使用される場合、用語「錠剤」、「錠剤組成物」、及び「錠剤製剤」は、それぞれ個々に、組成物又は製剤を指し、組成物又は製剤は医薬有効成分及び/又は賦形剤(すなわち、無効成分)の混合物を含有し、混合物は設計された及び固有の圧縮性、流動性、及び付着特性によって、固体投薬単位に形成されることができる。例示的な製剤は、圧縮型錠剤化装置を使用して、連続的かつ継続的に圧縮され、投薬単位に製造又は生産される。
【0027】
開示される組成物及び製剤は、投薬単位を生産し、投薬単位は、製造された場合、一貫した及び許容できる物理的特性を示す。投薬単位は、患者による摂取にも適切でなければならず、望ましい測定可能な薬学的性能及び品質属性を満たさなければならない。本明細書に開示される組成物の態様は、硫酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、硫酸ナトリウムは、無水硫酸ナトリウム及び硫酸ナトリウム十水和物などの硫酸ナトリウム水和物からなる群より選択される。
【0028】
本明細書に開示される特定の態様において使用されるように、硫酸ナトリウムは、洗浄を達成するために患者の結腸の瀉下を可能にする。特定の使用において、結腸の洗浄に関与するのに十分な硫酸ナトリウムは、ある期間(例えば、6時間以上、12時間以上、及び24時間まで)にわたって投与される。いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、硫酸塩は吸収性に乏しく、十分な量で腸内に供給されると、水を腸内に流入させる。吸収性の低い塩は、腸からの取り込みが限られており、腸内に残っている塩は、水を腸内に流入させる。したがって、本明細書中に開示される医薬錠剤製剤は、対象(例えば、患者)の結腸の瀉下を誘導するために水とともに投与されることができ、そしてこのような組成物は、十分な量で投与される場合、結腸を洗浄するために使用されることができる。本明細書に開示される組成物のさらなる利点は、そのような組成物が、結腸の瀉下を誘導するのに十分な量で投与され、本明細書に開示される他の塩とバランスがとれた場合に、臨床的に有意な電解液シフトを引き起こさないことである。いくつかの実施形態において、開示される製剤が回避する電解質シフトは、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、及び塩化物におけるシフトである。開示された製剤は、十分な量のナトリウム、マグネシウム、及びカリウムカチオンを提供して、組成物を摂取する対象におけるこれらのカチオンのレベルのシフトを回避することによって、そのようなシフトを回避する。
【0029】
本明細書に開示される製剤は、結腸を洗浄するために20~30錠として投与でき、いくつかの実施形態において、約24錠及び約28錠として投与できる。しかしながら、当業者は、本開示から、製剤が約14~約42錠、約18~約38錠、約20~約36錠、約22~約34錠、約24~約32錠、又は約26~約30錠として投与されてもよいことを認識する。各錠剤は、約0.6グラムの硫酸ナトリウム~約3.0グラムの硫酸ナトリウムを含むことができる。対象(例えば、患者)に洗浄用量の製剤が投与される場合、硫酸ナトリウムの総量は、約25.0グラム~約40.0グラムである。特定の実施形態において、硫酸ナトリウムの総量は約35.0グラムである。より特定の実施形態において、硫酸ナトリウムの量は、35.5グラム又は約34.6グラムのいずれかである。
対象は硫酸ナトリウムを投与され、製剤の洗浄用量は、約490ミリモル~約505ミリモルのナトリウム及び約290ミリモル~約310ミリモルの硫酸塩を送達できる。
【0030】
洗浄用量は2回以上の用量で投与できることに、留意すべきである。特定の実施形態において、洗浄用量は、少なくとも6時間の期間にわたって、対象に2回用量で投与される。洗浄用量は、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、又は24時間までの期間にわたって、2回用量で投与されてもよい。洗浄用量は、少なくとも6時間、少なくとも8時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、又は24時間までの期間にわたって、3回以上の用量で投与されてもよい。
【0031】
本明細書に開示される医薬錠剤組成物の態様において、硫酸ナトリウムは、錠剤組成物の少なくとも70%(w/w)を構成してもよい。いくつかの実施形態において、硫酸ナトリウムは、錠剤組成物の少なくとも60%(w/w)を構成する。他の実施形態において、硫酸ナトリウムは、錠剤組成物の少なくとも50%(w/w)を構成する。特定の実施形態において、医薬錠剤組成物は、約65%~約75%の硫酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、医薬錠剤組成物は、少なくとも約70%の硫酸ナトリウムを含む。
【0032】
本明細書に記載されるように、硫酸ナトリウムを含む製剤は、有効量の硫酸マグネシウムを含む。マグネシウム及び硫酸の両方が、瀉下に寄与することに留意すべきであり、瀉下は、製剤が対象の結腸を洗浄するのを助けることを可能にする。結腸の洗浄に関する特定の実施形態において、開示される製剤は、対象が約4.0グラム~約8.0グラムの硫酸マグネシウムを受けるように投与されることができる。特定の実施形態において、複数の錠剤は、約5.0グラム~約8.0グラムの硫酸マグネシウムを含む。より特定の実施形態において、製剤は、約5.4グラム又は約7.8グラムのいずれかの硫酸マグネシウムを含む。
【0033】
本明細書に開示されるように、製剤は、結腸の瀉下を誘導するのに十分な硫酸マグネシウム(例えば、硫酸マグネシウム三塩基性無水物)を含む。マグネシウムは、対象の腸によって吸収されにくく、錠剤の浸透圧性下痢作用に寄与する。本明細書に開示された量の硫酸マグネシウム及び硫酸ナトリウムを有する製剤が対象に投与される場合、製剤は結腸の瀉下を誘導し、十分な量で投与される場合、結腸の洗浄をもたらす。例えば、錠剤が24時間までの期間にわたって投与される場合、対象は、結腸の糞便を洗浄するのに十分な下痢を有する。
【0034】
開示される製剤の態様は、塩化カリウムも含む。製剤中の塩化カリウムの量は、約2.0グラム~約5.0グラムであってよい。特定の実施形態において、製剤は、約3.5グラム~約5.0グラムの塩化カリウムを含む。より特定の実施形態において、製剤は、約3.7グラム又は約4.5グラムのいずれかの硫酸カリウムを含む。
【0035】
上記のように、製剤は、約24錠、約28錠、約14~約42錠、約18~約38錠、約20~約36錠、約22~約34錠、約24~約32錠、又は約26~約30錠の数の錠剤形態で投与できる。したがって、各錠剤は、製剤全体から細分された量の硫酸マグネシウムを含むことが、認識されるべきである。言い換えれば、製剤が24錠に分割される場合、各錠剤は、約1.04グラム~約1.66グラムの硫酸ナトリウム、約0.16グラム~約0.333グラムの硫酸マグネシウム、及び約0.08グラム~約0.20グラムの塩化カリウムを含む。
【0036】
本明細書に記載されるように、開示される製剤は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カリウムの組合せの錠剤でもよい。塩の組合せ及び各塩の量は、他の固体及び高張性製剤の使用において見出される臨床的に有意な電解質シフトを回避するために、開発されている。塩のこのバランスは、瀉下のプロセスの間の電解質の臨床的に有意な獲得又は損失(すなわち、電解質のシフト)を低減しながら、浸透圧性下痢(すなわち、瀉下)の誘導を可能にする。
【0037】
医薬錠剤製剤は、1種以上の賦形剤をさらに含むことができる。1種以上の賦形剤(例えば、可溶性)は、結合剤、滑沢剤、流動促進剤、崩壊剤、及びそれらの組合せからなる群より選択される。例示的な賦形剤としては、コポリビドン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース、無水ラクトース、ポビドン、及びポリエチレンオキシドなどの結合剤が挙げられる。他の例示的な賦形剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポロキサマー407、及びラウリル硫酸ナトリウムなどの乳化剤が挙げられる。追加の例示的な賦形剤としては、可溶性滑沢剤が挙げられる。ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、硬化植物油、及びパルミトステアリン酸グリセリルなどの水不溶性滑沢剤は、不溶性残留物を結腸に残し、不溶性残留物は結腸の診断可視化を妨げる。したがって、開示された組成物は、ポリエチレングリコール、ポロキサマー407、ラウリル硫酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、及びステアリル硫酸ナトリウムなどの水溶性滑沢剤を利用する。さらなる例示的な賦形剤としては、クエン酸、クロスカルメロースナトリウム、及びポビドンなどの崩壊剤が挙げられる。特定の実施形態において、本明細書に開示される錠剤製剤は、カプリル酸ナトリウムを約0.1グラム~約1.0グラムの量で含む。特定の実施形態において、錠剤製剤は、約0.442グラムのカプリル酸ナトリウム又は0.84グラムのカプリル酸ナトリウムを含み、例えば、製剤は、圧縮された硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カリウムの24錠を含む実施形態である。
【0038】
いくつかの実施形態において、医薬錠剤製剤は、ほんの極最小量の水溶性賦形剤を含む。利点は、これらの錠剤が明確に溶解して消化管に不溶性残留物を残さないことである。特定の実施形態において、1種以上の可溶性賦形剤は、ポリエチレングリコール、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、フマル酸ステアリルナトリウム、安息香酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、及びそれらの組合せからなる群より選択される。特定の実施形態において、医薬錠剤組成物は、全錠剤組成物中に、5%(w/w)以下の賦形剤を含む。他の実施形態において、医薬錠剤組成物は、全錠剤組成物中に、10%(w/w)以下の賦形剤、又は5%(w/w)以下の賦形剤を含む。
【0039】
開示される製剤の追加の態様は、対象の結腸の洗浄を補助するための他の薬剤の添加を含む。このような追加の薬剤は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カリウムを含む錠剤製剤中に含んでもよい。その代わりに、追加の薬剤は、開示される錠剤製剤とともに与えられる別個の錠剤又は再構成された溶液であってもよい。追加の薬剤の例としては、ビサコジル、ピコスルファート、及びポリエチレングリコール(「PEG」)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、各錠剤製剤は、約1.0グラム~約5.0グラムのPEGを含む。いくつかの実施形態において、各錠剤製剤は、約1.0グラム~約3.0グラムのPEGを含む。他の実施形態において、各錠剤製剤は、約1.6グラム~約2.1グラムのPEGを含む。特定の実施形態において、製剤は、約2.08グラムのPEGを含む。より特定の実施形態において、PEGはPEG-8000である。
【0040】
特定の実施形態において、製剤は、周知の刺激性下剤であるビサコジルを含む(Stiensら.(1998)Spinal Cord.36(11):777-781)。ビサコジルが開示される製剤とともに使用される場合、開示される製剤の洗浄用量は、洗浄のために本明細書に開示される用量の3分の1又は2分の1だけ減少されてもよい。
【0041】
特定の実施形態において、錠剤製剤は、PEGを含む溶液とともに投与される。特定の実施形態において、PEG溶液は、水で希釈されたバルク粉末PEGから再構成される。例えば、瀉下を誘導するために、約4~10錠の製剤を対象に投与できる。約50.0グラム~約150グラムの量のPEGが250ml~500mlの水中で再構成された、PEGの再構成溶液も対象に投与される。いくつかの実施形態において、約60~約100グラムのPEGが、250ml~約500mlの水中で再構成される。
【0042】
市販の硫酸ナトリウムは、ゆっくり溶解する結晶を形成できることも発見された。そのようなゆっくりと溶解する結晶は、医薬錠剤組成物が、対象に対して所望の効果を有するため十分に溶解することを妨げる可能性がある。ある特定の実施形態において、150μm未満の直径を有する硫酸ナトリウム粒子は、医薬錠剤組成物を製剤化する前に除去される。特定の実施形態において、医薬錠剤組成物は、150μm未満の硫酸ナトリウム粒子を実質的に含まない。いくつかの実施形態において、150μm未満の直径の微粉は、そのような結晶を実質的に含まない硫酸ナトリウムに再び加え戻される。特定の実施形態において、微粉は10%(w/w)の硫酸ナトリウムを含む。特定の実施形態において、医薬錠剤組成物中の硫酸ナトリウム粒子は、約150μm~約700μmの直径を有する約90%(w/w)の粒子及び硫酸ナトリウムに再び加えられる、約10%(w/w)の微粉(すなわち、150μm未満の直径を有する粒子)を含む。加えられた微粉は、残物がないように硬度を増加させると考えられる。さらに、組成物は、本明細書に開示されたレベルを超える追加の滑沢剤を必要としない。加えて、本開示の組成物は、組成物のより広い硬度範囲及びより堅牢な製剤を可能にする。
【0043】
医薬錠剤製剤は、標準的な製造スタイルの装置及び技術を使用して錠剤化できる(Bogda、Michael J. Ch. 260、「Tablet Compression:Machine Theory, Design, and Process Troubleshooting」Encyclopedia of Pharmaceutical Technology、第3版、2006)。他の実施形態において、医薬錠剤製剤はカプセル化される。
【0044】
コーティングは、錠剤をコーティングするフィルムであってもよい。フィルムコートは、最も一般的には、錠剤上に薄い均一な層を噴霧することによって、錠剤上に付着される。フィルムコートに使用されるポリマーとしては、スクロース、ヒプロメロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリエチレングリコール、及びエチルセルロースが挙げられる。特定の実施形態において、コーティングは、錠剤組成物の崩壊及び/又は溶解に影響を及ぼすことなく、迅速に溶解する。さらなる実施形態において、コーティングは、結腸の可視化に影響を及ぼす残留物を残さない。特定の実施形態において、錠剤製剤は、Kollicoat IR及び水を含むコーティングを含む。
【0045】
本明細書に開示される製剤は、緩衝液、体液、又は生理溶液に溶解できることが理解される。開示された製剤は、結腸の瀉下を可能にするために十分に溶解でき、十分な量で結腸を洗浄できる。そのような製剤は崩壊することもでき、錠剤崩壊は、米国薬局方(例えば、United States Pharmacopoeia、Vol.36<711>Dissolution、307~313頁、applying Apparatus 2(Paddle Apparatus)を参照されたい。)において示されるインビトロ試験方法を使用して、測定できる。特定の実施形態において、開示された錠剤組成物は、溶液中に溶解された場合、ほとんど又は全く濁りを引き起こさない。例えば、溶液に溶解した場合、錠剤組成物は、0~15比濁法濁度単位(NTU)の濁度を有する溶液を生成する。より特定の実施形態において、溶液は、約0.1~約10NTU又は0.5~5NTUの濁度を有する。さらにより特定の実施形態において、溶液は、約0.1~約20NTUの濁度を有する。
【0046】
2.下剤製剤
特定の実施形態において、製剤は、瀉下を誘導するのに十分な量、「下剤用量」で投与される。特定の実施形態において、下剤製剤は、本明細書に開示される医薬錠剤組成物などの複数の錠剤を含む。複数の錠剤は、対象の結腸の瀉下を誘導するのに有効な量の、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カリウムを含む。
【0047】
特定の実施形態において、下剤製剤は、複数の錠剤(例えば、本明細書に開示される医薬錠剤製剤)である。特定の実施形態において、下剤製剤は、結腸の瀉下を誘導するのに有効な量の、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カリウムを含む。いくつかの実施形態において、硫酸ナトリウムの有効量は、製剤の総重量の少なくとも60%(w/w)を構成し、製剤の総重量の最大80%(w/w)であってよい。硫酸マグネシウムと組み合わせた硫酸ナトリウムの有効量は、結腸の瀉下を誘導するのに十分であるべきである。臨床的に有意な電解質シフトの回避は、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、及び硫酸ナトリウムの適切なバランスによって、成し遂げられる。臨床的に有意な電解質シフトを回避するためのカチオンのそのような平衡化は、米国特許第6,946,149号に開示されており、その内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0048】
より特定の実施形態において、複数の錠剤は、約7~約21錠を含む。特定の実施形態において、複数の錠剤は、約8~約14錠を含む。いくつかの実施形態において、複数の錠剤は12錠を含む。いくつかの実施形態において、製剤は、対象の結腸を瀉下する量で投与される。本明細書に開示される医薬錠剤組成物は、結腸の瀉下を誘導するのに有効な量の硫酸ナトリウム及び硫酸マグネシウムを含む。
【0049】
製剤が結腸の瀉下を誘導するために投与される場合、製剤は、約8.0グラム~約25.0グラムの硫酸ナトリウムを含む。特定の実施形態において、製剤は、瀉下を誘導するために投与される場合、少なくとも約11.0グラム~少なくとも約20.0グラムの硫酸ナトリウムを含む。より具体的な実施形態において、製剤は、瀉下を誘導するために投与される場合、約17.0グラム~約17.7グラムを含む。下剤用量は、約9~約11錠、約8~約12錠、又は約5~約15錠の量で投与できる。
【0050】
製剤が下剤用量として投与される場合、対象は、約1.0グラム~約6.0グラムの硫酸マグネシウムを服用する。特定の実施形態において、製剤は、結腸の瀉下を誘導するために投与される場合、少なくとも約2.0グラムから少なくとも約4.0グラムの硫酸マグネシウムを含む。より具体的な実施形態において、製剤は、結腸の瀉下を誘導するために投与される場合、約2.7グラム~約3.9グラムの硫酸マグネシウムを含む。上記に開示したように、下剤用量は、約9~約11、約8~約12、又は約5~約15錠の量で投与されることができる。
【0051】
本明細書に記載されるように、製剤は、約9~約11、約8~約12、又は約5~約15錠の下剤用量として投与できる。下剤用量として投与される場合、対象は、約1.0グラム~約4.0グラムの塩化カリウムを投与される。特定の実施形態において、製剤は、結腸の瀉下を誘導するために投与される場合、少なくとも約1.6グラム~少なくとも約2.5グラムの塩化カリウムを含む。より具体的な実施形態において、製剤は、結腸の瀉下を誘導するために投与される場合、約1.8グラム~約2.3グラムの塩化カリウムを含む。
【0052】
特定の態様において、製剤は、下剤用量として投与された場合、少なくとも約200ミリモル~少なくとも約300ミリモルのナトリウム、少なくとも約20ミリモル~少なくとも約40ミリモルのマグネシウム、少なくとも約20ミリモル~少なくとも約40ミリモルのカリウム、少なくとも約20ミリモル~少なくとも約40ミリモルの塩化物、及び少なくとも約100ミリモル~少なくとも約200ミリモルの硫酸塩を対象に送達する。
【0053】
本明細書に開示されるように、結腸を洗浄するための総用量は、分割用量で投与でき、第1の用量は診断又は外科的処置の前日に投与し、第2の用量は処置の当日に投与する、分割用量は処置の前日に投与する、分割用量は処置の当日に投与する、又は単回用量として処置の前日若しくは当日に投与できる。洗浄プロトコルの間、各用量は、対象において瀉下を引き起こす。
【0054】
3.下剤製剤及び医薬錠剤組成物を投与する方法
下剤製剤及び医薬錠剤組成物を投与する方法が、本明細書に開示される。開示される方法の態様は、複数の医薬錠剤組成物を含む下剤製剤を対象に投与するステップを含む。特定の実施形態において、下剤製剤は、少なくとも1種の硫酸塩の有効量を含む。
【0055】
特定の実施形態において、下剤製剤は、結腸の瀉下を誘導するために有効な量で投与される。対象に投与される場合、下剤製剤は、結腸を瀉下するために有効な硫酸塩及びマグネシウム塩の用量を対象に与える。さらに他の実施形態において、硫酸塩及びマグネシウム塩の用量が結腸を効果的に洗浄するように、下剤製剤が対象に提供される。
【0056】
本明細書に開示される方法は、少量の錠剤を必要に応じて患者に経口投与するステップをさらに含む。特定の実施形態において、対象に投与される複数の錠剤は、少なくとも20錠である。いくつかの実施形態において、対象に投与される複数の錠剤は、少なくとも30錠である。他の実施形態において、対象に投与される複数の錠剤は、12錠である。特定の実施形態において、複数の錠剤は、24錠の量で対象に投与される。より特定の実施形態において、複数の錠剤は28錠である。またさらなる実施形態において、対象に投与される複数の錠剤は、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、又は42錠である。
【0057】
一部の実施形態において、本発明の方法は、複数の錠剤を投与するステップを含み、複数の錠剤中の各錠剤は、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カリウムのみを含む。これらの実施形態において、多数の錠剤は、所望の効果(すなわち、瀉下、便通、又は洗浄)に応じて、約10.0グラム~約40.0グラムの硫酸ナトリウムの量の硫酸ナトリウムを含む。複数の錠剤は、所望の効果(すなわち、瀉下、便通、又は洗浄)に応じて、約1.0グラム~約10.0グラムの硫酸マグネシウムの量の硫酸マグネシウムも含む。複数の錠剤は、所望の効果(すなわち、瀉下、便通、又は洗浄)に応じて、約1.0グラム~約8.0グラムの塩化カリウムを含むことができる。
【0058】
加えて、開示される製剤は、錠剤の嚥下を容易にし、対象に投与される硫酸塩の投薬によって引き起こされる脱水を回避するため、十分な量の液体とともに投与できる。開示された製剤を不十分な水とともに服用する場合、脱水が可能と予想される有害事象であることは、当業者であれば認識されよう。特定の実施形態において、液体は水などの透明な液体である。特定の実施形態において、対象に投与される液体の総容量は、約500ml~約1.0リットルである。下剤製剤が結腸を洗浄するために投与される場合、対象に投与される液体容量は、脱水を防止するために調節されることができる(例えば、液体容量は、特定の対象の必要性に応じて、2.0リットル以上まで増加されることができる)。特定の実施形態において、液体は、下剤製剤を摂取した後2時間以内に消費される。
【0059】
特定の実施形態において、複数の錠剤は、2回分以上に分割される。例えば、複数の錠剤は、2回分、3回分、又は4回分以上に分割される。複数の錠剤の分割に対する唯一の制限は、対象が瀉下を経験することを保証することである。当業者は、ビサコジル又はピコスルファートなどの追加の刺激性下剤が使用される場合、瀉下を誘導するのに必要な開示された製剤の用量は、刺激性下剤を使用しない場合に必要な開示された製剤の量よりも少ない可能性が高いことを理解する。刺激性下剤の使用にもかかわらず、各回分は、2時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、14時間以上、16時間以上、18時間以上、20時間以上、22時間以上、又は24時間以上の期間にわたって投与できる。錠剤の各回分は、結腸の瀉下を誘導するのに十分である。
【0060】
一部の実施形態において、複数の錠剤は2回分に分割される。そのような実施形態において、第1回分を投与し、瀉下を誘導させる。瀉下後のある時点で、第2回分を投与し、瀉下を誘導させる。本明細書で使用される場合、用語「許容される」は、対象又は医師が処置を中止するために介入しないことを意味する。第2の瀉下の後、対象は、結腸内視鏡検査などの診断処置を受けることができる。これらの実施形態において、2回分の投与は、2時間以上、4時間以上、6時間以上、8時間以上、10時間以上、12時間以上、14時間以上、16時間以上、18時間以上、20時間以上、22時間以上、又は24時間以上によって分割される。いくつかの実施形態において、第1回分は、結腸内視鏡検査などの診断又は外科的処置の前の夕方に投与でき、第2回分は、結腸内視鏡検査の当日に投与できる。
【0061】
さらに別の実施形態において、複数の錠剤は2用量以上に分割され、用量は同じ日に投与される。分割投与レジメンが1日で行われる場合、レジメンの各回分は、用量が全て同じ日に投与されるように、用量の投与間隔が約1時間~約10時間で投与することができる。
【0062】
特定の実施形態において、本発明の方法は、錠剤の一部を服用した後に、ある容量の水を対象に投与するステップをさらに含む。水の量は、対象が錠剤を摂取することを可能にするために十分である。次いで、対象は、1~3時間の期間にわたって、追加の水を飲むように指示される。水の容量は、約500ml~約6.0リットルである。当業者は、患者の年齢、健康、又は他の要因に応じて、より多い又はより少ない容量の水が必要とされることを認めるであろう。通常、対象は、レジメンの過程で、食物又は着色された液体を摂取しないように指示される。
【0063】
特定の実施形態において、錠剤は、20~30錠の単回用量で投与される。例えば、錠剤は、24錠の用量で投与できる。そのような実施形態において、錠剤は、対象が錠剤を摂取することを可能にするために十分な量の水とともに提供される。特定の実施形態において、追加の500ml~2.0リットルの水(いくつかの実施形態において、1.0~1.5リットルの水)が、錠剤を消費した後1~3時間の期間にわたって、患者によって消費される。この全用量レジメンにおいて、レジメンは、診断若しくは外科的処置の前の夕方、又は処置の日に実施できる。
【0064】
特定の実施形態において、錠剤は、それぞれ第2回分の12錠(すなわち、第1回分及び第2回分)で投与される。第1回分の12錠は、診断処置前の夕方若しくは夜、又は診断処置の当日に投与できる。いくつかの実施形態において、第1回分の12錠は、第2回分の12錠の投与の、約2時間、約4時間、約6時間、約8時間、約12時間、又は約14時間前に投与される。他の実施形態において、患者は、第1回分の12錠を約15分~約20分にわたって投与する。他の実施形態において、患者は、第1回分の12錠を投与している間に、約8オンス~約32オンスであってよい、第1容量の水を消費する。特定の実施形態において、第1容量の水は16オンスである。第1容量の水を消費した後、患者は、約30分にわたって第2容量の水を消費でき、第2容量は、約8オンス~約32オンスであり、いくつかの実施形態において、約16オンスである。いくつかの実施形態において、患者は、第1回分の12錠の最後の錠剤を投与してから約1時間後に、第2容量の水の消費を開始する。特定の実施形態において、患者は第3容量の水を消費し、第3容量の水は約8オンス~約32オンスであってもよく、いくつかの実施形態において、約30分間にわたる約16オンスの水である。特定の実施形態において、患者は、第2容量の水を飲み終えてから約30分後に、第3容量の水を消費し始める。
【0065】
第1回分の12錠の投与後、患者は、第2回分の12錠を投与する。特定の実施形態において、患者は、第1回分の12錠の投与の、約2時間後、約4時間後、約6時間後、約8時間後、約12時間後、又は約14時間後に第2回分の12錠を投与する、又は代わりに翌朝第2回分の12錠を投与する。いくつかの実施形態において、患者は、第2回分の12錠を、約15分~約20分にわたって投与する。他の実施形態において、患者は、第2回分の12錠を投与している間に、第4容量の水を消費する。他の実施形態において、患者は、第2回分の12錠を投与している間に、約8オンス~約32オンスであってよい、第4容量の水を消費する。特定の実施形態において、第4容量の水は16オンスである。第4容量の水を消費した後、患者は、約30分にわたって第5容量の水を消費でき、第5容量は、約8オンス~約32オンスであり、いくつかの実施形態において、約16オンスである。いくつかの実施形態において、患者は、第2回分の12錠の最後の錠剤を投与してから約1時間後に、第5容量の水の消費を開始する。ある特定の実施形態において、患者は、第6容量の水を消費し、第6容量は、約8オンス~約32オンスであってよく、いくつかの実施形態において、約30分にわたる、約16オンスの水である。特定の実施形態において、患者は、第3容量の水を飲み終えてから約30分後に、第6容量の水を消費し始める。
【0066】
4.製造方法
開示される組成物を製造する方法が、本明細書に開示される。本方法の態様は、1種以上の水溶性塩、1種以上の水溶性結合剤、及び1種以上の水溶性滑沢剤を組み合わせることを含む。開示された方法は、標準スラントコーン型又はコーン型混合装置(GEMCO、Middlesex、NJ)などの混合装置を使用して、1種以上の塩を混合することを含む。適切な場合には、コーン型混合装置の代わりに他の型又は分類の混合装置を利用してもよい。特定の実施形態において、塩は混合装置に加えられ、約10~約60分間転倒される。
【0067】
特定の実施形態において、1種以上の塩、1種以上の結合剤、及び1種以上の滑沢剤は、粒径の低減又は改変を必要とする。このような技術は、当業者には公知である。特定の実施形態において、混合過程を容易にするため、混合前に本開示の製剤の1種以上の成分を一緒にまき散らすことが必要である。特定の実施形態において、PEG-8000などの1種以上の結合剤が加えられ、完全に分散するまで混合される。特定の実施形態において、結合剤の後に、カプリル酸ナトリウムなどの滑沢剤を加え、約1~5分間混合する。
【0068】
開示される方法の態様は、混合物を標準的な回転式錠剤圧縮機(36 Station Stokes 454)に移すことを含む。通常の回転式錠剤圧縮機は、正確かつ一貫した量の製剤を錠剤に圧縮するために、上部及び下部パンチ、金型、ホッパー、供給フレーム及び金型テーブルからなり、適切な制御及びカムを有する。いくつかの実施形態において、製剤はホッパーに供給される。供給フレームは、ホッパーから金型に製剤を送達する。いくつかの実施形態において、下部パンチは、所望の充填又は錠剤重量を決定するために、金型内の特定の位置に設定される。機械が回転すると、対応する上部パンチが金型の中に向けられる。この方法は、圧縮機がその回転を継続し、上部パンチ及び下部パンチが事前圧縮位置及び最終圧縮位置を通って移動し、ここで、圧縮ローラーが、特定量のトン数又は圧力を適用して、各金型内でパンチを一緒に押し、錠剤を形成することも含む。プレスが回転し続けると、錠剤が金型から排出される。
【0069】
特定の実施形態において、錠剤が圧縮中に所定の必要な錠剤特性を満たすことを保証するため、硬度、重量、及び厚さについて、錠剤試料を評価及び測定する。医薬錠剤は、通常、USPの溶解及び崩壊規格に適合するように、又はそれを満たすように作製される。
【0070】
次いで、コーティング装置(Thomas Engineering Inc.、Hoffman Estates、IL)を使用して、錠剤をコーティングする。特定の実施形態において、コーティングは、水、Kollicoat IR、及びPEGの混合物である。特定の実施形態において、錠剤をコーティングパンに装填し、温度を上昇させた後、コーティングに備えて、パンを回転させて錠剤をひっくり返す。計量ポンプを使用して、コーティング溶液を空気噴霧ノズルに送達できる。噴霧溶液の容量及び噴霧ノズルに送達される圧縮空気のポンド・平方インチは、当業者の必要に応じて、調整できる。ノズルは、噴霧された溶液を回転する錠剤上に直接噴霧するように配置される。いくつかの実施形態において、温度制御された空気が、錠剤が回転する際に錠剤を通して吹き込まれ、霧化したスプレーを塗布するのを助けながら、コーティング溶液を各錠剤上で乾燥させる。適切な量のコーティングが錠剤に塗布されたら、錠剤をしばらく乾燥させ、次いで包装に移す。
【実施例】
【0071】
1.実施例1 コア製剤
本明細書に記載の実施形態による錠剤を以下のように作製した。各バッチは、以下の量の医薬有効成分及び賦形剤を用いて作製した。24錠当たりの各医薬有効成分及び賦形剤の重量も示す(表1)。
【0072】
【0073】
表2は、FDA承認の比較製品に含まれる成分を示す。表3及び表4は、それぞれ錠剤製剤及び比較製品の組成(mM単位)を示す。
【0074】
【0075】
【0076】
【0077】
2.錠剤及び製剤の投与
i.試験パラメータ
様々な錠剤製剤を評価し、IRB承認プロトコルにおいて、FDA承認の市販調製物(NuLYTELY、SUPREP、MOVIPREP)と比較して、続いて単一施設で非盲検設計試験を行った。各製剤からの結果に応じて、新しい製剤を設計し、その後の試験などで評価した。年齢18~50歳の健康な正常男性ボランティアを募集した。各製剤又は市販の調製物を、一度に5人のボランティアの群(1つのコホート)において試験した。これを普通に繰り返して、各製剤について合計10人以上のボランティアができた。
【0078】
ii.試験手順
試験の選択基準は、ボランティアが、18~50歳の男性であり、健康であり、これは身体検査及び病歴のレビューによって判断される、治験責任医師の判断によって、対象がインフォームドコンセントの法律文書に署名するための精神的な能力があることを必要とした。全ての試験ボランティアは、承認されたインフォームドコンセント文書に署名した。除外基準は以下の通りである。
1.イレウス、消化管閉塞、胃貯留、腸穿孔、結腸炎、巨大結腸症、又は結腸人工肛門を有することが知られている、又は疑われる対象。
2.臨床的に有意な心電図異常の病歴を有する又はスクリーニング来診時に臨床的に有意な心電図異常を有する対象。
3.塩分制限食を受けている対象、脱水、腹水、電解質異常、腎不全、心疾患の病歴若しくは証拠を有する対象、又は電解質に影響を及ぼす利尿剤若しくは他の薬剤を服用していた対象。
4.過去1ヶ月以内に腸洗浄処置を受けた対象、又は投与前の過去5日(120時間)以内に下剤を服用した対象。
5.過去90日以内に治験臨床、外科、薬物、又は装置試験に参加した対象。
6.スクリーニング時に、B型若しくはC型肝炎に罹患している、又はHIV検査陽性であった対象。
7.薬物使用者であった、及び/又は過剰にアルコール(1日あたり1リットルを超えるビール又は等量の任意の他のアルコール飲料)を使用する(使用した)対象。
8.下痢を含む何らかの進行中の医学的問題を有していた対象、又は外科的処置が予定されていた対象、又は臨床的に有意な、肝臓、神経、血液、内分泌、腫瘍学的、肺、免疫学的疾患、精神医学的疾患、心血管疾患、又は治験責任医師の意見において、対象の安全性を危うくする、若しくは試験結果の有効性に影響を与える任意の他の状態の病歴を有していた任意の対象。
9.任意の調製成分;硫酸ナトリウム、硫酸カリウム若しくは硫酸マグネシウム、クエン酸若しくはクエン酸塩、リンゴ酸、クエン酸マグネシウム、塩化マグネシウム、重炭酸ナトリウム若しくは重炭酸カリウム、塩化カリウム又はポリエチレングリコール-3350に対して、アレルギー性であった対象。
10.過去3ヶ月以内に重度の慢性便秘を経験した対象。
【0079】
診療所での拘束前28日以内にスクリーニング訪問を実行し、インフォームドコンセントプロセスに続いて、試験ボランティアが彼らの病歴を示し、バイタルサインを得た。臨床検査(血清学を含む)、尿薬物スクリーニング試験(アルコールを含む)、身体検査及び12誘導心電図を行った。
【0080】
一般に、これらの試験における錠剤摂取レジメンは、合計2回の12又は14錠の投与、又はいくつかの試験群において、約12時間間隔で与えられる3回の投与を採用した。市販の調製物を、錠剤と同じスケジュールに従って分割用量として与えた。1日目に開始して、5人の対象の群を、投薬スケジュールに依存して、48時間までその場所に拘束した。試験ボランティアに軽食(割り当てられたレジメンに応じて朝食又は昼食)を与え、その後、水を与えた(いくつかの実験では、透明な液体が許容された)。尿検査、尿薬物スクリーニング、血液化学、血液学及び凝固試験を行って、ボランティアが試験参加基準を満たしていることを確認するために審査した。身体検査も行った。
【0081】
iii.錠剤の投与
1日目の午後7時に開始して、5人の試験対象は、丸剤を嚥下するのを助けるための16オンスの水とともに、12錠又は14錠(用量1)を可能な限り迅速に服用し始める。全用量(すなわち、12錠又は14錠全て)は、16オンスの水とともに、約20分以内に消費されると予想された。第1の用量の完了後、対象は、15分毎に約8オンスの水の割合で、次の1時間にわたって、16オンスの水を追加で2回飲むように指示された。用量1投与前60分以内に、臨床化学、血液学、凝固、及び硫酸塩のために、血液を採取した。臨床化学及び血清硫酸分析のための血液試料も、投与後の間隔、通常4時間及び6時間で採取した。後の試験において、対象は、水素及びメタン呼気ガスについて試験するために、錠剤投与前並びに各用量の1、2、4、及び6時間後に、呼気試料を提供した。対象は、およそ1日目の用量1の時点から開始して、1日目の用量2(第2の投与)の前まで、排泄された全ての糞便及び尿を収集された(用量1プール)。
【0082】
1日目の午前7時に開始して、対象は、以前のように、16オンスの水とともに、12又は14錠(用量2)の2回目の投与を開始する。用量2の完了後、対象は、15分毎に約8オンスの水の割合で、次の1時間にわたって、正確に16オンスの水を追加で2回摂取した。前と同様に、血液を、臨床化学、血液学、凝固、及び硫酸のために、用量2の前約60分以内及び用量の後、投与後、通常、4時間及び6時間に採取した。加えて、(後の試験において)対象は、用量2の前並びに用量の1、2、4、及び6時間後に呼気試料を提供した。対象は、およそ1日目の用量2の時点から開始してチェックアウトまで、排泄された全ての糞便及び尿も収集された(用量2プール)。対象は、用量2の後8時間診療所に残り、標準食を与えられ、全ての処置が完了した後に解放された。
【0083】
各投与後、次の投与の開始又は試験の終了前までに対象を通過した各排便(BM)を、各排便に対して1つずつの、別々のラベル付き容器に収集した。各BMの時間及び重量を記録した。Patelら、2009の方法を使用して、4、6、及び8時間又はそれ以前に生じた最後のBMにおいて、並びに各用量後の最後のBM試料において、糞便固体を測定した。試料を秤量し、糞便固体について一定分量を得た後、各用量からの全ての個々のBM試料をプールし、浸透圧及び電解質(ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、リン酸塩、マグネシウム)について分析した。
【0084】
所与の製剤の効力を決定するための評価には、総排便量(排出量)、固形分パーセント、糞便中電解質バランス、及び血中電解質結果が含まれた。コホート7から開始して、呼気ガスを記載のように測定した。各調製物に対するボランティアの耐性を監視し、有害事象データを用いて安全性を評価した。記述統計(平均、標準偏差、範囲)を使用してデータを比較した。
【0085】
3.結果
それぞれ5人の男性ボランティアのコホートを、上記の手順に従って試験した。プロトコル識別子、コホート、対応する試験対象番号及び試験された製剤を以下の表5に示す。
【0086】
【0087】
これらの試験の意図は、FDAが承認した市販の対照調製物と比較して、同様の排便量及び糞便固体パーセント(洗浄の代用物)及び糞便電解質バランスを有する錠剤製剤を開発することであった。
【0088】
【0089】
表6は、対照調製物のそれぞれについての平均排便量の結果を示し、用量1の開始から試験の終了までに摂取された調製物+任意の補給水の総量及び得られた総排便量を示す。これらの調製物は、結腸内視鏡検査のための腸洗浄について、FDAによって承認されている。
【0090】
表7は、承認された調製物の各用量後に測定された平均糞便固体パーセントを示す。
【0091】
【0092】
この表に示されるように、5%未満の糞便固体パーセントの結果は、許容できる結腸内視鏡検査洗浄と相関すると予想され、2.4%が達成可能な最良のものである。以下の表8は、ナトリウム、カリウム、塩化物、マグネシウム及び重炭酸塩についての3つの対照調製物についての平均糞便電解質バランスの結果を示す。各電解質について、製剤の用量1及び2から摂取された電解質の総量を「投入量」として示す。両方の投薬後に糞便中に排泄された総電解質を「排出量」として示す。投入量と排出量との間の差は、「獲得/損失」として示され、腸管からの電解質の正味の吸収(獲得)又は損失(分泌)を表す。この表に示されるように、3つの市販の調製物は、このプロトコルの条件下で糞便電解質バランスに関して異なる。
【0093】
【0094】
3つ全ての市販の調製物は、排便量に関連すると思われる個々に変動するナトリウム移動を有したが、全体的なナトリウムの移動は中立であった。SUPREPは大きな塩化物損失を伴い、NuLYTELYは大きな増加を示した。これは、SUPREP中に塩化物が存在せず、NuLYTELY製剤中に大量の塩化物が存在するためである。NuLYTELYも、いくらかのカリウム損失を示した。対照調製物についての、血液電解質及びアニオンギャップ測定の平均結果を表9に示す。
【0095】
【0096】
表10は、錠剤製剤についての排便量測定の結果を示す。
【0097】
【0098】
製剤8、10、及び12は、24錠の製剤を使用して、2600ml~約2900mlの排便量をもたらした。錠剤製剤物からの排便量は、市販の対照によって達成される排便量よりもいくらか少なかったが、錠剤の各投与後に測定された最も低い糞便固体の結果の平均糞便固体パーセント(結腸洗浄の尺度)は、表11に示されるように、同じか又はより良好であった。
【0099】
【0100】
表12は、各錠剤調製物についての糞便電解質バランスの結果を示す。
【0101】
【0102】
表12に示されるように、ナトリウム移動は個々に変動した(大きな標準偏差によって示される)。全体として、製剤8及び10は、試料標準偏差内のナトリウム移動を有し、この電解質の最小限の損失又は増加を示した。カリウムについては、製剤8及び10は試料標準偏差内の平均バランスを有し、製剤8は数値的に最小の平均バランスを示した。塩化物に関して、配合物8は、ほとんど又は全く移動を示さなかった。
【0103】
錠剤製剤についての平均血中電解質の結果を以下の表13に示すが、重要な変化がないことが明らかである。アニオンギャップは、製剤8及び10において改善した。
【0104】
【0105】
錠剤製剤は、塩味の液体の摂取よりも患者の服薬規定を促進する、より便利な剤形であると考えられる。錠剤製剤を、排便量及び下痢便中の固形分パーセントの腸洗浄の代用マーカーとしての性能について評価した。糞便は、身体と製剤との間の電解質の中性移動を提供する製剤の能力を決定するためにも評価された。このプロジェクトの目標は、電解質の最小限の移動を維持しながら、FDA承認の市販製品にできるだけ近い排便量及び透明度を達成することであった。
【0106】
試験した全ての製剤は、2回分の12錠用量で投与される合計24錠を使用した。いずれの製剤も血清電解質に悪影響を及ぼさなかった。大部分は、FDA承認市販製品によって達成されたものと同様の排便量及び固形分パーセントをもたらした。錠剤製剤によってもたらされた排便量は、市販の調製物よりもわずかに低かったが、糞便の固体パーセントの測定結果(結腸洗浄の尺度)の同等性又は優位性は、市販の調製物が不必要な排出量をもたらす可能性があることを示す。
【0107】
製剤8、10、及び12は、(硫酸ナトリウムを減少させることによって)ナトリウム含有量を減少させ、硫酸マグネシウムを加えることによって補償硫酸塩を提供し、硫酸マグネシウムは、製剤に必要なマグネシウムも提供した。製剤8、10、及び12は、これらの電解質の供給源として塩化カリウムを使用し、非常に類似している。
【0108】
製剤8、10、及び12は、許容できる排便量、固体パーセントの測定値、及び電解質の最小吸収/分泌を提供する。全てが、血液電解質を有意に変化させる傾向を示さず、SUPREPよりもアニオンギャップを改善する。これらの製剤のいずれも、結腸内視鏡検査患者におけるさらなる試験にふさわしくない。
【国際調査報告】